令和6年 第3回 福岡市議会定例会
議 事 日 程 (第3号)
6月14日 午前10時開議
第1 一 般 質 問
本日の会議に付した事件
議事日程のとおり
出 席 議 員 (62名)
1番 おばた 英 達 2番 もろくま英 文
3番 淀 川 幸二郎 4番 稲 員 稔 夫
5番 鬼 塚 昌 宏 6番 堤 田 寛
7番 大 森 一 馬 8番 大 原 弥寿男
9番 今 林ひであき 10番 阿 部 真之助
11番 打 越 基 安 12番 堤 健太郎
13番 坂 口よしまさ 14番 新 開 ゆうじ
15番 とみながひろゆき 16番 田 原 香代子
17番 たのかしら知行 18番 石 本 優 子
19番 勝 山 信 吾 20番 調 崇 史
21番 川 上 陽 平 22番 津 田 信太郎
23番 古 川 清 文 24番 高 木 勝 利
25番 篠 原 達 也 26番 平 畑 雅 博
27番 伊 藤 嘉 人 28番 川 上 晋 平
29番 尾 花 康 広 30番 松 野 隆
31番 山 口 剛 司 32番 大 石 修 二
33番 和 田あきひこ 34番 あ べ ひでき
35番 大 沢 めぐみ 36番 木 村てつあき
37番 橋 口 えりな 38番 綿 貫 康 代
39番 前 野 真実子 40番 中 島まさひろ
41番 藤 野 哲 司 42番 新 村 まさる
43番 天 野 こ う 44番 堀 内 徹 夫
45番 森 あやこ 46番 福 田 まもる
47番 はしだ 和 義 48番 浜 崎 太 郎
49番 阿 部 正 剛 50番 倉 元 達 朗
51番 中 山 郁 美 52番 川 口 浩
53番 小 竹 り か 54番 勝 見 美 代
55番 井 上 ま い 56番 ついちはら陽子
57番 田 中 たかし 58番 山 田 ゆみこ
59番 近 藤 里 美 60番 落 石 俊 則
61番 田 中しんすけ 62番 池 田 良 子
欠 席 議 員 (0名)
説明のため出席した者
市 長 島 宗一郎 副 市 長 光 山 裕 朗
副 市 長 中 村 英 一 副 市 長 荒 瀬 泰 子
水道事業管理者 下 川 祥 二 交通事業管理者 小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長 龍 靖 則 財 政 局 長 山 嶋 剛
市 民 局 長 舟 越 伸 一 こども未来局長 野 中 晶
福 祉 局 長 藤 本 広 一 保 健 医 療 局 長 藤 田 三 貴
環 境 局 長 中 村 卓 也 経済観光文化局長 鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長 姉 川 雄 一 住 宅 都 市 局 長 中 村 健 児
道路下水道局長 天 本 俊 明 港 湾 空 港 局 長 竹 廣 喜一郎
消 防 局 長 田 浩 輝 会 計 管 理 者 小 林 登茂子
教 育 長 石 橋 正 信 教 育 委 員 西 村 早 苗
選挙管理委員会事務局長 中川原 敬 子 人事委員会事務局長 小 川 明 子
監 査 事 務 局 長 上 薗 久 美
職務のため出席した事務局職員
議会事務局長 久 田 章 浩 議会事務局次長 着 一 孝 議 事 課 長 水 ア 亮 二 議 事 係 長 實 政 伸一郎
外関係職員
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ)登壇 おはようございます。私は自民党新福岡を代表して、災害に対する備えについて質問してまいります。
私は、議員になって災害に関する質問は今回で6回目になります。私の主な政策の一つでもあり、福岡市民全ての方に関係する内容と思っております。また、地域の自主防災組織や訓練など様々な活動を通じて感じたことは、一人一人の命があってからこそ助け合える環境ができると思っています。
私が実際に経験した地震は、平成17年3月20日に発生した福岡西方沖地震です。あれから19年がたちます。私が住んでいた中央区今泉のマンションが半壊の被害に遭い、家族の安否を確認して、自宅は手がつけられず、家族を家内の実家に避難させ、私は当時PTAの役員をしていたので、公民館や小学校で避難所に来られた方を案内したり、炊き出しを手伝い、地域の方と公民館に寝泊まりをしたことは今でも鮮明に覚えています。その後、今日まで、東日本大震災や熊本地震をはじめ、今年の元日に発生した能登半島地震など各地で甚大な被害をもたらす大規模地震が発生しており、今後も西日本から東日本の太平洋側の広範囲に影響が及ぶと想定されている南海トラフ地震や首都機能を麻痺させる首都直下型地震などの大規模地震の発生が危惧されております。
本市においては、西方沖地震以降、幸いにも大規模な地震は起きていませんが、警固断層帯南東部での地震が今後30年以内に発生する確率が0.3から6%と言われており、我が国の主な活断層の中ではSランクという高いグループに属しております。また、地震だけでなく、温暖化による気候変動の影響により、毎年のように全国各地で集中豪雨や大型台風などの自然災害が発生しており、九州内で見ても、平成29年7月の九州北部豪雨や熊本県を襲った令和2年7月の豪雨などについては、いまだ皆様の記憶に新しいところではないかと思います。
このように、いつ起こるか分からない自然災害に対し、本市としても十分な備えが必要です。また、被害を最小限に抑えるためには、市民一人一人の自助、そして、地域で支え合う共助、公的機関による公助がしっかりと連携することが不可欠だと言われており、それぞれが日頃から災害に対して十分な心構えと準備をしておくことが大変重要であると考えます。
そこで、本市における自助、共助及び公助に対する取組について質問してまいります。
まず、自助についてお尋ねいたします。
災害時においては、まずは自分の命は自分で守る自助が大事であり、そのためには自宅周辺の災害リスクを知っておくことが重要です。本市は各種ハザードマップを作成しておられますが、ハザードマップの種類及び市民への周知方法についてお尋ねいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) ハザードマップにつきましては、土砂災害、洪水、内水、高潮、津波、ため池に係る6つのハザードマップと地震による揺れやすさマップの計7種類を作成し、市ホームページに掲載するとともに、区役所などで配布をしております。また、複数の災害リスクを重ね合わせて表示できる総合ハザードマップの配信や視覚障がい者向けの耳で聴くハザードマップも導入をしておりまして、これらを活用した出前講座や地域の防災訓練などを通して広く周知をいたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 次に、災害時に慌てずに行動できるよう、本市ではマイ・タイムラインの作成を推奨しているとお聞きしますが、マイ・タイムラインとはどういうものでしょうか。あわせて、普及に向けた取組についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マイ・タイムラインにつきましては、大雨や台風などの自然災害から自分や家族の身を守るためにいつ誰が何をするかを時系列で整理した防災行動計画でありまして、市政だよりや市ホームページへの掲載のほか、出前講座や防災イベント等での周知を行うとともに、パソコンやスマートフォンで作成できる専用サイトを開設するなど普及促進を図っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 日頃からの備えとして、ハザードマップで災害リスクを確認し、いざというときの行動をマイ・タイムラインで事前に決めておくことが大事ということです。これらは、災害時に自分や家族がどういった行動を取ればよいのか市民に考えてもらう重要なツールであり、どれくらい認知されているのか、また、計画を立てているのか、引き続き普及啓発に取り組んでいただきたいと思います。
次に、今回の能登半島地震では、ビニールハウスなど指定外避難所への避難や車中泊をする人の把握ができず、支援の遅れにつながったと聞いており、このことは熊本地震の際にも課題となっていました。プライバシーの問題など避難所での集団生活に抵抗があり、自宅での避難や車中泊などを選択される方も多いのではないかと思います。そういった方の把握や支援などに本市の防災アプリ、ツナガルプラスが役立つと思います。
ツナガルプラスの機能についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) ツナガルプラスにつきましては、車中泊など指定避難所以外の場所へ避難した場合でも市に対してGPSを用いた正確な位置情報を伝えるとともに、水や食料の支援依頼など双方向でのやり取りができる機能、また、現在地周辺の災害リスクや指定避難所の位置及びルートの案内、避難所の混雑状況やオストメイト対応トイレの有無などの設備を確認できる機能、食事や入浴の時間など避難所内の情報共有ができる電子掲示板機能、さらに在宅避難者に向けた物資配布のお知らせなど、市からの支援情報を取得できる機能を備えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 本市と避難者が双方向でやり取りできる機能はツナガルプラスの強みであり、災害時に大変役立つアプリだと思いますが、地域の方々とお話をする中では、まだまだ市民の認知度は低いようです。
いざというときに有効に活用してもらえるよう登録者数を増やすべきだと思いますが、ツナガルプラスの普及促進に向けた取組についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) ツナガルプラスにつきましては、これまで行ってきた出前講座やイベントなどでの啓発に加え、若年層もターゲットとした新たな普及促進キャンペーンや、市民参加の防災訓練及び防災イベントでのアプリ操作体験を行うなど、より一層多くの方に使っていただけるよう様々な機会を通じて普及啓発を図ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 防災の分野でも全国的にデジタル技術の活用が進んでおります。まさにこのツナガルプラスは、デジタルの力で市民ニーズを迅速かつ的確に把握できる有効なアプリであります。ツナガルプラスのさらなる普及促進にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
また、市民一人一人がツナガルプラスをダウンロードするだけではなく、非常持ち出し袋の準備など命を守るためのあらゆる備えに力を入れていただきたいと思います。そういった意味で、過去の質問の際に紹介しましたドッグタグについて改めて触れさせていただきます。
ドッグタグは、もともと軍隊の兵士が装着する認識票として誕生しました。金属プレートに氏名、生年月日、血液型などを刻印し、首にぶら下げておくもので、負傷によって口が利けなくなった兵士でも治療のための血液型や身元が分かるようにする仕組みで、日本の自衛隊でも採用されています。時と場を選ばず、突然襲ってくる災害に備えるため、ドッグタグのような個人の情報が入っている名札を作って御家庭に備えておくことも自分の命を守ることにつながるのではないかと思います。市民に向けた啓発の一つとして再度提案いたします。
次に、共助についてお尋ねいたします。
私も地域の自主防災組織に関わってまいりましたが、地域の活動にはなくてはならないものとなっております。
そこで、地域における災害に対する備えとして、地域防災力の向上について、本市における自主防災組織の結成状況と役割についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自主防災組織につきましては、令和6年4月開校の東区照葉はばたき小学校区を除く市内152全ての校区、地区で結成をされており、平常時は地域内における災害リスクの確認や住民への防災知識の普及啓発、防災訓練の実施など災害への備えが主な活動となっております。また、災害発生時には地域の中心的な存在として、避難行動要支援者への支援や初期消火、被災者の救出、救助、情報収集、避難所の運営などの重要な役割を担っていただいております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 市内全ての校区で自主防災組織が結成されているとのことですが、令和5年度において、全152校区のうち防災訓練を実施したのは何校区か、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 令和5年度は市内152全ての校区、地区で防災訓練が実施されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 全ての校区で防災訓練が行われているとのことですが、校区では主にどのような訓練が行われているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 各校区におきましては、避難訓練や避難所開設・運営訓練、消火訓練、救命講習のほか、地域の防災上の課題を考える災害図上訓練や避難所運営を疑似体験する避難所運営ゲームなどが行われております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 避難訓練や救命講習など、自分の命を守るための知識や技術を学べる様々な防災訓練が身近な校区で実施されているとのことです。市民に積極的な参加を促していただきたいと思います。
その一方で、避難行動要支援者への避難支援の訓練について、地域ではあまり実施されていないと感じています。要支援者は様々な身体的な要因から自力での避難行動が難しく、発災直後においては公助の支援も行き届かないため、共助による避難支援が大変重要となってまいります。
そこで、先進的な防災訓練の取組事例として、私が以前から参加して感銘を受けた中央区高宮校区の防災訓練を紹介したいと思います。この訓練は、自主防災組織を中心に地域全体で避難行動要支援者の支援に取り組んだもので、地震を想定し、各種団体の役割分担の下、個別避難計画に基づき、実際に自治会長や民生委員らが要支援者宅を訪問し、本人と面会の上、安否の確認を行い、校区の自主防災組織の対策本部に報告するまでの手順を確認する訓練です。要支援者の避難支援に使用する担架など資機材の点検確認と展開訓練が実施されるなど、まさに要支援者を地域全体で支える共助で目指すべき防災訓練だと思います。
先ほどの訓練は個別避難計画に基づき実施されたものですが、この計画については、災害時に避難行動要支援者の避難支援が円滑に進むよう令和3年5月に災害対策基本法が改正され、その作成が市町村に努力義務化されたと伺っています。
そこで、本市における個別避難計画の作成率をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 令和4年度末で約13%の作成率となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 令和3年の市町村の努力義務化により、本市は計画の作成を鋭意進められていると思いますが、令和4年度末での作成率は13%とのことであり、まだまだ低い数字だと思います。
そこで、個別避難計画作成率の向上に向けた取組についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難行動要支援者のうち、心身の状況や居住地域の災害危険度などを踏まえ、計画作成の優先度が高いと判断されるものについては、福祉事業者と連携し、令和5年度から集中的に個別避難計画の作成に取り組んでおります。また、その他の要支援者については、地域による計画作成が進みますよう避難支援に関するガイドブックの配布や出前講座の開催のほか、自治会、町内会単位でのワークショップの実施による作成支援に取り組んでおりまして、今後とも、区と連携をしながら、より一層の推進を図ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 地域の協力なくしては一朝一夕に進まない大変難しい課題だと思いますが、災害時に要支援者を地域全体で支える取組として個別避難計画の作成を引き続き進めていただきたいと思います。
とはいえ、計画の作成自体が目的になり、いざというときに機能しなければ意味がありません。そのためにも計画に基づいた防災訓練が必要と考えますが、本市はどのような支援を行っていくのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 個別避難計画に基づく訓練につきましては、要支援者と支援者の双方が参加するインクルーシブ防災訓練を令和5年度に7校区でモデル的に実施をしております。この結果を踏まえて、令和6年度からは対象を全市に拡大するとともに、区や社会福祉協議会と連携をしながら、個別避難計画の作成から訓練の実施までを包括的に支援していくこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 全ての地域でインクルーシブ防災訓練が行われ、災害時に地域全体で要支援者を支え、誰一人取り残さない共助のまちづくりが進むよう、引き続き地域への御支援をお願いいたします。
次に、公助についてお尋ねいたします。
災害時に必要となる食料や生活必需品などについては、自助として市民に対し家庭内備蓄などの必要な備えを呼びかけることも重要ですが、避難所運営等に必要になる物資などは公助として本市が確保しておく必要があります。
そこで、本市の公的備蓄の主な品目と備蓄数量をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公的備蓄につきましては、想定避難者等3万人の3日分となる飲料水や食料27万食を備蓄するとともに、避難所運営のため、非常用発電機や投光器、各152台、段ボール間仕切り1,520台、マルチルーム304張り、携帯トイレ33万4,300袋などを備蓄いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 食料の主な備蓄場所と備蓄数量をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 食料につきましては、27万食のうち約18万食を博多区の埋蔵文化財センター月隈収蔵庫に保管するほか、約7万食を各公民館や小学校等に、約2万食を市内西部地域への搬送用として早良区のともてらす早良に分散備蓄をしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 食料の備蓄が1か所集中ではなく、避難所となる各公民館などにも備蓄されているということで、改めて安心しました。
能登半島地震では、主要道路が陥没や土砂崩れなどにより寸断され、被災地への支援物資の輸送が滞ったと聞いており、本市においても同様の事態が生じる可能性もありますので、引き続き分散備蓄を進めていただくようお願いいたします。
次に、非常用発電機や投光器、段ボール間仕切りなど避難所運営に必要な資機材はどこに備蓄しているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 資機材につきましては、発災後すぐに使用できるよう各校区に設置している防災倉庫に分散備蓄しており、予備在庫として博多区の埋蔵文化財センター月隈収蔵庫などにも備蓄をしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 資機材についても、食料と同様に各地域に分散備蓄されていることが確認できました。
次に、大規模災害時においては、毎回、避難所におけるトイレの問題が指摘されています。
能登半島地震の避難所でもトイレをはじめとする衛生環境の悪化が課題となっていましたが、本市では災害用トイレなどの備蓄品を拡充する予定があるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) トイレの備蓄につきましては、繰り返し使える簡易トイレを現在の52台から304台に拡大し、各校区の防災倉庫に2台ずつ配置することとしております。また、水の要らないシャンプーやボディソープ、ボディタオルのほか、エコノミークラス症候群対策として足の血流を促進する弾性ストッキングなどを新たに追加することとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 簡易トイレや携帯トイレのほか、災害用トイレとして考えられるのがマンホールトイレですが、本市におけるマンホールトイレの整備状況をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マンホールトイレにつきましては、令和6年6月1日現在、公民館や小中学校など31施設に96基を整備いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) マンホールトイレは、下水道管や下水処理場が被災していない場合に使用することができるといった条件がありますが、通常の水洗トイレに近い感覚で使用でき、し尿を下水管に直接流すことができるため、衛生的に使用できます。
マンホールトイレは今後どのように整備していくのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マンホールトイレにつきましては、公民館や小中学校などの新築、改築に合わせて順次整備をしてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 水洗トイレの復旧に長時間かかることを想定した場合、簡易トイレや携帯トイレ、マンホールトイレなど複数の選択肢を用意しておくことが大事だと思いますので、引き続きトイレ対策の取組を進めていただきたいと思います。
ここまで、災害に対する備えとして自助、共助、そして、公助の取組について質問してまいりました。いつ起こるか分からない災害に伴う被害を最小限に抑えるためには、どれも欠くことのできない重要な取組ではあります。その中でも最も大切なのは自助、つまり、市民一人一人の意識と行動です。ハザードマップやマイ・タイムライン、ツナガルプラスなど、災害から自分や家族の命を守るため、市民一人一人が災害に対する当事者意識と正しい知識を持ち、平時から考え、備え、いざというときに適切に行動できるようにすることが何よりも重要だと考えます。
最後に、これらを踏まえ、自助、共助、公助が一体となった災害対応力の向上、中でも市民の自助に対する取組の促進について今後どのように取り組んでいくのか、島市長に御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 令和6年能登半島地震をはじめ、近年、日本各地で大規模な自然災害が発生しておりまして、自助、共助、公助、これが一体となって、まち全体の防災力を高めていくことが大変重要であるというふうに考えてございます。このため、まずは市民一人一人の防災意識の高揚を図りますために出前講座の実施によるハザードマップの学習、また、マイ・タイムラインの作成の促進など防災知識の普及啓発に取り組むとともに、防災アプリ、ツナガルプラスのさらなる普及促進を図ってまいります。また、地域と連携をした避難行動要支援者対策の推進や各校区への公的備蓄の配備拡大などにも取り組んでまいります。
今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一にいたしまして、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる)登壇 私は会派を代表しまして、主に地域防災と公園整備に関連して質問をしてまいります。
まずは地域防災についてですが、頻発する地震や豪雨災害に防災意識は全国的にも高まるばかりです。福岡市におきましても、この間、災害に強いまちづくりや地域共助の体制づくりに奔走してきました。地域においては、様々な発災想定を基にどのように避難し合うのか、要支援者の安否確認はどのようにするのか、発災直後からしばらくの生活をどのようにして助け合うべきか、常日頃からの備えや、より近い範囲での住民コミュニケーションが大切となります。
防災への備えのためにも、福岡市では小学校に防災倉庫が設置をされています。これはいつから設置、活用されているのか、その役割と主な保管資機材と併せてお示しください。
以降は自席にて質問します。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 防災倉庫につきましては、平成29年度から小学校区単位を基本に設置をしておりまして、発災後、速やかに避難所の開設及び運営ができるよう、非常用発電機や投光器、段ボール間仕切りやマルチルームなどの資機材を備蓄しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 小学校の防災倉庫資機材は、あくまで避難所運営に活用されます。
それでは、地域団体が小学校以外に防災倉庫を設置している事例について、主な場所別に設置数と設置団体、設置の目的をお尋ねします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 小学校以外の設置状況ですが、公民館及び空港周辺共同利用会館に計20か所、公園に14か所ございます。このうち公民館等につきましては、校区の自治協議会が地域で所有する防災用品を保管するために設置をしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園につきましては、校区自治協議会内の自主防災組織が災害時における避難場所、避難路としての機能等を果たすために必要な物資の保管を目的として設置をいたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 現状、自治協は公民館などに、校区の自主防災組織は公園に設置をしています。
それでは、防災倉庫を公園へ設置する際、どのような手続となるのか、確認をさせてください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 手続につきましては、平成30年度に策定した福岡市が管理する公園に地域が設置する防災倉庫の設置基準に基づき、校区の自主防災組織が各区役所の防災担当課から防災倉庫の設置に関する副申を得た上で各区役所などの公園管理者に公園占用許可申請書を提出いただき、その後、公園管理者において申請内容等の確認を行い、設置の許可を行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) それでは、自治会、町内会は近隣の公園に防災倉庫を設置させてもらえるのか、お尋ねをします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 防災倉庫の設置につきましては、1公園に1倉庫、かつ1自主防災組織に1倉庫となっており、設置の申請については、自治会、町内会単位ではなく、校区の自主防災組織を単位といたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 自治会長皆さんからの防災倉庫設置の相談を受けます。それらの自治会では日頃から頻繁に地域防災について話合いを重ねられ、自治会独自に町内防災マニュアルを作成するほどの熱心さです。住民相互の安否確認や避難誘導の計画に加えまして、実際には避難所へは行かずに自宅で待機生活を続ける家庭が多くなるだろうと予測を立てられ、衛生備品やカセットコンロ、飲料などを備えるための防災倉庫を近くの公園に設置できれば、発災時、一時的に停電が発生したり、上下水道の機能が低下した場合にも、いざ必要な家庭に融通し合えるとの相談です。
顔の見えやすい範囲だからこそ、自然災害への備えや発災時の共助機能を高めるために、自治会単位で公園へ防災倉庫を設置できるよう基準を見直すべきだと思いますが、所見をお尋ねします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都市公園は、原則として公共のオープンスペースとしての基本的性格を有するものであることから、都市公園法上、防災倉庫などの公園施設以外の施設については、占用物件として公園本来の目的を阻害しない範囲で許可を行っているところでございますが、福岡市では、防災倉庫は校区の自主防災組織を申請対象として、これまで14校区14公園に設置されているところでございます。なお、申請の手続や対象などを含めまして、公園への防災倉庫の設置の在り方につきましては、地域の御意見等も伺いながら、引き続き関係局と協議をしてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 本市は、要支援者の個別避難計画を推進しています。現在、本市には要支援者は何人いて、そのうち、地域が計画を作成すべき人数と地域共助によって避難支援すべき人数をお示しください。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難行動要支援者につきましては、令和5年度で2万5,091人となっており、このうち地域共助による避難支援の対象となるのは、本人の同意を得て地域に名簿を提供しております1万8,288人で、この方々を対象に地域での個別避難計画作成をお願いしております。ただし、このうち計画作成の優先度が高い要支援者約1,000人につきましては、市が福祉事業者と連携をして計画の作成を進めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 要支援者の個別避難計画の内容は、校区全体の会議で決まっていくものではありません。住民一人一人の顔が見えやすい自治会や町内会単位で、民生委員さんや自治会長さんなどが丁寧に情報収集しながら話し合ってくれているおかげで作成できるものです。
被災直後における地域の共助生活を支えるためにも、自治会単位による防災能力の向上や災害への備えが図られることは今後ますます大切な視点だと考えますが、本市の所見をお尋ねします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域の防災力を高めていくためには、自治会、町内会単位での共助の取組が重要であると考えておりまして、その活動が活発となりますよう、防災訓練の実施やワークショップによる個別避難計画作成の支援などに区とも連携をしながらしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 発災時に要支援者や傷病者の移動支援を行う際、車椅子が近くにあればどれほどの支えになるのか、災害時に不便な自宅待機生活を続ける家庭への助けとなる物資を身近に備えておくことはできないのか、町内の防災機能や共助機能を高めておきたいと、こういう切実な思いがあるわけですから、自治会、町内会が望んでも公園に防災倉庫を設置できないという現状の設置基準、これは速やかに見直しに着手すべきだと強く指摘をしておきます。
あわせて、地域防災計画において、自治会単位で取り組む防災活動の重要性を強く認識いただいて、今後、行政による後方支援がますます図られるよう要望しておきます。
次に、公園整備についてです。
平成29年度、国がパークPFIの制度を設けて以降、全国の自治体に活用事例が広がっております。福岡市においても令和4年度以降、急速にパークPFI活用の推進にかじを切っております。
まずは、そのパークPFIの制度概要と従来の制度、設置管理許可制度との違いについて、パークPFIが推進される社会的背景やこの間の経過と併せてお示しください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都市公園法第5条に規定される従来の設置管理許可制度は、公園管理者以外の者が公園管理者から許可を受けた上で公園の機能増進に資する公園施設を設置する制度でございます。一方、同法第5条の2に規定されるパークPFI制度は、公園利用者の利便の向上に資する公募対象公園施設の設置に加えまして、当該施設から生じる収益を活用して、一般の公園利用者が利用できる特定公園施設の整備、改修等を一体的に行う者を公募により選定する制度であり、都市公園法上の特例が追加されております。また、同制度が推進されることとなった社会的な背景や経過としましては、全国的に公園施設の老朽化などによる都市公園の魅力の低下、地方公共団体の財政制約等の深刻化が同時に進行する中で、公園管理者の負担を軽減しつつ、都市公園の質の向上や公園利用者の利便の向上を図るため、平成29年の都市公園法の改正により創設されたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) パークPFI制度の役割は、市の財政負担の軽減や老朽化施設の更新、公園利用者の利便性向上など様々です。
それでは、具体的にこの制度によって受けることのできる都市公園法の特例について御説明ください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 法の特例としましては、公募対象公園施設における最長20年間の設置管理許可期間の担保及び建蔽率の10%緩和、また、事業者が設置する自転車駐車場や地域における催物に関する情報を提供するための看板、広告塔の占用が定められております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 通常、公園内の建蔽率は2%、施設の設置許可期間は10年です。
パークPFIでは、民間事業者が公園内に施設を整備する際に建蔽率10%の上乗せや、最長20年という設置許可期間の延長などの規制緩和的な特例を受けることができます。現在、第1弾として、清流公園、明治公園、東平尾公園の整備計画が進捗をしております。
ここで、3つ続けてスライドをお見せしたいと思いますが、お願いします。(資料投影)まずは清流公園の完成予想パースですね。次に、明治公園をお願いします。(資料投影)これは明治公園、広いですね。ありがとうございます。次に3つ目、最後は東平尾公園。(資料投影)スライドありがとうございました。この3つを御紹介しました。
これらのパークPFI活用公園ですが、本市ではどのような経緯や手続を踏まえて選定をしているのか、お尋ねをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、民間サウンディング調査も参考に市政の推進、公園の価値向上、地域ニーズへの対処の3つの視点を踏まえ、検討が深まった公園について公募を実施しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 本市は令和4年5月から2か月ほど、所管する1,685の全公園を対象に民間サウンディング調査と称しまして、デベロッパーをはじめ、民間事業者からパークPFI制度を活用した様々な提案を受けております。提案があったのは26の公園です。
そこで、本市が掲げるパークPFIの意義と今後の活用方針、また、今後推進する上での課題についてお尋ねをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、平成28年に策定した福岡市みどり経営基本方針に基づき緑資産の利活用に取り組んできておりますが、公園に関してはこれまで西南杜の湖畔公園、水上公園、高宮南緑地などにおいて、にぎわいや魅力づくりを図ってきたところでございます。パークPFI制度につきましては、公園利用者の利便性向上や公園の魅力向上を図る有効な手法の一つであると認識をしておりまして、同制度の活用に当たっては3つの視点も踏まえた検討を進め、検討が深まった公園について公募を実施しております。また、推進に当たっての課題ですが、福岡市では令和3年度末に制度を導入したところであり、制度が十分には浸透していないことなどがございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) パークPFI制度が導入される以前におきましても、本市では設置管理許可制度を活用して、民間事業者が公園内に施設を設けた事案もあります。
ここでまた、スライドをお願いします。(資料投影)この水上公園もその一例です。市民の皆さんにとってもなじみの深い施設だと思います。1階と2階に飲食店舗が入るにぎわいの施設です。ありがとうございます。
水上公園の場合、どのような理由で建蔽率が上乗せをされたのか、また、設置期間の10年は延長できるのか、お尋ねをします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 水上公園につきましては、都心部の水辺空間を活用したにぎわい、憩い空間の創出を目的として民間活力を導入しながら再整備を行っており、整備された休養施設は、屋上をはじめとした施設全体が高い開放性を有し、公園利用者がベンチに座って休息や水辺の景観を楽しめることから、福岡市公園条例に定める建蔽率の特例を適用しております。当該施設の設置管理許可期間につきましては、都市公園法第5条第3項において上限として定められている10年間としており、その後は事業者から申出があり、市が認めた場合には3年ごとに最高4回の更新を可能としております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 最大22年間の設置が可能となるようです。
水上公園全体の面積と整備された施設の面積をお示しください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 水上公園の面積は2,058平方メートル、当該施設の面積は431平方メートルでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 施設面積は公園全体21%ほどを占め、パークPFIの12%を上回ります。
ここで、次のスライドをお願いします。(資料投影)これは建蔽率の上乗せ要件の一覧です。ちょっと見にくいですが、赤枠の10%プラスのパークPFIに対しまして、水上公園の場合は水色の線、従来からの建蔽率緩和要件の休養施設と屋根つき広場のこの2つを活用することで20%の上乗せを受けております。ありがとうございます。
このパークPFI制度を活用せずとも、実際のところ、従来の制度を用いても建蔽率の上乗せや設置期間の延長は可能となります。
今後、本市では従来制度とパークPFI制度、どちらの制度を優先活用して公園整備を進めていくのか、その使い分けについてお尋ねをします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園のにぎわいや魅力づくりに当たっては、各公園の性格や立地などの特性、地域ニーズなどに応じ、従来の設置管理許可制度やパークPFI制度など様々な手法を活用し、取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 一般的にパークPFIの場合、建蔽率は12%までですが、屋根つき広場の設置など、従来の条例に定める建蔽特例を併用することで、さらに10%の上乗せも可能となります。このように、状況に応じて、従来からの建蔽特例を組み合わせた活用も今後増えるのではないかと思います。
明治公園などもその一例です。スライドをお願いします。(資料投影)これは2つとも明治公園の建築物予想図です。見栄えのする立派なビルが建ちますようで、費用もそれなりにかかると思います。ありがとうございます。
パークPFIの設置許可期間は最長20年です。明治公園のような一定規模以上の建築物を短いサイクルで終えるのは、昨今のアセットマネジメントの潮流には適合しないと。また、相当規模の建築費や解体撤去費を資金回収するには、一般的には20年は短いようにも思います。
実際のところ、建物、施設は20年後には建て壊しとなるのか、あるいは設置期間の延長が可能なのか、確認をさせてください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では原則、事業者が公募対象公園施設を撤去の上、整地し、原状復旧して市へ返還することとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 民間事業者からは、より多くの利便機能を付加した大規模な施設を計画した場合、20年では収支計画が立たなかったり、民間融資を受けにくいなどの課題についてお聞きをします。20年縛りでは、収益を生みやすい都心部の一部の公園だけの整備に偏ってしまうのではと懸念をしております。
他の自治体によるパークPFI事例では、20年後に他の制度を組み合わせるなどして、期間の延長をあらかじめ想定するような記載説明、これも見受けられます。あらかじめ長い期間で計画を組むことで、よりよい施設の誘致や民間投資を呼び込みやすくするためです。
まずは、さらなる設置期間延長については国に議論を促すべきですし、他の自治体の事例も参考にしながら、本市においても柔軟な制度運用の在り方を今後研究いただきたいと要望しておきます。
次に、雁の巣レクリエーションセンター、通称雁レクについてです。
雁レク全体図のスライドをお願いします。(資料投影)一つの公園施設の中に野球場14面、ソフトボール場5面、サッカー場6面などを有しており、国内でも有数のスポーツ活動拠点だと思います。毎週のように大規模な球技大会が開催され、土日祝は市内外から多くのチームが一堂に集う場所です。大会が重なることも多く、少年野球チームが約80チームとか、少年ソフトボールチームが約40チームとか、少年サッカークラブが約40クラブとか、これらが同日に集まる日などは、公園内の1,730台もある駐車場では足りなくなるほどです。スライドありがとうございます。
まずは、昨年度1年間の来場者数と最も来場者数が多かった日の人数をお尋ねします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 雁の巣レクリエーションセンターの令和5年度の来場者数につきましては、有料スポーツ施設の利用者に大会関係者やイベント参加者などを加えた人数で申し上げますと約48万9,000人であり、最も多かったのは、スポーツ体験を中心としたイベントであるガンレクフェスタが開催された11月3日で約7,000人でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 年間およそ50万人が利用と。公営の有料スポーツ施設として福岡市で最も利用者の多い公園ですので、大会を主催するスポーツ団体や参加チーム、選手やその家族に至るまで、幅広い利用ニーズや利用する上での苦労や悩みが存在をしております。
現在の雁レクが抱える運営課題や利用者、利用団体の潜在ニーズをお尋ねします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 課題としましては、複数の大規模大会が開催された際、大会終了時などに駐車場の出入口に車両が集中し、出庫に時間を要することや、開園から約50年が経過し、施設の老朽化が進んでいることなどがございます。また、ニーズにつきましては、利用者アンケートなどで意見の多いものとして、軟式野球場における散水設備の整備やグラウンドの石の除去などの施設改修、トイレの増設などの利用環境改善についての要望などを把握しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 大会に出場する選手の数ももちろん多いんですが、それに匹敵するほどに応援帯同する両親や兄弟姉妹児が多いのも特徴です。帯同者の利便性向上、利用満足度の向上も今後、より重要になります。
雁レクの利便性向上や魅力づくりに向けて、本市は長期的にどのような計画で取り組まれるのか、お尋ねをします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 雁の巣レクリエーションセンターにつきましては、市が直接管理する都市公園ではなく、同センターを含む国営海の中道海浜公園一帯の計画地の一部を福岡市が国からお借りし、設置した施設でございまして、国から設置期間等の条件つきで承諾を得て、施設整備に取り組んできたものでございます。今後、公園の全体完成に向けまして、雁の巣レクリエーションセンターの長期的な利便性向上や魅力づくりを含め、その在り方を国と協議していくこととしておりますが、一方で、現状においては市が取り組める範囲で、利用者の方々の御意見も伺いながら、施設における利便性、機能性の向上に努めているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 大変深刻な問題ですが、現状、本市は将来グランドデザインをはっきりと描くことができません。国営公園内の土地であり、それを長らく福岡市が借地して、雁レクを整備、管理運営をしてきました。そして、国はいよいよ令和10年代の前半を目標に雁レク当該地も含めた海の中道海浜公園の全体完成を目指していると聞いています。
最後のスライドをお願います。(資料投影)国営海の中道海浜公園の整備計画図なんですけれども、上段の図、濃いピンク色の部分が完成箇所ですので、雁レク部分にいよいよ迫っているという状況が分かります。ありがとうございます。
その全体完成後に雁レクがどのように整備をされ、運営主体がどうなるかは現時点では白紙状態で、今後、国と本市において具体的な協議が進められていく予定です。
このような先行き不透明な状況にもかかわらず、前回サウンディング調査時の対象公園施設に雁レクも含めておりますが、これはパークPFIなどによる長期的な事業提案は念頭に置いていなかったのか、これを確認させてください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 民間サウンディング調査につきましては、公園条例の改正も踏まえまして、民間事業者の参入意欲や事業手法、公園の魅力向上に資する施設の提案等に関する御意見をいただき、今後の事業推進の参考とすることを目的に実施したものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 雁レクにおいても、他の公園と同様にあらゆる手法を活用した民間提案を受けるということでしょうか。
それでは、雁レクにパークPFIや設置管理許可制度を活用する場合、今後どのような手続が必要となるのか、具体にお示しください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 設置管理許可制度の適用につきましては、福岡市雁の巣レクリエーションセンター条例に類似する規定があるため、同様の適用が可能ではありますが、具体な手続を含め、国との協議が必要でございます。一方、パークPFI制度につきましては、当該センターは国営海の中道海浜公園一帯の計画地の一部を市が国からお借りし、設置した施設でございまして、市が直接管理する都市公園ではないため、現在、市において適用できないものとなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 現状は、設置管理許可制度の運用は考え得ると。一方で、パークPFI導入には、今後、都市公園に位置づける必要があるということです。このような複雑な状況が雁の巣レクリエーションセンター、雁レクの将来ビジョンを立てにくくする一因にもなっているわけですから、一刻も早く国と今後の長期的な在り方について具体に話を進めていただきたいと、そう思います。
前回の民間サウンディング調査から2年がたつわけですが、今後、同様の調査を実施する方針はあるのか、所見をお尋ねします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市内の全公園を対象とした民間サウンディング調査は令和4年度に実施したところであり、現在のところ、改めて実施する予定はございませんが、今後の社会情勢や公園を取り巻く状況の変化を踏まえ、実施について検討することも考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 前回サウンディング時には、残念ながら雁レクへの事業提案は一つもありませんでした。しかしながら、現在、清流公園や明治公園などの進捗もあり、パークPFIへの理解の浸透や魅力ある公園整備への期待が広がっているところです。実際、雁レクでのパークPFI活用に関心を寄せる事業者もございます。サウンディングの機会を適宜設けていただいて、より秀逸な事業提案の集積や、より多様な公園への事業提案に期待をしたいところです。
現在の雁レクは、スポーツ競技をするためだけのスポーツ場にとどまっていると長年痛感をしています。少年スポーツチームに帯同する家族、きょうだい児は、一日中滞在することも少なくありません。夏は木陰の少ない酷暑、冬は風吹きすさぶ極寒、きょうだい児が熱中症で体調を崩す場面や、毛布にくるまりながら、凍えながら本を読んでいる姿にも遭遇をします。天候の変化も激しいです。選手やその家族はゲリラ豪雨に打たれ続けます。試合と試合の合間が数時間に及ぶことも全く珍しくなくて、帯同者がその間くつろぐ施設も見当たりません。
家族など応援に訪れる帯同者目線の利便性向上や利用課題の抽出という、そういった視点も今後、より大切だと思いますが、本市の認識をお尋ねいたします。
あわせて、雁レクの将来的なグランドデザインを掲げて、スポーツ競技者と帯同者のどちらにも優しく、楽しく、魅力的な場所としてのスポーツパーク化を念頭に置いた施設整備の検討を強く要望いたしますが、本市の見解をお尋ねします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 雁の巣レクリエーションセンターは、市民の健全なレクリエーション活動に寄与するため、スポーツとレクリエーション機能を備えた施設として福岡市が整備したものであり、施設利用者をはじめとした多くの市民に利用されております。来園者の利便性向上につきましては、個人や団体から様々な意見を伺い、大会時に合わせたキッチンカーの出店などに取り組んでおり、今後とも、施設利用者やその帯同者など様々な利用者の目線で取り組んでまいります。
当該センターは、公園の計画地の一部を市が国からお借りし、設置した施設でありますが、今後、公園の全体完成に向けて、雁の巣レクリエーションセンターの利用状況等も踏まえ、在り方を国と協議してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 昨年11月に、まずは国と情報交換の場を持たれたと伺っております。雁レクの将来的な整備、運営の在り方について、今後、早急に国と具体な協議を深めていただくよう改めて強くお願いをしておきます。
雁レクは土日需要型ですし、天候に左右されやすいなど、安定収益を前提とする民間事業には確かに課題もあります。しかしながら、アイランドシティ方面や和白方面、志賀島、海の中道をつなぐ場所に位置しております。多くの車や自転車が行き交う結節点でもあります。公園内利用と併せましてロードサイドからの利用も可能にするなどの工夫で、平日や雨天時における集客のリスクヘッジや年間を通した収益平準化も十分検討は可能だと思っています。
チームに帯同するお母さんたちが切望している新たな憩いの施設、カフェやレストランがあれば、雨風、暑さ寒さもしのげますし、清潔なトイレも増えます。試合後にはチームの懇親会だって企画ができます。雁レクでは、グラウンド以外では、安全管理のため、原則バットを振らせてもらえないんですね。試合前のバッティング練習というのがどのチームにとっても実は悩みの種です。バッティングセンターが設置されれば、子どもも大人も、多くの選手やチームが利用すると思います。スポーツチームに子どもを通わせる家庭にとって、スポーツ用品の購入機会は年間を通してとても頻繁で、仕事終わりや子どもの学校帰りを待って夜に買いに行く苦労も多いのが実情です。試合の待ち時間を活用して必要なスポーツ用品を選んだり、購入できるショップが雁レク内にあれば、どれほどの家族が助かるでしょうか。チームが月に何度も雁レクに行く頻度を考えれば、チーム用品の注文や受け取りも楽になります。
それらの利便施設から得られる収益をふんだんに活用して、トイレの増設や、荒天時、雨天時の避難場所、チーム道具をグラウンドの近くまで運ぶための道路整備、駐車場台数の増設、グラウンドの土の入替えなど施設の現状課題の解決などに断続的に充当していけるわけです。
雁の巣愛がほとばしりましたけど、今後、国との協議を進めていかれる上で、福岡市として雁の巣レクリエーションセンターの将来グランドビジョンを明確に掲げていただいて、利用者全員に雁レクは楽しい場所だよと思ってもらえるようなスポーツパーク、これを目指した最大の行政努力が今後しっかりと図られていきますことを切に求めて、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、自殺対策について質問いたします。
自殺は個人の問題ではなく、誰にでも起こり得る社会的な問題です。その多くが追い込まれた末の死であり、生きるを阻害する社会的要因を一つ一つ取り除くことで防ぐことができる死であるとさえ言われています。しかしながら、全国において最も多かった平成15年の3万4,427人に比べ減ったものの、昨年においても、いまだに2万1,837人の命が自殺により失われています。これ以上貴い命が失われないように、本市における自殺対策についてただしてまいります。
本市は、平成20年度に自殺対策総合計画を作成し、その後、5年ごとの見直しを行い、令和5年度に新たな計画を出しています。計画策定の趣旨、数値目標、特徴、策定方法についてお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市自殺対策総合計画につきましては、自殺対策基本法及び自殺総合対策大綱に基づき策定したものであり、自殺対策を総合的かつ効果的に推進するため、市民一人一人が自殺予防の主役となり、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すための具体的な行動計画となっております。この計画では、子ども、若者及び女性の自殺対策を重点施策として取り組むこととしており、人口10万人当たりの自殺者数を令和3年の17.1から8年までに13.0以下とすることや、ゲートキーパー養成者数を令和5年度から9年度までに1万人以上とすることを数値目標といたしております。また、計画の策定に当たっては、検討部会を設置し、現状や社会情勢の変化など総合的な情報を基に、これまでの活動実績を踏まえた課題の抽出などによる検討を経て、自殺対策協議会において策定したものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 計画によると、協議会は医療、福祉、学識経験者、労働、警察、司法、民間団体などで構成されています。
ここで、自殺対策協議会の概要について伺います。協議会の趣旨、市の役割、協議の内容など、どのような連携を取っているのか、具体的にお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 自殺対策協議会は、自殺対策に関して各関係機関、団体等が緊密な連携を図るとともに、自殺対策を総合的かつ効果的に推進するために設置しており、自殺の実態や自殺予防対策、自死遺族支援などに関する事項について協議、検討を行い、計画的に取組を進めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 検討部会で抽出された本市の自殺の現状と課題についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 本市の自殺者数は、平成10年の急増以降、毎年300人を超える高い水準で推移しており、計画に基づく自殺対策の取組などにより、令和元年には220人まで減少いたしましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延を機に増加に転じ、4年は277人となっております。また、コロナ禍などの影響により、自殺の要因となり得る様々な問題が顕在化し、過去5年間では20歳未満の自殺者数が緩やかに増加するとともに、女性の自殺者数も増加していることから、子ども、若者及び女性の自殺対策の充実強化が課題となっております。今後とも、保健、福祉、医療、教育、労働などの各関係機関、団体と連携し、総合的に取り組む必要があると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) コロナ禍の影響により、自殺の要因となり得る様々な問題が顕在化しているとのことですが、その問題についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 警察庁の自殺統計によりますと、健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題、学校問題、交際問題などが自殺の原因や動機となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 自殺の背景には様々な原因や動機が横たわっており、それゆえ幅広く、横断的に対処するために関係機関や団体と協議、情報共有を図りながら対策を進めていくとのことでした。
市は、令和8年までに10万人当たりの自殺者数を13.0以下にするという数値目標を掲げていますが、令和4年には17.0となる277名もの貴い命が失われています。私は、子どもが自ら命を絶ったときの周りへの影響の深さを痛切に感じた経験から、子どもの自殺をなくしたい、その思いで重点施策の中から子ども、若者について伺います。
まず、本市における20歳未満の過去5年間の自殺者数の推移をお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 厚生労働省の人口動態統計によりますと、平成30年が6人、令和元年7人、2年6人、3年13人、4年13人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 発生件数は全体から見ると少ないものの、平成30年に比べ2倍となっています。
小中学生及び高校生について、自殺予防につながる取組をお尋ねします。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 自殺予防のためには、悩みや困難を抱える児童生徒を早期に発見し、個々の心の状況に合わせた支援をすることが重要でありまして、小中学生を対象としたQ−Uアンケートや毎月の教育相談アンケートを実施するとともに、小中高校生全員に担任等による全員面談を行っております。また、全ての市立学校にスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを配置して、専門的な見地から相談支援を行っております。さらに、1人1台端末に相談窓口一覧を表示するとともに、SNS相談を実施するなど相談体制の充実を図っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについて、それぞれの役割と配置状況、利用状況、相談後の対応についてお示しください。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクールカウンセラーは、臨床心理士や公認心理師の資格を有し、児童生徒や保護者に対し、心理的な支援を行っておりまして、全ての市立学校に週1日から2日配置いたしております。
スクールソーシャルワーカーは、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を有し、保護者や関係機関と連絡調整をしながら福祉的な支援を行っておりまして、全ての市立学校に週1日から2日配置いたしております。
令和5年度のスクールカウンセラーによる相談対応件数は延べ5万2,157件で、スクールソーシャルワーカーによる相談対応人数は延べ3,878人となっております。また、相談後は管理職等へのフィードバックを行い、組織的な支援に当たるとともに、必要に応じて他の相談機関や医療機関と連携するなどして対応いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 1人1台端末による相談窓口の表示、SNS相談を実施しているとのことです。そのうち、1人1台端末を活用したこどもタブレット相談にも取り組まれていると聞いていますが、その内容についてお尋ねします。
対象となる学校、ツール、情報共有の有無、対応している方の職種についてお示しください。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市こどもタブレット相談は、福岡市立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の全ての児童生徒を対象に、GIGAスクール端末を活用し、取り組んでいる事業でございます。悩みや不安を抱える子どもからの相談に臨床心理士などの資格を持つ相談員がチャットまたは音声通話で対応しております。なお、自殺などの命の危険がある場合は、関係機関へ情報提供を行うこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 児童生徒は、学校内、またスクール端末で専門家と話ができ、必要な場合はその先の支援につながる体制があるとのことです。保護者にとっても子育ての悩み、福祉サービスの相談ができるのは心強いものです。一方で、子どもが通う学校では相談しづらい面もあることでしょう。
そこで、伺います。子どもの異変に気づいたときに学校以外の相談先はあるのでしょうか。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保護者からの子どもに関する様々な相談については、えがお館で24時間、電話相談を受けるほか、児童家庭支援センターで平日の夜間及び土日祝日に電話や面談で相談を受けるなど幅広い時間帯に対応しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 24時間対応の電話相談など相談体制が整えられています。しかしながら、子どものSOSに気づかなければ相談には結びつきません。保護者も忙しく、子どもの変化やSOSのサインに気づかないことがあります。そして、もし子どもの変化に気づいたとしても、たかが子どもの悩みだと思ってしまうかもしれません。また、子どもは保護者にだからこそ言えないこともあります。
東京都足立区では、保護者の気づきを促す取組を始めました。令和5年3月に、こどものこころのSOSに気づくためにと題したリーフレットを作成し、学校を通じて保護者に配布しています。相談先の紹介のほか、SOSの兆候、子どものSOSを感じたときのNG行動を記しています。保護者へのアプローチも必要だと考えます。
では、学校の話に戻します。自殺予防につながる取組について、先ほど悩みや困難を抱える児童を早期発見し、個々の心の状態に合わせて支援することが重要と答弁されました。
心と体の不調の早期発見を促し、自殺リスクの把握や適切な支援につなげるため、令和5年2月に文部科学省が1人1台端末の活用として、心の健康観察としてのスクリーニングツールを紹介していますが、その活用について現状と計画をお示しください。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年2月に文部科学省からスクリーニングツールの紹介がありましたが、福岡市では既にQ−Uアンケートや月1回の教育相談アンケート、全員面談等の機会を活用してスクリーニングを行っているほか、スマートフォンを用いたこどもSNS相談や、1人1台端末を用いたこどもタブレット相談など相談員と直接やり取りできる体制を整えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) アンケートや面談、タブレット相談を実施しているとのことですが、必ずしも心の声が表面化するわけではありません。
子どもにとって、SOSを発すること自体が難しいというデータがあります。こども家庭庁が今年5月に発表した、こどもの自殺の多角的な要因分析に関する調査研究報告書によると、自殺の危機や変化について周囲が気づいていたのは33%、21%は気づいていなかったとのことです。また、東京大学大学院教育学研究科が15歳から18歳の約1万人を対象に行った調査において、自殺願望が援助要請行動を妨げる可能性があり、助けを必要とする若者ほど助けを求めないと報告。言えない、聞けない状況の中で、毎年多くの子どもの命が奪われている現実があるとコメントしています。自殺の危機が迫った子ほど助けを求めないのなら、大人が手を差し伸べる必要があるのです。
心理的な危機に陥った方には、死にたい気持ちを率直に尋ねてリスクの評価をすることが大切だそうです。この言えない、聞けないを補完するのが心の健康観察としてのスクリーニングツールです。ぜひ導入の検討をお願いいたします。
次に、若者への対策として大学等の学生について伺います。
アイデンティティーの確立、親からの自立といった課題に直面する時期であり、入学時の環境変化、卒業後の職業選択も現実として迫ってくる中で、不適応を起こす学生が少なくないと言われています。本市は約11万人の学生が学ぶ全国でも有数の大学のまちです。
そこで、大学生や専門学校生に対する自殺予防の取組についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 大学生や専門学校生に対しましては、相談窓口を周知するためのリーフレットやカードの配布、新入生向け防犯メールの活用のほか、ゲートキーパー養成研修の出前講座を実施いたしております。また、今年度新たに多くの若者が利用するSNSに動画を配信し、相談窓口の周知、啓発に取り組むこととしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 本市における大学や専門学校との連携についてお尋ねします。
自殺予防対策を講じ、大学等と情報共有を図るべきと考えますが、市が自殺対策において連携を取れる大学、専門学校の数をお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 現在、自殺対策を連携して行っている大学等の数につきましては、大学は14校中14校、短期大学は9校中8校、専門学校は86校中3校となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 大学、短大、専門学校と連携を構築する際の課題と対策についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 課題といたしましては、専門学校への取組が十分でないことから、今後、各学校への丁寧な働きかけを行い、連携体制の構築を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 連携構築を進めていただけるとのことです。どうぞよろしくお願いいたします。
全国大学メンタルヘルス学会が2019年に780の大学を対象に実施した調査によると、自殺対策に取り組む大学は6割程度ということです。市内の大学、短大とのパイプを積極的に生かして、自殺対策の実施の有無や保健管理体制の実態を把握するとともに、必要なサポートができるよう努めていただきたいと考えます。
先ほど、今年度の新規事業として若年層向けSNS広告を上げていましたが、その予算額、実施時期、SNS広告の詳細についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 予算額は200万円で、9月の自殺予防週間や3月の自殺対策強化月間に重点的に配信することとしております。事業内容といたしましては、10代から20代の若年層をターゲットとした自殺予防相談窓口を周知、誘導する動画を作成し、配信後、SNSの媒体ごとの視聴者属性、再生回数、平均視聴時間など分析結果の報告を受け、事業効果を検証することといたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) まずは期間を限定して実施するということです。SNS広告は若年層に対する啓発手段として有効であると思います。アクセスレポート分析による効果検証を踏まえて、今後の予算や実施期間を増やすなど前向きに進めていただくようお願いいたします。
ここからは、自殺リスク因子が高い方への支援について伺います。
自殺リスク因子が高い方をどう捉えているか、お示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 自殺のリスク評価に使用されるSAD PERSONSスケールによりますと、抑うつ状態、自殺企図の既往歴、アルコールや薬物への依存、社会的支援が少ない、身体疾患の状況など、複数の項目に該当する場合は自殺のリスクが高いとされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 本市の自殺リスク因子が高い方への支援体制についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 精神保健福祉センターにおける電話相談において自殺リスクが高いと判断した場合は、臨床心理士や精神保健福祉士等の専門職による面接を行うなどの対応をいたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 相談した方はサポートにつながりますが、まずはどう相談に結びつけるかがポイントです。
では、自殺企図の既往歴がある方について伺います。
自殺企図の既往力がある方はリスク因子が高いとされる理由をお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和5年の警察庁の自殺統計によりますと、全国の自殺者のうち19.2%、福岡市では22.2%の方に自殺未遂歴があったことから、リスクが高くなる傾向にあると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 不謹慎な言い方にはなりますが、自殺で亡くなった方の100人のうち22人に未遂歴があるということは、病院に搬送されたときから、より手厚い支援が届けられ、生きる選択肢につながれば命を落とさずに済んだのかもしれません。
そこで、伺います。本市における救急病院及び医師会とはどのような連携をしているのか、お示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医師会及び救急病院協会につきましては、福岡市自殺対策協議会に参加いただいており、各関係団体等とともに自殺対策を効果的に推進する取組を進めていただいております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 救急搬送された自殺を図ったと見られる方に、市は救急病院と連携して情報を収集し、継続支援を行うことが重要だと考えますが、本市はこの件について対策を講じているのでしょうか。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医療機関に対しましては、自殺予防相談窓口を記載したリーフレットやカードを配付し、自殺未遂者への支援に活用いただいております。救急病院からの自殺未遂者の情報収集については、個人情報の取扱いにおける課題があることから、本人が同意された場合に限り情報の提供を受け、電話や面接による退院後の支援を行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 個人情報の取扱いは、厚労省が出した医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスで、本人の同意がない場合の関係機関等への情報提供について示されてはいるものの、そこはやはり課題であることが否めません。精神科の医師によると、そもそも救急の現場では内科や外科の医師が診ているので、自殺企図者に対する対応がほとんどなされておらず、また、自殺を図ったかどうかの判断ができず、そのまま帰している現状があるとのことです。
個人情報の取扱いや医療体制については国の問題かと思いますが、救急病院協会、医師会と協力して、取り留めたその命が守れるよう課題として共有いただきたいと考えます。
それでは、次の質問に移ります。
本市が行っている相談体制についてお示しください。また、連携している相談窓口があればお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 身近な相談窓口として、各区健康課においてこころの健康相談を実施するとともに、精神保健福祉センターにおいて電話による自殺予防相談を行っており、状況に応じて面接を行うなどの支援を行っております。また、福岡いのちの電話や、国、福岡県とは相談窓口の周知や自殺予防週間事業などにおいて連携を図っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 本市が設置する自殺予防相談はどのような方が相談対応されているのでしょうか。また、開設時間、電話の回線数、1年の相談件数、相談後のサポートにつながる割合、サポート内容についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 自殺予防相談は、臨床心理士、精神保健福祉士、保健師などの専門職で相談に対応しております。また、開設状況につきましては、平日の10時から16時まで、電話回線数は1回線、令和5年度の相談件数は2,369件となっております。相談後のサポートといたしましては、必要に応じて専門職による面接を行っており、5年度は電話相談の約1%に当たる27件について実施をいたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) この相談窓口、年間稼働日220日として、1日当たり10件以上の相談を受信していることになります。全体の割合でいえば1%ですが、27件を面接につなげている点は評価すべきです。開設時間や回線数が妥当なのか、今後検討いただきたいと思います。
では、本市と連携をする福岡いのちの電話について伺います。
福岡いのちの電話は、社会福祉法人が運営する民間団体です。24時間年中無休で、年間1万3,000件を超える電話を訓練を受けたボランティアが支えています。こちらは傾聴を基本としていますが、本市と支援窓口の連絡先を共有し、必要な場合はお伝えをしています。例えば、夫からの暴力を受け、家を飛び出し、泊まるところもないという相談者に支援窓口を案内されたとのことです。
そこで、伺います。福岡いのちの電話と本市との連携、また、予算についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 連携につきましては、自殺対策協議会に参加いただくほか、相談員養成等の広報や補助金の交付を通じた活動支援を行っております。また、令和6年度の当初予算額といたしましては500万円となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) しっかりと連携されているようです。
福岡いのちの電話の事務局に伺うと、電話ボランティア不足が深刻だということです。
本市は電話ボランティア養成等の広報を行っているとのことですが、広報手段について具体的にお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 広報といたしましては、市政だよりやホームページへの掲載を行うとともに、情報プラザや区役所、福岡市社会福祉協議会ボランティアセンターなどにパンフレットを設置し、周知に努めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 現状に加えて、より多くの方にボランティアに関し周知いただくよう、地域団体への広報の機会、市の職員や退職者向けに案内するなど、より積極的な広報の機会をいただきたいのですが、所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ボランティア募集の広報については、これまでも様々な媒体を活用し協力を行ってきており、今後とも、各関係団体等と連携し、広報の充実強化に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) ここまで相談体制について確認してまいりましたが、精神科や専門家に相談することへの心理的な抵抗を感じる人は少なくありません。どう相談に結びつけるのか、その対策についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 心の悩みを抱えている人を相談につなげることが最も重要な取組であると考えておりまして、身近な人の悩みに気づき、声をかけるゲートキーパーの養成に重点的に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では、ゲートキーパーについて伺います。
求められる役割、ゲートキーパーが行う具体的な支援内容をお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ゲートキーパーの役割等といたしましては、具体的には家族や仲間の変化に気づいて声をかける、本人の気持ちを尊重し、耳を傾ける、早めに専門家に相談するよう促す、温かく寄り添いながらじっくりと見守るなどの支援を身近な人に実践していただくことでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) そのゲートキーパーにはどうしたらなれるのでしょうか、お示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 自治体などが開催するゲートキーパー養成研修を受講していただくことが必要でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 本市のゲートキーパー養成の開始時期、これまでの受講者数をお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市では、平成24年度からゲートキーパーの養成を始めており、令和5年度までの受講者数の合計は1万869人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 11年間で1万人強の方が受講されたとのことです。
ゲートキーパーを令和5年度から5年間で1万人との目標を掲げていますが、今後、その目標数に届くための対策についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ゲートキーパーの養成においては、その役割を多くの市民の方に理解していただくことが大変重要であると考えており、市民の関心を高めるための広報、啓発に努めるとともに、養成研修受講者を増やすためにICTを活用した動画配信やオンラインによる研修の実施などを進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 実際はどういった方が受講されているのでしょうか。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ゲートキーパー養成研修は全市民を対象といたしておりますが、相談対応や困難な状況の方に接する機会が多い学校関係者や医療従事者、民生委員・児童委員、行政の窓口職員などが多く受講しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) それでは、研修内容についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 養成研修は、厚生労働省が作成したゲートキーパー養成研修用テキストに基づいて実施をしており、心の不調のサイン、気づいたときの言葉のかけ方、相談機関へのつなぎ方などの知識を習得するものでございます。さらに、受講者の職種に応じてリスク評価や危機対応などの項目を加えて、より専門的な研修を実施いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 困難な状況の方に接する機会が多い職種の方を中心にゲートキーパーが広がっているようです。数を増やすこともそうですが、育てることも大切です。
札幌市では、入門講座、基礎研修、そして、スキルアップ研修と段階的な研修体制を取られています。入門講座は、幅広い市民に対する普及啓発と研修会への誘導を狙い、1回40分程度の出前講座として実施、また、基礎講座を受講したアンケート提出者にはスキルアップ講座の案内を行っているとのことです。本市は、国が作成した研修用テキストに基づいて実施し、対象によっては内容を深くしているとのことですが、研修プログラムの評価と改善を行い、実効性のあるゲートキーパー養成に取り組んでいただくよう要望いたします。
ICTを活用した研修で受講の機会が増え、幅広い方にゲートキーパーが普及する過程において、ゲートキーパーの知識や技術への不安の解消、自殺のハイリスク者との関わりによる心理的負担へのフォローは重要性が増してきます。
そこで、伺います。研修後のフォローアップについてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ゲートキーパーは、その活動の中で不安や負担感を抱えることもあり、ゲートキーパー自身の心のケアが大切であると考えていることから、精神保健福祉センターが窓口となり、個別の相談対応に努めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) ゲートキーパーも自分自身の健康を守りながら活動できるように、引き続き必要なリソースの提供やサポートをお願いいたします。
ここまで自殺対策総合計画の中から質問してまいりましたが、これは計画の中のほんの一部にしかすぎません。
自殺の背景には精神保健上の問題だけでなく、様々な社会的要因があり、自殺対策は各局にまたがる施策です。各局や課の具体的な連携についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和5年6月に自殺対策総合計画を改定したことを契機に、全庁横断的な推進体制として、副市長をトップとした関係局区長で構成する福岡市自殺対策推進会議を設置するとともに、具体的な取組の進捗管理及び推進を図るために、推進会議の実働組織として課長級職員で構成する自殺対策推進幹事会を設置し、庁内関係部署との連携体制の強化を図っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 自殺対策推進会議及び幹事会の設置は、本計画を進める上で意義があると考えます。引き続き、対策に生かせるよう全庁挙げて取り組まれてください。
最後に、自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けた決意を伺い、私の質問といたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 自殺の要因につきましては、一般的に、多様で複合的な背景があり、また、様々な要因が連鎖する中で起こり得ることから、全庁横断的な取組の推進はもとより、保健、福祉、医療、教育、労働などの各関係機関、団体との連携の充実強化を図り、生きることの包括的な支援となるよう、自殺対策を強力に推進することにより、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
午後は1時10分に再開いたします。
午前11時35分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。天野こう議員。
○43番(天野こう)登壇 私は日本維新の会福岡市議団を代表して、生活道路の無電柱化の推進について、大雨時の学校の休校判断について、以上2点を質問します。
初めに、生活道路の無電柱化の推進についてお尋ねします。
本市はこれまで無電柱化を推進してきたことかと思いますが、本市が定める無電柱化推進計画の概要をお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 無電柱化推進計画につきましては、国の計画を基本として、令和3年度から7年度までの5年間を計画期間としており、無電柱化の推進に関する基本的な方針や目標などを定めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 国の計画を基本とし、本市も計画を推進しており、現計画の最終年度は来年度までとなっております。
まずは、その計画の内容について幾つかお尋ねをします。
本計画の中には無電柱化推進における対象路線があるかと思いますが、どのような考え方で選定をしているのでしょうか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 無電柱化の対象路線につきましては、道路の整備、改良に合わせた事業実施を基本として、防災、安全、円滑な交通確保、景観形成、観光振興、まちづくりなどに合わせた無電柱化に資する路線を優先して選定しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 防災、安全、円滑な交通確保、景観形成、観光振興、まちづくり等に合わせた無電柱化、以上4点の選定基準を設けているとのことです。
では、それぞれの選定基準における計画延長をお示しください。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 計画延長につきましては、防災が約34.4キロメートル、安全、円滑な交通確保が約2.8キロメートル、景観形成、観光振興が約2.5キロメートル、まちづくりなどに合わせた無電柱化が約13.8キロメートルとなっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 計画延長の数字だけ見ると、半分以上の路線が防災に起因するものとなっております。その理由についてお示しください。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 国の無電柱化推進計画において、災害時の緊急車両の通行を確保すべき路線とされる緊急輸送道路の無電柱化を特に推進することとされており、福岡市におきましても、近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえ、防災について重点的に取り組むこととしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 国の計画において、緊急車両の通行を確保する観点から、特に緊急輸送道路の無電柱化を推進しているとのことです。防災対策の一環として無電柱化を推進することは、いつ大きな災害が起きるか分からない中で、特に優先度高く取り組んでいく必要があることは理解できます。一方で、緊急輸送道路など比較的大きな基幹道路の無電柱化が推進されてきた中で、市民に身近な生活道路などにおいては、無電柱化が縁遠い印象を持っており、本日は以下、生活道路の無電柱化に絞って質問をさせていただきます。
本市の計画上の選定基準でいえば、安全、円滑な交通確保において、バリアフリー基本計画における生活関連経路等の無電柱化を推進すると記載があります。防災面における無電柱化を否定はしませんが、市民に身近な生活関連経路の無電柱化についても、市民ニーズは高いのではないでしょうか、お考えをお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 無電柱化の市民ニーズにつきましては、福岡市道路整備アクションプラン2024の策定時に市民アンケートを実施し、無電柱化に対するニーズが高いことは確認しておりますが、生活関連経路への無電柱化のニーズにつきましては、調査を行っていない状況でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 無電中化一般に係る市民ニーズは高いとのことですが、では、具体的にどういった道路でニーズが高いかなどの調査は行っていないということでした。全市的な災害対策等を鑑みれば、市民ニーズだけをしんしゃくするべきとは言えませんが、一方で、限られた財源の下、限られた路線について無電柱化の優先順位をつけ推進をする以上は、市民のニーズを酌み取ることも重要ではないかと考えております。
東京都荒川区では区民意識調査を実施し、無電柱化することが望ましい道路を調査した結果、災害時、避難路となる生活道路が最も多い種別であり、期待される効果としては、歩道から電柱がなくなることで、車椅子利用者やベビーカーが快適に通れるようになるといったことが最も多い結果のようでした。
本計画が来年度で終われば、再来年度以降は次期計画となります。次期計画においては、生活関連経路の課題に限りませんが、無電柱化推進に係る多様な市民ニーズを収集し、施策に生かしていただくよう要望します。
生活関連経路と一言で言っても、様々な道路があります。中には幅員が狭く、歩道の確保は困難な道路もあると思います。現計画において、安全・円滑な交通確保の選定基準では2.8キロメートルの無電柱化推進について記載がありますが、具体的にどの路線でしょうか。また、歩道がある路線でしょうか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 安全、円滑な交通確保を目的とする無電柱化につきましては、現計画において、箱崎久原線、福岡直方線に係る路線と百道通線の2路線を選定しております。これらの路線はいずれも生活関連経路であり、緊急輸送道路にも指定されていることから、防災面でも優先度が高く、また、道路改良に合わせた事業実施が可能なことから選定しており、両路線とも歩道が設置されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 安全、円滑な交通確保の選定基準における無電柱化は、バリアフリー基本計画に定められている生活関連経路に絞られております。
資料1の投影をお願いします。(資料投影)バリアフリー基本計画に記載のある重点整備地区を示す市域図を投影していただきました。バリアフリー基本計画における整備方針は重点整備地区とされる範囲に限られているため、事実上、この当該選定基準における無電柱化は重点整備地区内のみを対象としております。この図の黄色い囲み部分が重点整備地区を示しております。市民に身近で交通安全上危険な生活道路は、この重点整備地区以外にも市内に多数あるのではないかという前提に立って、以下、質問を進めます。投影ありがとうございました。
御答弁いただいた2路線は緊急輸送道路にもなっており、いずれも歩道が設置されているとのことでした。
バリアフリー基本計画における重点整備地区内の生活関連経路は、歩道の有効幅員2メートル以上の確保について優先的に取り組むと記載がありますが、生活関連経路の無電柱化は歩道の設置路線が前提となっているのでしょうか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 生活関連経路の無電柱化につきましては、歩道の設置は前提条件としておりません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 歩道の設置は必須の条件ではないとのことでした。
重点整備地区内の生活関連経路のバリアフリー化を優先的に進めていく方向性は理解をしますが、無電柱化に関していえば、歩道が整備された道路よりも歩道すらない幅員の狭い道路のほうが、安全・円滑な交通確保の観点でいえば優先度が高いのではないかと感じてしまいますが、いかがお考えでしょうか。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 歩道のない生活道路において、電柱の存在が安全で円滑な交通の支障となっていることは認識しております。現在の計画における安全、円滑な交通確保を目的とした路線につきましては、生活関連経路であることに加えて、防災面での位置づけや道路改良と合わせた事業実施の可能性などを考慮して選定しているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 先日、警察庁において、幅員が狭い、いわゆる生活道路の法定速度を現行の時速60キロから30キロに引き下げる道路交通法施行令の改正案への意見募集を行う旨の報道がありました。ほかの道路と比べ、歩行者や自転車利用者等が事故に巻き込まれる割合が高いとされており、このように生活道路における安全性を高める取組は、全国的に見ても非常に重要です。
歩道のある道路における電柱と歩道のない道路における電柱の存在感は、格段の違いがあると思います。歩道がないと、電柱を避けるように車道へ歩行者等がはみ出ざるを得ず、その生活道路の交通量が多い場合には事故の危険性が増します。私が懸念をしているのは、バリアフリー基本計画に基づいた重点整備地区の生活関連経路だけが歩道の整備も含めてきれいに無電柱化される一方で、他の重点整備地区でもなく歩道すらない、いわゆる昔からある危険な生活道路の無電柱化が見向きもされないことです。
歩道のない生活道路の無電柱化を推進する場合のメリットと課題をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 歩道のない生活道路の無電柱化につきましては、歩行者や車両の安全で円滑な通行が確保されるメリットがある一方、電線類の地中化に伴い必要となる変圧器などの地上機器や電線類などの地下埋設物の設置スペースの確保が困難であるという課題がございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 地上機器の設置の困難性など、狭い道路であれば課題として容易に理解ができます。その点からいっても、地上機器設置のため歩道があればその一部を活用できることから、歩道がある路線のほうが無電柱化しやすい事情もあることかと思います。
現計画では、道路が狭い場合に活用が期待される軒下配線や裏配線の手法についても記載があります。これまで、軒下配線や裏配線で無電柱化を実施した例は本市にありますでしょうか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市の無電柱化におきましては、地上機器を民地などに設置し、電線類を建物の軒下などに設置する軒下配線や、電線類などを裏通りに設置する裏配線の実施例はございません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 本市における実施例はないとのことですが、軒下配線は京都市において実績があると聞いております。沿線住民の御協力が必要不可欠ですが、無電柱化によって道路交通における安全性が増すのであれば、前向きに御検討くださる市民もいるのではないでしょうか。
軒下配線などの事業手法をそもそも知らない市民も多くいるでしょうから、前に述べたニーズ調査等のコミュニケーションを市民と図りながら、国や他都市の状況を調査し、地上機器を置けない生活道路の無電柱化手法を検討してほしいと考えますが、いかがでしょうか。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地上機器の設置が困難な生活道路の無電柱化につきましては、軒下配線なども含め、国や他都市の取組状況を調査研究し、福岡市における実現可能性を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) ぜひお願いいたします。一方で、簡単に実現できない手法であることも理解できます。ただ、現計画に書いている以上は、その実現可能性を積極的に検討し、一定の結論を得る必要があります。現計画の終期も近いことから、そういった点の総括もお願いいたします。
これまでるる述べてまいりましたが、本市の現計画では、生活関連経路の無電柱化推進計画があるものの、結果として歩道のある路線に限られており、歩道のない危険な生活道路の無電柱化が進むようには思えません。兵庫県芦屋市や東京都豊島区などの計画においては、歩道のない生活道路の無電柱化推進について言及がされており、地上機器設置における民地への協力依頼など、困難が伴うものの事業を推進する姿勢が明確に打ち出されております。本市もまずはこのような考え方を取れないものでしょうか。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 歩道のない生活道路における無電柱化につきましては、安全で円滑な歩行空間を確保する上で重要であると認識しております。現計画では、道路空間に余裕がない場合、地上機器の設置場所として、地権者の同意を得て民地などを活用することを明記しているところでございます。この取組には地権者の協力が必要なことから、今後も地権者と連携し、無電柱化を推進してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 確かに現計画においても、道路空間に余裕がない場合の対応など記載があり、幅員が広い道路だけを無電柱化の対象にしているわけではないと思います。しかしながら、歩道のない生活道路に関しての言及が全くないことから、現計画における優先順位は限りなく低い印象を持っています。東京都足立区では、これまで技術的に難しいとされてきた、歩道がない道路の無電柱化を目指し検討するチャレンジ路線を選定し、推進計画に位置づけておられます。
繰り返しになりますが、本市の現計画は来年度までとなっております。次期計画においては、歩道のない生活道路についても言及していただき、少しずつでも無電柱化を推進していただきたいと思いますが、この質問の最後に御所見をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 次期無電柱化推進計画の策定に際しましては、道路や土地利用状況、地域の実情などを総合的に勘案しつつ、歩道のない生活道路を含む道路空間に余裕がない場合における無電柱化方策についても、検討を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 御検討をよろしくお願いいたします。
次に、大雨時の学校の休校判断について質問をします。
昨年7月10日未明に避難指示が発令されるレベルの大雨が発生しましたが、当時の一斉休校の判断について、保護者の方々などから判断が遅かったのではないか等の御意見を頂戴していました。当時の状況と対応について御説明をお願いします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 昨年7月10日は深夜の1時30分に、市内の一部地域に土砂災害に係る避難指示が発令され、その後、5時5分から避難指示が一部地域に追加で発令されたために、5時35分に避難指示の対象地区にある小中学校に対しまして、休校や登校繰下げを適切に判断するよう通知いたしました。その後、6時40分に朝倉市及び東峰村を対象に大雨特別警報が発表されたため、福岡市におきましても大雨特別警報が発表される可能性があると判断し、6時42分に全市一斉休校の方針を決定し、学校に通知いたしました。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 未明から早朝にかけて、かなりばたばたと対応に追われていた印象があります。
同様の事態に陥った近隣の自治体においては、避難指示が発令されるタイミングなどで、早期の休校のメール連絡ができた自治体もあったようですが、把握されている範囲で概要をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 近隣の自治体に聞き取りを行いましたところ、そもそも休校とせずに、メール連絡もしていない自治体もございましたが、多くの団体では5時から6時にかけて、教育委員会から各学校長に休校の連絡が行われたと聞いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 一部の学校への休校連絡か、全市一斉の休校連絡かの違いはあっても、近隣自治体と比べても、本市の判断はやや遅れた印象を持ちます。
ちなみに、本市の台風接近時の休校の判断ルールはどのようになっているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 台風の進路や風速、降水状況といった福岡管区気象台からの気象情報や福岡市災害対策本部が発信する情報などを基に、児童生徒の登下校時の危険性などを総合的に勘案し、原則として前日までに教育委員会において休校の判断をしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 台風接近時は原則前日までの休校判断とのことで、予測が比較的しやすいことから、台風接近時に関しては大きな混乱なく判断ができているものと思います。
文科省が作成を促す危機管理マニュアルにおける大雨時の休校判断の基準について、どのような考え方が示されているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年度に文部科学省が作成しました、学校の「危機管理マニュアル」等の評価・見直しガイドラインによりますと、学校が取るべき気象災害時の対応といたしまして、学校の立地環境により、大雨等による水害、土砂災害などの危険がある場合は、気象庁発表の注意報や警報といった情報を的確に収集し、臨時休業や始業時間の繰延べ、授業打切りなどの措置を取ることが必要とされてございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 特に一斉休校に関する考え方は国から示されておらず、危険性がある学校において臨時休業などの措置を取る旨の記載にとどまっており、教育委員会による一斉休校の判断については、各自治体に委ねられているようです。
では、本市の大雨時の休校判断のルールはどのようになっているのでしょうか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 大雨時につきましては、福岡管区気象台からの気象情報や福岡市災害警戒本部が発出する避難情報等に基づきまして、まず、地区特性などから危険が高まっていると考えられる地区の小中学校に対しまして、休校や登校の繰下げを適切に判断するよう通知いたしております。また、気象変化や避難情報の発令状況から、危険性が全市に及ぶおそれがあると考えられる場合には、全市一斉休校の方針を教育委員会で決定し、学校に通知しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 台風と違い予測の難しさがあることから臨機応変な判断が求められますが、昨今、大雨災害も激甚化が深刻であり、避難指示が発令されるような災害クラスの大雨への対応について、より迅速かつ被害を未然に防ぐ判断が必要になってくるのではないかと思います。昨年の事案においても、危険性が高まっている一部の学校における休校や登校時間の繰下げ判断と、危険性が全市に及ぶ一斉休校の判断基準がポイントになるのではないでしょうか。
私の下にも早朝に避難指示が発令されている状態で、また、一斉休校の判断がなされているにもかかわらず、既に多くの児童生徒が通学をしてしまっている状況について御連絡をいただきました。休校を知らずに登校した児童生徒は、当時、何名程度いたのでしょうか。分かれば学校数と人数をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 大雨の対応直後に学校に聞き取りを行っておりまして、未精査の概数となりますが、約170校、1,300名余と推計いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 大変多くの学校において、そして、多くの児童生徒が通学を既にしてしまっていたようです。一部では道路が冠水していたほどの大雨でしたから、幸い被害報告はなかったようですが、一歩間違えば児童生徒の安全が脅かされかねない事態でした。
登校時間が近づいているタイミングで一斉休校のメールを配信したこと、また、一部ではメールサービスが利用できなくなったことも、休校等の伝達が遅れた要因になったとお聞きをしました。状況の説明と再発防止策をお尋ねします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) メール配信事業者からは、周辺自治体も含め利用が集中し、サーバーの許容量を超えたためにメールの送受信に滞りが生じたが、1時間ほどでサーバー増強対策が完了したと聞いております。教育委員会といたしましても、メールを確認されない保護者もいらっしゃるため、ホームページや福岡市LINE公式アカウントを活用し、また、報道機関への情報提供を行うなど、様々な方法で情報発信したところであります。再発防止策といたしましては、新しいメールサービスを各学校で運用しているところでございまして、現在のところ、一斉送信に問題は生じていないとメール配信事業者より聞いております。今後、災害時にはメール以外にも、ホームページなど複数のメディアで情報を収集していただくよう、学校を通じ、保護者にお知らせをしてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 利用が集中し、システムの許容量を超えてしまったということでした。
再発防止策として新たなサービスを運用しているとのことでしたが、新たに選定されたサービスに再度利用が集中した場合は、昨年同様の事態が生じかねないのではないでしょうか。各学校のみならず、周辺自治体も含めて利用が一部のサービスに集中していないか、引き続きチェックを行う必要性を感じますが、いかがでしょうか。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 新たに学校に紹介したサービスにつきましては、災害時などにアクセスが集中した場合にもシステムが稼働できるよう、サーバーの設定変更を行う等の仕組みが導入されている旨、メール配信事業者から確認しております。今後も安定した運用が行われるよう、メール配信事業者と定期的に情報交換を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) アクセスが集中してもシステムが稼働するような仕組みを導入したとのことですが、アクセス集中への対応力については限界もあると思います。アクセスがそもそも極力集中し過ぎないよう、複数のサービスを活用するなど、事業者との情報交換を密にお願いいたします。
当時、避難指示は未明の1時半以降順次発令され、対象校区は拡大していったものと思います。時系列ごとに対象校区数が増えていった状況を各累計でお示しください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難指示の対象小学校区数につきましては、7月10日の午前1時30分の発令で59校区、5時5分に10校区を追加し、69校区、5時20分に17校区を追加し、86校区、5時30分に16校区を追加し、102校区、5時50分に6校区を追加し、108校区、5時55分に9校区を追加し、117校区、6時30分に1校区を追加し、最終的に118校区となっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 資料2の投影をお願いします。(資料投影)教育委員会から頂いた当時の通学区域図を基に、避難指示の発令状況が分かるよう色づけをしてみました。最初、午前1時半の発令段階で59校区が対象となり、5時55分時点においては117校区まで拡大をしています。この市域図の赤く塗っているところが、5時55分時点で避難指示が発令されていた校区で、赤でない白抜きの校区が、避難指示が発令されていない校区になります。その前の5時半の時点で休校している曲渕小を含む小学校146校区中、102校区という3分の2以上の学校区で避難指示が発令されておりました。本市の一斉休校の判断タイミングは6時42分、大雨特別警報の発表可能性を受けてということでしたが、その前段階の5時台において、かなり多くの校区に対して避難指示が既に発令をされておりました。前の答弁において、大雨時の一斉休校判断は全市に危険性が及ぶおそれが考えられる場合とおっしゃっておりましたが、5時の段階において十分に全市に危険性が及ぶ状態に既に陥っていたのではないでしょうか。投影ありがとうございました。
全市一斉休校に至る前の各学校判断時点においても、対象となる学校数が昨年の事案のように100校区を超えるなど非常に多い場合には、休校や登校時間繰下げなど判断にばらつきが生じ、現場で混乱を招きかねません。大雨特別警報が発表される可能性が高まった結果、一斉休校を判断した当時の対応について、5時台の段階で避難指示が市内ほぼ全域に広がったのであれば、その時点で一斉休校の判断を行うべきだったのかなど検証が必要ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 当日の気象状況を振り返りますと、午前4時頃に福岡県南部で線状降水帯が発生しましたが、県北部への影響など、その後の予測が難しい状況でございました。そのため、未明から教育委員会事務局におきましても、避難情報や気象情報などの収集を行い、避難指示が発令された地区の学校に対して、5時35分に休校等を適切に判断するよう通知いたしました。その後、県南部に大雨特別警報が発表されましたことから、福岡市全域にも大雨特別警報が発表される可能性があると判断し、直後に全市一斉休校を決定しております。当日のそうした対応も含めまして、今後も災害時の対応につきましては検証を行っていきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 先日、昨年本市同様に大雨被害に見舞われた北九州市教育委員会の取組について聞き取りをさせていただきました。北九州市では過去の大雨災害で死亡者が発生したことを重く見て、早め早めの判断、対策を全庁的に推進されており、昨年の大雨時の休校判断においても課題が生じたことから、台風接近時同様に、大雨時、そして、降雪時の休校判断等について明確なルール化を図っておられます。そのルールの中では、大雨特別警報の発表のみならず、避難指示が全市に発令された場合は一斉休校を行うこと、そして、その判断の期限時刻を明朝何時までと明確に定めており、朝の登校時間帯に極力混乱が生じないよう配慮がされておりました。特別支援学校においては、スクールバスの運行上、当日早朝の判断では間に合わないという現場の意見を踏まえて、前日などさらに早めの一斉休校判断ルールを明文化されておりました。北九州市の休校判断ルールは非常に参考になると感じたため、本市も今後の検証においてぜひ参照していただき、同様のルールメイクを御検討いただきますよう強く要望いたします。
北九州市教育委員会の聞き取りにおいて印象的だったのは、市災害警戒本部から以前より避難指示等の情報が発令される前の段階で、事前に情報を入手しているとのことでした。本市におきましても、避難指示発令が確定したタイミングで、災害警戒本部室として事前に教育委員会にその情報を伝える必要性を感じますが、いかがお考えでしょうか。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難情報の発令に際しましては、速やかに全庁及び防災関係機関に情報発信を行っております。また、発令前においても、関係部署からの問合せ等に応じ、適宜、河川水位の状況など最新情報を共有いたしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 発令前であっても、関係部署からの問合せに応じて情報の共有を行うということでした。区役所は発令が確定したタイミングで情報を得て、いざ発令された際には、迅速に避難所開設のため動けるようにしていると聞いております。
避難情報が発令される前に発令が確定した段階で、災害警戒本部室から情報を入手するなど、教育委員会が判断を早期に行える準備が必要かと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 大雨時の対応につきましては、文部科学省のガイドラインに示されておりますとおり、水害・土砂災害などの危険性が高まっている場合には、学校の立地環境に応じて、その地区の小中学校ごとに登校の繰下げや休校といった対応を取ることが適当と考えております。教育委員会といたしましては、各学校が適切な判断を行えるよう、早い段階で学校に対し対応についての通知を発出するとともに、危険性が全市に及ぶおそれがある場合には、一斉休校の方針決定を行い、学校に通知することとしております。今後もできる限り早い段階で判断が行えるよう、避難指示が発令される前の段階から情報を収集し、学校と連携して適切な対応に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 天野こう議員。
○43番(天野こう) 避難指示が発令される前の段階からの情報収集をぜひお願いいたします。
昨年の事案では、避難指示情報を基に一斉休校を判断しておられませんが、避難指示情報が出てから対応するのではなく、少しでも早く避難指示情報等を入手し、迅速な判断に役立てることは、一斉休校判断のみならず、早朝の大雨対応全般に有益だと思います。
本年6月9日の報道において、2023年までの過去15年間に国内で発生した線状降水帯の約半数が、深夜から早朝にかけて発生しているという気象庁の分析結果が示されておりました。休校判断の重要性が高い早朝時間帯に線状降水帯の発生リスクが高いことを十分に認識しておく必要があります。
今年も梅雨入りが迫っておりますが、毎年のように発生する大雨被害、いつまた大雨が発生してもおかしくはありません。昨年の教訓を踏まえ、どのような方針で臨み、子どもたちの安全、安心を守っていくお考えなのか、最後に御所見をお尋ねし、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 災害から児童生徒等の安全を確保するためには、早期に気象情報や避難指示などの各種情報を入手し、学校と教育委員会が連携して児童生徒等の安全を確保する体制を確立することが重要であると考えております。豪雨災害時の対応に当たっても、御指摘の学校一斉メールのシステム障害による保護者への連絡の遅れなどの課題も踏まえ、引き続き様々な手段で情報発信に努めるとともに、今後も教育委員会と学校の適切な連携の下、児童生徒の安全、安心を守っていく体制づくりに努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、猿の対策について、商店街電子商品券のプラットフォームの一元化について、そして、高齢者の健康づくりについて、以上3項目について質問いたします。
まず、猿対策についてです。
近年、全国的に野生鳥獣による農業被害が増加し、問題となっております。また、野生鳥獣が農村集落や住宅地等に出没し、不安を感じた住民から市町村、警察に通報が多く寄せられるとともに、まれに人に危害を与える事例も出ております。野生鳥獣による農業被害や人的被害が全国的に増えている中、福岡市においては、昨年、南区で猿が住宅地に出没し、人的被害が発生しているとともに、私の地元、西区愛宕などでも猿の出没が相次ぎました。先月の下旬には、早良区でも猿による人的被害が発生しております。
本市においては、農業被害は農林水産局を中心に、人的被害などの生活被害は区役所を中心に対応していただいていると思いますが、農業被害のさらなる減少や人的被害防止を目指して、被害防止対策をしっかり行うべきと考えており、本市の現状や取組について伺ってまいります。
まず、本市の現状について、本市の猿による過去3年間の被害の状況についてお尋ねいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) まず、農業被害額は、令和3年度94万円、4年度74万4,000円、5年度59万5,000円でございます。次に、人的被害は、令和3年度及び4年度には発生しておりませんが、5年度には南区において5件発生し、9名の方がけがを負われております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 被害の発生原因について、どのように認識しているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 国の野生鳥獣被害防止マニュアルによりますと、野生鳥獣は日常的に安全で餌のある場所を探しており、安全に隠れることができる場所と防除されていない農作物や果樹という2つの条件がそろうことが、野生鳥獣が出没し被害につながる原因とされております。また、福岡市におきましては、市街化の進展により、猿の生息地と人の生活圏が近くなっていることも原因の一つと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 猿による農業被害については、鳥獣被害額全体から見ると大きな金額ではないかもしれませんが、依然として被害は発生しています。また、農業被害は金銭的な損失だけでなく、営農意欲の減退を招き、離農や新規就農の妨げになるものであります。
そこで、猿による農業被害への対応についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農地への侵入を防ぐため、電気柵やワイヤーメッシュ柵の導入支援及び猟友会による銃などを用いた追い払いを実施いたしております。さらに、猿の出没が多い地域の農業者に対しましては、追い払い用の花火を配付し、猿の群れが農地に近づかないための対策を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 農地への侵入防止柵の設置支援や猟友会による追っ払い活動など様々な取組を行った結果、農業被害額は減少傾向であることが分かります。一方で、近年、猿の市街地出没が増えている印象であります。昨年は市内で人的被害も発生しております。
ここから、本市における市街地に出没した猿への対応について聞いていきます。
まず、市街地に出没した猿に対応するための体制や基本的な対応についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 市街地に出没した場合に備え、緊急時の連絡体制を整備し、迅速かつ組織的な対応を行っております。具体的には、地域住民の安全を図るための初動対応といたしまして、区役所において、自治協議会や学校など関係機関への注意喚起や、必要に応じ警察と連携したパトロールを実施いたしております。また、農林水産局におきましては、各区の被害情報等の収集、共有、市ホームページなどによる全市的な注意喚起、広報を行うとともに、教育委員会やこども未来局などの庁内関係局や県猟友会などの関係機関との連絡調整等を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 昨年は、南区において猿による人的被害が発生しています。また、被害は発生していないものの、私の地元である、ふだんは見かけない西区愛宕などの住宅地に数日猿が出没しました。
昨年度の出没状況や人的被害の状況についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和5年度につきましては、南区南部など山林に近い地域において、8月から11月にかけ猿が相次いで出没し、5件、9名の人的被害が発生いたしました。この後、11月中旬以降は人的被害は発生しておらず、12月以降は目撃情報もほぼなくなっております。また、これまで目撃されることが少なかった西区愛宕や早良区百道浜などの住宅地におきましても、9月や11月に数日間猿が出没し、目撃情報が寄せられております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) それでは、昨年度の具体的な対応状況についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和5年度の対応といたしまして、猿の出没や被害が発生した周辺の自治協議会、小中学校などへの注意喚起や警察と連携したパトロールを迅速に行うとともに、警察、保護者や地域の方々と連携し、登下校時の見守り活動を行いました。また、注意喚起のチラシやポスターなどを地域に配布するとともに、自治協議会や小学校の関係者を直接訪問し、猿の習性や市の取組について説明するなどの対応を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 西区愛宕の住宅地に数日猿が出没したケースについては、地域住民から、ふだん見かけないけど、どのように対応したらよいか分からない、愛宕山にすみついているのではないかとの不安の声も私も聞いたため、不安解消のため、対応を市にお願いしました。その際、猿の習性等も教えていただきました。ニホンザルは本来群れで生活していますが、雄猿は成長すると、元の群れを離れて別の群れに移る習性があり、群れを移ろうとして山を離れた猿が移動の途中に住宅地などに出没する場合があり、このような猿を離れ猿と呼び、西区愛宕のケースとのことでした。昨年の南区や西区のケースは適切な対応により収束しているようですが、今年度になって早良区南部などで猿が出没しております。
そこで、今年度の出没状況についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和6年度は、猿の生息地に近い早良区南部を中心に、住宅地での出没が確認されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 今年度の人的被害の状況と具体的な対応状況についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 本年5月26日日曜日に早良区梅林において、猿が男子児童に軽傷を負わせた事案が発生しております。これに対応し、同日、警察から連絡を受けた早良区役所から、近隣の野芥、田隈校区の自治協議会と公民館に、また、野芥小学校から保護者にメールによる注意喚起を行っております。翌27日からは警察と連携しながら、区職員によるパトロールを継続実施するとともに、市ホームページの注意喚起や、教育委員会から全市立学校に安全指導の徹底を通知しております。また、地元の猟師グループに追い払い活動の強化を依頼いたしました。29日には、福岡県野生鳥獣による人的被害対策協議会緊急会議に出席し、県との情報共有、連携強化を図るとともに、市関係局及び各区に初動対応の徹底を通知するなど、組織的な対応を継続しているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 市街地に猿が出没した場合、とにかく関係者への注意喚起等の初動対応を徹底することが大事であり、迅速な関係者への注意喚起や警察と連携したパトロールの実施、また、私の地元を含めて、直接市職員に現場等に来ていただき、通報された住民、自治協、学校関係者への説明などの対応を行っていただいていることが分かりました。これまでの取組により、一定程度の被害は防げておりますが、市民の不安な気持ちは続いていると思います。
市民が猿に遭遇した際にはどのような点に注意したらよいか、また、被害を予防するために何に注意したらよいか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 野生の猿に遭遇した際の注意点は、1つ目が目を合わせない、走って逃げないこと、2つ目が不用意に近づかない、追いかけないこと、3つ目が絶対に餌を与えないことであり、さらに近隣で目撃情報があった場合には戸締まりの徹底をお願いしたいと考えております。また、被害を予防するためには、餌となる庭の果樹や放置された生ごみをなくすことが重要であると考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 市民一人一人が注意点をしっかり認識して行動することが重要ですが、引き続き福岡市として住民の声を受け止めながら、対策を継続、強化していくことが必要であると考えます。
猿による被害防止策を今後もしっかりと取り組むべきと考えますが、御所見をお尋ねして、1問目を終わります。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農業被害は農業者の所得に影響するほか、営農意欲の減退や離農などにつながるおそれがあり、また、人的被害の発生は市民生活に大きな影響を及ぼすことから、継続した対策が必要であると考えております。今後も農業被害の防止を図るため、猿が農地に近づかない対策を継続して行うとともに、市街地出没時には、県、県警、猟友会などの関係機関と連携を図り、迅速かつ確実な情報共有や注意喚起、被害が発生した際のパトロールの強化などの対策をしっかり行ってまいります。
また、市街地に出没する猿へのより効果的な対策につきましても、県と協議を行いまして、市民の安心、安全の確保に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) ありがとうございます。
次に、商店街電子商品券のプラットフォームの一元化についてお尋ねいたします。
私は、商店街は地域住民に買物の場を提供する地域経済の担い手であるとともに、交流やにぎわいの場を提供する地域コミュニティの担い手として、地域の活力を支える大変重要な存在であると感じております。
このように、地域にとって重要な役割を果たしている商店街ですが、新型コロナの際は、休業要請や市民の外出自粛などによって商店街を訪れる方は減少し、商店街の皆さんにとっても大変厳しい状況が続きました。令和5年5月、ようやく感染症法上5類に移行され、社会経済活動の正常化が進むと思ったところですが、世界的な原材料価格の上昇や円安の影響による物価高騰に見舞われ、多くの商店街は引き続き苦しい状況が続いております。この間も福岡市では様々な支援事業を実施されており、多くの商店街がその支援事業も活用しながら、必死に頑張ってこられた姿を目にしてきました。中でも、商店街プレミアム付商品券の発行支援については、新型コロナウイルス感染症や物価高騰の影響下において、消費を喚起する効果的な事業であると認識しております。
そこでまず、この商店街プレミアム付商品券の発行支援に至った経緯と目的についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 商店街プレミアム付商品券につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により地域経済が大きく落ち込んだことを受け、令和2年度から、身近な地域や市民を対象とした経済活動を促進し、段階的に域内の消費回復に取り組んでいくため、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、福岡県と連動して発行支援を始めたものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) コロナ禍において、経済活動の促進や消費喚起のために商店街プレミアム付商品券の発行の支援をしたのが始まりとのことでしたが、私のところにも地元の姪浜商店会連合会をはじめとする商店街の方から感謝の声が届いております。
当初は新型コロナの蔓延によって活動休止を余儀なくされていた商店街でしたが、地域住民の身近な買物の場を提供していくためにも徐々に活動を再開され、プレミアム付商品券に取り組む商店街もだんだんと増えてきたように感じますが、これまでの商店街プレミアム付商品券の販売状況について、販売団体数と販売額、1団体当たりの平均販売額の推移をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 商店街プレミアム付商品券の販売団体数と販売額、1団体当たりの平均販売額につきましては、令和2年度は39団体、総額約13億2,500万円、1団体当たり平均約3,398万円、3年度は2回販売され、延べ69団体、総額約29億8,900万円、1団体当たり約4,333万円、4年度も2回販売され、延べ69団体、総額約33億7,900万円、1団体当たり約4,898万円の商品券を販売されており、5年度は49団体、総額約28億2,000万円、1団体当たり約5,755万円の販売の見込みでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) やはりプレミアム付商品券の販売に取り組む商店街が年々増えてきており、1団体当たりの販売額も伸びてきていることが分かりました。これは段階を経ながら、商店街に人の流れが戻ってきていることを表わしています。人の流れが戻ってきているとはいえ、商店街というと高齢者のお客さんが多く、商品券というと紙での販売がほとんどというイメージ、先入観があります。
最近では、電子の商品券を発行する商店街が徐々に増えてきているとお聞きしておりますが、商店街プレミアム付商品券において、電子の商品券の販売に取り組んだ団体数の推移についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 電子商品券の販売団体数につきましては、令和2年度は4団体、3年度は9団体、4年度は13団体、5年度は17団体となっており、6年度は39団体が販売を予定しているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 徐々に増加してきた電子商品券の販売に取り組んだ団体数が令和6年に急激に増えたようですが、その理由についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡県が実施する商店街プレミアム付商品券事業の助成制度を利用する場合は、総発行額の20%かつ1,000万円以上の電子商品券を販売することが条件とされ、令和6年度は当該助成制度を利用する全ての団体が条件を満たす必要があることとなったため、電子で商品券を販売する団体が増えたものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 社会システム全体のデジタル化の動きが加速する中で、世の中のキャッシュレスの流れも踏まえ、福岡県は商品券の電子化も推奨しているようですが、電子商品券のメリット、デメリットをお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) まず、電子商品券のメリットにつきましては、電子商品券を販売する場合、紙の商品券では必要となる販売会の開催や券面の回収が不要となるとともに、換金事務もキャッシュレス事業者が行うため、商店街の事務負担が少なく、また、購買データの抽出や分析が容易で、非接触で取引が可能であるという点がございます。
デメリットといたしましては、スマートフォンをお持ちでない方や操作が不慣れな方は購入や利用が困難であることや、システム利用経費や手数料など、商品券販売に係る事務経費が紙の商品券に比べて高額となるという点がございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 電子商品券は、確かに事務経費が紙の場合と比べ高額であるものの、商店街の事務負担を軽減できるメリットがあります。また、それだけでなく、電子商品券はスマートフォンで購入手続が簡単にできることで、これまで商店街で買物をしたことのないような若年層の取り込みや、地域住民だけでなく、より広域の新規の顧客獲得にも効果が見込めるのではないかと考えます。慣れない電子商品券の販売で戸惑う商店街が多いような気もしますが、従来のお客様を大切にしながらも、新規顧客を獲得するという観点から、これを機に、おのおのの商店街が商品券の電子化に前向きに取り組んでいただくことに期待いたします。
デメリットとして挙げられた電子商品券の発行に係る事務経費については、令和6年度は福岡県による支援が行われていると聞いていますが、それぞれの商店街が別々のキャッシュレス事業者のシステムを利用していることから、事務経費の支援も個々の商店街ごとになっているため、多額の費用がかかっていると考えられます。
スライドをお願いします。(資料投影)そこで、このスライドを見ながら、今後の持続可能な電子商品券事業を展望してみたいと思います。左側にあるように、現行ではシステム構築や広報、コールセンター等の運用、換金をそれぞれの参加商店街ごとに行っています。それを右側の従後では、システム構築や広報など、参加商店街の共通する事項においては共通プラットフォームを用意し、可能な限り費用を削減することで、役所からの助成額も軽減させ、今後も引き続き支援していく素地がつくれるのではないかと考えます。
そこで、商店街への商品券事業の助成を持続可能なものとするため、また、これまでの助成のレガシーを残す観点からも、電子商品券の販売に関する共通プラットフォームをつくり、事務局機能を集約してはどうかと考えますが、御所見をお伺いします。
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 経済観光文化局といたしましても、商店街支援に加え、キャッシュレス推進という観点から、電子商品券の販売に関する共通プラットフォームについて研究しているところでございます。共通のプラットフォームや事務局によって、システム構築や広報に係る経費など一部削減できる部分もございますが、システムの運用費や換金手数料、クレジット手数料等の負担をどうするのか、プラットフォームにどれだけの商店街に賛同いただけるかなど、その実現に向けてはまだまだ解決すべき課題が多いと感じておりまして、引き続き研究を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 共通プラットフォームについては引き続き研究していくという答弁でしたが、新型コロナを契機に始まった商店街のプレミアム付商品券、そして、この電子化の流れをこのまま終わらせるのは非常に惜しいと私は感じます。
冒頭にも申し上げましたが、商店街は地域の活力を支える大変重要な存在でありますので、市が共通プラットフォームをつくり、電子商品券、キャッシュレスの推進を下支えする姿は、新たな持続可能な支援の一つの形になり得るはずです。まだまだ解決すべき課題が多いかもしれませんが、ぜひしっかりと検討していただくこと、そして、今後もしっかりと商店街を支援していただくことを要望して、この質問を終わります。
次に、高齢者の健康づくりについてお尋ねいたします。
全国的に高齢化が進む中、福岡市も平成29年に高齢化率が21%を超え、超高齢化社会を迎えております。団塊ジュニア世代が令和22年には65歳以上となりますが、福岡市の高齢化率は全国平均よりも低いものの、国同様、今後も増加し続けると予測されております。
そこで、市の高齢化率の現状と団塊ジュニア世代が65歳以上となる令和22年の予測値があれば、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市の高齢化率につきましては、令和6年3月末現在で22.3%となっております。高齢化率は今後も上昇し、22年度には27.8%になると予測しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 今の答弁のとおり、福岡市においても既に高齢化は進んでおり、今後、より一層進展していくものとされております。そこで、医療、介護へのニーズが一層高まることが予想されておりますが、一方、それに対応するための社会保障費の増大をいかに対応していくかが大きな課題となっているところです。そういった中、いわゆる健康寿命の延伸が重要ではないかと考えます。つまり、高齢者の方々が健康で住み慣れた地域での生活を続けていただくということです。
そこで、市として高齢者が健康を維持し、地域で活躍していただくためにどのような支援を行っているか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 公民館など、市民に身近な場所で介護予防に関する教室や講座を実施しているほか、高齢者が自主的に健康づくりに取り組むよかトレ実践ステーションの支援や、地域で活動する老人クラブの支援などを行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 答弁の中で老人クラブへの言及がありました。そのとおり、老人クラブは元気な高齢者が地域で活躍する場として、非常に重要なものであります。加えて、福岡市で明治に結成された博多高砂会を発祥の一つとする伝統ある団体でもあります。
そこで、老人クラブとはどのような団体か、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 老人クラブとは、おおむね60歳以上の方で構成される、地域を基盤とする高齢者の自主的な組織でございます。令和5年度末現在で631の老人クラブが各地域で活動をされており、地域の老人クラブのほかに、その連合体として校区や区、市の老人クラブ連合会がございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 老人クラブは市内の多くの地域で活動されていることは、今の答弁のとおりです。
あわせて、老人クラブはどんな目的で活動しているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市老人クラブ連合会では、老人クラブの目的として、仲間づくりを通して、生きがいと健康づくりや生活を豊かにする楽しい活動を行うとともに、知識や経験を生かして、地域を豊かにする社会活動に取り組み、明るい長寿社会づくりや保健福祉の向上に努めることを掲げております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 老人クラブは、高齢者の皆様が自主的に集い、それぞれの地域で活動されております。その活動の目的は、冒頭私が申し上げました昨今の社会情勢や認識を踏まえると、極めて重要だと考えます。
そこで、老人クラブは具体的にどういった活動を行っているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 各老人クラブにおいては、地域の清掃や見守りなどの社会奉仕活動、囲碁、将棋、カラオケ、多世代交流などの生きがいを高める活動、健康体操や各種スポーツなどの健康増進活動に取り組まれております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 老人クラブは、地域において様々な活動に取り組んでおられるとのことです。
そこで、老人クラブに対し、市はどういった支援を行っているか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地域の各老人クラブに対しましては、その活動費用の一部を助成しております。また、市及び区老人クラブ連合会が主催するスポーツ大会や、独り暮らしの高齢者などを訪問する友愛訪問といった市老人クラブ連合会の事業費や運営費を助成しております。そのほか、市老人クラブ連合会と連携し、老人クラブの活動のPRを行うなどの広報の支援を実施しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 先ほど、老人クラブにおいて様々なスポーツ活動に取り組まれているとの答弁がありました。また、市老人クラブ連合会においても、スポーツ大会が実施されているとのことです。こういった形で、元気な高齢者が老人クラブを通じて気軽にスポーツに取り組める環境があるということは、冒頭に申し上げた健康寿命の延伸や、加えて社会参加の機会の提供という非常に大きな効果が得られると考えております。
そこで、老人クラブではどのようなスポーツに取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ウオーキングやソフトダーツなど、様々なスポーツに取り組まれておりますが、特に盛んに行われているものはグラウンドゴルフでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) グラウンドゴルフは高齢者に人気の高いスポーツの一つです。グラウンドゴルフは昭和57年に鳥取県の泊村において、高齢化が進む中で生涯楽しむことのできるスポーツとして考案され、翌年に報道で取り上げられたことをきっかけに問合せが増え、全国に広まったとのことです。
グラウンドゴルフはクラブ、ボール、ホールポストなどを用いて、ゴルフのようにボールをクラブで打ち、ホールポストにホールインするまで打数を競う競技でありますが、場所に応じて距離やホールポストの数を自由に設定でき、どこでも、誰でも手軽に楽しめる競技でございます。ルールが分かりやすく、どこでもでき、準備も簡単、また、プレーヤーの数も何人でも一緒に楽しむことができるため、高齢者の健康づくりや仲間づくりなどに非常に適したスポーツであると考えます。
今の答弁においても、老人クラブでも特に盛んであるとのことでしたし、グラウンドゴルフについては、新聞の地域のスポーツ欄などにも大きなスペースに多くの大会の結果が掲載されており、上位入賞された方のお名前などを見て目標にされている方もいらっしゃる、その裾野の広さを感じます。
そこで、老人クラブにおいて、グラウンドゴルフはどの程度実施されているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地域の老人クラブで広く行われており、加えて、校区レベル、区レベル、市レベルでの大会が実施されております。令和5年度の区大会では、7区で1,476人が、市大会では250人が参加されました。また、毎年、全国規模の大会として開催されているねんりんピックでも、グラウンドゴルフは競技種目となっており、5年度は福岡市の代表として6人が参加されました。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 老人クラブという場を通じて、地域でグランドゴルフが広く行われ、それが最終的にねんりんピックという全国規模の大会にまでつながっているところに、グラウンドゴルフがいかに高齢者の皆様に定着しているかが分かります。老人クラブは、先ほど市の答弁の中でもありましたとおり、高齢者の皆様が身近に地域でグラウンドゴルフをはじめとした各種スポーツに取り組む場となっております。これはスポーツを通じた高齢者の健康維持という観点からも、極めて重要なことでないかと考えます。
市は老人クラブへの支援として、活動に対する補助金の交付、大会や友愛訪問などの事業費や事務費の助成、また、老人クラブ活動の広報の支援を行っております。高齢者の皆様が心身ともに健康で、住み慣れた地域で活躍できる環境づくりという観点からも、老人クラブへの支援を引き続きしっかりと取り組んでいただくよう要望します。
次に、グラウンドゴルフは場所を選ばないというのが売りの一つですが、主にどのような場所で実施されているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) グラウンドゴルフにつきましては、自由にコースの長さやホールの数を設定できる屋外スポーツであり、身近な公園や球技場、小学校の校庭など、様々な場所で実施をされております。また、雁の巣レクリエーションセンターには、全天候型の多目的グラウンドもございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 雁の巣レクリエーションセンターに全天候型の多目的グラウンドがあるとのことですが、どのような利用を想定して整備したのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 全天候型の多目的グラウンドにつきましては、主にゲートボールやグラウンドゴルフ、フットサルなどの利用を想定して整備したものでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 全天候型の多目的グラウンドは、子どもから高齢者、障がい者など幅広い市民が、急な降雨や強い日光などを気にすることなく安心して屋外スポーツを楽しめることができるため、広く市民の健康増進に寄与する施設であると考えます。また、雨天で中止されていた大会が天候に関係なく開催可能になることで、大会の開催機会の増にもつながります。私も地元内浜グラウンドゴルフに参加した際に、予定していた大会が雨天のため中止になったことがありました。また、場所を選ばず、身近な公園などで楽しめるのはよいことだと思いますが、中には狭い場所で小さくコース設定をしてやらざるを得ない場合もあります。高齢者は雨天などで風邪を引くと重症化する心配もあります。また、広い場所で気持ちよくプレーしてほしいという思いもあります。施設整備には様々な課題も伴うと考えられますが、全天候型の広々としたグラウンドゴルフ専用のグラウンド整備について、今後検討していただきたいと考えます。
グラウンドゴルフ以外にも、高齢者に親しまれているスポーツはいろいろとあります。昨年、福岡市においては世界マスターズ水泳選手権が開催されましたが、最高齢は95歳の方が出場されたとお聞きしました。陸上の全日本マスターズ大会では、100歳を超える方が出場できるクラスも設けております。また、近年は子どもから高齢者まで一緒に楽しむことができるモルックなどニュースポーツも人気が高まっており、より気軽にできる運動として、公園の健康遊具などを使った簡単な運動やウオーキングなども多くの高齢者に親しまれています。
スポーツについては、子どもや若者などが行う力強い競技スポーツだけでなく、おのおのの体力などの状況に応じて、誰もが親しめる環境をつくっていくことが重要であります。
今後、福岡市においても高齢者が増加していくことが見込まれている中で、高齢者がいつまでも元気に健やかに過ごしていくために、高齢者のスポーツ環境の充実を図っていく必要があると考えますが、所見をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 高齢者のスポーツ環境の充実につきましては、これまでも関係局等と連携を図りながら、施設のバリアフリー化、サインの改善などの利便性向上や、高齢者も参加しやすいニュースポーツの普及促進などに取り組んできたところであります。今後とも、身近な地域でのスポーツ活動のさらなる振興に取り組むなど、生涯にわたってスポーツに親しむことができる場や機会の充実に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 今、高齢者の健康づくりという観点から、スポーツに参加するための環境づくりについてお尋ねしてきました。この点に関しましては、先ほど申し上げましたモルックなどのニュースポーツやeスポーツなど、高齢者が気軽に参加できるスポーツの新しい流れも出てきています。今後、高齢化は一層進行していく中、高齢者の皆様がスポーツや健康づくり活動を通じ、地域で生き生きと過ごすことができるよう取り組むことが重要であると考えております。
最後に、高齢者がスポーツや健康づくり活動などを通じ、地域で生き生きと過ごすことができるよう取り組むことが重要だと考えますが、この点について、市としてどう考え、取り組んでいかれるか、市長の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 人生100年時代を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく活躍できる環境を整えることは、大変重要であると考えております。地域においては、老人クラブに多くの高齢者が参加をし、グラウンドゴルフをはじめとするスポーツなど様々な活動が行われているところでありまして、これらの活動を支援するなど、高齢者の健康づくりに取り組んでいるところでございます。今後とも、高齢者が地域において、元気に生き生きと活躍できるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際休憩し、午後2時35分に再開いたします。
午後2時21分 休憩
午後2時35分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、熱中症対策について、博多港の軍事利用について、島市長の政治資金パーティーについて質問をいたします。
質問の第1は熱中症対策についてです。
今年の夏は全国的に気温が高くなる見込みで、十分な熱中症対策を行ってほしいと気象庁は呼びかけています。
今日は具体的に3点提案してまいります。
まず1点目は、電気代への市独自の助成についてです。
環境局も熱中症予防のために室内でのエアコンの使用を推奨しておられると思いますが、御所見をお伺いいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市では熱中症の危険度を判断する指標、いわゆる暑さ指数が高いときは、エアコンなどを使用するなど適切な予防行動を行っていただくよう、LINEや防災メール、市政だより等で呼びかけております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) エアコンの使用を予防の一番に環境局も掲げています。しかし、今年の電気代の高騰の予想は尋常じゃありません。
お尋ねいたしますが、九州電力は6月に使った電気代から平均的な家庭で幾ら上がるとしていますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 九州電力が令和6年5月に公表した資料によりますと、6月使用分の家庭向け電気料金は、5月使用分と比べて450円上昇するとされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 政府が物価高騰対策として続けてきた電気料金への補助が5月で終わったことにより、去年の同じ月と比べた値上げ幅が40%を超えると報道されています。また、夏は電気代が増える時期であり、九州電力によれば、2022年7月から9月の時期が年平均の14%増の電気量となっています。そうなると、冷房を我慢するのが増えるんじゃないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 電気代が高くなることで、冷房の使用を控える人が出てくる可能性はございますが、熱中症による健康被害を防止するためにもエアコン等を適切に使用していただくよう呼びかけております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 増えるということですね。電気代を考えて使用せず熱中症になる市民が、特に低所得世帯を中心に急増する可能性があると思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 市民の皆様には命を守るためにエアコン等を適切に使用していただきたいと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 自宅で我慢して熱中症が急増する可能性が高いんです。南区で生活保護を利用している母子家庭では、エアコンは帰宅後1時間だけという家庭内ルールをつくり、あとは扇風機の風でしのぎ、子どもたちは保冷剤を頭に張っていると言います。
低所得世帯など支援が必要な方々がエアコンを安心して使用できるよう、電気代への支援が必要だと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 電気料金につきましては、国の電力・ガス激変緩和事業の補助金が5月で終了いたしましたが、国民の負担を緩和するため、6月以降、定額減税や低所得者に対する物価高騰緊急支援給付金の支給などが実施されるものと承知いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) もう給付金は使い切り、そして所得税の控除は低所得に関係ありません。
今、沖縄県では、国の電気代補助制度が始まったときから独自の上乗せをしていたので、使用料が一般的な家庭で一月当たりおよそ1,300円安いとのことです。そして現在、6月議会の議案として低所得者や生活困窮者への電気代の支援策を検討しているそうです。
本市も低所得世帯などの電気代への経済的支援制度をつくるべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 低所得世帯への支援につきましては、令和5年度から住民税非課税世帯等を対象に物価高騰緊急支援給付金を支給してきたところであり、6年度においても新たに非課税となった世帯に対し支給を行うこととしております。今後とも、国の動向を注視しながら、必要な支援を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 支援制度を強く求めておきます。
支援が求められるのは家庭だけではありません。高齢者が入所する福祉施設の電気代も大変です。入所者の外出が少ない施設では、熱中症対策のために終日のエアコン稼働となるため、電気料金の値上げは経営に大きな影響を与えています。119人の入居者がいる市内のある高齢者施設は、電気代の試算をしています。昨年と同じ使用料として今年の7月の電気代を計算したところ、月27万8,000円、年間では340万円の負担増になると予想したそうです。
そこで、高齢者施設にも電気代への補助を行うべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者福祉施設に対しましては、国の交付金を活用し、電気料金などを対象とした物価高騰対策支援金を本年4月分まで支給しております。今後とも、国の動向を注視してまいります。また、施設には環境局が実施するエネルギー診断の専門家派遣や省エネ設備の設置経費の助成など、各種事業の案内を行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) もう終わっている制度のことを言われても仕方ありません。電気代高騰の影響を過小評価しています。支援を強く求めておきます。
次に、2点目の低所得者層へのエアコン設置助成についてです。
熱中症予防のためにエアコンの電気代がかかり過ぎる問題と併せて深刻なのが、エアコンのない世帯がまだ多く残されているということです。内閣府の2023年度消費動向調査によれば、年収300万円以下の世帯では17%でエアコンがありません。エアコンの購入、設置は約9万円かかり、低所得世帯にとっては入手が困難です。
そこで、本市の保護利用世帯でエアコン未設置は5月末時点で何世帯あるのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護受給世帯約3万4,000世帯のうち、冷房器具未設置の世帯数は、令和6年5月末現在418世帯でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 大きな市民の運動もあり、2018年4月以降に生活保護を利用し始めた世帯には、国の通知により、家具什器費の名目でエアコン設置費用が支給されています。418件にはまだそれが届いていないことになります、福岡市では。しかし、それ以前から生活保護を利用していた人たちだから、そういう手だてが講じられていないんです。
お尋ねいたしますが、熱中症対策が求められる中、先ほどのエアコン未設置の418世帯ではエアコンがなくても安全に暮らしていけると思っていらっしゃいますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) エアコン等の適切な使用は熱中症を予防するためには重要であると認識しております。生活保護を受給されている方の冷房器具の購入につきましては、家庭訪問などの機会に、毎月の保護費のやりくりによって計画的に購入するよう助言しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) やりくりして買えと局長は答弁されましたが、最低生活費しか渡していない生活保護世帯で、どうやってやりくりなどできますか。
生活保護法第8条の2項では、生活保護は最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを超えてはならないと定めているじゃありませんか。保護利用の方に聞いても、貯金するお金なんてないと言われていますよ。
エアコン購入のためにやりくりするなんてことはできないと思いますが、答弁求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護を受給されている方には、日常生活に必要な冷房器具などの生活用品の購入費用を含め、生活費を支給していることから、計画的に生活費をやりくりしていただくよう、適宜助言を行っているところでございます。なお、緊急に購入する必要があって購入費用がない場合は、福岡県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度を紹介し、その申請手続のサポートなどを行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 貸付けがあると言われますけどね、それは行政が借金を背負わせるということでしょう。保護課は通常、借金はしてはいけないと利用者に指導しているではないですか。大矛盾していますよ。
さらに、今言われましたけど、エアコン購入、設置費用があなた方が言うやりくりの中に幾ら含まれていると考えているんですか。また、それは何年たてばエアコンを購入できると考えているのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護制度におきましては、日常生活に必要な費用として支給している生活扶助費に冷房器具などの生活用品の購入費用が含まれており、それぞれの世帯の状況に応じて必要な支出が行われているものと認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ろくに計算もしていないのに、やりくりしろとはあまりにも無責任過ぎます。
練馬区では、住民税非課税、児童扶養手当受給、生活保護利用のいずれかの世帯で、自宅に1台も動くエアコンがないところには10万5,000円の助成をする制度をつくっていますよ。見習うべきです。
したがって、本市でもエアコン未設置の低所得世帯への助成制度を独自につくるべきだと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 冷房器具の購入費を含め、生活保護制度は国において一定の基準を定め、実施されているものでございますので、今後も国の動向を注視してまいります。冷房器具の購入につきましては、保護費のやりくりによって計画的に購入いただくよう、適宜助言を行うとともに、やりくりが難しい場合には貸付制度の紹介や申請のサポートを行っているところでございます。今後とも、生活保護を受給されている方の支援にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 冷たい答弁です。低所得世帯への支援を求めておきます。
次に、3点目、私が昨年提案したクーリングシェルターについてです。
これは改正気候変動適応法に基づいて、熱中症のリスクを減らすために、危険な暑さから避難できる場所として市が指定する施設です。本市の今年度の計画ではどんなところに、そして何か所設置する予定ですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) クーリングシェルターにつきましては、気候変動適応法に基づき、県内全ての予測地点が暑さ指数35以上のときに熱中症特別警戒アラートが発表され、市民へ開放する義務が生じる施設のことですが、現時点で公民館や市民体育館等の公共施設のほか、商業施設や薬局などの民間施設も合わせて計273施設を指定いたしております。なお、福岡市におきましては、熱中症特別警戒アラート発表時以外においても、公民館等の公共施設や商業施設等の民間施設を涼みどころとして御活用いただけるクールシェアふくおかの取組を平成24年度から、コロナの時期を除き、継続的に実施しており、令和6年度はクーリングシェルター指定施設を含め、現時点で計424施設に御協力いただくことといたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) クーリングシェルターの設置について、環境省は運営に関する事例や手引を出しています。その中で、設置されている物品として、休憩のための椅子、水分補給のための水、体調不良者のための清涼飲料水、タオル、保冷剤などの例示があります。これらの物品はクーリングシェルターに設置されているのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 椅子やウオーターサーバーなどの設備につきましては、クーリングシェルターとして必ず備えるべき要件には含まれておりませんが、施設によっては設置しているところもございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) その物品の設置費用は誰が負担するのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 施設にもともと設置している設備を活用していただくことを基本としておりますが、新たに椅子などを設置する場合は施設にて準備していただくこととなります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) お聞きいただいたように、本市に負担の義務はないと言われ、協力事業者の負担を前提とされています。市民の命を守るための施設です。予算もつけ、助成を実施すべきではないですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 飲料水や冷却剤など、一部の消耗品等につきましては、希望する施設に対して福岡市からお渡しすることといたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 実施を強く求めておきます。
現時点でシェルターには薬局などが想定されているようですが、やはり暑くなって倒れそうになって駆け込むのでは遅いのです。暑くなる前に寝転べて、そしてそういう広い空間がある避難施設として求められます。
したがって、今、公民館などは言われていますけど、図書館などもそれに含めて、一定の空間のある公共施設にクーリングシェルターを広げるべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) クーリングシェルターにつきましては、公民館や市民体育館などの公共施設のほか、商業施設や薬局などの民間施設も合わせまして、現時点で計273施設を指定いたしております。なお、現在も協力施設を募集しており、引き続き市民が利用しやすい施設の指定に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 私、具体的に図書館などの例も挙げていますので、充実を求めておきます。
ここまで熱中症対策についてただしてまいりました。電気代を気にしてエアコンの利用を我慢する人が出ると分かっていても電気代支援はしない、低所得者へのエアコン設置費用の助成はやらない、クーリングシェルターもやっているようで中身はまだ伴っていない。熱中症による救急搬送人員は毎年数万人を超え、死者数は年間1,000人を超える水準であり、国民の命に直結する深刻な問題です。
したがって、本市として熱中症対策を市民への啓発で終わりとせず、具体的に電気代の支援、エアコン設置の助成、そして広いスペースを取ったクーリングシェルターの設置と物品の充実など、急いで実施すべきだと思いますが、この問題の最後に市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 2023年の世界の平均気温は観測史上最高を記録するなど、加速する地球温暖化の影響によって熱中症患者の増加が懸念されていると認識をしております。福岡市では、市民の熱中症による健康被害を防止することを目的として、暑さ指数の情報発信や予防行動の啓発などの熱中症対策に取り組むとともに、独自にクーリングシェルターへの飲料水などの消耗品等の提供を予定しているところでございます。引き続き、熱中症予防のための効果的な啓発を行うとともに、クーリングシェルターのさらなる指定に加え、特別警戒アラートの発表の有無にかかわらず、涼しい施設で一休みできるクールシェアふくおかを推進し、官民連携して熱中症対策に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 熱中症対策の抜本的な強化を求めておきます。
次に、博多港の軍事利用についてただしてまいります。
岸田政権は、自衛隊等の訓練や有事の際の展開などのために全国の特定港湾などを整備し、機能を強化する仕組みを設けるとしました。政府は博多港を指定してよいかということを本年3月26日に市長への文書で依頼し、市長は同日、国に質問を送付、翌27日には国交省、内閣官房等が市役所に来て質問への回答を説明し、翌28日、市長は確認したという文書を回答。それを受け、政府は4月1日に博多港を特定利用港湾に指定しました。この間、市民や議会への説明はまともに行われておりません。今日はそのごまかしについて4点ただしていきます。
第1の問題は、軍事利用ではなく災害対応だというごまかしについてです。
市長は4月8日の記者会見で、特に期待されるのは災害時等の物資の支援などとして、本事業の目的が災害対応であるかのように装ってきました。
お尋ねいたしますが、そもそも特定利用港湾というのは、3月26日の国からの正式な依頼文書名は何だったのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 国からの正式な依頼文書名につきましては、総合的な防衛体制の強化のための公共インフラ整備でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 防衛体制の強化だと言われました。つまり、本事業の目的は正式依頼文書にあるとおり、防衛であり、これは市長の言うところの災害対策とは違うのではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 今回、国との間で確認した円滑な利用に関する枠組みにつきましては、自衛隊や海上保安庁の優先利用のためのものではなく、福岡市が港湾管理者として港湾法、その他の関係法令に基づいた自衛隊等の施設の利用調整について、関係者間で連携していくというものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) では、防衛目的ではないかと確認したんですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 円滑な利用に関する枠組みにつきましては、国からの依頼文書に武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態を除くと明記されていたことから、また、国が既に公表していたQ&Aの記載内容も踏まえ、新たに港湾管理者に義務を課したり、権利を制限するものではないことを国に確認しております。よって、博多港の実情や利用実態が変わるものではございません。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 防衛目的ではないかと確認していないということが今ので分かりました。
さらに、防衛省は平素における訓練のほかとして弾道ミサイル対処を例示しています。こうなれば、完全に防衛が目的です。あなた方はあたかも、この事業が災害対応が目的であるかのように装っていますが、実際には災害ではなく、防衛、つまり軍事を目的とした訓練が行われるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 訓練につきましては、国が公表しているQ&Aによりますと、国民保護のための輸送艦等による訓練や災害対応訓練等が想定されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 防衛、つまり軍事が事業の目的であることは否定できませんでした。
では次に、有事は別の枠組みというごまかしについてです。
そもそもこの事業は、安保3文書の一つである国家安全保障戦略に基づくものであり、同戦略で総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊による平素の訓練、有事の際の展開などを目的とした空港、港湾の公共インフラの整備と述べています。平素の訓練を下に有事の際の展開を行うと書いてあるわけですね。つまり、有事を念頭に置いた平時の訓練に博多港が使われるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) あくまでも商船の荷役等に支障がない場合を前提とした上で、今回、国との間で確認した円滑な利用に関する枠組みを踏まえ、平素における自衛隊等の広報や訓練などの場合や大規模災害時等における国民の生命、財産を守る上で緊急性が高い場合、船舶の不測の事故等で緊急性が高い場合に港湾管理者として施設を利用させることになると想定しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) またごまかされました。平素からの訓練は有事につながっているんですよ。
では、別の角度からお聞きしますが、平時の訓練が有事の際の攻撃目標になるという問題です。3月26日の参院予算委員会の公聴会で元陸上総隊司令官は、自衛隊の艦艇に住民を乗せて国民保護をやると国際法規上攻撃の対象になると公述するなど、標的となる危険性を否定できませんでした。内閣府のQ&Aでも指定された港湾で国民保護の避難や訓練をすると書いてあります。このことは、博多港での訓練が攻撃目標となるリスクが高まることだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 今回、国との間で確認しました、円滑な利用に関する枠組みにつきましては、新たに自衛隊の基地や駐屯地を造るものではないため、博多港の実情や利用実態が変わるものではなく、特定利用港湾となっても攻撃対象として結びつくものではないと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) いろいろ言われますが、平時からの訓練を行うことで攻撃のリスクは高まります。結局、有事のために平時から訓練を行っていることが明らかになりました。
したがって、市長は有事は別の枠組みと言うけど、実際には有事と平時は深くつながっていると思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 今回、国との間で確認した円滑な利用に関する枠組みにつきましては、新たに自衛隊の駐屯地や基地を造るものではございません。博多港は商港であり、自衛隊等の利用についてはこれまでどおり、既存の関係法令等に基づき対応してまいります。なお、国の安全保障に関する問題は国の責任において適切に対応されるものと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 平時の訓練地にすることは許されません。
では、3番目、これまでと何も変わらないというごまかしについてです。
市長は、これまでと運用は全く変わらないと記者会見で述べています。大体国が指定する代わりに港湾整備費用まで出してやると言っているのに、何も変わらないはずがあり得ません。実際、平時の訓練以外にも緊急性が高い場合に自衛隊が港湾を利用するとされています。
お尋ねいたしますが、防衛省の言う緊急性が高い場合とはどういう場合のことだと認識されていますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港における港湾施設の円滑な利用に関する枠組みを確認するに当たりまして、本市から国へ行った質問に対する内閣官房、国土交通省、防衛省の連名での回答によりますと、大規模災害時等における国民の生命、財産を守る上で緊急性が高い場合や、船舶の不測の事故等の安全を確認する上で緊急性が高い場合を想定されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 災害と不測の事故だと言われるんですよね。しかし、3つの港が特定利用港湾に指定された高知県は、緊急性が高い場合とは、武力攻撃事態のような有事ではなくても、国際情勢が緊迫した場合も含まれるとの判断を県民に示しています。また、防衛省も北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射に対する対応を緊急性が高い場合に挙げています。
お尋ねいたしますが、国際情勢が緊迫した場合や北朝鮮のミサイル対応は有事ではないが、緊急性が高い場合に含まれると思いますけど、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 御指摘のミサイル対応につきまして個別に確認はしておりませんが、今回の枠組みにおきまして、国際情勢が緊迫し、国民の生命、財産を守る上で緊急性が高いかどうかの判断につきましては、国が個々の状況に応じて判断されるものと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 否定されるので、ちょっとお尋ねしますけど、災害と不測の事故以外、緊急性が高い場合に、今、ミサイル対応は聞いていないと言われましたけど、国際情勢の緊迫した場合とか、こういうものは含まれるのかどうか、防衛省に直接本市は確認したんですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 国に対して内閣府及び国土交通省及び防衛省に対して個別に確認はいたしておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) では、緊急性が高いと国が判断した場合、本市は、ちょっと待ってください、緊急性は高くないから博多港は使えませんと言えるんですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 緊急性が高いと国が判断した場合におきましても、商船の荷役等に支障がないことを確認した上で、港湾管理者として施設の利用について判断してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 言えると強弁されました。
ここで資料1を映してください。(資料投影)防衛省は国会答弁で、緊急性の判断は関係省庁と管理者が連携して行うと述べています。資料1は、市長が政府に出した質問、これが四角囲みで書かれています。それへの国の回答、それがその四角囲みの下に書かれています。私はこれを見て驚きました。質問項目の3つ目に、私のほうで赤いアンダーラインを引かせてもらいましたが、わざわざ市のほうから、安保、防衛は国の専掌事項と規定しているじゃありませんか。それは協議の場で国が安全保障に関わって緊急性を持ち出した場合は、本市は何の権限もないですよと文書化しているということです。消してください。
つまり、市長は何も変わらないと言うけど、自衛隊から緊急性が高いと言われれば、事実上、有事でなくても博多港の優先使用を認めてしまうものになりかねない約束をしているのと同じだと思いますが、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 繰り返しになりますけれども、緊急性が高いと国が判断した場合におきましても、商船の荷役等に支障がないことを確認した上で、港湾管理者として施設の利用について判断してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 今のやり取りで、有事になる前でも、平時から博多港を自衛隊に提供せざるを得ない約束を本市がしてしまっているということが分かりました。
では、4番目のごまかしである米軍使用問題についてお聞きします。
岸田政権の下でシームレスな統合として、米軍と自衛隊の指揮系統や情報共有などが一体、強化されてきています。4月2日付、西日本新聞は、米軍の利用を懸念する声に対し、Q&Aは米軍が本枠組みに参加することはないと明記。しかし、米軍は日米地位協定第5条に基づき、民間の空港や港湾を利用できる。政府関係者は日米地位協定を持ち出されれば拒否できないと明かす。日米地位協定による利用の可能性について、福岡市の担当者は、そういう話は初めて聞いたと驚くと報道しています。
お尋ねいたしますけど、この報道は間違いありませんか。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 今回の枠組みに米軍が参加していないということにつきましては、国のQ&Aでも確認をしていたところでございます。当該取材におきまして、記者から日米地位協定と今回の枠組みを混同する質問を受けたことに対して、そのような内容は承知していないと担当者が答えたと報告を受けております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 特定利用港湾で米軍使用はないと言われます。
資料2を写してください。(資料投影)3月27日の市長などが国の担当者から特定利用港湾について説明を受けたときの記録です。ちょっと小さいかもしれません。主な質疑、応答を赤線で囲んでいますが、この中に一切、市長は米軍の博多港の使用について何ひとつ聞いていません。資料を消してください。
それは、米軍の博多港の使用可能性について、市は何も検討、確認しなかったということだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) あらかじめ国のホームページにおいて示されていたQ&Aにおきまして、今回の枠組みに米軍が参加していないことは確認していたところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 先ほどの西日本新聞も、政府は、そのような質問は市からなかったというふうに言っていると報道されているんですよ。さらに、この記事にあるように、米軍の博多港の使用は日米地位協定第5条に基づき利用できると書いてあります。そうなんですよ。
したがって、福岡市は米軍が使用を強く求めれば拒否できないと思いますけど、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 日米地位協定に基づく米艦の博多港への入港につきましては、国の所掌事務であり、米艦が日本の港に出入りする場合は、日本国の当局に通告すれば入港できることとなっております。博多港では、これまでも商船の荷役等に支障がない場合に米軍の港湾施設利用を許可した事跡がございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) だから、日米地位協定に基づけば拒否できないでしょう。
資料の3を映してください。(資料投影)これは国会で示された防衛省の2022年の資料です。この資料は特定利用港湾という制度をつくる前に、防衛省の中で検討メモとして出されているものです。上から2行目、空港・港湾等の優先利用の確保として、3行目の終わりから赤い線を引いています、港湾等の施設を自衛隊及び米軍が優先的に利用できるよう、平素から調整を行っておくことが必要と明記されています。防衛省は国民に対してごまかし続けている。そして、あなた方はそれを分かっていて、市民と議会をごまかし続けているんです。消してください。
ここまで市長の言う4つのごまかしについて見てきました。災害対応だと言うが、防衛そのものであること、有事は別の枠組みだと言いますけど、平素の訓練と地続きであること、これまでと何も変わらないと言いますけど、軍事に率先してなし崩し的に優先利用を認めていること、さらに米軍の使用については抵抗さえしていないことが明らかになりました。こんなものを受け入れていたら、このまちは戦争に巻き込まれることになります。絶対に許されません。
そこで、この問題の最後に市長に聞きます。
本市の市民の命と財産、平和のまち福岡市を守るために、特定利用港湾については指定を撤回するよう政府に求めるべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 博多港は福岡のみならず、九州全体の市民生活や経済活動を支える重要な役割を果たしております。特定利用港湾となっても、博多港が広く民間に利用されている商港であることは変わるものでなく、福岡市といたしましては、港湾管理者として、これまでどおり、市民生活の安全を確保するという立場で、既存の関係法令等に基づき、自衛隊や海上保安庁の利用について適切に対応してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 最後までごまかし続けられました。国と一緒になって戦争する国づくりを進めることは許されません。
次に、島市長の政治資金パーティーについてただしてまいります。
今、日本中で政治と金の問題が自民党裏金事件を契機に大沸騰しています。パーティーで裏金をつくってきた、そこでつくった金を報告書に記載もしていなかった問題です。そういう中、本日は市長の金集めの在り方についてただしてまいります。
あなたの2022年の政治資金パーティーは何回開催し、年間のパーティー収入と事業費は幾らですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 県のホームページに公表されている事実につきましては、私のほうから答弁させていただきます。令和4年の市政報告会につきましては、2回開催し、収入の合計は7,286万円、開催事業費は1,100万円余となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 2回で収入7,286万円、事業費は約1,100万円、収入に対する支出は僅かに約15%であり、約85%の利益率。この利益率は高過ぎると思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法第8条の2に規定されている政治資金パーティーとして、私を応援、支援していただいている方々に対して市政報告などを行うため、政治活動の一環として開催されたものでございます。市政報告会の会費につきましては、報告会へ参加する債務の履行、すなわち対価として支払われるものであり、法に基づき適切に対応しております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 駒澤大学の富崎隆教授は、パーティーは利益率の高さからも分かるように、対価性が極めて低く、事実上の献金だと朝日新聞で述べられています。
お尋ねいたしますが、あなたのやり方も大きな問題だと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づく政治資金パーティーであり、法に基づき適切に対応しております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 法に基づき適切、答弁も国会での自民党とうり二つじゃありませんか。
では、パーティー券の透明性について聞きます。
政治資金規正法では、政治資金パーティーは20万円以上の購入者のみの報告が義務づけられており、透明性が低くなっています。市長の政治資金団体、アジアリーダー都市研究会の2022年のパーティー券の購入者は、福岡市医師連盟の60万円以外は不明となっています。収入7,286万円に対し公開率は0.8%です。政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにすることです。それに照らせば、公開率0.8%というのは、これもまた大きな問題だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続を行い、必要な届出及び公表は全て行われております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 政治資金規正法上、問題ないというのは、今日もはや通用しないんですよ。
前述の富崎隆教授は、パーティーは献金に比べ、誰が券を購入したかなどを外部から検証しにくく、匿名性の高さは不正の隠れみのになりかねないと述べられています。
市民の怒りの矛先は誰が買ったか公開しない、何に使われているか不明という透明性の問題です。市長は政治家として、御自分のパーティー券購入者を自ら明らかにするべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続を行い、必要な届出及び公表は全て行われております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 拒まれました。なぜ公開しなければならないのか、それはあなたが市長だからですよ。パーティー券購入者の中に市の公共事業受注企業や、例えば、反社会的集団が含まれていたら大問題です。
市長は市の公共事業受注企業や問題のある相手から買ってもらっていないと言い切れますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、市内外から幅広い分野の皆様に御来場いただいており、私を応援、支援いただいている方々に市政報告などを行うため、政治活動の一環として開催したものであり、法に基づき適切に対応しております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 言い切れておりません。
2022年9月議会で、市長は統一教会が市長のパーティー券を購入したか否かを問われ、一切ないと答弁しています。
お尋ねいたしますが、同様に全容を明らかにするべきではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続を行い、必要な届出及び公表は全て行われております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) これも拒まれる。
では、あなたの政治資金のうち、2022年の支出総額とその内訳としての組織活動費は幾らか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市長の資金管理団体の収支報告書によりますと、令和4年の支出総額は5,850万円余で、そのうち組織活動費は2,601万円余となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) では、支出の半分近くを占めるこの組織活動費というのは何に使われたのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 組織活動費については、大会費、行事費、組織対策費、交際費など、団体の組織活動に要する経費を計上することとなっており、その内容を記載しております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) これもほとんど何に使われているか分からないということですよね。市長もちゃんと説明すべきなどの市民からの懸念の声が出ています。福岡市長の政治倫理に関する条例第3条2項は、市長は疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならないと規定されています。これを市長は遵守すべきです。
今、自民党政治に対して、政治資金パーティーという抜け道を使い、大規模な裏金づくりがシステム化されてきたこと、さらには政治資金パーティーが形を変えた企業献金であることに国民の怒りが沸騰しています。それが分からないのであれば、国会の自民党と同じです。
お尋ねいたしますが、持たれている疑念を自ら明らかにするべきでありませんか。また、そもそも主権者国民の怒りが広がっている政治と金の問題をあなたはどのように考えているのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 現在、国会において審議されている政治資金規正法改正案については、その議論の推移を注視していきたいと考えております。また、市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続を行い、必要な届出及び公表は全て行われております。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 従前と変わらない答弁、しかも人ごとです。国民の厳しい視線を理解しておられません。
今日は市長の政治資金の問題についてただしてまいりました。しかし、市長の従前と変わらない、何も変わらないという答弁を、壊れたレコードのように繰り返されました。あなたのやっている金集めにはますます厳しい市民の目が向けられますよ。市民の政治不信を招かないよう、品位と名誉を損なう行為は慎むというのが市長の政治倫理の責務であり、率先してなされるべきことだと思います。
したがって、市長は政治資金パーティーについて、これまでの購入者及び組織活動費を公開するとともに、今後、政治資金パーティーの開催はやめるべきだと思いますが、最後に市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づき適正な手続を行い、必要な届出及び公表は全て行われております。今後とも、法にのっとり適切に対応してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、蛍光灯から脱炭素社会の実現に向けて、若者が活躍し福祉の増進が図られる都市づくりについて、以上2点質問いたします。
初めに、蛍光灯から脱炭素社会の実現に向けてです。
今年になって、2027年の蛍光管製造禁止に備え迅速なLED化をとの報道を目にしました。この記事では、水俣条約では既に水銀灯の生産と輸出入が禁止されていること、また、今回は2026年にコンパクト蛍光灯が、2027年には直管蛍光灯が製造禁止となることが決まったということで、全ての一般照明用蛍光ランプの製造は終了し、流通、販売ができなくなる、早めにLEDに切替えをという内容でした。
蛍光灯の製造が禁止される理由は、製造に使用される水銀が水俣病の原因となる可能性があるためで、水俣病は工場などからの排出水に含まれているメチル水銀化合物を吸収した魚などを人間が食べることによって引き起こされる神経疾患です。水銀に関する水俣条約は、水銀の使用、特にその健康への影響と環境汚染を規制する国際条約です。その条約は平成25年10月に熊本市で開かれた国際会議で採択され、平成29年8月に発効いたしました。条約の目的は、水銀による健康被害や環境汚染を防止することにあります。そのために水銀の使用と国際的な輸出入の規制が定められているのであります。
この水俣条約に関しては、我が会派の大石修二議員が平成28年第5回定例会の一般質問において、水俣条約発効における水銀廃棄物の回収及び処理についてと題し、水銀を含む蛍光管の拠点回収など、市民への周知徹底を提案した経緯がありますが、今回は別の角度から質問してまいります。
まず、水俣条約の現在の締約国数についてお伺いいたします。また、蛍光ランプについて、水俣条約が発効された平成29年に一部の蛍光ランプの廃止期限が定められていたと認識していますが、令和5年の第5回締約国会議の合意でどう変わるのか、環境局にお尋ねいたします。
以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 国連環境計画のホームページによりますと、水銀に関する水俣条約、いわゆる水俣条約の締約国数は、令和6年5月31日現在で148の国や地域となっております。令和5年11月の第5回締約国会議では、水俣条約発効時に規制された水銀添加製品に加え、新たにボタン電池や蛍光ランプなど9種類の製品の製造及び輸出入の禁止について合意されました。これにより、医療用など特殊な用途を除いた一般照明用の全ての蛍光ランプの製造が令和9年末までに終了となるものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 水俣条約が採択された平成25年10月10日時点では92か国が署名を行いました。その後、各国で加盟手続が行われ、現在、締約国が148か国、地域に広がってきています。
水俣条約締約国が増えている状況について、本市はどのように認識しているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 水俣病を経験した日本が地球規模での水銀汚染防止を進めていくためには、多くの国の参画が不可欠であるとの認識の下、各国による条約締結を積極的に促してきたことが、水俣条約の締約国が増加した要因の一つであると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 照明器具はLEDの器具やランプが製品化されており、蛍光ランプが製造、販売終了となれば、LED照明に置き換わっていくと思います。しかし、LED製品は高額であることがデメリットかと思います。
それでは、LED化のメリットは何なのか、確認の意味でお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) LED照明は蛍光灯と比較して寿命が長く、また、同等の明るさを出すための消費電力が少ないことから、CO2排出削減につながるといったメリットがございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただきましたように、蛍光灯のLED化にはメリットがあります。従来の蛍光灯とLED照明の比較を表にしましたので、表を見ていただきたいと思います。
資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)これは天井埋め込み型の蛍光灯照明器具から右側のLED照明に換えた場合の事例です。ランプの寿命についての比較ですが、従来品は1万2,000時間に対しLEDは4万時間。1台当たりの消費電力の比較は、従来品は65ワットに対しLEDは31.9ワット。年間使用電力量の比較、100台当たりですが、従来品は1万8,720キロワットアワー、LEDは9,187キロワットアワー。年間CO2排出量の比較です。100台当たり従来品は約8.6トンに対しLEDは約4.2トン。年間電気代の比較ですが、これは100台当たり従来品約51万4,000円に対しLEDは約25万2,000円。このように差が明確に出ております。投影ありがとうございました。
御覧いただいたとおり、蛍光灯は早めにLEDに切り替えたほうが経済的であることは間違いないのであります。
そこで、政府や市役所の蛍光灯のLED化の計画等の詳細をお伺いいたします。
また、本市として市内一般家庭への照明灯LED化の目標等は設定、公開されているのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく政府の実行計画では、既存設備を含めた政府全体のLED照明の導入割合を2030年度までに100%とするとされております。福岡市役所におきましては、地球温暖化対策率先実行計画におきまして、施設の新築や改修時に先進的な高効率機器の導入、建物の高断熱化等を考慮、反映した整備を実施することとしており、照明設備の工事を行う際は原則LED照明を導入することといたしております。
一般家庭における照明のLED化に関する目標は設定いたしておりませんが、ホームページなどで公表しております2030年度までを計画期間とする福岡市地球温暖化対策実行計画におきまして、家庭部門における市民が取り組むべき事例として、照明にはLEDライトを使用することを記載いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただいたとおり、政府は国有施設のLED化を2030年までに100%を目指し計画しているとのことでした。しかし、このたびの水俣条約における2027年末までに製造中止とする取決めは、政府施設のLED化も2027年達成完了へと目標が3年前倒しになることが予想されます。本市もLED化の流れを早めるべきと考えます。
本市の市有施設及び道路照明灯には多くの直管蛍光灯があると思います。主なものとして、道路の照明灯や学校施設、市営住宅の共用部分、市役所本庁舎の蛍光灯においてLED化はどれくらい完了しているのか。また、その個々の計画があれば、計画と進捗率についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路照明灯につきましては、平成24年度からLED化を開始し、令和8年度完了を目標に進めております。令和5年度末時点で管理基数約3万8,000基のうち、約3万4,700基のLED化が完了し、進捗率は約91%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校施設につきましては、平成23年度よりLED化を開始しております。令和6年5月末時点で全230校のうち142校でLED化に取り組んでおり、進捗率は約62%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅の共用廊下等につきましては、平成23年度からLED化を進めておりますが、令和5年度末時点で管理棟数785棟のうち、570棟をLED化し、進捗率は約73%であり、令和7年度までに完了するよう取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 市役所本庁舎におきましては、平成21年度から改修工事などに合わせてLED化を進め、令和5年度末時点で直管蛍光灯約1万8,400本のうち、約1,400本をLED化しており、進捗率は約8%となっております。残る蛍光灯につきましては、非常用階段灯など一部を除き、全てを令和7年度までに完了するよう取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 本庁舎、頑張っていただきたいと思います。答弁によると、大枠令和8年度までにはLED化が全て完了する見込みとのことでありました。大変かとは思いますが、教育委員会の所管の学校施設、また、今日は尋ねませんでしたが、各区役所施設や地下鉄等の市有施設のLED化も同じタイミングで完了できるように整備を進めるべきと申し上げ、要望いたします。
また、一般家庭用の照明灯のLED化については、普及の進捗状況を掌握することが難しいことから、目標は設定されていなかったと思います。今回のような製造終了というようなきっかけを機会に、脱炭素社会への取組を広く周知されることが必要であります。
そもそも一般市民や事業者向けに、この直管蛍光灯製造及び販売中止となる情報は周知されているのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 現在、国のホームページにおきまして、令和9年末までに蛍光ランプなど9種類の水銀添加製品の製造及び輸出入を段階的に廃止することが公表されております。国からは、今後、政令の改正を行った後、蛍光ランプなど製品種別ごとの具体的な廃止時期も併せて周知を行っていくと聞いており、福岡市におきましても、政令の改正状況など、国の動向も確認しながら、市民や事業者への周知を図ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) LED製品への切替えは、一般的な蛍光灯や電球を利用している一般市民にとって負担増となりますが、国からの補助金等の支援策はあるのか、また、市独自の支援策はあるのか伺います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) LED照明を対象とした支援策につきましては、国が事業者を対象とした省エネルギー投資促進支援事業費補助金において、特定の制御機能付LED照明器具を対象に、機器費の3分の1、1億円を上限に補助を行っております。福岡市におきましては、独自の支援策として、中小企業者等を対象とする事業所の省エネ設備導入支援事業におきまして、明るさを制御する機能を有するLED照明器具を対象に、機器費の2分の1、300万円を上限に補助を行っております。また、市民を対象としたECOチャレンジ応援事業におきまして、LED照明を購入した場合、2,000ポイントを上限に交通系ICカードのポイントを付与いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただきましたが、このことをどれだけの市民が知っているのか疑問であります。
この事業所を対象とした支援事業の申請時期はいつからいつまでか、また市民を対象としたECOチャレンジ応援事業の申請時期はいつからいつまでなのか、お伺いいたします。
また、申請期間内であっても予算額の上限に達し、受付を終了するようなことはないのか、その場合の追加支援はないのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 事業所の省エネ設備導入支援事業の申請期間につきましては、5月7日から11月29日まで、ECOチャレンジ応援事業につきましては、事前の参加登録を必要としておりまして、登録期間は5月7日から12月31日まででございます。
いずれの事業につきましても、予算額、募集世帯の上限に達した場合は受付を終了することといたしております。追加的な支援につきましては、現時点では想定いたしておりませんが、まずはこれらの事業を市民や事業者に御活用いただけるよう、しっかりと周知いたしてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 昨年は福岡市民限定で省エネ家電買い換えキャンペーンが実施されたと記憶しております。この省エネ家電買い換えキャンペーンの概要、補助世帯数等の実績、予算執行率及び予算額等の詳細をお伺いいたします。
また、福岡市独自のこの事業を今後も実施すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 省エネ家電買い換えキャンペーンにつきましては、令和5年度に国の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を財源として実施した事業であり、市内居住の世帯を対象に、市内の店舗で省エネ基準達成率100%以上のエアコン、冷蔵庫、照明、テレビを合計5万円以上購入することを要件に、最大3万円を補助する事業でございました。実績といたしましては、補助世帯数は1万5,419世帯となり、予算額4億7,500万円に対し、執行率は99.5%となっております。
令和6年度につきましては、国の交付金の活用ができなかったことから、キャンペーン事業は実施しておりませんが、脱炭素行動を実践した市民に対し、交通系ICカードのポイントを付与するECOチャレンジ応援事業において、省エネ家電に買い換えた世帯を対象に2,000円相当のポイントを付与するとともに、あわせて省エネ家電への買換えは電気代の節減や省エネ、CO2排出削減にもつながることを広報するなど、引き続き省エネ家電の買換えを推進してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 執行率が99%を超え、いかに市民の関心が高かったかがうかがえます。財源となった国からの交付金がないので、昨年度のような省エネ家電買い換えキャンペーンはできないとの答弁でありました。今年度はECOチャレンジ応援事業のみの実施です。
一般家庭において蛍光灯は、電球が切れてから購入するケースもあるかと思います。買い換えようと思ったら既に事業が終了していたということも想定されます。早めにLEDに切り替えていただくことで脱炭素社会の取組に貢献していることを実感してもらい、経済的メリットを感じてもらうことが重要で、ECOチャレンジ応援事業は買換えの後押しとなる有効な取組です。今後も継続して事業を実施していただきたいと、求めておきたいと思います。
福岡市独自の蛍光灯LED化切替え支援策をもっと積極的に周知し、事業者や一般家庭を支援すべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) LED照明への切替えに対する補助金をはじめとした脱炭素関連の補助金につきましては、市民、事業者向けの補助事業をカーボンニュートラルパッケージとして一体的に広報しており、市政だよりやSNS、ホームページでの広報に加え、様々な業界団体への周知を行っているところでございます。今後は蛍光ランプが製造されなくなることも併せて広報し、市民、事業者のLEDへの切替えを推進してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 脱炭素社会へのチャレンジは自治体が旗を振り、市民団体や事業者等、様々な主体と連携しながら取組を進めていくことが不可欠です。
本市はCO2削減、脱炭素社会の実現といった持続可能な社会づくりを行うため、市民団体や事業者等と連携し、多くの市民が気軽に来場できる市民参加型の啓発イベントはあるのか、あるならばいつからどのように取り組んでいるのか、また、その予算額をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市では平成15年度より市民団体、事業者、学校、行政の共働により、来場者が楽しみながら脱炭素社会への取組をはじめ、環境について学べる啓発イベント、環境フェスティバルふくおかを市役所西側のふれあい広場などで開催いたしております。イベントは、事業者、行政等で組織する実行委員会の主催で、実行委員会事務局である環境局が中心となり、各主体と連携を図りながら実施いたしております。なお、令和6年度の福岡市の予算額は1,350万円でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) これまで、全ての一般照明用の蛍光灯管が製造禁止されるということから始まり、照明のLED化について、そして脱炭素社会の実現について展開し質問をしてまいりました。
福岡市は、国より10年早い2040年度の脱炭素社会を実現するという目標を掲げております。この目標の達成に向けて、市民へのLED照明への切替えといった脱炭素の取組を自分ごととして主体的に実践することができる市民参加型の取組が必要です。脱炭素社会実現に向けてピッチを上げて進めていくべきと考えますが、この質問の最後に島市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 脱炭素社会の実現に向けては、市役所自身の率先した取組に加え、市民、事業者の皆様の脱炭素行動への関心、共感を広げることによって、一人一人の実践につなげていくことが大変重要であると考えております。
このため、ECOチャレンジ応援事業や環境フェスティバルといった、これまでの市民参加型の事業に加え、Z世代などの若者や中小企業など、幅広い対象への広報、啓発を強化することによって、市民、事業者による主体的な意識改革、行動変容を促し、脱炭素型ライフスタイル、ビジネススタイルの浸透を図ってまいります。以上です。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 次に、若者が活躍し福祉の増進が図られる都市づくりについて伺います。
このたび福岡市は2034年度までの次の10年の基本計画、いわゆるマスタープランの計画策定に入ったところです。私も第9次に続き、第10次の総合計画審議会のメンバーとして議論に参加させていただいており、身が引き締まる思いでございます。
今回の質問が総合計画への意見にもつながればとの思いで、今後の福岡市の進むべき考え方について質問してまいります。
初めに、最新の福岡市の人口、将来の人口推計の概要についてお尋ねいたします。
あわせて、昨年、国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来推計人口結果を出しています。その概要について御説明をお願いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の最新の推計人口につきましては、本年6月1日現在で、165万3,000人余でございます。次に、本年4月に公表した福岡市の将来人口推計の概要につきましては、福岡市の総人口は今後も増加を続け、2040年頃に約170万人でピークを迎える見込みとなっております。
また、国立社会保障・人口問題研究所が令和5年4月に公表した日本の将来推計人口の概要につきましては、日本の総人口は今後も減り続け、2070年には約8,700万人まで減少する見込みとされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 資料2を投影してください。(資料投影)この表は、今の答弁と国勢調査に基づいて国、九州、福岡市の人口を1980年から5年ごとに折れ線グラフにしたものです。推計によると、日本の総人口は、答弁いただいたとおり、2008年、人口約1億2,808万人をピークに人口減少に転じ、2070年頃には約8,700万人まで減少する見込みとのことでありました。
真ん中のオレンジ色で表しているのが九州の総人口で、こちらは2000年の約1,476万人をピークに既に減少に転じ、今後も減少を続ける見込みであります。
最後に、一番下の青色の折れ線グラフが福岡市の人口推計であります。答弁いただいたように、福岡市の将来人口は2040年頃に約170万人まで増加し、ピークを迎える見込みで、以降減少に転ずると見込まれ、今の答弁を図にしたものでございます。投影ありがとうございました。
日本全体が人口減少にもかかわらず、福岡市の人口が増え続けている要因はどのようなことが理由なのでしょうか、本市としての見解をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の人口増加については、様々な要因があると考えておりますが、市民意識調査で95%以上が住みやすいと回答されているように、都市と自然が調和したコンパクトで住みやすいまちであること、スタートアップや企業誘致などに積極的に取り組んできた結果、成長分野、本社機能の企業立地が10年連続で50社を超えるなど、事業所数や雇用が増加していること、大学、短大、専門学校が九州全体の約2割に当たる100校ほど立地しており、若い世代の転入が多いことなど、住みやすさ、働きやすさ、学びやすさがそろっていることが大きな要因と認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 住みやすさ、働きやすさ、学びやすさがそろっていることが大きな要因とのことでありました。この3点は重要な視点なので、後ほどまた触れたいと思います。
さて、人口の増減については、出生や死亡の動きを自然動態、転入や転出の動きを社会動態と言いますが、この視点で福岡市の人口動態の特徴をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 自然動態につきましては、全国的な傾向と同様、出生数が減少する一方で、死亡数は増加が続いており、令和3年以降は出生が死亡を下回る自然減となっております。また、社会動態につきましては、平成12年以降、転入が転出を上回る社会増が続いております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただいたように、福岡市の人口増の要因は、死亡数の増加が続いており、自然減ではあるものの、転入超過によって社会増が続いているというのであります。
私は、他の自治体の方から、福岡市は定住人口の増加につながるための取組や企業誘致、観光誘致の取組であるシティプロモーションの評価が高いと聞きました。
福岡市はいち早くシティプロモーションやシティセールスに取り組んだと思いますが、これまでの本市の観光誘致や企業誘致等のシティプロモーションの狙い、また、それらによる人口への影響についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、交流人口の増加が地域経済の活性化につながることから、観光・MICEの振興に積極的に取り組むとともに、雇用の創出及び地場企業の事業機会の拡大等を図るため、企業誘致を推進してまいりました。その結果、来訪者数の増加や企業の進出などにより、都市に活力が生まれるとともに、元気なまち、住みやすいまちとして広く認知され、人口の増加にもつながってきたものと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) また、それ以前に福岡市は第3次産業に力を入れるような大きな方向性の変革となる総合計画の改定があったとも聞いています。
そこで、これまで福岡市がマスタープラン等においてどのようなまちづくりを目指してきたのか、どのような視点で計画し、まちづくりを進めてきたのか、これまでの経緯を振り返り、少し時系列でお示しください。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 昭和36年に全国に先駆けて策定した第1次基本計画では、日本全体が高度経済成長期にあったことなどを背景に、福岡市においても工業の振興を図っていくこととされておりましたが、昭和41年の改定に当たり、福岡市の地理的、歴史的特性などを踏まえ、第3次産業を基軸とする方針へと転換し、九州の中枢都市としての都市機能充実や市民の生活環境整備などに重点を置くこととされております。その後も、この大きな方向性を継承しつつ、数年ごとに計画を改定し、福岡市の特性や社会経済情勢の変化などを踏まえながら、まちづくりを進めてまいりました。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 昭和41年当時は人口77万人だった福岡市。この時代に第3次産業を基軸に置いていく変革となる総合計画を立てました。そこから福岡市が165万人まで人口が増加し、今後も伸びゆく傾向に成長しているのは、先人たちのおかげでもあると思います。
人口減少社会に人口が増え続けている自治体として、これから何を目指して進んでいくのか、その原点を確認の意味で伺いますが、そもそも地方自治法第1条の2に記されている地方自治体の目的は何なのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地方自治法第1条の2第1項では、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」と規定されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 答弁をいただいたように、自治体の目的は福祉の増進のためであります。様々な施策はその目的である福祉の増進につなげていく、その意識を絶対に忘れないでいただきたいと願います。
先ほど、日本全体が人口減少社会にある中で福岡市の人口が増え続けている理由に、住みやすさ、働きやすさ、学びやすさがそろっていることが要因との答弁をいただきました。福祉の視点としても重要です。この3点にさらに磨きをかけていただきたいと願います。
1点目に、コンパクトなまちで住みやすいことを答弁されました。コンパクトなまちの中に公共交通があり、病院や日用品が買物できるスーパー等が集積していることは大変重要であります。福岡市内はコンパクトシティとはいえ、しかし、全ての地域がそうなっているわけではなく、そういう地域の課題改善を図ることも今後重要であります。
また、私が福岡市内中心部にお住まいの高齢者や障がいのある方から伺う声で多いのが、自転車のマナーが悪くて、まちなかを歩くのが怖い、道路や歩道に段差が多い、外出中にちょっと休めるベンチや手すりが欲しいとの声もいただきます。これらの課題に対して、つい先日も新たに交差点ベンチの実証実験を始めるとのことで発表されておりましたが、ぜひ誰もが歩きやすいユニバーサルのまちの整備を積極的に取り組んでいただきたいと思います。
今後の施策の中でも誰もが安心して歩けるユニバーサルなまちづくりをさらに強化していただくことが重要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 誰もが安心して歩けるまちづくりについては、モラル・マナー推進指導員による自転車の安全利用の呼びかけや、道路をはじめとする施設のバリアフリー化、バス停付近などにベンチを設置するベンチプロジェクトの推進など、様々な取組を進めてきたところでございます。今後とも、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) 2点目に、企業誘致などに取り組み、事業所数や雇用が増加し、働きやすさを答弁されました。生活の基盤となる収入を得るために働けることは重要です。さらに、子育てや親の介護と仕事の両立や多様な働き方を望む方々の意見もあります。また、雇用側の立場からも、生産年齢人口の減少や人手不足の課題の声をいただきました。
そこで伺いますが、人口減少社会において直面する課題の一つに、介護業界や物流業界をはじめとする人手不足の問題がありますが、どのように対応していくのか、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 日本が人口減少社会を迎え、少子・高齢化が進展する中、全国的に様々な分野で人手不足が生じているものと認識しております。このような状況の中、限られた人的資源を自治体間や業種間で奪い合うのではなく、社会全体として飛躍的に進歩しているAIなどのテクノロジーを活用した生産性の向上や働き方への価値観をアップデートし、年齢や性別などにかかわらず、一人一人が本人の意思や能力に応じて活躍できる環境づくりなどに取り組むことが重要と考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ぜひともAI技術やテクノロジーを駆使して人手不足をカバーすることや、まだまだ働く意欲があり、仕事を求める高齢者の方々の再雇用、また、異国の地でも活躍の機会を求める外国人人材の活用もこれからの時代に求められているものと確信いたします。
3点目に、市内には大学や短大、専門学校が多く、若い世代の学びやすさがあるとの答弁をいただきました。次の時代を牽引する主役たちは若者です。10年後、20年後の社会を支えているのは今の若者であり、また、今、福岡市も懸命に支援している子どもたちも未来の主役となります。子育て支援については力を入れていただいておりますが、もっと若者支援をしてほしいとの声が公明党市議団にも届いています。
そこで、医療、教育、IT、料理、ファッションなど、様々な分野で夢を持つ若者が福岡市に集い、知識やスキルを身につけ、福岡市だけでなく、九州各地でも活躍できるよう後押しができるような若者支援を福岡市がやるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和5年の福岡県人口移動調査によりますと、九州各県から福岡市への転入者のうち、15歳から34歳の年齢層が約7割を占める一方、福岡市から九州各県への転出者のうち、20歳から44歳の年齢層が約7割を占めております。これは進学や就職などで福岡市に転入した若者が知識や経験を身につけ、その後、九州各地で活躍している流れを表しているものと考えております。福岡市が教育や経済などの高次機能を備えることで、九州全体の発展にもつながるものと考えており、今後とも、次代を担う人材が育つ環境づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ぜひ若者の夢が実現できるまち福岡のまちづくりを進めていただきたいと思います。
また、我が会派がこれまでに幾度も主張しているように、福岡市に集った若者たちへの婚活支援も大変重要であります。合計特殊出生率が過去最低となる中、少子化対策の観点からも、福岡市がしっかりと取り組んでほしいと思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 婚活支援につきましては、県と共同で婚活セミナーなどを開催しているほかに、市のホームページやSNSなどを活用し、情報発信に取り組んでおります。今後とも、若者たちの多様な価値観を尊重しながら、県と連携し婚活支援に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 古川清文議員。
○23番(古川清文) ただいま、こども未来局に答弁いただきましたが、婚活については、いわゆる若者だけのものとは思っておりません。人生100年時代にあって、この先の人生をシングルのままで生きていくのかという不安の方、何らかの理由で離別した方や死別された方からも、年代に合った婚活支援の要望をいただきました。人生のパートナーを見つけたいと思う方々が、この福岡で出会い、大好きなまち福岡でパートナーとともに暮らしていけるようなまちになることを願っております。どうか島市長にそのリーダーシップを発揮していただき、福岡市らしいパートナーとの出会いの場の行政支援モデルの構築をぜひお願いしたいと思っております。
先ほど社会動態の答弁がありました。福岡市は九州の玄関口としての立地と歴史、また九州各県からも、若者を中心に人が往来してきている流れの印象があります。
最後に、もう1枚資料を見ていただきたいと思います。資料3を投影してください。(資料投影)ちょっとごちゃごちゃしていますが、この表は令和4年の福岡市人口の社会移動の状況、社会変動について、福岡市から九州の他県、福岡都市圏、その他の福岡県内、東京圏などへの地域別転入と転出の人口の移動を示したものであります。福岡市と各地域の間で盛んに人が行き来していることが分かりますが、答弁によると、転入の約7割が若者、そして転出の約7割が働き盛りとなった、いわゆる若者、このような流れが多いというふうに思っております。このように福岡市に関わりを持った人たちが、いわゆる関係人口として今後も福岡市の力になっていただくことも、これからの時代には重要であると思います。
意外だったのが、東京圏への転出超過に加えて、福岡都市圏への転出超過です。特に福岡都市圏からの転入が1万2,534人に対し、転出が1万4,266人で、転出超過が年間で1,732人となっております。福岡市の発展が福岡都市圏など近隣の都市にも波及していることを示しているとは思いますが、それ以上に土地価格の高騰などにより、福岡市内への居住を諦めて都市圏に転出している世帯も多くなっていることを私の周りで非常に多く感じております。今後、福岡市に住み続けたいと思うニーズや、これから福岡市に住んでみたいがと思う子育て世帯や若者のニーズにもしっかり応えていただきたいと思います。投影ありがとうございました。
これからも、持続可能な社会をつくるため、また、誰一人取り残さないという理念の社会をつくっていくためには、さらなる住民福祉の増進と次代を担う若者を大切に育てていくことが重要であります。
最後に、若者が活躍し、市民の福祉の増進が図られる都市づくりについて、福岡市は今後どのように取り組んでいかれるのか、島市長の所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では現在の第9次基本計画において、福岡都市圏全体として発展し、広域的な役割を担うことを都市経営の基本戦略に掲げ、福岡都市圏や九州の各都市と連携をしながら、文化、教育、経済、情報など様々な面でより充実した環境づくりを進めています。
九州や日本全体の人口が減少していく中にあっても、広域的に活力を生み出し、持続可能な社会をつくっていくためには、スタートアップ支援をはじめ、高付加価値なビジネスの集積や文化芸術の振興などにより、若者をはじめ、多様な人材が様々な分野で自己実現できる場をつくり、福岡を大きな夢がかなうまちにしていくことが重要であると考えております。
今後とも、若者が将来に向かって希望を持ち、誰もが心豊かに暮らせる、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後4時15分に再開いたします。
午後4時1分 休憩
午後4時15分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。尾花康広議員。
○29番(尾花康広)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、睡眠が変われば子どもが変わる(みんいく〔睡眠教育〕のすすめ)、AI時代だからこそ読む力を高めよう(子どもたちの読書環境の充実)、生活保護の在り方(寄り添い型支援の充実)の3点について質問いたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
まず、睡眠が変われば子どもが変わる(みんいく〔睡眠教育〕のすすめ)についてです。
みんいくとは、睡眠教育の略称です。睡眠の仕組みや眠りの持つ力など、睡眠についての正しい知識と習慣を身につけるための教育のことを言います。科学的にも証明されていますが、睡眠の効果として従来から寝る子は育つと言われていますが、睡眠には心身の疲労を回復させる働きのほかに脳や体を成長させる働きがあります。脳には海馬という知識の工場があり、睡眠中に活性化し、昼間経験したことを何度も再生して確かめ、知識として蓄積しています。この海馬の働きを助け、子どもの成長に欠かせない脳内物質であるメラトニン──暗くなると分泌され、体温を下げて眠りを誘う働き──と、成長ホルモン──寝入ってすぐの深い睡眠時に分泌され、脳、骨、筋肉の成長を促す働き──は、眠っている間に活発に分泌されます。眠る時間が遅くなると、これらの脳内物質の分泌に影響を与えてしまいます。社会情勢などの急激な変化は子どもの生活に影響を与えており、子どもの睡眠時間は減少傾向にあります。睡眠不足は生活習慣の乱れにつながり、子どもの心身に大きな影響を与えることが分かっています。
子どもたちの夜更かしの一番の原因は何でしょう。スマートフォン、テレビ、インターネットなどのネット・メディアの視聴と言われています。
まず、これまで子どもの発達段階に応じたネット・メディア依存対策の必要性について幾度となく議会で取り上げてまいりましたが、その後、どのような対策を打ってこられたのか、お示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 乳幼児期におけるネット・メディア依存対策につきましては、子どもの発達とネット・メディアとの関係について、保育所等で働く保育士に対し、研修会を実施するとともに、乳幼児健診などの機会を捉えて保護者への啓発を行っているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちにとりましても、メディアリテラシーや基本的な生活習慣を身につけていくことは大変重要でございまして、全ての市立小中高等学校におきまして、月1回程度、手引や動画などを使った情報モラル教育を実施するとともに、1人1台端末の夜間利用を制限いたしております。
また、保護者に対しては、小中学校の入学説明会においてパンフレットなどを配付し、スマホ依存などへの注意喚起や使用のルールづくりの重要性について啓発を行うとともに、希望する学校に講師を派遣し、学校が実施する保護者学習会を支援いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ネット・メディア依存対策といたしましては、医師や臨床心理士などの専門職による電話や面接での相談を実施し、必要に応じて医療機関や支援団体へつなぐなどの対応を行っております。また、ゲーム障がいに関する市民講演会やパネル展示を開催するなど、依存症に対する理解を深めるための啓発に取り組んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) いろいろと対策を講じられてきたのは理解できましたが、その対策の効果は現れているのか、子どものネット・メディア依存傾向は減少しているのか、その推移をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 全国学力・学習状況調査において、1日当たりにスマートフォンなどを使ってゲームを4時間以上していると回答した児童生徒の割合で申し上げますと、令和3年度は小学校6年生15.9%、中学校3年生13.2%、4年度は小6、16.3%、中3、13.4%となっております。また、スマートフォンなどの使い方について家の人と約束したことを守っていると回答した割合では、令和3年度は小6、68.1%、中3、67.2%、4年度は小6、69.9%、中3、68.2%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 18歳未満のネット・メディア依存に関する相談件数でお答えいたしますと、直近3年間の推移といたしましては、令和3年度は23件、4年度13件、5年度16件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 子どものネット依存の傾向は、まだまだ改善が図られているとは言い難い状況が続いているようであります。
平成26年第4回福岡市議会定例会の際にも取り上げましたが、子どもがネット・メディア依存に陥るとどのような症状が現れるか、振り返りたいと思います。
資料1を御覧ください。(資料投影)これは子どものネット・メディア依存の症状を表した一覧です。身体面、精神面、学業面、経済面、家族・対人関係等、子どもがネット・メディア依存に陥ると、実に様々な深刻な症状が現れることが分かります。資料1を消してください。
精神面の影響として、自殺企図──自殺を企てる──、希死念慮──死ぬことばかりを考える──という言葉がとても気になります。全国的には、2023年の小中高生の自殺513人と深刻な状況となっておりますが、福岡市の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 警察庁の自殺統計でお答えいたしますと、福岡市における直近3年間の20歳未満の自殺者数は、令和3年は17人、4年16人、5年17人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学業面の影響として、欠席という言葉がとても気になります。これまで福岡市は不登校対策としてどのような対策を打ってこられたのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市では、全ての市立中学校に校内教育支援教室、いわゆるステップルームを設置し、専任の教育相談コーディネーターが支援に当たるとともに、各区に1か所、教育支援センターを設置しております。また、全ての市立学校にはスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを週1日または2日配置し、市内28校の小学校には教育支援員を配置しております。さらに、不登校児童生徒が自分のペースで学習できる動画教材の無償提供や、ひきこもりがちな児童生徒を訪問する大学生相談員、いわゆるメンタルフレンドの派遣や、ICTを活用したオンラインルームの開設など児童生徒の状態に応じた支援に取り組んでおります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) いろいろと対策を講じられてきたのは理解できましたが、その対策の効果は現れているのか、福岡市の不登校児童生徒数の推移をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) コロナ禍の影響もございまして、令和2年度以降、不登校児童生徒数は大幅に増加しておりまして、令和元年度2,505人、2年度2,719人、3年度3,535人、4年度4,400人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 小中学校合わせて4,400人と不登校児童数は過去最多を更新し続けています。実効性のある手を打たなければなりません。
依存症は、否認の病と言われています。周囲の心配をよそに本人は自分の問題を認めないあるいは隠そうとします。自ら進んでネット・メディア依存症を治そうとすることはありません。
そこで、新たなアプローチ、アプローチを特化すると言ったほうが正確かもしれませんが、みんいく、睡眠教育の大切さをクローズアップしたいと思います。
全国的には、国民運動として早寝、早起き、朝ごはんの取組が行われており、福岡市も取り組んでおられると思いますが、その状況、事業費、具体的な施策、事業効果についてお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 家庭教育支援事業の一つとして、福岡市PTA協議会との共催により保護者を対象とした「早寝早起き朝ごはん」啓発講演会を開催しておりまして、基本的な生活習慣の定着を図るために、睡眠、食育、メディアなど年度ごとにテーマを設定し、専門家による講演を行っております。
睡眠をテーマにオンデマンド配信で実施した令和3年度の講演会は1,499回視聴されておりまして、視聴者の85%から講演内容について高評価をいただくとともに、睡眠の重要性を再認識した、親子で生活習慣を見直そうと強く意識したなどの御意見もいただいており、睡眠の重要性について知識の深化や意識の向上が図られるなどの効果が見受けられました。なお、令和6年度の家庭教育支援事業の予算は96万円でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 講座の視聴者から睡眠の重要性を再認識した、親子で生活習慣を見直そうと決意したなどの寄せられた感想からも分かるように、分かっているようで分かっていない睡眠の重要性、分かっているとできるは決してイコールではありません。
睡眠教育で不登校予防へ、授業や面談で生活習慣改善、5年で約半数が学校に復帰を実現した大阪府堺市の先進事例を調査してまいりましたので、その取組を詳しく紹介させていただきます。
生活のリズムの乱れなどで不登校に陥る小中学生が増加する中、堺市は睡眠不足が子どもの不登校を招く一因であることに着目し、睡眠の重要性を学ぶ授業や面談などを通じて子どもの生活習慣の改善を図る睡眠教育、みんいくを小学校1年生から中学校3年生までの9年間、系統的に実施し、不登校生徒の半数に改善が見られています。
これは堺市の「みんいく」ハンドブックです。(資料表示)小学校1・2・3年生用、それから小学校4・5・6年生用、そして、中学校用と3冊ですね。実に分かりやすく、しっかり作り込まれておりますが、発達段階に応じたこうしたハンドブックが用意され、例えば、スマホの光は睡眠の質を高めるホルモンを減らすため、寝る前1時間の使用は控え、七、八時間以上の睡眠は取ろうと中学校の全クラスで行われた睡眠授業で教師が生徒たちに呼びかけると、スマホやゲーム、塾などで就寝時間が遅くなりがちな生徒らは真剣なまなざしで耳を傾けるといった授業が行われています。
堺市がみんいくを導入したのは平成27年度からで、何かしんどい、やる気が出ない、いつもいらいらする、朝起きられず遅刻する、学校に行きたくないなど原因不明の体調不良で不登校になる生徒が増え始め、その打開策を模索する中、不登校の多い学校と少ない学校の違いは睡眠時間の差が考えられると分析していた専門家の研究に着目し、全生徒の入眠時間の調査に乗り出したとのことです。すると、全体の約7割が午前零時までに寝ているのに対し、年間30日以上欠席する不登校生徒の約8割が午前零時以降に就寝していることが明らかに。こうした結果を根拠に睡眠不足が不登校を誘発する一因と結論づけ、専門家と直接連携を取り、みんいくを開始されたとのことであります。
資料2を御覧ください。(資料投影)堺市で行われているみんいくの状況です。具体的には、専門家と協力して生徒用の教材と睡眠表を作成。教材を用いて教師は、睡眠不足から生じる無気力によって不登校になる事例や、睡眠の質を高める方法といった医学的な知見に基づいた授業を学期ごとに実施。生徒は睡眠表を活用して、30分単位で2週間分の睡眠時間や朝すっきりしているかなどを記入。睡眠時間に応じて体の体調変化を見える化し、学校側に提出。学校側は睡眠表を基に睡眠時間が短い生徒に個別面談を実施。生徒に合った睡眠時間をアドバイスするほか、寝不足の原因となる学校での人間関係の悩みや進路、家庭での不安などを聞きながら、就寝・起床時間の目標を決め、生活習慣の改善を図りました。その結果、不登校の生徒は5年で半減し、一定の効果はあると判断。一方で、年間30日以上欠席する生徒のうち、その日数が半年に迫るにつれ、改善率は極めて低いことも判明。早い時期から睡眠改善を促し、不登校予防を図る必要性が浮き彫りになったとのことです。
資料3を御覧ください。(資料投影)読み聞かせ絵本、幼児向けの本ですね。こういった本をしっかり作って子どもたちに紹介をしています。それから、はよねるデー、のぼりとかリーフレットで周知、啓発をしていらっしゃいます。
資料4を御覧ください。さらに青パトとコラボ、地域との連携ということで、「はやくねよう!」というステッカーを作成されて、青パトの側面に貼り付けられて、地域を巡回して啓発をされていらっしゃいます。
堺市のみんいくの特徴として、教育と医療の連携を軸とし、幼稚園等ではみんいくの絵本の読み聞かせ、先ほど紹介しましたが、小中学校では睡眠朝食調査やみんいく授業、みんいく面談などを実践しています。また、毎月10日をはよねるデーと設定し、青パトとのコラボなど学校や地域が連携して子どもが眠りやすい環境づくりにも取り組んでいます。資料4を消してください。
福岡都市圏では、春日市が堺市と同じようなみんいくに取り組み、不登校児童数の削減といった効果を上げているようであります。
福岡市でも、これまで紹介してきたとても効果のあるみんいく、睡眠教育に取り組んではいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちの健やかな成長のために、睡眠についての正しい知識と習慣を身につけることは大変重要であると認識しております。各学校では保健の学習において、健康の保持増進には運動、食事、睡眠の調和の取れた生活を続けることが必要であること、生活習慣病などは運動不足、食事、休養及び睡眠の乱れが主な要因であることなどを学習しております。
また、保護者に対しては、家庭教育の重要性の理解向上と子どもたちの基本的生活習慣の定着に向けた働きかけが必要であると考えておりまして、これまでの取組に加え、様々な機会を捉えて睡眠に関する情報を提供し、啓発を行ってまいります。また、パンフレットやチラシとともに、生活習慣を振り返るワークシートを配付するなど、保護者が子どもと一緒に睡眠について考え、家庭での実践につながるような取組を進めていきたいと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 睡眠不足は、日中に眠気が起きるだけでなく、頭痛、倦怠感や情緒不安定、注意力の欠如による作業効率の低下などを招きます。慢性化すると高血圧、糖尿病、心筋梗塞や認知症、がん、鬱病などのリスクが上昇するといったエビデンス、根拠が示されています。
資料5を御覧ください。(資料投影)これは厚生労働省の睡眠ガイド2023のポイントの図です。OECD、先進7か国睡眠時間の国際比較においてワーストワンとなっている日本において、睡眠による休養を十分に取れない人が全国民の5分の1以上と増えていることを踏まえ、厚生労働省は年代別の睡眠時間の目安や良質な睡眠を取るために推奨される取組などを示した健康づくりのための睡眠ガイド2023を策定しました。このガイドの中で厚生労働省は、国民の健康増進に向け、睡眠による休養を十分に取れていない人の割合の悪化を受け、数値の改善に向けて、適正な睡眠時間の目安を、1、子ども、2、成人、3、高齢者に分けて初めて示しております。資料5を消してください。
今回は子どもを中心に睡眠の大切さを論じてまいりましたが、福岡市民の健康寿命を延伸するためにも、本市においてみんいくの一大ムーブメントを起こしたいのであります。
最後に、医師であり、睡眠が健康寿命に与える影響について熟知、精通されている荒瀬副市長にみんいくについての御所見をお伺いし、このテーマの質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 福岡市におきましては、国の健康日本21第三次計画に基づいて、市民の健康づくり運動を進めております。この計画には、食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康の保持等が掲げられ、これらの生活習慣の正しい知識の普及を図っていくことが進められております。この休養の項目に睡眠が掲げられ、特に睡眠の時間、睡眠の質の大切さが示され、先ほど資料にも示されました健康づくりのための睡眠ガイド2023もつくられました。睡眠と生活習慣病との深い関係も明らかになってきており、子ども、成人、高齢者のライフステージに応じました睡眠の取り方等、いわゆるみんいくを関係局でしっかりと進めてまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございました。
次のテーマ、AI時代だからこそ読む力を高めよう(子どもたちの読書環境の充実)に入ります。
新井紀子国立情報学研究所教授、社会共有知研究センター長によれば、昨今、チャットGPTなどの生成AIが話題になっているが、チャットGPTはもっともらしい違和感のない文章を書くが、間違っていることも平気で書くので注意が必要、専門性のある人が効率を上げるために使うことはよくても、間違いを見抜けない人が無自覚に使うと社会が混乱する。これからは文章を読んで、その内容を正しく理解する能力、読解力こそが新しい社会に参画していく労働者にとって必須の能力になっていくと指摘されています。
また、読解力を測定するために開発したリーディングスキルテストでは、子どもたちの多くが教科書を正しく読めていないことが分かっており、今、1人1台のタブレット端末が配布されて、先生たちは授業で教科書を開かなくなり、板書もしない、子どもたちはノートを取らず、プリントの穴埋めで済ませている、目先の、そして、見かけの効率ばかりを優先し、かえってAIに代替されるような能力ばかり伸ばしているように見えると指摘されています。
そこで、お尋ねいたしますが、福岡市では福岡市子ども読書活動推進計画の策定に当たり、6年に1度、子どもの読書活動に関する意識調査を行っていると思いますが、福岡市における1か月に1冊も本を読まない児童生徒の割合、不読率をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年度に実施いたしました子どもの読書活動に関する意識調査では、1か月に1冊も本を読まない子どもの割合は、小学2年生は5.5%、5年生は17.8%、中学2年生は37.8%、高校2年生は52.1%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 年代が上がるにつれて不読率の割合が高くなる傾向にあり、子どもたちに読書習慣が身についているのか、とても不安になります。
それでは、同調査で子どもの読書が嫌いな理由のうち、文章を読むのが苦手だからと答えている学年別の割合と順位をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学校2年生は35.0%で1位、5年生は46.4%で1位、中学2年生は48.9%で1位、高校2年生は39.6%で2位となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) いずれの年代でも、文章を読むのが苦手だからが上位を占めています。福岡市の子どもたちの読解力がとても心配になります。
文部科学省の学校図書館ガイドラインでは、学校図書館の目的、機能はどのようにうたわれているのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校図書館の目的は、図書館資料を収集、整理、保存し、児童生徒及び教職員の利用に供することによって学校の教育課程の展開に寄与するとともに、児童生徒の健全な教養を育成することと示されておりまして、その機能としましては、読書活動や読書指導の場である読書センター、学習活動の支援や授業の理解を深める学習センター、情報の収集、選択、活用能力を育成する情報センターの3つがあるとされております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校図書館は、AI時代を生き抜く子どもたちにとって読書、学習、情報という3つのセンターとして読解力を培うために重要な役割を果たさなければなりません。
さて、学校図書館法によれば、司書教諭、すなわち司書教諭の講習を修了した者で、学校図書館の専門的職務をつかさどる、具体的には、学校図書館資料の選択、収集、提供や子どもの読書活動に対する指導等を行うなど、学校図書館の運営、活用について中心的な役割を担う者を置くことになっていますが、福岡市の司書教諭が学級担任をしている割合をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) お尋ねの割合は、令和6年度で82.7%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 司書教諭が学級担任を兼任していることが常態となっています。
それでは、司書教諭が学級担任以外の司書として業務、役割を担う活動時間がどのように確保されているのか、その状況をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 司書教諭は、学校司書や学校図書館担当職員、ボランティア等と連携し、学校図書館の利用指導計画の立案や学校図書館資料の選択、収集、提供などの業務を授業以外の時間や長期休業中に行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校司書は、図書資格を有する者で、司書教諭と連携、協力して読書活動に取り組むことを目的に配置されており、小中特別支援学校において1人当たり四、五校を担当していると伺っておりますが、例えば、私の地元の和白小学校と和白中学校を例に挙げれば、1か月のスパンで何日学校司書に来てもらえるのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 和白小学校では月に四、五日程度、和白中学校は月に2日程度の勤務となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 言い換えれば、小学校で僅か週に1回、中学校では2週間に1回ほどです。
学校司書の1人当たりの複数校の担当状況について、福岡都市圏の各自治体と政令市の状況についてお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校司書が複数校を担当している自治体は、福岡都市圏では本市のみでございまして、政令市では本市を含めて11市ございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 1人の学校司書が複数校を担当している政令市は半数ほどで、福岡都市圏の自治体に至っては1校当たり1人の学校司書がきちんと配置されており、1人の学校司書で四、五校という複数の学校を担当しているのは福岡市だけです。
この現状についての課題認識をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちの読書環境の充実に向けて、平成8年度に初めて小学校1校に学校司書を配置して以降、配置校数の拡大を順次図り、現在は小規模校を除く全ての小中特別支援学校への配置を実現しております。
議員の御指摘のとおり、1校当たり1人の配置としている自治体があることは承知いたしておりますが、福岡市の場合は、学校司書の採用に当たり司書資格を必須としているほか、多くの学校において読書ボランティアの御協力をいただいておりまして、これらにより読書活動の充実に取り組んでおります。今後とも、他都市の状況を踏まえながら、学校司書の効果的な配置について検証し、適切な配置に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 小中特別支援学校の学校司書の勤務形態は1日4時間、週4日勤務、高校は1日5.5時間、週5日勤務、この勤務形態の違いはどうして生じているのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 高校は小中特別支援学校と比べて蔵書数が多いほか、専門性の高い蔵書とそれに伴うレファレンスサービスの必要性があることなどから異なる勤務形態としております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 教育現場に出向き、お話を伺ったところ、学校司書は学校に来てもらう日数が少なく、しかも、短時間勤務なので、学級担任を持つ司書教諭が放課後に連携を取ろうと思ってもなかなかうまくいかない実態があるようであります。
そこで提案ですが、学校図書館の読書環境を整える上で、司書教諭の司書としての活動時間の確保、その司書教諭とタッグを組む学校司書はどういった勤務形態が望ましいのか、アンケートなどにより教育現場の声を的確に把握し、改善を図るべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまでも研修会の場などで学校司書の意見や要望を直接伺ってまいりましたが、今後も機会あるごとに学校図書館の運営等に関する意見の把握に努め、適切に対応してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校図書館の状況等に関する現場の意見の把握のみに終わることなく、その声を踏まえた必要な改善を行うよう強く求めておきます。
さて、公立義務教育諸学校の学校図書館に整備すべき蔵書の標準として、平成5年3月に定められた学校図書館図書標準というものがありますが、福岡市の達成状況をお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度末において、学校図書館図書標準を100%以上達成している学校は、小学校144校のうち117校、夜間中学を除く中学校69校のうち55校となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 学校図書館標準を満たしていない学校が一定数存在していますが、その理由をお答えください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国が定めている学校図書館図書標準は学級数に応じて冊数を定めてございまして、児童数の増加や特別支援学級の設置に伴い学級数が増えた場合は標準を一時的に下回ることがございます。また、児童生徒、教員の要望や利用実態、蔵書の構成等を考慮しながら図書を選定、購入しておりますが、記述内容や表記等が古くなった場合や、劣化、汚損、破損が著しい場合には図書を廃棄することがあり、標準を一時的に下回ることがございます。なお、その場合は必要な予算を配分し、学校図書館図書標準を達成するように努めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 教育現場を取材すると、何とかこなしている感じ、司書教諭、管理職、読書ボランティアなどが総がかりで何とか標準図書数を期限までにぎりぎり達成している状況とのことで、学校図書館に携わるマンパワーが不足していることを強く感じました。
この質問に先立ち、札幌市の先進事例を調査してまいりました。
皆さん、札幌といえば何をイメージとして連想されますか。札幌市民に尋ねると、3つ答えるそうであります。まず、雪ですね。北国ならでは、さっぽろ雪まつりはとても有名です。次に環境、広大な豊かな自然が広がっています。それでは、3つ目は何でしょう。実は読書です。札幌市では、読書を学びの基盤として位置づけ、学校図書館地域開放、特色ある図書館活用取組発表、表彰式などの特筆すべき読書環境を整え、学校図書館を中心とし、様々な読書活動を学級担任と司書教諭や図書館担当者、図書委員、図書局や地域保護者ボランティアなどが協力して推進しています。札幌市が学校図書館を地域に開放している箇所数は、令和4年度実績で小学校120校、中学校1校の計121校で、地域への開放時間は週3回、午後1時から4時を基本としています。学校司書とは別に開放事業なので、開放司書と呼ばれておりますが、その司書を中心に延べ3,566人の地域の読書ボランティアの方が精力的に活動されています。
福岡市では、各公民館にスタンバード文庫という地域文庫が配置されているとおっしゃるかもしれませんが、私も今回の質問でその名前を初めて知りました。現地調査を行うと、取組に濃淡はありますが、総じて認知度が低く、図書の更新もさほど行われておらず、利用者も限られています。また、文庫が設置されている部屋が他の用途でよく利用されており、アクセスしにくいという難点がありました。
まずは、このスタンバード文庫の周知を含め、地域の読書環境の充実を図っていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スタンバード文庫読み聞かせ講座を開催することで、地域へのスタンバード文庫の周知を行うほか、本の貸出活動等を行う地域団体や放課後児童クラブなどへ図書の団体貸出しを行うなど、引き続き地域の読書環境の充実を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、福岡市は小学生読書リーダーという教育委員会主催の養成講座を受講した児童が講座で学んだ知識や技能を自分の学校の図書委員会などで他の児童に還元する取組を行っておりますが、これを中学生にまで広げ、札幌市の特色ある図書館活用取組発表、表彰式のような取組を行えば、さらに子どもの主体的な読書活動につながると思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもの読書活動の充実に向け、児童生徒が主体的に読書活動に関わることは大切であると考えておりまして、今後は読書リーダー養成講座の対象を中学生にまで広げ、講座を受けた児童生徒が読書リーダーとして、学校図書館の活性化に向けた取組を発信する場となるよう工夫してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 子どもの読書活動の推進に関する法律の言葉を借りれば、子どもの読書活動は子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものとし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことができないものです。しかしながら、子どもたちの状況に目を転じると、急激なメディアの普及に伴う読書習慣や語彙力の欠如など憂うるべき課題も見られます。
これまでるる述べてまいりましたが、AI時代を生き抜く子どもたちに必須の読解力を育む点において、福岡市の学校図書館を中心とした読書環境の充実に向けた取組は道半ばのように感じます。率直に申し上げれば、学校の中で管理職にも教員にも学校図書館や司書教諭、学校司書に関する理解が不足しているように思います。
司書教諭と学校司書が車の両輪として活躍できるためには、校内外全ての人に司書教諭や学校司書の役割が理解されていなければなりません。改めて管理職や先生方が学校図書館の意味や意義を理解し、学校全体での連携を強化しながら取り組むべきではないでしょうか。
そのほかにも、司書教諭、学校司書の役割の確認、司書教諭の活動時間確保、司書教諭と学校司書の連絡時間等の配慮、校長、研究主任、司書教諭、学校司書、ICT教育担当者等による学校図書館活用運営委員会の設置、読書ボランティアの活用など様々な工夫も考えられ、今こそ今後の学校図書館の在り方を考えていく必要があると思います。
このテーマの質問の最後に、石橋教育長の御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市子ども読書活動推進計画の下、これまで各学校において、学校図書館長である学校長のリーダーシップの下、司書教諭が中心となり、学校司書と連携しながら学校全体で組織的に学校図書館運営を行ってまいりました。今後、学校図書館に関わる人材の役割分担や連携などについて成果と課題を整理するとともに、学校図書館の在り方について検討し、子どもたちの豊かな読書活動の充実につなげてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございました。
次のテーマ、生活保護の在り方(寄り添い型の支援の充実)に入ります。
私のところに1本の電話がかかってまいりました。日頃は独り身の非常に快活な高齢の女性の方からで、脳梗塞で倒れられたとのことで、ろれつが回らなくなっており、大変お話が聞き取りにくい状況でしたが、話の要旨は、地域の行きつけの病院で、脳梗塞で倒れ、働けなくなったので生活保護を受給することになったことを主治医に伝えたところ、生活保護の受給を理由に来院を拒むかのような発言があったとのことであります。信頼している医師からの突然の心ない対応にパニックになられ、生活保護がそんなに悪いことなんでしょうか、私が何か悪いことをしたのでしょうかと涙ながらのお訴えでした。その方はその後、住み慣れた地域を離れ、高齢者施設に入居されました。皆さんはどう思われますか。私は福岡市人権擁護委員を8年務めさせていただきましたが、生活保護受給者の方の人権が守られていない現状を痛感したエピソードの一つでした。
生活保護申請最多25万件という気になる記事が目に飛び込んできました。2023年1月から12月までの生活保護申請が、現行の調査方式となった2013年以降で最多の25万件であったことが厚生労働省の統計で分かりました。
そこでお尋ねいたしますが、福岡市の過去5年間の保護世帯数の推移と令和4年度の世帯類型別の構成割合をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市の生活保護世帯数は、保護停止中の世帯を除く各年度の平均で、平成30年度が3万3,535世帯、令和元年度が3万3,428世帯、2年度が3万3,513世帯、3年度が3万3,690世帯、4年度が3万3,805世帯、また、4年度の世帯類型別の構成割合は、高齢者世帯が52.7%、母子世帯が4.6%、障がい者世帯が11.4%、傷病者世帯が13.5%、その他世帯が17.8%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 生活保護世帯は3万3,000世帯台を推移し、そのうち高齢者世帯が構成比として50%以上を占めております。
さて、国民年金の受給額は保険料の納付月数で決まるため、20歳から60歳までの40年間保険料を完納すれば、本年4月からは、年金の受け手が2人となる標準の夫婦世帯ならば月6万8,000円掛け2、13万6,000円となりますが、単身高齢者世帯ではその半分、6万8,000円、これでどうやって生活すればいいのでしょうか。国民年金収入のみの単身の世帯では、生活がすぐに立ち行かなくなることは容易に想像がつくと思います。しかも、最近のこの物価高の影響はとても深刻であります。
長引くコロナ禍や物価の高騰の影響で生活困窮に陥る市民に寄り添った「生活保護の申請は、国民の権利です。」というA4判のチラシを作り、全ての御家庭に配付した京都府京丹後市の取組が話題となり、他の自治体にもそうした取組が徐々に広がっております。報道によれば、京丹後市では市職員がパソコンでレイアウトし、かかった費用は印刷費の約7万5,000円、「権利です」と大きく記し、新型コロナで収入が減った、小さい子どもがいるので働ける時間が短い、年金では暮らせないなどと利用を考える具体的な状況をイラストを用いながら明記し、制度を誤解して申請を諦める人もいるため、裏面には誤解されがちなポイントをQ&A形式でとても分かりやすく解説しています。
福岡市においては、生活保護制度全般について説明した白黒印刷でイラストが皆無、全く書かれていない、無味乾燥というのは、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、生活保護のしおりと、こちらはカラフルですが、生活保護受給者の義務と適正支給に主眼を置いた生活保護ルールブックが作成されておりますが、生活保護受給者の権利というより、むしろ義務の啓発ばかりが目立ち、率直に申し上げて生活保護受給者に寄り添ったものとはとても言えません。
福岡市のこれらのリーフレットには全く記載がありませんが、皆さん就労活動促進費というものを御存じでしょうか。ケースワーカーでも知らない方がいるようであります。
それでは、就労活動促進費の概要と支給までのスキーム、福岡市の令和5年度の活用実績をお答えください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労活動促進費は、積極的に就労活動に取り組んでいる方のうち、一定の基準を満たす方に月額5,000円を原則6か月を上限に支給するものでございます。事前に自立活動確認書を提出していただき、求職活動の実績が要件を満たした場合に支給することとされており、令和5年度の支給実績は1件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 福岡市の活用実績は昨年度たったの1件です。
それでは、福岡市の生活保護受給者の就労支援状況をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケースワーカーによる就労支援に加え、比較的早期に就労が可能な方を対象に専門の支援員が求人情報の提供や就職面接の支援、ハローワークへの同行などを行う被保護者就労支援事業や、早期就労が難しい方を対象に職場体験や就職活動に関するセミナーなどを行う被保護者就労準備支援事業を実施しております。また、全区役所にハローワークの窓口を常設し、求人情報の提供やセミナーの紹介等に取り組んでおります。就労支援を行った人数は、令和4年度の実績で2,363人となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 様々な就労支援に取り組まれ、就労に至った方が一定数おられることは理解できましたが、なぜ就労活動促進費の昨年度支給実績は1件だったのか、とても不思議に思えます。その要因をお答えください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 就労活動促進費につきましては、国により受給の要件として、求職先への原則月3回以上の応募または月1回以上の面接に加え、ハローワークでの原則月6回以上の職業相談やセミナーへの参加、ケースワーカーとの原則月1回以上の面談など多くの基準が設けられており、要件を満たす方が少ない状況がございます。就労活動促進費は、積極的に就労活動に取り組んでいる方が対象となっておりますが、就労への意欲や能力などはそれぞれの方によって異なることから、専門の支援員が様々な制度を活用し、その方の状況に応じたきめ細かな支援を行っているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 制度活用のための基準のハードルが高い、生活保護受給者側に問題があるかのような御答弁ですが、要するに国から自治体に対し、就労可能な生活保護受給者の就労、自立支援の促進が通達されているもかかわらず、福岡市は真面目に取り組んでいないということであります。
生活保護受給者の方は、積極的な就職活動を行えば行うほど面接のための交通費の捻出などのため、ただでさえぎりぎりの生活費をさらに切り詰めなければならないという大きな矛盾が生じます。その実態を踏まえ、国において月額5,000円、原則6か月間以内の就労活動促進費が創設されているにもかかわらず、福岡市はその制度の周知さえしていない。そんな制度は福岡市にはありませんと平気で答えるケースワーカーも存在します。1件という支給実績が全てを物語っております。
さて、話題を変えますが、身寄りのない単身高齢の生活保護受給者の方が立ち退き、通院等で転居が必要となり、ケースワーカーに住宅相談をしたところ、自分で探してくださいと言われ、私のところに相談に来るケースが後を絶ちません。
そこで、お尋ねいたしますが、保護課には住宅相談を専門で受ける支援相談員が配置されていると伺っておりますが、この相談員が受けた生活保護受給者の住宅相談件数及び住宅確保支援のスキームをお知らせください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護を受給されている方の居住の安定確保のため、博多区と西区の庁舎内に支援相談員を1名ずつ配置しており、立ち退きや退院等で住宅の確保が必要であるにもかかわらず、自力で探すことが困難な場合に賃貸物件情報の提供や不動産事業者への同行等の支援を行っております。支援相談員が受けた相談件数は、令和4年度の実績で150件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 博多区と西区に支援相談員を1名ずつ配置しているとのことであります。
それでは、この支援相談員に寄せられた年間150件の相談について、区別の内訳と配置されている区以外から寄せられた件数の合計をお答えください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 相談の区別の内訳につきましては、東区が10件、博多区が31件、中央区が14件、南区が10件、城南区が12件、早良区が39件、西区が34件であり、博多区、西区以外からの相談は合計で85件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 各区のケースワーカーにこの住宅確保支援スキームが十分に伝わっているのか疑問に思い、議会という公の場で念のため確認させていただきました。
生活保護の在り方について、就労支援と住宅確保支援について絞って述べてまいりましたが、福岡市の生活保護に関するリーフレットの中に、先ほどのこれですね、(資料表示)「生活保護は国民の権利です。ためらうことなく利用してください。」の一言が入れられないものでしょうか。就労活動促進費や住宅確保支援スキームの明記など生活保護受給者と生活保護制度の橋渡しとなるケースワーカー双方にとってメリットがあり、活用しやすく、無用なトラブルが起こらないようなイラストや事例などもふんだんに取り入れた分かりやすいリーフレットの作成が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護の申請が国民の権利であることは市のホームページにおいて周知を行っているところでございますが、今後、生活保護に関するリーフレットである保護のしおり等への掲載についても検討を行ってまいります。また、生活保護を受給している方が必要な給付や支援制度を確実に利用できるよう、チラシを作成するなど周知に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ケースワーカーをはじめ、福岡市の生活保護行政に携わる職員の方が少ない人数で多くの生活保護受給者の担当を受け持ち、様々な支援を行っていることは十分に承知しておりますし、感謝をしております。
だからこそ、ケースワーカー等の支援する側の負担軽減のためにも十分な研修を行い、寄り添い型支援の充実を図っていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ケースワーカーは、支援を必要とする方一人一人と向き合う重要な役割を担っているものと認識しております。様々な研修や実務を通じた助言指導などを行っているところですが、引き続きケースワーカーの資質の向上に取り組み、きめ細かな支援を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 重ねて申し上げますが、最近の食料品などの生活必需品の物価高騰は市民生活に多大な影響を与えております。生活保護受給者をはじめ、生活困窮者の方は、さらに深刻な事態に陥っております。その最後のよりどころとなるのが生活保護行政など福祉分野を担う職員の皆様です。福岡市は、もっともっと誰一人取り残さないSDGsの基本に徹していただきたいと思います。
最後に、福岡市において、全ての市民のウエルビーイング、身体的、精神的、社会的に良好な状態達成を目指して日夜奮闘されている島市長に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 生活に困窮されている方がそれぞれの状況に応じて必要な支援を受けられることは大変重要であると考えております。生活保護制度につきましては、日常生活への支援に加え、就労や住宅確保などきめ細やかな支援を行っているところであり、制度の適切な運用や周知を図ってまいります。今後とも、誰一人取り残さないというSDGsの理念を踏まえ、全ての人が安心して生活できるまちづくりに取り組んでまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表しまして、女性視点を取り入れた災害時の避難所運営と災害備蓄品について、葬祭場整備事業について、小中学校の学校図書館における新聞配備について、以上3項目について質問してまいります。
最初に、女性視点を取り入れた災害時の避難所運営と災害備蓄品についてです。
今年元日に発生した能登半島地震は国民の記憶に新しいところです。また、その後も豊後水道や台湾付近での花蓮地震など国内外で大規模地震が発生しており、改めてこれらの地震に関係して犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、被災者の皆様にお見舞いを申し上げるとともに、被災地の一日も早い復旧、復興をお祈り申し上げます。
本市におきましても福岡県西方沖地震発生から19年が経過しましたが、警固断層帯が本市直下を通ることを考えますと、いつまた大規模な地震が発生してもおかしくない状況であり、その備えは常日頃から重要だと考えます。これまでの震災を教訓として、本市におきましても防災計画や避難計画の見直しなど新たな防災、減災の取組や、その拡充、見直し等がたゆむことなく行われていますが、今回は、本市が災害に見舞われ、市民が公民館や学校などに開設される避難所避難をされた場合における女性視点の避難所運営と災害備蓄品について質問してまいります。
能登半島地震における被災地の状況を報道などで見てみますと、女性視点に欠けた避難所運営や災害備蓄品の在り方について一部報道で指摘されており、東日本大震災の際の避難所運営においても同様の指摘があったと記憶しております。西方沖地震以降、本市では大きな被害の地震はありませんが、豪雨災害などによって避難所が開設されることがあります。
そこで、令和5年度における避難所として開設した施設と開設箇所数及び避難者数をお示しください。
以上で1問目を終わり、以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 令和5年度におきましては、7月9日から10日の大雨の際、避難所として公民館や小中学校、集会所など136か所を開設し、59人が避難をされております。また、8月9日から10日の台風6号の際は、164か所を開設し、142人が避難をされております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 今御答弁いただいたように、豪雨時や台風発生のときに、市民の命を守るために、昨年度だけでも延べ300か所、延べ4日間、公民館や小学校などで避難所が開催されています。そこでは延べ201名の方々が避難しておりますが、避難所には女性も多く避難するため、平時より女性視点にも考慮した避難所運営が重要だと考えております。
そこで、本市における避難所運営について、女性の視点に考慮するためにも女性職員の声や地域の女性の声をどのように生かしているのかをお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 福岡市におきましては、女性職員のほか、地元の女子大学生や子育て中の女性などの参画の下「女性の視点を活かした防災ミニブック」を作成し、防災グッズや備蓄品の準備、誰もが安心できる避難所づくりに活用されるなど、女性の声を生かした防災施策の推進を図っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。避難所を運営する上におきまして、災害弱者にも寄り添った運営が求められています。災害弱者の中には、高齢者や障がい者、傷病者などのほか、妊婦や乳幼児も含まれます。
女性視点の避難所運営についての観点から、妊産婦や乳幼児につきましても、その視点に立った避難所運営が重要だと考えますが、本市はどのように取り組んでいるのかをお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所につきましては、地域防災計画や避難所運営の手引き等において、乳幼児のいる家庭に配慮した授乳スペースや育児スペースの確保など、誰もが安心できるレイアウトを例示するほか、避難所における地域の運営体制に女性の参画を図ることといたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) では次に、市民が災害時に避難所へ避難した場合、食料品や飲料水、日用品、衣類、衛生用品など様々な備蓄品の備えが必要となりますが、本市が備蓄する災害備蓄品について、その内容の主な物品についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公的備蓄につきましては、想定避難者等3万人の3日分となる飲料水や食料27万食を備蓄するとともに、避難所運営のための非常用発電機や投光器、段ボール間仕切り、マルチルーム、携帯トイレなどを備蓄しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 今答えられた備蓄品の中で、特に妊産婦さんとか乳幼児のための備蓄品としては、どのようなものをどの程度備蓄しているのかについてお示しください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 妊産婦や乳幼児向けの備蓄品といたしましては、授乳室や更衣室などに使用できるマルチルーム304張り、粉ミルク5,000食、哺乳瓶5,000本、液体ミルク150本、離乳食にも使えるおかゆ3万5,000食、紙おむつ1万5,000枚、防犯ブザー830個などを備蓄しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 内閣府の男女共同参画局が作成しております防災・復興ガイドラインにおきましては、今お答えいただいた備蓄品以外に、妊産婦さんに対しては妊産婦用の下着や衣類、また、母乳パッドの備蓄、また乳幼児に対しては授乳室ごとの枕やクッション、乳幼児用の軟水飲料水などの備蓄が推奨されております。
備蓄品につきましては、緊急の避難の際や家屋の崩壊など大規模災害の場合は、外に持ち出せないケースももちろんありますが、行政による備えだけでなく、まずは自助の観点から家庭で備蓄しておく必要もあると考えます。
そこで、この質問の最後に、家庭での備蓄への広報、啓発と、男女共同参画局が推奨し、本市に備蓄がない妊産婦向け、乳幼児向けの備蓄品の備蓄を求めますが、答弁を求めます。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 家庭での備蓄につきましては、市政だよりや市ホームページなどによる広報のほか、備蓄促進ウィークの取組や出前講座の実施など、様々な機会を通じて個人特有の必要物資の備蓄などの周知、啓発を行ってまいります。
また、備蓄品につきましては、国からのプッシュ型支援や企業等との災害時応援協定の活用により必要な物資を確保するほか、防災・復興ガイドラインで推奨された備蓄品目、能登半島地震に係る国の検証結果や被災自治体へのヒアリング結果などを踏まえ、さらなる対策を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ぜひよろしくお願いいたします。
では次に、葬祭場整備事業についてです。
近年、少子化社会の影響によって、年々、日本国内の人口は減少しています。本市におきましては人口が増加しているところではありますが、国勢調査によりますと、65歳以上の人口の割合は、平成7年は11.1%だったものの、令和2年には約2倍の22.1%となるなど、元気で活気がある都市と言われている本市におきましても高齢化率は増加しており、今後さらに高くなると推測されています。当然ながら、高齢化率の増加に伴い亡くなる方も増えていくこととなります。近年は高齢者の死亡者数が増加し、人口減少が加速する、いわゆる多死社会を迎え、火葬場の混雑によって火葬を何日も待たなければならない火葬待ちが、都市部で見られるといった報道を時々耳にするようになりました。例を挙げますと、横浜市の市営斎場における火葬待ち日数は、令和3年度には5.49日となるなど年々長期化しているようであります。
本市におきましては、私の周りで亡くなった方の御遺族や民間の葬儀場の方々のお話をお聞きしても、本市ではまだ火葬待ちの事例は聞いたことがありませんけど、今後さらなる進行が推測される多死社会におきまして、本市が火葬待ちの事態にならないよう、福岡市葬祭場、刻の森の再整備などについて質問させてもらいます。
最初に、本市直営の刻の森における20年前、10年前、5年前、直近年の年間火葬件数と1日平均の火葬件数の推移をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市葬祭場、刻の森における年間火葬件数は、20年前の平成16年度が7,254件、10年前の26年度が9,793件、5年前の令和元年度が1万963件、直近の5年度が1万2,683件となっております。次に、1日の平均火葬件数は、平成16年度が22件、26年度が27件、令和元年度が31件、5年度が35件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。本市におきましては、20年前の平成16年度と比較しましても、直近の令和5年度では年間火葬件数は約1.7倍、1日の平均火葬件数は約1.6倍に増加しております。
現在の年齢別人口構成を考えますと、本市におきましても、今後、高齢者を中心にお亡くなりになる方がこれまで以上に増加することが推測されますが、今後の刻の森における火葬件数がどうなっていくのか、推計されているのであればお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 今後の火葬件数につきましては、国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来推計人口を基に算出を行っており、令和7年度が1万3,202件、5年後の12年度が1万4,806件、10年後の17年度が1万6,376件、20年後の27年度が1万8,563件となっており、令和27年度をピークとして、その後減少していくものと推計されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。国における高齢化率のピークは令和25年になると推測されていますので、それと同様に、本市の火葬件数のピークもそれに近い令和27年度と推計されていることだと思います。
ここで心配されるのが、お亡くなりになる方が増加していく中で、今後も本市の葬祭場で火葬待ちがなく対応できていくのかということです。また、お亡くなりになる方は、一般的な傾向として冬場に多くなると聞いており、火葬件数が増加する冬場におきましても、火葬待ちが発生しないような取組や火葬炉の整備が必要だと考えております。
設備が整っている葬儀場におきましては、霊安室を設置しておられるため、多少の火葬待ちが発生しても大丈夫だとの声を事業者から聞きますが、小規模な葬儀場の場合はドライアイスで遺体を冷却する必要があるため、費用がかさむとの話をお聞きします。
何より御遺族とお亡くなりになった方のためにも火葬待ちを発生させてはならないと考えますが、本市の市営葬祭場であります刻の森について、その整備内容や、これまでの修繕実績について、併せて1日の最大可能火葬件数についてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 刻の森は平成17年10月に供用を開始し、火葬炉26炉、告別室6室、収骨室6室、待合室20室等を備えた施設となっております。供用開始以降は、年間3日間の休場日を除き毎日稼働していることから、設備の故障等により施設が停止しないよう火葬炉や排ガス処理設備のメンテナンスを行うとともに、館内の空調設備や建物等の修繕を適切に実施いたしております。また、1日最大可能火葬件数は48件となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 今、1日の最大火葬件数が48件とのことですが、先ほど示された推計火葬件数のピークである令和27年度におきましては、1日平均しますと約51件となります。そのことから、現在の設備や運営方法では火葬待ちが毎日3件ずつ発生して、それが積み重なることが想像されます。
そこで、本市が計画しております刻の森整備事業について、最初にそのスケジュールについてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 刻の森は供用開始後18年が経過しており、近年の火葬件数増加に伴い、火葬炉設備が老朽化しております。今回の整備事業につきましては、今後も安定的に施設運営を継続していくため、火葬炉設備等の更新を行うものであり、整備期間につきましては、令和8年度から12年度までの5年間を予定いたしております。初年度の8年度は火葬炉設備の設計及び製作を行い、その後、9年度から12年度にかけて、施設を稼働しながら順次更新していくこととしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。火葬炉設備等の更新は令和8年度から令和12年度においてのことですが、その整備内容についてお尋ねします。あわせて、その整備において、これまでの火葬炉とどのような違いがあるのかについてお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 整備内容につきましては、現在設置されている火葬炉全26炉と附帯設備である排ガス処理設備を更新することといたしております。そのほか、御遺族の方が利用される告別室や収骨室の利便性向上のための改修、老朽化が進行している受変電設備や空調設備等の更新を予定いたしております。更新後の火葬炉は耐久性が高くなり、現在1日2回転の火葬能力が1日3回転へと向上することとしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 今回の刻の森整備事業においては、今答弁いただきました火葬炉設備の更新などと併せて、火葬受付時間を現在の午前10時から午後4時までのものを2時間延長するものと聞いております。火葬炉が機能を上げて更新され、受付時間を延長した場合、1日における最大可能火葬件数は何件となるのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 火葬炉の更新後におきましては、火葬炉の運転回数の増加と火葬受付時間の延長により、1日最大可能火葬件数が48件から75件へと増加する予定でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。将来的にピークが予想されている令和27年の1日当たり推計火葬件数、この約51件というのも、今回の整備や受付時間の変更などで火葬待ちの状況にはならないとのことで、安心はしているんですが、今後の整備や受付時間なども、亡くなる方やその御遺族、また、民間の葬儀場が困ることがないよう、将来的にもしっかり対応していただきたいと思います。
ここで、本市の直営葬祭場ではありませんが、東区民が利用できる北筑昇華苑組合立北筑昇華苑について少しお尋ねさせてください。
北筑昇華苑は、福岡市、古賀市、福津市など3市7町で構成される北筑昇華苑組合によって運営されており、福岡市民においては東区民のみが施設利用できる、古賀市に整備された葬祭場であると認識しています。
そこで、令和5年度における北筑昇華苑で火葬された東区民の火葬件数とほかの2市7町の火葬件数との割合について、また、毎年運営費など規約による負担金や火葬料金の差額分による負担金が発生しているとお聞きしますが、どの程度負担しているのか、金額と組合における割合をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和5年度における北筑昇華苑全体の火葬件数につきましては5,834件で、そのうち東区民の火葬件数は2,175件、全体の約37%となっております。5年度の負担金につきましては、施設運営に係る経常経費500万円のうち170万4,000円となっており、負担割合は約34%でございます。また、刻の森より北筑昇華苑の火葬料金が高く設定されていることから、その差額を負担金として支出いたしておりまして、5年度の負担額は4,348万9,000円となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。今答弁いただいたように、北筑昇華苑が東区の区民の皆さんに多く利用されていまして、また、組合には本市から毎年多額の負担金が発生しています。一方で、北筑昇華苑を利用したことがある東区の方から、待合室などに空調設備がなくて、夏は特に待ち時間など暑くてつらかったとの話をお聞きしました。
本市の直営葬祭場ではないため、本市の裁量で決定できるわけではありませんが、利用者の利便性を考慮して、もっと快適な空間づくりが望まれるため、本市からも積極的に組合に対して意見を出してほしいんですが、所見をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 北筑昇華苑につきましては、東区民の方が多く利用されている施設であることから、御遺族の方々が快適に利用いただけるよう、引き続き施設の利便性向上や火葬炉更新の時期に合わせた施設改修などの環境改善について要望してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ぜひよろしくお願いいたします。
では、この質問の最後に、今後、死亡者数が増加するであろう将来、火葬待ちを出さないために本市はどのように考え、取り組んでいくのかを尋ね、この質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 火葬件数増加への対応につきましては、火葬炉の運転回数を1日2回転から3回転にするとともに、火葬受付時間を2時間延長することにより、火葬待ちといった事態が発生しないよう取り組んでまいります。刻の森は市内唯一の大規模火葬場であることから、今後も安定的な葬祭場運営を継続するため、適宜必要な施設整備に取り組むなど市民の利便性向上に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。
では最後に、小中学校の学校図書館における新聞配備について質問してまいります。
まず、情報偏食という言葉があります。インターネットの発達、発展や、LINE、インスタグラムなどを代表としたSNSの普及によって生まれた熟語でありますが、読んで字のごとく、情報を偏って食することを意味すると言われております。この情報偏食が進みますと、認知がゆがみ、また、物事を正常に判断できなくなるおそれがあると言われており、現在はまさに情報偏食時代にあると考え、この時代の犠牲になってはならないのは一番に子どもたちであると考えております。
様々なインターネット端末の発達によって、子どもたちでも簡単にデジタル空間にアクセスすることが可能な時代になり、関心事の多くは、わざわざ図書館などに足を運んで調べなくても、手持ちのスマートフォンやタブレットなどで簡単に調べることができます。しかし、その検査結果の中には、過激なものや極端なもの、また、フェイクニュースと言われるうその情報が入り交じっていることもあり、社会経験が少なく、純粋な子どもたちは、それらの情報を信じてしまう危険があります。子どもたちが過激な情報や極端な情報、うその情報などに偏らないためには、子どもたちへのメディアリテラシー教育や啓発も必要ですが、加えて、学校教育の現場にも改めて幅広い情報に触れることができる新聞を読める環境をつくることが有益になるのではないかという観点から質問させてもらいます。
最初に、新聞を配備している福岡市立の小中学校はどの程度あるのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ほぼ全ての小中学校で新聞を購入し、学校図書館や職員室などに配備いたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ほぼ全ての小中学校で購入し、学校図書館や職員室等に配備しているとのことですが、職員室に配備していても、なかなか子どもたちには読む機会がないと思います。
その中で、学校図書館に配備している小中学校の校数と割合はそれぞれどうなっているのかをお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年3月末の時点で学校図書館に新聞を配備している学校数と割合は、小学校38校で小学校全体の26%、中学校14校で中学校全体の20%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 小学校で26%、中学校で20%という割合は少し低く感じております。
国においては、文部科学省が令和4年に第6次学校図書館図書整備等5か年計画というものを策定しております。その中では、学校図書館図書の整備、学校司書の配置と併せて、学校図書館への新聞配備が計画されています。その内容は、選挙権年齢の18歳以上への引下げや成年年齢の18歳への引下げに伴い、児童生徒が主体的に主権者として必要な資質や能力を身につけることを目的に、公立小学校であれば1校当たり2紙、公立中学校であれば1校当たり3紙の学校図書館への新聞の複数紙配備を図るものとされており、地方財政措置が講じられているとも伺っています。複数紙配備でありますと、一般紙だけではなく、読みやすい子ども、中高生向けの新聞なども組み合わせることができ、児童生徒がより幅広く情報を得ることができる環境が整備されると考えます。
ここで、東京都葛飾区の取組を紹介させてもらいたいと思います。
葛飾区は、学校が新聞販売店と契約するのではなく、教育委員会が各小中学校の希望を取りまとめ、各新聞社と一括契約をすることで、学校側の負担を増やすことなく、葛飾区立全ての小学校で2紙以上、中学校で3紙以上の購読を実現されています。児童生徒にとっては、学校図書館に行けば、政治、経済、世界情勢や文化、スポーツなど多岐にわたり広い情報を入手することができ、また、複数紙を配備することで、各紙の様々な情報や観点、論点を知ることができます。また、学校ごとで契約する場合は、これまで各校で年間24件から36件の伝票の作成が必要だったものが、この取組によって学校側の伝票作成は不要となり、葛飾区教育委員会が行う伝票審査も年1,000件以上のものが15件に減る計算になるとされており、児童生徒にとっても、学校、教育委員会にとってもメリットであると言われております。
今回は、小中学校の学校図書館への新聞配備についての質問のため、改めて学校図書館の機能と役割について幾つかお尋ねいたします。
まず、学校図書館の教育上の位置づけと機能についてお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領においては、指導計画の作成等に当たって学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図り、児童生徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実することに配慮するものとされております。また、文部科学省が作成いたしました学校図書館ガイドラインにおきましては、学校図書館の機能として読書活動や読書指導の場である読書センター、学習活動の支援や授業の理解を深める学習センター、情報の収集、選択、活用能力を育成する情報センターとしての役割があるものとされております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。
学校図書館では、単に読書をするだけではなくて、学習センター、情報センターとしての機能も有しているとのことでしたが、実際にはどのように利用されているのかをお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習センターとしましては、国語で学んだ読み物と同じ作者の作品を読み広げたり、社会で取り上げた事象や人物を詳しく調べるなど学習内容を広げ、深めるために利用されております。また、情報センターとしては、児童生徒が作成したお勧めの本の紹介や、卒業生が作成した修学旅行の感想文やパンフレットなどを展示するなど、情報発信や収集の場として利用されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 児童生徒の自発的、主体的な学習活動を支援するという点では、学校図書館に様々な資料が配備されていることが重要であります。
昨今、各家庭での新聞購読率が減少していく中、ニュースなど新しい情報が入手できる新聞はよい教材になるのではないかと考えています。また、大切なのは、配備された新聞をどう活用し、児童生徒が何を学ぶかということです。
そこで、新聞を活用した学習について、学習指導要領の位置づけについてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領では、人々のあらゆる活動に今後一層浸透していく情報技術を児童が手段として学習や日常生活に活用できるようにするため、各教科等において、これらを適切に活用した学習活動の充実を図るとともに、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材、教具の適切な活用を図ることも重要であるというふうに示されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 学校図書館や職員室に配備された新聞を児童生徒はどのように活用しているのか、併せて通常の新聞を教育活用する上での課題があるのであればお示しください。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校図書館に配備している新聞は、興味のある児童生徒が休み時間などに自由に閲覧できるようにしておりまして、職員室に配備している新聞は教師によって教材化され、授業の中で活用しております。新聞活用の課題としましては、通常の新聞は必ずしも小中学生向けに書かれているわけではなく、児童生徒にとって記事の内容が難しい面があることや、広告欄等に教育上不適切な情報が掲載されていることがあり、児童生徒が自由に閲覧することへの懸念がございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) 今、この情報化社会を生きる児童生徒は、スマートフォンやタブレット等を利用して知りたい情報を手軽に入手することができるんですが、その反面、自分の興味関心がある情報だけを目にしてしまう傾向もあります。
だからこそ、新聞をはじめ、多様な情報に触れ、児童生徒が社会性や幅広い見聞を身につけられるよう今後も学校図書館の機能を充実させてほしいと思いますが、所見をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 授業の中で学校図書館を効果的に活用し、読書意欲を高めるとともに、児童生徒の社会性や情報活用力等の様々な資質能力を育成することが大切であると考えておりまして、新聞の活用をはじめ、様々な読み物が児童生徒の見聞を広め、より豊かな成長につながるよう、学校図書館の学習センター、情報センターとしての機能の充実に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) とみながひろゆき議員。
○15番(とみながひろゆき) ありがとうございます。
令和5年4月に実施されました全国学力テストの結果によりますと、ほぼ毎日新聞を読むと答えた小学生の算数の平均正答率は74.3%、国語は75.9%で、新聞をほとんど、または全く読まないと答えた児童よりも10ポイント以上高く、中学生においても同様の傾向が見られたということです。このことからも児童生徒が新聞を読むことは、学力向上という点からも、大切なことではないかと考えます。
本市では現在、学校長の裁量で学校予算の中で新聞を購入していますが、葛飾区など他都市の事例を参考に学校への新聞配備を一層進められるよう要望いたしますが、最後に所見をお尋ねしまして、質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領には、情報技術を児童生徒が手段として学習や日常生活に活用できるようにするため、各教科等において、これらを適切に活用した学習活動の充実を図るとともに、これらの情報手段のほか、各種の統計資料や新聞、視聴覚教材や教育機器などの教材、教具の適切な活用を図ることも重要であると示されてございます。そのため、児童生徒が新聞を身近に感じることができるような環境整備について今後も検討するとともに、各教科等の指導において、統計資料や新聞などを活用した児童生徒の主体的な学びの改善に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後5時50分に再開いたします。
午後5時38分 休憩
午後5時50分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛)登壇 皆様お疲れさまでございます。いましばらくお付き合いをいただきたいと思います。
私は日本維新の会福岡市議団を代表し、災害時における帰宅困難者対策、介護サービス事業における業務継続計画、空き缶の持ち去り対策について質問をいたします。
まず、災害時における帰宅困難者対策についてであります。
本年3月22日付の西日本新聞におきまして、九州大学塚原教授への取材記事として「福岡市 避難者想定に穴」と大きな見出しが載りました。これは平成17年3月20日の福岡西方沖地震で震源となった警固断層帯の南東部で新たに大地震が発生した場合、本市の防災計画を上回る避難者や建物の全壊が出ると警鐘を鳴らす記事でありました。本市の地域防災計画では最大震度6強と想定されておりますが、2020年に出された国の防災科学技術研究所の調査では、最大震度が7との予測もあり、これを基にすると、全壊する建物が4から5倍に増えると塚原教授は指摘をされています。
そこで、本市地域防災計画における被害想定とはどのようになっているのか、また、それに関連し、帰宅困難者対策はどのようになっているか、お尋ねしてまいります。
まず、市民の生命、身体及び財産を災害から保護する目的で策定されている福岡市地域防災計画策定の根拠をお尋ねするとともに、被害想定について、その根拠をお尋ねし、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 福岡市地域防災計画は、災害対策基本法に基づき作成しております。また、地震の被害想定につきましては、同法により都道府県の地域防災計画に抵触しないこととされていることや、地震による被害は市域を越えて広域的にもたらされるものであることから、福岡県地域防災計画を根拠といたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本市地域防災計画は昭和39年に策定され、災害対策の基本であることが位置づけられました。その後、平成7年1月の阪神・淡路大震災を受けて、本市の直下にある警固断層帯の調査や評価等、地震に関連する見直しが行われて以降、その都度見直しが行われてきたところであります。
被害想定とは、警固断層南東部の活断層が活動した場合に、本市における建物被害やライフライン等の被害、火災、人的被害をそれぞれ数値で表わしているものであります。
そこで、本市地域防災計画の基礎となる福岡県地域防災計画において、被害想定の根拠となる調査はいつ行われたのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 福岡県地域防災計画の被害想定につきましては、平成24年3月に福岡県が公表した地震に関する防災アセスメント調査を基礎としております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 平成24年3月、県が公表した調査結果を踏まえ、被害想定の基礎としているとのことですが、平成25年以降、現在まで被害想定の数値が全く変わっておりませんが、これまで調査や見直しなどは行われていないのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 福岡市地域防災計画の被害想定の根拠である県の地域防災計画については、被害想定に係る調査や見直しは行われておりません。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 10年間、被害想定の数値が変更されていないのは、根拠としている県の想定に変わりがないからとのことですが、本市は2010年の国勢調査から、10年間で人口は14万8,000人、世帯数は12万4,000世帯の増加となっており、さらには、2040年には人口が170万人に達することが予測されています。
本市や本市周辺自治体を取り巻く環境はかなり変わってきていると思いますが、これまで県や本市周辺自治体と想定の見直しに関し協議等は行われているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 毎年、県と県下市町村との間で防災等に関する情報交換などを行っております。また、被害想定の見直しに関し、今年3月に県に確認をしたところ、日向峠−小笠木峠断層、宇美断層及び福智山断層の被害想定調査を令和6年度に行うとのことでございました。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 県と県下市町村との間で行われた情報交換とはどのような内容か、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 県等との情報交換につきましては、各市町村の防災担当者を集めた会議などで、地域防災力の向上等についての意見交換が行われております。今年5月に行われた会議では、県から新たに3つの断層を対象とした調査への着手や、その結果を踏まえた福岡県地域防災計画の改定などについて説明が行われております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本市や本市周辺自治体を取り巻く環境が大きく変わっているにもかかわらず、協議すら行われなかったとのことです。毎年とは言いませんが、5年に1度ぐらいは見直す仕組みづくりが必要ではないかと意見を述べておきます。
次に、同じ被害想定の視点から、帰宅困難者対策についてお尋ねをいたします。
本年4月より神戸市におきまして、帰宅困難者支援システムという全国初のシステムが稼働いたしました。これは平成23年3月の東日本大震災において、首都圏で多くの滞留者や500万人以上の帰宅困難者が発生し、大混乱が生じたことにより、その対策に取り組むことが求められたことを受けての支援システムで、先日、神戸市で視察をしてまいりました。
このシステムは、帰宅困難者を市職員によって一時滞在施設へ誘導することは、時間と労力がかかり過ぎて現実的ではないこと、また、職場から予約先に直接向かうことで、公園などに滞留させないことなどを主な目的とするものです。神戸市のホームページ上などでQRコードを読み込み、必要項目を入力すると一時滞在施設の予約が確定され、そこまでの道順が表示されるというものです。
本市でも、平成17年3月の福岡西方沖地震において、警固公園で多くの方々が滞留していたことが確認されています。
そこで、本市地域防災計画における帰宅困難者数はどれくらいか、また、その根拠は何に基づくものなのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 帰宅困難者数につきましては、都市再生特別措置法に基づき作成した天神・博多駅周辺地区都市再生安全確保計画に基づいており、全市で約19万人、そのうち寄る辺のない帰宅困難者は約3万8,000人で、天神地区で約2万500人、博多駅周辺地区で約1万7,500人と想定しております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) この想定は都市再生安全確保計画に基づくとのことですが、この計画はいつ調査が行われ、いつ策定されたのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 都市再生安全確保計画につきましては、平成25年3月から行った調査を基に、平成28年3月に作成しております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 想定根拠は約10年前の調査に基づくということですが、先ほども述べましたように、本市は人口増という形で大きく環境が変わってきております。このような状況を鑑みれば、再調査を行い、見直しを行う必要があると思いますが、御所見をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 帰宅困難者の想定につきましては、広域的な影響があり、県や近隣自治体との整合を図る必要があることなどから、平成25年に行った調査では、福岡県の地震に関する防災アセスメント調査報告書のデータ等を活用し、同調査との整合を図りながら推計を行ったものです。このため、今後も帰宅困難者数につきましては、県の防災アセスメント調査の見直しに合わせて、必要な見直しを行うことといたしております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 県が動かないから何もしない、また、何もできないと言っているようなもので、もう少し現状を見てほしいものです。
仮に地震が発生した場合、帰宅困難者、特に寄る辺のない方々へはどのような対応を取られるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 帰宅困難者への対応につきましては、被害状況等の情報提供や企業に対する従業員の一斉帰宅抑制の呼びかけなどを行うとともに、寄る辺のない帰宅困難者には一時滞在施設等への誘導を行います。その後、列車が運休した場合の交通事業者と連携したバスの代替輸送や、徒歩帰宅者に対する災害時帰宅支援ステーションの提供などを行ってまいります。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 帰宅困難者への情報提供、一時滞在施設等への誘導、一斉帰宅の抑制などで対応するとのことですが、そのうち一時滞在施設の確保状況について、天神地区、博多駅周辺地区ごとの内訳も含め、5年前との比較でお示しください。
あわせて、企業へはどのような協力を依頼されているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 一時滞在施設につきましては、令和元年5月1日時点では、天神地区が5施設、1万1,272人分、博多駅周辺地区が11施設、1万1,721人分、合計で16施設、2万2,993人分となっておりましたが、令和6年5月1日時点では、天神地区が11施設、1万5,432人分で6施設、4,160人分の増、博多駅周辺地区が23施設、1万6,167人分で12施設、4,446人分の増、合計で34施設、3万1,599人分で18施設、8,606人分の増となっております。
また、施設の確保については、We Love 天神協議会や博多まちづくり推進協議会等のまちづくり組織が実施するセミナーや説明会において、会員企業への協力依頼を行うほか、天神ビッグバンや博多コネクティッドの建て替え誘導策も活用しております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 建て替えの誘導策などにより、民間のオフィスビル等の受入れが着実に増えてきており、また、まちづくり協議会等との協力体制も構築されてきているようです。
そこで、寄る辺のない帰宅困難者は、天神地区で約2万人、博多駅地区で約1万7,000人と想定されていますが、一時滞在施設へはどのような方法で誘導されるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 一時滞在施設への誘導につきましては、現地での市職員等による誘導のほか、市ホームページへの掲載や商業施設との災害時応援協定によるデジタルサイネージの活用、さらには天神、博多駅周辺地区へのエリアメールによる情報発信などを行うこととしております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 市職員等により誘導するとの答弁でしたが、神戸市で指摘があったように、市職員等による誘導が現実的かということです。天神地区で約2万人、これは福岡マラソンの約2倍の人数です。さらには避難者が集まる公園等の指定がない現状では、どこにどれだけ滞留しているのか、また、そのうち一時滞在施設を希望している方々はどれくらいかなどを把握しなければならず、市職員等にかかる時間や労力は計り知れません。だからこそ、神戸市の考え方は現実的であり、利にかなっていると思えております。
そこで、これまで天神や博多駅周辺地区において、実際に誘導を想定した訓練等は行われているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 訓練につきましては、We Love 天神協議会などのまちづくり組織が実施する帰宅困難者等の受入れ対応訓練に、市職員も参加する形で行っております。今後、各地区のまちづくり組織と連携した訓練を行っていく中で、一時滞在施設への誘導訓練も実施をしてまいります。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ぜひよろしくお願いしたいと思います。これからは、ちょっと確認の意味でお尋ねしてまいります。
帰宅困難者や来訪者に対する備蓄品にはどのようなものが確保されているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 備蓄品につきましては、一時滞在施設のうち、市の施設であるボートレース福岡に簡易トイレやアルミブランケットを備蓄しており、市の施設以外には、協定の締結などにより、飲料水や食料、毛布などの備蓄について協力を求めております。なお、不足する物資については、市の備蓄倉庫から搬入することとしております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 次に、徒歩などで帰宅される方々への支援施設として、災害時帰宅支援ステーションというものがありますが、どのような施設で、設置場所はどこで、また、市内には幾つあるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 災害時帰宅支援ステーションにつきましては、福岡市または福岡県と協定を締結して、徒歩帰宅者に対する災害情報の提供や、トイレ、水道水の利用などを支援する施設でありまして、ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、飲食店、販売店等があります。市内には、県と市の協定分を合わせて1,132施設がございます。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) インバウンドを呼び込む本市において、震災発生時における来訪者、特に外国人来訪者へはどのような対応を取られるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 来訪者につきましては、基本的には帰宅困難者と同じ対応を行いますが、特に外国人来訪者に対しましては、外国語によるホームページ及びSNSでの情報発信や外国人向け観光情報サイト、Fukuoka City Official Tourist Guideでの災害情報の発信を行うとともに、当該サイトにアクセスできる二次元コードを市内宿泊施設で配布しております。また、必要に応じて災害時外国人情報支援センターを設置し、多言語での情報発信や相談受付などを行っております。以上です。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ありがとうございました。これまでるるお尋ねした中で、支援策が着実に進んでいることは理解いたしましたが、疑問もあります。本市や本市周辺自治体を取り巻く環境は、人口増という形で変わってきています。また、本市は天神ビッグバンや博多コネクティッドなどで、これからも人や企業を呼び込むとしています。インバウンドもしかりです。これからの10年間でさらに環境が変わることが予測される中で、想定の根拠は今から10年前の調査のままとなっていることについて、大きく疑問が残りました。県や県下市町村とともに、数年に一度は見直しを行うような仕組みづくりが必要ではないかと意見を述べておきます。
次に、介護サービス事業における業務継続計画、BCPについてです。
感染症や災害発生時に継続的にサービス提供ができる体制を構築することを目的とする業務継続計画が、令和6年4月より義務化となりました。
まずは策定目的など概要をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務継続計画の主な目的は、災害や感染症が発生した場合に、利用者及び職員の身体、生命の安全確保に加え、優先的に継続、復旧すべき重要業務の継続または早期復旧を目指すものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本市には通所リハビリテーションなどみなし指定を除き、策定しなければならない対象の事業所は幾つか、また、対象の事業所に課せられる義務とは何か、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務継続計画の策定義務が課されている介護サービスの指定事業所数は約2,400で、内訳は、施設系が約400、訪問系、通所系などが約2,000でございます。自然災害及び感染症に係る業務継続計画の策定のほか、定期的な研修や訓練の実施等が令和3年度から3年間は努力義務とする経過措置期間を経て、本年4月より義務化されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 3年間の努力義務期間が終わり、本年4月より完全に義務化されました。
そこで、約2,400か所の事業所における策定状況をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和6年2月に実施した調査によりますと、回答があった1,204事業所のうち、策定を完了している、または3月末までに策定を完了予定としている事業所数は、自然災害については1,201で約99.8%、感染症については1,200で約99.7%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 約1,200か所からの回答ではほぼ策定されているようですが、100%ではありません。その内容が十分であるかについては、自己申告状態のようになっているのではないかと思われることから、内容が適正であるか否かについて、どこで、誰が、どのような体制で確認するのか、スケジュールを含め、お示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務継続計画の内容につきましては、毎年、全事業所を対象に行う集団指導や、国の基準に基づき、施設系は3年に1回、訪問系、通所系などは6年に1回事業所を訪問して実施する運営指導において確認してまいります。運営指導の体制については、福祉局職員が1班当たり2名から4名、最大4班で対応しております。なお、新規の事業所につきましては、指定申請時に策定していることを確認しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 国の基準により、現地に出向き確認するとのことですが、運営指導体制自体を充実しなければ、約2,400か所の訪問指導は難しいのではないかと思っています。
そこで、今後の課の体制づくりをどのようにお考えか、御所見をお尋ねいたします。
また、先ほどの調査において、未策定の事業所が数か所あるようですが、未策定の理由についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 事業所の指導につきましては、集団指導及び国の基準に基づく運営指導を実施しているところですが、今後とも、着実に実施できる体制を確保してまいります。
また、令和5年度に実施した国の調査によりますと、未策定の事業所における課題として、策定にかける時間を確保することや、未経験の事態を想像しながら策定することが難しいことなどの回答が上がっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 体制は、1つの事業所に2から4名で、最大4班という答弁がありました。私は、運営指導を強化し、事業者を厳しく指導してくださいと申し上げているのではなく、事務作業時間の確保や未経験であることなどの課題に対し、サポートの意味で事業所に寄り添うような伴走型の運営指導を求めているのであります。
そこで、策定経験がない場合において、担当者レベルでは難しいとの声があるようですが、どのように対応されるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 事業者に対しましては、国が示している業務継続ガイドラインやひな形、策定に関する動画を案内するなど、適切に策定が行われるよう支援してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ぜひ支援をお願いいたします。特に小規模の事業者はぎりぎりの人員体制で日常業務に当たられていると思いますので、サポートの意味で事業所に寄り添うような運営指導を改めてお願いいたしておきます。
先ほど約1,200か所の事業所から策定状況の調査結果について答弁がありましたが、義務化されたことにより、約2,400か所全体の策定状況を把握する必要があると思いますが、御所見をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務継続計画の策定状況につきましては、本年7月に実施する集団指導に合わせて調査する予定でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 集団指導時に全体の策定状況の調査を行うとのことですが、本来の目的を推進するためにも、まずは現状を把握しなければならないと思います。
次に、4月より完全に義務化されましたが、例えば、未策定の場合はどのような取扱いになるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務継続計画を策定していない場合は、介護サービスの基本報酬が、施設系は3%、訪問系、通所系などは1%減算されます。ただし、経過措置により、令和7年3月までの1年間は、訪問系サービス等は減算の対象外とされており、施設系、通所系サービスは、別途運営基準で定められている非常災害に関する計画等を策定している場合は減算が適用されません。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 未策定の場合はサービス基本報酬から減算されるようですが、特に小規模事業所においては、経営面での影響も大きいのではないかと考えます。
そこで、これから1年間の経過措置として、非常災害に関する計画等を策定している場合とありますが、その計画とはどのようなものか、また、策定されているか否かについての確認はどのようにされるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 非常災害に関する計画は、火災、水害、土砂災害、地震等に対処するための計画で、災害が発生したときの避難に関することや人員体制、指揮系統などを定めるものでございます。この計画につきましては、従来から事業者指定申請時に策定していることを確認しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 災害発生時の避難に関する人員体制や命令系統などを定め、指定申請時に確認が行われているとのことですが、その後、必要な対応を行っているのかの確認はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 非常災害に関する計画に係る対応の状況につきましては、運営指導時に避難訓練の実施状況等を確認しております。
なお、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内にある事業所は、毎年、避難訓練の実施状況の報告を求めております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 先ほども述べましたように、現体制で数年に一度の現地指導で本当に対応できるのか、危惧するところであります。改めて運営指導体制の充実について検討を求めておきます。
次に、未策定事業者へのサポートはどのようになっているか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 集団指導や運営指導等の機会を捉えて、業務継続計画の必要性について理解を促すとともに、国が示している業務継続ガイドラインやひな形など策定の手助けとなる情報を改めて周知し、速やかに策定するよう求めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ぜひよろしくお願いいたします。確実に策定していただけるよう、事業者へのサポートをお願いするところですが、これまでは策定の視点からお尋ねしてまいりましたが、BCPは策定することだけが目的ではありません。いかに実効性のある運用ができるかがポイントであります。事業者において、周知、研修、訓練、見直し、修正までを法的にワンセットとして運用しなければならないことから、策定支援はもとより、研修や訓練がどのように行われるのかが特に重要となります。
そこで、実効性のある運用についてどのようにお考えか、御所見をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 災害や感染症が発生した場合に迅速に行動できるようにするためには、平時からの準備が重要となります。このため、事業者に対しては、集団指導等において策定した計画を職員に周知することや、研修、訓練を定期的に実施することを求め、その状況を運営指導等で確認してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 未策定による減算の取扱いは3年間で、3年後の介護報酬改定では運用の有無がペナルティーの対象となるのではないかとの情報もあります。また、大規模の介護施設であっても、訓練や研修の方法が分からない、訓練、シミュレーションが想定できない、24時間体制のため職員が一堂に集まることができないなど、運用に向けて不安の声も大きいようです。
この質問の最後に、本来の目的である運用についても、積極的なサポートが重要になると考えますが、御所見をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 災害や感染症が発生した場合であっても、必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築することは極めて重要でございます。このため、福岡市としましては、集団指導や運営指導に加え、最新の知見の情報提供や市主催の研修を実施するとともに、関係団体との意見交換による必要な助言を行うなど、介護サービス事業者が策定する業務継続計画の実効性を高めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ぜひよろしくお願いいたします。BCP未策定は減算すればよいというものではなく、適正な運用につなげていかなくてはならないことから、約2,400か所に及ぶ事業所に対する運営指導は極めて重要であります。一つの例として、東京都のある区では、体制の関係から約1,000か所の事業所を3年かけて巡回し、指導する予定のようですが、減算が始まったことから、今年いきなり指導に入られる事業所と3年後に指導に入られる事業所とでは不公平感が生まれることが懸念されています。だからこそ、運営指導体制の充実を図らなければならないと考えるところであります。利用者や職員の安全の確保など、主な目的などは理解はされているものの、策定や運営について、事業者も戸惑っていらっしゃるのではないかと思われることから、本来の目的を遂行する視点、さらには事業所側へのサポートの視点からも取組の強化を求めておきます。
次に、最後に、家庭から排出されるアルミ缶の持ち去り行為対策についてであります。
コロナ禍以降、いわゆる家飲みの増加でアルミ缶の排出量が増加しているのではないかと思われる一方で、家庭から排出されたアルミ缶を適正に回収する前に持ち去る行為も多いと聞き及んでおります。
まず、持ち去り行為に関する苦情等の相談件数をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 空き缶等の不燃物のいわゆる持ち去り行為に関する相談等の件数につきましては、令和3年度が100件、4年度が347件、5年度が449件となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 相談件数が年々増加傾向にあるようですが、家庭から排出されたアルミ缶の持ち去り行為について、3年間の事案件数並びに処分に至った状況をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 持ち去り行為の件数につきましては、パトロール時に行った指導等の件数で申し上げますと、令和3年度が53件、4年度が75件、5年度が148件でございます。そのうち、処分に至った件数は、禁止命令処分が令和3年度がゼロ件、4年度が2件、5年度が3件、過料処分が令和3年度及び4年度がゼロ件、5年度が7件でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 注意等指導件数が年々増加傾向にある中、持ち去り行為事案の増加について、その要因とは何か、また、その背景とは何かをお尋ねするとともに、併せて個人的なのか、組織的なのかなど、どういう方々が関わっているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 持ち去り行為の指導件数などが増加している要因としましては、アルミ価格の高騰とともに、福岡市がパトロール体制を強化してきていることが挙げられると考えております。また、持ち去り行為につきましては、組織的かどうかについては確認できておりませんが、軽トラックやバン、ワゴン車などにより、1人あるいは2人で行われていることを確認いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 私が相談を受けたマンションの敷地内でのケースでは、外国人であったり、また、見つかっても開き直るような態度であったとのことでした。
令和5年3月、環境省廃棄物適正処理推進課が発表した令和4年度「資源ごみ」の持ち去りに関する調査報告書によれば、資源ごみの持ち去りを認知している729の市町村において、持ち去りの主な認知方法として最も多いのが市民からの通報、持ち去られた廃棄物の種類として最も多いのが空き缶、持ち去りによって生じている問題として最も多いのが周辺住民からの苦情等への対応、持ち去りへの対応、対策として最も多いのがパトロールの実施とあり、まさに本市が抱える問題や課題とほぼ同じではないかと思います。
そこでまず、本市の排出ルールに基づき、適正に回収されたアルミ缶の処理についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 収集したアルミ缶は、ほかの不燃ごみと併せて資源化センターで破砕した後、リサイクルできるアルミとして回収し、事業者に売却いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 適正に処理されたアルミにおける3年間の売却金額をお尋ねするとともに、売却金額の取扱いについてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) アルミの売却額は市の歳入となっており、その実績は、令和2年度が5,855万円余、令和3年度が1億1,217万円余、令和4年度が9,053万円余でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) アルミの売却額が変動しているが、アルミ自体の処理量の増減が要因なのか、あるいはアルミの売却相場の変動が要因となっているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) アルミの売却額の変動要因につきましては、不燃ごみ全体の処理量の減少に伴うアルミ売却量の減少によるもの及びアルミの売却単価の上昇によるものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本市の処理ルールに反し、持ち去る行為とはどのようなケースをいうのか、また、持ち去られたアルミ缶の量は把握しているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例第17条の2において、市からの委託等を受けた者や集団回収を実施する団体等と契約した者以外の者は、家庭系ごみもしくは集団回収で集められた資源物を収集、運搬、保管のいずれの行為も行ってはならないと規定されており、この規定に反して収集等を行う行為を持ち去り行為と呼んでおります。なお、持ち去られた空き缶の量については把握できておりません。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 適正に回収された空き缶は売却され、本市の収入となります。持ち去られた量については把握できていないことから、正確な数字をつかむことは不可能だと思いますが、本市が受け取るべき歳入にも影響しているのではないかと推測するところであります。
そこで、持ち去り行為への対策はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 持ち去り行為への対策として、おおむね月に22日、燃えないごみの持ち出し日の地区を中心に、職員や業務委託した警備会社によるパトロールを実施しており、パトロール体制は職員と委託の両者を合わせて、令和3年度の3班6人体制から、4年度は5班10人体制に、5年度は8班16人体制とするなど、近年の持ち去り行為の増加に伴い、拡充を図ってきております。また、生活に困窮していると思われる持ち去り者に対しましては、自立支援相談窓口の紹介なども行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 持ち去り行為の相談増加に伴い、パトロール体制が強化されてきていることから、現認の機会も増え、注意等指導件数や禁止命令処分、過料処分につながっていると思われる一方で、パトロールの強化によって、パトロールに係る経費も増加しているのではないかと思われます。
まずは、その推移についてお尋ねいたします。
また、売却額の相場も影響し、持ち去り行為を行う者が後を絶たないと思われる中、持ち去り行為を行う者への処分の手順、また、処分の根拠についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) パトロールに係る事業費は、令和2年度が2,905万円余、3年度が2,420万円余、4年度が4,556万円余でございます。
また、持ち去り行為への処分の手順等でございますが、まず、行為の現場を発見した場合には、その都度指導を行い、再三指導したにもかかわらず、持ち去り行為をさらに行ったことを確認した場合には、福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例第17条の2の規定に基づき、禁止命令を行い、この禁止命令にも違反して再度持ち去り行為を行った場合に、同条例第42条の規定に基づき、過料を科すことといたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) まず、発見しないとどうにもならないということだと思います。持ち去り行為自体をパトロール等で現認し、手順を踏む必要があることから、処分には相当な時間を要しています。指定袋を購入し、指定の場所へ指定の日に排出されたアルミ缶を適正に回収される前に持ち去るという行為は、私は窃盗に該当するのではないかと思いますが、残念ながらハードルは高いようです。これは、窃盗とは他人の財物を窃取する行為であり、捨てられた資源ごみには所有者がいないとされ、無主物扱いになるとの考え方のようであります。
次に、本市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例を根拠として、持ち去り行為を行う者へ処分を科すこととなっておりますが、本条例制定に至った経緯やその背景についてお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 持ち去り行為に関する相談や苦情が急増したことを受け、平成25年6月に資源物持ち去り防止に関する検討委員会を設置いたしました。当委員会におきまして、対策の検討を行った結果、持ち去り行為を法令で規制することが困難であり、罰則も含めた条例による新たな規制が必要であるとの結論に至ったため、平成26年4月に持ち去り行為を禁止するための条例改正を行ったものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 先ほどの環境省の調査報告書によれば、資源ごみの持ち去りを規制する条例等を制定している市町村の措置内容として最も多いのが命令、次に刑事罰の罰金、科料、そして、行政罰の過料となっており、また、罰金、2つの「かりょう」の内訳として最も多いのが20万円、次に、本市と同じ5万円となっています。このほか、50万円としている市町村もあれば、最も低い1万円という市町村もありました。本市条例における最大の処分は行政罰の過料であり、起訴や刑事裁判の対象とはなりません。だからこそ、発見されても開き直るんではないかと思います。
そこで、令和5年度に7件の過料処分が科せられておりますが、過料処分後の当該者への対応はどのようになっているか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 7件の過料処分のうち4件が納付済みで、残り3件の未納者に対しましては、対面による説明や納付指導を行っており、そのうち1件については、財産の差押えなどの法的措置を行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 当該者へは厳しく対処されますよう求めておきます。
持ち去り行為への対策については、当局も大変苦慮されていることは認識しており、現状としては致し方ないと理解する部分もあります。ただ、売却額の相場が高止まりしていることを考えれば、幾らパトロールを強化しても、持ち去り行為は減らないと思われます。抑止力を高めないと効果はないのではないでしょうか。
最後に、他都市に倣い、罰金等ペナルティーを厳しくする必要があると思いますが、御所見をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 持ち去り行為は市民の生活不安につながるとともに、市民の協力を得ながら進めておりますごみ分別リサイクルの取組などに影響を及ぼすものであり、厳正に対処する必要があるものと認識いたしております。引き続き、パトロールや指導に従わない行為者への過料処分などの取組を着実に実施していくとともに、その抑止効果の状況等も踏まえながら、さらなる対策の強化についても検討を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 最後に要望を申し上げます。
通報やパトロールの強化などにより、認知件数の増加とともに、苦情などの相談件数も増加しております。このような状態が続けば、市民の不安も増すばかりです。当局が対応に苦慮されていることも重々認識しておりますし、現状の対策については理解をしておりますが、ただ、今後に向けて対策強化について検討するのではなく、罰則の強化などを含め、しっかりと対策強化に取り組んでいただくことを強く要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(打越基安) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は6月17日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次の会議は6月17日午前10時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後6時34分 散会