令和6年2月26日(月)

令和6年 第1回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第3号)
                                      2月26日 午前10時開議
第1 議案第32号 令和6年度福岡市一般会計予算案
第2 議案第33号 令和6年度福岡市後期高齢者医療特別会計予算案
第3 議案第34号 令和6年度福岡市国民健康保険事業特別会計予算案
第4 議案第35号 令和6年度福岡市介護保険事業特別会計予算案
第5 議案第36号 令和6年度福岡市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計予算案
第6 議案第37号 令和6年度福岡市中央卸売市場特別会計予算案
第7 議案第38号 令和6年度福岡市港湾整備事業特別会計予算案
第8 議案第39号 令和6年度福岡市営渡船事業特別会計予算案
第9 議案第40号 令和6年度福岡市香椎駅周辺土地区画整理事業特別会計予算案
第10 議案第41号 令和6年度福岡市貝塚駅周辺土地区画整理事業特別会計予算案
第11 議案第42号 令和6年度福岡市財産区特別会計予算案
第12 議案第43号 令和6年度福岡市立病院機構病院事業債管理特別会計予算案
第13 議案第44号 令和6年度福岡市市債管理特別会計予算案
第14 議案第45号 令和6年度福岡市モーターボート競走事業会計予算案
第15 議案第46号 令和6年度福岡市集落排水事業会計予算案
第16 議案第47号 令和6年度福岡市下水道事業会計予算案
第17 議案第48号 令和6年度福岡市水道事業会計予算案
第18 議案第49号 令和6年度福岡市工業用水道事業会計予算案
第19 議案第50号 令和6年度福岡市高速鉄道事業会計予算案
第20 議案第51号 福岡市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例案
第21 議案第52号 福岡市職員定数条例の一部を改正する条例案
第22 議案第53号 福岡市保健所及び保健センター条例の施行に伴う関係条例の整備に関する条例案
第23 議案第54号 福岡市手数料条例の一部を改正する等の条例案
第24 議案第55号 福岡市医療・介護従事者等応援基金条例を廃止する条例案
第25 議案第56号 福岡市指定障がい児通所支援の事業等の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第26 議案第57号 福岡市指定障がい児入所施設等の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第27 議案第58号 福岡市児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案
第28 議案第59号 福岡市指定障がい福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第29 議案第60号 福岡市指定障がい者支援施設等の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第30 議案第61号 福岡市障がい福祉サービス事業の設備及び運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案
第31 議案第62号 福岡市障がい者支援施設の設備及び運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案
第32 議案第63号 福岡市立児童発達支援センター条例の一部を改正する等の条例案
第33 議案第64号 福岡市特別養護老人ホームの設備及び運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案
第34 議案第65号 福岡市国民健康保険条例の一部を改正する条例案
第35 議案第66号 福岡市介護保険条例の一部を改正する条例案
第36 議案第67号 福岡市指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営の基準等を定める条例等の一部を改正する条例案
第37 議案第68号 福岡市指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第38 議案第69号 福岡市指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第39 議案第70号 福岡市指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第40 議案第71号 福岡市介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営の基準を定める条例の一部を改正する条例案
第41 議案第72号 福岡市介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営の基準を定める条例の
一部を改正する条例案
第42 議案第73号 福岡市指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営等の基準等を定める条例等の一部を改正する条例案
第43 議案第74号 福岡市指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営等の基準等を定める条例の一部を改正する条例案
第44 議案第75号 福岡市指定介護予防支援等の事業の人員及び運営等の基準等を定める条例
の一部を改正する条例案
第45 議案第76号 福岡市立霊園条例の一部を改正する条例案
第46 議案第77号 福岡市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例の一部を改正する条例案
第47 議案第78号 福岡市地方活力向上地域における本社機能の整備促進に関する条例の一部を改正する条例案
第48 議案第79号 福岡市グリーンアジア国際戦略総合特区の推進に関する条例の一部を改正する条例案
第49 議案第80号 福岡市グローバル創業・雇用創出特区の推進に関する条例の一部を改正する条例案
第50 議案第81号 福岡市漁港管理条例の一部を改正する条例案
第51 議案第82号 博多港港湾施設管理条例の一部を改正する条例案
第52 議案第83号 福岡市公園条例の一部を改正する条例案
第53 議案第84号 福岡市雁の巣レクリエーションセンター条例の一部を改正する条例案
第54 議案第85号 福岡市道路占用料徴収条例の一部を改正する条例案
第55 議案第86号 福岡市準用河川流水占用料等徴収条例の一部を改正する条例案
第56 議案第87号 福岡市普通河川管理条例の一部を改正する条例案
第57 議案第88号 福岡市水路使用料条例の一部を改正する条例案
第58 議案第89号 福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案
第59 議案第90号 福岡市交通事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案
第60 議案第91号 福岡市高速鉄道乗車料金等条例の一部を改正する条例案
第61 議案第92号 福岡市消防事務における規制に関する手数料条例の一部を改正する条例案
第62 議案第93号 福岡市火災予防条例の一部を改正する条例案
第63 議案第94号 福岡市消防団員の定員、任用、分限、懲戒、服務等に関する条例の一部を改正する条例案
第64 議案第95号 福岡市消防団員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例案
第65 議案第96号 福岡市立特別支援学校設置条例の一部を改正する条例案
第66 議案第97号 福岡県と福岡市との間の教育事務の委託に関する規約の廃止に関する協議について
第67 議案第98号 包括外部監査契約の締結について
第68 議案第99号 福岡北九州高速道路公社の基本財産の額の増加に伴う定款の変更に関する同意について

本日の会議に付した事件
1.日程第1ないし日程第68号

出 席 議 員 (62名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      32番  大 石 修 二
33番  和 田あきひこ      34番  あ べ ひでき
35番  大 沢 めぐみ      36番  木 村てつあき
37番  橋 口 えりな      38番  綿 貫 康 代
39番  前 野 真実子      40番  中 島まさひろ
41番  藤 野 哲 司      42番  新 村 まさる
43番  天 野 こ う      44番  堀 内 徹 夫
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  はしだ 和 義      48番  浜 崎 太 郎
49番  阿 部 正 剛      50番  倉 元 達 朗
51番  中 山 郁 美      52番  川 口   浩
53番  小 竹 り か      54番  勝 見 美 代
55番  井 上 ま い      56番  ついちはら陽子
57番  田 中 たかし      58番  山 田 ゆみこ
59番  近 藤 里 美      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  坂 本 秀 和      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小 川 明 子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  町      孝
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子      人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  八 木 智 昭      議会事務局次長   着  一 考      議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

  午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程に入るに先立ち、この際、報告いたします。
 人事委員会から地方公務員法の規定に基づき、議案第53号に対する意見が提出されましたので、その写しをお手元に送付いたしておきました。
 以上で報告を終わります。
 これより日程に入ります。
 日程第1ないし日程第68、以上68件を一括して議題といたします。
 この際、市長から提案理由の説明を求めます。島市長。
 
○市長(島宗一郎)登壇 本日、ここに令和6年度予算案をはじめ、関係諸議案の御審議をお願いするに当たり、市政運営の方針について所信を申し上げますとともに、予算案をはじめ、提出議案の概要を御説明いたします。
 福岡市では、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを都市経営の基本戦略として掲げ、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市を目指して、まちづくりを進めています。
 これまでの取組の結果、人口は164万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入は令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し続け、令和4年度には再び過去最高を更新するなど、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価されています。
 昨年は、長いコロナ禍が明け、様々な社会経済活動も回復に向けて大きく動き出し、祭りや食といった福岡市の魅力が最大限に発揮できる環境が戻ってきました。人と人とがリアルに交流できる喜びを再認識し、それが福岡市にとっていかに大切かということを多くの人が実感することとなりました。一方、元日には能登半島地震が発生し、多くの方々の貴い命と平穏な日常が奪われました。改めて、被害に遭われました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 近年、こうした大規模な自然災害が相次いで発生するとともに、少子・高齢化の進展や物価高騰など、社会は多くの課題に直面しています。また、脱炭素社会への意識の高まりやテクノロジーの進歩など、社会は大きく変化し、人々の価値観はますます多様化しています。
 福岡市は、経済的な成長と心豊かな暮らしのバランスが取れた持続可能なまちづくりに取り組んでおり、これは今日、世界の共通言語として浸透するSDGsやウエルビーイングの理念と方向性を一にするものです。
 市民一人一人がそれぞれの幸せを感じることができる社会を実現していくためには、多様な価値観や社会の変化をしなやかに市政に取り入れ、スピード感を持ってチャレンジをしていくことが肝要です。基礎自治体として直接市民に接する現場を持ち、かつ都道府県並みの権限に加え、さらに国の規制を改革できる国家戦略特区にも指定されている福岡市が、新たな取組に果敢に挑戦し、地方から日本を変えるロールモデルの役割を果たすこと、それが日本を最速で変えていく手法であると考えています。
 福岡市は、大陸との交流により育まれた歴史や文化の魅力、豊かな自然と充実した都市機能がコンパクトに整った都市空間に恵まれています。これに加え、天神ビッグバンや博多コネクティッドによって、耐震性の高い先進的なビルへの建て替えが進むこの機を逃さず、高付加価値なビジネスや魅力的な都市機能を集積させるなど、災害や社会の変化にも強いまちづくりを進めてまいります。また、少子・高齢化や価値観の多様化が進む中で、次代を担う子どもから高齢者まで、誰もが安心して自分らしく生活できる環境づくりを推進するなど、優しさがあふれるまちづくりにしっかりと取り組んでまいります。
 このような考え方の下、令和6年度においては「次代を担う子ども、グローバル人材の育成」、「見守り、支え合う、共創の地域づくり」、「都市活力を生み出す観光・MICE、都心部機能強化の推進」、「新しい価値の創造にチャレンジするスタートアップ都市づくり」という4つの分野に力を入れてまいります。
 まず、次代を担う子ども、グローバル人材の育成についてです。
 誰もが安心して子どもを生み育てられる環境をつくるため、保護者の就労状況などにかかわらず、子どもを保育所等へ預けられるこども誰でも通園制度について、国の基準に独自の上乗せをした福岡市型のモデル事業を実施します。
 また、第2子以降の保育料無償化について、3歳に達する年度の幼稚園のプレ通園を対象に加えるなど、多様な保育サービスの充実を図るとともに、新たに保育補助者の雇用費を助成し、保育所等の人材確保を支援します。
 さらに、多胎児家庭を対象に、産後ケアの利用者負担を軽減するとともに、外出を支援するため、ヘルパー派遣の拡充を行います。
 サポートを必要とする子どもを支援するため、障がい児や医療的ケア児などを受け入れる保育所を対象に、保育士の加配費用の助成を拡大します。
 また、市立児童発達支援センターにおいて、新たに療育時間終了後の一時預かりを実施するとともに、医療的ケア児が利用する送迎バスやタクシーに看護師が同乗し、必要なケアを行うモデル事業を実施します。さらに、障がい児の身近な療育の場として児童発達支援事業所の本格設置を促進するなど、全ての子ども、子育て家庭へのきめ細やかな支援の充実を図ります。
 子ども一人一人の可能性を最大限に引き出す教育を推進するため、教育データ連携基盤の構築に取り組むとともに、学習指導員の配置を拡充し、学習内容の理解と定着を図ります。
 不登校児童生徒への支援については、教室に入りづらい児童の見守りを行う教育支援員を新たに配置するとともに、現在4か所ある教育支援センターを全区に拡大します。また、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の令和7年度の開校に向けた施設整備などを進めます。
 教員が子どもと向き合う環境づくりについては、部活動指導員などの配置を拡充するとともに、民間事業者の知見を活用し、学校の業務改善体制を構築するなど、学校の働き方改革を推進します。
 また、専門的な指導による授業の充実や教員の負担軽減のため、学校水泳指導における民間プール等活用モデル事業の対象校を拡大します。
 安心して学ぶことができる教育環境の整備については、学校施設の改良や建て替えなどのアセットマネジメントを推進するとともに、照葉はばたき小学校を開校します。
 特別支援教育の推進については、自閉症・情緒障がい特別支援学級を大幅に増設するとともに、東エリア特別支援学校高等部の令和7年度の開校に向けた整備を進めます。
 市立高校については、各校の特色を生かし、さらなる魅力の向上に取り組むとともに、特に専門学科を有する高校について、有識者会議の意見を踏まえ、今後の在り方を検討します。
 次に、見守り、支え合う、共創の地域づくりについてです。
 人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく活躍できる持続可能な社会を目指すプロジェクト、福岡100を産学官民オール福岡で推進します。
 世界で最も高齢化が進む日本において、認知症の方をはじめ、誰もが大切にされていることを実感し、安心して自分らしく暮らせるインクルーシブな社会を実現することが極めて重要となっています。この実現に向けて大きな力を発揮するコミュニケーション・ケア技法、ユマニチュードについて、市民、事業者へのさらなる普及促進や、国内外への発信などに取り組みます。
 また、認知症フレンドリーセンターを拠点として、認知症の人にも優しいデザインの導入促進や認知症の人が活躍する場の創出に取り組むなど、認知症フレンドリーシティ・プロジェクトを推進します。
 老人福祉センターについて、本人の意欲や能力に応じた様々な活動を支援するため、高齢者の社会参加の拠点としての機能強化に取り組みます。
 また、医療、健診、介護データを活用し、加齢とともに心身の機能が低下するフレイルのリスクが高い方へのアウトリーチ型支援を行うなど、高齢者の心身の多様な課題に応じたきめ細やかな支援を行います。
 障がいのある人が自らの能力を最大限に発揮し、住み慣れた地域や家庭で安心して生活ができる社会を目指して、ICTを活用した就労の場づくりや障がい者の工賃向上支援などに取り組むとともに、強度行動障がいのある方などのグループホームへの受入れ促進等を図ります。
 持続可能な地域コミュニティづくりを進めるため、地域の活性化や課題解決につながる活動への支援を充実します。
 また、良好な都市景観の形成や都市環境の改善を図るため、市民や企業との共働により、都心部をはじめとして全市域における植樹運動を展開する都心の森1万本プロジェクトを推進します。
 さらに、まちに彩りと潤いを与え、人のつながりや心の豊かさを生み出す一人一花運動の輪を広げ、花による共創のまちづくりを進めます。
 次に、都市活力を生み出す観光・MICEの振興と都心部の機能強化についてです。
 福岡市は、中世最大の貿易港湾都市として繁栄をした商人のまち博多と、福岡城の築城により誕生した城下町福岡の双子都市として発展してきました。
 現在、両エリアでは、天神ビッグバンや博多コネクティッドによる都市機能の更新に合わせ、高付加価値なビジネスの集積を進めるとともに、川に開かれた水辺のまちづくり、リバーフロントNEXTや地域特性に応じた景観誘導など、快適で質の高い回遊空間の創出に取り組んでいます。
 こうしたまちのアップデートが進む中において、これまで先人によって長く受け継いできた歴史や文化発信の核となる拠点づくりに取り組み、情緒あふれ、感性の磨かれるまちづくりを進めます。
 博多エリアにおいては、新たな観光拠点の検討や、歴史、文化に配慮した趣のある道づくりに取り組むなど、博多旧市街プロジェクトを推進します。
 一方、福岡エリアにおいては、福岡城における天守閣イベントや潮見櫓の復元に取り組むとともに、鴻臚館の整備、活用を検討します。
 また、世界で唯一、アジアの近現代美術を系統的に収集、展示するアジア美術館の機能強化に向けて、警固公園の地下を有力候補として、施設拡充の調査、検討を行います。
 人の交流は、第3次産業が9割を占める福岡市の成長エンジンであり、コロナ禍が明け、海外からの観光客が復調したこの機を逃さず、インバウンド政策のステージを量から質へと転換することが重要です。このため、西日本や九州の自治体と連携をした西のゴールデンルートに関する取組や質の高い観光コンテンツの開発などにより、付加価値の高い観光誘客を推進します。
 また、福岡市の魅力である自然をより身近に感じられるよう「Work Hard,Play More Hard」をコンセプトに、志賀島及び北崎地区においてFukuoka East&West Coastプロジェクトによる海辺の魅力向上や農林水産業の振興などに取り組みます。
 ウォーターフロント地区においては、コンベンション機能が集積した埠頭基部において、会議場や展示場、宿泊施設等が一体的に配置されたMICE拠点の形成や、海辺を生かしたにぎわい、そしてまた、憩い空間の創出など、市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組みます。
 九州大学箱崎キャンパス跡地については、土地利用事業者の公募が進められており、優先交渉権者の決定を契機に、最先端の技術革新による快適で質の高いライフスタイルと都市空間の創出に向けて、Fukuoka Smart Eastの取組を進めます。
 最後に、新しい価値の創造にチャレンジするスタートアップ都市づくりについてです。
 人々の価値観や社会のニーズが大きく変化をしている今の状況は、新たなテクノロジーを活用して、社会課題の解決や革新的な製品、サービスの創出にチャレンジする絶好の機会であり、スタートアップ企業が大きく飛躍するチャンスでもあります。Fukuoka Growth Nextを拠点として、市内スタートアップ企業の成長を後押しするとともに、社会課題解決に取り組むソーシャルスタートアップの創出、成長支援や若年層を対象とした次世代の起業家の育成に取り組むなど、アジア有数のスタートアップ拠点都市の形成を目指します。
 また、海外スタートアップ拠点との連携を生かしたビジネスマッチングの支援や国際イベントの開催、出展などにより、グローバルに活躍できる創業の環境づくりを進めます。
 さらに、エンジニアによる新たなサービスや製品の創出を支援するなど、エンジニアフレンドリーシティ福岡に向けた取組を推進します。
 水素リーダー都市プロジェクトについては、下水バイオガスを活用した水素ステーションの運営やFCモビリティーの導入促進に取り組むとともに、九州大学箱崎キャンパス跡地において、水素供給パイプラインの整備などを推進します。
 また、産学官によるオール福岡の推進組織、TEAM FUKUOKAが一丸となって国際金融機能の強化を進め、金融・資産運用特区の獲得を目指すとともに、グローバル人材が活躍し、継続的にイノベーションが生まれる国際都市の実現に向けた取組を推進します。
 Fukuoka Art NEXTの推進については、市民がアートをより深く鑑賞する機会の充実を図るため、美術館等での小学生のアート体験の拡充や、まちがアートであふれるファンウィークの開催などに取り組みます。
 また、アーティストの成長を促すため、アーティストカフェフクオカの機能拡充や国内外から招聘したアーティストの創作活動支援、福岡アートアワードの開催などに取り組みます。
 さらに、拠点文化施設については、令和6年度末の開館に向けて、着実に整備を進めます。
 福岡市が働きたいまち、住みたいまちとして選ばれているのは、市民の皆様をはじめ、福岡市の発展を支えてこられた先人たちの長年にわたる御尽力のたまものです。今を生きる私たちの使命は、この元気で住みやすいまちをさらに発展させ、将来に引き継いでいくことです。このため、次代を担う子どもたちや若者をはじめ、多くの市民の皆様からいただいた御意見を取り入れながら、福岡市の未来を描く設計図である新たな基本計画の策定に取り組み、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市の実現を目指してまいります。
 次に、令和6年度の予算案について説明をいたします。
 まず、歳入面では、個人市民税における納税義務者数の増加や法人市民税における企業収益の改善、固定資産税における土地評価額の上昇などに伴い、市税収入は令和5年度より増収を見込んでいます。それに伴い、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税等は減少する見込みですが、財政調整基金も活用することにより、一般財源総額は令和5年度を上回ると見込んでいます。
 次に、歳出面では、国の給付金等に伴う社会保障関係費や公共施設の老朽化による改修、修繕経費が増加しています。こうした状況を踏まえ、事業の選択と集中や歳入の確保等に取り組みつつ、必要な施策を積極的に推進する予算を編成したところです。
 予算規模については、一般会計1兆825億3,700万円、特別会計7,217億9,858万円、企業会計3,421億1,136万円、総計2兆1,464億4,694万円となっています。これを令和5年度と比較いたしますと、一般会計で327億8,100万円、3.1%の増、総計では620億1,397万円、3.0%の増となっています。令和6年度末の一般会計の市債残高は、令和5年度末と比較して253億円の縮減となる見込みであり、満期一括積立金を除く全会計についても、594億円の縮減となる見込みです。
 次に、令和6年度の重要施策の概要について8つの分野別目標ごとに説明をいたします。
 第1に、一人一人が心豊かに暮らし、元気に輝くまちづくりです。
 ユニバーサルデザインの理念に基づくまちづくりについては、建築物や道路、公共交通施設などのバリアフリー化をはじめ、ノンステップバス、ユニバーサルデザインタクシーの導入支援を進めるとともに、あらゆる子どもたちが自分らしく遊べるインクルーシブな子ども広場づくりに取り組むなど、ユニバーサル都市・福岡の実現を目指します。
 スポーツ・レクリエーションの振興については、ボートレース福岡におけるスケートボード施設の整備に取り組むとともに、誰もがスポーツに親しむことができるよう、地域や関係団体、民間事業者とも連携をしながら、イベントの実施や場の提供などに取り組みます。
 全ての人が安心して暮らせる福祉の充実については、福祉、介護人材の確保に向け、介護業界のDXを推進するとともに、コンサルタント派遣を行うなど、介護事業所の経営力強化の支援に取り組みます。
 子どもが健やかに育ち、安心して生み育てられる社会づくりについては、ベビーシッター派遣費用の助成について利用要件を緩和するとともに、おむつと安心定期便により、子育て家庭を見守ります。
 また、家庭での養育にサポートが必要な子どものため、生活習慣の定着などを支援する常設の居場所を新たに設置します。
 次に、様々な支え合いとつながりのあるまちづくりです。
 公民館などを活用した活動の場づくりについては、公民館の利便性向上に向けて、DXの推進などに取り組むとともに、中央市民センターのリニューアルに向けた取組や、南区における地域交流センターの整備に向けた基本構想の検討を行います。
 次に、安全、安心で良好な生活環境のあるまちづくりです。
 まず、災害に強いまちづくりについては、防災アプリ、ツナガルプラスの機能拡充やさらなる活用促進、避難行動要支援者への避難支援対策の充実、自主防災活動の促進などにより、地域防災力の向上に取り組むとともに、無電柱化のさらなる推進を図ります。
 また、防災関係機関との連携による全庁的な避難訓練を実施するとともに、公的備蓄を拡充するなど、防災先進都市づくりを推進します。
 消防、救急体制については、アイランドシティにおける新たな消防出張所の整備や消防学校の機能強化を進めるとともに、救急隊を増隊するなど、充実強化に取り組みます。
 良質な住宅、住環境の形成については、市営住宅の建て替えにおいて、1階を全て車椅子対応住宅として整備するとともに、子育て支援施設などへの空き家の改修費用を助成するなど、安心して居住できる環境づくりを進めます。
 犯罪のない安全で住みよいまちづくりについては、子どもや高齢者への防犯啓発やIoTを活用した子どもの見守り、街頭や地下鉄車両への防犯カメラの設置などにより、社会全体で地域防犯力を強化します。
 安全で良質な水の安定供給については、水道施設の改良や更新、耐震化などを計画的に進めるとともに、経営のさらなる効率化に向けて、先端技術の活用などに取り組みます。
 また、雨水や下水処理水の有効利用、漏水対策など、節水型都市づくりを推進するとともに、水源地域や流域との連携を深め、水源の保全などに取り組みます。
 日常生活の安全、安心の確保については、新興感染症などに対する健康危機管理体制の強化を図るため、保健所の広域的、専門的な機能を強化するとともに、感染症対策に従事する人材の養成や防疫用備品の整備、物資の備蓄などに取り組みます。
 また、葬祭場の安定的な運営のため、火葬炉の更新に向けた取組を推進します。
 次に、人と地球に優しい、持続可能な都市づくりです。
 地球温暖化対策の推進と自律分散型エネルギー社会の構築については、市民や事業者と連携をし、再生可能エネルギーの導入や建築物の脱炭素化、次世代自動車の普及、脱炭素型ライフスタイル、ビジネススタイルへの転換など、脱炭素社会の実現に向けた取組を推進します。
 循環型社会システムの構築については、プラスチックごみの分別収集の導入に向けて、収集運搬やリサイクル体制の構築を進めるとともに、小学校において食品廃棄物の再資源化を推進するモデル事業を実施するなど、ごみ減量・リサイクルのさらなる推進を図ります。
 まちと自然が調和した福岡型のコンパクトな都市づくりについては、橋本駅周辺のまちづくりを進めるとともに、冷泉小学校などの跡地について、地域や福岡市の魅力向上につながる活用を進めます。
 公共交通を主軸とした総合交通体系の構築については、都市交通基本計画の改定に取り組むとともに、交通混雑の緩和や公共交通の利用促進に向けて、地下鉄の輸送力増強など、交通基盤の整備や交通マネジメント施策の推進に取り組みます。
 また、バス路線の休廃止に伴い公共交通空白地となる地域の代替交通を確保するとともに、オンデマンド交通の社会実験を進めるなど、持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組みます。
 ストックの活用による地区の価値や魅力の向上については、パークPFI制度の活用により民間活力を導入するなど、魅力ある公園づくりを進めます。
 次に、まちの魅力を磨き、様々な人を引きつけるまちづくりです。
 観光資源となる魅力の再発見と磨き上げについては、植物園において、施設の改修やイベントの開催など拠点機能の強化を進め、さらなる魅力向上に取り組むとともに、博物館のリニューアルを推進します。
 次に、経済活動が活発で、たくさんの働く場が生まれるまちづくりです。
 産学官連携による知識創造型産業の振興については、九大新町において、九州大学と連携をした研究開発拠点の機能強化を図るとともに、大学や研究機関の集積による豊富な人材と技術を生かし、先端科学技術分野の振興を図ります。
 地域経済を支える地場中小企業などの競争力強化については、市内中小企業へのデジタル化支援により生産性向上を促進するとともに、カーボンゼロ商品の創出を支援するなど、チャレンジする中小企業の競争力と経営基盤の強化を図ります。また、伝統産業の販路拡大を支援するとともに、商店街の魅力向上や観光誘客に向けた取組を促進します。
 農林水産業と関連ビジネスの振興については、市内産農水産物の地産地消やブランド化、スマート農林水産業を推進するとともに、海業の推進など、農山漁村地域の活性化に取り組みます。
 また、花粉発生源対策にスピード感を持って取り組むとともに、イノシシ被害対策の強化、漁場環境の改善やため池の安全対策など、生産基盤の保全、強化を図ります。
 さらに、鮮魚市場については、市場関係者と連携し、老朽化した施設の更新に合わせた活性化を進めます。
 就労支援の充実については、求職者の多様なニーズに合わせた支援を行うとともに、企業におけるワーク・ライフ・バランスを促進するなど、働きやすい環境づくりに取り組みます。
 次に、創造的活動が活発で、多様な人材が新しい価値を生み出すまちづくりです。
 新たな価値を生み出す創造産業の振興については、ゲームや音楽など、クリエイティブ関連産業の活性化に向けて官民一体となって取り組むとともに、クリエイティブフェスタなどのイベントを通して、ビジネスの創出を支援します。
 次に、国際競争力を有し、アジアのモデル都市となるまちづくりについてです。
 高度な都市機能が集積した活力創造拠点づくりについては、アイランドシティにおいて、国際物流拠点の形成や海と緑を生かした快適な居住空間の形成など、先進的モデル都市づくりを進めます。
 また、九州大学伊都キャンパス周辺のまちづくりや、道路、河川などの基盤整備を進めるとともに、西九州自動車道と西部地域とのアクセス強化策について検討を行うなど、九州大学学術研究都市構想を推進します。
 国際的なビジネス交流の促進については、アジアとのネットワークや姉妹都市との交流を通して築いた関係などを生かしながら、食関連産業などの海外展開に取り組み、地場中小企業の販路拡大や外国企業とのビジネス連携を支援します。
 成長を牽引する物流、人流のゲートウェイづくりについては、博多港において国際海上コンテナ取扱個数の増加に対応するため、アイランドシティコンテナターミナルの機能強化を進めるとともに、脱炭素社会の実現に向けて、カーボンニュートラルポートの形成を推進します。
 福岡空港については、国、県、運営会社と連携をし、増設滑走路の令和6年度末供用開始に向けた取組や周辺地域のまちづくり、環境対策を推進するとともに、航空路線の充実強化に取り組みます。また、福岡市の南部地域及び太宰府方面から福岡空港へのアクセス強化を図るため、都市高速道路3号線の延伸事業を推進します。
 グローバル人材の育成と活躍の場づくりについては、小中学校において、児童生徒の外国語によるコミュニケーション能力を育成するとともに、国際機関と連携をし、若者が海外でのキャリア形成について考える機会を創出するなど、国際感覚あふれ、世界で活躍する人材の育成を推進します。
 また、行政窓口や医療機関等における多言語対応や日本語教育を推進するとともに、外国人の留学生、創業者、エンジニアなどの多様な人材が暮らしやすく活動しやすいまちづくりを進めます。
 国際貢献、国際協力の推進については、福岡市の住みよいまちづくりの取組を広く海外に発信するとともに、官民連携による国際貢献を通したビジネス展開に取り組みます。
 次に、将来にわたり持続可能な市政運営についてです。
 福岡市の財政は、社会保障関係費や公共施設の改修、修繕等の経費の増加が見込まれる一方で、今後も社会経済情勢の変化や市民ニーズの多様化による行政需要の増加が見込まれます。
 そこで、持続可能な市政運営を実現しながら、福岡市を次のステージへと飛躍させる取組を着実に推進するため、施策、事業の徹底した選択と集中による重点化を図り、歳入の積極的な確保や行政運営の効率化、既存事業の組替えなどに取り組みます。
 また、市民がデジタル化の恩恵を実感できるよう、来庁の必要がないノンストップ行政の実現に向けた行政手続のデジタル化、オンライン化や業務プロセスの見直しなど、DXの取組を推進し、市民の利便性の向上に加え、業務の効率性、生産性を高め、それにより生じた人的資源を福祉など人のぬくもりが必要な分野へ振り向けるなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を積極的に進めます。
 さらに、市民へ情報を分かりやすく発信し、市民とのコミュニケーションを円滑に進めるとともに、様々な課題の解決に向けて、市民、地域、企業、NPO、大学など多様な主体との連携、共働を進めます。また、民間が担うことでサービスの向上や効率化が期待できるものについては、行政による適切な管理監督の下、今後とも、民間活用に取り組みます。
 このような不断の改善の取組を進めることによって、将来にわたって持続可能な市政運営を目指します。
 最後に、条例案及び一般議案について説明をいたします。
 まず、条例案として、迅速な情報連携のためマイナンバーの利用範囲を拡大する等の改正案、家庭系ごみについて可燃物用指定ごみ袋の種別を追加する改正案、地下鉄の輸送力を増強することにより乗客の利便性の向上を図るため車両数の上限を引き上げる改正案、地域防災力の充実強化に向けて人材確保を図るため消防団に休団制度を導入する改正案、障がいのある生徒の将来の自立を促進するため、特別支援学校、城浜高等学園を新設する改正案などを提出しています。
 次に、一般議案といたしまして、令和6年度に係る包括外部監査契約を締結するための議案などを提出しています。
 この元気で住みやすいまちをさらに発展させ、次代を担う子どもたちが明るい未来を描くことができる、人と環境と都市活力が高い次元で調和したアジアのリーダー都市を目指し、しっかりと取り組んでまいります。
 議員各位におかれましては、よろしく御審議の上、御協賛を賜りますようお願いを申し上げます。
 以上をもちまして市政運営の方針及び予算案をはじめとする提出議案の概要に関する説明を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 以上で市長の提案理由の説明は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま議題となっております議案68件の審議については、3月5日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は3月5日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午前10時37分 散会