令和7年9月4日(木)

令 和 7 年 第 4 回 福 岡 市 議 会 定 例 会
議  事  日  程 (第2号)
                                     9月4日 午前10時開議
第1 一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  平 畑 雅 博      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  伊 藤 嘉 人
27番  打 越 基 安      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  木 村てつあき      34番   欠   員
35番  大 沢 めぐみ      36番  和 田あきひこ
37番  あ べ ひでき      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎       副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一       副    市    長  荒 瀬 泰 子
   水道事業管理者  中 村 健 児       交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則       財  政  局  長  中 村 剛 士
市  民  局  長  舟 越 伸 一       こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一       保 健 医 療 局 長  山 嶋   剛
環  境  局  長  藤 本 和 史       経済観光文化局長  吉 田 宏 幸
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一       住宅都市みどり局長  町 田 一 彦 
道路下水道局長  竹 廣 喜一郎       港 湾 空 港 局 長  鈴 木 順 也
消  防  局  長  牧 田 哲 治       会 計 管 理 者  小 林 登茂子
教    育    長  下 川 祥 二       教  育  委  員  沖 田 由 香
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子       人事委員会事務局長  上 薗 久 美
監 査 事 務 局 長  八 木 智 昭

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩       議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二       議  事  係  長  實 政  伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(平畑雅博) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。堤田寛議員。
 
○6番(堤田 寛)登壇 おはようございます。私は自由民主党福岡市議団を代表して、警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充について、高齢者の帯状疱疹及び肺炎球菌ワクチン接種について、新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりへの支援について、以上3点について質問いたします。
 初めに、警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についてお尋ねいたします。
 福岡アジア美術館が警固公園の地下に整備されると聞いています。アジア近現代美術を専門に扱うという世界でも唯一の美術館が警固公園の地下にできるということで、福岡市のアジアとの交流など独自性を体現する文化観光施設として、これまで以上に魅力を発信していただきたいと考えております。ぜひしっかりと整備を進めていただければと思います。
 一方で、地上部分にある警固公園については再整備から10年以上がたち、一部報道では警固界隈とも呼ばれるなど課題を抱えているという現状もあります。私は、今回のアジア美術館の新しい施設の整備が現状の改善にもつながり、地上部分の警固公園も含めてよりよい魅力的な場所となるきっかけになればと願っています。
 そこで、本日はこうした思いから、警固公園へのアジア美術館の施設拡充について、整備に当たっての要望の意味も込めて幾つかお尋ねいたします。
 初めに、アジア美術館は現在、中洲川端にありますが、警固公園の地下への施設拡充について検討を進めているとのことです。
 そこでまず、施設拡充が必要となったこれまでの経緯と、拡充に向けた基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 次に、警固公園の地下に整備されるアジア美術館の新しい施設についてお尋ねいたします。
 今回整備されるアジア美術館の新しい施設の概要と、現在の検討状況についてお答えください。
 次に、高齢者の帯状疱疹及び肺炎球菌ワクチン接種についてお尋ねいたします。
 高齢者の方が、病気が重症化しないようにするための有効な手段の一つに予防接種があります。予防接種法に基づき、自治体が実施主体となって高齢者を対象に行う定期接種は何種類かありますが、今回はそのうち帯状疱疹ワクチンと肺炎球菌ワクチンについて質問いたします。
 まず、帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病気で、主な症状は皮膚の痛みやかゆみを伴う発疹などで、ひどい場合には仕事や日常生活に支障を来すこともあり、帯状疱疹ワクチンは、国において令和7年度から定期接種に位置づけられ、福岡市においても接種が開始されています。また、肺炎球菌は細菌の一つで、成人の肺炎の原因の約2割を占めるとされており、一般の人の肺炎の病原体としては最も頻度が高いもので、肺炎球菌ワクチンは平成26年度から定期接種になっています。いずれのワクチンも、定期接種の対象者の方にはぜひ接種をしていただきたいと考えています。
 そこで、福岡市における高齢者を対象とした帯状疱疹ワクチン及び肺炎球菌ワクチンの定期接種について、対象者や自己負担額などの事業の概要を、また、定期接種対象者以外の方が任意で接種する際に助成を行っているのか、お尋ねいたします。
 次に、私の地元でもある新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりへの支援についてです。
 現在、天神地区では天神ビッグバンにより、老朽化したビルの建て替えが進められており、最近では、ワン・フクオカ・ビルディングや天神ブリッククロス、ヒューリックスクエア福岡天神、天神住友生命FJビジネスセンターなどがオープンし、今まさに天神のまちが大きく変貌を遂げています。一方、新天町商店街につきましては、新しい天神の町をつくるという思いから、戦後初の本格的商店街として誕生し、80年近くの長きにわたり、多くの市民に愛されながらこの天神の地で歩んできた歴史がありますが、かねてより施設の老朽化が進み、安全、安心の面で課題を抱えており、私としても早期の建て替えの必要性を感じているところであります。このような中で、新天町の皆さんとしても、建て替えの必要性について何度も議論を重ねられ、未来に向けて動き始める決断をなされました。その決断を尊重して、我々としてもしっかりと応援し、よいまちづくりが行われるよう後押しをしていきたいと考えております。
 さて、当街区へのまちづくりヘの支援につきましては、令和5年12月議会において質問をいたしましたが、その後、新天町をはじめとする事業者において建て替えに向けた検討が進められ、行政手続も進められていますので、改めてお尋ねしていきたいと思います。
 まず、新天町商店街やパルコ周辺の再開発である天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクトについて、令和7年1月に都市計画決定されていますが、都市計画手続の中で示されたプロジェクトの概要についてお尋ねいたします。
また、今回の計画地は商業施設が集まる場所であるとともに、鉄道駅などにも直結する交通の要衝であります。再開発により公共交通機関が利用しやすくなるとともに、まち歩きが便利になることが期待されますが、歩行者ネットワークの考え方をお尋ねいたします。
あわせて、新天町を中心とした西街区の現在の権利関係や事業主体、進捗状況についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて質問いたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についての御質問にお答えします。
 まず、これまでの経緯についてですが、アジア美術館は国内外の美術関係者から高い評価を得ているものの、その価値や魅力を市民に十分に伝え切れていないことなどから、令和5年度から魅力向上について検討を行っております。現館は開館から25年がたち、作品の大型化や投影に広いスペースが必要な映像作品が増加するなど、収蔵作品を十分に生かした展示を行うにはより広い空間が必要になってきたことから、展示機能等の拡充を行うものです。
 次に、警固公園地下に整備する新しい施設の概要については今後具体的な検討を行っていくことになりますが、展示機能を中心に、美術館に必要な規模として床面積約7,500から9,000平米程度、うち展示室は約2,000平米から2,500平米の施設を想定しております。現在、整備に当たっての基本的な方針を取りまとめ、基本計画の策定や最適事業手法の検討を進めております。また、検討に当たっての取組としまして、有識者会議や基本計画や事業手法の検討の参考とするため、民間事業者等からアイデア収集を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) ワクチン接種についての御質問にお答えをいたします。
 まず、帯状疱疹ワクチンについてですが、定期接種の対象者は、市内に居住する65歳の方または60歳以上65歳未満で、特定の障がいがある方となっており、令和7年度から5年間の経過措置として、65歳を超える5歳年齢ごとの方も対象とされております。これに加え、福岡市独自の取組として、任意接種となる50歳の方への接種費用の助成を実施しており、また5年間の経過措置として、55歳、60歳の方も対象としております。
 自己負担額につきましては、1回接種の生ワクチンが4,900円、2回接種の組換えワクチンが2回合計で2万4,000円、また市県民税非課税世帯や生活保護の方は無料となっております。
 次に、肺炎球菌ワクチンについてですが、定期接種の対象者は、市内に居住する65歳の方または60歳以上65歳未満で、特定の障がいがある方となっており、市独自の助成は実施しておりません。
 自己負担額につきましては4,200円で、市県民税非課税世帯や生活保護の方は無料となっております。
 なお、いずれのワクチン接種においても、対象となった方に対して郵送による個別案内を行い、周知を図っているところでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりについての御質問にお答えします。
 天神ビッグバンの一環として実施されております天神二丁目南ブロック駅前東西街区プロジェクトにつきましては、建物の老朽化が進み耐震性や防災面の課題を抱えている中、安全、安心でにぎわいのあるまちづくりを実現していくための計画が事業者より提案され、その実現に向けて、令和7年1月に地区計画及び市街地再開発事業等の都市計画決定を行ったところでございます。事業者におきましては、耐震性の高いビルへの建て替えと併せて、新天町の歴史を継承した未来に向けた商店街の実現や文化芸術機能の導入、地下通路や民間管理による公園の整備、花や緑、アート等の設置、まちの記憶の継承などが計画されております。
 次に、歩行者ネットワークの考え方につきましては、今回の再開発では再開発ビル1階部分で天神と大名を東西につなぐ商店街通路や、地下鉄天神駅ときらめき通りを南北につなぐ事業区域外を含めた新たな地下通路など、公共性の高い基盤整備に加え、東西の街区を多層階でつなぐことなどにより、公共交通機関の利用や買物、まち歩きなどがよりしやすくなるよう取り組むこととしております。また、ソラリアステージ大画面広場の西側に隣接して新たな公園を整備することで、西鉄天神大牟田線の利用者を含めた多くの人々が公園や商店街を楽しめるよう、連続した歩行者動線をつくることとしております。
 次に、西街区の権利関係や事業主体につきましては、商店街の運営を行う新天町商店街商業協同組合と、建物の管理を行う新天町商店街公社が土地や建物の権利者でございまして、これらの組織が自ら事業主体となり、未来に向けた商店街の実現を目指して取り組まれております。進捗状況といたしましては、現在、施設の計画等を含め、事業化に向けた検討が行われているところでございまして、令和8年度から設計に着手される予定でございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) それでは、2問目に参ります。
 まずは、警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についてです。
 アジア美術館の施設拡充の経緯を伺い、展示空間が手狭なため、市民に十分によい作品を見てもらえていないといった課題があるとのことで、警固公園への施設拡充が必要ということが分かりました。新しい施設と、現在の中洲川端にある現館と併せて、これからさらにアジア美術館の魅力が高まり、ますます盛り上がっていってほしいと思います。そうした中で、アジア美術館の新しい施設が警固公園の地下にできるということで、地元としても大きな期待を寄せております。
 そこでお伺いしたいのですが、この警固公園地下の新しい施設は、いつ頃開館する予定でしょうか。
また、地上の警固公園についてもお伺いしたいのですが、今回、警固公園の地下にアジア美術館の新しい施設が整備されるに当たって、地上の公園部分には何ができるのでしょうか。
また、新しい施設が整備された際の警固公園の在り方についてどのようにお考えか、御所見をお伺いします。
 加えて、警固公園の地下駐車場については、令和8年3月をもって廃止されると聞いています。この駐車場は県外から来られる方々にとっても場所が分かりやすく、利用しやすいという声もよく聞きます。そのため、今後そういった方々などが空いている駐車場を探して周辺を車で回る、いわゆるうろつき交通が増えるのではないかと心配しておりますし、それに伴う渋滞や事故の発生も懸念しています。
 そこでお伺いしたいのですが、駐車場の廃止に伴う具体的な渋滞対策や県外からお越しの方々への分かりやすい案内や周知についてはどのように行われるか、お答えください。
 次に、高齢者の帯状疱疹及び肺炎球菌ワクチン接種についてです。
 帯状疱疹ワクチンについては、今年度から定期接種が開始され、併せて市独自の任意接種助成も実施されたところであり、今後、対象者に必要な情報をしっかりと届け、できる限り多くの方々が接種されるよう、取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 肺炎球菌ワクチンについては、福岡市の定期接種の自己負担額は4,200円で、市独自の任意接種に対する助成は行われていないとのことでした。ほかの都市と比較するため、政令市の状況を調査していただきましたが、まず自己負担額については、全20政令市の平均は4,210円で、福岡市はほぼ同額ですが、中には千葉市や横浜市など自己負担額が3,000円という都市もありました。また、任意接種に対する助成については名古屋市のみではありますが、66歳以上で過去に現在の定期接種で用いられるワクチンによる高齢者予防接種を受けたことがない方を対象に、任意接種の助成が行われているとのことでした。
 そこで、肺炎球菌ワクチンについて、福岡市における定期接種の自己負担額を軽減するとともに、任意接種についても助成制度を設けてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりへの支援についてです。
 先ほど答弁いただいたとおり、今回の再開発は大企業の方々の個別ビルの建て替えとは異なり、個人商店の方々で構成される新天町の皆さんが自ら検討を進められている事業です。私自身、よく新天町はなくなるのかというお尋ねをいただきますが、新天町の皆さんとしては、この都心部の中で、お店同士が対面し、人と人が触れ合う大切な場所であり、地域のインフラとも言える商店街を残し、バージョンアップしていきたいという思いを持たれております。
 今回の再開発では、新天町の歴史を継承した未来に向けた商店街を実現していくことに加え、花や緑、アートの設置、まちの記憶の継承などにより、これまで新天町商店街を訪れてきた方々はもとより、これから新天町を訪れる方々にも愛される商店街となるよう取り組まれているところです。また、今回の計画地では市街地再開発事業の都市計画決定がなされており、この市街地再開発事業において天神と大名を東西につなぎ、通勤やまち歩きなどで多くの人に利用される商店街通路を再開発ビルの1階部分に確保していくことが計画されています。再開発後も通路機能を継承していくことは歩行者ネットワークとして重要ですが、商店街形式の通路を通常のビル内で造ることは困難であり、しかも、最も採算が取れる1階部分に確保することは事業収支上もハードルが高いと思われます。
 他都市では、都市計画決定した市街地再開発事業に対し国の補助制度も活用しながら進めていると思いますが、今回の新天町商店街における商店街通路を含む市街地再開発事業に対してどのような補助制度があるのか、お尋ねいたします。また、地下鉄天神駅からきらめき通りまで新たな地下通路の整備が計画されており、この地下通路をつなぐことで地下街を補完する南北方向の動線が東側の因幡町通り地下通路と併せて西側にもでき、環状の地下歩行者ネットワークが形成されることから、天神の地下はさらに便利になることが期待されます。一方で、公共性の高い地下通路を当事業区域外であるサザン通りから南部分も含めて、今回の事業者が整備するという大変さもあると思われます。
 そこで、天神地区の地下歩行者ネットワークがどのようにつくられてきたのか、また、新たな地下通路の整備に対してどのような補助制度があるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についての御質問にお答えします。
 まず、開館時期など今後のスケジュールについては基本計画の策定と最適事業手法を検討する中で計画してまいります。
 次に、新しい施設の整備に伴う地上の公園部分の活用については今後検討を行っていくことになりますが、地上部には地下につながるエントランスの整備のほか、市民や観光客がアートを感じられる空間の創出等についても、基本計画の策定において検討してまいります。
 次に、新しい施設が整備された際の警固公園の在り方については、地下への美術館の拡充をきっかけに、美術館と公園が互いに連携しながら、公園を訪れる人に対しても憩いを与え、アジア美術と気軽に出会い、楽しむ場を提供するなど、一体的に魅力向上を図っていけるよう関係各局と連携、調整しながら進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についての御質問にお答えします。
 新しい施設が整備された際の警固公園の在り方につきましては、当該公園において、近年、公園に集まる子ども、若者に関する課題をはじめ、受動喫煙やハロウィン時の混雑などの課題がございます。当該公園では、施設の老朽化や樹木の成長による見通しの悪化等の課題があったことから、平成22年に発足した地域や県警、エリアマネジメント団体などから成る警固公園対策会議における議論等を経て、24年に再整備を行ったものでございますが、今後、アジア美術館の新施設整備に伴う公園への影響範囲等を見ながら、経済観光文化局とも連携して、よりよいものとなるよう検討してまいります。次に、新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりについての御質問にお答えします。
 人々の交流や活動を支える上で道路や民有地の広場などが重要な役割を果たしており、これら公共性の高い都市基盤の創出に当たっては、これまでもビルの更新期を捉え、官民が連携をし、それぞれの役割に応じて進めてきたところでございます。
 今回の市街地再開発事業におきましては、天神と大名を東西につなぐ歩行者ネットワークとして商店街通路が整備される計画となっており、都市計画決定された市街地再開発事業に対しては、設計費や誰もが利用できる共用通行部分の整備費などを対象に3分の2を上限とした社会資本整備総合交付金などの国の補助制度がございます。
 次に、天神地区の地下歩行者ネットワークにつきましては、天神地下街やきらめき通り地下通路、因幡町通り地下通路など、国の補助制度も活用しながら、官民連携で整備を進めてきたところでございます。新たな地下通路に対しましても、設計費や整備費を対象とした国際競争拠点都市整備事業などの補助制度があり、因幡町通り地下通路などにおいて活用しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についての御質問にお答えいたします。
 具体的な渋滞対策や県外の方々への周知についてでございますが、警固公園の地下駐車場につきましては、入出庫する車と歩行者との交錯などの課題がございますが、令和8年3月末に廃止されることになっております。駐車場の利用者につきましては、天神地区の駐車場実態調査により、周辺駐車場に空き台数が十分あることが確認できているため、スマートフォン等で空き駐車場に案内できる福岡市駐車場ナビを開発、運用開始しており、うろつき交通なども軽減できるものと考えております。また、県外の方々への周知につきましては、九州自動車道のサービスエリア、パーキングエリアにおけるポスター掲示やチラシ配布のほか、SNS広告や天神地区におけるQRコードつきのポスターの掲示なども活用し、積極的な周知に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) ワクチン接種についての御質問にお答えをいたします。
 福岡市における予防接種の自己負担額につきましては、個人の発病や重症化の防止を目的に実施しているワクチン接種のうち、御指摘の高齢者の肺炎球菌ワクチンなど生涯1回接種するワクチンは接種料の半額程度に、また、高齢者のインフルエンザワクチンなど毎年接種するワクチンは接種料のうちワクチン代相当額とするなど、その負担の軽減を図っているところでございます。
 また、肺炎球菌ワクチンの任意接種への助成につきましては、現在、国の厚生科学審議会において、より費用対効果が優れているワクチンヘの切替えや、それに伴う追加接種についての議論が進められているところでございまして、その動向を注視してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) それでは、3問目に参ります。
 まず、警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についてです。
 警固公園の地下にアジア美術館の新しい施設が整備されることをきっかけに、地上部分の警固公園も含めて、より魅力的で親しまれる場所となっていけばと願っています。これまでの答弁で示されたような視点も踏まえ、今後の検討をしっかりと進めていただくよう要望します。また、駐車場については、廃止後に混乱が生じることがないよう、十分に取り組んでいただくようお願いします。
 現在の警固公園は再整備から10年以上がたちますが、近年、家庭や学校に居場所のない子どもたち、いわゆる警固界隈や警固キッズが警固公園に集まってきており、犯罪に巻き込まれるなどの社会問題となっていることから、一部ではあまりよくないイメージを持たれている面もあります。その解決に向けて福岡県におかれましては、7月に子どもたち一人一人の背景にある課題に応じて福祉サービス等につなげ、子どもたちが安心した生活を営むことができるよう支援するためこころの窓口を開始するほか、県警本部におかれましても、警固界隈に関する情報共有や課題解決の体制を確保するため、警固界隈のこども・若者を守る協議会を設置するなど、喫緊の課題としてその対策が進められています。
 今回、地下に新しい魅力的な美術館が整備されるとのことですので、これをよい機会として、それだけにとどまらず、そういった社会問題が発生している背景を踏まえたものとして、警固公園の在り方を考えていただくよう要望したいと思います。これは私だけでなく、地域の皆さんからも寄せられている要望ですので、アジア美術館の新しい施設の整備に当たっては、ぜひ警固公園と一緒になって、市民や来街者にとって、これまで以上に魅力ある空間となることを期待しています。そのためにも様々な観点を踏まえながら、整備に取り組んでいただきたいと考えており、それについての御所見を伺いたいと思います。
 現在の警固公園の地下駐車場は、地下で三越の建物とつながっていますが、せっかく新しく地下に美術館を造られるのですから、より地下空間での回遊性を高める工夫も重要ではないかと考えます。こうした観点から、アジア美術館の新しい施設については、地下からのアクセスのしやすさも十分に考慮すべきと思いますが、この点について御所見をお伺いいたします。
 また、私はこれまで何度か金沢21世紀美術館を視察する機会がありましたが、平日でも多くの小学生が見学に来ていて、非常ににぎわっている様子を見ることもありました。福岡市にも、例えば福岡市美術館の近くの舞鶴公園には駐車場もありますので、例えば、福岡市美術館とアジア美術館を1日で両方見学したり、人数に応じてグループ分けをしたりして、両館を回れるような取組なども考えられるのではないかと思います。
 警固公園の地下に整備される新しい施設についても、小学生をはじめとする多くの子どもたちが訪れ、学びや体験ができる場となるよう期待していますが、この点についての御所見をお伺いします。
 次に、高齢者の帯状疱疹及び肺炎球菌ワクチン接種についてです。
 肺炎球菌ワクチンについて、新しいワクチンヘの切替えが検討されているため国の動向を注視するとのことでした。高齢者の肺炎球菌の定期接種の機会は、現在のところ65歳である期間1年のみで、厚生労働省の統計によると、その接種率はおおむね40%前後とのことです。肺炎球菌ワクチンは一度接種すれば長期にわたり病気の発症を抑え、重症化を予防するものであり、接種者の健康維持に寄与するとともに、医療費の抑制にも期待できることから、できる限り多くの方々に接種していただきたいと考えています。
 そこで、お尋ねいたします。肺炎球菌ワクチンについて、効果的な広報、啓発を行い、より接種率が向上するように取組を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりへの支援についてです。
 これまでも、天神地区においてはビルの建て替えなどの機会を捉え、民間活力を生かし、国の補助制度も活用しながら、官民連携で歩行者ネットワークが形成されてきました。先ほどの答弁にもあった、きらめき通り地下通路や因幡町通り地下通路などにつきましては、民間事業者により整備や維持管理が行われており、全国的に見てもよい事例ではないかと思います。
 繰り返しにはなりますが、天神ビッグバンにおいても、ビルの建て替えと併せて公共性の高い基盤整備を進められてきたところであり、今回も新天町の皆さんが、昔ながらの商店街を継承しつつ、採算性の高いビルの1階部分における通路の確保や区域外も含む地下通路の整備など、非常に難しい事業を検討されています。加えて、近年、建設工事費も高騰している状況の中、新天町の皆さんは天神の中心部にふさわしいまちづくりを目指して取り組まれていることから、引き続き官民が連携し、その実現に向けて取り組んでいただければと思います。
 そのためにも、国からの協力が得られるよう、福岡市としても国と補助制度などの活用に向けて協議を進めるなど、しっかり支援を行っていただきたいと考えますが、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 警固公園地下へのアジア美術館の施設拡充についての御質問にお答えします。
 まず、新しい施設の地下からのアクセス性については、今後、周辺施設の状況も踏まえながら調査を行ってまいります。
 次に、多くの子どもたちに見学してもらえる場づくりについてですが、子どもたちへのアートの体験機会を提供することは重要と認識しており、令和6年度からは福岡市美術館とアジア美術館等における校外学習を促進する取組を拡大したところでございます。施設拡充後も子どもたちにとって楽しみながらアジア美術を体験し、多文化や多様性について知る機会の場となるよう、福岡市美術館とも連携しながら、今後検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) ワクチン接種についての御質問にお答えをいたします。
 肺炎球菌ワクチンの接種率向上につきましては、対象者への個別案内をはじめ、ワクチンの効果や安全性、接種の方法などについて、市政だよりや市ホームページなどを活用し、より積極的かつ丁寧な情報提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 新天町、パルコ周辺街区等のまちづくりについての御質問にお答えします。
 現在、新天町をはじめとする事業者において、商店街を残しつつ、にぎわい、活気を感じながら、安全、安心に買物、通行ができる空間の整備などを目指し、若者からお年寄りまで天神に行きたいと思っていただけるようなまちづくりの実現に向けて取り組まれております。福岡市としましても、公共性の高い都市基盤の創出に当たりましては、官民が連携し、それぞれの役割に応じて進めていく必要があると考えており、今回の機を捉え、建物の耐震性の向上と併せ、天神と大名をつなぐ通路機能の継承や新たな地下歩行者ネットワークの形成に向け、事業が円滑に進むよう、国の補助制度の活用について、国とも協議を行ってまいります。以上でございます。
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、平時、災害時の垣根を越える備えについて、朝の小1の壁を乗り越える児童も保護者も安心できる支援について、2項目を質問いたします。
 初めに、平時、災害時の垣根を越える備えについてです。
 9月1日から9月7日は福岡市備蓄促進ウィークとし、家庭や企業内での備蓄をはじめ、市民の皆様に防災意識を高めていただく取組を行っております。備蓄品は避難生活を余儀なくされたとき、心身の健康を守り、命をつなぎます。備蓄品や避難をしたときに利用するサービスは、災害のときにしか使えないものでしょうか。商品やサービスを、これは災害時にだけ使えるもの、これは日常使いするものと分けるのではなく、どちらのときにも活用する考え方をフェーズフリーと言い、近年その概念が広まってきています。例えば、日常に使うエコバッグを水をしっかりとはじく生地のものにすることで、災害時は水をくむバケツ代わりに使えるなどです。そのような考えの下、本市の様々な資源やサービスを平時と災害時の区別をなくし、どちらの状況でも活用することはできないか、伺ってまいります。
 まず、トイレについてです。災害避難時に課題の一つとなるトイレについて、今年度、移動式トイレの導入が予算化されました。7台の導入が見込まれており、災害時の備えとして大変心強いです。移動式トイレの導入に向けた現在の状況、スケジュールについて教えてください。
 以上で1問目の質問を終わり、以降は自席にて質問を行います。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 移動式トイレにつきましては、トイレカーやトイレトレーラーなど種々の形式がある中で、機動性や汚水の貯留容量など災害時の効果的な活用の観点から、車種や仕様の検討を進めており、令和8年度当初からの納品を予定しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) トイレカーにも様々な機能があり、現在、車種や仕様を検討しているとのことです。
 福祉的要素を兼ね備えたトイレカーをいち早く導入された北海道苫小牧市に視察に伺いました。
 資料1をお願いします。(資料投影)トイレカーの愛称も広く募集し、とまレットと名づけられた車体は、それだけで宣伝効果になるラッピングが施されています。車椅子の方と介助者の方が安全に乗ることができるリフトがついており、乗り降りもスムーズにできます。
 資料2をお願いします。(資料投影)また、車内は180センチのベッドも置くことができる広さで、大人の方のおむつ替えも可能です。写真の左下側のベージュのものですが、可動式のテーブルです。ここにつかまりながら、利用することができます。また、トイレットペーパーの右横にあるものは鏡となっており、下半身の感覚がない方も便座に座れたかを確認しながらトイレを利用できるようになっております。また、水は一切使わず、おがくずがし尿を分解するバイオトイレで、衛生的でエコな仕様となっています。近年、トイレカーを導入する自治体も増えてきましたが、仕様は様々です。トイレを何基か搭載し、多くの方が利用できるものもあるようですが、車椅子の方や高齢者の方も安心して利用できる観点も必要です。
 そこで、本市に導入される移動式トイレについて、車椅子の方が対応できるバリアフリー要素があるものになるのか、またオストメイト対応など可能となるのか、検討状況を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 移動式トイレについては、車椅子の方やオストメイトヘの対応も含めて、その仕様を検討しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 災害時の課題であるトイレに福祉的要素が加味されることは非常に重要です。
 では、老若男女問わずおむつ替えが必要な方もいます。広いベッドが置ける仕様など、多くの方が安心できる移動式トイレとなるのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) トイレカーでは使えるスペースが限られる中で、便器数の確保も重要であることから、おむつ台としては乳幼児用の大きさでの仕様を検討しております。大人用ベッドでのおむつ替えが必要な避難者に対しましては専用テントを設けるなど、避難所の状況に応じ対応していくことといたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 様々検討されていることが分かりました。トイレカーについて、本市では市民局が予算化し、災害時や防災などの啓発活動に活用されると伺っております。
 では、平時にも様々な活用はできないでしょうか。
 他都市の事例を紹介します。先ほどの苫小牧市の福祉トイレカーは、夏祭りや花火大会、音楽フェスなど地域の行事から大きなイベントまで出動し、導入から6,500人近くの方が利用されているということです。また、兵庫県南あわじ市では自走式水洗トイレカーを導入しています。災害時の対応を目的に導入されましたが、平時には市内陸上競技大会などスポーツイベントで利用するほか、市が関係する地域のお祭りなどへの貸出しを行っています。青森県八戸市でも、災害対応を目的にトイレカーを本年導入しました。公務で使用しないときの有効活用を図るため、スポーツ、文化、イベント活動等ヘトイレカーの貸出しを行っています。本市では災害時の対応を目的として導入するトイレカーですが、平常時の利用も積極的に行うことで、防災啓発にもつながるのではないでしょうか。
 福祉的な要素も移動式トイレに導入されるのであれば、イベントなどへ外出したいが、トイレの問題で諦める御高齢の方や障がい者の外出支援につながると考えます。そのような検討はされていますでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者などの外出支援の観点からの移動式トイレの活用につきましては、今後の調達や運用の状況などを踏まえながら、市民局と協議してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ協議いただき、災害時だけではなく、平時は様々なイベントなどにも活用できるよう、局を越えた本市全体の貴重な財産としてトイレカーを活用していただきたいと思います。
 次に、平時には水分補給として、災害時には無償で飲料を提供できる災害対応型自動販売機について伺います。
 7月にロシア、カムチャツカ半島付近を震源に起きた地震で、日本の広い範囲に津波が押し寄せ、多くの方々が避難を余儀なくされました。8月の豪雨災害も同様でしたが、猛暑の中の避難に熱中症対策をはじめ、多くの課題があることを痛感しました。特に飲料水の確保は重要です。
 そこで、大規模災害時に飲料水を無償提供できる自動販売機を公民館や市民センターに設置いただいていますが、現在の設置状況について教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公民館に設置しております自動販売機は全て災害対応型でございまして、分館を含む153館中63館に1台ずつ設置をいたしております。また、市民センターには、それぞれ1台以上、合計で13台の災害対応型自動販売機を設置いたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、公民館や市民センターにはどのような手法で設置いただいているのか、教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公民館では、市と各事業者で締結している災害対応型自動販売機の設置等に関する協定書に基づき設置をしており、市民センターでは、市の一括公募や指定管理者による自主事業などにより設置をいたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 本市でも公民館や市民センターヘの災害対応型自動販売機の設置が進んでいることが分かりました。
 では、避難所となる小中学校には現在、災害対応型自動販売機の設置はあるのか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 災害対応型自動販売機につきましては、全ての市立小中学校において設置はございません。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 現在、小中学校には設置されていないということです。
 では、本市の小中学校に大規模災害時に飲料水を無償提供できる自動販売機の設置が可能かどうか、お尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小中学校への災害対応型自動販売機の設置につきましては、平常時の利用において、児童生徒の金銭管理や設置場所などの課題を整理していく必要があると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 設置には様々解決しなければならない課題もあるようです。
 ここで、熊本市の取組を紹介します。市立小学校、92校中48校、中学校、42校中23校に災害対応型自動販売機を設置しています。教育委員会から小中学校長へ文書にてモデル校の募集や概要について周知し、設置が進んだとのことです。また、商品が購入され、得た収益は設置校に還元される仕組みとなっています。
 本市の中学生から、熊本の自動販売機設置のニュースを見て、ぜひ本市にも設置してほしいとの声を伺いました。設置の理由は熱中症対策としての視点を含んだものでした。部活動などがある中学校での現在の熱中症対策についてのお取組を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 中学校での熱中症対策につきましては、文部科学省の通知に基づき、登下校時や部活動における教育活動全般における熱中症の事故防止と適切な対応の徹底について各学校に周知しております。各学校におきましては、熱中症警戒情報等の把握に努めるとともに、暑さ指数を計測し、環境省が示す熱中症予防運動指針に沿って活動の実施を判断しております。また、生徒の発達段階や状況、学校の実情を踏まえ、適切な休憩時間を設定することや水分補給を促すことなどにより取り組んでおります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 様々取り組みいただいています。熊本市の災害対応型自動販売機は、平常時は部活動に参加する生徒や、また、夜間開放で校庭や体育館を利用する一般の方が活用し、熱中症対策にも一役買っており、好評とのことでした。また、災害時には五、六百本の飲料を手動で取り出すことができ、販売機によっては固形の栄養調整食品も配備しています。
 北九州市、また、その周辺市町でも小中学校へ災害対応型自動販売機の設置が進んでいます。本市から部活動の遠征で他都市へ行き、中学校に自動販売機が設置している状況に驚いたとの生徒の声を伺いました。特に部活動に励む生徒は、どれだけ大きな水筒を自宅から持参しても水分が足りないこともあるようです。尋常ではない猛暑が続く中、安全に学校生活を送り、スポーツや勉学に励む環境を整えることも重要ではないでしょうか。
 平時の熱中症対策、災害時の備蓄として本市でも小中学校の意向を確認し、今後、災害対応型自動販売機を設置することを検討できないか、御所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 災害対応型自動販売機の小中学校への設置につきましては、児童生徒の金銭管理など、学校運営上の様々な課題を踏まえ、学校ごとに日常的な運用方法を定める必要があるものと考えております。今後、他都市の先行事例や民間企業の意向などを踏まえるとともに、希望する学校があれば、設置の可能性について検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひお願いいたします。
 これまで本議会でも多く議論された避難時の課題の一つ、乳幼児を連れた方々の避難所利用について伺ってまいります。
 本市においても、地域防災計画や避難所運営の手引きなどにおいて乳幼児のいる家庭に配慮した授乳スペースや育児スペースの確保など、マニュアル化されています。また、お母さんの中には、お乳を搾る、いわゆる搾乳が必要な方もいます。体重1,500グラム未満で生まれた赤ちゃんは入院が必要となるため、お母さんが搾乳し、病院に届ける必要があります。避難所などでも搾乳が必要となる可能性があります。また、それは平常時も同じです。公共施設や商業施設の授乳室では搾乳もできるようになっていますが、お母さん一人で授乳室を利用しようとすると、赤ちゃんがいないのにどうして授乳室に入るのかといった目線があるとのことです。授乳室でも搾乳ができることが一目で分かるシンボルマークなどを掲示することで理解が深まるのではないでしょうか。
 資料3をお願いいたします。(資料投影)神奈川県では、当事者団体であるNPO法人penaと連携し、リトルベビーとその家族に対する支援を行っています。その中で、この搾乳ができることを示すシンボルマークを作成し、それを公共施設や商業施設などの授乳室に掲示、搾乳に関する理解を広く推進しています。
 本市においても平時から授乳室に搾乳ができるマークなどを掲示し、安心して搾乳できる環境づくりを進めていただき、災害時という混乱が生じるときにも理解と環境が構築されているべきではないかと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市では、乳幼児親子が外出しやすい環境づくりを進めるために授乳やおむつ替えのスペースを提供できる施設を赤ちゃんの駅として登録し、登録施設にシンボルマークなどを掲示しております。赤ちゃんの駅の授乳室は、搾乳での御利用も現行、平時においても可能でございますけれども、今後も気兼ねなく御利用いただけるよう検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひお願いいたします。
 また、乳幼児を連れた保護者が避難所を利用するストレスは計り知れません。子どもの泣き声で迷惑をかけるのではと避難をためらう方もいます。
 本市において、妊産婦、乳幼児専用の避難所は設置されていますでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 本市では、妊産婦、乳幼児専用の避難所は設置しておりませんが、公民館の和室や小学校の教室等を福祉避難室として活用し、妊産婦等が安心して避難生活を送れるようにいたしております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 能登半島地震で幼い子どもたちと避難生活を経験した母親は、一般的な避難所では相当なストレスを感じたと、当時を振り返り、専用の避難所の重要性を訴えました。子どもたちは声を出して遊ぼうとしますが、母親は周囲に気を遣って注意をすることが増え、子どもたちは不機嫌になってまた注意が増えるという悪循環に陥ったとのことでした。そうした中、保育所を避難所として開設し、専用の避難所の重要性が改めて認識されたとのことでした。
 東京都葛飾区では児童館のほか、子ども未来プラザなど子ども向けの催しを開いている区独自の子育て関連施設を、妊産婦とおおむね生後6か月までの乳児を受け入れる避難所として今年度から開設予定にしているそうです。
 本市においても、災害時、乳幼児を連れたお父さん、お母さんが少しでも安心して過ごせるよう、子どもプラザを妊産婦や乳幼児を連れた方々の避難所として活用してはいかがでしょうか、御所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 妊産婦や乳幼児がいる家庭専用の避難所につきましては、子育て関連施設の活用など、他都市の事例も参考にしながら、こども未来局と連携をして検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひお願いいたします。
 本市の災害時の備え、また、その備えを平常時に活用できないか、平常時に利用しているところで災害時も過ごすことができないかなど、様々尋ねてまいりました。本市の貴重な資源やサービスをフェーズフリーの考え方で生かし、また、その視点を社会全体に広げることで市民の備蓄に対するハードルを下げ、大切な命を守る備えにつながると考えます。
 この質問の最後に、災害への備え、また、平時の運用も含めた有効な対策を講じ、市民を守る防災対策へ向けた島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 令和6年の能登半島地震をはじめ、近年、日本各地で大規模な自然災害が発生しておりまして、この状況を踏まえて、まち全体の防災力の強化を図っていくことが大変重要と考えてございます。このため、公的備蓄の拡充に取り組みますとともに、トイレカーの配備や温かい食事の提供、また、心身が休まる生活空間の確保に取り組むなど、被災者に優しい避難所環境の整備を進めております。また、教育や福祉など、既存の施設や設備を災害時にも有効に活用できるようにするなど、避難者の多様なニーズに応える環境づくりにさらに取り組んでまいります。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 次に、朝の小1の壁を乗り越える児童も保護者も安心できる支援についてです。
 小学校進学に伴い、生活スタイルが変わることで仕事と育児の両立が難しくなる、いわゆる小1の壁が報道などでも取り上げられています。預ける時間が短くなる、預け先がないことで今までの勤務時間の出社が難しくなる共働き世帯は働き方を変えざるを得ない状況になるとの相談を受けます。社会全体での子育て世帯への理解と子どもを育てる環境が必要です。
 本市の現状を確認してまいります。
 こども家庭庁において、小学校の長期休業中におけるこどもの居場所に関する調査研究報告書が公表されました。市町村への調査として、平日の朝の子どもの居場所確保に向けた施策の有無の問いがありましたが、本市は回答されましたでしょうか。また、回答されていた場合はどのような回答をされたのか、教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) こども家庭庁の調査につきましては、放課後児童健全育成事業の所管課へ、夏季休業中の放課後児童クラブの状況と併せて、平日の朝の子どもの居場所確保に向けた取組についても質問されたもので、未検討と回答しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 本市としては今のところ検討されていない状況とのことでした。
 では、働く世帯の状況について確認してまいります。
 本市における子どもを持つ共働き世帯は、令和2年の国勢調査では9万6,313世帯となっており、平成27年の8万8,539世帯から7,774世帯も増加しております。子どもが未就学の際は共働きの多くの家庭が保育園を利用します。
 そこで、保育園の開園時間は何時からでしょうか。また、保護者が園児を預ける主な時間が分かれば教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 認可保育所等の開園時間につきましては、原則午前7時となっております。また、保護者が園児を預ける主な時間について、これまで全園を対象とした調査は行っておりませんが、公立保育所7か所における令和7年7月の実績を見ますと、登園時間はおおむね午前7時30分から9時30分までとなっております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 早い時間から保育園では預かりを実施しています。小学校に上がると、保育園に預ける時間帯と小学校に登校する時間帯が変わる家庭も多いです。そのため、小学校の開門前に保護者と一緒に家を出る児童、保護者が先に家を出て、一人で戸締りをし、学校へ行く児童など、これまでとは異なるスタイルを余儀なくされる場合があると考えます。
 保護者の不安や悩みは尽きないと考えますが、そのような声を聞く、また、相談できる機会はあるのでしょうか。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 保護者の相談機会につきましては、入学前年度に実施される就学時健診や入学説明会において、入学についての不安や悩みを保護者が学校に相談できる機会を設けております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、保護者から相談があった際、学校はどのように対応されるのか、伺います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 保護者からの登校に関する不安や悩みに対しましては、通学路における危険箇所を確認していただくことや御近所の子どもたち複数での登校などの助言を行っております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 保護者から相談する機会はあり、対応もいただいているようですが、家庭内で解決すべき問題と考え、相談ができず不安を抱える保護者も多いのではないかと考えます。子育てしながらでも意欲を持って働き続けられる環境をつくることは大切なことです。
 資料4をお願いいたします。(資料投影)さきに伺ったこども家庭庁の調査でも、保護者へ意見を聞いています。学校がある日の朝、子どもが自宅で過ごしていると回答した保護者に対して、自宅以外の居場所の利用希望の有無を尋ねた結果です。自宅以外の居場所をとても利用したいと思う、利用したいと思うの合計が30.3%と、学校がある日の朝の居場所を求める保護者も一定数見られる状況です。
 資料5をお願いします。(資料投影)また、この調査を学年別に見たところ、とても利用したいと思う、利用したいと思うと回答した小学校1年生の保護者の合計が42%、2年生の合計が31.6%、3年生の保護者が32.4%と、低学年の保護者は高い割合で朝の居場所を希望していることが分かります。また、利用したいと回答した保護者に対し、利用してみたい場所を尋ねたところ、学校との回答が59.8%と最も多い結果となりました。
 そこで、本市の小学校の現状についても、確認してまいります。
 本市の小学校の校門開放時間は学校により異なると考えますが、平均的な開放時間が分かれば教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小学校の門の平均的な開放時間につきましては、小学校には複数の門があり、職員が通勤で利用する門は、多くの学校が通勤時間に合わせて7時30分頃に門を開けております。そのほかで児童が利用する門は、多くの学校がおおむね7時50分頃から8時頃に門を開けております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ある小学校では、15名ほどの児童が校門の開放を待っている現状があると伺いました。いつ事故に巻き込まれてもおかしくない状況です。
 午前7時からの小学校見守り事業を実施する大阪府豊中市に視察に伺いました。空き教室や体育館など指定の場所で見守り員2名が対応し、教室に入ることができる時間まで過ごします。事前登録制となっており、事業開始の令和6年から延べ1万7,490人が利用しています。今年度からは夏休みなどの長期休暇期間中もこの事業を拡大し、働く保護者を支援しています。豊中市は、子育ては親だけがやるものという考え方から脱却し、子育ての社会化を目指しますと宣言し、子ども政策の充実、強化を図り、その一環としてこの事業を実施しています。
 本市でも、保護者の出勤に合わせて家を出た児童の居場所を校舎内につくることで保護者支援につながると考えますが、所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 児童の登校時における安全確保につきましては大変重要であると認識しており、そのため各学校では、児童が日の出が遅い冬季においても安全に登校できるよう登校時間を設定しております。また、登校中の安全確保のため、通学路において多くの方に児童を見守っていただくとともに、保護者には登校時間を守るよう協力をお願いしているところです。登校時間前に学校に来る児童の対応については、安全面等の課題も含め、他都市の状況を調査してまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 保育園から小学校に上がる環境の変化は、子どもにとって大変大きなものです。送り迎えがあった保育園から自分の足で学校に通う、人間関係の規模が大きくなり、勉強という新たな習慣も始まる、ストレスがかかりやすい時期とも言えます。それに加え、今までになかった誰もいない家を1人で出る習慣が加わったり、不安を抱えて学校の前で待つ時間が出てくるということは、想像するだけでも小さな体に心に大きな負担をかけているのではと考えます。
 では、小学校の開門前に地域で児童を見守ることを行っている校区などがあるのか、把握していれば教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 地域での児童の見守りにつきましては、多くの学校において、登校時間を中心に自治協議会など地域ボランティアや保護者が通学路の要所で登校の安全見守りを行っていただいております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 通学路には多くの地域の方、また、保護者が見守りを行っていただき、通学の安全を確保いただいています。学校の開門を待つ状況に何か対策はないかと動いた東京都三鷹市にも視察に伺いました。三鷹市では、地域の有志が小学校と話し合い、校庭を開放し、自主的に見守りを行っていました。その需要の高さに市としても対策が必要と考え、保護者支援とコロナ禍で低下した児童の体力向上を目的に、朝の校庭開放事業を行っておりました。多い小学校では児童200人以上が校庭開放に参加し、朝から元気に校庭を駆け回っているとのことです。各学校にはシルバー人材センターヘ委託した2名の見守り員が配置され、予算は各学校年間120万円ほどで実施しているとのことです。
 仕事を求めるシルバーの方にとって、朝の時間帯だけ、また、近所の小学校で働くことができる環境を喜ぶ方も多く、地域で小学生と挨拶ができる関係が築かれているとのことでした。安全面では、見守り員の目が届く範囲で遊ぶなどのルールを設け、大きな事故などは起きていないとのことです。また、高学年が自然と低学年の面倒を見るなど、低学年の児童も安心して参加ができている状況です。
 私も朝の時間帯に様々な本市の小学校を回ったところ、さきに答弁がありましたように、7時30分には開門をしている学校もあり、多くの児童が校内で過ごしていました。校庭の隅で砂に絵を描いている児童、昇降口で待つ児童、校舎の裏で座る児童、様々でしたが、校舎に入ることのできる時間まで待っているような状況でした。また、別の小学校では、7時45分の時点で校内に入っている様子も見られました。門をくぐった子どもたちの対応が必要になったとき、学校の先生が対応しているのではないでしょうか。朝早い時間に開門し、児童が校内で過ごすことが教員の負担になることも大いに考えられます。そのため、豊中市、三鷹市ともに教員に負担をかけないことを朝の居場所づくりの大切な観点の一つとしているとも伺いました。
 教員の働き方改革を推し進める本市としても、各学校に差はあるかもしれませんが、先生方の対応に頼るのではなく、見守り員を配置し仕組みづくりをすること、働く保護者を支え、社会全体で子育てしていく体制が必要ではないでしょうか。
 見守り員を配置し、安全な環境で運動ができる朝の校庭開放事業は有意義であると考えます。本市でも昼間校庭開放事業を朝に拡充してはどうか、所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 昼間校庭開放事業につきましては、現在、地域の有償ボランティアの協力を得ながら実施しておりますが、見守りをする人員の確保が課題の一つとなっております。また、市内146校の事情も様々であることから、朝への拡充については、まずは他都市の事例を参考にしながら、人員の確保や費用など、様々な課題も含め整理する必要があると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 現状では、校舎内や運動場での見守りを実施するに当たっては課題があるとのことでした。しかし、どうしても仕事のために早い時間に家を出なければならない保護者が、安心して子どもが登校できるようにするのは、やはり大切なことではないでしょうか。
 先ほど登校に関する保護者の相談が仮にあった場合、複数での登校を促すなど助言をされていると答弁がありました。保護者同士が事前に連絡を取り合い、登校時に友達の家などに立ち寄って登校時間まで待機し一緒に登校する、あるいは一時的に友達の家に待機してもらったりするなどの話も聞いたことがあります。このようなことをすることで安全が確保されていくとも思います。また、そのことで保護者同士の連携も生まれ、つながりの中で保護者の不安も払拭されていくと思います。こういった取組なども進めることはできないか、教育長の御所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 朝の登校につきましては、児童が安心して登校できるような環境をつくることが重要なことだと考えております。現在、地域や保護者の方に通学路の見守りを行っていただいておりますが、議員御指摘のとおり、保護者が連携し、児童同士が声をかけ合いながら登校することなどは、児童の社会性を育むとともに、地域全体で見守るという点でも大変意義があると考えております。今後も、保護者同士が連携して見守りができるような工夫を学校から保護者に提案していくなど、保護者の心配や不安の声に寄り添いながら、児童の登校時における安全確保に努めてまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 本市の小学校を見回る中でも、多くの保護者や地域の方が善意で子どもを見守ってくださる現状を拝見しました。持続可能な保護者支援、子どもの朝の居場所づくりのためには、本市の努力も重要です。引き続き本市の保護者や児童の意向、現状もしっかりと確認しながら、本市独自の朝の居場所づくりを推進していただきますようお願いいたします。
 朝の居場所について尋ねてきましたが、社会全体で子どもの居場所づくり、また、保護者と子どもが過ごせる時間の確保を行うことも重要です。
 東京都品川区や、さきに紹介した豊中市では、小学校6年生までの子どもがいる区、市の職員を対象に、1日2時間以内で勤務時間を短縮できる制度を導入しています。これまで対象は未就学の子どもを持つ職員に限っていましたが、子どもが小学校6年生になるまで利用できるよう拡大したとのことです。
 現在、本市でも育児中の職員が勤務時間を短縮できる制度を導入しています。一般企業では3歳未満に限って実施しているところが多いようですが、本市では就学前まで対応しています。
 他都市を参考に、福岡市の部分休業制度も対象である子どもの年齢を小学校6年生までに拡大し、本市全体へ意識を醸成する取組を実施してはいかがでしょうか、御所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の部分休業については、地方公務員の育児休業等に関する法律に基づき、小学校就学の始期に達するまでの子を養育している職員を対象としておりますが、放課後児童クラブなどへの迎えが必要な職員については休憩時間を短縮し、終業時間を早める制度が利用できます。また、柔軟なワークスタイルの実現に向け、令和7年度から勤務時間の長さや始業時間を変更できるフレックスタイム制を本格導入するとともに、通勤時間を子育てなどにも充てられる在宅勤務制度を拡充しております。引き続き、職員の仕事と子育ての両立支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 多くの働く保護者がぶつかる小1の壁を打開する取組を実施することが、本市全体で子育てをしていく機運の醸成につながると考えます。
 社会全体で子育てに取り組む対応として、本市の企業などでも柔軟な働き方の導入や働く保護者を支え合っていく雰囲気をつくっていく必要があります。働く職場が子育てを応援してくれる、これほど心強いことはありません。企業などへ広く働き方や子育て支援について啓発していく必要があると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 社会全体で子育てを応援する機運の醸成は重要であることから、令和7年3月に策定した第6次福岡市子ども総合計画において、社会全体で子育てを応援する環境づくりを施策の一つに掲げたところでございます。これまでの「い〜な」ふくおか・子ども週間の促進に加え、今年度は新たに仕事と子育ての両立に向けた企業の先進事例などの情報を発信し、横展開を図ることとしております。今後とも、社会全体で子育てを応援する機運の醸成に向け、企業や地域、関係局と連携し取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 2人目のお子さんを考えているお母さんがママ友と話をしているとき、2人目を考えているなんてぜいたくねと言われた。子どもを産むことがぜいたくと考える世の中って悲しいですねとお話をされました。核家族が増え共働きが増える中、子どもを育てる苦労や大変さ、また、子どもが育っていく社会への不安を抱える方も多いように感じます。
 社会全体で子どもを育てていく、希望を持って子育てし、明るく前向きな気持ちがあふれる真ん中に子どもたちがいる、そのような本市の姿にさらに進められますよう、各家庭において大きな転換となる小1の壁を、家庭だけではなく社会全体で受け止めることで、子育てのしやすさをさらに実感できる福岡市になることを期待します。
 最後に、島市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 島市長。
○市長(島宗一郎) 朝の登校も含めて、小学校入学時における保護者の不安や悩みを解消することは、保護者が子育てと仕事を両立していく上でも重要なことであると認識をしています。福岡市では、家庭、学校、地域、企業などと連携をして、社会全体で子どもと子育て家庭を見守るとともに、仕事と子育ての両立支援など、安心して子育てできる環境づくりを進めており、引き続き教育委員会とも連携をしながら、子どもや子育て家庭に優しいまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時16分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(尾花康広) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。池田良子議員。
○62番(池田良子)登壇 皆さんこんにちは。私は、福岡市民クラブを代表しまして、手話言語条例の制定について、訪問介護事業所の実態と支援について、そして、困難女性支援基本計画の策定について質問をしていきたいと思います。
 まず初めに、手話言語条例の制定についてです。
 障害者権利条約の定義に手話が言語として位置づけられ、日本においても、2011年8月、改正障害者基本法で初めて「言語(手話を含む。)」と明記されたことで手話が言語として法的に認知されました。2013年10月、鳥取県の施行をスタートに、2025年8月23日現在では全国の40都道府県をはじめ、606の自治体が手話言語条例を制定し、運動は日増しに大きく広がっています。福岡県は2023年4月1日に施行しており、県内では飯塚市や田川市など18の市町村が手話言語条例を制定しています。また、全国の自治体における施策展開の情報交換等を行う全国手話言語市区長会には、大牟田市や久留米市など条例制定には至っていない10市を含め県内15市が参加しています。本年11月には、我が国で初めて聴覚障がい者の国際スポーツ大会、デフリンピックが東京で開催されます。デフリンピックを機に聴覚障がい者への理解を深めようとの動きが出ており、手話言語条例制定の自治体数も日々増えています。そのような中、本年6月25日、手話に関する施策の推進に関する法律が公布、施行されました。
 そこで、手話に関する施策の推進に関する法律、以下、手話施策推進法と言います。その目的と基本理念について御説明ください。
 以上で1問目を終わり、以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 目的につきましては、手話がこれを使用する者にとって日常生活及び社会生活を営む上で言語その他の重要な意思疎通のための手段であることに鑑み、手話の習得及び使用に関する施策、手話文化の保存、継承及び発展に関する施策並びに手話に関する国民の理解と関心の増進を図るための施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本となる事項を定めること等により、他の関係法律による施策と相まって手話に関する施策を総合的に推進することとなっております。また、基本理念につきましては、第1に、手話の習得、使用に関する施策を講ずるに当たっては、手話を必要とする者及び手話を使用する者の意思が尊重されるとともに、手話の習得及び使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるために必要な環境の整備が図られるようにすること、次に、手話が長年にわたり受け継がれてきたものであり、かつ手話により豊かな文化が創造されてきたことに鑑み、手話文化の保存、継承、発展が図られるようにすること、最後に、全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資するよう、手話に関する国民の理解と関心を深めるようにすることとなっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 手話施策推進法は、目的、基本理念に加え、国、地方公共団体の責務、財政上の措置、基本的施策から人材の確保に至るまで具体的な施策を示しています。法の制定により、手話の習得、使用に関する必要かつ合理的な配慮が適切に行われるために必要な環境の整備などが具体的に示されたわけです。
 以下、福岡市の現状について、順次質問してまいります。
 福岡市立学校には聴覚障がいの児童生徒は何人いるのでしょうか。小中特別支援学校ごとにお答えください。また、そのうち通常学級に在籍している児童生徒数もお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 聴覚障がいのある児童生徒数につきましては、小学校37人、中学校12人、特別支援学校66人でございます。そのうち、通常の学級に在籍している児童生徒は、小学校24人、中学校11人でございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 多くが通常学級に在籍をしていますが、その児童生徒たちのコミュニケーションツールはどのようなものか、お分かりになる範囲でお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 聴覚障がいのある児童生徒のコミュニケーションツールにつきましては、各自が日頃から使用している補聴器のほか、聞こえを補うため、発達教育センターが貸し出している補助装置が複数ございます。主な補助装置には、教員の声を集音して直接補聴器に送信するタッチスクリーンマイクのほか、発言する友達の声を集音してタッチスクリーンマイクを経由して送信するパスアラウンドマイクや、グループ学習のときに複数の友達の声を集音して直接補聴器に送信するロジャーセレクトなどがございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 手話施策推進法では、以下、5つの権利を保障することを求めています。手話を獲得する、手話で学ぶ、手話を学ぶ、手話を使う、手話の保存です。その保障として具体的な手だてを図ることが求められています。手話の獲得の権利とは、聞こえない、聞こえにくい子どもたちや大人が手話を身につけられる環境、教育の場が保障されることです。聞こえないお子さんが生まれたとき、保護者をはじめ、お子さんに手話言語で対応できる環境整備が福岡市にはなされていません。
 子どもや保護者、家族に対する手話の学習機会の提供はどのようになされているのか、教育委員会、福祉局それぞれにお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 市立の小中学校におきましては、アプリや筆談等の活用により日頃の学習を進めており、手話を獲得することを目的とした学習は実施しておりません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市が開催している手話奉仕員養成講習会につきましては、保護者や家族も受講することができることとしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 次に、手話で学ぶ権利です。
 聴覚障がい特別支援学校や大学等一般の学校で聴覚障がい児・者が授業や講義を受けるとき、手話に熟達した教員が直接手話で授業をすることと、必要な場合に手話通訳が用意され、聞こえる生徒、学生と同様に学習権を保障することです。
 そのためには手話に熟達した教員の養成が急務です。難聴学級や難聴通級指導教室では現在どのような手だてが講じられているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 難聴特別支援学級や難聴通級指導教室におきましては、日常的に手話を使用している児童生徒がいないため、手話での授業等は行っておりません。また、日頃の授業等はアプリや筆談などを活用して行っており、教員に対して手話を獲得するための研修などは実施しておりません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 次の手話を学ぶ権利とは、国語の学習を通じて日本語を学ぶことと同様に、手話を教科として学べることが、特に聴覚障がい特別支援学校では必要です。自らの言語の体系を学ぶことを通して、誇りを持って生きていく力を育てることができます。小中学校の子どもたちが総合的な学習など様々な場で工夫を凝らして手話を学ぶことも大切です。
 現在、小中学校での手話を使った活動の実施状況が分かればお知らせください。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小中学校での手話を使った活動につきましては、総合的な学習において手話や点字を体験する活動を行っており、令和6年度は小学校が64校、中学校4校が実施しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 手話が音声言語と平等に使える制度と環境づくりが何より大切ですが、そのためにも聴覚障がい者への理解と手話を学ぶことが大切です。
 手話講座には、通訳者養成講座のほかに市民向け、事業者向けなど様々な目的があると思いますが、現在の手話講座の開設状況をお知らせください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市内に住む18歳以上の方を対象に手話奉仕員養成講習会を年46回実施しております。また、市内に住む手話奉仕員養成講習会修了者または手話検定2級の方を対象に手話通訳者養成講習会を年42回実施しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) これらの施策を通して手話を使うことが可能になります。手話で自由に会話ができたり、手話通訳を通して社会参加ができることにより、聴覚障がい者の生活はより豊かになります。手話施策推進法第15条、人材の確保等には、手話通訳を行う者などの安定的な確保、養成、資質の向上のための研修の機会の確保、適切な処遇の確保とあります。
 そこで、福岡市の手話通訳者の実態についてお尋ねします。
 現在、福岡市役所、区役所など公的施設の場における手話通訳者の人数と配置部署についてお知らせください。あわせて、役所に行けない方への相談はどのように受けているのかもお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 手話通訳を行う聴覚障がい者支援員は7人であり、各区役所の福祉・介護保険課に配置しております。また、聴覚障がい者御本人が直接窓口に来所できない場合は、各区役所の福祉・介護保険課に設置しているタブレットの画面を介して聴覚障がい者支援員と会話ができるようにしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) タブレットを使うということですが、タブレットをうまく使えないという声も上がっています。佐世保市や大津市のようにLINEの導入を求めておきます。
 本会議、常任委員会等の議会の傍聴に際して、手話通訳者の派遣を求める手だてについてお尋ねします。その際、費用負担は生じるのかも併せてお答えください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 議会事務局によりますと、聴覚障がい者が市議会を傍聴するため派遣が必要な場合は、聴覚障がい者御本人が議会事務局へ申請することとなります。また、手話通訳者を市議会に派遣するための費用は議会事務局が負担することとなっており、御本人の費用負担はないと聞いております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) これまで、本会議、委員会等で何件の手話通訳派遣の実績があったのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 過去5年間は実績がないと聞いております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 本日は手話通訳者をお願いしているところで、ある意味、初めてかと思います。
 聴覚障がいのある傍聴者のために議場傍聴席の字幕表示モニターの設置も──そこにありますけれども──予定されていますが、情報の入手方法は個人により様々です。実績はないとのことでしたが、聴覚障がいの方々への公平な情報提供のためにも手話通訳派遣は残していただくことを要望しておきます。
 2020年に全国の手話通訳者の協力を得て、厚労省は雇用された手話通訳者の労働と健康についての実態に関する調査研究を実施しました。調査の目的と課題についてお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 調査目的につきましては、全国の聴覚障がい者に関わって働く雇用された手話通訳者の労働実態及び健康状態を調査することや、手話通訳に関わる都道府県及び市町村の事業の実施状況について把握することなどとされております。また、課題については、手話通訳者の非正規職員の割合が高いこと、手話通訳者の高齢化による後継者問題、手話通訳者の頸肩腕障がいなどの健康問題などとされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 手話通訳者の高齢化や非正規割合が高いこと、処遇の改善が重要な課題だと考えます。
 処遇改善についてどのように取り組んでいるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 各区役所に配置している聴覚障がい者支援員は、会計年度任用職員として雇用しており、高度な知識と経験を必要とする職であるため、令和7年度に報酬を上げております。また、手話通訳者の派遣についても、7年度から派遣単価を上げております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 聴覚障がい者への合理的配慮として、まちなかや地下鉄構内では電光掲示板による災害、事故などの情報伝達、会議や説明会などでは手話通訳の配置やパソコンでの要約筆記などが見受けられますが、障がい者部はどのような施策を行っているのか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 各区役所に聴覚障がい者支援員を配置するとともに、聴覚障がい者御本人が直接窓口に来所できない場合は、設置したタブレットの画面を介して支援員と会話ができるようにしております。また、福岡市聴覚障がい者情報センターを設置し、日常生活や社会生活全般に関する相談を受け、適切な支援を行っております。さらに、手話通訳者や要約筆記者等の養成及び派遣、市長会見の同時通訳などを実施しております。なお、その他、国のサービスとして、聴覚や発話に困難がある方とそれ以外の方との会話を通訳オペレーターが手話などで通訳する電話リレーサービスなども実施されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 福岡市では、障がい者差別解消条例が2019年1月1日より施行されました。手話言語条例に関しては、これまでも当事者団体からの請願をはじめ、条例の制定を求める質問を私も行ってきました。市長の定例会見での手話通訳の導入は実現をいたしましたが、いまだ条例の制定には至っていません。当時の保健福祉局長は、障がい者差別解消条例において手話も言語に含むことを明記しているとして条例の制定を拒んでこられましたが、差別解消条例は基本理念のみです。また、手話言語条例の制定については、国の動向などを見守りながら対応を検討していくとも答弁されました。国は手話施策推進法を、県は条例を制定しました。
 国、県の動向を見据えて、福岡市も全国手話言語市区長会に参加し、手話言語条例を制定する時期に来ているのではないかと考えますが、市長の御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市の障がい者差別解消に関する条例においては、障がいのある方に対してコミュニケーション及び意思決定の支援等を保障する必要があるとの基本理念を定め、区役所への聴覚障がい者支援員の配置や手話通訳者の派遣など手話に関する施策を推進しているところでございます。この条例においては、手話を言語に含むこととしており、引き続き手話施策の推進にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 次に、訪問介護事業所の実態と支援についてです。
 第9期福岡市介護保険事業計画策定に当たっての高齢者実態調査によると、51.9%の人が介護保険サービスを受けながら在宅で生活したいとの意向を持っています。また、介護者も介護保険サービスと併せて在宅介護の意向を持っている人は52.3%です。市民の半数余りが住み慣れた自宅で介護を受け、家族もまた、自宅で介護をしながら一緒に住み続けることを希望しています。それを実現するのが訪問介護事業です。高齢になり、生活がちょっと崩れ始めたかなというところで、週1回程度の掃除や買物支援である介護予防型訪問サービスから始まる訪問介護は、高齢者や家族にとって、終末期になっても大変使い勝手のいいサービスと言えます。しかし、3年ごとの介護保険制度改正のたびに使いづらくなった、利用者の負担が増えたとの声が聞かれてきました。このような状況の中、2024年4月、訪問介護の基本報酬は、身体介護、生活援助、通院乗降介助とも全て基本報酬が引き下げられました。
 他の事業が微増の中、訪問介護は2%以上の減額になりましたが、その積算根拠は何か、お示しください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 訪問介護の基本報酬につきましては、国において設定されるものでございますが、今回の改定率については、国の介護事業経営実態調査における訪問介護事業所の収支差率が介護サービス全体平均の2.4%に対し7.8%と相対的に高かったことなどを踏まえたものであると認識しております。なお、人件費の割合が高い訪問介護は、介護職員の処遇改善に充てられる処遇改善加算の加算率が他のサービスよりも高く設定されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 基本報酬の減額は、明らかにサービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住などの併設型の高収益を標準にしているという指摘もあります。また、処遇改善加算というのは、職員の処遇、主に給料のアップに対してのみ使えるお金です。経営を支えるのは基本報酬です。基本報酬を上げずに処遇改善だけ増やすということは、最悪の場合、職員賃金が上がって、事業所は倒産、閉鎖せざるを得ないという事態を招きます。
 そこで、訪問介護事業者の倒産、休廃業についてお尋ねします。
 資料1をお願いします。(資料投影)これは東京商工リサーチ調査の2024年度老人福祉・介護事業の倒産件数です。介護事業者の倒産は179件と過去最高を記録しています。中でも、訪問介護が前年度比21.1%増の86件と全体の約半数を占めています。資料2をお願いします。(資料投影)また、2024年の状況ですが、訪問介護の倒産と事業を停止した休廃業、解散を合わせた件数は529件にも上っています。
 そこでお尋ねいたしますが、福岡市の訪問介護事業者の休廃業件数とその理由をお知らせください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年度の訪問介護事業所の休廃止数は27件でございます。その理由は、人員不足、事業所の統合、経営不振、利用者の減少などでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 2024年度の老人福祉・介護事業の倒産、休廃業件数の約7割が訪問介護事業者です。東京商工リサーチは、その要因を基本報酬のマイナス改定やヘルパー不足、物価高などが影響しているとの見方をしています。
 経営環境の先行きが見通せない事業者に対して福岡市の支援等はないのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) これまで福岡市においては、介護サービス事業者に対し、国の交付金を活用して物価高騰対策支援金を支給しております。また、訪問介護事業所への従事も可能となる介護職員初任者研修を無料で開催するとともに、経営や労務問題等に詳しいコンサルタントを派遣するなど事業所の経営支援に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 次に、介護職員の現状についてお尋ねします。
 福岡市の介護職における過去1年間の離職率をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年度に実施した市内の事業所を対象とするアンケート調査によりますと、離職率は介護従事者全体で14.7%となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 決して少ない数字ではないと思います。
 令和6年度に福岡市内の介護事業所を対象に行った介護職員の過不足状況アンケート調査では、介護職員全体で不足感があると回答した事業所は53%で、特に訪問介護員の不足感があると回答した事業所は54.3%でどの職種よりも突出しており、訪問介護員不足が深刻であることが分かります。
 資料3をお願いします。(資料投影)厚労省は、将来必要になる介護職員の人数のほかに、現状の介護職員の増加ぺースが続いた場合の23年度、25年度、40年度各時点の予測人数を都道府県別に示しています。
 ますます介護職員不足を招くことになりますが、どのようにして介護職員を増員しようとしているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護人材の確保に向けて、国、県、市の役割分担の下、学校や関係団体と連携して実施しているところでございます。福岡市では、介護に関する資格取得の支援や介護の魅力発信による人材の裾野拡大などの新規人材の就労支援、介護事業所のDXの推進などの労働環境、処遇の改善、様々な研修等を通じた介護職員の資質の向上に総合的に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 本年3月18日読売新聞によると、厚労省は、全国の介護職員数が2023年度212万6,000人と前年度比2万8,000人の減となったことで、人手不足が深刻な訪問介護について、小規模な事業者に財政支援を行い、連携や再編による大規模化を促すとしていますが、具体的にはどういうことなのか、福岡市では行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) お尋ねの国の取組につきましては、事業所の経営基盤の強化や経営状況の改善等を目的とした事業であり、複数の法人で構成される事業者グループによる法人間の連携促進や相互に協力して行う人材育成、経営改善に向けた取組を促すものでございます。現在、福岡県におきまして、福岡市内の事業所も対象に実施されているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 訪問介護事業所が倒産、休廃業されると困るのは、本人はもとより、介護をする家族です。特養には要介護3以上でないと入所できない問題もあり、親の介護をするためにやむなく仕事を辞めざるを得ない状況がこれまでも社会問題となってきました。
 本市は、働く人が介護に直面した場合でも離職せずに介護と両立して仕事を続けられるよう情報提供やアドバイスを行う相談窓口、働く人の介護サポートセンターがありますが、過去5年間の相談件数と福岡市高齢者実態調査における介護を理由に離職した人数の割合の推移、過去3回分をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 働く人の介護サポートセンターにおける過去5年間の相談件数は、令和2年度が183件、3年度が184件、4年度が202件、5年度が168件、6年度が102件でございます。また、福岡市高齢者実態調査における介護をしている家族や親族の中で介護を理由に離職した人の割合の推移は、平成28年度が8.4%、令和元年度が6.7%、4年度が6.3%となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 訪問介護の基本報酬の引下げが訪問介護士の離職を招き、訪問介護事業者の運営不振による倒産、休廃業へと、結果、サービスを得られない家庭が介護離職へと、その連鎖は市民の暮らしにも影響を及ぼします。
 新潟県村上市と東京都品川区は、訪問介護事業所を対象に、引下げ前の2023年度との差額分を補?する独自の支援制度を2027年度の次期改定まで臨時措置として行うことを発表しました。本日、毎日新聞でも世田谷区の取組が記載されていました。
 福岡市でも現状を捉まえて支援策として検討すべきと考えますが、御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 訪問介護の報酬につきましては、介護事業所経営実態調査の結果などを踏まえ、国において設定されるものでございます。令和6年度の改定で訪問介護の処遇改善加算は拡充されており、福岡市といたしましては、加算を取得していない事業者に取得を促進するとともに、国に対しては適切な介護報酬の設定を行うよう要望しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 最後に、困難女性支援基本計画の策定についてです。
 2024年4月1日、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、以下、女性支援新法と言います──が施行し、福岡県は2024年3月に支援施策に関する基本的な事項を定めた福岡県困難な問題を抱える女性への支援に関する基本計画を策定しました。女性支援新法では、国や都道府県だけでなく、市町村が支援の実施主体と位置づけられています。
 そこでまず、本市では基本計画を策定される予定はあるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 女性支援新法に基づき、福岡市女性支援基本計画を策定することとしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) その際の基本的な考え方をお示しください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 困難を抱える女性が安心して、かつ自立して暮らすことができる社会の実現を目指し、相談体制の充実や関係機関との連携など多様な支援の包括的な提供について定めることとしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 計画策定の担当部署はどこになるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 市民局男女共同参画課において、令和6年度より新たに女性支援を所管する係を設置し、計画策定を担当しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 女性相談支援員は設置されているのか、設置されていればどこに設置しているのか、その人数と任用形態についてお尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 女性相談支援員につきましては、各区保健福祉センター家庭児童相談室等に令和7年8月現在、計28名を配置いたしております。会計年度任用職員として任用しておりまして、家庭相談員及び母子・父子自立支援員を兼任いたしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 今お聞きしたところですね、担当部署は市民局と。相談支援員の所管はこども未来局ですので、連携をしっかり取られるようにお願いしておきます。
 新法第11条には、女性相談支援員は、困難な問題を抱える女性について、その発見に努め、その立場に立って相談に応じ、及び専門的技術に基づいて必要な援助を行う職務に従事する職員と定義をされていますが、相談支援員は有資格者なのかどうか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 女性相談支援員は、相談業務や児童福祉事業の従事経験、4年制大学における社会福祉等の専門学科の修了などを要件としておりまして、専門の資格保有を必須とはしておりませんが、現在配置されている職員の大半は社会福祉士など何らかの資格を有しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 女性相談支援員にはより専門的な対応が求められますが、新たに計画的な研修の予定はあるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 新たに策定する基本計画を踏まえ、研修の内容や回数の充実を図り、計画的に実施をしてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 相談者の中には、相談窓口にまで行くことが困難な状況を抱えた方も少なからずいると推測しますが、アウトリーチは行うのか、伺います。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 窓口への来所が困難な方に対しましては、関係機関と連携をしながら、一人一人の状況に応じて女性相談支援員による出張面接や他機関への同行支援などを実施しますとともに、相談される方にとって必要な情報が届くよう積極的な情報発信を行ってまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 女性相談支援員の相談場所はどこに設置し、相談スペースは相談室として独立した部屋であるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 相談スペースの状況につきましては、区保健福祉センターごとに異なっておりますが、独立した相談室のほか、パーティションで仕切られた相談ブースやカウンターなどでも対応しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) パーティションで仕切ったり、カウンター対応では、相談者の守秘義務が損なわれるのではないかと危惧をします。また、相談者の心情を考えると、相談室として独立した部屋が必要と考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 相談スペースにつきましては、安心して相談ができるよう、プライバシーに配慮した環境づくりに努めてまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) アミカスには総合相談とDV相談窓口がありますが、そことの関連はあるのか、また、どのように連携を図られるのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) アミカス相談室におきましては、男女にかかわらず、様々な相談を受けておりまして、女性相談支援員と同様に困難を抱える女性からの相談にも対応しているところです。また、いずれの相談窓口でも相談内容や相談者のニーズに応じた支援につなぐなど相互に連携を図っております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) これまでお尋ねしてきたように、女性相談支援員の任務は広域に及び、かつ重責を伴います。しかし、雇用形態は会計年度任用職員という非正規職員です。国が女性相談支援員は非正規職員として人件費2分の1補助としていることは承知をしていますが、福岡県は正規職員としています。
 相談員の職の安定を図るためにも正規雇用とすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 女性相談支援員につきましては、その職務内容や勤務形態などを勘案した上で会計年度任用職員として配置することとしているものでございます。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 民間の支援団体など多くの機関連携により、アウトリーチによる早期発見や相談支援、一時保護、居場所提供、被害回復支援など、自立支援に向けた支援の内容を検討する支援調整会議の設置が女性支援新法では努力義務となっていますが、本市では設置されているのか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 支援調整会議につきましては、令和6年度より設置をいたしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) それはどういう関係団体で、何団体なのでしょうか。また、支援調整会議の開催については定例なのかどうか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 支援調整会議は、市の関係部署や公的機関、民間支援団体等、計32の機関、団体で構成されております。また、支援調整会議のうち、代表者会議及び実務者会議は定例開催、個別のケースに関する会議は随時開催といたしております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 女性支援事業の対象者の範囲については、性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性その他の様々な事情により日常生活又は社会生活を円滑に営む上で困難な問題を抱える女性(そのおそれのある女性を含む)とされています。法が定義する状況に当てはまる女性であれば、年齢、障がいの有無、国籍等を問わず、性的搾取により従前から婦人保護事業の対象となってきた人を含め、必要に応じて法による支援の対象者となるというふうにあります。
 女性であるがゆえに抱えるあらゆる困難な課題に全ての相談員が対応できるとは限りません。
 外国人女性や障がいのある女性、高齢者や性的少数者などから相談を受けた場合、どのように対応されるのか、御説明ください。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 様々な状況にある方の相談に際しては、本人の意向を踏まえながら、最適な支援が受けられるよう関係機関、団体と連携して対応しております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 相談者にとっては、できるだけ少ない回数で、かつワンストップでの相談を望みますが、それは対応として可能なのかどうか、お尋ねします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 相談を受ける際には本人の負担軽減に十分配慮しながら、相談から保護、自立支援まで専門的で切れ目のない多機関協働による連携支援を行ってまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 心身を傷つけられ、人権を侵害されるなど、複雑で深刻化する様々な問題を抱える女性に対して、相談から保護、自立支援までの専門的な切れ目のない支援の提供が必須です。
 相談者の自立に向けた支援をどのように行っていくのか、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 相談者の自立に向けた支援におきましては、地域において安定的に生活を営み、その人らしい暮らしを実現できるよう、本人の意向を踏まえながら、地域の関係機関等と連携、協働し、包括的な支援を実施してまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 女性の自立支援は、就労自立や社会生活への適応という狭義の自立だけではなく、心と体の回復も必要です。これまで私は、DV等被害者が一時保護施設退所後、社会的、精神的自立に向けて、安全な場所の提供に加え、自立に向けたサポート体制が期待できるステップハウスの設置を求めてきました。
 基本計画策定の期に当たってステップハウスの設置を求めますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 一時保護施設退所後の支援につきましては、地域に設置された公的施設等において様々な自立支援が行われているところでございます。引き続き民間団体からの聞き取りなどにより、住まいや支援に関するニーズの把握に努めてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 困難女性への相談窓口や支援制度についての啓発が必要だと考えますが、いつからどのように行うのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 困難を抱える女性が早い段階で相談や支援につながることができるよう、基本計画の策定に合わせ、相談窓口や支援制度のさらなる周知に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 困難女性の相談事業は既に始まっています。チラシの作成、配布など周知に努められますよう要望しておきます。
 最後に、福岡市の困難女性支援基本計画の策定に当たり、今後、福岡市ではどのように取り組んでいかれるのか、荒瀬副市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 近年、日常生活や社会生活を送る上で、生活困窮や性的被害、孤立など女性が抱える問題は多様化、かつ複合化しているところでございます。国籍、年齢、障がい等の有無にかかわらず、全ての女性が安心して、かつ自立して暮らせる社会の実現を目指して、福岡市では新たに女性支援基本計画を策定することとしております。全ての女性が生き生きと輝いて暮らせる社会の実現に向けて、女性支援の取組を着実に進めてまいります。以上です。
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、生活保護行政について、福岡市漁港での無許可貸しを本市が黙認していた問題について、被爆80年、戦後80年に当たっての本市の今後の平和事業の充実について質問いたします。
 質問の第1は、生活保護行政についてです。
 2013年から15年にかけて生活保護費が最大で10%も引き下げられ、総額670億円の削減となりました。今でも引き下げられたままです。これに対し、全国では29の都道府県で1,000人を超える原告が裁判に立ち上がり、生活保護費削減の取消しを求める訴訟が行われました。その結果、6月27日に最高裁は生活保護基準引下げの違法性を認め、保護費減額処分の取消しを命じる歴史的判決を下したのです。しかし、国は判決後2か月以上も謝罪と被害の回復を行わないままであり、生存権と人権が侵害された状態が続いています。
 そこで、このような国の態度について、保護行政を実施運用してきた本市の所見をお伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 国におきましては、司法の最終的な判断を真摯に受け止め、判決の趣旨及び内容を十分精査の上、今後の対応について検討していくとの考え方が示されており、必要な検討が進められているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それでは国と一緒の姿勢だと言わなければなりません。
 日本国憲法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定め、国にそれを守る責務を課しています。ところが、国は生活保護バッシングで市民の分断と対立をあおり、生存権保障水準を理不尽に切り崩してきたのです。それが司法で断罪されました。今回の最高裁判決を受け、今こそ全ての人々が安心して人間らしい生活を送れる生活保護制度に転換していかなければならないと思います。
 そこで、保護費の生活扶助費についてお伺いします。
 まず、本市での保護費のうち日常生活の根幹となる生活扶助費は大幅削減される前の2013年と現在とではどうなっているのか、60歳単身者、75歳単身者について答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活扶助費につきましては、いずれも4月時点の月額で、60歳単身世帯は平成25年が7万5,960円、令和7年が7万4,310円で1,650円の減、75歳単身世帯は平成25年が7万2,600円、令和7年が6万8,820円で3,780円の減となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) お聞きになったとおり、それは年額では、60歳では約2万円、75歳では約4万5,000円もの引下げです。生活保護利用世帯では、スーパーで20時過ぎの半額見切り品を買い、6枚100円の食パンで朝、昼、夜をしのぐなどしており、現在の扶助費の引下げがこういう事態を生み出しています。
 今の扶助費の基準額ではまともな生活はできないのではありませんか、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活扶助基準につきましては、一般低所得世帯の消費実態や社会経済情勢等を総合的に勘案して、必要に応じ改定が行われており、物価の状況等を踏まえ、令和5年10月の改定において特例的な加算が設けられるなど、国において必要な見直しが行われているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 大した金額じゃないんです。今の実態を見てください。
 最高裁判決が出るまでの12年間、最低生活を下回るぎりぎりの生活を強いられてきているんです。市内のある保護利用者の方は1年間で5キロ痩せたそうです。聞くと、食費を切り詰めてきたと言われます。
 お尋ねいたしますが、この間の生活保護費の減額分を最高裁が違法性を認めた状態の前に一刻も早く戻すよう国に求めるべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護制度は最低限度の生活を保障する全国一律の制度であり、保護基準については、国において適切に設定されるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それじゃあ国の代弁者じゃないですか。
 今、保護費削減に加えて、利用世帯を物価高騰が襲いかかっています。本市の消費者物価指数は、2020年を100としたとき、2025年は111です。物価は高騰し続ける中、保護費は引き下げられたままです。南区のある保護利用者のお母さんは、米や物価が高くて子どもたちに十分に食事をさせられない、自分は朝食を抜いていると言われます。
 現在の物価高騰の中、このままの保護費では健康で文化的な生活をすることができないと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護の基準につきましては、生活保護法第8条により厚生労働大臣が定めるとされており、健康で文化的な生活の在り方については、国の責任において判断されるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 冷たい答弁です。利用者の生活は本当に追い詰められています。
 では、一般に10万人当たりの自殺者数を自殺率として計算されていますが、本市の保護利用者の令和5年の自殺率について答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和5年度の生活保護受給者数平均4万2,520人に対し、自殺者数は25人であり、10万人当たりの自殺死亡率に換算すると58.8となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 58.8%、市精神保健福祉センターの発表で計算すると、本市の令和5年の市民全体の自殺率は17.0ですから、実に3.4倍です。利用者の生きづらさを示す数字と言えます。
 国が保護費を削減する中、本市も下水道料金減免制度を廃止し、保護利用世帯の生活困窮に拍車をかけました。その前には、夏季や年末の見舞金も廃止、縮小しています。述べてきたように、生活保護利用者の生活困窮は極限に達しており、緊急に独自の手当てが必要です。
 したがって、最高裁の判決を受けても国が上げないままの額を市として補?するとともに、市が行った下水道料金減免制度の廃止、夏季見舞金及び年末見舞金廃止、縮小を復活させるべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護制度は、国において一定の基準を定め、実施されているものであり、生活扶助につきましては、国において必要な対応が検討されているものと認識しております。また、見舞金の復活は考えておりません。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 生活保護受給世帯に対する下水道使用料の減免制度につきましては、厚生労働省から下水道使用料が生活扶助に含まれているとの見解が示されたことから、負担の適正化を図るため、平成28年6月に廃止したものであり、同制度の復活は考えておりません。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 市がやっていたことをやり戻しなさいと言っているんです。国の引下げ額の補?と市独自の見舞金等の復活を強く求めておきます。
 次に、保護利用世帯の18歳の大学生や専門学校生の世帯分離についてです。
 生活保護世帯のお子さんたちは、18歳になって高校を卒業し、大学、専門学校等に進学すると、親とは一緒に住んでいても別世帯となり、生活保護を受けられません。この理由について答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 奨学金等を活用して大学に就学する方などについては、国の通知に基づき世帯分離を行うこととしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 生活保護は自分の資産や能力を生活のために活用するものだから、18歳になったら、大学、専門学校に行かずに働いて家計を支えるべきだというわけですよ。
 保護利用世帯の南区のある県立高校3年生の方は、歯科技工士の専門学校が志望です。入学金30万円、授業料や実習費など初年度校納金が230万円、教科書、実習服などの諸経費が60万円、このうち117万円を来年の春先までに納めなくてはいけませんが、お金がない事態に直面しています。市内には生活保護世帯の高校生が600人以上おり、同様に悩む姿は想像できます。
 お尋ねいたしますが、生活保護世帯の若者は大学などに進学せず、働くのが当たり前という昔の考えが本市の行政の中にも残っているのではありませんか、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 次世代への貧困の連鎖を防止することは大変重要であり、本市においては、生活保護世帯等を対象に子どもの健全育成支援事業による相談支援、学習支援を実施し、進学も含めた多様な進路選択に向けた支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 国の立場を代弁するひどい姿勢です。18歳のいる世帯に対する保護課の指導はあくまで世帯分離だとして、多くが機械的だと私は感じます。保護課は、高校3年生と家族に学費は奨学金でと簡単に言いますが、それは借金です。食費、生活費は別世帯だから自分で稼ぐことですねと言う。さらに、家族とは別に国民健康保険に入り、保険料、医療費は自分で払えと言う。高校生はどんなにアルバイトをしても幾らも稼げませんよ。10代で自分の進路を断念する状態も生まれてきています。
 そこでお尋ねいたしますが、保護利用世帯から進学した大学、専門学校生は、進学後、授業の合間に毎月何時間働いて、幾ら稼ぐことを想定しているのか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護世帯から大学等に進学する方につきましては、入学金及び授業料の減免や給付型奨学金を受けられる高等教育の修学支援新制度等を利用されているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 全く私の質問に答えていません。全く想定もしていないということですよ。
 はなから若者たちが無理難題を押しつけられています。必死に未来を目指す高校生たちにもっと寄り添うべきです。もちろん、基本は国の制度であり、大学生の世帯分離の問題があります。しかし、その制度の改正を待てないと、世田谷区では給付型奨学金制度をつくり、年50万円を支給している。名古屋市では一律給付金制度で年10万円を給付し、大学生らを応援しています。生活保護利用の若者たちもこの制度を利用して喜ばれています。本市も倣うべきです。
 したがって、大学、専門学校進学で世帯分離を強いる保護制度の是正を国に求めるとともに、他都市に倣って生活保護利用世帯の若者を援助できるように大学、専門学校生への支援制度をつくるべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護制度は最低限度の生活を保障する全国一律の制度であり、国において適切に取扱いが定められているものと考えております。生活保護世帯から大学等に進学される方につきましては、国の高等教育の修学支援新制度の対象として授業料等の減免や給付型奨学金の支給が行われているところであり、子どもがいる生活保護世帯については、家庭訪問などを通じてこうした制度の活用などについて助言を行うなど、引き続き必要な支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 国ばかり見ずに若者の実態を見てください。
 次に、保護課の体制についてです。
 保護課に勤務する職員には、どの分野でも仕事ができるゼネラリストよりも生活保護行政に詳しいスペシャリストの育成こそ求められます。生活保護行政は、毎年繰り返し出される厚労省の告示や通知などを加えて制度や運用が変わっていきます。ここからは、厚労省が監査した昨年10月1日時点の本市の報告に基づいてお尋ねしていきます。
 生活保護に関する職務では、保護係長とケースワーカーがおられます。
 まず、査察指導員である保護係長についてお聞きします。
 お尋ねいたしますが、査察指導員とはどういう役割ですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 査察指導員は、社会福祉法第15条に指導監督を行う所員と規定されており、現業事務の指導監督をつかさどるとされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ケースワーカーをまとめる要の役割です。
 お尋ねいたしますが、その査察指導員の標準数について、厚労省は何人必要だと示していますか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 国に提出する監査資料には、ケースワーカーの標準数を7で除して得た数を査察指導員の標準数として記載することとされており、これによると令和6年10月1日現在で61人となります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) では、現状は何人ですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年10月1日現在で45人が配置されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 16人も不足したままです。
 これは問題ではありませんか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 査察指導員の数につきましては、法令上定められているものではございません。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) そんな言い訳は通用しません。
 では、厚労省はそれについてどういう是正改善指導をしているか、答えてください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年度に実施された生活保護法施行事務監査の結果の通知においては、査察指導体制の整備に努めることとされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 厚労省は、体制の整備が必要な状況だという現状の問題点を指摘しているんです。
 本市は、この状況をどう改善すると厚労省に答えているのか、教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 今後とも、必要な体制の確保を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 抽象的な言葉でごまかされます。
 では次に、保護行政の中心を担うケースワーカーについて聞きます。
 ケースワーカーとはどういう役割ですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケースワーカーは、社会福祉法第15条に現業を行う所員と規定されており、援護等を要する者の家庭を訪問するなどして生活指導を行う等の事務をつかさどるとされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 孤立しがちな保護利用世帯の頼りになる相談相手なんです。
 厚労省が求めている本市の標準数は幾らですか。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 社会福祉法において、福岡市の場合、80世帯を標準として配置することとされており、令和6年10月1日現在で424人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) では、現状は何人なのですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年10月1日現在で336人が配置されております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 驚くべき、88人も不足したままなんですよ。
 これは問題ではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護の実施体制につきましては、ケースワーカーの配置に加え、年金や戸籍調査などの専門知識を有する会計年度任用職員の配置や、就労支援や高齢者世帯の在宅生活支援などの委託事業の実施などにより体制の確保を図っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 問題意識が全く感じられません。
 この状況をどう改善するというふうに答えているのか、教えてください。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 今後とも、様々な手法を講じながら、必要な体制の確保を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 88人不足していたのに、あなた方は城南区役所に1名増員したというふうに厚生労働省に答えているんです。88名不足で1名増員ですよ。厚労省は適正運営のための基本的事項に課題があるという指摘をしているんですけど、それを全くあなた方は無視しています。
 では、ケースワーカーを担当する平均世帯数の話です。厚労省は標準世帯数を80としています。本市は幾らですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケースワーカー1人当たりの平均担当世帯数は、令和7年4月1日現在で101.4世帯となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 101.4、ケースワーカーの担当世帯が標準より20世帯も多いんです。88人も不足しているから、ずっとこんな状態が続いているんです。ケースワーカーの担当世帯が標準よりこれだけ多ければ、職員の多忙化を招き、ひいては保護利用者の困難に寄り添えません。
 厚労省の求める標準数を守るためにケースワーカーを抜本的に増員すべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市においては、ケースワーカーによる支援に加えて、就労支援や年金調査、面接相談員などの高い専門性を有する会計年度任用職員の配置や専門的な支援のノウハウを持つ民間事業者の活用などにより、必要な支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 厚労省は増やせと言っているんですよ。国の指導も無視する、全くいいかげんな態度です。
 本市の保護課の問題は、ここまで聞いてきた人員の量だけの問題ではありません。質の問題も異常です。
 お尋ねいたしますが、ケースワーカーの経験年数が1年未満は何人ですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和7年5月1日現在で101人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 101人、3割も1年未満です。
 では、4年未満は何人ですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和7年5月1日現在で302人となっております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 9割も4年未満です。
 保護課の職員にはスペシャリストが求められていますが、本市のケースワーカーは経験年数の少ない職員ばかりで構成されています。これは問題ではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 経験年数が短い職員につきましては、研修の実施や各所属に配置した経験豊富な職員による助言、指導などにより知識や技能の向上に努めております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 問題と感じないことが大問題です。職員の質を高める努力が全く見られません。この体制では、間違った対応で保護利用者を傷つけることが起きています。
 ある利用者から聞きました。ケースワーカーが計算間違いをして係長も見過ごした。その結果、本来の支給額を上回って何年も支給されていた。それに気がついた保護課から返還命令が出され、何万円もの過払い金を一括で返済せよと言われた。こんな話は区役所ごとにある状態ですよ。職員もまともに仕事ができないほど多忙な状況の中、中央区役所ではケースワーカーがうその申告書を作成したとして懲戒処分とする事件も起きているじゃないですか。
 このままの体制では、福岡市民が安心して生活保護制度を利用できず、保護制度の適正な運営の確保もできないことから、まずは厚労省の指摘どおりに人員の充足と体制整備を緊急に進めるべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護につきましては、今後とも、様々な手法を活用しながら、必要な体制の確保を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 全くやる気のない答弁しかされません。市民が安心できる生活保護制度を確立するために、ケースワーカーの抜本的な増員と経験の蓄積とスペシャリストの養成を求めておきます。
 ここまで、生活保護行政について尋ねてきました。生活保護を困っている市民のセーフティーネットの制度にしていくには、本市の運用の中で改善していくことが多くあることが今日の質問で明らかになりました。最高裁判所判決を受け、今こそ変えていくべきときです。
 したがって、現在の保護費額では物価高騰の中で生活できる水準とはなっておらず、国に対して直ちに引下げ前基準との差額の遡及支給をし、さらに保護費の増額を求めるとともに、本市独自の上乗せをすること、また、本市として制度運用の充実を図るとともに、それを実施する保護課の体制を抜本的に強化するべきだと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 生活保護制度は、最低限度の生活を保障するために全国一律の基準で実施されているものであり、保護基準や最高裁判決については国において適切に対応されるものと考えております。制度の実施に当たっては、ケースワーカーに加え、専門知識を有する人材を配置するなど様々な手法を講じているところであり、今後とも、生活保護制度を適切に運用するとともに、生活に困窮する方の状況に応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 生活保護基準の引上げを国に求めるとともに、本市の運用改善を求めておきます。
 質問の第2は、福岡市漁港での無許可貸しを本市が黙認していた問題についてです。
 西日本新聞8月27日付は、福岡市の所有、管理する漁港で、市の条例で漁船以外の係留が禁じられているにもかかわらず、市漁協の支所が係留場所を市に無許可で一般のプレジャーボートなどに有料で貸していると報じました。
 無許可有料貸付けは事実ですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 御指摘の福岡市漁業協同組合の支所が、福岡市が管理する6漁港でプレジャーボートなどの漁船以外の係留を受け入れ、料金を徴収しているという記事につきましては事実でございます。なお、令和7年3月のプレジャーボート利用者に対する漁港内での恐喝事件報道を受けまして、係留の適正化に向け、現状調査や関係者協議、有識者会議の立ち上げに取り組んでいたところ今回の報道となったものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 事実だと。
 では、無許可有料貸付けは条例違反なのですか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市漁港管理条例及び同条例施行規則により、プレジャーボート等の小型船舶を係留できるのは浜崎今津漁港のみであり、それ以外の漁港への係留は条例違反と認識しております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 条例違反だと。
 では、いつから無許可有料貸付けを把握していたのですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 記録が残っていないため、詳細な時期は把握しておりませんが、平成11年度に漁港管理条例等を改正し、浜崎今津漁港においてプレジャーボート等の受入れを開始しておりますので、少なくともその時点で農林水産局におきましては把握していたものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 1999年から把握していたと。
 では、なぜ今まで把握していたのに議会には報告していなかったのですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) これまで漁協による自主管理により漁業活動に支障がなかったと考えておりましたので、議会への報告も含め、市として適切な対応を行ってこなかったものと考えております。今後は適宜議会に報告してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 問題なのは違法係留ではないんです。市が市民の財産をただで使わせ、漁協が利益を上げてきた事件です。これは行政としては許してはいけない問題です。
 なぜ26年間も黙認し続けてきたのですか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) これまで漁協による自主管理により漁業活動に支障がなかったことから、市として適切な対応を行ってこなかったものと考えております。その要因等につきましては、しっかり検証してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 無許可有料貸付けを見逃してやっている重大な事態なんですよ。
 今、なぜ黙認を続けてきたかの理由は説明されていません。きちんと答えてください。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 繰り返しになりますが、これまで漁協による自主管理による漁業活動に支障がなかったことから、市として適切な対応を行ってこなかったものと考えております。しっかりした要因の調査につきましては、今後行いまして、検証を必ず行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 答えになっていないんですよ。
 有料貸付けを行ってきているのを見逃している。これについて、なぜ黙認してきたのかって聞いているんです。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 記録等がございませんので、なぜ見逃してきたというか、これまでこのような状況が続いてきたのかということにつきましては、今ここではっきりしたお答えをすることができません。そのため、この要因につきましては、今後しっかり検証した上で明らかにしていきたいと思っております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) なぜ黙認してきたかを議会において明らかにならなかったということを確認します。
 次に進みます。
 では、漁協には一体どのくらいの収入があったと把握されているのか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 現在、有識者会議を開催するに当たりまして、実態調査を実施しておりまして、市漁協の収入につきましては可能な限り把握してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 分からないと言われますけどね、新聞報道では、漁港全体で年数千万円に及ぶと書かれています。26年分となれば、何十億円ということになります。
 お尋ねいたしますが、漁協の収入は何に使われたのですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) プレジャーボートの係留にかかる経費として使われたと聞いておりまして、現在実施している実態調査の中で、市漁協の収入の用途につきましても可能な限り把握してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) いや、分からないでは済まされません。この事件は、市の施設を無断で使用して、何十年にわたり億単位に及ぶお金が動いている可能性がある前代未聞の大事件です。こんなことは行政だけではできません。何らかの大きな力がないとできません。
 お尋ねいたしますが、今回の事件に政治家の関与があったのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) そのような事実は把握しておりません。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 関わりがないなんてことはあり得ない話ですよ。26年にもわたって億単位のお金が動いているわけです。
 では、漁港の管理責任者である市長はこの事件に関与していないのですか、お答えください。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 本件に関しまして、市長の関与はございません。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) では、漁港の管理責任者である島市長が行った政治資金パーティーで漁協関係者からパーティー券を購入してもらっていませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、市内外から幅広い分野の皆様に御来場いただいており、私を応援、支援していただいている方々に市政報告などを行うため、政治活動の一環として開催したものであり、法に基づき適切に対応しております。なお、いずれの業界の方とも御懸念のような不適切な関係はございません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) その記載報告では、誰が幾らのパーティー券を買ったのかという義務は一般的にはないんですよね。
 今、この事件で、漁協の金の流れの中に長年黙認してきた市長の関わりがないのかと疑惑が持たれているわけです。自ら関係があるかないかを明らかにする責任が市長にはあるのではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続を行い、必要な届出及び公表は全て行われております。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) いや、適正な手続と言いますけど、そう言うだけでは疑念は拭えませんよ。
 明らかにする責任はもともと市長にあるわけですから、市長がこの漁協関係者と一切そういうパーティー券を買ってもらった関係にはないということを証明してください。よろしくお願いします。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、市内外から幅広い分野の皆様に御来場いただいており、私を応援、支援いただいている方々に市政報告を行うため、政治活動の一環として開催したものであり、法に基づき適切に対応しております。なお、いずれの業界の方とも御懸念のような不適切な関係はございません。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それでは疑念は拭えません。そもそもこの事件は市役所ぐるみの犯罪行為であり、利益供与が濃厚な事件です。
 これについて、これから市としてどのような調査を行うのですか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) プレジャーボートの係留の適正化を行うために有識者会議でしっかり議論できるよう必要な調査を実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 有識者会議では、無許可有料貸付け問題は解決しません。それはプレジャーボートの適正な係留対策協議のために設置されたものであり、もともと全く別問題の機構です。調査するべきことは、漁協の徴収した利用料は総額幾らなのか、その金はどこに行ったのかなのです。
 それについて徹底した調査をすべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 繰り返しになりますが、プレジャーボートの係留の適正化を行うために有識者会議で議論できるよう必要な調査をしっかりと実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それじゃあ問題にならないんですよ。係留の問題じゃないんです。問題は無許可有料貸付け問題なんです。このままの幕引きは許されません。徹底調査が求められます。
 今までの質疑で分かったことは、市の漁港で無許可有料貸付けが行われてきて、漁協が不当な利益を上げてきており、市はそれを知っていて黙認してきたということです。しかし、収入を得た漁協が多額な資金を何に使ったのかも市は把握していません。事は、市民の財産である漁港を使って民間団体が利益を上げ、この利益が何に使われているか、市長も含めた政治家に流れているかどうかも分からないのです。これを有識者会議で解明することはできない話です。市長、あなた自身が漁港の責任者です。現場がやってきたことで、知らないというのは許されません。
 したがって、今度の事件での金銭の動き、政治家の関与がなかったかなど、自らの問題を含めて徹底調査と全容解明をするべきだと思いますが、港湾施設の管理者である島市長の明確な答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市管理漁港におけるプレジャーボート等の問題については、全国的な課題ではありますが、福岡市としても不適切な状況を整理し、正常化するため、有識者会議を立ち上げ、今後の在り方を検討することとしております。あわせて、いつからなぜ黙認してきたかについても、しっかりと検証し、二度とこのようなことがないよう取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) そんな言い逃れは許されないことを指摘しておきます。
 そこで、議長にお願いいたします。今日のやり取りでは、残念ながら当局は責任ある回答をされませんでした。この疑惑解明のために引き続く調査が必要だと思います。地方自治法第100条を付与した調査特別委員会の設置を求めます。直ちにその協議をしていただくようお取り計らいいただきたいと思います。同時に、私のこの提案について議員各位が賛同していただくようお願いをして、私の次の質問に入ります。
 被爆80年、戦後80年の本市の平和事業についてです。
 今年は広島、長崎への原爆投下から80年、今年3月時点で被爆者の平均年齢は86歳であり、被爆の実相を知る生き証人がよわいを重ねる実態の数字に被爆の実相の継承が必要だと強く感じます。
 本市は全国で被爆者が3番目に多い県都として、広島、長崎の被爆の実相の継承についてどのような事業をしていこうとしているのか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 被爆の実相を継承する取組といたしまして、平和首長会議から提供を受けた被爆樹木の苗木の植樹や原爆ポスターの展示を行うとともに、小学校修学旅行における原爆資料館見学などの体験活動を通し、市民や次代を担う子どもたちの平和意識の醸成に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それだけですかというような感じですね。
 ノーベル平和賞を昨年受賞した日本原水爆被害者団体協議会、いわゆる日本被団協は、1956年、長崎市で開催された第2回原水爆禁止世界大会のときに結成されました。それを受けて、福岡市原爆被害者の会も結成されました。現会長の中村国利さんは、昨年、オスロでのノーベル賞の授賞式にも参加されました。中村会長を先頭に、あの日何が起きたのかを語ることが平和につながると活動されています。そういう被団協の活動が世界的な評価を受け、ノーベル平和賞の受賞となったのです。
 このような語り部活動が平和をつくる力になると思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市原爆被害者の会の語り部活動につきましては、被爆の実相証言とその継承に関する事業として福岡市原爆被害者等援護事業補助金の対象としております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 原爆被害者の会は20人余りの証言者を学校や一般の方々の集いに派遣していますが、被爆者は高齢のために語り継ぐ人が年々減少しています。
 会の語り部活動を本市としてバックアップするとともに、聞き手を語り部にする組織的活動を支援するべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 原爆被害者の会の語り部活動につきましては、被爆の実相証言とその継承に関する事業として補助金の対象としております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 語り部活動と養成への本市の支援を抜本的に強めてもらうよう求めておきます。
 被爆者の記憶に残る光景を広島市立基町高等学校の生徒さんらが被爆者から聞き取り、共同で原爆の絵を制作していることが被爆の実相を広く発信するための大きな力となっています。原爆被害者の会と原水爆禁止福岡市協議会の申入れを受け、この夏、この絵が市役所1階ロビーでも展示されました。さらに、九州産業大学芸術学部学生による被爆体験絵画プロジェクトがあります。これは市原爆被害者の会から被爆者の体験した当時の様子や言葉、写真、資料では伝え切れない感覚を絵画にしてほしいとの要請を受けて実現したもので、この夏はふくふくプラザ1階で展示されました。
 この高校生や学生の被爆の実相を伝える絵画を、区役所、学校、公民館などをはじめ、市民の集まる場所に展示していくなど行政としての支援が必要ではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 被爆の実相や平和の尊さを市民に伝えるため、今年度は市役所本庁舎で毎年開催している原爆ポスター展の機会を活用し、平和首長会議が開催するこどもたちによる平和なまち絵画コンテストの入賞作品や広島の高校生たちが描いた絵画を展示したところでございます。今後とも、関係局が連携して市民の平和意識の醸成に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) まだまだ不十分過ぎます。さらなる充実を求めておきます。
 北九州市は、被爆地広島、長崎での実相の継承を目的に、毎年、広島、長崎ツアーを若い世代を対象に平和事業として行っています。参加した小学生は核兵器の恐ろしさを感じたと声を上げ、保護者は家庭でも平和について意見交換する場面が増えたと言われています。やはり行政が公的に関わることで、市民は安心して参加することができるわけです。
 本市も他都市に倣って、被爆地広島、長崎への市民派遣を行うべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡市におきましては、全ての小中学校で平和学習を実施しております。また、多くの小学校で長崎への修学旅行を実施しており、平和祈念公園での平和集会や市内のフィールドワーク、原爆資料館見学等を通して平和の大切さについて学んでおります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 今や、海外から広島、長崎に政府代表から市民までが集って、被爆の実相を学ぼうとやっている時代です。私は市民派遣を求めたので、小中学生だけの話をしているわけではありません。本市からの市民派遣を求めておきます。
 次に、平和資料館についてです。
 福岡は、多くの被爆者が暮らし、全国最大の引揚港・博多があり、大空襲で1,000人以上の犠牲者を出したまちでもあります。戦後80年となり、今、その当時を語る行政文書、個人の体験を記した日記、手紙、写真などの記録や遺品の散逸、遺構や遺跡の消滅が危惧されています。
 そこで、本市として戦争体験者による戦争の実相を伝えるために、そこに行けば本市での戦争の傷痕、体験などが伝承できる施設が必要だと思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に正しく伝えていくため、博物館における戦時関係資料やふくふくプラザにおける博多港引揚げ資料の常設展示などを行っており、今後とも、平和に関する取組を実施することにより、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ふくふくプラザの引揚港・博多の常設展示、博物館でも展示しているなどと言われます。残念ながら、見た人が満足できる展示とは言えないと思うんですよね。
 まず、引揚港・博多の常設展示ですが、4年前にリニューアルして以来、148点の展示内容は変わっておりません。市民から提供された記録や物品は2,600点を超えます。そのほとんどが総合図書館の書庫に眠ったままです。
 それは展示スペースが狭過ぎるからではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 引揚げ資料の展示場所につきましては、福岡市博多港引揚記念碑等検討委員会において展示の在り方について検討され、資料の収集状況、資料の種類、点数等を踏まえると単独での資料館設置は難しいと思われ、公共施設の一部を利用して展示を行う方策等が妥当であるとされたことから市有施設への設置検討を進め、ふくふくプラザでの常設展示に至ったものでございます。今後とも、展示スペースを有効に生かしながら、より効果的な展示に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 提供された市民の気持ち、そして、入替えを求める市民との約束を果たすべきです。
 次に、博物館についてです。
 まず、常設展示があると言われますが、福岡の歴史の1こまとして僅かに大空襲を展示しているにすぎず、また、企画展示の戦争とわたしたちのくらしは年間のうち二、三か月の僅かな期間です。
 お尋ねいたしますが、博物館の展示では期間が短過ぎるのではありませんか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 博物館では毎年、福岡大空襲のあった6月19日を含む期間で企画展示、戦争とわたしたちのくらしを開催しております。戦時期の市民の生活等を伝える貴重な実物資料を展示するため、資料保護の観点から会期を2か月程度としております。令和7年度は戦後80年という節目の年に当たるため、資料の展示替えを行いながら、約3か月の会期で実施しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 80年だから、2か月を3か月にしたというだけの話なんですよ。多くの人に見てもらう姿勢がないのは問題です。
 これまで、公共施設の取りあえず空いている場所に展示するとか、博物館の年間展示の一部でやるとかいうことを言われました。いつでも被爆の実相、福岡の戦争体験、引揚げ体験など、被爆と戦争の体験が継承される常設の平和資料館が必要だと思いますが、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 戦時関係資料等の展示については、博物館において空襲の被害や当時の人々の暮らしを紹介する常設展示を行うとともに、毎年、福岡大空襲の時期に合わせ、約2か月間にわたる企画展示を開催しております。また、ふくふくプラザにおいては、博多港引揚げに係る常設展示について、開設10年の節目となる令和4年にリニューアルを行うとともに、より多くの市民に届くよう資料のデジタル化を進めているところであり、今後とも、これらの施設を活用し、展示の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ぐずぐずしていては継承できないときが来るんですよね。ですから、もういち早く常設の平和資料館を求めておきます。
 では、冷泉公園に設置されている戦災記念碑についてお聞きします。
 「戦災死没者の慰霊と平和への祈りをこめて」と刻まれ、空襲の惨状などを表現した10人の人の像が描かれ、記念碑の中には大空襲や引揚げによる死者約1,300人の名前が書かれたヒノキ板が納められており、私の親族7人の名前も入っています。
 しかし、記念碑には今、安全対策として囲いがしてあり、近寄れません。いつまでも放置するのは問題です。いつ改善するのか、答弁を求めます。
 
○副議長(尾花康広) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 冷泉公園の戦災記念碑につきましては、管理している福岡市社会福祉協議会が調査を行ったところ、おおむね震度5弱から6弱程度の地震で損傷や倒壊の可能性があることが判明したため、倒壊する可能性がある範囲に囲いを設置しているものでございます。戦災記念碑は福岡市戦災死没者慰霊塔建設委員会が建設したものでございますが、現在は解散しているため、今後の対応につきましては、社会福祉協議会を含め、地域や関係者等と協議しながら検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 放置は許されません。速やかな改善を求めておきます。
 この記念碑のある公園の隣に旧冷泉小学校があります。石積み遺構の保存とともに、福岡大空襲に見舞われた土地でもあり、ここに常設の平和資料館を設置することは、地元住民の博多の歴史の展示という願いにも合致していると思います。住宅都市局は、平和関係資料の展示に関する所管局から意向が示されれば検討していきたいというふうに答えています。
 そこで、総務企画局は冷泉小学校跡地に平和資料館を造る立場に立ち、住宅都市局と協議すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(尾花康広) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 博物館やふくふくプラザなどの施設において、引き続き戦時関係の記録や資料の収集、展示の充実に努めるとともに、市役所庁舎における原爆ポスター展の開催、小中学校における平和学習の推進などにより、関係局が連携して市民の平和意識の醸成に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 今あるもので、安上がりで、そして、一括したそういうものは造らないという立場です。平和資料館は、広島でも、長崎でも、北九州でも平和事業の発信拠点となっているんです。見習うべきです。
 ここまで平和事業についてお尋ねしてきました。被爆体験、戦争体験を直接聞けるのもなかなか難しい時代になってきております。私も被爆者の話の中で、あのときの記憶や感情がよみがえる場面に遭遇します。そして、一緒にいて、その場で亡くなった肉親や友人のことに思いをはせる姿を見聞きすると、今聞いている自分自身が平和のために何をすべきかと強く思うわけですね。市民全体が、この福岡がどういう戦争を体験したまちだったのかを深く知り、これを次の世代に語っていくために行政の役割が今求められているときです。
 したがって、本市として被爆と戦争の体験を風化させることなく、それを市民で共有するためにも、市独自の平和事業の充実と冷泉小学校跡地に常設の平和資料館の設置を決断するべきときだと思いますが、最後に市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 我が国は、さきの大戦を通して戦争の悲惨さを身をもって体験しますとともに、平和が何よりも尊いものであることを深く心に刻んでおります。福岡市におきましても、多くの方が戦禍の犠牲となられ、かけがえのない多くのものを失い、博多港には終戦直後、多くの方が苦難の中、異郷の地より引き揚げてこられた歴史がございます。二度と戦争を繰り返してはならないという願いは人類共通のものであるとともに、全国民、そして、市民の願いでもあると考えています。このため、福岡市では博多港引揚げの歴史や戦争体験を通して平和の尊さを後世に伝えるため、ふくふくプラザにおける引揚げ資料の展示や博物館における戦時関係資料の常設展示を行うとともに、小中学校において様々な機会を捉えて平和に関する学習を積極的に行っています。また、毎年、福岡大空襲について戦没者合同追悼式や博物館における企画展示を開催しているところでございます。今後とも、戦時関係の記録や資料の収集及び展示の充実に努めるなど平和に関する取組を実施することによって、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) この際、休憩し、午後2時55分に再開いたします。
午後2時44分 休憩
午後2時55分 開議
○議長(平畑雅博) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ)登壇 午後もお疲れと思いますが、よろしくお願いいたします。
 本日は、日本維新の会福岡市議団を代表いたしまして、リチウムイオン電池の適正廃棄について、フロン類の排出削減と自然冷媒の導入についての以上2点について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まずは、リチウムイオン電池の適正廃棄についてですが、今回取り上げますリチウムイオン電池は、私たちの生活に深く入り込み、スマートフォンをはじめとする小型の電子機器や電気製品には欠かせないものとなっておりますが、近年では、その身近さゆえに、取扱いや廃棄過程において不適切な方法が取られることによって、火災につながる事例が増えております。特に、本市の清掃工場や資源化センターにおいては、こうした不適切な廃棄による発火や火災の危険性が高まっており、実際に火災件数は近年増加傾向にあります。令和2年度から6年度の5年間で、火災や発火件数は30件から44件へと増加し、その燃え殻からは、スプレー缶やカセットボンベと並んでリチウムイオン電池が発見された事例も確認されております。今年度も5月に東部資源化センターにおいて火災が立て続けに起きております。この問題は、施設の稼働停止による市民サービスの低下や修繕費用の増加、現場職員の安全確保といった直接的な影響にとどまらず、廃棄物処理全体の効率や市民サービスの安定性にも関わりますので、本市の取組の状況と今後の方向性をお伺いしていきたいと思います。
 そこで、まずお伺いいたしますが、本市の清掃工場や資源化センターでの発火、火災件数の過去5年間の推移について、改めてお示しください。
 以上で1問目を終わり、以降は自席にて行います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 清掃工場や資源化センターにおいて、過去5年間に発生した発火、火災件数につきましては、令和2年度が30件、3年度が30件、4年度が40件、5年度が42件、6年度が44件でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 冒頭で申し上げたとおり、火災の件数は増加傾向であり、毎年40件以上が発生しているということなので、ざっくり言うと、毎週どこかで火災が起こっている計算になり、多いなという印象を受けます。また、環境省によると、令和5年度にごみ収集車やごみ処理施設などで発生したリチウムイオン電池による発煙、発火事故は2万1,751件に上っており、日本全国で見ると毎日どこかでリチウムイオン電池が原因の火災が起きているということになり、喫緊の課題だと言えます。
 次に、火災の原因についてお伺いいたしますが、リチウムイオン電池が関与している可能性について、市としてどの程度把握できているのかをお答えください。さらに、火災が発生した場合の被害額、復旧までの期間、そして、その間に発生する市民サービスへの影響についても、過去の事例を基に数字でお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 火災の原因につきましては、消火活動を優先するため特定できませんが、燃え殻にリチウムイオン電池やスプレー缶、カセットボンベが発見された事案が複数ございます。また、福岡市では、令和元年12月に東部資源化センターで火災が発生しており、復旧に総額で11億1,000万円、期間は3年3か月を要したところでございます。なお、復旧に当たり、当該施設での不燃ごみの受入・処理を9か月間停止しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 火災の原因は詳しくは特定できないということですが、リチウムイオン電池のみならず、スプレー缶やカセットボンベなど、様々な要因で火災が起こっていることが分かりました。また、令和元年度の火災においては、9か月もの間、受入れを停止せざるを得ず、少なからず市民サービスの低下につながったと言えます。
 今後、本市では、西部工場の建て替え工事を予定しており、その建て替え用地として西部資源化センターを廃止し、残りの東部資源化センターのみで不燃ごみを処理していくと聞いております。
 また、本市の人口は令和元年より約6万人増えている状況などを勘案すると、令和元年のような火災によって受入れ停止が長期間続くことは、市民生活やごみ処理体制に深刻な影響を与えることが想定されます。こうしたリスクを軽減するためには、まず、リチウムイオン電池が含まれる製品を適切に回収する仕組みが十分かどうかが大切でありますので、次に、回収体制についてお伺いしていきたいと思います。
 リチウムイオン電池製品は、資源物回収ボックス等で回収していると聞いておりますが、本市でのリチウムイオン電池製品の回収体制について、方法や回収拠点等を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) リチウムイオン電池製品の回収方法につきましては、拠点回収を実施しており、回収拠点については、区役所など9か所に資源物回収ボックスを、公民館など64か所に小型電子機器回収ボックスを、家電量販店など67か所に乾電池回収ボックスを設置しております。その他、リチウムイオン電池製品等の製造、販売を行う会員企業で構成された一般社団法人JBRCにおいて、家電量販店における回収が行われているほか、小型家電リサイクル法の認定事業者による宅配便を利用した回収が行われております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 市内の回収拠点についてお答えいただきましたが、このうち、近年増加しているハンディーファンなどの小型家電の回収は資源物回収ボックスが9か所と、小型電子機器回収ボックスが64か所で、合わせて73か所ということですけれども、私、この回収拠点がどこにあるのかというのを一つずつちょっと地図の上に印をつけてみました。資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)ちょっと小さくて見にくくて申し訳ないです。赤の点をつけているところが回収ボックスがあるところになるんですけれども、バランスよく配置されている区もあるんですが、御覧いただいたように回収拠点の場所にかなり偏りがあって、特に東区や西区、早良区は、その傾向が強いように見てとれます。必ずしもこれが利便性が高いとは言えないのではないかと思っております。人口165万人を超える都市としては、この設置数が市民の生活圏に十分行き渡っているとは言えないのではないでしょうか。資料投影ありがとうございます。特に高齢者や公共交通機関の利用が中心の方にとっては、リチウムイオン電池製品1つを持って回収拠点まで足を運ぶハードルは高く、結果として分別が行き届かず、不燃ごみや可燃ごみに混入する可能性が高まってくると考えます。
 そこで伺います。現状の回収拠点数について、回収を行っている公民館とそうでない公民館などがありますが、市民の生活圏に必要十分に行き渡っていると思われるのか、御所見をお伺いいたします。加えて、今後回収拠点を増やす考えがあるのであれば、その内容についてお尋ねいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 回収拠点につきましては、今後もリチウムイオン電池製品の増加が見込まれることから、増設が必要であると考えております。そのため、現在ショッピングモールといった大型商業施設などでの拠点の増設について、施設所有者や収集運搬事業者との協議を進めるなど、分かりやすく排出しやすい環境づくりに取り組んでいるところでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 回収拠点が増えれば、回収コストが増えることも考えられますが、市民生活の向上や分別意識の向上が図られますし、何より火災の危険性が減ることにより、作業員のけがや事故が防げ、ごみ処理施設の損傷を阻止できますので、ぜひスピード感を持った検討を要望いたします。
 次に、周知についてお伺いしていきます。
 リチウムイオン電池の適正排出には、市民の認識と行動が不可欠ですが、本市ではどのような周知を行っているのか教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) リチウムイオン電池の適正排出につきましては、市政だよりや家庭ごみルールブックなどの各種広報物やホームページに加え、出前講座や小学4年生を対象とした環境学習など、様々な手段や機会を活用し、その重要性について周知に取り組んでおります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 本市では、市政だよりや市のホームページをはじめとした多様な手段で周知を行っているとのことですが、冒頭で申し上げたとおり、火災件数は減っておらず、むしろ増加傾向が続いており、本市の啓発が本当に市民行動の変化に結びついているのか疑問を感じるところです。
 実際、私も本市のホームページでリチウムイオン電池の廃棄について調べてみました。ぜひ皆様も一度調べてほしいのですが、リチウムイオン電池、廃棄、福岡市というワードで検索をかけたところ、似たようなページが複数あり、それぞれで書いていることが異なっているような印象を受けます。ごみの分別のために一手間かけて調べた結果、ホームページが分かりにくかったら諦めてしまいそうな気持ちも分からなくもありません。特に、リチウムイオン電池の廃棄方法を複雑化しているのが、製品ごとに廃棄するところが違うということです。例えば、モバイルバッテリーは資源物回収ボックスではオーケーだけど、小型電子機器回収ボックスや乾電池回収ボックスでは駄目だとか、加熱式たばこは小型電子機器回収ボックスでは駄目だけど、資源物回収ボックスや乾電池回収ボックスではオーケーだとかというパターンです。どの製品もリチウムイオン電池を使った製品として、そんなに違わなく感じるがゆえに、少し難しさを感じました。
 そこでお伺いいたします。先ほど、様々な媒体や手段により広報をされていると御答弁いただきましたが、これらの啓発手段による市民の認知度や行動変容を定量的に把握する調査は行っているのかお伺いいたします。また、若年層や外国籍市民、単身世帯など、多様な層に応じた啓発手段の多様化について、どのようにアプローチされているのかもお答えください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) リチウムイオン電池に関する意識調査は実施しておりませんが、若年層や単身世帯への啓発については、LINEやインスタグラムなどのSNSの活用や、学校、住宅管理会社を通じた家庭ごみガイドなどの広報物の配布を行っており、また、外国人向けにはホームページの「ごみと資源物の出し方・分け方情報サイト」の多言語化や、家庭ごみルールブックの4か国語版を区役所の窓口や日本語学校で配布するなど、市民の属性に応じた様々な手段により啓発に取り組んでいるところでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) リチウムイオン電池の廃棄方法については、少なからず複雑さもありますし、私のように広報媒体が分かりにくいなと感じている方もいるかもしれませんので、ぜひ調査してほしいと思います。また、本市では人口も多く、多種多様な方々が暮らしていらっしゃいますので、ぜひ様々な方法を活用して、分かりやすく伝わるように工夫していただけるよう、併せて要望いたします。
 続いて、令和7年4月に環境省は、市区町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策集を公表いたしました。また、全国の大都市会議等でも先進事例が共有されていますが、本市では、こうした国の方針や他都市の先進事例をどのように分析し、どう施策に反映させていく予定でしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 令和7年4月に発出された国の通知や他都市の先進事例を踏まえ、拠点の増設などによる回収体制の強化やイベントなどにおける普及啓発を兼ねた回収機会の増加が重要であると考えております。これを受け、回収拠点の増設に向けた民間事業者等との協議を開始するとともに、膨張や破損した小型充電式電池について、これまで行っていなかった夏期の回収を開始するなど、回収体制の強化に取り組んでおります。また、今後、環境フェスティバルなどの大型イベントを活用した回収機会の増加や適正排出に関する啓発を行うこととしており、引き続き、より利便性が高い場所での回収拠点の増設や、適正排出の周知、広報にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) ぜひ利便性が高まるよう、現在既に設置している資源物回収ボックスなどの3つの回収ボックスを統一化して、廃棄しやすい状況を整備したり、広域自治体間で共通ルールを設けたりして、リチウムイオン電池の回収体制の整備にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、様々述べてまいりましたが、リチウムイオン電池は便利で不可欠な存在である一方、廃棄の在り方を誤れば、市民生活や行政運営に甚大な影響を与えます。本市が火災リスクを減らすためには、スピード感を持った取組と、市民、事業者、行政が一体となった対策が必要だと考えております。
 また、来年の令和8年4月の改正資源有効利用促進法の施行に合わせ、政府が指定再資源化製品としてモバイルバッテリーや加熱式たばこなどを追加指定するとも聞いておりますので、しっかりと情報収集を行っていただき、施策に反映させていただきたいと思います。火災事故ゼロを目指し、安全で持続可能な廃棄物処理体制の構築を強く求め、私の1つ目の質問を終わります。
 続いて、フロン類の排出削減と自然冷媒の導入について質問を進めていきたいと思います。私たちの身の回りには、エアコンや冷蔵庫、ショーケースなど、フロン類を冷媒とした機器が数多くあります。これらの冷媒として使われてきたフロン類は、二酸化炭素の数百倍から1万倍以上という非常に強力な温室効果を持つ物質です。本市では、2040年度に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指しておりますが、この目標を実現する上で、フロン類対策は決して避けて通れない課題だと認識しております。
 そこで、本市におけるフロン類の削減と自然冷媒の導入の方向性について質問をしていきたいと思います。この質問に入る前に、少し知ってほしい知識がありますので御説明したいと思いますが、冷媒で使われるフロン類には多種多様なものがあります。分かりやすくまとめたものがありますので、そちらを御覧ください。資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)1つ目は特定フロンと呼ばれるものですが、クロロフルオロカーボン、CFCというもので、もう一つがハイドロクロロフルオロカーボン、HCFCという物質を指し、これらはオゾン層を破壊する性質を持っているため、モントリオール議定書に基づき製造が禁止されました。それに加えて、この特定フロンは地球温暖化係数、すなわちGWPも非常に高い値を持っており、最大で二酸化炭素の約1万倍以上というとんでもない温室効果を持っております。この特定フロンは、国際的な枠組みの中で、日本国内においては既に生産ができないようになっております。
 2つ目は、代替フロンと呼ばれるものですが、ハイドロフルオロカーボン、HFCという物質で、これはオゾン層を破壊しないため、先ほどの特定フロンの代わりに広く普及し、現在の主流になっております。特定フロンの代わりという意味で代替フロンと言われております。しかしながら、この代替フロンもまた、強力な温室効果があり、オゾン層は破壊しないものの、特定フロン以上の温室効果を持ったものまであり、最大で二酸化炭素の約1万5,000倍という温室効果があります。こちらも国際的な枠組みの中で、日本国内において2036年までに、生産量、消費量を基準年である2011年から2013年の85%削減することとされております。
 3つ目はノンフロン、いわゆる自然冷媒というもので、COやアンモニア、プロパンなどの炭化水素、水、空気といった、もともと自然界に存在する物質を冷媒として利用するものです。これらは自然界にもともと存在しているので、オゾン層を破壊せず、地球温暖化係数であるGWPも非常に小さい値となっております。そのため、地球温暖化対策に有効とされております。その他の特徴は表のとおりになっております。資料投影ありがとうございました。
 この知識を前提に質問に入ってまいりますが、本市の市有施設における冷媒使用の現状について、お伺いいたします。市有施設で冷媒として使用されているフロン類とその総量、フロン類ごとの設備の台数を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 市有施設で冷媒として使用しているフロン類につきましては、特定フロン及び代替フロンであり、フロン排出抑制法に基づき、設備の管理者として国へ報告する必要がある漏えい量のみ把握しておりますが、総量は対象外であり、把握しておりません。また、令和6年度の市長事務部局におけるフロン類を使用した設備は4,432台であり、その内訳は、特定フロンが336台、代替フロンが2,786台、プレートが?がれているなどの理由により、冷媒の種類が不明なものが1,310台でございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中村水道事業管理者。
○水道事業管理者(中村健児) 令和6年度の水道局におけるフロン類を使用している設備の台数は253台で、その内訳は、特定フロンが27台、代替フロンが226台でございます。なお、フロン類の総量については、把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 令和6年度の交通局におけるフロン類を使用している設備の台数は1,042台でございます。その内訳は、特定フロンが12台、代替フロンが1,030台でございます。特定フロン12台については、令和8年度までに全て代替フロンに置き換える予定といたしております。フロン類の総量については、把握しておりません。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度の教育委員会におけるフロン類を使用している設備の台数につきましては6,801台であり、その内訳として、特定フロンが269台、代替フロンが6,142台、プレートが?がれているなどの理由により、冷媒の種類が不明なものが390台でございます。フロン類の総量については、把握しておりません。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 複数の部局からの御答弁で明らかになったとおり、本市には多くのフロン類冷媒を使用した設備が設置されており、その適正管理が極めて重要であることが分かりました。
 一方で、設備のプレート?がれなどにより、冷媒の種類や総量が正確に把握できないケースも少なくなく、さらにオゾン層を破壊する特定フロンを使用した設備が依然として多く残存している実態には大きな課題を感じました。
 それでは次に、市有施設におけるフロン類の漏えい件数及び漏えい量について教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 令和6年度の市長事務部局におけるフロン類の漏えい件数は16件、漏えい量は二酸化炭素換算で147.7トンでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 中村水道事業管理者。
○水道事業管理者(中村健児) 令和6年度の水道局におけるフロン類の漏えい件数は1件で、漏えい量は二酸化炭素換算で1.3トンでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 令和6年度の交通局におけるフロン類の漏えい件数は12件で、漏えい量は二酸化炭素換算で120トンでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度の教育委員会におけるフロン類の漏えい件数につきましては36件、漏えい量は二酸化炭素換算で394.6トンでございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 各局設置台数に対する漏えい件数は少ないものの、漏えい量については、フロン類の地球温暖化係数が高いこともあって、二酸化炭素換算で700トン弱とそれなりに漏えいしていることが分かりました。
 次に、本市の温室効果ガスの排出状況についてお伺いいたします。
 福岡市域内の温室効果ガスの直近の排出量と、排出量に占める代替フロン類の量を教えてください。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 2022年度における福岡市域の温室効果ガス排出量は677万トンであり、そのうち代替フロン類は56万トンとなっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 御答弁によれば、温室効果ガス排出量の総量は677万トン、代替フロン類の総量は56万トンに上り、計算すると全体のおよそ8%を代替フロン類が占めているということになります。本市は2030年度までに2013年度比で温室効果ガスを50%削減する目標を掲げておりますが、削減目標の進捗状況、また、残りの削減を進めていく上で、代替フロン類の削減をどのように位置づけ、今後どのように取り組んでいくのか、本市のお考えをお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 削減目標の進捗状況につきましては、2022年度において基準年度である2013年度から9年間で25%削減しており、2030年度までの残り8年間で25%、226万トンの削減を目指しております。
 また、代替フロン類については、地球温暖化対策実行計画において、温室効果ガスとして適正に管理することを位置づけており、引き続きフロン類を含有する各種製品の適正な廃棄方法について周知を図ってまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) カーボンニュートラルを目指す本市にとって、温室効果の高いフロン類冷媒の適正管理は重要度の高い項目になるかと思いますし、福岡市地球温暖化対策実行計画においても、フロン類の適正管理は明記がありますので、今後これらの計画の下、しっかりと取り組んでいってほしいと思います。
 次に、公共施設での自然冷媒導入についてお伺いいたします。
 現在、本市では設備更新時に自然冷媒機器を優先採用する基準や方針はなく、給食センターや市民体育館といった冷凍、空調設備を多く抱える施設でも、自然冷媒導入の検討は行われていないと聞いております。
 一方で、全国の自治体の中には、先行的に取り組んでいる事例もあります。沖縄県八重瀬町では、施設の空調を自然冷媒に切り替えた結果、電力使用量を4割削減する効果があったと報告されておりますし、近隣自治体では、古賀市が実証実験で導入を進めていると聞いております。
 本市においても、公共施設をモデルケースとして自然冷媒を導入し、その効果を検証することで、市内全体への波及効果が期待できると考えますが、本市のお考えをお伺いいたします。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 公共施設への導入につきましては、国や業界団体が既存機器の冷媒の入替えに対して、安全面などから注意喚起を行っていることや、自然冷媒を採用した空調機器が開発段階であることから、現時点においては課題が多いと考えております。引き続き、国の動向やメーカーによる機器の開発状況を注視してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 本市のカーボンニュートラル計画も2018年度頃から頭打ちになり、なかなか前に進んでいない現状もありますので、新しい技術の導入ということで、ぜひ前向きに検討いただきたいと思いますし、現在でも複数の自治体での導入実績や全国の多種多様な施設で導入されておりますので、ぜひ情報収集を行っていただきたいと思います。
 次に、市民や事業者への普及啓発について伺います。
 自然冷媒は、国の制度設計や技術開発の進展に左右される部分が大きいことは理解しておりますが、市民や事業者に対して、現状の取組や利用可能な補助制度を十分に伝えられていないのも事実かと思います。一方で、国においてはコールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業として、食品工場や倉庫、小売店舗などにおける自然冷媒機器導入への補助制度が設けられておりますが、本市が率先して情報発信を行い、自然冷媒の利点や導入効果を広く周知していくことは、市内における脱フロン、省エネ化の推進につながるものと考えますが、本市の見解を伺います。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 自然冷媒につきましては、実用化されれば、その活用が地球温暖化対策につながるものと認識しておりますが、一方で、既存機器への自然冷媒の入替えについては、国や業界団体が注意喚起を行っていることから正確な情報発信が重要であると考えております。引き続き、国の動向やメーカーによる機器の開発状況を注視してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) フロン類は温室効果の高いガスにもかかわらず、経済産業省の統計データによると廃棄時の回収量は約4割しかなく、残りの6割は何らかの理由で大気中に放出されていると推計されております。地球温暖化係数の高いフロン類がこれほど大量に大気中に放出されているということは、非常に環境負荷を与えていることになります。その環境負荷の高いフロン類という冷媒を自然冷媒に切り替えていくことは、温室効果の削減につながると考えております。排出が見えないフロン類は二酸化炭素対策以上に進みにくい分野であると思いますが、フロン排出抑制法においても、地方公共団体の責務や指定製品及び特定製品の管理者の責務として、フロン類の環境影響度の小さい指定製品の使用等に努めなければならないとありますので、本市が率先して取り組み、公共施設での導入や事業者支援を通じてモデルを示すことが非常に重要であると考えます。
 以上のことを踏まえて、最後に環境局長へ今後の意気込みをお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 福岡市では、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロのチャレンジ目標を掲げており、その達成のためには、従来の取組に加えて、民間企業等において、現在技術開発中である二酸化炭素回収利用技術をはじめ、自然冷媒空調機のような新技術の実用化や普及が大変重要であると考えております。そのため、引き続き、国の動向や民間企業による脱炭素技術の開発状況を注視しながら、温室効果ガスのさらなる削減に向け、新技術の実装支援にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる)登壇 私は会派を代表しまして、不登校に悩むお子さんや保護者への取組について質問をいたします。
 まずは、学びの多様化学校として今年開校を迎えました百道松原中学校についてですが、応募人数と、どのような過程を経て、何人の生徒が入学したのかをお尋ねをいたします。
 以降の質問は自席で行います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 百道松原中学校への応募につきましては、126人が転入学希望届を提出されております。その後、転入学検討委員会を経て、97人の入学を予定しておりましたが、2人が辞退されたため、95人が入学しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 入学が見送られた生徒も30名ほどいますが、その主な理由と、その後どのようなフォローを実施して、現在どのような学習、生活状況にあるのか、お示しください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 百道松原中学校への入学に至らなかった生徒につきましては、転入学の検討委員会において、継続した登校や、一定程度の集団の中での活動が難しいと判断されたことが主な理由でございます。また、入学が見送られた生徒や保護者とは面談等を行い、生徒にとって最適な学びの場を提案しており、現在は居住地の指定学校や、私立中学校への通学、教育支援センターや通級指導教室への通所、フリースクールへの通所につながっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次に、学年別と行政区別の人数をそれぞれお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 入学した生徒の学年別の人数につきましては、1年生が23人、2年生が29人、3年生が43人となっております。また、区ごとの人数につきましては、東区6人、博多区14人、中央区13人、南区10人、城南区6人、早良区27人、西区19人となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) スライドをお願いします。(資料投影)これは学年別の人数です。当初の想定よりも倍ほどの人数が集まりました。1、2年生は1クラスずつで、3年生は2クラスです。次をお願いします。(資料投影)行政区別の生徒数、通いやすい早良区、西区がやはり多いようですが、市内一円から通っているということも分かります。生徒の皆さんはどのように通学をしているのか、親の送り迎えなしで通っているのか、これまでの状況をお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 生徒の通学方法につきましては、電車や地下鉄、バス、自転車、徒歩などとなっており、ほとんどの生徒が1人で通学しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次に、学習活動や学校生活について、実施されてきた特徴的な取組を御紹介ください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 特徴的な取組といたしましては、創造・表現やライフデザインなど、百道松原中学校独自のカリキュラムを実施しているほか、毎日の学習時間の前後にウオーミングアップやリラックスするための時間を設定しております。また、生徒の心や身体の状況を把握するため、1人1台端末を活用した心の健康観察にも取り組んでおります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 生徒の日々の状況に応じまして、工夫を重ねながら丁寧に対応していると聞いています。また、遠足行事などの校外行事も行われているようです。生徒会やサークル活動などはまだのようですが、今後生徒たちによる自発的で自主的な学校運営が広がっていくことを期待したいと思います。
 次に、この間の出席率はどうだったのか。また、開校当初から1学期終了まで、登校状況に変化はあったのか、確認させてください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 1学期の平均出席率につきましては75.1%となっており、5月の連休明けに一時的に出席率が低下した時期もありましたが、1学期末には回復傾向となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 無理なく自分のペースで登校できるように環境が大切にされているようで、全く登校できていない生徒はいなかったそうです。登校していない生徒にはオンライン授業が実施をされているのか。また、登校が滞ったり、悩みを抱える生徒、家庭に対するスクールソーシャルワーカーの、動き方についてお示しをください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) オンライン授業につきましては、登校できない生徒のために準備しておりますが、現在、オンラインで授業を受けている生徒はおりません。また、スクールソーシャルワーカーについては、生徒の情報を担当学年の教員と共有した上で、放課後に登校した生徒や、学習中の様子が気になる生徒との面談を行ったり、生活支援の必要な制度について、関係機関と調整を行って、ケース会議を実施しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次に、進路教育、キャリア教育についてですが、学年別にどう取り組んでいるのか、お尋ねをします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 進路教育、キャリア教育につきましては、独自に設定したカリキュラムであるライフデザインの学習時間において実施しており、1年生は、中学卒業後の進路についての学習と社会人講話を2学期に予定しております。2年生は、社会人講話を実施し、2学期には職場体験学習に取り組みます。3年生は、通信制高校、単位制高校の合同説明会、高校の先生による進路選択についての講演会に参加しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 進路、キャリアについては、生徒本人も保護者も特に関心が高い分野ですので、その手法や機会について、さらなる充実をお願いしておきたいと思います。
 1学期の学校運営を総括しまして、具体な成果と今後の課題についてお尋ねをします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 1学期の学校運営の成果につきましては、どの学年でも自分の登校ペースを調整し、無理のない登校スタイルを目指す生徒が増えております。また、好きなことを探求する創造・表現やライフデザインの学習時間に主体的に活動に取り組み、周囲の生徒や教師と関わりを持とうとする姿が増えたことなどが挙げられます。今後の課題としては、教師が状況の異なる生徒一人一人を適切に理解し、支援する方法について学ぶ研修を、より一層充実させる必要があると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 生徒から、保護者から、学校現場の教員から、どのような声が寄せられているのか、主立った内容をお聞かせください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 開校後の感想について主立った内容を紹介いたしますと、まず生徒については、優しく受け入れてくれる先生たちがいて、助けを求めやすく、安心して登校できるという声が届いております。また、保護者からは、以前の学校では毎朝登校するのが不安な様子だったが、今は本人なりのペースで登校できている。新たな学びの場をつくっていただいたことに感謝しているという声が届いております。教員からは、これまでの生徒との関わり方を見直す機会となっており、多くのことに迷いながらではあるが、新たな学校を創造していくことにやりがいを感じているという声がございます。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 2学期も始まっています。今後、どのような点を特に大切にして学校運営に努めるのか、所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 2学期以降の学校運営につきましては、体験活動を通した実感を伴う深い学びの充実に努めてまいります。また、学校行事の実施を通じて、主体性や自己肯定感、豊かな人間性や、異なる他者と協働する力、人間関係形成能力、問題解決能力の育成を図ってまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 生徒の皆さんには、お互いを尊重し合える学びやで、生涯の友と一緒にたくましく未来を切り開いてほしいと心から願っています。多方面からのサポートを引き続きお願いするとともに、一方で、学校現場においては一つでも多くの課題を積み上げていってほしいと思います。そこで培われる知見や経験は、悩みを抱える小中学生と御家庭への施策全般に広く生かされるべきだと思います。課題の集約とその検証に注力いただくよう要望いたします。
 また、次年度以降に取り組むべき方向性についても検討が必要です。転入学希望者が大幅に増えた場合、今後どうしていくのか。ほかの行政区にも設置が必要なのか、小学生にも同様の学校が求められるのか。その場合、通学のサポートはどうするのか、ぜひ近い将来を見据えた施策の展開について、幅広い検討をお願いしたいと思います。
 次に、昨年度、本市における長欠児童生徒数と、そのうち不登校、病欠、経済的理由、その他、それらの内訳数をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度の長期欠席児童生徒数につきましては、速報値で7,982人、そのうち不登校5,770人、病欠1,368人、経済的理由ゼロ人、その他844人となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) ここでスライドをお願いします。(資料投影)これは福岡市立の小中学校における長欠児童生徒の推移です。この数年、毎年1,000人規模で増加が続いており、昨年度は7,982人。次をお願いします。(資料投影)全体と比較してどのくらいの割合なのか、長欠児童生徒の出現率を計算すると、平成27年度の2.3%から、直近では6.5%まで増加をしています。次に、昨年度、90日以上欠席した児童生徒数をお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度、90日以上欠席した不登校児童生徒数につきましては3,052人となっております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) スライドをお願いします。(資料投影)年間の登校日数は、毎年200日程度なんですね。そのうち、90日以上を欠席した小中学生の数はこの1年で500人ほど増えています。また、これは不登校分類のみの数字で、長欠全体を母数にすると、その数はもっと増えます。それだけ欠席が長期化して、将来により不安を抱えがちな状況、これが進展しているということです。スライドありがとうございます。このような深刻な現状に、教育行政は極めて重く向き合わなければなりません。全国でも多種多様な手法で学校を休みがちな児童生徒への支援が図られています。メタバース空間の活用事例もその一つに挙げられます。メタバースを活用して、児童生徒へのサポートを先駆的に実施している都市、それとその具体的な取組内容をお示しください。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) メタバースを活用した児童生徒へのサポートを実施している政令市につきましては、熊本市、さいたま市、神戸市などがございます。具体的な取組は、オンラインでの支援に参加した児童生徒等のつながりをつくることを目的として、メタバースを活用し、チャットや会話などのコミュニケーションの場を設定するとともに、対面でのオフ会なども実施しております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 全国的にはまだ少数事例なんですが、このようなメタバース空間を活用した児童生徒への支援は、どのような効果、成果がもたらされるのか、留意すべき課題をどうお考えなのか、所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡市では、メタバースという仕組みを活用した支援を行っておりませんが、実施している他都市の例で申しますと、効果、成果として、顔を見せずに利用できることで、安心して参加することができること、人とつながるきっかけになることなどが挙げられております。一方、留意すべき点として、必要な場面で支援者が介入できるようにすること、オンラインでのつながりをきっかけに具体的な支援につなぐことなどが報告されています。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 福岡市では、不登校支援を目的にメタバースの活用を実際に研究、検討されたことはあるのか、お尋ねをします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) メタバースを活用した支援につきましては、不登校児童生徒とスクールカウンセラーがZoomでつながり、小集団で工作やクイズに取り組むオンラインルームを開設するに当たり、他都市の先駆的事例の情報収集を行っております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 情報収集は行っているんですが、なかなか実態的な活用検討までは至っておりません。本市では昨年度から、経済観光文化局におきまして、ソーシャルスタートアップを支援する事業、これを熱心に進めていただいています。まず、この事業目的と概要をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) ソーシャルスタートアップ成長支援事業は、社会課題の解決を目指すスタートアップの経営基盤強化のための取組を支援することを目的としております。事業概要については、ふるさと納税制度を活用し、起業家の思いに共感する個人、企業の方々から寄附を集め、それを原資に補助金を交付するものでございます。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これは社会課題の解決を目指すというのがキーワードなんですね。今年度、TeacherTeacherという団体がその認定を受けています。それはどのような提案内容で、具体にどのような点が評価をされたのか、お示しください。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 提案内容については、公民館などの地域の施設とメタバース空間に不登校の子を持つ世帯が無料で利用できる相談窓口や居場所をつくるものでございます。企業の認定に当たっては、事業の必要性や寄附を集めるための取組の自主性や具体性などを審査項目として決定しております。以上でございます。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) ここでスライドをお願いします。(資料投影)これは認定企業が集まって、今年7月に行われたキックオフイベント時の写真なんですね。前列の枠囲み2人がTeacherTeacher代表の福田さんと秋山さんです。福田さんは福岡市で教員を5年間勤めた後、不登校問題と向き合うために退職をして、TeacherTeacherを立ち上げます。次をお願いします。(資料投影)彼らが提唱するのが青文字の部分、不登校の社会課題を解決する中継地点をつくるというものです。具体には、メタバース空間や公民館を活用して、学校に通えていない子どもたちの居場所や、学び、チャレンジの場をつくって、学校への再登校や福祉支援につなぐ、そういった役割を担います。次をお願いします。(資料投影)これは本市へのふるさと納税、目的型支援の枠組みを活用して、実際に彼らの活動に寄せられた金額です。不登校課題の解決に向けた新たな取組の導入に、少なくない期待が寄せられているのが分かります。次をお願いします。(資料投影)まずメタバースの活用の仕組みから紹介をいたしますが、TeacherTeacherは、メタバース空間にフリースクール「コンコン」を開校して、学校に通えていない小中学生に対して、子どもが自ら成長する場所を無償で提供してきました。次をお願いします。(資料投影)コンコンは週に4日運営されていまして、これが1日のカリキュラムなんですね。現在30名ほどのお子さんたちが登録をしてメタバース空間に通っているんですが、通い始める前から親子両方に対する徹底した伴走支援が始まります。子ども、保護者、先生の3者が複数の面談を重ねて、保護者協力の下、まずは生活習慣から丁寧に整えていくんだそうです。次をお願いします。(資料投影)これはお子さんたちが実際に通うメタバース空間の画像です。先生が生徒全員に話をする教室のようなスペースが真ん中にあって、それを囲むようにして1人で集中して学習をするスペースだったり、先生に相談するためのスペース、生徒同士でグループワークをしたり、和やかにおしゃべりをしたりするスペースなど、機能別に配置をされています。この空間に教員免許を持った担任の先生と、それから社会福祉士を常時配置して、さらに行動療法に基づいた研修を重ねたボランティアスタッフが複数名サポートに入るというような体制です。次をお願いします。(資料投影)これは実際に自宅のパソコンから授業に参加して、先生に質問をしているところです。お互いに顔の見える会話もできますし、自分で作成したアバター画像のまま会話をすることもできます。次をお願いします。(資料投影)コンコンでは、教科の基礎学習に加えまして、子どもの意欲を高める探求学習だったり、あとは自分も相手も大切にできるコミュニケーションスキル、これを学ぶアサーショントレーニングに特に力を注いでいるそうです。このように知見や専門性を備えた伴走者の配置と行動療法に基づいた丁寧な仕組みづくりによって、学習支援やキャリア教育、相談体制を兼ね備えた包括的なサポートスペースを実現しています。メタバースを活用したこのような伴走支援の取組について所見をお尋ねしたいと思います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) メタバースにつきましては、他都市の事例を踏まえますと、オンライン上における子どもの居場所としての機能があると捉えております。実施に当たりましては、必要な場面で支援者が介入できるようにすること、オンラインでのつながりをきっかけに、具体的に支援につなぐことなども必要であると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) またスライドお願いします。(資料投影)コンコンでは、再登校を無理に促すことはしません。子どもが将来幸せに生きていくこと、これをゴールに掲げて、今できることに最大限取り組む、これを様々な角度から実践しています。子どもと一緒に将来を探して、小さな成功体験を丁寧に積み重ねていく。すると、これまで在籍してきたお子さんのほとんどが自発的に再登校や社会復帰を実現していったそうです。コンコンを卒業したお子さんの1人には、今では百道松原中に通っているお子さんがいます。民間レベルでメタバースを活用した伴走支援の成功事例を幾つも積み上げています。福岡市は、この分野を積極的に研究していくべきだと考えますが、所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) メタバースを活用したサポートスペースによる、不登校児童生徒への伴走支援につきましては、オンライン上における子どもの居場所としての機能がありますが、参加状況や会話の内容について確認できないという安全管理などの課題もあると聞いております。今後も他都市の動向を踏まえながら、メタバースなどの新しい仕組みを含め、不登校児童生徒の支援の在り方について検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) この福田さんたちの取組からつくづく思うのが、これはただメタバースという子どもにとって入りやすいっていう空間さえつくればいいと、そういうものじゃないと思っているんです。伴走者の適切配置だったり、学習環境の充実、それから丁寧なキャリアサポートや相談体制など、運用メソッドが特に重要だと感じています。また、コンコンでは、保護者に対する相談機能、それから伴走体制にも力を注いでいて、悩み疲れている保護者の心身の状況の改善、これがお子さんの気持ちに大きくプラスの影響をもたらすことも実証されてきました。教育委員会にはぜひ多くの事例を参考いただいて、教育行政にメタバースをどう活用するのが有効なのか、検討をぜひ進めていただくよう要望したいと思います。
 次に、もう一つの取組、公民館を活用した不登校支援についてです。またスライドをお願いします。(資料投影)ここは照葉はばたき公民館なんですね。今年5月から開始された取組なんですけど、学校に通えていないお子さんのためのサポートスペースが月に2回設けられています。ここにはTeacherTeacherから社会福祉士などの伴走支援者が配置をされますが、実際に運営を担う主体は主に地域の皆さんです。専門的な研修や子どもの状況に応じたケース会議を重ねながら運営されています。学校のスクールソーシャルワーカーの協力体制の下、不登校の児童生徒や家庭に支援メニューの一つとして提供をされています。次をお願いします。(資料投影)学校には行かないけど、ここになら行ってみようと。私が見学したときには10人ほどの児童が地域の大人に見守られながら、自主学習をしたり、自分で決めた目標やプログラムにチャレンジをしていました。次をお願いします。(資料投影)1人で黙々と作業したいお子さんには集中スペースも設けられていました。次をお願いします。(資料投影)月2回、親子で参加する家庭がほとんどで、親同士が日頃の悩みを相談し合えるコミュニティとしての機能だったり、保護者が専門的な相談を受けられる体制という、これが整って、結果として、お子さんの意欲に大きくつながっているというふうに聞きました。このように地域の協力を得ながら、公民館で運営をする不登校サポートスペースの取組について所見をお尋ねしたいと思います。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 地域における不登校支援の取組につきましては、文部科学省がCOCOLOプランの中で、公民館等社会教育施設を活用した不登校児童生徒の支援について示しており、地域の協力を得て、公民館において運営する新しい不登校支援の形であると考えております。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 先ほどの答弁の訂正をさせていただきます。先ほどソーシャルスタートアップ認定の審査項目に関する御質問に対して、自主性や具体性とお答えいたしましたが、正しくは自立性や具体性でございました。おわびして訂正させていただきます。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 新しい不登校支援の形とおっしゃいました。地域や公民館が関わることによって、実はこれは学校との連携が生まれやすいというのも大きな利点の一つです。教員やスクールソーシャルワーカーがちょっと立ち寄るだけでも、子どもや保護者と意思疎通を醸成する場にもなり得ます。伴走支援の実績を有する民間の専門機関と地域、学校とが連携をして、登校できないお子さんに開かれたサポートスペース、これが公民館を活用して運営される、こんな取組を今後広げてはどうかと思いますが、所見をお尋ねします。
 
○議長(平畑雅博) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 児童生徒へのサポートスペースにつきましては、文部科学省の示したCOCOLOプランにおいて、誰一人取り残されない学びの保障を実現するための不登校対策として例示されております。福岡市におきましては、学びの多様化学校の開校や教育支援センターの拡充など、不登校児童生徒を支援する取組を進めております。今後も国や他都市の動向を踏まえながら、公民館など社会教育施設を活用した不登校児童生徒の支援を含め、児童生徒の状況に応じた多様な支援の在り方を検討してまいります。以上です。
 
○議長(平畑雅博) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) ぜひお願いしたいと思います。
 またここでスライドをお願いします。(資料投影)これはこども家庭庁が実施をする地域における不登校支援の事業概要です。字が小さいですね、次に行きましょう。お願いします。(資料投影)その仕組みなんですけれども、子ども政策を担う部局が、教育委員会や民間と連携をして、学校に通えていない子どもと地域社会とをつなげるサポートだったり、あとは幅広い不登校支援などの新たな手法を生み出そうとする自治体、こういう自治体に補助を出すというものです。福岡市においては、こども未来局の所管になるだろうと思われます。現在、11の自治体におきまして民間のノウハウを取り入れながら、様々な支援メニューの開発、実証が進められているそうです。スライドありがとうございました。
 今回のこの公民館を活用した地域による不登校支援などは、まさに国の求める趣旨に合致するものであると思います。ただ、こども家庭庁の事業を教育委員会ではなかなか把握しづらいというのが実態だと思います。教育委員会とこども未来局が、子どもたちの将来を応援するという共通のゴールを一緒になって私は掲げるべきなんじゃないかなと思っています。両局横断的なタスクフォース、こういったものの設置も今後の一つの手法になり得ると思います。居場所がなかったり、学校に通えず悩みを抱える子ども、そしてその家庭への支援を包括的に進めていただくよう強く求めておきたいと思います。
 次、またスライドをお願いします。(資料投影)これは最後のスライドです。子どもと保護者の両方を応援できるサポートスペース、これを毎日通えるメタバース空間と、リアルな居場所となれる地域拠点の両方に設置すること。そして、その両方のサポートスペースをハイブリッドに利用できるようにすることで、どのお子さんも、御家庭も取り残さない網の目のような支援体制が実現できると思っています。まずは、一つの中学校区という小さい単位で実証事業を検討されたらいかがかと提案をしたいと思います。スライドありがとうございました。
 行き場のない、将来への入り口が塞がれてしまっている子どもをゼロにするんだと、そういった熱量と、そのための行動力というのが今後の教育行政に求められているんじゃないかなと思います。子どもの将来を応援できる施策をしゃにむになって模索して、地域も民間も、あらゆるリソースを活用した取組を必ず前に進めていただくよう強く求めて、教育長、よろしくお願いします。私の質問を終わります。
 
○議長(平畑雅博) この際休憩し、午後4時10分に再開いたします。
午後4時 休憩
午後4時10分 開議
○副議長(尾花康広) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司)登壇 お疲れさまです。私は自民党新福岡を代表して、九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりについてお尋ねいたします。
 昨年の9月議会でも質問をいたしましたけれども、九州大学箱崎キャンパス跡地については、令和6年4月18日に住友商事を代表企業とするグループが優先交渉権者に決定し、現在、優先交渉権者において提案内容の具体化に向けた検討が進められているところだと思います。公募に当たっては、地元からの要望でグランドデザインを反映した内容を採択してほしいという声が大きかったことで、提案を聞いた地元の皆様も安心されたものであると認識しております。今後は、今年度中に土地利用事業者の決定が予定されているなど、いよいよこれから新しいまちづくりが動き出そうとしているところです。地元の方々も箱崎キャンパス跡地のまちづくりには大変期待しておりまして、私自身、これまでも地元の声などを届けるために、このテーマについて何度も取り上げてまいりました。
 そこで、新しいまちづくりが動き出すこのタイミングで、いま一度この箱崎キャンパス跡地のまちづくりがどのような経緯で現在の提案内容に至っているのかを振り返り、当初から関わってきた地域の皆様や様々な関係者の思いを、これからも今後のまちづくりに引き継いでいただきたいとの思いで質問していきたいと思います。
 それではまず、箱崎キャンパス跡地のまちづくりを振り返るために、改めてこれまでのまちづくりの経緯と本市がどのように関わってきたのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりにつきましては、平成23年に地元4校区の代表で構成する九大跡地利用4校区協議会から跡地利用に関する提案をいただき、25年には4校区の代表などからなる検討委員会から将来ビジョンの提言をいただいております。これらの提案や提言を契機に、福岡市と九州大学におきまして、4校区の代表や学識経験者などからなる箱崎キャンパス跡地利用協議会を設置し、御意見を伺いながら、27年に跡地利用計画、30年にまちづくりの指針となるグランドデザインを策定しております。このグランドデザインの実現に向け、令和2年に、福岡市において用途地域の変更や都市基盤の整備に係る都市計画手続などを行うとともに、5年4月には、土地所有者である九州大学、UR都市機構が公募を開始し、6年4月に優先交渉権者が決定されております。現在、九州大学、UR都市機構、優先交渉権者及び福岡市で提案内容などについて協議を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 答弁にありましたとおり、箱崎キャンパス跡地のまちづくりは、平成23年の跡地利用に関する4校区提案から始まり、その後、地元4校区の代表に、将来ビジョン検討委員会や跡地利用協議会の委員として参加してもらうことなどによって地域の意見を反映させながら、跡地利用将来ビジョンや跡地利用計画といった検討ステップを踏んで、平成30年にまちづくりの指針となるグランドデザインが策定されております。約15年の長きにわたりまして関わってこられた地元の皆様や関係者の皆様に改めて感謝申し上げたいと思います。このグランドデザインは非常に重要な位置づけでありまして、これを理解することが基本であると言っても過言ではありません。
 次に、この後の質問にもつながりますので、改めてこのまちづくりの指針となっているグランドデザインの内容についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 地域とともにつくり上げたグランドデザインでは、業務、研究、教育、居住、交流、にぎわい、生活支援、医療、福祉などの多様な都市機能の誘導や、街角広場や歩の軸、緑空間の確保やまち並み景観などの都市空間の整備、様々な社会課題を先端技術で解決するFukuoka Smart Eastの取組、持続的に発展していくためのまちづくりマネジメントの仕組みの導入などをまちづくりの方向性として位置づけております。また、都市基盤として、まちの骨格となる都市計画道路の整備をはじめ、貝塚駅の交通結節を高めるアクセス道路や駅前広場の整備、憩いやにぎわいのある駅前空間の創出と併せた貝塚公園の再整備、身近な公園不足を解消するための新たな公園整備などを位置づけております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 地元の代表者も入った、跡地利用協議会において議論を重ねて策定されたグランドデザインでは、将来ビジョンや跡地利用計画の内容を基に、都市機能、都市空間、Fukuoka Smart Eastといったまちづくりの方向性が示されているとともに、まちづくりに併せた道路や公園などの都市基盤の整備についても位置づけられており、箱崎キャンパス跡地で目指すまちづくりの指針として、これを実現させていくことがとても重要なことであると認識しております。
 それでは次に、土地利用事業者の公募について質問していきます。
 今回の公募では、グランドデザインが計画条件にどのように反映されたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公募に当たりましては、九州大学等と連携しながら、グランドデザインの実現に向け、多様な都市機能やゆとりある都市空間、様々な社会課題を先端技術で解決するFukuoka Smart Eastの取組、持続的に発展していくためのまちづくりマネジメントなどを計画条件として位置づけ、九州大学とUR都市機構において公募が行われたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 公募の条件として、都市機能や都市空間をはじめとしたグランドデザインの内容がしっかりと位置づけられていることが分かります。
 今回の公募は、国立大学法人九州大学等が所有している箱崎キャンパス跡地の売却であるため、土地を所有していない福岡市の関わり方としては大変難しかったのではないかと思っております。ただ、今回の公募の条件にグランドデザインがしっかりと反映されている点は、福岡市が公募主体である九州大学とUR都市機構と協議を行ってきた結果だと思っております。このように地域の意見を取り入れたグランドデザインに基づき設定された条件で公募が実施され、令和6年4月に優先交渉権者が決定しております。
 そこで、ここからはグランドデザインの主な項目である都市機能、都市空間、スマートサービス、まちづくりマネジメント、それぞれの項目が提案内容にどのように落とし込まれているのかを質問していきたいと思います。
グランドデザインでは、まちづくりの基本的な考え方として、「九州大学が百年存在した地としてのブランドと、広大な敷地や交通といった強みを活かし、働く人や学ぶ人、住む人、訪れる人などこれまで以上に幅広い人々が集まり、イノベーションを生み出す新たな拠点を創出する」ということと、「千年以上に渡る箱崎の歴史や文化も踏まえながら、新たな拠点の創出に向け、イノベーションを生み出すチャレンジできるまちと、幅広い人々を惹きつける高質で快適なライフスタイルや都市空間づくりに取り組み、未来に誇れるまちを創造していく」と記載されておりまして、これによって好循環をつくるということが示されております。
 加えて、都市機能では新たな拠点を創出するため、業務、研究、教育、居住、交流、にぎわい、生活支援、医療、福祉の多様な都市機能の誘導を図ることが示されておりますが、優先交渉権者から提案されている都市機能は、グランドデザインを踏まえてどのような内容となっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 業務、研究機能ではIOWN構想研究拠点とイノベーション拠点、教育機能では多世代交流施設や外国語専門学校、居住機能では分譲住宅や高齢者向け住宅、交流、にぎわい機能では食のエンターテイメント交流拠点、生活支援機能では商業施設や飲食店、医療、福祉機能では地場の総合病院など、グランドデザインを踏まえた多様な都市機能の提案がなされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) グランドデザインに基づく6つの都市機能について、多様で具体的な提案がなされております。
 では次に、都市空間について、グランドデザインでは、まち全体の一体感の創出や周辺地域との調和、連携、交流に向け、特徴を持ったまちの空間づくりや円滑な歩行者動線及び緑空間の確保など、跡地等における都市空間整備の考え方が示されています。
 そこで、優先交渉権者から提案されている都市空間は、グランドデザインを踏まえてどのような内容となっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 地域とつながる街角広場などのオープンスペースや歩行者ネットワークとして歩の軸を含めた5つのメインストリート、緑化率40%、樹木1万本以上の緑量の確保など、グランドデザインを踏まえた緑豊かでゆとりある都市空間の提案がなされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) グランドデザインに位置づけられている街角広場、歩の軸、緑空間などが将来にわたって確保されるような提案になっているということでありました。
 続いて、スマートサービスについて、グランドデザインでは、「少子高齢化など、まちづくりの様々な課題を解決しながら、持続的に発展していくため、最先端の技術革新の導入などによる、快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市『Fukuoka Smart East』を創造していく」と記載されておりまして、分野別のサービス例などが示されております。
 そこで、優先交渉権者から提案されているスマートサービスは、グランドデザインを踏まえてどのような内容となっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 安全分野ではAI見守りカメラによる見守りサービス、健康分野では一人一人の健康状態に合わせたヘルスケアサービス、移動分野では多様なシェア型パーソナルモビリティー、環境、エネルギー分野では太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電力活用など、グランドデザインを踏まえ、安全、健康、移動、環境、エネルギーなどの各分野において、多様なサービスの提案がなされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 安全、健康、移動、環境、エネルギーなどの多くの分野のサービスがこのまちに実装されていく提案となっておりまして、これもグランドデザインの位置づけに基づくものとなっていることが分かります。
 例えば、環境分野におきましては、太陽光発電だけでなく、水素エネルギーもカーボンニュートラルに向けた鍵となるエネルギーとして、今後、幅広い分野で活用が期待されております。水素リーダー都市プロジェクトを推進する福岡市として、箱崎キャンパス跡地で水素社会のモデルとなるように、水素の供給や利活用に着実に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、まちづくりマネジメントについて、グランドデザインでは、まち全体の一体感の創出や魅力向上を図るとともに、既存の自治協議会等やコミュニティが存在した周辺地域及び跡地等が連携、調和し、一体的に発展することを目的として、まちづくりマネジメントの仕組みを導入すると示されています。
 そこで、優先交渉権者から提案されているまちづくりマネジメントは、グランドデザインを踏まえてどのような内容となっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 周辺地域とともに発展するまちづくりに向け、エリアマネジメント組織を組成し、まちの魅力などの情報発信やイベントの開催、広場などの維持管理、運営、スマートサービス全体の企画、運営を行うことなど、グランドデザインを踏まえた提案がなされております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) まちづくりマネジメントの提案では、グランドデザインに基づき、跡地だけではなく、周辺地域とともに発展するまちづくりに向けた取組が提案されているようです。今後、優先交渉権者がまちづくりを進めるに当たっては、箱崎キャンパス跡地内だけで完結するのではなく、周辺地域も含めた広がりのある交流を促進させることが重要と考えておりまして、跡地内で働く方や新しく住まわれる住民の方、箱崎を訪れる来街者などが箱崎のまちを身近に感じられ、商店街などに自然と導かれる仕掛けづくりについても、地域の声を聞きながら取り組んでいただきますように要望いたします。
 ここまで、都市機能、都市空間、スマートサービス、まちづくりマネジメントについて、それぞれ御答弁をいただきましたとおり、今回、優先交渉権者から提案されている内容は、地域とともにつくり上げたグランドデザインの考え方を踏まえておりますけれども、今後はこの提案内容を実現させていくことが重要になってくると思います。
 そこで、現在の優先交渉権者の検討状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 優先交渉権者におきましては、都市機能について施設の配置や計画、導入される用途など、都市空間については広場や歩の軸などの歩行者ネットワークの配置や整備計画を、スマートサービスについては導入時期や対象範囲などの具体的なサービス内容を、まちづくりマネジメントについてはエリアマネジメントの組織体制や活動内容などを検討されているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 御答弁にありましたとおり、現在、優先交渉権者において提案内容の具体化に向けた検討が進められているとのことでありますけれども、優先交渉権者の検討に併せて、市はどのような協議を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) グランドデザインの実現に向け、優先交渉権者から提案されている多様な都市機能やゆとりある都市空間の具体化と併せ、これらを将来にわたり担保していくため都市計画に関する協議を進めるとともに、便利で安心して暮らせるためのスマートサービスが提供される仕組みなど、提案内容の具体化に向け協議を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 都市計画に関する協議を行っているとのことでありましたけれども、具体的な内容についてお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 街角広場や歩行者用通路、セットバック空間、緑化率などを地区計画に定めることや、新たな拠点の創出に向けて多様な都市機能を誘導していくため開発整備促進区を活用すること、また、公園利用者の利便性向上や災害時のまとまった避難スペースの確保、緑豊かな空間形成の観点から、箱崎中央公園の位置を変更することなどについて協議を進めてきております。令和10年度以降の第1期まちびらきに向け、8年度から段階的な土地の引渡しが予定されており、今後、都市計画手続を進めていくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) グランドデザインに基づいて提案された内容を実現した上で、かつその内容が将来にわたり担保されるように必要な都市計画手続を進め、引き続き、市が主体的に関われるようにしていただきたいと思います。
 また、まちづくりの内容については、地域の関心も高いことから、検討を進めていく際には、これまでと同様に地域の意見を取り入れながらまちづくりを進めていただきたいというふうに思っておりますけれども、優先交渉権者決定以降の地域への説明状況についてお尋ねいたします。また、今後、提案内容が具体化されていくと思いますが、地域にはどのような説明を行っていくのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 優先交渉権者の提案内容につきましては、箱崎キャンパス跡地利用協議会や箱崎、東箱崎、筥松、松島の周辺4校区において適宜説明を行ってきており、地域からは、まちづくりへの期待や周辺地域との連携などについて御意見をいただいております。今後は、優先交渉権者において提案内容を具体化した事業基本計画が取りまとめられることとなっており、引き続き地域の御意見を伺いながら進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) これまでも、市は地域に対して適宜説明を行っていただいていることは承知しておりますが、公募主体である九州大学やUR都市機構にも主体的に取り組んでいただき、引き続き地域とのコミュニケーションを大事にしていただきながら、まちづくりを進めていただきたいと思います。
 次に、グランドデザインに位置づけられている道路や公園などの都市基盤については、まちづくりに先行する形で整備が進められているところでありますけれども、改めて都市基盤整備の進捗状況と今後の予定をお尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 都市基盤整備につきましては、令和7年5月にまちの骨格となる都市計画道路堅粕箱崎線が供用しており、7年秋には原田箱崎線の供用を予定しております。また、跡地の南エリアにおいては、UR都市機構の開発行為により、6年3月に歩道を新設した跡地外周道路が供用するとともに、7年2月には箱崎東公園が供用しております。跡地の北エリアにおいては、福岡市施行の土地区画整理事業により上下水道等のインフラ整備を進めており、今後は貝塚駅へのアクセス道路や駅前広場の整備に着手するなど、引き続き都市基盤の整備を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 都市計画道路堅粕箱崎線も供用するなど、グランドデザインに位置づけられた都市基盤が着々と目に見える形になってきました。
 また、令和元年に地元4校区が要望しましたJR新駅や踏切撤去の代替となる自由通路についても、令和9年開業目標に向け、今年度から整備が始まっております。
 今後も貝塚公園の再整備や箱崎中央公園の新設などが予定されていると思いますが、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 他都市の先進的なまちづくりでは、AIやIoTなどの先端技術を活用して、まちに住む人、訪れる人が便利で快適に過ごせるようなサービスを取り入れており、近年の新しいまちづくりでは、先端技術の活用が新たな特徴の一つとなっております。また、箱崎キャンパス跡地のまちづくりは、広大なグリーンフィールドにおいて一から新たなまちをつくり出していけるというところが最大の強みであり特徴であると考えております。それらの特徴を生かすために、このまちで提供されるサービスを踏まえた都市基盤整備を行うことなどにより、まち全体にスマートサービスが溶け込み、それが将来にわたって持続されることがFukuoka Smart Eastの実現に向けて大変重要であると考えております。
 そこで、まち全体でスマートサービスをどのように実装させようと考えているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(尾花康広) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 箱崎キャンパス跡地では、グリーンフィールドという特徴を生かし、様々なモビリティが走行可能なゆとりある道路空間や、カメラ、センサーが設置できる道路照明灯など、スマートサービスの実装を見据えた都市基盤の整備を進めております。また、優先交渉権者においては、自らが提案した都市機能や都市空間も合わせたスマートサービスをまち全体で実装することとしており、福岡市としても、優先交渉権者などと連携をして、サービスをアップデートする仕組みを構築することで、便利で安心して暮らせるためのサービスなどが継続的に提供されるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(尾花康広) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 広大な敷地における新たなまちづくりという箱崎キャンパス跡地の最大の特徴を生かして、このまちでどのようなサービスが実装されるのかを考えながら、引き続き都市基盤の整備や優先交渉権者等との協議を進めていただきたいと思います。
 最後に、島市長から箱崎キャンパス跡地のまちづくりへの意気込みをお伺いいたしまして、この質問を終わります。
 
○副議長(尾花康広) 島市長。
○市長(島宗一郎) 九州大学箱崎キャンパス跡地については、地域とともにつくり上げたグランドデザインに基づきまして、都市基盤の整備を着実に進めるとともに、先端技術の導入などによる快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出するFukuoka Smart Eastの実現に向けて、引き続き九州大学や地域などの関係者と連携をして、未来に誇れるまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(尾花康広) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明5日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(尾花康広) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明5日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時35分 散会