令和5年12月14日(木)

令和5年 第6回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第4号)
                                    12月14日 午前10時開議
第1 一般質問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
9番  今 林ひであき      10番  阿 部 真之助
11番  打 越 基 安      12番  堤   健太郎
13番  坂 口よしまさ      14番  新 開 ゆうじ
15番  とみながひろゆき      16番  田 原 香代子
17番  たのかしら知行      18番  石 本 優 子
19番  勝 山 信 吾      20番  調   崇 史
21番  川 上 陽 平      22番  津 田 信太郎
23番  古 川 清 文      24番  高 木 勝 利
25番  篠 原 達 也      26番  平 畑 雅 博
27番  伊 藤 嘉 人      28番  川 上 晋 平
29番  尾 花 康 広      30番  松 野   隆
31番  山 口 剛 司      33番  和 田あきひこ
34番  あ べ ひでき      35番  大 沢 めぐみ
36番  木 村てつあき      37番  橋 口 えりな
38番  綿 貫 康 代      39番  前 野 真実子
40番  中 島まさひろ      41番  藤 野 哲 司
42番  新 村 まさる      43番  天 野 こ う
44番  堀 内 徹 夫      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  はしだ 和 義
48番  浜 崎 太 郎      49番  阿 部 正 剛
50番  倉 元 達 朗      51番  中 山 郁 美
52番  川 口   浩      53番  小 竹 り か
54番  勝 見 美 代      55番  井 上 ま い
56番  ついちはら陽子      57番  田 中 たかし
58番  山 田 ゆみこ      59番  近 藤 里 美
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
          32番  大 石 修 二

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  坂 本 秀 和      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会 計 管 理 者  小 川 明 子
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  町     孝
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子      人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美

職務のため出席した事務局職員
議会事務局次長  八 木 智 昭      議  事  課  長  水 ア 亮 二
議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。田中たかし議員。
 
○57番(田中たかし)登壇 おはようございます。私は福岡市民クラブを代表して、重症心身障がい児・者、強度行動障がいのある人の観点から、障がい者が地域で豊かに暮らせる福岡市を求めて並びに子どもホスピスの取組状況について、以上2項目質問いたします。
 (パネル表示)まずはこちらを御覧ください。西区在住7歳の男の子です。彼は生まれながら脳回形成異常、症候性てんかん、水頭症、けいれん重積型脳症を患い、重い障がいがあります。1人では体を動かせず、食事もほぼ胃ろうで取っています。知的障がいもあり、認知、言語、記憶、情報処理などに困難を要すため、意思表示もままなりません。彼が何を考え、どうして欲しいのか、それは、親御さんが表情やしぐさから読み取ることで親子のコミュニケーションを取っています。
 重症心身障がいとは、重度の知的障がいと重度の肢体不自由が重複している状態を指しますが、その多くの方は、一日の大半をリクライニング車椅子、以降はバギーと呼びますが、このバギーの上で過ごします。こちらのバギーですね。自分で操縦できないため介助者が必要であり、彼もこのバギーと介助者がなければどこにも行けません。その彼の親御さんから御相談を受けました。福岡市は住みやすいというが、重症心身障がい児からするとなかなか外出が難しい。改善されれば外出の機会が増えるのにと、そういうふうにおっしゃっていました。
 その後、同じようなお子さんを持つ方々からもお話を伺いましたが、他の健常者の子どもと同じように、いろいろなところに連れて行き、様々な経験をさせてあげたい。しかし、どこに行くにも負担が大きく、おっくうになると皆さんおっしゃっていました。
 本日私がする質問は、当事者たちの切実な声です。前向きな御検討を期待して、質問を進めます。
 まずは、重症心身障がい者でも気軽に外出できる環境整備からお尋ねしていきます。
 初めに、今このパネルで紹介させていただいたような重症心身障がい児・者は本市に何人いるのか、お尋ねいたします。
 以降は自席より質問いたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障害者手帳において、療育手帳A1またはA2を所持しており、かつ下肢または体幹による障がいで身体障害者手帳1級または2級を所持している方について申し上げますと、令和5年10月1日現在で766人でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 御家族まで入れれば、その数倍の方々が困難を感じているものと推察されます。
 では、外出に当たって何が困難か、真っ先に挙げていたのがトイレでした。重症心身障がい者の多くは、1人でのトイレ利用はおろか、便器で用を足すこともできません。おむつ利用です。そのため、外でおむつを交換する際はユニバーサルシートというおむつ交換のための大型ベッドがトイレ内に必要となりますが、皆さんとにかくこのユニバーサルシートが重要だとおっしゃっておりました。
 そこで、本市でユニバーサルシートを設置している箇所は何か所か、公共施設だけでなく、民間施設での設置状況を把握しているのかも併せてお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 大型ベッド、いわゆるユニバーサルシートの設置につきましては、福岡市福祉のまちづくり条例施行規則において、一定の要件の下整備することが必要な設備として、平成16年4月に追加しております。これ以降、同条例の事前協議の対象となった新築の施設は、公共施設、民間施設合わせて約80施設であり、事前協議の際にユニバーサルシートの設置計画を確認しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、どういった施設が対象となるのか、その条件と民間施設への設置の要請はしていないのか、条例制定以前の建築物の確認状況なども含めてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 規則において、医療施設や官公庁施設、百貨店等の物品販売施設など、一定の用途の施設で用途面積が1万平方メートル以上のものについてユニバーサルシートを設置するよう規定しております。これらの施設につきましては、工事着手前の事前協議においてユニバーサルシートの設置が計画に含まれているかを確認することとしており、含まれていない場合は設置するよう指導しております。また、規則の改正により設置対象となった既存の建築物につきましては、施設の改修等における事前協議の際に整備基準への適合について確認することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 用途面積が1万平米以上に設置義務があるということでありますが、では、その根拠をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 規則の改正につきましては、学識経験者等で構成する福岡市福祉のまちづくり条例整備基準研究会の議論を踏まえ定めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 他都市では、この設置義務を1万平米よりも下に設定しているところもあります。一層の普及を考えるならば、この基準にも議論が必要であると、まずは指摘させていただきたいと思います。
 では、ユニバーサルシート設置のためにはそれ相当のスペースが必要となりますが、広さなどの要件は何か、また、それは何に基づいてのものであるか、説明願います。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市施設整備マニュアルにおきまして、バリアフリートイレ内にユニバーサルシートを設ける場合の例として、国の高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準等を参考に、壁の内のり寸法で、間口、奥行きともに200センチメートル以上を確保するように示しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 今、200センチという御答弁がありましたが、実はこれが実態に合っていないのではないかと、そういう声があります。介助者がバギーを押してトイレに入って、さらに抱えてベッドに寝かせるとなると広さが足りない。例えば、こども病院ですけれども、(パネル表示)こういう状態になります。これはトイレに入ってもらって、親御さんに撮ってもらいました。もうトイレの中だけでいっぱいいっぱいです。ここに既に置いてあるものがあって、こっちがベッドですけれども、この中で親御さんは、この子を抱えてベッドに寝かせなきゃいけない。さらに、図面に落としてみました。(パネル表示)これは福岡市の条例に定められている整備マニュアルの中にあるものですけれども、200センチ、寸法を取ってありますけれども、ここに入ると、車椅子の方は確かに多少余裕はあるのかなと。しかし、このピンクの部分、これがリクライニングしたときです。やはりこれを見ると、やっぱりどう考えても狭いよなと私は感じてしまう。
 せめて市有施設は広さの確保に配慮があってもいいのではないかと思いますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 施設整備マニュアルでは、バリアフリートイレの広さについて、国の建築設計標準や日本産業規格における手動車椅子及び電動車椅子の規格寸法等を参考に示しており、各施設においてこの基準を踏まえ、施設全体の機能等を勘案しながら判断されるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 考え方の基準が、今御答弁にあったとおり車椅子なんですね。確かに、今図で示したとおり、車椅子だと自分でこれは動いて、この大型ベッドに寝れるような人はもしかしたらいいのかもしれないですけれども、リクライニングをこれは想定していないんです。だから、こういう状況になる。200センチと言いながら大変狭いということを皆さん仰っていました。ぜひ、基準の見直しも視野に、実態に合った対応を改めてお願いしたいと思います。
 では続いて、その情報提供についてお尋ねします。
 先ほど、設置対象について、平成16年の条例施行後に建築申請があった1万平米以上の建築物には設置義務がある。平成16年以前のものも、建て替えなどで事前協議があった際には設置するよう求めているとございました。そして、把握している設置箇所は80か所。
 では、その情報をどのように公開しているのか、施設内の表示方法を含めてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 誰もが安心して気軽に外出できるよう、市内の施設におけるバリアフリー情報を掲載した福岡市バリアフリーマップを作成し、市のホームページで公開しており、ユニバーサルシートについても、同マップに掲載する設備としております。また、同マップにおいて、施設内の設置箇所は示しておりませんが、各施設において、トイレの入り口にピクトグラム等で表示するよう施設整備マニュアルにおいて示しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、1万平米以下の建物の設置状況や古い建物、そういった施設の設置状況は把握しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 規則で設置の対象とならない施設や規則改正前に建築された施設等の設置状況は把握しておりませんが、一部の施設については、福岡市バリアフリーマップに設備情報を掲載しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) そのバリアフリーマップですけれども、検索機能があります。どんな設備がどこの施設にあるといった情報が見られる。ただ、もう少し改善してほしいといった声も聞かれました。例えば、バリアフリーマップ内でユニバーサルシートと検索しても該当ゼロとなります。なぜかというと、トイレ内介護ベッドと検索しないとヒットしない。行政も、今答弁があったようにユニバーサルシートと言っているのに、バリアフリーマップではトイレ内介護ベッドと言わないと検索できないんです。さらには、御答弁もありましたが、設置施設のURLは掲載されているものの、その施設内のどこにあるのかまでは確認できないところもあります。
ぜひ、利用者目線に立って改良するとともに、民間施設などへも設置箇所の掲載を要請していただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) バリアフリー情報の提供が大切であると認識しており、引き続き福岡市バリアフリーマップの掲載施設の充実や掲載情報の更新を図るなど、より分かりやすいバリアフリー情報の提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 加えて、今指摘したとおり、その呼び名がちょっと問題かなと思うんですけれども、ユニバーサルシート以外にも、国土交通省建築設計基準では大型ベッド、JIS規格では介助用ベッド、企業、メーカーなどは収納式多目的シートやパブリック用折り畳みシート、呼び方が様々です。
これも、せめて本市では統一すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 国の基準等において、大型ベッドや介助用ベッドという呼称がある一方で、ユニバーサルシートなどの呼称も使われるようになっている経緯があり、国の動向を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) まずは国が統一してくれと、そういうことかと思います。バリアフリーマップ自体は利用者にとって貴重なツールではありますけれども、まだまだ改善の余地があると感じております。
 改めてお尋ねしますが、ユニバーサルシートを設置してあるトイレをできる限り把握して、より精度の高いバリアフリーマップの公開をお願いしますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 条例に規定する事前協議などに併せ、福岡市バリアフリーマップへ施設情報を掲載するよう呼びかけるなど、必要とされる方が必要なバリアフリー情報を入手できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) ぜひ積極的な取組をお願いしたいと思います。
 それから、ピクトグラムです。実はこのピクトグラムも統一されていません。(パネル表示)こういう形で、これが本市のマニュアルにあるピクトグラム。そして、どことは言いませんけれども、掲載されていたピクトグラムがこちら。そして、先ほども言いましたこども病院ですけれども、(パネル表示)こども病院のピクトグラムはこれ、ちょっと小さいかもしれないです。これも違うんです、市有施設なのに、市でマニュアルで定めているのに、市有施設であるこども病院のピクトグラムが違う。
 これについて、こども病院については、マニュアル掲載以前に病院が建設されたということでこうなっていると確かに説明を受けましたが、であるならば、ほかの市有施設も確認して、速やかに変更するといった配慮があってしかるべきと考えますが、この点についての御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ピクトグラムにつきましては、各市有施設において日本産業規格のピクトグラムに計画的に更新してもらうよう働きかけております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、商業施設についても、ユニバーサルシート設置トイレを示すピクトグラムは市内で統一すべきと考えますが、こちらについても御所見をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市施設整備マニュアルにおきましては、日本産業規格のピクトグラムとするよう示しております。また、規則改正以前に建築された施設については、改修等の事前協議の機会を捉え、適宜更新してもらうように働きかけてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 更新を働きかけると御答弁いただきましたので、ぜひこちらについてもお願いいたします。
 続いて、御指摘が多かったインクルーシブ公園です。こちらについてお尋ねしていきます。
 まず、本市がインクルーシブ公園を設置するに至った背景は何か。あわせて、これまでの経緯についてもお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、平成23年より「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」を目指し、様々な取組を推進する中で、公園においても、まずは出入口や園路、トイレなどのバリアフリー化を進めてまいりましたが、遊び場についても取り組むこととしたものでございます。
 経緯につきましては、舞鶴公園においてインクルーシブな遊び場が体験できる場を令和3年11月に10日間設けたところ好評であったため、令和4年7月に再度設置し、障がいのある子どもに実際に利用してもらいながら、アンケートやワークショップを行ってまいりました。あわせて、障がいのある子どもの保護者や関係者及び有識者などから成る検討委員会を設け、令和5年1月に、インクルーシブな子ども広場整備指針を策定しております。この整備指針に基づき、令和7年末までに、まずは全ての区に1か所ずつ整備することとし、第1号となる早良区の百道中央公園において、地域住民や障がい当事者などとのワークショップにより整備プランを作成し、令和6年春の一部オープンを目指し、整備を進めているところでございます。また、並行して城南区の西南の杜湖畔公園及び南区の桧原運動公園においてもワークショップを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、舞鶴公園に設置されたインクルーシブ公園の、その成果と課題は何か、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 成果につきましては、これまで実施したアンケートやワークショップにおいて、安心して遊ぶには障がい者用トイレが必要、遊具広場内は子どもの転倒時にも安全なゴムなどの柔らかい舗装がよい、障がいのある子どもとない子どもは遊びのペースが違うため選択肢が必要など、いただいた御意見を踏まえ、整備に当たって配慮すべき事項などとして、全市統一でのハード面の基本となる整備指針を定めたことでございます。課題につきましては、障がいの特性により様々なニーズがあることから、ハード整備に加えて、公園で利用できる施設に関する情報提供や障がいのある子どもが優先的に利用できる日を設けるといった運営の工夫など、ソフト面の対応も必要であると認識をしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 課題解決のためには、やはり当事者の声を確実に把握すること、それが重要かと思います。
 それぞれの公園はどのように当事者の声を拾って設計、計画されるものなのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) まず、統一的な方針として、インクルーシブな子ども広場整備指針を策定しており、その過程で舞鶴公園に実際に体験できる場を設け、特別支援学校等の保護者を対象としたアンケートや障がいのある子どもとその保護者を対象としたワークショップなどを行い、当事者の皆様の御意見をきめ細かく伺い、整備指針に反映しております。また加えて、それぞれの公園の設計に当たっても、地域住民をはじめ近隣の小中学校の特別支援学級や特別支援学校などにお声がけをして、ワークショップを行いながら進めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 先ほどバギーに乗っているお子さんを紹介させていただきましたけれども、やはりああいう子も遊ぶわけですね、当然。駐車場から公園までが遠い、歩道ががたつく、バギーを押す人が大変なのはもちろんですが、乗っているほうにも激しい揺れが続くことで身体に大きな負担がかかります。今回の男の子のように水頭症などを患っている場合はより深刻です。公園内の遊具を整備するだけでなく、公園に至る経路についても当事者目線を反映させる必要があります。
 その点についてどのような考えで整備箇所を決められたのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 答弁に入ります前に、先ほどの答弁の訂正を一部させていただきます。
 先ほど整備指針に関する御質問に対しまして、令和7年末とお答えいたしましたが、正しくは令和7年度末でございました。おわびして訂正をさせていただきます。
 御質問に対してお答えいたします。
 インクルーシブな子ども広場の整備には、理解の促進や機運の醸成が必要であるため、多くの市民が利用できる機会を早期に実現することが重要であると考えております。そのため、全ての区に1か所ずつ整備する公園については、広域的に利用者が集まる総合公園や運動公園といった比較的大規模な公園などの中から、車での来園が可能な駐車場がある公園を選定しており、加えて、駐車場から広場までの園路のバリアフリー化を進めることとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) ぜひ他局ともしっかり連携して、確実な対応をお願いいたします。
 さらにはトイレですが、舞鶴公園のインクルーシブ公園に隣接したトイレにはユニバーサルシートは設置されていませんでした。
 今後設置されるインクルーシブ公園のトイレにはユニバーサルシートが設置されるのか、お聞かせください。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 全ての区に1か所ずつ整備する公園のトイレにつきましては、整備指針や当事者の御意見などを踏まえ、子ども用おむつ台、オストメイト対応施設など、必要な環境整備を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) すみません、事前にいただいた答弁ではユニバーサルシートと言っていただいているんですけど、それについて御答弁なかったのは何ででしょうか、改めてお伺いします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 改めてお答えをいたします。
 全ての区に1か所ずつ整備する公園のトイレにつきましては、整備指針や障がい当事者の意見などを踏まえ、ユニバーサルシートや子ども用おむつ台、オストメイト対応施設など、必要な環境整備を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) ぜひよろしくお願いいたします。広さの確保もぜひ考慮していただいて、お願いしたいと思います。
 健常者にはささいなことも、当事者にとっては大きな障壁となるものは少なくありません。課題解決には全庁挙げての取組、民間事業者の協力も必要です。安心して外出できる機会をつくることで社会とのつながりを感じ、地域からの孤立化を防ぐこともできます。
 ぜひ当事者のニーズを的確に把握し、本日例示したようなトイレの設置やピクトグラムの統一など、ハード面の改善についてスピード感を持って取り組むよう強く求めるところですが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) バリアフリーの推進につきましては、当事者や事業者、学識経験者、行政などで構成する福岡市バリアフリー推進協議会を設置し、事業者等の取組や当事者の声などについて意見交換を行いながら取り組んでおり、引き続き当事者のニーズの把握に努め、計画的にハード、ソフト一体的なバリアフリー化を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) よろしくお願いいたします。
 では続いて、強度行動障がいのある人ですが、まず、強度行動障がいの定義について教えてください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 国の報告書におきまして、自傷、他害、こだわり、物壊し、睡眠の乱れ、食べ物でないものを食べる異食や多動など、本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態を強度行動障がいと定義されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 御答弁のような激しい行動問題から、とある親御さんは、ただのモンスターのように見られてしまうと嘆いておられました。一方で、適切な支援と環境設定があれば地域でも普通に暮らしていけると、そうもおっしゃっていた。ただ、この適切な支援と環境設定というのがなかなか進んでいないというのが現実です。
 そこで改めてお尋ねしますが、強度行動障がいのある方は本市に何人いるのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和元年度に本市が実施した強度行動障がいのある方の実態調査の結果におきましては、346名となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、強度行動障がいの方への支援について、介護施設の実態なども含めて、本市の取組状況をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 強度行動障がいのある方の利用が想定される障がい福祉サービスは、施設入所や短期入所、グループホームのほか、生活介護などの通所系サービスや重度訪問介護などの在宅での支援を実施しております。主なサービスの利用状況は、令和5年2月時点で、施設入所支援が39か所248人、施設入所支援を利用していない方の生活介護が29か所136人となっております。また、本市独自の取組として、支援拠点施設か〜むにおいて、特に重い強度行動障がいのある方に対して集中支援を行うほか、強度行動障がいのある方を受け入れる事業所を支援する事業や研修事業を実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 様々な支援策があるということは理解いたしました。その支援策から漏れ落ちている、福祉サービスにたどり着いていない人がいるというのも、これも事実です。それが大きな課題となっている。
 まず、人材不足です。施設という箱があっても支援できる人が少ない。これは国も認めており、厚生労働省は、強度行動障がいのある人やその家族が地域で安心して暮らせる環境を整えたいとの考えを示し、今年3月の報告書では、受入れ体制が整わず、サービスが十分に提供されないことで同居する家族にとって重い負担になっている。専門性の向上に向けた人材育成が重要だと指摘しています。
 そこでお尋ねしますが、本市として強度行動障がいの方を支援するための人材の育成について、その取組の詳細をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がい福祉サービス事業所の支援員等に対して、強度行動障がいのある方への支援技術を習得するため、各施設の現場における実践的な研修などを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 研修をしているということですが、では、その研修が人材不足解消にきちんと寄与できているのか、研修を受けた方のその後の業務状況なども含めて具体的にお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) これまで研修を受講された方は、学んだ支援技術を現場で実践して、強度行動障がいのある方の支援などを行っております。また、これまで研修を受講された方の中には、その後、強度行動障がいのある方の支援を通じて研さんを重ね、事業所でリーダーとして活躍される方や研修講師として支援技術を伝える方もおられ、福岡市全体の強度行動障がいのある方への支援体制の強化につながっているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) ぜひ人材の育成と確保をよろしくお願いいたします。
 もう1つの課題は住まいです。まず、グループホームなどですが、強度行動障がいのある人は集団生活がどうしても難しく、受入れ拒否という事態が起きています。
施設にお願いしたくても拒否されるといった事案に対して本市はどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 強度行動障がいのある方は、一人一人行動における問題の種類や強さが様々であるため、ご本人の状況によっては受入れが難しい事例もあると認識しております。そのため、施設職員等への研修のほか、強度行動障がいのある方の支援に精通している他の事業所職員を派遣し、受け入れる事業所の職員とともに支援に当たることで負担を軽減する強度行動障がい者共同支援事業を実施するとともに、市独自の補助制度として、重度障がい者を受け入れるグループホームを対象に運営費補助を行うなどして、受入れの促進に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) さらに問題なのは、介護施設の強度行動障がい者の養成研修を受けているにもかかわらず、退去や受入れを断っている事業所もあると聞きます。
 この点について、まずは本市内の事業所についてこういった現状を調査し、適切に対策を取る必要があると考えますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 強度行動障がいのある方は、一人一人行動における問題の種類や強さが様々であるため、御本人の状況によっては受入れが難しい事例もあると認識しております。本市におきましては、施設職員等への研修や強度行動障がい者共働支援事業、グループホームへの運営費補助などにより、受入れの促進に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 受入れ拡大へ、ぜひ取組をお願いいたします。
 そして、地域での自立した生活についてですが、まず、先ほどの御答弁でか〜むで集中支援とありましたが、その詳細をお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) か〜むにおいて、特に重い強度行動障がいのある方に対して24時間体制でマンツーマンの支援を行い、行動の問題の分析をしながらその軽減を図るとともに、個々の障がい特性に応じた支援計画を作成し、グループホームなど、地域へ移行した後も安定した生活を送ることを目指す事業でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) か〜むの取組は、全国的に見ても先進的であるなとは思っておりますが、ここは定員が2名、全ての人をというのは物理的にやはり厳しい。さらに課題は、このか〜むを出た後です。施設の受入れ拒否や地域の理解を得られないことで、結果的に本人や家族が求める住居に行けないと、そういった事案もあると聞いております。また、一人暮らしについて、地域社会で自立した生活をしたい、この思いは強度行動障がいのある方も同じですが、しかし、その行動問題のためになかなか家が借りられない、結果的に自宅に戻り、御家族が仕事の休職を余儀なくされる、近所に迷惑をかけないよう毎晩一緒に車中泊をしている、自傷、他害が激しく、当事者も介護者も傷が絶えない、こういった非常につらい思いをされている方が現にいらっしゃいます。家を借りられたとしても、壁や床を頑丈なものにしなくてはいけない、自傷行為に備えて、頭などを打ちつけても大丈夫なように壁や床をクッション性のあるものにする、奇声を上げる場合は防音設備を施すなどリフォームが必要であり負担も大きい。しかしながら、強度行動障がいは知的障がいに分類されることから、住宅改修などの補助費用がありません。
 そこで、本市としてもリフォームについて独自に補助をしてほしいと思うわけですけれども、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 身体障がい者に対しては国の補助事業を活用し、移動の円滑化を目的にしたバリアフリーのための住宅改造助成を実施しております。強度行動障がいのある方に対しては、個々の特性に応じた対応が必要となるため、か〜むでの支援後にグループホームなどの地域での受入れが進むよう、受け入れた後の支援について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) バリアフリーのためには工事に補助金が出るのに、強度行動障がいの方が住めるようなリフォームにはお金が出ないと。ここは福岡市独自の補助事業としてお金を出してもいいのではないか、それが誰もが住みやすい福岡市につながると考えます。ぜひとも御検討いただければと思います。
 さらには、居住地によって受けられるサービスが違うというのも課題です。例えば、ヘルパーをつけて一人暮らしをしたいと考えたとします。しかし、福岡市内は家賃が高く、住宅密集地では周囲への迷惑も起こりかねないということで、やむなく近隣都市の郊外に家を借りた場合、住民票が福岡市にあったとしても、居住実績はその近隣都市ということになりますので、福岡市の重度訪問介護サービスが受けられなくなります。
 強度行動障がいの方の生活の実態、介護者の深刻な疲労感を酌み取って、居住実態が他都市でも本市の重度訪問介護サービスが受けられないか御検討いただけないか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 重度訪問介護サービスは、障害者総合支援法により、障がい者または障がい児の保護者の居住地の市町村が実施するものと規定されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 法律はそうなんですけれども、国も重い腰を上げて今始めようとしています。本市としても、苦しむ方々を救うための柔軟な対応を改めてお願いしたいと思います。
 ここまで重症心身障がい者、強度行動障がいのある方に焦点を当ててお尋ねしました。関係者は皆さん口をそろえて、こういう障がいや病を抱えた人がいるということを身近に感じてほしいとおっしゃっておりました。それぞれ人数も確認させていただきましたが、確かに多くはありません。日頃接する機会も少なく、我々の知識も十分とは言えない。なので、目にしたときにはついつい見てしまう。見る側に差別意識があるとはもちろん言いませんが、しかし、その視線が当事者には心理的なプレッシャーになると、そうもおっしゃっておりました。これも外出を困難にする一因なのかもしれません。
 障がい者が地域でも豊かに暮らしていけるよう、市民もまだまだ意識を変える必要があると考えるわけですが、そのためにどのような取組を進めていくのか、障がい者週間での効果的な活用なども含めて、具体的な御答弁をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 広く市民に障がいや障がい者についての理解を深めてもらうための取組といたしまして、事業者や市民を対象とした出前講座を実施するとともに、小学校4年生を対象として行われる車椅子体験や障がい当事者の話を聞くなどの授業において、啓発リーフレットを配布しております。また、障害者基本法に基づく障がい者週間に合わせて、毎年12月に障がい者週間記念の集いとして、障がいのある方とない方が触れ合うためのイベントを実施しており、引き続き啓発を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 本市は、福岡市保健福祉総合計画の中で、障がいのある人が必要な支援を受けながら、自らの能力を最大限発揮し地域や家庭で生き生きと生活することができるまちづくり、これを掲げて取り組むとしております。しかしながら、重症心身障がい者も強度行動障がいのある方も、地域で生き生きと生活すると、このことが依然として実現しておりません。
 ぜひ、積極的な取組をお願いしたいと思うわけですけれども、市長の意気込みをお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 全ての市民が年齢や障がいの有無などによって分け隔てられることなく共生できる環境整備を進めていくことは、大変重要であるというふうに認識をしてございます。福岡市においては、重症心身障がい者や強度行動障がいのある方に対して、市独自の支援を行うとともに、バリアフリーの推進などに取り組んでいるところでございます。今後とも、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に向けて、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるように取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 隔離された大規模施設に入所するしかなかった時代から2000年以降の約20年、住み慣れた地域で生活し続ける制度が徐々に整備はされてきました。しかし、今挙げたような重症心身障がい者も、強度行動障がいのある方も、まだまだ福祉のはざまで生きづらさを感じていると言っても過言ではないと思います。ぜひ積極的な支援、これを求めて次に参りたいと思います。
子どもホスピスについてです。子どもホスピスについては、令和3年決算総会で質問がされましたが、その後の本市の動向などを確認しながら質問を進めます。
 まず、子どもホスピスの定義について説明願います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもホスピスについての明確な定義はなく、重い病気や障がいを持つ子どもの生活の質の向上及び家族支援の観点から、子どもの症状の緩和、家族に対するレスパイトケア、死別後のケアを行うなど、施設によって実施内容が様々となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) では、子どもホスピスについて、本市の認識をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもホスピスと名づけられた施設が国内に3か所あることを確認しております。また、生命を脅かす病気の子どもとその家族を対象に、子どもの成長や発育の機会、家族の休息をサポートすることなどを目的として、NPO法人などが子どもホスピスの設立に向けて活動されていると認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 施設は国内で3か所、少ないと、私もそう思うんですけれども、現在設立を求める活動というのは、これは全国的なものに徐々に広がってきております。
 では、その国内の3か所について利用者等からはどういった声が上がっているのか、また、課題などがあるのか、お聞かせください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもホスピスの普及を行っている団体の資料によりますと、利用者の声として、相談していいと思える場所ができた、制限された中でも子どものできることや興味に気づくことができた。課題としては、生命を脅かす病気を抱えている子どもたちや家族を支えるための訪問医療や看護などの提供体制の充実、支援する団体、ネットワークの構築などが挙げられております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 一般的にホスピスと聞くと、死を迎える人をみとる場所と、そういうイメージがありますが、子どもホスピスの役割は、社会から隔絶されやすい難病の子どもたちがその人生を有意義に生きるためにあります。学びや遊び、家族や友人と過ごすひとときの提供など、やってみたいこと、実現したいことを一つでも多くかなえるため、医療、教育、保育の専門家を中心としたスタッフによって運営されています。そして、その運営は寄附金に頼らざるを得ないのが現状です。設立を目指す動きが広がる中、この秋、こども家庭庁が実態調査に動いたと、そういう報道がありました。
 そこで、その実態調査の概要と見通しについて、お示しください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 調査の概要は、子どもホスピスに対する国内の支援の現状や対象の児童及び家族等のニーズの把握、子どもホスピスの発祥であるイギリスの事例などについて文献調査を行い、調査結果は令和6年度に公表予定とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 令和3年の決算特別委員会総会質疑において、子どもホスピスについての質問がされておりますが、その後、本市としてどういった検討をされてきたのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和4年3月に、子どもホスピス設立に向けて活動されているNPO法人福岡子どもホスピスプロジェクトと保健医療局、こども未来局で意見交換を実施しております。その際、子どもホスピスの内容等について具体性が出てきた場合など、意見交換を継続することとしておりますが、現時点においては、具体的な検討を行っておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 意見交換はされたものの具体的な検討はしていないと。
 残念ではありますが、国も実態調査を始めるなど全国的な動きを見せる中で、本市では今後どのような体制で臨もうとしていくのか、所管もまだ決まっていないような状況で対応できるのか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国において実態調査が行われており、その結果や国の動向を注視し、関係する部署で協議してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 本市においては、少なくとも所管局、所管課を決めるなど、国の動向を待たずに能動的に動き出すべきと改めて考えますけれども、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもホスピスについては、市外や県外からも利用が想定され、広域的な視点を持った検討や国の動向も注視する必要があると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) この子どもホスピスについては、当然、本市に限った話ではないんですけれども、自治体レベルではなかなか話が前に進まない。いろいろと課題もあるということで、どのようにして取り組んでいけばいいのかと、それは行政もあぐねているところだと思いますけれども、
子どもホスピスはその定義も定まらないということで、類似施設などは国の調査に引っかからない可能性もあります。
 本市としても、独自に施設や当事者に対してのニーズ調査をするべきではないかと考えますが、御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国の実態調査では、子どもホスピスという名称にとらわれず、子どもホスピスに準じた子どもの支援に取り組む団体等も調査対象にすることとされており、引き続き国の調査を注視するなど、情報の収集に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 田中たかし議員。
○57番(田中たかし) 今回の質問では、本市が能動的に動くといった姿勢は残念ながら見ることはできませんでしたが、何度も言っていますとおり、国も調査を開始しております。本市での今後の進展を期待したいというところでありますけれども、もちろん、設立や支援方法については行政や議会での丁寧な議論が重要となります。本市は、何かと国の動向を注視と言って進まない施策も多いのではないかと私は感じておりますので、今まさに、この今も、重い病や障がいを抱えながら子どもホスピスのような施設を求める子どもがいるんだと、そういうことを決して忘れないで、いざというときには本市がしっかりと対応できるような体制を整えていただくことを改めて強く求めて、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、物流の2024年問題の福岡市への影響と対策について、おむつと安心定期便について、以上2点について質問してまいります。
 初めに、物流の2024年問題の福岡市への影響と対策についてです。
 物流の2024年問題というフレーズが広くマスコミでも取り上げられるようになっています。今年も残すところあと2週間余り、2024年を迎える前にこの問題が福岡市や市民にどのような影響を与えるのか、どういった課題があるのか、また対策としてどのようなことが考えられるのか、伺ってまいります。
 初めに、物流の2024年問題とはどういった問題なのか。世界的な課題なのか、国内のみか、問題が生じるとされるエリアも含め、お尋ねをいたします。
 以上で1問目は終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
港湾空港局長(竹廣喜一郎) 国において、働き方改革関連法案が平成30年6月に改正され、法定労働時間以外の時間外労働に対する上限規制が強化されておりますが、自動車運転の業務などは時間外労働の上限規制の適用が5年間猶予され、令和6年4月から適用されることになっております。トラックドライバーにも時間外労働の上限規制が適用され、結果として輸送能力が低下し、国内物流の停滞が懸念される、いわゆる物流の2024年問題に直面すると言われております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 2024年4月からトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制が適用されることにより国内物流が停滞するとのことでしたが、トラックドライバーの働き方に関わる点について触れつつ、なぜこの問題が発生すると言われているのか、もう少し詳しく説明をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 国の検討会によりますと、トラックドライバーは長時間の運転のほか、荷待ち時間、荷役作業等により年間の労働時間が全産業平均に比べ約2割長く、長時間労働を抑制する際、労働時間削減のために何も対策を講じなければ、一部のトラックドライバーの労働時間が短くなり、輸送能力が不足する可能性があるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 厚労省の調査によると、トラックドライバーの平均労働時間は年間約2,500時間にも上り、全産業平均と比較すると400時間ほどの開きがあります。近年はネット通販などによりさらに輸送量が増えており、宅配便の従事者の働き方が大きな話題にもなりました。私たちの暮らしは、産地や工場から手に取れる所まで運んでいる多くの物流事業者に支えられていることを実感するところです。
 では、国内物流に携わる事業所数や従業者数について、国内全体、福岡県、福岡市の直近のデータをお示しください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 国内貨物輸送量の9割超を占める自動車による貨物輸送についてお答えいたします。令和3年経済センサス活動調査によると、道路貨物運送業の事業所数及び従業者数は全国で7万3,190事業所、177万6,512人、福岡県で2,952事業所、7万4,978人、福岡市で711事業所、1万9,733人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 福岡市内には711の事業所、2万人弱の従事者がおられ、事業所、従事者ともにおおむね県内の約4分の1、国内の約1%を占めているようです。
 では、物流の2024年問題による影響について、どのようなことが生じるとされているのか、国などの提示している指標等があればお示しください。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 国の資料によりますと、トラックドライバーの労働環境の改善や荷役効率化など具体的な対応を行わなかった場合、2019年度と比較して輸送能力が2024年には14%、2030年には34%、それぞれ不足する可能性があるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 今の指標を言い換えますと、何も手を打たなければ、また、手を打っても改善しなければコロナ前の2019年に比べ、来年度は7つに1つ、2030年度には3つに1つが運べなくなる、届かなくなるということでした。人流、物流が重要な鍵である福岡市経済にとってこれはゆゆしい問題です。
 では、この問題への国の対策についてお尋ねします。
 本年6月の関係閣僚会議で、物流革新に向けた政策パッケージが示され、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主、消費者の行動変容の3つの視点で指針が示されました。それぞれの取組概要について説明をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) それぞれの取組概要でございますが、商慣行の見直しにつきましては、荷主、物流事業者間における荷待ち、荷役の削減など物流負荷の軽減、物流の効率化につきましては物流GX、DXの推進や港湾など物流拠点の機能強化、荷主、消費者の行動変容につきましては再配達削減に向けた取組などを進めていくこととされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 国による対策は、荷主から物流事業者、消費者に至るまでの全てに及んでおり、物流DXのみならず、GX、グリーントランスフォーメーションも含まれているようです。
 また、本年10月には物流革新緊急パッケージとして6月に示された政策パッケージの中でも、可及的速やかに取り組むべき施策が示されました。その主な内容についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 物流の効率化につきまして、トラック輸送から鉄道輸送や船舶輸送へ転換するモーダルシフトの推進や物流DXの推進などに取り組んでいくとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ほかにも、物流効率化ではコンテナの大型化やパレットの標準化、商慣行の見直しでは標準運賃表の引上げ、適正な運賃の収受などが示されていました。
 では、こうした国の動きがある中で福岡市はどのように取り組んでいくのか、3つの視点に分けて伺ってまいります。
 1つ目です。福岡市は九州の海のゲート、博多港という物流拠点の運営に携わっています。その立場から、物流効率化に向けた取組について、博多港の取組内容と効果についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港のコンテナターミナルの周辺には輸出貨物を詰め込む前、または輸入貨物を取り出した後のコンテナを受け渡しする場所であるバンプールが複数箇所に分散しております。現在、アイランドシティコンテナターミナルの隣接地に約6ヘクタールのバンプールの整備を進めており、整備完了後に分散しているバンプールを集約することで、コンテナ物流のさらなる効率化が図られるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 港湾施設整備に関する取組をお示しいただきましたが、そのほかに、荷受けの待ち時間が短縮されるなど、ドライバーの働き方にとってプラスに働く改善策や取組について、博多港において実施した内容とその効果についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港ではコンテナ貨物の到着日時や受け取りの可否、受付ゲート前の混雑状況などの情報をいつでもパソコンやスマートフォンで確認することができる博多港物流ITシステムを導入しております。このシステムの導入前はトレーラーによる搬出入に約2時間かかっていたところ、現在では受付から搬出入にかかる時間は20分程度となるなど、貨物受渡し時間の短縮が図られ、物流効率化に大きく貢献しているものと認識しており、博多港を利用する様々な企業からも高い評価をいただいております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 博多港でかねてから課題であったトラックドライバーの待ち時間の長さについては大きく改善されたようです。では、国の物流革新緊急パッケージにおいて、物流効率化に即効性のある設備投資として、港湾物流効率化に向けたヒトを支援するAIターミナルの深化や港湾物流手続などを電子化するサイバーポートの推進というのが挙げられています。
 この点について、現状の博多港の運営に照らしてどのようにお考えか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) ヒトを支援するAIターミナルにつきましては、ターミナルオペレーションの最適化など、ターミナルの生産性の向上や労働環境改善につながる可能性があることから、国において実証や効果検証に取り組まれております。博多港としても、生産性向上や労働環境改善は重要な課題と認識しており、国の効果検証等を踏まえ、利用者の意見を聞きながらAIシステム等の導入の可能性について研究してまいります。また、サイバーポートにつきましては民間事業者間の港湾物流手続、港湾管理者の行政手続、維持管理の情報などを電子化し、データ連携を進める取組を国が推進しております。博多港は既存の情報システムを運用していることから、国の動向を注視するとともに、対応を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 同じく物流効率化施策の一つにモーダルシフトが挙げられており、今後10年間で鉄道、国内航路の輸送量を倍増するという指針が掲げられていますが、博多港としてはどのように捉えて、どのように対応していくのか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港には関東や日本海側港湾との国内定期航路が就航しており、モーダルシフトに適していることから大きなチャンスと捉えております。今後ともモーダルシフトに向けた国の動向を踏まえながら、博多港の利用促進に向けポートセールスをしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 国が緊急対策としてモーダルシフトを示したことで、海運が見直されるこの機を捉え、全国の港が改善に取り組むものと考えられます。既に門司港では、瀬戸内海を活用した阪神エリアとの路線の開拓も進んでいると聞きます。
 そんな中で、博多港がより選ばれる港となるための取組について、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港につきましては、全国的な視点では南海トラフ地震などの大規模災害に備え、代替輸送ルートの確保によるバックアップ機能の強化が求められている中、日本海側港湾との航路を有すること、さらに各埠頭に都市高速道路が接続し、九州・西日本エリアへのアクセスが便利であることや鉄道の貨物ターミナルに近接していることから、多様な輸送モードが集積しており、この強みを生かした新たな物流ルートの構築を支援するトライアル事業など、選ばれる港となるための取組をしっかりと進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 博多港の利点を生かしつつ、新たな物流ルートの構築に向けても取り組まれていくとのことですので、大いに期待をしたいところです。
荷主にとって、陸、海、空の輸送手段をはじめ、海路にも多くの選択肢がある中で、港のキャパシティーや処理能力が問われることはもちろん、港からの陸路の物流体制の確からしさやスピードなど、これまで以上にトータルで考える時代へと変遷していくのではないでしょうか。
 そのために、博多港が取り扱う貨物の陸路を担う民間事業者としっかりタッグを組んで、お互いの生産性改善に取り組むことが必要であり、博多港が率先してトラックドライバーのニーズを捉えた改善を図るべく、情報交換や意見交換を図る場などが必要なのではないかと考えますが、ドライバーにも資する博多港の今後の環境改善に向けて、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港ではコンテナ物流の効率化に向けて、福岡県トラック協会などの事業者と意見交換等を適宜行っているところであり、今後もトラックドライバーの労働環境改善にもつながるよう、物流効率化に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 次に、2つ目の視点、中小企業を支援する自治体としての立場から伺ってまいります。
 先ほど伺いました道路貨物運送業のデータによりますと、福岡市内には711の事業所がありますが、事業所規模を見ると、20人未満の小規模事業所が約6割、300人以上の大企業は3事業所のみということで、中小、小規模事業所が圧倒的に多い産業であることが分かります。
物流2024問題の渦中にいる道路貨物運送を業とする中小企業に対して、社内の生産性改善のスピードを上げるために、本市として何か支援する必要があるのではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 中小企業の生産性向上支援については、現在、専門家による個別相談やデジタルを活用した業務効率化の伴走支援を行っているところでございます。また、主に経営者層を対象にした経営セミナーや社員を対象にしたIT導入スキル養成講座を実施し、デジタル化による生産性向上のための人材育成にも努めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 市民生活を支える社会インフラである物流が滞る影響は、市内の多くの企業にも及びますが、カーボンニュートラルの視点からも物流の生産性改善が必要とされています。製造業などを本業としている企業の中には、自社の営業に際し、物流、配送機能を備えている事業者も多く、これらの企業にとっては走行時間の短縮が温室効果ガスと物流コストの両方の削減に資することにつながります。
 現在、こうした民間企業の間で取り組まれている物流問題対策について、何か把握している範囲でお伺いをいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 物流は、荷主、運送事業者、配送先など関係者が多岐にわたり、配送ルートも市域や県域をも超えて広範囲に及ぶため、国が主導するなど、より広域的な対策の実施が適切であると認識いたしております。国においては、物流施設の自動化、機械化などの物流DXや鉄道、船舶輸送への転換、いわゆるモーダルシフトといった民間企業による物流の効率化、生産性の向上を支援されているものと認識いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 物流の2024年問題を機に、共同配送などの改革に取り組む企業が少しずつ増えてきました。その一方で、競合同士だからこその取組の難しさや異業種間での取組を進めるなど、なかなか難しいという声も聞いております。あえて行政が関わることで前に進むきっかけになることもあるのではないかと考えます。
 自社トラックを所有している企業間による共同配送の実験や、積極的な挑戦が進むような交流や検討の場の提供、そのためのアドバイザーの派遣など、本市が支援できること、何か仕掛けることがあるのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 物流についてはより広域的な対策の実施が適切であると考えておりまして、福岡市といたしましては、商工金融資金による資金供給や経営相談をはじめ、生産性向上に向けた取組の支援、国の補助事業の周知や経済団体等と連携した啓発に努めてまいります。
以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 次に、3つ目の視点、消費者に最も近い自治体としての立場からお尋ねをいたします。
 この問題により不足する輸送力、輸送量を補うためには、国は再配達率の半減を掲げるものの、いまだ再配達率は高止まりし、宅配事業者の負担が増えている状況です。特に大型マンションやタワーマンションにおいては1個運ぶのに30分以上かかる場合もあるなど、その改善が必要とされているところですが、本市がこれまでに取り組んできた再配達防止に向けた取組について、実施内容と成果をお尋ねいたします。あわせて、本年度の実施施策について説明をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 宅配の再配達による自動車部門からの温室効果ガスの排出削減を図るため、令和3年度、4年度におきまして、国の交付金を活用し、市民が設置する宅配ボックスの購入費用に対する一部補助を行い、2年間で合計1,458基の宅配ボックスが設置されたところでございます。また、脱炭素行動を実践した市民に対し、交通系ICカードのポイントを付与するECOチャレンジ応援事業におきまして、ポイント付与の対象メニューとして、令和3年度から宅配ボックスの設置を、また令和5年度からは駅やコンビニエンスストアなどでの荷物の受け取りを加えるなど、再配達の抑止を図っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 市内のマンションを見ますと、宅配ボックスを完備している物件が増えてまいりましたけれども、再配達の削減による温室効果ガス削減と物流問題対策として、集合住宅の建築の際に宅配ボックスの設置をルール化する、あるいは促進する取組についてぜひとも検討いただきたいと思います。あわせて、市営住宅についても建て替えを機に宅配ボックス設置を基本に取り組まれるよう要望をいたします。
 消費者の行動変容を促す取組について、国の声かけもあって、宅配事業者等による再配達削減に向けたインセンティブや再配達料の徴収といった施策も出始めていますが、一大消費地であり、市民に最も近い基礎自治体である福岡市として、物流の2024年問題や脱炭素の観点から、再配達を限りなく減らすことが有益であり、行動変容を促す取組の強化が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 宅配の再配達を抑止することは、脱炭素の観点からも重要であり、その実現に向けては市民の行動変容を促す取組をさらに進めていく必要があると考えております。このため、日時指定による受け取りや宅配ボックスの設置など、市民に実践していただきたい脱炭素行動の内容やその取組によるCO排出削減効果などについて、様々な手法を活用した効果的な広報、啓発を行うことにより、市民の脱炭素型ライフスタイルへの転換を促してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ここまで、物流の2024年問題の影響と対策について、物流拠点の運営に携わる立場、中小企業を支援する立場、そして消費者に最も近い基礎自治体である立場という、この3つの視点から質問をしてまいりました。
 全国で運輸、輸送業の人材確保は難しいという声が多く上がり、物流の2024年問題への対策に苦慮される中、元気なまちと言われる福岡市がこの問題にどのように向き合い、物流生産性の改善や消費者マインドの転換、行動変容などに取り組んでいかれるのか、この質問の最後に、島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 物流産業における働き方改革が推進される一方で、国内物流の停滞が懸念をされます物流の2024年問題は、第3次産業が市内総生産の9割を超える福岡市経済にも一定の影響を及ぼすものと認識をしております。福岡市では、港湾物流の効率化や中小企業の生産性の向上、市民の脱炭素型ライフスタイルへの転換など、物流業務の改善に資する支援を進めているところでございますが、国等の対策も注視しつつ、さらなる都市の成長に向けたチャレンジを続けてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 次に、おむつと安心定期便についてです。
 令和5年度当初予算の中でも、子育て応援予算と題し、特に力を入れた政令市初の事業であるおむつと安心定期便ですが、本年8月にスタートして以降、多くの方から反響が届いています。助かる、ありがたいという声もありますが、改善要望も届いておりますので、質問をしてまいります。
 改めて、おむつと安心定期便の事業内容について確認をしたいと思いますが、初めに、事業目的、狙いについてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) おむつと安心定期便は、サービスの利用を通じて第三者の目による見守りを行い、必要に応じて行政支援につなげることで、子育て家庭の孤立化を防ぎ、虐待を未然に防止するとともに、経済的負担の軽減を図ることを事業の目的としております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) おむつと安心定期便の対象はゼロ歳から2歳と承知をしておりますが、子どもの月齢に応じた具体的な事業内容について説明願います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 事業内容は、まず、出生後におむつや絵本などが入ったお祝いボックスをプッシュ型でお届けいたします。また、生後1か月以降の子育て世帯は、利用案内を基に専用サイトで利用登録を行った後、月に1回受け取ることができる電子スタンプを専用サイト内で育児用品に交換すると、その品物が自宅に配送されます。電子スタンプは、生後3か月までは育児に関するアンケートに専用サイト内で回答することで、また、生後4か月以降は対象の施設やサービスを利用することで受け取ることができます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 事業目的のうち、経済的負担の軽減については直接必要なものが届くということ自体で果たしていると思われますが、では、子育て世帯の孤立化を防ぎ、虐待を未然に防止するという点についてはどうでしょうか。
 本事業のどういった部分を通じて防ごうと考えておられるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) おむつと安心定期便は、子育て支援施設やサービスの利用時にスタンプを取得する仕組みにより施設などの利用を促し、施設スタッフによる声かけや保護者同士の交流など、保護者が誰かと話をしたり、相談する機会につなげております。加えて、必要に応じて、子育て経験のあるコールセンターのスタッフや区の保健師が電話連絡や家庭訪問をするなど、子育て世帯の孤立化を防ぎ、虐待の未然防止を図っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 本事業の予算額と財源、事業に係る費用額についてお尋ねをいたします。
 費用額については、利用登録などの仕組みを含めた運営に係る部分と、おむつなどの商品代、荷造りや送料といった発送に係る費用について、それぞれお示しください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 本事業の令和5年度予算額は11億7,119万円余で、こども未来基金を財源としております。予算額の内訳は、商品代が約6億6,000万円、配送料が約3億3,000万円、事務費が約1億9,000万円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 事業の目的、内容、費用についてお伺いをしました。
 では、8月に事業を始めて以降の状況についてお尋ねをしますが、電子スタンプを取得するとのことでした。本事業の利用者における電子ツール、スマホの活用状況についてお尋ねをします。あわせて、スマホ等を活用されないケースへの対応について説明ください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 99%を超える方がスマートフォンなどを活用されておりますけれども、郵送やファクシミリでも対応できる仕組みとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) さすがに子育て世帯ということもあって99%がスマホ利用とのことで、電子スタンプの取得自体にはおおむね課題はなさそうです。
 では次に、誕生後最初に届くお祝いボックスの対象者と、受け取り状況についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) お祝いボックスは、令和5年8月以降に生まれた子どもが対象で、99%を超える方が受け取られております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) こちらはほぼ全員が受け取っているとのことでした。
 では次に、その後の利用について、3歳未満の子育て世帯が対象とのことですが、市内の対象者数と利用登録状況について、事業開始当初と直近の状況についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 事業開始当初の8月末の対象者数は、令和5年4月から7月までに3歳に到達した子どもを含め約4万2,000人、利用登録率は約71%、10月末の対象者数は約3万8,000人、利用登録率は約86%でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 次に、10月の電子スタンプの取得状況について、全体の取得件数と、利用登録者を分母とした取得率、あわせて、スタンプを取得できる場所と、その場所ごとの取得件数と全体件数に対する取得割合についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 10月のスタンプ取得件数は約2万5,000件で、利用登録者の取得率は約75%でございます。スタンプの取得場所の取得件数、割合は、多い順に、保育所約1万1,000件、43%、医療機関約5,000件、21%、子どもプラザ約3,000件、13%、区役所約1,000件、4%、公民館約800件、3%、子育て交流サロン約700件、3%となっております。このほかにも、障がい児施設や子ども家庭支援センター、産後ケア、ヘルパー派遣事業の御利用などでスタンプを取得することができます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ではここから、本事業の課題と対策について伺ってまいります。
 1点目は、未利用者への対応についてです。
 本事業の対象者のうち、10月末時点で14%、約5,300人の方が未登録となっています。利用登録をされていない理由としてどういったことが考えられるでしょうか、考えられる要因についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 未登録の要因は、里帰り出産で利用案内をまだ見ていない、産後で利用登録をする余裕がない、利用登録の方法が分からないなどが考えられます。なお、未登録者へは郵送や、生後3か月頃までに実施する乳児家庭全戸訪問時に職員が御案内するなどにより、登録勧奨を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) ほかにも、市販の紙おむつは使わないであるとか、本事業の活用を求めていない方も一定程度はおられることから、お祝いギフトボックスの受け取りはほぼ100%である一方で、86%とギャップがあり、今後もなかなか100%にはならないものというふうには感じます。
 続いて、利用登録者の約25%、約8,000人の方が利用登録をしているものの電子スタンプを入手していない状況にありますが、どのような理由が考えられますでしょうか、未利用者の声も含めて考えられる要因と対策についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 利用登録済みで電子スタンプを取得していない方を対象に11月にアンケートを実施しましたところ、未利用の理由としまして、利用しようと思っているがまだ機会がない、利用できる施設が近くにない、利用方法が分からないなどの声をいただいており、利用方法など、必要に応じてコールセンターのスタッフが分かりやすく御案内をしております。引き続き、SNSなども活用しながら利用率向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) まだ事業がスタートしたばかりということもあって、アンケートの実施や分析はまだ途中だとは思いますが、事業開始時の会見で市長がおっしゃられていらっしゃいました、未利用者にいかにアプローチするかが重要だというふうにやっぱり思います。
 次に、子育て世帯の孤立化や虐待防止のためのつながりづくり、他の子育て事業の利用促進についてです。
 本事業の中で、子育て世帯の声を聞く機会としてアンケートを実施しておられます。専用サイトへの登録後、生後1か月から3か月くらいの時期に行っている困り事などのアンケートですけれども、回答件数と回答割合についてお尋ねをいたします。あわせて、主な相談内容と、その対応についてお示しください。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 10月のアンケート回答数は約2,300件、回答率約81%でございます。相談内容は、子どもの健康や発育、保育所の手続、親子の交流の場や相談できる場所に関することなどで、必要に応じてコールセンターのスタッフや区の保健師などが、電話連絡や家庭訪問などを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 約8割が回答しているということで、貴重な資料だと思いますし、相談内容に応じて次につないでいるということでした。
 では、おむつと安心定期便事業を始めて以降、子どもプラザや子育て交流サロンといった本市の子育て家庭を支援する事業や施設の利用者は増えているのでしょうか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 民生委員など地域の方から、子育て交流サロンの参加者が増えており、倍増しているところもあると伺っております。また、子どもプラザなどについても、おむつと安心定期便が利用するきっかけになったという利用者の声が多数届いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 確かに参加者は急増しているようですが、民生委員さんの中にはスタンプ取得が主たる目的になっていて、地域のつながりづくりになっているかどうか不安視する声も聞かれました。
 子育て家庭の孤立化や子どもの虐待防止という当初の事業目的を達成するために、子育て家庭にとって各種窓口が身近な存在として認知度を高めるとともに、第三者とのつながりを強化する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) これまで、区の保健師等による妊娠届出時の面談や乳児家庭全戸訪問などにより、子育て家庭と行政のつながりを充実してまいりました。おむつと安心定期便の開始により、子育て支援施設やサービスの利用が増加し、本事業が見守りや孤立化防止に寄与するものと考えており、引き続き、未利用者への丁寧な利用勧奨等に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) スタンプ取得をきっかけに地域の交流サロンに顔を出す機会も増えています。この機を捉えて、既存の事業の内容の充実についても、引き続き努めていただきたいと思います。
 次に、スタンプ活用の部分、必要な商品を選んで届けるという部分についてですが、利用者から不具合や改善要望などの声が上がっていないか、あわせて、配送に当たっては日時指定ができるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 利用者アンケートによると、約99%の方が今後も利用したいと回答されております。一方、配送に関して、複数の注文をまとめて発送してほしいなどの要望もございます。配送日時は専用サイトで育児用品を注文するときに指定することができます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 配送についてもそうですが、利用者からは使いたい商品がないという声も聞きます。利用者からの改善要望についてはどのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) アンケートや子育て支援施設の利用時、また、区の保健師による面談時などにおいて利用者の声を把握しながら、引き続き、よりよい事業となるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 今年度の本事業の予算は、こども未来基金を財源として活用されています。
 子育て世帯の経済的負担の軽減という視点から、次年度の実施に向けた期待は大きいと思われますが、どのようにお考えか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) おむつと安心定期便が子育て支援施設やサービスを利用するきっかけとなり、子育て世帯の負担軽減や見守り、孤立化を防ぐなど、事業の効果が今後も期待できることから、事業を継続し、安心して子育てができる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 先ほどの質問のとおり、来年度以降、物流に大きな課題を抱えている中で、本市が毎月3万件を超える宅急便を発送し続ける事業を展開すること自体がいかがかというふうに感じます。
 あわせて、今年度の配達費用約3億3,000万円、年間を通した事業実施の場合、単純計算で4億円を超える費用を削減するためにも、配達を前提としない事業への転換が必須だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 配送料につきましては、令和5年度の予算要求時点の見積りとして、約3億3,000万円を見込んでおりましたが、提案競技の結果、削減が可能となり、約1億8,000万円となる見込みでございます。配送は子育て世帯の負担軽減のためにも必要と考えており、引き続き、効率的かつ効果的な事業の実施に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 近藤里美議員。
○59番(近藤里美) 1億8,000万円になったらいいかということではないかというふうに思いますけれども、現在の反響からすると、事業継続への期待は大きいと思われます。その一方で、本事業をそのまま通年で実施すると、運営費と商品代の単純計算だけでも10億円、財源であるこども未来基金にも限界があり、主たる事業目的は配達ではないことからも、見直しが必要不可欠だと考えます。お声をお聞きした方からはですね、あまりにもやり過ぎだというようなことも聞こえてきました。子育て世帯の支援は大切ですけれども、ほかの年代の方からするといかがなものかという声も出始めています。ですから、費用の削減は必ずしなければいけないというふうに考えるところです。
 例えば、誕生後最初のお祝いボックスは保健師による乳児家庭全戸訪問時に持参をする。この際に事業案内を持参すればさらにコスト削減にもつながります。スタンプを活用した商品の取得は、現物発送ではなくギフトカードやクーポン化し、いつも皆さんが利用されている店舗で入手することが可能です。大概の小売店舗では、JANコードといいまして、バーコードがあれば利用ができるということになっておりますので、わざわざアプリを作らなくとも可能です。3歳の誕生月までとしている定期便、最大36回送っているものを、例えば上限25回までとする、あるいは1回2,000円相当のものを送っているところ、これを見直して1,500円にする、そういった商品代の見直しもできるかと思います。ほかにも、様々な工夫ができると思われますが、これらの見直しを図りつつ、一般会計で実施する事業としていくことが必要だと考えます。
 市長のこの事業にかける思いは並々ならぬものがあると思いますが、最後に、今後の事業実施に向け、島市長御自身どのようにお考えかお尋ねし、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) おむつと安心定期便は、虐待などの未然防止と子育て家庭の経済的な支援を目的として今年8月から開始しており、開始から4か月で対象者の約9割に御登録をいただいてございます。利用者からは、毎日使う育児用品を配送してもらえて助かる、この事業をきっかけに子どもプラザを利用し、スタッフやほかの保護者と交流できてよかったなど、喜びの声を多数いただいてございます。おむつと安心定期便によって、子育て支援室施設や、また、サービスの認知度が向上し、子育て世帯が施設などを利用する機会が増えることで第三者による見守りや孤立感の軽減につながり、経済的負担も軽減され、市民のニーズに応える事業であると実感をしているところでございます。今後とも、市民の皆さんが安心して子どもを生み育てられるように、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時22分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛)登壇 私は日本維新の会福岡市議団を代表し、個別避難計画について、地域避難所について、舞松原周辺地区における浸水対策について質問をいたします。
 まず、個別避難計画についてであります。昨今、頻発する大雨や台風、また地震など災害時における高齢者や障がい者の方々への避難支援の重要性や必要性が高まる中、本市では避難行動要支援者名簿に基づいて個別避難計画の作成が進められておりますが、その目的や概要、進捗状況などについて質問してまいります。
 まず、個別避難計画の基礎となります避難行動要支援者名簿の概要をお尋ねし、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難行動要支援者名簿は、災害の発生時などに自ら避難することが困難で、特に支援を要する方を登載するものでありまして、円滑かつ迅速な避難の支援や安否の確認などを実施する際の基礎資料となるもので、市町村が保有する行政情報に基づき作成することとされております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 市町村が保有する行政情報に基づき、自ら避難することが困難で、特に支援を要する方の氏名や住所、生年月日などはもちろんのこと、身体の状態や家族の連絡先などの個人情報の詳細が記載されているものであり、当然のことながら、慎重な取扱いが求められるところであります。
 そこでお尋ねいたします。避難行動要支援者名簿に基づいて個別避難計画が作成されることになっておりますが、計画の目的など、その概要をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 個別避難計画は、避難支援をより実効性あるものとするため、要支援者ごとに作成する計画でありまして、避難先や支援の実施者、留意事項などについて記載するものでございます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ありがとうございます。個別避難計画とは、避難支援の実効性を高めるものとして要支援者ごとに作成するとのことですが、法的な位置づけ、また導入するに当たっての経緯をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 個別避難計画につきましては、災害対策基本法第49条の14第1項の規定により、市町村長は地域防災計画の定めるところにより、避難行動要支援者ごとに、避難支援等を実施するための計画を作成するよう努めなければならないとされております。また、福岡市においては、平成29年度から名簿の作成を開始し、本人の同意を得て地域へ名簿を提供している方を対象に計画の作成を進めております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 災害対策基本法第49条の14第1項の規定により、市町村長に計画作成の努力義務が課せられていること、平成29年度より避難行動要支援者名簿の作成が始まり、同意のあった方々の名簿が地域に対し提供されていることから、既に個別避難計画の作成が進められてきたところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、個別避難計画における対象者は何人で、また地域の役割としてはどのようなものがあるのか、お示しをください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 計画の対象者は、名簿に登載された2万5,091人のうち、地域へ名簿を提供している1万8,288人となっております。また、計画作成に向けた役割としましては、国の取組指針において、市が作成の主体となり、自治協議会、民生委員及び社会福祉協議会等の地域と連携して取り組むことが必要とされております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本市が主体となり作成に取り組むこと、自治協議会や民生委員、社会福祉協議会など地域との連携が必要であるとのこと、その中でも令和3年5月の災害対策基本法改正に伴い、優先度が高い要支援者の個別避難計画については、今後おおむね5年程度で作成に取り組むこととお聞きをいたしております。
 そこでお尋ねいたしますが、優先度が高い要支援者とはどのような方々なのか、定義並びに対象者の数をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 優先度が高い要支援者につきましては、国の取組指針を踏まえ、要介護3以上または身体障害等級1、2級などで、ハザードエリアに居住する独り暮らしなどの方のうち、計画作成に同意された方を対象としており、その数は約1,000人となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 優先度が高い要支援者とは、介護要件や身体の状態、独り暮らしなどの方々などで、計画作成に同意をされた約1,000人が対象であるとのことです。
 そこでお尋ねいたします。これまでの取組など事業概要や事業費をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 優先度が高い要支援者につきましては、福祉事業者と連携をして計画の作成を進めることとしており、令和4年度には20人分の計画づくりをモデル的に実施し、実効性を確認した上で、令和5年度から本格実施をしております。事業費につきましては、令和4年度決算額が41万円余、令和5年度予算額が1,089万円となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 令和4年度のモデル事業において実効性が確認されたことで、本年度より本格実施となっておりますが、その進捗状況をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 計画づくりは、令和5年7月に地域に提供した最新の名簿を基に、8月から本格実施をしておりまして、11月末時点で247件の作成を終えております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 福祉事業者によって計画策定が進められているということです。
 福祉事業者におかれましては、対象者の心身の状況や生活実態の詳細を把握されていることから、順調に計画作成が進むのではないかと期待をしております。
 次に、計画作成が必要な方は優先度が高い要支援者だけではないため、地域との連携協力が不可欠だと思います。
 そこで、優先度が高い要支援者以外の対象者は何人かをお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの対象者は約1万7,000人となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 約1万7,000人が計画作成の対象となっているようですが、計画作成に向けて連携が重要となる地域に対してはどのようなサポートが行われているのか、具体例並びに作成実績件数をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 計画作成に向けましては、ガイドブックの配布や出前講座の開催のほか、自治会、町内会単位でのワークショップの実施などの支援を行っております。また、作成件数は令和4年度末時点で2,485件となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 地域へのガイドブック配布や出前講座、自治会、町内会単位におけるワークショップの実施など、地域による計画作成の支援に取り組まれているとのことですが、重要な計画作成とは言いながら、地域のサポートが少ないように思います。
 そこで、計画作成に向けて、今後どのような取組を進めていかれるのか、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 地域におきましては、自治会、町内会を中心に要支援者の見守り活動が行われており、計画作成のワークショップについても、校区単位での実施に加え、今年度からは自治会、町内会単位でも実施をするなど、その拡充を図ってきたところでございます。今後とも、区や社会福祉協議会等と連携をしながら、支援の充実に努めてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 個別避難計画は、災害時に地域において最も必要とされる共助の考え方を基に、支援が必要な高齢者や障がいをお持ちの方々に対し、避難支援の実効性を高めるために大変重要なものであり、本市が主体となって地域の協力を得ながら作成していくものであると、これまでの答弁で認識をしたところです。その割には地域のサポートや地域との連携強化については、あまり具体的な答弁がなかったように思います。
 令和4年度末時点で約2,500件が作成されておりますし、既にワークショップなどを通じて計画作成が進んでいる地域がある一方で、計画作成の重要性は認識するも、どこから手をつけていいのか分からないといった地域の声も一方ではあります。本市が主体となって進める重要な計画作成だからこそ、地域によって取組に濃淡があってはならないと考えます。
 そこでお尋ねいたします。計画作成に当たり、連携が必要な地域に対する積極的なサポートの必要性について、市長に御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 防災、減災の対策を推進していく上で、災害時における要配慮者への取組は大変重要であるというふうに考えてございます。このため、個別避難計画の作成が進むように、福祉事業者との連携を強化するとともに、地域の取組に対してもニーズに応じたきめ細やかな支援を行うなど、災害時に要配慮者が安全に安心して避難できるように取り組んでまいります。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ありがとうございました。優先度が高い約1,000人の要支援者については、対象者の状態をよく知る福祉事業者と連携し計画を作成されているとのことでしたが、優先度が高い要支援者に限らず、残りの約1万7,000人の避難行動要支援者名簿に登載されている方も少なからず何がしかの支援を必要とされている方であります。地域の福祉事業者と連携されている方も多くいらっしゃるのではないかと推察するところであります。
 優先度が高い要支援者を対象とした連携はもちろんのこと、他の避難行動要支援者名簿登載の方々の計画作成をより一層早めるためにも、自治協議会、民生委員、社会福祉協議会などとの連携と併せ、福祉事業者との連携も推進するべきではないかと意見を申し上げるとともに、これは今回質問するに当たって地域の方とお話しする中で、あまり民生委員には負担かけんでねという話もいただいております。一応地域の声としてお届けをさせていただきます。
 次の質問に移ります。地域避難所についてです。
 毎年のように発生する大雨や台風、また地震などにおいて災害のおそれがある場合に、住民の安全確保の観点から、地域において避難所が開設されますが、まず、本市地域防災計画における避難所とは何かについてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所につきましては、福岡市地域防災計画において、被災者を滞在させるために必要となる適切な規模を有し、速やかに被災者等の受入れが可能な構造または設備を有する施設と位置づけておりまして、比較的軽微な災害時に開設する一時避難所と比較的大規模な災害の発生時に開設する収容避難所とに区分し、指定をしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 滞在させるために適切な規模を有していること、速やかな受入れが可能な構造や設備を有する条件の下開設する一時避難所、比較的大規模な災害が発生した場合に開設する収容避難所があるようです。
 そこでお尋ねいたしますが、多発する風水害時はどのようになっているのか、避難所開設の基準や流れ、役割などをお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 風水害時は避難情報の発令に合わせ、対象地域に必要な数の避難所を開設することとしております。また、災害の発生などにより、住民の避難が必要な場合には、災害対策本部室または区災害対策本部が、施設管理者の了解を得て区災害対策本部が解錠できる者へ連絡を取り、その協力を得て避難所を開設することとしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 避難情報が発令され、住民の避難が必要と判断された場合に、施設管理者の了解を得て区災害本部が解錠者へ連絡し、その協力を得て開設するという流れのようです。
 そこで、本年7月7日金曜日からの大雨時においては、どのような状況だったのか、まずは気象状況をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 気象台の記録によりますと、令和5年7月7日から雨が断続的に降り続き、8日の16時27分には大雨警報が発表、9日未明には非常に激しい雨が降り、その後、雨は小康状態となりましたが、再び10日未明から降水が強まり、断続的に非常に激しい雨が降り、大雨となったものでございます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 最近では、断続的に大雨が降り続くということも珍しくなくなってきています。
 次に、7月8日土曜日、本市の配備状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 7月8日は16時27分の大雨警報の発表に伴い、福岡市災害警戒本部を設置し、第1配備体制として、職員約700人で対応に当たっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 700名の皆さんが災害対策のために出動されているということで、本当にお疲れさまでございます。
 7月8日土曜日16時27分、大雨警報の発表に伴って災害警戒本部が設置され、約700名により第1配備が敷かれたとのことですが、その後、翌7月9日日曜日にかけてはどのような体制でどのような対応が行われたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 7月9日は引き続き災害警戒本部体制を維持し、第1配備で対応したところであり、土砂災害のおそれが高まった一部の地域に対し、8時から8時30分にかけて、高齢者等避難及び避難指示を発令し、避難所を11か所開設しております。その後、13時30分には全ての避難情報を解除し、避難所を閉鎖しております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 避難所が11か所開設されておりますが、施設の種別と避難者の数をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 開設した避難所は、公民館が8か所、学校が2か所、集会所が1か所であり、いずれも避難者なしとなっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 開設された避難所へは避難された方はいらっしゃらなかったとのことですが、避難情報の解除後、翌7月10日月曜日にかけてはどのような状況でどのような対応が行われたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 7月10日は引き続き災害警戒本部体制を維持し、第1配備で対応したところであり、土砂災害及び河川氾濫のおそれが高まった地域に対し、1時30分から6時30分にかけて避難指示を発令し、避難所を136か所開設しております。15時15分以降、段階的に避難指示を解除し、避難所を閉鎖するとともに、22時27分に災害警戒本部を廃止しております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 災害警戒本部体制は引き続き維持されて、その後、7月10日の未明、午前1時30分から順次、土砂災害や河川氾濫のおそれが高まった地域に避難指示が発令され、136か所の避難所が開設されています。
 そこで、施設の種別と避難者の数をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 開設した避難所は、公民館が97か所、学校が27か所、集会所などが12か所であり、避難者は最大59人で、公民館に30人、学校に24人、集会所などに5人が避難されております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 通常、収容避難所として位置づけられている学校が今回避難所として開設されているようです。
 そこでお尋ねいたしますが、学校を開設した理由並びに学校内のどの部分で受け入れられたのか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 風水害時の避難所につきましては、公民館が土砂災害の警戒区域内にあり、避難所として使用できない場合などには学校に開設することとしております。
 また、受入れ状況については、7月9日開設の2校では、いずれも特別教室を使用し、7月10日開設の27校では13校が体育館、14校が特別教室を使用しております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 風水害時において、土砂災害などにより公民館が使えない場合に学校を一時避難所として開設したとのことですが、その学校において7月10日は体育館を使用したケースが13校、特別教室を使用したケースが14校あるようです。
 そこで、体育館または特別教室を開設した根拠や理由についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆)舟越市民局長
○市民局長(舟越伸一) 学校の使用につきましては、基本的には広いスペースを確保できる体育館を使用することとしておりますが、要配慮者への対応や避難者の暑さ寒さ対策に配慮が必要な場合などは特別教室を使用することとしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 要配慮者への対応や暑さ寒さへの配慮が必要な場合とありますが、大雨や台風など、ほぼ夏から秋にかけてでありますし、現に7月10日も真夏の暑い時期でした。大雨が降れば窓は開けられませんし、ましてや台風時はなおさらです。なぜ最初から特別教室を開放しないのか理解に苦しんでいます。
 以前、地域の防災訓練で千早小学校体育館にお邪魔いたしました。千早小学校の体育館は一定に保たれている地中熱を利用した換気システムで、夏は涼しく、冬は暖かいクールヒートトレンチシステムが導入されております。このような機能がどの小学校体育館にもあれば、夏場でも冬場でも普通に避難所として使用できるのではないかと思いますが、このシステムは数十年に一度、50年とか60年に一度の建て替え時や新設の場合に導入されるようで、到底早期には見込めない代物です。だからこそ、夏場における風水害時の避難所は、最初から特別教室を開放してはいかがかと思うところであります。
 次に、風水害時における避難所開設に向けた職員の派遣及び開設までに要する時間の目安についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 風水害時につきましては、あらかじめ避難所開設の準備を整え、避難情報の発令と同時に開設できるよう、発令時刻を見越し、前もって避難所へ職員を派遣しております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 担当する公民館などへ発令時間を見越し、職員が派遣されているようですが、風水害時と震災時の避難所開設に当たっては違いがあるようです。
 そこで、その際の職員の参集方法はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 風水害時においては、職員が区役所に参集し、避難情報の発令と同時に開設できるよう、前もって各避難所に派遣することとしております。また、震災時においては、発災確認後、あらかじめ指定した職員が各避難所に参集し、初動活動に従事することといたしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 風水害時と震災時では状況が異なるため、職員の初動体制に違いがあるようです。
 そこで、その根拠並びに理由をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 風水害につきましては、気象状況を踏まえ、一定の発生予測が可能であるため、これに応じた職員体制を確実に取り、避難情報発令と同時に、その地域の避難所を開設できるよう、早期の配置を行うものでございます。
 一方で、地震の発生については予測ができず、発災状況に応じた最適な職員体制を取って配置を行ういとまがないため、あらかじめ指定した職員を全ての避難所に配置することとしているものでございます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 精度が高くなっている気象予報に基づいて警戒体制を整える風水害時と違い、地震発生は予測が困難なことから、あらかじめ参集職員を指定し、配置するとのことです。参集職員を指定するのであれば、風水害時にも公民館近くに住む職員が初動に対応することは可能ではないかと思うところです。避難所の開設、運営を担当する職員の方々の負担も大きいと思いますが、有事の際の対応ですので、どうかよろしくお願いをするところであります。
 一方、最前線で活動される職員の方々には、避難所運営について当然のことながら同じレベルが求められます。7月10日のように未明から朝方にかけて順次避難所が開設されましたが、公民館が避難所として開設された場合、地域の方から公民館宛てに電話があるかもしれませんし、仮に避難する目的で公民館まで行っても、事務所に電気がついていなければ引き返されるかもしれないからです。
 そこでお尋ねいたしますが、避難所開設、運営は同じレベルで行う必要があると思いますが、その研修や訓練はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 避難所につきましては、地域防災計画等において、市職員、施設管理者、地域が連携し、円滑な運営に努めることとしておりまして、市職員は避難所運営の総括、区との連絡調整等を担っております。このため、避難所運営マニュアルを作成の上、出水期前の職員研修や地域と連携した避難所の開設、受入れ訓練などを実施しておりまして、今後とも、あらゆる災害に適切に対応できるよう、訓練強化等の取組を進めてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) どうぞよろしくお願いいたします。
 7月10日未明から朝方にかけての避難所開設に当たって思うところがありますので、この際意見を述べさせていただきます。7月10日朝方、雨が小康状態となったことから、私は居住している美和台校区をはじめ、避難所となっている周辺7か所の公民館に状況を聞きに伺ったところ、職員の方が1人で対応されている数か所の公民館がありました。これは男性職員とか女性職員とか、あまり言ったらいけないのかも分かりませんけど、その中には女性の方1人で対応されているところもありました。悪天候の中、夜中に移動して、無人の公民館を開け、避難所の開設の準備、そして受入れまで、研修や訓練は積んでいらっしゃるとはいえ、たった1人ではないのではないかと率直に思いました。どんな人が入ってくるかも分からないし、しかも夜中です。どのような事情があるにせよ、職員の安全を確保する観点から必ず2人以上で対応すべきではないでしょうか。だからこそ、様々な事情で人手が足りない場合には、地域への協力要請もさることながら、避難所近くに住む職員に初動対応の要請をかけられないかと常々思っていたところです。なぜ要請がかけられないか大変不思議に思っていることを意見として述べさせていただきます。
 次に、最後の質問に入ります。
 舞松原周辺地区における浸水対策についてです。
 舞松原周辺地区、以下当該地区と言いますが、浸水対策について、これまで幾度となく他の議員から質疑があり、また本年9月定例会においても、日本共産党福岡市議団の綿貫議員から質疑があったところです。重複する部分もありますので、簡潔にお尋ねしてまいります。
 当該地区における平成11年以降の浸水被害の状況について、聞き取りなどにより把握している住家以外も含めて被害状況をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原周辺地区では、聞き取りなどにより、平成11年、21年、25年、28年、令和5年の降雨で住家や店舗などの浸水や道路冠水を確認しております。
 それぞれにつきましては、平成11年6月29日の整備水準を上回る時間雨量79.5ミリメートルの降雨により、床上浸水が79棟、床下浸水が107棟、計186棟の被害が発生しており、21年7月24日の市内で観測史上最大の時間雨量116ミリメートルの降雨により、床下浸水が3棟、25年8月30日の整備水準を上回る時間雨量72.5ミリメートルの降雨により、店舗などの浸水が40件、28年9月18日の時間雨量38.5ミリメートルの降雨により道路冠水が発生しており、令和5年7月10日の整備水準を上回る時間雨量66ミリメートルの降雨により、床上浸水が2棟、店舗などの浸水が31件発生しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) ありがとうございます。御笠川が氾濫するなど、博多駅周辺をはじめ、本市街部において甚大な被害が発生し、市民生活に大きな影響を与えた平成11年6月29日の豪雨被害を受けて、本市ではどのような取組をされたのか、また当該地区はどのような位置づけとなったのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成11年の集中豪雨により、市全体で甚大な浸水被害が発生したことを受け、12年に雨水整備Doプランを策定し、優先的に対策を行う重点地区を定め、浸水対策に取り組んできております。舞松原周辺地区につきましても、重点地区に位置づけております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 当該地区は平成12年に作成された雨水整備Doプランにおいて、重点地区に位置づけられたとのことですが、そのプランに基づいてどのような対策が取られたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原周辺地区に集まる雨水を減らすとともに、排水能力を強化するため、新たな雨水幹線として内径5メートルを超える松崎第12雨水幹線などの整備を行い、平成19年度に主要な施設整備が完了しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 内径5メートルを超える雨水幹線などの整備が進められるということでありました。今日も質問の前にちょっと現場を見てきたんですけれども、目視ができる水路というのが、大体幅が2.5メーターぐらいですので、その倍ぐらいの管が埋められてあるということで、非常に大きな管が埋設されているということで、かなり大がかりな工事だったろうというふうに思います。平成19年には施設整備が完了したとのことですが、以後、平成21年7月24日、平成25年8月30日それぞれ整備水準を上回る想定以上の降雨の影響により浸水被害が発生しています。
 そこで、この間どのような対策が取られたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成21年7月の降雨後は、雨水幹線内の土砂撤去などを実施しております。25年8月の降雨後は、雨水幹線内に設置しているスクリーンへのごみの堆積が確認されたことから、ごみの除去を行うとともに、目詰まり防止のため、スクリーンの目幅を広くする改良などを実施しております。なお、スクリーンの清掃につきましては、現在は1時間当たり3ミリメートル以上の降雨があった場合に、その都度清掃を実施しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 平成19年度施設整備完了後以降、およそ3年に一度の頻度で浸水被害が発生していたものが、平成28年9月18日の道路冠水以降、本年7月10日の浸水被害まで約8年浸水被害が発生しておりません。
 そこで、この8年間で特段の対策または取組があったのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成28年9月の降雨後に当該地域の主要な雨水幹線を詳細に調査した結果、雨水幹線内に土砂の堆積が確認されたことから、開水路部の土砂撤去を行うとともに、地下深くに設置した雨水幹線内の土砂撤去について、撤去方法の検討、試験清掃などを実施し、令和4年度から強力なバキューム車による土砂撤去を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 開水路部分の土砂撤去、強力なバキューム車による地下深い部分の土砂撤去と併せ、常日頃から雨が降ったたびにスクリーンの清掃をされているとのことでした。また、時間雨量3ミリ以上の降雨の場合、その都度清掃を実施しているとのことです。時間雨量3ミリ以上と言われてもぴんときませんけれども、傘が必要となるぐらいの雨量ということのようです。浸水対策上の業務とはいえ、こういった地道な取組は地域に認知してもらったほうが安心感も湧くのではないかと思います。引き続き取組を求めておきます。
 次に、平成21年に策定された福岡市雨水流出抑制指針について概要をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 雨水流出抑制指針は雨水の流出を抑制し、水害の発生しにくいまちづくりを長期的、継続的かつ全市的に取り組むことを目的に策定しており、公共施設の新設や改築の際に、各施設管理者が雨水の流出抑制施設を積極的に導入することとしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 雨水の流出を抑制し、水害の発生しにくいまちづくりを長期的に継続的に取り組むことを目的に策定されている本指針において、当該地区における取組はどのようなものがあるのか、またその効果についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原周辺地区におきましては、公園などにおいて透水性舗装などを整備しており、雨水の浸透がより図られるなど、一定の雨水流出抑制効果がございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本指針は道路下水道局を中心にまとめられ、各局それぞれの整備計画に合わせ進められているようですが、一定の雨水流出抑制効果が見込めるのであれば、ぜひ積極的に取り組んでもらいたいものであります。特に当該地区のように浸水リスクが高いエリアでは、若宮公民館や舞松原公民館の駐車場などもありますし、若宮小学校や舞松原小学校の駐車場ほか、公園など雨水流出抑制効果が見込める施設が点在しておりますので、もう少し積極的に施設整備を行っていただきたいと要望をいたしておきます。
 次に、本年7月10日の浸水被害後はどのような対策や取組がなされたのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 令和5年7月10日の降雨後は、浸水の範囲や深さなどを調査するとともに、スクリーンに堆積したごみの除去を実施しております。また、強力なバキューム車による地下深くに設置した雨水幹線内の土砂撤去については、令和5年度内に完了する予定でございます。さらに、詳細な浸水原因の調査及び必要な対策の検討を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 様々な対策を取っていただいた中で、浸水原因の調査及び対策の検討を実施するとありますが、その対策の検討とは何か、詳細をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 浸水が発生した地区及びその上下流部において、雨水排水施設の形状や勾配、集水流域などを確認し、各施設の排水能力、流入水量などを詳しく把握することで、浸水原因を調査するとともに、浸水安全度向上のため必要となる対策を検討するものでございます。検討に当たっては、専門のコンサルタントと業務委託を契約し、令和6年6月の完了予定として進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 来年6月完了予定の本格的な調査の実施とともに、必要となる対策を検討されるとの答弁でありましたが、当該地区はそもそも浸水リスクの高いエリアであることから、もう少し早めに抜本的な対策を取っていただけなかったのかと率直に思うところであります。
 近年、本市でも毎年のように大雨や台風など風水害の影響が出ております。当該地区は常に浸水リスクと隣り合わせの状況にあることから、住民の不安も解消されておりません。
 7月10日大雨が降った際に被害を受けられた方から相談がありました。これは舞松原商店街から北西に100メーターぐらい離れたところの賃貸マンションのオーナーさんです。この方が10月24日にお尋ねをして相談を受けましたところ、マンションのエレベーター地下機械部分に大量の雨水が入り、数百万という大がかりな修理が必要な状況となっているが、いまだに手つかずの状態であるとのこと。理由については、修理をしても今回のような浸水被害がまた起きるのではないかと心配で、ちゅうちょしているとのことでした。また、そのほか、このマンション1階部分の浸水の水位の跡を見る限りでは、入居者の方の自家用車も数台水が入ったのではないかともおっしゃっておりました。基本的には修理は個人負担、自己責任という部分でありますけれども、あまりにも金額が大きいので、それと保険もどれだけ使えるかどうか分からないというような状況でしたので、そういう心配が続いているということでございます。
 最後に、市民の安全、安心の観点、また暮らしやすいまちの実現の観点から答弁を求め、質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 近年、集中豪雨は全国的に増加傾向にあり、浸水リスクが高まりつつあることから、浸水対策は大変重要と考えております。舞松原周辺地区につきましては、第1に既存雨水幹線の排水能力の確保が重要と考えており、雨水幹線内の土砂撤去を進めるとともに、詳細な調査を行い、浸水安全度向上のための効果的な対策を検討してまいります。引き続き、市民の安全、安心を守るため、ハード、ソフト両面から必要な浸水対策を推進し、浸水被害の軽減に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、ため池の管理、防災対策について、官民連携したバリアフリー情報の提供についての以上2点について質問いたします。
 まず、ため池の管理、防災対策についてお尋ねします。
 全国的に農家の減少や高齢化は深刻な状況が続いており、後継者や新規就農者の確保、定着が喫緊の課題となっております。福岡市の農業従事者は、令和2年の農林業センサスの調査結果では2,580人となっており、10年前の平成22年の約4,000人と比べますと約43%も減少しております。また、農業従事者の平均年齢については、福岡市農業協同組合の調査によると、令和4年度では73.3歳となっております。
 農業に携わる方々は、農産物の生産だけでなく、環境の維持、保全にも寄与されてあり、子どもたちの未来のため、安定した食の確保に365日努められています。しかし、農村地域の人口減少、高齢化は著しく、ため池や農道、水路の維持管理など地域における活動の継続が厳しい状況になりつつあり、このままでは農業生産の停滞につながるのではないかと危惧しております。また、近年の地球温暖化の影響による集中豪雨の多発化や少雨による渇水などの異常気象、またいつ発生するとも分からない地震の影響による農業被害のリスクが高まっている状況となっています。
 水は農業を営む上で欠かせないため、確保するためのため池が各地にあります。この農業用施設の一つであるため池は、江戸時代までに造られたものや築造年代が不明なものがほとんどだと聞いております。これらのため池は設計資料がなく、強度がどれぐらいなのか分からないため、一度大きな災害が発生すると周辺に与える影響は大きなものになり、施設を復旧するまでには長期間を要することになり、営農や地域住民にも影響が及ぶことは明らかです。
 これらの課題に対して、今後、農業従事者への支援やため池の維持管理の考え方について、市の現状や取組について伺ってまいります。
 まず、本市のため池の現状について、福岡市内のため池の総数と西区内のため池の数についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席で行います。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) ため池の数は、令和4年度末現在で市内に302か所、うち西区内は138か所となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ため池の数についてお尋ねしましたが、市内に300か所あるということで、維持管理も大変と思われます。
 では、このため池の維持管理というのは具体的にどのようなことが行われているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) ため池の改修やしゅんせつ工事などハード整備については市が実施し、除草や取水施設周りの清掃などの日常管理や大雨時にため池の水位を事前に下げる水位調整などを水利組合が行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ため池の維持管理について、水利組合と市の役割は分かりました。多くのため池の日常管理を地元の水利組合が管理している状況であります。私も地元西区の各町内の出方の際には、水利組合の方と一緒に除草や水路清掃等を行っておりますが、参加者が少ないことや若い方が少ないことを実感しており、坂道や足場の悪いところで高齢の農家の方々が非常に苦労されて作業されていることを肌で感じております。
 そこで、ため池や水路の日常管理を行っている水利組合に対し、市はどのような支援や対応を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 水利組合に対し、ため池などの日常管理に要する経費の一部を助成するとともに、農業従事者の減少により日常管理が困難となった組合に対しては、外部委託や市職員による除草作業などを実施いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 日常管理に関わる経費に対して助成があることは聞いていましたが、日常管理が困難な水利組合については、除草等の日常管理の一部を市が実施していると聞いて少し安心しました。しかし、私の地元西区の地域、今津地域や北崎地域からは現在の助成金では足りないとの声も聞いております。除草や清掃は年に数回実施する必要があり、地元の方の負担も大きくなってきている状況であり、支援の充実が必要であると思っております。整備が行き届かなくなれば、そこにイノシシなどが現れて近隣の農産物への被害拡大にもつながります。
 また、今年も7月に災害を伴う大雨が降りましたが、福岡県では平成29年度から5年連続して大雨特別警報が発令されたように、近年、地球温暖化とともに、記録的な集中豪雨が頻発化しており、山間部に集中するため池においては、豪雨によるため池の氾濫や決壊などの災害発生が懸念されています。
 そこで、大雨によるため池の決壊などの災害を未然に防ぐ対策として、市はどのような取組を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 大雨が予想される際には、事前にため池の水を抜く水位調整を水利組合に依頼するとともに、市職員によるパトロールなどを実施いたしております。また、決壊した場合、浸水が想定される区域に家屋や公共施設などがあり、防災重点農業用ため池に指定されているものにつきましては、特別措置法に基づき、補強工事などの防災対策に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 今の御答弁で決壊した場合の浸水想定区域に家屋や公共施設などがあるため池については、防災重点農業用ため池として防災対策に取り組んでいるとのことですが、防災重点農業用ため池は市内に何か所と、私の地元西区内に何か所あるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和4年度末現在で、市内に242か所、うち西区内は114か所となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 市内に242か所、西区内に114か所ということで約半分が西区に集中しているということで、私も使命感を持って対応したいと思っております。
 では次に、防災重点農業用ため池はどういう対策を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 対策といたしまして、地震や豪雨の際の安全性向上を図る補強工事などのハード対策及び緊急時の迅速な避難行動につながるハザードマップ作成などのソフト対策を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ため池に対する災害対策の取組については、ハード対策とソフト対策の両面があるとのことですが、ソフト対策として行っているハザードマップの作成状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) ハザードマップの作成は令和4年度から着手し、現在28か所が作成済みで、5年度は57か所の作成を予定しております。今後、7年度までに作成を完了する予定でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ハザードマップが完成するまでにはもう少し時間がかかるようですが、随時完成したものから市民へしっかり周知するなど、利用の促進を図ることが大切かと思います。
 そこで、ハザードマップはどのように周知を図っていくのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 市ホームページの総合ハザードマップに掲載するとともに、市政だよりでも周知を行っております。また、決壊した場合に浸水が想定される区域につきましては、自治会などと協議しながら、戸別配付を実施いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ため池に対する災害対策の取組については、地震や豪雨の際の安全性向上を図る補強工事等のハード対策と、緊急時の迅速な避難行動につながるハザードマップ作成等のソフト対策を両面で確実に進めていただきたいと思います。
 次に、さきの質問で御答弁いただいたように、大雨前にはため池の水を事前に抜いて低水位で管理してもらうように水利組合に対してお願いしているとのことですが、数日にわたって大雨が続く場合などは地元の方がその都度ため池に確認に行く必要があり、特に大雨の後などは地盤が緩んで危険な状態になっている可能性も考えられます。よくニュースで耳にしますが、災害時には河川やため池を見に行った高齢者が流されるといった痛ましい事故が散見されます。しかし、理由としては、住民や地域に被害が起きないように使命感として、危険な中現地まで見に行かれているため、このような事故が散見されていると思われます。また、大雨のときには、ため池までの道路が壊れている可能性も考えられ、水位を確認できないこともあるかと思います。このような監視役の身の安全を確保するとともに、水位監視による水害のおそれを早い段階で察知するため、鳥取県では遠隔操作でため池の水位が確認できるシステムが導入されております。
 ため池の水位を遠隔で監視できるシステムは、防災上、安全上の観点から有効な方法だと考えますが、市の考えをお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 議員お尋ねのシステムについては、近年頻発する集中豪雨などの際にもため池の水位や施設の状態などを現地へ行かず確認できることから、安全性の確保や迅速な状況の把握が可能になるなど、防災危機管理対策として有効であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 有効な方法であるとの御認識とのことですが、市では遠隔で監視できる水位計を設置する計画はあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 水位計につきましては、初期費用や設置箇所、水位の確認システムなどについて検討を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 水位計の設置について、費用や設置箇所の選定等を検討しているとのことでしたが、できるだけ早く水位計を設置していただきたいんですが、今後どのようなため池に設置していく予定なのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) まずは、市街地にあるため池や貯水量の多いため池などから検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) また、鳥取県では遠隔でため池の状況が確認できるよう監視カメラも導入されています。
市でも監視カメラを導入しないのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) カメラによりため池の状況が遠隔で監視できれば、現地のより詳細な状況把握が可能となり、迅速な安全性の確保につながるものと考えており、水位計と合わせ、検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 急ぎ対応のほうをお願いしたいと思います。
 水位計や監視カメラによる遠隔監視など、ICTを活用した施設管理や防災対策は、農業従事者による日常管理の負担軽減や安全性の向上とともに、維持管理全般の効率化や省力化にも効果的であると思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 ため池の日常管理については、受益農地が残り僅かとなっているため池では、少ない人数の農業従事者で日常管理する必要があるため、1人当たりの負担がより大きく、また農業用途がなくなったため池は、市で日常管理を行っていく必要があるため、外部委託等による管理経費が負担として生じていると思います。
 そこで、農業用途が少なくなったため池や農業用途がなくなったため池の管理に対する市の取組についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 安全性確保の観点に加え、維持管理の負担軽減や経費節減を図るため、農業用途が少なくなったため池については、代替水源として井戸の設置を促すとともに、農業用途がなくなったため池については、ため池の用途を廃止した後に他の行政用途への転用や民間への売却などを実施しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 以上、ため池の管理、防災対策に関する質問をしてまいりましたが、市として適切に維持管理いただいていることが分かりました。
 ただ、農業用施設の管理は、農業従事者の高齢化や減少とともに、今後も負担がより大きくなっていくと思われます。また、管理が行き届かなくなったため池は、近年、頻発化、激甚化する自然災害により、防災上の課題を抱えていくことになります。
 私の地元西区の千里地区や女原地区においては、ため池の上の山側のほうが切り開かれ、ソーラーパネルの大規模な開発が進んでおり、今年7月の大雨の際には、開発途中の赤土がため池や地域周辺に流れ込んでいて不安だと連絡を受けまして、地域住民と一緒に現地を見させていただきました。
 このような中にあって、先ほど御答弁いただきましたように、農業従事者へのさらなる支援や、水位計や監視カメラなどICTを活用したハード、ソフト両面における防災対策などに取り組むことが肝要であると考えます。農林水産局として、しっかり農業従事者へサポートいただき、維持管理の負担軽減、効率化、省力化などに取り組んでいただき、食の安定確保と農家を守るために支援の充実をお願いして、この項目を終わります。
 次に、官民連携したバリアフリー情報の提供についてお尋ねします。
 バリアフリー化については、高齢者、障がいのある方など、誰もが互いに人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現に向けて、ハード、ソフト一体的な取組が全国的に進められています。特に障がいのある方をはじめ、高齢者や妊産婦、ベビーカーを使用している方など、誰もが不安を感じることなく安心して外出し、まち歩きできる環境を整えることは、人々の人生に彩りを与え、心の豊かさや生きがいを感じることにもつながる大変重要な取組であると考えています。
 福岡市においても、福岡市基本計画の分野別目標の一つとして、「一人ひとりが心豊かに暮らし、元気に輝いている」まちを掲げ、誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいユニバーサルデザインの理念によるまちづくりが進められております。
 まず初めに、福岡市バリアフリー基本計画について、作成の目的や重視するポイントをお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福岡市バリアフリー基本計画につきましては、誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまちづくりに向け、駅などの主要な旅客施設や重点地区内の生活関連経路、公園等のハード面のバリアフリー化や、心のバリアフリーの啓発などソフト面の取組を計画的に推進していくために策定しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまちづくりということで、まさにユニバーサルデザインの理念を体現するものかと思います。また、バリアフリーの取組については、駅や道路などハード面のバリアフリー化と心のバリアフリーの啓発などソフト面の取組を一体的に進めているとのことです。
 ハード面の取組は、段差の解消や身体の不自由な方も使いやすいトイレの設置など、ある程度イメージしやすいんですが、バリアフリー基本計画におけるソフト面の取組について、その内容を具体的にお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がいの多様性やバリアフリーの必要性などについて理解を深める各種の広報、啓発、研修などの心のバリアフリーの推進や、施設におけるバリアフリー情報の提供などを行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) では、心のバリアフリーとはどのような考え方なのか、また推進のための取組についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 国のユニバーサルデザイン2020行動計画において「様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと」と示されており、令和5年2月に広報誌「心のバリアフリー」を市内全戸に配布したほか、出前講座等による啓発などを実施しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 心のバリアフリーとは、まさしく誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまちづくりを実践していくために、根幹となる考え方であると思います。また、事業者に対して、令和6年4月には差別解消法の合理的配慮の提供義務化に今回改正されます。ぜひ市民一人一人が心のバリアフリーを理解し実践が進むよう、しっかりと広報、啓発に取り組んでいただくようお願いいたします。
 次に、ハード面のバリアフリー化を進めるとともに、ソフト面の取組として、整備されたバリアフリー設備を必要とする方が円滑に利用できるよう情報を提供していくことが非常に重要な取組だと思いますが、バリアフリー情報の提供とはどのような取組なのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 主要な駅等の旅客施設などにおいて、障がいの多様性などにも配慮した文字の大きさや色など、分かりやすい案内表示の設置を推進しております。また、バリアフリー情報について掲載した福岡市バリアフリーマップを市のホームページで公開するなどの取組を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) では、福岡市バリアフリーマップとはどのようなものなのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) バリアフリーマップにつきましては、誰もが安心して気軽に外出できるよう、市内の公共施設や公共交通機関、飲食店などの施設におけるバリアフリー情報を掲載したホームページを作成し、公表しているものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 一口にバリアフリー設備と言っても、必要となる情報は身体的な特性に応じて様々に異なってくると考えられます。
 バリアフリーマップに掲載している設備情報について、身体、聴覚、視覚など障がいの特性別に具体的にどのようなバリアフリー設備が掲載されているのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 車椅子使用者のためにスロープやバリアフリートイレ、車椅子使用者用駐車場など、耳が不自由な方のために音を聞こえやすくするための補聴設備や文字案内など、目が不自由な方のために視覚障がい者誘導用ブロックや音声案内装置などの情報について、各施設ごとに掲載しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 車椅子使用の方、耳が不自由な方など、必要とする情報は様々で、障がいを抱えた方についてはどれも非常に大切な情報なのだと考えます。
 次に、バリアフリーマップの掲載施設数、利用状況についてお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 掲載施設は令和5年11月末現在で940施設であり、利用状況は令和5年4月から11月までの実績で1日平均389ページが閲覧されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 一定の利用はあっているようですが、さらに掲載施設数を増やして必要とする方に多くの情報を届けていくことが大事だと思います。
 そこで、掲載施設数を増やしていくためにどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 個別の施設への働きかけや経済団体等への周知を行うとともに、福岡市福祉のまちづくり条例に基づく事前協議において掲載を呼びかけるなど、広報に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ぜひ積極的な取組をお願いいたします。
 さて、バリアフリーマップでは、公共施設のみならず、民間施設の協力によって各施設の設備情報の充実に取り組まれていることが分かりました。
 一方で、高齢者や障がいのある方など、誰もが公共交通機関等を利用して安全に快適に移動し、目的の施設を利用するためには、バリアフリーマップで提供されている設備情報だけでなく、ハード整備された、バリアフリー化された経路の情報を、いわゆる点だけでなく、線も合わせて必要とされている方に伝えていくことが重要だと考えています。
 福岡市のバリアフリーマップは経路情報は掲載していないようですが、課題があればお答えをお願いします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 経路情報につきましては、経路となる空間が道路などのほか、民間の敷地など多岐にわたることや、車椅子使用者、目が不自由な方など、それぞれの特性によって必要とされる情報が異なることなどから、情報の収集や更新の難しさが課題であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) バリアフリー化された経路に関する情報については、かなり細かく、民間開発の情報を含め、どのように情報を収集し、どのような頻度で更新していくのか、行政だけで対応するのが難しいというのは一定理解できるかなと思っております。
 一方で、例えば天神地下街などを考えても、地下街として管理されている部分、民間の商業施設の敷地となる部分などが連続して歩行空間となっており、どのような経路を選ぶと安全で快適に通行できるかを情報提供するのが大事だと思います。車椅子を利用される方から、天神地下街から地上へ上がるのは遠くまで回るから非常に大変だとの声もいただきました。
 私の地元西区の西都地区、九大学研都市駅周辺でも再開発で人や店舗が増えていく中で、歩行空間や商業施設のバリアフリー情報の充実を問う声を聞いています。実際にベビーカーを使用する方や高齢者、車椅子の利用者のリアルな声などの情報はまだまだ少なく、環境が整っている施設であっても不安を感じてなかなか足が遠のいている人がいるようです。SNSやテレビ、雑誌等で紹介されているきれいなまち並みや行列のできる有名店やおしゃれなカフェを訪れたとき、お店の入り口に段差があったり、車椅子で通れない狭い通路があった瞬間、がっかりしてしまうということもあるそうです。
 このような課題を解決するヒントとなる取組として、現在、全国各所でバリアフリーのまち歩きという取組が実施されていて、私の地元西区の商工会においても検討されています。このお話の中で、ウイーログというアプリの話を聞きました。このウイーログというアプリは、飲食店の情報をユーザー投稿形式で蓄積していく食べログのように、車椅子を使用されている方が実際に通行することができた経路の情報を投稿し、その情報を蓄積していくことでほかの車椅子を利用する方にも発信していくものです。バリアフリーのまち歩きによって、実際に車椅子を使われている方の声が集まり、アプリの掲載情報の充実につながっているようです。ユーザーからの投稿形式とすることで、情報の即時性も図られ、更新の問題もクリアしており、必要性の高いアプリであると感じました。
 このような民間のアプリと連携してバリアフリー情報を発信している取組について、他都市の状況などを把握しているか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 横須賀市などにおいて、議員御指摘の民間の移動支援アプリであるウイーログを用いたバリアフリー情報を発信している事例がございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 先行自治体の取組もあるようです。ぜひそのような取組についても調査研究していただき、福岡市としても、民間企業等とも連携してバリアフリー情報の提供を促進できないか、御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) バリアフリー情報の提供は大切であると認識しており、他都市の事例も調査し、今後ともより効果的なバリアフリー情報の発信に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 天神ビックバンなどの取組により、福岡市の都市開発が新たなステージへと着実に進む中、障がいのある方をはじめ、高齢者や妊産婦、ベビーカーを使用している方など、誰もがこの魅力ある都市を楽しめるよう、外出を支援する取組がさらに重要になっていると考えます。また、日々開発によって、まちのスタイルや商業施設が変わっていく中で、必要とする情報の更新には即時性が求められると考えています。即時性が期待できる民間のアプリと行政のバリアフリーマップが連携することで、より一層利用者が必要な情報の充実が図れるのではないかと考えております。
 着実にハード面のバリアフリー化を進めることももちろん大切ですが、ハード面のバリアフリー情報を必要な方々に適切に伝え、心のバリアフリーの啓発といったソフト面の対策もバランスよく充実させていくことで、バリアフリー基本計画が目指すハード、ソフトが一体となった、誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまちづくりが実現できるのだと思います。
 最後に、誰もが外出しやすいまちづくりに向け、ハード、ソフト一体的なバリアフリーの推進について、島宗一郎市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 全ての市民が年齢や性別、障がいの有無などによって分け隔てられることなく共生できる社会を実現するため、多様な市民一人一人が自立した社会生活を営むための環境整備を進めることは重要であると認識をしています。福岡市では、令和3年12月に改正をした福岡市バリアフリー基本計画に基づき、施設のバリアフリー化とともに、心のバリアフリーの推進や誰にでも分かりやすいバリアフリー情報の提供など、ハード、ソフト一体的なバリアフリー化を官民連携して進めております。今後とも、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、障がいの有無にかかわらず、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) この際休憩し、午後2時30分に再開いたします。
午後2時19分 休憩
午後2時30分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。今林ひであき議員。
○9番(今林ひであき)登壇 私は国と本市との役割分担について質問いたします。
 今回の質問に至った経緯は、新型コロナとマイナンバーにおける国の対応に振り回された地方の姿を見て、もう少しうまく連携できないかなと思ったからです。新型コロナで例えるなら、幸いにも本市ではうまく対応できたと思っています。医師会と連携したワクチン接種、初動で国に先駆けての家賃補助などはよかったと思います。これはもちろん島市長や医師会など、個人的な手腕が大きかったと思います。しかし、他の多くの地方自治体では、多くの場面で誰がどうするかといった主体性や権限、責任等で円滑な対応ができたのでしょうか。そのため、国も11月9日、地方制度調査会専門小委員会で、コロナの教訓として国の指示権拡充の答申案がまとめられたとあります。非常時に国が主導で責任を持って対応していただければ、それはそれで大変よいことだと思います。しかし、心配なのは実務は誰が行うかということです。国は指示するだけで地方が行う、国の押しつけになるのが心配です。国の指示、地方に責任の構図になるのは心配です。
 それこそマイナンバー情報総点検です。国が主導して点検すると言いながら、実務は地方自治体が行っています。しかも、地方はアナログで膨大な手作業となっています。国も何もしないわけではなく、円滑化、効率化を図る目的で、DX、デジタル化とは言っています。しかし、新型コロナで国のDX、デジタル化として主導したハーシスは十分に機能せず、地方は困ったと思います。ここで思うのですが、なぜマイナンバーを行う前に、前もって国は基礎となる住民登録システム、税システムなど、全国共通のシステム基盤づくりをしてこなかったのでしょうか。
 今回、私はこの2つの事案の対応策は単純だと思うのです。国は責務として全国一律の方針を示し、そして、統一した分かりやすいシステム基盤整備を行う。その上で、地方自治体はその基礎、基盤の下、現場として権限を持ち、市民に対応することだと思います。私は今回の質問で、こうした経緯など、国と地方の立ち位置を明確にしたいと思っています。今までも国と地方の在り方、立ち位置については多くの議論がなされてきました。福岡市は別としても、今や日本には人口減少社会の到来などで、この考えを見直すには少しエネルギーが足りないような気はします。また、制度疲労の感も否めないと思います。
 そこで最初に、国と地方の長い歴史について少し振り返りたいと思います。
 長い歴史の中で、昔から地方分権など、各時代背景の下、様々な議論、施策がなされてきたと思います。10年ごとに振り返りますと、1980年代には、いわゆるリゾート法があり、第3次産業による地方の振興や国鉄などの民営化、また、地方が自ら考え、自ら行うという名目で、ふるさと創生1億円事業がありました。1990年代には第1次地方分権改革、中央集権型システムを見直すため、国と地方は対等として機関委任事務を廃止して、法定受託事務などへの仕分けがありました。2000年代には三位一体改革があり、補助金、税源移譲、地方交付税の見直しで3兆円規模の税源移譲、5兆円の交付税削減があり、これが平成の大合併へのうねりとなり、市町村は3,232から1,727に減少しました。余談ですが、この大合併、地方の財政基盤の安定を図る名目の一方、議会側で見れば、議員数の減少に伴う議員年金の廃止と相なりました。2010年代には第2次地方分権改革と言われ、規制緩和や権限移譲、国も地方も一体となっての一億総活躍、地方創生などの言葉が並びました。
 本市との関わりでは、第1次地方分権改革に際して、地方分権推進法に基づく地方分権推進委員会に当時の福岡市長であった桑原市長が地方の代表として参画されました。当時の桑原市長は旧労働省の事務次官の出身でした。いかに当時の国の職員が優秀で、国を引っ張っていくという自負があったということを物語るものとして、桑原元市長の庁議か何かでの発言だったと思いますが、分権に当たっては、地方も国と同様に企画立案等の能力が必要だし、実践において自己責任を求められることになる。福岡市の職員にそれだけの気概があるなら、私は喜んで地方分権推進委員を引き受けると言われたことを思い出します。結局は市職員の熱意に押され就任され、国と地方は対等であるという地方の立場を押し上げられるなど、多大な御功績を上げられたことは皆さんの知るところです。確かに当時は国の優秀な職員の先導で、地方は横並びについていくという時代だったと思います。法律や事業は国で企画立案してもらい、地方は追随するだけの時代でした。とても対等という言葉を考えも思いつかない時代に、本市は立ち向かおうとしたのです。その気概は今でも本市の職員に脈々と受け継がれていると思います。
 振り返ってみて分かることは、高度成長が見込める元気な時代には道州制、大都市制度など国と地方の枠組みを中心に議論がなされ、時代とともに、消滅都市の表現や人口減少などに直面する現在は規制緩和、権限移譲などの役割分担に主眼が置き換わったように思えます。いま一度、政令市の生まれた経緯を考えると、人口集中する都市の市民が税負担の公平性から自分たちが負担した税に見合う公共サービスを受けるため、国、県等の権限が市に付与されたものだと思っています。そうすると、政令市はこの権限をさらに強化するものとして特別自治市を目指すのが一般的ではないかと思います。
 なお、大都市を強める例として大阪都構想などもあります。私は大阪の人間ではありませんので、大阪のことはよく分かりませんが、仮に福岡県に都構想を適用した場合、福岡市は県内の市町村と同じ区割りとなりますので、現福岡市民の多額の税金が県内に分散されることになるのではないかと思います。
 いろいろと述べてまいりましたが、少なくとも私は国と地方は対等であるという精神をもって、国と本市の役割分担で現状をもう少し考えていく必要があると思っています。大変大きな題材ですので、事務の在り方など、また、税源の在り方など、権限移譲などなど、いろいろ様々な視点、切り口があると思います。今回はもう少し基本に返って、国と地方の情報共有とその基盤システムの視点、冒頭にも挙げましたが、新型コロナやマイナンバーに加えて、地方自治体のシステムの標準化を引き合いにしてお尋ねしていきます。その中で、組織の在り方についても、若干触れて質問したいと思います。
 そこで、最大の問題なんですが、私は今偉そうにしゃべっていますが、すみません、IT、デジタル、DXなど、ずぶの素人であります。素人にも分かるように答弁をお願いいたします。
 そこでまず、マイナンバーから質問いたします。
 マイナンバー制度は国が推進している制度で、地方自治体のスマートな行政の推進にも期待されるところです。しかし、今年になって、マイナンバーカードや、そのひもづけの問題が全国的に大きく報じられました。本市でも、総点検の対象ではないとのことですが、マイナポイントのひもづけの誤りが1件あったということです。
 そこでお尋ねいたします。こうした問題を受け実施されるマイナンバー情報総点検について、対象となっている個人情報とマイナンバーひもづけの誤りの主な事案とその原因について教えてください。
 次に、新型コロナについては、まず最初に、いま一度、現場である医療機関をはじめ、保健所などの多くの関係者が昼夜を問わず対応していただいたことに感謝申し上げたいと思います。この感染症の対応で負担軽減を図る目的に、国は全国一元的な情報管理としてハーシスというシステムを導入しました。
 そこでお尋ねします。ハーシスというシステムはどのようなシステムなのか、確認させてください。
 加えて、ハーシスの導入により保健所や医療機関ではどのようなメリット、また、課題はあったのか、お尋ねいたします。
 さらに、本市でも急増する患者への対応で保健所が大変厳しい状況になってしまいました。この状況に迅速に対応するため、組織の再編を行ったと思います。
 そこでお尋ねします。本市では感染症対策をメインに保健福祉局の再編を行ったと思います。どういった考えで行ったのか、再確認させてください。
 また、現状は新型コロナ感染症の分類が5類に引き下げられ、状況も落ち着きつつある中で、今後とも、2局体制を継続していく必要があるのか、お尋ねします。
 次に、地方自治体では、自治体ごとに住民記録システム、税システム、福祉システムなどがあります。その中で、例えば、住民登録では各自治体間での住所表記の仕方が異なる場合があり、情報共有や連携がうまくいっていない状況があるようです。
 そこで、国において令和3年9月に地方公共団体情報システムの標準化に関する法律が施行され、国民健康保険、児童手当、固定資産税など20の業務について、国が示す標準仕様書に準拠したシステムへ移行させる、いわゆるシステムの標準化に向けた取組がなされています。このシステムの標準化は、各自治体間の連携、広域行政の事務を行う上で基本にあるべきものだと思います。これにより、住民の利便性や行政運営の効率化は飛躍的に向上するものであり、大変よいことだと思っています。しかし、私はなぜ今頃になってこのようなことをするのかと思っています。少なくともマイナンバー制度を導入する前に国がシステムの統一化や共有化などに取り組んでいれば、今回のマイナンバーのような混乱はなかったのではないか。もっと言えば、マイナンバーの点検費用も低く抑えられたのではないかと思います。現在、このシステム標準化については、令和7年度を目標に定め、国と全国の自治体で一斉に取り組んでいます。
 そこでお尋ねします。自治体情報システム標準化について、本市における現在の取組状況、また、取組を進めていくに当たっての課題をお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて質問いたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバー情報総点検の対象となっている個人情報とマイナンバーのひもづけ誤りについては、主な事案として、公金受け取り口座の誤登録や健康保険証や障害者手帳情報のひもづけ誤りなどがあり、その原因としましては、入力ミスなどの人為的なミスやシステムの不具合等でございます。
 次に、保健福祉局の再編については、感染症対策の充実強化を図りつつ、少子・高齢化等に伴う様々な課題に対して機動的に対応するため、令和4年度に保健福祉局を福祉局と保健医療局の2局体制に再編をしたものでございます。また、現在の新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた今後の組織体制についてですが、感染症法上の位置づけが5類に移行したことに伴い、感染症への対応業務の逼迫状況は改善されているところでございますが、保健医療局は引き続き医療機関と連携し、安定した医療提供体制を確保するとともに、今後の新たな感染症の発生に備え、感染症予防計画を策定し、計画に基づく取組を推進する必要があります。一方、福祉局は新型コロナウイルスの影響でひきこもりとなった高齢者を中心に、健康寿命の延伸や認知症の人にも優しいまちづくりの施策にしっかり取り組んでいくことが急務でございます。以上のことから、引き続き専門的な検討と機動的な対応を行うことができる2局体制は継続する必要があると考えております。
 次に、自治体情報システム標準化の取組状況及び課題については、現在、令和5年3月に国が示した標準仕様書に基づき、システム改修に向けた仕様の検討や同仕様書に準拠したパッケージシステムの調達準備などを実施しております。しかしながら、他の政令市と同様に、事業者における技術者不足等の理由により、目標時期である令和7年度末までの移行が難しい業務が存在するほか、国の補助金が指定都市規模のシステムを考慮したものになっておらず、移行経費全体を賄えるものになっていない等の課題がございます。なお、移行期限については、令和5年9月に国の標準化基本方針が改定され、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムは、国において個別に所要の移行完了の期限を設定するとの見直しが行われたところでございます。また、補助金についても、11月に国の補正予算が成立し、大幅な増額がなされておりますので、引き続き国の動向を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ハーシスに関する御質問でございますが、ハーシスとは、厚生労働省が令和2年5月末から運用している新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムの略称で、国、都道府県、保健所設置市及び医療機関などの関係者が新型コロナウイルス感染者に関する住所、氏名、病状等の情報を電子で一元的に管理、共有するためのシステムでございます。
 次に、ハーシスの利点としましては、新型コロナウイルス感染患者を診断した医師が作成する発生届がオンラインで提出され、保健所でのシステム入力が不要となったことや関係機関の情報共有が容易になったことなどがございます。一方、課題としましては、健康観察の実施や発生動向の把握のため、患者の症状、感染原因や感染経路など、多くの項目をシステムに入力する必要があり、医療機関の負担が大きかったことや、ICTに不慣れな医療機関に対して保健所等による一定の支援が必要であったことなどがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 今林ひであき議員。
○9番(今林ひであき) 2問目に入ります。
 マイナンバー制度は本市においてもDX、デジタル化を進める上で必要であり、もっと活用が期待されるものだと思います。1つの例ですが、国民に給付金を支給する場合、アメリカや韓国などでは円滑に行われます。一方、日本では何か月もかかります。さらに、紙ベースによる現金給付に至っては、委託等、相当な事務経費がかかります。私は委託による事務作業を変えて、自前の住民記録、税システムを活用して行うほうが、安価に、そして早くできるのではないかと思いました。しかし、システムの改修等が必要になり、しかも、この経費が相当になるとのことでした。このことを、国で議論されている減税と給付との関係を考えると、その手間と費用負担との視点で見た場合、給付とは一旦いただいた税金になります。また、それをお返しするという手間がかかります。それよりは、最初から減税として取らないほうが手間や費用的にも容易に安価にできるのではないかと思うのですが、これにもシステム改修等で、そうにはならないということになりそうです。何か納得いきませんが、これも国と地方自治体のシステムが共有されていれば、各自治体が個別に改修する必要がなく、国一本のシステム改修で今よりも安く早く済むのではないかと素人ながらにも思うものであります。
 次に、先ほどの答弁で、マイナンバーのひもづけの誤りに関する原因として、大きく分けると、入力ミス等の人為的なものとプログラムの不具合等システム的なものの2種類があることが分かりました。
 そこでお尋ねします。マイナンバーの情報総点検について国はどのように対応したのか、また、地方自治体にはどのような対応を求めたのか、お尋ねします。
 次に、新型コロナでの国における対応として、ハーシスの導入により、国や地方自治体、医療機関などの関係者が情報をデジタルで一元的に共有することができたとのことでした。このシステムの導入により保健所においてはデータ入力の負担が軽減されたと答弁されて、これはよかったと思います。しかし一方で、医療機関では入力方法が紙ベースからオンラインに変わっただけであり、作業自体が減ったわけではなく、逆に、医療機関では膨大な項目も相まって入力の際のミスも生じ、結果的には医療機関、保健所でも負担が増えたと聞きました。もちろん感染者数が爆発的に増えたことにより、作業量自体が増えたことも、増えたと感じる一因になったとは思います。結局は、もっと使いやすい簡単なシステムでなかったことに原因があると思います。確かにデジタル化しても入力作業は必要です。しかし、複雑、膨大な手作業は入力ミスを生む原因ともなります。今後の危機管理に際して、ここにメスを入れてほしいものです。
 今、医療、介護の分野で効率化や利便性の向上のため、多くのことがなされています。福岡県では、とびうめネットという患者の症状や検査結果、服用している薬、アレルギーなどの情報をかかりつけ医、救急隊、搬送先医療機関で共有するシステムを平成26年度から運用しています。さらに、本市でも地域包括ケア情報プラットフォームを平成28年度から運用しており、市が保有する医療、介護、保健等に関するデータを一元的に集約、管理し、データ分析や、高齢者の生活状況やサービスの情報を関係者間で共有するシステムがあります。このように、県と市で別々のシステムを構築している現状があります。これらが一元化され、うまく機能することが求められると思います。さらに問題は、国も同じように医療DXを考えているということです。
 そこでお尋ねします。現在、国においても、医療DXを推進するため、マイナンバーカードによるオンライン資格確認システムのネットワークを拡充し、医療情報や介護情報の一元化を検討しているとのことですが、現状はどうなっているか、教えてください。
 一方、令和3年度から進められている自治体情報システムの標準化の議論は、昔に遡ること、国では平成19年にもシステム連携基盤の全国標準化を重点目標に掲げるなどの取組がなされていました。何が原因でしょうか、いまだになかなかうまくいきません。今回も同様の懸念をしておりますが、期限や補助金等の課題が少しは改善されているようなので、引き続き注目していきたいと思います。
 次に、本市の組織体制については、保健医療局の新設により新型コロナに対して機動的に対応できたとの答弁でした。確かに新型コロナウイルス感染症について、本市では局の再編を迅速に行うことで、本庁職員のマンパワー不足を速やかに補えたように思います。しかし、現場である保健所の正規職員数は7区で6名の増員にとどまり、ハーシスの話でも分かるように、現場の大変さを考えると少し課題が残ったように思います。今回の局の分割は、やっぱりコロナ対応が主な原因だと思います。昔、本市では平成9年、当時の民生局と衛生局を事務の効率化により一つに統合した経緯があります。また、今は新型コロナの5類移行から時がたち、社会は以前のような平時の様相を取り戻しています。昔の統合経緯、そして、平時と緊急時という考え方なら、今は従前の平時として局を元に戻すべきだとも思います。しかし、答弁にもあるように、今の平時のときに、次に予測される新たな感染症への対応として、マニュアル、計画づくりに取り組んでいくということは大切なことだとも思います。今回の保健所見直しのメリットで、医師や保健師等を集約することができ、この組織を機能させて、専門家により平時の今であるときに、マニュアル、計画づくりを早急に進めてほしいと思っております。
 なお、付け加えておきますが、将来予測される緊急時には身近な区での現場対応の強化も頭に入れておいてください。いずれにしても、臨機応変の柔軟な対応が必要だと思います。
 局の在り方について言えば、本市では時代変化に伴い、多様化する市民ニーズに対応して新設や局の重要度の変化を行っています。例えば、平成17年にこども未来局を新設しました。今、国も追随して、今年度からこども家庭庁を設置しています。また、重要度が増した局として、経済振興局は再編直前の平成23年度は7部18課147名の体制でしたが、今では積極的にインバウンドなどの誘致を市が直接関与することを行い、光の当たる局となり、令和5年度には9部30課269名体制と大幅な増員となっています。そこで一言、私は現在とこれからの注目は環境局ではないかと思っています。本市では脱炭素、カーボンニュートラルを、国を前倒しして2040年と大きな目標を掲げるなど、新たな動きがあります。しかし、いまだに動きが遅いように思えます。本当に実現可能でしょうか。私は画期的な技術革新など抜本的な対策がなければ大変厳しいと思っています。国の対応は別にしても、本市に今できることも、なかなか進まない第1の原因は、今の環境局が旗振り役に徹していることにあるのではないかと思っています。これからは環境局が自ら実行部隊へ変化することが求められると思います。
 そこでお尋ねします。少子・高齢社会、脱炭素など、多くの社会問題がある中、本市を取り巻く状況は絶えず変化しており、国との役割分担で本市を機動的に動かすため、局の在り方や再編について本市としてどのように考えているのか、お尋ねします。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバー情報総点検については、国主導の下、地方自治体や保険者等において、マイナポータルで閲覧可能な情報を有する全ての制度等を対象に、個人情報とマイナンバーのひもづけが正確に行われているか、個別データを確認することとされました。地方自治体等の点検作業は、個別の団体の事情に配慮しながら、原則として11月末までに行うこととされ、福岡市では障害者手帳情報に係る事務が対象となり、国のマニュアルに基づき点検を行ったところ、ひもづけ誤りはございませんでした。これらの点検結果が国において12月12日に公表され、今後も再発防止対策を講じるとともに、引き続きマイナンバー制度の適正な運営に取り組んでいくとされたところでございます。
 次に、今後の局の在り方や再編については、議員御指摘のとおり、市の組織は平時と緊急時、また、市民ニーズの多様化、社会経済情勢の変化など、状況に応じて柔軟に対応すべきと考えております。保健福祉局の再編についても、新型コロナウイルスの感染拡大という緊急時に行ったものであり、2局体制のほうが課題に対して機動的に対応しやすいと判断したものです。今後も状況に応じて柔軟に組織を編成し、様々な行政課題に対応できる体制の整備に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医療、介護情報の一元化に関する御質問でございますが、令和4年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2022において、医療機関や自治体、介護事業者等の間で医療、介護情報を共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの創設が示されております。また、国の資料によりますと、本プラットフォームにより、マイナンバーカードで受診した患者の情報は、本人の同意の下、医師や薬剤師と共有することができ、自らの医療、予防、健康づくりに活用できるほか、次の感染症危機における情報取得の仕組みとしての活用が示されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 今林ひであき議員。
○9番(今林ひであき) 3問目に入ります。
 マイナンバーひもづけ誤りへの対応については、国が主導したマイナンバー情報総点検の結果が12月12日に公表されました。国においては、今後とも、再発防止対策を講じるとともに、マイナンバー制度の適正な運営に取り組んでいくとの内容です。今回の総点検の課題の一つは、作業の一部が手作業で行われたことです。また、その作業量もなぜ膨大になるかといえば、先ほど述べたように、自治体間の住所の表示方法が統一されていないなどの原因もあったように思います。そのためか、担当大臣は今回のマイナンバーの混乱は各省庁、関係機関との情報共有がうまくできなかったと釈明されました。私は情報システム基盤の共有ができなかったことを示していると信じております。そうであるならば、速やかに国と地方自治体、さらに、自治体間のシステム基盤の共有化を進めるべきです。その中で、特に全国医療情報プラットフォームについては、将来、マイナンバーの活用で住民の利便性の向上が期待され、医療、介護の現場の負担を減らすよい取組だと思います。そのため、国からの一方的な押しつけにならないよう、本市で先行している地域包括ケア情報プラットフォームなどの経験を生かし、現場の使いやすさを重視したシステムを構築するよう、今からでも国に要望していくべきだと思います。
 私は最初に結論として言ったように、現在の社会状況にあっては、全国一律かつ統一的に行うべき行政サービスについては、国が自ら地方自治体に負担をかけない形で基盤整備を行うべきであると考えています。一方で、国との役割分担において、地方自治体は国がしっかりと基盤整備を行うことを前提に、そこで生み出された余力を使って、地方自治体の実情に合った独自の行政サービスを運用、展開するべきだと思います。そのため、組織の在り方、見直し、再編等を柔軟に、そして、迅速に行うことが肝要だとも思います。私は本市は数多くある自治体の中で独自サービスが展開できる都市の一つだと思っています。今、本市は全国に先駆けて規制緩和を国に提案して、特区を生かしたまちづくりに挑戦しています。天神ビッグバンや行政手続のオンライン化などは次代を見据えた取組となっています。これはもしかすると新しい地方分権の形ではないかと思い始めています。ある都市計画に精通された行政OBの話なんですが、特区による規制緩和を国に求めたこと自体、昔の役所では考えられなかったと言われています。また、天神の高さ制限は1つずつ申請すれば済むものだと考えていた。だけど、当時は100年かかってもできないだろうと思っていた。なぜなら、国は認める方向ではなく規制する方向であったため、その方向性を変えたこと自体がすごい。こんなに早く進んだこと自体、島市長の手腕というほかないとおっしゃられていました。
 一方で、天神ビッグバンなど急激な規制緩和等は、空き室問題など新たな課題も見えてきています。新しいことに挑戦すれば、課題も出てきます。それに迅速に対応、解決することまでが挑戦の意味だと思います。その都心部だけ見ても、ハード、ソフト面でいまだ多くの行政課題を残しています。例えば、バスを中心とした都心の渋滞を抜本的に解消するため、昔からバスセンターの移転、南北に延びる渡辺通りの直線化などがあります。さらに、市全体を見れば、各地域でたくさんの課題が山積しています。議会との連携を図りながら、基本政策にもしっかり取り組まれるようお願いいたします。私も議会の一員として本市の発展を願うものであり、二元代表の一員としてその一翼を担いたいと思っております。
 さらに、今日の社会は住民ニーズが多様化、複雑化し続けています。そのような中、本市では市民のためになる独自サービスを全国に先駆けて運用、展開する主導的な役割を果たし、国が追随するような取組を引き続き進めてほしいと思います。
 そこで最後に、島市長にお尋ねいたします。
 今、島市長は行政改革推進会議の構成員、桑原元市長も地方分権推進委員会の委員、平成の時代、そして、令和の時代に本市の市長が国の重要な意思形成過程に共に参画されているということに不思議な縁を感じます。今回のテーマの中で、地方分権の流れを酌み、新しい国と地方との役割分担として、本市は地方自治体の先頭に立ち、既成概念にとらわれない新しい行政サービスに挑戦する主導的な役割を果たすべきだと考えます。
 最後に、島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 国と地方の役割分担についてですが、今林議員御指摘のとおり、コロナ下においては特別定額給付金の支給などの事務を通して、国が一律に行う施策の事務を自治体ごとに行うという非効率さなど、国と地方の構造的な課題が浮き彫りになりました。まさに制度疲労を起こしているというふうに思います。日本全体で人口減少や、また、少子・高齢化が進み、自治体において多様化する市民ニーズに対応し、よりきめ細やかな行政サービスが求められる中、国と地方の関係は、地方分権の趣旨を踏まえつつ、時代に応じたアップデートが必要と考えてございます。福岡市は基礎自治体として直接市民に接する現場を持ち、かつ都道府県並みの権限に加え、国の規制を改革できる国家戦略特区にも指定されており、これまでも航空法による高さ規制の緩和など、耐震性の高い先進的なビルへの建て替えを促進するとともに、来庁の必要がないノンストップ行政の実現に向けた行政手続のデジタル化の推進など、様々な規制緩和や、また、最先端のテクノロジーを積極的に活用し、社会課題の解決に取り組んできたところでございます。今後とも、社会の変化をしなやかに取り入れ、新たな取組に果敢に挑戦し、地方から日本を変えるロールモデルの役割を果たしてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる)登壇 私は自民党新福岡を代表して、小中学校における金融に関する教育の推進について、アビスパ福岡のホームスタジアムについて、以上2項目について質問してまいります。
 まず初めに、小中学校における金融に関する教育の推進についてお尋ねいたします。
 昨今、キャッシュレス化、電子マネー、投資、仮想通貨等、金融に関する様々な用語が飛び交っております。経済社会における金融分野のデジタル化は目覚ましく、IT技術と結びついて生まれた新しい金融サービス、いわゆるフィンテックが進展してきております。個人の金融をめぐる環境は大きく変化し、具体的には、スマートフォンを使い、簡単に送金できるようになったり、クラウドファンディングができるようになったりということがあります。さらに、預金、投資信託、株式、保険など身近な金融商品についても、多様化しております。
 そのような中、日本においては、民法の改正により令和4年4月から成人年齢が18歳に引き下げられ、高校在学中もしくは卒業するまでに大半が成人になります。成人になると義務を負う契約を単独で結ぶことができ、いわゆる消費者トラブルに巻き込まれるケースが増えるのではないかと懸念されております。既に高等学校では、成人年齢の引下げを踏まえ、家庭基礎、家庭総合の学習において契約の重要性や消費者保護の仕組みなど、消費者被害の未然防止に資する内容の充実が図られました。子どもたちの生活においても、お金との関わりは切っても切り離せません。小さい頃から社会の仕組みを知り、自分で考え、判断していく能力がますます重要になってくると思います。
 そこで、小中学生において、これまで以上にお金や暮らしに関する知識をしっかり身につけることが必要であり、金融に関する教育の重要性はますます高まっていると考えますが、教育委員会の認識をお伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 金融庁や日本銀行などで組織する金融広報中央委員会が策定いたしました金融教育プログラムによりますと、キャッシュレス化や価値観の多様化など、近年の生活環境の変化を受けて、改めて子どもたちにお金をしっかりと扱う能力や態度を身につけることが求められているとされております。教育委員会といたしましても、ICT化の進展、新たな金融サービスの提供など、経済社会環境が大きく変化する中で、子どもたちが自らのリスクをしっかり理解し、情報を収集して、自己の責任で的確に意思決定ができるようにしていくことが必要と考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) それでは、金融に関する教育を通して、子どもたちにどのような力を育成しようとしているのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 子どもたちが社会生活の中で消費者として主体的に判断し、責任を持って行動できるようにしていくことが重要でございまして、生活スキルとして必要なお金に関する知識や判断力、また、将来を見通した合理的な意思決定や生活設計を行う能力、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に判断し、行動できる態度などの育成を目指しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 今御答弁いただいたように、金融に関する知識や判断力、将来を見通して自分で責任と自覚を持って考え判断する力をぜひ本市の未来を担う子どもたちにつけるべきだと思います。
 それでは、現在、本市の小中学校で実施されている金融に関する教育の取組状況についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小中学校段階では、学習指導要領において消費者教育の内容として位置づけられておりまして、社会科、公民科、家庭科などの教科を中心に指導することとされております。具体的には、小学校の家庭科で買物の仕組みや消費者の役割、物や金銭の計画的な使い方、中学校の家庭科で金銭の管理と購入、計画的な金銭管理の必要性やクレジットなどの契約の仕組み、社会科で市場の働きと経済などについて学習いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) これまで学習指導要領に準じて、よりよい生活を目指すことの大切さや市場経済の仕組みなどを学習していることは理解します。しかしながら、先ほど冒頭でも申し上げたとおり、社会、経済構造の変化が激しく、選択肢も多い社会の中で生きる子どもたちにとっては、お金について学習した知識や起こり得るトラブル等を実生活においても自分事として把握し、考えることが求められているのではないでしょうか。
 そういった視点から見ると、現在実施している金融に関する教育の本市の取組についてはまだまだ十分ではないと考えますが、教育長の所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校においては、学習指導要領に基づいて、関連する教科で系統的な指導を行っているところでございまして、市場の動きと経済、金銭の管理などの学びを通じて、金融に関する基礎的な知識の獲得と判断力の育成に取り組んでございます。
 なお、金融に関する教育については、生涯にわたって学習する機会が広く求められていることから、学校だけではなく、地域、家庭など、様々な場を通じて合理的な意思決定や生活設計を行う能力を育成するものとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) もちろん学校だけでなく、地域や家庭から得られる知識や体験も多く、保護者や地域の方々とのやり取りは、お金について学ぶ大切な機会でもあるでしょう。
 先日、金融庁や日本銀行などが連携して組織している金融広報中央委員会主催の公開授業が南片江小学校にて実施され、私も参観させていただきました。改めて、この南片江小学校では具体的にはどのような学習が行われたのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、学校行事として、子どもが主体となり、自分たちで作成した飾りや小物などを販売するお店を出店し、仮の共通通貨を使って、販売者の立場やお客の立場として買物を楽しむ活動を行っております。その際、小学校3年生では、事前に自分が持っている金額の範囲内で使い方を考え、行きたいお店を自分で選択するなど、計画的にお金を使うことの大切さを理解する学習を行っております。また、6年生では、修学旅行の機会を活用し、事前に買物の計画を立て、実施後にその振り返りを行う活動を通して、実生活における必要性を考えたお金の使い方について自分で考え、意思決定する学習を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) このように、低学年の頃から物やお金の価値に気づき、実生活とつながる学習活動を工夫した教育が行われるということは、大変価値のあることだと感じております。家庭や地域等の実践の場で使える能力を育成するためには、学校教育においても、何をどう教えるのかについて十分に検討する必要があると思います。
 そこで、金融に関する教育について、子どもが主体的に判断したり、合理的な意思決定を行うことができるような能力を育成するためには、もっと体系的に取り組むべきと考えますが、教育委員会としてどのような取組を考えているのか、今後の展開をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今後の取組につきましては、金融に関する教育の基本的な考え方や指導方法等を整理し、全ての学校において計画的、効果的な取組ができるよう手引を作成するとともに、その活用を通じまして、子ども一人一人がお金や金融の様々な働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会の在り方について深く考え、自分の生き方や価値観を形成することができるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 国際金融をはじめとした外資系企業や人材の誘致の実現を目指している、そのような本市の将来を担う子どもたちにとって、金融に関する教育は、様々な変化に受け身ではなく積極的に向かい合い、自ら課題を発見し解決していくことや、社会にあふれる情報を見極め、新たな価値を創造していくことができる力を育んでいくために有効な材料であり、重要な教育であることを改めて申し上げ、この質問を終わります。
 次に、アビスパ福岡のホームスタジアムについて質問してまいります。
 この質問をするに当たって、各方面、ちょっとざわざわしておりまして、実際に様々な関係者からも新スタジアム造るとっていうような話も言われました。先に申し上げておきますが、私自身は新スタジアムを早急に造れという内容ではございません。いろんな課題や問題を提起した上で、ここにいらっしゃる皆様方、そして、多くの皆様にも共通認識を持っていただきたく、今回質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 元来、スポーツには計り知れない力があります。世界的な平和の祭典としてオリンピック・パラリンピックがありますが、スポーツは様々な垣根を越えて人々を1つにするものであります。日本においては、戦前よりプロ野球があり、戦後には国民の娯楽として人々に夢と希望を与えてくれました。また、地域に密着したプロスポーツの存在は郷土愛をより強くし、地域を1つにまとめるものでもあります。現在では野球以外にもサッカーやラグビー、バスケットボールなど、多様なプロスポーツが行われており、多くの人々を楽しませてくれています。
 本市にも多くのプロスポーツがありますが、今回、アビスパ福岡、そして、ホームスタジアムでもある博多の森球技場についてお尋ねしていきたいと思います。
 まず初めに、福岡市にプロサッカーチームができた経緯についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの経緯といたしましては、平成5年に福岡県サッカー協会が中心となり、プロサッカーチーム誕生を目指す市民50万人の署名が集められ、市議会ではJリーグチームの実現に関する決議が可決されております。平成6年には静岡県藤枝市を本拠地としていた藤枝ブルックスが福岡市に移転し、福岡ブルックスとなり、平成7年のJリーグ加盟に伴い、チーム名を現在のアビスパ福岡に改名いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 当時、私も大学生であり、署名した一人でもあります。そして、議会でも超党派で招致に関する議員連盟を発足し、そして決議を行うなど、本議会とも関係が深いものがあります。当時、川口議員も現場にいらっしゃったと思うので、鮮明に覚えていらっしゃるとは思うんですが、誕生して約30年、様々なことがありました。JFLで優勝し、鳴り物入りで参戦したJリーグでありましたが、97年、98年と2年連続でJ1リーグ最下位。その後もJ1リーグで戦うものの、上位に絡むことができない。それどころか、J2に降格する危機に何度も遭いながら、J2に落ちそうで落ちないということで、チームグッズが受験のお守りになったこともありました。2001年にJ2へ降格してからは、5年周期と言われる、J1に昇格しても定着できず、J2へ1年で降格することを5年ごとに繰り返す厳しい時期が続きました。しかしながら、2020年に現在の長谷部監督が就任すると、1年でJ1へ昇格、翌年の21年には5年周期というジンクスをも打ち破ってJ1に残留を果たし、以降は連続してJ1の舞台で戦っております。途中、チーム経営破綻の危機もありましたが、多くの皆様の御支援により苦難を乗り越え、そして、ついに初となるカップ戦を制し、とうとう初タイトルを獲得するまでに成長いたしました。先日、クラブ最高順位である7位で今季リーグ戦を終了したところでもあります。
 そんなアビスパ福岡ではございますが、市民スポーツの普及促進や地域貢献のために本市としても様々な活動をチームと連携して行っていると思いますが、アビスパ福岡と本市の関わりについてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) アビスパ福岡に対しましては、クラブの設立時より出資を行っており、本市の出資金の比率は約3.6%となっております。また、市民応援デーとして市民の観戦招待を行っているほか、アビスパ福岡と連携し、子ども向けのサッカー教室や高齢者向けの健康教室などを実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) それでは次に、博多の森球技場についてでございますが、1995年、ユニバーシアード開催の際に整備され、その後、アビスパ福岡のホームスタジアムとして使用されておりますが、今日までどのような大会に利用されてきたのか、主なものをお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) これまで主にサッカーやラグビーフットボール、アメリカンフットボールの球技場としてアマチュアや学生等の県大会における準決勝及び決勝戦等を、プロの試合としてはJリーグやラグビーリーグワン等の試合を、国際試合としては令和元年のラグビーワールドカップのうちの3試合を、また、サッカーでは平成8年の男子日本代表や令和3年の男子日本アンダー24代表の国際親善試合をそれぞれ実施しております。その他、サッカーワールドカップのパブリックビューイングやアビスパ福岡のファン感謝祭の会場としても利用しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 1996年、博多の森球技場でサッカー男子日本代表のフル代表の試合も行われたことがあるということでありました。日本代表の試合はトップレベルの選手を見ることのできる大変貴重な機会であり、国内外からの集客力も期待されるところではありますが、日本サッカー協会が定めている現在のスタジアム標準、これはガイドライン的なものなんですけれども、これでは、フル代表の試合が想定される、いわゆるクラスSのスタジアム収容人員は4万人以上、つまり収容人員が今約2万人の博多の森球技場では開催が難しいというのが実態であります。実に残念であります。
 それでは、博多の森球技場について、これまでの主な改修内容についてお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 平成18年度に芝生の張り替え、20年度に大型映像装置の設置、24年度に老朽化した屋根の改修、25年度に外壁の改修、令和元年度に地下アリーナの天井改修をそれぞれ実施しております。また、令和4年度からは2度目となる屋根の改修に着手しておりまして、5年度につきましても、大型映像装置やスタジアム客席照明の更新、芝生の張り替え等を実施しております。
 なお、平成29年度から令和元年度にかけまして、2019ラグビーワールドカップの開催に向けて、その後のサッカーなどの利用も見据えた観客席の個席化や電光掲示板の大型映像装置への改良、LED照明や音響設備の改修、さらに、芝生の張り替えも実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) 整備後、約30年が経過している中、現在のスタジアムについて課題と考えていることはあるのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 直近5年間における球技場の更新経費が令和元年度に約1億6,300万円、4年度には約2億6,200万円かかっており、さらに、5年度には約3億7,500万円を見込むなど多額の費用を要することから、今後も適正に維持管理しながら計画的な施設改修を行っていくことが課題と考えております。また、バリアフリー、ユニバーサルデザインなど、時代に合わせた様々なニーズに応えられるよう柔軟に対応していくことも課題と考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) それでは、市民やサポーターからスタジアムに関する要望や意見などは寄せられていないのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) スタジアムに関する要望等につきましては、ゴール裏のスタンド席について、より観戦しやすくするために、もっと傾斜をつけてほしいとの意見があると聞いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) Jリーグがスタートして30年が経過し、発足当時は10チームだったクラブ数は、現在ではJ1からJ3まで60チームとなっております。スタジアム建設も各地で進んでおりまして、来季では広島や金沢、長崎などで開場するとも聞いております。
 スタジアムを整備する際、多くの関係者と協議、検討を行っていく必要がありますが、その一つに整備主体をどうするのかということがあるかと思います。
 そこで、既存のスタジアム、これまで自治体による整備、所有が多いと思いますけれども、他の手法、例えば、民間による整備等が行われた事例などあればお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 民間による整備等といたしましては、パナソニックスタジアム吹田の事例があり、関西経済連合会などがスタジアム建設募金団体を設立し、資金調達や整備を行っております。整備後、スタジアムは吹田市に寄贈されておりますが、ガンバ大阪が指定管理者として管理を行っており、吹田市の維持管理費の負担はないと聞いております。また、長崎のピーススタジアム コネクティッド バイ ソフトバンクにつきましては、民間により整備が進められており、整備後の維持管理も民間が行っていく予定となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 福田まもる議員。
○46番(福田まもる) パナソニックスタジアム吹田、これは先日、私も行ってまいりましたが、これは行政が一切整備費を負担せず、一部totoの助成金はありますが、民間からの寄附金を中心にスタジアム整備を行った先駆的事例として注目を集めました。また、長崎のピーススタジアム コネクティッド バイ ソフトバンクは民間による整備であり、スタジアムだけでなく、アリーナやホテル、商業施設などが一体となった、まさにまちづくりの核となる一大プロジェクトとなっており、地域創生の起爆剤としても期待されております。
 先日、文化・スポーツ振興推進協議会として、ひろしまゲートパークの視察を行った際に、来年2月の開業に向けて整備を進めているエディオンピースウイング広島についても、お話を伺うことができました。これらの整備主体は広島ではありますが、その事業費をtotoや国の助成金、そして、ここでも民間からの寄附金で補うことで、残りを43億円余ずつ県と市が負担することとなったそうです。設備についても、バリアフリーや大型映像装置といった演出面での工夫などはもちろんのこと、スタジアムを中心としたにぎわいづくり、まちづくりという観点からも様々な検討が行われました。特に私が注目した点は、まちなかスタジアムの実現であります。本来、これだけの大きな構造物を整備する場合は、都心から離れた郊外になりがちです。しかし、ここは新幹線も停車する広島駅から約2キロ、徒歩でも行けそうですが、バスや路面電車など様々な交通機関で移動する選択肢があり、それぞれ最寄りのバス停や駅からは歩いて10分ほどでアクセスできるという点が強みでございます。
 現在の博多の森球技場についても、今後、老朽化をはじめとした様々な課題が浮き彫りになることは間違いありません。その際、様々な課題を洗い出し、改善する方策を導き出していかなければなりません。先ほどのスタジアムのキャパの件もそうです。どれぐらいの収容人員が要るのか。大きいものが欲しいという期待もあろうかと思います。その必要性の点については、どれだけのお客様がスタジアムに足を運んでいただくか、これはアウエーサポーターも含めてなんですけれども、先日、Jリーグのほうが今年のJ1の平均観客数のほうを出されております。アビスパにおいては9,766人、これは実はJ1、18チームあるうち、下から2番目だったそうです。ちなみに、一番多かったのは、言わずと知れた浦和レッズ、これは3万509人、3万人を唯一超えたチームでありました。ただ、この埼玉スタジアムのキャパも6万1,000人と非常に大きなスタジアムでありまして、実際、収容人員に対してどれだけのお客様が入ったという俗に言う収容率という考え方をもってしますと、アビスパ福岡は2万1,562人のスタジアムに対して45.3%ですね。ちなみに、一番収容率が高かったチームというのが実はベルマーレ平塚、これが1万5,000人のスタジアムに対して1万3,000人の観客数、収容率が85.6%、非常に毎回毎回満杯になるようなスタジアムになっておりまして、今、実際に新スタジアムの機運が高まっておるようでございます。実際、先ほどの85%をアビスパに当てはめた場合どうなるかとなると、毎試合毎試合、先日の最終戦の1万8,000人ぐらい常時入っておかなければならないというような状況にもなるようです。
 今後、スタジアムの整備に当たりましては、クラブ、民間、行政などの役割分担、交通アクセス、環境負荷の低減、平時でも集客できる周辺施設とのパッケージ化など、実に様々なことについて検討の余地があります。また、実際その施設に足を運び、利用、そして、楽しまれるであろう市民やサポーターの声を十分に聞くことも必要であります。その検討に当たっては、関係者なども多いことから、検討から実現まで非常に時間を要することは誰もが理解するところであります。実際に先ほどの広島のスタジアムは20年もの時間を要しております。だからこそ、老朽化が進んで支障を来す前から長期的視点で検討していくことが必要であります。また、単なるスポーツの開催場所でなく、スポーツ以外の活用や周辺施設との一体的な整備なども含め、まちづくりの重要なピースとして考えていくべきであります。
 今シーズン、アビスパ福岡がルヴァンカップ初優勝を果たし、市民に夢や希望を与えてくれました。今後のスタジアムについて、クラブをはじめ、国や県、競技団体、経済界、何より市民などと連携し、福岡市の将来に向けて夢のある議論が進んでいくことを期待しまして、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後3時45分に再開いたします。
午後3時35分 休憩
午後3時45分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義)登壇 私は新しい風ふくおかを代表して、子どもの居場所づくりについて質問します。
 まず、本市がこれまで取り組んでこられた子どもの食と居場所づくり支援事業の内容と支援の対象となる子ども食堂の定義についてお答えください。
 以上で1問目を終わり、2問目から自席にて質問します。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子ども食堂は、活動内容は様々でございますけれども、一般に子どもたちに無料または安価で温かい食事を提供する取組のこととされております。福岡市の子どもの食と居場所づくり支援事業は、食事の提供に加えて学習支援や子ども同士の遊び体験など子どもの居場所づくり活動を行うものを対象としており、備品購入などの開設経費、食糧費などの運営経費、報償費などの学習支援経費のそれぞれ3分の2を補助するものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 補助金が交付された団体について、ここ3年の推移をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 補助金の交付団体数は、令和3年度19団体、4年度25団体、5年度は12月1日現在で交付決定済みの団体が44団体となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 補助制度の拡充により、団体数はここ3年で2倍以上増加しています。
 では、今年10月から新たに始めた子ども食堂開催場所等マッチング支援事業について、その概要と目的、実施状況をお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 概要は、子どもの食と居場所づくり活動の拡大を図るために、開催場所や食材保管場所として活用できる空きスペースを広く募集し、子ども食堂とのマッチングを図るものでございます。令和5年8月に空きスペースの募集を開始し、10月から専用サイトでスペースの情報を公開しマッチング支援を開始、12月1日現在で12件のスペースの情報を公開しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 事業を受託しているNPO法人ドネルモさんにお話を伺ってきたところ、重要なのは子ども食堂を継続していくためのサポートであると話されていました。実際に私の地元では地域との連携がうまくいかず、情報発信ができていなかったことで利用者が増えなかった、あるいは運営側の人手が足りなくなったなどの理由で幾つかの子ども食堂がなくなってしまい、利用していた子どもたちの行き場が失われています。私も子ども食堂を訪問している中で、いかに地域と深くつながるかが継続できる鍵だと実感しています。
 数を増やすことも大事ですが、子どもたちのためにと思いを持って立ち上げられた団体が継続できるようマッチング後の伴走支援には特に力を入れていただきたいと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子ども食堂に対しては、補助金の交付に加え、福岡市社会福祉協議会への委託により、活動の立ち上げ、運営に関する相談、食材やボランティアの確保、地域や学校との連携強化、子ども食堂同士のネットワーク形成などの支援を行っております。子ども食堂が継続して活動できるよう、引き続き支援をしっかり行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 答弁にありました食材の支援について、多くの子ども食堂が提供を受けているフードバンク福岡の岩ア理事へお話を伺ってきました。食品ロスへの関心の高まりから食品メーカーからの供給が増える一方で、食材を提供する先も毎年50団体のペースで増え続けています。さらには、個人宅へ宅配料まで負担して食材を届けるケースも増えていて、その配送料だけで年間300万円と、人手も経費も負担が大きくなっているとのこと。一方で、最近はシングルマザーへの支援に加え、まだ小学1年生の子どもが何と2歳児の弟の御飯を作っているといった深刻なヤングケアラーへの支援も増加しているなど、常に現場と向き合っているからこその切実なお話を伺いました。
 今後、マッチング支援事業が進展し、子ども食堂の数が増えた場合、昨今の物価高からも、食材を無償提供するフードバンク福岡の存在はとても大きくなっていきます。食に困っている人々の現状を知る上でも、社協を通じてだけではなく、こども未来局としても定期的な情報交換を行うなどフードバンク福岡との連携を深めていくべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) NPO法人フードバンク福岡との連携は、関係する局において、関連事業の周知や補助金の交付などを行っております。同法人は子ども食堂にとって重要な役割を果たしている団体の一つと認識しており、引き続き福岡市社会福祉協議会を中心としたネットワークなどを通じて連携を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) また、朝食を食べることができない児童生徒に対して、自宅までパンとバナナを定期的に届けているスクールソーシャルワーカーもいると聞いて驚きました。教育委員会の令和4年度事務の管理及び執行の状況に関する点検・評価報告書によりますと、朝食を取っていない割合は小学生で6.7%、中学生で9.4%となっています。
 他都市では、学校の協力の下、地域の方が給食室を使い、朝食を提供している事例もあります。本市としても、朝食の提供を希望する団体が手を挙げた場合、必要な支援をすべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子ども食堂の時間帯や活動内容などについては、運営団体が各地域の実情に応じて実施しており、学校における朝食の提供に当たっては、施設管理上の課題への対応や施設側と運営側の双方の十分な協議、その他の関係者の理解などを得る必要がございます。そのため、朝食を提供したい団体がございましたら、円滑に実施できるよう場所のマッチング支援や、活動に当たっての立ち上げ、運営支援、補助金交付などを通じ、必要な支援を行っていきたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 共働き世帯の中には、子ども自らが親から預かったお金で夜御飯を買いに行っている、両親が仕事から帰宅する遅い時間まで夜御飯を食べることができない、さらには、家で食事を作ってもらうことがほとんどない、なんて家庭もあると聞いて驚きました。困窮世帯の子どもへの支援から始まった子ども食堂の役割が、時代とともに大きくなっています。ぜひ実態調査をしてもらった上で、現場に寄り添った支援をお願いいたします。
 ここからは、日中からの居場所づくりとなるフリースクールへの支援について質問してまいります。
 近年は、小学校低学年における不登校児童生徒が増えています。まだ幼い子どもを自宅に置いて仕事に出かけるわけにもいかず、困窮世帯やひとり親世帯であればより深刻な問題です。本市では、学びの多様化学校を令和7年度に開校する方針が示されたところですが、民間によるフリースクールは、子どもたちが安心して過ごせる居場所として、もはやなくてはならない存在となっています。そのニーズの高まりは教育委員会としても認識をされていると思いますが、本市としてフリースクールに対する具体的な支援策は現状ありません。
 そこで、国が定めた教育機会確保法について説明を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育機会確保法は、平成28年に教育機会の確保等に関する施策に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、基本指針の策定その他必要な事項を定めることにより、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的として制定されてございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) この法律が示すとおり、国はフリースクールに対して学校に通わない子どもが教育を受ける機会を保障する場の一つと位置づけ、教育委員会との連携を求めていることから、補助金の検討を始めている自治体が増えてきています。
 そこで、福岡県が実施しているフリースクール支援事業補助金の内容と実際に利用している団体の数をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡県は、フリースクールの活動のために支出する経費の一部を助成することによって、その持続可能な運営支援を図り、児童生徒の学校復帰や社会的自立に資することを目的といたしまして、県の要綱で定めた要件を満たした施設に補助金を交付いたしております。令和5年度は12施設が利用していると伺ってございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 幾つかのフリースクールにお話を聞いてきました。中には、福岡県から年間200万円の補助金を受けているが、生徒が増えればその分学習を支えるスタッフが必要で、人件費を補う余裕もない。しかしながら、すがる思いで居場所を探す大勢の親子のため、何とか踏みとどまっているといった切実な意見もありました。
 そこで、本市とフリースクールとの意見交換会が年に2回設けられているようですが、その場ではどのような意見が出ているのか、あわせて、施設に受け入れた児童生徒が在籍校において出席扱いとなる要件とその人数をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 意見交換会の中では、フリースクールで行った学習の成果を学校の評価に反映してほしい、児童生徒がフリースクールへ通うに当たり、授業料、交通費、昼食費用などを支援してほしいなどの意見がございました。また、出席扱いについては、文部科学省が当該施設における相談、指導が不登校児童生徒の社会的な自立を目指すものであり、かつ個別指導等の適切な支援を実施していると評価できる場合に、保護者と学校の間に十分な連携、協力関係が保たれていることなどの要件を満たしていれば、校長は指導要録上出席扱いとすることができる旨、通知いたしております。在籍校の校長が当該要件に沿って確認し、教育委員会と協議した上で判断しておりまして、令和4年度に出席扱いとした児童生徒数は117名となってございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) すみません。出席扱いの答弁が177名と伺っていたんですが。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 失礼いたしました。177名となってございます。大変失礼いたしました。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 答弁にはありませんでしたが、他にも学校の教材や備品、運動場、体育館などを貸してほしいとの要望も出ています。そもそも教育委員会として、177名も出席扱いとしている児童生徒がいるのに、全く支援がないのには違和感があります。施設そのものが個別指導の適切な支援を実施していると評価できた場合は、施設に対する支援の在り方も検討すべきではないでしょうか。また、フリースクールは、不登校の児童生徒を日中から長い時間預かる場所なのに、そのほとんどが食事を提供する余裕がないために、持ってきたお菓子だけを食べて過ごしている子どももいます。潤沢な補助制度によって支えられている子ども食堂と同じように、フリースクールが食事の提供を行う場合の支援の在り方を検討いただくよう要望しておきます。
 ここからは、子どもたちが安心できる居心地のよい居場所の確保という観点から、空き家を活用した子どもの居場所づくりをテーマに質問していきます。
 まず、空き家の利活用に対してどのような施策に取り組んでいるのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和3年12月に策定した福岡市空家等対策計画を踏まえ、空き家等の適切な管理の促進として、市民意識の啓発や専門家と連携した相談体制の構築、空き家等の活用促進として、空き家バンクなどによる既存住宅の流通やリフォーム市場の活性化促進、空き家等の多様な活用方策の検討、実施などに取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 空き家バンクの登録状況についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和2年度に運用を開始し、4年度に1件、5年度に1件の登録がなされております。なお、現在6件の相談を受けているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 運用開始から約3年がたち、実際に登録されているのが僅か2件とのことですが、登録が増えない要因についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 登録件数につきましては、他の政令市と比較しても空き家率が比較的低いこと、人口増加等によって不動産流通が活発な状況であり、空き家バンクへの登録まで至らないケースが多いことなどの様々な要因があると考えております。一方で、市場に流通していない賃貸や売却用以外の居住目的のない空き家につきましては、民間住宅ストックの積極的な活用を促進するため、制度の周知や市場に流通しづらいと思われる郊外部の空き家の掘り起こし調査などを通して空き家バンクへの登録を促しており、引き続きしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 今年6月、国土交通省により空家等対策の推進に関する特別措置法の一部が改正され、空き家の活用を促進していく方向性が示されましたが、本市としての見解をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市においては、空き家活用の社会的ニーズの高まりを受けて、空き家を利活用の余地がある地域の資産として捉え、市全体で施策を総合的かつ計画的に推進するため、空家等対策計画を策定しております。同計画を踏まえ、空き家の発生予防や利活用、適正管理の推進など幅広く取り組んでおり、特に利活用においては、多様な活用に向けた庁内連絡会議を設置して情報共有などを行うとともに、令和5年度から空き家を地域の集会施設として活用する場合などの改修費補助制度を創設したところでございます。今回の法改正により可能となった、空き家の有効活用の促進や適切な管理等に資する新たな措置の活用なども検討しながら、引き続き良質な住宅ストックの形成に向け取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 自宅のすぐ上の空き家が崩れ落ちてきやしないか、空き家のブロック塀が劣化していて、通学路なのに危ないなど、これまで度々地域から空き家についての相談を受けてきました。先ほど不動産流通が活発で空き家バンクの登録まで至らないとの答弁でしたが、人口が増え、地価が上昇している私の地元六本松でも放置をされている空き家は幾つもあります。ただ、所有者も近隣の住民も不動産会社も誰も手をつけようとしないだけではないでしょうか。管理不全となった空き家は、放火のおそれや老朽化による壁の倒壊、はたまた地域の衰退化の要因となるなど近隣住民にとっては切実な問題である一方で、所有者にとっても空家特措法の改正により固定資産税が従前の6倍になるといった大きな問題があり、そうなる前に活用方法を見いだすべきです。
 そこで、空き家を活用した画期的な子どもの居場所づくりとなっている事例を2つ、パネルで紹介します。(パネル表示)こちらですけれども、平尾浄水町にあります築50年の空き家なんですが、所有者の方は結構御高齢なんですけれども、ぜひ子どもたちのために使ってほしいと、保育園を経営されている田代あやさんに相談をされまして、半年ほど前に子ども食堂サークルとして開設をされました。今日傍聴にも来ていただいております。毎週水曜日の15時から19時まで毎回80名近くの子どもが参加をしております。ここの特徴として、近くの高校生らが自主的に通い、子どもたちの遊び相手や学習支援をするなど小学生から高校生まで幅広い世代の子どもたちが交流していて、将来の夢を語り合う場にもなっています。(パネル表示)このように畳の部屋があってですね、子育て世代のお母さん方の交流の場にもなっていますし、また、子どもが自由に走り回れるようなお庭もあります。こういったように、子どもたちだけでなく、親も伸び伸びと気軽にゆっくりと過ごすことができるということになっています。
 次ですけれども、(パネル表示)こちらも築50年なんですけれども、所有者である新里美帆さん。美帆さんも今日傍聴に来ていただいておりますが、自宅の1階部分を開放し、NPO法人福岡てらこやあそびというフリースクールとして、不登校の児童生徒約20名を受け入れています。(パネル表示)こちらでは福岡大学の学生さんたちが中心となりまして、遊び相手や学習支援をしてくれていますけれども、ボランティアとして来てくれていることから経費を抑えることができ、その分利用者の負担を少なくしています。この彼がその福岡大学生なんですけれども、私がちょうどお伺いしたときに、学校ではふさぎ込みがちな男の子が、見学に来た初日から大学生らと楽しそうに遊んでいる姿を見て、両親も私も驚きました。実は出席扱いとなっている児童生徒も多く、在籍校へ復帰するケースもあるようです。年々入所希望者は増え、今では定員がいっぱいとなっていて、新たな場所を探しているとのことでした。
 この2つの事例に共通しているのは、いずれも築年数がたったお庭や畳の部屋がある古民家で居心地がよく、所有者の御厚意によって事業が成り立っていることです。しかも、比較的年齢が近い学生がお手伝いに来てくれるおかげで、子どもたちは学習意欲が湧き、学生にとっても将来の子育てにつながるよい学びとなっています。
 実は、先ほどの子ども食堂サークルさんに自宅の使っていない1階部分を子ども食堂に使ってほしいと都心に立派な戸建てを持っている御高齢の所有者さんから連絡があり、早速ドネルモさんに団体とのマッチングを依頼しています。このように、自宅への思い入れが強く、壊すのは忍びない、空き家として放置しているくらいなら子ども食堂やフリースクールなど社会貢献に使ってほしいと思う所有者はもっといるのかもしれません。
 そこで、以前、松野副議長も熱い思いで質問されていました社会貢献型空き家バンクについて、その事業の目的と内容、実績についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 空き家の地域福祉への利活用を図ることを目的に、福岡市社会福祉協議会と古家空家調査連絡会の共同事業体が空き家を活用してほしい所有者と地域の居場所や福祉目的の事業所などに活用したいと希望する方をマッチングするもので、これまでに9件の実績がございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 令和元年に事業がスタートして約5年で9件の実績、果たしてこれを多いと見るかどうかですが、先日、社会福祉協議会に出向き、担当課長にお話を聞いてきました。空き家を活用したいという団体からの依頼は年間30件近く増加しているのに対し、条件のよい物件を提供してくれる所有者からの申出がないためになかなかマッチングがうまくいかないとのこと。空き家を福祉活用した場合は固定資産税の一部免除といったインセンティブもあるようですが、やはり待つだけでは物件を集めるのは難しいのかなと感じました。
 そこで、知り合いの不動産会社に空き家活用について相談をしたところ、六本松で所有している空き家を社会貢献に使ってほしい人がいると町内会長を経由して話があり、利活用に向けて具体的に話が進むことになりました。さらに、地元の不動産会社数社からも、子どもの居場所をつくることはとても共感できるし、地元に社会貢献をしたい、空き家物件の登記簿調査と空き家所有者に対して利活用を促す働きかけをしたいと申出がありました。このように不動産会社の協力を得ることができれば、より理想的な子どもの居場所としての物件情報を得る可能性が広がり、子どもの居場所と空き家というお互いの社会課題を解決する取組として効果は大きいと思います。しかしながら、空き家や古民家を安全に使用するためには改修を必要とする場合が多い一方で、子ども食堂にしろ、フリースクールにしろ、市民の善意の事業であり、大きな収益は見込めません。したがいまして、物件情報を集めるための官民連携の仕組みづくりと併せて、社会貢献として空き家を利活用した場合の改修費用に係る補助金制度の仕組みづくりを関係各局連携の上、検討いただくよう要望しておきます。
 多様性の時代において子どもに居場所の選択肢を増やすことはとても重要であり、各局が協力し、NPOや民間企業と連携できれば、その可能性は広がるのではないかと私は確信をしています。
 今後さらに大きな社会課題となるであろう子どもの居場所づくりにはより一層力を入れてほしいと思いますが、様々な子育て支援策に力を入れていただいている島市長に御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 子どもはその一人一人が未来をつくっていくかけがえのない存在であり、子どもが様々な人との交流や体験を通して自分が大切な存在であることを認識し、心豊かに成長していくために安心して過ごすことができる子どもの居場所は大変重要な役割を果たしていると考えております。昨今、貧困や虐待、また、不登校やいじめ、孤独、孤立など子どもや家庭が抱える課題は複雑化し、加えて価値観の多様化に伴って家庭や学校とは異なる居場所の重要性は増しております。福岡市におきましては、これまでも様々な地域資源を活用し、子どもの居場所づくりに取り組んできたところであり、引き続き空き家も含めた多様な場所を活用しながら、地域全体で子どもを見守り育む環境づくりをしっかりと進めてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ)登壇 今日は、学校給食における市産米の積極的な活用ということについてお尋ねさせていただこうと思います。
 今、福岡市の学校給食では週に3日が御飯食、週に2日がパン食ということで、私は、お米、これは国内ではほぼ自給率100%なんですね、身近にお米があるのに、いまだになぜわざわざ安価な輸入小麦を使ったパンを給食で出さなければいけないのか、本当にそれでいいのかと。やっぱり戦後の食糧難に給食が再開された時代とは違うわけですから、私はそういう意味で、いまだにこの御時世になっても安価な輸入小麦を使ったパン食、これを本当に続けるべきかどうかということを常々考えているんですけれども。そういう思いも含めて今日お尋ねさせていただきたいんですが、まずは平成17年に制定された食育基本法、その目的の中で食育を推進することが緊要な課題となっている理由として、我が国の食をめぐる状況の変化ということが挙げられています。
 そこで、ここでうたわれている我が国の食をめぐる状況の変化とはどういう変化だと認識してあるのか御質問させていただいて、以下、2問目以降は自席で行わせていただきます。
 
○副議長(松野 隆) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 食育基本法によりますと、社会経済情勢が目まぐるしく変化する中で、栄養の偏りや不規則な食事、生活習慣病の増加などの問題に加え、新たな食の安全上の問題や食の海外への依存の問題が生じていることなどが示されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 今御答弁いただいたように、食を取り巻く状況というのは、安全上の問題や海外依存の問題など新たな課題を抱えているわけです。
 先ほど申し上げたように給食で使われている輸入小麦、これまでも収穫後の残留農薬等について様々な指摘がされているところなんですが、いずれにしても御飯であればお米と水だけなんですね。完全に添加物も要りません。パンはそういうわけにはいかないんですね。
 ちょうど10年前の2013年12月、和食文化がユネスコの無形文化遺産に登録されています。和食文化の主食はお米です。お米と一汁三菜は栄養バランスにも優れているとして世界的にも評価をいただいているわけで、何よりも食事を通して日本の食文化を理解していただくということが可能になるわけです。また、14年前に改正された学校給食法、これでは子どもたちの心身の健全な発達に資するという目的に食育の視点が新たに加わっています。あわせて、基本法に準じた推進基本計画、ここでもお米を中心とした日本型の食生活の実践、それから、学校給食においては米飯給食の確実な実施がうたわれているわけです。輸入小麦と違って生産者の顔が見えるお米、これは地産地消にもつながります。このように米飯食に対する意識が国内でも随分変わってきているというわけですから、既に学校給食を全食米飯食に切り替えていくというフェーズに私は入っているのではないかなと、そんなふうに思っています。行政的な課題は様々あると思いますけれども、全食御飯に切り替えていくということについては、これは法的には何の制限もないわけですから、その気になればやれることと、私はそう思っています。そういう意味で、ぜひ全食米飯給食に移行していくための検証、検討もぜひしていただければなというふうに思っています。
 また、福岡市には、先ほどお話しさせていただきました市内産のお米の中にJA福岡市さんが取り組んでいる無農薬米で赤とんぼ米というプライベートブランド米があるんですけれども、この赤とんぼ米とはどのようなお米かについてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 赤とんぼ米は、JA福岡市が1980年代から全国に先駆け、田んぼの害虫を食べる益虫の力を借りて農薬の使用回数を減らし、無農薬、減化学肥料などにより栽培した米でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 昭和56年から42年にわたって、ジャンボタニシを雑草駆除に使用したり、さらには化学肥料の使用量を減らす試み等に取り組んでこられた、この赤とんぼ米というのは、JA福岡市のPBですね。
 現在ではこのような栽培方法が全国的にも広がりを見せ、各地で赤とんぼ米が作られているということで、このようなすばらしい赤とんぼ米を学校給食でも積極的に活用するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食で使用する食材は、地産地消の観点から市内産、県内産、九州産、国内産の順で調達に努めてございます。米についても、JAと生産状況を踏まえた協議を行い、できる限り市内産米を使用することとしておりまして、令和4年度は約108トンの赤とんぼ米を使用いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 既に学校給食においては一部で使用されているということなんですが、今以上に供給いただいて、全食米飯給食に向けて使用比率を高めていくと、こういうことが望ましいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 学校給食における市内産農林水産物の活用につきましては、JA、教育委員会、農林水産局などによる協議会において、その活用について取り組んでいるところでございます。赤とんぼ米は生産量が限られる一方で、ブランド米として需要が非常に高く、JA福岡市においては、直売所や民間事業者などで幅広く販売されている中、最大限学校給食での活用に努力いただいているところでございまして、今後ともできるだけ多くの活用に向けて協議を継続してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 限られた量の赤とんぼ米をJA福岡市さんに御協力いただいて、学校給食にも販売いただいているということは理解しました。
 今後とも協議をされていくということなんですが、やっぱり一番重要なのはお米の買い付け価格の問題だと思います。この赤とんぼ米にかかわらず、他の市内産米の生産者の方々についても言えることだと思いますが、通常の取引金額ではなかなかやっていけない、いけないからこそ生産者も急減し、後継者不足の問題、こういうものも深刻化しているのだと思います。千葉県いすみ市のように有機米を通常取引額の1.5倍の価格で買い取ってあるような自治体もあるわけですから、やはりそのような安定した収入を担保にしないと米農家の方々も安心して生産には取り組めないのではないかなと、そんなふうに思っています。
 そこでお尋ねなんですけれども、この赤とんぼ米を生産してあるような急減してある生産者の確保、後継者育成、それから、これまでの42年にわたって積み上げられてきた生産ノウハウですね、こういうものの伝承について、福岡市はどのように考えて、そして、どのように支援をされているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 赤とんぼ米は、JA福岡市において長きにわたり病害虫に強い稲づくりの研究が進められ、その生産方法が継承されてきております。福岡市におきましては、JAや県と組織する農業指導センターにおいて後継者育成に取り組むとともに、生産者の確保のため、営農継続に必要なトラクターなどの機械購入の助成や、赤とんぼ米のPRなどを実施しており、今後とも、支援を継続してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) そもそも無農薬栽培というのは、地域エリアが一体となるから初めて可能になるわけで、人口164万人の政令指定都市の中でこういうエリアが残っていると、存在しているということ、それから、付加価値をつけていくためにこれまで生産者として生き残りをかけてこられた、そういう方々がおられる、素晴らしいお米がこの市内で生産されているんだと、こういうことを市内のお子さんたちにもしっかりお伝えしていきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校では、給食で使用する市内産の米や野菜を生きた教材として担任や栄養教諭が活用することにより、子どもたちは生まれ育った地域の農産物の生産や流通について学びを深めてございます。また、全ての家庭に配布する献立表や食育だよりなどを通しまして、市内産無農薬米を給食で活用していることの周知にも新たに取り組んでおりまして、今後も様々な機会を捉えて情報発信に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) よろしくお願いいたします。
 今回、この質問作成の過程の中で、お米、パンのような主たる食材を令和2年に県の学校給食会から市の給食公社に、直接契約に切り替えられていたということを私初めて知りました。これによって地産地消への取組がより柔軟に対応できるようになったと伺っています。これは市長の決断もそうでしょうし、いろんな方の御尽力でこういうふうになったんだろうと思いますけれども、大変なことではないかと思います。
 ぜひ今後とも、福岡市らしい給食事業を通して、中長期にわたって赤とんぼ米のような市内生産者の支援、それから、農業生産者に対する取組、こういったものもしっかりと見詰め続けていただくようにお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 私は、博多港関連、自衛隊名簿提供と学校安心メール関連の質問を行います。
 まず、博多港の防衛強化について、報道でもあるように、国が防衛力抜本的強化を打ち出す中にその必要性が高い整備対象候補として博多港が含まれています。選定に当たり、国から説明があった日時や内容について伺います。
 以降の質問は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 10月10日に国からは、博多港が選定されたという報道については確定したものではないことや、総合的な防衛体制の強化に資する取組の方向性について説明を受けております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) その国からの説明内容をお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 特定重要拠点港湾とされた場合には、岸壁や航路の整備などの既存事業の促進と平時における自衛隊、海上保安庁の船舶が円滑に利用できるような利用調整に関する枠組みを設けると聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 自民党外交部会長などを務めた佐藤正久参議院議員の、有事に米軍が部隊派遣できるようにする意味もあるとの発言があり、特定重要拠点整備の狙いが明らかにされています。自衛隊の使用可能な施設は米軍が使用できるものとなり得ますが、軍用のための整備が必要だと考えているのか、市長に御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港は物流や人流のための商港でありまして、軍用のための整備は考えておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 平時と戦時の線引きがなくなりつつあると言われている中、福岡市が兵たん基地となれば標的になるとは考えられないのか、市長の御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港は物流や人流のための商港であり、特定重要拠点港湾とされた場合においても現在進めている岸壁や航路の整備などの既存事業が促進されるものであり、博多港における各埠頭の利用状況が変わるものではないと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 地方自治体として住民の命、財産を守るべく、戦争をさせないまちづくりをすることが重要だと考えます。市民の日々の平和な暮らしが何より大切だからこそ、国が進める軍備増強に対して反対されるべきで、その姿勢を見せることがとても重要なことと考えますが、市長の御所見を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 博多港においては、物流や人流のさらなる拠点となるよう岸壁や航路整備などの既存事業を推進してまいります。国の安全保障に関することは、国の責任において適切に対応されるべきものであると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 国や市が言う適正や適切が住民にとって本当に適切なのか適正なのか、疑義を抱くようなことが多々起こっています。市長は市民の代表として軍用化を拒否し、有事にさせない政治が執り行われるよう国に求めることを強く要望いたします。
 次に、自衛隊への本人の同意なき名簿提供についてです。
 本人の同意のない名簿をプリントアウトして4年間提供してきた人数、提供を拒否された人数を年度ごとでお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの提供人数につきましては、令和2年度は2万9,817人、3年度2万9,536人、4年度2万9,451人、5年度2万9,452人でございます。また、除外する措置を行った人数は、2年度233人、3年度67人、4年度97人、5年度186人となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 約12万人分の大量な個人情報が渡されています。
 では、閲覧時の書き写しによる名簿提供は何年から始まって、いつまで、どこで、年間何人ほどされたのか伺います。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自衛隊による住民基本台帳の閲覧につきましては、関係文書の保存期間が5年であるため、開始の時期は把握できておりませんが、令和元年度までは行われておりました。閲覧数につきましては、記録がある限りにおいて、入部出張所を除く7区役所及び西部出張所の合計で、平成30年度が約4,600人、令和元年度が約4,800人となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 閲覧については、市の広報に掲載されていて、調べられるとは思います。
 では、過去も含め、取得した名簿の破棄状況の説明を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 令和元年度までは自衛隊によって裁断処分がなされていることを申請時に確認の上、実施をいたしております。2年度以降につきましては、自衛隊と募集対象者情報の取扱いに関する協定を締結し、シュレッダー処理の状況が確認できる報告書により適切に廃棄されたことを確認しております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 破棄するときに市の職員が立ち会うわけではなく、管理徹底とは言えません。本来は志願者募集に係る受託事務です。
 希望者を募ることが個人情報保護の観点のあるべき姿で、そうしない理由を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自衛隊への名簿提供につきましては、個人情報保護法第69条第1項の法令に基づく場合に該当することから、本人の同意を要することなく実施できるものです。その上で、情報提供を望まない方については除外措置を行うとともに、自衛隊と協定を締結し、適切な管理を徹底するなど個人情報の保護に配慮いたしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 配慮に欠ける重要な点として、名簿提供対象者に対して国内外での具体的な日米合同軍事訓練の実情などを伝え、声を聞く機会を公式に設けられたのか。もし設けられていなければ、その理由をお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自衛隊への名簿提供につきましては、個人情報保護法の規定に基づき、本人の同意を要さずに実施できるものでございます。なお、情報提供を望まない方への除外措置などにつきましては、市政だよりやホームページなどで周知を図っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 軍事訓練等の実情を伝えない理由にはなっていません。
 法令に基づく場合ということですが、住民基本台帳法の趣旨にも反していないのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自衛官等募集対象者情報の提供につきましては、令和3年2月の国からの通知において、住民基本台帳の一部の写しを用いることについて、住民基本台帳法上、特段の問題を生ずるものではないと示されているため、同法の趣旨に反していないものと認識をしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) これは閲覧の概念でしかなく、市長は自衛官等募集に協力する範囲を超えていると指摘いたします。
 個人情報保護法が変わっても、本人の同意のない名簿を自衛隊に渡すことには無理があると考えます。だからこそ個人情報保護委員会に意見を求めたのだと考えますが、その回答についてお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 国の個人情報保護委員会からは、自衛隊法施行令第120条に基づく提供は、個人情報保護法第69条第1項の法令に基づく場合に該当する、また、同法第69条第1項または他の法の規定により、保有個人情報の提供が可能である場合において、実際に提供を行うべきか否か、その具体的方法については、地方公共団体において、それぞれの法令の趣旨に沿って適切に判断することとの回答をいただいております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) この法第69条、利用及び提供の制限に該当するため、国は提供してもいいとは言えないから自治体の長に責任を負わせているということです。
 では、自衛隊法の解釈文献とされる1974年発行の防衛法という書籍には施行令120条はどのように書かれているのかお尋ねし、加えて、本人の同意のない名簿提供が法令に基づいているのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) おただしの内容につきましては、書籍を有しておらず、確認ができませんが、いずれにしましても、自衛隊への名簿提供については、個人情報保護法の規定に基づき、本人の同意を要さずに実施できるものと認識をしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 施行令120条は募集が円滑に行われているかどうかを判断する規定であり、市が確認していない法解釈では個人情報提供の根拠はなく、個人情報保護の観点は一切ありません。募集チラシのポスティングのために得た個人情報を使って、複写や委託が駄目で、それを実際どうしたのか、募集が円滑に行われたのかは判断どころか、市は関知されていません。
 また、提供に踏み切るときに審議会に諮られましたが、答申はあくまでも判断するための材料でしかなく、最終判断は市長がしたことになります。その認識について、市長にお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自衛隊への名簿提供につきましては、令和2年度からの開始に当たり、個人情報保護審議会からの答申を踏まえ、福岡市として判断した上で実施したものでございます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) これは最終決裁は市長ではないんですか。市長が答えるべきと考えますが、次に進みます。
 他都市調査をしました。提供しない判断ややめた自治体がありますが、本市は名簿提供をやめないのか、市長の所見を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自衛官等募集事務につきましては、法定受託事務として可能な範囲で協力する必要があり、募集に必要な情報の提供は、自衛隊からの依頼を受け、個人情報保護法に基づき実施をいたしております。名簿提供に当たっては、情報提供を望まない方を除外することとし、その周知を図るとともに、自衛隊と個人情報の取扱いに関する協定を締結するなど管理の徹底を図った上で適切に実施をしてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 関係法令に規定はなく、その確認もせず、名簿提供を可能と判断したこと、本人の権利利益を不当に侵害していることを指摘いたします。自衛隊への本人の同意なき名簿提供の撤回を強く求めておきます。
 次に、安心メール問題について、今年7月にワクチンの治験案内メールが配信された学校安心メールについて、利用開始をするにはどのような手続が必要で、学校は保護者の個人情報をどう提供したのか、お伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校安心メールは、各学校がメール配信会社と利用に当たっての条件等を確認した上で保護者に利用登録をお願いしておりますが、保護者による本サービスの利用規約確認後、氏名等の登録を行っていただくことになっており、学校から個人情報の提供は行っておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、メール配信会社は全ての学校で書面を取り交わしているのか、お伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 利用条件等を記した利用確認書を取り交わしている学校と口頭で確認している学校がございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) その利用確認書の取り交わし状況はそれぞれ何校なのか、お伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 利用確認書を取り交わしている小学校が48校、口頭で確認している小学校が60校となってございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) この確認書がある中でも日にちは入ってない、それから、校長名も入ってない、いろんなものがしっかりされていないのがあります。
 そして、口頭だけの学校が60校もありますが、重要な書類がないのは問題でないのか、市の認識を伺います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 利用確認書は、利用する際の条件等について学校が事前に確認したということを示す書類であること、また、児童生徒や保護者の個人情報を学校が提供するものではなく、保護者に利用規約確認後、個別に利用登録を行っていただいていることなどから問題があるとは考えておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 結構細かく、年度によっては項目が違ってきています。やはり一校一校の状況が違ったり、そういったものがちゃんと書面であるべきだと考えます。
 では、学校でのメール配信サービスはいつから始まったのか、また、2012年に教育委員会がメール配信サービスを導入した経緯について説明を求めます。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校においては、平成18年度から順次、メール配信サービスの導入を開始いたしております。一方、緊急情報を全市一斉に配信するニーズの高まりから、全ての学校へのメール配信サービスの導入を加速する必要があったために平成24年度から教育委員会主導でサービスを導入しておりましたが、その後、全ての学校においてメール配信の環境が整ったことから、教育委員会による仕組みは平成28年度に廃止いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 市のホームページには福岡市教育委員会緊急メール開始のお知らせがいまだにあります。検索すれば出てきます。テクノミックス社にそれがつながっていきます。
 利用登録をする保護者は、便利さを得ることと同時に個人情報を提供しているという自覚をしっかりと持つことが重要と考えます。しかし、学校からの案内ということで、安易にその名のとおり安心するし、教育委員会との契約があるものと勘違いをします。その点、教育委員会として問題があると考えなかったのか、お伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校安心メールの利用を希望する学校がメール配信会社と条件等を相互で確認した上で保護者に利用登録をお願いしております。また、児童生徒や保護者の個人情報を学校が提供しているものではなく、保護者による利用規約確認後、個別に利用登録を行っていただいており、問題があったとは考えておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 現在の広告つきメール配信サービスの仕組みでは、今後も不適切な広告を保護者に送る危険性があります。実際に、広告に対する学校でのチェック機能は働きませんでした。 広告のチェックができないことに対する教育委員会の認識をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校安心メールは、メール配信会社が広告の基準を定めて運用している一方で、効率的に保護者に連絡できる一斉メール配信サービスを無償で利用できるというメリットもございます。そのため、現在福岡市だけでなく全国でも広く活用されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) きちんとした確認書がそろわない状況の中で、お金を出せば広告を出せるシステムをメリットとするのが教育現場のすることでしょうか。教育機関を通じ、個人情報を企業に保有させています。メリットの裏にデメリットが隠れています。このようなデジタル時代だからこそ、教育委員会の責任において教育の在り方としての改善が必要です。
 最後の質問で、教育委員会が責任を持って広告の入らないメール配信の仕組みを構築すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 現在既に、保護者に連絡ができる様々なサービスについて、機能及び広告表示の有無、有償であるか無償であるかなどの確認作業を行っております。今年度中にはもう既に行っておりまして、改めて各学校に対し、安心して活用できる適切な民間サービスを紹介していく予定としております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) ぜひ本当に安心ができる、そして、緊急時にはしっかりと正しい情報が届く、
そんなものを出していただきたいと思います。そして、個人情報に関する取扱い、本当に市全体としてもっともっと質を上げていただきたい、そう考えます。ぜひ誠実な市政運営、そして、教育委員会での教育現場の在り方、今後とも、しっかりと検討を重ね、市民、子どもたちにも胸を張って言える市政運営をお願いしたいと思います。これで質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) この際、時間を延長いたします。川口浩議員。
○52番(川口 浩)登壇 私は、バス停へのベンチの設置について、道路の渋滞対策について、以上2問についてお尋ねいたします。
 まず、バス停へのベンチの設置についてですが、福岡市では市長が何百か所やりますということで、バス停にベンチをする事業を行っておられますけれども、この事業はいつから始められたのか、また、この事業の目的及びこれまで何か所ベンチを設置してこられたのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問させていただきます。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) ベンチプロジェクトにつきましては、高齢者、障がい者、子育て世代など誰もが気軽に外出できる環境づくりを進めていくため、平成28年度から実施しているものでございます。事業開始以降、令和5年3月末時点でバス停付近に458か所509基、バス停付近以外の買物の動線やウオーキングコース沿いなどに69か所107基、合計で527か所616基設置しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) エムシードゥコーさんのも入れているのかどうか、ちょっと分かれば併せて答弁を後でお願いします。
 それと、道路への設置については残存幅員が2メーターないと設置できないと聞いておりますけれども、具体的な設置基準や法的根拠がありましたら教えてください。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) ベンチの設置基準につきましては、道路法に基づき制定された道路構造令において、ベンチ設置後の歩道の有効幅員を2メートル以上、歩行者の交通量が多い歩道においては3.5メートル以上の確保が必要であると定められております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 地域の方々によって以前から設置されているベンチをよく見かけることがあります。残存が2メーターないのかなと思いますけれども、市はこれらのベンチの数を把握しておられるのか、また、地域が設置したベンチを市が撤去することはあるのか、過去に撤去した数がどれぐらいあるのか、御存じでしたら教えてください。また、地域が設置したベンチの撤去要望があった場合、ベンチの所有者をどのようにして確認するのか、また、その撤去費用はどうなるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路上において地域が設置しているベンチの数につきましては、把握はいたしておりません。破損や老朽化により危険であるとの理由で地域からの撤去要望などがあった道路上のベンチにつきましては、所有者が不明である場合、道路上の安全確保の観点から道路管理者が撤去することがあり、撤去実績としましては、平成30年度から令和4年度までの5年間で13か所となっております。また、ベンチの所有者の確認につきましては、地域にお尋ねするほか、ベンチに記載された広告物などを頼りに探すこととしております。所有者が見つかった場合の撤去費用につきましては、所有者自身に御負担いただいているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) それでは、市では道路用地の買収に当たってベンチを設置する観点で用地を確保しているのか。また、今後はどれぐらいのベンチの設置をしていこうと目指しているのか。今の設置基準では、ほとんど設置できるのは幅員が広い都心ばかりで、幅員が狭い郊外部では設置が難しいと考えますが、所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) これまでの道路用地の買収におきましては、道路構造令などにのっとり、車両や歩行者、自転車等の安全かつ円滑な通行を考慮しながら幅員を決定した上で買収範囲を定めており、休憩施設であるベンチの用地確保については考慮しておりません。しかしながら、今後は、道路の計画段階において、バス停の設置が明確な箇所につきましては、ベンチ設置の可能性について検討を行う必要があると認識しております。また、バス停へのベンチの設置につきましては、令和4年度に設置可能な全てのバス停に設置を行っており、新たな設置計画はないものの、今回、歩道の幅員が狭く、ベンチが設置できなかったバス停においても、引き続きベンチの設置に向けた検討が必要であると認識しており、現在、より幅を取らないベンチの検討などを進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 用地買収のときに余計買うのも大変ですし、狭いところだと、今言われましたけれども、もともと残存が2メーターだったら細くしても設置ができないんですね。大変困っているなと思います。
 そこで、道路への設置が厳しい地域では民有地に設置している状況もあると思いますが、市の支援の手法や条件はどのようになっているのか、また、民有地への設置を支援した件数や、また、撤去された件数があれば教えてください。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 地権者や地域団体がバス停付近の民有地や地域が希望する民有地にベンチを設置する場合には、最大10万円の補助を実施しております。これまで43か所57基に対し補助を行っており、民有地の用途変更などにより2か所2基が撤去されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) ベンチプロジェクトは、高齢者や障がい者など誰もが安心して外出しやすい環境をつくることが目的と聞いておりますけれども、しかしながら、現実は身近なベンチは撤去されていく運命というか、そういうのが多くなっていくのではないかと。都心には新しいのができるけれども、昔、民間でつけておられたのは今後どんどん苦情が来れば撤去せざるを得ない、合法ではないということになってしまっています。
 そこで、幅員の狭い道路へのベンチの廃止や設置に当たって、地域や関係者の意見などを聞くなどの協議は行っておられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) これまで、ベンチ設置後の有効幅員が基準を満たしている全ての場所へ設置を行っております。このため、有効幅員が確保できない場所へのベンチ設置を前提とした地域や関係団体などとの協議は行っておりません。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 最後にこの分はしますけれども、言いたいのは、残存2メーターというと都心や博多駅、天神ではできるけれども、交通結節点だったり、郊外の主要なところでも残存2メーターはないんですね、もともと道路を造るときもそういうふうになっていませんし。それで、何で残存2メーターかというと、車椅子が離合と。しかし、私は残存1メーターちょっとあれば、このバス停の区間だけですから、もやいでね、お年寄りにベンチが設置できたり、そういうこともあってもいいのかなと。これは、私は市がそういった高齢者や障がい者団体の方とかと御相談されて、場合によっては市が認めるところは、残存、まずは1メーターでもね、設置ができるようなことも検討していいのではないかと思いますが、それがうまくいけば市長得意の特区で国のほうにお願いするとか、全部2メーターでないといかんぞというのではかえってうまくいきませんよというふうに思いますけれども、取り組む意欲はありますか。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 高齢者や障がい者をはじめ、誰もが安心して外出できる環境づくりは重要であり、バス停へのベンチ設置につきましては、引き続きしっかりと取り組んでいく必要があると認識しております。一方で、歩道の幅員につきましては、道路利用者が安全かつ円滑に通行するため、基準で定められた有効幅員の確保が必要であると考えております。今後とも、少しでも多くのバス停にベンチを設置できるよう関係局と連携し、地域や関係団体等と協議、調整を行いながら、より幅を取らないベンチの設置を検討するなど取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 幅の狭いベンチとかいう次元ではないんですよ。もともと2メーター残存なんて、ほとんど郊外にないわけですから、まずは1メーターではどうかと。これはしなさいということではない、これはお願いしている。まず関係者に御相談してみていいんじゃないかと、いろいろな協議の場を持って。そして、市長が判断するならば、こういうところをどう思いますか、国はと、特区でもというようなことにつながれば、譲り合うことによってたくさんの高齢者や弱者が助かるのではないかと思っております。これは上屋も一緒なんですけれども、バスがやっぱり命なんですね、郊外の高齢者の方とか。これは要望しておきます。私は不十分と思いますので、しっかり関係者と話合いの場を持つということが大事だと思います。
 次に、道路の渋滞対策についてですが、福岡市の渋滞している箇所数は幾らあるのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 一般道路の主要渋滞箇所数につきましては、令和4年8月時点で75か所あり、その内訳は福岡市の管理道路27か所、国の管理道路48か所となっております。また、福岡都市高速道路の主要渋滞箇所数につきましては、令和4年度時点で10か所と福岡北九州高速道路公社から聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 何をもって渋滞というのか、その定義についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 一般道路におきましては、国において、車両の平均速度が時速20キロメートル未満などの要件が示されております。また、福岡都市高速道路におきましては、福岡北九州高速道路公社において、国の選定要件に準じ、車両の平均速度が時速20キロメートル以下などの要件が示されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 渋滞箇所の経年での把握状況はいかがですか。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 一般道路につきましては、国の調査結果を基に毎年交差点における車両の平均速度を確認しております。加えて、主な交差点につきましては、毎年交通量を計測するとともに、渋滞長などを把握しております。また、福岡都市高速道路につきましては、福岡北九州高速道路公社において、年間を通じて継続的に車両の平均速度や渋滞長などを確認しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 私は、国の言う20キロ、これは国が任意で調べているんですね、これを把握しているのでは駄目だと思うんですよ。私も都市高に乗って全然動かないという経験や、3号線でも時期によっては、わあ、今日はひどいなと。
だから、もっと20キロではなくて、5キロとか10キロとか、これが頻繁にあっているとか、もっと詳しい部分を市は把握すべきではないですか、いかがお考えですか。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) より詳細な渋滞状況の把握につきましては、調査方法やデータ整理を含め、国や福岡北九州高速道路公社と協議を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 協議する前に自分でやろうと思えばできるでしょうが、人のせいにせんでね、データは出ておるんだから、それをちゃんとして公開すべきじゃないですか。例えば、5キロ以下で何日と何日がちょっとひどい状況だったとか、都市高とかいつもね、榎田から東に行こうとか、いつも5キロ以下と思いますよ。そういうふうなのをちゃんとデータとしてすればできるわけで、協議していきますの話ではないと思います。
 そこで、私は、天神通り線の話もありましたけど、道路拡幅だけでは済まない状況じゃないかと。そういうのも把握しながら、市は幾ら道を広げてもなかなかうまくいかない、やっぱりしっかりとパーク・アンド・ライドやフリンジパーキングをやっていくと言ったんだから、市長はですね、しっかりと取り組まないといけない。しかしながら、現実はうまくいっていない、全く進んでいない状況、十分なのも確保できない、あまり使っていない状況です。
 市による新設や借り上げ等も含め、より積極的に確保していくべきと思いますが、所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) パーク・アンド・ライドやフリンジパーキングにつきましては、交通事業者やエリアマネジメント団体をはじめ、商業施設、駐車場事業者等と連携をして、バス等の片道乗車券の無償提供や駐車場料金の割引等を実施しながら利用促進に取り組んでおります。これに加え、市政だより、SNSを活用した広報などの様々な取組により、利用者は徐々に増加しておりますが、現状においては十分な利用に至っていないと認識をしております。その一方で、市による駐車場の新設や借り上げ等につきましては、公営駐車場として確保する必要性や採算性等に十分留意する必要があると考えております。このような状況を踏まえまして、引き続き、パーク・アンド・ライドやフリンジパーキングの利用拡大に向け、関係者と連携をしながら施策の周知や対象駐車場の拡充等に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) ちゃんと出すべきですよ、大谷とかね、アキラ駐車場とか住吉駐車場、全く駄目でしょう。大谷は少し多いけれども、免許更新に来た方が天神まで遊びに行けるならばと。全然パーク・アンド・ライドやフリンジになっていませんよ。1日僅か何台かという状況ですよ。
これは全然うまくいっていないという中でどうしていくのか、これを今後の都市交通基本計画の見直しがありますので、しっかりとどうやっていくというのを出さないかんと思いますけど、意気込みを再度お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) パーク・アンド・ライドやフリンジパーキングなどの取組につきましては、都心部への自動車の流入抑制や公共交通の利用促進の観点から重要な取組であると認識をいたしております。都市交通基本計画の改定に当たりましては、近年の社会情勢や交通環境の変化などを踏まえるとともに、市民や議会の御意見を伺いながら、公共交通を主軸とした総合交通体系づくりや、活力ある都心部を支える交通施策、コンパクトな都市という強みを生かせる交通ネットワークなど、福岡市の今後の交通の在り方について検討をしてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 天神では容積を上げたけれども、フリンジということで、後の展開が全く進んでいない。時間がないのですけれども、例えば、競艇場の第4、第5駐車場は港湾空港局が持って競艇が借りていましたけれども、返したと思っています。ああいうところだってがらがらですよ。例えば、北から天神、都市高から来たら、ああいうところをフリンジパーキングできるようにモデルでやるとか、アスファルトですから、あるわけですから、駐車場が。今まで何台も止めていないような状況をいまだに放置している。または南から来た車、東から来た車、西から来た車しっかりね、ちょっと郊外であってもそこで乗り換えてもらうとかいうことを進めていかないといけないと思います。しっかりそこら辺の詰めがないまま、反省がないまま、やりました、やりましたと、全然うまくいっていないんですよ、フリンジ、今までが。しっかりやられるように、これは要望にして質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ)登壇 私は、6月と9月の議会において、個別最適化教育について質問してまいりましたが、教育委員会におかれては、個別最適な学びについて、理解度や習熟度に応じてAIドリルなどを活用する個別学習のみにとどまらず、子ども一人一人の興味、関心等に応じ、意欲を高め、深い学びの実現につながる取組を進めていくという御答弁をいただいたところです。まさに、理解度や習熟度という視点からのみで子どもの学びを捉えるのではなくて、深い学びにつながる一人一人の興味、関心や学習意欲という根本的なレベルで個別最適化教育への転換に向けた決意を示していただいたことは、これは大きな一歩、大きな前進だと思います。したがって、本日はこれまで順次確認してきた学び方や教え方といった、いわゆるソフト面の共通認識を踏まえて、個別最適化教育の実践を可能とする学校施設の在り方、すなわちハード面からまずは質問していきたいと思います。
 令和4年3月に文部科学省が設置した協力者会議から、新しい時代の学びを実現する学校施設の在り方についての最終報告が出されていると承知していますが、この新しい時代の学び、言い換えれば個別最適化教育を実践する上でどのような学校施設が望ましいとされているかという観点から、この最終報告の概要について、まずはお示しください。
 以降の質問は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 報告書では、新しい時代の学びを実現する学校施設のビジョンとして、固定観念から脱し、学校施設全体を学びの場として捉えること、また、横断的な学び、多目的な活動に柔軟に対応すること、また、時代の変化、社会的な課題に対応することなどの視点が示されてございます。あわせて、5つの姿の方向性の1つとして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向け、1人1台端末環境等に対応した机の配置、個別学習や少人数学習など柔軟に対応できる多目的スペースの整備など、柔軟で創造的な学習空間の実現が掲げられております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 御説明ありがとうございます。
 まさに、柔軟で多様な学習活動を展開できる学習空間として、私がさきの9月議会で具体的な理想像を示す中で言及した教室を幾つかの学習コーナーに分ける方法などは、言ってみれば、これは学校の骨組みといった大がかりなものではなくて、例えば、キャスター付のホワイトボードや机、椅子、スクリーンを準備するなど備品のレベルで柔軟に運用できるものです。その一方で、文科省の報告にあるように、例えば、学校図書館について、読書、学習、情報のセンターとしての機能を十分に発揮することができるように整備する、あるいは授業における調べ学習や自主的、自発的な学習、協働的な学習に活用するという観点から、図書館をどの教室からも利用しやすいように学校の中心に配置すると、そういった工夫については、これは学校の設計段階から検討に盛り込んでいなければ、事後的に整備することは大きな労力がかかってしまいます。
 この点に関し、今後本市において、文科省が唱える新しい学校施設の在り方を念頭に置いた上で、どのようにハード面の整備を進めていくのか、その取組方針についてお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市におきましても、既に整備されております1人1台端末などのICT環境を活用することで、学校図書館が読書、学習、情報のセンターとしての機能を備えるとともに、各教科における学習活動等において効果的に活用することができるよう今後の新設や建て替えに当たっては、どの教室からでも利用しやすい位置への配置などについても検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 今の御答弁のとおり、これから設計を検討している学校からは、本日取り上げた観点を踏まえた検討をぜひよろしくお願いします。
 さて、ここまで個別最適化教育を実現するために必要となるソフト、ハード両面の取組について確認してきましたが、時間がかかるハード面はもとより、ソフト面についても、一人一人の興味、関心等を踏まえた個別最適な学びを実現するためには、生徒のきめ細かなサポートに専念できるように教員が担う業務の徹底的な適正化が不可欠です。子どもの学びと教師の働き方、この両方を抜本的に改革しなければ絵に描いた餅に終わってしまいますが、いきなり全ての市立学校でドラスチックな改革を行うことは、もちろんそれができれば理想かもしれませんが、なかなか現実的ではないと。
 ですから、まずは一部の学校で個別最適化教育のモデル校として試行的に導入して、効果検証や課題の洗い出しなどを行った上で、将来的な全市立学校への展開を検討してはどうかと考えていますが、個別最適化教育への転換に向けた今後の進め方についての御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学びの改革につきましては、令和の日本型学校教育に関する中教審答申を受けまして、令和4年度から授業改善推進モデル校において、子どもの多様な学びを支える指導方法の工夫、改善に取り組んでいるところでありまして、今後も引き続き先進的な実践事例を全市へ周知するなど指導方法の普及促進に努めてまいります。また、学校の働き方改革についても、令和4年度に働き方改革推進プログラムを策定し、今年度からモデル校において、民間事業者を活用した教員の勤務実態の把握や改善活動に取り組んでいるところでございます。今後、今年度の調査結果や取組内容等を活用し、全市への展開に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) ただいまの御答弁は、1つの学校全体において子どもの学びと教師の働き方の両方を改革するのではなくて、例えば、教師の働き方でいえば、この業務についてはこの学校で、あの業務については別の学校でというように分散しておのおの改革に取り組んでいますということだと理解していますが、そのやり方では不十分です。なぜならば、個別最適化教育を可能にする教師の働き方を実現するためには、一部の業務を改革するだけでは全く不十分であり、業務全体の整理と徹底的な適正化を行う必要があるからです。さらに言えば、分散型の改革では、そのスピード感が非常に遅くなってしまいます。子どもの学びと教師の働き方は、言ってみれば車の両輪で、どちらが欠けても真っすぐ前に進みません。それなのに、それぞればらばらに、それも例えば、教師の働き方でいえば、一部の業務しか改革されないとなると、全てが理想の状態に整うまで一体どれほどの時間がかかるか見当もつきません。本来であれば、一年一年、一日一日の経験が心身の発達に大きな影響を及ぼす子どもたちのことを考えれば、その一人一人の潜在能力を最大化させる個別最適化教育への転換は、全ての学校で、それも可及的速やかに行う必要があるものです。とはいえ、現実的に全校一斉改革が困難であり、また、1つの学校で子どもの学びと教師の働き方の両方を同時に抜本的に改革しようとすると、かえって学校現場の混乱や負担の増大を引き起こしてしまうおそれもあります。ですから、1つの学校において子どもの学びと教師の働き方の両方を改革する必要があるということは、これは繰り返し申し上げているとおりですけれども、まずは教師の働き方を抜本的に改革し、それによって生徒一人一人に向き合う時間を十分確保した上で、子どもの学び全体を個別最適なものに改革していくという順番で取り組む必要があると考えています。
 教育委員会におかれても、先ほど御答弁にありましたとおり、今年度、民間事業者を活用して、一部の学校で業務の実態把握調査を行って、一度業務を全て洗い出して分析を行っているものと承知しています。それならば、その調査、分析結果を最大限活用して、徹底的に教員が担う業務の整理、適正化を行い、その上で、学校全体で生徒一人一人の興味、関心等に応じた個別最適な学び、いわゆる深い学びにつながる授業やリアルな学びを充実させていくと。これこそが今を生きる子どもたち、そして、これから生まれてくる子どもたちのために今我々がやらねばならないことです。
 したがって、子どもの学びや教師の働き方について、学校全体で段階的に理想的な姿を実現したモデル校をまずは整備して、そこを基点とした抜本的な改革を進めるべきと考えますが、改めて石橋教育長の御所見と、そして、御覚悟をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教師が子どもたちの学びを最大限に引き出す役割を果たしていくためにも、議員の御指摘のとおり、学びの改革と働き方改革の両面から取り組んでいくことは大変重要であると認識いたしております。現在実施しております働き方改革モデル校での取組を効率的に全校へ展開し、教員の働き方改革を進めてまいります。それにより教員が授業改善に集中できる環境を整え、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を進め、令和の日本型学校教育の実現に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 新年度予算の話ができない現時点において、踏み込んだ具体的なことを御答弁いただくのが難しいということは、私も役人出身ですので、重々承知しているところでありますが、今、石橋教育長がおっしゃった効率的に展開するということは、当然スピード感を持って展開するということも含まれていると理解していますので、ぜひそのお言葉にたがえぬ取組をお願いしたいと思います。
 年々学校になじめない児童生徒の数が増えて、子どもたちを支える現場の教師の負担感も増す中で、理想的な個別最適化教育を実践するモデル校の存在は、子どもたちには、こんな学び方ができるのかと、こんなふうに学びたいと、そして教師には、こんな働き方ができるのかと、これから生徒に十分向き合えると、そういった希望を示す意味で、いわば暗闇を照らす一筋の光となるのです。子ども一人一人が持てる能力を存分に伸ばし、自分に自信を持って、不確実性が高く、先の見えない世の中を力強く切り開いていく社会、そんな社会を実現するために不可欠な個別最適化教育への抜本的な転換に向けて、引き続き粘り強く、そして、固い意思を持って取り組んでいくことをここにお誓い申し上げて、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 以上で一般質問を終結いたします。
 本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は12月19日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時9分 散会