令和7年9月8日(月)

令 和 7 年 第 4 回 福 岡 市 議 会 定 例 会
議  事  日  程 (第4号)
                                     9月8日 午前10時開議
第1 一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (60名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  平 畑 雅 博      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      23番  古 川 清 文 
24番  高 木 勝 利      25番  篠 原 達 也
26番  伊 藤 嘉 人      27番  打 越 基 安
28番  川 上 晋 平      29番  尾 花 康 広
30番  松 野   隆      31番  山 口 剛 司
32番  大 石 修 二      33番  木 村てつあき
34番   欠   員       35番  大 沢 めぐみ
36番  和 田あきひこ      37番  あ べ ひでき
38番  綿 貫 康 代      39番  前 野 真実子
40番  中 島まさひろ      41番  藤 野 哲 司
42番  新 村 まさる      43番  天 野 こ う
44番  堀 内 徹 夫      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  はしだ 和 義 
48番  浜 崎 太 郎      49番  阿 部 正 剛
50番  倉 元 達 朗      51番  中 山 郁 美
52番  川 口   浩      53番  小 竹 り か 
54番  勝 見 美 代      55番  井 上 ま い
56番  ついちはら陽子      57番  田 中 たかし
58番  山 田 ゆみこ      59番  近 藤 里 美
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
22番  津 田 信太郎 

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎       副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一       副    市    長  荒 瀬 泰 子
   水道事業管理者  中 村 健 児       交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則       財  政  局  長  中 村 剛 士
市  民  局  長  舟 越 伸 一       こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一       保 健 医 療 局 長  山 嶋   剛
環  境  局  長  藤 本 和 史       経済観光文化局長  吉 田 宏 幸
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一       住宅都市みどり局長  町 田 一 彦
道路下水道局長  竹 廣 喜一郎       港 湾 空 港 局 長  鈴 木 順 也
消  防  局  長  牧 田 哲 治       会 計 管 理 者  小 林 登茂子
教    育    長  下 川 祥 二       教  育  委  員  原   志津子
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子       人事委員会事務局長  上 薗 久 美
監 査 事 務 局 長  八 木 智 昭

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩       議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二       議  事  係  長  實 政  伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(平畑雅博) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。山田ゆみこ議員。
 
○58番(山田ゆみこ)登壇 おはようございます。私は福岡市民クラブを代表して、福岡市の成年後見制度について、世界のアスリートとつながるオフキャンプの取組について、以上2点について質問してまいります。
 まず、成年後見制度についてです。
 老後の暮らしへの関心が高まる一方で、将来に対する不安の声も少なくありません。実際に老後に備えようと思っても、何から始めればよいか、どんな準備をすれば安心できるのかと悩まれる方が多いと伺っています。本市の人口162万人のうち22.3%は65歳以上の高齢者です。
 そこで、本市の高齢者の方々が今後の暮らしにおける各種日常の手続に対して不安を持つ割合はどのくらいなのか、お尋ねいたします。
 以上、1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和4年度に実施した福岡市高齢者実態調査によりますと、調査の対象となった60歳以上の方のうち、医療や介護が必要になったとき不安なこととして、保険の手続や金銭管理を選んだ人の割合は22.7%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 高齢化が進む中で、日常の手続に不安を抱える方が増えています。特に認知症などで判断する力が弱まると、銀行でのお金の出し入れや年金の受け取り、介護や医療の契約などを自分だけで行うのは難しくなります。さらに、悪質な訪問販売や詐欺に巻き込まれる危険もあり、どうすれば安心して暮らせるのかということが大きな課題です。
 判断力の低下は誰にでも起こり得るという背景から、2000年に始まったのが成年後見制度です。成年後見人は家庭裁判所が選任し、預貯金や公共料金の支払いといったお金の管理、介護や医療サービスの契約や施設入所の手続などを代わりに行い、さらに、詐欺や悪質な契約から本人を守る役割も担っています。成年後見制度は本人の気持ちを尊重しつつ、安心して暮らし続けるための心強い仕組みですが、まだ十分に知られていないことや必要なときに使いにくいという課題もあります。
 本市では、成年後見制度を広め、利用を支えるための拠点は設けているのか、伺います。また、市として成年後見制度にどのように取り組んでいるのかをお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、令和3年10月に福岡市成年後見推進センターを開設し、制度に関する相談や広報、啓発、成年後見人の支援などにこのセンターを中心に取り組むとともに、後見人等の報酬助成や市民後見人の育成を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) では、成年後見制度の支援にはどのような相談窓口があるのか、市民に十分認知されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 相談窓口といたしましては、成年後見推進センターや区役所、地域包括支援センター、障がい者基幹相談支援センターのほか、福岡県弁護士会のあいゆう、司法書士会のリーガルサポート福岡支部、社会福祉士会のぱあとなあ福岡などがございます。これらの窓口が市民に広く認知されるよう、様々な機関や団体と連携しながら広報、啓発に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) このような支援や窓口を広く知っていただくために、今後も積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、令和3年10月に成年後見推進センターを開設し、各区役所や様々な場所に相談窓口が設置されていますが、成年後見人はどのような人がなれるのか、また、どのような手続が必要なのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 成年後見人につきましては、親族以外の場合は弁護士や司法書士などの専門職や市民後見人養成研修で必要な知識等を身につけた方などが選任されております。手続としましては、本人または配偶者、4親等以内の親族、身寄りがない場合は市町村長などが家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所が本人の状態の確認等を行った上で適切な方を選任いたします。成年後見人の候補者がいる場合は、申立書に併せて記載することとされております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 成年後見人については、親族だけではなく、専門職、また、市民後見人養成研修を受けて知識を身につけた市民の方も担うことができるとのことです。また、手続においても、本人や御家族の申立てだけでなく、身寄りのない方の場合は市町村長が家庭裁判所に申立てを行い、候補者がいる場合はその方を申立書に記載して提出できます。
 このように、制度としては幅広く利用できる体制が整えられているわけですが、本市で実際成年後見制度を利用している方の人数をお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡家庭裁判所によりますと、管轄する利用者のうち、福岡市にお住まいの方は令和7年3月末時点の概数で3,014人となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) では、認知症の高齢者が増加する中で、本市の今後の成年後見ニーズはどう見込まれているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 成年後見制度の利用を必要とする人は、今後も増加するものと見込んでおります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 高齢になると、体が思うように動かなくなったり、周囲に遠慮して自分の気持ちをうまく伝えられなくなることもあると伺いました。さらに、認知症を発症すると判断が難しくなり、生活の様々な場面で支援が必要となります。家族や地域のつながりがある方はまだ支えが得られます。では、身寄りのない高齢者の方への後見制度の対応はどのようにされているのか。
 後見制度における本人の意思の尊重は大原則です。実際にどのように本人の意思が確保されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 本人の意思の尊重につきましては、最高裁判所と厚生労働省、専門職団体によるワーキンググループが策定した意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドラインに沿って、成年後見人等と介護支援専門員、地域包括支援センター、主治医などが本人を交えたミーティングを開催するなど、本人の意思や考えをできるだけ踏まえて様々な決定を行うことができるよう取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 成年後見制度では、本人の意思を尊重しながら支援の方向性を決めていく取組が行われています。
 しかし、制度の利用が必要でも、申立てをする人がいない場合は実際に誰がどのような流れで行うのかを伺います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 申立てを行う人がいない場合は、区役所が面会や医師の診断書などにより本人の状態等を確認し、本人に制度の説明を行った上で、市長が家庭裁判所に申立てを行う市長申立てを実施しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 市長申立てを実施しているとのことですが、成年後見制度の市長申立て件数は直近、5年前、10年前で増減しているのか、その傾向と背景について伺います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市長申立ての件数は、10年前の平成26年度は23件、5年前の令和元年度は46件、直近の6年度は100件となっております。認知症の高齢者などで申立てを行う人がいない方が増えているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) ここ10年で増加傾向にあり、こうした現状を踏まえると、高齢者が安心して暮らすためには、元気なうちに自らの意思を整理し、任意後見制度や生活支援サービスの活用を含め、将来への備えを進めていくことがますます重要となります。高齢者が元気なうちから安心して将来の備えができるよう、市としてどのような啓発や支援の取組を進めているのか、また、高齢者に関する困り事について相談できる公的窓口は地域包括支援センターにありますが、成年後見制度に関する地域包括支援センターの役割について現状と課題を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地域包括支援センターにおきましては、成年後見制度に関する相談や広報、啓発のほか、制度の利用が必要な人の把握と専門機関へのつなぎなどを行っております。必要な方が適切に制度を利用できるよう、制度のさらなる周知を図るとともに、早期からの相談や支援を行っていくことが必要であると認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 制度の利用については費用もかかると思いますが、費用はどのくらいかかるのか、金額が分かれば教えてください。また、経済的に困難な方への支援の制度はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 家庭裁判所への申立てに係る費用は印紙代や診断書料など約2万円であり、家庭裁判所が必要と判断した場合は、別途医師の鑑定費用が必要となります。また、後見人等の報酬の額は、御本人の生活等の状況を踏まえて家庭裁判所が決定いたします。生活保護を受給している方や報酬等を負担することで生活保護の基準を下回る方につきましては、市が助成を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 制度には所得制限がなく、生活保護を受給している方も利用できることや、本市が金銭的支援を行っているため安心して利用できることが分かりました。
 そこで、お尋ねします。
 本市として家庭裁判所とはどのように連携しているのか、また、連携上の課題があれば教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 家庭裁判所との連携につきましては、定期的な協議や随時の情報共有を行うとともに、市長申立てに当たって、成年後見推進センターが主催する受任者調整会議で適切な候補者を選定し、推薦するなどの取組を行っているところであり、特に課題はないものと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 成年後見制度の利用促進に加えて、本人が元気なうちに将来に備える任意後見制度の活用も重要であると考えます。
 本市として、この任意後見制度の普及や活用にどのように取り組んでいるのかを伺います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 任意後見制度につきましては、成年後見推進センターや地域包括支援センターなどで情報提供を行うとともに、リーフレットの配布や市民向け講座で紹介するなど、様々な機会を捉えて、法定後見制度と併せ、普及に向けた広報、啓発を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 成年後見制度には法定後見と任意後見があります。いずれも本人の利益を守るためのサポートをする点は共通していますが、制度の仕組みや後見人の権限には違いがあります。
 そこで、法定後見と任意後見のそれぞれの仕組みや権限の違いについて教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 法定後見制度は、家庭裁判所が選任した成年後見人等が家庭裁判所から付与された代理権、同意権、取消権を行使して本人を支援するものでございます。また、任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに自ら代理人を選んで、生活や財産管理等に関する事務の代理権を与える任意後見契約を締結し、本人の判断能力が低下した場合に、この代理人が契約に基づいて本人を支援するものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 法定後見と任意後見の仕組みや権限の違いは分かりました。
 では、認知症の方などの権利を守る新たな担い手として市民後見人の養成にも取り組んでいますが、市民後見人とはどのような立場で、どのようなことができるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市民後見人は法定後見制度における担い手の一つであり、地域に暮らす住民の立場で本人に寄り添った財産管理や意思決定の支援などを行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 地域に暮らす人の立場から、本人に寄り添って財産の管理や生活の判断を支えていることが理解できました。
 では、市民後見人はどのような方がなれるのか、あわせて、本市で現在何人ぐらいいるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、市民後見人養成研修を受講された方のうち、業務を適正に行うことができると認められる方を候補者名簿に登録し、市民後見人に適した事案が生じた場合に家庭裁判所への推薦を行っております。市民後見人として活動されている方は、令和7年8月末時点の累計で18人となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 地域で暮らす方々に寄り添いながら、生活の判断を支える大切な役割を担っていることや、さらには、これまでに18人が家庭裁判所に選任されているとのことで、支援体制が整いつつあることは、本人の権利を守る上でとても心強い取組だと感じました。
 そこで、お尋ねいたします。
 本人の意思確認ができない場合で、家族などがいないまたは家族などが本人の意思を推定できない場合、人生の最終段階の医療、ケアはどのように扱われるのか、お伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 厚生労働省が策定いたしました人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインによりますと、まず、家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて医療・ケアチームと家族等で十分に話し合い、本人にとって最善の方針を取ることを基本とすること、次に、家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、医療・ケアチームが本人にとっての最善の方針を取ることを基本とすること、さらに、これらのプロセスを必要に応じて繰り返し行い、話し合った内容はその都度文書にまとめておくこととされております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) これまで成年後見制度や任意後見制度、市民後見人、さらに、人生の最終段階における医療やケアについて伺ってまいりました。高齢者の多くは、日常生活のこと、医療や介護に係る費用、外出の難しさなど、暮らしに不安を抱えておられます。こうした不安を少しでも和らげるためには、後見制度や生活支援サービスの活用が大変重要です。しかし、実際には制度の内容がよく分からない、どこへ相談すればよいのか迷うといった声も少なくありません。単身高齢者が将来介護サービスを利用する際や日常の手続に困らないよう、早い段階から制度を理解できるようにすることが求められます。そのためにも、地域包括支援センターと連携し、必要なサポートを丁寧に行い、リーフレットの配布や市民向けの講座、ウェブサイトなどを活用し、制度や手続、相談窓口を誰にでも分かりやすく伝える工夫を進め、市民が自然に学べる環境づくりをお願いしたいと思います。さらに、本人の意思が確認できない場合でも、医療、ケアの専門チームが最善の方針を検討できるとのことで心強く感じましたので、今後は市民が困ったときにすぐ相談できる体制をより充実させ、制度や支援内容を丁寧に伝えていただき、高齢者が元気なうちから自分に合った備えを考えられるよう市として積極的に広報と支援に取り組まれることを強く要望し、この質問を終わります。
 次に、世界のアスリートとつながるオフキャンプの取組について質問してまいります。
 本市では、これまで国際大会をはじめとする多くのスポーツ大会が開催されています。また、世界中から様々な競技のアスリートも集まってきました。国内で大会が行われるたびに、各地で事前に合宿などの受入れもなされてきたことと思います。
 そこで、本市が国際スポーツ大会や合宿を誘致するなど、国際的なスポーツを推進する意義について本市の基本的な認識をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 本市のスポーツ施策の基本的な方向性を示す福岡市スポーツ推進計画において、国際大会や全国大会の開催、事前合宿の誘致等に取り組むことで、市民が一流のプレーに触れ、交流できる機会を提供するとともに、大会を契機とした経済、文化、国際交流など、様々な波及効果を創出し、都市の魅力、活力を高めることとしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 国際大会や全国大会の開催、事前合宿の誘致により、市民が一流のプレーに触れたり、アスリートとの交流ができる機会を提供することは市民の財産であると考えます。また、大会の開催をきっかけとして、経済、文化、国際交流など、様々な波及効果も期待できます。
 このような事前合宿でのスポーツ施設利用は必須ですが、どのような場所が利用されているのか、利用された施設の頻度の多い順に5つお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 事前合宿で利用されたスポーツ施設につきましては、過去10年間での頻度の多い順に、博多の森陸上競技場、総合体育館、県立総合プール、総合西市民プール、雁の巣レクリエーションセンターとなっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) いずれも市民にとって身近で親しみのある施設が挙げられました。また、雁の巣レクリエーションセンターは、現在、アビスパ福岡の練習場として利用され、かつては福岡ソフトバンクホークスの2軍の本拠地でもありました。こうしたプロスポーツチームは市民にとってまさに憧れの存在であり、子どもたちの夢や目標を育む力を持っています。地域に根差すプロチームが身近に活動しているということ自体が市民にとって大きな財産であると思いますし、その存在は本市の魅力を高める要素の一つでもあると思います。
 そこで、お尋ねしますが、市民とソフトバンクの選手やアビスパ等の選手と交流事業など開催したことはあるのか、教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) プロスポーツチーム等との交流事業につきましては、選手などと一緒にスポーツ交流を行うスタージャンプ福岡などのイベントやスポーツ教室等を実施いたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 交流事業は実施されておりますが、合宿などで本市の公共スポーツ施設を利用するアスリートが増えれば、アスリートと市民の交流機会の増加につながるのではないかと考えます。
 そこで、競技種目によって異なると思いますが、本市の高校や大学などとの連携により、合宿時に大学などのスポーツ施設を利用したことはあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 事前合宿時には、通常、博多の森陸上競技場や総合体育館などの公共のスポーツ施設を利用しておりますが、相手国のニーズに応じて大学の施設を利用することもございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 大学などの施設を利用した事例もあるとのことです。
 このことを踏まえ、例えば、合宿で来福した選手が学校の体育館を利用するに当たり、その学校の生徒との交流事業を実施するなど、本市として取り組む考えはないのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 学生等との交流につきましては、アスリートや学校の意向を踏まえ、可能な場合には市民交流事業の一環として実施することといたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) では、交流の場を増やすとともに、施設そのものの魅力や環境に配慮することも大切だと考えます。
 そこで、本市のスポーツ施設についてお尋ねしますが、SDGsや脱炭素社会に対応した環境に配慮したスポーツ施設の整備や建設計画などあれば教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) スポーツ施設につきましては、施設の改修等に合わせ、空調設備の高効率機器への更新や照明設備のLED化など、省エネ性能の向上に取り組んでおります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) では、パラアスリートの施設についてお尋ねしますが、世界的なパラアスリートにも対応できる施設整備について、市の今後の方針をお聞かせください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者スポーツセンターにつきましては、今年度、老朽化への対応と併せて機能強化に向けた検討を行っているところであり、現在の社会的ニーズに対応した施設となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 障がい者スポーツセンターについては、利用しやすい施設に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、合宿や国際大会を誘致する上で大切なことは、アスリートが安心して滞在できる環境を整えることです。
 アスリートが安心して気軽に滞在、トレーニングができる施設やホスピタリティ施設の整備状況ですが、本市としてどのように評価されているのか、また、本市の既存のスポーツ施設の国際水準への改修や運用改善について検討されていることはあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 宿泊や輸送などの受入れ環境につきましては、ホテル等の民間事業者と連携をしながら円滑に受入れを行えているものと考えております。また、スポーツ施設の規模や規格は競技種目や大会などによって異なることから、具体的な大会等に合わせて対応を行う必要があるものと考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) それぞれに対応が必要であることは理解しております。しかし、本市がこれからも世界的な大会や合宿を積極的に受け入れていくためには、既存施設の改修や運用の工夫に加えて、国際水準に対応できる新たな施設の整備についても、前向きに検討していただきたいです。また、選手やチームが安心して滞在し、トレーニングできる環境を整えることは、本市のスポーツ都市としての魅力やブランド力の向上にもつながります。ぜひ今後の計画において前向きな御対応をお願いいたします。
 次に、国際大会や合宿では、英語や多言語への対応、医療体制との連携も重要な要素ですが、英語、多言語対応や医療機関との連携について、受入れ環境の現状と課題をお聞かせください。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 多言語対応や医療機関との連携につきましては、民間事業者等と連携を図りながら、通訳の確保や案内サインの整備、医療体制の確保などを円滑に行っております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) ここまで合宿などを受け入れる本市の環境、体制について確認してきましたが、ここからは誘致についてどのように取り組んでいるのか、確認したいと思います。
 国際的なスポーツ団体やスポーツ庁、JOCと連携して進める国際的な誘致戦略について具体的な構想はあるのか、連携や協定締結の取組など、今後も強化していく考えはあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 国際スポーツ大会等の誘致に向けては、都市の魅力やプレゼンス、受入れ環境などの優位性を高めることが重要でありますが、まずは大会等に係る有用な情報を適時に入手していくことが肝要であると考えておりまして、今後とも、様々な競技団体や関係機関等と連携を図りながら積極的な取組を進めてまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 誘致に当たっては、他都市との差別化が重要だと考えます。
 そこで、福岡の強みである都市と自然の近接環境を生かした独自の誘致プロモーションは検討されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 国際スポーツ大会等の誘致を行う際は、充実した都市機能と豊かな自然環境が近接したコンパクトな都市としての魅力なども含め、PRを行っております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 今後、さらに国内外から選ばれる都市になるために、まずは本市の国際姉妹都市とのスポーツ交流の拡大も国際誘致の一環として活用できると考えますが、本市の考えをお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 姉妹都市とのスポーツ交流につきましては、都市ブランド力の向上にも寄与するものと考えておりまして、今後とも、競技団体等と連携を図りながら、姉妹都市をはじめ、様々な都市との交流事業を推進してまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) スポーツを通じた国際交流は、選手や市民が国境を越えて触れ合う貴重な機会になります。
 そこで、お尋ねします。
 スポーツを活用したまちづくりや地域活性化について、地域の子どもたちが世界のアスリートと触れ合える環境づくりは教育的にも重要と考えますが、市の方針をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 子どもたちが一流のスポーツに触れる機会を設けることは、青少年の健全育成にもつながるものと考えておりまして、国際スポーツ大会等の開催時にはアスリートなどとの市民交流事業を実施いたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 海外からの合宿の受入れや選手との交流は、地域の子どもたちや市民にとってかけがえのない貴重な体験になります。世界で活躍するアスリートと触れ合うことで、子どもたちの夢や目標が広がり、健全な成長にもつながります。さらに、こうした取組はインバウンドの増加や地域経済の活性化にも大きな効果が期待できます。せっかく選手の皆さんに福岡を訪れていただくのであれば、福岡は本当にすばらしいまちだと思っていただくだけで終わらせるのではなく、その魅力を世界に発信してもらえるような仕組みづくりが大切だと考えます。
 そこで、アスリートのSNS発信や口コミにより波及効果は大きいのではないかと考えられますが、市としてどのような戦略を取っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 国際スポーツ大会等の開催に当たっては、選手に福岡の食や文化を体験してもらい、SNSで発信してもらうなど、都市ブランド力の向上につながる取組も行っております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 情報発信はとても大切です。そのためには、まず、多くの選手の皆さんに福岡に来ていただくことが何より重要です。国際大会の事前合宿だけでなく、シーズンオフのキャンプでも訪れてもらえるような工夫が必要だと考えます。合宿は技術や体力だけでなく、仲間と寝食を共にすることでコミュニケーションが深まり、チーム力を高める大切な機会です。また、練習の合間には観光やレクリエーションを楽しみ、思い出をつくることもできます。一方で、費用や疲労といった課題もあり、特に遠方からの参加には交通費や宿泊費の負担が大きいため、練習施設や宿泊環境の充実が欠かせません。その点、福岡は気候や立地に恵まれ、トレーニングとリフレッシュの両面において最適な環境を備えています。こうした強みを生かし、選手やチームにまた来たいと思っていただけるキャンプ地として福岡を選んでもらえるまちづくりを目指していただきたいと思います。
 そこで、今後は市として国際大会の開催時の事前だけでなく、様々な競技のシーズンオフのキャンプや合宿なども含めて誘致するべきだと考えますが、市としての所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 国際スポーツ大会等の誘致につきましては、市民スポーツの振興や都市ブランド力の向上、地域経済の活性化などの観点から、より効果的なものを対象としていく必要があると考えております。そのため、大会規模が大きく、競技レベルが高い国際スポーツ大会やその事前合宿を対象として誘致に取り組んでいるものでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 諸外国のトップアスリートは、シーズンオフをただ休むのではなく、自然豊かな場所で体を整え、心をリフレッシュするオフキャンプを取り入れています。ヨーロッパでは山岳リゾートで体幹を鍛えたり、ビーチでリカバリーを行ったりと、競技力とメンタルケアの両立を実現しています。本市も美しい自然や食文化、都市機能と自然がコンパクトに共存する強みを生かせば、同じような取組が可能です。福岡でオフを過ごしたいと思ってもらえる環境づくりが重要です。具体的には、スポーツ施設と市内の空き家を活用した宿泊施設にリカバリープログラムや栄養サポート、文化体験を組み合わせることで、福岡ならではのプライベートオフキャンプを展開できます。この取組は、選手のリフレッシュに加え、子どもたちとの交流や空き家活用による地域活性化にもつながります。私自身、世界の舞台を経験したアスリートとして合宿や環境づくりの大切さは強く感じてきました。だからこそ、福岡の強みを生かした新しい挑戦により、スポーツ振興と地域経済の活性化を両立できると確信しています。海外の先進事例も学びながら、福岡ならではのオフキャンプの誘致をぜひ前向きに検討していただきたいと強く要望し、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、3項目について質問いたします。
 初めに、まちに「みどり」をを進めるために、緑を悪者にしない取組についてです。
 まず、みどりの基本計画の改定と本市の緑への取組について伺ってまいります。
 昨年度からみどりの基本計画の改定作業が進められており、今年度決定するスケジュールとなっていますが、新みどりの基本計画は現行の計画と比べ、どういった点が改められるのか、根幹となる考え方や方向性についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、以降は自席にて行います。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) みどりの基本計画につきましては、世界的な潮流を踏まえた国の動向や福岡市を取り巻く環境の変化、市民意見などを踏まえ、時代のニーズに対応するよう改定を進めているところでございます。基本理念として、花と緑と笑顔あふれるまち・福岡をめざしてを掲げ、理念の実現に向け、守る、結ぶ、創る、活かす、支える、携わるといった6つの基本方向を定め、潤いや安らぎを感じられるまちづくりを進めていくこととしております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) みどりの基本計画を改定する上で、市民の緑に対するニーズや意識について参考にしたデータなどはあるのでしょうか。どういった意見が多いのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 改定に当たりましては、第10次福岡市基本計画策定時に実施した小中学生を対象とするアンケート調査におきまして、まちづくりについての意見として、緑、自然、生き物に関するものが最も多かったことや、市政アンケート調査において、緑を増やしたい場所として天神地区、博多駅周辺地区が、緑のまちづくりへ参加したい場所として自宅の庭やベランダがそれぞれ最も多かったことなどを参考としております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 市民アンケートからは、緑を増やしていくことに対して前向きな意見が多かったとのことです。
 では、令和7年度予算は、新たな取組も含めて、緑に関する政策に大変特徴があります。局名に「みどり」を有し、特に力が入っているであろう住宅都市みどり局においては、昨年度までと比較してどういった部分が強化されるのか、予算をどれだけ増額しているのかと併せてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 主な取組及び増額した予算につきましては、これまでの取組の充実に係るものとして、市民に身近な公園や街路樹の管理の充実に2億7,900万円余、早良運動公園など新規の公園整備に2億2,200万円余、既存公園の再整備に3億6,300万円余、また、新たな取組として、公共施設の緑化推進に9億8,300万円余、民有地の緑化促進に1億2,600万円余、公共事業に伴う移植木を活用した公園整備に3,400万円余などであり、これまで以上に緑豊かなまちづくりを推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) では、本年度の緑に関する予算のうち、住宅都市みどり局が所管している公園や街路樹等の維持管理に係る予算とその内容についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 令和7年度の公園や街路樹等の維持管理に係る予算につきましては47億900万円余で、除草や樹木の剪定、施設の点検や修繕などを行うものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 本年度予算では、新規事業もさることながら、既存の公園や街路樹の維持管理に係る予算には約47億円と約2億7,900万円を増額されています。緑の施策として、シンボリックな新規事業ばかりではなく、既存施策の強化に対しても市民の期待は大きいと感じています。
 ここから既存施策である市が管理運営する緑についてお尋ねしてまいります。
 まず、市が現在管理している樹木について、中でも街路樹と公園の樹木について、それぞれどれくらいの樹木を保有し管理されているのか、樹種も含めてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 街路樹につきましては、令和6年度末時点で高木約5万4,200本を管理しており、主なもので申しますと、ケヤキが約5,400本、クロガネモチが約4,600本、イチョウが約4,500本、ホルトノキが約2,700本となっております。公園につきましては、樹林地を生かした公園も含まれることなどから、正確な樹木の本数は把握しておりませんが、樹種については、将来的に緑陰が創出されるクスノキやクロガネモチ、花や新緑、紅葉といった季節感を感じられる桜やケヤキなど、市民に親しまれる多様な樹種を植樹しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 本市では、高木の街路樹だけでも5万4,000本を超える樹木を管理しているようですが、では、街路樹や公園の樹木を管理する上でのルールや計画など、説明をお願いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 樹木の維持管理の基本的な考え方や作業計画につきましては、福岡市公園・街路樹維持管理指針に定めており、高木の剪定や中低木の刈り込みなどの維持管理を計画的に実施しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) では、年間スケジュールはどのように立てられているのでしょうか。樹木の管理に必要な基本となる時期と作業について説明願います。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 樹木管理の年間スケジュールにつきましては、指針に基づき、作業内容や樹種の特性に応じて作業計画を立てており、常緑樹は新芽の成長が落ち着く3月から6月の間で、落葉樹は休眠期である10月から2月の間を基本として剪定を実施しております。また、中低木は樹種に応じて開花後などの適切な時期に刈り込みを行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 剪定の適期は常緑樹と落葉樹とで大きく異なり、同じ常緑樹の中でも樹種によって異なるようです。また、夏の暑い時期の剪定は木のためにはよくないとも聞きます。
 街路樹の樹種に応じて、その適期を踏まえた剪定計画は立案されているのでしょうか。現在、市内全域の街路樹の剪定にどれくらいの期間を要しているのか、あわせて、既存の管理費用への増額予算は基本的な剪定管理に生かされるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 街路樹の剪定につきましては、路線ごとに樹種の特性などに応じて作業計画を立てており、高木は樹形を整える基本剪定をおおむね3年から4年に1回、中低木の刈り込みは年間1回から3回を基本として実施しております。また、令和7年度に増額した予算につきましては、基本剪定を含めた街路樹の維持管理の充実にも充て、適切な維持管理に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 身近な緑である街路樹管理の予算が増額されたということを市民が実感できるよう、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、樹種の選定はどのように進めておられるのでしょうか。その際のルールや注意点についてもお示しください。特に落葉樹と常緑樹では管理面をはじめ、環境的にも違いがあると思われますが、その点も含めて説明をお願いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 樹種の選定につきましては、福岡市の気候や土壌などの環境に適した樹木を選ぶことを基本として、その中から、一年中緑を保ち、郷土色豊かな常緑樹と、四季の変化を感じられる落葉樹をそれぞれの特性や配置のバランス、また、剪定や落ち葉清掃などの管理面の違いなども踏まえ、地域の意見も伺いながら行っております。なお、街路樹の新植、補植に当たりましては、緑の連続性に配慮し、路線ごとに同一樹種を基本として選定しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 樹種については、福岡市の環境に適したものを選ぶとのことですが、気になっている点を何点かお伺いしたいと思います。
 まず、公園の樹種について、日本の春の景色としては、やはり桜のある景色が国内外ともに好まれています。市内には桜の名所として楽しまれている公園が多数ありますが、現在の春の景色を将来にわたって守ることについてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 舞鶴公園をはじめとして、山王公園や室見川河畔公園など、市内の公園には多くの桜を植樹し、春には花見を楽しんでいただいております。皆様に親しまれている桜の景色を守っていくことは大切なことと考えており、必要に応じて樹木医による診断や病害虫の発生を抑えるための剪定を行うなど、保護、育成を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 観光名所となっている公園はもちろん、身近な公園についても、桜の植樹ニーズは今なお高い状況にあります。一方で、ソメイヨシノは樹齢60年頃から幹が弱くなるとも言われ、市内の桜の中にも幹の内部が腐朽し倒木の危険があると言われ、泣く泣く伐採したという事例も出てまいりました。
 地域住民の交流機会の維持、創出のためにも、現在の桜の管理、育成と併せて、桜の咲く公園を増やしていく取組も必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園の整備に当たりましては、地域の御意見を伺いながら樹種を選んでいるところであり、現在も多くの公園で桜を植樹しております。また、市を代表する名所である舞鶴公園では、桜を将来に残していくため、新植や保護、育成を行うためのクラウドファンディングを令和7年4月に実施するなど、公園の桜を保全する取組なども進めているところでございます。引き続き、地域の意向を確認しながら、新規整備や再整備等の機会を捉え、植え替えや、さらなる植樹等に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 那珂川河畔など、腐朽や工事のために伐採した後に改めて植樹するなど、地域の声に応えつつ、春の桜の景色をぜひ維持していただきたいと思います。
 次に、街路樹の樹種についてです。
 街路樹は交通の支障にならないことが前提であるものの、近年のように猛暑が連日続く中、緑陰の必要性がますます高まっていることを今年の夏も実感いたしました。この両面を踏まえた樹種の選定を考える必要があり、特に歩行者の多い道路の街路樹については、視認性が高く、夏場の緑陰が期待できる樹種の高木を積極的に増やしていく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 街路樹につきましては、路線ごとに同一樹種を基本とし、視認性の確保や緑陰形成、緑の連続性などに十分配慮しながら、地域の意見も踏まえ、樹種を選定しているところでございます。今後とも、都心の森1万本プロジェクトなどにより、空きますへの新植や樹形を美しく整えるための剪定の充実などに取り組み、緑豊かで快適な歩行空間の創出を推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) また、車の交通量が多く、出入りの多いまちなかの主要道路については、以前、低木の管理とその周りの除草をしっかりやるべきとの意見も出されていましたが、いっそのこと低木から高木に切り替えるほうがむしろ管理しやすく、視認性アップ、緑陰アップにつながるのではないかと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 低木につきましては、歩行者の危険な道路横断や自動車の乗り上げ防止などの観点から、歩道の状況や視認性の確保などに配慮しながら植栽を行っているところでございます。街路樹の植栽に当たりましては、今後とも、低木、高木それぞれの特徴、周辺の状況、求められる機能などを総合的に考慮しながら、効果的な配置となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) いずれにしても、日頃の管理には力を入れる必要がありますが、その中で、交通の安全確保の観点から、信号や標識が見えなくなるため、枝を落とすことがよくあります。その際、樹形が保たれないことはもちろん、木陰がなくなってしまっては元も子もありません。必要以上に枝葉を落としてしまっていないのか、確認させてください。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 街路樹の管理につきましては、指針に基づき、道路構造令で定められております一定の空間内に工作物等を設置することができない、いわゆる建築限界内に街路樹の枝がかかることがないよう管理を行うこととしており、車両等に樹木が接触しないよう強めの剪定を行うことがございますが、基本的には樹木の成長に伴い、樹種に応じた将来樹形となることを想定した剪定を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 今、建築限界内にかかった枝の剪定を行う際の御説明をいただきました。資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)答弁にありました建築限界は、車道は路面から高さ4.5メートルまで、歩道は高さ2.5メートルまでで、この建築限界の内部については、枝葉が入らないよう強めに剪定することがあるとのことでした。この建築限界については、街路樹はもちろん、民間所有の樹木についても、同じルールの下、指導されるようです。投影ありがとうございました。
 さて、市が管理する緑に対して好意的な市民が多い一方で、迷惑だと思っておられる市民も多くおられます。
 道路や公園に隣接する住民への説明や配慮など、住宅都市みどり局として取り組んでおられるのでしょうか。対応している内容があれば、説明をお願いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 樹木の植栽に当たりましては、民有地への落ち葉や枝の越境などが問題になることがあるため、計画の段階から樹木の間隔や将来の樹冠を考慮して配置するなどの配慮をし、隣接する住民の方へ説明を行っております。また、樹木の管理に当たりましては、高木の剪定や中低木の刈り込み等を実施する際、隣接する住民の方へお声かけを行うなど、十分配慮しながら作業を実施しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 道路や公園に隣接する方から、雨どいに落ち葉が入って詰まり、ほとほと困るという話を聞きます。住宅の建設や建築審査に関わる住宅都市みどり局ですので、そういった方々に雨どいに落ち葉が入らないような工夫の仕方などをPRすることもできるのではないかなと期待をしたいと思います。市が管理する樹木の隣人である市民から緑を悪者だと思われないための対策として、何か考えていただきたいというふうに思います。
 ここまで市が管理する公園や街路樹について伺ってまいりましたが、ここからは個人などが所有する樹木について伺ってまいります。
 最近、庭木の管理が行き届いていない住居をよく見かけるようになり、近隣にお住まいの方からお困りの声を聞くことが増えてきました。資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)住宅地内の見通しの悪い角に設置されたカーブミラーあるいは駐車禁止の道路標識など、安全な通行環境に改善しようと町内会でそれぞれまとまって動いて、ようやく設置してもらったというケースが多いのではないかなと思いますが、それらが御覧のとおり庭木に覆い尽くされてしまって、その役割を発揮できていません。
 このように、カーブミラーが見えづらく危険あるいは通行の邪魔になり歩道を歩けないため危険といった相談を受けることがあります。こうした場合、どのような対応をされているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 市が管理している道路上に越境している樹木を把握した場合は、道路管理者から樹木の所有者に対し、越境の程度や周囲の状況に応じて、口頭または文書により樹木の切除を指導しております。また、指導後、所有者が切除に応じず、危険度が高く急迫の事情がある場合は、道路管理者において越境している樹木の切除を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) また、空き家の庭木の場合についても、よく相談をされることが増えてまいりました。今、危険な空き家への対処については、法整備も進み、行政が代執行できるということが市民にも浸透しつつあります。
 このことから、空き家の庭木が生い茂って住環境が悪化している場合にも行政が対応できるのではないかと考えられています。この点について確認をさせてください。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 空き家の庭木の繁茂により周辺の生活環境に影響を及ぼしている場合につきましては、所有者等に対し、剪定などの適切な管理を行うよう指導しております。なお、国のガイドラインでは、空き家の庭木の状態が倒壊のおそれがあるほどの著しい幹の腐朽が見られるなど、そのまま放置すれば著しく保安上危険となるおそれがあると認められる場合などにつきましては、空家等対策の推進に関する特別措置法に定める特定空家等に認定することができるとなっております。また、特定空家等に認定され、法に基づく指導や勧告を行ってもなお所有者等による対応がなされない場合は、周辺の生活環境に及ぼす影響の程度や空家等審議会の意見などを踏まえ、命令や代執行ができることとなっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 空き家の対策は進んでいるようですけれども、一旦この緑の場合は、やっぱりなかなか助成されるまでは難しい、時間がかかりそうだなということを実感しました。
 庭木の繁茂が進み、隣接する敷地内に枝葉が入り込んで何らかの危害を加えるケースもこれからあると思います。民民の話ではあるものの、本市にもこのような住民からの苦情や相談が届いているのではないかと思いますが、公園や街路樹など、緑に関する市民の窓口を持つ住宅都市みどり局ではそのような相談は受けておられないでしょうか。把握されている範囲でお示しいただきたいと思います。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 空き家以外の民有地の樹木に関する相談といたしましては、個人が所有する特別緑地保全地区からの越境枝に関する隣接者からの相談や、大きくなった庭木を市に寄附したいといった相談を受けることはございますが、議員おただしの庭木の繁茂による民有地間のトラブルに関する相談の記録はございません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 民有の特別緑地保全地区以外では庭木の繁茂による民地間の苦情は把握されていないとのことでしたが、それでは、もしそのような相談が市になされた場合、どのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 民有地間のトラブルにつきましては、当事者同士で解決を図ることが原則であり、福岡市としては、当事者同士での話合いを促すほか、弁護士による法律相談窓口の紹介などを行うものと考えます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 民間の当事者同士の話に行政が介入することは難しいとは思いますが、実際そのような問題が多く起きていることを今実感しています。民法では、これまで樹木の枝が越境する場合は、その樹木の所有者に枝を切除させる必要があるとされていましたが、令和3年に改正され、その原則を維持しつつも、越境枝を切るよう催告しても対応されない場合や樹木の所有者が不明な場合、急迫の事情があるときは、越境された土地の所有者が自ら枝を切ることができるとされたところです。全国的にこのような問題が多発していることが背景にあると思われますが、越境されている側が枝を切ることの負担あるいはその後のトラブル発生などを考えますと、根本的な解決策になっているとはなかなか言い難い気がいたします。
 福岡市議会ではかつて法に先んじて空き家の倒壊等による被害の防止に関する条例を策定し、民間所有の建物の倒壊による被害から市民の生命、身体、財産を保護するための対策を講じました。民間所有のものであっても、公共の福祉を害する場合には何らかの手が打てるということの示唆だと思われます。一方で、樹木の所有者が管理を放棄し、周囲の迷惑になっている樹木や雑草を行政が丸抱えで剪定処分するということも違うと感じます。庭木の繁茂の背景には様々な事情が隠れているとは思いますが、管理不行き届きに対する指導のレベルを超えて、あまりにも周囲に悪影響を及ぼすような場合、何とか対策を講じたい。例えば、過料を科すといったことも考えてみてもよいのではないかと思います。困っている当事者にとって、所有者が分からない、書面で通知することもできないといったケースもあり、多くの市民が困っている課題に対し、一歩前に進むための対策をぜひ一緒に考えていただきたいと思います。
 本市は今年度から緑に力を入れていくという強い姿勢を打ち出されました。緑を増やしてほしいというニーズも高く、緑の持つよい側面も多いことから、増やしていくことは大切だと考えます。一方で、緑に迷惑を被っているケースもあり、せっかくの緑を悪者、邪魔者にしないような取組も必要です。
 そのために、まずは市民の緑に対する意識の醸成が大切であり、必要だと考えます。今改定が進んでいるみどりの基本計画の検討段階でもそのような議論がなされているのではないかと思いますが、住宅都市みどり局としてはどのようにお考えでしょうか。また、今後の取組に向けて御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 緑のまちづくりにおきましては、行政だけではなく、市民や企業など、全ての主体で緑を守り、次世代へつないでいくことが大事と考えており、市民の意識の醸成は大切なことと考えております。現在改定中のみどりの基本計画では、基本方向の一つとして、行政、市民、企業など多様な主体が緑のまちづくりに携わるを掲げており、関心を持つきっかけを増やし、まちづくり活動への参加を促進し、その輪を広げていくことを方針に位置づけ、情報発信の強化や環境学習の推進など、様々な施策に取り組むこととしております。今後とも、みどりの基本計画に基づき、市民や企業などとの共働により緑のまちづくりをより一層推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 緑を増やすだけでなく、良好な状態で育てる、守るということが必要ですが、市内全ての緑を本市が管理できるものではありません。緑を自ら育てている市民をはじめ、身近に関わっている方、また、緑を受け継いだ市民も含めて、長期的な視点から市民意識の醸成を図っていかれるよう期待して、この質問を終わります。
 では次に、コンビニやスーパーのないエリアの買物支援について質問いたします。
 初めに、商業施設の立地や建築に関するルールについて伺いたいと思います。
 都市計画法において土地利用の基本的な考え方が示され、建物を建築する際に用途地域ごとに一定のルールが適用されることとなっています。中でも、住居系の用途地域においては商業施設である店舗等の建築が制限されていますが、その内容についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 住居系の用途地域につきましては、住居の環境を保護するために定めるもので、第一種低層住居専用地域から準住居地域までの8つに区分されております。店舗等の建築につきましては、建築基準法第48条の規定により、日用品販売店や物品販売店、飲食店などの用途のほか、店舗面積や階数などについて用途地域ごとに制限が定められております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 住居専用地域については、店舗等の建築が細かく制限されているようですが、そのように設定されている理由や考え方についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 住居専用地域につきましては、住居の環境の悪化をもたらすおそれのある施設の混在を防止し、住居の専用性を高めることで、低層住宅や中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため、用途地域ごとに店舗等の用途や規模など、きめ細かな制限が定められているものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 中でも、低層住居専用地域では店舗等の建築が難しいようですが、第一種、第二種それぞれの低層住居専用地域内において建築可能な店舗について説明願います。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 第一種低層住居専用地域では、延べ面積の2分の1以上を居住の用に供しかつ店舗部分の面積が50平方メートル以内の兼用住宅が建築可能と定められております。第二種低層住居専用地域では、日用品の販売を主たる目的とする店舗等で、2階建て以下かつ面積が150平方メートル以内のものが建築可能と定められております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) なぜそのように店舗の出店が制限されるのか、その理由について、市民生活への影響を含めて説明願います。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 第一種及び第二種低層住居専用地域におきましては、良好な住居の環境を害するおそれがない用途に限り建築できることになっており、一定規模以上の店舗等につきましては、交通量の増加や騒音の発生などにより、戸建てなどの低層住宅地の周辺環境の悪化をもたらすおそれがあるものとして用途や規模が制限されております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ところで、用途地域という考え方、ルールはいつ頃制定されたのでしょうか。また、これまで改正はなかったのか、お尋ねします。あわせて、本市における用途地域についてどのように見直しを行ってこられたのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 用途地域につきましては、旧都市計画法制定と併せ、大正8年に創設され、その後、住環境の保護などの観点から、昭和45年、平成4年に用途地域の細分化などの法改正が行われており、福岡市におきましても、法改正を踏まえ用途地域を細分化し、よりきめ細かな用途誘導を行うなど、必要な見直しを行ってきております。またこのほか、用途地域の見直しにつきましては、土地、建物の現況等を把握する都市計画基礎調査などを踏まえ、上位計画との整合や都市基盤整備の状況、土地、建物利用の動向などを総合的に勘案し、全市的な観点で検討を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) では続いて、日常的な買物環境について考えてみたいと思います。
 第10次基本計画では、日常生活圏について、市民の良好な居住環境と日常生活に必要な基本的な生活利便性が確保されているとあります。基本的な生活利便性が意味するところについて具体的にお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 市民が住み慣れた地域における日常生活に必要な買物施設や公共施設、医療機関などの利用しやすさと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 日常的な買物に不便だと言われる地域は、近隣に食料品や日用品の購入可能な店舗がない地域と言い換えることができるのではないかと思います。こうした不便地への対応として、平成28年に用途地域における建築物制限の緩和が閣議決定されました。これを受けて、国交省から発出された内容について説明をお願いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 第一種及び第二種低層住居専用地域におけるコンビニエンスストアの立地に対する建築基準法第48条の規定に基づく許可の運用が国土交通省から技術的助言として発出されており、立地環境や騒音、臭気などの許可基準に適合し、低層住宅に係る良好な住居の環境を害しない場合には許可対象とすることなどが定められております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) そのような対応を国土交通省が発出した背景や理由について御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) コンビニエンスストアなどの立地につきましては、建築基準法第48条の許可により地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となっておりますが、その運用実績が全国的に少ない状況であったことから、技術的助言を発出し、その運用について周知されたものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) では、本市において低層住居専用地域内に店舗等の建築を許可した事例はあるのでしょうか。あれば、その用途地域と店舗の床面積といった規模、業種についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 福岡市におきましては、建築基準法第48条の許可について、これまで地域の実情に応じて柔軟に対応を行ってきたところでございます。平成8年に低層住居専用地域を指定して以降、当該地域における店舗の許可実績は38件あり、そのうち18件がコンビニエンスストアで、その他は飲食店やドラッグストア、調剤薬局などでございます。店舗の規模につきましては、コンビニエンスストアは約150平方メートルから200平方メートル程度で、その他の店舗は約100平方メートルから1,500平方メートル程度でございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 先ほどの説明では、第二種低層住居専用地域で建設可能な店舗は150平方メートル程度だったかと思いますが、今お伺いした店舗面積が1,500平方メートルというのはどのような事例なのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 本事例につきましては、店舗面積が約1,500平方メートルのドラッグストアでございまして、対象敷地が当該店舗の建築が許容される第二種中高層住居専用地域に隣接していることや、県道に接道し交通上支障がないことなどから許可をしております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ケースによってはあるということが分かりました。
 低層住居専用地域において店舗等の建設を許可する際、特に他の用途地域に比べて遵守すべき点や注意すべき点はどういったものか、加えて、許可するための手続についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 福岡市におきましては、建築基準法第48条の緩和に係る許可基準を定めており、これに基づき許可手続を進めております。低層住居専用地域におきましては、近隣サービス施設として必要なものや、当該建築物が許容される用途地域に近接または隣接しているものなどで、用途や規模、利用形態などから良好な住居の環境を害するおそれがなく、交通上支障がないものを許可の対象としており、生活環境への影響に係る予測評価の実施や交通安全対策、騒音、臭気、夜間照明対策など、周辺への配慮を求めております。許可手続としましては、関係部署との協議や周辺住民に対する事前説明を経て、公聴会を開催した後に建築審査会の同意を得た上で許可を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 手続として周辺への説明もされるということでありました。
 低層住居専用地域におけるコンビニやスーパーなどの出店に当たっては、良好な住環境の維持が大前提とのことですが、近年はコンビニ店頭の灰皿がなくなり、利用客が遅くまで騒ぐような場面は以前に比べて激減をいたしました。また、店舗の照明や外装、看板などの意匠についても、出店する地域やエリア特性に応じて色合いを工夫するなど、周辺への配慮が出店側でも進められています。また、福岡市内には65坪、約220平米の小規模スーパーも今オープンしており、低層住居専用地域への出店可能性にも期待が高まります。
 では、国からのこうした緩和策を受けて、建築許可申請に関わる住宅都市みどり局としては何らかの情報提供や対応はされているのでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 建築基準法第48条の許可につきましては、円滑な運用と市民や事業者への周知を図ることを目的に、許可手続に関する解説書を作成し、福岡市のホームページに掲載するとともに、窓口や電話にて相談があった際には適宜許可手続についての御案内をしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 所管局としては、国からの緩和策を踏まえて適宜対応されているとのことでした。買物は日常生活を送る上で必要不可欠であり、食料品や日用品を提供する店舗を私はインフラの一つであると思っています。現在、日常生活を支えるために、オンデマンド交通や福祉局を中心とした買物支援策に取り組んでいます。こうした移動手段の確保という買物する側が店舗に行くための対策はもちろん重要ですが、店舗の立地によって利便性を向上するという方向から買物支援ができるのではないかと考えます。
 良好な住環境を維持するという考え方と併せて、日常生活を送る上で一定の利便性が必要であるという双方の視点から、これからのまちづくりについての取組を進めていただきたいと考えますが、このテーマの最後に、第10次基本計画の策定と住宅都市みどり局の所管事業の双方に取り組まれている光山副市長に御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 光山副市長。
○副市長(光山裕朗) 第10次福岡市基本計画においては、市民生活の基盤となる住宅地において、利便性が高く、安全、安心な住環境を形成するとともに、地域の特性に応じ、きめ細かな土地利用の誘導を図ることといたしております。議員おただしの低層住居専用地域のまちづくりにつきましては、今後とも、良好な住環境を保全しつつ、地域のニーズに応じ、建築基準法に基づく許可制度等を活用するなど、市民が住み慣れた地域における生活利便性の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ちょうど今、大きなおうちが売られて大きな敷地ができたりという変わっていく時期でもありますので、そういった取組もぜひ考慮していただきたいなというふうに思います。
 では次に、市職員の地域団体等との意見交換や交流について質問をいたします。
 本市の職員が自治協議会をはじめとする地域団体や福祉団体、その他の業界団体などの各種団体からの依頼や要請に応じて、飲食を伴う交流会や懇談会等に出席することがあります。
 初めに、職員の懇談会の出席に関する本市のルールについて説明願います。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 本市では、職員が利害関係者とともに飲食を行うことを原則禁止しておりますが、職務遂行上必要な飲食を伴う会議等については、事前に申請を行う等の必要な手続を経た上で出席を認めております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 本市がそのようなルールを設けている理由についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員が利害関係者とともに飲食を行うことで、本市の公正な職務の執行に対する市民の疑念や不信を招くおそれがあるため、利害関係者との飲食に関するルールを設けております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 市民に対して疑念や不信を招かないようにということでした。
 では、事前申請が必要となる対象者についてお示しください。また、同じ会合への出席について人数制限などはされているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 事前申請の対象となるのは市長以外の職員であり、懇親会等に出席する際の人数について特に制限はございません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 事前申請が必要となるのは利害関係があることが前提だと思いますが、各部局の所管と直接関係がある団体という理解でよろしいのでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 本市の倫理行動基準において、利害関係者とは、当該職員の職務に関連性を有する事業を行っている事業者等をいうと定めております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) では、事前申請して出席した会合について、出席後の報告に関する決まりはあるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 原則として懇親会等に出席した後の報告義務はございませんが、課長級以上の一般職職員が懇親会等に出席し、1件につき5,000円を超える飲食等の提供を受けた場合には、年に2回、任命権者が定める期間において贈与等報告書を提出することを義務づけております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 割り勘ですとか会費制でない場合、5,000円を超える飲食等の提供を受けた場合は報告書の提出が必要と、しっかり確認をしているということでした。
 では逆に、事前に申請していなかった場合、出席することができないのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 原則として事前に申請した上で懇親会等に出席するようルールを定めておりますが、やむを得ない場合には懇親会等に出席した後の事後での申請も認めております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 日頃は直接的な関わりが少ないような場合であっても、例えば、出前講座で地域に赴いたりということもありますし、各種説明会の開催、ワークショップを行うなど、様々な団体と市職員が接する機会があり、そういった場合の中で、せっかくだからと懇談会に誘われることはままあるのではないかと思います。その際、事前に申請していないことを理由に参加を断っている場面を見受けました。残念に思いました。
 市政を市民とともに創るという考え方に立つと、市職員にとって、日頃の関係がない市民にとっても、より多くの市民と市政の様々な政策、施策について意見を交わす機会は大変貴重であり、市職員自身が出席できる、したいという場合であれば出席を可能とするような寛容な部分も必要かと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 現行のルールにおいても、職員が出席を希望する場合には必要な手続を経ることで飲食を伴う懇親会等への出席を認めております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ルールを守ることは当然です。その上で、貴重な機会の損失とならないように、なかなか事後でも申請しづらいという環境がありはしないかなと思いますが、対応いただければと願うところです。
 では同様に、議員との懇談や意見交換については事前申請の必要があるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員は職員の利害関係者に当たらないため、職員が議員と飲食を伴う懇談や意見交換を行う場合には事前申請は不要でございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 過日、会派の控室に告発文と題した書面が郵送されてきました。この内容について事実確認をしておきたいと思います。
 書面の差出人は市役所OB有志となっており、本市職員と議員との意見交換、懇親会に関することが書かれていました。一部御紹介します。「市職員が議員の皆さまと食事に行き、普段は話さないことをざっくばらんに語り合ってコミュニケーションを深めることは大切であります」。途中略します。「しかし、現在の市職員は、上司からの厳命により食事会の一部始終を録音等しながら情報収集し、◯◯議員の発言として報告書にまとめ、上司に提出しなければならないと聞きます」とあります。さらには「当該報告書は島市長に届けられ、どの議員が何を考えているか、どの議員に何をしてやるか、してやらないかなどの精査に使われている」と書かれていました。
 市役所内で上司が部下に対して、議員とのプライベートな食事の際の会話内容を報告せよと指示することは業務上問題ないのでしょうか。また、本市でこのような指示が実際に行われているのか、それぞれお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 本市におきましては、議員との会話内容の報告を義務づけるルールはございません。また、職員のプライベートに関して上司が業務上の指示をすることはありませんが、部下職員が業務上必要な情報を聞いた場合に上司に報告することはあり得ると考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 上司が職員のプライベートに関して業務上の指示をすることはないとのことですが、では、告発文にあるような市職員から上司への報告が行われたケースがあるのかどうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員との会話内容の報告を義務づけるルールがございませんので、把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) では、会話の一部始終を録音等しながらという点について、市職員が相手方の議員に無断で会話を録音することに対して、本市は職員にそのようなことを許容しているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員との会話内容の報告を義務づけるルールがございませんので、把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) もう一点、この告発文にあるように、議員とのプライベートな食事の際に相手方との会話を録音したという事例が実際にあるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員との会話内容の報告を義務づけるルールがございませんので、把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 告発文にはさらに「報告の義務を怠って議員の皆様と食事や会話をしたことが事後に判明するなどし、当該市職員がスパイと判断されて人事異動により左遷された事例は多数あり」と書かれていました。
 そこで、お尋ねしますが、議員との接触を理由にスパイ疑惑をかけ、人事異動を行った事例はあるのでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) お尋ねの件につきましては事例はございません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) スパイ疑惑に基づく異動事例はないとのことでした。
 私は本市職員と議員の意見交換は自由に行われるべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市職員が議員と意見交換を行うに当たって、職員側には特段の制限がないものと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 局長から、もともと職員と議員との意見交換については特段のルールはなく、制限がないとの答弁でしたし、今もそのように御答弁いただきました。これはあくまでも市内部の規則やルールを所管する立場からの回答だと考えます。市職員と議員との自由闊達な意見交換や議論を通じて生まれるものもたくさんあります。
 改めて本市全体のマネジメントに当たられ、組織の長である市長として、このことについてどのように感じておられるのか、考えておられるのか、島市長にお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 議員と職員が市政に関する意見交換を行うことは大変有意義であるというふうに考えております。一方で、職員がプライベートにおいて誰と飲食を共にするかは基本的に自由であり、議員と職員との意見交換については職員の自主的な判断によって行われるものと考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 答弁ありがとうございました。
 いずれにしても、こういったものが届くというのは大変驚きましたが、自由闊達に意見を交わすことができる、議論ができる風通しのよい組織であればこそ強い都市になれるというふうに思います。福岡市政がそうした組織風土によって成長し続けることを願って、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時30分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(尾花康広) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。川上晋平議員。
○28番(川上晋平)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、福岡市の行政サービスと公共交通について、福岡市の働き方改革について、以上2点について質問いたします。
 初めに、福岡市の行政サービスと公共交通についてです。
 昨年策定された第10次福岡市基本計画では、市民が住み慣れた地域で生活基盤や行政サービス、安心、安全が確保される地域づくりが掲げられ、また、公共交通や商業施設等の集積には地域差があり、生活の利便性に様々な課題を抱える地域もあることから、官民の適切な役割分担により、行政サービスのみならず、生活交通の確保や買物支援など、高齢化社会に対応した地域のまちづくりを進めていく必要があると示されております。
 そこで、ここでは行政サービスを受けづらい地域の現状、対策について質問してまいります。
 まず、市民に身近な行政サービス施設である市民センター、地区体育館、市民プールについて、基本計画にどのように位置づけられてきたのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席で行います。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 昭和51年に策定をされました第4次基本計画において、市民センターにつきましては行政区における中心施設として設置するとされ、また、地区体育館及びプールにつきましては行政区を単位に整備を行うこととされております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) では、区に1つの行政サービス施設を補完する施設として、市内4か所に地域交流センターが整備されていますが、基本計画にどのように位置づけられてきたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域交流センターにつきましては、平成8年に策定をされました第7次基本計画において、公共サービスの地域的な適正化を図るため、コミュニティ機能を主体とした複合的な機能を持つ地域交流センターを準地域中心である和白、雑餉隈、野芥及び今宿・周船寺地区に整備することとされております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 現在、整備に向けた検討が行われている南区の地域交流センターの配置は基本計画に位置づけられておりません。
 整備すること自体はよいことだと思いますが、どのような考えで南区西南部地域に整備されるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 南区における地域交流センターにつきましては、南区は区単位の行政サービス施設の数、カバー人口割合、1,000人当たり床面積が他区と比較して少ないこと、特に西南部地域は比較的人口密度が高い中、既存の施設のカバー範囲外のエリアが多いこと、高齢者の割合も高く、西南部地域から南市民センター等が立地する大橋地区へのバス交通が不便となっていること、これらのことから、南区西南部地域に区単位の行政サービスを補完する施設として地域交流センターを整備することとしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 南区以外に3キロの既存施設のカバー範囲外で、高齢者の割合も高く、市民センター、体育館及びそれらを補完する地域交流センターへの公共交通が南区の基準並みに不便な地域はどのくらいあるのか、小学校区でお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 南区と同様の考え方により、既存の市民センター、体育館、地域交流センターからの距離がいずれも3キロを超え、高齢化率が福岡市平均を上回り、かつ小学校を起点に公共交通を利用してこれらの施設に行くまでに30分超を要する小学校区は、勝馬校区、志賀島校区、西戸崎校区、小呂校区及び玄界校区の5校区となっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 5つの校区が当てはまるとのことですが、そのうち2校区は離島です。離島である小呂、玄界校区はほかの地域と比較して行政サービスが受けにくいと思いますが、そもそも離島における施設などの行政サービスについては、初めて地域交流センターが記された第7次基本計画ではどのように位置づけられているのか、また、どのような取組を行ってきたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 第7次基本計画において、地域施設の整備につきましては、コミュニティ活動の拠点として公民館の機能拡充や学校施設の地域開放を進めるとされており、玄界校区、小呂校区におきましては、離島振興の取組のほか、公民館や公民館分館、リモート窓口の設置などを行っております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 離島を除けば東区の3校区とのことですが、例えば、勝馬、志賀島、西戸崎校区の中間に位置する志賀島校区から市民センター、地区体育館、地域交流センター、市民プール、区役所、福岡100プラザまでの公共交通での所要時間及び乗継ぎ回数はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 志賀島小学校から目的地へ午前10時までに到着することとした場合の公共交通の所要時間等でお答えをいたしますと、東市民センターまで所要時間63分で乗継ぎ1回、東体育館まで46分で乗継ぎなし、和白地域交流センターまで49分で乗継ぎ1回、東市民プールまで67分で乗継ぎ1回、東区役所まで77分で乗継ぎ1回、福岡100プラザ東まで46分で乗継ぎなしとなっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 最寄りのバス停まで区役所では77分、地域交流センターでも49分かかるとのことですが、バスの本数も少ないため、時間帯によっては区役所に行くのにも電車、バスを3回、4回と乗り継いでいく必要があり、答弁をいただいた時間、乗継ぎ回数よりも不便なケースが多いのが実情であります。
 それでは、そのような地域の方々のそれぞれの施設の利用状況はどのようになっているのか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 市民局所管施設においては、利用状況や満足度調査を行っておりますが、利用者の居住地などの詳細については把握をしておりません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 詳細については把握をしていないということです。
 和白地域交流センターは第7次基本計画において和白地区に整備することとされておりましたが、現在の場所は和白地区の中でも新宮町との境界近くに位置しております。どのような理由で現在の場所を選択したのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 和白地域交流センターにつきましては、ほかに整備可能な適地がなかったこと、当該JR駅前地区は再開発により和白地域の拠点性を持つまちづくりの発展が期待できたこと、和白周辺5校区の自治連絡協議会から駅前、駅周辺への文化交流拠点施設の設置要望がなされたことなどの理由から、現在の場所に設置したものでございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 第7次基本計画における地域交流センターの位置づけは、市民センターなど、行政サービスを受けにくい地域を補完するために設置するとなっておりましたが、当時の東区で行政サービスを受けにくい地域としてどこの地域を想定されていたのか、お尋ねいたします。
 また、行政サービスを受けにくい地域と想定されていた住民の地域交流センターの利用状況をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 第7次基本計画では、公共サービスの地域的な適正化を図るために、準地域中心である和白地区に地域交流センターを整備することとされており、具体的な利用圏域は示されておりませんが、和白周辺5校区のほか、その西側に位置する西戸崎、志賀島、勝馬校区の住民の方の利用も想定していたものと考えております。また、和白地域交流センターの施設利用者に対し満足度調査を行っておりましたが、和白周辺5校区以西の3校区の施設利用状況については、これまで詳細な把握ができていなかったことから、令和7年度に調査項目を改め、施設の利用状況調査を進めているところでございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 第4次基本計画において、市民に身近な行政サービス施設として各行政区に設置すると位置づけられた市民センター、体育館、プール等においても、第7次基本計画において、公共サービスの地域的な適正化を図るために設置するものと位置づけられた地域交流センターにおいても、設置後に詳細な利用状況の調査をしていないとのことであります。
 基本計画はつくるだけでなく、運用、検証、改善まで含めて初めて、まちづくりを適正に進めていると言えるのではないかと考えますが、なぜこれまで詳細な調査をしてこなかったのか、お尋ねいたします。
 また、このような状況を基本計画策定の担当である総務企画局はどう考えているのか、併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 市民局所管施設におきましては、これまで利用者の満足度などに着目した調査を行ってまいりましたが、御指摘を受けまして、令和7年度から、より詳細な利用者属性を把握できるよう調査に取り組んでおります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市民センターや地域交流センター等の市民局所管施設については、利用者の満足度などに着目した調査を実施してきたところですが、議員の御指摘を受け、令和7年度より詳細な利用者属性の把握に努めているものと認識しております。第10次基本計画においては、行政サービスの公平性の確保や生活の利便性が確保された地域のまちづくりを掲げるとともに、政策推進プランにおいて、公共施設の機能強化とサービスの向上や持続可能な生活交通の確保、買物支援などを推進することとしているところでございます。基本計画は策定して終わりではなく、実現していくことが重要であり、例年実施している施策評価においてPDCAサイクルの徹底を図りながら、進捗状況を定期的に把握、評価し、施策事業の着実な推進を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 次に、平成12年に東区自治会連合会、連絡協議会から市に要望書が提出されていると思いますが、どのような内容か、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 当時で26万人の人口を擁する東区においても、市民センターや体育館などの公共施設は区単位で設置されていること、また、区役所の窓口混雑などによる市民サービスの低下が否めないことなどから、分区について早急な検討を求めるという内容になっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 当時の東区の人口は約26万人。当時から市内で最も人口が多く、区域の端から端までの距離もあり、行政サービスが受けにくくなったことから、分区についての要望書が提出されたとのことでありますが、どのような検討が行われてきたのか、お尋ねいたします。
 また、現在の東区の人口は約34万人、旧西区が昭和57年、城南区、早良区、西区の3区に分割されたときの人口が約39万5,000人で、人口の増加により住民サービスが受けにくくなったことから分区の検討が始められたと聞いております。東区の現状についてどのように考えているのか、併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 分区につきましては、区境の設定などの行政区の再編、また、区庁舎の場所の選定、新たな行政機関や公共施設の設置、職員の増員に伴う多額の費用など、市民生活はもとより、多方面に大きな影響を及ぼすことから、東区の人口動向や将来人口推計、また、交通や情報通信技術の発達などの状況も含めて慎重な検討が必要と考えております。また、第10次基本計画において、市民生活に密着したサービスについては、現在の7区において公平性の確保に努めることとされており、7区の中で最も人口の多い東区においては、これまでもなみきスクエアの設置、千早証明サービスコーナーの開設など、市民サービスの拡充に取り組んできたところですが、今後とも、まちづくりの進捗や社会情勢の変化などを注視しながら、市民サービスの向上、公平性の確保に努めてまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) たくさんの課題を抱える福岡市で大きな費用のかかる分区は難しいとのことです。
 それであれば、住民サービスを受けにくい地域を調査した上で、第4次基本計画において行政区に1つ整備することとされてきた施設についても、柔軟に対応していくことが必要であり、行政区に関係なく、適切な地域に必要な施設を整備できるようにするほか、行政サービス施設への公共交通の強化や、地域によっては、例えば、小中学校の体育館、プール、図書館等の施設を再整備し、学校利用と併せて地域住民にも開放するなど、新しい仕組みづくりも必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 行政サービスを受けにくい地域への対応につきましては、第10次基本計画において、地域コミュニティ活動の場として活用されている公共施設の充実、機能強化や多様な施設間の連携を図るとされていることを踏まえつつ、まずはその前提となります施設の利用状況や地域ニーズの把握に努めてまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) これまで行政サービス施設について質問してまいりましたが、東区では、ほかにも地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の乗継ぎに関して、直通運転化が長年議論されております。しかしながら、BバイCが取れないことなどを理由になかなか進んでおりません。
 多くの東区住民が区役所や都心に行くときに何回も乗り継いで行かなくてはならない状況や、平成14年に議会で直通運転を求める請願が採択されるなど、長年にわたる東区地域の要望であることを踏まえ、直通運転化についてまちづくりの観点からどのように捉えているのか、お尋ねいたします。また、基本計画策定の担当である総務企画局はどう考えるのか、併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線の直通運転化につきましては、貝塚駅における乗継ぎを解消し、東部地域と都心部間の交通利便性の向上を図ることや、鉄道ネットワークの形成により東部広域拠点などとの連携強化を図る観点から、東部地域の交通体系上、長年の課題であると認識しており、令和7年5月に策定した都市交通基本計画においても検討課題として位置づけを行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 交通インフラについては、市民生活と都市の成長を支える重要な基盤であり、各拠点等における交通利便性の向上など、様々な課題に対応していく必要があると認識しているところでございます。このため、第10次基本計画において、生活の利便性の確保に加え、公共交通を主軸とした持続可能な総合交通体系の構築を掲げており、市民や来訪者の円滑な移動を支える交通ネットワークの充実強化や多様な交通手段が相互に連携した持続可能な総合交通体系の構築などに関係局が連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 従来のBバイC評価は主に所要時間短縮を中心に算出され、直通による短縮効果は2から3分とされているようですが、住民が実感する利便性や都市の発展への効果が十分に反映されておりません。
 本当に重要であると考えるならば、国に対して評価手法の改善を働きかけるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 直通運転化について国庫補助事業の採択を受けるためには費用対効果や収支採算性の確保が課題となっておりますが、国土交通省所管の公共事業において事業評価手法の見直しが進められており、鉄道事業におきましても事業評価マニュアルの改定を検討中と聞いていることから、国に対し、西鉄貝塚線を取り巻く実情などについて伝えてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) これまで市民センターや体育館、地域交流センターといった本市の市民に身近な行政サービスについて質問してまいりました。福岡市は生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環をつくり出すことを都市経営の基本戦略に掲げ、住みやすいまちとして高い評価を得ていますが、地域によっては都市の成長の恩恵を受けられず、生活の利便性の悪い地域があります。もちろん地域によって多少の差が生じるのは仕方のないことですが、どこの地域にどのような課題があるかをほとんど調査してこなかったことが問題であると考えます。今年度から始まった第10次基本計画が実効性のある計画になるように、しっかり調査もしながら様々な課題に取り組んでいただきたいと思います。
 また、地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の直通運転化については、東区住民の長年の要望であります。直通運転化の効果は、先ほども述べた所要時間短縮だけでなく、乗換えの心理的、身体的負担、特に高齢者や障がい者は移動の自由度を大きく左右しますが、その解消や、都心直結の沿線としての魅力が向上し、東部広域拠点の千早地区やアイランドシティ、香椎線沿線地域の発展にもつながる効果を期待されますので、直通運転化についても、もっと積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 この質問の最後に、市民に身近な行政サービスの公平性の確保や直通運転化の実現に向けた島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は都市的な魅力と豊かな自然環境が調和をしたコンパクトな都市を形成しており、住みたいまち、住みやすいまちとして国内外から高い評価をいただいております。一方で、身近な行政サービスや公共交通などに課題を抱えている地域もあるものと認識をしており、今後とも、都市の成長の果実を生かし、市民の皆様の住み慣れた地域における生活の利便性向上に取り組んでまいります。また、地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の直通運転化につきましては、東部地域の交通体系上、長年の課題であると認識をしております。今回策定をした都市交通基本計画においても検討課題として位置づけられており、中長期的な交通状況の変化や国の事業評価手法の動向なども踏まえ、利便性の向上策と併せて検討してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) よろしくお願いいたします。
 次に、福岡市の働き方改革についてです。
 労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、平成31年4月1日から働き方改革関連法が順次施行され、日本全体で長時間労働の是正、生産性の向上、柔軟な働き方の取組などが進められています。福岡市においても、民間企業への支援や、市役所での時間外労働の縮減や年次有給休暇の取得促進など、働き方改革の取組が進められていると思います。
 そこで、本市の働き方改革の状況についてお尋ねします。
 まず、市長事務部局の職員について、時間外勤務の状況とその調査方法についてお尋ねいたします。また、福岡市ではどのような働き方改革の取組をしているのか、併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市長事務部局の職員の令和6年度における時間外勤務の平均時間数は月11.4時間であり、庶務管理システムにおける各職員の実績データの集計により算出しております。また、福岡市では働き方改革として、男性職員の育児休業100%取得、11時間の勤務間インターバル、時間外勤務の上限規制などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 次に、時間外勤務の上限の基準である月45時間、年360時間を超える職員の数とその割合をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市長事務部局の職員のうち、令和6年度に時間外勤務時間数が月45時間を超えた職員は延べ1,993人であり、係長級以下の職員に占める割合は2.9%でございます。また、年360時間を超えた職員は439人であり、その割合は7.7%でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 約2.9%に当たる延べ1,993人が月45時間を超え、約7.7%に当たる439人が年360時間を超えているとのことですが、主な理由をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年度における時間外勤務時間数が上限を超えた要因については、衆議院議員選挙や県知事選挙の対応業務、各種業務システムの刷新に伴う業務などがございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) では、市長事務部局の職員について、勤務間インターバル制度の実施状況をお尋ねいたします。また、男性職員の育児休業の取得率、平均取得日数もお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年度の市長事務部局における勤務間インターバルの実施状況については、99%以上で達成できております。また、令和6年度における男性職員の育児休業の取得率は103.9%、平均取得日数は123.7日でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 福岡市では、身体的、精神的、社会的に良好な状況にあること、いわゆるウエルビーイングの向上を意識して働き方改革に取り組まれていますが、市長事務部局の職員調査の結果とその特徴をお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年度の職員意識調査の結果では、ウエルビーイングに関する、あなたは日々の仕事に喜びや楽しみを感じていますかという設問に対して、はいと回答した割合は34.7%にとどまるのに対し、ワーク・ライフ・バランスが取れていると思いますかに対する肯定的な回答の割合は70.4%となっており、良好な職場環境は一定整っているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 市長事務部局の職員については、働き方改革が進んでいる状況が分かりました。
 次に、福岡市の民間企業の働き方改革を促進するためにどのような取組をしているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 民間企業の働き方改革の促進につきましては、働き方改革を推進する市内企業をふくおか「働き方改革」推進企業として認定するとともに、市が主催する企業向けセミナー等において働き方改革の必要性などについても、周知を行っているところでございます。また、国や県が実施する働き方改革に関するセミナーや相談窓口の周知も行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 民間企業の働き方改革を促進するため、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業を実施してきたということですが、その目的、開始時期、対象となる事業所数、現在の認定企業数及び目標企業数についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業は、福岡市内企業における働き方改革の機運醸成や取組の促進を目的として、平成29年11月に事業を開始いたしました。本事業の対象は市内に本店または本社がある企業で、令和3年の経済センサスによりますと、4万6,427事業所となっております。認定企業数は令和7年6月1日現在で213社となっており、目標企業数につきましては設定しておりませんが、今後とも、より多くの企業に賛同していただけるよう周知に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 認定事業者に認定された事業所はどのようなメリットがあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 市のホームページや働くあなたのガイドブックに企業名を掲載してPRを行っているほか、商工金融資金制度における金利の優遇や入札制度での優遇措置などがございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) そのようなメリットがあるのに、事業開始から7年半で認定事業者は対象4万6,427事業所のうち213社、0.5%もない状況ですが、なぜでしょうか。その理由をお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 認定企業数につきましては、事業開始以来、増加している状況ではございますが、事業の周知が十分に進んでいないことが伸び悩んでいる要因ではないかと認識しております。近年では深刻な人手不足により人材の確保が困難な状況となっておりますが、働き方改革の取組が企業の採用活動においてPRできる点なども含め、より一層事業の周知に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) せっかくしているので、しっかり周知に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、福岡市の民間企業の時間外勤務の状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡県内の数値となりますが、令和6年賃金構造基本統計調査によりますと、福岡県における超過実労働時間は月に12時間となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 働き方改革に関連して、市役所では令和4年9月に勤務間インターバル宣言と男性育休100%宣言を行っていますが、民間企業における勤務間インターバル制度の導入状況と男性育休取得率についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 勤務間インターバル制度につきましては、全国の数値となりますが、令和6年就労条件総合調査によりますと、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じない」と回答した企業の割合は45.3%で、「導入している」もしくは「導入を予定または検討している」と回答した企業の割合は21.3%となっております。また、男性の育児休業取得率につきましては、こちらも全国の数値となりますが、令和6年度雇用均等基本調査によりますと40.5%となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 次に、福岡市の民間企業の働き方改革、ウエルビーイングの現状について御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡県内における状況となりますが、令和6年度に福岡県が実施した育児中の柔軟な働き方制度等に関する実態調査の結果によりますと、あなたは現在の働き方について満足していますかという問いに対し、「満足している」または「おおむね満足している」という肯定的な回答は56.9%となっております。深刻な人手不足を背景に、人材確保のため長時間労働の是正や年休の取得促進など、民間企業における働き方改革の取組が進んでおり、労働者のワーク・ライフ・バランスやウエルビーイングの向上にも寄与しているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 民間企業においても働き方改革が進み、長時間労働は改善されているようですが、男性育休取得率等、行政に比べて進んでいないところもあるようです。引き続き民間企業の働き方改革が進むよう取り組んでいただきますようお願いいたします。
 次に、本市の教職員の働き方改革についてお尋ねしてまいります。
 教職員は子どもを育てる社会的責任を担う専門職として社会的評価は依然として高いようですが、残業代が支払われない、いわゆる給特法に象徴されるように、長時間労働が構造的に放置されてきたことからブラック職種と言われ、教職離れも進んでいると聞いております。
 そこで、教職員について、いわゆる時間外勤務の状況とその調査方法についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 時間外勤務につきましては、研修や引率など、校外活動も含めた学校教育活動に関する業務を行っている時間、いわゆる時間外在校等時間でお答えいたしますと、令和6年度の教職員の月平均時間外在校等時間については、小学校が30.5時間、中学校が33.7時間となっております。また、調査方法については、職員室にあるカードリーダーを用いてアプリに出退勤時間を記録するなどし、集計しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 次に、いわゆる時間外勤務の上限の基準である月45時間、年360時間を超える教職員の数とその割合をお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 先ほどと同様に、時間外在校等時間の状況でお答えいたしますと、令和6年度の月45時間を超える教職員の人数と割合につきましては、小学校が延べ1万2,596人で22.2%、中学校が延べ9,278人で28.2%となっております。また、年360時間を超える教職員の人数と割合については、小学校が2,360人で43.6%、中学校が1,526人で52.1%となっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 本市の調査でも教職員の時間外勤務が多いという状況が示されましたが、2024年の日教組の調査では全国平均の実質的な月の残業時間が88時間36分、約36%の教員が過労死ラインの80時間を超えているとされており、また、2023年の文科省の調査では中学校教員の42.5%が月45時間超の残業、そのうち約10%は80時間超となっているとのことですが、本市の調査は実態を正確に捉えているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 勤務実態の把握につきましては、出退勤時の記録を適正に行うよう通知や研修、面談等により周知しておりますが、教員との意見交換会等において、一部適正に行われていない実態があるということも聞いております。適正な記録が行われるよう、引き続き周知徹底を図ってまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 働き方改革を進める上で、勤務実態を正確に把握することは不可欠であります。しかし、実際にはタイムカードを押した後に業務を続けているケースもあると聞いています。
 現在のタイムカードだけではなく、ICTを活用した勤怠管理や部活動指導記録等の業務日誌、活動記録と併用するなど、より正確な勤務実態調査を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 働き方改革を進めていく上で、勤務実態を正確に把握することは極めて重要であると認識しております。一方で、調査方法等につきましては、学校現場の過度な負担とならないよう配慮が必要であると考えており、正確な把握に向け、ICTの活用も含め、学校現場とも協議しながら検討してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 教職員についても、ウエルビーイングの調査を実施していると思いますが、どのような特徴があるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度に教職員を対象として実施した調査におきましては、あなたは日々の仕事に喜びや楽しみを感じていますかという質問に対して、はいと回答した割合が74.9%、ワーク・ライフ・バランスが取れていると思いますかという質問に対する肯定的な回答の割合が52.8%となっております。教職員の特徴といたしましては、市長事務部局の職員と比べ、仕事に対するやりがいは高い水準となっている一方で、ワーク・ライフ・バランスが確保されていると回答した割合が約20ポイント低くなっている点であると考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 答弁をいただいたように、先ほどの市長事務部局職員の調査結果と比べると、日々の仕事に喜びや楽しみを感じていますかに対して、はいと回答した割合は、市長事務部局職員34.7%に対して教職員74.9%、ワーク・ライフ・バランスが取れていると思いますかに対する肯定的回答の割合は、市長事務部局職員70.4%に対して教職員は52.8%ということです。この数字を見ても、教職員は仕事にやりがいを感じているが、長時間労働の常態化や子どもの安全確保、保護者対応、不登校やいじめの問題など、責任の重さと精神的負担も重なり、ワーク・ライフ・バランスが取りづらくなっていることが分かります。
 教育委員会では学校の働き方改革プログラムを策定し、教職員の働き方改革に取り組んでいると承知しておりますが、主な取組とこれまでの成果についてお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校の働き方改革につきましては、支援スタッフの配置、拡充やデジタル採点システムの導入などにより、ソフト、ハード両面から教職員の業務負担の軽減に取り組むとともに、専門コンサルタントを活用して学校の業務改善支援を行うなど、改革に取り組んでおります。これらの取組の結果、時間外在校等時間は一定程度改善してきておりますが、長時間勤務の教職員が依然として多いことが課題であると認識しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 教育委員会においても教職員の働き方改革の推進に取り組まれておりますが、従来の調査方法や対応策だけでは限界があるのではないかと考えております。
 これまで教職員全体について質問してまいりましたが、中でも授業や学校運営の中心を担う教員の役割は重要であり、負担についても、より大きなものとなっていると思います。教員を取り巻く環境については、本市に限らず、全国的な課題となっており、国においても様々な取組が検討されてきたと思います。
 そこで、教員の働き方改革における国の取組をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 国におきましては、本年6月に公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等が改正され、教員に優れた人材を確保する必要性に鑑み、業務量管理・健康確保措置実施計画の策定、公表の義務づけ等により学校における働き方改革を一層推進すること、主務教諭の創設等により組織的な学校運営及び指導を促進すること並びに教職調整額の引上げ等により教員の処遇改善を一体的、総合的に推進することが方針として示されております。また、今後、教員の質の向上に向けた教員免許や教員養成の在り方、地域全体で関係者が連携して支える部活動改革の在り方等についても、検討を行うこととされております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 国のほうでも様々な取組が検討されておりますが、教職調整額の一律の引上げが教員や学校現場の声を反映したものなのか、疑問があります。業務実態の把握に基づく適切な処遇の在り方について、現場の声をしっかり国に伝えていくことも必要だと思います。いずれにしても、教員の働き方改革は喫緊の課題であり、さらに進めていくためには、教育委員会が目標を定め、計画的に実行性のある取組を行っていく必要があります。
 そこで、教育委員会はどのような目標を持って教員の働き方改革を進めようとしているのか、また、その目標を達成するためにどのような取組を考えているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 教職員の働き方改革につきましては、教員が意欲と能力を最大限発揮できる環境を整備することにより学校教育の質を維持向上していけるよう、教員の時間外在校等時間のさらなる縮減とワーク・ライフ・バランスの実現を図っていく必要があると考えております。そのためには、教員が担う業務の一層の適正化を図ることが重要であると考えており、現在、次期プログラムの策定に着手しております。具体的な取組としましては、持ち授業時数の縮減等による授業、授業準備の時間の確保や電話対応をはじめとする保護者対応の負担軽減、土日を含めた部活動の負担軽減などを考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) これまでよりも踏み込んだ対応を検討しているようですが、これらの取組について、しっかりと実効性を確保していくことが必要となります。
 先ほど教育委員会の取組として、専門コンサルタントによる業務改善支援を行ったとの答弁がございましたが、令和5年度に行った調査内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 当該業務委託につきましては、専門コンサルタントがモデル校4校を対象に教職員の勤務実態を調査するとともに、業務改善の支援を実施したものでございます。調査概要については、土日を含む1週間の勤務実態を調査し、平日1日に占める業務としては、小学校、中学校とも授業関連が最も多く、次いで校務分掌関連が多い結果となっております。この調査結果なども踏まえ、モデル校では時程の見直しや校務分掌の見直しなどの業務改善に取り組んでおります。また、実施報告書では、教員が現に担っている業務を学校以外が担うべき業務や教師が担う必要のない業務など、中教審が示す3分類を踏まえ、分類、整理しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) 実施報告書では教員が担う業務を92項目に分類、整理し、そのうち約半数が学校以外が担うべき業務、教師が担う必要のない業務とされています。教育現場においては、従来、社会や家庭が担っていたような課題も含め、教育に係る全責任が教員に押しつけられており、それが教員の離職や志望者減少につながっていると考えます。
 こうした状況について教育委員会はどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 家庭や地域をはじめ、社会の状況が変化する中で、学校が対応すべき課題もより複雑化、困難化し、学校や教員の負担が増加してきたものと考えております。今後とも、教員に優れた人材を確保し、学校教育の質を維持向上させていくためには、学校の働き方改革をさらに推進し、教員が本来の業務に専念できる環境を整備していくことが重要であると考えております。そのため、学校や教員が果たすべき役割を明確にし、保護者や地域の協力も得ながら業務の一層の適正化、効率化を進めてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) こうした問題の解決は教育委員会による対応だけでは不可能であり、市職員の働き方改革を所管する総務企画局による対応が不可欠であると考えますが、総務企画局長の御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 総務企画局では、学校を含む様々な職場における働き方改革について、全庁的な取組の推進や各局等の取組の支援に努めておりますが、教員の働き方改革については、教育委員会とより一層連携を図りながら取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上晋平議員。
○28番(川上晋平) これまで本市の働き方改革について質問してまいりました。もう30年近く前になりますが、私が民間企業で働いていた頃に比べても、市長事務部局や民間企業の働き方改革は随分進んでいるように思います。しかしながら、教員の働き方は以前よりも厳しくなっているように感じます。要因は、学習指導要領の高度化、多様化による授業準備時間の増大、特別支援教育、多文化教育などの新しい対応、校務、事務負担の増大、保護者、地域からの多様な期待、いじめ対応、心理的ケアの必要性、給特法による長時間労働や働き方改革の遅れなど、多岐にわたります。勤務実態調査や業務改善活動を踏まえた専門コンサルタントによる報告でも、現在教員が担っている業務を、学校以外が担うべき業務、教師が担う必要のない業務、教師の業務だが負担軽減が可能な業務に仕分けされたように、教員の働き方改革はもはや教育委員会だけで解決できる問題ではありません。市が財政、人員、制度面で責任を持ち、教育委員会と連携して取り組むことが不可欠であります。
 教員が授業や生徒指導に専念できる環境づくりこそ、福岡市の責任ある働き方改革であると考えますが、最後に島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市の未来を担う大切な子どもたち一人一人の可能性を最大限引き出し、成長を促すためには、学校だけではなく、家庭、地域住民、行政が相互に連携をして、教育におけるそれぞれの役割と責任を果たす必要があると認識をしています。今後とも、教育委員会と連携をして教員の働き方改革に取り組み、教員が生き生きと子どもと向き合うことができる環境づくりを推進してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、福岡市が取り組んでいる認知症コミュニケーション・ケア技法、ユマニチュードについて質問をいたします。
 福岡市は若者を中心に多くの人々が集い、全国的にも活力にあふれる都市として広く知られております。都市としての魅力と利便性に加え、豊かな自然や文化が調和する福岡市は国内外から高い評価を受けております。日本全体が既に人口減少社会へ突入している中にあって、福岡市は人口の増加が続いており、2040年には170万人に達すると予測が示されています。しかしながら、その人口構成に目を向けますと、増加の大半を占めるのは高齢者であり、今後、急速に高齢化が進展すると見込まれております。高齢化の進行に伴い、地域社会において様々な課題が顕在化していくことが予想されますが、その中でも特に重要な課題の一つが認知症の増加です。認知症とは、後発的に何らかの原因により脳の機能が低下し、それに伴って記憶、判断、理解などの認知機能に障がいが生じ、日常生活に支障を来す状態を指します。また、加齢が最大のリスク要因であり、誰もがなり得るものです。こうした状況を踏まえ、福岡市では平成30年度より世界の自治体として初めて認知症コミュニケーション・ケア技法、ユマニチュードを本格的に導入し、国内外から大きな注目を集めております。私の下にも、介護の現場で日々尽力されている職員さんからも、ユマニチュードは有意義な取組であり、現場に積極的に取り入れていきたいとの声が寄せられております。
 そこで、福岡市がユマニチュードを導入するに至った経緯、現在進めている主な施策の内容、そして、今後の普及促進に向けた取組の方向性についてお尋ねしてまいります。
 まず、福岡市にはどのくらい認知症の人がいるのか、そして、今後どのくらい増えていくのか、認知症の高齢者人口とその将来推計についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 要介護認定者のうち、認知症高齢者日常生活自立度U以上に該当する高齢者数は令和6年度末が4万1,573人で、団塊ジュニア世代が後期高齢者になる2040年、令和22年には6万4,474人と推計しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 福岡市は若くて元気な都市というイメージがありますが、福岡市全体の人口増加をはるかに上回るペースで認知症の人が増えていくことが分かりました。そうした中、福岡市は平成30年2月に認知症フレンドリーシティ・プロジェクトを立ち上げました。
 この認知症フレンドリーシティ・プロジェクトを立ち上げた経緯についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく活躍できる社会を目指す福岡100として、産学官民オール福岡で平成29年度から様々なプロジェクトに取り組んでおります。その一つとして、認知症になっても住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちを目指す認知症フレンドリーシティ・プロジェクトを立ち上げ、取り組むこととしたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、この認知症フレンドリーシティ・プロジェクトではどのような事業に取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 認知症カフェやピアサポートなど、認知症の人が集う機会の拡大や認知症の人とのコミュニケーションの技術であるユマニチュードの普及、記憶に頼らず行動できる工夫を取り入れた認知症の人にも優しいデザインの導入促進、また、オレンジパートナーズによる企業との連携などに取り組むとともに、令和5年度には認知症フレンドリーセンターを開設するなど、様々な取組を推進しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 福岡市は令和5年9月にあいれふの2階に認知症フレンドリーセンターを開設しました。私も現地を訪問した経験がありますが、このセンターは、先ほど局長からの答弁にありました認知症の人にも優しいデザインをふんだんに取り入れてつくられたそうです。この認知症の人にも優しいデザインとは、認知症により記憶障がいや理解力、判断力などが低下する認知症の症状に対応するため、壁面や床材の色彩に明確なコントラストを持たせるほか、文字情報とピクトグラムを併用するなど、視認性と理解のしやすさを高め、記憶に頼らず行動できる工夫が凝らされております。このようなデザインを取り入れることで、認知症の方のみならず、全ての来訪者にとって快適で安心できる空間になるように配慮されております。さらに、この認知症の人にも優しいデザインについては、デザインの策定、導入だけでなく、事例を写真入りで詳細に公表している点などが高く評価され、公益財団法人日本デザイン振興会から2024グッドデザイン・ベスト100にも選出されたと聞いております。
 こうした認知症の人にも優しいデザインは、現在、市内の様々な施設でも導入が進められており、例えば、多くの福岡市民が日常的に利用する地下鉄のトイレの案内表示にも利用されているほか、民間施設にも広がりつつあります。このような取組が福岡市全体に広がっていることは、認知症の人がストレスなく安心して暮らせる環境整備に資するものです。この認知症の人にも優しいデザインがハード面での認知症の人への支援ですが、ソフト面で福岡市が取り組んでいるのがユマニチュードです。今日は認知症フレンドリーシティ・プロジェクトのもう一つの柱であるユマニチュードについて詳しく質問してまいります。
 多くの方は既に御存じかもしれませんが、ここで改めてユマニチュードとは何かを教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ユマニチュードとは、人間らしさを取り戻すという意味のフランス語の造語で、約30年前にフランスでイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレスコッティ氏によって開発されたものです。見る、話す、触れる、立つという4つの柱を基本とした優しさを伝えるコミュニケーション・ケア技法でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) ユマニチュードとは、認知症の人に優しさを伝えることができるコミュニケーション・ケア技法だということです。ジネスト氏らによってケアの現場での試行錯誤の中から生まれたユマニチュードには、人間らしさを取り戻すという意味があります。単なるケアの技術ではなく、人間とは何か、ケアする人とは何者かという哲学に基づき、認知症の人との関係性を重視したケアだということです。福岡市はいち早くこのユマニチュードに着目し、平成30年度から世界で初めて自治体として導入したわけですが、導入に当たり、福岡市は医療、福祉、介護施設と実際に認知症の御家族を介護しておられる皆さんに御協力をいただき、平成28年から平成29年の2か年にわたって実証実験を行ったと聞いております。認知症の人の介護の現場では、ケアを拒否する、暴言を吐くといった症状を行動心理症状と言いますが、これが介護する人にとって大きな負担になっています。
 ユマニチュードの講座を受講された介護者の皆さんが実際にケアの現場で活用された結果、認知症の人の行動心理症状や介護者の負担感等にどのような変化があったのか、お伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ユマニチュードに関する病院、介護施設向けの研修や家族介護者向けの講習会を実施し、その効果を検証いたしました。その結果、突然怒り出す、ケアを拒否するなどの認知症の人の行動心理症状について改善効果が見られております。また、介護者の負担感軽減の効果も確認されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) ユマニチュードを実践すると、認知症の人とのコミュニケーションが改善されるようですが、実際にそのような事例が確認されたのでしょうか。
 実証実験に参加した職員からは具体的にどのような声が寄せられたのかをお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 職員の方からは、被介護者の表情が穏やかになった、発語がなかった人からありがとうの言葉が出るようになったなどの声が寄せられております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 実証実験において、データの数値が変化しただけではなく、受講者からの聞き取りなどでもユマニチュードの効果について意見が寄せられたということです。実証実験によってしっかりと効果を確認した上で、福岡市はユマニチュードを本格的に導入したことが分かります。
 それでは、ユマニチュードを導入した平成30年度以降、福岡市はどのような形で普及に取り組んでおられるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ホームページなどで広報するほか、対象者別に3つの講座を実施しており、1つ目が、ユマニチュードを知らない地域の皆さんや子どもたちに知ってもらうための講座、2つ目が、ユマニチュードを知っていて、もっと学びたい人のための講座、3つ目が、高齢者をケアする専門職や御家族を介護されている人など、ユマニチュードを実践する人のための講座でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 専門職や家族介護者だけでなく、幅広く市民の皆様に普及を進めていることが分かりました。
 そこで、地域の皆さんや子どもたちに知ってもらうための講座についてお尋ねいたします。
 令和6年度に公民館と小学校で講座を実施したと聞いていますが、その実施状況と令和7年度の展開についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 公民館につきましては、令和6年度、7年度の2年間で分館を含む153の全公民館で実施することとしております。6年度は69館で実施し、1,600人が受講されており、7年度は84館で実施する予定としております。小学校については、6年度は全146校の4年生1万3,355人を対象に実施いたしました。7年度は小学校に加え、71の全中学校の1年生を対象に実施することとしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 令和6年度から全ての小学校で実施し、7年度からは全ての中学校でも実施しているとのことです。各学校の理解がなくては実施できないことだと思います。
 中学校では主に1年生のときに受講するとのことですが、その理由をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 中学校でも改めてユマニチュードについて知ってもらうため実施いたしますが、キャリア教育の一環としても位置づけていただいており、生徒が福祉職を将来の進路として考えるきっかけにもなるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 介護、福祉の分野に興味を持ってもらういい機会になると思います。中学生は思春期に差しかかり、社会的な視野が広がる時期であり、認知症に対する理解と共感を育む教育は、将来の地域づくりにおいても大きな意味を持つのではないでしょうか。
 それでは、学校で講座を受講した児童生徒の皆さんの反応はどのようなものなのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 受講した児童生徒からは、老人ホームの祖父を訪ねた際、目線を合わせて話しかけたところ笑顔になってくれたなどの感想が寄せられております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 心温まるエピソードを伺い、早い段階から知っておくことの重要性を感じます。小学校や中学校でユマニチュードを学ぶことは、認知症の人のみならず、友達をはじめ、他者に対する思いやりの心を育み、コミュニケーション能力の向上にもつながると期待しております。
 では、保護者からどのような声が寄せられているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 親子で講座に参加した保護者からは、子ども向けだが、基本を教えてもらった、認知症の人に限らず、お年寄り、子どもにも使っていきますなどの感想が寄せられております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 保護者からも肯定的な意見が寄せられているとのことでした。お子さんと話をすることで認知症への理解も進み、ユマニチュードを知る機会の増加にもつながっているのではないかと思いますが、市民の皆さんに広くユマニチュードを知っていただくためには、効果的な広報活動、啓発活動の展開も必要です。
 そこで、令和6年度に福岡市が実施したプロモーション活動の具体的な内容についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年度はテレビやラジオを活用した広報やトークイベントなどを行うとともに、地下鉄の駅でのポスター掲示や、博多駅、天神駅のデジタルサイネージでの動画放映など、多くの市民の目に触れる場所でのプロモーション活動を実施いたしました。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) ユマニチュードが市民の間にどの程度浸透しているのかを把握することは、今後の施策展開において重要な指針となるものです。
 そこで、福岡市が実施した市政アンケートにおけるユマニチュードの認知度、すなわち言葉も内容も知っている及び言葉は知っているが内容は知らないと回答した市民の割合の合計値について、過去3年間の推移をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和4年度が21.0%、5年度が19.0%、6年度は40.5%でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 今、局長から答弁がありましたとおり、令和5年度まで約2割で推移していた認知度は令和6年度は4割へと倍増したということです。この大幅な増加は、福岡市が継続的に取り組んできた講座や広報活動の積み重ねによる成果であり、今後もさらなる普及促進が期待されます。
 なお、認知度4割の中には、ユマニチュードという言葉は認識しているものの、その具体的な内容までは把握していない市民も含まれています。しかしながら、ユマニチュードという言葉が広く知られることにより、例えば、御家族が認知症になった際に、福岡市が認知症の関係でユマニチュードを推進しているという事実を思い出していただければ、福岡市のホームページを通じて情報を収集し、ユマニチュードを学ぶ講座にアクセスしていただくきっかけとなる可能性があるのではないでしょうか。このような観点からも、ユマニチュードという言葉を知っていると回答された市民が大幅に増加したことは意義深い成果であると考えます。今後もユマニチュードの講座を開催するなどして、多くの市民にユマニチュードを知ってもらい、学んでもらうための機会を設けるよう要望いたします。
 次に、令和6年度に福岡市において第6回日本ユマニチュード学会総会が開催されました。
 本総会は自治体として世界で初めてユマニチュードの導入に取り組んだ福岡市がその成果と展望を広く発信する場として注目を集めましたが、この総会はどういったものなのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市と日本ユマニチュード学会との共催で、「自治体とユマニチュード〜社会基盤としての実践〜」をテーマに、あいれふホールを主会場として9月28日、29日に開催いたしました。市長による大会長講演、学会代表理事の基調講演のほか、産官学の有識者によるシンポジウムや一般市民も参加できる市民公開講座などを実施いたしました。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) では、総会を開催してどのような効果があったのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 2日間で延べ1,272人が来場され、多くの市民の方にユマニチュード導入の効果に関する研究結果に触れていただき、ユマニチュードへの関心が高まったものと考えております。また、18の自治体から参加があったほか、介護従事者のユマニチュードへの関心が高まり、総会後に日本ユマニチュード学会が実施した専門職向け研修を多くの施設職員が受講されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 本総会はメディアでも報道され、公民館などで講師をしている地域リーダーの方が総会で発表された様子が新聞で取り上げられていました。この地域リーダーとは、福岡市がユマニチュードの普及促進を目的として独自に育成した講師のことであり、通常はユマニチュード学会の認定インストラクターが講座を担当するところですが、公民館や小中学校での講座など、地域での講座開催のニーズに応えるため、福岡市と日本ユマニチュード学会が連携して地域リーダーの育成に取り組まれたそうです。報道によると、本総会では、地域リーダーが講師として活動する中、講座を受講した子どもたちや地域の方、子どもたちの保護者、そして、御近所の方にユマニチュードの有効性が伝わり、地域に浸透していく実感が語られたそうです。このように、本総会は単なる学術的な集まりにとどまらず、認知症に優しい社会の実現に向けた市民参加型の取組と融合した意義深いものであったと言えます。
 また、福岡市が先導する地域リーダーの育成をはじめとするユマニチュードの普及活動は、今後の認知症施策のモデルケースとして、全国の自治体にとっても大いに参考になるものであったと考えられますが、総会の開催後、どのような反響があったのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 総会開催直後1か月で福岡市への視察の申込みが17自治体、認知症フレンドリーセンターへの視察の申込みが8自治体からございました。また、ユマニチュード学会に対し、講演会申込みなどの問合せが20自治体からございました。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 市民の認知度も令和5年度の19%から令和6年度には40.5%へと大きく増加しておりますが、総会の開催を契機として、ユマニチュードの取組は全国に広がりを見せ始めており、福岡市は自治体として世界で初めて本格導入に踏み切った先進的な事例として、その影響は広く波及しているようです。また、福岡市が積み重ねてこられた知見や実践事例は、認知症施策に取り組む全国の自治体にとって極めて有益なものです。福岡市がユマニチュード普及のモデル都市として積極的に情報発信を行っていただき、全国的な理解と実践の広がりに貢献されることを期待しております。
 次に、今後のユマニチュードの施策展開についてお尋ねしてまいります。
 先ほど福岡市でユマニチュード学会の総会が開催された後、多くの自治体から視察や問合せが寄せられたと局長答弁がありましたが、海外からも視察があっていると聞いております。
 ユマニチュードや認知症施策に関する福岡市の取組について、令和6年度の海外からの視察件数についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 8か国、21件でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 福岡市の先進的な取組は、海外からも高い関心を集めているようです。ユマニチュード発祥のフランスでは、医療、介護現場におけるケアの方法を中心に、世界各国の専門家が集まる学会が継続的に開催されており、深い議論が交わされているそうです。そして、令和5年11月にパリの近くのモンルージュという場所で開催された第16回非薬物的アプローチ学会には島市長並びに荒瀬副市長が出席され、ユマニチュード普及に取り組む、福岡市を含む8つの団体が国境を越えてユマニチュードの普及に協力することを宣言し、国境なきユマニチュード憲章に調印したと聞いております。
 そこで、国境なきユマニチュード憲章に調印した唯一の自治体として、福岡市は今後どのような方針の下、ユマニチュードの理念を広げていこうとされているのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 本年9月1日に国境なきユマニチュード推進本部を、フランスの団体や日本ユマニチュード学会などとともに福岡市に開設いたしました。今後、推進本部において収集した国内外のユマニチュードに関する様々な知見やノウハウを市民に提供するとともに、推進本部が中心となってアジアなどへの情報発信を行ってまいります。また、令和8年10月に推進本部が主催する第1回の国際会議を開催する予定にしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) これまで福岡市におけるユマニチュード導入の経緯から、市民向けの講座の開催、ユマニチュード学会の総会、そして、今後の施策展開についてお尋ねしてきました。福岡市は第10次基本計画において、アジアのモデル都市として世界とつながり、国際的な存在感がある都市を目指すとの理念を掲げております。
 この理念の下、福祉分野においても福岡市がアジアのリーダー都市として責任と役割を果たすことが求められていると考えますが、最後に、今後、福岡市が福祉分野を含め、アジアのリーダー都市としてどのように取り組もうとされているのか、島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においても、65歳以上の独り暮らしの高齢者世帯が増加するなど、超高齢社会が進展をする中、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる環境を整えることは喫緊の課題でございます。こうした中、福岡市においては平成29年に福岡100を立ち上げ、誰もが心身ともに健康で自分らしく活躍できる社会を目指して、産学官民オール福岡で様々なプロジェクトへのチャレンジを始めたところでございます。その取組の一つとして、平成30年に認知症フレンドリーシティ・プロジェクトを開始し、ユマニチュードの普及促進、認知症の人にも優しいデザインの導入、認知症フレンドリーセンターの設置などの取組を進めているところでございます。今後とも、人生100年時代にふさわしいまちづくりに取り組み、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) この際、休憩し、午後2時35分に再開いたします。
午後2時25分 休憩
午後2時35分 開議
○議長(平畑雅博) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ)登壇 私は自民党新福岡を代表して、地域に根差した環境保全活動について質問してまいります。
 環境問題は私たちの生活とは切り離すことのできない身近な問題であり、地域においては環境の保全や美化のために様々な環境活動が行われております。私は校区の美化リサイクル委員として地域で資源物の回収活動に取り組んでおりますが、資源物回収を行う地域団体への報奨金は福岡市環境市民ファンドという基金から交付されています。本市では、市民や地域団体の環境保全活動を支援するため、福岡市環境市民ファンドを創設し、様々な事業に活用されています。市民の皆様にはあまり知られていないと感じておりますが、今回は環境市民ファンドを入り口として、地域に根差した環境保全活動の一つである古紙をはじめとした資源物の地域集団回収についてお尋ねいたします。
 初めに、福岡市環境市民ファンドの設立経緯及び役割についてお伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 福岡市環境市民ファンドにつきましては、循環のまち・ふくおか基本計画に基づき、家庭ごみの有料化を契機に、循環型社会を支える仕組みの一つとして平成17年4月に創設したものでございます。同ファンドは、家庭用ごみ袋の販売収入の25%に相当する額や、市民、事業者からの寄附相当額を毎年度一般財源から積み立て、市民の環境保全に関する実践活動などを支援する事業に充当しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 答弁にありましたように、福岡市環境市民ファンドは、家庭ごみの有料化を契機に、収入の一部を市民や地域団体に還元し、環境保全活動を資金面で支援するものとのことです。
 令和7年度予算における福岡市環境市民ファンドへの積立額及び環境保全活動への充当額についてお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 令和7年度予算における積立額につきましては8億9,648万円余、充当額については同ファンドの残高も合わせ10億6,919万円でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 充当額は約10億7,000万円ということで、少なくない金額が市民の環境保全に関する実践活動などを支援する事業に使われていることが分かりました。
 それでは、どのような事業に充当しているのか、また、令和7年度予算における充当額が大きい事業とその額についてお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 充当先につきましては、リサイクルや温室効果ガスの排出削減、自然環境の保護などの市民の実践活動に係る23事業を対象としております。そのうち、令和7年度予算において充当額が大きい事業については、太陽光発電や蓄電池などの設置費用を助成する住宅用エネルギーシステム導入促進事業が3億1,319万円余、スーパーなどの民間協力店や区役所などの公共施設での資源物回収事業が2億6,404万円余、地域での資源物回収などに対して報奨金を交付する地域集団回収等報奨制度が1億8,511万円でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 充当額が大きい事業の一つとして地域集団回収等報奨制度を挙げられましたが、資料1をお願いいたします。(資料投影)これは地域集団回収の様子です。資料2をお願いいたします。(資料投影)私が住んでいる校区では、月1回、毎月10日に集団回収が行われています。資料3をお願いいたします。(資料投影)私も地域での資源物の回収活動に取り組む中で、課題や疑問を感じることがあります。ここからはそれらについて質問しながら、地域における資源物回収の在り方について考えていきたいと思います。資料ありがとうございました。
 まずは、地域における資源物回収の概要についてお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 地域におきましては、子ども会や町内会などによる自主的なごみ減量・リサイクル活動として、古紙や空き缶などの資源物回収が行われております。具体的には、市が設置し、自治協議会などが管理する校区紙リサイクルステーションや町内会などが管理する紙リサイクルボックスを活用した回収のほか、公園や集会所などを利用して定期的に資源物を回収する地域集団回収が行われております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 地域においては、子どもから御高齢の方まで多くの市民の皆様が協力し合って資源物の回収活動に汗をかいておられます。
 本市として、このような地域での資源物回収に対してどういった支援を行っているのか、お伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 地域での資源物回収活動への支援につきましては、家庭ごみの減量とリサイクルを図るため、地域集団回収等報奨制度において、実施団体に対し、広報活動経費をはじめ、校区紙リサイクルステーションや紙リサイクルボックスの管理費のほか、回収活動に対し、実施月ごとに2,500円及び資源物の回収量に応じて1キログラム当たり5円の報奨金を交付しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 次に、地域での資源物回収の実施団体数の過去3年間の推移と直近の実施団体の内訳についてお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 実施団体数につきましては、令和4年度が1,896団体、5年度が1,877団体、6年度が1,857団体となっており、6年度の内訳は、自治会、町内会が745団体、子ども会が600団体、マンション管理組合が221団体、自治協議会が111団体、その他が180団体となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 本市では1,800以上の地域団体が資源物回収を行っているとのことですが、自治会や子ども会といった団体だけでなく、マンションの管理組合も多く含まれていることが分かりました。
資料4をお願いいたします。(資料投影)こちらはマンションにおける資源物回収の様子です。資料5をお願いいたします。(資料投影)このように、マンションの管理組合においては敷地内で効率的に資源物を回収することが可能です。一方で、資料6をお願いいたします。(資料投影)このように、時折回収される資源物が歩道いっぱいに捨てられて、資料7をお願いします。(資料投影)子どもが登校するときなど、通行の妨げになっている場面を目にします。資料ありがとうございました。
様々な団体が資源物回収といった形で地域での役割を担っていることは重要であり、そうした活動がより活性化するとともに、適正に行われるよう、ぜひ本市からも積極的に働きかけを行っていただければと思います。
 ここでほかの政令市においても資源物回収に地域の協力を得るための支援策があるのか、お伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 他都市におきましても、20政令市中19市で地域の資源物回収に対し報奨金や助成金による支援を実施しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) ほとんどの政令市で地域での資源物回収を推進しているとのことであり、地域の協力はとても重要です。
 続いて、地域での資源物回収による品目ごとの直近3か年の回収量をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 品目ごとの回収量につきましては、古紙は令和4年度が1万7,534トン、5年度が1万6,267トン、6年度が1万4,823トン、布類は4年度が591トン、5年度が564トン、6年度が525トン、空き缶は4年度が464トン、5年度が452トン、6年度が430トン、瓶は4年度が90トン、5年度が80トン、6年度が71トンとなっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 直近3か年では平均で約1万6,000トンもの資源物が回収されており、その多くは古紙であるようです。一方で、どの品目も回収量が毎年減っておりますが、ペーパーレス化などもあり、古紙の減少が特に大きいようです。
 先ほどの御答弁では資源物の回収量に応じて報奨金が交付されているとのことでしたが、資源物回収の実施団体への報奨金については1団体当たり年間で幾らぐらいなのか、お伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 実施団体への令和6年度の報奨金の交付額につきましては、最も少ない団体で約2,700円、最も多い団体で約112万9,000円、平均すると約8万9,000円となっており、50万円を超える団体も60団体ほどございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 資源物回収への報奨金は地域の大切な活動資金にもなっており、地域コミュニティの維持にも一役買っているだけではなく、携わる方にとっても励みになっているものと思われます。
 ここからは地域の資源物回収における回収量の多くを占めている古紙についてお尋ねしていきます。
 資料8をお願いいたします。(資料投影)これは皆様方も御存じと思いますが、校区の自治組織で管理する紙リサイクルステーションです。資料9をお願いいたします。(資料投影)続いて、子ども会など、地域の団体が管理する紙リサイクルボックスでございます。資料ありがとうございました。
 地域における資源物回収拠点である校区紙リサイクルステーションと紙リサイクルボックスの設置数をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 令和6年度末時点の設置数につきましては、校区紙リサイクルステーションが98か所、紙リサイクルボックスが316か所となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 合わせて400か所以上の回収拠点が市内に設置されているとのことですが、全ての校区において校区紙リサイクルステーションや紙リサイクルボックスが設置されている、または地域集団回収が行われているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 福岡市では、小呂校区を除く全校区におきまして、校区紙リサイクルステーション、紙リサイクルボックスを活用した回収や地域集団回収のいずれかによる活動が行われております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 離島である小呂校区以外では資源物回収が行われていることが分かりました。
 ここ数年の推移では実施団体数に大きな変動はなく、また、リサイクルボックスの設置数もある程度あるようです。多くの市民にとっては、一定程度身近なところに古紙を出す場所があるように思いますが、一方で、リサイクルボックス等の設置場所や地域集団回収が行われている場所が自宅から遠く、古紙を出しにくい方のためには回収拠点の増設を検討する必要があるかもしれません。さらには、他都市から引っ越してきた学生や社会人などの若い世代を中心に、そもそも地域で古紙回収が行われていること自体を知らない人もいるのではないでしょうか。
 そこで、地域集団回収の実施状況やリサイクルボックスの場所の広報はどのようにされているのか、お伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 広報につきましては、市ホームページで紙リサイクルボックスなどの設置場所や開設日時、回収品目などを周知しているほか、校区ごとに資源物回収場所早わかりマップを作成し、ホームページへの掲載や区役所、公民館などでの配付を行っております。また、実施団体においても、チラシや回覧板、公民館だよりなどにより地域住民への周知が行われております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 広報については、ホームページやチラシだけではなく、SNSを活用するなど、より積極的に取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
 また、地域での資源物回収については、広報面のほか、少子・高齢化などにより担い手が不足し、将来的に活動の継続が難しいという声も耳にいたします。
 そこでお尋ねいたしますが、実際に地域で活動されている団体などに活動する上で困ったことや悩みなどについて聞かれたことはあるのでしょうか。ある場合は、どのようなものがあったのか、具体的にお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 令和4年度の全実施団体に対するアンケート調査結果によりますと、役員を引き継ぐ人がいないと回答した団体が約40%、団体の構成員が減って協力者の確保が難しいと回答した団体が約35%となっており、担い手の確保が課題となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 最近では子ども会に入会する人が減っており、これまで子ども会が行っていた回収活動を町内会や自治会が引き受けるケースもあると聞いており、子ども会と町内会、自治会が協力していくことも必要と考えます。本市の地域集団回収は市民の自主的なリサイクル活動として定着しているものでありますが、将来にわたって今の体制を維持していくことは人口減少など社会情勢が変化する中では難しいと思っております。本市はもうしばらく人口が増え続けるとされていますが、この時間を有効に活用して、将来にわたって誰もが古紙等を出しやすい環境をつくっていく必要があると考えます。例えば、現在、リサイクルボックスを設置している回収拠点においても、ドライブスルーのように車の通り道をうまくつくれば、効率的に古紙を出すことができるようになるのではないでしょうか。また、令和6年度に開始された60校区以上の自治協議会等で導入されているふくおかポイントなどと連携して、古紙を持ち込んでいただいた地域住民の方へポイントを付与することで、より積極的に古紙を持ち込んでいただけるのではないでしょうか。
 資料10をお願いします。(資料投影)これは民間で設置されているリサイクルボックスの写真です。資料11をお願いいたします。(資料投影)このように、古紙回収業者が空き地などに設置している民間の古紙回収ボックスも増えているように思います。資料12をお願いいたします。(資料投影)こちらは博多区のブランチ博多パピヨンガーデンに設置されているエコスポ博多という古紙回収ボックスです。資料13をお願いいたします。(資料投影)同様の施設が東区のブランチ福岡下原にも設置されており、エコスポ福岡下原という名称です。これらのエコスポという古紙回収所では、資料14をお願いいたします。(資料投影)段ボールを回収するとともに、資料15をお願いいたします。(資料投影)このように、無人ですが、台車もありますし、セルフで雑誌や新聞紙なども出せるようになっています。資料16をお願いいたします。(資料投影)また、持ち込んだ古紙の重さに応じて買物に使えるポイントが付与されるなど、資料17をお願いいたします。(資料投影)古紙を出す方にとってメリットがある仕組みが設けられています。資料ありがとうございました。
 このような民間の古紙回収ボックスの設置数や場所について本市が把握されているのであれば、市民の利便性向上のため、本市が設置場所を周知してはいかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 民間事業者により設置された古紙回収ボックスにつきましては、その設置数や場所について把握しておりませんが、市民の利便性が高く、ごみの減量やリサイクルの推進に寄与するものであることから、今後、その把握と周知方法について検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 先日、福岡市がサービスを本格的に開始された福岡市駐車場ナビのように、古紙等の回収拠点が地図上に表示されると、市民の皆様にとって分かりやすいのではないかと思います。ぜひ官民一体となって積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 古紙のように資源化できるものは資源物として回収していくためには、このような民間のボックスを活用することも有効です。古紙回収の多くは地域が担っていることを踏まえると、これからも地域での活動が継続されることがやはり最も重要であると思います。地域での取組はその主体も含めて様々であり、地域での課題をしっかりと把握し、必要な対策を行う必要があると考えます。
 地域に根差した環境活動である地域集団回収について、市民にとって身近な場所で古紙を出すことができ、将来にわたって安定的に回収活動が継続される体制をどのように構築していくのか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 地域集団回収につきましては、少子・高齢化により活動の担い手が不足していることや高齢者のみの世帯の増加に加え、近年の通信販売の普及に伴う段ボールの増加により回収拠点まで搬出しにくいといった声が寄せられるなど、課題があるものと認識しております。このため、これまでの制度の利点を生かしながら、回収拠点の増設や回収事業者と連携した新たな仕組みづくりなど、持続可能な回収方法の構築に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 私も地域での活動を通して、地域集団回収は地域におけるリサイクルの実践の場であるとともに、資源物の回収を通じて市民のリサイクルへの意識を高めることにもつながるとても重要な活動だと思っております。また、資源物は地域集団回収だけでなく、区役所や体育館に設置されている資源物回収ボックスや小型電子機器の回収ボックス、スーパーでの店頭回収など、様々な場所で回収されていますが、これらの回収場所について、多くの場合は単に無料でごみを捨てられる場所と認識されているのではないでしょうか。また、古紙などを地域の資源物回収に出せる環境があるにもかかわらず、手間なので、まとめて有料のごみ袋で捨ててしまっている方もまだ多くいるのではないでしょうか。先ほどお答えいただいたように、古紙を出しやすい環境づくりに取り組んでいただくことに加え、ごみを出す側の市民に対しても、資源物をしっかりと分けて地域集団回収や回収ボックスに出すことがリサイクルにつながっていくという本来の趣旨についてもっと積極的に周知すべきであると考えます。令和9年2月にはプラスチック分別収集も始まりますが、リサイクルは市民の協力があって初めて成り立っていくものと思います。改めて市民の皆様にもしっかりと認識していただく必要があるのではないでしょうか。
 最後になりますが、市民一人一人のリサイクルへの意識をより一層高めることで、さらなるごみの減量と資源循環に取り組んでいくべきと考えますが、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 福岡市では人口が増加しておりますが、家庭から排出されるごみ量は減少しており、これも市民の皆様の御理解、御協力によるものと考えております。本市では令和9年2月にはプラスチックの分別収集、再資源化が始まりますが、資源物を回収しリサイクルすることはさらなるごみの減量や脱炭素にもつながるものであり、これまでも家庭から排出されたペットボトルを全量ペットボトルとして再生するボトルtoボトルをはじめ、家庭の使用済油を回収しバイオディーゼル燃料へ再資源化するなど、市民に分かりやすいリサイクルに取り組んできたところでございます。今後とも、市民に分かりやすいリサイクルに取り組みながら、その意義や資源物の出し方などについてしっかりと広報、啓発に取り組んで、さらなるごみの減量と資源の循環を推進してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義)登壇 私は新しい風ふくおかを代表して、産後ケア事業のさらなる充実について質問します。
 資料1をお願いします。(資料投影)これは警察庁における妊産婦の自殺統計の分析を行った結果ですが、2024年までの3年間で162人もの妊産婦が自殺で亡くなっていて、そのうち産後3か月から1年までが91人と半数以上を占めています。一方、年齢別では、ハイリスクと言われる40歳から44歳までが産後鬱から自殺に至るケースが増加しているデータもあり、国においても産後ケア事業については重要施策として位置づけられています。事業実施から10年目を迎えた本市としても、制度の見直しを含め、より一層力を入れていかねばなりません。
 そこでまず、本市の産後ケア事業の実施内容及び種類ごとの事業所数、委託料、利用料、利用日数についてお尋ねします。
 以上で1問目を終え、2問目から自席にて質問いたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業は、生後1年未満の母子を対象に、母体のケアやカウンセリング、乳児の発育、発達の確認、授乳、沐浴など乳児のケアに関するアドバイス等を行うもので、医療機関など施設で実施する宿泊型と日帰り型、自宅に助産師が訪問する訪問型がございます。令和7年8月時点の事業所数は、宿泊型と日帰り型の両方を実施している事業所もございますが、種類ごとに申し上げますと、宿泊型11、日帰り型16、訪問型63となっております。また、委託料は1日につき宿泊型2万7,000円、日帰り型1万8,000円、訪問型1万1,500円で、1日当たりの利用料は宿泊型3,000円、日帰り型2,000円、訪問型500円としております。令和6年度の延べ利用日数は、宿泊型2,285日、日帰り型3,621日、訪問型2,264日でございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 産後ケア事業の実施内容の一つとして、母体のケアやカウンセリングと答弁されましたが、私が実際に聞いたところ、安心できる病院に子どもを預けてゆっくり休みたい、自宅への訪問型ではゆっくり休めないなど、育児の不安に対するサポートというよりも休養を望んでいる声がほとんどでした。
 そこで、宿泊、日帰り、訪問型それぞれの予約の状況についてお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業の予約状況は、宿泊型及び日帰り型は医療施設の病床の空きを活用していることなどから、施設によっては予約から利用までに日数を要するなど、予約が取りにくい状況がございますが、訪問型はおおむね希望に沿った利用が可能となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 先ほど御答弁いただいた利用日数を施設数で割ると、宿泊型と日帰り型、いずれも1施設当たり利用は200日超えと高い稼働率ですが、産後ケアとして使える7日間に対し、対象となる母親はどの程度利用できているとお考えでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 1人当たりの平均利用日数は令和6年度3.09日となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 平均すると、使える7日間のうち、実際に利用されているのは3日ほどとのことですが、利用者からの声にはどのようなものがあるのでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 利用者からは、産後の体のことや育児について助産師からゆっくり話を聞くことができ、不安が軽減したとの声があるほか、施設の利用者からは、出産した市外の医療機関で産後ケア事業を利用したい、医療機関によっては予約が取りにくいなどの声もいただいております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 実際に利用したあるいは利用しようと試みた母親からは、どの病院も予約が電話のみでなかなかつながらず、つながったとしても予約でいっぱいだった、勇気を持って電話したのに断られた、病院からの代替案もなく、産後ケア事業を利用することは諦めた、希望する産婦人科にやっと予約ができて行ったものの、急なお産が始まり、赤ちゃんと部屋に置き去りになった、予約していたその日に病院から受入れはできないとキャンセルの連絡が入り、受けたショックは計り知れなかったなど、悲痛な声を多く聞きました。
 そこで、このような現状について本市としてはどのような課題認識があり、課題解決に向けてどう取り組んでいるのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業の利用者が増加しており、実施医療機関の増加に向けて事業者を募集するほか、医療施設に加えて、賃貸物件や宿泊施設での実施を可能にするなど、受皿の確保に取り組んでいるところでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) ただでさえ少ない受入れ施設数に需要が集中し、予約困難を引き起こしていることからも、受皿となる施設の確保には一層努力いただきたいところですが、それ以前の話として、申込方法が電話のみ、利用申込書も市のホームページからダウンロードして印刷をし、記入をして、事前に事業所へ足を運んで提出をするという手間はいかがなものかと思います。
 資料2をお願いします。(資料投影)大分見にくいですが、これがその利用申込書ですが、自宅にプリンターがない母親は印刷ができない時点で諦めてしまいますし、子どもを抱えたまま病院の受付でこれだけの欄を記入するのも大変です。自身の食事やトイレですらままならない産後の母親にとって余計な負担をかけているこの現状は早急に改善が必要ではないでしょうか。投影ありがとうございました。
 例えば、過去には、市も支援した一時預かり保育の実証実験において、保育園を利用したい保護者と受入れできる保育園のマッチングサービスをスマホを使って簡単に予約ができる仕組みとして、90もの保育園で実装している事例もあります。もちろん産後ケア事業の場合も受入れ側の病院がタブレットを準備するといった多少なりの整備が必要ですが、先ほどのアプリを構築した企業に聞いたところ、産後ケア事業を実施している30施設にも満たない数であれば、そう難しい話ではないのではとのことでした。他都市では浜松市がLINEを活用したオンライン申請を始めたことでスマホからの利用申請が可能となり、パソコンや電話予約が苦手な人でもスマホで完結できると好評のようです。
 したがって、予約システムの在り方を含め、現状に即した申請手続方法に改善すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業は、事業者が利用者の育児状況等を踏まえて受入れ体制を準備する必要があるために、利用者が事業所に予約をする際に産後の体調や育児の困り事などを伝えていただくこととしておりますけれども、手続の方法については引き続き検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) また、宿泊、通所、訪問で7回という利用制限があるにもかかわらず、回数の管理は利用者に任されているようです。
 そこで、利用記録の管理体制はどのようになっているのでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 利用回数等につきましては、事業者からの報告に基づき、福岡市が管理をしております。また、利用者及び事業所が回数を確認できるよう、1回目の利用時に事業所を通じて利用証明書を発行し、利用日や実施場所を記載していくこととしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) これがその利用証明書です。(資料表示)この証明は1回の出産につき1枚限りの発行で、利用時に必ず事業者に提出しなければなりません。そして、この裏面に必要事項を事業所が記入し、利用者がまた預かるという仕組みです。
 そこで、もし利用者が利用証明書を紛失した場合はどうなるのでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 利用証明書を紛失した場合は、福岡市で利用回数を確認した上で、事業所を通じて再発行しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 日々慌ただしい生活を送られている母親にとって、紛失しないとも限りません。産後ケア事業をユニバーサルサービスとして誰でも公平に利用できるようにと位置づけるのであれば、母子健康手帳に妊婦健診同様の7回分の利用券を一律交付するなど、管理の効率化、制度化を検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 利用状況の確認や管理方法につきましては、ICTの活用など、他都市の事例も参考に効率化等に向けて引き続き検討を進めてまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) また、生後4か月以降の産後ケアも産後鬱の重症化を防ぐために必要不可欠であることからも、生後1年まで利用できる産後ケア事業は大変ありがたい制度ですが、実際は宿泊型、日帰り型ともに生後4か月までしか利用できない施設が多く、困っている母親が多いと聞きました。
 そこで、なぜ受け入れることができないのか、その理由と、生後4か月以降を受け入れた事業所数は幾つあり、その事業所に対する支援策はあるのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 宿泊及び日帰り型については、生後4か月頃から寝返りが始まるなど乳児の活動が活発になるために、設備や人員体制など安全面の観点から、生後4か月までの受入れとしている施設があると認識をしております。生後4か月以上の乳児については訪問型では対応しており、宿泊、日帰りを行う18事業所のうち9事業所が受入れを行っております。また、令和7年度から国の補助基準に基づき、生後4か月以上の乳児やきょうだい児を受け入れた場合、基本額に加え、1件当たり宿泊型は1日5,000円、日帰り型は1日2,500円の委託料を加算しており、受皿の確保に努めているところでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 現在、宿泊型、日帰り型を実施している18の事業所のうち、生後4か月以降を受け入れているのは9つの事業所とのこと。今年度より国からは委託料が加算されていますが、ほとんど増えてはいないようです。
 そこで、実際に日帰り型を実施されている産婦人科の先生や助産師さんに現状の課題をお聞きしたところ、生後4か月以上の受入れは助産師でなくても保育士で十分賄うことができる、カウンセリング以外については子どもを見るのに保育士で十分で、もっと活用すべきと。さらには、先日、勝見議員も言われていましたけれども、病院の先生からは、年子や多胎児などは託児スペースを設けていない事業所では到底無理であり、人手も足りない。上の子を預かることができない理由で断るケースが多いのが実態で、多少の委託料ではとても賄えないとの意見でした。
 そこで、4か月以上の子や上の子を預かってもらう解決策の一つとして、保育士の配置における助成の拡充を検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 実施施設における人員配置につきましては国が示す基準に基づき実施をしておりますが、引き続き利用状況を把握しながら産後ケア事業の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 特に人見知りがあったり複数いたりする場合など、助産師のみでは対応が困難との意見もありました。4か月以上の子や上の子の受入れしていただく事業所を増やすためにも、専門人材配置のための支援制度は急務です。国が示す配置基準だけではなく、事業者とも現状をヒアリングし、本市としての必要な支援策の検討をお願いします。
 次に、令和7年度はホテルを活用した新規事業が始まっていますが、その取組内容と現時点での実施状況についてお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和7年度から医療施設に加えて、賃貸物件や宿泊施設でも産後ケアを実施できるよう実施場所を拡大しております。実施内容や利用料、委託料、国の補助金等は、従来から実施している産後ケア事業と同様の内容となっております。実施場所を拡大した医療機関は7月末時点で1か所であり、拡大場所のホテルにおける4月から7月末までの延べ利用日数は約300日となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 事業者側、利用者からはどのような声が上がっているんでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 事業者からは、医療施設のように病床の空き状況に影響を受けないため、希望者をより早く利用につなげられるようになったと聞いております。また、利用者からは、産後ケア専用の施設であるため、落ち着いた環境の下でサポートを受けることができ、気持ちに余裕を持って子どもと向き合えるとの声をいただいております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 資料3をお願いします。(資料投影)新規事業として始まったルイガンズホテルへ視察に行き、受託している真田産婦人科の寺田事務長に御案内いただきました。
 資料4をお願いします。(資料投影)これは実際に母親が泊まる部屋ですが、ルイガンズでは全ての部屋が博多湾を望むオーシャンビューとなっています。真田産婦人科は3つの部屋を年間で契約しています。
 資料5をお願いします。(資料投影)すぐ隣に助産師さんが3名いる少し広い部屋があり、それぞれが赤ちゃんを抱っこして、あやしていました。母親は赤ちゃんを預けている間、オプションサービスのスパやマッサージなど、日常を忘れてリラックスができ、助産師とはLINEで連絡が取れるようになっています。赤ちゃんの状態に異常がないかは胎動センサーと目視で行われ、離れた病院とは電子カルテで情報を共有しています。
 資料6をお願いします。(資料投影)助産師が母親にヒアリングをしている様子です。現在契約している3部屋は専用のサイトからネットで予約ができる仕組みですが、枠を開けた僅か10分以内で予約が埋まり、予約可能な2か月先まで全て埋まっているとのこと。利用料3,000円だけで、昼はビュッフェ、朝、夜は栄養士が監修した食事が部屋に届く仕組みと、まさに至れり尽くせり。父親が上の子と別途予約して泊まるケースもあるとのことです。投影ありがとうございました。
 このように、母親は慌ただしい病院とは違うゆっくりとした時間が流れる非日常的な場所とサービスでリフレッシュができます。一方で、ホテル側は年間契約として安定した売上げの確保ができ、よいイメージで母親や家族が利用することでリピーターの獲得につながります。さらに、病院にとっては産後ケアとしてのスペースが確保でき、他病院との差別化やPRになることからも、母親、病院、ホテルとそれぞれにメリットがある、まさに三方よしと思われます。
 ところが、真田産婦人科へ現状をお伺いすると、この初期投資に加え、人件費、部屋代、食事代、おむつなど、物価高騰のあおりを受け、軒並み高騰していることからも、現状の制度2万7,000円の委託料と利用者からの3,000円だけでは今後継続していくのはかなり厳しいとのことでした。誰もが公平に利用できるようにという思いで始めてもらっているだけに、今後、事業者ともしっかりヒアリングをし、継続していただけるよう支援の拡充を検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業の実施につきましては、委託の仕様内容や委託料を踏まえ、事業者がこれまでの知識や経験を生かして、場所の選定に加え、追加サービス等を工夫していただいているものと認識をしております。福岡市においては、医療機関が実施を検討するに当たり、適宜相談、助言を行っており、また、国において令和7年度に産後ケア施設の改修等に関する補助金も創設されたことを受け、現在、補助の申請受付に向け、準備を進めているところでございます。引き続き事業者の意見も聞きながら、希望される方が利用できるよう対応を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 一方で、民間においてもホテルとタイアップした産後ケアが始まっていますが、1泊当たり7から8万円ととてもハードルが高いのが現状です。産後大変な母親を救ってあげたいと思う事業者がより参画できるよう、支援の拡充を改めて要望しておきます。
 また、近年、外国人の出産、育児の相談も増えている中、文化的、言語的な配慮、離乳食の対応など、多様なニーズへの補助制度が不十分との意見を聞きました。外国人の妊産婦支援に取り組んでいるKyushu Motherhood Networkのフリッツさんにお話を聞きましたが、外国人の妊産婦からは、相談相手がいない、地域の産婦人科を知らず大きな病院にいきなり行ってしまった、母国に産後ケアというサービスがなく、産後ケア事業を知らなかったなど、課題も様々で、日々対応に追われているとのことです。本市でも外国人と医療機関等との通訳サービスを行う医療通訳コールセンターを設置されているようですが、実際に現場ではスタッフ、利用者個人のスマホを使って翻訳を行うこともあり、個人や施設によって対応にかなりの差があるようです。外国人が増加している本市として、AIや翻訳機能はかなり精度が高くなっていることからも、医療機関に対し、自動翻訳システムのアプリやタブレットの導入の促進など、利用者の多様化にも対応していただくよう要望します。
 今回、質問を作成するに当たり、当事者である母親、病院の先生、助産師、保育士など、多くの方にヒアリングをしました。実感したのは、核家族化が進む本市において産後ケア事業のニーズはとても高く、今回のホテルとのタイアップのように、産後を社会全体で支える仕組みづくりがより必要ということです。出産した誰もが産後ケア事業を安心して快適に利用できるようになれば、産後に対しての不安はなくなり、2人目あるいは3人目、さらには淀川議員のように6人目の出産につながるなど、より一層子どもを生み育てやすい福岡市となるはずです。
 今後、産後ケア事業のさらなる充実についてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 核家族化が進み、妊娠、出産、子育てについて親族からのサポートが受けにくくなるなど、社会全体で支援が求められる中、産後ケア事業は、産後の身体的、精神的に不安定になりやすい時期に母親の心身をフォローしながら、親子の愛着形成の促進、健やかな育児の支援を目的として実施をしております。これまでも受皿の確保や利用者負担の軽減など、事業を充実してまいりましたが、引き続き質の担保を図りながら、受皿の確保に加え、ICTの活用等、利用しやすい事業となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) この際、休憩し、午後3時35分に再開いたします。
午後3時23分 休憩
午後3時35分 開議
○副議長(尾花康広) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。川口浩議員。
○52番(川口 浩)登壇 私は福岡空港の課題と今後について、福岡の国際旅客航路と国際コンテナ航路について、2問お尋ねします。
 まず、港湾空港局は福岡空港の課題をどのように考え、どのように検討していくのか、具体的に詳しく教えてください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて発言させていただきます。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港につきましては、増設滑走路の供用後の発着便数は、供用前と比べて大きく増加するとともに、令和7年4月から7月までの乗降客数が約900万人と前年同期と比べて50万人以上増加しており、今後もその需要はさらに高まると見込まれておりますことから、この旺盛な需要への対応が必要であると考えております。
 国においては、地元の理解を得た上で、GPSを活用した航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力を現在の1時間当たり40回から50回に拡大できるとされていることから、福岡市といたしましても、令和7年7月に国に対し早期の処理能力の向上に向けた検討を提言したところであり、今後も関係機関に働きかけを行うなど、増設滑走路が最大限活用されるよう取り組んでまいります。
 また、福岡空港は広域的な人流、物流を支える広域交通拠点であり、アクセスを強化することは重要であると認識しております。改定された都市交通基本計画において、福岡空港をはじめ、各拠点等へのアクセス強化の検討に取り組むことが新たに位置づけられたところでございますが、港湾空港局といたしましては、国際線へのアクセスについて、まず、バスやタクシーの輸送力強化や利便性の向上などについて、空港運営会社をはじめ、関係機関と協議してまいります。
 福岡空港は市街地に位置するがゆえの騒音問題を抱えており、空港の円滑な運営は地域住民の理解と協力に支えられていることから、周辺地域が活性化し、空港とともに発展することが重要であると考えております。
 国においては、滑走路増設事業の完了後に実施予定の騒音測定の結果などを踏まえ、騒音対策区域の見直しが検討されると聞いておりまして、その主体者たる国の動向を注視してまいりますとともに、地域集会所の将来的な建て替えや修繕などの老朽化対策について、できるだけ早期に方針が示せるよう、関係者と協議するなど、地域住民の意向を踏まえながら、環境対策や周辺整備に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) それでは、そのほかの点について質問をさせていただきます。
 FIAC、福岡国際空港株式会社さんの基本コンセプトはいかなるものか、また収益計画はどのようになっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 答弁に入ります前に、先ほどの答弁で、現在の1時間当たりの処理能力について、1時間当たり40回から45回と答弁すべきところを50回と答弁しておりました。正しくは1時間当たり40回から45回に拡大でございます。おわびして訂正させていただきます。
 空港運営会社につきましては、保安検査場におけるスマートレーンの設置や駐車場の収容台数の拡大など、利用者の利便性の向上に取り組まれております。マスタープランの基本コンセプトの一つに、周辺地域とともに、都市型空港として持続的に発展することを掲げ、周辺地域住民や地域との信頼関係の構築、地域共生事業の承継と発展を柱とする地域との共生に関する取組が実施されております。以上でございます。(発言する者あり)
 
○副議長(尾花康広) 答弁ありますか。はい、鈴木港湾空港局長。
 
○港湾空港局長(鈴木順也) 収益計画についてお答えいたします。
 空港運営会社が令和7年3月に発表いたしました令和7年の事業計画におきましては、営業収益は671億円を計画されておりまして、令和6年3月に発表された中期事業計画では、営業収益は令和8年度に660億円、令和9年度に790億円、令和10年度に820億円を計画されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) ありがとうございました。
 それでは、国際線の着陸料の減免はあるのか、お尋ねします。あればどのようになっているのか、教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港の国際線における着陸料の軽減につきましては、全ての路線で5分の4に軽減されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 20%減免ですね。新規は最長3年間100%減免もあるということで伺っております。そういった状況でね、国際線の誘致も進められておるのかなと思いますが、私は、こういった将来に向けてですね、福岡空港だけに限らず、まずは北部九州における他の空港との連携も必要でないかと思いますけれども、この件についての所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 北部九州全体の発展という観点からは、近隣空港の利便性向上は望ましいことと考えておりますが、福岡空港の混雑緩和を図る方策としての佐賀空港など近隣空港との連携につきましては、平成15年度から20年度にかけて、国、福岡県、福岡市で行われました福岡空港の総合的な調査において試算されておりまして、その結果、混雑の緩和は僅かで、抜本的な対応方策とはなり得ないとされているところでございます。
 福岡空港の旺盛な需要への対応につきましては、国において地元の理解を得た上で、GPSを活用した航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力を1時間当たり40回から45回に拡大することができるとされておりますことから、関係機関に働きかけを行うなど、増設滑走路が最大限活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 私は混雑緩和の視点だけでは不十分ではないかと思っております。誘致もですね、航空会社任せ、ライバルというよりも、どうやってですね、連携して互いに北部九州で利便性を上げていくのかなと。佐賀に降りて嬉野とか武雄に行ったり、ハウステンボスに行って、帰りは福岡とかというのもあるのかもしれません。例えば、私も大韓航空で行ったとき、降りたところと帰るところは違いました。同じ航空会社だとですね、割と安く行けたりもします。もっと連携を広めて、将来、北部九州として国際線、国内線の新たな航路の開拓や分散等も考えられると思います。連携、協議を進め、空港の相互活用を進められるよう要請いたします。
 また、国内線においては、北九州空港との連携がなされております。国際線についても、早急な連携、協議、そして九州のね、福岡空港だけじゃなくて、みんなが福岡空港は多いから、国際線ね、そちらに飛んで、福岡も一緒になって応援するよぐらいな意気込みで捉えられるように、ぜひ声を出していただきたいと思います。
 次に、福岡空港国際線へのアクセス強化について、住宅都市みどり局との協議を進め、抜本的なアクセス強化策を進めることが肝要であると考えます。
 移動のための時間が計算できずに、また多客期にはパニックの状態になっておることも多いと聞いております。使い勝手の悪い国際空港であるとのイメージを持たれているようでもあります。国際空港株式会社さんの計画では、令和10年度の乗降客数は1,000万人、令和30年度は1,600万人、1.6倍を見込んでおられます。これではパンクしてしまいます。そういった意味で、特に検討を急ぐべきであると思います。これは要望にいたしておきます。
 次に、国際線の駐車場の利用料金はどのようになっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港国際線の立体駐車場の駐車場料金につきましては、入場から60分間は400円、以降30分ごとに200円が加算され、24時間ごとの最大料金は2,400円となっております。なお、入場から30分以内の出庫は無料でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 確認しますが、24時間ずっと止めたら上限2,400円ですか。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 24時間ごとの最大料金は2,400円となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) では、国際線を利用して旅行等に行く場合、2泊3日で行けば最大7,200円要ることがあり得ると思っていいですか。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) そのとおりでございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 国際線を使うというか、搭乗利用者への割引制度はあるのか、まずはお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 国際線利用者に対する割引制度はございませんが、今年、令和7年7月から8月末までに国際線を利用する福岡県在住者を対象として、空港運営会社において、国際線駐車場の駐車料金の最大5日間を無料とするなどのキャンペーンを実施されたところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 5日間というのは、渋滞緩和策での5日間であってね、利用する人にはあまりメリットがないのかなと。例えば、南部方面から国際線を利用する場合、車の利用が多いのかなと思っております。大変遠く回っていくんですね、公共機関で行くと。非常に使い勝手が悪いということで、自動車を選ばれる。鉄軌道はいまだ整備はなされていませんし、計画もない。せめて、国際線を搭乗利用する方については、利用料の常時の割引制度の導入を求めるべきではないかと思います。
 国際空港株式会社、利益、先ほどにあった何百億円の利益を見込んである。利益の向上よりも、九州広域のね、ネットワーク化とか利用者の利便性の向上を優先して検討すべきではないかと思いますけれども、所信をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港国際線の立体駐車場の料金については、国際線利用者に対する料金の減免等はございませんが、先ほど答弁いたしましたとおり、令和7年7月から8月末までに国際線を利用する福岡県在住者を対象として、国際線駐車場の駐車料金の最大5日間を無料とするなどのキャンペーンを実施されたところでございまして、港湾空港局といたしましては、このキャンペーンや日頃の利用状況を注視し、必要に応じて、空港運営会社と協議、検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) インバウンドで来る方もですね、大変当てにならないと、あそこで2時間ぐらい見とかないと何が起こるか分からないよと。また使う人も、昔、同僚で、隣の国に行ったこともあるんですけれども、どうやって来いと言うんだと、車で来たときにえらい高いよねと。割引、以前、一時あったこともあるんですけどね、期間でね、その証明は国内線に取りに来いと言われるんですね。えっと思いましたけど、現地では割引があるときでも手続ができない、本当に利用者のことを考えているのかなという部分もありますので、しっかり市のほうから、もっと利用者、着陸の減免よりも分散とかね、福岡の方が使うときに搭乗券を持っている方ぐらいの配慮ぐらいは市がしっかり声を出すべきだと思います。
 次に、NHKの受信料の肩代わりについてお尋ねします。
 まず、目的は何でしょうか。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) NHK受信料助成事業については、滑走路増設工事等の空港整備事業の実施に伴います生活環境の変化など、直接的な影響を受ける空港近隣地域住民を対象とした地域共生策として実施されているものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 年間の助成額は幾らになりますか。1世帯当たり。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 1世帯当たり年額2,820円でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 助成の対象範囲と範囲の考え方はどのようになっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) NHK受信料助成事業の対象範囲につきましては、空港敷地に接するまたは第2種騒音対策区域を含む自治会、町内会の区域等にお住まいの方を対象に実施しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) ちょっと抜けているんではないかなと思いますけど、その考え方をもう1回お願いします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 対象区域についてもう1度申し上げます。
 空港敷地に接するまたは第2種騒音対策区域を含む自治会、町内会の区域、ただし、小学校区内で過半数の自治会、町内会が該当する場合は、校区の全体を対象としております。これはNHK受信料助成事業が空港整備事業の実施に伴う生活環境の変化など、直接的な影響を受ける空港近隣地域の住民を対象としたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) これの主はですね、滑走路増設工事なんですよ。まあここはいいとして、工事の終了が見えてきましたけれども、助成の期間はどうなっているのか、また今後どう考えておるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) NHK受信料助成事業につきましては、平成29年度の開始時点において、おおむね10年後に見直す予定とされておりますことから、今後予定されている見直しに当たりまして、制度の趣旨や地域住民の意向を踏まえまして、国や県、空港運営会社などと連携、役割分担しながら検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) きちんとした議論をお願いしたいんですね。NHKの電波はデジタル化されています。昔ではないんです。市民に不公平感があるんです。何でなっていて、どういう線引きしているんだと、税金ではないかと。これはしっかり市民に説明できるように検討されるようにお願いしておきます。
 時間がないので次に行きますけれども、次に日韓の船のほうですね。
 航路は30年以上にわたり、日本と韓国、福岡市と釜山広域市との人的交流の一翼を担ってきた航路であります。クイーンビートルが撤退したことは非常に残念であります。このような航路であることを踏まえ、今後、実績のある船会社等と協議を行うなど、航路誘致に向けて取り組んでいく必要があるかと思いますけど、今までやられていませんけれども、どのように考えておられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 博多港と釜山港を結ぶ船舶による日韓航路につきましては、これまで30年以上にわたり福岡市と釜山広域市、そして日本と韓国との人的交流の一翼を担ってきた航路でございまして、クイーンビートルが撤退したことは非常に残念でございます。
 このような航路であることを踏まえまして、今後、実績のある船会社等と協議を行うなど、航路誘致に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 飛行機で来られる方も、お隣の国だから一番多いんですね。船がせっかくあったのがないのを放置しているというのは、港もある、そのままにしていてもったいないことで、しっかり働いていただきたいと思います。
 次に、港湾空港局は博多港におけるコンテナ物流の課題をどう考え、どのように取扱いを増やしていこうとか、どのようなところに力を入れていこうと思っておられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) コンテナ物流については、博多港をはじめ、背後圏に大消費地を抱える輸入超過の港においては、輸出に占める空コンテナの割合が高くなる傾向にございます。博多港においては、輸出貨物を集めていくことが重要であると認識しております。
 港湾空港局といたしましては、今後とも、九州で生産され、九州以外の港から輸出されている貨物や日本海側の国内他港から韓国の港を経由してアジアなどへ輸出されている貨物を主なターゲットとして輸出貨物の集荷に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) RORO船もね、なかなかうまくいきませんでした。トライアル事業もね、他の港との競合もあります。そういった中ね、コンテナの数100万TEUとかいうことでやってきましたけど、空も多かったという中で、やっぱ今後どうやっていくのかしっかり実があるものを出す、そのためには九州内で輸出できるようなものをしっかり掘り起こしてサポートしていく。他の港よりも使い勝手がいいという港をしっかり育成するということを肝に銘じて港湾行政をお願いしたいと思います。以上で終わります。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 私は障がいのある子どもが十分な教育を受けられるための環境整備について質問いたします。
 生きづらさがある子どもたちの教育の保障のために関わる全ての方々の理解促進と取組の早急な充実が必要です。今年3月にも、障がい児・者の安心できる教育と暮らしについて個人質疑で取り上げましたが、変わりゆく実態と現場の取組にはやはり乖離が生じている状態で、非常に深刻です。保護者からの直接具体的な相談や関わる人々の何とかならないものかという声もあり、今回は教育に絞って取り上げます。
 まず、昨年度の障がい児の就学相談件数についてお伺いします。
 以降の質問は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度の就学相談件数につきましては2,968件でございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 私の3月質疑のときの御答弁からすると、ここ3年間で769件、そして前年度からすると約300件増えています。
 では、今年度の知的障がい特別支援学級数と自閉症・情緒障がい特別支援学級数を小中学校別でお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和7年度の知的障がい特別支援学級の学級数につきましては、小学校510学級、中学校191学級でございます。自閉症・情緒障がい特別支援学級については、小学校183学級、中学校57学級でございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 1年前より知的障がいは34学級、自閉症・情緒障がいは82学級増えています。
 次に、今年度の特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室に通っている児童生徒数を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和7年度の児童生徒数につきましては、特別支援学校2,062人、特別支援学級5,509人、通級指導教室957人でございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 合わせると8,528人で、昨年度からは758人増えています。
 これは、何らかの生きづらさを抱える子ども全てが通っているわけではないのですが、それでは、昨年度の当初時点において、特別支援学校及び小中学校の特別支援学級では教員の未配置状況はないとのことでしたが、今年度の状況について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和7年度の5月1日時点におきましては、教員の未配置はございません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 当初時点においてなので、当然、年度途中には変化が起こります。
 では、特別支援の取組で専門的な対応が十分なのかという視点で、現役教員に対する免許法認定講習はどういった方に、どういう内容で何時間されるのか、お伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 教育職員免許法の認定講習につきましては、特別支援学校教諭免許状を持っていない現職教員を対象に心身に障がいのある児童生徒への指導法など、当該免許状の単位取得に向け、特別支援教育に関する6つの専門講座について、1講座当たり15時間程度実施しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) また、特別支援学級担任研修を実施されていますが、どういった方にどういう内容で何回されるのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 特別支援学級担任の研修につきましては、初めて担任となる全ての教員のほか、希望する教員も対象として、年に4回実施しており、内容は特別支援学級における学級経営や具体的な指導方法などでございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 過去5年で毎年何人の方が免許法認定講習と特別支援学級担任研修を受けられたのか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 特別支援教育に関する免許法認定講習の本市教員の受講人数につきましては、令和4年度は33人、5年度130人、6年度102人でございます。なお、令和2年度及び3年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため実施しておりません。次に、特別支援学級担任研修の受講人数は、令和3年度164人、4年度186人、5年度229人、6年度295人でございます。なお、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため実施しておりません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 免許状を取得された方など増えましたが、現場は受講したから大丈夫というわけではなく、受け持つ子ども一人一人の特性への理解を深め、成長の中で変化する部分へのサポートなど、経験とともに培われていくのだと考えます。関わる人々との連携等も必要です。
 では、小中特別支援学校間での人事交流などの取組を詳しく教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 人事交流につきましては、小中学校の教員と特別支援学校の教員において、令和7年度は100名程度の交流を行っております。特別支援学校の教員は、小中学校において特別支援学級の担任として専門的な指導を実施するとともに、単独での学級経営について学んでおります。また、小中学校の教員は、特別支援学校において指導を行いながら、専門性の習得を図っており、それぞれが学んだことを元の校種に還元することを目的に人事交流を行っているところでございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 特別支援学校教諭免許状を有する教員の存在が重要なことが分かります。
 そこで、来年度から特別支援学校教諭免許状を有する者を対象とした奨学金返還支援事業を実施する予定ですが、今年度の前倒しはできないのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 当該奨学金支援事業につきましては、特別支援学校教諭免許保有者の人材確保を目的として、令和8年度から新たに採用する教員を対象とするものであり、今年度からの前倒しの実施は考えておりません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 重要な人材育成のために、もっと早くからできていたらよかったと思うところです。
 次に、特別支援学級担任が急に休まれたときの対応について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 担任が休暇を取得したときの対応につきましては、特別支援学級に限らず、専科教員や管理職等が代わりに学級指導を行っております。また、学習内容に応じて、他の学級と一緒に学習することもございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 専門性についてや対応について、決して十分ではない課題があることを聞き及んでいます。
 では、欠員期間が長引いた場合の対応について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 病気休暇などにより担任の欠員が一定期間に及ぶ場合については、学校からの申請に基づき、代替の教員を配置しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 病気休暇の期間がはっきりしない場合、手配がスムーズにいかないケースが多々あるようです。生きづらさを抱える子どもたちや保護者の不安にしっかり対応できる連携体制を求めます。
 では、クラスの保護者からの相談体制について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 保護者からの相談体制につきましては、まずは担任が連絡帳や電話等で保護者からの相談を受けることとしており、相談内容によりましては、特別支援教育コーディネーターや養護教諭、スクールカウンセラーが対応しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、経験の浅い特別支援学級担任についてはどのような支援をされているのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 経験の浅い特別支援学級の担任につきましては、特別支援学級の経験と力量を有する教員などが支援等を行っております。また、学校からの要望に応じて、教育センターに所属する研修指導員が訪問指導を実施しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 言うはやすしで、実際の現場は人員不足で子どもや保護者の不安への対応は厳しい状態があることを指摘いたします。
 今を生きる子どもたちの成長発達の重要な段階は後回しできないことや将来に影響する重要な時期などがあります。昨今、子どもの発達が2歳ほど遅れているとも言われています。子どもや家庭への支援には専門的に連続性があることも重要で、専門的人員を起用することが必要と考えます。
 そこでまず、学習面や生活面のサポートを行う学校生活支援員を配置していますが、資格要件とどのような働きをされているのか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校生活支援員の応募条件につきましては、特段の資格要件は設けておりませんが、学校教育に興味を持っておられる方で、任用期間を確実に勤務できる方としております。業務内容につきましては、担当教師を援助し、配慮を要する児童生徒や在籍する学級の支援、児童生徒の健康面や安全面の見守りや行事等での介助のほか、教材作成の補助等を行っております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 保護者や学校も支援員を望んでいます。まだまだ必要な状態です。
 では、専門性向上のために、幼稚園教諭や保育士資格保有者を起用されるなどのお考えはないのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校生活支援員につきましては、教員や児童生徒のサポートを目的としているため、応募条件に資格の保有を求めておりませんが、勤務している方の中には幼稚園教諭免許や保育士資格を保有している方はおられます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) また、放課後等デイサービス事業者との連携などは、各学校はされているのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 放課後等デイサービス事業者との連携につきましては、当該デイサービスの職員が放課後に学校からの送迎を行う際、担任との対面による引継ぎを行っております。また、定期的に在籍児童生徒が利用している事業者と情報共有の場を設定しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 事業所は増えているんですけれども、経営難等で閉じているところもあります。入れ替わりがあっています。連携を十分にやってください。
 それから、入学前からどのような支援があるのか、保護者の不安は大きいものです。家族や親自身の病気や障がいがあったり、介護中であったり、生活困窮状態など複数の困難を抱えた家庭もあり、子どもの成長発達でも変化し、登校不振になるケースもあります。
 そこで、総合的な相談体制の連携について、学校と教育委員会との役割も含め、どのように対応しているのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 相談体制につきましては、福岡市立の学校では、校内支援委員会や関係機関を含むケース会議等で対応することとしております。また、教育委員会では、電話やインターネットにより、保護者から直接相談を受け、対応するとともに、学びの場を決定する就学相談や心理士や言語聴覚士による専門的教育相談も実施しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) スクールソーシャルワーカーの働きはもちろん重要ですが、そこから基幹支援センターや福祉関係事業所等とのスムーズな連携や機能強化が一層必要です。
 実際に校内では、その子その子にとって、担任だけではなく、学校全体として特性に沿った個別的理解や支援の在り方の共有と適切な対応が必要と考えますが、行き届くための工夫をどのようにされているのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 校内における支援体制につきましては、学期初めや学校行事前の研修や会議で、児童生徒の実態や具体的な支援方法を全体で共有しております。また、児童生徒に関わっている管理職、担任、特別支援教育コーディネーター等の職員でケース会議を開き、個別の支援方法を検討しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、具体的には教室を離れたりする児童生徒の対応のときに、ほかの教師等のサポートを受けられない場合などの連絡の取り方はどのようにされているのか、また、1クラス8人に教師1人という基準で十分に対応ができているとお考えなのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 特別支援学級へのサポートにつきましては、障がいの有無にかかわらず、突発的な行動を想定して事前に職員全体で支援体制を確認しており、近隣の教室の教員に声をかけたりインターホンで連絡を取り合う等、学校全体でサポートしております。また、特別支援学級の運営につきましては、国が定める定数によって1学級8人以下となっており、各学校で工夫しながら学級の運営に取り組んでおります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 各学校の工夫にちょっと依存しているのかなと思います。
 インターホンの未整備校もあると聞いています。情緒級の定数8人は見直しが必要と考えます。国へ声を上げられることを求めます。
 質問の最後に、障がいのある子どもの十分な教育を受けられるための環境整備について、本市においてこれまでの評価と今後の充実について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 障がいのある児童生徒の教育環境につきましては、居住校区の学校で個別の支援が受けることができるよう、自閉症・情緒障がい特別支援学級の大幅な増設など、整備に取り組んでおります。また、特別支援学校清水高等学園、城浜高等学園の新設により、生徒が職業教育に重点を置いた教育を受けることができるよう就労の幅を広げることができております。今後とも、児童生徒一人一人の教育的ニーズを踏まえて、多様な学びの場の整備に努めてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 現場は火の車なんです。切れ目のない支援で、発達に特性がある子どもの生きづらさが拡大しないサポート、そして子どもの強みを伸ばしていけるようなサポートが重要です。支える側の人員不足などの問題を早急に改善するために、障がい福祉の専門的な人員の起用の検討が必要と考えます。
 先ほどもユマニチュードの講座を学校でされたと取り上げられていました。作業療法士などを起用して、実際に取り組んでいるのが岐阜県飛騨市です。地域丸ごとの視点で、行政、教育、医療、福祉の連携で学校作業療法室の導入をして学習のため、ユニバーサルデザインを土台に、より集中的な対応を図られています。ぜひこのような取組を参考にされ、充実を図ることを要望いたします。
 これで私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ)登壇 第3次福岡市教育振興基本計画において、子ども一人一人の可能性を最大限に引き出す教育への転換の方針が示されましたが、学校教育の在り方を根本から改革することは、大変もどかしいことに一朝一夕には実現しません。しかしながら、今既に少なくない数の子どもたちが、学校に行くことに苦痛を感じ、あるいは学校に行きたくても行けずに悩み苦しんでいる現実が目の前に広がっています。
 福岡市の教育委員会としても、不登校の児童生徒を支援するために、学校に少しでも通えている子から家から一歩も出られない子までグラデーションのように幅広く分布している子どもたちに必要な支援を届けるべく、これまでに様々な支援メニューを準備してきたと、そう理解しています。私もこれまでに担当課の方とは幾度となく腹を割って話し合い、教育支援センター、はまかぜ学級やまつ風学級で実際にどんなことをしているのかこの目で見て、職員の方々が目の前の子ども一人一人にどれほどの愛情や熱意を持って向き合っているのか、この肌で感じ取ってきました。それゆえ、教育委員会の思い、すなわち、できることならば学校や教育支援センターなどの公による支援で全ての子どもをカバーしたいと、長年培ってきた学校の資源や教職員の力、可能性を信じたいという気持ちはよく分かりますし、私としても、学校の存在意義を認めているからこそ、いばらの道だと分かっていながら、公立学校の抜本的な改革を進めているわけですが、そんな私でも、公の教育システムで全てをカバーしようというやり方には限界が来ているのではないかと、そう感じています。
 というのも、どんなに学校を改革しても、どれほど公の支援メニューを増やしたとしても、そこに集まる子どもたちや教職員との関わり、そこで営まれる集団生活や教育活動にどうしてもなじめない子どもは一定数存在するからです。子どもや保護者の多様なニーズ、その全てを公立学校や公の支援メニューでカバーできると思うほうが無理があると、もっと言えば、そんな考えはもしかしたら傲慢とも言われるかもしれません。だからこそ、誰一人取り残さない教育を実現したいのなら、これまでの発想を大きく転換しなければなりません。
 これまでは、まずどんなニーズがあるかを教育委員会が想定し、その想定に応じた支援メニューを準備して、目の前の子どもがどのメニューに合うかを当てはめるように判断してきたと思います。ですが、教育委員会が想定するニーズはあくまでも想定の域を出ないため、今の支援メニューの数や種類が実態、すなわち子ども一人一人の思いやニーズを正確に踏まえているかどうかも分からなければ、どのような環境を整備すれば必要十分なものとなるのかも分かりません。子どもたちが学校のどんなところに魅力を感じ、学校に何を求めているのか。まだ不登校に陥っていない子も含め、学校になじめない子どもは学校のどんなところが嫌で、どんな悩みを抱えているのか。学校以外の学びの場にどんなことを求め、どんなところに魅力を感じているのか。既にある公的な支援メニューはどこまで認知されているのか、どんな理由で選ばれ、または選ばれていないのか。
 今るる申し上げたような子どもたち、さらに言えば、その保護者の方々も含めた一人一人の思いやニーズという意味での実態をきめ細かに把握しなければ、福岡市全体として今存在している支援メニューのどの点に不足や改善の余地があるのか、解像度の高い分析を行うことができません。そうした実態を分析した上で、学校の持つ資源や魅力を生かして学校教育を改革していくとともに、公の教育システムの外側で活動している多様な学びの場、言うなればオルタナティブ教育についても、学校というメインストリームからこぼれ落ちた子どもの受皿という一面的な視点に限定するのではなくて、むしろ多様な学びの実践を通じて公教育の質を高めるために有益な刺激や示唆を与えてくれる必要なマイノリティーとして好意的に捉えて、行政と民間それぞれの強みを生かしてどのように連携することが子ども一人一人にとって最善なのか、突き詰めていく必要があります。
 そこで、まずお尋ねしますが、先ほどるる申し上げたような子どもたちや保護者の様々な思いやニーズという意味での実態を、本市の教育委員会としてはどこまでつぶさに把握されているのか、事実関係をお示しください。
 以降の質問は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 子どもや保護者のニーズ等の把握につきましては、学校現場において、担任をはじめ、主幹教諭、教頭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が、個別の状況確認を行うことや相談を受ける中で把握しており、その内容に応じて学校及び教育委員会が連携し、必要な支援につなげているところでございます。また、施策の検討に向けた調査として、令和5年度に不登校児童生徒やその保護者にアンケート調査を実施しており、その結果を踏まえ、学びの多様化学校の設置や教育支援センターの増設に取り組んだところでございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 不登校児童生徒への支援といった特定の分野において、ニーズ調査を行った実績はあるものの、教育システム全般に関する子どもや保護者の様々な思いやニーズをつぶさに把握するような調査はこれまでに行っていないと。そうであるならば、繰り返し申し上げているように、誰一人取り残さない教育を実現するためには、まず1つ目、これまでの発想を見直し、これからはきめ細かに実態を把握した上で必要な対策を講じるという発想に立つこと、そして2つ目、市立学校全体の在り方や必要十分な支援メニューを検討するために、実態、すなわち子どもや保護者の様々なニーズをつまびらかにするための大々的な調査を実施すること、この2つの点が不可欠であると考えますが、それぞれの点についての御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 教育における課題やニーズが多様化する中で、教育施策を推進していくに当たりましては、これまで以上に、児童生徒や保護者の実態やニーズ等を把握することが重要であると認識しております。実態やニーズ等の把握については、その課題や対象者によって一定の配慮を行うなど、適切な方法を取りながら、きめ細かく把握していくことが必要であると考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 前向きな御答弁をどうもありがとうございます。
 これまでの発想や取組が間違っていたとまでは申し上げませんが、時代や社会の変化とともに、子どもや保護者の考えや価値観もどんどん変わってきています。それに合わせて、何を大事にし続けるべきか、何をどのように変えていくべきか、変化の激しいこの時代だからこそ、きちんと実態を踏まえて精緻な議論を行うことが何よりも大切であると考えています。
 その観点から、今後実施していただく実態調査についてお願いしたいことが2つあります。1つ目は、これまでのように予算をかけずに自前で、できる範囲でやろうとするのではなくて、必要な予算をしっかりとかけていただきたいということです。きめ細かな実態を把握することは、求められる施策や事業を検討するために真っ先に必要なことであり、そこに必要なコストをかけることをためらっていてはいけません。ニーズ調査の類いで参考になりそうな先行事例の類いを調べたりあるいはそうした調査に知見を持っている者の知恵を借りたりと、有意義な調査にするために必要なコストは惜しまずに投じていただきたいと思っています。
 そして2つ目は、教育委員会だけで物事を決めないでいただきたいということです。これはあくまでも一般論ですが、行政内部で全て決めようとすると、耳の痛い意見や骨の折れるような要望が出てくることを恐れるがあまり、回答者に負担をかけないというもっともらしい理由で中身の薄い調査項目に絞ったり、ともすれば、特定の回答を誘導するような設問にしたりと望ましくない方向に転んでしまうおそれがあります。だからこそ、教育委員会だけでなく、アカデミックな知見を有する学識経験者や多様な学びの場を運営している民間事業者、さらには最も子どもに近い目線に立つ保護者の方々など、関係する様々な方々の知恵や思いにも耳を傾けた上で、調査の設計から分析、その分析結果を踏まえた対応の検討に至るまでの必要なプロセスを進めていただきたいと考えています。
 ほかにも留意するべき点はあるかもしれませんが、教育委員会としては、今私が申し上げたような2つの要望も踏まえて、実態調査の在り方やその調査を踏まえた検討の進め方などについて現時点でどのようにお考えなのか、可能な限り具体的にお示しをいただければと思います。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 実態調査の実施や、その結果を踏まえた施策の検討に当たりましては、今後とも、必要に応じ、有識者への意見聴取や保護者、事業者をはじめとする関係者へのヒアリングなどを実施してまいりたいと考えております。また、教育に対する様々なニーズや課題に対応していくため、先行事例なども参考にしつつ、調査や施策が効果的、効率的なものとなるよう、具体的な手法について引き続き研究してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 非常に前向きな御答弁をいただいて、ありがとうございます。ぜひその方向で進めていただきたいと思います。
 この議会の中で、いろいろ私もこの議論を耳にしていますけれども、よくあるのが、今実際に受皿になっている施設があるんだから、その施設や利用する家庭に対して経済的支援を行うべきだという御意見、理屈を多々耳にしますけれども、恐らくその理屈のほうが分かりやすいと思います。私が申し上げているように、まずは実態をきめ細かに把握するというのは、一見すると遠回りの寄り道のように見えるかもしれません。それでも、目についたところにやみくもに手を打っても、その網からこぼれ落ちる子どもや保護者が必ず出てきてしまいます。だからこそ、誰一人取り残さない教育を実現したいのであれば、全体的に実態をしっかり把握した上で必要十分な手立てを講じることこそ、誰一人取り残さない教育の実現のためにむしろ近道であると、そのように私は考えています。急がば回れという言葉のとおり、遠回りのように見えても実際は最短の道を進めていくことで、子ども一人一人にとって、そして、その子どもを支える保護者の方々にとって必要十分なサポートを一日も早く届けてまいりたいという決意を最後に表明して、今回の私の質問を終わります。
 
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき)登壇 私は外国人との共生政策について質問させていただきます。
 7月に行われた参議院選挙では、外国人政策をめぐる議論が注目されました。社会に不安を与える極端な議論が出る中で、地方自治体として市民の皆様へ事実を丁寧に説明し、共生の道筋を見える化することが求められています。
 そこで、今回は外国人との共生政策について、福岡市の現状と今後の進め方についてお伺いします。
 7月31日に市長は、全国の自治体現場では、国による共生施策の不在の一方で、増え続ける外国人への不安や不満が広がっているとのことで法務大臣に提言されました。自治体の代表者として声を上げることは大切なことですが、同時に市民が本当にどのような不安や不満を抱えているのか、事実に基づいて確認することも不可欠だと考えます。
 初めに、福岡市民の外国人に対する不安や不満はどのように確認しているのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市民相談室に寄せられる意見や公民館、自治協議会等へのヒアリングなどによって確認しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 確認した結果、どのような不安や不満を抱えているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 自転車やごみに関する生活ルール、マナーが守られていないことなどによって生じる地域生活でのトラブルを懸念する声が寄せられております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 議会においても度々取り上げられていますが、生活ルールやマナーヘの懸念があることは承知しております。ただ、それが広がっている不安や不満と言えるのかどうか、ここは丁寧に確認したい点です。
 福岡市の直近3年間の在留外国人数と、国、地域別の上位3位の推移をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の直近3年間の7月末時点の在住外国人数については、令和5年が4万2,357人、6年が4万8,711人、7年が5万6,142人となっております。また、国、地域別人数については、いずれも1位、2位、3位の順で、令和5年が中国、ネパール、ベトナム、6年が中国、ネパール、ベトナム、7年がネパール、中国、ベトナムとなっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 3年間で約1万4,000人の増加、約3割の増加という数字は確かに大きな伸びです。しかし、市全体人口に占める割合は約3.5%にすぎません。数字の大小をどう受け止め、どのように市民が安心できる説明を行うかは、市としての責務だと考えます。
 参議院選挙の期間中、インターネット上では、外国人が増えると治安が悪化するという意見が多数見受けられました。
 そこで、福岡県の直近5年間の刑法犯検挙件数と、そのうち外国人の刑法犯検挙件数の推移をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 警察庁が発表している統計によると、直近5年間の福岡県の刑法犯検挙件数については、令和2年が1万4,736件、3年が1万2,970件、4年が1万1,488件、5年が1万2,150件、6年が1万2,922件となっており、うち来日外国人の刑法犯検挙件数は、令和2年が345件、3年が220件、4年が188件、5年が212件、6年が403件となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) では、福岡県と全国の直近5年間での刑法犯検挙件数全体に占める外国人の検挙件数の割合の推移をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 刑法犯検挙件数における来日外国人検挙件数の割合については、福岡県が令和2年2.34%、3年1.7%、4年1.64%、5年1.75%、6年3.12%となっており、全国では、令和2年3.41%、3年3.44%、4年3.41%、5年3.73%、6年4.67%となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 福岡県においては、外国人による刑法犯検挙は全体の2から3%台で推移しており、数字が示すのは犯罪が外国人に偏っているわけではないという事実のようです。件数だけを見るとコロナ明けから増加傾向にありますが、これでは実態が分からないので、事務方にお願いして全体に占める外国人の割合を出してもらいました。また、これはあくまでも福岡県全体の数字であって福岡市の実態ではありません。市民が不安や不満を感じているのかどうかをはかる前提として、福岡市が正確な数値で状況を把握し判断する、つまり見える化する必要があるのではないでしょうか。
 ほかには、SNSの投稿の中に、外国人の生活保護が優遇されていて受給率がすごいというものがあり、生活保護に関して質問しようと思ったのですが、先日、倉元議員がより詳しく質問していただいたので、ここは省略させていただきます。結論を言うと、生活保護に準ずる取扱いとしている外国籍の世帯数は、福岡市では約550世帯、全体の1.6%前後で、直近5年間安定しています。全国の半分程度という水準であり、急増しているということは、福岡市では事実ではありません。不安や不満は分からないことから生じます。市民が安心できる社会の前提は見える化です。SNSなどを通じて、真偽は関係なく、市民が不安や不満に感じるような様々な情報が想像を絶するスピードで広がっていく時代となりました。だからこそ、市民の皆様に過度な不安や誤解を招かないように抑制するためにも、県警や関係機関と連携し、統計情報をまとめ、市民の皆様に提供する仕組みを強化する必要があるのではないでしょうか。
 さて、改定されたばかりの市の基本計画では、全ての人が互いに多様性を認め合うという理念を掲げていますが、福岡市の多文化共生社会を形成する基本的な考え方をお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人が増加する中、地域住民が安心して暮らせる生活環境を守っていくとともに、日本人と外国人が互いに理解し、認め合う多文化共生の取組が必要と認識しております。外国人が地域コミュニティを構成する一員として生活するためには、まずは在住外国人が日本の風土、文化や地域における生活のルール、マナーを理解する必要があり、また地域住民も外国人を知り、理解することが重要であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) では、増え続ける外国人との多文化共生を可能にするための市の施策をお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人に対しては、転入手続時に、多言語で生活ルール、マナーを記載した冊子などをセットにしたウェルカムキットの配布や生活ガイダンス員による動画を使用した説明を実施しております。また、令和7年度は、新たに東、博多、南区において様々な関係者との顔の見える関係の構築、地域の状況の把握、今後の持続的な取組の検討を行うため、在住外国人や関係団体、地域団体に対するヒアリングや関係者が一緒に話し合うワークショップを実施しているところです。そのほか、一元的相談窓口の運営、地域における外国人住民との交流促進、日本語教育の推進、電話による医療通訳の提供などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 既に多様な施策に取り組んでおられるようです。
 最後に、国へは具体的にどのようなことを提言されたのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和7年7月に国に対して、外国人材の受入れ、共生に関する施策を所管する外国人庁を新たに創設、外国人材の受入れ、共生に関する施策等の主体的な実施、地方自治体が多文化共生施策の事務の一部を担う場合の財政支援などの提言を行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 外国人住民が増加していく中、入国後の生活支援は、地方自治体やボランティア等へほぼ委ねられ、国の支援は間接的かつ限定的だったのが実情だと思います。悪質な外国人も増えていく中、出入国の管理や外国人による土地、不動産所有などの問題も、所管である国にしっかりと担ってもらわないといけません。また、現在、市が実施している様々な共生施策を強化していくためにも国からのさらなる財政支援が必要です。
 一方で、福岡に住む約5万6,000人の外国人は福岡市民であり、地域との共生に関しては、これからも福岡市が主体的に担っていかないといけません。現在でも問題になっている生活ルールやマナーに加え、治安に関しても、今後、見える化が進まなければ市民の不安や不満が増していくことが懸念されます。幾ら多文化共生社会を目指すといっても、市民の皆様の理解なしには実現しません。外国人人口の割合が市内全体的に増えることを前提として、将来の福岡市における多文化共生の姿をしっかりと描き、さらに細かく地域に応じて多文化共生の見える化や交流、理解促進など、地域に根差した取組を強化していく段階に来ているのではないでしょうか。
 以上で質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) この際、時間を延長いたします。新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ)登壇 無形民俗文化財には風俗慣習という視点があります。これは数百年も前からコミュニティの調和を図るために先人が培ってきた知恵であったり、そこから生まれるしきたり、そして習わし、こういったものが形になったのが祭りであり、そこが通常のイベントと違う祭り、伝統文化であり、だからこそ、その土地土地で培われてきた自治の精神、知恵の結集である文化財を次世代に継承していかなければならない、失ってはいけないというふうに私は思っています。
 福岡市において、文化財保護法や市文化財保護条例等に基づいて指定、登録されている文化財の数、これは2022年の5月段階で514件ということです。そのうち、いわゆる無形民俗文化財として国に指定されている文化財が2件、これが博多祇園山笠や博多松ばやし。それ以外にも、県と市に指定されている民俗文化財が28件、そして市の登録文化財として24件、合わせて54件ということなんですけれども、これはそれぞれ民俗文化財の継承という意味で課題山積でございます。市の歴史基本構想の中でも、民俗文化財が抱える課題として、担い手の少子・高齢化、コミュニティの変容による継承、この難しさが記されています。同時に、この継承の難しさが、本来の民俗、風俗の慣習を軸とした祭りから単なるイベントとしての祭りへと国民や市民の皆さんの意識、価値観が変容している、変わってきているのではないかというふうに感じています。
 そこでお尋ねですけれども、そもそも民俗文化財に指定されるような文化財をなぜ保護していかなければいけないのか、その意義ですね。そして、なぜ文化財を次世代に継承していかなければならないのか、その意義について福岡市としての御所見をお尋ねして、2問目以降は自席にて行わせていただきます。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 文化財保護法では、文化財を我が国や地域の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできないものとしております。福岡市におきましても、文化財は市民の貴重な財産であり、将来の文化の向上、発展の基礎をなすものとして適切な保護、活用を図ることが重要と考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) ありがとうございます。
 それでは、この博多祇園山笠、博多松ばやしなど指定登録されているこの重要無形民俗文化財、それからユネスコ無形文化遺産、こういったものに指定登録される際の評価基準についてお尋ねいたします。また、それぞれ登録されると、無形民俗文化財、文化遺産を継承していくための施策としてどのような施策があるのか、併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 重要無形民俗文化財は、祭りや民俗芸能などのうち、特に重要と認められるものであり、我が国の基盤的な生活文化の特色を示すことなどを基準に指定されているものでございます。重要無形民俗文化財に指定されますと、用具の修理、新調、実施施設の修理、防災、伝承者の育成などが国補助事業の対象となります。また、ユネスコ無形文化遺産は、儀礼や祭礼、芸能などのうち、各国で保護措置が図られたもので、世界的に文化の多様性を反映し、かつ人類の創造性を証明することに貢献するものという評価に基づいたものでございます。ユネスコ無形文化遺産に登録されますと、人材育成、普及啓発、調査研究などが国補助事業の対象となります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) ありがとうございます。
重要無形民俗文化財、それからユネスコの無形文化遺産に指定されると、国の補助として様々な用具の修理、それから伝承者の継承に対する養成、こういった支援がいただけるということでございます。
 そこで福岡市においても、文化財保護法の下、歴史文化基本構想、それから文化財保存活用地域計画が策定されて、民俗文化財を守る、生かす、こういった視点の中で具体的にどのような取組をされているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 民俗文化財を守る、生かす取組としましては、にぎわい活性化補助金による博多祇園山笠や博多松ばやし、博多仁和加への支援、国の補助制度を活用した祭りの用具修理など、地域の民俗文化財の維持、継続に向けた取組を行っております。また、ふくおか歴史文化遺産ウィークでの市民や観光客に向けた獅子舞の披露や国際会議におけるレセプションでの能楽の出演など、本市の歴史、文化資源として魅力の発信に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) ありがとうございます。
 現在の文化財保護法の下では、いわゆるお祭り、行事と言われる無形民俗文化財を保存、継承していくための課題となっている、一番難しいと言われる自治を支える核となる住民への支援、地域コミュニティの保全という視点での施策が不十分ではないかというふうに思っているんですが、福岡市としての御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 無形民俗文化財の保存、継承を担う地域の活動は重要であると認識しており、博多祇園山笠や博多松ばやしをはじめとして、地域で構成される文化財保存団体の支援を行っているところです。このような支援を郷土愛の醸成や地域の活力につなげ、歴史文化資源の魅力を発信できるよう、引き続き無形民俗文化財の保存、継承に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) ありがとうございます。
 今日は経済観光文化局長に御答弁をいただきました。文化財への取組として知る、守る、生かすという柱があるわけなんですけれども、昔からあるものをしっかりと生かしてまちづくりをしていくと。この知る、生かすという点においては、日頃より国内外への情報発信、博多祇園山笠もそうですし、松ばやしもそうですけれども、福岡市の経済振興に寄与するべく、重要な観光資源のストックとして、市民の皆様の御理解、御協力によって毎年催行、生かされているということでございます。
 しかし一方で、民俗文化財の継承ということにおいては、常に課題となっているのが、その核となる地域コミュニティをいかに守っていくかということだと思います。よく山笠があるけん博多たいというような表現をされる方がおられますけれども、私はこれは少し違うんではないかと。博多があるから山笠があると、つまり自治があっての祭りであるという、これが民俗文化財としてのお祭りではないのかなというふうに思っています。民俗文化財である祭りを通じて、日々の営み、この歴史が詰まった、次世代にこれをしっかりと伝えていかなければいけない。そのためには地域コミュニティが必要なんだと、コミュニティを守っていかないと、無形民俗文化財は継承していけないんだという視点が大変大事ではないかと。重要無形民俗文化財として指定された、例えば、先ほどから言っている祇園山笠もそうですし、松ばやし、こういったものがある地域は天神と博多駅の狭間の中で、いわゆる核となる地域住民の方々によるコミュニティの形成、これが今、辛うじて維持されている現状であるというふうに思っています。
 山笠独自のコミュニティ、これはほかの無形民俗文化財のお祭りもそうだと思いますけれども、独自のコミュニティが形成されること、それそのものはありがたいことですし、大切なことだということを思っています。しかし、何よりも地域のコミュニティが崩壊したそのときに、民族文化財としての祭りは失われてしまう、この国から失われてしまうというふうに私は思っています。
 そういう意味で、無形民俗文化財を次世代に継承していくためには、知る、生かす、今、福岡市が力を入れていただいている施策プラスに、この守るという視点でしっかりと地域コミュニティ、祭りは自治があっての祭りなんだという視点で、ぜひ今の施策をさらにしっかりと力を入れて取り組んでいただきたいと思いますし、国のほうにも、この視点でやらないと本当の意味での民俗文化財はこの国から失われていくということを、機会があればぜひ提言していただきたいということをお願いしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
 
○副議長(尾花康広) 以上で一般質問を終結いたします。
 本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は9月11日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時55分 散会