令和7年6月11日(水)
令 和 7 年 第 3 回 福 岡 市 議 会 定 例 会
議 事 日 程 (第2号)
6月11日 午前10時開議
第1 一 般 質 問
本日の会議に付した事件
議事日程のとおり
出 席 議 員 (61名)
1番 おばた 英 達 2番 もろくま英 文
3番 淀 川 幸二郎 4番 稲 員 稔 夫
5番 鬼 塚 昌 宏 6番 堤 田 寛
7番 大 森 一 馬 8番 大 原 弥寿男
9番 今 林ひであき 10番 阿 部 真之助
11番 打 越 基 安 12番 堤 健太郎
13番 坂 口よしまさ 14番 新 開 ゆうじ
15番 とみながひろゆき 16番 田 原 香代子
17番 たのかしら知行 18番 石 本 優 子
19番 勝 山 信 吾 20番 調 崇 史
21番 川 上 陽 平 22番 津 田 信太郎
23番 古 川 清 文 24番 高 木 勝 利
25番 篠 原 達 也 26番 平 畑 雅 博
27番 伊 藤 嘉 人 28番 川 上 晋 平
29番 尾 花 康 広 30番 松 野 隆
31番 山 口 剛 司 32番 大 石 修 二
33番 木 村てつあき 34番 欠 員
35番 大 沢 めぐみ 36番 和 田あきひこ
37番 あ べ ひでき 38番 綿 貫 康 代
39番 前 野 真実子 40番 中 島まさひろ
41番 藤 野 哲 司 42番 新 村 まさる
43番 天 野 こ う 44番 堀 内 徹 夫
45番 森 あやこ 46番 福 田 まもる
47番 はしだ 和 義 48番 浜 崎 太 郎
49番 阿 部 正 剛 50番 倉 元 達 朗
51番 中 山 郁 美 52番 川 口 浩
53番 小 竹 り か 54番 勝 見 美 代
55番 井 上 ま い 56番 ついちはら陽子
57番 田 中 たかし 58番 山 田 ゆみこ
59番 近 藤 里 美 60番 落 石 俊 則
61番 田 中しんすけ 62番 池 田 良 子
欠 席 議 員 (0名)
説明のため出席した者
市 長 島 宗一郎 副 市 長 光 山 裕 朗
副 市 長 中 村 英 一 副 市 長 荒 瀬 泰 子
水道事業管理者 中 村 健 児 交通事業管理者 小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長 龍 靖 則 財 政 局 長 中 村 剛 士
市 民 局 長 舟 越 伸 一 こども未来局理事 村 上 洋 子
福 祉 局 長 藤 本 広 一 保 健 医 療 局 長 山 嶋 剛
環 境 局 長 藤 本 和 史 経済観光文化局長 吉 田 宏 幸
農 林 水 産 局 長 姉 川 雄 一 住宅都市みどり局長 町 田 一 彦
道路下水道局長 竹 廣 喜一郎 港 湾 空 港 局 長 鈴 木 順 也
消 防 局 長 牧 田 哲 治 会 計 管 理 者 小 林 登茂子
教 育 長 下 川 祥 二 教 育 委 員 原 志津子
選挙管理委員会事務局長 中川原 敬 子 人事委員会事務局長 上 薗 久 美
監 査 事 務 局 長 八 木 智 昭
職務のため出席した事務局職員
議会事務局長 久 田 章 浩 議会事務局次長 着 一 孝 議 事 課 長 水 ア 亮 二 議 事 係 長 實 政 伸一郎
外関係職員
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行)登壇 おはようございます。質問に入る前に、昨日発生した国体道路の陥没事故について申し上げます。
通行止め区間を本日6時53分に全面開放されたとのことでした。けが人もなく、最初の通報からこれだけ短時間で復旧できたのは、雨の中、不眠不休で作業に当たっていただきました工事関係者、島市長をはじめ職員の皆様のおかげです。迅速な御対応に心からの敬意と感謝を申し上げます。今後、原因究明と再発防止を全力で推進いただけますようお願い申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
私は、公明党福岡市議団を代表し、地域を支える見守りと連携の仕組みについて、相生踏切の対策について、安心できる自転車環境の整備について、以上3つのテーマについて質問いたします。
初めに、地域を支える見守りと連携の仕組みについて伺います。
先日、博多区の市営住宅で、あるお宅がごみ屋敷となってしまい、上下左右のお部屋の方から異臭や虫の異常発生などで生活ができないとの御相談がありました。私も何度か、ごみ屋敷となった方のところへ訪問させていただきました。住宅供給公社の方と裁判による立ち退き、上下左右のお部屋の方の引っ越し先の御相談など様々に協議もさせていただきましたが、どの内容も結果にはつながらず、結局、難しくとも御本人とコミュニケーションを取るしかないとの結論に達しました。職員の方が途方もない時間と労力をかけて仲よくなり、先日、御本人との了承の下、業者による搬出と清掃、消毒が行えましたとの御報告をいただきました。御相談いただいた近隣の方も大変喜ばれ、今後このようなことがないよう御相談者自身も地域の役員を引き受けて見守りをしていきますとの決意を伺いました。改めて地域における見守りの大切さを実感して、質問をいたします。
まず、民生委員、市民後見人、地域包括支援センター、企業との連携など相互連携の体制をこれまでつくってこられましたが、それぞれの役割と課題についてお伺いします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、地域福祉活動の支援やその方の状況に応じた相談支援を行うとともに、緊急時にも速やかに対応できるよう、関係機関や企業、地域などと連携し、見守り推進プロジェクトなど様々な取組を行っております。それぞれの機関等の役割については、民生委員は住民の生活状態の把握や生活に関する相談、助言など、地域包括支援センターは高齢者の総合相談や介護予防、権利擁護など、企業は電気、ガスなど広く訪問活動を行っている企業を中心とした見守り活動など、介護事業者は介護保険サービスを通しての見守りなど、市民後見人は御本人に寄り添った財産管理や意思決定の支援などを担っております。今後、高齢化がさらに進展し、地域で支援が必要な方が増えていくことが見込まれる中で、より多くの方々や企業が参画できる環境をつくっていくことが課題であると認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 環境をつくっていくことが課題と御答弁にありましたが、その一つが情報ではないかと考えます。
3月の補足質疑で我が会派の石本議員が終活情報の登録について要望しております。終活の意味だけではなく、日々の見守りの意味でも必要な仕組みではないかと考えますが、緊急連絡先の登録制度を今まで行政としてつくってこられなかった理由についてお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、緊急通報システムにおいて、利用者に緊急連絡先を登録いただいた上で緊急時に活用するとともに、いざというときに緊急連絡先などの情報を救急隊員や医療機関、地域の方などと共有するツールとして安心情報キットの配付などを行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 本市として、緊急連絡先、かかりつけ医、生前連絡先などの情報登録、窓口、電話対応での登録制度を整え、病院、警察、消防、福祉事業所などに対する区役所、市役所からの回答ができる体制に向けて御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 緊急連絡先などにつきましては、緊急時に医療機関や消防などが必要な情報を把握できるよう、今後、様々な方法を検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 今後、緊急連絡先の登録制度をつくった場合、避難行動要支援者の名簿と連携できれば、作成においても、日々の見守りにおいても補える部分があると思いますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難行動要支援者名簿につきましては、災害対策基本法において、避難支援等の実施に必要な限度で利用することができるとされております。このため、本人の同意を得て、地域の避難支援等関係者に提供しておりまして、災害時の円滑な避難支援に向け、個別避難計画の作成や日頃からの見守り活動にも活用されております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 今年度から全区への設置となりました福祉の総合相談窓口に訪れた方へ、地域や親族に頼れる人の有無を確認し、状況の把握を進められるのではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福祉の総合相談窓口におきましては、福祉に関する様々な課題を抱えた方に対し、包括的な相談支援を行うこととしており、緊急時など、いざというときも含め、必要な方が必要な支援を受けられるようしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
現在、地域の見守りにおいて大きな力を発揮していただいております民生委員について伺います。不足している人数と本市の民生委員をサポートするために行っている対応についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 民生委員につきましては、6月1日現在で定数が2,550人、現員数が2,365人、欠員数が185人となっております。民生委員のサポートについては、地域共生推進員の増員や広報の充実、活動費の増額などを行っており、12月から新たに新任委員をサポートする制度を創設するなど、民生委員が活動しやすい環境づくりを進めております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 185名の欠員とのことです。
御答弁いただきましたように、本市としてもできる手を打たれながら、民生委員のサポートに取り組んでいますが、民生委員が不足している原因について、本市の認識をお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 民生委員につきましては、高齢化の進展や独り暮らしの高齢者の増加、就業状況の変化などにより成り手の確保が難しくなっているものと認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 民生委員のサポートをする地域共生推進員の増員や新任委員をサポートする制度など、先ほどの御答弁から新しい方への後押しをしていく意気込みを感じますが、それが新しい世代へと伝わっていく発信になっているかが大切です。そのためには何とか体験してもらい、意見を反映できる仕組みになっているのか、オンライン対応なども含め、今までどおりのやり方だけではなく、若い民生委員の意見が取り入れやすい地域への理解促進も重要になります。各地で小中学生がジュニア民生委員など親しんでもらう取組も始まっています。東京都多摩市では友愛フレンズ事業を立ち上げ、大学生による見守り、訪問活動を期間限定で開始したとのことでした。
本市でも大学生や専門学生などと連携し、体験民生委員制度などを設け、現在の民生委員などとチームで地域に入ってもらえるようヒアリングを行い、有望な活動アイデアに対しては予算をつけるようなモデルケースに取り組んではどうかと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 大学生や専門学校生など若い世代のアイデアや力を地域福祉活動に生かしていくことは大変重要であると認識しております。これまでも地域で行われているふれあいサロンの活動に専門学校生が参加するなどの取組を行ってきたところであり、こうした取組をさらに進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
ここからは、地域住民の立場で本人に寄り添った財産管理や意思決定支援などを行うと御答弁にありました市民後見人の育成状況とその目標数についてお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市民後見人につきましては、令和4年11月に初めて選任が行われて以降、これまでに14人が誕生しており、10年度までに37人を選任することを目指しております。今年度も15人の方を対象に養成研修を実施することとしており、より多くの方に市民後見人として活躍していただけるよう取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 我が会派としても20年来の提案を行い、本市でも成年後見推進センターを設置いただきました。最初の御答弁の中に、地域で支援が必要な方が増えていくことが見込まれるとありました。市民後見人のニーズが高まる中で、令和10年度までに37人を選任するという目標に向けた具体的な取組を伺いたいと思います。
市民後見人を目指す方にとって受講しやすいカリキュラムになっているのか、交通費や受講料などの補助制度、関連資格の取得への支援はあるのか、責任の重さや不安を減らすための配慮、市民後見人の活動を本人のキャリアに生かせる部分があるのかなど、市民後見人の育成についてどのように取り組んでいるのか、お伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市民後見人については、国のカリキュラムに沿った養成研修を開催するとともに、スキルアップ研修などを行い、育成を図っております。土曜日を中心に開催し、オンラインでの受講にも対応するなど様々な方が受講しやすいよう取り組むとともに、市民後見人に選任された後も安心して活動できるよう、令和3年度に設立した成年後見推進センターを中心に、弁護士等の専門職団体や家庭裁判所と連携しながら活動への助言を行うなどサポート体制の充実を図っております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 御答弁から、本市として市民後見人になろうとする方に対する負担を減らし、様々な角度からサポートに取り組まれていることが分かりました。これから大切なのは、この仕組みを知っていただくことです。
また、市民後見人をより身近なものとして感じてもらう必要があります。広報映像を拝見させていただきましたが、情報としては理解することができました。一方、市民後見制度は地域の一人に寄り添い、力になっていこうというものですので、不安や喜び、乗り越えていく過程の物語も必要であると感じます。
ぜひそういった目線を入れて周知に努めていただきたいのですが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) より多くの市民に市民後見人の役割や実際の活動について知っていただけるよう、市政だよりをはじめ、様々な広報媒体を活用して周知を図るとともに、医療、福祉、司法の関係者や民生委員、金融機関などで構成する権利擁護支援ネットワークも活用しながら、効果的な情報発信に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
見守りの要として民生委員、市民後見人について伺ってまいりましたが、地域のためにいつも心を配り、支えてくださる自治会、町内会長が一番大きな支えであることに感謝を忘れず、新たな仕組みづくりを進めていただきたいと切に願います。
また、冒頭の訪問させていただいたお話のように、地域だけでは近い距離感だからこそ、地域が努力をしていてもこじれてしまい、前に進まない場合もあります。地域に行政の目、少し距離のある見守りも大切です。
そこで、地域担当臨時職員として、例えば、学生の間の期間限定採用とし、働く時間も相談して決められるようにし、地域に入ったときに気づいたことや提案などを出してもらうと、今までとは違った角度で地域とのつながりも広がっていくと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 議員御指摘のとおり、若い世代のアイデアや力を生かしていくことは、地域福祉活動に新しい視点を取り込み、活性化することにもつながると考えております。若い世代が様々な形で地域福祉活動に参加できるよう、引き続き取組を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 見守りについては、どこまで取り組むのか、財源、労力を考えると大変難しい問題です。しかし、放置してしまうと、より労力もかかり、財政的にも負担になる可能性が出てきます。日頃から地域の皆様方に御協力いただくほかないところではありますが、行政も頻度は少ないとしても直接つながっておくことは、問題が発生したときの解決のために非常に重要であると感じます。
この質問の最後に、地域を支える見守りと連携のよりよい仕組みに向けた島市長の決意をお伺いします。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 超高齢社会を迎える中、地域、企業、民生委員や行政などが一体となって、地域における見守り、支え合いを進めていくことは大変重要であるというふうに考えてございます。福岡市におきましては、地域福祉活動の支援ですとか一人一人の状況に応じた相談支援を行うとともに、見守り推進プロジェクトや、また、民生委員の活動支援、そして、市民後見人の育成などを進めているところでございます。引き続き、地域に関わる様々な方々とともに、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 資料1をお願いします。(資料投影)続きまして、資料2をお願いします。(資料投影)資料3をお願いします。(資料投影)投影ありがとうございました。
ただいま御覧いただきました相生踏切の対策について伺ってまいります。
まず、平成18年度に実施された踏切交通実態総点検では、相生踏切は緊急に対策が必要な踏切として抽出をされています。この緊急に対策が必要な踏切とはどのような基準で抽出されるのか、お示しください。また、これまでにどのような対策が取られてきたのか、お伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 緊急に対策が必要な踏切につきましては、ピーク時の遮断時間が1時間当たり40分以上となっている開かずの踏切、踏切の遮断により自動車及び歩行者の滞留が多く発生している自動車と歩行者のボトルネック踏切、踏切前後の歩道に比べて踏切内の歩道が狭いもしくは歩道がない歩道が狭隘な踏切のいずれかに該当する踏切となっております。相生踏切におきましては、平成18年度の総点検時、開かずの踏切、自動車と歩行者のボトルネック踏切、歩道が狭隘な踏切の全てに該当していたものでございます。
これまでの対応としましては、開かずの踏切、自動車と歩行者のボトルネック踏切への歩行者対策といたしまして、地域からの要望を踏まえ、平成25年度に歩行者の通行経路を確保するための横断歩道橋を設置しております。また、歩道が狭隘な踏切への対策といたしまして、平成26年度に踏切を拡幅し、歩道を設置しております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 開かずの踏切について伺います。
踏切が一番開かない時間とその時間帯をお示しください。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 鉄道事業者からの聞き取りによりますと、相生踏切につきましては、令和6年度の調査において、踏切が一番開かない時間は午前9時から10時の時間帯で、遮断時間は約48分となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) これだけ長い時間開かない踏切は、福岡市内だけでなく、全国でも指折りの踏切になるかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 国が令和4年12月末に公表している踏切道安全通行カルテの中で、相生踏切は九州内で遮断時間が最も長い開かずの踏切となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) ボトルネック踏切でもあるということですが、1日の交通遮断量についてお示しください。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 交通遮断量とは、踏切道安全通行カルテにおいて、ボトルネック踏切を抽出するために設けられている指標でありまして、1日の自動車及び歩行者等の交通量と踏切遮断時間を掛け合わせて算出されるものでございます。令和4年12月末の踏切道安全通行カルテによりますと、令和3年9月末時点において、自動車交通遮断量は3万6,355台、歩行者等交通遮断量は4万8,416人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 経済損失は大変大きいのではないかと感じる数値です。
車への対策についてお尋ねします。
アンダーパス、オーバーパス、並ぶ前の車両への踏切待ち時間の案内や周辺道路への迂回対策などの検討をしてこられたのか、お伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 相生踏切につきましては、現時点では車両への待ち時間の案内等は行っておりませんが、以前より対応が必要な箇所であるという認識の下、周辺の道路ネットワークとして、南八幡アンダーパスや跨線橋である新和橋の立体交差により交通の円滑化、分散化を図ってきたところでございます。また、歩行者の安全確保や車両の円滑な通行を図るため、平成26年度に踏切を拡幅し、歩道を設置しております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 資料4をお願いします。(資料投影)こちらは踏切周辺の地図です。AからCは迂回路になります。資料5をお願いします。(資料投影)A近くの迂回路を見てみます。資料6をお願いします。(資料投影)このように狭いです。資料7をお願いします。(資料投影)Bのほうの迂回路を進んでみると、資料8をお願いします。(資料投影)こちらもかなり狭いです。
資料9をお願いします。(資料投影)非常に狭いので、道路幅を測ってみました。資料10をお願いします。(資料投影)道路幅は2メートル弱でした。資料11をお願いします。(資料投影)この非常に狭い迂回路を進むとBのT字路に突き当たります。資料12をお願いします。(資料投影)突き当たった先の道は一方通行なので、右折しかできません。資料13をお願いします。(資料投影)寿町交差点から踏切方向の道路は、踏切手前で一度並んでしまうと待ち時間も長く、迂回しようにもDの道は一方通行なので左折できません。Aを右折した道は車をこすりそうなほど狭く、通り抜けても、Bの一方通行の道に出て右折することになり、踏切につながる道、Cの場所にまた戻る形になっています。資料14をお願いします。(資料投影)このような状況もあり、車両は本来踏切に入る際には前の車両が渡り切ってから入らなければいけませんが、私が見ていたこの日は、ほとんどの車が写真のように前の車が渡り切るのを待ち切れずに踏切内に入っておりました。資料15をお願いします。(資料投影)驚いたのは、救急車も入ってきたことです。御担当者に伺ったところ、福岡市、大野城市、春日市で消防、救急の日常経路として利用されているとのことでした。投影ありがとうございました。
救急車、消防車は対向車線に並んでも先頭に並ぶことができますが、一般車両については、そういった割り込んでくる緊急車両も含め、いつ渡れるのか分からない状況に置かれる可能性がありますので、せめて案内だけでもあれば運転手の方のお気持ちも違う気がいたします。
こうした状況を踏まえ、車両への対策も地域ともっと話し合い、進めていくお考えはないのか、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 運転者に対しまして前方に踏切があることを周知するなどの車両への対策につきましては、混雑緩和に有効な場合もあると認識しております。一方で、案内の仕方によりましては、生活道路への流入を助長するおそれがあることなどから、周辺の道路状況や交通状況を踏まえ、慎重に検討していく必要があると考えており、まずは交通の実情などについて地域の意見を伺ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
次に、歩行者対策を伺います。
横断歩道橋を渡る際の距離と線路内を歩く際の横断距離をお示しください。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 相生踏切におきましては、横断歩道橋を渡る際の距離は約130メートル、一方、線路内を歩く際の横断距離は約27メートルとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 資料16をお願いします。(資料投影)踏切前で自転車の方も並んでおられました。資料17をお願いします。(資料投影)歩道橋の写真です。しばらく現場で待ちましたが、自転車の方も歩行者も横断歩道橋の利用はありませんでした。資料18をお願いします。(資料投影)写真から伝わりますでしょうか。ベビーカーやシルバーカーを押して動かれる方にはプラス100メートルの上り下りがいかに大変なことか、想像してみてください。しかも、この踏切は、歩道橋の高さも通常の歩道橋が4メートルほどの高さに対して6メートルとなっており、より高く上る必要があります。そのため、距離と高低差で戸惑い、結局歩道橋ではなく、踏切を渡ろうとする方も少なくありません。投影ありがとうございました。
踏切に入り、渡ろうとする際に警報機が鳴り始めてから遮断機が下りるまでの時間をお示しください。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 鉄道事業者からの聞き取りによりますと、相生踏切については、現時点において警報開始から遮断機が下りるまで約20秒となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 現地を歩いていただければ分かりますが、あの長い踏切を20秒で渡るのは、御高齢者や障がい者、お子様連れにとっては焦りを生みます。そのため、混み合っている時間や警報が鳴った際に踏切を急いで渡ろうとして、線路にベビーカーやシルバーカーの車輪が引っかかって転倒されたり、慌てふためく場面を多数伺っております。あまりに長い待ち時間、通常よりも高低差のある歩道橋がこの状況を起こしているとも言えます。こうした状況を踏まえて、以前よりエレベーター設置を加えたバリアフリー化を訴えてまいりました。
市民からもお問合せや要望があったはずですが、市民からの声や課題について、本市の認識をお伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 相生踏切につきましては、これまでに実施してまいりました横断歩道橋の設置並びに踏切の拡幅による歩道設置により、歩行者の安全な通行に対して一定の効果は得られていると認識しております。しかしながら、当該横断歩道橋につきましては、利用者が階段や斜路を上り下りする必要があることから移動距離が長く、かつ上下移動もあり、市民の皆様からも、安全に踏切を渡るために横断歩道橋を利用したいが、高齢の方などには負担が大きいといった声が寄せられており、バリアフリーの観点において課題があると認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 先日、この質問に先立って、地域の方へお話を伺ってまいりました。本日傍聴にも多数いらっしゃっております。歴代の自治会の会長の皆様は、この相生踏切のエレベーター設置を今も心待ちにしておられました。また、新しい会長に対して地域の集いの際に住民の方から、相生踏切の件はどうなっているんだ、あんた、ちゃんと要望しているのかとの厳しい御意見が飛び出したとのことでした。地域から強い思いがあるのです。こうした思いを受けて、今回質問をさせていただいております。
改めてお伺いします。
相生踏切は、地域の状況を踏まえても、安全な通行のためにも、エレベーター設置までのバリアフリー化は必要不可欠であると考えます。課題を認識しておられながら、これだけ長い間進められない理由が何かあるのでしょうか。これは昨日今日の要望ではありません。何か大きな被害が出るまで対策はできないということなのでしょうか、御答弁を願います。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 相生踏切横断歩道橋へのエレベーター設置につきましては、必要性は認識しているものの、構造やスペースなどの課題の整理を行う必要があり、また、当該横断歩道橋を含む市内全ての横断歩道橋について、周辺の代替経路を含めたエレベーター設置の必要性の整理や構造の確認などを実施してきたことから検討に時間を要しているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 様々な事情も含め、検討を進めておられるとは思いますが、相生踏切は日本でも有数の開かずの踏切です。渡り切るまでの距離も長く、遮断時間も大変長い。そのような踏切がこの福岡市にあることは事実です。バリアフリー化の対策としてほかに選択肢がないのであれば、日々の生活に利用される住民の皆様に寄り添った速やかな対応を心より願うところです。
局長、御答弁にありました一番開かない午前9時から10時の相生踏切に行ってみてください。地域の方へ向けて寄り添った局長の御答弁を期待し、この質問を終わります。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 相生踏切につきましては、私自身も改めて実際に現地を確認してまいりました。その中で、横断歩道橋について一定の利用者が確認できた一方で、高齢者や車椅子の方は遮断機が上がるのを待っておられ、横断時の安全かつ円滑な移動の観点から、さらなる改善が必要であるというふうに感じたところでございます。本市としましても、相生踏切横断歩道橋につきましては、バリアフリーの観点からエレベーター設置の必要性が高いと認識しており、当該箇所のエレベーター設置に向け、しっかり検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) エレベーター設置、ぜひよろしくお願いします。
3つ目のテーマ、安心できる自転車環境の整備について伺います。
博多区では、令和6年3月に桜並木駅が開業し、新たなまちの景色が広がっていますが、その近くで気になる道路があるので、まずその場所についてお尋ねいたします。
西春町から春町にある桜並木は地域の皆様に愛されています。そこにある桜並木通りの車道は幅が広いため、片側1車線を実質2車線として使用されている道路ですが、この道路は1車線なのか2車線なのか曖昧で、どこを走行していいか分からないといった声もよく聞いております。
そこで、この道路について、自転車道整備や歩道の拡幅計画があるのか、お伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 当該道路は、都市圏南部を東西に結ぶ都市計画道路那珂川宇美線として位置づけられておりますが、現時点におきまして、自転車通行空間や歩道の拡幅を含む都市計画道路整備の予定はございません。一方で、西鉄天神大牟田線の高架化に伴う踏切の廃止や桜並木駅の開業により、当該道路を通行する自動車の速度上昇及び歩行者や自転車の増加など交通環境の変化や、地域の皆様に親しまれている桜並木が形成されていることを踏まえながら、交通安全対策について検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 地域の皆様から関心が高く、問合せが多い場所であることを踏まえて対応を願います。
個別の話はこれぐらいにして、ここからは全体的な自転車環境整備についてお尋ねします。
各区の自転車通行空間の整備状況と今後の計画についてお伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 各区の令和6年度末時点における自転車通行空間の整備延長につきましては、東区55.6キロメートル、博多区14.9キロメートル、中央区17.3キロメートル、南区18.1キロメートル、城南区4.1キロメートル、早良区15.2キロメートル、西区26.8キロメートルとなっており、整備の総延長は152キロメートルでございます。今後の計画といたしましては、現在策定中の自転車活用推進計画において、令和10年度末までに累計190キロメートルを整備する予定であり、令和7年度は10.1キロメートルを整備する予定でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 整備の進まない道路への課題と対策についてお伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣道路下水道局長。
○道路下水道局長(竹廣喜一郎) 自転車通行空間につきましては、道路幅員が限られているという制約の中で車道部に整備を進める必要があり、幅の狭いタイプの側溝に改良することや中央分離帯を縮小するなど、自転車、自動車それぞれの有効幅員をなるべく広く確保できるよう工夫しながら整備を進めております。以上でございます。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 本市の自転車が関連した事故の件数について、また、自転車対歩行者、自転車対車両、自転車単独について、それぞれ10年前、5年前、直近でお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの事故件数につきましては、平成27年が2,582件で、うち対歩行者が89件、車両相互が2,484件、自転車単独が9件、令和2年が1,439件で、うち順に73件、1,363件、3件、6年が1,212件で、うち順に64件、1,148件、ゼロ件となっております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 事故件数は減少傾向にあるようです。
自転車が関連した事故で、自転車乗用中の死者数を10年前、5年前、直近でお示しください。
あわせて、その事故が発生した区と亡くなられた方の年齢層をお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自転車乗用中の死者数、事故が発生した区、亡くなられた方の年齢層の順で申し上げますと、平成27年は死者2人、博多区と中央区で30代と50代、令和2年は死者2人、博多区と西区で70代と80代以上、6年は死者2人、いずれも東区で70代と80代以上となっております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 死者数は横ばいで、高齢者層の死者数が増えているようです。
自転車事故や検挙されるのはどのような場合が多いのか、お示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 県警察によりますと、自転車事故につきましては、自転車と自動車や自転車同士といった車両相互の出会い頭や左折時の事故が多く、また、検挙につきましては、信号無視や整備不良、通行区分違反によるものが多くなっております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 自転車に乗る方の保険への加入状況について伺います。
条例施行前の5年前と直近でお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 保険の加入率につきましては、市政アンケート調査によりますと、令和2年度が52.4%、6年度が66.8%となっております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 加入率が15%以上上昇したことから、条例施行の効果があったようです。
令和2年から福岡県だけでなく、本市においても、条例で損害賠償保険の加入が義務になっていますが、加入率向上に向けた本市の取組と今後の目標値についてお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 保険の加入率向上に向けましては、市政だより、市ホームページ、SNSなどを活用した広報や、自転車販売店や自転車安全利用推進員による周知協力に加え、街頭キャンペーン、自転車教室、出前講座など様々な機会を捉えて周知、啓発を行っております。また、保険加入率の目標値は100%としております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 御答弁によると、目標値100%とのことですが、ここ数年はずっと60%台で推移していると伺っています。
100%という目標は、いつまでに達成することを目指されているのでしょうか。また、どのようにして達成を目指すのか、具体的な対策についてもお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 加入率の目標年次は令和10年度としております。具体的な対策につきましては、これまでの取組に加え、デジタルサイネージを活用した広報や保険会社と連携した啓発活動などを行ってまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 目標までまだ遠いため、さらなる取組を求めます。
自転車ヘルメットの着用率について伺います。
努力義務になる前と現在の数値をお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 県警察の調査によりますと、福岡市を含む福岡地区のヘルメット着用率は、令和5年2月が3.5%、6年7月が11.9%となっております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 努力義務となり、一定の効果を感じる着用率の伸びではありますが、この着用率は全国平均でどのような位置づけなのか、お示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 警察庁の令和6年7月の調査によりますと、ヘルメット着用率の全国平均は17.0%となっておりまして、福岡地区の着用率は全国平均を下回っております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 着用率改善のために本市が行っていることや、今後の目標値があればお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 着用の促進に向けましては、市政だより、市ホームページ、SNS、デジタルサイネージなどを活用した広報や、県警察の自転車ヘルメット着用推進宣言事業所制度の周知に加え、県警察と連携した街頭キャンペーン、自転車教室、出前講座など様々な機会を捉えて周知、啓発を行っております。今後とも、さらなる着用率の向上に向けて啓発に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) ヘルメット着用率の目標がないようです。
外国人の方への交通ルールの周知方法を伺います。
現在の対応を示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 外国人への周知につきましては、交通安全全般のルールについて、多言語で表記したチラシやパンフレットの配布、市のホームページでの案内などを行いますとともに、日本語学校に通う学生に交通安全の出前講座を実施しております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 博多区では、御笠川沿いの道を博多駅に向かって多くの方が並んで走行されている時間帯があり、車両の方も歩行者の方も大変怖いとの声をいただいています。全員が海外出身の方ではないと思いますが、現地で拝見した限りではその比率が高いように感じました。一方、自転車のチラシを拝見すると、県からも市からもたくさんのチラシが存在し、どれが一番持っておくべき情報なのか、市民にとっては分かりにくいとの声があります。日本人ですら分かりにくいのですから、海外の方にしてみればなおさらです。
資料19を投影してください。(資料投影)多言語対応のチラシになります。並進を禁止するイラストはなく、2人乗りのイラストのみです。多言語対応版以外のチラシでは掲載されているものもありました。投影ありがとうございました。
このように、外国人向けのチラシには、並進──並んで走行することを禁止についてのイラストがついていなかったりするため、本市から配布するものについては、共通した情報を分かりやすく提示していくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 交通ルールにつきましては、イラストを活用するなど、より分かりやすい広報物を作成して周知、啓発に努めてまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
道路交通法上、自転車は車道の通行が原則ではありますが、どのような場合なら歩道の通行ができるのかをお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 普通自転車が歩道通行できるのは、道路標識や道路標示によって普通自転車が歩道を通行できることとされているとき、普通自転車の運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の者または車道通行に支障がある身体障がい者であるとき、車道または交通の状況に照らして、通行の安全を確保するために普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるときとされております。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) いわゆるママチャリを使われている方などから、車道を走るのは自転車通行空間や矢羽根があっても怖いため、歩道を走っては駄目でしょうかとの声がよく寄せられます。
今御答弁をいただいた普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるときとは具体的にどのような場合になるのか、もっと市民が理解できるような周知をすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねのやむを得ないと認められるときにつきましては、国家公安委員会告示の交通の方法に関する教則によりますと、「道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所を通行する場合や、著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などとの接触事故の危険がある場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき」とされております。また、交通ルールの詳細につきましては、市ホームページやSNSなどを活用し、分かりやすく丁寧な周知に努めてまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
2026年4月1日には、改正道路交通法の施行により、自転車に対しても反則金制度の導入が予定されています。その施行を控え、多くの市民の方から、自転車通行空間の整備や反則行為の案内をしっかりせずに取締りだけを進めないでほしいとのお声をいただきました。
そのため、特に取締りの対象となる項目について、分かりやすく市民に周知していただきたいのです。自転車ルールの周知用チラシの完全版や多言語対応版ガイドブックといった広報物を作成いただき、全戸配布、スーパーやホームセンターなど身近な場所での配布もあると市民に情報が届きやすいと考えますが、改正道路交通法の新ルールについて、福岡市ではどのように市民に周知していかれるのか、お伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自転車に対する反則金制度の導入など、道路交通法の大きな、また、広範な改正が控える中、新しい交通ルールを周知し、理解の普及を図ることが重要であると考えております。このため、多言語版を含め、改正法の内容を反映させたチラシやリーフレットなどを作成しますとともに、市ホームページ、SNSを活用した啓発、また、広報物の全戸配布を検討するなど効果的な周知を行ってまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 市民の関心が高いことをお伝えしておきます。
地域における危険箇所、運転注意場所の共有や講習はどのように行われているのでしょうか。保険の加入率も100%にはまだ遠い状況でした。また、講習の受講者を増やし、多くの方に交通ルールを理解していただくため、受講者へのヘルメットの助成、プレゼントなど新たな促進をしてはどうかと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域におきましては、福岡市通学路交通安全対策点検プログラムに基づき、通学路の危険箇所を把握したり、地域住民で校区の安全安心マップを作成し、危険箇所等を共有するとともに、様々なリスクを紹介する出前講座を実施いたしております。教室や講座におきましては、交通安全に資する啓発品を活用しながら、効果的な啓発に努めているところでございます。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 自転車のヘルメット助成については、多くの自治体で始まっており、市民からの要望も多いお話です。全市的に行うのが難しいのであれば、通学に自転車を使わなければいけない御家庭や地域を絞ってのモデルケースからでも取り組んでいけば、全国平均よりも低かったヘルメットの着用率向上や事故の場合の効果検証も図れると考えます。事故の際に命を落とされる方は頭部へのけがが多いためです。
ぜひ福岡モデルについて御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自転車乗用中の交通事故で亡くなられた方は、過半数が頭部に致命傷を負っており、被害の軽減には頭部を守ることが重要であることから、ヘルメットの着用が努力義務化されたものと承知をしております。ヘルメットの着用促進に向けましては、今後、他都市の動向なども注視しつつ、地域や学校、民間企業、また、県警察や関係団体との連携、協力を行うなど効果的な取組を検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) よろしくお願いします。
改善していくべき内容もありましたが、本市は自転車に乗る方とともに発展してきたまちでもありますし、これからさらにそうであってほしいと願います。
安心できる自転車環境の整備に向けて、島市長に決意をお伺いし、質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 自転車は、通勤や通学、買物などの日常利用だけではなくて、観光やスポーツなどのレジャー分野でも幅広く利用されており、市民や来訪者の方にとって安全で便利な自転車利用環境を整えることは重要であると考えてございます。今後とも、福岡のまちをより安全、安心に走ることができるように、地域や県警察、関係機関、団体や民間企業などと連携を図りながら、自転車の走行ルールや安全利用の啓発、自転車の通行空間の整備など、ソフト、ハード両面から自転車利用環境の向上に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、実効性ある学校の働き方改革の推進、博多港カーボンニュートラルポート形成計画の推進についての2点を質問します。
初めに、実効性ある学校の働き方改革の推進についてです。
文科省が昨年12月公表した2024年度採用の公立学校教員採用選考試験の採用倍率は小学校が2.2倍と前年度の2.3倍から低下し、過去最低、中学校も4.0倍と過去最低となるなど厳しい状況となっています。
本市の教員採用候補者選考試験の状況はどうか、小中学校教諭の過去3年間の受験者数と採用倍率の状況はどうか、お尋ねします。
以上で1問目は終わり、2問目以降は自席で行います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 過去3年間の教員採用試験の受験者数と採用倍率について、実施年度で申し上げますと、小学校は令和4年度689人、2.0倍、5年度678人、2.4倍、6年度693人、2.2倍、中学校は4年度594人、2.7倍、5年度565人、3.5倍、6年度580人、3.0倍となっております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 小学校の受験者数は過去3年間680名前後と横ばい、採用倍率は2倍台を推移し、全国の採用倍率と同様に下がり、中学校も同様の傾向にあります。
10年前と20年前の採用倍率はどうか、小中学校教諭の採用倍率をお尋ねします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 採用倍率につきましては、10年前の平成27年度が小学校3.7倍、中学校8.8倍、20年前の平成17年度が小学校4.2倍、中学校13.2倍となっております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 小学校の採用倍率は20年前の4.2倍から2024年は2.2倍、中学校は20年前の13.2倍から3.0倍と大きく下がっており、大変憂慮される状況となっています。
教員志望者の減少要因について、市教委の認識はどうか、所見を伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 受験者数の減少につきましては、文部科学省によりますと、従来、講師を続けながら採用試験を受験してきた層の正式採用が進んだことにより、既存の受験者が減ってきていることも要因の一つとされております。このような中、本市におきましては、資質と意欲がある教員を確保するため、教員の負担軽減や教員の魅力の発信に努めているところでございます。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 長時間勤務の解消をはじめ、負担軽減等に努めているとの答弁でした。そして、もう一つ懸念されているのが、教職員の精神疾患に起因する休職者数の増加です。
文科省が2024年12月に公表した人事行政状況調査によれば、精神疾患による休職者数と在職者に占める割合は、2021年度5,897人、0.64%、2022年度6,539人、0.71%、そして、2023年度が7,119人、0.77%と前年度から580人増加し、割合も過去最多となっています。
本市の場合はどうか、過去3年間の精神疾患による休職者数と在職者に占める割合をお示しください。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) お尋ねの休職者数とその割合につきましては、令和3年度が87人で1.07%、4年度が94人で1.13%、5年度が89人で1.06%となっております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 私は、2020年12月議会で学校教職員の心の健康づくりについてお尋ねしました。
2019年度から2024年度までの第3次計画の目標は0.45%と設定されていますが、達成されたのかどうか尋ねます。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和6年度は1.01%となっており、目標の達成には至っておりません。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 全国の割合が0.6%から0.7%台を推移しているのに対し、本市はそれを上回る1%台にもなり、しかも、目標の2倍を超える厳しい結果となっています。
休職者が増加している要因について伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 心の病につきましては、様々な要因が複雑に絡み合って発症する場合が多く、要因を特定することは難しいですが、本人の申立てや診断書から分析いたしますと、職場の人間関係のほか、保護者対応や生徒指導などが要因と思われるものが多くなっております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 教材研究や授業の準備、生徒指導や部活動、そして、保護者の対応など業務内容が多岐にわたり、いじめ問題や不登校あるいは学級の荒れなどが生じた際は保護者対応も加わり、大きなストレスとなります。同僚や先輩教員にクラスの子どものことで悩みを打ち明け、ゆっくりとアドバイスを得る機会もほとんどない状況で、自分を追い込んでいく場合もあります。長時間勤務を解消し、学校にゆとりの時間をつくる必要があります。
2022年4月に策定された福岡市立学校における働き方改革推進プログラムでは、2024年度までに教職員の時間外在校等時間を校種別平均で月45時間以内、時間外在校等時間が月100時間以上の教職員をゼロにすると目標を設定していますが、達成されたのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 時間外在校等時間を月平均45時間以内とする目標については、令和6年度において、小学校は約31時間、中学校は約34時間となるなど全校種で達成しております。また、月100時間以上の教職員をゼロにする目標については達成に至っておりませんが、令和6年度は小学校、中学校ともに4年度と比較し、約3分の1となるなど大幅に改善しております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 教職員の時間外在校等時間が減少しつつあるとのことですが、月100時間以上をゼロの目標は未達成です。時間外在校等時間が縮減されたとしても、家への持ち帰り業務が増えることがあってはなりません。
2023年、学校の効果的な働き方改革の取組につなげることを目的に、小学校2校、中学校2校を対象に専門コンサルタントによる福岡市立学校における勤務実態調査及び業務改善支援業務を実施しています。
専門コンサルタントの役割並びに調査内容についてお尋ねします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 専門コンサルタントの役割につきましては、調査の実施、集計を行うとともに、外部の専門的な視点から課題分析や改善に向けた提案や支援を行うことであり、調査内容については、対象校の全教職員における1週間の勤務実態の把握でございます。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 昨年3月、実施業者より報告書が提出されました。
学校における働き方改革の進め方について、どのような改善策が提案されたのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 改善策につきましては、長時間勤務が継続している教職員への管理職による個別改善計画の作成など働き方改革への意識改革、教員以外のスタッフや外部委託の活用など業務の役割分担、適正化、行事や研究授業の精選、簡素化など業務の廃止、簡素化、パソコンの性能向上やICTの活用など業務の効率化、2学期制の導入や授業時数、時程の見直しなど作業時間の確保の5つの視点から提案されております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 報告書では、外部委託の活用としてプール清掃が提案されています。本年度より小学校37校での民間プール活用事業が始まりましたが、残りの110校では、指導員が配置されるとはいえ、従前の水泳学習のままで、6月には多くの教職員と高学年の児童がプール清掃をしなくてはならず、担当の教職員は前日から清掃のための準備をしなくてはなりません。
民間事業者に委託し、その準備や清掃の時間を授業に充てるべきと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 小学校のプール清掃につきましては、前日にデッキブラシなどの清掃道具を準備し、当日は高学年の児童が2時間程度かけ、年1回の清掃を行っております。一方、プール清掃を民間事業者に委託している学校もあり、今後も各学校の実情に応じて対応していくものと考えております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 学校規模により配当された学校予算では、民間委託ができる学校とできない学校があります。全ての学校ができるよう予算をつけるべきと要望します。
また、2学期制の導入やチーム担任制の活用が挙げられています。2学期制について、本市の実施校数と市教委の方針について伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 2学期制につきましては、小学校86校、中学校16校、特別支援学校3校で実施しております。本市では3学期制を原則としておりますが、学校や地域の実態など、教育上必要があると校長が判断した場合は、教育委員会の承認を受けて、2学期制とすることができるようにしております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 2学期制については、校長の判断に基づき教育委員会の承認を受け、実施されているとのことです。また、報告書では、授業時数や時制の見直しが提案されています。
長時間勤務が常態化している大きな要因は、授業時間の増加が大きな要因と考えます。現在の学校の教育活動は、2017年に告示された学習指導要領に基づき、各教科や道徳、外国語活動、総合的な学習等の年間の標準授業時数は、小学1年生は850時間、小学校高学年及び中学校は1,015時間です。前回の学習指導要領に比べ、小学校3年生から6年生までは35時間増え、小学校高学年は週4日から5日間は6時間授業となっています。当然、各教科の指導内容も増えています。
資料1をお願いします。(資料投影)これは、文科省が昨年、2024年10月に公表した全国の小中学校における不登校児童生徒数の推移です。平成28年には13万人を超え、令和2年には約20万人、以降急増しています。文科省は、コロナ禍の影響による登校意欲の低下等を主な要因としていますが、全国一斉学校休校は令和2年3月からであり、5類に移行した令和5年は過去最多となっています。コロナ禍の要因も否定はしませんが、大きな要因は、平成29年改訂の学習指導要領にあると考えます。本格実施は令和2年ですが、先行実施されたのが平成30年です。グラフを見ても分かるように、平成30年から不登校の増加幅が大きくなっています。授業時数と学習内容の増加が子どもたちに負担をかけ、いわゆるカリキュラム・オーバーロードの状態に陥り、結果として子どもたちが学校を遠ざけていることも否定できません。資料ありがとうございました。
一方、教員は僅かな空き時間や昼の休憩時間を利用し、教材研究や準備に汗を流しています。この教材研究や学習の準備のための時間を勤務時間内に確保しない限り、持ち帰り仕事を含め、長時間勤務は解消しません。文科省の2024年度調査によれば、年間の授業時数が標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成、実施している学校は減少したものの、依然として改善していない学校があるとしています。
本市の学校の状況はどうか、また、仮に標準授業時数を大幅に上回る教育課程を編成している学校があるときに教育委員会はどう対応するのか、伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 標準授業時数を大幅に上回るとは、文部科学省によりますと、年間の授業時数が1,086単位時間を上回ることであり、本市においては、これに該当する学校はございません。年間の授業時数につきましては、年度初めに各学校から計画の提出を求めており、1,086単位時間を上回っている学校があれば見直すよう指導しております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 本市では、標準授業時数を大幅に上回る学校はなく、もし上回ったときには適切に見直されているとのことですが、現在の授業時数のままでは放課後の教材研究や授業準備の時間が足りません。授業時数の削減が重要です。現在、次期学習指導要領改訂に向け、中教審において論議が行われています。次期学習指導要領の内容精選や標準授業時数の削減は不可欠と考えます。
教育委員会は、次期学習指導要領の内容精選や標準授業時数の削減を文科省に要求すべきではないかと思いますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学習指導要領につきましては、次期改訂に向け、現在、国で検討されているところであり、その動向を注視してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 学校現場の状況を、機会を捉え、ぜひ文科省に伝えてほしいと思います。
次に、土曜授業についてでございます。
2016年度より全ての小中学校、特別支援学校で代休日を設けない土曜授業が実施されています。
現在の実施状況はどうか、土曜授業の具体的な授業内容を尋ねます。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 土曜授業につきましては、現在、年2回実施しており、多くの学校では保護者や地域の方が来校し、日頃の教育活動を参観できるよう学習発表会や学習参観などを実施しております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 文科省の教育課程の編成・実施状況調査によれば、児童生徒の代休日を設けない土曜授業の全国の実施状況は、2018年度が小中学校ともに26.3%、2022年度は小学校が11.3%、中学校が11.9%と減少しています。本市では、2023年度より2回行われています。
学校現場からは、平日に比べ欠席者が多いとの声が聞かれます。出席状況の調査を実施したのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 土曜授業の出席の状況につきましては、令和4年度に調査を実施しており、平日より少ないと回答した割合が48%、変わらないと回答した割合が52%となっております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) また、教職員の代休措置はどうなされているのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 土曜授業に係る教員の代休につきましては、実施日を起算日として8週間前の日から16週間後の日までの期間において代休を取ることができることとしており、全ての学校が長期休業日等に代休が取れるよう考慮して土曜授業を行っております。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 他の政令指定都市の代休日を設けない土曜授業実施状況はどうか、尋ねます。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 他の政令指定都市におきましては、代休日を設けない土曜授業を一律に実施している都市はございません。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 本市のように、土曜授業を一律に実施している都市はないとのことです。
学校教育法により、教育課程の編成権は学校にあるとされています。学校長は、学習指導要領を標準とし、子どもの実態や地域の特性、保護者の思い、教職員の思いなどを勘案し、特色ある教育課程を編成することができるということです。
教職員組合の調査でも、教育委員会の調査と同様に習い事や家庭の都合、部活以外のスポーツ大会等で約47%の学校が平日に比べ欠席者が多いと答えています。また、学習発表会や授業参観等の準備などで土曜授業がない週に比べ長時間勤務が増え、疲れがたまるとの声もあります。
各学校長が子どもの実態や地域の特性、保護者や教職員の思いなどを考慮し、年1回またはなし、代休ありの土曜授業の実施など各学校の判断に任せていいのではないかと思いますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 代休を伴わない土曜授業につきましては、平成28年度から年4回以上実施し、令和5年度からは年2回の実施としており、その在り方については引き続き検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 教員採用試験の低倍率や精神疾患に起因する休職者数の増加、授業時数過多を一つの要因とする不登校の増加など、これらの学校の課題解消に向け、実効性ある学校の働き方改革が推進されなければなりません。最後に教育長の所見を伺い、この質問を終わります。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校の働き方改革につきましては、これまでもソフト、ハード両面からの負担軽減や意識改革に取り組むなど、その推進を図ってまいりました。今後も第3次福岡市教育振興基本計画に基づき、教職調整額の増額による処遇改善などにより、資質のある人材の確保を図るとともに、支援スタッフの配置、拡充による指導、運営体制の充実や、クラウド型校務支援システムの導入など業務の適正化、効率化を進め、教員の負担軽減を図るなど学校の働き方改革をさらに推進してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 次に、博多港カーボンニュートラルポート形成計画の推進について伺います。
この形成計画は、2023年11月に策定されました。計画では、市が掲げるチャレンジ目標、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に貢献するため、脱炭素化に関する具体的な取組等について定め、官民で連携し、カーボンニュートラルポートの形成の推進を図るとしています。
削減に向けての計画目標をお示しください。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 博多港カーボンニュートラルポート形成計画における二酸化炭素排出量の削減目標につきましては、国際海事機関、IMOが目標を定める外航船舶を除き、2030年度に2013年度比で50%削減、2040年度に実質ゼロとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) ほかの港はどのような計画となっているのか。
博多港と同様、外貿コンテナと内貿コンテナの両方を取り扱い、国内の主要な貿易拠点港として国際戦略港湾に指定されている東京港や横浜港、神戸港、そして、博多港とともに福岡県で国際拠点港湾に指定されている北九州港のカーボンニュートラルポート形成に関わる計画目標はどうなっているのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 国内他港の二酸化炭素排出量の削減目標については、東京港は2030年に2000年比で50%削減、2050年に実質ゼロ、横浜港は2030年度に2013年度比で47%削減、2040年度に74%削減、2050年度に実質ゼロ、神戸港は2030年度に2013年度比で46%削減、2050年に実質ゼロ、北九州港は2030年度に2013年度比で47%削減、2050年に実質ゼロとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) どの港も2050年度、実質ゼロに設定しているのに対し、博多港は10年前倒し、2040年度を実質ゼロの年度としています。また、横浜港、神戸港、そして、北九州港が中間目標年次、2030年度に約47%削減を設定しているのに対し、博多港はそれを上回る50%と高い目標を設定しています。港に寄港する船舶や貨物、コンテナを輸送する車両、物流施設、道路照明など格段の取組が必要です。
本市では、取組の対象となる主な施設をターミナル内、ターミナル外、車両、内航船舶、外航船舶と5つに区分していますが、削減計画はどのようになっているのか、基準年度である2013年度のCO2排出量と中間年度である2030年度のCO2排出目標量の合計並びに、取組の対象となる5つの区分ごとにお示しください。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 博多港における二酸化炭素排出量については、排出源ごとにコンテナや旅客を扱うターミナル内、臨港地区内の事業所などを対象とするターミナル外、臨港地区内の車両、博多港に寄港する内航船舶と外航船舶の5つの区分で推計しております。基準年度である2013年度の排出量は合計50万2,000トンで、その内訳はターミナル内が1万1,000トン、ターミナル外が25万5,000トン、車両が10万8,000トン、内航船舶が11万5,000トン、外航船舶が1万4,000トンでございます。また、2030年度の目標値は合計25万3,000トンで、その内訳はターミナル内が5,000トン、ターミナル外が6万5,000トン、車両が7万8,000トン、内航船舶が9万5,000トン、外航船舶が1万1,000トンとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 基準年度の2013年度のCO2排出量は50.2万トン、その割合は多い順にターミナル内外が53%、船舶が26%、車両が21%となっています。2030年度までの削減目標は、ターミナル内は0.6万トン、ターミナル外は19万トン、車両は3万トン、内航船舶は2万トン、外航船舶は0.3万トン、合計で約25万トンとなります。
では、実際どれだけ削減できたのか、ターミナル内、ターミナル外、車両、内航船舶、外航船舶それぞれの最新のCO2排出量並びに合計数をお示しください。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 直近の2021年度の二酸化炭素排出量については、合計49万9,000トンで、その内訳はターミナル内が1万トン、ターミナル外が21万9,000トン、車両が10万9,000トン、内航船舶が14万4,000トン、外航船舶が1万7,000トンとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 資料2をお願いします。(資料投影)答弁があった2021年度のCO2排出量を先ほどの計画目標に入れ込むと、基準年度である2013年度に比べ、ターミナル内外はCO2排出量は削減されているものの、車両は横ばい、内航船舶、外航船舶は削減どころか、それぞれ26%、20%と2013年度を大きく上回っています。資料ありがとうございます。博多港の入港船舶数について、当局の資料によれば、2024年の入港隻数は2万4,484隻、国際海上コンテナ定期航路は2025年5月現在、42航路、月間210便が就航しています。博多港では、本計画策定以前からもコンテナターミナル内でのコンテナの荷役機械であるトランスファークレーンの電動化やハイブリッドストラドルキャリアの導入、コンテナ輸送トラックの渋滞緩和につながる物流ITシステム等の導入が図られてきています。
ターミナル内、ターミナル外、車両、内航船舶、外航船舶それぞれのCO2排出量削減に向けての取組実績についてお尋ねします。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 二酸化炭素排出量の削減に向けた取組については、ターミナル内ではヤード照明などのLED化、ターミナル外では市有施設における再生可能エネルギー由来電力への切替えや道路照明のLED化、車両ではコンテナ運搬車両におけるバイオ燃料導入の実証実験、内航船舶及び外航船舶では市有船舶におけるバイオ燃料の導入や環境配慮型船舶に対する入港料の減免制度の導入などを行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) ターミナル内外については、ヤード照明等のLED化や再生可能エネルギー由来電力への切替え等により、目標達成に向け、削減が進んでいるようです。課題は、車両や船舶のCO2排出量をいかに削減するかです。車両については、水素車両や低炭素型のディーゼル車の導入やEV、FCV車両の導入が期待されますが、価格や供給体制に課題があり、普及までに相当の時間が必要です。船舶については、CO2を排出しない水素やアンモニア等の次世代型燃料を使用する環境配慮型船舶の開発、導入が進められていますが、CO2排出量が増えているだけに、削減に向けての取組を急ぐ必要があります。2022年7月、福岡県トラック協会や船舶事業者、福岡地区旅客船協会など民間事業者で構成される博多港カーボンニュートラルポート形成推進協議会が設置され、これまで計6回の協議会が開かれています。
輸送事業者や船会社等の民間事業者からどのような課題や要望が出されているのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 博多港カーボンニュートラルポート形成推進協議会においては、民間事業者にとっては、環境意識だけで脱炭素化によるコスト増を受け入れることが難しいことから、規制やインセンティブ制度づくりを行政主導でお願いしたい、また、船の更新に係る補助や岸壁使用料の減免など環境配慮型船舶の導入に対する経済的な支援をお願いしたいなどといった要望が出されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 船舶に対する補助や岸壁使用料の減免、LNGや水素を使った環境配慮型船舶への支援の要望が出されていますが、本市の対応はどうか、また、実績はあるのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 御意見や御要望も踏まえ、令和6年4月に環境配慮型船舶に対する入港料の減免制度を創設しておりまして、液化天然ガス、LNGを主燃料とするクルーズ船に対し、令和7年6月1日現在までで4回、当該制度を適用しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 停泊中の船舶は、船内のディーゼル発電機を稼働して、船内の必要な電気を得ています。陸上から受電できるようにすれば、アイドリングストップが達成でき、CO2排出抑制に大きな効果となります。業界の新聞によれば、神戸港コンテナターミナルの年間約6万トンのCO2排出量のうち、約48%が停泊中のコンテナ船から排出されていると報じています。
国においては、カーボンニュートラルポート形成を促すため、船舶への陸上電力供給設備に対し、財政的な支援を行っていると聞いています。内容についてお尋ねします。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 国による財政支援については、陸上電力供給設備の整備に対する補助制度や国の補助を受けて港湾運営会社が整備した陸上電力供給設備に対する固定資産税の減免制度がございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 資料3をお願いします。(資料投影)写真の左側に海上保安部が使用している中央ふ頭の船だまりに整備されている陸上電力供給設備があります。このほか、市営渡船渡船場やクイーンビートルが停泊していた同イベントバース等にも既に陸上電力供給設備が整備されています。資料ありがとうございました。
大型コンテナ船などは必ずしも同じ位置に接岸するわけではないので、まずは定期的に同じ位置に接岸する国内RORO船や釜山−博多間の定期船の運営事業者等に設備整備を働きかけるべきと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 博多港を利用する船会社に対しては陸上電力供給設備の導入に関する聞き取りを行っておりまして、さらに定期航路を有する船会社に対しては、船舶の更新などに合わせて船舶側に必要となる受電設備を設置するよう働きかけております。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 横浜市は、地元企業と連携して、電気を海上輸送する電気運搬船導入の検討を2024年、始めています。また、神戸市では、2023年に停泊中船舶への陸上電力供給の促進と供給可能な船舶の普及を目的に陸上電力供給システムの利用・利用料に関する要綱を定め、体制を整えています。
本市は、これらの港より10年も早く、2040年度にカーボンニュートラルポートを目指しているのだから、陸上電力供給設備の普及に向けて格段の取組が必要です。今後の取組について伺います。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 陸上電力供給設備については、現在、須崎ふ頭地区において、定期的に運航されている貨物フェリーを対象に整備を進めているところでございます。一方で、船舶側に必要となる受電設備については、内航船舶の統一規格がなく、受電設備がない船舶も多いなどの課題がございますことから、国に対し、規格の統一や受電設備に対する補助などの支援を提言いたしますとともに、船会社に対しても、船舶の更新などに合わせ、受電設備を設置するよう引き続き働きかけてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 将来的に水素やLNGなどを燃料とする環境配慮型船舶の入港が期待されます。既に入港料の減免制度は導入されていますが、燃料供給体制が未整備です。EV、FCV車両の導入が待たれる中、水素ステーション整備の検討は未定です。早急に着手しなければならないと考えますが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) LNGを燃料とする船舶については、近年、世界的に導入が広がっておりまして、LNGの供給基地がございます北九州港を拠点としてLNG専用の燃料補給船が運航されていることから、博多港へ寄港する船舶への燃料供給体制は確保されているものと考えております。水素などを燃料とする船舶や大型物流車両については、現在、技術開発が進められているところであり、その動向などを踏まえ、将来的な燃料供給体制を検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) これまで、2040年度までのカーボンニュートラルポート形成に向けての進捗状況や今後の取組について伺ってきました。CO2排出量の削減は、車両は横ばい、内航船舶、外航船舶は削減どころか増加傾向にあり、2030年度の50%削減も残念ながら程遠い状況です。
チャレンジ的な目標を見直し、より実現可能な計画にすべきと考えます。最後に所見を伺い、質問を終わります。
○議長(打越基安) 鈴木港湾空港局長。
○港湾空港局長(鈴木順也) 博多港においては、脱炭素化を推進するため、博多港カーボンニュートラルポート形成計画に基づき、照明のLED化、市有船舶の省エネ改良やバイオ燃料の導入などを行ってきており、引き続き可能なものから市が率先して取組を進めてまいります。また、民間事業者の取組を促進していくため、博多港カーボンニュートラルポート形成推進協議会を活用し、機運の醸成を図りますとともに、国に対し必要な支援を働きかけるなど、計画の目標達成に向け、今後とも、官民で連携して脱炭素の取組をしっかりと進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
午後は1時10分に再開いたします。
午前11時30分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表いたしまして、保育行政について、物価高騰下における学校給食の質の維持向上について、2点質問をさせていただきます。
まず、保育行政についてです。
これまで我が会派からも、保育園への支援として、保育士の処遇改善や共働き世帯、ひとり親世帯が増えてきている中、待機児童の解消等を要望してまいりました。本市においても保育園に対して様々な支援を実施していただいておりますが、私が議員に初当選をした平成27年から10年が経過をし、保育行政を取り巻く環境や課題も大きく変わってきているのではないでしょうか。
そこで、本市において、これまでの保育行政での課題とその対策や支援はどのようなことをしてきたのか、また、その成果と現在の課題認識をお尋ねいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) これまでの保育行政におきましては、待機児童の解消が全国的な課題であり、福岡市は平成23年度以降、これまでに約1万8,000人分の保育所の整備を計画的に進め、平成24年度当初に893人であった待機児童数は、令和5年度並びに6年度はゼロとなったところでございます。現在の課題といたしましては、保育需要の地域的な偏りにより局所的に入所が難しいエリアが生じている一方で、定員に空きのある保育所が生じていること、発達障がい児の増加など配慮を必要とする児童への対応、保育人材の確保や保育の質の向上などに取り組んでいく必要があると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 続いて、本市の認可保育園数と利用者数、また、保育行政に係る予算の推移を平成27年度、5年前、直近でどのように変化をしているのかお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 認定こども園や小規模保育所を含む認可保育所等の施設数につきましては、10年前の平成27年度が279か所、5年前の令和2年度が453か所、直近、令和7年度が477か所、入所児童数につきましては、平成27年度3万1,928人、令和2年度3万8,834人、令和7年度3万9,521人、幼児教育、保育に係る予算推移につきましては、平成27年度415億7,400万円余、令和2年度615億9,600万円余、令和7年度757億400万円余となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) これまでの保育行政に係る予算は年々充実をしており、我が会派をはじめ、福岡市議会においても保育行政に係る取組をしっかり支援してきたこと、そして、福岡市が地方自治体に課せられている保育の義務に対してしっかり取り組んできた結果だと評価をいたします。しかしながら、保育需要の地域的な偏りにより、局所的に入所が難しいエリアが発生していること、その一方で、地域によっては定員割れが生じている園も生じていること、さらには保育士の成り手不足による保育士不足問題などをはじめ、解決していくべき課題はまだまだ残っているようです。これらの保育行政における課題解決に向けて、今後の取組をお尋ねしていきたいと思います。
まず、局所的に保育所に入所しにくい状況が発生しているとのことでしたが、本市における過去3年間の入所保留児童数の推移をお尋ねします。また、今年度当初の入所保留児童、さらに待機児童はどうだったのかを併せてお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 過去3年間の入所保留児童数は、令和4年度651人、5年度809人、6年度1,086人となっております。また、令和7年度当初の入所保留児童数は1,090人であり、そのうち待機児童数は4人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 令和5年度、6年度当初はゼロだった待機児童ですが、今年度は4名の方が待機児童となっておられるとのことです。
待機児童が生じた理由についてお尋ねします。また、入所保留児童も昨年に引き続き1,000名を超える状況ですが、入所保留児童数の内訳をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 4人の待機児童につきましては、いずれも医療的ケアなど、特別な配慮が必要な児童であり、保護者が希望する施設のほか、その周辺の施設も含め、看護師配置など、安全に保育を行うための受入れ体制を整えることが難しかったことによるものでございます。待機児童4人を除く入所保留児童の内訳は、特定の保育所を希望し、空きが出るまで待つ方が530人、企業主導型保育事業や幼稚園を利用する方が294人、育休延長を希望する方などが262人でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 今回、待機児童となった方も含め、我が子を保育園に預けたいけれども、保護者の希望する園への入所が難しく、やむを得ず空きが出るまで待つ選択をされ、入所保留児童となっている方も530人と少なくありません。改めて対応が必要と考えます。
令和5年度、6年度は、待機児童数がゼロであり、一定程度の成果が出ていたが、今回3年ぶりに待機児童が発生し、特別な配慮が必要な子どもたちの受入れ先の確保体制ができていないことなど、新たな課題が生じています。
そこで、待機児童や入所保留児童への対応として、今後どのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 待機児童並びに入所保留児童の対策につきましては、既存保育所の増改築等による定員の確保に努めるとともに、世帯の状況に応じて最適な施設を選択できるよう、きめ細やかな入所調整を行ってまいります。また、今回待機児童が生じた背景として、医療的ケアなど特別な配慮が必要な児童の受入れ体制の確保が困難な事例が生じたという課題も踏まえ、対応について検討が必要と考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) しっかり検討していただきたいと思います。一方で、定員に空きのある園も生じているとのことです。
そこで、保育所の定員割れについて、特に定員数と入所数に10名以上の差が生じている保育園の数をお尋ねします。また、市全体の定員数と入所児童数にどれだけの差が生じているのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 令和7年度当初時点で、定員に10人以上の空きが生じている保育所等の数につきましては、市内全ての保育所等477か所のうち116か所となっております。また、市全体の保育所等の総定員数は4万2,104人、入所児童数は3万9,521人であり、その差は2,583人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 利用定員と入所児童数の差は2,583人、令和7年度の入所保留児童数は1,090人とのことです。入所保留となった理由は様々でしょうから、簡単にはいかないことも理解していますが、数字だけを見ると、入所保留児童の解消もできるのではないかとも感じます。
待機児童、入所保留児童の解消のためにも、定員割れをしている保育園の活用をさらに進めていくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 定員に空きが生じている保育所等の活用を図るため、保育所の空き状況が分かる保育所空きマップなど、分かりやすい情報発信を行うとともに、区の子育て支援コンシェルジュによる保護者のニーズに寄り添ったきめ細かな相談対応により、需要と供給のミスマッチを軽減し、入所保留となる方が少なくなるよう努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 保育園は定員に応じた保育士の確保が求められますが、現状では定員を満たせていない保育園があり、その場合でも保育士は確保しておく必要もあり、園の運営が厳しくなっているとの声も聞きます。
そこで、現在定員を満たさない保育園にはどのような対応を行っているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 定員に空きのある保育所につきましては、地域における就学前の児童数や保育需要の状況等を踏まえ、各保育所の運営者と協議を行い、定員の適正化を図るなど、丁寧な対応を行っております。また、こども誰でも通園制度の実施による保育所の多機能化や認定こども園化により、空き定員の活用を促すなど、各保育所の実情に応じた助言等を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 定員を見直した園もあるとのことですが、利用定員減の見直しを行った園は、過去3年間でどれくらいあるのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 過去3年間に利用定員を減らす見直しを行った保育所は、令和4年度23か所、5年度16か所、6年度8か所となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) また、保育園から認定こども園に移行した園は、過去3年間でどれくらいあるのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 保育所から認定こども園に移行した園の数は、令和5年度5か所、6年度30か所、7年度24か所となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 定員数の見直しや認定こども園へ移行する園が少ないことの理由などもしっかり把握をしていただきたく、よろしくお願いいたします。
次に現在、社会全体として育児休業の取得が推奨されておりますが、本市の育休取得率は5年前に比べてどうなっているのか、また、本市における育児休業取得者の取得期間がどのように変化しているのか、データがあればお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 福岡市における育児休業取得率につきましては、市が行った福岡市内事業所における労働実態調査によりますと、令和6年度は女性が96.9%、男性が48.7%、5年前の令和元年度は女性が94.9%、男性が5.1%となっております。また、育児休業取得期間の変化につきましては、5年前の調査には項目がなく比較できませんが、令和6年度の調査において、女性の平均育児休業取得期間が9か月を超えていると回答した事業所の割合が89.5%となっており、産後休暇と併せて、子どもが1歳になる時期まで休みを取得する人が多いものと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 育休の普及は、必然的に保育園へのゼロ歳児の入所の減につながると思いますが、現状のゼロ歳児の保育園への入所状況はどうなっているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) ゼロ歳児の年度当初の保育所入所の状況につきましては、令和元年度が2,939人で、それ以降、年々減少傾向であり、令和6年度から7年度にかけては横ばいで推移をしており、令和7年度は2,534人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) ゼロ歳児の入所数は令和元年と比べると確実に減少しておりますが、年度当初にゼロ歳児の予定定員が満たせない場合でも、育休からの復帰時期によりゼロ歳児の入所は年度途中から増えますので、園はその点も見込んで、年度当初から保育士を確保しておく必要があります。一方で、園に支給される運営費は、その月ごとの入所児童数に応じて支給されますので、早い時期に定員を満たすことができなければ、園の負担が大きくなるとの声もあります。
そこで、このような状況を本市としてどのように考え、そのことへの園への支援などはしているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 保育所が安定して運営できるよう、保育需要等の変化に適切に対応していくことが大変重要であると考えております。このため、地域における保育需要の動向を踏まえ、関係団体及び運営者と意見交換を行った上で、必要に応じ、歳児別の定員の見直しを要請するなど、定員の適正化に取り組んでおります。また、現場の負担軽減のため、充実保育士の配置助成を行うなど、保育施設の運営の支援に努めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 地域性など、様々な状況から保育需要と供給に差が生じると思いますが、各保育園の安定した運営のためにも、各園と連携し、取組を進めていただきたいと思います。
次に、本市は全国に先駆けて令和5年度からこども誰でも通園制度を実施しております。この制度は来年度からは全国的に実施される予定だと聞いておりますが、福岡市は先行的に実施をしております。
そこで、この制度の概要と活用している実施園数と利用者の数をお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) こども誰でも通園制度は、保護者が就労等の要件を満たしていなくても、保育施設等を利用できる制度であり、令和6年度の実施施設数は33か所、利用者数は760人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 通常、保育園に子どもを預けることができるのは働く世帯などでありますが、この制度は働いていない世帯のゼロ歳から2歳までの子どもも預かることができる制度となっております。そして、本市は利用可能時間を国基準の月10時間のところを月40時間まで預かれるようにしております。これはとてもすごいことであると感じております。単純計算でも40時間を1日の利用できる時間、8時間で割ると月5日の利用ができることになります。これまで仕事をしていないことで保育園には子どもを預けておらず、子育てをしていた中、いろいろな悩みを持っていたり、他の子どもとの触れ合いができずに悩んでいた親としては、悩みの相談や子どもとの接し方などのアドバイスなどを保育士さんからもらえたりすることもできると思いますし、子どもが早い段階から他の子どもとの触れ合いによる成長にもつながるよい制度であるとも思います。一方で、通常通ってくる園児と違い、この制度を利用して通う子は毎日通わないため、こども誰でも通園制度にて預かる子どもと通常預かっている子どもとで、様々な面で違いが出てくることで、保育士としての戸惑いもあるのではないでしょうか。
そこで、このような課題に対しての本市としての対応をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) こども誰でも通園制度を利用する子どもが保育環境に慣れるまでの期間は、保育士の負担軽減を図るために必要な保育士を増員するなど、各事業者に適切な人員配置等をお願いしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) このこども誰でも通園制度は、育休の取得により、年度当初のゼロ歳児の定員割れをしている園にとっては、園児の確保にもつながるよい制度であると感じます。一方で、こども誰でも通園制度にて定員が埋まることで、年度途中から入園を希望する働く世帯の子どもが入園できなくなるケースも想定されますが、御所見をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) こども誰でも通園制度の定員は、近年の入所の動向等を踏まえ、年度中途の通常入所に影響がない範囲内で設定するよう各事業者にお願いしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) この制度は、園児の通園状況に応じて、園に市の補助金が交付されますが、体調不良等で通園がキャンセルになった場合は補助金が交付をされません。園は園児の受入れのために保育士等を準備していますので、収入に穴が空くことになります。このような課題に対しての本市としての対応をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 体調不良等による当日のキャンセルにつきましては、通園実績があったものとみなして、各事業者に補助金を交付しております。なお、令和8年度からこども誰でも通園制度が子ども・子育て支援法に基づく給付制度になることに伴い、現在の補助金が公定価格として設定されることから、各事業者が安定的に運営できる仕組みとなるよう、現場の声を国に伝えてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) この実績があったというのも、キャンセルの日数によって違うと思います。また、このような課題に対し、いずれ国が対応するという考えではなく、現状困っている園はあるわけですから、本市として、利用者も保育園もどちらにもよい状況となるよう対応を検討すべきと強く要望しておきます。
時代や社会情勢とともに、保育園の在り方も変化していくこともあると思います。その一つがこのこども誰でも通園制度であると思いますし、この制度を活用される保育園が増えることも大切ですが、本来保育が必要な世帯ができるだけ希望する保育園に入所できることが最優先となりますので、保育園との調整など、しっかりしていただきますようよろしくお願いいたします。また、全認可保育園数に対して、誰でも通園制度を活用している園はかなり少ないことが先ほどの答弁でも分かりますが、定員に空きのある園等より、活用しやすい仕組みの検討を併せて要望しておきます。
次に、保育士の成り手不足による保育士不足に対して、まず、これまで本市としてその解消に向けどのような支援を実施してきたのか、お示しください。また、その効果がどうなっているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 保育士の人材確保に関するこれまでの取組につきましては、保育士・保育所支援センターを開設し、就職相談やあっせんを行うとともに、潜在保育士を対象とした就職準備金や保育料の一部貸付けに加え、福岡市独自の取組として、初任給調整や勤続手当の助成、家賃や奨学金返済支援を実施しているところでございます。また、指定保育士養成施設等を訪問して、担当教諭との意見交換や学生向けの就職PRと就職支援、保育現場の魅力向上支援などを実施しております。このような取組により、家賃支援などを開始する前の平成28年度には5,300人だった年度当初の保育士数が、令和6年度は7,850人に増加しております。また、福岡市内の指定保育士養成施設等を卒業後、保育所等へ就職した者のうち、福岡市内の保育所等へ就職した割合は、平成28年度の約40%から、令和5年度は約47%に上昇しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 様々な取組の効果は出ているようですが、一方で、今答弁にもありましたけれども、保育士養成施設を卒業するのに、資格を生かした保育士や幼稚園教諭、児童福祉施設職員などではなく、一般企業に進む方も少なくないと思います。その理由は把握しているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 保育士養成施設の担当者への聞き取りによりますと、在学中に保育士以外にやりたいことが見つかった学生が一定数いる一方で、保育実習などを契機に、保育士を目指すことを考え直した学生もいると聞いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 一度は保育士を目指しながらも、結局は一般企業に就職をするというのは、保育士不足の現状において大変もったいないように思われますが、こうした課題に対して、何か取組は行っているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 令和6年度から福岡市保育協会及び指定保育士養成施設と協力して、各保育所の保育実習担当者向けの研修を実施しており、この研修を通じて学生の声を保育所に伝えるとともに、各保育所が保育実習において、保育士としての仕事の意義ややりがいを学生にしっかりと伝えられるよう取り組んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 保育士を目指す学生さんたちに対して、保育という仕事の魅力をしっかりと伝えてほしいと思います。
次に、保育士の確保が難しく、人材紹介会社を利用して保育士の確保をしている園もあると聞きますが、このような会社を利用すると、高額な手数料がかかります。しかし、この手数料を支払ってでも確保した大切な保育士がすぐに辞めてしまう事例も多いと聞きます。保育園の金銭的負担は大きいでしょうから、何らかの対策が必要と思います。
そこで、本市には保育士・保育所支援センターが開所をされておりますが、このセンターの役割をお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 保育士・保育所支援センターは、保育士や子育て支援員のための無料の職業紹介所であり、就職相談員として、保育士資格を持つ保育所勤務経験者を配置し、保育所で働きたい求職者と求人を行う保育施設のニーズを聞き取った上で就職をあっせんしております。また、就職に関する相談や潜在保育士向けの就職支援研修会、ハローワークへの出張相談なども実施しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 保育士・保育所支援センターは無料で保育士の紹介を行っているとのことですので、ここがしっかりと人材マッチングを行い、成果を上げることで、各保育園が人材紹介会社へ支払う高額な手数料を抑えることができると言えます。引き続きしっかりと取り組んでいただきますようお願いをいたします。
それでは、現在社会全体で大きな課題でもある障がいのある子の保育についてお伺いをいたします。
障がいのある子は療育センター等の児童発達支援センターに通う子と、児童発達支援センターに通わせたいけれども通えていない子や、親の希望で通常の保育園に通い、並行して療育機関に通う子がいると思います。
本市では、保育園での集団生活になじむ児童について、令和元年までは障がい児保育という名称で事業を実施してきておりましたが、令和2年に特別支援保育事業へと名称を変更し、さぽーと保育という通称で実施されております。
名称変更に至った理由と、これまでと支援などの内容はどのように変化したのかお尋ねしますとともに、さぽーと保育事業の概要をお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 特別支援保育事業は、障がい児など、特別な支援を必要とする児童を保育所等で受け入れる事業であり、受け入れた保育所等に対し、加配保育士等の雇用費助成を行うとともに、療育センターなどの保育士による訪問支援、特別支援保育に関する研修会の実施、市の保育士による巡回訪問などを行っております。令和2年度より、障がい児に限らず、医療的ケア児など、特別な支援を必要とする児童を対象とした幅広い制度であることが分かる名称とするため、障がい児保育事業から特別支援保育事業、通称さぽーと保育に事業名を変更するとともに、医療的ケアを行う看護師の雇用費の助成や、障がいの程度が重い児童の支援区分を創設するなど、支援の充実を図ったところでございます。なお、名称の変更や対象児童の拡大に加え、判定を障がいの程度から児童が必要とする支援の程度に変更したことなどにより、申請しやすくなったとの声が聞かれるとともに、申請数が増加しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 続いて、過去3年間のさぽーと保育の対象児を受け入れている園の推移と、さぽーと保育の対象となる子の人数の推移をお示しください。また、直近の年度において、さぽーと保育の対象児を受け入れている園の全体に占める割合と、これまでさぽーと保育の対象児の受入れ実績のある園は全体の何割になるのか、お尋ねいたします。あわせて、障がいのある我が子を保育園に通わせている保護者の理由を把握していたらお示しください。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) さぽーと保育における過去3年間の受入れ施設数及び対象児童数の推移につきましては、令和4年度、275か所に1,056人、5年度、286か所に1,218人、6年度、283か所に1,354人であり、令和6年度、対象児童を受け入れている施設の全体に占める割合は、保育所等は86.7%、地域型保育事業所は14.5%となっております。また、これまでに受入れ実績のある施設は、保育所等は99%、地域型保育事業所は50.3%でございます。なお、保育所等に通わせている理由としましては、就労のほか、同年齢の友達と一緒にいろいろ経験をさせるためなどの声があります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 保育園がいろいろと努力をしていただいているところですけれども、それでは、さぽーと保育の対象者の障がいの種別はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 令和6年度のさぽーと保育対象児童の主な障がいの種別といたしましては、発達障がいが66.6%、次いで知的障がいが28.8%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) さぽーと保育では、対象児ごとに必要となる支援の程度に応じ区分を定め、支援区分ごとの加配職員雇用費を助成しているところですが、支援区分ごとの加配の考え方と、それを決めた根拠をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) さぽーと保育につきましては、支援の程度を5つに区分し、支援の必要性が低いほうから、支援区分1は児童3人に対し保育士1人、支援区分2は児童2人に対し保育士1人、支援区分3は児童3人に対し保育士2人、支援区分4または5は児童1人に対し保育士1人の配置としております。支援区分に係る考え方につきましては、保育、障がい、医療に関する学識経験者などで構成された福岡市こども・子育て審議会の障がい児保育検討専門委員会で審議され、福岡市こども・子育て審議会からの答申において示された内容を基に定めたものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 支援区分の中で、現在どの支援区分の子どもが多いのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 令和6年度の支援区分の状況につきましては、支援の必要性が比較的低い支援区分1が全体の約80%、支援区分2が全体の約15%でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 支援区分1が一番支援の度合いが低いということですが、私が保育園の先生からお聞きする中で、支援区分1の子でも多動の傾向がある場合など、安全面などを考えると1対1での対応が必要な子もいるとのことです。このような課題を認識されているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) さぽーと保育対象児童の実態が支援区分の判定と乖離している状況が把握された場合は、再判定を申請するよう助言しております。また、対象児童の実態が支援区分に正しく反映されるよう、判定する際の資料の一つとなる児童の個人記録表の作成において、支援が必要な状況を具体的に記入するよう、保育所等へ助言を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 先ほどの答弁で、さぽーと保育の対象児童は、発達障がいの子と知的障がいの子を合わせると全体の9割以上であります。そうした中、現在よく言われているグレーゾーンと言われる子どもたちもいますが、このグレーゾーンの子どもに対する課題は小学校等でも聞きますけれども、さぽーと保育の認定を受けていないけれども、他の子よりもさらに手厚い保育をする必要のある子もいると思いますが、なぜそのような子をさぽーと保育の対象にしないのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 福岡市においては、保護者からの申込みのあった児童について支援区分を判定し、さぽーと保育の対象としております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 京都市においては、保育園から依頼があると、委託している保育連盟の保健師が園を訪れ、園児の様子を観察し、手帳などを持っていない子でも手厚い保育が必要だと判断した場合は、市側の裁量で支援区分に該当するとしているとのことです。数百の園があるので、訪問調査をする保健師にとって大きな負担があるとのことでしたが、サポートが必要な子への手厚い保育を優先しているようです。
本市においては、さぽーと保育は親からの申出があることが条件となっておりますが、親が保育の現場と児童の状況を把握していない場合も考えられます。集団生活の中において、手厚い体制で保育をしたほうがその子のためになると保育現場が判断した場合は、保護者に理解してもらえるようなさらなる手法を用いていく必要もあるかと思いますし、保育園からの申請により支援する仕組み、例えば、心理士や療育センターの方等と連携し、保護者からの申請がなくとも、市の裁量において支援を要する児童をさぽーと保育の対象にし、そのために加配人件費を補助する制度などについて検討してはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。また、低い支援区分とされた児童であっても、さらに手厚い保育が必要とされる場合は、支援区分の変更をするなど、児童の状況に応じて柔軟に対応していく必要もあるのではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 福岡市においては、保護者からの申請があった児童について判定し、対象としておりますが、特別な支援を必要とする児童が増加している状況も踏まえ、今後、他都市の対応状況等の調査を進めてまいります。なお、支援区分の変更につきましては、年度中途においても随時受付をしており、制度の周知に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) よろしくお願いします。さぽーと保育の認定を受けていない子への対応については、他都市の状況等を調査するとのことですが、予算規模の違いはあるにしても、他都市でできているのですから、福岡市でできないはずがありませんので、調査後の検討に期待をしておきます。
子どもの健やかな成長のためには、より安心で安全に保育ができる環境づくりが大切ですし、そのような環境が保育士の負担の軽減にもつながるのではないでしょうか。本市では、児童発達支援事業所を令和8年度末までに29か所設置の予定となっており、保育園に通いながら療育を受けられる環境づくりが進んでいると評価をしておりますが、保育園に通う児童の中でも、障がいのある子や発達上配慮を要する児童はこれからも増加していく可能性がありますので、引き続きしっかり取り組んでいただきますよう、よろしくお願いいたします。
最近、保育園での不適切保育という言葉を耳にいたします。本市からも各園に適切な保育の実施についての通達なども出されているようですが、もちろん、保育士による子どもへの虐待は絶対に許してはいけませんが、例えば、保育する上で子どもに危険があるかもと思い、とっさに取った行動が、見方によっては不適切保育とみなされる可能性もあります。不適切保育という言葉が先行して報道されていることで、現場の保育園や保育士は戸惑いを覚えており、また、精神的な負担も大きくなっていると聞きます。このようなことも含め、保育士の働く環境は厳しいものとなっているのではないでしょうか。
保育の実施責任は地方自治体にあり、その保育は民間社会福祉法人などに委託をされておりますが、その保育を支えているのは現場の保育士です。その保育士が疲弊をしていっては元も子もありません。また、保育園には応諾義務があり、正当な理由がない限り入園を拒むことはできないとされております。保育が必要な世帯への支援を担保する上で、当然に大切な制度であるとはいえ、保育園それぞれの園に様々に異なる事情があるのも事実です。障がいのある子を受け入れたいけれども、既にほかに配慮を要する児童を受け入れており、保育士の負担なども考えると、安全に保育を提供することが難しく、受入れができない場合もあるとの園長の声も聞きました。市においては、園から受入れ実情について相談があった際は、ぜひ丁寧に聞き取りを行い、現場の負担の把握に努めていただきたいと思います。
これまで本市として、保育士の処遇に関する支援やICT化による業務負担の軽減にも取り組んでいただいておりますし、子育て世帯への支援として、第2子以降の保育料の無償化も実施されており、福岡市は子育てしやすいまちであると感じております。先ほどの京都市においても、保育行政には相当力を入れておられ、保育士の配置基準を、1歳児の配置を6対1から5対1に、4歳児の配置を25対1から20対1に変更しており、さらに、1歳8か月未満児に対しては4対1の配置を可能とする1歳児加配、3歳児に対しては10対1の配置を可能とする3歳児加配をしております。このような取組を本市としても参考にし、児童、そして、児童を保育する保育士にとってもよい環境になるよう検討をしていく必要があると考えます。
これからも保育園との細かな連携をさらに図り、全ての子育て世帯の方々が福岡市に住み続けたい、また、福岡市に住んでみたいと思ってもらえる一助として、保育行政に力を入れていっていただきたいと考えます。また、園児の健全なる育成、またさらなる安全の確保、そして、我が子を預ける親の安心のためにも、保育園を取り巻く環境の変化に柔軟に対応することが大切になります。そして、これからは保育園や保育士を守っていくという姿勢も本市には持っていただきたいと考えます。
今後、まずは未来を担う子どもたちのため、そして、我が子を預ける親の安心のためにも、保育を提供する保育士が心に余裕を持って子どもたちと向き合えるべく、保育士の配置基準の変更も検討しながら、さらなる保育行政の充実に取り組んでいただくことを期待し、市の御所見をお伺いしてこの質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 村上こども未来局理事。
○こども未来局理事(村上洋子) 第6次福岡市子ども総合計画に掲げる安心して生み育てられる環境づくりにおいて、保育所が担う役割は大変重要と考えております。子育て世帯の保育ニーズが多様化する中、子ども一人一人に適切な支援を届けることができるよう、現場の声を聞くとともに、関係者としっかりと協力しながら、教育、保育のさらなる質の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 次に、物価高騰下における学校給食の質の維持向上についてです。
学校給食費については、昨年の12月議会で我が会派の堤田議員の質問に対し、島市長から前向きな答弁をいただき、教育委員会において迅速に取り組んでいただいた結果、今年度の2学期より無償化されることになりました。島市長をはじめ、関係者の皆様にお礼を申し上げます。
学校給食費の無償化によって、これまで給食費を支払っていた家庭における可処分所得も上がることになります。私は政策の方向性として、このことはとてもいいことと考えます。しかし、昨今の物価高騰により、食材料の物価上昇が続いている中、各家庭においては、家計のやりくりがとても大変な状況であると思います。そうした中、学校の給食についても、同じことが言えると思いますが、給食費無償化後においても、学校給食の質の維持向上は大変重要だと考えております。
そこでお尋ねしますが、学校給食における食材料費のこれまでの物価高騰対策の予算額をお答えください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校給食における食材料費のうち、物価高騰対策に係る予算につきましては、令和4年度から計上しており、その額は4年度約4億円、5年度約7億円、6年度約10億円、7年度約12億円となっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 物価高騰に合わせて、しっかりと予算を増額し、対応されていることが分かりました。一方で、令和7年度は米の価格が1年前の約2倍になるなど、予算編成時の想定を超えた物価高騰が続いているのではないかと思いますが、学校給食においては、どのように物価高騰に対応しているのかお答えください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校給食につきましては、児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たした上で、特に価格の高い食材について、使用量を調整したり、代替の食材に切り替えたりするなど、献立内容や物資調達の工夫を行い、物価高騰へ対応してきております。以上です。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 様々な工夫を行い、物価高騰下においても、子どもたちに質が維持された給食を提供しているとのことですが、保護者の中には、食材料の価格上昇が続いた場合に、無償化後の給食の質について心配する声もあるようです。
今後、食材料の価格上昇が続いた場合に、現在の食材料費の予算額で対応できるのか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 令和7年度の食材料費の予算につきましては、消費者物価指数の動向などを踏まえ、物価高騰に対応する想定額を加え、計上させていただいております。しかしながら、米価をはじめとした物価高騰が続いており、今後の動向も踏まえ、給食の質の維持のため、予算の補正も含め、必要な対応を検討してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 物価の動向によっては予算の補正も検討するなど、給食の質を維持していただけるということで安心をいたしました。
国においては、本年2月に、まずは小学校を念頭に、地方の実情等を踏まえ、令和8年度に実現するとのいわゆる3党合意がなされ、令和8年度から小学校の給食を無償化する動きが進んでおりますが、本来、学校給食の無償化は国の責任と財源で実施すべきものであります。福岡市としても国に対し、物価高騰下においても給食の質をきちんと維持できる財源の確保について、要望を行うようお願いいたします。
学校給食は子どもたちにとって、成長に必要なエネルギーを補給するものにとどまらず、地産地消をはじめとした食育の面からも重要であります。給食の質については、教育委員会がしっかりと維持していくとのことですが、質の向上についても、積極的に検討してほしいと考えます。検討に当たっては、食に関わる民間のアイデアを取り入れるなどすれば、給食がもっとおいしくなるのではないでしょうか。
そこで今後、地産地消をはじめとした学校給食の質の向上について、どのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校給食の質の向上につきましては、今後とも、JAや市漁協と協議を行い、市内産農水産物のさらなる利用拡大により、地産地消の推進に努めてまいります。また、農林水産局とも連携し、児童生徒がさらに興味、関心を持つような地元食材を提供する次代へつなぐ地産地消推進事業を継続して実施してまいります。さらに、食に関わる民間のアイデアを取り入れるプロジェクトの立ち上げを図るなど、給食の質の向上に取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 稲員稔夫議員。
○4番(稲員稔夫) 学校給食における地産地消の推進は、子どもたちが地域の自然、文化、産業等に関する理解や生産者の努力、食に関する感謝の念を育むなど、とても重要であると考えています。質の維持にとどまらず、民間のアイデアも取り入れながら、地産地消をはじめとした質の向上にも、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、それらの取組には新たに予算が必要となるのではと思います。
そこで最後に、学校給食の質の維持向上についての島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、今年度の2学期から学齢期の子育て世帯の可処分所得の向上を目的といたしまして、学校給食費の無償化をいたしますけれども、物価高騰下においても、給食の質の維持向上は非常に大切なことと考えておりまして、子どもたちにはしっかりとしたおいしい給食を食べていただきたいというふうに思っています。
ちょうど福岡市の学校給食が空揚げ1個というのが今ニュースになっていて、他国のアジアの子どもたちの給食と比較をするようなSNSが広がっていました。あの写真、また、記事を見て、福岡市の教育委員会にも聞いてみました。もちろんそれ以外の日について、ああいう見栄えだけではないという御説明も聞きましたし、一生懸命栄養士さんが考えてくださって献立を作っているということも聞いたわけですけれども、ただ、やっぱりあの空揚げ1個の写真を見たときは私も非常にショックでしたし、寂しい思いにもなりました。栄養素を取るということはもちろん大事なんですけど、それだけじゃなくて、やはり食育という観点で考えたときに、おいしそうに見える見栄えですとか、それから、器もそうですし、それから、和食に牛乳を合わせるというのはどうかなというのも、食育の観点で見れば、私もまだまだ考えるところはたくさんあるなということをここ数日考えておりました。
先ほど教育長も御答弁をいたしましたけれども、御提案のあった地産地消の推進ですとか、質の向上に取り組んでいくということですし、また、食育の観点からも子どもたちがおいしい、そして、何よりもおいしい給食をおなかいっぱい子どもたちに食べてほしいという思いは、これはみんな共通だというふうに思っております。
教育委員会としても、ぜひおいしい給食に向けてしっかりと検討いただきたいというふうに思いますし、また、必要な経費について、稲員議員から御指摘があったとおり、これは今、物価上昇、米の値段も含めて相当これだけ上がっているわけですから、食材費が上がるのはもちろんだというふうに思っております。子どもたちがこの影響を受けることなくするためにも、しっかり市長部局としても、補正予算も含めて予算面でしっかりとバックアップをしていきたいと考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、義務教育における隠れ教育費の負担軽減について、女性差別撤廃条約の具体化について、台湾有事を想定した沖縄からの住民避難計画について、一般質問を行います。
まず、隠れ教育費についてです。
本市においては、2学期から保護者や関係者が切望していた学校給食の無償化が実施されます。議会請願においては、紹介議員になったのは政党では我が党だけであり、また、自民、公明、維新の会などは請願採択に背を向けてきました。それでも大義を掲げ、粘り強く実現運動に取り組んでこられた関係各位に改めて敬意を表するものであります。給食無償化に当たっては、幾つかの課題も残っており、その点からただしてまいります。
まず、不登校状態になっている児童生徒については、その多くが自宅での昼食となるため、給食費は納入しておりません。
そこで、これら保護者に対しては、給食費に匹敵する昼食代補助は行うのか、答弁を求めます。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 不登校などで給食を喫食していない児童生徒の保護者につきましては、国の動向とともに、他都市の状況についても注視しつつ、福岡市における対応について検討してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 検討していくということですけれども、では、アレルギー等の理由で給食が食べられないため、弁当を持参している子どもの家庭への昼食費補助はどう考えているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) アレルギーなどの理由で給食を喫食していない児童生徒の保護者につきましても、国の動向とともに、他都市の状況についても注視しつつ、福岡市における対応について検討してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 今後の検討だと。この問題では、昨年12月議会で島市長が無償化を表明した翌月、今年の1月22日、不登校になっている子どもの保護者やフリースクール関係者等が共同で市長宛てに要望書を出されています。
そこで、その内容と受け止めについてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 要望書につきましては、2点の要望がございます。
1点目は、給食を喫食していない児童生徒の家庭には、所得制限なく給食費相当額の支給を求める内容であり、2点目は、給食費相当額の支給を受けている家庭の子どもが登校した場合には、予備の給食があれば提供し、後日、支給額を精算する仕組みを求める内容でございます。給食を喫食していない児童生徒への対応については、国の動向とともに、他都市の状況についても注視しつつ、福岡市における対応について検討してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これは先送りしてはいけない問題だと思うんですね。無償化の目的について、教育委員会のホームページには、子育て世帯の経済的負担を軽減するためと明記されております。給食を食べるか食べないかによって、負担軽減策を受けられるか否かが差別されることがあってはなりません。他都市の例で言うと、東京都杉並区は、不登校の子どもはもちろん、アレルギーのため一度も給食の提供を受けていない場合や、国立学校や私立学校に通っている子どもの保護者にも、申請により全て給食費相当額の給付金を支給しております。同様の給付金は他都市でも実施が広がり始めています。したがって、実施している他都市に倣い、全ての小中学生について、給食費無償化もしくは昼食費補助が2学期当初から実施できるよう、手だてを取るべきだと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 給食を喫食していない児童生徒の保護者への対応につきましては、繰り返しになりますが、国の動向や他都市の状況なども踏まえつつ、福岡市における対応について検討してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 国の動向を見ていたらできませんよ。せっかくの給食無償化が欠陥を抱えたままスタートしないよう、早急な実施決断を求めておきます。
給食費以外にも、保護者は修学旅行費や中学校の制服代、学校が徴収する教材費などの経済的負担をしています。これらも給食費と同様に、あるいはそれ以上に重い負担になっていると思いますが、教育長の認識を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校徴収金につきましては、教育効果を高めるために必要なものについて一定額、保護者に負担いただいております。各学校には、保護者の負担が過重なものとならないよう指導しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 過重にならないようにとおっしゃいました。具体的に確認していきますが、修学旅行費の保護者負担は、小学校、中学校、それぞれどのくらいになるのか答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 修学旅行費の上限額につきましては、小学校が2万6,180円、中学校が6万2,300円となっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 現場ではこの負担が重いため払えず、修学旅行に子どもを参加させることができない保護者もおります。教育の機会均等を阻んでいる実態について問題ないとお考えなのか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 修学旅行費につきましては、経済的な理由により支援が必要な世帯に対しましては、就学援助や特別支援教育就学奨励費による支援を行っております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 中学校では給食費よりも重い負担です。この負担軽減のために、全児童生徒を対象に補助に踏み出している自治体が増えております。
そこで、修学旅行費の補助を実施している自治体について、実態を把握していればお示しいただきたいと思います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 修学旅行の費用について補助を行っている自治体につきましては、確認している範囲では、東京都の葛飾区、品川区、荒川区、足立区、墨田区がございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 東京23区のうち、今お示しされた幾つかの自治体がやっておりますし、墨田区と荒川区については、修学旅行のほか、移動教室なども無償化しています。これらに倣い、本市においても修学旅行費について無償化すべきだと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 修学旅行の経費につきましては、交通費や食事代など、児童生徒個人に直接かかるものであることから、保護者に負担いただいております。なお、経済的な理由により支援が必要な世帯に対しましては、就学援助や特別支援教育就学奨励費による支援を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 就学援助や生活保護の対象にならない世帯でも経済的困窮が広がっているんです。行かせることができない保護者や参加できない子どもたちの気持ちを考えるべきです。
では、中学校の制服について、保護者負担はどれぐらいなのか、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 中学校の標準服につきましては、販売店等のカタログによりますと、上下セットで五、六万円台で販売されております。なお、メーカーや生地、機能により価格が異なっており、購入者が選択できるようになっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 五、六万円ということで、これも給食費に匹敵する負担です。制服代についても、中学校入学時に全生徒を対象に補助している自治体があるようです。実態を把握していればお示しください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 制服の費用について補助を行っている自治体につきましては、確認している範囲では、北海道北斗市、奈良県香芝市、東京都品川区、熊本県南小国町、御船町がございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 品川区は先ほどの修学旅行費だけでなく、制服代も来年度から無償化する予定になっている。子育て世帯の負担軽減のためとして実施する給食無償化に続き、それ以上の経済的負担となっている修学旅行費及び制服代について補助制度をつくるべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 標準服を含め、生徒が個人で使用するものにつきましては、保護者に負担していただくようにしております。なお、経済的な理由により支援が必要な世帯に対しましては、入学準備金として生活保護や就学援助、特別支援教育就学奨励費による支援を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これも必要な家庭には就学援助があると言われます。あなた方が就学援助の要件を厳しくしてきたために、受けたくても受けられない家庭が生み出されています。昨今の物価高騰は、就学援助を受けられない家庭にも困窮を拡大していますので、検討を求めておきます。
次に、その他の保護者負担についてです。
授業で使うドリルなどの教材費や卒業アルバム代などが徴収されています。それらの負担額は、小学校、中学校それぞれ幾らになっているかお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校徴収金につきましては、標準規模の学校における平均額になりますが、各学年に共通する教材費などが小学校で年間約1万3,000円、中学校で年間約1万6,000円となっております。また、自然教室の費用が小学5年生で3,600円、中学1年生で約1,800円、卒業アルバムの費用が小学6年生で約4,900円、中学3年生で約2,900円となっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 1万5,000円から2万円程度の負担になっており、いずれも無条件で徴収されることになっています。授業で活用するためのドリル代などの経費や社会科見学費、自然教室の経費等については、必要経費ならば義務教育は無償と定めた日本国憲法に基づいて、本来国や自治体が負担すべきものではないかと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校徴収金につきましては、児童生徒が共同で使用する文具や材料は、基本的に学校予算で対応しておりますが、個人で使用する教材などは必要最小限になるよう厳選し、保護者への負担をお願いしているところでございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) その考え方そのものが問題ですよね。憲法に照らして、これはそごがあると言わなければなりません。それを言い訳の材料にすべきではないと思います。
これも品川区は中学校の制服代や修学旅行費と合わせて、年間5億円もの予算をつけて補助しています。このほかにも、東京23区のうち7区で教材費等の補助を行っています。あなた方の言い訳は通らないわけです。本市でも教材費補助を実施するよう求めておきます。
また、中学校においては、先ほどの教材費とは別に、フクトの業者テストがほぼ全校で行われていると聞いております。その理由と保護者負担額について説明を求めます。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 業者テストにつきましては、生徒が自分の学習状況を確認し、今後の目標を設定するために実施しているものでございます。なお、保護者負担額につきましては、学校や学年によって回数等が異なりますが、1回当たり1,500円前後でございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 中学校における業者テストについては、禁止するという文部事務次官通知が1993年時点で出されています。その内容についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 平成5年の文部科学省通知は、高等学校入学者選抜について、公立及び私立高等学校における多様な選抜方法の実施、業者テストの偏差値を用いない入学者選抜の改善や、中学校における進路指導の充実などについて示されております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 進路指導の在り方をゆがめ、業者と教員の癒着を生むなどの理由であります。しかし、現場ではこの中身が生かされず、フクトの学力テストは続けられてきました。これを本市教育委員会は30年以上も黙認してきたのです。重大な問題です。他都市から転勤してきた先生から、福岡市はいまだにこんなことをやっている、おかしいとの告発もありました。年間7,000円程度の保護者負担にもなっており、早急に廃止する方向で現場と協議すべきではありませんか、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 業者テストの実施につきましては、生徒の学習の振り返りや取組の参考になるものとして、今後も各学校において検討し、判断されるものと考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 国の通知もお構いなしという姿勢には驚きますが、是正すべきですよ。見てきたように、義務教育は無償とされながら、小学校では教材費や自然教室、卒業アルバム代、修学旅行費などで4万円前後、中学校では同様の7万円前後に加え、五、六万円の制服代まで加わり、12万円程度の保護者負担が強いられております。教育委員会が把握している以外にも、体操服、体育館シューズ、学校指定のバッグなども保護者負担でそろえなければなりません。文部科学省による2023年度子供の学習費調査によると、公立小学校で年8万753円、公立中学校で15万747円となり、その5年前の調査と比べて、小学校で約1.3倍、中学校でも約1.1倍になっています。その後、さらに物価高騰の影響を受け、この総額は増えております。
義務教育は無償という日本国憲法に照らして大きく逸脱する、いわゆる隠れ教育費については、現状のまま放置することは許されず、他の自治体に倣い補助を行い、保護者負担をなくすべきではないかと思いますが、この問題の最後に島市長の答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 子育て世帯の負担の軽減を図り、安心して生み育てられる環境づくりに取り組むことは大変重要であると認識をしています。福岡市では今年度の2学期から学校給食費の無償化を実施するとともに、経済的な理由により支援が必要な世帯に対しては、生活保護や就学援助等による支援を行っています。今後とも、全ての子どもたちが心身ともに健やかに成長できるように、教育委員会と連携をして取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 現状でよしとせず、真摯に検討することを求めておきます。
次に、女性差別撤廃条約の具体化についてです。
我が国が女性差別撤廃条約を批准して、今年は40年の節目となります。しかし、日本社会の到達はジェンダーギャップ指数ランキングで146か国中118位という位置にとどまっており、昨年10月に行われた国連女性差別撤廃委員会でも、日本への数々の勧告が行われました。日本政府の後ろ向きの姿勢に追随するのではなく、自治体として積極的な目標を掲げ、取組を前に進めることが求められます。
そこで、本市の実態について幾つかの角度でただしてまいります。
まず、本市職員における管理職の男女比についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市職員の管理職の男女比については、令和6年5月1日現在が最新値であり、男性職員が79.9%、女性職員が20.1%でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 女性管理職は僅か20%、これほど遅れている理由についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 管理職に占める女性職員の割合は、特定事業主行動計画において、令和7年度までに20%程度を目標としており、目標値を達成しております。なお、女性職員の割合が20.1%となっている理由といたしましては、管理職の昇任対象となる年代に女性職員の割合が少ないことや、昇任したいと考える女性職員の割合が低いことなどが影響していると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 目標自体が低過ぎるわけですよ。国も消極的な姿勢に変化がなく、内閣府では2030年までに30%という目標にとどまっています。SDGsの考え方に基づけば、本市の管理職における男女比目標は50%50%にすべきだと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 今後の管理職に占める女性職員の割合については、令和8年度から12年度までを計画期間とする次期特定事業主行動計画を策定する中で、適切な目標を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これも先送りは駄目ですよ。消極的な国の指標を参考にするのではなく、国際水準で考えるべきです。
それでは、正規職員における男女の平均給与の差はどうなっているか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 女性活躍推進法に基づく職員給与の算定では、令和5年度の男性職員の平均が702万4,325円、女性職員の平均が624万8,574円でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) この差について問題だという認識はあるか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 本市の給与制度は男女で違いはございません。平均給与に差が生じる要因としては、管理職に占める男性の割合が高いことや、男性職員の年齢層が高いこと、男性職員に扶養手当を支給している場合が多いことなどが影響していると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 給与が同じだというのは当たり前の話で、その上で差が出ているということを問題だと思わない、まさにジェンダーまみれの答弁をされました。賃金格差を埋めるためには、女性の管理職比率を抜本的に高めるとともに、産休や育休の取得によって、女性の昇給に影響が出ない仕組みを構築することが必要だと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 男女の平均給与の差は、管理職に占める女性の割合が高くなることで小さくなると考えており、特定事業主行動計画に基づき、女性管理職の登用を進めてまいります。なお、産休や育児休業の取得については、昇任に当たって不利益な要素とはなりません。昇任については、引き続き男女の別なく、職員の能力、意欲に基づいて行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) そう言われるなら目標と具体的取組を明確にすべきです。
次に、公務労働でありながら、低賃金でワーキングプアさえ生み出している会計年度任用職員の問題についてお尋ねします。
本市の会計年度任用職員における男女比はどうなっているか、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年5月1日現在の会計年度任用職員の男女比については、男性20.8%。女性79.2%でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 7割以上と、圧倒的に女性の比率が高くなっています。我が党が度々指摘してきたように、放課後児童クラブの支援員やスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、図書司書など、数々の専門職が非正規待遇となっています。専門職であっても、女性の比率が高い職種は非正規で賄うというのは、明らかにジェンダー問題であり、是正すべきだと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 会計年度任用職員の採用については、応募者の中から性別にかかわらず、公平、公正に選考しており、給与制度も男女で差はございません。引き続き、地方公務員法に定める平等取扱いの原則及び成績主義に基づいて適切に対応してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 正当化されますけれども、これが問題なんですね。女性差別撤廃条約では、性別に関係のない基準や慣行を適用した結果、一方の性別が不利な影響を受ける場合に、これを間接差別と定義されています。本市では、大事な専門職を含む会計年度任用職員の7割を女性に委ね、低賃金の状態で働かせています。非正規で低賃金の働かせ方の多くを女性に押しつけている。これこそが条約で解消すべきと掲げられている間接差別に当たると思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 会計年度任用職員に女性が多くなっていることについては、様々な社会的背景があると考えております。採用に当たっては、繰り返しになりますが、応募者の中から性別にかかわらず、公平、公正に選考しており、給与制度も男女で差はございません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美委員。
○51番(中山郁美) そんな言い訳は通用しないんですよね。会計年度任用職員については、もう一つ重大な問題があります。年限による雇い止め問題です。公募によらずとも1年ごとに雇用を更新し、上限4回に達したら再度の任用をしない。つまり、雇い止めにするというひどい運用が行われてきました。昨年の5月1日の時点で上限が4回に達した職員が1,495人とのことでしたが、このうち、今年度も結果的に同じ職種で任用されたのは何人か、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 1,495人のうち、継続任用を希望して選考試験を受験された人数及び職種は不明ですが、令和7年5月1日時点で925人が7年度も継続任用されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 結局詳細は調べてもいないわけですね。どこに配属されたか分からない。多大な貢献をいただいた方々を無慈悲に放り出すなど、悪質な雇用だと言わなければなりません。厳しく是正を求めたいと思います。
男女の賃金格差是正及びジェンダー平等の観点から、会計年度任用職員については、抜本的な処遇改善を図るとともに、原則正規職員とすべきだと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 会計年度任用職員については、勤務内容や勤務形態などの業務の特性に応じて適切に配置するとともに、勤務条件についても国が示した運用の考え方や他都市の状況なども踏まえながら、地方公務員法に基づき適切に対処してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これまでのやり方が不適切だから改善を求めておきたいと思います。
次に、生理の貧困解消についてです。
公共施設における生理用品の配備及び配布について、行っているところがあれば、その目的と主な施設名並びに方法について答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 市民局で行っております生理用品の提供についてお答えをしますと、令和3年度に拡充をされました国の交付金に基づく支援事業として、新型コロナウイルス感染拡大による望まない孤独、孤立で、様々な困難や不安を抱えた女性に対して相談窓口を設置するとともに、公共施設等で生理用品の配布を行うこととしたものでございます。配布を行っている公共施設は福岡市男女共同参画推進センター・アミカス、福岡市立ひとり親家庭支援センター、福岡労働局のマザーズハローワーク天神でありまして、職員への申出のほか、女子トイレに設置をしております配布カードを職員に提示するなどの方法で提供しております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 当初と比べて何も前進していません。極めて限定的です。
学校現場ではトイレに常備しているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 学校における生理用品の配布につきましては、一部の学校ではトイレに配置しておりますが、大部分の学校においては保健室に常備しており、児童生徒から申出や相談があった際には、個別にお渡しをしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これも何も前進していません。そもそも配備している箇所が少ないし、アミカスでは窓口で申請して受け取る、学校でも保健室でお願いしてもらう、これでは女性や子どもたちの権利を尊重したやり方とは到底言えないと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 生理用品の提供につきましては、国の交付金に基づくつながりサポート型の事業として、孤独、孤立で困難や不安を抱える女性に対する相談支援の一環として行っているものでありまして、引き続き希望される方への配布を行ってまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 後ろ向きの答弁に終始されますけれども、時代の流れを分かっておられませんね。内閣府が2021年から自治体での生理用品の無償配布の取組を調べています。これはコロナ禍で生理の貧困が顕在化したことがきっかけです。
今年2月公表の調査結果では、過半数の926自治体が取り組んでいます。理由は住民の要望があったことなどとなっています。担当者はさらに広がってほしいと語っているそうです。この調査の中で、全小中学校のトイレに設置している自治体は295に上ることが分かっています。15県の県庁所在地が全小中学校に設置しています。また、庁舎トイレに生理用品を置いている自治体は、近隣の熊本市など121自治体に上っています。全区立小中学校のトイレで無料配布している東京都杉並区の岸本聡子区長はXで、トイレットペーパーと同じように必要な人が入手できるようにという気持ち、全ての人が尊厳を持って生理期間を過ごせるように取り組んでいくと発信しています。このような取組が大きく広がりつつある中、思考停止に陥っている本市の取組は極めて不十分です。
したがって、他の自治体に倣い、生理の貧困打開へ、全ての公共施設のトイレに生理用品を配備すべきではないか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 本事業はつながりサポートを趣旨とするもので、不安を抱える女性が社会との絆、つながりを回復するための相談支援の一環として行っているものでありまして、引き続き現行の相談支援を行う施設などにおける配布を行ってまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 矮小化すべきではありません。拡充を求めておきます。
次に、女性差別撤廃条約の根幹とも言えるジェンダー平等と深い関わりのある包括的性教育について、その理念と必要性について御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 包括的性教育につきましては、人権を基盤に置いた性をめぐる様々な要素を含む教育であり、本市では思春期における体の変化や生殖に関わることに加え、性感染症や性暴力の防止、ジェンダー平等や性の多様性を認める態度の育成などについての学習を行っております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 重要だということですが、それが実現されているかどうか検証していきたいと思います。
昨年12月、ジェンダー平等と女性の権利向上を目指し活動するプラン・ユースグループが、全国1,000人の高校生を対象に行った性的同意についての認識を問う調査において、約7割の高校生が知らない、聞いたことがあるが説明できないという結果が出ています。そのメンバーの1人は、理解が進まない原因に、性教育の授業の進め方や内容に問題があると述べています。
そこで、この調査結果についてどう感じられるのか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) お尋ねのプラン・ユースグループの調査につきましては、文部科学省や内閣府など、国に対して提言がなされていると聞いており、今後、調査結果などを確認してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 教育長は当たり障りのない答弁をされましたが、別の問題についてお尋ねします。
性感染症である梅毒の感染が、本市においても若年層で広がっているようです。10代、20代の感染者について、3年間の推移をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 福岡市における梅毒の感染者数のうち、10代は令和4年が11人、5年が18人、6年が20人、また、20代は令和4年が139人、5年が180人、6年が177人となっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 若年層での急拡大の原因について御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 山嶋保健医療局長。
○保健医療局長(山嶋 剛) 若年層における梅毒の拡大は全国的な傾向であり、国が発生動向の調査、分析を強化しておりますが、現在のところ明確な原因は特定されておりません。なお、感染拡大の一因としましては、梅毒の症状は自覚しづらく、早期発見、早期治療につながりにくい結果、本人が気がつかないうちに感染を広げていることが考えられます。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 明確ではないということですが、性感染症についての認識が不十分なまま性行為に及んだ可能性が高いと思われます。高校生の中で性的同意の認識が薄い問題や、若年層における性感染症拡大の問題だけを見ても、性の問題についてトータルで考え、多様な性に対する認識を深める教育の充実が求められていると思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 性に関する教育につきましては、性感染症や性暴力の防止、ジェンダー平等や性の多様性を認める態度の育成など、包括的に取り組んでおります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これについては否定されませんけれども、教育現場では極めて問題のある対応がされています。学習指導要領の歯止め規定に基づいて、妊娠の経過は教えないという枠がはめられており、本市においてもこれに追随し、科学的、包括的な性教育が行われていないという問題です。この時代錯誤のやり方については、昨年秋、国連女性差別撤廃委員会から包括的性教育を公教育に取り入れるよう、改めて日本政府に対して勧告がなされています。
そこで、日本政府のかたくなな時代遅れの姿勢に無批判に従っているのは問題だという認識はないのか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 性交に関する指導の取扱いにつきましては、学習指導要領において、中学校段階までは取り扱わないと示されております。なお、生徒一人一人の状況により指導が必要な場合には、適切に対応しております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 従来の考え方に固執する答弁をされました。しかしこれでは、今や女性の人権とジェンダー平等前進に逆行しているという批判は免れません。国際基準に沿って、本市においても従来からの姿勢を改めて、年齢に即した包括的性教育を実施すべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 包括的性教育につきましては、本市では思春期における体の変化や生殖に関わることに加え、性感染症や性暴力の防止、ジェンダー平等や性の多様性を認める態度の育成などについての学習を行っており、今後とも指導の充実に努めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 国連の女性差別撤廃委員会は、年齢に応じた包括的性教育を通常の授業で、政治家や公務員による干渉を受けることなく行うことを求める勧告、これを日本政府に行っています。この国際水準こそ遵守すべきことを指摘しておきます。
次に、国会で28年ぶりに法案審議が始まった選択的夫婦別姓についてです。この間の各種世論調査では、一貫して賛成が多数となっており、主要政党では自民党だけが反対するという状況になっております。
そこで、島市長の選択的夫婦別姓についての御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 選択的夫婦別姓制度の導入につきましては、婚姻制度や、また、家族の在り方と関係する重要な問題であり、国におかれては、国民の意見を丁寧に酌み取りながら検討を行っていただきたいと考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 明言をされません。自民党への気遣いでしょうか。今や夫婦同姓の強制がアイデンティティーの喪失や経済的不利益をもたらしていることが明らかとなり、選択的夫婦別姓が広範な国民の強い要求になっているにもかかわらず、自民党は明治憲法下の家父長的家族観を国民に押しつけています。経団連も早期実現を求めており、全国首長への共同通信の調査でも反対は僅か17%となっています。
したがって、市長は国に対して、選択的夫婦別姓の早期実現を求めるべきではないか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 選択的夫婦別姓制度の導入につきましては、まずは国において議論、検討するべきものと考えておりまして、福岡市といたしましては、その検討状況を注視してまいりたいと考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 国が道理のない態度を取っていても、物を言わないというのは問題です。
もう一つ、国との関係でお尋ねします。
女性差別撤廃条約選択議定書については、20年来批准を求められているのに、日本政府は検討中として棚上げにしています。この選択議定書には、通報制度と調査制度があり、個人を救済する道を開くことで条約の実効性を高めるものです。既に115か国が批准していますが、日本政府は批准を拒み続けています。
そこで、批准の意義と日本政府の態度についてどのように捉えているか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 女子差別撤廃条約選択議定書の批准につきましては、国会において、選択議定書で規定されている個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から、注目すべき制度であるとの政府の認識が示されております。なお、国の第5次男女共同参画基本計画において、選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進めるとされており、今後とも、国の動向を注視してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これも国任せですね。政府と同じ立場に身を置く情けない姿勢だと言わなければなりません。幾つかの観点で、女性差別撤廃条約が本市の市政に生かされているかを検証してきましたが、残念ながら前向きな変化が見られません。現在、本市は第5次男女共同参画基本計画の策定中ですが、この中でSDGsが掲げるジェンダー平等の視点が生かされているのか、極めて不安になります。
そこで、この計画案の段階で、ジェンダー平等に関わってどのような計画を立てているのか、お示しいただきたいと思います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 第5次福岡市男女共同参画基本計画につきましては、現在、男女共同参画審議会にお諮りをしているところですが、お尋ねのジェンダー平等に関しましては、第4次計画におきまして、性別に関わりなく個性と能力を十分に発揮できる、男女共同参画社会、その実現を目指して取り組んできたところでありまして、第5次計画におきましても、この理念を引き継ぎながら策定を進めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) いまだにジェンダー平等と男女共同参画を混同した答弁をされるわけです。間違っているんですね。ジェンダー平等は男性と女性だけでなく、性自認や性的指向にかかわらず、全ての人が平等な機会を持つことです。一方、男女共同参画は、男女が社会のあらゆる分野において対等に参画し、意思決定に関与することを促進することです。いつまで誤った認識でいるのかということであります。いい加減にしてほしいと思います。
この6月議会には、新しい政策推進プランが配付されました。昨年の6月議会で、私は当時策定中だった福岡市基本計画にジェンダー平等の問題が欠如していることを指摘し、盛り込むべきだと求めましたが、今後策定する政策推進プランの中で反映させると答弁されていました。しかし、このプランに目を通す限り、ジェンダー平等の規定はどこにもありません。一体どういうことなのか、説明を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねのジェンダー平等に関しましては、政策推進プランの施策1−1、多様な市民が輝くユニバーサル都市・福岡の推進において、男女共同参画意識の浸透を位置づけております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) やっぱり同じ答弁をされるんですね。なぜこんなことになるのかと。それは男女共同参画の土台となるジェンダー平等について、島市長の中にその認識がなく、国際水準を無視し続けているからです。このままでは人権後進自治体、ジェンダー平等に無関心な自治体とのそしりを免れません。
したがって、策定中の男女共同参画基本計画においては、SDGsを紹介するだけでなく、本市の計画としてジェンダー平等の項目を起こし、具体的な目標と取組を明記すべきではないか、島市長の答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 第5次福岡市男女共同参画基本計画につきましては、引き続きあらゆる施策に男女共同参画の視点を反映させるよう審議会に諮問し、検討を進めているところでございます。今後とも、一人一人が性別に関わりなく、様々な場で個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現を目指して取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) このままではジェンダー後進自治体から抜け出せません。市長には認識を改めるよう求めておきます。
次に、台湾有事を想定した沖縄からの住民避難計画についてです。
内閣府は今年3月、沖縄県の離島からの住民避難・受入れに係る取組という文書を公表しました。これは武力攻撃予測事態、つまり台湾有事が勃発したことを想定し、沖縄県の先島諸島からの住民避難が必要となる場合に、11万2,000人余を九州・山口で受け入れる体制を整えるためのものです。
本市はどの地域から何人受け入れることになるのか、また、輸送方法はどうなるのか、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) まず、お尋ねの計画につきましては、国民保護法に基づく沖縄県国民保護訓練が令和8年度に予定されており、国からこの訓練の想定上の避難先に設定をされました九州・山口各県に対して、避難住民受入れに必要な事項等を整理した受入れ基本要領の作成依頼があり、その検討の初年度である令和6年度に避難当初の約1か月間を対象とした計画である初期的な計画が作成されたものでございます。この福岡県が作成した初期的な計画によりますと、福岡市は沖縄県石垣市の住民約2万7,000人を受け入れ、移動については、航空機を使用して福岡空港に輸送される想定となっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 2万7,000人と言えば、本市で大規模地震の際の避難者想定数2万5,000人を上回る人数です。この人数が1日当たり航空機で22便、6日間かけて福岡空港に運ばれてくると。こうなると、一般航空機の離発着と合わせて大混乱するのではないか、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 訓練想定上の避難先の自治体が作成します初期的な計画には、受入れ空港からの輸送手段の確保について整理することとされておりまして、避難住民に係る航空機や空港の具体的な運用につきましては、今後、国が沖縄県等と協議をしながら検討することとされております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 今、市は承知していないという驚くべき答弁なんですが、では、受け入れる2万7,000人の方々の宿泊場所はどういう手順で割り振るのか、ホテルなら他の宿泊客は追い出すのか。また、不足する場合の受入れはどこで行うのか、説明を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 訓練を想定した初期的な計画におきましては、避難住民の宿泊は市内のホテルでの受入れを基本としまして、福岡空港に到着した避難住民を避難先連絡所で受け入れ、受付後、事前に行った割り振りに従って、貸切りバスでホテルへ輸送することとなっております。また、市内のホテルが不足する場合には、公営住宅や民間の賃貸住宅での受入れを考慮することとなっております。なお、国は避難先地域への入域の自粛要請をかけるため、ホテルは全室空室となることを計画作成の前提条件としております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 避難先連絡所は総合体育館になるそうですが、そこからホテルを割り振り、不足すれば公営住宅を割り振る。総合体育館で連絡所が不足すれば、マリンメッセや南体育館なども活用するなど、各方面に大きな影響をもたらす中身です。
では、食料や物資の提供は本市が行うのか、これも弁当や食品を扱う業界が総動員され、市民生活への多大な影響が生じるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 初期的な計画におきましては、食事はホテルによる提供を基本とし、給食設備がない場合は、ホテルが弁当を手配することとなっております。また、生活必需品については、避難元自治体におけるニーズ調査の結果を踏まえ、国や県と協力して調達することとなっております。なお、本計画はあくまで令和8年度の訓練の想定に基づき作成する計画であり、特定の有事を想定したものではなく、また、有事の際に九州・山口各県で受け入れることが確定しているものではありません。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) それならもうやめたほうがいいですね。こんな無責任な答弁をされるわけですが、あなた方は本当にこんなことが可能だと考えているのか、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 初期的な計画につきましては、あくまで訓練上の想定として、国が定めた前提条件に基づき整理したものでありまして、今後、国においては、九州・山口各県及び沖縄県等と協議をしながら、初期的な計画のさらなる具体化や避難の中長期化を見据えた検討を進めていくこととされております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) ナンセンスな計画なんですね。そもそも沖縄県が危険な状態になったときに九州や福岡市は安全などというのは、机上の空論です。避難民を受け入れる時点で、相手国は本市を攻撃対象に加えることになります。そういった場合、我々福岡市民はどこに避難するのか、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 武力攻撃事態等の発生に際し、国は国民保護法に基づき、要避難地域や避難先地域を指定の上、避難措置の指示を行うこととされておりますが、その地域をどう設定するかについては、そのときの実際の情勢などに応じて、国が総合的に判断するものとされております。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 全く荒唐無稽な計画です。そもそもこんなひどい計画がなぜ出てくるのか。先島諸島への自衛隊基地強化により、反撃対象となることへの住民の不安、反発を抑え込むために国がつくっているものです。自衛隊が米軍と一体となり、先制攻撃戦略を取る中で、またも沖縄県を捨て石にするのかと、住民との矛盾が拡大しています。殊さらに中国や北朝鮮などとの関係について危機感をあおり、軍事体制に九州・福岡を巻き込むものであり、このような計画づくりに本市が加担するのは重大な問題だと思いますが、御所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 初期的な計画につきましては、あくまで国民保護法に基づく訓練の想定に基づき作成する計画でありまして、特定の有事を想定したものではなく、また、有事の際に九州・山口各県で受け入れることが確定しているものでもございません。以上です。
○副議長(松野 隆) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) こんな苦しい答弁を局長がせにゃいかんということ自体が問題なんですよ。有事というのは戦争です。それを前提に、戦時体制に本市の市民や企業、様々な団体、そして、行政を巻き込む計画と準備が大がかりに進められようとしているのがこの計画です。米国と一体となった憲法違反の政府の計画が荒唐無稽でないという市長の姿勢は異常であり、粛々と付き従っていくことは、自治体の長としての資格が厳しく問われるものだと言わなければなりません。
したがって、無謀で現実のものにしてはならない本計画の即時中止、撤回を国に求めるとともに、本市として撤退を表明すべきだと思いますが、市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 我が国として万が一の事態に備えて、平素から国や地方など、関係機関が連携をして様々な検討を行っていくことは重要であると認識をしています。今回の計画は国民保護法に基づく訓練の実施に係る計画であることを踏まえまして、福岡市としても、国や県などに協力をしながら、避難住民の受入れに係る計画の作成を進めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後3時10分に再開いたします。
午後2時57分 休憩
午後3時10分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ)登壇 日本維新の会福岡市議団を代表し、理系学生の活躍の場の創出について質問をいたします。
理系学生の受皿の必要性については、第10次福岡市基本計画でも触れられており、本市もかねてより課題認識をされていると存じます。令和7年度予算においては、高等専門学校の設置に向けた検討も始まることとなり、この高等専門学校では特にIT系の人材の育成を図っていくと聞いております。時代の変化に合わせた教育が行われようとしていることを大変望ましく感じておりますが、同時並行で育成した人材が本市に残り活躍してくれる環境も整えていく必要があると考えます。
そこで、まず初めに、現状の確認をさせていただきます。
本市には九州大学や福岡大学、西南学院大学、その他私立大学や短期大学など、多くの高等教育機関が存在しますが、これらの大学、短期大学の卒業生が福岡市内に就職した割合の直近3年のデータを文系、理系に分けてそれぞれお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 大学院生を含む市内の学生が市内企業に就職した割合については、市内の10大学や経済団体、福岡市で構成する福岡未来創造プラットフォームの調査結果によりますと、文系は令和4年3月の卒業生が29.2%、5年が29.4%、6年が30.2%、理系は令和4年3月の卒業生が22.6%、5年が22.9%、6年が22.8%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) お示しいただいたデータによりますと、文系よりも理系のほうが流出が顕著であることが分かりますが、それでは、理系の中でも流出が顕著な学部はありますでしょうか。また、文系、理系に限らず、どういった性質の学部の学生の流出が顕著か、御見解をお示しください。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 市内企業への就職の割合については、学部別での調査は実施されておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 学部別での調査は実施されていないとの御答弁ですが、文系、理系を問わず学生流出の実態把握は必要なのではないでしょうか。
一般的に理系学生は給与水準の高い企業や知名度の高い大企業を志向し、大学で学んだ専門知識、技術を存分に生かせる高度な研究開発環境を求める傾向が強いため、首都圏、大都市圏へ流出しやすいと言われます。こうした中、福岡市はスタートアップ都市ふくおかとして、IT、デジタル分野など新産業の育成に力を入れているかと思います。
そこでお伺いします。理系を含む学生全体の流出を防ぎ、卒業後も福岡市に定着してもらうため、市として現在どのような取組を進めておりますでしょうか。特に理系人材にフォーカスした施策や支援があれば、具体的に教えてください。
また、ロケットエンジン開発、先端材料研究など高度研究志向の学生と、プログラミング技術を生かしたサービス創出、起業を視野に実務経験を積みたい学生とではニーズが異なります。学問分野やキャリア志向に合わせた解像度の高い支援を行うため、これまで実施してきた分野、志向別の具体的事例及び今後検討している新たな施策があれば教えてください。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 理系を含む学生の市内定着については、若者が活躍できる場の創出が重要であると考えており、スタートアップ支援をはじめ、本社機能や成長分野の企業、グローバル企業などの立地を促進し、高付加価値なビジネスの集積につなげ、新たな産業や雇用の創出に取り組んでおります。
また、大学や経済団体と連携しながら、福岡市オンライン合同会社説明会などの学生と地元企業の出会いの場を提供するとともに、学生の起業支援やデジタル人材の育成などにより、市内就職機会の拡大に取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 御答弁から、地元企業と学生のマッチング支援や起業支援を実施しているものの、具体的に理系学生にフォーカスした施策や支援、また分野別の施策はないことが分かりました。
とりわけ理系分野では、高度な専門研究職に就く学生ほど、首都圏の大手企業や研究拠点を志向し、本市を離れているとの指摘が産学双方から寄せられております。研究機材、人的ネットワーク、資金規模など、東京圏に集積する優位性が彼ら彼女らを引き寄せているのは周知の事実であり、まずはその現状を数量的に把握することが急務です。どの学部、専攻の学生がどの時点で福岡を離れる決断を下し、どの地域、産業に流れ込んでいるのか、この基本データなくして流出を食い止める戦略的な打ち手は立案できません。
担当局におかれましては、大学や産業界との既存の連携チャネルを最大限活用し、学部、専攻別、進路別のトレーサビリティーを早急に整備していただき、その上で、流出の主因となっている研究環境やキャリアパスの格差を定量的に示し、本市が誇るべき若き知の担い手が夢の実現をここ福岡で選択できる環境づくりに向け、迅速かつ的確な現状把握から着手されることを要望いたします。
それでは、オンライン合同会社説明会について、令和6年度における事業費と学生参加者数、企業数、内定数などの成果を教えてください。また、企業や学生からイベントに関してどのようなフィードバックを受けておりますでしょうか。
あわせて、学生の起業支援についても、令和6年度における事業費と成果を教えてください。特に支援プログラム経由で設立された学生スタートアップ数など数値情報に加えて、大きくスケールした企業があれば事例を教えてください。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 福岡市オンライン合同会社説明会については、令和6年度の事業費が310万円で、参加学生が延べ809人、参加企業が延べ66社となっており、参加した学生からは就職先の選択肢が増えてよかったという声や、企業からは求める人材の採用につながり、次回以降も参加したいなどの声をいただいております。
また、メンタリングや活動費の助成などにより、大学生の起業を支援する取組につきましては、令和6年度の事業費が200万円で、本事業を通じて、これまで2社が起業しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 御答弁から、いずれの事業も一定成果が上がっていることが分かりました。特に大学生向け起業支援において、年間200万円の事業費で2社の創業が実現したことは、極めて費用対効果の高い成果と評価いたします。しかしながら、この成功が再現可能かどうかを検証しなければ、真に戦略的な拡充は望めません。そこで、今後は支援内容、支援期間、フォローアップ体制などの要素を定量、定性の両面で分析し、成功要因をモデル化していただき、その上で再現性が確認されたならば、次年度以降、予算規模の拡大や連携大学の拡充を図り、創業件数がさらに伸びていくよう取組を進めていただきますようお願いいたします。
また、学生を対象とした起業支援の観点では、相談窓口やメンタリング、ネットワーク形成の場が不可欠と考えています。現在、市内にはFukuoka Growth Nextなど、スタートアップ支援拠点がありますが、こういうビジネスをしたい、こういう技術を使って起業したいといった漠然とした構想を具体化するプロセス、専門家や先輩起業家との相談機会、事業計画の策定から実行、成長までを継続的に伴走する仕組み、このような機能を総合的に強化していく必要があると感じています。 こうした観点で、現状どの程度達成できていると分析されておりますでしょうか。その根拠となる分析について、何か定量的あるいは定性的な指標はありますか。また、どの部分が不足していると認識をされていますでしょうか。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 起業に関する相談については、学生を含む幅広い層が起業の準備や相談ができる拠点として、Fukuoka Growth Next内にスタートアップカフェを設置しております。スタートアップカフェにおいては、先輩起業家や経営戦略などのアドバイスにたけた相談員を配置するとともに、専門家による個別相談会を開催しており、事業計画の策定から創業の手続まで一貫して支援できる体制を整えております。さらに、Fukuoka Growth Nextにおいては、ビジネスモデルの磨き上げや資金調達支援まで包括的に支援するプログラムを実施し、創業前後の起業家に対して継続的な伴走支援を行っております。その結果、スタートアップカフェの利用者から1,000社以上が起業するなど、創業の裾野は着実に拡大していると認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) スタートアップカフェを中心とする本市の起業支援体制が多様な相談窓口や専門家メンタリングを備え、創業手続まで一貫伴走する仕組みを整えていることは高く評価をしております。
しかし、先日、私自身が市内の若手起業家とともにスタートアップカフェを訪問し、どのような支援が受けられるのかと、ふらっとお尋ねしたところ、窓口では創業支援セミナーのみを案内され、個別伴走や資金調達支援などのプログラムには一切言及がありませんでした。同行した起業家は、既に商工会議所で同種のセミナーを受講済みであったため、自分が利用できる支援は特にないと判断し、そのまま帰る結果となりました。この一件は、スタートアップカフェに内在する豊富な支援メニューが必ずしも来訪者に十分に伝わっていない現状を示唆しています。せっかくの優れた施策も利用者の入り口で価値が伝達されなければ効果は半減いたします。窓口対応の標準化と情報発信の強化、具体的には、利用者の事業段階を即時に把握するヒアリングシートの導入、適切なプログラムへの誘導フローチャートの整備、実際に支援を受けた起業家の成功事例を可視化したコンテンツの常設、これらを早急に講じ、来訪者全員がここで次の一歩を踏み出せると確信できる案内体制を構築すべきと強く提言いたします。
優れた支援内容を伝わる仕組みへ昇華させ、本市の起業エコシステムを一層加速させることをお願い申し上げます。また、スタートアップカフェの利用者から事業がスケールした事例があれば、具体的な事業内容を教えてください。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) スタートアップカフェにおける学生起業家の成長事例については、AIを用いた医療画像解析システムを開発している企業がございます。当該企業は、スタートアップカフェでの相談を通じて起業に関するアドバイスを受けながら事業を立ち上げ、その後は海外展示会への出展支援や、福岡市及びFukuoka Growth Nextによるビジネスマッチングなどの支援を活用されております。現在では、国内外のベンチャーキャピタルから資金を調達するなど、日本を代表するスタートアップ企業の一つとして着実に成長を続けております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) スタートアップカフェを契機に創業し、AIを用いた医療画像解析システムの開発で着実に成長を遂げている学生発ベンチャーの事例は、私が調べたところ、数十億円規模の資金調達に成功しているとのことで、本市の起業支援施策が実を結びつつあることを示す好例かと存じます。
ここでもう一歩踏み込んだ学生起業支援として、私から提案があります。学生が起業する上で最も大きなハードルの一つが売上げの確保です。福岡市として、ウェブサイトの作成、保守、パンフレットのデザイン、イベント運営、専門システムの開発など、様々な委託事業を行っています。こうした事業の一部を学生起業家にも開放し、発注できる仕組みをつくることは、最も直接的な起業支援策の一つではないでしょうか。もしすぐに市からの直接発注が難しい場合でも、福岡市の課題を学生が解決する課題解決ピッチコンテストを開催し、優秀提案に対して実際の事業化を検討するなど、学生と市が協働でよりよい福岡をつくる取組をぜひとも御検討いただきたいです。
さて、近年、DXの重要性が増す中、福岡市内の企業でもデジタル技術を活用した新規事業や業務効率化のニーズも高まっていると考えられます。大学、短期大学で情報技術やプログラミングを学ぶ学生とのマッチングをどのように推進し、若手ITエンジニアが市内で活躍できる環境を整備していくのか、現状の取組と昨年度の成果についてお伺いします。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 学生を含む若手ITエンジニアへの取組については、エンジニアフレンドリーシティの施策において、エンジニアの成長や活躍をサポートするエンジニアカフェの運営に加え、学生にチーム開発など実践的な学びの場を提供し、企業とのインターンシップにつなげるデジタル人材育成プログラムなどを実施しております。令和6年度の成果については、エンジニアカフェの来場者数は延べ1万9,614名、相談件数は517件で、デジタル人材育成プログラムの修了者数は26名、インターンシップのマッチング成立件数は9件となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) それでは、エンジニアフレンドリーシティの取組について、今後の展望をお伺いします。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 今後の展望については、引き続きエンジニアカフェにおける各種相談対応やコミュニティの活動支援、デジタル人材育成プログラムなどを通じて成長、活躍を一層支援するとともに、エンジニアや企業と協力、連携しながら、「エンジニアが集まる、活躍する、成長する街、福岡」の実現に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 私もホームページなどを見せていただいたんですが、すごく面白いプログラムを組まれていて、わくわくする内容でございました。こういった内容に引き続き取り組んでいただくとともに、今後は高専との連携等も視野に進めていただくようお願いいたします。
さて、話を産学連携に移したいと思います。
第10次福岡市基本計画では、「産学官民の連携を推進し、大学や研究機関の集積による豊富な人材と技術シーズを生かした研究開発拠点の形成を推進するとともに、ITやナノテクノロジー等の先端技術を活用した産業の振興や、エンジニアの集積・交流などに取り組みます。また、水素の社会実装をはじめとする脱炭素関連産業や、福岡市の魅力となるクリエイティブ関連産業の振興に取り組みます」とあります。
そこで、これまで産学官民の連携により新たな製品やサービスが創出された事例について、具体的な事業内容を幾つかお教えください。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 産学官民の連携により創出された事例につきましては、低コストで効率の高いCO2回収装置の開発や、蚕を使った経口ワクチンの開発など、大学の研究シーズを活用して、複数の研究開発型スタートアップ企業が創出されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 本市が産学官民連携の下で創出した低コスト高効率のCO2回収装置や蚕を利用した経口ワクチンの開発などを行う研究開発型スタートアップは、こちらも数億から数十億円の資金調達に成功しており、まさしく第10次基本計画の理念を体現する成果であると評価をいたしております。
先日、東北大学の産学連携の取組について視察に行ってまいりました。理系学生の流出という観点においては、東北大学は九州大学以上に多い状況で、研究機関としての強さがそのまま人材流出抑制につながるわけではないという重要な気づきを得ました。お話を伺った東北大学産学連携機構の山崎准教授からは、理系人材の活躍の場イコール企業という固定観念を超え、大学等において社会実装を担う人材になってもらう、そういった若手人材を大学とともに育成するような事業が有効なのではないかというアイデアをいただきました。
本市においても、大学等と連携し、学生や若手研究者が本市で挑戦できる環境を整備する価値は大きいと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 大学等との連携による環境整備については、大学や研究機関の集積による豊富な人材と技術を生かし、福岡市産学連携交流センターや、研究開発次世代拠点いとLab+を中心として、九州大学等と連携した研究開発拠点の機能強化を図り、大学の研究シーズを活用した事業化の支援に取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 大学の研究シーズを活用した事業化の支援について、事業内容と成果を教えてください。また、直近の令和7年度予算並びに今後の成果目標値を教えてください。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 大学の研究シーズを活用した事業化支援については、福岡市産学連携交流センターにおいて、レンタルラボやレンタルオフィス、分析機器の提供などを行っており、令和7年度予算額は1億6,800万円余となっております。これまでの取組の結果、大学の研究シーズを活用して複数の研究開発型スタートアップ企業が創出されております。また、令和5年度における市内大学の民間企業などとの共同研究件数は1,094件で、平成22年度の699件から大幅に増加するなど、産学官の連携は着実に進んでいるところであり、令和10年度の目標として1,200件を掲げております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 視察に伺った東北大学では、いわゆる共同研究にとどまらない共創研究所という興味深い取組をされていました。ぜひそういった事例も参考にしながら、今後は公共交通や環境エネルギー、医療介護など市の具体的課題も研究テーマとして研究が進められると望ましいと考えます。
まとめに入りますが、本市はこれまでスタートアップ支援、地元企業とのマッチング支援、大学連携、インターンシップマッチングなど多面的な人材定着策を講じ、学生の選択肢を増やすことに取り組んでこられました。しかし、高度専門職を志す若年層の市外流出は依然として続いており、リソース配分の最適化は急務です。福岡市を「就職、起業するなら最も可能性のある都市」へ進化させるには、資源を差別化できる分野へ選択的に投下する戦略が不可欠です。IT、デジタル産業は最有力候補ですが、AI、半導体、バイオ、クリーンテックなど高成長分野も視野に入れるべきと考えます。
そこで、市として優先的に育成、誘致したい産業分野とその選定根拠、シード期から成長期まで切れ目なく支援する資金、税制、立地優遇パッケージを体系的に整備する方針の有無と、その具体像を御説明いただけますでしょうか。
○議長(打越基安) 吉田経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(吉田宏幸) 産業分野や産学官民が連携した取組などについては、第10次福岡市基本計画及び政策推進プランにおいて、国際金融機能をはじめ、高付加価値なビジネスの集積を図るため、立地交付金や地方拠点強化税制なども活用し、知識創造型産業や環境、エネルギー、医療、福祉など成長性のある分野の企業誘致を進め、国内外の人材が活躍できる場を創出すること、また、創業の裾野拡大やスタートアップ企業の成長支援に加え、脱炭素関連産業、クリエイティブ関連産業の振興などに重点的に取り組むことなどを掲げ、施策を推進することとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 本市が取り組む理系人材定着策やスタートアップ支援を選択と集中の原則で磨き上げるため、3年、5年、10年のKPIを明示し、効果検証の結果に応じて重点施策へ機動的に予算を再配分するPDCAサイクルが不可欠と考えます。次世代人材の声を吸い上げる場を定期的に設け、現場のニーズ、例えば、大学、企業、行政が協働する実践型インターンシップや人材育成スキームなどを施策に反映させる仕組みを強化していただきたいです。
また、今回質問を作成していくに当たり改めて感じたのが、理系学生の活躍の場の創出につながる取組は多くの部局にまたがって実施をされており、それぞれは一定の成果も見られますが、今後一層の進展をもたらすためには、部局横断型のプロジェクトチームなども必要なのではないかということです。市民の貴重な税金を未来への投資とするために、ぜひとも前向きに御検討ください。
最後に、島市長はどのようなリーダーシップで福岡市を若者が挑戦したい都市へ加速させていかれるおつもりか御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 九州や、また日本全体の人口が減少していく中にあっても、広域的に活力を生み出し、また持続可能な社会をつくっていくためには、スタートアップの支援や、また高付加価値なビジネスの集積などによって、若者をはじめ、多様な人材が様々な分野で自己実現できる場をつくり、そして福岡をより大きな夢がかなうまちにしていくことが重要であると考えておりますし、しっかりと私自身もリーダーシップを取っていきたいと考えております。今後とも、若者が将来に向かって希望を持ち、誰もが心豊かに暮らせる、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市に向けてしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ)登壇 私は自民党新福岡を代表して、授業料無償化を踏まえた市立高校の在り方について質問してまいります。
福岡市には福翔高等学校、博多工業高等学校、福岡女子高校、福岡西陵高校の4つの市立高校があり、それぞれの特色の下、これまで数多くの優れた卒業生を輩出し、社会に貢献してきました。今も生徒の皆様が毎日勉強や部活など頑張っておられると聞いております。
市立高校は創設以来、様々な環境変化に対応し、今日に至っていると思いますが、近年の大きな変化の一つとして、高校の授業料無償化があります。このことは、市立高校に影響が少なからずあるのではないかと懸念しています。私は、市立高校がこれからも子どもたちから選ばれる学校であってほしいと思っております。卒業生の皆様も母校が発展し、いつまでも存続することを願っていると思います。そうした思いから、授業料無償化を踏まえた市立高校の在り方についてお尋ねしてまいります。
まず、高校の授業料無償化についてです。今年度から所得制限が撤廃され、公立高校の授業料は完全無償化されました。
それではまず、高校の授業料無償化の仕組みについてお伺いいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問してまいります。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 国の高校授業料無償化につきましては、高等学校等就学支援金制度として、国が高校の授業料の一部または全額を保護者に代わって学校設置者に支給するものでございます。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 次に、公立高校の生徒1人当たりの支援額についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 公立高校における生徒1人当たりの支援額は年間で11万8,800円でございます。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 私立高校の場合も、就学支援金が支給されていますが、私立高校の生徒1人当たりの支援額についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 私立高校の生徒1人当たりの支援額は、年収590万円以上の世帯では、公立高校と同様、年間で11万8,800円であり、年収590万円未満の世帯では、年間で最大39万6,000円でございます。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 公立高校及び私立高校の授業料支援の状況が分かりました。しかし、学校生活では、授業料以外にも様々な費用がかかるものです。
そこで、公立高校と私立高校では、それぞれどのくらいの学校教育費がかかっているのかを調べてみました。
資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)文部科学省の令和5年度子供の学習費調査によりますと、公立学校に通う生徒1人当たりの年間の学校教育費はおよそ35万1,000円であるのに対し、私立高校では76万6,000円です。この金額は支援金支給に所得制限があった令和5年度の負担額の平均値ですが、学校教育費には授業料だけでなく、教科書代や教材費、修学旅行費などの費用もあり、その金額は授業料を含めて、私立高校のほうが大きいことが分かります。資料投影ありがとうございました。
このような状況において、私立高校に通う生徒に対する授業料支援について、来年度から所得制限を撤廃し、支援額も引き上げることを今年2月に自民、公明、日本維新の会が合意したと報道されています。
そこで、今年2月の3党合意における来年度からの私立高校の生徒1人当たりの支援額についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 文部科学省におきましては、全国の私立高校の年間平均授業料額である45万7,000円を基に、私立高校の支援額を検討されております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 世帯年収にかかわらず平均授業料相当額が支給されるということは、私立高校についても、実質的に授業料が無償になるということです。そうなると、私立高校を選ぶ生徒が増加するのではないでしょうか。
そこで、実際に公立高校にどのような影響があるのか、他都市事例を調べてみました。
資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)大阪府では、令和6年度から授業料無償化制度を導入しており、私立高校は63万円を上限に支給されております。大阪府の公立高校の直近の志願状況ですが、平均志願倍率は過去最低で1.02倍です。定員割れの高校は約51%となっております。東京都については、令和6年度から所得制限を撤廃し、私立高校は48万4,000円を上限に支給されております。直近の平均志願倍率は過去最低で1.29倍、定員割れの高校は約37%となっております。以上のように、大阪府と東京都の公立高校では、志願者確保が大変厳しい状況となっています。資料投影ありがとうございました。
私立高校の授業料に対する支援は、所得制限はあるものの、令和2年度から全国的に開始されておりますが、福岡市立高校の志願倍率にどのような影響があったのか、確認したいと思います。
支援が始まる前の平成30年度と直近の令和6年度に実施した入試において、市立高校の全体の平均志願倍率はどうだったのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡市立高校の平均志願倍率は、平成30年度が1.27倍、令和6年度が1.22倍となっております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 令和2年度から始まった支援制度によって、現状では志願倍率への大きな影響はなかったことが分かりました。
それでは、令和8年度から私立高校の授業料完全無償化により、市立高校の志願倍率にどのような影響があるとお考えなのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 私立高校の授業料完全無償化の影響につきましては、東京都や大阪府の事例を踏まえますと、私立高校の人気が高まることにより、市立高校の志願者の減少につながる可能性があるものと考えております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 私も大阪府や東京都のように、私立高校の就学支援金引上げが市立高校の志願状況に影響を与えると考えます。
公立高校の志願者確保については、今年4月に石破首相が一つの公立高校しか受験できない単願制の見直しを指示したことや、先日には、文部科学省が政府主導で公立高校の再編などの改革計画を作成する方針を固めたことが報道されております。市立高校にも大いに関係することであるため、国等の動向をしっかりと注視しておく必要があると思います。
さて、国のほうでは、入試制度を含めて改革する動きがある中、福岡県ではいまだに高校入試に学区制を導入しております。福岡県立高校では、受験生は学区内の高校しか選べず、定員割れの県立高校もあると聞いております。
そこで、福岡県立高校の学区制はどのような制度なのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡県立高校の学区は13であり、県立高校の普通科については、居住している学区内にある高校のみ受験可能となっております。また、県立高校の専門学科や総合学科については、福岡県全域から受験可能となっております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 県立高校の普通科は13学区に分かれているとのことです。福岡市域も3つの学区に分かれており、例えば、中央区の中学生は、東区や博多区の県立高校の普通科に通うことができません。同じ中学校でも居住区によって受験できる高校が異なる場合もあります。
学区制には、教育の機会均等などの意図があると聞いておりますが、中学生が他の学区の高校を受験できず、不公平感を抱くこともあると聞いておりますので、学区の見直しについても、県に要望してはどうかと考えます。
では、福岡市の市立高校の学区はどのようになっているのかといいますと、資料3の投影をお願いいたします。(資料投影)総合学科高校である福翔高校、専門学科高校である博多工業高校と福岡女子高校の専門学科は、それぞれ福岡県全域から受験可能となっております。また、福岡西陵高校と福岡女子高校の普通科についても、福岡県立高校の普通科とは異なり、福岡市全域及び糸島市全域から受験可能となっております。投影ありがとうございました。
市立高校の学区が県立高校より広範囲ということは、より多くの中学生が志願することができる状況にあると言えますが、多くの中学生に選ばれる学校となるためには、中学生やその保護者にとって魅力的な学校であることが重要です。
そこで、市立高校の魅力を高めるための新しい取組はあるのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡市の市立4高校におきましては、令和7年度から時代の変化に対応する人材育成のために、市立高校チャレンジ事業を実施しております。内容といたしましては、市立高校の生徒たちが、地域に目を向けて自ら課題を発見し、起業家のアドバイスの下、その課題を解決するためのアイデアを創出していくワークショップを開催しております。また、生成AIを活用した進路指導や探求活動など、各高校の実情に合わせたプログラムを導入しております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 新たな取組も挑戦されていることが分かりましたが、これまでも教育委員会においては、特に専門学科がある博多工業高校と福岡女子高校について、それぞれ改革が進められていると聞いております。
福岡女子高校改革の現在の進捗状況をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡女子高校につきましては、令和9年度の総合学科への改編に向けて、新たなカリキュラムの検討を進めております。また、男女共学化に向けては、施設の改修や新たな環境整備について検討を進めるとともに、新校名などについても検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 総合学科への改編により、県内全域からの受験が可能になるものと思われますので、多くの中学生に選ばれる学校となるよう、カリキュラムの充実や魅力的な環境について、引き続きしっかりと検討していただきたいと思います。
次に、博多工業高校においては、令和9年度に学科改編するとともに、高度デジタル人材育成のため、高等専門学校の設置に向けた準備を進めると聞いていますが、現在の進捗状況をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 博多工業高校につきましては、令和9年度の総合的な工業学科への改編に向けて、新たなカリキュラムやコース編成を検討しております。また、高等専門学校については、カリキュラムや施設などについて検討を進めております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 引き続き、博多工業高校、福岡女子高校の改革を進めてもらいたいと思います。しかしながら、私が気になっていることは、私立高校の授業料無償化は、大学進学者の多い福翔高校や福岡西陵高校にこそ大きな影響を及ぼすのではないかと懸念しています。このため、両校においても、時代のニーズに応えながら、より一層の魅力化を推進していく必要があると考えます。
それでは、まず福翔高校の魅力化推進のための取組についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福翔高校につきましては、総合的な探求の時間において、生徒が模擬的に会社を設立し、活動することにより、会社の仕組みを学ぶことができる経済教育プログラムを実施しております。また、SDGsの実現に向けて、生徒自ら課題を見つけ、グループで課題解決につなげていくSDGsチャレンジプログラムを九州大学と連携し実施しております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) では、次に福岡西陵高校の魅力化推進のための取組についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 福岡西陵高校につきましては、総合的な探求の時間において、生徒たちが少人数のグループで意見交換や情報収集、データ分析を行い、企業や地域から出された課題について、解決策を提案する学習を実施しております。また、語学力向上と異文化理解を深めることを目的に、韓国の海外姉妹校との交流やオーストラリアへの短期語学研修を実施しております。以上です。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 引き続き両校の魅力化に取り組んでいただきますよう要望いたします。
さて、ここまで高校授業料無償化や入試制度改革、学区制などについてお尋ねまたは言及してまいりました。私は少子化も市立高校に大きな影響を与えていくのではないかと思っています。
資料4の投影をお願いいたします。(資料投影)これは平成27年3月以降の中学校卒業者数の推移を示したものですが、福岡県が公表した資料によりますと、青色のグラフですが、福岡県全体としては、令和9年3月から卒業者数が減少傾向です。オレンジ色の福岡市や糸島市などの福岡地区においては、直近である令和7年3月の中学校卒業者数は約2万4,800人で、当面は微増、横ばいで推移しますが、令和14年3月以降減少し、令和16年3月の卒業生は約2万3,600人と、令和7年3月の卒業生と比較して1,000人以上減少することが見込まれています。投影ありがとうございました。
したがって、私立高校の授業料無償化に加え、将来的には高校への入学者そのものの減少が見込まれるなど、高校をめぐる状況が大きく変化いたします。
このような中、市立高校がこれからも選ばれ続けるためには、適切な定員数についての検討も視野に入れながら、これまで培ってきた伝統を強みに転換しつつ、時代のニーズに対応した魅力的な学校経営を行うことが重要と考えます。
高等専門学校の設置も大変と思いますが、非常に意義のある取組であり、ぜひ福岡市の誇る学校にしてもらいたいと思います。
最後に、市立高校は今後もより一層の魅力化を推進しながら、未来の在り方について検討を進めていく必要があると思いますが、教育長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 高校教育につきましては、授業料無償化や少子化の影響も懸念される中、急速なデジタル化やグローバル化が進んでおり、柔軟な対応が求められております。福岡市立高校においては、これまでの歴史や伝統を大切にしながら、引き続き地域や企業、海外との連携を通じた実践的な学びや生成AIを活用する新たな学び方を積極的に取り入れ、今後も魅力ある学校づくりを推進してまいります。また、新たに設置を予定している高等専門学校については、高度な情報技術を活用しながら、社会に新しい価値を生み出していく人材の育成を目指してまいります。以上です。
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後4時10分に再開いたします。
午後3時59分 休憩
午後4時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。新村まさる議員。
○42番(新村まさる)登壇 私は新しい風ふくおかを代表しまして、地域活動へのバスの利用、活用と中学生のタブレット利用について質問をいたします。
まずは、自治協議会など、地域のバス利用についてですが、これまで市内各校区で様々なバス行事が行われてきました。地域ではバスは具体にどう活用されているのか、まずは本市の把握状況をお尋ねいたします。
以降の質問は自席で行います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域活動におけるバスの活用についてですが、地域では様々な活動が主体的に行われていることから、その活動の詳細までは把握をしておりませんが、住民同士の交流事業や施設見学などでバスを活用している地域があることは承知をしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 地域活動にバスを活用する効果について、これをどう評価されるのか、見解をお伺いさせてください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) バスを活用することにより、多人数による参加や遠方への移動が可能になるなど、活動の範囲や幅が広がり、ひいては地域コミュニティの活性化などにつながるものと考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次、福祉局にお聞きします。
市内には民間企業のマイクロバスを地域の買物支援に有効活用している事例があるそうですが、いつ頃から開始されたのか、その背景と併せてお尋ねをします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) お尋ねの事例は、葬儀会社や介護事業所などの事業者が地域と連携し、保有するマイクロバス等を活用して、買物先への送迎などを行っているものでございます。本市が把握している中で最も早いものは、区社会福祉協議会の支援により平成26年度から実施されており、詳細は地域によって異なりますが、近隣に店舗がない、高齢者の支援が必要などの状況を背景に取組が始まった地域が多いものと認識しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 主に買物先への送迎ということですが、具体な活用事例をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 具体的な活用事例といたしましては、例えば、あらかじめ地域と事業者が話し合って運行する曜日などを決め、公民館を起点に、地域内の幾つかの場所を経由しながら、商業施設まで往復しているといった事例がございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) スライドをお願いします。(資料投影)これは葬儀場の飛鳥会館さんが実際に行っている買物支援の様子です。社協と連携しながら、複数の校区に買物支援の機会を提供してくれています。運転手は飛鳥会館の職員さんです。
このように送迎協力をいただく民間事業者や買物支援を必要とする地域、この募集方法をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市におきましては、社会福祉協議会に買い物等支援推進員を配置し、地域からの相談を常時お受けするとともに、事業者の募集や個別の働きかけを行っております。また、地域の団体が直接地域の事業者に声かけをされる場合もございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 現在、本市ではどれほどの地域で取り組まれているのか、車両を提供いただく事業者数と併せてお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市が把握している地域は22地域、事業者は16事業者となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 現在、22の地域で実施され、送迎車両を提供する協力企業は16事業者ということです。さらなる推進、展開を求めるところですが、事業課題と併せて今後の方針をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 買物支援につきましては、市が社会福祉協議会に配置している買い物等支援推進員が、地域の希望に応じて移動販売や臨時販売所の開設、買物先への送迎に取り組む事業者とのマッチングを行っております。地域のニーズに合わせた支援を行うためには、より多くの事業者に参画いただくことが重要であり、引き続き広報や個別の働きかけに取り組むとともに、地域やそれぞれの方の状況に合わせて、宅配サービスの活用や介護保険サービスによる生活援助など、様々な手法を活用しながら取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) こういった地域単位での買物支援の取組は、買物の利便性を高めるだけでなく、利用する高齢者の定期的な見守り、これにも大きく寄与しています。支援を求める地域との対話、それから協力事業者との連携強化という視点で、本市の主体的な役割に期待をしたいと思います。
次に、施設見学などの地域行事にバスを利用する取組についてです。
コロナ禍前には、交流や学びを目的に様々な施設を見学して回るバス行事が多くの地域で実施されていました。それがコロナ禍を契機に、現在も取りやめになったままの地域バス行事が少なくありません。また、昨今の貸切りバス料金の急激な高騰、これが地域バス行事の復活や新たに企画を検討する際の大きなハードルとなっていることもよくお聞きします。そのような実態を本市は把握しているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域では様々な活動が主体的に行われておりますことから、バスの活用など、活動の詳細までは把握をしておりませんが、コロナ禍を経て、活動の内容、方法が変わった地域があることは承知をしております。また、貸切りバスの利用につきましては、ドライバー不足や料金の高騰が全国的な問題となっており、地域活動におきましても、バスの活用が難しくなっている状況はあるものと認識をしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 先ほど市や社協が取り組む買物支援を取り上げましたが、地域のバス行事に対しても、民間企業が支援する事例が少しずつ増えてきています。地域から個別に相談を受けた事業者が、自社のマイクロバスの空き状況を踏まえて、施設見学などの送迎に協力して、地域の学びや交流の場づくりに貢献しているといった事例です。このような支援事例について、本市が把握する状況と評価をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 住民同士の交流事業や研修会などに対し、事業者が自社のバスを無償で提供している事例があることは承知をしております。地域活動において、事業者がその人材や資源を活用して地域とともに取り組むことは、地域コミュニティの活性化に資するものであると考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 地域のバス行事から得られるものは、地域親睦だったり、交流促進だけにとどまりません。例えば、環境学習をテーマに施設見学に参加した環境委員さんたちが、それぞれ自分たちの町内に戻って、学びを持ち帰って熱心に環境啓発を行うことで、ペットボトルの正しい分別率や清掃活動への参加率、これが向上したという実例もあります。同じように、地域自治に関わりの深い防災や防犯、高齢者の見守り、子育て支援、健康増進の啓発など、バス行事は本市の施策全般の推進にも大いに寄与する活動だと強く認識をする必要があると思っています。
今後、協力事業者がさらに増えていって、地域がバス行事を企画しやすい仕組みをつくっていく、これは地域の活性化や市の施策の推進、地域福祉の向上のために大切なことだと思います。そして、その仕組みづくりを本市に牽引いただきたいのですが、所見をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) バスの提供を含め、事業者が自らの有する人材や資源を活用し、地域とともに活動に取り組むことは、地域課題の解決や地域コミュニティの活性化に資するものであると考えております。市では、地域活動に取り組む事業者を登録して連携を後押しするふくおか共創パートナー企業制度を設けておりまして、今後とも、制度の周知を図り、事業者の登録促進に努めるなど、地域と事業者の連携強化を図りながら、共創のまちづくりを推進してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) ぜひ責任ある立場で進めてもらいたいと願っています。
次に、送迎等に係る費用についてですが、市や社協が把握している買物支援を事例に、誰がどのように負担をする仕組みなのか、事故やけがなどへの備えも含めて、その運用手法をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 運用の仕組みは地域によって異なりますが、事業者が車両や運転手の提供、地域が住民への広報や乗車時の付添いを担うケースが多く、利用者がガソリン代などの実費を負担することもあると認識しております。また、事故などへの備えとしましては、通常の自動車保険に加えて、全国社会福祉協議会のボランティア保険が活用されている場合などがございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これは施設見学等への送迎支援においても同様なんですね。地域がその協力事業者に燃料費だったり、高速代、謝礼などを支払うケースというのが増えてきています。その場合、金銭の支払いが発生したとしても、道路運送法上、問題はないのか、見解を確認させてください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 国土交通省が示す道路運送法の許可又は登録を要しない運送に関するガイドラインによりますと、無償運送は道路運送法による規制がなく、自由に行うことができ、謝礼の支払いや燃料費等の実費の請求及び支払いは無償運送に伴って行えるとされております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) スライドをお願いします。(資料投影)謝礼や実費相当額の支払いであれば、いわゆる白タク行為には該当しないと国のガイドラインが明確に示しています。スライドありがとうございます。
金銭の授受が発生すると、イリーガルな営業行為じゃないかといった誤った理解もあるというふうに聞いていますので、正しい理解が進んで、ボランティアバスの活用にちゅうちょが少なくなるよう、今後、地域にも事業者にも適切にアナウンスをいただくよう要望しておきたいと思います。
次、もう1回スライドをお願いします。(資料投影)これは区役所のマイクロバスなんですね。各区に1台ずつ配置をされています。それらの運用について、活用事例を挙げて御説明ください。
○副議長(松野 隆) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 各区役所に所属共用の車両として配置をしておりますマイクロバスにつきましては、原則としまして、当該区役所内の所属が利用することができることとしております。職員の移動、各区主催行事への参加者の送迎などに利用しております。具体的な活用事例としましては、乳幼児健診、病院立入検査、健康講座などでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次のスライドをお願いします。(資料投影)これは区のマイクロバスの利用基準の一部抜粋なんですが、利用可能用途の3つ目に、本市が主催する行事への参加者の送迎というふうにあります。
そこで、公民館は市の施設であって、そして公民館実施の事業は市の事業と位置づけられるのか、確認させてください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公民館は市の施設であり、公民館事業は市の事業でございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) それでは、公民館主催の地域行事の場合だと、区のマイクロバスの利用は可能となるのか、利用基準の解釈についてお尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 各区のマイクロバスにつきましては、災害などの緊急時対応への備えを含みまして、区役所の所属共用の車両としての位置づけや民間サービスと競合するおそれなどを踏まえまして、原則として当該区役所の所属の業務以外の用途に利用することは想定しておりません。そのことは利用基準上も明記をしているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これは地域への利用を想定していないというのが現状の考え方なんですね。
スライドをお願いします。(資料投影)これは令和2年11月に財政局から各区役所へ通知されたマイクロバスの適正利用を求めた文書です。この通知の理由と目的をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 中村財政局長。
○財政局長(中村剛士) 御指摘の通知につきましては、庁内におきまして、マイクロバスの利用基準に関する問合せが多かったことから、適正利用を図るため、周知徹底を行ったものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 本市は、過去の経緯というのはなかなか不明ですよというふうにおっしゃるんですけど、実はコロナ禍以前には区のマイクロバスを柔軟に地域活動に活用していたという事例もあったそうなんですね。結構聞きます。利用基準の厳格な運用通知に当惑したという地域団体もあったようです。ここで安易に私は、以前のように地域利用ができるように戻してほしいと主張しているわけではありません。地域でバス行事が活発に生み出されるということの価値について、今こそ全市的に考えてみませんかという大きな視点を本市に求めるものです。
バス行事は、企画、準備をする運営役員さんにとって、本当に骨が折れる作業です。現在の地域を取り巻く状況というのは、バス行事をやめる、バス行事をやらないという地域判断をどんどん後押ししてしまっている状況。この現実を強く危惧すべきだと思うわけですね。地域のバス行事は、今やよほどの熱量がないと新たに企画されることはありません。裏を返せば、能動的でアクティブな地域活動の一つとも言えます。その熱量が生み出す取組というのは、人を引きつけて、集まった者同士で新たな熱量を高め合って、新たな活動意欲さえ生み出してくれます。地域の人材不足、担い手不足と言われて久しいんですが、地域でのバス行事の創出というのが今後の地域活性化への起爆剤の一つ、そうなり得るのではないかと市民局さんには強く提起しておきたいと思います。
市民局さんには、自治協などの地域が実際どのようにバス行事を実施しているのか、こういったことに関心をもっと持っていただきたいですし、それらのバス行事が地域の活性、それから福岡市政の推進にどれほど寄与するのかについても、団体や参加者から多くの意見を収集して、その効果をしっかりと検証いただきたいと思いますが、所見をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自治協議会や自治会、町内会におきましては、様々な工夫を凝らしながら、住みよいまちづくりに向けた取組に御尽力をいただいております。バスの活用を含め、活動の方法につきましては、それぞれの地域で主体的に行われるものであると考えておりますが、今後とも、自治協議会共創補助金や町内会活動支援事業補助金の交付などを通じて、活動における工夫や効果的な手法などの把握に努め、共有を図ってまいりたいと考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 地域がバス行事を企画しやすい福岡市でありますよう、今後の施策を注視したいと思います。
次に、本市中学生におけるタブレット利用状況についてですが、まずスライドをお願いします。(資料投影)これは学校で全ての小中学生に配付されているChromebookですね。ほとんどノートPCに近い形状です。導入から5年、今年度が端末の更新時期と伺っていますが、その進め方について御説明ください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 1人1台端末の更新につきましては、令和6年度に教育委員会の関係課長、小中学校の校長及び外部有識者で構成される検討委員会を設置し、採用するOS及び調達の仕様を決定いたしました。決定した仕様を基に、総合評価方式一般競争入札による公募を行い、6月中旬を目途に調達事業者を決定する予定としております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) このChromebookの導入以降、児童生徒や保護者、教員への効果はどうだったのか、これまでを振り返った総合的な評価と具体な使用課題についてお示しください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 効果につきましては、児童生徒においては、個別最適な学びや協働的な学びの機会が拡充され、より深く考えることにより、学習の深い理解が可能となっております。また、保護者においては、端末のデータを見ることで、子どものドリルの取組状況や学習内容の理解度を把握することができるようになっております。さらに、教員においては、授業中の児童生徒の考えや学習内容に対する理解度の把握がより効率よく行えるようになるとともに、意見集約の時間が短縮されております。課題としては、端末の導入から5年が経過し、端末の故障が増加するとともに、バッテリーの劣化が進み、駆動時間が短くなってきております。また、一部の学校や保護者からは、児童生徒が長時間動画を視聴することについて懸念する声もございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次に、全国的にタブレットの活用は、学力の向上と相関があるのか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 端末の活用と学力の相関につきましては、文部科学省が実施している全国学力・学習状況調査によりますと、端末の使用頻度が高く、課題解決の学習に取り組んだ学校の子どもの平均正答率は、そうでない学校の子どもより高い傾向にあると分析されております。また、ICT機器活用の効力感が高い子どもほど、物事に挑戦する気持ちや自己有用感、幸福感が高いと報告されております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 総じて高評価のようですが、本市の中学生生徒は家庭ではChromebookをどのようなことに使用しているのか、その利用実態について認識をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 端末の家庭での利用実態につきましては、学習アプリを利用した宿題を行うほか、生徒自身が興味、関心を持つ分野を探求したり、自主学習を行っているものと認識しております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 具体にはどのようなアプリや検索機能が使えることになるのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 端末の機能につきましては、国語、算数・数学、理科、社会、英語の学習ができるデジタルドリルや学級全員の意見を共有し、画面に一括表示できる授業支援アプリなどが利用できます。また、学習に関する情報検索や動画視聴ができる機能も備えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) グーグル検索や動画視聴が可能なChromebookですが、端末にはフィルタリングや使用時間の制限が設けられています。その目的と内容を御説明ください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 端末の利用制限につきましては、端末の適切な利用を図るために、まず暴力や薬物、ギャンブル、性的な内容など、福岡市が教育上不適切であると考えているインターネットサイトについて、フィルタリングをかけ、アクセスを制限しております。また、23時から翌朝6時までの間、1人1台端末へのログインができないように利用を制限しております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 本市のフィルタリングシステムはどのようなものなのか、不適切なサイトへの対応や年間を通した諸問題への対応と併せてお尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) フィルタリングのシステムにつきましては、Wi−Fiやルーターではなく、端末の本体でフィルタリングをかけております。また、不適切なサイトへアクセスを試みた履歴については、フィルタリング事業者からの報告で把握しております。さらに、新たに発見される不適切なサイトについては、フィルタリング事業者から定期的に報告を受け、連携しながら制限を追加していく対応を行っております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 端末を通して、本市の生徒にトラブル等が発生した事案はないのか、また把握している全国のトラブル事例もお示しください。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) トラブルにつきましては、福岡市においては、生徒が共同で編集できるファイルに学習に関係のないことを書き込むなどの事案の報告がございました。なお、全国ではSNSによるトラブルの事例などがあると聞いておりますが、本市では端末でSNSは利用できないようにしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) そこで、またスライドをお願いします。(資料投影)暴力や薬物、ギャンブル、性的表現などに加え、ECサイトページやSNSにもフィルタリングがかかるという仕組みです。スライドありがとうございます。
これは、しかしながら、フィルタリングは常に完全なものではなくて、不適切なサイトにたどり着いてしまったり、PCゲームをプレーできたりもします。実際に、本来なら入れないようなサイトを男子生徒たちが共有をして、教員から指導を受けるといったことも日常的に起こっているようです。学校現場の負担の大きさも想像がつきます。また、過去にはアカウントの乗っ取りや詐欺被害など、生徒がトラブルに巻き込まれるといった事例も全国的に散見されます。フィルタリング事業者との丁寧な情報共有作業の下、生徒の利用実態や起こり得る危険性に注視していく姿勢、これは教育委員会には今後ますます求められると思います。
一般的に、不適切な使用は家庭で1人のときに陥りやすいと、そうされています。家庭での利用の在り方について、中学生の保護者から学校や教員へ相談、または問合せが届いていないか、その内容も含めてお尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 保護者からの問合せなどにつきましては、端末の導入当初は長時間の利用や深夜まで端末を利用できることについて、健康面などを心配する相談が年に数件ございました。令和3年度から23時以降、翌朝6時までの端末利用の制限を段階的に実施しており、6年度以降は教育委員会への直接の問合せはございません。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 勉強するふりをして、Chromebook上でユーチューブの閲覧やゲームを繰り返している。何度注意をしても、まるで依存症のようにやめてくれない。こういった悩む声が私の下に多く届きます。Chromebookの家庭利用の在り方をめぐって、少なくない保護者、特にお母さんたちが日々悩んでいるという実態を教育委員会は御存じでしょうか、お尋ねをします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 家庭での端末の利用につきましては、保護者からは、長時間の利用や不適切な活用、家庭での端末の利用実態を十分に把握できないことなどの不安があるという声を聞いております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 家庭でのChromebookの使い方についての諸問題は、家庭内で責任を持って解決してもらうべきでしょうか、見解をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 端末の家庭での利用につきましては、児童生徒が適切に利用できるよう、リテラシー教育を行うとともに、学校と家庭が協力していく必要があると考えております。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 今、教育長がおっしゃられました学校と家庭が協力して、学校と家庭が一緒にという概念が極めて重要なんだと思っています。現在の端末システムでは、教員と保護者は生徒の検索履歴等を確認できるのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 端末での検索履歴につきましては、端末にログインすることで確認することが可能です。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 一応保護者もできるようになっているんですね。ただ、これは、システム上はログインすれば保護者も教員も検索履歴を見れるんですが、生徒が親にログインパスワードを教えずに困っているよという家庭だったり、こういうものも一定あるそうです。また、これも問題で、検索履歴を自ら削除できてしまうという、こういった仕様になっています。
そして、家庭から一様に上がってくるのが、現在のChromebookのシステムでは、子どもが何を勉強しているのか、親が正直把握しづらいと。そういったもので、把握が難しければ、指導、管理にも限界があるといった御意見です。今後、履歴の削除防止機能の導入など、不正使用への一定の抑止力の検討だったり、あとは親からも教員からも生徒が何を学習しているのかが見えやすい、把握しやすい仕組みづくりが肝要になることを強く提起しておきたいと思います。
ここでスライドをお願いします。(資料投影)これは中学生のお母さんたちからの声の抜粋なんですが、ユーチューブ閲覧ばかりで、勉強が全く手につかない。勉強するふりしてゲームが発覚、親子の信頼関係が破綻。何度も叱り続ける毎日。親子関係がどんどん悪くなっていく。本人も悪いことと分かっているようだが、娯楽としてのユーチューブ閲覧をどうしても我慢できない。まるでユーチューブ中毒のよう。毎日のいらいら、ストレスが家庭全体の不和に影響してしまっている。自分の子育てが間違っているのかと、心がずっと苦しくなってしまう。ありがとうございます。
この件で、次から次に、多くの家庭から心配、悩みの声が寄せられますので、私も正直驚きました。特にお母さんたちが半ば諦めの境地で、鬱憤やストレスをため込んでいたということが分かりました。また、高校受験を控える中学校では、内申点への影響を気にするあまりに、学校教育への不満の発言を控えがちだという側面にも気づかされました。家庭内でのChromebookの使い方やその問題点について、教育委員会で一度しっかりと実態を調査されてみてはいかがでしょうか。また、保護者の皆さんが抱えている悩みや意見もきちんと酌み取る努力が求められますが、今後の見解をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 家庭での利用実態の把握につきましては、全国学力・学習状況調査において、生徒が授業以外で学習のためにICT機器を使用した時間の調査を行うとともに、学校に対して家庭における端末を活用した学習状況についての調査を実施しております。今後とも、利用実態を確認するとともに、学校を通じて保護者の意見の把握などに努めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これは全市的な一斉調査というのが難しければ、モデル校抽出調査でも全然構わないんですよ。一度丁寧な調査を実施してもらって、届きにくい保護者の悩みや声、これを集約されるよう求めておきたいと思います。
これまで、この問題への対処と責任の大部分を家庭側で抱え込んでいました。実態や課題を学校も共有してもらって、家庭と一緒になって改善に取り組もうと、こういう姿勢を今後より大切にしていただきたいと併せて強く要望いたします。
一方で、その解決策として、フィルタリングの強化や動画サイトへの遮断など、制限を強化することが正解だとは思いません。生徒たちはいずれ近い将来、制限がかからない社会に飛び立っていくわけですね。規制で抑え込んでしまうような対処では、未成熟、未発達のまま社会に出ることを助長しかねません。Chromebookを取り巻く制限が不完全であることも理解して、学校でも、家庭でも、Chromebookの使い方を生徒自身が考えるリテラシー向上へ、地道で継続的な取組こそ最も重要だと思いますが、所見をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 情報化社会を生きていく児童生徒にとって、情報機器の使用方法や情報との向き合い方を自ら適切に判断できるようになることは重要であると考えております。そのため、今後も学校、家庭及び教育委員会が連携して、情報モラル教育やリテラシー教育を継続して進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 最後に、スライドをお願いします。(資料投影)これは字が小さいですね。すみません。中学生向けの啓発資料なんですけど、一般的なことが書いてあります。ただ、これを配布するだけでは効果はとても限定的だと思うんですね。スライドありがとうございます。
また、不正使用を行わないようといった一方的な指導というのも望ましくないと思っています。家庭での利用実態を生徒本人たちにも共有すべきではないかと思っています。そして、自分たちの将来像と照らし合わせながら、そのためのChromebookの必要性を再確認すべきですし、日常的にどう使うべきか、自分たちで使い方を考えていくといったことが最も大切なことだと思います。Chromebookの家庭利用に関する教材の製作だったり、生徒たちが自ら考える指導の在り方について、教育委員会の責任において抜本的な研究が進められるよう要望いたします。
最後に所見をお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
○副議長(松野 隆) 下川教育長。
○教育長(下川祥二) 児童生徒の情報機器の利用につきましては、1人1台端末に限らず、今後、様々な情報機器に触れる機会が増えていくものと考えております。情報化社会が今後も進展していく中で、情報を適切に利用し、有効に活用していく力を身につけていくためにも、情報機器を使用した学習が充実したものとなるよう研究してまいります。今後も、学校だけではなく、家庭においても、児童生徒が安全かつ安心して端末を学びに生かすことができるよう取組を進めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明12日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松野 隆) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次の会議は明12日午前10時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時43分 散会