令和7年9月5日(金)

令 和 7 年 第 4 回 福 岡 市 議 会 定 例 会
議  事  日  程 (第3号)
                                     9月5日 午前10時開議
第1 一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  平 畑 雅 博      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  伊 藤 嘉 人
27番  打 越 基 安      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  木 村てつあき      34番   欠   員
35番  大 沢 めぐみ      36番  和 田あきひこ
37番  あ べ ひでき      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎       副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一       副    市    長  荒 瀬 泰 子
   水道事業管理者  中 村 健 児       交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則       財  政  局  長  中 村 剛 士
市  民  局  長  舟 越 伸 一       こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一       保 健 医 療 局 長  山 嶋   剛
環  境  局  長  藤 本 和 史       経済観光文化局長  吉 田 宏 幸
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一       住宅都市みどり局長  町 田 一 彦 
道路下水道局長  竹 廣 喜一郎       港 湾 空 港 局 長  鈴 木 順 也
消  防  局  長  牧 田 哲 治       会 計 管 理 者  小 林 登茂子
教    育    長  下 川 祥 二       教  育  委  員  谷 口 倫一郎
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子       人事委員会事務局長  上 薗 久 美
監 査 事 務 局 長  八 木 智 昭

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩       議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二       議  事  係  長  實 政  伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(平畑雅博) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。天野こう議員。
 
○43番(天野こう)登壇 おはようございます。私は日本維新の会福岡市議団を代表して、登下校時の熱中症対策について、路線バスの大幅減便対策について、以上2点について質問をします。
 まず初めに、登下校時の熱中症対策について質問をします。
 今年の九州北部の6月から8月の平均気温は観測史上最も暑かったと、今月1日に気象庁が発表をしました。昨年も観測史上最高だったことから、毎年の気温上昇に歯止めがかからない状況が続いております。そのため、様々な場面や対象に応じた熱中症対策の重要性は年々増していると思います。
 本日の質問においては、その中でも、児童の登下校時の熱中症対策に絞って質問をさせていただきます。
 登下校と一言で言っても、市内の小学校校区における登下校距離は様々です。徒歩で登下校する児童が大半かと思いますが、おおよその所要時間は平均としてどの程度でしょうか。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小学生の通学にかかる所要時間につきましては、校区の広さや学年が異なるため一概には言えませんが、学校にヒアリングしたところ、徒歩による通学時間の平均はおおむね15分から20分程度と聞いております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) おおむね15分から20分程度とのことですが、おっしゃるとおり、状況は様々あると思います。
 では、登下校距離が長い場合など、最も長い所要時間でどの程度かかっているのでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 校区が広い学校につきましては、おおむね2キロ、40分程度をかけ徒歩で通学している児童もいると聞いております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 2キロを超えて通学をしている児童もいると思われますし、所要時間も40分程度かかっている場合もあるとのことでした。
 具体的にお聞きをしたところによると、多々良校区、月隈校区、入部校区、今宿校区、元岡校区、今津校区、北崎校区、金武校区が該当するようで、市内で少なくない児童が長い通学距離を歩いております。酷暑での徒歩による移動は熱中症リスクが高まります。特に大人と違って体力が乏しい児童の場合、より一層の注意が必要となります。
 9月に入っても暑い日が続いており、まだまだ予断を許しませんが、真夏に限らず、登下校時の熱中症対策は重要なものに年々なってきていると感じますが、御所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 登下校時の熱中症対策につきましては、児童の健康、安全を確保するため、重要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) おっしゃっていただいたとおり、児童の健康、安全を確保するためにも、登下校時の熱中症対策は重要です。
 では、文部科学省において対策としての基準のようなものがあればお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 国の熱中症対策につきましては、令和7年5月に文部科学省及びスポーツ庁から熱中症事故防止に関する通知が発出され、登下校時を含め、児童生徒が自ら体調管理等を行えるよう、学校において発達段階等を踏まえながら適切に指導することが留意事項の一つとして示されております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 文部科学省による通知の留意事項として、お示しの内容に加えて、暑い日には帽子などにより日差しを遮ること、通気性、透湿性の悪い服装等を避けることなどの、児童に対して指導すべき点がありました。
 では、本市教育委員会は、登下校時の熱中症対策として現在どのような現場への通知を行っているのでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 登下校時の熱中症対策につきましては、令和7年度は5月と7月に、小まめな水分補給、帽子の着用、通気性や透湿性のよい服装を心がけること等により、児童が自ら体調管理等を行うことができるよう、発達段階を踏まえながら指導することについて各学校に通知しております。また、7月の通知の後、日傘の活用に関する内容を追記して、改めて学校にお知らせをしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 5月と7月に通知を行っておりますが、当初、日傘の活用に関しては記載がありませんでした。日傘の活用は、大人では利用が進んでいる印象ではありますが、児童における活用はまだまだ少ないと思います。日傘の使用を禁止している学校も全国にはあると聞き及んでおりますが、環境省、文部科学省が作成している学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引きでは、日傘の活用についても明示がされております。
 日傘の有効性については論を待たないと思いますが、まだまだ実際に活用している児童は少ない状況の中、現在は通知内容の追記にとどまっており、分かりにくい印象を持ちますので、教育委員会から明確に現場に対して明示の上、活用を推奨してはいかがでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 日傘の活用につきましては、熱中症対策の一つとして有効であることが保護者に伝わるよう、通知の内容を見直してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 日傘について、まだ登下校時における活用が一般的とは言い難い中で、使用してよいかためらいが出る保護者もいるかと思います。堂々と、むしろ積極的に日傘を活用していただけるよう、通知内容の見直しをよろしくお願いします。
 また、現在はネッククーラーなどの活用も増えてきていると思います。凍らせて簡単に使える利便性などから活用したい保護者もいるかと思いますが、現在の通知内容では、使用してよいか分かりづらい印象を持っております。
 首にある太い静脈を冷やし、高い効果が期待できることから、私としては使用を推奨してもよいかと思いますが、そもそもネッククーラーは使用してよいものでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 熱中症対策の冷却グッズにつきましては、現在、様々なものが市販されており、その使用については、有効性や安全性を踏まえ、保護者が学校と相談して判断していただきたいと考えておりますが、登下校時にネッククーラーを利用している児童もいると聞いております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 様々な冷却グッズをどのように活用するかは保護者の判断が一義的に重要ではありますが、帽子や日傘同様に、ネッククーラーなども活用が一般化しつつあると思います。御答弁では、ネッククーラーを使用している児童もいるとのことでしたが、おおむねどういったものは使用してよいのか、むしろ使用したほうがよいのかなど分かりやすくお伝えしたほうが、安心して熱中症対策に保護者も取り組めるのではないかと思います。
 ネッククーラーなどの冷却グッズは、登校時は冷たくても、下校時には当然のことながら常温となり冷却効果を失っております。
 愛知県蟹江町などでは学校の冷凍庫を一時的に貸す取組もあり、好評なようです。受入れ可能個数や一定のルールは必要かと思いますが、今後検討してみてはいかがでしょうか、御所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 熱中症対策のための環境整備につきましては、他の政令市の状況等も踏まえ、本市としての必要性や費用対効果など、様々な観点から検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 学校現場にとって過度な負担とならないよう慎重になる必要もありますが、児童の下校時の熱中症対策に一役買えるようであれば一考に値すると思います。登校時間帯の朝はそこまで暑くなくても、下校時間帯の午後はかなり暑い日が実際にあります。家を出るときは水筒に飲物を満タンに入れていても、下校時には空の状態であるという声も保護者の方からお聞きをしました。登校時と下校時のそれぞれの状況に応じた熱中症対策について御検討をお願いします。
 また、群馬県館林市などでは、夏休みを延長する取組もあるとお聞きをしました。もちろん、授業日数等に影響がない前提ではありますが、先ほど引用した文部科学省からの依頼文においても、休業日等の取扱いについて延長などを検討する旨の記載があります。
 本市は過去に教室の空調設置に合わせて夏休みの短縮を行ったとお聞きをしましたが、この酷暑対策の一環として夏休みの延長などの休業日の取扱いについて検討できないでしょうか、御所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 本市におきましては、暑熱対策として、平成28年に普通教室、令和4年に特別教室、さらに、今年度から体育館への空調整備を進めるなど、教育環境並びに活動の充実に努めております。また、登下校時の熱中症対策についても、保護者への周知の仕方など検討を進めてまいります。夏休みの延長につきましては、授業時数や家庭への影響が想定されるため、現状において実施は考えておりませんが、今後の気象状況や他都市の動向を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 家庭の理解をはじめ、もちろん簡単なことではないと思いますし、多少夏休みを延長したところで効果は限定的かもしれませんが、東京都府中市や大分市では今年の夏から実施をされたと聞いております。
 夏休みの延長などの対策を行った学校については、4年前は全国で828校だったのが、最近では北海道、東北地方を中心に5倍以上の4,331校に増えたとの報道も目にしました。いろいろな視点ややり方をもって、この年々厳しさが増す酷暑から児童の健康を守る取組に試行錯誤していく必要性を感じていますので、様々な新しい取組の情報収集にまずは努めていただきたいと思います。
 また、西区金武小学校に通学する室見が丘子ども会の保護者の方々は、独自に通学路途中に給水所を設置し、児童の登下校時の熱中症対策に取り組まれております。私も先月、現地に足を運んで視察、お手伝いを行ったのですが、写真を見ていただければと思います。
 資料1の投影をお願いします。(資料投影)2キロ近くある学校から居住地までの中間地点において設置された給水所には、下校時間になると児童が続々と来ます。児童は本当に暑そうで、汗だくな状況がすぐに見てとれました。そのような中、飲料水をいただけるだけではなく、体を冷やす氷ももらって、気持ちよさそうに、うれしそうに帰っていく児童の姿が印象的でした。投影ありがとうございました。
 この地域では、地元の子ども会の保護者の方々が取り組まれていたのですが、こういった地域の取組、登下校時の熱中症対策について、どのような御所見をお持ちでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 通学路の給水所設置の取組につきましては、地域の方々が自発的に児童の健康、安全を守ろうとするものであり、意義あるものと考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 私も、大変ありがたい、意義のある取組であると思います。実施後に児童の保護者向けにアンケートを取られていて、かなり好評なようでした。一部内容を引用させていただくと、通学時間が30分以上かかるので大変助かる、下校時の熱中症が心配だったなどの声に併せて、顔を真っ赤にして歩く児童や、暑いのに虫を探したり、ゆらゆらゆったり歩いたり、水筒が空だったり、活動の大切さに気づいたというお声もありました。重たいランドセルを背負い、2キロの道のりを歩いている、日傘を配布してもよいのではなど、様々な意見も出たようでした。
 ただ、お話をお聞きしていると、やはり担い手の問題など、どのように活動を継続していけるかなどの課題はあるようでした。理想を言えば、スクールバスのような取組がよいけれど、運転手の確保など現実的に難しい、自分たちにできることをと取り組まれている地域の方々に改めて頭が下がる思いです。こういった地域の取組について何かしらの支援を行うことができれば、活動の継続性はもちろんのこと、ほかの地域での広がりなども期待でき、通学距離の長い児童の熱中症対策に寄与します。
 支援については、教育委員会のみならず、子ども会を所管するこども未来局や地域活動支援を実施する市民局、熱中症対策を推進する環境局など、市長部局との関わり、連携も必要かと思います。
保護者の方からは、下校時の熱中症対策として、先ほど御紹介したネッククーラー用の冷凍庫の貸出しを自主的に行っている学校も聞いたことがあるとお伺いしました。
 そういった地域や学校の自主的な取組による登下校時の熱中症対策について、関係局などと支援の在り方について協議をしていただけないでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 登下校時の熱中症対策における地域や学校の自発的な取組につきましては、まずは実態把握を行い、保護者や地域と連携した安全対策の一つとして、関係局との協議も含め検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) よろしくお願いします。
 保護者や地域と連携した登下校時の熱中症対策の取組が進めば、この酷暑を乗り切る一助となり得ます。地域で取り組む保護者の方によると、児童は、帰宅しても保護者の仕事などで家に誰もいないケースも多いとお聞きをしました。給水所の取組は児童の見守りにもつながり、下校時に元気がない児童に声をかける、気にかけることができる効果もあるようでした。今後は、現場の実態把握の下、できる支援について検討していただきたいと思います。
 小学生の中でも、特にまだ体力に乏しい低学年の児童などは目配りする重要性が増すと思います。まだ9月でも暑いですし、文部科学省も夏休み明けの熱中症対策について、全国の自治体に注意喚起をしております。一般的に夏の長期休暇期間は児童の活動量は少なくなり、体力低下が懸念され、夏休み明けは生活環境の変化で体調不良が起きやすい時期とのことでした。登下校時における小学生の熱中症やその疑いによる救急搬送事案は、年に1件程度生じていたとお聞きをしました。もちろん、今後も安心はできません。
 児童の登下校時の熱中症対策にあらゆる方策を検討の上、しっかりと取り組んでいく必要があると考えますが、この質問の最後に、取組に対する教育長の意気込みをお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 登下校時における熱中症対策につきましては、ここ数年の酷暑の状況を踏まえますと、重要度は高まってきていると認識しております。現在、各学校では、水分補給や帽子の着用、服装の調節等により体調管理を行うよう児童や保護者に周知しております。今後も、児童の健康、安全を守る環境づくりに努め、自然環境の変化にも主体的に対応できる児童の育成を図るとともに、熱中症対策に関する通知に日傘の活用を記載するなど、保護者と連携した取組を進めてまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) よろしくお願いいたします。
 次に、路線バスの大幅減便対策について質問をします。
 6月議会でもほかの議員の方が質問しておられましたので、重複するところもあると思いますが、御容赦ください。
 まず、今年春の西鉄バスのダイヤ改正について概要をお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 令和7年春の西鉄バスのダイヤ改正におきましては、主に東区香椎エリアや西区壱岐エリアを中心とした25路線で減便がなされており、平日で福岡地区全体の約3.1%の減となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 東区香椎エリア、西区壱岐エリアを中心に減便が行われました。
 では、具体的に西区壱岐エリアに絞って、どういった路線が具体的に減っているのかなど、状況をお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 西区壱岐エリアにおける路線バスの平日の運行便数につきましては、ダイヤ改正前が857便、改正後が601便で256便の減となっております。主な対象路線としましては、朝夕の通勤、通学を除いた時間帯を中心に、天神、博多駅方面への路線や姪浜駅までのフィーダー路線となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 全体として256便も減っています。ここで西鉄に確認の上、便数の減少状況をまとめた資料を作成していただきましたので、この場で共有をさせていただきたいと思います。
 資料2の投影をお願いします。(資料投影)すみません、表記が小さくて申し訳ありませんが、平日のみ、往路、復路合計の便数にはなりますが、右側に記載のある改正前、改正後の数字がその記載になります。全体として大きく減っているのが見てとれます。特に御答弁にあったとおり、天神、博多方面などがいきなりゼロ便になるなど、影響が大きいです。天神、博多方面は地下鉄で乗り継げば移動可能なため、姪浜駅へ行くフィーダー路線が増えているのかと思いきや、一番下に記載の路線であるフィーダー路線すらも減っております。通勤、通学時間帯ではなく、日中時間帯に大きく減少しているのが特徴であり、高齢者など、日常生活利用者にとっては少なくない影響が生じております。投影ありがとうございました。
 では、バス利用者や地域自治会などからはどのような声が届いているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) バス路線の減便などにより都心部に行きづらくなり不便といったお声や、昼の便を1便から2便程度復活してほしいといった御意見をいただいております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) いきなりゼロ便になっている時間帯もあるわけですから、せめて1便でもというお気持ちは当然ではないかと思います。私にも大変困っているという声が届き、今回質問するきっかけとなりました。私が記憶する限りでは、ここまで大きな減便は近年の壱岐エリアではなかったかと思います。
今回の大幅な減便について、本市に事前の相談などはあったのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 西鉄からは、令和7年2月末のダイヤ改正公表の直前に情報提供を受けております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) これまでもダイヤ改正は度々あったかとは思いますが、今回のインパクトは大きく、公表直前に本市が把握するようでは対策の取りようがありません。
 ここまでの大幅な減便に至った理由について、西鉄からはどのような聞き取りをされておりますでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 西鉄からは、持続的に公共交通サービスを維持するため、運転手不足への対応や労働負荷の低減を図る観点から、利用状況に応じたダイヤ改正を行ったと聞いております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 運転手不足が主な要因のようです。私も西鉄の担当者の方から聞き取りを行いましたが、利用状況に応じて、どうしても不採算な路線などは見直しの対象になり得るようでした。
 バス運転手不足が深刻であることは全国的な課題としてもお聞きをしているところではありますが、では、具体的にバス運転手はどのくらい減少しているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 西鉄によりますと、令和2年と6年のバス運転手数を比較しますと、令和2年が2,170人、6年が1,990人となっており、5年間で180人の減少と聞いております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 5年間で180人も減っている影響は大きいと思います。私も直接その深刻具合をお聞きしましたが、運転手の高齢化が進んでおり、今後の運転手の年齢構成が偏っていくことを懸念されており、さらなるバス運転手のイメージアップや待遇改善に取り組む必要があるとのことでした。
 6月議会でも指摘があり、地元地域からの要望も少なくないと思いますが、本市としてバスの減便に対してどのような対応を行ったのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 西鉄に対し、今回のバス路線の減便に対する議会や地域からの御意見をお伝えするとともに、利用者の利便性確保に向けたサービス水準の維持や早期の利用者への告知や周知、市への情報提供などについて要望しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 減便直前に本市が知ったということからも、常日頃から十分なコミュニケーションを西鉄と取れていたのか疑問を持ちますし、減便が決まってから話すのではなく、あらかじめ協議の場を持ち、減便が与える生活交通への影響や地域への説明の仕方などを詰めていただきたかったと思います。
 本市としてもただ西鉄に要望するだけでなく、バスという公共交通を西鉄に担っていただいている以上、何らかの理由で運行が困難になった際には、状況や事情をよく確認した上で、支援策などを検討するべきではないでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 福岡市では生活交通条例に基づき、バス路線の休廃止に伴い、公共交通空白地となる地域において運行経費への補助を行い、代替交通を確保しております。バス交通につきましては市民生活にとって重要な公共交通であり、地域の御利用によって支えられていることから、引き続き、地域、交通事業者と共働して、公共交通ネットワークの維持に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 生活交通条例に基づく、バス路線の休廃止対策による代替交通支援については否定はしませんし、むしろ必要なことだと思います。一方で、今回取り上げているのは、バス路線が休廃止にまで至っていないながらも、大幅な減便が生じた際の対応についてです。代替交通を補助的に活用するのも大切ですが、いかに既存のバス路線網を維持させていくかが、今後の少子・高齢化の進展を鑑みると、ますます重要になってくるのではないでしょうか。
 先ほど述べていただいたような西鉄バスが抱える諸課題に対して、本市はこれまでどのような支援を行ってきたのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) バス路線の維持に向け、西鉄を含めた市内の5路線を対象に、休廃止対策として運行経費への補助を行っており、地域、交通事業者、市などで構成する連絡協議会において、利用状況の共有や運行内容の見直し、利用促進などに取り組んでおります。また、運転手不足への対応としましては、県主催の福岡県地域公共交通運転手確保等実行委員会に参画し、県や交通事業者などと連携して、業界の魅力発信など、運転手確保に向けた取組を実施しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 公共交通空白地などへの支援は行っていただいておりますが、逆に言えば、公共交通空白地などにならないと支援の対象に含まれないのが現状です。いよいよ路線として窮した状況にならないと支援を行わないのではなく、そういう事態にならないような早期の対応が必要ではないかと考えております。最も大きな課題とも言えるバス運転手不足への支援については、県の事業に参画することにとどまっており、もっと本市として主体的にバス運転手確保に向け取組を推進できないのかなと思います。
全国的に同様の課題があることから、私も他の政令市の取組などを調査させていただきましたが、本市が把握する他の政令市による民営バスに対する支援についてどのようなものがあるのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 新潟市などで大型二種免許取得費用の補助やバス運転手への家賃補助、札幌市などでバス運転手の魅力発信等の広報活動支援、静岡市などで路線維持のための運行経費の補助などが実施されております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 私も調べてみるまでは、民営バスなので、特に支援はないかと思っておりましたが、多くの政令市が何かしらの支援を実施していました。バス運転手確保に向けては、御答弁いただいた都市以外にも横浜市や京都市、不採算路線の維持に向けては札幌市や千葉市、熊本市などが実施をしておりました。運転手確保は全国的な人材獲得競争の側面もあることから、本市も遅れを取るわけにはいきませんし、県のPR事業に参画するという取組だけでよいのか、検証が必要です。
 本来、バス運転手だけに限らないかもしれませんが、公共交通の担い手確保に向けて、他の政令市の取組を参考にするなどして、県事業のみならず、本市としても何かしら取り組んでいけないものでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 昨今のバス路線の減便は運転手不足による影響が大きいと交通事業者より聞いており、全国的な課題であると認識しております。このため、西鉄においても大型二種免許取得費用の補助や転居支援金など運転手確保に向けて独自に取り組まれております。福岡市としましても、県実行委員会による運転手確保を目的としたイベントの広報活動などに取り組んできたところであり、他都市の状況も把握しながら、引き続き交通事業者などと連携し、運転手確保に向けた取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 先ほど述べた札幌市では、路線補助だけでなく、バス運転手確保にも積極的に取り組まれているようで、魅力発信広報事業のみならず、各種補助メニューも充実しています。大型二種免許取得支援や新規雇用運転手への移住費用や就労一時金補助などです。現在、西鉄でも免許取得支援は実施されていますが、活用されている国補助も全額ではなく、札幌市では国補助などとは別で支援を実施しています。横浜市が実施をしている運転手確保や離職防止に向けた住居費用の一部助成などの取組は、居住要件を課すなど、住民に身近な基礎自治体だからこそ取り組みやすいものだと思います。バス運転手確保に向けて、大都市である福岡市の取組による影響は宣伝効果だけでも大きいものがあると思います。他の政令市などの取組を参考にしていただきながら、その効果を見極め、バス運転手確保に取り組んでいただきたいと思います。
 今回のような大幅減便が今後さらに続いた場合、新たな交通不便地や空白地などが生まれてしまいかねず、そうなってから対応するだけでなく、そうならないような既存バス路線維持に向けた補助支援についても、多くの政令市が実施をしていました。
 8月22日付の日経新聞では、政令市などの主要自治体において、既存路線バスに対する補助金の拠出が2015年度から2024年度までの10年間で倍増しているとのことでした。補助実施都市も14%増えたとの記載がありました。また、同月24日付の同紙の記事によると、愛知県、大阪府、東京都の3大都市の都府県において、3割の基礎自治体が2010年から2020年の10年間で公共交通空白地の居住人口が増えた調査結果をまとめております。
 全国的に利用の減少や運転手不足が響いて深刻な状況が増しております。直接的な路線補助に関しては、本市においてまだハードルが高いかもしれませんが、既存バス路線の維持に向けて、今後どのような支援が行政に求められるのか、本市としても西鉄などと協議を重ねていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 福岡市では、条例に基づく休廃止対策や生活交通確保支援として、地域や交通事業者と共働し、チラシの作成、配布やバスを使ったイベント企画による利用促進に取り組むとともに、地域の実情に応じた運行内容の見直しにより利便性の向上を図るなど、バス路線の維持に向けて取り組んでおります。また、高齢化の進展により、通院や買物等の生活圏の移動ニーズが高まる中、令和4年度から地域とともに取り組んできたオンデマンド交通社会実験の成果などを踏まえ、7年6月に公共交通不便地等における支援制度を拡充しております。他都市の状況も把握しながら、引き続き交通事業者などの関係者と協議を行い、バス路線の維持に努めるとともに、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 西鉄の担当者との聞き取りにおいても、危機的な状況になる前からの取組が必要だという点で意見が一致しました。天神、博多方面の路線便の減少は、地下鉄などと競合する路線を少なくし、都市基幹交通との接続を強化するフィーダー路線の役割強化についても話をしておられました。今後は、そういったバスと地下鉄などの役割分担がより一層進むようであれば、乗継ぎ割引などの議論もしていかないといけないのではという話にもなりましたので、今後、様々な協議を行っていただきたいと思います。
 生活交通におけるバス路線の維持は、空白地や不便地だけの話ではありません。今回の大幅な減便では、路線自体は残っているものの、日中の時間帯の便がゼロになるなど、事実上、路線維持ができていない状況が生じております。7月に地域募集されていた公共交通不便地などにおける生活交通確保に向けた取組には、全市で44もの地域から応募があったとお聞きをしました。多くの地域で日常の生活交通に窮している現状が分かるとともに、今回の西区壱岐エリア、東区の香椎エリアのように、既存バス路線自体が崩れつつある現状について直視をする必要があります。オンデマンドバス等による生活交通支援も重要ですが、あくまで既存バス路線の補助的、補完的なものです。既存のバス路線をどう維持させていくかが重要であり、オンデマンドバスも万能ではないと思います。私も地元地域などから強い要望を受けております。
今回のような既存路線バスの大幅な減便に、今後、本市としてどのように向き合っていくお考えか、島市長に御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においても高齢者が増加をしていく中、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、買物をはじめ、日々の生活を支える基盤づくりが重要になってくると考えています。今後とも、地域の実情などを踏まえながら交通事業者と連携をし、バス路線の維持に取り組むとともに、条例に基づく休廃止対策や公共交通不便地等におけるオンデマンド交通の支援拡充、自動運転などの先端技術の活用も含め、多様な交通手段を連携させることで持続可能な生活交通の確保に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、多文化共生社会、中小企業、小規模事業者への賃上げ支援、福岡城天守閣について質問をいたします。
 質問の第1は、デマやうそ、差別のない多文化共生社会をどうつくるかについてです。
 7月20日投開票された第27回参議院議員選挙では、外国人政策が初めて争点に押し上げられました。これまで、国政選挙において外国人に関する政策はほとんど議論されてきませんでした。それ自体が問題でしたが、今回の論戦では、外国人政策というより外国人敵視、排外主義の言説が振りまかれました。少なくない政党が保守層の取り込みを狙い、競うかのように外国人への規制強化、排外主義促進につながる公約を掲げました。選挙戦が始まると、世論が吸い寄せられ、メディアも飛びつき、あたかも外国人問題が選挙の中心争点であるかのように取り上げられました。このような状況の中、外国人犯罪や不正をめぐるデマが印象操作も含めて大量にまかれました。デマやうそがまかり通るようになれば、民主主義が破壊され、社会が荒廃します。私たちが暮らす福岡市がそのようなまちにならないように、以下、ただしてまいります。
 まず、福岡市における外国人の数、割合についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の令和7年7月末時点の在住外国人数については5万6,142人であり、市登録人口全体に占める割合は約3.5%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 多くの外国人が居住しており、本市を構成しています。選挙中に振りまかれた言説に、生活保護に関連するものが散見されました。その中に、生活保護受給世帯の3分の1が外国人といったものがありました。
 そこで、本市で生活保護を受給している外国人の割合について答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護受給世帯に占める世帯主が外国籍の世帯の割合は、令和6年7月末現在で1.60%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 1.60%、全国でも2%程度です。3分の1などという数字がいかにでたらめかが分かります。それでも、日本人の保護率、2022年で1.6%より高い。外国人は生活保護が受けやすい、優遇されているといった言説も流布されました。
 そこで、生活保護行政において、このような外国人向けの優遇策があるのか、答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護において外国人を優遇する制度はございません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) そのようなものはありません。ないものをあるという、まさにデマです。優遇策どころか、外国人であるがゆえに適用されない制度があります。保護の決定に対する不服がある場合、審査請求を都道府県知事に行うことができますが、外国人には認められているのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 外国人につきましては生活保護法の適用対象とはされておらず、国の通知に基づき、法による保護に準ずる取扱いを行っているものであることから、不服申立てはできないこととされております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 日本人には認められている権利が外国人にはなく、不利な立場に置かれています。
 では、全ての外国人が生活保護を受給する資格を有しているのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 外国人につきましては、活動に制限を受けない、永住、定住等の在留資格を有する方について、法による保護に準ずる取扱いをすることとされております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 在留外国人の半分以上は、生活保護を受ける資格さえ与えられていないのが現状であります。
 次に、健康保険についてただしたいと思います。
 これも、いわれなきデマが流されました。ある党首はテレビ討論で、3か月日本にいれば外国人でも制度を使える、数万円払ったら1億6,000万円の治療が受けられるのは、日本の納税者や社会保険料を払っている人の感覚からするとどうなんだとあおりました。1億6,000万円というのは、高額療養費を指しているのでしょう。
 そこで、本市の国民健康保険加入者分で高額療養費の総額、そのうち外国人分の割合を答弁してください。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 令和6年度の高額療養費の総額は110億4,297万円余で、そのうち外国人被保険者の割合は1.22%でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 本市の国保加入者の外国人の割合が約8%ですから、とりわけ外国人が高額療養費制度を濫用しているなどという事実はありません。これは本市だけでなく、全国データでも同じです。
 では、本市国民健康保険の医療費のうち外国人の医療費の割合は幾らなのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 令和6年度の医療費の総額は1,095億519万円余で、そのうち外国人被保険者の割合は1.34%でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 外国人の加入者の割合は8%にもかかわらず、医療費は1.3%しか使っておりません。国のデータでも、加入者は4%に対し医療費の割合は1.4%です。これは日本に来る外国人は現役世代中心だからです。
 そこで、もし外国人を国民健康保険から除外するならば、日本人の保険料負担は増えることになると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 保険料の水準は、医療費や被保険者数の状況に加えまして、所得の状況や収納率など様々な要素を基に定まりますので、単純に外国人被保険者を除いた場合の保険料負担をお示しすることは困難でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 困難だと言われましたけれども、外国人加入者は、若く、疾病が少なく、診療にあまりかからないので、保険財政に寄与していることを私たちは認識する必要があると思います。
 次に、外国人が増えて治安が悪化しているといううそも拡散されました。
 そこで、全国の外国人検挙人員数のピークの2004年と直近の数字をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 警察庁が公表しております統計資料の来日外国人による刑法犯の検挙人員でお答えをいたしますと、平成16年が8,898人、令和6年が6,368人となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) これも下がっている。外国人の犯罪数は減っています。見てきたような数々の根拠のないデマやうそは外国人に対する言葉の暴力であり、差別をあおる行為で、決して許されるものではないと思いますが、福岡市の御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) デマやうそであるかにかかわらず、外国人であるという理由で地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動は許されないものであると認識をしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 到底許されるものではありません。しかし、実際に、さきの参議院議員選挙では政治家が堂々と、実態のない外国人への優遇や特権を挙げて、排他的な発言を繰り返しました。これまでの民間団体などによるヘイトスピーチとは質的に異なります。影響力のある政治家が公然と差別的な内容を語ることによって、人々に差別や偏見が急速に浸透してしまうことを懸念します。また、そうした発言をしてもよいのだという誤解が生まれ、差別意識が助長されないか、社会のたがが外れてしまわないか、危惧します。
 本市は、総合計画でめざす姿を「年齢や性の違い、国籍、障がいの有無などに関わらず、すべての人の人権が尊重され、市民一人ひとりが互いに多様性を認め合うことで、誰もが自分らしく輝いています」と多文化共生社会をうたっています。7月23、24日に開催された全国知事会議では、「排他主義、排外主義を否定し、多文化共生社会を目指す」という青森宣言が全会一致で採択されました。
 そこで、市長は、外国人は日本人と同じ生活者であり、外国人に対するデマや差別は決して許さないことを明言するとともに、今後、デマや差別発言を認識した際には行政として迅速に対応すべきだと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 外国人、日本人を問わず一人一人が心豊かに暮らし、自分らしく生きるためには、全ての人の人権が尊重されることが重要であり、差別は決して許されないものであります。在住外国人が増加をする中、地域住民が安心して暮らせる生活環境を守り、外国人が地域コミュニティを構成する一員として生活できるように、外国人に日本の風土や文化、地域における生活のルールやマナーをしっかりと理解してもらうとともに、地域における交流により相互理解を促進するなど、日本人はもとより、外国人にも暮らしやすい多文化共生のまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 排外主義を押し返す大同団結へ、社会のたがを外さないために、外国人との多文化共生の社会を構築するために、排外主義者以外の全ての人々との共同を呼びかけて、この質問を終わります。
 質問の第2は、中小企業、小規模事業者への賃上げ支援についてです。
 物価高騰が続くことで、実質賃金を引き上げることは、国民の暮らしを守ると同時に失われた30年とも言われる長期停滞から日本経済を立ち直らせていく上でも重要課題です。
 そこでお尋ねしますが、厚生労働省の毎月勤労統計調査の現金給与総額は実質でどのような動きになっているのか、2022年から24年の3か年の前年比をお答えください。また、2025年、今年1月以降、直近の6月までの前月比も答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 国の毎月勤労統計調査における実質賃金の前年比につきましては、令和4年度がマイナス1.8%、5年度がマイナス2.2%、6年度がマイナス0.5%となっております。また、令和7年における前年同月比につきましては、令和7年1月がマイナス2.8%、2月がマイナス1.5%、3月がマイナス1.8%、4月がマイナス2.0%、5月がマイナス2.6%、6月がマイナス0.8%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 一部では賃上げが実施されているなどというふうに報道されていますが、数字を見れば、労働者の賃金は、答弁にあったように全然上がっていません。このような中、最低賃金の引上げは、大企業、中小企業を問わず、全労働者の賃金の底上げにつながるとともに、非正規ワーカーの賃上げに直接結びつくもので、まさに政治の決断と責任で実行できるものです。
 そこで、福岡県の最低賃金はこの5年間どのように推移してきたのか、答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡県における過去5年間の最低賃金につきましては、時間額で令和2年度が842円、3年度が870円、4年度が900円、5年度が941円、6年度が992円にそれぞれ改定されております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 年々上がりはしていますが、この金額が妥当なのかということが問われています。福岡県労働組合総連合は、昨年9月に最低生計費試算調査の結果を発表しています。男性は月額26万6,498円、女性は27万3,418円であり、最低賃金は、少なくとも1,500円は必要であるとしています。
 そこで、現在の最低賃金水準ではまともな生活はままならないと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 最低賃金につきましては、最低賃金法に基づき、厚生労働大臣または都道府県労働局長において、中央または地方の最低賃金審議会に調査審議を求め、その意見を踏まえ、適切に決定されているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) あたかも、これで十分かのような答弁ですが、実態を見ていないと思うんですね。この最低賃金基準では生活ができない。とりわけ、非正規雇用者の低賃金は深刻です。本市の非正規労働者は29万人に上ります。その賃金は、正規労働者の67%にとどまっています。ボーナスや各種手当の不支給等の格差もあり、年収200万円以下のワーキングプアを形成しています。
 そこで、非正規雇用の増加が低賃金構造を拡大し、日本を賃金の上がらない国にし、経済の長期停滞の大きな原因になっていると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 国の就業構造基本調査によると、平成29年と令和4年を比較いたしますと、福岡市においては正規雇用労働者が4.2%増加したのに対し、非正規雇用労働者は0.8%の増加にとどまるなど、全体に占める正規雇用労働者の割合が増加しております。また、本市経済はコロナ禍以降、好調な観光需要をはじめとして、着実に回復基調にあるものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) そんなふうに言われるなら先ほど答弁したみたいに、賃金が軒並み、3年前も、それから今年1月から見てもずっと前月比、前年比でマイナスになることはないんですよ。非正規雇用の増加が経済の低迷を招いているのは明らかです。また、非正規雇用の7割が女性であり、男女賃金格差の大きな要因になっており、ジェンダー平等を阻害しています。さらに、非正規雇用者が多い業種は、飲食、宿泊業、卸売、小売業、サービス業、医療、福祉などです。つまり、第3次産業の就労人口が多い本市の雇用構造から見ると、非正規ワーカーの賃金引上げは本市の労働者の賃金の底上げとなるとともに、経済の振興につながると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 国が令和7年6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針2025においても、賃上げを起点とした成長型経済の実現を掲げ、物価上昇を安定的に上回る賃上げに取り組み、経済成長につなげることとしており、本市においても同様に重要であると認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 福岡市の産業構造こそ、低賃金を招きやすいことは明らかです。だからこそ、非正規労働者が多く勤める中小企業、小規模事業者における賃上げを重視しなければなりません。
 では、福岡市における事業所数に占める中小企業の割合及び従業員数に占める中小企業の割合についてお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 令和3年経済センサス活動調査によると、市内事業者における中小企業が占める割合につきましては、事業所数が99.7%、従業者数が84.4%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 事業所数も、従業員数も、圧倒的に中小企業、小規模事業者で占められています。
 では、その中小企業、小規模事業者の現況についてお尋ねします。
 本市が行った中小企業振興に関するアンケート調査で、売上げがコロナ前水準に回復した中小企業の割合を答弁してください。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 令和7年度に福岡市が行った中小企業振興に関するアンケート調査では、売上げがコロナ前水準に回復した中小企業の割合は62.9%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) では、令和2年から6年までの第2次中小企業元気都市プランでの成果指標についてお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 令和6年度で計画期間を終了した第2次みんなで応援!中小企業元気都市プランにおいては、成果指標を売上げがコロナ前水準に回復した中小企業の割合とし、最終年度である令和6年度の目標値を75%と設定したものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 今答弁にあったように、75%以上という目標を掲げていましたけれども、62.9%にとどまっています。これはコロナ前から、多くの中小企業が、売上げが回復していないということがうかがえます。
 もう1つ中小企業を襲っているのが、原材料価格、人件費、エネルギー価格の高騰です。アンケートでは価格転嫁について回答を求めていますが、反映されなかった、あまり反映されなかったと答えた企業の割合について答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) アンケート調査では、価格転嫁が反映されなかった、あまり反映されなかったと回答した事業者の割合は合計で41.5%となっております。なお、上昇したコストを4割以上価格に転嫁した事業者の割合は50.5%となるなど、価格転嫁の動きは着実に広がりつつあるものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 着実に転嫁していると言うけれども、実際に4割しか転嫁できてないというところに着目しなければならないと思うんです。一方で、価格に転嫁し過ぎると顧客離れが加速する可能性もあるとの声が、先日行われた中小企業振興審議会で委員から出されていました。
 このようなアンケート結果、コロナ前から売上げが戻っていない、価格転嫁もなかなか難しい、こういった結果を見ると、本市の中小企業、小規模事業者の現状は厳しいものがあると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) コロナ禍後、着実に売上げは回復している一方で、アンケート調査では、今後の事業展開における課題として、人手不足や人材育成、価格転嫁、生産性の向上などが高まっており、令和7年6月に策定した第3次福岡市中小企業振興プランにおいては、人手不足の対策と生産性の向上、経営基盤の強化と持続的発展、新しい価値、ビジネスの創出を重点的に取り組む3つの柱に掲げ、必要な支援に取り組むこととしております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) やっぱり今厳しいということを直視する必要があると思うんですね。
 アンケート結果でも、売上げが前年度に比べて同水準あるいは伸びたという企業は63%ですが、粗利益で見ると59%にすぎず、伸びが低くなっています。さらに、アンケート結果で注目すべきは、中小企業、小規模事業者の賃上げ意向についてです。
 どんな結果が出たのか、前年と比較して答弁してください。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) アンケート調査では、半数を超える54.1%の事業者が賃上げを実施予定と回答していますが、昨年度の61.6%からは7.5ポイント減少しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 賃上げを実施予定と答えた中小企業が前年度比で約7%減っているんです。中小企業、小規模事業者での賃上げが極めて重要であるにもかかわらず、賃上げの動きが鈍くなっているということは看過できません。先ほど、最低賃金の推移を答弁してもらいました。労働者にとって上がり幅は極めて不十分でありますが、業者にとっては大きな負担になっています。先日の中小企業振興審議会でも、商工団体の代表の委員から最低賃金が上がって大変だという意見が次々に出されました。
 そこで、本市は、最賃が上がっていることによる中小企業、小規模事業者への影響についてどのような所見をお持ちなのか、答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 引上げ後の最低賃金より低い賃金水準であった事業者は、人件費の負担が増すこととなるため、生産性向上に向けた取組が必要になっているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 最賃は法律ですから、守らなければならないんですね。しかし、先ほどから見てきたように、中小企業、小規模事業者は長引く経済低迷に仕入れ原材料高が加わり、さらに、インボイスの導入で苦境に立たされています。そういう中で、従業員の賃金引上げに必死の思いで努力されています。全国商工会連合会の森義久会長は今年3月12日、首相官邸で開催された政労使の意見交換会に出席し、中小企業、小規模事業者においても賃上げは重要とした上で、石破茂首相にそのための支援を求められています。特に最低賃金引上げへの支援について、賃上げや直接的なコスト削減の支援を実施していただきたいと直接支援を求めています。しかし、政府は5月14日、新しい資本主義実現会議において、中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の施策パッケージ案を発表していますが、具体的には価格転嫁、取引適正化、生産性向上などを支援するというものになっています。
 つまり、中小企業、小規模事業者に自己責任で賃上げを求めるもので、全国商工会連合会が求めた直接支援に背を向けたものになっています。最賃の引上げで、中小企業、小規模事業者の経営者が苦労をされているにもかかわらず、賃上げについて国が企業に対して直接支援しないことはあまりにも無責任だと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 国の経済財政運営と改革の基本方針2025では、物価上昇を安定的に上回る賃上げに取り組むこととしており、中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画の施策パッケージにおいて、官公需も含めた価格転嫁・取引適正化、中小企業・小規模事業者の生産性向上、事業承継・M&A等の中小企業・小規模事業者の経営基盤の強化に取り組むとともに、地域で活躍する人材の育成と処遇改善を進めるための施策が盛り込まれるなど、国において適切に取り組まれているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 局長、5か年計画の施策パッケージ案を答弁されるなら、それ読んで答弁してほしい。賃上げのための直接支援なんてどこにも書いていないんですよ。だから言っているわけです。国をかばう必要はありません。
 そういう下で、岩手県、徳島県、群馬県、茨城県、奈良県などで中小企業の賃上げへの直接支援、補助金制度がスタートしています。岩手県では、今年2月から時給60円以上の賃上げを実施した中小企業に対して、労働者1人当たり6万円、1事業所当たり最大50人分、300万円の支給を行っています。最低賃金の引上げによる直接の賃金負担の増加をこの支援金で吸収できる水準となっています。群馬県では、今年度、従業員の賃金を5%以上引き上げた中小企業を対象に1人当たり5万円を支給する制度を立ち上げています。茨城県は、時給で35円以上引上げた中小企業に正規雇用1人当たり5万円、非正規雇用1人当たり3万円を支給し、1事業者に最大50万円を補助する制度をつくっています。
 そこで、福岡市においても、他県が行っている中小企業に向けた賃上げ補助制度が必要だと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡市では継続的な賃上げを促進するため、コスト削減や生産性向上といった取組が必要であると認識しており、IT、デジタル技術を活用した業務効率化などにより、中小企業や小規模事業者を引き続き支援してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) それじゃね、やっぱり効果がないんですよね。今までもやってこられているんだけどね。中小企業の経営者、小規模事業者の皆さんは、苦しい経営の中でも非正規を含む従業員の賃金を上げられるものなら上げたいと真剣に考えておられます。その姿勢を粋に感じ、寄り添って支援するのが行政の役目ではないでしょうか。
 では、角度を変えて、公契約の分野での中小企業、小規模事業者の賃上げにつながる施策についてただします。
 福岡市が発注する官公需契約金額、うち中小企業者向け契約実績の割合と金額について答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 令和6年度の官公需契約実績に占める中小企業者の割合につきましては、契約実績の総額1,449億4,000万円余に対しまして、中小企業者向けは1,211億5,100万円余であり、割合は約83.6%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 中小企業向け契約がほとんどを占めているわけですね。大きな金額です。
 公契約において労務単価、時給のアップが行われれば、中小企業、小規模事業者への賃上げ波及効果は大きいものがあり、地域経済の活性化にも寄与すると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 地場中小企業の育成、振興を図ることは本市経済の活性化の観点からも重要であると認識しており、本市の契約におきましては、適切な労務単価や実勢価格に基づいた発注を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 適切だと言われますが、以前、私は福岡県建設労働組合の賃金調査で、本市が行う公共工事においても国が定めた設計労務単価の6割しか労働者に支払われていない問題を取り上げました。千葉県野田市では、2010年4月からの全国初の公契約条例が施行され、市の公共工事等を受注した企業や下請業者等は、市が定める賃金以上を支払うことを義務づけられています。川崎市、相模原市などの政令指定都市を含む全国で90自治体に広がっています。
 発注する公的機関と受注者等の間で結ばれる契約において、生活できる賃金をはじめ、人間らしく働くことのできる労働条件を保障する公契約条例の制定は、中小企業、小規模事業者で働く人たちの賃上げにつながると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 最低賃金法とは別個に賃金の下限額を定めることにつきましては、国において労働の法制の下での在り方が検討された上で、条例ではなく法制で整備される必要があると考えております。なお、建設工事につきましては、標準労務費を国の審議会が作成、勧告し、官民問わず下請も含めて、これを著しく下回る見積り契約を禁止する法改正がされており、本年12月までに全面施行されますことから、福岡市におきましても適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 国がやらない、だからね、各自治体が制定しているわけですね。本市がやる気になれば、中小企業、小規模事業者の賃上げの可能性は高くなるわけです。先ほどから紹介している福岡市が行ったアンケートでも、人材の確保、人手不足は全体の6割近い事業者が課題に上げており、人手不足感が常態化しています。賃上げを中小企業や小規模事業者でも経営への影響を少なく実現することは人材の流出を防ぐことにもつながり、人材不足解消の一助になります。
 したがって、福岡市においても、他県が行っている中小企業に向けた賃上げ補助制度を創設するとともに、国においても同様の制度をつくるよう要望し、併せて公契約条例を制定すべきと思いますが、市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 公契約条例については、国において法制を整備することが適当と考えております。福岡市では、市内企業の99%を占め、地域経済を支えている中小企業、小規模事業者の振興は大変重要であると認識をしており、国の施策の周知に加え、本年6月に策定をした第3次中小企業振興プランに基づき、経営基盤の強化や生産性の向上をはじめ、必要な施策に取り組むとともに、市の契約におきましては受注機会の確保に努めるなど、引き続き中小企業、小規模事業者の持続的発展を支援してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 本市の中小企業、小規模事業者が悲鳴を上げているにもかかわらず、看過しようとする態度は全く冷たいと厳しく指摘しておきます。
 質問の第3は、福岡城の天守閣問題です。
 国指定史跡の福岡城跡の天守台で、本市は6月末から発掘調査を始めております。私は今年度の予算議会で、この調査は、天守閣は存在したという特定の学説を支持する立場に立ち、科学的な根拠もないまま行われようとしており、浪費以外何物でもないと厳しく批判しました。その立場は何ら変わるものではありません。
 8月22日、西日本新聞は「福岡城 発掘範囲を拡大」と見出しをつけ、「発掘調査について、市が発掘範囲を広げる方向で検討していることが分かった」と報じました。調査の拡大については、議会に何も報告があっていないと思いますが、一体この報道は正しいのか、市の見解を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡城の天守台調査については、かつての状況を確認し、貴重な文化財を保存、継承していくため、6月末より発掘調査を行っているところでございます。また、発掘の進捗や分析を踏まえ、今後の発掘調査の方針を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) この新聞記事は正しいんですか、答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 繰り返しになりますが、現在6月末より発掘調査を行っているところでございまして、今後の発掘調査の方針につきましては、現在行っている発掘の進捗や分析を踏まえ、検討をしてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) はっきりした答弁をしませんね。
 市は、調査範囲拡大の検討に入ったと記事にあります。西日本新聞には訂正記事が載ったわけではありません。調査を始めて僅か2か月しかたっていないにもかかわらず、発掘範囲を拡大などという記事が出るということは、市長をはじめとする上層部が、議会にも諮らず、既に方針を決定しているのではないかと思いますが、明確な答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 発掘調査につきましては、現在行っております発掘調査の進捗や分析を踏まえ、今後の発掘調査の方針をこれから検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) そんな答弁をしよっていいんですね。なるほど。じゃ、市長が天守閣の復元に前のめりである限り、この発掘調査はさらに進んでいくということの可能性があるということです。現在行っている調査は文化財自体を発掘するもので、慎重でなければなりません。だからこそ、文化庁の許可を得て行っているわけです。
これ以上発掘範囲を広げると文化財の破壊につながりかねないと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡城の天守台調査については、文化財の保存に十分配慮した計画を立てた上で、文化庁の許可を得て実施しているものでございます。発掘の進捗や分析を踏まえ、今後の発掘調査の方針を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 文化庁の許可が要るんですよ。それなしでね、範囲を拡大するなんていう答弁していいんですか、大体。これは残りますよ、議事録で。無意味な調査拡大はやめるべきです。
 7月31日に、経済振興委員会は金沢城二の丸御殿の復元整備事業を調査し、私も参加しました。現地で説明を受け、質疑応答が行われました。金沢城には天守閣もあったと聞いていますが、復元しないのですかという問いに、この事業は、江戸後期の状態を復元しているので、天守閣は復元しないとした上で、天守閣は江戸後期にはなかった。いろんな時代の建物を混ぜて復元するとあり得ないものになってしまうと職員の方は語っておられました。私は、史跡を復元整備するに当たって重要な観点だと思いました。
 そこで、福岡城跡の整備には金沢城の事業のような基準を設けているのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) まず、8月22日付の西日本新聞の記事についてお答えします。
 こちらについては、誤報であるというふうに認識しております。
 続きまして、国の基準には史跡の復元整備における時代設定について記載がございませんが、平成26年に策定した国史跡福岡城跡整備基本計画では、それまでの調査によって幅広い時代の史料が得られている中で、復元整備に活用できる古写真などの史料が多く残されていることから、原則として幕末期を復元対象の時代としております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 福岡城跡整備基本計画、これには明確に復元時期は幕末期と書いてあるんです。福岡城天守閣があったかどうかについては諸説ありますが、もしあったとなればいつの時代にあったのか、答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡城天守に関する史料については、福岡城を築城した黒田長政の書状において、天守の欄干が腐ったとの報告を受けたので、修理を命じたという内容が確認されており、江戸時代初期に天守があったという説が補強されているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) その答弁もね、どうか分からないんですよ。もし本市が行っている復元事業と違った時代のものであるならば、先ほど紹介した金沢城の職員の方の言葉にあったように、あり得ないものになってしまいます。
 そんなことは許されず、復元には史実を尊重した整備が求められていると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡城には、築城期から幕末期まで幅広い時代の遺構がございますので、復元対象については、新しい資料収集の成果なども踏まえて、史跡の本質的価値を構成する要素であること、また、位置、規模、構造、形式等について十分な根拠を持つことなどの事項を検討していくものになると考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 7月28日の西日本新聞には、中、近世の城郭を研究されている滋賀県立大学名誉教授の中井均さんが福岡城跡天守台について述べています。この方は、これまで明らかになった資料を基に、福岡城に天守が存在していたことは間違いないと主張されています。しかし、百歩譲って再建が可能になったとしても、容姿の分からない天守を模擬として建てる必要性はどこにもないと述べ、むしろ大切なのは、防御施設である石垣をこれから崩れることなく保存していくことと言われています。
 そこでお尋ねしますが、中井さんはこの記事の最後に、史料が残されていない模擬天守閣を建てるのは福岡城跡という遺跡の破壊にほかならないと厳しい指摘を行っておられますが、福岡市としてどのように受け止めておられるのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 御指摘の記事については、史料が不十分な状況で天守を建造する場合での研究者御自身の見解が記載されたものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) 市長は、2012年の時点でも、個人的には復元できたらと思っていると発言されています。諸説ある中で、存在するという特定の立場での発言もあっています。市長や経済界の方々は、復元されたら観光客がやってきて本市にお金を落としてくれるだろうと軽々に考えておられるかもしれませんが、そんなものではありません。
 そこで、市長はこれまでの天守閣復元に前のめりの発言を撤回し、提言書を出している経済界にも説明して、史実を尊重した福岡城跡の復元整備を行うべきと思いますが、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡城は、1607年に黒田長政によって築城された福岡市の歴史を語る上で欠かせない貴重な史跡でございます。かつての福岡城の状況を確認することで、学術的な議論を一歩ずつ前に進めるとともに、市民がより地域に対する誇りと愛着を持つ一助となるために、天守台の発掘調査と文献調査をしっかりと進めてまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時21分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(尾花康広) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。勝見美代議員。
○54番(勝見美代)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、まちづくりのための都市計画道路の整備計画について、安全、安心な避難路の確保について、出産、育児に関する支援について、以上3点について質問します。
 まず、まちづくりのための都市計画道路の整備計画についてです。
 日々の暮らしにおいて、人の行き来のための道路の整備はとても重要ですが、市内には未整備の都市計画道路が残っており、開発等により新たなまちが誕生していく中、順次整備が必要と考えます。
 まず、都市計画道路とはどういうもので、どういった種類があるのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 都市計画道路につきましては、都市交通の円滑化を図るとともに、都市の骨格形成や貴重な都市空間を創出するための都市施設であり、幹線道路ネットワーク形成の観点から将来にわたって必要となる道路などを都市計画に定めているところでございます。また、都市計画道路の種別といたしましては、自動車専用道路、幹線街路、区画街路、特殊街路がございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) それでは、都市計画道路の中でも生活に直結している幹線街路について、都市計画道路決定までの流れと都市計画に定める効果についてお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 幹線街路につきましては、道路の機能を十分に発揮する配置を検討するとともに、計画交通量に基づく車線数や歩行空間などの検討を行った上で、都市計画の案を作成し、関係機関との協議や地域への説明、都市計画審議会での審議などを経て、都市計画に定めております。また、都市計画に定める効果につきましては、将来的に必要な道路の計画を広く住民の皆様へお示しできることや、都市計画道路の区域に一定の建築制限がかかることにより、将来の円滑な施行を確保できることなどがございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 都市計画道路の決定は、該当地域の住民の皆様にも示されます。また、都市計画道路の区域には一定の建築制限がかかっています。
 では、令和6年度末における本市の都市計画道路のうち、幹線街路は何路線あるのでしょうか。また、そのうち未着手の幹線街路数をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 福岡市の都市計画道路のうち、幹線街路につきましては、令和6年度末時点で168路線となっており、そのうち未着手の路線数は33路線でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 約2割の路線が未着手です。
 次に、都市計画道路の決定から着手までの流れをお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 都市計画道路につきましては、道路整備アクションプランに定める基本的な考え方に基づいた優先度評価を行い、アクションプランに位置づけた上で整備に着手することとしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 優先度評価とはどういうもので、誰が行うかをお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路整備アクションプラン2028におきましては、4つの道路整備の基本的な考え方に基づき、学識経験者や道路利用者等で構成する福岡市道路整備懇談会での意見も踏まえ、自動車交通の円滑化のみならず、歩行者、自転車の安全性の向上や災害時の輸送道路の確保など、様々な観点に対応する評価項目を設定しております。その評価項目を基に、福岡市において優先度評価を行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 都市計画決定順ではなく、優先度評価の結果に基づいて着手されるとのことです。
 では、着手から着工までの流れと、かかる期間についてもお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 都市計画道路の整備につきましては、測量や設計を行い、都市計画事業認可を取得し、用地買収が完了した区間から工事に着工しており、この間、適宜地元説明会を開催しております。着手から着工までの期間につきましては、用地買収の進捗により異なるため一概には言えませんが、着工の前提となる用地買収に取りかかるまでに5年程度の期間を要しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 4年に一度位置づけられる道路整備アクションプランにおいて優先度評価が低いと、着手までにも相当な時間を要します。
 スライド1をお願いします。(資料投影)こちらは地下鉄橋本駅地区の都市計画道路を示しています。右上の青い箇所の姪浜飯盛線が道路整備アクションプラン2028に位置づけられ、着手されます。姪浜飯盛線を着手するようになった経緯と期待される効果をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 当該路線は、姪浜地区と飯盛地区を南北に結ぶ幹線道路で、姪浜駅や橋本駅へのアクセスを確保するとともに、周辺地域の道路ネットワークを形成し、交通の円滑化を図ることを目的として都市計画決定されたものでございます。福重交差点から橋本二丁目までの未整備区間につきましては、橋本地区のまちづくりの進展に伴う交通量の増加などに対応するため、道路整備アクションプラン2028に位置づけ、着手することとしております。整備効果としましては、姪浜駅や橋本駅へのアクセスの向上や福岡外環状道路など、周辺道路の交通負荷の分散、円滑化に加え、歩行者、自転車の安全性の向上を見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 福重─姪浜間と橋本─戸切間が整備済みでもあることから着手の根拠は理解しますが、福重─橋本間の東側と西側にある飛び地の調整区域については、今後どのような方針で対処されるのか、お示しください。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 市街化調整区域のうち、鉄道駅周辺や幹線道路沿道などにおきましては、土地区画整理事業などの計画的なまちづくりの相談があった場合に、農林漁業との調整や周辺環境、災害リスク等を十分に踏まえた上で市街化区域への編入について検討することとしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) スライド1をお願いします。(資料投影)次に、橋本駅西側にあるピンクの色をつけている都市計画道路橋本戸切線の概要と計画の目的をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 都市計画道路橋本戸切線につきましては、地下鉄七隈線橋本駅へのアクセス強化や幹線道路ネットワークの形成による交通の円滑化などを図るため、延長約580メートル、代表幅員17メートル、車線数2車線の幹線街路として平成8年11月に都市計画決定しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 約30年前に都市計画決定された橋本戸切線が未着手の理由をお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 当該路線のうち約340メートルにつきましては、橋本駅前土地区画整理事業において、まちづくりと一体的に整備が進められており、令和7年度に完了予定となっております。区画整理事業区域外の約240メートルにつきましては、道路整備アクションプラン2028の策定に当たり、優先度評価を行った結果、緊急輸送道路やバス路線でないことなどにより、他路線のほうが優先度が高くなったため着手に至っておりません。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) スライド1をお願いします。(資料投影)このように橋本戸切線580メートルのうち橋本駅前土地区画整理事業地内340メートルについては、今年度完了予定ですが、残りの北側240メートルについては未着手のままです。
 では、北側240メートルが接続する県道周船寺有田線、野方交差点から橋本西交差点までの区間における渋滞状況は把握されているのでしょうか。また、その要因は何が考えられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 国が管理する国道202号福岡外環状道路の橋本西交差点につきましては、交差する県道周船寺有田線における車両の平均速度が低いことが要因で、福岡県交通渋滞対策協議会におきまして、主要渋滞箇所に選定されており、交通混雑が発生していることは認識しております。交通混雑の要因につきましては、当該交差点西側におきまして、交差点間隔が短いことにより、右折レーンが十分に確保できないため右折車両が滞留し、直進車両を阻害することに加え、沿道の商業施設の入出庫車両と当該交差点に向かう車両が交錯することなどにより混雑が生じやすくなっているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 橋本戸切線の決定から約30年が過ぎようとしています。橋本駅周辺は、地下鉄七隈線が開業してちょうど20年がたち、まちは大きく変わりました。橋本駅前土地区画整理事業が始まり、ようやく橋本駅周辺のまちづくりの概要が見えてきました。今後、急激に駅周辺の人や車の流れが増すことが見込まれます。この際、新しいまちができていくに当たり、橋本駅前土地区画整理事業が進むタイミングで橋本戸切線の北側240メートルも早急に整備計画に着手することを強く求め、見解をお尋ねして、この質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 当該路線の事業中区間につきましては、橋本駅のアクセス強化などのため、土地区画整理事業において、まちづくりと一体的に整備が進められております。未着手区間につきましては、片側に歩道がある道路であることから、一定程度のアクセスは確保されているということから、整備につきましては、まずは橋本駅周辺のまちづくりの進展や交通状況の変化などを注視しながら検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、安全、安心な避難路の確保についてです。
 災害に対し、日頃から防災意識を高めていくことが重要です。本市にも災害が発生、もしくは予測された場合、近隣住民の皆さんが避難できる避難所、避難場所が設けられています。今回は、その避難所、避難場所の周りや、そこに行くまでの道路等は、誰もが安全で安心して避難できる経路となっているのか、ただしてまいります。
 まず、本市において、避難所に指定されている公民館及び小中学校数をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 全ての公民館及び小中学校を避難所として指定しておりまして、公民館が153館、小学校が147校、中学校が69校となっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 市内全ての公民館、小中学校が避難所に指定されています。
 では、避難所に指定されている学校で、2階以上に体育館がある学校数と、そのうち階段でしか体育館に上がれない学校数及び要支援者へどのような対策を行うのか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 2階以上に体育館がある学校は、小学校が22校、中学校が15校となっており、そのうち階段の使用が必要な学校は、小学校が12校、中学校が12校となっております。また、要支援者が避難された場合の対応につきましては、校舎1階にある特別教室での受入れを基本とした上で、避難所運営職員が地域の協力も得ながら2階の体育館に搬送するなど、個々の状況に応じて適切な対応を行うこととしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 避難所の機能強化という観点からも、エレベーターの設置の必要性を改めて指摘しておきます。
 災害発生時、公民館に避難される方が多いと思いますが、災害の種類によっては、開設されない避難所もあります。また、大規模災害のとき、たくさんの方が避難されることが考えられるため、公民館から小学校へ移動しなければならない場合も想定されます。公民館と小学校が離れている場合の移動手段はどのように確保するのでしょうか。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公民館から小学校への移動が必要となった場合、避難所運営職員が地域住民の協力を得ながら、気象状況や避難者の状態などに応じて適切な移動手段を確保することとしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 適切な移動手段とは具体的にどのようなものなのか。また、悪天候の中、避難所ではない公民館に住民が避難してきた場合、どのように対応するのか、併せてお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 要支援者の移動が必要となった場合、市職員や地域住民で介助し移動していただくほか、タクシー、庁用車などの活用を想定いたしております。また、避難所として開設していない公民館に避難者が来られた場合には、公民館職員が区役所と連携をして対応することとなります。なお、災害時の避難発令に際しましては、開設していない避難所に避難されることのないよう、テレビやラジオのほか、市のホームページへの掲載、防災メール、SNSなど多様な媒体を活用して、開設する避難所の周知を図っております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) どのような状況においても、地域住民との連携は言うまでもありません。
 では、大勢の方が避難される公民館の周辺について、避難しやすい経路となっているのか、質問していきます。
 まず、避難所に指定されている153の公民館のうち、公民館と小学校が隣接する校区数をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの公民館につきましては、小学校と同じ敷地にあるものが27、隣接した敷地にあるものが12、道路を挟んだ敷地にあるものが26で、合計65校区でございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 約4割以上の校区において、公民館、小学校が隣接しています。
 スライド2をお願いします。(資料投影)ここは早良区の賀茂公民館です。公民館の裏手に水路があり、その上にスロープが整備されており、小学校につながっています。ここを通らなければ、小学校に行くには遠回りをしないといけません。スライド3をお願いします。(資料投影)この写真は城南区の金山公民館と小学校をつなぐ通路です。金山公民館は小学校より低い位置にありますが、公民館には外階段があり、小学校とつながっています。また、高齢の方や車椅子の方も公民館内エレベーターを利用して、公民館の2階から小学校に移動ができます。スライド4をお願いします。(資料投影)ここは壱岐南公民館の周辺地図です。壱岐南公民館と壱岐南小学校は隣接していますが、そこには階段しかありません。バリアがない南門まで約230メートル遠回りをしないと行けず、車椅子や不自由を抱えている方にとっては大変不便です。
地元からの要望もあり、急ぎ対策を求めますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 壱岐南校区におきましては、風水害時は壱岐南公民館を避難所として開設し、地域の方には公民館に避難をしていただくこととなります。浸水等の状況により、必要な場合には、公民館の2階へ垂直避難を行っていただきますことから、要支援者に小学校へ移動いただくことは基本的にはないものと考えております。仮に移動が必要となった場合には、避難所運営職員が地域の協力も得ながら、個々の状況に応じて適切な対応を行うこととしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 壱岐南校区では昨年、地域住民の皆さんと障がいがある方も参加して、御自宅から公民館まで避難する防災訓練を行いました。その際、公民館から小学校への移動に階段しかないことが分かりました。このほか、調べたところ、公民館と小学校が隣接する校区の中には、つながる通路が狭く、急な坂であったり、小学校に通じる一番近い門が階段のみしかないような校区も存在していました。また、西区の今宿小学校の学校西側入り口は階段のみで、バリアがない入り口までは、工場や住宅地があるため遠回りをしないと行けません。移動が必要となった場合は、個々の状況に応じて適切な対応を行うのは当然ですが、移動の必要、不必要とは関係なく、避難所の周辺で現在把握できているバリアを事前に除去可能なものは随時対処しておくことが想定外の災害規模対策の基本だと思います。
 次に、各校区での防災、避難訓練の平均実施回数と主な訓練の内容をお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 各校区での防災訓練等につきましては、令和6年度の平均で7.5回実施されております。主な訓練の内容は、消火、救命、避難、避難所の開設や運営などとなっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) この数は、講演会などを含む防災関連の取組を示す数ですので、実際には校区全体での実践的な防災訓練は、年一、二回かと思われます。
 それでは、これらの訓練を通して、地域の課題や問題点をどのように把握しているのでしょうか。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 訓練を通して地域で認識された課題等につきましては、訓練実施後の振り返りのほか、地域から区役所などへ寄せられる意見や要望、市政への提案などにより把握をいたしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 訓練実施後の振り返りはいつ、誰と、どのような形で行っているのか。また、把握した後はどのように対応し、最終判断は市民局地域防災課になるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 訓練の振り返りにつきましては、訓練終了後における自主防災組織や施設の管理者等との意見交換やアンケートでの意見集約により行っております。また、地域からの意見や要望等につきましては、その内容に応じて、区役所や所管局において対応を検討することとなります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、避難所までのルート等の安全確認はいつ、誰が、どのように行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難経路は、お住まいの場所や世帯の構成など、個々の状況によって様々でありますので、各自でハザードマップなどを活用し、災害リスクが少ない経路を平時から確認していただくとともに、地域での防災訓練の際に、その経路の安全性を確認していただくよう啓発を行っております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) スライド5をお願いします。(資料投影)ここは南区宮竹小学校の周辺の地図です。東側に公民館があり、学校の門は北側に1か所、南側に1か所あります。西側には門はありません。今回特に気になったところは、小学校南側の歩道です。この赤い部分です。スライド6をお願いします。(資料投影)この歩道は段差が13センチで、東から西方面へ約160メートル続いています。幅は75センチしかありません。車椅子が安全に通るには一般的に幅90センチ以上必要とされていますので、非常に通りづらい歩道です。この井尻883号線は車両進入禁止となっている登下校の時間帯以外は離合も厳しい狭い道路です。大災害が起きたとき、西側や南側の大勢の住民の方がここを通って公民館に避難されることが想定されます。また、宮竹小学校の体育館内からトイレに行くには、一度外に出なければいけないという不便さも分かりました。
 では、防災訓練等で避難するまでの経路での危険性や不自由を認識した場合、どのような手順で改善していくのか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難時の安全確保につきましては、地域の御意見も伺いながら、また、その場所や内容に応じて、所管局、関係局とも連携をしながら対応を検討していくこととなります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 以上、質問してきましたように、安全で安心な避難路の整備を構築しておくことは喫緊の課題と思います。誰もが安全で安心して避難できるよう、住民任せにせずに全避難箇所を再チェックして、計画的に避難路の整備、構築を図るのは当該自治体の責任と考えます。災害が起きて想定外などとし、公の瑕疵とならないためにも、念には念を入れて対処しておくべきと思いますが、市長の見解を伺い、この質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、日本各地で大規模な自然災害が発生しており、この状況を踏まえて、自助、共助、公助が一体となって、まち全体の防災力を高めていくことが大変重要であると考えています。このため、市民一人一人の自助の取組として、災害時における安全な避難経路を確認いただくことが重要であり、ハザードマップや災害発生時の行動のガイドラインとなるマイタイムラインの活用などの周知啓発に取り組んでまいります。また、地域と連携をした避難行動要支援者対策を推進するなど、高齢者や障がいのある方をはじめ、市民の皆様が安全に避難できる環境づくりを進めてまいります。今後とも市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、出産、育児に関する支援についてです。
 全国的に少子化が進んでいます。1人目はもちろん、特に2人目や3人目への支援は当事者の要望に沿ったものになっているのでしょうか。また、子育てには家族を含め、周りの協力が必要であることから、子どもを生み育てたいと希望したとき、それを後押しできる支援体制の強化と地域全体が家族という視点を持った環境づくりについて質問します。
 厚生労働省の調査で、昨年1年間に生まれた日本人の子どもの数は68万6,000人です。国立社会保障・人口問題研究所は、日本人の出生数が68万人台になるのは2039年と推計していましたが、想定より15年ほど早く少子化が進んでいます。また、1人の女性が産む子どもの数の指標となる合計特殊出生率は、昨年1.15となり、これまでで最も低くなっています。
 まず初めに、本市における直近の出生数と合計特殊出生率をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国の人口動態調査によりますと、福岡市の直近の出生数は確定前の概数で、令和6年1万1,467人でございます。合計特殊出生率は、国が国勢調査を基に5年に一度算出し、公表している福岡市の直近の数値は令和2年1.20となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、本市における平成28年、令和元年、令和4年の子どものいる世帯の子どもの数の平均はどれくらいなのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国の国民生活基礎調査によりますと、平成28年1.64人、令和元年1.63人、令和4年1.59人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 多くの世帯が1人から2人となり、これは全国的にも同じような結果が出ています。国民生活基礎調査では、子ども1人の世帯は47.7%で約半分を占めています。
改めて、少子化の要因をどのように認識しているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 少子化につきましては、子育てに係る身体的、精神的、経済的な負担や不安感など、様々な要因が複雑に絡み合っているものと考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) それでは、乳幼児の保護者が望む子どもの数と実際に予定している子どもの数を平成30年度と令和5年度でそれぞれお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市が乳幼児の保護者を対象に実施したニーズ調査の結果によりますと、欲しいと思っている子どもの数は、平成30年度は3人が49.4%、2人が37.5%、令和5年度においては3人が42.3%、2人が36.3%などとなっております。
 実際に予定している子どもの数は平成30年度は2人が52.5%、3人が24.7%、令和5年度は2人が50.3%、3人が21.5%などとなっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 3人欲しいと思っている乳幼児の保護者が5割近くを占めており、8割近くは2人以上の子どもを望んでいます。しかし、実際予定している子どもの数は、望む人数より少ないという結果が出ています。
このように望む子どもの数と実際に予定している子どもの数との違いはどのような要因が考えられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 先ほどのニーズ調査において、欲しいと思っている子どもの数よりも、実際に予定する子どもの数が少ない理由として回答が多かった順に、子育てにお金がかかるから、子育ての身体的な負担が大きいから、収入に不安があるから、年齢的な理由で無理だから、子育ての精神的な負担が大きいからなどとなっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 子どもの数が増えれば、当然出費も増します。本市においても、様々な経済的支援のほか、身体的、精神的な負担を和らげるため、産前・産後ヘルパー派遣事業、産後ケア事業、ファミリー・サポート・センター事業などを行っています。
 では、産前・産後ヘルパー派遣事業の概要と直近3年間の利用実績をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産前・産後ヘルパー派遣事業は、妊娠中から産後1年未満の御家庭を対象にヘルパーを派遣し、家事や育児を支援するものでございまして、利用実績は延べ利用回数で、令和4年度2,372回、5年度8,044回、6年度1万2,668回となっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 利用回数は年々増加していますが、全く利用されない方もいらっしゃいます。
この事業を利用しない理由をどのように把握されているのか、また、利用者からの要望等あれば、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保健師が御家庭を訪問する際にこの事業を御案内しており、そのときにお聞きする話などから、家族からの支援があり、行政の支援までは必要ないと考えられる方や、自宅にヘルパーなどの他人が入ることを好まない方などが利用に至っていないと考えております。一方、家族の支援があっても利用したいとの声も踏まえ、令和7年度から、家族からの支援がある場合も必要に応じて利用いただけるよう利用要件を緩和しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、産後ケア事業の概要と利用の手順、利用料についてお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業は、産後、身体的、精神的に不安定になりやすい時期に、母親の心身のフォローや母子の愛着形成の促進、健やかな育児の支援を目的として、生後1年未満の母子を対象に、母体のケアやカウンセリング、乳児の発育、発達の確認、授乳、沐浴など、乳児のケアに関するアドバイス等を行うもので、実施施設でケアを受ける宿泊型と日帰り型、自宅に助産師が訪問する訪問型がございます。利用については、利用者が直接事業所に連絡をして、母体や育児の状況を確認し、日程を調整の上、申し込む手順となっております。利用料は、1日当たり宿泊型3,000円、日帰り型2,000円、訪問型500円でございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、ファミリー・サポート・センター事業の概要と利用の手順、利用者数をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) ファミリー・サポート・センター事業は、子育ての支援を受けたい依頼会員と支援できる提供会員が保育所や幼稚園の送迎、子どもの一時的な預かりなど、育児の相互援助活動を行う事業でございます。利用手順は、依頼会員の登録を行った後に、ファミリー・サポート・センターのアドバイザーから提供会員の紹介を受け、提供会員の自宅で、預かり環境の確認も兼ねて事前打合せを行い、相互了解の上で支援が行われる流れとなっております。利用者数は、令和6年度、延べ1万2,960人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) ファミリー・サポート・センター事業の直近の依頼会員と提供会員、両方会員のそれぞれの登録人数と依頼会員と提供会員のマッチングの状況及び本事業の課題は何か、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) ファミリー・サポート・センターの会員登録人数は、令和7年3月31日現在で、依頼会員3,863人、提供会員958人、両方会員399人となっております。現状において、依頼会員からの依頼については、提供会員の御協力により対応できているところでございますが、提供会員数が減少傾向にあるため、将来の担い手確保が課題であると認識しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) サポートする担い手の不足は進んでいます。様々なサービスを利用しない、利用しづらいという意見はどこで把握されるのでしょうか。
 今年の6月に私の次女が3人目を出産しました。今回一番大変だったのは、上の子2人の保育園の送迎です。ファミサポではできますが、本市の産前・産後ヘルパー派遣事業の支援内容には含まれていません。また、産後ケアはきょうだい児も一緒に受け入れてくれる事業者が少なく、ファミサポも自分で登録、顔合わせ、サポーターさんとの時間合わせなど、上の子2人を連れてはかなりハードです。そして、どの支援も予約や事前登録が必要で、緊急時には対応できません。2人目、3人目を考えたとき、クリアしなければならないことは多く、同じ出産でも子どもが増えると必要な支援は大きく違ってくるのです。
 ここで岡山県奈義町の子育て支援の取組を紹介します。スライド7をお願いします。(資料投影)岡山県の奈義町は岡山市内から2時間半、鳥取県との県境に位置する人口約5,500人の小さな町です。2019年に合計特殊出生率が2.95まで回復し、奇跡のまちとして注目を集めました。元日銀総裁の白川方明氏も訪問し、非経済的支援が少子化対策の鍵として新聞に掲載されました。
 この奈義町に視察に行ってまいりました。高齢化が進み、人口減少が続く中、少子化対策は最大の高齢者福祉という考えの下、出産祝い金10万円から始まり、給食費、医療費の無償化や、奨学金全額免除など、切れ目のない経済的支援を実施しています。また、若い世代のために住居の提供や空いた時間にちょっとだけ就労できる、しごとコンビニ事業など、子育てしやすい環境づくりに力を入れています。
 その中でも少子化対策の象徴的な施設が、町営のなぎチャイルドホームです。スライド8をお願いします。(資料投影)なぎチャイルドホームは奈義町役場の隣にあり、乳児から不登校の中学生まで、様々な年齢の子どもとその親などが利用できる複合施設で、利用料は保険料に充てる年間100円のみ、家庭のニーズに合わせた一時預かりや保護者当番制の自主保育、地元食材を使った料理を届ける農業ママ、これらの活動に対し、町は人件費などの支援を行っています。特徴的なのは、住民参加型の運営で、子育て中の母親や子育てが一段落したスタッフ、高齢者も携わっていることです。スライド9をお願いします。(資料投影)施設内の様子です。木のぬくもりを感じる内装で、バザー等もやっていました。スライド10をお願いします。(資料投影)このようにスタッフは地元の方々なので、妊娠中から顔なじみであるため、子育ての悩みや不安など気軽に話せます。
 なぎチャイルドホームのように、乳幼児を持つ子育て中の親子が気軽に集い、交流し、子育ての不安や悩みを相談できる場について、本市ではどのようなものがあるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) なぎチャイルドホームは国の地域子育て支援拠点事業に該当いたしますが、福岡市では、同事業における拠点を子どもプラザという名称で市内14か所に設置しております。また、このほかにも各公民館などを活用して、地域の見守りの下、子育て交流サロンを開設しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) では、子どもプラザと子育て交流サロンについて、それぞれの概要と、どういった方が利用されているのか、併せて地域の方々の関わりについてお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもプラザは、保育士などのスタッフや子育て支援コンシェルジュが配置されており、就学前の乳幼児親子がいつでも気軽に訪れ、相談や交流ができる場でございます。地域の方がボランティアとして子どもプラザに関わり、絵本の読み聞かせや乳幼児の見守りなどを行うこともございます。子育て交流サロンは、就学前の乳幼児親子が公民館などの身近な場所で自由に過ごせる場であり、地域のボランティアの方々が親子を見守りながら運営されておりますが、必要に応じて、区役所から保健師が出向いて、乳幼児親子への相談支援を行ったり、ボランティアの方々からの相談にも応じております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) ファミサポの一時預かりや子育てプラザ、交流サロン、食事支援などがまちの中にぎゅっと詰まっているのが、なぎチャイルドホームです。地元の方々が身近でサポートしてくれるという安心感が、2人目、3人目を産みたい、産んでみようと思うことにつながっています。笑顔あふれる、すてきな施設でした。
 では次に、仕事と子育ての両立は周りの支援が必要不可欠で、特に家族の手助けが一番心強いものです。ここからは、出産、育児を支援する休暇制度について伺ってまいります。
 まず、本市における出産・育児支援休暇の概要と対象者、直近の取得者数、取得率をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市職員の出産・育児支援休暇は、配偶者の出産に伴う入退院や出産時の付添い、出生届などの出産に伴う諸手続、子どもの世話などを行うため、7日を超えない範囲内で取得できる休暇であり、対象者は、配偶者が出産のために入院するなどの日から出産後1年までの期間にある職員でございます。また、令和6年度の市長事務部局における出産・育児支援休暇の取得者数は140人で、取得率は92.1%でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 出産、育児に関する休暇について、子育て世代からの意見や要望があれば、お示しください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員団体からは、子の看護等休暇の付与日数を増やすことや、その対象に孫を含めることなどについて要求を受けております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 家族ぐるみで応援ができれば、とても助かります。
 ここで配偶者のみならず、孫のための休暇制度を政令市で初めて導入した岡山市を紹介します。スライド11をお願いします。(資料投影)岡山市では、2024年度から孫育て休暇制度を導入しています。導入の根拠は、市職員の段階的な定年年齢の引上げに伴い、在職中に孫が生まれるケースが増えることが想定される中で、祖父母が働きながら育児に関わりやすくするためです。このほか、千葉市、北九州市、長野県諏訪市、愛知県一宮市など、多くの自治体が導入しています。また、民間企業でも導入が広がっています。
 では、50代、60代が孫の生まれる可能性がある年代だと思いますが、本市における50代、60代の職員数と割合をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市長事務部局における令和7年5月1日現在の職員のうち、年度末年齢が50代の職員については1,394名で全体の21.8%、60代の職員については379名で全体の5.9%となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 約3割の方がその年代に該当します。ほかの自治体の導入が進む中、孫休暇の必要性をどう認識されているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 誰もが安心して子どもを生み育てられる環境づくりは重要であると認識しており、まずは男性の育児参画が当たり前の風土醸成に向け、福岡市では、男性職員の育児休業取得促進に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 育児休業や出産・育児支援休暇の取得の推進は当然のことですが、孫休暇を活用することで、シニア世代の育児参加が促進されます。ぜひ制度の導入を検討してほしいと思いますが、本市としての考えをお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の勤務条件については、他都市の状況なども踏まえながら、地方公務員法に基づき適切に対処してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 休暇メニューを充実させ、選択肢を増やすことは、様々なスタイルの家族構成や生活状況に対応した子育て世代の支援につながります。ぜひ検討をお願いします。
 また、御紹介しましたように、岡山県奈義町では、町全体がまるで家族のような取組を行っています。生まれてから大人になるまで、地域コミュニティとともに育ち合っていく居場所となるよう、住民参加型による地域包括的な子育ての支援体制が、子どもを生み育てたいと希望したときに、大きな後押しになるのではないでしょうか。6,000人にも満たない小さな町の取組ですが、ぜひ参考にし、出産から育児まで、地域ぐるみで子どもを育てていく温かなまちになることを強く訴え、私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、障がいのある人と企業の就労アセスメント支援について、障がい者情報アクセシビリティの拡充について、選ばれる福岡市地下鉄を目指して、以上3つのテーマで質問してまいります。
 初めに、障がいのある人と企業の就労アセスメント支援について質問をしてまいります。
 福岡県内のハローワークを通じた令和6年度の障がい者の就職件数は、2年連続で過去最高となる5,646件だと福岡労働局が発表いたしました。障がい者の新規求職申込件数は、過去最高の1万3,867件となり、就職率は前年度から2.8ポイント減の40.7%。その中で、精神障がい者は、新規求職申込件数、就職件数共に4年連続で増加し、全体の6割を占めたようであります。
 労働局によりますと、平成30年度以降、一定割合以上の障がい者を雇用するよう、自治体や企業などに義務づける法定雇用率に精神障がい者を加えた影響もあり、全国的に増加傾向にあるとのことであります。
 さらに、令和8年7月からは、民間企業の法定雇用率が、今の2.5%から2.7%に引上げられることが決まっており、働きたい障がい者と雇用したい企業のマッチングが今まで以上に重要になってまいります。
 そこで初めに、市内民間企業の法定雇用率を達成していない割合についてお示しください。
 以上で1問目を終え、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 本市におけるデータはございませんが、福岡労働局が公表している令和6年障害者雇用状況の集計結果によりますと、県内の民間企業のうち、法定雇用率を達成していない企業の割合は52.5%となっており、本市においてもおおむね同程度の割合ではないかと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 本市においても達成していない企業の割合を福岡県と同程度の52.5%と考えているとのことです。この達成状況を見ると、障がいのある方の就労状況がどのようになっているのかが気になります。
 そこで、福岡市立障がい者就労支援センターにおいて、令和6年度に新たに同センターに登録された方で、就労に至っていない方の人数と割合をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年度の障がい者就労支援センターへの新規登録者で、就労を希望している方87人のうち、就労に至っていない方は50人、割合は57.5%となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 障がい者就労支援センターの令和6年度新規登録者の状況では、6割程度の障がいのある方が就労に至っていないとのことであります。
 その主な理由についてお伺いをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 体調不良や就労のための規則的な生活習慣が整っていないこと、待遇面の折り合いがつかなかったことなどの理由がございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 就労に至っていない理由については、生活習慣や待遇面の折り合いがつかなかったなど、様々な理由があるようであります。障がい者の就労に関しては、障害者総合支援法に基づく就労系の障がい福祉サービスと障害者雇用促進法に基づく職業リハビリテーションとの連携が中心となり、障がい者雇用の促進に向けた地域における一貫した就労支援を実施することが極めて重要になってまいります。
 そこで、障害者総合支援法に基づき、企業などへの就職を支援する就労移行支援事業が行われておりますが、その3年間の実績をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市における就労移行支援事業の利用者のうち、一般就労に移行した方は、令和4年度が397人、5年度が467人、6年度が431人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 毎年400人前後の方が一般就労へ移行されているようであります。
 一方で、せっかく仕事に就いたものの、なかなか続かないとのことも伺います。
 そこで、就職後の就労の継続を図るために、就労定着支援事業が行われていますが、過去3年の就労定着率をお示しください。
 また、就労の定着につながらない主な理由と、本市の課題認識についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 過去3年間の就労定着率につきましては、令和4年度が76%、5年度が81%、6年度が85%となっております。また、就労の定着につながらない主な理由については、体調不良や職場環境が合わない、就職時のミスマッチなどがございます。課題認識については、就労系障がい福祉サービスの質の向上が大切であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) お答えいただいた内容を確認いたしますと、一般就労への移行者は、令和6年度は少し下がっており、定着率につきましても、3年間の平均で約8割、5人に1人が定着できていないということがうかがえます。
 支援を充実することも大切だと思いますが、受皿である企業を増やすことも大切に思います。
 また、冒頭にも少し触れましたが、県内の企業の法定雇用率の状況は、対象の民間企業の半分以上が2.5%の法定雇用率を達成していないという現状があり、働きたい障がい者と雇用したい企業とのマッチングが法定雇用率の達成の鍵になると思います。
 そこで、本市では受皿である企業を増やすために、どのような取組を行っているのか、また、その3年間の実績をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者就労支援センターにおきましては、現在、障がい者を雇用している企業や、今後、雇用を予定している企業等に対して、社員の理解を得るための対応策などの相談、助言を行う障がい者雇用サポートデスクを設置しており、その対応件数は、令和4年度が111件、5年度が1,073件、6年度が1,472件、障がい者を雇用する際に配慮すべき点などの啓発を行う企業セミナーの開催回数、参加企業数は、4年度が3回で178社、5年度が6回で314社、6年度が6回で289社となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 障がい者雇用サポートデスク、また、企業セミナー等様々していただいているようであります。
 国のほうでは、就労能力や適性を客観的に評価し、可視化していく手法が確立されていないとの課題認識の下、福祉、雇用それぞれのサービス体系におけるアセスメントの仕組みを構築し、さらなる機能強化のため、就労選択支援が創設され、新たな障がい福祉サービスとして来月、10月から実施されることになりました。
 そこで、就労選択支援の施行された理由と、その支援内容についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労選択支援制度が施行された理由につきましては、厚生労働省の資料によりますと、就労系障がい福祉サービスの利用に当たり、就労能力や適性を客観的に評価し、それを本人の就労に関する選択や具体的な支援内容に活用する手法等が確立されていないため、就労能力や一般就労の可能性について、障がい者本人等が十分に把握できておらず、適切なサービス等につなげられていないためなどとされております。また、就労選択支援の内容につきましては、障がい者本人が就労先、働き方について、よりよい選択ができるよう、就労アセスメントの手法を活用し、本人に合った選択を支援するものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 障がい者の雇用には、企業側と障がい者側双方に課題があると思います。
 先日調査に伺いました京都府では、雇用促進のためにチェック項目に回答していくことで、現在の職場状況から対応可能な問題点を見える化し、より複合的に検討することが可能になる障害者雇用環境アセスメントツールを作成し、活用されておりました。その結果、企業側は職場環境の客観的可視化ができるようになった、また、障がい者支援機関は障がいのある方の自己理解が進み、マッチングの精度の向上につながった、行政は法定雇用率未達成企業への支援策、動機づけとして使えた、また、企業が障がい者を選ぶのではなく障がい者が企業を選べる環境整備につながったなど、様々な効果があったとのことでした。
 そこで、京都府の障害者雇用環境アセスメントツールを参考に、本市でも企業や支援機関が自発的に利用可能な、よりよいアセスメントツールを作成すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者就労支援センターにおきましては、独自に作成した企業アセスメント票を活用し、企業での聞き取りや体験実習によるアセスメントを実施の上、その企業において障がい者が従事可能な作業内容や職場環境を評価し、よりよいマッチングに取り組んでいるところであり、他の事例も参考にしながら改善に取り組んでまいります。議員御指摘の京都府が作成している企業が独自に利用できるツールなどについても活用を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いします。
 この質問の最後に、就労率のさらなる向上に向けた障がいのある人の就労の充実について、島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 障がいのある方が持てる能力を発揮し、社会の一員として活躍していくことは大変重要であると認識をしております。福岡市では、障がい者就労支援センターを中心に、個別の就労支援を行うとともに、就労を支援する事業所への助言や、一般企業における障がい者就労の拡大に取り組んでいるところでございます。今後とも障がいのある方が心豊かに生きがいを持って人生を送れるよう、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) ありがとうございました。
 次に、障がい者情報アクセシビリティーの拡充について質問してまいります。
 情報社会が進展する中で、全ての人が情報に平等にアクセスできることは、社会参加や生活の質の向上に直結する重要な要素になります。特に、視覚、聴覚などの障がいのある人々にとっては、情報へのアクセシビリティ、利用のしやすさは、日常生活に大きな影響を与えます。聞こえない、聞こえにくいため、日常的に手話を使う聾者は、国内に少なくとも5万人から6万人いるとされております。当事者にとって手話は、喜怒哀楽を自由にコミュニケーションでき、生きることそのものであると全日本ろうあ連盟の久松事務局長が語られています。
 2006年の国連総会で採択されました障害者権利条約で、手話は言語の一つだと定義され、国内でも2011年に改正された障害者基本法において、手話は言語であることが明記されましたが、具体的な環境整備のための法律がありませんでした。そのような中、令和7年6月25日、国において手話に関する施策の推進に関する法律、いわゆる手話施策推進法が施行されました。
 また、100周年記念の節目の大会、東京2025デフリンピックが11月15日から東京で開催され、デフアスリートたちの熱い戦いが期待されるところであります。
 初めに、手話施策推進法の制定までの経緯と制定理由についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 国によりますと、手話は、障害者基本法において言語と位置づけられ、これまでに各種の施策が講じられてきており、また、本年、聞こえない人や聞こえにくい人の国際スポーツ大会であるデフリンピックが初めて日本で開催されるのを前に、手話に関する国民の関心も高まり、手話に焦点を当てた新たな法律の制定が必要となったものとされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和4年5月に制定されました障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律、いわゆる障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法と手話施策推進法との違いは何なのか、本市の見解をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律、いわゆる障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法につきましては、障がい者による情報の取得利用、意思疎通に係る施策を総合的に推進することを目的として、情報取得に資する機器の開発、提供に対する支援や、防災、防犯や緊急の通報についての支援などを定めたものでございます。
 手話に関する施策の推進に関する法律、いわゆる手話施策推進法については、手話に関する施策を総合的に推進することを目的として、手話の習得及び使用に関する施策、手話文化の保存などを定めたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法は、全ての障がいのある方による情報の取得利用、意思疎通に係る施策を総合的に推進することを目的としている一方で、手話施策推進法は、聴覚に障がいのある方など、手話に関する施策を総合的に推進することを目的として施行されたとのことであります。
 この手話施策推進法の施行前までの本市の聴覚障がいのある方への情報アクセシビリティの取組内容をお示しください。また、どの法律や条例を基にこれまで取組がなされたのか、お伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法、福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例、いわゆる福岡市障がい者差別解消条例などの趣旨を踏まえまして、手話通訳者や要約筆記者等の養成及び派遣を実施しております。また、区役所の福祉・介護保険課に聴覚障がい者支援員を配置するとともに、来所できない場合は、タブレットの画面を介して支援員と会話ができるようにしております。このほか、市長会見における同時通訳や聴覚障がい者情報センターによる相談対応などを行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 手話施策推進法が施行される前においても、様々な取組をしていただいているようであります。当然、手話施策推進法の施行後は、本市の施策がさらに進むことが期待されるところであります。
 手話に関する市民の理解と関心を広げるためには、各養成講習会等の受講生を指導する講師や、手話に関する専門的な知識や技能を持つ手話通訳者の存在がとても重要になってまいります。
 そこで、本市における手話通訳者の登録者数の過去5年の推移と平均年齢、新たに人材を確保するための本市の課題をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 登録者数につきましては、令和2年度が66人、3年度が67人、4年度が71人、5年度が74人、6年度が71人でございます。また、現在の平均年齢は55.7歳でございます。新たに人材を確保するための課題としましては、手話通訳者養成講習会などの周知を図り、より多くの方に受講していただく必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 本市には聴覚障がい者、視覚と聴覚に障がいがある盲聾者及びその家族などに対して、手話ボランティアや手話通訳者等の養成、派遣など、総合的なコミュニケーション支援を行う福岡市聴覚障がい者情報センターがあります。同センターで手話通訳者の派遣を調整していただいておりますが、先ほど答弁いただきました登録者71名で、年間約3,000件の派遣に対応してくださっているようであります。今のところ、どうにか派遣できているようですが、手話通訳者の派遣は調整がとても大変だと伺っております。現場の声としても、手話通訳者の高齢化、安定的な確保、養成、増員、資質向上のための研修の機会の確保、また、市外から来る講師の交通費、講師の補助員の費用など、経費的な課題もあるようであります。そういった現場が抱えている声をいかに予算に反映できるかが課題解決の一つになると思います。
 そこで、本市でも手話に関する人材がよりよい環境で活躍できるよう、同センターの現場の状況をしっかり聞いて、その声を反映していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、聴覚障がい者情報センターを設置し、手話通訳者などの養成や派遣などを行っており、現場の状況を踏まえて、手話通訳者の派遣単価などの改善を行ってまいりました。今後も現場の声を聞き、しっかりと状況を把握して、手話に関する人材が活躍できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 本市では、手話の初心者などを対象に、聴覚障がいや関連制度への理解を深め、基礎的な手話表現技術を習得し、聴覚障がいのある方とのコミュニケーション支援を行う手話奉仕員を育成します手話奉仕員養成講習会を実施していただいております。この講習会修了者は、手話でのコミュニケーション支援や交流活動の促進など、地域でのボランティア活動に期待をされております。その後、手話通訳者を目指し、手話通訳者養成講習会にステップアップする修了者もいらっしゃいます。
 先ほど、新たな人材確保の課題について、手話通訳者養成講習会などの周知を図り、より多くの方に受講していただく必要があるとの答弁をいただきました。より多くの方に受講していただくためには、今までの取組を継続するだけではなく、本気度を感じられるような思い切った新たな取組が必要であります。
 また、タイミング的にも、手話通訳者養成講習会の受講生へアプローチし、支援することが、手話通訳者を確保する一番の近道だと思います。その上で、この講習会の受講生の負担を軽減し、講習会で使用するテキスト代や受験料への助成を行い、新しい人材確保につながる学びの環境を整えてほしいと考えています。
 広島県尾道市では、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法を根拠に、令和5年度より意思疎通支援人材、手話通訳者の確保、育成を図るために、意思疎通支援に関する講座だけではなく、それに加えて、それぞれの資格取得のための受験料やテキスト代など、必要な費用の半額を助成しております。
 本市では、講習会の参加費用は無料にしていただいておりますが、不足している新たな手話通訳者を確保するため、今行っている講習会の参加費を無料にするだけではなく、新たに受験料やテキスト代等、助成を行うべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 受験料などの助成につきましては、現在のところ予定しておりませんが、講習会等への参加費は引き続き無料にし、今後とも多くの方に受講していただけるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 予算を伴うものは、すぐには難しいかもしれませんが、思い切った施策を早く打たないと、不足している手話通訳者の現状は変わりません。受験料やテキスト代などの助成については、今後前向きに検討していただくよう要望しておきます。
 令和2年に聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律が施行され、公共インフラとして、電話リレーサービスが全国的にスタートいたしました。
 そこで、電話リレーサービスとはどういうものか、お伺いいたします。
 また、このサービスには、どのような利用シーンがあるのか、具体例をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 聴覚や発話に困難がある方と、それ以外の方との会話を通訳オペレーターが手話などで通訳するサービスであり、家族や友人との会話、病院の診療予約などで利用が可能でございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)こちらが電話リレーサービスのイメージ図であります。例えば、聴覚障がいのある男性が奥さんの誕生日のお祝いにおいしいレストランを予約したいと思った場合、左の青の部分の男性が、真ん中の通訳オペレーターに手話で予約したい日時などを伝えて、その内容を通訳オペレーターがお店の人に音声で伝えます。また、その返事をお店の人が音声で通訳オペレーターに伝え、手話で男性に伝えるというのが一連の流れとなっております。投影ありがとうございました。
 今見ていただいたように、電話リレーサービスは、聴覚に障がいのある方にとって、公共のインフラとしてとても大切なツールですが、その存在や利用方法が広く知られておりません。これにより、聴覚障がいのある方が企業などに電話で問合せする際に、通話拒否や本人確認の壁に直面することが多くあると伺っております。
 そこで、聴覚障がいや発話が困難な方の電話の利用について、市民の理解をさらに広げるためにも、電話リレーサービスの普及啓発や周知が重要だと思いますが、本市の御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、電話リレーサービスの普及に向け、案内チラシの配布やホームページでの広報を行うとともに、当事者団体等を通じて周知を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 今の答弁では本市のホームページで広報を行っているとのことでありました。私も本市のホームページを拝見しましたが、Q&Aに記載されているだけで、広報を行っているというものではありませんでした。本市としてしっかりホームページを作成して、普及啓発を行うべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 御指摘を踏まえまして、本市ホームページでの電話リレーサービスの案内を充実させてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 令和7年4月から、新たに電話リレーサービスの仕組みを使った自治体や企業の問合せ窓口向けに手話リンクの提供がスタートしましたが、手話リンクとはどのようなものか、また、手話リンクを導入した場合の効果と費用についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 手話リンクは国による法人向けのサービスであり、聴覚障がい者等からの問合せを電話リレーサービスのオペレーターを介し、音声電話で受け取ることができるものでございます。国によりますと、利用者は登録手続を必要とせず、通話料の負担もございません。費用につきましては、法人は導入に係る初期費用はありませんが、利用者の通話料を負担することとなっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)今、御答弁にもありましたけれども、通常、電話リレーサービスの利用者は事前登録が必要ですが、手話リンクについては事前登録なしで利用ができます。手話リンクは自治体や企業向けのサービスでもありますが、ポイント1としまして、導入に係る初期費用がかからない。ポイント2、本市のホームページにリンクを張りつけるだけであります。ポイント3、支払いは通話料だけであります。ポイント4、通話内容は当然秘密厳守であります。また、利用者は、左下の緑の枠内にある「手話で電話」をクリックするだけで、ホームページから直接、窓口等に手話で問合せができる仕組みであります。資料3の投影をお願いいたします。(資料投影)実際に平成25年に手話言語条例を全国に先駆けて制定しました鳥取県では、電話リレーサービスを利用して、今年度よりホームページから直接問合せできる手話リンクを全国で初めて導入しております。今投影されている資料が鳥取県のホームページであります。左下のほうに手話リンクが張りつけられておりまして、「手話で電話をする」をクリックすると、直接窓口に手話で問合せすることができるということであります。投影ありがとうございました。
 そこで、本市においても、音声電話の利用が難しい方のため、アクセシビリティーの拡充につながる手話リンクを導入すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、区役所の福祉・介護保険課にタブレットを設置し、手話リンクと同様に、聴覚障がい者の方が手話により問合せや相談ができるようにしております。手話リンクの導入につきましては、今後、他都市の状況を踏まえ、検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 導入に向けて早急に検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 手話施策推進法には「災害その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合においてその安全を確保するため必要な情報を迅速かつ確実に取得することができるよう、手話による情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする」とあります。
災害発生時の避難情報などの情報が聴覚や視覚などの障がいのある方に届きにくいという課題がありますが、そういう方への本市の現在の取組をお伺いします。また、手話施策推進法を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) テレビやインターネットで避難情報を確認することが困難な方に対しましては、本人の希望に応じて、自宅の電話やファクスにお知らせをします避難情報配信システムにより情報提供を行っております。今後は、より多くの必要な方に御利用いただけますよう、このシステムの周知、広報に取り組むとともに、手話の活用なども含め、より分かりやすい情報提供の在り方について検討してまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 岡山市では、災害が発生する前にできることを知ってもらい、日頃の防災対策に役立てていただくため、音で情報が届きにくい聴覚に障がいのある方に手話言語を用いた防災啓発動画を作成しておられます。本市でも障がいに応じた適切な防災の啓発もさらに進める必要があると思います。岡山市の事例を参考に、聴覚障がいのある方への防災啓発動画を作成してみてはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 障がいのある方を含め、市民一人一人が防災の知識や意識を高めていただけるよう、市の防災に関するホームページでは、写真やイラストを積極的に使用し、視覚的に分かりやすいものとなるよう努めております。今後、他都市の事例等も参考にしながら、手話言語を活用した動画など、障がいのある方に、より分かりやすい広報、啓発について検討してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 令和5年に手話言語条例を制定した福岡県に調査に伺ったところ、乳幼児期から遊びなどを通して、親子で手話を学ぶ教室の開催、聞こえない、聞こえにくい乳幼児との関わり方についての保育所巡回相談、県庁と出先機関窓口にQRコードを用いた遠隔手話システムの導入、県職員向けの手話研修の実施、研修動画の作成による職員が手話を学ぶ機会の確保など、条例制定から2年余りで新たな施策が様々策定されておりました。担当者の方も条例を制定した意義や効果は非常に大きかったと言われていたのがとても印象に残りました。
 本市では、手話言語条例が制定されていないので、国の法律に歩調を合わせながら施策を策定することしかできないかもしれませんが、条例の後ろ盾などがあれば、本市独自の施策をさらに前へ進めることができると思います。今申し上げた福岡県のような新たな施策を進めるため、まずは聴覚障がいへの認識が深まるよう、本市職員向けの手話研修の実施や、遠隔手話システムの導入を足がかりとして取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 職員向けの手話に関する研修の実施につきましては、今後検討してまいります。また、遠隔手話システムにつきましては、聴覚障がい者情報センターにおいて、聴覚障がい者が病院などで活用できるものを提供しておりますが、区役所窓口においても活用できるよう検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 日本語には日本語の片仮名、日本語の平仮名、日本語の漢字、そして、日本語の手話があると聴覚障がいのある方からお話を伺いました。そのとき、手話は言語だということを改めて気づかさせていただきました。
 令和5年に福岡県手話言語条例が制定され、福岡県において具体的な施策が展開されたことは、先ほど来お伝えしたとおりであります。そのような中、国において令和7年に手話施策推進法が施行されました。
 そこで、本市においても、具体的な施策をさらに進めるために手話言語条例を制定すべきだと考えます。本年11月には東京デフリンピックが開催されます。デフリンピックの開催意義を鑑みて、改めて本市の見解をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、手話通訳者の養成や派遣、聴覚障がい者支援員の配置などを行っておりますが、手話施策推進法の趣旨にのっとっているものと考えており、今後もさらに推進してまいります。また、福岡市差別解消条例においては、手話を言語に含むこととしており、手話言語条例の制定については、国において障害者基本法に手話は言語と明記され、さらなる法整備を検討された中で、手話施策推進法が制定されたことを踏まえ、本市においても引き続き手話施策を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) この質問の最後に、手話施策推進法を踏まえて、福岡市における障がい者の情報アクセシビリティーの拡充について、島市長の決意をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 全ての市民が障がいの有無にかかわらず、自分らしく暮らせるためには、情報アクセシビリティーの確保は大変重要であると認識をしております。聴覚障がい者の支援につきましては、手話通訳者の派遣や聴覚障がい者支援員の配置、避難情報配信システムによる情報発信など、様々な取組を行っているところでありますが、手話に関する施策の推進に関する法律を踏まえ、さらに施策を推進してまいります。今後とも、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、しっかりと情報アクセシビリティーの推進に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 次に、選ばれる福岡市地下鉄を目指してについて質問してまいります。
 令和5年3月27日、福岡市地下鉄七隈線が、天神南駅から博多駅まで約1.4キロ延伸し、開業いたしました。七隈線が博多駅へ延伸開業したことで、天神南で下車しての乗換えが解消されるとともに、博多駅までの所要時間が14分短縮され、新幹線や在来線も含めたJRとの乗換えが便利になりました。また、博多駅から薬院への移動も、七隈線を利用すれば5分で移動が可能になるなど、都心部の渋滞緩和にも貢献していただいております。加えて、福岡空港へ向かう場合も七隈線の博多駅のホームと空港線の博多駅のホームは150メートル程度離れておりますが、従来の天神南駅から空港線天神駅との間よりも距離が短縮されただけではなく、改札を出なくても空港線、七隈線間の乗換えが可能となり、地下鉄の利便性が向上いたしました。
 初めに、福岡市地下鉄における過去5年間の1日当たりの乗客数と単年度損益の推移をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 1日当たりの輸送人員については、令和2年度が約30万4,000人、3年度が約33万6,000人、4年度が約39万9,000人、5年度が約48万2,000人、6年度が決算見込みで約52万4,000人となっております。次に、単年度損益については、令和2年度が約33億円の赤字、3年度が約2億円の黒字、4年度が約37億円の黒字、5年度が約85億円の黒字、6年度決算見込みで約93億円の黒字となっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 地下鉄の輸送人員は、令和3年度以降は緩やかに回復し、令和5年3月の七隈線延伸開業に加え、同年5月には新型コロナウイルス感染症の位置づけが変更されたことなどによって、令和5年度はコロナ禍前の水準を超えております。
 福岡市地下鉄長期ビジョンにおける令和7年度から5年間の収入と単年度損益の推移と収支計画の見込みについてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 収益的収入の見込みについては、令和7年度が約416億円、8年度が約423億円、9年度が約434億円、10年度が約441億円、11年度が約450億円となっております。次に、単年度損益の見込みについては、令和7年度が約68億円の黒字、8年度が約74億円の黒字、9年度が約68億円の黒字、10年度が約64億円の黒字、11年度が約78億円の黒字となっており、今後も一定の黒字を確保できると考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 今お示しいただいたように、単年度損益については今後も黒字が続くようであります。それらの収益を確保した上で、将来にわたって安全、安心で快適な輸送サービスと質の高いサービスを提供し続けることが重要になってまいります。
 福岡地下鉄では、人口の増加や海外からの旅行客の回復などによって、特に七隈線のラッシュの時間帯の混雑緩和が課題となっております。そのため夕方の七隈線の増便をされましたが、その効果をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 七隈線については、夕方の通勤ラッシュ時の混雑緩和を図るため、令和7年8月に6往復の増便を実施しております。これにより混雑率が120%程度から100%程度へと大幅に緩和し、ダイヤ改正の効果があったと認識しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) また、今後、朝のラッシュ時についても七隈線、空港線、箱崎線においても増便が必要になってくると思いますが、本市の御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 地下鉄の輸送人員は、空港・箱崎線、七隈線共に今後も増加すると予測しており、朝の通勤ラッシュ時間帯については、さらなる増便を行うダイヤ改正を検討しております。七隈線については、現在製作中の増備車両4編成を令和8年度から順次運行開始する予定としております。また、空港・箱崎線についても、現在増便に向けた運行ダイヤの編成に着手しており、今後も通勤ラッシュ時間帯の混雑緩和に向けて、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 混雑緩和に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 将来にわたって、安全、安心で快適な輸送サービスを提供し続けていくために、経営戦略を見直し、新たな中長期的な経営の基本計画として、福岡市地下鉄長期ビジョンが策定されました。
 ここからは、そのビジョンに沿った主な取組について伺ってまいります。
 初めに、安全、安心について伺ってまいります。
 令和6年度お客様満足度調査に、車内、駅構内への防犯カメラの設置を優先希望する声も約5割あります。車内防犯カメラと同様に、駅構内への防犯カメラ設置など、犯罪の未然防止にしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、今後の取組についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 地下鉄車両の防犯カメラについては、令和9年度までに全車両への導入を完了することとしております。地下鉄駅の防犯カメラについては、既に設置しているコンコース、ホーム、エスカレーターなどの主要箇所に加えて、上りエスカレーターにおける盗撮防止を徹底するため、全駅に約200台を増設する予定といたしております。これからもお客様に安心して地下鉄を御利用いただけるよう、防犯対策に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) また、同調査でスマートフォンのアプリを活用した通報システムの導入を希望する声が15%ほどありますが、交通局としての取組状況をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 令和6年度のお客様満足度調査において、利用者が望む痴漢、盗撮対策として、スマートフォンのアプリなどを活用した通報システムの導入を望まれた方が約15%おられました。交通局では現在、福岡県警察が推奨している110番通報や防犯ブザーなどの機能を有した防犯アプリ、みまもっちの普及促進に向けて、地下鉄駅や地下鉄車両における広報、啓発に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 防犯ブザーと110番通報機能を搭載したアプリ、みまもっちの普及啓発にもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、快適で質の高いサービスについて伺います。
 タッチ決済サービスの充実やQR乗車券の導入など、ICT技術の活用による利便性の向上を図っていくとのことでありますが、改札機の更新計画と、その費用についてお示しください。あわせて、QR乗車券に対応した改札機の導入理由と期待される効果についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 福岡市地下鉄では、老朽化した改札機の更新時期となる令和9年度及び令和10年度に合わせて、QR乗車券の導入を検討することとしており、全ての駅の改札機249台について、QR乗車券対応の改札機へ更新または改造するための費用として、約20億円を見込んでおります。QR乗車券対応の改札機は、現行の改札機に比べて構造がシンプルであるため、乗車券詰まりなどの機器の障害が少なく、また、保守点検費用も削減できるものと考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) QR対応改札機にすることで、メンテナンス費用が大幅に削減されるとのことであります。QR乗車券を導入する場合、券売機の改造も必要になりますが、その概要と費用をお示しください。
 また、この機会に障がい者の利便性向上のため、障害者手帳の情報をスマートフォンに取り込めるミライロIDを利用できる券売機に入替えできないのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 現行の券売機については、QR乗車券の発券機能を追加するためのシステム改修などに必要な費用として、概算で約8,000万円を見込んでおります。券売機とデジタル障害者手帳、ミライロIDとの連携については、全国の鉄道事業者における導入実績がないため、今後の導入状況を注視してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 次に、まちづくり、環境配慮について伺います。
 九州大学跡地のまちづくりの進捗に合わせた貝塚駅のリニューアルについて、設計内容をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 小田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 貝塚駅は建設から約40年が経過し老朽化が進行しているため、駅舎の内装や外壁などの改修工事を計画しております。環境に配慮し、九大跡地のまちづくりと調和した緑や温かみを兼ね備えた駅となるよう設計を進めてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) リニューアルにつきましては、緑や温かみを兼ね備えた駅となるよう、改めて進めていかれるようお願いいたします。
 そこで、地下鉄駅コンコース緑化事業について、目的と設計、工事の詳細をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 地下鉄駅コンコース緑化事業については、地下鉄利用者の約4割を占める天神駅、博多駅、福岡空港駅において、改札口周辺の緑化に取り組むこととしており、地下鉄を利用されるお客様の満足度の向上や地下鉄の魅力づくりにつながるものと考えております。設計、工事の進捗については、事業者公募により選定した事業者と8月末に設計施工一括契約を締結し、現在、設計作業を進めております。11月頃には各駅での設備工事や植栽等に着手し、令和8年2月の完成を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 緑化事業につきましては、市民に親しまれ、憩いの場となるように期待したいと思っております。
 次に、事業を支える経営基盤について伺ってまいります。
 広告料収入や駅ナカ事業収入の確保も重要な収入となりますが、それぞれの過去3年の収入額、今後の取組についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 広告料収入については、令和4年度は約9億1,000万円、5年度は約9億6,000万円、6年度は決算見込みで約9億2,000万円。駅ナカ事業収入については、4年度は約5億9,000万円、5年度は約6億8,000万円、6年度は決算見込みで約7億3,000万円でございます。今後の取組については、広告事業は、空港・箱崎線の新型車両のデジタルサイネージなど、広告価値の高い媒体の充実を図ってまいります。駅ナカ事業はお客様のニーズや駅周辺の特性等を考慮した店舗を誘致するなど、さらなる利便性の向上に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 駅ナカ事業につきましては、年々増収ということでもございますので、さらなる利便性の向上に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 ここまで福岡地下鉄の今後の取組について伺ってまいりました。
 ここからは、市民の方からいただいた相談や要望について伺ってまいります。
 聴覚に障がいのある方は聞こえないことのほかに、聞こえないことが外見から分かりにくい、コミュニケーションが取りにくい、音声による情報が伝わらないなど、不便さを持ち、特に電車やバスを利用して外出するときは危険なシーンに出会う可能性が高くなります。
 そこで、擬音語や擬態語を総称したオノマトペにちなんで、聴覚に障がいのある方をはじめとする利用者が駅ホームや電車の状況を把握することができるエキマトペというものがございます。そのエキマトペとはどのようなものか、お伺いをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) エキマトペは、聴覚に障がいがあるお客様に、より安全、安心に鉄道を御利用いただくために、駅のアナウンスや列車の音を文字や手話などに変換して、ホーム上のディスプレーに表示する装置でございます。これまでJR東日本が上野駅などで実証実験を行った実績はございますが、現時点で本格的に設置している鉄道事業者はないと承知しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 資料4の投影をお願いいたします。(資料投影)こちらが自動販売機の上の空間を活用した、今、答弁がありました上野駅で実証実験をしましたエキマトペの写真でございます。駅のアナウンスや列車が入ってきた音などを手話や文字などに変換して、画面に表示いたします。資料5の投影をお願いいたします。(資料投影)画面を拡大したものであります。左右2人が手話で駅ホームの状況を表し、その下、左側には日本語、右側には英語が表記されています。その下にガタン、ゴトンという電車の走行音やドアの開閉音のプシューという音を文字で表します。聴覚に障がいのある人にとって、情報を得やすくなるということであります。
 また、災害時にサイレンや放送が聞こえない、助けを呼べないといった状況は、聴覚に障がいのある方にとって命の危険につながります。駅ホームでの転倒リスクを回避したり、外出時の危険への気づきに効果を発揮するのが、このエキマトペであります。投影ありがとうございます。
 福岡市市民福祉プラザ、ふくふくプラザには、聴覚障がいをはじめ、様々な障がいのある方が全国から来られます。より安全、安心に地下鉄を御利用いただくために、全国に先駆けて、このエキマトペを、まずは最寄り駅に設置してほしいと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 地下鉄駅において、聴覚に障がいのあるお客様を含む全てのお客様に対して、正確で分かりやすい案内を行うことは重要であると認識しておりまして、現在、駅ホーム上の案内表示器に列車の接近や行き先、発車時刻など、文字情報による案内を行っております。今後、議員御提案の新技術を活用したサービスの導入について検討を進め、聴覚に障がいのある方を含めて、全てのお客様が安心して利用できる地下鉄を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いします。
 また、先日、市民の方から相談をいただきました。その方は福岡市地下鉄に忘れ物をしてしまい、福岡市地下鉄ホームページからお客様サービスセンターを検索し、電話で問合せしたものの、残念ながら忘れ物は出てこなかったとのことでした。
 その相談者の方からは、福岡市地下鉄は駅窓口に伺うか、電話でしか対応できないものなのでしょうかとの御意見をいただいたところであります。
 初めに、福岡市地下鉄における忘れ物、落とし物の主な品目と過去3年間の件数をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 忘れ物、落とし物の主な品目は、乗車券購入時の釣銭、現金、傘、ハンカチなどの生活用品類となっております。過去3年間の件数は、令和4年度が6万2,303件、5年度が7万7,968件、6年度が8万2,193件となっております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 年々増加傾向にあり、現金や傘、生活用品類など、令和6年度は8万2,193件、1日平均で計算しますと約225件の忘れ物を拾得していることになり、その管理はもとより、落とされたお客様へ無事お返しできる仕組みがとても重要だと思います。
 そこで、忘れ物、落とし物などをした場合、それらの遺失物を管理するシステムなどあるのか、お伺いします。また、事業者側の対応と利用者の問合せ方法についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 地下鉄内の忘れ物、落とし物については、AIが画像を自動認識し、必要な情報を登録する遺失物管理システムで管理しております。お客様からの問合せについては、お客様サービスセンター及び駅の窓口で対面による問合せ、電話による問合せ、交通局ホームページからのメール問合せにより対応しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 答弁によりますと、問合せ方法については、お客様サービスセンター、駅窓口での対面、電話、メールによる照会を行っているようです。
 また、その方が言うには、西鉄グループではバスと電車等で忘れ物をした場合、電話での問合せに加えて、LINEを使った問合せができたり、メールでの分かりやすい問合せフォームが記載されていたり、ホームページに記載されている問合せ方法が非常に分かりやすかったとのことでありました。
 実際に私も福岡市地下鉄のホームページを拝見しましたが、お客様サービスセンターの電話番号の記載はすぐ分かったものの、問合せのメールフォームにたどり着くまで手順が多くて、とても時間がかかりました。聴覚に障がいのある方や声を発することができない方などへの合理的配慮を考えますと、さらに分かりやすいホームページの構成と問合せ方法が必要だと感じました。
 そこで、忘れ物、落とし物の対応については、聴覚障がいのある方など、お客様誰もが、より分かりやすく、簡単に問合せできる環境を整えていくべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 聴覚に障がいのあるお客様からの問合せについては、交通局ホームページからのメールによる問合せのほか、お客様サービスセンター及び駅の窓口において、筆談による対応を行っております。忘れ物、落とし物に関する問合せについては、地下鉄を利用される全てのお客様が、より使いやすい仕組みとなるよう、交通局ホームページのアップデートや遺失物管理システムのリニューアルに取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 できるだけ早くホームページのアップデートやシステムのリニューアルに取り組んでいただいて、お客様の満足度向上につながることを期待しております。
 令和5年3月に七隈線が延伸したことで、都市の回遊性が向上し、1日に50万人が利用する地下鉄への期待も高くなっております。利用者の地下鉄の満足度は、都市のイメージも左右するものだと思っております。
 最後に、都市の魅力を高めるために不可欠な地下鉄の利便性向上に向けて果敢にチャレンジし続ける島市長の意気込みをお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市地下鉄は日常を支える公共交通機関として、市民生活、都市活動に欠かせない都市基盤であり、都市の魅力を高める重要な役割も担っていると認識をしています。今後とも都市の魅力や活力が向上し、福岡市が多くの人々や企業から選ばれ続けるよう、安全、安心で質の高いサービスの提供にチャレンジをし続けてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) この際、休憩し、午後3時5分に再開いたします。
午後2時55分 休憩
午後3時5分 開議
○議長(平畑雅博) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、吉武高木遺跡の保存、活用について、幼保認定こども園の空き定員の活用について、保育園、幼稚園から小学校へのかけ橋期における教育の充実に向けて、以上3項目について質問をさせていただきます。
 まず、吉武高木遺跡の保存、活用についてであります。
 本市には2000年を超える豊かな歴史の積み重ねがあり、市内各地で今日まで伝えられてきた文化財は貴重な歴史遺産であるとともに、地域の魅力を形づくる貴重な資源でもあります。地域に残された文化財の価値や魅力を広く伝えることによって、地域に対する誇りを育むとともに、地域のにぎわいにつなげることができると考えております。
 西区は吉武高木遺跡、今宿古墳群、元寇防塁などの国指定史跡をはじめ、市内の中でも多くの文化財が存在するエリアであり、それらをぜひ多くの人に知ってもらい、実際に訪れてもらいたいと考えております。実際に、地域の方からも市内の文化財の活用に期待する声を多くいただいており、特に吉武高木遺跡は、発見当時、最古の王墓としてマスコミをにぎわし、弥生時代のイメージを変えたと聞いております。地域の方々の期待も大きいことから、特に高い重要性を有していると実感をしております。
 それではまず、吉武高木遺跡はどのような歴史的重要性を有するのか、お尋ねをいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目は自席にて行わせていただきます。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 吉武高木遺跡につきましては、昭和59年度から始まった発掘調査で、弥生時代のかめ棺墓や木棺墓のほか、大型建物跡などが発見されております。中でも、三種の神器をイメージさせる、鏡、勾玉、剣がセットで副葬された墓は最古の王墓とも呼ばれ、注目されております。その歴史的重要性から、弥生時代における国の成立過程や社会構造を解明するために欠かせない遺跡として、平成5年に国史跡に指定されております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 次に、吉武高木遺跡がこれまでどのように整備され、活用されているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 平成24年度から国史跡指定地の整備を行い、平成29年4月からやよいの風公園として一般開放しております。現地には、発掘されたかめ棺や出土品のレプリカを触ることができる展示や、史跡の価値を理解してもらうための説明板等を設置しております。また、地域と連携し、史跡の維持管理や花畑としての公開活用などに取り組んでおります。特に毎年11月頃に開催するコスモスまつりは、1日で約1,000人の来園者を迎えるイベントとなっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 吉武高木遺跡は高い歴史的重要性を有し、来訪者の理解促進や地域との連携が行われているとのことで、当遺跡が、これまで本市や地域の方の大きな期待を受けていることが分かります。
 それでは、やよいの風公園を訪れる方々の主な目的はどのようなものか、また、来園者はそこが重要な史跡であることを知っているのかどうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 来園目的につきましては、本年実施した来園者アンケートによりますと、広場での遊びや散歩、休憩といった目的が約90%となっております。また、来園者が重要な史跡であることを知っているかについては、来園時には4%と低いものの、来園後には51%まで認知度が向上しており、公園利用を通じて史跡に対する認知が高まっているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 様々な取組があるにもかかわらず、来訪者の方には吉武高木遺跡の歴史的重要性や魅力が十分に伝わっていないということで、私自身も、保存会や地域の方などからそういった話を頻繁に伺っております。
 それでは、来園者に団体利用はあるのか、あれば、その実績をお尋ねいたします。また、遠方から団体バスや自家用車などで来園される方にとっては史跡の場所が分かりにくいとも聞いております。案内標識等の状況についてもお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 団体利用につきましては、事前予約で把握した実績で申し上げますと、令和6年度は早良区と西区の小中学生や未就学児を中心に11団体、約2,000人の申込みがあっております。また、史跡を案内する都市サインを主要なアクセス道路に5基設置しておりますが、分かりやすい案内や誘導につきまして、引き続き検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 今後、来園者を増やすためにどのように取り組むのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 来園者を増やす取組につきましては、ホームページやSNSを活用した史跡の魅力発信やイベントの広報などに取り組むことにより、遠足やピクニックなどの幅広い利用とともに、修学旅行や社会科見学など、学びを目的とした来園者の増加につなげてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 来園者からは実際にどのような声が寄せられているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) アンケートによりますと、いつもきれいで過ごしやすい、風が気持ちよく、広々と使えてありがたいといった感想が寄せられているほか、自然や花に触れるイベントや暑さと雨をしのげる休憩スペースの確保など、公園利用に関する要望に加え、歴史を学ぶプログラムの実施など、史跡の歴史的価値を知るための取組を望む声が寄せられております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 来園者の大半は史跡の具体的な内容を知らずに訪問しているようですが、公園としての周知が進むことは、歴史への関心が高くない方々にも史跡を知ってもらうきっかけとなり、史跡理解の間口を広げることにもつながると思います。
 私自身は地域で史跡の保存、活用に直接関わっている吉武高木遺跡保存会の皆さんと話をさせていただく機会が多くあり、保存会の方からは、もっと多くの方に史跡の価値を知ってもらいたい、地域にとっての誇りとして生かしていきたいとの熱意を強く感じております。
 そこで、遺跡保存会など、地域の方々から市に対して今後の史跡の活用についてどのような意見が上がっているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 地域からは、史跡としての知名度を高め、子どもたちが歴史を学べる場になってほしいという意見のほか、草刈りなどの維持管理を持続する上で、公園の管理や休憩ができる施設を望む意見が上がっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 地域の方々は、吉武高木遺跡を次世代への歴史、文化の継承や地域コミュニティ活動の拠点としたいという思いであることが改めて分かります。また、これは日頃から伺っている保存会の方の話も含めて感じているところでありますが、史跡の保存活用には地域と行政が同じ方向を向いて一緒に取り組むことが何よりも大切であると、より一層実感をいたしております。
 今後、地域と一緒に史跡のさらなる活用を検討する上で、福岡市が策定した福岡市文化財保存活用地域計画が出発点になると思いますが、福岡市文化財保存活用地域計画の概要についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 令和4年7月に策定した福岡市文化財保存活用地域計画につきましては、基本目標として、2000年都市の歴史文化を継承し、「生活の質の向上」と「都市の成長」の好循環を創出するため、文化財を知る、守る、活かす取組を推進することとしており、歴史文化を活かした共創による地域づくりや学び合いを通じたコミュニケーションの活性化などに向けた文化財の活用を図ることとしております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 福岡市文化財保存活用地域計画の中で吉武高木遺跡はどのような位置づけとなっているのか、所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 地域計画において、室見川の恵みに育まれた肥沃な土地にあって、連綿と続いてきた人々の営みを体感できる田隈、金武エリアの主要な文化財として位置づけております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 吉武高木遺跡の重要性は、福岡市文化財保存活用地域計画においても共有されております。
 弥生時代の史跡であれば、同時代の佐賀県の吉野ヶ里遺跡が有名でありますが、本市の中でも博多区の板付遺跡は歴史教科書にも掲載され、知名度の高い史跡であります。また、近隣の春日市や糸島市などにも重要な弥生時代の史跡が点在していると聞いております。私は、吉武高木遺跡がもっと知られることで、関連する史跡の回遊促進にもつながると考えております。
 そこで、今後の吉武高木遺跡の保存、活用について、経済観光文化局長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 吉武高木遺跡につきましては、弥生時代の原風景を体感し、当時の様子を学ぶことができるやよいの風公園として整備し、地域の方々とともに、史跡の維持管理や活用に取り組んでまいりました。今後も、市民が地域に対する誇りと愛着を持てるよう、また、市内外からの来訪につながるよう、周辺エリアの観光資源や弥生時代の史跡を巡る回遊ルートの情報発信のほか、史跡について学ぶ場の提供など、吉武高木遺跡の活用について、さらに地域や文化庁などの関係機関から御意見を求めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 吉武高木遺跡については、地域の方々の関心と期待が非常に強く、より多くの方々に親しまれる潜在的な可能性が高いと期待しております。今後、より多くの方が史跡を訪れ、その魅力や価値を体感できるよう、ハード、ソフト両面からの充実をぜひ検討いただきたいと思います。そのためには、来訪者の視点に立った分かりやすい工夫や、また来たい、人に伝えたいと思えるような場づくりが大切であります。
 市民、地域とともに吉武高木遺跡の魅力を発信し、その価値を未来につなぐ取組を引き続き丁寧に進めていただくことを要望し、1問目の質問を終わります。
 次に、幼保認定こども園の空き定員の活用についてお尋ねをいたします。
 全国的に少子化が進んでいる中、最近、保育園や幼稚園が閉園するというニュースを目にするようになりました。私には、幼稚園、保育園、認定こども園の園長先生から、空き定員が出ているという話や少子化を見据えた今後の在り方について悩む声を伺うことがよくあります。保育園、幼稚園等は地域の子どものための貴重な保育、幼児教育の施設なので、こうした未利用の余裕スペースを、地域住民が交流し、多世代がつながる場などに有効活用できないかと考えており、質問していきたいと思います。
 まず、福岡市における幼稚園、保育園、認定こども園の定員割れについて、定員数と入所者数に10名以上の差が生じている保育園の数と、そのパーセンテージについてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 10人以上定員に空きがある保育所等は116か所で、全保育所等に占める割合は約24%となっております。幼稚園等につきましては、設置認可のときに設定した定員との差になりますが、105か所で、全幼稚園等に占める割合は約91%となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 幼稚園の空き定員数は原則変更を行わない認可定員との差ということですので、数自体は多くなると思いますが、保育園と比べて施設に余裕が生じている園の割合が高いようであります。
 次に、10名以上空き定員がある行政区別の数についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) お尋ねの施設数は、保育所等は東区20か所、博多区12か所、中央区9か所、南区18か所、城南区10か所、早良区19か所、西区28か所で、幼稚園等は東区17か所、博多区11か所、中央区11か所、南区25か所、城南区12か所、早良区18か所、西区11か所となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 福岡市では、定員に10名以上空きのある保育園は約24%ということであり、特に私の地元、西区の保育園においては28園と市で一番多い区となっております。
 それでは、現在、定員を満たさない保育園にはどのような対応を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 定員を満たさない保育所については、地域における保育需要の状況等を踏まえ、各保育所の運営者と協議を行い、定員の適正化を図ることで安定的に運営できるように支援をしております。また、こども誰でも通園制度などの多機能化や認定こども園化などにより、空き定員の活用を促すなど、各保育所の実情に応じた助言等を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 次に、保育を必要とする家庭の増加により、幼稚園は年々入園する子どもが減少しており、幼稚園は施設に余裕が生じている園の割合が高くなっていますが、施設に余裕がある幼稚園に対してどのような制度があるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 施設に余裕がある幼稚園につきましては、預かり保育や3歳未満児受入れ促進事業を活用することで、保育を必要とする子どもも幼稚園で受け入れることができることとなっております。また、認定こども園への移行やこども誰でも通園制度、一時預かり事業などを実施することで、幼稚園の教育資源を活用することができることとなっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 幼稚園についても、空きスペースを活用した様々な制度があります。現在、各園に助言を行っているとのことでありますが、今後はさらに各保育園や幼稚園の実情を丁寧に聞いて、各園に応じた適切な助言を行っていただくよう要望しておきます。
 近年、地域包括ケアや共生社会の考え方が広まる中で、高齢者と子どもが日常的に交流できる場を地域に持つことの重要性が指摘されています。私自身、地域の方からそういった場を求める声をいただいております。
 そこで、保育園や幼稚園を地域貢献のために活用している事例や地域貢献に活用した場合の補助制度などをお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所等では、子ども食堂の実施や地域の高齢者を招き在園児と交流する機会を設けるなど、各園で主体的に様々な取組が行われており、幼稚園でも入園する前の家庭を対象とした親子教室を実施するなど、園主体で様々な取組が行われております。福岡市といたしましては、保育所や幼稚園等を地域住民のために活用する場合、要件を満たす取組について運営費の加算を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 現在も、幼稚園、保育園を地域貢献のために活用する取組が行われているようですが、空いている部屋を地域の子育て支援の拠点として活用することについて、市としての見解をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所や幼稚園の空きスペースを、こども誰でも通園制度や保育所等に通っていない親子の集いの場などに活用することは、子どもの集団生活の経験や子育て家庭の相互交流につながるなど、子どもの健やかな成長に資するものであると考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 空いている部屋は単なるスペースではなく、幼稚園、保育園等が中心となって地域の新たなつながりを生み出す地域資源とも呼べます。
 保育園、幼稚園、認定こども園は、保育や教育の場であると同時に、地域の子どものため、また、高齢者が子どもと自然に関わり合えるような場づくりの一環として、ぜひ柔軟な発想での検討、活用を進めていただきたいと考えておりますが、こども未来局長に御所見をお伺いし、2問目の質問を終わらせていただきます。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 全国的に人口減少が進む中、保育所等がその施設を活用し、地域の子育て世帯を支援する取組などを通じた地域づくりの拠点となるよう、保育所等の多機能化に向けた様々な事業がこども家庭庁において構築され、効果検証が行われているところでございます。福岡市においても、こども誰でも通園制度など、保育所等の多機能化に向けた事業を様々な形で促進しており、今後も国の政策動向を注視し、保育所や幼稚園等における子育て支援など、地域づくりに資する取組について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 次に、保育園、幼稚園から小学校へのかけ橋期における教育の充実に向けて、お尋ねをいたします。
 幼児期の保育、教育は生涯にわたる人格形成の基礎を培い、好奇心や探求心、創造性や社会性などの生きる力を育む極めて重要なものであり、全ての子どもにひとしく質の高い教育の機会を与えて、子どもたちの成長を促していくことが大切であります。日本の未来を担う子どもたちのために、幼児教育、保育に真摯に取り組んでおられる幼稚園、保育園の先生方からは、現場ならではの御苦労や率直な御意見をよく聞かせていただきます。その中の一つに、保育園や幼稚園における幼児教育から小学校教育における接続期の教育、具体的には年長から小学校1年生の期間のかけ橋期と呼ばれる2年間について、幾つかの園長先生たちから課題の声をいただいたため、今回の質問に至りました。
 保育園、幼稚園の年長から小学校1年生への進学は大きな段差があると言われております。子どもたちが生活環境の変化でストレスを感じたりすることで様々な問題が起こるなどの小1プロブレムと呼ばれる課題となっていると聞きます。私自身、6人の子育てを通じて小1プロブレムの存在は実感しており、また、周囲の保護者の方、幼稚園、保育園等の先生方、小学校の先生方からも多くの御相談を受けております。この時期に子どもたちがスムーズに環境の変化に慣れ、楽しく健やかに小学校になじんでいくことは、保育者だけでなく、保護者も願っているところだと思います。子どもたちの健やかな成長のためには、現場はもちろんのこと、国、自治体の支援が大切であるのは言うまでもありません。
 そこでまず、国はかけ橋期の教育についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) かけ橋期の教育につきましては、中央教育審議会、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会の取りまとめにおいて、幼児期は遊びを通して学び、小学校以降の学習の基盤となる芽生えを培う時期であり、小学校では、その芽生えをさらに伸ばしていくことが必要であると示されております。特に小学校入学当初においては、幼児期に育まれた資質、能力が低学年の各教科における学習に円滑に接続するよう、保幼小が意識的に協働し、かけ橋期における教育の充実を図ることとされております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) それでは、国の考え方を受けて、福岡市としてはどのように考えているのか、お伺いをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) かけ橋期の教育につきましては、保幼小の教員等が協働して子どもの発達や学びをつなぐことにより、生涯にわたる学びや生活の基盤をつくることが重要であると考えております。また、かけ橋期の円滑な接続を一層意識し、幼児期の子どもそれぞれの特性など発達段階を踏まえ、一人一人の多様性や学びの連続性に配慮しつつ、教育内容や教育方法を工夫する必要があり、こども未来局や関係機関と連携していくことが大切であると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 保育園や幼稚園の先生からの話では、保育園や幼稚園から小学校に進級すると、遊び中心だった生活から授業がメインとなり、さらに、時間割に沿って動くなど、生活環境やルールなどが大きく変わり、子どもたちは初めてのクラスメートや担任の先生との出会いに期待感を持ちつつも、不安感が大きくなっているとのことであります。この期間は、より子どもたちに寄り添った取組が大切になると思いますが、実際に入学を機に、子どもたちがうまくなじめない、場合によっては不登校になる子もいると聞いております。これがいわゆる小1プロブレムと呼ばれる問題の中で特に大きな課題ではないかと感じております。
 そこで、小学校1年生における国と福岡市の直近3年間の不登校児童数と、児童数に対する割合をお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小学校1年生における不登校児童数と全児童数に対する割合につきましては、令和3年度が、国は4,534人、0.45%、福岡市は94人、0.68%、4年度が、国は6,668人、0.67%、福岡市は205人、1.47%、5年度が、国は9,154人、0.95%、福岡市は183人、1.36%となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 国においては、小学校1年生の不登校割合が徐々に大きくなっているようであります。また、本市においては、小学校1年生の不登校児童数が3年連続で全国平均を上回っている状況であります。
 不登校は、必ずしも子どもにとって一方的な問題であるとは限りませんが、いわゆる小1プロブレムなどに直面した子どもたちが、今後も含めて、学びや同世代の友達と交流の機会を十分に持てないのではないかということが危惧されます。子どもたちの大切な接続期におけるこのようなつまずきを少しでも和らげ、子どもたちが安心して一歩を踏み出せるようにするためには、就学前の幼児教育、保育と小学校との連携がこれまで以上に重要になってくると考えられます。
 そこで、具体的に各保育園、幼稚園では、小学校教育を見通してどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 各保育所や幼稚園等では、児童の成長、発達に応じ指導計画を作成しておりますが、特に小学校に進学する前年の年長時は、就学を見据えた指導計画を作成しております。子どもたちのスムーズな小学校への進学に向けて、保育所や幼稚園等の職員が小学校における各行事や学校職員の夏季研修会などへ参加をしております。また、学びの連続性と児童一人一人に適切な支援を保障するために、児童ごとに保育所児童保育要録や幼稚園幼児指導要録を作成し、小学校に送付しております。加えて、福岡市においては、就学に向けた準備を支援するために、今年度から5歳児健診のモデル事業を実施しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 保育園、幼稚園では、お子さんの成長、発達に応じた指導計画、いわゆる子どもの育ちを支える計画が作成されております。年長児においてはその計画が小学校への進学を見通した内容となっているとのことで、進学に向けて先生同士が連携されるなど、しっかり取り組まれているようであります。
 それでは次に、受入れ側である小学校側として、進学してくる子どもたちが、小学校を心から楽しみにして、行きたいと思ってくれる環境を整えていくことが大切だと思いますが、各小学校では、保育園や幼稚園の学びを踏まえてどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小学校における保育園や幼稚園との連携につきましては、学校行事や生活科などの学習における子どもたちの交流をはじめ、子どもたちの育ちや学びの様子を共有するため、保幼小の連絡会などを実施しております。また、小学校に入学して間もない子どもたちが幼稚園や保育園での遊びや環境を通した学びを基盤にスムーズに学校生活に適応できるよう、生活科を中心とし、体験的に学ぶカリキュラムを実施しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 小学校に入学した直後から勉強が始まるわけではなく、小学校にスムーズに慣れることができるよう、1年生のカリキュラムに配慮されているということであります。保育園や幼稚園、小学校それぞれで、子どもたちのスムーズな進学、受入れに対応できるよう取組がなされているとのことでありますが、この中で実際に現場での課題の声があるということだと思います。
 そこで、幼児教育施設、小学校、それぞれ様々な取組が行われていますが、本市においては各保育園や幼稚園、小学校の現場ではどのような課題の声が上がっているのか、市の認識をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所や幼稚園等からは、進学する小学校が複数にわたるため、それぞれの学校と連携を取ることについて難しさがあるとの声を聞いており、連携が取りやすくなるよう、福岡市といたしましても支援が必要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小学校につきましては、様々な保育園や幼稚園、家庭環境で育った子どもたちが入学してくるため、入学時点で子どもたちの経験や環境に違いがあり、より丁寧に、一人一人に合わせた対応が必要であると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 現場の先生たちからも、行政の支援を求め、より一人一人に合わせた対応を行おうとされている声が私にも届いております。
 幼児教育を担う施設は、幼稚園、保育所、認定こども園など、公立、私立を問わずに様々な形で運営がなされています。一方で、義務教育となる小学校は公立の学校が多い状況にあり、連携が難しいというのはよく分かります。そのような中で、ほかの都市で行われている幼児教育センターのような取組が福岡市にあれば、連携がしやすくなるのではないかという声をいただきました。幼児教育センターは、幼児教育に関する調査研究や、幼稚園教諭、保育士、保育教諭に対する研修機会の提供、幼児教育アドバイザー候補者の育成、相談業務、市町村や幼児教育機関に対して高い専門性を持つ人材の育成について都道府県などで広域的に取り組み、地域の幼児教育のさらなる質の充実、ひいては保育園や幼稚園から小学校への接続期の支援についても効果を果たす仕組みとして、文部科学省が取り組んでいる施策の一つであります。世田谷区や広島県などは、組織として設置されているようであります。平成30年度に文部科学省から東京大学に委託される形で行われた調査によると、自治体の幼児教育担当者が、センター設置によって幼保小連携に高い効果を得られたと認識しているとの結果も出ております。
 このような取組は、接続期における課題を解決するために有効であると思われますが、市の見解をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 幼児教育センターにつきましては、福岡市では、その役割を担う保・幼・小・中連絡協議会を平成26年に設置しており、幼児期の教育や校種間の連携の在り方などを定期的に協議しております。また、福岡県と連携し、幼稚園教諭や保育士に対する研修も実施しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 保・幼・小・中連絡協議会において幼児教育センター的な役割を担っているとのことですが、文部科学省の取組における、もう一つのポイントである幼児教育アドバイザーについても紹介をいたします。
 幼児教育アドバイザーは、幼児教育の専門的な知見や豊富な実践経験等を有し、域内の幼児教育施設等を巡回して、教育内容や指導方法、環境の改善等について指導を行う専門的支援人材であり、福岡県にも配置されています。幼児教育センターが中心になって幼児教育アドバイザーの派遣などに取り組んでいる事例もあるようで、私には、園長先生たちから幼児教育センターの設置を望む声もいただいております。
 福岡市においても、保・幼・小・中連絡協議会という幼児教育期と小学校の接続期における支援体制があるとのことであります。一方で、幼児教育アドバイザーは県の取組であり、保・幼・小・中連絡協議会は福岡市における取組であります。これらのことで、私に、幼稚園や保育園の先生から多くの御相談をいただく場面があります。これは、支援策の所管が多岐にわたっており分かりにくいということと、市の支援の取組や接続期の連携が、まだ十分と言える状況ではないということだと思います。
 今後、他都市の例も参考に充実させていく必要があると考えます。こういった現場の声を大切にし、今後、保育園、幼稚園で培った子どもの育ちや学びを生かした教育をより一層充実させていくために、福岡県における幼児教育アドバイザーなども含め、かけ橋期における支援策を広く知ってもらえるよう周知するとともに、小学校入学後も安心して学ぶことができるよう、さらなる取組の充実を図るべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) かけ橋期の教育につきましては、今年度から小学校1年生の担任と幼稚園教諭や保育士が集まる研修を実施することとしており、関係者へ広く周知を図ってまいります。また、かけ橋期に育みたい資質、能力や目指す子ども像を保幼小で共有するとともに、各園での活動や小学校の各教科の学びに生かすことのできる資料を作成し、共有するなど、さらなる連携強化に努めてまいります。今後とも、こども未来局をはじめ、県や関係団体と連携を深め、子どもの興味関心や一人一人の個性に応じた多様で質の高い学びを実現するため、かけ橋期の教育の充実に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 淀川幸二郎議員。
○3番(淀川幸二郎) 最後に、かけ橋期における教育は幼児期と小学校を円滑につなぐ大事な教育であり、今後も教育委員会とこども未来局がさらにしっかりと連携して取り組んでいくことが必要であると考えますが、島市長の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) かけ橋期における教育につきましては、子どもたちの将来にわたる学びや生活の土台を形成する上で大変重要であると考えています。そのため、子どもの成長を中心に据え、小学校と幼児教育施設との間で情報共有や交流を活発に行うなど、立場を超えて連携し、切れ目のない取組が必要であると考えています。今後とも、教育委員会と連携を図りながら、子どもが安心して学び、健やかに成長できるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、日本政府が推進するふるさと納税制度に対して、福岡市の財政に与える影響と今後の課題について一般質問をさせていただきたいと思っております。
 まず、ふるさと納税制度の創設に向けての議論が起こったのは、平成18年、2006年3月の、過疎化が原因で税収が減少している自治体があり、地方間で税収に格差が生じているという日本経済新聞の報道を契機として議論が活発化していったと記憶しております。その後、その新聞報道のとおり、税収の減少に悩む自治体に対して格差是正を推進するための新構想として、ふるさと納税制度の発案者と言われております西川一誠、当時の福井県知事が、その年の10月にふるさと寄附金控除の導入を提言し、翌年、平成19年6月、総務省が設けたふるさと納税研究会に西川知事が委員に選任され、制度の創設に賛成の立場から積極的に発言をしたと言われています。今でも、都市圏での活動の機会が多いスポーツ選手や芸能人の中には、実際の住所以外の場所で純粋に何らかの貢献をしたいという人が存在し、ふるさとへの思いから、生活の拠点や住民票を移すことなく、ふるさとに住民税を納め続ける方もいらっしゃいます。
 当時の政府も、安倍晋三首相が総裁選期間中も議論してきた重要な問題として、ふるさと納税制度の生みの親と呼ばれている菅義偉、当時の総務大臣が第1次安倍晋三政権の下、平成19年、2007年5月にその創設を表明し、平成20年、2008年4月の地方税法等の改正によって同年5月からふるさと納税制度が開始されたと記憶しています。
 ふるさと納税に関する様々な文献やインターネット等の情報ツールの中には、人口減少していた地方にとっては、自主財源の確保、それと、地域経済の振興、知名度の向上や交流人口の拡大など、相乗的な効果をもたらしているとか、過疎で需要が低迷していた地場産品がふるさと納税の返礼品に取り扱われることにより販路が拡大するとともに、増えた税収で住民への社会保障が充実し、さらに返礼品生産者らが、高まる需要に雇用を増やすなど地方を潤す結果となっているというようなポジティブな情報もあります。その一方で、都市部との格差や過疎などにより、税収の減少、慢性的な財政赤字に悩む市区町村長からは歓迎、賛成する意見が多いが、税収が流出するという都市部の市区町村からは反対や慎重な意見が多いというネガティブな情報もあります。
 そもそも税金というのは、社会保障、福祉や社会資本整備、公的サービスを運営するための費用を賄うものと私は小学生のときに習った記憶があります。みんなが互いに支え合い、ともによりよい社会をつくっていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要であると考えています。特に個人住民税は、言わば地域社会の会費と位置づけられ、地方税の中でも基礎的地位を占めるものであります。
 そこでまず、地域社会の会費としての個人住民税の制度がある中で、ふるさと納税制度が導入された背景、目的についてお尋ねをいたします。
 以下の18問に関しては自席にて行わせていただきます。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) ふるさと納税制度につきましては、国におきまして、都会に住んでいても生まれ育ったふるさとに自らの意志で納税できる制度について問題提起され、創設されたものでございます。国での検討におきまして、納税先を分割する方式について受益と負担や課税権の在り方などの観点から検討された結果、国民が自らの意志で自治体を選択して寄附した場合に、住民税及び所得税からの控除を認める寄附金税制として導入されております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) ふるさとに納税できるよう制度が導入されたとのことですが、実際には生まれ故郷でない自治体に、返礼品ば目当てにして寄附する事例も多いのではないかと思っています。
 そこで、ふるさと納税制度におけるふるさとという言葉についてどのように定められているのか、その趣旨を併せてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 国での検討におきまして、出生地や養育地などを厳密に証明することが容易ではないこと、また、それぞれの納税者がふるさとという言葉に対して持つイメージや考え方が様々であることを踏まえまして、納税者の意志を尊重する観点から、ふるさととすべき自治体を制度上限定することは適当ではないとされております。そのため、納税者が寄附先を任意に選択することが認められております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 制度の導入の経緯は分かりました。寄附先の制限がないことは、自治体間競争を招く制度上の問題だと私自身考えております。
 さて、ふるさと納税は住民税だけではなくて、所得税でも控除が行われていると思います。
 なぜ所得税も控除対象とする考えが取られているのか、答弁を求めます。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 納税者の選択を通じまして、税に対する意義や我が国を構成するふるさとに対する思いが高まるなど、自治体のみならず、国にとっても意義を有するものであることから、国も相当程度の役割を担うことが望ましいとされ、国と自治体がそれぞれの責任に応じて一定の役割を果たすため、所得税と個人住民税の双方を対象とする制度とされたものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今お伺いした制度を実現するための法的根拠になっているのが、まず、地方税法の第37条の2、それと第314条の7、これは寄附金税額控除という項目ですたいね。もう1つ、所得税法の第78条、これも寄附金控除でありますけれども、ふるさと納税は税制度においてどのように控除が適用されるのか、その概要についてお尋ねをいたします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 原則としまして、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税において総所得金額等の4割、住民税所得割において総所得金額等の3割を限度にそれぞれ税率を乗じた額を控除し、残余を住民税所得割において所得割の2割を限度に控除することとされております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今答弁があったとおり、ふるさと納税は、個人が自治体に寄附した場合は、寄附額のうち2,000円を超える部分が所得税と住民税から控除される仕組みになっておると。例えば、仮に年収500万円の単身者の人がおりましたと。1万円ふるさと納税しましたと。そしたら、おおよそ所得税が大体800円、そして、住民税が7,200円控除されるんですよね。それで、2,000円が自己負担になるとばいということですたいね。
 そこで、さらに続けますけど、ふるさと納税を行う自治体の数に制限はあるのか、それと、ふるさと納税で税額控除の適用を受けるための手続はどうなるのかということをお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) ふるさと納税を行うことができる自治体数には制限はございません。また、税額控除の適用に当たっては、原則としてふるさと納税を行った翌年に確定申告を行う必要がございます。なお、確定申告の不要な給与所得者等は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内であれば、ふるさと納税を行った各自治体に申請することで確定申告が不要になる、ふるさと納税ワンストップ特例制度が設けられております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今の答弁で、ふるさと納税制度に係る税控除の仕組みは分かりました。
 それで、ふるさと納税は今、全国的に寄附額がめちゃ伸びとると聞いております。
 そこでお尋ねします。全国でどのくらいの規模のふるさと納税がなされとるのか、それと令和4年度から3年間の全国のふるさと納税の寄附件数、それと寄附金額をお答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 総務省の資料によりますと、令和4年度の寄附件数は5,180万件余、寄附金額は9,650億円余、5年度は5,890万件余、1兆1,170億円余、6年度は5,870万件余、1兆2,720億円余となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 聞いてびっくりするっちゃけどですね。
 またちょっと調べました。令和6年度の個人住民税の税収額、全国で幾らかといったら13兆円あるとですたいね。先ほどの答弁の中で、全国の寄附額が1兆2,720億円余というのがあり、単純計算で、税収額の大体1割のふるさと納税が行われよるということですたいね。このように、数字で見ると全国的にもかなりの金額のふるさと納税が行われていると、実際皆さん聞かれたら分かると思うんですけど。
 そこで、福岡市の状況についてお尋ねします。
 福岡市は固定資産税などの増収によって市税収入が上がりよると、年々増加している状況であるということは私も分かっておるけど、一方で、ふるさと納税の影響が少なからず生じているものと考えています。
 そこで、市税収入の増加額とふるさと納税に係る市民税控除額について、令和3年度から3年間の実績と令和6年度の決算見込額をお示しいただきたいと思います。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 市税収入の増加額につきましては、令和3年度が20億9,410万円余、4年度が151億160万円余、5年度が116億7,090万円余、6年度の見込みが138億560万円余となっております。一方、ふるさと納税による市民税控除額につきましては、令和3年度が54億1,960万円余、4年度が71億7,330万円余、5年度が85億2,490万円余、6年度が96億7,960万円余となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) せっかく市税収入が増加しとうとに、ふるさと納税によって持っていかれよると、多くの金額が流出している状況になっとるというのが今の答弁を聞いて分かります。ふるさと納税による減収がなかったら、その税収を使って福岡市の重要施策の何らかに使えとったっちゃないかと。
 令和7年度についても、その影響はめちゃ大きいっちゃないかなと考えておりますが、令和7年度の控除適用者数、それと市民税の控除額をお答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 令和7年度につきましては、控除適用者数が17万621人、市民税控除額が109億6,780万円余となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今聞かれたとおり、とうとう令和7年度、結局、令和6年度にふるさと納税しんしゃった福岡市民が約17万人おったわけですたいね。そして、109億円という税金がいろんなところに散らばったと。その分、市民税の控除額が109億円になったと。市税収入に影響がないというわけでは絶対ないけん、それに続いて質問を続けてまいりたいと思いますが、次に、過去の状況も併せてお伺いしたいと。
 ふるさと納税制度が開始された平成20年度、2008年度ね。そしてその次、先ほど答弁にあったワンストップ特例制度が開始された平成27年度、2015年度、これは選挙のあった年、僕らのね。それと、返礼割合が3割以下にされた令和元年度、これも選挙があった年。ふるさと納税による福岡市の控除適用者数並びに市民税の控除額をお教えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) ふるさと納税による市民税の控除は寄附を行った年の翌年度に適用されることとなっておりまして、平成21年度の控除適用者数は337人、市民税控除額は1,760万円余、28年度は1万7,517人、8億4,910万円余、令和2年度は6万1,627人、42億3,880万円余となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) そしたら、続いて答えてもらいたいんですけど、今お答えいただいた平成21年度、それと平成28年度、令和2年度ね。結局今から聞くのは、先ほど、平成21年度と、28年度と、令和2年度の答えになったんやけど、翌年度に適用されるためと答弁があったですたいね。だけん、今年ふるさと納税したら来年度の税の控除があるということやけん、そこば理解して議場におる皆さんには聞いていただきたいんですけど、今お答えいただいた平成21年度、2009年度、平成28年度、2016年度並びに令和2年度、2020年度についての、福岡市におけるふるさと納税の受入れ件数と受入額を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 福岡市における寄附受入れ実績につきましては、平成21年度の受入れ件数は63件、受入額は230万円余、28年度が851件、9,200万円余、令和2年度が4,527件、1億3,250万円余となっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今の答弁を聞いて、令和2年度までは確実に控除適用者数並びに市民税控除額が増加している割には、受入れ件数と受入額というのはあまり増加しておりません。福岡市の財政を圧迫していることは明らかなんですよね。その上で、ふるさと納税による財政運営に与える実質的な影響については、交付税制度を加味して考えることが必要だと思っています。
 そこで、福岡市におけるふるさと納税の実質収支について、令和3年度からの3年間の実績、それと令和6年度の見込みについてお答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 市民税控除額の75%は交付税措置がなされますので、ふるさと納税額から市民税控除額を減じた上で交付税措置を加えた実質収支につきましては、令和3年度は約10.3億円のマイナス、4年度は約9.1億円のマイナス、5年度は約2億円のマイナス、6年度の見込みは約3.8億円のプラスとなっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今の答弁から考えたら、令和6年度の実質収支はプラスの見込みということは分かった。それで、だけど令和5年度までは、とにかくただただ損しよったということが言えると思うんですよね。
 ただいま答弁の中で、市民税の控除額は75%が交付税措置されるという答弁があったけれども、この地方交付税制度についてさらにお尋ねをしてまいりたいと思います。
 それで、地方交付税というのは、言うまでもなく自治体間の財源の不均衡、バランスを保つというか、不均衡を調整して、どこの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障する制度だと私は考えています。このため、税収が少ない自治体に、より手厚く交付されるものだと理解をしております。
 また、一般的に税収が増えると地方交付税は減って、逆に税収が減ると地方交付税は増えるものと理解していますが、このことについてお尋ねをしたいと思います。
 地方交付税の算定方法と、市税収入が増加した場合の影響についてお答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 地方交付税のうち大半を占めます普通交付税は、各自治体の標準的な行政サービスの提供に必要な財政需要として算定されます基準財政需要額が、標準的な税収入の原則75%により算定されます基準財政収入額を超える額が交付されるものとなっております。そのため、市税収入の増加は普通交付税の減少要因となります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 市税収入が増えると地方交付税は減少する関係ということですが、これは皆さん知ってあると思います。先ほどの答弁で、令和6年度の市税収入が約138億円増加する見込みと伺いましたけれども、令和6年度の地方交付税は令和5年度と比較して減少したのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 令和6年度の地方交付税は、令和5年度と比較しまして約87億円増加する見込みとなっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 増加するったいねというのが実感なんですが。
 そしたら、令和6年度の市税及び地方交付税が令和5年度と比較してどちらも増加する見込みということになるですたいね。だからその要因は何か、お答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 地方交付税の算定におきまして、人件費の上昇や物価高騰の影響等により基準財政需要額が増加したこと、地方交付税の原資となる国税収入が想定を上回った影響などにより臨時財政対策債の償還財源の一部が国から前倒しで配分されたこと等により、市税収入増による減少額を上回って交付額が増加しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 市税収入だけでなく、人件費の上昇、それと物価高騰に伴う歳出増とか、国税収入の動きも含めて、地方税財政制度の在り方を考える必要があるということだと思います。私も一応、大都市税財政制度確立推進協議会の委員でもありますから、そういうことを考えたら、やっぱり数字に強うなって、きちっと財政がどう働いておるかというのを議員一人一人が考えていかないかんと思って今日ここで質問しようとばってんがですね。
 税金は、よりよい社会をつくっていくための費用を広く分かち合う制度。確かに、この考え方からすると日本全体で日本国民が互いに支え合うためにふるさと納税制度というのが存在すると言えるかもしれんが、しかしながら、一旦、国に入った国税を地方交付税等の形で地方自治体に分散して、国としても人口増加の著しい大都市とか、過疎化が進行している市町村の財政バランスを考えとうはずだと思います。その財政のバランスを大きく崩しているのもふるさと納税だと思っています。だって、指定都市から見たら財政における課題も大きくて、その状況は大都市である指定都市において共通の課題になっとるんじゃないかと思っています。何でかといったら、僕は今、自由民主党の政令指定都市議会議員連盟の会長ばしとる。どこも流通に困っとる。だから、福岡市としてもしっかり対応してもらいたいと思っとる。これは会派を超えて、持っていかれよう分が多かったらどうするかを考えないかん。
 そこで、こうしたふるさと納税制度について市としてどのように考えとるのか、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) ふるさと納税制度につきましては、都市部における税収減が大きいこと等の課題があることを踏まえまして、福岡市を含め指定都市市長会として、本来の趣旨に沿った制度となるよう国へ要望を行っております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) ふるさと納税制度は高額所得者ほど寄附できる上限額が高くなる。一方、所得税とか住民税を支払っていない方々、所得が低い人、さらに言うたら、ふるさと納税ば行った年に退職した人はその制度の恩恵を十分に受けれんちゃんね。何でかといったら、翌年の税額が控除されるっちゃけん。そしたら、ふるさと納税制度を利用する際に、また申請手続が面倒であると言われている上に、寄附を行っても税控除の効果がすぐに得られん、年末調整後になるといったデメリットも存在する。
 さらに、よくよく考えたときに、ふるさと納税制度が抱える事務負担量の増加というデメリットが鮮明に見えてくると思いますが、ふるさと納税が導入される前の状態と比較すると、自治体のコストとして、特に大都市において地方税の事務整理に要する時間外労働などの負担が増えることも考えられます。
 毎年ふるさと納税制度の利用者が増えておりますが、控除適用者数が多ければ多いほど、市職員の事務手続に要する時間も増えていっているのではないかと思いますが、御答弁をお願いします。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 事務手続につきましては、従来の紙から電子化が進んできておりまして、一定程度、業務効率化が図られております。また、ふるさと納税による市民税の控除は、社会保険料控除や医療費控除など、他の控除と併せて地方税法に基づく課税計算を行っておりまして、これのみで大きく作業時間が増えるものではないと考えております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 負担があまり増えとらんというのもうなずけるっちゃけど、実は私、横浜市の職員さんとかに聞いてきました。何で税金は持っていかれるのに手続せないかんっちゃろうかという人はたくさんおんしゃったですたいね。福岡市の職員さんの中にも、そういった方がおんしゃっかもしれんですたい。そういったことも踏まえて質問を続けてまいりたいと思います。
 ふるさと納税を行った場合、寄附者は返礼品を受け取ることができます。返礼品の返礼割合を寄附額の3割以下とするなど、ふるさと納税の返礼品に対する規制が行われるようになったこともあって、各都市が知恵を絞って、知恵を絞ったのかどうか分からんけど、作ってもいないものを返礼品にしたりとか、全然関係ないところのものを返礼品にしたりとか、様々な返礼品開発を行っていると承知はしとうけど、納得いかん部分もある。
 そこでお尋ねします。福岡市として様々な返礼品のメニューを用意しとると思いますが、どんなものがあるか、お答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 福岡市では、博多織や博多人形などの伝統工芸品や辛子めんたいこ、博多とんこつラーメンなどの特産品、飲食や宿泊の利用券などの返礼品を用意しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) それは一部やろうけどね。県が許可権みたいのを持っとうけん、福岡市といったら、お土産何がいいねと言ったら、辛子めんたいこがいいとか、何ちゃらうどんの冷凍の贈答品がいいとか言われて送ったりした、僕も。だけど、周辺の市町村、10市7町という福岡都市圏に入っていない市がめんたいこを返礼品にしとったり、もつ鍋を返礼品にしとったりする。これは県が許可しとうけんしようがなかっちゃろうけど、寄附自体に興味のない方にも、言い方は悪いけどね、返礼品で釣るというか、そういうふるさと納税ではなくて、ふるさと納税の在り方を指し示すためにも、クラウドファンディング型のふるさと納税、すなわち寄附金の使い道が指定できるメニューを用意する。すなわち、福岡市として福岡市の政策をやっていこうとしようことに対して賛同を得るような、そういったメニューを用意することも福岡市で生まれ育った我々にとっては大事なことやないかなと思っています。
 そこで、福岡市にはクラウドファンディング型のふるさと納税制度が存在するか否か、お答えください。
 
○議長(平畑雅博) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 福岡市ではクラウドファンディング型のふるさと納税を行っておりまして、令和7年度におきましては、経済観光文化局のソーシャルスタートアップ成長支援事業、住宅都市みどり局のみんなでつくろう「まちにみどりを」舞鶴公園さくらプロジェクト事業を実施しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今聞いた、ふるさと納税制度が存在すると聞けばふうんという感じやけど、実際自分がそれに賛同するか賛同せんかはここでは表明せんが、本当に、特に僕はずっと福岡におるから、東京で成功したやつもおる、いろんなところで、海外で活躍しよる同級生たちもおる。それで、実は両親はここにおって、亡くなったけん葬儀に行ったりとか、通夜に行ったりしたよね。そしたら、両親が暮らす福岡市に寄附金を、大切に使ってほしいと思っとる同級生はいっぱいおるっちゃん。だからね、福岡市で暮らしていない同級生が寄附をしようと思っても、その寄附の思いをダイレクトに受け止めれる度量というか、そういうのを福岡市に求めたいなと思っています。
 最後の質問になりますけど、返礼品の競争には参加せず、福岡市の施策、それとか魅力に共感して寄附していただけるような、皆さんよう言いよんしゃっでしょう、高い次元のと。高次元のふるさと納税制度を福岡市から発信するというような取組をしていただきたいと思いますが、最後に市長の所見を、珍しく僕、市長に聞くかもしれんけど、所見をお伺いして私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 久々に御質問ありがとうございます。
 ふるさと納税制度については、各自治体が特色ある取組をアピールすることで選んでもらえるという、その選んでもらうにふさわしい地域の在り方を考えるという意義を持つものであって、今後、それぞれの取組によって応援したい自治体が選択されるような制度になっていくことが、まさにおっしゃるとおり望ましいというふうに思いますし、それが最初のコンセプトだったんだろうというふうに思っております。
 福岡市においては、現在、全国から寄せられているふるさと納税による寄附金は様々な事業の貴重な財源として大切に使わせていただいておりますし、ようやく今年、実質収支が黒になるということでございます。最初、なかなか収支は出るばっかりというお話がありましたけれども、これは最初、格好つけてではないですけれども、今おっしゃったとおりの返礼品合戦ではなくてということで、ドナルド・マクドナルド・ハウスとか、動物の殺処分ゼロとか、昨今ではソーシャルスタートアップ、福岡のまちをよくするという事業に対する寄附とか、こういうのに特化していたんですけど、あまりにも収支差が出てきたということから、うちも最近、このまま出ていくばっかりじゃまずいということで返礼品も出してきたというようなことでございます。ただ、今おっしゃっていただいたような趣旨というのが本来あるべきふるさと納税だというふうにも思っております。
 今後とも、より多くの皆さんから福岡市の施策や事業に共感や賛同を得られて、地域の魅力に触れて、応援していただけるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) この際、休憩し、午後4時30分に再開いたします。
午後4時17分 休憩
午後4時30分 開議
○副議長(尾花康広) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。
 この際、時間を延長いたします。篠原達也議員。
○25番(篠原達也)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、観光分野におけるSNSの活用について、福岡アジア美術館の魅力向上に向けたバリアフリーの充実について質問いたします。
 初めに、観光分野におけるSNSの活用についてです。
 福岡市は、コンパクトシティとしての利便性、豊かな食文化、国際的な交流拠点としての役割、特にアジアとの近さが特徴です。さらに、観光の面においては、博多ラーメン、屋台文化などの独自の観光資源を持ち、インバウンド観光客にとって魅力的な都市です。インバウンド消費は、2024年には8兆円を超え、日本では自動車に次ぐ第2位の輸出産業となっており、外貨獲得による地域の経済活性化になくてはならないものになっています。そうした中、近年、観光分野における情報発信や集客において、SNSの活用がますます重要になっています。SNSは、リアルタイムでの情報共有や双方向のコミュニケーションを可能にし、観光客に対して福岡の魅力を効果的に伝えるツールとして大きな役割を果たしています。
 そこで、まず最初に、福岡市における2024年のインバウンドの来訪状況について伺います。
 以上で1問目の質問を終わり、以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 2024年の福岡空港及び博多港からの外国人入国者数は、法務省の出入国管理統計によると、前年比約1.4倍の約390万人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市へのインバウンドの来訪が増加傾向にあることが分かりました。
 一方、国内全体における2024年の訪日外国人旅行者数約3,687万人のうち、福岡市は大阪や東京に比べ観光客シェアが限定的であり、インバウンド需要の取り込みに課題があると思います。御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 外国人入国者の割合につきましては韓国が57.3%と最も高く、次いで台湾の13.3%、香港の9.7%などとなっており、今後、多様な国々から質の高い誘客を進めていく必要があると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 多様な国々からの誘客をさらに進める必要があるとのことですが、そのためには、今、来訪が十分でないエリアに対するプロモーションを強化していく必要があると思います。
 そこで、多様な国々からの誘客に向けて福岡市が実施している現状の取組について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡空港への直行便が就航しているタイやシンガポールなど東南アジアからの誘客に向け、現地の旅行博への出展や旅行商品のプロモーションなどに取り組むとともに、滞在日数が長く、1人当たりの消費単価も高い欧米豪旅行者や高付加価値旅行者の誘客を目的として、西のゴールデンルートの取組を推進しており、モデルルートの構築やウェブ及び大型国際イベントでのプロモーションなどを実施しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 直行便がある国々やこれまで福岡への来訪が少ない欧米豪からの誘客は、新たな需要創出に大きな効果があるものと思います。
 そして、それら多様な国々からの誘客を進めていくには、各国の状況に応じた効果的な情報発信が必要です。福岡には、食や自然、歴史など、多くの魅力的な資源がありますが、その魅力が伝わらなければ来訪にはつながりません。そのためには、特に旅をする前の旅マエ、旅の途中の旅ナカにおいてSNSを活用した情報発信が重要だと考えます。例えば、中国ではインスタグラムなどのSNSが利用できないため、若年層への情報発信アプリとして、漢字で小さな紅の書と書いて、日本語で「しょうこうしょ」、中国語では「シャオホンシュ」、また、通称REDと呼ばれるSNSがあります。フォロワー数は約3億人以上と言われています。最近では中国本土だけではなく、台湾、香港、シンガポールをはじめとする中国語圏全体から、さらには東南アジアの若年層にも広く利用されているアプリとして注目を集めております。口コミやライフスタイル情報を共有するプラットフォームとして急成長しています。日本企業や他都市でもREDを活用してブランド発信や市場拡大に成功しています。
 そこで、観光分野における福岡市のSNS活用の現状について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) SNSは、観光に関する情報収集を行う際のツールとして広く利用されており、その活用は非常に重要であると認識しております。そのため、福岡市においてもインフルエンサーを活用したプロモーションを実施するなど、国内、海外の観光客に向けてSNSを活用した情報発信に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) SNSを活用した発信は有効的な手段だと分かりました。
 ここで3都市の活用事例を紹介いたします。いずれもREDの公式アカウントを開設した、インバウンド観光の促進や地域ブランドの具体的なPRの活用事例です。
 初めに、大阪ではユニバーサル・スタジオ・ジャパン、道頓堀、心斎橋などの観光スポットやイベント情報、グルメ情報やショッピング情報を、地元の観光局や民間企業がインフルエンサーを起用し、中国人観光客に向けて中国語で積極的に投稿をしています。また、京都市は、伝統文化や歴史的観光地の清水寺や伏見稲荷大社を背景にした映えコンテンツを投稿しています。特に着物体験や抹茶スイーツなどのコンテンツが人気で、若年層の中国人観光客の購入促進につながっています。さらには、東京は、ショッピングでは銀座、渋谷、ポップカルチャーは秋葉原、グルメは築地などを中心に情報発信が行われており、具体的には、渋谷区や民間企業が東京の最新トレンドを紹介する投稿を展開してにぎわっています。福岡市においては、REDの活用事例は限定的ですが、博多ラーメンや屋台文化が個人ユーザーやインフルエンサーによって投稿されており、観光PRのポテンシャルは高いと思います。
 ぜひ福岡市でもREDの公式アカウントを開設し、KOL、インフルエンサーを活用したPRをしてはいかがでしょうか。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) SNSを活用した情報発信に当たっては、ターゲットとなる国ごとの特性や傾向を踏まえた手法を用いることが重要であると考えており、今後は、議員御指摘のREDなどの具体的な事例も参考にしながら、SNSを活用した効果的な情報発信の在り方について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) REDのインフルエンサー、KOL、キーオピニオンリーダーの信頼性が高いということもあり、広がりが期待できます。また、REDに限らず、韓国ではカカオストーリーなど、その国独自のSNSが用いられている事例はほかにもあります。ぜひ有効な活用方法を検討していただきたいと思います。
 さて、インバウンドの誘客に向けては様々なPR手法を検討することも重要ですが、併せて福岡市の特性を生かした観光コンテンツを磨き上げていくことも大切です。中でも、自然や食は福岡市における重要な観光資源です。例えば、農林水産省や地方自治体が推進している取組として、農村や漁村での宿泊を通じて地域の文化や自然を体験する農林漁業体験民泊、略して農泊があります。農泊を積極的に推進している都市と行政の関わりの事例として、先日、宮城県登米市の農家民泊、たまやまに伺いました。ふだんは御夫婦2人で営まれており、繁忙期には息子さん夫婦が手伝いに来られているそうです。田園風景や農業体験を生かした小規模宿泊施設で、訪問当日は海外から学生8人が来られていました。農家での食事は、家の畑と一緒に収穫をしたキュウリ、トマト、ナスビなどの野菜が提供をされていました。また、時期によっては稲作体験を行うなど、農泊推進は、地域振興と教育旅行を目的とした地域資源を生かしたグリーンツーリズムの一環として実施されており、JAや観光物産センターとの連携も図られていました。
 また、大分県由布市は農泊を観光振興の柱と位置づけており、湯布院の温泉と農村体験を組み合せたプログラムを展開し、農家民泊や農業体験として野菜収穫、郷土料理作りなどを推進しています。また、国の支援を受け、農泊施設の整備やプロモーションを強化し、地元NPOや観光協会と連携をして体験プログラムの開発支援をしています。
 福岡市でも、農村地域を生かして農林水産省の農泊推進事業などを活用しながら、地域とともに、農泊をはじめ、イチゴ狩りや海鮮バーベキューなどの体験プログラムを開発するなどについて検討されてはいかがでしょうか。
 そこでお尋ねをいたしますが、現在の福岡市における農泊や農業体験についてどのような取組を行っているのでしょうか。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農泊につきましては、農泊の推進に係る国の補助金を活用したいという地域からの声に応じて、申請に合わせて本市の意見書を提出するなど連携して取り組んでいるところでございます。また、農業体験につきましては、市民農園の運営や開設支援等に取り組むとともに、今年度から市民が参加する農業体験ツアーや企業が農地を活用する事業を新たに開始しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 農業のみならず、都市と農山漁村地域が近くアクセスがよい福岡市の自然は、インバウンド観光客にも大変魅力的だと考えます。
 そこで、自然や農林水産資源を生かした観光客も楽しめる体験コンテンツにはどのようなものがあるか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市の自然や農林水産資源を生かした体験コンテンツといたしましては、海外からの観光客も多く来訪している唐泊のカキ小屋をはじめ、手軽に釣り体験ができる福岡市海づり公園、イチゴなど福岡の特産品の収穫体験、ABURAYAMA FUKUOKAにおける牛の乳搾り体験などがございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) どれもインバウンド観光客が興味を持ちそうな魅力的なものに感じます。特に唐泊恵比須かきについては、ザ・リッツ・カールトン福岡で採用されていると聞いております。
 このような魅力をSNSを活用して発信し、特にZ世代の若者や女性観光客を取り込むことで、長期的なリピーターを確保することができます。また、農林水産資源の活用により、農家や漁業者の副収入の増加や地域ブランドが高まることで、地域経済の活性化にもつながります。本市が有する様々な観光資源を活用し、福岡の魅力をどのようにPRしていくのか、所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡市には、自然や食、歴史など様々な魅力が存在しており、これらの観光資源を多くの方々に知っていただき、市内各所への周遊へとつなげていくことが重要であると考えております。今後とも、SNSや観光情報サイトなどにおける多言語での情報発信や旅行博への出展、旅行会社へのプロモーションなどターゲットに応じたPR手法を用いて、しっかりと福岡市の魅力を発信してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 次に、もう一つの事例を紹介したいと思います。
 先日、インバウンド観光の強化に取り組んでいる北海道富良野市へ視察に伺いました。富良野市はインバウンド観光の急増で、人口約2万人のまちに外国人宿泊者数は年間約25万人となっており、10年前の4.2倍、コロナ前との比較で1.7倍に増加をしているそうです。特に中国、香港、台湾、シンガポール、オーストラリアからの観光客が多いとのことでした。そうした中でも、富良野市はリサイクル率90%という高い目標を掲げ、持続可能な地域づくりに取り組んでいます。リサイクル率90%の維持には住民だけでなく観光客の協力も必要ですが、何といっても驚いたのは、まちの中にごみ一つ落ちてない美しいまちだということです。インバウンド観光を推進する上で、その経済的メリットだけでなく、オーバーツーリズムによるごみの問題、マナー違反、インフラ不足など、市民生活への影響に配慮する必要があると言われていますが、情報発信アプリ、REDなどを活用した啓発により、富良野市ではその対策が十分になされているように感じました。
 福岡市においても、観光客が増えることは喜ばしい一方、その急激な増加に伴い、市民が観光客を受け入れることへの意向が年々低下をしており、市民生活への配慮が必要になっています。そのため、宿泊税を活用し、インフラ整備やマナー啓発等に取り組む必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡市では、地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興を推進しており、観光客や市民の利便性向上を図るため宿泊税を活用し、地下鉄博多駅や天神駅にエスカレーターやエレベーターの設置を行うとともに、文化や習慣に起因するマナー問題を防止するため、インバウンドに対する動画等による啓発などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) それと同時に、観光振興に伴う効果を見える化していくことも大変に重要です。富良野市では、観光消費額等のデータを公開し、分かりやすく市民に観光振興の意義を伝えています。福岡市においても、そのような取組を行っていくことが必要と考えますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) これまでの観光振興の取組により、2023年の入込観光客数は約2,309万人、観光消費額は約6,192億円になるなど、過去最高を更新しております。これらの効果を市民や事業者に対して発信することは重要であると認識しており、令和6年度から、観光振興の効果をデータやグラフなどを用いて分かりやすくまとめたリーフレットを作成し、見える化を図っております。今後とも、観光振興への市民理解の促進に向けた取組を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 今後とも、ぜひよろしくお願いいたします。
 観光振興を推進する上で、市民の利便性向上や理解促進は重要な視点だと思いますので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そして、理解促進にとどまらず、市民が積極的に関わる機会を提供し、市民と一緒に観光振興を行う必要があるのではないでしょうか。
 福岡市では、福岡市おもてなしサポーターを設けており、この取組は、市民と国内外の様々な方とをつなぐ重要な役割を果たすものと思いますが、制度の概要と今後の展望についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡市おもてなしサポーターは、観光やMICEで市内を訪れる方々に対し、市民が担い手となり、福岡の魅力を紹介することを目的に、令和6年度に新設したボランティア制度でございます。今後も、外国語によるまち歩きガイドや観光案内を実施していただくなど、市民が観光に携わる機会を増やしてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市おもてなしサポーターは、観光客のマナー向上やごみ問題の軽減に寄与し、宿泊税を活用した市民還元策と連動することで、観光と市民生活の調和が期待をされます。
 ここまで、事例を紹介しながら、SNS活用による情報発信の重要性と魅力的な観光資源の磨き上げ、市民理解の促進について質問をしてきました。福岡の魅力はまだまだ世界に知られていない部分が多いのではないかと思います。大阪や東京と差別化し、都市と自然が融合した福岡をSNSで世界に発信するなど、福岡独自の食文化や自然を強調した戦略を展開することで、インバウンド観光の新たなモデル構築が期待できます。
 最後に、より多様な国々からの誘客に向けて、どのように観光振興を図っていくのか、島市長の所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、観光消費の拡大は市内経済の活性化において重要であると認識をしております。また、観光政策の推進に当たっては、特定の国や地域からの入国に偏ることによる、いわゆるカントリーリスクの低減を図るとともに、量から質へと政策を転換していくことが必要と考えております。このため、滞在日数が長い欧米豪の旅行者や、また、高付加価値旅行者などをターゲットとして質の高い観光コンテンツの開発などに取り組むとともに、西日本や九州の自治体と連携をした西のゴールデンルートの取組を推進しているところでございます。今後とも、SNSも活用しながら、福岡市の魅力をよりしっかりと発信をし、多様な国や地域の人々が訪れる都市となるように、観光・MICEの振興にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、福岡アジア美術館の魅力向上に向けたバリアフリーの充実について質問をいたします。
 アジア美術館は、平成11年、1999年3月の開館以来、アジアの近現代美術に特化をした世界でも唯一の美術館として、福岡の文化拠点としての役割を果たしてきました。しかしながら、開館から25年が経過をし課題も浮かび上がっていることから、現在、天神の中心に位置する警固公園の地下を活用し、アジア美術館の機能を拡充することで、魅力向上を図る検討をしていると伺っています。今回の拡充によって、美術館として展示の充実やアクセスの向上、また、公共性やバリアフリーの強化を図ることが福岡市の文化的な魅力向上につながると考え、本日はアジア美術館の魅力向上に向けた取組内容等について質問をいたします。
 まず、魅力向上の検討を始めるに至ったアジア美術館についてお尋ねをいたします。
 開館から25年以上が経過をした、アジア美術館の現状と課題について伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) アジア美術館は、これまでのアジアの近現代美術を系統的に収集し、その収蔵品は約5,700点に上り、長年の収集活動を経て、作品の価値も高まるなど市民の貴重な財産となるとともに、国内外の美術関係者からも高い評価を得ているところであります。一方で、開館から25年がたち、施設が老朽化したことに加え、作品の大型化や投影に広いスペースが必要な映像作品が増加するなど、収蔵作品を十分に生かした展示を行うには、より広い空間が必要になってきたことから、この課題の解決を図るため、警固公園地下を活用し、アジア美術館の機能を拡充し、魅力向上を図るよう検討を進めております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 警固公園地下を活用したアジア美術館の機能拡充を検討しているとのことですが、現在の検討状況についてお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 令和7年度においては、アジア美術館の魅力向上に向けた基本計画の策定や事業手法について、有識者や民間事業者の意見、アイデアを確認しながら検討を進めております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 都市の中心地である警固公園の地下を活用し、アジア美術館の魅力が向上すれば、昼夜を問わず集客を見込むことができ、芸術文化、そして文化観光の象徴的な施設として大いに期待できると考えます。
 アジア美術館について、警固公園地下でどのような美術館を目指していくのか、市としての方針を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) アジア美術館は、アジア美術と出会い、アジア美術が表現する問いかけを通じて鑑賞者が新たな気づきを得るとともに、アートの交流を通じてアジア美術の発展と都市の魅力向上に貢献するという基本的な方針に基づき、警固公園地下に施設拡充を行うことで、より多くの市民や国内外の観光客が気軽に訪れ、アジア美術を鑑賞できる場となることを目指してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 今、御答弁のあった基本的な方針や方向性を基に、現在、民間事業者等からアジア美術館の魅力向上に向けたアイデアを広く収集しているとのことであるため、これからは魅力向上に向けた具体的な方策などについて伺っていきます。
 警固公園の地下をどのように活用するのか、所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園の地下では、アジア美術館の顔となる代表的な作品をはじめ、所蔵する多数の作品を展示するとともに、来館の多様な動機をつくり、アジア美術との出会いの機会を創出するための集客、にぎわい機能を導入することを目指しており、具体的には基本計画の策定において検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) アジア美術館の機能拡充として地下空間を活用するというのは、大きな特色であると思います。
 他都市の例ですが、先日視察した大阪市にある国立国際美術館は、中之島の地下に位置する、警固公園地下と同様の完全地下型の美術館です。また、施設は地上部にエントランスロビーがあるほかは、展示室や収蔵庫など全て地下に配置をされており、川に挟まれた地形となっているため、どのような防水対策を取っているのか話を伺ったところ、ハザードマップで想定される災害に対して、止水板や防水扉を設置するなど対策を行っているとのことでした。
 私たちの身の回りでどのような自然災害が起きる可能性があるのか、どこへ避難すればいいのかを知る上で、便利なものとして、国土交通省の重ねるハザードマップがあります。指定した場所で想定される洪水、土砂災害、津波といった各種災害リスクをスマートフォンやパソコンなどで確認することができ、また、視覚障がい者の方向けに音声読み上げソフトに対応しており、大変に使いやすいものとなっているようですが、アジア美術館では警固公園地下構造という特殊な立地から、地下特有の心理的な閉塞感や圧迫感、防振や温度湿度の管理、さらには換気に加え、大雨、台風などによる浸水リスクへの対策として、特に防水対策が重要です。
展示物の保護の観点から、浸水リスクや経年劣化への対応が問題であり、定期的なメンテナンスや先進的な防水技術の導入が必要と考えますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園地下への施設拡充に当たっては、入り口部分に止水板を設置するほか、防水扉や防水シャッターなど、市民の財産である美術品を守るため、地下空間の特性を踏まえた防水対策を行ってまいります。具体的には、今後、基本計画の策定に合わせて検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) よろしくお願いいたします。
 あわせて、警固公園地下の活用の検討に当たっては、美術品保護の観点のみならず、大雨のときなどにおける来館者への安全対策も非常に重要な課題であると考えます。
 地下特有の浸水リスクに備えるため、来館者の安全対策の観点から、アジア美術館ではどのような取組が必要と考えるか、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 来館者の安全確保については、地下空間対策における国のガイドライン等を参考に、設備面での対策のほか、滞在者への周知や避難経路の確保など、地下特有の対策について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) お願いいたします。
 地上の美術館と同等以上の安全性、快適性を確保し、訪問者に安心感を与えるため、安全性の情報公開など、積極的に行っていただくよう要望いたします。
 また、国立国際美術館の地上部のデザインは、竹林の混沌としつつも秩序立った成長を模倣しており、エネルギッシュで予測不可能な現代アートの進化を象徴しています。美術館の目印にとどまらず、パブリックアートとして機能しています。
 アジア美術館について、都心部の中心に位置する警固公園に拡充するため、まちの特徴を捉えた施設とすることが重要であると考えますが、市としてどのように考えているのか、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園地下への施設拡充に当たっては、天神の中心にあって交通結節点に隣接し、商業施設等に囲まれた貴重なオープンスペースである特性を生かし、公園や周辺施設との連携を踏まえた施設計画とすることが重要と考えており、今後、基本計画の策定に合わせて検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) ぜひよろしくお願いします。
 また、横浜市のみなとみらい地区に位置する横浜美術館は再開発の一環として整備され、周辺の商業施設や観光地の赤レンガ倉庫などとの相乗効果で、まちの雰囲気に合った美術館です。このような他都市の事例を参考にしながら、魅力ある象徴的な施設となるよう検討していただくことを要望いたします。
 次に、アジア美術館が所蔵する貴重なコレクションを中心とした展示機能についてお尋ねをいたします。
 警固公園という都心部の中心に位置することで、若年層や家族連れなど、多くの様々な人が集う場所でアジア美術に触れていただく機会を提供することが重要です。加えて近年では、従来の額に収まった絵画を見るといった形式だけではなく、大型スクリーンやプロジェクションマッピングを使った映像投影や音楽や効果音による音響演出など、来館者が空間そのものに入り込み、作品の世界を体感できる展示手法も話題になっており、こういった展示手法の工夫で価値や魅力を伝えることも一案です。
 展示スペースの拡充や展示の魅力向上など、展示の在り方に関する市の考えがあれば教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 近年、インスタレーションと呼ばれる大型作品や空間全体が映像に取り囲まれる大規模な作品など多彩な現代美術作品が増えており、これらを大胆に展示できるよう展示機能の拡充を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 展示機能を魅力的にすることで、これまで以上に多くの客層がアジア美術に触れる機会を創出できることに加えて、特にその立地から、アジア美術館を中心に、昼夜を問わず多様な人々の活動や交流が生まれることが想像できます。警固公園は福岡市内でも、市民だけでなく、インバウンド観光客も多く集まる場所だと思います。
 他都市の例として、石川県金沢市の金沢21世紀美術館は、日本三名園の一つとも言われる兼六園や金沢城公園に隣接をして立地しており、建築物はグッドデザイン賞を受賞した特徴的なもので、誰でも入りやすい雰囲気になっています。そのため、国内外の観光客が訪れやすい、また、訪れたい施設として知られ、集客につながっていると聞いています。アジア美術館も、アジアからの観光客が多く訪れる福岡市の都心の真ん中に位置する新たなランドマークとして、観光資源としても魅力的な施設になってほしいと思います。
 アジア美術館における現在のインバウンドへのアプローチ、また、今後の集客増加について、市の考えを教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) インバウンドへのアプローチについては、旅マエの情報発信として、SNSにより多言語で展覧会情報や作品の魅力を動画配信するほか、館内においても、多言語での作品解説などを実施しております。今後、国内外の美術館の事例を参考にしながら、集客力の向上に向けた検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) また、公園でのアートイベントや季節イベントと企画展を連動させることによる集客の促進や、天神の繁華街に位置する立地を生かし、屋外へのパブリックアートの設置、夜間開館等によりアートに触れる場を提供するような取組が必要と考えます。
 このように、多様で多目的な人々がアートと出会い、交流する取組や公共性の強化が重要と考えていますが、市としての所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園地下においては、展示機能の拡充のみならず、市民や来街者をはじめ、多様な人々がアートと出会い交流する場の提供が重要と考えております。屋内外のアートを感じる空間の創出や象徴的なエントランスの工夫など、基本計画の策定において検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 最後に、バリアフリーについて。
 アジア美術館の魅力向上に当たっては、誰もが芸術に触れることができる環境の整備が、文化芸術施設に必要不可欠であると考えます。例えば、東京都六本木にある森美術館では、バリアフリー対応に力を入れています。施設や設備に関しては、森美術館1階下の52階の展望スペースは段差がなく、車椅子やベビーカーで利用可能で、多目的トイレ等の設備や無料のコインロッカー、ワイヤー錠つき荷物置場を提供されています。さらに補助犬、盲導犬や介助犬、さらには聴導犬の同伴も可能です。
 アジア美術館では、施設や設備など、現状どのようなバリアフリー対応を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) アジア美術館では、来館者が安心して利用できるよう美術館への直結エレベーターやスロープ、みんなのトイレを設置し、車椅子での利用がしやすい動線を確保しているほか、貸出用の車椅子も用意しており、補助犬を伴っての入館も可能となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) また、森美術館では、運営面でも、誰もがアートを楽しむことができる取組を行っています。例えば、障がい者向け割引として、障害者手帳の提示で、本人と介助者1名は入館無料になり、また、視覚、聴覚障がい者向けのプログラムとして、展覧会ごとに手話ツアーや耳でみるアート、聴覚障がい者向けツアーを実施しており、詳細は六本木ヒルズのユニバーサルガイドで確認ができます。
 アジア美術館では、障がい者向けの入館料割引や鑑賞プログラム等のソフト面に関してどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 障がい者割引として、障害者手帳等の提示により、本人と介護者1名は無料で常設展を観覧できるほか、今年度は、聴覚障がい者向けのプログラムとして学芸員の解説を手話通訳する手話ツアーを予定するなど、バリアフリープログラムの充実にも努めております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) これまでお聞きしたとおり、アジア美術館の現在のバリアフリーの対応は車椅子専用駐車場、車椅子対応トイレ、エレベーター、スロープ、車椅子の貸出し、補助犬同伴、障がい者割引などは充実をしていますが、さらなる利用のしやすさが求められています。例えば、障がい者への点字ブロックを館内全体に徹底し、展示エリアやトイレ、案内所への誘導をよりスムーズにする、また、聴覚障がい者へは、答弁にもあったように手話つきギャラリーツアーを定期的に開催するなど、取り組むことが重要です。
 また、自閉症や知的障がい、認知症、感覚過敏の症状を持つ方が安心して過ごせるよう、パニックの症状が出てしまう場合に落ち着ける場所としてカームダウンスペースの設置や、光や音などの感覚情報を記したセンサリーマップという案内ツールの作成を行う美術館、博物館もあります。アジア美術館においても、他の施設の事例を参考にして対応の充実を図っていただきますよう、検討をよろしくお願いをいたします。
 さらに、最近では、国土交通省が障がいの有無などにかかわらず誰もが安心して暮らせる共生社会の実現に向け、建築物のバリアフリー基準を見直しました。車椅子使用者用のトイレについては、建築物に1か所以上だったものが、原則各階に1か所以上設けることを義務化しました。また、車椅子使用者用駐車施設については、1台以上が基準だったものが、駐車台数に対する割合で定めるよう、見直しの改善がなされました。
 このように、バリアフリーに関する国の基準の見直しを踏まえて、アジア美術館でもバリアフリー対策にしっかりと取り組むべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) バリアフリー環境を整備することは重要であると認識しており、今後、警固公園地下への施設拡充について詳細に計画、検討をしていく中で、国のバリアフリー対策の見直しも踏まえ、利用者にとってより使いやすい施設整備を目指してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) しっかりと今後検討をしていただきたいというふうに思います。
 アクセシビリティーの向上は、アジア美術館の施設拡充において、福岡市を代表する福岡の新たな顔として、公共性を高め、多様な人々が文化にアクセスできる環境を構築することが鍵となります。バリアフリー対応の充実や情報アクセスへの改善を通じて、誰もが気軽に美術館を訪れ、アジアの近代美術を楽しめる場が実現されることが期待をされています。インクルーシブな社会づくりに貢献し、福岡の文化的な魅力をさらに引き立てる一歩となることを願っています。
 最後に、島市長の御所見を伺い、質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡アジア美術館は、アジアの国々との歴史的な交流から培われた福岡市の特性を体現するものとして開館し、それ以来、世界で唯一、アジアの近現代美術を系統的に収集、展示する貴重な市民の財産となっています。この財産を最大限生かすために、アジア美術館を都心の核である天神の警固公園地下に展開し、福岡の新たな顔となるような施設の拡充を図ってまいります。市民や観光客が気軽に立ち寄り、鑑賞でき、子どもから高齢者まで、障がいのある人もない人も、全ての人がアジア美術と出会い、楽しむ場となるよう、バリアフリー対応にも十分配慮し、アジア美術館のさらなる魅力向上に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は9月8日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(尾花康広) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は9月8日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時15分 散会