令和6年6月13日(木)

令和6年 第3回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第2号)
                                      6月13日 午前10時開議
 
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  和 田あきひこ      34番  あ べ ひでき
35番  大 沢 めぐみ      36番  木 村てつあき
37番  橋 口 えりな      39番  前 野 真実子
40番  中 島まさひろ      41番  藤 野 哲 司
42番  新 村 まさる      43番  天 野 こ う
44番  堀 内 徹 夫      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  はしだ 和 義
48番  浜 崎 太 郎      49番  阿 部 正 剛
50番  倉 元 達 朗      51番  中 山 郁 美
52番  川 口   浩      53番  小 竹 り か
54番  勝 見 美 代      55番  井 上 ま い
56番  ついちはら陽子      57番  田 中 たかし
58番  山 田 ゆみこ      59番  近 藤 里 美
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
         38番  綿 貫 康 代

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  下 川 祥 二      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小   林  登茂子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  原    志津子
選挙管理委員会事務局長  中川原 敬 子      人事委員会事務局長  小 川  明 子
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美
 

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  久 田 章 浩      議会事務局次長   着  一 孝      議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

 
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。田原香代子議員。
 
○16番(田原香代子)登壇 皆様おはようございます。私は公明党福岡市議団を代表して、児童生徒並びに教師も守るための性暴力防止マニュアルについて、カスタマーハラスメント対策について、市立高校のさらなる魅力向上について、以上3点質問いたします。
 まず、児童生徒並びに教師も守るための性暴力防止マニュアルについてです。
 昨今、報道などで子ども、若者層への性暴力、性被害のニュースを耳にする機会が残念ながら増えています。私どものところにも小学校の先生から相談が寄せられました。「自分のクラスの中で性被害、加害が起きてしまった。初めてのことでどのように対応すればよいか分からず、周りの先生に相談するも、忙しい現場の中で、一人で被害児童、加害児童の対応、保護者対応も手探りで行った。このような問題が起こったときにどうすればよいか、手引などがあれば、もっと児童に寄り添った対応ができたのではないかと後悔している」とのお話でした。児童同士で性加害、性被害が起きているとの現状を踏まえ、子どもたちを取り巻く性暴力の状況について、また、学校内で性暴力が起こってしまった場合の対応について伺ってまいります。
 本市における中学生以下の性犯罪の被害状況について、直近の令和5年及び令和元年の刑法犯認知件数をその内訳も含めてお示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 中学生以下の性犯罪被害の刑法犯認知件数につきましては、福岡県警察によりますと、令和5年が32件で、うち中学生が20件、小学生以下が12件、元年が27件で、うち中学生が14件、小学生以下が13件とのことでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 性犯罪として認知された件数も本市で増えている状況です。また、内閣府男女共同参画局から発表された子ども・若者の性被害に関する状況等についての調査によると、ゼロから12歳の性暴力被害が平成30年から令和4年時には1.4倍に増加しています。
 同局のホームページに、本人が望まない性的な行為は全て性暴力に当たりますと記載があります。性暴力は、性交渉だけではなく、プライベートゾーンへの接触、盗撮、SNSでの性的な発信など全ての性的な行為が含まれます。調査の数値は性交渉を伴う犯罪が増加しているという結果でしたが、さきに述べた様々な性暴力があることを鑑みると、その被害も多くなっているのではと考えます。相談にあったような学校内での性暴力が起きた場合、配慮すべき点も多くなり、対応する教職員も苦慮されるのではないでしょうか。
 そこで、小中学校で児童生徒やその保護者から、ほかの児童生徒から性暴力の被害を受けたとの相談が寄せられた場合、どのような対応を行っているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が生徒指導提要を作成しておりますが、その中には性的被害者への対応として、被害児童生徒に二次的な問題が生じないよう最大限に配慮することや関係機関との連携が大切であることなどが示されております。
 学校においては、これに基づき被害児童生徒や保護者の意向を尊重しながら、事実関係をできるだけ正確に把握し、必要に応じて関係機関や医療機関などとも連携して組織的に対応するようにいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 被害児童生徒への対応を最大限配慮しながら行っていただいているとのことです。
 性暴力に関する事案が起こった場合、教育委員会まで報告が上がる体制になっていますでしょうか。体制がある場合は確実に報告が行われていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校に対しましては、事案が発生した場合には速やかに教育委員会に報告するように通知しておりまして、適切に学校からの報告がなされるようにいたしております。また、各学校から報告される事案の内容は様々でありますため、これまでの対応事例や法的判断などを基に適切な対応について検討し、必要な指導、助言を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 性暴力が起き、教育委員会に相談があると、学校側に指導、助言を行っていただいています。学校側が速やかに報告することで、対応についてもスムーズにいく体制になるということです。児童生徒への対応だけではなく、保護者対応も必要であることを考えると、しっかりと教育委員会と連携を取る必要性を感じます。
 それでは、性暴力を受けた被害者に対し、どのようなフォロー体制があるのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 被害児童生徒に対しましては、要望に応じて教育委員会が派遣したスクールカウンセラーが一定期間継続してカウンセリングを行い、心のケアや安心できる環境づくりを行っております。また、福祉的な支援などが必要な場合には、スクールソーシャルワーカーなどを通じて関係機関や医療機関と連携し、対応に当たっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 性被害などの恐怖体験をまともに受け止めると心が崩壊しかねないため、心の防衛本能として、痛みや感情を感じなかった、妙に自分が冷静だと感じたなど、感情の麻痺が起こることもあります。様々な角度からの支援をお願いいたします。
 では、小中学校における性暴力の事案で加害者が児童生徒だった場合、どのような対応、指導を行っているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校では、加害児童生徒に対して事案に至った状況や心理を丁寧に聞き取りまして、必要に応じてカウンセリングを継続して行うなど、当該児童生徒の状態に応じた指導、支援を行っております。また、児童生徒の状況によっては、より専門的で適切な指導が必要となるため、専門機関や医療機関と連携して対応することといたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 加害児童生徒の対応は、二度と同じことを起こさないよう適切な指導や、また、加害を起こすに至った背景への配慮が求められます。家庭での対応も含め、多くの関わりで今後の行動を見守る必要があると考えます。各連携機関との密な協力で加害児童生徒が今後の人生を歩めるよう対応をお願いいたします。
 性被害、加害が起きた場合の対応について様々伺ってきましたが、未然に防止することが何よりも重要です。インターネット、SNSの普及により、児童生徒の周りには性的な情報があふれ、正しい知識を持つことが大切です。
 性被害、加害を起こさないために行っている教育があれば教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学校では、発達段階に応じて帰宅時間や安全な遊び場、不審者対応やSNS利用などに関する安全指導を行っておりまして、中学校では、独自に作成いたしました性意識の変化やデートDV等に関する動画を活用いたしまして、中学校の卒業前に性に関する問題に巻き込まれないための知識を身につける学習を行っております。さらに、県の性暴力対策アドバイザー派遣事業を活用し、自他を尊重した人との接し方について外部講師から学ぶ機会を、小学校で2年に1回、中学校で3年に1回設けております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) さきに紹介した子ども・若者の性被害に関する状況等についての調査によると、性暴力被害の相談状況について「どこ(だれ)にも相談しなかった」との回答が52.1%と半数以上を占めています。性に関する知識がなく、性暴力と捉えていなかった場合や、羞恥心や被害に遭ったことを知られたくないといった心情から誰にも相談できない場合が多く、被害が潜在化しやすいとされています。
 児童生徒が性被害を受けた場合の相談窓口など学校から周知はされていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童生徒が相談しやすいように、ふだん活用している1人1台端末上に福岡市こども総合相談センターの相談電話や女の子相談電話をはじめ、ハートケアふくおか、24時間子供SOSダイヤルなどの相談窓口一覧が表示されるようにするとともに、スマートフォンを用いたこどもSNS相談や1人1台端末を用いたこどもタブレット相談など、相談員と直接やり取りができる体制も整えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ、誰にも言えず悩む児童生徒を一人でも救えるよう、多様な媒体でのSOSの酌み取りをお願いいたします。
 ここまで学校での対応について伺ってまいりましたが、非常にデリケートな問題で、何より被害を受けた児童生徒に対し適切な対応を、また、加害児童生徒の更生のためにも、初期対応や保護者対応、児童生徒へのフォロー、指導、また、学級への指導などが重要であると認識いたしました。
 相談される最初の窓口となるであろう教職員は、かなり責任の重い役割であることが分かります。また、教職員自身も共感的に話を聞くことなどで傷つき、二次受傷につながるおそれもあります。特殊でデリケートな問題であるからこそ、初期対応や事例に応じた対応を示すことで教職員が児童生徒と向き合うことができると考えます。
 参考とするマニュアルや対応事例集などは用意されていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が作成いたしました生徒指導提要や、福岡県が教員向けに作成しております研修資料などがございまして、各学校ではそれらを参考にして対応いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 生徒指導提要を拝見しましたが、被害者への聞き取り対応などの記載はあるものの、詳しい対応事例や連絡体制の詳細があれば、さらに教職員にとって対応がしやすいのではないかと考えます。
 先日、大阪府堺市へ伺い、性暴力防止ガイドラインという性暴力を許さないためにつくられた教職員向けのマニュアルについて視察いたしました。堺市は2013年12月、セーフシティーズ・グローバル・イニシアティブ、女性と女児への暴力のないセーフシティ世界計画に先進国として2番目、国内では最初に参加を表明し、全ての女性や子どもにとって安全、安心なまちを目指し、堺セーフシティ・プログラムの取組を開始。教育委員会としても、子どもたちが性暴力の被害者にも加害者にもならない、当事者意識の啓発のため、様々な対策を講じてきました。ですが、子どもの性をめぐる状況は厳しさを増すばかりであり、性暴力に関する報告相談件数は発生件数に比べ、氷山の一角である、性暴力被害に遭っている子どもたちは想像以上に多いことが考えられ、また、性被害に遭った子どもたちが誰にも相談できず、表面化しないことを想定し、平成29年から3年間かけて、教職員全員が性暴力被害への要望と対応研修を受講、性暴力に対応するガイドラインもその間作成しました。
 資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)こちらは、この性暴力ガイドラインの表紙でございます。冊子としてはこちらの冊子でございます。(資料表示)教育委員会、性被害、加害を多く取り扱ってきた弁護士、大学教授などが一体となり、ただ置いておくだけのマニュアルにはしたくないとの強い決意で、タイトルをマニュアルなどは入れず「性暴力を許さないために〜わたしたちができること〜」とし、表紙には教職員が性暴力に立ち向かうための10か条を掲載しています。少し小さいですが、性暴力はめったに起こらないことではない、被害者の責任ではない、なかったことにしないなどの強いメッセージ、また、5つ目の記載には、支援者は一人で抱え込まないと、教職員が協力し、性暴力に立ち向かう指針が示されています。
 資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)性暴力とは何かから説かれ、表紙の10か条が詳しく解説された後、教職員も子どもたちを性暴力から守る決意を強く固めなくてはならないと日々のチェックリストが掲載されています。特定の子どもと連絡を取っていないか、子どもに不必要な身体接触をしていないかなど、日々の行動を振り返るチェックリストとなっています。
 資料3の投影をお願いいたします。(資料投影)被害生徒に対する対応についての詳細でございます。性暴力が起きてしまった際、まずは話をよく聞くことと話を聞く姿勢について、どこまでも寄り添う態度で聞く、しつこく尋ねない、内容を言い換えて確認しない、あなたは悪くないというメッセージが伝わるように聞くなど、対応も細かく記載されています。初期対応、聞き取る教員の体制や聞き取り場所も示されています。
 資料4の投影をお願いいたします。(資料投影)さらに詳細に、低学年であった場合や被害者が男子の場合の記載、また、絶対にあってはならない教職員からの二次被害として、拒否反応、否認、非難する姿勢がないよう示されています。対応する側も動揺することが考えられる性暴力対応ですが、対応例も掲載し、教職員が何をすべきかが明確に示されています。
 資料5の投影をお願いいたします。(資料投影)性加害児童生徒への対応も記載されています。性暴力が犯罪となる行為を含め重大な人権侵害であることを分かりやすく伝える。被害者の話も聞いておき、加害者のうそやごまかしを見抜くなど、聞き取りに当たっての対応も詳しく説かれていました。投影ありがとうございました。
 さきにお話しした小学校の先生は、被害児童に聞き取りを行った際、状況把握のため、どういう状況だったのか、どんなことをされたのか、同じことを何度も繰り返し聞いてしまったことに気づき、つらかったであろう性暴力の話を何度もさせたことが被害児童にとって負担をかけることになったのではないか、また、加害児童にももっと対応できることがあったのではないかと悔やみ、自分自身を強く責めていらっしゃいました。どうかこのような被害、加害が起きてしまった場合の対応についてマニュアルや連絡体制を確立してほしい、二度と自分のような後悔を持つ先生を生まないために、何より児童のその後を導けるようにと涙されながら訴えられました。
 今回の御相談を受け、政令市に性暴力に関する教職員向けのマニュアルがないか確認したところ、校内で性被害、加害が起こったことを想定し、詳しくつくり込まれた堺市のマニュアルの存在を知り、視察に伺いました。このようなマニュアルがあれば、性暴力という対応の難しい事案に対しても、先生方が明確な初期対応ができると思いました。今回御相談された先生のこの思いを無駄にしてはならない、また、本市の児童生徒が先生の願いどおり、性被害、加害者にならないための対策が必要であると痛感いたしました。
 福岡市においても、被害児童生徒を守るためにも、加害児童生徒が同じ過ちを繰り返さないためにも、一報を受けた教職員が誰に相談し、どのように対応すればよいのかが分かるマニュアルなどが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 性暴力に関する事案の基本となる初動対応や連携すべき関係機関について、教職員向けの研修等で活用できるようなリーフレットの作成を検討いたしてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) リーフレットの作成をいただけるとのことで、教職員の皆様の一助となるようどうぞよろしくお願いいたします。
 ぜひ力強く、本市でも性被害、加害を起こさないために、児童生徒を守ることができる、教職員を導くことができるマニュアル作成まで進めていただきますよう要望いたします。
 本市の教職員の皆様をはじめ、教育に関わる多くの方が性暴力を許さないとの強い意志を持ち、児童生徒と関わっていると思いますが、指針となるものがあることで、さらに一体となり、性暴力の未然防止、また、性被害、加害が起きてしまったときの二次被害防止につながると信じます。
 様々お尋ねしてまいりましたが、教育長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたる重大な悪影響を及ぼします。そのため、今後も様々な機会を捉え、発達段階に応じた性暴力未然防止の学習を進めるとともに、性被害、加害が生じてしまった場合には当事者の心に寄り添いながら、学校、教育委員会、関係機関等が連携し、個々の状況に応じた適切な対応に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 続いて、カスタマーハラスメント対策についてです。
 顧客が従業員に対して不当な要求を突きつけるカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラが社会的な問題になっています。最近の報道でも大きく取り上げられ、企業が従業員を守る対策の重要性が訴えられています。
 こうしたカスハラの被害は民間企業にとどまらず、自治体など行政の窓口でも増えていると言われており、全日本自治団体労働組合が令和3年8月に発表した調査結果では、過去3年間にカスハラを受けた経験があるとの回答が全体の4分の3に上りました。内容としては、暴言や説教が64%、長時間のクレームや居座り、大声、罵声、脅迫や土下座の強要と続きます。
 本市の職員の皆様も真摯に市民からの相談に寄り添い、対応に努めていただいていると思いますが、一部の不当な要求によって体調や精神に異変を来し、さらには休職などに追い込まれてしまうことがあれば大変残念であり、また、生産性の低下、ひいては市民へのサービスへの影響も懸念されます。
 そこで、本市におけるカスハラ対策などの状況について伺ってまいります。
 まず、カスタマーハラスメントとは何か、お示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) いわゆるカスタマーハラスメントについては、国のカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによれば、顧客等からのクレーム、言動のうち、当該クレーム、言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段、態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段、態様により、労働者の就業環境が害されるものとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、カスタマーハラスメントを受ける可能性もある市民と直接関わる主な窓口を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 多くの市民の方が利用する主な窓口については、区役所の市民課、保険年金課、課税課、福祉・介護保険課、子育て支援課などがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福祉、介護など生活に直結する悩みやお困り事を伺う相談窓口では様々な対応が想定されます。
 では、本年4月から職員の名札が名字表記となっていますが、その狙いと目的について教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市情報公開条例においては、職務の遂行に係る職員の職、氏名は原則として公開すべきものと定められております。一方で、窓口での接遇においては、フルネームを名札に明示しておく必要性は高くないと考えられることから、悪質なクレームなどが発生した場合の職員のプライバシー保護も考慮して、令和6年4月から名字のみの表記に変更したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 民間企業でも名札をイニシャル表記に、他自治体でも名字表記に変更し、SNSでの個人特定やネットでの拡散防止を図っているとのことでしたが、職員の安心、安全な職場環境づくりのためにも非常に大切な取組だと考えます。
 一方で、窓口や電話口などで問題が解決しない、誤解が生じてしまった場合など、内容を繰り返し訴えることなどもあるかもしれません。その際はじっくりとお話を傾聴し、真の要望を伺った上で解決策を提示していく必要があります。そのような正当な苦情、相談の場合と、いわゆる不当な、迷惑な行為の判断は非常に重要です。そのためにも、窓口でカスタマーハラスメントに適切に対応するためには、まずは接客などに関する十分な知識や心構えが必要であると考えます。
 職員向けの接客などの研修は行っていますでしょうか。実施回数、実施内容を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の研修については、毎年、新規採用職員を対象として基本的接遇マナーや市民対応の心構えに関する研修を行っております。令和5年度は4月採用者と8月採用者にそれぞれ1回実施し、計316名が受講いたしました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 基本的接遇マナーに沿って対応したとしても、窓口で大声を出されたりすることもあると思います。
 本市において、職員に対する暴言、威圧的な態度、居座りなどカスタマーハラスメントについての相談が上がっているのか教えてください。上がっている場合は、直近の相談件数と具体的な例を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員からの相談については、市民からの要求の内容や手段が社会通念に照らして著しく不相当であるなど各所属が対応に苦慮しているものについて、総務企画局の公正職務推進室で相談を受けております。直近の相談件数については、令和5年度が66件となっており、具体的な相談内容としては、窓口で要求を通そうと大声を出す、説明の行き違いについて謝罪をしても執拗な謝罪要求が繰り返されるなどとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 公正職務推進室まで相談が上がる対応に苦慮しているもの以外にも、窓口や電話などで様々なお話を伺う中、部署内で解決していただいている事案も多いと考えます。
 そのようなときに活用できる、職員に向けたカスタマーハラスメント対応のマニュアルや対応事例集などはありますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員向けのマニュアル等については、不当な要求に対する被害を防止するための対応マニュアルや、窓口等で起こる様々な状況への対処方法について記載した対応事例集などを活用しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 職員向けのマニュアルも作成されているとのことで、拝見いたしました。対応の事例なども記載され、活用しやすい内容となっています。平成30年に作成された内容でしたので、コロナ禍を経て、求められる要望や対応の変化もあったことを考えると、更新なども含め検討いただければと思います。
 では、カスタマーハラスメント対応に関する研修は行っていますでしょうか。実施回数、実施内容を教えてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の研修については、一般職員向けにグループディスカッションやロールプレイングを通じて窓口におけるクレーム対応の基本的な内容を学ぶ研修を実施しており、令和5年度は4回実施し、139名が受講いたしました。また、管理監督者向けに組織的なクレーム対応における課長や係長の役割を学ぶ研修を実施しており、令和5年度は3回実施し、190名が受講いたしました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 窓口業務であれば複数での対応なども可能ですが、出張業務、ケースワークに従事する職員の方は一人で対応する場合もあると思います。厳しい口調でのお話や執拗な要求などを繰り返された場合、その恐怖やストレスは非常に大きな負荷であると考えます。
 職員向けに職場環境や心身の状態に関するアンケートは実施されていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員へのアンケートについては、メンタルヘルス不調を未然に防止するため、労働安全衛生法に基づき、年に1回ストレスチェックを実施しております。また、組織の活性化や人材育成等の施策に活用するため、職場環境や健康管理などに関する職員意識調査を年に1回実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 最近の報道でもカスハラの実態を目にします。タクシーなどの密室で運転手の方へのいわれなき暴言、旅館など観光サービス業での威圧的な口調による無理な要求や土下座の強要、コールセンターなどでの長時間の拘束や個人への誹謗中傷、映像を見るだけでも胸が詰まりそうな内容で、カスハラを受けた当事者の心労は計り知れません。
 そのような精神的負担は非常に大きく、厚生労働省から昨年9月1日、精神障がいを労災認定する心理的負荷の基準にカスハラを受けたという事例も追加されました。在宅医療介護現場でのカスハラも深刻です。従事者の4割が利用者やその家族から身体的、精神的暴力やセクシュアルハラスメントを受けたことがあり、このうちの4割が、病気になった、休職した、退職したことが明らかに。福岡県は6月7日から福岡県在宅医療・介護職員カスハラ相談センターを開設しました。私も、3時間以上対応が続いた、ケースワークに従事する若手職員へ無理な要求を行うなど、必死で対応いただくお話を伺う機会がありました。市民なのだから当然の権利であるとの思いから、自覚なくカスハラを行うケースもあるのではないかと考えます。
 市民に向けた市職員に対するカスタマーハラスメント防止の啓発などは行っていますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市民への啓発等については、多種多様な事情を抱える市民からの相談を真摯に受け止めた上で、個別の事案に応じて適切に対応していく必要があることから、現在、啓発等は行っておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 先日、札幌市へカスタマーハラスメント対策について伺ってまいりました。
 令和4年、カスタマーハラスメントの問題が取り上げられる中、市民の声を聞く広聴課職員にアンケートを取った結果、職員のほとんどがカスハラを受けたことがあると回答。職員の働く環境改善のためにも対策が必要だと考え、市民へその行為がカスタマーハラスメントではないかと訴えるポスターを作成、広聴課の窓口に設置しました。
 資料6の投影をお願いいたします。(資料投影)こちらがそのポスターとなっております。内容は、自覚なくカスハラしているかも、こんなことしていませんかと自身の行動を振り返るものとなっています。
 資料7の投影をお願いいたします。(資料投影)上のほうだけ映したものとなります。言ってやらなきゃとの思いから暴言に至ることや、おしゃべり好きなだけで時間を拘束してしまうこと。
 資料8の投影をお願いいたします。(資料投影)このくらい当然でしょとの思いから過度な要求をしてしまったり、世の中に広めるべきとの考えからSNSへの投稿に発展するなど、カスハラに当たる行動を自分が行っていないかと訴えかけるものとなっています。
 資料9の投影をお願いいたします。(資料投影)先ほどのポスターでございます。市民の方もポスターを見て、これは自分かもとこれまでの行動を振り返り、職員への言動や対応に変化があったとのことでした。また、市民に奉仕する立場である市役所からカスハラ対策を行うことで、どのような反応があるのかと危惧していたそうですが、職員だからどんな暴言にも耐えなければならないということはない、市役所として不当な要求に対応する必要はないなど応援の声が多く届き、現在、カスハラを扱うテレビ番組などでも自治体のカスハラ対応事例として札幌市が取り上げられることも多くなっています。投影ありがとうございました。
 カスハラが職員に与える精神的な影響や多大な時間の消耗も懸念される中、さらなる対策を講じることで職員の健康や職場環境を守ることにつながると考えます。
札幌市のような市民の皆様とともに考えるカスタマーハラスメント対策が必要だと感じますが、いかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 悪質なクレームなどの迷惑行為については、業務への支障や市民サービスの低下を招くとともに、職員の健康や職場環境を害するおそれがあるものと認識しており、公正に職務を執行し、職場環境を守るための効果的な手法について、議員の御指摘も踏まえ、引き続き検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ対応をお願いいたします。
 カスハラに対する国の動きも様々ある中、我が党もカスハラ対策検討委員会を立ち上げ、官房長官に対し、対策の推進について提言。公務員に対するカスタマーハラスメントも深刻であるとし、対策の強化を訴えました。
 本来、行政窓口では市民の声を十分に傾聴し、その内容から相手の真の要求を探り、解決策を導く役割があると考えます。ですが、誠実な対応を逆手に取り、何を言ってもいい、公務員だから何を言われても我慢するべきとの誤った捉え方をされる場合も一定数あるかと思います。インターネット、SNSなどで世間の常識から逸脱した行為やルール違反を見つけ出し、痛烈に批判、誹謗中傷し、相手を激しく責め立てるケースがあります。ストレス社会の中で、小さなことでも許せないとの心情や、相手を責め、自身を正当化する行為がカスハラにつながっている可能性もあります。市役所だけではなく、第3次産業が発展する本市では、販売、接客、観光業等に加え、コールセンターなど通信業に従事する市民の方も多くいます。カスハラは社会全体で取り組んでいく、また、一人一人が相手を大切に思い、同じ人間であり、上も下もない、そのような機運の醸成も必要ではないでしょうか。カスハラに対する問題が多く論じられ注目されるのも、カスハラに苦しみ悩む人がいるからであることを受け止め、対策を講じるべきであると考えます。
 全国的にカスタマーハラスメントに関する条例の制定を検討する自治体も増えてきました。市民のために働きたいと、夢と希望を持ち職員となった貴重な人材を守ることが市民の皆様のサービス向上に資すると考えます。一生懸命に市民に従事する職員の皆さんがこれからも安心して働ける環境づくりが大切です。市職員へのカスタマーハラスメント対策にどのように取り組まれるのか、市長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) いわゆるカスタマーハラスメントにつきましては、適正な業務の執行に支障を生じさせ、結果として市民サービスの低下を招くおそれもあることから、その対策は重要であると考えてございます。福岡市においては、悪質なクレームなどを含む様々な市民からの相談に適切に対応するための研修や、また、個別の案件への組織的対応に取り組んできたところでございます。今後とも、職員が安心して働くことができる環境を整え、市民の皆様から信頼される市政運営を実現するため、引き続き必要な対応に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 最後に、市立高校のさらなる魅力向上について伺います。
 本市の高等学校において、男子校、女子校の共学化など高校を取り巻く環境が大きく変化しています。本市も4校の市立高校を運営していますが、専門学科を有する市立高校の在り方を検討するなど、変化を踏まえた対応が必要な時期であると考えます。
 全国の高校を取り巻く環境の変化、生徒数などの状況の変化について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年1月の中央教育審議会答申では、少子化の進行によって、高等学校としての教育的機能の維持が困難となっている地域、学校も生じているなど、社会経済のありようを踏まえた高等学校の在り方の検討が必要とされてございます。全国の高等学校の生徒数は、平成12年の417万人が令和2年には309万人となってございまして、この20年間で約100万人の減少、学校数も5,478校から4,874校に減少いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、福岡県及び福岡地区の生徒数などの変化について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡県の高等学校の生徒数は、平成12年の約17万人が令和2年には約12万人に減少しているため、生徒数が減少した学区で県立高校の統廃合が行われておりまして、県内の学校数の合計も186校から164校に減少いたしております。一方、福岡地区における高等学校の生徒数は、国や福岡県全体の動向とは異なり、これまで増加傾向にございまして、学校数も減少しておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福岡地区の高校生は、いまだ増加傾向にあるとのことです。将来的には少子化の進展により生徒数は減少することになると思いますが、現在の小中学校の児童生徒数の状況から見ると、2030年代半ばまでは微増傾向にあるのではないかと考えます。
 では、令和5年度に専門学科を有する市立高校のあり方に関する有識者会議が設置されましたが、設置の目的について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡女子高校及び博多工業高校においては、志願倍率の低下や、社会経済情勢の変化に伴い求められる人材像が変化していることなどから、生徒及び産業界のニーズに迅速かつ的確に対応するため、育成する人材、設置学科、教育内容及び制度等の在り方について検討することを目的として有識者会議を設置したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) では、その会議で有識者からはどのような意見が出されたのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡女子高校については、ジェンダー平等の社会変化の中で共学化が必要である、生徒が入学後に学びを選択できるよう総合学科への改編が求められるなどの御意見をいただいております。また、博多工業高校については、入学後に専門的な学びを選択できるような学科構成が望ましい、データサイエンスやAIなどの分野は技術者不足が顕著で、今後の伸長が予想されるが、高校3年間の学びだけでは不十分な面が否めず、3年間に限らない教育課程について詳細に検討すべきなどの御意見を頂戴いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 福岡女子高校は共学化と総合学科への改編について、博多工業高校は学科改編と3年間に限らない学びについて、有識者から出された様々な意見を受け、教育委員会では今年度、具体的な検討を開始されることと思いますが、ぜひ魅力ある学校となるよう、学校やOB、OGの皆様と協議を進めていただきますよう要望いたします。
 福岡女子高校と博多工業高校の取組内容については分かりましたが、市立高校は4校ございます。あとの2校、福翔高校と福岡西陵高校の現状はどうなっているのか。
 まず、令和5年度及び6年度入学生の一般入試志願倍率について、両校と県立高校の平均を教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年度の一般入試志願倍率は、福翔高校が1.32倍、福岡西陵高校が1.04倍、県立高校平均が1.14倍、令和6年度の志願倍率は福翔高校が1.53倍、福岡西陵高校が1.15倍、県立高校平均が1.13倍となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 県立高校の志願倍率が減少する中、両校の志願倍率は上昇しており、学校のこれまでの取組が評価されているのではないかと思います。福翔高校と福岡西陵高校の進学実績についてお尋ねします。
 進学を希望する生徒が多い西南学院大学及び福岡大学について、両校の令和5年度合格者数の実数を教えてください。また、3年前の実績と比較した場合の増減を教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、福翔高校につきましては、令和5年度の大学合格者の実数としまして、西南学院大学が46名、福岡大学が99名となっておりまして、3年前の令和2年度の実績と比較いたしますと、西南学院大学が13名の増加、福岡大学が37名の増加となっております。福岡西陵高校につきましては、西南学院大学が71名、福岡大学が109名の合格となっておりまして、3年前の令和2年度と比較いたしますと、西南学院大学が22名の増加、福岡大学が11名の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 着実に進学実績を上げてきている成果だと思います。
 では、福翔高校ではどのような特色ある取組が行われているのか、教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福翔高校ではSDGs実現に向けて、生徒自ら課題を見つけ、グループで課題解決につなげていくSDGsチャレンジプログラムを九州大学と連携し、実施しております。また、生徒が模擬的に会社を設立し、活動することにより会社の仕組みを学ぶことができるスチューデント・カンパニー・プログラムを実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 次に、福岡西陵高校の特色ある取組について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡西陵高校では、国際、ICT、探究活動を中心とし、学校の活性化につながる取組を実践いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 先日、福岡西陵高校へ視察に伺いました。御答弁にありました探究活動について、株式会社マイナビ主催のマイナビキャリア甲子園に出場されたメンバーによるプレゼンを拝見させていただきました。企業、団体が出題するテーマに対し、課題解決に挑むビジネスコンテストに挑戦したメンバーは、名立たる全国の高校2,736チームが集う中、決勝12チームには届かなかったものの、準決勝まで勝ち残る大健闘。コンテストの内容も、企業出題の12テーマの中から「セコムグループのサービスを変革して、若い世代の“ほっと”を生み出す、あなたの新しい推しサービスを提案せよ」というテーマを選び、生徒たちは若者の居場所をアプリ上の仮想教室につくり、誹謗中傷がない安全、安心な空間を提供することをオンラインセキュリティーシステムが得意なセコムに提案。また、参加企業がどのような利益を得られるかまで分析したプレゼン内容に、思考、分析、かつプレゼンに仕上げるまでの自身の意見を伝える能力、チームが一丸となるコミュニケーション力も養われたことを感じる質の高い取組であると実感しました。
 この取組に至った経緯、取組の効果について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡西陵高校では、総合的な探究の時間などで社会課題を解決していく学習活動を行っておりまして、企業との意見交換や情報収集、データ分析など、少人数で生徒たちが協働しながら学習しております。こうした中、生徒たち自身がより高いレベルでの挑戦を希望したため、マイナビキャリア甲子園に出場することとし、外部講師を招聘するなど学校独自のプログラムに沿った指導を行ってまいりました。効果といたしましては、生徒が主体的に授業に取り組む姿勢が見られるとともに、問題発見力やチャレンジ精神など、社会で必要とされる資質が育成されたと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 視察では、海外留学へ参加した生徒のプレゼンも聞かせていただきました。語学を学び、自分のものにしたいとの学習意欲の高さはもちろんのこと、その学びを周りに還元するとの意識に感服いたしました。また、これからの留学に旅立つ生徒のプレゼンも拝聴。語学だけではなく、ロサンゼルスで芸術を学びたい、カナダの医療現場を学びたいとの思いに、海外へ飛び立つ人材育成にも力が入っていることを強く感じました。
 このような海外への留学を目指す生徒へ向けた学校の狙いや取組について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡西陵高校では、語学力向上とともに異文化理解を深め、国際性を育むことを目的に、韓国などの海外姉妹校との交流やオーストラリアへの短期語学研修、生徒の希望に応じてプレゼンやディスカッション能力向上のための指導を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 両校で様々な取組が行われていることが分かりました。
 では、福翔高校及び福岡西陵高校の魅力化をどのように図っていくのか、今後の取組について教えてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これからの高等学校においては、生徒の主体的な学習意欲を喚起し、可能性と能力を最大限に伸長するための学校の特色化、魅力化が求められておりまして、ICTを活用した文理横断的、探究的な学びや国際交流などの特色ある取組を強化し、両校の一層の魅力化を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひよろしくお願いいたします。
 先日、14校の市立高校を運営する名古屋市に視察に伺いました。市立高校生へ向けた短期留学制度にも取り組み、工業高校生はドイツの自動車工場で学びの場を提供するなど、生徒の興味関心に合わせた留学先を9か所準備し、市立高校生は2万5,000円という破格の費用で、また、家庭の所得状況によっては無償で2週間程度の留学に行くことができる体制を整えています。
 英語力向上の取組として、14校ある市立高校から英検2級以上の生徒さんが集まり、高校を超えて交流しながら、講師による英語での授業を受ける取組を行っています。英語で会話を行い、英語力だけではなく思考力を鍛えるプログラムとなっているとのこと。多くの市立高校を抱える名古屋市ならではの取組ではありますが、連携や交流が活発に行われていることを実感しました。また、多くの専門学科を市立高校に設置しているほか、昼間定時制高校も開校。無学年、無学級制で多様な学びを支えているとのことでした。
 本市でも様々な取組を行っていますが、市立高校生向けの留学プログラムなど多様な学びの場を提供することで、さらに選ばれる高校へと発展すると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校においては、海外姉妹校等との交流やオンラインを活用した留学体験、仮想会社の経営シミュレーションなどの教育プログラムの活用、独自開発した圧縮空気エンジンを搭載した自転車でのギネス挑戦など多様な学びを提供いたしておりまして、今後も生徒の様々なニーズに対応する特色ある取組を充実させてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 盛岡市の唯一の市立高校である盛岡市立高校へも視察に伺いました。将来、公務員を目指す高校生向けに市役所へのインターン施策を実施。市役所組織図から生徒が自分の興味のある部署を選び、事前学習を行った上で参加します。インターンの中で公務員になるために何が必要かを学習し、その後、大学などへ進学し、学びを深めることができ、行政と連携した取組ができる市立高校の強みを生かしたキャリア学習を行っているとのことでした。また、教員を目指す生徒のために、岩手県立大学と連携し、大学生の教育実習期間に一緒に市内の小中学校へ実習として参加。教育現場を体験し、また、教員を志す年の近い先輩と接し、学ぶことで、教職への志望意欲も増しているとのことでした。
 本市でも市立高校ならではの強みを生かした行政との連携による取組を実施すべきと考えますが、現在の取組内容をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 行政と連携した取組といたしまして、市立高校の生徒による市関係機関へのインターンシップや、油山の間伐材を活用した木工品の制作、能古島の廃棄される甘夏を再利用した商品開発など、農林水産局や西区役所などと連携して課題解決型の学習を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) 本市でも行政と連携した取組を行っているとのことです。市立高校の強みを最大に生かした、市立高校生とならなければできない体験は貴重です。
 盛岡市は、市立高校の存在意義を第三次市立高等学校教育改革の方針と取組に記載。教育活動として、盛岡市内の官民と連携して学ぶことができる、盛岡市の人材、施設、設備を活用して学ぶことができる、盛岡市の魅力や将来について学ぶことができると掲げ、卒業後、盛岡市への貢献や魅力発信を含めた進路を実現できる人材育成を目指していました。市税を投入し、人材を育成する意義を教職員の間でも意識し、盛岡市にとどまることだけが貢献ではなく、盛岡市が育てた人材として他都市や世界で活躍するよう教育することを目標にしていました。このような教育の指針も重要であると感じます。
 さきにお話しした西陵高校の視察では3学年の全授業に伺わせていただきましたが、本市の教職員の皆様も授業に工夫を凝らし、生徒が生き生きと授業を受けている姿が印象的でした。タブレットを活用し、ゲーム感覚を取り入れた授業では活気ある生徒の声が飛び交い、また、話合いをしてみようとの先生の声かけで、すぐに生徒たちから闊達な意見が出るなど生徒主体の授業が展開されていました。このような取組や市立高校の校風がさらに広まり、市立高校で学びたいと思う生徒が増えることが重要であると考えます。
 ぜひ各学校の取組を広く周知し、市立高校の強みとしてアピールしてはいかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校においては、オープンスクール等で生徒自らが自校の魅力を中学3年生にプレゼンしたり、特色ある授業や文化祭などの行事をSNSに配信したり、各学校の取組をアピールしております。また、4校合同のリーフレットや市ホームページなどを活用した広報活動など、引き続き各学校の取組を周知してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田原香代子議員。
○16番(田原香代子) ぜひ多くの中学生や保護者に届くよう取組をお願いいたします。
 埼玉県川口市では、市の3大プロジェクトの一つとして、市全体で川口市の未来の人材を育てる学びやとして市立高校を位置づけ、約200億円をかけ校舎を改築し、新しい学びに取り組まれたとのことでした。市立高校を運営する意義として、我が市の大切な人材を世界に羽ばたく人材へと育てようとの心意気でした。
 本市でも市立高校生から多くの人材を輩出し、本市を支える人材に、また、本市から様々な方面で活躍する人材を育成することで、選ばれ続ける市立高校となるよう取組に期待します。
 最後に、市立高校のさらなる魅力向上を図るための教育環境づくりについて教育長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) AIやIoTなどの急速な技術の進展によりまして、社会が大きく変化し、多様な課題が生じている今日においては、これまでの文系、理系といった枠にとらわれず、様々な情報を活用しながら、それらを統合し、課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質、能力の育成が求められております。そのため、市立高校においては、各学校がこれまで果たしてきた役割を踏まえつつ、国際交流の強化やICT等の環境整備、各学校の特色を生かした探究的な学びの充実など、さらなる魅力の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、現在策定中の次期基本計画、介護や国保などの保険料並びに児童発達支援センターにおける一時預かりについて質問を行います。
 まず、次期基本計画についてです。
 本市における将来像や施策の方向性について明らかにした第9次基本計画は2012年度に策定され、計画期間は2013年度からの10年間とされてきました。しかし、新型コロナ感染症拡大の影響で2年間延長され、現在、2025年度から10年間の第10次基本計画の策定作業中であります。12年前、現計画の策定の際、私は当時の総合計画審議会委員の一人として、基本構想の在り方を含め根本的に見直すよう様々な角度から述べたものの、ほとんど取り入れられないまま策定されました。その後の12年間で本市の状況はどうなったのかを検証し、その教訓を次期計画に反映することが必要です。また、その際、現計画策定後の2015年に国連で採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsを反映させるべきだと考えますので、その立場で質問してまいります。
 まず、島市長のSDGsに対する所見を伺います。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市では、第9次基本計画に基づき、経済的な成長と心豊かな暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりを進めております。これはSDGsの理念と方向性を一にするものであり、基本計画に基づく施策を着実に推進することにより、SDGsの達成に向けて取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 重要だということですが、次期基本計画策定において、このSDGsをどのように位置づけようとしているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 第10次基本計画の内容につきましては、現在、総合計画審議会に諮問し、検討を進めているところでございますが、素案では8つの分野別目標について、それぞれ関連するSDGsのゴールを示しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 達成に向けて、ゴールも示しているということですから、現在、総合計画審議会に示されている次期基本計画素案の中身について具体的に確認してまいります。
 SDGsにおいては、掲げられた17のゴールのうち、一丁目一番地とも言えるゴール1で貧困をなくそうと掲げ、具体的ターゲットとして、2030年までに各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある全ての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させるという目標を上げています。
 この目標は素案のどこに書かれているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 貧困対策は様々な施策に関わるものと考えておりますが、例えば、第10次基本計画素案の施策1−3、全ての人が安心して暮らせる福祉の充実や、施策2−2、全ての子どもや若者が安心して暮らし、成長できる社会づくりなどにその理念を反映しているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 理念を書いているということなんだけれども、具体的な数値は掲げられていないんですね。
 また、貧困とともに、解消すべき重要な課題として格差の問題があります。SDGsではゴール10に人や国の不平等をなくそうと掲げ、2030年までに各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数字を漸進的に達成し、持続させるという目標を上げています。
 これに匹敵する目標は素案のどこかにあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) SDGsのゴール10は平等な社会を目指していくものと承知しており、その理念は、第10次基本計画素案の施策1−1、多様な市民が輝くユニバーサル都市・福岡の推進などに反映しているものと考えております。
 また、所得下位40%の所得成長率については、地域経済の活性化や雇用の創出などに取り組んでいくことが重要であり、施策7−1、地場中小企業の競争力強化などによる地域経済の活性化、施策6−4、成長分野の企業や本社機能の立地の促進などにその観点を反映しているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 私は理念とか観念とか、これを聞いているのではないんですよね。具体的な数値目標を聞いているわけです。
 そこで、これもないということなんだけれども、ここで言われている所得下位40%を本市の指標に当てはめると年収300万円以下が大体これに匹敵すると思いますが、確認させていただきたいと思います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 世帯の収入については、世帯構成などを勘案する必要があると考えておりますが、令和4年の就業構造基本調査によると、福岡市において世帯の1年間の収入を表す世帯所得が300万円未満の世帯の割合は39.1%となっており、おおむねおただしのとおりでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) この年収300万円以下、これは相対的な貧困層及び低所得層と見ることができると思います。
 さらに所得の低い人の割合が高いとされる高齢世帯及び単身世帯にこの指標を当てはめると、その割合はそれぞれどうなるか、答弁願います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 就業構造基本調査では、世帯主の年齢は10歳刻みで区分されており、一般的に高齢者とされる65歳以上の統計はございませんので、高齢世帯について、世帯主が70歳以上の世帯についてお答えいたします。同調査によると、福岡市における世帯所得300万円未満の世帯の割合は、世帯主が70歳以上の世帯が54.5%、単身世帯が61.2%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 高齢世帯も単身世帯もそれぞれ6割前後が相対的な貧困層及び低所得層となっております。素案では、今後、単身高齢者が増加していくことが示されていますが、SDGsの達成を目指すというなら、本市における貧困や格差を減らすという目標を掲げて、収入300万円以下の世帯を半減させるなどの具体的数値目標を掲げるべきではありませんか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 第10次基本計画の内容につきましては、現在、総合計画審議会に諮問し、検討を進めているところであり、数値目標などの指標につきましても、今後、政策推進プランも含めて検討してまいりますが、所得の向上は重要であると認識しており、今後とも、様々な施策において関係局が連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 基本計画そのものに数値目標をどう入れるかというのが問われているわけですよ。実態を示す数値を目標に掲げるべきだと思います。
 次に、SDGsがゴール5で掲げるジェンダー平等を実現しようについて見ていきます。
 福岡市役所における女性管理職比率並びに福岡市の企業における女性管理職比率はどうなっているか、直近の数字をお示し願いたい。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市役所の管理職に占める女性職員の割合は令和5年度で19.1%でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 福岡市内の企業における女性管理職比率につきましては、令和元年度の福岡市女性活躍推進に関する事業所等実態調査によりますと、11.3%となっております。以上です。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 極めて低いんですね。SDGsでは、ジェンダー平等を目指す上でのターゲット5で、政治や経済や社会の中で何かを決めるときに女性も男性と同じように参加したり、リーダーになったりできるようにすると掲げられており、インディケーターという示すべき具体化指標でも管理職における女性の割合とされています。
 これに照らせば、女性の管理職比率は市役所でも民間でも50%という数値目標を基本計画にこそ掲げるべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 第10次基本計画の内容については、現在、総合計画審議会に諮問し、検討を進めているところであり、数値目標などの指標につきましても、今後、政策推進プランも含めて検討してまいりますが、男女共同参画の推進は重要と考えており、今後とも、あらゆる施策にその視点を反映させるよう関係局が連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 政策推進プランなどで今後検討するということなんですけれども、しかし、これまでも男女参画といっても50%目標などは一切掲げられてきませんでした。SDGsを目指すというなら、基本計画に50%目標を明記すべきだと私は申し上げているところなんです。
 このジェンダー平等と貧困解消が結びついた課題として、本市が直接責任を負う会計年度任用職員の問題についてお尋ねしたいと思います。本市においては、その8割が年収300万円以下で低所得世帯、つまり、相対的貧困となっており、しかも、その8割が女性となっています。
 そこで、働き方におけるジェンダー格差をなくすため、この会計年度任用職員の待遇改善の数値目標を掲げるべきではありませんか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 繰り返しになりますが、第10次基本計画の内容については、現在、総合計画審議会に諮問し、検討を進めているところであり、数値目標などの指標につきましても、今後、政策推進プランも含めて検討してまいりますが、会計年度任用職員につきましては、関係法令等に基づき適切に対応しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これは市長の腹積もりでどうにでもなる目標です。本市の計画の基本に位置づけるということが大事なんだけれども、まさにやる気がないから今後の課題だというふうにおっしゃるわけですね。これまでの答弁を聞くにつれ、本当にSDGsの掲げる目標に取り組む気があるのか、疑問になります。私は、計画素案の中で具体的にSDGsの記載があるのか、精査してみました。資料1を投影していただきたいと思います。(資料投影)本市の目標1から目標8が書かれているページの上に貼り付けられているのがこれなんですが、右の上ですね。SDGsの17項目のゴールを表にしたシールなんです。消してください。ちょっと分かりにくいと思いますので、拡大をいたします。資料2を投影してください。(資料投影)このように、さっき局長が言われたけれども、各目標に関連するだろうというシールを選んで、飾りのように貼り付けているだけです。消してください。このように、シールを貼り付けるだけでは国や地域で目標を具体化すべきというSDGsの考え方に反しており、具体的目標を掲げるべきです。そもそも今回の計画素案では、本市の数値目標はことごとく市民意識で設定されております。施策の具体的、客観的な達成目標はありません。これまでの答弁にもそれが表れています。
 そこで、なぜ目標の数値を市民意識で設定しようとしているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 第10次基本計画における指標については現在検討中でございますが、第9次基本計画における課題等を踏まえ、第10次基本計画では、全ての分野別目標で市民意識をはかることにより目標全体の進捗に対する市民の実感を大切にするとともに、各施策、事業における客観的なデータ等については政策推進プランに位置づけ、社会の変化にも柔軟に対応しながら、基本計画と政策推進プランを一体的に推進してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) それは詭弁なんですね。例えば、あなた方は福岡市が住みやすいと考える市民について、これまで特定の調査結果を取り出して、9割もいるんだと宣伝をしてきました。だからといって本市の施策の大半が優れているとは言えません。全く別な問題であり、調査の仕方でどうにでも変わる数字です。市民意識、つまり、主観的評価について、あなた方はウエルビーイングという指標を使おうとしていますが、これを政策に取り入れる場合には、その信頼性、妥当性について注意しなければならないことは、本市の外郭団体であるアジア都市研究所のレポートでも強調されております。例えば、幸福度の判断は、回答するときの天候や質問順序、比較対象によって変化すると指摘をされています。
 したがって、市民意識のみで施策の効果は正確にはかれないと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画と政策推進プランを一体的に推進することにより市民の実感を大切にしつつ、客観的データなども活用しながら、施策、事業の効果をはかっていくことが適当であると考えておりますが、引き続き効果的な指標の在り方を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 引き続き検討するということですけれども、島市長の下では施策の一部を取り出して、やっている感を強調する手法が取られ、その裏で起きている問題が覆い隠されてきた実態があります。成功したとの宣伝の裏で107億円も浪費し、ほとんど市民には何も恩恵がなかった世界水泳しかり、子育てを応援していると強調して保育現場には大きな混乱と負担を押しつけているこども誰でも通園制度しかりです。次期計画策定に当たり、市民意識を目標にすると、これまで以上に宣伝や見せ方に血道を上げるようになり、同時に各種施策の具体的取組や実態把握がおざなりになるのが目に見えております。
 したがって、目標を全て市民意識にすることは間違いであり、このやり方はきっぱり改めるべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 第10次基本計画の内容については、現在、総合計画審議会に諮問し、検討を進めているところであり、数値目標などの指標につきましても、今後、政策推進プランも含めて検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 主観的な指標にこだわる姿勢はやめるべきだと思います。現基本計画でも、指標の設定の仕方を全国政令市と比較した場合に本市の主観的指標が3割というのは、これは政令市の中で上位に位置していて、目立っていることがアジア都市研究所レポートで示されています。これを今度はほぼ全てで用いるとなれば、まさに異常となりますから見直す必要がある。主観的な市民意識だけを目標にし、客観的な指標を何もこの基本計画に掲げないというやり方は見直すべきです。
 次に、基本戦略についてです。
 今回の計画素案は、2013年度から2024年度までとしてきた現基本計画における生活の質の向上と都市の成長の好循環という基本戦略をそのまま踏襲しようとしております。しかし、計画素案では、この戦略が正しかったのかというまともな検証は見られません。この点を見てみたいと思います。
 人と経済活動を呼び込み、都市の成長を実現させ、都市の活力によりさらに生活の質が高まる好循環をつくるという戦略が一体何をもたらしたのか。まず、本市に本社のある資本金10億円以上、いわゆる大企業のうち主立ったところの内部留保について、2009年度と2021年度それぞれについて伺ってまいります。
 まず、西鉄についてどうでしょうか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 平成21年度と令和4年度、すいません、2022年度の西日本鉄道株式会社の利益剰余金につきまして、子会社分を除く企業単体で申しますと、平成21年度が406億円余、令和4年度が904億円余となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 九電工はいかがですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 株式会社九電工の利益剰余金は、同様に平成21年度が620億円余、令和4年度が1,870億円余となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 福岡銀行はどうですか。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 株式会社福岡銀行の利益剰余金は、同様に平成21年度が2,290億円余、令和4年度が4,473億円余となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 軒並み二、三倍になっています。そのほかも七社会と呼ばれる企業は、九州電力以外は大きく増やしています。あなた方が言う都市の成長の大事な要素である大企業の成長は急速に進みました。一方、市民生活の質はどうか見ていきます。
 1人当たり市民所得の比較可能な2013年度と2020年度についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 最新の令和2年度の福岡市民経済計算によると、市民雇用者報酬、財産所得、企業所得の合計である市民所得を総人口で割り戻した1人当たり市民所得は、平成25年度が約339万7,000円、令和2年度が約298万5,000円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 30万円減っているんですね。
 では、世帯ごとの1か月の消費支出について、2013年と2022年のそれぞれの額はどうなっていますか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 総務省統計局の家計調査報告において福岡市の調査結果が公表されている2人以上の世帯のうち勤労者世帯の1か月平均の消費支出は、平成25年が31万497円、令和4年が30万1,350円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これも減っています。
 では、税や社会保険料など世帯の自由にならない非消費支出について、2013年と2022年ではどうなっているか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 家計調査報告によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯の1か月平均の非消費支出は、平成25年が8万9,260円、令和4年が10万2,008円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これは約15%増えています。
 次に、消費支出に占める飲食費の割合であるエンゲル係数について、2013年と2022年ではどうなっていますか。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 家計調査報告によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯のエンゲル係数は、平成25年が21.8%、令和4年が24.5%でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 2.7ポイントも高くなっています。
 以上のように、市民生活の変化を示す一連の数字を見ると、現基本計画の下での10年前後で市民生活の質は向上するどころか、悪くなったことが歴然としています。つまり、大企業をはじめ、一部の人々のみが潤い、大多数の市民生活は苦しくなったというのが本市の実態です。
 したがって、市長が度々口にしてきた成長の果実は大半の市民には届かず、好循環は生まれていないのが実態だと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 先ほど答弁しましたとおり、市民所得は市民雇用者報酬、財産所得、企業所得を合計したものであり、家計の所得を表すものではございません。令和2年度は、コロナの影響により企業所得が大きく下がったことから市民所得も下がったものでございます。
 家計の所得を表す指標として、例えば、雇用者1人当たりの市民雇用者報酬や個人市民税納税義務者における給与所得者1人当たりの平均給与収入額は着実に増加しておりますが、一方で、全国的な課題として物価上昇に所得の向上が追いついていない状況と認識しております。このため、福岡市では学校や保育所等の給食費の物価高騰分の支援やプレミアム付商品券の発行など必要な対策を行ってきたところであり、引き続き生活の質の向上に向けて関係局が連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 収入は増えているんだと苦しい答弁をされましたけれども、先ほど示したように、だからこそ消費支出が減っているということが深刻なんですよ。否定しても数字が物語っているわけです。
 以上見てきたように、現基本計画の下で島市政は本市において貧困と格差を広げたのが実態です。SDGsに逆行することをやってきたんです。しかし、今回の計画素案は現行計画の誤りを反省せず、踏襲するものになっています。今回は取り上げませんでしたが、自律した市民の支え合いという自助、共助路線、つまり、行政の責任放棄の考え方も改めるものになっておりません。しかも、SDGsが掲げる目標を本市の施策や目標に具体化したものは皆無であり、数値目標は全て市民意識にしてしまい、施策の成果が検証できないものになっております。
 これではSDGsを基本にしているように見せかけるだけで、何も具体的に生かさないSDGsウォッシュにほかならないと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 第10次基本計画では、第9次基本計画をベースに社会の変化や多様な価値観をしなやかに取り入れながら、経済的な成長と心豊かな暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりを進めてまいりたいと考えております。これはSDGsの理念と方向性を一にするものであり、引き続き基本計画に基づく施策を着実に推進することによりSDGsの達成に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 国連に怒られますよ、そんなごまかしの答弁を繰り返すのはやめていただきたい。
 12年前の現行計画の議論の際、私は審議会メンバーとして都市の成長という大型開発や呼び込み路線では生活の質、つまり、市民生活の向上にはつながらないことを指摘し、暮らしや中小地場企業を応援することを基本にすべきだと提案しました。当時の担当部長は光山副市長でした。お互い若かったですね。それから12年たち、島市政は国の悪政と相まって、大企業栄え市民生活は枯れるという事態をつくり出しており、共産党市議団の指摘が正しかったことが明らかになっております。
 したがって、次期基本計画策定に当たっては、破綻した大企業中心の都市の成長路線を抜本的に見直し、SDGsの掲げる目標を基本に、達成目標も市民意識ではなく具体的なものを掲げるよう抜本的に見直すべきだと思いますが、この問題の最後に島市長の答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、現在の第9次基本計画において都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、まちづくりを進めております。これまでの取組の結果、人口は165万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入はコロナ前の令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し続け、令和4年度には再び過去最高を更新しております。この成長の果実を生かして、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに積極的に取り組み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高い評価をいただいているところでございます。この魅力あるまち福岡をさらに発展させ、将来に引き継いでいくため、多くの市民の皆様からいただいた御意見を取り入れながら、新たな基本計画の検討を進めているところでございまして、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 従来の誤りを反省せず、市民生活をさらに苦境に追い込む基本計画策定は許されないことを指摘し、見直しを求めておきます。
 次に、各種保険料についてです。
 とどまるところを知らない物価高騰は市民生活を直撃し、この6月も電気料金の大幅引上げに加え、食品だけでも600品目以上が値上げとなるなど市民生活に大きな影響をもたらしています。
 この異常な事態についての御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 物価高騰などにつきましては、市民生活に一定の影響を及ぼしているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 一定の影響どころか、大きな影響ですよ。
 他方で、日経新聞は3月19日時点の記事で、家計の所得に占める税と社会保険料の負担の割合が昨年9月時点で28%と過去最高水準になっていることを内閣府公表の国民経済計算から明らかにしております。そのような中、もともと市民の重い負担となっている各種保険料の実態について確認してまいります。
 まず、介護保険料について、市民税本人非課税の場合の年額保険料について、制度開始時と市長就任時、そして、現在に至る変遷をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 第1号被保険者の介護保険料につきまして、市民税本人非課税の場合、複数の段階がありますが、そのうち最も高い保険料である基準額の年額でお答えいたしますと、制度を開始した平成12年度は3万9,477円、島市長就任時の22年度は5万3,926円、令和6年度は8万2,784円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 負担は増え続けて、倍増しております。今年からの第9期保険料は、実質生活保護水準と変わらない年金生活者に年額で10万円もの保険料を押しつけていることになります。
 介護保険料は重過ぎる負担になっていると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険料につきましては、3年ごとに介護保険事業計画を策定する中で必要な介護サービス費用等を見込み、関係法令に基づき適切に設定しております。なお、介護給付費準備基金を最大限活用し、保険料の上昇抑制を図っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 基金の活用など努力をしてきたと言われましたが、それは当たり前で、保険料負担軽減のために独自の手だては何もしてこなかったというのが実態ではないか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市におきましては、介護給付費準備基金を最大限活用し、保険料の上昇抑制を図っているところでございます。また、介護サービス費用の低減に向けて介護予防や重度化の防止に取り組んでおります。さらに低所得者の負担軽減として介護保険料の減免制度を設けるとともに、保険料の所得段階を国の基準より多い段階数で設定しているほか、全国共通の制度を活用して、平成27年度から給付費のおおむね5割の公費とは別枠で国が定める割合の上限まで国費、県費、市費を投入しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 幾つかあるにしても、ほとんどないに等しいというのが市独自施策です。
 一般会計から補?して引き下げることはできるし、やるべきではなかったのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険料につきましては、国が定める割合の上限まで国費、県費と併せ一般会計から市費を繰り入れ、上昇抑制を図っているところでございます。介護保険制度は全国共通の制度であり、制度の枠外で一般財源を繰り入れることは適切でないとの国の判断が示されていることから、一般会計からの補?については制度上困難であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 何も手だてを取っていない国、ここの言うがままやっていたら被保険者はたまりませんから、独自に改善すべきです。
 次に、国民健康保険料についてです。
 島市長就任前と就任直後並びに今年度について、介護分を含む1人当たり国保料の変遷をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医療分、支援分と介護分を合わせました1人当たりの国民健康保険料につきましては、島市長が就任する前の平成22年度は9万4,994円、就任直後の23年度は9万2,340円、令和6年度は9万9,472円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 島市長就任前も含めて、まさに史上最高の保険料になりました。
 具体例ではどうか。300万円の給与収入で介護分該当2人の3人家族並びに介護分該当で給与収入200万円の単身世帯の保険料はそれぞれ今年度幾らになるか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和6年度のモデル保険料につきましては、給与収入300万円の3人世帯で、うち介護分該当者2人の場合、年額32万300円でございます。また、給与収入200万円の単身世帯で介護分該当者の場合、年額19万100円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 40代で子育て中の給与300万円の世帯が約32万円の負担、40代で収入200万円の一人暮らしの方が約19万円の負担。
 これらは負担能力を超えた重過ぎる負担になっていると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 国民健康保険制度につきましては、必要な経費を国や県からの支出金などの公費と被保険者からの保険料で賄う社会保険制度でございまして、被保険者にも応分の負担をいただく仕組みとなっております。令和6年度の1人当たり保険料は、国民健康保険財政調整基金の活用や一般会計からの繰入れを行うことなどにより、医療分と支援分を合わせた1人当たり保険料を5年度と同額となる7万3,999円に据え置いておりまして、被保険者の保険料負担に配慮をいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 配慮していると言われるんだけれども、島市長は14年前、最初の市長選挙の際、国保料を下げると公約し、当選。実際に当選後最初の国保料は一定引き下げました。しかし、ほとぼりが冷めると一般会計からの法定外繰入れを減らし、保険料の引上げに転じ、ついに今年度は史上最高額にしてしまいました。
 これは公約破りであり、問題だと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 国民健康保険料につきましては、平成23年度に医療分と支援分を合わせた1人当たり保険料の引下げが行われており、保険料の軽減化は図られたものと認識をいたしております。なお、保険料については、1人当たり医療費が年々増加していく中においても、国民健康保険財政調整基金の活用や一般会計からの繰入れを行うことなどにより負担の軽減を図ってきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 努力してきたとか、法定外繰入れを行ってきたとか言われましたが、ここまで引き上がるというのは、まともな負担軽減策を行っていないからではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 国民健康保険料につきましては、福岡市では国民健康保険の事業運営において歳入の確保と歳出の抑制に最大限取り組むとともに、毎年度、一般会計からの多額の繰入れを行うなど保険料負担の軽減を図っているところでございます。また、低所得世帯や未就学児のいる世帯、出産する被保険者がいる世帯などには保険料の軽減制度を適用するとともに、物価高騰などの影響により保険料の支払いが困難となった方にはそれぞれの状況に応じて分割納付などの納付緩和措置を行い、収入が減少したことなどの一定の事由がある方には減免を適用するなど、適切に対応いたしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 今は未曽有の物価高騰という緊急事態です。都道府県単位化で県がいろいろ圧力をかけていますが、法定外繰入れを減らせなどと言われても、それは無理だとして県とも協議して、増額を認めさせ、実施して、引下げを図るべきではありませんか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和6年度の国民健康保険料につきましては、後期高齢者支援金などの県への納付金が増加する中、国民健康保険財政調整基金の活用や一般会計からの繰入れを行うことにより、医療分と支援分を合わせた1人当たり保険料を5年度と同額に据え置くなど被保険者の保険料負担に配慮をいたしております。
 また、介護分の保険料は介護事業に要する経費を賄うために40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に負担いただくものであり、国が示す基準に基づき県が算定した額を納付する仕組みとなっており、この介護納付金が増加したことにより1人当たりの保険料が引き上がっているものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 制度解説ばかりされる、やる気がない答弁を行われましたが、別な角度でお尋ねします。
 2023年度末時点で財政調整基金の残高は幾らあるのか、お示し願います。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 財政調整基金の令和5年度末残高は、最終予算ベースで約366億円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) この基金を緊急に取り崩せば、両保険料の緊急減免または被保険者に対する市独自の給付金など実施できるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 介護保険制度は全国共通の制度であり、制度の枠外で一般財源を繰り入れることは適切ではないとの国の判断が示されております。物価高騰の影響等により介護保険料の支払いが困難となった方については、事情を十分にお聞きした上で、法令等に基づく減免措置を適用するなどの対応を行っております。また、生活保護を必要とするレベルまで生活が困窮する場合は、収入等、個々の実情から判断し、保険料の負担を軽減する措置を行っており、引き続き国の判断や関係法令に基づいて適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 国民健康保険料につきましては、国民健康保険財政調整基金の活用や一般会計からの繰入れを行うことにより、令和6年度の医療分と支援分を合わせた1人当たり保険料を5年度と同額に据え置くなど被保険者の保険料負担に配慮をいたしております。また、保険料の支払いが困難となった方で、収入が減少したなどの一定の事由がある方には減免を適用するなど適切に対応いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 福岡市で、保険料が安くていいねという声は全く聞きませんよ。今の両局長の答弁、福祉の心がないですね。検討しようともしていない、国追随だ。それでは経済対策、物価高騰対策に無策、国民的批判を浴びている岸田自公政権と何も変わらないと言わなければなりません。緊急事態にふさわしい対応をすべきです。高齢者も苦境に立たされています。
 後期高齢者医療保険料について、制度開始時と今期の保険料はどうなっているか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡県後期高齢者医療における制度発足当初の第1期となる平成20年度及び21年度の1人当たり保険料は7万1,851円、第9期となる今期、令和6年度及び7年度は9万427円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これもまさに史上最高額です。
 そうなった理由をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡県後期高齢者医療広域連合によりますと、第9期の保険料は、少子・高齢化に伴う支え手の減少に対応するため、増加する医療費を負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合う全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するに当たって、子育て世代を全世代で支援するための出産育児一時金に係る支援金の導入や現役世代の1人当たり後期高齢者支援金の上昇を抑制するための後期高齢者負担金の見直しなど国の制度改正を踏まえた結果、引上げとなったものと聞いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 国が強行してきた国庫負担減や子育て支援の財源の保険料への上乗せなどとともに、基金を増やしてこなかった県の責任も重大です。後期高齢者においては、年金は増えず、物価高騰は続き、出費がかさむ中、重い保険料負担に苦しみ、食費などを削り、医療費を節約するために受診抑制まで起きています。
 高齢者が重い保険料負担に苦しみ、命を削っている実態は放置できず、国や県、そして、広域連合に対して保険料の緊急減免を強く要求すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡県後期高齢者医療の保険料につきましては、福岡県後期高齢者医療広域連合において、第9期における保険料の上昇抑制を図るため、余剰金及び運営安定化基金の積極的な活用により適切に対応されているものと認識をいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 適切だと言われ、福祉局長も保健医療局長も市民の苦境に対して心を寄せない。ひどいと思います。市民に冷たい島市長の下で、行政が住民の福祉の増進という本来の責務を放棄している。大型イベントの象徴である世界水泳には昨年、惜しげもなく107億円を投入し、市民生活には全く還元されませんでした。従来の大型開発もしかりです。周知のとおり、今、国の経済無策によって市民の生活は壊れてきています。だからこそ、緊急対策を取るのが自治体の責務です。市長はイベント会社や開発会社の経営者ではありません。
 各種保険料負担の軽減にあらゆる手だてを取るべきだと思いますが、この問題の最後に島市長の答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 介護保険及び国民健康保険につきましては、公的保険制度であり、必要な経費を国や県の支出金などの公費と被保険者の保険料負担で賄うことを基本としております。保険料については、それぞれの事業の安定的な運営を図る観点から法令に基づき適切に設定しつつ、公費を投入することなどにより可能な限りの負担軽減を図っているところです。物価高騰などの影響により保険料の支払いが困難となった方には減免制度を適用するなど、引き続ききめ細かく丁寧に対応してまいります。
 今後とも、各制度の安定的で持続可能な運営を図る観点から、歳入の確保や歳出の抑制を図り、財政健全化に努めるとともに、引き続き国に対し、財政基盤強化のための国庫負担割合の引上げなどを要望してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 市民の命と暮らしを切り捨てる姿勢を改めるべきだと厳しく指摘しておきます。
 次に、児童発達支援センターにおける一時預かりについてです。この問題について、私は3月予算特別委員会で取り上げましたが、引き続きただしてまいります。
 そもそも実施しようとしているこの一時預かりは、療育の一環なのか、それとも別の概念なのか、説明を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 児童発達支援センターでは、発達に支援が必要な児童に対して日常生活における基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練等の療育を提供しております。本事業で実施する一時預かりにつきましては、保護者の就労等により療育終了後に預かりが必要な児童を対象として15時から18時まで児童をお預かりするものであり、療育とは異なるものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 障がいを持った子どもたちの発達を保障するための療育とは違い、保護者の就労の間、単に預かる事業だということです。つまり、療育の専門機関に対し、全く別の事業を新たに担わせるということです。まずは療育センターなどの運営を担っている社会福祉事業団に無理を押しつけて先行実施させ、その後、民間事業所にも担ってもらうという計画が強引に進められようとしています。
 これでは事業団にも民間事業者にも大きな負担になると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 本事業につきましては、療育を担当する職員への負担が生じないよう、療育の時間とは別の職員を配置する方向で検討しているところでございます。また、実施方法について、福岡市社会福祉事業団や民間の児童発達支援センターの意見も伺っているところであり、引き続き丁寧に協議を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) いや、大きな負担になるんですね、これ。
 私は予算特において、現場職員や保護者の声、懸念を踏まえ、拙速にやるべきではないと指摘しましたが、その後、進め方を見直したのか、現在の検討状況はどうなっているのか、説明を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 本事業につきましては、児童を安全にお預かりできるよう、現在、各施設や保護者の意見を伺うなど実施方法について協議を進めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) この間、私は改めてこの問題の検討に関する資料の提出を求め、その内容を精査しました。そうすると、社会福祉事業団と行った昨年12月の最初の協議では、当局が示した案では、2024年度から事業団や民間センターとの協議を始め、一時預かりの実施は2026年度、2年先からというスケジュールが立てられていました。
これを今年からの──夏頃からと言っていますが──実施というふうに2年近く前倒ししようとしている理由についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 障がい児の保護者に係る就労支援については、児童発達支援センターを利用する保護者からの要望をいただくなど以前から課題と認識しており、民間も含め、全ての児童発達支援センターにおいて令和8年度から実施することを目指して検討を行っていたところでございますが、現に就労支援を必要としている市民のためにも可能な限り早期に実施することが必要と考え、市立の児童発達支援センターでの先行実施について、指定管理者である福岡市社会福祉事業団と協議を行い、令和6年度からの開始に向け、予算を計上したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) ニーズが高いことは私も理解できます。しかし、だからといって現場に無理な押しつけをしていいということにはなりません。丁寧な検討と準備が必要です。それをすっ飛ばして、現場に提起して約半年後に実施という通常考えられない進め方がされようとしています。
これは福岡市が遅れているという新聞報道を受けて、島市長がトップダウンで指示したからだというのが真相だと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 障がい児の保護者に係る就労支援については、現に就労支援を必要としている市民のためにも可能な限り早期に事業を開始することが必要と考え、市長、副市長とも協議の上、こども未来局として令和6年度からの事業開始が必要と判断し、予算計上したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) ごまかされましたが、頂いた資料の中で、昨年12月12日付の事業団との打合せというレジュメがあります。資料3を投影してください。(資料投影)この赤枠を見てほしいんですね。ここに、きっかけは西日本新聞の記事、それと市長説明及び指示、こう記載されております。動かぬ証拠ですよ。消してください。
 以上のように社会福祉事業団との協議とは名ばかりで、市長の指示だからと早期の実施を有無を言わさず押しつける、これは許されないと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 市長からは、現に就労できず困っている市民のためにも、できる限り早期に実施できるよう検討するよう指示がございました。本事業につきましては、現在、各施設の保護者の意見を伺うなど丁寧に実施方法の協議を行っているところでございます。また、事業を開始するに当たりましては、安全に児童をお預かりできる体制を整える必要があると考えており、各施設とも協議を行い、体制を整えた上で事業を開始したいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) とりわけ丁寧さが求められる子どもの障がい福祉事業において、こんなやり方は許されません。社会福祉事業団においても、あなた方からの無理な提起を幹部が勝手に承諾して、各センターの職員や利用している保護者に通知する進め方、これに疑問や不安が広がっています。
 こういう進め方は問題だという認識はないのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 施設の職員や利用する保護者が安心できる事業となるように、各施設や保護者の意見を伺うなど実施方法の協議を進めており、引き続き丁寧に進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 合意と納得のないまま強行していくのは問題です。
 具体的な中身について確認しますが、一時預かりを実施する際の人員体制と現在の求人及び採用状況についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 本事業を実施するに当たっての人員体制につきましては、療育時間と同様、職員1人に対し、お預かりする児童を4人までとする方向で検討しております。現在、各市立の児童発達支援センターにおいて必要となる人員確保を進めているところであり、既に採用が決まった施設もございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) これね、応募が少なくて難航しているんですよ。そもそも障がい福祉の分野は日常的に人手が集まらない分野です。加えて、3時間の預かり事業という短時間の仕事に応募する人が多くないのは最初から明らかです。
 今回、必要数の採用ができなければ、現職員の過重負担や長時間勤務で賄うことになるのではないですか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 事業を開始するに当たりましては、日中の療育の時間とは別の職員を配置する方向で検討しており、そのために必要な人件費を予算に計上しております。安全に児童をお預かりできるよう各施設とも協議を行い、体制を整えた上で事業を開始したいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 応募が少なければ派遣会社などから確保することになるのか、また、そうなれば専門性や安全性の担保は得られないのではないか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 職員の確保につきましては、事業団と様々な手法を協議しておりますけれども、採用方法のみをもって専門性や安全性に問題が生じるとは考えておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 否定されませんね、派遣会社。営利企業からの人員確保には様々な懸念があります。安心できる人員確保ができない限り、実施すべきではありません。
 そもそもこの一時預かりのやり方については、民間の児童発達支援センターからの意見も否定的なものや疑問が多いようですが、それらの声をどう受け止めているか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 現在、民間の児童発達支援センターも含め、本事業に関する意見交換などを実施しており、施設や利用者が安心できる事業となるよう実施方法の協議を進めているところであり、一部の民間センターからは令和6年度からの実施の意向が示されております。引き続き安心できる事業となるよう実施方法の協議を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 実施できるというのは、ごく一部なんですよ。議事録を見ても、民間事業所で療育が終わった3時から療育センターに送迎の車で移動させて、さらに3時間の預かりというのは、子どもにとって大きな負担となることなど様々な問題が指摘されております。
 これらの点についてはどう考えているのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和6年度につきましては、民間の児童発達支援センターでの預かりが難しい場合は、市立の児童発達支援センターにおいて民間のセンターに通う児童をお預かりする方向で考えておりますが、できるだけ民間のセンターでも実施できるような制度の検討も進めているところでございます。また、本事業の実施に当たりましては、療育の時間とは別の職員を配置し、長時間の預かりでも児童が安心して過ごせるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中山郁美議員。
○51番(中山郁美) 早期の実施は極めて無理があります。もちろん保護者の就労支援は大事です。しかし、新たな事業を実施する際には、子どもの発達と権利こそ中心に据えた制度設計が必要です。市長が自らのメンツや人気取りのためにトップダウンで現場や担当部局に混乱をもたらすことは許されないのであります。
 既に本市が市長の掛け声で全国に先駆けて大規模に始めたこども誰でも通園制度では、現場から悲鳴が上がっています。一時預かりについても、このまま拙速に強行することになれば、様々な問題が生じることは明らかです。実施方法や実施時期については、子どもを真ん中に置き、職員、保護者の合意形成を図り、慎重に判断すべきです。
 したがって、島市長は早期実施という自らの指示を撤回し、丁寧な議論と準備を行うよう指示を出し直すべきだと思いますが、答弁を求め、質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 障がいのある子どもについては早期療育が重要であり、保護者の就労の状況にかかわらず、必要な療育が受けられるように、令和6年度より児童発達支援センターにおける療育後の一時預かりに取り組むこととしております。事業の開始に当たりましては、児童を安全に預かりができるよう、引き続き施設及び利用者の御意見もお伺いしながら丁寧に進めてまいります。
 今後とも、障がいの有無や保護者の就労状況などにかかわらず、次代を担う全ての子どもたちが健やかに成長できるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時56分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。調崇史議員。
○20番(調 崇史)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、次期交通基本計画について、九州大学箱崎キャンパス跡地について、以上、2点質問をいたします。
 初めに、次期交通基本計画についてです。
 正式名称は都市交通基本計画ですので、以下では正確を期して進めさせていただきますが、福岡市の都市交通基本計画は平成26年、西暦でいうところの2014年に改定されて10年がたちました。現在、次期計画の策定に向けた作業が進んでいるところでありますが、まずは改定作業の今後のスケジュールについてお尋ねをいたします。
 2問目以降は自席で行います。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和7年に都市交通基本計画の改定を予定しておりまして、それに向け令和6年秋頃の骨子案を、また、年内の原案取りまとめに向け、市民や議会をはじめ、有識者、交通事業者等の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) では、以下幾つかの論点について触れさせていただきます。
 10年前の改定では、生活交通の確保に努めることというのが新たに盛り込まれました。当時、過疎化が進む農山漁村地域などを中心に路線バスの休廃止にどう対応するかという課題が浮上して、日常生活を支える交通手段の確保が問題になっていたときでありました。こうした過疎地の対策というのは引き続き重要な問題でありまして、後ほどまた触れたいと思います。
 この10年間で本市はもちろん、我が国全体において高齢人口が大変増加したわけですが、運転免許証の返納というトピックが耳目に触れるようになりました。令和元年には東京の東池袋で高齢ドライバーによる事故で幼子と母親を含む11人が死傷しました。このように相次いだ高齢ドライバーの事故の影響は大変大きいと思います。
 2025年、いわゆる団塊の世代の先輩方が全て75歳以上になられるのが来年です。我が国の高齢化のピークはまだこれからということでありますが、運転免許証の返納支援については一層真剣な取組が求められると思っています。
 お尋ねいたしますが、高齢者の運転免許証の返納について、直近3年の本市の状況をお示しください。またあわせて、本市の高齢者が運転免許証を返納した場合、どのような支援サービスがあるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 運転免許証の返納件数につきましては、令和3年が4,566件、4年が3,969件、5年が3,110件となっております。また、運転免許証の返納支援につきましては、返納後1年以内に福岡市営地下鉄のちかパス65を購入された方への運転免許返納割やバス、タクシーの民間事業者による料金割引などの支援サービスがあります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 運転免許証の返納は、車の代わりになる交通手段の確保ができなければ当然進んでいかないわけですから、本市は市営地下鉄で、そして民間でもバスやタクシーで様々な割引制度を設けていただいています。
 一方で問題となるのは、そもそもこの公共交通網から離れた地域にお住まいの高齢者のことだろうというふうに思います。農山漁村地域にお住まいの高齢者を念頭に、運転免許証の返納をしても日常生活を送ることができるような生活交通確保の支援については、次期都市交通基本計画に明記をしていただいた上で、関係局が連携を取って取り組んでいただきたいと思っておりますが、所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 生活交通の確保につきましては、現計画において子どもから高齢者まで誰もが安全、安心な交通という視点から基本的な方針の一つとして位置づけております。高齢化の進展により免許返納といった課題もある中、郊外部をはじめ、公共交通が不便な地域における生活交通の確保は重要であると認識をしておりまして、引き続き関係局と連携して取り組むとともに、次期計画への位置づけについても検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) よろしくお願いします。
 また、過去10年を振り返ると、都心部でも運転免許証の返納後の交通手段の確保をはじめとして、高齢者の日常生活の移動というのが問題になりました。本市ではこうした問題への対応を求める我々議会の声を受けて、オンデマンド交通の社会実験など生活交通の確保に向けた取組を進めていただいているところであります。
 最近はタクシーのドライバー不足というのを肌で感じるようになっているんですけども、少なくとも車両1台が社会実験のエリア内を巡回していただいているという、今、状況なんですけども、このことについて私は大変好意的な受け止め方を聞いております。
 こうした生活交通の確保に関する諸施策、現行の都市交通基本計画に沿って本市が進めていただいたわけでありますけども、これはしっかりと総括をしていただいた上で、生活交通確保に向けた取組が決して後退することがないように、社会実験等の成果も踏まえ、仕組みづくりにしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが、御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 生活交通の確保につきましては、今後とも生活交通条例に基づく休廃止対策などに取り組むとともに、社会実験で得られた成果や課題などを踏まえ、都市交通基本計画の改定と合わせ、持続可能な生活交通の確保に向けた支援拡充を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) ここまで計画の話でちょっと事務的な質問になっているところなんですが、ここで少し話題を変えさせていただきたいと思います。
 この10年の間に都心の風景というのが大きく変わったように思います。昨今、市役所の周辺を歩いてみますと赤い自転車を必ず目にするわけですけれども、シェアサイクル、チャリチャリについては、前身のメルチャリのサービスが平成30年2月にスタートして、実証実験を経て、令和2年4月からは本市との共同事業ということで取り組まれております。今では都心部を中心にかなりエリアも広がりました。自転車を互いに顔も見知らぬ市民が盛んにシェアするようになったというのは、生活様式の大きな変化という点でも特筆すべきことのように思います。
 お尋ねいたしますが、チャリチャリの赤い自転車の台数、ポート数、エリア面積などは、当初と現在と比べてどう変化したか、お示しをいただきたいたいと思います。またあわせて、本市が共同事業として進めてきた本事業をどう評価しているのか、答弁を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) チャリチャリの自転車台数などの推移につきましては、平成30年6月の実証実験開始時は、自転車台数約300台、ポート数57か所、エリア面積約20平方キロメートル、令和2年4月の共同事業開始時では、自転車台数約1,100台、ポート数262か所、エリア面積約34平方キロメートル、令和6年3月末現在では、自転車台数約4,200台、ポート数708か所、エリア面積約110平方キロメートルとなっており、いずれも大幅に増加しております。また、共同事業の評価につきましては、実証実験開始時と比較いたしまして、多い月では約90倍となる約71万回搭乗されるなど、多くの市民の皆さんに利用され、都心部の回遊性向上や放置自転車減少などの行政課題解決に寄与しているものと認識しており、十分な事業効果があっているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 4,200台、今そういうことのようですけれども、さすがに毎日見かけるはずだなと思います。
 また、今答弁でも触れられたんですが、違法駐輪ですね、迷惑駐輪が減っているような印象を私も持っておりました。とはいえ、チャリチャリの自転車自体も、天神中央公園辺りは分かりやすいんですけど、特定のポートに時間帯によっては集中し過ぎて乱雑な並び方をしていることがないわけではないとは思っています。ただ、関係者がトラックで巡回して移動させているということがあって、状況が放置されているということはないのかなというふうには感じています。
 かつて政令市比較で放置自転車のワースト1位だった本市の現在の状況はどうなっているか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 放置自転車につきましては、国土交通省が2年に1度発表する駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果において、天神地区が全国ワースト1位であった平成13年、15年の放置自転車台数は4,000台を超える状況でありましたが、令和5年におきましては、約30台へと大幅に減少しております。なお、この間、全市の放置自転車台数は、平成13年の1万8,000台を超える状況から、令和5年には約700台へと大幅に減少しております。放置自転車の減少につきましては、撤去や啓発、駐輪場整備など様々な対策のほか、シェアサイクルの普及が功を奏したものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) ここで資料1番の投影をお願いいたします。(資料投影)放置自転車の推移を平成13年から令和5年まで示したものです。左側が平成13年、右側が令和5年ですね。実際のところ、シェアサイクル以前にかなり頑張っていただいていたということはこれで分かります。本市の関係職員各位、それから、何よりも市民の御理解、御協力のたまものだと思うんですけれども、事、都心部に注目をすると、チャリチャリ導入以降というのが、この右に少し黒い線が入っています。以降、相当低い水準を維持できているということであります。私物の自転車の乗り入れがかなり減ったはずなんですね。本市が取り組んだ共同事業の成果というのは、一定現れたというふうに言えると思います。投影ありがとうございます。
 チャリチャリに関しては、我が会派の先輩議員からも、また私自身もサービスのエリアを福岡市南西部にも早く広げてほしいという要望を本会議とか委員会でも述べてきたところであります。
 改めてお尋ねいたしますが、エリア拡大の要望について、本市の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。また、どのような課題があるか、認識をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) サービスエリア拡大につきましては、シェアサイクルが個人所有の自転車と異なり、不特定多数の移動手段として公共交通を補完する役割が期待されていることから、市としても望ましいと考えており、事業者に依頼しております。その課題につきましては、事業者によりますと、収益性や自転車を再配置するための体制の拡充などがあると聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) やはり課題になる収益性についてですが、都心部のサービス網の充実がやっぱり鍵になってくるんだろうと思います。サービスの拡大を待っている周辺部のユーザーのためにも、本市はぜひとも積極的な公共用地の活用の検討などをはじめ、引き続き共同事業としてしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 また、先行しているチャリチャリだけではなくて、そのほかの事業者が取り組むシェアサイクル事業も新たに今展開されているところであります。電動の原動機付自転車のようなものもありますし、また、いろいろ課題もあると思うんですが、電動キックボードも今展開されている。いろいろな乗り物があるので、ここではシェアモビリティーという呼び方をしようというふうに思うんですが、これはシェアモビリティーが法令を遵守した上で、安全に利用され、かつ公共交通網を補完するものとして機能していく本市の将来の姿を思い描いたとき、次期都市交通基本計画にはシェアモビリティーの位置づけを明記する必要があるというふうに考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) シェアサイクルなどのシェアモビリティーにつきましては、手軽で多様な移動ニーズへの対応や回遊性の向上に寄与するものであると考えておりまして、鉄道やバスなどの基幹的な公共交通とも連携させていくことが重要であると認識をしております。次期計画への位置づけにつきましては、引き続き、関係局の取組と併せ、市民や議会をはじめ、有識者、交通事業者等の御意見を伺いながら検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) よろしくお願いします。
 本市の交通施策全般に係る計画の改定ですので、論点となるテーマは、今、私、触れさせていただいたよりもっと多岐にわたるわけですが、少しだけ所見を述べさせていただきたいと思います。
 例えば、都心の交通渋滞の緩和も大きなテーマですけど、これを考えるときには、当然ながら周辺部から乗り入れてくる車両を減らしていくという必要があると思います。しかしながら、都心への移動が路線バス頼みになっている地域というのはまだかなり多くて、本市としてはこの路線バスの合理化といったことには慎重な姿勢を持ち続けなければならないとも思います。
 中心部をどうするかを考えるときには必ず全体最適を考えなければならないし、鉄軌道の恩恵が及んでいないような人口密集地もあれば、または過疎地の交通手段の確保といった問題もあって、これらはむしろ先に議論をすべき課題ではないかというふうに思います。
 次期都市交通基本計画の策定に当たっては、所管の常任委員会、また交通対策特別委員会など様々な場面を捉えて幅広く議会の意見を聞いていただいて、またしっかりと反映していただくことを求めて、この質問を終わります。
 次に、九州大学箱崎キャンパス跡地についてです。
 跡地開発に当たる優先交渉権者が決まりました。今後約1年ぐらいかけて詳しい計画が練られて、土地の譲渡に向かっていくことになると思います。今回は合わせて3つのグループが応募したということのようでありますけども、優先交渉権者に決まったのが住友商事、西鉄、それからJR九州などのグループ、ほかにはかなりの差をつけたというふうな報道がありました。
最初に、優先交渉権者となったグループの提案の特徴的な点についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公表されている審査結果におきましては、いずれの提案もグランドデザインに基づき、創意工夫に富んだレベルの高い提案であったとされておりますが、その中で今回選ばれた提案では、緑豊かな都市空間や多様な都市機能、セキュリティー、モビリティー、エネルギーなどのスマートサービスやまちづくりマネジメントなど、様々な観点からまちづくりの提案がなされております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 今日の質問では跡地について気になっていることをお尋ねしたいと思います。
 今日の場合は大半は水素の活用についてということでありますけども、今年度本市の予算では、この箱崎キャンパス跡地での水素活用に向けて、専用のパイプラインを引くための経費が計上されました。
改めてパイプラインの敷設の目的、それから、敷設に向けた今後のスケジュールについてお示しをいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 九州大学箱崎キャンパス跡地においては、まち全体での水素利活用を想定し、水素ステーションから各施設へ水素を供給する手段としてパイプラインを敷設しているところでございます。今後のスケジュールとして、令和6年度は都市計画道路区間の整備を完了させるとともに、県道及び外周道路区間の発注を予定しておりまして、県道区間は令和7年度に、外周道路区間は令和8年度にそれぞれ整備を完了させる予定としております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 箱崎キャンパス跡地の再開発に係る事業者公募に当たって、水素の活用についてはどのような提案が事業者に求められていたのか、お尋ねします。またあわせて、優先交渉権者となったグループの提案内容について、把握されている内容をお知らせください。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 事業者公募におきましては、純水素燃料電池を活用する民間施設を5か所以上設け、福岡市が敷設するパイプラインから供給される水素を利活用する提案が求められております。また、優先交渉権者の提案におきましては、合計約120キロワットの純水素燃料電池をオフィスや住居など5か所の共用部の電灯や空調などで活用することや、イベントにより市民への普及啓発などを実施することとされております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 約120キロワットの発電に水素を活用するという旨の提案があったようであります。
 ここで資料2の投影をお願いします。(資料投影)箱崎での水素活用について、福岡市が既に公表されていた資料です。ちょっと字がちっちゃくなってしまってすみません。純水素燃料電池を5か所以上、それから5基以上使用すること、総出力は120キロワット以下とされていて、今回、事業者からはこれに沿った提案があったということだと思います。事業者に示された応募要領とか添付の資料を読んだんですが、福岡市はこのエリアで水素の活用に関する実証実験を計画しているということが書かれておりました。投影を終わってください。ありがとうございます。
 福岡市が想定している実証実験とは何を目的にするのか、また、市が施設整備など費用面でどのような役割を果たすことを想定しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 九州大学箱崎キャンパス跡地においては、市において公園などの公共施設や複数の民間施設に水素を供給する手段としてパイプラインを敷設するとともに、当該施設に純水素燃料電池を設置することとしております。水素社会の早期実現に向け、国において基本戦略等により水素関連技術の開発が推進されており、純水素燃料電池についても、発電効率や耐久性の向上といった技術開発が進められていることもございますことから、水素関連技術の利活用や効果の検証などについて、期間を10年以内と設定し、実証実験することを想定しているものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) では、資料3の投影をお願いします。(資料投影)まちづくりの進捗に合わせた市の取組というものを本市は令和5年4月に策定して、応募された事業者に示しています。ちょっと線を引いていますけれども、市はパイプラインを敷設し、水素ステーションを整備して、水素を提供する設備の設置を検討するなどのことが記されています。これらはいずれも福岡市が将来的に公費で負担をする意向があるものについて事業者に示したものであります。投影を終わってください。ありがとうございます。
 このまちづくりの進捗に合わせた市の取組に書かれた内容について、議会にはこれまでどのような説明をされたか、お示しいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりにおける経済観光文化局の取組につきましては、令和4年9月議会におきまして、その全体概要を報告するとともに、パイプラインの敷設など個別の事業については、予算審議において議会にお諮りしているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 委員会でも報告されたということです。
 実は問題はここからなんですけど、同じ資料には水素の販売価格についてということが書いてあります。
 資料4の投影をお願いします。(資料投影)これは民間の施設等が水素ステーションから水素を買う代価のことを言っているんだと思うんですが、「実証実験の期間(10年以内)については、電力や熱などの市場価格を勘案した補助等の適用を検討しています」というふうなことが書かれています。スライド投影を終わってください。
 これはどのようなことを想定した記述なのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 水素の利活用に当たっては、現状では電気代と価格差がございますため、将来的な水素の価格等を注視しながら、土地利用事業者が水素を利活用できる環境の整備を検討していくことを想定しているものでございまして、今後土地利用事業者と協議をする中で、具体的な対応について検討することとしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 少し聞いている方が分かりにくかった答弁だと思うんですね。水素を使うと、通常の電気代よりも今割高になることは明らかなんですが、その価格差については福岡市が補?することを検討していますという意味ですね。
 私、今回の優先交渉権者が決まった前後、公募に漏れた事業者も含めていろんな関係者の方から水素の活用について話を伺いました。その中で関係者のお一人が、差額については福岡市が補?してくれると書いてありましたよとおっしゃったのを聞いて、非常に驚いて、今この質問に至っているところであります。
 ここで、120キロワットの電力を使うための水素の価格、それから、通常の電気を引いた場合との価格比較というのを試みてみたいと思います。
 資料5の投影をお願いします。(資料投影)見えますかね。まずは表の上の段が水素なんですけれども、国内メーカーでかなり優れた純水素燃料電池で、5キロワットの発電ができるものを1年間動かすのに必要な水素というのが2,300キログラムということです。120キロワットの発電をするためには、これが24基分必要でありますので、年間では2,300掛ける24で5万5,200キログラムとなって、これに今水素の標準的な1キログラム当たり税込み1,200円を掛けると6,624万円になろうかと。
 では、これを通常の電力で賄った場合というのが表の下、下段なんですけれども、九州電力の家庭用の契約を基に計算しました。120キロワットを24時間365日使ったとしたら、年間の消費電力というのは105万1,200キロワット時ですね。これら全て最も割高な超過使用分の電気料金ですね、1キロワット時当たり25.87円を掛けて計算してみますと、約2,719万4,000円ということになります。実に2.435倍の開きがあるわけです。金額にすると、1年間当たり約4,000万円の差額が出るということが分かると思います。
 純水素燃料電池というのは、発電と同時にお湯を沸かす力もある、能力もあるということなので、今の試算ではこういった長所については考慮していません。また、通常電力も一方でかなり高くは見積もっています。投影を終わってください。ありがとうございます。
 今後想定されるのは、こうした10年余りの実証実験の間、福岡市がこの多額の差額を毎年負担し続けるということです。そして、このような負担について、要は福岡市の負担について、先ほど答弁のあった常任委員会の説明からは実は漏れております。我々は今のところ何も事前に聞いていないという状況です。
 水素については、国においても脱炭素社会を実現するエネルギーとして、その将来性に期待が寄せられておりまして、福岡市が活用促進に向けた市民啓発に取り組みたいという気持ちはよく分かります。しかしながら、通常の電力や熱の調達よりも割高になる部分について、福岡市が補助金で補?するというような口約束を、議会にろくな説明もしないで事業者にしているということは私は見過ごせません。債務負担行為を議会を通さずに設定するような話です。私の試算だと、10年間で約4億円ぐらい。端的に今日は申し上げておきたいと思います。全ての事務事業において、このようなことは厳に慎んでいただかなければならないということです。苦言を呈しておきたいと思います。
 続けますが、では、次に水素をどう供給するか、どのような水素を使っていくのかということについてであります。1つのまちあるいは街区などで水素を活用している国内の事例を調べてみました。いずれも本市のように専用のパイプラインを敷設する、または既に敷設されている事例もあるようですが、北九州市八幡東区や静岡県裾野市、東京都中央区の晴海地区などがありました。八幡東区は、製鉄所におけるコークスの精製過程で出てくる水素を集めて、東田地区に1.2キロメートルのパイプラインで運んで住宅の電力供給とか給湯などに活用しています。静岡県裾野市、これはまだ計画段階ですけれども、再生可能エネルギーを基に作ったCO排出ゼロの水素をパイプラインで水素ステーションに運んで水素自動車などへの充?、走らせることを計画していると。一方、東京の晴海なんですが、ガス会社が作った水素を晴海まで車で運んで、それを街区で使用しているということのようであります。車でも使用しています。これはどのぐらいクリーンなエネルギーと言えるものなのかというのは、私もよく分からない感じがいたしております。
 お尋ねしますが、福岡市ではどのような水素を箱崎キャンパス跡地の水素ステーションに供給しようと検討しているのか、お示しいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 九州大学箱崎キャンパス跡地で活用する水素の調達につきましては、令和6年度に水素ステーションの整備に向けた検討を実施する中で、水素の需要予測などを踏まえながら検討することとしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) これから検討していくということだと思います。
 市民啓発にはストーリーが欠かせないというふうに思います。先ほど北九州市の水素タウンでは製鉄所から出る水素を使っていると。裾野市では再生可能エネルギーを使って電気分解した水素を使うというお話を申し上げたわけですけれども、これ、いずれも水素の由来とか発生源というのがはっきりした状態であります。
 一方で本市を見ると、再エネも実は目立って大きなものはないと思うんですが、唯一中部水処理センターで下水由来のバイオガスから水素を作っていまして、私はこの取組自体は大変有意義なものだと思っているんですが、今の本市を見渡した限りでは、箱崎でこれを活用できるかどうかという話ではないかなというふうにも感じています。
 中部水処理センターにおける水素関連の事業について、概要をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 中部水処理センターにおいては、センターで発生する下水バイオガスを原料として水素を製造し、燃料電池自動車等へ供給する水素ステーションを産学官で運営いたしております。当該ステーションは、日曜日から金曜日までの週6日、10時から17時まで7時間営業しておりまして、令和6年5月の供給実績は平均して1日当たり約30キログラム、トヨタの燃料電池自動車ミライで換算いたしますと、約6台分となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 九州大学箱崎キャンパス跡地での水素の1日の使用量というのが、市の資料で最大240キログラムの想定ということなんですけれども、これを中部水処理センターの福岡市水素ステーションで製造する水素で賄うことが可能なのかどうか、お示しいただきたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市水素ステーションの1日当たりの水素製造能力は、平成27年度の実証当時の数値でございますが、12時間稼働でトヨタの燃料電池自動車ミライ約60台分、約300キログラムでございます。九州大学箱崎キャンパス跡地への供給については、原料となる下水バイオガスの供給量等について検討していく必要がございますが、水素製造装置の能力的には可能でございます。なお、九州大学箱崎キャンパス跡地で活用する水素の調達につきましては、令和6年度に水素ステーションの整備に向けた検討を実施する中で、水素の需要予測などを踏まえながら検討することといたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 今、中部水処理センターの能力でもやってやれないことはないというところだろうと思います。
 ただ問題はですね、この福岡市水素ステーションで作られる水素も、市場で一般に流通している水素よりも間違いなくコストが高くなるだろうということであります。何をやっても水素は現段階ではお金がかかるというのが現状だと思っています。
 今日申し上げておきたいのは、やはりあまり無理な公金投入をしないほうがよいのではないかということであります。水素は将来有望で、また、市民啓発にかける本市の意欲というのは理解ができます。ただ現状では多額の公費を燃やして電力や熱を供給するようなものになってしまうので、これは市民の理解が得られるような、あるいは身の丈というものを考える必要があるだろうというふうに思います。
 冒頭お伺いしたパイプラインの敷設もあるんですが、複数年の施行を前提に債務負担行為を設定したように記憶しています。これも無理をして全部計画どおり引くことはないかもしれませんね。水素を使う施設、この施設配置とか、これから考えていかれるということですので、例えば、これを近くに寄せてみるとか、工夫をすれば配管は短くて済むわけであります。
 私危惧しますのは、蓋を開けてみたらパイプラインの長さだけが特徴みたいな実証実験になってしまったら、これはもちろん市民の評価もそうなんですが、いろんな外部からの評価にも耐えないんじゃないかなというふうなことを危惧しております。
 それから、教育こども委員会に私所属してますんで、特に申し上げておきたいんですけれども、箱崎キャンパス跡地に移転が予定されている箱崎中学校ですね、ここでも恐らく水素が活用されるんじゃないかなという予想をしているんですが、教育予算、あるいはまた、学校予算にしわ寄せがないというところで、また、教育効果の観点で相当と思える範囲で検討していただく必要があるだろうということであります。いずれにしても、今後のことは議会によくよく相談をされるように求めておきたいというふうに思います。
 水素のテーマの最後に、箱崎キャンパス跡地での今後の水素活用に関する本市の基本的な姿勢をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 水素はカーボンニュートラルに向けた鍵となるエネルギーとして今後幅広い分野で活用が期待されており、様々な社会課題を先進的な技術で解決するFukuoka Smart Eastの取組が進められている九州大学箱崎キャンパス跡地において、水素の供給や利活用に取り組むことは非常に意義のあるものであると考えております。今後、国の水素基本戦略や関連技術の開発動向などを踏まえ、事業者と十分に協議を行いますとともに、議会に適宜御報告を申し上げながら、水素の供給や利活用に向けた環境整備に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 調崇史議員。
○20番(調 崇史) 水素については本当、御無理のないようにというところだと思っています。
 さて、優先交渉権者に決まった住友商事、西鉄、JR九州などのグループの提案についてですが、現段階までではあまり詳しい情報を持っておりません。ただ、IOWNという通信技術の実験がNTTグループ主体で行われるという話がありまして、これは大いに期待をしております。世界中に張り巡らされた光回線で情報がやり取りされていますが、家庭とか職場に着いたらルーターを通じて変換される。この際に速度も落ちるし、そもそもルーターが熱を持っているということ自体がエネルギーのロスであります。
 このIOWNなんですけれども、光の情報を光のままでやり取りできるみたいなですね、通信を可能にして、環境にも優しいし、インターネットの世界に大幅な技術革新をもたらす可能性があるということのようです。
 私も今回の質問準備に当たって、前後で箱崎キャンパスの周辺地域の方々と意見交換をさせていただく機会を持たせていただいたんですが、九州大学100年の歴史に対する誇り、それから、共に歩んできたという矜持をお持ちでありました。そして跡地に何がふさわしいのかということに大変強い関心を持っておられることを感じました。古きよきものを守りながら、次の時代を先導していくようなまちになってくれることを私も心から願っているところでございます。
 そしてまた、個人的な希望なんですけれども、今回、公募に漏れたトライアルグループなんですが、物流、小売でまさに名立たる上場企業なんですけども、かなりAIの研究の分野において実績をお持ちで、そして期待もされているようであります。将来活用ゾーンという設定がされているかと思いますけれども、まだこれから活用を考える地域ですね。このエリアに、例えばトライアルグループが研究や実践の拠点を持っていただくというふうな可能性はないのかということ。私、これは要望としてぜひ本市に模索をしていただきたいというふうに思います。
いずれにしても、九州大学箱崎キャンパス跡地に対する市民の希望あるいは周辺地域の意向などについては、福岡市がしっかりと九州大学や開発に当たる事業者に対して代弁をしていただく必要があるというふうに思っております。
 当面、事業内容が固まっていく向こう1年というのが重要になると思いますが、窓口になられる所管局の意気込みをお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、今回選定された優先交渉権者の提案書において、多様な都市機能やスマートサービスの導入、まちづくりマネジメントの実施がなされることとされておりまして、地域の御意見を伺いながら優先交渉権者との協議を進め、グランドデザインの実現に向けた良好なまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき)登壇 私は日本維新の会福岡市議団を代表して、福岡市の観光産業政策について質疑させていただきます。
 我が国の半導体産業は、かつて世界の半導体市場で50%強のシェアを獲得していましたが、バブル崩壊後の深刻な金融危機による景気の悪化により、国内メーカーが研究開発に大きな投資ができなくなり、どんどん衰退していき、現在ではそのシェアは10%まで落ち込んでしまいました。国内メーカーの衰退に危機感を持った経済産業省は、産業の米と言われる半導体を日本国内で生産、調達できるようにすべきだという考えから、かなり早い段階で台湾の半導体受託生産最大手のTSMCと接触し、総額1兆円を超える補助金を注ぎ込んで熊本への工場誘致に成功し、今年工場が稼働し始めたのは皆様御承知のとおりだと思います。TSMCの熊本第1工場の後には第2工場の計画や第3工場の検討もされていることから、九州の経済界は半導体産業の再活性化を目指して、工場用地の確保以外に、人材の育成、物流インフラの整備、関連産業の集積化、産業に関わる従業員の住宅の確保など、様々な取組を進めていることが毎日のように報道されています。私はこのような国の産業政策の動きを見て、産業政策とは、長期的に経済にどのような危機やチャンスが現れるのかの展望に基づいて、先んじて様々な施策を打つものなんだなと改めて考えさせられました。
 そこで、まず初めに、福岡市の現在の産業構造と産業の特徴とは何なのかをお尋ねし、2問目以降は自席にて行わせていただきます。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、アジアに近く、陸、海、空の広域交通拠点がコンパクトに集積する交通利便性や、都市的な魅力と豊かな自然環境が調和したコンパクトな都市であることを背景にいたしまして、多くの観光客やビジネス客が訪れ、また、大学が多く、留学生や理工系学生などの豊かな人材を有し、若者比率が高いこと、イノベーションの源泉である先端技術研究機能や知識創造型産業が集積していることなどが強みであると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、今後の産業振興に向けた産業政策はあるのか、また具体的に何か、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市の産業振興については、既存の中小企業の経営基盤強化を図るとともに、本市の特性に合わせ、スタートアップ支援や国際金融機能誘致、観光・MICEの振興などに取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) スタートアップ支援、立地交付金、国際金融など様々なことをやっていることは分かりました。
 では、長期的にどのような目標を持って取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) スタートアップ支援などに関する長期的な目標につきましては、第9次福岡市基本計画におきまして、創造的活動が活発で、多様な人材が新しい価値を生み出している、経済活動が活発で、たくさんの働く場が生まれているといった分野別目標を設定し、施策を推進しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 私は、現在市で執り行われている第10次福岡市基本計画への改定を進める総合計画審議会に委員として参加させていただいており、基本計画の勉強もしているところであります。現行の第9次基本計画では、基本構想で定めた都市像に向けて8つの大きな目標を設定しています。そのうち、都市の成長に関わる4つの目標に産業の分野別目標が設定されていると理解しています。現行の基本計画に記載されているものには、観光・MICE、IT、健康、医療、福祉、地場中小企業のイノベーション、農林水産業、創業、スタートアップ、クリエイティブ産業、国際物流業や海外ビジネスなど、取り組む産業は多方面にわたっております。
このように基本計画にある都市の成長に関して記載している産業全てに、福岡市の基幹産業として育てていくための予算措置を行うことはかなり難しいことだと思います。やはり限られた予算だからこそ選択と集中が必要だと思いますが、どのように考えておられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 施策の実施に当たりましては、福岡市基本計画の目標達成に向け、限られた予算の中で、より効果の高いものを実施していく必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) より効果の高い施策と言っても、どのような施策と比較を行って、それらの施策がより効果が高いと言えるのか、私にはよく分かりません。福岡市はむしろ限られた予算を市内のあらゆる産業に薄く満遍なく行き届くことを重視しているようにも見えます。福岡市の産業政策は、特定の産業に予算を集中的に投下することで、産業基盤や産業人材を短期間で強化するのではなく、限られた予算を様々な産業分野において、イベントやPR活動など、市民から見えやすいような事業や世間で話題になるような事業に振り向けているように感じます。このような事業が産業を成長させるために果たしてどれだけ効果があるのか、きちんと検証して取り組んでいただきたいと思います。産業政策は二、三年の短期で取り組むイベントやPR事業のことではなく、中長期の経済動向を踏まえた上で、どのような産業に育て上げるのかというビジョンを持って長期的な目線で取り組むものであると私は思います。
 さて、福岡市の様々な産業の中でも観光・MICEはこれからの成長分野であり、まさに市の産業構造やその特性にも合致し、これからの福岡市の柱となっていく産業で、戦略的に予算を集中させ、成長を促すべき産業だと考えています。
 ここからは、この観光産業について掘り下げていきたいと思います。
 2013年度に福岡市は福岡観光・集客戦略2013を策定し、10年後の観光都市福岡の目標を世界ナンバーワンのおもてなし都市・福岡と定め戦略的に取り組んできました。もちろんコロナ禍によって観光・MICEは大きな打撃を受けましたが、2022年度を目標年度とした福岡観光・集客戦略2013の総括や検証はされているのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡観光・集客戦略2013については、その最終年である令和4年度に観光・MICE推進プログラムを改定する中で、入り込み観光客数、観光消費額、外国人入国者数などの達成状況や、これまで取り組んできた施策の実施状況、観光・MICEを取り巻く環境の変化の把握などを実施したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、検証のポイント、また、検証において明らかになった課題とは何なのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 設定した目標の達成状況やこれまで取り組んできた施策の実施状況の把握などを行い、観光・MICEを取り巻く社会情勢の変化のほか、観光客のSDGsへの意識や多様化するライフスタイルへの関心の高まりなど、観光ニーズの変容への対応が課題であると認識したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 今の話を聞くと、2013年の福岡観光・集客戦略そのものに対する10年間の総括や課題の検証がきちんと行われたわけではなく、期間が3年である、観光・MICE推進プログラム2回目の改定のときに参考にしたということだと理解しました。
 福岡観光・集客戦略2013は今でも福岡市のホームページに残っていますが、市長が強力に推し進め、パブリックコメントも求めて出来上がった戦略であります。行政の仕事として長期計画のきちんとした総括、検証はやはり必要だったのではないでしょうか。3年間の推進プログラムの改定に合わせて総括、検証したというのでは、10年間の観光・集客戦略を軽視していたのではないかと思ってしまいます。
 ちなみに、世界ナンバーワンのおもてなし都市・福岡の実現を目標とした福岡観光・集客戦略2013で定めた将来像は、福岡市観光・MICE推進プログラムには記載されていませんが、この将来像は維持されているのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡観光・集客戦略2013における10年後の観光都市福岡の将来像を踏まえ、福岡市観光・MICE推進プログラムにおいて、その取組の方向を定めたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 私は、当初の世界ナンバーワンのおもてなし都市・福岡は野心的な目標で、アジアのリーダー都市に通ずるものだと考えています。野心的なビジョンを設定することによって、その産業に集中投資を行い、様々な関係者がそのビジョンに向かって努力をするきっかけになるんだと思います。長期視点のビジョンがないと、現状からの変化に対応するだけに終始してしまい、世界ナンバーワンには永久にたどり着けないと思います。
 さて、コロナは観光、宿泊業に大きな影響を与えましたが、最近ではその反動による旺盛な観光需要が戻ってきています。特にインバウンド観光客は現在福岡市内でも多く見られ、活気づいていると思います。
観光の中でも、特に今後はインバウンドの伸び代が大きいと思いますが、市としてはどのように考えていらっしゃるでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市を訪れる外国人来訪者につきましては、消費拡大や観光関連産業をはじめとした市内経済の活性化において重要なものであると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、インバウンドに関する福岡市の目標は何なのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 第9次福岡市基本計画におきまして、福岡市への外国人来訪者数の令和6年目標値を320万人と設定いたしているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 福岡市観光・MICE推進プログラムにおいては、インバウンドの目標設定はないのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 現行の福岡市観光・MICE推進プログラムにおいては、福岡市への外国人来訪者数の目標は設定しておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、なぜ10年間の福岡市基本計画ではインバウンドの外国人来訪者数を目標に設定しているのに、3年間の観光・MICE推進プログラムでは設定していないのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 令和5年度からの3年間を計画期間とする福岡市観光・MICE推進プログラムを策定するに当たりましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国人来訪者の回復見込みを立てることが困難であったことから、外国人来訪者と国内観光客を合わせた入り込み観光客数を目標に設定したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 新型コロナの事情は十分理解しますが、その事情を踏まえても、ポストコロナに向けて外国人入国者数に関してどのような目標を立てて推進していくのか、やはり数値目標は必要だったのではないでしょうか。次の推進プログラム改定時にはぜひともインバウンドの目標の設定をしてほしいと思います。
 では、福岡市観光・MICE推進プログラムにおける観光・MICE需要に関する目標は何か、また現状はどうなっているのか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 観光・MICE需要の早期回復に係る目標として、令和7年度までの目標を3つ設定いたしております。目標ごとの具体的な目標値と進捗状況は、入り込み観光客数が2,300万人で令和4年時点では1,860万人、観光消費額が6,000億円で令和4年時点では4,219億円、宿泊施設の客室稼働率が70%で令和5年時点では74.2%となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 現状のインバウンドの状況について、入り込み観光客数、観光消費額、客室稼働率といった市が目標にしている指標については、国内観光客とインバウンド、つまり国外観光客が一緒に扱われており、インバウンドが重要と言っている割には、インバウンドのきちんとしたモニタリングや推計ができていないように見えます。入り込み観光客数や観光消費額は実数をカウントして積み上げたものではなく、ある一定の計算式に沿って計算された、あくまで推計値だと思いますが、推計値であれば、外国人観光客が占める割合も推計できるはずです。例えば、客室稼働率に関しては、日本に住んでいない外国人はパスポートを提示する義務があるので、宿泊者のうち、どの程度がインバウンド客なのか把握できるはずです。定量的な目標を設定するに当たってもきちんとした把握と分析が必要だと思います。
 ところで、観光・MICE推進プログラムでは主にどういったことに取り組むのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 観光・MICE推進プログラムでは、九州のゲートウェイ都市機能強化、MICE都市としてのプレゼンス向上、地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興の推進の3つを柱として取組を推進しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、九州のゲートウェイ都市機能強化とは具体的にどのような施策を進めているのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 西日本・九州の自治体と連携した広域周遊観光や高付加価値旅行の推進による新たな市場の開拓のほか、周遊促進に向けた交通結節点における多言語での観光案内の実施などに取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 福岡空港、博多港や博多駅など、福岡市のゲートウェイとなっている施設そのものに対する施策はないのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 福岡空港におきましては、航空機混雑を解消するとともに、将来の航空需要に適切に対応するため、増設滑走路の令和6年度末の供用開始に向けた取組を県とともに推進しております。博多港における人流の機能強化につきましては、中央ふ頭地区においてクルーズ船の大型化や寄港回数の増加に対応するため、平成27年度にクルーズセンター、30年度に岸壁の供用を開始しております。また、今後のクルーズ船受入れ環境の整備につきましては、クルーズの市場動向などを注視しながら検討してまいります。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 博多駅につきましては、博多コネクティッドなどのまちづくりのタイミングを捉え、駅前広場の再整備や周辺施設等を結ぶ歩行者デッキの整備、エレベーターやエスカレーターの設置など、官民連携して交通結節機能の強化を図っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 政府において2016年に策定された、明日の日本を支える観光ビジョンでは、国のインバウンド来訪者目標は2030年に6,000万人となっており、コロナの影響もありましたが、政府においてこの目標数値は維持されることとなっています。2023年のインバウンド来訪者数は約2,500万人。つまり、2030年まであと6年でインバウンド来訪者数は約2.5倍近くの約3,500万人増える目標に向かって進んでいます。これは福岡市経済にとってまたとないビッグチャンスだと思いますが、同時に、福岡市の現状を考えると、果たして現在の2.5倍になるほどインバウンド来訪者を受け入れることができるのか。その入り口である福岡空港のキャパシティーに懸念を持ちます。
 第2滑走路が完成したとしても、増加するのは、国の需要予測でいうと、来年、令和7年度からおよそ10年後の令和17年度までに60万人ほどとなっています。3,500万人増えるのに60万人。しかも、この60万人という数字の中には国内観光客やビジネス客の数も含まれていますので、果たして伸びゆくインバウンドの需要をどれだけ福岡市に受け入れることができるのか不安になってしまいます。
 仮に、福岡空港の乗降客数がキャパシティー、つまり福岡空港の処理能力あるいは需要予測を上回る状況となった場合はどう対応するのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 福岡空港の滑走路増設後の処理能力につきましては、国が今後の需要動向を踏まえ、地元の理解を得た上で、進入方式の高度化を導入することで、さらに拡大することができると国から聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 九州のゲートウェイ都市機能強化については、空港や港湾の処理能力を高めて九州全体へ貢献することが重要だと考えますが、福岡空港のさらなる拡張や、場合によっては新空港建設に関して福岡市から国や県に働きかける計画はあるのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 福岡空港のさらなる機能強化につきましては、航空需要が国の予測を大きく超える状況になった場合、国において適切に検討されるものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) これからの福岡市の成長を考えていく上で、海外からのゲートウェイである福岡空港のキャパシティーの問題は避けて通れません。国の需要予測は、福岡市の観光政策だけでなく、市が進めているスタートアップや国際金融都市が成功していない前提で予測している数字だと思います。福岡市にとっては、それらの政策を成功させるためにも、玄関口である福岡空港のキャパシティーはもっと必要なはずです。ただ、福岡空港の拡張や新空港を検討し始めたとしても、その実現までにはかなりの年月がかかってしまいます。
 そんな現状を考えたとき、私は、現在、佐賀県、長崎県、国、JRとで議論されている西九州新幹線のルートがどうなるのかは他人事には思えません。もし佐賀空港ルートになれば、近くて便利な福岡空港は高い便、LCCなどの安い便は佐賀空港になどの連携を図ることにより、北部九州におけるキャパシティーの増大、また、北部九州だけでなく、九州全体の経済の活性化につながっていくと思います。福岡市が当事者でないことは十分理解しています。しかし、この問題は福岡市の未来に与える影響はかなり大きく、当事者ではないからでは済まされない問題だと思います。
 九州市長会では道州制の勉強会が始まったと聞いておりますが、道州制の議論というのは、各県ごとの利害の不一致で九州全体における最適解が出せないという問題意識から始まったものだと認識しております。でしたら、まさに九州全体に大きな影響を与えるこのテーマこそ、島市長がリーダーシップを取って本気で取り組んでいただき、北部九州、そして九州全体として西九州新幹線のルートはどうあるべきかなど、九州市長会として積極的に提言を出していただきたいなと思います。
 一方で、インバウンドは増加するが、同時にインバウンドがもたらすオーバーツーリズムの課題も出てくるので、ゲートウェイのキャパシティーを増やしてインバウンドを増加させるだけの一辺倒ではないこともよく理解できます。高付加価値化も同時に考えていかなければいけません。
今後増え続けるインバウンド来訪者に対して、量ではなく、質を求めるような高付加価値化の取組はあるのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 外国人来訪者の誘客につきましては、西日本・九州の自治体等と連携した西のゴールデンルートの推進や、質の高い観光コンテンツの開発などによる付加価値の高い観光誘客に関する取組などを実施しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、西のゴールデンルートとは何を目的としたものなのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 西のゴールデンルートについては、欧米豪旅行者や高付加価値旅行者をメインターゲットに、産官が連携して大阪より西のエリアへ誘客するとともに、広域ルートの形成を図ることを目的としております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、なぜ欧米豪の旅行者がターゲットなのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 観光庁などの調査によりますと、欧米豪旅行者は滞在日数が長く、また1人当たりの消費額が高いとされておりまして、より大きな観光消費が期待できますことからターゲットとしているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) では、今後具体的にどういったことに取り組むのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 西のゴールデンルートについては、今後、観光資源の高付加価値化を図るとともに、専用ホームページの構築や海外メディア等を活用したプロモーションのほか、多くの外国人来訪者が想定される大型イベントにおけるPRなどに取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 大阪・関西万博では、多くのインバウンド来訪者が日本に訪れることになると思いますが、この万博に合わせ、福岡市は具体的にどういう取組をするのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 大阪・関西万博については、多くの外国人来訪者が想定されておりますので、会場内をはじめ、ウェブや交通結節点において西日本・九州の様々な魅力の情報を発信していきたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 木村てつあき議員。
○36番(木村てつあき) 大阪・関西万博に関しては賛否いろんな意見がありますが、インバウンド来訪者の予測は約350万人と言われており、こんな機会はめったにないことも事実だと思います。ただブースを出すだけではなく、皆さんで知恵を出していただき、様々な仕掛けを実施し、関西から福岡市へインバウンド来訪者を誘客する契機としていただきたいと思います。
 ここまで福岡市の産業政策、観光産業政策について質疑させていただきました。本日、冒頭の産業政策の質問でも述べましたが、福岡市の産業政策は予算を様々な分野に分散させていることから、イベントやプロモーション活動しか実施できていないように見受けられます。現に欧米豪の旅行者誘致のためにやることは、プロモーションと情報発信に限られています。もし、本当に欧米やオーストラリアの来訪者をターゲットに観光産業を振興するのであれば、欧米豪の都市との航空ネットワークを張り巡らせ、空港のゲートウェイ機能を拡張、強化し、国際線と市内のアクセスを大幅に改善し、市内の企業や人材を欧米豪に対応する形で育成することなどに投資することが必要になると思います。
 また、インバウンドの高付加価値化と言われると、最近のトレンドでは欧米豪となりがちですが、観光庁の訪日外国人消費動向調査の2024年1月から3月の集計を見てみますと、確かに欧米豪の1人当たり支出は大きく、欧米は1人当たり30万円を超え、オーストラリアは40万円に近い。一方で、アジア諸国でもシンガポール、中国は30万円に近く、インドネシア、香港、マレーシア、フィリピンといった東南アジアの諸国の来訪者も軒並み20万円を超えており、旅行者数に至っては欧米を超えています。
 よく考えてみると、欧米旅行者が関東や関西を経由してから福岡に来て、その全旅行費用の一部を福岡に落としてもらうことを考えるよりも、アジアの都市から直行便で福岡に来る旅行者をターゲットに、アジア旅行者のニーズに合わせた様々な施策を導入して、1日でも長く滞在してもらう環境を整えるほうがはるかに戦略的で合理的なようにも感じます。
 さらに、福岡市は企業誘致に関しては、アジアとの近接性をうたい、福岡空港とアジアの都市の直行便数を強調しています。インバウンド誘致においても福岡市の強みは、ゲートウェイである福岡空港への直行便が多い、やはりアジアではないのかなと思います。
 今日の質疑で確認してきたとおり、現在の福岡市の観光産業政策は3年周期の短い観光推進プログラムしか見ておらず、トレンドの変化に追われ、ハード面では重要なゲートウェイに触れず、ソフト面ではPRと情報発信に終始しているように感じます。
 私は、これからの福岡市の成長を引っ張っていく産業の柱は観光産業だと考えています。福岡市の産業政策において、単に成長分野というだけでなく、福岡市の産業構造や特性、そして強みに基づいて限られた予算の選択と集中を行い、観光産業政策としての長期ビジョンをつくり、より緻密なマーケティング、統計調査を実施し、それらに基づいた精度の高い観光戦略を立て、それに伴うハード整備を含む観光施策をつくっていく必要があるのではと思いますが、最後に、今日の質疑を踏まえて、これからの福岡市の観光施策の長期ビジョンと中長期の戦略の方向性について中村副市長にお尋ねし、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 中村副市長。
○副市長(中村英一) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし、消費を拡大することが観光産業をはじめとした市内経済の活性化に重要であると認識をいたしております。観光施策につきましては、福岡市観光振興条例に基づき策定いたしました福岡市観光・MICE推進プログラムにおいて、西日本・九州の自治体と連携した広域周遊観光の推進のほか、都市のプレゼンスの向上につながる質の高いMICEの誘致、自然や歴史、伝統産業を生かした地域の魅力向上に取り組んでいるところでございます。現在、第10次福岡市基本計画の策定を進めており、その中で観光施策の方向性を検討いたしますとともに、今後も観光を取り巻く環境やニーズの変化などに柔軟に対応しながら、市内経済のさらなる活性化に向けて、持続可能な観光振興にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時35分に再開いたします。
午後2時21分 休憩
午後2時35分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。池田良子議員。
○62番(池田良子)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、市民の学習の場の提供について、ギャンブル等依存症問題について、保育所入所要件の緩和について、以上3項目について質問いたします。
 初めに、市民の学習の場の提供についてです。
 あいれふの前身である婦人会館は、女性たちが主体的に文化、教養を高める学習の拠点施設として、37年間の長きにわたり、歴史に誇る社会教育施設でした。しかし、2013年6月に策定した行財政改革プランに基づき、公共施設の廃止として婦人会館も廃止される事態となりました。
 私は2013年10月、決算特別委員会で婦人会館が廃止となった場合の女性たちの活動の場所について研修室の確保を求めました。当時、婦人会館の所管であった教育長は、幅広い層の多くの市民に利用されているので、婦人会館を廃止する場合でも、利用実態を踏まえ、会議室などの貸出しについては継続する方策を検討していくと答弁され、本年1月まで研修室は女性団体にとどまらず、多くの市民団体の学習の場としても活用されてきました。しかし、それからちょうど10年後の2023年12月議会で、保健所機能の一元化で福岡市保健所があいれふに設置されることに伴い、講堂、3つの研修室、和室が使用できなくなりました。
 そこで、あいれふの研修室や講堂が廃止されたその影響についてどうお考えか、御所見を伺います。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) あいれふの研修室等の一部廃止による影響につきましては、あいれふを利用している団体の方から、研修室等の代替施設の確保について御要望をいただいておりますが、希望される研修室等の利用ができない場合は、あいれふ内の他の研修室等や他の施設を案内するなど、引き続き丁寧に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) ほかの研修室やほかの施設を案内されるとのことですが、それでは2019年度と2023年度のあいれふ研修室の利用回数と利用者数、あわせて、2023年度の利用率についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) あいれふ研修室等につきましては、まず、延べ利用回数は、令和元年度が5,550回、5年度が4,763回、延べ利用者数は、令和元年度が11万622人、5年度が6万1,549人となっております。また、利用率につきましては、午前、午後、夜間の3つの枠ごとの利用の有無から算出をいたしておりますが、5年度につきましては48%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 利用回数と利用者数は、コロナ禍前まで回復はしていませんが、2023年度の利用回数は4,763回で6万1,549人が利用したということが分かりました。
 廃止された講堂と研修室利用者何人に影響を及ぼすことになるのか、2023年度の利用者数でお答えください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 廃止した講堂、3つの研修室、和室の令和5年度における延べ利用者数につきましては、2万3,916人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 利用者が6万1,549人ですから、約39%近く影響があるということです。
 婦人会館の時代から引き続き利用していた女性団体などは、これまでの活動に支障を来すと懸念をしています。特に毎年6月には6.19福岡大空襲を記憶し平和を祈念する女性の集いが講堂で開催され、昨年で40回を数えるに至りましたが、今年の開催は中止したと聞いています。
 男女共同参画を推進する施設として男女共同参画推進センター・アミカスがありますが、あいれふと同規模の研修室であるアミカスの視聴覚室と研修室の2023年度の利用率をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 利用率につきましては、あいれふと同様に、枠ごとの利用の有無から算出をしたものですが、お尋ねの利用率は71%となっております。以上です。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 利用希望は一定の曜日、時間帯に集中してしまいます。利用率は71%とのことですが、じゃあ29%に余裕があるかといえばそうではなく、希望する研修室の確保は今でも難しい状況です。
 先ほど保健医療局長から、希望する研修室等の利用ができない場合は、センター内のほかの研修室等や他の施設を案内するとの御答弁がありましたが、この状況で女性団体があいれふでの活用拠点をアミカスに移動することは可能であるとお考えなのかどうか、御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) アミカスにつきましては、男女共同参画社会の形成に寄与するための施設であり、所定の利用手続をいただいた上で、女性団体を含む多くの団体に御利用いただきたいと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 今、御答弁ですけど、それはないものを使ってくださいと言っているようなものではないでしょうか。
 では次に、各市民センターのホールを除いた研修室等の2023年度の利用人数と利用率をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 各市民センターの会議室や和室などの利用人数及び利用率でございますが、令和5年度は東が4万9,669人で59%、博多が4万9,832人で55%、中央が5万4,142人で71%、南が3万8,854人で53%、城南が3万1,251人で44%、早良が5万6,765人で72%、西が5万211人で58%となっております。以上です。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) あいれふの3つの研修室が廃止されて4か月が経過しましたが、既に市民の方から、これまで利用していた市民センター研修室の競争率が上がっている、今後利用できなくなるのではないかといった不安の声も届いています。
 利用率の高い中央市民センターは、2025年度には改修で研修室が使えなくなります。どれくらいの期間利用ができなくなるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 中央市民センターにつきましては、大規模改修工事に伴いまして、令和7年10月から9年夏頃までの休館を予定いたしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 中央市民センターの改修工事で1年半以上もの間、研修室の利用ができないということです。あいれふ研修室等の廃止に加え、女性団体や市民団体の研修の場は、ますます狭められることになります。
 教育基本法第12条、社会教育には「個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」、2つ目「国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない」というふうにもうたっています。
 あいれふ研修室の代替研修室はもちろん、市民の社会教育、学習の場として早急に研修室の対策を取る必要があると考えます。対応は考えているのかどうか、御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 市民の学習の場といたしましては、各区の市民センターや各校区の公民館のほか、アミカスなどの様々な施設がございますので、御活用いただきたいと考えております。なお、中央市民センターの休館に当たりましては、市民の皆様に御不便をおかけしますことから、事前に十分な周知を行うなど、丁寧に対応いたしますとともに、より使いやすい施設となるよう取り組んでまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 福岡市には他局にも研修室を持つ施設があります。その1つが福祉局が所管する老人福祉センターです。このたびリニューアルが計画されていますが、工事の日程はまだ明らかにされていません。老人福祉センターの研修室を市民が学習の場として利用することはできるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 老人福祉センターは各区に1か所設置しており、健康の増進、教養の向上及びレクリエーションを目的として、主に福岡市に居住する60歳以上の方が御利用いただけます。なお、今後、機能強化のための工事を予定しており、一定期間利用できない期間が生じる見込みでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) できるということですが、今ある研修室は限られています。研修室を希望する市民へ十分な対応ができるとは考えられません。今後は福岡市民に学習難民をつくり出すことにもなりかねません。例えば、あいれふの施設内の1階スペースや中央市民センターの改装時に研修室を増設するとか、全庁的に各局が所管する施設内の研修室利用など、あらゆる手法を用いて積極的に市民の学習の場である研修室を設置することを強く要望いたしまして、この質問を終わります。
 次に、ギャンブル等依存症問題について質問いたします。
 5月14日から20日までは、ギャンブル等依存症問題啓発週間でしたが、福岡市は市民に対してどんな啓発を行ったのか、御説明願います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ギャンブル等依存症問題啓発週間における取組といたしましては、市政だよりやホームページでの啓発を行うとともに、5月13日から27日まで、NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会福岡との共催により、パネル展示や相談会を開催いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 市政だより掲載やあいれふでのパネル展を実施したとのことですが、どれだけの市民に問題意識を持っていただけたのか疑問です。共催された全国ギャンブル依存症家族の会福岡の方にお尋ねしましたら、相談者は当日ゼロであったと。今まさにギャンブル依存症は社会問題ともなりつつあるこの時期に誰も相談者が来ないということは、啓発週間であること自体が市民に伝わっていないとしか考えられません。より目に触れる本庁ロビーで実施するなど、啓発の工夫が必要ではなかったでしょうか。
 では、ギャンブル等依存症とはどんな状況を指すのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ギャンブル等依存症対策基本法によりますと「ギャンブル等にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」と定義されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) WHOは依存症を、精神に作用する化学物質の摂取や、ある種の快感や高揚感を伴う行為を繰り返し行った結果、それらの刺激を求める耐え難い欲求が生じ、その刺激を追い求める行為が優勢となり、その刺激がないと不快な精神的、身体的症状を生じる、精神的、身体的、行動的状態というふうに定義づけをしています。
 依存症は2種類に分けられます。アルコールや薬物など何らかの形で体内に摂取する物質に対する物質依存症、ギャンブルやインターネットゲーム、買物、盗癖などのプロセスに依存する行為、過程依存症です。2つの依存症の共通点は、自分の意思で量や頻度、場所、状況などをコントロールできなくなるコントロール障がいです。
 今回の質問は、後者のギャンブル依存症について取上げていきます。
 これまで、家族や本人からギャンブルだけでなく、アルコールや薬物、買物など様々な依存症相談を受けてきましたが、依存症に悩む人はまずどこへ相談すればいいのか分からないというふうに言われます。相談機関についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 依存症に関する相談機関といたしましては、身近な相談窓口である各区健康課のほか、専門的な相談窓口として、精神保健福祉センターにおいて電話や面接での相談を実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 先日、全国ギャンブル依存症家族の会福岡代表者、村田麿美さんのお話を聞く機会がありました。ギャンブル等依存症によって、借金による家庭崩壊や倒産、犯罪、自死に至る壮絶な実態をお聞きしました。依存症者は公務員や会社員など、あらゆる職域、大学生など多岐にわたっています。
 資料1をお願いします。(資料投影)ギャンブル依存症問題を考える会がギャンブル等依存症者に実施したギャンブル開始年齢調査です。これによると、18歳から20歳が最も多く、次いで15歳から17歳となっています。12歳未満、12歳から14歳もあり、早期にギャンブルの問題について考える必要があることを指摘しています。
 現在、ギャンブル依存症問題を考える会は、職場等で講演を行うなどの啓発活動もされています。ギャンブル開始年齢を見ると、早い段階に学校などでの防止教育が重要だと考えます。市立高校でギャンブル等依存症防止教育を行う必要があると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校では学習指導要領に基づきまして、保健の授業でアルコールや薬物などに加えて、ギャンブル等への過剰な参加は習慣化すると嗜癖行動になる危険性があり、日常生活にも悪影響を及ぼすことなどについて理解させる指導をいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 教科書を見せていただきましたけれども、精神保健の今日的課題として、ギャンブル等依存症についても触れてはいますが、症例を示しているのみで防止教育とは言い難い内容です。ギャンブル等依存症は脳の機能不全による病気であることや、症状や回復について学び、正しい対処法を知ることが大事です。生徒の家族に依存症の方がいる場合もあります。どこにも誰にも相談できない生徒に対しては、病気への理解のきっかけともなります。家族の会福岡代表の村田麿美さんは、高校生の違法オンラインカジノについても警鐘を鳴らしています。保護者の方が実際に相談に来られたということです。村田さんからは、アカウントをSNS上で売買する業者がおり、警察の手がそこまで及んでいない状況があるということもお聞きいたしました。
 経験者の体験談など、ギャンブル等依存症防止教育は、ストレス社会、ネット時代における高校生には必須の教育と考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校においては、現在、学習指導要領に基づき、ギャンブル等依存症の症状や予防に関する教育を実施しております。
 ギャンブル等依存症の体験談などについては、市立高校の生徒の実情や与える影響、関係団体の適切な協力の有無なども踏まえながら、今後検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 市販薬の過量摂取、いわゆるオーバードーズなど薬物依存については、若者たちの社会現象から取組が進められていますが、ギャンブル依存については、まだまだ市民の意識も薄いように感じられます。
 ギャンブル問題の多くは、借金や多重債務、横領や解雇などが問題となって表面化します。ギャンブルに賭けるお金に困った人の中には児童手当にまで手をつけるという話も聞きます。児童手当がギャンブルに使われているという実態があることを把握していますでしょうか。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 児童手当の対象世帯からの御相談を受けて把握した事例がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) あるということですが、児童手当は父母とともに同居している場合には、家計の中心になっている方が請求者となり、多くは年収の高い夫に振り込まれています。しかし、夫が児童手当をギャンブル等に使い、本来の目的である子どもの養育に使われないケースがあると聞きます。夫と別居して子どもは母親と暮らしているのに夫に振り込まれる場合もあります。
児童手当の受給者を家族が選ぶことができるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 児童手当の受給者につきましては、法に基づき、原則、所得が高いほうの養育者を生計中心者として市が認定しておりますけれども、対象世帯からの相談を受け、世帯の状況を確認の上、所得が低いほうの養育者を生計中心者として判断する場合もございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 2023年5月19日付、こども家庭庁生育局生育環境課児童手当管理室の事務連絡では、児童手当法第4条の養育要件についてというのを見ると、ギャンブル等の児童の生計とは無関係なものに充て、家計や児童の養育について顧みないような場合には云々というふうに参考事例も示していますけれども、これには診断書の添付などというのもあるわけですけれども、本人がギャンブル等依存を認めない場合などには診断書の提出は容易ではないわけです。
当該児童の生計を維持する程度の高い者に該当する者を判断し、受給者を決定することとしている児童手当法第4条3項の法改正を国に求める必要があると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) ギャンブル等依存症を抱えている場合などの受給者の認定については、国の通知に基づき、診断書に限らず、対象世帯からの聞き取りや申立書、関係書類などにより生計中心者を判断しております。引き続き、国の法令等に基づき適正に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 個別事案については、聞き取りや申立書などにより生計中心者を判断するとのことですので、実態に応じた柔軟な対応を期待します。しかし、自治体間で差が生じないように抜本的な法改正、これもしっかりと国に求めていただくようお願いしておきます。
 ギャンブル等依存症はWHOでも認められた病気であるにもかかわらず、いまだ駄目人間の問題、意志が弱い、自己責任、親の育て方が悪い、一獲千金を狙う怠け者などと性格の問題といった誤解が蔓延しています。そのことが本人にも家族にも相談、治療をためらわせ、様々な事件を引き起こすこととなっています。
 NPOギャンブル依存症問題を考える会が新聞報道された記事から、ギャンブル等の理由で起こった事件簿を作成していますが、それを見ると、公営競技、パチンコ、パチスロ、カジノ、闇賭博、宝くじ、toto、FX、先物取引、株式投資など、ギャンブル性の高いものにのめり込んだ挙げ句に起きた様々な事件、それは横領等企業犯罪であったり、強盗、殺人等重大事件、児童虐待、ネグレクト、児童被害、そして少年事件などの犯罪へとつながり、重篤な社会問題を引き起こすケースも少なくありません。
 市として、ギャンブル等依存症の理解と啓発、相談窓口の周知など、積極的な取組が必要と考えます。保健医療局長の御所見を伺い、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ギャンブル等依存症につきましては、ギャンブル等にのめり込むことにより、日常生活や社会生活に支障が生じ、多重債務や犯罪などの重大な社会問題につながるリスクを抱えております。しかしながら、本人は依存症であるという自覚がなく、家族も正しい知識がないことが多いことから、早期発見や早期治療につながりにくい状況にあると認識をいたしております。ギャンブル等依存症に関する啓発につきましては、市民講演会の開催などに取り組んでいるところでございますが、今後とも、福岡県や支援団体などと連携しながら、ギャンブル等依存症に対する理解の促進や当事者とその家族が日常生活や社会生活を円滑に営むことができるよう、相談、支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) では最後に、保育所入所要件の緩和についてです。
 6月5日、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律が成立し、親の就労を問わず保育を利用できるこども誰でも通園制度が各自治体で始まります。2026年度からの全国展開を見据え、本年度は4月時点で115自治体で試行的事業を実施するとしています。
 福岡市では、昨年のモデル実施を経て、本年度より福岡市型こども誰でも通園制度を開始しました。保護者の就労状況や所得にかかわらず、市内32か所の保育施設で約1,000人の子どもが利用できる制度としています。
 本事業は、空き定員や空き部屋を活用すると聞いていますが、一方で、福岡市は昨年度当初は待機児童ゼロは達成したものの、希望する園へ入所に至らなかった入所保留児童は解消していません。
 そこでお尋ねします。
 本年4月1日の待機児童数、入所保留児童数を、また入所保留児童数の行政区ごとの人数をお知らせください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和6年度当初の保育所の待機児童数はゼロ人、入所申込者のうち入所に至らなかった入所保留児童数は1,086人でございます。入所保留児童数の各区の内訳につきましては、東区307人、博多区189人、中央区109人、南区205人、城南区56人、早良区99人、西区121人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 入所保留児童は計で1,086人とのことですが、その内訳についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 入所保留児童の内訳でございますけれども、特定の保育所の利用を希望されている方が671人、育児休業の延長を希望されている方などが227人、企業主導型保育事業等を利用されている方が188人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 育児休業延長や他の事業所利用を除き、希望する保育所等に入所できなかった児童は671人ということでした。この保護者は結果として育児休業を延長した方もいるでしょうが、他の保育サービスを利用して働いている方もいると推測します。
 一方、年度当初の小規模保育事業も含めた定員割れしている園数と割合、併せて欠員人数を行政区ごとにお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和6年度当初の小規模保育事業を含む保育所等は総数が477施設で、そのうち、定員に1名以上の空きのある施設数は310施設、割合は約65%でございます。区ごとの入所定員と入所数の差は、東区が529人、博多区210人、中央区203人、南区320人、城南区164人、早良区307人、西区551人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 全市の欠員人数を合わせて2,284人ということになります。少子化が保育の現場にも大きな影響をもたらしていることが分かります。
 保育園には全市で2,284人の余裕があるが、希望する保育園に入れない児童は1,086人です。西区を例に見ても、551人の余裕があるのに、希望する保育園に入れない児童は121人となっています。保護者ニーズと保育数のマッチングができていないということです。かねてから、我が会派はこの点を指摘し、地域ごとの実態を踏まえた保育者ニーズの調査、それに応え得る保育数の確保を求めてきました。ぜひ御検討いただきたいと思います。
 福岡市型こども誰でも通園制度の利用申込みが5月24日より始まっています。本事業の目的を改めてお尋ねします。また、認可保育所等が空き定員を活用して行う一時預かりとの違いは何か、御説明をお願いします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) こども誰でも通園制度は、保護者が就労等の要件を満たしていなくても保育施設等を利用できる制度であり、その目的は全ての子どもの育ちを応援し、子どもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を行うものでございます。一方、一時預かり事業は、家庭における保育が一時的に困難となった場合や子育てに係る保護者の負担軽減への対応など、保護者の立場からの必要性への対応を目的としており、共通点は多いものの、事業の位置づけや目的、内容などで異なるものとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 保護者の立場からの一時預かりなのか、子どもの成長の観点からの誰でも通園制度なのかと、目的は違うという説明は受けましたが、多くの市民はこの違いを理解していないと思われます。中には保育園に入りたくても入れない子どもがいるのに、なぜ働いていない家庭の子どもが保育園に通えるのかといった声も聞かれます。
 我が会派は、孤立する子育ての不安に応え、親の就労にかかわらず、全ての子どもの育ちを応援するというこの理念には全面的に同意をし、制度を否定するものではありませんが、このことは保護者の分断を招くことにもなりかねず、市民への説明が足りていないことを指摘しておきます。
 では、それぞれの事業の利用料についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市型こども誰でも通園制度の利用料金は、国の実施要綱どおり、子ども1人当たり1時間300円の範囲内で施設が設定しております。一方、一時預かり事業の利用料金は、市が定めるガイドラインを踏まえて、施設が独自に設定をしております。料金のガイドラインは、3歳未満児で4時間を超える利用の場合は2,000円、4時間以内の場合1,000円、3歳以上は4時間を超える利用の場合1,000円、4時間以内の場合500円としております。なお、両事業ともに生活保護世帯、住民税非課税世帯に対しては利用料金を減免することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 昨年、こども誰でも通園制度をモデル事業として3施設で実施していますが、その成果と課題についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 昨年度、福岡市で実施したモデル事業においては、子どもの成長の促進、食生活の改善、保護者の育児負担の軽減、支援が必要な児童の早期発見などの成果が見られております。一方で、利用申込みに対して多数のキャンセル待ちが発生したことや、障がい児を受け入れた場合の保育従事者の確保、通常保育と比べ保育士の負担が大きいといった課題がございました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) まさに課題としても挙げていただきましたが、人員不足の中での保育士の負担に加え、一般型クラスとして設置する場合の面積の問題や、7月からの通園ということで慣らし保育の難しさ、元からいる子どもたちの混乱、慣れるまで毎回泣くであろう子どもに対応する保育士の負担増など、現場からは不安の声が上がっています。これらの課題にしっかりと向き合い、子どもと保育士にとってよりよい保育環境となるよう努めていただくことを要望しておきます。
 今年度のこども誰でも通園制度の利用時間についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市型こども誰でも通園制度では、子ども1人当たりの預かり時間を国の上限時間である月10時間の4倍の最大40時間としております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 実施施設は32施設となっており、利用定員は現在906人となっていますが、今後は1,000人を超える見込みだとしています。単純に計算すると、1施設に約28人前後となります。国が示した利用方法には自由利用と定期利用がありますが、本市の利用方法についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市型こども誰でも通園制度の利用方法は、子どもの成育の継続的確認や保育士の負担軽減等の観点も踏まえ、決まった保育施設で毎週1回定期的に利用する定期利用のみで実施することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 空き定員、空き部屋利用としていますが、本事業によって保育士の補充等は考えているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 市からの補助金や保護者から徴収する利用料金を活用して保育士を新たに雇用することは可能であり、実態に応じて保育施設において適切に判断いただくものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 障がい児も対象者としていますけれども、障がい児への加算はあるのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 障がい児を受け入れた場合は補助単価の加算がございます。内容は、障がい児1人当たり、国の基準の1時間400円に福岡市独自で600円を上乗せし、1時間1,000円を加算することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 先ほど現場からいただいた不安の声を申し上げましたけれども、今お尋ねしたような中身で、できるだけ現場の混乱を避けていただくようお願いをしておきます。
 では、誰でも通園制度は、利用要件は問わず、月最大40時間利用できるということですが、では福岡市の保育所入所要件についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所の入所要件につきましては、子ども・子育て支援法及び同法施行規則並びに福岡市子ども・子育て支援法施行細則において定めており、福岡市では、保護者が月60時間以上の就労または就学、同居の家族の常時介護もしくは看護をしている場合、疾病や負傷、障がいがある場合、災害復旧等に当たっている場合、妊娠中または出産後間もない場合などとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) では、パートなど就労時間が60時間未満の方は、子どもの保育はどうしているのか、把握をしていればお知らせください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市においては、幼稚園、認定こども園等、保育所のように就労要件などを満たさなくても、子どもの保育に利用できる多くの施設があり、幼稚園ではプレ預かりなど、3歳未満児への預かりや長時間の保育に対応した預かり保育が実施されているところでございます。これらに加え、一時預かり事業やファミリー・サポート・センター事業など、保護者が必要に応じて利用することができるよう、多様な保育サービスの充実に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 資料2の投影をお願いいたします。(資料投影)認可外施設等一時預かり事業は、月14回までの利用です。利用料は1時間当たり3歳未満600円、3歳以上は500円。パートで仮に50時間働き、一時預かりにすると3歳未満児で月3万円の利用料となります。3歳以上児でも2万5,000円です。
 これが認可保育所の一時預かり保育料は、先ほどお尋ねして、施設でまちまちとのことでしたけれども、3歳未満児で1日3,000円もありますが、4時間以内1,000円、4時間以上で2,000円とのことですが、その負担は大変大きく、3歳以上児は入所できれば無償であるところが、4時間を超えれば1,000円という利用料が発生をします。
 福岡市の保育園の入所要件は月の就労時間が60時間以上の方対象となっていますが、他の政令市の入所要件で福岡市の60時間を下回る自治体があるのかどうか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 政令市におきましては、京都市、大阪市、岡山市、広島市、熊本市の5つの都市が60時間を下回る保育所入所の就労要件を定めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 政令市を見てみると、近隣の熊本市では月52時間以上です。広島市は月30時間以上、京都市と大阪市は月48時間以上となっています。
 こども誰でも通園制度は40時間以上で60時間未満のパート就労者に対しては、何の恩恵もありません。これは目的も違うんですけれども、仮に使ったとしても使えないわけですね。福岡市の入所要件の緩和をすべきというふうに考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和6年度当初の待機児童はゼロとなっておりますけれども、現在も入所保留となっている児童が生じており、また、年度中途にも多くの入所申込みが見込まれることから、現時点では就労時間の要件の見直しは考えておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 私は2022年、決算特別委員会、総会質疑で仕事と育児の両立支援を目的とした放課後児童クラブ事業と育児短時間勤務制度が制度連携をしておらず、形骸化していることを指摘しました。福岡市の放課後児童クラブの入会要件は月15日以上の就労です。フルタイムで週3日間の育児短時間勤務を選択した場合は12日となり、児童クラブには入会できません。制度の見直しを求めましたが、いまだ見直しには至っていません。本当に仕事と育児の両立支援、この本気度をやはり見せてください。
 親の就労にかかわらず、全ての子どもの育ちを応援し、子どもの良質な成育環境を整備するというのであれば、親の就労時間で対象を絞る保育所入所要件を見直し、全ての子どもたちに質の確保された保育を保障できるようにすべきと考えます。
 最後に、まずは就労時間の40時間以上から60時間未満の保護者の就労形態の多様化に対応し、仕事と育児の両立支援のために、保護者が安心して働ける保育体制の整備について御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市におきましては、幼稚園や認定こども園の利用をはじめ、一時預かり事業、福岡市型こども誰でも通園制度など、保育所の入所要件を満たさなくても御利用いただけるサービスが数多くの施設で提供されているところでございます。市民が安心して働けるよう、市民ニーズに応じた多様なサービスの充実を図るとともに、引き続き市民に分かりやすい御案内に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明14日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明14日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後3時17分 散会