令和7年3月6日(木)
令和7年 第1回 福岡市議会定例会
議 事 日 程 (第7号)
3月6日 午前10時開議
第1 議案第32号ないし議案第94号
本日の会議に付した事件
議事日程のとおり
出 席 議 員 (61名)
1番 おばた 英 達 2番 もろくま英 文
3番 淀 川 幸二郎 4番 稲 員 稔 夫
5番 鬼 塚 昌 宏 6番 堤 田 寛
7番 大 森 一 馬 8番 大 原 弥寿男
9番 今 林ひであき 10番 阿 部 真之助
11番 打 越 基 安 12番 堤 健太郎
13番 坂 口よしまさ 14番 新 開 ゆうじ
15番 とみながひろゆき 16番 田 原 香代子
17番 たのかしら知行 18番 石 本 優 子
19番 勝 山 信 吾 20番 調 崇 史
21番 川 上 陽 平 22番 津 田 信太郎
23番 古 川 清 文 24番 高 木 勝 利
25番 篠 原 達 也 26番 平 畑 雅 博
27番 伊 藤 嘉 人 28番 川 上 晋 平
29番 尾 花 康 広 30番 松 野 隆
31番 山 口 剛 司 32番 大 石 修 二
33番 和 田あきひこ 34番 あ べ ひでき
35番 大 沢 めぐみ 36番 木 村てつあき
38番 綿 貫 康 代 39番 前 野 真実子
40番 中 島まさひろ 41番 藤 野 哲 司
42番 新 村 まさる 43番 天 野 こ う
44番 堀 内 徹 夫 45番 森 あやこ
46番 福 田 まもる 47番 はしだ 和 義
48番 浜 崎 太 郎 49番 阿 部 正 剛
50番 倉 元 達 朗 51番 中 山 郁 美
52番 川 口 浩 53番 小 竹 り か
54番 勝 見 美 代 55番 井 上 ま い
56番 ついちはら陽子 57番 田 中 たかし
58番 山 田 ゆみこ 59番 近 藤 里 美
60番 落 石 俊 則 61番 田 中しんすけ
62番 池 田 良 子
欠 席 議 員 (1名)
37番 橋 口 えりな
説明のため出席した者
市 長 島 宗一郎 副 市 長 光 山 裕 朗
副 市 長 中 村 英 一 副 市 長 荒 瀬 泰 子
水道事業管理者 下 川 祥 二 交通事業管理者 小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長 龍 靖 則 財 政 局 長 山 嶋 剛
市 民 局 長 舟 越 伸 一 こども未来局長 野 中 晶
福 祉 局 長 藤 本 広 一 保 健 医 療 局 長 藤 田 三 貴
環 境 局 長 中 村 卓 也 経済観光文化局長 鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長 姉 川 雄 一 住 宅 都 市 局 長 中 村 健 児
道路下水道局長 天 本 俊 明 港 湾 空 港 局 長 竹 廣 喜一郎
消 防 局 長 田 浩 輝 会 計 管 理 者 小 林 登茂子
教 育 長 石 橋 正 信 教 育 委 員 原 志津子
選挙管理委員会事務局長 中川原 敬 子 人事委員会事務局長 小 川 明 子
監 査 事 務 局 長 上 薗 久 美
職務のため出席した事務局職員
議会事務局長 久 田 章 浩 議会事務局次長 着 一 孝 議 事 課 長 水 ア 亮 二 議 事 係 長 實 政 伸一郎
外関係職員
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第32号ないし議案第94号、以上63件を一括して議題とし、昨日に引き続き質疑を行います。
発言通告者のうちから順次質疑を許します。近藤里美議員。
○59番(近藤里美)登壇 おはようございます。私は福岡市民クラブを代表して、落石俊則議員の代表質疑を補足し、公共交通を主軸とした都心部の交通について質疑を行います。
初めに、福岡市内の移動に関する状況についてお伺いをしてまいります。
公共交通である鉄道、バスと自動車、自転車について、それらの利用割合がどうなっているか、直近の調査結果をお尋ねします。また、直近と前回の調査結果を比較して、利用割合や世代別、目的別の移動がどう変化しているか、主なものをお尋ねします。
また、市内の移動の中でも、各地から都心部である天神、博多への移動と都心部の移動について、鉄道、バス、自動車、自転車の利用割合及びその変化をお尋ねします。
次に、公共交通の利用状況についてお尋ねしますが、鉄道、バスそれぞれの利用者数の推移について、コロナ禍前の令和元年と直近及び今後の見通しについてお尋ねします。
公共交通の維持には、その事業の現場を支える運転手などの人材が欠かせません。近年は特に全国的な運転手の不足についてよく耳にします。
公共交通の担い手であるバスの運転手不足について、今後の見通しについてお尋ねします。大型二種免許証の保有者数の近年の推移についても、お示しください。
あわせて、人材不足への現在の対策について、交通事業者、自治体それぞれの対応策や取組についてお尋ねします。
次に、都心部における車の利用状況についてです。
都心部の自動車流入交通量の推移について、最も多かった年とコロナ禍前の令和元年、直近及び今後の見通しについてお尋ねします。
都心部の渋滞はバスの遅延を招き、より公共交通の利用を敬遠することにつながります。これまでの都心部の交通混雑対策とその効果についてお尋ねします。
また、都心部への車の流入と駐車場の充足状況とは密接な関係があると思われますが、警固公園地下駐車場の利用停止が決まったことからも、近年は駐車場台数が減っても問題はなく、減らす方向に動いていることが実感されるところですが、都心部の駐車場についてこれまでどのような対策を講じてきたのか、その結果、どういった効果が得られているか、規模感を含めてお示しください。
次に、多くの市民に利用されている移動手段であります自転車について、中でもシェアサイクルの現状について、市内での利用が始まった時点からの利用状況や面的な広がり、シェアサイクルへのニーズについてお示しください。
次に、都心部の歩行者の現状について確認したいと思います。
都心部の回遊性に関する歩行者交通量の推移についてお尋ねします。
現計画において、歩きたくなるまちづくりに取り組んでこられたところですが、都心部の快適で高質な回遊空間の創出について、これまでの計画期間内における取組について、具体的な事例も含めてお示しください。
次に、都心部の交通を考える上で重要な天神、博多、ウォーターフロントの3拠点の移動について伺います。
まず、天神、博多、ウォーターフロントの拠点間の回遊性に大きな役割を担っています都心循環BRTのこれまでの取組内容と成果についてお尋ねします。
3拠点間の人の移動について、直近の状況をお示しください。同じく交通手段別に多い順にお示しください。
将来にわたって都心部への移動を考える上で大きく影響すると思われますので、お尋ねしますが、現在、天神ビッグバン、博多コネクティッドによってビルの建て替えが進行しているところです。建て替えが完了すると、都心部の従業者数は直近と比較してどれくらい増えるのか、お示しください。
以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都心部の交通に関する御質問にお答えします。
まず、交通手段の利用割合につきましては、平成29年のパーソントリップ調査における分担率でお答えしますと、鉄道が17%、バスが8%、自動車が38%、自転車が12%となっております。また、平成17年の前回調査結果と比較しますと、鉄道は増加、バス、自転車は横ばい、自動車は減少となっております。目的別では、通勤、通学の移動は横ばい、業務は減少、私用は増加、世代別では、20代から30代の若い世代で自動車での移動が減少してきており、高齢世代では通院や買物など私用での移動が増加しております。
次に、都心部での移動につきましては、平成29年の調査によりますと、天神地区への移動は鉄道が29%、バスが18%、自動車が23%、自転車が7%となっており、平成17年の調査と比較しますと、鉄道、バスは増加、自動車、自転車は減少となっております。博多駅周辺地区への移動は鉄道が34%、バスが11%、自動車が27%、自転車が10%となっており、前回の調査と比較しますと、鉄道、バス、自転車は増加、自動車は減少となっております。都心部の移動は鉄道が29%、バスが15%、自動車が24%、自転車が8%となっており、前回の調査と比較しますと、鉄道、バスは増加、自動車、自転車は減少となっております。
次に、市内の鉄道、バスの1日当たりの乗車人員につきましては、コロナ禍前の令和元年は鉄道が約91万人、バスが約40万人、直近の令和5年は鉄道が約87万人、バスが約32万人となっております。鉄道はおおむねコロナ禍前の水準まで回復しておりますが、バスは8割程度となっており、コロナ禍前の水準まで回復しない見込みであると交通事業者より聞いております。
次に、バス運転手不足の今後の見通しにつきましては、公益社団法人日本バス協会によりますと、全国で令和4年から令和12年にかけて約2割程度減少するものと推計されております。また、大型二種免許の保有者数につきましては、警察庁の統計によりますと、令和5年までの10年間で約2割減少しております。
次に、運転手不足への対策につきましては、様々な分野で人手不足が生じる中、社会全体で生産性の向上や多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組むことが重要であると考えております。福岡市や交通事業者も参画する県主催の福岡県地域公共交通運転手確保等実行委員会においては、女性や若者なども働きやすい職場環境の整備や業界の魅力発信などに取り組むこととしており、交通事業者においては、免許取得支援や運転手体験会、高卒直後の採用などによる運転手養成など、処遇改善や採用強化に取り組まれております。
次に、都心部の自動車流入交通量の推移につきましては、平成元年以降の調査結果でお答えしますと、平成2年が最も多く、12時間当たり約10万7,000台、コロナ禍前の令和元年は約8万4,000台、直近の令和6年は約7万8,000台となっております。今後とも、マイカーから公共交通への転換等による取組を進めることで、流入台数の減少傾向を維持してまいります。
次に、都心部の交通混雑対策とその効果につきましては、これまで放射環状型の道路ネットワークの形成をはじめ、都心循環BRTや地下鉄七隈線の延伸などの公共交通ネットワーク強化、パーク・アンド・ライド等の交通マネジメント施策に取り組んできた結果、都心部への流入交通量はピークであった平成2年から令和6年にかけて約27%減少しております。
次に、歩行者交通量の推移につきましては、都心部の12地点の合計で、平成23年度は13時間当たり約10万6,000人、令和6年度は約13万1,000人となっております。
次に、回遊空間の創出の主な取組につきましては、はかた駅前通りにおいて車線を減らし、歩道の拡幅と高質化を行うとともに、エリアマネジメント団体と連携し、ベンチやフラワーポットの設置、イベント実施などを行っており、西中洲地区においては、地域と連携し、情緒ある路地空間づくりに向けた石畳整備と景観誘導を行っております。また、ビル建て替えに当たっては、地区計画などにより歩行者空間や広場の確保などを行っており、福岡大名ガーデンシティではベンチやアートを設置し、緑豊かで憩い、にぎわいが感じられ、イベント等が行われる大規模な広場を設け、その広場により明治通りと大名小前えのき通りをつなぐことで、市民や来街者が楽しく回遊できる空間を創出しております。
次に、都心循環BRTの取組と成果につきましては、平成28年度から取組を開始し、都心循環BRTの走行ルートと重複するバス路線などを再編、効率化することで、都心部に集中するバスを約2割削減しながらも、都心循環BRTの15分間隔運行により、バス交通の輸送力を約1.3倍に増強しております。あわせて、バス優先レーンへの交通規制の変更やバス走行空間の明示化などにより走行環境を改善しております。
次に、直近の都心3拠点間の人の移動につきましては、地区間の移動を表す単位であるトリップでお答えしますと、平成29年のパーソントリップ調査では、天神と博多駅周辺の地区間が1日当たり約3万3,000トリップ、天神とウォーターフロントの地区間が約4,000トリップ、博多駅周辺とウォーターフロントの地区間が約2,000トリップとなっております。
また、3拠点間の交通手段別の人の移動を多い順にお答えしますと、自動車、バス、鉄道、自転車、徒歩となっております。
最後に、都心部の従業者数につきましては、経済センサスの調査結果でお答えしますと、天神ビッグバン開始前の平成26年で約36万6,000人、直近の令和3年で約39万8,000人となっております。また、令和10年には約41万人と推計しており、直近と比較しますと約1万2,000人増加すると見込んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) まず、都心部の駐車場施策についての御質問にお答えいたします。
都心中心部への流入抑制につきましては、附置義務駐車場の特例制度としまして、天神と博多の鉄道駅500メートル圏域における公共交通利用促進措置による駐車台数の低減や、天神中心部においてエリア外に駐車場を確保する隔地化を促進しております。その結果、平成29年4月の特例制度導入以降の申請において、公共交通利用促進措置により、本来義務台数2,643台が必要であるところ、709台低減され、1,934台となっております。また、隔地促進により、本来義務台数848台が必要であるところ、301台隔地化され、547台となっております。以上から、それぞれ3割程度の駐車台数の削減が図られております。
次に、福岡市が取り組んでおりますシェアサイクル事業におきましては、平成30年6月の利用開始時と直近の令和6年12月を比較しますと、一月当たりの利用回数は約8,000回から約63万8,000回、エリア面積は約20平方キロメートルから約110平方キロメートルとなっております。また、利用者ニーズにつきましては、事業者から事業エリア内でのポートの充実やさらなる利用エリア拡大などの要望があると聞いております。以上でございます。
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 1回目で公共交通や車、自転車、歩行者の移動に関する現状についてお伺いしました。それらをベースに、令和7年度、新たに策定する都市交通基本計画に基づき、次の10年間にかけて各施策に取り組んでいくわけですが、具体的な取組について3つの視点ごとに伺ってまいります。
1点目は、現有の公共交通体系の維持についてです。
市内の移動手段としては自動車が4割近くを占めており、鉄道は増加傾向、バス、自転車は横ばいでした。都心交通については、都心部への車の流入台数は減少しているものの、移動の分担率では鉄道とバスを合わせて全体の45から47%で、半分に届いていないようです。公共交通の利用者数については、コロナ禍前で鉄道は約90万人、バスは約40万人でしたが、いまだ回復しておらず、バスについては今後の回復は難しいという見通しでした。公共交通の担い手不足は大きな課題であり、交通事業者も自治体も対策に取り組んでいるとのことですが、現役世代の人口が減少し、あらゆる業界で人手不足が叫ばれる中、若い世代の仕事に求める価値観の変化や労基法改正に伴う働き方改革、2024問題も相まって、大手企業である交通事業者であっても、人材確保は困難な状況だと推察します。今、各企業労使間で取り組まれている賃金改定交渉、いわゆる春闘では、賃上げを可能とする価格転嫁を求める声が労使双方から聞こえてきます。しかしながら、公共交通事業者にとっては、他の民間企業とは異なり、運賃の値上げが難しく、給与を上げるために必要な原資を確保することにも苦慮されていると聞きます。特にバスは本当に厳しい状況にあります。大型二種免許保有者は中高齢層が多い上に年々減少、若い世代は車離れの傾向もあり、全国的には令和12年頃までの10年間で2割の運転手が減少するとの見込み。地元西鉄バスについては、2023年10月28日の日経新聞に、何も手を打たなければ2035年には35%不足するといった記事が掲載されていました。このままでは現有の市内の公共交通網は維持すること自体が困難だという危機的状況にあることが分かります。こうしたことを念頭に、新計画において手を打たなければならないと強く思います。
新計画には公共交通を主軸とした持続可能な総合交通体系の構築とありますが、これはどういった取組か、説明願います。
あわせて、新計画の目指す交通体系は、現在の市内の交通と比較して何が変わるのか、やめるものや新たに生み出すものがあるのか、市民がイメージできるようにお示しください。
また、新計画の示す交通体系は、計画期間を終える10年後の段階でどこまで進捗することを描いておられるのか、中間点で描く目標などはあるのか、成果指標についても、お尋ねをいたします。
次に2点目、車から人へという視点についてです。
都心部への車の流入台数については、ピークの10万7,000台から約35年間で3万台減少しており、駐車場台数も3割減となっているようです。福岡市の人口は2040年をピークに、その後は減少するという予測となっており、中でも高齢者の増加は今後の移動について多大な影響を与えます。世代を問わず利用できる移動手段として、自家用車から公共交通への転換を図ることは重要な局面となっています。加えて、観光やビジネス等により福岡市を訪れる人が増加することは、交通事業者のみならず、多くの産業界からも期待されています。車から人へは世界の潮流であり、福岡市が九州の中でも率先して進めていくべきだと考えます。
では、新計画においてどのような対策を講じることとしているのか、伺ってまいります。
新計画に交流を支える都心部の交通環境づくりとありますが、これはどういった取組なのか、説明願います。
中でも、パーク・アンド・ライドとフリンジパーキングについて、これまでも取り組んできたものではありますが、さらに進めていくために、新計画においてどのように取り組むこととされているのか、お尋ねをいたします。
都心部の駐車場についてですが、これから車から人へという政策を展開していくと稼働率が下がることとなります。結果として不用となる一部、もしくは全部の駐車場について、他の目的に活用することができればと期待するところですが、いわゆる附置義務条例に基づき設置された建築物内の既存の駐車場を減らすにはどのような手続となるのでしょうか。事例も含めてお尋ねをいたします。
車から人へという考え方を浸透し、実際に多くの市民が車よりも鉄道やバスを選んで乗ってもらうという行動につながる必要があります。そのためにも、市民のみならず、誰もが福岡市の公共交通を利用しやすいよう、さらなる利便性の強化が求められると思いますが、新計画においては何に取り組むこととしているのか、お尋ねをいたします。
世代を超えて利用でき、免許証が不要である自転車は、今や重要な移動手段です。都心部の移動を考える上で、シェアサイクルの役割は重要性を増していると思われますが、令和7年度以降のシェアサイクル事業の取組についてどのように進めていくのか、お尋ねをいたします。
続いて、3点目の都心部の回遊性の向上についてです。
都心部の歩行者交通量は大きく増えており、西中洲やはかた駅前通りなど、歩行、公共空間づくりも進められてきています。福岡市は第3次産業が9割という都市であり、市民はもちろん、多くの来街者が広く周辺のまち並みや景色を見ながら回遊することで、購買意欲を高め、消費行動につながることが重要です。加えて、観光のスタイルも団体客のバス移動型からグループ程度までの少人数によるまち歩きへと変容しており、歩きたくなるまち、歩いて楽しいまちは都市の魅力を高める上でキーワードとなっています。
では、この点について新計画においてどのように取り組まれるのか、伺ってまいります。
回遊性を高める上でベンチなどの休憩スペースや緑も重要だと思いますが、新計画における人を中心とした歩きたくなる空間づくりとはどういった取組か、具体的な取組を含め、説明願います。
あわせて、都心部にある民間事業者と本市とそれぞれが担うべき役割もお伺いをいたします。
都心拠点間の回遊性については、都心循環BRTの導入を機に、集中する路線バスを削減しつつも輸送力を増強することができました。一方で、移動手段としては自動車が最も多く、天神−博多間よりもウォーターフロント間の移動、トリップが5分の1程度と少ないことが特徴でした。
都心部の拠点間のアクセス強化について新計画ではどのように取り組まれるのか、説明願います。
以上で2回目を終わります。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都心部の交通に関する質問にお答えします。
まず、公共交通を主軸とした持続可能な総合交通体系につきましては、運転手不足等が課題となる中、鉄道やバスなどの幹線交通、面的に広がるバスなどの支線交通、多様なニーズに対応するタクシーやシェアリングモビリティーなどの補完交通が特性に応じた機能分担や連携強化を図ることがより一層重要になると考えております。
幹線交通では連節バスの導入などにより輸送効率を高め、支線交通では幹線交通と接続した折り返し運行などとすることでサービス水準の維持向上を図り、補完交通では令和7年度より公共交通不便地等における生活交通確保の取組を強化することなどにより、持続可能な総合交通体系の構築に向けて取り組むこととしております。
次に、改定中の都市交通基本計画の成果指標につきましては、幹線、フィーダー化の推進による輸送効率の向上や生活交通の確保に向けた取組などにより、1日当たりの鉄道、バス乗車人員や、公共交通が便利と感じる市民の割合が増加することを指標として設定することとしております。また、改定中の関連する実施計画において、1日当たりの鉄道、バス乗車人員が125万人に増加し、公共交通が便利だと感じる市民の割合が80%程度を維持することなどを4年間の成果指標として設定することとしております。
次に、交流を支える都心部の交通環境づくりの取組につきましては、道路交通混雑の緩和や都心拠点間の交通ネットワーク強化を図るため、都心循環BRTの利用促進やパーク・アンド・ライド、フリンジパーキング等の交通マネジメントを総合的に進め、マイカーから公共交通への転換や自動車交通の削減、抑制に取り組むこととしております。
次に、パーク・アンド・ライドにつきましては、周辺市町とも連携しながら、福岡都市圏における既存の商業施設や民間駐車場などと連携した駐車場機能の確保並びに情報発信によるさらなる利用促進などに取り組むこととしております。また、フリンジパーキングにつきましては、認知度向上に向けた広報とともに、利用促進策の一つとして、利用料金を値下げした場合の利用動向を把握し、今後の利用拡大につなげる社会実験などに取り組むこととしております。
次に、公共交通の利便性向上につきましては、市民や来街者が公共交通で円滑に移動できるよう、駅前広場の整備や鉄道駅とバス停の近接化などによる公共交通機関相互の乗り継ぎ利便性向上のほか、バス停への上屋やベンチの設置などによる待合環境の向上、新たなサービスや技術の利活用などに交通事業者等と連携し取り組むこととしております。
次に、人を中心とした歩きたくなる空間づくりにつきましては、都心部において花や緑、憩いやにぎわいがつながる快適で質の高い歩行者空間の創出に官民連携で取り組んでいくこととしており、福岡市では主に道路の美装化や緑化など、道路空間の再整備や高質化などを行い、民間事業者にはビル建て替えに合わせ、ゆとりある歩行者空間や広場空間などのオープンスペースを創出していただき、エリアマネジメント団体による道路空間等を活用したイベントなどを実施することとしております。今後の主な取組としましては、因幡町通りにおいて民間事業者により中高木による緑化や自然石を使った舗装整備を行い、歩行者専用道路として、休憩やイベントで活用ができ、憩いやにぎわいが感じられる空間を創出することとしております。
最後に、都心拠点間のアクセス強化につきましては、天神・渡辺通、博多駅周辺、ウォーターフロントの3地区の都心拠点間の交通ネットワークの充実強化や回遊性の向上に取り組んでいくこととしております。主な取組としましては、天神通線や那の津通り6車線化の整備など、道路ネットワーク強化を図ることとしており、今後、交通状況の変化や新たな技術の活用といった視点なども踏まえながら、都心拠点間の連携強化について検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) まず、附置義務駐車場についての御質問にお答えいたします。
附置義務駐車場につきましては、義務台数以上を設置する必要がございますが、義務台数以上に設置された既存駐車場の増減に関する申請などは不要となっております。このため、事例についても、把握しておりません。
次に、令和7年度以降のシェアサイクル事業の取組につきましては、福岡シェアサイクル事業として、事業者が希望する公有地をポートとして活用するとともに、利用エリアの拡大などを支援することによりシェアサイクルを推進し、都市の回遊性向上や公共交通の機能補完などを図ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 3回目に入ります。
まず、1点目の現有の公共交通体系の維持についてです。
新計画では、初めの4年間の成果目標として、1日当たりの鉄道、バス乗車人員125万人を掲げ、鉄道を中心とした幹線とバスを中心とした支線のそれぞれの機能役割分担をしっかりとしつつ、タクシーやシェアリングモビリティーなどの補完交通との連携を図っていくということでした。天神、博多の再開発や市営地下鉄の増便に向けた予算が組まれていることなどを踏まえますと、125万人という数字は手が届くものと思われますけれども、課題はやはりバスです。現在、バスは32万人の移動を支えていますが、全国レベルと同様に運転手が2割減れば、乗車人員は単純に6万4,000人の減となります。令和10年、再開発完了後の都心部の従事者は41万人、令和3年比較で1万2,000人増を受け止めることができるのか、心配されます。バスの運転手という能力、技術を持った人材が限られる中、短期的に実現可能な取組として、1人が運転するバスの定員を増やし、輸送量を確保するということが考えられます。
とすると、運転手1人当たりで運べる定員の拡大を図るため、通常路線への連節バスの導入は必須だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
あわせて、バス路線の中には既に幹線の役割を担っているところも散見されます。今後、支線をどのように維持していくのかを考える上で、幹線としての位置づけを早期に明確化する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
昨年3月の西鉄バスのダイヤ改正では、最終便の時刻繰上げや、コロナ禍以降、需要が戻らない路線、時間帯の需給調整を実施し、42路線を対象に平日は全体の約4.1%減便されました。さらに、今年のダイヤ改正では、25路線を対象に平日は全体の約3.1%減便されます。市内全域を見ると、既に赤字となっている路線もあると思いますが、何とか減便にとどまっているものと思われます。現場からは退職者数が採用人数を上回る年が続いているという声も聞き及んでおり、バス運転手が減少していく中、人でなければ運行できないであろう支線部分について、廃止路線を生むことは都心部への車の流入増につながります。もはや企業努力の範囲では及ばない領域に達しており、これまでどおりの手法では限界だと思われます。
このままでは、市内で現在運営、運行されている公共交通網の維持、それ自体が見通せない状況となっている中、支線に必要な運転手を確保するためには、移動手段が複数あり、充実している都心交通の運転手を減らし、支線に振り向けることが必要ではないでしょうか。新計画のこれからの10年の間に、公共交通網全体の中で都心部の持つ人材や収益といったリソースを活用しながら、周辺部の支線を守るという考え方が必要であり、そのための新たな仕組みを考えていく必要があると強く思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、2点目の車から人へについてです。
車から人へという政策を前に進めるためには、車よりもむしろ公共交通を使うほうがよいという状況を生み出すことが必要です。交通政策としても、車よりも公共交通を優先するという考え方も必要かと思います。公共交通は、何よりも定時性、速達性が第一に求められます。バスについては、都心部などの渋滞の影響による遅延がまだまだ発生していることと併せて、通行する車両からも渋滞の軽減への要望は根強いものがあります。特に天神・渡辺通は常に渋滞している感があります。現在、渡辺通一丁目交差点から新川橋交差点までの区間で電線管路の入替え工事が行われており、片側1車線ずつ通行が規制されていますが、当該の区間よりも、むしろ渡辺通四丁目交差点から天神交差点までの区間のほうが渋滞しています。この区間には南北ともに複数のバス停が設けられていることから、バス専用車線化などの具体的な対策に取り組む必要性を感じます。
1つ事例を御紹介したいと思います。資料1の投影をお願いします。(資料投影)この写真は、バルセロナ市の視察の際、移動中の車窓から撮影したものです。画像の奥の建物の手前から歩行空間、続いて、ちょっと見にくいですけど、バス、タクシーと表記された公共交通レーン、次に、時速30キロに制限されている車道、続いて自転車道となっており、反対車線も同様に、自転車道から歩行空間まで整備されています。目の前を反対方向に走る自転車には大変驚きましたけれども、この道路であれば、日本のようにバス停と自転車通行空間が交錯することはなく、歩行者にとっては安全が担保されていると感じますし、専用レーンはバス運行の定時性に寄与しているものと思われます。投影ありがとうございました。
都心部の渋滞対策について、交通事業者や有識者、福岡県なども交えて、都市交通協議会などで議論をいただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
歩きたくなるまちづくりは国交省においても推奨されており、様々な関連施策について積極的な議論が進められています。その中には、まちづくりにおける駐車場政策の在り方検討も含まれており、全国的に車の台数が減少する一方で、提供過多となっている駐車場設置の見直しは大きな議論となっています。福岡市の都心部ではまだ提供過多とはなっていないものの、土地価格の高騰という別の課題が生じており、利用料金をどうするかという点のみならず、駐車場に余剰が生じるのであれば、都心部の貴重な空間として有効活用することも一考だと思います。都心部の駐車場の在り方については、今後も注目をしていきたいと思います。
さて、令和7年度の拡充施策として、フリンジパーキングの利用料金値下げ社会実験に取り組むとのことで、結果に期待したいところです。フリンジパーキングやパーク・アンド・ライドをはじめとする車の流入抑制策については、都心部に買物やレジャーなどの目的で訪れる方に対して、百貨店などの店舗や商店街といったサービス提供事業者の皆様にも車よりも公共交通を優先したいという政策への理解を深めていただき、利用促進につながるよう、ともに働きかけをしてもらう必要があります。特に地場の中小企業も参画し、関わっている商店街やまちづくり団体にとっては、ミニ東京ではない福岡らしい都心部のまちづくりに取り組む上で、まちの姿が変わりつつある今は大きな転換点であり、一緒になって取り組むことが重要です。
交通事業者や有識者に加え、車から人へという政策に不可欠である歩きたくなるまちづくり、歩行空間づくりの一端を担う民間事業者とともに、民地のオープンスペースである公開空地の利活用に関する今後の取組について、ともに議論する場を持つ必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
公共交通の利便性の向上という点では、近年、広島市や岡山市でも新幹線が発着する駅では路面電車やバスへの乗換えの利便性の向上のため、駅構内への乗り入れも含めた改良などの取組が進められています。物理的な乗換えのしやすさ向上についても、検討していく必要性が高まっています。加えて、より利用しやすくするべく、同一ゾーン内であれば、どの交通媒体を活用しても同一料金にするといった分かりやすい料金体系も広がりつつあります。既にパリやリスボン、ミュンヘンといったヨーロッパの都市では導入されていると聞きますし、国内でも研究が始まっており、岡山市では令和6年2月に策定した地域公共交通計画において令和10年までの5年間の中で取り組むとされています。
福岡市としても、現在の取組を踏まえつつ、鉄道、バス、シェアサイクルといった複数の交通機関をまたがって利用する場合にも、例えば、同一エリア内同一料金制や統一回数券制など、料金設定も含め、より利用しやすい都心部の交通体系に向けて今から取り組む必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
続いて3点目、都心部の回遊性の向上についてです。
これまでの歩きたくなる空間づくりに向けた主な役割としては、市は物理的な歩行空間づくりのハード面、民間事業者は私有地におけるオープンスペースの確保と併せたソフト面という役割を担うとのことです。新たに因幡町通りが両サイドのビルのオープンスペースの活用と併せて、歩行者専用の市道とする空間形成が進められるとのことでした。これにより市役所前のふれあい通りを挟んで2つの通りが歩行者専用道路となり、渡辺通りの東側、市役所周辺のにぎわいの創出に期待したいところです。
国土交通省では「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりを推進しており、まちなかウオーカブル推進事業を活用した事例も各地から報告されていますが、ここで公共スペースづくりの事例について、バルセロナ市のスーパーブロックの一端を御紹介したいと思います。資料2の投影をお願いします。(資料投影)写真の中央部分は時速10キロ制限の車道です。日本によくある縁石はなく、歩道と車道の境界は最小限の段差となっており、車が走っていなければ歩行者も犬もお構いなく通行しています。車道は手前方向の一方通行となっていて、信号はなく、ベンチが置かれているスペースから斜め右方向に右折して通行することとなっています。四つ角に当たる部分には緑とベンチ、ごみ箱が設置されており、誰でも利用可能です。建物の角に当たる部分にショップがありますが、歩道に面している飲食店については、店の前の空間を借りて店舗専用のテーブル、椅子を設置することも可能です。もう一つ、バルセロナの街路樹は背丈が高く、2階以上の辺りから枝が広がっており、多くの人の目線の高さはすっきりと開かれているところが特徴です。木に近づいてみますと、幹には剪定された跡があり、視界を広くするために街路樹の育て方も工夫があるのだろうと感じました。
続いて、資料3の投影をお願いします。(資料投影)この写真はブロックの交差点に当たる部分で、公共スペースとなっています。バルセロナ市ではこうした公共スペースには緑は欠かせない存在であり、憩いの空間には必ずサイズの異なる緑が配置されています。また、地面の舗装部分に直接模様を描くなど、子どもたちが遊びたくなる工夫が随所に見られました。手前の椅子とテーブルは作りつけで移動ができない頑丈なものでしたが、タイプの異なるベンチやテーブルが設置されており、あちこちにあるこうした公共スペースは必ずしも同じデザインになっているわけではなく、地域住民のニーズを踏まえた個々の空間づくりに取り組んでおられるとお話を伺いました。投影ありがとうございました。
福岡市では道路を活用したにぎわいづくりとして、イベント時においては露店やキッチンカー、日常的にはテーブルや椅子などの占用を認める歩行者利便増進道路制度、いわゆるほこみち制度を令和5年度より運用開始されています。
因幡町通りのような新たな歩行者専用道路はもちろんのこと、きらめき通りの事例にとどまらず、例えば、警固公園通りや天神西通りなどの既存の道路について、商店街やまちづくり団体と共にほこみち制度を活用したにぎわいづくりの取組を通じて歩きたくなるまちづくりを進めることも必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
都心部の拠点間のアクセス強化は、都心エリア全体の回遊性を高めるとともに、ウォーターフロント埠頭基部の活用への影響もあり、都心部の交通政策を考える上で肝になるところです。新計画においても、引き続き都心循環BRT活用の充実を挙げられていますが、我が会派としては、改めてLRTの導入について検討いただきたいと思います。理由は3点。1つは、都心循環BRTのバス運転手を都心外で活用するためです。都心へとつながるバス幹線としてのBRTを運行するために、当該人材を振り向ける必要があります。一方で、都心部の交通量を支えるために、現在のバス運転手の技術までは求められない鉄軌道、技術革新によっては無人による運行も考えられなくはないと思いたいLRTに転換してはどうかという点です。
2つ目は、昨年6月議会の常任委員会報告で示されましたLRTの導入シミュレーションについて。このシミュレーションは、宇都宮市で導入された定員160名のLRTを前提にされています。資料4の投影をお願いします。(資料投影)これはバルセロナ市のトラムですが、こちらも宇都宮市のLRTと同様に架線のないタイプですが、5両編成。バルセロナ市では車による郊外から都心部への移動量の代替交通としてトラムが活用されているとのことでした。姉妹都市であるボルドー市で導入されているトラムは短いもので5両編成、7両編成もあると聞いています。投影ありがとうございました。こうした事例を踏まえると、BRTより多くの輸送力が見込めるとともに、定時性、速達性の確実な向上が期待されます。加えて、シミュレーションにおける渋滞予測は調査時点の直近の交通量を前提としたものであり、車から人への誘導策を講じていくことによって生じる車の減少効果は含まれない前提となっているという点です。
3つ目の理由、緑化の視点です。既に鹿児島市では導入されていますが、市内中心部を走る路面電車の軌道敷内には芝生が植えられており、約3万5,000平方メートルの緑地を生み出し、同時に、ヒートアイランド現象の緩和と騒音対策としても効果があったことが報告されています。資料5の投影をお願いします。(資料投影)これは先ほどのトラムの進行方向を撮影したものです。御覧のとおり、緑が広がっています。バルセロナ市では気候変動対策を最優先に位置づけて、あらゆる手法で緑化を進めておられます。舗装部分は気温上昇につながるだけではなく、雨水の浸透性も悪いことから、アスファルトを?がせる場所は徹底して?がし、緑化を進めておられます。このようにアスファルトの道路ではなく鉄軌道であれば、緑地面積を拡大することができます。福岡市のBRTの走行距離約8キロの1車線分の幅員4メートルが緑化されれば、約3万2,000平方メートルの緑地を生み出すことができ、2車線分であればさらに倍、都心部にグリーンベルトが広がれば、まさにまちに緑をという姿につながります。投影ありがとうございました。
これらのことから、これまで拠点間の移動を支えてきた都心循環BRTをバス幹線機能に移管するとともに、LRTの導入について検討を進める必要があると強く思います。最後に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都心部の交通に関する御質問にお答えします。
まず、バス路線の幹線につきましては、改定中の都市交通基本計画において、連節バス導入等による幹線軸の強化を位置づけることとしております。連節バスの導入に当たっては、道路構造や交通状況を踏まえた道路管理者、交通管理者との検討、調整や、走行環境の改善、交通結節機能の充実強化なども必要となることから、引き続き交通事業者等と連携を図りながら検討を進めてまいります。
次に、支線につきましては、幹線交通と接続した折り返し運行などをすることでサービス水準の維持向上を図ることとしており、限られた輸送資源を再配分し、効率的な運行で公共交通全体を維持していくという考え方について、交通事業者とも共有しているところでございます。今後とも、幹線・フィーダー化の推進のほか、バス路線の休廃止対策や公共交通不便地等への支援など、交通事業者と協議、連携をして取組を進めてまいります。
次に、都心部の交通混雑の緩和に向けては、マイカーから公共交通へというコンセプトの下、関係者と連携して交通マネジメント施策等に取り組み、自動車流入の抑制を図っているところであり、引き続き市民や企業、エリアマネジメント団体、交通事業者、周辺市町などと協力、連携しながら取り組んでまいります。
次に、公開空地の利活用に関する今後の取組につきましては、民間事業者によりビル建て替えと併せ、公開空地を確保するなど、回遊空間を創出するとともに、エリアマネジメント団体などと連携し、公開空地の利活用など、まちのにぎわいづくりを進めており、今後も引き続き官民連携のまちづくりに取り組んでまいります。
次に、市民や来街者が利用しやすい交通環境づくりにつきましては、これまでも都心部に限らず、駅前広場の整備やバス停の近接化、乗継ぎ情報案内などによる公共交通機関相互の乗り継ぎ利便性向上のほか、鉄道やバス、渡船といった市内の公共交通が1日乗り放題となる訪日外国人向けの共通乗車券の販売などに交通事業者等と連携して取り組んできたところでございます。今後とも、公共交通の利便性向上に交通事業者等と連携して取り組んでまいります。
次に、LRTの導入につきましては、都市交通基本計画改定の際に自動車からの転換も踏まえ試算したところ、専用レーンの確保が必要となる渡辺通りや大博通りなどの幹線道路だけでなく、これらと交差する周辺道路においても自動車交通への影響が大きい結果となっております。都心拠点間のアクセス強化につきましては、交通状況の変化や新たな技術の活用といった視点なども踏まえながら検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) ほこみち制度を活用したにぎわいづくりについての御質問にお答えいたします。
同制度の活用により、安心して楽しく回遊できる歩行空間を創出することは重要であると認識しております。運用開始以降、地域まちづくり協議会などと協議を行いながら、道路空間を活用したにぎわいづくりに取り組んでおります。同制度の活用には車両や歩行者の円滑な通行の確保や沿道店舗を含めた地域との合意形成などの課題もございますが、今後とも、ほこみち制度のさらなる活用に向け、地域まちづくり協議会の支援を行うなど、取組を推進してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 石本優子議員。
○18番(石本優子)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、尾花康広議員の代表質問を補足し、終活を準備するために今できること、帯状疱疹ワクチンへの公費助成について、以上2項目質問いたします。
初めに、終活を準備するために今できることについて伺います。
私たちの下には、高齢者の方やその御家族から人生の終わりについて考える終活について様々な相談が寄せられます。例えば、配偶者や子どもたちと住んでいた自宅に今は一人で生活しており、自分が死んでしまったら、その住んでいた家が空き家になってしまうがどうしたらよいかとの相談や、亡くなった後の葬儀、納骨、家財処分についての相談など、多岐にわたっています。また、高齢者が救急搬送され意思疎通が図れないときに、緊急連絡先や本人が希望する治療方針を表明されたものがなく、医療機関が対応に困るという現実もあります。
こうした現状を踏まえ、終活について幾つか伺っていきたいと思います。
まず、直近の国勢調査における本市の高齢者の人口、単身高齢者人口、併せて、2030年に予測される単身高齢者数をお示しください。
次に、本市では社会福祉協議会と連携して終活について支援いただいております。令和元年からは終活サポートセンターを設立し、多くの市民の相談に応じていただいております。
そこで、終活サポートセンターの役割についてお尋ねします。また、終活に関する支援として出前講座なども開催いただいていますが、開催回数などの成果を踏まえ、市としてどう認識されているでしょうか、お尋ねします。
そして、終活支援の出前講座では「わたしが伝えたい大切なこと〜マイエンディングノート〜」について説明されています。スライドをお願いいたします。(資料投影)終活支援で大切なものがエンディングノートの記入です。皆さんはこのノートを御存じでしょうか。ある方からお話を伺いました。お母様を亡くされた娘さんが、お母様が亡くなった後、家の片づけをしているとエンディングノートを見つけたそうです。そこには、意識がない状態で戻る見込みがないならば、心臓マッサージや人工呼吸器をつなぐなどの延命治療はしないでほしいと書かれてあったそうです。救急車で運ばれ、数週間して亡くなったお母様について、入院後、容体が悪化し、心臓マッサージや人工呼吸につながることを医師から説明され、治療選択を迫られたそうです。もっと早くにこのノートを知っていれば、お母さんの意を酌むことができたのに、と落ち込んでいらっしゃいました。こうして自分の医療の希望や緊急連絡先など、伝えておきたい大切なことを書いて残すノートをエンディングノートといいます。
改めて伺いますが、「わたしが伝えたい大切なこと〜マイエンディングノート〜」の役割についてお尋ねします。また、市民の皆様へ周知、啓発している内容と過去3年間の発行部数についてお尋ねします。スライドありがとうございました。
次に、福岡市では、もしものときに備えて話し合う人生会議も推進しています。人生会議とは、大切な人と自分や相手の人生の最期をどう迎えたいかなどについて話すことをいいます。さきにお話しした亡くなったお母様と娘さんは、忙しくてこの人生会議をしていなかったようでした。改めて、家族と話そうと思っていても、なかなか面と向かって話せないものだと感じました。
そこでお伺いしますが、人生会議とは何か、そして、人生会議の意義に関する本市の認識を伺います。また、市民の皆様への周知、啓発についての取組を伺います。
さて、皆さんはエイジングリテラシーを御存じでしょうか。スライドをお願いいたします。(資料投影)昨年、福岡100の取組の中で、エイジングリテラシー向上プロジェクトを立ち上げたとのことでした。このハンドブックは、親子で終活に関する深い話ができる信頼関係を築くヒントが書かれたブックです。
そこでお尋ねしますが、エイジングリテラシーとは何か。また、福岡100の一環として始まったエイジングリテラシー向上のための取組とはどんな目的を持ったプロジェクトでしょうか。概要をお尋ねします。スライドありがとうございました。
次に、緊急時の情報について伺います。
次のスライドをお願いします。(資料投影)福岡市の単身高齢者の下に届けているツールとして、緊急連絡先などの情報をケースに入れて冷蔵庫に保管する安心情報キットがあります。救急車で搬送されるときに、救急隊員が冷蔵庫内のこのキットを情報共有のために活用するものであります。この安心情報キットはいつ配付開始となったのか、また、どのように周知され、配付されているのか、さらに、過去3年間の配付数をお尋ねします。また、救急隊員への周知や活用の実情について、過去3年間の活用件数と併せてお尋ねします。
次に、スライドをお願いいたします。(資料投影)終活支援の中で、市民の皆様が不安を抱える内容に葬儀、納骨、死後の家財処分や銀行口座等の処理など、亡くなった後に行う死後事務が挙げられています。本市では、福岡市社会福祉協議会が実施する死後事務委任事業に対して補助を実施しています。事業としては、ずーっとあんしん安らか事業とやすらかパック事業の2種類があります。
この事業を開始した経緯と、それぞれの事業内容、特徴について御説明ください。また、両事業を合わせた直近3年間の相談件数及び新規契約件数をお尋ねします。あわせて、現在の契約件数について、それぞれの事業の内訳を含めてお尋ねします。スライドありがとうございました。
次に、2項目めの帯状疱疹ワクチンへの公費助成について伺います。
現在、帯状疱疹ワクチンについては、国において令和7年度からの定期接種化が決定されています。スライドをお願いします。(資料投影)定期接種の対象者は65歳の方及び60歳から64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障がいがあり、日常生活がほとんど不可能な方とされております。さらに、令和7年度から令和11年度までの5年間の経過措置として、70歳以上の方を5歳刻みで対象とすることとされており、5年後までには65歳以上の全ての方が定期接種の助成を受けられることとなります。スライドありがとうございました。
我が会派では、これまで市民の皆様より寄せられた声から、高額な帯状疱疹ワクチンの公費助成について、一般質問や委員会にて提案を重ねてまいりました。昨年末に、国において令和7年度から65歳の方などを対象に定期接種化の方針が示されたことを受け、本年1月には市独自での公費助成の対象年齢拡大や自己負担額の軽減、そして、ワクチンの特性などを市民に分かりやすく周知していただきたいと島市長に緊急申入れをいたしました。このたび、我が会派の提案を受け止めていただき大変感謝しております。また、市民の皆様にも大変喜んでいただいており、関心が高いこともうかがえます。
そこで、帯状疱疹ワクチンへの公費助成について何点か伺ってまいりたいと思います。
まず、対象年齢について伺います。スライドをお願いいたします。(資料投影)先ほど触れましたとおり、国の定期接種は65歳の方などを対象としています。福岡市ではこれに加え、市独自で任意接種である50歳の方を対象とし、さらに、令和7年度から令和11年度までの5年間の経過措置として、55歳、60歳の方も対象とされております。
そこでお尋ねしますが、まず、帯状疱疹ワクチン公費助成に係る令和7年度の予算額、また、令和7年度に公費助成の対象となる市民のうち、定期接種と任意接種、それぞれの対象者数をお尋ねします。あわせて、国が65歳を定期接種の対象とした根拠、また、市が公費助成の対象を50歳に拡大いただいた理由をお尋ねします。スライドありがとうございました。
次に、我が会派では自己負担額がワクチン接種費用の半額程度となるように主張してまいりました。帯状疱疹ワクチンには生ワクチンと組換えワクチンが提供されていますが、2種類のワクチンの効能や効果持続期間などを御説明ください。
また、今回の制度ではそれぞれ接種費用、自己負担額がどれくらいになるのか、併せて、自己負担額の設定理由をお聞きします。
さらに、この公費助成は令和7年のいつ頃からスタートされるのかお聞きします。
また、市民に対して分かりやすく広報、周知していただきたいと考えますが、どのように取り組まれるのか伺います。
以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 終活に関する御質問にお答えいたします。
令和2年の国勢調査によりますと、福岡市の高齢者人口は33万8,930人、単独でお住まいの高齢者は8万1,715人となっております。2030年の単身高齢者数につきましては、13万300人になると予測しております。
次に、終活サポートセンターについては、終活に関する総合相談窓口として、専門のアドバイザーや弁護士が相続や権利擁護、亡くなった後の事務など、多岐にわたる相談に無料で応じるほか、地域での出前講座などを行っております。出前講座の開催回数及び参加者数は、令和3年度が31回で838人、4年度が57回で1,160人、5年度が58回で1,239人であり、地域の皆様に終活について考えていただくきっかけになっているものと認識しております。
次に、エンディングノートについては、元気なうちから自分の意思を整理して、家族や支援者と話し合い、共有するためのツールであり、市が主催するセミナーなどにおいて、終末期に向けた備えの重要性の啓発と併せて、書き方の紹介などを行っております。発行部数は、令和3年度が1万2,000部、4年度が2万部、5年度が2万部となっております。
次に、エイジングリテラシーについては、加齢により身体の機能や能力がどう変化するのか、どのような備えをしておけばよいかなど、人生100年時代を自分らしく生きるために必要な情報や知識のことを表しております。また、エイジングリテラシー向上のための取組については、社会福祉協議会などと連携し、加齢による認知機能の低下やそれに伴って生じる金銭管理の課題、事前の準備の必要性等について、企業を巻き込んだ啓発を行うことで、何歳になっても自分らしい生き方を選択できるまちを目指すものでございます。
次に、安心情報キットについては、平成24年度から社会福祉協議会と連携し、校区社会福祉協議会や民生委員など、地域で見守り活動を行っている方々を通じて高齢者などに配付しております。周知については、社会福祉協議会が各団体の会議等で紹介しているほか、広報紙なども活用しております。配付数は、令和3年度が1,993個、4年度が2,940個、5年度が5,084個となっております。また、救急隊員に対しては、隊員向けの活動マニュアルに掲載し、周知を図っており、緊急通報を受けた際、駆けつけた現場で情報収集のために活用することがあると聞いております。実際に活用された件数は、令和3年が7件、4年が7件、5年が6件となっております。
次に、死後事務委任事業については、社会福祉協議会が高齢者等に対する相談支援を行う中で、死後事務や日常の見守りに関するニーズが高いことを把握し開始したもので、利用者との事前契約により葬儀や家財処分、見守りなどを行っております。ずーっとあんしん安らか事業は、利用者が契約時に一定の預託金を支払うもの、やすらかパック事業は、少額短期保険制度を活用し、利用者が毎月利用料を支払うものでございます。実相談件数は、両事業合わせて令和4年度が437件、5年度が340件、6年度が12月末時点で324件、新規契約件数は4年度が10件、5年度が6件、6年度が12月末時点で15件であり、相談の7割程度は将来に備えた問合せなどとなっております。また、現在の契約件数については134件であり、内訳は、ずーっとあんしん安らか事業が82件、やすらかパック事業が52件となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) まず、終活支援に関する御質問にお答えをいたします。
人生会議とは、もしものときのために医療やケアについて家族や医師、ケアマネジャーなどと繰り返し話合いを行い、共有する取組でございます。命の危険が迫った状態になると、医療やケアなどについて、自分で決めたり、望みを伝えたりすることが難しくなることから、本人の意思を尊重した最期を迎えるためには、前もって人生会議を行うことが重要であると認識をいたしております。また、福岡市医師会と連携し、在宅医療、介護連携の推進に向け実施している専門職に対する研修会や市民向けの啓発事業の中で、人生会議を重要なテーマの一つとして取り上げるなど、周知、啓発に努めているところでございます。
次に、帯状疱疹ワクチンに関する御質問にお答えをいたします。
まず、令和7年度の予算額につきましては1億3,070万円余で、対象者数は、定期接種は約8万人、任意接種は約6万6,000人と見込んでおります。また、国の定期接種の対象年齢につきましては、帯状疱疹の罹患者数が70歳代で最も多くなることや、合併症の一つである帯状疱疹後神経痛の発症が70歳代以降で増加すること、ワクチンの有効性の持続期間などを考慮し、65歳を対象とされたものでございます。本市独自の任意接種の対象年齢につきましては、帯状疱疹の罹患者数が50歳代から増加することや、帯状疱疹後神経痛が発症した場合、数か月間痛みが続くことがあり、勤労世代の生活に大きな影響があること、国の厚生科学審議会において、50歳以上の接種で費用対効果が良好とされていることなどを踏まえ、50歳を対象といたしたものでございます。
次に、帯状疱疹ワクチンの効能等につきましては、生ワクチン、組換えワクチンのいずれも帯状疱疹やその合併症に対する予防効果が認められており、その有効性につきましては、生ワクチンは接種後1年時点で6割程度、5年時点で4割程度、組換えワクチンは接種後1年時点で9割以上、5年時点で9割程度、10年時点で7割程度持続するものと報告されております。
次に、接種費用につきましては、生ワクチンは1回の接種で約9,000円、組換えワクチンは2回の接種が必要とされており、合計で約4万4,000円となっております。自己負担額につきましては、他都市の状況などを勘案いたしまして、接種費用の半額程度の公費助成を行うこととしており、生ワクチンは4,900円、組換えワクチンは2回合計で2万4,000円と設定いたしております。
次に、公費助成の開始時期につきましては、令和7年4月1日といたしております。
次に、広報、周知につきましては、ワクチンの有効性、安全性、持続期間や副反応、健康被害救済制度などの情報を記載した案内文と予診票を接種対象者へ個別に郵送することといたしております。あわせて、市ホームページや市政だよりのほか、SNSの活用、医療機関や公民館へのポスター掲示など、様々な方法により希望する方が円滑に接種を受けられるよう丁寧な情報提供を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 石本優子議員。
○18番(石本優子) 2回目の質問に移ります。
まず、終活を準備するために今できることについてですが、終活を進めていく中で、高齢者だけにエンディングノートを勧めていくのではなく、周りの家族と自分らしく生きていくには、若い頃からどんな備えが必要かを学ぶことが大切だと思います。そのための必要な知識をエイジングリテラシーといいます。スライドをお願いいたします。(資料投影)例えば、20代から40代くらいの世代の方は親の老化による心身の変化に気づくようになりますが、親と今後のことを話してみようと思ってもなかなか話せないことがあります。このハンドブックにあるように、親子で関係を築くことで、日頃から自分のことや家族のことを思い、どんな生き方をしたいのか、もしものことがあったときはどうしたいかなど、家族や大切な人と自然に人生会議が開けるようになるのではないでしょうか。終活につながる人生会議が開けるよう、高齢者だけでなく、若い世代を含めて、このハンドブックを周知し、エイジングリテラシーを高める取組になお一層力を入れていただきたいと考えますが、御所見を伺います。スライドありがとうございました。
また、エンディングノートについては、先ほど3年分の配付数を御答弁いただきましたが、これまでの累計で約10万部が配付されているようです。33万人の高齢者のうち、どれくらいの方が手にしていらっしゃるでしょうか。昨年実施した市政に関する意識調査の結果に関するスライドを準備しました。スライドをお願いします。(資料投影)このグラフにありますように、終活について家族と話すことが必要だと感じている方は、話したことがある、また、話したことはないが、話したほうがよいと思っている方を合わせますと、8割以上いらっしゃいます。一方で、終活について家族と話す必要はない、話す予定はないと考える方も15%いらっしゃるのも事実であります。いろんな思いを感じる方への配慮が必要かとは思いますが、エンディングノートを書くこと、そして、人生会議をすることが終活のきっかけになると考えます。
そこでお尋ねしますが、高齢者の方々、そして年齢を問わず、若い年代の方々も自らこのエンディングノートを書いてみようかなと手にしたくなるような、そして、人生会議をしてみようかなと思えるような仕掛けを考えていただくことはできないでしょうか。御所見を伺います。スライドありがとうございました。
次に、緊急連絡先、医療情報などが記載されている安心情報キットについてですが、過去3年間でも民生委員などを通じて約1万人以上の方に配付してくださっているようです。救急隊にも浸透し、医療機関にも緊急連絡先などが伝わっている事例もあるようで安心いたしました。しかし、単身高齢者が現在8万人いらっしゃる上に、5年後の2030年には13万人に増加すると予測されている中、まだまだ皆様の手元には十分には届いていないと考えます。高齢者の方にとって大切な情報が保管でき、もしもに備えて安心できるツールですので、より効果的に配付できるにはもっと工夫が必要かと思います。
そこで、民生委員だけでなく、地域を巻き込み、安心情報キットが高齢者の皆様の手元にわたり、活用されるよう働きかけをしていただきたいと考えますが、御所見を伺います。
ここで、緊急連絡先などの終活情報を公的に情報登録している自治体を紹介します。スライドをお願いいたします。(資料投影)神奈川県横須賀市や東京都豊島区では、もしものときに緊急連絡先やかかりつけ医、エンディングノートの保管場所、葬儀や遺品整理の生前契約先、お墓、納骨についてなど、これを終活情報と呼んでいますが、市で登録、管理をしております。登録している市民が許可した情報のみ、消防や医療機関などから依頼されたら保管した情報を市が開示し、情報共有することができます。横須賀市では、治療に関する意思決定情報について救急搬送された医療機関から照会があり、市から情報を回答し、本人の治療に関する意思が伝わったという事例もあります。スライドありがとうございました。
本市では安心情報キットを周知しているとのことでしたが、公的に登録された終活情報登録事業のように、本市も導入の検討も含め、終活情報を活用することはできないでしょうか。御所見を伺います。
先日、社会福祉協議会へ訪問してまいりました。社協では終活サポートセンターに来られた方へいろんな支援を案内していました。相談に来られた方にいきなり死後事務委任事業を説明するわけではなく、現状の課題を整理し、約半年ほどかけて様々な支援方法をお伝えして、やっと死後事務委任事業に応募する事例があることを伺いました。また、終活サポートセンターの役割は、終活に関する総合相談窓口として多岐にわたる相談に対応されていると答弁いただきました。社協の支援員は、死後事務委任事業を契約して、長い方では10年以上見守りや訪問を繰り返すうちに、契約された高齢者は家族のような思いになり、入院時の保証人や手術を受ける際に待機していてほしいなど、契約外の依頼も増えている事実があるとのことでした。
今後、終活サポートセンターがより市民のつながりの中で取り組めるように、地域とのつながり推進や見守りの推進など、より地域と連携した対策を拡充する必要があるのではないかと考えます。御所見を伺います。
次に、スライドをお願いいたします。(資料投影)死後事務委任事業の相談件数は数字的には300から400件台ですが、高齢者の方や御家族の意識が高まってきていることがうかがえます。スライドにあります、預託型のずーっとあんしん安らか事業は契約件数は82件、やすらかパック事業においては52件の契約件数とあります。33万人の高齢者のうち現在の契約数は134件というのは、まだ少ないのではないかと感じます。契約に結びつかない要因は3つあると考えます。1つ目は、市民の皆様がこの死後事務委任事業のことを知らないということ。2つ目は、やすらかパック事業においては、保険の審査における健康上の理由で要件を満たさず対象外となってしまう事例があること。3つ目は、健康上の問題がなくても、50万円以上の預託金か、毎月3,000円以上の利用料を用意することができないという経済的な理由。以上3つがあります。
そこで、死後事務委任事業について、そもそも認知度が低いということに対しては、中年期、そして老年期の入り口で人生の終幕について考える機会を通じて、この事業を周知していくことが確実な死後事務委任事業につながると考えます。1回目に御答弁いただいたとおり、出前講座でエンディングノートの記入や事業の周知に取り組まれていますが、死後事務委任についてさらなる広報、周知をしていただきたいと考えます。もう1つは、もう少し低廉での支援や要件緩和など、より市民の方が利用しやすくなる方策を御検討いただけないでしょうか。御所見を伺います。
そして、社会福祉協議会の終活サポートセンターは、死後事務委任事業も含め、総合相談窓口としての役割を果たし、全国で大変注目をされています。
身寄りのない高齢者などの支援をしっかりと推進していくために、終活サポートセンターを担う社会福祉協議会の事業の拡大に向けた体制の充実を検討いただけないでしょうか。御所見を伺います。スライドありがとうございました。
次に、帯状疱疹ワクチンへの公費助成について2回目の質問に移ります。
経過措置について確認ですが、定期接種の対象者は65歳で、令和7年度から令和11年度までの5年間の経過措置として、70歳以上の方を5歳刻みで対象とすることにより、65歳以上の全ての方の定期接種の機会が確保されることになります。スライドをお願いいたします。(資料投影)これに併せて、市独自でも任意接種として50歳の方に公費助成を行い、令和7年度から11年度までの5年間の経過措置として、55歳、60歳の方を助成対象とすることにより、50歳以上の全ての方に5年かけて公費助成を受ける機会が確保されます。経過措置として、たくさんの方が受けられるように取り組んでいただいており、ワクチンの流通状況や予算の関係も含め事情はあると思いますが、一番長い方は4年間待つことになります。
欲を言えば、50歳から発症しやすい帯状疱疹であり、より早く受けたいという方もいることから、50歳から55歳まで早めに公費助成の対象としてほしいということを要望しておきます。
さて、先ほどの答弁では、65歳以上の方など、定期接種の対象者が約8万人、50歳、55歳、60歳の任意接種の対象者が約6万6,000人で、計14万6,000人の方が対象とのことでした。スライドありがとうございました。これから4月のスタートに間に合うように予診票を同封し、接種場所である医療機関への周知と、全対象者への案内を送るという大変な作業を実施されることになります。対象者の中でワクチンを受けたい皆様がスムーズに接種できるよう、十分に説明や広報が必要と考えます。
ワクチンには生ワクチンと組換えワクチンの2種類があり、効能や持続期間に違いがありますので、表にしてみました。スライドをお願いいたします。(資料投影)効能や持続期間を考えると、できれば高価であっても組換えワクチンのほうを打てるよう推奨したいところであります。自己負担額の軽減については、ワクチン接種費用のおおむね半額の助成をしていただけるとのことでした。しかし、組換えワクチンは自己負担が2回分で合わせて2万4,000円かかるということで、価格だけで判断して4,900円の生ワクチンを選択してしまう可能性があります。対象者の皆様がこうして10年後までの効果を知り、ワクチンの特性を十分理解された上で選択できるよう、封書や市政だよりだけでなく、SNSも駆使して周知を図っていただきたいと思います。
改めて伺いますが、そもそも帯状疱疹とはどんな病気なのか、治療費や治療期間の長期化など課題があるとされておりますが、予防接種にどんな効果があるのか、また、生ワクチンと組換えワクチンのどちらを打つか判断に迷ったとき判断基準はどうすべきか、お尋ねします。
以上で2回目の質問を終わります。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 終活に関する御質問にお答えいたします。
エイジングリテラシーを高める取組につきましては、ハンドブックのテーマを「子から親へ話をしよう」として作成しており、高齢者だけでなく、高齢の親を持つ若い世代などに向けて啓発することが重要と考えております。引き続き、ハンドブック等を活用しながら、エイジングリテラシー向上に向けて啓発を行ってまいります。
次に、エンディングノートについては、医療や介護も含めたこれからの過ごし方などを考え、家族や周囲の人と話し合うことは大変重要であり、より多くの、幅広い世代の方々にエンディングノートを手に取っていただき、人生会議を行うきっかけとしていただけるよう、講座などでの紹介や企業に向けた情報発信、SNSを活用した広報などに取り組むとともに、さらなる活用に向けて検討してまいります。
次に、安心情報キットについては、地域での見守りや声かけのきっかけとしても役立つツールであり、民生委員のほか、校区社会福祉協議会のふれあいネットワークなど、様々な活動の中で活用されているところであり、より多くの高齢者の手元に届けられるよう、引き続き社会福祉協議会と連携して周知に取り組んでまいります。
次に、終活情報の活用については、緊急時に救急隊員や医療機関などが必要な情報を把握できることは大変重要であり、今後検討してまいります。
次に、地域との連携については、単身でお住まいの高齢者などが地域の中でつながりを持ち、安心して暮らしていくことができるよう、民生委員や校区社会福祉協議会など、地域で活動する様々な方々と連携しながら、重層的な支援体制づくりを行っているところであり、さらなる充実に取り組んでまいります。
次に、死後事務委任事業については、社会福祉協議会において、より多くの方が利用できる事業となるよう改善が検討されているところであり、市としても連携して取り組むとともに、さらなる周知を図ってまいります。
次に、終活支援に係る社会福祉協議会の体制については、平成29年度のやすらかパック事業導入、令和元年度の終活サポートセンター開設などに合わせ、支援を充実してきたところでございます。7年度は、社会福祉協議会がモデル実施しているビデオ通話などによる見守りに対し、新たに支援を実施することとしており、引き続き必要な体制の確保に向けた支援を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 帯状疱疹ワクチンに関する御質問にお答えをいたします。
帯状疱疹につきましては、過去にかかった水痘の原因ウイルスが加齢、疲労などの免疫力低下によって再活性化することで発症する皮膚疾患でございます。帯状疱疹ワクチンは帯状疱疹の有効な予防法の一つであり、現在ある2種類のワクチンのうち、組換えワクチンは接種後10年時点で7割程度の有効性があるとされていることから、医療費の縮減などの費用対効果が期待されております。生ワクチンと組換えワクチンの選択につきましては、ワクチン効果の持続期間や副反応、接種回数や接種費用が異なることを踏まえ、必要に応じて医師と相談するなど、個々の状況に応じて御判断いただきたいというふうに考えてございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 石本優子議員。
○18番(石本優子) 終活を準備するために今できることについて3回目の質問です。
厚労省が昨年6月に初めて高齢者等終身サポート事業者ガイドラインを出しています。終活事業を行う事業者は社会福祉協議会のみでなく、民間の事業者も参入しています。しかし、倒産などもあり、安定した事業所はまだ多くないのも現実です。そんな中、終活サポートセンターには多くの相談が寄せられており、件数は今後も年々増加していくと考えられます。終活における支援をいち早く行ってきた福岡市社会福祉協議会が、死後事務委任事業を含む事業申込みの要件緩和の検討や事業拡大できるよう引き続きよろしくお願いいたします。
ここまで終活支援について伺ってきました。終活は緊急時や亡くなられた後に御家族や医療機関に情報を伝えることが一番の目的ではなく、何より自分が元気なうちに、これからの人生をどう生きたいかを考えるきっかけとなる人生会議が開かれ、その思いを大切な人と共有することが今私たちができることではないでしょうか。エンディングノートも高齢者だけが書くものではなく、エイジングノートとして若いうちから活用されるべきだと考えます。思いがつながるノートであってほしいと願います。
最後に、誰もが自分のこれからの生き方を考え、その思いを大切な人と共有し、そして、安心して人生の最期を迎える準備ができる終活支援について島市長の所見を伺い、この質問を終わります。
帯状疱疹ワクチンへの公費助成について3回目の質問です。
ワクチンによる予防が有効であることは分かりました。特に、社会的影響が大きく出やすい50歳から65歳の希望される対象の方が積極的にワクチン接種できるよう、体制の整備と情報提供をお願いいたします。
また、予防接種が受けられるように体制を整備する中で、ワクチン接種を受けた後の接種記録も大切であると実感しています。以前、新聞報道でもありましたが、過去に任意でワクチン接種していたことを本人が忘れており、必要回数以上の接種をしてしまった事実が判明したケースがありました。マイナンバーカードを活用し、どの自治体における接種でも、ワクチン接種後はマイナポータルから確認できれば自己管理にも有意義だと考えます。
ぜひワ、クチン接種記録をマイナンバーカードとひもづけ、本人が履歴を振り返ることができるような環境を整備していただきたいと考えますが、御所見を伺います。
最後に、これまで様々なワクチンの定期接種の助成を行ってきた本市ですが、今回、もう一歩踏み込んだ任意接種にも公費助成を決めていただき、改めて感謝をいたします。より多くの方がワクチンを接種できるよう決断いただいた島市長の思いを伺い、私からの質問を終わります。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 帯状疱疹ワクチンに関する御質問にお答えをいたします。
ワクチンの接種記録につきましては、自治体で保存が義務づけられている直近5年間の定期予防接種の記録が現在マイナンバーとひもづけられており、一部はマイナポータルで確認できるようになっております。自治体に保存義務のない任意接種や5年を超えた定期接種の記録については、国において進められている予防接種事務のデジタル化において保存の検討が進められていることから、その動きを注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 人生100年時代の到来を見据え、医療や介護も含めたこれからの過ごし方を考え、大切な人と話し合い、共有していくことは大変重要であるというふうに認識をしております。福岡市におきましては、エンディングノートを配付いたしまして、終活について考えていただく機会を提供するとともに、社会福祉協議会と連携をして、終活に関する相談や死後事務の支援など、それぞれの方に寄り添ったサポートを行ってきたところでございます。今後とも、高齢者はもちろん、幅広い世代に向けて情報を発信するとともに、終活支援の充実を図り、誰もが最期まで自分らしく生きることができるように取り組んでまいります。
帯状疱疹は50歳代以上で罹患者が増加し、その症状は強い痛みを伴うことが多く、特に、勤労世代である50歳代での発症は生活に大きな影響があることから、国において定期接種化される対象者に加えて、市独自に50歳などの市民に対して任意接種の費用助成を行うこととしたものでございます。実施に当たりましては、公費助成の対象となる方にワクチンの効果や安全性等について丁寧な情報提供を行うとともに、希望される方ができるだけ速やかに接種が受けられるように環境整備に努めてまいります。今後とも、より健康で安全な暮らしの実現に向けた取組をしっかりと進めて、市民の生活の質の向上を図ってまいります。以上です。
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
午後は1時10分に再開いたします。
午前11時32分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、我が党の代表質疑を補足して、福岡城天守に関連する事業、高齢者乗車券制度、道路陥没事故防止について質疑を行います。
まず、福岡城天守に関する事業についてです。
福岡城址に天守閣は存在したことを証明するための調査に巨額の費用をかけるべきではないとの我が党の質問に対し、市長は文献調査と発掘調査を実施しますとだけ答弁し、新年度予算には福岡城址天守の調査として4,823万円を計上しています。しかしながら、これらは天守閣は存在したという特定の学説を支持する立場に立ち、科学的な根拠もないまま行われようとしており、浪費以外、何物でもありません。
そこで、新年度どのような調査を行うのか、具体的に見ていきたいと思います。
まず、測量調査を293万円かけてやるとしています。これは天守台の位置を正確に捉えるためとされています。約3,000万円をかける発掘調査は、天守台が城ができた当時のままなのか、それとも途中手を入れられてきたのかを調べるとしています。さらに、天守台や周辺の土の硬さを調べ、圧密度を測り、何らかの建物が天守台の上に乗っていたのかを調べるそうです。レーダーを石垣に当てて構造や空洞の存在などを調査して、これもまた何か構造物が乗っていたかを検証する。また、文献調査のために1,561万円を計上しています。さらに、これらの調査費用4,823万円以外にも発掘調査のための会計年度任用職員の人件費1,123万円を計上しています。
そこでお尋ねしますが、合わせて約6,000万円もの多額の税金を使っての様々な調査をもって福岡城の天守閣があったかどうか分かるものなのか、御所見をお伺いします。
このような調査を行おうとしている理由は、市長が天守閣の復元に前のめりになっているからにほかなりません。地元経済界は市長に対して、1月末に天守閣の復元的整備を迅速に進めることが適切と提言書を提出しています。全国には天守閣のない城は存在します。その理由は、財政難や幕府への配慮、大砲の技術が進み、標的になる建物を建てる必要がなくなったなど、それぞれです。ところが、市長は提言書を受け取った際、天守閣を最初から造らなかったとは考えにくいと発言されております。
お尋ねしますが、市長の発言はどのような根拠をもっておっしゃられたのか、そのお考えを示していただきたいと思います。
さらに、市長は天守閣があったことを証明する史料が見つかっていないことに当てつけて、天守閣がなかったことを示す史料もないなどと発言されております。
そこでお尋ねしますが、この市長の発言はあまりにも稚拙な詭弁であり、今後このような発言は慎むべきと思いますが、御所見をお伺いします。
市長は今年度行った福岡城幻の天守閣ライトアップ事業をこの春も再び行おうとしています。この開催経費は既に今年度4,331万円が予算化されており、新年度は撤去費用として1,930万円が計上されております。本事業は、福岡城址に金属パイプ製の天守閣を設置し、LEDでライトアップするというものです。しかし、天守閣があったかどうか分からないのにいかがなものかという意見や、派手なライトアップに批判の声が上がり、昨年の予算議会でも議論になったものであります。周知のとおり、天守閣については存在も外観も構造も今分かりません。2013年に刊行された福岡市発行の「新修 福岡市史 特別編 福岡城」には、様々な議論は現在に至ってもなお決着を見ていないとされています。市長もこの本に挨拶文を寄せておられます。にもかかわらず、あたかも天守閣があったかのように構造物を建ててアピールすることに市民から批判の声が出されております。
そこで、歴史的根拠が定かになっていないにもかかわらず、勝手に天守閣をイメージしただけの構造物を建ててライトアップするこの事業は、福岡城址という文化財を愚弄するものだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、高齢者乗車券制度についてです。
我が党は代表質問において、物価高騰に苦しむ市民に対して緊急に市独自の施策を講じるべきと提案を行いました。高齢者乗車券制度の拡充はその一つであります。しかしながら、市長は現制度のままでよいという答弁を行っていますが、これは高齢者の暮らしを支援しようという気持ちのない冷たい態度です。高齢者の頼みの綱である年金は、マクロ経済スライドによる12年間でマイナス7.8%の年金実質削減が行われる下で、高齢者から暮らしていけないという悲鳴が広がっております。国民の声に押され、公的年金額は1.9%引上げが行われましたが、物価高騰には到底届きません。さらに、年金改革法案で改悪が狙われています。
お尋ねしますが、勤労収入のない高齢者は、年金が若干引き上げられたものの、物価上昇率の水準を下回っており、物価高の影響を吸収できておらず、苦しい生活を余儀なくされていると思いますが、御所見をお伺いいたします。
高齢者乗車券制度は、高齢者の社会参加を促進するため、交通費の一部を助成する乗車券を交付するものです。福岡市に居住し、かつ住民登録をしている満70歳以上の人を対象としていますが、非課税あるいは課税対象で所得200万円未満の人しか利用できないという所得制限が存在します。しかし、対象となる人には7種類の交通手段を選択して、上限額1万2,000円まで利用することができるとされています。つまり、年間1万2,000円分ではありますが、支出を抑えることができるということです。
そこで、高齢者乗車券制度は、社会参加の促進とともに高齢者の家計を応援するものになっていると思いますが、お尋ねいたします。
次に、道路陥没対策についてです。
埼玉県八潮市の県道陥没事故は、インフラの老朽化がもたらす危険や住民への影響の大きさを見せつけています。運用から42年になる下水道管の腐食によると見られ、穴に転落したトラックの運転手はいまだ行方不明です。下水道に起因する道路陥没は、2022年度、全国で約2,600件起きています。下水道管の標準耐用年数は50年とされ、腐食のおそれが大きい箇所は政令で5年に1回以上の点検が求められています。今回の事故の下水道管については、2021年度の点検で直ちに工事は必要ではないとの判定が出ていました。したがって、点検の期間、方法の見直しを含め、老朽インフラへの対策が求められています。
代表質疑で我が党は、同様の事故が起きないように、下水道管の安全点検などの強化を求めました。市長は安全確保に努めていくとの趣旨の答弁をされましたが、根拠があるのかただしていきたいと思います。
第1に、本市においての道路陥没防止対策についてです。
道路舗装の下にできた空洞は陥没事故につながる原因となることから、本市では路面下空洞調査を実施しています。空洞を早期に発見し、陥没事故につながる前に対策を行うという取組です。路面下空洞調査は、地中レーダーを搭載した車で道路を走行することによって、空洞の可能性がある箇所を検知する調査とのことです。
そこでお尋ねしますが、2023年度の路面下空洞調査の実績と発見できた空洞数について答弁を求めます。
第2に、道路陥没の一因となっている下水道管の破損についてです。
下水道管は経年劣化により強度が低下し、破損する可能性があります。また、汚水に含まれるし尿や洗剤などが硫化水素を発生させ、管の内壁に付着した細菌の働きによって酸化し、硫酸となります。この硫酸がコンクリートや金属を腐食させます。破損すれば、その箇所から土砂が流出し、その管の周辺に空洞が生じ、道路陥没につながります。本市は下水道管の点検、調査を行うことによって事故を未然に防ぐとしています。
そこでお尋ねしますが、2023年度の下水道管の破損が原因で発生した道路陥没の箇所数と点検、調査の実績について答弁を求めるものです。
以上で1問目を終わり、2問目は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡城の天守についての御質問にお答えいたします。
まず、天守の調査につきましては、福岡城天守のかつての状況を確認するため、文献調査や発掘調査を行うもので、天守に係る研究の一助となるべく丁寧に進めてまいります。
次に、提言書を受領した際の発言については、元文部科学事務次官で懇談会の取りまとめをされておられる山中座長から、様々な論拠を基に、天守閣の存在について否定することは難しいとの結論に至った旨のお話をお伺いし、発言をされたものでございます。
また、現時点において天守閣がなかったことを示す史料は見つかっておらず、その事実について述べられたものでございます。
次に、今回のライトアップ事業については、福岡城への観光集客を図るとともに、福岡城や福岡の歴史に対する観光客や市民の関心、興味を高めるため、石垣の保全に十分配慮した上で時限的に仮設の工作物を設置するもので、文化財保護法の観点から特段問題があるものとは考えておりません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券についての御質問にお答えいたします。
高齢者の生活状況につきましては、物価高などにより一定の影響が生じているものと考えております。
次に、高齢者乗車券の目的は、高齢者の社会参加を促進するため、外出のきっかけとなるよう公共交通機関の乗車料金の一部を助成するものであり、様々な社会参加活動につながっているものと認識しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路の陥没事故対策に関する御質問にお答えいたします。
まず、路面下空洞調査の実績につきましては、令和5年度の調査実施総延長が231.4キロメートル、発見した空洞数が幹線道路では54か所となっております。
次に、下水道管の点検、調査の実績につきましては、令和5年度の目視による点検が553キロメートル、テレビカメラ車による下水道管内調査が75キロメートル、下水道管の破損が原因で発生した道路陥没が62か所となっており、そのほとんどが深さ30センチメートル程度の小規模なものであります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 倉元達朗議員。
○50番(倉元達朗) まず、福岡城についてです。
多額の税金を使っての調査について、局長はあたかもこれから天守閣の存在を証明することになるといった答弁を行いました。もちろん文化財の調査について私たちは全て否定するものではありません。予算をもっとつけるべきだという立場です。しかし、今回の調査は福岡城に天守閣があったという特定の学説に立ったものであり、あまりにもいびつであります。
今回の調査をもっと深く見ていきたいと思います。例えば、天守台に何か建物が乗っていたのかについて土や石垣の圧密度を測る調査を行うとしています。仮に何かが乗っていたという結果が出たとしましょう。しかし、何が乗っていたのかは分からないんです。では、仮に建物が乗っていたとしましょう。しかし、その建物が天守閣だったのか、やぐらだったのか、それともほかの建物だったのか分からない。さらに、天守閣だったとしても、何階建てだったのか、どんなデザインだったのかは分からないんです。こんな調査に意味があるんでしょうか。
したがって、天守閣が存在していたことを前提に行い、しかも、存在理由になり得ない調査結果を求めるための今回の調査はまさに浪費だと思いますが、御所見をお伺いします。
市長の福岡城天守閣復元に関する最近の発言についてただしました。本来的には市長が直接答弁すべきものだと思います。しかし、局長の答弁を聞けば、根拠がない言い訳にすぎません。ただ復元したいという思いで軽々な発言をなさるのはやめるべきだと進言しておきたいと思います。市長は2012年の時点でも個人的には復元できたらと思っていると発言されております。市長や経済界の方々は、復元できたら観光客がやってきて本市にお金を落としてくれるだろうと軽々に考えておられるかもしれませんが、課題はたくさんあることを指摘しなければなりません。
まず第1に、外観や構造が分かる史料がないということです。新年度予算で旅費まで計上して文献を探しに行こうとされていますが、天守閣についての調査は長年行われており、今さらながらに新しい事実が出てくるとは思えません。文化庁は史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準を2020年に改定し、その際、専門家によるワーキンググループに議論をさせています。ワーキンググループの取りまとめによれば、適切とはいえない再現のやり方の例として、デザイン、形態等が全く分からないもの、また、史跡等の理解を妨げることにつながるものが挙げられています。
そこで、外観や構造が分かる史料がないにもかかわらず、復元の議論を行うことはあまりにも拙速だと思いますが、御所見をお伺いします。
第2に、天守閣の整備費用についてです。
文化庁関係者が少なくとも数十億円規模と見解を示したと西日本新聞が報じていました。2月24日放送の羽鳥慎一モーニングショーを見ていますと、江戸城再建に係る費用は約500億円、名古屋城の木造復元化には505億円、広島城の同じく木造復元化にも131億円かかると述べられていました。数十億円どころか、何百億円の世界です。改めて巨額の費用がかかるものだと思いました。
そこで、もし福岡城の天守閣を復元するとなると幾らの整備費用が必要なのか、また、その費用は誰が負担するのか、お尋ねします。
今回の発掘調査については、ごく僅かの手がかりを見つけて針小棒大に宣伝し、何とか天守閣があったということにしたいということにほかなりません。存在も外観も構造も分からない、整備費だってどれだけかかって誰が負担するのか分からない、こんな状態で、よく復元などという議論ができるものです。考古学を専門とされている立命館大学の岡寺良准教授のコメントを西日本新聞が紹介しています。「天守閣が存在したかどうかと復元するかどうかの議論は切り離して考えるべきだ。復元には慎重な議論が必要で、勇み足になってはいけない」、学識者の意見を真摯に受け止めるべきです。今のように、市長が識者やこれまでの研究を無視して強行に進めれば、もうこれは福岡城の復元ではなく、島城の築城になってしまいます。こんなものを市民が望んでいないのは当然です。
したがって、天守閣ありきの調査予算は全額削除すべきと思いますが、市長の明確な答弁を求めます。
さらに、本市の貴重な文化財である福岡城で、集客のために歴史的根拠もなく天守閣があったかのように復元とはかけ離れたやり方を巨額の税金を使って行う今回のライトアップ事業はやめるべきと思いますが、市長の御所見をお伺いします。
次に、高齢者乗車券制度についてです。
高齢者の暮らしの状況が厳しいのではないかという問いに対して、局長は否定こそされませんでしたが、そこまで真剣に捉えていないように見受けられました。この間、市内の年金暮らしの高齢者に生活の実態を聞かせてもらいました。政府は年金が上がったと言いますが、聞けば、上がっても二、三千円程度、何百円ぐらいしか上がっていない、あるいは上がった実感はない、不満の声がたくさん出されています。一方で、物価高騰による買い控えが大きく広がっています。スーパーへ夜7時からの総菜の値引き品を狙っていくと、同じ目的の高齢者がうろうろしている。値引きシールが貼られると、あっという間に商品がなくなってしまう。今の高齢者の実態を表すシーンです。ある女性は、今年になって1回しか牛肉を買っていない、豚や鶏肉で代用するようになったと言い、キャベツや白菜さえも手が出ない、こう言われていました。洋服を買い控えしている方が多く、娘や孫のお下がりで間に合わせているという80代の女性もいらっしゃいました。どなたも買物には慎重になっておられ、家計に苦しんでいることがよく伝わってきました。高齢者の実態を具体的に紹介しましたが、これらの人たちは、ついこの間までは比較的暮らしに余裕があった人たちだったんです。しかし、この物価高騰で暮らしぶりが一変しています。そのぐらい影響は大きく、行政が指をくわえて見ていることは許されません。
したがって、高齢者を取り巻く生活実態は厳しいものがあり、もっと高齢者への支援を強化していくべきと思いますが、答弁を求めます。
高齢者乗車券制度が高齢者の家計を応援するものになっているのではないかという問いに、局長はあくまでも社会参加のための制度ですというふうに言われました。しかし、私は今回の聞き取りで、この制度が大変助かっているんだと、家計にも助かっているんだという声をたくさんお聞きしました。ただ、不満の声がないわけではありません。ある男性は、8,000円分の利用が可能ですが、足りなさ過ぎる、半年でなくなってしまうと語っておられました。ある女性は、残額が減らないように1駅、2駅前で降りて歩いているそうです。別の男性は、1回外出すれば交通費は1,000円近くかかるとも言っておられました。タクシーを利用される方は、あっという間になくなってしまうとのことです。担当課に上限額1万2,000円の根拠を事前にお聞きしました。月1,000円の12か月分というのが1万2,000円の根拠なんです。びっくりしましたね。たったそれだけですよ。しかも、この制度というのは、2001年からこの金額は全く変わっておりません。
そこで、現行の上限額1万2,000円はあまりにも少なく、実態に合っていないと思いますが、御所見をお伺いします。あわせて、所得200万円以上で制度から除外される所得制限も実態に即していないと思いますが、お尋ねします。
そもそも高齢者乗車券制度は高齢者の外出を促し、経済波及効果、健康づくり及び公共交通機関の利用促進による環境負荷軽減などの面で、よい影響を及ぼすことはこれまでにも論じられてきたところであります。だからこそ他都市でも高齢者に対する交通支援は広く行われており、上限額がない都市や所得制限を設けていない都市も存在します。東京都シルバーパスは負担金を払えば利用可能路線は乗り放題、名古屋市も負担金を払えば乗り放題、大阪市は電車、バスが1回の乗車の負担は僅か50円です。利用制限はありません。他都市に比べて本市の制度はあまりにも貧弱過ぎます。
そこでお尋ねしますが、本市も高齢者乗車券の上限額と所得制限をなくし、高齢者の生活を支援すべきと思いますが、市長の御所見をお伺いします。
次に、道路陥没防止についてです。
2023年度、下水道管の破損が原因で発生した道路陥没は62件もあったそうです。事前に資料を頂きましたが、そのうち、50センチメートル以上の陥没は7件、東区八田で90センチ、城南区片江で71センチ、早良区原と南庄で71センチなどです。もちろん八潮市の事故現場とは規模が違いますが、時と場合によっては大事故につながるものと言わなければなりません。それだけに陥没を起こさせない対策が必要です。
下水道管の標準耐用年数は国において50年とされています。本市では現在、汚水が流れる暗渠約4,200キロメートルのうち、50年を超過しているものは約530キロメートル、約12%を占めています。これが10年後になりますと、標準耐用年数を超えるものが約37%に増え、20年後には約70%になることが明らかになっています。
このように、標準耐用年数を超える下水道管が多くを占めるようになる中、さらに道路陥没のおそれは大きくなっていくと思いますが、御所見をお伺いします。
下水道管の目視による点検の実績は2023年度553キロメートルとの答弁でした。しかし、10年前の実績を調べますと、2014年は641キロメートルでしたから、点検の量は増えるどころか減っております。テレビカメラでの調査についても、2023年度は75キロとのことですが、10年前は100キロの調査を行っております。これも減っているんです。
そこで、下水道管は年々劣化していくにもかかわらず、調査や点検の量が減っているならば安全を保つことができないのではないかと思いますが、答弁を求めます。
現状では下水道の管理者は地方自治体とされています。独立採算制と受益者負担という現状の制度、仕組みから維持管理、修繕を強化すると、その費用が下水道料金の値上げにつながるため、管理に係る費用を抑えてしまいがちです。事前に担当課に聞きますと、点検、調査費用に関する国の補助はあるにはあるが、福岡市の下水道管のサイズでは対象外になっているということでした。
そこで、本市の下水道管が対象となる点検、調査費用への補助制度を国に求めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
路面下空洞調査によって見つかった空洞は54件だったそうです。この5年間の実績を見ても、年間100件以上発見した年が2年もあります。ですから、これは重要な調査だと言わなければなりません。2019年から5年間の調査実施延長を見てみますと、確かに増えております。しかし、当初予算を見ますと、9,500万円から1億円とほとんど変動がありません。過去に自宅近くの道路の陥没につまずいてけがをしたことがあるという女性は、毎月調査してほしいけれども、せめて半年に一度はやってほしいと要望されていました。
したがって、路面下空洞調査は道路陥没を未然に防ぐとともに、市民の不安を払拭するためにも予算もつけて調査距離を抜本的に延長すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
道路陥没事故は全国どこでも起きる可能性があるだけに、市民の関心は高いものがあります。八潮市の事故の場合、下水道の利用自粛が呼びかけられ、住民は洗濯や入浴自粛などの日常生活に支障を来しました。そのほか、インターネットや固定電話が利用できない事態も起きました。クリーニング店、生コン製造業や飲食業など、水を使う業者に影響が出たとされています。陥没事故の恐ろしさを表していると思います。先ほど述べたように、下水道管の点検、調査の量が10年前から比較すれば減っています。市長は直視すべきです。こんなペースでいいのかが問われています。地下鉄陥没事故を目の当たりにした福岡市民はどうしても陥没というワードに敏感であります。
したがって、下水道管の点検、調査の計画を見直し、予算を抜本的に増やし、点検、調査の量を増加させ、道路陥没を未然に防ぎ、市民の安全を確保すべきと思いますが、市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡城の天守についての御質問にお答えいたします。
まず、福岡城の発掘調査につきましては、全体では80回を超える調査を行っておりますが、これまで天守台については調査を実施していないため、福岡城のかつての状況を確認し、貴重な文化財を保存、継承していくためにも必要な調査であると考えております。
次に、復元の議論を行うことについての所見をという御質問でございますが、令和7年度は福岡城の天守のかつての状況を確認し、貴重な文化財を保存、継承していくため、そして、天守に係る研究の一助となるべく文献調査や発掘調査を行うものでございます。
次に、天守の復元費用やその負担者については、これまで検討を行ったことはございません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券についての御質問にお答えいたします。
物価高等に係る支援につきましては、国の交付金を活用して給付金の支給などを行っているところであり、引き続き物価高の状況や国の動向を注視してまいります。
次に、上限額等については、高齢者の社会参加のきっかけとなるよう公共交通機関の乗車料金の一部を助成するものであり、また、限られた財源の中で、より必要な方を支援するため、所得制限を導入しております。なお、70歳以上の方のうち約9割は交付対象となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路の陥没事故対策に関する御質問についてお答えいたします。
まず、下水道管の標準耐用年数につきましては、国において50年とされておりますが、国が策定したガイドラインにおきましては、標準耐用年数で一律に改築するのではなく、下水道管の健全度に関する点検、調査結果に基づき、長寿命化対策を盛り込んだ計画的な改築を行うよう示されております。福岡市におきましても、点検、調査の結果に基づき、計画的な改築更新を進めており、現在検討中の令和7年度から4年間の実施計画である下水道経営計画2028において、下水道管の改築更新延長を144キロメートル、事業費を約406億円として計画しており、今後とも、適切に対応してまいります。
次に、下水道管の点検、調査につきましては、福岡市では従来より計画的に点検、調査を実施しております。点検調査実績が10年前が多いのは、下水道管のアセットマネジメントの基本方針策定のために平成23年度から26年度まで集中的に実施したものであり、その後は基本方針に基づき、必要な点検、調査を計画的に実施しております。令和7年度においても必要な予算を計上し、目視点検は約500キロメートル、テレビカメラ調査は約100キロメートルを予定するなど、適切な維持管理を図ってまいります。
次に、下水道管の点検、調査費に関する国への要望につきましては、下水道管の改築に対する財政支援の継続と国庫補助制度の拡充について要望を行っており、加えて、他の政令市や日本下水道協会等とも連携した要望を行っております。引き続き下水道管の老朽化対策の拡充等について要望を行ってまいります。
最後に、路面下空洞調査につきましては、福岡市では従来より空洞発見能力や精度などの技術力の高い事業者により広範囲に路面下空洞調査を計画的に実施しており、令和7年度においても必要な予算を計上しております。今後も必要な予算を確保しながら、安全な道路の維持管理に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡城につきましては、1607年に黒田長政によって築城された福岡市の歴史を語る上で欠かせない貴重な史跡で、現在、都心における貴重な歴史資源、市民の憩いの場、そして、重要な観光資源となっているものでございます。商工会議所からの提言に続き、春の天守閣ライトアップ事業を実施することによって、福岡城や福岡の歴史への市民の関心や興味がさらに高まることを期待しておりますし、天守に係る研究が進むよう、そして、市民がより地域に対する誇りと愛着を持つ一助となるよう天守台の発掘調査と文献調査を進めてまいります。
高齢者乗車券につきましては、高齢者の社会参加の促進を目的としたものでありまして、今後とも、持続可能な制度としながら、利便性の確保に取り組んでまいります。
道路や下水道といった市民に身近なインフラの老朽化対策につきましては、市民の生命や安全、安心な生活を守るため、大変重要であると認識をしております。福岡市においては、従来より改築更新などのアセットマネジメントを着実に推進するとともに、路面下空洞調査や下水道管の点検、調査を計画的に行うなど、地上や地下の両面から異常を早期に発見し、必要な対策を迅速かつ適切に実施をしております。今後とも、市民の安全、安心を確保するため、引き続きこれらの取組を進めるとともに、先進技術の活用を進め、インフラの老朽化対策にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛)登壇 私は日本維新の会福岡市議団を代表し、天野議員の代表質問を補足し、地域包括ケアシステムについて、救急車の適切な利用促進について、以上2点について質疑を行います。
まず、地域包括ケアシステムについてです。
平成23年、2011年の介護保険法の改正により、地域包括ケアシステムの推進が国及び地方自治体の責務として明記されたことから、現在、構築に向けた取組が進められているところであります。特に令和6年度から令和8年度の3か年間を計画期間とする第9期福岡市介護保険事業計画では、この3年間において地域包括ケアシステムを深化、推進し、介護保険事業の円滑な実施を図るためとして、本事業計画を策定する上でのポイントが示され、また、団塊の世代が75歳を迎える令和7年を一つの通過点として、2025年の目指す姿とする一つの目標が掲げられているところであります。
そこで、お尋ねをいたします。
まず、地域包括ケアシステムについてであります。
その概要をお尋ねするとともに、地域包括ケアアクションプラン──以下、アクションプランと申し上げますが──の概要並びに本市保健福祉総合計画や介護保険事業計画との関係をお尋ねいたします。あわせて、アクションプランの策定から現在までの経緯をお尋ねいたします。
次に、救急車の適切な利用促進についてであります。
本市消防局が発表した令和6年分の消防統計速報値によると、人口増や高齢化の進展を大きな要因として、救急出動件数が前年比174件増加の10万181件となり、過去最高を更新したとのことでした。令和2年、令和3年の2か年間は新型コロナ感染症の影響で減少傾向となっておりましたが、令和4年より増加傾向となり、令和6年は先ほど述べたとおり過去最高を記録しています。本市では2040年まで人口が増加し続けること、さらに、高齢化が進展することなどが予測されていることから、救急需要がさらに増加することは想像に難くありません。だからこそ、救急車の適切な利用を促進する取組が重要であると考えます。
そこで、お尋ねをいたします。
まず、救急の現状についてです。
救急出動件数、救急搬送者数、救急隊数、通報から現場到着まで並びに通報から医療機関への搬送終了までのそれぞれの時間、救急搬送における年代別割合、救急搬送における病気やけが、事故などの割合、重症や中等症、軽症の割合、軽症搬送のうち年代別割合について、それぞれ令和6年の状況をお尋ねするとともに、令和元年と比べてどのような状況となっているのかお尋ねし、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地域包括ケアシステムについての御質問にお答えいたします。
地域包括ケアシステムは、誰もが高齢になっても住み慣れた地域で安心して生活できるよう、保健、医療、介護、生活支援、住まいの5つの分野において一体的に支援を行う仕組みでございます。また、地域包括ケアアクションプランは、医療や介護の専門職などが共通認識の下で連携しながら取り組むため、関係機関や団体、行政が共働して作成した行動計画であり、行政計画である保健福祉総合計画や介護保険事業計画と調和しつつ推進することとしております。
福岡市におきましては、国の介護保険法改正を受け、平成24年度に地域包括ケアシステムの構築に向けた検討を開始し、26年度にアクションプランを策定、27年度に個別、小学校区、地域包括支援センター圏域、区、市の5階層に地域ケア会議を設置するなど、必要な基盤整備を行うとともに、アクションプランの改定を重ねながら、関係機関や団体が連携して様々な取組を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 田消防局長。
○消防局長(田浩輝) 救急車の利用に関する御質問にお答えいたします。
まず、令和6年の救急出動件数は速報値で10万181件であり、令和元年と比較しまして1万8,734件の増加となっております。
次に、令和6年の救急搬送者数は速報値で8万7,291人であり、令和元年と比較しまして1万5,158人の増加となっております。
次に、令和6年度の救急隊数は34隊で、令和元年度と比較しまして4隊増隊しております。
次に、令和6年の通報から現場到着までの平均時間は速報値で8分12秒であり、令和元年と比較しまして41秒の延伸となっております。また、通報から病院到着までの平均時間は速報値で34分51秒であり、令和元年と比較しまして4分49秒の延伸となっております。
次に、令和6年に救急搬送した傷病者の年代別の割合は、速報値で生後28日未満の新生児が0.2%、生後28日以上7歳未満の乳幼児が4.5%、7歳以上18歳未満の少年が3.5%、18歳以上65歳未満の成人が35.8%、65歳以上の高齢者が55.9%となっており、令和元年と比較して割合に大きな変化はなく、高齢者の搬送割合が多い状況が続いております。
次に、令和6年に救急搬送した傷病者の事故種別ごとの割合は、速報値で急病が68.8%、交通事故が4.9%、一般負傷が16.0%、その他が10.1%となっており、令和元年と比較して割合に大きな変化はなく、急病の割合が多い状況が続いております。
次に、令和6年に救急搬送した傷病者の傷病程度別の割合は、速報値で死亡が0.1%、重症が3.2%、中等症が51.1%、軽症が45.7%となっており、令和元年と比較して割合に大きな変化はなく、中等症と軽症の割合が多い状況が続いております。
最後に、令和6年に救急搬送した傷病者のうち、軽症と診断された方の年代別割合は、速報値で新生児が0.1%、乳幼児が6.7%、少年が4.9%、成人が43.6%、高齢者が44.8%となっており、令和元年と比較して割合に大きな変化はなく、成人と高齢者の割合が多い状況が続いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ありがとうございます。2問目に入ります。
まず、地域包括ケアシステムについてです。
地域包括ケアシステムとは、人生の最期まで住み慣れた地域で自立した生活を送ることができるよう、保健(予防)、医療、介護、生活支援、住まいのサービスが一体的に提供されるという非常に理想的な仕組みであります。平成24年度から構築に向けた検討が始まり、平成26年度末にはアクションプランが策定され、平成27年度から重層的に地域ケア会議を設置するなど、推進に向けた基盤整備が行われているところであります。
そこで、お尋ねをいたします。
まず、アクションプランに基づく取組状況をお尋ねいたします。また、本市では団塊の世代が75歳を迎える本年、令和7年は団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年、2040年の通過点であり、2025年の目指す姿という目標が設定されておりますが、何を目指しているのか、また、どこに目標を置いているのかお尋ねするとともに、2025年の目指す姿の進捗状況をお尋ねいたします。あわせて、進捗状況の検証はいつ行うのか、お尋ねいたします。
次に、救急についてであります。
令和6年は令和元年と比べ、救急出動件数は1万8,734件、約23%の増加、救急搬送者数は1万5,158人、約21%の増加となっています。また、年代別割合では高齢者の割合が約2.9%増加し、全体の約56%を占め、また、疾病程度別では約69%が急病、次いで約16%が一般負傷、また、重症度では約46%が軽症で、その軽症における年代別割合は約89%を成人、高齢者で占めており、令和元年と比較してほぼ同じ割合となっています。
そこで、お尋ねをいたします。
右肩上がりに増加している救急需要に対し、これまでどのような対策が取られてきたのか、詳細をお尋ねいたします。また、軽症のうち約9割が成人、高齢者となっておりますが、軽症についての検証が必要ではないかと考えます。それは無料のタクシー代わりになっていないかということについてです。本市では入院の必要がない場合を軽症として取り扱われておりますが、軽症において救急要請が不適切でないかと思われるような事例はなかったのか、御所見をお尋ねいたします。
また、救急搬送時間について、本市は全国でもトップクラスの搬送所要時間であったと思いますが、令和6年は令和元年より通報から現地到着まで41秒、同じく医療機関到着までで4分49秒もそれぞれ遅くなっているようですが、その要因をお尋ねし、2問目を終わります。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地域包括ケアシステムについての御質問にお答えいたします。
アクションプランに基づき、地域ケア会議において高齢者の支援策や地域課題を検討するとともに、関係機関等が連携し、高齢者の自立支援や重度化防止、権利擁護、認知症の方の支援、医療と介護の連携、終活の支援など、様々な取組を進めております。令和6年度における地域ケア会議の開催回数は12月末時点で745回となっております。
福岡市の地域包括ケアの2025年の目指す姿として、多様な主体による支え合い、助け合いの実現、一体的で切れ目ない支援による住み慣れた地域での暮らしの実現、市民の主体的な取組による自立生活の実現の3つを掲げており、これまでの取組により、総合相談体制の構築や介護予防、権利擁護の仕組みの構築、医療と介護の連携促進、地域福祉の充実などの成果が得られているものと考えております。今後、7年度にかけて分析、評価を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 田消防局長。
○消防局長(田浩輝) 救急車の利用に関する御質問にお答えいたします。
まず、救急需要増大への対応につきましては、令和2年度以降に救急隊を4隊増隊したほか、救急需要を抑制するために、ホームページやSNS、イベントなどを通じて♯7119の広報など、救急車の適時適切利用に向けた啓発を行っております。また、市政だよりと同時配布の広報印刷物での広報や、民生委員など高齢者と接する機会の多い方が参加される会議や講習等の場において、救急車が必要になるような病気やけがを未然に防ぐための注意点や発生時の適切な対処法について啓発を行っております。
次に、救急要請が不適切と思われるような事例の有無につきましては、救急出動した事案の中には一定程度適切ではないと推測される事例は存在いたしますが、救急隊は市民からの緊急の要請に対して迅速に医療機関まで搬送することで市民の安全を守っており、搬送した医療機関における初診時の診断で軽症とされた方の救急要請が不適切であったかどうかを判断することは、客観的な基準もなく、一概に評価することは困難であると考えております。
最後に、救急搬送に係る所要時間につきましては、全国的に高齢化の進展により延伸している状況にあり、福岡市においても同様に延伸傾向にありますが、現在でも全国でトップクラスの水準を維持しているところでございます。通報から現場到着までの平均時間が延伸している要因につきましては、救急出動件数の増加により現場に最も近い救急隊がほかの事案に出動している頻度が増加していることなどが影響していると考えております。また、通報から医療機関到着までの平均時間が延伸している要因につきましては、救急搬送する傷病者の数が増加する中で、救急医療機関の数や病床数は増えておらず、搬送先医療機関が決定するまでに時間を要する事案が増加していることなどが考えられます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ありがとうございます。3問目に入ります。
まず、地域包括ケアシステムについてです。
地域ケア会議は12月末時点で745回を数え、様々な支援策や課題などが議論されているとのこと。2025年の目指す姿については、多様な主体による支え合いや助け合い、一体的で切れ目ない支援による住み慣れた地域での暮らし、市民の主体的な取組による自立生活など、それぞれ実現に向けた取組が進められていることなど、成果も得られているとの答弁でした。また、市内57か所の地域包括支援センター、いきいきセンターふくおか圏域において、これまで進めてきた各施策がどれくらい進捗しているかについては、まさに新年度、令和7年度にかけて分析、評価を行う旨、答弁をいただきましたが、非常に気になる点もあります。それは会議の数や相談件数など、全体像しか見えていないというところであります。市内59圏域では、人口や高齢化率、戸建て群や集合住宅群などの住宅事情のほか、医療資源や介護資源、また、人的資源など、地域事情は様々であることから、圏域ごとに進捗状況が違って当たり前だと思います。画一的に全体像を分析、評価するのでなく、圏域ごとに分析、評価し、その結果を見える化することが重要であり、それを基に、それぞれの圏域の事情を踏まえ、支援やサポートを充実していかなければ、団塊ジュニア世代が65歳以上になる15年後に掲げる2040年のあるべき姿にはつながらないのではないかと考えます。
アクションプランでは、2025年の目指す姿の実現に向けた保健(予防)、医療、介護、生活支援、住まいの5つの分野ごとに目指す姿像が定められています。保健(予防)分野では、積極的な健康づくりや介護予防、医療分野では、高齢者が在宅で必要な医療サービスを受けられること、介護分野では、高齢者が自立支援を基本に必要な介護サービスを適切に利用できること、生活支援では、必要に応じて食事や買物などの生活支援のサービスが受けられること、住まい分野では、住み慣れた地域で適切な住まいで生活を送ることなどが示されていることから、それぞれの分野について圏域ごとの事情に沿った支援やサポートをしていくことが重要であると考えます。
そこで、この質問の最後に、令和7年度に実施される分析、評価について、圏域ごとに結果を見える化し、それぞれの実情を把握した上で支援やサポートを充実していく必要があると考えますが、御所見をお尋ねいたします。
次に、救急についてであります。
これまでの対策として、救急隊を5年間で4隊増隊したこと、折り込み広告や高齢者と接する機会が多い民生委員の会合などで啓発に努めていること、ホームページなどで救急車適切利用に関する啓発等に取り組まれているとのことですが、このような対策を講じても救急要請は増え続けています。ただ一方で、取組の効果も出ているようです。福岡県救急医療電話相談事業、いわゆる♯7119において、令和元年度の相談件数が約4万7,000件であったものが令和5年度には約6万8,000件と、令和元年度と比べて約2万1,000件も増加していることから、周知や啓発の効果はある一定程度出ているものと思います。
次に、救急要請に不適切な事例があるのではないかとの問いに対して、客観的な基準がないため、救急要請が適切であったか否かの判断は難しいとのことでありましたが、一定程度推測される事例はあるとの答弁でした。一定程度がどれくらいの件数を示すのかは分かりませんが、無料のタクシー代わりという事例は存在するのではないかと思います。ただ、公式の見解ではないため公表できないのであろうと推測しているところであります。
また、救急搬送所要時間の延伸については、救急搬送件数の増加で現場直近の救急隊がほかの事案に出動している頻度が増えていること、病床数が増えていない中にあって搬送先医療機関が決まるまでの時間が影響していることなどが要因のようですが、全国的に延伸傾向にある中、本市の救急搬送に係る所要時間は全国でもトップクラスの水準は維持しているとの答弁でした。
ここで2月22日に西日本新聞に載りました朝刊記事を紹介します。これはたくさんの方が御覧になられたと思いますが、「飲酒後、救急車を足代わり?」との大きな見だし記事、22日午前1時25分頃、早良区内において47歳の男性が酒に酔って救急車を呼び、救急隊員に暴力を振るったとして現行犯逮捕されたという大変残念な記事であります。男性は119番通報で駆けつけた救急隊員に家まで送れと言いつけ、救急隊員が断ったところ押し問答になり、隊員3人で取り押さえ、警察に引渡したというものです。突き飛ばしたり首を押さえたりしたとのことですが、幸い救急隊員にけがはなかったということです。今回のケースのように現行犯逮捕となればマスコミでも大きく取り上げられますが、暴力沙汰になっていないだけで、類似のケースは多いのではないでしょうか。正当な救急業務を妨げる今回のような行為は厳に慎んでもらいたいと思います。
本市人口は2040年頃まで増え続けることに加えて、超高齢化社会を迎えることから、今後も救急需要が増え続けることが十分見込まれます。人口増加に合わせて今後も救急隊を増隊し続けるのか、広報、啓発などをどのように充実させるのか、ほかに何か抜本的な対策を考えられているのか、全国トップクラスの搬送所要時間を維持しているとはいえ、将来に向けた大きな課題であると考えます。
ここで選定療養費を活用する仕組みを紹介します。
選定療養費とは、簡潔に申し上げますと、病院と診療所における分業の考えから、200床以上の地域医療支援病院などに紹介状を持たずに初診で受診した場合に、患者さんが保険診療分とは別に実費7,700円を窓口で負担するというもので、本来、救急車で搬送された場合は適用外となりますが、診療後に医療機関側が緊急性を伴わないと判断した場合に選定療養費を徴収するというものです。先日、三重県松阪市を訪問してまいりました。人口規模に違いがありますので、一概に比較はできませんので、あくまで一例として紹介いたします。松阪市では、圏域人口約20万人をカバーする松阪市を含む4つの周辺自治体で松阪地区広域消防組合を組織されています。圏域内にある3つの基幹病院に一次救急が集中し、救急医療が逼迫したことから、令和3年12月に医師会、3つの基幹病院、消防、圏域自治体間で対策協議が始まり、昨年6月より緊急性を伴わない場合に選定療養費を徴収する運用を開始されています。運用開始後に実施された3か月間のモニタリングでは、入院を必要としない帰宅者、本市でいう軽症のうち13.5%の方から選定療養費を徴収したことと併せて、救急出動も21.9%減少したとの結果が得られたとのことでありますが、一過性ということも考えられますので、引き続きモニタリングは続けていくとのことでした。
この運用は、診療後に緊急性を要したかで選定療養費を徴収するか否かを医療機関、医師が判断することから、救急隊などに負担はかからないということも大きなポイントです。また、茨城県では、都道府県単位としては初めて、緊急性が認められない場合に選定療養費を徴収する運用を昨年12月から始められています。報道によりますと、大井川知事はコメントで、救急車が無料のタクシー代わりになってしまっている現状はかなり憂慮すべきだ。必要な人にしっかりと救急医療が提供できるように県民の御理解をお願いしたいと、救急車が無料のタクシー代わりになっていることを明確に指摘をされています。松阪市も茨城県もやむにやまれぬ苦肉の策として導入されたものと理解をしています。どの自治体も同様のことで苦慮されているのではないでしょうか。ただ一方で、この運用によって救急要請をためらう事態が生じれば本末転倒でありますので、慎重な取扱いが求められることは言うまでもありません。
福岡市において、松阪市と同様の選定療養費の活用を検討するには、人口規模、救急医療を担う医療資源の状況も異なり、課題も多いかと思いますので、今回は答弁は求めませんが、こうした事例を参考に、今後、効率的な対策を御検討いただきたいと思います。
最後に、福岡市民の生命と財産並びに安全、安心を日夜守っていただいております消防局職員の奮闘に感謝を申し上げますとともに、今後も大幅に増加していくことが見込まれる救急需要に対し、市民の生命と安全、安心を守る立場から今後どのような対策を講じられるのか、島市長の御所見をお尋ねし、質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地域包括ケアシステムについての御質問にお答えいたします。
令和7年度におきましては、ヒアリングなどを通して圏域の状況を把握し、市全体の地域包括ケアに関する取組の状況について評価を行うとともに、その結果を踏まえ、地域包括ケアのさらなる推進に向け、新たな目標や取組を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、令和2年度以降、救急隊を4隊増隊したほか、アイランドシティにおける消防出張所の新設や冷泉出張所の建て替えなどに取り組むとともに、♯7119の広報など、救急車の適時適切な利用に向けた啓発を進めているところでございます。今後とも、高齢化の進展など、状況の変化を踏まえた効果的な方策を実施するとともに、消防救急体制の充実を図り、引き続き安全、安心に暮らせるまちづくりを推進してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時30分に再開いたします。
午後2時16分 休憩
午後2時30分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男)登壇 私は自由民主党福岡市議団、伊藤会長の代表質問を補足して、都市計画マスタープランについて、農業の振興について、以上2点について質問をしてまいります。
最初に、都市計画マスタープランについてです。
総務省の人口動態調査によると、福岡市は全国市区での日本人住民の人口増加数が全国1位、総人口増加数が第2位との発表がありました。人口増が示すように、福岡市は元気で住みやすい都市として高い評価をいただいています。人口増の要因として、コンパクトな都市で利便性が高いことや食べ物が豊富であること、大学や専門学校が多いので若者の他県からの流入があること、天神ビッグバン、博多コネクティッドなどの再開発が進み、企業誘致による雇用の創出が見込まれること、そして、自然に囲まれていて様々な余暇の過ごし方ができることなど、いろいろと挙げられています。
昨年12月に福岡市の将来の健全な発展を目的として策定された第10次基本計画には、将来的な人口減少や単独世帯の増加等を見据え、地域コミュニティの活性化や福祉の充実、付加価値の高い国際競争力のあるビジネス環境の創出など、持続可能なまちづくりに取り組み、より高みを目指した構想が示されています。市民生活においても「市民が住み慣れた地域において、地域の人々がつながり、支え合うとともに、必要な生活基盤や行政サービス、市民の生命や財産を脅かす災害、犯罪、感染症への備えが確保され、安全で安心して暮らせるまちづくりを進めます」と、生活の質の向上を都市経営の基本戦略の中に掲げてあり、福岡市がもっと住みやすいまちになることを期待しています。
現在はこの第10次基本計画のまちづくりの方向性に基づいて、福岡市都市計画マスタープランの作成に取りかかっておられるとのことです。都市計画マスタープランは今から33年前の1992年に都市計画法の大幅な改正によって第18条の2第1項に規定され、その目的として、国土交通省は、長期的視点に立った都市の将来像を明確にし、その実現に向けての大きな道筋を明らかにするものであり、様々な社会構造変化、自然災害リスクの中、持続可能で活力ある地域づくりを進めるために、都市計画マスタープランの役割は増していますとしています。また、都市計画マスタープランは住民に最も近い立場にある市町村が、その創意工夫の下に住民の意見を反映し、まちづくりの具体性のある将来ビジョンを確立し、地区別のあるべきまちの姿を定めるものですとも記されています。
福岡市都市計画マスタープランは平成26年5月の改定以来の新たなプランの策定となるわけですが、本市の都市計画マスタープラン改定の検討状況についてお伺いいたします。
また、第10次基本計画においては、都市経営の基本戦略として、生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環をつくり出すことがうたわれておりますが、都市部だけではなく、郊外の発展のためにも、基本計画の空間構成目標で掲げられている市民生活の核となる広域拠点や地域拠点など、地域の拠点は非常に重要なものであると考えます。
そこで、基本計画を踏まえ、都市計画マスタープランの改定に当たり、地域の拠点におけるまちづくりの方向性をどのようにしようと考えているのか、お尋ねいたします。
また、拠点のまちづくりを推進するには都市計画マスタープランに具体的な内容を示すべきだと思いますが、都市計画マスタープランの改定に当たり、地域の拠点においてどのような方針を示されようとしているのか、お尋ねいたします。
続いて、農業の振興についてです。
福岡市の魅力は、何といっても新鮮でおいしい食材が豊富なことです。福岡市のおいしい食べ物は観光における大きな資源にもなっています。また、市民の意識調査で97%もの方々から福岡市は住みやすいとの評価をいただいていますが、その要因のトップに、新鮮でおいしい食べ物が豊富が挙げられています。一方で、その新鮮でおいしい野菜や魚、肉などの生産拠点である都市周辺では、従事者の高齢化や担い手の不足などから、これまでの生産量を維持できるか危ぶまれています。
地元農業に目を向けてみたいと思います。特に早良区南部3校区の中山間地域における農地は生産に不利な狭隘な棚田が多く、直近のデータによると、658戸の農家のうち、専業農家は僅か約3.2%、21戸しかありません。そのほとんどは637戸の小規模兼業農家によって農地が維持されていますが、早良区の兼業農家からは、今使っているトラクターが使えなくなったら農業をやめたいという声も聞こえてきます。それを裏づけるように、農林水産省のデータによると、全国の農家数は20年前に比べて約56%減少しているそうです。その8割が兼業農家とのことです。また、民間調査機関、三菱総研の報告書によると、25年後の2050年には日本の農家の数が約80%も減少するとの見方が示されています。
続けて、農家の数が急激に減少することは、単に農業従事者にとどまらず、国全体の食料自給率に直結する重大な課題である。日本は、これまで自国の食料生産によって一定の自給率を維持してきたが、農家の激減により食料生産量が大幅に低下すれば、輸入依存度が一層高まることが懸念される。輸入に頼る体制は、国際情勢の変動や為替レートの変動、さらには国際市場における価格高騰などの影響を受けやすく、ひいては国民の食卓に直結する価格高騰や供給不足、さらには安全保障上の問題にもつながる可能性がある。そして、かつて米騒動として知られる事態が他の食材においても発生する可能性が指摘されている。米騒動は混乱期に食料不足や不公平な分配が引き金になって発生した社会不安の一例であり、同様のことが現代においても繰り返されるリスクは否めないとあります。その予見どおりに、昨年からの米不足が米の価格を高騰させ、それに伴って米の争奪戦が始まり、令和の米騒動と呼ばれるまでに事態は深刻さを増しつつあります。それに拍車をかけたように、昨年からの野菜の価格の高騰が市民の台所を直撃し、不安と不満が募りつつあります。不満が暴動につながらないことを祈ります。
米や野菜の高騰の原因はいろいろ挙げられますが、まず異常気象にあります。今から30年ほど前の平成の米騒動の原因は、80年ぶりに日本を襲った冷夏と長雨の異常気象でした。米の収穫量は例年の7割まで落ち込み、価格が高騰し、スーパーの棚から米がなくなってしまいました。市民の怒りは米をよこせとのデモになりました。政府は国の備蓄米では足りずに、中国、タイ、アメリカ、オーストラリアなど、海外からの緊急輸入によって急場をしのぎました。50歳以上の方はこの年の光景は記憶に残っておられると思います。現在の米や野菜の高騰の原因の一つは、平成米騒動と同じ異常気象ですが、今回は夏の猛暑と少雨、それに秋が短かったことで冬野菜の生育が悪く、不作になったことが挙げられます。が、もっと反省すべき原因がほかにもあるように思われます。30年前、絶対に忘れてはならない平成の米騒動と叫ばれながら、同じことをまた繰り返したことを大いに反省すべきだと思います。米の高騰の原因としてもう一つ挙げられるのが、米の買いだめと投機目的の買い込みがあります。今後、買いだめや投機をなくす何らかの施策が必要と感じます。政府は事態打開に国の備蓄米を放出することにしましたが、これによって一日も早く事態が収束することを期待しています。
米や野菜が高騰したことで、農家はもうかったのではないかと心ない言葉が聞こえてくるのが残念です。丹精込めて作った野菜の出来が悪くて出荷も少なくなり、これでは価格高騰した肥料などの資材代も取り戻せないと農家の嘆きの声を知っていただきたいと思います。
そこで、福岡市の農業の現状についてお尋ねいたします。
まず、この5年の農業従事者数、農家の経営主の平均年齢の変化と新規就農者数の直近5年間の累計についてお尋ねします。
また、この5年の農地面積と耕作放棄地面積の変化をお尋ねいたします。
新規就農者は農業経営が軌道に乗るまで何らかの支援が必要と思われますが、市としてどのような支援が行われてきたのか、お尋ねいたします。
兼業農家が離農することで耕作放棄地が増えていきますが、兼業農家の農業離れを少なくするために本市はどのような取組を行ってきたのか、お尋ねいたします。
以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて行います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都市計画マスタープランに関する御質問にお答えいたします。
まず、改定の検討状況につきましては、令和6年6月に都市づくりの基本理念と基本方向などを議会に報告した後、上位計画の第10次福岡市基本計画や、交通や緑などの関連計画の検討状況を踏まえて検討を進めているところでございます。令和7年度の改定に向けて、市民や議会、有識者の御意見を踏まえながら検討してまいります。
次に、地域の拠点におけるまちづくりの方向性につきましては、第10次福岡市基本計画におきまして、地域の拠点の目指す姿として、まちの歴史や生活圏域、交通結節機能など、拠点の特性に応じて市民生活に必要な都市機能が適正に集約されていることが掲げられております。これらを踏まえまして、都市計画マスタープランの改定におきましても、都市づくりの基本方向の一つに地域の核となる拠点の機能強化を掲げ、各拠点の特性に応じた都市機能の誘導を図るとともに、公共交通を主軸とした持続可能な総合交通体系づくりを進め、市民生活の核となる拠点の機能強化、連携を図ることとしております。
次に、地域の拠点に関する方針につきましては、土地利用の基本的な方針におきまして、市民生活に必要な都市機能の集積や緑豊かな市街地環境の形成に取り組むこととしております。また、交通体系づくりの基本的な方針におきましては、拠点へのアクセス強化に取り組むことなどとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農業の振興についての御質問にお答えいたします。
まず、農業従事者数の推移につきましては、国の農林業センサスによりますと、直近の令和2年が2,580人、5年前の平成27年が3,543人で、963人、約27%減少しております。経営主の平均年齢の推移は、JA福岡市の組合員実態調査によりますと、令和5年度が73.7歳、5年前の平成30年度が71.7歳で、2.0歳上昇しております。また、新規就農者数は令和元年度から5年度までの5年間で109人となっております。
次に、農地と耕作放棄地の面積の推移についてでございますが、福岡市農林水産統計書によりますと、農地につきましては、令和5年が2,343ヘクタール、5年前の平成30年が2,530ヘクタールで、187ヘクタール、約7%減少しております。耕作放棄地は、令和元年が321ヘクタール、5年前の平成30年が361ヘクタールで、40ヘクタール、約11%減少しております。
次に、新規就農者への支援につきましては、国事業を活用し、経営開始資金を最大3年間交付するほか、必要な機械や施設等の導入経費の助成を行っております。また、年齢などの要件により国事業の対象とならない方に対しては、市独自に機械や施設の導入経費の助成を行っております。あわせて、JAや県等の関係機関と連携し、圃場を定期的に巡回し、栽培指導や助言を行うなど、就農直後の経営安定化に向けた支援を実施しております。
最後に、兼業農家への支援につきましては、兼業農家を含む小規模な農家は国や県の補助事業の活用が難しいことから、市独自に共同で利用するトラクターなどの大型機械の購入費用への助成を実施いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 2問目に入ります。
まず、都市計画マスタープランについてです。
都市計画マスタープランの改定に当たっては、拠点の機能強化を示していくとの答弁でありました。都市計画マスタープランについては、1点課題があると考えています。というのは、平成26年改定の現在の都市計画マスタープランには区別に構想が示されていますが、その内容は具体性に欠け漠然としていて、その地域にどのような具体的な将来ビジョンがあり、実現に向けてどのように進めようとしているのか、中長期の構想が見えにくいため、各区や校区でのまちづくりに生かされなかったような感じがします。
早良区の拠点地域を例として話を進めます。2021年、令和3年にオープンした早良区の福岡市早良南地域交流センター、ともてらす早良の設置の過程についてです。このセンターは計画に基づいて現在の場所に設置されたわけではありません。早良区は縦に細長く、海から脊振の尾根まで広がっており、市民センターは北部にあります。早良区南部の公共交通機関であるバスは全て国道263号を走っており、天神や博多に向かっています。そのため、藤崎にある市民センターを利用するためにはバスを乗り換えないといけません。バスの本数も少なく、何より遠いので時間もかかり、南部の市民にとってとても不便でした。このことから、国道263号沿いに早良区地域交流センターを早期に設置してほしいとの声が上がりました。24年前に博多南地域交流センターが設置され、次は早良区に設置するとの計画になったと聞いています。その後、野芥に地下鉄の駅を開設することが決定したことから、交流センター設置計画予定地は国道263号と開業予定の地下鉄七隈線の交通結節点となる野芥駅の隣接地が候補に挙がりました。また、地下鉄七隈線と国道263号、そして、外環状道路が交差する交通結節点であることから、交流センターの1階にバスターミナルを併設することで交通の利便性を図るという構想でした。しかしながら、地権者との交渉はうまくいかず、新たに近くに候補地を当たりましたが、これもうまくいきませんでした。
地下鉄七隈線が開通し、野芥駅が設置されるという計画が公になるとともに、周辺には瞬く間に住宅やショッピングセンターなどが立ち並びました。地下鉄七隈線の開業から10年ほど過ぎた平成26年度に改定された福岡市都市計画マスタープランには、野芥を地域拠点として位置づけ、「野芥では、交通結節機能を生かした福岡市西南部の新たな拠点づくりを進め、区の中南部地域にコミュニティの拠点としての地域交流センターの早期整備を図ります」と示されていました。それから8年後の令和3年に早良区南部の市民が待ち望んでいた地域交流センター、ともてらす早良は四箇田団地の隣にオープンしました。しかし、当初から南部住民が望んでいた場所が国道263号の沿線から離れていることと、そこまでのバス路線がないことから、高齢者や障がい者にとって利用しづらいとの不満の声が出ました。開館と同時に、バス営業所からバス路線を確保していただきましたが、1時間に1本、しかも、バスの営業所で乗継ぎをしなければならない不便さから、バスでの利用者は僅かしかありません。このような結果になったのは、福岡市都市計画マスタープランを作成する過程を捉え、野芥駅周辺の住民と話合いの場を持っていれば、もっとよい敷地が見つかったのではないかと考えられます。都市計画法第18条の2に「市町村は、基本方針を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」とあり、ぜひ新たな都市計画マスタープランの改定に当たっては市民の意見を聞き、それが反映されるように取り組んでいただくように要望いたします。
さて一方で、拠点に位置づけられた地域における具体的なまちづくりに目を向けたいと思います。早良区では地域拠点として野芥が位置づけられ、交通結節機能を生かした新たな拠点づくりを進めると示されていますが、地下鉄野芥駅が開業してから後、駅前の野芥口交差点はほとんど何も手がつけられず、そのままで、地域に改良計画の説明もあっていません。先ほど申し上げましたように、地下鉄七隈線と国道263号、そして、外環状道路が交差する交通結節点であり、交通の要所でバスから地下鉄に乗り換える拠点駅でもありますが、歩道が狭く、駅まで歩きにくく、また、野芥交差点の交通渋滞については解消のめども立っておらず、バスの遅れについて不満が鬱積しています。
そこで、野芥周辺における渋滞の現状と今後の対策についてお尋ねいたします。
また、地下鉄七隈線の野芥駅が整備され、バスやマイカー、自転車との乗継ぎも重要になると思いますが、野芥駅の交通利便性の向上に今までどのように取り組んでこられたのか、また、今後どのように取り組んでいくのかをお尋ねいたします。
また、野芥地区については、地域拠点に位置づけられ、七隈線の整備と併せて周辺のまちづくりに取り組んでこられたとのことですが、地域住民は野芥が拠点地域であることも知らず、野芥駅ができた後もまちに変化は感じられなかったといった声も聞いています。
そこで、七隈線の整備に併せ、拠点地域として野芥駅周辺のまちづくりにこれまでどのように取り組んでこられたのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
次に、広域拠点と位置づけられている早良区北部についてです。
早良区北部は近代以降、商業地として西新から藤崎までに5つの商店街が連なり、一時期はデパートに行かなくても商店街で全て買物が済ませられるぐらい活気がありました。今でも5つの商店街が1つにまとまり、サザエさん商店街通り連合会として新たなにぎわいを見せています。また、この地域は多くの学校が集まる市内でも有数の文教地域として知られていますし、シーサイドももちには高層マンションが立ち並ぶ住宅街と、福岡タワーや博物館、総合図書館、福岡ソフトリサーチパークや放送局など、文化、情報技術関連施設が集積しています。この地域の発展は、明治以降に郡役所や警察署、郵便局などが移ってきたことも寄与したと考えられます。今でも早良区役所周辺には、市の施設として水道局の早良営業所、早良保健所、市民センター、藤崎バスターミナル、ももち体育館など、県の施設として早良警察署、ももち文化センター、国の施設として西福岡税務署、福岡森林管理署、そして、九州郵政研修センターなどが一画に集積しています。しかしながら、東区や南区役所と同時期に建てられた早良区役所をはじめとする各施設が一定の築年数を経過していること、駐車場が少ないことなどから、利用者の不満の声も多く、交通渋滞も大きな課題になっています。各施設の今後の建て替え時期を見据え、情報を共有しながら計画的に進め、行政サービスの中心地として、市民の利便性の向上と地域の発展に寄与するまちづくりが必要であります。
今取りかからないと市民の利便性が何も改善されないのではないかと地元自民党議員の意見が一致しました。そこで、平畑雅博議員を座長として、自民党市議4名で早良区役所周辺のまちづくり研究会を立ち上げ、市役所関係者をはじめ、区役所周辺の各公共施設の関係者に集まっていただき、各施設の将来的な建て替えを想定し、議論を重ねてきました。
改めて国や県、市関連部局が横断的な場の必要性や連携した取組の重要性を再確認し、まちの将来像をまとめ、島市長に早良区役所周辺のまちづくりに関する報告書をお渡ししたところですが、早良区役所及び周辺の公共施設の建て替えについて、まちづくりの観点からどのように考えておられるのか、所見をお尋ねいたします。
次に、農業の振興についてです。
政府は昨年、食料の安定確保、農業の多面的機能の発揮、農業の持続的発展、農村振興を基盤に、日本農業の発展と国民生活の向上を図ることを目的として、食料・農業・農村基本法を改正しました。1問目でも触れましたが、国内においては、少子・高齢化に伴う農業従事者の減少、気候変動による自然災害や不作の多発、農地面積の減少による生産基盤の脆弱化など、様々な課題が生じていることから、持続可能な農業が危ぶまれている状況です。国外においても世界的な食料需給の不安定さが進んでいます。ロシアのウクライナ侵攻などによって肥料や小麦価格の高騰、地球温暖化による異常気象などが影響して、日本が依存している食料や飼料の価格が高騰し、このことから食料安全保障への懸念が急速に高まり、食料安全保障を中心とした基本法が改正されたところです。
そこで、ここからは令和7年度の市の具体的な取組についてお尋ねいたします。
本市は国の食料・農業・農村基本法を踏まえて7年度農業予算を組まれたと思いますが、来年度の農業施策の方向性についてお尋ねいたします。
また、現代社会においては、どの業界でも人手不足が大きな課題になっている中、気候変動などで収入が安定しない農業従事者の確保は非常に厳しくなっています。
このような状況において、農業の担い手の支援についてどのような施策を講じようとしているのか、お尋ねいたします。
特に作業効率が悪い中山間地域の兼業農家がいかに農業を継続し、次の代が引き継ぐような魅力ある農業にするためにはどのような施策を行うのか、お尋ねいたします。
また、新規就農者の確保についてはどのような施策を行うのか、お尋ねいたします。
さらに、農業意欲をそぐイノシシなどの鳥獣による被害防止策として、令和7年度の取組についてお尋ねいたします。
耕作放棄地の再生と、これ以上増やさないためにどのような農地保全の施策を行うのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 都市計画マスタープランに関する御質問についてお答えいたします。
野芥周辺における渋滞につきましては、野芥交差点及び野芥口交差点が福岡県交通渋滞対策協議会において地域の主要渋滞箇所として選定されております。このため、野芥交差点につきましては、平成29年度に大野城二丈線の右折レーン設置を行うとともに、野芥口交差点につきましては、令和4年度から国道263号の右折レーン延伸事業に着手しているところでございます。今後とも、野芥周辺の渋滞対策につきましては、交通の円滑化を図るため野芥口交差点の改良をしっかりと進めるとともに、交通状況を把握するなど、総合的に取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都市計画マスタープランに関する御質問にお答えします。
まず、野芥駅の交通利便性の向上につきましては、これまで自転車駐車場やバス停カットの整備、バス車内や地下鉄駅での相互の乗換情報案内、民間の時間貸し駐車場と連携したパーク・アンド・ライドの推進に取り組んできたところであり、引き続き交通事業者や民間事業者と連携し、取り組んでまいります。
次に、野芥駅周辺のまちづくりにつきましては、3号線沿線まちづくり方針において、交通結節機能の整備と併せて、土地の有効利用を検討する地区として、これまで民間医療施設の建て替えの機会を捉え、地下鉄出入口やバス停と一体となった広場などの整備を誘導してきたところでございます。引き続き野芥駅周辺の民間開発などを適切に誘導し、良好な市街地形成に取り組んでまいります。
次に、早良区役所及び周辺の公共施設の建て替えにつきましては、各施設管理者において判断が必要となってまいりますが、各施設の機能更新時期を見据え、連携して取り組むことがよりよいまちづくりにつながると考えております。このため、令和5年度から各施設管理者や交通事業者などで構成する早良区役所周辺のまちづくり連絡会議を開催し、各施設の情報共有や意見交換を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 答弁に入ります前に、先ほどの答弁の訂正をさせていただきます。
先ほど耕作放棄地に関する御質問に対して、令和元年とお答えいたしましたが、正しくは令和5年でございました。おわびして訂正させていただきます。すみませんでした。
それでは、農業の振興についての御質問にお答えいたします。
まず、令和7年度の農業施策の方向性につきましては、持続可能な農業を未来に引き継ぐために、生産基盤の維持、整備や経営の安定化、担い手の確保に取り組むとともに、市内産農産物のブランド化、消費拡大、農村地域の活性化を推進してまいります。
次に、担い手の支援につきましては、意欲ある担い手に対して、トラクターなどの大型機械やドローンなどのスマート機械等の導入支援の充実を図るほか、園芸ハウス施設の整備について、これまで施設の新設に限定して支援を行っておりましたが、農家の声を踏まえ、新たに改修などの長寿命化についても対象とするなど、支援を拡充することとしております。
次に、中山間地域を対象とした施策につきましては、生産を維持するために集落が実施する水路や農道の管理活動などに対し、国の交付金を活用して支援を実施するとともに、持続可能な農業を次代へつなげていくため、地元農産物の学校給食等での活用や特産品のPRによる消費拡大など、所得の向上に向けた取組を推進してまいります。
次に、新規就農者の確保につきましては、就農時に活用できる市や国の支援事業のほか、市内農家からの応援メッセージ等を掲載した福岡市就農ガイドを活用し、様々な相談に対し、きめ細やかに対応するとともに、民間企業等が主催する就農相談イベントへ出展するなど、取組を進めてまいります。また、野菜栽培に関する農業研修について、新たに西区において休日に受講できるコースを開講するなど、就農前の支援の充実を図り、多様な人材の確保に努めてまいります。
次に、イノシシなどの鳥獣による被害防止策につきましては、捕獲、侵入防止対策、生息環境管理の3本柱を基本として、ICT、IoTを活用したわなの設置や猟友会による集中捕獲を実施するとともに、市独自にイノシシなどが出没しにくい環境づくりへの支援を行うなど、地域や関係機関と連携し、被害防止に向けた取組を進めてまいります。
最後に、耕作放棄地の再生につきましては、農業委員会と連携して意欲ある農業者と農地所有者とのマッチングを進めるとともに、再生に要する経費を支援してまいります。また、農地の保全については、農業者の減少に伴い、これまでのような農地の維持管理が難しくなっている状況を踏まえまして、民間事業者のアイデアを募集し、企業、団体などによる農地の活用に向けた実証実験を実施してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 3問目に入ります。
都市計画マスタープランについては、改定状況や方向性、早良区における拠点のまちづくりを例に質問をしてまいりました。各区にも広域拠点や地域拠点が示されていますが、早良区と同じように具体的な将来構想が見えにくいし、10年間何も変わっていないと聞きます。第10次基本計画が昨年12月に議決され、都市計画マスタープランも現在改定中という状況にありますが、それぞれの計画は策定すれば終わりというわけではありません。地域に拠点を位置づけても、それが市民の皆さんに伝わっていない、知られていないようでは意味がありません。そういう観点では、むしろ計画が目指す姿に向かって、行政としてどのように市民の皆さんに働きかけていくか、どう実効性を持たせるかが重要だと思います。
地域のまちづくりを進めるには、行政の力だけでは難しく、市民の皆さんの協力は必要不可欠です。そのためには、各地域の皆さんにその方向性を理解していただき、市民と行政が同じ認識を持ってまちづくりに取り組んでいく必要があります。福岡市としてどのような将来像を描いているのかを具体的に示し、手間暇かかりますが、様々な機会を捉え、多様な手法をもって市民参画、協働を促し、それぞれの地域においてまちづくりの夢を共有していただきたいと思います。そして、構想の実現に向けて着実に地域のまちづくりを進めていただきたいと要望いたします。
そこで、最後に市長にお尋ねしますが、地域の特性や課題を踏まえながら、市民生活の核となる地域の拠点づくりに取り組むとともに、具体的なまちづくりの推進に当たっては、地域の方の意見も積極的に取り入れながら進めてもらいたいと考えますが、所見をお尋ねいたします。
次に、農業の振興についてです。
福岡市の近郊の農地は筑後平野とか佐賀平野と違い、農地が狭く、特に早良区南部の中山間地域では棚田が多いため、農業の規模拡大が難しく、貸したくても借手がいない農地ばかりです。私は現在、早良区南部中山間地域の兼業農家の一人として、2反の田んぼと1反の畑を耕しています。いわゆる三反百姓です。年間30万円の粗利を得るために頑張っています。私には子どもが3人いますが、長男は東京に就職して所帯を持っていて、福岡には帰る見込みがありません。また、2人は娘で、それぞれ所帯を持っていて、とても農業を継ぐとは思えません。私が住んでいる曲渕の集落は60世帯ほどありますが、9世帯が同じ規模の兼業農家です。私と同じような理由で後継者がなく、農業が続けられると見込めるのは僅か1世帯だけです。早良区南部の集落はどこでも同じような状況のようです。現在、南部地域で農業をやっているのは私たち世代の70歳前後がほとんどです。これから先、何も手を打たないと、あと10年もすればほとんどが耕作放棄地になりかねません。農道や農業用水路などの必要な整備や、機械や施設の導入支援など、現役の専業農家や兼業農家の次の世代が農業を受け継いでいきたいと意欲を持てるような魅力と収入の確保が必要です。それと同時に、経営開始資金の充実や農地取得の際の支援など、新規就農者が参入しやすく、さらに、農業を継続できるような支援も必要です。
また、農地は農産物を生産するだけではなく、多面的機能を持っています。その一つが洪水防止です。集中豪雨があっても、水をため、一気に河川に水が流れないようにする調整池の役目を果たします。ほかに自然環境の保全、良好な景観の形成、農業文化の継承など様々で、その恵みは地域住民だけではなく、都市住民も含め、多くの人たちが知らないうちに恩恵を受けています。1,000年以上前から耕し続けられた歴史を刻んだ田畑を私たち世代で絶やすわけにはいきません。ただ農家だけの財産として残すのではなく、市民みんなの財産として、知恵を絞って福岡市の田園風景を100年、200年と持続可能なものにしていかなければなりません。しかしながら、農家だけでの農地維持は難しいため、市民とともに農地を守っていくべきで、そのための手だてが必要です。
そこで、この質問の最後に、政令市の中でも局レベルで農林水産行政を担っているのは3都市のみで、その一つの福岡市として令和7年度の農業振興施策の取組と決意についてお尋ねして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農業の振興についての御質問にお答えいたします。
令和7年度は、先ほど答弁させていただきました生産基盤の維持、整備など4つの方向性にしっかりと取り組むことに加えまして、特に議員おっしゃるように人手不足や農地の保全、農村地域の活性化という課題に対応していく必要があると考えております。このため、新たに地域農業への市民参加の促進や企業、団体等による農地の活用に向けた実証実験を実施するとともに、地域の農産物を使用した商品開発やPRによる農村地域の魅力向上に取り組んでまいります。また、7年度には次期農林業総合計画の策定に着手することとしており、国の動向を注視するとともに、地域の農業者やJAなどの御意見をしっかりと伺いながら、持続可能な農業とその多面的機能の維持を目指してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 地域の拠点につきましては、都市計画マスタープランの改定に当たりまして、地域の特性を生かし、生活の質を高める都市づくりに向けて、市民生活の核となる拠点の機能の強化に取り組むこととしております。まちづくりに当たりましては、市民生活に必要な都市機能の集積が図られるように、地区計画などの制度も活用しながら、計画的な機能更新を誘導しますとともに、交通結節機能の強化や、また、道路交通の円滑化を図るなど、地域の御意見もお伺いしながらしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 無所属の森あやこです。障がい児・者の安心できる教育と暮らしについて。
超高齢社会においても持続可能な制度や仕組みが構築され、福祉が充実し、生活の質の高いまちを実現するため、その具体的な目標像として、約3人に1人が高齢者となる2040年を見据えた、2040年のあるべき姿とその達成に向けた今後の道筋を示した福岡市保健福祉総合計画があります。地域、健康・医療、高齢者、障がい者の分野別施策を掲げ、計画の目標達成に向けた進捗状況を毎年確認しながら、課題と今後の方向性を示すこととされています。現計画期間は2021年度から2026年度までの6年間で、施策推進に当たり、社会経済情勢の変化や関係法令の改正などの動向にも対応する必要があるため、計画期間中であっても必要に応じて見直しを行うこととされています。
そこで、福岡のまちで安心して暮らし続けられる取組の充実のために、今回は障がい者分野関連と学校教育現場の取組について質疑を行います。
まず、障がい者分野施策に対しての基本目標1、安心して地域で暮らせる基盤づくりにおける5つの指標項目とその成果指標のそれぞれの動向について伺います。
また、障がい種別ごとの5年前と最新の障がい児・者の人数を伺います。
また、市内における障がい福祉サービス事業所数の3年間の推移を伺います。
また、現状の課題をどのように捉えられているのか、伺います。
次に、子どもたちの状況について。
2023年度までの3年間の障がい児の就学相談件数の推移についてと、その傾向を伺います。
また、過去3年間の療育センター等における新規受診児数についてお伺いします。そのうち、2023年度の障がい別割合について伺います。
次に、学校現場です。
2025年度の特別支援学級の設置に係る予算額とその内容について伺います。
また、5年前と直近の知的障がい特別支援学級数と自閉症・情緒障がい特別支援学級数を伺います。
また、5年前と直近の特別支援学校や特別支援学級や通級指導教室に通っている児童生徒数を伺います。
加えて、教員不足が問題視されていますが、特別支援学校及び小中学校の特別支援学級の未配置状況について、また、障がい児童生徒に対応するための専門性が担保されているのかと、さらに、現場の先生は様々な苦労をされていると思いますが、教育委員会はどのような対応をされているのかお伺いし、以降の質疑は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者に関する御質問にお答えいたします。
福岡市保健福祉総合計画の障がい者分野の基本目標1における5つの成果指標につきましては、まず、障がいのある人が暮らしやすいまちと回答した人の割合の目標値は令和7年度に50%、現状値は7年度に実施予定の障がい児・者等実態調査にて把握することとしております。次に、障がい福祉サービスの利用者数の目標値は8年度に1万7,420人、現状値は5年度で1万5,251人となっております。また、共同生活援助の月間利用人数の目標値は8年度に1,920人、現状値は5年度で2,165人となっております。さらに、区障がい者基幹相談支援センターが地域の相談支援事業者等へ専門的指導や助言及び連携強化の取組を行った件数の目標値は8年度に800件、現状値は5年度で818件となっております。最後に、災害時に頼れる人がいる、もしくは頼る必要がないと回答した人の割合の目標値は7年度に85%、現状値は7年度に実施予定の障がい児・者等実態調査にて把握することとしております。
次に、障がい種別ごとの障がい児・者数については、元年度と5年度末の障害者手帳所持者数で申し上げますと、身体障害者手帳は元年度が5万2,161人、5年度が5万1,642人、療育手帳は元年度が1万2,497人、5年度が1万4,621人、精神障害者保健福祉手帳は元年度が1万7,454人、5年度が2万3,259人でございます。
次に、障がい福祉サービス事業所数の推移については、いずれも4月1日時点で、4年度が1,673事業所、5年度が1,771事業所、6年度が1,870事業所となっております。
次に、現状の課題については、障がいのある人が年々増加している中、障がいのある人の重度化や高齢化及び複合的な課題への対応など、支援ニーズが多様化しており、支援体制や受入れ体制のさらなる充実を図る必要があると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 障がい児の就学に関する相談件数の推移等につきましては、令和3年度が2,199人、4年度が2,206人、5年度が2,676人となっております。年々相談件数は増加しておりまして、特に令和5年度からは自閉症・情緒障がい特別支援学級の相談者が増加しております。
次に、令和7年度特別支援学級の設置に係る予算額につきましては6億3,022万6,000円で、その内容は施設整備費や学級運営費等でございます。
次に、5年前と直近の特別支援学級の学級数につきましては、知的障がい特別支援学級が令和2年度434学級、6年度667学級、自閉症・情緒障がい特別支援学級は令和2年度47学級、6年度158学級でございます。
次に、特別支援学校、特別支援学級及び通級指導教室に通っている児童生徒数につきましては、令和2年度5,393人、6年度7,770人でございます。
次に、教員の配置状況につきましては、まず、令和6年度の当初時点においては教員の未配置はございません。また、教員の専門性の担保につきましては、現役教員に対する免許法認定講習や特別支援学級担任研修、小中特別支援学校間での人事交流などの取組を実施してきたところでございます。さらに、令和8年度から特別支援学校教諭免許状を有する者を対象とした奨学金返還事業を実施することとしておりまして、今後も専門性を有する教員の確保、育成に努めてまいります。また、担当教員より相談があった学校へは、指導主事が学校訪問し、児童生徒への指導の在り方等の支援をいたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 療育センター等における過去3年間の新規受診児童数についてお答えいたします。
令和3年度1,931人、4年度2,080人、5年度2,160人となっております。また、令和5年度の新規受診児童の障がい別の主な内訳は、発達障がいが63%、精神遅滞が19%、発達の遅れが10%、聴覚言語が6%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 2問目です。
御答弁によると、障がい種別ごとの障がい児・者の人数は、身体障がいは5年前からは減っていますが、経年で見ると横ばいで、知的や精神は増え続けている状況にあり、就学相談者数と療育センター等における新規受診児数も共に年々増加し、特別支援学校、学級等に通う児童生徒も増え、特別支援学級も5年前より281クラスも増え、設置運営に係る新年度予算額も6億3,000万円余で、2022年度から急激に年々倍増していっている状況です。障がい福祉サービス事業所もここ3年は毎年100事業所ずつ増えていっています。
そして、新規受診児の障がい別の割合を見ると、発達障がいが63%ということです。発達特性として、以前は広汎性発達障がいやアスペルガー症候群などと言っていましたが、2013年にアメリカ精神医学会、APAが世界共通の診断基準第5版、DSM−5を発表した以降、自閉症スペクトラム、ASDと言うようになりました。その症状は、目と目が合わない、にっこり笑いかけてもほほ笑み返さない、指さし、模倣が少ない、言葉の発達が遅い、語彙が広がらない、こだわりが強い、感覚の敏感さがある、同世代の集団の中に入っていけないといったことがあり、1歳半や3歳児健診で指摘され、診断につながることがありますが、知的能力障がいを伴わず、言葉の発達が良好である場合には小学校入学後や成人になってから初めて診断を受ける方もいます。
発達特性がある単身の方々からの相談を受けていますが、とても困窮した状態があります。親きょうだいがいても頼れず、絶縁されているような方もいて、恐らく発達特性としての理解が広がっていない時期に、家庭や学校等で周囲の方が対応し切れていない状況があったのかもしれません。サポートをして話をお聞きする中で、脳と心の発達段階の大事な時期にいじめや虐待を受けた方も多くいらっしゃいます。一度手帳を取得していても失効している状態だったり、取得することに抵抗があられたりと、なかなかサービスにつながらない方もいらっしゃいます。生きていくのに多大な困難さを抱えられていて、それがまた特性と相まって、暮らしていくこと、食事や睡眠、衛生面でもままならないため、心身ともに体調を崩してしまう悪循環が起こっています。家族のように伴走して一つ一つ解決することが必要と考えますが、様々なサポートをする福祉や行政機関の方々もセオリーどおりに手続などが進まない場合も多くあり、余裕もない状態です。福祉をはじめ、保育や教育分野の人材不足は、適切で丁寧な支援ができなくなり、社会全体に影響が及ぶ事態になっていくと考えます。何より御本人が困っている状態なのです。
障がい者分野施策に対して、安心して地域で暮らせる基盤づくりにおける成果指標や動向などを伺いましたが、現状値は3年前や、まだ分からない中で変わり行く実態と施策には乖離が生じていると考えます。生活の質を上げるためにも、現場が疲弊しない基盤の充実が必要です。
そこで、単身障がい者の状況についてどのように捉えられているのか、伺います。
また、安心して地域で暮らせる基盤づくりにおける施策の今後の方向性について伺います。
また、福岡市の人口増、平均寿命の伸びと、社会的な少子・高齢化問題との兼ね合いとして、市はどのように障がい福祉施策の充実を図るのか、伺います。
また、発達障がいのグレーゾーンの方はその特性によって生きづらさを抱えることが多く、それによって二次障がいを併発する状態があり、福祉サービスを必要とする方がいらっしゃいます。2023年度に発達障がい者支援センターへ相談された方のうち、発達障がいがあると医師の診断を受けていた方の人数を伺います。
次に、特別支援学校及び特別支援学級への就学について、本人、保護者の意向を踏まえて対応できているのか、伺います。
また、教室が不足しそうな学校に対して、特別支援学級を設置する際、どのような対応をしているのか、伺います。
さて、プラスチック原料や添加剤にはビスフェノール類やフタル酸エステル類など、内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンが多種類使用されていて、それらが溶出して生態系や人体、特に生殖系や胎児から発達期の子どもたちに悪影響を及ぼすことが疫学研究や動物実験で明らかになっています。教員らの障がい特性に関する研修会の中で、環境要因の情報なども含めて学ぶ必要があると考えます。
化学物質の影響として、農薬や食品添加物に関しても懸念します。今年度2学期から学校給食の無償化を進められる議案が出されていますが、質を落として添加物が増えてしまわないのか、保護者の中から不安の声が上がっています。生きる力を育む重要な食です。カロリーベース、オーガニック化推進、分子栄養学的な観点が必要で、義務教育までの発達の果敢な時期は特に大切です。そういった点の質の担保についてお伺いし、2回目の質問を終わります。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者に関する御質問にお答えいたします。
単身障がい者につきましては、令和元年度に実施した障がい児・者等実態調査において、一人暮らしと回答した割合は、身体障がい者で25.3%、知的障がい者で6.6%、発達障がい者で12.3%などとなっており、全ての障がいにおいて一定の単身者が存在しております。
次に、安心して地域で暮らせる基盤づくりにおける施策の今後の方向性については、障がいのある人の親なき後の支援や、障がいのある人もその家族も地域で安心して生活し続けることができる支援の充実を図ってまいります。また、重度の障がいや発達障がいがある人、難病患者等に対する社会資源の充実を図り、社会参加の支援や生活の質の向上を目指してまいります。
次に、障がい福祉施策の充実については、障がいのある人の重度化や高齢化を見据え、障がい者等地域生活支援協議会などにおいて当事者やその家族、関係機関の意見を聞きながら、重度の障がいがある人の受入れ対応が可能な事業所の拡充や障がい者基幹相談支援センターでの相談支援体制の充実など、さらなる施策の充実を図ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 発達障がい者支援センターにおける令和5年度の相談支援実人数は1,290人、そのうち医師により発達障がいに該当すると診断を受けていた人数は512人でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、特別支援学校及び特別支援学級への就学につきましては、中央教育審議会分科会におきまして、本人、保護者の意見を最大限尊重し、本人、保護者と教育委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図ることを原則とし、決定することが適当である旨、報告されてございまして、福岡市においても本人、保護者と協議し、合意形成を図り、適切に就学先を決定いたしております。
次に、特別支援学級の設置につきましては、まず、余裕教室活用を基本としておりまして、余裕教室がない場合は、在籍数が少ない既存の知的障がい特別支援学級の教室を区切るなど、学校の状況に応じた工夫を行って教室の確保に努めております。
次に、学校給食の質の担保につきましては、無償化後においても食品添加物等の使用制限を定めました福岡市学校給食用物資納品規格を満たす食材を使用するとともに、食品添加物検査や残留農薬検査など様々な自主検査を行い、安全性の確保を図ってまいります。また、給食食材の物価高騰分を公費負担しておりまして、児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たすとともに、博多和牛など地元食材の活用や郷土食、行事食の提供など、物価高騰下にあっても献立を工夫しながら、引き続き安全、安心でおいしい給食を提供してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 3問目です。
脳に必要な栄養素をきちんと届けることは重要です。より安全な質の高い学校給食を求めます。
発達障がいは神経発達症と診断基準DSM−5で改定されました。日本の社会においてはまだまだ浸透していない状況で、理解は十分とは言えず、学校や職場での合理的配慮も行き届いてはおらず、個別支援が受けられていない状況もあります。欧米社会では受け止め方が違い、学校や職場では特性に合わせた配慮や支援が積極的に行われ、アメリカでは乳幼児期介入制度により3歳未満の早い段階から療育や支援の提供がなされ、イギリスの学校では発達に障がいを抱える児童一人一人に指導補助員がつき、授業についていけるようにサポートする体制です。自閉症スペクトラム症、ASDの特性の現れ方は、人的、物的環境の影響を受けて変動し、ASDにおける脳の情報処理機能の問題として、情報を取り入れる脳の栄養と言われる五感と二覚の感覚を処理するプロセスと考えるプロセスの課題が指摘されていて、聞く、見る、触る、味わう、嗅ぐ、動くことや風を感じるなどの情報から反応を考えるのですが、ASDの方は感覚のどれかが抜け落ちていたりするために、周囲を驚かせるような言動等になり、叱られたり笑われたりすることなどを繰り返す経験から二次性障がいに陥り、適切なサポートがない方などは困難さが増大します。このように環境要因は大きく、発達の特性は環境の変化に敏感で、孤独やトラブルでストレスを感じるとこだわりなどの特性が激しくなる一方で、穏やかな環境の中では逆に特性が影を潜めて目立たなくなり、治ったかのように見える状況ともなると専門医は言われています。感覚の土台が不安定な状態から、感覚の凸凹調整のために特性に合わせて環境を工夫することで学びや経験が上に積み上げられ、生きづらさの解消につながっていく、そのようなことの理解者が社会の中で増えることが重要です。
人々の暮らしは縦割りではなく、切れ目のない支援が必要です。特に発達に特性がある方の生きづらさが拡大しないサポートが重要です。生きづらさを抱える方々が増加する状況において、支える側の人材不足などの問題を早急に改善する必要があります。障がい者基幹相談支援センターでの相談支援体制の充実などを図っているとの御答弁でしたが、2023年度の支援延べ回数は12万回を超えています。数字にならない支援や相談も多くあると推察します。そして、診断を受けられていない方は困難さを抱える状態で暮らし、困窮のために生活保護にもつながる状態がありますが、ケースワーカーも担当する件数が多く、支え切れない状態です。二次性障がいの方を支え、生きづらさを少しでも軽減するための現場の人材は全く足りていないどころか、役所も含め、携わっている方々が疲弊して働き続けられない状況も生み出してしまう悪循環が起こっています。
そこで、発達障がい者支援センターと障がい者基幹相談支援センターにおける専門性や技量を高めた人材育成と、離職を防ぐ方策についてそれぞれ伺います。
また、障がい者分野施策の安心して地域で暮らせる基盤づくりにこれがいかに重要であるか、るる述べてきました。次の計画に向けても精査されていくところですが、絵に描いた餅にならない計画にするために、新年度の調査も含めた取組の充実を図られるのか、お伺いします。
次に、障がいのある未就学児を受け入れる児童発達支援事業所は、北九州市の164施設に対し、福岡市は2025年2月末で33施設です。子どもたちは今を生きています。特に思春期までの成長発達の重要な段階は後回しできないことや将来に影響することが多々あります。
新年度、障がいのある子どもや発達が気になる子どもの支援の拡充の予算案を出されています。療育センターだったり、支援センターでの拡充などが盛り込まれています。感覚の凹凸の調整を図り、特性に合わせて環境を工夫することを取り入れていく必要があると考えますが、そのような充実した取組になるのか、伺います。
最後に、発達に特性があると、どうしてもいじめにつながったり、不登校になったりすることもあります。保健室や学校図書館が居場所として活用されていますが、とても重要な場所で、そこにも高い専門性が必要です。図書館に関しては、新年度、大幅増員と喜ばしいことですが、本来の役割を果たすための司書資格要件は問わない募集となっていることは問題です。支援級の代替にされることなく、本来あるべき子どもの安心できる居場所や学びの場が保障される人的、物的環境が必要です。
そのために、教育関係方々が障がい特性への理解を高めることが非常に重要で、児童生徒に対する技量も必要です。特別支援学級の整備の拡充が新年度の予算で出されていますが、福祉現場同様、一人一人のサポートや教員の仕事量を考えると、環境として整っているとは言い難い状態です。きめ細やかな支援体制の充実をどのように図っていかれるのかお伺いし、私の質疑を終わります。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者に関する御質問にお答えいたします。
障がい者基幹相談支援センターにつきましては、14の区のセンターと、これらを支援する市のセンターを設置しております。市のセンターにおいて、区センター職員の専門性の向上等を図る研修を実施するとともに、困難事例への対応について助言するなど、職員のサポートを行っております。
次に、障がい者分野における取組の充実については、強度行動障がいのある人を支援する人材の育成を進めるとともに、グループホームの開設に係る設置費補助や重度障がい者受入れ促進のための運営費の補助等を行ってまいります。また、障がい児・者等実態調査を実施し、当事者の実態やニーズを把握した上で、次期保健福祉総合計画の策定に向けた検討を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 発達障がい者支援センターにおける人材育成等の取組でございますが、支援技術についてロールプレイング等の手法で学ぶ研修への参加や児童精神科医からの医学的見地に基づく助言などにより、職員の専門性や技術の向上を図っております。困難事例への対応に当たり、専門医に相談できる環境があることで安心して業務に取り組むことができるなど、離職の防止にもつながっております。
次に、障がい児の療育については、新たに南部療育センターを開設し、相談、診断、療育機能を強化するとともに、地域の中核的役割を担う児童発達支援センターによる支援に加え、保育所などに通いながら身近な地域で療育を受けられる児童発達支援事業所の増設を進めることとしております。引き続き、それぞれの施設において子どもの障がいや発達に応じた支援が実施されるよう取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 特別支援学級における支援体制の充実につきましては、少人数による個に応じた学びのほか、通常の学級の担任と連携した交流及び共同学習による集団での学びを充実させるとともに、学習面や生活面の支援を行う学校生活支援員を配置しておりまして、今後とも、児童生徒一人一人のニーズに応じたきめ細かな支援を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後3時55分に再開いたします。
午後3時41分 休憩
午後3時55分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ)登壇 昨年10月から始まった令和6年度の新型コロナワクチン定期接種はこの3月に終了となるわけですけれども、令和7年度においても、予防接種実施規則に基づき、10月1日から新型コロナウイルス感染症の定期予防接種が65歳以上の高齢者、60歳から64歳までの基礎疾患を持っている方を対象に行われる予定と伺っております。
まずは定期接種における国と市町村との役割分担についてお尋ねいたします。
また、従来のインフルエンザ予防接種で使用されているワクチンは、弱毒化、不活化されたウイルス、菌を抗原とする、いわゆる生ワクチンや不活化ワクチンと呼ばれるものですが、新型コロナワクチンで新しく使われているワクチンは、いわゆるmRNAタイプと言われるものや、自己増殖型、レプリコンワクチンと言われるもので、これは従来のワクチンとどのように違うのか、その違いについてお尋ねいたします。
また、従来どおりのワクチンと異なるものであれば、市民の皆さんにその違いを厚労省の掲載している情報から提供するのではなく、福岡市のホームページを見れば、そのまま市民の目に留まりやすい掲載にすることが大事ではないかと思いますけれども、御所見を伺います。
また、定期接種で使用されているmRNAタイプの新型コロナワクチンの安全性と有効性はどのように担保されているのか、お尋ねいたします。
また、接種後に起きた症状とワクチンの因果関係の考え方について、副反応疑い報告制度及び予防接種健康被害救済制度との違い、それぞれの目的についてお尋ねいたします。
また、予防接種健康被害救済制度が始まった経緯及び健康被害として適用された新型コロナワクチンにおける死亡認定の事例としてどのような事例が多いのか、お尋ねいたします。
2021年2月から始まった新型コロナワクチンの接種開始から、本年、2025年1月31日時点までの約4年間での健康被害認定数と死亡認定数について、また、健康被害救済制度が始まった1977年から、現在、厚労省から統計が出ている2021年12月までの45年間における新型コロナワクチン以外の被害認定数と死亡認定数についてお尋ねいたします。
また、国全体の新型コロナワクチン接種が始まった2021年2月から臨時特例接種期間が終了した昨年の2024年3月末までの総接種回数及び本年、2025年1月31日までの健康被害認定数と死亡認定数及び新型コロナワクチン以外の定期接種、2012年度から2021年度における総接種回数及び健康被害認定数と死亡認定数についてお尋ねいたします。
あわせて、福岡市における本年、2025年1月31日時点での新型コロナワクチンと新型コロナワクチン以外、それぞれの申請件数と健康被害認定件数及び死亡認定数についてお尋ねいたします。
以下、2問目以降は自席にて行わせていただきます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) まず、ワクチン定期接種における国の役割につきましては、予防接種の有効性、安全性の向上のために必要な調査研究や接種に関する基本的な計画策定、接種の対象疾病、対象者、使用ワクチン、接種回数、接種方法等についての決定、予防接種に関する啓発、知識の普及や健康被害救済制度の認定などとなっております。また、市町村の役割につきましては、予防接種の実施や住民への情報提供、健康被害救済制度における給付などとなっております。
次に、メッセンジャーRNAワクチンにつきましては、ウイルスのたんぱく質を作るもとになるメッセンジャーRNAを使用し、体の中でウイルスの一部のたんぱく質を生成し、それに対する抗体が作られることで免疫を獲得するものとなっております。また、レプリコンワクチンはメッセンジャーRNAワクチンの一種で、複製機能を持っており、体の中に入ったメッセンジャーRNAが一時的に複製されるため、従来のメッセンジャーRNAよりも抗体の持続期間が長いとされております。
次に、ワクチンに関する情報につきましては、福岡市ホームページにおいて厚生労働省が示している各ワクチンに関する情報を提供するとともに、接種医療機関において接種時に使用するワクチンの種類等について十分に説明をしていただくよう依頼をいたしております。
次に、新型コロナワクチンの安全性と有効性につきましては、国の厚生科学審議会において継続的に医学的、科学的視点から議論が行われ、科学的根拠に基づき安全性や有効性が確認されております。令和7年1月に開催された審議会においても、これまでの副反応疑い報告の状況を踏まえ、現時点ではワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められないとされております。
次に、副反応疑い報告制度につきましては、予防接種を受けた方がアナフィラキシー等の症状を呈したことを医師が把握した場合に厚生労働大臣に報告するもので、国が予防接種後に生じる様々な身体的反応や副反応疑いについて情報を収集し、ワクチンの安全性の評価、管理や、医療従事者、国民への情報提供に役立てることを目的としているものでございます。また、予防接種健康被害救済制度は、予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合に、本人や家族が申請し、その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定した場合に給付が行われるもので、健康被害を受けた個人を救済することを目的としているものでございます。
次に、予防接種健康被害救済制度の開始の経緯につきましては、天然痘ワクチン接種後の脳炎などの副反応が社会的に問題となり、予防接種による健康被害に対する救済が求められるようになったことを受け、昭和51年の予防接種法改正により制度が創設されたものでございます。また、健康被害救済制度における新型コロナワクチンの死亡認定事例の分類においては、突然死、心疾患などが多くなっております。
次に、健康被害救済制度における国全体の認定件数等につきましては、新型コロナワクチンは令和3年の接種開始から7年1月末までの認定件数は8,796件で、このうち亡くなられた事案は951件となっております。また、新型コロナワクチン以外では、国が統計を公表しております制度開始から令和3年12月末までの認定件数は3,522件で、このうち亡くなられた事案は151件となっております。
次に、国全体の接種回数と健康被害救済制度の認定件数につきましては、新型コロナワクチンは令和3年の接種開始から6年3月末までの接種回数は約4億3,601万回で、令和7年1月末までの健康被害救済制度の認定件数は、先ほども答弁いたしましたが、8,796件、このうち亡くなられた事案は951件となっております。また、新型コロナワクチン以外では平成24年度から令和3年度までの接種回数は約4億4,474万回で、健康被害救済制度の認定件数は762件、このうち亡くなられた事案は37件となっております。
最後に、福岡市における健康被害救済制度の申請件数につきましては、新型コロナワクチンは令和3年の接種開始から7年1月末までの申請件数は126件で、このうち認定件数は83件、亡くなられた事案は14件となっております。また、新型コロナワクチン以外では、システムで記録が確認できる平成24年度から令和7年1月末までの申請件数は16件で、このうち認定件数は12件、亡くなられた事案は1件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) すみません、2問目に入ります前に、健康被害救済制度開始が、私、先ほど1977年と申しましたけれども、予防接種法改正が1976年ということで修正させていただきます。すみません。
2問目に入ります。
新型コロナワクチン接種については、厚労省厚生科学審議会の科学的根拠に基づき安全性や有効性が確認されているとのことですが、これまで新型コロナワクチン以外の接種による健康被害認定数や死亡認定数を比較してみれば、客観的に見て、新型コロナワクチンについては接種そのものにリスクがあると考えるべきではないかと思いますが、所見をお尋ねいたします。
また、コロナ感染ではなく、実際はこのmRNAタイプの新型コロナワクチン接種による健康被害認定数が増加していることを問題視するべきではないかと思いますが、所見をお尋ねいたします。
そもそもワクチン予防接種は健康な人に接種するわけですから、接種による被害リスクは限りなくゼロであるべきで、本来、一人でも死亡事例があれば一旦接種の中止を福岡市としても国に求めるべきではないかと思いますが、所見をお尋ねいたします。
また、ワクチン予防接種との因果関係が否定できないとされる健康被害認定数や認定死亡数の状況から見て、令和7年度以降の定期接種の継続については慎重に判断されるべきで、仮に福岡市としてどの程度の副反応による認定被害数、認定死亡数になれば国に慎重な判断を求められるのか、どこまでなら公衆衛生的に許容できると考えておられるのか、お尋ねいたします。
また、これまでお尋ねさせていただいた新型コロナワクチンと新型コロナワクチン以外との予防接種認定被害数や認定死亡数、これを比較した情報を厚労省のホームページ情報から提供するのではなく、ワクチンの違いと同様に、福岡市のホームページを見れば一目で分かるような情報として発信することのほうが市民の皆さんにとっても有益ではないかと考えますけれども、御所見をお尋ねいたします。
以上、2問目の質問を終わらせていただきます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) まず、新型コロナワクチンにリスクがあると考えるべきとのおただしでございますが、予防接種は接種による利益が副反応などのリスクを上回る場合に実施されるものでございまして、新型コロナワクチンにつきましても、国の厚生科学審議会において医学的、科学的視点から議論が行われ、科学的根拠に基づき安全性や有効性が確認され、ワクチン接種が決定したものでございます。
次に、新型コロナワクチンによる健康被害につきましては、令和3年から現在に至るまでワクチン接種から一定期間、被接種者の健康状態を調べる予防接種後健康状況調査が国において継続的に実施されており、その調査結果を踏まえ、国の厚生科学審議会において医学的、疫学的見地から解析、評価が行われ、安全性の確認が行われているところでございます。
次に、国へワクチン接種の中止を求めるべきとのおただしでございますが、予防接種はこれまで多くの感染症の流行防止に成果を上げ、感染症による患者の発生や死亡率の大幅な減少をもたらすなど、極めて重要な役割を果たしてきております。接種の実施に当たっては、国の厚生科学審議会において医学的、科学的視点から議論が行われ、科学的根拠に基づき安全性や有効性が確認されておりますが、極めてまれではあるものの、副反応による健康被害をなくすことができないことから、予防接種の健康被害を救済する制度が設けられているところでございます。
次に、副反応発生の許容の程度に関するおただしでございますが、定期予防接種では、ワクチン接種から一定期間、被接種者の健康状態を調べる予防接種後健康状況調査が国において継続的に実施されており、その調査結果と医療機関からの副反応疑い報告の状況を踏まえ、国の厚生科学審議会において医学的、疫学的見地から解析、評価が行われ、安全性の確認が行われた結果、接種を継続すべきとの判断がなされているものでございます。
最後に、健康被害救済制度の認定者数などにつきましては、健康被害救済の認定を行っている国が、随時更新する最新の情報を正確かつ速やかにお知らせするために、市のホームページから厚生労働省の健康被害救済制度の掲載ページを御案内しているところでございます。今後とも、国が示したワクチン接種の安全性や有効性、健康被害救済制度の認定者数などを市民に分かりやすくお伝えできるよう工夫を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 今回、市民の皆さんの命と健康を守るという視点でいろいろお尋ねをさせていただきました。市民の皆さん、私いろいろお話を聞くんですけれども、要は従来型のワクチンですね、弱毒化された抗原を接種する、これが従来型のワクチンです。先ほどお話ししたように、不活化もそうですし、生ワクチンもそうですよね。今回のこのメッセンジャーRNAというのは、体の中で抗原を作り出すということで、ここは全く違うわけです。そして、このメッセンジャーRNAのワクチンを打つことによって健康被害認定数が増えていっていると、そこがコロナのワクチンと従来型のワクチンとの違いということで数字をお尋ねさせていただいたわけです。
だから、市民の皆さんに普通のインフルエンザワクチンと今回のこのコロナワクチンというのは、全く違うんだよということをまずしっかりと知っていただかなければいけないんではないかと。それから、このコロナワクチンによって、要するに健康被害認定数がコロナワクチン以外の分と全く数字が違うということをしっかりと市民の皆さんに知っていただくことが大事ではないかということを念頭に今日はお尋ねさせていただいています。
スライド1をお願いします。(資料投影)これは厚労省が因果関係を否定できないと認めた健康被害認定数なんですけど、重複しますので、数字だけ見ていただければと思います。新型コロナワクチン以外は健康被害認定数が3,522件、うち死亡が151件です。これは先ほど申しました予防接種健康被害救済制度ができてからの45年間で3,522件で、死亡が151件、新型コロナワクチン、これは2021年2月から接種開始ですから、これまでの4年間で既に8,796件で、死亡数が951件、これは認定されている分ですよ。951件です。
それで、コロナワクチンの接種の安全性について私はお尋ねしました。国の厚生科学審議会、こっちのほうで、いわゆる科学的根拠に基づいて安全性は確認されていると。それから、副反応疑い報告制度の下で、1月24日の審議会でもワクチンの安全性に重大な懸念はないというようなことでしたというようなお答えでした。しかし、これは先ほどお尋ねしたように、救済制度と副反応疑い報告制度、この因果関係による見解の違い、目的の違いの中で、これは健康被害認定数の視点から見れば、これだけ全く数字が違うということをしっかりと市民の皆さんに知っていただかなければいけないんではないかというふうに思うわけですね。
ですから、次の接種回数のスライド2をお願いします。(資料投影)これも先ほどお尋ねしましたので、もう重複しませんが、新型コロナワクチン、開始から昨年の3月までに4億4,474万回ですね。それで、そのうち8,796件が健康被害認定数ということで、上のコロナワクチン以外の、同じように約4億回接種されている中でいうと、健康被害は762件で、死亡認定数は37件です。新型コロナワクチンは僅か3年で8,796件で、うち死亡認定数が951件ということなんです。ですから、死亡認定数だけでいうと、同じ4億回近く接種した中で約25倍違うということなんですね。
ですから、私は福岡市としても一旦中止を国に求める、こういうことも大事ではないかというお尋ねをさせていただいたんですが、予防接種についてはこれまでも成果があったというような御答弁でした。これまでも成果があったのは、従来型のワクチン、いわゆるウイルスを弱毒化したものを、抗原をあえて作ったものを接種する、これで効果があったということで、体内で抗原を作り出すというこのメッセンジャーRNAタイプのワクチンでこれだけの被害が出ているわけですから、ここをしっかりと見ていただきたいと。ましてやこれは健康被害は極めてまれと、いろんなところに掲載してありますけれども、本当にまれなのかというふうに私は思うわけです。
スライド3をお願いします。(資料投影)これは福岡市の状況ですね。これも数字だけ見ていただければと思います。コロナワクチン以外で健康被害認定数が12件、死亡認定されたのは1件です。大体13年間の中で1件ですね。新型コロナワクチン、これまでの4年間でもう既に83件、この福岡市でも死亡数が14件ということなんです。私はこういう数字を市民の皆さんにきちっとお伝えした上で、定期接種とはいえ、あくまで任意ですから、いかに市民の皆さんに判断材料として情報を提供するかという視点が大事ではないかというふうに思っています。
冒頭、定期接種における国と地方自治、市町村の役割の違いについてお尋ねさせていただきました。国のほうで予防接種法上、定期接種となれば、市町村はもうそれは実施していくと、予防接種の実施となるわけですから、じゃ、その中でこの健康被害認定数を客観的に見て、この市町村で何ができるのかといったときに、一つは、やっぱり国に接種中止を求めていくということです。もう一つは、市民の皆さんに、いかに市民の皆さんにとって有益と思える情報を提供していくかということが私は大事ではないかと思うわけですね。結局、今の健康被害認定数の視点から、副反応疑い報告制度のほうの報告ではなく、被害認定数のほうからいけば、今重症化もしていないし、5類になったことだし、ワクチン接種はちょっとやめとこうかなと思われる方がひょっとしたら増えるかもしれない。いや、私は容易に増えるんではないかというふうに思っています。であればこそ、この情報をしっかりと提供して、要はワクチンを打たない人が増えることで困るわけではないわけですから。私たちはワクチンビジネスをやっているわけではないので。ですから、的確に情報を準備しておかなきゃいけないと思います。打ちたい人は打てばいいんです。しかし、打たないという判断をするためには、こういう健康被害の認定、こういう死亡認定数、明らかに違うわけですから、厚労省が出している数字ですから。ですから、そういうこともしっかりと市民の皆さんに情報を提供していくと。とにかく分かりやすく。対象者がそもそも65歳以上の高齢者なんで、そういう方々に、やっぱりネット検索とかが若い人と違って苦手な方は多いわけですから、そういう意味では、さっき死亡認定事例として突然死が多いということですから、やっぱりワクチンを打って突然亡くなったなんていうのが身内におられたと思ったら、これはやっぱりちゃんと相手の立場になって考えるということも必要ではないのかなというふうに私は思っています。
そういうことで、いわゆるこれはビジネスなら、やっぱり被害認定の数なんかを出してワクチン接種を打つ人が減ったら困るなというような立ち位置の方もひょっとしたらおられるかもしれませんけれども、私たちは市民の皆さんに対してビジネスしているわけではありませんので。ですから、島市長、ぜひこれは市民の皆さんに分かりやすくですね、本当に先ほどお話ししたように、普通の人はインフルエンザワクチンと同じような感覚でワクチンを打とうか打たんかぐらいの話なんですね。でも、実際にこうやって被害認定数が死亡認定数も含めて出ているわけですから、ぜひ一度ですね、情報の伝え方というか、この発信の仕方について、今回も担当の方といろいろお話しさせていただいて、私も勉強になりました。いろいろどうやったら市民の皆さんに正確に伝えられるかということで、厚労省の情報をきちっと共有するようにしているとか、いろんな視点でお話しいただきましたけれども、市民の皆さんはそのページを見たら、そこで入れるということが、それで理解できるという単純明快さがやっぱり必要な部分の内容もあると思いますので、ぜひその辺も御検討いただきたいということを要望して、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ)登壇 昨年の9月議会において、福岡市の教育の方針を示す福岡市教育振興基本計画の在り方について質問しましたが、現時点までに示されているその第3次計画の案の中で、これまでの全員同じ教育から子ども一人一人の可能性を最大限に引き出す教育、すなわち個別最適化教育への抜本的な転換の方針が図られていることについては、これはひとまずスタートラインに立ったという意味で大変前向きに受け止めているところです。ただし、ここであえてスタートラインに立ったという回りくどい表現を用いたのは、せっかく方針が進むべき方向に大きく転換したとしても、肝腎の実態がついてこなければ何の意味もないからです。教育改革への希望が絵に描いた餅ならぬ絵に描いたモチベーションにならぬよう、これからどんなことが必要になるのかという観点から、令和7年度の取組を中心に本日は質問したいと思います。
この第3次教育振興基本計画の原案においては、子どもたちに身につけてほしい力として、自ら学ぶ力、他者と協働する力、未来をつくる力、この3つの力が掲げられ、特に1つ目の自ら学ぶ力については、学ぶ環境、人、空間、時間、これを選択、決定し、進んで追究している、これが要素の一つに挙げられています。この一見すると分かりづらい表現の意味するところについては、教育委員会とも認識が一致しているとおり、まさに子ども一人一人が自分に合った方法で学ぶ相手や用いる教材、テーマ、さらには学ぶ場所や学ぶペースを自分で選んで決められる学習スタイルへの転換を示しているものであり、これこそ個別最適化教育の大きな柱の一つです。ただし、ここではっきりさせておきたいのは、時々誤解されますが、個別最適化教育というのは、特定の授業手法やテクニックを意味する概念ではないということです。これまでの全員同じ教育、一斉授業から別の特定の教え方へと変えるだけでは、結局、子ども一人一人の学び方の違いを無視した画一的な学びのまま変わらないことになってしまいますし、また、個別最適化教育が特定の授業手法やテクニックであると勘違いしたまま、それを実践している学校や教室を視察して、なるほどと、こういう感じの授業をすればいいんだなと表面的に理解したものを自分の学校やクラスに持ち帰っても、恐らく極めて高い確率で失敗に終わることになります。そうではなく、個別最適化教育はあくまでも目の前の子ども一人一人の潜在能力や可能性を最大限に引き出す学びの環境を整えるという概念であり、担当する子どもが変われば当然アプローチは変わってきますし、何なら同じ子どもに対しても成長や発達に応じて最適なアプローチは変わってくるものです。だからこそ、特定の決まった授業手法やテクニックではないがゆえに、その分、実践は難しくなります。
個別最適化教育では何を大切にするのかという本質的な深い理解、それから、目の前の子ども一人一人の状況をきめ細かに把握し、子どもたちに可能な限り任せることで、責任感や意欲、主体性を育みながら学級を経営する力、個別最適化教育の実践にはこういったことが不可欠です。その一方で、現実を見ると、学校現場で教員たちが置かれている状況は非常に深刻であり、多忙を極め、心身ともに重過ぎる負担に苦しむ教員が大勢います。それでも、先ほど申し上げたように、個別最適化教育を本質的に理解し、目の前の子ども一人一人の状況をしっかりと把握していかなければならないと。この目指すべき理想と直面する現実、この2つの間のギャップをどう埋めるか、これこそ福岡市の教育の方針が大きく転換した後に、次に求められることです。この理想と現実の間のギャップを埋めるためのアプローチは、大きく分けて2つ。1つ目は、目の前の子ども一人一人に向き合う時間などを十分に確保するための教員の働き方改革というアプローチ、そしてもう1つ、2つ目は、個別最適化教育を実践する上で求められる知識や技能を養うという観点に立った教員の養成、育成というアプローチ。
それではまず、1つ目のアプローチ、教員の働き方改革について2つ質問いたします。
令和5年度に民間コンサルタントを活用して教員業務の実態把握調査を行い、教員が担う業務を徹底的に洗い出した上で細分化して整理し、教員が担う業務の分類、整理についてというタイトルで示していただきましたが、この業務の分類や整理の考え方は各学校にどこまで浸透しているのでしょうか。もう少し具体的にお尋ねしますと、まず、横軸、広がりの幅という観点から、どこまでの範囲の学校にどのような方法で周知をされたのか、それから、縦軸、浸透の度合い、深さという観点から、各学校でどこまでこの教員業務の分類や整理、適正化が進んでいるのか、特に進んでいる事例があれば、その具体的な内容も併せて御説明をお願いします。ここまでが1つ目の質問です。
そして、この教育委員会が示した教員が担う業務の分類、整理についての中には、教育委員会がメインで対応するものだけでなく、各学校においてそれぞれの実情に応じて進めていかなければならないものもあります。だからこそ、教員一人一人が働き方改革の取組に納得感を持てるようにしなければ、教育委員会と各学校、教員たちが同じ方向を向いて取り組むことはできません。それゆえ、学校現場の意見、教員たちの切実な声に耳を傾け、最大限に寄り添いながら進めることが必要です。教育委員会においても、昨年の秋頃に教員対象のアンケート調査を実施していると承知していますが、この点に関して2つ目の質問として、このアンケート調査において、学校現場の教員たちが働き方改革の中でどのような取組を特に効果があるものと認識しているのかなど、具体的にどのような声が上がっているのかお示しいただいた上で、その現場の声も踏まえて、今後取組が必要なものについてどのような優先順位を設定し、令和7年度にどのような取組を行う予定なのか、具体的に分かりやすく御説明をお願いします。
次に、理想と現実のギャップを埋めるための2つ目のアプローチ、教員の養成、育成について、こちらも2つ質問いたします。
学校教育の要である教員が心身ともに充実し、絶えず自らの資質や能力を高めていくことは非常に重要ですが、教員目線に立つと、己の資質や能力の向上を図ろうとしたとき、現在、福岡市で活用できる手段や機会はどのようなものがあるのでしょうか。その概要についてお示しいただいた上で、教育委員会としてその規模や方法で必要十分と考えているのか否か、その理由と併せて御認識をお聞かせください。
また、これが2つ目の質問に当たりますが、第3次福岡市教育振興基本計画において抜本的に転換された方針が示される中、その方針を踏まえて、大切にすべき教育理念や子ども一人一人の興味、関心等に応じ、学びを最大限アレンジする学習スタイルへの転換も含めた目指すべき具体的なビジョンを学校現場の教員一人一人に本質的なところまでしっかりと理解をしてもらうために、令和7年度は具体的にどのような手段や方法で周知徹底を行う予定なのか、御説明をお願いします。
以上の4つの質問をもって1回目の質問を終わり、以降の質問は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、教員が担う業務の分類、整理につきましては、教職員向け電子掲示板への掲載のほかに、令和6年度実施の業務改善支援事業の参加校18校に対する研修会や、特に時間外在校等時間の多い学校の管理職に対する面談の際に活用し、説明いたしております。教員業務の適正化等につきましては、業務改善支援事業の参加校において取組が進んでおりまして、交換授業の積極的な活用により互いのクラスで授業を行うことで授業準備の負担軽減や授業力の向上を図ったり、連絡事項のデジタル化により印刷や配付、会議に要する時間の削減及び情報共有の迅速化などに取り組んでございます。
次に、昨年11月に実施した教職員アンケート調査につきましては、特に専門スタッフの配置、拡充や授業準備、教材研究の負担軽減、校務分掌の見直しなどについて要望が上がっております。これらの要望も踏まえまして、令和7年度においては、教頭マネジメント支援や部活動指導員などの専門スタッフの配置、拡充や、ロケーションフリーでの校務を可能とするクラウド型校務支援システムの導入、専門コンサルタントの支援による学校の業務改善体制の構築などに取り組むことといたしております。
次に、教員の研修につきましては、まず、教員自身は自らの資質向上に向けて、各学校での研修会をはじめ、様々な主体が開催する研修講座や公開授業、自主的な研究会などに参加することにより自己の研さんに努めております。また、教育委員会といたしましても、経験年数や職務、課題に応じた様々な研修講座のほか、モデル校による公開授業などを実施しておりまして、学校から受講できるオンラインやオンデマンドによる研修も充実させております。一方、各教員が研修センターの対面型の研修や他校の公開授業に参加する際に、授業や校務と重なることで制約が生じるという課題も見られますことから、今後もさらに受講しやすい環境づくりに努めていくことが重要であると認識しております。
続いて、現在策定中の第3次福岡市教育振興基本計画の周知につきましては、策定後に全ての教員に対して計画全体の周知を図るとともに、この計画で推進することとしております子どもを主体とした学びに関しましても、説明会や研修会を実施するなど、様々な機会を捉えて丁寧に説明し、教員の理解を深めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 教育委員会が示した教員が担う業務の分類、整理についての考え方自体は、形式上、全ての教員に周知をされたということですが、日頃、現場の教員の方々とお話をする中で、そんなことをやっているなんて知らなかったとか、うちの学校では根本的な問題は全く変わっていませんと、そういった声を耳にすることもよくあります。また、先ほど御答弁いただいたとおり、学校現場からは、専門スタッフの配置、拡充だけでなく、より質の高い授業ができるようにするための授業準備や教材研究の負担軽減、さらには、そうしたことにもっと時間を費やすことができるようにするための校務分掌の見直しといった根本的なところまで踏み込んで働き方改革を行ってほしいという切実な声が上がっています。この教員業務の分類や整理、適正化については、こうした学校現場の切実な声も真摯に受け止めた上で、教育委員会のみならず、各学校において保護者や地域社会との関わり方を含めたそれぞれの実情に応じて取組を進めていくことも必要ですが、だからといって、考え方を示したらあとは各学校に任せればいいということでは決してありません。各学校において働き方改革の取組が着実に進むように、教育委員会がこれまで以上に各学校に寄り添ったきめ細かな支援が必要です。
本市と同じ政令指定都市の名古屋市では、教育委員会の中に新しい学校づくり推進課という部署が設けられ、そこでは新たな教育制度の調査研究及び安全、安心な居場所づくりに関することや、児童生徒の支援体制の調査研究を担うチームのほか、学校における働き方改革の業務を主に担うチームを設置されているというふうに聞いています。片や本市の教育委員会では、労務・給与課という部署が働き方改革をメインで担当していますが、読んで字のごとく、この労務・給与課は働き方に関する業務以外にも給与の基準や支給などに関する業務も行っている部署です。これまで共に仕事をする中で、彼らが一生懸命仕事に取り組んでいることは、これはよく分かっていますが、これからは市内の200を超える全ての市立学校がそれぞれの実情に応じて働き方改革の取組を進めていく中で、その旗振り役を担う役割が求められます。ですが、ただでさえ忙しい労務・給与課が別の業務に取り組みながら、この新しい業務に取り組めるような、その量には到底収まらないでしょうし、今の体制のままでは圧倒的にマンパワーが足りません。さらに言えば、この教員の働き方改革というのは、単に教員の労働環境を改善するためだけのものではありません。子ども一人一人の可能性を最大限に引き出す個別最適化教育を実践するために、教員が目の前の子ども一人一人に向き合い、それぞれに最適な学びをサポートするために必要な時間を十分に確保することを目的に教員の働き方改革を行うのです。
この目的を最も効率的に達成するためには、本市においても名古屋市のように教員の働き方改革を専門的に担うチームを設置して、多岐にわたる各取組を一体的かつ強力に推進するとともに、各学校に寄り添った助言や相談支援などをワンストップの窓口で行ったり、あるいは時間のかかる組織改編を待たずにすぐにできることとして、マンパワーが不足する担当課の人員を時限措置という手段も視野に入れて可能な限り増員したりするなど、学校教育の要である教員の働き方改革に本気で取り組むという決意と覚悟を示す上で必要十分な体制強化を行うべきと考えますが、御所見をお伺いします。
それから、教員の働き方改革を進める上で教育委員会へお願いしたいことはもう1つあります。それは改革のスケジュールも含めた具体的な見通しを立て、各学校の取組の進捗を可視化して全体に共有し、本市全体でスピード感を持って取り組む空気感をつくることです。この教員業務の適正化に向けた取組の中には、予算措置や人員配置を伴うものもあれば、整理すべき課題が多くてすぐには結論を出すことが難しいものまで様々な取組がありますので、その全てについて一律に期限を定めることが難しいということは、これは重々承知をしています。そうはいっても、必要な取組がどのような優先順位で進められ、いつ頃を目途に完了する見込みなのか、そういった見通し、先行きが見えなければ、学校現場でこの瞬間も必死に奮闘している教員の方々の心が折れてしまいます。
したがって、教育委員会におかれては、まず1つ目、各学校における取組の成果が具体的にどのように表れているかを今後可能な限り早いタイミングで調査し、授業の準備や子ども一人一人と向き合う時間といった本来教員が注力すべきところにどれくらい時間をかけられるようになったのか、そのビフォーアフターの変化を定性的、定量的の両面から把握をしていただくこと、そして2つ目、その上で、こういうことをすればこれだけの期間にこんな成果が上がるんだという具体的かつ前向きなイメージが本市全体に広がるように、働き方改革の取組の成果に加えて、様々な取組の具体的な内容も含めて、市立学校全体に、それも掲示板に載せましたというような形式的な方法ではなくて、教員一人一人にしっかりと伝わるような方法で示していただくこと、この2つの点について責任感を持って行っていただきたいと思いますが、それぞれの点について御所見をお伺いします。
次に、理想と現実のギャップを埋めるための2つ目のアプローチ、教員の養成、育成についてさらに踏み込んでお尋ねします。
大切にすべき教育理念や目指すべき具体的なビジョンが教員一人一人に浸透したとしても、次にぶつかる壁は、一体どうやって目の前の子ども一人一人に応じた学びを提供すればいいのかという、言ってみれば実践の壁です。繰り返し申し上げているように、個別最適化教育というのは、特定の授業手法やテクニックのことではありません。あくまでも子ども一人一人の興味、関心等に応じ意欲を高め、主体的で深い学びを通じて、それぞれの潜在能力や可能性を最大限に引き出す教育を示す概念であり、目の前の子ども一人一人への深い理解がなければ成り立たないものです。だからこそ、市内のあまねく学校、教室で個別最適化教育が当たり前のように実践される未来を現実のものとするためには、長年にわたって一斉授業に慣れ親しんできたベテラン教員だけでなく、経験の浅い若手教員も含めた全ての教員がこの実践の壁を乗り越えることができるよう、これまで以上に教員をサポートすることが必要不可欠です。
こうした観点から、例えば、個別最適化教育を深く理解している人材を学校現場に派遣してOJT方式で実践サポートを行ったり、あるいは既に個別最適化教育を実践している教員が拠点校指導員のように、ブロック単位で分けた地域内の別の学校の教員をサポートしたりすることで学校現場の中で新たな学びのスタイルを浸透させていく取組や、教員の学びの機会を質、量ともに充実させる取組、さらにはそうした様々な機会に対して教員が業務時間の中でより主体的かつ積極的にアクセスすることができるよう学校への働きかけも含めた効果的な対策を行う取組など、これまで以上に踏み込んだ取組が必要ではないかと考えますが、御所見をお伺いします。
以上の5問目から7問目までの質問をもって2回目の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校の働き方改革を担当する組織につきましては、令和3年度から労務・給与課内に専任主査を設置し、令和6年度には係員を1名増員しております。また、複数課に関係する課題につきましては、効率的な組織運営の観点から、ワーキンググループの設置などにより連携して検討を行っております。また、学校の働き方改革を推進し継続していくためには、学校管理職を中心に自走的な業務改善体制を構築していくことが重要と考えておりまして、令和7年度においては、専門コンサルタントを活用しながら、全小中学校を対象に業務改善の好事例の共有を行うなど、学校現場と一体となってしっかり取組を進めることとしております。
次に、働き方改革の取組の成果の把握と共有につきましては、これまでも子どもと向き合う時間を確保できる環境づくりを目的として、様々な取組を推進しております。その成果を学校と共有し、連携して推進していくことは重要であると考えており、成果の把握につきましては、学校現場の負担を考慮した上で、調査の時期や対象、内容等について、学校現場の意見も聞きながら検討を行ってまいります。また、成果の共有につきましても、具体的な取組内容も含め、教員一人一人にしっかり伝わるよう方法や頻度を工夫してまいります。
次に、個別最適な学びと協働的な学びの実践を進める取組につきましては、現在、公開授業や各学校の研修会において、教育委員会の指導主事や高い専門性を持つ教員が指導助言を行うことなどにより、教員が子どもを主体とした授業づくりについて互いに学び合う研修を実施しております。また、教員へのサポートについては、年度当初に育成指標を基に各教員が自己の研修計画を立てておりまして、令和5年度からは管理職が教員の研修履歴やニーズに応じて研修受講のアドバイスを行っております。今後はモデル校や先進的な実践校による公開授業の回数を充実し、指導主事などの各学校への派遣をさらに進めるとともに、教員が校外で学ぶことの重要性を含めて管理職に周知徹底し、教員が様々な研修に参加しやすい環境づくりに努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) ここまで子ども一人一人の可能性を最大限に引き出す個別最適化教育を本市全体で実践するという理想と、そのために解決すべき課題が山ほどある現実、この2つの間のギャップを埋めるために必要なアプローチとして2つ取り上げ、それぞれ深掘りして今後の進め方などを確認してまいりました。今回のやり取りの中で教育委員会から約束をしていただいたこと、具体的には、まず1つ目のアプローチ、教員の働き方改革については、各学校の実情に応じた取組が着実に進むように、教育委員会としても、より一層学校現場に寄り添ったきめ細かな支援を行うとともに、働き方改革の取組の成果についても、調査を通じて把握し、教員一人一人にしっかり伝わるように共有の方法などを工夫していくこと、そして2つ目のアプローチ、教員の養成、育成については、子ども一人一人の可能性を最大限に引き出す教育がどのようなものであり、何を大切にするのかといった具体的なビジョンを教員に対して丁寧に説明し、理解を深めていくとともに、全ての教員が個別最適化教育を実践することができるよう、学校現場でそのノウハウを浸透させていくための取組のほか、教員がそれぞれのニーズに応じて自分の学びの機会を積極的に活用できるようにするためのサポートにも力を入れていくということ、こうしたるるお約束いただいた様々な点について、必ずやお言葉にたがえぬ取組をお願いします。
冒頭にも申し上げましたが、本市の教育の方針が大きく転換されても、まだスタートラインに立っただけです。実際に本市全体で個別最適化教育が実践されるためには、本日取り上げた教員の働き方改革や教員の養成、育成といったテーマも含めて、まだまだ片づけなければならない課題が目の前にたくさん積み上がっています。とはいえ、100年以上、根本的な姿が変わってこなかった我が国の学校教育の在り方が、基礎自治体でありながら政令指定都市としての大きな影響力も併せ持つこの福岡市で個別最適化教育への抜本的な転換が実を結ぶことにより、その分厚い分厚い壁に風穴が開き、やがては国全体として大きな変革を迎えることになるでしょう。その歴史を動かす中心、立て役者として、福岡市の教育委員会には並々ならぬ決意と覚悟、そして、情熱をもって山積する課題の解決に取り組み、一日も早い個別最適化教育の実現を果たしていただきたいと思っています。
この2年弱の間、教育の在り方や目指す改革のビジョン、その実現に向けたアプローチなどについて何度も何度も議論を重ね、様々な学校現場に共に足を運び、それぞれの立場は違えども、共に子ども一人一人のために何ができるのか、何をすべきか、本音で腹を割って話し合ってきた志を同じくする、まさに同志とも言えるような方々が、この福岡市の教育委員会には、課長級の職員をはじめ、何人もいらっしゃいます。その教育委員会のトップとして、本日取り上げた2つのテーマ、教員の働き方改革と教員の養成、育成についてどのような思いを抱いておられるのか、そして、その先にどのような教育の実現を目指しているのか、石橋教育長御自身の率直なお言葉でもって、さらに、今日は未来を担う若者をはじめとして、様々な方がこの議場に傍聴にお越しいただいています。福岡市の教育委員会のトップとして、その御決意、それから覚悟、そして、熱い思いを最後にお伺いして、本日の私の質疑を終わります。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市の今後の教育につきましては、現在、その進むべき方向性を示す指針として、第3次福岡市教育振興基本計画を策定しているところでございまして、子ども一人一人の学びの充実と、これを支える学校における働き方改革、教員の資質、能力の向上を一体的に進めることとしております。そのため、従来からの取組、これは大事にしながら、これに加えまして、学習状況や心の状況などを可視化する教育データ連携基盤の構築や、教員の柔軟な働き方を実現するクラウドを活用した校務支援システムの導入など、DXの視点も取り入れながら新たな取組に着手することとしております。これにより子どもたちの変化を見落とさず、一人一人に応じた適切な指導や支援を行うとともに、教員業務の適正化、効率化を進め、負担の軽減を図るなど、学校における働き方改革も推進してまいります。また、学びの改革や多様な教育ニーズを有する子どもへの対応など、時代の変化に求められる資質、能力を教員が身につけ、教育の専門家としての専門性を自ら高めていくことができる環境を整備してもまいります。このような様々な取組を通して、議員の御指摘のように、福岡市の将来を担う子どもたちが学びの伴走者である教員の適切なサポートを受けながら、主体的に学び、豊かな人生やよりよい社会を切り開いていくために必要な力を身につけることができる教育、そういった教育を実現していきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩)登壇 私は給食費の無償化について、市民病院について、那珂中学校について、以上3点について質疑をさせていただきます。
まず、給食費の無償化についてですが、今回、給食費の無償化が打ち出されました。昨年5月の請願審査の際には、また、同じく9月27日の決算審議においても、財源が問題で、市としては難しいと、国でしっかり取り組んでいただきたいという趣旨のお考えであったかと思っております。それが数か月前の答弁でありますけれども、今回このような無償化を打ち出すに至った理由はいかがなものか、まずお尋ねします。
また、今回の判断は、国が近い将来に無償化を実施するだろうということで、先にといいますか、財源が後から充てられることを見越して無償化に踏み切られたものではないかと思いますけれども、その実のところをお伺いします。
次に、市民病院についてであります。
市民病院の候補地が5つ示されましたが、時期が合わなかったり、今は判断ができないということで3か所になりました。示されたんですね。今でいうと、かしいかえん跡とか、香椎浜ふ頭緑地、箱崎中学校等が考えられる。これはオーケーというわけじゃないです。ほかの2つは今の時期では無理だということでありますけれども、同じ答弁になるかもしれませんが、新たな候補地探しの状況についてどのようになっているのか、お尋ねいたします。
次に、那珂中学校についてお尋ねします。
那珂中学校は生徒数が年々増加しており、令和5年9月議会でも質問しましたが、市は移転を予定しているアサヒビール博多工場の跡地に小中学校用地の確保をアサヒビール株式会社さんに申し入れていると聞いております。一方で、那珂中学校は既に教室数が足りない状況となっており、今プレハブがあります。そして、数年前に地域の地権者から購入した校地の一部に新たにプレハブを整備することとなるようであります。
そこで、現在の那珂中学校の生徒数、学級数、保有教室数、プレハブ教室数はどのようになっているのか、また、那珂中学校の校地面積は中学校の基準面積と比較してどのような状況か、お尋ねします。
また、校区内には、ららぽーともある校区なもんですから、マンション開発も活発であり、今後も生徒数の増加が見込まれるのではないかと思いますが、どのような状況か、お尋ねします。
以上で1問目の質疑を終わり、2問目以降は自席にて質疑をさせていただきます。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 給食費の無償化についての御質問にお答えいたします。
請願審査などの際には、学校給食費の無償化を持続可能な制度として実施していくことについては毎年多額の財源の確保が必要であることから、国の給食費無償化に関する動向を注視していくとともに、引き続き国に対して財政措置等の要望を行っていく旨、答弁してきたところでございます。給食費の無償化は本来的には国が一律に実施すべきところであり、引き続き国に対して財政措置などを要望してまいりますが、現在の物価高は広く市民生活に影響を及ぼしておりまして、可処分所得の増加など、子育て世帯への支援の拡大は喫緊の課題となってございます。そのような中で、都市の成長などにより生み出された税財源により、安定的に無償化の財源を確保できる見通しが立ったことから、令和7年度から無償化に取り組んでいくこととしたものでございます。
続いて、那珂中学校についての御質問にお答えいたします。
まず、生徒数、学級数等につきましては、令和6年5月時点で生徒数が737人、学級数は普通学級21学級、特別支援学級4学級の合計25学級、保有教室数は24教室とプレハブ教室が2教室ございまして、今年度中にさらに2教室の整備を行います。
次に、那珂中学校の校地面積につきましては約1万7,000平米で、中学校の基準面積であります2万3,200平米と比較すると、やや狭い状況でございます。
次に、今後の生徒数の見込みにつきましては、校区内のマンション開発の状況を踏まえますと、しばらくの間は増加傾向で推移していくのではないかと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 市民病院に関する御質問にお答えをいたします。
市民病院の在り方につきましては、昨年12月の福岡市病院事業運営審議会において整備場所の検討が行われ、現在の3か所の候補地に加え、新たな候補地を探すこととされておりまして、現在、市有地に限らず、国有地や県有地、民間の土地も含めて幅広く情報収集などを行っている状況でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) まず、給食費の無償化についてでありますが、国を待つことなく、今、大変物価の高騰や子育て世代が困っているというので思い切ったと、国の財源を当てにしたものではなく、毎年約60億円を子ども施策として出していく覚悟をしたという答弁であったと理解いたします。
現在、給食費無償化以外にも必要な施策として、保育園の第1子無償化や就学援助の支給要件の緩和など、市として取り組むべき重要なものは数多くあると思っております。特に子育て部門ですね。今後、国が給食費の無償化を行った場合、この予定してあります60億円全額といいますか、このお金は、当然ね、そういった可処分所得が減っていると、子育てを応援せないかんということで、他都市は国を待っていたんでしょうけど、上げられました。ほかの県は後で言いますが、これらは子ども施策に活用していくというつもりで理解していいのか、お尋ねいたします。
次に、市民病院についてでありますが、現在残っている3か所、新しいところも探すということなんですけど、一長一短あるため、私は慌てて整備場所を急いで決めるのだけではなく、手狭でありますけれども、例えば、可能であれば現病院の改修や増築などで延命することで、その間にほかの土地も含めてしっかり検討してはどうかと思いますが、そういう考えも含めて検討なさるのか、お尋ねいたします。
次に、那珂中学校についてですけど、那珂中学校は基準面積よりも狭く、教室も不足しております。面積は歩道にしている部分も入れてかなと思いますが、プレハブを建てられる場所も限られているんですね。あとまた増やすと言っているけれども、コンクリか硬い施設を壊さないといけないようにもなってきます。
そこで、今後どうしていくおつもりなのか、お尋ねします。
また、工場跡地に新設中を整備できるとしても、少なくとも新しいアサヒビール工場さんが5年ぐらいかかるのかなと。それから解体や、遺跡も一部試掘なり、もしかしたら本調査、そして、建築になると、よくて10年ぐらいかかるんじゃないかと。那珂中学校の教育環境改善のため、暫定的に弥生小学校等に那珂中の分校を整備するようなことも地域が望めば検討すべきじゃないかと思いますが、どうお考えになるのか、お尋ねいたします。
弥生小学校への分校整備については、速やかに具体的に検討に着手し、地域や保護者に相談し、可能であれば前向きにいろいろな観点で調査し、やはり地域としてはそれは認められないよというのであれば、諦めなければいけないと思っています。例えば、横浜市立本町小学校、みなとみらい地区にあります。10年ということで、どうしてもちょっとやり損ないましたと。私も横浜へ行ったんですけれども、わざわざ港開発の方も同席されて、用途を変えたので人口が爆発しちゃって学校が足りんようになりましたということで、10年でですね、仮ということで学校を建てた。横浜のはさすがと思うのは、国の補助を取られたんですね、その10年ということでも。今はまだやってあると。その後を調べていなくて申し訳ございません。
こういったことをしていくべきじゃないかと、いろいろな手法を地域と相談していくべきじゃないかと思いますけれども、所信をお伺いいたしまして、2問目を終わります。
○副議長(松野 隆) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 給食費の無償化に関する御質問にお答えいたします。
学校給食費の無償化につきましては、昨今の物価高において、特に子育て世帯の可処分所得の増加に向けた支援といった喫緊の課題に対応するため、市税をはじめとした一般財源により実施するものでございます。全国的な給食費の無償化につきましては、今後、国において検討が進められるものと認識しておりまして、これを注視してまいりたいと考えてございますが、福岡市の予算の編成に当たりましては、引き続き国からの財政措置も含め、しっかりと収入を見積もった上で、その時々の社会課題や市民ニーズを踏まえながら、子育て施策をはじめとする必要な施策が着実に実施できるよう適切な予算配分に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 市民病院に関する御質問にお答えをいたします。
市民病院の整備場所の検討に当たりましては、現在の候補地を含めた全ての候補地について、土地の状況や医療環境への影響、利便性などの項目により審議会で評価していただくこととしておりまして、その結果を踏まえるとともに、あらゆる可能性も勘案しながら今後検討を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 那珂中学校についての御質問にお答えいたします。
まず、今後の教室不足への対応につきましては、校舎北側の敷地にプレハブ教室を増築することで当面の学級数の増加に対応できるものと考えておりますが、今後の生徒数の推移を踏まえ、対応を検討してまいります。
次に、当面の那珂中学校の教育環境改善につきましては、周辺校を含めた各学校の状況や児童生徒数の推移、他都市の分校の事例も踏まえながら幅広く検討してまいります。
次に、分校整備の検討や地域等への相談につきましては、近隣小学校の活用も含め、保護者や地域の意見も聞きながら適切な教育環境の在り方を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 質問が前後しますが、先にまず市民病院のほうから意見を述べさせていただきます。
私は中途半端な場所でね、よしあしはあると思います。うろたえて決めるのは避けたほうがいいかなと思っています。今通っている方とか入院している方もおられます。例えば、土地がなければ、道路の上に病院があって、下は道路ということもあるかもしれませんし、新たな土地とか、例えば、教育委員会もやり損なったのかなと。東箱崎が小さいのに、目の前の九大跡地に建て替えてあげればよかったのに、心配せんでいいのに。そうすれば、箱崎中学校跡もいいよと言えたんでしょうけど、失敗してあるから、こっちにもうんと言えないような状況かなとも思っております。ほかでも場所を探されて、私はいいところがなければ、大規模改修して延命するというのも一つの方法かなと思いますので、うろたえて決めずに、しっかりとそれも選択肢の一つでやっていただきたい。これは要望で終わります。
次に、那珂中学校ですが、弥生小の活用等も検討するということなので、ぜひね、駄目か分かりませんけれども、実は那珂中学校エリアから東住吉中学校に100人以上行っていますよ。これは小学校の影響もありますけれども。そして、これは当てがないんじゃなくて、新しいところが、アサヒビールさんがやっぱり分けないと言われたら困りますけれども、そういうことが可能ならね、その間ということでありますので、子どもたちの環境というのでね、いや、プレハブしかないんだということではなくて、考えていただきたい。小学校に関しては分科会の条例予算の中で聞きたいなと思っています。
中学校をあえて言っておきますと、今6年の終わりですね。六、七年後には31教室になるんですよ。東住吉を除いても858人の予定。これはどう増えるか分からない。ということは、プレハブを今2教室建てています。あと4教室建てます。合わせて6教室のプレハブになって、ぎりぎりという状態なんですね。もうあとなくて、グラウンドにぼんと建てるしかない。もともと面積も少ない。弥生小の52%しかグラウンドがないというようなところなんですね。しっかり子どもたちの学校の環境を整えて、いろいろ策を、選択肢を含めて、地域と一緒に検討できる手法でやっていただきたいと思います。これも要望にしておきます。
最後に、給食費についてなんですけど、私はどうもこの手法が解せないなと思っています。討論でやろうかとは思ったんですけれども、請願で賛成されたのは市民クラブさんと共産党さん。私も賛成しておりません。国でやるべきで、60億円の財源を使ってやるならば、優先順位、ほかのもあるからどうだろうと。しっかり国に求めるべき。そして、はざま世代、無償化になるのは生活保護基準の1.25倍、だから、これを上げれと、上げるべきじゃないかと言ったけど、しなかった。また、無償化申請が非常に所得証明等ね、簡単にできないと、見直せと。これは教育長、思い切ってさっと動いてくれました。申請の簡素化、これはありがたかったですね。困っている人を助ける。ただ、ぎりぎりで、去年までは無償だったけど、今年、何で有償よという方が取り残されちゃいました、物価高騰の中。だから、1.25を1.3とか、それ以上に引き上げるべきじゃないかと1年前から言っているけれども、全く手をつけてこられなかったんですよ。今となってはというところがありますけれども、その中で、なぜ決算のときからこう変わったのかと。私は推測で申し訳ないですけど、新年度の目玉がないのかなと。体育館のエアコンもスポットクーラーでね、何というのかな、防音というかな、逃げないようにする。(発言する者あり)断熱か。すみません。断熱もしないと、これは目玉ないなと。緑もね、花いっぱいも企業がお金を出して業者がしている部分が多くて、なかなか少ないなと。目玉は何やと、厳しいと、よし、無償化をやろうという流れじゃないのかなと思ってしまうんですね。その一つは、議会が承認して選ぶ教育長さんがおられますけれども、本来ならそういう答弁を、委員会が厳しい中、気持ちは分かる中、60億円をぱっと簡単にはいかんとですと、国にしっかりお願いしていきますと。しかし、制度は見直しが足らなかったけれども、本当は教育長さんが委員会等、私も委員会ですけど、こういうことでやろうと思いよりますと、頑張ろうかと思いよりますというのが筋。しかしながら、教育委員会は財政局へ、これは新年度予算の要望をしていないと思います。そういうふうに聞き及んでおります。とすれば、市長の今年度の花づくりかなと。副市長は行かんでしょうから、例えば、総務企画局長あたりがもしかしたら、いきなり言いにくいので、自民党さんなり公明党さん、先に言ってくれるとありがたいなとか動いたのかなと思います。それで、自民党市議団政調会長、堤田議員が──ごめんね、名前を出して。こうあるけれども、そろそろ考えるときじゃないかということで方向転換を党を代表してされましたから、そのために誘い水を出してやったのかなと。それは私は総務企画局長か誰かお願いされたのかなと思っちゃうんですね。だから、準備が足らない。教育長はちょっと腹が立っていると思います。しっかり教育長に相談があって、教育長、すまんが、やっぱり全市的な中でやっていこうやないかと、まとめてくれよというのが筋ですよ。市長はやっぱり自分が自分がではなくて、職員の皆さんのおかげで頑張れているという部分を大切にしてほしい。私たちは市民の側でね、これはいいのかと追及する側ですから、ちょっとそこは違うかなと思っておりますが、じゃないと、そういうふうに思われてね、うまく回っているのかなという心配をして、もしもそうしておけば4月から無償化はできたわけですよ。やるならば、お金が何とか回るからというんならね、2学期からではなくて、新年度の花づくり、何かあれつくりに、と思いますよ。私はそう思っている。
でも、無償化に思い切って踏み込まれたわけですね。そして、これがもしも子育てと、そして、答弁でもありますけれども、可処分所得が減っていると。そういった世帯、困っていると。少子化も進んでいると。そういう世帯をしっかり応援せないかんと。給食の無償も1.25倍、申請が大変でも、約23.数%が無償、低所得なんですよ。申請が簡単になれば、もっと増える。今度はね上がってくると思いますけどね、支えるというんならね、国が出してくれたら、その60億円考えている分はしっかり子育て予算に充てていただくものと思っております。これは担当の副市長が御存知の中でやられとるわけですから、御答弁いただきまして、浮いた財源を子ども施策にしっかり充てていきますよと決意をいただきまして、質疑を終わります。
○副議長(松野 隆) 光山副市長。
○副市長(光山裕朗) 学校給食費の無償化につきましては、都市の成長などにより生み出されました税財源により、無償化に必要な財源を安定的に確保できる見通しが立ったことから、子育て世帯における可処分所得の増加という喫緊の課題に対応するため、令和7年度から取り組んでいくこととしたものでございます。一方、全国的な給食費の無償化につきましては、今後、国において検討が進められるものと認識をしておりまして、その動向を注視してまいりたいと考えております。福岡市といたしましては、引き続き国からの財政措置を含め、しっかりと収入を見積もった上で、その時々の社会課題や市民ニーズを踏まえながら、子育て施策をはじめとする必要な施策が着実に実施できますよう適切な予算配分に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 以上で質疑を終結いたします。
この際、お諮りいたします。
ただいま議題となっております議案63件については、62人の委員をもって構成する条例予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松野 隆) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
お諮りいたします。
ただいま設置されました条例予算特別委員会の委員の選任については、本市議会議員の全員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(松野 隆) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
以上で本日の日程は終了いたしました。
次の会議は3月26日午後1時10分に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時11分 散会