令和6年12月13日(金)

令和6年 第5回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第3号)
                                      12月13日 午前10時開議
 
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  和 田あきひこ      34番  あ べ ひでき
35番  大 沢 めぐみ      36番  木 村てつあき
37番  橋 口 えりな      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村  一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  下 川 祥 二      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 理 事  町 田 一 彦
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小   林  登茂子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  町     孝
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子      人事委員会事務局長  小 川  明 子
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美
 

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩      議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

 
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。小竹りか議員。
 
○53番(小竹りか)登壇 皆様おはようございます。私は福岡市民クラブを代表して、車椅子ユーザーの視点を生かした歩道整備について、人と動物との調和の取れた共生社会の実現について、以上2点を質問いたします。
 先日、電動車椅子を使用している方から、通院途中の歩道ががたがたなので不安定となり、危ないとの相談をいただきました。自転車や人を避けながら走行する姿を見ていると、傾斜で車椅子が傾いたり、根上がりで飛び出た縁石に車輪が乗り上げたりと、見ているこちらがはらはらするほどでした。
 安全に快適に目的地にたどり着くことは、誰しもが望むところです。それには、交通機関、施設のバリアフリー化なども関連しますが、今回は相談のあった歩道について質問してまいります。
 初めに、歩道の定義及び歩道はどのような観点で設置されているのか、お示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 歩道につきましては、道路構造令によると、専ら歩行者の通行の用に供するために、縁石線または柵その他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分と定義されております。
 また、歩道は歩行者、車両それぞれの交通量等を考慮して、安全かつ円滑な交通確保の観点から、必要な箇所に設置しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 安全かつ円滑な交通確保の観点ということですが、安全な移動のための歩道の在り方についてどのようにお考えでしょうか、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路は最も身近な基礎インフラであり、歩道の整備に当たってはバリアフリー化等を着実に進めるとともに、適切に維持管理を行いながら、誰もが安全、安心で快適に移動できる歩行空間の確保に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では、バリアフリー化について伺います。
 歩道のバリアフリー化を進めていますが、その概要について、取組内容及びどのような計画で進めているのかお示しください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) バリアフリー化の取組としましては、歩道のフラット化や滑りにくい舗装材の採用、視覚障がい者誘導用ブロックの設置などを行っております。
 道路のバリアフリー化に当たっては、福岡市バリアフリー基本計画に基づき、誰もが安全で快適に移動できるよう、重点整備地区内の生活関連経路について、優先的、重点的に整備を進めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) それでは、重点整備地区の設定要件及び設定された地区についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 重点整備地区につきましては、国の移動等円滑化の促進に関する基本方針を踏まえ、1日当たりの利用者数が多い旅客施設または高齢者、障がい者等が日常的に利用する生活関連施設が、おおむね直径1キロメートルの徒歩圏内に3か所以上集積していることを要件としており、市内においては、現在22地区を設定しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 駅や福祉施設などが3か所以上集まった地区ということです。
 では、重点整備地区外の歩道に関して、どのような対策を取っているのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 重点整備地区外の歩道におきましては、道路の新設、拡幅整備の際や、地域から既存道路のバリアフリー化の要望を受けた場合等において、歩道のフラット化や視覚障がい者誘導用ブロックの設置などを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 拡幅整備がいつになるのか見通しが立たない状況でも、日々の安全な移動に支障を来している方が現に存在します。既存の歩道を整備につなげるには、いかに要望を行政に上げるのかがポイントだと考えます。
 資料1をお願いします。(資料投影)あくまでも一例ですが、相談の歩道は、このように立派なイチョウ並木が続く歩道です。切下げ箇所が連続し、根上がりによる凸凹が見られます。
 資料2をお願いいたします。(資料投影)凸凹が続くと体にも響き、車椅子ユーザーの方はつらいとのことです。投影ありがとうございます。
 ここからは、整備、維持管理について伺います。
 身体への影響を軽減し、安全に快適な走行を保障するには、走行の妨げや安全性に影響を与える街路樹の根上がりをはじめ、歩道の凹凸や剥離などへの迅速な措置が必要となります。
 定期的な点検とメンテナンスなど、整備計画を遂行するための予算のほかに、緊急的な措置に要する予算はどの程度確保しているのでしょうか。また、補修工事箇所の選定、施工時期はどのように決められているのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 緊急的な措置に要する予算につきましては、街路樹の根上がりによる歩道の凸凹のほか、側溝や区画線、道路照明灯の補修などに充当する道路維持費で対応しており、令和6年度当初予算で約27億4,500万円となっております。
 また、補修工事箇所の選定や施工時期につきましては、道路管理者である区役所による道路パトロールのほか、市民などからの通報を基に、現地調査を行った上で補修箇所を特定し、できる限り速やかに補修を実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 総延長約3,900キロとされる道路で区画線などやるべきことが山積しています。道路維持管理費の予算総額は27億円余、マンパワーも必要です。歩道の綻びは、時として重大な事故につながります。市民を守るためには、補修箇所を発見し、速やかな対応を取ることです。市民の通報や要望は、補修箇所発見の重要な情報源になります。
 そこで伺います。地域住民からの歩道改善などの要望はどのように受け付けているのでしょうか。また、どのような意見が寄せられ、その対応状況についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地域からの要望につきましては、区役所などにおいて、地域からの要望書のほか、市政への提案やメールなどで受け付けております。
 要望内容につきましては、歩道の段差解消のほか、カーブミラーや照明灯の設置など、様々な御要望を伺っており、必要性や緊急性、現地状況等を踏まえ、対応を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 歩道改善の要望は様々で多岐にわたっています。また、限られた予算と人員の中で、緊急性など優先順位をつけた対応は致し方ないことですが、地域の方からは、役所に改善の依頼をしても、その後、なしのつぶてになっている。小さな声として埋もれてしまったと伝わってきます。
 お話を伺った車椅子ユーザーの方は、走行しづらい歩道の場合、遠回りして行くとのことでした。本市はそのような状況を把握しているのでしょうか。また、そのような声をどういった整備につなげているのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 市政への提案や区役所への通報などにより、車椅子使用者やベビーカーを押す方などにとって、段差が支障になるという状況があることは認識しております。誰もが使いやすい道路となるよう、歩道のフラット化を進めるとともに、段差のない縁石の導入を図るなど、できる限り移動しやすい歩行空間の確保に努めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 外出は心身の健康の増進や日々の生活の中で欠かすことができないものです。スピード感を持った整備となるようお願いいたします。
 歩道について伺ってまいりましたが、歩道がない道路の安全な歩行への対策はどのようにされていますか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 歩道が設置できない箇所におきましては、路側帯のカラー化により視覚的な歩車分離を図るなど、安全な歩行空間の確保に努めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) カラー化などによる車道と歩行者通路の境界の明確化は、ドライバーへの注意喚起につながります。特に車椅子やシルバーカーを使用している方は、ドライバーから目に入りにくいことが想定できます。通学路に限定されることなく取り組んでいただきたいと考えます。
 話を伺った方から、大切なことは一緒に考えることと教えていただきました。当事者でなければ分からない視点があります。「あそこの段差は激しいよね」、「そこの歩道より、こちらの道のほうが安全だよ」など、どうしたら安全に移動できるのか、そのためにどこの何を改善すべきなのか、代替策は何があるのかなど、地域も行政も一緒に考えるべきです。小さな声と埋もれないように、歩道や路側の整備に生かしていただきたいのです。
 高齢者や障がい者をはじめ、多くの地域住民が思いを交流させることは、相手の視点が分かり、心のバリアフリーにもつながります。例えば、通学路安全対策や安全安心マップがありますが、障がい者、高齢者、ベビーカーを押す方などの視点を取り入れた外出マップがあると、その地に慣れない方にとっても、外出に一役買うことでしょう。
 歩道の設置や整備について、地域と行政が一緒に考える取組が必要だと思いますが、所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 歩道を含む道路の整備におきましては、地域住民の方をはじめ、高齢者や障がいのある方など、様々な方の御意見を伺うことは重要であると認識しております。これまでも通学路の安全対策や段差のない縁石の導入などに当たり、地域や障がいのある方などの御意見を伺ってきたところであり、今後も様々な方の御意見を伺いながら整備を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 次は、人と動物との調和の取れた共生社会の実現について質問してまいります。
 私たちの社会において、動物は単なるペットや家畜ではなく、生活や文化に深く根差した存在です。中でも、犬と猫は人間社会において、長い歴史を持つ伴侶動物であり、近年ではペットは家族という考え方が広まり、犬や猫への愛情や飼育への責任感が強まっています。
 動物愛護管理法では、動物の虐待及び遺棄の防止、適正な取扱いを定めており、動物が単なる物ではなく、感情や痛みを持つ存在であるとし、社会全体で動物の権利を守る意識が高まっています。本市においても、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に資することを目的に、動物の愛護及び管理に関する条例が制定されています。
 福岡市がどのようにその共生社会を実現していくのか、取組について質問してまいります。
 初めに、人と動物との調和の取れた共生社会とは、どのような社会を指すのでしょうか。また、実現に向けた本市の取組についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 人と動物との調和の取れた共生社会の具体的将来像といたしましては、福岡市動物愛護管理推進実施計画において、市民一人一人が動物の命を尊重するまち、動物を飼うことに責任を持ち、マナーやルールが守られるまち、動物の愛護と管理についての理解が深まり、様々な立場の人が尊重し合い、つながるまちを目指すことといたしております。その実現のため、同計画に基づき、飼い主のいない猫、多頭飼育問題対策や犬猫の譲渡推進など、動物の愛護と適正飼育に関する施策を進めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 動物愛護は命の尊重、尊厳、思いやりや優しさの延長線上にあるものだと思います。だからこそ、人と動物との調和の取れた共生社会の実現には、命の尊重が大切だと考えております。
 では、施策の一つ、飼い主のいない猫への取組について質問いたします。
 猫は人と暮らすように変化した動物であり、人が責任を持ち、世話と管理をしなければならない動物とされていますが、捨て猫や迷い猫から繁殖した猫がまちじゅうで暮らしています。
 その対策として地域猫活動がありますが、その概要と意義をお示しください。また、地域猫活動が行われている地域について、これまでの支援地域数及び直近5年間の新規の地域数をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 地域猫活動は、飼い主のいない猫に起因する問題の解決を目的とした活動であり、周辺住民の理解や合意の上、地域住民が主体となって、飼い主のいない猫へ不妊去勢手術を施し、トイレや餌やりなどの一定のルールに従った管理を行う取組でございます。
 実績といたしましては、令和6年10月末時点で112地域に対し支援を行っており、過去5年間の新規支援地域数は、令和元年度が5地域、2年度が9地域、3年度が6地域、4年度が10地域、5年度が4地域となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 猫は非常に繁殖力が強く、1組のカップルから1年で50頭、3年間では総勢2,000頭になると言われています。地域猫活動は、不妊去勢手術によりこれ以上猫を増やさないこと、ふん尿や餌の放置の問題を解消することで、よりよい環境での共生のための大切な施策となります。毎年、新規に地域猫活動に取り組む地域もあり、これまで112地域で実施されていますが、まだまだ地域の理解や合意が得られず、独自に活動されている方もいらっしゃいます。
 地域猫活動の理解促進のための取組についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 理解促進のための取組といたしましては、出前講座や動物愛護フェスティバルといったイベントなどの機会を捉えた啓発を行うとともに、地域猫活動に関するパンフレットや動物愛護管理センターのホームページ、市政だよりなどにより、活動内容の周知に努めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 地域には猫好き、猫嫌い、無関心な人など、様々な立場の住民が存在し、理解し合意を得ることは困難な場合があるようです。地域猫活動をただの餌やりと捉え、飼い主のいない猫に起因する問題の解決という本来の意義や、その背後にある不妊去勢手術や管理の重要性の理解が図られていません。活動によってどれだけの猫が減少したか、トラブルが解消されたかなど、地域猫活動の成果を定期的に示すことは、住民の信頼と支持につながると考えます。猫に関心がある方のみならず、地域猫活動に難色を示す方にまで情報がしっかりと行き届くように、また、キーマンとなる地域の役員の方にその意義をしっかりと酌み取っていただけるよう、積極的な情報発信をお願いいたします。
 市営住宅の敷地内でも猫を見かけることがありますが、市営住宅内での地域猫活動の現状について伺います。
 地域猫活動が禁止されていますが、その理由をお示しください。また、令和5年度の猫に関する相談や苦情の件数と内訳についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 市営住宅では、動物アレルギーの方や疾病などにより、音や臭いに敏感な方もおられることから、入居者の理解や協力の下、トラブルのない快適な共同生活を営んでもらうために、住宅内での動物飼育を禁止するルールを設けるとともに、通報や苦情があり次第、指導を行っております。また、敷地内での餌やりについても、住宅内での飼育につながるおそれがあることや、餌づけされた猫のベランダ等への侵入を不快に感じる入居者もおられることなどから、同様の対応を行っているところでございます。
 なお、令和5年度の動物飼育に係る指導件数は277件で、そのうち猫に関するものが92件、その中で室外の餌やりで行為者が特定され、指導を実施したものが10件でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 快適な共同生活のため、動物の飼育、餌やりを禁止していますが、10件の室外の餌やりに対する指導があり、現にトラブルが発生していると言えます。
 では、そのトラブルを解消するために、市営住宅内で発生する飼い主のいない猫への対策についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 市営住宅の敷地内に飼い主のいない猫の侵入を防ぐことは困難であることから、敷地内に住みつくことを予防するために、餌やりを行わないよう指導しております。また、餌やりの通報や苦情を受けた際には、餌やり場を確認し、餌やり禁止の貼り紙や餌皿の撤去をするなどの対策を行うとともに、行為者が特定できた場合は、口頭や文書による指導を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 餌やりを禁止するだけでは根本解決にはなりません。愛知県豊橋市は、昨年、公営住宅内での地域猫不妊去勢手術費補助金を活用した地域猫活動を認めました。これは公営住宅内での地域猫活動を解禁したものではなく、個別で認めたものではあります。増え続ける猫、餌の放置などが問題となり、餌やり禁止の注意喚起をしても事態が収まらずにいたところ、住民から地域猫制度を活用して不妊去勢手術をしたいとの相談を受け、総合的に鑑み、現状よりも環境が改善されるのであればと、補助金申請に必要な管理者としての許可を出したとのことです。住民の組長が理解を示したこと、住民から時間と場所を決めた餌やりとふん尿の清掃の誓約があったことで、許可したとのことです。市営住宅内での地域猫活動を認めないとかたくなに拒むのではなく、柔軟な対応をすべきと申し述べます。
 飼い主のいない猫及び多頭飼育問題の猫を対象にした不妊去勢手術の支援事業が令和5年度にモデル事業として開始されました。令和6年度は新たに飼い主のいない猫の不妊去勢手術について公募枠を設け、実施されました。
 公募を2回行い、各100頭ずつ不妊去勢手術を行うものですが、各2回の応募件数と頭数をお示しください。また、1次募集で実施された手術件数をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 公募枠への応募につきましては、1次募集が286件、735頭、2次募集が327件、848頭であり、また、1次募集の手術頭数は10月末時点で、公募枠100頭のうち64頭が実施済みとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 応募頭数を見ると、不妊去勢手術が必要な飼い主のいない猫が多くいることが分かりますが、本市の所見と今後の計画についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 公募枠への応募の状況などを勘案いたしますと、手術が必要な飼い主のいない猫がいまだ多くいるものと考えられることから、引き続き事業を継続していくとともに、必要な支援頭数の拡大について検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) ぜひよろしくお願いいたします。手術実施頭数が予定の100頭を下回る64頭でした。手術対応期間が2か月と限定的なため、その期間内に捕獲できなかった等の理由があるようです。捕獲に対する支援は十分だったのか、また、協力動物病院は猫を持ち込みやすいところだったのかなど、より活用しやすい支援となるよう検証、改善をお願いいたします。
 次に、多頭飼育対策についてです。
 その背景には、飼い主の経済的困窮や社会的孤立などが複雑に絡み合っているとされ、多頭飼育崩壊が起こってからでは遅く、いち早く発見し、多方面からの支援につなげることが重要です。
 多頭飼育問題の猫の不妊去勢手術について、事業内容、手術の実施件数、取組の中から見えてきた課題をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 猫の多頭飼育につきましては、複数の猫を飼育している中で、適切な飼育管理ができず、周辺の生活環境等への影響が生じる場合があることから、その飼い主に対し、飼育する猫の手術支援を行っており、令和5年度の実施件数は76頭となっております。
 また、課題といたしましては、飼い主への適正飼育の啓発や飼い主との関係性の構築、動物関係団体や福祉関係部署等と連携した支援体制の充実などがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 官民問わず、関係団体と連携を図る上で、その役割や、どこが主体となってアプローチするかなど、個別案件ごとにしっかりと取り組んでいただくようお願いいたします。
 所有権の問題はありますが、虐待や多頭飼育が崩壊している場合、猫の保護などのため、一時保護ができるよう猫シェルターが必要だと思いますが、シェルターの設置について所見をお示しください。また、動物愛護管理センターには現在50頭の猫の収容スペースがあるとのことですが、その収容スペースを増やすことはできないでしょうか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) シェルターの設置につきましては、安易な引取りにつながる可能性があることから困難であると考えておりますが、まずは飼い主が責任を持って最期まで飼育することや、自ら譲渡先を探すよう指導に努めているところでございます。また、動物の収容頭数につきましては、災害時等の緊急対応として一時的に増やすことは可能でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 報告によると、令和5年度の多頭飼育の苦情件数は8件に上ります。安易な引取りではなく、飼い主が手に負えなくなった猫の保護をどう捉えるかです。
 猫の保護が必要な場合の対応についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 虐待や多頭飼育の崩壊におきましては、飼い主がこれ以上飼育できないとして所有権を放棄する場合には、東部動物愛護管理センターで引取りを行った後、可能な限り新たな飼い主への譲渡に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) センターで引き取るとの答弁ですが、収容スペースの確保や譲渡できるようになるまで育てるには、連携が課題として挙げていた動物関係団体の協力がなければ厳しい側面があるのではないでしょうか。各種団体と動物愛護管理センターの連携を深めるとともに、費用面も含めた支援に積極的に取り組んでいただくよう要望いたします。
 それでは次に、命の尊重という観点から、殺処分について質問してまいります。
 東部動物愛護管理センターに収容された犬及び猫についてお尋ねします。収容理由、令和5年度に収容した頭数についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 収容理由といたしましては、犬猫の飼い主や保護した市民からの引取り、負傷した犬猫の受入れ、放浪犬の捕獲であり、また、令和5年度の収容頭数は、犬71頭、猫298頭となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 様々な理由で収容された犬猫は譲渡を目指すとしていますが、譲渡判定の基準と判定方法を詳細に教えてください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 譲渡判定につきましては、動物愛護管理センターの譲渡実施マニュアルに基づき実施をいたしておりまして、犬の場合、1次判定で健康状態と、人が近づいたときの反応から、警戒心、凶暴性を確認し、2次判定でリードをつけた際の様子や体に触れた場合の反応から、社交性、人に対する許容性を確認いたしております。また、猫の場合は、健康状態と、人が近づいたときの反応や体に触れたり抱き上げた際の様子から、凶暴性や警戒心、許容性を確認いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 健康状態と人なれしているかどうかの確認です。
 譲渡判定で不合格となった犬猫のその後の対応についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 不合格となった場合は、譲渡の可能性について、獣医師を含む職員4名でカンファレンスを実施し、動物関係団体への譲渡を進めることや、トレーニングにより、警戒心、凶暴性、社交性、許容性の改善を図るなど、可能な限り譲渡につながるよう取り組んでおります。
 また、治癒の見込みのない病気やけがなどの場合は、まずは動物関係団体への譲渡の可能性を検討いたしますが、状態によっては殺処分の対象となることもございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 殺処分の対象となることもあるということですが、殺処分された犬及び猫の頭数とその理由をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和5年度の殺処分につきましては、負傷などによる収容中の死亡が犬2頭、猫39頭、感染症の罹患や、まれではありますが、攻撃性などを理由としたやむを得ない殺処分が犬3頭、猫129頭で、これらを除いた実質的殺処分は、犬猫どちらもゼロとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) それでは、治癒の見込みの判断はどなたが行うのでしょうか。また、治療はどこで誰が行うのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 治癒の見込みの判断につきましては、東部動物愛護管理センターの獣医師が行っております。
 また、収容された犬猫の治療につきましても、センターにおいて対応可能な範囲で獣医師が行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 譲渡判定に関わるのは、動物愛護管理センターの職員です。治癒の見込みがないとの判定は、センター内で治療ができるかどうかが判断基準となっています。センターに従事する行政獣医師と日々動物病院で治療や手術に当たる臨床獣医師とでは、知識や経験が異なります。臨床獣医師に関わっていただくことで譲渡判定が変わるはずです。例えば、獣医師会と連携して、治療方針、治療費を決め、協力できる獣医師に治療に当たっていただけると助かる命があるはずです。やむを得ない殺処分とは、これ以上治療することで苦痛を与えるとの判断によるもので、安楽死の考えです。実質的殺処分ゼロで甘んじるのか、殺処分ゼロを追求するのか、動物愛護の真意に立ち返っていただきたいと思います。
 殺処分された動物の遺体の処理方法についてお伺いいたします。
 処理方法及びその方法を取る理由についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 動物愛護管理センターで殺処分または病気等で死亡した犬猫の遺体につきましては、民間のペット火葬業者に焼却及び埋葬を委託いたしております。
 その理由でございますが、動物愛護管理センターで収容し処置を施した後、センターで亡くなった動物であることから、救えなかった命の慰霊のために焼却、埋葬を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 慰霊の意味を込めて火葬、埋葬しているとのことでした。
 では、路上等で発見された飼い主のいない犬猫について伺います。
 収集運搬はどのようにやっていますか。また、過去5年の処理件数についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) お尋ねの犬及び猫の収集運搬は民間事業者への委託で行っており、その件数につきましては、令和元年度は犬21頭、猫5,250頭、2年度は犬20頭、猫4,574頭、3年度は犬14頭、猫4,098頭、4年度は犬7頭、猫3,435頭、5年度は犬14頭、猫3,019頭でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 路上で発見された猫の遺体が5年間で4割減少したのは、飼い主のいない猫が減少した結果と推察されます。
 遺体の収集運搬は業務委託ということですが、動物の死体を扱う特殊性を鑑みた上での条件についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 委託業務におきましては、収集された犬や猫のマイクロチップの有無を確認できるよう、マイクロチップリーダーを保有することを条件としており、読み取ることができた個体識別番号を記録して、飼い主などからの問合せに対応できるようにいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 令和5年度について、マイクロチップを装着していた猫の頭数、市民からの問合せ件数、所有者が判明した件数についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 委託業務において、令和5年度にマイクロチップの装着が確認された猫の頭数は1頭で、その1頭につきましては所有者が判明いたしております。
 また、飼い猫や飼い犬などに関する市民からの問合せにつきましては、1日に四、五件ほど受けております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 市民からの問合せも1日四、五件あるそうです。マイクロチップの装着が販売業者に義務づけされたのは令和4年であり、まだまだマイクロチップの装着が図られていません。遺体の中に迷い犬や猫が含まれている可能性が拭い取れません。
 路上等で発見された飼い主のいない犬及び猫の遺体の処理方法及びその方法を取る理由をお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 路上等で死亡し収集された飼い主不明の犬及び猫につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、動物の死体が廃棄物と定められていることから、その他の動物と同様、委託業者が動物用の専用車両で収集し、清掃工場に搬入した後、焼却処理を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 御答弁のとおり、動物の死体を廃棄物として清掃工場で焼却することは、法的に問題はございません。しかしながら、亡きがらの扱い方には、命の尊厳への姿勢が表れると思っています。犬猫の遺体の中にはペットとして飼われていた可能性の配慮や市民の心情への配慮などの理由で、札幌市、仙台市、さいたま市、川崎市、静岡市、浜松市、京都市、そして、神戸市など、一般廃棄物とは区別し、専用炉で火葬する自治体が増えてきました。殺処分された犬猫の火葬先である動物霊園に確認したところ、路上で発見された犬猫の遺体に対応できる収容能力はあるとのことです。一般廃棄物と区別した火葬を前向きに進めていただくよう要望いたします。
 では最後に、東部動物愛護管理センターについて伺います。
 老朽化が課題だと感じていますが、建て替えの計画はあるのでしょうか。また、建て替えに課題があればお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 東部動物愛護管理センターは築45年が経過しており、施設の老朽化が進むなどの課題があることから、その施設の在り方について検討しているところでございます。
 また、建て替えにおきましては、設置場所の選定や施設に求められる役割や機能など、動物福祉や市民の利便性といった観点からの検討が課題となると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) リニューアルに向けて動き始めているということですが、いつ頃のリニューアルに向けて動いているのでしょうか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 建て替えにつきましては、施設の在り方について検討する中で、その時期も含め、今後検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 人獣共通感染症対策や人と動物の共生社会づくり、飼い主の適正飼育の推奨活動、動物愛護の普及活動などの拠点となるべく、他都市の取組も参考にしながら、早急なリニューアルを要望しておきます。
 今年度、福祉都市委員会での札幌市の動物愛護管理センターの視察に職員も行かれていると思いますが、参考になったこと、本市に生かせることなど所感を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 札幌市動物愛護管理センターにつきましては、明るく、市民に開かれ、環境や動物福祉に配慮した施設となっていること、また、収容犬猫の譲渡や治療に関し、動物関係団体や獣医師会との連携体制が構築されていることなどが、本市の動物愛護管理センターの在り方を検討するに当たり、大変参考になるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 動物関係団体や獣医師会との連携ということですが、具体的に御教示ください。また、連携強化に向け、本市が取り組むべき点は何とお考えでしょうか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 具体的な連携といたしましては、動物関係団体による収容犬猫の譲渡推進への協力や獣医師会による犬猫の治療などがございます。
 今後の取組といたしましては、関係団体との情報共有や意見交換、ハード、ソフト両面からの環境整備が必要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 収容された犬猫の治療等の獣医師会との連携や情報共有、意見交換など、御答弁いただいた連携はぜひ進めていただきますようお願いいたします。
 動物愛護管理に関する施策についてただしてまいりました。私は、物言えぬ、人より弱い立場とされる動物の扱いは、その都市の道徳的発展を表すものだと思っています。
 最後に、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けた意気込みを伺い、質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市では、人と動物との調和の取れた共生社会の実現を目指し、動物愛護と適正飼育の推進に取り組んでいるところでございます。今後とも、飼い主への適正飼育の啓発や犬猫の譲渡推進、飼い主のいない猫等の不妊去勢手術支援などに取り組むとともに、人と動物の共生を推進する拠点としてふさわしい施設となるよう、動物愛護管理センターの在り方を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代)登壇 私は日本共産党市議団を代表し、学校施設の改善について並びにケアマネジャーの不足について質問を行います。
 私たち共産党市議団は、福岡県建設労働組合や新日本婦人の会などの皆さんとともに、公共施設を考える会を構成しており、今年の夏休みも学校施設調査を行いました。子どもたちの学ぶ環境を整えるために20年以上続く取組で、3,000を超える改善要望を教育委員会に行っています。
 今年の調査結果に基づいて質問を行います。
 私も参加した博多区吉塚小学校では、放課後児童クラブの建物のそばにある外壁のブロック塀が爆裂をしていました。倒壊のおそれがあり、歩道にも面しており、児童生徒たちのみならず、近隣住民にも危険が及ぶ可能性があるとのことでした。
 お尋ねしますが、教育委員会が、改善が必要になった場所について、毎年全ての学校現場から提出を求めている学校施設改良等要望において、この点は当該学校から提出されているのか、併せて対応をされているのか、答弁を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 吉塚小学校から提出されました要望においては、ブロック塀に関するものはございませんでした。なお、当該ブロックにつきましては、今年度既に改修に向けた設計に着手いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) このような危険箇所がつかまれていないことは大きな問題です。12月7日付の西日本新聞に、「県立学校、破片落下52件」という見出しで、施設の老朽化による外壁や天井の破片が落下する事案が2019年度以降、計52件発生したと報道がありました。
 そこでお尋ねしますが、同じ期間で市内の学校施設における破片落下件数はどれぐらいか、また、けが人は出ていないのか、出ているならその人数についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和元年度から5年度までの破片の落下件数は、小さいものも含めまして45件で、けがなどは発生いたしておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 本市でも45件もの校舎や天井などの破片の落下があったとのことです。幸いけが人は出なかったとのことですが、一歩間違えば重大事故につながります。
 そもそもこうなる前に対応すべきですが、専門家による安全点検は行っていなかったのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 建築基準法に基づきまして、一級建築士等の専門家による法定点検を実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 事前に伺うと3年に1回やっていると.
それでは少な過ぎます。だから危険箇所が見落とされています。我が党は少なくとも年1回の点検を行うべきと指摘してきましたが行われず、その結果がこの事態です。
 年1回は専門家による点検を行うべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 外壁の点検については、一級建築士等の専門家による法定点検や全面打診等調査に加えまして、定期的な技術職員による点検や学校職員による日常点検を重ねて行うことで、施設の安全点検の充実を図っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 抜本的な充実を重ねて求めておきます。
 次は、体育館についてです。
 全校生徒が利用する授業の場であり、災害時に避難場所にもなる場所ですが、東区の箱崎小学校と馬出小学校の体育館には4メートルほどの高さにある窓に鍵がついており、本来なら開閉できるものですが、足場を造らないと届かない場所にあるために開けられず、換気が十分にできない状態がありました。現場の教員からも、なぜこんな造りになっているのか、換気や暑さ対策のためにも開けられるようにしてほしいとの要望が上がっています。
 窓が開閉できるよう対応すべきと思いますが、答弁を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 箱崎小、馬出小の体育館につきましては航空機騒音対策の区域でございまして、常時閉鎖した状態での運用を前提とした造りとなっておりますが、今後建て替え等の機会を捉え、より機能的な体育館づくりに努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 開け閉めできるようにすべきです。このような施設の不備が子どもたちの日々の学校生活に影響します。大勢が集う場所であり、エアコンもついていないため、熱中症や感染症の防止のために、せめて窓を開けて換気することは最低限必要なことです。この問題は学校対応では難しく、教育委員会の責任で行うことを強く求めておきます。
 次に、プールについてです。
 学校施設整備指針において、日よけはどのように書かれていますか、併せて日よけの設置率はどれぐらいか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 日よけテントの寸法は、小中学校ともに2.5メートル掛け10メートルを基本としております。また、令和5年度末時点の設置率は約76%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 国も推奨していることを今飛ばされておりますが、推奨しています。熱中症から子どもや教職員を守るためにも、もはや必須の設備です。
 76%設置しているとのことですが、24%放置しているのは問題ではないでしょうか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) プール改修の機会に合わせて設置するほか、個々のプールの状況に応じて適宜対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 事前に伺っていますが、簡易テントを設置している場合がありますけれども、プールサイドにペグは打てず、固定できない上に、その都度出したり片づけたりなどの手間がかかります。設備が足りないからこういうことが起こっているんですが、今年7月に南区の中学校で、プールに固定していないテントが風で飛んで、走行中の車を破損させる事故も起きています。こういった場当たり的な対応を学校に押しつけた結果ではないでしょうか。
 教育長は、日よけをあたかもすぐに設置するように言われていますけれども、この3年間設置したのは何校ですか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度は1校、5年度は2校に設置しておりまして、6年度は4校に設置をする予定としております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 7校ですけれども、このペースでは残り約50校に設置するのに20年かかります。問題はこれだけではありません。設置されている学校の日よけは小さ過ぎて全員が入れません。
 全ての学校で、全員が入れる広さを持った日よけをプールサイドに設置すべきではありませんか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) プールの暑さ対策は、引き続きプールサイドへの散水や適切な休憩時間の確保などにより対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 健康に関わることを先延ばしすることは許されません。早急に対策を求めておきます。
 次に、子どもたちのプライバシーを守る問題についてです。
 プール授業が周辺マンションや近隣住民から見えてしまうことについて、犯罪防止はもちろん、子どもたちのプライバシーや人権を守る上でも放置できない問題です。
 例えば、遮光ネットなどでプール全体を覆うような対策も必要だと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) プール全体を覆う遮光ネットの設置には、その面積が大きいこと、それを支えるために頑丈な支柱が必要となることなど、多くの技術的課題があります。また、プライバシーの確保については、プール改修などの機会を捉えて適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 急ぎ対策を講じることを求めておきます。
 次に、プールサイドについてです。
 温暖化で年々気温が上がっていく中、プールサイドの暑さ対策として、プールサイド用マットを敷いている学校がある一方、プールサイドのコンクリートがむき出しの学校が多数残されています。以前とは次元の違う暑さで、短時間でも足の裏のやけどにつながります。
 全ての学校でプールサイドでのやけどの防止が急がれると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) プール改修の機会にシートを整備するほか、個々の学校の状況に応じて適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 対策が遅れるほど、子どもたちのけがの危険性が高まります。早急な対応を求めます。
 また、危険箇所はここだけではありません。早良区の高取中学校で、プールの中の壁面のへり部分が劣化し、表面がぎざぎざになり危険な状態です。プールから上がるときに擦りむいてけがをする生徒が毎年複数出ています。
 けがをしないプールにするために早急な改修が求められると思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 劣化の進行により危険性があると認められるものについては、その都度修繕等を実施することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) これも早急に対応すべきです。ただしてきたように、プールに関しては全てにわたって対応が不十分です。予算を確保し、改善のペースを抜本的に早めるよう重ねて求めておきます。
 次に、アスベスト含有建材がいまだ学校現場に使われている問題についてです。
 写真1を投影してください。(資料投影)これはアスベスト含有建材の波形スレートの写真です。ここは南区の長丘中の燃えないごみ置場に使用されているスレート屋根です。同じく早良区西新小では給食室のリサイクル倉庫の屋根に、高取中では渡り廊下でそれぞれ使用されています。
 次に、写真2を投影してください。(資料投影)アスベスト含有建材であるPタイルが破損したものです。これは中央区平尾中の体育館控室の床の写真です。南区では柏原小の理科室の床で確認されています。
 そこでまず、破損したPタイルについての対応はされているのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今年度の要望につきまして、アスベスト含有建材に関する要望がございましたが、全て非飛散性の建材でございまして、通常使用している状態では飛散するおそれは低いとされております。そのため、破損時は撤去や囲い込みなどの適切な対応を行うとともに、大規模改造などの機会を捉えた改良を実施してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) これは実際このままになっているから言っているんですよね。子どもたちの健康に悪影響を与えると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) アスベストを含有し、飛散のおそれがあるものであれば適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) ごまかされますが、子どもたちの健康に悪影響を与えます。アスベストは非常に微細な繊維で、一度肺に入ると体外に排出されにくい性質があります。成長段階にある子どもは、体の小ささや発達途中であることから、大人に比べてアスベストによる健康被害を受けやすいと言われています。文科省も2005年の法改正で、吹きつけアスベストのみならず、アスベストを含有するものにまで対策を広げています。その中にあって、破損したPタイルもすぐに処理するのが原則だと言われますが、学校施設調査のたびに破損したPタイルが見つかっており、放置されたままとなっているんです。結果、子どもたちがアスベストにさらされています。
 マニュアルが守られず、対応が不十分であると思いますが、早急に改善すべきと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、学校より破損の報告を受けた箇所がアスベストを含有し、飛散のおそれがある場合には適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 対応していないから言っているんですけれども、早期に対策を講じようとする姿勢が感じられません。
 写真3を投影してください。(資料投影)これは中央区の友泉中学校の自転車置場の屋根に使われている波形スレートです。写真を見て分かるように破損しています。2年前の公共施設を考える会のアスベストアナライザーを使った調査で、この破損した波形スレートからアスベストが飛散していることが明らかとなり、教育委員会に早急な撤去を求めていました。ところが、今年の施設調査でもそのままになっています。
 危険なアスベスト含有建材をそのまま放置しても構わないということなのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 友泉中学校の自転車置場の屋根の破損につきましては、現在、修繕の対応中でございます。今後も学校と連携し、アスベストを含有し飛散のおそれがあるものについては適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 11月に学校から言われてようやく対応し始めたと、本当に信じ難い対応です。本市はアスベスト含有建材への対応や危険性を軽視する態度を改めるべきです。大気汚染防止法に基づく石綿障害予防規則では、建築物の所有者に対し、破損したアスベスト含有建材の飛散防止措置を行うことを義務づけており、これに明確に違反しています。
 破損や飛散が確認されているものを早急に撤去し、さらに全てのアスベスト含有建材の撤去、交換の計画を早急に立てるべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校の日常点検等により、アスベストを含有する可能性のある建材について破損の報告があった場合には、飛散が拡大しないように応急対応を行うとともに、含有の有無を確認した上で修繕を実施することとしております。なお、国土交通省によると、含有成形板などが使用されている場合は、特別な管理は必要としない一方で、改修などの工事に際して適切に処理することが求められておりますことから、大規模改造などの機会を捉え、適切に改良を実施してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 破損しているものの応急処置も現場では徹底されていないんですよね。それをやはりきちんとやっていただきたいと思います。早急な対応を求めておきます。
 学校施設について尋ねてきましたが、そもそもこれらの問題は、本来、毎年学校から学校施設改良等要望として上がって、直ちに対応すべきものです。公共施設を考える会の学校施設調査は、市内7行政区の13校にて行い、230か所以上の要改善箇所が明らかになりました。
 お尋ねしますが、今年の各学校からの学校施設改良等要望はどれぐらい報告されているのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 774件でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 1校当たり僅か三、四か所です。私たちが調査した数を当てはめた場合、5,000か所あってもおかしくありません。現に、私が取り上げたところはほとんど上がってきていません。本来改修が必要なところが除外されているのではありませんか。なぜこんなに少ないのか、説明を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今年度より全ての学校を丁寧にヒアリングし、修繕も含め幅広い要望を提出していただいておりまして、前年度より多くの要望をいただいております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 言い訳されますけれども、私たちが毎年学校施設調査に行くと、ここを見てほしい、あそこも見てほしいとたくさんの要望が出されているんです。学校から上がってくる学校施設改良等要望は本当に少ない、極めて少ないと言わざるを得ません。教育委員会が数や内容に制限をかけているとしか思えないんです。
 そこで、昨年学校から出された改善要望に対する対応数、これはどれぐらいか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 要望につきましては、計画的な実施が必要な大規模改造から緊急修繕まで、内容も多岐にわたっており、現在、緊急性の高いものなどから順次対応いたしております。対応数の合計は年度末に向けて集計し、件数を把握してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 昨年伺ったら僅か19%だったんですよね。何でこんなに少ないのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 要望については、計画的な実施が必要な大規模改造から緊急修繕まで、内容も多岐にわたってございまして、緊急性の高いものから順次対応しているところでございます。今後とも、引き続き必要な改善、改良に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 限られた予算の中で優先順位をつけていると言いますけど、後回しにする言い訳にすぎません。子どもたちが過ごす学校施設が安全を保障する場になっていないということです。
 したがって、改善が必要な箇所は漏れなく教育委員会に上げるよう学校に徹底するとともに、その要望については速やかに全て対応すべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、要望につきましては、計画的な実施が必要な大規模改造から小規模改善までを含みまして、その内容も多岐にわたってございます。必要に応じて現地調査等を行って状況を確認するとともに、緊急性のあるものについては優先的に対応しつつ、他の改修と併せて実施することが効果的、効率的であるものなどは、その機会を捉えて適宜実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 全て対応すべきです。また、日々のメンテナンスが求められる学校施設においては、学校用務員が配置され、学校環境の改善に日常的に取り組んでおられます。
 そこで、本市の学校用務員の配置状況についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 効率的な実施体制を確保する観点から、拠点校制度を採用しておりまして、市内を21のエリアに分け、各エリアの拠点となる学校に、6名から10名の学校用務員を集約して配置した上で、エリア内の全ての学校の業務に分担して従事することといたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 拠点校方式というのは、いつも学校に用務員がいるとは限りません。現在、222校の学校に対し、21校の拠点校に154名の学校用務員が配置されています。以前は全校に各1人ずつ、さらに拠点校26校に1人おられましたので、250名ほどいたことになります。約100名も減らされています。
 このような拠点校方式が軽微な改善箇所も先延ばしにする状況を生み出していると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校用務員は拠点校制度の下でエリア内の学校を定期的に巡回、点検し、必要に応じて営繕等を実施しているほか、学校からの営繕申請があった場合は、その都度必要な対応を行ってございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 例えば、ガラスが割れたときにすぐに対応すべきですが、用務員がおられないために、先生がその場所に段ボールを貼って応急措置をするなどの実態があります。多忙な教職員にさらに負担がのしかかっているわけです。校舎の老朽化が進む中、ますます日常のメンテナンスへの対応が求められています。
 したがって、学校用務員がいないところは、すぐに対応できず困難があると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校用務員はエリア内の学校を定期的に巡回、点検し、必要に応じて営繕等を実施しておりますほか、緊急性が高い業務についても、学校からの連絡に基づき、速やかに対応いたしておりまして、教職員の負担が生じないような適切な対応を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) あくまで拠点校方式にこだわりますが、あなた方のやってきたことは人減らしです。拠点校方式はチームで対応できるので効果的だと言われますが、それは詭弁であり、全校配置をした上で、必要ならチーム対応を行えば何の問題もありません。人を減らし全校配置をやめたことが学校環境の改善を遅らせる大きな要因です。
 したがって、拠点校方式はやめ、全校配置に戻すべきだと思いますが、重ねて答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、学校用務員が行う学校環境整備に関する業務については、拠点校制度の下で、複数名でエリア内の学校を定期的に巡回、点検し、必要に応じて営繕等を実施しているほか、学校からの営繕申請等があった場合は、その都度必要な人員で作業を行うなど、効率的、効果的な対応を行っているところでございます。今後とも、学校用務員の拠点校制度の実施により、児童生徒の安全で快適な学習環境の確保に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 子どもたちには教育環境の改善を遅らせ、教員には負担を強いる学校用務員の拠点校方式は改めるよう求めておきます。
 以上、学校施設改善についてるる述べてきましたが、いずれも教育委員会のやる気が感じられません。さらに今回は取り上げませんでしたが、とりわけ体育館へのエアコン設置は、施設調査でもほぼ全ての学校から切実に求められており、早急な実施が必要です。校舎校地等維持補修費の過去5年間の決算額を調べましたけれども、20億円前後で推移をしています。予算は右肩上がりに増やさなければ、対応できません。しかし、一般会計に占める人件費を除く教育予算の割合は、ずっと7%前後です。これではいつまでたっても環境は整いません。
 市長は、Smart Eastなど巨大開発に踏み込もうとしていますが、不要不急の巨大開発にお金をかけている場合ではありません。教育基本法では「国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない」と示されています。
 したがって、教育予算を抜本的に引き上げ、教育環境を早急に改善すべきと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市ではこれまで、優しさとたくましさを持ち、共に学び未来を創り出す子どもの育成のため、確かな学力の向上や特別支援教育の推進などに重点的に取り組むとともに、校舎などの老朽化対策、学校の新設や増改築、普通教室や特別教室へのエアコン設置、施設のバリアフリー化など、安心して学ぶことができる教育環境の整備に取り組んでまいりました。今後とも、教育委員会と連携をして教育活動の一層の充実を図るとともに、福岡市の未来を担う子どもたちが安全、安心な教育環境で学ぶことができるよう、良好な教育環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 安全な学校環境の整備は自治体の責務です。抜本的な改善を求めておきます。
 次に、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの不足についてお尋ねいたします。
 全国社会福祉協議会が運営する中央福祉人材センターが昨年行った調査結果によると、2022年12月の時点で、ケアマネの有効求人倍率が4倍を超えています。また、特に高齢者の生活を支える居宅介護支援事業所でケアマネ不足が深刻化しており、このままではサービスを受けられないケアマネ難民が増えてしまうという声が聞こえます。
 このような実態について、本市は把握されているのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケアマネジャーにつきましては、全国的には従事者数がやや減少の傾向にあります。また、市内の介護事業所等を対象に、令和3年度に実施した介護労働に関するアンケート調査では、ケアマネジャーの過不足状況について、大いに不足、不足、やや不足と回答した事業所は28.2%、適当と回答した事業所は71.4%となっております。高齢化の進展に伴い必要となる介護サービスの増加も見込まれることから、今後とも、状況の把握に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) ケアマネが不足していることは今や常識ですけれども、把握をされているということです。私も現状を、ケアマネの事業所を立ち上げておられる方に伺いました。ケアプランを作成するためには、利用者の相談や課題解決のために日常的に深く関わります。複雑な家庭事情を抱えた方、家族にも支援が必要な方、関係する機関につなぐ必要のある方など、対応には専門性が求められ、通常の業務とは別の対応や業務を求められます。
 ケアマネの業務量や責任の重さが報酬に見合っていないと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケアマネジャーの人件費を含む介護報酬につきましては、各種調査等を基に、国により適切に設定されているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 仕事の量に対して給与が少ないことを理由にケアマネを辞める人は少なくありません。日本介護支援専門員協会は、人材確保に向けた施策として、ケアマネ業務の専門性や重要性に見合った賃金の改善を主張しています。その内容は、少なくとも民間平均年収同等以上の収入を得られる必要があると求めています。
 そこで、ケアマネの給与を引き上げるための処遇の改善を国に求めるとともに、改善されるまでは本市として独自に支援を行うべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険制度は全国共通の制度として運用されており、介護報酬については、各種調査等を基に、国により設定されております。福岡市としましては、事業所の経営実態に見合う報酬水準が確保され、良質な人材確保が図られるよう、適切な介護報酬の設定等について引き続き国に要望してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 思い切った支援を行うべきです。日本介護支援専門員協会は、同じくケアマネの資格の新規取得や更新にかかる費用、そのための研修費用を支援することが必要と提言しています。
 本市のケアマネへの資格取得や更新、また、研修などへの支援制度はあるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、ケアマネジャーの資格取得に係る支援制度はございませんが、ケアマネジャーの上位資格である主任介護支援専門員の資格更新に必要な研修を低廉な受講料で実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 具体的な支援を行っている自治体があります。兵庫県川西市では、ケアマネの資格取得や更新を目的に受講する法定研修受講費に助成を行っています。新規にケアマネになるための研修費6万5,780円、ケアマネの更新のための受講料3万2,640円など、いずれも全額を助成しています。
 したがって、本市でも同様の支援を行うべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケアマネジャーの資格取得等につきましては、国の有識者会議において、資格取得や更新の際の法定研修の経済的、時間的負担の軽減等が議論されていることから、一定の負担軽減が図られていくものと考えており、今後とも、国の動向を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 何もしなければ、もう本当に悪くなる一方です。ケアマネが減っていけばどうなるかという問題です。高齢者が介護サービスを受けるには、まずは介護認定に関わる書類作成代行とケアプランの作成が求められます。これはケアマネしかできない大切な業務です。ケアマネがいなければ、介護サービスは受けられず、介護保険制度が成り立たなくなります。そもそも介護の深刻な人材不足は、低過ぎる介護報酬とその連続的な削減があります。危機を打開するには、介護職の賃金、労働条件の改善と公的支援が必要です。
 そこで、必要な人が介護サービスを受けられるよう、国に対しケアマネの報酬引上げをするように求め、改善されるまでは市独自にケアマネの報酬引上げや、資格取得や更新のための支援を行うことが必要だと思いますが、最後に市長の答弁を求め、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 高齢化の進展に伴い、介護サービスの需要の増加が見込まれる中、ケアマネジャーをはじめとする介護人材の確保は重要であると認識をしております。福岡市におきましては、専門学校や介護事業所と連携をした人材確保の推進や、介護従事者に対する研修、介護サービスのDXの推進などに取り組むとともに、ケアマネジャーを含めた介護従事者の処遇改善などについて国に要望しているところでございます。今後とも、年齢を重ね介護が必要な状態になっても安心して暮らし続けられる社会の実現に向けて取組を進めてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時13分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。調崇史議員。
○20番(調 崇史)登壇 質問に先立ち、去る12月4日に逝去された元国務大臣、太田誠一先生の御霊に謹んで哀悼の誠をささげます。太田先生は、平成21年まで8期にわたり衆議院議員を務められ、農林水産大臣をはじめ、国政の要職を歴任されました。また、数多くの議員立法に関わられて、我が国の政治、行政を大いに改革し、日本の、そして福岡の今日の発展に多大な貢献をされました。ここに太田誠一先生の御遺徳と御功績をしのび、御霊の安らかであられますことを心よりお祈り申し上げます。
 私は自由民主党福岡市議団を代表して、公共投資に関する本市の姿勢について質問いたします。
 発言通告のとおり、話題にするテーマは2つです。1つは地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の直通運転化、もう一つは西鉄井尻駅周辺の連続立体交差化です。貝塚線の直通運転については平成14年5月に、井尻の連続立体交差化については平成28年12月に、それぞれ全会一致で推進を求める請願が本市議会で採択されています。
 まずは、それぞれについて、請願採択から現在に至るまでの検討の状況をお尋ねし、以降は自席で質問いたします。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の直通運転化につきましては、3両編成の車両が西鉄新宮駅から地下鉄天神駅まで直通運転する案について、費用対効果や収支採算性を試算し、平成26年度に議会へ報告しております。その後、貝塚駅で地下鉄と西鉄の車両を増結・分離する案について、同様に費用対効果や収支採算性を試算し、令和2年度に議会へ報告しておりますが、いずれの案も国の補助採択基準に満たないものとなっております。
 次に、井尻駅周辺地区などの連続立体交差化につきましては、高架化区間の検討や費用対効果の試算を行い、令和2年度に議会へ報告しておりますが、国の補助採択基準に満たないものとなっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 議会の総意で推進を求めている事業でありますけれども、ともに国の補助採択は難しいという報告が今まであっております。しかしながら、ここで立ち止まることが本市の公共投資に対する姿勢として果たして正しいのかと思っていますので、今日の質問です。
 まずは、貝塚線の直通運転について。
 質問に当たって、令和2年の東部地域における鉄道計画調査委託報告書(資料表示)、この分厚いものなんですけど、費用対効果、いわゆるBバイCをコンサルに委託して分析したと、その報告書を参照しました。
 資料1の投影をお願いします。(資料投影)この報告書で検討されている事業手法なんですが、2両編成の貝塚線と4両編成の地下鉄を貝塚駅で増結・分離、つまりは、つないだり切り離したりするものです。上りは姪浜駅まで4両と2両の6両編成で乗り入れることを前提に、また、下りは貝塚駅で2両を切り離して運行するという想定になっています。増結に要する時間が5分かかるものをケース1、そして、増結が2分と短いものをケース2と、このようにケース分けをして分析しています。ありがとうございます。
 報告書は、この事業手法についてBバイCを検証しているんですが、まず初めに、この調査はどのような基準を参照して行われたのか、答弁を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 国土交通省の鉄道プロジェクトの評価手法マニュアルに基づき、費用対効果や収支採算性についての試算を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 国交省のマニュアルを参照したということです。
 本市が示した費用便益分析についての結論のページを投影したいと思います。資料2をお願いします。(資料投影)ケース1、ケース2、それぞれに投資額と、それによって得られる便益というものが対比されています。一番下、赤字で示したBバイC、費用便益比の数値が1.0を上回ることが国の補助採択を受けられるかどうかの分かれ道、国が事業費の3分の1を出してくれるかどうかということにつながってくるわけですけれども、この調査の結論としては、ともに1.0を下回っていて、国補助採択の基準を満たしてないということになります。
 この内訳なんですけれども、2の分母のほうから見ていきますが、BバイCのC、つまりコストですね、事業費の合計があります。駅のホーム、軌道の工事、それからシステム改修の費用とかあるいは地下鉄、西鉄貝塚線双方の車両を購入する経費などが積算されています。費用については、ケース1もケース2も同じ額になっております。
 一方、1のほうで示した分子のほうの便益なんですけれども、地下鉄線と貝塚線の直通運転による利便性の向上、それから供給者便益、つまり、交通局とか西鉄の収益増などを合計しています。一番下の費用便益分析は、最終的に便益を費用で割って、割り算をして計算するので、1の便益が大きければ大きいほど割り算の結果が1.0を超えてくる可能性が高くなるわけで、であれば気になるのは、便益の計算をしたときに足し忘れたものがないかまたは引き過ぎたものがないかという点になってくると思います。ありがとうございます。
 こうした視点に立って報告書と根拠になっている国交省のマニュアルとを私、見比べる作業をしてみました。資料3をお願いします。(資料投影)まずは利用者便益ですね。ユーザーがどれだけ便利になるかですが、図の右側、青字のほうが本市の報告書で積み上げた便益です。左が国のマニュアルに示された対象となる便益。本市の報告書では、所要時間の短縮、乗換利便性の向上など5項目を計算に入れています。ここまでは国のマニュアルと同じなんですが、車内混雑の緩和、輸送障害による遅延の軽減の2項目が利用者便益に含まれていないことが分かります。
 お尋ねいたしますが、なぜこれらの便益が含まれないのか、お示しいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) まず、車両内混雑の緩和の便益でございますが、増結・分離案はこれまでの案で費用対効果を確保できなかったことを踏まえ、地下鉄箱崎線の輸送力を極力確保しつつ、費用を最小限に抑えるものとして検討した案でございますので、西鉄貝塚線内の運行車両は現行と同じ2両編成、運行本数も現行と同様であり、車両内混雑の緩和は見込まれないため、対象とはしておりません。
 次に、輸送障害による遅延の軽減の便益につきましては、国のマニュアルにおいて、新たな線路の整備による平面交差の解消やホーム数の増設による混雑の緩和などを伴うものとされているため、対象とはしておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 貝塚線ですね、貝塚駅と新宮駅の間は、直通運転化の後も今と同じ2両編成なので、混雑緩和にならないだろうということでしょう。ですが、貝塚線の混雑こそが今、目下の問題だと思います。西鉄貝塚線は朝の通勤、それから通学時など、我が国でもかなり上位の混雑率を記録しているというふうに聞いています。
 西鉄貝塚線の混雑時の乗車率についてお示しください。また、併せて混雑緩和に関して寄せられている市民の要望についても、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 令和5年度の国土交通省の調査結果によりますと、西鉄貝塚線の名島−貝塚間において、ピーク時である朝7時から8時台の混雑率は158%となっております。また、市民からは増便により混雑緩和できないかなどの意見をいただいており、西鉄とも共有しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 大変切実な要望なんだろうと思います。そもそも現段階で検討の最終案となっている計画を進めても、貝塚線内の車両内混雑緩和には寄与しないということであります。
 次に、供給者の便益というものを見ていきますが、これは西鉄あるいは本市の交通局などの事業者が直通化によって得る収益の改善であったりとかまたは競合路線ですね、JR九州の鹿児島本線とか、そういった鉄道路線の収益の改善などを計算するものです。
 資料4をお願いします。(資料投影)報告書を見ると、上段1にあるんですけれども、ケース1で交通局と西鉄の合計の収入が1億8,300万円、ケース2で約2億9,600万円の増となる見込みだそうです。一方で、2、下の競合事業者収入を見ると、JR九州は直通運転化によって利用者が減るため、ケース1でマイナス約1億2,000万円、ケース2でマイナス1億6,300万円と大幅な減収になるとされております。その分、供給者便益というものが大きく差し引かれる計算になっています。そのほかに3でマイナス表記をしていますが、市交通局と西鉄貝塚線の経費の増加というのもあって、一番下の合計収入のところに示したように、ケース1では年間約1,600万円、ケース2では年間約8,600万円と、供給者の便益というのは、かなり小さな数字になっています。資料ありがとうございます。
 直通運転化でJR九州の利用者減少はどの程度見込まれるのか。ケース1、ケース2それぞれお示しいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 増結・分離案の検討ケース1につきましては、交通事業者と協議の上、増結に要する時間を5分、分離に要する時間を2分と設定したものでありますが、JR鹿児島本線の利用者数は1日当たり約2,400人の減少と推計しております。また、検討ケース2につきましては、増結や分離に要する時間を乗務員の交代に要する2分間のみとして設定したものであり、交通事業者からは当該時間での増結・分離作業には課題があるとされたものでありますが、JR鹿児島本線の利用者数は1日当たり約3,600人の減少と推計しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) JR九州の鹿児島本線でも、貝塚線と並走する区間で乗車率が100%を超える時間帯があります。地下鉄と貝塚線の直通運転化で、JR鹿児島本線の利用者が減っていくということであれば、鹿児島本線の中の車内混雑緩和には寄与しているということだと思うんですが、こうした他路線の混雑緩和の便益については、今回のBバイC計算では拾われていません。調査結果を左右するほどのことはないと思うんですけれども、どうもマイナスの効果ばかりがクローズアップされているようにも私の目には映ったので、心情的には首をかしげたくもなりました。そもそも今の貝塚線の2両編成に、さらに1日当たり1,000人、2,000人単位の利用者増という想定自体、ラッシュ時の状況を考えたら乗るキャパがないんじゃないかと思うので、かなり難しいんじゃないかなというふうにも思います。
 さらには、沿線では箱崎九大跡地の再開発によって広大な空き地に、まさに新しいまちがつくられていくわけなんですけれども、沿線の居住人口とかあるいは就労人口が増えることが当然想定されます。また、福岡市の人口、とりわけファミリー層が近隣の都市に移っていくという傾向も最近ある中で、貝塚線の起点である新宮町からの通勤、通学需要というのは、もっと増えるのではないかと思います。
 西鉄貝塚線、地下鉄箱崎線、JR九州の鹿児島本線について、今後の利用者の見通しをお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 令和17年度の推計を令和2年度との比較でいずれも市内全域の区間で申しますと、西鉄貝塚線は1日当たり約1万9,900人で令和2年度と比較して約2,000人の増加、地下鉄箱崎線は1日当たり約3万3,900人で約8,600人の増加、JR鹿児島本線は1日当たり約20万9,300人で約5万800人の増加となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 1日当たり、貝塚線で2,000人の増と、本当に対応できるのかなということが甚だ疑問であります。
 資料5をお願いします。(資料投影)去る10日の朝なんですが、実際に貝塚線の上り電車に私乗ってみました。最も混雑する午前8時過ぎの名島駅の様子を上の2つに示しております。ホームでは50人くらいの方が電車を待っておられました。実際乗ってみたら、かなりぎゅうぎゅう詰めでした。日頃、市役所の登退庁に地下鉄七隈線を私使わせていただいているので、混雑は慣れているんですが、その感覚でもなかなかこれはすごいなというふうに感じたところです。写真の下は貝塚駅のホームで、2両にこれだけの皆さんが乗っておられて、大半が急ぎ足で地下鉄箱崎線の改札に向かって歩いておられました。資料ありがとうございます。
 また、写真は撮っていないんですが、12月5日の夜8時過ぎには地下鉄線から貝塚線の乗換えというのも私利用してみました。そのときはほぼ全員が座れるくらいにゆっくりしていました。七隈線だとまだぎゅうぎゅうの時間なんですけれども、下りがですね。遅い時間でももちろん混んでいることがあるというふうには伺っています。ただ、貝塚線は本市でも最も人口が多い東区の千早、香椎、和白などのエリアを通る貴重な鉄軌道であるにもかかわらず、なかなか十分に生かし切れていないんじゃないのかなという印象を受けたのは正直な感想です。使い勝手がよければ、もっと多くの人に利用していただけるんだろうというふうに思います。
 そもそも増結・分離案は、市営地下鉄の車両更新と併せて実施をし、全体のコストを下げることを意図していたというものだと理解していますが、今回、私が取り上げている令和2年度の費用便益計算で、この増結・分離が国補助採択の基準を満たさないという結論が示されたので、その後に車両更新だけは進められていると認識しています。なので、4両と2両の増結・分離というのは、これは前提が今崩れているんじゃないかと。
 裏返せば、西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線の直通運転化について、今、実現可能な検討中の案はないというのが現状じゃないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 現在、利便性向上に向けた取組は行っておりますが、現時点で新たな方策は持ち合わせておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 仕切り直しということだろうと思います。
 ここで資料6をお願いします。(資料投影)何があり得るのかなということを個人的に考えてみたんですが、それを絵にしてみたものです。かつて貝塚線は3両編成で運行されていました。それならば、貝塚線内のホームも長さ的には3両編成に対応できるんじゃないかという発想です。地下鉄3両と西鉄3両の増結・分離案はいかがだろうかと。主眼は貝塚線内の車内混雑の緩和です。交通局、西鉄ともにこれをやろうとしたら、この路線の車両の総買換えに多分なると思うので、かなりの費用がかかるはずなんですけれども、工事費は抑えられるんじゃないかなというふうに思います。あと、本市の検討では増結に5分、分離に2分かかるということでBバイCを出しているんですけれども、首都圏で京急、増結2分、分離1分という運行を実際にやっています。技術的にはもっとやれるはずでありまして、この時間短縮ができれば、BバイCの計算結果を劇的に改善させる可能性があります。直通運転が実現して利便性が高まれば、この路線がもっと本市の活力を高めるための存在感を発揮してくれるだろうというふうに思っています。資料ありがとうございます。
 とにかく次の案を速やかに検討することが必要だろうという所見までを申し上げて、次の井尻の連続立体交差化のほうに話を移したいと思います。こちらもBバイCに関する令和2年度の調査報告書というものを基に質問させていただきます。
 まず、この調査はどのような基準を参照して行われたか、答弁を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 国による緊急対策踏切の指定を受けた井尻駅周辺地区を含む5地区について連続立体交差の検討を行っておりますが、費用対効果などの試算は国土交通省の費用便益分析マニュアル連続立体交差事業編に基づき行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 貝塚線の直通運転と同様に国のマニュアルを参照して、西鉄井尻、JR香椎、竹下、笹原、南福岡など5地区について調査をしています。
 資料7をお願いします。(資料投影)井尻地区について、その事業概要ですが、九州新幹線との交差部からJR鹿児島本線との交差部に至るおよそ1.6キロメートルの区間について、連続立体交差化をして踏切をなくすとともに、交差する道路の整備を行っていくというものです。歩行者ボトルネック踏切とされている井尻1号踏切をはじめ、8つの踏切がなくなるという事業計画です。
 続いて、資料8ですが、(資料投影)貝塚線の直通運転化と同様に、いわゆる費用対効果の計算について、本市報告書の結論のページを今映しております。一番下にあるんですが、BバイC計算については0.58ということで、国補助採択基準である1.0を下回っているという状況です。
 先に下段の2の費用なんですけれども、用地費とか移転補償費、建設費などの合計で、国のマニュアルに沿って鉄道事業者の負担分というのを除いています。これは上の便益についても同様です。一方の上段の1の便益なんですが、踏切がなくなったことによって人や車両等の移動時間が短縮になるその効果あるいは事故発生が減少する、そういった効果を金銭に換算して積み上げています。
 近年、井尻の連続立体交差化の対象の踏切では事故が起きていないので、事故発生の減少効果についてはゼロというふうになっています。ここで私が素人目にこの報告書を精読してみて、どうしてももやもやしたのが自動車の移動時間についての事業効果です。国のマニュアルどおりの計算式に従って連続立体交差化によって踏切をなくしていくということが、かなり広い範囲に及ぼすプラスの影響を算出したというその考え方自体は報告書の全体を読めば理解できたんですが、細かい計算の過程が示されることなく、結果の数字がぽんと出てきているという状況でした。資料ありがとうございます。
 お尋ねしますが、特に自動車の移動時間短縮便益について、計算の過程を理事者はどのように確認をされているのか、答弁をお願いしたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 移動時間短縮便益につきましては、連続立体交差化に伴う歩行者や自動車などの交通需要の変化を予測するため、将来推計モデルを作成し、国のマニュアルに基づき便益を試算しております。なお、モデルの作成に当たっては、モデルの精度を確保するため、実測値との整合性、いわゆる現況再現性を確認しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 今話題にしている移動時間短縮便益なんですが、資料9をお願いします。(資料投影)本当に分かりにくいんですけど、こういう計算式が示されています。自動車に関しては、普通車、貨物車、バスなどの種別を考慮しつつ、膨大なケース分けをして大変な量の計算をすることになるんだと思いますが、言いたいのは、計算過程の正確さについては報告書で確認することができないということです。量が多いということはあるんでしょうけれども、もやっとしながら読んだという状況でした。
 続いて、資料10をお願いします。(資料投影)これも報告書の一部抜粋です。便益の現在価値算定表というものがありました。ここに掲載されていた単年度の便益の合計値を見ると、左上、最初が水色で、右下、50年後が赤字になっているんですけれども、事業開始から50年間で一貫して減少し続けているのが分かります。供給開始の令和18年で10.95億円だったものが、50年後の令和67年では便益は6.37億円と6割弱まで落ちてしまっています。投影ありがとうございます。
 これはどのような考え方によるものなのか、答弁をいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 便益につきましては、国のマニュアルに基づき、30年分を積み上げますが、その際、将来の便益につきましては、国が定める社会的割引率4%を用いて現在価値化することとなっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 今、社会的割引率という用語が出ました。資料11をお願いします。(資料投影)国交省の資料からそのまま定義を抜き出しました。この説明文はまた難しいので、例え話をいたしますけれども、20年前に1杯300円で食べられたラーメンが今は1杯600円になっているという話はままあることです。このように、300円というものの価値が時間の経過とともに、下がりますよねという考え方です。1年で4%下がることにしましょうという決め事が社会的割引率の4という数字です。この4という数字なんですけれども、昭和58年から平成14年までの10年物国債の平均利回りを基にした数字です。つまり、公共事業の資金調達に国債を発行するので、その利回りを置いておきましょうと決めたのが今も据え置かれているという状況です。しかしながら、議員各位も御承知のとおりですけど、最近の国債の利回りは1%を下回るぐらい大変低いので、国の有識者会議の中でもこの数字は2%とするべきあるいは1%とするべきという意見も出されており、令和5年からは国においてもこの数値を1%または2%として、費用便益計算の参考値を求めることを認めているところです。資料ありがとうございます。
 では、仮になんですが、井尻地区の連続立体交差化において、仮に社会的割引率を2%とした場合、1%とした場合のBバイCがどうなるか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 令和5年度に改定された国のマニュアルでは、費用便益分析に当たっての社会的割引率は4%を用いるものとされており、2%、1%は参考値とされております。お尋ねの費用対効果につきましては、令和2年度の試算結果のうち、社会的割引率のみを4%から2%に置き換えた場合は0.58が0.93、1%に置き換えた場合は1.24でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) では、西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線の直通運転化についても、ケース1、ケース2ともに社会的割引率を2%とした場合のBバイCがどうなるか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) お尋ねの費用対効果につきましては、令和2年度の試算結果のうち、社会的割引率のみを4%から2%に置き換えた場合、検討ケース1では0.42が0.59、検討ケース2では0.87が1.19でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 資料12の投影をお願いします。(資料投影)今の答弁にあった内容のまとめですけれども、社会的割引率という数字を置き換えていくだけで、BバイC計算の結果はすぐに1.0を超えてくるようなものです。私思うんですが、国がずっとこの数字を4%に据え置いているというのは、つまりは地方自治体の公共事業に対してあまり補助採択をしたくないからだろうなというふうに思います。資料ありがとうございます。
 だから、なおさらということなんですが、本市が必要とする公共事業を進めていくかどうかを判断するにおいて、BバイCを基準にするのは本当に正しい姿勢なのかということです。この数値が仮に1.0を超えないとしても、国からの補助費である実質2分の1から3分の1というものが出ないということではあるんですが、事業を進めてはならないということではないと思います。
 以下、公共投資に対する本市の姿勢を問う意味でお尋ねしていきますが、井尻地区の連続立体交差化は、国の定めたマニュアルでは評価されない効果を本市にもたらす可能性があるというふうに思っています。分かりやすいのは税収の増加です。
 ここで、令和4年に供用開始をされた雑餉隈の連続立体交差事業を引き合いに出させていただきます。西鉄大牟田線を約2キロにわたって高架化したこの事業で、桜並木駅というすてきな名称の新駅も誕生しました。雑餉隈駅周辺でもマンションなど住宅需要も高まり、不動産の価値が──価格が高騰したということを聞いております。
 お尋ねいたしますが、固定資産税の評価額の基準となる地価公示価格が雑餉隈地区でどのように変動したのか、雑餉隈駅周辺の2つの地価公示地点について、過去2回の固定資産税の評価替えの平成30年と令和6年の比較を商業地と住宅地に分けてお示しください。また、併せて本市全体の平均についても、同様に比較をお示しいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 平成30年度及び令和6年度のそれぞれの評価替えの価格基準日である平成29年1月1日及び令和5年1月1日の地価公示価格を比較いたしますと、商業地では竹丘町二丁目の地点が15万8,000円から33万3,000円で約111%の上昇、住宅地では南八幡町二丁目の地点が11万2,000円から17万6,000円で約57%の上昇となっております。また、市全体の平均では、商業地が67万6,800円から127万3,400円で約88%の上昇、住宅地が13万3,200円から19万6,300円で約47%の上昇となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 資料13をお願いします。(資料投影)今の答弁の内容のまとめになります。雑餉隈駅周辺の地価公示価格の推移を見ると、連続立体交差化の事業によって、商業地で全市平均と比べて23%、住宅地でも10%の税収増がもたらされた可能性があるという推定ができると──質問者の都合のよい解釈ではありますが、思っています。高架化が進んだことで高架下の空間に新しい商業スペースがたくさん生まれたということもあるし、今後さらなるにぎわいあるいは雇用とか消費が喚起されることが予想されるわけですけれども、そういった意味でも雑餉隈地区の連続立体交差化は将来にわたって、本市にとって大変価値ある投資だったということを断じていいのではないかと思っています。資料ありがとうございます。
 ここで強調させていただきたいのは、国のBバイCのマニュアルでは、公共投資による税収増の効果が便益に計算されないということです。先ほど示した社会的割引率も併せてなんですが、国の考え方には有識者会議でも様々な指摘がなされています。本市としては、井尻地区で投資をしたときに、税収増の効果が得られることは当然織り込んで考えてよいというふうに思いますし、それは西鉄貝塚線と地下鉄箱崎線の直通運転化についても、同じだというふうに思います。
 いずれにしても、今日話題にした2つの公共投資については、本市議会で全会一致の請願採択がされているものでありまして、積極的な姿勢を示していただく必要があります。それから、貝塚線に関して1つ付け加えたいんですけれども、姪浜駅で相互乗り入れをしている地下鉄とJR筑肥線の利用者は、初乗り運賃の負担軽減に向けて補助を受けておられます。貝塚線と地下鉄の乗換えにも幾らか補助はあるんですけれども、ただ、同じ市営地下鉄のユーザーの享受する恩恵に西高東低という差がある、西が高くて東が低いと。これは早期に是正されるべきでありまして、このことはこれまでも度々本市議会で話題になってまいりました。やるべき理由を挙げれば切りがない。国の補助採択基準がどうということで立ち止まってもいけないというふうに思います。
 貝塚線の直通運転、そして、井尻の高架化について、次期交通基本計画の下でより費用対効果の高い事業手法をはじめ、どうすれば事業実施にこぎ着けられるかをしっかり検討していただく必要があると考えますが、御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 地下鉄箱崎線と西鉄貝塚線の直通運転化や井尻駅周辺地区の連続立体交差化につきましては、請願が採択されていることを重く受け止めております。一方で、多額の費用を要する交通基盤の整備に当たっては、補助採択に向け、国と協議を行い、財源を確保しながら事業を進めているところでございます。中長期的な交通状況の変化や国制度の動向などを踏まえるとともに、利便性向上策なども含め、どのような取組ができるかなど、国や交通事業者とも適宜相談しながら検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) しっかり検討をお願いしたいというふうに思います。
 今を遡ること30年の話ですけれども、本市は1994年に地下鉄七隈線の建設に係る国補助と、それから運転、地下鉄の事業免許を得るために、1日の利用者が約15万人になるんだという大風呂敷を広げて国に提出をいたしております。ところが、実際に開業してみたら、1日の利用者は4万4,000人だったということです。さすがにこれはやり過ぎなんじゃないかというふうに思わなくもないんですが、ただ、本市の先人たちはこれをやってのけて、それが今日、福岡市南西部から都心部も含む沿線の発展の礎になっています。七隈線の博多駅延伸を受けて、最近はこの大風呂敷の数字ですね、1日利用者15万人というのも何か現実味を帯びてきたように感じられるのが非常に感慨深いことだと日頃感じています。
 質問の最後に申し上げたいのは、結局は本市のやる気次第だということです。様々、今日欠陥を指摘した国の基準によるBバイC計算、この結果をやらない理由にするのではなくて、単独でもやるんだという気概を示していただくことを切にお願いして、質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき)登壇 日本維新の会福岡市議団のあべひできです。本日は会派を代表いたしまして、妊婦健康診査の助成券について、不登校児童生徒の健康診断について、以上2点について質問をいたします。
 先日、令和6年上半期の出生数が約33万人まで落ち込み、年間70万人を下回るペースで減少しているということがニュースで報じられました。様々少子化対策が国、そして、地方自治体でなされているところでございますが、なかなか歯止めが利かない状態が続いており、円高、物価高の中で、特におむつ、ミルク、食費、教育費、習い事代などプラスアルファで必要経費がかかってくる子育て世帯に対し、さらなる経済的面、サービス面での支援が重要であると改めて認識しております。私自身も子育てを始めた親として、日々こんなに必要なものがあるのかと感じるとともに、給付金、おむつと安心定期便など様々かゆいところに手が届く行政のサービスにお世話になっているところでございます。この場をお借りして感謝申し上げます。
 さて、今回はその中の妊婦健康診査の助成券について質問をしてまいります。
 妊婦健康診査は、妊娠期間中の母親と赤ちゃんの健康状態を確認するための健診であり、健康状態の確認以外にも病気の早期発見や赤ちゃんの成長を確認する目的も含まれ、母親と赤ちゃんが心身ともに健やかな妊娠期間を過ごすために重要なものでございます。
 妊婦健康診査の助成券は、各区役所の窓口において母子健康手帳と一緒に渡されるものと思われますが、まず、この妊婦健康診査の助成券について目的をお示しください。
 以上、1問目を終了し、以降は自席にて質問いたします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 妊婦健康診査の助成券は、妊娠中の子宮の状態や胎児の発育状態の確認など妊婦及び胎児の健康管理の充実と、妊娠、出産に係る経済的負担の軽減を図るために妊婦健康診査の費用を助成するものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) ありがとうございます。自由診療で妊娠、出産を行っている現在の制度の中では、本来であれば妊婦健康診査は多額の費用がかかるものとなります。この妊婦健康診査の助成券については、その費用負担の大部分を経済的に補助していただいており、子育て世帯の中でも非常に助かっている方が多いものであると認識をしております。
 では、この妊婦健康診査の助成券ですが、本市では何回分交付をしているのでしょうか。また、なぜその回数としたのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 助成券は14回分を交付しておりまして、双子など多胎児を妊娠している場合はさらに5回分を追加しております。助成回数については、平成27年に厚生労働省から告示されている妊婦に対する健康診査についての望ましい基準に基づき設定をしており、助成回数や委託する検査項目、単価は福岡県内で統一されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 厚生労働省の告示なども考慮して、今の14回分にしたとのことです。この14回という回数は、予定日などより前に生まれた場合ですと確かにちょうどよい回数であると思います。私の妻も問題なく38週4日で出産いたしましたが、ちょうど助成券を使い切りました。しかし、予定日を超過した方や、何かイレギュラーな事態で短期間での通院が複数回に及ぶ方などでは、すぐ使い切ってしまうという現状がございます。
 2019年の日本助産師会が発表したデータでは、分娩週数が39週の方が最も多く37.8%、次いで40週が31.4%、41週が8%、42週が0.1%となっており、40週の一定数の方と、少なくとも41週以降の8%程度の方は助成券が足りていないのではないかと推察されます。予定日を超えますと健診の頻度も増え、1回当たり8,000円前後かかってくると聞きます。妊婦にとって、いつ出産するかは基本的に選ぶことができませんし、この自己負担額が多いことによって、2人目を出産することに対し、マイナスイメージを持つ人も出てきてしまう可能性もあると思います。
 では、この妊婦健康診査の費用助成の財源についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 助成費用の財源は一般財源となっており、地方交付税措置の対象とされております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) では、妊婦健康診査の委託業務と委託先についても、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 妊婦健康診査は、医療機関等において実施する各種検査や診察などの妊婦健診業務のほかに、健診費用に関する審査や支払い業務を福岡市医師会、福岡県助産師会、福岡県、大分県、佐賀県の各県医師会などに委託しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 先ほどの御答弁で、助成回数に加え、委託する検査項目、単価についても、福岡県内で統一されているとのことでしたが、ここから福岡県医師会との契約について詳しくお尋ねしたいと思います。
 では、福岡県医師会との委託契約の形態及びその契約形態としている理由についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡県医師会とは、県内市町村との間で集合契約を締結しております。集合契約は、妊婦の利便性を確保する観点から国においても推奨されており、妊婦健康診査を実施している県内のどの医療機関でも福岡市で交付した助成券を使用して健診を受けていただくことが可能となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 確かに妊婦の利便性という面では、集合契約というのは、メリットがあると思います。都道府県単位や、本市では佐賀、大分県の医師会とも契約することで共通の助成金を使用することができ、里帰り出産を希望している妊婦にとっても、数県にまたがる多数の医療機関で立替え、償還払いなどの選択肢を取らずに済むというのは、経済的にもありがたいことであると思います。また、福岡市民の方が市外の医療機関を利用したり、逆に市外の方が福岡市内の医療機関を利用したりした際に統一された事務手続となることで医療機関側の事務負担が大分解消されることと思います。このような面では、集合契約という仕組みは理にかなっておりますし、当時の厚生労働省、現在のこども家庭庁が推進するのも分かります。しかし、やはり妊婦健診の助成券をはじめ、サービス向上のための施策を推進していくとなったときに、全市町村のコンセンサスが必要となり、スピーディーな施策推進が難しいという側面も併せ持つと感じます。
 では、この本市を含む福岡県において、妊婦健康診査14回分の妊婦1人当たりにおける公費負担額についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 14回分の助成額の合計は、妊婦1人当たり最大10万8,000円余となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 我が国全体の公費負担額の平均額は、こども家庭庁が令和5年4月に行っている統計調査では10万8,481円となっております。おおむね平均程度という状況です。
 では、現在の委託項目の内容について、国が示す健康診査の望ましい基準と市が委託している項目を比較し、含まれていない項目があるか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国が示す望ましい基準のうち、委託項目に含まれていない内容は、子宮頸がん検診及び妊娠23週までの間に2回とされている超音波検査の1回分でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 国の発表している妊婦に対する健康診査についての望ましい基準では、子宮頸がん検診と超音波検査について1回分、本市を含む福岡県では項目が基準より少ないという状況のようです。
 では、この項目を含めて、今後、項目を増やしていくことなどを検討したりしておりますでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 検査項目の追加につきましては、県内市町村と協議を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 項目を増やすことを現在協議していただいているということは、子育て世帯にとっては経済的にもとても助かるものであると思います。県内で足並みをそろえている中で、検査項目、回数を増やすことはとても大変なことだと思いますので、担当課の職員の方々におかれましては、感謝いたしますとともに、実現に向けてしっかり検討していただきたいと思います。
 しかし、もし回数が増え、国の妊婦に対する健康診査についての望ましい基準を満たしたとしても、妊婦健診に対する助成がそれで十分になされているかと言われると、私はまだ足りない部分もあると思います。他都市の事例でございますが、政令指定都市の横浜市では、今年4月1日以降に妊婦健康診査を1回以上受診した方を対象に5万円を助成することで妊婦健康診査に係る経済的負担の軽減を行っております。同じく政令指定都市の仙台市では、令和6年4月1日以降の受診から予定日、40週ゼロ日を超えて実施した15回目、16回目の妊婦健康診査の費用を助成券にて助成を行っております。こちらは登録医療機関に助成券を準備する形となっており、40週を超えた方に渡して使っていただくという形でございます。また、神戸市では助成券の中にその他という項目を設けており、受診券の上限額の範囲内で、助成券でカバーし切れない追加の検査、個別で必要な検査を実施することを可能としております。妊婦の状況ごとに実施すべき検査は異なるという医療機関側の要望からその他という項目を設け、フレキシブルな対応を可能にしているとのことです。これらは、サービスの形は違いますが、妊婦健康診査に係る経済的な負担の軽減に寄与しております。
 妊婦健康診査に関して自己負担が生じているのは紛れもない事実でございます。先ほど御答弁でもありました集合契約を国が推奨しているというものの、根拠にもなりました令和5年3月27日に国から県、市町村、特別区に出された通知の中身を一部抜粋いたしますと、告示で示す全ての検査項目について自己負担が発生しないよう公費負担を推進すること、また、妊婦が予定日40週を超過したため、14回以上の妊婦健康診査が必要な方への公費負担についても、特段の御配慮をお願いするというふうにあります。県単位の集合契約の推奨とともに、国も妊婦健康診査の自己負担においても課題認識を持っており、妊婦健康診査の公費負担を推奨しているということです。
 本市では、県医師会と県単位の集合契約の形を取るなど県内で統一した対応を行っており、妊婦の利便性や医療機関の手続の煩雑さの軽減という観点からも、その形態のメリットはあるものと認識をしております。しかし、この形態では、先ほど言ったとおり、それぞれの市町村の財政状況など個々の事情もありますし、一市町村の判断で助成券の枚数を増やしたり、個別の項目の回数を増やしたり、また、新規に項目を増やしたりということが難しいということになります。でも逆に、横浜市の場合は妊婦健診1回目からの給付というもので、これは少し過剰であると感じる部分もございますが、この形では医療機関の手続の煩雑さを生じずに、給付条件などをしっかり固めれば本市でも行えるものと思います。
 これはあくまで一例にすぎませんが、いずれにせよ、少子化は現在進行形で、とてつもないスピードで進んでいる状況であり、早急な対策が求められます。私も、子どもが欲しいけど経済的にも自信もないし、今はいいかなというような声は至るところで聞くところでございます。子育て世帯への経済的支援は間違いなく必要不可欠です。本市としても、子育てをするなら誰しもが通る妊娠に係る費用の軽減に向けて、今後のさらなる妊婦健康診査のサービスの向上を要望いたしまして、1問目を終わります。
 次に、不登校児童生徒の健康診断について質問をいたします。
 不登校の問題に関しては、いじめの数、不登校に伴う長期欠席者の数が年々増加しており、文部科学省発表の資料では、令和5年の小中学校における長期欠席者のうち不登校児童生徒数は34万6,482人となっており、11年連続で増加し、過去最多となっております。本市でも不登校児童生徒は増えていると聞いておりますし、教育委員会といたしましても様々対策を行っていただいていることと思いますが、様々ある問題の中で、私は特に不登校児童生徒の健康問題に対し危惧をしております。
 大阪公立大学において、2019年に出された不登校児童生徒の身体的健康と学校健康診断についての分析結果におきましても、不登校の状態が持続することは、身体的活動性の低下、社会活動性の低下という点から身体的にも精神心理的にも健康上のリスクとなり得るだけではなく、受診機会を逸して背後の疾患が見逃されるケースがあることを指摘しております。今回は不登校児童生徒の健康を守る観点から健康診断にフォーカスをして質問いたしてまいります。
 ではまず、健康診断実施の根拠法令と役割、実施内容、実施時期をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 健康診断は、学校保健安全法に基づき実施しております。その役割は、文部科学省監修のマニュアルによりますと、学校生活を送るに当たり支障があるかどうかについて疾病をスクリーニングし、健康状態を把握すること、そして、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てることとされております。また、実施の内容と時期としましては、内科、眼科、耳鼻科、歯科等の検査を毎年6月30日までに行うものとされております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) ありがとうございます。児童生徒の健康診断は、学校生活を送るに当たり支障があるかどうかについて疾病をスクリーニングし、健康状態を把握する役割と、学校における健康課題を明らかにして健康教育に役立てるという役割が示されているようです。毎年行われ、内科、眼科、耳鼻科、歯科など幅広く行われており、まさしく児童生徒の健康管理に欠かせないものであるということがうかがわれます。
 では、昨年度の福岡市立小中学校に在籍の児童生徒の各科の健康診断受診率と福岡市の不登校が理由で昨年度に学校で健診を受けなかった市立小中学校の児童生徒の各科ごとの割合についてそれぞれお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各科の受診率は、内科が98.2%、眼科が94.2%、耳鼻科が94.6%、歯科が94.5%となっております。また、健康診断未受診の理由を詳細に把握していくことは困難なため、不登校が理由で健康診断を受けなかった児童生徒の数は集計いたしておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) では、健康診断を行っている場所はどちらで行っているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 本市におきましては、各学校で行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) ありがとうございます。各健診ともに高い受診率で行っていることはすばらしいことであると思います。また、不登校が理由で健康診断を受けなかった児童生徒の数は集計していないとのことですが、やはり不登校児童生徒の中には学校で健康診断を受けるのが精神的にきついと思われる人もいるのではないかというふうに考えます。
 では、本市において、直近3年間の長期欠席者のうち不登校に当たる児童生徒数を小中学校それぞれに分けてお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年度が小学生1,480人、中学生2,055人、4年度が小学生1,997人、中学生2,403人、5年度が小学生2,403人、中学生2,774人となってございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) このように、文部科学省のデータと同様、本市におきましても不登校児童生徒の数は年々増加傾向にあるようです。単純に推測しますと、不登校で健康診断を学校で受けたくない児童生徒もこれに伴い増加しているのではないかというふうに考えます。
 先述のとおり、不登校児童生徒は学校に通っている児童生徒よりも身体的にも精神的にも健康上のリスクを抱え、さらに背後の疾患が見逃されているリスクもあると言われております。ぜひ学校生活を行う上での健康上支障があるかないか、スクリーニングの意味合いからも、不登校児童生徒の幅広い受診方法を提供していただきたいと強く感じております。
 では、本市では現在、健康診断を学校で受けたくない不登校児童生徒に対してはどのような対応を取られているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 所属する学級の日程では健康診断を受けられない児童生徒に対しましては、同じ学校における別の日程を案内するなどの個別の配慮を行ってございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 別日で案内をしていただくなどの配慮を各学校でしていただいていることに関してはすばらしいと思いますし、感謝をいたします。しかし、そもそも学校に行くことが嫌な生徒がいたりするなど、生徒の実情は様々というのが現実でございます。学校外での健康診断を含めたさらなる対策が必要であるのではないかというふうに考えます。
 では、現在、本市として学校外で何かしらの対応は取られておりますでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校保健安全法に規定する健康診断につきましては、学校外では行ってございません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 現在、本市では学校外の健康診断は行っていないとのことです。
 ここで他都市の事例を紹介いたします。大阪府の吹田市では、市立の小中学校及び市立の幼稚園の児童生徒が健康診断の実施日に欠席していたなどの理由により在籍校での定期健康診断を受診できなかった場合に関して、学校医または学校歯科医の診療所、クリニック等で行う内科または歯科の健康診断を受診できるというような制度がございます。学校外であれば、不登校児童生徒も精神的な負担がなく受診をすることができますし、保護者の方の安心感にもつながります。
 ぜひとも本市でも御検討いただきたいと考えますが、吹田市のような学校医によるクリニックなど学校外での健診の実施についての御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校で実施する健康診断を受けられなかった児童生徒に関しても、学校生活を送るに当たって支障があるかどうかを把握するため、疾病をスクリーニングすることが必要と考えております。学校外での健康診断の実施につきましては、関係機関や学校医等の理解や協力も不可欠ですので、まずは先行自治体における実施方法や事業効果等について調査研究し、それらを踏まえて検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 御答弁でもありましたとおり、学校外での個別の健康診断を行うというのは、学校医の先生方の理解もありますし、その他様々な関係機関の理解も必要でございます。大変かとは思いますが、不登校児童生徒の健康を守るためにも、他の自治体のやり方や事業効果をしっかり調査した上で前向きに取り組んでいただくことを要望いたします。
 また、もし実現した際は、学校外で健診を受けられるということを知らない家庭がないように、学校で行う健康診断を欠席した家庭に対し、漏れのない情報連絡を行っていただくように併せて要望いたしまして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時20分に再開いたします。
午後2時8分 休憩
午後2時20分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。田原香代子議員。
○16番(田原香代子)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、企業と行政による奨学金返還支援について、誰もが文化芸術に出会えるまち、感動都市福岡を目指しての2項目を質問いたします。
 初めに、企業と行政による奨学金返還支援についてです。
 これまで我が党では、学びたい人が進学を諦めることのない社会を目指して、奨学金制度の充実や返済不要の給付型奨学金制度を実現してまいりました。日本学生支援機構が行った令和4年度学生生活調査によると、奨学金制度を利用する学生は、大学で55%、短期大学で61.5%、大学院修士課程で51%、大学院博士課程で58.9%と実に半数以上となっています。学びの機会は保障されるものの、社会に出ると同時に大きな額の返済が始まり、不安を抱える若者は非常に多い状況です。結婚に踏み切れない、様々な困難を抱えても会社を辞める決断ができず、結果、心身ともに健康を損なうなど、若者からの声も度々報道などで取り上げられています。一方、少子・高齢化が進展する中、様々な分野で人手不足が深刻化しています。先月、国が公表した雇用情勢によると、福岡地区の10月の有効求人倍率は1.19倍と、近年は1倍を超える状況が続いています。また、雇用環境が変化し、人材の流動化も進んでおり、特に中小企業では人材確保に苦労されている現状を伺います。
 中小企業の人材確保の支援策の一つである奨学金の返還支援について、昨年9月議会で我が会派の高木議員から、若者支援、そして、企業の人材確保の観点から福岡市独自の奨学金の返還支援が必要ではないかと質問いたしました。今後も全国的に様々な分野でさらに人手不足が深刻化していくことは避けられないことから、今回、改めて本市における企業の人材確保にもつながる奨学金の返還支援の導入に向けて質問してまいります。
 まず初めに、令和3年から企業が従業員の奨学金をその従業員を介さず、直接、日本学生支援機構に返還ができるようになり、企業にも従業員にもメリットが拡大した代理返還制度について、現在、その制度を活用している企業数がどのくらいあるのか尋ねます。
 以上で1問目の質問を終わり、以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 日本学生支援機構によりますと、令和5年8月時点で全国では972社、うち福岡県内では40社であったのに対し、令和6年8月時点では全国で2,267社、うち福岡県内では110社となっており、この1年間で2倍以上に増加しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 1年間で2倍以上の企業が利用されるようになり、企業にとっても、そこで働く従業員にとっても大きなメリットがあるということが認識されてきた結果ではないかと思います。
 それでは次に、奨学金の返還を支援する制度を導入している自治体が全国でどのくらいあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 国が令和6年3月に公表した調査結果によりますと、令和5年6月時点で42の都道府県、717の市区町村、合計で759の自治体で導入されておりまして、前年度の調査と比べますと、都道府県で6、市区町村で102の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 地方独自の奨学金の返還支援についても、全国的に多くの自治体で導入されるようになり、1年間で100を超える自治体で新たに支援が開始されています。支援を利用し、就職を決めた学生からは、この制度について知り、ぜひ支援を受けて地元で働きたいと思い申請しました、この支援が地元に戻ってくる後押しになりましたとの声もあります。従業員だけではなく、企業側にもメリットがあり、また、自治体としても人材の流出防止や地域経済の活性化につながる効果も期待されているからこそ、これほど多くの自治体で導入されているのだと思います。
 昨年9月議会において、他都市の実施状況などを調査するとの御答弁をいただいたところですが、他都市調査によって具体的にどのような支援が行われていることが分かったのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 他都市の具体的な支援内容については大きく2種類に分類されまして、一つは、移住や定住につなげることや地域内における若者の就労促進などを主な目的とし、個人に対して支援をしているケースで、例えば、自治体内に居住し、就業された方を対象に100万円を上限として奨学金返還額の5年分を助成している事例などがございました。もう一つは、企業の人材確保や定着を主な目的とし、企業に対して支援をしているケースで、例えば、従業員の奨学金の返還支援を行っている地場中小企業を対象に、1企業当たり年間10万円を上限として支援額の2分の1を助成している事例などがございました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 2つの支援がありますが、企業を通して支援することで、企業側の人材確保や定着にもつながることが期待されるのではないかと思います。就職先に迷っていたとき、現在自分が通っている大学のある自治体にこの奨学金返還支援制度があることを知り、県外から来ていた学生がそのままその土地で就職したとの声も上がっております。
 本市は人口10万人当たりの短大、大学などの学校数が政令指定都市20都市に東京23区を加えた都市比較でも第1位です。本市で学んだ学生たちが本市にとどまり、働き続ける一助になるのではないでしょうか。人手不足で悩んでいる中小企業の中には、従業員への奨学金返還支援制度を設けて待遇面で他社との差別化を図り、人材確保につなげたいと考えている企業も多いのではないかと思います。しかし、物価高騰などにより様々なコストが上昇している中、その原資を生み出せない企業が多いのが現状ではないかと思います。
 本市では、保育士不足に対応するため、いち早く家賃支援や奨学金の返還支援を行ってまいりました。ぜひ人材確保のために努力をしている市内の中小企業を応援するため、市独自の奨学金の返還支援制度を創設すべきと考えますが、島市長の御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 日本が人口減少社会を迎え、少子・高齢化が進展をする中、全国的に様々な分野で人手不足が深刻化しており、市内中小企業においても人材の確保が困難な状況になっているものと認識をしています。奨学金の返還支援については、市内中小企業の人材確保や定着につながるとともに、若者世代の経済的な負担の緩和にもつながることから、積極的に人材確保に取り組む中小企業の支援に向けて検討を進めてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ありがとうございます。
 続いて、誰もが文化芸術に出会えるまち、感動都市福岡を目指しての質問に入ります。
 福岡市民ホールがいよいよ来年3月に開館し、新たな文化芸術の発信拠点として、ますます市民の芸術鑑賞の機運も盛り上がると期待します。ピクトグラムを活用した分かりやすい表記やバリアフリーなど工夫が凝らされた施設にたくさんの市民が集まることを想像するだけで心躍る思いです。
 本年4月1日に改正障害者差別解消法が施行され、障がいのある人への合理的配慮の提供が義務化されました。また、障害者による文化芸術活動の推進に関する法律には、障がい者が文化芸術を鑑賞する機会の拡大を図るため、必要な施策を講じることが明記されております。本市においても、福岡市美術館、福岡アジア美術館、福岡市博物館、また、博多座などの劇場とすばらしい施設があります。様々なハード面が充実する中、誰もが芸術に触れることができる環境が芸術文化施設に整っているのか、現状を伺ってまいります。
 まず、本市の障がいのある方から文化芸術に対し、どのような要望や意見があるのか、令和元年度に実施された福岡市障がい児・者等実態調査の回答内容から伺います。
 あなたは生活に関することで福岡市からどのような情報が知りたいですかとの問いに対し、文化、スポーツ・レクリエーション、レジャーなどの余暇活動に関することと回答した割合を障がいの種別ごとにお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和元年度に実施した調査におけるお尋ねの回答割合は、身体障がい者で11.3%、知的障がい者で17.3%、身体・知的障がい児で20.8%、精神障がい者で16.8%、発達障がい児・者で17.4%、難病患者で8.0%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 障がい者に関する事柄で、特に人権上問題があると思われるのはどのようなことですかとの問いに対し、スポーツ、文化活動、地域活動に気軽に参加できないことと回答した割合を障がいの種別ごとにお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) お尋ねの回答割合は、身体障がい者で5.4%、知的障がい者で8.2%、身体・知的障がい児で9.2%、精神障がい者で4.7%、発達障がい児・者で7.0%、難病患者で4.4%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 文化、スポーツなどに対し情報を求め、また、参加に際しては少なからず壁を感じることもあるようです。
 では、本市の文化芸術施設の利用状況について伺います。
 福岡市美術館、福岡アジア美術館、福岡市博物館への昨年の来場者数、そのうち障がいがある方の来場者数をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 美術館、アジア美術館及び博物館における令和5年度の常設展の来場者数と、そのうち障がいのある方及び介護者の来場者数については、美術館が20万3,787人、うち5,950人、アジア美術館が6万2,068人、うち1,768人、博物館が10万9,462人、うち3,258人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 本市の、障がいがあり手帳をお持ちの方は、令和5年度末時点で8万9,522人とのことですので、ぜひさらに多くの方に来場の機会が増えますよう、各文化芸術施設の状況、また、障がいのある方に対し、どのような取組を行っているのか、伺ってまいります。
 まず、福岡市美術館について伺います。
 福岡市美術館では、障がいのある方が美術鑑賞を楽しめる機会をツアーとして開催されていると伺いました。
 視覚障がい者のためのおしゃべりとてざわりのツアー、聴覚障がい者のための目で聴くツアーについて、内容、定員、応募数、実施時期を教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 視覚障がい者のためのおしゃべりとてざわりのツアーについては、視覚障がいのある方とない方が一緒に展示を鑑賞したり、触れられる作品に直接触れながら鑑賞したりするもので、令和6年度は11月30日に実施し、定員10人に対し9人の申込みとなっております。また、聴覚障がい者のための目で聴くツアーについては、聴覚障がいのある方とない方が手話通訳者を介し、感じたことを伝え合いながら作品鑑賞を行うもので、令和6年度は12月1日に実施し、定員10人に対し5人の申込みとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) それぞれのツアーを見学させていただきました。本年9月に福岡市美術館に設置した国際的に活躍する現代美術家モナ・ハトゥム氏の作品「+と−」を鑑賞しました。資料1の投影をお願いします。(資料投影)円形の容器に敷き詰められた砂の上を一定の速度で回るバーの半分が模様を刻み、もう半分がかき消していくという作品です。視覚障がい者のツアーでは、まず音を聞きましょうと全員で耳をそばだてると、風の音のよう、川が流れている音みたい、海の音にも聞こえるなど様々な感想が寄せられました。ですが、この作品を言葉で表現するのは非常に難しいと思います。投影ありがとうございます。
 この中で、ある方が両手を広げてみてくださいとお話をされ、左手が模様をつけていきます、右手がそれをかき消していきますというような説明をされていました。それを聞いた視覚障がい者の方が、なるほど、分かったと感動が広がる様子に、見ている私自身も大変感動いたしました。
 資料2の投影をお願いします。(資料投影)模様が描かれていく砂も実際に用意され、手触りができるようになっておりました。さらに作品の姿を想像できる工夫でありました。聴覚障がい者のためのツアーでは、手話通訳者の方が2人同行され、作品の感想を手話を通じて交わし合いながら作品理解が深まっていく姿は、まさに目で聞くツアーだと感じました。
 資料3の投影をお願いします。(資料投影)当日はそれぞれツアーが実施されると看板が設置されています。作品の前で語らう姿を温かく見守るほかの来場者の方の姿も印象的でした。現在は、このすばらしいツアーは1年に1度の開催で、応募数は定員数前後の状況ではありますが、参加者の皆様の芸術に触れた喜びを間近で拝見すると、さらなる周知の拡充と開催頻度の拡大をお願いしたいと考えます。
 各ツアーの広報、周知方法について教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) ツアーの募集に当たりましては、市政だよりや美術館のホームページ、公式SNSで告知するほか、福岡市内の福祉団体や特別支援学校などへメール及び印刷物を送付しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 先日視察に伺った新国立劇場では、障がい者への観劇サポートを実施し始めた頃、なかなか集客がなかったため、東京都のあらゆる福祉事業所、グループホームにチラシを送付したところ、申込みが大幅に増えたとのことでした。
 障がい者の方に様々な情報を得る機会創出のためにも、さらに多くの周知を、また、周知に伴う開催回数の増や、簡易的なツアーを希望に沿って実施できる体制をつくってはいかがでしょうか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) ツアーにつきましては、新たに美術館近隣のグループホームにお知らせをするなど広報を強化してまいります。また、開催回数の増やツアー内容の変更については、参加者のニーズやツアーの実施体制を勘案しながら検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ありがとうございます。ぜひたくさんの方にこのすばらしいツアーに参加いただけることを楽しみにしております。
 先日、東京都美術館に伺い、障がいのある方のための鑑賞会を視察いたしました。資料4の投影をお願いいたします。(資料投影)特別展示の休室日を活用し、障がいのある方、難病の方を定員400名募集し、当日はとびラーと呼ばれるスタッフが来場した方を迎えていました。視察の当日30分ほど前に着いたため、ロビーにて待っておりますと、車椅子で嬉々として来館される方、また、白杖の方、ヘルプマークをつけた方、大変多くの方が来場していらっしゃいました。久しぶりなどと声を掛け合う姿もあり、外出の機会になっていることも実感いたしました。
 資料5の投影をお願いいたします。(資料投影)通常の展示日と異なる工夫として、搬入用のエレベーターを開放し、移動を手助けしています。また、トイレに行く際など、順路通りに行くと大変時間がかかるということで、カーテンなどの仕切りを全て開放して行き来しやすい空間をつくっていました。
 資料6の投影をお願いいたします。(資料投影)鑑賞会では、手や指で分かる触図を2枚ずつ用意されているとのことでした。これはちょうど触図を触って鑑賞している介護犬を連れた方でいらっしゃるのですが、絵が見えるようですと大変感動しながらこの触図を触っていらっしゃいました。
 資料7の投影をお願いします。(資料投影)作品に目線が合わない方のために、タブレット端末で作品を見られる工夫をしておりました。タブレットを持ってらっしゃる方がとびラーというスタッフの方です。とびラーは、会社員や教員、学生、主婦など様々な人で構成され、美術館のサポーターではなく、能動的なプレーヤーとして、障がいのある方のための鑑賞会でも積極的に来場者とコミュニケーションを取り、より鑑賞しやすい方法を見つけ、提案していっているということでした。資料8の投影をお願いいたします。(資料投影)ですが、話しかけられることが苦手だという精神障がい者の方からの申告もあったため、声かけを控える工夫もされていました。鑑賞会入り口に白い名札を設置し、その名札をかけている方には警備員さんをはじめ、誰も声かけをしないというルールをつくり、今回の鑑賞会から取組を実施しているということでした。
 このような施策は、全て来場者アンケートから行っているとのことでした。担当者の方に伺ったところ、鑑賞会開始時は多くのお叱りを受け、さきに述べた様々な工夫もこのアンケートから得たものだったとのことでした。何としても障がいのある方も美術鑑賞を楽しんでほしいというスタッフの思いも伝わりました。
 福岡市美術館においても様々な工夫をいただいております。また、多くのボランティアの皆さんが支えてくださっています。今後もアンケートなどアウトリーチの活用で、現利用者や障がい者の方からどのような鑑賞スタイルが望まれるのか、積極的な情報収集によるイベントや鑑賞会を行うべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 現在もツアー終了後に障がいのある方や介護者の方にアンケートを実施し、その意見を取り入れておりまして、例えば、令和5年度のアンケートに音や匂いを体験するツアーをしてほしいとの御意見がございましたため、令和6年度は、先ほどの御質問の見学のお話にあったように、モナ・ハトゥム氏の作品「+と−」の砂に模様が刻まれたり、かき消されたりするときの音を聞いてもらうことといたしております。今後もアンケートを活用したり、ツアーをサポートした美術館ボランティアとの情報共有により、ツアーの改善を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、福岡アジア美術館について伺います。
 障がいのある方が来館した際のサポートはどのように行っていただいているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) アジア美術館においては、障がいのある方が来館され、作品鑑賞のお申出があった場合は、ボランティアスタッフによる案内を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 障がいのある方が来館した際にサポートがあることを、広報、周知はどのように行っていらっしゃいますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) アジア美術館にございます総合受付や展覧会の受付で相談を受け、対応についての案内を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) アジア美術館は地下鉄からのアクセスもよく、誰もが訪れやすい立地であります。
 資料9の投影をお願いいたします。(資料投影)コレクション展示の作品の一つです。スピーカーからは、掲載されている写真が撮られた時代の電報や手紙が読み上げられる声が流れています。
 資料10の投影をお願いいたします。(資料投影)これの中に何重にもカーテンが重なっているのですが、そのカーテンを手繰りながら作品にたどり着くという工夫もあり、多くの方が五感で考え、刺激を受けることができる空間です。音や映像など静かな空間の中にも想像力をかき立てる作品の数々をさらに多くの方に鑑賞いただきたいと思います。
 ぜひ視覚や聴覚の障がい者の方が訪れてみようと思うツアーやイベントの実施ができないでしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) アジア美術館では、現在、障がいのある方向けのツアーなどのプログラムがございませんため、手話でのツアーなど、障がいのある方が参加したくなるようなツアーなどの早期実施に向け、検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ありがとうございます。手話のツアーなど、ますますアジア美術館の至宝の作品がたくさんの方に伝わることを心待ちにしております。
 障がいのある方が来館した際のサポートがあるというふうに教えていただきましたが、ホームページなどで案内することで、より訪れやすくなるのではないでしょうか。ぜひ周知をいただきたいと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) ホームページにバリアフリー情報のページを作成し、可能なサポートを案内してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、福岡市博物館についてお伺いいたします。
 障がいがある方に向けたイベントなど実施されていましたら教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博物館においては、特別支援学校からの団体見学の依頼に対し、事前に学校と綿密な打合せを行い、教師の手話通訳に加え、フリップやハンズオン資料を活用した展示案内を行っております。また、点字図書館からの依頼を受け、出前での封泥体験を実施したり、福岡市視覚障害者福祉協会と連携し、博物館の収蔵資料やレプリカなどを触りながら講師のレクチャーを聞くイベントなどを実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、イベントについての広報、周知はどのように実施されていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) イベントについては、市政だよりや博物館のホームページ、公式SNSで告知するほか、視覚や聴覚の障がいのある方に対しては、市点字図書館やボランティアの協力の下、市史だよりFukuokaの点字版及び音訳版を公開するとともに、博物館広報誌、Facataの点字版を公開しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、障がい者に対するサポートにおける課題があれば教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 課題といたしましては、障がいのある方が活用しやすいスマートフォンなどを用いた誘導、解説システムの導入の要望を受けておりますことから、リニューアル推進事業を通して実現を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福岡市博物館では触って作品を感じられる展示も多く、様々な方が楽しむ工夫がされております。
 資料11の投影をお願いします。(資料投影)金印の重さを体験でき、実際に粘土に押してみるレプリカでの体験をはじめ、資料12の投影をお願いします。(資料投影)紙のこよりで作られ、文字に凹凸があり、手で読むことができるこより文字の展示もあります。
 資料13の投影をお願いいたします。(資料投影)手で触る展示も多くありました。また、タブレットによる詳細な解説や、各展示の入り口には解説の音声があり、音で聞きながら楽しめる工夫もふんだんにありました。展示の最後は小松政夫さんが動画で博多手一本を教えてくれるすてきな演出もあり、いろいろな体験ができます。
 様々な方がより来館でき、福岡の歴史や文化を知ることができますよう、福岡市立点字図書館が近隣にもありますが、連携などお考えでしたら、その内容や今後の展開について教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市点字図書館との連携については、引き続き、市史だよりFukuokaや博物館広報誌、Facataの点字版の周知に連携して取り組みますとともに、視覚障がいがある方のサポートの強化について、点字図書館にも相談しながら検討していきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、博多座及び福岡市民ホールについて伺います。
 障がいのある方が来場した際、どのようなサポートがあるのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博多座においては、サポートが必要な方に対し、座席案内や着席などの補助を行うほか、演目によっては聴覚に障がいのある方への台本貸出しを行っております。また、福岡市民ホールでは、上演時のサポートは公演主催者での対応となりますが、PFI事業者が行う自主事業において、障がいのある方も楽しめる鑑賞サポートつきのイベントの提案がなされておりまして、今後、実施に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 障がい者の方へのチケット料金のサポートがあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博多座は、公演を主催している株式会社博多座が収支の見込みや他の劇場の金額を踏まえ、制作会社と調整してチケット料金を決定しておりまして、これまでに障がいのある方のサポートを設けたことはないと聞いております。また、福岡市民ホールは、PFI事業者による自主事業も含め、公演主催者が個別にチケット料金を設定することとなります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 東京都にある世田谷パブリックシアターという劇場では、公演によりますが、チケットの障がい者割引があり、介助者はチケット料金を無料とする取組を行っています。1人で来場することが難しい方にとって介助者は必ず必要となりますが、気兼ねなく観劇いただくための工夫がなされています。このような観劇の工夫も外出の機会創出につながると考えます。
 では、障がい者に対するサポートにおける課題があれば教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博多座は、サポートが必要な方からの要望に対してできる限り対応いたしておりますが、スタッフが限られており、サポートが必要な方が多い場合はお客様をお待たせすることから、御理解、御協力をいただくよう努めているところでございます。また、福岡市民ホールにおいては、開館後、アンケートなどを通して課題を把握するとともに、必要に応じ、改善に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 博多座では、さきに教えていただいたように、聴覚に障がいのある方へ台本の貸出しを以前から行っていたと伺い、いち早く観劇のサポートをいただいております。
 資料14をお願いいたします。(資料投影)先日、新国立劇場の観劇サポートを視察いたしました。聴覚に障がいのある方には手持ち型のポータブル字幕機の貸出しを実施しております。理解に重要となる効果音や音楽の情報も含めて表示され、新国立劇場は主催公演がほとんどですので、台本作成から行っていることからできるサービスでもあると言えます。
 状況は異なると考えますが、観劇の手助けとして、このようなタブレットでのサポートを博多座で行うことは可能でしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博多座においても、演目によってはタブレットによる台本貸出しを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 博多座でもサポートいただいていることが分かりました。大変ありがたいサポートですが、現在、ホームページなどにはその内容の記載がありません。そのようなサポートがあると分かれば、観劇の可能性が広がる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 障がいのある方に向けた観劇のサポートを博多座で行っていることを周知すべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 車椅子での来館動線などバリアフリー情報については、現在、博多座のホームページで周知しているところでございますが、今後、台本の貸出しなどのサポート情報についても周知してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひよろしくお願いいたします。
 資料15の投影をお願いいたします。(資料投影)同じく新国立劇場では、視覚に障がいがある方には観劇前に舞台上で舞台装置に触れていただき、イメージを持っていただく取組も行っておりました。また、ここに表示しておりますように、観劇中にはリアルタイムの音声ガイドサポートを実施しています。作品の見どころに加え、舞台上で役者がどのような体勢を取っているのか、誰が入ってきたかなど生放送で解説し、臨場感たっぷりに舞台を鑑賞することができます。音声ガイドの実施のためには労力もかかり、また、自主作品であるからこそ手厚いサポートができる側面もあるとのお話でした。
 自主公演であるからこそのサービスでもあると思いますが、こういった音声のガイダンスによるサポートを博多座で行うことは可能でしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 音声ガイダンスについては、博多座から業務量や費用の増加のほか、公演作品の制作会社との調整が必要となるなど課題が多いことから行っていないと聞いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 新国立劇場の担当者に伺ったところ、聴覚に障がいのある方より視覚に障がいのある方のほうが鑑賞のサポートの申込みが多いとのことでした。舞台から聞こえる衣装の音や劇場独特の香りなど、観劇でしか味わえない喜びを求める方々にぜひサポートをお願いしたいと思います。
 また、パンフレットにも工夫が必要です。音声で聞くことができるパンフレットや、本市でも多く取り組んでいただいているユニボイスを活用することなど、博多座でも音声によるパンフレットなど視覚に障がいのある方へのサポートはできないでしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博多座では、自らパンフレット等の作成は行っておりませんが、ホームページにおいて各公演の情報を掲載しておりまして、スマートフォンなどで音声読み上げ機能を活用することで公演概要の案内は可能となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) パンフレットには、そこにしかない舞台をさらに楽しめる情報がたくさん詰まっています。
 福岡市文化芸術振興計画においても、障がいのある人もない人も──略させていただきますが、すべての人が触れあうことができる機会が提供されていなければなりませんと記載があり、様々な取組で情報を得る仕組みづくりを要望いたします。また、当事者の方から、障がい者に向けての取組があると私たちも劇場に行っていいんだと思えますとのお話を伺いました。
 ぜひできることからと考えると、博多座では自主公演も実施しております。障がい者の方が観劇できる取組をできることから実施いただきたいと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 博多座においては、これまでもお客様一人一人にきめ細かな対応を心がけ、障がいのある方の鑑賞サポートについても、可能な限り要望に対応してきているものと認識しております。今後も先進的な事例を参考にし、できることから取り組むよう博多座と協議してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひよろしくお願いいたします。
 ひいきの公演が博多座で決まると大変喜ばれると伺います。その理由の一つとして、一度の観劇が最高の時間となるようスタッフの細やかな気遣いが飛び抜けているとのことです。その温かな劇場で、ますます誰をも受け入れる環境が整うことを願います。
 障がいのある方の鑑賞サポートを調べていくと、東京開催での公演などで実施されていることが多く、確認すると、現在、アーツカウンシル東京では東京芸術文化鑑賞サポート助成を行っておりました。東京都内で実施される音楽、演劇、伝統芸能、芸能など特定のジャンルにとらわれない芸術活動において、手話通訳、リアルタイム字幕、バリアフリー対応機器レンタル費や専門スタッフ、アドバイザー費など1事業につき150万円まで補助する助成となっております。アーツカウンシル東京へ視察し、この助成を始めた意図を伺ったところ、助成事業を開始することで民間団体も障がい者を受け入れる体制づくりを促進できるのではと実施したとのことでした。様々な芸術団体が誰でも鑑賞できる環境づくりを行うことは大変重要です。東京都の人口、資源、それに伴う芸術活動の活発さはほかに比類のないものと考えますし、また、市民の求めるものの違いもあると思います。
 ここ福岡で障がいのある方を受け入れる環境づくりに必要な助成制度や、何をすべきかの動画教材の作成など、民間団体が多くの方を受け入れる体制づくりをすべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 民間団体が障がいのある方の文化芸術鑑賞を受け入れることのできる環境づくりについては重要であると認識いたしておりまして、福岡市では、文化芸術振興財団を通して文化芸術団体等の活動に対して経費の一部を助成しており、令和6年度は舞台手話通訳者を養成する事業に助成を行っているところでございます。また、同財団の主催公演においては、手話通訳などの障がいのある方の鑑賞サポートを実施しております。今後とも、助成制度の活用を周知いたしますとともに、市や財団が障がいのある方の鑑賞サポートに取り組むことで民間団体の取組を促進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福岡市の施設における障がい者はじめ、多くの方を受け入れる環境づくりについて、様々伺ってまいりました。今後、福岡市博物館のリニューアルや福岡アジア美術館の機能拡充が予定されています。ぜひ誰もが安心し、来場できる施設とするため、カームダウンスペースを設置いただきたいと思います。カームダウンスペースは、光や音などの感覚の刺激を遮断することで、自閉症や知的障がい、認知症の方などが感覚過敏によるストレスの軽減やパニックの回避、クールダウンに使用できるスペースです。
 福岡市博物館、福岡アジア美術館でもカームダウンスペースを設置いただきたいと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) カームダウンスペースの設置については、博物館においては、リニューアル推進事業を通して設置していきたいと考えております。また、アジア美術館においては、今後、館の魅力向上の検討を行う中で設置の検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ありがとうございます。
 今回の質問は、母親が脳の手術後、認知機能にも障がいが出始めたため、好きだった舞台鑑賞が難しくなったと、ある方からお話を伺ったことがきっかけでした。その方は、映画館ならとお母様を鑑賞に連れていったけれども、静まり返ったシーンで突然お母様が拍手をし出してしまった、もう母を映画館にも連れていけなくなっちゃったと言われたことがきっかけでした。文化芸術からでしか得られない活力や歓喜があります。福岡市は、先進的な建物や景色が広がる中でも様々なアート活動に力を入れてきました。誰もがその文化芸術に触れられる懐が深い都市であり続けますよう心から願います。
 新たな可能性がまだまだ詰まった本市の文化芸術活動を、障がいの有無にかかわらず、享受できる環境を整え、誰もが文化芸術から得られる感動や喜びを感じられる芸術施設づくりについて、島市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 文化芸術は人々の創造性を育み、豊かな人間性を涵養するとともに、人々の心のつながりを強め、心豊かで多様性と活力のある社会を形成する源泉となるものであり、子どもから高齢者まで、障がいのある人もない人も、また、性別や国籍にかかわらず、全ての人が触れ合うことができる機会が提供されなければならないと考えております。福岡市では、これまで美術館や博物館などにおいて障がいのある方々が文化芸術を鑑賞できる機会の提供に努めてまいりましたが、今後もこれまでの取組を継承、発展させ、全ての人が文化芸術を楽しめる環境づくりを推進してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文)登壇 引き続き、公明党の古川でございます。私は公明党福岡市議団を代表して、生活保護受給者の診察時の資格確認について、ケアマネジャーのシャドウワークについて、オーバーツーリズムについて、グローバル企業の誘致とグローバル人材にも住みやすい環境づくりについて、以上4問質問いたします。
 私の政治信条は、大衆の中に身を置き、そこで伺った市民からの相談や要望の声を市政に届けて、その解決に向けて働くことと考えております。今回も直接市民からいただいた相談や要望の声から質問として幾つか取り上げたいと思います。
 初めに、生活保護受給者の医療機関への診察時の資格確認について伺います。
 12月2日よりマイナ保険証を基本とする仕組みが始まりました。皆様も御承知のとおり、この制度はマイナンバーカードに健康保険証の利用登録をしたマイナ保険証を医療機関での受診時や調剤時に読み取り機にかざすことによって、特定健診などの情報や過去に処方されたお薬の情報を医師や薬剤師にスムーズに共有することができる制度です。初めて受診する医療機関や薬局でも患者本人が情報提供に同意すれば医師や薬剤師がデータを確認することができるので、よりよい医療が受けられるものです。ほかにも、高額医療の限度額を超える場合、これまでの限度額適用認定の交付を受けることなく、申請なしで支払いが免除されることや、マイナポータルで確定申告時に医療費控除を簡単に受けることができるなどのメリットが挙げられます。
 一方で、幾つかデメリットもあるかとは思います。一部にマイナ保険証が使用できない医療機関があることや、カードリーダーの顔認証等で状況によりエラーが出ること、また、電子証明書の有効期限が切れると使えなくなり、更新が必要となることなどが挙げられております。
 さて、生活保護受給者は、一部の方を除き健康保険証がありません。そのため、保険証機能がひもづけされていないカードとなります。勘違いをして、そのマイナンバーカードを持参し、医療機関の読み取り機にかざすとエラーになるのであります。そのようなケースが度々発生しているのです。今回、医療機関に勤務する方からこのケースに関する声をいただき、何とか改善できませんかとの声をいただきました。
 そこで伺いますが、まず、保険証のない生活保護受給者が医療機関で受診する際はどのような仕組みになっているのか、お伺いをいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護受給者が受診前に区の保護課に申請し、区の保護課が必要性を判断の上で医療機関に診療を依頼、これに基づき医療機関が診療を行うこととなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 生活保護受給者は、事前に区の保護課に申請をした上で医療機関を受診するとのことであります。私はこの話をいただき、どこの自治体でもエラーになるのか、他都市の状況を調べてみました。政令市の横浜市や一般市の姫路市でも、本市と同様に生活保護受給者は生活保護担当課に報告の上、受診する仕組みであります。しかし、違うところは、生活保護受給者にもオンライン資格確認の仕組みが導入されており、保険証機能がひもづけされていないマイナンバーカードを医療機関の読み取り機にかざしても資格が確認できるようになっております。もちろんエラーは出ません。原則として生活保護担当課へ連絡してから受診することはこれまでどおり変わりありませんが、マイナンバーカードを活用したオンラインによる機能が発揮されています。本来、マイナンバーカードは、本人確認の際の公的な身分証として利用できるだけでなく、自治体サービスやe−Taxの電子申請など、どなたでも行政サービスをオンラインで受けられるよう、ICチップ内にその機能を持っています。医療扶助オンライン資格確認機能というシステムを、各自治体が整備を進めれば何の問題もないことと知りました。
 この医療扶助オンライン資格確認機能を本市も導入するとどのようなメリットがあるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 医療扶助のオンライン資格確認は、生活保護受給者がマイナンバーカードを使って医療機関の受診等を行う仕組みであり、導入により医療機関、薬局の窓口で直ちに資格確認ができるようになる、紙の医療券、調剤券の受領業務が削減できるといったメリットがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 本市も生活保護受給者がオンラインで資格確認、共有ができるこの制度の運用を早急に開始すべきだと考えますが、局長の所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 本市におきましても、現在、運用に向けてデータ連携作業など具体的な準備を進めているところであり、速やかに開始できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ありがとうございます。今年度内に運用できるようにお願いをいたします。
 次に、ケアマネジャーのシャドウワークについてです。
 シャドウワークという用語は、一見すると何だか謎めいた活動を連想させますが、私たちの日常生活や職場においても根差しております。シャドウワークとは、給与や報酬を直接受けることなく行われる仕事のことを指します。これには、公式な業務として認識されていないが、仕事の遂行や日常の運営には不可欠な活動が含まれております。例えば、職場での雑務、事務作業、情報の整理や共有など、公式の職務記述書には明記されていないけれども、事務の流れをスムーズにするための作業がこれに該当いたします。実際に介護業界では、シャドウワークが多岐にわたる形で存在しています。これらは利用者の直接的なケアだけではなく、その質を高めるための裏方仕事として役割を果たしております。介護業界の中でも特に利用者に身近な存在であるケアマネジャーのシャドウワークの負担が大きいことが問題となっております。
 今回、ケアマネジャーとして働く市民の方よりお声をいただきました。ケアマネジャーは、介護サービスのプランニングや調整を行う専門職です。これまでに利用者の家での洗濯、病院同行、区役所等への付添い、掃除、病院の予約、銀行の付添い、振込の支払いなどを依頼されることがあったと話してくれました。
 まず伺いますが、本市は市内のケアマネジャーに、いわゆるシャドウワークが発生していることをどのように認識されているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケアマネジャーのいわゆるシャドウワークにつきましては、全国的な問題となっており、本市においても発生しているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 例えば、1携帯電話の操作や手続、2税金などの手続や支払い、3買物や掃除等の家事、4電球交換や家屋の修繕、5救急車への同乗などは、介護保険サービスでケアマネジャーが行える業務なのでしょうか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケアマネジャーの業務は、ケアプランの作成や事業者との連絡調整等とされており、御指摘の業務はケアマネジャーが担う介護保険サービスの対象外であると考えられます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 今お示しした5つは、最前線の現場では利用者からよくお願いをされることです。金銭管理や保証人になること、病院に連れていくことなど、介護保険のルール上できないことがあります。
 では、本市は介護保険サービスの利用者に対して、例えば、ケアマネジャーにお願いできる内容とお願いできない内容があることをどのように伝えられているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 区役所等で無料配布している冊子、ハートページにおいて、ケアマネジャーに限らず、事業者に対して過剰な要求等を行わないよう求める内容を掲載しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 今日はそのハートページを持ってまいりました。(資料表示)もう皆さん御存じのものだと思います。この中にちょっと記述があるんですが、資料1を投影してください。(資料投影)この記事がございます。大きく拡大をさせていただきました。介護サービスの提供に対するハラスメントに関する記載ですが、利用者の家族が自分の食事も一緒に作れと要求する。ちょっと見にくいですね、ごめんなさい。保険料を支払っているのだからと大掃除を強要し、断ると文句を言う。ハラスメントと思われる行動を記載しているのですが、残念ながら目立ちません。
ケアマネジャーさんが横浜市ではこのようなものを配っているんですよと教えてくれました。資料2を投影してください。(資料投影)横浜市では、ケアマネジャーの業務と役割という1枚の用紙を作っております。「ケアマネジャーには、介護保険法のルール上ご本人の立場や尊厳を守るためにできないことがあります」と、はっきりケアマネジャーの本来の業務ではない作業を分かりやすく提示しております。たとえ善意であっても、ケアマネジャーが本来の業務ではないことをすることで利用者間の公平性を保つことができなくなると、公平性のために厳守しなければならないことも書かれております。資料3を投影してください。(資料投影)これが裏面になります。横浜市のケアマネジャーたちは、この用紙を持って訪問し、介護サービス利用者やその家族から無理なお願いをされたときはこの用紙を見せて御理解をいただくそうなのであります。大半の利用者がこれを見ると納得いただけるそうであります。過剰な要求を防ぐためにも、また、事業所を替えるぞなどといった暴言や暴力、性的嫌がらせのハラスメント行為の防止にもつながっているということであります。
 このような用紙を自治体である福岡市が作成し、包括支援センターや各事業所に置いて、ケアマネさんたちが持ち歩き、常に注意喚起していると知らせることが有効ではないでしょうか。投影ありがとうございました。
 今回、ケアマネジャーからいただいた声は、このようなルールをもっと分かりやすく示してほしいとの要望です。横浜市のような対応を本市でもやるべきだと思いますが、局長の所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケアマネジャーが専門性を生かし、利用者へのケアマネジメント業務に注力できる環境を整備することは重要であると考えております。現在、厚生労働省のケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会においてケアマネジャーの業務の在り方が議論されており、当該検討会の結果を踏まえ、速やかにケアマネジャーの業務に関しての広報、啓発を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ありがとうございます。現在、厳しい環境にあるケアマネジャーさんたちが安心して働ける一助となれば幸いであります。
 次に、オーバーツーリズムについて質問いたします。
 本市は観光振興に力を入れている都市であります。その観光に関する話題として、近年、ニュースなどでオーバーツーリズムという言葉をよく耳にするようになりました。一般的に混雑、ごみのポイ捨てなど、観光客のマナーの問題としてクローズアップされていることが多いようであります。オーバーツーリズムとは、オーバー、許容範囲を超えたとツーリズム、観光を合わせた造語で、平成28年に米国の観光産業ニュースメディアがつくったものだと言われており、日本では観光公害とも言われておりました。
 まず、このオーバーツーリズムという言葉について、どのような状況のことを指すのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 国の観光白書によりますと、オーバーツーリズムとは、特定の観光地において訪問客の著しい増加等が市民経済や自然環境、景観等に対する負の影響を受忍できない程度にもたらしたり、旅行者にとっても満足度を大幅に低下させたりするような観光の状況と示されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) では、オーバーツーリズムに関し、現在の福岡市内の状況についてどのような認識を持っておられるのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 現在、福岡市内では、観光客の増加に伴う飲食店や交通機関での混雑のほか、文化や習慣の違いに起因するマナー問題が一部において生じているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) オーバーツーリズムの主な問題は、国や文化、そして、言語が違うことから生じる無理解のマナーの問題、観光客の急増により、その地域の住民の日常的な生活に支障を受けることが発生する地域住民の生活環境の悪化の問題があると言えます。
 そこで伺いますが、本市を訪れる観光客が増加することにより、このオーバーツーリズムと思われる相談や苦情などは発生しているのか、発生しているのであれば具体例をお示しください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 電話やメールなどによる市民の声において、公共交通機関の中での混雑や、まちなかでの歩きたばこに関する御意見が寄せられているほか、舞鶴公園でのクルーズ船観光客によるごみのポイ捨て、トイレの利用方法といったマナー問題に関する御意見もいただいているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 令和4年10月の大幅な水際対策緩和以降、外国人観光客の増加に比例して交通渋滞の慢性化、文化の違いなどによるトイレの使い方やごみのポイ捨て、路上喫煙等のマナー問題が顕著であります。本市では、これらへの対策として、いわゆる旅中での啓発を進めてまいりました。ちなみに旅中とは、旅行者が旅行先を訪れている期間のことを言います。
 水際対策を緩和した令和4年度以降、経済観光文化局において外国人観光客に対応するマナーなどの啓発に関わる費用はどのくらいかかっているのか、財源も含め、実績額とその内容をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 外国人観光客へのマナー啓発の取組に係ります費用については、令和5年度は外国人観光客向けのマナー啓発映像の制作やトイレの利用方法周知用のステッカーの作成、観光情報サイトや交通結節点などでの情報発信で決算額は855万円余となっております。6年度は、映像やステッカーなどによる情報発信を強化し、当初予算額は894万円余となっておりまして、いずれも宿泊税を財源としております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 福岡市は、平成30年に議員提案によって成立した福岡市観光振興条例により本市ホテル等への宿泊者から宿泊税をお預かりし、観光振興を目的に活用する目的税として活用している部分もあります。福岡都市圏は、豊かな自然と大陸との交流や文化の玄関口として繁栄してきた歴史もあり、国における観光立国を目指すところの、まさに玄関口としての受入れ環境整備に関わる役割が大きいことは間違いありません。
 本市は観光客受入れ環境整備に関して国の財源や補助金を活用しているのか、近年の活用事例があればお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 国の財源や補助金については、令和6年度、国土交通省の補助事業を活用し、博多港のクルーズセンター内に市内観光情報の提供やモデルコース提案などを行う観光案内コンシェルジュを配置しており、事業費1,000万円に対して補助金500万円の採択を受けております。また、観光庁の補助事業を活用し、志賀島、西戸崎エリアの観光関連事業者が申請主体者で福岡市が協力自治体となって事業の採択を受けておりまして、宿泊施設の改修による高付加価値化などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 特に外国人観光客受入れ環境整備に係る国の財政支援を活用していくべきだと思いますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 外国人観光客の受入れ環境整備については、主に宿泊税を財源として取り組んでいるところでございますが、財源確保の観点から、必要に応じ、国の補助事業も活用していきたいと考えております。また、民間事業者が直接活用できる国の補助事業については、引き続き地域の観光関連事業者に対し、周知を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) さて、今後の観光客増加に備えて、オーバーツーリズムだと思われる国内他都市の状況について調査をしてまいりました。
 京都市では、観光地の混雑対策、道路の混雑対策、市バスの混雑対策、京都駅一極集中の緩和など課題対策を議論する中で、なるべく京都駅を経由しない観光ルートの勧めや季節を分散する提案、宿泊施設等に荷物を預けて観光する新たな手ぶら観光スタイルの勧めなどをウェブやSNSなどで発信するなど、いわゆる旅前の取組が始まりました。ちなみに旅前とは、旅行者が旅行前に下調べをする期間のことを言います。
 本市においても、まちなかや交通機関等での混雑緩和のため、手ぶら観光の取組などを進めるとともに、取組の周知に向け、旅前での情報発信を行っていくべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 観光客が増加する中、公共交通機関の混雑軽減や市域内の回遊促進は重要であると考えております。手ぶら観光については、現在、福岡空港や博多駅といった交通結節点などにおいて民間事業者による手荷物の預かりや配送サービスの取組が行われておりまして、旅前や旅中の観光客に対し、その周知を図ってまいります。あわせて、特定の地域に観光客が集中することのないよう、観光情報サイトを用いて市内の周遊観光ルートの旅前での情報発信を行っておりまして、今後もしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 神奈川県鎌倉市では、有名なアニメの舞台となったスポットがあります。海外からも多くの観光客が訪れ、江ノ電鎌倉高校駅前付近の踏切の道路上で撮影が増えている場所であります。車道において立ち止まるなど車両の通行の妨げとなるような方法で撮影することや、線路や車道に身を乗り出して撮影するなどの行為が見受けられました。そこで、公共の場所におけるマナーの向上に関する条例を制定。マナー啓発が必要なものとして挙げた迷惑行為に禁止や規制ではなく、鎌倉を訪れた方々に気持ちよく過ごしていただくため、皆でマナーを守って過ごしましょうという趣旨のもの。今後は、厳しく罰則を設けるという方向ではなく、条例制定により市民や国内外から訪れる観光客の方々が他者に不要な不快感を引き起こさないような所作や振る舞いを心がけるきっかけができ、誰もが住んでよかった鎌倉、訪れてよかった鎌倉へと展開していくことを想定しているそうであります。
 近年、SNSの普及により、インフルエンサー等による投稿によって、ある日突然、飲食店やショップの前に長蛇の列ができたり、ごった返したりすることもあり得ます。福岡市内はそのような第3次産業の魅力がたくさんあるまちでもあります。そのような場合でも、福岡市ならではのマナーも守ってもらわなくては困ります。本市にも、例えば、歩きたばこを禁止するような人に優しく安全で快適なまち福岡をつくる条例、通称モラル・マナー条例もあります。
 福岡のまちのマナーを守るためにどう訪日観光客に周知できるかが課題であります。宿泊ホテルでの啓発など旅中だけでなく、ウェブやSNS、また、例えば、クルーズ船などの入港前やツアー会社を巻き込んだ旅前による多言語表記のマナーの学習機会を、本市においてもその啓発に力を注ぐ必要があると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 外国人観光客向けの旅前でのマナー啓発については、歩きたばこの禁止やトイレの適切な使用方法などに関する啓発映像を作成し、観光情報サイトで情報発信するほか、ツアー会社などに対し、観光客がマナーを遵守するよう周知依頼を行っているところでございます。また、旅中においても、観光客が訪問時にマナーを遵守するようツアー会社やツアーガイドに対し周知依頼を行うとともに、一部の観光地において指導を行っているところでございます。今後も外国人観光客がマナーを理解し、適切に観光地を訪問するよう、ツアー会社をはじめ、観光関連事業者や国などとも連携しながら、マナー向上に向けて引き続き取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 今回この質問に当たり、いろんな文献資料をあさりました。そこで、ツーリストシップという言葉に出会いました。ツーリストシップとは、旅先へ配慮することや、貢献しながら交流を楽しむ姿勢、また、その行動のこと。スポーツマンシップから着想を得て、ツーリスト、旅行者とシップを合わせてつくった言葉だそうであります。
 具体的なツーリストシップの行動例としては、事前に文化やマナーを調べる文化への配慮、早朝や深夜の騒音に気をつける生活への配慮、ポイ捨てや落書きを絶対にしない自然への配慮、旅先の文化や伝統、歴史に親しむ文化貢献、地元のお店を利用するなど地元経済への貢献、また、旅行の醍醐味でもある旅先で出会う方々との交流を楽しむことや、出会った観光客に地元の文化や風習を伝えることなど観光客を迎える側の、ホストとしてのツーリストシップを発揮すること。私もツーリストシップを発揮して観光客を出迎えたいなとも思いましたし、たまには旅を楽しむことも必要だなと思いました。
 お話を伺った京都市では、観光客が増えることによるネガティブな印象ではなく、観光客が増えることによる利便性の向上、つまり、バスや鉄道の運行本数が増える、また、飲食店や買物スポットが充実するなど経済への影響、観光の意義、効果も伝えるように取り組むことが必要ですとの担当課職員の言葉が印象的で、オーバーツーリズムは決して悪いことだけではないということを感じました。
 最後に、世界から選ばれる福岡の観光の魅力向上に向け、島市長の所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし、消費を拡大することが観光産業をはじめとした市内経済の活性化に重要であると認識をしております。一方で、持続可能な観光を推進する上では地域との調和を図っていくことが必要であると考えており、観光客の来訪によるまちなかの混雑や文化、習慣の違いに起因したマナー問題については事前の周知を徹底するほか、市民生活への影響に配慮し、必要な対策にも取り組んでまいります。
 また、インバウンドの誘客においては、観光消費の高い欧米豪旅行者や高付加価値旅行者などをターゲットに西日本や九州の自治体と連携をした西のゴールデンルートに関する取組や、また、質の高い観光コンテンツの開発などを推進しているところでございます。今後とも、福岡市が世界中の多様な人々から選ばれる魅力的な都市となるように、観光・MICEの振興にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 次に、グローバル企業の誘致とグローバル人材にも住みやすい環境づくりについてお伺いいたします。
 人口減少社会を迎え、国内市場の拡大が見込みにくい中で、将来にわたり地域経済を活性化させていくためには、地場企業及び福岡発スタートアップの海外展開や外国企業の立地などを促進するとともに、医療や教育をはじめ、グローバル人材にも住みやすい環境づくりを行う必要があると考えます。そんな矢先、国際金融機能などの誘致を目指す産学官組織であるTEAM FUKUOKAが福岡市で総会を開き、台湾の最大大手銀行、台湾銀行や、シンガポールの資産運用会社、オリジンベンチャーズなど10社の進出が報告されたとのニュースが飛び込んでまいりました。ちょうどこの質問の原稿を作成していたタイミングであったため、関心を持って拝見しておりました。
 今年6月、福岡県と福岡市が国の金融・資産運用特区に指定されたことや、半導体生産の世界大手TSMCの熊本県への進出が誘致の追い風になったとのこと。市長御自身も規制緩和ができる特区に選ばれたことが誘致の武器になっていると発言されておりました。現在、この資産運用特区は、東京、大阪、福岡県及び福岡市、北海道及び札幌市の自治体と認識しております。
 そこで伺いますが、国際金融機能などの誘致を目指すことの効果はどのようなことが考えられるのか、また、特区に指定されるとどのような規制緩和が行えるのか、分かりやすく簡単に御説明ください。また、TEAM FUKUOKAでは累計で誘致企業が33社上がったとのことですが、具体的にどのような企業が進出されたのか、詳細を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 国際金融機能の誘致については、雇用の創出や税源の涵養に加え、スタートアップ企業や地場企業が成長するための資金や最先端の情報、専門的な知識や技術を有する人材などを呼び込み、海外展開を後押しすることなどの効果が期待されるものと考えております。また、金融・資産運用特区では、海外企業が法人を設立する際の行政手続が英語で可能となったり、個人投資家がスタートアップ企業に投資する際の投資金額の制限が一部緩和されるなど手続の簡素化や規制の緩和が行われます。TEAM FUKUOKAにおいて誘致した企業には、香港拠点のアジア有数の資産運用会社や、シンガポール拠点のユニコーンクラスのフィンテック企業、そして、自国の半導体関連企業の進出支援などを行う台湾の銀行などがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) そのような効果が期待できるのであれば、これからも誘致に頑張っていただきたいと思います。ただ、世界から見れば、福岡の知名度はまだまだ低いのが実態であります。日本といえば東京、大阪であり、福岡ってどこにあるかも知られていないとよく聞きます。ぜひとも海外へのPRをさらに頑張っていただきたいし、島市長のトップセールスに期待したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本市は、国際金融機能のみならず、国内外企業を含めた本社機能の誘致をこれまでも進めてまいりました。
 そこで、過去5年間の本市への本社機能、成長分野の立地企業数と雇用者数、重ねて外国企業の福岡進出状況をお伺いいたします。また、外国企業の場合、外国人従業員の来日状況を単身世帯、また、ファミリー世帯別にお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 立地企業数及び雇用者数については、令和元年度53社、1,058人、2年度50社、665人、3年度64社、2,600人、4年度65社、2,157人、5年度62社、651人となっております。また、そのうち外国企業は、令和元年度15社、2年度12社、3年度15社、4年度12社、5年度16社となっております。なお、外国人従業員の来日状況については把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 様々ありがとうございます。
 外国企業が進出先に福岡市を選んだ理由を把握していればお示しください。また、外国企業は福岡進出に向けてどのような不安があったのか、さらにその不安に本市はどのような対策をもって誘致活動を続けてきたのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 外国企業からは福岡市に進出する理由として、アジアに近い地理的優位性があることや、豊富な人材、行政による手厚い進出サポートなどといった御意見をいただいております。また、外国企業から福岡市に進出する上で、言葉の壁に加え、採用やビジネスがうまくいくかどうかといった不安の御意見をいただくこともございます。福岡市といたしましては、英語、中国語対応が可能な職員を配置し、スムーズな対応に努めますとともに、採用面においては大学や専門学校等、ビジネス面においては地場企業とのマッチングや関係機関等を御紹介するなど、きめ細かな誘致活動を進めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 様々対応していただいているということでありました。
 福岡市は、人口減少している日本において数少ない人口増加を続けている自治体でもあり、首都東京とは違う魅力がある都市であります。私は、マーケット市場として元気で活力がある福岡市という理由で選ばれていると思うのであります。
 では、外国企業を福岡市に誘致する本市のメリットは何なのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 外国企業が福岡市に進出することで新たな雇用機会が創出されるほか、海外の優れた人材や技術の流入による地域経済の活性化やグローバル化に寄与することが期待されるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) おっしゃるとおり、福岡市民、また、近隣自治体の住民の雇用が生まれることは大変喜ばしいことだと思っております。本市経済がさらなるグローバル化を目指すならば、今、日本に来ている東南アジア系のみならず、欧米豪エリアから人流があればもっとよいのではと個人的に思っております。しかしながら、そのエリアから福岡市は選ばれていないのが現実。選ばれない理由は何なのでしょうか。
 例えば、欧米豪の場合、東南アジア系のような単身赴任の概念がないとも聞いております。そこで、外国の企業の方が家族全員で日本へ移住する場合、障壁となる法律や制度が存在しているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 高度専門職や経営管理、企業内転勤などの在留資格については家族滞在が認められておりますが、例えば、特定技能1号では認められないなど、取得する在留資格によって家族滞在が認められる場合と認められない場合がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) そんな折、国において在留資格の変更、外国人人材拡大となる特定技能制度の見直しに動き出しました。ここからは、少し話の角度を変えて伺います。
 国における特定技能制度の見直しの目的と概要をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 特定技能制度については、中小、小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、外国人を受け入れていく仕組みを構築するものでございます。近年、それまで対象としていた分野以外の業種でも人材確保が困難であることから、その解消を図るため、分野が拡大されております。この見直しにより、特定技能1号においては自動車運送業や鉄道などを追加し、12分野から16分野に、また、特定技能2号においては宿泊、外食業などを追加し、2分野から11分野に拡大されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 特定技能には、最長5年の在留期限がある特定技能1号と、より成熟した技能を条件として期限なく延長でき、家族の呼び寄せも可能な特定技能2号があります。
 本市在住外国人の特定技能1号と2号のそれぞれ人数をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和6年10月末時点で特定技能1号が2,233人、特定技能2号が2人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 特定技能1号は、国内の人手不足を外国人材で埋める日本側の都合に基づいた制度とも言えます。せっかく技能を身につけても、在留期限が来ればすぐに在留資格を失い、帰っていくのであれば、外国人労働者にとっても魅力的な制度ではありませんでした。専門性を高め、特定技能2号になることで、在留期限なく日本で働くことが可能となり、長期間の労働力を提供し、また、家族の呼び寄せを通じて消費者の増加などにも貢献することになるのだと私は思います。特定技能2号は、まだまだ人数は少ないとのことですが、対象分野も拡大されており、今後、特定技能2号のほうが増えていくことで、福岡市の人材不足、労働人口の不足の解消につながることを期待しております。
 一方、外国人住民を受け入れ、環境を整備するための課題は、地域住民の理解と協力、日本語教育の充実、そして、自治体における相談窓口の設置、充実があると考えられます。これは、今年4月に公明党が全国自治体向けに行った少子高齢化、人口減少への対応に関する自治体アンケートの結果からも明らかとなりました。
 福岡市においては、外国人相談窓口をどのように設置し、対応しているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市においては、福岡よかトピア国際交流財団に福岡市外国人総合相談支援センターを設置し、職員が対面または電話やメールで在住外国人からの相談に応じているほか、専門家による相談会を実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 外国人の相談窓口の運営に対して国からの補助はあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 外国人の相談窓口の運営に関しては、法務省が外国人受入環境整備交付金として1,000万円を上限に経費の2分の1の補助を実施しており、本市においても同交付金を活用しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 現在、福岡市において国の補助金を活用しているとのことですが、外国人が増加する中、窓口のさらなる充実を図るためには、上限額の撤廃など国からのさらなる支援が必要であり、国にしっかりと求めていくことが必要と考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国に対しては、外国人の受入れ、共生に関する施策を国が主体的に実施するとともに、地方自治体への財政面を含めた支援を充実するよう提言しているところであり、今後も様々な機会を通じて要望してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) また、法務省は本年8月、日本に住む外国人が抱える生活上の困り事といった相談に応じ、適切な解決に導くことができる専門家、外国人支援コーディネーターの養成研修を開始したことを発表しました。自治体の外国人向け窓口の職員らを対象に、在留資格の手続や海外の文化、面談のノウハウなどを学び、修了認定テストに合格すれば出入国在留管理庁がコーディネーターとして認証。全国の窓口に研修修了者の配置を目指していくとの報道がありました。コーディネーターには、複雑な相談内容を解決に導く能力に加え、異なる文化や価値観を理解する能力が求められております。
 三重県桑名市では、外国人住民の生活相談に応じる外国人支援コンシェルジュ、つまり、相談窓口を市役所内に今年6月に設置、これまで半年で1,000人以上が利用するなど好評であります。桑名市は、人口減少が進む中で地域経済を発展させるため、外国人にも選ばれるまちを目指し、コンシェルジュはその一環。役割は、市役所1階玄関前の窓口に駐在し、外国人からの給付金や税金、健康保険、ビザ関係などの相談内容を聞き、市役所庁内の関係窓口につなぐ役割を担っております。利用した外国人男性は、どこの係に行けばいいのか分からずに困っていたので、案内してもらって本当に助かったと喜んでいたそうであります。
 そこでお尋ねしますが、福岡市内各区役所においては在住外国人にどのような対応をしているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 各区役所では、音声翻訳や映像通訳などを使用して対応するとともに、生活ガイダンス員を配置し、福岡市に転入される外国人へ生活ルール、マナーを案内するほか、在住外国人からの相談に対して適切な区役所の窓口や福岡市外国人総合相談支援センターへの案内を行っております。また、東区役所においては、12月18日より外国人に対して区役所内の手続を案内する外国人専用総合案内窓口を開設することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 本市の各区役所においても翻訳ツールなどを使用して在住外国人に対応しているということでありますが、今後さらに多くの在住外国人の受入れがあるという可能性もあります。
 相談窓口への外国人支援コーディネーターの配置並びに区役所の対応充実など、在住外国人への対応の強化を図るべきだと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡よかトピア国際交流財団との調整を進め、福岡市外国人総合相談支援センターへの外国人支援コーディネーターの配置を図ってまいります。また、区役所においては、職員の資質の向上など対応力を強化してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 先ほど、来週には外国人居住者が多い東区役所で外国人専用総合案内窓口を開設するとのことでありましたが、将来的には全ての区役所において、窓口の設置を視野に入れ、職員の資質向上や対応力の強化を要望いたします。
 さらに、様々な外国人が地域で安心して生活していくためには、自治体と地域コミュニティ等が一体となって、グローバル人材の環境整備を図るべきだと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 在住外国人の生活環境の整備に当たっては、地域コミュニティでの外国人と日本人の相互理解を促進していくことが重要だと認識しており、地域における交流事業や日本語教室の開催などへの支援に取り組んでおります。引き続き、国籍にかかわらず、一人一人が自分らしく輝けるよう、多文化共生社会の実現を目指し、誰もが住みやすく活動しやすいまちづくりを推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 最後に、グローバル企業から選ばれる福岡市、グローバル人材にも住みやすい福岡市の構築に向けて、島市長の決意を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) グローバル企業を含む企業誘致の取組については、豊富な人材、コンパクトな都市機能やビジネス環境など福岡市が持つ従来の魅力に加え、スタートアップ都市づくりや国際金融機能誘致などの取組を背景に、天神ビッグバン、博多コネクティッドによる耐震性の高い先進的なビルの増加や東京一極集中からのリスク分散の動きを追い風として、国内外から3年連続で60社以上の誘致に成功し、着実に成果を上げております。また、グローバル人材にも住みやすいまちづくりについては、これまでも多言語による情報発信や相談窓口の充実、地域による交流の促進や日本語教育の推進、さらには福岡インターナショナルスクールへの支援など様々な施策を幅広く実施したところであります。
 今後とも、世界から選ばれる福岡市を目指して高付加価値なビジネスの集積や雇用創出を加速させるとともに、在住外国人の生活環境の充実などにも取り組み、地域経済の活性化による豊かな市民生活の実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後4時に再開いたします。
午後3時50分 休憩
午後4時 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ)登壇 皆様大変お疲れさまでございます。休憩明け一発目ということで、元気よく頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日は、日本維新の会福岡市議団を代表しまして、福岡市立図書館について質問させていただきます。
 皆様は最近、読書はされていますでしょうか。読書活動は、言葉や知識を学び、感性を磨き、表現力や創造力を豊かなものにします。人生をより深く、そして、生きる力を身につけていく上で大切なものであります。読書の質である読み解く力、要約する力、分かりやすくまとめて伝える力などの読解力向上を目指した能動的な読書は乳幼児期からの読書習慣の形成が基盤となると言われております。本は人生のパートナーであり、ライフステージに応じた読書活動の推進と環境づくりが重要であると考えております。しかし、現代では、インターネットの発達により、あらゆる知識、情報が簡単に手に入る社会になっておりますが、世界中にある無数の本の中には今までの人類の英知が盛り込まれており、人生において大切なことや困難に直面したときのヒントなどはどこかの誰かが本や文献に残してくれています。たくさんの本と出会い、読書をすることは、より豊かな人生を送るために必要不可欠だと思っております。
 そこで、本市において市民の貴重な財産である市立図書館がしっかりと活用されているのか、お尋ねしてまいりたいと思います。
 まずは図書館とはどういうものに基づいて設置され、どのような役割を果たしているのか、お伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 図書館法に定めがございまして、図書館とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設とされてございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 図書館は、蔵書の貸出しだけでなく、図書や資料の収集などを行っているということが分かりました。
 それでは、本市の図書館の数、蔵書冊数について直近のデータをお伺いいたします。また、蔵書冊数においては、政令市の平均冊数と本市が全政令市中何番目に蔵書冊数が多いのか、お伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市の図書館の数は、総合図書館本館と分館11館の合わせて12館でございまして、蔵書冊数は令和5年度末時点で204万1,223冊となっております。政令市における蔵書冊数の平均は令和4年度末のデータでは238万1,000冊で、福岡市は蔵書数が多いほうから11番目となります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 本市の人口は政令市の中で5番目に多いにもかかわらず、蔵書冊数は政令市平均に遠く及ばない数値となっております。
 それでは次に、貸出利用者数、貸出冊数について、10年前、5年前、現在の状況が分かるように、平成26年度、令和元年度及び令和5年度の状況についてお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 貸出利用者数は平成26年度が122万7,351人、令和元年度が117万8,884人、5年度が116万9,152人となってございます。また、貸出冊数は平成26年度が437万8,475冊、令和元年度が395万8,372冊、5年度が388万4,860冊となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 10年前から徐々に本の貸出冊数や利用者数が減少していることが分かりました。より分かりやすいように具体的にほかの政令市と比べてみたいと思いますが、本市の人口1人当たりの蔵書冊数、貸出冊数、図書予約件数は幾つで、全政令市中何番目なのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 日本図書館協会の調査によりますと、令和4年度では福岡市の人口1人当たりの蔵書冊数は1.3冊で18番目、貸出冊数は2.4冊で20番目、予約件数は0.6件で19番目となっております。なお、貸出冊数等には計上されておりませんが、福岡市では多くの地域の身近な団体から登録をいただいておりまして、団体の取組に応じた図書の団体貸出しを積極的に行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 人口1人当たりの蔵書冊数、貸出冊数、予約件数はどれも下から数えたほうが早く、本市の図書に対する意識の低さが表れた結果となり、非常に残念でございます。私の調べたデータによりますと、ほかの政令市では、人口1人当たりの蔵書冊数が多い順に5つほど述べますと、静岡市、浜松市、さいたま市、岡山市、新潟市の順になっており、人口1人当たりの貸出冊数や予約件数においても、順位の入れ替わりはあるものの、ほぼ蔵書冊数に比例する相関関係が見てとれました。これは蔵書冊数が多いから貸出冊数が多いのか、貸出冊数が多いから蔵書冊数が多いのか、なかなか難しい問題ではありますが、本市の順位が低いというのは事実でございます。
 また、団体貸出しについて積極的に行っているとの御答弁でございましたが、私が調べたところによりますと、団体貸出しの登録団体に新着本等を紹介したにもかかわらず、配本冊数が前年度を下回っているという事実や、地域に密着している公民館の団体登録数が半数なのは改善すべき点であると思いますので、従来のやり方にとらわれず、様々な方法を試しながら、もっと積極的に団体貸出しを行っていってほしいと思いますので、要望させていただきます。
 先ほどお答えいただいたように、10年前から徐々に本の貸出冊数や利用者数が減少していっており、蔵書冊数等についても、他の政令市の平均以下となっておりますが、何か利用者増につながるような取組などはされているのでしょうか、お伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 図書館では、幅広い層に関心を持っていただけるよう、毎月、様々なテーマによる展示や多様な図書館イベントに取り組んでおりまして、特に子ども向けとしまして、おはなし会や本の読み聞かせを実施し、幼少の頃から本に親しむ機会の提供に努めております。また、こうした取組については随時ホームページやSNS等を利用して積極的に広報を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 様々な取組を行っているようですが、結果として利用者の増加にはつながっておりません。御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 総合図書館では子ども向けおはなし会などのイベントや積極的な広報などに取り組んできましたが、これまで図書館を利用したことがない市民の方々に対しても図書館の魅力が伝わるよう、地域と連携し、多様なイベントを実施するとともに、ICTを活用した貸出しサービスの充実など、利用者サービスの向上を図りながら、利用者のさらなる増加に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 例年どおりのイベントだけではなく、様々な工夫を凝らし、多くの人が興味を持てるような取組をしていってほしいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、別の視点から本市の図書館について見ていきたいと思います。
 まずは利便性についてでございます。
 図書館で本を借りる際は、一般的には来館して本を選んで借りたり、電話やインターネットで事前に借りたい本を予約して借りたりする方法があるかと思います。本市ではそのほかに、図書館の窓口以外でどのような借り方ができるのか、お伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 窓口での個人への貸出しに加えまして、公民館や放課後児童クラブなど登録された団体への団体貸出しを行っておりまして、その団体から図書を借りることができます。また、インターネット上で電子書籍を24時間閲覧できる電子図書館や御自宅などへ図書を配送する有料宅配、心身の障がいにより図書館への来館が困難な方への無料での郵送がございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 障がいのある方への無料郵送貸出しもできるとのことでございますが、その実績をお答えください。また、そのほかにも障がいがある方へのサービスがあれば併せてお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 障がいのある方に対して、令和5年度は延べ667人に1,044冊の無料郵送貸出しを行っております。また、文字が大きい大活字本コーナーの設置や窓口での拡大鏡などの貸出し、電子図書館での音声による読み上げや文字を拡大できる機能などが利用できるコンテンツの提供、また、総合図書館内に福岡市立点字図書館の併設を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 障がいのある方を含め、多様な借り方ができることが確認できました。
 先ほど御答弁いただきました電子図書館は、音声読み上げや文字の拡大もでき、まだまだ読める本は少ないものの、24時間見ることができるというものは非常に便利だと思っております。さらに、利用しやすさの向上の一環としてはICT化が考えられますが、先ほどの御答弁でICTを活用した貸出しサービスの充実とございました。
 そこで、本市の図書館のICT化の現状をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市総合図書館では積極的にICT化に取り組んでおりまして、平成19年4月のICタグを活用した自動貸出し機の設置をはじめとしまして、令和5年3月にはポータルサイト、ふくおかサポートを通じてデジタル貸出しカードの導入などに取り組んでまいりました。また、令和6年10月からは、図書館システムの更新に併せ、図書館資料をウェブ上で本棚のように見ることができるWeb書棚や、ヒントになる言葉を基にAIが本を紹介してくれる蔵書探索AI、自分だけの本棚をウェブ上で作成し、気になる本や読んだ本を登録できるMy本棚などの新たな機能を追加して利便性の向上を図っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 今年のシステム改修に伴い、かなりICT化が進んだ印象があり、私も実際にWeb書棚やAI探索などを利用してみました。今までの蔵書検索では、本のタイトルや著者名、出版社名、出版年などを指定して検索し、入力したキーワードに対して部分一致か完全一致するものしか出てこず、目当てのものを探すにはよいかもしれませんが、関連するものを探すにはあまり使い勝手がよいとは言えませんでした。しかし、今回のAI探索については、気になるキーワードを打つと、それに関連した本をAIが自動的に探索して紹介してくれるシステムとなっておりました。まるで当てもなく本屋さんに行って、探してもいなかったけれども、すてきな本に出会うというような体験に近いことが可能となっておりますので、ぜひ皆さんにも利用していただきたいシステムとなっております。
 このAI探索は、キーワードに名詞や単語だけではなく、短い文章でもいいとのことで、使いこなすには時間がかかりそうでございますが、なかなか面白いシステムだと思いました。しかし、このAI探索ですが、パソコン版とスマートフォン版でかなり使い勝手が異なっており、資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)パソコン版ではこのように、赤い印のところになるんですけれども、トップページの比較的分かりやすいところにアイコンがありますが、スマートフォン版では、資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)黒い線から左側、スマートフォン版のフルページのスクリーンショットになっておりまして、左の3列がその一部分ずつを分かりやすく拡大して投影しているものになるんですけれども、どこにAI探索のアイコンやリンクがあるか分かりますでしょうか。なかなか探すのは難しいのかなと思いますけれども、それでは、資料3の投影をお願いいたします。(資料投影)実はあそこのかなり小さなところで、一番最後のページにリンクがありまして、かなり見にくい仕様となっております。
 現在ではインターネットに接続する端末の多くはパソコンからよりスマートフォンなどの携帯端末からのほうが多いというデータもありますので、今回のシステム更新に機器の賃貸借を含めて数億円を要していると聞きました。せっかくお金をかけてシステム更新をしているのであれば、使ってもらって何ぼだと思いますので、スマートフォン版に関してはもう少し見やすいところにリンクを移動させるだとか、アイコンを作って見やすくするだとかしていただきたいと思いますが、御対応をいただきますよう要望いたします。資料の投影ありがとうございました。
 続いて、蔵書についてでございます。
 先ほど本市の蔵書冊数は約204万冊と御答弁いただきましたが、毎年どの程度本市の図書資料が出入りしたのか、過去5年間の決算額と購入冊数をお答えいただくとともに、過去5年間の寄贈冊数と除籍冊数もお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、決算額につきましては、令和元年度9,334万9,000円、2年度1億1,747万7,000円、3年度8,891万3,000円、4年度6,813万3,000円、5年度6,677万9,000円となっております。次に、購入冊数は令和元年度3万5,408冊、2年度5万5,514冊、3年度4万1,132冊、4年度2万2,763冊、5年度2万1,213冊でございます。次に、寄贈冊数は令和元年度8,307冊、2年度6,329冊、3年度1万2,564冊、4年度4,600冊、5年度3,844冊でございます。最後に、除籍冊数は令和元年度2万4,920冊、2年度3万6,655冊、3年度3万2,446冊、4年度2万6,346冊、5年度2万8,642冊でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 寄贈本に関しては速やかに全て配架できているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 蔵書状況や時代の変化等を十分に考慮した上で、市民の教育、学術及び文化の発展に資する資料に該当すると図書館において判断したものにつきましては寄贈本として受け入れることとしております。この受入れの判断から寄贈本へのICタグの装備など、必要な手続を行った上で、それら寄贈本全てを閲覧や貸出しができるようにいたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 本市の人口は年々増えているにもかかわらず、図書資料の購入に係る費用は年々減少していっており、図書館のメイン機能である資料の収集、蔵書の充実機能が果たされていないように感じております。加えて、購入冊数に対し除籍冊数が上回る年もあり、蔵書の減少も懸念されます。また、せっかく市民の御厚意でいただいた本に関しましても配架まで約1か月から2か月程度時間がかかると聞いております。市民の御厚意に応えるためにも、なるべく早く配架していただきますよう要望いたします。
 続いて、本の返却についてお伺いしていきたいと思います。
 現在、本の返却方法として、直接本を図書館に持っていき返却する方法のほか、市内で本を返却できる場所は何か所ありますでしょうか。また、そのうち、人を介さずに返却ポストだけで返却できる場所は何か所あるのか、1日平均の返却冊数も含め、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 図書館以外で本が返却できる場所は市内に14か所ございます。そのうち、返却ポストのみが設置されている場所は市内に8か所ありまして、1日当たり平均580冊が返却されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 和田あきひこ議員。
○36番(和田あきひこ) 返却ポスト利用はもっと少ない冊数なのかと思っておりましたが、かなりの冊数が返却ポスト経由で返却されているということが分かりました。やはり仕事で忙しい方や通勤、通学等で通る道に返却ポストがあると、何かのついでやいつでも本が返せるというサービスは非常に便利で、需要が高いことが改めて分かりました。また、返却ポストの増設の要望も出ているということなので、利便性を上げるためにも今後増設を適宜行っていただけるように要望いたします。
 この返却ポストに関してですが、この質問をつくるに当たり、様々調べていたところ面白い取組がありましたので、御紹介させていただきます。
 滋賀県野洲市では、返却だけでなく、予約本を受け取れるように受け取りボックスをJR野洲駅の自由通路に設置し、24時間受け取り可能なサービスを行っているということでございました。ホームページで予約をしたら、数日で本がボックスに届けられ、ボックスに到着後1週間以内に受け取りに行けばよいというシステムだそうです。来館困難者へのサービスは野洲市図書館の大きな課題だったそうですが、今や常時待ちができるほどの人気だそうです。
 本市においても、高齢者や小さな子どもを連れて図書館に行くのがおっくうな方、また、通勤や通学の途中で手軽に本を借りたいという方がいらっしゃるかもしれないので、ぜひ本市でも導入を検討していただきたいと思います。
 さて、最後の質問に移る前に、せっかくの機会なので、図書館をより利用してほしいという思いから、皆さんに本市の図書館の中から1つ御紹介したいと思います。
 図書館には、日本を含む世界中で刊行された本のほか、記録として多くの文書や文献があります。先日の我が会派の橋口議員が資料投影で提示した市政だよりの第1号もそのうちの一つでございますが、今回は「明法寺榊文書」という古文書について御紹介いたします。
 もしかしたら御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、この「明法寺榊文書」というものは、早良区にあります明法寺というお寺の住職である榊家に代々伝わる古文書であり、中身は正応2年から慶長8年、西暦に直しますと1289年から1603年、元冦襲来から江戸幕府開府までの文書となっており、当時の幕府と福岡の御家人とのやり取りが残っているそうです。そのやり取りの中の一つを御紹介いたしますと、当時の鎌倉幕府から早く防塁を修理しなさいという修理命令が古文書に残っております。二度の蒙古襲来が1274年と1281年ですから、当時の鎌倉幕府がいかにこの防塁の維持管理を重要視していたかというのが分かるよい資料だと思います。この古文書は代々明法寺で受け継がれ、江戸時代にも学者の間では広く存在を知られていたそうですが、私がこの古文書を推したいポイントがここからなんですけれども、明治期に入りまして、砂に埋もれた防塁が石積み遺跡として発見されたときに、発掘調査によって再び日の目を見たときに、この古文書があったからこそ、歴史上の重要性を当時の人々がすぐさま理解でき、遺構として保存され、今に伝えられることになったようです。元冦防塁も今や貴重な観光資源ですから、もしこの古文書がなければ、せっかく発見された石積み遺跡も何のことか分からず、また埋め戻されて、ただの石積みとして埋もれていったかもしれません。それくらいすごい古文書ですので、本市の指定文化財にもなっておりますし、図書館ホームページにも、一部分ですが、写真や詳しい解説が掲載されております。この古文書は国立国会図書館にもない本市だけが保存している非常に重要な文献になっておりますので、今年が最初の蒙古襲来から750年という節目の年に当たることにも思いをはせ、興味のある方はぜひ見ていただきたいと思っております。「明法寺榊文書」でございます。ぜひ帰ってインターネットで調べてください。
 それでは最後に、質問に戻らせていただきたいと思いますけれども、様々述べてまいりましたが、最初の質問でお答えいただいたように、図書館は資料収集、保存だけでなく、教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設でありますので、もっと広く多くの人に使われるべきであると思います。しかし、本市が策定している総合図書館新ビジョンの中では、本市図書館の課題として次のことが挙げられておりました。図書館利用者の傾向を見ると固定化してきており、幅広く利用を促す必要がある。これまで図書館を利用したことがない市民や図書館に興味を持てなかった市民にとって魅力的な図書館となるよう、施設空間を有効活用し、利用のきっかけとなるよう新たなサービスが求められているとありました。
 この質問をつくるに当たり、本市の幾つかの図書館を見て回ったり、北九州市の子ども図書館や佐賀県武雄市の図書館も行ってきたりしました。本市の図書館はザ図書館という感じでございましたが、北九州市の子ども図書館はモダンな造りで子どもが利用しやすい雰囲気でありましたし、武雄市の図書館も外観や中の造りがすごくおしゃれで、図書館の中にはスタバが入っており、様々な目的で集まる拠点なんだろうなという印象を受けました。
 本市でも図書館という枠にとらわれず、広く市民に活用される空間にしてほしいと思いますが、最後に、本市の市立図書館は利用者が徐々に減っていっているという現状や蔵書冊数等の少なさなど、様々課題があるかと思いますが、今後どのように取り組まれるのかお尋ねし、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市総合図書館では、平成26年6月に策定した福岡市総合図書館新ビジョンに基づきまして、これまで図書館を利用していない層への利用促進などに向けて、図書館イベントの充実や利用者サービスの向上などに取り組んできているところでございます。この取組期間が令和7年度までとなってございますことから、近年のデジタル化やオンライン化の急速な進展や社会環境の変化など、新たな課題に対応できるよう、次期の基本的運営方針の策定に取り組むなど、引き続き図書サービスの充実を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文)登壇 皆様お疲れさまです。私は自由民主党福岡市議団を代表して、地域に根差した商店街への支援について、薬局、薬剤師の在り方について、以上2点について質問してまいります。
 まず、地域に根差した商店街への支援についてお尋ねいたします。
 商店街と一口に申しましても、都心部にあり、観光客や多くのお客様でにぎわう商圏が大きい商店街や大規模商業施設のテナント会などもあれば、地域に根差し、地域住民の日常生活を支える買物の場となっている商店街など、多様な商店街があります。私の地元の福岡市西区にある周船寺商工連合会をはじめとする地域に根差した商店街は、買物の場であるのみならず、防犯や子どもの見守りなど、地域の安全、安心、また、伝統あるお祭りや花火大会の運営、年末には商工会と農家が共催で行う歳末フェスタなど、地域の交流やにぎわいの創出など、まちづくりの先頭に立って活動し、自治会などと連携して地域コミュニティ活性化においても非常に大きな役割を果たしています。
 しかしながら、このように多くの役割を果たす商店街は、この10年の間、消費税の引上げや新型コロナウイルス感染症の流行、世界的な原材料価格の上昇、円安の影響による物価高騰など、取り巻く環境は大きく変わっており、厳しい状況に置かれているところもあります。そういった中で、残念ながらやむを得ず活動を休止してしまった商店街もあるのではないでしょうか。
 そこで、福岡市内の商店街の状況や支援策などについてお尋ねしてまいります。
 まず、現在の市内の商店街数についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 市内の商店街の数につきましては、商店街からの設立届出により把握しているところでございますが、令和6年11月末現在で134団体となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) では続いて、10年前の商店街数と比較してどのように変化しているか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) およそ10年前の平成25年度商店街実態調査時点の商店街の数は153団体でございまして、現在と比較して19団体の減少となっております。その内訳といたしましては、解散または活動休止した商店街が48団体、新たに設立の届出があった商店街が29団体となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) やはり市内の商店街は減っているとのことです。この間、福岡市ではプレミアム付商品券の発行支援事業をはじめとした様々な商店街支援策を行っており、それらを活用することで苦境を乗り切った商店街や、逆に加盟店を増やすことに成功した商店街もあります。
 その一方で、少なくない数の商店街が活動を休止してしまっていますが、では、この10年間で市内商店街数が減少した主な原因についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 平成29年度と令和3年度に実施した商店街実態調査や業務の中で商店街の皆様からお聞きした御意見からは、解散または活動を休止した主な要因として、店主の高齢化や物価高騰などの影響による空き店舗の増加や加盟店の減少、役員の高齢化に伴う商店街活動の担い手不足などにあるものと考えております。また、その他の要因として、商店街が入居するテナントビルや団地の建て替え、近隣商店街との統合などもございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 様々な要因がある中で、テナントビルの建て替えや複数商店街の統合などについては前向きな休止と受け取ることもできると思いますが、空き店舗の増加や商店街活動の担い手不足は多くの商店街が抱えている深刻な課題であると思います。いつも立ち寄ったり利用している近所の商店街がなくなると、日常のお買物が不便になるだけではなく、地域のにぎわいもなくなり、地域住民の交流の場も失われてしまうなど、地域コミュニティに与える影響はとても大きなものとなります。ですから、商店街が活動を休止してしまう前に、抱えている課題に応じて空き店舗対策や商店街組織の担い手の育成などの手厚い支援が必要だと考えます。
 そこでまず、空き店舗対策についてお尋ねしていきます。
 市内商店街の空き店舗の状況とその解消に向けた取組についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 令和3年度の商店街実態調査の結果によりますと、市内商店街の全店舗のうち、空き店舗が占める割合は3.3%となっており、平成29年度調査時の2.6%と比較して0.7ポイント悪化しております。空き店舗の解消に向けては、平成26年度に福岡市と公益社団法人福岡県宅地建物取引業協会、福岡商工会議所の3者で不動産情報サイト「あ・きてん福岡」を立ち上げ、現在もサイトに各商店街とその周辺における空き店舗情報や商圏分析レポートを掲載するなど、商店街への新規出店を希望する方への情報提供を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 聞くところによると、福岡市の商店街における空き店舗率は他都市と比較すると低い水準にあるとのことです。
 その中で「あ・きてん福岡」は、福岡県宅建協会、商工会議所とも連携し、非常に面白い取組だと思いますが、それでは、「あ・きてん福岡」の成果についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 平成26年度から令和5年度までの10年間で合計143万5,015回閲覧され、そのうち6,819件が成約に至っております。直近の令和5年度で申しますと、一月当たりの平均閲覧回数は1万971回、平均成約件数は49件となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 月に約50件の成約件数があるというのは、大変有意義な事業であると思います。今後も商店街情報の定期的な更新や「あ・きてん福岡」のさらなる周知に努めるなど、空き店舗対策に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、もう1つの大きな課題である担い手不足についてです。
 商店街組織の担い手を育成する取組について、現在どのようなことを行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 担い手の育成については、平成30年度から人材育成事業として、商店街の会員や商店街と連携したいと考えている事業者、商店街に関心のある学生など、商店街の内外からやる気のある人材を募集し、商店街に関する専門家を交えた勉強会や意見交換会を実施しているところでございます。令和5年度からはそれに加え、勉強会や意見交換会の参加者によります商店街の課題解決に向けた企画の立案から実施までの取組を伴走支援しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 勉強会や意見交換会だけでなく、課題解決のための企画実施まで支援するのはとても興味深いところですが、人材育成事業で支援した商店街の課題解決に向けた具体的な企画についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 令和5年度は、大橋商店連合会において仕事体験など子ども向けイベントの開催、箱崎商店連合会において商店街の個店を巡るまち歩きツアーの開催、志賀商工会において西戸崎エリアのまち歩きで得た情報を基にしたネット記事の作成という3つについて、企画の立案から実施まで伴走支援したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) いずれの企画も、商店街関係者だけでなく、商店街の外の人を呼び込んでおり、その刺激がよい化学反応を起こしているように感じます。また、最近は高校生や大学生と連携して活動する商店街が増えてきているようです。例えば、姪浜の商店街では、近隣の高校のカリキュラムの一環として、商店街の課題解決に向けた勉強会を行っているほか、香椎商工連盟や花みずき通り商店会では大学生と連携してイベントやPR活動を行っているようです。
 そこで、大学生や高校生と商店街の連携を支援する市の取組についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 令和6年度の人材育成事業の実施に当たり、大学の協力を得て積極的に大学生を募集した結果、多数の大学生に参加いただいておりまして、現在、商店街の店主や役員と勉強会や意見交換会を行っているところでございます。また、伴走支援の事例といたしましては、西新から藤崎まで連なるサザエさん商店街通り連合会において、商店街の課題解決に向け、高校生とともにクリスマスイベントを企画され、先日、イベントを開催されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) こうした取組に参加してくれた学生の皆さんが近い将来に社会人となり、商店街を内外から応援してくれるような存在になることを大いに期待しています。
 昨年、基本計画を策定するに当たって実施されたみんなでつくる福岡市の将来計画プロジェクトでは、有識者へのインタビューが行われており、その中で、商店街はもともと起業、スタートアップが集まる商売、ビジネスにチャレンジする場であり、そう考えると、商業に限らない機能をインストールしていく、そんな発想が重要だともあります。将来の商店街を担っていく人材の育成については、商店街への出店を考えている若者やベンチャーの設立を目指している学生と商店街の連携を支援するという観点はもちろん、将来の枠にとらわれずに、これからも力を入れていってほしいと思います。
 これまでに繰り返し申し上げてきましたように、近隣住民が日常的に訪れる地域に根差した商店街は地域コミュニティの担い手として欠かせない存在です。商店街が衰退するということは、地域の活力自体が失われていくことにつながりかねません。実際、西区の商店街においても、空き店舗がなかなか埋まらず、商店街の活動を担う若手の人材が不足し、先達の努力で長年続いてきました歴史ある花火大会を残念ながら休止することになったという事例も出てきています。また、ほかにも高齢化でイベントの縮小を余儀なくされている商店街も多数あると聞いています。
 多くの商店街は駅前やアクセスしやすい場所にあるという強みもあり、地域に根差した生活、文化の象徴、地域ごとの特色もある点が強みだと思います。商店街プレミアム付商品券事業による消費喚起の効果もあり、商店街は様々な苦境を何とか乗り越えようとしている今だからこそ、空き店舗対策や商店街の活動を担う人材不足などの課題の解決にしっかりと取り組んで足元を固めつつ、次のステージを見据えて、それぞれの商店街の強みや特性を生かして魅力を向上させ、集客力と持続性を高めていくことが重要であり、商店街があるからこそ、安心、安全な地域として認知され、新しい世代が移り住み、地域活性化につながればと考えます。
 そこで最後に、地域に根差した商店街の地域コミュニティに果たす役割を踏まえ、改めて福岡市の商店街に対する今後の支援の在り方について御所見をお尋ねし、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 地域に根差した商店街については、身近な買物の場としてだけでなく、地域におけるコミュニティ活動においても大きな役割を果たしているものと認識しております。福岡市では、やる気を持ってチャレンジする頑張る商店街を重点的に支援することを基本方針として、各商店街の財政規模や地域の特性、課題に応じて活用いただけるイベント補助金などを準備、提供いたしますとともに、各商店街が自らの魅力を向上させるための取組や国内外からの観光客を商店街にも誘導する取組を支援すること等によりまして、今後とも、商店街の特性に応じ、持続的な活性化が可能となるようしっかりと支援してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) では次に、薬局、薬剤師の在り方についてです。
 今年1月に発生した能登半島地震においては、薬局機能を備えた災害対策医薬品供給車両、モバイルファーマシーが全国各地から駆けつけ、被災地では慢性疾患薬などが不足しがちになる中、薬剤師が服薬指導を行うなど、その活躍に注目が集まりました。しかしながら、その一方で、かつてコミュニティの場ともなっていた地域の薬局に目を向けてみますと、薬剤師の高齢化、大型ドラッグストアの相次ぐ出店などにより、薬局として維持していくことが難しくなっているところがあるとも聞こえてきます。また、国の動きに目を向けますと、厚労省において、地域における薬局、薬剤師の在り方について検討会が設置されるなど、その在り方は転機を迎えているのではないかと感じております。
 そこで、福岡市内の薬局、薬剤師の状況や今後の在り方についてお尋ねしてまいります。
 まず、福岡市内の薬局の数の推移について、10年前と比較してどう変化しているか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 市内の薬局につきましては、増加傾向にございまして、10年前の平成25年度末時点が838施設、令和5年度末時点が941施設となっており、100施設以上増加しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 薬局の数は増加傾向にあるとのことです。しかしながら、どちらかというと、人口の多い地区や商業圏などをはじめとするニーズの高い地域に多く立地している印象であり、日常生活圏内には薬局がない地域もあります。また、私が今年の夏に訪れました小呂島には薬局がありませんでした。
 そこで、薬局がない離島についてはどのような対応を行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 離島の玄界島、能古島、小呂島につきましては、それぞれ福岡市が診療所を開設しており、薬については院内で処方をいたしております。なお、玄界島、能古島につきましては週6日、小呂島については月1回の診療を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 離島においては、それぞれ島の診療所において薬を処方しているとのことですが、そのほかにも、島民の方が天神などの病院にまで来られているとも聞いています。定期的な通院となると非常に負担が大きいものと思いますが、そのような中、今年度から小呂島においてはオンライン診療の実証を実施されているとのことです。
 そこで、小呂島でのオンライン診療の実証について詳細をお尋ねします。またあわせて、実証の成果、利用者からどのような声が寄せられているかについても、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 小呂島は島民の方が診療を受ける機会が少ないことから、令和6年7月から小呂診療所においてオンライン診療を開始いたしております。本来、オンライン診療は医療施設と患者の自宅を結んで行うものでございますが、安定した通信環境が必要であることから、環境の整った小呂診療所で行うこととしたものでございます。このオンライン診療は、症状が安定している内科等の患者を対象としており、11月末時点でオンライン診療は延べ12回、オンライン服薬指導は延べ7回実施いたしております。利用された島民の方からは、渡船を使って通院する必要がなく、時間の短縮や交通費の負担軽減につながることなどから今後も継続してほしいとの声をいただいております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 今年度からの実証ではありますが、定期的な通院、処方が必要な島民の方にとっては経済的、時間的な負担が大きく軽減されることになることから、ぜひ実証の成果も踏まえながら改善を図り、よりよい仕組みを構築していただきたいと思います。
 ところで、薬局や薬剤師を取り巻く環境の変化として、最近の報道では、薬剤師や登録販売者がいないコンビニエンスストアなどの店舗でも薬剤師等の遠隔管理により市販薬を受け取れるようにするといった内容や、大手通販事業者が電子処方箋を利用する患者の自宅へ処方薬を届ける取組を始めるなど、利便性の向上につながる話も多く目につくようになってきました。一方で、薬は服用するものであることから、安心感が非常に大事だと思います。特に今後さらに高齢化が進む中で、複数の薬を服用している高齢者の方にとっては、併用することの安全性に関する相談や残薬調整など、身近な地域の薬局、薬剤師の存在は非常に心強いものだと思います。
 そういった地域医療の観点から、市内の薬局、薬剤師の資質向上や交流を担う福岡市薬剤師会と行政の連携といった点も非常に重要になると思いますが、福岡市薬剤師会と福岡市では、現在、どのような協力関係を構築しているか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市薬剤師会につきましては、日頃より公衆衛生の普及向上、市民の健康づくりの推進や地域医療の充実といった本市の保健医療行政の推進に貢献いただいているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 公衆衛生の普及向上、市民の健康づくりの推進及び地域医療の充実において、薬剤師会の役割は非常に重要だと思います。その薬剤師会からは毎年要望書が提出されており、今年度においては区急患診療所への薬剤師の配置及び医薬品購入予算の増額などについて要望されているところです。具体的に申し上げますと、急患診療センターでは、医師会からの要請に基づき薬剤師が配置され、薬局業務に当たっていますが、一方で、今年3月に再開された博多、城南、西急患診療所は繁忙期以外は薬剤師が配置されていません。近年の医薬分業が進む中では薬剤師による調剤及び服薬指導が望ましいとも言え、薬剤師を配置してほしいという要望であります。また、医薬品の流通規制も続いている中で、繁忙期に必須となる医薬品の備蓄も日常的に可能な限り増加しなくてはならない状況にあり、備えが必要になっているというものです。診療所への薬剤師配置については医療法及び医療法施行規則で定められており、該当の急患診療所には法的な義務づけはないところではありますが、ぜひ医薬品購入予算と併せ、前向きに検討いただくよう要望しておきます。
 また、福岡市薬剤師会に対しては、公衆衛生の普及向上や市民の健康づくりの推進を目的として補助金を交付しているようですが、福岡市薬剤師会のどのような事業に補助金を交付し支援しているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 薬剤師会への補助金につきましては、かかりつけ薬局や在宅医療の推進とともに、健康づくりや薬物乱用防止に関する事業など、福岡市と連携し進めている地域医療の充実のための事業に対し、助成を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 御答弁いただいた中には、近年、社会問題ともなっている薬物乱用、オーバードーズに対しての取組もあるとのことでした。私はこの問題の背景の一つにあるのは、薬の危険性に対する認識の薄さだと考えております。特に市販薬、これはオーバー・ザ・カウンター、いわゆるカウンター越しに薬剤師さんから患者さんへ薬を手渡すことに由来してOTC薬──オーバー・ザ・カウンター薬と呼ばれていますが、このオーバー・ザ・カウンター薬のオーバードーズが若年層に広がっていることが懸念されます。
 市販薬の販売時に薬剤師はどのような役割を担うのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 薬剤師につきましては、オーバードーズに利用されるおそれのある医薬品の購入者に対し、他店舗での購入状況など、必要な確認や正しい服薬の仕方の説明を行うとともに、地域の相談窓口や医療機関などと連携した薬物乱用防止のゲートキーパーとしての役割を担うことが期待されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 薬物乱用という社会問題に対しては、行政はもちろん、ぜひ薬局、薬剤師の皆様にも存在感を発揮していただき、容易に購入できる医薬品についても、リスクがあるということを十分周知してもらいたいと思います。
 そういう視点からも、薬局、薬剤師は身近な存在であることがより重要になりますが、この点については、2015年、平成27年に厚生労働省が患者のための薬局ビジョンを作成しており、この中で、それぞれがかかりつけ薬剤師、薬局を持つことが推奨されています。
 そこでお尋ねしますが、かかりつけ薬局は患者にとってどのような点でメリットがあると認識しているか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) かかりつけ薬局を持つことによるメリットといたしましては、服薬情報の一元的、継続的な管理のほか、24時間の相談対応や患者宅への訪問、医療機関と連携した対応を受けることができることなどがあると認識いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 一方で、推奨されているにもかかわらず、なかなか浸透していないという状況にもあるようです。
 かかりつけ薬局がなかなか浸透していない理由、背景について御所見をお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 国が実施した調査報告書によりますと、病院、診療所ごとに近い薬局を利用するほうが便利と回答した方が42.1%、薬局を利用する機会が少なく必要性を感じないと回答した方が19.7%となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) かかりつけ薬局の推進のため、市としてどのような取組を行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 本市の取組といたしましては、薬剤師会と協力し、市民を対象とした医薬品啓発講習会においてかかりつけ薬局のメリットを説明するとともに、薬局向けの研修会の実施や市民向けリーフレットの配布を行うなど、かかりつけ薬局の推進のため、周知、啓発に努めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 現状としてはまだまだ浸透しているとは言い難いものの、かかりつけ薬局を持つメリットも大きいため、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 また、国内の人口の約30%が65歳以上となるなど、高齢化社会のさらなる進展に伴い、医療に対するニーズもますます高まることとなりますが、その一方で、その後の人口減少を見据えると、安易に病床数を増やせないという状況もあります。そういった中では、地域における健康づくりや在宅医療の重要性が今以上に増すことが見込まれます。健康づくりに関しては、福岡市では令和4年度に薬剤師会、医師会とフレイル予防の推進に向けた共働事業を開始しており、現在は歯科医師会も参画して今後取組を進めていかれるようです。オーラルケアに取り組むと、その後の将来的な医療費の削減にも大きくつながるとも言われており、ぜひ事業を積極的に推進していただくよう要望しておきたいと思います。
 また、健康づくりに加えて、在宅医療の体制を確保していくことも重要です。在宅医療において薬剤師が果たしている役割についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 在宅医療において薬剤師は、患者の自宅等を訪問し、服薬状況を確認することにより、飲み忘れ防止のための指導や副作用のチェックを行うとともに、医療、介護関係者等と患者の薬学的管理に関する情報共有を行い、患者に応じた薬への変更の提案を行うなど、連携して療養生活を支える役割を果たしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 今後ますます在宅医療の必要性が高まることが予想される中、在宅医療に対して市としてどのような支援を行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 在宅医療におきましては、まずは医療、介護関係者の対応力の強化が必要であることから、医療、介護関係者間の連携強化や在宅医療に関する知識や意識を深めるための研修会の開催、在宅医療に関する各施設の医療、介護サービスを周知するための社会資源情報ブックの作成、相談窓口の設置を行っているところでございます。また、今後ますます在宅医療の必要性が高まることから、市民に対し、在宅医療に関する知識や意識を深めるための講演会の実施やパンフレットの配布などにより啓発に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 福岡市の将来人口推計では、今後さらに高齢単身世帯が増えていくことが予想されています。住み慣れた地域で暮らし続けられる環境づくりを進めるためには、地域包括ケアの仕組みを構築していくことが必要であり、その中で、薬局、薬剤師もそのチームの一員として役割を果たしていくことが重要になると考えています。
 ここまで薬局、薬剤師の在り方について様々な観点から質問をしてまいりましたが、この質問の最後に、地域における薬剤師、薬局について今後期待する役割とどのように連携していくかについて島市長の所見をお尋ねし、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 薬局は必要な医薬品の供給を行うとともに、医薬品や薬物治療等に関して安心して相談ができる地域における身近な拠点であります。これからの薬局につきましては、地域包括ケアシステムの一翼を担い、かかりつけ薬局として患者の療養生活を支えるとともに、そこで働く薬剤師は地域の関係機関と連携をしたフレイル予防など、地域住民の健康づくりにおける健康サポート機能や薬物乱用防止のゲートキーパーとしての役割が期待されております。今後ますます高齢化が進む中で、健康寿命の延伸や地域で安心して医療や介護が受けられる社会の実現に向け、福岡市薬剤師会としっかり連携をし、公衆衛生の普及向上、市民の健康づくりの推進や地域医療の充実に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後5時10分に再開いたします。
午後5時 休憩
午後5時10分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、本市における小中学生の体力低下の現状と体力向上に向けた新たな取組について質問いたします。
 近年、学校生活の中で常に疲労を訴えるなど、必ずしも数値に表れないものの、明らかに以前とは異なる子どもたちの状況が見られます。様々な要因から子どもたちの体力が低下を続けていると言われています。
 私が6月議会で質問しました、雨の日には外遊びができないことや、公園でも遊びについて様々な制限があること、大人の生活リズムの乱れなどから子どもたちの生活習慣にも影響が及び、体を動かし、よく食べ、よく眠るなど、子どもとして当たり前の生活を送ることができにくくなっていると言われています。体力は生きる力の極めて重要な要素となるものであり、将来を担う子どもたちの体力を向上していくことは、将来、社会全体に関わる重要な視点であると考えます。子どもの体力とは、運動するための体力と健康に生活をするための体力があり、子どもたちが健康で健やかに成長するために、どちらも欠かせない重要な要素であると文科省は示しています。
 まず、資料1をお願いします。(資料投影)こちらはスポーツ庁が発表した令和5年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査のグラフです。この調査は小学5年生、中学2年生を対象として、握力や上体起こし、反復横跳び、20メートルシャトルラン、ソフトボール・ハンドボール投げなど8種類の実技テストを行います。この調査によりますと、小中学生の体力合計点は、平成26年度から徐々に上昇しており、平成30年度をピークに、コロナもあって、低下傾向が続いていました。しかし、男子の小学生、中学生ともに令和4年度から回復の兆しが見えます。資料ありがとうございます。
 初めに、全国体力・運動能力、運動習慣等調査について、調査の目的は何ですか、お尋ねをします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降からは自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国の実施要領によりますと、調査目的は、国や教育委員会が子どもの体力、運動能力に関する施策の成果や課題を検証し、その改善を図ること、また各学校が体育の授業等の充実、改善に役立てることとされてございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 令和5年度の福岡市の子どもたちの体力・運動能力調査の結果は全国平均と比べてどうなっているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学5年生及び中学2年生を対象として毎年全国調査が実施されますが、令和5年度体力合計点が、男子は全国平均と同程度、女子はやや下回っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) では、資料2をお願いします。(資料投影)緑が全国平均で、赤のほうが福岡市の平均値です。確かに男子のほうは全国と比べて同程度ですが、右側の女子に関しては、全国平均に対してやや下回っているのが分かります。
 この結果を教育委員会はどのように分析されているのか、お答えください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 体力合計点は8種目の実技テストの結果を合計したものでございまして、小学生男子は全ての種目で全国平均と同程度ですが、小学生女子は上体起こしの値が低く、筋力に課題があると考えております。また、中学生は男女とも20メートルシャトルランの値が高く、全身持久力は高い傾向にありますが、前屈の値が低く、柔軟性に課題があると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 特に筋力や柔軟性に課題があることが分かりましたが、そういった結果に対しての教育委員会としてのお考えをお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 他の政令指定都市においても、おおむね同様の傾向となってございまして、児童生徒が筋力や柔軟性の向上を意識した運動を体育の授業に工夫して取り入れていくよう各学校に働きかけてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) ゴールデンエイジという子どもの運動能力が最も発達する一生に一度の重要な時期があります。一般的には9歳から12歳頃と言われていて、この時期に多様な運動経験を積むことで、スポーツのパフォーマンスに大きな影響を与えることができるため、適切な運動習慣を身につけることが必要だと言われています。
 また、年々気温が上昇していく中で、熱中症アラートの発令により体育の授業などが中止されるケースもあります。体育の授業の工夫などをされていくとのことですので、併せて今後の暑さ対策なども検討していただきたいと思います。
 運動能力が全国平均値を下回る要因として、福岡市は都市部であることも一因でないかと考えますが、体力、運動能力は都市部とそうでない地域との違いに傾向がありますか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スポーツ庁の報告書では、大都市はその他の市町村と比べ、一般的に体力合計点が低いという結果となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 体力、運動能力の低下につながる主な社会的要因は何だとお考えでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年度公表のスポーツ庁の報告書では、新型コロナウイルス感染症による行動制限やテレビゲーム、スマートフォン等のスクリーンタイムの増加などが要因とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 子どもたちの体力、運動能力の低下には地域的要因、また社会的要因があることが分かりました。
 スクリーンタイムの増加は、もはや避けられないものとなっています。様々な要因に影響を受ける子どもたちにとって、運動を始めるきっかけづくりや体を動かす機会を増やすことはとても重要と考えます。
 学校外において子どもたちがスポーツを始めるきっかけとなるような取組は行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 子どものスポーツのきっかけづくりといたしましては、福岡市スポーツ協会と連携し、スポーツ体験ランド等のイベントを実施しているほか、夏休み期間に市民プールや民間スイミングクラブ等のプールを無料で利用できる夏休みプール開放事業などを実施しております。また、スポーツ体験ランドにおきましては、イベント参加後のスポーツ活動を促進するため、会場において、地域のクラブやサークルに関する情報発信も併せて行っております。以上です。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) スポーツ体験ランドとはどういったイベントなのか、開催頻度、開催場所、参加者数、応募者数をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) スポーツ体験ランドは、競技スポーツやニュースポーツ、パラスポーツを体験できる、主に小学生を対象としたイベントでございます。令和5年度は6回開催しており、開催場所は平和台陸上競技場や今津運動公園、市民体育館などで、合計で1,090人の募集に対し、応募者数は2,043人、参加者数は808人となっております。以上です。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 様々なスポーツを体験できるイベントで、年に6回も開催をされていて、808人という数は少し少ないように感じますが、2,000人近くもの応募があったということですので、もっと参加枠を増やして、より多くの方にスポーツの体験の機会を増やしていただきたいと考えます。
 さらに、家族で運動することも、子どもが運動を始めるきっかけになるのではないかと思いますが、例えば、家族参加型のスポーツのきっかけづくりができるようなイベント等は実施されていますか。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 家族参加型のイベントとしましては、親子ヨガ教室や親子運動遊び教室、ウインタースポーツフェスタなどを実施しているほか、スポーツ体験ランドにおいても、モルックなどのニュースポーツや卓球、バドミントンコーナーなど、親子で体験可能なコーナーを設けております。以上です。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) スポーツに興味がない子どもたちにとって、そのきっかけづくりは重要であると考えます。
 学校での年に一度の体力テストとは別に、定期的に自分の体力はどれくらいなのかを把握できるような体力測定も一つのきっかけになるかと思います。
 そこで、イベント等で体力測定を行っている事例があれば教えてください。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 各区の体育館におきまして体力測定会などを実施しているほか、福岡市スポーツ協会のイベント内でも、体力測定の結果から、その人に合った競技を提案するDigSports体力測定会などを実施しております。以上です。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 私も以前、区の体育館で行われていた東区区民スポーツ振興会が主催する体力測定会のイベントに参加をしたことがありますが、たくさん大人もいましたが、それ以上に子どもたちで大変にぎわっていて、測定結果のデータを楽しみに待っている姿を目にしました。子どもたちが自分の体力に興味関心を持って運動への意欲を引き出すようなイベントは大事だと思いますので、ぜひ全区での開催を検討いただきたいと思います。
 市のスポーツ協会のイベントでは、測定結果を基にその人に合った種目を提案するDigSports体力測定会を実施しているとのことですが、Dig Sports体力測定会の詳細を教えてください。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) DigSports体力測定会につきましては、ウェブカメラで垂直跳びや反復横跳び、ボール投げなどを撮影し、AIの活用により運動能力を分析することで、オリンピック競技を含む74の種目から向いている競技を提案するシステムを体験できるイベントでございます。以上です。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 最新の技術を活用して正確に分析ができて、自分に合ったスポーツを見つけることができる、すごくいい取組だと思います。さらに広げてほしいですし、充実させていただきたいと思います。
 ここまで運動のきっかけづくりについて尋ねてまいりましたが、次に、運動の機会を増やすことについて質問をしてまいります。
 福岡市において、体育の授業以外で体を動かす機会を増やすためにどのような取組を行っているのか、お尋ねをします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校において休み時間を活用した縄跳び集会や、子どもたちが運営する球技大会など、学校の実態に応じた各種の取組を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 学校外の取組といたしましては、子どものスポーツを推進するため、福岡市スポーツ協会等と連携し、市民総合スポーツ大会やスポーツ少年団事業、子どものスポーツに関する教室やイベント等を実施しているほか、競技団体が実施する競技力向上事業の支援や各種スポーツ大会の開催支援などを実施しております。以上です。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) ここで、福岡県が作成している、子どもの体力向上広場というホームページを紹介します。
 資料3をお願いします。(資料投影)子どものスポーツイベント情報が載っていたり、新体力テストが自宅でもでき、体力診断や体力アップの動画が見れたりもします。スポコン広場とはスポーツコンテスト広場の略で、クラスのみんなといろいろな種目に挑戦をして、その記録を登録すればランキングが表示され、ほかの小学生たちと競うことができます。
 タブレットにアプリを入れるなど、ぜひ本市でも積極的に活用を検討いただきたいと要望しておきます。資料ありがとうございます。
 次に、日常的に子どもの運動機会を増やすには、自由な遊びができる環境も必要です。子どもを取り巻く環境の問題について、先日の西日本新聞の記事によりますと、福岡市内の公園でもボール遊びが禁止になったということでした。
 資料4をお願いします。(資料投影)5メートルのフェンスが囲んであるというのにボールが住宅に飛び込み、トラブルとなり、自治協や近隣住民と区が話し合った結果、ボール遊び禁止が決まったとのことですが、福岡市の条例には規定がないので、これからも、このような事例が起きないとも言い切れません。そうなると、子どもたちが気軽に外遊びができる環境がどこも禁止となり、減少していくのではと危惧をします。
 今後、子どもたちの自由な遊びができる環境を維持していけるよう、どのような対応をされるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 都市公園は誰もが自由にできる公共施設であり、ボール遊びについては原則として禁止はしておらず、公園におけるボール遊びなどの利用ルールにつきましては、公園利用者の安全確保や近隣住民への配慮などの観点を踏まえ、個別の公園ごとに地域との話合いを経て設けているところでございます。飯原中央公園におきましては、以前から近隣へのボールの飛び出しなどの課題があり、周辺の小中学校を通じた注意喚起など様々な対策を行ったものの改善が見られなかったことから、区役所と地域が協議を行った上で、バットを使用した野球や試合形式のサッカーなど、他の公園利用者等への危険となるような行為を禁止することとしたものでございます。今後とも、地域との丁寧な話合いを行いながら、公園の立地や利用状況など、特性に応じたルールづくりの支援を行い、子どもたちが安全に楽しく遊ぶことができる環境の確保にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 今回のケースは以前からあった地域からの要望で、ルールを守らないといった遊び方に問題があったということです。バットなどを使って周囲に危険が及ぶ行為のみを禁止としていて、幼児のボール遊びなどに関しては禁止されていないとのことでした。少し安心をしましたが、今後、子どもたちが安全に楽しく遊ぶことができる環境の確保に努めていただくとのことですので、これからも、注視していきたいと思います。
 運動を継続して習慣化することは、子どもたちの将来にも重要なことでありますが、子どもの運動習慣は年齢や性別によって違いはあるのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スポーツ庁の報告書では、1週間の総運動時間が420分以上の児童生徒は、体力合計点が高い傾向でございまして、小学生よりも中学生のほうが総運動時間が長く、さらに女子よりも男子のほうが長いという結果となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 運動習慣は男子より女子のほうが割合が低いということです。
 次に、肥満傾向と体力、運動能力の低下には相関関係があるのでしょうか。また、本市において肥満傾向にある子どもの割合はどれくらいなのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 同じくスポーツ庁の報告書では、体力合計点と肥満度のクロス集計において、肥満度が高くなると体力合計点が低くなる結果が示されております。福岡市における肥満傾向にある子どもの割合は、小5男子が11%、女子が7.8%、中2男子が6.8%、女子が3.6%でございまして、全国平均と比べ低い状況でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) やはり肥満の傾向にある子どもと体力の合計点には、ある一定の相関関係があることが分かりました。本市においては、全国平均と比べて特に高いわけではないとのお答えですが、安心はできません。
 健康づくりのためにも体を動かすことは重要であると考えますが、子どもの自発的な運動意欲を高め、身体活動の楽しさを見つけるためには何が必要でしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領などには、子どもたちが自分に合った目標を立てて、計画的、継続的に運動を行うことで、達成感、成就感を味わいながら運動に慣れ親しんでいくことや、スポーツに関わる専門家と触れ合うことで、より深くスポーツの楽しさを見つけること、また体育的行事などにおいて、友達とコミュニケーションを取りながら協力することのよさを実感することが大切であるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 民間のスポーツクラブでは、KIDS FITという子どもたちが純粋に運動を楽しめるように、映像と音楽を使って子どもたちの想像をかき立て、夢中になって運動ができるスクールがあるそうです。自己肯定感と運動能力を高めるために開発されました。
 多様な動きを身につけると、運動能力だけでなく、目標を決めて取り組む、意欲的に挑戦する、新しい発想をする、周囲とのコミュニケーションを取るなど、非認知能力も高まるそうです。民間の力も活用して、子どもたちの「もっとやりたい」を応援することも必要ではないでしょうか。
 子どもたちの運動意欲を高めるために、教育委員会と小学校や中学校の先生たちが協力をしてアイデアを出し合うような場がありますか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 体育を研究している教員の代表と教育委員会事務局で体力向上推進委員会を立ち上げ、運動の習慣化や授業の在り方などについて定期的に協議しておりまして、子どもたちが楽しく体を動かすための動画の作成や自分の目標を立てて運動ができるような教材開発を行い、全市に発信しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 体力向上推進委員会を立ち上げているとのことですので、ぜひ今の子どもたちのために、時代に合った新しいアイデアなどを出し合っていただいて、子どもたちのニーズもしっかり取り入れていただきたいと思います。
 他都市において、学校で行う身体活動を促進するための事例はありますか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スポーツ庁が公表いたしました取組事例には、体育の授業でICTを活用して、児童生徒同士で運動の様子を撮影し合い、互いにアドバイスを行う学習や、地域人材を活用してボール投げ教室や鉄棒教室を実施している取組などがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) 2023年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果が小学生男女ともに全国トップという福井県について調べてみました。県の教育委員会にお話を伺うと、福井県内のある小学校では、午前8時の授業前に校庭に子どもたちが集まって、校庭や裏山を走る5分間走が日課となっていることや、休み時間を利用して目標を立てて縄跳びをしたり、特別なことはやっていないとのお答えでしたが、運動に関しては継続的に行っているともおっしゃっていました。
 福岡県内でも毎朝ラジオ体操をする学校やランニングをしている学校もあると元教員の方から伺いました。そういった取組が継続して行えるよう、時代に合わせたアレンジや工夫が必要だと感じます。
 子どもたちの運動への興味関心を高めるために、本市では今後どのような取組が必要か、御所見をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちが、習熟の程度や段階に応じた指導により、体を動かすことの楽しさや心地よさを実感できる魅力ある体育の授業づくりが重要であると考えております。教育委員会としても、これまで器械運動やボール運動などの体育学習に実技指導員の派遣や、体育系大学やプロスポーツチームと連携、協力した子どもたちへの運動体験授業、教員への研修などを実施しておりまして、今後も引き続き取組の充実を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) ついちはら陽子議員。
○56番(ついちはら陽子) これまで運動するための体力については、子どもたちの習熟度に合わせて成功体験など、体を動かす楽しさや魅力のある体育の授業づくりに取り組んでいただけるとのお答えで、とても期待をしています。
 また、プロのスポーツチームや専門家の力を借りて、より分かりやすく効率的に習得できるよう、子どもたちの体力づくりの面で向上に努めていただきたいと思います。
 一方で、特別にプロを目指す子どもたちを育成するということではなく、初めに申したとおり、子どもの体力にはもう1つ、健康に生活をするための体力という定義があります。子どもたちが健康を維持しながら体力を高めていくために、本市としてはどういったことを今後取り組まれていくのか、最後にお尋ねをして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領においては、児童生徒が、運動を継続することの意義や心身の健康に関する学習を基に、自己の健康や体力の状況を捉えて、目的に適した運動の計画を立てて取り組むことが重要であるとされております。今後、学校や市が保有する教育データを用い、日々の子どもの状態が可視化できる教育データ連携基盤を構築することとしておりまして、子どもたちの体力向上に向けても、一人一人の体力や健康等のデータを活用し、運動や自身の健康への興味、関心を一層高めていける取組の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は12月16日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は12月16日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時35分 散会