令和6年12月11日(水)

令和6年 第5回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第1号)
                                      12月11日 午前10時開議
 
第1 会期決定の件
 
第2 議席の一部変更の件
 
第3 議案第185号 令和6年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)
 
第4 議案第186号 令和6年度福岡市後期高齢者医療特別会計補正予算案(第1号)
 
第5 議案第187号 令和6年度福岡市国民健康保険事業特別会計補正予算案(第1号)
 
第6 議案第188号 令和6年度福岡市介護保険事業特別会計補正予算案(第1号)
 
第7 議案第189号 令和6年度福岡市中央卸売市場特別会計補正予算案(第1号)
 
第8 議案第190号 令和6年度福岡市港湾整備事業特別会計補正予算案(第1号)
 
第9 議案第191号 令和6年度福岡市営渡船事業特別会計補正予算案(第1号)
 
第10 議案第192号 令和6年度福岡市貝塚駅周辺土地区画整理事業特別会計補正予算案(第1号)
 
第11 議案第193号 令和6年度福岡市市債管理特別会計補正予算案(第3号)
 
第12 議案第194号 令和6年度福岡市モーターボート競走事業会計補正予算案(第1号)
 
第13 議案第195号 令和6年度福岡市下水道事業会計補正予算案(第1号)
 
第14 議案第196号 福岡市事務分掌条例の一部を改正する条例案
 
第15 議案第197号 福岡市民会館条例を廃止する条例案
 
第16 議案第198号 福岡市拠点文化施設条例の一部を改正する条例案
 
第17 議案第199号 福岡市職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案
 
第18 議案第200号 福岡市職員退職手当支給条例の一部を改正する条例案
 
第19 議案第201号 福岡市保護施設等の設備及び運営の基準を定める条例の一部を改正する条例
         
 
第20 議案第202号 福岡市ひとり親家庭等医療費助成条例の一部を改正する条例案
 
第21 議案第203号 福岡市児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例の一部を改正する条
例案
 
第22 議案第204号 福岡市立児童発達支援センター条例の一部を改正する条例案
 
第23 議案第205号 福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例を廃止する条例案
 
第24 議案第206号 福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案
 
第25 議案第207号 福岡市宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例案
 
第26 議案第208号 福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案
 
第27 議案第209号 福岡市地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案
 
第28 議案第210号 福岡市空家等の適切な管理に関する条例の一部を改正する条例案
 
第29 議案第211号 福岡市立学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案
 
第30 議案第212号 福岡市立小呂保育所に係る指定管理者の指定について
 
第31 議案第213号 福岡市立つくし学園に係る指定管理者の指定について
 
第32 議案第214号 福岡市立ふよう学園に係る指定管理者の指定について
 
第33 議案第215号 福岡市立心身障がい福祉センターに係る指定管理者の指定について
 
第34 議案第216号 福岡市立療育センターに係る指定管理者の指定について
 
第35 議案第217号 福岡市立西障がい者フレンドホームに係る指定管理者の指定について
 
第36 議案第218号 福岡市立障がい者スポーツセンターに係る指定管理者の指定について
 
第37 議案第219号 福岡市立めばえ学園に係る指定管理者の指定について
 
第38 議案第220号 福岡市立児童心理治療施設に係る指定管理者の指定について
 
第39 議案第221号 福岡市立急患診療センター等に係る指定管理者の指定について
 
第40 議案第222号 福岡市立玄界診療所に係る指定管理者の指定について
 
第41 議案第223号 福岡市立能古診療所に係る指定管理者の指定について
 
第42 議案第224号 福岡市立平尾霊園等に係る指定管理者の指定について
 
第43 議案第225号 福岡市葬祭場に係る指定管理者の指定について
 
第44 議案第226号 福岡市ヨットハーバーに係る指定管理者の指定について
 
第45 議案第227号 舞鶴公園等に係る指定管理者の指定について
 
第46 議案第228号 小戸公園等に係る指定管理者の指定について
 
第47 議案第229号 東平尾公園の一部に係る指定管理者の指定について
 
第48 議案第230号 友泉亭公園等に係る指定管理者の指定について
 
第49 議案第231号 アイランドシティ中央公園に係る指定管理者の指定について
 
第50 議案第232号 かなたけの里公園に係る指定管理者の指定について
 
第51 議案第233号 南区内設置の自転車駐車場に係る指定管理者の指定について
 
第52 議案第234号 早良区内設置の自転車駐車場に係る指定管理者の指定について
 
第53 議案第235号 福岡市立中央市民センターに係る指定管理者の指定について
 
第54 議案第236号 福岡市立早良市民センターに係る指定管理者の指定について
 
第55 議案第237号 福岡市立博多市民センターに係る指定管理者の指定について
 
第56 議案第238号 福岡市立城南市民センターに係る指定管理者の指定について
 
第57 議案第239号 福岡市立西市民センターに係る指定管理者の指定について
 
第58 議案第240号 福岡市立雁の巣児童体育館に係る指定管理者の指定について
 
第59 議案第241号 地方独立行政法人福岡市立病院機構第5期中期目標案
 
第60 議案第242号 当せん金付証票の発売について
 
第61 議案第243号 マリンメッセ福岡A館高圧受変電設備更新工事請負契約の締結について
 
第62 議案第244号 令和6年度市営城浜住宅新築工事請負契約の締結について
 
第63 議案第245号 令和6年度市営壱岐住宅新築工事請負契約の締結について
 
第64 議案第246号 鹿児島本線(千早〜箱崎間)の自由通路等整備工事に係る契約の締結について
 
第65 議案第247号 中学校用地の取得について
 
第66 議案第248号 市道の管理のかしに基づく損害賠償額の決定について
 
第67 議案第249号 下水道施設の管理のかしに基づく損害賠償額の決定について
 
第68 議案第250号 学校事故による損害賠償額の決定について
 
第69 議案第251号 国道の管理のかしに基づく損害賠償額の決定及び和解について
 
第70 議案第252号 和解について
 
第71 議案第253号 令和6年度福岡市一般会計予算の補正に関する専決処分について
 
第72 議案第254号 第10次福岡市基本計画について

本日の会議に付した事件
 1.日程第1
2.日程第2
3.日程第3ないし日程第72

出 席 議 員 (62名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  和 田あきひこ      34番  あ べ ひでき
35番  大 沢 めぐみ      36番  木 村てつあき
37番  橋 口 えりな      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村  一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  下 川 祥 二      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 理 事  町 田 一 彦
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小   林  登茂子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員   原   志津子
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子      人事委員会事務局長  小 川  明 子
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美
 

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩      議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

 
午前10時 開議
○議長(打越基安) ただいまから令和6年第5回福岡市議会定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
 会議録署名議員に今林ひであき議員、勝見美代議員を指名いたします。
 日程に入るに先立ち、この際、報告いたします。
 まず、議会運営委員の木村てつあき議員から議会運営委員を辞任したい旨の願い出がありましたので、委員会条例第13条の規定により、11月8日、これを許可いたしました。また、その後任の委員として、委員会条例第7条第1項の規定により、11月18日、議長において、おばた英達議員を指名し、議会運営委員に選任いたしました。
 次に、市長から別紙報告書類一覧表に記載の書類が提出されましたので、その写しを去る12月4日お手元に送付いたしておきました。
 次に、人事委員会から地方公務員法の規定に基づき、議案第199号、議案第200号及び議案第211号、以上3件に対する意見が提出されましたので、その写しをお手元に送付いたしておきました。
 次に、地方自治法第100条第13項及び会議規則第125条第2項の規定により、お手元に配付いたしております議員派遣報告一覧表のとおり、議長において議員の派遣を決定いたしておきました。
 また、令和6年第4回定例会で議決いたしました議員の派遣について、お手元に配付いたしております議員派遣変更報告一覧表のとおり、議長において変更を決定いたしておきました。
 以上で報告を終わります。
 これより日程に入ります。
 日程第1、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 今期定例会の会期は、本日から12月19日までの9日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、会期は9日間と決定いたしました。
 次に、日程第2、議席の一部変更の件を議題といたします。
 お諮りいたします。
 本件については、お手元に配付の議席表のとおり議席を一部変更いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、ただいま決定いたしました議席にそれぞれお着き願います。
      〔各員着席〕
 
○議長(打越基安) 次に、日程第3ないし日程第72、以上70件を一括して議題といたします。
 この際、市長から提案理由の説明を求めます。島市長。
 
○市長(島宗一郎)登壇 ただいま上程になりました議案70件について、提案の趣旨を説明いたします。
 まず、予算案について説明いたします。
 今回の補正規模は、一般会計162億8,185万円の追加、特別会計1億5,117万円の追加、企業会計2,937万円の追加、合計164億6,240万円の追加となっております。その主な内訳は、物価高騰などを踏まえた経済対策として、住民税非課税世帯への給付金84億9,763万円の追加、職員の給与費等として43億8,204万円の追加などとなっております。
 以上の歳入歳出予算の補正のほか、年度内に執行が終わる見込みのない事業について、繰越明許費の補正を447億4,334万円計上いたしております。
 また、債務負担行為の補正といたしまして、鹿児島本線千早−箱崎間の自由通路等整備工事など、44億6,101万円の追加を行うものであります。
 次に、条例案について説明いたします。
 事務分掌条例の改正案につきましては、花や緑などによる潤いや安らぎを感じるまちづくりのさらなる推進を図るため、住宅都市局の名称を住宅都市みどり局に改めるものであります。
 市民会館条例の廃止案につきましては、拠点文化施設の整備に伴い、これを廃止するものであります。
 拠点文化施設条例の改正案につきましては、市民に親しまれる文化芸術の拠点とするため、拠点文化施設の名称等を改めるものであります。
 職員の給与に関する条例の改正案につきましては、人事委員会の勧告等に鑑み、一般職職員の給料月額を改定するとともに、医師等の初任給調整手当について、国家公務員に支給される額に準じるよう改正を行うものであります。
 職員退職手当支給条例の改正案につきましては、本市職員の定年の引上げに伴い、60歳を超えて退職した職員について、退職手当の算定の特例を定めるものであります。
 保護施設等の設備及び運営の基準を定める条例の改正案につきましては、救護施設、更生施設、授産施設及び宿所提供施設の設備及び運営に関する基準の一部改正に鑑み、救護施設等に入所者に係る個別支援計画を作成するよう義務づける等の改正を行うものであります。
 ひとり親家庭等医療費助成条例の改正案につきましては、児童扶養手当法施行令の一部改正に伴い、規定の整備を行うものであります。
 児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例の改正案につきましては、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部改正に鑑み、入所中の児童に係る給付金として支払いを受けた金銭を管理しなければならない施設の対象に母子生活支援施設を追加するものであります。
 児童発達支援センター条例の改正案につきましては、南部療育センターの供用開始に伴い、あゆみ学園を廃止するものであります。
 土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例の廃止案につきましては、宅地造成等規制法の一部改正に鑑み、条例を廃止するものであります。
 開発行為の許可等に関する条例の改正案につきましては、宅地造成等規制法の一部改正に鑑み、開発予定者による開発計画の説明の対象者について所要の改正を行うものであります。
 宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例案につきましては、宅地造成及び特定盛土等規制法の施行に関し、必要な事項を定めるものであります。
 建築関係手数料条例の改正案につきましては、宅地造成等規制法の一部改正に鑑み、盛土等に関する工事の許可等の事務に係る手数料の額を定めるとともに、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部改正により、建築物エネルギー消費性能適合性判定を要する建築物の範囲が拡大されたことに伴い、所要の改正等を行うものであります。
 地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の改正案につきましては、天神明治通り地区地区計画の区域における適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため、建築物の用途等に関する事項について新たに条例による制限として定めるとともに、畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律施行規則の施行に鑑み、畜舎等の制限に関する事項について定めるものであります。
 空家等の適切な管理に関する条例の改正案につきましては、空家等対策の推進に関する特別措置法の一部改正により、管理不全空家等に関する規定が追加されたことに伴い、所要の改正を行うものであります。
 学校職員の給与に関する条例の改正案につきましては、人事委員会の勧告等に鑑み、教育職員の給料月額の改定等を行うものであります。
 次に、一般議案について説明いたします。
 まず、福岡市立小呂保育所などの公の施設について、指定管理者の指定を行うための議案、計29件を提出いたしております。
 次に、地方独立行政法人福岡市立病院機構の中期目標を定めるための議案を提出いたしております。
 次に、令和7年度において福岡市が発売する当せん金付証票の発売総額を定めるための議案を提出いたしております。
 次に、契約関係といたしまして、マリンメッセ福岡A館高圧受変電設備更新工事請負契約、令和6年度市営城浜住宅新築工事請負契約、令和6年度市営壱岐住宅新築工事請負契約、鹿児島本線千早−箱崎間の自由通路等整備工事に係る契約、計4件の契約を締結するための議案を提出いたしております。
 次に、財産の取得関係といたしまして、箱崎中学校の移転用地を取得するための議案を提出いたしております。
 そのほかの一般議案といたしまして、市道の管理のかし、下水道施設の管理のかし及び学校事故に基づく損害賠償の額を決定するための議案計3件、福岡地方裁判所に係属中の国道の管理のかしに基づく損害賠償請求事件について、損害賠償の額を決定し、訴訟上の和解をするための議案及び学校事故に係る損害賠償請求事件について、訴訟上の和解をするための議案、計2件を提出いたしております。
 次に、専決処分をいたし、議会の御承認をいただく案件でありますが、衆議院の解散による衆議院議員の総選挙の執行に伴い、一般会計予算の補正を行う必要があったものであります。
 最後に、福岡市基本構想に基づき行政分野全般に係る政策の基本的な方向を総合的かつ体系的に定めるため、第10次福岡市基本計画を策定するための議案を提出いたしております。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議をお願いします。
 
○議長(打越基安) これより質疑に入ります。
 発言通告者のうちから順次質疑を許します。中山郁美議員。
○51番(中山郁美)登壇 皆さんおはようございます。質疑に入ります前に一言申し上げます。
 昨日、ノルウェー・オスロで日本被団協がノーベル平和賞を受賞されました。学生時代から原水爆禁止運動に身を置いてきた一人として心から祝意を表しますとともに、長年の御努力に感謝申し上げます。これを機に日本政府が核兵器禁止条約に参加し、本市においては一刻も早く非核都市宣言が行われることを心から祈念するものであります。
 私は日本共産党市議団を代表して、議案第185号、令和6年度福岡市一般会計補正予算案(第4号)のうち、物価高騰緊急支援給付金、議案第254号、第10次福岡市基本計画、議案第198号、福岡市拠点文化施設条例の一部を改正する条例案について質疑を行います。
 まず、物価高騰緊急支援給付金についてです。
 現下の物価高騰はとどまるところを知らず、各方面に深刻な打撃をもたらしています。10月に行われた衆議院解散総選挙では、政治と金の問題に加え、国民の大きな関心事は経済対策であり、市民生活をいかに応援する政治をつくるのかが問われたのであります。
 そこでまず、収束のめどが立たない現在の物価高騰に対し、島市長は市民生活への影響について、その深刻さをどう捉えているのか、御所見を伺います。
 選挙後発足した第2次石破内閣は、物価高騰緊急支援給付金を含む物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の追加補正を閣議決定し、現在行われている臨時国会でこれが審議されており、可決されれば、全国の自治体に通知するとされております。本市ではこれを踏まえ、本議会において、本給付金の給付に必要な予算補正が提案されているものであります。
 そこで、今回想定されている給付金の対象、金額、給付のスケジュール並びにこれまで同様、民間大企業に給付業務を委託するのかについてお尋ねをいたします。
 地方創生臨時交付金には、非課税世帯給付金以外にも約6,000億円分の推奨事業メニューが示されており、エネルギー、食料品価格等の物価高騰に伴う低所得世帯支援や学校給食費等の支援をはじめ、事業者支援等8項目のメニューが示されております。なぜこれらのメニューを活用しないのか、市民生活への支援は非課税世帯への給付金だけで十分だと考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 コロナ禍で大きな傷を受けた市民生活は、新型コロナが5類に移行された後も、襲い続ける物価高騰によって回復のめどが立たない状況です。コロナ禍においては、国の支援対象にならないものについても、飲食店へのテークアウト支援や学生への給付など、市独自制度が実施されました。
 そこで、現在の市民生活の状況からすれば、少なくともコロナ禍に匹敵する規模の独自対策も必要ではないか、御所見を伺います。
 次に、第10次福岡市基本計画についてです。
 ほぼ10年ごとに改定され市政の基本となる基本計画は、コロナ禍の影響でその策定作業が遅れ、2025年度から10年間の計画案が今議会に提案されております。私は本計画の素案が公表された後の6月議会で、その基本的な考え方について確認し、見直しを提起いたしました。またその後、審議会等でも素案について議論が交わされ、今日に至ったと聞いております。
 そこで、共産党市議団の提起や有識者や市民からの意見がどう反映されたのかを中心にお尋ねしてまいります。
 まず、SDGsとの関連についてです。
 総務企画局長は6月議会で素案について、8つの分野別目標について、関連するSDGsのゴールを示しているとの答弁をされました。しかし、SDGsの一丁目一番地としてターゲット1で掲げられている貧困をなくすという課題については、具体的な文言もなく数値目標もなかったため、私は、所得300万円以下の世帯を半減させるなどの具体的数値目標を掲げるべきだと指摘いたしました。ところが、今回議案には、貧困をなくすという文言はおろか、低所得層の所得を引き上げるなどの具体的な数値目標も見受けられません。今回も素案のときと同様、SDGsのシールは記載されているものの、具体的な対策はありません。
これで本市の貧困打開策が具体的に進むと考えているのか、答弁を求めます。
 次に、SDGsのターゲット5で掲げられているジェンダー平等についてです。
 今回の案の中では、ジェンダーという文言さえ見受けられず、管理職における女性の割合の引上げや8割が女性となっている低所得の本市会計年度任用職員の待遇改善について、数値目標も掲げられておりません。これでは本市においてジェンダー平等に向けての取組は行わないことを内外に示すことになります。
なぜ文言も数値目標も記載がないままなのか、お尋ねをいたします。また、総合計画審議会においては、部会を含むこの間の議論において、ジェンダー平等についてどのような意見が出されたのか、その取扱いはどうなったのか、答弁を求めます。
 次に、都市の成長路線についてです。
 島市政における現計画は、都市の成長と生活の質の向上の好循環を柱にされてきました。その下で人口は増え続け、行き過ぎた開発による諸問題や地価の上昇など、市民生活には悪影響を及ぼす事態となっております。例えば、1人当たり市民所得は、2013年度からの比較可能な7年間で見てみると、年40万円下がった。消費支出は9年間で月1万円下がった。勤労者世帯のエンゲル係数は9年間で21.8から24.5へと2.7ポイントも上がっております。生活の質は明らかに下がっております。都市の成長は生活の質の向上にはつながらなかったというのが実態です。私が6月議会において示したとおりです。その上で、この路線を踏襲すれば、このゆがみはさらに拡大することを指摘し、見直しを求めました。しかし、今回の計画案には、これも全く反映されておりません。
市長は、本市の市民生活がこれ以上壊れても構わないと考えておられるのか、御所見を伺います。
 最後に、数値目標についてです。
 向こう10年間の取組の目標について、素案においては、数値目標について市民の意識を指標として示すとされており、私はこれでは客観的、科学的な指標にはならないことを指摘し、項目ごとの具体的な数値目標を掲げるべきだと求めました。局長は引き続き効果的な指標の在り方を検討すると答弁されましたが、今回も何も変わっておりません。
 そこで、政策推進プランなどに数値目標を掲げるから基本計画には掲げなくてよいというのは、基本計画の目指すものを曖昧にする方便にすぎないと思いますが、御所見を伺います。
 次に、拠点文化施設条例改定案についてです。
 来年4月に開館が予定されている拠点文化施設については、老朽化した福岡市民会館を建て替え、文化の拠点にするというものであり、今回条例案は、その名称を福岡市民ホールとするためのものであります。
 須崎公園に建設中の拠点文化施設の位置づけについては、本条例において、多彩な舞台芸術の公演及び多様な市民の文化芸術活動等の場を提供することにより、本市における文化芸術の振興及び文化芸術を通じた交流の促進を図り、もって心豊かな市民生活の実現と都市の魅力向上に寄与するために設置すると掲げられております。しかし、劇場、音楽堂等の活性化に関する法律、いわゆる劇場法で掲げる無形の文化遺産である実演芸術を守り育てる観点や必要な人材の育成などの観点は見受けられません。
 そこで、新たな拠点文化施設は、劇場法が定める劇場や音楽堂としての位置づけをしていないのか、お尋ねいたします。
 本施設については、多くの市民がそのオープンを心待ちにしてきたものであり、運用についても、市民が納得し、喜ばれるものにしなければなりません。
 そこで、この拠点文化施設の設計、運営方針等について、実際に利用を希望している地元の文化、演劇団体関係者や専門家の意見をどのように反映させてきたのか、今後、オープンを経て、日常的に利用当事者の意見を運営に反映させる仕組みについてどうするのか、御所見を伺います。
 本市に決定的に不足している公的中規模ホールの一つとして今回整備される中ホールに対しては、少なくない市民が特段の期待をしています。2016年度末に、当時の少年科学文化会館における764席の貴重な中規模ホールが、福岡市科学館への改変の際に多くの市民の反対を押し切り廃止されたからです。「子どもたちに豊かな文化を」として重要な役割を果たし、少文ホールとして子どもから大人まで親しまれていたホールの代替施設が待ち望まれてきたのです。
 そこで、拠点文化施設の中ホールは、少年科学文化会館のホールの役割と機能を継承するものになるのか、答弁を求めます。あわせて、少年科学文化会館ホールと新たな中ホールについて、同じ条件、時間帯における使用料の比較並びに減免規定に違いはあるのか、説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 物価高に係る支援給付金についての御質問にお答えいたします。
 物価高につきましては、賃上げなどの動きが見受けられるものの、賃金上昇が幅広く波及するまでには一定の時間を要することなどから、家計への影響が生じているものと認識しております。
 次に、給付金の対象や金額等につきましては、国から示された内容に沿って、住民税非課税世帯に1世帯当たり3万円、そのうち子育て世帯については、子ども1人当たり2万円を加算して支給することとしており、国から制度の詳細が示され次第、速やかに支給できるよう準備を進めてまいります。また、事業の実施手法については、業務委託により実施したいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 支援給付金についての御質問にお答えします。
 国の重点支援地方交付金を活用した追加の経済対策につきましては、国の補正予算成立後に示される福岡市への交付額などを踏まえ、検討してまいりたいと考えております。なお、住民税非課税世帯への給付金につきましては、国から一定の条件が示されていることから、できる限り速やかな給付に向けて補正予算案を提出いたしたものでございます。以上です。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画についてお答えいたします。
 まず、貧困対策については様々な施策に関わるものと考えておりますが、例えば、施策1−3、すべての人が安心して暮らせる福祉の充実や、施策2−2、困難を抱える子どもや若者を支え、誰もが健やかに成長できる社会づくりなどにその理念を反映しているものと考えており、その実現に向けた具体的な取組については、基本計画の方向性に沿って策定する政策推進プラン等で検討してまいります。
 次に、ジェンダー平等については、施策1−1、多様な市民が輝くユニバーサル都市・福岡の推進の中で、性の違いなどにかかわらず、全ての人に優しいまちの実現を目指し、インクルーシブなまちづくりや男女共同参画の推進などに取り組むことを掲げており、数値目標については、政策推進プラン等で検討してまいります。
 また、総合計画審議会では、パブリックコメントにおいて、女性の活躍の文言を男女共同参画やジェンダー平等などの文言に修正したほうがいいのではないかなどの御意見をいただいたことを踏まえ、御審議いただきました。その中で、男女共同参画という言葉は英訳する際にはジェンダーイクオリティーという言葉が用いられており、男女共同参画とジェンダー平等は同義であるという認識の下、関連法令や組織の名称などで男女共同参画が広く使われ、共通認識として一定浸透していることなどを勘案し、男女共同参画の文言を取り入れることとされたものでございます。
 次に、都市の成長の取組については、日本全体で人口減少が進み、福岡市においても2040年頃には人口減少局面に転じると見込まれる中で、市民生活の質を持続的に高めていくためには、地域経済の活性化を図りながら、生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環をつくり出していく必要があると考えております。
 次に、数値目標については、第9次基本計画において、指標の設定に課題があったことなどを踏まえ、第10次基本計画では、全ての分野別目標で市民意識をはかることにより、目標全体の進捗に対する市民の実感を大切にするとともに、各施策、事業における客観的なデータ等については政策推進プランに位置づけ、社会の変化にも柔軟に対応しながら基本計画と政策推進プランを一体的に推進していくものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 拠点文化施設についての御質問にお答えいたします。
 まず、拠点文化施設につきましては、劇場、音楽堂等の活性化に関する法律、いわゆる劇場法を踏まえ、舞台芸術の公演や市民の文化芸術活動等のための場の提供に加え、公演を企画、実施することや多様な主体と連携し共働することで社会課題の解決に貢献することなどに取り組むこととしております。
 次に、地元の文化、演劇団体関係者や専門家からの意見については、基本計画の策定の際に伺っておりまして、それらの意見を踏まえ、PFI事業の要求水準を作成し、事業者に提案を求め、その実現を図ることとしております。また、開館後は、施設利用者へのアンケートや毎年度行うモニタリングを通して、ニーズの把握とサービス改善に努めていくこととしております。
 次に、拠点文化施設の中ホールにつきましては、少年科学文化会館と同規模の約800席のホールを整備するものでございます。また、施設使用料についてでございますが、平日夜間18時から22時までの使用料で申しますと、拠点文化施設の中ホールが4万4,000円、少年科学文化会館が2万5,000円、土日祝日の終日使用料で申しますと、拠点文化施設の中ホールが10万5,600円、少年科学文化会館が5万円となっております。
 最後に、減免の要件と割合についてでございますが、拠点文化施設では、本市または公益財団法人福岡市文化芸術振興財団が主催するときは5割減免、本市または同財団が経費の一部を負担して共催するときは2割減免となっております。少年科学文化会館では、本市が主催し、または経費の一部を負担して共催するとき、本市の教育委員会の所管に属する学校その他の教育機関がその行事に利用するときは10割減免、本市が経費の一部を負担して後援するとき、18歳未満の者を主体とする団体が利用するとき、市長が青少年の健全育成を図ることを直接の目的とした催物であると認めるときなどは5割減免となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) まず、給付金についてです。
 物価高騰の影響について局長は、一定の影響はあるということを認められたものの、その深刻さには言及されませんでした。捉え方が甘いと言わなければなりません。この物価高騰は、とりわけ低所得者世帯に大きな打撃となっています。生活保護世帯や非課税の年金生活者では、保護費や年金収入は実質減り続ける中、襲った物価高騰の影響で、暑くてもエアコンはつけない、外出は極力控えるなどが珍しくない状況へと追い込まれ、憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活は到底保障されておりません。
 局長の答弁によれば、今回の緊急支援給付金については非課税世帯に1世帯3万円、対象世帯に子どもがいれば、1人につき2万円ずつ上乗せされるとのことですが、これでは非課税世帯の経済的困窮を打開するものには程遠いと思いますが、御所見を伺います。
 給付スケジュールについては、国が基準日を示すのを待ってからと悠長な考え、これを示されました。国が示してからだと。その人ごとの姿勢は問題です。この時期は年越しに様々な出費がかさむ時期であり、早急に対象者の手元に届ける必要があります。
国の決定を待たなくても、市の判断で年内、もしくは年明け早々に給付する手だてを取る必要があるのではありませんか、御所見を伺います。
 給付の対象については、これまでのほとんどの給付金と同様、今のところ非課税世帯に限るとのことですが、物価高騰の影響を受けているのは非課税世帯ばかりではありません。本市のホームページで確認すると、給与収入が100万円を超えるところから住民税は課税される。つまり、例えば、パートなどで月々の収入が9万円しかなくても課税世帯となり、今回の給付金の対象から外されます。病気や災害で親を亡くした子どもなどを支援しているあしなが育英会が今年7月に行った調査では、奨学金制度を利用している子どもの保護者のうち、9割を超える人が収入が物価上昇をカバーできていないと回答するなど厳しい現状が浮き彫りになりました。販売業の収入と遺族年金で月の収入が20万円前後というある母親は、昼食抜きで1日2食、入浴は2日に1回、こんな実態が明らかになっています。
これらは、非課税世帯のみを対象とする給付金では支援を必要とする多くの世帯を置き去りにすることを示しているのではないかと思いますが、御所見を伺います。また、このやり方は、これまで同様、非課税か課税かの違いによって機械的に対象者を選別するものであり国民の中に分断をもたらすやり方だと思いますが、御所見を伺います。
 給付方法については、またも民間大企業に業務を委託して行うとのことです。新型コロナが襲った最初の定額給付金10万円の際には、本市が当初約7億円で業務委託した株式会社パソナは、まともな仕事をせず給付時期を大幅に遅らせたため市職員まで動員された問題について、住民監査請求まで起きました。しかも、市からの委託費のうち、業務に従事した労働者に支払われるべき賃金分の多くが会社側にピンはねされていました。その他の各種給付金等の大規模業務委託においても数々の問題が浮き彫りになりました。
今回も大規模業務委託で進めるなら、給付の遅れや不適正な賃金での働かせ方が繰り返されるのではないか、御所見を伺います。
 国が示す給付金以外の推奨事業メニューについて、活用しない理由についての局長答弁、国が示していないからということでしたが、納得できるものではありません。国は8つのメニューとして、物価高騰に伴う負担軽減のための低所得世帯支援を既に上げています。非課税世帯以外への支援はこれを活用できます。また、子育て世帯への学校給食費等の支援も示されており、給食無償化に対する大きな要求を踏まえれば、活用しない手はありません。医療、福祉施設等への物価高騰分への支援も示されており、これも活用しないというのは理解できません。
これらの推奨メニューについても活用するよう補正予算に追加する手だてを取るべきではないか、御所見を伺います。
 次に、次期基本計画についてです。
 まず、貧困をなくすための数値目標や具体的方策が掲げられていないことについて、局長は、政策推進プランで示すと従前からの答弁を繰り返されました。しかし、基本計画の中に貧困という言葉さえなく、これをなくすも減らすも書かないというのは、国際的にも最も重要とされている基本的な指標を福岡市は無視しているということを内外に示すことになります。
 6月議会では、SDGsが掲げる貧困は所得下位40%のところであり、本市においては、年収300万円以下の世帯がこれに匹敵することを局長も認められました。この層の所得をどう成長させるか、各国、各自治体が掲げるべきというのがSDGsの要請です。この課題は、個々の政策で掲げればよいというものではなく、市政のあらゆる分野で貫く柱にしなければなりません。したがって、貧困をなくすという文言も数値目標も掲げない計画ならば基本計画足り得ないと思いますが、答弁を求めます。
 次に、ジェンダー平等についてです。
 文言も数値もない理由について、局長は、男女共同参画は政策推進プランで進めていくから記載していない。英訳すればジェンダーになるなどというお粗末な答弁をされました。これも国際的にはあまりにも遅れた認識です。局長の答弁では不十分でしたが、総合計画審議会の生活の質部会では、ジェンダー平等と男女共同参画の意味は違うので、ジェンダー平等の表現を入れるべきだという意見や、ジェンダーに関しては、性は多様であるという見方をすべきであり、具体的な施策の記載や提案をやってほしいという意見も出されています。
 我が党の堀内議員も同部会で、パブコメにジェンダー平等を書き込むべきという意見が見られることを示し、記載することを強く求めました。当事者をはじめとする市民の意見を無視することは許されないと思いますが、御所見を伺います。
 都市の成長路線をこのまま進めれば、市民生活は今以上に壊れていくという私の指摘には、局長はこれまでの答弁を繰り返されました。市民生活を直視しない姿勢にはほとほとあきれます。この路線で向上したのは、市民の生活の質ではなく大企業のもうけです。西鉄、福銀、九電工は内部留保を2から3倍に増やし、九電以外の七社会も同様だというのを私が6月議会で暴露したとおりです。これら地元財界関係者から、もうけの一部が政治資金パーティーなどで市長に還元され続けてきたというのが実態ではないですか。だからこの路線はおいしくてやめられない。これが、市長が都市の成長という名目で大型開発に突き進んできた理由であり、局長ら幹部はこれに追随し、市職員も従わされてきた。非常に憂うべき状況です。向こう10年間の客観的な数値目標についても、あれこれ理由をつけて掲げないのも生活の質を向上させる気がないからだと言わざるを得ません。
 このように、次期基本計画で市民の暮らしは顧みず、一部大企業と市長の利益を優先させる、さらなる10年間にすることは許されないと思いますが、御所見を伺います。
 次に、拠点文化施設についてです。
 局長は拠点文化施設について、劇場法にのっとって運営するという趣旨のことを答弁されました。しかし、いろいろ言い訳されましたが、結局、設計や運営等について利用当事者の意見は取り入れなかったし、これからも反映させる気はないということが明確になりました。アンケートやモニタリングでは、これは話になりません。劇場法では、個人を含め、社会全体が文化芸術の担い手であることについて、国民に認識されるように設置者や活動団体、芸術家等が相互に連携協力することをうたい、短期的な経済効率性を一律に求めることのないようにと記されております。
 そこで、今回改定予定の拠点文化施設条例にもこれらの観点を加える必要があるのではないか、御所見を伺います。
また、新たな中ホールが少年科学文化会館ホールの役割と機能を継承するものになるのかについては明言できませんでした。そもそも少年科学文化会館は、1971年5月5日、こどもの日のプレゼントとして足かけ3年の工事を経て少年文化会館としてオープンし、子どもたちをはじめ、多くの市民から大歓迎されました。舞台設備や座席の仕様も子どもの演劇鑑賞にふさわしいものとされたため、年間を通して児童演劇や音楽発表会等で高い利用率を保っていました。本来、この機能を失わないように現地での建て替えか、移転建て替えが求められたものを、島市長は六本松に科学館のみを移転し、文化ホールの廃止を強行しました。その際には、新たな拠点文化施設の整備検討などにおいて、全市的なホールについて検討すると答弁されていたのです。しかし、新たな中ホールについては、子どもの視点は外され、児童演劇等の鑑賞団体である子ども劇場や地元の劇団等文化団体の声も生かされず、少文ホールとは似て非なる、ただの貸し館にされようとしております。
少文のホールに親しみ、その存続を願った子どもや文化関係者の期待をこのまま裏切ることは到底許されないと思いますが、答弁を求めます。
 使用料の比較については、答弁されたとおり、土日祝日の全日利用や平日の18時から22時までの利用など、子ども劇場等子どもを主体とする団体が利用する頻度が高い時間帯では新たな中ホールは少文ホールの2倍近くになっています。減免規定は基本的に変わっていないため、これらの団体が負担する額は従前の約2倍となります。また、別に調べたところ、現市民会館の大ホールと新たな大ホールとの比較でも、一般利用で1.7倍と高くなっています。
これでは、新たな施設は拠点文化施設という掛け声とは裏腹に、使用料の大幅な引上げによって利用できない団体が出てくるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 支援給付金についての御質問にお答えいたします。
 給付金の対象や金額等につきましては、物価高や家計の状況等を踏まえ、国において適切に設定されているものと考えております。
 次に、給付のスケジュールにつきましては、国から制度の詳細が示され次第、一日でも早く支給できるよう準備を進めてまいります。
 次に、給付金の対象等につきましては、本給付金は非課税世帯への支援として国から一定の条件が示され全国的に実施されるものであり、国において適切に制度設計されているものと考えております。
 次に、業務委託により実施することにつきましては、民間のノウハウを活用することにより、短期間で確実な業務遂行が期待できるものと考えております。従事者に対しては相応の賃金が支払われるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 支援給付金についての御質問にお答えします。
 国の交付金を活用した追加の経済対策につきましては、国の補正予算成立後に示される福岡市への交付額などを踏まえ、市として取り組むべき内容を十分に検討した上で議会にお諮りしてまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画についてお答えいたします。
 まず、貧困対策については、福祉の充実など関連施策にその理念を反映しており、数値目標については、政策推進プランや分野別計画の中で検討してまいります。
 次に、ジェンダー平等については、パブリックコメントで市民の皆様からいただいた御意見などを踏まえ、総合計画審議会で御審議いただき、男女共同参画の推進など、関連施策にその理念を反映しております。
 次に、都市の成長の取組については、その成長の果実により、市民の生活の質をさらに高めていくものであり、生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環に向けて市政を着実に推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 拠点文化施設についての御質問にお答えいたします。
 まず、劇場法で定める観点につきましては、様々な主体と連携し共働を図る運営体制とすることをPFI事業の要求水準に記載し事業者に提案を求めており、その実現を図ることとしております。
 次に、拠点文化施設では、市民会館の役割を継承する約2,000席の大ホールに加え、少年科学文化館会館と同規模の約800席の中ホール、最大150席の椅子席の配置が可能な文化活動・交流ホールを整備することといたしておりまして、市民の文化芸術活動等の場として御利用いただきたいと考えております。
 最後に、拠点文化施設の利用料金については、福岡サンパレスや他都市の類似したホールの料金を参考にその上限額を設定しております。なお、減免については、市民会館の規定と同じ要件としているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 非課税世帯給付金について、局長は十分か不十分かについては明言されませんでした。しかし、これでは足りないことは明瞭です。電気代、ガス代の政府補助金は、今年6月、7月、11月、12月は打ち切られたため跳ね上がりました。米の価格も上昇するなど、家計は打撃を受け、さらに、年が明ければ、パン製品約1,200品目をはじめ、4月までに約4,000品目が一斉値上げされる見込みであり、負担増は続きます。1世帯3万円ではすぐになくなってしまうというのが当事者の声であり、市独自に上乗せすべきです。
 給付時期については一刻も早くと言われましたけれども、この緊急性を分かっておられないですね。年越し費用に充てられるようにするためにも、国がこれは補正予算を通す見込みですけれども、それを待たずして基準日を独自に想定するなどして年内給付も可能な手だてを取るべきです。給付対象を非課税世帯に限定することについて、局長は、国がやること、適正だとの姿勢ですが、もともと困窮している低所得世帯全体をいかに支援するのかは重要な問題であり、国がやらないなら自治体として独自の経済支援策に踏み出すべきです。そもそも今回の財源となる物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金に掲げられている推奨メニューには、低所得のひとり親世帯への給付金なども示されています。活用しない手はありません。まだこれは額が分からないからというのは、活用しない理由にはなりません。なぜなら、非課税世帯給付金分の4,908億円を上回る6,000億円分が推奨メニュー分として既に閣議決定されており、有効に活用してほしいという通知まで来ているからです。これは局長、御覧になっていないですかね。
したがって、給付金は非課税世帯以外の低所得世帯にも対象を広げ、市独自に金額上乗せを行うとともに、早急に届ける手だてを取るべきだと思いますが、御所見を伺います。
 また、国の推奨メニューも最大限活用し、学校給食無償化、新たな事業者支援をはじめ、本市でも実施実績がある下水道減免等に踏み出すことを決断し、今回の補正は増額するよう見直すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。
 あわせて、国に対して最も即効性のある消費税減税をはじめ、抜本的な賃上げ策、社会保障や教育に関する国民負担軽減など、総合的な経済対策を実施するよう求めるべきだと思いますが、市長の御所見を伺います。
 次期基本計画について、局長は、貧困をなくす課題もジェンダー平等を推進する課題も、いずれも記載することを拒否されました。市民生活を向上させ、人権を前進させるまともな数値目標も掲げない、審議会等で出された真摯な意見も市長の意に沿わないものは切り捨てるひどい姿勢です。その一方で、都市の成長は引き続き推進すると強弁されました。これまでの路線を踏襲し、天神ビッグバンや、博多コネクティッドはさらに推進、そして、今後新たにSmart Eastやウォーターフロントネクストなどの巨大開発や大型の交通体系づくり等に踏み出す構えです。これではこれまで以上に貧困格差が拡大するのは目に見えています。これはまさに、SDGsの掲げる持続可能な社会を目指す視点を実質無視し、真っ向から逆行するものであり、SDGsウォッシュとのそしりを免れません。本市をアジアの拠点都市どころか、世界の流れに取り残される孤立都市にしてよいのか、厳しく問われているのであります。
したがって、第10次基本計画については破綻したアベノミクスに基づく都市の成長路線と決別し、貧困打開、ジェンダー平等など、SDGsが掲げる項目と数値目標を明確に記載するものへと抜本的に見直す必要があると思いますが、市長の答弁を求めます。
 最後に、拠点文化施設条例についてです。
 局長は、新たな市民ホールについて、市民や文化団体の参画や連携など、市民が主役の運営や人材育成の場にする観点での条例改定、これは極めて曖昧な答弁をされました。子どもを主役に文化の発信地となっていた少文ホールの理念を継承させることについてもやる気がないことが浮き彫りになりました。少文の存在そのものも忘れておられるような答弁であります。2012年、少文ホールをなくさないでという切実な思いで請願署名を寄せた4万5,000人を超える子どもや市民の願いを何と心得るのか。本当にひどい態度です。使用料も引き下げるつもりがない冷たい答弁をされました。やはりあなた方は、市民ホールについて、国内や国外からの集客拠点、インバウンドのためのただの貸し館としか見ていないということがよく分かりました。口では劇場法にのっとって運営すると言いながら、やろうとしていることは全く違いますよ。この法律では、劇場、音楽堂等を文化的基盤と位置づけ、文化芸術を継承し、創造し及び発信する場であり、人々に感動と希望をもたらし、人々の創造性を育む文化拠点と規定し、個人を含め社会全体が文化の担い手として参加することや人材育成の重要性がうたわれています。この理念に沿えば、使用料についても、市民や地元の劇団、文化団体等が利用しやすい使用料に抑えることも必要です。運営手法として、民間企業の営利目的のためのPFI手法のままでよいのかということも問われてきます。
 したがって、新たな市民ホールについては、運営に地元の演劇、音楽などの関係者が日常的に参画できる仕組みをつくり、文化の発信、人材育成、社会包摂の場としての位置づけを明確にすべきではないか、答弁を求めます。
 また、新たな中ホールについては、少なくとも少文ホールと同等の使用料に引き下げるとともに、大ホールなど、その他の施設についても、現市民会館並みに引き下げるよう改定するとともに、地元の劇団や鑑賞団体等に対する減免制度を設ける規定を条例に加えるべきではないか、答弁を求めます。
 今回、市民ホールがオープンしても市内の中規模ホールが決定的に不足している状況に変わりありません。
そこで、中規模ホールのさらなる増設を進めるべきだと思いますが、市長の答弁を求め、私の質疑を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 国の経済対策につきましては、今まさに、税や社会保険の負担の在り方、物価高への対応などが議論されているものと承知をしております。福岡市といたしましては、これまでも国の交付金等を活用しながら、中小企業や介護施設等への光熱費支援、学校や保育所の給食費支援など、様々な経済対策に取り組んできたところであり、今議会におきましても、まずは迅速に支援が行き届くよう、低所得世帯への給付金の支給を提案いたしたものでございます。今後とも、国の経済対策や物価高の状況を踏まえ、必要に応じ国への要望を行うとともに、必要な施策に着実に取り組んでまいります。
 福岡市では、現在の第9次基本計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、まちづくりを進めております。これまでの取組の結果、人口は165万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入はコロナ前の令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し続け、令和4年度以降、再び過去最高を更新しております。この成長の果実を生かし、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに積極的に取り組み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高い評価をいただいているところでございます。この魅力あるまち福岡をさらに発展させ将来に引き継いでいくため、多くの市民の皆様の御意見を取り入れ、本議会で御審議いただいている第10次基本計画に基づき、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してしっかりと取り組んでまいります。
 拠点文化施設につきましては、多彩な舞台芸術の公演及び多様な市民の文化芸術活動等の場を提供することにより、本市における文化芸術の振興及び文化芸術を通じた交流の促進を図り、もって心豊かな市民生活の実現と都市の魅力向上に寄与するため、建て替え期を迎えた市民会館を継承する大ホールに加え、新たに演劇などの専門性にも対応できる約800席の中ホール、最大150席の椅子席の配置が可能な文化活動・交流ホールを整備することとしており、令和7年3月28日の開館に向けて着実に整備を進めてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、議案第205号から第208号、宅地造成等規制法の一部改正に伴い提案される諸議案について並びに議案第254号、第10次福岡市基本計画について、以上2点について質問してまいります。
 初めに、宅地造成等規制法の一部改正に伴う諸議案についてです。
 関連する議案第205号から第208号については、国の法改正に伴い、本市の既存の制度との整合性を保つ必要があることから、今定例会において提案されるものです。特に議案第207号については、盛土規制に関する条例を新たに制定するということでありますので、本日は特に議案第207号の福岡市宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例案を中心に質問を進めてまいります。
 そこで、まずお伺いいたしますが、改正された宅地造成及び特定盛土等規制法とはどういった法律であるのか、説明願います。
あわせて、本法律が定められた背景と経緯についてもお示しください。
 さて、その議案第207号ですが、議案書によれば、宅地造成及び特定盛土等規制法の施行に関し必要な事項を定める必要があることから、新たに条例を定めるとされております。
 そこで、法律が制定されたにもかかわらず、本市が独自に条例を制定する理由について、条例の趣旨や法律との整合性、条例内容の特徴などを踏まえつつ、より具体的にお示しいただきたいと思います。また、本市が定める条例は法律以上に何が加わるのか、詳細な説明をお願いいたします。さらには、本市独自の条例を制定するに当たり、どのような検討がなされてきたのか、お聞かせいただきたいと思います。また、本条例案を提案されるに当たり、パブリックコメントが実施されたと聞き及んでおりますが、どの程度の期間に何件の意見が集まり、その意見内容はどのようなものであったのか、加えて、それを受けての住宅都市局の所見をお聞かせください。さらには、本条例が制定されることで市民にどういったメリット、デメリットがあるのか、また、事業者に与える影響などもお示しいただくとともに、規制される側の事業者からはどのような意見があったのかについても、お聞かせください。
 さらには、議案書によれば、宅地造成及び特定盛土等規制法の施行に伴い、議案第207号以外にも関連する議案が提案されておりますが、どういった内容があるのか、お示しください。
 続いて、質問の2点目、第10次福岡市基本計画についてです。
 本計画は、今年度、総合計画審議会において、市民、有識者、議員による議論を経て市長に答申され、今定例会に上程されたものであります。私も今年の4月以降、福岡市総合計画審議会委員の一員として本計画の検討に関わってまいりました。総会、部会合わせて延べ11回にわたり活発な議論が積み重ねられたわけですが、各分野の有識者による率直な御意見をお伺いする機会を得たことは大変貴重なものであったと実感しております。加えて、今年の決算特別委員会においては、計画策定時における市民参加についても質問させていただきましたが、実に多くの市民意見を反映させてつくり上げられた計画であると理解しております。だからこそ、本計画がより実効的に機能しなくてはいけないと思いを強くしているところです。
 そこで本日は、第10次基本計画の今後の在り方を中心に順次質問をしてまいります。
 まずお尋ねいたしますが、改めて基本計画とは何であるのか、市政運営における位置づけと各種計画との関連性をお示しください。
 今年度までは、第9次基本計画の計画期間であり、第10次基本計画は来年4月1日からの施行ということになります。第10次基本計画については、社会の変化や市民意見を踏まえ、子どもたちへの支援や緑の充実などを重視した内容となっていることは理解しておりますが、そのような政策面以外で第9次基本計画と第10次基本計画の特徴的な違いは何であるのか、お伺いいたします。
 また、第9次基本計画は、福岡市基本構想と併せて、平成24年12月議会の議決を経て策定されました。以降今日に至るまで、本市はこの構想や計画に基づきまちづくりを進めてきたわけですが、第9次計画策定以降、どのような取組をされてきたのか、また、第9次計画が市政運営に与えた影響などをお示しください。
 また、それを踏まえた上で、第9次計画の総括などをどのように考えておられるのか、今後具体的な作業なども含め、お答えいただきたいと思います。
 以上で1回目を終わり、以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 盛土規制法に関する条例案に対する御質問にお答えいたします。
 宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法につきましては、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を指定するとともに、規制区域内で行われる一定規模以上の盛土等については許可等の対象となります。また、盛土等が行われた土地について、土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することを明確化するとともに、抑止力として十分機能するよう実効性ある罰則の措置が規定されております。
 次に、法制定の背景と経緯につきましては、令和3年7月、静岡県熱海市において、大雨に伴って盛土が崩壊し大規模な土石流災害が発生したことや各法律の目的の限界から、危険な盛土等に関する法律による規制が必ずしも十分ではないエリアが存在していることを踏まえ、令和4年5月に、土地の用途にかかわらず危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制するものとして盛土規制法が公布されたものでございます。
 次に、条例を制定する理由につきましては、盛土規制法では、条例等において、許可等の対象規模の強化や工事に係る技術的基準の追加などが可能とされております。このため、盛土等に係る他の条例での規制内容との整合を図り、事前手続や許可等の対象規模の強化などを定める条例を制定するものでございます。
 次に、条例で定める内容につきましては、許可等の対象規模の強化といたしまして、特定盛土等規制区域における許可の対象や中間検査及び完了検査の対象を政令で定める規模より小規模なものとしております。また、定期報告につきまして、法で定める報告事項より追加を行っております。あわせて、許可に先立って行う事前手続や長期間工事が完了していない案件に関する事項等を定めることとしております。
 次に、検討経緯でございますが、防災工学や地盤工学、法律等に関する外部有識者5名で構成する盛土に関する専門委員会を設置し、規制区域の指定や条例の制定などについて検討を行っており、これまでに委員会を5回開催しております。また、令和6年9月議会に条例案についての報告を行うとともに、パブリックコメントを実施し、議会をはじめ、市民や事業者等から御意見を伺いながら検討を進めてきたところでございます。
 次に、パブリックコメントにつきましては、令和6年9月から約1か月間、意見募集を行った結果、11通36件の御意見が寄せられております。事前説明について説明範囲が定められているが、より広範囲に説明を促すようにしてほしい、技術的基準の追加に併せ、技術的指針を明確にしてほしい、近年、土砂災害が頻発しているので、住民としては厳しく規制されるのはいいと思うなどの御意見が寄せられており、今後の運用に当たっての参考とし、生かしていくこととしております。
 次に、市民や事業者に与える影響などについてでございますが、市民にとりましては、所有する土地において盛土等を行う場合に手続が必要となりますが、許可等の対象規模の強化などを行うことにより規制の対象となる盛土等の範囲が広がることから、より市民生活の安全に寄与することになると考えております。また、事業者にとりましては許可等に係る手続が増えることにはなりますが、盛土等の安全確保のためには必要な手続であると考えております。なお、事業者からの意見といたしましては、技術的なマニュアルの整備に係る要望や手続に係る質問などが寄せられております。
 次に、関連議案の内容でございますが、議案第206号、福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案につきましては、開発許可制度における事前説明の対象である近隣住民に盛土規制法に基づく周知の対象である周辺住民を追加するものでございます。また、議案第208号、福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案につきましては、審査等の事務に係る手数料を徴収するため、条例を改正するものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 盛土規制法に関する条例案に関連いたします議案第205号、福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例、いわゆる土砂条例を廃止する条例案についてお答えいたします。
 盛土等への対応につきましては、盛土規制法に基づく規制に一元化を図るため、新たな条例の制定に合わせ、土砂条例を廃止するものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画についてお答えいたします。
 基本計画は、行政分野全般に係る政策の基本的な方向を総合的かつ体系的に定める長期計画として、福岡市総合計画に関する規則に基づき策定するものでございます。基本構想、基本計画、実施計画で構成される総合計画は、市政における最上位の計画であり、これに沿って各行政分野の計画等を定めております。
 次に、第9次基本計画と第10次基本計画の特徴的な違いについては、第9次基本計画において、指標の設定に課題があったことなども踏まえ、第10次基本計画では、全ての分野別目標で市民意識をはかることにより目標全体の進捗に対する市民の実感を大切にするとともに、各施策、事業における客観的なデータ等については、実施計画である政策推進プランに位置づけ、社会の変化にも柔軟に対応しながら基本計画と政策推進プランを一体的に推進していくこととしております。
 次に、第9次基本計画策定以降の取組とその影響については、第9次基本計画では、生活の質の向上と都市の成長の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに力を入れつつ、観光・MICEの振興や都心部の機能強化、スタートアップ都市づくりなど、都市活力を向上させるための施策にも積極的に取り組んでまいりました。この間、人口は増え続け、企業の立地や創業が進み、市税収入は高い水準で推移するなど、元気なまち、住みやすいまちとして評価されております。
 次に、第9次基本計画の総括については、令和5年度に10年間の振り返りを行った上で、この間の社会経済情勢の変化や課題などを整理し、第10次基本計画に反映しております。また、令和6年度末の計画期間終了後、実施状況を取りまとめ、総合計画審議会及び議会への報告を行い、そこでいただいた御意見を市政に反映してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、2回目です。
 まず、宅地造成等規制法の一部改正に伴う諸議案について。
 これは、令和3年7月に発生した静岡県熱海市の盛土崩落事故を受け、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制することを目的として、それまでの宅地造成等規制法が宅地造成及び特定盛土等規制法に改正されたことに由来するといったこと。本市では、盛土等に係るほかの条例での規制内容との整合性を図るため、事前手続や許可などの対象規模の強化などを定めるため、条例を制定するといったことでありました。あの熱海の事故は、土石流が住宅街を飲み込みながら流れていくという衝撃的な映像の影響もあり記憶にある方も多いと思いますが、犠牲者28名という甚大な被害を出した事故でありました。
 この土砂災害事故を制度上の問題として考えてみますと、従来、土地の開発は、宅地造成等規制法、森林法、農地法などによって規制されておりましたが、宅地、森林、農地のいずれにも当たらない盛土の造成工事は法規制の対象外でありました。また、規制区域外の土地には宅地造成工事の規制はなく、規制区域内の土地に対する規制をする場合にも規制する行為は宅地を造成する場合の土地の形質の変更であって、単なる土捨てや一時的堆積は対象外でありました。つまり制度上、これまでの各法律には大きな規制の隙間があった状況だったと言えると思います。
 したがって、その規制の隙間を埋めるために新たな法律及び条例で事業者に対し全国一律的に規制をかけるということは理解できるところであります。しかしながら、規制をかける以上は、合理的な理由と実効性が担保されたものであることが必要と考えます。
 その視点を踏まえ、ここからは、議案第207号、特定盛土等規制法施行条例案、本条例について具体的にお伺いしていきたいと思います。
 まず、私もこの質問に先立ち、福祉都市委員会に提出された過去の報告資料も確認させていただきました。それによりますと、本法律の概要として、新たに規制区域を指定するとともに、規制区域内における一定規模以上の盛土等については、擁壁の構造などの基準等に適合しているか確認を受けることが必要になると、そういった記載がありましたが、そこでお尋ねいたします。
この規制区域の指定とはどのようなものであるのか、お示しください。
また、本市においてどのような判断基準で、どの程度のエリアが規制区域となるのかお示しいただくとともに、住民に与える影響などについても御所見をお聞かせください。
 さらには、現時点で本市内に該当する盛土等は何か所程度、そして、どれぐらいの広さに及んでいるのか、さらには、その地域に既に建設されている住宅などは何棟あるのか、お示しいただきたいと思います。
 加えて、今回の法整備及び条例制定により、旧基準による盛土の上に建つ住宅等に対し、何がしかの措置は講じられるのか、御答弁願います。
 その上で、その措置により熱海のような事故は福岡市で発生しないと断言できるのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 1回目の御答弁によれば、本市が独自に条例などを制定する理由として、許可等の対象規模の強化や工事に係る技術的基準の追加等が可能とされているといったこと。具体的には、許可等の対象規模の強化、定期報告の報告事項の追加を挙げておりました。これを条例に照らし合わせますと、第3章、宅地造成等工事規制区域内における盛土等に関する工事の規制、第4章、特定盛土等規制区域内における特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の規制、この2つに該当するものと思われます。つまりは、法律以上に厳しい基準を条例で設けるものと私は理解しておりますが、そこで、本条例案の第3章及び第4章について、法律と比較して本市独自にどういった強化がなされているのか、数字の根拠も示しつつ、分かりやすく御説明ください。
 本条例案は、法律で独自に条例を制定することができるとされていることから、各自治体の任意により制定されるといった立てつけになっております。事前の説明によりますと、条例を制定しない自治体もあるとのことであり、そのような中、本市は独自に制定するという判断をしたことになりますので、その条例内容について少々細部にわたって確認していきたいと思います。
 まず、条例案第3条について。
 こちらでは、宅地造成、特定盛土等又は土砂の堆積に関する工事の内容について、市長と協議する旨が定められておりますが、どういった協議を想定しているのか、お示しください。
 続いて条例案第4条及び第5条について。
 こちらでは、工事に関する標識の設置と工事内容を周辺住民へ説明することが義務化されておりますが、周辺住民とはどの範囲の住民を指すのか、お示し願います。
 さらには、標識設置の具体的効果をどのように考えているのか、御所見をお願いいたします。
 また、住民説明とはどのようにされるものか、手法についても御答弁願います。
 さらには、その条例案第5条の3項についてですが、「周辺住民は、工事主から事前説明の申出があったときは、これに応じなければならない」と住民に義務を課しておりますが、これはどういった理由によるものなのか、説明願います。また、住民に拒否する権利はないのかも併せてお尋ねいたします。
 続いて、条例案第6条について。
こちらは事業者と住民間との紛争に関する項目となっております。熱海の事故も受けて盛土に対する市民の意識も高くなっている中、当然ながら、地域によっては紛争に至ってしまう場合も想定されるわけですが、本条例案を見る限り、規定として弱いのではないかとの印象を受けております。
 さらには、行政は事業者に措置を講じるよう指導、勧告することができるとしているものの、行政が主体的に何をするのか、例えば、事業者と住民の間に立ち調整するなどの明確な規定はありません。この点について当局はどのようにお考えか、御所見をお伺いいたします。
 さらには、本条例案には、条例に違反した場合の罰則規定もありませんが、その理由について御説明ください。
 続いて、第14条について。
条例の適切な運用のために福岡市盛土等審議会を置くことが明記されておりますが、この福岡市盛土等審議会の役割、権限、構成など、詳細について説明願います。
 続いて、第10次基本計画についてです。
 基本計画の重要性や位置づけ、各種計画との関連性についてもお答えいただいたところでありますが、その御答弁のとおり、福岡市は各局において多くの計画や構想を策定しております。今の御答弁に従えば、本来は、まず市政の上位計画である基本構想と基本計画が策定され、それを受けて全局が計画に書かれていることをきちんと理解した上で各局のロードマップを策定するということになります。しかし、各局が策定する計画の策定状況などを見ますと、その時期には差もあるようです。
 各局が定める計画は、法定計画として計画期間などが法令によって定められているものもあり、今回の第10次基本計画の策定に合わせて一律に見直すことは困難な側面もあるかと思いますが、一方で、これで果たして第10次基本計画の理念、方針などが今後各種計画に反映されるのか、きちんと整合性が取れるのかの懸念も残ります。
 そこで、各局の計画は、今回提案されている第10次基本計画と今後どのように整合性を図っていくのか、説明願います。
 また、1回目の中でも申し上げましたが、第10次計画は、多くの市民、有識者の意見を取り入れながら作成された計画であります。今後大切なことは、この計画をきちんと市民に分かりやすく説明し、共有していくことかと思われますが、そこで、今後どういった方法で市民への周知などをしていくのか、具体的にお示しください。
 続いて、第9次計画と第10次計画との具体的な違いについて。1回目の御答弁で、分野別目標で市民意識をはかることにより、目標全体の進捗に対する市民の実感を大切にするとされておりました。ここの点については大変重要な視点であるのかなと。言わば、第10次基本計画の一番のポイントであろうかと私も個人的には思っておりますが、では、第10次策定に当たり、どのような手法により市民意識ははかられたのか、その属性なども含めてお示しください。
 あわせて、この市民意識を今後どのようにはかっていくのか、具体的な見通しがあればお示しいただきたいと思います。
また、本計画の進捗を測る指標は市民意識のみということになるのか、また、そうであれば、進捗を測るための補完的な指標について何がしかの考えはないのか、併せて、基本計画の下にひもづく政策推進プラン及び分野別計画の進捗評価との関係性についても分かりやすく御説明いただきたいと思います。
 また、第9次計画の課題として、指標の設定にあったと御答弁がありましたが、これはつまり、指標のサイズ感が合っていない、政策の一側面しか捉えられていないと、そういうこと、プラス社会経済状況の変化に対応できていないと、そういうことだと理解しておりますが、本計画は、今後10年間の市政運営の指針となる重要な位置づけにあるのと同時に、目まぐるしく変化する社会情勢にも機敏に対応できる計画であることも必要かと思います。つまりは、計画期間内での内容の改定なども選択肢としてあり得るのか、その点についても御所見をお聞かせください。
 以上で2回目を終わります。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 盛土規制法に関する条例案に対する御質問にお答えいたします。
 まず、規制区域につきましては、区域内で行われる盛土等に関する工事について規制等を行うため指定するものでございます。
 次に、規制区域の指定基準につきましては、国の実施要領に基づき、市街化区域や市街化調整区域における集落などのエリアを宅地造成等工事規制区域に、それ以外のエリアを特定盛土等規制区域に指定し、市全域を対象とすることとしております。また、住民に与える影響につきましては、盛土等を行う場合の手続が加わることになりますが、許可等により盛土等の安全性の確保が図られるものと考えております。
 次に、盛土等の状況についてでございますが、3,000平方メートル以上等の大規模盛土造成地で申しますと、市内に620か所、総面積は約725ヘクタール、調査時の令和元年時点で、住宅をはじめとした建物は約1万5,500棟となっております。
 次に、規制区域内の既存盛土等につきましては、法において、調査の実施や災害防止のため必要な際の所有者等への勧告や命令などが規定されております。さらに、命令に違反した場合の罰則として、1年以下の懲役または300万円以下の罰金が定められております。
 次に、災害防止につきましては、既存盛土を含む規制区域内の盛土等に対し、災害防止のため、必要な際は法に基づき適切に対応してまいります。
 次に、条例での上乗せ事項につきましては、本市の土砂条例の許可対象との整合を図るため、特定盛土等規制区域における許可及び中間検査などの対象規模について、法で定める盛土等の面積が3,000平方メートルを超えるものを1,000平方メートルに強化するとともに、土石の堆積の高さ5メートルを超えるものについて全てを対象にしております。また、定期報告事項につきましては、安全対策の実施状況の確認を行うため、法で定める事項に国の防災マニュアルに基づき基礎地盤の状況や防災措置の状況などについて追加をしております。
 次に、事前協議につきましては、盛土等の許可に当たり、審査を円滑かつ効率的に進めるため、既存の開発許可と同様に、許可申請に先立ち、関係部局等において盛土等に関する協議、調整を行うものでございます。
 次に、周辺住民につきましては、国の技術的助言において影響が想定される範囲が例示されており、これに基づき設定しているものでございます。例えば、平地での盛土の場合は、盛土の境界からの水平距離が盛土の高さの2倍の範囲、かつ敷地境界から水平距離15メートルの範囲となっております。
 次に、現地の標識設置につきましては、土地の所在地や盛土等の規模及び事業者等について掲載することにより、周辺住民に対し盛土等の計画を周知するものでございます。
 次に、事前説明でございますが、法において義務づけられている説明会のほか、原則、面談で行うこととしている個別説明がございます。
 次に、周辺住民に対し事前説明の申出に応じるよう定めることにつきましては、住民の拒否権についての定めはございませんが、盛土等の計画について、事業者と住民双方の理解を促すためのものでございます。
 次に、事前説明に当たっての行政の関わりについてでございますが、条例案では、事業者に対し住民周知の状況報告を求めることとしております。また、条例に基づく手続を履行しない場合、周辺住民との紛争を予防するために必要な措置を定めており、条例に基づき適切に対応してまいります。
 次に、罰則規定でございますが、条例案では指導及び勧告はございますが、罰則規定については法により規定されております。
 次に、盛土等審議会につきましては、法に基づく監督処分や盛土等に関し必要と認めるものについて審議を行うこととしており、委員から専門的な知見に基づく意見を聴取するものでございます。委員については、地盤工学や法律等に関し学識経験のある者で構成することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画についてお答えいたします。
 まず、第10次基本計画と分野別計画の整合性については、第10次基本計画の策定に当たり、当初から全庁で連携して取り組んでおり、基本計画の検討状況を踏まえながら、その方向性に沿って各局で分野別計画の検討を進めております。
 次に、第10次基本計画の市民への周知については、計画の概要を分かりやすくまとめた資料を作成するとともに、ホームページ、市政だよりを活用した情報発信や公共施設における資料配布など、様々な方法で取り組んでまいります。
 次に、市民意識の調査方法については、令和6年9月に住民基本台帳から無作為に抽出した18歳以上の市民4,500人を対象として調査票を郵送し、郵送またはオンラインで回答いただいております。その調査結果は第10次基本計画に初期値として掲載しております。
 次に、市民意識の今後の調査については、毎年度、今回と同様の手法により調査を行い、調査結果の推移を把握、分析しながら、必要な施策を講じてまいります。
 次に、計画の進捗評価については、基本計画に掲げる市民意識と併せて、各施策、事業の進捗を測る客観的なデータ等を政策推進プランに位置づけ、これらの指標の推移を総合的に評価することにより基本計画と政策推進プランを一体的に推進するとともに、各分野別計画についても、関係局と連携して進捗管理に取り組んでまいります。
 次に、計画の改定については、基本計画は10年間にわたる市政の大きな方向性を定めるものであり、策定後の社会経済情勢の変化に対しては、毎年度の予算編成や4年ごとに策定する政策推進プランにおいて迅速に対応していくことが基本であると考えておりますが、特に著しい社会経済情勢の変化等により方向性を大きく見直す必要が生じた場合においては、基本計画改定の可能性についても検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 3回目です。まず、宅地造成等規制法の一部改正に伴う諸議案についてであります。
 今回の条例制定に当たっては、熱海の事故の反省、教訓から法律が改正されることとなり、さらに、本市は独自に条例を定めることにより一層の強化策を講じたということであります。その経緯と背景、さらには、条例の詳細について、例えば、事業者の責務でありますとか、住民の義務、罰則規定など、実効性を確認するために様々な角度からお伺いさせていただきました。特に以前の法制度の問題でありました、先ほど申し上げましたけれども、法の隙間について、市街化区域や市街化調整区域における集落などのエリアは、宅地造成等工事規制区域、それ以外のエリアを特定盛土等規制区域としまして、本市全域が規制区域として指定されることから、効果は期待できるのかなと感じているところです。
 一方で、幾つかの懸念点も見えてきたと思っております。
 そこで、この3回目の質問では、その懸念点を整理しつつお尋ねをしていきたいと思います。
 第1の懸念として挙げられるのが、既存の、しかも、住宅や太陽光パネルなどが既に建っている場所の盛土についてです。
 御答弁によれば、盛土面積が3,000平米以上等の大規模盛土造成地が市内に620か所、面積は約725ヘクタール、令和元年時点での住宅は約1万5,500棟に上ることが明らかになりました。今後、この基準が1,000平米まで下がった場合、果たしてこの数字がどこまで増えるのか、想像し難いものもあります。旧基準による盛土の上に建つ既存の住宅等に対し、何がしかの措置は講じられるのかについてもお尋ねをいたしましたけれども、御答弁では、既存盛土等については法において既存盛土等調査を実施する、災害防止のため必要があるときは所有者等へ必要な措置を取るよう勧告や命令ができるとされておりました。しかしながら、本市が持つリソースでこの対応が十分果たせるのか、本条例が実効的なものとなり得るか否かはその点にかかっているのかなと感じております。
 以上を踏まえた上で、今後、本条例の適切、効果的な運用に当たっては、国や県、そして、地域の自治会などとの連携が極めて重要になるかと思われますが、今後どのような連携体制を取っていくのか、この点についての御所見をお尋ねいたします。
 第2に、本市の人材や費用面の確保についてです。
 新たな条例、規則を運用するに当たっては、その調査体制、事業者への指導、勧告、これを的確に実施していくには、相当な知識、経験を有した土木職員などが不可欠であり、人材確保も重要な課題であるかと思われます。
 そこで、本条例の実効的な運用をしていくための人材確保について、現状はどのようになっているのか、併せて今後の見通しはどうか、御説明願います。
 また、本条例は国の法律改正に伴い、新たに制定される条例であるということは再三申し述べてきたところでありますが、それに伴い本市の事務的作業も増えるであろうと思われます。また、盛土の調査費用などの予算面も気になるところです。
 そこでお尋ねいたしますが、今後、本条例を運用するに当たって国からはどのような支援があるのか、御答弁願います。
 最後の懸念点でありますが、事業者と住民との紛争に関する点であります。
 この条例は許可申請に関わるものであり、紛争予防に関する条例ではないということでありますので、紛争に関しての規定がないということは一定の理解はいたしますけれども、そうであるならば、盛土等に関して、地域住民と事業者との間で紛争が起きた場合、どのような対応をしていくのか、何の法的根拠に基づき解決策を導き出すのか、明らかにしていただきたいと思います。
 以上、これまでの議論を踏まえ、懸念点、課題点も挙げさせていただきましたが、最終的には熱海のような事故が本市で決して起こることがないよう強く願うところです。
 そこで、この質問の最後に、本条例を確実に効果的なものとして本市内で盛土等による土砂災害が決して発生しないよう強い決意を持って取組を進めていくことを求めるところではありますが、改めて局長の決意をお伺いしまして、宅地造成等規制法の一部改正に伴う諸議案についての質問を終わります。
 続いて、第10次基本計画についてです。
 第9次基本計画と比較して今回の第10次基本計画との大きな違い、ポイントは、繰り返しになりますが、市民意識を重要視した点にあると思っております。基本計画という市政運営をしていく上での指針となる計画について、むやみに改定されることは好ましくないという考えがある一方、グローバル化が進展し、外的要因や世界情勢に基礎自治体も大きな影響を受けざるを得ない状況にあることを鑑みれば、基本計画に必要以上に固執することなく、柔軟に対応していくことも念頭に置いておく必要があるかと考えます。
 当局としても、特に著しい社会経済情勢の変化等により、方向性を大きく見直す必要が生じた場合は、基本計画改定の可能性も検討していくと答弁されておりました。まさに、行政サービスの提供者として、市民ニーズがどこにあるのか、そして、市民生活の現況はどうか、その実態を把握することに努めるとともに、スピーディーに施策に反映させる体制を構えておくことが肝要と考えます。
 そういった認識に立てば、市民意識調査は政策決定をしていく上で大きな判断材料となり得るわけですが、その市民意識調査について、2回目の中でお伺いしたところ、調査を毎年行い、分析の上、施策に反映していくとしている、そのようにされる一方で、調査手法、対象については、今回と同様と御答弁されておりました。
 今回の第10次基本計画策定に当たって実施された市民意識調査は、市内在住者4,500人が対象ということでありましたが、本市は人の流れも盛んであり、他都市在住で本市に通勤・通学している方、観光、ビジネスで本市を訪れる方、こういった方々が非常に多い都市でもあります。市政を運営していく上で、より精度と確度の高い市民意識調査を求めるならば、こういった方々の意識も無視はできないであろうと考えるところですが、そこで、今後の市民意識調査に当たってはこういった方々も対象に加えるべきではないかと考えますが、御所見をお聞かせください。
 最後、まとめに入りますが、これは総合計画審議会でも多くの委員が発言しておられましたが、この計画はつくって終わりではないということであります。まずは、職員が確実に本計画の重要性を認識した上で、市民に向けてしっかりと発信、共有をすること、そして、立場の違う様々な人、団体などを巻き込みながら、福岡市の総力を挙げて目標の実現に取り組むことが必要です。
 そこで最後の質問ですが、第10次福岡市基本計画を推進していくに当たり、改めて市長の決意をお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 盛土規制法に関する条例案に対する御質問にお答えいたします。
 国や県等との連携強化につきましては、これまで県を中心とした連絡調整会議や国を中心とした九州ブロックの連絡会議により協議、調整を行っております。今後も国や県と連携し、取組を進めてまいります。また、既存盛土等調査などを行う際には、必要に応じて地域の協力を得ながら実施してまいります。
 次に、本条例の運用に当たっての人材確保につきましては、令和5年度から、土木や建築技術職員から成る担当部署を新設し、盛土規制法に関する業務を行っております。今後も業務の推進に必要な体制の確保に努めてまいります。
 次に、国からの支援につきましては、法に基づく許可等の運用に関する助言とともに、既存盛土等調査における費用の一部補助がございます。
 次に、紛争への対応につきましては、条例に基づく手続を履行しない場合、周辺住民との紛争を予防するために必要な措置を定めており、条例に基づき適切に対応してまいります。加えて、紛争解決は、事業者と地域住民双方の歩み寄りと協力によって実現されるものと考えており、双方の話合いの推進に努めてまいります。
 最後に、今後の取組につきましては、現在、令和7年5月の施行に向け、盛土規制法に基づく規制区域の指定や条例の制定、また、既存盛土等の調査を実施し、盛土等の安全性を確保するための取組を進めているところでございます。引き続き、市民や事業者に対し周知、啓発を行いながら、盛土等に伴う災害防止に向け、法及び条例に基づき適切に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画に掲げる市民意識の調査対象については、引き続き住民基本台帳から無作為に抽出した18歳以上の市民を対象として調査を行ってまいります。
 また、各政策分野においては、必要に応じて来訪者へのアンケート調査なども実施しており、そうした調査結果なども総合的に分析、評価しながら、基本計画を着実に推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、現在の第9次基本計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、まちづくりを進めております。これまでの取組の結果、人口は165万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入はコロナ前の令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し続け、令和4年度以降、再び過去最高を更新しております。この成長の果実を生かし、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに積極的に取り組み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高い評価をいただいているところでございます。この魅力あるまち福岡をさらに発展させ、将来に引き継いでいくため、多くの市民の皆様の御意見を取り入れ、本議会で御審議いただいている第10次基本計画に基づき、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時47分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 皆さんお疲れさまです。無所属の森あやこです。私は議案第205号、福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例を廃止する条例案、議案第206号、福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案、議案第207号、福岡市宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例案、議案第208号、福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案、議案第210号、福岡市空家等の適切な管理に関する条例の一部を改正する条例案について質疑を行います。午前中の田中たかし議員と重なる部分がありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、議案第205号ないし208号に関連し、質疑を行ってまいります。
 これらの条例案については、昨年5月26日に宅地造成及び特定盛土等規制法が施行されたことに伴うもので、この宅地造成及び特定盛土等規制法制定の背景として、2021年7月、静岡県熱海市で大雨に伴って上流部の盛土が崩落し、大規模な土石流災害が発生し、多くの貴い命や財産が失われた甚大な被害が起こったこと、そのほかにも、全国各地で人為的に行われる違法な盛土や不適切な工法の盛土の崩落による人的、物的被害が確認されるなど、宅地造成、特定盛土等または土石の堆積に伴う災害の防止は喫緊の課題となり、危険な盛土等に関する法律による規制が必ずしも十分でないエリアが存在していること等を踏まえ、災害の教訓として、盛土等に伴う災害の防止に向けた対応への取組強化を図るための法制定であり、それに伴い、議案として上程されたものです。
 そこでまず、宅地造成及び特定盛土等規制法の概要について説明を求めます。
 次に、それぞれの条例案の概要について説明を求めます。
 また、福岡市において、過去、盛土等の許可された件数と今まで許可したもので盛土等の崩壊による災害の発生はなかったのか、お尋ねいたします。
 また、2021年度に発生した静岡県熱海市の土石流災害を受けた、盛土による災害防止に向けた総点検の県内の結果をお尋ねいたします。
 次に、議案第210号、福岡市空家等の適切な管理に関する条例の一部を改正する条例案についてです。
 全国の空き家の数は年々増え続け、平成25年までに住宅総数と同じく空き家数も右肩上がりに増加しました。2014年11月に空家対策特別措置法が制定され、特定空家への対策が進められてきました。しかし、空家対策特別措置法が執行され、特定空家の基準を設けても空き家の増加は止まることなく、法律では特定空家への対応を厳しくしても対応には限界があったため、改正空家対策推進特措法が昨年公布され、所有者の責務を強化し、特定空家の除却だけでなく、活用や適切な管理も総合的に強化することが定められました。本条例改正案は空家等対策の推進に関する特別措置法の改正によるとしています。
 そこで、空家等対策の推進に関する特別措置法がどのように改正され、条例改正はどのように反映されているのか、説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 盛土規制法に関する条例案に対する御質問にお答えいたします。
 宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法につきましては、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を指定するとともに、規制区域内で行われる一定規模以上の盛土等については許可等の対象となります。また、盛土等が行われた土地について、土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することを明確化するとともに、抑止力として十分機能するよう、実効性のある罰則の措置が規定されております。
 次に、各条例案の概要についてでございますが、議案第206号、福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部を改正する条例案につきましては、開発許可制度における事前説明の対象である近隣住民に、盛土規制法に基づく周知の対象である周辺住民を追加するものでございます。議案第207号、福岡市宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例案につきましては、盛土規制法の施行に関し、事前手続や許可等の対象規模の強化など、必要な事項を定めるものでございます。議案第208号、福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案につきましては、建築基準法、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の改正及び盛土規制法の施行に伴い、条例を改正するものでございます。
 次に、空家等の適切な管理に関する条例案についての御質問にお答えいたします。
 空家等対策の推進に関する特別措置法につきましては、特定空家等の除却などのさらなる促進に加え、周辺に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化するため、令和5年に改正されております。法改正の主な内容としましては、放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家として管理不全空家等を新たに位置づけ、市町村長から指導、勧告ができるようになったことや、空き家等の活用や管理に取り組む空家等管理活用支援法人に関する制度が創設されております。今回の条例改正案につきましては、法に新たに位置づけられた管理不全空家等に関する規定と重複する部分などの整理を行うためのものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 盛土規制法に関する条例案への御質問にお答えいたします。
 まず、議案第205号、福岡市土砂埋立て等による災害発生の防止に関する条例、いわゆる土砂条例を廃止する条例案についてでございますが、盛土等への対応については盛土規制法に基づく規制に一元化を図るため、新たな条例の制定に合わせ、土砂条例を廃止するものでございます。
 次に、土砂条例に基づく許可件数につきましては、平成19年の条例制定以降、現在まで45件でございます。また、これまで許可した案件において盛土等に起因する災害は発生しておりません。
 次に、令和3年度の盛土による災害防止に向けた総点検につきましては、市内229か所を含む県内1,050か所で実施しており、直ちに大規模災害につながる危険な盛土は確認されておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) ありがとうございます。
 まず、議案第205号ないし208号に関連した質問です。
 本市において許可した45件の盛土等に起因する災害は発生していないとのこと。また、2021年度の盛土等総点検では、県内1,050か所で直ちに大規模災害につながる危険な盛土はないとのこと。そのうち、市内には229か所があったということで、今後、この管理に関して所有者等により適切に行われていくことも重要ということです。
 法では、先ほど御答弁されたように、災害の教訓が生かされるよう、都道府県知事等が宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定し、農地、森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とする等定め、隙間のない規制となりました。そして、盛土等の安全性の確保の点で、盛土等を行うエリアの地形、地質等に応じて災害防止のために必要な許可基準を設定し、許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、施工状況の定期報告、施工中の中間検査及び工事完了時の完了検査の実施等を定めています。責任の所在の明確化としては、盛土等が行われた土地について、土地所有者等が安全な状態に維持する責務を有することを明確化することとする等を定め、実効性のある罰則の措置として、罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可行為や命令違反等に対する罰則について、条例等による罰則の上限よりも高い水準に強化等されています。そして、この盛土規制法の施行に伴い、本市において、議案第205号では土砂条例を廃止し、議案第207号では盛土規制法の施行に関し、事前手続や許可等の対象規模の強化など必要な事項を定め、議案第206号によって開発許可制度における事前説明の対象である近隣住民に盛土規制法に基づく周知の対象である周辺住民を追加した。そして、議案第208号、建築関係手数料条例の一部を改正するという各議案ということです。
 ではまず、法及び議案第207号の福岡市宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例案に関してお尋ねいたします。
 区域指定について、宅地造成規制区域及び特定盛土等規制区域が指定されていますが、どのように周知されるのか、説明を求めます。
 許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、施工状況の定期報告、それから、施工中の中間検査及び工事完了時の完了検査を実施等となっていますが、具体的にはどのようになされるのか、また、法では過去の盛土についても、土地所有者は安全管理義務が課せられていますが、条例では触れていないのはなぜなのか、説明を求めます。
 また、調査を行い、土地所有者に安全管理義務を周知すべきではないのか、説明を求めます。
 次に、開発許可について、条例では事前説明について、工事主から事前説明の申出があった場合は周辺住民は応じなければならないとされていますが、工事主に対して周辺住民が説明会の開催を求めたときは、これに応じるよう努めなければならないとしています。被害を受けるおそれがある住民に対して工事主は説明責任を果たすべきで、住民に対する説明会の義務づけをすべきだと考えますが、御所見を求めます。
 また、罰則の措置に関して、法では法所管部局は不法、危険盛土等が把握された場合は、ほかの土地利用規制担当部局とも連携し、いたずらに行政指導を繰り返すことなく、行為者、土地所有者等への行政処分を適切に行うことが重要であると、ちゅうちょなく行政処分等を行うべきであるとされています。
 違反した工事主に対して罰則はどのように実施されるのか、説明を求めます。
 そして、実効性のある罰則の措置は抑止力として機能するためにともされていますが、不法、危険な盛土の発生抑制に対して、市域を超えた広域的災害も懸念されるため、広域連携も必要です。広域連携をどのように図っていかれるのか、お尋ねいたします。
 また、都道府県知事及び関係市町村長は、土地所有者、事業者等に法の目的や規制区域における規制内容等も併せて周知することが効果的である。さらに、規制区域における住民からの通報等の協力が得られるよう、必要に応じて説明会、広報誌への掲載等による広報等について積極的な対応を図ることが望ましいとされています。
 そこで、経年劣化や小規模の地震などによっても盛土等の変化が生じる可能性があります。早期に異常を発見するためにも、地域住民や企業等々の協力も必要であると考えますが、安全性に対する一連のことの具体的周知方法についてお尋ねいたします。
 また、法及びこの条例の適正な運用を図るため、福岡市盛土等審議会の設置をするようになっていますが、構成メンバーについてお尋ねいたします。
 続いて、208号、建築関係手数料に関してですが、建築基準法、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律及び宅地造成及び特定盛土等規制法の3つの法改正に伴うものとのことでした。
 そこで、条例改正によって対象となる物件がどうなるのか、また、手数料額の妥当性についてのお考えと条例改正による収入面における影響についてお伺いいたします。
 次に、210号の空き家に関する条例案についてです。
 空家等対策の推進に関する特別措置法では「この法律は、適切な管理が行われていない空家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることに鑑み、地域住民の生命、身体又は財産を保護するとともに、その生活環境の保全を図り、あわせて空家等の活用を促進するため、空家等に関する施策に関し、国による基本指針の策定、市町村による空家等対策計画の作成その他の空家等に関する施策を推進するために必要な事項を定めることにより、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的とする」となっています。具体的には空き家の適切な管理だけではなく「市町村は、その区域内で空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、基本指針に即して、空家等に関する対策についての計画を定めることができる」とされ、空家等対策計画を立てることで空き家の利活用を推奨しています。そして、国は空き家再生等推進事業として、空家等対策計画が対象とする地区において居住環境の整備改善を図るため、空き家、不良住宅の除却、空き家の活用等に取り組む地方公共団体に対して支援するとし、以下の目標を示しています。空き家の除却、活用への支援は、空き家の除却、それから、空き家の活用、空き家を除却した後の土地の整備、それと、空き家の活用か除却かを判断するためのフィージビリティースタディー、これは実現可能性調査や実行可能性調査ということです。それと、空家等対策計画の策定等に必要な空き家の実態把握、そして、空き家の所有者の特定です。
 そこで、条例では空家等対策計画について触れられてはいません。その理由についてお伺いします。
 また、福岡市として空き家の利活用についての所見をお伺いします。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 盛土規制法に関する条例案に対する御質問にお答えいたします。
 まず、規制区域の周知につきましては、市のホームページや市民及び事業者向けの説明会などで周知を行ってまいります。
 次に、定期報告につきましては、3か月ごとに工事の進捗等について報告書を提出するもので、中間検査、完了検査につきましては、技術的基準に沿って施工されているかを現地で検査するものでございます。
 次に、既存盛土等の安全管理につきましては法において定められており、条例では定めておりません。なお、法において、災害防止のため必要がある場合は所有者等へ必要な措置を取るよう勧告や命令ができるとされております。
 次に、既存盛土等の調査につきましては、法に基づき、令和4年から調査を実施しております。
 次に、説明会につきましては、法において一定要件のものは義務づけられておりますが、その他、原則面談で行うこととしている個別説明がございます。また、条例案において、住民より説明会の開催について要望があった場合はこれに応じるよう努めることとしております。
 次に、法における罰則につきましては、未許可で工事を行った際や不正な手段により許可を受けた際などに最大で懲役3年以下または1,000万円以下の罰金が定められております。また、両罰規定として、法人に対して最大3億円以下の罰金が定められております。
 次に、広域連携につきましては、条例案の検討に当たり、これまでも福岡県を中心とした連絡調整会議を設置し、協議しております。今後も市域をまたいで盛土等が計画された場合など、県などと協議しながら対応してまいります。
 次に、安全性に対する周知方法につきましては、令和2年度に大規模盛土造成地マップを公表しており、あわせて、点検のチェックポイントなどを記載し、周知、啓発に努めております。
 次に、盛土等審議会につきましては、地盤工学や法律等に関し学識経験のある者で構成することとしております。
 次に、手数料条例の改正についてでございますが、省エネ基準の適合義務化が住宅にも対象が拡大されたことや、盛土規制法の施行などにより手数料の対象となる審査物件の増加が見込まれます。また、手数料につきましては、国の通知などに基づき算出しており、妥当と考えております。収入面といたしましては、新たに手数料が設定されるものについては一定の収入が見込まれます。
 次に、空家等の適切な管理に関する条例案についての御質問にお答えいたします。
 空家等対策計画につきましては、空家特措法に基づき、令和3年12月に策定をしており、主な内容は、空き家等対策に関する基本的な方針のほか、空き家等の適切な管理や活用の促進、放置空き家等の対策に関する事項などとなっております。そのうち、放置空き家等に対する措置などについて条例で規定しており、今回の法改正を受けての計画の変更はございません。
 次に、空き家の利活用につきましては、空き家を利活用の余地がある地域の資産として捉え、地域のニーズなどに応じて活用することが重要と認識しております。その利活用に向けた施策を市全体で総合的かつ計画的に推進するため、空家等対策計画を策定し、空き家バンクなどによる既存住宅の流通促進や、県や住宅関連事業者などで構成する住宅市場活性化協議会と連携したリフォーム市場の活性化促進、福祉施設等として利用する際の改修費助成など、多様な活用方策の検討、実施などに取り組んでおり、引き続き空き家の利活用にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) まず、205号から208号の条例案についてです。
 周知について、ホームページ等々で周知していかれるとのことでしたが、これまでと今後に関しても広く市民への周知はしっかりと行っていただきたいと思います。
 そして、208号の建築関係手数料に関しては、省エネ基準の適合義務化が住宅にも対象が拡大されたことや、宅地造成及び特定盛土等規制法の施行等により、手数料の対象となる審査対象物件の増加が見込まれ、一定の収入が見込まれる、算出した額については妥当と考えているとの御答弁でした。物価高騰の折、消費者は財布のひもが固くなっています。また、国としては人口減少も起こっております。福岡市への流入はまだ続く予測ではありますが、住宅に関しての伸びは実際にどのようになるのか、これまでどおりの伸びではないものと考えます。
 盛土等規制法施行による審査対象物件に関しても、気候危機が叫ばれている昨今、地下水の変化等により、豪雨でなくても地滑りの恐ろしさを踏まえ、人が住めないようなところに宅地開発をすることに対しては危険過ぎると多くの人が認識していることと考えます。現状の対象となる宅地についても、注意を十分に払うことが重要です。また、特定盛土等または土石の堆積に伴う災害の防止に関する重要事項として、建設工事から発生する土の搬出先の明確化等が示されていて、この分に関しては法令遵守強化になり、一定の収入としては見込まれるものではないかと推察します。関連する法等の運用を含め、しっかり機能してほしいと考えます。
 また、議案第206号で、開発許可制度における事前説明の対象である近隣住民に盛土規制法に基づく周知の対象である周辺住民を追加もされています。甚大な被害が起こり、被害の教訓が生かされるために、命の危険にさらされる可能性が発生する住民に対する説明に関して、個別ではなく、説明会を開く等々、やはり住民の紛争に対して寄り添う姿勢を市は持っていただきたい。そして、条例では勧告ができとしかなっていないので、ぜひしっかりとそこをしていただきたいと思います。また、説明会の内容については双方が確認した上で市長に報告をすること等の義務づけも必要だと考えます。
 そこで、条例案はマンション紛争予防条例と同様で不十分であり、被害を受ける住民の権利が侵害されることとなっていないのか、御所見を伺います。
 また、先ほども取り上げた気候危機問題ですが、県が示す浸水ハザードマップの更新情報との連動での観点も必要と考えます。2問目の御答弁で、審議会委員は地盤工学や法律等に関し学識経験のある者で構成することとしているとのことでしたが、変化する地球の環境、気象状況や浸水ハザード状態等々、環境保全等にもたけた学識者もメンバーに加えるなど、幅広い観点が必要と考えます。
 るる述べてきたこれら条例案の質問の最後になりますが、法と条例の適正な運用について市の御所見をお伺いいたします。
 次に、210号の空き家に関する条例案についてです。
 空家等対策計画を策定し、空き家バンクなどによる既存住宅の流通促進や、県や住宅関連事業者などで構成する住宅市場活性化協議会と連携した取組をされているとのことでしたが、冒頭にも述べましたように、まだまだ実際には利活用として足りていないと考えます。だからこそ法にはしっかりとうたわれています。空家等対策計画のさらなる推進のためにも、本条例と連動して触れることは重要と考えます。
 本条例改正案は空き家の利活用推奨という点で不十分であり、見直しが必要と考えますが、御所見を求め、私の質疑を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 町田住宅都市局理事。
○住宅都市局理事(町田一彦) 盛土規制法に関する条例案に対する御質問にお答えいたします。
 条例案では、事業者に対して住民周知の状況報告を求めることなどを規定しております。また、条例に基づく手続を履行しない場合、周辺住民との紛争を予防するために必要な措置を定めており、条例に基づき適切に対応してまいります。
 次に、条例等の運用につきましては、現在、令和7年5月の施行に向け、盛土規制法に基づく規制区域の指定や条例の制定、また、既存盛土等の調査を実施し、盛土等の安全性を確保するための取組を進めているところでございます。引き続き市民や事業者に対し周知、啓発を行いながら、盛土等に伴う災害防止に向け、法及び条例に基づき適切に取り組んでまいります。
 最後に、空家等の適切な管理に関する条例案についての御質問にお答えいたします。
 空き家の利活用につきましては、法に基づき定めた空家等対策計画に基づき、空き家バンクなどの施策を実施しており、また、適切な管理が行われていない放置空き家等に対しては、条例と空家対策特措法を一体的に運用することにより助言や指導等の措置を行っております。引き続き法、条例、計画に基づき、適切に空き家等の対策に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 以上で質疑を終結いたします。
 ただいま議題となっております議案70件は、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 以上で本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は明12日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後1時43分 散会