令和7年6月13日(金)

令 和 7 年 第 3 回 福 岡 市 議 会 定 例 会
議  事  日  程 (第4号)
                                    6月13日 午前10時開議
第1 一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  木 村てつあき      34番   欠   員
35番  大 沢 めぐみ      36番  和 田あきひこ
37番  あ べ ひでき      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎       副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一       副    市    長  荒 瀬 泰 子
   水道事業管理者  中 村 健 児       交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則       財  政  局  長  中 村 剛 士
市  民  局  長  舟 越 伸 一       こども未来局理事  村 上 洋 子
福  祉  局  長  藤 本 広 一       保 健 医 療 局 長  山 嶋   剛
環  境  局  長  藤 本 和 史       経済観光文化局長  吉 田 宏 幸
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一       住宅都市みどり局長  町 田 一 彦 
道路下水道局長  竹 廣 喜一郎       港 湾 空 港 局 長  鈴 木 順 也
消  防  局  長  牧 田 哲 治       会 計 管 理 者  小 林 登茂子
教    育    長  下 川 祥 二       教  育  委  員   原  志津子
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子       人事委員会事務局長  上 薗 久 美
監 査 事 務 局 長  八 木 智 昭

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩       議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二       議  事  係  長  實 政  伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。井上まい議員。
 
○55番(井上まい)登壇 おはようございます。私は福岡市民クラブを代表して、DXに向けた情報システム刷新及びデータ利活用の推進について質問いたします。
 かつては紙や手作業だった行政事務を電子化し、ITで効率化をする行政の情報化が進められてきました。その後、単なる効率化にとどまらず、行政サービスの在り方そのものをデジタル技術で再設計をする、言わば次のステージとして行政のDXが注目されるようになり、本市はDXについて先進的に取り組んでいる自治体の一つとして全国的にも認識をされているところです。これまでも本市のDXに関する話題は議会でも度々取り上げられておりますが、今回はこのDXを支える基盤となるデジタル基盤の整備など、市民や議会からはなかなか見えづらいDXの裏側について取り上げたいと思います。
 まず初めに、基本情報として、本市の情報システムがどのような構成になっているのか、基本的な枠組みを確認したいと思います。
 現在の本市の情報システムはどのような構成になっているのか、システムの全体像を分かりやすく御説明ください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の情報システムは大きく3つの構成に分かれており、住民記録や税情報などを取り扱う業務系システム、人事給与や財務会計など内部事務で利用する情報系システム、ホームページの運用などを行うインターネット系システムとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 本市のシステム構成は大きく3つに分かれているとのことですが、かつてのシステム運用による様々な課題、特に業務系システムに関する改善を図る取組がシステム刷新であると理解をしております。
 では、本市が平成27年度から進めてきたシステム刷新について、その背景やこれまでの進捗状況について御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の情報システムのうち、特に行政情報の基幹となる業務系システムについては、これまで大型汎用機で稼働するシステムやサーバーシステムなど様々な方式で個別に導入され、各部門で最適化されてきたものの、度重なる制度改正等に伴う改修により、システム間の情報連携が複雑になるなどの課題がございました。このため、ICTガバナンスを踏まえた計画的な刷新の必要性があったことから、平成27年3月に福岡市システム刷新計画を策定し、計画に基づき、大型汎用機の廃止やサーバーの集約化、業務プロセスの見直しなどを進めているものでございます。また、進捗状況については、システム構築に係る業務負荷や費用負担の平準化を図る観点から、平成27年度以降、システムごとに段階的な刷新を進めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) システム刷新について御説明をいただきましたが、専門用語が多い分野ですので、なるべく分かりやすく進めたいと思います。
 ここでシステム刷新が実行される前の情報システム全体のイメージを御覧いただきたいと思います。資料1をお願いします。(資料投影)こちらが以前の本市の情報システム全体の構成を一部抜粋してイメージ図にしたものです。住基や税、年金といった基幹業務に関する業務系ネットワークと、文書管理や庶務などの主に内部事務系業務に関する情報系ネットワークとに分かれており、物理的には庁内ネットワークで統合されつつも、論理的には完全に分割された構成となっています。本市のシステム刷新は、この中でいいますと赤色のほう、主に業務系ネットワークについて再構築を図る事業を指します。一見きれいに分かれて見えますが、実際は業務系ネットワークについては、業務ごと、部署ごとにばらばらにシステムが構築され、制度改正などによるカスタマイズも重ねられてきたこと、また、それを運用する基盤も大型汎用機や個別サーバー、庁内クラウドなど様々であったことから、システム間の情報の連携が難しくなっていたということが課題でした。また、運用に係る費用や人手も膨大で、効率化が進みにくい縦割り構造になっていたのが現実です。
 こうした課題を解決するために本市が取り組んできたのが、システムの刷新と、そして、共通基盤の構築です。資料2をお願いします。(資料投影)こちらの図は、システム刷新後の業務系ネットワークのイメージ図です。これまでばらばらのシステム間で情報の連携が難しいことが課題となっておりました。これを、この図のようにサーバー等のハードウエアを集約したインフラ共通基盤や各システムの共通機能を集約した業務共通基盤を構築し、これらの土台の上に各システムを載せることで、情報がつながりやすくなり、運用もよりスリムで安定した形になります。それが現在進められている刷新の大きなポイントであり、肝となります。
 次の質問に進みます前に、そもそもこのシステム刷新を図ることで、どのようにDXに影響するのか、少し整理しておきたいと思います。資料3をお願いします。(資料投影)こちらは行政DXによって実現できることの一部を具体的に例示したものです。行政のDXが進めば、行政事務の効率化や省力化だけではなく、市民にとってはオンライン申請が可能となる手続が増えたり、プッシュ型のサービスを受けることができるようになるなど、市民サービスの質的向上につながります。また、本市が持つデータを扱いやすくすることで様々な課題などを可視化することができ、客観的なデータや根拠に基づく政策立案、いわゆるEBPMを進めることにもつながります。また、システム運用にクラウドを活用することによって、これまでかかっていた様々なコストを縮減し、セキュリティーの強化にもつながります。システム刷新では、この中でいいますと、主に市民サービスの質的向上、そして、持続可能なシステム運用基盤の確立に資する取組ということになります。単なるシステムの入替えではなく、市民の利便性と行政の質の両方を高める基盤づくり、まさにこれこそが情報システム刷新の大きな目的の一つです。
 では、システム刷新の現状について確認したいと思いますが、当初の予定どおり完了しておられるのでしょうか。もし完了していない部分があるとすれば、具体的にどの部分か、また、その要因も併せてお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) システム刷新については、これまで住民記録システムや国民年金システムの刷新、共通基盤の構築等を計画どおりに完了しており、直近では令和7年1月に児童相談システム等を刷新し、運用を開始したところでございます。なお、令和3年度に施行された国の自治体情報システム標準化の対象とされたシステムについては、国の標準仕様書への対応が必要となったことなどから、一部計画の見直しを行い、順次刷新を進めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、システム刷新にこれまでどの程度の費用がかかっているのか、これまでにかかった費用を、通常運用に係る費用を除いた刷新に係る費用についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) システム刷新に係る費用については、運用経費を除くシステム構築やサーバー集約などに係る経費の決算額として、平成27年度から令和5年度までの9年間の合計で90億円余でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) システム刷新に関し、これまで90億円以上がかけられていることが分かりました。
 かなりの経費を要する一大プロジェクトだと思いますが、本市のシステム刷新計画において、その費用対効果については、年間のシステム運用経費を3割削減するという目標が掲げられていたと理解をしています。現時点でその効果はどの程度達成できているのか、御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 費用対効果については、現時点では全ての刷新が完了していないため試算は困難でございますが、今後もシステム刷新に当たっては、運用経費の削減に加え、窓口の待ち時間短縮など、市民サービスの向上や行政事務の効率化などの観点を踏まえながら、十分な費用対効果が図られるよう取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) システム刷新の目的の一つがコストの削減なわけですけれども、現時点では刷新による削減効果の試算は困難とのことです。完了時には費用対効果について可視化を求めるとともに、予算も大きな事業ですので、途中段階であっても進捗については説明ができるようにすべきではないかと考えておりますので、引き続き注視してまいります。
 では、これまでの情報システムに関連した本市の取組を改めて確認したいのですが、関係する各種計画について時系列に沿って御説明をいただくとともに、それらの計画とシステム刷新計画についての位置づけについて説明願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の情報化政策に係る計画の変遷については、平成25年度に福岡市情報化推進プラン、その後、令和元年度に福岡市データ活用推進計画、5年度に現行計画である福岡市DX戦略を策定しております。福岡市システム刷新計画については、平成27年3月よりこれらの計画の下位計画として位置づけているものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 本市では平成25年から情報化政策に取り組んでこられたことが分かりました。この分野については、民間に比べ行政ではなかなか進んでおらず、コロナ禍での給付金支給の混乱などから、遅れている行政DXとして全国的に問題化したことも一つの契機とし、令和3年にデジタル庁が設置されるなど、国を挙げての行政DXの推進が現在図られているところです。
 そこで、今、国が進めている自治体情報システムの標準化、共通化の取組についてお尋ねをいたしますが、この情報システムの標準化とはどういった内容で、どのような目的の下に進められているのか、基本的な概要を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 標準化については、まず、背景といたしまして、地方公共団体の基幹業務システムは、個別に開発し、カスタマイズされてきた結果、維持管理や制度改正時の改修等において個別対応を余儀なくされ、自治体の負担が大きいこと、住民サービスを向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいことなどの課題が生じておりました。これを踏まえ、令和3年5月に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が成立し、住民の利便性の向上及び行政運営の効率化に寄与することを目的として、システムの処理の内容が全国的に共通している20業務について、原則、令和7年度末までに国の標準仕様書に準拠したシステムへ移行することとされたものでございます。なお、標準化の目標期限については、令和5年9月に標準化基本方針が改定され、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムについては、国において個別に所要の移行完了の期限を設定するとの見直しが行われたところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 御答弁にもありましたように、この情報システムの標準化は今年度末で移行完了することを目指していたものの、移行の難易度が高いものについては目標期限がそれ以降になってもよいという方針に変わったとのことです。
 では、本市の進めるシステム刷新との関係について確認ですけれども、システム刷新計画期間の途中でこの国の標準化方針が出たことにより、本市のシステム刷新計画や進め方に影響があったのか否か、あれば、どのような影響があったのか、具体的に御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) システム刷新については、令和3年度に施行された国の自治体情報システム標準化の影響等を踏まえ、標準仕様書に応じた仕様の見直しや標準準拠パッケージソフトの提供時期に合わせたスケジュールの見直しなど、標準化に適応するための対応を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、ここで標準化に係る費用について確認したいのですが、国と市の負担割合や財源の内訳、さらに、本市として見込んでいる総額はどのくらいになるのか、現状の見通しを御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国による財政支援として、調査や準備、データ移行など標準化に必要な導入経費はデジタル基盤改革支援補助金が活用できるとされており、全額国費で賄われることとなっております。また、令和5年度から7年度の移行費用の総額は予算額の合計で41億2,500万円余でございます。なお、8年度以降につきましては、引き続き標準化の進捗状況等を踏まえながら必要額を計上してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 標準化についても、3年間で41億円余の移行経費がかかるということで、全額国の補助対象とはいえ、多額の経費がかかることが分かります。
 では、現在の本市における標準化の進捗状況について伺います。
 国が標準化を進めると定めた基幹20業務のうち、当初の完了目標であった今年度末までに移行完了の見込みがある業務はどのくらいあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市では、現時点において住民記録や国民年金など6業務が令和7年度末までに移行完了の見込みとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では逆に、間に合わない見込みの業務はどの業務で、どのような理由で遅れているのか、御説明願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和7年度末までに移行が完了しない業務については、税や国民健康保険など14業務となっております。その理由につきましては、全国的な技術者不足が深刻化していること、また、国による標準仕様書の度重なる変更を受けて、政令市規模に対応するパッケージシステムの開発に遅れが生じていることなどが主な要因となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 標準化は住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与することを目的に進められているとのことですが、標準化の完了が当初の予定よりも長くかかることによる本市の各種計画、例えば、市民サービスや業務効率化などの観点などで何か影響はあるのか、説明願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和8年度以降に標準化を実施する業務については、標準化が完了するまでの間、現行システムを適切に運用することにより、市民サービスや業務効率化などに支障が出ないよう業務を継続することは可能であり、影響はないものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 御答弁では、市民サービスや業務効率化などへ支障が出ないよう業務を継続することは可能であるとの御説明でありました。そもそも国が進める標準化については、幾つか進めるメリットがありますが、その中の行政の効率化や市民サービスの利便性向上については、既に本市も進めているシステム刷新のほうで対応ができると思います。そういった意味で、本市への影響は大きくないのかもしれません。しかし、自治体の枠を超えた全国共通の標準化ですので、標準化が進むことにより、国やほかの自治体間との連携が図りやすくなるなどの標準化ならではのメリットはありますので、できる限り早く進めるべきであるということは言うまでもありません。ただし、予定どおり進まないのは国の進め方にも問題があると思います。先ほどの質問でも遅れている要因についてお答えをいただきましたが、全国1,700を超える自治体に一気に標準化を求めることから、この作業を担う技術者が足りなくなったり、度々国の出す仕様書が変更されることから、標準化を担う関連事業者、いわゆるベンダー側の混乱にもつながっております。結果的に全国一斉にこのようなシステム改修を実行するには当初のスケジュール感では難しいということを国も理解しての期間延長となっており、そのような中でも本市としてできる最善を尽くしておられるということは理解をいたしました。とはいえ、標準化の早期実現は必要な取組でありますので、引き続きシステム刷新と標準化の対応については、できる限りスピード感を持って取り組んでいただくよう要望をしておきます。
 次に、本市のDX戦略について伺ってまいります。
 本市ではデジタルの力で市民の暮らしをよりよくすることを目指し、全庁的なDXの推進を進めています。具体的にはオンライン完結の行政手続の拡充、庁内業務の効率化、データの活用基盤の整備など、多岐にわたる取組が示されております。
 このDX戦略について、策定の目的、また、どのような内容で構成されているのか、概要をお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市DX戦略については、福岡市の情報化政策に関する計画として、市民の利便性向上や業務の効率化を一層推進し、誰もがデジタル化の恩恵を実感できることを目的に策定しております。DX戦略の構成については、現状と課題や取組方針をまとめた本編と、全庁の個別の取組をまとめた実行項目集がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) DX戦略には令和5年度から4年間という期間が設定をされており、現在はそのちょうど中間点に当たる年となります。
 そこで、お尋ねいたしますが、現時点で戦略全体の進捗状況はどう評価をされているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) DX戦略の進捗状況については、個別の取組である実行項目ごとに進捗の管理を行っており、最新の進捗状況となります令和5年度末時点では、実行項目のうち、全体の82.9%が順調またはおおむね順調となっており、DX戦略は着実に進んでいるものと評価しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、DX戦略全体を通して、特に成果が出ている取組や市民サービスの向上につながっていると評価をされているものがあればお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 行政手続のオンライン化につきましては、令和6年度末時点で年間総処理件数の94.4%の手続がオンラインによる申請が可能となっており、市政アンケート調査における行政手続のデジタル化やオンライン化の満足度は、近年、上昇傾向となっております。また、公共施設におけるキャッシュレス決済については、令和6年8月時点で253か所の施設や窓口に導入しており、利用者が多い施設等への導入はおおむね完了しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では逆に、遅れが生じている取組にはどういったものがあるのでしょうか。具体的にお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 行政手続のオンライン化は順調に進んでおりますが、一部の手続についてはオンラインの利用者数が伸びていないものがあり、利用率の向上に取り組む必要があると認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、その要因について市はどのように分析をされているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市政アンケート調査によりますと、オンラインによる行政手続を利用したことがないまたは知らないと回答した人は約4割となっております。引き続き、オンライン手続の利便性について周知、広報を行うなど、広く市民に利用していただけるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、本日はDX戦略のくらしのDXに関する事業の中から1つだけ、リモート窓口についてお尋ねいたします。
 公民館等へのリモート窓口の導入について、こちらは概要の御説明をお願いします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) リモート窓口については、離島など区役所から遠い地域の公民館等13か所と区役所窓口をビデオ通話でつなぎ、行政サービスに関する相談や申請書類の作成などの支援を受けることができるものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、リモート窓口の利用者数の推移についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和5年度は事業を開始した11月から3月末までの利用者数が公民館3人、出張所61人の計64人となっております。令和6年度は公民館9人、出張所269人の計278人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 令和5年度から開始をされたリモート窓口事業ですが、特に公民館での利用実績が令和6年度については1年間で9人と著しく低いです。この要因として、認知度が低いということもあるとは思いますが、現状、リモート窓口は相談対応がメインであり、実際の行政手続を完了させるまでには至らず、あまり活用の機会がないという声も聞いております。区役所から遠いエリアにお住まいの方からすると、最寄りの公民館で行政サービスが受けられることは大変有意義な事業でありますので、相談のみの対応ではなく、必要な手続まで行えるように早急に改善をお願いしたいのですが、現在の検討状況をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) リモート窓口については、離島などの区役所から遠い地域にお住まいで、スマートフォンをお持ちでないなど、オンライン申請が困難な方もデジタル化による利便性向上を実感できる誰一人取り残されない取組として実施しているものでございます。令和7年度は地域からの要望を踏まえ、手続の申請も可能とする仕組みの構築に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 現在、仕組みの構築に取り組んでいただいているとのことですので、一日でも早く実現をされるよう要望いたします。
 では、ここからは直接的な市民サービスではありませんが、より質の高い市民サービスを実現するためのデータの利活用についてお尋ねしてまいります。
 DX戦略の中では、共通的に使える情報基盤やデータ利活用環境の整備も重点項目とされていたと理解をしています。まず、こうした共通基盤整備の全体像について改めて御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基盤整備については、福岡市DX戦略において、DXの取組を支える業務システムなどのデジタル基盤の整備、運営やデータ連携基盤を活用した新たなサービスの構築等に取り組むこととしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、御答弁にありましたデータ連携基盤について伺います。
 データ連携基盤とは何か、具体的な構成や仕組みについて御説明ください。また、本市ではいつ整備がなされたものかも併せてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) データ連携基盤については、分野横断的な官民データの連携を可能とするシステムとして令和4年度に構築したものであり、これを活用した官民データの利活用に関する取組等を通じて、市民の利便性の向上や安心して暮らせる社会の実現など、都市が抱える様々な課題の解決を目的としているものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) データ連携基盤は令和4年度に構築をされたとのことですが、具体的な活用事例について伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 活用事例といたしまして、市のポータルサイトであるふくおかサポートなどのサービスを提供しているほか、屋台の情報をオープンデータ化し、その日の営業状況等を屋台のLINE公式アカウントで表示するサービスを提供しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 御答弁にありました本市のポータルサイト、ふくおかサポートについて数点お尋ねしたいと思います。
 まず、事業概要と開始時期について御説明願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) ふくおかサポートについては、子育てや教育、福祉などの制度において一人一人に合った情報をプッシュ型で提供するほか、図書館デジタル貸出カード、公共交通機関の運行情報の配信など、様々なサービスを提供するポータルサイトとして令和5年3月よりサービスを開始しているものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) ふくおかサポートについて、様々なサービスを提供するポータルサイトとのことですけれども、福岡市公式ホームページとの違いは何か、分かりやすく御説明願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 両者の違いについては、市の公式ホームページは利用者が検索機能などにより自ら能動的に情報を得るものですが、ふくおかサポートは利用者の属性やニーズに応じた情報や利用できる制度の情報をプッシュ型でお知らせすることができるものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、現在のふくおかサポートへの登録者数についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 登録者数については、令和7年5月末時点で約1万6,000人でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) サービス開始から2年が経過をしておりますけれども、現在の登録者数が約1万6,000人と、本市の人口から考えますと、かなり登録者数が少ないと感じます。
 ではお尋ねいたしますけれども、事業者の登録はできるのか、御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) ふくおかサポートは個人を対象としたポータルサイトであり、事業者としての登録はできないものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) このふくおかサポートについても、意見を申し述べたいと思います。プッシュ型のお知らせといえば、本市では福岡市公式LINEアカウントを運用しており、LINEで市からのお知らせを受け取れますし、LINEで道路などの損傷箇所を通報できるなど、便利な機能もあり、認知度は高いと思います。しかし、この公式LINEとの大きな違いは、マイナンバーカードにより個人を登録することで、本市が提供する子育て、教育、福祉などの支援制度や健康診断などの利用案内について、その制度の利用対象となる可能性のある場合に個別にプッシュ型でお知らせを受け取ることができるということだと思います。また、現時点での機能では、デジタル身分証の表示や図書館で利用ができるデジタル貸出カードの機能など、公式LINEにはない機能も搭載されております。せっかく新たに構築をしたデータ連携基盤を活用し、新しく開始をされたサービスですので、もっとこのふくおかサポートを生かして市民サービスの向上を図っていただきたいと思います。例えば、今LINEでの通知では選択が可能な防災や防犯、学校関連情報、また、先ほどの質問で事業者としての登録はできないという御答弁でしたけれども、個人で登録したとしても、事業者向け情報の通知を選択できたり、登録された居住地情報に基づいて、例えば、地域の公民館だよりをプッシュで受信できるようにするなど、プッシュ通知で受け取れる情報の種類の拡充、こちらを御検討いただきたいと思います。
 また、現在、本市では市民局が防災関連アプリ、そして、水道局も公式アプリをリリースするなど、本市の関連サービスにも複数のアプリが点在しています。また、小学生の保護者は民間が運用するアプリで学級情報を受け取っているというような方もいらっしゃいました。しかし、あまりサービスの入り口が分散すると、それぞれを周知するためのコストも、その分、多くかかるということになります。これさえあれば漏れなく情報が得られるといったシンプルな行政サービスを目指していただきたいと思います。
 せっかくプッシュ型のポータルサイトとして開始をされた新しいサービスでございますので、現在、局ごとで提供されているオンライン関係のサービスを全てこれに一本化してまとめてしまうくらいの分かりやすさ、そして、シンプルさを追求いただきたいと思いますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) ふくおかサポートについては、これまでも各局所管の手当や制度の情報をお知らせするプッシュ型の情報提供に加え、図書館デジタル貸出カード、公共交通機関の運行情報の配信など、市役所の様々なサービスを提供しているところであり、引き続き誰もが使いやすく分かりやすいポータルサイトとして充実させてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では次に、システム刷新のところで触れました客観的なデータや根拠、エビデンスに基づいて政策を立てる、いわゆるEBPMに関連する事業として、令和6年度の当初予算で統計情報等の活用推進事業に1億1,100万円余が計上されていたと思いますが、どのような環境整備が行われたのか、御説明ください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 統計情報等の活用推進については、令和6年度に統計情報等のデータの収集、分析などを行うための環境整備を実施したところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 令和6年度整備されたものを、特に名前がありませんので、ここでは便宜上、分析ツールと呼ぶことにいたしますけれども、今回整備をされた分析ツールの具体的な機能や狙いを教えてください。また、これは全ての職員が自由に使えるツールになるのでしょうか、併せて御説明願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年度に実施した環境整備により、統計情報等の活用を全庁的に促進することで、データに基づく政策立案を推進し、行政サービスの質の向上を目指すものでございます。今後は全庁において、職員研修や活用のためのマニュアル整備などを進めていくこととしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 分析ツールで扱うデータは統計情報等のデータとのことですが、具体例としてどのようなデータを想定しておられるのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 統計情報等のデータについては、推計人口や登録人口などの福岡市が保有している統計情報のほか、国が実施する国勢調査などのデータを想定しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) この分析ツールの整備や活用について、他都市と比較して標準的なペースでの進捗なのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 全庁的に使える環境を整備しているのは、20政令市中、福岡市と神戸市のみであり、全国的にも進んでいるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 仮に分析できるツールがあったとしても、本市の職員がデータやツールを自ら使いこなせるようになるには、人的なスキルやデータを生かしていこうという、そもそもの文化の醸成も必要だと思います。市として庁内のデータ活用人材の育成にはどのように取り組んでおられるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) データ活用人材の育成については、令和6年度より各職場におけるDXを牽引するDX推進リーダーの育成を行っており、データの利活用に関する研修を実施しております。その他、職員に対する研修を行うなど、引き続きデータ活用人材の育成に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 今回はDX戦略の中でも、特にその基盤となるシステム刷新や情報システム関連の環境整備に関する質問を中心にお尋ねしてまいりました。全体を通して、情報システムの整備や保守についてはおおむね問題なく進められているということが今回の質問で分かりました。一方で、データ活用の分野はまさに活用に向けた準備段階であるとのことで、運用が開始されれば、庁内外のデータを横断的に活用することで市民一人一人に寄り添ったサービスや政策形成の質向上が大いに期待できます。
 ここで一足先に取り組まれておられます神戸市の事例を御紹介いたします。神戸市はEBPMの推進に力を入れており、職員一人一人が積極的に様々なデータを分析して、より効果的な政策立案を実現しているそうです。資料4をお願いします。(資料投影)こちらは神戸市が出している資料をそのまま掲示しておりますが、神戸市は令和2年からBIツールと呼ばれます、業務データをグラフや図で見える化するツールのことですけれども、そちらを活用し、EBPMを推進しておられます。データ連携用の基盤整備も令和3年から構築を開始し、行政データの蓄積を重ね、令和4年6月から神戸データラウンジという形でツールの全庁展開を始めています。その結果、こちらのグラフのように、これは緑の部分がこれまでデータの入手、整備、そして分析、また、資料作成などにかかった時間で、その横のブルーですね、青いところが政策議論の時間というグラフになっておりますけれども、今まで準備だったり分析に多くの時間がかかっていたところを、このツールを活用することで大幅に作業時間が短縮をされて、政策議論の時間がしっかり確保できるようになったという資料になります。
 では次に、資料5をお願いします。(資料投影)ここからは活用事例を2つ御紹介いたしますが、こちらは保育所の最適配置の検討に使っているという例です。ちょっと見づらいですが、緑とオレンジの棒グラフが各区ごとの人口と保育所の定員数、また、入所数が同じグラフに一元化をされ、表示されています。このように個別の数字をグラフ化し、複合的に掛け合わせることで、どこにニーズがあるのかが一目で分かります。
 資料6をお願いします。(資料投影)こちらは事例の2つ目、将来推計人口を事業時期の検討に生かしたという事例です。多くの自治体は国勢調査の数値を基に、5年ごとに将来推計人口を算定しています。しかし、神戸市では住基データを活用し、1歳階級別、そして、小学校区別に神戸市独自で、より精度の高い将来推計人口を算定しておられるそうです。こちらの例は、改めて独自に算出した結果、これは火葬場の話なんですけど、火葬場の建て替えスケジュールを延ばしても問題がないという判断に変わって、当初予定をしていたスケジュールを4年間後ろ倒しにしたという事例でございます。より実態に即した政策立案が可能になっている例だと思います。
 資料7をお願いします。(資料投影)こちらも神戸市の資料からお借りしておりますけれども、質問の前半で触れたシステムの標準化に関しての資料です。システムの標準化を効果的に活用し、分析に適した各種データをデータ連携用の基盤に蓄積し、可視化を図っているとのことです。この表は国が標準化を求めている基幹20業務が記載をされておりますけれども、色がついているものが今年度中には標準化対応予定のものであり、20業務中12の業務について神戸市さんは標準化の対応が進んでいるそうです。本市はこれが6業務とのことですので、神戸市は標準化の対応がより進んでいるということが分かります。投影ありがとうございました。
 神戸市の事例を紹介しましたが、本市も基盤の整備は済んだとのことですので、これからの本格稼働に期待をしたいと思います。あくまで神戸市の例ですので、同じようなシステムになるのか、詳細についてはこれからだと思いますが、神戸市の取組も参考に、よりよいデータの利活用について引き続き研究をいただきたいと思います。本市でも小学校区ごとの精緻な将来推計人口を算定できるようになれば、様々な政策立案に大きく寄与しますし、データの利活用については、以前、総会質疑でも御提案しましたが、高齢者乗車券の取得状況、例えば、券の種別やエリアのデータを地図情報として解析をすることで、交通が不便な地域の可視化や、より実態に即した市民ニーズを把握することも可能になるはずです。現在想定をされている統計情報等にとどまらない、本市の各部局がそれぞれ持っている情報やデータは大変貴重な分析対象となり得ますので、それらの横断的な情報が活用できるよう、引き続き御検討を進めていただきたいと思います。
 最後に、部局の垣根を越えたデータ活用による市民サービスの高度化や政策形成の質向上に向けてスピード感を持った取組を期待いたしますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) データに基づく政策立案は大変重要であると認識しており、引き続きデータ活用に向けた研修やデータ活用人材の育成に取り組むとともに、データに基づく、より客観的で信頼性の高い政策立案を推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、再生可能エネルギーの有効活用とレジリエンスの強化――レジリエンスとは、片仮名表記の言葉ですので日本語に言い換えれば、しなやかに強いと、困難やストレスに対して柔軟に対応し、回復する力を意味します――落雷事故から子どもたちの命を守るために、マイボトルが育む未来の意識、視認性を高め安全な道路への4点について質問いたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
 まず、再生可能エネルギーの有効活用とレジリエンスの強化についてです。
 今、地球規模で気候変動対策が加速する中、再生可能エネルギーの活用は単に地域の脱炭素化にとどまらず、エネルギーの安全保障、そして、災害時のレジリエンスの強化にもつながる極めて重要な取組であります。福岡市でも太陽光発電や蓄電池の導入が進められてきましたが、出力制御の問題や再エネの地産地消、さらには災害時の活用という観点から、まだまだ取組の深掘りが求められております。
 まず、出力制御に失敗すると発生するブラックアウトとは何か、電力の需給調整の観点から分かりやすく説明してください。また、最近、国内で発生した深刻な事態を御教示ください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) ブラックアウトとは、何らかの原因により発電所が緊急停止するなど、地域全体の電力需要と発電量のバランスが崩れることで発生する大規模停電でございます。国内では、平成30年9月6日に発生した北海道胆振東部地震を原因とするブラックアウトがございます。経済産業省の発表によりますと、地震により苫東厚真発電所が緊急停止し、北海道電力管内の電力需要と発電量のバランスが崩れ、道内全域の約295万戸が停電、復旧までに約50時間を要するなど、住民生活に大きな影響を与えたとのことでございます。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 特に出力制御の問題は年々深刻になっており、九州電力の管内では再エネの導入が進んでいる一方で、需要を上回る発電量が生じることで、ブラックアウトを防ぐため太陽光発電の出力制御の指示、つまり発電停止の要請が増えてきております。福岡市が保有する大原、蒲田のメガソーラーでも令和5年度に81回、時間にしておよそ580時間も出力制御が行われており、これは令和3年度と比べて3倍近い水準にまで増えています。せっかく発電した再エネが無駄になっているわけで、これは環境の面でも、経済の面でも大きな損失です。
 このような出力制御による再エネの無駄を防ぐために、現在、蓄電池の増設や他の有効な活用策をどのように検討されているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 出力制御中の再生可能エネルギーの活用につきましては、蓄電池の設置が有効であり、現在、出力制御の対象となるメガソーラー発電所への設置について検討しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、今後、メガソーラーだけではなく、その他の市有施設や再エネ設備への蓄電池の導入についてはどのような展開方針をお持ちか、お聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 蓄電池につきましては、太陽光発電設備を設置する施設のうち、発電量が当該施設の使用電力を超え、一定の余剰電力の発生が見込まれる場合に有効であると認識しており、学校施設や庁舎等において、民間資金を活用するPPA事業によりその導入に取り組んでいるところでございます。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 再エネの普及が進めば進むほど、出力制御の回数や時間は増加する可能性が高いと思われますが、市としてこの傾向をどう捉えているのか、お答えください。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 九州電力管内におきましては、再生可能エネルギーの発電比率が高く、さらにその普及が進めば、電力需要と発電量のバランスを取るため、今後も出力制御は増加する可能性が高いと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ここで今後の再エネ導入形態の進化にも注目したいと思います。最近では次世代型太陽電池、いわゆるペロブスカイト太陽電池が注目されております。これは軽くて薄くて、建物の壁面や窓にも設置できるといった特性があり、都市部での太陽光発電容量の拡大が一気に進む可能性があります。福岡市内でも民間による実証的な導入が既に始まっているとのことですが、その分、出力制御への対応もより複雑化していくものと考えられます。
 このような新技術の普及を見据えた上で、将来的な出力制御への対策について市としてどのように考えているのか、お聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) ペロブスカイト太陽電池など、新技術の普及を踏まえた将来的な出力制御への対策につきましては、蓄電池の活用のほか、国や民間事業者による新技術の開発状況を踏まえ、引き続き調査、検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、市として今後、ペロブスカイト太陽電池の導入促進について何らかのガイドラインづくりや支援策を検討していく予定はあるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) ペロブスカイト太陽電池につきましては、令和6年度に香椎浜小学校及びFukuoka Growth Nextの2か所に、7年度は国の補助制度を活用し、3か所程度の市有施設への導入に取り組むこととしております。また、民間事業者への支援策といたしましては、夏頃創設予定の国の補助制度に上乗せし、市独自の補助制度を創設することとしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 続いて、太陽光発電と蓄電池の併設について伺います。
 市ではPPA事業によって学校や庁舎などに太陽光発電の導入が進められており、蓄電池の設置も行われています。しかし、災害時の避難所としての機能を担う小中学校では、蓄電池が併設されているのは僅か3校と非常に限られた状況であります。
 避難所となる学校施設において、災害時の電源確保のための蓄電池設置を今後どのように拡充していくのか、具体的な計画をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 学校施設につきましては、民間資金を活用したPPA事業において、比較的容量の大きい太陽光発電設備を設置する場合に、夏休みなどの長期休暇期間や休日において一定の余剰電力が発生するため、蓄電池の併設が有効であると認識しております。そのため、令和7年度は玄界小中学校、8年度は箱崎清松中学校においてPPA事業による太陽光発電設備と蓄電池の設置に取り組むこととしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 教育委員会において設置している学校の太陽光発電設備につきましては、自家消費を主目的とし、余剰電力が少ないことから、蓄電池の設置は費用対効果等の面で課題があると考えており、環境局や市民局とも連携しながらPPA事業の活用を検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所における災害時の電源確保につきましては、各校区に備蓄する非常用発電機や電気自動車からの給電、さらに、災害時応援協定に基づき、企業等から調達する非常用発電機などにより対応することとしております。避難所への蓄電池の設置につきましては、災害時の電源確保策として有効であると考えておりまして、避難所となる施設ごとに関係局と連携をしながら検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、再エネと蓄電池の導入については、公共施設へのPPA方式による導入に加え、民間施設への導入に当たり、補助金や民間との連携をどう活用していくお考えか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 民間施設への再生可能エネルギーと蓄電池の導入につきましては、令和6年9月に選定された脱炭素先行地域におきまして、民間事業者と連携し、国の交付金を活用した再生可能エネルギー設備や蓄電池の導入に取り組むこととしております。また、市内の住宅への太陽光発電設備やリチウムイオン蓄電システムの導入については、住宅用エネルギーシステム導入支援事業において経費の一部を助成し、その促進に取り組んでいるところでございます。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 神奈川県川崎市では、CEMS、いわゆる地域エネルギーマネジメントシステムを導入して、企業や公共施設の間で再エネ電力をリアルタイムで共有、融通しています。これによって、平時の最適利用だけでなく、災害時にも柔軟に電力を回せる体制を築いています。福岡市でも重点地域におけるCEMS導入の検討が始まっていると伺っております。
 現時点でのCEMS導入の概要と今後のスケジュール、そして、想定される導入効果についてお聞かせください。また、CEMS導入に当たり、地元企業や大学、地域団体との連携はどう進めていかれるのか、お考えを伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 地域におけるエネルギーマネジメントにつきましては、脱炭素先行地域において、共同提案者である地元企業や大学、地域団体と連携して、2030年度までに地域内の電力需要に応じ、地域外で発電した再生可能エネルギー電気を電力小売事業者などが供給する仕組みの構築に取り組むこととしております。これにより、現在、年間約1.84億キロワットアワーと見込まれる地域内電力需要の全てを再生可能エネルギー電気で賄うことが可能になり、その結果、一般家庭約5万世帯の1年間のCO排出量に相当する約8.5万トンの削減効果があると考えております。この脱炭素先行地域の取組をモデルとして、他地域への展開にも取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 避難所周辺へのソーラー外灯の整備についても、伺います。
 山形県長井市では避難路にソーラー街路灯を設置しており、昨年の大雨の際には夜間でも安全な避難行動を支える大きな役割を果たしました。福岡市内でも公園や公民館では導入実績がありますが、避難所周辺ではまだ整備が進んでおりません。
 災害時の避難誘導や防犯対策の観点からも、避難所周辺へのソーラー外灯整備を重点的に進めるべきと考えますが、今後の整備方針について市の考えをお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 災害時の避難誘導や防犯対策の観点から、避難所周辺の照明確保は重要であり、停電発生時にも機能するソーラー外灯は有効であると認識をしております。避難所への導入につきましては、公民館では新築や改築、内部改修に合わせて整備することとしております。また、小中学校やその他の避難所では、各施設の立地や周辺の状況、整備や維持管理に要する費用などを踏まえて、効果的な照明の確保について検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園におけるソーラー外灯の設置につきましても、引き続き公園の立地や周辺施設の状況などから、必要性や優先度を判断し、整備、維持管理に要する費用なども踏まえた上で対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路照明は市民の安全、安心のために非常に重要な施設であると認識しております。道路上におけるソーラー外灯の設置につきましては、点灯時間や照度の課題などを踏まえ、今後検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 再生可能エネルギーの有効活用、災害時のレジリエンスの向上、そして、地域でのエネルギーの地産地消は、福岡市が災害に強く、持続可能な都市として発展していくためには欠かせない柱だと考えます。
 市民の命と暮らしを守るためにも、今後、再エネ施策の全体戦略と併せて、蓄電池、CEMS、ソーラー外灯といった多様な技術をどう連携的に導入していくのか、具体的な工程や方向性について島市長から御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロのチャレンジ目標を掲げ、ペロブスカイト太陽電池や蓄電池などの社会実装によって、再生可能エネルギーの有効活用に取り組んでいるところでございます。蓄電池やソーラー外灯、地域エネルギーマネジメントシステムなどにつきましては、災害時における電源確保など、レジリエンスの確保にも有効な手段であると認識をしています。そのため、今年度より着手をいたします地球温暖化対策実行計画の改定におきましては、脱炭素の視点に加えて、レジリエンスの確保の観点も踏まえた検討を行いまして、災害に強いまちづくりや持続可能な脱炭素社会の実現に向けた取組を市民、事業者一体となって取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 次のテーマ、落雷事故から子どもたちの命を守るために、についてです。
 令和7年4月10日、奈良市の帝塚山学園第2グラウンドで部活動中の中高生6人が落雷により救急搬送されるという大変痛ましい事故が起きました。雷は私たちの目に見えない、しかし、時に命を一瞬で奪う非常に恐ろしい自然災害であります。この事故は学校や地域が雷の危険にどう備えるのか、その備えが本当に十分なのかを私たちに強く問いかけております。
 そこでまず、本市の学校や公園のグラウンドにおける直近3年間、令和4年度から6年度までの間の落雷による事故や被害の状況についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 本市の学校施設における直近3年間の落雷による被害につきましては、外壁損傷が2件ございますが、人身事故はございません。以上です。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 野球場など公園のグラウンドにおける落雷被害につきましては、野球場のスコアボードへの被害が1件ございますが、人身事故はございません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) この3年間で人身事故被害は確認されておらず、建物や設備の被害が合計3件ということでしたが、これは決して安全だったということではなく、たまたま被害が出なかっただけの話です。一歩間違えば命が失われていたかもしれません。そのことを改めて私たちはしっかりと受け止めなければなりません。
 次に、学校や公園のグラウンドにおける落雷対策についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校グラウンドにつきましては、避雷設備の設置はしておりません。以上です。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園のグラウンドにつきましては、避雷設備の設置はしておりません。なお、高さ20メートルを超える野球場の照明施設などについては、建築基準法に基づき避雷設備を設置しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 建築基準法により高さ20メートルを超える建築物には避雷設備の設置が義務づけられておりますが、それ以外の屋外のグラウンドなどには設置義務がなく、ほとんど対策が取られていないというのが実情です。これは言わば制度の空白地帯であり、現場任せ、現場の判断に委ねられているということであります。しかし、雷というのは、空が明るいから大丈夫だろうとか、雨がやんだからもう安全だろうといった感覚的な判断を全く無視して突然襲ってくるものです。過去の裁判でも、こうした主観的な判断に頼った結果、科学的なリスク管理を怠ったことが過失とされた事例があります。今、本当に必要なのは、現場の判断を科学的に、そして、制度的に支える仕組みだと私は考えます。例えば、愛知県の誠信高校では、雷探知機が電磁波や気温の変化を感知し、リスクが高まると回転灯が自動で点灯、即座に部活動を中止する体制が取られております。長野県の須坂東高校でも、雷センサーと連動した黄色の回転灯が作動し、雷リスクを見える化して現場の判断を支えています。
画像1を投影してください。(資料投影)学校グラウンドに設置された回転灯のイメージです。この回転灯はただの装置ではありません。それは指導者が、今活動をやめるという判断を下すための客観的な根拠であり、子どもたちの命を守る最後のとりでだと思います。福岡市でも雷ナウキャストなどの気象情報が活用されていると伺っておりますが、それだけでは現場で即時に避難すべきかどうかを判断するには限界があるのではないでしょうか。だからこそ、視覚的で直感的に危険を伝えるこうした装置の導入が必要だと考えます。画像1の投影ありがとうございました。
 そこで、提案ですが、まずはモデル事業として、学校や公園のグラウンドなどを対象に、雷リスクを視覚的に知らせる回転灯などの判断支援装置の実証導入を進めるべきではないでしょうか。市の御見解をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 雷のリスク管理につきましては、学校に対して雷ナウキャストの運用について周知していくとともに、他都市の学校の先進事例等を調査するなど、雷からの被害を防ぐ方策について検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公園利用者の落雷対策につきましては、他都市の事例なども参考にしながら、関係局と連携し、対応策を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) さらに、命を守るためには教育と訓練も欠かせません。市内には、避難計画が未策定であったり、防雷訓練が未実施の施設も見受けられます。文部科学省も雷に対する教育や訓練の充実を各自治体に対して求めております。雷が迫ったときに、子どもたち自身がどう行動すべきかを知っているかどうか、これはまさに平時の教育と訓練にかかっており、命を守る最後の行動を支える大切な基盤だと思います。
 本市においても、雷災害に関する教育の制度化や避難訓練の徹底を進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 雷災害から児童生徒を守ることは大変重要だと考えております。そのため、避難訓練や災害対応マニュアルに雷災害対応の視点を入れるなど、教職員の雷に対する意識を高めるよう努めるとともに、天候の急変等があった際には迷わず判断し、児童生徒が避難できるような仕組みづくりの検討も必要であると考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 平成30年の名古屋高裁の判決では、雷災害について、現場の見た目の天候に頼らず、科学的知見と最新の気象情報に基づく判断を怠ったことが明確に過失として認定されました。この判決は、自治体にも現場の判断を科学的に支える体制を制度として整えよという強いメッセージであると受け止めるべきです。回転灯のような判断支援装置は、教職員や指導者が判断責任を果たすためにも、そして、何よりも子どもたちの命を守るためにも欠かすことのできないインフラだと考えます。
 モデル導入の成果を踏まえた上で、福岡市全体としてこうした判断支援措置を制度的に整備、標準化していくべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 児童生徒を災害から守り、安全、安心な学校生活を送ることができるようにすることは大変重要であると考えております。判断支援装置の整備については、まずは議員御指摘の高校や他都市の事例を調査するなど、避難の判断が適切にできるような、よりよい仕組みづくりについて検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 雷というのは、予測しにくい自然災害です。だからこそ、予測できないことを前提とした備えが必要です。子どもたちの命を守ることは、行政に課せられた最も基本的な責任の一つです。今こそ科学的な判断支援と制度的な安全装置の整備をスピード感を持って進めるときではないでしょうか。
 最後に、雷災害から子どもたちの命を守るための今後の具体的な対応方針と福岡市としての強い決意を島市長にお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 雷災害につきましては、近年、他都市において部活動中の生徒が被害に遭う痛ましい事故が起こっており、雷災害を含めて、様々な災害から子どもたちの安全を確保することは大変重要なことと認識をしています。今後とも、福岡市の未来を担う子どもたちが学校や公園のグラウンドで安全に部活動やスポーツなどができるよう、教育委員会とも連携をしながらしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 次のテーマ、マイボトルが育む未来の意識についてです。
 近年、気候変動や環境問題が深刻さを増す中、私たちの身の回りでも脱炭素社会への転換や使い捨てプラスチック削減の必要性が高まっております。その中でも、日常的に大量に消費されているペットボトルの削減は持続可能な社会に向けた重要な課題の一つです。福岡市ではこうした課題に対応するためマイボトルの利用を推進し、区役所や市民センターなど、多くの方が利用する施設への給水スポットの整備が進められてきました。環境負荷の軽減に加えて、近年の厳しい猛暑を踏まえると、給水スポットの整備は熱中症対策の観点からも大変有効な取組であると考えます。
 まず、現時点での本市における給水スポットの整備状況と今後の整備方針についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 環境局では、マイボトルの利用促進によるプラスチックごみの削減や脱炭素社会の実現を図るため、これまでに区役所など多くの市民が利用できる庁舎や運動施設などの公共施設25か所に給水スポットを設置しております。令和7年度も城南市民センターやマリンメッセなど5か所に設置予定であり、引き続き多くの市民が利用する公共施設への設置に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 中村水道事業管理者。
○水道事業管理者(中村健児) 水道局では、安全でおいしい水道水のPRのため、未来を担う子どもたちや若年層、ファミリー向けの施設など6か所に給水スポットを設置しております。今後もこれらの給水スポットに加えて、持ち運びができる卓上型給水機を各種イベントなどで活用しながら、安全でおいしい水道水のPRに努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 給水スポットの設置場所については、誰もがアクセスしやすい場所に重点を置く必要があると考えます。設置場所の選定に当たり、ユニバーサルデザインや防災拠点としての視点は考慮されているのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 給水スポットの設置場所につきましては、アクセスしやすく、多くの市民が利用している施設を選定しており、指定避難所等に指定された施設も多数ございます。以上です。
 
○議長(打越基安) 中村水道事業管理者。
○水道事業管理者(中村健児) 水道局では、主に子どもたちや若年層、ファミリー層が集う公共施設に給水スポットを設置しており、これらの中には指定緊急避難場所に指定されている施設もございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、給水スポットの設置は使い捨てプラスチックの削減のために市民一人一人の行動変容を促す有効な施策であると考えますが、その効果について環境局としてどのように検証、評価を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 環境局で令和4年度以降に設置した給水スポット17か所につきましては、給水量の計測が可能であり、これまでに約23万7,000リットルの給水を行っております。これは500ミリリットルペットボトル約47万本に相当するものであり、給水スポットの設置がペットボトルをはじめとしたプラスチックごみ等の削減に寄与しているものと認識しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) そして、給水スポットは、環境負荷の軽減だけではなく、夏場の熱中症対策としても重要な役割を果たします。特に外出時や運動時にいつでも水を補給できるという安心感は市民の健康を守る上で大切な要素です。
 この点について、市としての見解を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) 熱中症対策といたしましては、小まめな水分補給も重要な予防行動の一つであり、給水スポットの設置も有効な手段の一つであると認識しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ここで私が特に申し上げたいのは、次世代を担う子どもたちにこそ、こうした環境配慮の意識を根づかせていく必要があるということであります。そのためには、マイボトル利用が当たり前の習慣となるような環境づくり、すなわち市立学校における冷水器の整備が不可欠だと考えます。冷水器が整備されることで、子どもたちは日常的にマイボトルを持参し、繰り返し使うという行動が自然と身につきます。それは単に水を飲むという行為だけではなく、資源を大切にする、環境を守るという意識を育てる環境教育の一環にもなります。特に体育の授業や休み時間、部活動後などにすぐに冷たい水を飲める環境を整えることで、児童生徒の健康を守る効果があります。広島県廿日市市では、子ども議会での提案を受け、全小中学校27校に冷水器を設置。感染症対策として直接飲用ではなく水筒への給水タイプを採用、児童生徒が積極的に利用し、水道のぬるい水と違って飲みやすいとの声。夏場の水分補給が容易になり、熱中症対策としても効果を発揮しているそうであります。
 市立学校における冷水器の設置状況、そして、教育的視点を踏まえた今後の方針について市の御見解をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 冷水器の設置状況につきましては、市立小中学校のうち3校に設置されております。また、各学校においては、児童生徒に対し水筒の持参を働きかけており、児童生徒の多くは水筒を持参し、必要に応じ、学校の水道水で補充を行っているところでございます。今後の冷水器等の整備については、引き続き他都市の状況などを調査し、検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) あわせて、こうした給水環境の整備を持続可能な形で推進していくには、公共施設だけではなく、地域の商店街や民間施設との連携も重要です。現在はマイボトルへの給水及び有償での飲料の提供に協力いただける民間事業者をマイボトル協力店として登録し、広報や啓発活動を行っているとのことですが、今後さらなる周知と参加拡大が求められます。
 給水スポットやマイボトルの利用促進をどのように広げていくのか、市としての今後の取組についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本環境局長。
○環境局長(藤本和史) マイボトルの利用促進につきましては、これまで25か所の公共施設への給水スポットの設置に加え、約90店舗の民間事業者をマイボトル協力店として登録し、水やコーヒーなどの飲料をマイボトルに提供できる環境づくりに取り組んできたところでございます。今後もこれらの取組を継続するとともに、市民の利用や認知度をさらに向上させるため、市ホームページや市政だより、SNSなど、様々な媒体を活用した広報、啓発にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 最後に、こうした一連の取組をより一層推進していくためには、環境、健康、教育の視点を横断的に捉えた施策展開が求められます。給水環境の整備を全庁的な中長期戦略として位置づけて取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 水は命に直結し、環境にも直結する最も根源的な資源です。子どもたちがマイボトルを通して水の大切さを学び、ペットボトルに頼らない生活スタイルを当たり前にしていくこと、それこそが持続可能な未来へとつながる一歩になると私は確信しております。
 どうか市として、こうした環境、健康、教育の好循環をつくる取組に力強く取り組んでいただきたいと考えますが、島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では環境負荷を軽減し、都市の発展を持続させる福岡式循環型社会システムの構築に取り組んでおります。マイボトルの普及促進はプラスチックごみの削減や脱炭素社会の実現に資するだけでなく、昨今急増する熱中症による健康被害防止にも寄与する取組であると考えています。このため、今後も引き続きマイボトルの普及促進により人と環境に優しい持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 最後のテーマ、視認性を高め安全な道路へについてであります。
 まず、道路の視認性の確保は交通事故を未然に防ぐための基本中の基本であり、言わば最前線の安全対策であると考えます。特に白線、すなわち区画線の明瞭さは、運転者や歩行者が進行すべき位置を正確に把握するための基礎的なインフラであり、視認性の土台となるものであります。本市内を見渡しますと、夜間や雨天時にはほとんど見えなくなっている白線が見受けられ、市民の皆さんからも見えづらい、危険を感じるといった御意見が寄せられております。
 そこでまず、本市における区画線の維持管理の現状とその重要性についての市の御認識をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 区画線は通行位置の明示や車線変更の判断に用いるなど、自動車や歩行者の安全な通行にとって必要であり、その維持管理は非常に重要なものと認識しております。そのため、道路管理者として区画線の劣化状況を的確に把握し、必要に応じて引き直し等を実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 本市における白線、区画線の維持管理体制、点検頻度、補修基準について明確なマニュアルやガイドラインは存在するのか、お答えください。また、その基準に基づいた白線、区画線の再塗装のサイクルは実態として遵守されているのか。現場の運用状況と予算、人員体制の現状について具体的に伺います。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路管理者が管理する区画線につきましては、区の維持管理部門の職員が幹線道路は月2回以上、生活道路は年1回以上の頻度で点検しております。また、区画線の劣化につきましては、交通量や通行する車の種類によって差があり、特に交通量の多い路線で進行が早い傾向がございます。そのため、優先度の高い箇所から区画線の引き直し等を実施しておりますが、補修に関する公的な基準は定められておりません。なお、現在、各区の職員にて効率的な点検、補修を行っておりますが、今後は管理施設の老朽化が進んでいくことが想定されるため、維持管理の体制について検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 市民の皆様の声は重要な現場情報であります。
 白線、区画線の視認性に関する通報、要望に対し、受付から現地調査、対応判断、改善までの一連のプロセスはどうなっているのか、お答えください。また、対応結果の公表を行うべきだと考えますが、市の取組状況を伺います。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 市民からの通報や要望は区役所の窓口に直接寄せられるほか、LINEによる通報で把握し、速やかに現地調査を行っており、その結果を踏まえ、優先度を判定の上、対応方針を決定しております。なお、LINEによる通報につきましては、その対応状況をホームページで公表しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 視認性の確保は、日中に限らず、特に夜間や雨天時など視界が悪化する状況において、より一層その重要性が高まるものと認識しております。実際に福岡市内においても夜間や悪天候下での交通事故が発生しており、事故現場における声を聞きますと、標示が見えにくかったといった感想を持たれる方も多くいらっしゃいます。
 そうした現場の実態を踏まえ、夜間や雨天時の事故において視認性の不足が原因の一つとなっている可能性について市としてどのように受け止めておられるのか、見解をお伺いいたします。あわせて、本市はこれらの条件下で発生した事故についてどのような調査、対応を行っているのか、お答えください。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 福岡市の交通事故を取りまとめた統計資料である令和5年福岡市の交通事故によりますと、福岡市内で発生した交通事故件数は6,005件、死者数は25人となっております。そのうち、夜間に発生した事故が占める割合は件数で約3割、死者数は約5割となっており、視認性が低下する夜間において事故件数の割合に対し死者数の割合が高く、視認性の確保は重要であると認識しております。当該資料において視認性不足を事故要因とする分類はないものの、重大事故が発生した箇所や事故多発地点におきましては、県警察と連携し、現地調査を行った上で必要な対策を講じております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 白線は再塗装してもすぐに?げてしまう事例も見受けられます。
 使用している塗料の耐久性に課題はないのか、お答えください。また、より視認性が高く、雨天時にも優れた効果を発揮する素材、高輝度、全天候型の導入検討状況をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 区画線につきましては、ガラスビーズを含んだ視認性が高い塗料を採用し、耐久性の高い溶融式による施工を基本としております。しかしながら、区画線の劣化につきましては交通量や通行する車の種類によって差があり、特に交通量の多い路線で劣化が早くなることが課題と認識しております。引き続き、区画線に使用する塗料の開発動向などを注視し、費用対効果等を考慮しながら、より視認性や耐久性に優れた新技術や新素材の活用を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 白線を補完する重要な手段が反射機能を持つ道路びょうなどの活用です。画像2の投影をお願いします。(資料投影)車道と歩道の縁石の上に等間隔に取り付けてある、車のヘッドライトに反射しているものが道路びょうです。視認性を向上させるためには、白線の維持管理のみでは不十分であり、それを補完する視線誘導の工夫を適切に組み合わせていくことが重要であると考えます。近年では反射機能を持つ道路びょうなどの活用が注目されております。こうした反射材を設置することで夜間の走行ラインが明瞭となり、特に高齢ドライバーや暗所――暗いところでの運転時において走行支援の効果が期待されております。画像2の投影ありがとうございました。
 本市においては、これまでどのような箇所に反射機能を持つ道路びょうなどが設置され、その設置によりどのような効果が確認されているのか、御説明をお願いいたします。あわせて、道路種別、交通条件、優先エリアの明確な設置基準はあるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 道路びょうなどの視線誘導標の設置につきましては、公益社団法人日本道路協会が発行しております視線誘導標設置基準・同解説に準拠し、急カーブ区間や車道幅員が変化する区間など、視線誘導が必要な区間において、県警察との協議や地域要望を踏まえ、検討を行い、個別に対応しております。また、効果につきましては、先ほどの設置基準・同解説におきまして、前方の道路線形が明確になることから夜間交通の円滑化に期待できるとされております。実際に地域要望により道路びょうを設置した箇所におきましては、地域の皆様から夜間に走りやすくなったという御意見をいただいております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 今御説明いただきましたように、道路びょうなどの反射材の設置は視認性向上に有効であるとのことであります。であるならば、個別の判断に委ねるのではなく、今後はより積極的に導入を進めていくべきであると考えます。
 道路びょうの標準仕様化や設置基準の明確化といった制度的な整備を検討すべきではないかと思いますが、市としての見解をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 夜間などにおける道路の視認性の確保につきましては、交通の円滑化を図る上で重要なことであると認識しております。道路びょうにつきましては、公益社団法人日本道路協会が発行しております視線誘導標設置基準・同解説に準拠し設置を行っているところでございますが、今後、道路構造や交通状況を踏まえ、県警察等と協議しながら、総合的に安全な交通環境の確保について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 視認性は命と安全に直結する社会インフラです。最終的に目指すべきものは、交通事故から市民の命を守るという目的の下、視認性向上策を戦略的かつ体系的に進めていくことであると考えます。白線の維持を基盤としつつ、道路びょう、照明灯、排水性舗装など、複数の要素を有機的に組み合わせ、立体的に視認性を確保する必要があります。そのためには、個別対応ではなく、全体を俯瞰した視認性向上戦略の策定とそれに基づく予算の体系化が不可欠であります。具体的には以下のような観点が重要と考えます。白線再塗装に関する基準や点検サイクルの明確化、夜間や雨天を想定した視認性診断の導入、道路びょうなどの反射材設置における優先順位の明確化と標準化、視認性改善に係る予算の見える化。
 これらの視点を踏まえ、本市として視認性向上に向けた取組をどのように体系化し、今後どのように進めていかれるのか、島市長に力強い決意をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 道路につきましては、安全で安心な市民生活と都市活動を支える社会基盤でありまして、区画線などによります道路の視認性の確保は安全で円滑な交通を図るため重要であると認識をしています。このため、現在策定中であります道路整備アクションプラン2028に基づき、安全、安心でみんなに優しい道づくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時28分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。今林ひであき議員。
○9番(今林ひであき)登壇 私は市立病院について質問いたします。
 我が会派は、こども病院と市民病院の統合による新病院創設を求めてきました。平成20年9月議会においては決議を行いました。しかし、残念なことにこども病院のみが移転され、一方、現市民病院は今もそのままになっています。
 最初に申し上げておきますが、私は統合による新病院の創設、今では新たな市民病院としての存続を願う者の一人です。もともと本市には、昔、荒津病院、第一病院、西新病院、少年保養院の4つの病院がありました。時代の変遷とともに、市立病院も変化を遂げてきました。例えば、荒津病院の担った感染症医療はこども病院に引き継がれ、その後、平成20年の福岡市病院審議会で大学病院等で担うことが望ましい、県への返上となってしまいました。当時、政令市のうち、感染症病床がないのは本市だけになることから、議会でのやり取りもあり、平成25年、県からの要請を受け、平成26年に市民病院が第二種感染症指定医療機関に指定されました。県への返上から本市に残した島市長の英断は、新型コロナで果たした最前線での対応で証明されることになります。また、救急医療は第一病院からの移転時に、民間病院との競合から反対意見もありましたが、結果的に市民病院が公的役割として二次救急を担えることになりました。常に時代に合った公的役割を果たしてきたと思っています。
 そこで最初に、市立病院の現状についてお尋ねしていきます。
 こども病院については、昭和55年の開院から34年経過後の平成26年にアイランドシティに移転しました。新たに周産期医療を加えたものの、統合移転の核であった大人の医療である成育医療の取扱いについては、九大病院をはじめとする周辺病院との連携を行うことで決着しました。現在も西日本随一の子ども医療に貢献していることはうれしい限りです。もっと言えば、本来、子ども医療の公的役割を多くは国、県が管轄する中、政令市が担うことは全国的に珍しく、進藤市長の英断であることは皆さん御存じのことと思います。
 そこでまず、お尋ねします。
 こども病院の移転により不足が懸念された西部地域の小児医療は、九州医療センター、浜の町病院などで担ってもらえることになっていましたが、現状、うまくいっているのか、確認させてください。
 一方、現市民病院は平成元年の開院で築37年を迎えた病院です。前身の第一病院の地域医療を引き継ぐとともに、公的役割として、二次救急、先進医療としての肝腎センター、併せて感染症も加え、診療科目も当初の10科から20科になる病院です。しかし、37年経過は、こども病院が34年で移転したことを考えても、医療機能並びに施設の老朽化もかなり進んでいることと思います。令和5年12月には非常用電源の地下配管設備の油漏れが新聞記事に取り上げられるなど、施設改修が課題となっています。
 そこで、お尋ねします。
 市民病院の老朽化の現状はどうなっているのか、近年の施設改修の状況を教えてください。また、今後の見通しも教えてください。
 次に、市立病院の経営努力についてお尋ねします。
 市立病院の経営努力の状況を教えてください。
 では次に、今もそのままとなっている市民病院の今後の在り方についてお尋ねします。
 このことについては、どうしても過去の経緯から話さないと誤解が生じると思い、お分かりの方も多数いらっしゃると思いますが、もう一度振り返ることから始めたいと思います。時代の変化を見据えた市立病院を目指し、平成14年の福岡市病院審議会答申、平成17年の病院基本構想から新病院創設の議論が始まります。その中身は、子どもの医療と大人の医療を一体的に提供できる体制を整え、さらに、危機管理医療、高度医療も加えるため、両病院を統合して新たな病院としてアイランドシティに移転するものでした。なぜ統合移転になったかというと、統合による一体整備については、医療機能のメリットに加え、病院経営上のメリットもあるからでした。医療機能のメリットとして、成育医療、救急医療、小児高度救急、危機管理医療、感染症、災害医療、高度専門医療は、統合によるスタッフ等の医療連携により、さらによりよい医療環境の提供が可能になることです。特に大人の医療としての成育医療に関しては、当時は国立成育医療センターでしかなく、本市での新たな試みであり、障がいを持った子どもが親になっても子どもを産める環境づくりを目指すものでした。そのため、子どもの医療のこども病院と大人の医療の市民病院との一体化が有効であるとの考えです。さらに、脳卒中などで有効とされるチーム医療も可能になるなど、不採算医療にも手を出せる環境づくりができることになります。また、病院経営上のメリットとして、ベッド数は単独の200床よりも、両病院を合わせた400床のほうが効率的であること、2つの病院に分散されている医師、看護師など医療スタッフの集積は効率的な運営にもつながること、さらに、高価なMRI等の医療機器の共有化などもできること等のメリットが生じるからです。しかし、統合移転には至りませんでした。
 現在、市民病院の在り方については、令和4年に福岡市病院審議会に諮問されています。過去の審議会を見てみると、平成14年の病院審議会の諮問は市立病院の医療機能についてです。また、平成20年の病院審議会は医療機能の再検討についてです。一方、令和4年の病院審議会では、市民病院の医療機能に加えて、設備課題、整備場所についても諮問されております。今回は審議の範囲が少し大きくなり過ぎているように思えます。
 今回の答申で求められる公立病院の役割は、その前の平成20年の病院審議会答申から、新型コロナを踏まえた国の医療政策の見直しや激甚化する災害医療への対応などもあり、重要度も変わってきているように思えます。しかし、今までの考えの基は、平成20年の病院審議会答申、基本構想です。内容は、高度、救急、感染症、災害医療については、福岡市では量的な面では充足または大学病院等で担うことが望ましいあるいは市で担う必要性は低いとの内容でした。そのため、市民病院は当面現行のまま存続させることが適当で、経営改善の達成状況が不十分な場合や施設老朽化の時期においては、再度、市民病院の在り方を検討する必要があるという考えでした。つまり市民病院は民間移譲による廃止が前提でした。
 そこで、お尋ねします。
 令和4年の諮問に際して、平成20年答申後の医療環境の変化について病院審議会でどのような議論がなされたのか、お尋ねします。
 次に、今回の審議会では、病床数を増やす増床を検討しています。増床については、統合メリットでもあるように、経営効率は今の204床よりも多いほうがよいわけであり、新しい市民病院の在り方としては大事な視点だと思います。
 そこで、お尋ねします。
 今回の審議会で増床に至った経緯を教えてください。
 次に、医療連携についてお尋ねします。
 本市が公的役割を果たそうとする場合、医療連携がないと、市民病院単独では成り立たないのではないかと思っています。
 そこで、お尋ねします。
 医療連携についてどのような連携があるのか、教えてください。
 次に、整備場所についてお尋ねします。
 今回の病院審議会では、当然、統合についての議論は、既にこども病院が単独移転をしており、なされていません。そのためか、移転先の候補について、こども病院隣接の市有地は除外されたようです。
 そこで、お尋ねします。
 統合はできなくとも、隣接地に併設することは可能です。併設によるスケールメリットもあるはずです。検討結果を教えてください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) まず、こども病院移転後の福岡市西部地域の小児医療につきましては、平成25年4月、こども病院の移転に関する小児二次医療連絡協議会におきまして、移転後の影響を軽減するための取組として、病院の役割分担の明確化や医療連携の強化を図るとともに、新しい浜の町病院の小児科を増強し、西部地域の小児二次医療の受皿とすることが取りまとめられました。その後、これらに沿った取組が進められ、平成28年6月の同協議会において、こども病院移転後の西部地域における小児二次医療については、医療資源は充足しており、特に問題は発生していないとの結論をいただいております。
 次に、市民病院の老朽化の状況につきましては、平成29年度に実施した現状調査を基に、中長期修繕計画を策定し、平成30年度以降10年間は緊急性の高い部分を修繕するとともに、その他は日常の点検、整備で対応することとしております。近年の主な施設改修としましては、令和3年度に外壁改修工事、4年度に水回り改修工事、5年度に空調機一部改修、6年度に給水配管修繕工事などを行っております。
 次に、市立病院の経営努力の状況につきましては、平成22年度の地方独立行政法人への移行後、そのメリットである自律性、機動性を最大限に発揮し、病床や手術室の効率的な運用などに努め、医業収益の増加を図るとともに、コンサルタントの活用などによる価格交渉の徹底、複数年契約の導入による委託費用削減など、経営収支の改善に取り組んでいるところでございます。
 次に、医療環境の変化につきましては、令和4年10月の第1回病院事業運営審議会において、公立病院改革や医療法の改正、医師の働き方改革などの市民病院を取り巻く環境の変化が議論されるとともに、福岡・糸島保健医療圏の状況や市内の医療体制なども踏まえて、市民病院の在り方について検討を行っていただいているところでございます。
 次に、増床の検討に至った経緯につきましては、令和5年3月の第2回審議会におきまして、高度専門医療のさらなる強化といった新たな取組を行っていくためには、現在の204床という病院規模では厳しく、限られた医療しか提供できないため、必要な医療機能の強化を図り、役割を果たすためには増床の検討が必要とされたものでございます。
 次に、医療連携につきましては、福岡県保健医療計画において、医療提供体制は疾患の程度や症状によって機能分化が図られており、急性期、回復期、慢性期、在宅等の医療を1つの医療機関が全てを担うことは困難であることから、地域の医療機関が連携して効率的に医療を提供していくことが重要であるとされておりまして、具体例として、病院同士で行う患者の紹介や病院とかかりつけ医との間での医療機器の共同利用や研修実施などがございます。
 最後に、こども病院の隣接地につきましては、令和6年6月の第5回審議会におきまして、敷地面積の観点などから移転候補地の対象外となったものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 今林ひであき議員。
○9番(今林ひであき) 2問目に入ります。
 こども病院は移転により、現在、うまく機能しているようです。それで、これからは市民病院を中心に質問していきます。
 市民病院の老朽化を心配しています。答弁にもあるように、外壁や配管関連など、保守整備、また、計画的な改修にも相当な費用が見込まれます。本市のアセットマネジメント基本方針によると、一般的な市有建築物は60年から70年程度の耐用年数を目標としています。老朽化を計画的に維持補修すれば、第一病院時代から引き継いだ地域の病院としての機能だけは今後も維持、継続していくことができるのではないかと思っています。しかし、病院審議会では現地以外での建て替えを検討されているようです。仮に市民病院が移転することとなった場合、こども病院の移転時と同様に、残された地域医療の不足は懸念されます。現市民病院が担っている地域病院としての必要性は、地域にとってはとても大事なことと思っています。いずれにせよ、博多区の地域医療体制について配慮が必要です。
 次に、今述べた地域の病院という考え方で気になる点があります。それは市民病院を現地以外で建て替えた場合でも、地域の病院としての機能を残し、存続させようとしている点です。新型コロナで、総務省の令和4年持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインで公立病院の地域に果たす役割が見直されました。確かに地域医療構想は市民にとっては大事なことです。そして、昔からの流れで、市民病院が博多区で果たしてきた役割も大事です。しかし、地域医療、地域の病院を誰が担うべきかという理論に立った場合、民間でもできるのではないかという考え方が平成20年の病院審議会答申です。本市が担う公的役割とは何かの議論に、地域病院の発想は過去の審議会ではなかったと思います。新病院創設とは、昔からの流れである地域の病院を脱却し、新しい理念の下、本市にふさわしい、本市にしかできないような医療は何かを求めるものでした。仮に今回の審議会で地域の病院として、今後とも、公として本市が担う必要があるという結論なら、現実的な話ではありませんが、理論上、市民に対して、地域の公平性から市内7区に市民病院の整備が必要になると思っています。本市がこれから目指す新病院は、こども病院と同様に、全市民、もっと言えば福岡県、九州に誇れる病院に生まれ変わることだと思います。そこで、病院審議会では医療連携などの視点ももう少し深く議論していただければと思っています。
 そこで、医療連携について整理させてください。
 答弁にもあるように、医療連携といってもいろいろあると思います。例えば、医療連携の一つに医師の人材確保、採用があります。福岡県は平成31年の資料では10万人に対する医師数は全国7位、令和5年の医師偏在指標では全国3位と、医師が多い状況のようです。医師多数区域の本市において、市民病院での医師の任用はどうなっているのでしょうか。
 そこで、お尋ねします。
 医師の人材確保に当たっての市民病院の方針を教えてください。
 次の質問は飛ばして、次に、市民病院の老朽化、特に医療機能の老朽化を考えると、移転スケジュールも気になるところです。こども病院の移転は、最終の審議会答申を平成20年と見れば、移転完了までで6年、しかし、平成14年の答申から見ると12年かかっています。答申から整備まででも長い年月がかかることを考えると、円滑な審議会の進行を期待するものです。今回、整備課題、整備場所を諮問していることで、時間がかかっているのではないかと心配しています。また、今回初めて諮問される整備場所について、どのような視点、基準で議論しているのか、結論としてどこまで求めるのか、心配しています。そこで、大変残念なことがあります。こども病院の隣接の市有地の件です。この市有地は併設メリットが期待できることからも、移転の有力候補の一つとして残されていたものと思っていました。それを広さの関係で昨年6月の審議会で除外されたようです。駐車場の活用や建物の容積の工夫など、具体的な設計まで検討すれば可能性はあったのではないかと思っています。
 私は整備場所の方針、方向性は審議会であっても、具体的な場所については市、行政が選定するのが筋ではないかと思っています。私は他都市の病院を多く視察させていただきました。素人感覚になって申し訳ありませんが、視察した経験から、整備場所に対して3つの所見を申し上げます。まず1つ目は、市の中心部で市民の利用しやすいアクセスがよいところ、理由として、二次救急などの急性期への対応、市民への公平性の視点からです。次に2つ目として、療養環境のよい郊外の静かなところ、理由として、感染症、災害医療等で隔離や広い場所の確保の必要性の視点からです。3つ目として、統合メリットにあるように、医療効果などが発揮できるところ、採算性と医療効果の両立の視点からです。整備場所にはこの3つの視点が基本にあるべきと思っています。具足で大変申し訳ありませんけれども、もう一度原点に戻っての議論をお願いして、2問目を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 市民病院における医師の確保につきましては、高度専門医療、高度救急医療、感染症医療等を果たすために必要な高い技量と豊富な経験を有する医師を主に大学病院から推薦いただき、選考により採用しているところでございます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 今林ひであき議員。
○9番(今林ひであき) 3問目に入ります。
 私は平成27年から平成31年まで、議会の代表として病院審議会委員を務めました。当時の病院審議会は市立病院の予算や決算などの報告のみで、審議会のやり方に少し疑問を持っていました。それに加えて、平成31年に老朽化を提案したにもかかわらず、なぜかしら、市民病院は現状のままでよいとの意見があるなどの認識に愕然としました。今、公立病院の役割の原則とは、もっと言えば本市に必要な医療とはといま一度考えてみる必要があるとも感じました。ここに至った原因は、平成19年の行政による市立病院統合移転検証、検討での、市民病院は公的役割を担う必要性は低いとの結論をつけたことに遡ると思います。その発想を支援する材料として、平成19年、総務省、公立病院改革ガイドライン、旧ガイドラインでは、厳しい経営改革を求め、民間が存在する都市部における公立病院は役割に照らして廃止も検討するとの内容でした。しかしその後、平成27年、総務省、新ガイドライン、同年、厚労省、地域医療構想策定ガイドライン、平成31年、社会保障審議会、地域医療構想の実現、令和2年に始まる新型コロナ、令和4年、総務省の経営強化ガイドラインという流れで、公立病院の廃止、民間移譲から地域医療構想へシフトしていったのではないかと思っています。矛盾しますが、一方で、国は病床を減らす方針も維持しています。今回の審議会は、国の流れもあり、地域医療への貢献を評価したものと推測します。あわせて、千早病院と合わせた合計での病床数を減とし、矛盾する国の方針にも配慮したように思えます。でも、地方都市はそれぞれ特性があり、全国均一ではありません。国は地方都市をどこも同じと思ってはいないでしょうか。少なくとも本市は医師不足、医療崩壊が起きるような地域ではないと思います。逆に、高度医療などの提供ができない地方に対して、喜んで受皿となるぐらいの気概があってもよいのではないでしょうか。
 島市長のおかげで、本市は日本一元気な都市と言われるようになりました。ぜひこれからも地方の先頭に立って進んでほしいと期待しています。そこで、本市の理想の新病院とは一体何でしょうか。福岡県、九州に誇れる病院を求め、こども病院の単独移転で決着した後も諦めず、私たち議会は決議をしたと思っています。平成14年当時、我が会派の理念、統合メリットを発揮し、経営努力に努めるものの、公立病院の役割として、民間病院では手を出しにくい不採算医療など、必要な医療を提供する。そのために赤字となっての税金投入は、それは市民が納得する赤字であるという考えです。この考えはいまだに我が会派に生きています。
 次に、医療連携について少し所見を述べさせていただきます。
 本市には九大、福大、済生会、日赤、がんセンター、九州医療センターなど、大きな病院が多数あります。理想の新病院で担ってほしい高度専門医療や二次、三次救急は日々日々進化し、この分野に限っては人材も限られています。日々進化する高度医療への対応で、医師の育成、スキル向上は必要で大切なことです。このような人材を確保するためには、医師の教育連携が必要になると思っています。研究、研さんを大学や大きな病院で、一方、現場の臨床、実践を市民病院で担うなど、すみ分けがあってもいいのではないかと思っています。
 また、救急医療では、市民病院が二次、大学病院、総合病院等で三次と役割分担する医療連携も大事だと思います。また、パンデミックが想定される感染症、災害医療では、1つの病院で対応できるものではなく、病院同士の連携が必要です。注意すべきは、医療連携といいながら、担うべき医療の競合、診療科目等が重なり、患者の取り合いなど、病院競合にならないような配慮が必要だと思います。教育連携、病院連携などのメリットは、増床による医療機能の強化、経営上の効果と同様、私たちが訴えた統合メリットと同じことだと思います。
 そこで、最後にお尋ねします。
 現市民病院は平成元年から37年経過し、建て替え時期を迎えています。こども病院のように、福岡県、九州・西日本に誇れるような病院に新たに生まれ変わるチャンスだと思います。御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 市民病院の在り方につきましては、新興感染症である新型コロナウイルス感染症を契機とした医療環境の変化により、公立病院に求められる役割が大きく変わってきていることなどから、審議会などの意見も踏まえ、現在、果たすべき役割や機能などについて検討を進めているところでございます。新たな市民病院が市民に誇れ、新しい時代の要請に応える病院となるよう、今後の審議会から示される答申を踏まえ、市としての方針を決定し、しっかり取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義)登壇 私は新しい風ふくおかを代表して、多文化共生社会に向けた取組について質問します。
 深刻化する人手不足を補うために、外国人の受入れは必要不可欠である一方で、どのようにして偏見をなくし、地域の一員として受け入れるべきなのか、大きな課題となっています。
 そこでまず、本市に住む外国人の国、地域別人数の上位3位と直近3年間の総数の推移、今後の傾向についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目から自席にて質問します。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の在住外国人の国、地域別人数については、令和7年5月末時点で1位がネパールの1万3,800人、2位が中国の1万3,509人、3位がベトナムの7,650人の順となっております。また、直近3年間の5月末時点の総数については、令和5年が4万1,720人、6年が4万7,734人、7年が5万5,201人となっております。国において、近年、国内の人材確保の観点から特定技能の対象分野の拡大などが進められており、福岡市における在住外国人は今後も増加すると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 資料1をお願いします。(資料投影)本市の特徴として、ネパール人が急増しており、在福外国人の25%を占めています。在留資格別を見ると、最も多いのは留学で33%を占めていますが、全国平均は10%程度であり、本市には外国人を受け入れる学校が多いことが背景にあるようです。
 資料2をお願いします。(資料投影)外国籍市民アンケート報告書によると、福岡市は住みやすい、どちらかといえば住みやすいと答えた割合は94%と高く、自然環境のよさ、利便性、食べ物のおいしさなどが評価されていて、伸び率からすると来年度には7万人近く、人口に占める外国人の割合は4%超えと全国平均を上回る可能性があります。
 資料3をお願いします。(資料投影)一方で、地域住民とのトラブル内容では、騒音、駐車、駐輪、ごみの捨て方が上位3つを占めています。
 そこで、転入手続の際に生活ルールやマナーをしっかりと理解してもらうことが重要ですが、取組状況についてお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 転入手続の際に、生活ルールやマナーなどを多言語で記載した冊子やチラシをセットにしたウェルカムキットを配付するとともに、各区へ生活ガイダンス員を配置し、多言語の生活ルール、マナー紹介動画を使用して説明を行っております。今後も区の窓口等での対応の充実を図っていくとともに、様々な場面での生活情報の発信に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 中央区役所にヒアリングしました。市民課からの意見としては、とても優秀なガイダンス員が配置されているものの、市民課業務との兼任であるがゆえ、記載コーナーの要員としてや日本人の対応も行っているため専従的に外国人の対応はできていない、マイナンバーカードの手続案内に時間を取られている、学校関係者がまとめて引率をしてきて、ガイダンスが個々の留学生に行き届かないなど、実際には生活ルール、マナーの説明にまで行き届かないケースもあるようです。また、外国人の税金未納が問題となっている納税課や課税課からは、言葉の壁による意思疎通にとても困っているとお聞きしました。
 そこで、直近の区別の外国人の人数はどうなっているのか、また、さらなる外国人の増加に対する対応策についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人数の区別の内訳につきましては、令和7年5月末時点で多い順に、東区1万4,966人、博多区1万3,762人、南区8,602人、中央区7,089人、西区4,771人、早良区4,019人、城南区1,992人となっております。今後とも、さらなる在住外国人の増加が見込まれる中、日本人と外国人とのトラブルが生じる可能性があると考えており、地域住民の生活を守るとともに、地域の中で日本人と外国人が共に生活し活躍できるよう、お互いを理解し、認め合う多文化共生の取組が必要と考えております。そのため、令和7年度から地域の多文化共生推進事業に新たに取り組むとともに、国際部に多文化共生課を新設、東、博多、南区へ担当主査を新規配置し、組織体制を強化しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 地域の多文化共生推進事業に力を入れるべく、新たに多文化共生課を新設されたとのことですが、予算と新規事業の具体的な取組内容についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和7年度の予算額は、新規事業や生活ルール、マナーの周知、区役所窓口での多言語対応等の事業費を合わせまして5,400万円余となっております。新規事業である地域の多文化共生推進事業では、東、博多、南区において、様々な関係者との顔の見える関係の構築、地域の状況の把握、今後の持続的な取組の検討を行うため、在住外国人や関係団体、地域団体に対するヒアリングや関係者が一緒に話し合うワークショップを実施いたします。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 東区、博多区、南区で実施をするとのことですが、他の区への展開はどうされるのでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 他区への展開については、令和7年度の取組状況を踏まえながら検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 各区の状況把握に努め、他区へもできるだけ早急に展開いただくよう要望します。
 先日、外国人居住者が多い東区の香椎浜校区社会福祉協議会の宮嵜会長にお会いしてきました。夜中に騒ぐ、ごみ出しのルールを守らないといった外国人のトラブルに対し、伝わらないと決めつけるのではなく、どうやったら伝わるのかと考え方を改め、多文化共生のまちづくり委員会を立ち上げ、20年活動されています。
 資料4をお願いします。(資料投影)これは思いやりの木といって、地域に住む外国人との交流会により生活する上で何に困っているのか声を集めたもので、地域の案内文を分かりやすいように平仮名や多言語に変えるきっかけとなったそうです。
 資料5をお願いします。(資料投影)避難所がどこにあるか分からないと防災訓練に参加した外国人住民より意見があったため、このような多言語対応した避難所誘導パネルや避難ガイドブックを作成されています。他にも小学校と協力して空き教室を使った日本語教室を実施するなど、積極的に外国人と向き合ったことで、トラブルも減っていったそうです。
 宮嵜会長はいかに地域に住んでいる外国人を多く巻き込むかが大事と言われました。このような地道に積み上げてきた実績のある好事例は大いに活用すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 交流事例を周知するため、福岡よかトピア国際交流財団や南区役所で作成した交流事例集を各区自治協議会の定例会や公民館連絡会議などで共有するとともに、市のホームページでも紹介しております。今後とも、地域から相談を受ける際など、様々な場面で活用し、交流事例の周知を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 資料6をお願いします。(資料投影)これは日本人との交流意向と地域行事の参加状況についての調査結果で、注目すべきは、回答した外国人の約8割が交流したい、できれば交流したいと思っている一方で、地域行事に全く参加していないも8割を占めていることです。留学生実態調査でも、日常生活で悩んでいることのトップは日本人学生との交流が少ないこととなっています。先日、ある日本語学校に訪問した際、運動会やお祭りといった地域行事をもっと知りたい、参加する機会を提供してほしいと相談を受けました。夏祭りの準備など、担い手が不足している地域としてはとても助かりますし、言葉が通じなくても、共に汗をかくことで理解を深める第一歩になるかと思います。
 そこで、外国人を受け入れている学校と地域との連携が進むよう支援すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 外国人を受け入れている学校と地域との連携は重要と認識しており、昨年度は地域と学校が連携し、一緒にまち歩きをするなどの交流事業に対し、市が経費を支援しております。また、令和7年度は地域での外国人との交流を促進するため、交流事業の実施を検討している地域に委託による支援員を派遣し、相談から事業の実施までを総合的にサポートする伴走支援を開始することとしております。こうした取組においても、外国人を受け入れている学校などと連携した交流事業を実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 中央区にある西日本短期大学では、留学生による夏祭りでの出店、商店街をインタビューする企画や社会福祉学科に通う留学生が近くの福浜団地に住む高齢者向けに買物支援やごみ出しのお手伝いをする企画を立ち上げるなど、積極的に交流を図っています。
 資料7をお願いします。(資料投影)団地にお住まいの高齢者がネパールから来た留学生と一緒に近くのスーパーで買物をしている様子ですが、会話がとても弾み、学生たちを娘のようだといってかわいがったそうです。
 資料8をお願いします。(資料投影)これはその振り返りの様子です。留学生からは、高齢者と初めて話ができてうれしかった、不安を取り除いてあげることが大事と感じたなど、介護福祉士を目指す留学生にとってはまさに生きた研修として地域福祉を学ぶ貴重な機会となり、国家試験に臨む上で大きな励みとなったそうです。先ほど地域に支援員を派遣する伴走支援をスタートすると答弁されましたが、この事例のように、地域の実情に合わせた学校との交流の機会を積極的にサポートするよう要望します。投影ありがとうございました。
 また、留学生実態調査によると、卒業後の予定として約5割が日本での就職を希望し、そのうち6割が福岡市で就職したいという結果があります。しかしながら、企業とのマッチングがうまくいかず、優秀な人材が関東圏に流れていると学校関係者等からも指摘をされました。
 そこで、地場企業と留学生のマッチング支援に力を入れるべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地元企業と留学生のマッチングについては、福岡での就職を希望する留学生と優秀な留学生の受入れを希望する地元企業とのインターンシップ事業を平成28年度から実施しております。また、令和7年度は新たに留学生や企業へのセミナーを実施するほか、就職相談窓口の設置、留学生と市内企業の交流会を行い、留学生の地元就職支援の取組を強化いたします。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 2027年には育成就労制度という新たな制度のスタートにより、企業は長期的に外国人の雇用が可能となり、日本で働く外国人がかなり増加していくものと予想されます。ところが、ここで問題となっているのが、悪質な現地の送り出し機関、いわゆるブローカーから多額の借金を抱えて入国するケースであり、実際に金銭トラブルから闇バイトに加わり、強盗まで発展する事件も起きています。
 そこで、悪質なブローカーや悪質な監理団体に対しては、まずは出入国在留管理庁など国の主管省庁にて対策が講じられるべきとは思いますが、本市の対応についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 外国人の入国や監理団体等への対策は国によって行われるべきものですが、市としては、出入国在留管理庁、警察などの関係機関との会議の場などを通じた情報収集に努めるとともに、在住外国人から窓口等で相談を受けた際は、関係各所に情報提供を行うなど、適宜連携しております。また、在住外国人の孤立を防ぐため、一元的相談窓口を周知し、きめ細かに対応するほか、交流事業の実施に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 先月、5月には在福外国人の支援団体や受入れ企業、行政書士が集まり、意見交換を行っています。そこでは外国人経営の違法賭博場が多く存在し、技能実習生や特定技能生が集まり、ギャンブルに参加をしている、警察の捜査により多くの外国人が現行犯逮捕され、所属企業から解雇されている、パスポートや在留カードなどを悪用され、身に覚えのない多額の請求が来たなど、違法行為が次から次へと発生しているといった報告がありました。さらに、在福ベトナム人の支援をしているベトナム人女性の会会長のミンさんからは、違法賭博にはまった借金から詐欺グループの誘いに乗る人が増えていると聞き、ぞっとしました。
 そこで、外国人が犯罪に巻き込まれないようにするための取組についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 外国人に向けた取組としましては、犯罪に巻き込まれないよう注意喚起をする外国人向けの県警察サイトを市のホームページで案内しているほか、日本語学校に通う外国人への防犯出前講座の実施や留学生への防犯啓発メールの配信などを行っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 多文化共生社会を進める上で、犯罪の未然防止は何よりも重要なことです。今後は警察をはじめ、監理団体や外国人をサポートする団体ともネットワークを構築し、正しい情報を共有することで、犯罪の未然防止にしっかりと努めていただくよう要望します。
 また、これから家族帯同ビザが増えていくことも予想されますが、日本語がままならない家族を福岡市に呼ぶのはハードルが高く、妻と子どもに来てもらったものの、学校についていけず、子どものみを帰国させて祖父に見てもらっているといった話も聞きました。
 そこで、学校で日本語指導を受けた児童生徒の人数、指導内容や体制と併せて、日本語の理解が十分でない保護者への対応についても、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度に日本語指導を受けた児童生徒は563名でございます。日本語指導については、日本語指導担当教員を18校に配置し、通級してくる児童生徒に日常生活や教科学習に必要な日本語を指導しております。また、児童生徒一人一人の状況に応じて、対象児童生徒が在籍する学校に有償ボランティアである日本語指導員の派遣やオンライン指導を行っております。日本語でのコミュニケーションが難しい保護者については、福岡よかトピア国際交流財団の語学ボランティアの派遣やテレビ電話通訳サービスの活用などにより円滑に意思疎通が図れるよう対応しております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 資料9をお願いします。(資料投影)博多小学校にて授業風景を見学してきました。この日は半年前にベトナムから来た児童生徒に国語を教えていましたが、教材も児童生徒に伝わりやすいよう先生自らが工夫をされていて、それはもうとても丁寧で、すばらしい授業でした。先生に現状の課題を伺うと、通級であるがゆえに、働いている保護者にとっては送迎の負担が大きい、会話ができるからそれでいいと、子どもに勉強させる必要性を感じていない保護者が一定いるなど、中学生になれば高校受験に向けた授業となることからも、いよいよついていけなくなり、不登校や非行に至る可能性も否定できません。永住するとなれば、なおさら大きな課題です。親への理解を深めるとともに、日本語指導担当教員配置のより一層の充実を要望します。
 資料10をお願いします。(資料投影)福田議員の地元である吉塚市場リトルアジアマーケットの中にあるアジアンプラザという施設に訪問してきました。この施設は、外国ルーツの子どもの居場所づくりとして、週3日、小学校に通う外国人の子どもたちのために宿題を見る機会をつくっていますが、福岡市内だけでなく、春日市など遠方から通う児童もいます。私が訪れた日は通信制の高校に通う学生5名が宿題を教えていましたが、学校で外国人の子どもたちに勉強を教えるボランティアの呼びかけがあり、自ら手を挙げたと聞き、感動しました。
 資料11をお願いします。(資料投影)私も昨年10月にミャンマーから来日した小学4年生の男の子の国語の宿題を見ましたが、日本語の聞き取り、読み書きは少しだけできるものの、言葉の意味が全く分からないため、質問そのものの意味を教えるのに苦労し、途中からは話しかけても黙り込んでしまいました。当然ながら授業中はさっぱり理解できていないとのこと。子どもたちのお世話をしているサンゴさんからは、国語を教えるのは特に難しく、答えを教えながらでも最後までやり遂げる癖をつけることが大事と言われ、教えることの難しさを実感しました。
 資料12をお願いします。(資料投影)お勉強が終わると子ども食堂となり、豆がたくさん入ったネパールカレーをいただきました。保護者もお手伝いして食事の準備をし、子どもたちも一緒に皿洗いをします。ネパール人保護者のシバさんにお話を聞くと、日本に数年住んでみて、生活が安定したら家族を呼ぶパターンが多く、それはこれからもっと増えてくる。子どもたちは小学校の途中から転入となり、とても勉強についていけない。親は忙しくて教えてあげることができないと。この施設の運営は日本財団や地元企業の支援により成り立っていますが、もはやなくてはならない施設となっています。投影ありがとうございました。
 本市では授業中に外国籍の子どもをサポートする制度としてとても充実していますが、それでも週に1度、拠点校に通級という形では、今後はサポートが足りなくなるかもしれません。一方で、アジアンプラザで行われているような日本語が学べる教室は交流の場としての意義も大きく、重要な役割を果たします。
 そこで、新規で日本語教室を立ち上げる場合の補助制度についてお尋ねします。また、子どもを対象とする日本語教室のニーズが高まる中、新たな支援策も検討すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 新たな日本語教室については、運営経費に対する補助制度において補助金額を増額しているほか、令和5年度から公民館などでの日本語教室立ち上げに際して、日本語教師を派遣するなどの支援を実施しております。また、子ども向けの日本語教室については、今年度、市が公民館や地域のボランティアと連携し、照葉北公民館など3校区の公民館で新規開設を予定しており、将来的な地域主体での運営への移行を目指して、子どもたちの日本語学習をサポートするとともに、子どもたち同士の交流や保護者と地域の日本人住民との交流、相互理解を促進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 新たに3校区それぞれの公民館で日本語教室を開設し、将来的には地域主体での運営への移行を目指すとの回答でした。実施状況を踏まえ、他の校区へも広く展開していけるよう支援をお願いします。
 西日本短期大学で長年にわたり留学生に授業をしている先生から、このようなことを言われました。日本に住む外国人は、消費税も住民税も社会保険料も支払っている納税者でもある。将来的には介護の現場で働くかもしれないし、社会や地域住民を支える貴重な一人となることを分かってほしいと。今回質問をつくるに当たり、多くの留学生や働いている外国人にお会いしましたが、誰もが優しく、真面目で明確な夢や目標を持っています。だからこそ決して人として間違った方向に行くことのないよう、環境の整備はとても重要であり、問題が起きたとき、たとえそれが国や県あるいは警察の管轄であったとしても、地域住民の窓口である本市は責任を持って関わっていかねばなりません。今期、新しく立ち上がった多文化共生課の皆さんの活躍に期待をしています。
 国立社会保障・人口問題研究所によると、20年後には10人に1人が外国人と、日本もいよいよ欧米諸国並みとなる統計も出ています。
 お互いが認め合い、共存していく多文化共生の社会づくりを目指すために、これからどう取り組んでいくべきなのか、最後に島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は歴史的にアジアとの深いつながりを持ち、国内外から多様な人材が集い、交流することで様々な財産を築き、発展してきた都市であり、今後も国籍などにかかわらず、多様な人材が集い、交流しながらチャレンジできる環境をつくっていくことが重要と考えています。在住外国人が増加をする中、地域住民が安心して暮らせる生活環境を守り、外国人も地域コミュニティを構成する一員として生活できるよう、外国人には日本の風土、文化や地域における生活のルール、マナーをしっかりと理解してもらうとともに、地域における交流により相互理解を促進するなど、日本人はもとより、外国人にも暮らしやすい多文化共生のまちづくりの実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる)登壇 私は自民党新福岡を代表して、地域の実情に即した本市の多文化共生施策について質問をしてまいります。
 なお、私が当初予定しておりました質問の幾つかは先ほどはしだ議員よりしていただいたので、若干質問数が減りました。あらかじめ御了承ください。
 それでは、これからお話しする内容を皆さん想像してみてください。あなたに家族がいます。パートナー、そして、6歳と3歳の小さい娘2人がいる4人暮らし。念願である新築の一軒家をやっとの思いで購入。場所も都会から離れ、目の前には昔ながらの地元に愛される小さな神社がひっそりとあります。また、家の前の通りはふだんから車も少なく、近所に住む方が往来するくらいの静かなところを選び、ここ数年、この場所で皆さんは心穏やかに御家族とともに幸せに住んでおります。しかし、突然2軒隣に専門学校が建築される。しかも、外国人留学生が1日に400人も通う学校で、さらに1年後には開校すると聞かされました。皆さん、どんな思いになられたでしょうか。これは昨年末、私の住む吉塚校区で実際に起きた事案であります。
 その学校というのが現在、隣の堅粕校区で愛心国際ビジネスカレッジという専門学校を2021年に開校した学校法人愛心学院で、今回はその2号館を増設するものであります。もともとは関連法人が中央区六本松で2010年、九州言語教育学院を開校しており、その後に先ほどの愛心国際ビジネスカレッジが開校されました。しかし、六本松の九州言語教育学院については、福岡県が2015年に都市計画道路博多駅六本松線の道路拡幅事業として認可、計画ではこの道路沿いにあるこの学院の敷地の大半が事業用地となり、本市が用地の取得に乗り出すも交渉がまとまらず、その後、本市からの申請を受けて、福岡県収用委員会が昨年3月までに土地の明渡しを命じる収用裁決を出したという経緯があります。現在、この学院の敷地は本市が収用し、道路拡幅事業として進められる一方で、同学院は休校状態となっております。そのような背景もあり、同学院としても早急に代替地を探し、一刻も早く学校建設を取り付けたいと考えておられるようです。今回の2号館増設について、日頃から外国人留学生を受け入れている学院側としては、この当該地でも当たり前に学校運営ができると思われていたでしょう。しかし、当該地の近隣住民の多くはこのような突然の話に、これまでの住環境が一変するのではないかとの心配や不安な気持ちを強く抱きました。今もその不安や心配を少しでも解消してもらうようにと学院側との協議は引き続き行っている最中です。
 さて、地域住民がどうして今回の専門学校建設に不安を感じているのか。周辺には外国人留学生を受け入れる専門学校が多く、それに伴い、居住者も外国人が多いため、日常的に外国人が頻繁に往来するようになっております。その中で、やはり生活ルール、マナーについて外国人と地域住民とのトラブルも少なからず発生しているからです。
 一例を御紹介させていただきます。資料1をお願いいたします。(資料投影)ごく普通の一般的なアパートであり、昼間は特段何の問題もありません。これが夜になると、こんな状態になってしまいます。資料2をお願いします。(資料投影)これは昼間と夜のできる限り角度を変えずに撮った写真なんですが、これは駐輪場です。御覧のように、ここはひどい状態になっておりました。アパートは8世帯のものでしたが、常識的にあり得ないほどの台数が駐輪されております。しかも、ここだけではありません。資料3をお願いします。(資料投影)こちらはアパートの側面からでございますが、手前の車道を、私も毎日のように車でここは通行しております。道幅が狭いため、時に止めてある自転車が道にはみ出し、非常に通りにくく、あるときには自転車が倒れて道を塞ぎ、その自転車を起こさないと通ることができないような状況もあります。資料4をお願いします。(資料投影)こちらはアパートの裏側でございます。要はこのアパートのありとあらゆる敷地と思われる部分に自転車があふれ、この日は60台ほどが駐輪されていました。偶然アパートの住人にお会いすることができました。日本人の男性で20代半ば、2年ほど住んでいるそうです。話によると、不法駐輪されている自転車のほとんどはアパート住人とは無関係のアルバイトに向かう外国人が勝手に駐輪しているそうです。資料5をお願いします。(資料投影)こちらはアパート近隣の地図になります。そのアパートから約250メートル離れたところにJR吉塚駅があり、こちらの東口になりますロータリーから、彼らのアルバイト先である倉庫や弁当工場に行くために事業者側が用意した職場に向かうマイクロバスが出ておりました。資料6をお願いします。(資料投影)東口ロータリーにはこのように多いときには3台ほどが同時に停車しており、どれも外国人と思われる方たちで満席、そのバスに乗る外国人の一部が先ほどのアパートに無断で駐輪していた模様です。資料7をお願いします。(資料投影)アパートのごみ捨て場の前にも自転車があふれているため、自転車をよけるにも一苦労しながら家庭ごみを捨てているとのことで、その住人は以前にもアパートの管理会社に連絡し、対応を要請したそうです。資料8をお願いします。(資料投影)その結果、壁には貼り紙、駐輪場所にはコーンとバーを設置し、居住者以外の駐輪はしないよう管理会社は対応策を講じられたが、全く効果はなかったということでございます。資料投影ありがとうございました。
 これは先ほど申し上げたとおり、ほんの一例ではあります。しかし、こうした類似した状況を地域住民は日頃より目の当たりにしており、このような経験も外国人に対しての不安を助長する一端になっていると思われます。本市では日常生活の様々な場面で外国人の方を見かける機会が大変増えており、それに伴い、各地域において様々なトラブルが発生していることも懸念されます。こうした観点から、外国人との共生についてどのように取り組んでいくのか、質問してまいります。
 初めに、本市における在住外国人の状況について、直近の人数と在留資格別の内訳、上位3位までをお伺いいたします。また、その特徴について併せてお伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の在住外国人数については、令和7年5月末時点で5万5,201人となっております。また、在留資格別の内訳については、1位が留学で1万8,256人、2位が特定技能などの就労目的で1万2,296人、3位が永住者で8,732人となっております。近年の特徴については、在住外国人数は毎月過去最高を更新し、急激に増加しており、在留資格別では留学生や就労目的の伸びが顕著となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 近年の特徴について、在住外国人の数は急激に増加し、特に留学生は全体の3割を占めます。
 こうした増加の背景について本市ではどのように認識しているのか、お伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人の増加の背景については、近年、国内の人手不足を背景にした人材確保の観点から、国において特定技能制度の創設や対象分野の拡大が進められていることなどが要因と認識しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 少子・高齢化や人口減少を迎える日本において、外国人の労働力は地域経済や産業の維持に必要不可欠であるということは理解するところであります。こうした背景を踏まえると、これからも在住外国人を様々な場面で受け入れると同時に、我々もこの地の住人として彼らとともに生活していくことになると思いますが、そこで、昨今言われている多文化共生とはどのようなものか、お伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 総務省の多文化共生の推進に関する研究会の報告書においては、「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」と定義されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 本市においてもこの多文化共生をしっかりと推進していくことが必要と思いますが、一方で、実践するまでには、冒頭紹介した事案も含めて、まだまだ時間が必要でないかとも感じます。
 多くの在住外国人の方は日本でのルール、マナーを守って生活しているものと思いますし、また、それが守られていない理由についても、日本と母国との文化の違いに起因するものかもしれません。特に日本に来て間もない留学生などは、そもそも単に日本のルール、マナーをよく知らないといったことも原因かもしれません。在住外国人と地域住民の多文化共生を進めていくために、在住外国人に日本でのルール、マナーを様々な関係者が確実に周知していくことが必要です。先ほど紹介した地域での不法駐輪のような事例では、当事者は外国人留学生とはなりますが、彼らが通う学校やアルバイト先である事業者もある意味では関係者です。本市が令和6年度に実施した外国籍市民アンケートでは、生活に関する地域の情報の入手経路について、日本語学校や専門学校などに通う留学生の約6割の方が学校や勤務先と答えており、ならば、そのような関係者と連携することで、より効果的な対応ができると考えます。留学生本人の理解や努力はもちろんですが、学校や企業といった外国人を受け入れる団体の役割や、学校間、企業間などをつなぐ行政としての役割、それらが有機的に組み合わさっていくことが必要です。
 また、日本人が外国人に対して不安に感じる主な要因の一つとして、単純に外国人のことをよく知らない、理解できていないということもあるでしょう。我々の多くは外国人との接点をほとんど持つことができない状況もあるかとは思いますが、これから多文化共生を推進するには相互理解を進めていくことも重要です。
 そこで、地域においてそうした相互理解の機会としてどのような交流の取組が行われているのか、令和6年度の交流事業数と、こうした取組への本市の支援の概要、支援件数も併せてお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年度においては、地域の体育祭や文化祭への在住外国人の参加や母国料理の教室、日本文化の体験などの交流事業が45件行われております。こうした交流事業に対して費用面や企画へのノウハウ提供などの支援を行っており、令和6年度の支援実績は20件となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 多くの在住外国人は志高く遠い異国の地に来て、勉強や仕事に一生懸命頑張っています。そうした在住外国人と地域の住民の方が様々な活動で交流を行うことで、住民の在住外国人に対する理解も進み、不安も薄らぐのではないでしょうか。冒頭にも確認しましたとおり、日本における人手不足などを背景として、国策として各種の制度変更などが行われ、本市でも在住外国人が急増しております。外国人の労働力は地域経済や産業の維持には必要である一方、学校等の関係機関とも連携して、しっかりと日本でのルール、マナーを伝えていく等の取組が前提の下、外国人との共生が生まれてくるものと思われます。また、国策として外国人の受入れが進められている背景を踏まえれば、地域における日本人と外国人の共生について、国が先頭に立って取り組むよう国に要望していくことも必要です。
 そこで、多文化共生に力を入れる本市の思いについて、市長の御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は歴史的にアジアとの深いつながりを持ち、国内外から多様な人材が集い、交流することで、様々な財産を築き、発展してきた都市であり、今後も国籍などにかかわらず、多様な人材が集い、交流しながらチャレンジできる環境をつくっていくことが重要と考えています。在住外国人が増加をする中、地域住民が安心して暮らせる生活環境を守り、そして、外国人も地域コミュニティを構成する一員として生活できるように、外国人には日本の風土、文化や、また、地域における生活のルール、マナーをしっかりと理解をしてもらうとともに、地域における交流によって相互理解を促進するなど、日本人はもとより、外国人も暮らしやすい多文化共生のまちづくりの実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。
 とはいえ、きれいごとだけではいかない今日の写真を見ると、これは地域にとっては本当に大変なんだろうなと思いますし、今日お話をいただいた部分以外でも、やはり大変な状況がこれからも起きるんだろうなということもまた認識をいたしました。地域における今のような具体的な課題を踏まえて、国に対しても外国人材の受入れ、共生に関する課題をしっかりと伝え、そして、その施策にも主体的に取り組んでいくように、これもしっかりと要望をしてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 市長並びに各局の皆さんのさらなる御支援を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 今回、この質問を行うに当たった経緯は、冒頭に申し上げました私の住み慣れた地元、吉塚校区における愛心国際ビジネスカレッジ2号館建設計画であります。この半年、私なりに最大限できる活動を全力で取り組んでまいりました。これまで親身になり相談に応じていただいた関係各位に心から感謝申し上げたいと思います。
 その中で感じたことを最後に申し述べます。もともとこの吉塚校区は、天神や博多駅、福岡空港や博多港といった主要な都市部、交通結節点にも近く、本当に便利なまちであります。まちなかであっても、笹山守人吉塚校区自治協議会会長のリーダーシップの下、地域コミュニティが根強く、この地域に住む皆さんは本当にこの地域を大事にしたいとの思いを強く感じられるところであります。冒頭に紹介した飛来神社も、毎年夏の恒例行事である子どもみこしの起源となったゆかりの場所でもあり、この先には福岡市の史跡として指定されている東光院もあり、この辺りは昔ながらの雰囲気が残るエリアとなっております。そのような場所に今回の学校建設が行われるとなれば、地域住民が動揺するのは当然です。ですから、町内だけでなく、校区全体の問題として学院側との協議に臨んでいる次第であります。当初から建設反対との声も大きく、説明会の中でもその思いを学院側にも強く申し伝えていました。それで学院側が考え直し、計画を白紙にするなら、住民としては安心できたことでしょう。しかし、そのまま計画が進むというならば、我々が将来的にどういった行動を取るべきなのかの選択肢をできる限り用意し、準備をしておくことも必要であるかもしれません。
 先日の説明会で配られた資料が手元にありますが、学院のほうが住民に示した基本方針というものがあります。この中には、学院の理事長名で、地域の皆様に対して信頼関係を構築するための、要は約束事が書いてあります。この中には、地域との良好な関係づくりや工事期間中の安全確保、そして、地域共生の件も盛り込まれております。それでも地域住民はいまだに十分な納得はしておりません。なぜか。これまでの経緯を含めて、学院側との信頼関係が欠落しているからであります。我々としては、まずは学院側がこの基本方針に沿って地域住民に寄り添い、実践できているか、今後も注視してまいります。最低でもこの約束を果たすことで、学院側としては住民の信頼を勝ち得る一助となり得るでしょう。それが地域共生としての土台となり、その先にようやく地域の実情に即した多文化共生に踏み出せます。
 本日、中央区黒門にあります大村美容ファッション専門学校の大村理事長に御面会いただきました。先代のお父様が本校舎を建設する際に地元への説明会を20回も開催、体を壊しながら理解を求めるための御努力をされたそうです。その結果、今では力強い応援団となって、地域のお祭りやイベントでも快く迎え入れてもらっているとのことでした。このような事例もあります。地域との信頼関係は絶対に必要です。学院側においては、ぜひとも強く御認識いただきたい、心から願うばかりです。
 私自身、引き続き全身全霊をかけて取り組むことを申し上げて、この質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時40分に再開いたします。
午後2時28分 休憩
午後2時40分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 私は教育環境の豊かなまちにと願い、図書館行政について質問いたします。
 まず、学校図書館は日々成長を続ける児童生徒を守り、教育現場として当然あるべきもので、その役割を果たすべきことは何かをお尋ねし、以降の質問は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校図書館の役割につきましては、文部科学省が作成した学校図書館ガイドラインによりますと、読書活動や読書指導の場である読書センター、学習活動の支援や授業の理解を深める学習センター、情報の収集、選択、活用能力を育成する情報センターの3つの機能に加え、子どもたちの居場所としての役割があるとされております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 単に本が置かれている教室ではなく、図書館として未来を担う子どもたちの生きる力を培う学びのためのセンターで、教育の根幹、要であると同時に、居場所の役割や情緒豊かな健全育成としても重要な役割を果たすものだと考えます。
 その学校図書館の運営等の支援をするため、本市総合図書館内に学校図書館支援センターがありますが、まず、学校に貸し出す学習支援用図書セットについて、今年度は更新されたようですが、小中学校それぞれの過去5年間の活用実績について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学習支援用図書セットの活用につきましては、小学校において、令和2年度が236セット、3年度が296セット、4年度が236セット、5年度が200セット、6年度が206セットとなっております。中学校においては、令和2年度が15セット、3年度が1セット、4年度が6セット、5年度が8セット、6年度が3セットとなっております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 多種多様なセットがある中、活用できているとは言い難い状況です。
 また、災害や農林水産に関するセット本は少々古いものです。できるだけ新しい情報がよい分野もあると考えますが、セット本の選定基準について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学習支援用図書セットの選定につきましては、学校のニーズやこれまでの貸出実績、教科書の内容を踏まえ、実用書や児童図書など、調べ学習で使用できる本を選定することとしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 次に、学校図書館運営の参考になる本の紹介について、これは2016年更新で、古くても参考になるとは思いますが、更新ついての所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校図書館支援センターにおいて、各学校向けに発行している広報紙の中で、学校図書館運営の参考となる本や関連サイトを紹介しております。今後、ホームページの情報も随時更新してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) そのお知らせした内容が各学校でどのように活用されていたのか、また、今後の活用の仕方について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校図書館支援センターが提供する情報につきましては、司書教諭や学校司書がお薦めする本を紹介する掲示物の作り方や、子どもが読みたくなるような本の並べ方の参考にしております。今後も引き続き各学校のよりよい学校図書館運営のために活用してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 次に、学校図書館の運営の紹介もされていますが、これも古い状態です。これは各学校が取り組めていない状況にあるということなのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校図書館の運営に資する情報の提供につきましては、ホームページにおいて本の並べ方や掲示物など、20の事例を紹介しているところでございます。今年度、司書資格を必要としない学校司書の配置が開始されたところであり、学校図書館の運営の参考となる取組の紹介を充実させてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 次に、小中学校が総合図書館へ出向き、図書資料等を活用し、館内で調べ学習などの授業を行う図書館学習がありますが、過去5年間の実績について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 総合図書館に出向いて行う図書館学習につきましては、令和2年度に小学校1校、4年度に小学校1校が実施しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 実績が少ない理由について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 実績が少ないことにつきましては、総合図書館までの移動時間や移動手段などが影響しているものと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 立派な総合図書館を活用し切れていないのは、教員の多忙な働き方の影響もあると考えます。働き方の見直しで朝読をもやめた学校があると聞き及んでいますが、様々な経験、情緒的教育の機会は、IT化が進む社会ではなおさら重要と考えます。改善し、充実されることを求めます。
 では次に、学校への訪問もあり、これまで計画訪問されてこられたようですが、今後はどのようにされるのか、お伺いします。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校訪問につきましては、学校図書館支援センターが離島などの学校を計画的に訪問するほか、学校司書などからの相談に応じて学校へ出向いて支援を行っているところであり、今後も引き続き訪問を行い、支援してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 学校訪問の内容と過去5年間の実績について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校訪問につきましては、離島などの小中学校や特別支援学校へ訪問し、図書の購入における選定の考え方や本の並べ方、お薦めの本を紹介する展示方法などについて助言を行っております。訪問実績につきましては、令和2年度が84回、3年度が93回、4年度が85回、5年度が95回、6年度が91回となっております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 市内200校以上ある中で年間90回程度ということ、相談さえもできなかった学校もあったのではないかと考えます。
 また、総合図書館で正規職員の司書資格保有者は1人です。これは政令市で最低なのですが、この状況についての御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 司書業務につきましては、司書の資格を有する会計年度任用職員で対応しているところであり、引き続き会計年度任用職員を活用してまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) これまでの質問で機能不全を引き起こした状況が見えたような感じです。豊かな学びを創出する有資格者の専門的知識を最大限に生かせる取組を求めます。
 そこで、今年度、学校司書の大幅な増員を計画されましたが、増員を図った理由と専門資格不要の学校司書Bと支援員配置の議論はいつからされてきたのかなど、検討、議論した経緯について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書の増員につきましては、学校図書館が子どもたちの豊かな読書活動を支える中心的な役割を果たすものであることから、その充実のため、これまで順次学校司書を増員し、環境整備を進めてまいりました。国は小中学校の1.3校に1人の配置を目標としており、学校図書館のさらなる充実のために学校司書を大幅に増員することといたしました。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 昨年12月に今年度の図書館に関わる学校司書、読書相談員、副分館長、国際資料専門員の募集をされましたが、過去を含め、募集に即した採用と配置に関して十分に満たされていたのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書や読書相談員などの採用や配置につきましては、職種に応じた資格要件を満たす応募者の中から、筆記試験等による選考の上、採用者を決定し、必要な人員を適切に配置してまいりました。そのうち、学校司書につきましては、一部辞退者等が出ておりますが、その場合は追加の募集を行い、補充することといたしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) これまで学校司書1人が四、五校の担当で疲弊し、やむなく辞められた方もいました。
 では、学校司書Bの採用状況について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書Bの採用状況につきましては、104名を募集し、104名を採用いたしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、学校司書A、Bについて、有資格者の人数と配置の考え、実態について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書のうち、有資格者の人数につきましては、学校司書Aは全員が司書資格または司書教諭資格を有しておりますが、学校司書Bは専門資格を求めていないため把握しておりません。また、配置につきましては、学校司書Aは1人で2から3校、Bは1人で1校を担当しており、学校司書Aが必要に応じてBの支援ができるよう、中学校ブロックにバランスよく配置しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 子どもの学びの観点で、司書の働きやすさは関係します。学校司書Aが必要に応じ、資格がないBの支援をされるとのことです。教育委員会として資格の有無を把握し、よりよい働き方と豊かな教育環境の創出を図ることは重要と考えます。
 では、学校司書A、Bの研修の実施内容と状況、また、研修による獲得目標について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書の研修につきましては、学校図書館教育の全般に関する研修を学校司書Aは年3回程度、学校司書Bは年8回程度の実施を予定しております。また、研修の目的としましては、本市の学校図書館教育の現状を理解するとともに、学校図書館の管理、利用案内、レファレンスサービスなど、学校図書館の運営に関する基本的な知識や技能を身につけることとしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) また、学校図書館支援員に関して、募集要項、採用状況、配置について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校図書館支援員につきましては、有償ボランティアとして、図書の貸出し、返却の補助、書架の整理などの学校図書館業務を行い、学校司書や司書教諭をサポートすることとしており、5月31日現在40名の登録があり、担当校が3校の学校司書Aの配置校及び離島など学校司書未配置校に必要に応じて配置しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 改めて学校司書A、B、支援員の働き方について説明を求めます。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書A及びBは会計年度任用職員であり、学校図書館支援員は有償ボランティアでございます。学校司書は1日4時間、週4日勤務を基本として、年間154日勤務、学校図書館支援員は年間90時間活動しております。報酬等については、学校司書Aが日額5,764円から6,160円、学校司書Bが日額4,752円から5,403円、学校図書館支援員が1時間当たり1,067円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 学校司書Aの方がBの支援もする働き方を考えると、やはりこれまで辞める方がいた状況があったときと変わらないか、より大変な状況になると考えますが、その懸念はないのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書Aにつきましては、これまで1人に4校または5校を担当させておりましたが、令和7年度は1人が担当する学校数を2校または3校に減らしております。また、適宜、学校図書館支援員を配置し、負担を軽減しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 学齢の違いや子どもたちの様子など、ふだん接していない学校に行くことは負担やロスが生じます。支援員の年間90時間では到底足りず、この体制であれば司書の時間数拡充が必要です。日本図書館協会、非正規雇用職員に関する委員会があります。2023年に20政令市と東京23区、政令市以外の県庁所在地31市の合計74自治体の学校図書館職員雇用状況調査を行いました。本市は未回答でしたが、70自治体が回答された中で、正規職を配置しているのは札幌市、さいたま市、川崎市、新潟市、岡山市、長崎市、那覇市の7市で、ほか、会計年度任用職員ではあるけれども、司書資格を要し、1日5.75時間や6時間、7時間で週5日といった自治体もあります。図書館機能の役割を果たすための雇用形態だと考えます。
 では、学校司書や支援員、司書教諭など、学校図書館に携わる方々の人材育成について伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書や司書教諭の人材育成につきましては、研修により学校図書館業務に必要な知識、技能を身につけるようにしております。また、司書教諭や学校司書対象の連絡会を開いており、学校全体で組織的に学校図書館運営ができるような情報を提供しております。学校図書館支援員につきましては、学校司書や司書教諭の助言を受けて業務に当たるようにしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 図書館機能の大切さについての考えと機能を発揮する運営をより充実させるため、どのように取り組んでいくのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校図書館につきましては、児童生徒の豊かな心や思考力などの育成につながる役割を果たしているものと考えております。今後とも、学校図書館の適切な管理やレファレンスサービス等の好事例を紹介するなど、学校図書館のよりよい運営に向け、研修の充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 最後に、司書資格を取得できるような人材育成を考えられているのか、また、学校図書館司書の正規職員採用の考えについて伺います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校司書の研修につきましては、司書資格の取得を目指すものではなく、子どもたちの豊かな読書活動や学校図書館の充実のために必要な実践的スキルを身につけるようにすることが大切であると考えております。また、学校司書の採用については、その職務内容なども踏まえ、会計年度任用職員として任用することとしております。勤務条件については、市の会計年度任用職員制度に基づき適切に対応しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 実践的スキル獲得が大切とのことでした。実際、司書としての国家資格を持っていても数年の経験が重要とされる存在です。子どもたちにとって重要な学校図書館の役割を果たすために、国は小中学校の1.3校に1人の司書配置を目標として、自治体への交付金額を提示しています。専門知識と経験がある方が増えることは、自治体の大きな大きな財産です。九州では別府大学で司書講習を実施しています。今年度の募集は既に終了していますが、夏休みの時期を挟んで4か月弱のオンデマンドの講習を行っています。ぜひ資格取得を目指す方が増えてほしいと考えます。また、本市では総合図書館に図書館法上の館長がいるにもかかわらず、図書館条例施行規則にもうたわず、司書資格もなく、勤務記録もない総館長の配置をされていますが、正規職員の司書、少なくともこれは2人は増やせます。その司書こそ増やし、専門性を高め、学びの豊かさを創出する図書館行政の充実を図られることを強く要望し、質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩)登壇 私はグリーンビル促進事業について、福岡空港の今後の課題について、2点について質問を行います。
 まず、グリーンビル促進事業についてですけど、グリーンビル促進事業における助成制度の目的、内容及び令和7年度予算額、予定助成件数などについてどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問させていただきます。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) グリーンビル促進事業につきましては、身近な場所やまちなかでの視認性の高い緑の創出に向け、市内全域の共同住宅等のベランダへの緑化に対し、補助率は2分の1、上限額は20万円を、また、都心部のオフィスビル等の敷地や建物への緑化に対し、補助率は2分の1、上限額は3,000万円を助成するものでございます。令和7年度予算額は1億1,891万円余、助成件数は共同住宅等のベランダへの緑化を100件、オフィスビル等への緑化を30件と見込んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) この事業なんですけど、オフィスビルの場合は2分の1、上限3,000万円、総予算1億円ですから、そして30件、1件平均300万円ぐらいなんですね。それでは、なぜ上限3,000万円かなと。結果的に特定のビルだけたくさん補助するようなことになりかねんのかなと。イメージ的にはアクロス福岡やキャナルシティのイーストビル等、キャナルシティは緑がいっぱい壁にしてありましたし、ああいうものかなと思うんですけれども、何かちょっと物足らないというか、中途半端の気もしてなりません。特定のビルの応援だけで終わらないように、これが結果を見ないと分からないんですが、関心があるところです。
 それで、福岡市のそういった緑化とか緑についてお尋ねしますが、福岡市内の全域、市街化区域及び都心部の緑被率の推移はどうなっているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 緑被率につきまして、現在の緑の基本計画を策定する際に調査した平成19年度と令和4年度に調査した直近の結果で申しますと、福岡市内全域では平成19年度が55.4%、令和4年度が55.4%、市街化区域につきましては平成19年度が20.7%、令和4年度が19.8%、都心部につきましては平成19年度が10.4%、令和4年度が10.9%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 市街化区域は減っているという数字になってしまうんですね。
 次に、近隣公園及び街区公園の整備はどれくらい進んだのか、今後の展望も含めてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 新たに整備した公園につきましては、直近10年間で申しますと、近隣公園が3か所、街区公園が15か所となっております。また、現在、近隣公園については南区の東花畑中央公園、街区公園については博多区の浦田南公園などにおいて計画を進めているところでございます。今後の新たな公園整備につきましては、既成市街地が多く、用地取得が困難な状況もございますが、用途廃止された、ため池や公共施設跡地の活用、既存幼児公園の統廃合など、様々な機会を捉えて用地確保に努め、地元要望や市全体の公園配置状況などにも勘案しながら計画的に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) すみません、近隣公園3公園について、御存じでしたら箇所名を教えてください。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 近隣公園3公園ですが、1つ目が先ほど申しました南区の東花畑中央公園、もう1つが東区の箱崎中央公園、もう1つが南区の宮竹中央公園でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) これは10年間で3か所なんですよ。街区は10年間で15か所。3年に1回ぐらいしか造れていない。そして、目標はまずは中学校区に1つ造っていきたい。しかし、これは全然まだ足りていない状況で、グリーンビルとかやられるのはいいんですけれども。そして、共同住宅のベランダ、これを否定するものじゃありません。しかしながら、言葉ばっかりでね、全体の緑被率のアップとか、住宅街の公園がないところ、近隣公園がないところの整備促進とかが置いてきぼりになっているんではないかなと思っています。もう少しね、しっかり緑で打ち上げるなら、また、フラワーフェスティバルをやるなら、しっかり基本的なところを整理せにゃいけないのではないかなと。
 今後の緑行政の方向性はどう考えてあるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 答弁に入ります前に、先ほどの答弁を若干訂正させていただきます。3公園は、1公園が東花畑中央公園ですが、箱崎中央公園、宮竹中央公園は今後の近隣公園の新規整備についてという形になっております。すみません、以上でございます。
 今後の緑行政の方向性についてお答えします。
 今後の緑豊かなまちづくりにつきましては、市民の貴重な財産である緑地の保全をはじめ、市民に身近な公園の新たな整備や老朽化した公園の再整備、除草や街路樹の剪定などの適正な維持管理により一層取り組んでいきますとともに、官民連携による公園の利活用や都心の森1万本プロジェクトによる緑化を推進してまいります。また、都心部のおもてなし花壇や主要な道路、身近な公園でのボランティア花壇、民有地でのパートナー花壇などの活動の輪を広げていくとともに、植物園のリニューアルやFukuoka Flower Show 2026の開催などにより、市民や企業、行政が一体となって取り組む一人一花運動を推進してまいります。これらにより、まちなかに花や緑があふれ、市民が身近に潤いと安らぎを感じられるまちづくりをしっかりと進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 間違えたんならね、きちんと言い直してくださいよ。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 申し訳ありません。直近10年間で配置、改善が図られたものとして、すみません、石丸中央公園でございます。先ほど申しました3公園については、現在計画中という形になっています。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 10年間でされた3公園をきちっと言ってください。分からんなら分からんでいいので。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 申し訳ありません。手元にございません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 花と緑あふれるということでしっかり進めていくというんだけどね、10年間でそれぐらいしかできていないの。そして、都心部だけね。減っているのは市街化区域なんですよ。都心部は大事と思います。そして、民間の力も分かるけれども、特定のところとかベランダにする、それも否定はしません。しかし、昔から市が取り組んでいた緑被率のアップが全然できていないんです。そして、近隣公園も進んでいない。こういうのを目標を持ってやっていかないと、言葉だけになります。しっかり肝据えてやってくださいよ。訴えるなら、緑とか言うならば。欠けていると思いますので、要望しておきます。
 次に、福岡空港の今後の課題についてですけど、本市は福岡空港の今後の課題をどのように捉えてあるか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港につきましては、本市のみならず、九州・西日本地域の発展を支える重要な公共インフラであり、世界でも屈指の利便性の高い空港でございます。その福岡空港においては、令和7年3月20日に増設滑走路の供用が開始されたところでございますが、令和7年4月の国際線乗降客数が約78万人と単月として過去最高を記録し、今後も乗降客数の増加が見込まれており、この旺盛な航空需要への対応が必要であると考えております。また、福岡空港は市街地に位置するゆえの騒音問題を抱えておりまして、空港の円滑な運営は地域住民の理解と協力に支えられておりますことから、引き続き地域主体のまちづくり活動を支援してまいりますとともに、関係局や国、県、空港運営会社などの関係機関と連携、役割分担しながら、環境対策や周辺整備に取り組んでいくことが必要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) そういう答え方なら、一つ一つ聞いていきましょう。
 まず、騒音に対してはどのようにお考えですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港につきましては、先ほど申しましたとおり、市街地に位置するゆえの騒音問題を抱えておりますことから、今、空港の運営は地域住民の理解と協力に支えられておりますことから、引き続き地域主体のまちづくり活動を支援してまいりますとともに、関係局や国、県、空港運営会社などの関係機関とも連携しながら、環境対策や周辺整備に取り組んでいきたいと思っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) それは分かるんです。騒音と言っているんですね。今後、滑走路が増設になって、騒音の測り直しがあるでしょう。そしてまた、空港対策施設等がどうなるかもあると思うんです。大きな課題があると思うんですが、今後どのようなことが想定されると思われますかということ。会館でも集会所でも適用を外れるところも出てきますよ。そういうようなのは何かほかにありますかということ、具体的なもの。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 今御質問にございました騒音対策区域の見直しについては、その主体者たる国の動向を注視してまいりますとともに、地域集会所の老朽化対策等について、できるだけ早期に方針が示せるよう関係者と協議してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 次に、時間がないので急ぎますが、空港の需要増、福岡空港がですね、入国が341万人かな、前年度より大幅に増えてきています。しかしながら、対応ができんのではないかと。この点に関してはどのようにお考えですか、課題として挙げられなかったけど。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 旺盛な需要への対応につきましては、国において、地元の理解を得た上で航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力をさらに拡大することができるとされておりますことから、市といたしましても関係機関に働きかけを行うなど、増設滑走路が最大限活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 今、引き返したりという話もあったんですね、飛行機が飛んできて降りれなくて。そして、滑走路が次できましたけれども、キャパは限られているんです。将来のインバウンド、市長は頑張ってMICEしているけれども、空港で来るのが一番多いんですよ。そのときに足らないではないかと。将来、この件に関してどういう方策等を検討していくかというお尋ねなんですが、ないですか、案は。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 旺盛な需要への対応につきましては、国において、地元の理解を得た上で航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力をさらに拡大することができるとされておりますことから、市といたしましては関係機関に働きかけを行うなど、増設滑走路が最大限活用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 進入方式と言われるのは、どれぐらい増えるような想定がされますか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 国によりますと、地元の理解を得た上で航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力を時間当たり45回に拡大することができるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 回数じゃ分からないので、パーセントで言ってください。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 国においては、地元の理解を得た上で航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力を時間当たり40回から45回まで拡大することができるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) だから、元は何ですかと。40回が45回になるとおっしゃっているんですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 1時間当たり40回が45回になるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 私はそれだけでは追いつかないと思っております。移転はしなかったわけですね。そうすると、佐賀空港とか北九州空港とかいうのもあります。これはアクセスが問題がありますけど、そういうところの空港との連携も模索していかなければならない。これを国、県任せじゃなくて、市としてしっかり課題として捉えないといけないんではないんですか。なぜ最初に今後の課題で把握がないんでしょうか。どうお考えですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 福岡空港の近隣空港との連携につきましては、北九州空港と佐賀空港において、交通アクセスの改善や経費の助成など、これまでも多くの利用促進策に取り組まれているところでございます。北部九州全体の発展という観点からは、近隣空港の利便性向上は望ましいことと考えておりますが、福岡空港の混雑緩和を図る方策としての佐賀空港など近隣空港との連携につきましては、平成15年度から20年度にかけて国、福岡県、福岡市で行いました福岡空港の総合的な調査において試算されておりまして、その結果、混雑の緩和は僅かで、抜本的な対応方策とはなり得ないとされたところでございます。したがいまして、福岡空港の旺盛な需要への対応につきましては、国において、地元の理解を得た上で航空機の進入方式の高度化を導入することで、福岡空港の処理能力を時間当たり40回から45回に拡大することができるとされておりますことから、市といたしましては関係機関に働きかけを行うなど、増設滑走路が最大限活用されるよう取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 進入方式の変更というのは、具体的にどのようなことですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 空港に搭載されます機器と連携いたしまして、GPSを使って誘導する方式でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 新聞等によりますと、使用時間を延ばせないかとか、引き返したりしている、これを北九州空港に下ろしたりということも今進めておると思いますけれども、いろいろな観点から、連携も含めて、そういった手法の変更、方式の変更、もっときちんと市が、直接あるんですから、市内に、博多区内に。もう少しいろいろな今後の課題というんなら、しっかりと答えれるようにしないと何のために座っているか分からないので、しっかり取り組んでいただきたい。
 最後のほうになりますけど、今度は交通アクセス。今もうMICEはやめようと、止めようと、もうパンクしているではないかと言われているんですね。特に国際空港等どうやって交通アクセスを確保していくんですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 国際線へのアクセス強化についてでございますが、令和6年12月に国際線と国内線間の連絡バスについて、国際線側の専用道化によって所要時間が約5分短縮されておりますとともに、令和7年4月に国際線と博多駅を結ぶ直行バスに連接バスが導入され、利用者の利便性が向上し、輸送力が強化されておりますので、これらの利用状況等を注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 私も同僚とかと車で行ったことがあります。割引印を国際線に止めたら、国内線まで取りに行ってこいとか言われまして、えっ、駄目だなと。今言われたんですけど、バスで国内線まで動けというよりもね、国際線は荷物を持ってたくさん来るんですよ。タクシーがいないんですよ。駐車場も高い。もう少し真摯にここのアクセスを考えるべきではないかと。市長も自分の後援会で鉄軌道系を敷きたいと言われたんですよ、数年前ね。これは何も検討が進んでいない。今後、市長のお答えでもいいですけど、もう少しいろんな観点をアクセスの強化は考えないけないと思いますけど、どうお考えですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 今般改定されました福岡市都市交通基本計画におきまして、福岡空港をはじめ、各拠点等へのアクセス強化の検討に取り組むことが新たに位置づけられたところでございまして、港湾空港局といたしましては、令和6年12月に国際線と国内線間の連絡バスについて、国際線側の専用道化によって所要時間が約5分短縮されておりますとともに、令和4年4月に国際線と博多駅を結ぶ直行バスに連接バスが導入され、利用者の利便性が向上し、輸送力が強化されておりますので、これらの利用状況等を注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 全く追いついていないから、市長が自らの会合で鉄軌道を検討したいと言われた。私はこの場でもね、いいんではないですか、ただ、やり方を考えんとと言ったんですね。
 鉄軌道ね、昨日の質問でありましたけど、1.0届いていなくても、国は相談を受けますよというような趣旨の話もありましたし、福岡市においては航空燃料譲与税が平均大体30億円ぐらい毎年来ていますよ。よかトピアの道路も、それを活用して過去に造られました。そういった別途空港のための予算も来ていますし、3号線が混むのも空港があるために粕屋方面の方はダイレクトに来にくいと。そういうためにもね、国内線の延伸もですけど、まずは市長、MICEを頑張りたいんなら、できるかどうかは別なんです。どういう状況だと、敷いたら幾らかかるんだと、これに財源はどうだと国にアプローチしてみる、それぐらいの度量が要ると思いますけど、市長、答えきったらお願いします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 福岡空港は広域的な人流、物流を支える広域交通拠点としてアクセスを強化することは重要と考えており、今回改定した都市交通基本計画において、福岡空港をはじめ、各拠点等へのアクセス強化の検討に取り組むことを新たに位置づけたところでございます。都市交通基本計画の改定の検討に当たっては、その一つのケースとして鉄軌道の試算も行っております。今後の検討については、空港を取り巻く状況を踏まえ、どのような取組ができるかなど、国や交通事業者、また、港湾空港局とも適宜相談しながら行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ)登壇 冷泉小学校跡地についてなんですけれども、2001年に博多小学校が新しい校舎を建てたということで、それ以降、跡地となって24年が経過します。その後、校舎等の解体を踏まえて、昨年、2024年2月に跡地の一部が中世のアジアにおける国際貿易都市拠点ということで、これは重要な史跡ということで、国の史跡に指定されました。
 まずはこれまでの経緯の中で、地域の方々がこの跡地の活用についてどういうことを重要視されていたのか、そして、今も何を重要視されているのかということについて、福岡市としてどのように理解されているのか、お尋ねさせていただきます。
 以下、2問目以降は自席にて行わせていただきます。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 地域の方々が重要視されたものといたしましては、平成28年に福岡市が冷泉自治協議会から受け取った要望書があると考えております。要望の内容は6点ありまして、1つ目が体育館などによる避難所としての機能、2つ目が博多の歴史や伝統文化を展示、体験できる観光の拠点機能、3つ目が特別養護老人ホーム、4つ目が保育所、5つ目が図書館、6つ目が旧冷泉小学校跡地活用に合わせた冷泉公園の再整備でございました。この要望書を基に、地域と意見交換を重ねてきており、その結果、導入の検討を進めることとした3つの機能が、現在、地域の方々が重要視されているものと考えております。具体的には、1つ目が災害時に収容避難所として利用できる施設、2つ目が博多の歴史や伝統文化を展示、体験できる観光の拠点機能、3つ目が地域コミュニティの場となる憩いの空間であり、現在、実現手法等について検討しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 今御説明いただいたように、平成28年、2016年に当時の冷泉自治協議会から島市長に対して要望書を出していただいているというところなんですね。
 それで、この地域から出された要望を基に、意見交換を今日まで重ねられて、昨年10月に民間アイデア募集ということでこれを実施されています。今回の募集されたことについて、あくまで跡地活用に参考となる情報収集が目的ということなんですけれども、提案に当たって、民設民営が基本というふうにうたわれているわけですね。民間のアイデアを募るという視点ももちろん大切なんですけれども、これまでの経緯を踏まえると、学校施設跡地のような、いわゆる公共の役割として使用されていた場所について、民設民営を基本とする方針に非常に違和感を覚えたわけなんですね。
 そこでお尋ねなんですけれども、いろいろありますよね、公設公営、公設民営、民設民営、この考え方の違い、それから、今回アイデア募集を募るに当たっての民設民営を基本とされたその理由についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 公設公営の施設につきましては、地方自治法第244条第1項に基づき、住民の福祉を増進する目的を持って、その利用に供する公の施設など、公共が設置するもののうち、その運営を公共が行うものでございます。公設民営の施設については、同様に、公共が設置するもののうち、同法第244条の2第3項に基づき、設置の目的を効果的に達成するため、指定管理者制度などによって、その運営を民間が行うものでございます。民設民営の施設は、当該施設を民間が設置し、民間が運営するものでございます。
 冷泉小学校跡地の活用に当たっては、跡地活用方針策定の検討過程におきまして、地域との協議により導入を検討することとした機能について、整備、運営主体に関する民間アイデアの募集を行ったものでございます。今後とも、アイデア募集や地域の御意見を踏まえながら、活用の方向性などを検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 今御説明があったように、民設民営というと、民が設置して民間が運営ということになるわけで、そうなると、やっぱり収益性とか採算性、こういったものが重要視されてくるというふうになるわけですね。
 今回、この公募の提案に当たって民設民営を基本とされたということについて私がお尋ねしようと思ったのは、要は二十数年来、国が進めてきたこの民営化の影響がですね、この地方の身近な小学校の跡地、こういうところまで影響しているんじゃないかなということがもともとの始まりだったんですね。民営化っていうと、昨日もお話が出ていましたけど、例えば、国鉄の分割方式による民営化、それから、郵政の民営化。郵政の民営化なんていうのは、反対する人は全て抵抗勢力だみたいなことを言っていた時代がありましたけれども、やっぱり今振り返ってみると、公共のサービス、これが本当に質が担保されているかというような視点から見ても、やっぱり全て民営化がよしとするにはいろいろ課題があるわけですね。昨日話が出ていたように、地方の公共交通の空白、こういったものもそうですよね。JRでいえば、九州は別としても、北海道にしても、四国にしても、空白地、路線廃線がいっぱい出ているわけです。そういう意味で、全てが民営化がよしとするわけじゃないわけなんですね。これは遡ると、要は不正支出の抑制、削減ということで、結局、28年前の財政構造改革、これでとにかく支出を抑制していくんだということで、マイナスのシーリングをかけたりするような時代がありました。その次に出てきたのがプライマリーバランスですよ。プライマリーバランス、これも政府の基礎的財政収支の黒字化ということでやってきました。そして、その間に、今日は触れていませんけれども、1999年にPFI法とかがやってきたんですよ。そして、そういう中で、今度は財政健全化ですよ。こういう跡地の活用、公共で造っていたものの後をどうするかといったときに、結局、地方債とかに影響するからなんでしょうけど、財源をしっかりと確保していくと。そのために、要は実質公債費比率とか将来負担比率とか、こういうことまでひっくるめて健全化という中でずっとやってきた。その影響がこういう跡地活用についても、民設民営というような発想に至ったんではないだろうかと。私は公共サービス、こういったものが、こういうインフラも含めて民営化されていくのは、よしあしがあると思うんですね。あまりにも偏り過ぎると、やっぱり公共の役目というのは、民間と違う。民間はあくまで営利ですから。だから、そこの部分がごっちゃにならないように、しっかりと見極めていただきたいと思って、今回この質問をしなきゃいけないと思ったんですけれども、そういう背景の中で、担当の方とお話をしていただいたら、これは小学校の合併した当時の背景、それから、経緯ですね、いろんなものを含めて、非常に地域住民の皆さんの意見を反映して、いろいろ対話を重ねていっていただいているという意味では本当に感謝はしています。
 そういう中で、あくまで民設民営というのは、募集の段階でまずうたっているだけだということなので、この博多小学校というか、旧冷泉小学校跡地の、そもそも福岡市、また、市民の皆さんにとってどういう役割を果たす場所だというふうに市として考えてあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市みどり局長。
○住宅都市みどり局長(町田一彦) 冷泉地域につきましては、都市計画マスタープランにおきまして、まちの将来像を寺社などの歴史的資産や伝統的な祭り、文化を生かした歴史、文化を感じるまちといたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) ここの冷泉地域ですね、伝統的な祭り、歴史、文化を感じるまちとしてマスタープランのほうでも位置づけていただいているということで、これはやっぱり地域で継承していく人たちもいて初めて成り立つということで、公募の中でも、単にここの場所が都心部の敷地利用ではなくて、地域住民にとって小学校跡地は特別な場所であるという地域の方の声をしっかりと尊重していただいているということで、今回いただいたアイデアを参考に、経済的な合理性、これも大事でしょうけど、それだけでなく、やっぱり目先の短期的な視点ではなく、国の史跡に指定された博多遺跡の活用、そして、この旧博多部、冷泉エリアの場所だからこそ生かすことのできる跡地の活用法、そして、学校施設がそもそも担ってきた公共の役割というものについても、しっかりと引き続き福岡市にも取り組んでいただきたいと思います。
 次、2問目なんですけれども、給食の無償化に際して、質と量の担保ということでお尋ねしようと思っていたんですけれども、この間の稲員議員の質問と重複しますし、島市長のほうからもしっかりと財源を担保していくと、取り組んでいくというようなことで、予算措置を講じていただけるということでしたので、そこの部分は今日は重複しないようにさせていただきます。
 空揚げの話なんですけど、私も本当に電話がいろんなところからかかってきました。要は学校給食無償化、それと物価高騰ですね、こういったいろんな背景の中で、やっぱり保護者の方を含め、皆さん不安に感じてあるんですよね。それで、いろいろ聞けば、摂取基準をちゃんと満たしているとかあるんでしょうけど、伝えることはちゃんとやってあるんでしょうけど、市民に伝わっているかというところがやっぱり1つ課題だと思うんですね。
 1つだけどうしてもお尋ねしたかったのが、いわゆる今、備蓄米、古々々米がキロ100円切るとかなんとか言われていますけど、今、福岡市のお子さんたちが食べている、これは産地は入っているんですけど、いつ取れたやつかっていうのが市の給食のほうのホームページに記載されていないんですね。保護者はいつ生産されたのかというのをとても心配して、これはいつのものを食べているか、そこだけ教えていただけますか。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校給食で使用する米につきましては、例年11月頃にその年に収穫された米の使用が始まり、現在は令和6年産の福岡県産米を使用しております。以上です。
 
○議長(打越基安) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき)登壇 私は国際金融都市を目指す福岡市の現状と今後の展望について質問をいたします。
 2024年6月、福岡市は金融庁により金融・資産運用特区に指定されました。東京、大阪とともに我が国の国際金融戦略の中核都市としての役割を期待されています。アジア諸国との地理的近接性や生活コストの低さなど、ほかの大都市にはない多くの強みを有しております。独自の戦略で国際競争を勝ち抜く可能性を持っています。これまで福岡市は国際金融機能誘致、TEAM FUKUOKAへの参画をはじめ、海外の金融関連企業の誘致やスタートアップの支援体制の整備、外国人起業家向けの支援の拡充など、着実に国際金融都市としての基盤づくりを進めてこられました。その一方で、東京やシンガポールといった世界的な金融都市と比べると、まだスタートラインに立ったばかりという状況であります。
 まず、福岡市がこれまでに進めてきた国際金融都市としての取組について、現時点での進捗や具体的成果についてお伺いします。
 初めに、国際金融都市に取り組む意義と目指す目標とは何か、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 国際金融都市に取り組む意義と目標については、地域経済における雇用の創出や税源の涵養に加え、スタートアップ企業や地場企業が成長するための資金、最先端の情報、専門的な知識や技術を有する人材などを呼び込み、海外展開を後押しすることなどが期待されるものと考えております。さらに、進出企業による新たなサービスの提供を通じた市民生活の利便性の向上や高度な教育の提供、未来を担う若い世代が福岡にいながらグローバル企業で活躍できることなどが期待されることから、これらの実現を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) これまでの活動成果、具体的には誘致企業数や地域経済への波及効果をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) これまでアジアを中心に国内外から35社を誘致しており、この中には金融・資産運用特区の特例を活用した資産運用会社も含まれております。効果としては、特区を活用した企業が個人投資家から出資を募るファンドを創設したほか、誘致した海外企業が地場企業とともにファンドを立ち上げ、海外投資家の資金を受け入れております。また、台湾企業と連携し、事業承継が支援されるなど、様々な取組が実現しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 官民協働ですばらしい成果につなげていると思いますが、福岡市に限らず、多くの新興金融都市が直面する共通課題として、金融の中核機能を担う人材や資本が集まらず、金融都市としての持続的成長が見込めないという課題に直面しています。福岡市においても、金融機関やファンド、関連する専門サービス業の集積がまだ十分でないと考えられます。
 ここからはTEAM FUKUOKAが重点的に誘致する各分野の集積に関して、プロモーション活動以外にどのようなことに取り組んでいるかをお伺いします。
 TEAM FUKUOKAでは重点的に誘致する業種、業態に資産運用業を挙げていますが、福岡市が資産運用業を集積させるに当たって、この業界に焦点を当てた取組は何を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 海外の資産運用会社は人的ネットワークを通じたアプローチが特に必要であり、そうしたネットワークを有する人材を国際金融アンバサダーに委嘱し、その人脈を生かした誘致活動を行うほか、投資先となるスタートアップ企業とのマッチングなどにより資産運用会社の誘致活動を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 資産運用業は投資先の情報を分析し、預かった資産を投資して運用するビジネスです。海外の資産運用業が福岡に来て、海外の資産を運用するということももちろんいいと思いますが、できれば福岡・九州の投資先にも投資してほしいと思います。東京都では、投資先に資金が届くよう、企業の英語によるIR情報の発信を支援しています。具体的にはIR資料の英訳支援や海外投資家とのコミュニケーションのアドバイス支援、IR専門家等による実践的な英文の講義などを進めています。参考にしてみてはいかがでしょうか。
 次に、TEAM FUKUOKAでは重点的に誘致する業種、業態にフィンテックも挙げています。福岡市がフィンテック企業を集積させるに当たって、この業界に焦点を当てた取組は何を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 金融とIT技術を組み合わせた、いわゆるフィンテック企業が進出先に望むニーズとしては、エンジニア人材の確保などが重要であることから、エンジニアカフェにおける人材育成やエンジニアビザ制度の紹介など、エンジニアフレンドリーシティの特色を生かした誘致活動に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) AIなど情報通信技術が急速に進化していることから、フィンテック業界は日々変化、革新が進んでおり、数年前にできたフィンテック企業が既に淘汰されている事例もたくさんあると聞いております。東京都では、過去に設立されたフィンテック企業を誘致するのではなく、金融イノベーション部門において、新たな優れたアイデアやビジネスシーズに対して賞金を授与するような取組を行っています。スタートアップ都市である福岡市もこのような取組を強化してはいかがでしょうか。
 TEAM FUKUOKAでは、重点的に誘致する機能に地震などの災害が起きても事業を継続できるような拠点になるBCP対応業務を挙げています。福岡市がBCP業務を集積させるに当たって、この業務に焦点を当てた取組は何を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 災害時などにおける事業継続計画、いわゆるBCPをテーマにした金融機関向けの誘致セミナーを東京で開催し、天神ビッグバンや博多コネクティッドにより整備された事業継続を可能とする付加価値の高いオフィス環境や豊富な人材、良好なビジネス環境など、都市としての魅力をアピールした誘致活動に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 木村てつあき議員。
○33番(木村てつあき) 大阪では金融機関のレジリエンス機能に関する実態調査を行い、2拠点でのオペレーション対応への融資、保険等における優遇内容を発信し、2拠点でのオペレーションが普及していくような取組を実施しています。福岡市もこういう取組を進めてはいかがでしょうか。また、今後30年以内に高い確率で発生が予測されている南海トラフ巨大地震のリスクを考えると、福岡市は震源域から相対的に離れており、地震や津波による直接的な被害リスクが低いとされています。災害リスクを分散し、全国の金融、IT機能のBCP拠点としての役割を果たせる都市として、今後さらに積極的にその価値を発信していくべきではないでしょうか。
 本日は国際金融都市への実現に向けた現在の取組に対して質問させていただきました。ここまで限られたスタッフの中で地道に国際金融機能の誘致に取り組んでこられております。これからは一番根本的なターゲットとなる業種、業態それぞれに焦点を当てた取組を強化していくことが大きな課題ではないでしょうか。お金は目的ではなく手段であるのと同じで、金融は目的ではなく手段であります。今は国際金融機能を集積させることを手段ではなく目的にしてしまっているので、その機能を個別に誘致する活動に奔走してしまっているのではないでしょうか。本来であれば、目的である福岡市が達成したい都市の産業ビジョンと戦略、例えば、知識創造型産業や観光産業を具体的にどう発展させていくのかというその大きなビジョンと戦略が明確にあった上で、手段であるその発展を支える国際金融を整えるというのが、福岡市が目指すべき国際金融都市の姿なのではないかなと私は思います。こういった市の産業ビジョン、産業戦略をしっかり持った上で、他都市の先進事例も参考にしながら、呼びに行くだけでなく、呼び込む仕掛けもつくり、金融の各業界にフォーカスした取組をぜひ行ってほしいと思います。
 最後に、TEAM FUKUOKAへ参画して5年がたとうとしておりますが、これから国際金融都市を目指すに当たって福岡市として新たに取り組むこと、強化していくことなど、経済観光文化局としての戦略をお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 今後の取組については、これまでのTEAM FUKUOKAの35社に上る誘致実績をはずみに、海外での認知度向上のためのプロモーション活動の強化を図るとともに、金融・資産運用特区を活用した規制緩和を国に働きかけるなど、取組を加速してまいります。また、金融機能の集積を通じて、スタートアップや成長産業の発展につなげることが重要であると認識しており、誘致企業と地場企業とのマッチングによる新たな金融サービスの展開や投資を呼び込むことによる地場企業の資金調達機会の多様化など、金融機能の強化を図ることで福岡市がハブとなり、九州全体の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ)登壇 初めて議会質問に立ってから2年がたち、その間、私は一貫して個別最適化教育への抜本的転換を唱え続けてきましたが、その中で、子ども一人一人が自らの将来や身の回りの実社会とのつながりを実感しながら学ぶことが重要であると、まさにリアルな学びの充実が必要であると、そう繰り返し申し上げてきました。
 そこで、本日は、そのリアルな学びを実現するための学校と実社会をつなぐプラットフォームシステムについて質問をいたします。
 では、早速このシステムの全体像のイメージを共有するところから始めたいので、資料1の投影をお願いします。(資料投影)学校現場に次から次に○○教育なるものが下りてくる中、特に小学校では基本的に一人の教員が全てをカバーして教えることが求められています。ですが、よく考えたら、世の中にはそれぞれの分野に詳しい方、専門家がたくさんいます。だからこそ、そうした方々、実社会のリアルな資源を最大限に活用することで、子ども一人一人がリアルな学びを得るために学校と実社会をつなぐプラットフォームシステムを構築しましょうと、このような構想です。
 では、このシステムができたら何がどう変わるのか、資料2の投影をお願いします。(資料投影)まず、教師についてですが、このシステムができれば、多様な選択肢から目の前の子ども一人一人にとって最適な学びをコーディネートできる上に、従来に比べて、より少ない労力で、より質の高い各界の専門家とつながることができ、子どもにリアルな学びを提供することができるようになります。そして、学びの主役である子ども一人一人にとっても、このシステムを活用し、自分の興味、関心等に応じて主体的に学びを深めるとともに、次の学校に入るための知識を覚えるためではなく、自分の将来や身の回りの社会とのつながりを実感しながら学ぶことに学校で学ぶ意義を見いだすことができるようになります。さらには、このシステムに参画する実社会の多様な資源、個人や企業、団体等にとっても、例えば、暮らしを支える業界の存続危機や日常生活に深く関わる分野の最新の状況などを子どもたちに知ってもらう機会がなかなかない中で、このシステムを通じて学校とつながることで、子どもたちに仕事の魅力を伝えたり、認知や理解を広めたりできるというメリットも存在します。
 このように、学校教育の主役である子どもだけではなく、それを支える教員、さらには、このシステムに参画する実社会の多様な資源にとっても、それぞれに大きなメリットのあるシステムですが、単に学校と様々な主体をつなぐだけのマッチングシステムにとどまってしまってはいけません。その理由は、ここで先ほどの資料1を改めて投影していただきたいと思いますが、(資料投影)現場の教員の方々とお話をする中で、苦労して接触し、もろもろ調整した上で外部講師として授業をしてもらったのはいいけれど、蓋を開けてみたら、こちらが子どもたちに教えてほしいと望んでいたものにはならなかったこともあるという話を伺っているからです。
 したがって、学校と実社会の多様な資源を単にマッチングするためのシステムではなく、子ども一人一人の興味、関心等に応じた個別最適化教育の実践に有効なツールを構築するという観点から、まず1つ目、実社会で活躍する個人や企業、団体等が子どもたちに伝えたいことや教えられること、それと学校側、すなわち教員や子どもが教えてほしい、学びたいと望んでいること、この両者をそれぞれ精査、分析、整理した上で実社会の多様な資源をシステムに取り込むこと、そして2つ目、教員や子ども一人一人がそれぞれのニーズに応じて自由に活用できるようにするために、様々な情報やコンテンツを検索しやすいようなユーザーインターフェースを備えたシステムを構築すること、この2つの点がシステムを構築する際の思想、発想としては不可欠であると考えていますが、それぞれの点について御所見をお伺いします。
 以降の質問は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 様々な教育活動における多様な人材の活用につきましては、児童生徒や教師が知りたい内容と企業、団体等が提供したい内容の双方を十分に精査、検討し、効果的な学習につなげていくことが大切であると考えております。現在、各学校では学校独自に作成した人材リストや教育委員会が作成した体験活動の受入先リストなどを活用し、出前授業や職業体験を実施しております。さらに、各学校で蓄積された人材情報や教育委員会が持つ幅広い地域資源に関する情報などを一体的に整理して活用しやすくするとともに、児童生徒一人一人の学びに応じて様々な実社会の資源を選択、活用できるような仕組みをつくることが必要であると考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 大前提としてのシステムの在り方、位置づけについての考えが一致しているようで安心しました。
 それでは続けて、システムの中身に入っていきたいので、資料3の投影をお願いします。(資料投影)これは教育委員会や学校、実社会の資源などの関係者がどのように関わり合ってシステムを構築していくのか、その全体像を示すものとして作成した資料です。小さいので、主立ったところを紹介しますと、市役所の各部局に散らばっている様々な外部資源の情報を収集して一元的に整理することや、実社会の多様な資源と教育委員会、学校を有機的につなぐコーディネーターを配置することなど、単なるシステムの構築にとどまらず、このシステムが本来の目的を果たす上で最大限に機能するために必要となる要素を挙げています。
 その上で、ここから先はシステムの具体的なイメージを幾つか共有したいので、資料4の投影をお願いします。(資料投影)左側にあるのは、例えば、何年生のどの教科、科目でどんなことを学びたいのか、どんな方法で学びたいのかといった様々なニーズに応じてコンテンツを容易に検索できるような検索画面のイメージです。そして、検索したら、右側にあるように、その条件に該当するコンテンツがずらっと表示されるような画面に進んで、さらに、その中から特定のコンテンツを選択したら、資料5の投影をお願いします。(資料投影)そのコンテンツの詳細な内容、例えば、どんなことがどんな方法で学べるのかといった詳しい情報が掲載されていたり、動画コンテンツなら、そこから実際に視聴ができたり、あるいはコンテンツの提供元と連絡を取るための連絡先も載っていたりと、多岐にわたる学びのニーズに対応できる機能を備えている、そんなシステムの機能の構築が必要だと考えています。
 そこで、お尋ねしますが、ここまでるる申し上げたイメージ、言い換えれば、こういうシステムを構築してほしいという私からの具体的な要望や提案について教育委員会としてどのようにお考えなのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 個別最適な学びの推進に当たりましては、児童生徒が学びたいことや知りたいこと、教師が児童生徒に伝えたいことや学んでほしいことの情報を容易に入手できるようにするとともに、児童生徒がその情報を活用して、自分で考え、判断しながら学習していくことが大切であると考えており、学校のニーズ調査や他都市の事例などを踏まえ、どのような仕組みやシステムが必要になるのか、検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 細かい機能については今後もすり合わせを行うとして、ひとまず大きな方向性については、ぜひそのまま進めていただきたいというふうに思っています。
 ただし、このシステムが実際に機能するかどうかは、学校と実社会の様々な資源との間をどこまで有機的につなぐことができるかにかかっています。学校の仕組みや教育理念をよく理解している人が間に入り、実社会の個人や企業、団体等が子どもたちに伝えたいことや教えられることと学校側のニーズとをすり合わせながら、実りある授業を行うために必要に応じて助言などの支援を行ったり、あるいはこの取組の意義や参画することによる双方のメリットなどを発信しながら、協力先をどんどん開拓していったりしなければ、このシステムは恐らくうまくいきません。
 したがって、今申し上げたような観点も踏まえて、このシステムを十分に機能させるために必要な人員の配置も併せて行うべきではないかと考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) プラットフォームの構築に当たりましては、学校のニーズや地域における人材、資源には様々なものがあることから、有効に活用できるよう、人員配置の必要性など、運用体制についても、検討していくものと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 民間で既にそうした事業を行っている個人や団体等への委託という方法もあれば、教員経験者や地域人材を活用する方法なども含めて、様々な角度から、誰をどのように配置するのかについては今後もしっかりと検討を進めていただきたいと思います。
 このシステムを段階的に導入していく上で、恐らく最も導入しやすい、なじみやすいのはキャリア教育の分野かとは思いますが、最終的には国語や算数といった、いわゆる教科学習も含めて全般的に子ども一人一人の興味、関心等に応じた学びのツールとしてこのシステムを最大限、当たり前のように活用できるようにすることが目標です。このシステムは子ども一人一人の興味、関心等に応じた最適な学びをサポートする上で大きな役割を果たすという点で、個別最適化教育のとりわけリアルな学びの根幹となる極めて重要なものであるということを心に刻んで、ゆめゆめためらうことなく、必要な額の予算要求を堂々と行っていただきたいと思います。
 そこで最後に、今申し上げたようなプラットフォームシステムを最終的にどのように活用するイメージをお持ちなのか、言い換えれば個別最適化教育の実践という文脈の中で、このシステムの重要性をどのように認識されているのか、さらには予算措置の必要性についてどのようなお考えをお持ちなのか、最後に下川教育長からぜひ前向きな御答弁をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和7年度に策定した第3次福岡市教育振興基本計画におきましては、児童生徒が自ら問いや目標を持ち、試行錯誤しながら学びを調整し、解決し、次の学びに向かう自律的な学びの実現を位置づけております。児童生徒が社会とつながるプラットフォームを活用し、自発的に様々な人と関わりながら、自分で学びを深める学習活動は大変重要であると考えており、児童生徒の自律的な学びが実現できるような仕組みやシステムについて、必要となる予算も含め検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 以上で一般質問を終結いたします。
 次に、今期定例会において受理した請願は、お手元に配付の請願文書表のとおりであります。これを所管の常任委員会に付託いたします。
 以上で本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は6月18日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後3時59分 散会