令和6年3月7日(木)

令和6年 第1回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第6号)
                                      3月7日 午前10時開議
第1 議案第32号ないし議案第99号

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  和 田あきひこ      34番  あ べ ひでき
35番  大 沢 めぐみ      36番  木 村てつあき
37番  橋 口 えりな      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  坂 本 秀 和      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小 川 明 子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  町      孝
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子      人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  八 木 智 昭      議会事務局次長   着  一 考      議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第32号ないし議案第99号、以上68件を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。発言通告者のうちから順次質疑を許します。落石俊則議員。
 
○60番(落石俊則)登壇 皆さんおはようございます。私は福岡市民クラブを代表して、近藤里美議員の代表質疑を補足し、想定される地震に対する減災、防災対策について、地場中小企業と学生雇用のマッチング支援について、2項目について質問します。
 初めに、想定される地震に対する減災、防災対策について伺います。
 能登半島地震発生から2か月がたちました。地震関連死を合わせ256人の方がお亡くなりになり、いまだ1万人を超える方が避難生活を強いられています。犠牲となられた方々並びに被災された方々に対し、心より哀悼の意とお見舞いを申し上げます。また、本市職員をはじめ、全国各地から復旧支援に御尽力いただいている自治体職員やボランティアの皆様に敬意を表します。
 今月11日は、2万2,000人を超える方々が犠牲となった東日本大震災発生から13年、2005年3月20日に発生した福岡県西方沖地震から19年がたちます。最大震度6弱を観測した福岡県西方沖地震では、西区玄界島や能古島、西浦、東区志賀島などの沿岸地区に被害が集中し、死者1名、重軽傷者1,038名、家屋の全壊141棟、道路被害55件、配水管の被害は31件など、本市における有史以来の最も大きな地震災害となりました。地震は時と場所を選びません。台風や大雨は進路予想が可能で、その接近情報に基づき対策を取ることが可能ですが、予知が不可能な地震に対しては、被害を最小限に抑えるための日頃からの減災、防災対策が不可欠です。
 初めに、地震を引き起こす断層帯について伺います。
 福岡県西方沖地震を引き起こしたのは、東区志賀島北西沖の玄界灘から博多湾、中央区、南区を経て筑紫野市付近まで55キロに至る警固断層帯です。
本市周辺には、この警固断層帯のほか、糟屋郡を通る西山断層帯や宇美断層帯、糸島市から西区、早良区を経て鳥栖市に至るまでの日向峠−小笠木峠断層帯などが確認されています。地震発生のリスク並びに被害状況の想定はどうなのか、尋ねます。
 このたびの能登半島地震では10万棟を超える住宅の被害が出ています。被災地は高齢化が進み、耐震基準を満たさない住宅の割合が高く、家屋倒壊が約9割を占め、家屋の耐震化の遅れが被害を大きくしています。また、土砂崩れなどで寸断された道路も数え切れず、陸、海、空の交通網が遮断され、集落の孤立化を招き、いまだ約1万9,000世帯で断水が続くなど、深刻な状況にあります。減災、防災対策に関し、家屋の耐震化やコンクリートブロック塀の倒壊防止対策、重要なライフラインである水道施設並びに下水道施設の耐震化、地震発生時の避難や救助、緊急物資の輸送を確保するための災害に強い道づくりが不可欠です。減災、防災対策について順次伺います。
 まず、家屋の耐震化についてです。
 本市では、福岡県西方沖地震の経験を踏まえ、2008年3月に福岡市耐震改修促進計画が策定され、その後、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震などの被害状況を踏まえた国の基本方針改正に基づき、計画が改定されています。現在の計画の概要並びに住宅の耐震化率の目標について尋ねます。
 次に、コンクリートブロック塀の倒壊防止対策についてです。
 福岡県西方沖地震ではコンクリートブロック塀の倒壊により市民お一人が亡くなっています。熊本地震でも犠牲者が出ており、2018年の大阪北部地震では通学途中の小学生が亡くなりました。コンクリートブロック塀の倒壊は、地震のたびにその危険性が指摘されてきました。
1978年、宮城県沖地震では28名もの方がブロック塀などの下敷きなどで亡くなっていることから、1981年、建築基準法が改正されました。その内容を尋ねます。
 次に、水道施設の耐震化についてです。
 2008年、阪神大震災を教訓に水道管や浄水施設の技術的基準を定める省令が改正され、震度7相当の地震でも重大な影響を及ぼさない程度の耐震化の推進が明記されました。
 本市では2013年3月に水道施設耐震化計画が策定されています。被害発生の抑制としての主な内容を尋ねます。
 また、下水道施設の耐震化も重要です。
 福岡県西方沖地震では東区西戸崎の水処理センターや管渠等に被害が発生しました。
2021年に策定された下水道経営計画2024の地震対策の概要を尋ねます。
 災害に強い道づくりについてです。
 2021年、道路整備アクションプラン2024が策定されています。減災、防災に関し、どのような方針で進められているのか、主な内容を尋ねます。
 次に、地場中小企業と学生雇用のマッチング支援について伺います。
 人口減少と少子・高齢化に伴い労働人口が減少し、あわせて、人口の東京圏一極集中の進行により地方の中小企業の人材確保が難しい状況にあります。中小企業の人材確保は、大企業に比べ知名度や待遇面、また採用ノウハウの乏しさなどから、採用活動に不利な状況にあります。地場中小企業の採用活動への支援と併せ、学生の地元就職、定着への取組が求められます。
 初めに、雇用情勢について伺います。
 新型コロナの感染症法上の位置づけが2023年5月に5類に移行し、雇用情勢が改善してきているとの報道がありますが、福岡県の雇用情勢並びに正社員有効求人の動向はどうか、尋ねます。
 市内には7万2,000を超える事業所があり、そのうち9割以上を中小企業、小規模事業者が占めています。本市では、その中小企業、小規模事業者が市民の雇用と暮らしを支えるとともに、地域社会においてもコミュニティの活性化に寄与していることに鑑み、その振興を図り、活力ある福岡市の実現に向け、2017年、福岡市中小企業振興条例並びにみんなで応援!中小企業元気都市プランが策定されました。策定時に実施された調査では、経営環境への変化の対応とともに、人材確保、人材不足が大きな課題として挙げられていました。
 さらに、2023年にも中小企業振興に関するアンケート調査が行われました。人材確保、人材不足に関しどのような状況にあるのか、尋ねます。
 次に、学生の職業観や就職意向の状況等について伺います。
 長年、多くの学生が大企業への就職を望む傾向にありましたが、近年、その傾向が変わりつつあると聞きます。
 学生の職業観や志望業種など、就職意向状況はどうなのか、尋ねます。
 次に、就職側である学生の状況について伺います。
 多くの学生が奨学金を利用して大学生活を送っています。利用状況について尋ねます。
 2023年5月に改訂された第2期福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略では、今後、九州全体の人口減少が加速していくことから、これまで福岡市の活力を支えてきた九州内からの若者層の転入もいずれ減少していく可能性があり、その基本目標Tに、しごと・雇用機会を創出し、活力につながる人の流れをつくるとし、東京圏への転出を抑制し、福岡市への転入を促進するため、安定した雇用を生み出せる地域産業の競争力強化に取り組むとしています。
 市内には14の大学があり、約7万3,000人が学んでいます。前総合戦略と併せ、東京圏への転出を抑制するとともに、学生の地元就職に向けどのような方策が取られているのか、また、現状はどうか、過去3年間の市内企業への就職率の推移を尋ねます。
 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地震に対する減災、防災対策についての御質問にお答えをいたします。
 30年以内の各断層の地震発生確率につきましては、国の地震調査研究推進本部の地震発生可能性の長期評価によりますと、警固断層南東部は0.3から6%、宇美断層はほぼゼロ%、警固断層北西部、西山断層帯及び日向峠−小笠木峠断層は不明とされております。また、各断層が活動した場合の被害想定については、福岡県地震に関する防災アセスメント調査報告書によりますと、警固断層では死者458人、負傷者3,171人、全壊4,523棟、半壊3,474棟、西山断層では死者104人、負傷者1,104人、全壊782棟、半壊1,476棟とされております。なお、宇美断層及び日向峠−小笠木峠断層につきましては、県において令和6年度から被害想定調査が行われると聞いております。以上です。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えします。
 まず、福岡市耐震改修促進計画につきましては、総合的かつ計画的に建築物の耐震化を促進することを目的に、住宅等の耐震化の目標、耐震改修等の促進を図るための施策などを定めております。当計画では、住宅の耐震化率の目標について、令和2年度末までに95%、令和7年度末までにおおむね解消することを目指すこととしております。
 次に、昭和56年6月のブロック塀に関する建築基準法の改正につきましては、鉄筋による補強のない塀の高さについて2メートル以下とされていたものが1.2メートル以下に、また、鉄筋による所定の補強がなされている塀の高さについて3メートル以下とされていたものが2.2メートル以下とするように定められております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えいたします。
 地震による水道施設の被害発生の抑制につきましては、警固断層帯南東部を震源とする地震を想定し、水道施設の被害や給水への影響を軽減することを目的に策定した水道施設耐震化計画において、おおむね10年間に取り組む施策として、治水池や浄水池などの土木構造物をはじめ、導水管や送水管、配水管等の耐震化を推進することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えいたします。
 まず、下水道施設の耐震化につきましては、災害に強い下水道を目指し、下水道経営計画2024の主要施策に位置づけ、人命保護や被災時に必要とされる下水道機能を確保する観点から、ポンプ場や水処理センター、下水道管渠の耐震化に計画的、段階的に取り組んでおります。
 次に、道路の防災、減災につきましては、道路整備アクションプラン2024において、災害に強い道づくりを道路整備の基本的な考え方の柱の一つとして掲げ、緊急輸送道路における橋梁の耐震補強や無電柱化の整備を進めるとともに、狭あい道路拡幅整備事業として、幅員4メートル未満の市道のうち、用地の寄附を受けた箇所における拡幅整備などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 地場中小企業と学生雇用のマッチング支援についての御質問にお答えいたします。
 まず、福岡県の雇用情勢と正社員有効求人の動向につきましては、福岡労働局の資料によりますと、有効求人倍率は5類に移行した令和5年5月以降、季節調整値で1.2倍前後で推移しており、正社員有効求人倍率については原数値での比較となりますが、令和5年5月が0.89倍、令和6年1月が0.96倍で、改善傾向が続いているものと認識しております。
 次に、地場中小企業の人材確保、人材不足の状況については、令和5年に市が行った中小企業振興に関するアンケート調査において、今後の事業展開における課題への問いに対し、最も多い52.7%の事業者が人材確保を課題として挙げるなど、人材不足感が高まっているものと認識しております。
 次に、学生の職業観などについては、民間企業の調査によりますと、ここ一、二年では大手企業を志望する学生と中堅、中小企業を志望する学生の割合はほぼ同じとなっており、職業観としては、「楽しく働きたい」や「個人生活と仕事を両立させたい」が上位にあり、また、食品関係、IT関連、金融機関が人気の業種で、企業選びの際には会社の安定性や待遇面への関心が高くなっております。
 次に、学生の奨学金の利用状況については、令和2年度に日本学生支援機構が行った調査によりますと、大学等高等教育を受けている者のおおむね半数が奨学金を受給しております。
 次に、学生の地元就職に向けた取組については、市内の12大学や経済団体、福岡市で構成する福岡未来創造プラットフォームの枠組みを活用し、市内の中小企業が参加する福岡市オンライン合同会社説明会などの地元企業と学生の出会いの場を提供するとともに、学生の起業支援やデジタル人材の育成などにより、学生の市内就業機会の拡大に取り組んでおります。
 最後に、大学院生を含む市内学生の市内企業への就職率については、福岡未来創造プラットフォームの調査によりますと、令和3年3月の卒業生が27.0%、4年が25.8%、5年が25.8%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 初めに、想定される地震に対する減災、防災対策についてです。
 資料1の投影をお願いいたします。(資料投影)福岡市地域防災計画に記載してある福岡県の主な断層帯地図です。先ほどの答弁では、本市周辺の断層について、西山断層帯や日向峠−小笠木峠断層帯での地震発生確率は不明であり、宇美断層及び日向峠−小笠木峠断層帯の被害想定は県において来年度から行われるということでした。地震発生確率が判明した場合、早急に対策を練る必要があります。
 資料2の投影をお願いします。(資料投影)白黒で見にくいんですけれども、2005年の福岡県西方沖地震を引き起こした警固断層帯が本市の中心部を通っています。この北のほう、北西部が2005年の地震の震源地と言われています。国によれば、警固断層帯南東部の30年以内の地震発生率は最大6%、最も高いSランクとされています。ここで地震が発生すれば、先ほどの答弁でありましたように、19年前の福岡県西方沖地震を上回る死者400人、住宅の半壊以上が8,000棟と甚大な被害が想定されています。いつ起きても不思議でない大地震からの被害を最小限に抑える対策が急がれます。資料ありがとうございました。
 そこで、家屋の耐震化について伺います。
 本市の耐震改修促進計画では、住宅の耐震化率を2025年度末までにおおむね解消するとされています。国は1978年の宮城県沖地震を契機に、1981年、建築基準法を抜本的に見直しています。国は1981年5月以前を旧耐震基準、それ以降の建物を新耐震基準として、住宅の耐震基準を震度6強から7に達する程度の揺れでも倒壊しないレベルに引き上げ、住宅の耐震化率を2030年までにおおむね解消することを目標としています。
 そこで、福岡市内の木造戸建て住宅数と、そのうち1981年5月以前の旧耐震基準の住宅数をお示しください。
 旧耐震基準の木造戸建て住宅に住まわれている方は高齢者が多いと推測されます。世帯主が高齢者の戸数と割合について尋ねます。
 その木造戸建て住宅への耐震化の取組として、2005年度から福岡県による耐震診断アドバイザー派遣が、2006年度からは福岡市の耐震改修工事費補助事業が、2007年度からは耐震建替費補助事業が実施されています。それぞれの事業の内容と助成額を尋ねます。
 あわせて、計画策定から現在までの耐震診断アドバイザー派遣や耐震改修工事、耐震建替費補助事業、それぞれの申請件数をお示しください。
 また、これらの事業の周知、啓発はどのようにされているのか、伺います。
 耐震改修工事費も建替費も、補助があるからといっても高額です。2016年6月議会で我が会派の池田議員が、地震による家屋の倒壊から命を守るため、安全な空間を比較的安く簡単に確保できる耐震シェルターや防災ベッド設置に関わる滋賀県の補助制度を紹介し、本市においてもこの補助制度の導入を提案しました。本市の補助制度の概要と申請件数はどうか、尋ねます。
 次に、コンクリートブロック塀の倒壊防止対策についてです。
 1981年に改正された建築基準法では、鉄筋による補強のない塀は1.2メートル以下にするなど、高さ制限が変更され、ブロック塀等の除却費補助事業が2006年から実施されています。その内容とこれまでの申請件数をお示しください。
 通学路の安全確保は特に重要です。
市内の学校における通学路に面したコンクリートブロック塀の倒壊防止措置について、進捗状況を尋ねます。
 次に、水道施設の耐震化についてです。
 水道施設耐震化計画では、配水池、浄水池等の土木構造物や導水管、送水管、配水管の耐震化を推進するとされています。それぞれの実施状況と整備完了目標年数、また、市が管理するダムの耐震性についても、併せて伺います。
 次に、下水道施設の耐震化についてです。
 下水道経営計画2024では主要施策に位置づけ、人命保護や被災時に必要とされる下水道機能を確保する観点から、ポンプ場、水処理センター、下水道管の耐震化を進めているとのことです。それぞれの実施状況についてお尋ねします。
 次に、災害に強い道づくりについてです。
 道路整備アクションプラン2024を基に、緊急輸送道路における橋梁の耐震補強や無電柱化整備、4メートル未満の狭あい道路拡幅整備を図っているとの答弁がありました。緊急輸送道路は、人命救助、消防、物資輸送活動等を円滑かつ確実に実施するために必要な道路です。これまでに既存の直轄国道や都市高速、市が管理する道路、港湾道路などが県の協議会で緊急輸送道路として随時指定されてきたことで、災害時の道路ネットワークが充実してきたと認識しています。
 そこでまず、市内の緊急輸送道路について、前々回のアクションプラン2016策定前の2012年度末と2022年度末における指定延長をお示しください。
 また、緊急輸送道路における橋梁の耐震対策と無電柱化整備について、それぞれの進捗状況について尋ねます。
 4メートル未満の狭あい道路拡幅整備については、一定区間を一体的に整備する路線整備型と、建物の建て替え時に合わせて敷地単位で整備する個別整備型があります。2012年度末と2022年度末におけるこれらの実績を合計した市が管理する道路の進捗状況を尋ねます。
 次に、集落、地域の孤立化のリスク低減について尋ねます。
 このたびの地震では、道路の亀裂や液状化などで交通が寸断し、多くの地域が孤立状態となっています。西方沖地震発生時、東区の志賀島では海岸沿いの道路が通行不能となり、復旧までの1年半、山頂を通る市道だけが唯一の生活道路となりました。
 離島や中山間地をはじめ、山裾の新興住宅地などにおいて、孤立化のリスク低減に向け、主要な道路が寸断した場合でも物資の搬入手段の確保がなされているのか把握すべきと考えます。所見を尋ねます。
 次に、地場中小企業と学生雇用のマッチング支援について伺います。
 福岡県の雇用情勢は、新型コロナの5類移行後、有効求人倍率は改善傾向にあり、正社員有効求人倍率も微増となっています。しかし、地元中小企業の半数以上が依然として人材確保に苦労している状況にあります。職を求める人と地元中小企業のマッチングを図る方策が必要です。学生の地元就職に向けては、市内の大学や経済団体、福岡市で構成する福岡未来創造プラットフォームにより、合同会社説明会や地元企業と学生とのマッチング機会の創出を図っているとの答弁でした。しかし、学生の地元企業への就職率は約25%と横ばいで推移しています。福岡未来創造プラットフォームのパンフレットでは、市内の大学卒業者の市内企業就職率を2023年度までに2018年度に比べ3ポイント増加することを目標とされています。その目標達成に向けて、地元企業への就職の意欲の醸成と学生の職業観や就職意向に沿った人材確保策の充実、さらには約半数の学生が利用している奨学金返還負担の軽減に対しての支援が必要と考えます。地元企業への就職の意欲醸成については、働くことを想像する機会の創出に加え、就活前の大学1、2年生を対象とした方策が求められます。
 福岡未来創造プラットフォームのパンフレットを見れば、大学1、2年生を対象とした地元企業による就活セミナーや座談会などが紹介されています。それぞれの概要と過去2年間の参加学生数と企業数を尋ねます。
 学生の職業観に関して、民間の調査によれば、中堅、中小企業を志望する学生が増えており、楽しく働きたい、ワーク・ライフ・バランスなど、福利厚生の充実や安心して働ける環境がある職場を望む学生が増えています。就職する側の大学生や専門学生らの若者の視点に立った施策が求められます。
 本市では、既に2017年11月より企業の働き方改革を支援する取組として「働き方改革」推進企業認定事業を進めていますが、認定企業数と業種別の内訳を尋ねます。
 次に、人材確保策としての奨学金返還支援についてです。
 大学など高等教育を受けている学生の約半数が奨学金を受給していますが、日本の奨学金制度は教育ローンとやゆされています。2022年9月に実施された労働者福祉中央協議会の奨学金や教育費負担に関するアンケート報告書によると、奨学金を借りている人の平均借入総額は約310万円。卒業後にこれを分割して毎月返済していくことになると、毎月の返済額の平均は1万5,000円、返済期間は14年6か月です。毎月1万5,000円の負担は決して軽くなく、同報告書において、返済に関する負担感は、「何とかなっている」が45.9%に対し、「少し苦しい」、「かなり苦しい」は合わせて44.5%となっています。社会人としてのスタートラインから数百万円の借金を背負うのは大変な重荷であり、返済が負担になって結婚や出産をためらわせる要因になっています。奨学金による自己破産の増加などの背景もあり、多くの地方自治体や企業が人材確保の観点から奨学金返還の支援を始めています。2021年4月から、企業が、奨学金を借りた社員、従業員に代わって奨学金を返還することができる日本学生支援機構の奨学金返還支援制度、いわゆる代理返還支援が始まっています。学生時に貸与型奨学金を利用していた従業員に対して、企業が返還分の一部または全額を支援機構に直接入金することで従業員を支援する制度です。企業にとっては、人材の確保、定着に併せ、税制上等のメリットがあり、支援機構の調査では2024年1月末時点で全国1,557社がこの制度を利用しているとのことです。
 福岡県内の利用状況はどうか、また、支援している企業での具体的な取組内容はどうか、尋ねます。
 市内では、既に2019年度から市内の民間保育所で働く正規雇用の保育士に対し、奨学金返還支援補助制度を始めています。その概要と年度ごとの活用者について伺います。
 以上で2回目を終わります。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えします。
 まず、福岡市における木造戸建ての住宅数につきましては、国が実施した平成30年の住宅・土地統計調査を基に推計いたしますと、令和5年12月末時点で約16万8,000戸であり、このうち旧耐震基準の住宅は約3万4,000戸となっております。
 次に、木造戸建て住宅における高齢者世帯の状況につきましては、平成30年の住宅・土地統計調査によりますと、昭和55年以前に建てられた木造戸建て住宅は約4万4,000戸で、このうち世帯主が65歳以上である住宅は約3万2,000戸あり、その割合は約72%となっております。
 次に、お尋ねの3つの補助事業等の内容と助成額についてですが、まず、耐震診断アドバイザー派遣制度は、アドバイザーを現地に派遣し、耐震診断や補強計画、概算工事見積書の作成を行うもので、利用者の負担額は実施内容に応じて3,000円から6,000円となっております。また、木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業は、耐震改修工事費用の一部を補助する事業で、上限額は90万円、補助率は46%としております。また、木造戸建住宅耐震建替費補助事業は、既存の住宅を解体し、建て替える際の費用の一部として20万円を補助する事業で、一定の要件を満たす場合は最大30万円を加算できるものでございます。
 次に、各事業のこれまでの申請件数の累計を令和5年12月末時点で申しますと、耐震診断アドバイザー派遣制度は1,276件、木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業は901件、木造戸建住宅耐震建替費補助事業は101件でございます。
 次に、補助制度等の周知、啓発につきましては、市政だよりやホームページへの掲載のほか、補助制度のリーフレットや揺れやすさマップを窓口や区役所等で配布するとともに、福岡県や建築関係団体と連携して耐震セミナーや出前講座等を実施しております。また、旧耐震基準の木造戸建て住宅が多いと思われる大規模団地に対しては、補助制度のリーフレットを各戸へポスティングするなど、耐震診断や耐震改修への働きかけを行っております。
 次に、耐震シェルターや防災ベッドに係る補助制度につきましては、高齢者等が居住されている旧耐震基準の木造戸建て住宅を対象とし、耐震シェルターや防災ベッドの購入及び設置費用の一部を補助するもので、上限額は25万円、補助率は40%で、これまでの申請件数は1件でございます。
 最後に、ブロック塀等除却費補助事業につきましては、道路に面している危険なブロック塀等の除却費用の一部を補助する事業で、平成30年より上限額を15万円に拡充し、補助率2分の1で実施しており、これまでの申請件数の累計は令和5年12月末時点で627件となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 地震に対する減災、防災対策についての御質問にお答えいたします。
 学校のブロック塀につきましては、子どもたちの安全を確保できるよう関係法令等を考慮して改修を進めており、通学路に面した優先度の高いブロック塀約30キロメートルのうち、令和5年度末時点で約20キロメートルの改修が完了する見込みとなってございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 答弁に入ります前に、先ほどの答弁の訂正をさせていただきます。
 先ほど減災、防災対策に関する御質問に対して、治水池とお答えいたしましたが、正しくは配水池でございます。おわびして訂正させていただきます。
 それでは、地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えいたします。
 水道施設の耐震化につきましては、まず、配水池や浄水池などの重要な土木構造物は、計画どおり令和2年度までに全て完了しております。また、導水管、送水管及び配水管全体の耐震化率につきましては、平成29年度策定の福岡市水道長期ビジョン2028において、配水管更新延長のペースアップに伴い、目標値を令和10年度末時点で68.0%としており、令和4年度末時点で62.0%となっております。特に配水管については、災害発生時に重要となる避難所など重要給水施設256か所への給水ルートを優先的に耐震化する耐震ネットワーク工事を進めており、計画どおり令和6年度末までに全て完了する予定であります。
 次に、ダムの耐震性についてでございますが、水道局が管理する4つの水道専用ダムである曲渕、脊振、久原、長谷ダムについては、国が定めた河川管理施設等構造令に基づく耐震設計で築造されており、さらに、阪神・淡路大震災を踏まえて国が示したダム耐震性能に係る評価方法に基づき、ダム本体の安全性を確認できております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えします。
 まず、下水道施設の耐震化につきましては、最も重要な人命保護の観点から、ポンプ場、水処理センターにおける建築物の耐震化を最優先に進め、令和2年度末までに完了しており、引き続き、被災時に必要とされる下水道機能を確保する観点から、ポンプ場、水処理センターの揚水施設や消毒施設などの耐震化を進めております。また、下水道管渠につきましては、緊急輸送道路に埋設された管渠や水処理センターに直結する管渠などから優先的に耐震化を進めてきており、管渠全体の耐震化率は令和4年度末で約34%となっております。
 次に、福岡市内の緊急輸送道路の指定延長につきましては、平成24年度末で約318キロメートル、令和4年度末で約426キロメートルとなっております。
 次に、緊急輸送道路における橋梁の耐震対策につきましては、平成17年度に策定した公共施設の耐震対策計画において耐震対策が必要と位置づけた36橋のうち、平成24年度末までに架け替えが必要であった1橋を除く35橋の対策が完了し、令和4年度末には36橋全ての対策が完了しております。また、国の耐震基準の見直しに伴い、耐震対策を実施した18橋を含む110橋について、橋梁耐震補強計画を令和3年3月に定め、必要な対策を進めており、令和4年度末で2橋の設計に着手しております。緊急輸送道路の無電柱化の進捗につきましては、市街地などにおける着手率で申しますと、平成24年度末で約33%、令和4年度末で約39%となっております。
 最後に、4メートル未満の狭あい道路拡幅整備につきましては、同事業の助成制度が始まった平成17年度以降の進捗を延長で申しますと、平成24年度末で約14キロメートル、令和4年度末で約22キロメートルとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地震に対する減災、防災対策についての御質問にお答えをいたします。
 離島や道路寸断等による孤立地域への物資搬入につきましては、関係機関と調整の上、ヘリコプターや船舶を活用して輸送することとしておりまして、その実効性を高めるため、関係機関と連携した訓練を毎年行っております。以上です。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 地場中小企業と学生雇用のマッチング支援についての御質問にお答えいたします。
 まず、就活セミナーにつきましては、オンラインで地場企業の担当者が学生に自社企業や業界を紹介するもので、令和4年度は4回開催し、参加した学生は延べ1,456人、企業は延べ40社、5年度は5回開催し、参加した学生は延べ1,867人、企業は延べ26社でございます。次に、座談会については、対面またはオンラインで地場企業の若手社員等が学生に業界や働き方の紹介、就職活動のアドバイスを行うもので、令和4年度は2回開催し、参加した学生は延べ19人、企業は延べ9社、5年度は4回開催し、参加した学生は延べ30人、企業は延べ13社でございます。
 次に、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業については、令和6年1月末時点の認定企業数は183社となっており、その業種別の内訳は、建設業133社、情報通信業12社、学術研究、専門、技術サービス業11社、その他27社となっております。
 最後に、企業の奨学金返還支援の利用状況については、日本学生支援機構によりますと、令和6年1月末現在、福岡県内は70件とされており、支援企業の具体的な取組については、例えば、月額1万5,000円を上限に最長10年間支援するなど、各企業がそれぞれ独自の支援内容を設定されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 地場中小企業と学生雇用のマッチング支援についての御質問にお答えいたします。
 保育士に対する奨学金返済支援制度につきましては、保育士の就職促進と離職防止を目的に、市内の保育所等に勤務する正規雇用の保育士を対象として、奨学金返済額の一部を助成しているものでございます。助成額の上限は、大学の卒業者が月額1万5,000円、短大等の卒業者が月額1万円としております。年度別の申請者数については、令和元年度908人、2年度1,116人、3年度1,116人、4年度1,109人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 初めに、地場中小企業と学生雇用のマッチング支援について伺います。
 先ほどの答弁では、地元企業への就職意欲の醸成に関して、地場企業の担当者が企業や業界を紹介する就活セミナーへの過去2年間の参加学生数は約3,000人、参加企業数は延べ66社、若手社員が働き方の紹介や就職活動のアドバイスを行う座談会への参加学生数は約50人、参加企業数は延べ22社ということでした。市内の中小企業の数から見ると寂しい数字です。市内には15の大学があります。
各大学や企業に呼びかけ、就活セミナーや座談会の参加者を増やすことが重要ではないかと考えますが、所見を伺います。
 次に、学生の職業観に沿った働き方改革についてです。
 学生の地元就職、定着への取組が求められている中、地場中小企業の採用活動への支援と併せ、ワーク・ライフ・バランスなど、企業の働き方改革を支援する必要があります。「働き方改革」推進企業認定数は、この6年間、いまだ183社にとどまり、建設業に偏っています。
入札などでの優遇や市ホームページでの認定企業としての紹介のほか、認定のメリットをさらに加え、認定企業をさらに増やす方策が必要です。所見を伺います。
 次に、人材確保策としての奨学金返還支援についてです。
 本市では、保育士に対しての奨学金返還支援補助制度により、毎年1,000人前後の保育士がこの制度を利用し、保育現場で働いています。近年、長時間労働等により、教員を目指す学生が減少し、教員不足の解消が喫緊の課題となっています。文科省は2024年度予算の概算要求で、1998年に廃止された、教員になったら奨学金を減免する制度の復活を検討する旨の方針が示されました。
 既に京都府や千葉県、北九州市などでは2024年度より奨学金返還支援を始めるとしています。本市でも学校の働き方改革の推進と併せ、奨学金減免制度の導入を図るべきと考えますが、教育委員会の所見を伺います。
 企業の代理返還支援について、支援企業を見てみると、毎月の返済額上限や返済期間も各企業によって一律ではありません。仮に企業側が返済を滞納していた場合、その責任は従業員本人が負うことになり、滞納が長期になると、いわゆるブラックリストに載ることが懸念されます。また、人件費アップに苦しむ経営体力の乏しい地場中小企業にとっては、代理返還支援を実施したくてもハードルが高いと想定され、人材不足の解消にはつながらないと考えます。市が学生と地場中小企業とのマッチングを後押しする事業が必要です。
 私は2017年9月議会において、奨学金返還支援事業について質問しました。当時、進路指導の相談を受けている中、東区の福岡工業大学そばのJR福工大前駅や九州産業大学、福岡女子大学の学生が利用するJR香椎駅、九産大前駅のコンコースに貼られていた「北九州市で働こっ!北九州市奨学金返還支援事業」のポスターを見たことがきっかけでした。北九州市では2017年度から2019年度までの3年間に526人が奨学金返還支援事業を活用し、地元企業の総合職や技術職、保育士、幼稚園教諭の職に就いたと聞いています。先月、北九州市奨学金返還支援事業と同様の事業を2018年度から実施している仙台市を視察してきました。仙台市でも、地元中小企業の人材不足及び大学等を卒業した後の首都圏への人材流出が大きな課題となっており、人材流出に歯止めをかけ、市内産業を担う人材の確保と若者の地元定着を目的としています。対象者は新規学卒者及び離職率が高い傾向にある学卒3年以内も対象となっています。人材確保を行う中小企業などから協力企業を募集し、協力企業と仙台市が奨学金返還基金をつくり、市内の協力企業に就職することを条件に、入社後1年間の勤務及び奨学金返還の確認をした後、1人当たり年間18万円を上限に3年間で最大54万円を支援する事業です。事業が始まった2018年度の協力企業と認定を受けた新規学卒者、既卒者はそれぞれ90の企業と65人、2022年度は協力企業が172社、認定者は115人と増え、4年間で415人が返済支援を受けています。
 本市でも、学生の奨学金返済の負担解消並びに人材確保に努めている地場中小企業とのマッチングを図るためにも、奨学金返還を支援する制度の導入を図る必要があると考えますが、所見を伺います。
 次に、想定される地震に対する減災、防災対策についてです。
 資料3をお願いいたします。(資料投影)警固断層南東部でマグニチュード7.2の地震が発生した場合の震度予測が示されています。赤色は震度6強。震度6は立っていることができなくなり、はわないと動くことができない状況です。木造の古い建物であれば倒壊の危険性が増します。家具の固定や防災グッズの準備も不可欠ではありますが、それが役立つのは家が壊れて下敷きにならないことが前提です。黄色は震度6弱。耐震性のない木造家屋は倒壊のおそれがあり、固定されていない家具が移動する揺れです。いつ起きても不思議でない大地震からの被害を最小限に抑える対策が急がれます。資料ありがとうございました。
 初めに、家屋の耐震化についてです。
 本市の旧耐震基準の住宅数は、2023年12月時点で約3万4,000戸、2018年時点で世帯主が高齢者の住宅数の割合は約72%と推測されています。福岡市耐震改修促進計画では、住宅の耐震化を2025年度末までにおおむね解消するとし、市政だよりや耐震セミナーなどにより周知、広報がされています。しかし、2005年以降、それぞれの制度創設から、耐震診断アドバイザー派遣数は1,276件、耐震改修工事費補助数は901件、耐震建替費補助数は101件、耐震シェルター、防災ベッド補助数は1件にとどまっています。横浜市では昨年7月の3日間、市役所1階で防災展示会を開催しています。地震に強い家について参加者で考えるワークショップを行うとともに、耐震シェルターや防災ベッドを展示するなど、減災に向けての啓発、周知を進めています。本市の市政だより、今年の3月1日号ですけれども、特集として「福岡県西方沖地震を振り返る」が掲載され、住宅、ブロック塀の耐震化補助内容がようやく大きく掲載されました。昨年は3月と6月の市政だよりのお知らせコーナーに掲載されていましたが、紙面が小さく、見落としがちでした。
今後も大きな揺れが想定される地域を中心に周知、広報を強化するとともに、ブロック塀の除却や木造戸建て住宅の耐震改修の補助について助成額を引き上げることが必要であり、学校における通学路に面したブロック塀の倒壊防止措置をさらに進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、水道施設や下水道施設、道路、橋梁の耐震化です。
 配水管の耐震ネットワーク工事は2024年度末に完了予定であり、下水道のポンプ場、水処理センターは最優先で進めてきた建築物の耐震化が完了し、緊急輸送道路は10年間で108キロメートル延長されるなど、総じて耐震化が着実に進み、ダム本体の安全性は確認されているとの答弁でした。しかし、下水道管渠の耐震化や無電柱化整備、4メートル未満の狭あい道路拡幅整備はまだまだ時間を要する状況にあります。地震は時と場所を選びません。
 揺れやすさマップなども踏まえながら、水道施設耐震化計画や下水道経営計画2024、道路整備アクションプラン2024など、それぞれに掲げている耐震計画について、スピード感を持って着実に進めなければなりません。それぞれの所管局の所見を伺います。
 最後に、想定される地震に関し、市民の生命と暮らしを守るため、減災、防災に対する市長の決意を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 地場中小企業と学生雇用のマッチング支援についての御質問にお答えいたします。
 まず、地場企業への就職意欲の醸成につきましては、就活セミナーや座談会の参加者を増やしていくことは重要であると考えておりまして、各大学や商工会議所などの協力を得ながら、学生の募集や地元企業の参加促進に取り組んでまいります。
 次に、ふくおか「働き方改革」推進企業認定については、現在の認定のメリットに加え、働きやすい環境づくりが企業のイメージアップや人材確保につながることを企業の経営者などに認識していただくため、市のホームページや市政だよりなどによる周知、広報に加え、企業向けの事業やセミナーにおいて認定企業の取組事例を紹介するなど、啓発に努めてまいります。
 最後に、奨学金返還の支援については、企業の人材確保や持続的な経営のための有効な取組の一つと認識しており、現在、他都市の実施状況等について調査するとともに、活用事例を含めた制度の周知に努めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 地場中小企業と学生雇用のマッチング支援についての御質問にお答えいたします。
 教員への奨学金返還支援については、現在国において、教職の魅力を高め、教師人材の確保強化の観点から全国的な課題として検討されているところであり、本市としましても、国や他の自治体の動向を踏まえつつ、適切に対応してまいります。
 続いて、地震に対する減災、防災対策についての御質問にお答えします。
 学校のブロック塀については、子どもたちの安全確保の観点から、通学路に面したブロック塀の優先度が高いと考えておりまして、引き続きしっかりと改修を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えします。
 まず、ブロック塀等除却費補助事業につきましては、大阪北部地震でブロック塀による死亡者が発生した平成30年には、危険なブロック塀の安全対策をより一層促進するため、補助上限額を4万5,000円から15万円に拡充しており、年間の申請件数はそれまでの数件程度から80件程度へ大幅に増加しております。また、木造戸建住宅耐震改修工事費補助事業については、令和6年度から補助上限額を90万円から150万円に、補助率を46%から80%に引き上げ、より一層の耐震化を促進することとしております。今後とも、各種補助制度のリーフレットや揺れやすさマップについて、区役所等での配布や市政だよりへの掲載などにより、広く市民へ周知するとともに、様々な機会を捉えて耐震改修を働きかけるなど、耐震化の促進に向け取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えいたします。
 水道施設の耐震化についてですが、今回の能登半島地震では断水が長期化しており、改めて、水道水が市民生活になくてはならない命の水であり、管路の耐震化等を計画的に進めていくことが極めて重要であると再認識されたところであります。引き続き、福岡市水道長期ビジョン2028及び水道施設耐震化計画に基づき、災害に強い水道を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地震に対する減災、防災対策に関する御質問にお答えします。
 下水道や道路は市民生活や都市活動を支える最も基本的な公共インフラであることから、下水道経営計画2024及び道路整備アクションプラン2024に基づき、下水道施設の耐震化や緊急輸送道路における橋梁の耐震補強、無電柱化の整備など、災害に強い下水道、道路を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 令和6年能登半島地震をはじめ、近年、日本各地で大規模な地震が発生しており、ハード、ソフトの両面からまち全体の防災力を高めていくことが大変重要であると考えてございます。このため、住宅等の耐震対策の促進、上下水道の耐震化や災害に強い道づくりを計画的に進めるとともに、公的備蓄の拡充や地域防災力の向上などに取り組んでいるところでございます。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、中山郁美議員が行った代表質疑を補足して、能登半島地震を受けて本市の防災対策をどのように見直していくかについて質疑を行います。
 死者241人を出した能登半島地震は発生から2か月となりました。石川県ではいまだに1万1,400人余りの人が寒い体育館などで寝泊まりし、長期にわたる避難生活で心身ともに大きな負担を強いられ、ストレスなどによる災害関連死も確認されています。能登半島地震を受けて、何を教訓にして本市の防災対策に生かすのか、本市に緊急に求められているのは何かについて具体的にただしてまいります。
 質問の第1は、本市の防災の考え方についてです。
 我が党の代表質問への答弁では、防災計画の見直しについては全く示されませんでした。能登半島での災害が起き、若干の手直しは新年度に行われるものの、極めて不十分なものです。市長の市政運営方針では、運用開始から6年目となっている防災アプリ、ツナガルプラスの機能拡充が災害に強いまちづくりのイの一番に掲げられ、新年度予算の資料でも重要施策として太く突き出して紹介されています。このアプリは市民がスマートフォンでダウンロードすることで利用できます。市の意図は、特に指定避難所以外の場所で避難生活をされている市民の状況をつかんで支援をしようというものです。しかし、まずは利用環境を市民が自分で登録して設定しなければ、災害時にどこに誰がいるのか分かりません。
 そこでお尋ねいたしますが、2月末時点でこのアプリをダウンロードした市民は何人いるのか、また、このアプリ機能を何人の市民が活用して使うと想定しているのか、答弁を求めます。さらに、アクセスの集中によるシステム障害は起きないのか、答弁を求めます。
 質問の第2は、被害想定の見直しについてです。
 能登半島地震を受け、本市の避難者想定の見直しを求めた我が党の代表質問への答弁では、県の判断を待つという全く危機意識のないものでした。2005年に福岡県西方沖地震が起こりました。このとき警固活断層帯の北西部と呼ばれる海底の活断層がずれただけで、南東に連続する陸地の活断層はそのまま残っています。周期から考えると、警固活断層帯の南東部は既に満期を迎えている可能性があると言われており、この対策は待ったなしです。同時に、国が主要活断層として位置づけているのは、この警固活断層だけではありません。阪神・淡路大震災を契機として、我が国の主要活断層帯で発生する地震などの評価をし、緊急地震速報の技術開発を行ってきた地震調査研究推進本部という政府の特別機関があります。2017年、その推進本部が日向峠−小笠木峠断層、宇美断層を主要活断層に追加しました。つまり、本市には3つの主要活断層が存在すると国は判断しているのです。
 そこでお尋ねいたしますが、日向峠−小笠木峠断層及び宇美断層はなぜ防災計画の想定地震に入れていないのか、答弁を求めます。
 また、避難者数の想定も本市では12年前から2万5,000人と全く変わっていません。本市の人口の10分の1である能登半島の初期避難者数は2万6,000人でした。本市の避難者数の想定が能登と同じ規模でいいのか、御所見をお伺いいたします。
 質問の第3は、公的備蓄についてです。
 本市の公的備蓄について抜本的な増量を求めた我が党の代表質問への答弁では、備蓄を増やすと言ってはいるものの、新年度予算を見ると6,636万円の予算で、水の要らないシャンプーやボディーソープ、使い捨てカイロ、エコノミークラス症候群対策のストッキングの購入などしか入っていません。しかし、これだけではあまりにも不十分です。
 そこで、3点お尋ねいたします。
 1点目は、水と食料の備蓄の問題です。
 能登半島地震では3日過ぎても食事は届かず、1週間後でも毎日パン1個しか提供されない事態も発生しました。本市は想定避難者3万人に3日間3食分、合計27万食を備蓄していると言います。
 お尋ねいたしますが、水と食料の備蓄はこれで足りるのか、御所見をお伺いいたします。
 2点目は、段ボールベッドについてです。
 段ボールベッドは床面から高さがあるので、冷えを抑えられ、空気層があることで暖まりやすくなります。また、床から舞い上がる細菌、ウイルスを含む可能性のあるほこりの吸い込みを抑えられ、さらに、エコノミークラス症候群の予防にもなります。
 お尋ねいたしますが、本市の段ボールベッドの備蓄はどうなっているのか、答弁を求めます。
 3点目は、公的備蓄が避難所に届くのかについてです。
 能登では、半島の主要国道249号線でトンネルの崩落、山崩れなどが起こりました。大量の土砂や落石が道路を覆い、25区間が通行止めとなり必要な物資が届きませんでした。本市では公的備蓄品のうち飲料水の86%、御飯の75%が博多区の月隈収蔵庫に一極集中配備となっています。
 そこでお尋ねいたしますが、警固断層での大地震が発生すれば市内の道路が断層を中心に寸断される可能性が高く、本市の東部と西部との輸送ルートが確保できなくなるのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 質問の第4は、トイレについてです。
 我が党の代表質問に対し、市長はマンホールトイレについて、新年度予算では小中学校や公民館の新改築や大規模改修時に2個ずつ増やしていき、簡易トイレについては52個あるのを304個に増やすと答弁されましたが、到底足りません。能登半島地震では下水道や水道が寸断され、トイレが使えない状況が発生しました。さらに、排せつ物の処理、衛生環境が悪い状態、避難者がトイレを我慢する事態が起こりました。トイレを必要数いち早く確保できなければ、感染症の蔓延や体調の悪化につながるおそれがあり、災害関連死を引き起こす問題となります。
 そこでお尋ねいたしますが、本市の災害用のトイレの備蓄は幾つあるのか、答弁を求めます。また、能登のように下水道や水道が寸断された場合でも使用できるトイレを必要数確保しておかなければならないと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 質問の第5は、体育館のエアコンについてです。
 本市では小中学校の体育館が避難所に指定されています。しかし、エアコンは設置されていません。体育館に断熱構造を施し、エアコン設置を求めた我が党の代表質問に対し、教育長は設置を拒み、これまでの議会でも市側は移動式エアコンの使用で対応するという避難者に寄り添わない答弁を続けています。移動式エアコンは、風が吹く場所は涼しかったり暖かかったりするわけですが、体育館全体を冷やしたり暖めるものではありません。
 そこでお尋ねいたしますが、移動式エアコンは設置型エアコンの代わりにはならず、避難所では役に立たないと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 さらに、特別教室を使うと市側は言ってきましたが、ほとんどの学校の特別教室は2階以上にあります。利用するには階段を上がらなければなりません。避難者の中には階段を上がれない人、車椅子を使う人がいることが予想されます。
 お尋ねいたしますが、身体的事情で階段を上がれない人は、特別教室を使いたくても使えないのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 また、特別教室では収容できる人数も限られていると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 体育館にエアコンを設置しなければ、猛暑や厳冬の中、避難所として機能しないというのは、議会でも政党、党派を超えて相次いでいる切実な意見です。それでも教育長は我が党の代表質問に対し、整備に多額の費用を要するなどとこれまでと同じ答弁を繰り返し、拒否されました。エアコン設置の必要性については、能登の災害を目の当たりにしてさらに高まっており、財政を理由に設置しないというのは看過できません。
 そこでお尋ねいたしますが、体育館のエアコンを設置すれば、1体育館当たり幾らの費用がかかると計算しているのか、答弁を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) まず、防災アプリ、ツナガルプラスのダウンロード数につきましては、令和6年2月末時点で約4万1,000件となっております。また、このアプリの活用につきましては、できるだけ多くの市民に使っていただきたいと考えておりまして、防災イベントや出前講座などで積極的に普及啓発を行っております。次に、アクセス集中によるシステム障害対策につきましては、アプリのサービス事業者が災害時の使用状況に応じてシステム増強措置を行うこととなっております。
 次に、福岡市地域防災計画の被害想定については、県の地域防災計画に基づき記載をしております。県の計画では、国の評価や県の地震に関する防災アセスメント調査などを基に、県内の主要都市に重大な被害を及ぼすと想定される警固断層南東部、小倉東断層、西山断層、水縄断層の4つの活断層について被害想定が行われており、これに基づき、市の計画においてもこの4つの活断層の被害想定を記載しているものです。なお、日向峠−小笠木峠断層及び宇美断層については、県において令和6年度から被害想定調査が行われると聞いております。
 また、避難者数の想定についても、県の計画における被害想定に基づくものですが、市においても学識経験者による検討委員会において想定は適切なものとされたものでございます。
 次に、水や食料の備蓄については、警固断層南東部を震源とする地震が発生した場合の想定避難者等約3万人に対して、国からのプッシュ型支援物資が届くまでの最大3日分となる27万食を備蓄しております。また、企業等との災害時応援協定に基づく流通備蓄の活用も図ることといたしております。
 次に、段ボールベッドについては、現在、備蓄をしておりませんが、国からのプッシュ型支援のほか、企業との災害時応援協定を活用し、確保することとしております。
 次に、災害時における物資輸送については、東区、博多区、西区の市内3か所に物資集積拠点を設置し、国からの支援物資を受け入れるとともに、耐震化を進めている緊急輸送道路を使用し、各避難所へ輸送する計画としております。また、この計画をより実効性あるものとするため、令和6年度に輸送網等の機能評価を行うこととしております。
 次に、災害用トイレにつきましては、災害想定避難者等約3万人の3日分に当たる45万回分以上を備蓄することとしており、現在、携帯トイレと簡易トイレを合わせて47万回分を確保しております。また、市の備蓄に加え、国からのプッシュ型支援により供給されるトイレの活用や、必要に応じて災害時応援協定に基づく仮設トイレの設置などにより確保することとしております。
 次に、移動式エアコンについては、外気温の状況や体育館の広さなどの条件にもよりますが、九州北部豪雨などの避難所においても効果があったとされておりまして、避難所の暑さ寒さ対策に資するものであると考えております。また、特に配慮を要する方などは必要に応じて空調設備がある特別教室を使用することとしております。
 次に、避難所における要配慮者への対応については、避難所運営職員が地域の協力も得ながら、各施設の状況に応じて合理的な配慮を行うこととしております。
 最後に、特別教室の使用については、要配慮者への対応や避難者の暑さ寒さ対策に配慮が必要な場合などに使用することとしておりまして、避難者が多数となる場合などについては、市民センターや市立体育館などでも受入れを行うこととしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 体育館1館当たりの空調設置費につきましては、文部科学省が一定の条件の下に試算しており、それによりますと、空調設置と断熱化改修を併せて行った場合は6,600万円とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) まず、本市の防災の考え方についてです。
 局長の答弁で、防災アプリ、ツナガルプラスのダウンロード数はこの6年間でたったの約4万1,000、人口の僅か2%しかないこと、活用想定数を聞いたのに見込み数は答えられず、システム障害が起きないのかという点については、事業者任せで、起きないとは断言されませんでした。このような施策を災害対策の目玉に位置づけているのは本気度が問われますよ。力を入れるところが間違っています。このアプリが自分でダウンロードして初めて役に立つことに象徴されるように、本市は災害対策を殊さら自助、共助に委ねてきました。しかし、能登の現場では誰もが必死に助け合われていましたけど、自助、共助だけでは自分の命も財産も守ることはできず、たくさんの命が失われたんです。住宅の耐震化が遅れ、多くの人が圧死し、上下水道の耐震化が遅れ、生活が破壊されました。また、道路の寸断や備蓄の不足により必要な物資が届かず、住民の健康が損なわれました。公助が足りなければ、こういう事態になるのです。
 そこでお尋ねいたしますが、自助、共助を前提にした防災計画では、いざというときに市民の命は救えないのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、被害想定の見直しについてです。
 局長は日向峠−小笠木峠断層、宇美断層を防災計画の想定に入れていないのは、県の判断が出ていないからだという全く悠長な答弁をされました。しかしながら、国は2013年から日向峠−小笠木峠ではマグニチュード7.2程度、宇美断層ではマグニチュード7.1程度の地震が発生する可能性があるとして主要活断層に追加しているわけです。能登では昨年の5月に震度6強の地震をはじめ、群発地震が続いていたのに、石川県の地域防災計画では27年前から、ごく局地的な災害で災害度は低いと想定されたままで、見直しは何も行われていなかったから被害の拡大に対応できなかったのです。県の判断を待っていては市民の命は守れません。
 そこでお尋ねいたしますが、このまま県の判断を待っていたら今の被害想定と実態とが大きくかけ離れ、深刻な事態になると思いますが、答弁を求めます。
 局長は避難者数の想定が能登と同じ人数でいいのかについては、県の判断だという全く無責任な答弁をされました。石川県の防災計画での能登地震による避難者数の予測は2,781人でした。それが10倍の2万6,000人となったんです。避難者予測が狂えば、防災対応の変更が余儀なくされます。本市の想定避難者数2万5,000人というのは、どのような根拠に基づく数字かといえば、想定されている全壊建物数と焼失建物数に住む人の数です。しかし、避難するのは全壊や焼失した家屋の人だけではありません。半壊の世帯、一部損壊の世帯、そして、不安から自主避難する世帯など、膨大な数の人々がこの想定避難者数から除外されており、数字は低く見積もられているのです。さらに、この数字の根拠とされている全壊建物数は旧耐震基準のままの家屋数を基にしていますが、能登では新しい耐震基準の住宅も次々と全壊しました。金沢大学の調査によりますと、珠洲市の木造家屋100棟のうち約40棟が全壊状態で、その半数が1981年の新耐震基準導入後に新改築されたものでした。つまり、本市でも全壊はとてもこの数では収まらない可能性があります。
 そこでお尋ねいたしますが、現在の本市の避難者数の想定では間尺に合わず、見直す必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、公的備蓄についてです。
 まず、水と食料の問題です。
 局長は備蓄が十分などと言われました。本市は避難者を人口の1.5%とし、27万食の備蓄があるというわけですね。名古屋市が地震に備え、どうしているか。本市の避難者数の4倍に当たる6%の市民が避難すると想定しています。4日分に当たる合計175万食を校区単位に備蓄しているということと比較すると、あまりにも足りなさ過ぎます。さらに、局長は国のプッシュ型支援が来ると言われました。内閣府は大規模地震が発生した場合、鉄道などは少なくとも3日間は運行の停止が見込まれることから、国民に水や食料などの備蓄の目安を3日分とし、3日すれば国のプッシュ型支援も来るという予測を各自治体は取っていて、局長も先ほど答弁されたんですけど。しかし、能登ではそうならなかったんですよ。本市における地震でも、空港や港が使えない、鉄道や道路が寸断されているなどの被害が出れば、陸の孤島となりかねません。
 お尋ねいたしますが、本市の国の支援を当て込んだ貧弱な備蓄計画は成り立たないのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 公的備蓄の2点目は、段ボールベッドについてです。
 能登では民間協定していた段ボールベッドは何日たっても届かず、硬い床の上に雑魚寝をしている状況でした。段ボールベッドは避難所で命を守るために不可欠なものとして内閣府も備蓄を推奨しており、既に全国の自治体の半数に当たる約800自治体で備蓄が行われています。ところが、局長は本市には段ボールベッドの備蓄はありません、民間協定しているから運んでくるだろうという全く無責任な答弁をされました。
 お尋ねいたしますが、本市の民間頼みのやり方では段ボールベッドは届かないのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 公的備蓄の3点目の避難所に必要なものが届くのかについてです。
 対策強化事業として、新年度に物資輸送体制の機能強化を図ると言われました。また、新年度予算の説明書を見ると、旧東市民センターも拠点として活用すると書かれています。しかし、本市が新年度予算で位置づけている、この旧東市民センターの防災倉庫というのは、地下の電気室で僅か200平方メートルしかありません。天井も低く、月隈から何をどれだけ運び込めるのかと当局に私は確認しましたけど、現時点では分からないというのが返答でした。つまり、防災備蓄が月隈から分散できる保証はないんです。これでは市内の東西で輸送体制が分断されたときに全く対応できません。新潟市では8行政区にある54の拠点施設に一定の備蓄を行い、さらに、それとは別に小中学校や高校など360か所に分散配置して、どこに行けばどういう備蓄品がどれだけあるのか、市民にインターネットで公開しています。この体制は名古屋市でも横浜市でも同様に取られていて、拠点倉庫2個ぐらいで対応している本市のやり方は現実的ではありません。
 したがって、月隈に一極集中して備蓄するという現在の配置は、他都市に倣って早急に分散配備する必要があるのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次はトイレについてです。
 局長は33万の携帯トイレと簡易トイレなどを合わせて47万回分もあると、だから十分だというふうに答弁されました。能登ではトイレが2日も3日もほとんど機能しなかった。1週間使えなかったところもある。この問題に対する危機意識が本当になさ過ぎます。
 では、具体的に聞いていきます。
 まず、災害発生後から対応がすぐに可能なのが携帯トイレです。避難所内で排せつ場所を確保し、臭気対策を行えば、断水、停電、排水不可でも携帯トイレは有効です。ところが、本市にはその携帯トイレの備蓄は33万回分しかありません。これは3万人の避難者が1日5回の用を足したとして、2日分しかないということなんですよ。日本泌尿器科学会によりますと、トイレの平均利用回数は5回から7回となっており、トイレは1日7回で計算しておく必要があります。また、国の防災基本計画では最低3日間の携帯トイレの活用を位置づけています。そうすると、3万人が1日7回で3日間として、63万回分は必要なわけです。
 お尋ねいたしますが、不十分なあなた方の避難者数の想定でも現在の携帯トイレの総数では間尺に合わず、足りないと思いますが、答弁を求めます。
 次はマンホールトイレについてです。
 水道や下水道が壊れて、避難所のトイレが使えないということも想定される中で、マンホールトイレは学校の校庭や公園などに耐震化された下水管につながる下部構造を構築しておけば、災害直後に上部構造物として便座や囲いを設置するだけで使用が可能です。さらには段差がなくて車椅子や高齢者も使いやすく、し尿はそのまま下水に流せるので、臭いも少なく衛生的であり、国も一番奨励している災害用トイレです。トイレの必要数についても、国際的な人道援助の最低基準を定めるスフィア基準で50人に1つとなっており、本市では500基が必要となります。しかし、本市では現在設置されているマンホールトイレは、小中学校などの地区避難所408か所中、僅か25施設76基しかなく、全然足りません。本市の計画では、今後、小中学校や公民館の新改築や大規模改修時にマンホールトイレを増やしていくというものですが、あまりにも悠長過ぎます。大阪市ではこれまでの地震被災の教訓から、34か所1,450基のマンホールトイレを既に設置しています。見習うべきです。
 そこでお尋ねいたしますが、本市のマンホールトイレは50人に1基というスフィア基準から見て、あまりにも整備が遅れていると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 最後に、体育館のエアコン設置についてです。
 局長は移動式エアコンが役に立つかのように言われますが、机上の空論です。埼玉県は移動式エアコンを実際に体育館に設置する検証実験を行い、外気温と1度から2度しか変わらず、暑いままという結果が出ました。そのときの様子が県議会の議事録にあります。搬入には多くの人員が必要、設置に時間を要する、残念ながら冷房効果はありませんとして、県教育長は体育館へのエアコンの本設置も選択肢に含めていきたいと議会答弁しています。そもそも道路寸断で配備ができない可能性もあります。
 そこでお尋ねいたしますが、移動式エアコンで対応する方針を見直すべきではありませんか、答弁を求めます。
 また、エアコンのある特別教室の使用で対応するとも強弁されますが、障がい者や高齢者を上り下りさせることは非現実的な話ですし、学校再開の場合は使えなくなります。また、収容人数についてはお答えになりませんでした。
 お尋ねいたしますが、障がいを持っておられる人、高齢者にとって特別教室を避難所にするのはあまりにも無理があるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 教育長は1体育館当たりの設置工事費用について6,600万円とお答えになりましたが、やる気になればすぐにでもできることです。文部科学省は災害発生時における地域の避難所としての体育館へのエアコン設置を重要視しています。2025年度までの時限制度として、体育館へのエアコン設置支援制度を補助率2分の1に引き上げ、さらには新たに断熱工事費への補助もそれに入れています。
 そこでお尋ねいたしますが、避難所となる208の小中学校体育館で6,600万円の設置工事を行ったとしても、本市の負担は68億円でできると思いますが、答弁を求めます。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) まず、地域防災計画につきましては、災害時の被害を最小化するため、行政や消防、警察、自衛隊などの公的機関による救助や救護などの公助に加え、自分や家族の命を守る自助や地域住民同士の助け合いによる共助も不可欠でありますことから、自助、共助、公助が一体となった災害に強い共創のまちづくりを推進していくことといたしております。
 次に、地域防災計画や被害想定につきましては、災害対策基本法により市町村の計画は国や県の計画と整合を図ることとされており、地震による被害は市域を超えて広域的にもたらされるものであることからも、今後見直される県の計画との整合を図りながら必要な見直しを行ってまいります。
 次に、国のプッシュ型支援につきましては、大規模災害時には発災当初から物資が緊急輸送されることとなっており、過去の災害においても発災から3日目までには被災地に届いていることから、その実行性は高いものと考えております。
また、段ボールベッドについては、国のプッシュ型支援の一つとして緊急輸送されることとなっており、必要に応じて企業との災害時応援協定も活用しながら確保することとしております。
 次に、公的備蓄については、各小学校に防災倉庫を設置し、避難所で必要となる発電機や照明器具などの資機材を配備するとともに、各公民館に食料、水、携帯トイレなどを備蓄しているところであり、引き続き分散備蓄を進めてまいります。
 次に、災害用トイレにつきましては、現在の備蓄に加え、令和6年度に繰り返し使える簡易トイレを現在の52台から304台に拡大し、発災直後から避難所で使用できるよう各校区の防災倉庫等に2台ずつ配置することとしております。
また、マンホールトイレにつきましては、避難所となる公民館や小中学校などの新築、改築に合わせて整備を行っており、引き続き関係局と連携をしながら整備を進めてまいります。
 次に、避難所の暑さ寒さ対策については、公民館など空調設備がある施設の使用や企業との協定に基づく移動式エアコンの配置などにより、引き続き良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。
 最後に、特別教室の使用については、暑さ寒さ対策や別室での対応が必要な要配慮者の避難スペースとして有効であり、避難所運営職員等による合理的な配慮を行いながら、福祉避難室として柔軟に使用してまいります。また、特別教室での避難生活が困難な要配慮者につきましては、福祉避難所へ移送することといたしております。以上です。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 体育館に空調を設置する場合の市の負担につきましては、文部科学省の試算が小学校規模の体育館を対象としておりまして、中学校規模の体育館に整備する場合は十分でないこと、調査設計費、補強工事費など、別途費用が必要となると見られること、また、体育館の構造や劣化状況によってはさらに追加的な費用が必要となる可能性があることから、御指摘の試算での整備を完了させることは困難と考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) まず、災害避難者数の想定についてです。
 局長は地震の想定も避難者数の想定も、本市の判断で変えるとは言われませんでした。あくまで県が動くのを悠長に待っているという受け身の姿勢です。しかし、県待ちでは手後れなんですね。さらには、局長は災害対策基本法というものを持ち出されて云々と言われましたけど、一体この法律のどこを読んで、あなたはそんな対策を立てているんですか。第42条にこう書いていますよ。市町村自身が毎年検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない、こう定めているではないですか。サボタージュですよ、市町村の、あなた方の。3日付の読売新聞は、能登半島地震を教訓に見直しの動きが各地で広がっていると述べ、全国の市町村に対して、現在の被害想定が地震予測に関する最新の知見を的確に反映しているかどうか点検する必要があると修正を促しています。読まれましたか。私が福岡県に確認したときも、県が示した避難者数などはあくまで参考値であって、実態に合わせて各市町村自身が想定することが前提だと県は述べられました。
 したがって、本市の地震想定について、警固だけでなく、日向峠−小笠木峠及び宇美の2つの断層帯も含めた想定に見直すとともに、本市の避難者数の想定も抜本的に見直すべきではありませんか、市長の御所見をお伺いいたします。
 次に、公的備蓄とトイレの問題です。
 局長は水と食料、また、段ボールベッドについて、国や他市からの支援、民間協定があるから大丈夫というふうに言われましたが、能登を見ればどれもこれも破綻しているんですよ。実際に支援物資は届かなかったんです。届かなければ何にもなりません。必要な数だけ避難所となる施設に分散して備蓄するべきなんです。局長は小中学校や公民館に今備蓄していることを分散と言われましたけど、8割を超えて月隈に置いているのに、残り2割程度しか分散していないのに、これは分散とは言いません。避難者数に対する対応ができていないわけですから。さらに、トイレについては、私が数字を示して必要性を説いたのに、あなた方は全く聞こうともしなかった。何とかなると甘く考えていたら、災害対策は何も進まず、市民の命と健康を守れない事態となりますよ。
 そこで、市長にお尋ねいたしますが、月隈の収蔵庫にほとんどの備蓄品を集中させている状況から、各小学校などを基本とした公的備蓄の分散配置に切り替えるべきだと思いますが、答弁を求めます。
 また、水や食料、段ボールベッド、携帯トイレは現状では全く足りず、抜本的に増やし、マンホールトイレも大幅に増設するべきだと思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 次に、体育館のエアコン設置についてです。
 局長は移動式エアコンと特別教室の使用で対応すると強弁されました。つまり、どうしても体育館にエアコンを設置したくないということですか。しかし、それでは避難者の命と健康は守れません。今、全国で先を争うように小中学校の体育館へのエアコン設置が始まっています。東京都の23の特別区では既に17区で設置率100%、東京都全体でも82.1%です。大地震を経験している神戸市では80%、さいたま市でも2025年度までに100%設置される計画です。本市も見習うべきです。教育長は68億円あれば本市の全小中学校の体育館へのエアコン設置ができるという私の試算を困難だと言って否定されました。福岡西方沖地震を受けて、本市は153億円の事業費をかけて学校の耐震化計画を実施しました。しかも、当初計画を大きく前倒しもし、3年余りで完了させたのです。国からの助成もあったので、当時の市の持ち出しは80億円前後でした。それと比較すれば、体育館へのエアコン設置も財政の問題ではなく、やる気の問題です。
 そこで、市長にお尋ねいたしますが、避難所となる全ての小中学校の体育館に一気にエアコンを設置すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 最後に、本市の防災の考え方についてです。
 局長は自助、共助、公助が一体となったという言い方で、公助を自助、共助と同じ程度のものにとどめ、事実上、後回しにしようとする答弁をされました。本市は西方沖地震を受けて防災対策の一定の手直しを行いましたが、それ以後に全国で起きた地震は、それでは到底済まないことを示しています。能登半島地震では家屋の倒壊が7万棟近くという未曽有の規模に達し、死者の9割が住宅倒壊による圧死を原因とするものでした。本市でも耐震化がなされていない住宅は依然10万棟もありますが、本市の耐震補助制度は極めて貧弱で、その利用も年に数えるほどしかありません。この現状を自己責任として放置しないために、補助を抜本的に増やし、耐震化を急速に進めることこそ市長の第一の責任です。自助や共助では限界があります。
 したがって、本市は自助、共助を前提にした防災計画を公助を第一にしたものに見直すとともに、それにふさわしく災害対策関連予算を大幅に増やすべきだと思いますが、市長に答弁を求めて、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 令和6年能登半島地震では甚大な被害が発生しており、この状況を踏まえて、福岡市の防災、減災対策の強化を図っていくことが重要であると考えております。このため、国や県の計画の修正等を踏まえ、地域防災計画の見直しを行い、トイレなどの公的備蓄の拡充、各校区への分散備蓄などを進めるとともに、避難所の暑さ寒さ対策として空調設備がある施設の使用や移動式エアコンの設置など、良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、自助、共助、公助が一体となった災害に強い共創のまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時44分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助)登壇 私は自由民主党福岡市議団会長の伊藤嘉人議員の代表質疑を補足して、宿泊税について、学校舎、学校施設の建て替えについて、路上喫煙対策について、以上3点について質問をしてまいります。
 初めに、宿泊税についてです。
 観光振興は様々な目的を有する旅行者の来訪及び交流を促進するものであるとともに、幅広い産業に波及効果があり、ひいては福岡市経済の活性化に寄与し、市民にも恩恵をもたらすものであると考えています。また、観光振興がもたらす人と人との交流は、ビジネスチャンス、そして、イノベーションなど、新たな価値を生み出すとともに、福岡市の知名度の向上にもつながるものでありますが、持続可能な地域社会づくりの観点からは、市民が自分たちが生活している地域への帰属意識を堅持し、そして、市民としての誇りと愛着を持つことができる地域社会の発展を通して観光振興を推進することが重要であると考えています。
 世界的に持続可能な観光振興の在り方が注目される中、福岡市においても、旅行者が安心して、そして、安全かつ快適に過ごすことができる環境づくりはもちろんのこと、市民生活との調和に配慮した観光振興が最も重要であり、福岡市ではこれらを背景とし、福岡市が講ずべき観光、そして、MICE施策とともに、その財源として宿泊税を課すると規定された福岡市観光振興条例が議員提案により平成30年9月に成立し、その後、令和元年6月に宿泊税条例案が提出され、議会で可決されました。また、条例の可決を受け、総務省との協議の際においては、福岡市は約18億円の宿泊税収を見込んでいたよう私は記憶しております。
 そこでまず、宿泊税が導入された令和2年度から4年度決算額、5年度最終予算額及び6年度当初予算額の税収についてお尋ねをいたします。
 また、令和元年度において当初見込んでいた18億円に対し、この間、新型コロナの影響などもあり、乖離が発生しているものと考えられますが、その要因についてどのように分析しているのかをお尋ねいたします。
 次に、この宿泊税を財源として、これまでどのような施策に取り組んできたのか、お尋ねをいたします。
 次に、学校舎、学校施設の建て替えについて伺ってまいります。
 これに関しては、教育委員会が昨年の6月議会において報告を行っておりますが、本市のアセットマネジメントの方針との整合性について確認するとともに、今後、子どもたちの人数が減少に向かうことを十分に踏まえ、学校施設の建て替えが将来に向かって、より効果的で最適化された事業として実施していければという思いで質問をさせていただきたいと思っています。
 まず、学校施設の建て替えの最も基本的な考え方ですが、築年数の古い学校から順次、学校や地域と建て替えに向けた協議に着手するとしています。一つ一つの学校の築年数が古い順に建て替え協議に入るというのは、ハードだけで見ると一定の理解はできますが、将来的には子どもが少なくなり、学校規模の縮小や統廃合といったことも考えて、学校施設の在り方を考えていく必要が出てくるのではないか。すなわち、統合する学校もあれば、また、される学校もあるということになります。これらの学校に対して、従前の建物を一律に同じような規模で建て替えていくのではなく、地域の実情に即した形で建て替えが行われるべきと私自身は考えており、当局の考え方を一つ一つ確認させていただきたいと思います。
 まず、学校数や築年数の状況と、これまでの学校施設に対する老朽化対策として教育委員会が行ってきた大規模改造工事や外壁改修、便所の改修などに要した過去5年間の費用をお尋ねいたします。
 次に、本市全体の行政施設の老朽化対策については、市民が市有建築物を安全、安心に利用できるよう維持し、良質な公共サービスを持続的に提供していくことを目的とした福岡市アセットマネジメント基本方針が平成20年に策定され、基本方針に基づく各施設の取組などをまとめた福岡市アセットマネジメント推進プランにより、現在、全庁的にアセットマネジメントに取り組んでいる状況であると認識をしています。当然ながら、市有建築物全体の長寿命化計画に基づき、学校施設も建て替えを推進していくものであると思っております。
 そこでお尋ねですが、市有施設全体のアセットマネジメントの考え方と学校施設の長寿命化の考え方が整合しているのかをお示しください。
 また、学校施設以外の市有施設に目を転じると、市営住宅、博多区役所などは建て替えを実施している中、学校についてはこれまで建て替えが進んでいない状況であるとも認識はしております。
 子どもたちの良好な教育環境を確保するため、学校施設の適切な保全を図りつつ、建て替えも着実に進めていかなければならないと考えますが、学校施設における今後の長寿命化と建て替えの基本的な考え方についてお示しください。
 次に、路上喫煙対策について質問をいたします。
 人に優しく安全で快適なまち福岡をつくる条例、通称モラル・マナー条例は、自分たちのまちは自分たちでつくるという住民自治の精神に立ち返り、市民及び事業者自ら歩行中の喫煙、そして、ポイ捨て防止等に対し、主体的にモラル・マナーの向上に取り組み、都市としての品格を保ち、安全で快適なまちをつくることを目的として、議員提案条例として平成14年12月に成立し、翌15年の8月から施行されています。このモラル・マナー条例では、市内全域での歩行中及び自転車乗車中の喫煙の禁止を努力義務として定め、さらに、この条例に基づき、周囲の人々が、特に小さな子どもがたばこの火でやけどを負うなどの被害を防止することを目的として、特に人通りの多い天神・大名地区及び博多駅周辺地区を路上禁煙地区に指定しているところです。まちなかでは、歩きたばこを以前と比較すれば見かけなくなったようにも感じていますけれども、それでもやはり、一部のマナーを守らない人たちがまちなかでたばこを吸っている現状はあるようです。特に公園ではたばこの吸い殻が散見され、一度、我々たばこを吸う議員で吸い殻ば拾いに行ってみようかとも考えたくらいです。私はたばこを吸う一人の市民ではありますが、まちなかなどでたばこがポイ捨てされているのを見ると、同じたばこを吸う者として情けなく思います。喫煙ルール、マナーを守らない一部の喫煙者の行為で、喫煙者全員に対しよくないイメージを抱かれることにもなりますので、ルールを守れない者には襟を正してもらわないといけないと思っています。条例が施行されてから20年が経過しています。この間、健康増進法の改正や外国人観光客をはじめとした来訪者の増加など、喫煙を取り巻く環境の変化もあり、たばこの火の危険防止だけでなく、受動喫煙やたばこのポイ捨てへの対応も含め、路上喫煙防止を考えていく必要があるのではないかと思っています。
 そこで、モラル・マナー条例施行以降、路上喫煙対策としてどのようなことに福岡市は取り組んできたのか、その成果と併せてお尋ねをいたします。
 また、たばこの吸い殻のポイ捨てに関する市民アンケートについて、10年前と比べて最新の令和5年度の市民アンケートの結果についても、お尋ねをいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 宿泊税についてお答えいたします。
 まず、宿泊税収の推移につきましては、令和2年度決算が約6億9,000万円、3年度決算が約11億1,000万円、4年度決算が約19億1,000万円、5年度最終予算が約25億9,000万円、6年度当初予算が約28億8,000万円となっております。
 次に、当初見込んでいた宿泊税収との乖離につきましては、令和元年度に総務省と協議した際、宿泊税収を約18億円と見込んでおりましたが、導入直後の2年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、想定していた税収見込みを大きく下回りました。その後、令和4年10月からの水際対策の緩和や5年5月の5類感染症への移行などを経て、4年度決算では当初見込みの18億円を上回り、さらに、6年度当初予算では約29億円を計上しているところでございます。この主な要因といたしましては、観光振興に向けた様々な施策により外国人入国者などの観光客数が増加するとともに、宿泊施設数が増加したことなどによるものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 宿泊税についての御質問にお答えいたします。
 福岡市では、観光・MICE推進プログラムに基づき、九州のゲートウェイ都市機能強化、MICE都市としてのプレゼンス向上、地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興の推進の3つの柱に沿って宿泊税を活用した施策を推進しているところでございます。具体的には西日本・九州の自治体等と連携した広域観光の推進のほか、大規模国際会議など都市のプレゼンスの向上につながる質の高いMICEの誘致、博多旧市街エリアや志賀島地区、北崎地区における自然や歴史、伝統文化を生かした地域の魅力向上などに取り組んできたところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校舎、学校施設の建て替えについての御質問にお答えいたします。
 学校数や築年数の状況につきましては、令和5年度の時点で、229校のうち築60年以上の建物がある学校数は35校でございます。過去5年間の大規模改造工事や外壁改修などに要した費用につきましては、平成30年度が47億599万円余、令和元年度が49億7,425万円余、2年度が25億2,191万円余、3年度が93億8,409万円余、4年度が76億4,987万円余でございます。
 次に、市有施設全体のアセットマネジメントの考え方との関係性につきましては、アセットマネジメント基本方針において、予防的な改修による施設の長寿命化とともに、長期的な視点に立った計画的な改修、改築を実施し、投資の平準化を図るとされております。令和2年3月に策定いたしました学校施設長寿命化計画においても同基本方針との整合を図っておりまして、長寿命化を図ることでライフサイクルコストの縮減に努めながら、計画的に建て替えを行うこととしております。
 次に、今後の長寿命化と建て替えの基本的な考え方につきましては、築20年目、40年目、60年目に改修を行い、予防保全の取組を強化するとともに、機能の向上を図ることで目標使用年数を築80年といたしております。一方で、今後、学校施設は一斉に更新時期を迎えることから、国庫補助を活用できる学校は築80年を待たずに、原則築年数の古いものから建て替えに取り組み、事業の平準化を図っていくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 路上喫煙対策についての御質問にお答えをいたします。
 条例施行後の取組につきましては、モラル・マナー推進指導員による巡回指導や路面標示、街頭ポスターや街路灯バナーの掲出、また、市政だより、ラジオ放送やデジタルサイネージ、地下鉄駅構内放送などの広報、啓発を行っております。その結果、歩行喫煙率は条例施行前の平成15年度の3.09%から令和5年度は0.03%と改善をいたしております。
 次に、たばこのポイ捨てに関する市政アンケートの結果については、悪いまたはどちらかというと悪いと回答された方の割合は平成26年度が69.9%、令和5年度が53.2%と16.7ポイント改善いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) それでは、2問目に入ります。
 まず、宿泊税についてですが、税収が回復してきていること、それと、周遊観光の推進、博多旧市街エリアの魅力向上など、誘客や受入れ環境整備に取り組まれてきたということが分かりました。また、外国人入国者数が増加しているとのことですが、実感としても最近では市内で外国人観光客を見かける機会が増えたように感じています。
 そこで、令和元年から直近までの福岡空港とクルーズ船を除く博多港からの外国人入国者数の推移をお尋ねいたします。
 観光客の増加に伴い、これからはオーバーツーリズム対策や観光客のマナーアップ施策がますます重要になってくると思っています。現に交通機関等でマナーを守らない、特定の観光地または飲食店に人が集中するなど、市民生活に影響が出てきています。特に地下鉄七隈線においては、博多駅まで延伸したことなどに伴い、観光客の利用も増え、なおかつ空港線と比較すると車両が小さいことから、車内の混雑具合が高くなっているように私は感じています。そもそも七隈線を整備した経緯は、西南部地域の交通渋滞の緩和、それと、利便性の高い公共交通体系の確立などが目的であったと記憶をしています。確かに博多駅までつながったことで便利にはなったけれども、同時に、観光客の利用が増え、車内での飲食、それと、大声での会話など、マナーが守られないことで市民が不快に感じることがあってはならないと私は考えます。
 地下鉄駅構内や車内における外国人観光客へのマナーの徹底が必要であると考えていますが、御所見をお願いいたします。
 それとあわせて、外国人観光客へのマナー啓発については、公共交通の利用に限らず、日本のルールはこうなんだと、福岡のルールはこうたいということを周知徹底できるような観光関連事業者と連携した取組が必要だと感じています。また加えて、外国人観光客に対しては、在日外国人が自家用車で有償送迎等を行う、いわゆる白タクと疑われる行為も発生していると聞いています。実際、発生しています。安全、安心の確保の観点からも、関係機関と連携し、対策を講じるべきであると考えます。
 そこで、外国人観光客へのマナーなどの啓発について、これまでどのような施策に取り組んできたのか、今後どのような施策に取り組んでいくのかをお尋ねします。あわせて、予算額の推移もお尋ねいたします。
 次に、学校舎、学校施設の建て替えについてですが、先ほどの答弁内容から市全体の方向性と学校施設の長寿命化と建て替えの考え方が一致していることは一応は理解しました。学校施設は築80年を目標に使用していく長寿命化を基本としながら、国庫補助が活用できる学校は築80年を待たず建て替えに着手し、古い学校の建て替えを一定数前倒しすることで財政負担の平準化を図る仕組みをつくり、今後の学校施設の一斉更新到来時期を乗り切ろうとしていることも理解はできました。
 では、今年度から本格的に建て替えの協議に着手していくとのことでしたけれども、現在、実際に学校や地域とどのような建て替え協議を進めているのか、建て替えの具体的な進め方をお示しください。
 また、子どもの数が少ないなどの課題がある学校は、そのまま建て替えに着手するのではなく、適切な教育環境を確保していくという視点から、将来の学校の在り方をしっかり検討した上で建て替えを進めていくことが必要だと思っています。令和5年、昨年の12月議会において総務企画局より福岡市の将来人口推計が示され、福岡市における総人口のピークは2040年、令和22年頃で約170万人に達するが、一方で、年少人口、ゼロ歳から14歳の人口は既に減少傾向にあるとされています。
 そうした中、今後の建て替えに当たり、小規模校への対応はどのように考えているのか、お尋ねをいたします。
 老朽化による建て替えは終わることがないと思っています。しかしながら、今後も建て替え整備に多額の費用を要することになるが、子どもたちの安全や教育環境を維持していくためには必ず必要な費用となると思っています。特に古い校舎に関しては待ったなしの状況で、しっかり建て替えを実施していかなければならないと思っております。しかしながら、子どもが少ない学校に関しては、建て替えを判断する前に統廃合という選択肢についても議論を行う必要があり、将来的には必要不可避の議論であると思っています。統廃合を行うことで、施設の有効活用や跡地の活用による財源確保及び財政負担の軽減も図ることができると思っています。
 そこでお尋ねですが、財源確保の観点から、建て替えにおける国庫補助の活用や統廃合による跡地活用の考え方についてどのように考えているのか、お示しください。
 次に、路上喫煙対策についてです。
 そもそも福岡市では、喫煙者が減少していることもあると思いますが、モラル・マナー条例に基づき、路上喫煙対策の取組が進んできたこともあり、一定の成果が出ていると思っています。私も歩きながらたばこを吸っている人をほとんど見かけないように思います。一方で、吸い殻のポイ捨てに対する市民の意識は改善しているとはいえ、まだ市民の半数以上は満足していないということであり、不快に思っている市民も多いとのことです。先ほども申し上げましたが、最近では外国人観光客が増えており、観光客のマナーアップも重要であります。観光客の中には、歩行中かどうかにかかわらず、路上でたばこを吸っている人を見かけるという話を聞くことがあります。路上での喫煙にしても、たばこのポイ捨てにしても、ルールやマナーを守らない人たちがいるのであれば、規制を強めていくことが必要だと考えています。しかしながら、望まない受動喫煙が生じないよう周囲の状況に配慮されている限り、屋外でたばこを吸うことに法的な制約はないということも忘れてはなりません。健康増進法により公的な施設や屋内での喫煙が制限され、屋内ではほとんど吸える場所がなくなり、かといって屋外でたばこを吸える場所を見つけるのは愛煙家として一苦労です。喫煙を取り巻く環境の変化に伴い、規制を強化するに際しては、たばこを吸う権利も尊重しながら、かつたばこを吸わない人に対して不快な思いを抱かせない、両方ともに納得できるような方策を考えていく必要があると思います。そのような環境整備を行っていくためには、たばこに課税されるたばこ税を活用してもいいのではないかというよりも、活用すべきだと思っています。私は喫煙者なので、それなりにたばこ税も納めています。たばこ税は購入金額の約6割が税金となっています。1箱600円のたばこを購入した場合には360円が税金です。喫煙者として、たばこ税の納税者の一人として、たばこ税が喫煙者にきちっと還元されるような施策に取り組むべきではないかと思っています。
 そこで、福岡市における地方たばこ税の税収について、直近の決算額をお尋ねします。また、福岡市は政令市の中で地方たばこ税の税収が何番目に多いか、お尋ねをいたします。
 あわせて、地方たばこ税の確保に資するため、屋外分煙施設の整備に係る文書が総務省から出されていると思いますが、その内容についても、お尋ねいたします。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 宿泊税についての御質問にお答えいたします。
 まず、福岡空港及びクルーズ船を除く博多港からの外国人入国者数については、令和元年が約223万2,000人、2年が約27万5,000人、3年が約6,000人、4年が約40万2,000人、5年が約275万7,000人でございます。
 次に、外国人観光客へのマナー啓発の取組については、外国人観光客のマナー問題は主に文化や習慣の違いにより生じていることから、場面に応じたマナーやルールを周知することが重要であると考えております。このため、外国人観光客に対し、歩きたばこの禁止やトイレの適切な利用方法などについて啓発映像やステッカーを多言語で作成し、外国人観光客向け観光情報サイトのほか、交通拠点や商業施設などで周知しているところでございます。今後も外国人観光客がマナーを理解し、適切に観光地を訪問するよう、観光関連事業者や国などとも連携し、引き続きマナー向上に向けて取り組んでまいります。なお、マナー啓発に関する予算額といたしましては、令和5年度は886万6,000円で、6年度は894万5,000円をお願いしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小野田交通事業管理者。
○交通事業管理者(小野田勝則) 外国人観光客へのマナーの周知につきましては、文化の違いなどを御理解いただき、全ての地下鉄利用者が快適に利用できるように広報に努めております。今後、駅構内、車内における案内の多言語化に取り組むとともに、外国人向けガイドブックの充実を図ってまいります。また、玄関口となる福岡空港駅などにおいて、デジタルサイネージを活用した広報の強化を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校舎、学校施設の建て替えについての御質問にお答えいたします。
 建て替えの具体的な進め方につきましては、原則、築年数の古い学校から順次、地域や保護者などと建て替えに向けた協議に着手し、その際、小規模校などの課題への対応も含め、合意ができた場合には建て替えの計画に着手していくこととしております。なお、同じ中学校区の小中学校が同時に建て替え対象となっている場合、中学校から先に建て替えることで児童生徒の負担軽減に配慮してまいります。
 次に、小規模校への対応につきましては、学校規模適正化に関する実施方針に基づき、地域や保護者などと協議を行いながら、学校の統合、通学区域の変更などの中から校区の実情を踏まえた取組を行ってきたところでございます。近年では平成24年度に住吉小と美野島小の2校を、平成26年度に大名小、簀子小、舞鶴小の3校をそれぞれ統合し、施設一体型小中連携校を整備いたしております。今後とも、学校施設の建て替えを契機として、地域などと課題を共有し、しっかり協議しながら統合や通学区域の変更などを検討してまいります。
 次に、国庫補助の活用につきましては、学校施設の建て替えに当たっても、今後多額の費用が必要となるため、国の交付金を活用することとしております。また、学校跡地につきましては、これまで旧大名小などにおいて貸付けや売却をしており、今後も関係局と連携し、財源確保に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 路上喫煙対策についてお答えいたします。
 福岡市における市たばこ税につきましては、直近の令和4年度決算額が約129億円で、20政令市中、多いほうから5番目となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 路上喫煙対策についてお答えをいたします。
 総務省の文書の内容につきましては、屋外分煙施設等の整備の促進については、望まない受動喫煙対策の推進や今後の地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保を図るため、駅前、商店街、公園などの場所における公共または民間の屋外または屋内の分煙施設の整備が考えられることから、屋外分煙施設等のより一層の整備を図るため、地方たばこ税の活用を含め、必要な予算措置を講ずるなど、積極的に取り組んでいただきたいなどとされております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部真之助議員。
○10番(阿部真之助) それでは、3問目に入ります。
 まず、宿泊税についてですが、外国人観光客へのマナー啓発などの取組について、これまでどのように取り組まれてきたか分かりました。宿泊税の導入については、コロナ下における施行となったから、まずはコロナによって失われた観光、そして、MICE需要の回復のために、国内外へのプロモーションや観光資源の磨き上げなどの誘客に力を入れてきたかと思います。コロナ下においては、国の水際対策等によりインバウンド観光客の受入れが一定程度制限されたため、文化の違いによるマナーの問題は顕在化していなかったと思っています。しかしながら、国内外の観光客が回復をする中で、外国人観光客のマナーの問題が、我が福岡市だけでなく、ほかの都市でも顕在化してきていると思っています。観光振興は地域経済や市民に恩恵をもたらすべきものであって、観光客の増加によって市民生活に影響が及ぶことがないよう、外国人観光客へのマナーの啓発などの施策にさらに取り組むなど、観光客も守るべきルールは守ることで、来るほうも気持ちよく過ごせて、受け入れる側も気持ちよく迎えられる、そういった環境づくりが必要ではないかと思っています。
 今後の観光振興においては、量から質、単なる誘客から地域や市民生活と調和をすべき、そして、持続可能な観光振興へ軸足を移していく必要があると考えております。そういった取組に宿泊税を活用していくべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、学校舎、学校施設の建て替えについてですが、先ほどの御答弁の中では各学校における建て替え協議の具体的な進め方をお聞きしまして、ただ単に現在の規模で建て替えを行っていくわけではなく、それぞれの校区において地域に入り、そして、将来の学校の在り方を協議されていく姿勢を示していただいたと思っています。建て替えを契機として、校区の将来を学校と地域がしっかり話し合う、そして、最適化された学校の建て替えが実施されると思っています。将来に向けた建て替えの計画を、今の子どもたちが学校生活を送っている中で計画していかないかんという状況ですから大変だと思います。一方、それぞれの校区、学校にそれぞれの思いがあると思っています。市全体の財政負担を考えると、対応できない要望なども多分あるでしょう。しかしながら、国庫補助はもとより、跡地活用を含めた財源を確保しながら持続可能な建て替え事業を推進していただければと思っています。
 全国の公立学校施設と同様に、本市においても、第2次ベビーブーム世代の増加に伴い、昭和40年代後半から50年代に建設されたものが多く、学校の施設が今後一斉に更新時期を迎える時期に差しかかっています。全市的には児童生徒数が減少する中、建て替えを実施していくだけでも難しい状況でありますが、人口減少が見込まれる一方で、地域によっては児童生徒数が飛躍的に増加している校区もあり、これまでも我々が経験したアイランドシティ地区、それと西都地区では局地的に子どもの数が増加して、新しい小学校が建ったら、次の年には次の小学校が建つみたいなですね、そんな議論をした経緯があります。
 そこでお尋ねをいたしますが、まず、そもそも福岡市は他の政令市と比較をして、児童生徒数に対する学校の数が多いのか少ないのか、それをお尋ねいたします。
 また、今後は建て替えも含め、将来の人口減少を見据えて、それぞれの校区の状況に応じた対応が求められていると思っています。
 将来の人口減少が見えている中で、児童生徒数が増加する地域や減少する地域があるとは思いますが、それぞれの状況に応じてどう対応するのか、方向性をお示しください。
 また、中期的に見ると大幅に増加した子どもの数が減少に転じ、大きく整備した施設があまり使われなくなったり、長期的に見ると不要になり、そして、閉校しなければならない時期が到来することが見え始めていると私は思っています。
 そこでお尋ねですが、将来、学校が閉校した場合、他施設へ転用しやすい造りとなるよう整備をすべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 将来、子どもたちの数が減っていくということが分かっていれば、それを踏まえて子どもたちの教育環境をしっかり確保しつつ、学校規模を最適化していく視点が重要であります。また、他用途への転用の視点もこれからの建て替えにおいては大事な視点と考えます。学校の建て替えについては、ただ校舎が古いということだけで、そのまま同規模で建て替えるということではなく、将来的な人口動態を踏まえ、地域における学校の在り方を十分に地域と協議をし、これからの学校施設づくりを進めていただきたいと切にお願いしたいと思います。
 最後に、学校は地域にとっては大切な子どもたちの学びやであるとともに、地域コミュニティの核でもあります。日々の地域活動や交流、スポーツの場であり、非常時には命をつなぐ避難所でもあります。学校の建て替えは地域コミュニティの在り方にも関わるかなり難しい課題であり、地域としっかり議論をし、必要に応じ、部局を横断して取り組んでいかなければならない大きなテーマだと思っています。
 そこで、学校施設の建て替えは、将来の人口減少が見えている中で、地域コミュニティやまちづくりなどの観点も含め、学校施設の在り方を多角的に検討していく必要があると考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
 次に、路上喫煙対策についてです。
 福岡市では約129億円もの地方たばこ税の税収があるということです。政令市の中でも5位ということで、トップクラスに税収が多いということは、それだけ喫煙者が多いし、たばこ税を納めている人も多くいるということを示していると思います。総務省からの文書には、屋外分煙施設の整備に、地方たばこ税の活用を含め、積極的に取り組んでいただきたいと書いてあった。たばこを吸う人にとっても、たばこを吸わない人が不快な思いを抱くことがないように、たばこ税の活用を図っていくべきであると考えています。外国人観光客の喫煙マナーは、それぞれの国のルールが異なることから、路上でたばこを吸ってはいけない区域があるということを分からずに、たばこを吸っているケースが少なくないと思っています。観光客に喫煙マナーを周知徹底することも必要だと思います。冒頭に申し上げたように、モラル・マナー条例の施行から20年が経過し、その間、健康増進法の改正など、喫煙を取り巻く環境の変化もあり、市民の関心はたばこの火の危険防止は当然のこととし、受動喫煙やたばこのポイ捨てに厳しい目が注がれています。確かにまちなかで歩きたばこをしている人は減っているかもしれません。しかしながら、いまだに喫煙ルール、マナーを守らない喫煙者がいることも歴然とした事実です。そのような一部の喫煙者の行為で喫煙者全員のイメージが大きく損なわれる。このことはたばこを吸う者として残念でなりません。本市は、住みやすい、そして、住み続けたいということで高く評価をされております。大変誇らしいことではありますが、中身を見ると、市民のマナーに対する満足度はまだまだ低く、たばこのポイ捨てもその一因になっています。今こそ路上喫煙対策を強化していかなければならないと思います。そして、路上喫煙対策は、たばこを吸う人、吸わない人、両者の利益を考える必要があると強く思っています。規制を強化するには、喫煙者のためにもたばこを吸える場所を確保していく必要もあります。路上喫煙防止に取り組んでいくためには、両者が納得できる形での施策の充実、そして、たばこ税の活用の仕方を考えていかなければなりません。
 そのような状況も考慮して、今後、路上喫煙対策に取り組んでいくに当たっては、現在の路上禁煙地区の区域や喫煙所で十分なのかという観点を踏まえ、全市域での路上喫煙の状況を把握し、そして、その上で福岡市から路上喫煙を一掃するぐらいの覚悟を持って路上喫煙防止に取り組んでいくべきと思うが、所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 宿泊税についての御質問にお答えいたします。
 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし、消費を拡大することが観光関連産業をはじめとした市内経済の活性化に重要であると認識しております。一方で、阿部議員御指摘のとおり、来訪者の満足度を高めるだけでなく、外国人入国者が回復している現状を踏まえ、市民生活への影響に配慮していくことも重要であると考えており、宿泊税を活用した外国人観光客のマナー改善に関する取組を始めたところでございます。今後も地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興に向けた取組を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校舎、学校施設の建て替えについての御質問にお答えいたします。
 まず、児童生徒数当たりの学校数につきましては、本市は他の政令市と比較しますと、小中学校ともに少ない状況にございます。
 次に、将来の人口減少を踏まえた対応につきましては、一部の地域においては住宅開発により児童生徒数の増が見込まれており、そうした地域では分離新設や増築などの検討を進める一方で、小規模化が進行する学校については、建て替えを契機として地域や保護者などと丁寧に協議を行い、統合や通学区域の変更などの検討を行うなど、地域ごとにその実情に応じた適切な対応を行ってまいります。
 次に、将来的な他の施設への転用につきましては、学校施設は一般的に転用しやすい施設であり、全国的にも廃校を福祉施設などに転用する事例も多く、福岡市においても、これまで旧大名小や旧住吉中の校舎を事務所などに転用いたしております。今後の新設、建て替えに当たっても、児童生徒が利用しやすい施設であることを基本に、他の施設への転用の可能性も視野に、バリアフリーにも配慮され、シンプルで利用しやすい施設整備を進めてまいります。
 次に、将来の学校施設の在り方につきましては、児童生徒の良好な教育環境を確保していくことを前提としつつ、学校に地域コミュニティ活動の場や災害時の拠点としての役割があることなども踏まえ、多角的に検討していく必要があると考えております。このため、建て替えに当たっては、校区の実情を踏まえつつ、関係局とも連携し、持続可能な教育環境の整備に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 路上喫煙対策についてお答えをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の5類化後、海外からの観光客をはじめとして来訪者が増え、人流が活発化している状況を踏まえ、来訪者にも分かりやすい標示の整備や路上喫煙防止の広報、啓発の充実を図ってまいります。また、市内の路上喫煙の実態を把握し、禁煙区域の見直しや喫煙所の整備を含め、効果的な路上喫煙対策について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎)登壇 公明党の堤健太郎でございます。初めに、本年元日に発災した能登半島地震により犠牲となられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、御遺族や被災された皆様、いまだ避難生活を余儀なくされている方々に心よりお見舞い申し上げます。一日でも早く安心した生活が戻ることを願い、質問に入らせていただきます。
 私は公明党福岡市議団を代表し、大石修二議員の代表質問を補足し、防犯灯などの道路占用許可申請のオンライン化について、孤独、孤立問題を踏まえた地域福祉の推進について、こどもまんなか社会の実現を見据えた若者支援の拡充について、以上3項目質問いたします。
 初めに、防犯灯などの道路占用許可申請のオンライン化について伺います。
 本市では、市民生活や都市活動を支える基盤である道路の整備計画について、おおむね4年間を推進期間とする福岡市道路整備アクションプランを策定しています。その最終年度である令和6年度は、道路整備に関する施策の推進に、より一層取り組んでいただきたいと思います。
 そのビジョンの一つで「市民のくらしを守る道づくり」の主要施策に、地域が設置する4万4,000灯を超える防犯灯に対して、市による賠償責任保険の一括加入及び補助金を活用した防犯灯のLED化を促進するとされていますが、そこでまず、直近の防犯灯LED化率と来年度までのLED化率についてお尋ねいたします。
 防犯は地域の主要課題の一つで、夜間パトロールや通学路での子どもたちの見守りなどは、安全、安心なまちづくりのための重要な活動ですが、自治会の方々に地域の防犯灯について伺うと、補助金の申請や道路占用許可申請などの事務的な負担もあるとの声を聞きます。
 そこでお尋ねですが、本市において防犯灯に関する設置や維持管理はどのようになっているのでしょうか。また、補助金については来年度から増額改定されるようですが、本市の補助金制度の概要、また、補助金に係る令和6年度予算額についてもお伺いいたします。
 特に道路占用許可については、その手続の煩雑さから各地域における占用申請がうまく進んでいないということも聞きます。
 そもそも道路占用許可は一般的にどのような場合に必要となるのか、お答えください。あわせて、防犯灯の占用許可期間はどの程度なのか、また、防犯灯の占用に占用料がかかるのか、お尋ねいたします。
 先日、ある町内会長より防犯灯の占用許可についてお話を伺った際、数年前に初めて防犯灯の道路占用許可申請を行ったことをお聞きしましたが、福岡市全体として占用許可を受けていない防犯灯がまだ多くあるのではないかと思います。
 そこで、これまで道路占用許可申請の促進のため、本市としてどのような対策を行ってきたのか。その結果、道路占用許可を受けている防犯灯の直近の数と過去の数値を比較し、割合がどう変化したのか、お尋ねいたします。
 また、防犯灯に限らず道路占用許可申請においては、何度も区役所などの窓口に足を運ばなくてはならず、申請者にとって大きな負担になっているのではないでしょうか。
 そこで、申請から許可書の受け取りまで、申請者が直接窓口に行かなければならない回数についてお尋ねいたします。
 次に、孤独、孤立問題を踏まえた地域福祉の推進について質問いたします。
 本市の将来人口推計によると、さらなる人口増加に伴い、2040年には人口約170万人のピークに達し、世帯数も核家族化や高齢化によって2020年の約83万世帯から2040年には約108万世帯に増加、そのうち、高齢者や若者を含む単独世帯は約67万世帯との推計結果を発表しました。今も既に超高齢社会に突入し、10年前と比べ、世帯構成などが大きく変化してきた結果、孤独、孤立と言われる社会的問題がコロナ禍でさらに顕在化しました。その一つにごみ屋敷という問題がありますが、先日、ある自治会長から、このごみ屋敷について御相談をいただきました。本市も現在、孤独、孤立がもたらす社会問題の解決に向け、様々取り組んでいますが、今後より一層、地域と連携、協働しながら進めていくべきとの観点で質問してまいります。
 そこでお尋ねいたしますが、本市におけるごみ屋敷に関しての苦情や相談などの件数についてお示しください。また、世帯の状況や年齢層、地域との関わりなどの把握状況についてもお伺いいたします。
 この課題解決には2つの側面があると思います。1つは地域に影響を与えるためその地域の生活環境の改善を図るという側面と、当事者本人の生活環境を改善していく側面であります。
 そこでお尋ねしますが、それぞれの対応について本市ではどのように取り組まれているのか、お伺いいたします。また、実例もあればお示しください。
 ごみ屋敷問題には、様々な要因によって社会とのつながりを持てずに近隣や地域との交流がなくなってしまった結果、孤独、孤立状態に陥ってしまう傾向があります。昨年、国で孤独・孤立対策推進法が成立し、本年4月からの施行となる同推進法の基本理念に、孤独、孤立は人生のあらゆる段階で誰にでも生じ得るものであり、当事者の問題は社会全体の課題であると明記されたことは重要な意義を持ちます。今後、国や各自治体がどのように支援を取り組んでいくのかがますます重要になってきますが、中でも基盤となる取組は支え合い、助け合いの地域づくりであると考えます。
 そこで、現在の本市における孤独、孤立に関連する支援について、地域福祉推進の観点からどのような施策があるのか、お尋ねいたします。
 また、孤立した方を見守り、支援につなげるため、本市はどのような見守りの取組を進めているのか、お伺いいたします。
 さらに、本市では地域共生社会の実現に向け、地域共生推進員を福岡市社会福祉協議会に配置していますが、地域共生推進員はどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。
 次に、こどもまんなか社会の実現を見据えた若者支援の拡充について質問いたします。
 本市では、今年度スタートしたこども誰でも通園制度のモデル事業を来年度から、国の基準を超えて最大月40時間の預かりが可能となるなど、島市長の強いリーダーシップの下、子育て支援が大前進しようとしている一方で、コロナ禍で一層進んだ少子化に加え、貧困や虐待、いじめ、不登校など、子どもを取り巻く問題は複雑化しており、子どもや若者、子育て家庭を社会全体で支える取組が求められています。昨年12月、今後5年間の子ども、若者政策の基本方針を定めたこども大綱が閣議決定されました。このこども大綱には、18歳を超える青年期や、施策によっては39歳の方まで含まれます。子ども政策を国の中心にした、こどもまんなか社会を実現するため、子ども政策に関して自身の意見が聞いてもらえていると思う子どもや若者の割合を2023年の20.3%から5年後を目指して70%に引き上げるなどの数値目標が掲げられています。本市においても、子ども計画の策定に当たっては、当事者である子どもや若者の声を政策に反映していくべきとの観点から質問してまいります。
 初めに、困難を抱える若者の現状について本市の御所見をお伺いいたします。
 本市では若者に関する総合的な支援の強化のため、令和4年8月に福岡市若者総合相談センター、ユースサポートhubを設置しました。
 そこでお尋ねしますが、ユースサポートhubの設置の理由と支援内容、また、令和6年度の予算額、さらには本事業によって何を目指しているのか、狙いについてお伺いいたします。
 行政による若者の総合相談窓口は、本人やその家族にとっても安心感につながります。開設してまだ1年半ではありますが、ユースサポートhubへの令和4年と令和5年の相談件数と相談ツール別件数、さらには相談者の年代の割合、主な相談内容とその割合についてお伺いいたします。
 昨年末、若者たちがにぎわう夜の警固公園で、居場所のない若者たちへアウトリーチするNPO団体あいむの活動に同行しました。自ら相談機関につながれない若者たちに居場所や必要とする適切な支援につなげるなど、困難を抱える若者に寄り添い続けています。
 本市ではユースサポートhubだけでなくNPO団体なども様々な若者支援に取り組んでいますが、その活動状況についてお伺いいたします。また、現在、福岡市若者支援団体ネットワークに参加する若者支援団体数、活動内容、そしてネットワークを生かして若者を支援することの狙いについてお伺いいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 防犯灯などの道路占用許可申請に関する質問にお答えいたします。
 まず、福岡市が補助している防犯灯のLED化率につきましては、令和5年度末で約92%、令和6年度末で約95%になる見込みでございます。
 次に、防犯灯の設置、維持管理につきましては、自治会などで設置、維持管理していただいており、その費用の一部を福岡市が補助金にて支援しているところでございます。補助金制度につきましては、工事費としまして、新設や取替えに係る費用に対して、工事内容ごとの上限額はありますが、3分の2を補助し、維持管理費としまして、年間電気料金のおおむね3分の2を補助しております。令和6年度予算につきましては、工事費の補助が約3,320万円、維持管理費の補助が約6,130万円でございます。
 次に、道路占用許可につきましては、道路法の規定において、道路上に継続して物件を設け、道路を使用する場合は道路管理者の許可を受けなければならないと定められており、道路上に設ける防犯灯も許可が必要でございます。また、防犯灯の占用許可期間につきましては最長5年間となっており、占用料は地域の共有施設として防犯などに大きく貢献するものであることから免除しております。
 次に、道路占用許可の申請促進につきましては、令和2年度から自治会などが防犯灯の補助金申請を行う際、道路占用許可申請手続についても案内しております。また、各区の自治協議会の代表者が出席する会議などにおいて、防犯灯の道路占用許可についても説明し、申請の促進に努めております。これらの対策の結果、道路占用許可を受けている防犯灯は、対策実施前の令和元年度末は5,219灯、補助金を交付している防犯灯全体の約12%でしたが、直近の令和4年度末においては2万415灯で約46%となっております。
 最後に、申請者が窓口を訪れる回数につきましては、区役所へは道路占用許可申請書の提出、警察協議書の受け取り、道路占用許可書の受け取りのために3回、警察署へは警察協議書の提出や受け取りのために2回の合計5回となっております。なお、令和5年度から電子メールによる道路占用許可申請の受付を開始しており、メールを利用した場合は区役所への来庁回数を1回減らすことが可能となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 孤独、孤立問題を踏まえた地域福祉の推進についての御質問にお答えいたします。
 まず、いわゆるごみ屋敷に関する苦情や相談の件数につきましては、各区の生活環境課で把握しているものが平成30年度から令和5年12月までの約6年間で3件でございます。また、その状況につきましては、通報者や原因者からの聞き取りによりますと、地域との関わりがない単身高齢者世帯が2件、地域との関わりがある親子2人世帯が1件となっております。
 次に、ごみ屋敷問題における地域の生活環境の改善につきましては、地域等から苦情や相談が寄せられた際には、敷地内から周辺道路等へのごみの散乱状況など、周囲への影響について確認を行った上で、地域の生活環境を保全するため、原因者へごみの処理方法などについて助言を行っております。また、状況に応じて、原因者や地域と連携した片づけや集約されたごみの処理を支援する場合もございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 孤独、孤立問題を踏まえた地域福祉の推進についての御質問にお答えします。
 まず、いわゆるごみ屋敷の当事者の生活支援につきましては、御本人の意向などを踏まえ、状況に応じて、各区社会福祉協議会に配置されたコミュニティソーシャルワーカーや相談支援機関、福祉関係事業所などが連携し、本人の意欲喚起や必要な専門支援機関へのつなぎ等の支援を実施しております。
 次に、孤独、孤立に関する施策については、社会福祉協議会や民生委員とともに地域包括支援センターなどの相談支援機関と連携した支援を進めているほか、ふれあいサロンなどの多様な居場所づくりに取り組んでおります。
 次に、見守りの取組については、民生委員による見守りや校区の社会福祉協議会によるふれあいネットワーク、老人クラブによる友愛訪問などの地域の見守りのほか、介護サービス事業者や配達などを行う企業と連携した見守りなど、重層的に推進しております。
 次に、地域共生推進員による支援については、複雑な課題への対応に苦慮しているなどの民生委員からの相談を受け、専門の相談機関に関する助言や同行訪問などのサポートを行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 若者支援についての御質問にお答えいたします。
 困難な状況にある若者の現状につきましては、ひきこもりや非行、不登校、障がい、就労、孤独、孤立など、若者が抱える課題は多岐にわたり、複数の課題が複雑に絡み合っているケースも多くございます。若者が安全で安心して過ごせる多様な居場所づくりや、それぞれの状況に応じた適切な支援が求められているものと認識しております。
 次に、若者総合相談センター、ユースサポートhubにつきましては、義務教育終了後に若者への支援が途切れなく、また、各分野の支援機関が連携できる体制とするため、令和4年8月に開設いたしました。困難な状況にある若者やその家族からの相談を受け、助言や心理的サポートを行うとともに、国、県、市の関係機関や民間の若者支援団体等と連携してサポート方法を考え、適切な支援先につなぎ、その後も継続的な支援を行っております。令和6年度の予算額でございますけれども、3,591万円余で、ユースサポートhubでの支援を通して、一人でも多くの若者が自立し、社会参加できることを目指して取り組んでおります。
 次に、ユースサポートhubにおける相談件数につきましては、令和4年度が500件で、うち面談が274件、電話相談が226件、5年度は6年1月末現在でございますが659件、うち面談が413件、電話相談が245件、オンライン相談が1件でございます。相談者の年代の割合は、4年度が10代約27%、20代約47%、30代約20%、5年度が6年1月末現在で10代約27%、20代約59%、30代約12%となっております。主な相談内容は、開設から令和6年1月までで、将来の方向性に関するものが約19%、障がいや疾患に関するものが約17%、就労関係が約15%となっており、そのほかに不登校やひきこもりなどの相談がございます。
 次に、若者支援団体の活動状況につきましては、若者の抱える様々な困難に寄り添い、支援するために、各団体がそれぞれの得意分野を生かし、居場所づくりや相談、学習支援などの活動をされております。福岡市若者支援団体ネットワークは、令和6年1月現在、30団体が参加し、広報のほか、各支援団体の情報やノウハウを共有し、困難な状況にある若者に対し、連携した支援を行うこととしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) それでは、2回目に入ります。
 まずは防犯灯についてです。
 防犯灯の補助金については、管理費や工事費の一部が補助されており、また、4月からは補助金額を増額改定されるということで、地域にとって大きな支えになるものと期待いたします。
 この補助金申請の手続については、従来の紙による窓口申請に加え、令和5年度からスマートフォンなどを使った電子申請システムによる受付を導入したと伺っていますが、電子申請システム導入の経緯についてお伺いいたします。また、他の政令指定都市においても導入されているのか、お尋ねいたします。
 電子申請導入により区役所などの窓口に足を運ぶことなく補助金の申請ができるということで、特に区役所から遠い地域の方々や御高齢の方にとっては非常に助かるのではないでしょうか。
 そこで、令和5年度の工事費補助、管理費補助のそれぞれについての申請数と、そのうち電子申請による申請数をお示しください。また、電子申請システムを利用した自治会、町内会から寄せられた声や、導入した結果の見解、課題についてもお尋ねいたします。
 一方、道路占用許可申請においては、許可を受けた防犯灯数の割合が令和元年度12%から令和4年度46%と、4年間で着実に対策の効果が現れてきていますが、まだ半分にも至っていない現状です。地域によっては、そもそもの申請する必要性の認識や煩雑な事務手続の得手不得手の差があるのではと思います。
 ここでスライド1をお願いします。(資料投影)こちらが防犯灯の道路占用手続の流れです。先ほど御答弁ありましたように、区役所へ3回、メールで申請しても最低2回は区役所へ、そして、警察署との協議には最低2回、合わせると計4回から5回も足を運ばなくてはなりません。これが申請がなかなか進まない要因の一つではないかと指摘しておきたいと思います。投影を終了してください。
 そこで、防犯灯補助金の申請と同様、道路占用許可申請においても電子申請によるオンライン化ができないかと考えますが、他の政令指定都市でオンライン化を導入している都市があるのか、お尋ねいたします。
 今回、御相談いただいた町内会長は、5年後には車に乗っていないかもしれない、そのときに窓口まで手続に行くのは負担が大きいと不安を口にしていました。
 少なくとも自治会、町内会からの申請については、区役所や警察署に足を運ぶ回数を極力減らすような手続の簡略化に取り組み、さらには道路占用許可申請のオンライン化の導入を検討すべきと思いますが、御所見を伺います。
 次に、地域福祉の推進についてです。
 ごみ屋敷の課題解決については、環境局と福祉局のそれぞれの側面で支援を実施しており、解決した事例もあるとのことでした。我が会派の篠原議員も平成29年3月に議会質問を通して、問題が複雑化し、既存の相談窓口での対応が難しいケースがあるなど、いわゆる制度のはざまにあることから、福祉的支援による根本的な解決を目指すべきとの指摘をしていました。ごみを片づけるだけでは問題解決の終わりではありません。一度改善した人が再びごみ屋敷化させてしまうこともあります。ごみ屋敷問題は、この複雑に絡んだ糸を一つ一つ解きほぐしながら、その原因となる課題を解決しなければ本当の解決にはつながりません。そのため、課題が難しくなる前にできるだけ早く気づき、適切な支援につなげることが大切です。このような、地域で潜在化した福祉課題を抱えた方々に手を差し伸べるため、地域における様々な主体と一緒に見守り体制をつくっていくことは重要です。一方で、地域の中で、この家には福祉課題があるのではと思っていても、なかなか支援につながっていない状況があるとの声も聞きます。そのため、地域住民として、地域の中で生活しながら見守りなどを行う民生委員の方々の気づきや支援は、大変にありがたい、また、重要なものと考えます。特に最近は相談件数が増えていると聞きます。心配な方がいる、どう手を差し伸べたらよいだろうかと地域に温かい目を向けてくださっている民生委員の活動をしっかりと支えていく必要があると思います。
 そこで、民生委員のサポートを行っている地域共生推進員の具体的な支援事例や、支援における民生委員の方の声についてお示しください。
 また、孤独、孤立を背景に、制度につながらない複雑な課題を抱えた方が地域に潜在化してきており、顔が見える関係づくりをはじめ、今後さらに支援の手を差し伸べていくべきだと考えます。
 そのためにも、地域で奮闘してくださる民生委員の声を拾い、関係部署と連携しながらサポートしていく地域共生推進員の増員を図り、適切な人材の配置と育成によって、さらに体制を強化していくべきだと思いますがいかがでしょうか、御所見を伺います。
 また、制度では対応できない福祉課題に対しては、企業などと連携した取組を進めることも大切と考えます。福岡市社会福祉協議会では、全国の社協に先駆けて様々な取組を全国に発信してきました。中でも、人生の最終段階の相談を包括的に受ける終活サポートセンター事業や、近年、高まりを見せている身寄りのない高齢者の死後事務の支援として、少額短期保険制度を活用した、やすらかパック事業など、いわゆる終活の取組があります。
 この事業は先進的な取組として、昨年、総理大臣官邸で開催された首相や閣僚が参加しての有識者会議において高い評価を受けたと聞いていますが、有識者会議の内容及び関連して、さらに施策の推進が必要と考えますが、次年度に充実する取組があればお伺いいたします。
 次に、若者支援の拡充についてですが、御答弁いただいたとおり、若者の悩みは進路や就労、不登校、ひきこもりなど多岐にわたります。困難な状況にある若者を早期に把握し、ネットワークを生かしながら適切な支援につなぐためにも、若者の居場所づくりは大変に重要だと思います。
 ユースサポートhubが若者にとってよりよい相談の場所になるよう、これまで機能強化してきたことについて伺うとともに、新たな居場所の設置など、さらなる推進をすべきと考えますが、御所見を伺います。
 また、より多くの若者やその御家族、支援者がユースサポートhubを知るために効果的な周知を行うことが大切であると思いますが、これまでの周知してきた方法についてお伺いいたします。
 一方で、既存の枠組みの中での支援には限界があると思います。昨年、札幌市の若者支援について視察してきました。若者支援施設を市内5か所に有し、施設職員をユースワーカーとして、相談支援や若者への居場所提供を行っています。また、校内カフェ事業や、市内各地域にキッチンカーを派遣し、地域の中に潜在する困難を抱えた若者との関係を構築する移動型の居場所支援や、また、地域団体と連携して若者のボランティア活動などを行っています。このように、若者の孤立感を解消するためには、地域との交流をはじめ、将来的には若者を主体とした生きがいづくり、環境整備をしていくべきだと考えます。
 本市においても地域と協働、共創の支援の取組が必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 こどもまんなか社会の実現に向けて、子どもや若者の声を聞き、施策とするための体制をつくることが重要です。札幌市のようなユースワーカーは、子どもや若者の意見を聞く貴重な存在として注目されています。
 本市においても子どもや若者の意見を聞くべき場をつくり、ユースワーカーなどの人材配置を行うべきと思いますが、御所見を伺います。
 以上で2回目の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 防犯灯などの道路占用許可申請に関する質問にお答えいたします。
 まず、防犯灯補助金の電子申請システム導入の経緯といたしましては、これまでも窓口への持参や郵送、メールなどで補助金の申請を受け付けておりましたが、毎年1,600団体を超える自治会などのうち、約6割が申請者の負担が大きい、窓口への持参となっておりました。そのため、福岡市ではDXの推進に取り組んでいることや、申請者の負担軽減及び利便性向上を図ることから、防犯灯補助金の電子申請システムを導入したものでございます。また、他の政令指定都市の導入状況としましては、千葉市、熊本市の2都市が導入していると聞いております。
 次に、令和5年度の工事費補助及び管理費補助の申請数と、そのうち電子申請数につきましては、運用開始した令和5年6月19日以降から令和6年2月末で工事費補助が165件のうち、電子申請が4件で利用率は2.4%、管理費補助が764件のうち、電子申請が33件で約4.3%となっております。また、電子申請システムを利用した自治会などからは、来庁が不要となり申請が楽になった、いつでも申請できるのがよい、スマホで手軽に申請できるのが簡単でよかったなどの御意見をいただいているところでございます。電子申請システムを導入した結果、利用者アンケートでは肯定的な意見が多く、一定の評価が得られていると考えております。一方、令和5年6月に導入したところであり、利用率がまだ低いことが課題と認識しております。
 次に、道路占用許可の他の政令指定都市のオンライン申請の導入状況につきましては、川崎市、大阪市、神戸市、新潟市、熊本市の5都市が導入していると聞いております。
 最後に、道路占用許可の申請手続につきましては、提出書類の簡素化など、申請者の負担軽減に取り組んできたところであり、オンライン化につきましては、国や他都市の状況を注視しながら検討してまいります。また、申請手続には警察署窓口での手続もあり、福岡市のオンライン化のみで完結するものではないことから、オンライン化の十分な効果を発揮するため、県警察と協議しながら利便性の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 孤独、孤立問題を踏まえた地域福祉の推進についての御質問にお答えします。
 まず、地域共生推進員による支援については、福祉課題を抱える子を持つ高齢者に関する民生委員からの相談を受け、推進員が世帯を訪問するなどアウトリーチ支援を行い、関係機関による支援につながった事例がございます。民生委員からは推進員がいることで不安が解消した、推進員のサポートにより支援が進んでよかったなどの声をいただいております。
 次に、体制の強化につきましては、地域共生推進員の増員も含め、民生委員の支援の充実を検討してまいります。
 次に、社会福祉協議会が実施する、いわゆる終活などの取組につきましては、令和5年11月に開催された内閣府主催の、認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議において、国の施策の参考となる先駆的な取組として評価をいただいたものでございます。6年度においては、親が亡くなった後、福祉的な課題を抱えた子が残されることに備え、社会福祉協議会が民間の信託サービスと連携して遺産を定期的に提供しつつ見守りなどを行う取組に対し、新たに補助を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 若者支援についてお答えいたします。
 ユースサポートhubにつきましては、来所が困難な方など、様々な環境にある方の相談に対応できるよう、オンライン相談や訪問支援、多言語対応など、相談機能の強化に取り組んでおります。令和6年度はユースサポートhubのある舞鶴庁舎に居場所を開設し、若者が抱える様々な不安や悩みの解消を図るとともに、支援団体と連携して活動を行うことで、若者と支援者がつながる場としても活用していくこととしております。
このユースサポートhubの周知は、市政だよりやホームページへの掲載、学校や支援機関でのリーフレット配付、商業施設などにカードを置いていただくほか、SNSを活用し、若者をターゲットにした広報などを行っております。
 次に、地域と協働した取組につきましては、中高生を中心とした若者の居場所を広げることを目的に、居場所づくりに取り組むNPOや地域団体等への支援を実施しております。令和6年度は地域における居場所の開設から運営までをコーディネーターが一貫してサポートする事業を新たに実施してまいります。
 最後に、子どもや若者、当事者の意見を聞くことは、施策の推進に当たり大変重要であると認識しております。福岡市では第6次福岡市子ども総合計画の策定に向けて、今年度、中高生や若者の意識や行動に関する調査を実施しており、令和6年度は当事者を対象としたワークショップなどを実施し、当事者の意見も踏まえながら計画案を作成してまいります。また、若者の意見を聞く人材の配置につきましては、引き続きユースサポートhubにおいて若者の悩みに寄り添うとともに、新たに開設する居場所においても、専門の資格や経験を有するスタッフが若者の声を聞きながら見守り、サポートを行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 堤健太郎議員。
○12番(堤 健太郎) 3回目であります。
 防犯灯についてです。
 防犯灯補助金の電子申請システムでの利用件数はまだ多くはありませんが、区役所に行かなくても申請できるなど、評価が高いものであることが分かりました。
 ここでスライド2をお願いいたします。(資料投影)これは福岡市の防犯灯補助電子申請の操作マニュアルです。ホームページから事前準備編と申請編とそれぞれ見ることができます。
 次のスライド3をお願いいたします。(資料投影)それぞれの手順の流れが記載されています。利用する側の立場に立った分かりやすい手順内容でした。この操作マニュアルは、実は職員の方が手作りで作られたと伺いました。大変に感動しました。
 そこで、スマートフォンなどの入力が苦手な方へも、このマニュアルを簡単な動画にして配信するなど、工夫してはいかがかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 また、毎年1,000件近い窓口申請があると考えれば、市民の負担軽減だけではなく、区役所の業務効率化にもつながります。
 本市における防犯灯のLED化のさらなる促進のためにも、どうかこの電子申請のさらなる広報、周知をすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 投影を終了してください。
 オンライン化は国や他都市の導入状況を注視しながら検討していくとの御答弁でしたが、神戸市では令和4年12月からオンライン化を始めており、警察署への書類提出を、市が警察署と郵送でやり取りをしているそうです。さらに、来年度からは許可証の受領もオンラインで可能となるため、申請者が窓口に行くことなく手続を完結できると聞いています。窓口へ足を運ぶ回数を減らさなければ問題の解決にはなりません。自治会や町内会からの申請に対して警察署への協議書類の提出を市で対応するなど、改善策を検討するよう強く要望いたします。
昨年8月には国において、政府が運営する行政情報のポータルサイトを利用した道路占用許可申請のオンライン化が提言されており、現在、複数の自治体で試行運用が始まっています。
 役所に出向かない、来庁不要な行政手続のオンライン化を目指す本市だからこそ、この動きに遅れることなく、道路占用許可申請のオンライン化をはじめとした道路の維持管理に係る各種手続のデジタル化に積極的に取り組むべきと考えますが、最後に島市長の御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 次に、地域福祉の推進についてです。
 福岡市社会福祉協議会は、中間的な支援組織として様々な主体と連携した支援を実施する強みを持っています。ぜひ本市も一緒に取組を進めていただくことを要望いたします。
 孤独、孤立に関係する福祉の諸問題に対処するためには、公的な支援の充実はもちろんですが、支援につなぐ最初の一歩に様々な切り口から取り組むことが大切です。
 今回は特に地域福祉推進の観点から民生委員に対する支援の充実などを質問してまいりましたが、最後に、本市として孤独、孤立問題を踏まえた地域福祉の推進について今後どのように取り組んでいかれるのか、島市長に御所見を求めて、この質問を終わります。
 次に、若者支援の拡充についてです。
 子どもや若者に寄り添い、一緒に考えていくならば、家庭や学校、地域、様々な場所で安心して過ごせる場所が一つでも多く増えるのではないでしょうか。本市としても子ども支援は大きなテーマとして、これまで取り組んでおられます。冒頭申し上げたように、こども大綱には青年期、また、39歳の方まで含めた若者支援も掲げられています。そのため、本市の将来ビジョンを描く上でも、子ども、若者への切れ目のない支援が今後重要になってまいります。
 この質問の最後に、こどもまんなか社会の実現を見据えた若者支援の拡充についての島市長の意気込みをお伺いし、私からの補足質疑を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 防犯灯などの道路占用許可申請に関する質問にお答えいたします。
 まず、防犯灯補助金の電子申請における操作マニュアルにつきましては、動画配信なども含め、より分かりやすくなるよう努めてまいります。
 次に、防犯灯補助金の電子申請を普及させるための広報、周知につきましては、令和5年6月からの運用を開始するに当たり、自治協議会での説明や自治会などへの案内書類送付、福岡市ホームページへの掲載による周知を行ったところでございます。今後は電子申請のメリットや利便性、利用者の声などを福岡市のホームページやPRチラシなどで広く周知し、利用率の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、市民の利便性の向上と業務の効率化を図る観点から、DXの推進に積極的に取り組んでいるところであり、道路の整備や維持管理の分野におきましても申請手続などのデジタル化が果たす役割は大きいと考えております。今後とも、道路関連手続に係るルールの見直しやデジタル化に一層取り組み、来庁の必要がないノンストップ行政の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
 社会的孤立など、地域における福祉課題は複合化、複雑化しており、支え合いによる地域福祉の推進は大変重要であると認識をしています。そのため、地域共生推進員の配置など、民生委員、また、児童委員の皆様への支援を充実するとともに、社会福祉協議会と連携をした見守りや居場所づくりなど、地域における支え合いの取組を進めてまいりました。今後とも、民生委員や地域の皆様とともに、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現に取り組んでまいります。
 次代を担う子ども、若者は社会全体で支援していく必要があると考えております。若者が抱える課題は複雑化しており、福岡市ではユースサポートhubや関係行政機関、また、民間の若者支援団体が連携をして、困難な状況にある若者への支援に取り組んでいるところでございます。引き続き心身の状況、また、置かれている環境にかかわらず、全ての若者が夢に向かって自立した大人へ成長していけるように、当事者の意見を聞きながら、切れ目ない支援に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時45分に再開いたします。
午後2時34分 休憩
午後2時45分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。あべひでき議員。
○34番(あべひでき)登壇 まず、質問に先立ちまして、1月1日に発生しました令和6年能登半島地震において犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表すとともに、被災された多くの皆様方に対し、お見舞いを申し上げます。また、一日も早い復旧、復興がなされますことを心よりお祈り申し上げます。
 私は日本維新の会福岡市議団の阿部正剛議員が行った代表質疑に補足して、病児保育について、新生児マススクリーニングの公費負担について、職員の働き方について、オープンデータの活用について、以上4点について質問をしてまいります。
 まず、病児保育について質問いたします。
 本市で行われている病児・病後児デイケア事業は、病気やその回復期にある児童について、保護者による看護が困難な場合に、医療機関に併設した施設において一時的に預かる事業であり、利用方法は、利用される御家庭が各施設に事前登録の上、直接予約した上で御利用するものとされております。
 病児保育は、令和5年4月から県による病児保育料の無償化に合わせて需要が拡大し、夏前には予約数が3倍に達する施設も出るなど、予約ができない家庭が続出いたしました。そこからは一時落ち着いたように見えましたが、今年の冬にはインフルエンザ警報が出ており、もともと冬は感染症がはやりやすい季節でもありますし、どうしても不安が残る状態であり、市民の方からも心配のお声をいただいております。また、予約システムに関しても、各施設に問合せの確認をするのが大変などのお声や、複数予約して最後にキャンセルしている人が出ているなどのお声もいただいており、早急な予約体制の整備が求められるところでございます。
 ではまず、市で行われています病児保育の施設数をお教えください。あわせて、1日の受入れ可能人数に関してもお教えください。加えまして、企業主導型の保育施設で行われている病児保育についても、施設数、1日の受入れ可能人数についてもお教えいただきますようよろしくお願いします。
 次に、新生児マススクリーニング検査の公費負担について質問いたします。
 こちらの資料1を御覧ください。(資料投影)現在、子どもの先天性の疾患は医学の進歩により、足のかかとからの少量の採血で様々な疾患が判別できるようになっており、併せて治療法や進行を抑える方法も徐々に確立されつつあります。この先天性疾患を判別する、いわゆる新生児マススクリーニング検査は、現在は20疾患が無償化されておりますが、二次利用という形で、追加の検査をせずに検査できる先天性疾患がさらに増え、その治療法や進行を抑える薬も出てきており、これらの疾患に関しても、無償化されている20疾患と同様に早期発見、早期治療が後の予後を左右するポイントであると言われております。この拡大部分の疾患に関しては、現在、本市では自己負担にて任意の形で、希望する方は追加するという形を取っております。具体例を申しますと、例えば、まだ無償化になっていないSCID、スキッドと言われる重症複合免疫不全症という疾患では、5万人に1人というまれな確率で発症する疾患であり、未治療の場合、1歳までにほぼ全ての患児が死に至りますが、生後3か月までにスキッドと診断された場合に、唯一の治療法である造血幹細胞移植をした後の生存率は96%ほどと言われております。
 また、資料2を御覧ください。(資料投影)こちらのファブリー病と言われる疾患は、これも追加される疾患に含まれるものでございますが、7,000人に1人と言われ、比較的頻度も高い疾患であり、小児期では汗をかきにくかったり、手足が痛んだり、腹痛などを自覚し、未治療の場合、三、四十代で腎機能障がいや肥大型心筋症などの心疾患または難聴などを発症することもある疾患でございます。なかなか知られていない病気な上に、症状も自覚しづらかったり、症状がありふれているものでもあったりするなどして、治療の機会を逃し、症状が気づかないうちに進行しているというケースも多々あるようです。この疾患に関しましても、医療の進歩により、早期発見、早期治療により症状を抑えることができます。逆に治療介入の遅れは予後の悪化につながります。また、拡大部分の検査を受けることにより、陽性になった新生児の親族、親などの血縁の原因不明とされていた心疾患や腎機能障がいなどの異常を発見する契機になったという報告もございます。資料をお下げください。
 このような拡大マススクリーニング検査についてですが、現在、このスキッド、ファブリー病などを含む拡大部分の追加検査に関しましては、追加費用が1万円ほどかかり、検査を希望する子育て世帯の経済的負担の一つとなっているところでございます。
 そこで、1年間の福岡市の出生数、新生児マススクリーニング検査の受検者数、また、拡大マススクリーニング検査の受検者数、拡大部分の検査に関しての周知方法をお教えください。また、新生児マススクリーニング検査の拡大に関しての国の動向についてもお尋ねいたします。
 次に、職員の働き方について質問いたします。
 私は先日、神戸市役所に視察に行かせていただき、神戸の地域貢献応援制度について学ばせていただきました。地域貢献応援制度とは、市の職員が職務や自身のこれまでの経験を通じて得た知識、ノウハウなどを生かし、地域の課題解決に向け、積極的に取り組んでいくこと、活動を通じて新たなスキルや経験を得て、職務に生かしていくことなどを目的として、営利企業への従事などのうち社会性、公益性の高い地域貢献活動に報酬を得て従事する制度のことでございます。この制度では、部活動指導員、猟友会、NPO団体など、それぞれの職員がやりたいことや、自分の職能を生かし、地域に貢献しており、とてもすばらしい制度であると感じました。現在、公務員に限らず、世間では医師やドライバーの働き方改革で時間外労働の規制が強化されるなど、働き方への考え方を変えていかなければならないフェーズに来ていると思います。本市としても、ぜひとも職員が様々な環境下においても働きやすいような環境整備は間違いなく必要不可欠であると考えます。
 では、現在、本市では職員の副業について認められているのか、認められているのならば、その申請条件について、事例の件数の過去3年間の推移、認められている具体的な事例についてもお尋ねいたします。また、その申請の手続方法についてもお尋ねいたします。
 次に、オープンデータについて質問いたします。
 そもそもオープンデータとは、デジタル庁に掲載されているオープンデータ基本指針において、主に国や地方公共団体が公開している誰もが利用可能なデータのことであり、営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの、機械判読に適したもの、無償で利用できるものであると定義されております。オープンデータには、公的機関が行った幅広い調査を基にした民間企業の退職金の実態や、生活状況に関する調査、消費動向調査、景気動向指数など公的機関にしか集められないものを含む多種多様なデータがございます。これらは単なる公表資料の場合、通常の著作物と同様に引用はできるものの、オープンデータのように二次利用はできません。オープンデータにおいては二次利用が可能であるため、無料でダウンロードして誰もが手軽に利用でき、また、加工、編集、再配布などを行い、市民や市内事業者のニーズに合わせて広く利用されることが可能となっております。
 DXの推進をうたっている本市といたしましても、このオープンデータに関しては、DX化や市民の利便性向上、本市全体の経済の活性化の観点からも、ぜひとも積極的に取り組んでいくべきと考えますが、現在、オープンデータについて本市は取組が行われているのか。また、行われているとするのならば、オープンデータという形で幾つデータを保有しているのか。また、予算としては幾ら程度かかっているのか。また、ダウンロード数としては3年間の推移としてどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 以上、1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) まず、病児保育についての御質問にお答えいたします。
 福岡市の病児・病後児デイケア事業は医療機関併設型の21施設で実施しており、1日の受入れ可能人数は令和5年4月時点で197人でございます。また、国の行う企業主導型保育施設において実施されている病児保育は市内に32施設あり、1日の受入れ可能人数は、施設設置の届出時点になりますけれども、86人でございます。
 次に、新生児マススクリーニングについての御質問にお答えいたします。
 令和4年度の福岡市の出生数は1万2,339人でございます。また、新生児マススクリーニング検査は出生後退院するまでの間に実施しており、市内医療機関における受検者数は1万2,349人でございます。拡大マススクリーニング検査の受検者数については把握をしておりません。
 検査拡大の周知については、産科医療機関の受診時にリーフレットなどを活用して行われております。また、国の動向については、スキッドと言われる重症複合免疫不全症及びSMAと言われる脊髄性筋萎縮症を対象とした拡大マススクリーニング検査の実証事業が令和6年3月以降に実施予定とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の働き方についてお答えいたします。
 地方公務員の兼業については、公務の能率の確保、職務の公正の確保、職員の品位の保持等のため、地方公務員法により、許可を受けなければ、営利団体の役員等を兼ねること、自ら営利企業を営むこと、報酬を得て事業または事務に従事することができないと規定されております。また、許可の基準については、営利企業への従事等の制限に関する規則において、職員の職と営利団体や従事しようとする事業または事務との間に特別の利害関係がなく、かつ、その発生のおそれがない場合、職務の遂行に支障がなく、かつ、その発生のおそれがない場合、法の精神に反しないと認められる場合に許可をすることができると規定しております。次に、許可を行った件数については、令和2年度が305件、3年度が275件、4年度が295件であり、内容については、自治会の役員や講演会の講師に従事する例が多く、そのほかにも、部活動指導員や放課後児童クラブの補助支援員への従事についても認めるなど、職員が知識、経験を生かして地域の活動に参加することについて広く許可を行っております。許可申請の手続については、所定の申請書に従事する事務の内容や日時、場所、報酬の額、所属長の意見などを記入し、関係資料を添付した上で人事担当課に提出することとしております。なお、令和4年度からは、職員の地域活動への参加を促進するため、自治会の役員などに就任する際の申請手続に関し、申請書への記載事項を省略し、関係資料の添付を不要にするといった手続の簡素化を行ったところでございます。
 次に、オープンデータについてお答えいたします。
 福岡市の取組については、市民サービスの向上、産業の発展、経済の活性化などを目的に平成26年10月に専用のサイトを開設し、現在、人口データ等の統計情報、施設の位置情報など、432種類のデータを公開しております。令和6年度予算については、サイトの運用保守などに係る経費として628万円余を計上しております。オープンデータのダウンロード数の過去3年間の推移については、令和2年度が10万3,394件、3年度が5万8,995件、4年度が4万3,441件となっており、令和2年度は特に新型コロナウイルス感染症の陽性者数など、感染症関連の情報が多くダウンロードされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 2問目に入ります。
 まず、病児保育についてです。
 この企業主導型保育施設における病児保育は、在園児に限定している施設もございますが、一般の方向けに開放されているところもあります。多くの施設が地域の方にも開放しており、企業が主導になって地域の病児保育の一端を担っていただけるというのは、とても心強いと感じます。しかし、私が小児科の先生にお話を伺ったところ、企業主導型の病児保育では疾患ごとの隔離スペースが複数あるのかなどの設備面の不安や、経験豊富なスタッフがいるのか、連携先医療機関と園との関係性はどうなのかなどの未知数なところが多く、医療の質に不安があり、急変時に自分で診ることもできないため、簡単には紹介できないなどの医療機関側の声もございます。話を聞いていると、確かに企業主導型病児保育の質の担保とその役割については非常に重要な論点になってくると感じました。私は、そこに関しては、病児保育の最初の初診の入り口を連携先医療機関に一本化することや、企業主導型病児保育を病後児保育などの軽症向けに特化させ、そこの重症度の判断を特定の企業主導型病児保育室のことをよく知る連携先医療機関にしてもらい、症状によって小児科併設の病児保育を利用してもらう体制をつくるなどを検討してもよいかと考えます。また、仕組みがどうであれ、現状では企業主導型の病児保育施設に関しては、国の委託する児童育成協会と連携し、市も指導するなど、質を担保することは安全面の観点からも必要かと感じます。このように、企業主導型の病児保育にも課題はございますが、現状ある企業主導型保育施設の病児保育の多くが一般開放されているという事実を市民に広く周知させることも大切でございます。しっかり広報、周知のほどよろしくお願いいたします。
 また、病児保育の需要の増加に合わせて増床も必要と思いますが、現在はこの企業主導型保育施設では待機児童の解消もあり、国は新規事業者の参入を認めていない状況と聞いております。
このため、病児保育については、市の21か所の病児保育事業施設に関して、現在の需要状況を踏まえ、増床の必要性も検討すべきかと思いますが、本市として病児保育の受入れ体制としてどのように考えておられるのか、お教えください。
そして次に、病児保育において県が行っている病児保育の予約システムがあると思いますが、その概要についてもお教えください。
 次に、新生児マススクリーニング検査の公費負担についてでございます。
 現在、本市の新生児マススクリーニング検査については、ほぼ100%実施されており、拡大部分の検査の受検率に関しては分からないとのことでございますが、私が調べましたところ、福岡県での2023年6月から12月の拡大部分の検査の受検率は89%となっており、自己負担で払ってでも受けたいという高い需要があることを示していると思われます。また、残りの11%に関しても、検査したいが経済的な理由から断念するという方が多いのではないかというのが私の推測でございます。
 拡大部分の検査に関しましても、国としても実証事業開始予定との御答弁をいただきました。
これは国としても前向きに取り組んでいるものと捉えますが、この事業には本市として参入はされないのでしょうか、御所見をお尋ねいたします。もし本市で出生する新生児に対して拡大マススクリーニング検査の費用を無償化する場合の所要額をお尋ねいたします。また、ほかの自治体にて拡大部分の検査に対して助成、もしくは無償化を行っているところはあるのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、職員の働き方についてお尋ねいたします。
 本市として神戸市に負けない兼業を認める仕組みが構築されていると聞き、安心いたしました。兼業の中身も幅広く認められており、部活動指導員や放課後児童クラブの補助支援員などに興味がある職員の方もいらっしゃることと思います。では、そのほかの働き方改革の取組として、在宅勤務、フレックスタイム制度のような取組があると思います。
 まず、そのような取組を行っているのならば、その概要についてお教えください。また、その申請はいつまでにすればよいのか、また、認められている条件、また、何名程度の職員が利用されているのか、また、現状の制度での課題などあればお教えください。
 次に、オープンデータの活用についてでございます。
 令和2年度などはダウンロード数が多く、コロナ禍での陽性患者の推移など、市民のニーズに見事に応えた結果がダウンロード数という形で出ているのだと思います。しかし、その後はダウンロード数は減少傾向にあり、市民ニーズを捉え、必要なデータをこれからも公開していくことが必要と考えます。特に事業者によるオープンデータの活用が重要と考えており、例えば、経営戦略の策定に活用されるなど、事業者の経済活動に資することで本市全体の経済の活性化につながると考えます。さらに、市のオープンデータと民間のデータを組み合わせるなど、民間の力と合わせたさらなるオープンデータの活用の取組があるのではないかと考えます。
 では、オープンデータが事業者の経済活動に活用されているのか、所見をお伺いいたします。また、市のオープンデータと民間のデータを組み合わせて活用する例はあるのでしょうか。さらに、オープンデータの利活用に取り組んでいく上で広報、周知が大事になるかと思いますが、企業向けの広告、PRとしてはどのような取組がされているのか、お尋ねいたします。
 以上で2問目を終了いたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) まず、病児保育についてお答えいたします。
 病児・病後児デイケア事業につきましては、今年度から県が開始した利用料の無償化や、感染症の流行などの影響により利用者が増えている状況を踏まえ、利用定員の拡大について県や医療機関と協議を行っており、引き続き受皿確保に向けて取り組んでまいります。
 また、県が運営する病児保育の予約システムの概要でございますが、県内の各市町村が実施している病児保育施設の検索に加え、予約機能を活用している一部の施設については、空き状況の確認及び予約を行うことが可能となっております。
 次に、新生児マススクリーニングについてお答えいたします。
 拡大マススクリーニング検査に関する国の実証事業につきましては、市民の市外への里帰り出産の状況や県内の自治体の動向など様々な状況を考慮し、参画することは考えておりません。また、拡大マススクリーニングの検査費用を無償化して、公費負担する場合の所要額の見込みは約1億5,000万円でございます。拡大検査に関する他の自治体の取組については、佐賀県や熊本県などで費用の助成を実施していると聞いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の働き方についてお答えいたします。
 在宅勤務制度については、市からパソコンの貸与を受けて、原則週4日以内で自宅において勤務するもので、対象者は育児または介護責任を有する職員など、仕事と家庭の両立のため配慮が必要な職員としております。申請期限及び認められる条件については、在宅勤務を希望する職員は、開始日の1か月前までに所属長を通して人事担当課に申請する必要があり、人事担当課は、当該職員の担当業務が在宅勤務になじむ業務か、業務遂行能力から在宅勤務を実施しても問題がないか等についての所属長意見を踏まえ、在宅勤務の実施を決定しております。令和5年度の利用者数は、1月末までで16名でございます。課題については、情報通信環境の整備や個人情報の取扱いなどが上げられると考えております。次に、職員の勤務時間については、福岡市では従前から勤務時間の帯に30分の時差を設ける時差通勤を実施しており、これに加えて、職員の希望または業務の都合に応じて勤務時間の帯を前後2時間の範囲で変更できる早出遅出勤務の制度を設けております。申請期限及び認められる条件については、早出遅出勤務を希望する職員は開始日の1週間前までに申請書を所属長に提出する必要があり、また、申請を受けた所属長は当該勤務が公務の運営に支障がないと認める場合に承認しております。令和5年度の利用者数は、1月末までで2,340名でございます。課題については、公務の運営に支障がないことが条件であるため、窓口職場や交代制勤務の職場など、部署によっては利用しにくいことが上げられると考えております。
 次に、オープンデータについてお答えいたします。
 事業者の経済活動への活用については、専用サイトにおける令和4年度のダウンロード数の多い順に飲食店営業等許可施設一覧、旅館業営業許可施設一覧、はり、きゅうなどの施術所一覧となっており、これらは事業者の出店計画の検討などの経済活動に活用されていると考えられます。次に、市のオープンデータと民間のデータを組み合わせた取組については、介護事業所の名称や所在地などの市が保有するデータと各事業所における提供サービスなどの民間が保有するデータを組み合わせた介護事業者やケアマネジャー等向けの介護事業所等の情報検索サイトなどの例がございます。次に、事業者向けの広告、PRについては、市ホームページによる広報のほか、公益財団法人九州先端科学技術研究所などが主催する事業者向けのイベントにて、オープンデータの活用事例を紹介するなどしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) あべひでき議員。
○34番(あべひでき) 3問目に入ります。
 まず、病児保育についてです。
 21か所の市の病児保育事業施設に関しては、引き続き県と医療機関と連携していただき、増床に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 また、県の予約システム、病児保育なびについて説明していただきました。私も拝見しましたが、ウェブ予約できるのも6施設だけで、ほかの施設はそのサイトに飛んで予約しなくてはいけません。これもそれぞれの独自の予約システムがあるなどの理由からとは思いますが、実用性としては不十分なものになっていると感じました。また、掲載されている施設も企業主導型病児保育を除いた病児保育事業施設のみ掲載となっております。また、市のホームページの病児保育のサイトにもこの企業主導型の施設情報は載っておらず、ほかの施設がないように思ってしまう市民の方もいらっしゃるのではないかと思います。事業主体がそれぞれ違うということもあるかもしれませんが、できれば、市民の方が一見して利用可能な施設をぱっと理解できるような案内があればより親切であると思いますので、検討のほどよろしくお願いいたします。
 また、独自の予約サイトでも起こっていることですが、複数の病院にリクエスト予約という形で仮予約をした後、一つの施設に本予約が決定した後、キャンセルをするという事案も発生していると聞きます。これは、利用者が定員いっぱい利用できないばかりか、事業者側の経営にも影響してまいります。この件に関しては、予約システムの統一化、予約可能数を制限する、空き状況やキャンセル待ちが分かるようなシステムを導入するなどしないとなかなか解消されない問題であると思いますので、改善していただくよう要望いたします。
 最後になりますが、現在の病児保育に関しての需要の拡大は、共働き世帯の増加、県の無償化の影響を受けて間違いなくあると思います。現役で働いている子育て世帯にとっては、生活に直結している喫緊の課題であります。現状、ハード面、ソフト面共にいきなり増やすということは難しいところもありますので、まずは現在あるものを最大限活用する仕組みづくりが必要であると私は考えます。
 企業主導型病児保育の課題等ももちろんございますが、まずは病児保育を利用可能な施設の周知、そして、予約システムなどの利便性向上に取り組んでいただきたいと考えますが、本市の御所見をお伺いいたします。
 次に、新生児マススクリーニング検査の公費負担についてです。
 現在、熊本県と佐賀県で検査が行われているということですね。私が調べましたところ、熊本県では半額の公費助成を行い、令和4年度では拡大マススクリーニングの受検者率がほぼ100%というふうになっております。地域特性もあるため、福岡県の89%と比べることができるかは分かりませんが、やはり経済的支援の力によるところは大きいと思われます。
 また、県内自治体の対応など、様々な状況を考慮するとのことでございますが、本市として、市内に住民票がある方で出生し、検査された方に関して、検査費用を後で払い戻すなど、サービスは市民に限定し、本市独自で行うことは可能であると考えます。現在、他の県でも費用の公費助成は始まっており、また、国もモデル事業を開始予定ですが、国による公費助成の実現にはまだ時間がかかるものと思われます。令和4年度のデータでは、本市では福岡県の3分の1程度の子どもが生まれております。福岡最大の都市であり、それに見合う経済規模を持つ本市だからこそ、県に先んじてリーダーシップを取り、県、そして他の自治体へと波及させていく牽引役となるべきと考えます。また、本市は第5次福岡市子ども総合計画でも、子どもが心身ともに健やかに成長していける社会をつくることは私たちの願いであると同時に、使命であるとも明記されております。本市としても、子どもが先天性疾患にて若くして生命を失うリスクを回避でき、かつ早期治療により普通の日常生活を送ることができるならば、まさしく子どもの心身の健やかな成長につながるのではないでしょうか。
 そこで、拡大マススクリーニング検査の実施について、本市の御所見をお伺いいたします。
 次に、職員の働き方についてでございます。
 在宅勤務、早出遅出勤務等で職員の働き方に対応した制度設計がなされていると感じました。しかし、在宅勤務に関しては、介護、育児などでしか認められなかったり、窓口などがある部署では在宅勤務がしづらいなどの事情もあるようです。職員の副業、在宅勤務、早出遅出勤務制度など、市民サービスは低下させないのを前提とした上で臨機応変に本市の職員のニーズに応えた働き方の変革は間違いなく必要であります。
本市といたしましても、現在、積極的に取り組んでこられた姿勢はすばらしいと感じますが、在宅勤務等の条件緩和や、一時的に時間を切り上げて帰ることができる時短勤務の導入、種々の申請がしやすい環境整備など、現状よりもより働きやすい職場となるよう引き続き取り組んでいただきたいと考えますが、本市の方向性について御所見をお伺いいたします。
 最後に、オープンデータの活用についてです。
 本市でも事業者の様々な活用事例があることが分かりました。また、イベントでの企業向けのオープンデータの活用のPRを行っていることもとてもすばらしいと感じます。しかし、企業や市民の方々共に、まだまだ認知度はダウンロード数を見ても向上の余地がありますので、しっかりと引き続き広報、周知や、イベントへの参加などを続けていただきたいと思います。また、スタートアップ支援等も本市では力を入れており、そこにもオープンデータを活用していただく機会があると思いますので、PR等していただけたらというふうに思います。
 また、オープンデータに関しては、今後さらに民間の力と合わせたさらなるオープンデータの活用が促進されることが重要であると考えております。デジタル庁のデータベースには全国的なオープンデータの活用の事例が数多く紹介されております。総務省の公開しているオープンデータの活用事例の紹介ページの画像とともに、具体例を幾つか紹介いたします。
 資料3を御覧ください。(資料投影)こちらは本田技研工業株式会社の事例でございます。こちらの事例では、自治体の保有する事故多発エリアのオープンデータとカーナビから得られる急ブレーキ多発箇所のデータなどを統合し、パソコン上で見られる新たなセーフティーマップの作成を行っております。これは市民の方がさらに危険な場所についてコメントをすることもでき、このマップを使い、自治体もさらなる交通対策を実施し、交通事故が減少したというデータもございます。本市におきましても、カーナビでの急ブレーキ多発箇所のデータを活用した交通安全対策を行われていることと思いますが、さらなるオープンデータと組み合わせた活用の可能性があると私は思います。
 さらに、資料4をお願いします。(資料投影)こちらは横浜市の事例でございます。株式会社アイネットが、働くママの保育園探しの負担を少しでも軽減するために、自治体の持っている保育施設情報のオープンデータに加え、こちらの株式会社アイネットが独自にリサーチした情報を加え、区、路線、駅、施設名、空き年齢や土日祝保育、障がい児保育、アレルギー対応など、詳細に比較検討できる働くママ応援し隊というサイトを運営しております。私も検索して調べましたが、確かにとても明瞭で、知りたい情報もすぐ入手でき、検索条件も詳細に設定することができ、比較もできるとても便利な仕様となっておりました。資料をお下げください。
 このように、オープンデータを市民または事業者がそれぞれの目的で活用するのはもちろん、民間のデータ、独自の強みを生かした市民サービスをさらに向上させる二次的なオープンデータの作成や、それに付随するサービスの提供を積極的に推進していくことで、本市といたしましてもより市民のニーズに応えられるとともに、事業者の経済活動の活性化、ひいては本市全体の経済の活性化につながると考えられ、ぜひとも積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 最後に、以上を踏まえた上での今後のオープンデータの活用に向けての島市長の意気込みをお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) まず、病児保育についてお答えいたします。
 利用者にとって病児保育の実施施設が分かりやすいような周知や、予約システムの機能の向上について県と協議を行うなど、保護者の利便性向上を図ってまいります。
 最後に、新生児マススクリーニング検査について、この検査については先天性代謝異常疾患などを早期に発見する重要な検査と認識しておりまして、拡大マススクリーニング検査についても、実証事業の状況など国の動向を踏まえ、対応を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 職員の働き方についてお答えいたします。
 職員が地域の活動に参加することは、地域の活性化にとっても重要であると考えていることから、引き続き兼業に関する許可制度を活用した取組を進めてまいります。働きやすい職場環境の整備については、引き続き、在宅勤務や早出遅出勤務を実施しつつ、令和6年度は働き方DXの推進として、テレワーク環境の拡充やデジタル人材の育成強化など、業務効率化と生産性向上に関する取組を一体的に推進してまいります。今後とも、職員のウエルビーイングと組織の生産性の向上の好循環を構築し、良質な市民サービスを提供するため、働き方改革の推進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、これまでも、オープンデータの専用サイトを開設し、データの充実を図るとともに、関係団体と連携をしながら、産業振興につながる活用事例の創出に取り組んできたところでございます。今後とも、福岡市が元気で活力ある都市としてさらに発展していくためには、民間企業が持つ斬新なアイデアや、AI、IoTなどの先進的技術などを活用するとともに、オープンデータをはじめとするデータの利活用を積極的に推進することが重要であり、企業、関係団体などとの連携を図りながら、市民の利便性向上、地域経済の活性化に資するよう取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司)登壇 私は自民党新福岡を代表して、財政運営について、保育士の人材確保について、公園利活用による価値向上について、以上3項目について、さきの中島まさひろ議員の代表質問に続き、補足質疑を行いたいと思います。
 初めに、財政運営についてお尋ねいたします。
 令和6年度当初予算案は、一般会計の予算規模が1兆825億円と、令和5年度当初予算に引き続き1兆円を超え、過去最大となっており、また、歳入のうち市税収入についても3,706億円と、こちらも過去最高を更新しております。一方で、市債残高は一般会計、全会計ともに着実に減少する見込みとのことです。
 先月、島市長が発表された予算案の資料を見ますと、予算のタイトルに「強くてやさしい福岡」を掲げ、都市の成長によって生じる果実を生かして、子どもや子育て世代への支援をはじめ、様々な分野において、優しく、きめ細やかな施策を積極的に実施することとされております。市税収入が増え、施策をしっかりと実行し、財政も健全化していただいているということで、市民の方とお話をしていても、福岡市は本当に元気で勢いがあるというお声をよくお聞きいたします。
 本日は、この福岡市政の道しるべとなる予算について、市税収入や市債、また、子育て関連予算の現状などをお尋ねするとともに、今後の福岡市の財政見通しや課題とその対応などについて質問してまいりたいと思います。
 まず、市税収入について、当初予算における直近3か年の推移とその要因をお尋ねいたします。
 次に、一般会計の予算規模が過去最高となった要因として、こども育成費や教育費の増加を挙げられていますが、島市長が市長選挙において訴えられていた子育て関連予算については、実際にどのように充実を図られてきたのか、当初予算におけるこども育成費及び教育費の直近3か年の推移とその要因をお尋ねいたします。
 また、福岡市のさらなる発展に向けて、子育て関連予算の充実をはじめ、市民生活の質の向上や都市の成長に向けた様々な施策を推進していく必要がある一方で、持続的に発展していくためには投資と財政規律のバランスを図ることも重要であると思います。
 そこで、令和6年度予算案では、将来の借金である市債残高のうち、満期一括積立金及び臨時対策債を除き、実質的に市が返済していく必要がある残高の状況はどのようになっているのか、また、貯蓄に当たる財政調整基金の残高の状況はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 次に、保育士の人材確保についてです。
 私は、令和3年6月議会で同じテーマで質問を行いました。それから3年が経過しようとしておりますけれども、この間、保育園をめぐる環境は様々な変化が生じております。福岡市では、令和5年4月1日に待機児童ゼロとなりました。これは本市による保育所等の整備の成果でありますが、一方で、保育園の園長先生からは、これまでに比べて子どもが入らなくなり、経営が苦しくなったというお話も耳にするようになりました。また、国は、保護者の就労要件等にかかわらず保育所等を利用できるこども誰でも通園制度の導入を進めており、本市では令和6年度に福岡市型モデル事業ということで、国の基準を超える内容で実施するということを伺っております。このように状況はいろいろと変化しているものの、保育士の確保が難しい状況は依然として続いています。園長先生とお話をしていると、場合によっては3年前よりも確保が難しくなったというお声を聞くこともあります。また、そのような中、令和6年4月から3歳児及び4、5歳児の保育士の配置基準が見直されるということも伺っております。
 そこで、保育士の人材確保について、これまでの取組や保育士不足の状況を踏まえ、今後どのような対応を行っていくのか、質問をしてまいります。
 まず、これまでどのような保育士確保の取組を行ってきたのか、お尋ねいたします。
 次に、取組の成果を確認していきたいと思います。
 その指標の一つとして、令和4年度の市内及び近郊の指定保育士養成施設を卒業した保育士の市内保育所等への就職割合についてお尋ねいたします。
 次に、現在、福岡地域における保育士の採用のしやすさはどうなっているのでしょうか。
 令和4年度の福岡地域の保育士の有効求人倍率についてお尋ねいたします。
 また、保育士の人材確保の取組として、保育士の業務負担の軽減は大変重要なものであります。各保育園には様々なお考えがあると思いますが、保育記録などを手書きするのではなく、ICT化することで保育士の業務の効率化を図ることは負担軽減策として効果が高いものと考えます。
 そこで、令和4年度の福岡市における、保育所等におけるICT化の進捗状況をお尋ねいたします。
 次に、公園利活用による価値向上についてです。
 公園をめぐっては、近年の少子・高齢化や市民ニーズの多様化、さらには公園施設の老朽化や予算の縮減などにより、市民ニーズに対して十分なサービスが提供できていないことが全国的に大きな課題となっております。また、その公園については、ある程度のストックが蓄積されたとする一方で、地方自治体をはじめ、財政制約が深刻化する状況の中で、老朽化が進む公園施設を適切に維持管理していくために、国において、新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会が組織されました。その検討会の中で、都市のため、地域のため、市民のために、公園をはじめとした緑とオープンスペースのポテンシャルを最大限引き出す新たなステージへの移行に向けて、ストック効果をより高める、民との連携を加速する、都市公園を一層柔軟に使いこなすといった観点を重視すべきと提言されております。
 さらに令和4年10月には、都市公園の柔軟な管理運営のあり方に関する検討会より「都市公園新時代〜公園が活きる、人がつながる、まちが変わる〜」のキャッチフレーズの下、新たな時代の公園は人中心のまちづくりの中で公園のポテンシャルを最大限発揮するため、パートナーシップによる公園マネジメントで多様な利活用ニーズに応え、地域の価値を高め続ける、使われ生きる公園を目指すべきと提言されております。
 本市においても、本市が有する都市公園、特別緑地保全地区、街路樹などの多くの緑資産のうち公園を利活用し、その価値の向上を図っているようですが、公園利活用に当たって本市における基本的な考え方をお尋ねいたします。
 また、緑資産のうち公園は、利用者の観点から、地域住民の生活に根差した身近な公園と広域から多くの利用者が集う公園に大まかに分類されていると思いますが、本市において導入している公園利活用の事業手法や制度についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 財政運営についてお答えいたします。
 まず、市税収入の推移については、令和4年度が約3,455億円、5年度が約3,656億円、6年度が約3,706億円となっております。増加の要因としましては、コロナ禍からの回復もありますが、それ以前より福岡市では、第9次基本計画において都市の成長と生活の質の向上の好循環を基本戦略に掲げ、取組を続けてきた結果、人口は政令市で最も高い伸び率で増加し、また、企業の立地や創業が進んでまいりました。こうしたことが納税義務者数の増加や企業収益の改善、土地評価額の上昇などにつながり、市税収入が増加してきているものと考えております。
 次に、こども育成費の推移については、令和4年度が約1,304億円、5年度が約1,342億円、6年度が約1,511億円となっております。増加の主な要因としましては、令和5年度の第2子以降の保育料の無償化や子ども医療費助成の拡充、また、6年度の児童手当の制度拡充や福岡市版こども誰でも通園制度の開始などによるものでございます。次に、教育費の推移については、令和4年度が約1,359億円、5年度が約1,390億円、6年度が約1,528億円となっております。増加の主な要因としましては、教職員や多様な支援スタッフの増員に加え、学校施設の改修など、教育環境の充実によるものでございます。
 次に、市債残高については、満期一括積立金及び臨時財政対策債を除く、令和6年度末の全会計の市債残高見込みは約1兆4,395億円で、5年度末と比較し、約464億円減少する見込みとなっております。市民1人当たりの市債残高はピーク時の半分を下回り、90万円となる見込みでございます。最後に、財政調整基金については、令和6年度末の残高見込みは約319億円で、コロナ禍前の水準を維持する見通しとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育士の人材確保についての御質問にお答えいたします。
 まず、保育士の人材確保策につきましては、福岡市独自の取組として、家賃や奨学金返済支援の実施、初任給調整や勤続手当の助成、保育士・保育所支援センターにおける就職相談やあっせん、潜在保育士を対象とした就職準備金や保育料の一部貸付け、保育所等のICT化推進、保育現場の魅力向上支援などを実施しているところでございます。
 次に、令和4年度の福岡市内及び近郊の指定保育士養成施設を卒業した保育士の市内の保育所等への就職割合については42%、福岡地域の保育士の令和4年度の有効求人倍率は2.81倍となっております。
また、福岡市の保育所等におけるICTシステムの導入の進捗状況は、令和4年度、約62%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園利活用に関する御質問にお答えします。
 福岡市では、公園などの緑を資産と捉え、経営の観点から活用を図ることを目的として、平成28年3月にみどり経営基本方針を策定しております。この方針に基づき、緑資産の整備、管理運営に当たり、その価値を向上させるため、つくる、守る視点だけでなく、生かす、育てる視点を加え、利活用を推進することとしております。
 次に、公園利活用の事業手法や制度につきましては、地域住民の生活に根差した身近な公園においては、地域が主体となった利用ルールづくりや自律的な管理運営を行うことで、使いやすく魅力的な公園づくりとコミュニティの活性化を図るコミュニティパーク事業がございます。また、広域から多くの利用者が集う公園においては、多様化する利用者ニーズに対し、より効果的、効率的に対応していくため、民間の能力を活用しつつ、利用者サービスの向上を図る指定管理者制度や、民間のノウハウや企画力、資金力を活用し、公園内に飲食店や売店といった便益施設等の設置を行い、公園機能の増進を図る設置管理許可制度などがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 2問目に入ります。
 まず、財政運営についてです。
 令和6年度予算案については、都市の成長と生活の質の向上の好循環により、しっかりと市税収入を確保することで、こども育成費や教育費を大きく充実させながらも、将来の借金である市債残高を着実に縮減するとともに、貯蓄に当たる財政調整基金の残高も高い水準で維持するなど、様々な施策の充実と財政の健全化を両立させていることを高く評価いたします。このように、令和6年度予算案については投資と財政規律のバランスが図られていることを確認いたしましたが、今後も健全な財政運営を維持していくため、将来的な課題を含めて考察したいと思います。
 我が国の将来推計人口は、2020年の1億2,615万人から2056年には1億人を下回る9,965万人となり、2070年には8,700万人まで減少することが見込まれています。さらに、既に超高齢社会を迎えたと言われておりますが、少子・高齢化も深刻な問題であり、ゼロ歳から14歳の年少人口は、2020年と比較すると2050年頃までに約31%もの減少が見込まれているところです。福岡市においては、現在も人口の増加が続いており、年少人口の減少ペースは全国的に見ると比較的緩やかであるものの、昨年12月に公表された市の推計によると、2040年頃に約170万人に達した後、これをピークに減少に転じることが予測されております。現在では若くて元気があると言われる福岡市においても人口減少の波は確実に訪れるものであり、少子・高齢化の進行による人口構造の変化も踏まえると、医療や介護などの社会保障関係費の増大に対応しつつ、子どもや孫の世代に過度な負担を残さないよう、将来にわたって健全な財政運営を行っていく必要性がますます高まっていくものと言えます。
 また、長かったコロナ禍が明け、世の中も活気を取り戻しつつありますが、物価高騰の影響はいまだ続いていることに加えて、1月の能登半島地震をはじめ、近年、大規模な自然災害が相次いで発生している状況です。これらの突発的な災害や経済状況の急激な変化が頻発している状況を踏まえると、こうした事態にも柔軟に対応できる将来の備えがより一層必要となってきます。
 このように、人口構造の変化や突発的なリスクへの対応といった観点からも、現在取り組まれている市債残高の縮減をはじめとした将来負担を軽減する取組は極めて重要であり、着実に継続していく必要があると考えております。ただ、市債残高をゼロにすることが正しい財政運営かといいますと、私はそうではないと考えます。福岡市が持続的に発展していくためには、将来に向けて戦略的な投資も行い、都市機能や生活インフラの充実を図っていくこともまた不可欠であります。
 そこで、この相矛盾する取組のバランスを図りながら財政運営を行うに当たり、まず福岡市の市債発行の考え方をお尋ねいたします。
 また、市債残高は先ほど答弁があったとおり、令和6年度予算案では市民1人当たりでピーク時の半分を下回るとのことでしたが、将来負担は市債残高のみならず、債務負担行為なども含めてコントロールしていく必要があります。
 そこで、市債残高を含む将来負担についてどの程度の水準であるべきと考えているのか、他都市との比較などにおいてどのように分析されているのか、お尋ねいたします。
 次に、中長期的な課題としては、公共施設の老朽化も上げられます。高度経済成長期や政令市移行期に集中的に整備した公共施設は、大規模な改修などが必要になる築30年を経過したものが全体で6割、市営住宅や学校施設は7割を超えており、令和3年6月に策定されたアセットマネジメント推進プランにおいては、今後30年間での建て替えや改修などに要する費用は約2兆4,600億円と試算されております。
 財政の健全性は維持しながらも、市民の安全、安心のため、公共施設の維持、更新をしっかりと行っていく必要があると思いますが、学校をはじめ、過去に整備を行ってきた公共施設の大量更新期を迎える中、今後の財政需要の増大に対して具体的にどのように対応していくのか、お尋ねいたします。
 次に、保育士の人材確保についてです。
 様々な取組を行ったこともあり、指定保育士養成施設を卒業された保育士の市内保育所等への就職割合は、前回の質問の際には令和元年度で約40%でしたが、約42%と2ポイント上昇しており、取組の効果は一定あったと思います。一方で、保育士の有効求人倍率は、前回の質問の際には令和2年度で2.24倍だったのが2.81倍に上昇しており、保育士の確保がより難しくなっていると言えます。
 そこで、保育士確保など保育園の課題を改善するため、令和6年度にどのような事業に取り組むのか、お尋ねいたします。
 次に、保育士の負担軽減のための業務のICT化についてです。
 先ほど令和4年度末で約62%との答弁でありましたが、前回の質問の際には令和2年度末で約52%という状況でありました。
10ポイント上昇しているものの、依然として40%程度の園では導入されておらず、より一層ICT化を進める必要があると考えますが、令和6年度において、保育所等における業務のICT化をどのように推進していくのか、お尋ねいたします。
 次に、先ほど答弁にありました保育現場の魅力向上支援事業についてです。
 私は、前回の質問の際に、保育士に継続して働いてもらうためには職場の努力も重要であるため、施設長に対する研修の充実など、各保育所における働き方改革の取組の推進について要望しておりました。
 まさにこの事業がそれに当たるものだと思いますけれども、保育現場の魅力向上支援事業の令和5年度の実施状況及び令和6年度以降の取組についてお尋ねいたします。
 次に、公園利活用による価値向上についてです。
 先ほど公園の利活用に当たっては、身近な公園や広域から多くの利用者が集う公園など、公園それぞれの特性に応じて利活用の事業手法や制度の使い分けを行っていると御答弁いただきました。公園によって利用者層や利用目的、そのニーズが異なることから、利活用の事業手法や制度を一律に当てはめることはないということでありますが、その導入実績について確認いたします。
 まず、地域住民の生活に根差した身近な公園について、コミュニティパーク事業による取組の実績をお尋ねいたします。
 次に、広域から多くの利用者が集う公園について、指定管理者制度による取組の実績をお尋ねいたします。
 また、設置管理許可制度による取組の実績をお尋ねいたします。
 加えて、平成29年の都市公園法改正に伴い創設されたパークPFI制度について、本市においても導入が図られておりますが、パークPFI制度の取組の状況をお尋ねいたします。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 財政運営についてお答えいたします。
 まず、市債発行の考え方ですが、市債は長年にわたって使用する公共施設などを整備するための財源であり、世代間の負担調整や年度間の負担の平準化などの役割を果たしており、重要な資金調達の方法であると考えております。一方で、市債の過度な活用は、公債費の増大による財政の硬直化や将来世代への負担増を招くことになることから、政策推進プランに基づく投資の選択と集中により市債発行をできる限り抑制することとしております。
 次に、将来負担の水準については、全国統一の健全化判断比率の指標の一つである将来負担比率において、福岡市は指標が導入された平成19年度の259.6%から直近の令和4年度は74.3%と185.3ポイント改善しており、この改善幅の大きさは比較可能な17政令市のうち3番目と、他都市と比較しても早いペースで健全化が進んでいるものと認識しております。しかしながら、政令市平均の67.6%をいまだ上回っている状況にあり、引き続き市債発行の抑制による市債残高の縮減などに努めていく必要があると考えております。
 次に、公共施設に係る財政需要への対応については、財政負担の軽減や平準化を図るため、アセットマネジメント基本方針に基づき、施設の状況などに応じた適切な維持管理による長寿命化や統廃合も含めた資産の有効活用などに取り組んでまいります。また、財源確保のため、令和3年度から市税収入などの増加分を積み立ててきた庁舎建設等資金積立金について、6年度末の残高見込みが約286億円となっており、今後の計画的な建て替えや改修に活用してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育士の人材確保についてお答えいたします。
 令和6年度は保育士の負担軽減及びブランクの長い保育士の現場復帰を図り、保育所等に対し、子育て支援員研修の修了者や潜在保育士を保育補助者として雇用する費用を助成します。また、子育て支援員の確保のため、福岡市が実施する子育て支援員研修の受講者定員を増やすとともに、eラーニングを導入するなど、より研修を受講しやすい環境を整備してまいります。加えて、対象児童数が増加している特別支援保育の質の向上を図るため、保育士雇用費の助成を拡充してまいります。
 次に、保育所等におけるICT化の推進については、従来の補助対象に加え、令和6年度より各施設での実費徴収に係るキャッシュレス決済の導入費用を補助対象に加えるほか、ICT化の一層の進展を図るために福岡市保育協会やシステム事業者と協議を行いながら導入を促進してまいります。
 最後に、保育現場の魅力向上支援事業については、令和5年度は、社会保険労務士が働き方改革の取組を支援する訪問支援型を2つの施設で、また、研修受講者が研修内容を各保育現場で実践する研修支援型を16施設で実施しております。令和6年度は、今年度の事業効果を検証し、より効果的なものとなるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園利活用に関する御質問にお答えします。
 まず、コミュニティパーク事業につきましては、今年度より新たに事業を開始した博多区の吉塚梅香公園など、7つの身近な公園において実施されております。これらの公園では、地域の話合いによってその公園独自の利用ルールづくりが行われるほか、運営委員会を中心として広場やトイレの清掃、除草や中低木の剪定などの維持管理や、花壇づくり、落ち葉を使った肥料づくり、野外コンサートやフリーマーケットなど地域に合った催物など、地域にとって使いやすい魅力的な公園づくりが行われております。
 次に、指定管理者制度につきましては、広域から利用者が訪れる大規模公園や日本庭園など、21の公園において制度を導入しております。これらの公園においては、施設管理や修繕、樹木や芝生などの維持管理、自然観察会やテニス教室などの催しなどの基本的な取組に加え、各公園の特性を生かして、舞鶴公園では都心近くの自然で楽しめるバーベキュー場の設置運営、かなたけの里公園では農業体験と連携した野外活動施設の設置運営、友泉亭公園では日本庭園の魅力を生かしたプロジェクションマッピングを実施するなど、公園利用者へのサービス向上が図られております。
 次に、設置管理許可制度につきましては、同制度の活用により、平成27年4月に西南杜の湖畔公園におけるカフェの設置、28年7月に水上公園における休養施設と一体となったレストランの設置、令和4年4月に高宮南緑地における歴史的建築物を活用したおもてなしや交流の場づくりを行っております。これらの施設におきましては、地域利用も活発で町内の催しにも活用されるなど、公園のにぎわいや魅力づくりが図られております。
 最後に、パークPFI制度につきましては、令和4年3月に福岡市公園条例を改正し、同制度の運用に必要な事項を規定し、5年3月にまずは東平尾公園の大谷広場、清流公園、明治公園の3つの公園において同制度を導入した公募を実施しております。現在、地域と協議を行いながら設計を進めており、6年度に工事に着手する予定でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) それでは、3問目に入ります。
 まず、財政運営についてです。
 これまで、令和6年度予算案や将来を見据えた財政運営などについて質問してまいりましたが、福岡市においては、都市の成長と生活の質の向上の好循環により、令和6年度予算案においても必要な施策を推進する中、投資の選択と集中による市債残高のコントロール、公共施設の老朽化に対する備えなど、中長期を見据えた財政運営を行っているものと理解いたしました。
 この質問の最後に、将来にわたり福岡市が発展を続け、より一層市民が安心して暮らすことができるような施策を積極的に展開しつつ、将来世代に過度な負担を残さない財政運営が欠かせませんが、今後、社会保障関係費、公共施設の建て替え、改修などの財政需要の増大が見込まれる中、持続可能な財政運営を行っていく決意をお尋ねいたします。
 次に、保育士の人材確保についてです。
 令和6年度には新たな取組として、保育補助者の雇用費の助成を実施されるということでありました。保育士は肉体的にも精神的にも大変な仕事であります。ブランクが長くなると復帰をためらう気持ちも分かりますので、この制度は有効であると思います。まずは多くの潜在保育士に制度を知ってもらうことが必要でありますので、市としてしっかりと周知をお願いいたします。また、保育園にはこの制度を積極的に活用していただく必要があり、人材確保のため、保育士の負担軽減は必要不可欠であると考えます。御自分の園での保育業務について、本当に保育士が行うべきものなのかという観点で点検をしていただき、補助者の活用を検討していただけたらと思っております。この検討を行う中で疑問点なども出てくると思いますので、市には保育園を丁寧にサポートしていただきますようお願いいたします。
 また、人材確保ではありませんが、特別支援保育に係る雇用費が充実されるということでありました。園長先生とお話をしていると、特別な支援が必要なお子さんが増えているとお聞きしますが、そういった中でも、よりよい保育を提供するため、各園では様々な努力をされております。各保育園の負担が軽減される今回の雇用費の充実は大変喜ばれるものだと思いますが、市には引き続き、特別な支援が必要なお子さんを受け入れる園への支援をお願いいたします。
 また、保育現場の魅力向上支援事業については、さらに充実していただきたい事業であります。先ほど答弁にあったように、保育士の有効求人倍率は高い状況でありますので、どちらの保育園でも保育士の確保に苦労されておりますけれども、お話を伺っていると、園ごとの状況には違いがあるように感じます。その違いには園の労働環境が関係する場合もあると思いますので、保育園にはまず、この事業に手を挙げて、外部の専門家の意見を聴いていただきたいと思います。この事業につきましては、今年度の事業効果を検証し、来年度以降の実施方法を研究されるとのことですので、様々な保育園に活用していただけるよう、より効果的な制度としていただきたいと思います。
 今回、保育士の人材確保についてお尋ねしてまいりましたが、従来の取組に加え、令和6年度には新たに事業を開始されるなど、さらに充実されることから非常によかったというふうに感じております。一方で、本市においては、就学前児童数は減少傾向にあるものの、保育ニーズは横ばいの傾向であります。また、保育所等の整備は一段落したと考えておりますが、今後は保育の質に重点を置いた取組がより重要となってきます。加えて、国は保育園に対して、これまで以上に地域の子育て支援の拠点としての役割を期待しており、その一環として、こども誰でも通園制度も進められております。
 このような状況を踏まえると、今後とも保育士の需要は高止まりし、確保が難しい状況は継続すると思われますが、この質問の最後に保育士確保の取組を今後どのように進めていくのか、御所見をお尋ねいたします。
 次に、公園利活用による価値向上についてです。
 本市においても様々な事業手法や制度を活用し、公園の利活用が進められているとのことですが、中でもパークPFI制度はさらなる展開の余地があると考えております。全国の公園でパークPFI制度の活用に向けた検討が競うように進められ、導入も広がっているようですが、この制度は民間事業者の自己負担によって飲食店などの便益施設を設置し、その収益を公園整備に投資するという特性があります。民間事業者が便益施設の建設と公園整備への投資を回収できる、そのような公園においてのみ制度の活用が可能となるため、必然的に制度の活用が図れる公園が限定されてしまうという、そのような難しさもあるようです。
 本市の人口は2040年まで増え続け、約170万人に達し、また、多くの旅行客も訪れており、交流人口も増加し続けております。パークPFI制度の活用に当たっては、そのようなまちの特性や魅力を活用できるというのは、本市の強みであると思います。他都市の事例を見ると、行政負担の軽減を図るという観点でこのパークPFI制度が導入されていることが多いようでありますが、私としては、民間事業者のアイデアやノウハウを使って公園やまちの魅力を向上させていく、そこにこそこの制度の魅力があるというふうに感じておるところであります。
 それに加えて、本市ではパークPFI制度の導入時に地域ニーズへの対処に重きを置いていることが特徴だと思っております。具体的には、東平尾公園の大谷広場においては防犯対策として防犯カメラの設置や飲食店と連携した見守りと声かけが、明治公園においては喫煙対策として喫煙所の設置と運営といった工夫が地域との話合いの中で生まれております。それぞれの公園において、それぞれの地域で異なるニーズを捉えて計画に反映されており、この取組は他都市との違いだと評価しております。パークPFI制度は本市の魅力をさらに高めることができるものと見ており、広域から多くの利用者が集う公園はもちろん、例えば、大規模な改修を伴う公園や新しくまちが生まれ変わるような地区に立地する公園など、民間事業者による利活用の可能性を持った公園においては、パークPFI制度の導入を積極的に検討するなど、公園の価値向上に向けて取り組んでいってほしいと考えております。
 最後に、パークPFI制度の活用について、さらに力を入れて取り組んでいくべきだと考えますが、その意気込みをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 財政運営についてお答えいたします。
 社会保障関係費や公共施設の建て替えなどに係る経費が増大していく中にあっても、突発的な災害や経済情勢の変化に柔軟に対応しながら、都市の成長と生活の質の向上の好循環に向けた様々な施策を着実に推進していくためには、よりしなやかで力強い財政構造を築いていく必要がございます。そのため、歳入の積極的な確保や行政運営の効率化、既存事業の見直しなど、不断の改善に取り組むことはもとより、中長期的に、施策事業の推進による税源の涵養を図りつつ、超高齢社会に対応する持続可能な仕組みづくりやアセットマネジメントの推進、市債残高の縮減などにより財政構造を強化し、将来にわたり持続可能な財政運営にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育士の人材確保についてお答えいたします。
 保育の質の向上に加え、こども誰でも通園制度のモデル実施や特別支援保育の充実など、多様な保育ニーズへの対応に当たっては、保育士の人材確保が大変重要であると認識しております。令和6年度は、これまでの取組に加え、新たに保育補助者の雇用費の助成を実施するなど、今後とも、保育所が保育士の皆さんにとって働きたいと思える魅力的な職場となるよう、保育現場の意見もお聞きしながら支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園利活用に関する御質問にお答えします。
 公園の規模や立地、性格など、各公園の特性に応じ、コミュニティパーク事業や指定管理者制度、パークPFI制度など、様々な事業手法や制度を活用し、公園利活用による価値向上に取り組むとともに、特にパークPFI制度の活用に当たっては、公園利用者の利便性向上や公園の魅力向上を目的として、市政の推進や地域ニーズへの対処の視点も踏まえて制度の導入を図るなど、魅力あふれる公園づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後4時20分に再開いたします。
午後4時8分 休憩
午後4時20分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。新村まさる議員。
○42番(新村まさる)登壇 私は会派、新しい風ふくおかの代表質疑を補足しまして、地域自治の担い手不足に関連する事項について順次質問をしてまいります。
 まず、本市の全市的な地域自治の在り方についてですが、平成16年度以降、自治協議会制度を導入し、主に小学校区単位における住民同士の連携と親睦精神の下に、この間、多様な地域活動が進められてきました。しかしながら、自治会、町内会をはじめとしました地域団体の役を担う皆さんの高年齢化や後継者不足といった社会問題が多くの校区において年々深刻化をしております。コロナ禍の昨今におきましては、従来からの地域行事の取りやめや縮小が続いたことにより、地域住民同士による親睦の機会の減少、関係の希薄化が地域活動の人手不足に拍車をかけました。現在では地域、校区活動の中心を担う一部の皆さんが少なくない負担や疲弊を抱えながらも、必死になって活動を維持、継続させている校区も多いのではないでしょうか。自治活動に関わる住民の数の先細りや世話役の高年齢化など、ますます先鋭化している地域活動の担い手不足をこの先も解消できなければ、20年先、福岡市における共助の仕組みは崩壊をしかねないと、この問題に強い危機感を表すところです。
 本市には146の小学校区があります。まずは各校区を取り巻く全市的な状況についてお聞きをしてまいります。
 本市では現在、次期基本計画の策定に向けた取組が進められております。
その次期基本計画に係る校区ヒアリングにおきまして、地域の担い手不足や自治会、町内会への参加者減少を現状の地域課題として挙げている校区の数をお示しください。
 次に、地域の担い手不足とは具体にどのような状況が表面化することを指しているのか、当局の認識をお尋ねいたします。
 また、その地域自治の担い手不足を招いている根本的な要因をどのように捉えているのかも併せてお尋ねをいたします。
 本市では平成16年度から自治協議会制度が導入され、これまで主に校区単位で運用されてきました。
それぞれの校区ではどのような自治組織形態で運用されているのか、どういった皆さんが地域自治を担っている構造なのか、年間を通した自治活動の流れがイメージしやすいように御説明をください。
 また、これまで地域自治の仕組みを支えてきました自治協議会制度について、導入の目的と評価、現在抱えている課題についてお尋ねをいたします。
 各校区には多くの世話役の皆さんがリーダーシップを振るって長年活躍くださっています。一方で、役職者の高年齢化も懸念されています。本市には152の自治協議会と約2,300の自治会、町内会があります。
自治協議会会長と自治会長の平均年齢の推移について、制度開始時期と現在と比較して高年齢化が実際に進んでいるのか、確認をさせてください。
 次に、自治協議会会長及び自治会長を選任する際において、規約に年齢の制限あるいは任期の上限を定める再任制限を設けているケースはどの程度あるのか、これも制度開始時期と比較した数字をお示しください。
 自治会、町内会のほかにも、自治協議会を構成する団体として様々な地域支援の分野で活動する各種団体が存在をしています。
その各種団体には具体にどのような種別があり、1つの校区当たり平均してどれくらいの数があるのか、お示しをください。また、それぞれの自治協議会において、それら各種団体の設置はどのように取り決めているのか、お尋ねをいたします。
 次に、それら地域の各種団体で活動することになる委員は一般的に校区内でどのように募集をされているのか、お尋ねをいたします。
 また、その各種団体の委員数においても、多くの校区で年々減少傾向が進んでいると思われますが、現状認識について併せてお伺いをいたします。
 地域の担い手不足の影響を受けて、自治会長、町内会長が各種団体の委員や役員を一人で何役も担わなければならない事例も多く散見をされますが、この現状を当局ではどのように認識しているのか、お尋ねをいたします。
 次に、次年度から本格的に実証事業が始まる新しい取組、地域ポイント事業についてお尋ねをしてまいります。
 この事業は地域のボランティア活動に対してポイントを付与し、そのポイントを本市が用意する様々な特典と交換できるという地域活動者へのインセンティブ導入の仕組みと伺っております。
 まずは本事業を実施する目的をお尋ねいたします。また、地域活動支援という本来市民局所管の行政課題について、今回、総務企画局において立案され、今後の事業実施に向けて進められている経緯をお尋ねいたします。
 次に、地域ポイント事業に係る今年度予算額とその用途についてお示しをください。
 また、本事業の実施に伴い、将来的に地域の担い手不足という社会課題の解決に寄与するとお考えなのか、その認識をお尋ねいたします。
 次に、ポイントと交換される特典についてですが、具体にどのようなものが用意されるのか、確認をさせてください。
 次に、地域ポイント事業の進め方についてですが、この3月からモデル事業として市内9校区で開始されるとお聞きしております。
 そこで、これまで進めてきた準備の内容と今後の事業開始に向けたスケジュールをお示しください。
 また、モデル事業として地域ポイント事業への参加を表明された9つの校区ですが、主にどのような効果や期待を寄せられているのか、お尋ねをいたします。
 次に、地域ポイントを付与する対象者と対象活動について確認をさせてください。自治協議会にひもづかないような地域ボランティア団体もポイント付与の対象となるのか、あるいは地域活動を手伝ってくれる未成年者なども対象となるのか、お伺いをいたします。
 本事業は具体にどのような仕組みや手法でポイントを付与することになるのか、詳細な流れをお尋ねいたします。また、その仕組み、手法において地域の皆さんが負担しなければならない作業を具体にお示しください。
 次に、地域の多様な担い手確保と創出に向けた取組についてです。
 地域自治の担い手不足は、将来の共助機能の維持を根幹から揺るがす大きな社会課題として年々その深刻さを増しております。これまで本市が課題改善に取り組まれてきた施策と次年度特に力を注ぐ支援策についてお伺いいたします。
 同様に、自治会長をはじめ、あらゆる自治組織や地域団体の多くは会長、役員職の継承に大きな苦労と困難を要しております。この現状にどのような所見をお持ちか、本市の取組と併せてお示しをください。
 以降、2問目以降の質疑は自席で行いたいと思います。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域の担い手不足の現状と要因についての御質問にお答えをいたします。
 まず、次期基本計画に係る校区ヒアリングについては、88の校区、地域が地域の担い手不足等が課題であると回答をしております。
 次に、担い手不足の具体化につきましては、後継者がいないことで、役員が交代できない状況や、同じ人が幾つもの活動に参加せざるを得ない状況が生じているものと認識をしております。
また、担い手不足の要因につきましては、都市化の進展やライフスタイルの変化などによる住民の地域コミュニティへの関心の低下から地域活動への参加者が減少していることや、活動の多忙化による負担感があるものと考えております。
 次に、自治協議会の組織や活動についてですが、自治協議会は校区内のおおむね8割以上の自治会、町内会のほか、防災、防犯などの分野ごとに活動する組織などにより構成をされており、年度当初に総会で年間の事業計画や予算を決定し、各分野の担当者を中心に活動が行われております。
 次に、自治協議会制度の目的と評価につきましては、この制度は地域の自治を確立し、地域コミュニティを対等なパートナーとして共にまちづくりに取り組むために平成16年度に創設したものであり、校区の特性を生かした地域づくりが進む一方で、活動の担い手不足などの課題が生じているものと考えております。
 次に、会長の平均年齢につきましては、自治協議会・自治会等アンケートの結果によりますと、自治協議会会長は平成18年度が70.8歳、令和4年度が73.2歳、自治会、町内会長は平成18年度が66.5歳、令和4年度が69.2歳であり、いずれも上昇いたしております。
 次に、会長の定年制の導入率につきましては、同アンケートの結果により平成18年度と令和4年度の順に申しますと、自治協議会会長は6.1%と12.4%、自治会、町内会長は3.8%と4.1%、また、再任制限の導入率につきましては、自治協議会会長は16.6%と37.7%、自治会、町内会長は9.4%と17.3%となっております。
 次に、自治協議会の構成団体につきましては、自治会、町内会のほか、校区ごとの話合いにより、防災や防犯、スポーツ、男女共同参画、子ども、環境、健康づくりなど、分野別に活動する各種団体で構成されており、その平均数は1校区当たり20団体となっております。
 次に、各種団体の委員の募集方法につきましては、自治会、町内会からの推薦や各団体の委員からの個別の声かけによる方法が多くなっております。
また、各種団体の委員数につきましては、個別の人数は把握しておりませんが、担い手不足により委員の確保に苦労されている校区があることは承知をしております。
 次に、役職の兼務につきましては、担い手不足により複数の役職を兼務せざるを得ない自治会、町内会長がいることは承知をしており、一人の方に負担が集中することは課題であると認識をいたしております。
 続いて、地域の担い手確保と創出に向けた取組についての御質問にお答えをいたします。
 市のこれまでの取組につきましては、地域コミュニティの大切さを広く周知することにより地域活動への理解や参加促進を図るとともに、自治協議会や自治会、町内会に対する補助金の交付や公民館事業などを通した担い手づくり、地域の負担軽減に向けた協力依頼の見直しなどを実施いたしております。令和6年度は、担い手づくりにも活用いただけるよう、自治協議会共創補助金の拡充を図ることとしており、今後とも、地域の実情に応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。
 最後に、会長をはじめとした役職の継承についてですが、地域において後継者探しに苦労されていることは承知をしており、地域の担い手不足は課題であると認識をいたしております。そのため、活動への理解や参加促進のための広報、啓発や、地域広報アドバイザーによる広報活動の支援などに取り組むとともに、市からの協力依頼の見直しにより地域の負担軽減を図っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地域ポイント事業についてお答えします。
 まず、事業の目的については、地域コミュニティの担い手不足や子育て支援、高齢者支援などの様々な社会課題の解決に向けて、今後、市民の皆様の御協力がより重要となってくるため、市民の皆様が善意で取り組まれる地域活動などにポイントを付与し、感謝の気持ちをお返しする仕組みを構築するものでございます。また、総務企画局が所管する経緯については、事業構築に当たって、複数局に関わる課題に対応した様々な調整を行う必要があることから、総務企画局において地域の御意見をお伺いしながら、地域コミュニティ施策を所管する市民局とも連携し、令和5年度から検討を進めているところでございます。
 次に、令和5年度予算額については9,500万円であり、用途といたしましては、主にシステムの開発や運用に加え、利用者のサポート及び事務費となっております。
 次に、地域の担い手については、事業の実施を通じて、市民の皆様が地域活動に関心を持っていただくきっかけとなり、また、若者や子育て世代などの参加促進や新たな担い手確保にもつながっていくよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、特典については、現在、地域の御意見を伺いながら検討を進めておりますが、例えば、福岡マラソンなど市主催イベントへの優先参加や市有施設におけるバックヤードツアーの体験、美術館など公共施設利用料の割引、備蓄食料セットの提供などを検討しているところでございます。
 次に、これまでの検討状況については、モデル校区の自治協議会の役員の方々から構成する検討会議や地域へのヒアリングなどにおいて、地域の御意見を伺いながら検討を進めているところでございます。今後につきましては、実証開始に向けて、いただいた御意見などを踏まえ、モデル校区での実証内容を決定していくとともに、実証開始前にはシステムの試行や各モデル校区への説明会の実施を予定しております。
 次に、モデル校区からは、本事業をきっかけとして、若者や子育て世代など、これまで地域活動などに参加されていなかった方々の参加促進につながっていくのではないかといった御意見をいただいております。
 次に、ポイント付与の対象については、現在、地域の御意見を伺いながら検討を進めておりますが、モデル校区での実証に当たっては、自治協議会が取り組まれる基本的な活動や自治協議会と連携してボランティア団体が取り組まれる活動などを対象として考えており、未成年者についても付与の対象になると考えております。
 最後に、ポイントを付与する仕組みについては、まず、地域活動などに取り組まれた方がスマートフォンなどのアプリを利用してQRコードを読み取り、それぞれの活動に応じたポイントを受け取るものでございます。また、モデル校区の皆様には対象活動の実施日時や場所などをシステムに登録した上でQRコードを発行して、それぞれの活動場所に掲示するなど、ポイント付与の仕組みの一部を担っていただくことを考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。新村まさる議員。
○42番(新村まさる) まず、地域の担い手不足の現状とその要因についてです。
 次期基本計画の校区ヒアリングでは、6割ほどの校区が地域活動への担い手不足や参加者の減少を顕著な課題として挙げております。当局におきましては、後継者不足と地域役員の固定化を具体な課題と示され、その要因を昨今のライフスタイルの変化などによる地域コミュニティへの関心低下や地域活動の負担感などと認識しているとのことでした。
 自治協議会会長や自治会長の高年齢化や固定化の進展への対策としまして、選任時に年齢制限や期数、再任制限を規約に定めるケースも、この間、少しずつですが増加をしております。その他、自治協議会を構成する地域の各種団体においても同様です。
 このように、年齢制限や再任制限の設定が進みつつある背景をどのように捉えてあるのか、また、これらの措置は役職者の円滑な継承に影響を与えると考えられるのか、所見をお尋ねいたします。
 自治協議会を構成する各種団体は校区に平均約20ほどもあるということです。地域防犯や自主防災をはじめ、子育、青育連、体振、青パト、交通安全推進、環境、健康づくりに男女協、人尊協に社協、ふれあいネットなど、それぞれ担当の委員が集まって、各分野で年間の活動に従事をされております。主に自治会長から推薦や依頼をされて、所属する自治会を代表して委員に就任する場合も多く、それは1つの自治会から多くの委員人材を輩出する必要があることを意味しております。年度末になりますと、次年度に向けた各地域団体の役員体制や委員構成決めで慌ただしくなります。自治会長は自治会を支える人材の確保に加えて、各種団体への委員の手配業務にも奔走することになります。各種団体の委員を長年継続して務めている方も多いのですが、近年、特に、高齢に伴う体調不良や兼任の過多による負担を理由に委員を退任する事例も増えてきているように思います。退任者が出た場合、新規の委員候補を選定、そして依頼しなければなりません。この際に声をかけることのできる地域人材が豊富に町内にいればいいんですが、なかなかそういうわけにはいきません。どうしても後任者が決まらない場合には、既にほかの団体で委員をしている方に兼任をお願いしたり、自治会長自らが4つも5つも6つも委員を兼任することも決して少なくはありません。兼務する数が増えれば増えるほど、委員として就任した全ての団体活動への参加が難しくなり、結果としてそれぞれの各種団体への参加人数も減っていき、地域活動の形骸化や衰退につながっているという現状を強く指摘しなければなりません。
 最近では各種団体が自治会を介さずに直接委員を確保する積極的な動きも出てきています。団体の規約の変更を要する場合などもありますので、その仕組みや事例を今後広く共有していく必要があります。各種団体の委員の確保においては、できる限り自治会長への負担を軽減するような柔軟な募集の在り方について、当局には今後さらなる研究が求められますし、諸地域での好事例の丁寧な情報提供、これをお願いしておきたいと思います。
 次に、自治会長職の後継者探しについてですが、これもやすやすとは決まりません。後継者の成り手が見つからないまま年月だけがたって、気づけば70代後半、80代を迎える自治会長さんも少なくないでしょう。自治会長は本来の役割である自治会の運営だけでなく、その他も多岐にわたる役割と業務に忙殺をされて、新たな地域人材の掘り起こしにまで手をつける、手をかける余裕が生まれないのも大きな課題の一つです。コロナ禍前に比べますと人間関係もより疎遠になりがちで、その苦労は年々増してきているように感じています。
 このように自治会長に特に負担が集中していることにより、後継者も見つからないまま固定化と高年齢化が進み、結果としてますます地域の担い手不足の解消が停滞してしまうという悪循環となってしまっているのではないかと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 次に、自治協議会を構成する各種団体の運営状況についてです。
 現在も防犯、防災、子どもや高齢者の見守りなど、各分野で熱心な活動が行われております。1つの校区に対して約20ほどあるということですので、福岡市内には自治会、町内会とは別に3,000ほどの各種団体が各校区内で活動していることになります。これらの各種団体におきましても、委員の高齢化や成り手不足が顕著です。人数不足により従来の活動が継続できなくなって解散してしまう事例や、当座の人員不足を解消するために防犯と青パトでしたり、子育と青育連、人尊協と男女協など、比較的活動内容のつながりが深い団体同士を合併させて、何とかやりくりをしているといった事例も聞きます。そして、今後ますます増えていくと思います。
 このような自治協の構成団体を取り巻く厳しい環境にどのような所見をお持ちなのか、お尋ねをいたします。
 各区の地域支援課の職員皆さんが、各校区を回りながら労を惜しまず地域支援に奔走しています。自治協議会の執行部、役員の皆さんとのコミュニケーション機会はおのずと多くなるものですが、一方で、自治会や各種団体の皆さんと関わる機会を増やしていく、こういうこともより多様な地域課題の把握や情報共有、きめ細かい助言や相談の機能を高めていく上で今後の重要課題の一つだと思いますが、所見をお尋ねいたします。
 次に、地域ポイント事業についてです。
 まずは、ポイント付与の対象となる活動ですが、自治協議会に関連するものをまずは想定されているようです。清掃活動や通学路等での見守りの活動、防犯パトロールなどを具体例に挙げていただきましたが、地域自治活動の種類や関わり方はまだまだ多岐にわたりますので、対象活動を設定する上でさらに詳細な考え方をお示しください。
 次に、付与されるポイントの量と交換価値についてですが、地域活動の量に対してどの程度のポイントが付与されるのか、また、それらのポイントはどの程度の特典として交換をされるのか、現在の考え方をお示しください。
 モデル事業では、地域ポイントと交換できる特典として、市主催のイベントへの優先参加や市有施設での体験の提供、市有施設利用時の割引、備蓄食料の提供などを想定されているということです。
今年度の予算の9,500万円はあくまでシステム開発や運用に活用されるもので、交換される特典を用意するための費用としては特段の予算計上は必要としないと理解をしてよろしいでしょうか、お伺いいたします。
 類似した事業を先行的に実施している千葉市や豊中市におきましては、取得したポイントを地域通貨や電子マネーにも交換できるスキームとされているそうです。本市ではこれらを交換特典に位置づけない方針だと思いますが、その理由をお尋ねいたします。
 次に、ポイント付与の仕組みについてですが、対象となる地域活動実施時にポイント付与専用のQRコードを発行して、ポイントを受け取るには地域活動者本人がQRコードを端末で読み取って操作を行う、こういう流れのようです。
QRコードを読み取る端末をお持ちでなかったり、端末の操作がなかなか苦手な方に対して、サポート体制、これをどういうふうにお考えなのか、お伺いをいたします。また、地域ポイント事業の運営に当たって、地域のどのような役職者に対してどの程度の業務や負担が生じると考えられるのか、細かくお尋ねをいたします。
 次に、ポイントと特典の交換の手続から特典が届くまでの流れをお示しください。
 いよいよ9校区で開始される地域ポイント事業ですが、ふだんから自治協議会で中心的な役割を果たしているような皆さんには、ある程度、本事業の趣旨や手続方法について共有されることは予想できます。そこから先の皆さんへの事業周知が大きな課題と言えます。
 自治会や各種団体の活動に参加する皆さんに対して、あるいは地域活動との関わりや、そもそも接点の少ない地域の皆さんに対しては、地域ポイント事業が居住する校区で実施されること、その目的や仕組みなどについてどのように周知や理解を図っていくおつもりなのか、お聞かせください。
 また、事業を進めていく上で特に配慮をすべき点、想定される事業課題について所見をお尋ねいたします。これまでモデル校区9校区との検討会議を重ねてこられたと伺っておりますが、そこでは具体にどのような課題が抽出されているのか、併せてお示しをください。
 次に、事業実施後のスキームについてですが、一定期間の実証を経て、どのくらいの時期にどのような項目や評価指標を基に、その施策効果を検証する予定なのか、お尋ねをいたします。
 次に、地域の担い手不足改善のための今後の支援策についてです。
 校区内の各所で開催されるイベントやにぎわい行事は、地域で新たなコミュニケーションを創出したり、人間関係や親睦をより深めてくれるものです。本市では平成26年度から令和3年度まで、地域活動への新たな参加機会を後押ししようと地域デビュー応援事業が展開をされてきました。
それを引き継ぐ形で、昨年度からは町内会活動支援事業がその役割を担っております。その補助金額や用途メニューを確認させてください。
 また、今年度、町内会活動支援事業を活用した、あるいは申請している自治会、町内会の数をお示しください。
 地域の担い手不足が深刻化する現在におきましては、これまで自治活動や地域ボランティアにあまり関わったことのない方々が住民の多数を占めております。
一方で、その中には機会があれば居住する校区または地域で社会貢献してみたいという方や、実は地域活動との関わり方がよく分かっていないんだよという方が市内一円に潜在しているのではないかと思いますが、所見をお尋ねいたします。
 今後は、潜在的に地域貢献意欲のある方にとって、地域活動に関わりやすい環境や仕組みづくりが特に肝要だと思います。
そのためには、まず、自身が居住する校区や町内の自治活動がいつ、どこで、どのように行われているかや、現在活動されている皆さんが活躍する姿を知ることのできる機会、これは今後、より多く必要だと思いますし、地域への協力意思を気軽に表明できる場や機会の創出にさらなる創意工夫と努力が必要だと考えますが、所見をお尋ねします。
 以上を2問目といたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域の担い手不足の現状と要因についてお答えをいたします。
 会長の定年制や再任制限につきましては、特定の方への負担や責任の集中を防ぐため、また体力面への配慮などから、地域で話合いの上、設定されているものと考えております。これにより、運営や活動がうまく引き継がれていない場合がある一方で、交代時期が明確なため、早い段階から地域全体で後継者を探す意識が共有できるといった効果もあると考えております。
 次に、自治会、町内会長に負担が集中している状況についてですが、自治協議会や自治会、町内会の活性化のためには、会長をはじめ役員の負担軽減が重要であると考えており、市といたしましても、市民に対し広く活動への理解や参加促進のための広報、啓発を行うとともに、市から地域への依頼の見直しを行うことで役員の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。
 次に、自治協議会の構成団体を取り巻く状況につきましては、少子・高齢化やライフスタイルの変化などを踏まえ、工夫しながら運営や活動に取り組んでいる地域もあると認識をしており、それらの事例を共有しながら持続可能な地域コミュニティづくりを支援してまいります。
 次に、校区担当職員につきましては、地域課題にきめ細やかに対応するため、令和4年度に7区合計で9人を増員したところであり、自治会、町内会の運営や活動への支援、各種団体と各分野の担当部署との適切なつなぎなど、地域のニーズを把握しながら、しっかりと支援を行ってまいります。
 続いて、地域の担い手確保と創出に向けた取組についてお答えをいたします。
 町内会活動支援事業補助金につきましては、補助額は補助率2分の1以内、上限5万円を基本とし、情報発信や地域防災力の向上について新たな取組を行う場合などは補助率5分の4以内、10万円を上限としており、地域の活性化や課題解決につながる幅広い事業を対象といたしております。
また、申請状況につきましては、令和5年12月末時点で445団体となっております。
 次に、地域貢献の意欲のある方についてですが、どの程度潜在しているかを把握することは困難でありますが、令和4年度に実施した市政アンケートの調査結果によりますと、過去1年間に地域活動に参加しなかった理由として「参加のきっかけがない、または、参加方法がわからない」が37.4%、「活動があることを知らなかった」が32.2%となっており、機会があれば参加するという人は一定数いるのではないかと考えております。
 最後に、活動の広報や参加のきっかけづくりにつきましては、地域活動への理解や参加促進のためには活動の意義や内容を周知することが重要であると考えており、市政だよりや地域コミュニティサイトなどを活用した情報発信に取り組んでまいります。また、地域においては、気軽に参加できる催しを行うことで新たな参加者を発掘したり、地域の広報紙などを活用して協力者を広く募るなど、工夫を凝らした取組が行われており、これらの事例を共有しながら地域の担い手づくりを支援してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地域ポイント事業についてお答えします。
 対象活動については、子どもや高齢者の見守り、夏祭りや運動会の企画、運営、自治協議会等の役員への就任など、まずは自治協議会が取り組まれる基本的な活動を対象としてモデル校区での実証を開始し、実証の中で課題の抽出や改善を進め、効果を検証しながら徐々に拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、ポイントの付与や交換については、活動に従事する時間や役割などを総合的に勘案し検討してはどうかとの御意見を地域からいただいており、こうした御意見を参考にしながら検討してまいります。
 次に、特典の原資となる予算については、今年度予算及び令和6年度予算案には計上しておりません。
 次に、福岡市で検討している地域ポイントについては、様々な社会課題の解決に向けて、市民の皆様が善意で取り組まれる地域活動などにポイントを付与し、感謝の気持ちをお返しする仕組みを構築することを目的として実施することや、事業の持続可能性の観点から、現時点では、換金性のある地域通貨や電子マネーへの交換は検討しておりません。
 次に、スマートフォンなどの操作に不慣れな方へのサポートについては、誰もが使いやすく分かりやすいユーザーインターフェースの導入に加え、操作方法に関する説明会の実施やコールセンターでの問合せ対応などによりまして適切な支援を行ってまいります。また、地域のどのような役職の方にどのような業務を担っていただくかについては、今後、地域と御相談しながら検討してまいります。
 次に、特典の交換については、スマートフォンなどのアプリを利用して、保有するポイント数に応じて希望する特典を選択し、交換手続を行っていただくものでございます。
 次に、モデル校区での実証の周知については、各区の地域支援課や自治協議会などと連携しながら、チラシの配布をはじめ、各自治協議会のホームページやSNSでの広報などにより、より多くの方に御参加いただけるよう取り組んでまいります。
 次に、実証に向けた課題や配慮すべき点については、検討会議において、より使いやすく簡易な仕組みにしてほしいといった御意見や、校区の実情に応じて徐々に対象活動を広げていったほうがよいのではないかといった御意見をいただいております。
 最後に、効果検証については、令和6年度のモデル校区での実証において、自治協議会の年間の活動を通じて、まずは課題の抽出や仕組みの改善を進めるとともに、その後、適切な時期に効果の検証を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 3問目です。
 まずは、地域自治組織の役職者を選任する際に設ける定年制度や任期の制限についてですが、それらの導入により、早い段階から後継者を探す意識を地域で共有できる点を、当局としてもその効果として挙げられました。これらの定年制と任期の制限の効果につきましては、より詳細に検証を進めていただきたいと思います。もし有益な検証結果が得られた場合には、そのエビデンスをおのおの校区の自治協議会や自治会、各種団体にも広く共有をいただき、今後の規約改正への参考となりますよう当局による積極的な取組を求めておきたいと思います。
 次に、各区役所において尽力いただく地域への支援体制につきましては、地域の実情把握や相談機能に加えまして、他校区による好事例の情報提供などを基にした助言や課題解決機能のさらなる強化を求めておきます。地域活動支援を担う校区担当職員の適切な配置、充当と、自治会や各種団体の皆さんとも幅広く関わることのできるサポート体制に今後期待したいと思います。
 次に、地域ポイント事業の実施についてです。
 担い手不足に直面する地域コミュニティの現状や、子育て支援、高齢者支援のこれからの在り方など、深刻な社会課題に対して新しい角度から解決手法を導き出していこうとするこの姿勢は大きく評価されるべきだとは思います。一方で、負担が多く、地域当事者に満足が得られない結果とならないよう、今後、様々な配慮が必要です。QRコードの準備、配付からポイントの取得、ポイント交換に至るまで、できる限り簡素化の工夫が必要でしょうし、校区でモデル事業を管理する皆さん、自治会長や各種団体の会長など、実際にポイント付与をお世話役する皆さん、ポイントを受け取る地域活動の従事者の皆さんなど、モデル事業実施の校区に、結果として手間や負担感だけが蓄積されないよう十分な配慮とサポートをお願いしておきたいと思います。
 次に、地域ポイントと交換される特典への考え方についてです。
 日頃の地域活動への感謝を示すもので、金銭的な交換とはしないという本市の考え方は理解いたしました。一方で、事業の運用に係る手間や実際の地域活動に係る労力に対して、バランスの取れた付与ポイントの量や喜ばれる特典の用意も重要な視点だと思っています。全市的な話題になるような特典の創出は、様々な角度から地域活動そのものがフォーカスされる機会につながります。
 そこで、提案をいたしますが、ふるさと納税の返礼品にもありますように、市内の農産物、海産物や加工品あるいは民間企業による体験型サービスを交換特典として選べる仕組みを検討されてはいかがでしょうか。予算を必要といたしますが、既にふるさと納税の返礼事業者も存在いたしますし、地場産品や地場サービスの認知、振興にもつながりますので、ぜひ今後御検討いただけたらと思います。
 次に、事業の円滑な運用についてですが、公民館職員や区役所職員が地域のサポート業務など、頻繁に関わることが予想されるため、市民局との連携や協働姿勢を大切に今後取り組んでいただくよう求めるところです。また、モデル事業の実施を通して、あらゆる課題の抽出や適切な評価項目を定めた事業検証を進めていただきますよう強く要望いたします。
 この地域ポイント事業の実施によって、人の目に触れないところで地域を支えている現在の活動や、その主体者、参加者皆さんの日々の善意や努力に日が当たる機会となることを心から願っています。
 3月から実施されるこの地域ポイント事業を通して、昨今の地域コミュニティが抱える深刻な社会課題に対峙していこうとする決意と、取組の主体者となるモデル校区の皆さんへ今後の協働に向けたメッセージをお聞かせください。
 最後に、地域の多様な担い手の確保と新たな創出に向けた今後の支援策についてです。
 市内2,300ほどある自治会、町内会のうち、町内会活動支援事業補助の申請数は今年度445団体、年度途中とはいいましても、その利用率は2割に満たないものです。幅広い地域イベントへの活用や複数の自治会による共同の活用など、比較的柔軟に利用しやすい補助制度ですので、自治会長への周知徹底や予算の確保と併せまして、今後のさらなる利用促進に取り組まれるよう要望をいたします。
 また、各種団体が独自に担い手を確保できる機能や役割を今後高めていくためにも、各種団体に対しましても同様な補助、支援メニューの新設を検討いただきますようお願いをしておきます。
 ここで有効な広報戦略として、テレビ局や新聞社など、地場のメディアとの連携構築について、その検討を要望いたします。そのスキームというのは、地域活動の担い手不足や将来の共助機能崩壊の回避という社会命題について地場のメディアと深い共有を図っていただき、地域活動の内容やそれを担う人を様々な視点や角度から特集、報道いただくという広報的なものです。地域活動の大変さや大切さ、その場に宿るやりがいや人の絆などに番組や紙面を通して定期的に断続的に触れることで、市民理解を格段に深める機能、地域協力、地域貢献への新たな意欲を生み出す機能に期待できます。地場メディアとの連携協定やプロポーザルなどの仕組みを活用しましたパブリシティ戦略としての地域支援策の推進を提案いたします。
 次に、自治協議会や校区単位による公式LINEアカウントの活用モデルも提案させてください。今やLINEというツールは地域活動の運営に欠かせないものとなっております。自治協議会や自治会、各種団体の多くで、情報共有や情報伝達の手段としてグループLINEが多く活用されています。そのふだんから使い慣れたSNSツールを活用した提案スキームですが、まず、民間事業者による協力、連携の下、地域課題解決にふさわしいコンテンツを搭載した公式LINEアカウントのシステムを製作します。それを汎用させたものを各校区が取得できるようにして、管理、運用していくというものです。専門的なサポート人員を適宜派遣し、導入の準備時期から運用全般にわたってサポートします。導入時期の本市の役割は、市民の皆さんが居住する校区公式アカウントに登録してくれるように、全市的な広報戦略やインセンティブ施策の導入など、これにより登録を促す支援施策です。
 校区住民の半分以上による登録を目指して、その後は校区、町内の行事や校区住民にとって必要で有益な情報を適宜網羅的に発信することが可能となります。イベントやにぎわい行事への参加促進を促し、新たな地域コミュニケーションの創出につなげます。地域向けにカスタマイズされた画面上のタブ機能には、居住するエリアがどの自治会なのかを調べる機能であったり、自治会や各種団体の活動や最新ニュースを詳しく紹介するページだったり、公民館サークル活動や校区内で活動している子育てサークル、健康サークル、スポーツチームなどの情報ページ、興味のある地域活動への参加意思表明を簡単にワンクリックで送信、登録できる機能などがイメージできます。校区内で新たな地域人材のマッチング機能も実現できますし、災害等の有事の際にも迅速かつ正確に、より限られたローカル情報を校区住民に届ける防災、そして減災の機能にも期待できます。
 市内全ての校区で一斉導入するには課題が多いでしょうから、まずは幾つかの校区で先駆的な実証事業を実施することによって、校区単位による共助システムの維持と地域活性に効果的で必要な機能をアップデートしていってほしいと、モデル事業の検討を提案いたします。
 地域自治活動の担い手不足という社会課題は、校区自治協議会や自治会、町内会、各種団体の努力だけではもはや限界を迎えております。地域活動を広く市民に知ってもらう機会、新たな地域貢献意欲を生み出す施策、潜在的に地域活動に興味、関心がある方と地域とをつなぐ仕組みづくり、自治会長をはじめ、地域活動の役職者への負担集中の回避や円滑な継承の支援、数あるこれらの本質的な課題の一つ一つを丁寧に分析していただいて、地域の担い手不足という根幹的な社会課題を解決していくためのさらなる行政努力をお願いするところです。本市にはあらゆる施策の発案と早期の実行が求められますし、何より施策の失敗を恐れることなく、地域の皆さんと同じ悩みを共有しながら全身全霊の姿勢で臨んでいただきたいと切に願うところであります。
 今後の行政の取組、福岡市の取組への決意をお聞かせいただきまして、会派を代表しての補足質疑を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地域ポイント事業についてお答えします。
 地域の皆様からは、本事業をきっかけとして、若者や子育て世代をはじめ、これまで地域活動に参加していない方に興味や関心を持っていただき、参加促進につなげていきたいといった前向きな御意見をいただいております。こうした御意見を踏まえ、実証に当たっては、モデル校区の自治協議会をはじめとする地域の皆様とともに、課題の抽出や改善を進め、効果を検証しながら、市民の皆様が善意で取り組まれる地域活動を支援する仕組みを構築できるよう、しっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域の担い手確保と創出に向けた取組についてお答えをいたします。
 地域コミュニティへの支援につきましては、持続可能な地域コミュニティづくりに向けて、担い手の確保は重要な課題であると認識をいたしております。このため、令和4年度に条例を制定し、地域コミュニティの大切さの周知や自治協議会等への補助の拡充、地域支援体制の強化、また、市からの協力依頼の見直しや企業の地域活動参加促進などを実施しており、令和6年度は、役員などの活動費としても活用いただけるよう共創補助金の拡充を図ってまいります。今後とも、地域で活動される皆様の御意見をお伺いしながら、ICTの活用や様々な主体との連携など、多様な視点で取組を検討し、共創の地域づくりをしっかりと推進してまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質疑は明8日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(松野 隆) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明8日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時8分 散会