令和6年9月6日(金)
令和6年 第3回 福岡市議会定例会
議 事 日 程 (第3号)
9月6日 午前10時開議
第1 一 般 質 問
本日の会議に付した事件
議事日程のとおり
出 席 議 員 (62名)
1番 おばた 英 達 2番 もろくま英 文
3番 淀 川 幸二郎 4番 稲 員 稔 夫
5番 鬼 塚 昌 宏 6番 堤 田 寛
7番 大 森 一 馬 8番 大 原 弥寿男
9番 今 林ひであき 10番 阿 部 真之助
11番 打 越 基 安 12番 堤 健太郎
13番 坂 口よしまさ 14番 新 開 ゆうじ
15番 とみながひろゆき 16番 田 原 香代子
17番 たのかしら知行 18番 石 本 優 子
19番 勝 山 信 吾 20番 調 崇 史
21番 川 上 陽 平 22番 津 田 信太郎
23番 古 川 清 文 24番 高 木 勝 利
25番 篠 原 達 也 26番 平 畑 雅 博
27番 伊 藤 嘉 人 28番 川 上 晋 平
29番 尾 花 康 広 30番 松 野 隆
31番 山 口 剛 司 32番 大 石 修 二
33番 和 田あきひこ 34番 あ べ ひでき
35番 大 沢 めぐみ 36番 木 村てつあき
37番 橋 口 えりな 38番 綿 貫 康 代
39番 前 野 真実子 40番 中 島まさひろ
41番 藤 野 哲 司 42番 新 村 まさる
43番 天 野 こ う 44番 堀 内 徹 夫
45番 森 あやこ 46番 福 田 まもる
47番 はしだ 和 義 48番 浜 崎 太 郎
49番 阿 部 正 剛 50番 倉 元 達 朗
51番 中 山 郁 美 52番 川 口 浩
53番 小 竹 り か 54番 勝 見 美 代
55番 井 上 ま い 56番 ついちはら陽子
57番 田 中 たかし 58番 山 田 ゆみこ
59番 近 藤 里 美 60番 落 石 俊 則
61番 田 中しんすけ 62番 池 田 良 子
欠 席 議 員 (0名)
説明のため出席した者
市 長 島 宗一郎 副 市 長 光 山 裕 朗
副 市 長 中 村 英 一 副 市 長 荒 瀬 泰 子
水道事業管理者 下 川 祥 二 交通事業管理者 小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長 龍 靖 則 財 政 局 長 山 嶋 剛
市 民 局 長 舟 越 伸 一 こども未来局長 野 中 晶
福 祉 局 長 藤 本 広 一 保 健 医 療 局 長 藤 田 三 貴
環 境 局 長 中 村 卓 也 経済観光文化局長 鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長 姉 川 雄 一 住 宅 都 市 局 長 中 村 健 児
道路下水道局長 天 本 俊 明 港 湾 空 港 局 長 竹 廣 喜一郎
消 防 局 長 田 浩 輝 会 計 管 理 者 小 林 登茂子
教 育 長 石 橋 正 信 教 育 委 員 町 孝
選挙管理委員会事務局長 中川原 敬 子 人事委員会事務局長 小 川 明 子
監 査 事 務 局 長 上 薗 久 美
職務のため出席した事務局職員
議会事務局長 久 田 章 浩 議会事務局次長 着 一 孝 議 事 課 長 水 ア 亮 二 議 事 係 長 實 政 伸一郎
外関係職員
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助)登壇 おはようございます。最初なので、朝一なので緊張していますけれども、よろしくお願いいたします。
私は自由民主党福岡市議団を代表して、博多港の歴史考察とその将来展望について質問をさせていただきます。
まず初めに、我が国は食料に関しては6割、エネルギーに関しては9割以上のものを海外に依存している資源の少ない国であることは皆さんも御存じのとおりです。また、島国であることから、私たちの日々の生活を支え、経済活動に必要な輸出入貨物のほとんどは海上輸送により運ばれており、港は社会基盤として大変重要な役割を担っております。
そこで、改めて博多港の歴史を振り返りながら、博多港全般について質問してまいります。
福岡市は大陸に近いという地の利に恵まれ、太古の昔から海を通じた大陸との交流があり、海外からモノ、そして、人が港から出入りし、文化の伝来でまちもにぎわい、我がまち福岡は大きく発展し、その交流の玄関口として博多港は重要な役割を担ってきたと思っております。有史以降の明治22年、博多港は特別輸出港として、米、麦、そして、麦粉、石炭、硫黄の5品目の輸出が認められましたが、その10年後の明治32年、博多港は関税法に基づき開港指定をされ、国際貿易港としてスタートし、昭和初期になると、港湾工事を国が直接に施工できるようになり、初めに中央ふ頭や防波堤の整備などが始まり、近代港湾として歩み始めたと聞いております。戦後、昭和27年には福岡市が博多港の管理者となり、港湾整備が本格化していき、現在までに1,500ヘクタール以上の新たな都市空間を生み、市民の暮らしや経済をしっかりと支えています。
現在、博多港はアジア、そして、北米など海外47の主要港と44航路、月間220便のコンテナ航路ネットワークで結ばれており、世界と九州をダイレクトにつなぐ拠点港として発展を続けています。また、クルーズ船の寄港や釜山との定期航路、そして、壱岐、対馬、五島など国内航路が就航し、人流における海の玄関口としての役割も果たしているだけでなく、卸売業等の第3次産業が約9割を占める産業構造を持つ福岡市の経済にとって、港湾は必要欠くべからざるものであると思っております。
そこでまず、博多港における経済波及効果についてお尋ねをいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港の経済波及効果につきましては、平成25年の推計によりますと年間約1兆9,000億円であり、当時の福岡市における市内総生産額の約3割を占めております。また、雇用創出効果につきましては、市内従業員数のうち4人に1人は博多港に何らか関わりのある仕事に従事していると推計しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今の答弁のとおり、市内における経済活動の約3割を生み出している博多港ですが、その効果は物流が多くを占めると思われます。
そこで、国際物流といえばコンテナでございます。博多港における現在の国際コンテナの取扱状況と九州における博多港のシェアをお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港における令和5年の国際海上コンテナ取扱個数につきましては、約90万6,000TEUとなっております。また、九州域内のコンテナ取扱個数のうち、博多港の占める割合につきましては、令和4年で約52%となっており、九州のコンテナ貨物の約半分を取り扱っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今の答弁から、博多港が福岡市だけでなく、九州の市民生活や経済活動を支えていると言えると思います。
さて、コンテナ以外にも博多港が果たしている役割は大きく、例えば、須崎ふ頭などにおいては、パンやうどん等の原材料となる小麦などの穀物を取り扱っております。また、荒津地区には100基ほどの石油タンクが存在しています。
そこで、小麦と石油の取扱い、それについて、九州における博多港のシェアをお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 食用小麦の取扱いにつきましては、九州内で消費されるほぼ全量が博多港から輸入されております。また、ガソリンや灯油などの石油類の取扱いにつきましては、九州内の販売量の約2割を博多港で取り扱っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 石油類に関しては、博多港から福岡都市圏をはじめ、九州各地に届けられており、荒津地区は重要な石油中継基地であるだけでなく、この地区には中部水処理センターも立地しており、福岡市中心部で使用された後の汚れた水をきれいに処理して自然に戻すという重要な役割を担っています。両施設とも私たちが暮らしていく上で非常に重要な施設ですが、その真下には警固断層が存在しているという課題を抱えています。
今年は能登半島で起きた巨大地震に始まりました。また、先月の8日には宮崎県でマグニチュード7.1、震度6の地震が発生し、国内で初めてとなる南海トラフ地震臨時情報を国が発表いたしました。幸い被害の数としては多くはなく、地震発生から1週間後には特別な注意の呼びかけは終了したものの、我が国においては、いつ何どき、そして、どこで巨大地震が起こってもおかしくはなく、防災の備えの必要性を改めて感じたところであります。
福岡市で想定されている警固断層帯南東部を震源とする地震の規模はマグニチュード7.2、そして、震度をホームページで公表されている揺れやすさマップで見ると、石油基地などがある荒津地区においても震度6強で、耐震性の低い鉄筋コンクリートの建物では倒壊するものがあるとされています。思い起こせば平成17年に発生した福岡県西方沖地震においては1名の貴い命が失われましたが、荒津地区においては甚大な被害は免れました。しかしながら、平成23年に発生した東日本大震災では、宮城県や千葉県においては石油タンク並びに石油コンビナート施設の火災が発生しており、石油基地の荒津地区を抱える福岡市も決して他人事ではないと思っています。
そこで、荒津地区の石油基地と中部水処理センターにおける地震に対する対策状況についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 荒津石油基地における防災対策につきましては、福岡県知事を本部長とする福岡県石油コンビナート等防災本部が策定しております福岡県石油コンビナート等防災計画などに基づき、福岡県や事業者のほか、福岡市を含む防災関係機関、団体が連携して対応することとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 中部水処理センターにおきましては、災害に強い下水道を目指し、計画的、段階的に耐震化を進めており、最も重要な人命保護の観点から、管理棟などの有人施設の耐震化が完了しております。引き続き、災害時に必要とされる下水道機能を確保するため、施設の耐震化を進めるとともに、被災を想定した訓練を実施するなど、災害対応能力の向上に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 今の答弁から一定の地震対策が講じられているということは理解できました。しかしながら、荒津地区の地下に警固断層があることは明らかであり、地震発生により断層がずれでもすると真上の施設はどうしようもなく、被害は免れなくなると思っています。一方で、石油業界は再編が進んでおり、将来的には新しいエネルギーへの転換も想定されています。これらを踏まえ、私は荒津地区の今後の在り方を議論していく必要があると思っています。
ここでちょっと視点を変えて、博多港における景観形成の観点からも指摘をしておきたいと思っています。昭和62年3月に福岡市都市景観条例が制定をされました。翌年3月に出された福岡市都市景観形成基本計画を経て、福岡市景観計画につながっていったと認識をしていますが、博多港に関しては海の玄関口として、入港船舶から港の景観整備や埠頭別の歩行者目線の街路景観整備に関する指針として、平成27年8月に博多港景観形成指針が策定をされました。その中で、指針の概要において、これは引用文を使いますけど「臨海部の道路整備などにより、市民の方々が港を目にする機会が増えている中、既存のふ頭は、市街地に比べ無機質で殺風景な景観となっており」という文言があるということは、当然、港湾空港局だけにとどまらず、福岡市、そして、もっと言えば福岡市民みんながそう思っていると言っても過言でないと思っています。
私は福岡市が港湾部の人流・賑わいゾーンとしている中央ふ頭、博多ふ頭地区以西の須崎ふ頭や荒津地区においても、再開発並びに区画整理が必要でないかと思っています。さらに言えば、その指針の中で設定されている目標像として「市民の方々に親しまれるとともに、訪れる方々に憩いや楽しみを提供する」、ここからも大事なんですけど「美しく清潔感のある港」という目標が掲げられています。そして、事業者、行政、市民・来訪者の三位一体というよりも、事業者と行政が同じ立ち位置に立って、市民や来訪者に様々なサービスを提供しなさいという目標を掲げた以上、その博多港港湾計画や博多港景観形成指針に沿った政策が遂行されることを心から願うばかりであります。
ただし、この博多港景観形成指針の中に、博多港及び博多湾全体が眺望できる荒津山からの眺望について全く触れられていないということは残念だと思っています。荒津地区の今後の在り方の議論に当たっては、時間はかかると思うが、早急に石油業界、そして、地域住民並びに学識経験者等の意見をしっかりと聴取し、福岡市が先頭に立って、福岡県、そして、国とともに議論を深めていってほしいと思います。
しかしながら、将来への展開は荒津地区だけでは論じることができず、博多港全体で考える必要があると思っています。博多港は福岡市が管理者となった昭和27年以降から埋立てにより1,500ヘクタール以上の新たな都市空間を生み出し、市民の暮らしや経済を支えてきたことはさきにも述べたとおりですが、その事例として、シーサイドももちとアイランドシティの開発を振り返りながら次の質問を進めていきます。
福岡市では高度経済成長期の昭和30年以降、経済成長に伴う人口増加に対応するため、計画的に住宅地を確保する必要がありました。一方で、福岡市は山地などの自然環境を保全する目的に標高80メートル以上での開発は制限をしているため、博多港の航路整備で発生する土砂を活用して埋立てを行い、市民が住むことのできる住宅地なども生み出してきました。とりわけシーサイドももち地区は、市民が海に親しめる海浜公園に加え、博物館、総合図書館、そして、福岡タワーやペイペイドームなどが立地する、今や福岡市のランドマークとなっております。
そこで、改めて当時のシーサイドももちの事業概要をお尋ねしたいと思います。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) シーサイドももち整備事業につきましては、福岡市の発展に伴い必要となる都市機能用地の確保を図り、博多港を展望するウォーターフロントの環境と都心に近い立地を生かし、国際化や情報化の進展など、新しい時代のニーズに対応した新しいまちづくりを推進することを目的に、昭和55年度から平成6年度にかけて福岡市が埋立て、造成及びインフラ整備を行っており、総事業費は約1,508億円で、全体の埋立面積は約138ヘクタールとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 来年、大阪市では万博の開催が予定されていますが、過去に福岡市でも平成元年、市制施行100周年記念事業のメインとして、アジア太平洋博覧会がシーサイドももち地区を舞台に開催されました。入場者数は国内外80か国から延べ約822万人を記録、当時、アジアの拠点都市を標榜していた福岡市にとって、世界の人々と福岡市民が交流できたこと、これは福岡市だけでなく、我々福岡市民にとって大変貴重な経験であったと思います。福岡市の世界的な知名度がまだまだ低かった当時、これを高め、そして、福岡市の国際化に向けて大きな弾みになったものと考えます。
その次ですね、その同じ年の平成元年には博多港港湾計画が改訂されています。その計画内容の最も目玉といえば、アイランドシティが今の島形式に変更され、約400ヘクタールの新たな埋立てが計画されたものであります。
そこで、改めてアイランドシティ整備事業について、その概要と進捗状況をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティ整備事業につきましては、博多港の航路整備で生じるしゅんせつ土砂などを用いて生み出された新たな都市空間を活用し、港湾機能の強化、快適な都市空間の形成、新しい産業の集積拠点の形成及び東部地域の交通体系の整備を目的として、国、福岡市及び博多港開発株式会社の3者により平成6年度から事業を進めてきたものでございます。また、進捗状況につきましては、令和4年8月に土地分譲の見通しが立ったところであり、埋立ての進捗率は99.8%となっております。現在、まちづくりエリアでは、緑豊かで良好な住環境や教育環境が評価され、1万5,000人を超える方が生活されており、みなとづくりエリアにおいても、国際コンテナターミナルの整備が進み、大規模な物流施設が立地するなど、国際物流拠点の形成が図られております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) さて、アイランドシティは、景気が低迷したこととか、そんな様々な要因があり、土地が売れない不遇の時代があった。その影響等により、平成24年には福岡市工区の事業収支が約160億円の赤字になると明らかになったときは自分もショックを受けた次第であります。
その後、状況が好転して、最終的な事業収支は黒字に転じたということになったけど、改めてその概要と主な要因を尋ねたいと思います。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティの市工区における臨海土地整備事業の事業収支につきましては、平成24年3月に公表した収支計画では約160億円の赤字と見込んでおりましたが、令和4年度に市工区全体の土地分譲の見通しが立ったことから改めて試算を行ったところ、収支は約310億円改善し、約152億円の黒字の見込みとなったものでございます。事業収支が改善した主な要因につきましては、立地企業の集積や交通アクセスの向上などにより、物流用地としての需要が高まったことなどを背景に、みなとづくりエリアの分譲収入が見込みを約344億円上回ったことなどによるものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) アイランドシティ埋立事業は、埋立事業というたら大体長期にわたる事業であって、時折というか、ほとんど社会経済情勢の影響等によって順調にいかず、マスコミ等から事業を批判され続けてきたというのが事実だと思います。しかしながら、博多港の航路整備で生じるしゅんせつ土砂というものを有効に活用できたと、その埋立てに活用できたわけでありますから、アイランドシティの今後の価値をさらに高めていくためには、もうできたけん、売れたけんではなくて、これからも絶え間ない努力を続けていく、そういうことによって、将来にわたって都市活力を生み出すことのできる福岡市の大きな財産につながっていくものだと思っていますので、頑張っていただきたいと思います。
さて、アイランドシティの事業完成も佳境を迎えつつある中、また元に戻りますが、福岡市の次の将来に向けて博多港のさらなる展開も考えていく時期に来ていると思います。振り返ると、シーサイドももちの整備が完了した平成6年度と同時に、アイランドシティ事業は着工した。先ほどの答弁にもありましたが、シーサイドももち地区の埋立面積は約138ヘクタール、事業期間は14年、アイランドシティ全体の面積はシーサイドももち地区の約3倍。138ヘクタールやけん、それの3倍したら大体400になりますけど、都心部に当てはめると天神地区から博多駅まですぽっと入る大きさです。平成元年のアイランドシティの計画から、この大規模な埋立てなどの進捗を図りながら、ここまで約35年がたっています。このように港湾整備事業は長い年月を要することから、今のうちから長期の将来ビジョンをしっかり持つべきだと考えています。
そこで、現在、博多港港湾計画ではどのような将来像、そして、長期展望を掲げているのか、お尋ねをいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 平成28年に改訂した博多港港湾計画におきまして、博多港の将来像として、東浜ふ頭より東側の箱崎ふ頭、香椎パークポート及びアイランドシティのみなとづくりエリアを物流ゾーン、中央ふ頭より西側一帯のエリアを人流・賑わいゾーンとすることとしており、長期的にはこの将来像を念頭に港づくりを進めることとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 中央ふ頭などのウォーターフロント地区では市営渡船などが発着し、クルーズ船も寄港するなど、人流の中心的な埠頭です。しかしながら、福岡市民にとって憩い、それとかレジャーの場としては、海に親しみを持ってはいるけれども、港の印象はかなり薄いと私自身も感じています。これは課題であると思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。
福岡市は陸、海、空の交通、輸送モードがコンパクトに集積したまちとよくPRをし、また、都心部からウォーターフロント地区は距離的に近いことは確かですけれども、それにもかかわらず、市民は港を身近には感じていない気がしています。先ほど紹介した指針の中にも、市民の意識アンケート、東区だけが緑とか、まちなかの公園とか、それとか海、それが大体33%ずつぐらいで一緒だったんですけど、ほかの地区は海に対する意識というのが一番、私の住んでいる城南区、それとか同じく海に面していない南区の住民の方々は非常に海に対して親しみが少ないというような結果も出ています。だからこそ、市民が港に親しみを持ち、また、港を身近なものと感じるためには、活気やにぎわいをつくり出すことが大事であり、そして、それを実現するためには、ウォーターフロントへのアクセスの向上を図るとともに、新しいにぎわい施設などの立地も必要ではないかと思っています。
クルーズも寄港回数の多かったコロナ禍の前のように徐々に戻っていくとは思われるけれども、MICE需要にあっては既に回復しているものと思っています。コロナ禍から議論が停滞しているウォーターフロント地区の再整備計画については、もう再スタートをする時期に来とっちゃないかいなと思っています。
ここで要望をさせていただきますけど、生まれ変わろうとするウォーターフロント地区が名実ともに人流の拠点となるべく、再整備計画を早く動かす。そして、先ほども述べました活気やにぎわいの創出といった観点を持って将来像をしっかりと考えていただきますよう要望しておきます。
博多港の将来計画では、中央ふ頭の西側は全て人流・賑わいゾーンとしているのに対し、須崎ふ頭は古い上屋が多くあって、何より小麦などの大事な取扱機能がある広大な物流の埠頭であります。そのため、東側の埠頭にこの物流機能を移転させ、そして、そこの空いた空間を魅力的に都市化するというのが将来の姿であると考えています。大半が民間施設であるため、移転は簡単にいかず、時間がかかることは当然理解できます。しかしながら、東側の箱崎ふ頭などにこの機能の移転を受け入れられる土地の余地が全くないのが現状であり、将来像の実現に向けた動きが全く見られない。
そこで、博多港港湾計画では新たに土地造成を行う計画があったと思いますが、その内容についてお尋ねをいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港港湾計画における土地造成計画につきましては、須崎ふ頭の基部に約5ヘクタール、中央ふ頭の先端部に約13ヘクタール、箱崎ふ頭地区に約65ヘクタールを位置づけているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) 私も今回の質問に当たり、国土交通省、それと博多港の資料等を熟読させていただきました。世界的な海運市場では、海上輸送のコスト縮減、それと効率化が一層進められてきています。新しく造られる船の大半は、従来のサイズを上回る大型化の傾向が続いています。博多港に就航しているコンテナ船などが新しくなり、さらに大型化することで航路の水深が足りんと。博多港に入港できなくなりますと。そうすると、市民の暮らしや経済に影響が生じると思います。それを未然に防ぐためにも水深を確保していくのが重要であります。水深の浅い博多港においては、航路などの整備、いわゆるしゅんせつを進めるためには、しゅんせつ土砂の受入先、それが必要となります。そのしゅんせつ土砂を受け入れた結果、副産物として新たな土地が造成されると思います。そもそも港湾の航路や船の停泊地ですたいね、それは河川から流れてくる土砂で埋没していく、また、洲ができたりしていく、そういうのが自然の摂理だと小学校とか中学校のときに習うたと思います。そう考えると、安全に船を航行させるためには、しゅんせつを未来永劫、ある意味、未来永劫続けていかなければなりません。このことについていま一度振り返り、やはりしゅんせつ土砂の処分先を確保するため、計画にある埋立てを推進していくべきではないかと考えます。
昨今、港湾に求められる役割は多様化をしており、博多港がこれから取り組むべき課題はほかにもあります。まず、脱炭素社会の実現に向け、港湾においても積極的に対応していかなければなりません。加えて、全国的な社会問題となっている物流の2024年問題への対応として、国内海上輸送が担っていく役割は大きくなっています。博多港には関東、それと北陸、沖縄などと、トラックがそのまま船に乗り込む、すなわち輸送できるRORO船、ロールオンとロールリフトですたいね、この国内定期航路があります。
改めて物流の2024年問題への対応などに向けて、トラックから鉄道、そして、船舶への輸送手段の転換、いわゆるモーダルシフトの推進が重要だと考えますが、博多港としてはどのようにこれから取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港は各埠頭に都市高速道路が接続し、九州・西日本エリアへのアクセスが便利であり、JR貨物のターミナルも近接しております。さらに、東京港などの太平洋側港湾や、敦賀港や新潟港など日本海側港湾との国内定期航路が就航するなど、多様な輸送モードが集積していることから、モーダルシフトに適していると考えております。これらの博多港の強みを積極的にPRするとともに、トライアル事業による新たな物流ルート構築の支援を行うなど、モーダルシフトの推進に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) RORO船のヤードは、一般的にコンテナ貨物を取り扱うヤードより広い面積が必要だと言われています。博多港は狭いために、どの航路もヤードが不足していると聞いています。トラックドライバー不足により陸上輸送から海上輸送へのシフトが今後も進めば、海上貨物が増えていくため、潜在的なヤード不足の問題が深刻化するおそれもあります。博多港が求められる役割を果たし、様々な課題を解決するためには、やはり土地が必要ではないでしょうか。
一方、都心部で進められている天神ビッグバン、それと博多コネクティッドを筆頭として、市内では様々なプロジェクトが動き、全国的にも福岡の成長は注目されているところであります。今後も福岡市が全国をリードできるまちとなるためには、当然、アジアでの存在感を高めるため、社会問題の解決などを含め、様々な課題に対応していく必要があると思います。課題への対応と福岡市の持続的な発展のため、さらに、多くの市民に親しまれる海辺の空間の価値を高めるため、博多港に求められる役割はやはり非常に大きいものがあります。いま一度歴史を振り返っても、福岡、博多は2,000年も前から港を大陸との交流の窓口として発展してきました。過去を遡ったら、遣唐使、それと鴻臚館、博多商人の活躍など、まさに博多港が福岡市の成長のエンジンであり、博多港の発展なしに福岡市の発展はないと思っています。
最後にいま一度申し上げますけれども、博多港はいにしえの昔から極東の要石として重要な役割を果たしてきたと思っています。ずっと質問の中にも出てきましたけど、荒津山、現在の西公園、これは県の管轄ですけど、これは危険な荒瀬を避けて、そして、那の津にたどり着ける海からのランドマークだったと聞いています。今後、福岡市の将来を真剣に考えたときに、この港の整備、すなわち20年から50年のスパンで長期的な展望を持つべきだと思っています。スピード感を持って国内外の変化に対応し得る計画を策定していくべきだと考えます。
現在の状況から考えると、令和4年8月に策定された福岡市地球温暖化対策実行計画における、厳しい目標やけど、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロ実現に向けた施策として、荒津地区に関しては、まず、バイオマス発電の推進、それと、下水バイオガスからの水素製造、水素ステーションの導入、それと、水素エネルギーの新たな需要創出等が存在しています。しかしながら、これが分野ごとの対策、そして、施策の並列にすぎず、戦略的なシナリオが描かれているとは私は思えないと思います。それが実情じゃないかなと思っています。また、地域の一つとしてのまちづくりの取組も見えないまま、博多港の重要な一部である荒津地区、これは実は荒津ふ頭とは言われんとですよね。ほかのところは何とかふ頭と言うばってんですね。そこだけ荒津地区と呼ばれています。だから、何か意味があるんやろうと思いますが、このままに放置しておくべきではないと僕は思っています。今こそ、無理かもしれないと言われているカーボンニュートラルを実装した都市を2040年までに実現するためにも、この荒津地区をモデル地区または実証実験地区として、先ほどの言葉を否定するわけではないですけど、無機質でもなく、そして、殺風景でもない。しかしながら、美しく清潔感のある、そして、温室効果ガス排出量実質ゼロ実現のまち、また、実現の地区として磨き上げていくことこそが、さらなる博多港の発展の起爆剤となっていくだろうと思いますし、福岡市として人口減少に突入する直前の今こそが現在の活力を将来の発展につなげていくチャンスだと私は考えています。
思いを長々と語ってきましたけど、先ほども申し上げたとおり、長期スパンで施策を練り上げていくべきだと申し上げた以上、私が何年議員生活ば続けていくか分かりませんが、続けていく限りは、思いを共にする同僚議員とこれからも高いレベルで議論をこの議会の様々な場面で深めていくということをお誓い申し上げて、最後に、このアイランドシティ整備事業もめどが立つ中、博多港、ひいては福岡市の将来を見据え、この港湾に対しての次の手を打つ必要があると考えますけど、最後に島市長の御所見を、久しぶり市長に答弁を求めますので、御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 久々の御指名で、恐縮でございますけれども、答弁させていただきます。
博多港は福岡のみならず、これは九州全体の市民生活や経済活動を支えますとともに、歴史的に見ても福岡市の持続的な発展を牽引してまいりました。昨今、脱炭素社会ですとか物流2024年問題への対応など、博多港に求められます役割は多様化をしてきております。今後とも、港湾機能の充実強化にしっかりと取り組んで、活力と存在感に満ちた日本の対アジア拠点港を目指してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代)登壇 おはようございます。私は日本共産党市議団を代表して、介護保険について、九大箱崎キャンパス跡地について質問を行います。
まず、介護保険についてです。
介護保険事業計画は3年ごとに改定され、本市においても2024年度から2026年度までの第9期福岡市介護保険事業計画が策定されています。この中では保険料について定められています。昨今、保険料が高過ぎるという声が多くの高齢者から上がっています。保険料は所得に応じて15段階に設定されています。
お尋ねしますが、基準額となる第5段階の保険料は前期のときと比べ幾ら上がっているか、あわせて、前期と比べて保険料が下がっている段階はあるのか、答弁を求めます。
以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 第9期介護保険事業計画における第1号被保険者の第5段階の介護保険料は月額6,899円としており、第8期から674円の増額となっております。なお、保険料が減額となった段階はございません。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 15段階全てで値上げになっています。私が声を聞いた70代の御夫婦はお二人とも年収が125万円以下という6段階の方ですが、月々6,847円だった保険料が7,589円と742円も上がり、年間9万1,068円もの保険料で、お二人で18万2,136円です。引上げ幅は1万7,808円にもなります。
そこで、第8期においても高い保険料が高齢者の生活を圧迫していたにもかかわらず、9期で下げるならまだしも、さらなる引上げを行ったことは、なおさら高齢者の生活を苦しめることになったと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険料につきましては、3年ごとに介護保険事業計画を策定する中で必要な介護サービス費用等を見込み、関係法令に基づき適切に設定しております。なお、介護給付費準備基金を最大限活用し、保険料の上昇抑制を図っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 基金を活用したとおっしゃいますが、間尺に合いません。4月10日の朝日新聞が65歳以上の保険料の引上げについて報じています。報道によると、本市の保険料は政令市で5番目、県内で2番目の高さとなっています。本市が2022年度調査した福岡市高齢者実態調査報告書によると、介護保険制度で不満に思うことでは、介護保険在宅サービス利用者で介護保険料が高いことが2番目に多く、未利用者では一番多い回答となっています。
2年前でさえこれだけの負担感だったのに、9期計画でさらなる引上げを行ったことは、負担軽減どころか、まともな手だてを取っていないと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 本市におきましては、介護給付費準備基金を最大限活用し、保険料の上昇抑制を図っているところでございます。また、介護サービス費用の低減に向けて、介護予防や重度化の防止に取り組んでおります。さらに、低所得者の負担軽減として、介護保険料の減免制度を設けるとともに、保険料の所得段階を国の基準より多い段階数で設定しているほか、全国共通の制度を活用して、平成27年度から給付費のおおむね5割の公費とは別枠で、国の定める割合の上限まで国費、県費、市費を投入しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いろいろ言われますが、年金は目減りし、物価高騰が襲う中、保険料を上げるのは許されません。6月議会で我が党の中山議員が保険料引下げを一般会計から繰入れをして行うべきと求めましたが、福祉局長は国の判断では制度上困難であると答弁されました。しかし、これはごまかしであって、実際には可能です。厚生労働省が不適切と示しているのは単なる助言にすぎず、自治体がそれに従うべき義務はないことを2002年3月19日の参院厚生労働委員会で我が党の井上美代参院議員が明らかにし、大臣に明言をさせています。一般会計から繰り入れたからといって罰則はありません。
したがって、一般会計からの繰入れを行い、保険料を引き下げることは可能であると思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険料につきましては、国が定める割合の上限まで国費、県費と合わせ一般会計から市費を繰り入れ、上昇抑制を図っているところでございます。介護保険制度は全国共通の制度であり、制度の枠外で一般財源を繰り入れることは適切でないとの国の判断が示されておりますことから、一般会計からのさらなる繰入れについては制度上困難であると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 否定されますが、当時の坂口厚生労働大臣は、自治体の中でこの原則を乗り越えてやるというところも百幾つもあるわけで、それは私たちの言うことからはみ出ているから絶対駄目だと、やめろとまで私たちは言っていないと答弁し、自治体の裁量を認めていますよ。
一般会計、財政調整基金など、あらゆる手段を講じて保険料の引下げを図るべきと思いますが、重ねて御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険制度は全国共通の制度であり、制度の枠外で一般財源を繰り入れることは適切でないとの国の判断が示されております。介護保険料につきましては、関係法令に基づき適切に設定しつつ、制度の枠内で公費を投入することなどにより、可能な限りの負担軽減を図っているところでございます。なお、保険料の支払いが困難となった方については、事情を十分にお聞きした上で、減免措置を適用するなどの対応を行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 国会で大臣がいいと認めているのですから、保険料を引き下げるべきと強く求めておきます。
次に、必要な介護サービスが保障されているのかという問題についてです。
今、社会問題になっている訪問介護事業についてただしてまいります。
7月26日の朝日新聞によると、1月から6月の介護事業所の倒産件数が前年同期の1.5倍に達し、そのうち、訪問介護が約半数を占め、人材不足や物価高騰に加え、この春の訪問介護事業所への基本報酬引下げが影響した可能性も指摘されていると報じています。本市の訪問介護もこの影響で経営が大きく圧迫されています。
そこで、訪問介護の報酬が改定前と後でどれだけ下がったのか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 訪問介護の基本報酬につきましては、身体介護や生活援助等の所要時間の区分ごとに報酬の基礎となる単位が設定されており、令和6年度の介護報酬改定では、改定前と比較し、各区分の平均で約2.3%のマイナスとなっております。なお、介護職員の処遇改善に充てられる処遇改善加算は他の介護サービスと比べて高い加算率とされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) この引下げが大きいんです。国はこの引下げをごまかすために特定事業所加算という新たな制度をつくりました。私が伺った小規模の訪問介護事業所では、この特定加算を受けるために利用者のサービス単位を減らさなければならず、重度の方などはその単位を超えると10割負担となります。そもそも特定事業所加算を受けた事業所からサービスを受ける利用者は利用料が上がります。さらに、事業所は研修の実施や会議の開催などの負担が増えるため、この制度の利用率は大変低くなっています。つまり、この特定事業所加算は利用者のサービス削減や利用料引上げ、事業所の負担増大と一体のものです。
そこで、この特定加算を受けなければ立ち行かなくなるような今回の報酬改定は、利用者にも事業者にも大きな負担を強いるものと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 訪問介護につきましては、基本報酬がマイナス改定となった一方で、処遇改善加算は他の介護サービスと比べて高い加算率とされたところでございます。利用者の自己負担は事業者が受領する介護報酬に応じて増減することとなります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 正面からお答えになりませんが、特定加算も大きな負担になるんです。今回の報酬改定は訪問介護事業所に悪影響を及ぼしています。そもそもコロナ後も続く物価高騰で経営状況が厳しい中、コロナの補助や物価高騰対策が打ち切られ、さらに、コロナの蔓延が介護現場を襲っています。
この経営危機を何とかしてほしいと悲痛な叫びが寄せられているのに、このまま報酬が下がることを放置したら、サービスの縮小などで帳尻を合わせようとしても立ち行かず、やむなく倒産するという事業所が出てくるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 本市における今年度の訪問介護事業所の廃止数は前年同期とほぼ同じであり、現時点では介護報酬改定の影響が出ているとは言えませんが、今後とも、状況を注視してまいります。なお、訪問介護事業所の総数は増加しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 全く危機感がないと言わざるを得ません。訪問介護事業所の大きな悩みは報酬引下げだけではありません。人材不足の問題も深刻です。もともと介護人材については、重労働に比して処遇が悪過ぎることにより慢性的な不足に陥り、社会問題化してきました。とりわけ訪問介護は深刻です。ここに報酬改定引下げが襲いかかり、さらなる人材不足が起き始めています。
そこで、訪問介護職員の第9期計画のニーズの見込みと必要な訪問介護職員数をお尋ねします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 第9期計画における訪問介護サービスの必要見込量につきましては、令和6年度が1か月当たり31万3,280回、計画最終年度である8年度が33万2,650回でございます。また、介護職員全体の必要数については国のデータを基に推計しておりますが、サービス種別ごとの内訳がないため、訪問介護員の必要数は把握しておりません。なお、全体の必要数については、7年度が約2万6,200人と推計しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 正確にはその必要数をつかまれていないと。必要数をつかまないと始まらないと思います。第9期計画の第8期介護保険事業計画の進捗状況では、訪問介護、訪問入浴介護、訪問リハビリで2021年度から2023年度全てで計画よりも実績のほうが上回っており、さらに、どれも年々増加をしています。つまり最初の見込みよりも訪問介護のニーズは増え続けています。
前期でもそういう状況なのに、今期も訪問介護職員の実態をつかまず、人材獲得の計画の目標すらもない。あまりに無責任な対応だと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護人材の必要数につきましては、訪問介護員も含めた全体で推計をしております。また、訪問介護員の状況につきましては、アンケート調査等により事業所において一定の不足感があることは把握しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いろいろ言われますけど、東区のある訪問介護事業所は毎年応募をかけても人が集まらず、6年前の2018年の登録ヘルパー数95人が、今年、2024年は71人にまで減っています。この介護事業所では職員の平均年齢は62歳、最高年齢は79歳、ベテランがリタイアしているが平均年齢が下がらないと言われています。主力は60代で、70代が多いところもあります。人材の減少と高齢化が進んでおり、既に新規サービスを提供できなくなっています。そういった状況の中で必要数を把握しないなど、あり得ません。
このままでは訪問介護が成り立たなくなるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 訪問介護に限らず、安定的に介護サービスを提供していくため、事業所における人材確保の支援に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いろいろ言われましたけど、的外れだと言っておきます。専門職であり、重労働であるにもかかわらず、その処遇があまりに低いことが訪問介護職員の不足につながっています。施設の介護職員に比べ、地域の高齢者の自宅へ訪問する訪問介護は1対1の対応であり、閉鎖された空間でハラスメントなどのリスクも高くなります。
訪問介護には特段の専門性が求められ、困難性が多いために人材不足になるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 訪問介護につきましては、介護福祉士の資格等を要することや1人での訪問であることなどから、人材確保に難しい面があると考えられます。処遇については、処遇改善加算が他の介護サービスと比べて高い加算率とされているところでございます。処遇の改善が図られるよう引き続き国に要望してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) その処遇が改善されているというのがごまかしなんです。専門職が訪問するからこそできる役割をもっと評価するべきだと思います。訪問介護職員は、本人の表情、動作で体調の変化をつかみ、部屋の状態や冷蔵庫の中身を見て、異常がないか確認します。この生活援助が削られれば、利用者の全体像が見えなくなり、介護の質にも関わります。国が目玉とする処遇改善加算は1人当たり月6,000円を見込んでいますが、全産業平均より7万円低いと言われる中、桁が1つ違うというのが現場の声です。
そこで、専門性を求められるのに低い処遇である現状を抜本的に改善しなければ人材確保は改善されないと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護職員の処遇改善等につきましては、加算の取得促進などに取り組むとともに、介護業界のDX推進やコンサルタントの派遣による経営支援など、処遇改善に資する取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いろいろやっていると言われますが、今のままでは焼け石に水です。公益財団法人九州経済調査協会が発表した2024年版九州経済白書では、2030年までの職業別人手不足数で、介護サービスでは1,900人と衝撃的な数字となっています。また、第9期計画で介護人材の確保に外国人を挙げていますが、同調査では在留外国人専用転職サイトにおける地域別募集件数で、関東では1,858件であるのに比べ、九州では僅か74件です。年収の高い関東への流出が想定されており、今後の九州での外国人人材確保の難しさが浮き彫りになっています。つまり外国人労働者で賄えるというのは、幻想にすぎません。
このように、現状も含め予測される将来を見据えて、訪問介護事業所や訪問介護職員とともに、介護に関わる全ての職員の処遇改善のために市独自の補助金を出すべきと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護職員の処遇改善につきましては、加算の取得促進などに取り組むとともに、経営支援など処遇改善に資する取組を進めるとともに、安定的に介護サービスが提供できるように事業所における人材の確保の支援にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 人材確保に対する危機感が全くないと思います。これまで指摘してきたように、訪問介護事業所の報酬が減らされ、訪問介護職員が人材不足になっている下で、独居や老老介護の高齢世帯の多い本市では、訪問介護事業所や訪問介護職員の不足のために介護サービスを受けられない高齢者が増えているのは明らかです。第9期計画では高齢者数・高齢化率の推移で2030年が39万人、2040年には約47万人と高齢化率が約3割になると見込んでいます。このままでは保険料や利用料の値上がりと介護人材の不足により、必要な介護サービスを利用できない人が増大し、高齢者の生活を守れないのは明らかです。今手を打たなければ介護の基盤が崩れていくことになります。保険あって介護なしが現実のものになる。第9期計画では、高齢になっても誰もが個人として尊重され、人生の最期まで、住み慣れた地域で自立した生活を安心して送ることができるまちを目指していると書かれています。
であるならば、あらゆる手段を講じて保険料、利用料を引き下げ、訪問介護事業所支援と訪問介護職員の人材確保とともに、全ての介護事業のための処遇改善を行うべきと思いますが、この問題の最後に市長の御所見を伺います。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 介護保険制度は介護を要する高齢者やその家族を支える重要なものであると認識をしております。介護保険料については、国が定める制度の中で可能な限りの負担軽減を図りつつ、適切に設定を行うとともに、処遇の改善に向けた介護事業所への支援や介護人材の確保を進めているところでございます。今後とも、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 厳しい高齢者の生活や介護現場の現状を理解しない冷たい答弁だと思います。自治体として介護の実施責任を持つべきと強く求めておきます。
次に、九大箱崎キャンパス跡地のまちづくりについてです。
九大と都市再生機構、URは4月18日、住友商事を筆頭にJR九州や西日本鉄道、西部ガスなどが参加する企業グループを優先交渉権者に設定したと発表しました。同グループは最先端の通信技術や人工知能、AIを活用した先端技術のまちを提案しています。
そこで、優先交渉権者の企画提案の概要の中身についてただしてまいります。
まず、企画提案の概要でうたっている人生の質を高めるスマートサービスとは何なのかという問題です。提案書ではスマートサービスによって人生の質を高めると描いており、幾つかの提案がなされています。その中の一つに、安全というカテゴリーでAI見守りカメラが提案されています。
そこで、AI見守りカメラとはどのようなものなのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 九州大学箱崎キャンパス跡地については、地域とともにつくり上げたグランドデザインに基づき、先進技術の導入などにより安心して住み続けられ、より便利で暮らしやすいまちを目指すFukuoka Smart Eastに向け、取組を進めております。九州大学及びUR都市機構の事業者公募の募集要領におきましては、グランドデザインを踏まえ、安全、安心に過ごすことができるスマートサービスの提案が求められており、優先交渉権者からAI見守りカメラにより高齢者の転倒などを検知し、見守りを行うサービスが提案されたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 安全に役立たせるという答弁をされました。千葉県柏市では柏の葉スマートシティとして、駅周辺に29台のAIカメラを設置し、画像分析や人流解析を行っています。九大跡地地域でもこういう解析を行うならば、膨大な個人情報を蓄積することになります。つまり転倒しそうな人を見つけるためには、常時不特定多数の人を監視しなければなりません。
では、そもそもAI見守りカメラの設置は住民からの要求なのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) グランドデザインを踏まえまして、募集要領において安全分野のスマートサービスの提案が求められており、優先交渉権者から提案がなされたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 住民の声を取り入れたものじゃありません。開発する企業の計画であって、しかも、住民はこの事業によって自分の個人情報が蓄積されるということを知りません。
そこでお尋ねしますが、集められたデータはどうなるのか、また、個人情報の流出は防げるのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) データの取扱いについては、募集要領において関係法令の遵守を前提とした提案が求められており、優先交渉権者の提案においても個人情報保護法等の関係法令を遵守することとされております。詳細につきましては優先交渉権者において検討中であり、今後、協議をしていくこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 本当に住民の個人情報が守られるのか、その保障が曖昧な中で本市の姿勢は全く企業任せで、無責任過ぎます。
同じようにスマートサービスの健康というカテゴリーでは、健康情報を一元管理するPHR基盤とありますが、これは一体どういったことをするものなのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 募集要領において、健康維持や生活改善、介護予防につながるスマートサービスの提案が求められており、優先交渉権者から、本人同意の下に取得される健康情報を一元管理することにより、一人一人の健康状態に合わせたヘルスケアサービスの提供を可能とする提案がなされたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 一人一人の日常的な健康情報が蓄積され、極めて個人的なデータが営利活動に利用される可能性があります。サプリメントや健康食品の購入、栄養指導など、新たなサービスへコントロールすることもできるわけです。そもそも健康情報を一元管理するPHR基盤とは、企業側からすると、この地域の健康情報を基に商品を販売することも可能になります。
そこで、これは住民からの要求なのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) グランドデザインを踏まえまして、募集要領において健康分野のスマートサービスの提案が求められておりまして、優先交渉権者から提案がなされたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 住民要求でなく、企業の要求です。さきに述べたように、PHRも膨大で極めて個人的なデータが企業に集められます。
個人情報の流出は防げるのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 募集要領において関係法令の遵守を前提とした提案が求められており、優先交渉権者の提案においても個人情報保護法等の関係法令を遵守することとされております。詳細につきましては優先交渉権者において検討中であり、今後、協議していくこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いろいろ言われますが、これも防げる保証はありません。法令により守られると言われますが、世界的にもほとんどの政府、自治体にはスマートシティ開発を規制する政策がないと言われる中、現状の個人情報保護法では厳格に個人情報が守られるという保障はないのではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) PHR、パーソナルヘルスレコードを活用した健康づくりの取組につきましては、岡山県吉備中央町や石川県加賀市などでも進められておりますが、個人情報の取扱いに関しましては、こうした先行事例も参考としながら優先交渉権者と協議していくこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) ごまかされますけれども、スマートサービスとして行われようとしていることは、個人情報を握り、それを基に商売をしようとするものであり、この地域と住民が新しい技術の実験場とされるということです。カナダのトロントではグーグルによるスマートシティが計画されていましたが、データの利活用について住民のプライバシーの保護や公共の利益という価値が十分に検討されていないことが露呈をし、2020年に住民要求で撤退に追い込まれています。住民が参加するシステムの中で、デジタル技術の導入も住民と行政が時間をかけて話し合い、検討するという合意形成がつくられています。この視点が今回の提案には全くありません。
優先交渉権者の提案は個人情報を利活用するものであり、本市はこれに対し個人情報を守る立場に立ち、住民へ情報を開示し合意形成を図るべきと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 少子・高齢化の進展などによって社会の在り方が変わっていく中で、様々な社会問題を解決し、持続可能な社会を実現していくためには、先進技術などを積極的に活用していくことが大切であると考えております。また、先進技術の活用に当たっては、個人情報が適切に取り扱われることが前提と考えており、関係法令を遵守するとともに、他都市の先行事例等も参考に、地域の御意見をお伺いしながら優先交渉権者と協議を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) もっともらしいことを言われますが、個人情報がたくさん集積されるにもかかわらず、企業のやりたい放題に関与せず、市民の個人情報を守る立場に立っていません。許されないことを強く指摘しておきます。
次に、具体的なまちづくりについて伺います。
まず、学校についてです。
事前にお尋ねしたところ、人口予測は5,400人とのことでした。
そこで、子どもの数と、どこの小学校へ行くことになるのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 居住機能として分譲住宅2,000戸の供給が予定されております。これらを基に児童生徒の出現率を用いて推計いたしますと、全体で600人程度の児童の増加が見込まれます。現時点で九大箱崎キャンパス跡地は東箱崎小学校の校区となっておりますが、令和6年8月末に通学区域協議会を設置し、東箱崎小学校、箱崎小学校の教育環境確保のための協議を開始しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 児童数600人とのことです。
では、学校用地は確保しているのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 九州大学箱崎キャンパス跡地内には箱崎中学校の移転予定地を確保いたしておりますが、九州大学とUR都市機構が行った公募において総供給戸数2,000戸の制限が設けられましたため、跡地内に小学校の用地は確保いたしておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) また校区調整で子どもと地域に混乱をもたらすもので、とんでもないですよ。まちづくりが進めば周りの地域も誘発されて、人口が増えて子どもの数も増えることは間違いありません。
そこで、新たな学校用地を確保しなければならないと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、教育環境を維持するため、居住機能につきましては、総供給戸数に加え、毎年の供給戸数の制限を付してもらっているため、九州大学箱崎キャンパス跡地内に新たに小学校用地を確保するまでの必要はないと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) またそうやって学校をパンクさせて、過大規模校を生もうとしています。学校用地確保は絶対に必要と、ここで強く指摘しておきます。
次に、緑の空間の確保についてです。
提案概要では緑空間の確保・「箱崎創造の森」をつくるとしております。
そこでまず、緑化率40%、樹木1万本以上による圧倒的な緑量の確保と書かれていますが、そもそも九大があった頃の緑化率はどれぐらいであったのか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 九州大学からは移転前の緑化率は持ち合わせていないと伺っておりますが、箱崎キャンパス内の既存樹木につきましては、高さ2メートル以上の樹木を対象に平成26年度に九州大学が実施した調査によりますと、跡地全体で約3,400本と伺っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 九大のあった頃の緑化率が分からないと。ということで、緑化率40%が圧倒的な緑量なのかは分かりません。
では次に、1万本以上の樹木について伺います。
天神のアクロスの屋上庭園の樹木は何本植わっているのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公益財団法人アクロス福岡に問い合せたところ、現在の樹木の本数は把握できていないとのことでありますが、建設当時には高木150本のほか、中低木や地被類を含め3万7,000本株を植樹されたと伺っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 3万7,000本と。今、1万本とされている九大跡地の面積はアクロスの屋上庭園の100倍です。圧倒的な緑量というのであれば、樹木量も桁違いに増やさなければ圧倒的な緑量にならないと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 優先交渉権者からは、公募区域において緑化率約40%、樹木1万本以上を確保すること、建物屋上まで緑をつなぎ緑視率の高い景観形成を図ること、歩道空間などに隣接する敷地内に緑地帯を設けること、保全樹林、既存樹木を活用することなどの提案がなされており、グランドデザインの実現に向けて引き続き優先交渉権者と協議を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 先ほど言われていました、そもそも九大があった頃の箱崎キャンパスには100年の歴史を経て立派な樹木がたくさんあったんです。ですけど、住民の意見も聞かずに伐採されているんです。
住民が望む以前のようなまちを構築するためにも、表面的な緑化でなく、樹木量を抜本的に増やすよう優先交渉権者に求めるべきではありませんか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) グランドデザインでは、公園や広場、歩行者空間、道路等において緑豊かな空間を確保するとともに、有機的につないだ緑のネットワークを形成することとしております。優先交渉権者からは、緑化率40%という圧倒的な緑量で、街角広場や歩行者ネットワークとしての5つのメインストリートを整備することや、まち全体に緑環境を提供する箱崎創造の森として広場等を緑のネットワークでつなぎ、まち全体に緑を広げる提案がなされており、グランドデザインの実現に向けて引き続き優先交渉権者と協議を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 表面的な緑化じゃなくて、樹木量を抜本的に増やすように見直させるよう求めておきます。
次に、防災公園についてです。
住民はたくさんの人が住むこの地域に一貫して広大な防災公園を求めてきましたが、今回の提案にはそれは見られません。
防災公園は造らないのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) グランドデザインに基づき、南エリアに新たに近隣公園を整備し、箱崎中学校と近接して配置することで一体的なオープンスペースを創出し、防災性の向上を図ることとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) それは住民が求める防災公園とは違います。本市も警固断層はもとより、東区には宇美断層もあり、この地域に隣接しているため、ここが揺れたら大きな打撃を受ける地域です。地震が起きれば、建物の中は怖いと多くの避難者が屋外に避難します。何はともあれ逃げるところが必要です。しかし、この提案にはそういったときに避難できる防災公園はありません。避難となれば、食料や水、寝る場所、トイレなどがどうなるのか、それらを兼ね備えた広大な敷地が必要だと住民は求めているんです。
今こそ、この住民の声を生かした広大な防災公園が必要だと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) グランドデザインに基づき、新たに整備する公園やまとまった規模の街角広場等のオープンスペースは、一時的な避難場所や応急活動の場として利用できる整備に努めることとしております。また、優先交渉権者からは災害時に避難者の受入れや物資供給などを実施する地域防災拠点の形成などの提案もなされており、これらと連携することにより効果的な形で防災性の向上が図られるよう協議を進めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 住民の声に真摯に耳を傾けるよう強く求めておきます。
次に優先交渉権者決定までの本市の関わりについて伺います。
優先交渉権者を決める審査委員会には本市から光山副市長が参加されていますが、光山副市長が審査委員に選定された経緯はどういったものですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 審査委員の選定に当たっては、公募主体である九州大学及びUR都市機構とグランドデザインを踏まえた審査を行っていただく必要がある旨を協議していたところ、審査委員については、箱崎キャンパス跡地利用協議会の会長及び委員、公募主体からは九州大学の副学長、UR都市機構の九州支社長、グランドデザインの共同策定主体である福岡市からは光山副市長を選定したいと、九州大学及びUR都市機構から申出があったものでございます。その後、令和5年3月8日に公募主体である九州大学とUR都市機構から光山副市長に審査委員就任の依頼があり、所管局でございます住宅都市局から光山副市長に就任の了承を得た後に、3月9日に回答したものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 普通なら、こういった要請に対して光山副市長を審査委員にしていいかという内部の決裁文書が作られ回覧され、最終的には市長決裁が下りた後に審査委員になるのだと思いますが、決裁文書はあるのでしょうか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 所管局でございます住宅都市局において光山副市長の委員就任の了承を得た後、就任を受嘱する旨の回答に当たり決裁をいたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 資料1を投影してください。(資料投影)これがその決裁文書と言われているものです。次に、資料2を投影してください。(資料投影)先ほどの資料を拡大したものです。別紙のとおり回答してよろしいかと手書きで書かれています。資料を消してください。通常の内部決裁の稟議書とは全く違うものです。九大からの依頼文を内部で回覧した判が押されていますが、これは私がこの質問のために住宅都市局に再三要求し、9月2日にようやく提出されたものです。しかも、4日まではこれは決裁文書ではないと主張されていたのに、昨日の朝になって内部決裁だと態度を変えたのです。しかも、最終決裁者は部長で、局長も島市長も印鑑をついていません。つまり、本当はなかった決裁文書をあったように取り繕ったのではないかと疑念を持たざるを得ません。
いずれにせよ光山副市長は公式に審査委員として送り出したと言い張られるわけです。そうならば、審査委員会に臨む姿勢など、方針を事前に決める必要があります。私はその文書を求めましたが、それもないということです。資料3を映してください。(資料投影)これが当局の私への回答です。ちょっと小さいですが、何と副市長が審査委員会に臨む基本姿勢は内部で確認されていないと、そういったことが書かれているんです。資料を消してください。
そこで、光山副市長は一体どういう立場で審査委員として参加されたのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地域とともにつくり上げたグランドデザインを踏まえた審査が必要なため、公募主体でございます九州大学及びUR都市機構の依頼に基づき、福岡市からの審査委員として就任したものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) おかしな話ですね。市の代表として参加しながら、市の方針の決裁はない。これはどういうことなのか。大事な問題なので、少し掘り下げます。5月17日付の西日本新聞には、地場企業の力学に異変と題して、こう報じています。九州電力のグループが軸に据えたアリーナ開発は、審査にも関わる福岡市側が支持しているとの情報もあったと。
つまり、福岡市は九電などのアリーナ案を推していたと報道されていますが、これは事実なのか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) おただしのような事実はございません。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 否定されますが、ファクタという雑誌には光山副市長はなりふり構わず九電グループ案を推奨して回ったと書かれています。これは事実なのか、御本人の答弁を求めます。
○議長(打越基安) 光山副市長。
○副市長(光山裕朗) おただしのような事実はございません。以上です。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) これも否定されました。しかしですね、この雑誌には光山副市長が中心になって九電案を進めていこうとしたことが詳細に書かれております。
事実と違うというなら、西日本新聞やファクタに抗議されたのでしょうか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 光山副市長。
○副市長(光山裕朗) 抗議などはいたしておりません。以上です。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 小さい声で言われていましたけど、抗議されていないと。抗議してしまったら争いになり、光山副市長の行動が浮き彫りになってしまうからまずい。だから、抗議もできないということなんでしょう。光山副市長が市の方針も持たず審査委員として参加した背景には、報道されるようななりふり構わぬ九電推しがあったからで、その振る舞いが問題になったとき島市長の責任が問われるから、光山副市長を市長決裁しないままフリーハンドで参加させるという異例の措置を取ったのではないかと思いますが、これは市長にお聞きします。答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 何を聞かれているんですか、私に。もう一度言ってください。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いわゆる光山副市長がなりふり構わず九電推しがあったと言われていますけれども、この振る舞いが問題になったときに島市長に責任が問われるから、光山副市長を市長決裁しないままフリーハンドでこの審査委員会に参加させたのではないかということを聞いています。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 私に聞いているんですよね。そのような事実はなかったと思います。以上です。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 否定されますけれども、一連の流れは本市が九電推しだったというこれらの報道を裏づけるものです。本来、光山副市長はグランドデザインに沿って公正、公平な立場で審査に当たるべきでした。しかし、そうではなく、九電側に露骨に肩入れしたという疑念が拭えません。
このような疑念を生じさせること自体が問題だと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 光山副市長。
○副市長(光山裕朗) 公募に当たりましては、地域とともにつくり上げましたグランドデザインに基づいた事業企画提案が求められております。審査に際しましては、そのグランドデザイン及び公募要領における評価の視点に沿った審査を公平、公正に行っているところでございます。以上です。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 否定されますけれども、本人が言われるように、光山副市長が公正、公平なグランドデザイン実現の立場で審査委員会に臨んだかどうか、これは議事録がかたくなに非公開とされているため検証ができません。
したがって、公正な立場で参加したというなら、議事録を含む審査過程全てを公開させるべきだと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公募主体でございます九州大学とUR機構において、審査結果として審査委員会の開催経過や評価点、評価講評等が公表されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 市民の財産ですから、ぜひ公開させるべきです。
この九大箱崎キャンパス跡地におけるスマートシティ構想は、述べてきたように、提案者に丸投げで、市民の個人情報は守るどころか営利活動に利用され、まちづくりにおいても、人口増が予想されながら学校用地もない。緑の確保も住民要求とはかけ離れたものであり、市民の望む防災公園もない。住民の声を聞くふりをして、実態は大企業のもうけのために九大跡地を差し出すもので、許されません。そもそも優先交渉権者を決める審査過程は何も公開されず、市が不公正な関わりをしたとの報道が複数のメディアからなされ、怪文書までばらまかれる事態となるなど、問題が山積みです。
したがって、優先交渉権者を決めた不透明な審査過程と島市長の関与について情報開示を行うとともに、住民要求を基本に据えた跡地利用にするために、多くの市民が計画に参加できる仕組みを整え、グランドデザインに沿った跡地利用へ抜本的に見直させるため、市はこれまでの姿勢を改めるべきと思いますが、最後に市長の答弁を求め、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、地域とともにつくり上げたグランドデザインに基づき、都市基盤の整備を着実に進めるとともに、最先端技術による快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出するFukuoka Smart Eastの実現に向けて、九州大学や地域などの関係者と連携をして、未来に誇れるまちづくりに取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
午後は1時10分に再開いたします。
午前11時23分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、市営住宅の共益費の徴収管理について質問をいたします。
私は昨年の9月議会の一般質問におきまして、私の地元地域の市営住宅に住む自治会長さんから、共益費の未納問題や団地の高齢化により共益費の集金作業が非常に負担になっている現状をお聞きし、市や住宅供給公社による共益費の徴収管理について検討し、モデル的に一部住宅で試行するなど、早期に取り組んでいただきたいということを質問させていただきました。本市からは、高齢化により人手不足となっている管理組合等の負担につながることから、試行も含めて導入に向けて検討を行うという旨の答弁をいただいております。
そこで、本日は質問させていただいてから1年がたちますので、検討状況について順に確認をさせていただきたいと思っております。
まず初めに、市営住宅の入居者や管理組合の現状などについて幾つか確認をさせていただきます。
初めに、現在の福岡市全体と市営住宅の入居者の高齢化率についてお伺いいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席で行います。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和6年3月末現在における65歳以上の高齢化率は、福岡市全体では22.3%、市営住宅の入居者では41.7%でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 市全体でも既に21%を超える超高齢社会となっておりますが、中でも市営住宅の高齢化率は41.7%と、市全体と比べても倍近い数字となっており、市営住宅の高齢化対策は喫緊の課題であると改めて認識をしたところでございます。
次に、市や住宅供給公社による共益費の徴収管理に関しての管理組合のニーズやその理由についてどのように把握されているのか、お伺いをいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和3年度に市営住宅の入居者で組織される管理組合または自治会に対し、共益費の実態及び管理組合活動の課題やニーズを把握するためのアンケート調査を実施し、その中で、市や住宅供給公社による共益費の徴収管理についての意向を尋ねております。その結果、回答のあった170の管理組合等のうち、市や住宅供給公社による共益費の徴収管理を希望すると回答した管理組合等は38.2%であり、その主な理由は、管理組合の負担軽減になるためや未払い者への対応が不要となるためなどでございます。また、希望しないと回答した管理組合等は17.7%であり、その主な理由は、現時点で問題ないためや共益費と自治会費との区分が難しいためなどでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和3年度に市営住宅の管理組合や自治会に対してアンケート調査を行っていただいたということでございます。管理組合の負担軽減になるため、未払い者への対応が不要になるなどの回答があったようですが、今後も高齢化に伴って、市や住宅供給公社による徴収管理を希望する管理組合も増加することが予想されます。
これらの状況を踏まえて、私が昨年質問いたしました際に市や住宅供給公社による共益費の徴収管理について検討を行う旨の答弁をいただきましたが、その検討状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市や住宅供給公社による共益費の徴収管理につきましては、2か所の市営住宅を対象に本年10月からモデル事業として実施することとしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 本年10月からモデル事業を実施することが決まったとのことであります。昨年の質問に対して、着実に検討を重ねていただいたことに感謝申し上げます。
先ほどの管理組合の希望も踏まえつつ、一方で、自治会費との区分が難しいという管理組合の意見もある中で、一歩モデル事業として踏み出していただいたわけでございますが、そのモデル事業の内容について確認をさせていただきたいと思います。
今回のモデル事業の対象になった市営住宅とその選定理由をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) モデル事業の対象住宅につきましては、東区の原田四丁目住宅及び下原住宅でございます。また、その選定理由につきましては、モデル事業を着実に実施していくため、管理組合の意向として市による徴収管理を希望していること、管理組合の規模として管理戸数がおおむね100戸以下であること、共益費と自治会費の区分ができていることなどでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) まずは東区の2住宅でモデル事業を実施するということであります。また、共益費と自治会費の区分が難しい中、その区分ができていることも選定された理由の一つということであります。
それでは次に、共益費といっても、管理組合によって徴収する範囲や使い道は様々であると思いますが、市が徴収する共益費の範囲をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 徴収管理を行う共益費の範囲につきましては、共益費の主な使途でございます共用部分の光熱水費、清掃及び照明の管球交換に要する費用、樹木の剪定や除草に要する費用のうち、管理組合が希望するものとしており、これらの費用に管理事務経費を加算した上で徴収を行うこととしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 共用部分の光熱水費や照明の管球交換費、清掃費、剪定や除草費のうち、管理組合が希望するものが共益費の範囲ということになるようであります。
それでは、実際の共益費の徴収方法はどのようにして行われるのか、お伺いをいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 共益費につきましては、家賃と合算して、口座振替または納付書により徴収いたします。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 現在、入居者からの家賃収納など、市営住宅の管理運営に関する業務の多くは住宅供給公社が担っておりますけれども、今回のモデル事業においては市と公社はどのような役割分担で実施をするのか、お伺いをいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 役割分担としましては、市ではモデル事業の制度設計や検証などの統括業務のほか、共益費の決定、市営住宅管理システムの運用などを担当いたします。また、住宅供給公社では現場での実務の担当として、具体的には共益費の徴収事務、共用部分の光熱水費の支払い、清掃や樹木剪定に係る業者委託、管理組合等との調整などを行います。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) これまで市営住宅の共益費徴収管理のモデル事業について質問をしてまいりましたけれども、入居者の高齢化が進む市営住宅におきましては、共益費の未払い者への督促や支払いをめぐるトラブルへの対応、また、共用部分の清掃などの維持管理など、管理組合の共益費に係る負担はますます大きくなるものと考えております。これらの状況を踏まえて、今回、本市において様々な課題がある中でモデル事業を実施していただけることに評価をしたいと思っております。引き続き、他都市の事例も参考にするなど、このモデル事業により検証を進めていただいて、ますます高齢化が進む市営住宅において管理組合の負担軽減につながる実効性のある事業にしていただきたいというふうに思います。
最後に、このモデル事業を開始するに当たっての意気込みとモデル事業を経た今後の全市展開に向けた御所見を局長にお伺いして、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅の共益費徴収につきましては、これまで市や住宅供給公社において管理組合からの相談を受け、未払い者に対して電話や訪問による督促や指導を行うなど、管理組合への支援を行ってまいりました。今回、管理組合をより一層支援するため、一歩踏み込んで市や住宅供給公社による共益費の徴収管理のモデル事業を実施するものであり、入居者の方々が安心して暮らしていけるようにしっかりと取り組んでまいります。
今後の対象拡大などについては、モデル事業を通じて管理組合側のメリットやデメリット、持続可能性などを総合的に検証してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ)登壇 私は日本維新の会福岡市議団を代表し、ABURAYAMA FUKUOKAについて、創業支援事業について、以上2点を質問させていただきます。
初めに、今年4月に全面開業したABURAYAMA FUKUOKAについてです。
昨年の一部開業時から視察に伺わせていただき、子どもの頃、家族で遊びに行った思い出のある油山牧場と油山市民の森が、これまでの搾乳体験や乗馬体験などの機能は維持しつつ、人気のカフェやレストランなど魅力的な店舗が入り、広々と開放的なテラスやベンチから市内を一望できるすばらしい施設に生まれ変わったことに私は大変感動いたしまして、度々訪問をさせていただいております。
そこで、今回は高いポテンシャルを持つ福岡市民の貴重な財産であるABURAYAMA FUKUOKAについて質問をさせていただきます。
まず初めに、油山市民の森等リニューアル事業の経緯、目的についてお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 油山市民の森等リニューアル事業につきましては、油山市民の森が開園から50周年を迎えたことを契機として、施設の老朽化や利用者層の偏りなどの課題を踏まえ、民間の創意工夫やノウハウの導入により市民の様々なニーズに対応し、新たな魅力やにぎわいを創出することを目的に、油山牧場と一体的なリニューアルを実施したものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 施設の老朽化を契機に、民間の力を活用して新たな魅力やにぎわいの創出を目的にリニューアルを実施されたことが分かりました。
次に、油山牧場及び油山市民の森を一体施設としたABURAYAMA FUKUOKAの事業者は公募にて選ばれ、事業全体は既存施設等リニューアル事業、指定管理事業、新たな魅力創出事業の3つで構成をされていると思いますが、それぞれその概要と具体的な事例をお示しください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) まず、既存施設等リニューアル事業につきましては、老朽化した既存施設の建て替え、改修や基盤整備などを行うもので、トイレや管理事務所の改修、駐車場の整備などを実施しております。
次に、指定管理事業は、法令に基づき、公の施設である油山牧場と油山市民の森の一体的な管理運営や、これに付随する自然観察センター及び家畜との触れ合い体験などを実施いたしております。
これら福岡市としての基本的な事業に加えまして、新たな魅力創出事業は、民間事業者の創意工夫により新たな魅力向上を図るもので、宿泊や飲食、物販をはじめとする多くの事業を実施しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) それでは、それぞれの事業の責任の所在についてお示しください。あわせて、各事業において市がこれまでに支出した及びこれから支出しなければならない金額と市に入ってくる金額についても、詳しくお教えください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) まず、既存施設等リニューアル事業は福岡市が実施し、全体事業費は約11億4,900万円でございます。
次に、指定管理事業は指定管理者が実施しており、福岡市から指定管理料として令和5年度は約1億9,800万円を支出し、6年度は約1億7,900万円、7年度から19年度までは毎年1億7,600万円を見込んでおります。
なお、油山牧場と油山市民の森を一体的に運営することで、リニューアル前の令和4年度と5年度の予算額を比較いたしますと、年間約4,200万円の減額となっております。
次に、新たな魅力創出事業につきましては、全て事業者の負担により実施いたしております。また、本事業を実施するための市所有の土地、建物に対する賃借料については事業者から福岡市へ支払われており、令和4年度は約200万円、5年度は約1,400万円を収入済み、6年度から19年度までは毎年約1,500万円の収入を見込んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 既存施設等リニューアル事業及び指定管理業務は市の責任によって実施をしており、施設改修に約11億4,900万円の支出と、指定管理料として今後毎年約1億7,600万円と多額の支出を見込んでいることが分かりました。一方で、新たな魅力創出事業に関しては事業者の投資と責任において実施をしており、毎年1,500万円程度の歳入を見込んでいるとのことです。
これをどう見るかということになりますが、指定管理料については、一体的に運営をすることで年間約4,200万円程度の減額となっているとのことですので、評価できるのではと思っております。また、年間1,500万円程度の歳入に関しては、こちらは従前にはなかったものでありまして、歳入確保の観点から方向性としてはいいと思う一方で、金額の算定根拠について伺うと、近隣の土地売買実績に基づいて不動産鑑定士による評価をベースとして福岡市で貸付額を設定しているとのことでした。これには整備に要した費用や来場者の増加等、今後発展することが反映されておらず、果たして実態に合った適正額なのかは検証する必要があるように思いますが、ここでは一旦置いておきまして、次の質問に移ります。
個人的にとても魅力的に生まれ変わったと感じているABURAYAMA FUKUOKAでありますけれども、私が来場した際に気になったのがにぎわいの少なさです。大抵どこに行っても混み合うのが当たり前のスターバックスの店舗でさえ、私が伺った日には全て席に余裕がある状況でした。特にイベント等も何もない平日はがらんとしてしまっておりまして、こんなにすてきな施設なのにもったいないなと思わずにはいられませんでした。
そこで、お伺いをいたします。
リニューアル後の来場者数はどの程度増加をしたのか、コロナ禍前の令和元年度と比較をしてお示しください。また、市として来場者目標数等は設定をしているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和5年度の来場者数は約59万7,900人となっており、コロナ禍前の令和元年度の約54万2,900人と比較いたしますと約5万5,000人増え、約1.1倍となっております。
なお、令和5年には豪雨災害の復旧のため油山市民の森側の入り口は約2か月間通行止めしていたところから、油山牧場のみで比較すると約1.3倍に増加しております。
また、来場者目標数につきましては具体的数値は定めておりませんが、類似施設のリニューアル後の状況などを参考に、利用増加率を1.25倍と見込み、駐車場の整備を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 令和元年度と比較して、来場者数は1.1倍増えたとの御答弁ですけれども、これだけ大規模なリニューアルを実施していることを考えますと、少々寂しい数字と感じます。
そして、来場者の具体的な目標値は特に設けていないとのことですが、ABURAYAMA FUKUOKAは福岡市の財産、すなわち市民の財産であります。サービスの向上を指定管理者の自由な発想の下、実施するとしても、福岡市として一定の目標があったほうが市民の満足度を高めることにつながると考えますが、設定していない理由あるいは設定できない理由があればお示しください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) ABURAYAMA FUKUOKAは都心に近い森林を生かし、気軽に自然や家畜との触れ合い体験ができる施設として設置しておりまして、民間の創意工夫を生かしたリニューアルにより来場者にこれまで以上に質の高いサービスを提供し、満足度を高めることが最も重要であると考えていることから、来場者数の具体的な数値目標は設定しておりませんが、リニューアル事業が来場者数の増加につながるよう官民で連携して施設を運営してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 来場者の具体的な目標値を設定していない、あるいはできない理由について私はお尋ねしたんですけれども、来場者の満足度を高めて、質の高いサービスを実現することが最も重要だと考えているから具体的な数値目標は設定していないとの御答弁です。これはどう考えても理由になっていないと思います。
私がお聞きした話では、ABURAYAMA FUKUOKAは入場料を取っていない無料の施設であることから目標は設定していないとのことでした。もちろん気軽に自然や家畜と触れ合える場所であるのが前提という施設である側面は理解をしておりまして、やみくもに数字だけを追い求める施設にすべきとは全く思っていません。
しかしながら、ABURAYAMA FUKUOKAのリニューアルには多額の税金が支出されている点やリニューアルの目的を踏まえても、いわゆる公園など一般的な公共施設とは違って、広く来場者を呼び込み、お金を落としてもらって収益を上げていくべき施設であると考えます。目標設定もなく、ぼんやりと官民連携で来場者数増加に取り組むというのであれば真剣さが感じられません。民間は当然目標値を定めているわけですから、官民連携とおっしゃるのであれば、そこも一定共有をすべきではないでしょうか。
よって、今後は市としても来場目標数を定めた上で事業に取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 数値目標の設定は考えておりませんが、リニューアル後の来場者数は増加しており、今後とも、来場者の満足度を高めるため、リニューアルによる質の高いサービスを提供するとともに、宿泊、飲食、アスレチックのほか、ビジネス層を対象とした森のオフィスなど、これまでにない取組のPRに努め、事業者と連携しながら幅広い世代の多くの方に御来場いただけるよう取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 先ほどから目標数値は設定していない、する予定もないという御回答をいただいておりますが、目標数値がない以上は、目標に向かって具体的に改善をしていくということにはなり得ません。本事業にかかわらず、今後、類似の事業においても行政としての目標設定が必要であると強く申し上げたいと思います。
それでは、民間に任せている新たな魅力創出事業に関しての目標値はどのようになっておりますでしょうか。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 新たな魅力創出事業の目標値は企業経営の観点から公表されてはおりませんが、宿泊事業や飲食、物販事業など、事業者の創意工夫により魅力的な事業を実施していただいているものと認識しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 民間の目標値に対しては企業経営の観点から公表されていないとのことで、ここは仕方ないと思うんですけれども、それでは、今年4月に新たな層をターゲットに開業した宿泊ゾーン、YAKEI SUITEの稼働率について、休日、平日それぞれでお示しください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) YAKEI SUITEの稼働率は、令和6年8月末現在で、休日料金となる土曜日及び2連休以上の最終日を除く日はヴィラ73%、コテージ71%、常設テント17%、それ以外の平日はヴィラ34%、コテージ25%、常設テント5%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) この稼働率について、市、そして、事業者はどのような見解をお持ちか、お聞かせください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 休日のヴィラ、コテージはリピート客も多く、稼働率が非常に高い状況にございます。一方で、特に平日の常設テントの稼働率が低いことから、事業者と連携を図りながら、SNSや広報紙など、様々な媒体によるPRに努めているところでございます。
なお、フリーサイトなども含めた宿泊事業全体の平均稼働率は約22%と、一般社団法人日本オートキャンプ協会のオートキャンプ白書2023による全国のキャンプ場の平均稼働率20.7%を上回っており、リニューアル初年度から一定の評価をいただいているものと認識いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 宿泊事業全体で見たら一定の評価を得ていると認識しているとの御答弁ですが、YAKEI SUITEの常設テント平日稼働率5%という数字は、もっと重く受け止めるべきではないでしょうか。民間事業者に口を出すことはできませんが、厳しいことを申し上げますと、もしこの現状で総じて一定の評価をいただいている、足りない部分はPRに努めている、この程度の認識なのであれば、官民連携で民間感覚を取り入れるどころか、民間が官と事業をすることで民間感覚を失っているのではと思わざるを得ません。ぜひとも認識を改め、危機感を持って取り組んでいただきたいです。
続きまして、来場者や指定管理業者からはどのような声が上がっておりますでしょうか。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 来場者からは、カフェやアスレチック、農園などがあり、子どもから大人まで一日中楽しめるとの声をいただいているほか、キャンプサイトからコテージまで幅広い種類の宿泊施設や福岡のまちを一望できる夜景が非常に好評となっております。
また、指定管理者からは、子どもたちにさらに楽しんでもらえるよう、こどもひろばの遊具の中長期的な改修、充実のほか、ABURAYAMA FUKUOKAの継続的な市民へのPRについての要望が上がっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 来場者からは好評であるとの御答弁ですが、新たな層をターゲットにした宿泊施設の、特に平日常設テントの稼働率の低さは、サービスと価格が釣り合っておらず、ぜひ行きたいと市民の方にも市外の方にも判断されていない現状を表しているのではないでしょうか。
私が聞いている声としては、晴れていても暑い日には日よけがないことから過ごしづらい、子どもたちを遊ばせられる遊具や水遊びスポットがカフェの近くにあれば、お茶を飲みながら子どもたちを見ることができていいのに、宿泊施設以外も夜入場できたらいいのになど、改善点や要望が多く届いています。また、残念ながら一番市民の方から聞くのは、そもそもリニューアル後、行ったことがないというお声です。
そこで、まずは指定管理業者から要望が出ているこどもひろばの遊具の改修、充実に当たっては、こういったお声を参考に取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 老朽化した遊具の修繕を行うとともに、こどもひろばにつきましては、来場者アンケートでの意見なども踏まえ、計画的により魅力的な遊具の導入等を行ってまいります。また、強い日差しを避ける対策として植樹なども検討しており、子どもたちがこれまで以上に安心して楽しめる広場となるよう取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 来場者の声を踏まえて取り組んでいくとのことで、よろしくお願いいたします。
よりよいこどもひろばになれば、これまで来場したことのない子育て世代の来場意欲、そして、満足度に大いにつながるものと考えます。整備には予算の確保も必要になってくると思いますが、その際には所管の農林水産局単体で考えるのではなく、こども未来局など、関係局との連携も視野に御検討いただくのも一考かと思います。
そして、油山の片江展望台には夜景を見に訪れる福岡市民が少なくありません。ABURAYAMA FUKUOKAも、油山の片江展望台と同様に、すばらしい夜景を見ることができます。さらに、ABURAYAMA FUKUOKAにはお手洗いもあり、夜景を見ることができるスペースも駐車場も広く、屋台やキッチンカーを出せるスペースもたくさんあります。福岡市の新たな夜景スポットとして、福岡市民からはもちろん、市外の方からも愛されるポテンシャルを持っていると思います。
そこでまず、現在の営業時間及びこれまでの夜営業の状況をお示しください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) まず、営業時間は9時から18時となっております。また、夜間営業につきましては、宿泊事業のほか、これまでにも安全確保を徹底した上でイベントなどを実施しており、令和5年度は夏休み期間の7月22日から8月27日までの土日祝日に21時まで営業時間の延長を行ったほか、10月21日及び28日に映画祭を実施いたしました。また、6年度は8月16日から18日まで場内をライトアップし、夜景を楽しめる森林アスレチックのほか、キッチンカーなども設置し、夜間イベントを実施いたしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) イベントなどを度々実施はされているということですけれども、なぜ公募の時点で夜営業は基本的にしないこととしたのか、したほうがいいという意見は上がらなかったのか、お教えください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 営業時間につきましては、油山市民の森等リニューアル事業の公募要項におきまして、同等または拡大する提案ができるものとしており、事業者から1時間延長の提案が行われ、これを採用したものでございます。以上です。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 今回のリニューアルで牧場からABURAYAMA FUKUOKAという新しい場所に生まれ変わりました。現状から1時間延長とのことですが、新しい場所になった以上は、営業時間のみならず、入場者数の目標設定やPR方法などを新たな視点から考えていく必要があります。ぜひ牧場事業の延長ではなく、ABURAYAMA FUKUOKAという新たな施設を魅力的につくっていくという意識を持って検討をお願いいたします。
魅力創出事業については、事業者の投資と責任において実施をしているとはいえ、福岡市民の財産であるABURAYAMA FUKUOKAを利用して行われています。また、福岡市は本件、魅力創出事業を審査して承認した立場であります。したがって、稼働率を上げる、すなわち今よりにぎわいを持たせ、市民から愛される施設にするための責任を福岡市も負っていると考えます。
以上の背景から、ABURAYAMA FUKUOKAをよりにぎわいを持たせるために何が必要であると考えますでしょうか。また、現在検討していることをお示しください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) にぎわいを向上させるためには、来場者の様々なニーズに対応し、リピーターを増やしていくことが重要であると考えておりまして、要望が多かった油山牧場のペット同伴での入場につきましては、必要な対策を講じた上で令和6年4月に実現したところでございます。また、現在、指定管理者と連携して、市民をはじめ、国内外からの来訪者に向けて効果的なPR強化のほか、多くの方に御来場いただけるよう、自然を生かしたイベントを検討しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) ペット同伴について、来場者の意見を踏まえた改善が行われていることは評価できます。今後は利用したことがないという方も行きたくなる、そして、訪れた方がまた来たくなる施設となるよう、具体的な取組が一層進むことを期待いたします。また、御答弁にもありましたように、市外の方を呼び込むことも重要です。しっかりとお金を落としてもらって、そのお金が市民サービスの向上につながるような仕組みであれば一層納得感が得られるものと思います。
繰り返しになりますが、市の財産を有効活用していくという観点は非常に重要です。民間に任せたとしても、民間が市の財産を活用して事業を行っている以上、福岡市は事業を審査して、市民のためになるという判断を行っており、継続的に関与していくことが必要です。ABURAYAMA FUKUOKAは本当に魅力的で価値のある場所です。行政がリーダーシップを持って、よりよい未来を描く努力をしなければ、真に市民にとって価値ある場所にはなり得ません。
ABURAYAMA FUKUOKAを魅力的にしていくため、継続的に行政がリーダーシップを取って建設的に関わっていくべきと思いますが、いかがでしょうか。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 魅力的な施設にしていくため、市といたしましても、事業者と定期的に意見交換を行いながら、適切な指定管理事業及び民間のノウハウを導入した新たな魅力創出事業の実施に加え、夜間イベントの新たな取組も官民が連携して実施しているところでございます。また、適切な施設運営管理や事業者の提案内容の確実な実施に向け、評価委員会によるモニタリングを定期的に実施していくとともに、利用者の声を踏まえ、多くの方々に来場いただき、満足していただける施設となるよう今後とも取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) よろしくお願いいたします。
さて、今回の問題の本質というのは、民間の目標と行政の目標が異なるという点にあります。民間企業の目的は営利である一方で、行政の目標はABURAYAMA FUKUOKAを魅力的な市民の憩いの場とすることです。具体的には、一定の予算内という制約がありつつ、来場者数や来場者の満足度を獲得することが目標となるべきです。このように、民間と行政の目標が異なるため、行政がリーダーシップを持って目的や目標値を定めなければ市民のための公共事業とはなり得ないのです。この問題点をクリアする一つの方法として、成果連動型民間委託契約方式というものがあります。これは内閣府のガイドラインによると、社会課題の解決に対応した成果指標を設定し、成果指標値の改善状況に連動して委託費等を支払う官民連携の手法とされており、福岡市では令和元年度より保健医療局において実施をしている適正服薬推進事業に成果連動型委託を導入しています。
内閣府はこの成果連動型民間委託契約方式を推進しています。社会課題の解決に対応した成果指標を設定し、成果指標値の改善状況に連動して委託費を支払うことにより、より高い成果の創出に向けたインセンティブを民間事業者に強く働かせることが可能となるためです。私も同様の見解を持っておりまして、ABURAYAMA FUKUOKAに関しては過ぎた話になりますが、今後の官民連携事業においては、福岡市として成果連動型民間委託契約方式を増やしていくべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 成果連動型民間委託契約方式につきましては、官民が連携して社会課題の解決を図る効率的、効果的な手法として期待されている一方、導入に当たっては適切な成果指標の設定や委託費における成果連動部分と固定部分のバランスなどに課題があると言われております。今後とも、委託契約に当たりましては、それぞれの業務の目的や性質に応じて、成果連動型民間委託契約方式も含め、適切な手法を選択してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 導入に当たっては適切な成果指標や委託費の設定などに課題があると言われているという御答弁ですけれども、公共事業の発注において適切な成果指標や委託費を設定するのは行政の役目です。福岡市として適切な成果指標や委託費を設定し、どうやったら市民のための発注となるのか、向き合っていかなければなりません。ABURAYAMA FUKUOKAの現状は、市民の財産を有効に活用できているとは言い難い状況です。市の財産を市民のために積極的に活用するために、市民の利便性を考えた指標を検討し、成果連動型が適する場合にはそのような発注を行うべきです。引き続き、公共事業の発注においては真摯な御検討をお願いいたします。
いろいろと申し上げましたが、私はABURAYAMA FUKUOKAのリニューアル事業自体は非常によいものだと思っています。しかし、現状、来場者数はリニューアル前と比べて微増にとどまっており、まだまだ物足りないのが現状です。それによって、この事業がよくなかったかのように見えてしまって、チャレンジングな取組に対して批判的な意見が増えてしまうことを私は危惧しています。まだ全面開業して間もない時期であり、評価をするには早急過ぎる部分もあるとは思いますが、一方で、早めに現状と事業の課題を認識し、後手に回る前にてこ入れをしていくことは重要であると考えています。
最後に、市長には今後も積極的にABURAYAMA FUKUOKAのPR等に取り組んでいただくなど、一層のにぎわい創出のために尽力をいただければと思いますが、御決意をお伺いして、この質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は市域の3分の1を森林が占め、森林と都市がコンパクトに調和しており、この身近な森をもっと魅力的な場所にして親しんでもらうために、森を守り楽しみ生かすFukuoka Green NEXTの取組を進めております。ABURAYAMA FUKUOKAはそのリーディングプロジェクトとして、民間の創意工夫やノウハウを導入して、油山市民の森と油山牧場の一体的なリニューアルを行ったところでございます。従来の機能に加え、より質の高い市民サービスを提供するため、新たにカフェやレストラン、森林アスレチック、シェアオフィス、グランピングやソロキャンプなどの多様なニーズに対応した宿泊施設などを創出し、幅広い方々に御来場をいただいております。
今後とも、指定管理者と連携をして、ABURAYAMA FUKUOKAの魅力を発信し、市民をはじめ、国内外からさらにたくさんの方に御来場いただき、皆様に愛され親しまれる場所になるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) ぜひよろしくお願いいたします。
では次に、創業支援事業についてです。
初めに、本市が実施している特定創業支援等事業の内容をお示しください。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 特定創業支援等事業につきましては、国の認定を受け、福岡市や商工会議所、金融機関等の創業支援等事業者が、これから創業しようという方などに対して、経営や財務、販路拡大、人材育成といった創業に必要な4つの知識を習得するためのセミナーや個別相談等を実施するもので、当該事業の受講者は会社設立時に必要な登録免許税の軽減などのメリットを受けることができるようになっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 私自身も特定創業支援を受講させていただきまして、その中で幾つか問題意識があるので、述べさせていただきます。
実際に起業してみると、経理や社会保険の加入手続など、実務的な様々な業務が発生します。これらは全て会社が行う必要のある業務です。こういったより実務的な内容も教える必要があるのではないかと思いました。ぜひ支援内容の定期的な見直しをお願いできればと思っています。
その上で、1点質問です。
創業に必要な4つの知識、経営、財務、販路拡大、人材育成を学べないケースがあると、ほかの複数の受講生からお聞きしました。具体的には、財務を受講しに行ったら財務の専門家ではない方がいらっしゃったり、財務の勉強をせずに財務が受講済みとなってしまう。あるいはネットを用いて販路拡大したいと相談に行ったら、対面で販売をすることが重要と言われ、自身の販路拡大についてはアドバイスをもらえなかったなどの声を聞いております。こういった状況をどのように認識しておられるか、また、よりよい支援制度となるために現状の課題をどう考えるのかの御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市における特定創業支援等事業につきましては、スタートアップカフェや経営相談窓口等で実施しており、基本的に弁護士や社会保険労務士、中小企業診断士のほか、経営経験がある起業家など、専門知識を有する者が対応しております。
スタートアップカフェについては、集団セミナーの受講者に対するアンケートにおいて8割を超える方が友人や家族に勧めたいと回答するなど一定の評価を得ており、おおむね問題なく対応できているものと考えております。
経営相談窓口については、幅広い経営課題に対応しているものの、相談を受ける診断士ごとに専門分野があることは認識しておりまして、市のホームページで診断士の専門分野を紹介しておりますとともに、税理士や社会保険労務士の配置などを行うことによって受講者が専門家を選択できるようにしております。引き続き、相談内容に適した専門家を選択できるよう周知に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) スタートアップカフェではアンケートを取られていて、満足度も一定あるようですが、経営相談窓口でのアンケートの実施状況、アンケート結果についてお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 経営相談窓口においてはアンケートは取っておりませんが、窓口対応における受講者からの意見などについては、診断士の派遣元である福岡県中小企業診断士協会に情報提供の上、改善を求めているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 経営相談窓口ではアンケート調査は実施されていないとのことです。これは同一の事業でありますので、ぜひとも経営相談窓口でもアンケートの実施をお願いいたします。
また、創業に必要な4つの知識を教える方は各種の専門家であると御説明をいただきました。実際に私自身が受けてみた感想として、しっかりと準備をして一生懸命レクチャーされる方もいれば、あまり熱意が感じられない方もおりました。また、特定創業支援等事業を受けた起業家にヒアリングをしてみても同じ感想でございました。教える側の専門家を評価し、よい評価の方には継続をしてお願いし、悪い評価が多い専門家は改善を促す、あるいは契約を終了するような仕組みはあるのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 専門家については、アンケートや受講者から個別にいただく意見によりその評価等を把握し、直接または派遣元を通してフィードバックすることで改善を図っておりまして、アンケートにおいても8割を超える方が友人や家族に勧めたいと回答するなど、高い評価を得ていることから、評価を踏まえて契約を終了するといった仕組みは設けておりません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大沢めぐみ議員。
○35番(大沢めぐみ) 特定創業支援等事業を受けた起業家からは、市民をばかにしている、税金の無駄遣いである、いいかげんにしてほしい、こんな激しい意見をおっしゃる方もいました。私も同様に受講した身として、いいレクチャーとそうでないレクチャーがあることは体感をいたしました。運営側も講師も一生懸命やっている方が大半だとは思いますが、一部の講師によって特定創業支援等事業の評判が下がるのは残念です。ぜひとも改善を促すための働きかけをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時10分に再開いたします。
午後1時58分 休憩
午後2時10分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。前野真実子議員。
○39番(前野真実子)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、カーボンクレジットを用いた地球温暖化対策についてと重要インフラのサイバーセキュリティー対策の推進についての2点を質問します。
まずは、カーボンクレジットを用いた地球温暖化対策についてです。
近年、我が国では全国的に記録的な猛暑が続いており、世界的にも異常気象が問題視されています。温室効果ガスにより地球温暖化が進む中、歴史上初めて、全ての国が参加する公平な合意と言われているパリ協定で2050年までに気温上昇を1.5度に抑える目標を取り決めました。それにより、日本を含む先進国の多くが2050年でのカーボンニュートラルの実現を表明しています。その中でも、福岡市はチャレンジ目標として2040年までへの実現を表明しています。経済成長と環境保護を両立したカーボンニュートラルの実現には様々な取組をしていかなければなりません。これらの取組の一つにカーボンクレジットがあります。我が国でも昨年度より東京証券取引所でカーボンクレジット市場が立ち上がり、会派で視察をしてきました。相対取引に比べ使いやすくなったと好評な上、今後は売手市場が続くだろうと伺いました。今回は福岡市におけるカーボンクレジットの現状と可能性をただしてまいります。
初めに、本市のカーボンニュートラルに向けた削減目標と進捗、見通しをお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 脱炭素社会の実現に向けましては、福岡市地球温暖化対策実行計画において2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロのチャレンジ目標を掲げるとともに、2030年度の目標を2013年度比で50%削減といたしております。直近の2021年度における温室効果ガス排出量は635万トンと、2013年度から30%削減しており、まずは2030年度目標の達成に向けて引き続き取組を進めてまいります。また、温室効果ガスの吸収量及び市外への削減貢献量として、2030年度に100万トン確保する目標を掲げております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 資料1の投影をお願いします。(資料投影)こちらは環境局に提供いただいた2040年度に向けたカーボンニュートラルまでの目標です。棒グラフが家庭や業務、自動車が排出する二酸化炭素量を示しており、こちらの削減に目が行きがちですが、薄い緑色で右肩上がりになっている部分が温室効果ガスの吸収量の目標を示しており、今回はこの吸収量に焦点を当ててまいります。資料ありがとうございました。
では、温室効果ガス削減に向けた福岡市外地域への貢献や温室効果ガスの吸収量の確保について今後どのような方策を講じる予定か、お示しください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 温室効果ガス削減に向け、市外貢献としましては、温室効果が高いメタンの発生を抑制する廃棄物埋立技術、福岡方式の海外展開や、市内でつくられた再生可能エネルギーの市域外への売却などに取り組むとともに、約8万トンと見込まれる森林等による炭素吸収を確保するため、森林の保全、再生、緑あふれるまち並みの形成などに取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 紹介のあった廃棄物埋立技術は数十年前から福岡大学と一緒に取り組んでこられた技術で、ぜひ推進いただきたいです。
これに加えて、森林が二酸化炭素を吸収する役割が重要のようです。森林が持つ二酸化炭素の吸収量についての目標値と現況値及び吸収量確保に向けた取組をお示しください。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市新・緑の基本計画において、森林による二酸化炭素吸収量の目標値は1年当たり約5万7,200トンと定めており、直近の現況値は令和2年度で約5万5,700トンでございます。森林のうち、杉、ヒノキの人工林について、切って、使って、育てて、植える循環利用を進めることで二酸化炭素吸収量の確保に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 吸収量の目標値を設定し、結果を出し、取り組んでおられます。しかし、2040年のカーボンニュートラルという高い目標のためには、これに満足せず、さらなる取組が必要です。
では、杉、ヒノキ人工林の循環利用がなぜ二酸化炭素の吸収量の確保につながるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 杉やヒノキは樹齢50年程度の木よりも20年程度の木が二酸化炭素を約2倍多く吸収するとされております。このため、伐採適齢期に達した木を伐採し、植え替えを行う循環利用により森林が若い木に更新されるため、二酸化炭素吸収量の向上が図られるものです。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 資料2の投影をお願いします。(資料投影)植物は二酸化炭素と水で光合成をし、成長します。若い樹木は成長が非常に活発で、二酸化炭素の吸収量が多くなります。これに対して、樹齢が進んだ樹木は成長が落ち着いており、新たに吸収する二酸化炭素の量は少なくなります。答弁では2倍と言われておりましたが、60年の木と比較すると3倍、80年の木と比較すると4倍というデータもございます。
本市では既に循環利用を行っていますが、それによりどのくらいの二酸化炭素が吸収されているのでしょうか。そして、それは世の中にとってどれくらい価値があることなのでしょうか。
循環利用による二酸化炭素吸収の価値を見える化する仕組みにカーボンクレジットがあります。この仕組みについて御説明ください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) カーボンクレジットとは、森林整備のほか、省エネ型の機器や再生可能エネルギー設備の導入などによりCO2の吸収や排出削減に取り組むことで、取組を行わなかった場合と比較して削減または吸収できたCO2の量を他者と売買できるようクレジット化されたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) では、本市のカーボンクレジットの取得状況や今後のポテンシャルについて伺います。
まず、本市における政府に認証されたカーボンクレジットはどのようなものがあるか、お尋ねします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市で発行しているカーボンクレジットのうち、国の認証を取得しているものとして、市営林の間伐など、森林の適正管理によるCO2吸収量をクレジット化したものがございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 森林のカーボンクレジットの事業概要と本市のカーボンクレジット化はいつ、どこの森林を対象に実施したかをお尋ねします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 森林のカーボンクレジットは、森林整備で吸収された二酸化炭素量を国の認証を受けた制度によりクレジット化し、売却収入を森林経営に充てることで脱炭素社会づくりを目指すものでございます。本市においては、平成23年度に早良区内の市営林約131ヘクタールを対象に実施しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) かなり早い段階で取り組んでおられ、先進的でよいことだと思います。
では、この131ヘクタールという面積が全体のどの程度のものなのか、市で管理している森林の面積をお尋ねします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 市で管理している森林面積は約1,900ヘクタールでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) クレジット化の認定要件は単純ではありませんが、基本的には植え替えや間伐などの手入れがされていることが条件です。市で管理している森林約1,900ヘクタールのうち、クレジット化されたのが131ヘクタールで、1割もありません。まだまだクレジット化の可能性はありそうで、ポテンシャルの高さを感じます。
そこで、福岡市の森林のカーボンクレジットについて、現在の販売価格、当初クレジット化した販売トン数、これまでの販売実績合計のトン数と収入額、過去5年の販売実績の推移を伺います。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 現在の販売価格は1トン当たり1万円、当初クレジット化した販売トン数は4,873トン、これまでの販売実績の合計トン数は令和6年7月末現在で1,388トン、これまでの収入額は約1,000万円となっております。次に、過去5年間の販売実績は、令和元年は31トン、2年は20トン、3年は11トン、4年は74トン、5年は337トンとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 131ヘクタールの森林の二酸化炭素削減量は4,873トンで、現在、1トンを1万円で売却しており、1,388トンを売却し、3,485トンが売れ残っている状況です。販売実績は年々増加傾向にあり、世の中全体のカーボンクレジットへの関心が高まってきたことがうかがえるものの、半分以上が売れ残っている状況です。
今までどのような方法で販売、周知を行ってきたのかを伺います。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 販売方法につきましては、市と購入希望者の間で直接、売買契約を行っております。また、周知につきましては、市のホームページに掲載するとともに、商工会議所の広報誌にて案内を行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 販売方法はいわゆる相対取引で、本市で買う人を見つけてくる必要があります。現状、周知方法はホームページということなので、積極的に販売をしていけば、もっと売れるのではないかと思うのですが、カーボンクレジットを売り切るため、販売や周知方法は見直さないのか、御所見をお聞かせください。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 現在のところ、カーボンクレジットの売却量が増加傾向にありますことから、引き続き市のホームページやイベントなどを通じて積極的なPRに努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 継続するだけでも売れていく可能性はあるでしょうが、売れない場合は、昨年開設された東証のカーボンクレジット市場に出すことを考えてみてはいかがでしょうか。相対取引と違って、買手を探す手間がかからず、東京証券取引所への視察によると、今後は売手市場が続くだろうとのお話を伺っています。
東証のカーボンクレジット市場に出す予定はありますでしょうか。それと、その理由もお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 近年、二酸化炭素削減についての企業の関心が高まっていることを受け、市のカーボンクレジットの売却量が増加傾向にあること、また、東京証券取引所での取引価格が市の取引価格を下回っていることから、現時点では東証のカーボンクレジット取引への参加は予定しておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 売れ残っているクレジット3,485トンを今までどおり1トン1万円で相対取引すると、単純に3,485万円になります。市場に出すと1トン8,000円なので、2,788万円になり、安くなってしまうので、予定していないとのことです。しかし、相対取引の手間や時間、カーボンクレジット市場が売手市場と予測されていることを考えると、状況によっては再検討をお願いいたします。
では次に、売却収入の使い道についてです。
販売したカーボンクレジットの売却収入は、市の予算上、どこの事業に計上されているのでしょうか、教えてください。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農林水産局所管の森林づくり推進費のうち、市営林管理費の事業に計上しており、森づくりの財源に充てさせていただいております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 担当課から、森林のカーボンクレジットは歳入額が少額であること等から、その他雑費の取扱いになっている旨、伺いました。今の計上のやり方では、せっかく森林が二酸化炭素を吸収した価値をクレジット化したものなのに、歳入が具体的に森林整備の何に充てられているかが見えないので、非常にもったいないと感じました。購入してくださった方に対し、クレジット売上収入を具体的にどのような整備に使ったのかを見える化できれば、販売促進につながるのではないでしょうか。
では、森林整備の中で何に充てるべきかについて質問してまいります。
杉やヒノキの人工林については、切って、使って、育てて、植える循環利用に取り組んでおられるとのことで、市有林で木を切った後には何を植えているかをお尋ねします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) クヌギ、イロハモミジ、ケヤキ、ヤマザクラなどの広葉樹を植えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) では、広葉樹を植える目的をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 広葉樹につきましては、花粉発生源対策に資することを目的としており、また、将来的には杉、ヒノキの針葉樹と広葉樹が混じる混交林となることで、手入れが要らない天然林に近い状態となることを目指しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 林業従事者と杉、ヒノキの需要が不足している状況では、この天然林化というのがポイントになります。杉やヒノキの人工林が伐採までに人手がかかり続けるのに対し、広葉樹などの樹木は、うまくいけば自分の力で育ち、また、子孫を残すという森林が持つ本来の姿に戻ります。そして、人の手がかからなくなります。しかし、人工林を天然林化するのは難しいとも言われております。
広葉樹を植えた後、どのような手入れが必要となるか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 広葉樹の苗木が雑草により枯れないよう、5年程度は下刈りと言われる除草作業が必要となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 杉やヒノキ人工林から広葉樹中心の自然に近い山にするためには、広葉樹を植えて終わりではなく、ある程度、木材利用の予定がない広葉樹であっても見守っていく必要があり、コストがかかります。広葉樹への植え替えは花粉症対策も兼ねております。天然林と人工林のバランスを考え、広葉樹だけでなく、木材利用ができる少花粉杉や早生キリへの植え替えもよいと思います。このような取組は今でも行っていますが、その取組が市民や企業にはあまり知られておりません。
そこで、宿泊税が目的税化され、使用用途が明確であるように、森林のカーボンクレジットの売却収入を、例えば、広葉樹などの花粉発生源対策に資する樹木に植え替える費用に充てるなど、使用用途を明確にしてはいかがでしょうか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) カーボンクレジット売却収入につきましては、現在でも森づくりの財源に充てさせていただいておりますが、使用用途がこれまで以上に市民の皆様に分かりやすいよう、今後、周知に努めてまいりたいと思っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 使用用途を確実に植林に使うと明確にすることで、クレジットの購入者は納得感が増しますし、多くのクレジットから本市の森林クレジットを選ぶ動機になると思いますので、よろしくお願いいたします。
森林整備や木材利用に充てることを目的として、令和元年度から森林環境譲与税が全国の市町村に配分されています。福岡市ではそれらの財源を基に、今年度から重点施策として杉やヒノキの人工林の伐採規模を拡大していく花粉発生源対策にも取り組んでおられます。本市から花粉と二酸化炭素が少なくなることを期待しています。森林環境譲与税と同時に、カーボンクレジットももっと活用していただきたいです。
資料3の投影をお願いします。(資料投影)こちらは今回質問してきた森林のカーボンクレジットを使った地球温暖化対策のイメージ図です。まずクレジットを、頑張っても減らせない二酸化炭素の削減分として企業などに購入してもらいます。ここまでは既に本市でも行っております。例えば、森林組合などを通して売却収入を森林の手入れの費用に確実に充ててもらい、手入れをして削減した二酸化炭素分をまたクレジット化していく、このサイクルをぐるぐる回していくと、森林保全が進み、二酸化炭素吸収量もどんどん増える好循環が生まれます。しかし、クレジット取得に対しては、森林の実態調査や書類作成などに手間暇がかかると言われています。委託するのも一つの方法ではないでしょうか。そうやって今までになかったビジネスの成長を後押しし、経済を回すのがグリーントランスフォーメーションです。本市がまだ1割しかできていない森林のカーボンクレジット化を活発に進めていくと、それを支えるビジネスも拡大しますし、その効果がほかの自治体や民営林にも波及していくはずです。資料ありがとうございます。
最後に、環境局としても、森林のカーボンクレジットの取得や販売、そのほかの二酸化炭素を削減している事業に関して、各局任せにせず積極的に関わっていき、カーボンクレジットの普及をしていくべきと思いますが、所見と意気込みを尋ね、この質問を終わります。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 地球温暖化対策や脱炭素の視点は市の施策全般において欠かせない視点であり、環境局が旗振り役として各局への働きかけを積極的に行っており、令和6年度におきましては市役所全体の調達電力の75%に相当する電力を再エネ化するとともに、各局所管の施設を取りまとめ、令和8年度までに約1,600キロワットの太陽光発電設備を導入する予定といたしております。
カーボンクレジットにつきましては、CO2削減量や吸収量の見える化に加え、財源確保の観点からも有効な脱炭素施策であると考えており、環境局におきましても、様々な機会を捉え、森林などで創出したカーボンクレジットのPRを行っているところでございます。令和8年度からは排出量取引制度が本格稼働する予定であり、カーボンクレジット市場の活性化が想定されることから、そうした需要拡大の機会を捉えながら、関係局と連携の上、引き続き福岡市のカーボンクレジットの取組を発信してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 次に、重要インフラのサイバーセキュリティー対策の推進についてです。
福岡市はAIを使った業務や行政手続の効率化など、DXを推進しています。便利になったと市民の皆様からお声をいただく一方で、情報漏えいやサイバー攻撃などに対して不安視するお声もいただいております。
今年7月19日には世界で幅広く使われていたソフトウエアの更新が原因で空港で搭乗手続ができなくなるなど大規模なシステム障害が起き、ネットワークの脆弱性が改めて明らかになりました。通常のネットワークだけでなく、公共のインフラも狙われる事例が起きています。2021年にアメリカの水道施設がサイバー攻撃を受け、飲用水に含まれる水酸化ナトリウムの濃度の規定値が100ppmから1万1,100ppmに書き換えられる事例が起きました。職員がすぐに気がついたため、実害はありませんでしたが、重要インフラを狙ったサイバーテロとして話題になりました。日本においても令和5年7月に名古屋港の管理システムがサイバー攻撃を受け、コンテナの搬出入が約3日間停止しました。日本語への翻訳技術やAIによる自動攻撃など、サイバー攻撃をする側の技術が進んだことで、日本もサイバー攻撃を受ける回数が増えています。
このような中、今回は人の命にも関わる重要インフラに対し、現状のサイバーセキュリティーの対策について、セキュリティー人材の育成について、実際にサイバー攻撃に遭う、いわゆるインシデントが発生した場合の体制について質問いたします。
まずは、本市が管理しているサイバーセキュリティー上の重要インフラにはどのようなものがあるか、お示しください。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) サイバーセキュリティー上の重要インフラについては、国の重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画に定める15の重要インフラ分野のうち、福岡市が管理しているものは、行政サービスのほか、水道や地下鉄、港湾、病院などが該当しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) では、水道、地下鉄、港湾、病院における安全なサイバー空間を確保するための予防策として、それぞれ現在何を行っているか、今後何をする予定か、お尋ねします。
○議長(打越基安) 下川水道事業管理者。
○水道事業管理者(下川祥二) 浄水処理や配水調整を担う制御システムの予防策につきましては、一般のインターネット回線から独立したシステムとするとともに、外部からの不審者による制御システムへの直接的な不正プログラムの組み込みを防ぐため、機械警備や監視カメラなどにより24時間体制で監視しております。今後とも、設備などの適切な保守、更新を行うとともに、監視体制を継続するなど、安全なサイバー空間の確保に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 交通局における予防策としては、地下鉄の基幹となる運行管理システム及び電力遠制システムについて外部からのサイバー攻撃を受けない構造とするため、外部ネットワークとの接続を行わず、高いサイバーセキュリティーを確保しております。さらに、監視カメラや生体認証システムなどにより重要機器が設置された場所への入室管理を厳重に行っております。引き続き適切なサイバーセキュリティー対策を実施してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 港湾につきましては、令和5年7月に名古屋港で発生したサイバー攻撃事案を契機として、令和6年3月に重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画の重要インフラ分野に港湾が追加され、コンテナターミナルのシステムが対象となったところでございます。博多港のコンテナターミナルのシステムは、一般のインターネット回線とは接続せず、最新のセキュリティー対策を実施するとともに、バックアップを毎日実施し、システムを早期に復旧できる体制が整えられております。このシステムは、コンテナターミナルを管理運営する博多港ふ頭株式会社及びターミナルの利用者である民間企業が管理しており、サーバー室の入退場管理はシステム保守業者により厳格に行われております。福岡市といたしましては、システムの安全性の確保に引き続き協力してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市立病院機構のこども病院及び市民病院の医療情報システムにつきましては、一般のインターネット回線には接続しないなどのセキュリティー対策を実施いたしております。また、システムのサーバー室への入退室管理を厳格に行うとともに、施設内に監視カメラを設置するなどの対策を実施いたしております。引き続き適切なサイバーセキュリティー対策を実施し、システムの安全性を確保してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 各局それぞれの状況に応じ、しっかりと対策を実施されているようです。しかし、これでサイバー攻撃を本当に防げるのでしょうか。ハッカーではない私には判断がつきませんし、多くの人にとってもそうではないでしょうか。最近のシステムはブラックボックス化していて、外部ネットワークにつながっていないつもりがつながっていたという場合もあります。令和4年に大阪府立病院がサイバー攻撃に遭い、電子カルテを含めたシステムが利用できなくなり、調査、復旧費用で数億円以上、診療制限に伴う逸失利益として十数億円以上のインシデントが起きています。起こった要因として、医療機関は外部ネットワークにつながっていないので、セキュリティーは問題ないといった誤った神話の中でセキュリティーに関する意識が薄れていたと報告があっています。
このような中、近年、注目されているのがペネトレーションテストです。ペネトレーションテストは、悪意のあるハッカーと同じような手法でホワイトハッカーがシステムに侵入し、脆弱性を調べるテストです。本当にサイバー攻撃を防ぐことができるか、システム全体を診断できます。ペネトレーションテストを行っている会社に会派視察をしたところ、大企業を中心に広がっていると伺いました。
そこで、本市ではこのペネトレーションテストを行っているか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 情報セキュリティーに関する監査等については、セキュリティー上の観点から詳細な手法についてお答えすることは差し控えさせていただきますが、毎年、全ての情報システム等を対象に行う自己点検のほか、外部の専門機関に委託して情報システムやホームページ等の運用、保守が適切に行われているかを評価する外部監査や、個人情報や情報資産を取り扱う所属を対象に総務企画局職員が行う内部監査などを実施しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 今のシステムが適切に運用されているかを監査することはとても重要ですが、そもそも今のシステムが安全なものなのか、ペネトレーションテストで確認しておく必要があると思います。
そして、今後ますます複雑化、巧妙化するサイバー攻撃に対応していくにはそれなりのコストがかかります。大がかりなシステムのペネトレーションテストともなると、数千万円、場合によってはもっとかかるとも聞いています。
監査などのサイバーセキュリティー対策は国も推進していますが、それに対し国から補助はあるのでしょうか。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 情報セキュリティーに関する監査等の財源については、国の補助等はなく、福岡市の一般財源で対応しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 市民の生活の基盤である重要インフラを守るためにはコストがかかりますが、誰が行うべきなのでしょうか。国が自治体に対しサイバーセキュリティーを推進している実態を踏まえると、本市としても国に対する提言事項に重要インフラのセキュリティー対策を加えるなどして、国に財政支援措置を求めていくように要望してはいかがでしょうか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) サイバーセキュリティ基本法において、国はサイバーセキュリティーに関する総合的な施策を策定及び実施する責務を有し、地方公共団体は国との適切な役割分担を踏まえ、自主的な施策を策定及び実施する責務を有するとされております。これまでも、例えば、自治体情報セキュリティ強化対策事業として国の主導で実施した住民情報などを扱うネットワークをインターネットから分離する対策等については、国の補助金を活用したところでございます。引き続き国との役割分担の下、セキュリティー対策に適切に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 御答弁いただいた自治体情報セキュリティ強化対策事業はマイナンバーなどの個人情報に関わるものと記憶しています。重要インフラのセキュリティーについても、財政支援措置を要望していくようお願いいたします。
次に、セキュリティー人材の育成についてです。
サイバー攻撃は、それがテロであることにすぐ気がつけばよいですが、普通のシステム障害と思い、結果、対応が遅れたという事例があるそうです。システム障害が起こった場合に、これはテロかもしれないと気づく人材や瞬時に正しい対応を取れる人材を育てていく必要があります。
そこで、セキュリティー人材とは何か、なぜ必要か、セキュリティー人材の育成は誰を対象にどのように行っているか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) サイバーセキュリティー人材については、統一された定義はないと承知しておりますが、サイバーセキュリティーに関する技能や知識を有し、組織等においてサイバーセキュリティー対策に携わる者であり、行政のDXを推進する上で必要な人材と認識しております。また、福岡市における情報セキュリティーに係る人材育成については、まず、全職員を対象に毎年、基礎知識やサイバー攻撃への必要な対策などを学習する情報セキュリティー研修を実施しております。また、情報システムやホームページなどを所管する部署の職員を対象に、外部機関が実施するセキュリティーに関する専門研修の受講を促しているほか、毎年、福岡県警と合同でサイバー攻撃を受けた場合を想定した対処訓練を実施し、インシデント対応能力の向上を図っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 本市の外郭団体でAIやIoT関係の研究を行っている九州先端科学技術研究所という団体があります。本市のサイバーセキュリティーについて連携できるのではないでしょうか、質問いたします。
本市のサイバーセキュリティーにおける九州先端科学技術研究所の役割をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 公益財団法人九州先端科学技術研究所につきましては、産学官の協調の下、システム情報技術やナノテクノロジーなど先端科学技術等の研究開発、コンサルティング、情報の収集や提供、人材育成等を行うことにより、地域の関連企業の技術力や研究開発力を向上させ、もって産業の振興を図ること等を目的とした団体でございまして、現在、サイバーセキュリティーに関しましては、関連する情報の収集と地場中小企業等に対するセミナーや広報、啓発を通した情報の提供等を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 視察に伺い、パンフレットを頂いてきました。資料4の投影をお願いします。(資料投影)このように、パンフレットにはコンサルや人材育成をしているとあります。
また、かつて九州先端科学技術研究所の中に情報セキュリティー部門があったが、なくなったと聞いています。せっかくあった情報セキュリティー部門をなくした理由を教えてください。そして、中小企業の人材育成やコンサルだけでなく、本市の人材育成にも積極的に関わっていくとよいと思うのですが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 九州先端科学技術研究所においては、平成28年度までIT部門の3研究室の一つとして情報セキュリティ研究室を設置しておりましたが、平成29年度に社会の潮流等を踏まえ、大学等研究機関のシーズをより社会実装へとつなげるべく、産業界への応用や橋渡しを重視した体制に見直したものでございます。本市職員の人材育成については、引き続き九州先端科学技術研究所において主催するセミナー等への参加を呼びかけてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 本市との連携を強化して、一丸となってサイバーセキュリティー対策をするようお願いいたします。
では、実際にインシデントが起こってしまった場合の体制やそれに関わる規則について質問いたします。
水道、地下鉄、港湾、病院についてインシデントが起こった場合の各局の体制をお尋ねします。
○議長(打越基安) 下川水道事業管理者。
○水道事業管理者(下川祥二) 水道局におきましては、常設の福岡市水道局緊急テロ警戒本部の体制のレベルを上げ、施設の巡視点検や水質検査を強化することとしております。さらに、水道水の供給に支障を来す可能性がある場合は、福岡市水道局災害応急対策計画に基づき、災害対策体制を整え、施設の復旧や応急給水などの対応を行うこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 地下鉄の基幹システムについては、外部からの攻撃を受けない構造としておりますが、仮にインシデントが起こった場合の体制につきましては、常設の福岡市交通局鉄道テロ警戒本部の危機管理レベルを最高レベルに上げた上で、運転事故復旧対策本部を設置し、本部長の指揮の下、基幹システムの早期復旧を図るとともに、徹底した原因究明によりインシデントの再発防止に努めてまいります。地下鉄の運行につきましては、お客様の安全を確保した上で、手動モードの活用などにより速やかに運行を再開いたします。以上でございます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 港湾につきましては、インシデントが発生した場合、システム管理者が設置している情報セキュリティ委員会の体制が強化されるとともに、福岡市はシステム障害の原因や被害状況などの情報収集、被害の拡大防止、システムの早期復旧及びコンテナターミナルの早期再開を支援してまいります。また、必要に応じて、福岡県警サイバー攻撃対策隊や国土交通省などの外部機関と連携して対応することとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市立病院機構におきましては、インシデントが発生した場合、福岡市立病院機構情報セキュリティに関する要綱に基づき、情報セキュリティー管理者である両病院長等の指揮の下、診療や検査などの病院運営の早期復旧に向け、事前に策定した具体的な手順に従い、適切に対応することといたしております。また、必要に応じて、福岡県警サイバー攻撃対策隊や厚生労働省などの外部機関と連携して対応することといたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) インシデントが起こった場合、全庁的に対応する体制はあるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 全庁的な体制については、インシデント発生元所属における初動対応や復旧措置の支援体制として平時より緊急即応チームを設置しております。この組織は、庁内の主要なネットワークを所管する総務企画局をはじめ、水道局、交通局、教育委員会などの独自ネットワークを所管する所属の職員で構成しており、必要に応じて、福岡県警サイバー攻撃対策隊や総務省などの外部機関とも連携して対応することとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) インシデントが起こったら、各局が対応、そして、支援体制が用意されているとのことですが、では、そのような体制や方針は何を見たら分かるのでしょうか。セキュリティー対策はどのような法令、規則に基づいて行われているのでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) サイバーセキュリティーに関する法令等については、国においては平成26年11月にサイバーセキュリティーに関する基本理念や基本的施策などを規定したサイバーセキュリティ基本法が定められています。また、地方公共団体については平成13年3月に総務省が地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインを示しており、福岡市においてもこれに沿って情報資産の保護及び管理に関する基本的事項を定めた福岡市情報セキュリティに関する規則及び規則に基づき全市共通で行うべき具体的対策を定めた情報セキュリティ共通実施手順で構成する福岡市情報セキュリティポリシーを定めており、これに従ってサイバーセキュリティーを含む様々な対策を適切に行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 資料5の投影をお願いします。(資料投影)こちらは神戸市が定めている情報セキュリティ基本方針と対策基準で、インターネット上で誰でも見ることができます。この中では対象とする脅威にサイバー攻撃を位置づけ、方針と対策が見えるようにしてあります。一方で、インターネット上で閲覧できる福岡市情報セキュリティに関する規則には、サイバー攻撃はおろか、サイバーセキュリティーの文言すら見当たりません。
サイバー攻撃、サイバーセキュリティーについての具体的な記載はあるのでしょうか、それは誰でも閲覧することができるのでしょうか。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市情報セキュリティポリシーにおけるサイバーセキュリティーに関する記載については、情報セキュリティ共通実施手順に、規則第2条第8号に掲げる脅威の一つとして、サイバー攻撃をはじめとする意図的要因による情報資産の盗難、漏えい、破壊等を想定し、様々なセキュリティー対策を規定しております。また、閲覧の範囲については、情報セキュリティ共通実施手順をはじめ、セキュリティー対策の具体的な内容を記載した文書については、公開することにより違法、もしくは不当な行為を容易にし、事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、原則非公開としております。なお、令和6年6月に改正された地方自治法において、自治体ごとにサイバーセキュリティーに関する方針の策定及び公表が義務づけられており、福岡市においても今後示されることとなっている国の指針に従って必要な対策を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 記載はされているけれども、見ることはできないとのことです。
一方で、本市では市民局が所管で福岡市危機管理基本方針が定められており、インターネット上で閲覧可能です。このうち、事件等の緊急事態の対象としてテロ、感染症などが挙げられていますが、サイバー攻撃はテロに含まれるのでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 福岡市危機管理基本方針に基づいて定める福岡市事件等緊急事態対処計画におきまして、緊急事態をテロや感染症など7つの種別に分類をしておりまして、お尋ねのサイバー攻撃を含む情報セキュリティー事案につきましては、テロではなく、その他に区分をしております。以上です。
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) インシデントについて方針、規則が複数存在し、それらの規則がどのようにリンクしているのか、インシデントが起こった場合、どの局が何を担うのか明確になっておらず、市民は想像するしかありません。まずは神戸市やほかの都市のように、機密情報を含む手順と分けて誰もが見える形でサイバー攻撃やテロへどう向き合っていくのか規定をする文書を市民に示す必要があるのではないでしょうか。本市はDXを推し進めていますが、セキュリティー対策はDXの足かせではなく、安全装置です。安全装置がしっかりと働いているという安心感があって初めて、新しい技術を受け入れることができます。
最後に、本市のサイバーセキュリティーをどのように考えて方針づけていくか、市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) ICTを活用した市民の利便性の向上や、また、業務の効率化、そして、サイバーセキュリティーを含めた情報セキュリティー対策、これはDX推進の両輪であるというふうに考えております。今後とも、市民生活に密接に関わりのある水道や地下鉄などの重要インフラを安全かつ持続的に提供するために、国や県などの関係機関とも連携をしながら情報セキュリティー対策に適切に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、特定小型原動機付自転車のルールについて、障がい者と難病の方の就労支援について、以上2点について質問してまいります。
昨年7月に施行された改正道路交通法により、電動キックボード型の特定小型原動機付自転車が新たに定義されました。この乗り物は、長さ1.9メートル以下、幅0.6メートル以下、最高速度時速20キロ以下で、ヘルメットの着用は努力義務とされ、運転免許は不要で、16歳以上であれば運転できます。しかし、利用者が交通ルールを熟知していないことから、交通事業者や運輸事業者、また、一般ドライバーからも危険な運転に対する不安の声が上がっています。このような状況を受け、本市では利用に関するルールやマナーの周知徹底が求められています。具体的な対策としては、交通安全教育の強化や利用者が自発的にルールを守れる環境づくりが考えられます。
そこで、今後の本市の取組について伺います。
まず、特定小型原動機付自転車、以下、電動キックボードとさせていただきますが、通行できる場所をお尋ねいたします。
以上、1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 特定小型原動機付自転車につきましては、原則として、車道の左端及び自転車道など自転車が通行可能な場所を通行することとなっておりますが、道路標識等により歩道通行可とされているときは、最高速度表示灯を点灯させた状態で時速6キロメートル以下であれば歩道を通行することができるとされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 原則として、電動キックボードは車道の左端を通行し、自転車道なども通行可能です。ただし、最高速度表示灯を点滅させた状態で時速6キロメートル以下であれば歩道の通行も可能とのことです。手軽に乗れる便利な乗り物として利用者が増加することが予想されます。
そこでまず、令和6年4月1日時点で特定小型原動機付自転車として本市に登録されている台数をお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの登録台数につきましては234台となっております。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 4月1日時点での登録台数は234台とのことですが、中にはネットで入手し、ナンバーを取得することすら知らない方もいると聞いております。ナンバー取得の周知は利用者に分かるようにすることが必要です。
次に、免許が不要で乗れることから、交通ルールを知らない利用者の危険運転も目撃されており、マスコミでも数多く報道されています。電動キックボードは便利な乗り物だと思う反面、足を乗せる場所がスケートボードぐらいの幅で細長い形状のため、安定感に欠ける印象があります。歩道を走行中にバランスを崩し歩行者と接触したり、公道で車と接触するなど、交通事故も増加するのではないかと懸念されます。
電動キックボードのルール違反に対する事故や取締りについて、全国の事故件数をお示しください。また、警察による取締り件数及びその内容についての件数が多い順に主なものをお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 警察白書によりますと、令和5年の事故件数が85件、取締り件数が7,130件となっております。取締りの内容につきましては、多い順に、通行区分違反、信号無視、一時不停止などとなっております。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 主に交通ルールに関する事項が多いことが分かりました。
次に、本市ではシェアサイクルのチャリチャリが事業展開をしており、令和5年度末時点で市内には約4,200台の自転車と708か所のポートが設置されています。シェアサイクルの放置対策として事業者が巡回して回収を行っていますが、電動キックボードの貸出事業者は電動キックボードと電動アシスト自転車のシェアリングサービスを本年3月27日に開始し、この時点で市内に約350か所のポートが設置されていました。その後、サービス開始から約1か月後の5月時点でポート数は400か所を超え、サービス開始から短期間で急速に拡大していることが分かります。
そこで、全国で電動キックボードのシェアリングサービスが拡大する中、警察はどのような違反に重点を置いて取締りを行っているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 警察白書によりますと、飲酒運転、信号無視等の悪質、危険な違反のほか、通行区分違反等の歩行者に危険を及ぼすおそれの高い違反に重点を置いた指導取締りが行われているとされております。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) シェアリングサービスの開始以降、警察では悪質、危険な違反や歩行者に危険を及ぼすおそれの高い違反に重点を置いた指導や取締りが行われているとのことであり、貸出業者が利用者に交通ルールの厳守を徹底させることが必要だと考えます。
本市では市民の安全を確保するために貸出業者に対してどのような取組をしているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 道路交通法において、特定小型原動機付自転車を貸し渡すことを業とする者は、利用者に対し、安全な運転を確保するために必要な交通安全教育を行うよう努めなければならないと規定されており、事業者にはこのことを周知するとともに、利用者に対して交通ルールのテストなど、交通安全教育を行っていることを確認しております。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 次に、世界では電動キックボードのシェアリングサービスが普及しているため、市内にシェアリングサービスがあれば、国内外からの観光客にとって便利で手軽な乗り物となり、多く利用されるのではないかと予想されます。
特に外国人観光客へのルールの周知についてはどのような方法を講じているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) まず、私の先ほどの答弁で訂正をさせていただきます。
先ほど最高速度表示灯を点灯させた状態でとお答えをしましたが、点滅をさせた状態での誤りでございました。申し訳ございません。訂正させていただきます。
外国人観光客への周知につきましては、交通ルールを英語、中国語、韓国語の3か国語で周知をしております警察庁のサイトを市のホームページで案内をするとともに、特定小型原動機付自転車を含め、交通安全全般のルールについて多言語で表記をしたチラシの配布を行っております。また、外国人向けにサービスを提供しているシェアリング事業者においては、利用開始に当たって専用アプリ上で外国語表記による交通ルールのテストが行われております。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 冒頭で述べたように、電動キックボードの利用者による危険な運転や交通規則の無視に対して多くの人々が懸念を抱いています。
本市では、同じ道路を通行するドライバーに対し、電動キックボードの増加が予想される中、ドライバーが安全に運転できるようにするためにどのような情報提供を行っているのか、ドライバーに対して講習の実施などを行っているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) ドライバー向けの対策につきましては、県警察の取締りと併せて、特定小型原動機付自転車を周知する街頭キャンペーンを実施しますとともに、市政だより、市ホームページや公式LINEを活用した啓発を行っております。また、ドライバー向けの交通安全に関する出前講座やシミュレーターによる危険の疑似体験、また、運転席から見えづらい死角の体験などを行う安全運転講習会を実施しております。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) これまでいろいろ伺ってまいりましたが、利用者がルールを守ることは最も重要です。まずは電動キックボードの貸出業者や利用者に対して利用者自身の安全を守るためのマナーやルールを徹底し、事故を減らすための注意喚起が求められます。具体的には飲酒運転の禁止を徹底することやヘルメットをできるだけ着用してもらえるような工夫など、歩道走行時の注意、また、ナンバープレートの装着についても、しっかりと周知することも求められます。市民が安全で安心できる歩行空間を確保するために、公道を走行する際の周知、啓発に取り組んでいただきたいと考えます。これにより利用者とドライバー双方が安全意識を高め、事故の発生を未然に防ぐことができると思います。
そこで、今後、電動キックボードの安全利用に関し、本市ではどのような取組を考えているのかお伺いし、この質問を終わります。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 特定小型原動機付自転車につきましては、令和5年7月の改正道路交通法の施行により新たな車両区分として位置づけられ、新しい交通ルールや基準が適用されており、これを周知し、安全利用の促進を図っていくことが重要であると考えております。今後とも、県警察の取締りと併せた街頭キャンペーンの実施や、市政だより、市ホームページや公式LINE等を活用した啓発、ナンバープレート交付時における交通ルールチラシの配布など、安全利用の周知、啓発を図るとともに、県警察や関係団体とも連携し、事業者に対し安全利用の促進を働きかけてまいります。以上です。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 次に、障がい者と難病の方の就労支援についてです。
本市の障がい者や難病の方のその御家族から、将来や親が亡くなった後の生活に対する不安の声を多くいただいております。
そこで、障がい者や難病の方が安心して働ける職場環境や就労支援に関わる事業所が相談できる窓口について質問をしてまいります。
まず、本市の障がい者数の過去5年間の推移をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 年度末時点の身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者数の合計で申し上げますと、令和元年度が8万2,112人、2年度が8万3,205人、3年度が8万4,641人、4年度が8万6,748人、5年度が8万9,522人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 次に、本市の特定医療費受給者証を持つ難病患者数の過去5年間の推移をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 過去5年間の推移につきましては、各年度末時点での数で申し上げますと、令和元年度が1万80人、2年度が1万1,160人、3年度が1万1,237人、4年度が1万1,750人、5年度が1万2,384人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 本市の障がい者数と難病患者数ともに増加傾向にあります。障がいがあっても難病を抱えていても就労し、社会参加することは自己実現の観点からも大変重要なことだと考えます。
そこで、障がい者や難病の方への就労支援についてどのようなものがあるのか、概要をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労支援は、ハローワークにおいて相談や職業紹介が行われているほか、就労継続支援事業所などの就労系の障がい福祉サービスがございます。また、本市独自の取組として、障がい者就労支援センターで障がい者本人への個別支援や障がい福祉サービス事業所への技術的な支援、企業等への啓発などを実施しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) では、就労系の障がい福祉サービスの利用者はどのような方々なのか、あわせて、それぞれのサービス内容についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労系の障がい福祉サービスは4種類で、就労移行支援は一般就労を希望する方に就労に必要な知識や能力向上のための訓練を行うもので、就労定着支援は一般就労に移行した方に就労に伴う生活面の課題に対応するための支援を行うものです。また、就労継続支援は2種類あり、一般就労が困難な方に就労の機会を提供するとともに、能力向上のための訓練を行うもので、雇用契約を結ぶA型と雇用契約を結ばないB型がございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) それでは、就労系の障がい福祉サービスは障害者手帳がなくても受けることができるのか、また、障害者手帳を持っていない方でサービスを受けることができる方はどのような方なのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい福祉サービスにつきましては、障害者手帳を持たない方であっても、指定難病の特定医療費受給者証を持つ難病患者等や精神通院医療に関する自立支援医療受給者証を持つ方などは、就労系を含めてサービスを利用することができます。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) では、本市の就労支援事業所の利用者数の過去5年間の推移をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 各年度2月の利用者数で申し上げますと、就労系の4つのサービス合計で、令和元年度が4,362人、2年度が4,650人、3年度が5,110人、4年度が5,557人、5年度が6,115人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 年々事業所の利用者数が増加傾向にあることが分かりました。
では、本市に就労支援事業所は幾つあるのか、サービスごとにお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年7月1日時点で申し上げますと、就労移行支援事業所が79か所、就労定着支援事業所が33か所、就労継続支援A型事業所が88か所、就労継続支援B型事業所が178か所となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 今年の3月から7月にかけて全国で329か所の就労事業所が閉鎖され、働いていた障がい者が少なくとも約5,000人が解雇や退職となったことが8月13日の共同通信の全国自治体調査で明らかになりました。就労系の障がい福祉サービスが減少することは利用者にとって重大な問題であり、本市としても今後検討していかなければならない課題だと考えます。これらのサービスは利用者が職場で働き続けるための支援を目的としており、利用者の就労環境を整えるために様々な取組が行われていると考えられます。就労系の障がい福祉サービスを利用する方々に対して、働き方や労働時間、賃金などのニーズを把握することは、より適切な支援を提供するために重要だと考えます。
そこで、利用者の働き方や労働時間、また、賃金などのニーズ調査は行っているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 働き方などのニーズ調査につきましては、令和元年度の福岡市障がい児・者等実態調査において、どのような働き方や制度があれば働きやすいと思うかの問いを設けております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 次に、就労継続支援事業所の仕事の内容について、それぞれのサービスごとにどのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 主なものを御紹介しますと、雇用契約を結ぶA型事業所では、ホームページ作成、データ集計、パンや弁当などの食品製造など、雇用契約を結ばないB型事業所では、データ入力、清掃、小物作り、シール貼り、箱折り、梱包、焼き菓子製造などが行われております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) それぞれサービスごとの仕事内容は様々であることが分かりました。障がい者や難病の方の働き方には個人差があり、長時間働きたいと考える方もいらっしゃると思います。そのため、労働時間が長い事業所も存在すると聞いておりますが、雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所において労働時間が6時間以上の事業所の割合はどれくらいなのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和4年度実績で全国が12.2%、福岡市が4.1%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 次に、本市の就労継続支援事業所の平均賃金と平均労働時間について、全国平均と比較してお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和4年度における雇用契約を結ぶA型事業所の平均賃金につきましては、全国が8万3,551円、福岡市が7万9,682円、雇用契約を結ばないB型事業所の平均工賃については、全国が1万7,031円、福岡市が1万5,187円でございます。平均労働時間につきましては、A型事業所は4年度実績で、全国、福岡市ともに4時間以上4時間30分未満の事業所の割合が一番高くなっており、B型事業所は把握しておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 平均労働時間は全国、本市ともにA型事業所において4時間から4時間半未満の割合が一番高く、賃金においては全国では8万3,551円、本市では7万9,682円とのことでした。自立した生活を送るためには基本的な生活費用が必要です。これには居住費、食費、光熱費、交通費、通信費などが含まれます。これらの支出は生活の質を維持するために不可欠であり、削減すると生活の質を大きく損なうおそれがあります。また、就労支援サービスを利用している方々は障がいや健康上の問題を抱えていることが多く、追加的な医療費や特別なケアが必要となる場合があります。これらの費用を考慮すると、7万9,682円という賃金では十分とは言えません。
このように、障がい者や難病の方が生活するためには現在の平均賃金では不十分であり、多くの人々が経済的な不安を抱えながら生活しているのが現実です。生活の質を維持するためにはさらなる支援や賃金の引上げが必要です。
そこで、事業所の中には利用者の賃金が高い事業所もあります。どのような職種があるのかについてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 賃金が高い事業所では、プログラミングやウェブデザインなどのパソコン関連の業務、建物内の清掃や倉庫内での作業などが多く見られます。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) プログラミングやウェブデザインなどのパソコン関係業務は高賃金を得られるようですが、単純作業でもある企業は、石膏ボードにアロマを垂らして睡眠の質を高め、リラックス効果を図るための商品を開発し、その製造を就労支援事業所に委託しています。事業所では石膏ボードの製作作業を行っています。企業はこの商品をオリジナルのアロマグッズとしてインターネットで販売し、付加価値をつけて高価格で提供しています。市場価格は一般的に500円から2,500円程度とされています。この商品の売上げは事業所に還元され、利用者の工賃にも反映されています。単純な作業ではありますが、就労支援事業所の仕事として成り立っています。
また、ある企業では、有機農業と障がい者福祉サービスを提供し、100%オーガニック給食を実現するために活動しています。この企業は自社農園で多品目の有機野菜を栽培し、それを使用することで食材の調達コストを抑えつつ、給食を提供しています。また、地域社会全体で健康的な食生活を推進し、障がい者の社会参加も実現しています。ここで働く障がい者にはオフィスワークで病気が発症してしまった方や、身体や心に疾患を抱えながらも農業に興味がある人たちが含まれます。さらに、精神疾患を発症した方で農業を通じて生計を立てることを希望する人たちや社会との接触が難しいひきこもり経験者など、農業を通じて社会復帰を目指す方々もいます。この企業では、障がい者がフルタイムで働いた場合の月給は約15万円程度で、正社員として雇用された場合の月給は16万5,000円から20万円の範囲で提示されていました。これらの給与は経験やスキルに応じて変動する可能性がありますが、通勤手当や昇給制度も設けられており、経済的自立をサポートし、安定した生活を送るための基盤づくりに貢献しています。また、これらの制度は障がい者が楽しみながらスキルを身につける機会を提供し、地域社会とのつながりを深める役割も果たしています。
そこで、本市では事業所が利用者をよい条件で高賃金の企業とつなげるための相談窓口はありますか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者就労支援センターにおいて、ハローワークなどとも連携し、きめ細かな求人情報の提供や相談等を行っております。また、障がい者工賃向上支援センターにおいて、就労継続支援事業所の工賃向上に向けた業務開拓やマッチングにも取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 福岡市障がい者工賃向上支援センターはどのような業務を行っているのか、また、センターにおいての実績についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務内容につきましては、企業への営業活動を行い、新たな業務を開拓し、就労継続支援事業所につなぐとともに、ときめきショップや各区役所での商品の販売やウェブ等を活用したPRの支援などを一体的に行っているところでございます。実績については、令和4年度の開設から5年度末までに約3,700万円相当の新たな業務を開拓し、就労継続支援事業所の受注につなげているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 令和4年度から令和5年度末までに約3,700万円の新たな業務を開拓し、事業所への受注へつなげているとのことですが、その仕事内容と何か所の事業所の受注につなげたのか、また、事業所の売上げと併せて利用者の賃金に反映されているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 開拓した業務内容としましては、倉庫内作業や巡回清掃、動画編集、商品の圧着加工など約60の業務で、延べ94の就労継続支援事業所の受注につなげたところでございます。また、多くの事業所においては新たに開拓したよりよい条件の業務への切替えを行っていると聞いており、売上げ及び賃金に反映されているものと認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 山田ゆみこ議員。
○58番(山田ゆみこ) 障がい者や難病の方が安心して働ける職場環境を整えることは重要であり、本市においても良好な条件で高賃金を提供する企業を事業所へ紹介することや高賃金の企業とのマッチングを進める取組が今後必要とされています。今回、単純な作業でも高賃金を得られる事例を挙げましたが、本市でもこのような企業を発掘し、障がい者や難病の方にとって魅力的な就労機会を提供することは非常に重要だと考えます。これにより自立した生活を送るための経済的基盤を築くことができ、家族の不安も軽減されると思います。また、企業側にとっても、多様な人材を活用することで新たな視点やアイデアを取り入れる機会となり、組織全体の活性化につながる可能性もあります。
このような取組は地域社会全体の発展にも寄与するものであり、行政や企業、地域住民が一体となって推進していくことが求められますが、最後に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい者就労支援センターにおける企業開拓や障がい者工賃向上支援センターにおける新たな業務の開拓に引き続き取り組むとともに、企業や市民への障がい者雇用の理解促進を図ってまいります。今後とも、就労機会の拡大を図り、一人でも多くの障がいのある方や難病の方が経済的な自立と働く喜びを実感できるようしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後3時40分に再開いたします。
午後3時29分 休憩
午後3時40分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな)登壇 私は日本維新の会福岡市議団の橋口えりなと申します。本日は日本維新の会福岡市議団を代表し、福岡女子高校、博多工業高校の今後の方向性について、長期療養中である病児の御家族支援について、10月ピンクリボン月間について、以上3点について質問させていただきます。
まず、福岡女子高校、博多工業高校の今後の方向性についてお尋ねいたします。
私の出身校でもある福岡女子高校は令和9年度をめどに共学化されることになり、これにより県内全ての公立高校は共学になります。共学化に併せて6つの学科を一本化し、2年からデザインや観光など専門分野も学べるようになります。また、博多工業高校も同時期、令和9年度をめどに現在の6つの学科を一本化し、専門分野については2年から機械や建築、電子から選択できるようになりました。新しい転換期を共に迎えることになります。
今回は、この転換期に向けて始動する準備は万全なのか、質問させていただきます。
まず、専門学科を有する福岡女子高校、博多工業高校の課題や在り方の検討状況について教えてください。
以上、1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○教育長(石橋正信) 一部の学科で募集定員割れが発生しておりまして、また、社会経済情勢の変化に伴い、求められる人材像も変化しておりますことなどから、令和5年度に有識者会議を設置して幅広く御意見を伺うなど、今後の学校の在り方についての検討を進めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) では、福岡女子高校の今後の方向性についてお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 有識者会議からは、ジェンダー平等の社会変化の中で共学化が必要である、また、生徒が入学後に学びを選択できるように総合学科への改編が求められるなどの御意見もいただいております。こうした御意見などについては同窓会役員とも情報共有を図っているところであり、令和9年度を目途に学科を改編し、併せて共学化を実施する予定でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 視察の際に生徒から直接、制服がどのようになるのか、校名はどのようになるのかなど、心配する声を伺っておりますが、今後どのように検討を進めていくのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 校名に関しましては、アンケートによる募集を行うなど、生徒や同窓会、学校の意向を尊重しながら進めていくこととしております。また、制服は学校が主体となりまして、生徒などの意見も踏まえながら検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 次に、100周年に向けてPBLの授業を強化していく方針を校長より教えてもらいました。PBLとは何か、お示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) プロジェクト・ベースド・ラーニングの略で、課題解決型学習などとも言われております。生徒自らが問題を発見し、解決する能力を養うことを目的とした教育方法でございます。以上でございます。
○37番(橋口えりな) 福岡女子高校で取り組んでいるPBLの内容を教えてください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 解決すべき課題として、能古島が抱える甘夏の廃棄について取り上げておりまして、食品ロスの観点から、甘夏を再利用し、収穫、調理、販売までを行うなど、生徒の主体性や問題発見、解決能力を育成いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 近隣である能古島の地域連携型課題研究は、高齢化が進み、若い人が減少する中で、地域活性や地域課題解決にもつながり、とてもすばらしいと感じます。
次に、最近の大学入試では、面接や小論文で合否を判定する総合型選抜を実施する大学も増えてきており、PBLは生徒の大学進学率の上昇にもつながると感じております。また、能古島の課題解決に向けた生徒の取組は地域の方に喜ばれておりますが、本市が支援していることは何なのか、具体的にお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、甘夏を加工した製品の販売場所といたしまして、西区の区役所庁舎1階ロビーを提供していただいております。さらに、西区の公式キャラクターのPR方法の検討など、生徒が学習を進める上で必要となる課題の提供や解決に向けた助言などの御協力もいただいております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。能古の支援にもつながり、生徒のモチベーションにもなり、女子校活性化にもつながるため、引き続き市と連携した支援のほど、よろしくお願いいたします。
また、令和9年度に大きな転換期を迎える福岡女子高校は来年、令和7年度に100周年を迎えます。OBの生徒、先生方を含め、数多くの方に愛されてきた女子校です。生徒たちは能古へのPBL授業や地域の花火大会のボランティアに参加するなど、地域に根差した学校となっております。
このような状況の中、教育委員会として令和9年度の改革に向け重要と考える点は何なのか、所感をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校や同窓会、地域等の御意見を踏まえながら、これまで福岡女子高校で培ってきた学びをさらに発展させるとともに、生徒が社会、地域課題への探究心と解決に向けた行動力や高い語学力と国際感覚を身につけることができる教育に転換していくこと、これが重要であると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。ぜひ引き続き伝統を守り抜き、礎を築いてこられた女子校の意思を尊重していただきながら、さらなる飛躍を私から強く要望いたします。
では次に、博多工業高校の今後の方向性についてお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 有識者会議から、入学後に専門的な学びを選択できるような学科構成が望ましいこと、データサイエンスやAIなどの分野は技術者不足が顕著で、今後の伸長が予想され、高校3年間の学びだけでは不十分な面が否めず、3年間に限らない教育課程について詳細に検討すべきなどの御意見をいただいております。また、中央教育審議会の答申でも、必ずしも3年に限らない教育課程の開発、実施や高等教育機関等と連携した一貫した教育課程の開発、実施の検討も考えられるとされているところであり、令和9年度を目途に学科を改編するとともに、高度なデジタル人材の育成のため、3年間に限らない学びについての検討を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 博多工業高校では卒業後、就職する生徒が多く、その有効求人倍率は17倍ととても高いと感じます。また、高いレベルの専門スキルが修得できることなど、博多工業高校にはたくさんの魅力があると感じます。しかし一方、その周知が不足しているようにも思いますが、博多工業高校への進学を検討している生徒などとそれ以外の市民に向けて、2つの観点から具体的な周知方法をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 受験生であります中学3年の生徒や保護者などに対しましてはオープンスクールや学校見学会を実施し、工業の専門的な教育内容を分かりやすくお伝えしております。また、受験生以外に対しましても、学校の活動状況をSNSに掲載するとともに、小学生を対象としたものづくり教室を実施するなど、博多工業高校の魅力を周知できるよう努めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 博多工業高校の立地は、福岡市民の憩いの山、油山の麓に立ち、自然豊かな一方、わざわざ行かないと見かけることもできない立地条件となりますので、特に関心がない市民に向けた周知強化のほど、私から要望いたします。
次に、高度な情報技術を活用し、社会に新しい価値を生み出すことに大いに期待しておりますが、技術は特にすさまじいスピードで進化をしていきます。学校においても新しい機器の導入やデジタルツールの活用が重要かと思われますが、今後、市としてどのように取り組んでいくのか、所感をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 博多工業高校には設計やデザイン、プログラミングなどを行うための実習用パソコンや3Dプリンターといった多くの専門機器を設置しております。今後とも、技術の進歩や授業での必要性に応じて新しい機能を備えた機器の導入を計画的に進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。安心いたしました。デジタル化社会の実現に向けた人材育成は最重要項目だと思われますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
次に、視察の際、生徒の声としても、工業高校の進学率が上がってきている中、工業高校から大学へ進学できるようにしてほしいとの意見がありました。工業高校で専門スキルを学び、さらに工業系の大学へ進学したい層に向けたアプローチを本市としてどのように進めていくのか、現在の対策を含め、今後の方針をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 現在、進学コースを設置いたしておりますが、大学等への進学に対応していくため、より充実した教育課程を編成し、その教育課程の中で新たに探求的な学びを提供するなど、生徒の進路指導を実現するための取組を推進してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 現在の県の進学希望者の傾向としても、文部科学省令和2年度学校基本調査では53%、令和4年度は58%と推移しており、大学進学希望者は増加傾向なので、ぜひ今までの実績を踏まえたさらなる進化をよろしくお願いいたします。
また、この質問の最後になりますが、現在、6学科を令和9年度に1つの学科に統合する検討が進められており、生徒は2年次から専門のコースを選択できるようになるとのことですが、1年間専門のコースを決められる期間が設けられるため、工業高校への進学を何となく決めた層にはとても有効だと考えられます。
これまでの専門の学びをさらに進化させるためには何が必要で、どう進めていくべきか、所感をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 中央教育審議会の答申では、高等学校教育においてはAIやIoTなどの急速な技術の進展により社会が著しく変化し、多様な課題が生じているため、高校生の課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質や能力の育成が求められているとされてございます。そのため、博多工業高校におきましても、学んだ専門技術を用いて課題を解決できる能力の育成など、より実践的な教育に転換していくことが必要であり、大学や企業と連携しながら、そうした専門スキルを高められる教育を提供できるよう検討を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。教育委員会には、これまで培ってきた各高校の歴史や伝統を尊重しながらも、社会変化に対応した新しい学校となるよう、これからも積極的な高校改革に取り組んでいただきますよう強く要望いたします。
次に、長期療養中の病児の御家族支援についてお尋ねいたします。
小児病棟で子どもの身の回りの世話をはじめ、様々なケアを担うお母さん、お父さんが置かれた付添いの状況は大変苛酷で、食事、睡眠、入浴など、生活環境の改善は喫緊の課題です。子どものケアに追われて食事や睡眠がままならない、入院中の子どもに親が付き添う、付添入院で、親が厳しい環境での生活を強いられるケースが指摘されています。こども家庭庁などが全国の医療機関を対象に調査を行ったところ、子どもが入院する際、家族に付添いを求めている医療機関がおよそ4割に上ることが分かりました。
資料の投影をお願いいたします。(資料投影)調査したNPO法人キープ・ママ・スマイリングによると、2023年1月から2月、ゼロ歳から17歳の入院に付き添っていた家族を対象に、所要時間などを記録するよう要請し、24都道府県44人から延べ128日分の付添ケア記録を得ました。128日のうち、家族が泊まり込んでいた90日分について、1日ごと、付添ケアに要した時間を調べたところ、6時間以上だった日は9割を超す86日、そして、12時間以上だった日は4割と36日を上りました。ありがとうございました。
まず、本市の令和6年度の子育て支援の方針をお示しください。
○こども未来局長(野中 晶) 第5次福岡市子ども総合計画に基づき、子どもたちが心身ともに健やかに成長できるよう、安心して生み育てられる環境づくり、子ども、若者の自立と社会参加、様々な環境で育つ子どもの健やかな成長に向けた施策を総合的、計画的に推進しており、特に多様な保育ニーズへの対応や障がい児の支援、多胎児家庭の支援などの一層の充実に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 病児の御家族支援について、12月の一般質問でもさせていただきましたが、令和6年度の診療報酬改定では、付添者の3大困り事である食事、睡眠、見守りへの改善案が示されました。一方で、診療報酬改定において、見守りである保育士の増員には診療報酬が加算されたものの、付添者の食事や睡眠については病人ではないため加算が認められず、小児入院医療管理料の範囲の中で費用を賄わなければなりません。医療機関が対応せざるを得なくなりました。そのため、財源を確保できない小児科では付添者の環境改善が大きな負担となり、小児医療から撤退する医療機関が出てくることも心配されています。
4月に開催された第127回日本小児科学会学術集会では、会長の基調講演やこども家庭庁母子保健課長の特別講演、付添いをテーマにしたシンポジウム等において、小児医療におけるミッションとして付添環境の改善に取り組んでいかなければならないことが示されました。この状況に関して本市の所感をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 入院中の子どもに付添いをする家族の環境改善につきましては、令和6年度の診療報酬改定において、子どもの入院に家族等が付き添う場合、医療機関は当該家族等の食事や睡眠環境等の付き添う環境に配慮することが示されており、加えて保育士の複数配置や看護補助者の配置に対する加算が新設されたことから、各医療機関において一定の改善が図られるものと考えております。また、現在、こども家庭庁において、付添いをする家族の環境改善のため、医療機関におけるリフォームの実施や物品の購入等を支援することが検討されているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 本市が国の動向を注視していくことがよく分かりました。しかしながら、日本小児科学会では、診療報酬改定の6月の翌月である7月21日にウェブサイト上にて入院している子どもの家族の付添いに対する見解が明示されました。内容は、医療機関の構造、診療報酬、社会における各種保障に子どもの特殊性への配慮が十分にされておらず、結果として子どもと家族に多大な制約が強いられているとのこと、その解決や理解を図るために見解が示されており、医療側の対応が困難だということが明らかになりました。親の付き添えなかった期間は子がどんどん元気をなくしていき、そばにいてくれる親の笑顔は何よりも子の安心の源になります。本市の第5次子ども総合計画には病児の御家族支援もあり、基本目標の安心して生み育てられる環境づくりが示されており、特に健康づくりと小児医療の推進に至っては、「未熟児、小児慢性特定疾病児童などを持つ親に対し、医療費の支援と併せて、適切な情報提供を行います。また、身近な地域において、慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の充実に取り組みます」と述べられております。
本市は先進的な子育て施策も取り組んでおり、市民の多くの期待を背負っていることかと思います。施策の方向性をお示しください。
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 第5次計画においては、安心して生み育てられる環境づくりを目標の一つとして掲げておりまして、施策の方向性につきましては、母と子の心と体の健康づくりなど、妊娠、出産期から切れ目のない支援や病児・病後児デイケアを含む多様な保育サービスの充実、企業における子育てに配慮した多様な働き方の促進など、社会全体で子育て家庭を支える施策を推進することとしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 病院側に是正が求められない状況の今、本市でやれるべき取組は積極的に行うべきだと考えます。食についてですが、付添家族はコンビニ食が8割と調査データも出ております。お弁当を御家族向けに病院に配付する取組をNPOや民間企業、医療側で既に実施しているため、本市でも取り組むべきだと考えます。
特に長期療養の多いこども病院は、国以上に市も考えるべきです。所感をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和6年度の診療報酬改定において、医療機関は付添いをする家族等の食事や睡眠環境等に配慮することが示されておりますので、各医療機関において一定の改善が図られるものと考えておりますが、議員御指摘のようなNPO等の活動内容を広く周知するなど、付添いをする家族等の環境改善につながるよう取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 医療側の対応が困難であることから、子どもと家族の多大な制約が強いられている状況の中、本市が国の動向を注視されていても苛酷な付添家族の環境は何も変わりません。NPOや民間企業、医療と続々と動き出す中、ぜひとも子育て支援の一環としていち早く取組を開始していただくことを私から強く要望し、この質問を終わります。
次に、10月ピンクリボン月間についてお尋ねいたします。
ピンクリボンとは、主に毎年10月、乳がんの早期発見、早期治療を願い、日本全国でピンクリボンを広げる乳がん月間として行われております。また、今年6月に閣議決定された男女共同参画白書では、月経障がいや乳がんなど、女性特有の病気は働き盛りの20代から50代にとても多く、健康上の課題やそれに苦しむ時期は男女で異なると指摘をされております。女性は不本意に離職することなくキャリア形成をしていき、健康への理解、支援が求められると強調もされております。それゆえピンクリボンは本市でも積極的に強化をしていきたい重要項目だと感じます。
今年も10月はピンクリボン月間がやってきますが、本市における取組をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ピンクリボン月間である10月におきましては、福岡市では健康づくり月間として企業、団体など様々な事業主体と連携し、市民の健康づくりへの関心が高まるよう啓発に取り組んでおります。また、10月のイベントの際には、ピンクリボン運動をはじめ、乳がんに関する啓発を行うなどの取組を進めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ピンクリボンの認知度は現在9割を超えているものの、本市の乳がん検診率は5割も達していない状況となっております。国の目標は6割と、こちらもまた達しておらず、本市は危機的状況となっております。
ピンクリボンの認知を有効活用すべく、10月の取組を強化すべきだと思いますが、所感をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 乳がん検診の受診率につきましては、目標値に達していないことから、受診率の向上に向けた取組を強化していく必要があると認識をいたしております。また、ピンクリボン運動といたしましては、10月に限らず、5月のみずほペイペイドーム福岡で実施されているピンクフルデーにおいても乳がん検診を実施するなど、企業、団体とも連携、協力しながら受診率向上に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 10月の本市健康づくり月間の意図、背景、目的やゴールを具体的にお知らせいただくとともに、その成果をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 健康づくり月間につきましては、厚生労働省が定めた健康増進普及月間の趣旨を踏まえ、平成20年度より実施しており、市内全域で健康づくり関連事業を集中的に開催するとともに、広報、啓発を行うことで健康に対する一人一人の自覚を高めて健康づくりの実践を促進していくことを目的といたしております。がん検診における成果といたしましては、10月に健診専用サイト、けんしんナビへのアクセス数や集団健診への予約数が増加するなど、市民が健康について考える機会として定着しているものと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 10月の健康づくり月間は本市の魅力的な取組だと感じておりますが、その中でも特にがん検診は、がんへの怖さや自分ごとにできないなどが原因で足が遠のくため、ピンクリボン月間を狙って、他自治体ではリーフレット配布やデジタルサイネージでの広報など強化をしておりますが、本市では取組は御検討いただきたく思います。
10月の乳がん検診へ意識の高いこのタイミングで強化すべきだと考えます。強化していくのならば、具体的にどのように強化をしていくのか、数字を含めてお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 乳がん検診の広報、啓発につきましては、チラシの配布やデジタルサイネージでの広報を一年を通して実施するとともに、特に10月には、けんしんナビやSNSなどの活用による広報の強化に取り組んでおり、がん検診受診率の目標値である50%を目指して取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) まずはピンクリボンのきっかけとなり、本市のLINE投稿でも6月に表示された自己触診のきっかけとなるブレスト・アウェアネスを広めるべきだと考えます。横浜市の取組でも新たに強化をされているそうですが、本市としても認知度が5%と全体的に低いブレスト・アウェアネスの普及啓発により一層取り組んでいただきたいと考えます。
どうしたら認知度が上がり、市民に行動変容を促すことができるのか、所感をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ブレスト・アウェアネスとは、日頃から自分の乳房の状態に関心を持ち、変化を感じたら速やかに医師に相談するなど、乳房を意識する生活習慣のことであり、令和3年10月に改正された国のがん検診実施のための指針において新たに盛り込まれた概念でございます。ブレスト・アウェアネスにつきましては、女性向けのイベントや地域における健康づくり教室での啓発に取り組むとともに、女性向けの啓発物で紹介するなど、周知を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 次に、10月はピンクリボンに関して、民間企業、メディア、医療と全て強化をしている点に当たり、圧倒的な認知度をこのタイミングで図られる今こそ、行政としては受皿として予約などの利便性が求められます。
市民から、一体どこから乳がん検診は受ければいいのかと質問が上がってきておりますが、情報過多につき分かりづらく、せっかくのピンクリボンの認知、啓発普及が取りこぼしているのではと危惧されます。本市での具体的な対策をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 乳がん検診につきましては、SNS、啓発チラシによる周知や健診ガイドの全戸配布に加え、個別の受診勧奨はがきの送付や40歳の方に対する無料クーポンの配布など、必要な人に必要な情報が届くよう効果的な周知、広報に努めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 10月の健康づくり月間で、情報過多がゆえにピンクリボンに気づいてくれないなど、起こり得ると思われます。必要な人に必要な情報が届く工夫はちゃんとされているのか、10月の健康づくり月間を有効活用するための具体的な解決策をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 乳がん検診をはじめ、がん検診につきましては、10月に限らず、一年を通して広く周知を図っているところでございますが、特に10月はピンクリボン月間であることから、乳がん検診の受診について、けんしんナビやSNSなどの活用による広報の強化に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) それでは次に、10月の県との協働啓発イベントについてお尋ねいたします。
天神中央公園迎賓館前広場において、令和4年度、令和5年度のイベント集客効果、ブース出展実績を踏まえ、イベントのがん検診推進に対する有用性をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ブースの出展実績につきましては、県と市のほかに、令和4年度は企業2社が、5年度は企業4社が参加しており、各ブースには300名を超える方が来場されております。このイベントにおきましては、がん検診に関心のない方も多く来場されており、がん検診に関するチラシや啓発グッズを配布するなど、無関心層を含めた多くの方への普及啓発に効果があったものと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 出展数が増えて拡大をしていること、安心いたしました。がん啓発イベントとなると集客に苦戦する傾向があるため、引き続き広報、啓発強化のほど、よろしくお願いいたします。
また、昨年度のイベントの主催を確認すると、福岡県がん対策推進企業等連携協定に締結している企業である保険会社のみでありました。ほかの企業は本市からの呼びかけで集められないものなのでしょうか。例えば、市や県と連携している女性の子育て支援をする企業などに声がけするのも得策かと思われます。
本市ができることは県よりも先に動くべきだと考えます。御所見をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) イベントの参加企業につきましては、県が福岡県がん対策推進企業等連携協定を締結している全ての企業に声をかけて参加を募ったものであり、保険会社に限定しているものではないと伺っております。この参加企業は、がん対策の推進活動に意欲を有し、県民へのがん検診受診促進等に積極的に取り組む企業や団体であり、今後、新たな企業や団体との協定締結が進むよう県と連携して取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 公民館のがん検診は特に行きやすく、高齢の方は特に行きやすいと感じておりますが、10月に開催数を増やすことはできないものなのでしょうか。10月に医療機関に予約が集中するのであれば、10月に公民館に分散させることができ、ピンクリボンの周知にもつながり、PR効果も高いと思われます。御所見をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) がん検診につきましては、広く地域の医療機関で受診できる環境が整っておりますが、医療機関が少ない地域については、地域からの要望に基づき公民館でも実施をいたしております。また、10月に限らず、一年を通して受診できる環境を整えることが重要であると考えていることから、医療機関だけでなく、保健福祉センターや地域交流センターなどにおいても集団健診を実施するなど、受診の機会の確保に努めているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 10月にはピンクリボンという機会を最大限に生かし、乳がん検診推進の認知度向上を図っていただきたいのですが、10月に予約が集中しないように分散させて予約を促進させていく仕組み構築が大変重要かと思われます。一年を通して予約ができることは今までの答弁で何度も把握ができましたが、逆に情報が埋もれてしまい、普及には程遠いように思われます。
実際に平成28年度がん対策に関する世論調査でも、心配なときはいつでも医療機関を受診できるの回答が3位と、多くの回答が出ております。継続的、年中いつでも予約ができることをアピールし過ぎている結果とも読み取れます。具体的な打ち手と対策をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) がん対策につきましては、一日でも早い、早期発見、早期治療が大変重要であることから、乳がん検診をはじめ、がん検診について一年を通して広く周知を図り、いつでも受診できる機会の確保に努めているところでございます。特に10月はピンクリボン月間であることから、乳がん検診の受診について、けんしんナビやSNSなどを活用した広報の強化に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 最後に、福岡市は市税収入過去最高と大きく取り上げられ、ますます発展し成長する都市だと感じております。しかし、福岡県の乳がん検診率は特に低い状況で、全国で34番目となり、この状況をどうやったら変えられるのか、果たして本市としてどのように対策を取っていくべきなのか、力強い決意表明を荒瀬副市長にお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。
○副議長(松野 隆) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) ピンクリボン、乳がん検診についてお答えいたします。
女性のがん死亡率は、高いほうから肺がん、大腸がん、膵臓がん、乳がんとなっておりますが、女性特有のがんとしては乳がんが第1位でございます。乳がんは40歳から急増いたしますが、早期発見、早期治療が可能であり、乳がん検診は大変大事なものと思っております。乳がん検診受診率は、新型コロナウイルス感染症の影響等もあり、ここ数年低迷をしておりましたが、現在も回復していなく大変憂慮しているところでございます。5月のピンクフルデーや10月のピンクリボン月間において、関係機関の協力を仰ぎながら女性への乳がん検診の啓発を強化してまいります。乳がん検診の対象者は40歳からとなっており、ダイレクトメールや医療機関等を通して受診啓発に取り組むとともに、働いている女性が受けやすいよう、健康づくりセンターでは女性医師による夜間、休日健診も年間を通して実施しているところでございます。さらに、若い世代にも乳がんに対して関心を持っていただくよう、セルフチェックを含めたブレスト・アウェアネスの普及にも力を入れてまいります。乳がんは早期発見、早期治療で治癒する病気でございますので、そのことをしっかりと伝えながら取り組んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○25番(篠原達也)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、民間企業との包括連携協定について、難聴で困らない社会の実現のために、不登校児童生徒への支援と未然防止の取組について、以上3点について質問いたします。
初めに、民間企業との包括連携協定について、近年は全国で大規模な自然災害が頻繁に発生しており、自治体の負担は増える一方です。また、地方に行くほど少子・高齢化の影響が大きく、自治体の財政悪化につながっています。魅力ある自治体として住民を引きつけるためにも、官民が連携した新しい行政サービスに期待が集まっています。行政が取り組むべき地域、社会課題は様々な分野にわたっており、民間企業が持つ多様なノウハウや技術を活用しながら各種課題の解決に取り組んでいくことは非常に有意義だと思います。民間企業との連携については様々な手法があり、福岡市においてもPPPやmirai@をはじめとして、様々な施策において連携して取り組んでおられるようですが、民間企業との連携の取組のうち、幅広い施策分野で市と企業が共働で取り組んでいく包括連携協定について、他都市の事例も踏まえながら尋ねてまいります。
初めに、包括連携協定とはどのようなものか、お伺いいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 包括連携協定については、様々な分野において地域の一層の活性化や市民サービスの向上に資することを目的に、福岡市と企業がお互いの資源や魅力を生かした事業に共働で取り組むことを取り決めているものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 官民共働で取組を行っていくためには、企業側と継続的、安定的な関係を構築するとともに、地域の課題を共有し、意識をすり合わせておくことが重要となってきます。
では、どのような内容の協定を締結するのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の内容については、福祉や子育て、環境、まちづくりなどの様々な地域課題や社会課題の解決に向けて、福岡市と企業が取り組む共働事業の目的や内容などを定めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 自治体と民間企業の連携協定は10年以上前から締結されており、当時は災害対応に関する協定が多い状況でしたが、現在は様々な地域課題に対して企業が提案をし、その申入れを自治体が検討する形で結ばれる事例がほとんどのようです。
本市においてはどのような場合に包括連携協定の締結に至るのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の締結については、共働事業が企業側の協力を前提として成り立つものであるため、企業の取組の内容や実施体制などが重要であると認識しており、企業から提案を受けた共働事業が複数分野にわたって継続的な実施が見込まれる場合に包括連携協定を締結することとしております。以上でございます。
○25番(篠原達也) 課題が多様化している現代社会においては、複数分野にわたって横断的に課題解決に取り組むことは、もはや必然とも言えるかもしれません。特定の企業と複数の分野で共働することで相乗効果を生み出すことができ、行政は効率的で幅広いサービスの提供が可能となり、市民は行政サービスの拡充が期待できます。民間企業にとっては、自治体と連携することで持続可能な開発目標、SDGs、企業の社会責任、CSRに沿った取組として、自社の力を地域課題の解決のために存分に発揮できます。
このように、市民、行政、企業の3者にとって様々な効果が期待できる包括連携協定について、福岡市では何件締結しているのか、お伺いいたします。
○総務企画局長(龍 靖則) 現在、10件締結しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 包括連携協定を締結し、地域の課題解決に広く民間企業が持つノウハウや最新の技術が取り入れられることで、市民サービスの向上や地域の活性化に役立てられています。一方で、包括連携協定では、自治体と民間企業が意見交換し、考えをすり合わせながら共働でプロジェクトを遂行することが求められています。
本市はどういった業種の企業と包括連携協定を締結しているのか、お伺いいたします。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定を締結している企業の業種については、郵便局やコンビニ、スーパーなど地域に店舗を持つ事業者や、スポーツを通して地域と密接に活動を実施している事業者、情報通信事業者などでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 民間企業と地方自治体が連携をし、課題解決に向けて取り組む包括連携協定が生まれた背景には、大規模な自然災害の頻発、自治体職員の人手不足、新しい行政サービスへのニーズなどがあり、時代に合わせた新しい行政サービスを提供するために民間企業の技術や実績が重宝されています。
本市で包括連携協定を締結した企業とはこれまでにどのような取組を行ってきたのか、お伺いいたします。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定を締結している企業との取組の事例といたしましては、コンビニエンスストアを運営する企業などとの共働事業として、児童が身につけている端末を活用した子どもの見守り活動への協力、地域に大型店舗を持つ企業との共働事業として、各種選挙における期日前投票所の設置や、各家庭の未利用食品を集め、食品を必要としている福祉施設や子ども食堂などへ提供するフードドライブイベントの開催など、様々な分野で福岡市の事業に協力をいただいております。以上でございます。
○25番(篠原達也) 包括連携協定を締結している事業者と連携して、様々な共働事業が実施されていることが分かりました。人員、予算など、自治体、企業のリソースには限りがある中で、効果的に共働事業を進めるためには、自治体と企業が共通の課題認識の下、知見やリソースなど、互いの強みを生かして取り組んでいくことが肝要であると思います。福岡市の将来人口推計によると、福岡市の人口は今後も増加し続け、2040年、令和22年頃には約170万人に達するものと見込まれ、より一層多様な市民ニーズに応えていく必要がある中で、包括連携協定に基づく民間企業との共働事業をより充実させていく必要があると思います。民間企業と手を組めば、行政のみでは気づいていなかった課題や住民ニーズに気づくための視野の拡大が見込めます。
より多くの企業に本市から積極的に協定締結を呼びかけるべきではないかと思いますが、いかがお考えですか。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の締結については、企業の社会的責任や公益的な共働の取組を前提とするものであり、これらの取組に対する理解をお持ちの企業から自主的に御提案いただくことが望ましいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 包括連携協定の締結は企業側から提案していただいたほうがよいとのことですが、締結すると企業側には何らかの優遇措置が生じるのか、お伺いいたします。
○総務企画局長(龍 靖則) 協定の締結に当たっては、公平性の観点から、締結によるインセンティブは設けておらず、公費負担を伴わない形で共働事業を実施しているところでございます。また、他の企業等と連携することや同様の協定を締結することも妨げないこととしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市と連携することで自社のブランディングにつながる、自治体のニーズが酌み取れるなど、経営へプラスの影響を期待されている面もあるかもしれませんが、具体的なインセンティブがない中で、持続可能な開発目標、SDGsや企業の社会責任、CSRの観点で、自社の技術や施設等を生かして福岡市と共働で社会課題の解決に取り組んでいただける民間企業は福岡市にとって重要なパートナーだと思います。
先日、横浜市の包括連携協定について話を伺ってきました。そこで大変にすばらしい取組を実施されていましたので、御紹介をいたします。それはリンクワーカー活動を通して、健康増進、子育て、介護、認知症、防災、防犯などに関する行政サービスの案内活動などを行うもので、横浜市とある生命保険会社の包括連携協定による取組です。このリンクワーカー活動は、横浜市役所から行政サービスの情報提供を受けた生命保険会社の営業社員、リンクワーカーが訪問活動の中で、一人一人のニーズに合わせた行政サービスの案内やアンケート調査などを行うアウトリーチ型の取組で、アンケートの結果など、活動を通して得られた情報については横浜市役所に提供されることになっています。約1,000人のリンクワーカーが横浜市内で訪問活動をされており、自治体だけではリーチしにくい方に行政情報を提供できるとともに、その方から情報を得ることもできます。アンケートでは、性別、年齢、就労状況、世帯構成、居住年数、経済状況、生活習慣、健康診断、人間ドックや病院等の受診状況、健康イベントや地域活動への参加状況、地域への愛着など、幅広く調査をされており、リンクワーカーが行政サービスを案内できた人のうち、81%が過去に自治体の健康関連のイベントに参加したことがなかったことや、約3割の方が健康面が心配であり、優先的にアプローチが必要だと思われること、居住年数は比較的長く、地域への愛着も高く、ソーシャルキャピタル、社会関係資本は約6割の方が高い評価をされた一方で、約8割の方が地域とのつながりが希薄と思われることが分かったとのことでありました。また、リンクワーカーが訪問をして、御案内した行政サービス等は役に立ちましたか、実際に利用してみようと思いましたかとの問いに、案内を受けた方のうち、75%の方が役に立つと回答し、案内から2週間前後で12%の方が実際の利用につながったとのことであり、とても効果的な取組だと思います。さらに、必要となれば利用してみたいと答えた方が70%と多く、リンクワーカー活動は転ばぬ先のつえとして役割も果たしていると思います。官民が連携して行政情報を発信するとともに、住民のニーズを把握し、政策課題に生かしていく取組に非常に関心を持ちました。少子・高齢化が進展する中で、健康寿命の延伸や地域コミュニティの活性化が課題となっており、行政のリソースが限られている中、こうした分野での民間との共働は非常にすばらしいと思います。
横浜市をはじめ、他の都市でも様々な事業者と効果的な事業に取り組まれており、本市でも民間企業と連携した取組を今後より充実させてはどうかと考えますが、どのようにお考えですか。
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員御指摘のように、企業等との連携や共働を進めていく視点は重要であると考えており、公平性の観点に留意しつつ、今後とも、様々な手法で民間企業と連携して、地域の一層の活性化や市民サービスの向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) これまで民間企業との包括連携協定による様々な取組についてお聞きしてきました。包括連携協定は官民連携における手法の一つであり、企業をはじめとする様々な民間主体との連携を推進することが地域課題や社会課題の解決につながり、誰もが住みやすいと思えるまちになると考えます。
最後に、島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、様々な地域課題や社会課題の解決に向け、企業やNPOなど様々な主体との連携や共働を進めるとともに、規制緩和やソーシャルスタートアップの支援などにより、民間の優れた能力やノウハウの活用に積極的に取り組んできたところでございます。今後とも、民間の活力を生かしながら、行政サービスの向上や子育てしやすい環境づくり、安全、安心なまちづくりなど、住みやすいまち、元気なまちの実現にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 次に行きます。
難聴で困らない社会の実現のために、今日、社会の高齢化に比例して、フレイル、いわゆる虚弱の方も年々増加をしています。加齢に伴って体の機能が低下することは自然な現象ですが、その変化に気づかないまま過ごしたり、それほど困っていないと放置すると、心身の活力が衰え、社会とのつながりが低下する可能性があります。
初めに、フレイルについて、フレイルとはどのような状態を指しますか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) フレイルとは、厚生労働省によりますと、年を取って体や心の働き、社会的つながりが弱くなった状態を指し、そのまま放置すると要介護状態になる可能性があるものとされております。以上でございます。
○25番(篠原達也) それでは、フレイルとはどのように予防すれば治るのですか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) フレイルの予防としましては、食事と口腔ケアから成る栄養、ウオーキングや筋トレなどの運動、外出や人との交流などの社会参加の3つが挙げられます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 高齢者が増えてくる中、フレイルの予防はとても大切であると考えます。特に75歳を過ぎるとフレイルが発症するリスクが高くなり、フレイルを放置している間に転倒や骨折、認知機能の低下などが進行してしまうこともあります。家族や近所の方が気づくこともあり、幅広い世代に知ってもらうことが大切になってきます。
福岡市のフレイルに対する取組について伺います。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) フレイルへの取組につきましては、幅広い世代への啓発を行うとともに、公民館など市民に身近な場所で教室、講座を開催しており、令和5年度は1,778回、延べ2万5,507人の方に御参加いただいております。また、高齢者が自主的かつ継続的に健康づくりに取り組める場として、5年度末で939か所設置されているよかトレ実践ステーションへの支援や、医療、健診、介護データから抽出したフレイルハイリスク者へのアウトリーチ支援などに取り組んでおります。以上でございます。
○25番(篠原達也) 様々な取組が行われていることが分かりました。人生100年時代と言われるように、何歳になっても心身の機能を維持し、自分らしく暮らすことが重要です。こうした取組をしっかり継続して行っていただきたいと思います。
加齢に伴い、体のフレイルだけでなく、耳の虚弱、聞き取る機能の衰えや難聴の方も増加をしています。加齢に伴って聴力が低下することは自然な現象ですが、聞こえにくさから人や社会とのコミュニケーションを避けがちになり、その後、社会的に孤立する可能性も懸念されます。聞こえているつもりでも実際には完全に聞こえていない人が多く、日本の難聴者数は約1,994万人、全人口の約16%に当たります。また、65歳以上の約半数に聞こえの問題があると言われ、80歳以上になると、男性84%、女性73%が難聴を発症しています。加齢によって起こる聴力の低下は、会話のしにくさから社会との関わりが減り、フレイルや認知機能の低下にもつながります。聞こえにくさはじわじわと進行するため、自分では気づきにくいものですが、社会的な孤立や脳の萎縮が進行する前に早期に発見することが大切です。
東京都豊島区、大阪府豊中市、山形県山形市では、難聴の早期発見とヒアリングフレイル、聞き取る機能の衰え予防対策事業を立ち上げ、フレイル対策センター、介護予防センター、地域包括支援センターと連携をして、65歳以上の高齢者を対象にヒアリングフレイルチェックを活用した高齢者の聴覚スクリーニングを自治体主導で行っています。本市の御所見をお伺いいたします。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者自身や周囲の人が、聞こえも含め、その方の身体の状況を知ることは大切であると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 先日、東京都豊島区に視察をした事例です。ヒアリングフレイルチェック豊島区モデルとして、令和3年7月1日より区内在住、在勤の65歳以上の対象者にアプリを活用してヒアリングフレイルチェックを無料で行っています。その豊島区のヒアリングフレイルチェックを紹介いたします。投影1をお願いいたします。(資料投影)ヒアリングチェックとは、前を御覧いただきますと、下記の症状で気になることはありませんか、家族にテレビなどの音量が大きいと言われる、うまく聞き取れず聞こえたふりをすることがある、複数人での会話がうまく聞き取れない、話し声が大きいと言われる、会話をしているときに聞き返すことが増えた、この中の1つでもチェックがついたら、再度この聞こえのチェックをやってもらうという取組です。ありがとうございました。
現在は東池袋フレイル対策センターや高田介護予防センターにて実施をされているそうです。さらに多くの区民の方に御活用をいただくために、区民ひろばでの実施と拡大をされました。また、豊島区医師会と連携をして、アプリの結果で語音聴取率60%未満の方には耳鼻咽喉科を御案内しています。
本市の医師会との連携についてお尋ねをいたします。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者の聞こえにくさにつきましては、区の健康相談や地域包括支援センターでの相談などを通じて耳鼻咽喉科への受診の案内などを行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 公明党は参院厚生労働委員会で高齢者の聴力検査事業創設を要望し、東京都豊島区が実施をする無料の同検査を紹介し、聴力低下を早期に発見して適切な支援につなげる取組を全ての自治体でできるように訴え、受診につながる仕組みづくりの必要性を訴えました。武見厚生労働大臣から、難聴高齢者の早期発見、早期介入等に向けた参考手引を周知、啓発するとともに、手引の活用に関する今年度の調査研究事業を実施する考えが示されました。
本市においても適切な支援につなげる仕組みをぜひとも御検討いただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○福祉局長(藤本広一) 議員御指摘のとおり、国において手引を活用した調査研究事業が実施されているところであり、その状況をしっかりと注視し、検討を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) ぜひよろしくお願いいたします。
ここで視点を変えて話を進めます。
一般的に補聴器と呼ばれているものは、空気を通して聞こえる気導補聴器と骨を振動させて聞く骨伝導補聴器しか知られていませんでした。そこで、第3の聴覚補助機器として、耳の軟骨を振動させて音を伝える新しい技術を用いた軟骨伝導イヤホンが開発をされ、開発者の奈良県立医科大学の細井学長は、難聴に関して、聞こえているつもりでも実際には完全には聞こえていない人が多く、難聴は認知症のリスク要因となっており、改善することで予防につながると強調されています。
ここで窓口用の軟骨伝導イヤホンを紹介いたします。投影2をお願いいたします。(資料投影)これが窓口用の軟骨伝導イヤホンです。イヤホンがあって、窓口対応ですので、イヤホンのコードが1メートル80センチ、さらには集音器があって、集音器のスタンドがついております。これが窓口用軟骨伝導イヤホンセットで、(現物表示)今、私が持っていますのが個人用の軟骨伝導イヤホンで、自分で耳につけてスイッチを入れてマイクを入れると。それで、耳周辺の軟骨の振動を通じて音が聞こえ、音が非常に柔らかく聞こえます。耳の穴を完全に塞がないので、周辺の音が自然に入り、集音器の機能もあり、音量を調節する装置などもあって、穴が空いていないので清潔に保つことが特徴です。ぜひ社会での実装を広げて、高齢者が社会に適応しやすい状況を推進していくことにつなげていきたいと思います。消してください。
このように、耳が聞こえにくい高齢者や難聴者と円滑にコミュニケーションを取れるようにするために、軟骨伝導イヤホンを導入した城南信用金庫へお伺いをして、お話を聞いてまいりました。東京都内と神奈川県内に85店舗を展開する城南信用金庫では、昨年4月に軟骨伝導イヤホンを東京都品川区の本店窓口に導入をし、同年7月には全店舗に導入をいたしました。いち早く導入した理由について川本理事長は、窓口で話すのはお金や財産のことが中心であるため、職員は大きな声を出しづらい。難聴の方が安心して相談できる環境づくりに最適だと思ったとお話をされておられました。窓口のスタッフはふだんの声量でも、お客様は大きな音量で声を聞くことができます。個人情報を取り扱いするシーンでは大きな声で話す必要がなく、プライバシーを守ることができます。イヤホン部分は穴も凹凸もない球体のため簡単に拭くことができ、常に清潔に保つことができます。除菌シートで簡単に拭けるので、窓口でも手間がかかりません。さらに、耳のサイズや形に左右されず、どんな耳でも快適に装着ができ、雑音を除去する独自の技術で話し声がクリアに大きく聞こえます。このイヤホンは、加齢性難聴の軽度の方及び中等度難聴の方が対象になります。
このように、相談窓口に窓口用の軟骨伝導イヤホンを設置する金融機関や自治体、病院など、今年6月時点で全国に167団体以上に上り、難聴者との意思疎通に役立っています。ぜひ本市でも導入に向けて検討されてはいかがでしょうか。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 軟骨伝導イヤホンにつきましては、昨年1台を購入し、12月末から一部の区の福祉・介護保険課窓口で効果や課題について情報収集しているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 先ほどの答弁で、1台を購入し、情報収集をしているとのことでしたが、利用された方たちの反響などについてお尋ねをいたします。
○福祉局長(藤本広一) これまでに軟骨伝導イヤホンの利用は6件ございましたが、反響としましては、聞こえづらさが改善されているという感想があった一方で、耳に入れることには抵抗があるといった御意見もございました。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 6件と非常に少ないと思います。もっと多くの方の意見を集めていただくためにも、各区役所の窓口、本庁、図書館等の公共施設への導入を検討していただきたいと思いますが、いかがお考えですか。
○福祉局長(藤本広一) 軟骨伝導イヤホンにつきましては、窓口において市民の方にイヤホンを装着していただく必要があるため、その対応には配慮が必要であると考えており、引き続き情報収集に努めてまいります。以上でございます。
○25番(篠原達也) 一人でも多くの方に利用していただけますように、ぜひよろしくお願いをいたします。
軟骨伝導イヤホンを開発した細井学長は、世界でも十分に活用可能で、ニーズも非常に大きいと。そのためにも2025年の大阪・関西万博で軟骨伝導イヤホンを知らない多くの海外の方にも体験をしてもらいたいと、さらなる普及に期待を寄せています。
ぜひ軟骨伝導イヤホンの本格的な導入に向けた検討を進めていただきたいと思いますが、最後に御所見をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 窓口における円滑なコミュニケーションは大切であると考えており、軟骨伝導イヤホンも含め、新しい技術の活用についても検討するなど、市民サービスの向上に取り組んでまいります。以上でございます。
○25番(篠原達也) ぜひよろしくお願いいたします。
最後の質問です。
不登校児童生徒への支援と未然防止の取組について、全国的に不登校児童生徒が増加をしており、令和元年度から4年間で約1.6倍に急増しています。
そこで、福岡市不登校児童生徒の状況はどのように変化をしているのか、令和元年度から数値が確定している令和4年度までの数値についてお尋ねをいたします。あわせて、令和4年度の不登校児童生徒について、欠席日数ごとの内訳をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 不登校児童生徒数の過去4年間の推移につきましては、令和元年度が2,505人、2年度が2,719人、3年度が3,535人、4年度が4,400人となってございます。また、令和4年度の不登校児童生徒のうち、欠席日数30日以上90日未満は2,612人、欠席日数90日以上が1,788人となってございます。以上でございます。
○25番(篠原達也) 福岡市においても全国と同様に不登校児童生徒が増加をしていますが、病欠や経済的理由を除いて、年間30日以上欠席した場合は不登校として計上するため、週に1日程度の欠席で不登校扱いとなる児童生徒もいれば、ほぼ登校できていない児童生徒まで、その状況は様々であり、それぞれの状況に応じた学びの場を確保することは必要だと思います。文科省が昨年策定をした誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策、COCOLOプランにおいて、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えるとし、学びの場の保障の重要性を示しています。
その中で、教育支援センター等の設置推進について言及していますが、福岡市における設置の状況をお尋ねいたします。
○教育長(石橋正信) 学校内の教育支援センターにつきましては、平成20年度より現在の教育相談コーディネーターに当たります不登校対応教員の配置を開始し、令和3年度には夜間中学校を除く全ての中学校に校内型の教育支援センター、通称ステップルームの設置を完了いたしております。また、学校外の教育支援センターは、これまで市内4か所で運営してきましたが、本年度より各区に1つ、計7か所に設置を拡大いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 本年度、各区1か所に校外の教育支援センターを増設するなど、学びの場の確保に向けて様々な児童生徒を受け入れる体制が整えられつつあることは喜ばしいことだと思います。
しかし、不登校児童生徒の中にはなかなか支援先に足を運ぶことができないひきこもりがちな児童生徒もいます。このような児童生徒には具体的にどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。
○教育長(石橋正信) まず、教育相談課で不登校に関する電話、面接相談に対応いたしております。また、ひきこもりがちな児童生徒の家庭に心理を学ぶ大学生相談員の派遣を行っております。さらに、ひきこもりがちな児童生徒を対象にオンラインルームを開設し、パソコンやタブレット端末を活用して他の児童生徒やスクールカウンセラーと交流する機会を設けております。また、学習期間を遡って学習できる動画教材を提供し、児童生徒の学び直しを支援しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 教育相談課において電話、面接相談を受けているとありましたが、令和元年度から4年度までの実施件数についてお尋ねをいたします。また、電話、面接相談を実施して、具体的にどのような支援を行っているのか、お伺いをいたします。
○教育長(石橋正信) 電話、面接相談件数の過去4年間の推移は、令和元年度が1万1,847件、2年度が9,192件、3年度が9,714件、4年度が1万813件となってございます。電話、面接相談では、実際に教育カウンセラーが不登校児童生徒や保護者の悩みを丁寧に聞き取って対応することとしておりまして、継続して相談を希望する児童生徒や保護者には個別カウンセリングを行っております。その中で、在籍する学校と連携して登校を支援したり、小集団での活動を希望する児童生徒には教育支援センターを紹介するなど、個々の状況に応じ、継続的に支援を行っております。以上でございます。
○25番(篠原達也) ひきこもりがちな児童生徒の家庭に年齢が近い大学生相談員を派遣して、気軽に話ができる状況をつくることは意味のあることだと思いますが、令和4年度の実施件数とその効果についてお尋ねをいたします。
○教育長(石橋正信) 大学で心理学を学ぶ大学生や大学院生が児童生徒の家庭を訪問し、一緒に遊んだり話し相手になるなどの触れ合いを通じて、児童生徒の悩みや不安の解消を目指しております。令和4年度は大学教授に指導を受けた14名の学生を計104回派遣いたしております。派遣を受けた児童生徒の保護者からは、ふだんの表情が明るくなった、本人の会話が増えた、家庭訪問に来てくれた学校の先生に会えるようになったといったお声をいただいております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 福岡市では、教育支援センターの増設のほか、不登校児童生徒の様々な状況に応じて電話、面接相談や大学生相談員の派遣など、多様な支援を提供していることは理解ができました。一方で、相談先やどのような支援が行われているか分からないため、適切な支援が受けられないこともあるのではないでしょうか。
不登校児童生徒やその保護者に対してしっかりと周知が必要だと思いますが、福岡市においてはどのように周知をされているのか、お尋ねをいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市のホームページに現在行っております不登校児童生徒や保護者への支援策を掲載いたしております。また、本年度6月に児童生徒の状況に応じた福岡市の支援策や相談先を分かりやすく示しました教育相談・学びの相談ガイドを初めて作成いたしまして、児童生徒の御家庭全てに配付いたしております。以上でございます。
○25番(篠原達也) 児童生徒の状況に応じた分かりやすいリーフレットを作成して周知していることは非常にいいことだと思います。
これまで不登校児童生徒やその保護者に対する支援について尋ねてきましたが、今後、不登校児童生徒を減らしていくためには不登校の未然防止の取組が大変重要になってくると思います。
そこで、福岡市における不登校の未然防止の取組についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 不登校の未然防止のため、まず、全児童生徒を対象としてQ−Uアンケートを実施しますとともに、1人1台端末から直接相談できるようにしたり、様々な悩みに対応するこどもSNS相談を実施するなど、児童生徒の様々な悩みにいち早く対応できるようにしております。また、教育相談コーディネーターを対象に、不登校の予防的な取組について研修を実施したり、教育相談コーディネーター、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が連携して児童生徒を支援する体制づくりを進めるなど、不登校の未然防止に向けた各種の取組を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 篠原達也議員。
○25番(篠原達也) 先日、視察に訪れた東京都国立市立国立第二中学校では、学びに接することができない子どもたちをゼロにすることを目指し、授業に対話を取り入れ始めたのは2019年度から。当時、同校の不登校生徒は全校生徒約500人のうち約40人、8%と全国平均の3.9%を大きく上回っていましたが、学校で最も長く過ごす授業に対話を積極的に導入したことで、黒田校長は生徒にとって学校が居心地のいい場所に変わったと。対話重視の授業を続けたことで、コロナ禍を経ても不登校生徒の割合を減少できたことは一定の効果があると言えると分析をしています。誰もが行きたいと思える学校となるよう、福岡市ならではの不登校支援策の拡充にとどまらず、他都市の未然防止の取組にも関心を持ち、優れた未然防止の取組を積極的に推進をしてほしいと思います。
最後に御所見を伺い、質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまで福岡市では、不登校の未然防止に向けて、毎月の教育相談アンケートの実施、Q−Uアンケートの分析を生かしたよりよい学級集団づくり、教師が児童生徒理解を深めるための専門家による研修動画の提供、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、教育相談コーディネーター等を配置し、チーム学校で児童生徒を支援する体制づくりなどの取組を進めてまいりました。さらに、アウトリーチ型の支援として、ひきこもりがちな不登校児童生徒の家庭に大学生相談員を派遣するなど、本市ならではの不登校支援策を実施いたしております。今後、議員の御指摘がありましたとおり、他都市の未然防止の取組も参考にしながら、福岡市における不登校児童生徒の支援ニーズに合致した取組の充実に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後5時15分に再開いたします。
午後5時3分 休憩
午後5時15分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。堤田寛議員。
○6番(堤田 寛)登壇 皆様お疲れさまでございます。それでは、私は自由民主党福岡市議団を代表して、博多湾の環境改善について、帯状疱疹ワクチンについて、スタートアップ支援について、以上3点について質問いたします。
初めに、博多湾の環境改善についてお尋ねいたします。
福岡市は脊振山地などの山々、多々良川、室見川などの河川とそれを取り囲む福岡平野、そして博多湾を有する自然豊かなまちです。その豊かな自然の一つである博多湾は、干潟や藻場などを有し、多様な生物の生息、生育空間となっているとともに、玄界灘における稚仔魚などの生物が生まれ育つ揺り籠としての機能を有しています。さらには、この豊かな博多湾が人々に多くの恵みを与え、漁業や港湾機能、潮干狩りやバードウオッチングなど、私たちの生活を支えるとともに、身近な憩いの場としても利用されています。しかしながら、博多湾の一部では底質がヘドロ化したり、海底が固く締まるなどして、二枚貝やエビ、シャコなど、海底にすんでいる生物が育つには厳しい環境になっているのではないかと漁業者の方から聞いております。私は過去2年にわたり博多湾の環境について質問してきており、農林水産局と港湾空港局において長年継続していろいろと取り組んでおられると思います。
そこで、改めて農林水産局における底質の改善の主な取組の実施状況についてお答えください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農林水産局におきましては、平成16年度から漁業者による海底耕うんの支援を実施いたしております。近年では平成30年度から令和3年度にかけて、能古島、愛宕浜、福浜の3か所において、微生物製剤を活用した底質改善を行っております。これらの取組により、底生生物の生息に対して悪影響となる硫化物の減少が確認されており、底質の改善が図られております。また、令和4年度からは、これら3か所において、アサリの稚貝を網袋に入れ、保護しながら育てる試験を行い、順調に生育することを確認しております。今後とも、博多湾の良好な底質環境を維持するため、継続的な保全活動が必要であると考えておりまして、漁業者としっかり連携を取りながら取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 次に、港湾空港局における主な取組の実施状況についてお答えください。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 港湾空港局における主な取組といたしまして、博多湾東部海域のエコパークゾーンにおいて、底質改善に効果がある海底耕うんや、生物の生息の場として水質、底質改善にも効果があるアマモ場の造成を行っております。海底耕うんにつきましては、令和元年度からの実証実験を経て、令和4年度は1ヘクタール、5年度からは3ヘクタールに拡大して実施をしております。また、アマモ場の造成につきましては、平成17年度から取り組んでおり、令和5年度は260平方メートルで実施しております。さらに、市民団体や企業との共働により博多湾のアマモ場づくりにも取り組んでおります。今後とも、博多湾の環境保全創造の取組を積極的に推進してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) アマモ場づくりに取り組まれているということですが、アマモ場は水質、底質の改善や生物の生息の場としての役割以外にも、二酸化炭素の吸収源、ブルーカーボンとなることから、地球温暖化対策の新しい一手として注目されています。また、国は温室効果ガス排出、吸収量を国連に毎年報告しており、今年4月の報告において、藻場による二酸化炭素吸収量が初めて盛り込まれたと聞いております。そのことからも、ブルーカーボンの重要性はますます高まっていくものと考えます。そのような中、福岡市では全国に先駆け、令和2年10月にアマモ場などが吸収、固定した二酸化炭素を活用する博多湾ブルーカーボン・オフセット制度を創出しています。
そこで、この制度の概要と効果、直近の実績についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多湾ブルーカーボン・オフセット制度につきましては、アマモなど、博多湾の藻場が吸収、固定した二酸化炭素量をクレジット化して企業や市民に購入いただくことで、博多湾の環境保全活動の推進を目指す福岡市独自の制度でございます。販売収益をアマモ場づくりなど、博多湾の環境保全活動に活用することで活動の活性化を図るとともに、ブルーカーボンの認知度向上や脱炭素の取組に関する市民の機運醸成にも寄与しているものと考えております。直近の実績といたしましては、令和5年度に販売したクレジット量は42.5トン、販売収益は37万4,000円であり、この制度が始まった令和2年度以降、毎年完売しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 地球温暖化を抑制するためには、二酸化炭素の吸収量を増やすことも必要なため、二酸化炭素吸収に貢献するアマモ場づくりを推進していただきたいと思います。また、底質改善に効果がある海底耕うんについては、長い期間続けていただかなければなりません。今後とも、農林水産局と港湾空港局が連携し、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、博多湾においては、冬季におけるリン濃度が低下し、ノリの葉が細くなる生育不良が発生するなど、冬季にノリやワカメの海藻養殖に必要な栄養塩であるリンが不足していると聞いています。このような状況の中、道路下水道局においては、西部水処理センターで季節に応じた運転管理をしていると聞いています。
そこで、西部水処理センターにおける季節に応じた運転管理の概要をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) ノリの養殖場に近い西部水処理センターにおきましては、学識経験者や漁業者等で構成されます博多湾環境保全計画推進委員会における議論を踏まえ、冬季における放流水のリン濃度を高める季節別管理運転が可能かどうかを確認するため、運転手法の研究を平成25年度から行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 平成25年度から運転手法の研究を行っているとのことですが、季節別管理運転の現状と今後の取組をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 季節別管理運転につきましては、下水を処理する微生物の働きをコントロールする必要があることから非常に難しい運転であり、いまだに安定した運転手法を見つけ出せていない状況でございます。今後も西部水処理センターでの運転手法の研究を継続してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) これまでも季節別管理運転によりリン不足への対応をしていただいてきておりますが、引き続き安定的な運転の確保に向けた調査研究を継続していただきますよう要望いたします。
さて、先ほどまでの答弁にありましたとおり、市としてはこれまで海底耕うんによる底質改善や下水処理施設における水質管理などについて積極的に取り組んでおられることは分かりました。博多湾の水質保全については、これまで有機汚濁や窒素、リンなどの栄養塩類の負荷量削減により水質環境基準の達成を図ることが重要と考えられてきましたが、生物多様性の保全や持続可能な水産業を営むことができる豊かな海にとって、栄養塩類は欠かせないものであると考えます。人の手に余る大自然が相手であり、効果を実感するまでは一定の期間を要するとは思いますが、漁業者からは博多湾にすむ生物が年々厳しい状況に追い込まれていると聞いております。例えば、瀬戸内海において進められている栄養塩類の排出規制一辺倒から、きめ細やかな管理への転換など、先進的な自治体の取組を参考にしていただき、博多湾の環境を保全するために多岐にわたる取組を総動員していただきたいと思います。
最後になりますが、豊かな博多湾を目指して、今後、市としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 豊かな博多湾を実現するためには、水質環境基準の達成に加え、生物多様性及び持続可能な水産業の観点から、栄養塩類の濃度やバランスが重要であると認識いたしております。栄養塩類の在り方につきましては、現在、学識経験者や漁業者、市民団体等で構成されます博多湾環境保全計画推進委員会におきまして、関係局一丸となって検討を進めているところであり、底質改善や水質管理に関する検証結果を踏まえながら、引き続き漁業や憩いの場の基盤となる生物多様性の保全に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 博多湾環境保全計画推進委員会において効果的な施策などを検討している途中かもしれませんが、博多湾で生まれ育つ多種多様な生物のためにも、漁業者、学識経験者、行政、そして市民が連携し、豊かな博多湾を未来につなげていただくよう強く要望いたしまして、この質問を終わります。
次に、帯状疱疹ワクチンについてお尋ねいたします。
ここ最近、帯状疱疹という言葉をよく耳にします。帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、加齢やストレス、疲労などが発症リスクを高める要因であります。特に加齢がリスクとされ、50歳代以降で発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人がかかると言われています。症状は皮膚の痛みやかゆみを伴う発疹などで、ひどい場合には仕事や日常生活に支障を来したり、長引く神経痛などの合併症を引き起こすこともあり、その痛みは数か月から数年にわたる場合もあるそうです。また、一度帯状疱疹になった人でも、体の免疫機能が低下すると再び発症する可能性があると言われ、再発の際は大半が初めて発症した部位と異なると言われています。
帯状疱疹の予防には、規則正しい生活習慣や適度な運動に加えて、ワクチン接種が有効とされています。現在、帯状疱疹の予防を目的に接種できるワクチンは1回接種の生ワクチンと2回の接種を行う不活化ワクチンがあり、いずれも任意で50歳以上が接種できますが、生ワクチンはおよそ8,000円、不活化ワクチンはおよそ4万4,000円の自己負担が必要となっています。
そこでお尋ねいたします。帯状疱疹ワクチンについては、国において定期接種化に向けた検討が進められていると聞いておりますが、その具体的な検討状況についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 帯状疱疹ワクチンにつきましては、令和6年6月に厚生労働省で開催されたワクチン評価に関する小委員会において、ワクチンの有効性や安全性に係る知見や費用対効果の評価結果を踏まえ、定期接種化するとの方向性が出されており、現在、予防接種基本方針部会において、ワクチンの有効性の持続期間等を考慮した接種対象年齢などの検討が進められているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 帯状疱疹ワクチン接種については、現在、国において定期接種化する方向性で接種対象年齢などの検討が進められているとのことです。帯状疱疹ワクチンは現在でも50歳以上であれば任意で接種できますが、一部自治体では接種費用の公費助成を行っていると聞いています。
そこで、接種費用の公費助成を実施している政令指定都市の助成内容についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和6年8月1日現在、3つの政令指定都市が実施をしており、その助成内容につきましては、名古屋市は自己負担額が1回接種である生ワクチンは4,200円、2回接種が必要な不活化ワクチンは1回当たり1万800円となるよう、実費との差額を助成しております。また、浜松市がワクチンの種類にかかわらず、1回当たり3,500円、神戸市はワクチンの種類にかかわらず、1回分のみ4,000円を助成いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 政令指定都市の中でも一部の自治体が公費助成を行っているとのことでした。帯状疱疹は水痘に一度でもかかったことがある人ならば、誰でもかかり得る身近な感染症です。その予防にはワクチン接種が非常に有効なのですが、現在は定期接種ではなく任意接種のため、費用は全額自己負担で、高額な費用がかかっています。
福岡市においても、市民の健康を守る観点から、帯状疱疹ワクチンの公費助成を行っていただきたいと考えますが、所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 帯状疱疹ワクチンの公費助成につきましては、国において定期接種化に向け、接種対象年齢や使用するワクチンの種類などの詳細について検討が進められていることから、その結果を踏まえ、速やかに対応してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 国において定期接種化に向けた検討が進められており、その結果を踏まえ、速やかに対応していくとのことですので、定期接種化が決定された際には円滑に実施できるよう、しっかりと準備を行っていただくことを要望して、この質問を終わります。
最後に、スタートアップ支援についてです。
スタートアップといえば、今や福岡市の代表的な施策の一つであることは論をまたないと思います。平成24年の全国に先駆けたスタートアップ都市宣言を皮切りに、矢継ぎ早にスタートアップ支援施策を展開して多くのスタートアップを輩出し、その取組は高く評価されてきました。しかし、スタートアップ支援については、都市施策として一般化するだけでなく、令和4年には国がスタートアップ育成5か年計画を策定し、総力を挙げて取組を始めました。そのような状況にあって、福岡市のスタートアップ支援は現在どの立ち位置にあるのか、このままの支援でいいのか、そのような思いを持って、我が自民党福岡市議団の有志とともに、アメリカ・オークランド、シリコンバレーのスタートアップ支援施設の調査に行ってまいりました。そこで体感したことを基に、世界で活躍するスタートアップの創出に向けて、本市のスタートアップ支援をもう一歩前に進めるため、チャレンジすべき取組についてお尋ねしていきたいと思います。
初めに、現在の本市の立ち位置を確認していきます。
これまでスタートアップカフェを通じてどれくらい起業したのか、開設当時と直近の年間の起業数、これまでの起業総数をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) スタートアップカフェにつきましては、平成26年10月に開設しておりまして、スタートアップカフェを通して起業した企業数は、開設翌年の平成27年度が43件、直近の令和5年度が187件となっております。また、令和5年度末までの累計起業件数は988件となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) これまでの起業件数などからは、創業というものが身近になって、その裾野が広がっていると感じており、成果が出ていると言っていいと思います。
次に、平成29年にFukuoka Growth Nextを開設していますが、その設置した目的と主な支援、その成果についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) Fukuoka Growth Nextについては、スタートアップ企業のさらなる成長の支援や既存中小企業の第二創業促進等を目的として設置したもので、これまで主に創業初期のスタートアップ企業の事業計画に関する相談や資金調達、ビジネスマッチングなどの支援を行ってきておりまして、開設以降、令和5年度末までに入居企業98社が約422億円の資金を調達するなどの成果が上がっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) Fukuoka Growth Next、旧大名小学校については、地域の方々の校舎の一部保存という願いがかない、これまで子どもの学びやだった場所が、新しいことにチャレンジするスタートアップの学びと成長の場へと変わり、多くの人々に注目され、活気あふれる場となったこと、そして、隣接するガーデンシティにも家族や学生、観光客など多くの人々が集まり、にぎわっていることを地元の方々や多くの卒業生たちが喜んでおられます。これらの施策には感謝を申し上げたいと思います。
そのFukuoka Growth Nextでは、400億円を超える資金調達の実績があることから、会社の事業を軌道に乗せるための資金面での支援も一定程度できていると思いますが、アメリカ出張で聞いたアメリカの投資の現状からすると、投資額に少し物足りなさを感じます。
次に、スタートアップ都市宣言を行った平成24年以降、新規株式公開を行った企業数をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 平成24年以降、福岡市に本社を有し、スタートアップをはじめとした高い成長可能性を有する企業向けの市場である東京証券取引所グロース市場に上場した企業は、令和5年度末時点で13社となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 新規株式公開までたどり着くのはそう簡単ではない中で、13社が新規株式公開をしたというのは、評価できると思います。ですが、経済産業省の資料によりますと、スタートアップの人材や資金を循環させていくためには、新規株式公開ではなく、M&Aによる出口戦略が必要とされ、日本では新規株式公開が76%を占め、M&Aは24%しかない中で、アメリカは90%がM&Aとなっています。私たちがオークランドで民間企業が運営するサーキットローンチというスタートアップ支援施設を訪問した際に、そこを利用する現地のスタートアップは視察に来た我々にも自分の事業を売り込もうとしてきましたし、その貪欲さに加え、成功してやるというぎらぎらした目が一番印象に残りました。これは市の支援とは別の要素も大きいと思いますが、創業の裾野を広げるのみならず、より成長を目指すスタートアップをどう生み出すか、また、その厳しい競争環境をいかに生み出していくのか、これが日本におけるスタートアップ支援の鍵となるように感じました。
そこで、福岡市のスタートアップについても、より成長を促すような支援、場の提供が必要と思いますが、市としてはどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) スタートアップ支援については、これまで創業初期を中心に支援してまいりましたが、令和6年度からFukuoka Growth Nextにおいて、より高い成長を目指すスタートアップ企業を入居企業に限定せず認定し、その求めに応じ、資金調達や販路拡大に向けた支援等を行うFukuoka Growth Network事業に取り組んでおります。さらに、そのネットワークの中から選抜したスタートアップについて、大企業との接続や有力なベンチャーキャピタルによる面談など、集中的に支援するHigh Growth Programを開始したところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 私も5月に開催されたFukuoka Growth Nextの第3期リニューアルイベントに参加いたしました。第3期では、東京のスタートアップ支援会社が運営に加わり、成長の高さに向けた支援の強化が具体的に進んでいると感じました。ぜひ、より緊張感を持たせるような支援を続けていってほしいと思います。
さて、経済産業省がアメリカ・シリコンバレーに設置したJapan Innovation Campusを訪問した際に、担当者から、Fukuoka Growth Nextの卒業企業で、今も福岡市に本社がある医療系ITスタートアップ、メドメインのお話を伺いました。メドメインは、アメリカでの販路拡大に向けて、まずは資金調達やマーケットを模索するため、IT系企業が集積し、世界で一番エコシステムが充実している西海岸、シリコンバレーに進出していますが、医療系、ライフサイエンス系に強い東海岸のボストンでの展開を視野に入れているとのことでした。それを聞いて、訪問先でいろいろ聞いてみましたが、IT系といえばシリコンバレー、ライフサイエンス系といえばボストン、フィンテックといえばニューヨークとほぼ全ての人が答え、それぞれの都市がそこに位置する大学や関連企業の集積などの強みのある分野に特化したエコシステムを確立し、それがスタートアップ関係者に浸透していることが分かりました。今申し上げた3つの都市は世界のスタートアップエコシステムランキングでも上位に位置していますが、そのような都市がそれぞれの強み、得意分野を持っていることに驚きを感じました。
そこでお尋ねいたしますが、本市のスタートアップ支援において、分野を限定し、集中的に支援する取組は行っているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 令和6年度から社会や地域の課題解決に取り組むソーシャルスタートアップへの支援を開始するとともに、九州大学と連携したスタートアップ支援を強化しているところでございますが、IT系やライフサイエンス系など、分野を限定して集中的に支援する取組は行っておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 堤田寛議員。
○6番(堤田 寛) 他都市に先駆けて、社会課題解決型のスタートアップへの支援に取り組み始めたことは、日々身近な社会課題に向き合っている基礎自治体として、とても意義のあることだと思います。この新たな取組も他の自治体の参考となっていくとよいと思いますし、幅広くディープテック系のスタートアップの支援を行うことも、世界の潮流を見ても大事だと思います。ただ、シリコンバレーにはスタンフォード大学が、ボストンにはマサチューセッツ工科大学やハーバード大学がその大学の強みを生かして、それぞれITやライフサイエンスという得意分野を生み出し、スタートアップの集積や成長につなげ、ひいてはその地域のリーディング産業にまで育てていっているように感じます。本市も裾野を広げるだけでなく、グローバルスタートアップ都市を目指して、成長の高さを求めていく、そして、さらには将来的な産業を育てていくという観点からは、アメリカの3つの都市のように、本市に優位性のある分野に特化したスタートアップ支援も必要なのではないでしょうか。シリコンバレーのスタートアップエコシステムを視察してきて、オールマイティーに多岐にわたる分野のスタートアップを支援しながら、世界に挑戦するスタートアップを連続的に創出していくことは難しいと強く感じました。
そこで、九州大学の研究シーズやスタートアップの現状、関連企業の集積状況などをしっかりと分析し、将来的に本市のリーディング産業になるような視野を持って、優位性のある分野に特化したスタートアップ支援を行うべきと考えますが、最後に市長の御所見を求めて、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市ではスタートアップ都市宣言以降、新たなビジネスにチャレンジをするスタートアップの成長を積極的に支援するとともに、12か国、地域、16の海外スタートアップ拠点と連携するなど、スタートアップのグローバル展開を見据えた環境づくりにも力を注いでまいりました。これらの取組によって、現在では創業の裾野が広がり、スタートアップ都市としてのプレゼンスの高まりを実感しているところではございますが、他都市も続々とスタートアップ支援の取組を始めますとともに、国も支援に本腰を入れてきており、福岡市としてもより質の高い魅力的な支援策を講じていくことが必要な状況にあると認識をしています。
福岡市では令和6年度から社会や地域の課題解決にチャレンジをするソーシャルスタートアップを支援するなど、他都市に先駆けた支援策を展開しているところですが、御指摘のありました世界の潮流や、より質の高い支援策の実施という観点から、福岡市におけるスタートアップや大学の研究シーズなどの状況を踏まえ、将来的な産業化も視野に入れながら、福岡市に優位性がある分野に取り組むスタートアップへの支援の重点化を検討してまいります。以上です。
○議長(打越基安) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は9月9日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次の会議は9月9日午前10時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時46分 散会