令和5年9月6日(水)

令和5年 第5回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第4号)
                                    9月6日 午前10時開議
第1 一般質問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
10番  阿 部 真之助      11番  打 越 基 安
12番  堤   健太郎      13番  坂 口よしまさ
14番  新 開 ゆうじ      15番  とみながひろゆき
16番  田 原 香代子      17番  たのかしら知行
18番  石 本 優 子      19番  勝 山 信 吾
20番  調   崇 史      21番  川 上 陽 平
22番  津 田 信太郎      23番  古 川 清 文
24番  高 木 勝 利      25番  篠 原 達 也
26番  平 畑 雅 博      27番  伊 藤 嘉 人
28番  川 上 晋 平      29番  尾 花 康 広
30番  松 野   隆      31番  山 口 剛 司
32番  大 石 修 二      33番  和 田あきひこ
34番  あ べ ひでき      35番  大 沢 めぐみ
36番  木 村てつあき      37番  橋 口 えりな
38番  綿 貫 康 代      39番  前 野 真実子
40番  中 島まさひろ      41番  藤 野 哲 司
42番  新 村 まさる      43番  天 野 こ う
44番  堀 内 徹 夫      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  はしだ 和 義
48番  浜 崎 太 郎      49番  阿 部 正 剛
50番  倉 元 達 朗      51番  中 山 郁 美
52番  川 口   浩      53番  小 竹 り か
54番  勝 見 美 代      55番  井 上 ま い
56番  ついちはら陽子      57番  田 中 たかし
58番  山 田 ゆみこ      59番  近 藤 里 美
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
           9番  今 林ひであき

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  坂 本 秀 和      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会計室会計管理課長  御 幡 弘 信
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  西 村 早 苗
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子      人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美

職務のため出席した事務局職員
議 会 事 務 局 長  曽根田 秀 明      議会事務局次長  八 木 智 昭
議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。阿部正剛議員。
 
○49番(阿部正剛)登壇 おはようございます。私は日本維新の会福岡市議団を代表し、学齢期における歯科口腔ケア、少子化対策、この2点について質問をいたします。
 まず、学齢期における歯科口腔ケアについてであります。
 歯や口腔の健康は、福岡市保健福祉総合計画の中で、食事や会話など、日常生活を営む上で重要であり、生活の質の向上に寄与すること、虫歯と歯周病は歯の喪失の主な原因であること、歯の喪失や口腔機能の低下は全身の様々な健康問題につながること、生涯を通じた歯科疾患の予防と口腔機能の維持向上のため、正しい知識の普及啓発や個人の状況に応じた歯科保健指導を行うこと、市民の関心を高め、ライフステージに応じた歯、口腔の健康づくりを支援するための環境整備を進めることなどが掲げられておりますが、現在、本市において歯科口腔ケアの取組はどのようになっているのか、その根拠と目的についてお尋ねいたします。
 以下、2問目以降は自席にて質問いたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 歯科口腔保健の取組につきましては、健康増進法などに基づいた歯科健診の実施をはじめ、本市独自の取組として、歯と口腔の健康づくりのためのオーラルケア28プロジェクトに取り組んでおります。その根拠と目的といたしましては、歯と口腔の健康が全身の健康と密接に関わっているというエビデンスが示されていること、また、食事やコミュニケーションなど、日々の生活の充実に重要な役割を果たすものであることから、福岡市保健福祉総合計画の基本目標である健康づくりの推進に位置づけ、効果的な取組を推進いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 各種歯科健診の実施やオーラルケア28プロジェクトなど、様々な事業に取り組んでいらっしゃいますが、本年度予算に計上されているオーラルケア28プロジェクトについて、その概要をお尋ねするとともに、本市における学齢期においてはどのような状況にあるのか、現状についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) オーラルケア28プロジェクトにつきましては、産学官の関係機関と連携し、市民が自分の永久歯28本を生涯健康に保ち、健康寿命の延伸とウエルビーイングの向上につなげるため、乳幼児期から高齢期まで各ライフステージの特性に応じ、治療より予防に重点を置いた取組を実施いたしております。また、学齢期における本市の歯と口腔の健康状態の現状につきましては、福岡市学校保健統計調査の12歳児の虫歯のない者の割合でお答えいたしますと、令和3年度は68.5%で、全国と比較するとやや低い傾向にございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) オーラルケア28プロジェクト概要によれば、口腔ケアは健康寿命延伸の鍵であること、おいしく食事をすること、会話によるコミュニケーションなど、社会参加の意欲につなげることなどを目的として令和3年度よりスタートし、基本方針として、治療より予防に重きを置き、治療から予防へと市民の意識を転換するなどして、2040年、令和22年には全ての市民が28本の歯と口腔機能を健康に保ち、食事と会話を楽しみながら笑顔で人生を過ごすことを目指す姿、目標として掲げられております。
 そこで、本年度における本事業の取組と予算についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和5年度の取組につきましては、乳幼児、学齢期に向けた取組として、株式会社ポケモンと連携した啓発や、放課後児童クラブなどへの歯科衛生士の派遣、保育所などへのフッ素うがい導入支援等に取り組むとともに、成人期においては、18歳から二十歳の市民を対象とした歯科健診などを実施いたしております。また、高齢期においては、高齢者施設の職員を対象とした研修として、口腔ケア実践のための動画配信や講習会を実施しており、令和5年度の予算額は3,548万6,000円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本年度事業として、乳幼児、学齢期においては幼児期フッ素うがい導入支援及び学校における放課後児童クラブ等への歯科衛生士の派遣があるようですが、どのような検討をされたのか、また、それぞれどのような内容か、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) オーラルケア28プロジェクトの各事業につきましては、関係団体から成るワーキンググループにおいて事業の検討を行い、プランを策定の上、実施いたしております。フッ素うがいにつきましては、生涯を通じた口腔の健康維持には若い頃からの虫歯予防が必要であり、エビデンスが確立しているフッ素うがいの普及促進が適当であるとのことから、希望する保育所などに対し、説明会の開催や薬剤の購入助成により継続的な取組を支援してまいります。
 放課後児童クラブなどへの歯科衛生士の派遣につきましては、子ども食堂や放課後児童クラブといった学校教育以外で子どもが集まる場所において、口腔に関するクイズやオーラルケアグッズの配付などを行うことで、子どもの虫歯予防の意識醸成に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 口腔の健康維持には若い頃からの予防が必要であるとのことで、乳幼児においてはエビデンスに基づきフッ素うがい導入支援、学齢期においては虫歯予防の意識醸成に取り組まれているとのことですが、そもそも厚生労働省はフッ素うがいについてどのような見解を示しているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和4年12月に厚生労働省より通知されたフッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方によりますと、有効かつ安全なフッ化物応用の一つであり、適切なフッ化物洗口を継続的に実施することが必要であるとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 令和4年12月厚生労働省通知、フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方によると、特に4歳から14歳までの期間に実施することが虫歯予防として最も大きな効果をもたらすと示されており、あわせて、小児期では永久歯エナメル質の成熟が進んでいない幼児及び児童生徒等に実施すること、虫歯の予防及び健康格差の縮小の観点から、集団フッ化物洗口を施設等で実施することが望ましいことなども示されています。
 そこでまず、本市学齢期における虫歯の保有率はどのようになっているのか、状況をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度の虫歯の保有率は、小学生が36.1%、中学生が33.2%となっております。過去10年間の虫歯保有率の推移を見ますと、平成25年度は小学生が50.8%、中学生が49.0%でしたが、以後、年々減少してきております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 経年的に減少傾向となっているようですが、政令市においてはどうか、学齢期における虫歯の状況についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度の政令市の平均は、小学生が33.7%、中学生が25.8%でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 本市では全体的には減少傾向となってはいるものの、小中学校ともに政令市平均より虫歯保有率は高い状況にあります。また、全国指定都市学校保健協議会研究資料によれば、令和4年度、小学校におきましては福岡市は下から5番目、中学校におきましては下から2番目となかなか厳しい結果となっています。
 そこで、本市学齢期における歯科口腔ケアについてはどのような指導がなされているのか、その内容をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校におきましては、学習指導要領に基づきまして保健体育等の教科の中で虫歯や歯周病などの病気についての理解を深め、予防の大切さについて学んでおります。また、希望する学校におきましては、学校歯科医会などと連携し、学校歯科医や歯科衛生士による歯磨き指導を実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 現在、保健体育等の教科においての指導、また、学校歯科医や歯科衛生士による歯磨き指導が行われているようですが、保健体育時の教科における指導内容や対象学年、指導時間等について、また、歯磨き指導における内容や対象学年、指導時間等についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 保健体育の授業では、虫歯や歯周病の原因とその予防のために歯磨きの習慣を身につけることの大切さ等について、小学校6年生と中学校2年生に各1時間程度指導いたしております。歯磨き指導では、学校歯科医などによる口腔衛生に関する講話に加えまして、実際に一人一人に歯垢染め出し剤を用いた歯磨きや模型を使用した歯磨きを実践させ、効果的な磨き方を指導しております。対象学年は小学2年生以上で、指導時間は1時間程度でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 小学校における歯科口腔ケアにつきましては、6年生時の保健体育時の学習で1時間、歯磨き指導は2年生時に1時間、6年間で計2時間のみとなっているようですが、歯科口腔ケア指導について教育委員会ではどのような場で議論され、方針が決められたのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 生涯にわたり健康づくりを実践する力を育成する健康教育の一環として、児童生徒自らが虫歯や歯周病などを予防する力を身につけることは大変重要でございます。その具体的な取組方法として、福岡市学校歯科医会、福岡県歯科衛生士会に参加いただく歯科保健指導連絡会におきまして、歯磨き指導が効果的であるとの意見をいただいたところでございます。そのため、教育委員会では福岡市学校歯科医会などと連携して歯磨き指導を実施することが適切と考え、これまでその取組を進めてきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 私は歯磨き指導自体を否定しているわけではなくて、児童自ら虫歯や歯周病などを予防する力を身につけるということは大変重要でありますし、また、歯磨きは生活習慣の一つとして重要であることも認識をいたしております。ただ、小学校6年間におきまして歯や口腔の健康に関する指導は僅か2時間、さらに、別に頂いた資料によりますと、2年生時の歯磨き指導については全市144校のうち、学校歯科医が実施した指導は63校、歯科専門学生が実施した指導は22校の計85校にとどまっており、残り59校は学校側が指導を希望していないとのことです。児童の歯や口腔の健康を確保する観点から不十分であると言わざるを得ない。
 そこで、教育委員会が方針決定の根拠とされている歯科保健指導連絡会ではフッ化物洗口についてはどのような見解をお持ちなのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年度の連絡会におきまして、フッ化物洗口については、薬剤の管理や教職員の負担など様々な課題を考慮すると、集団洗口を学校において行うことは推奨しないとの意見が出されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 一言で申し上げるならば、学校側の負担が課題であるから歯磨き指導が適切であるとの意見を根拠として、教育委員会では歯磨き指導を方針とされているようですが、教育委員会の方針決定にエビデンスが反映されていないことに少々驚いておりますし、さらに、小学校2年生時に1時間実施するとしている歯磨き指導も方針どおりに実施されていないことにも驚いております。
 先日、小学校におけるフッ化物洗口に取り組まれている北九州市と熊本市の両市に伺ってまいりました。両市ともに学齢期における虫歯の保有率が高く、政令市でも下位に位置されている背景もありまして、北九州市は全校実施、熊本市は最終的には全学年において全校実施を目指されておりますが、まずは1年と2学年生への全校実施に向けて準備を進められておりました。両市ともに学校側の負担が大きいことは重々認識をされており、学校側の負担軽減が大きな課題であるとの認識も同じでありました。そのような中、北九州市はスクールサポーター、熊本市は8020健康づくりの会という研修を受けたボランティアの方々を学校に配置するなどして、学校側の負担軽減を図ってでもエビデンスに基づいたフッ化物洗口は重要であるとの認識が同じで、北九州市では教育委員会、熊本市では健康づくり推進課において強力に事業を進められておられました。
 先日、750人規模の北九州市立清水小学校における洗口現場を視察してまいりました。令和3年度にスタートした市内3校のモデル校の一つである学校でありますが、確かに前準備から後片づけまで大変な作業であることは実感したところであります。また、当初2学年ごとに週3回実施されていたものを、スクールヘルパーの確保が難しいということで、現在は週1回、全学年を対象に実施されておられました。特に前準備では、スクールサポーターにより鍵のかかる保管庫から薬剤を取り出す。これは出納簿記載という作業も伴います。そして、専用ボトルで薬剤と水道水でうがい液を作り、うがい液ボトル、児童名簿、紙コップ、ごみ袋をクラスごとに分け、各教室まで運搬、うがいが終わった後に回収、最後に専用ボトルを洗浄して終了という過程です。子どもたちは、高学年は給食が終わった児童ごとに担任の先生がうがいをする児童と希望しない児童をチェックした上で、紙コップに入れたうがい液を渡し、児童はぶくぶくうがいを60秒、自分たちで計測し、終わればティッシュペーパーを入れた元の紙コップに吐き出し、ごみ箱に捨てるという手順、低学年は給食が終わると担任の先生がうがいをする児童と希望しない児童をチェックした上で当該児童に配付し、一斉にうがいを行うという手順で、これはモデル事業から3年目を迎えること、そして、10月からは全校実施が始まりますので、既に習慣づけされているようでありました。
 乳幼児、学齢期における虫歯予防の観点から、フッ化物応用は有効な手段であるとの通知が令和4年12月に厚生労働省から出されていることについて教育委員会の見解をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 厚生労働省の通知に示されておりますとおり、虫歯予防の手法としてフッ化物洗口は一定の効果があるものと理解いたしております。この通知を受けまして、文部科学省では各教育委員会に対し、学校において集団フッ化物洗口を実施する際は市町村の歯科保健担当部局や保健センターにおける実施や、歯科医師会や薬剤師会の協力など、関係者間で適切な役割分担を検討し、教職員の負担軽減に配慮するように通知いたしております。教育委員会といたしましては、学校における集団フッ化物洗口を実施するとした場合、学校歯科医や学校薬剤師といった専門家の協力確保や教職員の負担増に加え、薬剤の管理や毎週うがいをするための時間の確保、保護者の理解など、解決が必要な課題が様々あると考えてございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 最後に要望です。保健医療局では、治療よりも予防に重点を置いたエビデンスに基づく全世代の歯と口腔の健康を守るプロジェクトとして、オーラルケア28プロジェクトに取り組まれています。一方で、教育委員会では学校側の負担が課題であるとの理由から、歯磨き指導を実施することが適切であるとの方針ですが、この方針決定にエビデンスが反映されていないこと、さらにはこの歯磨き指導をするという方針すらも守られていないことに大変驚いております。せめて歯磨き指導は徹底されるべきだと考えます。
 令和2年度に日本口腔衛生学会、厚生労働省などにより新潟県弥彦村フッ化物洗口50年の検証が行われています。この新潟県弥彦村というのは、1970年、全国に先駆けて小中学校においてフッ化物洗口に取り組み、1978年に効果が確認できたことから、保育園でのフッ化物洗口を始めたとされています。このような結果を背景に、新潟県では子どもの虫歯の数が2000年から21年連続で全国最少となっています。そこで、大人になってからもその効果が維持しているのかについて検証されたもので、小児期のフッ化物洗口による虫歯予防の効果は大人になっても予想以上に持続していることが分かったとの結果が報告されています。東京歯科大学の田口教授によると「学童期における集団でのフッ化物洗口の虫歯予防効果が長期間にわたり継続しているという結果が得られた。全国初の弥彦村での事業が50年余りの時を経て、我が国で新しいフッ化物応用の方策の提言に寄与できることは非常に意味深い」と述べられております。エビデンスが確立されていること、大人になっても一定の効果も持ち続けていることなど、教育委員会も検討に入る時期に来ているのではないかと考えます。
 熊本市では新型コロナ感染症の影響で全校実施とまではいっていない状況下でも、令和4年度には実施率が90.2%まで上がっている。そのような中、担当者の話として、熊本県では蒲島知事が一般市町村の首長に対し、小学校においてフッ化物洗口を取り入れる旨の指示を出されたところ、瞬く間に実施校が増え、熊本市は追い抜かれたと少し悔しい思いをされているようでした。熊本県のように、首長の考え一つで事は動きます。子どもたちの歯と口腔の健康を守るという観点、健康格差の縮小の観点から、ぜひ島市長にはリーダーシップを取っていただいて、本件の検討ぐらいは始めていただきますよう要望して、この質問を終わります。
 次に、少子化対策についてであります。
 国のこども未来戦略方針によれば、2022年に生まれた子どもの数は約77万人、統計を開始した1899年以降、最低の数字となり、あわせて、2022年における合計特殊出生率も1.26と過去最低となっております。また、2022年には80万人の自然減となるなど、今後50年で我が国は人口の3分の1を失うおそれがあるとされています。こうした急速な少子化、人口減少に歯止めをかけなければ、我が国の経済社会システムを維持することが難しくなり、世界第3位の経済大国という立ち位置にも大きく影響を及ぼすとされ、若者人口が急激に減少する2030年代に入るまでが重要な分岐点であり、ラストチャンスであるとされています。
 今回の国の少子化対策の重要なポイントは、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできないとまで明確に打ち出されているところであります。ただ、結婚、妊娠、出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、多様な価値観、考え方が尊重されなければならないことは当然のことでありますが、若い世代の誰もが、結婚や子どもを生み育てたいとの希望がかなえられるよう、将来に明るい希望を持てる社会をつくらない限り、少子化トレンドの反転はかなわないとまで述べられています。
 このように全国的に厳しい状況となっている中にあって、本市は数少ない人口が増加し続けている都市でありますが、まず、本市における人口並びに将来推計についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和2年の国勢調査における福岡市の総人口については161万2,392人で、平成24年に実施した将来人口推計を上回るペースで増加を続けております。なお、同推計では令和17年頃に総人口のピークを迎える見込みでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 令和2年国勢調査におきまして161万人を超え、平成24年に実施した将来人口推計を上回るペースで増加し続け、2035年、令和17年頃にピークを迎える見込みであるとされておりますが、平成22年国勢調査と令和2年国勢調査の10年間においてどれぐらい人口が増えているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 平成22年の国勢調査における福岡市の総人口については146万3,743人で、令和2年までの10年間で約14万8,000人増加しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 10年間で人口が約14万8,000人増加しているとのことですが、ゼロ歳から14歳の年少人口、15歳から64歳の生産年齢人口、65歳以上の高齢者人口の割合について、それぞれ平成22年国勢調査と令和2年国勢調査ではどのようになっているか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における年齢区分別の割合については、年少人口が平成22年は13.3%、令和2年は13.4%で0.1ポイントの増、生産年齢人口が平成22年は69.1%、令和2年は64.5%で4.6ポイントの減、高齢者人口が平成22年は17.6%、令和2年は22.1%で4.5ポイントの増となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 10年間の比較では子ども世代の年少人口割合はほぼ横ばい、現役世代である生産年齢人口の割合は4.6ポイントの減少、高齢者世代の高齢者人口割合は4.5ポイント増加しており、本市におきましても着実に高齢化が進んでいると思います。
 (パネル表示)ちょっとパネルを出しました。これは先ほどの2020年と2010年の比較です。小さくてすみません。自分で作って、これだけ小さいと思いませんでした。すみません、見にくくて。緑色が2020年なんです。青が2010年ということで、5歳ごとの年齢ごとにグラフを立てています。当然、多い少ないがあるんですが、気になるところは、ゼロ歳から15歳、いわゆる子どもの世代なんですけれども、全体的には人口が伸びています。ただ、総人口における割合、総人口においてどれぐらいの割合かということについては、ほぼ同じなんですね。5歳までは5.3%と、2020年は5%、そういう形で、少しずつ上がりながら、最終的には下がっていくと、この流れは変わりませんが、1つ気になるところは、21歳から40歳ぐらいまでが人口が減っています。そして、この人口に対する割合も2010年と比較したときにも下がってきている。例えば、21歳から25歳については、2010年は全体に占める割合が6.9%、2020年は6.2%、25歳から30歳においては2010年は7.3%、2020年は6%、そして、その5歳上で7.9%と6.2%、そして、これはマックスなんですけれども、36歳から40歳が8.3%が2020年は6.8%まで下がっているというような状況が示されています。これが裏づけだと思っています。
 我が国の総人口が平成20年をピークに減少局面に入る中、直面する人口減少、少子・高齢化という構造的な課題に対応するため、国が策定したまち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されておりますが、その概要についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略については、国のまち・ひと・しごと創生総合戦略などを踏まえ、福岡市総合計画を基本に、地方創生の観点から施策等を整理、再構築して、平成27年度に第1期戦略を策定しております。令和2年度に策定した第2期戦略においても、人の社会増、人の自然増、まちの持続性という基本的な視点や構成等は維持しつつ、第1期戦略以降に取り組み始めた事業の追加を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、人の社会増、人の自然増についての基本的視点を基本目標として、その取組が進められていますが、まずはひとの社会増について、転入と転出の状況、平成22年国勢調査と令和2年の国勢調査ではどのようになっているか、その要因についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における転出入の状況については、平成22年が1万8,536人の転入超過、令和2年が3万3,996人の転入超過となっており、主に九州内から若年層が大幅に転入していることが要因であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 事前に頂いた資料では、10年間で転入は約2,400人の減少でほぼ同数、転出は約1万8,000人の減少になっており、主に九州内からの若年層の大幅な転入超過となっていることについて、これまでの傾向がいまだ続いている状況ではありますが、いずれ九州各県ともに人口減少、特に子ども世代の人口が減少していくことが言われていることから、今後、若年層の大幅な転入は見込めないのではないかと考えます。
 次に、地域別の社会移動のうち、東京圏との転入、転出の状況について、平成22年国勢調査と令和2年の国勢調査ではどのようになっているのか、また、その要因をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における東京都、埼玉県、千葉県及び神奈川県から成る東京圏との転出入の状況については、平成22年が8,444人の転出超過、令和2年が5,446人の転出超過となっており、進学や就職を契機とした転出が主な要因であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 東京圏からの転入については、10年前との比較において総数で約2,600人の増加ですが、ほぼ横ばい、一方で、東京圏への転出については、同じ比較におきまして総数で約300人の減少で、こちらもほぼ横ばいとなっています。世代別に見ると、子ども世代は同じ比較において僅かながら転出超過から転入超過へ、現役世代では同じ比較において転入が増え、転出超過の差が少なくなってきており、高齢者世代では同じ比較において僅かながら転入超過となっていることから、少しずつ傾向が変わりつつあるのではないかと推察するところであります。
 次に、子ども世代の割合については、10年前と比較し、ほぼ横ばいで推移しておりますが、出生数自体はどのようになっているのか、直近の確定値である令和3年とその10年前である平成23年との比較についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市の出生数については、厚生労働省の人口動態調査によりますと、令和3年は1万2,526人、平成23年は1万4,370人で、1,844人減少しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 出生数につきましては、晩産化の影響など、様々な要因が重なり、10年前より約1,800人の減、約13%の減少となっています。
 次に、婚姻数はどのようになっているか、直近の確定値であります令和3年とその10年前である平成23年との比較をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市における婚姻件数については、人口動態調査によりますと、令和3年は8,508件、平成23年は1万4件で、1,496件減少しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 婚姻数は10年前より約1,500件の減、約15%の減少となっています。本市の特徴である二十歳前後で男性より女性の比率が上回ることも要因の一つではないかと推察しているところであります。また、平成30年度に本市が行った青少年の意識と行動調査における結婚や出産についての考え方の問いでは「結婚をし、子どもを持つべきだ」について、平成25年度は48.5%だったのに対し、平成30年度には28.6%まで減少をしています。一方で「結婚も子どもも絶対必要というわけではない」については、平成25年度は40.8%であったのに対し、平成30年度には60.3%に上昇していることなど、考え方、価値観が多様化しているようですが、これほどまでに変化していることについては少々驚いております。
 次に、福岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略に掲げられている人の社会増に向けて、仕事、雇用機会を創出し、活力につながる人の流れをつくるという基本目標の下に、様々な施策に取り組まれていらっしゃいますが、同戦略に示されている、依然として転出超過が続く東京圏への転出を抑制し、逆に福岡市への転入を増やすということについてどのような成果または傾向があるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 人の社会増に向けた取組については、仕事、雇用機会を創出し、活力につながる人の流れをつくることを基本目標として、新たな雇用につながる企業等の誘致や観光・MICEの振興による交流促進などに取り組んでおります。これまでの取組の結果、見込みを上回るペースで人口が増え続け、第1期戦略において掲げた就業機会の多さに対する満足度及び入り込み観光客数の数値目標をいずれも達成するなど、おおむね順調に進んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 次に、働き方を見直し、安心して生み育てられる環境をつくるという基本目標の下に取り組まれている人の自然増に向けた取組や対策、また、その成果についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 人の自然増に向けた取組については、働き方を見直し、安心して生み育てられる環境をつくることを基本目標として、若者、子育て世代の経済的安定や負担軽減などに取り組んでおります。これまでの取組の結果、第1期戦略において掲げた子育て環境満足度の数値目標を達成するなど、おおむね順調に進んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 若者、子育て世代の経済的安定、経済的負担軽減などに取り組んでいるとされています。子育て世代への経済的負担軽減については、子育て支援策が充実してきているとの認識は持っています。私も4年間ブランクがありますが、復帰しまして、子育て支援策が物すごくメニューが増え、充実しているなということで本当に認識は持っています。
 一方で、若者世代への経済的安定に向けて新たな雇用の創出が重要だと考えますが、どのような施策に取り組み、どのような成果が出ているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 新たな産業や雇用の創出に向けましては、スタートアップ支援施設、Fukuoka Growth Nextによる支援やスタートアップビザなどによりグローバルなスタートアップ都市づくりを推進するとともに、立地交付金制度などを活用し、知識創造型産業をはじめとする成長分野の企業や本社機能に加え、付加価値の高い国際金融機能の誘致を促進しております。こうした取組などにより、令和3年度の福岡都市圏の開業率は4年連続で21大都市圏の中で最も高い6.3%、4年度の企業立地実績は国際金融機能7社を含む65社で、10年連続で50社以上、市民雇用者数は福岡市民経済計算の最新値によりますと、元年度は73万3,217人で、平成23年度の69万51人から4万人以上増加するなど、新たな産業や雇用の創出に寄与しているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 開業率や企業立地の促進等により雇用者数自体は増加していることから、東京圏からのIターン、Uターン等による転入の増加という部分に影響しているのではないかと推察するところであります。一方で、若者の東京圏への転出に歯止めをかけるという観点から、若者に対してどれくらいの成果、また、どのような傾向があるのかについても、把握する必要があるのではないかと指摘をしておきます。
 次に、スタートアップ都市づくり支援をはじめ、様々な施策で新たな雇用創出に取り組まれており、企業誘致等も成果が出ているようですが、特に大学を卒業予定の若者に対する取組はどのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 大学卒業予定の若者に対しましては、市内の12大学や経済団体、福岡市で構成する福岡未来創造プラットフォームの枠組みを活用し、市内の中小企業が参加する福岡市オンライン合同会社説明会などの地元企業と学生の出会いの場を提供するとともに、大学生の起業支援やデジタル人材の育成などにより、大学生の市内就業機会の拡大に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) これをやりました、あれをやりましたではなくて、若者の転出に歯止めをかけるという観点から、実際、大学卒業予定の若者の転出抑制に取り組んでいらっしゃいますので、どれくらいの成果が出ているのか、また、どのような傾向があるのか、ぜひとも示していただきたいと思います。
 最後に、本市の少子化対策はどこが担うかということについての確認です。
 これまで事実確認も含め、るるお尋ねしてまいりましたが、一見、少子化対策は子育て支援対策のように思われがちでありますが、安心して生み育てられる環境づくりという観点から、子育て世代の経済的負担軽減、安心して出産できる環境づくり、保育環境の充実、ワーク・ライフ・バランスの充実等に取り組む子育て支援は、私は福祉の政策だと思っています。一方、少子化対策は子育て支援と重なる部分はあるものの、安心して生み育てられる環境づくりの前の段階に対する取組であり、若者の転出抑制、晩婚化対策など、社会の課題を解決することではないかと考えます。まずは若者の流出に歯止めをかけること、多様な価値観や考え方が変わりつつある中、結婚を希望する若者が仕事を得て、経済的に安定することが少子化対策の第一歩ではないかと考えます。
 これまでの取組の結果、見込みを上回るペースで人口が増え続け、子育て環境満足度を達成するなど、おおむね順調に進んでいるとの答弁がありましたが、少子化対策はその前の段階であり、課題であり、現に本市における婚姻数、生まれる子どもの数ともに減少している傾向を少しずつでも解決していく施策が必要であると考えます。
 今後、九州一円などから若者の大幅な転入が見込めない時代が来ることが予測される中、本市においても少子化対策に関連する施策を展開する各局の情報などを取りまとめ、少子化対策の旗を振る、国でいうところのこども家庭庁のような部局が必要ではないかと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 少子化については、社会の様々な要因が絡み合っており、その対策に当たっては、子どもや若者、家庭など、幅広い分野における切れ目のない支援が求められます。福岡市では合計特殊出生率が1.08まで落ち込んだ平成17年に全国に先駆け、子ども施策を一元化するこども未来局を創設し、安心して生み育てられる環境づくり、全ての子どもが夢を描けるまちづくりなどを掲げ、少子化対策に取り組んでまいりました。また、子どもの貧困対策といった他局にもまたがる対策については、こども未来局が推進役となり、取り組んでまいりました。今後とも、少子化の現状をしっかり踏まえ、関係局と連携しながら取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 阿部正剛議員。
○49番(阿部正剛) 最後に要望を申し上げます。
 最後の質問に対し、こども未来局より御答弁をいただき、本市の少子化対策を取りまとめ、推進していく担当部局であると確認できたところであります。様々な要因が絡み合っているからこそ、子育て世代の経済的負担軽減、安心して出産できる環境づくり、保育環境の充実、ワーク・ライフ・バランスの充実などの子育て支援策の充実と併せ、結婚や出産の価値観を押しつけることはできませんが、若者が仕事を得て、経済的に安定し、希望すれば結婚や子どもを生み育てることがかなえられる社会を構築していかなければ、人口減少へ向かう局面を緩和していくことはできません。まずは若者層の転出に歯止めをかけることが重要であるとの考えからるる質問いたしましたが、施策のアピールはあるものの、若者に対する肝腎の成果や傾向は示されないままでありましたので、市民雇用者数や市民雇用者報酬など、若者層にどれくらいよい意味での影響が出ているのか、また出ていないのかなど、ぜひ示していただきたかったと思っています。
 安心して生み育てられる環境づくりである子育て支援という福祉施策の充実と、社会的な課題である若者の転出に歯止めをかけることや経済的な安定、また、晩婚化、晩産化対策など、きめ細やかな政策が求められます。ぜひこども未来局におかれましては、全庁横断的に様々な施策を取りまとめ、少子化対策を強力に推進していただきますよう要望し、質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、AEDの効果的な設置について、安全でおいしい水道水を安心して飲んでいただくための取組について質問してまいります。
 初めに、AEDの効果的な設置についてです。
 皆さんも御存じだとは思いますが、AEDとは、日本語では自動体外式除細動器といい、心臓がけいれんをし、血液を流すポンプ機能を失った場合に電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。2004年に非医療従事者による使用が認可されてから20年近くが経過し、(資料表示)現在は様々な場所でこのようなAEDの設置ステッカーを見かけることも多くなり、認知度は上がっています。一方で、AEDの重要性の認識が広がるにつれ、身近な場所にAEDがないという声や近くにAEDを備えておきたいという声も多く聞かれるようになってまいりました。今回は市民の命を守るという視点で、AEDの設置方法や設置場所についてただしてまいります。
 まず、現在の市内におけるAEDの設置状況についてお尋ねいたしますが、市が把握をしている市内のAED設置数について、区ごとにお示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 広く一般の方が使用可能なAEDを設置している市内の集客施設等を福岡市AED設置施設として登録を進めておりますが、令和5年8月末時点での設置台数で申し上げますと、東区215台、博多区317台、中央区227台、南区147台、城南区70台、早良区149台、西区150台、合計1,275台となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) それでは、そのうち市が設置をしている件数についてお示し願います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 市有施設における設置台数につきましては734台となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 市がAEDを設置する上で、どのような考え方、指針を基に設置を進めておられるのか、御説明願います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) AED設置の考え方につきましては、市民の利用が想定されていない施設を除き、全ての施設に設置することを基本として設置を進めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 一般財団法人日本救急医療財団が示しているAEDの適正配置に関するガイドラインでも、AEDの設置が推奨される施設例として公共施設や学校等が含まれておりますので、本市の市有施設については設置自体おおよそクリアしているということになります。しかしながら、ここで大切なのは、設置するだけで終わるのではなく、その設置したAEDが市民にとってより効果的に機能するかどうかだと思っています。基本的に施設利用者に対する使用を想定しているために、市民の利用が想定されない施設は除かれていると理解をいたしましたが、市有施設に設置をしているAEDについては、近隣住民を含め、より多くの方が利用できるものであるべきだと考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、市の設置するAEDのうち、24時間使用ができるAEDはどれほどあるか、施設名と併せて説明をお願いします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) AEDが24時間使用可能な施設は24施設であり、うち区役所が7施設、消防署等その他の公共施設が17施設となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 市が設置をしている734台のうち、24施設で24時間使用ができるようですが、かなり限られるということが分かりました。基本的に施設利用者については、施設の開館時間は利用できるはずなので問題はないかもしれませんが、先ほど述べたように地域住民への開放という観点でいいますと、ほとんどの施設では閉館日や閉館時間には利用ができないということになります。
 では、地域の身近な施設である公民館についてお尋ねいたしますが、屋外にAEDを設置している公民館はあるか、お答えください。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 公民館のAEDにつきましては、施設利用者が円滑に利用できるよう館内に設置をしておりまして、屋外に設置している公民館はございません。以上です。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 公民館において、本市では1か所も屋外へ設置している公民館はないとの御答弁でした。しかし、今回の質問に関し調査をする中で、24時間利用を可能にするため、公共施設のAEDを屋外へと移設しているという自治体も複数確認をしております。
 まずは本市においても、地域に身近な公民館についてはAEDの屋外設置を進めるべきであると考えますが、御所見をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) AEDにつきましては、AEDの適正配置に関するガイドラインに基づき、心停止の発生頻度が高い施設等を勘案して公民館に設置が推奨されているものでありまして、まずはそうした施設の利用者がより円滑に利用できるよう、また、故障や盗難を防止し、有事に確実に作動するよう屋内に設置をしているものでございます。以上です。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 故障や盗難防止などの理由で屋内設置であるとのお答えでしたが、市民の生命に勝るものはないと思います。多額の費用をかけずとも移設をするだけで活用の可能性が広がるわけですから、今後御検討いただくよう強く求めておきます。
 次に、学校施設についてお尋ねいたします。
 私自身、地域のソフトバレーサークルに所属をし、小学校の体育館で活動をしておりますが、そのチームメートで練習中に倒れた方がいらっしゃいました。そのときの状況をお伺いしますと、すぐにAEDを探しに走ったけれども、なかなか見つけることができず、AEDを見つけるより先に救急車が到着をしたという話でした。幸い救急隊員の迅速な処置のおかげで大事には至りませんでしたが、やはり心停止に近い状況で、万が一救急隊の到着が遅ければ最悪の事態になっていたかもしれません。その小学校では正面玄関横にAEDが設置してあったのですが、事が起きたのは体育館であり、一般の社会人であるサークル参加者は日頃から学校のどこにAEDが設置してあるのかということは把握をしておらず、気が動転をした中でやみくもに探し回られたのだと思います。
 学校の設置場所については、玄関横の場合や体育館の入り口など、学校によって設置場所が異なるため、心停止の発生確率の高い体育館などにはAEDの設置箇所が一目で分かる表示の設置を当時お願いさせていただきましたが、その後、学校でどのように御対応いただいたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年12月に各学校へAEDの設置場所を表示するポスターを配付するとともに、体育館などの施設利用者が目につきやすい場所へ掲示するよう通知いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 通知を出していただいたということですが、特に体育館そばに設置をしている学校については、体育館の中にポスターが貼られていない学校もありましたので、たとえすぐ外にあったとしても、体育館の中には必ずポスターを貼っていただくよう改めてお願いをしておきます。
 それでは、本市のAEDの普及に関する施策についてお尋ねしてまいります。
 現在行っているAED普及のための施策には何があるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 普及のための施策につきましては、福岡市AED設置施設登録制度推進事業として、広く一般の方が使用可能なAEDを設置している集客施設等を登録し、福岡市AED設置施設ステッカーを交付するとともに、ホームページ等に掲載するなど、広く市民に情報提供を行うことで普及促進を図っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 普及の取組として、福岡市AED設置施設登録制度推進事業を実施しているということですが、その登録制度に登録をされている件数は何件か、制度開始からの推移と併せてお示し願います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) AEDにつきましては、登録台数の集計を始めた平成21年度が990台であり、以降、直近5年間の推移を申し上げますと、令和元年度1,185台、2年度1,186台、3年度1,264台、4年度1,269台、5年度は8月末時点で1,275台となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 制度開始時に比べると増加をしているようですけれども、直近5年間の登録数は意外と微増であり、ほぼ横ばいであることが分かります。
 では、そもそもAED設置施設登録制度は広く市民の利用を可能とする事業者等の設置者が登録をするものだと思いますが、どの程度の登録率なのか把握をできているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 登録率につきましては、母数となる設置されている全てのAEDの数が把握できないため算出できておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 登録率は出せていないとのことです。さきのガイドラインの話で出ました一般財団法人日本救急医療財団が、厚労省の指示に基づき、財団全国AEDマップとしてAED設置施設をインターネット上で公開しています。こちらのマップに掲載されているものは、設置者及び設置管理者から財団のホームページに設置登録情報を公開することに同意を得たものを公開していますとされており、誰もが検索できるわけですが、こちらの登録数によると、福岡市内では現在3,931件の登録があるようです。仮にこの財団のAEDマップが設置数を網羅できているとすると、市への登録はおよそその3割程度にとどまっているということになります。
 それでは、先ほど市有施設についても指摘をいたしました24時間利用ができるという観点で次はお尋ねをいたしますけれども、24時間営業をしているコンビニエンスストアやガソリンスタンドなどへのAEDの設置状況はどれくらいか、把握をしておられればお示しください。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 現在、福岡市AED設置施設として登録されているコンビニエンスストアやガソリンスタンドはございません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) それでは、マンションや団地などの集合住宅へのAEDの設置状況について市はどの程度把握しておられるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 当該集合住宅の住民以外の方も使用可能なAEDとして登録をいただいている施設は数施設ございますが、集合住宅の住民のために設置されたAEDは登録がされないため、全体の設置数は把握できておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では次に、自治会でのAED設置について市はどの程度把握しておられるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 現在、福岡市AED設置施設として登録されている自治会等による設置のものはございません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 自治会での登録はないとの御答弁でしたが、先ほど言いました財団のAEDマップには自治会として掲載をされているものもありましたので、ぜひ御確認をいただきたいと思います。
 ここでお尋ねしますが、これまでに自治会や町内会などからAED設置についての要望や相談など市で受け付けたことはあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 自治会等からはAEDの設置義務の有無や効果的な設置場所などについて御相談を受けることがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) AEDが市民にとって、いつでもどこでも利用ができるという環境を目指す上で、市有施設や大型の商業施設などでは届かないエリアがいまだに多くあります。特にそのような地域の自治会や町内会などでは、AEDを地域の中に導入したいが、価格が高く購入が難しいという声もあるようです。
実際にお隣の春日市では自治会を対象としたAEDの購入補助金制度がありますが、本市でも自治会向けのAED購入補助金の制度を導入すべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) AEDの設置につきましては、自治会等が自主的に管理していただく必要があることから、まずは自治会等の設置ニーズの把握に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) まずは設置ニーズの把握からというお答えでしたので、ニーズがあれば積極的に御検討いただきたいと思います。
 また、AEDの普及について、本市は設置への補助金制度はありません。AEDは購入の場合、20万円から35万円程度が相場と言われており、レンタルでも5年契約で30万円程度と言われております。設置をするには決して安い金額ではありませんので、普及を促進するためには積極的な後押しが必要です。先ほども登録件数の推移をお尋ねいたしましたが、現状としてはほぼ横ばいであり、待ちの姿勢では設置件数は頭打ちの状況だと思います。
 さらに設置件数、設置箇所を増やしていくためにも、ここで積極的な普及促進を図っていただきたいと思いますが、例えば、地域住民にも使用を認め、かつ24時間使用可能にしているAED設置事業者への導入補助金や、一般市民が利用をした際にパッドの交換費用などのかかる実費を助成するなど、AED設置施設登録制度への登録を増やす施策を実施いただきたいと思いますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市AED設置施設としての登録を促すための施策につきましては、一般の方が使用した際の費用助成など、効果的な手法について検討していきたいと考えております。また、登録済みの施設に対しましても、心肺蘇生法やAEDの使用方法等を習得することが重要であることから、講習会等の実施などによりAEDの普及促進に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 登録へのインセンティブ等についても御検討いただけるという御答弁ですので、市民の命を守るという観点からも積極的な施策の展開を期待いたします。
 今回の質問で、これまでの本市のAEDに関する取組は基本的には登録事業者を募るのみの施策となっていたことが明らかになりました。しかも、登録自体任意のため、なかなか実態が把握できていないように感じます。
 この質問の最後に、今後効果的な施策を検討するためにも、まずは24時間営業をしているガソリンスタンドやコンビニ、また、集合住宅への設置状況など、設置が進めば、より市民にとって効果があると思われる施設などの実態調査やヒアリングなどを実施し、今後の施策検討に生かすべきだと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 一般財団法人日本救急医療財団のガイドラインによりますと、AEDは片道1分以内での設置を考慮するとされていることから、コンビニエンスストアやガソリンスタンドなど、身近な施設への設置を促進することが有効であると考えておりまして、関係施設へのヒアリングなども含め、福岡市AED設置施設の登録促進に向けた取組を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) しっかり御検討いただけるとの御答弁でしたので、よろしくお願いしたいと思います。実際に他都市ではコンビニと提携をし、店舗へのAED設置を進めている自治体もありますので、他都市の施策も研究をしながら普及促進を図っていただきたいと思います。
 次に、安全でおいしい水道水を安心して飲んでいただくための取組についてお尋ねをいたします。
 8月1日発行の水道局が発行している「みずだより」、(現物表示)こちら、ちょっと現物を今日持ってきたんですけど、最新号において、まさに水道水の飲用利用を勧める内容が今回テーマとして取り上げられております。「飲もう!おいしい水道水」ということで表紙に書いてあるわけですが、本市は安全でおいしい水道水というふうにうたっております。
 初めに、福岡市の供給する水道水について、飲用としても安心して使うために水質管理などにおいてどのような取組を行っているのか、また、その取組について市民にどのような形で広報しておられるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) まず、水道水を安心して飲んでいただくための取組につきましては、平成25年4月に安全でおいしい水道水プロジェクトを立ち上げ、水源から蛇口に至るまでの様々な過程において水質管理の徹底を図り、水道水の水質向上に努めております。具体的には、法律で検査が義務づけられている水質基準51項目のほか、農薬類、病原微生物及び放射性物質などの項目を福岡市独自に選定し、計200項目以上について水質検査を実施しております。また、適度にミネラル等の成分が含まれたおいしい水道水の味を損なうことがないよう、残留塩素などの成分について国の水質基準等より厳しい福岡市独自の水質目標を設定し、低減化を図っております。
 次に、広報につきましては、広報紙「みずだより」、ホームページ、SNS、イベントなどによるPRのほか、給水スポットの市内公共施設への設置やイベントでの活用により、多くの方に水道水を飲んでいただくことで、そのおいしさを実感いただく取組も進めております。また、令和5年3月に水道創設100周年を迎えたことに伴い実施した記念事業では、水道水を愛飲されておられるタレントの中島浩二氏に水道局公式アンバサダーに就任いただき、イベントや動画、ラジオ放送などを通じて水道水への思い等を熱く語り、発信いただくとともに、よりおいしく水道水を飲んでいただくため、冷やして飲み頃の温度で色が変わる水道水のみごろお知らせシールを製作し、小学生に配付するなど、新たな手法も取り入れながら、水道水の安全性やおいしさを積極的にPRしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 本市は国の法律で義務づけられている水質基準51項目の検査に加え、さらに質の高い水道水を目指すために、福岡市独自で検査項目を選定し、合計で200項目以上の検査を行い、安全な水の提供に努めていただいているところです。令和4年度の市政アンケート調査でも、水道水の安全性について「安心」、「どちらかといえば安心」と回答した割合は86.7%に上っているようです。
 しかしながら、ここでこちらを御覧いただきたいのですが、(パネル表示)こちらは2019年に水道局が実施をしたお客様アンケート調査の結果です。こちらを見ていただきますと、先ほどもおっしゃいました安全でおいしい水道水をせっかく水道局は提供しているにもかかわらず、水道水を飲用水として利用をしている割合というのが実は減っているというのがこのアンケート結果から見えてまいります。この青く塗っているところが蛇口の水を直接飲んでいますという回答なんですけれども、こちらも回を追うごとに減ってきています。こちらなんですけど、ちなみに、2019年のちょっと内訳をお伝えいたしますと、蛇口から出た水道水をそのまま飲むと答えた数が28.3%、浄水器を通した水道水を飲んでいますという方がこのブルーのところですが、43.1%、そして、市販のペットボトルで水を買っていますという方が17%、そして、ウオーターサーバーを使っていますという方が5.1%となっております。赤く塗っているところは、市販のボトル水とウオーターサーバーの合計を足した数にしておりますけれども、こちらを見ていただいて分かりますように、購入していますという方も増えてきています。水道水を直接飲むという選択肢以外は、浄水器を設置するにしても、水を買う、ウオーターサーバーを設置するにしても、やはり水を飲むために一定の費用をかけているということになりますので、大変もったいないなというふうに感じています。
 そして、こちらのグラフがその2019年の内容を年代ごとに分けたグラフにしていますけれども、こちらの結果を見ていただきますと、蛇口から出た水道水を──ごめんなさい、こちらのアンケート、年代別なんですけど、こちらを見ていただくと、水道水を直接飲むという方が30代、40代は特に少ないということがこちらのグラフから見て分かるかなと思います。逆に、ボトルの購入やウオーターサーバーを利用していますというのを足したのがこの赤のところですけど、こちらを見ていただきますと、30代が30.1%と最も高くて、18歳から29歳、そして40代、若い世代の方が水を買って飲んでいるということが分かるかなと思います。
 今回私が課題と捉えておりますのは、明確に不安を感じて水道水を飲みたくないというのであれば仕方ないと思うんですが、何となく不安であるという漠然とした不安感で水道水の飲用を控えている方がいらっしゃるのではないかということでございます。何となくの不安感が要因であるとするならば、これは本当にもったいない話だなと思うわけです。今回の質問では、この何となくの不安を払拭するための取組を提案してまいります。
 まず、給水方法について整理をいたしますが、水道水の給水方法には直結式給水と貯水槽式給水の2種類があります。直結式給水は水道局の責任においてフレッシュな水道水を直接蛇口まで届けておりますので、より安心して飲用利用いただけるよう、現在、直結式給水の推進を図っておられるわけですが、現在の市内の直結給水率の割合をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 家庭用のほか、事業所や公共施設等を含めた福岡市全体の給水契約戸数は令和4年度末で約92万4,000戸であり、このうち直結式給水の契約戸数は約52万7,000戸、給水契約全体に占める直結式給水の割合は57.1%でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 全体では約57%が直結式給水であるということが分かりました。
 そもそも戸建ての多くは直結式給水であると思いますので、ここからは共同住宅についてお尋ねしたいと思います。
 では、共同住宅における直結給水率は把握できるのでしょうか。把握できるのなら、割合をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 給水契約におきましては、共同住宅としての区分がありませんので、家庭用のうち、同一住所において給水契約が複数あるものを共同住宅とみなして直結式給水の割合を算出いたしますと、契約戸数の約50%でございます。なお、直近5か年においては、新設された共同住宅の98%以上が直結式給水を採用されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 共同住宅の契約戸数の約半数が直結式給水ということは、残りが貯水槽式給水ということになります。直近5年間に新設をされた共同住宅では98%以上が直結式給水を採用しているとのことで、これから直結式給水の利用が増えるものと思われます。しかし、築年数が古いビルやマンションなどにおいては、まだまだ貯水槽式給水が残っているため、いまだ半数程度の方が貯水槽式給水を御利用されているようです。
 それでは、貯水槽水道にはどのようなものがあるか、また、それらはどのような違いがあるのか、管理ルールも含めた御説明をお願いいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 貯水槽水道につきましては、その有効容量が10立方メートルを超えるものは水道法で簡易専用水道と定義されており、水道法第34条の2並びに水道法施行規則第55条及び第56条において、定期的な清掃、水質の確認や法定検査の受検などが定められております。一方、10立方メートル以下のものは法令上の定義はなく、一般に小規模貯水槽水道と呼ばれており、福岡市水道給水条例第28条の3第1項及び第2項において、簡易専用水道に準じて管理するとともに、検査を受けるよう努めなければならないと規定されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、簡易専用水道と小規模貯水槽水道の件数及び割合をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和4年度末時点における件数と割合につきましては、貯水槽水道のうち、簡易専用水道が4,175件、18.8%、小規模貯水槽水道が1万8,034件、81.2%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 専門用語が多くなってまいりましたので、ここで改めて水道の方式について簡単にまとめたいと思います。(パネル表示)こちらはまたパネルを作ってきたんですけれども、私たちの下に水道が届くには、大きく分けて2つの方式がある。その1つが直接蛇口まで水が届く直結式給水と呼ばれる方式と、もう1つは、貯水槽に一度ためられて各部屋へ給水をされる貯水槽式と呼ばれるもの、この2つに分類をされるという話です。その貯水槽式の中でも、さらに大きさによって、10立方メートルを超える貯水槽のものを簡易専用水道といいまして、それより小さい貯水槽を小規模貯水槽水道と専門的には呼ぶそうです。先ほどの御答弁を簡単に言い換えますと、この大型の貯水槽については、定期的な清掃や水質の確認、そして法定検査の受検などが義務づけられておりまして、一方、この小規模のほうですね、こちらの貯水槽については、条例において努力規定があるのみということでございました。また、設置割合については、小規模貯水槽水道が81.2%と貯水槽の中でも圧倒的にこちらのほうが多いということが分かりました。
 それでは、貯水槽水道の適正管理については、保健医療局と水道局が連携し、役割分担をして取り組まれているようですが、その実態について本市はどのように把握しておられるのか、簡易専用水道については衛生行政を所管する保健医療局より、そして、小規模貯水槽については水道水の供給者として適正管理の啓発に取り組まれておられる水道局にそれぞれ現在の状況と併せて説明をお願いします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 簡易専用水道につきましては、水道法第34条の2第2項に基づく検査機関からの法定検査の結果の報告等により管理状況を把握いたしております。令和4年度の簡易専用水道の法定検査につきましては、4,175件中3,914件が受検し、その受検率は93.7%となっております。そのうち、特に衛生上の問題があると報告された施設の割合は1%未満であり、おおむね適正な管理がされているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 小規模貯水槽につきましては、平成20年度から29年度にかけて、公共施設、病院、社会福祉施設などを除く1万4,187件を対象に管理状況把握のための実態調査を行った結果、管理が良好な貯水槽が1万623件、約75%であることを確認いたしました。平成30年1月からは管理が不十分な貯水槽3,564件を対象にフォローアップ事業を実施し、啓発資料や水質を確認できる試薬の送付をはじめ、個別訪問による改善指導などを行った結果、令和4年度末には管理が良好な貯水槽は1万3,661件、約96%に改善いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 市として、どちらの貯水槽とも実態の把握ができていることが分かりました。法定検査のない小規模貯水槽水道のほうも実態について全数調査をしていただき、直近では96%まで管理が良好な施設割合が増えたことは評価できるところです。
 しかし、やはり法定検査が義務ではない小規模貯水槽水道の実態調査を市が毎年全数把握するということは難しいため、共同住宅における直結式給水への切替えを勧奨すべきだと思いますが、既存の共同住宅のうち、貯水槽を設置している住宅について、直結式給水へと移行する上でのメリットとデメリットを説明願います。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 貯水槽式給水から直結式給水へ切り替えることのメリットといたしましては、フレッシュな水道水が直接蛇口まで供給されること、貯水槽の定期的な清掃や検査が不要となること、貯水槽の設置スペースを有効活用できること、ポンプの電気代が節約になることなどが挙げられます。一方で、貯水槽のメリットである水の貯留機能が失われることになりますが、災害等による停電時においては、共同住宅の共用部分等に設置されている非常用水栓から給水を確保することができます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) それでは、直結式給水を促進するために、現在市が実施している施策は何か、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 直結式給水の普及促進を図るため、ホームページやSNS、広報紙「みずだより」による広報、啓発活動をはじめ、令和4年度に新たに作成した啓発パンフレット等により、お客様に、より分かりやすい情報提供に努めております。また、切替えの際の手続や工事内容などについて相談いただける直結給水相談窓口の設置や、お客様の費用負担の軽減を図るため、水道加入金の減免などを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 啓発や相談体制などは整っているようで、切替えの補助金等は特にないようですが、加入金の減免を実施しておられるとのお答えでした。
 では、御答弁にありました加入金の減免について、これまで加入金の減免を受けた住宅はどれほどあるのか、件数、減免額をそれぞれお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 減免制度を導入した平成14年度から令和4年度までの21年間で約1,400件、総額約29億円の減免を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 20年以上前から減免制度を取り入れ、直結式給水への切替えを進めてきたことが分かりました。しかしながら、まだ約半数の方はいまだ貯水槽式給水を御利用であるため、直結給水率の向上については、補助金制度の導入も含め、積極的に取り組んでいただくよう要望をしておきます。
 これまで給水方式についてお尋ねをしてまいりましたが、「みずだより」の最新号には給水方法の説明ページにこのような記載があります。「『貯水槽はコップと同じです。』貯水槽が適正に管理されていないと、せっかくの安全でおいしい水が汚れてしまいます。皆さんが飲んでいる水は大丈夫ですか」、そのような文言が「みずだより」に掲載してあるんですが、私はまさにこの部分に課題があるのではないかと思っています。そもそも給水方法について理解をしている市民がどれだけいるかということです。
 またパネルなんですけれども、(パネル表示)こちらは先ほどのお客様アンケートの別の質問の結果です。住宅の給水方法について尋ねた質問の結果ですけれども、黄色が貯水槽式と答えた方、青が直結式と答えた方、そして、赤色が分からないという回答の結果なんですけれども、特に共同住宅にお住まいの方は分からないと答えた方の割合が多く、特にこの共同住宅の中でも賃貸の共同住宅にお住まいの方は何と38.4%なんですけど、無回答も合わせますと、賃貸住宅の場合、自分が住んでいるマンションが直結式か貯水槽式かということさえ把握をできていないという方が40%以上いるという結果でございます。
 こちらがもう1つのグラフでして、こちらは同じアンケートの、先ほどでいうと貯水槽式だと答えた方の内訳になるんですけど、その貯水槽の清掃や点検の状況について尋ねた質問の回答割合をまたグラフにしていますけれども。自分の家が貯水槽式だということは認識している、けれども、きちんと管理が行われていると答えた方と、一方で、管理については分からないと答えている方、今度こちらが賃貸住宅については29%いるというような結果も同時に出ております。このアンケート調査からも、特に賃貸の共同住宅にお住まいの方は約半分の方が給水方法や管理状況について理解をされていないということが見えてくるんではないかと思います。この結果は、冒頭に指摘をしました水道水を飲むことに対する何となくの不安感につながっているのではないでしょうか。
 そこでお尋ねをいたしますが、貯水槽自体が目につかない場合、市民は直結式給水か貯水槽式給水かを見分ける方法は何かあるのか、お答えください。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 給水方式を確認する方法といたしましては、賃貸住宅の場合は国土交通省が定める賃貸住宅標準契約書に直結式給水か貯水槽式給水かの記載があることから、お客様御自身の契約書で御確認いただく方法や、管理会社または管理組合に御確認いただく方法がございます。また、福岡市水道局が定める給水装置工事施行基準におきまして、貯水槽式給水の場合は屋外にある水道メーターボックスの蓋の裏側にその旨を表示するよう定めておりますので、そちらで御確認いただく方法もございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 契約書への表示はあるものの、ほかにはメーターボックスの表示を見ないと分からないようです。
 もし貯水槽式給水の住宅である場合には、今度は適切に管理をされているのかどうかということが分からなければ、安心して水道水を利用することはできませんので、続いて、貯水槽の適正管理の可視化についてお尋ねをしてまいります。
 法定検査が義務づけられている簡易専用水道の貯水槽については、検査適合ステッカーというもの、(現物表示)こちらは今日現物をお借りしてきましたけど、こういうステッカーの配付が行われているということですが、その配付方法と配付が始まった平成30年9月からこれまでの配付件数の推移をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ステッカーにつきましては、簡易専用水道検査機関に対して、法定検査の結果が良好であった施設への配付を依頼しております。配付件数につきましては、平成30年度が1,865件、令和元年度は3,208件、2年度は3,214件、3年度は3,145件、4年度は3,206件となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、ステッカーの配付依頼において、掲示場所の指定はされておられるか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ステッカーにつきましては、建物の利用者に水道水の安全性への信頼を高めていただくとともに、貯水槽の管理状況に関心を持っていただくため、建物のエントランスに掲示するなどにより、活用いただくようお願いをいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) エントランスへの掲示をお願いしているとのことですが、あまり私自身このステッカーを見たことがありませんので、検査機関任せとならないようしっかり啓発をお願いしておきたいと思います。
 直結式給水の建物や適正に管理をされた貯水槽式給水の建物であれば、より積極的に福岡市の安全でおいしい水道水についてPRをできると思います。そのためには、直結式給水への切替えや貯水槽の適正管理について、建物の管理会社などと連携をして取り組む必要があると思いますが、現状どのようになっておられるか、説明願います。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 直結式給水の普及促進及び貯水槽の適正管理の徹底を図るため、管理会社等への啓発パンフレットの配布をはじめ、不動産業界や設計コンサルタントの団体が発行する機関誌への啓発記事の掲載、各種団体が主催するマンション管理セミナー等において広報ブースの設置を行うなど、関係団体の御協力を得ながら各種取組を進めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) では、法定検査が義務化をされていない小規模貯水槽水道について、清掃や検査などを依頼できる業者はあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 清掃や検査を依頼できる業者につきましては、ホームページへの掲載に加え、小規模貯水槽の設置者に送付しております啓発パンフレットからも確認できるようにするなど、周知を図っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 小規模貯水槽についても、検査を行う業者はあるようです。
小規模貯水槽水道についても、検査を受け、基準をクリアしていれば、そのことが住民に伝わるよう、簡易専用水道検査機関が検査を実施し、基準をクリアしている場合には、そのことが分かるステッカー等を配付することについて御検討いただきたいと思いますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 小規模貯水槽水道につきましては、法令で検査を受けることが義務づけられておらず、その検査は簡易専用水道の法定検査とは位置づけが異なり、同様のステッカーを配付することは難しいことから、慎重に検討すべきと考えております。しかしながら、貯水槽水道の規模の大小にかかわらず、管理を怠ると水質の悪化につながるおそれがあることから、引き続き水道局と連携し、小規模貯水槽水道の設置者に対して、貯水槽の衛生管理に関する啓発に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 井上まい議員。
○55番(井上まい) 小規模貯水槽へのステッカー配付については前向きな御答弁はいただけませんでしたが、直結式給水であれば、直結式給水であるということ、そしてまた、貯水槽式給水であれば、貯水槽の管理が適正になされているということが当たり前に市民が把握をできる姿が理想だと思っています。さらに、そのような住宅であれば、住宅としての付加価値にもつながると思います。蛇口からおいしい水が飲めるということは、福岡市としても誇れることだと思っています。今回の質問で改めて確認をさせていただきましたが、水道局は独自で厳しい基準も設け、水質管理に取り組まれ、貯水槽についても、現在ほとんどの建物で適正管理が進んでいるということが分かりました。だからこそ、漠然と不安だから水道水は飲まないという市民の不安を払拭し、安心して水道水を飲んでいただくためにも、直結式給水の推進はもちろんのこと、そこからさらに一歩進んで直結式給水の明示や小規模貯水槽の適正管理の可視化を進めていただきたいと考えています。
 具体的な御提案として、例えば、給水方式の賃貸情報への掲載や貯水槽清掃日などの掲示、また、入居説明時に直結式給水であることの説明に御協力いただくなど、関係業界や管理会社等とも連携をした新たな取組を期待いたしますが、最後に御所見をお尋ねし、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 水道局といたしましては、安全でおいしいフレッシュな水道水を一人でも多くの皆さんに安心して飲んでいただきたいと考えております。これまでの取組をさらに進めるため、衛生行政を所管する保健医療局と連携して、引き続き先進事例を調査するとともに、関係団体等の御意見も伺ってまいりたいと考えております。今後とも、より多くの皆さんに水道水の安全性やおいしさが伝わるよう、しっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時33分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。川上陽平議員。
○21番(川上陽平)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、部活動の地域移行について、オンデマンド交通社会実験について、タクシーの人材確保についての3点について質問いたします。
 初めに、部活動の地域移行についてお尋ねいたします。
 文科省は2020年9月に学校の働き方改革を踏まえた部活動改革についての書面で、2023年度から公立中学校での休日の部活動の地域移行をスタートすることを発表いたしました。部活動の地域移行とは、公立中学校においてこれまで教員が受け持っていた部活動の指導を、地域のスポーツクラブや民間企業、競技団体など外部の団体に移行する改革のことであり、移行先では所属中学校のみならず、複数の中学校が合同で活動することもできるとされております。これについては、全国的にも賛否両論、様々な意見が出ており、大変関心が高いものとなっております。私としては、先生方の負担軽減は切実な問題であり、早急に進めていくべきものと考えておりますが、一方で子どもたちの成長過程において部活動の果たす役割は大変重要で意義のあるものです。
 福岡市では既に地域移行を見据えた休日のモデル事業をスタートしておりますが、今後の対応についてはいまだに周知しておらず、また、中体連の大会においては既に中学校以外の団体の参加が認められている状況であります。このことで、生徒や保護者、部活動指導員、ましてや現場の先生からも、今後どのようになるのかといった不安の声や戸惑いの声が上がっております。我々議会にも、これまで一切の報告は受けておりません。
 このことを踏まえ、福岡市として、部活動地域移行についての現状と今後の方向性について質問をいたします。
 まず、文科省が進める部活動の地域移行とはどのようなものなのか、また、どのように進めていく方針なのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年12月に国が策定いたしました学校部活動等の在り方に関する総合的なガイドラインでは、官民が連携して学校施設で行う部活動に指導者を派遣する仕組みや、クラブチームなどの地域団体が実施主体となり、実施主体の施設などを活用して生徒が参加する仕組みが示されておりまして、そのための環境整備につきましては、令和5年度から令和7年度までの3年間を改革推進期間として、地域連携、地域移行に取り組むこと、まずは休日における地域の環境の整備を着実に推進すること、平日の環境整備にはできるところから取り組み、休日の取組の進捗状況等を検証し、さらなる改善を推進することとされてございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 部活動の地域移行については、まずは休日の学校部活動をなくしていき、その進捗状況を見ながら、さらに平日の学校部活動もなくし、外部の団体に委ねることと理解をいたしました。
 では、文科省が部活動の地域移行を打ち出す上で、その要因となった背景についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国のガイドラインによりますと、少子化が進行する中、学校部活動を従前と同様の体制で運営することは難しくなってきており、学校や地域によっては存続が厳しい状況にあることや、必ずしも専門性や意思にかかわらず、教員が顧問を務めるこれまでの指導体制を継続することは、学校の働き方改革が進む中、より一層難しくなることが要因とされてございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 背景についてはよく分かりました。私としても、先生方の負担軽減は待ったなしの状況であると考えております。しかしながら、そのしわ寄せが部活動をなくしていくことで子どもたちに影響しないかと危惧しております。
 そこでお尋ねしますが、福岡市における部活動の意義、役割についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市におきましても、中学校学習指導要領に示されているとおりでありますが、部活動はスポーツや文化及び科学などに親しませ、生徒の学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養などに資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意する必要があるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 部活動は学級や学年を離れた集団の中で互いを認め合い、励まし合い、高い信頼関係を深め、自己の存在や責任を見詰め、豊かな人間性や社会性を育成する重要な機会であると考えます。このように学校教育における部活動は、子どもたちの成長過程において大変貴重な経験であり、有意義なものだと思います。
 そこでお尋ねします。これまで中学校の部活動にどのくらいの生徒が参加してきたのか、10年前、5年前及び現在までの推移を教えてください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 加入率につきましては、10年前の平成25年度は74.5%、5年前の平成30年度は72.4%、令和5年度は67.4%でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 約7割の生徒が部活動に参加しております。これが部活動の地域移行により部活動がなくなるとすれば、これまでのようにたくさんの生徒が気軽に経験できた活動の機会や選択肢が奪われないかと心配しております。例えば、私がPTA会長を務めた福岡市立三宅中学校では、3年前に剣道部が創部されたのですが、当初は4人の経験者だけのスタートでした。それが今では部員数39名で、その8割以上が未経験者ということです。同じく美術部においては、部員は100名ほど、そのほとんどがこれまで経験したことがありません。ほかの部活も同様だと思いますが、学校に部活動があることで、子どもたちはスポーツをはじめ、武道や文化、芸術、音楽などに気軽に触れることができております。部活動の地域移行により、金銭面や様々な問題で、この門戸が狭まるようなことがあってはなりません。
 そこでお尋ねします。福岡市としての部活動の地域移行におけるメリット、デメリットについてお聞かせください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) メリットといたしましては、教員の負担軽減や専門的な指導による生徒の技術向上が考えられ、一方でデメリットといたしましては、活動を維持するための費用の確保をどうするのか、平日と休日の指導者間の連携をどのように図っていくのか、指導者をどのように確保していくのかなどが考えられます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) メリットについては、教員の負担軽減や専門的な指導による生徒の技術向上とのことです。また、デメリットについては、金銭的な問題に加え、受皿としての専門的な外部団体をどのように確保していくかということでした。しかしながら、これらのメリット、デメリットについては、既に福岡市は施策として、これまでも地域と連携しながら、部活動指導員という外部人材の活用に力を入れてきたところであります。
 そこで、福岡市がこれまで取り組んできた部活動指導員の目的と配置状況、また、その成果についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 部活動を指導する教員の負担を軽減し、生徒と向き合う時間を確保すること、技術的指導に関する質の向上を図ることを目的としておりまして、昨年度の110名から本年度は222名に増員いたしております。部活動指導員は単独での指導や大会等の引率、監督ができるため、その配置により、教員の負担軽減が図られております。また、専門的な指導が展開できるため、けがや事故の予防を図ることができており、生徒や保護者にとって、より安心で充実した部活動になっていると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) ただいまの答弁からも分かるように、これまで取り組んできた外部指導員制度の充実をより積極的に進めることで、福岡市としては部活動をなくすことなく、国が進める地域移行の要因となった背景や福岡市の考える課題を克服することができると考えます。
 そこでお尋ねします。今回の文科省の方針を受けて、福岡市としての今後の対応をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市では国の予算を活用して、令和4年度から休日の地域移行のモデル事業を実施し、課題の検証などを行っておりますが、地域移行を進める場合、その受皿の確保や費用負担の問題など、解決しなければならない課題が多数生じることが予想されます。そこで、当面といたしましては、課題解決と併せて、国も示しております部活動地域連携としての部活動指導員などの充実を積極的に進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 国の施策は一般的なものであり、その地域が抱える特性や課題も様々であります。福岡市においては、これまで地域と連携しながら、外部指導員制度というすばらしい取組を既に行ってきております。この制度をより積極的に充実させることで先生方の負担も軽減でき、生徒に対する部活動の意義も損なわれることなく両立できるのではないかと考えます。
 福岡市の対応は、当面は地域移行ではなく、地域と連携しながら、部活動指導員制度を積極的に進めていくとのことです。そうであれば、ぜひ教員の負担がより軽減されるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。そして、この現状を生徒や保護者、日頃から協力していただいている外部指導者、そして、現場の先生方に早急に周知し、不安を取り除くとともに、現場の声をしっかりと聞いていただきたいと思います。その上で、今後は議会に対しても、その情報をオープンにしていただき、この部活動の地域移行については、引き続きしっかりと議論していくべき重要な問題だと思っております。
 最後に教育長の御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 部活動が子どもたちの成長過程において引き続き意義あるものとなるよう、また、教員の過重な負担の軽減にも資するよう改革を進めていく必要がございます。地域移行に関する福岡市の当面の進め方につきまして、早急に学校や関係機関等へも周知するとともに、今後、モデル事業の検証結果等を踏まえつつ、議会の御意見もしっかり伺いながら、部活動の在り方について今後の方針を定めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、オンデマンド交通社会実験についてお尋ねします。
 生活交通については、高齢化が進展する中、買物や通院など日常生活に必要な交通手段の確保が課題となっております。会派としても、2025年問題を念頭に様々な検討を行い、持続可能な生活交通の確保という視点に立って、事業者が輸送収益やスポンサー収入などを得ていけるような仕組みの構築や、都市部でも急な坂道の多いエリアなど、高齢者が日常生活に困難を抱える地域を選んで課題解決に取り組むべきだと主張してまいりました。
 そのような中、令和4年度より、東区、南区、中央、城南区のエリアの大きく分けて3つのエリアにおいて、福岡市が主体となり、予約に応じて効率的に運行するオンデマンド交通の社会実験が行われております。この社会実験の取組は、地域、事業者、市が3者一体となって取り組まれており、1年前にも質問させていただきましたが、地域の期待も大きいところであり、今後の持続可能な生活交通の仕組みづくりに向け、よりよいものとなるよう、取組状況や方向性などについて確認していきたいと思います。
 まず初めに、オンデマンド交通社会実験の目的についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) オンデマンド交通社会実験につきましては、公共交通不便地等における持続可能な生活交通の確保を目的として、現在、運行内容をはじめ、運賃以外の収入確保の工夫などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、社会実験における運行開始までの取組の経過についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 社会実験につきましては、令和4年度に市と共働で主体的に取り組む地域及び交通事業者をそれぞれ募集の上決定し、現在は市内3エリアにおいてチョイソコふくおかという名称で取り組んでおります。また、各エリアにおきまして、地域及び交通事業者と運行協議会を立ち上げ、運行計画等の協議、検討などを行い、バス、タクシーなどの交通事業者や行政等で構成する地域公共交通会議での協議を経て、エリア1の東区は令和4年11月に、エリア2の南区は5年1月に、エリア3の中央区、城南区は6月に、それぞれ運行を開始しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) さて、今回の社会実験、チョイソコふくおかの利用については、利用者が会員登録し、電話やインターネットで予約を行うことで、専用の停留所から停留所まで移動ができる乗り合いサービスとなっています。
 そこで、令和5年7月時点の会員登録者数及び利用経験者数についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和5年7月末時点のチョイソコふくおかの会員登録者は2,044人、そのうち利用経験者は579人となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 会員登録者数及び利用経験者数はどのような年齢層の方が多いのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和5年7月末時点で、会員登録者及び利用経験者のうち、65歳以上の割合が約7割であり、次いで70代、80代が多い状況となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 高齢の方の利用が多いようです。高齢化が進む中、外出促進につなげていくことが重要だと思っています。
 運行開始から一定期間がたったエリアもありますが、運行開始以降どのようなことに取り組んできたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 利便性向上を図るため、地域の御意見も踏まえ、適宜停留所を追加するとともに、周知を図るためチラシ配布など、地域、交通事業者及び市が共働で利用促進に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 今回の社会実験は、会派が主張してきた持続可能な生活交通の確保という視点に立って、地域、事業者、本市で連携を図りながら、スポンサーへの働きかけを行っていくとされておりましたが、それぞれの果たしてきた役割、スポンサー停留所数がどうなっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) スポンサー確保に当たりましては、交通事業者が中心となってスポンサー候補者との協議を行いますが、より多くのスポンサーが確保できるよう地域の方々から候補者を御紹介いただき、市も適宜協議に同行し、社会実験の趣旨を説明するなど、交通事業者や地域の取組を支援しております。なお、スポンサー停留所数につきましては、令和5年7月末時点で41か所となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 地域の方々もスポンサー候補者に話をされるなど、3者で取り組まれ、多くのスポンサーに支えられているようです。そのほかにも利用促進策として、城南区のエリアでは、花みずき通り商店会と連携した乗車割引券の導入が検討されており、商店会の御協力を得て、チョイソコの割引券を発行する取組だと聞いております。
 また、自治協議会共創補助金等の活用ができるように検討をお願いしてまいりましたが、地域が生活交通の課題解決に向け乗車割引券を発行する場合、共創補助金を活用することができるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自治協議会共創補助金につきましては、自治協議会が行う地域の活性化や課題解決につながる事業の実施に要する経費を補助対象としておりますので、お尋ねの事業に係る経費が補助の要件に該当する場合には、活用いただくことが可能でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 補助要件に該当すれば共創補助金が活用可能ということですので、該当する地域の自治協議会に対しても周知を行っていただきますようお願いいたします。
 また、持続可能なものとするためには、スポンサーを増やしていくとともに、利用促進などアイデアを出し合い、連携を図っていくことが重要だと思います。昨年度の質問においては、今回の社会実験に対し、高齢者乗車券のサービスが利用できないようになっており、早期の改善を要望しておりました。
 そこで、今回の社会実験における高齢者乗車券のサービスの対応状況についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券は、高齢者の社会参加の促進を目的に交付しているものであり、市民の利便性の向上に向けて、令和5年度分から従来の券種に加え、オンデマンド交通チョイソコふくおかの乗車に利用できる専用の回数乗車券を導入することとしており、現在、申請の受付を開始したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 社会実験で高齢者乗車券のサービスが利用できるようになったことはよかったと思います。引き続き、市民の利便性向上のための改善に努めていただきますようお願いいたします。
 これまで、高齢者が運転免許を返納した後も生活を維持できるよう、困難を抱える地域で課題解決を図るよう会派として主張してまいりました。そのような地域はオンデマンド交通と既存の公共交通が競合する部分もあり、公共交通事業者、とりわけタクシー事業者の方々の理解や協力を得られるように、十分な説明に努めていただきたいとお願いしておりました。
 そこでお尋ねしますが、社会実験を進める上では、タクシー協会など公共交通事業者に対し、地域公共交通会議に諮る前に今後の方向性等を説明し、意見を聞くべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 社会実験は、身近な通院や買物など、公共交通不便地等における生活交通の確保を目的としており、路線バスやタクシーといった既存の公共交通との連携が重要であると考えております。これまでも既存の交通事業者等と協議を行ってきたところではございますが、引き続き交通事業者をはじめとした関係者と協議を行いながら社会実験を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 社会実験は運行開始から1年間を予定されており、初めに運行したエリア1東区が9か月経過しています。ここからは、エリア1東区の状況について聞いていきます。
 社会実験の目的の一つは、オンデマンド交通が持続可能な生活交通確保の仕組みとなるか確認することであり、利用者ニーズや取組等の検証を進めていくとのことで、検証に当たっては、利用実績データの把握のほか、アンケート調査を行うと聞いております。
 そこで、エリア1東区のアンケート調査の対象者や主な項目についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) アンケートにつきましては、エリア1東区の美和台校区、和白東校区、三苫校区の3校区に在住する18歳以上の1,000名と当該エリアの会員登録者を対象にしており、チョイソコふくおかの認知度や利用目的、運行に対する満足度などを調査項目として設定しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、チョイソコふくおかの運行に対する認知度など、アンケート調査の主な結果についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) まず、チョイソコふくおかの認知度につきましては、内容まで知っている方が約3割、見たことや聞いたことがある方を合わせると約7割となっております。次に、主な利用目的につきましては、通院や駅、バス停への移動、買物と回答した方の割合が多くなっております。次に、利用者の満足度につきましては、停留所や運賃など、全体で約5割の方がおおむね満足と回答されており、普通と回答した方を合わせると約7割となっております。その他、チョイソコふくおかの利用により外出機会が増加したと回答した方が約3割となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 外出が増えたと回答された方が3割と、この取組が外出促進につながっていると考えられます。一方で、チョイソコの内容まで知っているが約3割となっており、利用促進に向けては認知度の向上を図る必要があるのではないかと考えます。
 ここからは、運行開始からこれまでの取組でどのような成果があったのか、聞いていきたいと思います。
 まず、エリア1東区の会員登録者数や利用状況の変化についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) エリア1東区の会員登録者数につきましては、運行開始時の令和4年11月末時点が209人なのに対し、5年7月末時点で959人となっております。また、利用者数につきましては、4年11月時点が1日当たり4人なのに対しまして、5年7月時点で28人となっております。利用目標である40人には達しておりませんが、運行開始以降、徐々に増加をしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、東区の令和5年7月の運行経費及び運賃、協賛収入の収支状況及びその傾向についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) エリア1東区における令和5年7月の収支状況につきましては、運行経費が約97万円、運賃収入が約15万円、協賛金収入が約6万円となっており、経費と収入の差額を福岡市が負担することとしております。なお、経費に対する収入の割合を示す収支率は約2割となっており、運行開始以降、運賃収入や協賛金収入が増え、収支率は徐々に改善していっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 収支状況は改善しているようですが、採算が合う状況にはないようです。
 運行開始以降、利便性向上などに取り組んできたとありましたが、エリア1東区の停留所状況の変化、利用促進の取組についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) エリア1東区の停留所につきましては、地域、交通事業者、福岡市が協議を行い設置しており、運行開始時の57か所から、令和5年7月末時点では86か所となっております。このうちスポンサー停留所につきましては、当初の5か所から15か所へと着実に増加しております。また、取組の周知を図るため、地域へのチラシ配布や説明会、自治協だよりへの掲載など、地域及び交通事業者との3者共働で利用促進に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 地域としても、これまでの取組で高齢者を中心に、地域住民の外出にも役立っていることから、運行継続を望まれている意見もあるようです。南区においても、取組の周知を図るため、5校区で利用チラシの全戸配布が行われるなど、地域の方も汗をかかれ取り組まれており、少しずつ利用が伸びてきております。
 我々としては、これから高齢者乗車券も導入される中、当初予定していた運行期間が経過するからといって終了するのではなく、社会実験の運行を継続し、引き続き利便性向上や利用促進、協賛金確保などの取組を行うことで、より持続的なものになっていくのではないかと考えます。その上で、今後も様々な課題が出てくると思いますが、それを一つ一つ受け止め、改善することで、将来の本格運行につなげていただきたいと思います。これから高齢化が進展する中、生活交通の確保にしっかりと取り組むことで、市民が安心して快適に暮らせるようにすべきだと思います。これまで様々な提案をしてきた我々としても、地域の意見調整や協賛獲得の後押しなど、しっかりと汗をかいて社会実験の成功に努めていきたいと考えており、社会実験の運行期間の延長を含め、生活交通確保に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に島市長の意気込みをお尋ねし、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においても、今後、高齢者が増加をしていく中、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、買物をはじめ、日々の生活を支える基盤づくりが重要になってくると考えております。このため、生活交通確保の取組の一つとして、オンデマンド交通を活用した社会実験に取り組んでおりまして、関係部署はもとより、地域や交通事業者など様々な関係者とともに、この取組を着実に進めているところでございます。今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などの取組と併せ、社会実験で得られた課題などを踏まえ、持続可能な生活交通確保の仕組みづくりについて議会の意見もお伺いしながら、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、タクシーの人材確保についてお尋ねします。
 タクシーについては、コロナ禍の影響もあり、多くの運転者が辞められるなど、タクシー不足が全国的な問題となっております。新型コロナウイルスも5類に移行し、コロナ禍前の人出に戻りつつあります。観光客の来街が増えるとともに、市民の方々の交流も戻ってきており、来街者のタクシー利用が増えることで、市民へのしわ寄せが懸念されます。実際に、タクシーがいない、呼んでも来ないという地域の声もお聞きしているところです。
 公共交通機関であるタクシーについて、なぜ不足しているのか、また、今後さらに需要が増え、タクシー不足がより一層深刻化することが懸念される中、どのように対応していくのか、確認していきたいと思います。
 福岡市におけるタクシー不足の事例として、九州の玄関口である博多駅のタクシー不足は報道等でも耳にしているところですが、コロナ禍前の以前には、タクシーによる駅周辺の混雑を緩和するため、タクシーの駅への入構規制が実施されると聞いたことがあります。
 まず初めに、博多駅でのタクシーの入構規制の内容についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) タクシーの待ち行列が駅前広場や周辺道路の混雑を招いていたことから、タクシーのナンバープレート末尾が偶数、奇数によって、曜日別に入構規制が行われているものであり、九州旅客鉄道、福岡県構内タクシー協会、福岡市タクシー協会等で構成されるJR博多駅構内タクシー運営協議会の自主ルールとして実施されているものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 周辺道路の混雑緩和を目的とし、偶数、奇数の入構規制が実施されているとのことです。しかし、タクシーが不足する状況において入構規制を実施することは、かえってタクシーが寄りつかず、特にイベント時に多くの方がタクシーを利用しづらい状況を招いてしまうのではないかと思います。
 そこで、博多駅でのタクシー不足にどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) コロナ禍においても、行動制限が緩和されるにつれ、博多駅におけるタクシー不足を懸念していたこともあり、市としても関係者と協議を行い、令和5年度のゴールデンウイーク期間中に実験的に入構規制解除を実施していただいております。その後、ゴールデンウイークの実験結果も踏まえ協議を行い、特にイベントが重なる7月中旬から夏休み期間中についても、再度規制解除を実施していただいております。引き続き博多駅におけるタクシー不足が生じないよう、関係者に働きかけてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 市の呼びかけもあり、博多駅における偶数、奇数の入構規制解除によって、関係者の皆さんでイベント時のタクシー台数確保にも取り組んでいただいているとのことです。できるところから課題を解決することは大事なことだと思いますが、昨今のタクシー不足は博多駅に限ったことでもありません。抜本的なタクシー不足への対応が必要であると考えます。
 ここからは、タクシー不足の要因を確認していきたいと思います。
 福岡市において、稼働しているタクシーの車両数をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 国土交通省の資料によりますと、福岡市を含む福岡交通圏における車両数は、令和3年度末時点で、休車台数を除くと推定約5,400台、また、実働率は約60%であることから、稼働車両数は推定約3,300台となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 次に、全国のタクシー運転者数の推移をお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 厚生労働省の資料によりますと、全国のタクシー運転者数は令和3年6月末時点で約22万人と、平成18年からの15年間で約40%減少しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 全国のタクシー運転者の賃金や平均年齢は他業種と比べてどうなっているのか、また、人材確保に向けて業界はどのように取り組まれているか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 厚生労働省の資料によりますと、全国のタクシー運転者の年間所得額は、令和3年6月末時点で約280万円と、全産業平均の約490万円に比べ低くなっております。また、平均年齢につきましては、令和3年6月末時点で約61歳と、全産業平均年齢の約41歳を上回っております。人材確保に向けた取組につきましては、令和5年8月1日より、福岡市を含むエリアで運賃改正が行われており、これにより労働条件の改善も図られると聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) 人材確保に向けて、業界においては運賃改定による労働条件の改善などに取り組まれているとのことですが、現状は稼働できていないタクシーが多く、その要因は運転者不足にあるようです。報道によると、福岡都市圏においても、コロナ禍前と比べて運転者が約2割減少し、車両の稼働率も約7割から8割であったところが、現在は約6割に落ち込んでいるとのことです。また、運転者の平均賃金は他業種に比べて低い状況にあり、高齢化も進んでいることが分かりました。
 次に、タクシー事業や運転者の位置づけについて確認していきたいと思います。
 タクシー事業及び運転者の法律上の位置づけについてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) タクシー事業は、道路運送法に基づく一般乗用旅客自動車運送事業となっております。また、タクシーの運転者は、道路交通法に基づき、第二種免許が必要となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) タクシーは道路運送法及び道路交通法に基づいて運行されており、運転者は二種免許が必要であることが分かりました。
 そこで、全国の二種免許保有者数の推移をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 警察庁の資料によりますと、全国の二種免許保有者数は令和3年末時点で約163万人と、平成18年からの15年間で約30%減少しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 川上陽平議員。
○21番(川上陽平) タクシー運転者と同様に、運転に必要な二種免許保有者も減少傾向にあるようです。タクシー業界の動向として、全国ハイヤー・タクシー連合会において、深刻化する人手不足対応等のため、外国人在留資格への自動車運送事業の追加を令和5年5月に国へ要望されています。業界としても、タクシー運転者の不足は喫緊の課題のようです。一方、昨今、ライドシェアに関する発言が全国で相次いでおります。今後、議論もされていくと思いますが、自家用車を使用して有償で旅客を運送する行為である、いわゆる白タク行為については、道路運送法に基づき事業者に課せられる輸送の安全等に関する規定等が適用されず、利用者の安全、安心が確保されていないため容認できるものではありません。
 コロナ禍前の人出に戻りつつある今、福岡市が地域の活性化に向けて交流人口の拡大を図るとともに、観光都市として成長を遂げていくためにも、安全、安心が担保された公共交通機関であるタクシーが不足する現状を改善し、市民はもとより、来街者の交通利便性を確保していくことが重要ではないでしょうか。博多駅などにおける短期的な対策も重要ではありますが、タクシー運転者不足を抜本的に改善するために、市としても取り組んでいただきたいと思います。
 最後に島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) タクシードライバーの高齢化が進み、さらに今後の大幅な増加も見通せない中、菅前総理をはじめ、ライドシェアを進めるべきとの発言も報道されるようになり、実際に海外で利用した方からは、言葉が通じなくても目的地まで案内してくれて助かった、利用料金が乗る前から決まっているので安心した、ドライバーと乗客を相互に評価する仕組みがあり安心感があったなどといった意見があり、日本においても、タクシードライバー不足については、国においてライドシェアも含めて抜本的な議論が必要であると考えております。
 一方で、全国ハイヤー・タクシー連合会の会長をされている日本交通の川鍋会長からは、タクシーには規制が多く、乗務員を増やすペースがなかなか上がらない、二種免許もハードルになっている、海外のライドシェアのように誰でもタクシーを運転できるようになれば、タクシー会社が安全、品質担保の運行管理責任を負った上で、運転者不足はすぐに解消できる。そういったタクシー業界を縛っている規制の徹底的な緩和の必要性をフェイスブックなどで発信されております。
 このように、急速に議論が高まっているタクシードライバーの供給不足については、全国的で深刻な課題でもあり、市民や訪れる皆様の足として、早急に改善すべき課題であると考えております。川上議員御指摘のとおり、国においても抜本的な対策の議論が必要で、福岡市としても、その危機的な状況について、国にしっかりとお伝えをしてまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義)登壇 私は新しい風ふくおかを代表して、いじめ重大事態に対する再発防止策について、放課後等の遊び場づくり事業、通称わいわい広場について、以上2問質問します。
 まず、いじめ重大事態に対する再発防止策についてです。
 先日、私の下に、LINEによるいじめが原因で娘が不登校になり、重大事態になったと保護者から相談がありました。経緯をお聞きしたところ、娘が中学1年生の頃、集団によるグループLINE上で誹謗中傷を繰り返された挙げ句、生活指導の先生からは、校則違反をしていたからと被害生徒の事情に耳を傾けることなく、教育の範疇を逸脱する言葉かけや態度で、人目もはばからず大声で指導を受けたとのこと。寄り添ってほしかった時期に行き過ぎた風紀指導を受けた女子生徒は、その後、PTSDとなり通院を余儀なくされ、いまだ不登校となっています。この事案は、昨日の西日本新聞にも大きく掲載されました。
 そこで、今回の事案を受けて、教育委員会としてはどのように受け止めているのか、また、その要因についてはどう考えているのか。重大事態が起きた場合の対応、いじめ防止に向けた取組についてもお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて質問します。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめ重大事態に至ったことにつきましては、教育委員会としても重く受け止め、このような事案が起きないようにしていかなければならないと考えております。また、今回の事案につきましては、いじめや行き過ぎた風紀指導等により、いじめ重大事態に至ったと認識いたしております。いじめ重大事態が起きた場合は、教育委員会のいじめ事案緊急対応チームで協議を行い、いじめ重大事態調査が必要だと判断した際には、第三者調査委員会であるいじめ防止対策委員会を設置し、調査を行っております。調査後、いじめ防止対策委員会から提言を受けて、各学校には公表資料を確認するとともに、指導過程における適切な対応について全職員で情報を共有し、再発防止に努めるよう通知いたしております。
 また、いじめ防止に向けた取組につきましては、各学校ではいじめ防止対策推進法に基づき、いじめの防止等のための対策に関する研修を実施しておりまして、教育委員会はその取組状況を把握するためのアンケートを学期に1回実施し、確認いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 各学期に一度、研修の取組状況を把握するためのアンケートを取っているとの答弁です。本来であれば、重大事態による通知書が各学校に届いた時点ですぐに研修を行い、いじめ防止に向けた取組をどうすべきか、生徒側とも話合いをする機会が必要なはずですが、なぜ各学期なのでしょうか。また、各学校への通知書が発送されると同時に、教育委員会のホームページで公表されていますが、先月、8月1日に通知されている今回の重大事態の事案は、そのホームページのどの項目をチェックすれば見ることができるのか、あわせて、公表されている期間についてもお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめ防止に関する学校の取組状況を把握するためのアンケートの項目には、毎学期実施するものも含まれておりまして、その内容における取組状況を把握するために、学期に1回アンケートを実施しております。お尋ねの報告書につきましては、福岡市教育委員会のホームページ内の「学校教育」の中に掲載しておりまして、公表期間については半年間としております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) ここで問題なのは、重大事態が起きても通常時と同じ取扱いとなっていることです。私もホームページを見ましたが、たどり着くまで何度も検索をせねばならず、とても公表しているとは言い難い状況です。実際に現場の教員数名にも聞いてみましたが、誰も今回の重大事態を認識はできていませんでした。重大事態にまでなったこの大きな問題を、よりスピーディーに伝え、我が校に置き換えて考えてもらう機会が重要ではないでしょうか。重大事態というものをもっと重く受け止めて、生徒のために最優先に解決に向けて動くべきです。
 今回の事案については、グループLINE内で勝手に被害者の写真を送るといった違法行為に対する生徒、保護者、教員たちの認識の低さ、教員たちの初期対応、いじめ被害者に対するケア、被害者に対する教員の行き過ぎた風紀指導といった数々の問題点が挙げられます。
 そこで、それぞれの問題を改善していくため、全校へ対策を講じるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめを重大化させないための対策としましては、いじめの早期発見、早期対応に努めることが重要であります。いじめの早期発見につきましては、児童生徒が発信するサインを見逃さないよう、令和5年度から、小学校1年生から中学校3年生までの全ての学年に対象を拡大し、Q−Uアンケートを実施しております。また、教育相談アンケートを月1回、さらに、無記名によるアンケートを学期に1回実施し、いじめの早期発見に努めております。いじめの早期対応につきましては、担任や生徒指導担当教員が中心となりまして、管理職のリーダーシップの下、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携しながら組織的に対応してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) SNSを使ったいじめは、アンケートだけでは実態を捉えにくく、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも、いじめられている生徒に寄り添うことはできても、被害者と加害者の間に入って解決することは困難と思われます。
 そこで、近年、各自治体で取り入れ始めているスクールロイヤー制度の内容と、その期待される効果についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 日本弁護士連合会によりますと、スクールロイヤーとは、各都道府県、市町村の教育委員会、国立、私立学校の設置者において、学校で発生する様々な問題について、子どもの最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら、法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士と定義されております。また、学校におきましては、虐待やいじめ、学校事故等の法的見解に基づく対応を必要とする機会が増加しておりまして、法律の専門家である弁護士が初期の段階から関わることで、事案についても適切で早期の解決につながるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 教員は法的な判断について十分な知見があるとは言えず、一生懸命に対応したつもりが、法的に問題のある対応になっていたり、保護者からの不当な要求に正面から向き合おうとして疲弊してしまう場合もあり、スクールロイヤーの役割はとても大きいものと考えます。
 そこで、本市も今年7月から、スクールロイヤーとして弁護士を1名採用したと聞いていますが、今後どのような立ち位置として関わっていくのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 弁護士資格を有する職員を学校法務担当課長として教育委員会に任用し、学校において発生、または発生が予見される諸問題に対して、中立的な立場から法的観点による助言、指導、相談対応及びこれらに附帯する業務等を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 本市は弁護士を職員として採用されていることからも、大分県や佐賀県のように弁護士会と協定を結ぶといったような第三者としての立場から関わるのとは異なり、学校側が相談する立場として存在しています。
 そこで、保護者側が利用できるスクールロイヤーも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクールロイヤーは、適切で早期の解決に導くため、法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士でございます。なお、保護者からいじめの相談があった場合には、弁護士会の相談窓口である子どもの人権110番やLINE相談等を案内することとしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 学校側に偏ることなく、保護者に寄り添うことも重大化を防ぐために重要です。
 また、スクールロイヤーの導入後、いじめの相談は一時的には増加するものの、その後は減少する傾向が見られるとのこと。その理由は、スクールロイヤーの対応が先例となり、学校現場が自分たちの判断で適切な対応ができるようになるからだそうです。
 そこで、いじめ未然防止のための教員への研修や、児童生徒に対する学習において、スクールロイヤーの活躍の場を設けるべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクールロイヤーの今後の活動としましては、教職員にいじめや生徒指導等の各種の研修を行うとともに、児童生徒に対しては、いじめ予防授業や法教育を実施することとしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 児童生徒を守るため、そして、教員を守るためにもスクールロイヤーが活躍することを大いに期待しています。
 ここで、昨日の和田議員の質疑においても提案されていた、スクールサインの事例を御紹介します。
 熊本県教育委員会では、スクールロイヤー制度の導入と併せてスクールサインといういじめ匿名連絡サイトを、国の補助事業であるSNS等を活用した相談体制の構築事業を活用し、事業者に委託運営しています。先日お伺いして担当の課長にお話を伺ってきましたが、このサイトは、面と向かって先生に言いにくい、いじめられている人を助けたいけど周りから知られたくないなど、生徒が学校を通さずに、直接教育委員会に匿名で通報ができる仕組みとなっていて、いじめや悩みなど、生徒から年間440件以上もの投稿を受けています。実際に、スクールサインへの投稿により学校側が知ったいじめ行為は全て解消されているそうで、自殺をにおわせるような投稿があった際は、業者がアカウントを特定し、警察等との連携により生徒の安全確保を最優先する体制を整えています。担当課長は、空振りを恐れずに初期対応することが重要、生徒には気軽に相談してほしいと熱く語っていました。
 本市は、一人一台端末を利用した相談窓口を設けていますが、この国の補助事業として、いじめ対策に特化したスクールサインという取組も、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
 本市はいじめをゼロにするためのいじめゼロサミットを開催していますが、いじめはゼロでないといけないという風潮により、学校側はいじめを黙認し、対応が後手後手になり、大事に至っているのかもしれません。重要なのは、いじめを見逃さないためにはどうすればいいかであり、見て見ぬふりをすることがないよう、生徒も先生も相談がしやすい、オープンにする雰囲気づくりをすることです。いじめゼロサミットを改め、いじめ見逃しゼロサミットにすべきではないかと私は思います。
 ここで、今回起きた重大事態を再度振り返ります。
 学校の初期対応が不十分と考えた保護者は、事件発覚当初より教育委員会に対し、第三者委員会の設置の必要性を訴え続けましたが、被害生徒が登校できていたことを理由に取り合わず、ついに不登校になってしまってから設置を検討。半年後にようやく第三者委員会の設置に至ったときは、既に事件発覚から丸1年がたっていました。中学校生活は3年間しかなく、対応の遅れが被害生徒の人生において、さらなる弊害を生むことになります。
 実は、私も過去、中学2年生のときに県外へ引っ越しをして、転校した中学校ではクラスのほぼ全員から無視をされ、陰口をたたかれ、給食のときは机を離されるなど、卒業するまでつらい思いをした経験があります。実はまだ、そのときの光景を鮮明に覚えています。
 何が言いたいかというと、いじめた側は忘れたとしても、いじめられた側は一生忘れることができないということです。二度といじめ重大事態が起こることのないよう、今後どのように取り組んでいくべきなのか、教育長の決意をお伺いし、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめは、子どもの尊厳や権利を侵害する行為で、決して許されるものではなく、いじめをなくすためには、学校の取組とともに、保護者や地域の方々との連携の強化は重要と考えております。今後も、定期的なアンケート調査の実施や、一人一台端末を利用した相談窓口の紹介、児童生徒が主体的に取り組む、いじめゼロサミットの開催と保護者や地域の方々への啓発活動等、いじめ防止に関する取組を総合的に実施し、未然防止に取り組むとともに、早期発見やきめ細やかな対応に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 次に、放課後等の遊び場づくり事業、通称わいわい広場について質問します。
 2003年にわいわい広場が開設され、はや20年が経過。現在はほぼ全校で実施され、先進的な取組として全国からも注目をされています。しかしながら、一定の期間が経過すれば見直しを行うのは当然であり、問題はこれからどうやってその質を維持していくかです。また、長年経過しているにもかかわらず、利用する保護者や教育現場、はたまた地域関係者にも、いまだわいわい広場の意義、理念がよく伝わっていないのも大きな課題です。
 私は、2年前の一般質問においても、子どもの外遊びの重要性について意見を申し上げました。
 そこでまず、わいわい広場の意義、必要性についてお尋ねします。また、運営に携わっている事業者、わいわい先生、補助員、青少年育成コーディネーター、それぞれの役割を御説明ください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) わいわい広場は、放課後の校庭等を利用して、子どもたちが自由に安心して遊べる場や機会を提供することにより、子どもの自主性や社会性、創造性、コミュニケーション力などを育むものであり、子どもの心身にわたる健全な育成を図る上で重要なものと考えております。
次に、運営に関しましては、福岡市は、公募により選定した事業者にわいわい広場の運営を委託しておりまして、事業者は事業を統括するとともに、広場運営の現場責任者としてわいわい先生を雇用し、各小学校に配置しております。また、補助員は主に地域の有償ボランティアで、わいわい広場の開催時にわいわい先生の補助をしております。青少年育成コーディネーターは教育委員会の会計年度任用職員で、各学校を巡回し、業務の履行状況の確認や学校との調整等を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) では現在、幾つの事業者が受託をしているのか。また、現場に携わる皆さんに対して、その意義や理念、安全管理のための指導はきちんとできているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年度は、地域の任意団体も含め7事業者に業務を委託しております。
また、わいわい広場の運営に携わる方々に対しての必要な指導は、雇用主である各事業者において適切に行われているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) かつては、わいわい先生に対して、本市主催の全体的な研修が行われていましたが、本年度に入り、事業のありよう、目的、現場担当者のスキルの向上など、それぞれの事業者に研修を任せています。
 そこで、施策の根幹となる人材育成を複数の事業者に全て委ねるのではなく、研修の場に職員が立ち会うなど、しっかりと関わるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) わいわい先生は、本事業において子どもの健全な育成を図る上での中心的な役割を担う重要な存在でございまして、各事業者の研修がより一層充実するよう、今年度から新たに市が研修への立会いや研修資料の確認を行うこととしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 実際に研修を受けた方からは、マニュアル化し過ぎていて、危機管理やリスクマネジメントについて不満の声が出ています。児童生徒に何かあったときは、事業者だけではなく、当然本市も責任を問われます。例えば、熱中症の危険性や、発達障がいといった配慮が必要な児童生徒への対応など、時代のニーズに合わせた生きた研修が必要です。現場で実践しているわいわい先生からの意見も酌み入れつつ、お互いが学び合う場としての研修となるよう、事業者への指導をお願いします。
 また、受託事業者への委託料は請け負う学校によってそれぞれ違うようですが、その積算根拠についてお示しください。あわせて、どのように使われているのか、事業者からの報告はどうなっているのか、お伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 委託料は、学校ごとに参加児童数や開催日数等を見込み、それを基に積算しております。また、業務委託の性質上、委託料の具体的な使途については、事業者から報告はいただいておりませんが、仕様書に基づいた運営が行われているかどうかについては、適宜、現状を確認しておりまして、その上で事業者と必要な協議、調整を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 資料を見たところ、多いところでは年間約300万円もの委託料を支払っているようですが、現場からは、遊び道具が壊れたままになっているといった相談を受けたこともあります。報告の義務はないということですが、委託料が適切に使われているのか疑問ですし、提供されているサービスが各学校で差があるのは問題です。
 現場スタッフへのサポートがしっかりとできているのか、確認すべきではないでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 現場スタッフへのサポートにつきましては、提案競技において事業者から提案いただいたことが実行されているかも含め、現場の巡回や事業者へのヒアリングの中で確認しております。全てのわいわい広場で子どもたちが安全に、安心して過ごすことができるよう、引き続き必要に応じて事業者と協議、調整を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 何よりも、子どもたちの安全のためです。事業者へのヒアリングだけでなく、実際に現場にも出向き、確認することを要望します。
 また、有田小学校、若久小学校では、事業者ではなく地域が主体となる地域型として、わいわい広場が実施されていましたが、現在はどうなっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年度におきまして、いわゆる地域型は有田小学校のみとなっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 若久小学校が地域型ではなくなった理由についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 委託しておりました任意団体から、運営を担う人材を地域で確保できないことから、辞退する旨の申出があったものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 人材が確保できなかったとの理由ですが、地域に任せっ放しで丁寧なサポートができていなかったからではないでしょうか。例えば、研修を行い、学生サポーターを育てるなど、人材を育成するために本市自らが旗を振るべきです。地域で子どもを育て、顔が見える関係性を築くことができる、この地域型ならではの取組をいまだ継続できている有田小学校の事例を基に、他の校区でも広げていくよう要望します。
 次に、放課後児童クラブとの連携についてはどうなっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) わいわい広場と放課後児童クラブは、各学校の状況を踏まえながら、可能な限り放課後児童クラブの外遊びの際に、わいわい広場の利用児童と一緒に遊んだり、遊具を共有するなどの連携を図っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 実態は学校によって対応がまちまちなようです。例えば、雨天時における体育館の利用について、授業と時間帯がかぶっているときに使えないのは当然ですが、空いている場合でも一律使えないとしている学校もあります。
 現場の意見を踏まえつつ、学校側が柔軟に対応できるようルール化するなど、本市が主導すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) わいわい広場の実施に当たりましては、教育活動など学校運営や管理への影響、利用児童の安全の確保などを踏まえながら学校施設を活用しており、引き続き、各学校の状況や現場の意見を踏まえながら、放課後の居場所の充実を図ってまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) ここで、放課後の遊び場事業と放課後児童クラブの一体運営をしている事例を御紹介します。
 大阪府枚方市では、総合型放課後事業と称し、事業者による一体運営を始めています。この一体運営により、子どものけがなどの緊急時には、遊び場事業に放課後児童クラブから支援員が配置されるといったメリットがある一方で、放課後児童クラブにとっても、校庭の利用制限がなくなったことで、遊び場事業に来た友達と一緒に遊ぶことができるようになりました。このように、新たに主体性を持った遊びの展開ができるようになっただけでなく、支援の必要な子どもたちにとっても、スペースが確保されたことで静かに過ごす環境がつくられたそうです。
 お互いの課題解決のためにも、最適な放課後の居場所づくりが必要です。今後は他都市の事例も参考にしながら、一体運営も視野に入れるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 放課後児童クラブは、保護者が就労等により昼間家庭にいない児童を対象とした生活の場である一方で、わいわい広場は、全ての児童を対象に自由に遊べる機会を創出するものでありまして、両事業の対象、目的、内容は異なりますことから、事業を統合するとした場合は解決が必要な課題が多いと考えております。一方で、児童の自主性、社会性、創造性等を育む上で、共通の遊びを通して交流を図ることは重要と考えておりまして、他都市の事例も参考にしながら、両事業の効果的な連携について研究してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) はしだ和義議員。
○47番(はしだ和義) 確かに、遊び場事業の特性と学童の特性があり、両職員に両事業の理解と教育が必要になります。しかしながら、相互理解を深めることで解決できる課題であり、統合することで双方の事業性を残しながら、よりよい支援事業として実施されることが望まれます。課題を解決するというよりも、新しい一つの事業としての形を模索するよう、今後の研究に期待をしています。
 これまで、時代のニーズに合った研修の在り方、現場からの意見聴取と運営課題の解決、放課後児童クラブとの連携等、要望や提案をしてまいりました。わいわい広場を今後どのように発展していくべきなのか、教育長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 外遊びは、体力の向上、五感を刺激して脳を活性化し集中力を高める、コミュニケーション力や主体性などを育む、自尊感情や自己肯定感を高めるなど、子どもたちの生きる力を育むために欠かせないものと考えております。引き続き、わいわい広場の意義や理念を事業者としっかり共有するとともに、保護者や地域の方々にも御協力をいただきながら、子どもの心身にわたる健全な育成を図ってまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時30分に再開いたします。
午後2時16分 休憩
午後2時30分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司)登壇 私は自民党新福岡を代表して、文化財の保存、継承について質問してまいります。
 本市はその立地から、歴史的に海を通じた交流を軸にアジアの交流拠点都市として発展を遂げた二千年を超える歴史、文化の積み重なりを背景に、現代においても独自の文化が息づく九州最大の活力ある都市として発展を続けています。
 市内には福岡城跡や鴻臚館跡をはじめ、国内唯一の元寇防塁など、本市の歴史を現在に伝える大変貴重な文化財があり、観光客が多く訪れる場所となっております。現在、福岡城跡では潮見櫓の復元工事が行われており、舞鶴公園内の鴻臚館跡では鴻臚館東門などの復元に向けた検討が進められているということで、近い将来、新たなシンボルが誕生することを期待しております。
 また、本市では、今年から通常どおりの開催に戻った博多どんたく港まつりや博多祇園山笠に代表される伝統的な祭り行事、博多芸妓や博多独楽などの伝統芸能、博多織や博多人形といった伝統工芸のほか、地域で受け継がれてきた人形芝居や獅子舞などの伝統行事の保存、活用にも取り組まれています。
 このように、文化財の保存、活用といっても様々な取組があります。文化財の保存、活用を考える際、その基本となる関係法令として文化財保護法があります。法第1条には、文化財を保存し、かつ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することが目的として掲げられています。つまり、文化財としての価値を後世に向けて確実に継承する保存と、文化財としての価値を踏まえ、適切に現代社会に生かす活用の双方を進めることが重要と言えます。
 また、同法第2条には文化財の類型6項目が示されており、建造物や工芸品、彫刻、古文書などの有形文化財、演劇や音楽、工芸技術などの無形文化財、衣食住やなりわい、信仰、風俗習慣などの民俗文化財、城跡や古墳といった史跡や、庭園や橋梁といった名勝地などの記念物、地域における人々の生活やなりわい、当該地域の風土により形成された景勝地などの文化的景観、周辺の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的建物群といったものがあります。
 では、価値を見いだされたそれらの文化財はどうなるのか。文化財には、国や地方自治体の指定や登録の制度があります。文化財保護法に基づき、国にとって特に重要なものは国指定され、保存、活用のための措置が特に必要なものは国登録となります。また、自治体ではそれぞれの条例に基づくこととなりますが、福岡県では重要なものは県指定されます。調べたところ、福岡県の登録制度はありませんでした。本市では、重要なものは市指定され、保存、活用のための措置が特に必要なものは市登録となります。
本市において、指定、登録された文化財の中で最も数が多いのが歴史的建造物であります。歴史的建造物のうち寺社は、香椎宮や筥崎宮のように、古くより多くの人々の崇敬を集め、荘厳な雰囲気と伝統的な様式を今に伝えています。また、町家は旧街道の宿場町や郊外に多く見られ、人々の暮らしや周辺の風景とともに、伝統的な雰囲気を残しています。東区の箱崎、馬出地区では、旧唐津街道を中心に箱崎宿の歴史や文化遺産が数多く存在し、当時の面影が残った大変魅力的なエリアとなっています。特に古くは江戸時代から引き継がれた町家も多数残っており、魅力的なまち並みを形成しています。このような歴史的にも大変貴重である建造物は、後世に確実に引き継がれることが重要と考えます。
 そこで、今回は文化財の中でも歴史的建造物である町家にフォーカスして質問してまいります。
 それではまず、福岡市内には指定や登録されている歴史的建造物は幾つあるのか、また、その中で町家と言われる建造物は幾つあるのか、国、県、市ごとの状況についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市内において指定、登録文化財となっている建造物につきましては、令和5年9月1日現在でお答えいたしますと、指定文化財は国9件、県11件、市16件でございます。また、登録文化財は国48件、市21件で、御質問にもございましたとおり、県の登録制度はございません。
 次に、これらのうち町家につきましては、同じく令和5年9月1日現在で指定文化財は市指定の2件のみで、国、県指定はございません。また、登録文化財は国7件、市4件となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 文化財には指定と登録がありますが、その主な違いをお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 指定につきましては、文化財を恒久的に保存していくことを目的としているため、建物の改修等を自由に行うことができないといった厳しい制限がある一方、現状維持のための補助がございます。また、登録は文化財を活用しながら保存することを目的としているため、指定と比べ改修の自由度が高く、活用の幅が広がるといった利点がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) (パネル表示)こちらは博多区冷泉町にあります博多町家ふるさと館でありますけれども、改めて町家とは何かと申し上げますと、町人の居住地に建つ商家や職人の住まいのことであり、昔は町人に家の間口1間当たりで課税をしていたことから、間口が狭く奥行きが長いウナギの寝床のような敷地というのが特徴となっております。(パネル表示)また、博多の町家の建物内部は、間口から入って手前から店の間、中の間、座敷が1列に並び、その横を土間の通り庭でつなぐのが一般的となっております。
 (パネル表示)この間口の狭さに対して、中の間といいますが、これは高く吹き抜けているのが特徴といったところでございます。
 先ほど、東区の箱崎、馬出エリアには町家が数多く残っており、魅力的なまち並みを形成していると申し上げました。
 そこで、このエリアの町家の指定文化財と登録文化財のそれぞれの数をお尋ねいたします。また、所有者が指定、登録を希望されている町家があれば、併せてお答えください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 箱崎、馬出エリアの町家については、指定はなく、国登録が2件となっております。また、現在、国登録を希望されている町家が5件ございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 指定文化財となっている町家はなく、国登録文化財が2件ということでした。
 それでは、文化財登録を希望する町家の所有者に対して、市としてどのような支援を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 文化財の登録に当たっては、町家の所有者が国または市に申請手続を行う必要があるため、福岡市では登録の申請に必要となる建造物の調査や手続に関する助言など協力を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 近年、町家などの歴史ある建物が失われ、マンションなどに替わる事例が見受けられます。身近な事例として、2007年に福岡市で初めて国の登録有形文化財に指定された老舗旅館、鹿島本館が廃業となり、2021年に解体され、駐車場となっております。
 そこで、町家が抱える課題とはどういったものがあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 現在、町家は全国的にも文化財指定や登録が増加し、また、観光活用の推進が図られるなど、歴史的建造物としての文化的価値が見直されており、住宅だけではなく、店舗や施設などとしても活用が図られているところでございます。しかしながら、町家は建築から相当な年数がたつため、施設や設備の老朽化などの問題を抱えており、維持管理、補修に係る費用負担が大きいことや、世代交代等に伴う所有者の文化財に対する意識の変化から、保存、継承が困難となっていることなどが課題となっているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 最近、町家の所有者の方とお話しする機会がありました。所有者としての課題は、情報共有のためのネットワークがないことであるとお聞きいたしました。
 市として、こうした文化財所有者間のネットワークづくりを行うべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市では、平成30年から登録文化財建造物の所有者と有識者などで構成する登録有形文化財所有者連絡会を開催し、新たな所有者に登録制度や活用例などを情報提供するとともに、所有者が抱える課題を共有、協議する場を提供していたところでございます。しかしながら、新型コロナウイルスの影響により、令和2年以降、開催を見合わせておりますことから、御指摘を踏まえ、今後、当該連絡会を再構築し、所有者間の情報交換等の場を再開してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 有識者を交えた情報交換の場において、文化財の専門的な立場からのアドバイスなどをいただけるとなると、町家の所有者の皆さんも心強いと思いますので、ぜひとも早急に連絡会を立ち上げ、所有者に寄り添った支援をお願いします。
 それでは、様々な支援を尽くされてもなお保存、継承が困難になり、解体の危機に陥った町家に対して、法的に何か措置ができないのか、市としてどのような対応ができるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 指定文化財については、管理に関する命令など、その保護に関する法令の規定がございますが、それ以外のものについては規定がなく、建物の解体を差し止めるなどの措置はできないことから、福岡市としては、貴重な文化財である町家が引き続き現地での保存、活用が図られるよう、所有者と適宜協議を行うこととしております。また、維持管理に係る資金の確保が困難となったことを理由とした所有者変更や、活用についての相談を受けた場合は、必要に応じて、歴史的建造物活用のノウハウを持つ専門の団体や民間事業者を紹介するなどの支援も行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 最近、箱崎、馬出地区の国登録有形文化財である箱嶋家住宅において、保存、維持が難しいことから解体が検討されたとお伺いいたしました。結果的に解体は回避され、新しい所有者が保存、活用されることになったと聞いて安心しております。
 この町家の将来に向けた保存、継承に期待しておりますが、福岡市として、今後の町家の保存、継承をどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 地域に残る歴史的建造物は地域の宝であり、まちづくりや地域振興などの核をなすべきものと考えております。現在、福岡市では、文化財保存活用地域計画に基づき、文化財の保存、継承に向け、町家の歴史や文化、価値を広く紹介するとともに、これまでの調査研究により把握した町家の現況や価値を基に、所有者への保存、活用の助言や登録に向けた協議を行っているところでございます。今後とも、貴重な文化財である町家が失われることがないよう、観光資源としての積極的な情報発信等に努めるとともに、地域や所有者等と連携しながら、適切な保存、継承に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) 箱崎地区は筥崎宮の門前町として発展し、かつて宿場町であった面影は、筥崎宮をはじめ、毎年1月3日に執り行われる玉せせりの出発点でもあります玉取恵比須神社や網屋天神など古い寺社仏閣のほか、唐津街道沿いに残る町家の建物などにも見ることができます。そして、これらの史跡をマップにし、地域住民が主体となって、ウオークラリーや史跡巡り等のイベントが行われています。
 一方、エリアのすぐ北側では、九大箱崎キャンパス跡地でFukuoka Smart Eastのような先進的なまちづくりの取組が進められています。今後、箱崎地区周辺のまちづくりの様子も Fukuoka SmartEastに見られる新しいまちづくりと、町家をはじめ、箱崎旧市街の調和により大変魅力的なエリアになることを期待しております。
 そのような中、今後の箱崎地区のまちづくりを進めていく上でも、地域の特徴である歴史、文化について魅力向上や積極的な観光活用を図るべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 箱崎地区は、町家をはじめとした歴史、文化の魅力を持つ地域であると認識しており、これまで所有者や地域コミュニティと連携し、情報発信や公開活用に取り組んできたところでございます。今後、様々な文化財や関連施設などとの回遊性を高めるとともに、魅力ある歴史ストーリーを分かりやすく情報発信することで観光活用の充実を図り、地域のさらなる魅力向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 藤野哲司議員。
○41番(藤野哲司) どうぞよろしくお願いいたします。
 本市では、昨年、文化財保存活用地域計画を策定されており、令和5年度から9年度までの5年間の取組が示されております。計画の中では、文化財を知る、守る、活かすことを基本に7つの重点施策に取り組まれております。その中には、地域に根差した建造物などの保存、活用を進める取組も示されております。
 先ほどの御答弁にもあったように、町家などの歴史的建造物は老朽化や世代交代などにより、今後さらに保存、継承が難しい状況になるというような課題が想定されます。引き続き、文化財の所有者や地域に寄り添って、しっかり対応していただきたいと思います。
 最後に、魅力的なまち並みを形成する大変貴重な文化財である町家を将来に向けて確実に残すために、実効性のある支援の在り方を検討するよう要望し、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ)登壇 6月議会で、私は生徒一人一人の潜在能力を最大化させる個別最適化教育について質問しましたが、その際の島市長の御答弁を一部お借りします。教師のサポートを受けながら、子どもたち一人一人が自立した学習者として学び続ける学習スタイルへと転換していくことが極めて重要であるとの御答弁でした。私も全く同感です。ですから、本日はその実現のために何を行う必要があるのかという観点から質問を行いたいと思います。
 言わずもがな、取り組む課題は山積みですが、イの一番にやるべきはビジョンの共有です。目指すべき具体的な姿を共通認識として持たなければ足並みは決してそろいませんし、目についたところだけを応急処置していっても、理想とは程遠い、いびつなパッチワークのような教育現場となってしまいます。
 では、目指すべき教育とは何か。これは一言で申し上げれば、当然、個別最適化教育ということになりますけれども、ここからはぜひ皆さんも頭の中で具体的な教室の授業風景を思い浮かべながら聞いていただければと思います。
 恐らく多くの方がイメージするのは、黒板の前で教師が話し、それを整然と並んだ机や椅子に座った生徒たちが聞いている、そんな風景だと思います。個別最適化教育においては、こうした見慣れた教室の風景というのは一変します。例えば、ある小学校で学習指導要領に基づいて、1時間目に国語、2時間目に算数を習い、その算数の授業では例えば、掛け算を学ぶとします。ここまでは今の学校とあまり変わりません。
 決定的に違うのは学び方です。黒板や教卓、整然と並んだ机や椅子の代わりに、例えば、教室全体を4つの学習コーナーに分けてみます。1つ目のコーナーは教師から教わるコーナー。初歩的な段階から学ぶ必要がある生徒がそこに集まって、対面あるいはオンライン、映像コンテンツ等により教師から掛け算の基本的な概念を教わります。そして、2つ目のコーナーは練習コーナー。アプリやテキストを使って計算に慣れて、速く正確にできるように練習するコーナーです。そして、3つ目のコーナーはお店のコーナー。ここで生徒はお店を経営するか買物をするか、いずれかの役割を選びながら掛け算を応用して、日常生活でどのように役立つかを学んでいきます。最後のコーナーはプロジェクトコーナー。生徒は、個別あるいはペアや小グループに分かれて、掛け算も含めたいろいろな算数を使ったプロジェクトに取り組みます。この教室では、生徒は理解度や習熟度だけでなく、自身の興味や関心、学習意欲に応じて自由に学び方を選択します。そして、教師はそんな生徒一人一人の状況を丁寧に観察しながら、各生徒の状況に合わせて、どの学習コーナーがお勧めかを提案したり、あるいは生徒の間を回って必要に応じて適宜アドバイスを行ったりと、いずれも生徒が主体的に学べるように適切なサポートを行います。同時に、生徒の成長度や達成度に基づく評価を行いながら、次はどのように学ぶのがよいかという観点で個別最適化されたカリキュラムを生徒とともにつくり上げていきます。
 まさにこうした姿こそ、生徒一人一人の潜在能力を最大化させる上で理想的な教室、学校、教育の姿だと考えていますが、この個別最適化教育における子どもの学び、それから、教師が果たす役割の在り方についてどのような御所見をお持ちか、まずはお尋ねします。
 長くなりましたが、1問目はこれで終わり、以降の質問は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年1月の中央教育審議会答申では、目指すべき学校教育の姿といたしまして「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」ということが示されてございます。そのため、御質問にありましたように福岡市教育委員会でも、いわゆるチョーク・アンド・トークのみの授業から、ICTを効果的に活用し、理解度に応じて個別に学ぶ学習や、グループに分かれて友達と考えを深め合う学習、さらには習熟度別の学習やチームティーチングなど指導の充実に取り組んでございます。こうした子どもの学びの変化に応じて教師の役割といたしましても、子どもの主体的な学びのサポーターとして、一人一人の興味、関心、意欲などを踏まえてきめ細やかに支援することや、ファシリテーターとして多様な他者との協働を促していくことが重要になると考えております。今後さらに、子ども一人一人の興味、関心等に応じ、意欲を高め、深い学びの実現につながる取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) 目指すべき姿について、同じ考えであるようで安心しました。
 そして、生徒が主体的に学ぶためには、もう1つ大事な要素があります。それは学びがリアルなものであるということです。私たちが最もよく学ぶのは、自分のしていることに興味があって選ぶことができて、自分のしていることに意味があり重要なものであると感じるとき、さらには自分のしていることがリアルであり、価値があると感じるときです。生徒に社会に出る準備をさせたいのなら、当然生徒を社会から隔離してはいけません。ちょうど先月、バスケットボールのワールドカップがこの日本でも行われましたけれども、バスケで言えば、1年間ずっとリングの前でフリースローの練習ばかりしていた生徒をいきなりコートに入れて、ゲームのルールが分かっていると思いますか。
 6月議会の島市長の御答弁にも、子ども一人一人が自分らしく生き生きと輝き、また将来に夢を描きながら育っていくまちづくりに全力で取り組むとありました。まさに生徒が自分の将来につながると実感しながら生き生きと学ぶためには、教室の中で教師や教科書、タブレットと接するだけではなくて、地域で活躍する個人や企業、団体あるいは社会を支える行政など様々な立場の大人たちと関わり合いを持つ機会、それから例えば、生徒たちが地元の特産品や名所について調べて、それを盛り込んだ映画を作って地元の映画館で放映したり、地元の歴史について調べて、それを博物館のパネルにして実際に展示をしたりといった、目に見える形での成果を実感する機会を積極的に学びに取り入れることが必要だと考えています。
 このような形で、特別な行事やイベントとしてだけではなくて、日常的な学びにおいても、子どもたちの学び方の一つとしてリアルな学びを充実させるべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領には「体験活動を含め、社会や世界との関わりの中で、学んだことの意義を実感できるような学習活動を充実させていくことが重要となる」と示されておりまして、御指摘のとおり、行事にかかわらず授業においても、実社会や実生活とのつながりのある具体的な活動や体験を通して学ぶことは大変重要であります。現在、社会科見学や自然教室などを実施するほか、英語ではゲストティーチャーなどをお招きし、生きた英語に触れ、実践的なコミュニケーションについて学ぶ学習や、総合的な学習では地域のよさなどについて調査した結果をレポートやポスターにまとめ、地域の方々などにプレゼンテーションする学習などを行っておりまして、今後も引き続き充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員。
○13番(坂口よしまさ) この点についても、大きな方向性は一致しているようで安心しました。
 ここまでのやり取りで、抽象的な一般論ではなく、理想とする具体的な姿について、本市の教育委員会も大きな方向性は同じであることが確認できましたが、こういう話をするとよく言われるのが、ただでさえ多忙な教師たちにそんなことをする暇はない、余裕はない。せめてもっと教員の数を増やさなければ、そんな手厚いサポートは不可能だという御指摘です。
 しかしながら、国費で賄われている分以上の教員を配置しようとした場合は、当然福岡市の負担となりますけれども、公平性の観点から全ての市立学校で一斉に措置をする必要性があることを考えると、容易に確保できる予算規模には到底収まりません。さらには、仮に予算がついたとしても、大量採用は教員の質の低下という別の問題も引き連れてくるおそれがあります。ですから、一見分かりやすい、教員の数を増やせばいいという議論を繰り返すのではなくて、6月議会でも私が言及したとおり、教員が担う業務を徹底的に適正化することにより、コアな業務に専念できる環境を整えるべきだと、これが私の考えです。もちろん、そのために議論すべき論点はたくさんあります。では、どの業務を教員が担うのかとか、あるいは生徒と向き合う時間を十分確保するために教員をサポートするツールや仕組みはどんなものがあるのかとか、さらにはこういうソフト面のみならず、理想的な授業を可能にするような学校施設の在り方、いわゆるハード面、そういった議論も当然必要になってくると思います。
 ですが、とにもかくにも教育委員会と学校現場が目指すべき具体的なビジョンを共有しなければ足並みは決してそろいませんし、学校現場も何のためにやっていることなのか、自分たちの働き方がどうなるのかが分かりません。
この点に関して、そろそろ次期教育振興基本計画を策定する議論を始める頃だと思いますけれども、まさにこういう計画に具体的な姿を盛り込んで、学校現場と教育委員会が同じ方向を向いて取り組むべきと考えますが、この点について御所見をお伺いします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 現在の第2次福岡市教育振興基本計画は、令和6年度までを対象期間として、目指す子ども像、あるべき学校像、あるべき教員像のほか、重視する教育の方法や推進すべき施策を定めております。この計画の策定に当たっては、教員を対象としたアンケートを実施し、校長会の代表も含む策定検討委員会から意見をいただくなど学校現場の意見も踏まえるとともに、策定後は学校に送付し、説明会を実施するなど内容の周知に努めてまいりました。今後、次期教育振興基本計画の策定に着手してまいりますが、その際には学校現場の意見も聞きながら、これからの福岡市の教育の道筋を示す指針となりますよう取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 坂口よしまさ議員に申し上げます。既に持ち時間を経過しておりますので、これ以上の発言を許可するわけにはまいりません。御理解をいただいて、議事を進めさせていただきます。新開ゆうじ議員。
 
○14番(新開ゆうじ)登壇 本日は、新たな教師の学びを支える研修体制の構築について、それから、都心部、特に博多部の定住化政策について、併せて冷泉小跡地の現状と今後についてお尋ねさせていただきます。
 まず、新たな教師の学びを支える研修体制の構築ということで、令和3年1月26日に新しい時代の教育の在り方に対する中教審からの答申で、これまでの新学習指導要領の着実な実施、これをベースにしながら、令和の日本型学校教育として、これまでも概念としてあった個に応じた教育、いわゆる個別最適、これが孤立にならないように、これまでの日本型教育、いわゆる集団教育であったり、子どもと地域が関わりながら多様な関係性を大切にする協働的な学び、これをセットにしながら教育を進めていくということで、いずれにしてもその教育の成否というのは、やっぱり教師の力、それから、管理職の下でいかに質の高い教育集団を形成していくかということにかかっているのだというふうに思っています。
 そこでお尋ねなんですが、教育公務員特例法が改正されて、この4月から公立小学校などの校長先生、それから、教育委員会等に研修履歴の記録、それに基づく指導助言、こういったものが必要になってきたわけですけれども、現在の福岡市の状況と今後の展望についてお尋ねさせていただきます。
 以下、2問目については自席にてさせていただきます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年の法改正に伴いまして、現在、国におきまして全国的な研修履歴システムが開発されておりまして、福岡市では令和6年度のシステム移行に向け、データ移行などの準備を行うとともに、各学校で教育センターが作成いたしました研修記録シートなどを基に教師に指導助言を行っております。今後は研修履歴システムの活用などにより、一人一人のニーズや強み、キャリアに応じた教師の新たな学びを実現し、令和の日本型教育を担う教師の育成に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 本年度については、いわゆる教育センターのほうでフォーマットをつくられて、それを各学校で対応していくということだと理解しました。
 次の質問なんですけれども、特例法23条では、採用日からの1年間、初任者研修を実施しなければならないとあるわけなんですけれども、現在、教育センターで組まれている初任者の研修プログラム、これは4月はオリエンテーションとしても、9月に学習指導の基礎、基本、それから、10月に生徒指導の基礎、基本ということで、初任者の先生方が4月から実際に現場に立たれるというような意味で考えると、多少研修プログラムの内容は時期的に遅いのではないかなというふうに思うわけですけれども、これについていかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 初任者研修につきましては、教育センターで教師としての基礎的な知識、技能に関する理論的な研修を体系的に実施いたしますとともに、各学校で指導教員や校長OBなどが学習指導や生徒指導、学級経営などの実践的な研修をOJTで実施しております。これらを関連づけながら、時期に応じて適切に実施していると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) OJTは、やっぱりばらつきが出るし、体系的な育成には向かないというふうに私は思うんですけれども、その初任者に対する研修というものは、学校長OB、いわゆる拠点校指導員が対応されるというようなことで今お伺いしましたけれども、初任者の先生はそれでいいんですけれども、講師の先生方は拠点校指導員の対象になっていないと思うんですよね。
そういう中で、今現在、講師の方の研修に対する対応はどういうふうになっているかということについてお尋ねさせていただきます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 講師への研修につきましては、各学校において、同学年や同教科の教員が学習指導や生徒指導などについて必要に応じてOJTで指導を行っております。また、採用後随時受講できるように、服務倫理や生徒指導などの基礎的な内容のオンデマンド型研修を必修として実施いたしますとともに、学習指導やICTの活用など課題に応じた研修を希望に応じて受講できるようにいたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) そもそも拠点校指導員の対象に講師がなっていないということに、特に講師もベテランから中堅からいろいろあるんでしょうけれども、いわゆる新たに講師になられた方に対する講師、全体で細かい比率は分かりませんけれども、大体7.4%ぐらいの方が講師でおられるということだったので、ぜひ講師の方に対する、特に新しく講師になられた方、この方々も4月から現場に出られると、担任を持たれるというようなことがほとんどということを伺っていますので、そういう意味では、福岡市独自の教育行政の裁量で講師に対する研修の体制構築というものをぜひ検討いただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 今、福岡市は旧市街プロジェクトをはじめ、あらゆる福岡、博多の歴史と文化遺産、そういったもののストックを活用して様々な観光施策に力を入れてあるということで、これは経済観光振興のためのストックの活用という視点ではなくて、観光資源とも言える福岡の伝統行事や文化、これを最終的に誰が継承していくか、誰が守っていくのかと、こういう視点でもいろんな歴史遺産というのは見ていく必要があると思うんですね。
 今年の夏は様々な神社、それから、各地域が主体となった自治会等を中心にしたところで夏祭りがいろんなところでされて、いろんな地域でにぎわったと思うんですけれども、こういうのもそこの地域住民の方が最終的には継承していかれるわけなんですね。
 今月12日から始まる筥崎宮の放生会もそうですし、いわゆる都心部で継承されている福博の三大祭りと言われる博多どんたくや松ばやし、それから祇園山笠もそういう意味では同じなんですけれども、皮肉なもので、都市部で継承されているこのような伝統行事を地域に残って次世代に継承しようと、そういう思いを持った若い人たちが、家族を持ったファミリー世帯もそうなんですけれども、なかなか適した物件が見つからないとか、地価の上昇に伴って家賃が上がっているとか、そういう要件でファミリー世帯の方々がなかなか住みにくくなっているわけですね。都心部だから人が住みにくいのは当然ではないかというような御意見があるのは重々承知しているんですけれども、そうやって結局戦後78年間、都市部に本来残るべきであった様々な伝統行事、文化、こういったものが我が国からずっと失われてきているわけですね。だから、都市部だからしようがないではなくて、ぜひこの辺は考えていかなければいけないというふうに私は思っているわけです。
 固定資産税は再建築評価ですから、都市の成長に合わせて地価が上がっていくのは当然なんですけれども、こういった都心部の伝統行事が残る地域、今後もますます住みにくくなってくると、いや、もう住めないまちになってくるかもしれないというふうに思っているんですが、そこでお尋ねなんですけれども、次世代につないでいく、ある意味の福博の伝統文化継承者でもある若い人たち、こういった人たちが地域に残っていける選択もできるように、例えば、98年に導入された博多部振興プラン、こういう定住者誘導政策のようなものを再考いただければというふうに思うんですけれども、御所見はいかがでしょうか。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 博多部の定住化につきましては、平成10年に策定した都心居住・博多部振興プランに基づき、特定優良賃貸住宅供給事業をはじめとする民間住宅市場の誘導や公有地の活用などの取組を進め、目標年次の24年度にはファミリー向け住宅が目標どおり約1,300戸供給されております。その結果、人口の目標約1万5,000人に対して、国勢調査ベースで申し上げますと、計画期間中の平成22年には既に約2万3,000人に増加し、さらに直近値である令和2年の人口は約2万7,000人になるなど、人口や年少人口等は増加している状況でございます。また、ファミリー世帯への住宅支援としましては、住宅市場活性化協議会において既存住宅の流通促進を図るなどの官民が連携した取組を推進するとともに、子育て世帯住替え助成事業を実施しており、令和5年度からは助成上限額の引上げの対象を子ども3人以上から2人以上とするなどの拡充を図っております。今後とも、子育てしやすい居住環境づくりの促進と子育て世帯の経済的な負担軽減に向け、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新開ゆうじ議員。
○14番(新開ゆうじ) 住替え助成事業ももちろん大切でしょうし、私は単身世帯の増加の話ではなくて、ファミリー世帯の増加が都心部でも必要だと──この都心部というのも、いわゆる伝統行事、こういったものを地域の住民が継承していくという視点で申し上げました。このままいけば、私の中ではこれまで福岡とともに発展してきた博多、この博多という部分が天神と博多駅のはざまに入って人が住めなくなっていく、なくなっていくのではないかなというふうに思っています。伝統行事というのは、イベントではなくて、祭りではなくて、いろんな神事の中で、そこに日本の文化がいろいろ詰まっているんですね。だから、そういった意味でも、やっぱり継承していくためには、都心部であってもそこにファミリー世帯が継承していくような環境が必要だということでお願いさせていただきました。
 最後になりますけれども、同じように博多部に残る旧冷泉小学校跡地について、跡地で発見された遺構の現状と今後の跡地活用の展望についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 旧冷泉小跡地で発見された遺構につきましては、日宋貿易に関わる港の護岸として高い歴史的価値を持つもので、調査終了後、埋め戻して保存しております。現在、令和5年度中の国史跡指定を目指して、文化庁をはじめとした関係機関と協議を進めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 跡地活用につきましては、遺構の国指定に向けて行われている経済観光文化局と文化庁との協議や、遺構の取扱い、活用の検討状況を踏まえるとともに、地域の要望等を考慮しつつ、跡地活用協議会におきまして御意見を伺いながら、地域や福岡市にとって魅力ある跡地活用となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩)登壇 私は、アサヒビール博多工場の移転に関する現在の進捗状況についてお尋ねいたします。
 まず、アサヒビール博多工場の移転は昨年の3月に発表され、半年がたった9月議会で質問をしたと思っております。そして、1年が経過しましたが、市としてアサヒビール博多工場跡地になるでしょう土地に関して、まちづくりをどのように考えているのか、また、現在の進捗状況はどうなっているのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて発言させていただきます。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) アサヒビール博多工場跡地のまちづくりにつきましては、民間所有の土地であるため、土地所有者の意向や検討状況を踏まえながら進めていく必要があると認識しております。
 アサヒビールとは令和4年8月以降、事務的に情報交換等を適宜行ってまいりましたが、令和5年7月には中村副市長がアサヒビール本社を訪問し、地域の声や行政上の課題を改めてお伝えするとともに、市としっかり協議していただくようお願いし、その後、文書による要望も行ったところでございます。なお、協議内容に関しましては、アサヒビール側から、本件は株主をはじめ、ステークホルダーが多く、跡地活用の検討に支障を来す懸念があるため、協議に関する情報は守秘願う旨の要望を受けており、説明は差し控えたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 市は7月に中村副市長が会社のほうに行ったということですが、これは挨拶程度ということで、今からいろいろ協議をするということなんでしょうか。市としてどのような行政課題があって、何をお願いされたのか、そこら辺が分かれば教えてください。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) アサヒビールとは令和4年8月以降、事務的に情報交換等を適宜行ってまいりましたが、地域の声や行政上の課題を改めてお伝えするとともに、市としっかり協議していただくようお願いするために中村副市長がアサヒビール本社を訪問したものでございまして、小中学校用地の確保、古墳、緑地の保存、工場南側の狭隘道路の安全対策などといった課題について改めてお伝えし、後日文書による要望を行ったものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 私はですね、やっぱり地域も大変心配しているんですね。1年たっても何も市からの情報もないと。幾ら交渉とはいえ、市は何をやっているんだと、市長はもうちょっとできるはずじゃないかというような声をいただきます。
 現在の窓口である──これは住都ではないんですね、経済観光文化局を中心に任せておいて、他局ではあまり十分な働きをしていないのではないかなと地域の方も心配をしております。それとまた、副市長が行かれたというのは、まだ挨拶程度で、私、8月17日にこの質問をするよということをお伝えして、いろいろ幾つかの問合せをさせていただいた。で、文書をいただいたんですけど、そのときは出てこないんですよ。では、具体的にどういったお願いをしたんですかと。すると、令和5年8月29日付、福岡市長島宗一郎、福岡市教育長石橋正信連名で相手の代表取締役社長松山一雄様に出しておられるんですね。遅いなあと言って、質問するよと言って、いざ文書になったのかという思いがあります。
 そこで、これではらちが明かないということで、それぞれの行政課題についてどのような課題や懸念があったり、また、どのような選択肢があるのかについて、それぞれ少し考え方をお尋ねしたいと思っております。
 まずは、一番重要なのは学校問題ですね。教育委員会は知っていると思うんですけど、同じビルに住んでおって、別々の小学校、別々の中学校に通っておる現状です。これが十数年続いております。当時の課長さんか、部長さんか、次長さんか忘れましたが、熱心にしてくれたので、地域もやむを得ないということで協力をしてきました。ところが、そのまま放置され、いまだに同じビルで別々の方角に通う、話したことがないと、学校は小学校も中学校も違いますから。こういう現状がある中、小学校がパンク状態なんですね。
 そこで、1年前、小学校については、ぜひアサヒさんに協力方もお願いしたいという答弁をいただいたんですが、中学校については当時返事をされなかったんですね、教育委員会さん、教育長は。そこで、一番物が言えない、議会で言えない子どもの立場からすると、どうなるんだということなんですね。
 そこで、学校としては中学校、那珂に今行っていますけれども、東住吉に行っている子もいます、板付と三筑はかなり遠い。ここは手を挙げる予定なのかどうか、明確に答弁をお願いします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 那珂小学校につきましては、おっしゃいましたとおり、現状でも過大規模校となっており、分離新設が必要な状況であること、また、那珂中学校につきましても、今後の住宅開発を考慮すると過大規模校となる可能性があることから、工場跡地における小中学校の用地の確保について、アサヒビール側に今回文書で申入れを行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 中学校については新しい場所に分離するのか、弥生小学校に中学校機能を付加していくのかと、いずれかしかないんじゃないかと以前から言っていたんですけれども、今回手を挙げるという答弁をいただきましたので、うまくいくように、ほかにも場所があればいいんですけれども、なかなか2.3ヘクタールはないということです。
 次に、工場内の古墳があります。前方後円墳が2つあって、1つは道路敷なんですけれども、1つは緑あふれる場所として残っていますが、これはどのようにしていくお考えなのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 工場地内の古墳につきましては、所有者の跡地の検討状況を踏まえながら、保存に向けて協議を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 跡地の検討状況と言うけれども、まず、市が分けてやんなっせと、土地ね、学校が要るから、おたくんとをどうぞと、こっちはお願いする立場ですよ。動向を見ながらと、アサヒビール工場さんは売られるわけですから、市が言ってきたら、ああ、考えましょうということをしっかりお伝え願いたい。
 次に、緑地についてはどう考えているのか。前方後円墳の横はずっと緑地ですけれども、竹下地区の緑被率、あなたたちが緑のマスタープランで一番に挙げている緑被率はどのような状況か、併せてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) まず、緑地についてでございますが、緑は都市環境の改善、生物多様性の確保、都市景観の形成など様々な役割を担っておりまして、市民の生活を豊かにするためにも大切なものであると認識をしております。引き続き、所有者の跡地の検討状況を踏まえながら、保存に向けて協議を行ってまいりたいと考えております。
 次に、緑被率につきましては、平成29年度に町丁目単位で算定をしているデータですが、アサヒビール博多工場が立地する竹下三丁目は14.4%でございます。博多区全209町丁目のうち、高いほうから89番目でございます。なお、竹下一丁目から五丁目までのエリアの緑比率は17.9%でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 今日はここは踏み込みませんけど、少ないんですね。三丁目というのは、アサヒビールだけをもって三丁目なんですね。ここは別にしますけれども、緑を減らすわけにもいかないと思っております。そして、これは工場法に基づく緑指定なんですね、緑地を残さないといけないと。ですから、これは工場ではなくなって学校とかが建つと、それだけの緑は工場としては要らなくなる。しっかり市でどう保全していくのか、考えていただきたい。
 それから次に、道路なんですけれども、アサヒビール周辺、アサヒビールさんは100年おられて、ずっとセットバックしてくださっています。100メートル以上にわたって道路を引いて、約4メーター、住民が困らないように。これがもしも売られると、ぎりぎりまで、元の線まで戻ってきて、ビルが建ったりする可能性があるのではないかと思いますが、どうお考えか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) アサヒビール博多工場に隣接する道路につきましては、歩道がない道路や幅員の狭い道路が多いことから十分な通行空間が確保できないという課題がございます。今後、土地所有者や関係局の検討状況を踏まえ、安全、安心な通行空間の確保を図っていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 何で要望書には南側道路しか書いていないんですか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 南側道路につきましては、地元からの拡幅の要望を受けている場所でございまして、この部分につきましては早急に対応する必要があることから、アサヒビールに対して、跡地計画に先行して、工場用地を活用した道路整備について協議をお願いしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) セットバックしている部分は要望しないのかというお尋ねなんですが。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) セットバックの部分についても、お話はしておるんですが、セットバックの部分につきましては、ほかの道路と同じように今後土地所有者や関係局の検討状況を踏まえ、安全、安心な通行空間の確保について協議を行っていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 協議を行うならちゃんと書いてもらわないと、これは公文書なんですから地域も見るんですよ。市はしないつもりかと言われるんですね。しっかり書き直してください。
 次に、アサヒビールには22メーターの道がついています。トラック出入りのために使われています。そして、小学校、中学校を建てたいというお願いをするに当たって、道路はどう計画するつもりなのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 開発行為等が行われる地区内の道路につきましては、幹線道路への接続位置など土地利用に応じて検討されるものではありますが、仮に学校が新設される場合につきましては、通学路を含め、誰もが安心して移動できるよう安全、安心な通行空間を確保することが大切であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 小学校、中学校を造るということは開発行為に該当しませんか。そしたら、当然これにたくさんの道路が要りますよ。そうすると、道路の確保への協力ということが必要ではないですか。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 幹線道路の計画につきましては、広域的な道路ネットワークの形成をはじめまして、将来的な交通需要、周辺の交通状況、開発動向等を踏まえながら検討する必要があると考えておりますが、いずれにしましても、先ほど申しました学校が新設される場合は、通学路を含め、誰もが安心して移動できるよう、安全、安心な通行空間を確保することは大切であるというふうに考えているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) バス通りは2本の市の水路に挟まれて、これは開発できません、そこを何とかしないと。6メーターの道があります。朝は一方通行です。これから学校を取っても、どれだけのトラックを入れるんだということになります。
 今、22メートル、物すごく広い道がぶち当たっています。道路を当然書いとかないかんと思う。線形は別ですよ。開発行為を市がしたいということで、分けてくれと言いよるわけですから、当然市がどういう道路にするのかということは書き込むべきと思いますけれども、今後書くという理解でいいですか。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 今後の開発行為等が行われる地区内の道路、幹線道路でございますが、やはり接続位置など土地の開発に応じて検討されるものと考えておりますので、今後の検討、協議状況を踏まえまして、必要に応じてしっかりと検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 相手にお願いするんですよ。学校を造りたいから分けてくれ、小中学校、1.8と2.3、合わせて4ヘクタール以上。当然開発行為者ですよ。だから、このときに道路もお願いしますというのが筋ではないですか、再度お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村副市長。
○副市長(中村英一) 川口議員の今の道路についての御質問ですけれども、私がこのプロジェクトを担当しておる副市長になります。その観点で答弁をさせていただきますけれども、道路の取付けについては、当然開発行為の重要な部分を占めておるという考えでおりますので、この土地の重要性等に鑑みて、文書に追記するかどうかは別としまして、きちんと責任を持って検討を適宜進めてまいりたいと思います。以上です。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 公文書で地域の方も見るんですよ、これ。私、配りますけどね、道路がないじゃないかと。だから、今後、これはしようがないから、次ちゃんと書きますか。
 
○議長(打越基安) 中村副市長。
○副市長(中村英一) 検討状況に応じて、その必要性を検討してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) こちらがアサヒにお願いするのに道路も欲しいですと書きますかということを言っているんです。
 
○議長(打越基安) 中村副市長。
○副市長(中村英一) アサヒビールとの検討状況、庁内の検討の進捗状況に応じて、必要に応じて適宜対応してまいりたいと思います。以上です。
 
○議長(打越基安) 川口浩議員。
○52番(川口 浩) 私は必要と思っているんですね。住民に対して誠意ある姿勢をしないといけないですよ。卒業生も市長の知り合いもいっぱいいると思いますけれども、やっぱり住民が不安にならないように、道路も造るんだと、22メーター道をね。10ヘクタールぐらいあるところを。取付けないでしょう、くねった道で。そこに道路も要るのではないか、どうなるんやと、そういった住民にまず不安を与えないような、適宜、学校を造る場合、開発行為になれば市としても道路の検討をするので、ぜひ協力方をお願いしたいというのを入れるようにお願いしたいと思いますが、繰り返しになりますけど、再度お尋ねして終わります。
 
○議長(打越基安) 中村副市長。
○副市長(中村英一) 繰り返しになりますが、適切に検討してまいりたいと思います。以上です。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 子どものワクチン接種について質問してまいります。
 初めに、学校安心メールで感染症ワクチンの治験者募集の広告が出回った経緯についてお尋ねいたします。
 以降の質問は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校安心メールは、企業からの協賛により無償で利用できる一斉メール配信サービスでございまして、福岡市においては10年以上前から多くの学校において、保護者への休校連絡や災害時の緊急連絡などに活用されてまいりました。利用に際しましては、メール配信事業者から保護者宛てにショッピングモールや新聞社などの広告が月1回程度配信されることとなっております。今回の子どもを対象とした感染症予防ワクチン臨床試験の参加者の募集をする広告メールは、令和5年7月29日にメール配信事業者が学校の承諾なく、小学校108校の保護者に単発の広告という形で配信したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 夏休み中の土曜日、学校や教育委員会と連絡を取れないこのタイミングということ、問題です。しかも、もともと登録されていないスポット企業からで、突然のメールに不安と怒りの声が各地から私のところに届きました。
 そこで、教育委員会にも届いた市民からの意見や問合せについて、具体的な声を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校が使用しているシステムから配信されたことで、教育委員会や学校が臨床試験の参加者募集に関与しているのではないか、また、臨床試験を推奨しているとの誤解を与えるのではないかといった質問や御意見がございました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、教育委員会、学校、配信業者、広告元業者のそれぞれの対応について伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育委員会の対応といたしましては、学校や教育委員会は今回の広告に関与していない旨のメールを配信するよう学校に指示し、学校はそれを基に速やかに保護者にメールを配信いたしました。配信業者では、まず臨床試験の参加者募集について教育委員会や学校が推奨しているものではないこと、また、臨床試験を中止する内容のメールを該当の保護者に配信するとともに、今回の件で誤解と不快な思いをされた方々に対しておわびをする内容の文章をホームページに掲載しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 教育委員会としてどのような点が問題だったと捉えられているのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) メール配信システムの無償利用とはいえ、今回のメールが配信されたことで教育委員会や学校が臨床試験を推奨しているという誤解を一部の保護者に生じさせたという意味で、必ずしも適切ではなかったと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 今回、治験中止のメールは該当しない保護者にまで配信されています。安心メールで豪雨対応の大事な情報は届かないこともあり、不安な内容が突然出回った。これには様々な課題、問題が含まれます。
 教育委員会が治験募集の内容であるワクチン接種についての情報を把握して、不安な保護者への説明など行う必要があったとも考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今回の臨床試験の参加者を募集するメールは、メール配信事業者が広告として配信しているものでございまして、そもそも教育委員会は関与しておらず、広告内容等について説明する必要があったものとは考えておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 関与していないこととして対応する姿勢がないことは問題です。保健医療局から情報を得るなどして、子どもたちや保護者に真摯に向き合うことが重要と考えます。個人情報流出等も懸念します。教育委員会として責任を持てる独自のシステム構築を求めます。
 では、今回配信された治験者募集は新型コロナワクチンに関するものでしたが、治験製剤の内容や協力医療機関などの治験概要についてを保健医療局にお伺いします。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医薬品の有効性や安全性などについて、治験前から承認まで指導、審査を行っている独立行政法人医薬品医療機器総合機構によりますと、薬事承認前の治験情報につきましては企業の機密事項であり、公表は行っていないとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、国内で18歳未満の子どもに対する新型コロナワクチンの治験が行われた実績があるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 今回の特例臨時接種で使用されている新型コロナワクチンにつきましては、各製薬会社に確認したところ、18歳未満の方に対する国内での治験は実施していないとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) ファイザー社の医薬品インタビューフォームで、今年7月改訂第14版を見ると、全製剤共通で特定の背景を有する患者を含め、12歳未満の年齢を対象とした臨床試験は実施していないと書いてあります。まさに実験中です。
 現在使用中の製剤は、国内では18歳未満の治験実績はないとのことでしたが、学校安心メールにあったような子どもを対象とした治験募集が現在もインターネット上にあります。そこには「今回の治験は第V相試験に当たります。治験薬のワクチンはこれまで第T相、第U相試験にて、それぞれ御協力いただいた方々に投与し、安全性や効果を検証した上で、治験の最終段階に当たる第V相試験の実施が決まっています」と書かれ、5歳から11歳の場合はファイザー社の新型コロナウイルスワクチンを2回接種した方で、2回目接種から3か月以上経過している方となっています。福岡市も実施地域に入っています。厚労省は、県や医師会を通じることも含めて実施自治体には知らせないのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 新型コロナワクチンも含めた治験につきましては、製薬会社が提出した実施計画書を国においてあらかじめ審査した上で、法令で定められた要件を満たす医療機関のみで実施されておりますが、治験情報の自治体への通知はなされておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 福岡市内5か所の病院で治験を行うようです。全国38か所中5か所もあるのは福岡市だけ、ほかの自治体は1か所がほとんどです。ある治験では、生活保護か否かの聞き取りもあり、この点も大きな問題があると考えます。
 では、子どもに関する新型コロナワクチン接種の副反応報告について、全国と福岡市の状況を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 18歳未満の方の副反応疑い報告につきましては、国が公表している最新の令和5年4月30日時点では、全国で1,263件、福岡市で5件となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) そのうち福岡市民の死亡事例は何件あるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 接種後に亡くなられた事例は2件となっており、いずれも厚生労働省の審議会でワクチン接種との因果関係は評価できないとされております。しかしながら、そのうち1件は、その後、国の健康被害救済制度の申請がなされ、ワクチン接種が原因となった可能性が否定できないとして認定がなされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 接種を行う医療機関は副反応報告の内容を熟知しているのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 医療機関につきましては、あらかじめ厚生労働省が作成した医療機関向け手引きなどの関係資料を確認し、副反応疑い報告を含めた一連の情報を理解した上で接種を行うこととされております。接種後に起こり得る副反応についてはワクチンごとに作成された添付文書で、また、実際に報告された副反応疑いの内容については厚生労働省のホームページにおいてそれぞれ周知が図られております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 自治体の責任において新型コロナワクチン接種事業が執り行われていますが、子ども自身と保護者に十分に理解できるように説明することが必要です。
インフォームド・コンセントは副反応事例も含めて行われていますか。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ワクチン接種に当たりましては、予診の際に、その安全性、有効性、接種後の通常起こり得る副反応や、まれに生じる重い副反応、予防接種健康被害救済制度等について、被接種者またはその保護者が理解できるよう適切な説明等を行い、書面で同意をいただいた上で接種が行われております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 6月議会の委員会報告の中で、子どもの接種率が低いとのことで、ピンポイントで接種率を上げる方策を求める声が上がっていましたが、実施されたのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 11歳以下の小児や乳幼児の接種につきましては、保育園や幼稚園、学校を通じ、保護者等に対してワクチン接種に関する情報提供を行っており、接種の効果と副反応のリスクの双方について理解し、その上で接種を希望される方が円滑に受けられる環境を整えているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 福岡市内の子どもの副反応報告5名のうち、死亡が2名、車椅子生活となった方が1名です。そのような中、福岡市として接種率を上げたいとお考えでしょうか。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 繰り返しになりますが、保護者等に対してワクチン接種に関する情報提供を行い、接種の効果と副反応のリスクの双方について理解していただいた上で、接種を希望される方が円滑に受けられる環境を整えているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、8月7日から5歳以上の子どもの初回の接種においても、オミクロン株対応2価ワクチンの使用となっています。安全性についての市の見解を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) オミクロン株対応2価ワクチンにつきましては、既に5歳以上の方に対する追加接種において使用されており、初回接種で使用する場合であっても、これまでに得られている臨床試験成績や製造販売後の安全性情報から現時点で新たな懸念は認められないと国において評価されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、1価、2価ともに10年後、20年後といった中長期の安全性は分かっているのでしょうか。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 新型コロナワクチン接種につきましては、令和3年2月の接種開始以降、副反応疑い報告のほか、ワクチン接種から一定期間、被接種者の健康状態等を調べる接種後の健康状況に関する調査が国において実施されております。その結果については、厚生労働省の審議会において定期的に議論されており、現時点で安全性に重大な懸念は認められないと評価されているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 副反応報告にあるものだけでなく、接種後の状況を確認できていますか。治験として始まったワクチン接種事業なので、必ずアンケートを取るべきではないのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 繰り返しになりますが、国が実施しております接種後の健康状況に関する調査の結果について、厚生労働省の審議会において定期的に議論されており、現時点で安全性に重大な懸念は認められないと評価されているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 副反応の実態を知っていれば接種しなかったと言われます。接種後の後遺症で苦しむ方の実態を市は積極的に把握すべきです。申請できた方は一部でしかなく、接種事業は立ち止まることが重要です。
 ファイザー社医薬品インタビューフォームには、全製剤共通で効能または効果に関連する注意として、長期の有効性データは得られておらず、本剤の新型コロナワクチンによる感染症の予防効果の持続期間は確立していないことを情報提供するために設定したと解説し、重要な基本的注意と、その理由として、本剤とほかの新型コロナウイルスに対するワクチンの互換性に関するデータはない、本剤以外の新型コロナワクチンを接種した者に追加免疫として本剤を接種した際の有効性及び安全性は確立していないと書かれています。接種事業を行う市は、このことを被接種者となる市民が理解できるように確実に伝える責務があると考えます。
 泉大津市が市独自で丁寧に行っているワクチン接種後の後遺症に関しての相談や改善プログラム、救済のための申請サポートや助成など、本市においても行うべきと考えますが、質問の最後に、子育てしやすいまちづくりを進められている市長の後遺症等の支援に対する御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) ワクチン接種後の副反応など医学的な知見を要する相談への対応につきましては、福岡県において、薬剤師による相談ダイヤルの設置や副反応などに対応する専門的な医療体制の整備がなされております。また、福岡市においては、国の健康被害救済制度の申請手続が速やかに進むよう、お一人お一人に丁寧な支援を行っているところでございます。引き続きワクチン接種の安全性や有効性について市民に分かりやすく情報提供を行うとともに、希望される方が円滑に接種を受けられる環境を整えてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 医療現場にはヒポクラテスの誓い、ジュネーブ宣言やヘルシンキ宣言があります。中長期の安全性について分からない中、メールでぽんと保護者に治験募集が直接届いたことを重く受け止め、子どもたちに対して責任の取れる慎重な対応をすべきです。
 健康被害救済制度申請は困難で、認定もかなりの時間を要します。元気なまち福岡市として市民の健康と命を守る観点で、体調改善や早期救済など、ぬくもりのある十分な支援となることを強く求めて、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 以上で一般質問を終結いたします。
 本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は9月11日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後3時50分 散会