令和7年3月5日(水)

令和7年 第1回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第6号)
                             3月5日 午前10時開議
 
 
第1 議案第32号ないし議案第94号
 

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  和 田あきひこ      34番  あ べ ひでき
35番  大 沢 めぐみ      36番  木 村てつあき
38番  綿 貫 康 代      39番  前 野 真実子
40番  中 島まさひろ       41番  藤 野 哲 司
42番  新 村 まさる      43番  天 野 こ う
44番  堀 内 徹 夫      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  はしだ 和 義
48番  浜 崎 太 郎      49番  阿 部 正 剛
50番  倉 元 達 朗      51番  中 山 郁 美
52番  川 口   浩      53番  小 竹 り か
54番  勝 見 美 代      55番  井 上 ま い
56番  ついちはら陽子      57番  田 中 たかし
58番  山 田 ゆみこ      59番  近 藤 里 美
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
         37番  橋 口 えりな

説明のため出席した者
 
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  下 川 祥 二      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋 剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小   林  登茂子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員   町    孝
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子      人事委員会事務局長  小 川  明 子
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美
 

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩      議会事務局次長   着  一 孝 議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員
 

 
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第32号ないし議案第94号、以上63件を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。発言通告者のうちから順次質疑を許します。とみながひろゆき議員。
 
○15番(とみながひろゆき)登壇 皆さんおはようございます。私は、自由民主党福岡市議団、伊藤会長の代表質疑を補足して、在住外国人との共生について、放課後児童クラブ施設について、市立小中学校教員の人材確保の取組について、以上3点について質問してまいります。
 最初に、在住外国人との共生についてです。
 近年、本市におきましては在住外国人が増加していると、私だけではなく、市民の皆様も感じていらっしゃると思います。コンビニエンスストアやスーパーマーケット、飲食店などふだんから市民が利用するお店で勤務されていたり、まちなかでも自転車に乗って通勤や通学されている姿は、もはや福岡市の日常に溶け込んでいる景色だと感じています。難しいと言われる日本語を流暢に話し、丁寧な接客の姿勢を見ると感心することも多々あります。一方で、私の下には地域住民の方々より、同じマンションの外国人が深夜まで大きな声で騒がしい、ごみの分別ができていない、ごみ出しの日ではないのにごみを出している、自転車を猛スピードで運転してくるので危険だ、駐輪場ではない道路に自転車を何台も止めていて困っているなどの相談を持ちかけられることもあります。もちろん日本人の中にもこういった迷惑行為をする方がいらっしゃることもあるかと思いますが、言語の違いや見た目の違いなどから在住外国人による行為はどうしても目立ってしまうこともあると思います。在住外国人が日本や福岡市の習慣、文化を知り、ルールやマナーを守ってもらうことで、偏見や差別がなくなり、市民も安全に、かつ安心して生活することができることも多文化共生だと思っています。
 そこで、最初に、20年前、10年前、直近における本市の在住外国人数をお尋ねいたします。
 あわせて、10年前と直近の在住外国人の国、地域別の上位3位とそれぞれの人数をお尋ねいたします。
 次に、放課後児童クラブ施設についてです。
 令和5年4月に施行されたこども基本法に基づき、政府全体の子ども政策を総合的に推進するための方針等を定めたこども大綱が閣議決定されました。こども大綱では、全ての子ども、若者が身体的、精神的、社会的に幸せな状態、ウエルビーイングで生活を送ることができるこどもまんなか社会の実現を目指しています。そのこども大綱において、遊びや体験活動は子どもや若者の健やかな成長の原点であり、言語や数量等の感覚などの認知的スキルとともに、何かを作り出す力の創造力や好奇心、自尊心、そして、何か思い描く力の想像力などの社会的スキルを育むものであると、その重要性を示しています。自由民主党福岡市議団においても、子どもの成長過程に早い段階から特技を育むことで自己肯定感を持ち、逆境を乗り越える力の大切さを訴えてきました。そうした中で、本市令和7年度予算において、小学生が学年を問わず、放課後に安全で安心して過ごせる学校で体験活動に取り組める事業として、学校施設活用型体験プログラムモデル事業を打ち出した姿勢については評価したいと思います。また、こども大綱におきましては、全ての子どもが放課後を安全、安心に過ごし、多様な体験、活動を行うことができるよう放課後児童クラブの受皿整備を着実に進め、待機児童の早期解消を図るとともに、学校施設の利用促進の観点を含め、首長部局、教育委員会等の連携を促進するなどの放課後児童対策に取り組むとも明記されています。
 そこで、福岡市における放課後児童クラブの状況について伺い、今後の整備や運営の方向性について確認させていただきたいと思います。
 まず、放課後児童クラブの現状について、市立小学校146校のうち何校に放課後児童クラブを設置しているのか、お尋ねいたします。
 次に、20年前、10年前、直近における全児童数、放課後児童クラブ入会児童数及び全児童数に占めるその割合をお尋ねいたします。
 また、令和6年度の入会率が最も高いクラブと最も低いクラブの入会率についてお尋ねいたします。
 次に、市立小中学校教員確保の取組についてです。
 令和の日本型学校教育の実現のためには、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通して、新たな学びの実現による学校教育の質を向上させることが求められています。このような新たな学びについては、教育効果を十分に発揮していくため、教員の指導力向上とともに、資質、能力に優れた人材を確保し続ける環境整備が必要不可欠です。一方で、近年、全国的に教員不足や教員採用試験の倍率低下が叫ばれており、学校教育に支障を来しているのではないかと危惧しているところです。一概に全国的な教員不足と言いましても、その状況は様々ではないかと思います。
 そこで、福岡県の状況と比較しながら、本市の状況を確認させていただきたいと思います。
 初めに、教員不足の状況についてお尋ねいたします。
 直近3年間の本市と福岡県の状況と、本市において不足が生じた要因についてお尋ねいたします。
 また、報道では、年度途中における産休、育休取得者の代替教員の確保が厳しいと聞きますが、本市の不足状況とその対策についてお尋ねいたします。
 次に、教員採用試験の実施状況についてお伺いいたします。
 教員採用試験についても、全国的に厳しい状況が続いているとの報道を耳にしますが、直近3年間における受験者数及び採用倍率について、本市及び福岡県の状況をお尋ねいたします。
 あわせて、小学校、中学校、特別支援学校の校種ごとに本来必要な人員である採用予定者数を確保できているのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人との共生についてお答えいたします。
 20年前、10年前、直近における福岡市の在住外国人数については、いずれも1月末時点で、平成17年が1万8,918人、平成27年が2万8,125人、令和7年が5万1,871人となっております。
 次に、10年前と直近の在住外国人の国、地域別の上位3位とそれぞれの人数については、同じく1月末時点で、平成27年が1位は中国で1万1,407人、2位は韓国または朝鮮で6,212人、3位はネパールで2,854人、令和7年が1位は中国で1万3,358人、2位はネパールで1万1,961人、3位はベトナムで7,450人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 放課後児童クラブ施設についての御質問にお答えいたします。
 まず、放課後児童クラブの設置数につきましては、現在、小学校146校のうち141校となっております。
 次に、全児童数と放課後児童クラブ入会児童数及びその割合につきましては、20年前の平成16年度が全児童数7万3,931人、入会児童数9,532人で12.9%、10年前の平成26年度が全児童数7万6,447人、入会児童数1万2,519人で16.4%、令和6年度が全児童数8万2,772人、入会児童数1万9,505人で23.6%となっております。
 次に、令和6年度の入会率につきましては、最も高い放課後児童クラブが46.8%、最も低いクラブは14%となっております。
 続いて、市立小中学校教員確保の取組についての御質問にお答えいたします。
 まず、本市と福岡県の直近3か年の教員不足状況につきましては、5月1日時点で令和4年度が本市ゼロ人、福岡県121人、令和5年度が本市7人、福岡県113人、令和6年度が本市6人で、福岡県の状況は現時点で公表されておりません。教員不足の要因につきましては、若い教員の比率が上昇し、産休、育休取得者が増加していることなどによるものと考えております。
 次に、年度途中における本市の教員不足の状況につきましては、令和6年度の2学期始業式時点で小学校3人、中学校8人となっております。御指摘のように、年度途中での代替教員の確保は容易でないため、令和5年度から本市独自で年度当初から講師を前倒しで任用する取組を実施し、教員の確保に努めてございます。
 次に、本市及び福岡県における直近3年間の教員採用試験の受験者数及び採用倍率につきましては、採用試験の実施年度で申し上げますと、令和4年度が本市は受験者数1,534人、採用倍率2.4倍、福岡県は受験者数2,350人、採用倍率2.0倍、令和5年度が本市は受験者数1,525人、採用倍率3.0倍、福岡県は受験者数2,039人、採用倍率2.0倍、令和6年度が本市は受験者数1,600人、福岡県の受験者数は未公表で採用倍率は4月の確定となります。また、福岡県を含め、全国的に受験者数が減少傾向にある中で、本市の受験者数は全体として近年増加いたしております。
 次に、校種ごとの採用予定者数の状況につきましては、令和4年度が特別支援学校で37人、令和5年度が中学校で1人、特別支援学校で27人、令和6年度が中学校で6人、特別支援学校で14人採用予定数を満たしておらず、特に特別支援学校において人員確保の取組強化が必要となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 御答弁ありがとうございます。では、2問目に入ります。
 最初に、在住外国人との共生についてです。
 答弁によりますと、10年前と比べてみると在住外国人数は約1.8倍に増加しています。また、特徴的なのは、在住外国人は1.8倍の増加に対して、10年前に1位だった中国国籍の在住外国人も増加はしているものの、在住外国人全体の増加率に対して伸びは低く、2位であった韓国または朝鮮の方は3位以内に入っていないとのことです。また、対して10年前に3位であったネパール国籍の方々が約4.2倍に増加し、また、3位以内に入っていなかったベトナム国籍の方々が3位に上昇しているところが近年の在住外国人の特徴であると考えます。
 ここでは、留学生が福岡を選んだ理由に限らせてもらいますが、ベトナム人留学生やネパール人留学生が増加した理由としまして、福岡アジア都市研究所の在福留学生アンケート調査によりますと、気候や環境が住みやすい、生活費が安い、母国の留学仲介業者に勧められたなどの理由で留学しているそうです。
 そこで、10年前と直近の在留資格別の上位3位はどのような内容で、それぞれ何人なのかをお尋ねいたします。
 また、1問目でも少し触れましたが、これだけ様々な国籍の方々が日本という異国の地に来ると、文化や言語、ルールやマナーの違いで地域住民との摩擦が生じることもあると考えます。
 そこで、在住外国人への日本や福岡市の習慣や文化、ルールやマナーの啓発や周知など、これまで多文化共生についてどのような取組を行ってきたのか、また、その上でどのような課題があるのかについてお尋ねいたします。
 あわせて、令和7年度の在住外国人との共生への取組の推進についての予算額と新たな取組、また、その取組について見込んでいる効果についてお尋ねいたします。
 次に、放課後児童クラブ施設についてです。
 こども家庭庁によると、令和6年5月1日現在の全国の放課後児童クラブ登録児童数は過去最高の約151万9,000人となる一方で、待機児童数は約1万8,000人で前年から1,400人ほど増えています。登録児童数は過去最高となったものの、待機児童が増加している状況下において、全ての子どもが放課後を安全、安心に過ごし、多様な体験や活動を行うことができる場所の拡充は全国的な喫緊の課題となっています。
 先ほどの答弁によりますと、福岡市においても、入会児童数とその割合はこの20年間でそれぞれ約2倍に増加しています。入会率が最も高い児童クラブは46.8%と御答弁があり、ほぼ半数の児童が入会している児童クラブがあるなど、入会児童数や入会率の増加は、児童数の増加や対象学年の拡大や共働き世帯の増加などにより、放課後児童クラブのニーズの高まりを表しており、受皿の整備は喫緊の課題と考えます。また、地域からは、児童数が増加する中、子どもたちの居場所は確保できるのか、プレハブの施設は古くなっても安全なのか、災害が起きた場合の対応はどうなるのかなど、施設や運営について心配の声も聞いています。
 そこで、放課後児童クラブ施設の面積基準、耐用年数、耐震基準はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 また、他都市におきましては待機児童が発生していると聞きますが、面積基準がある中、本市においても待機児童の発生が懸念されますが、状況はどうなのか、お尋ねいたします。
 次に、耐用年数を超えて使用している放課後児童クラブ施設はないのかをお尋ねいたします。
 また、地震などの災害発生時においても、放課後児童クラブを開設しなければならない場合、施設は安全に運営できるのか、お尋ねいたします。
 次に、市立小中学校教員確保の取組についてです。
 学校現場に不足が生じないよう、引き続き講師確保に取り組んでいただくよう要望しておきます。
 次に、本市の教員採用試験の実施状況についてですが、先ほどの答弁において、全国的に受験者数が減少する中、本市は受験者数が増加しているとの御答弁がございましたが、そのためにどのような取組を行われたのか、お伺いいたします。
 また、校種別に見た場合、特別支援学校の人材確保が厳しいとの答弁がございましたが、特別支援学級は近年増加し続けており、特別支援教育を担う人材の確保は非常に重要だと考えます。
 この課題の解決に向けてどのように取り組まれていくのか、併せてお尋ねいたします。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人との共生についてお答えいたします。
 10年前と直近の在住外国人の在留資格別の上位3位とそれぞれの人数については、いずれも1月末時点で、平成27年が1位は留学で1万181人、2位は永住者で5,501人、3位は特別永住者で3,706人、令和7年が1位は留学で1万6,505人、2位は特定技能など就労を目的とする在留資格で1万1,301人、3位は永住者で8,539人となっております。
 次に、これまでの多文化共生の取組については、転入時の多言語表記によるパンフレット配付や動画による生活ガイダンスの実施により生活ルールやマナー等を周知しているほか、窓口での多言語対応、総合相談窓口の設置、地域での交流促進や日本語教育の推進などを行っております。また、課題については、国における在留資格の制度改正等により今後さらに就労目的で滞在する在住外国人やその家族の増加が見込まれることから、地域住民と在住外国人の関係性の強化や相互理解など多文化共生の推進にこれまで以上に取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、令和7年度の在住外国人との共生への取組に係る予算については5,490万9,000円を計上しております。また、7年度における新たな取組については、在住外国人が多い東、博多、南区において、在住外国人のコミュニティの核となる方などとの関係性の構築や、地域の日本人と外国人が参加する住みやすいまちづくり、交流等に関するワークショップを実施することとしております。これにより、地域の日本人と外国人などが相互に連絡や相談が可能な関係性、ネットワークを構築することで、日本人にも外国人にも住みやすく活動しやすいまちづくりを推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 放課後児童クラブ施設についての御質問にお答えいたします。
 まず、施設の面積基準につきましては、条例において、専用区画の面積は児童1人につきおおむね1.65平米以上を確保することと定めております。耐用年数につきましては、福岡市の施設は軽量鉄骨造りでございまして、減価償却資産の耐用年数等に関する省令において27年となっております。また、全ての施設が新耐震基準に適合いたしております。
 次に、待機児童の有無につきましては、入会要件を満たす児童は全て受け入れておりまして、面積基準を満たすことが難しい場合は、学校と連携し、余裕教室や特別教室などを活用することにより対応いたしております。
 次に、施設の使用年数につきましては、建築から27年を超えることがないよう計画的に建て替えを行っており、耐用年数を超えた施設はございません。
 次に、地震など災害が発生した場合の運営につきましては、施設は新耐震基準に適合しておりますが、全ての放課後児童クラブを小学校の敷地内で運営していることから、状況に応じて学校施設を活用するなど学校と連携しながら柔軟に対応してまいります。
 続いて、市立小中学校教員確保の取組についての御質問にお答えいたします。
 受験者の確保に向けたこれまでの取組につきましては、教職経験者を対象とした優遇制度や社会人を対象とした教員免許取得期間猶予制度の導入など採用手法の改善を図るとともに、実践力のある優秀な人材の確保のため、大学生及び講師を対象とした特別選考を実施してまいりました。あわせて、県内高校生への教員の魅力を発信するリーフレットの配布や、新たな人材発掘のためのペーパーティーチャー向け説明会の開催など積極的な広報に努めてまいりました。
 次に、特別支援学校の人材確保に向けた取組につきましては、令和8年度の新規採用教員から特別支援学校教諭免許状を保有する者を対象とした奨学金返還支援事業を創設することとしておりまして、これにより特別支援学校教諭の受験者の増加にもつなげてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 御答弁ありがとうございます。では、3問目に入ります。
 最初に、在住外国人との共生についてです。
 御答弁いただきましたように、10年前と比較すると、在留資格別では留学が変わらず最も多いものの、就労目的の方が3位以内に入っていなかったところから2位に増加しています。この背景には国内の人手不足があり、国において、特定技能の創設やその受入れ分野の拡大といった就労を目的とする在留資格に係る制度改正等が行われたことなどが要因と考えます。また今後、これまでの技能実習制度に代わり、育成就労制度が導入されることとなっています。先ほどの御答弁にもありましたが、就労目的の方など地域で生活する外国人は、やはり今後とも、増加していくものと思います。現在も市内の様々な場所で活躍されている在住外国人を見ると、日本人だけでは賄えない仕事を頑張られている方々の姿は本市経済活動の一翼を担っていると感じています。こうした方々が福岡で安心して生活できるよう支援していくことはもちろん重要ではあると思うんですが、繰り返しになるんですが、私は何より地域住民、福岡市民の安全と安心を最優先に考えて多文化共生に取り組んでほしいと思っています。
 誰もが安心して生活できる多文化共生について、局長の御所見をお伺いいたします。
 次に、放課後児童クラブ施設についてです。
 放課後児童クラブ施設については、児童数の増加や施設の老朽化へ対応するための整備が着実に進められているとともに、災害時への対応についても、全ての施設が小学校敷地内にあるメリットを生かし、学校との連携により柔軟に対応するとのことでひとまず安心しております。
 次代を担う人材の育成や共働き家庭が直面する小1の壁を打破する観点からも、放課後児童クラブには、子どもが安全、安心に過ごし、多様な体験、活動を行うことができる放課後の子どもの遊びと生活の場としてさらなる充実が求められます。
 子どもたちが今後も安心して放課後を過ごすことができ、保護者も安心して預けることができる放課後児童クラブの運営について、教育長の意気込みをお聞かせください。
 最後に、市立小中学校教員確保の取組についてです。
 教員の確保に向けて、これまでも様々な取組をされていることは分かりました。特に採用者の確保が必要な特別支援学校教諭について、創設される教員奨学金返還支援事業には人材確保の有効策となるよう期待し、また、注視していきたいと思います。
 一方で、近年の大量採用により学校では経験が浅い若い教員が多くなっており、教育の質を維持できるのか懸念されます。教員は子ども一人一人の可能性を引き出し、学びを支える伴走者の役割を担うものであり、主体的に学び続け、時代の変化に応じた資質、能力を身につけることが求められます。
 最後に、優秀な教員の確保及び資質、能力の向上に向けた教育長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人との共生についてお答えいたします。
 在住外国人が増加する中、地域の中で共に生活し活躍できるよう、お互いに理解し、認め合う多文化共生の取組が大変重要だと認識しております。これまでも地域での交流や日本語教育の推進、窓口での多言語対応、外国人向け生活情報の発信、相談窓口の設置など幅広く取り組んできたところでございますが、今後さらに在住外国人が増加していくことを見据え、地域住民と在住外国人の連携を強化するなど、地域における多文化共生を推進し、日本人にも外国人にも暮らしやすいまちづくりに取り組んでまいります。また、外国人の受入れや共生については、国に対し、主体的な取組の実施や地方自治体の取組への財政支援を含めた必要な措置に関する要望を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 放課後児童クラブ施設についての御質問にお答えいたします。
 放課後児童クラブにつきましては、子どもが安心して過ごせる生活の場としての環境を整えるため、引き続き全ての施設を小学校の敷地内で着実に整備するとともに、適切な維持管理に努めてまいります。また、令和7年度は児童の安全確保や保護者の安心感のさらなる向上を図るため、児童がクラブを入退室する状況をリアルタイムに保護者へお知らせする入退室管理システムを全ての施設に導入したいと考えておりまして、今後とも、安全、安心な放課後の居場所の充実に取り組んでまいります。
 続いて、市立小中学校教員確保の取組についての御質問にお答えいたします。
 教員は学校教育の要であり、優秀な人材を確保し、計画的な育成を図っていくことは極めて重要であります。そのため、大学との連携の充実、拡大による教員の養成や多様な専門性を持つ人材の確保等に向けた採用手法の改善により、実践力のある教員を確保してまいります。また、近年の大量採用により若年層が増加していることも踏まえ、学校における人材育成体制の整備を図るとともに、求められる資質、能力を身につけることができるよう、福岡市教員育成指標に基づく研修の実施や先進事例などの調査研究と情報提供など、教員一人一人が意欲を持って主体的に学び続けることができる環境づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ)登壇 私は、日本維新の会福岡市議団の天野こう議員の代表質疑を補足して、万博を契機とした西のゴールデンルートの取組について、そして、禁煙推進施策についての2点を質問いたします。
 福岡市が西日本の中心拠点として観光振興や地域経済の活性化を図るに当たり、コロナ禍以降の新たな観光需要を取り込み、西のゴールデンルートをさらに充実させていくための具体策を探りたいと考えております。加えて、市民の健康や医療費の抑制、市内産業の生産性向上において欠かせない禁煙施策について、行政としての成果指標の在り方や今後の強化方針を確認し、必要な改善提案を行ってまいります。いずれの課題も福岡市の将来像を左右する非常に重要なテーマであることを踏まえ、前向きな御答弁をお願いできればと存じます。
 初めに、西のゴールデンルートの取組についてです。
 欧米豪旅行客や高付加価値旅行者をどのように誘致し、さらに効果的な地域周遊へとつなげていくかは観光政策の重要な課題の一つです。とりわけ、国内の主要観光地として知られる東京や京都、大阪などからさらに西の地域へ旅行者を誘導し、地域経済の活性化や多様な観光資源の認知度向上を図るための施策が強く求められていると認識をしております。そこで、昨年5月、大阪より西のエリアにおける相互連携を強化し、欧米豪旅行客や高付加価値旅行者の送客を促進することを目的に、西のゴールデンルートアライアンスが設立されたかと存じます。
 このアライアンス設立に至った背景としては、まず、コロナ禍以前から欧米豪市場の旅行者が日本国内を訪れる際、ゴールデンルートと呼ばれる東京、京都、大阪などの定番観光地を主な旅程とし、ほかの地域にはなかなか足を伸ばさないという実情があった点が挙げられます。また、九州や中国・四国地方をはじめとする西日本各地には、歴史や食文化、伝統産業、雄大な自然など国際的に高い評価を受けるに足る観光素材が数多く存在する一方で、これらを総合的に組み合わせて国内外にPRする体制が十分に整っておらず、各自治体や事業者が個別に発信していても十分な波及効果が得られにくいという課題もありました。こうした状況を打破し、西日本全体を一体的、戦略的にブランド化して、日本の新しい旅の定番として欧米豪を中心とする海外市場にアピールしようというのがアライアンスの設立目的であり、意義であると考えております。
 以上のような観点から、改めてお尋ねをいたします。
 昨年5月に設立された西のゴールデンルートアライアンスの概要及び設立の背景、目的、意義をどのように捉えられているのかをお示しください。
 また、九州・西日本の中心拠点としての役割が期待される福岡市は、このアライアンスにおいて具体的にどのような貢献や連携を図るお考えでしょうか。
 さらに、ゴールデンルートアライアンスの活動をより効果的に推進するために、DMOや民間企業が持つ知見やノウハウをどのように取り込んでいかれるおつもりか、併せてお示しください。
 次に、禁煙推進施策についてです。
 皆様御存じのとおり、たばこの影響は受動喫煙や生活習慣病のリスク増大など、喫煙者本人だけではなく、周囲の方々にも及び、市民全体の健康や医療費の負担に直結する深刻な課題です。これまでの議会でもたばこに関する問題を繰り返し取り上げてきたところですが、健康なまちづくりという観点から考えれば、最も理想的な姿は喫煙率のさらなる低下にあると確信をしております。とりわけ、行政が主導して禁煙推進策を行う意義は極めて大きいと考えております。なぜなら、市民全体を対象とした施策を計画、実行し、その効果を検証しながら継続的に改善できるのは、行政の持つ権限と公衆衛生上の責任によるところが大きいからです。医療費の抑制や市民の健康寿命の延伸、さらには地域社会の安心、安全の確保という側面においても、行政が主体的に取り組むことは欠かせません。保健医療局としても禁煙を推進されたいとお考えのこととは思いますが、今回改めて禁煙に向けた具体的な取組を確認させていただきたく存じます。
 まず、健康増進や医療費抑制の観点から禁煙推進策について、本市では現在どのような対策を実施しているのか、その概要をお示しください。
また、これらの施策が実際にどの程度の成果を上げているのかを把握するため、どのような指標や方法を用いて検証されているのか、併せてお聞かせください。また、本市の直近3回分の喫煙率の推移についても、お示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席で行います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 西のゴールデンルートの取組についての御質問にお答えいたします。
 まず、西のゴールデンルートアライアンスにつきましては、欧米豪旅行者の約8割が東京−大阪間に宿泊しているという状況を踏まえ、欧米豪旅行者や高付加価値旅行者をメインターゲットに、広域のルートを形成し、大阪より西のエリアへの誘客を図ることを目的に設立されたもので、現在、自治体や民間事業者など、合わせて280を超える会員により構成されております。
 次に、福岡市の役割等については、福岡市長がアライアンスの会長に就任しており、幹事である18の自治体と連携しながら、モデルルートの構築や海外に向けたウェブプロモーションの企画立案などを行っているところでございます。
 また、アライアンスの活動に当たりましては、例えば、広域的なDMOが有する海外メディアなどとのネットワークを生かした情報発信や旅行会社が持つ企画力を生かした新たな旅行商品の造成、交通事業者と連携した駅を活用したプロモーションなど、DMOや民間事業者それぞれの強みを生かした効果的かつ効率的なプロモーションを実施してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 禁煙推進施策に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、禁煙を支援する取組といたしましては、健康づくりサポートセンターにおける禁煙教室の実施、禁煙外来マップや動画の作成、周知、SNSなどを活用した広報、啓発、健診受診者などへの保健指導を行っております。
 次に、施策の成果といたしましては、禁煙教室参加者に対して3か月後、1年後にそれぞれフォローアップを実施いたしておりますが、直近3年間では、おおむね参加者の4人に1人が1年後も禁煙を達成している状況を確認いたしているところでございます。また、国で3年ごとに実施される国民生活基礎調査によりますと、本市における喫煙率の推移といたしましては、男性は平成28年が32.0%、令和元年が32.7%、4年が25.3%、女性は平成28年が9.6%、令和元年が10.2%、4年が7.6%となっており、市全体では平成28年が19.6%、令和元年が20.3%、4年が15.8%となっており、平成30年の健康増進法改正により低下傾向となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 大沢めぐみ委員。
○35番(大沢めぐみ) 2回目の質問に入ります。まずは、西のゴールデンルートの取組についてです。
 これまでアジア圏からの誘客を主軸としてきた福岡市にとって、今後、欧米豪市場への情報発信がさらに重要性を増すものと考えます。アジアの旅行客とは異なるニーズや嗜好を持つ欧米豪の旅行者の特徴や彼らが好む観光コンテンツの傾向などを正確に把握し、プロモーションやサービス向上に生かしていくことが不可欠ではないでしょうか。
 そこでまず、ターゲットとなる欧米豪旅行客の特徴についてお示しください。
 また、その特徴を踏まえた上で、福岡市ならではの多彩な魅力を再編集、ブランディングし、九州全域や西日本のほかの観光素材とも連携させるような施策が求められていると考えます。例えば、山笠や博多織などの伝統文化と先進的な都市機能やスタートアップが集積する最先端のビジネス環境を組み合わせ、新旧の魅力を一つのストーリーとして国内外に発信することは大きなインパクトを生むと思います。加えて、九州各地や中国・四国地方をはじめとする西日本の伝統芸能や名所とも連携をし、周遊モデルコースを開発することにより、広域的な観光ルートを構築し、さらなる誘客効果を狙うことも可能だと考えます。
 こうした観光資源、サービスの磨き上げや、モデルコースの開発と積極的な情報発信についてどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
 さらに、西のゴールデンルートの活用を推進するに当たっては、近年の大規模イベントとの連動が成否の鍵を握ると考えます。特に2025年には約350万人の海外来場者が見込まれる大阪・関西万博が開催されます。この万博を大きなチャンスと捉え、欧米豪を中心とする海外からの来場者を西日本各地へ誘導するためにも、単なる観光情報の発信にとどまらず、イベント会場と福岡市を結ぶ特別観光ルートを設定したり、割引パスを導入して利便性を高めたりといった具体的な仕掛けが必要となるのではないでしょうか。こうした取組は、福岡市への往来を促進する上でも大きな効果が期待できると考えられます。
 そこで、万博開催を見据えた西のゴールデンルートへの誘導策としてどのように具体的に取り組んでいこうと考えられておられるのか、御所見をお聞かせください。
 また、今回の万博だけでなく、今後も国内外で行われる様々な国際イベントを見据え、福岡市や九州・西日本全域が相互に連携しながら欧米豪旅行客を呼び込むことを進めることが重要だと思いますが、その点についても、併せてお考えをお聞かせください。
 次に、禁煙対策の推進についてお伺いします。
 これまで様々な取組を進めていただいているということが御答弁で分かりましたが、依然として喫煙率の低下や受動喫煙の防止には課題が残っているように思います。率直に申し上げると、行政として多くの努力を重ねてこられたにもかかわらず、なかなか十分な成果につながっていない現状があるのではないでしょうか。せっかく取り組まれるのであれば、より効果的な手法の検討をぜひお願いしたいと考えます。喫煙率は全国的にも減っておりますが、喫煙率が下がったから行政の取組が肯定されるわけではなく、全国の喫煙率よりも下がったということが一つの重要なポイントになります。また、喫煙という問題をより詳細に考える必要があります。福岡県は妊婦の喫煙率が全国よりも高い県です。同じ喫煙でも、未成年なのか、妊婦なのか、子どもを望む夫婦なのか、やめたいと思っているが吸い続けたい方なのか、属性によって課題は異なります。何を行い、どういった方に禁煙を促し、どういった成果をいつまでに上げるのか、そういった御答弁をいただけるよう、引き続き私の任期があるうちは協議をさせていただきたいと思っております。
 そして、ここでさらなる推進策として、次の3点を提案いたします。
 1つ目は、若年層がたばこに手を出さないための取組強化です。現在喫煙している方々は、健康増進法の施行やたばこの値上げ、喫煙者への厳しい社会的風潮など数々の障壁を乗り越えて吸い続ける猛者とも言えます。だからこそ、未来の喫煙者を生まないよう、若年層に対する啓発が何より重要と考えます。例えば、WHO、世界保健機関や各国の禁煙推進団体がウェブサイト上でアニメーションを用いて、たばこの有害性を視覚化している事例があります。さらに一歩進んで、VR、バーチャルリアリティーを活用し、たばこで汚染された体内を探検できるコンテンツなどを開発すれば、若い世代にも興味を持って楽しんで学んでもらえるのではないでしょうか。たばこの害を伝えることに加え、印象に残るコンテンツとして工夫をすることが大切だと思います。
 2つ目は、地域での禁煙の意識啓発です。町内や校区単位で各種健康づくりに取り組んでいるケースは多いと思いますが、そこでは運動習慣や食生活に関するものが多く、禁煙に力を入れているケースは少ないと聞いております。禁煙を強要するわけではありませんが、本人は乗り気ではないが、家族に禁煙してほしいと思っているパターンはそれなりに多いのではないでしょうか。例えば、そういった方向けに公民館での禁煙教室実施やイベントなどを行い、地域ぐるみで禁煙の意識を高めてもらう仕掛けや機会を増やしていただきたいと考えます。
 3つ目は、県や企業との連携強化です。国も積極的に推進している健康経営__従業員や職員の健康増進を重視し、健康管理を経営課題として捉え、その実践を図ることで従業員等の健康の維持増進と生産性の向上を目指す経営手法のことですが、福岡県においても健康経営を推進すべく、ふくおか健康づくり団体・事業所宣言を実施しており、そこには市内の2,500団体が登録、そのうち1,001団体が禁煙に関連した取組を実施しているとのことです。この宣言に登録すると、県の広報媒体で紹介をされたり、県の入札参加資格の加点対象となったりといった特典があります。本市においても、健康経営の観点が含まれるウエルビーイング&SDGs登録制度というものがあり、禁煙に取り組まれている企業が幾つか存在します。ぜひ県とも連携を図りながら、禁煙に積極的な企業の取組を紹介するなどして、より広い範囲に禁煙の取組を波及させていただきたいです。
 以上の3点を中心に、さらなる禁煙施策の充実と効果向上を図っていただけるよう要望いたします。
 これらの提案に対する御所見並びに当局として今後新たに検討、実施を予定している禁煙施策があればお知らせください。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 西のゴールデンルートの取組についての御質問にお答えいたします。
 まず、欧米豪旅行者につきましては、国の調査等によりますと、令和6年は欧米豪から約636万人が日本を訪れ、このうち約8割が羽田空港と成田空港から入国をしており、滞在日数が長く、1人当たりの消費額が高く、日本の自然や風景、歴史的建造物を好む傾向にあるとされております。
 次に、モデルコースの開発等については、食や自然、歴史など欧米豪旅行者が興味を持つテーマに沿ったモデルルート設定やアクティビティ開発を行いますとともに、西のゴールデンルート専用ホームページにおいて交通周遊パスやアクティビティ、宿泊などの予約を行うことができる環境を整え、これらについて、海外メディアなどを活用し、情報を発信していくこととしております。
 次に、大阪・関西万博を見据えた誘導策については、大阪・関西万博のイベント会場にブースを出展し、来場者に対して観光案内や旅行商品の販売促進を行うとともに、万博の開催期間を中心に訪日中の欧米豪旅行者に対して、大阪の主要駅など交通結節点での広報やウェブでの広告配信などを予定しております。
 また、大規模な国際イベントなど様々な機会を捉え、プロモーションを行っていくことは重要であると考えておりまして、令和7年度においても、瀬戸内国際芸術祭などに合わせてプロモーションを実施する予定としております。今後とも、国際的なイベントなど様々な機会を捉えて効果的な誘客に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 禁煙推進施策に関する御質問にお答えをいたします。
 議員御提案の若年層が喫煙しないための取組や地域での禁煙の啓発につきましては、効果的な啓発方法や環境づくりを検討するとともに、禁煙に積極的に取り組む企業の情報提供についても、さらに企業の取組が促進されるよう県との連携を強化してまいります。今後とも、これまで実施してきた禁煙施策を継続するとともに、禁煙外来マップの更新、効果的な禁煙支援の在り方について検討し、広報、啓発に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 3回目の質問です。まずは、西のゴールデンルートの取組についてです。
 御答弁いただきましたことを踏まえまして、私から要望を3点申し上げたいと思います。
 1つ目は、周辺地域を含めた周遊型のラグジュアリーツアーや体験プログラムの開発です。
 今、日本を愛する外国人観光客向けの市場で求められるのは、単なる観光地巡りだけではなく、地域文化や自然に深く触れられる体験型、質重視のプログラムです。福岡市単体ではなく、周辺地域を巻き込んだ周遊型のラグジュアリーツアーを開発することで、旅行者の満足度向上と地域全体の魅力発信を同時に図れるのではないでしょうか。これらの施策は、福岡市のみならず、地域全体の魅力向上と観光客の満足度向上につながると考えますので、今後の取組の中でぜひとも御検討いただきたいと思います。
 2つ目は、観光客の増加に伴う観光公害対策です。
 地域インフラの維持や住民の生活環境の確保も非常に重要な視点だと考えます。観光を通じた経済活性化を図る一方で、市民生活への影響にも配慮しながら、持続可能な観光政策を進めていただきたいと思います。
 3つ目は、観光データの取得、分析の強化と戦略的マーケティングの推進です。
 欧米豪旅行客を効果的に誘致し、旅行者が求める体験やサービスを的確に提供するためには、データに基づく戦略が不可欠です。ビッグデータやSNS解析を通じて観光動向を把握し、DMOや民間事業者との連携で戦略的マーケティングを推進していただきたいと思います。こうした取組によって最適なプロモーションと継続的な施策改善を実現し、福岡市の魅力を国内外に一層発信していただくよう要望いたします。
 次に、現在280を超える自治体や民間事業者等が参加する西のゴールデンルートアライアンスの実効性を確保するために、明確な目標を設定し、データや成果の見える化を行うことが重要ではないかと考えます。どのように具体的な目標を定め、また、それを公表していくのか、御所見をお聞かせください。
 さらに西のゴールデンルートアライアンスは、欧米豪旅行客に西日本ならではの奥深い魅力を体験していただく、またとないチャンスだと思います。こうした機会を逃さず、福岡市がリーダーシップを発揮し、多くの自治体や民間事業者との連携を深めることで、新たな観光の潮流を生み出せると確信しております。この連携体制において、玄関口として航空路線やクルーズ船の寄港など国際交通の拠点を有する福岡市が果たす役割は非常に大きいと言えます。福岡市は、九州のゲートウェイであると同時に、国内外からのアクセスが良好で、伝統文化と先進的な都市機能が融合した独自の魅力を持っています。また、近年はスタートアップ支援やMICE誘致といった国際都市としての注目度の高まりもあり、西日本全体の観光プロモーションにおいても、顔としての発信力を発揮しやすい立場にあります。そのため、福岡市が積極的に西のゴールデンルートアライアンスに関わり、他の都市や地域と力を合わせて情報を共有、発信していくことは、福岡市自身の国際的なプレゼンスを高めるとともに、西日本全域の観光産業を大きく底上げする可能性があると考えます。
 福岡市の国際的な存在感を高めるとともに、九州・西日本全体の発展にも大きく寄与するよう、今後とも、力強く取り組んでいただきたいと考えますが、この質問の最後に島市長の御所見をお聞かせください。
 次に、禁煙対策の推進についてお伺いします。
 先ほどの御答弁では、若年層の喫煙防止や企業、地域との連携強化について一定の方向性を示唆いただきました。しかし、実際にどのように取組を進め、どのような成果を目指すのかといった具体的な道筋を作成することが必要ではないでしょうか。また、単なる情報提供に終始するのではなく、効果を測定する仕組みづくりが不可欠です。やはり明確な数値目標やスケジュールを策定することが行政の取組に実効性を持たせることにつながります。御答弁で示された継続した取組も意義はあると認識をしておりますが、喫煙者や企業関係者をはじめとする幅広い方々の声を伺う中で、それだけでは十分な禁煙効果につながりにくい面があるのではないかと感じております。とりわけ、企業による禁煙推進の具体的な成功事例は興味深く、たばこを吸わない社員への手当支給や勤務中の喫煙禁止などを通じ、社員の禁煙を強力に後押ししているケースもあります。こうした企業の主体的な取組こそが喫煙率の低下や受動喫煙の防止に大きく貢献すると考えますが、本市としても積極的にPRし、啓発をしていく必要があるのではないでしょうか。
 たばこをやめてもらうことの難しさは百も承知でございますが、健康先進都市を掲げる福岡市としては、取組を継続するだけではなく、さらに踏み込んだ施策を検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。実際のところ、市が掲げる禁煙施策を見渡してみると、目標や成果を数値的に捉え、それを基に効果を検証した上で適切なフィードバックや見直しを行うという一連の流れがどこまで徹底されているのか、やや不透明に感じております。単に取り組んでいるという事実を示すだけでは実効性の確保にはつながりません。むしろ、各施策の成果や問題点を客観的に評価し、明確な数値目標や期限を設定して管理するなど、PDCAサイクルをより厳密に回す取組が求められるのではないでしょうか。形骸化した啓発活動で満足するのではなく、効果測定の結果を踏まえて柔軟に施策を修正し、喫煙率低下を確実に目指す姿勢こそが真の健康先進都市にふさわしいと考えます。
 今後、本市が本気でたばこに対する諸課題の解決を図るのであれば、行政と企業、地域社会が一体となった禁煙支援の在り方を再考し、より強力なインセンティブや指導体制の整備など踏み込んだ取組が求められると思いますが、この質問の最後に荒瀬副市長の御所見をお伺いいたします。
 以上で質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 西のゴールデンルートの取組についての御質問にお答えいたします。
 目標設定や成果などについては、今後、幹事自治体などと協議、検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 禁煙推進対策につきましては、たばこの依存性は非常に強いものであることから、一朝一夕には進まないと考えております。第1に喫煙防止対策、第2に受動喫煙防止、第3に禁煙推進と、これまで段階的に進めてまいりました。喫煙防止対策につきましては、平成8年から学校での喫煙防止教育が開始されたところでございます。御指摘がございました効果的な喫煙防止教育の手法については、教育委員会等とさらに工夫をしてまいります。そして、平成14年に制定されました健康増進法では受動喫煙防止対策が打ち出されました。福岡市におきましては、行政機関や学校等を中心に分煙対策を徹底し、同時に希望者への禁煙支援を開始いたしました。このとき、福岡市の小中学校におきましては、保護者や地域の協力を得て、全国に先駆け、敷地内禁煙に取り組んだところでございます。さらに平成30年の健康増進法の改正では、行政機関や病院等の敷地内禁煙と飲食店等の完全分煙が打ち出されました。福岡市におきましても、行政機関の敷地内禁煙に取り組むとともに、喫煙場所の設置を進めてきたところでございます。禁煙行動もこのような社会環境の変化をきっかけに進んでいっており、福岡市民の喫煙率も低下傾向にございます。今後とも、受動喫煙防止と禁煙施策を両輪として積極的に推進してまいります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 令和6年の訪日外国人旅行客数はおよそ3,687万人と過去最高を更新しておりますが、そのうち、より大きな観光消費が期待できる欧米豪旅行客の約8割が東京−大阪間に宿泊をしてございます。このような状況を踏まえて、欧米豪旅行者をメインターゲットとして大阪より西エリアに誘客を図っていくことを目的として、自治体や民間事業者など280を超える会員によって西のゴールデンルートの取組を展開しているところでございます。令和7年度は、大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭といった多くの訪日外国人が見込まれる国際イベントが開催されますことから、その機会を捉えたプロモーションを行いますとともに、今後とも、西のゴールデンルートの魅力をさらに高め、エリアを超えた一体的な魅力の発信などに取り組み、西日本・九州が一体となった観光誘客を図ってまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時2分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代)登壇 私は、日本共産党市議団を代表して、我が党の倉元達朗議員の代表質疑のうち、学校給食無償化、体育館の空調整備、不登校問題について補足して質疑を行います。
 まず初めに、学校給食無償化についてです。
 学校給食無償化は、市民の皆さんが請願運動に取り組まれ、さきの市議選では我が党の候補者全員がトップ公約に掲げ、毎年議会でも取り上げてまいりました。昨年の12月議会での市長の前向きな答弁には我が党も歓迎の意を表したところです。しかし、保護者負担の軽減を図るためとしながら、システム改修を理由に2学期へ実施を先延ばしするという答弁でした。具体的にただしてまいります。
 市長は施政方針演説で、学校給食無償化の実施理由を保護者負担の軽減を図るためと言われました。そこでまず、今、物価高騰で子育て世帯がどれだけ大変な思いをしているのか見ていきます。
 厚生労働省の2023年国民生活基礎調査によると、児童のいる世帯の65%が苦しいと答えています。2年前でもこれだけの方が苦しいと感じていたわけですから、この間の物価上昇の痛みは計り知れません。また、NHKの報道では、今年1月の消費者物価指数、米類の上昇率は、何と70%超えと歴史的な高騰になっています。さらに野菜、果物、お菓子など軒並み値上がりしており、消費者物価指数で頻繁に購入する品目の上昇率は6.2%となっています。こういった物価高騰の中、成長期の子どもの食を満たすのは本当に厳しい状況です。私が聞いた子どもが4人いる御家庭では、果物は以前から高級品で買物から除外しているが、今、米が買えず、何を食べさせたらいいのかと途方に暮れていると話されていました。
 お尋ねしますが、このような実態から子育て世帯の経済的負担を軽減することは、まさに喫緊の課題ではないかと思いますが、御所見を伺います。
 2つ目に、給食の質や量についてです。保護者からは、給食無償化を歓迎する一方、質が低下したり、量が減ったりするのではないかという不安の声が上がっています。ニュースサイトのFNNプライムオンラインでは、学校給食無償化に歓迎の声とともに、量が足りないという子どもたちの声や保護者の声を紹介しています。
 そこで、本市の給食単価を見ていきます。本市の給食1食の単価は、小学生で243円15銭、中学生で289円47銭となっており、この間、物価高騰が進んでいますが、2015年から変わらない金額となっています。本市は2022年度から物価高騰分の予算をつけており、今年度予算も物価高騰分12億1,444万円が上乗せをされています。しかし、物価高騰の中、この金額が十分なものなのかが問われています。
 そこでお尋ねしますが、この上乗せによって給食の質と量は保たれているのか、御所見を伺います。
 3つ目は、国の無償化の動きについてです。給食無償化については、教育長は従来国がやるべきものと答弁をされていましたが、まさに今国会で給食無償化の議論が行われています。
 そこで、国の給食無償化の議論についてどのように御覧になっているのか、御所見を伺います。
 質問の第2は、体育館空調整備事業についてです。
 この問題でも我が党は、市民の皆さんとともに学校教室や特別教室へのエアコン設置を毎年求めて、議会でも論戦を行い、実現への道を切り開いてきました。体育館についても、子どもたちの教育活動を保障することと、災害時の避難所でもあることから、気候危機でのCO削減の観点を踏まえ、断熱を施し、エアコン設置をと再三求めてまいりました。我が党の代表質疑に対し、教育長は、断熱を施さずエアコンを設置することで、スピード感を持って実施でき、効果もあるとの答弁でした。しかし、これまで教育長は、断熱がないため空調整備の効果がないということを理由に設置を拒否されてきました。
 そこでお尋ねですが、これまでの答弁と今回の手法には矛盾があると思いますが、御所見を伺います。
 2点目は、整備手法についてです。今回の空調整備はリースで行うとのことです。10年間の維持補修費含め、債務負担行為上限額として136億9,724万円となっています。一方、文科省は学校体育館等への空調整備の加速化について、2024年度に新たな臨時特例交付金を創設しています。空調整備については、断熱があり、リースでないことを条件に2分の1の補助が受けられるようになっています。
 お尋ねですが、今回の整備手法は、国の補助制度を利用せず、市が全て負担する手法なのか、御所見を伺います。
 3点目は、災害時の避難所の電源についてです。能登半島地震をはじめ、これまでの災害の経験で想定されるのは避難所の停電です。避難所である体育館は、停電が発生しても生活に必要な電力供給を継続する対策が求められます。
 したがって、災害時に体育館のエアコンを稼働させるために不可欠な停電対策や電力の確保はどのようにされるのか、答弁を求めます。
 質問の第3は、不登校児童生徒についてです。
 2023年度不登校児童生徒数は5,177人と過去最高となっています。行き過ぎた管理や競争で学校が息苦しい場となっており、子どもたちを学校から遠ざけているこのような要因をなくすべきとの我が党の質問に、教育長は努力をされているかのような答弁をされました。しかし、本市の不登校児童生徒数は増加の一途をたどっています。
 そこで1つ目に、本市の不登校対策についてただしてまいります。新年度予算では、教育委員会は不登校生徒等を対象に特別な教育課程を編成して、4月から教育を実施する百道松原中学校を開校しますが、当初の想定数は40人から60人でしたが、現在97人を受け入れる予定だと伺っています。また、教室に入りづらい児童の学校生活中の見守りを行う教育支援員を現在小学校の28校から40校に拡充するとしています。
 お尋ねしますが、不登校児童生徒数が5,177人もいる中、これらの支援だけでは不十分だと思いますが、御所見を伺います。
 2つ目に、不登校の要因についてです。教育を数値で評価し、競わせる競争主義は、国連子どもの権利委員会から極度に競争的な教育制度が子どもに発達の障がいをもたらしていると、日本政府に対し、繰り返し勧告が行われてきました。全国知事会も都道府県で順位をつけても意味がないと疑問を呈している全国学力テストに、本市は国に対してやめるようにとの意見もせず、参加し続けています。また、不条理な校則など行き過ぎた管理教育もまだまだ見受けられます。
 お尋ねしますが、本市でもこれだけ多くの不登校児童を生み出している背景には、このような行き過ぎた管理や競争の教育があると思いますが、御所見を伺います。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食費無償化についての御質問にお答えいたします。
 まず、昨今の物価高騰については、広く市民生活に影響を及ぼしており、可処分所得の増加など子育て世帯への支援の拡大は喫緊の課題と認識しております。
 次に、学校給食の質と量については、食材料費の物価高騰分を公費で負担することにより、物価高騰下においても保護者の負担を増やすことなく、児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たした給食を提供いたしております。
 次に、給食費無償化に関する国の動きについては、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党で、まずは小学校を念頭に地方の実情等を踏まえ、令和8年度に実現する等の内容が合意されたものと承知しておりますが、一方で、検討が必要な論点も示されておりますことから、引き続き国の動向を注視してまいります。
 続いて、体育館の空調整備についての御質問にお答えいたします。
 空調整備の方針につきましては、これまで学校体育館が大空間であること、また、空調を想定した断熱構造になっていないことから、早期に整備するには様々な課題がある旨申し上げておりました。今年度に入り、他都市の事例を調査する中で、断熱化を実施せずとも人が活動するフロア付近だけを効率よく冷やすことができ、短期間で整備が可能な空調方式の実績を確認できたこともあり、国の補助金は活用せず、速やかに整備に着手することとしたものでございます。
 続いて、不登校問題についての御質問にお答えいたします。
 まず、不登校児童生徒への支援につきましては、全ての市立中学校に校内教育支援教室を設置し、専任の教育相談コーディネーターが支援に当たるとともに、各区に1か所、教育支援センターを設置して支援に当たっております。また、全ての市立学校にスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを配置するとともに、小学校28校には教育支援員を配置しております。さらに、不登校児童生徒が自分のペースで学習できる動画教材の無償提供やひきこもりがちな児童生徒に対する大学生相談員の派遣、ICTを活用したオンラインルームの開設など児童生徒の状態に応じて様々な支援に取り組んでおり、令和7年度には学びの多様化学校を開校するなど今後も支援の充実を図ってまいります。
 次に、学校教育の内容について、行き過ぎた管理や教育の競争が不登校児童生徒を生み出しているという御指摘でございましたが、令和の日本型教育において、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を通して主体的、対話的な学びの実現の必要性が示されております。福岡市においても、子どもを主体とした学びを通して自らの問いや目標を持ち、自ら考え、判断し、行動できる資質や能力の育成に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 体育館の空調整備についての御質問にお答えをいたします。
 避難所における停電対策については、九州電力との災害時応援協定により優先的に電力の復旧依頼を行える体制とするとともに、複数の建設資機材のリース業者との協定に基づき、非常用電源を確保することとしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 教育長は、子育て世帯の物価高騰による生活の厳しさは否定されませんでした。それであるならば、システム改修を理由に給食無償化を先延ばしすることは許されません。子育て世帯は、この物価高騰で食費や教育費の負担の重さにあえいでいます。システム改修を理由に無償化を先延ばしするのは、そのような子育て世帯にさらなる我慢を強いることになります。私は、福岡市よりも人口の多い大阪市の教育委員会に話を伺い、調査も行いました。やはり本市と同じように、給食費の徴収やその他の管理をシステム化しています。そのような中で、コロナ禍の2020年から2022年の3年間、全ての児童生徒の給食無償化を行った後、2023年からも、継続して無償化を実施しています。その大阪市では、システム改修は行わずに毎年暫定対応を行っているということでした。本気で無償化に踏み出すつもりならば、システムの改修にこだわる道理はありません。市長は、給食費無償化を2学期からしかやらないとしていますけれども、給食費は月に小学生で4,200円、中学生で5,000円ですので、1学期の給食費は小学生で1万6,800円、中学生では2万円もの負担となります。
 したがって、あらゆる手段を使って、新年度から学校給食費は無償として子育て世帯を支援すべきと思いますが、答弁を求めます。
 次に、給食の質や量の問題についてです。教育長は、計算の根拠は述べられておりませんが、12億円の予算の根拠というのは、2021年度を100としたときの消費者物価指数で計算して、2025年度との比較では1.2倍だということで、この12億円が追加されているんですけれども、しかしながら、給食の単価というのは、2015年から据置きをされていて、物価はその間も上昇しています。2015年度と2025年度の予測値で比較すると1.26倍となります。市が補?している物価高騰対策の12億円では、1食の単価が小学生では16円86銭、中学生では17円32銭不足しているという計算になります。これを小中学生の人数と年間190回の給食の回数で掛けますと、小学生で2億6,000万円、中学生で1億2,000万円が足りないこととなり、この額を上乗せしなければ量や質の低下が免れないということになります。
 したがって、給食の量と質を確保するためには真に物価高騰に見合う上乗せを行うべきと思いますが、御所見を伺います。
 また、教育長は国の無償化の動向は注視していくと言われました。それによって得られる財源をどう活用するかが問われています。本来、食材費の不足は行政として補うべきところですが、これを十分やってこなかったために、食材の質の低下や分量を減らして対応してきた実態があります。子どもや保護者からは、材料の豚肉が鳥肉になったり、量が少なくて元気が出ないなど空腹が満たされていないこと、また、大好きなデザートメニューの回数が減ったりしていると、そんな声が聞かれています。一刻も早く改善すべき事態です。
 さらに今、学校給食に求められているのは、農薬や化学物質の使用が少なく、安心、安全であるオーガニック食材の活用です。政府も、2050年までに有機農業の耕作地を25%にするとして取り組んでおり、全国で100を大きく超える自治体がこの取組に参加をしています。その自治体の9割が有機食材を学校給食に活用しています。大阪府泉大津市と北海道旭川市は共同でこの取組を行っていて、旭川市で栽培された有機米が泉大津市の小中学校の給食に提供されています。このような取組にこそ学んで、再来年度見込まれる国の給食無償化に伴って浮く財源も活用して、給食の質や量の向上を行うべきです。
 したがって、本市は今回の給食無償化と併せて質も高めるべきだと思いますが、御所見を伺います。
 質問の第2の体育館空調整備事業についてですけれども、これまで断熱がないので空調効果がないという理由で空調整備してこなかったことについては矛盾がないかのように言われましたけれども、しかし、教育長の答弁は明らかに矛盾しています。結局これまでの答弁は、空調整備をやらないための言い訳だったということになります。断熱を施しているかいないかで、効果に差があることは明らかです。2019年から2020年にかけて、断熱を施していない学校体育館と断熱改修を施した体育館の効果の差を調査した東京都市大学の岩下剛教授の報告があります。これによると、断熱のない体育館は断熱のある体育館に比べ室温の低下が少ないということを結論づけています。さらに文科省は、空調整備の効率的な整備の工夫についてとして、体育館の断熱、遮熱対策について、断熱性確保による電気代削減効果案の試案も示して、年数が進むほどに電気代の削減になるとして断熱を施すことを推奨しています。さらに、教室等の環境に係る学校環境衛生基準では、健康を保護する上で室内の温度は17度以上28度以下であることが望ましいとされています。
 お尋ねしますが、断熱を施した体育館とそうでない体育館では空調の効果と電気代の経費に差が生じるのではないかと思いますが、御所見を伺います。あわせて、今回の整備手法で学校環境衛生基準で示されている温度を保つことができるのか、答弁を求めます。
 空調整備の手法について、全て本市の負担で行うということですけれども、では、現存する国の補助制度を活用した場合どうなるか、見ていきたいと思います。
 先ほど述べたように、リースで一括発注で行う今回の整備手法は、今年度3,914万4,000円、さらに2026年度から2037年度までの10年間で136億9,724万円の財政負担が生じます。一方、国の補助金を使った場合ですが、昨年の予算議会で我が党の堀内議員の補足質疑に対し、教育長が1体育館当たり空調設置と断熱化改修を合わせて6,600万円だと答弁されています。ですから、227の小中学校に6,600万円の設置工事を行ったとしても、本市の負担は約75億円で、できることとなります。
 そこでお尋ねしますが、今回の整備の財政負担について、国の補助金を活用するやり方との比較検討は行われたのか、答弁を求めます。
 災害時の電源については、今後検討されていくとのお話でした。よくあなた方は、いざというときは民間が持ってきてくれると言われますけれども、同じように民間と協定を結んでいたのに道路の寸断などで長期にわたり必要な物資が届かなかったのが昨年の能登半島での地震災害でした。避難所である体育館に停電に備えた非常電源を確保しないというのは、無責任です。せっかく空調を整備しても、使えなければ意味がありません。
 そこでお尋ねしますが、避難所となる体育館だから空調整備すると言いながら、災害時の停電の備えがないのは不十分ではないかと思いますが、答弁を求めます。
 質問の第3の不登校問題についてですけれども、不登校児童数の規模から支援が不十分ではないかという質問に、教育長はいろいろとやっているように答弁をされました。しかし、いまだその数は増え続けています。百道松原中学校は、既に想定の倍の人数を受け入れざるを得ない状況で、新年度拡充するという教育支援員についても、雇用契約によらない有償ボランティアという低い処遇で配置するもので、現状に見合った対応とは到底言えません。
 そのような中、不登校児童生徒の受皿になっているのがフリースクールです。本市では、校長の許可の下になりますけれども、フリースクールへの出席が学校出席となります。フリースクールは、学校に通えない子どもたちにその子に応じた場所をつくっている極めて重要な教育インフラとなっています。しかし、フリースクールに通うためには高い学費を払う必要があり、月5万円で年間60万円という負担をされている御家庭もあります。また、運営側にも経営に苦しんでいるという現状があります。
 そこでお尋ねいたしますが、公的に不十分な不登校児童生徒の受皿になっているフリースクールへの支援は新年度予算で計上されているのか、御所見を伺います。
 不登校児童生徒数が増えている要因について尋ねたところ、教育長はごまかされておりますけれども、不登校児童生徒の深刻な状況に向き合ってほしいと思います。教育を競争と管理でゆがめたままでは、子どもの不登校は増えるばかりです。本市はその反省もなく、策定中の第3次教育振興基本計画案の中で目指す人間像、こんな人になってほしいとして、自分の可能性を信じ、様々な変化や困難に主体的に向き合い、他者と力を合わせ、豊かな人生やよりよい社会を切り開く人として、身につけてほしい力を示し、その下に基本方針として施策を策定しています。これは教育行政の側から、このような人になりなさいと理想を押しつけるものです。チャレンジしたくてもできずに苦しんでいたり、傷ついている人もいます。こういった本市の姿勢が子どもたちにストレスを与えて、不登校児童生徒の増加につながっているんです。本市の教育行政も子どもや教員の側に理想を押しつけるのではなく、子どもの人格形成を第一に考える教育こそ実践すべきです。
 したがって、第3次教育振興基本計画案の目指す人間像という一方的な主観の押しつけでは、不登校児童生徒問題は解決するどころか、ますます子どもたちを追い込み、不登校対策に逆行するのではありませんか、御所見を伺います。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食費無償化についての御質問にお答えいたします。
 まず、学校給食費の無償化への対応につきましては、福岡市では大阪市と異なっておりまして、給食費の徴収に関する各種システムの改修が必要でありますことから、無償化に直結するプログラムを先行して改修するなど段階的に改修を進めることにより、2学期からの無償化を実現することとしております。
 次に、学校給食の質と量につきましては、令和3年度までは一部の食材費に上昇傾向が見られたため、価格が特に高い食材については代替の食材に切り替えるなど、献立内容や物資調達の工夫を行ってきたところでございます。令和4年度以降は、さらに給食食材の物価高騰分を公費負担し、児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たすとともに、博多和牛など地元食材の活用や郷土食、行事食の提供などにも取り組んでおりまして、物価高騰下にあっても献立の工夫も行いながら、引き続き安全、安心でおいしい給食を提供してまいります。また、今後の国の無償化実施の有無にかかわらず、学校給食の質と量につきましてはしっかりと確保してまいりたいと考えております。
 続いて、体育館の空調整備についての御質問にお答えいたします。
 まず、今回想定しております空調方式の効果等につきましては、断熱化がなされていない体育館においても所定の効果があり、学校環境衛生基準を満たす能力があることを他都市の事例で確認いたしております。また、電気代につきましては、文科省が一定の条件で行った試算によりますと、断熱性ありの状態で1体育館当たり年間140万円とされておりますが、他都市の事例においては、人が活動するフロア付近だけを効率よく冷やすことと消費電力が少ないことから、当該試算よりも低減できております。
 次に、国の交付金の活用につきましては、断熱化を行うことが要件となっているため、交付金を活用したとしても本市の負担はより多額となります。また、断熱化の工事を行う場合、1校当たりの整備に長期間を要し、受注できる事業者数も限られることから、短期間で全学校を整備できる手法を採用することが適切と考えております。
 続きまして、不登校問題についての御質問にお答えいたします。
 まず、フリースクールの支援とその予算措置につきましては、福岡県が財政的な支援を実施しておりまして、福岡市ではフリースクールに通う児童生徒に動画教材を提供するなど連携を図ってございます。また、現在、保護者に対してフリースクールの授業料を助成している政令市はなく、福岡市では令和6年度に教育支援センターの設置を全区に拡大し、令和7年度には学びの多様化学校を開校する等、不登校児童生徒の学びの場の確保に取り組んでおります。
 不登校の要因につきまして改めて申しますと、文部科学省の分析によりますと、保護者の学校に対する意識の変化やコロナ禍の影響による登校意欲の低下、特別な配慮を必要とする児童生徒に対する早期からの適切な指導や必要な支援に課題があったこと等が背景にあるとされておりまして、福岡市においても同様であると考えております。
 次に、第3次教育振興基本計画で示す目指す人間像につきましては、教育基本法や学習指導要領の趣旨を踏まえ、さらに福岡市の基本計画との整合性に鑑み、変化が激しく、複雑で将来の予測が困難な時代において、福岡市の子どもたちが未知の環境や変化を前向きに受け止め、豊かで幸福な人生を送り、持続可能な社会のつくり手となることができるよう示したものでございまして、行政の主観を一方的に押しつけるものではございません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 体育館の空調整備についての御質問にお答えをいたします。
 避難所における停電対策については、九州電力への優先復旧の依頼のほか、災害時応援協定による非常用電源の確保に向け、あらかじめ必要となる電源容量を把握し、協定先となる各リース業者の保有状況を確認するなど関係者と連携をしながら、より確かな備えとなるよう取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 教育長は、子育て世帯の窮状を認めつつも、結局いろいろと言い訳をされて、4月からの給食無償化を行わない姿勢に固執をされました。未曽有の物価高騰の中、本当に冷たい態度です。そもそも義務教育は無償であり、給食は食育という教育の一環です。ですから、もともと給食無償化はもっと前にも必要であったと思います。この急激な物価高騰で、まさに喫緊の課題になっています。また、物価高騰で食材が軒並み値上がりする中、給食の質や量が低下して、子どもたちに負担を押しつけている。これは認められましたよね、一部代替に切り替えていると。結局食材の質を落としてやってこられたということなんです。そういった物価高騰に見合った適正な上乗せで量の確保を行って、そして、質の確保についても、今、全国に広がりつつある有機食材の活用などで子どもたちに安全な食材を確保すべきです。教育長はここ数年、市民から寄せられた給食無償化を求める請願署名に対しても、あれこれ理由をつけて、かたくなに拒否をされてきました。厳しく反省し、直ちに実施する責任があります。
 したがって、給食の質と量の適正な確保を行い、給食無償化の4月からの実施については、システム改修を言い訳に先延ばしせず、あらゆる手段を尽くして行うべきだと思いますが、教育長の答弁を求めます。
 また次に、体育館空調整備事業について、教育長は他都市で効果が認められると言われましたけれども、私が伺った学校環境衛生基準に適合するのかと、その室温は守られるのかという問いには答弁をできませんでした。また、断熱はなくとも空調の効果はあると答弁されましたけれども、断熱がないことを理由にエアコン設置を拒否してきた今までの答弁がいかにいいかげんなものだったのか、自ら白状されました。しかし、結果的には高くつく疑念が拭えません。本市では、過去に共産党市議団が求め続けた教室へのエアコン設置について、かたくなに拒否をし、その場しのぎで扇風機を設置したことがありましたが、全く無駄なものになりました。今回の断熱なしの空調方式では効果が薄く、費用もかさみ、扇風機の二の舞になりかねません。結局教育長は、断熱が必要、多額の費用がかかるとしてこれまで拒否してきたものを、断熱は要らない、136億円かかっても構わないと、これまでの答弁を180度転換されました。教育長がこんな無責任なことでいいのか、厳しく問われますよ。エアコンのリース業界からの特段の働きかけでもあったのではないかと疑念を生じさせることにもなります。災害時に安心して利用できる担保もない、これは真に市民が望む学校体育館の空調整備とは別のものです。
 したがって、税金を使って整備する学校体育館の空調については、教育長も市長も度々答弁してこられたように、断熱を施した上で真に効果のあるものにするべきだと思いますが、教育長の答弁を求めます。
 教育長は、フリースクールへの予算計上は県がやっていると、市はないと答弁をされました。また、第3次教育振興基本計画案は適正だとも強弁をされました。しかし、今ただしてきましたように、そもそも不登校の要因をつくってきたのは行き過ぎた競争と管理教育だということは、国連からも勧告され、研究者や教育の現場からも、その弊害が指摘され続けてきていることでも明らかです。何より、全国的な不登校児童生徒の増加が子どものSOSであることを物語っているのではないでしょうか。この不登校の要因をつくってきた教育行政が子どもたちの教育権を奪っていると私は思います。教育を保障するというのは、第3次教育振興基本計画案で掲げる理想を押しつけるものではなく、子どもたちの発達する権利、教育を受ける権利を保障していく義務を遂行することです。
 したがって、不登校児童生徒の受皿となっているフリースクールの運営並びに保護者負担の軽減のために補助を行うべきと思いますが、教育長の答弁を求めます。また、子どもたちを学校から遠ざけている要因である競争教育や管理主義を改め、子どもの権利条約や日本国憲法に則した子どもの人権を守る学校教育への転換こそが図られるべきだと思いますが、最後に教育長の答弁を求め、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食費無償化についての御質問にお答えいたします。
 給食費を管理するシステムについては、児童生徒及び教職員等を合わせて約13万人分の給食費をそれぞれの状況に応じて個人単位で管理いたしております。システム改修を行わない場合、無償化する児童生徒と引き続き給食費を徴収する教職員等との区分けや、これまでの給食費滞納に関する事務を全て手作業で行う必要が生じるため、システム改修による事務の効率化は不可欠であると考えております。本来は改修に1年程度の期間を要するところを、改修を段階的に実施することにより2学期から無償化を開始できるようにいたしております。なお、学校給食の量と質については、引き続き児童生徒に必要なエネルギー量や栄養素量を満たす安全、安心でおいしい給食を提供してまいります。
 続いて、学校体育館の空調整備についての御質問にお答えいたします。
 断熱化を伴う整備につきましては、設計、施工で1校当たり2年程度を要すること、また、現況から見て、全校整備には15年以上を要することから、早期整備は実務上困難と考えております。そのため、断熱化を実施せずとも人が活動するフロア付近だけを効率よく冷やすことができ、短期間で整備が可能な空調方式を採用して、速やかに整備に着手することとしたものでございます。
 不登校問題についての御質問にお答えいたします。
 まず、フリースクールへの支援とその予算措置につきましては、先ほどの答弁の繰り返しになりますが、福岡県が財政的な支援を実施しておりまして、福岡市ではフリースクールに通う児童生徒に動画教材を提供するなど連携を図ってございます。
 次に、学校教育を転換すべきとのおただしにつきましても、先ほどの繰り返しになりますが、中教審で示されました令和の日本型教育において、全ての子どもたちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実を通して主体的、対話的な学びの実現の必要性が示されてございます。福岡市においても、子どもを主体とした学びを通して自ら問いや目標を持ち、自ら考え、判断し、行動できる資質や能力の育成に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、尾花康広議員による代表質問を補足して、生きる力を失わせないためのレスパイト事業に向けて、みんなが喜ぶ地域保育に向けて、これからのインフラ老朽化対策について、以上3点について質問いたします。
 まず、医療的ケアを必要とされる方の御家族に対して、生きる力を失わせないためのレスパイト事業に向けてと題して伺います。
 レスパイトとは、息抜き、休息などを意味する言葉です。ケアに当たる御家族は24時間365日の営みであるため、疲弊していきます。病状によっては一生を通しての営みともなるため、御家族は休息を挟みながら心と体をいたわることが大切になるのですが、実際には1年のうちにたった数日、場合によっては全くレスパイトを利用できないまま、ケアに当たっておられる御家族もいるのが現状です。そうした中で、本年1月に福岡市博多区で医療的ケアの必要なお子様の呼吸器が外れて亡くなっており、一緒にいたお母様も同じ部屋で薬を大量に服薬されて倒れていたという大変痛ましい事案が発生してしまいました。お亡くなりになられたお子様の御冥福を心よりお祈り申し上げます。一命を取り留められたお母様が、日々全てをささげてケアに当たる我が子との間でどれほどの苦悩と葛藤に苦しんでこられたのか、その胸中をとても計り知ることはできませんが、御家族のケアに向き合っておられる皆様に対し、このように生きる力を失わせてはいけないとの思いでお尋ねいたします。
 医療的ケアは、18歳までのケア児と18歳以降のケア者とで対応局が異なります。
 まず、ケア児について、御家族に寄り添った支援ということを考えますと、今後は医療的ケア児等コーディネーターの存在がさらに重要になりますが、現在の配備状況とサポートを希望される御家族が全員受けられる体制になっているのか、拡充の途中であるとしたらどのような計画になっているのか、伺います。
 また、コーディネーターという存在の周知と、その裾野を広げ、私もコーディネーターになってみたいと感じさせる取組が必要かと思いますが、どのように進められているのかについても、伺います。
 公明党市議団としては、以前にも質問を重ね、医療的ケアが必要な方の受入れ事業所に対して課題把握のために実態調査を要望し、実施していただきました。資料1を投影してください。(資料投影)現在、本市のホームページに掲載されている内容を基に作成した資料になります。この調査結果によると、医療的ケアを提供する上での課題として、医療的ケアを実施できる職員の確保が難しいが71.9%、次いで利用者を受け入れるための設備、機器等を設置、所有していないまたは不足しているが58.2%と高くなっています。投影ありがとうございました。
 この2つの課題に対して本市の取組状況を伺います。また、その取組により見込まれる成果についても、お示しください。
 2つ目のテーマ、みんなが喜ぶ地域保育に向けて伺います。
 国の基準に基づけば、本市の保育における待機児童は2年連続ゼロであります。しかし、このゼロは、預け先に悩む親御さんがゼロと同じ意味ではありません。現実的、体力的に通える施設に全て申し込んでも入所できないため、職場復帰を諦めている方や、このままだと仕事に復帰できずに生活ができないといった保護者の声が寄せられることも多いのです。局所的ではありますが、保育先と家族のニーズの不一致が生じている問題に対し、具体的な解決策を求めて質問いたします。
 まず、児童を受け入れるためには保育士の確保が必要ですが、保育園や保育士の処遇に対する本市の助成について、その内容と事業費についてお示しください。
 続いて、現在の支援内容について、希望する保育園全てに入れなかったが、仕事をしないと生活ができない世帯などに向け、どのように対応されているのか伺います。
 また、先ほど述べたように、保育園の受入れ数と申込み数について、現状では一部地域で保育のニーズの不一致が発生していますが、本市の今後の対応策について伺います。
 一方で、博多区では急遽閉園する施設もありました。突然預け先をなくした保護者の皆様のため、最後の一人まで預かり先を探して奔走された職員の皆様の御苦労がしのばれますが、今後は同様の事案が生じないようにしなくてはなりません。経営が厳しいと御相談の保育園があれば、本市としてどのような対応をされているのか、伺います。
 3つ目のテーマ、これからのインフラ老朽化対策について伺います。
 本年1月28日、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、私たちに一番身近で一番大切な課題を突きつけてきました。本市も2016年に博多駅前道路陥没事故を経験しました。幸い人命救出がなく、島市長自ら先頭に立たれて対応され、異例のスピード復旧で、世界的にニュースにもなりました。
改めて市民の生活維持の観点からお尋ねします。
 本市の陥没対策に関する道路、下水道管、水道管の点検頻度と点検方法について、それぞれお示しください。
 また、それらの点検結果等を基に道路では様々な工事を実施していると思いますが、地域住民から同じ場所を何度も工事しているのではないかといったお声が寄せられることもあるため、工事に関してどのような情報共有や調整がされているのか、お尋ねします。
 あわせて、先進的な技術による点検方法や本市として工夫している仕組みがあれば御紹介ください。
 今後、本市の下水道管でどれくらいの長さの交換と費用が必要なのか、どのような改修計画なのか、お示しください。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) まず、レスパイト事業についての御質問にお答えいたします。
 市内には、障がい福祉サービス等の利用のための計画作成を行う指定特定相談支援事業所が179か所ございまして、70か所に医療的ケア児等コーディネーターが配置されております。サポートを希望する御家族にきめ細かな支援を提供するためには、より多くの事業所に医療的ケア児等コーディネーターが配置されていることが望ましいと考えておりまして、今後とも、県と協力してその養成に努めてまいります。
 次に、コーディネーターの周知と裾野を広げる取組といたしまして、県が主催する医療的ケア児等コーディネーター養成研修とは別に、福岡市の主催で、事業所等で医療的ケア児等の支援に関わっている方や今後関わることを考えている方を対象に支援の基礎知識を内容とする医療的ケア児等支援者養成研修を実施しております。受講者の募集は、相談支援事業所や保育所、学校等への通知、市のホームページや市政だよりを通じて広く周知をしております。また、市の養成研修を修了した方に対して県の養成研修を御案内し、受講を推奨しております。
 次に、保育に関する御質問にお答えします。
 保育所の運営につきましては、国の公定価格制度に基づく給付や延長保育などの国庫補助を活用した助成に加え、福岡市では保育所で働く保育士の確保につながるよう、独自に勤続手当や家賃助成、奨学金返済支援など保育士の処遇改善に必要な助成を行っております。福岡市で実施する保育士の処遇改善に係る事業費は、令和7年度当初予算で7億6,538万円余となっております。
 次に、希望する保育所に入所できなかった世帯への対応でございますが、各区の子育て支援課において、子育て支援コンシェルジュが利用世帯の状況に応じ、保育所と同様のサービスを提供する幼稚園や企業主導型保育事業等の情報に加え、保育料の無償化に係る情報提供などきめ細かな相談対応を行っているところでございます。また、保育所の空き情報が簡単に検索できるインターネット上の地図サービスを活用しました保育所空きマップを作成するなど情報発信にも努めております。
 保育所に入りづらい状況となっている地域においては、既存施設の増改築のほか、幼稚園の認定こども園への移行など、多様な手法により保育の受皿確保に取り組んでまいります。また、各保育施設と連携を密にし、ニーズに応じて施設の基準上可能な範囲で受入れ枠の拡充を依頼するなどの対応を行ってまいります。
 次に、保育園の経営に関する相談の対応につきましては、単年度決算で赤字となった保育所については、決算関係書類を基に保育所委託費の運用などについて、市が委託した税理士により専門的な分析を実施し、課題がある場合など必要に応じて適切な助言を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) レスパイト事業についての御質問にお答えいたします。
 医療的ケアを提供する上での2つの課題への取組でございますが、まず、職員の確保につきましては、令和5年度に障がい福祉事業所における看護師の業務を紹介する動画を制作し、事業所において職員募集などに活用されております。
 受入れのための設備、機器等については、6年度から生活介護や短期入所を行う事業所に対し、喀たん吸引器や移乗サポートロボットなどの購入費用の補助を行っており、6事業所において、医療的ケアが必要な方など37名を新たに受け入れることができる見込みとなっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) インフラ老朽化対策に関する御質問についてお答えいたします。
 まず、道路の点検につきましては、道路パトロールと路面下空洞調査を実施しており、道路パトロールにつきましては、幹線道路を月2回以上、生活道路を年1回以上の頻度で職員による目視確認を実施しております。また、路面下空洞調査につきましては、重要な幹線道路で年間約100キロメートル、生活道路で年間約80キロメートルにおいて、地中レーダーを搭載した空洞探査車による調査を実施しております。
 下水道管につきましては、目視による点検を年間約500キロメートル実施しております。点検頻度につきましては、合流地区では1年から3年ごと、分流地区ではおおむね10年ごと、腐食のおそれが高い箇所では5年ごととしております。また、下水道管の詳細調査につきましては、下水道管内にテレビカメラ車を走行させて点検する方法で、敷設年が50年を経過した下水道管を優先的に調査しており、年間約70キロメートル実施しております。
 次に、工事の情報につきましては、一般財団法人道路管理センターが運営する道路管理システムにより、水道、下水道のほか、電気、ガス等を整備する各公益事業者相互で共有がなされております。また、福岡市が設置する道路占用工事調整協議会を通じて、各公益事業者に対し、より効率的な工事の実施に向けて工事箇所や工事期間の調整を働きかけております。
 次に、先進的な技術による点検方法につきましては、空洞発見能力や精度などの技術力の高い事業者による路面下空洞調査や、下水道管内を自走式テレビカメラや浮流式テレビカメラにより調査を実施しております。工夫している仕組みなどにつきましては、路面下空洞調査等の結果を区役所へ共有することに加え、下水道管の清掃業務と合わせた目視点検を実施することで広範囲の点検を行っております。また、LINEによる道路損傷報告機能の構築や道路の傷みカードの配布など、市民や企業から道路損傷等を通報していただけるよう見守りの目を増やす取組を実施しております。
 最後に、下水道管の改築工事につきましては、点検、調査の結果を踏まえ、計画的に実施しており、現在検討中の令和7年度から4年間の実施計画である下水道経営計画2028において、下水道管の改築更新延長を144キロメートル、事業費を約406億円として計画しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 下川水道事業管理者。
○水道事業管理者(下川祥二) インフラ老朽化対策についての御質問にお答えいたします。
 水道局におきましては、配水管総延長約4,100キロメートルのうち、布設状況や使用年数などを踏まえ、毎年度、約3,000キロメートルの配水管と附随する給水管について音聴棒による漏水調査を計画的に実施しており、漏水を早期に発見することで陥没被害の未然防止に努めております。
 次に、水道管の点検における先進技術の活用につきましては、従来からの漏水調査に加え、令和6年度から人工衛星画像を活用した漏水リスクエリアの絞り込みや漏水を検知できるIoTセンサーでの継続的なモニタリングを行うなど、さらに効率的、効果的な調査を実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 2回目の質問に入ります。
 生きる力を失わせないためのレスパイト事業に向けて、コーディネーターについては、本市として医療的ケア児等支援者養成の実施で裾野を広げ、県の事業である医療的ケア児等コーディネーター養成研修修了者の拡大につなげるというお考えだと分かりました。ただ、県における研修修了で終わりにしてはもったいないと思います。
 医療的ケア児等コーディネーターに継続的なスキルの研修や、コーディネーター同士の情報共有やネットワーク体制、緊急時の対応など、県における研修修了後も本市が積極的に関わり、よりコーディネーターが自信を持ってレスパイトの必要な御家族への寄り添いができる体制を構築すべきと考えます。御所見を伺います。
 また、医療的ケアが必要な方を受け入れるため、事業所が設備や機器を準備するための支援については令和6年度からスタートしたということで、受入れ人数の拡大も見えてきていることから、引き続き周知とともに、希望する事業所へ実施していただくことを要望します。
 また、実態調査の中で、事業所から行政への要望には医療的ケアが必要な方に関する相談窓口という項目も高い割合で示されておりました。この相談窓口の体制整備についても、御所見を伺います。
 そして、この実態調査で一番の課題は看護師の体制や確保とされており、その解決が望まれています。医療的ケアが必要な方の家族が急病などの緊急時には短期入所を利用できます。対する受入れ事業所は、夜間も含め、看護師など医療的ケアができる人材を配置することが必要になります。事業所はそういった体制を整える必要がありますが、障がいの事業所は規模が小さく、病院でも看護師の確保が難しい状況であるのに福祉事業所で確保する場合はなおさらです。今のままでは看護師の確保の課題解決が進まないと考えられます。少しでも確保できるように支援していくことが必要だと思われます。
 そこで提案ですが、せめて緊急時に対応できる体制を確保するための支援方法をモデル的にでも検証していく必要があるかと思いますが、御所見をお尋ねします。
 2つ目のテーマ、みんなが喜ぶ地域保育に向けて、御答弁いただきました現在行っている細やかな相談対応や施設の増改築並びに受入れ枠の拡充についても、ぜひ進めていただけますようお願いします。
 今、子育て世帯から保育先に高まっているニーズは、地域で預けられないかということです。一見わがままなお話に聞こえるかもしれませんが、産後の体での送迎に加えて仕事に復帰していく不安や、子どもに何かあったときにすぐ駆けつけたいなど様々な理由があります。一方、児童が減少している幼稚園のお話も伺ったことがあります。今後、少子化の中で幼稚園も経営に影響を受けていくことは間違いないと考えます。幼稚園、保育園などが共に地域保育に協力し合えるかは、行政側からの徹底したヒアリングと受入れ課題に対する提案にかかってくると考えますが、いかがでしょうか、御所見を伺います。
 具体的な対応策の要望もいたします。先ほどの御答弁の中で、課題解決のために動いていただいていることは理解しております。ただ、多くの幼稚園で夕方までの預かり保育を実施しており、1歳や2歳児の受入れを行う幼稚園、小規模保育所と連携しているなど保育機能を補完できる幼稚園もまだあるのではないかと考えられます。本市では、幼稚園3歳未満児受入れ促進事業も行っていますが、本市のホームページで受入先を確認したところ、まさに私が多数御相談いただいた地域の幼稚園が抜け落ちています。
 一部の地域で生じているニーズの不一致について、幼稚園の余裕教室なども活用させていただけるよう働きかけていただき、新しい受皿の確保に取り組むとともに、保育所空きマップなどを活用し、それぞれの保護者が各世帯の状況に応じてどの施設が利用できるのかなど、もっと分かりやすい情報発信をすべきと考えますが、御所見を伺います。
 3つ目のテーマ、これからのインフラ老朽化対策についてですが、御答弁によれば、下水道管の改修計画だけを尋ねても4年間で144キロ、事業費約406億円という大きな金額でありました。そうした中で、傷みカードによる道路損傷などへの通報体制に加え、パトロール、下水道管のテレビカメラによる確認、人工衛星による漏水チェック、レーダーによる空洞確認など、本市が先進的な点検、調査に取り組んでいることは大変心強いことであると感じております。
 一方で、八潮市の例でいくと、現在5年に1回以上という下水道点検基準において、検査後3年の事故であったことが指摘されています。老朽化が進行すれば、今後3年に1回以上など検査の頻度や内容を見直す必要があるとの声も上がっています。老朽化していく中で、いかに早く異変を発見し、いかに早く対応していけるかが、事故防止の意味でも財政負担を抑える意味でも大変重要になります。現在、本市は市民からの道路の損傷などに関する通報は年間1万件を超え、LINEによる通報も増えてきておりますが、いまだに道路の損傷などがあったときに通報できる仕組みを知らないという方がいることも事実であります。自治会長、町内会長が地域の方から道路損傷などの連絡を受け、道路状況を確認に行かれて通報していただくというお手間を取らせている場合もあります。
 そこで、この通報の仕組みを学校など教育現場で伝えたり、防犯灯、行政灯、できれば電信柱なども活用して、LINEの通報用QRコードや電話番号を載せて、道路の損傷などの異変があった際に、いつでもその場から気づかれたその市民が通報できる周知方法も検討してはどうかと考えますが、御所見を伺います。
 また、技術力のある人材の確保という観点も重要です。資料2を投影してください。(資料投影)本市の技術職員の採用試験、過去5年の競争倍率になります。本市も年々倍率が落ちてきており、倍率が1倍に近くなっているものもあることが分かります。投影ありがとうございました。
 そこで、今後適切な維持管理を行っていく上でも、一定の有資格者を採用する枠を設けることや、採用後に資格取得も含めた技術力向上のための支援策を設けることなど検討してもよいのではないかと考えますが、御所見を伺います。
 そして、生産年齢人口が減っていく中でも質の高い行政サービスが維持できるよう、公民連携ワンストップ窓口、mirai@など本市独自の取組を通して、新しい民間技術や産学官連携のアイデアなどを積極的に取り入れていく必要があると考えますが、御所見を伺います。
 さらに、インフラ老朽化対策を着実に実施していくためには、昨今の物価高騰などによる工事事業者への影響を踏まえ、材料費や人件費などの上昇を反映した工事費の設定や施工時期の平準化などにより入札不調を起こさせない取組も必要と考えますが、御所見を伺います。
 以上で2回目の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) レスパイト事業についての御質問にお答えいたします。
 医療的ケア児等コーディネーターがそのスキルを発揮し、医療的ケア児やその御家族などの状況に応じた支援を提供できるよう、コーディネーター同士や医療的ケア児等受入れ事業所と相互に協力し合える関係をつくっておくことが重要であると考えております。そのため、福岡市では、コーディネーター同士の課題等の情報共有をはじめ、関係事業所との意見交換を行うネットワーク会議を開催しております。今後とも、御家族に寄り添った支援ができるよう地域のネットワークづくりに取り組んでまいります。
 次に、保育に関する御質問にお答えいたします。
 保育や子育て支援に係るニーズが多様化する中で、より子育てしやすい環境となるように関係団体との意見交換や各施設からのヒアリングに努め、施設が抱える課題への対応や、より地域のニーズに応じたサービスの提供について助言を行うなど支援を行っていくことが重要であると考えております。
 保育の受皿の確保につきましては、既存の保育施設に加え、幼稚園においても乳児の預かりを実施していただけるよう補助制度の活用を各園に積極的に促すなど、関係団体とも協力しながら取り組んでまいります。また、保護者が保育所に加え、幼稚園や企業主導型保育施設など、多様な選択肢の中から世帯の状況に応じ最適な施設を選択していただけるよう、より分かりやすい情報発信について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) レスパイト事業についての御質問にお答えいたします。
 事業所の支援は重要であり、医療的ケアに関する事業所の相談窓口につきましては、福祉局において制度などの基本的な相談に対応するとともに、障がい者基幹相談支援センターにおいて、社会資源の活用や事業所間の連携などの相談に対応しております。また、さらに専門性が必要な場合には、福岡県医療的ケア児支援センターなど、より適切な相談機関を案内しており、今後とも、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、医療的ケアが必要な方の緊急時の短期入所については、受入れ可能な事業所を増やしていくことが大変重要であると考えており、既に受入れを行っている事業所に運用上の課題の聞き取りなどを行い、体制確保に向けた支援について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) インフラの老朽化対策に関する御質問にお答えいたします。
 市民等への通知の周知につきましては、現在、学校や公民館、民間事業者などへ道路の傷みカードの配布や福岡市ホームページなどでの掲載に加え、新たな取組として、LINE通報のQRコードを掲載した通報案内板を道路照明灯に設置しているところでございますが、道路の安全を確保するためにはより多くの見守りの目を増やすことが重要であると認識しております。そのため、今後も市民の皆様をはじめ、より多くの通報をいただけるよう、様々な周知方法について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 技術力のある人材の確保についてお答えいたします。
 技術職の採用については、資格や実務経験を有する社会人経験者の採用等を強化してまいります。資格取得も含めた技術力向上については、実務に即した研修の実施、国土交通省や福岡県の研修機関等への派遣、指導体制の充実によるOJTの強化など、今後とも、組織的かつ体系的に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 新しい民間技術等の活用についての御質問にお答えいたします。
 公民連携ワンストップ窓口、mirai@では、民間企業等が持つ先端技術やアイデアを活用し、社会課題の解決や行政サービスの効率化に取り組んでおりまして、平成30年5月の開設以降、相談、提案は1,100件を超え、うち約200件の実証実験等を実施してきたところでございます。社会情勢が変わる中においても質の高い行政サービスを持続的に提供していけるよう、引き続き関係局と連携しながら、新しい技術やアイデアの活用に向けた支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 入札不調に関するお尋ねにお答えいたします。
 入札不調に関する対策につきましては、労務費や建設資材、燃料等の価格が上昇している状況を踏まえ、資材価格の調査頻度を上げるなど、可能な限り直近の実勢価格を工事価格に反映するとともに、早期発注やゼロ債務負担行為及び予算繰越しの活用による施工時期の平準化に努めているところでございます。また、工事の発注状況等を勘案し、より競争性が高まるよう、適切な入札参加資格の設定や入札公告時期の調整、指名業者数を増やすなどの取組も併せて行ってございます。今後とも、入札の競争性や受注機会の公平性の確保にも十分配慮しつつ、工事の発注状況や物価上昇などの市場動向も注視しながら、入札不調の抑制に努めてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) たのかしら知行議員。
○17番(たのかしら知行) 3回目に入ります。
 生きる力を失わせないレスパイト事業に向けて、コーディネーターの方が現場で不安にならないよう、研修終了後のスムーズな体制づくりこそ市の役割と受け止め、ケア児からケア者まで寄り添う力を発揮していただけるよう切に願います。また、緊急時に対応できる支援モデルについて御答弁いただきましたが、生命を守る仕組みとして、早期実施へ何とぞよろしくお願いします。
 医療の進歩によって、以前であれば失われていた命が助かるようになりました。一方、家族にとっては長く終わりの見えない、自身の全てを犠牲にしても力尽きてしまうような苦しいケアが続いていく現実があります。その心に寄り添っていく支援の構築と、事件や事故のときだけではなく、もっと社会全体で関心を持ち、受け止める体制が必要であることは間違いありません。国、県、市でこれからも取り組むべき課題であり、この問題へ専門的知見で長年取り組んでこられた荒瀬副市長に御所見をお伺いします。
 2つ目のテーマ、みんなが喜ぶ地域保育に向けて、地域の課題に対し様々な声がありますが、まず、地域保育という点で未来のために強化を図ることは重要であると考えております。保育の預け先が見つかっても、仕事と遠くへの送迎で疲れ果てて子どもの生まれた幸せを忘れてしまう、親は子どものために自分の人生やキャリアは諦めないといけない、そんなことがないように、さらに心を配れる本市であってほしいと願います。福岡市は、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市」を目指してまいりました。
 子育て支援へ常に心を傾けてこられた島市長にみんなが喜ぶ地域保育に向けて御所見をお伺いします。
 3つ目のテーマ、これからのインフラ老朽化対策については、技術力のある人材の確保と工事事業者の協力が不可欠です。この問題は、生産年齢人口が減る中で日本全体の課題でもあります。本市の産学官民連携の取組からこの課題を解決できるアイデアが生まれ、他都市をも助けていけるような日が来ることを期待しています。
 そして、この老朽化対策は、これからは一層、市民と危機感を共有していくことが大切です。110番や119番を知っているのが当たり前のように、道路の損傷などの異変を市民全員が意識を持って通報できるように周知していくことができれば、今後も大きな被害を防ぐことにつながると思います。今、機運が高まっているこのときにこそ、強く進めていただけることを願います。
 これまでも危機意識を持って取り組んでこられた島市長にこれからのインフラ老朽化対策について御決意をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 子どもを安心して生み育てられる環境づくりに向けて、医療的ケアが必要な児・者を社会全体で支え、個々の状態に応じて適切に支援していくことが重要だと認識しており、福岡市はこれまで市立学校への看護師の配置や御家族の負担を軽減するレスパイト事業など、早い時期から医療的ケア児に対する支援を実施してまいりました。医療的ケア児・者御本人が充実した生活を送ることができるよう支援することはもちろん、日々休みなくケアを担っておられる御家族に対する支援が行き渡ることも大変重要と考えております。先日の博多区の事件を受け、24時間人工呼吸器を使用するような重度の医療的ケア児に関する在宅医療における課題や必要な支援について、現在、関係医療機関から御意見を伺っているところでございます。また、医療的ケア児・者に関する実態調査も実施しているところであり、その結果も踏まえ、支援の充実に向け、国や県とも連携しながら、必要な施策について検討してまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、都市の成長の果実を生かし、子育てしやすい環境づくりに取り組み、様々な手法による保育の受皿確保や第2子以降の保育料の無償化、おむつと安心定期便の実施、子ども医療費助成の拡充など、子育て家庭への支援の充実を図ってきたところでございます。核家族化や、また、共働き世帯の増加、地域のつながりの希薄化などに伴い、保育を含む子育てニーズが多様化する中、それぞれに応じた支援ができるように社会全体で取り組んでいくことが大切であると考えています。今後とも、若い世代が結婚や子育てに明るい将来展望を抱けるように、子育て支援のさらなる充実にしっかりと取り組んでまいります。
 道路や下水道といった市民に身近なインフラの老朽化対策につきましては、市民の生命や安全、安心な生活を守るため、大変重要であると認識をしています。福岡市においては、従来より改築更新などのアセットマネジメントを着実に推進するとともに、路面下空洞調査や下水道管内のテレビカメラ調査を計画的に行うなど、地上や地下の両面から異状を早期に発見し、必要な対策を迅速かつ適切に実施をしております。また、市民からのLINE通報なども活用して、より多くの見守りの目を増やすことで、道路不具合の早期発見や事故の未然防止に取り組んでいるところでございます。今後とも、市民の安全、安心を確保するため、引き続きこれらの取組を進めるとともに、先進技術の活用を進め、インフラの老朽化対策にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時35分に再開いたします。
午後2時24分 休憩
午後2時35分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。田中たかし議員。
○57番(田中たかし)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、福岡市の地震対策について、博多港の港湾政策について、以上2項目について、落石俊則議員の代表質疑を補足し、質問いたします。大変質問数が多いので、テンポよくまいりたいと思います。
 まず、福岡市の地震対策についてです。
 本市の地震対策については、昨年度の補足質疑においても、直前に発生した能登半島地震の被害状況を鑑み、質問しております。しかし、震災対策を取り巻く環境は、国や県の方針、住民意識、テクノロジーの進化など年々変化するものであり、限られた行政資源を的確に配分するには絶え間ない施策の見極めが重要であると考えます。本日はその認識の下、能登半島地震から1年たった今、本市はその教訓を生かしているのか、ただしてまいります。
 まずは、本市の防災体制について、令和7年度、どのような方針に基づいて予算編成されたのか、事業の特色、特徴などを踏まえながらお示しください。
 我が会派ではこれまで、本市の想定最大震度が6強であることを問題視してきておりましたが、改めて所見を伺います。
 続いて、博多港の港湾政策についてです。
 港湾が地域経済に与える影響は大変大きいものがあります。港湾物流が強化されれば、国内外の企業が拠点を置くメリットが増し、新規進出や投資が加速することで地域経済の発展が促されます。それに伴い企業活動が活発化すれば、法人税、固定資産税、消費税などの税収が増加し、市の財政基盤が強化される上に雇用促進も見込めます。市民所得が上がれば、飲食、小売・サービス業も活性化し、地域経済全体が潤う。港湾はそういった好循環を生み出す地方経済の要とも言えます。しかし、現在は上海や釜山などのアジア各港の台頭で、日本の港湾は国際ハブ機能が弱まったと言われており、その結果、国内の主要港同士の競争も激化し、博多港もその渦中にあります。
 本市経済に多大な影響を与えている博多港が今以上に世界に選ばれる港となり、持続的に発展していくための方策について、本日は物流の観点からただしてまいります。
 まず、博多港が市民の暮らしや本市経済にどのような影響を与えているのか、お示しください。
 また、博多港の強みについて、本市はどのように認識されているのか、お尋ねします。
 さて、その博多港の開発計画についてですが、本市においては、博多港長期構想、博多港港湾計画が定められております。この博多港長期構想とは何であるのか、博多港港湾計画との関係はどのようになっているのか、その関連性についてお示しください。
 あわせて、博多港港湾計画について、その制定における法的根拠、計画期間等を含めた概要及び本計画における博多港の将来像、目指すべき方向性や方針についてお示しください。
 さらには、計画に関する事業の進捗状況と港湾空港局の認識をお尋ねするとともに、以上を踏まえた上で令和7年度はどういった事業があるのか、お示しください。
 1回目の最後に、博多港の物流に関する現状についてお伺いしますが、博多港の国内におけるコンテナ取扱個数の順位と港湾法における位置づけについてお示しいただくとともに、本市の認識をお示しください。
 また、博多港における国際海上コンテナ定期航路数と主な寄港地についてお尋ねいたします。また、この点についても、本市の認識をお答えください。
 以上で1回目を終わり、以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地震対策についての御質問にお答えをいたします。
 令和7年度は、能登半島地震の教訓や社会情勢の変化などを踏まえ、災害対策の実効性をさらに高める取組を行ってまいります。主な事業といたしましては、温かい食事の早期提供などの避難所環境の改善や関係機関と連携をした震災対処訓練の充実に取り組むとともに、地域防災計画の全面的な見直しに着手いたします。また、引き続き防災無線や非常用電源の整備など耐災害性の向上を図るとともに、防災アプリ「ツナガルプラス」の利用促進、避難行動要支援者の避難支援対策の強化などに取り組んでまいります。
 次に、地域防災計画の被害想定につきましては、災害対策基本法により、市町村の計画は県の計画との整合を図ることとされていることから、地震に関する防災アセスメント調査を基にした県の計画を根拠としております。また、現在、警固断層等の地震被害想定の再調査が行われているところであり、県の被害想定の見直しに合わせて必要な修正を行ってまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港の港湾政策についてお答えいたします。
 博多港における市民生活や経済活動に与える影響につきましては、博多港では、市民の暮らしに欠かせない食料品や衣類、家具などの日用品の多くが輸入されるとともに、九州で生産される自動車やタイヤなどを輸出しております。また、九州のコンテナ貨物の約半分を取り扱うなど、福岡のみならず、九州全体の市民生活や経済活動を支えております。博多港の経済波及効果につきましては、平成25年の推計によりますと年間約1兆9,000億円であり、当時の福岡市における市内総生産額の約3割を占めております。
 次に、博多港の強みにつきましては、日本の主要港の中でアジアに最も近い地理的優位性を有していることに加え、陸、海、空の輸送モードが半径5キロメートル圏内にコンパクトに集積している交通利便性などが強みであると考えております。
 次に、博多港長期構想につきましては、有識者や港湾関係者などで構成された博多港長期構想検討委員会より博多港の20年から30年後の将来の未来設計図として、平成24年8月に提言いただいたものでございます。一方、博多港港湾計画につきましては、長期構想の提言を踏まえ、港湾管理者である福岡市が平成28年3月に改定を行ったものでございます。
 次に、博多港港湾計画につきましては、港湾法に基づき、おおむね10年から15年程度を計画期間として、港湾施設の規模及び配置などを定めた法定計画でございます。平成28年に改定した博多港港湾計画におきまして、博多港の将来像として、東浜ふ頭より東側の箱崎ふ頭、香椎パークポート及びアイランドシティのみなとづくりエリアを物流ゾーン、中央ふ頭より西側一帯のエリアを人流・賑わいゾーンとすることとしており、長期的にはこの将来像を念頭に港づくりを進めていくこととしております。また、計画において、活力と存在感に満ちた日本の対アジア拠点港を目指し、都市の成長を牽引する港づくり、交流を促進し親しまれる港づくり、環境を守り・育てる港づくりの3つの方針を掲げております。
 次に、事業の進捗状況につきましては、都市の成長を牽引する港づくりにつきましては、アイランドシティにおいて、コンテナ取扱量の増加に対応するため、岸壁整備やコンテナヤードなどの整備を行ってきており、国際物流拠点の形成が進んできているものと認識しております。交流を促進し親しまれる港づくりについては、クルーズ船の大型化などに対応するため、中央ふ頭地区において岸壁などの整備を行ってまいりましたが、今後とも、人流機能の充実強化を進める必要があると認識しております。環境を守り・育てる港づくりについては、人と自然との共生を目指し、自然豊かなエコパークゾーンを中心に、市民との共働による環境の保全と創造の取組を促進しているところでございます。
 次に、令和7年度の事業につきましては、アイランドシティにおいてコンテナターミナルと一体となった国際物流拠点の形成を図るため、物流施設の集積、拡大に向けた臨港道路の整備などを行ってまいります。また、船舶航行の安全性の確保や施設の老朽化に対応するため、航路整備や岸壁改良を国直轄事業で行うこととしております。
 次に、博多港のコンテナ取扱個数につきましては、令和5年は全国6位でございます。また、博多港の港湾法における位置づけにつきましては、国際海上貨物輸送網の拠点である国際拠点港湾に位置づけられており、アジアに近い地理的優位性などの強みを生かし、今後とも、福岡のみならず、九州全体の市民生活や経済活動を支えていく必要があると認識しております。
 最後に、国際海上コンテナ定期航路数につきましては、令和7年2月1日現在で42航路、月間206便でございます。主な寄港地は、北米、韓国、中国、東南アジアなど10か国・地域、45港となっております。荷主企業にとりまして、航路が多様化することが望ましいと考えており、さらなる航路誘致に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) ありがとうございました。2回目、地震対策から参ります。
 1回目では、本市の防災対策に関する考え方及び令和7年度の事業の方向性についてお伺いしました。災害対策の実効性をさらに高める取組を行っていくとのことで、具体的には地域防災計画の全面的な見直しに言及されました。
 そこでお尋ねしますが、全面的な見直しとはどういった内容か、本市の防災体制や市民生活にどういった影響を与えるのか、お聞かせください。
 また、想定最大震度については、県との整合性が必要であり、県の再調査に従って修正を行うとの御答弁でしたが、本市が独自で被害想定調査を行い、想定最大震度を主体的に見直せないのか、説明を願います。
 過去、多くの震災を我々も経験する中で、様々な課題が浮き彫りになっております。そこで、令和7年度、本市はそういった課題にどう対策を講じていくのか、具体的に5つに絞って伺ってまいります。
 初めに、道路の無電柱化です。
 本市のこれまでの実績はどのようになっているか、目標どおりの進捗となっているのかお伺いするとともに、その目標値の算定根拠についてお示しください。
 あわせて、令和7年度末までの進捗見込みはどの程度であるのかもお示しいただきたいと思います。
 2点目、孤立集落についてです。
 能登半島地震では、集落の孤立が多発し、長期化いたしました。孤立化すると、救助が来ない、燃料や薬が得られない、病院に行けないといった事態を生じさせ、停電や断水、通信の断絶なども重なれば、さらに苛酷な状況に陥ります。
 そこで、本市では具体的に何か所の孤立集落が発生すると想定しているのか、さらには該当する住人にその認識の共有は図られているのか、お示しいただきたいと思います。
 また、個々の孤立集落に対してどういった対応を取るのか、それを踏まえた防災訓練などはなされているのかも併せてお尋ねいたします。
 先ほど通信の断絶と申し述べましたけれども、孤立化した際の通信手段の確保について対策は取られているのか、お示しください。
 また、孤立集落での救助活動について、特に初動体制はどのようになっているのか、万全な対応を取れるのか、こちらは消防局にお尋ねいたします。
 3点目に、上下水道施設についてです。
 能登半島地震の際には、上下水道施設が大きな被害を受け、復旧までに多くの日数を要しました。本市からも、水道局及び道路下水道局職員が早々と能登半島に駆けつけ、給水活動や復旧作業、被害状況調査に御尽力いただきました。改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、改めて能登半島地震で得られた知見を令和7年度の事業に生かしていくことが重要だと考えるわけですが、本市の上下水道の防災体制構築について何か特色はあるのか、お示しください。
 あわせて、令和7年度の地震対策について、具体的な事業をお示しいただきたいと思います。
 また、本市の飲み水の多くは筑後川から融通してもらっております。したがって、この筑後川から福岡市内に水を引く導水管の地震対策も必須です。
 そこで、筑後川からの導水管はどのような地震対策を取っているのか、近隣都市との緊密な連携が取れているのか、具体的な答弁を求めます。
 4点目、帰宅困難者についてです。
 本市の人口は増加が続いておりますが、同時に国内外からの観光客も増えております。大地震が発生した際、多くの帰宅困難者が発生することは容易に想像できますが、帰宅困難者対策として一時滞在施設などがあると思いますが、どういった計画となっているのか。
 あわせて、市内にはどのエリアにどれだけの帰宅困難者向けの一時滞在施設があるのか、その箇所数と、市施設、公的機関、民間施設の内訳をお示しいただくとともに、令和7年度は拡大する方針などはあるのか、あればどの程度の拡大となるのか、お示しください。
 さらには、外国人も含めた観光客への対応についてはいかがか、具体策をお示しください。
 そもそも本市において、一体何人の帰宅困難者が発生すると試算されているのか、最新の数値はいつどのように算出されたのかも踏まえてお示しください。
 さらには、観光客に供される公的備蓄についても確認させていただきますが、一時滞在施設の備蓄状況も含めて、観光客、帰宅困難者に対する公的備蓄の考え方と方針、具体的な備蓄量をお示しいただきたいと思います。
 最後に、長引く避難所生活を取り上げたいと思います。これは能登半島地震でも大きな問題となりました。避難所生活の長期化は避難者に大きな負担を強いることとなり、災害関連死を誘発することにもつながります。
 そこで、避難所生活が長引かないように本市が取っている対策について、具体的にお示しください。
 また、避難所生活の環境維持についても、どのように対策を取っているのか、説明を求めます。
 さらに、応急的な住宅に関する質問をさせていただきたいと思います。
 避難所生活を長引かせないために応急的な住宅の早期の提供が求められるわけですが、本市においてどのような考えの下、計画されているのか、本市の応急的な住宅の提供に関わる考え方についてお伺いします。
 また、避難者の住まいとして、もう1つの選択肢となり得る仮設住宅についても、お伺いいたします。
 仮設住宅の用地の確保について、現在どういった対策を取っているのか、お聞かせいただくとともに、仮設住宅の早急な提供に関し、民間業者との連携体制についても、御説明ください。
 次に、博多港についてです。
 日本の港湾の仕組みは、福岡市などの港湾管理者が定めた港湾計画に沿って施設整備が進められるものが基本でありますが、そのうち、一部の重要な港湾施設は国が直接整備することになっています。ただし、国が管理することは想定されておらず、国有施設も含めて、全て港湾管理者が管理しないといけないといった特殊な事業形態です。つまりは、本市は管理はするが、独自にできる開発、これはかなり限られていると、そういうことかと思います。では、そういった状況で本市は何をすべきか、以下2点に焦点を当てて考えていきたいと思います。
 第1に、物流の効率化であります。
 生産年齢人口の減少に伴い、国内の物流業界では労働力不足が今後ますます顕在化すると予想され、港湾労働者の減少や熟練就労者技術の喪失が危惧される中、効率化を進めるには、AI、IoT、自動化などの技術の導入が今後不可欠と考えられます。
 そこでまず、博多港の現状はどのようになっているのか、また、港湾空港局の認識と今後の展望についてお示しください。
 また、本市では官民連携による博多港雇用推進検討会議が設置されておりますが、検討会議の内容についてお伺いいたします。
 労働環境の改善には物流を効率化することが有効であると考えるわけですけれども、博多港の取組について説明を求めます。
 さらに港湾の自動化について、本日は一例として名古屋港を紹介したいと思います。名古屋港はICT技術や自動化システムの導入において先駆的な役割を果たしており、労働力不足や大型船舶の増加に対応する効率的な運営方針が持続可能な港湾設計のモデルとなっております。
 そこでお尋ねしますが、名古屋港飛島ふ頭南側コンテナターミナルでは、無人搬送車によるコンテナの自動搬送やタイヤ式門型クレーンなどの荷役機械の遠隔化、自動化といった技術が導入されておりますが、博多港への導入の見込み、可能性について御所見をお伺いします。
 私はこの1月、海外視察の機会をいただきまして、スペインのバルセロナ港に行ってまいりました。バルセロナ港は、アフリカやアジアにも近いといった地理的優位性からスペイン国内海上貿易の25%を占め、コンテナ取扱数は国内3位となっております。何よりも特徴的なのは、ヨーロッパで唯一、鉄道アクセスを備えた港であるということです。取り扱うコンテナを即鉄道に乗せ、ヨーロッパ各国へ移送できるのは、バルセロナ港の発展を促し、経済面において大変なメリットをもたらしているとのことでありました。以上を鑑みるに、我が国でも内航海運や鉄道輸送のより一層の活用を含め、物流部門全体としてより効率的で生産性の高い輸送体系の構築が求められるわけですが、そこで博多港に目を向けますと、博多港に並行して走るJR貨物の路線があります。箱崎にはJR貨物福岡ターミナル駅もあり、バルセロナ港を拝見するに、何とかこのJRの鉄道を港に引き入れることはできないのかなと考えてしまうわけですけれども、ここで資料をお願いいたします。(資料投影)青い矢印とつながっているところが国際・国内ROROターミナル、そして、あそこにJR貨物福岡ターミナルがあります。この青い線のところ、これを線路でつなげばかなり効率的なるのではないか、トラックのことなど、2024問題などもありますけれども、これも解決されるのではないかというところの考えでお尋ねしておりますが、そこでお尋ねしますが、海上輸送と鉄道輸送との連携について、港湾空港局の認識をお示しください。
 あわせて、連携強化について、課題は何であるのかお示しいただくとともに、博多港への鉄道の乗り入れについて、港湾空港局の認識をお示しいただきたいと思います。
 さらに、海上輸送と鉄道輸送との連携に関して気になる点について、確認をさせていただきたいと思います。今申し上げたこの青矢印なんですけれども、博多港長期構想によると、国際・国内ROROターミナルとJR貨物福岡ターミナルをつなぐ専用道路等の整備やエリア内の再編を進めると記載されております。では、この進捗はどのようになっているのか、現状と今後の展開についてお示しいただきたいと思います。現在、この赤矢印のほうを通ってトラックはJR貨物福岡ターミナルのほうにコンテナを運んでいるということになりますので、この青い部分、先ほど鉄道と申しましたけれども、ここもせめて道路を整備して、トラックが短距離で行けるようになればまた変わるのではないかと、そういうことでございます。投影ありがとうございました。
 国際競争力の強化の観点から航路誘致についてお伺いいたします。
 1回目ではコンテナ取扱個数の順位、そして、定期航路数についてもお伺いしましたが、港湾空港局としてもまだまだ満足していないと、そういった認識であったかと私は受け止めました。新型コロナによる国際物流の混乱や米中対立などの地政学リスクの影響により、国際ハブ港を経由せず、日本と欧米の港湾同士を直接つなぐ基幹航路の重要性が再認識されている今、本市は今後どのようにして新規航路開拓をしていこうというのか。
 そこで、新規航路開拓についてどういった取組をされているのか、御説明願います。
 また、昨今のコンテナ船の大型化の傾向は今後ますます進んでいくものと思われます。博多港の世界最大級のコンテナ船への対策の必要性、これは博多港長期構想でも触れられておりますが、改めて令和7年度、大型コンテナ船への対応としてどういった事業が進められるのか、具体的な答弁を求めます。
 続いて、世界に選ばれるための2つ目のポイント、環境対策の推進について伺ってまいります。
 国土交通省では、港湾の競争力強化や脱炭素社会の実現に貢献するため、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素などの受入れ環境の整備などを図るカーボンニュートラルポートの形成を推進しております。令和4年12月、改正港湾法が施行され、港湾管理者が官民連携の港湾脱炭素化推進計画を作成し、同計画に基づき、官民の関係者がそれぞれの脱炭素化の取組を進めていくこととなりました。本市も博多港港湾脱炭素化推進計画が定められておりますが、港湾の脱炭素化は世界の潮流であり、世界に選ばれる博多港となるには必要不可欠な取組であります。
 そこでお尋ねしますが、これまでの博多港における脱炭素化の取組について具体的な施策は何であるのか、お示し願います。
 さらに重要なのは、船舶の脱炭素化の取組についてです。船舶燃料には主に重油が使用されておりますが、重油に代わる燃料としてLNG、いわゆる液化天然ガスというものですけれども、ほかにアンモニア、水素、カーボンリサイクルメタンなどの活用が検討されております。中でも実際に増加しているのがLNG燃料船ということになります。それに伴い、LNG燃料船に燃料を供給するためのLNGバンカリング拠点の重要性が増しております。国としてもLNGバンカリング拠点の形成に係る事業に対して支援を行っているというわけですけれども、そこで、国内におけるLNGバンカリング拠点の形成の状況についてお伺いいたします。
 加えて、LNGバンカリング拠点の形成について、本市の考え方をお示しください。
 また、本市のLNG燃料船の寄港促進に係る事業があればお示しいただきたいと思います。
 あわせて、福岡市として国や民間企業と何か連携していることがあればお示しください。
 さらには、陸上電力供給設備についてもお尋ねいたします。資料2の投影をお願いします。(資料投影)これは以前質問されたこともありますけれども、港に停泊中の船に電気を供給するシステムを分かりやすく絵にしたものであります。港に停泊中の船舶は、船内発電機で発電をしております。しかし、ヨーロッパでは2030年以降、港に寄港する船舶に対し、陸上電力供給設備の利用が義務づけられております。今後はこういった取組がヨーロッパからの航路開拓にもつながるのではと思うところですが、そこで、我が国の動向はどのようになっているのか、併せて港湾空港局の認識についてお示しください。投影ありがとうございます。
 加えて、本市として令和7年度はどのような取組を行うのか、お示しください。
 あわせて、コンテナターミナルを電化し、船舶が停泊中にも電気を使用できるアイドリングストップの取組について、博多港の現状と今後の見通しについてお示しください。
 以上で2回目を終わります。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地震対策についての御質問にお答えをいたします。
 地域防災計画については、市の災害対策の基本となるもので、これまでも東日本大震災や熊本地震などの大規模な災害の発生に際し、必要な見直しを行ってきております。令和6年能登半島地震では、孤立地域の発生や物資の不足、トイレの衛生管理など様々な課題が生じており、公的備蓄の拡充や防災体制の強化等に取り組む必要があること、また、社会情勢についても、様々なマイノリティへの配慮やテクノロジーの飛躍的な進歩など大きく変化していることから、これらを踏まえ、災害対策の実効性をさらに高めるため、計画全般にわたって精査、見直しを行うものでございます。
 次に、地域防災計画の被害想定については、法により市町村の計画は県の計画との整合を図ることとされており、また、地震による被害は市域を超えて広域的にもたらされるものであることからも、今後見直される県の計画との整合を図りながら必要な見直しを行ってまいります。
 次に、孤立集落については、離島や道路寸断等による孤立が最大16か所で生じる可能性があるものと見込んでおります。当該地への周知はまだ行っておりませんが、区役所や公民館等と状況を共有し、連携をしながら、食料備蓄の数量を増やすなどの対策を講じているところです。また、関係機関と連携をし、孤立集落からの救出、救助や物資搬送に係る訓練なども実施をしております。
 次に、孤立した際の通信手段については、令和7年1月末時点で災害時に避難所となる公民館や小学校など400施設に防災無線を設置しており、電話やインターネット回線が途絶した場合でも通信可能な環境を確保しております。
 次に、帰宅困難者対策については、都心部における災害時の混乱の抑制などを目的に策定した天神・博多駅周辺地区都市再生安全確保計画において、官民が共働して取り組むべき事項として一時滞在施設の確保、また、発災時の情報発信や避難誘導の体制づくりなどを定めております。
 次に、一時滞在施設については、令和7年2月末時点で天神地区及び博多駅周辺地区に42施設があり、うち市の施設が10施設、公的機関が4施設、民間企業等が28施設となっております。今後とも、市の施設の活用のほか、民間企業等への協力依頼などにより、より多くの施設の確保に取り組んでまいります。
 次に、寄る辺のない観光客については、帰宅困難者として一時滞在施設で受け入れることとしております。また、外国人観光客に対しては、外国語による市ホームページ及びSNSでの情報発信や外国人向け観光情報サイトでの災害情報の発信を行うとともに、大規模災害の発生に際しては災害時外国人情報支援センターを設置し、多言語での情報発信や相談受付などを行うこととしております。
 次に、帰宅困難者数については、平成24年に県が公表した地震に関する防災アセスメント調査との整合を図りながら平成25年に推計したものでありまして、全市で約19万人、そのうち寄る辺のない帰宅困難者は天神、博多駅周辺地区で約3万8,000人と見込んでおります。
 次に、帰宅困難者のための備蓄については、国のガイドライン等を踏まえ、一時滞在施設において水、食料、毛布、携帯トイレなどの備蓄に努めることとしており、市の施設であるボートレース福岡に携帯トイレを1万枚、アルミブランケットを2万枚備蓄しております。また、市の施設以外には、協定の締結時などに収容人数の3日分の食料などの備蓄について協力を求めており、物資が不足する場合には市の備蓄倉庫から搬入することといたしております。
 次に、避難所生活が長くなる場合の対策については、市営住宅のほか、民間事業者との協定に基づく宿泊施設の活用や住宅の借り上げなどにより応急的な住宅等を提供するとともに、必要に応じて仮設住宅の建設を行うこととしております。
 最後に、避難所の環境については、プライバシー確保のためのパーティションの設置やトイレが使用できない場合の簡易トイレの設置など、避難者が過ごしやすい環境を確保することとしております。また、避難所運営の手引き等において様々な方に配慮した運営を行うこととしており、公民館の和室等での要配慮者の受入れや、授乳室、男女別の更衣室や誰でも使えるマルチルームなどを確保することとしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地震対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、無電柱化の目標につきましては、令和3年度から7年度までの5年間を計画期間とする福岡市無電柱化推進計画において、国の計画などを踏まえ、市街地等の緊急輸送道路における無電柱化着手率を指標として定め、令和7年度末時点の目標値を45%としております。また、これまでの実績につきましては、計画策定前の令和2年度末の34%から5年度末で約40%に達しており、おおむね計画どおりに推移しているところでございます。令和7年度末の進捗見込みにつきましては、約41%と見込んでおります。
 次に、下水道の防災体制につきましては、福岡県西方沖地震での災害対応及び東日本大震災や熊本地震での支援経験等を踏まえ、下水道BCPを策定し、防災体制の構築や災害対応訓練等に取り組んできております。令和7年度につきましては、能登半島地震を踏まえ、災害支援における大都市間の連携強化や資機材の備蓄、関係団体と連携した訓練等を引き続き進め、防災体制の強化に取り組んでまいります。
 最後に、下水道における地震対策につきましては、最も重要な人命保護の観点から、ポンプ場、水処理センターにおける建築物の耐震化を令和2年度末までに完了しており、引き続き重要な施設の耐震化を計画的、段階的に進めております。令和7年度につきましても、地震時に必要とされる下水道機能を確保する観点から、ポンプ場、水処理センターの揚水施設などの耐震化を進めるとともに、緊急輸送道路に埋設された管渠などの重要な幹線の耐震化に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田消防局長。
○消防局長(田浩輝) 地震対策に関する御質問にお答えいたします。
 孤立集落に対する救助活動における初動体制につきましては、消防ヘリコプターや防災情報カメラなど様々な方法で現地の情報収集を行うこととしており、得られた情報を基に消防ヘリコプターや小型車両などを活用し、必要な対応を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 下川水道事業管理者。
○水道事業管理者(下川祥二) 地震対策についての御質問にお答えします。
 水道局における防災体制の構築につきましては、災害応急対策計画の策定、応急給水訓練や研修の実施、日本水道協会の相互応援ルールなどに基づく支援、受援体制の強化などに取り組んできたところでございます。さらに能登半島地震での経験などを踏まえ、給水車の追加配備やドローンなど装備品の拡充に努めており、令和7年度は計画のさらなる充実、他都市との合同防災訓練の実施、訓練や研修による職員のスキルアップなど防災体制の強化を図ってまいります。
 次に、地震対策の事業につきましては、収容避難所や救急告示病院などの重要給水施設256施設への配水管を耐震化する耐震ネットワーク工事が令和6年度末までに完了し、7年度からは一時避難所である公民館などの90施設を対象とした第2次耐震ネットワーク工事を計画的に進めてまいります。また、配水管の更新、新設時には全て耐震管を使用しております。さらに、様々な自然災害発生時に給水への影響を最小限にとどめることができるよう配水調整システムによる水の相互融通や配水管のループ化などのバックアップ機能の充実を図るとともに、7年度は貯蔵燃料の増量による非常用発電装置の増強にも取り組んでまいります。
 次に、筑後川から福岡都市圏へ送水する福岡導水につきましては、延長約25キロメートルのうち耐震化が必要な約11キロメートルについて、施設を管理する(独法)水資源機構が計画的に耐震工事を進めており、福岡市といたしましては、福岡都市圏などとも連携し、国や水資源機構に対し、予算の確保など工事の着実な推進に関する要望活動を毎年度行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地震対策に関する御質問にお答えします。
 まず、応急的な住宅につきましては、地域防災計画に基づき、市営住宅の一時提供や民間賃貸住宅の借り上げなどを早急に進めるとともに、必要に応じて仮設住宅の建設を行うなど、災害規模や被災者の状況等に応じて供給を行うこととしております。
 次に、仮設住宅の建設用地につきましては、大規模公園や市営住宅の余剰地などに確保しております。
 次に、民間業者との連携につきましては、災害時に仮設住宅の提供が迅速に進むよう、民間賃貸住宅の借り上げについては不動産業関係団体、仮設住宅の建設については建設業関係団体とそれぞれ協定を締結しており、日頃より連絡体制の構築や供給能力の確認などを行っております。協定団体は順次増やしてきており、現在は不動産業関係の3団体及び建設業関係の4団体と協定を締結しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港の港湾政策についてお答えいたします。
 博多港における港湾労働環境の現状につきましては、少子・高齢化が進展する中、全国的に様々な分野で人手不足が生じていると認識しており、博多港の労働者不足につきましても同様であると考えております。さらに、働き方改革関連法により令和6年4月から時間外労働の上限規制が適用されており、労働時間の削減や労働環境の改善が必要と認識しております。コンテナターミナルにおけるAIやIoT、自動化などの技術の導入につきましては、労働環境の改善や生産性の向上につながることから、国においても重要な施策として推進されていると認識しております。福岡市としては、港の仕事の認知度やイメージの向上に取り組むなど多様な人材が活躍できる環境づくりに今後も協力してまいります。
 次に、博多港雇用推進検討会議につきましては、港湾における労働力不足問題に対して官民労が一体となって博多港における雇用確保の推進に関する検討を行うため、平成30年6月に設置されたもので、これまでリクルート活動の中で港湾での仕事を紹介するDVDやリーフレットの作成、コンテナターミナルにおける休憩所やトイレの設置など、港湾の仕事のイメージ向上や労働環境の改善について協議し、福岡市も取り組んでおります。
 次に、物流の効率化の取組につきましては、博多港物流ITシステムの導入及びニーズに合わせた継続的な改善に加え、令和6年度にアイランドシティコンテナターミナルの隣接地において、輸出貨物を積み込む前または輸入貨物を取り出した後のコンテナを受渡しする場所であるバンプールを整備しており、今後、博多港の中で分散しているバンプールの集約を進め、コンテナ物流のさらなる効率化を図ってまいります。
 次に、博多港のコンテナターミナルへの荷役機械の遠隔化、自動化の導入につきましては、福岡市としても労働環境の改善につながるものと考えておりますが、民間事業者による新たな荷役機械の導入といった費用面などの課題もあることから、今後、関係者と検討していく必要があると認識しております。
 次に、海上輸送と鉄道輸送との連携につきましては、博多港において、国際海上コンテナの多くを取り扱うアイランドシティ地区や香椎パークポート地区及び多様な貨物を取り扱う箱崎ふ頭地区の各埠頭と鉄道輸送の拠点であるJR貨物福岡ターミナルが近接していることは大きな強みの一つであり、連携によりモーダルシフトの促進につながるものと認識しております。
 次に、博多港における海上輸送と鉄道輸送との連携強化に当たっての課題につきましては、国内の鉄道輸送を行うJR貨物のコンテナと国際海上コンテナの一部においてコンテナの規格が異なっていることから、国際海上コンテナをそのまま鉄道輸送することができないなどの課題があると認識しております。
 次に、博多港への鉄道の乗り入れにつきましては、新たな鉄道用地の確保や多額な設備投資を要するなどの大きな課題があり、困難であると考えております。
 次に、専用道路の整備につきましては、博多港長期構想において長期的な取組として記載されているものの、博多港港湾計画には位置づけておらず、具体的な検討は現在行っておりません。
 次に、新規航路開拓につきましては、日本の主要港の中で最もアジアに近い地理的優位性や、陸、海、空の多様な輸送モードが集積している交通利便性、博多港物流ITシステムによる物流効率化の取組など博多港の強みをアピールしながら、船会社への提案活動などに戦略的に取り組んでおります。
 次に、大型コンテナ船への対応につきましては、水深15メートルのアイランドシティD岸壁などの早期整備に向け、引き続き国に対し、提言を行ってまいります。
 次に、博多港の脱炭素化に向けた取組につきましては、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用拡大、車両の低炭素、脱炭素化、船舶への陸上電力供給設備の整備、船舶燃料の低炭素化、脱炭素化などを進めております。
 次に、国内におけるLNGバンカリング拠点の形成の状況につきましては、現在、4つのエリアにおいて、バンカリング拠点の形成に向け、LNGバンカリング船の就航や建造などが進められております。
 次に、博多港におけるLNGバンカリングにつきましては、LNGの供給基地がある北九州港を拠点として九州や瀬戸内エリアにLNGバンカリング船が就航しており、博多港に寄港する船舶に対して燃料を供給する体制が確保されていると考えております。
 次に、福岡市におけるLNG燃料船の寄港促進に関わる事業につきましては、LNG燃料船などの環境配慮型船舶の博多港への寄港を促進するため、令和6年4月から環境配慮型船舶に対する入港料の減免制度を設けております。
 次に、国や民間企業との連携につきましては、福岡市と国、エネルギー供給事業者、港湾活動を行う事業者などで構成する博多港カーボンニュートラルポート形成推進協議会において、船舶や民間事業者の脱炭素化に向けた取組などについて協議をしております。
 次に、船舶への陸上電力供給設備につきましては、国内において利用に関する義務づけはございませんが、国は陸上電力供給設備の整備を促進するための補助制度を設けております。博多港におきましても陸上電力供給設備を整備していくこととしておりますが、船舶側に必要となる受電設備について、内航船舶の統一規格がなく、また、受電設備がない船舶も多いなどの課題があると考えております。
 次に、博多港における令和7年度の陸上電力供給設備への取組につきましては、現在、博多港の須崎ふ頭地区において、貨物フェリーを対象に陸上電力供給設備1基の整備を進めているところであり、令和7年度に完成予定でございます。
 最後に、博多港のコンテナターミナルにおける取組につきましては、これまで他港に先駆けて荷役機械を電動化するなど脱炭素化の取組を進めてまいりました。また、コンテナターミナルにおける陸上電力供給設備の整備につきましては、現時点において受電設備がない船舶が多いことから、受電設備を備えたコンテナ船の寄港状況などを踏まえ、検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 3回目です。まず、地震対策から。
 本市としても能登半島地震を踏まえつつ、その教訓を生かして、令和7年度の施策に盛り込んでいることは分かりました。一方で、気になる点もあったなと感じております。そこで、3回目はその点を踏まえ、御提案も含めながら進めてまいります。
 まず、道路の無電柱化についてですが、令和7年度末の進捗が緊急輸送道路で41%ということでありました。
 そこで、市民局に伺いますが、現状の本市の無電柱化の進捗で災害発生時に問題はないのか、所見を求めます。
 道路下水道局としては、定めた計画にのっとって粛々と進めていくと、これは理解できるところではありますが、本市の財政が好調というのであれば、こういった市民の生命、財産に関わるところへ厚く振り分けて、計画の前倒しなどを検討されるべきではないかと考えますが、福岡市無電柱化推進計画は令和7年度末までの計画ということですので、次年度が策定作業の年になるかと思われます。
 そこで、令和8年度以降の本計画においては、これまで以上のスピード感を持った目標値を設定していただきたいと考えますが、所見をお伺いします。
 次に、孤立集落についてですが、本市として箇所は把握しているものの、校区などへの説明はされていないということでありました。なぜ把握した時点で説明をしないのかよく分からないんですけれども、行政からの呼びかけであれば、市民も自覚を強くし、備蓄品などの備え、日常の気構えも変わってくるかと思われます。住民一人一人が自分の居住地が災害時に孤立化すると知っているかいないかで初動も変わってきます。
 市民局には孤立集落に対する認識をぜひ改めていただき、該当住民に対する迅速な説明と適切な措置を改めて求めるところですが、御所見をお伺いいたします。
 続いて、帰宅困難者対策です。
 本市には、帰宅困難者向けの一時滞在施設が市内に42か所ということでありました。内訳ですが、実に民間施設が多いということであります。この民間施設が発災時にどの程度、一時滞在所として機能するのか、そこは本市がしっかり管理すべきかと思います。
 そこで、一時滞在所となる民間施設も被害が免れないと想像する中で、確実に機能することを担保するための策は何かあるのか、お示しください。
 あわせて、民間施設における備蓄品の確認などは本市として行っているのか、説明を求めます。
 また、これも課題であろうと考えるのが、この一時滞在施設が天神、博多にしかないということであります。本市も郊外へ観光客を誘致するよう力を入れる中、なぜ博多と天神にしかないのか。
 郊外の観光地での帰宅困難者対策について、具体的にお示しいただきたいと思います。
 さらには、近隣自治体に在住であれば、徒歩で帰る方も多いと考えられます。徒歩帰宅支援の充実もここでは併せて要望しておきたいと思います。
 次に、長引く避難所生活です。
 避難所の環境維持について、過ごしやすい環境を確保するための取組は理解いたしましたが、避難所生活の負担が大きいことに変わりはありません。二次避難先として民間宿泊施設、トレーラーハウスまたは船舶など長期間の生活に耐え得る施設は選択肢も多くありますので、発災時に確実に確保できるような取組をまずはここで求めておきたいと思います。
 応急的な住宅について申し述べたいと思います。市営住宅や賃貸住宅を借り上げるといった体制は確認ができました。仮設住宅の用地も事前に確保してあるということでありますが、一方で、御答弁では仮設住宅の建設は必要に応じてとされておりました。
 改めて仮設住宅の建設に当たっての考え方について、避難者数との兼ね合いなども踏まえて御説明願います。
 さらに仮設住宅用の土地ですが、住宅都市局は確保しているというものの、緊急車両の基地や災害ごみの集積場など、災害時には一定の広さを必要とする事案もあります。ここで心配になるのが、各局で広い土地の奪い合いにならないのかなということでありますが、そこで、事前の調整を各局で行っているのでしょうか。土地利用について、どこの局がグリップするのか、土地使用の優先順位などはあるのかなどを踏まえて御答弁ください。
 以上、地震対策について網羅的に質問いたしましたが、万全な震災対策を講じるには、局の垣根を越えて全庁的に行うのは当然のことであります。さらには国や県も絡んでくる上に、民間施設、民間団体との体制構築も必要ということになりますので、横軸、縦軸でどのように連携していくのか、常にブラッシュアップしていかなくてはいけないのだろうと考えます。役所の縦割りの弊害と言われますが、発災すればそんなことは言っていられないわけでして、そこは各局心して取り組んでいただきたいと強く要望しておきます。
 最後に、防災行政をつかさどる市民局に、現在、各局及び各公的機関と災害対応について万全な体制を取るための連携をどのように図られているのか、併せて民間と結んでいる協定の実効性なども含めて御答弁をお願いし、地震対策に関する質問を終わります。
 次に、博多港についてです。
 2回目でバルセロナ港について触れましたが、そこに支社を構える日系物流企業の担当者が印象的なことをおっしゃっておりました。博多港のポテンシャルは高いのに、それを生かし切れていないということであります。確かにまだできることはあるのかなと感じたところです。中でも、博多港発展の起爆剤となり得るかもしれない鉄道の引込みについては、技術的な課題を理由に検討されていないというのは、残念でありました。国においては、トラックから鉄道への貨物輸送の転換であるモーダルシフト、この機運の高まりを捉えて鉄道輸送についての検討会が開催されるなど、鉄道輸送と海上輸送の連携強化の検討が進められていることも踏まえれば、バルセロナ港のように鉄道を埠頭に引き入れることが博多港のさらなる発展につながると考えておりますので、ぜひ検討していただきたいと要望しておきます。
 そこで、改めて物流2024年問題を踏まえ、モーダルシフトの推進が重要と考えますが、博多港としてどのように取り組んでいくのか、お示しください。
 また、本日は選ばれる博多港のポイントとして環境対策を取り上げましたが、これからの港湾開発には環境負荷の軽減は必須の条件となります。ヨーロッパの先進的な取組も御紹介しましたが、脱炭素化の国際基準に適合しなければ、将来的に国際物流から外れるおそれも否定はできません。
 そこで、改めてお伺いしますが、現在の博多港における脱炭素化の取組について、港湾空港局の課題意識は何かお伺いするとともに、それを踏まえて、港湾の脱炭素化に向け、博多港として今後どのように取り組んでいくのか、お示しください。
 最後の質問としますが、博多港がさらに成長していくために、陸、海、空の輸送モードがコンパクトに集積していることや、日本の中でアジアに最も近いといった強みを最大限生かすことができるよう港湾機能の強化に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 国の港湾政策の方針により、港湾開発は、法律に基づいて市が策定した港湾計画を国に提出し、確認を得た上で、それにのっとって事業を進めていくという立てつけになっております。しかしながら、開発計画立案の主体はあくまで本市です。国のお墨つきがある博多港長期計画が開発の全てであるにせよ、それを粛々と進めるだけで目まぐるしく変化する国際情勢に迅速に対応できるのか、ここで提起しておきたいと思います。国際・国内ROROターミナルとJR貨物福岡ターミナルをつなぐ専用道路等の整備について進捗をお尋ねした際に、長期構想に記載はあるが、計画にはないので検討していないという答弁をされました。これが象徴的なのかなと個人的には思っております。しかしながら、博多港港湾計画の途中変更は可能と聞き及んでおります。であるならば、計画にないので検討しないのではなく、ぜひ港湾空港局には博多港が本市経済を支えているという自覚をさらに強くしていただき、世界に選ばれる港となるための野心的な施策も視野に入れながら果敢に挑戦していただきたいと強く求めて、私の補足質疑を終わります。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地震対策についての御質問にお答えをいたします。
 無電柱化の進捗についてのおただしですが、災害対応を行う上で緊急輸送道路の確保は重要であり、無電柱化は災害時の被害拡大の防止に有効であると考えております。さらなる防災力の向上のため、目標達成に向けた整備推進が必要であり、引き続き道路下水道局と連携しながら進捗を図ってまいりたいと考えております。
 次に、孤立集落への対策については、対象地域への分散備蓄の拡充を進めるとともに、引き続き救出、救助や物資搬送の訓練などを実施してまいります。また、対象地域の住民に対しても、ハザードマップを活用した出前講座などを通じて孤立リスクを周知するとともに、家庭内備蓄の必要性などの呼びかけを行ってまいります。
 次に、一時滞在施設については、天神ビッグバンや博多コネクティッドにより建て替えが進む耐震性が高いビルなどにおいて確保を図ってきたところであり、発災時の施設の安全確認手順などを示した一時滞在施設運営ガイドラインを作成し、これに沿って対応を行うよう各施設と協定を締結しております。また、協定締結に際し、現地において備蓄品をはじめ、受入れスペースの広さや移動動線などの確認も行っております。
 次に、天神、博多駅周辺地区以外の帰宅困難者については、各校区の公民館や小学校などに開設する避難所で受入れを行うこととしております。
 次に、災害時の土地利用については、仮設住宅用地や災害ごみの一次仮置場など、各所管局において、あらかじめ候補地の選定等を行っております。災害発生時には災害対策本部を設置し、対策の総合調整を行い、全庁一丸となって対応に当たることとなり、土地の利用についても、被害の状況や見通し、対策の優先度などを踏まえ、災害対策本部において各関係局や関係機関等との調整を行うこととしております。
 次に、災害対応の体制については、平時には災害対策に係る総合的な企画調整を市民局が担い、具体的な対策を各局区が中心となって行うこととし、災害発生時には災害対策本部を設置し、全庁一丸となって対応に当たることとしております。また、大規模災害発生時には災害対策本部室を中心に自衛隊や県警、インフラ事業者、医師会などの防災関係機関が一堂に参集し、関係者間で協議、調整を行いながら、迅速な応急対策を実施することとしております。今後は、能登半島地震の教訓等も踏まえ、地域防災計画の全面的な見直しを行い、災害時応援協定の締結先を含め、関係機関等と連携した震災対処訓練を拡充するなど、防災危機管理体制のさらなる強化を図ってまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地震対策についての御質問にお答えいたします。
 無電柱化につきましては、防災などの観点からこれまで着実に進めてきておりますが、地上機器の設置場所の確保や電線管理者との調整などの課題がございます。令和8年度以降の新計画におきましては、これらの課題や国の動向を踏まえつつ、適切な目標値を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地震対策に関する御質問にお答えします。
 応急的な住宅につきましては、被災者への早期の提供が重要と考えており、災害が発生した際は、速やかに市営住宅の一時提供や民間賃貸住宅の借り上げなどを実施することとしております。それにより必要戸数の確保は可能と考えておりますが、避難者の数や世帯の状況、コミュニティの維持の観点などから、仮設住宅の建設が必要となった場合には速やかに対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港の港湾政策についてお答えいたします。
 まず、モーダルシフトの推進につきましては、博多港は各埠頭に都市高速道路が接続し、九州・西日本エリアへのアクセスが便利であるとともに、東京港などの太平洋側港湾や敦賀港や新潟港など日本海側港湾との国内定期航路が就航するなど多様な輸送モードが集積していることから、モーダルシフトに適していると考えております。これらの博多港の強みを積極的にPRするとともに、新たな物流ルート構築を支援するトライアル事業を実施するなどモーダルシフトの推進に取り組んでまいります。
 次に、博多港の脱炭素化に向けた取組に当たっては、今後の技術革新の進展や費用面などを踏まえ、官民が一体となったより一層の取組の推進が課題であると考えております。
 次に、博多港の脱炭素化に向けた今後の取組につきましては、照明のLED化や市営渡船の省エネ改良など可能なものから市が率先して取組を進めてまいります。また、民間事業者の取組を促進していくため、博多港カーボンニュートラルポート形成推進協議会を活用し、船舶や民間事業所の脱炭素化に向けた機運の醸成を図るとともに、国に対し必要な支援を働きかけるなど、博多港港湾脱炭素化推進計画の目標達成に向け、官民で連携して脱炭素化の取組をしっかりと進めてまいります。
 最後に、港湾機能強化についてお答えいたします。
 博多港は、福岡のみならず、九州全体の市民生活や経済活動を支え、福岡市の持続的な発展を牽引する重要な役割を担っております。昨今、物流2024年問題をはじめとした労働力の不足や脱炭素社会への対応など、博多港に求められる役割が多様化してきております。博多港を取り巻く環境やニーズなどを踏まえ、適宜、博多港港湾計画も見直しながら、今後とも、港湾機能の充実強化にしっかりと取り組み、活力と存在感に満ちた日本の対アジア拠点港を目指してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる)登壇 私は、会派新しい風ふくおか、浜崎議員の代表質疑を補足いたしまして、子どもホスピスについて、この子どもホスピスという施設が将来、ここ福岡市で開設されることを目指して、以下質疑をいたします。
 子どもを対象とした我が国の医療につきまして、それを小児医療と一言で表しましても、対処する疾病や症状は極めて多種で多様です。お子さんのいる家庭の誰しもが地域小児医療のお世話になっているでしょうし、医療技術の進展や医療体制の充実を願わない家庭はないと思います。日本の小児医療は年々、そのみはるべき技術の進歩によって多くの貴い命を救ってきました。そして、従前より多くの幼い命を家庭へ、社会へとつなげてきました。その結果、専門医療や福祉支援など日々様々なケアを受けながら成長していく児童と、その成長を毎日支え続ける家族の数も増え続けているという社会的側面を生んでいます。
 まず、今回の質疑のテーマであります子どもホスピスについてですが、その支援の対象は一般的にLTCのお子さんとその御家族とされています。ぜひ皆さんにも覚えていただきたいのですが、LTC、ライフ・スレトゥニング・コンディションズ。スレトゥンというのは、脅すとか脅かすとかという動詞なんですけれども、このライフ・スレトゥニング・コンディションズの頭文字を用いた表現で、生命を脅かす状態を指すものです。
 それでは、生命を脅かす状態、LTCとは具体にどのような症状や疾病を指すのか、これについては、公益財団法人原田積善会によって作成された日本のこどもホスピスというコンセプトペーパーに4つの分類としてまとめられています。スライドをお願いします。(資料投影)これがその4分類なんですが、1つ目のグループは、治癒するかもしれないが功を奏さない可能性もある病気として、小児がんや先天性心疾患などが挙げられています。2つ目に、早期の死は免れないが、治療によって延命が期待できる病気として筋ジストロフィーなど、3つ目に、おおむね症状進行の緩和を目的に治療が行われる先天性代謝疾患や染色体異常など、4つ目に、重度障がいを伴い、合併症によって死に至るケースもあるとして重度脳性麻痺などに分類をされています。
 次のスライドをお願いします。(資料投影)これは、代表的なLTC疾病が全国ベースで年にどれほど発生しているかを表したものです。小児がんでは年に2,000人から2,500人ほど、先天性心疾患やムコ多糖症などは年に1万人ほどの出現率だということです。スライドありがとうございます。
 子どもホスピスの支援対象となるお子さんの状態、LTCについて、少しイメージいただけたと思いますが、実際にはもっと多くの数の疾病が該当します。
 次に、子どもホスピスとはどのような場所であり、施設なのかという側面についてです。
 全国各地で運営される皆さんによって、子どもホスピスの役割やその機能は実に多様ではありますが、私はこう認識をしています。LTCのお子さんとその家族の自発的な意思や希望に沿って、笑顔で生きることを多面的にサポートできる施設。では、具体にどのような取組が行われているかについてですが、ここでまたスライドをお願いします。(資料投影)想定される主立った役割をイラストで幾つか並べておりますが、まずは兄弟姉妹児も含めた家族での楽しい思い出づくりや休息の場所としての機能。次に、友達と一緒に遊び、学べる環境や、様々な体験活動を通した成長、発育の機会の確保。同じような境遇を共有する家族同士の支え合いの場となったり、必要な情報の蓄積を基にした相談機能や助言機能も発揮されます。また、終末期を家族で過ごすためのみとりの機能を持つ施設もあります。スライドありがとうございます。
 子どもホスピスの特徴は、場所を提供するだけじゃなくて、医療ケアや小児緩和ケアなどを担う専門スタッフが配置をされているという点です。これにより、どの活動を楽しむときもお子さんや家族に安心して過ごしてもらえる環境となるわけです。
 さて、この子どもホスピスですが、多くの自治体でその定義が明確に示されない、そういった時期が長らく続いてきました。しかしながら、支援団体や当事者の皆さんによる地道な活動や広い連携体制のおかげで、その施設の重要性、必要性に理解し、賛同するという声が、少しずつですが、確実に広まりを見せています。既に全国に数か所、施設を運営されている団体もありますし、加えて、今や10ほどの地域や自治体で子どもホスピスの開設を目指して活動する団体もあります。子どもホスピスへの理解や設置に向けた機運の高まり、これを肌で感じるわけですが、全国的になぜこれほどまでに子どもホスピスが必要とされているのかについて、その要因に目を向けて理解を深めていくことこそ、最も大切なことだと私は思っています。
 スライドをお願いします。(資料投影)全国的に子どもホスピスが必要とされている要因として、医療では充足されにくいという側面、患児と家族双方への支援という視点、障がい福祉支援が補足できないという領域、この3つを挙げさせてもらいました。
 まず1つ目ですが、医療では治療や症状の管理に主眼がどうしても置かれます。子どもにとっての生きる時間や成長の機会を充実させるといった視点はどうしても後回しにならざるを得ません。
 2つ目の要因です。患児と家族双方への支援という、この視点が従来の小児医療制度や児童福祉制度に内在化されにくい、実装されにくいという点です。
 最後に3つ目が、公的な障がい福祉制度の網からこぼれてしまう患児、家族も少なくないという点です。LTCのお子さんと一くくりに言いましても、障がい福祉における支援制度を多面的に受けやすい疾患や症状もあれば、その一方で、小児がんや代謝性疾患などの場合、その治療の予後に障がい認定を受けられないということも多い、こういう実態も子どもホスピスが求められる要因の一つとなっています。ありがとうございます。
 先ほど、子どもホスピスの開設に向けました全国的な機運の高まりについて触れましたが、この福岡におきましても、2010年から活動を続けるNPO法人福岡子どもホスピスプロジェクトが先頭に立って、施設開設の準備だけじゃなく、LTCのお子さんと家族に寄り添った支援に取り組まれてきました。昨年12月には、古賀市の児童療育施設内に土日運営型の子どもホスピス、よかよかのおうちを開設されました。積年の悲願達成ではありましたが、この開設、その活動、これは仮施設というふうに位置づけられて、将来的には福岡市内での開設に向けて、その活動は今もなお粘り強く続けられています。
 この福岡子どもホスピスプロジェクトですが、令和3年度に当団体の役員メンバーと本市職員とによる意見交換の場が持たれました。
 まず初めに、その際の協議内容を要約してお聞かせください。また、それ以降、子どもホスピスに関連する分野について、本市はどのように取り組まれてきたのか、お尋ねをいたします。
 あわせて、子どもホスピスという施設の役割や必要性に対する本市の認識もお尋ねをいたします。
 冒頭からLTCという表現を何度も用いてきました。このLTCのお子さんは国内に約2万人程度いるのではないかと国は公表していますが、この数字はあくまで民間調査による機械的な推計値を基にしておりまして、正確な実態や数値を把握することは難しいというのが実情です。そこで、国が医療費の助成を定める小児慢性特定疾病に置き換えて、その症状が慢性的で比較的重いお子さんやその家族の状況、特に福岡市における現状について確認をしてまいりたいと思います。
 まずは、小児慢性特定疾病について御説明ください。また、小児慢性特定疾病のお子さんやその家族に対する自治体の主な支援制度についてもお示しください。
 次に、福岡市内には現在、小児慢性特定疾病の診療を行う指定医療機関は幾つあるのか、お尋ねします。
 小児慢性特定疾病には、小児がんをはじめ、内分泌疾患や心疾患、神経系の疾患など様々な疾患が指定をされていますが、それぞれ専門性の高い医療機関による治療が必要となります。特に症状の重いお子さんが通院あるいは入院治療を行う医療機関、福岡市にはその多くが集積をしていると思いますが、現状を確認させてください。
 次に、福岡市は現在、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている児童はどれくらいいるのか、また、その人数は10年前からどう変化しているのか、その増減についてもお示しください。
 福岡市には、小児医療の拠点医療機関とも言える福岡市こども病院、九州で唯一の小児がん拠点病院の九州大学病院が立地をしています。それぞれ極めて高い専門性を持ち、比較的重い病状、症状のお子さんが入院をされています。このこども病院と九大病院ですが、直近の年間入院患児数と、そのうち市内、市外からの患児数をお示しください。
 ここからは、子どもホスピスに関する国の動向についてお聞きをしてまいります。
 子どもホスピスの開設に向けた機運の高まり、広まりと同様に、国の動向もこの数年で大きな動きを見せております。令和5年4月のこども家庭庁の発足は、子どもホスピス施策全般へのアクションをより加速させるものとなりました。そして、いよいよ国はこどもホスピスに関する調査研究の実施に踏み切りました。
 まず初めに、この調査研究が実施された社会的背景と目的についてお示しください。
 あわせて、この調査研究は誰を対象に、具体にどのような調査が実施をされたのか、御説明ください。
 こども家庭庁による調査研究ですが、今から1年ほど前に一旦の調査報告が示されています。その報告書では、LTCのお子さんやその家族に今後必要な支援として具体にどのような取組が求められると結論づけているのか、お尋ねをいたします。また、それらもろもろの支援におきまして、国や自治体の役割や責任について言及されていれば、その内容をお示しください。
 この調査研究の報告書は200ページを超えますもので、詳細な実態把握と併せて、LTCのお子さんと家族に必要な支援施策や課題などについて多岐にわたって示唆をしています。その調査報告から半年と少しが経過した昨年末に、こども家庭庁は子どもホスピスを支援するためのモデル事業の立ち上げを公表しました。その名称は、こどもホスピス支援モデル事業。
 まずは、このモデル事業の実施につきまして、国はどれくらいの予算額を確保しているのか、お尋ねをいたします。
 次に、このモデル事業におきまして、国は具体に地域で子どもホスピスを行う民間団体を自治体が支援すると、そういう事業だと掲げています。これはどのようなスキームなのか、実際にどのような活動に充当することができる補助金なのか、さらには自治体の役割や立ち回り方はどのようなものなのか、事業の概要を御説明ください。
 国は、このモデル事業の一旦のゴールとして、LTC児童とその家族の笑顔を増やすため、これから子どもホスピスの全国普及に向けた取組を進めると、こう掲げていると伺っておりますが、その認識に間違いないか、確認をさせてください。
 つい先日の話です。九州がんセンターでの食事支援を行う日の前日でした。知人の娘さんが入院をされました。小学生です。日曜日に体調を崩したところ、首の辺りのリンパが腫れていたそうです。翌月曜日、クリニックで診てもらうと白血球値の異常が判明をしました。火曜日には九州がんセンターに入院。白血病でした。こういうことです。
 今回の質疑ですが、御自身の家庭のお子さんがそうだったら、お孫さんがそうだったら、どんな気持ちになるのか、どんな生活となるのか、ぜひ当事者の気持ちに置き換えてお聞きいただければとお願いを申し上げます。
 以上を1問目といたしまして、以降は自席で質問いたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもホスピスの御質問にお答えいたします。
 NPO法人福岡子どもホスピスプロジェクトとの意見交換につきましては、令和4年3月に現在の保健医療局及びこども未来局の職員が参加して実施しており、団体の活動の背景や現状等を共有し、子どもホスピスの内容等について、今後、具体性が出てきた場合などに意見交換を継続していくこととしておりました。その後、子どもホスピスに関する国の動向を確認しながら、県等との情報共有や団体が実施するイベントへの名義後援、今年の2月末には団体との意見交換を行っております。
 次に、子どもホスピスという施設の役割やその必要性につきましては、命を脅かす病気を抱える子どもとその家族を対象に子どもの成長や発達の機会、家族の休息等を支援する施設であり、国の調査においても、医療と地域の社会資源が連携して、子どもが家族等と安心して過ごすことができる環境づくりが求められていると認識をしております。
 次に、小児慢性特定疾病につきましては、児童福祉法において、児童等が当該疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とし、その生命に危険が及ぶおそれがあるものであって、療養のために多額の費用を要するものとして厚生労働大臣が定めるものとされております。また、その子どもや家族に対する支援として、医療費助成や相談支援事業のほか、介護者の休息等の際に子どもが医療機関等に入院できるレスパイト支援事業を実施しております。
 次に、小児慢性特定疾病の診療を行う指定医療機関は福岡市内に226か所となっております。
また、小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている児童数につきましては、令和5年度末時点で1,696人で、10年前の平成25年度と比較すると、対象疾患数が274追加されておりまして、788となり、助成人数は1.4倍となっております。
 次に、令和5年度に国が実施したこどもホスピスに関する調査研究につきましては、LTCと言われる生命を脅かされる状態にある子どもやその家族に対する支援の実態やニーズが明らかになっていない状況があることから、子どもホスピスの現状や課題の把握、分析を行い、支援や施策の在り方について検討を行うための基礎資料を得ることを目的として実施されたものと認識しております。
また、その調査対象者は、子どもホスピス等の取組を行う施設、団体やLTCの子ども及びその家族となっており、活動状況やニーズ等を把握するためのアンケートやインタビュー調査が実施されております。
 次に、国の調査結果において、LTCの子どもやその家族から求められている支援につきましては、子どもの成長発達の促進や社会参画等、生活の質の向上に対する支援のほか、医療と地域の社会資源が連携し、家族を包括した切れ目のない地域生活における支援が挙げられており、国や自治体の役割、責任については明記されておりません。
 次に、国が実施するこどもホスピス支援モデル事業の予算額でございますが、令和6年度補正予算で3億円、7年度予算案で1億2,000万円となっております。
その概要につきましては、実施主体となる自治体が関係機関と連携し、協議会を設置することや、LTCの子どもの実数把握、LTCの子どもの遊びや家族同士の交流支援など、地域型子どもホスピスの取組の支援でございます。
 また、モデル事業は、LTCの子どもとその家族の支援ニーズの把握や必要な支援方策等を検討することを目的として、地域型子どもホスピスへの支援が行われるものと認識をしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医療機関に関する御質問にお答えをいたします。
 専門性の高い医療機関の状況につきましては、福岡市内には、小児慢性特定疾病に限らず、症状の重い子どもたちが通院あるいは入院治療を受ける病院として九州大学病院、福岡大学病院、こども病院などがあり、小児の高度専門医療を提供する医療機関が集積しているものと認識をいたしております。
 次に、こども病院の令和5年度における入院患者数につきましては7,760人であり、そのうち市内の患者数は4,029人、市外の患者数は3,731人となっております。また、九州大学病院につきましては、公表されている直近の数で申し上げますと、令和4年における18歳以下の入院患者数は2,379人であり、市内、市外の内訳は公表されておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) ここ福岡市内を活動の中心にしまして、2010年から小児がんをはじめとしたLTC児童とその家族への支援に取り組まれてきたNPO法人福岡子どもホスピスプロジェクトと福岡市関係局とによる意見交換会、これが初めて実施されたのが3年ほど前なんですね。その当時、子どもホスピス実現に向けた双方の温度差は極めて大きく感じました。団体の役員の皆さんによる切実な思いや懸命に訴えようとする姿と本市側の受け止め方というのは、対照的であって、終始のれんに腕押しだなという感じが拭えませんでした。
 それから3年が経過しました今現在、子どもホスピスへの認識について、先ほど野中局長からは、子どもの成長、発育の機会や家族の休息等を支援する施設と位置づけて、さらには医療と地域が連携をして、支援対象となる子どもが家族等と安心して過ごすことができる、この環境の整備が求められていると御答弁をされました。子どもホスピスの役割や必要性について、本市の認識、理解がより深まったということに少し安堵を覚えるところです。
 つい先日、2月28日、福岡子どもホスピスプロジェクトの皆さんと本市関係局による2回目の意見交換の場が持たれました。本市からは4つの課に同席をいただいて、ここでは団体からの現状報告でしたり、あとは要望等に加えて、国のモデル事業を取り巻く他の自治体の動向などについても、情報共有されました。団体が主催する子どもホスピス啓発イベントへの名義後援というのも初めての事例となりまして、少なくない後押しになっているのではないかと思っています。国のモデル事業におきましても、自治体と関係団体との連携体制、これを前提としていますので、福岡市への開設を目指す福岡子どもホスピスプロジェクトとの連携、協力体制がこれからますます図られていきますよう要望申し上げたいと思います。
 次に、本市における小児医療の現状についてですが、小児慢性特定疾病のお子さんや家族の状況、これを幾つかお示しいただきました。御答弁のとおり、小児慢性特定疾病は長期にわたって生命を脅かし、症状や治療が生活の質を低下させて、高額な医療費がかかる、負担が続く疾病として、国において指定をされるものです。現在、16疾患群と788疾病が指定されており、小児がんをはじめ心疾患、腎疾患、循環器疾患、内分泌疾患、神経系の疾患など多岐にわたります。
 ここでスライドをお願いします。(資料投影)小児慢性特定疾病の医療費助成を受けている児童数というくくりで見ますと、令和5年度末時点で福岡市には1,696人いるということです。これは本市内に居住している疾病児童数ということになります。10年前と比較しますと、およそ1.4倍の伸び率。これは、この間におけます疾患群でしたり、疾病の指定数の追加による増も一定考慮すべきではありますが、本市の小児慢性特定疾病児童数は増加傾向ということが言えます。ありがとうございます。
 次に、本市の小児医療環境の特性についてです。
 福岡市には、小児慢性特定疾病の診療を行います指定の医療機関数が226か所あります。北九州市の123か所、それから、久留米市の35か所と比較しましても、その集積度合いが分かると思います。さらには、九大病院やこども病院、福大病院、九州がんセンターなど小児の高度専門医療を提供する医療機関が特に集積をする立地自治体でもあります。1問目の質問では、心疾患をはじめ、多岐にわたる小児専門治療体制を備えますこども病院と、九州で唯一の小児がん拠点病院に指定をされています九大病院、この2つの医療機関における入院患児の受入れ状況についてお聞きをいたしました。
 次のスライドをお願いします。(資料投影)こども病院におきましては、年間の入院患児数が7,760人、その内訳として、市内の患児数が4,029人で約52%、市外からは3,731人で約48%、ほとんど半々くらいです。九大病院では年間2,379人。ただ、今回、市内、市外の内訳は取ることができませんでした。スライドありがとうございます。
 御覧いただきました患児数には小児慢性特定疾病以外の疾病も含まれていますが、重い病気を抱える少なくない数の児童が福岡市には暮らしています。また、市外、県外からも、通院や入院に来ているということが分かります。当然ながら、その数だけ最も近くでお子さんを支え続けている家族の存在があります。家族の時間を大切にできたり、きょうだい児や同世代の友達と遊ぶことができたり、様々な世界に興味を持つことができたり、長期療養を伴う毎日においては、当たり前のことが当たり前ではなくなってしまいます。子どもホスピスの役割は、高度小児医療の集積自治体でもあるここ福岡市において、特にその重要性、必要性があると強く思うわけです。
 子どもホスピスの福岡市内への設置がもし実現をした場合、LTC児童や家族などの当事者の皆さんがどれほど喜ばれるでしょうか、本市の認識をお尋ねいたします。また、将来的に子どもホスピスは福岡市内に必要な施設だとお考えなのか、併せて所感をお尋ねします。
 LTC当事者や関係団体の皆さんが福岡市内へ子どもホスピスを設置しようと今後取り組まれる場合、行政サイドから手を差し伸べることのできる支援としてどのような手法が考えられるのか、また、設置に向けて励む皆さんは、行政には具体にどのような支援を求めているとお考えか、所見をお尋ねいたします。
 次に、国のモデル支援事業についてです。
 こども家庭庁は、この事業を足がかりに子どもホスピスの全国的な普及を目指すとしています。スライドをお願いします。(資料投影)ちょっと字が小さくて申し訳ない、すみません。これは、こども家庭庁が公表しているモデル事業の取組のイメージを図面化したものですね。まず、事業の実施主体は自治体だと示されています。そして、補助率は何と10分の10。もしこのモデル事業を活用しようとなりますと、大きく3つの動き方が想定されるようです。1つ目は、自治体と関係団体、関係機関による協議会というものの設置、それから開催。2つ目は、その地域内における実態調査の実施。3つ目に、LTC児童、家族への支援や必要なプログラムを提供する民間団体の取組を支援と、こういうふうになっています。ありがとうございました。
 お示しした図にある記載だけでは、正直具体なスキームやスケジュール感がよく分からないところがあります。ただ、国はこのモデル事業に今年度補正予算として3億円、次年度予算には1.2億円を計上しているようです。
 それぞれどの程度の数の自治体や民間団体への支援を国は想定しているのか、把握されていればお示しください。また、補正予算と新年度予算における支援内容や予算額の充当先について、細かい点で違いはあるのか、確認をさせてください。
 あわせて、ほかの自治体や民間団体の動きについて、全国的な動向を把握していれば、その内容をお示しください。
 仮に本市において、このモデル事業の活用を検討するに至った場合、子どもホスピスの開設、運営を目指す当事者、民間団体の皆さんと一緒にどのようなことを取りまとめていく必要が生じるのか、考えられる課題と併せてお尋ねをいたしまして、2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) まず、子どもホスピスの施設は、LTCの子どもや家族が安心して過ごすことができる環境づくりにつながるのではないかと考えております。施設は市外や県外からの利用も想定され、広域的な視点を持った検討が必要と考えております。
 次に、ホスピス設置に取り組む団体等への支援につきましては、国の調査によると、団体等は運営に関する財政支援や人材確保への支援などが必要と回答しており、都道府県や政令市はこどもホスピス支援モデル事業を活用することが考えられます。
 次に、モデル事業の活用について、国が想定している自治体数や民間団体数は公表されておりません。モデル事業の概要における令和6年度補正予算と7年度予算案の違い等につきましては、事業内容の詳細が国から示された後、確認をしてまいります。
 また、モデル事業に関する他自治体や民間団体の動向につきましては、申請状況が公表されておらず、把握をいたしておりません。
 次に、モデル事業を活用する場合は、設置が必須となっている関係者による協議会において、LTCの子どもの実数把握や地域型子どもホスピスの支援連携の方策を検討することとされており、県域等広域的な視点での検討が必要と認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 3問目の冒頭からスライドをお願いします。(資料投影)ちょっとぼやけて鮮明度が足りなくてすみません、申し訳ないですけど。現在、子どもホスピスとしまして、様々な内容でLTC家族支援を展開されている施設、これが全国に複数箇所あります。その幾つかを皆さんに御紹介差し上げたいと思っているんですが、まずは奈良県の親子レスパイトハウスです。2010年に設置をされまして、早い段階です。運営主体は社会福祉法人、主に家族の時間を大切にすることを目的にして、これは主治医さん、ドクターが一緒に利用するという点が特徴的なものです。
 次、お願いします。(資料投影)これは施設のイラスト図なんですが、2016年に大阪市の事業委託という手法により公園の敷地内に設置された施設です。TSURUMIこどもホスピス、病院でも自宅でもない、第2のおうちとして家族の体験活動を支援されています。ほかにもAYA世代に対するスペースだったり、あとはプログラムも用意をされているそうです。
 もう一つ、次をお願いします。(資料投影)こちらは2021年に開設しました横浜こどもホスピス、うみとそらのおうちです。ここも自治体との連携により開設に至った施設の一つでして、設置場所は市有地で30年間の無償提供を受けています。また、横浜市からは配置される看護師1人当たりの費用として年間500万円の公的補助、これが設けられています。ほかにも大学生の実地研修を受け入れていまして、小児緩和ケアの将来を担う専門人材育成が行われております。
 この施設には、私も開設の前と後の2度訪問いたしました。室内の様子を御覧いただこうと思いますので、次のスライドをお願いします。(資料投影)こちらは1階にあります中央部分です。遊びと憩いの空間にはアイランドキッチンも備えられておりまして、体験活動など幅広い利用ニーズを満たしてくれます。
 次のスライドお願いします。(資料投影)これは施設自慢の海を眺める大浴場です。重い病気のお子さんがいる御家庭の声で最も多いのが、家族で一緒にお風呂に入りたいだそうです。開設以来たくさんの家族が夢をかなえられたことと思っています。
 次をお願いします。(資料投影)家族一緒のお泊まりを可能とする居室です。これは見えにくいんですけど、ベッドの上方に小さく黒く映っているのが、実はこれは体全体を持ち上げて支えるためのリフトです。このリフトのおかげで、脳性麻痺などの身体の自由が利きづらいお子さんでも全ての部屋を行き来することができます。
 次をお願いします。(資料投影)最後はお庭ですね。利用家族は隣接する森林公園でも体を動かせますし、このお庭では、もちろん遊ぶのは当然、お友達を招いてバーベキューを楽しむこともできます。ありがとうございます。
 子どもホスピスの利用頻度や利用人数については、横浜こどもホスピスうみとそらのおうちで2022年度、延べ回数で様々な家族が年間241回利用されています。そして、大阪のTSURUMIこどもホスピス、こちらでは一部ティーン世代を含めまして、1,469人ものお子さんと家族が1年に利用されています。
 家族でお泊まりができた、一緒にお誕生日会をすることができた、一緒にお風呂に入ることができた、一緒にお布団に入って朝を迎えることができた。日常では届かない当たり前をこの間どれほどの患児と家族が実現されてきたのか、家族が一緒になって笑顔になれたのか、子どもホスピスはそんな施設です。
 ここで、実際に子どもホスピスを利用された御家族の声のほんの一部なんですけれども、紹介をさせてください。またスライドをお願いします。(資料投影)介護する、されるではなく、本当の意味で親子になれた。
 次をお願いします。(資料投影)病院では見たことのない顔をする。これだけちょっと唯一、奈良の子どもホスピスがありましたね、家族と一緒に滞在されたドクター、お医者さんによる声です。
 次をお願いします。(資料投影)親子3人で初めて川の字になって寝て幸せだった。
 次をお願いします。(資料投影)外に出るのが怖かったが、勇気を持って外出ができるようになった。
 次、最後です。(資料投影)ちょっとすみません、長いですけれども、娘が病気になってからはできないことばかり。お友達が外で遊ぶ姿を娘に見せないようにするのがいつの間にか普通になっていた。家族以外とのコミュニケーションはほとんどなし。そんな中、巡り会えた子どもホスピス。病気をケアする施設の機能面もさることながら、スタッフの優しさに娘も私たちもすっかり包まれた。娘のこれやりたいに必ず応えてくれて、治療や薬のことは忘れて、親だけでは引き出すことのできない笑顔を見せてくれます。病気の経験はつらいことだけではない。家族にとって本当に大事なものを見つけられたと。ありがとうございます。
 実際に利用された方からの声について、一部御紹介をさせていただきました。このような様々な体験機会のほかにも、家族同士の支え合いの場や専門的な相談、助言機能も期待される、これが子どもホスピスです。本市においても取組が前に進むことを強く願う、そう思うところです。そのための大きな契機となり得るのが、今度のこども家庭庁が立ち上げましたモデル事業だと思っています。しかしながら、先ほどの御答弁では、国から提供される情報量はいまだに乏しいようで、事業内容や他都市の動向などについて本市はまだまだ把握に至っていないということです。今後、情報収集へのチャンネルを増やしていくなど、まさに情報収集のさらなる努力を求めておきたいと思います。
 次に、子どもホスピス施策を前に推進するための福岡市役所の庁内の体制づくりについてです。現在、子どもホスピス施策の所管局、所管課は明確にはまだ示されておりません。この本市の関わり方に対して、関係団体や当事者の皆さんはこの間、困惑を示されてきました。国は、こども家庭庁内に子どもホスピスの窓口となる担当部局を設置して、施策の推進へ体制をしっかりと整えています。福岡市におきましても、今後、子どもホスピスの関連分野を所管する担当局と課を明確に定めていただきたいと思っています。その上で、関係局との適切な連携体制を築かれますよう強く求めておきたいと思います。
 次に、国のモデル事業を活用するに当たっての課題についてですが、先ほど広域的な視点というワードを上げられました。本市に子どもホスピスが設置される場合には、市外、県外からの利用も間違いなく想定されるため、子どもホスピス施策の推進やその支援の在り方については、福岡県とも詳細な情報共有と併せて今後連携をしっかりと図っていかれるよう要望いたしますが、所見をお尋ねします。
 また、関係団体やLTC当事者への支援の在り方、モデル事業活用への準備等につきまして、これらについても、それぞれさらなる課題整理に努めていただくよう要望いたしますが、所見をお尋ねします。
 さらには、全国の自治体の動向や事例をしっかりと研究いただいて、本市として対応し得る子どもホスピスへの支援の在り方について、あらゆる角度から今後様々検討いただきたいと思います。
 これまでの開設事例を見渡しましても、立地自治体からの協力体制というのが子どもホスピスの開設には欠かすことができません。開設場所として公園など市有地の無償貸借は大変大きな助力となりますでしょうし、施設建設費や設備導入費の一部助成、看護師などの有資格者の配置費用の補助、民間から寄附や支援が集まりやすくなるような公的な枠組みの活用、利用家族への周知や市民理解を深めるための広報の支援など、本市が検討し得る支援の幅は大変広いものであるはずだと思っています。
 こども家庭庁は今後、子どもホスピスの全国的な普及を図っています。そのための予算も組んでいます。そのモデル事業を活用して子どもホスピスの開設準備を加速させようとする自治体、民間団体の動きが全国でいよいよ、今活発化してきています。国のモデル事業に対しまして、現在、既に複数の自治体と関係団体が手を挙げる準備を進めているというふうに聞いています。札幌市や仙台市、横浜市や名古屋市、福井県などの名前も具体に挙がっています。また、7月以降には国による公募が実施されるのではないかとも聞き及んでいます。さらに仙台市においては、新年度予算に子どもホスピス支援費として1,574万円を既に計上しておりまして、市有地の提供まで想定をされているそうです。各地域の活発な動きを鑑みますと、機は熟しつつあると実感をするところです。
 ここ福岡市におきましても、これから将来にわたって、本市とLTC当事者や関係団体の皆さんとのコミュニケーションの機会がますます増えていくことを期待しておりますし、相互の連携、協力体制の下、国のこどもホスピス支援モデル事業の活用を今後福岡市においても検討いただきたく、切に要望申し上げます。最後に荒瀬副市長の御所見をお聞かせいただいて、私の質疑を終わります。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもホスピスの形態は、施設で実施されるものや訪問型など様々でございまして、また、市外や県外からの利用も想定されることから、当事者や関係団体の現状を把握するとともに、引き続き国の動向を確認しながら、広域的な視点を持って県等と連携を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) こども大綱が目指すこどもまんなか社会の実現に向けましては、全ての子ども、若者が将来にわたって幸せな状態で生活を送ることができるよう社会全体で支援していく必要があると考えており、LTCの子どもやその家族の支援についても、重要であると認識しております。御指摘のように九州大学病院、福岡大学病院、こども病院など、子どもの高度医療を掲げ、広域的に受け入れている病院は福岡市内にございますが、子どもホスピスにつきましては、全国的な普及に向け、国のモデル事業が開始されたところでございますし、また、先ほどたのかしら議員に御答弁させていただきました、名称は異なりますが、レスパイト事業とも重なるところがあり、まずはLTCの子どもやその御家族の状況など把握に努め、支援方策について研究をしてまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後4時30分に再開いたします。
午後4時19分 休憩
午後4時30分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。
 この際、時間を延長いたします。中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ)登壇 私は自民党新福岡を代表して、犬の飼い主のモラル・マナー向上について、ICT導入による子どもたちの主体的な学びについて、災害時における避難所環境の改善について、以上3項目について、我が会派福田まもる議員の代表質疑に続き、補足質疑を行います。
 初めに、犬の飼い主のモラル・マナー向上についてお尋ねいたします。
 先日、犬のふんを持ち帰らず放置する飼い主がおり、毎日片づけをしなければならないなど、大変困っていると地域の方から苦情をお伺いしました。その方は御自身でチラシを作成して近隣の住民に配布したり、犬が嫌がる臭いのする木酢液を散布してもらったりするなど、地域で啓発を行っておられますが、なかなか改善せず、住民も疲弊しているとのことでした。犬のふんの放置については比較的注目されることの少ない問題ですが、直面している方にとっては大きな迷惑になっているため、この問題を取り上げたいと思います。
 一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、全国で飼育されている犬猫の数は約1,595万頭とされ、15歳未満の子どもの数、1,401万人よりもペットの数が多い状況となっています。このように、多くの人が犬や猫などのペットを飼育し、ペットは癒やしや喜びを与えてくれる家族の一員として、生活に欠かせない存在になっています。それに伴い、ペットの飼い方も徐々に変化し、犬猫とも室内での飼育が増えるとともに、不妊去勢手術やワクチン接種の普及などにより、犬猫の平均寿命は15歳を超えるまでに延びております。ペットが健康で快適に暮らせるようにし、その命を終えるまで飼育するという飼い主の意識の向上を実感するところです。
 また、動物愛護についての人々の関心も高まっており、福岡市動物愛護管理センターの犬猫の収容頭数は年々減少するとともに、収容中の死亡や重篤な病気などによる、やむを得ない殺処分を除く実質的殺処分は令和元年からゼロを達成しており、まだまだ課題はあるものの、動物愛護の取組が進んでいることは大変喜ばしく思っております。しかし、その一方で、近所の犬の鳴き声や放し飼いの猫が庭にふんをして困っているなど、ペットの飼い方について、苦情やトラブルを耳にすることもあります。私の住むマンションでもちょうど犬のふんの放置があり、困っている状況であったため、冒頭で申し上げた地域の方のお悩みは、とても他人事には思えませんでした。ペットを飼うということはその動物の命を預かることであり、大切に飼育することは飼い主の責任としてとても重要なことですが、一方で、飼い方のルールを守り、周りに迷惑をかけないように配慮することも、ペットが社会の一員として受け入れられ、人と動物が共生していくためには、同じぐらい重要なことであると考えます。
 そこで、犬の飼い主のモラル・マナー向上について質問してまいります。
 まず、犬を飼育する場合は、法律で市町村への登録が必要かと思いますが、現在、本市においてどれくらいの犬が飼育されているのか、犬の登録頭数についてお伺いいたします。
 次に、犬の飼い主が守らないといけないルールについてどのような決まりがあるのか、主な法律や本市の条例の内容についてお伺いいたします。また、犬の飼い主の遵守事項やモラル・マナーについて本市として飼い主にどのように周知、啓発を行っているのか、お伺いいたします。
 次に、ICT導入による子どもたちの主体的な学びについてです。
 近年、新型コロナウイルス感染症の流行や自然災害、グローバル化の進展、絶え間ない技術革新等の情報化により、社会構造は大きく、また急速に変化しています。コロナ感染症収束後、子どもたちの日常が戻り、私の地元の子どもたちも毎朝元気に登校し、明るく挨拶をしてくれますし、先生たちと楽しく勉強していると校長先生からもお伺いしております。振り返りますと、コロナ感染症の流行により学校は休校になりましたが、この休校をきっかけにGIGAスクール構想が加速し、子どもたち一人一人にChromebookやiPadが配られ、学校の先生たちは子どもたちの学びを止めないように、その端末を活用し、オンライン授業など、工夫を凝らしながら授業を行いました。
 一方で、子どもたちはどうだったのでしょうか。パソコンを通して先生たちの話を聞きながらの勉強、先生が提示した教材をこなす勉強が多かったと聞いております。つまり、自分の力で学んでいくことができていなかったことに私は問題意識を持ちました。また、先日のニュースで、国がデジタル教科書を正式な教科書として位置づけることについて検討しているとの報道もあっており、今後、さらにICTを活用した学習が促進されることが予想されます。そのニュースの中で、専門家は、最終的には子どもたち自身が自分で選択することが理想だと述べており、私自身、教科書のみならず、子どもたちが自分に合った勉強の仕方を選べるのが理想だと考えています。加速度的に進展する情報化やグローバル化といった社会的な変化あるいは誰も予測できなかった未曽有の感染症などに対峙していくためには、自分で考えて自分で行動できる、たくましい子どもたちを育成することが、これからの学校教育に求められていると思います。
 そこでこれからの時代を生き抜くために、子どもたちにはどのような力が必要で、どのように学んでいくのか、また、その子どもたちを育てるために、先生たちが日頃行っている授業がこれまでとどのように変わっていくのかについて質問してまいります。
 1人1台端末の整備によって、これまで私たちが学校で行ってきた学びのスタイルとは大きく変わってきたのではないかと思います。ICTを活用してどのような学びを行っているのかお伺いします。
また、先生方の授業の仕方も変わってきたのではないかと思いますが、子どもたちのICTを活用した学習を支えていく先生たちはどのような役割を担っているのか、お伺いいたします。
 さらに、1人1台端末が整備されて4年ほどたち、GIGAスクール構想の実現が進められてきていると思いますが、今後ICTを活用した子どもたちの学びを支えるような取組は何かあるのか、お伺いいたします。
 次に、災害時における避難所環境の改善についてです。
 能登半島地震では、道路の寸断等による交通遮断だけでなく、多くの孤立した集落が発生したほか、多数の家屋の倒壊や上下水道、電気などのライフラインが壊滅的なダメージを受け、数万人もの住民が避難生活を余儀なくされました。災害が起こるたびに、不衛生なトイレや冷たい食事の提供、プライバシーが確保されない雑魚寝状態の寝床など、避難所の劣悪な環境は、被災者に身体的な負担だけではなく精神的な負担ともなり、それに起因した災害関連死が発生する事例も後を絶ちません。
 今年は2005年に発生した福岡県西方沖地震から20年の節目になりますが、災害は予測できないため、平時からの備えが必要です。これまでの阪神淡路大震災や東日本大震災、熊本地震、そして能登半島地震など、大規模災害での教訓を踏まえると、避難所の生活環境の整備は、いまだに解決されていない喫緊の課題として言えるのではないでしょうか。
 先日、新聞報道で、本市が避難所での温かい食事プロジェクトの初会合を開催したという記事を目にしました。この取組は、本市が避難所の生活環境をどのように改善していくのかという点で、私は大変注目しております。温かい食事の提供は被災者の心身の回復をサポートする重要な取組であり、避難生活が少しでも快適になり、被災者が安心感を得ることができるものと期待しています。
 そこで、本市が具体的にどのように避難所の生活環境を改善していこうとしているのか、お尋ねしてまいります。
 新年度予算において避難所環境の改善経費が計上されておりますが、その事業費と事業内容をお伺いいたします。
また、先日の新聞記事で紹介されていた避難所での温かい食事プロジェクトは、どういうプロジェクトなのかお伺いします。さらに、プロジェクトの初会合にはどういった事業者が参加したのか、お伺いいたします。
 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 犬の飼い主のモラル・マナー向上に関する御質問にお答えをいたします。
 本市における狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数につきましては、令和6年3月末時点で6万3,619頭となっております。
 次に、飼い主の遵守事項を定めた法律といたしましては、動物の愛護及び管理に関する法律において、適正飼養や不妊去勢手術等の繁殖制限、人への危害、迷惑防止などが規定されております。また、狂犬病予防法において、飼い犬の登録と、年1回の狂犬病予防注射の実施や飼い犬への犬鑑札と注射済票の装着などが規定されております。条例といたしましては、福岡市動物の愛護及び管理に関する条例において、放し飼いの禁止や外出時のふんの適切な処理などを規定いたしております。
 次に、飼い主への周知、啓発につきましては、市政だよりに加え、動物愛護管理センターのホームページやSNSによる広報、動物愛護週間行事や動物愛護フェスティバルといったイベントでの周知、啓発、地域へのチラシ、ポスターの配布などを実施いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ICT導入による子どもたちの主体的な学びについての御質問にお答えいたします。
 まず、ICTを活用した学びにつきましては、一人一人の興味、関心に応じて最適な学びを選択したり、それぞれの考えを持ち寄り深め合う協働的な学びにも取り組んでおりまして、個々のペースに応じて学習を進めることができるAIドリルをはじめ、動画や音声の視聴ができるデジタル教科書、その他、各自の考えを比較し共有できる学習アプリケーションなどのツールを活用いたしております。
 次に、ICTを活用した学習における教師の役割につきましては、AIドリルに蓄積された学習の進捗やタブレットを活用した学習状況などを基に、一人一人の状況を踏まえてサポートすることや、学習アプリで一覧表示された子どもの一人一人の考えを把握し、グループでの交流についてファシリテートするなど、子どもの学びを支える伴走者としての役割を担っております。
 次に、今後の取組につきましては、教育データを効果的に活用するため、令和5年度と6年度に教育データ連携基盤のプロトタイプを構築して、一部の学校での試行に取り組んできたところでございまして、令和7年度から児童生徒の教育データ等を有機的に結合する教育データ連携基盤の構築に本格的に着手してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所環境の改善についての御質問にお答えをいたします。
 避難所の環境改善に係る令和7年度の予算額は3億2,971万円余で、避難所における清潔なトイレ、温かい食事、心身休まる生活空間の提供による被災者に優しい避難環境の整備に取り組むものでございます。
 次に、温かい食事プロジェクトについては、企業、ボランティア、関係団体の皆様とともに、避難所における温かい食事を迅速に提供する体制づくりを進めていくものでございます。令和7年1月9日に開催したキックオフミーティングでは、キッチンカー関係者やNPO、ボランティア団体、食材関係者、調理関係者、自衛隊など11団体に参加をいただいております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 2回目に入ります。
 まず、犬の飼い主のモラル・マナー向上についてお伺いします。
 先ほど御答弁いただいたとおり、市内では6万頭以上の犬が登録されているそうです。また、犬の飼い方について、法律や条例で飼い主の遵守事項が定められており、本市は様々な方法で周知、啓発を行っているとのことです。しかし、令和5年度に行われたモラル・マナーに関する市政アンケート調査の結果によりますと、飼い犬のふんの放置について、「悪い」、「どちらかといえば悪い」と回答した方が合わせて35.2%に上っており、犬のふんの放置で困っている人は、思いのほか多くいるのではないでしょうか。市内に6万頭以上いる犬の飼い主がルールを守り、周りに迷惑をかけないよう、犬の飼い方についてきちんと法律や条例を理解し、遵守しているかは疑問に感じます。
 そこで、犬に関する苦情について、本市に寄せられている過去3年分の件数をお伺いいたします。
また、犬に関する苦情について、どのような苦情が多いのか、その内容をお伺いいたします。
 冒頭でお話しした犬のふんの放置について相談された方は、地域でいろいろな取組をされていますが、飼い主が分かれば直接注意などもできるものの、飼い主が分からないためなかなか改善せず、何か効果的な対策がないものかと悩まれておられました。
 犬のふんの放置に関する苦情については、飼い主が分かる場合と分からない場合があると思いますが、市民から苦情を受けた場合、本市がどのように対応しているのか、お伺いいたします。
 苦情を受け、本市が飼い主に指導等を行っても改善しない場合、法律や条例には罰則の規定があるのか、また、実際に適用されたことはあるのか、お伺いいたします。
 次に、ICT導入による子どもたちの主体的な学びについてです。
 ICTを活用した学習では、自分の理解度に合わせて勉強できるAIドリルや友達の考えを簡単に知ることができる学習アプリなどの、これまでできなかった学習方法で子どもたちが勉強していると答弁をいただきました。様々なデジタル教材を活用しながら、子どもの状況に応じて授業が行われていることについては安心しました。また、今後のICTを活用した取組については、教育データ連携基盤を構築し、子どもたちの教育データを活用して、子どもの学びを支える取組を充実していくとのことであり、これからの教育においては、こうした取組が大切だと思います。
 そこで、教育データ連携基盤について御質問いたします。
 現在、構築を進めている教育データ連携基盤はどのようなものなのか、その目的と取組の内容をお伺いいたします。
また、教育データ連携基盤を構築することで、何ができるようになるのか、お伺いいたします。
 次に、災害時における避難所環境の改善についてです。
 本市では、被災者に優しい避難環境を実現するため、避難所における清潔なトイレ、温かい食事、心身休まる生活空間、それぞれ、トイレ、キッチン、ベッドの、いわゆるTKBを中心に環境改善に取り組むとのことですが、そのうち、温かい食事の提供については先日キックオフミーティングを開催し、既に取組を進められています。国においても、防災庁を設置するため、防災庁設置準備室が発足されました。一たび災害が発生した場合には、地方自治体のほか、様々な関係機関、団体が力を合わせて被災者の支援に取り組む必要があり、防災庁には、政府の災害対応をリードする司令塔としての役割も期待しております。
また、能登半島地震を踏まえた国や自治体の災害対応について検討する国の有識者会議も開催され、避難所運営に関する議論も行われていたようですが、国では避難所における良好な生活環境の確保に向けてどのような方向性が示されているのか、お伺いいたします。
 いずれにしろ、避難所におけるTKBの環境整備はどれも大事な視点ですが、特に避難所での食事は、備蓄食を中心とした出来合いのものが多く、おにぎりやパンなどが繰り返し支給されるといったことが現状です。炭水化物中心の食事になりがちで、たんぱく質やビタミンなどの栄養が不足することも問題とされています。また、温め調理が施されず、冷たいままの状態で提供されることが当たり前になっています。避難生活において、温かい食事やよりおいしい食事、栄養バランスの取れた食事が取れることは、栄養面からだけではなく、被災者が少しでも快適に過ごし、安心感を与え、精神的に支える観点からも、大切なことだと思います。
 その一環として、温かい食事の提供が大きな役割を果たすと考えますが、温かい食事を提供するスキームはどのようにイメージをしているのか、お伺いいたします。
 また、本市では、温かい食事の提供に当たり、いろいろな方法を検討されていると思いますが、実際にどのような体制をつくり上げているのかがポイントになります。能登半島地震では、食事の質の確保に当たっては、キッチンカーの活用も有効な手段の一つとなったようです。しかし、キッチンカー1台だけでは一度に大量の食事を提供できないため、避難所には1台とは言わず、複数台で来てもらいたいと思います。そのためには、キッチンカーを提供できる事業者との協力関係を築いておくことが今後の重要な課題となります。
 そこで、相当数のキッチンカーの協力がないと提供体制の構築は難しいと思いますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。
 また、温かい食事の提供と並ぶ重要な要素として、避難所内での清潔なトイレや心身休まる生活空間の確保があります。これらも、避難所での生活をより快適にするために必要不可欠な要素であり、それぞれ単独ではなく、パッケージとして体制を整え、訓練を実施していくことが重要だと考えます。
 また、行政の取組だけではなく、地域や関係者との連携を強化し、共同で、災害時の避難所運営を想定した訓練を行うことが、実災害への備えとして有効だと思いますが、温かい食事の提供と併せて、清潔なトイレや心身休まる生活空間の確保について、地域と一体となった訓練の実施についてどのように考えているのか、お伺いいたします。以上で2回目を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 犬の飼い主のモラル・マナー向上に関する御質問にお答えをいたします。
 犬に関する苦情件数につきましては、令和3年度が165件、4年度169件、5年度157件となっております。
 次に、苦情の内容といたしましては様々な申出がございますが、例年、ふんの放置、鳴き声、放し飼いに関する苦情が多くなっているところでございます。
 次に、苦情への対応につきましては東部動物愛護管理センターで対応しており、飼い主が判明している場合は、センター職員が直接飼い主を訪問するなどして適正飼育の指導を実施いたしております。また、飼い主が特定できない場合には、車両による地域での巡回放送や苦情の申出者にマナー啓発看板を配布し、ふんの放置が頻繁に見られる場所への掲示をお願いするなどの対応を行っております。
 次に、ふんの放置に関する罰則につきましては、条例に違反した場合には10万円以下の罰金または科料とする規定がございますが、これまで適用の事例はございません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ICT導入による子どもたちの主体的な学びについての御質問にお答えいたします。
 まず、教育データ連携基盤構築の目的等につきましては、教員が子どもの変化にいち早く気づき、早期に適切な支援を行うことができるようにするために、児童生徒の学習や生活面などの様々な教育データを収集、蓄積し、データを可視化するとともに、客観的な根拠に基づく教育施策の立案を可能とするために、データ分析システムの構築に取り組むこととしております。
 次に、教育データ連携基盤構築の効果につきましては、可視化された様々なデータを活用することで、教師が経験と感覚で行ってきた指導に加えて、より客観的な根拠に基づいた指導やアドバイスが可能になるとともに、複数の教員で子どもをきめ細やかに見守ることができるようになり、教員の負担軽減にもつながると考えております。また、複数のデータの相関関係について、AIを活用して分析することで、子どもの学力の変化や心の状態の変化との関連性や傾向を発見し、客観的な根拠に基づいた教育施策を立案することができるようになると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所環境の改善についての御質問にお答えをいたします。
 国においては、能登半島地震を検証の上、令和6年12月に避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針の改定が行われ、避難所環境の国際基準となるスフィア基準等を踏まえたトイレや生活空間の確保、さらには食事の質の確保などの方向性が示されております。
 次に、食事の提供については、発災直後には、まずは温かい食事として、市の備蓄食料を避難所の調理設備で温めて提供し、2日目からは、よりおいしい食事として、食材関係者が提供するレトルトの調理済み加工食品などをキッチンカー等で加熱して提供、3日目以降は、より栄養バランスが取れた食事として食材関係者が提供する野菜や生鮮食品などを、キッチンカー等で調理して提供することを想定しております。
 次に、キッチンカーの確保については、キッチンカー事業者が加盟している団体や協会等との協議を進めるとともに、協力者の拡大も図りながら、組織的な連携体制の構築を目指してまいります。
 次に、訓練については、キッチンカーや移動式トイレを訓練会場となる避難所に実際に配置し、地域の皆様と協力して、参加者に温かい食事などを提供するとともに、段ボールベッドやパーティションの搬送、組立てを行うなど、地域と一体となり、良好な避難所環境の確保に向けた訓練を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) それでは、3回目に入ります。
 まず、犬の飼い主のモラル・マナー向上についてです。
 犬のふんの放置はごく一部の飼い主によるものであり、飼い主のモラル・マナーは全体としては以前に比べてよくなっているものと思います。しかし、一部の飼い主の不適切な飼い方により、迷惑を受けている方がいまだ多くいる現状を変えていくべきではないでしょうか。防犯や交通安全に関しては日頃からパトロール活動などを行っている地域もあります。犬のふんの放置対策についても、飼い主に、困っている人がいる、誰かが見ていることを伝え、改善を促すため、地域と連携した取組や民間事業者を活用し、夜間や早朝などの時間帯にもパトロールや指導を行うなど、もう一歩踏み込んだ効果的な対策に取り組んでいただくよう要望いたします。
 市民の中には、法律や条例の規定について知らない方もいると思います。犬は、散歩など外に連れて行く機会も多く、地域社会に受け入れられるためには飼い主のモラル・マナーの向上が必要だと感じます。そのためには、地域と連携した飼い主への啓発などの取組が重要だと思いますが、最後に、犬の飼い主のモラル・マナーの向上について御所見をお伺いいたします。
 次に、ICT導入による子どもたちの主体的な学びについてです。
 教育データ連携基盤で、教育データの可視化や分析を行えるということですが、特に採用されて間もない経験年数の浅い先生にとっては、客観的な根拠ということで、自信を持って指導できる心強い味方となるのではないでしょうか。また、データを活用することで、子ども一人一人の状況をきめ細かに把握することができるようになり、子どもと先生の信頼関係が高まることにもつながると思います。教育データやICTは、授業だけでなく、不登校やいじめ防止など、子どもたちの多様なニーズに対応する支援策としても活用されています。子どもが悩みを相談したいときに、1人1台端末を使って専門の相談員に相談することも可能です。今後も、授業以外においても積極的に活用されるようお願いいたします。
 ここまで、ICTを活用した子どもたちの学びについてお尋ねしてまいりましたが、私は、子どもたちが、友達同士で協力していろいろと考え、工夫しながら遊び、自分の好きなことや興味があることを、目標に向かって自分で考えながら達成していくことの喜びを味わってほしいと思っています。そのためには、教育データやデジタル教材などを活用し、先生が子ども一人一人の現状を把握しながら適切な支援を行い、子どもが自信を持って学び、考え、判断し、行動する力をつけていくことが必要です。知識や技術の習得にとどまらず、未来の困難を乗り越えていく力の育成に取り組んでほしいと思っています。これから、さらにICTを効果的に活用することで、子どもたちの学びやそれを支える先生たちの授業が大きく変化していくことを期待しています。
 最後に、これからのICTを活用した本市の学びの改革について、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、災害時における避難所環境の改善についてです。
 災害時における温かい食事の提供は、単に被災者の身体的な健康を支えるだけでなく、精神的なケアや地域の復興活動においても重要な役割を果たします。食事には人々の心を癒やす力があり、長期間の避難生活で精神的なストレスが大きくなった被災者にとって、大きな安心感につながります。また、食の力で被災者を支えたいという思いを持つ企業や団体も多く、協力いただける事業者も相当数おられるのではないでしょうか。温かい食事の提供を通じて、地域の企業やボランティア、さらには自衛隊などと連携を深めることで、災害時の支援体制が一層強化されると考えます。災害が発生した場合、スムーズに対応できるようにするためには、日頃からの訓練等により、地域との協力体制を築いておくことが不可欠です。本市が進められている避難所での生活環境改善に向けた取組は、こうした事前の備えを充実させるための重要な一歩であり、地域の協力も得ながら進めることで、より実効性のある支援が可能となり、これまでの避難所と比べ大きく改善されるものと考えています。本市がこれらの取組を着実に進め、地域や企業、行政が一体となって災害に備える姿勢には、非常に大きな期待を寄せています。
 最後に、温かい食事の提供プロジェクトを含め、避難所の環境改善の取組は被災者ファーストの大切な取組だと思いますが、その実現に向けた島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 犬の飼い主のモラル・マナー向上に関する御質問にお答えをいたします。
 福岡市が目指す人と動物との調和の取れた共生社会の実現に当たっては、飼い主のモラル・マナーの向上は重要な課題であると考えております。そのための取組として、周辺への迷惑や人への危害を防止するという飼い主責任の自覚を促すため、様々な機会を捉えた適正飼育の普及啓発を強化するとともに、ルールやマナー違反に対する効果的な対策について今後検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ICT導入による子どもたちの主体的な学びについての御質問にお答えいたします。
 福岡市はGIGAスクール構想を進めていく中で、他都市に先駆け、いち早く1人1台端末を整備するとともに、現在、教育データの活用にも先進的に取り組んでおります。教員がICTを活用することによって、子ども一人一人の学習状況や理解度などを的確に把握し、子ども同士がそれぞれの考えを共有することで、主体的、対話的で深い学びにつながる環境をつくり出すことができます。今後も、ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現を目指した授業改善を図り、子どもたちが、将来自分の可能性を信じ、様々な変化や困難に主体的に向き合い、他者と力を合わせ、豊かな人生やよりよい社会を切り開いていけるような資質、能力の育成に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 昨年の能登半島地震をはじめといたしまして、阪神淡路大震災や東日本大震災、また熊本地震など、日本各地で大規模な災害が発生をするたびに、被災者に劣悪な環境で我慢を強いる避難所生活が問題となってまいりました。その中で繰り返し必要性が指摘されてきた、清潔なトイレ、温かい食事、心身休まる生活空間の確保は被災者の避難所生活を支え、災害関連死を防ぐためにも重要な要素とされています。このため、新たにトイレカーの配備や段ボールベッド等の備蓄の拡充を図るとともに、キッチンカー等と連携をした温かい食事の速やかな提供に取り組むなど、被災者に優しい良好な避難所環境の整備を行ってまいります。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進めてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質疑は明6日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(松野 隆) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明6日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時11分 散会