令和5年9月5日(火)

令和5年 第5回 福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第3号)
                                    9月5日 午前10時開議
第1 一般質問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  おばた 英 達       2番  もろくま英 文
3番  淀 川 幸二郎       4番  稲 員 稔 夫
5番  鬼 塚 昌 宏       6番  堤 田   寛
7番  大 森 一 馬       8番  大 原 弥寿男
10番  阿 部 真之助      11番  打 越 基 安
12番  堤   健太郎      13番  坂 口よしまさ
14番  新 開 ゆうじ      15番  とみながひろゆき
16番  田 原 香代子      17番  たのかしら知行
18番  石 本 優 子      19番  勝 山 信 吾
20番  調   崇 史      21番  川 上 陽 平
22番  津 田 信太郎      23番  古 川 清 文
24番  高 木 勝 利      25番  篠 原 達 也
26番  平 畑 雅 博      27番  伊 藤 嘉 人
28番  川 上 晋 平      29番  尾 花 康 広
30番  松 野   隆      31番  山 口 剛 司
32番  大 石 修 二      33番  和 田あきひこ
34番  あ べ ひでき      35番  大 沢 めぐみ
36番  木 村てつあき      37番  橋 口 えりな
38番  綿 貫 康 代      39番  前 野 真実子
40番  中 島まさひろ      41番  藤 野 哲 司
42番  新 村 まさる      43番  天 野 こ う
44番  堀 内 徹 夫      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  はしだ 和 義
48番  浜 崎 太 郎      49番  阿 部 正 剛
50番  倉 元 達 朗      51番  中 山 郁 美
52番  川 口   浩      53番  小 竹 り か
54番  勝 見 美 代      55番  井 上 ま い
56番  ついちはら陽子      57番  田 中 たかし
58番  山 田 ゆみこ      59番  近 藤 里 美
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
           9番  今 林ひであき

説明のため出席した者
市         長   島 宗一郎      副    市    長  光 山 裕 朗
副    市    長  中 村 英 一      副    市    長  荒 瀬  
水道事業管理者  坂 本 秀 和      交通事業管理者  小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長  龍   靖 則      財  政  局  長  山 嶋   剛
市  民  局  長  舟 越 伸 一      こども未来局長  野 中   晶
福  祉  局  長  藤 本 広 一      保 健 医 療 局 長  藤 田 三 貴
環  境  局  長  中 村 卓 也      経済観光文化局長  鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長  姉 川 雄 一      住 宅 都 市 局 長  中 村 健 児
道路下水道局長  天 本 俊 明      港 湾 空 港 局 長  竹 廣 喜一郎
消  防  局  長   田 浩 輝      会計室会計管理課長  御 幡 弘 信
教    育    長  石 橋 正 信      教  育  委  員  原   志津子
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子      人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監 査 事 務 局 長  上 薗 久 美

職務のため出席した事務局職員
議 会 事 務 局 長  曽根田 秀 明      議会事務局次長  八 木 智 昭
議  事  課  長  水 ア 亮 二      議  事  係  長  實 政 伸一郎
外関係職員

 午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。中島まさひろ議員。
 
○40番(中島まさひろ)登壇 おはようございます。私は自民党新福岡を代表して、警固公園の現状と今後について、道路側溝の維持管理について、以上2項目質問してまいります。
 まず、警固公園の現状と今後について質問いたします。
 警固公園は昭和26年に開園し、天神地区の貴重なオープンスペースとして、地域住民だけでなく、天神を訪れる人たちの憩いの空間として親しまれている公園です。平成24年には、施設の老朽化が進み、暗がりや人目から死角となる場所が多いなど、防犯上の問題から再整備が行われてきました。すっきりとした見通しのよい開放的な空間としてリニューアルされるとともに、天神警部交番、安全安心センターも設置され、天神地区の安全、安心が確保されてきました。しかしながら、昨今、特定の場所にたむろする若者の集団を称して、東京のトー横キッズや大阪のグリ下キッズなどが報じられております。福岡においても、警固界隈や警固キッズと呼ばれる多くの若者が夜な夜な警固公園に集まる様子がメディアで報じられるなど、警固公園やその周辺における少年少女の非行問題が懸念されています。先日、7月20日には福岡県警と本市が協力して約100人体制で街頭補導やパトロールが行われ、その内容が大きく報道されたこともあり、皆様も御存じと思いますが、警固界隈や警固キッズという名称が広く知れ渡っています。警固公園の住所は天神で、大名地区に位置しています。私も警固校区の住民ですが、地域の方から、警固キッズが、警固という町名もあり、警固小や警固中の子どもたちと誤解され警固校区が悪いイメージとなっているので、非常に心配しているところであります。
 そこで、警固公園の現状と今後についてお伺いいたします。
 先日、7月20日に、警固公園及び付近一帯で福岡県警と本市が協力して街頭補導が実施されたとのことですが、そもそも街頭補導とはどのようなものなのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 街頭補導につきましては、福岡県警察によりますと、道路、その他の公共の場所等において不良行為少年や非行少年等を発見し、必要に応じ、その場で適切な注意、助言を与えるなどの補導措置を取る活動とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) それでは、過去5年間の街頭補導の状況について、福岡市内における補導人数及び警固公園がある中央区内の補導人数についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 街頭補導の状況につきましては、県警察によりますと、警察署ごとの統計となっているため、まず、市内の警察署が街頭補導した人数でお答えをいたしますと、平成30年が6,161人、令和元年が5,148人、2年が4,865人、3年が4,407人、4年が4,088人。また、中央警察署が街頭補導した人数につきましては、平成30年が432人、令和元年が768人、2年が1,037人、3年が880人、4年が1,059人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 市内全体の補導人数は、5年前の平成30年と比較すると2,000人以上減少しているのに、中央警察署が街頭補導した人数は600人以上も増加しています。
 中央警察署が街頭補導した主な理由についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 街頭補導の主な理由につきましては、県警察によりますと、喫煙と深夜徘回が大半で、全体の9割以上を占めているとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 天神では、警固界隈、警固キッズなど、夜間に公園をはじめ、周辺に集まる青少年の問題がマスコミに取り上げられております。深夜徘回する青少年たちへの対策や犯罪被害の未然防止が必要であると感じています。また、地域住民としても、本来、人々が集い、くつろぐ場である警固公園がこのようなことで問題視されることは本意ではなく、むしろ不安を感じており、大きな懸念となっております。警固公園には交番が隣接しており、一定の役割を果たしていると思いますが、それでもこういった治安の問題がなくなるわけではありません。交番から公園の中がよく見えるように工夫するなど、公園の施設や管理の面からも検証する必要があると思います。
 続いては、警固公園と周辺を取り巻く現状についてお尋ねしたいと思います。
 まず、公園内の治安維持には様々な手法が考えられます。設備として防犯カメラは治安維持のために、防犯効果として大きな役割を果たす一つの手法かと思います。
 そこで、警固公園内にも防犯カメラが設置されているかと思いますが、その設置者と設置台数をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 警固公園につきましては、市民局が平成25年度に2台の防犯カメラを設置しております。また、地域としても30年度に3台の防犯カメラを設置しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 防犯カメラは犯罪の抑止力にもなるため、もう少し台数を増やして管理をしていただきたいと思います。
 次に、警固公園の地下には駐車場があり、設置されてから長期間が経過しており老朽化が懸念されています。
 そこで、この施設の設置時期、管理状況についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地下駐車場につきましては、昭和41年4月に現在の西日本高速道路株式会社九州支社が公園占用物件として許可を受け設置したものであり、その後、引き続き維持管理を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 地下駐輪場についても同様にお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地下駐輪場につきましては、平成3年1月に中央区が公園占用物件として許可を受け設置したものであり、その後、引き続き維持管理を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 地下の施設の状況は把握できました。
 次に、天神地区において、あちこちでスケートボードをする若者が問題となっていました。減少傾向にあると思いますが、警固公園においても問題となっているのではないかと思います。
 そこで、警固公園での現在のスケートボードの状況と安全管理の対策についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 警固公園は公園利用者が多く、激しい動きを伴うスケートボードは接触事故の可能性が高いため禁止としております。公園には、常時スケートボードを禁止する表示板を設置するとともに、夜間には警備員を常駐させ、注意喚起を行い、公園利用者の安全確保に努めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) このような中、ボートレース福岡において、新たにスケートボード施設の設置が検討されることとなりました。今後、スケートボードを楽しむ方の環境が改善されることを期待しております。引き続き、警固公園の安全対策を適切に実施していただくようお願いいたします。
 次に、喫煙の状況についてお尋ねいたします。
 警固公園は周囲に勤めている人も多い中、数少ない喫煙場所として多くの喫煙者が集まっているようにお見受けいたします。現在の喫煙所は公園南西付近に設置されておりますが、以前は別の場所に設置されていたかと思います。
 そこで、現在の喫煙所が設置されるに至った経緯についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 警固公園では、平成24年度の全面再整備を行った際に、公園の北東位置に喫煙場所を設置しておりましたが、通行人が多いエリアに面しており、想定以上に喫煙者が集まってきたことにより、煙や臭いについての苦情が相次いだため撤去を行っております。撤去後、公園内でのポイ捨てが悪化したことから、子どもが利用する遊具広場にも配慮して、通行人の少ない南側エリアに喫煙所を再設置しております。その後、公園利用者から再度苦情が出てきたことに対応し、令和元年12月から現在の位置としております。その後も喫煙者が散在する状況となっておりましたので、喫煙所を植栽帯で囲うなど、受動喫煙防止の観点も踏まえ、地域と協議を進めながら、喫煙者も非喫煙者も快適に公園を利用できるような環境づくりに努めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 喫煙場所の設置だけでなく、喫煙者のマナー啓発を含めて、受動喫煙防止に向けた環境づくりを引き続き進めていただくようお願いいたします。
 次に、天神地区では、様々な場所で活動しているストリートミュージシャンがいます。警固公園周辺でも見かけますが、公園内ではどういう状況でしょうか。
 公園とその周辺でのストリートミュージシャンの状況についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園東側の商業施設に沿ったエリアに、不定期に複数名のストリートミュージシャンがいることは承知しております。警固公園内においては、騒音や人だまりによる通行障害が発生するなど、ほかの利用者に対して迷惑となるため、注意を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 公園内で演奏等はないようですが、引き続き公園利用者が気持ちよく過ごせるような対策をお願いいたします。
 次に、パークPFI制度についてお尋ねいたします。
 近年、公園の活用手法の一つとしてパークPFI制度が注目されています。本市でも制度を導入されたところかと思いますが、制度の活用状況と今後の予定についてお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) パークPFI制度は、公募により選定された事業者が設置する便益施設の収益の一部を公園施設の整備、改修に充当する制度でございます。パークPFI制度の活用につきましては、公園利用者の利便性向上や公園の魅力向上を図ることを目的として、東平尾公園の大谷広場エリア、清流公園、明治公園において事業を推進しております。今後も、パークPFI制度をはじめ、様々な手法を活用し、魅力ある公園づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 現在の答弁にありましたように、私も、パークPFI制度は公園利用者の利便性向上や公園の魅力向上を図るための手法の一つだと思います。現在、パークPFIの手続を進められている3公園については、このままうまく進めて、次につなげていただきますようよろしくお願いいたします。
 警固公園は都心の一等地にある福岡市を代表する公園でありますが、防犯上の問題や、駐車場や駐輪場の老朽化など、様々な課題も抱えていることが分かりました。誰もが安心して利用できる公園となるよう、パークPFI制度の候補地なので、より魅力的な公園にしていただきたいと思います。また、そういった整備などの機会を捉え、警固公園という名称については、所在地が警固地域ではないこともあり、天神を象徴する公園にふさわしい、例えば、天神シティパークやランドパーク天神などと名称を変更していただくことも要望してこの質問を終わります。
 次に、道路側溝の維持管理についてお伺いいたします。
 令和5年7月、九州地方を中心とした記録的な大雨があり、各地で多くの被害が発生しました。福岡県の公表資料によりますと、本市を含む県内各地においても、家屋被害や土砂災害、道路被害など多く発生しており、実際に私自身も道路が冠水している光景を目の当たりにして不安を感じたところでありました。また、近年は気候変動に伴う災害の激甚化、頻発化の傾向にあることから、これまで以上に豪雨などへの備えが必要となっております。本市におきましては、平成11年の記録的な豪雨による天神地区や博多駅地区を含む市内各所で生じた甚大な浸水被害を契機に、雨水整備レインボープラン天神や雨水整備レインボープラン博多という浸水対策に取り組んでおり、大雨による浸水に対する安全度は、日々着実に向上しているところです。しかしながら、市民の安全で安心な生活を確保するためには、道路などのインフラ施設が機能を十分に発揮することが必要不可欠であることから、新たなハード整備はもちろん重要でありますが、それだけではなく、これまで整備してきた既存施設の維持管理も大変重要であると再認識したところです。
 そこで、市民に身近なインフラ施設であり、雨水を排水する重要な施設である道路側溝の維持管理について伺ってまいります。
 本年7月に道路冠水を目の当たりにして以来、雨水を排水する道路側溝を意識して見ると、道路側溝には、L字型とU字型と言われるものがあったり、コンクリート製の蓋で穴が空いているものや空いていないもの、金属製のグレーチングと言われる蓋で網の目が細かいものや粗いものがあるようで、種類によって排水する能力に違いがあるのではないかと思います。
 そこでまず、道路側溝や蓋はどのように使い分けているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路側溝につきましては、雨水などの流入量に対して十分な断面と適度な流速を確保するとともに、経済性、施工性、維持管理などを総合的に評価し、構造を決定しております。また、蓋につきましては、コンクリート蓋を基本とし、排水能力などを考慮して、穴を多数有するコンクリート蓋やグレーチング蓋などを選定しております。なお、歩行者が通行する箇所に設置する蓋は、細目タイプを使用することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 雨水の流入量や排水能力などを考慮した上で使い分けがされていることが分かりました。また、歩行者に配慮して蓋を選定しているということも知ることができました。
 雨水を排水する大切な施設であり、しっかり整備されていることと思いますが、本市が管理する道路側溝の延長はどれくらいあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 令和5年4月1日現在、約5,800キロメートルでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 日本列島が約3,000キロメートルと言われており、その約2倍近くの約5,800キロメートルもの道路側溝を維持管理するのはとても大変だと思いますが、雨水を確実に排水するためには、側溝の清掃は大切なことだと思います。
 そこで、道路側溝の維持管理として清掃はどのように行われているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 区役所の道路パトロールによる異常箇所の発見や、市民や企業などからの通報を受け、速やかに現場を確認し、すぐに対応が可能なものにつきましては区役所の職員が直接清掃を行っておりますが、専用機材が必要な場合は清掃業者に委託しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 道路パトロールや市民などからの通報によって、区役所の職員や業者が清掃を行っているとのことですが、令和4年度に区役所職員及び清掃業者が実施した清掃回数をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 区役所職員による清掃が908回、清掃業者による清掃が392回で、合計1,300回でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 相当な回数の清掃をされていますが、7月の大雨後に意識的に道路側溝を見てみると、細目のグレーチングの蓋に土砂が目詰まりしたり、側溝内に枯れ葉やごみ、たばこの吸い殻、土砂などが堆積している状態が見受けられました。このような状態であれば、もし大雨となった場合、冠水するおそれがあるのではないかと危惧しております。さらに近年、短い期間に多量の降雨が記録されるなど雨の降り方が明らかに変化してきているので、道路側溝の維持管理をより充実することで冠水を未然に防げないかと考えています。そうは言うものの、本市が管理する道路側溝は約5,800キロメートルと相当な延長でありますので、より効果的な点検や清掃を考える必要があると思います。例えば、時期については、大雨が起きやすい6月から10月の前に定期的に点検や清掃をすることが考えられます。場所については、地盤が低いところは雨水が集まり冠水する危険性が高いと思いますので、そういう場所を重点的に点検するとか、そのようなことが効果的と考えられます。
 そこで、冠水を未然に防ぐために、時期や場所を限定するなど、効果的な道路側溝の点検や清掃を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 区役所の道路パトロールや市民などからの通報を受けた異常箇所への対応に加え、梅雨時期前には冠水した実績がある箇所を重点的に点検し、必要な箇所の清掃を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 中島まさひろ議員。
○40番(中島まさひろ) 道路冠水は起きないようにすべきであり、未然に防ぐということが重要です。本市はLINEを活用して、通報システムなどにより市民や企業に通報をお願いし、協力を得ていることは承知しておりますが、ほとんどの方は道路に損傷や道路冠水などが発生してから市へ通報されていると思います。これに加えて、道路冠水が発生する前に市民の皆様に側溝内のごみや土砂の堆積状況を通報していただくことにより、冠水を未然に防ぐことが期待できるとともに、市民の皆様の地域防災の意識が高まり、よりよい地域づくりにもつながるのではないでしょうか。
今後も、道路冠水を未然に防ぐため、道路側溝の維持管理の充実に努めていただくよう要望して私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる)登壇 新しい風ふくおかを代表しまして、大学生インターンシップとスクール・サポート・スタッフに関する本市の取組について質問をいたします。
 はじめに、インターンシップについてですが、まず、国の定めるインターンシップの定義を確認させてください。
 以降の質問は自席で行います。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国の定義については、文部科学省、厚生労働省及び経済産業省が取りまとめた、インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方において、インターンシップを学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうかを見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験を行う活動とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 本市は長年、インターンシップで大学生を受け入れてきました。まずはその募集方法をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 大学生インターンシップについては、九州インターンシップ推進協議会を通じて受け入れており、さらに受入れの余地がある場合は、福岡市のホームページで広く学生の募集を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 今年度、本市による大学生インターンの受入れ数と募集方法別の内訳数をお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 受入れ数については40人を予定しております。そのうち、九州インターンシップ推進協議会を通じた受入れが30人、福岡市のホームページによる受入れが10人でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 受入れの大半が九州インターンシップ推進協議会経由のようですが、この間の本市との連携の経緯と受入れの開始時期、団体の概要について御説明をください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 九州インターンシップ推進協議会の前身である福岡県インターンシップ推進協議会が平成12年に設立したことを受け、平成13年度に福岡市が同協議会に加入、平成14年度より同協議会と連携したインターンシップ生の受入れを開始、平成23年から同協議会は現在の名称となっております。また、九州インターンシップ推進協議会は学校や企業、団体で構成される一般社団法人で、福岡市はマッチング専門委員として参加しており、現在24の大学と約600の企業や団体の間でインターンシップを実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) インターンを受け入れてくださる部署の確保や学生の募集、選定、受入れに至るまでの流れを時系列にお示しください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 受入れについては、4月に人事課が各局区等にインターンシップの受入れを依頼し、調整がついた受入れ部署等を5月に九州インターンシップ推進協議会に通知いたします。次に、5月から6月にかけて同協議会が学生を募集し、選定した上で人事課に連絡がございます。そこで希望者がなかった受入れ部署については、7月に福岡市のホームページにおいて募集を行い、その後、7月中にオリエンテーションを実施し、8月と9月にインターンシップ生を受け入れております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 今年度の学生40人のうち、インターンに係る日数と主な受入れ部署、実際のプログラム内容を確認させてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 日数については、5日以上が28人、4日が5人、2日が5人、1日が2人でございます。また、主な受入れ部署は、こども未来局、経済観光文化局、道路下水道局、消防局や水道局などの各部署でございます。また、インターンシップのプログラム内容は、受入れ部署の所管する業務に、担当者の指導の下で従事することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 例年4月に行っている、人事課から各局、各区への受入れ依頼の内容と、その後、部局内ではどのように調整が図られるのか、確認をいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 人事課から各局区等への依頼については、受入れ時期は8月から9月、受入れ期間は5日以上という条件で、それぞれ2名以上の受入れを依頼しております。各局区等での調整については、総務担当課が各所属に受入れの可否を確認し、局区ごとの対応を取りまとめております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 各部署で夏休み期間に学生を順次受け入れてくださっております。その際、個別のプログラムや業務体験の内容を誰が計画立てるのか、また、学生の指導役を設けるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) プログラムや業務内容については、受入れ部署において計画を立てております。また、学生の指導についても、受入れ部署において学生に従事させる業務を担当する職員が行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) インターンを終えた大学生へのその後のフォローアップをお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) インターンシップを修了した大学生について、修了後、各部署で作成した評価表を各大学に送付しております。また、大学生に対してインターンシップ修了後のアンケートへの回答を依頼しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 学生からのアンケート回収に加えて、受入れ部署からの評価もフィードバックされていますが、昨年度の学生評価の内容をお尋ねいたします。また、受入れを担った課や職員からのインターンに対する御意見も確認をさせてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 総合評価については、5段階評価中、平均値が3.9と高い評価となっております。また、受入れ部署からは、局の取組を周知する機会となり、局にとっても有意義であった、インターンシップ生の積極的な姿勢、態度に職員も刺激を受けていたようで、部署にとっても有意義であったという意見がある一方、受入れに当たっては事前のプログラム作成や担当職員による指導等で時間が割かれるため、受入れ人数を増やすのは負担が大きい、1つの部署で5日間受け入れるのは難しいといった意見も上がっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 大学生インターンシップの社会的意義、役割についての認識と、本市がインターンを実施する目的をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 大学生インターンシップについては、国が示すように、学生の職業意識の育成や人材の育成、企業等に対する理解の促進と魅力発信などの意義を有し、教育的効果やキャリア形成支援への効果が見込まれるものと考えております。また、福岡市のインターンシップは学生の職業意識の向上及び市政に対する理解を深めることを目的として実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これまで本市は、インターンの成果を主として学生への教育支援やキャリア支援に求めてきました。その趣旨にのっとって、これからも学生に多くの学びと成長の機会を提供いただきたいと強く願うところです。
 一方、本市には、インターンを受け入れる機会に対して、もっと広くその意義を見いだしてもらいたいとも思っております。指導、管理役の職員にとってのスキルアップや気づきの機会だったり、部署内に新たなモチベーションを生み出す刺激や活性化の機会、行政職の魅力発信や優秀な学生を集積させるための機会など、本来得ることのできる潜在的な成果を積極的に求めていくことで、インターンはより有益な施策になり得ます。例えば、福岡県は将来の人材確保戦略を明確に打ち出して、近年、インターン受入れに積極的になっています。
 そこで、本市職員の採用状況についてお聞きをいたしますが、過去5年の採用予定者数の推移と、近年それが増加傾向である理由を確認させてください。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 採用予定者数については、平成30年度が343人、令和元年度が346人、2年度が489人、3年度が435人、4年度が459人でございます。また、採用予定者数が増加傾向にある理由としましては、組織体制の整備に伴う職員数の増加や再任用者数の減少などが影響しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) それでは、昨年度の採用競争倍率と、同様に5年前、10年前、20年前の数字もお示しをください。
 
○議長(打越基安) 大園人事委員会事務局長。
○人事委員会事務局長(大園喜代香) 職員採用試験及び採用選考の競争倍率につきましては、技能労務職を除き、令和4年度が8.0倍、5年前の平成29年度が10.9倍、10年前の24年度が11.6倍、20年前の14年度が21.2倍となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これから学生の数は徐々に減少していきます。将来的な優秀人材の確保も大切な視点です。福岡市役所でのインターンシップに多くの学生の関心を集めるための取組が、今後ますます求められます。
九州インターンシップ推進協議会経由で、本市のインターンに応募する学生は例年どれほどいるのか、近年の状況をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市に応募した大学生の人数については、これまで九州インターンシップ推進協議会からは学生の選定結果のみを通知されていたため、把握しておりません。ただし、今年度については同協議会から、福岡市が提示した34枠に対して62人の申込みがあり、30人が決定したと聞いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 今年度の応募数が62人。これに対して、同様に九州インターンシップ推進協議会を通じて福岡県のインターンに応募した学生の数が203人。この夏休み期間、行政の仕事に関心を持つ学生の多くは、県が用意するプログラムに応募をしました。これには、応募前の学生に提示する受入れの枠数が大きく影響しています。県の場合、5年前の16枠に対して今年度は71枠に大幅に拡大をさせています。行政職員の数を比較すると、福岡県が7,000人ほど、福岡市が9,000人ほど。本市でも枠数拡大のポテンシャルは十分にあると思います。
受入れ枠の数について、今後拡充の検討を要望いたしますが、所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市では、これまで大学生と高校生を合わせて毎年60人程度を受け入れてきたところでございます。受入れ枠数のさらなる拡充については、各局区等の受入れの状況を踏まえるとともに、九州インターンシップ推進協議会などの関係機関とも連携しながら検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 福岡市は140の部と540の課を抱えています。向き不向きの特性もあるとは思いますが、枠数の増加をぜひ御検討ください。
 次に、これまで行っていない春休み時期の受入れについて、今後の可能性と課題をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 春季インターンシップについては、受入れ時期が2月から3月であり、年度末の繁忙期と重なるため、受入れに当たっては各局区等との調整が必要ではございますが、九州インターンシップ推進協議会とも連携しながら、受入れの可能性について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) インターンに注力する福岡県は、夏休み時期の71枠に加えて、春休み時期にも別途40枠ほど用意をしています。本市には、今後の課題整理と対応策に期待いたします。
 今後インターン施策を推進するためには、何より職員の皆さんの御理解が必要です。負担のみを押しつける形になってしまっては到底うまくはいきません。まず、受入れ部署や担当する職員との丁寧な情報交換や意見の集約を行って、実際にどのような業務負担が発生をして、今後改善していくべき課題をきちんと精査することが大切です。また、学生からの感想や感謝の気持ちを、お世話に関わった職員全てに伝えることで、人に物事を教える価値や難しさを再認識する機会につなげていただきたいですし、インターンを推進する部局におきましては、職員の意欲向上や成長の機会、職場活性化の機会など、インターンを通して本市が享受できる成果をいま一度精査くださるよう要望いたします。
 今後、受入れ部署や学生からの具体的な情報を精査して、それらを共有するなど、インターン施策への全市的な理解の醸成に向けた取組が大切だと思いますが、所見をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 受入れ部署からの意見としては、受入れプログラムの作成や受入れ時の指導等の業務負担が発生する一方で、職員も刺激を受けるなど、部署にとっても有意義であったとの声も聞いております。また、インターンシップを修了した大学生からは、働くことのやりがいや公務員の仕事がよく分かったとの感想がアンケートにて寄せられております。このような情報も活用するなどして、引き続き大学生インターンシップに関する市役所内の理解の醸成に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) この夏の本市へのインターン大学生40人ですが、福岡都市圏内、福岡県内、福岡県外の大学別にそれぞれ割合をお示しください。また、関東、関西の大学からはそれぞれ何名いるのか、併せてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 大学別の割合については、福岡都市圏の学生は73%、福岡県内の学生は85%、福岡県外の学生は15%でございます。また、関東の大学からは1名、関西の大学からは1名がインターンシップに参加予定でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 福岡、九州出身者で県外の大学に通う大学生は多くいます。今後は、関東や関西をはじめ、県外の学生に向けた情報発信や募集対策も重要課題になってくると思います。九州インターンシップ推進協議会との連携促進も含めて、その対策に注力いただくよう強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、スクール・サポート・スタッフの活用状況についてお聞きをいたします。
 本市では、令和2年度から学校現場に配置をされてきましたが、まずは、役割と業務内容をお示しください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国の実施要領では、主に教員の業務支援を図り、教員が一層、児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備することを目的として、地域の人材などを配置するものとされております。また、業務内容は国の通知において、学習プリントや家庭への配布文書等の各種資料の印刷、配布準備、採点業務の補助、来客対応や電話対応、各種データの入力、集計、各種資料の整理等が挙げられております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 教員の業務支援を主たる役割とされるスクール・サポート・スタッフですが、どのような経緯で全国的導入の運びとなったのか、現状と併せて確認をさせてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 平成29年12月の中央教育審議会の働き方改革に関する方策についての中間まとめを受けまして、文部科学省が取りまとめた研究対策において、専門スタッフ、外部人材の活用の一つとしてスクール・サポート・スタッフが盛り込まれ、平成30年度より新規事業として予算化されております。また、令和5年度において、教師がより児童生徒への指導や教材研究等に注力できる体制を整備するため国の予算が拡充されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 今年度、本市の学校現場には何名が配置されているのか、小学校、中学校、特別支援学校別にお示しをください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 配置が最も多い月で申し上げますと、小学校が279人、中学校が121人、特別支援学校が17人でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 実際に、スクール・サポート・スタッフは主にどのような業務を行っているのか、御説明をください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国の通知に示されておりますとおり、主に教材やプリントの印刷、授業準備、採点業務の補助、電話、来客対応、文書関係事務、システムへのデータ入力などの業務を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) この間のスクール・サポート・スタッフ配置に関する学校現場からの評価と改善課題や要望についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校へのアンケートでは、負担軽減の効果について約8割が肯定的に回答をいたしております。また、より教員の業務を支援できるよう、学校規模等を踏まえて配当日数を増やしてほしいといった要望がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 教員の負担軽減への効果に肯定的な回答が約8割、これは誰からの回答なのか、確認をさせてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 当該アンケートは、他の照会文書と同様でございますが、代表者である学校長名での回答となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 学校長による肯定的な評価からは、一見、スクール・サポート・スタッフの運用、活用がうまくいっているように映ります。しかしながら、実際は制度に対する教員の理解が浸透していない、業務を依頼する上でのルールが明確にされていない、一部の教員のみに活用がとどまっているなどの課題も山積していると聞いております。
 学校現場では、スクール・サポート・スタッフを正確に理解できていない教員あるいは依頼できる作業内容や依頼方法が分かっていない教員が少なくないのではないでしょうか、認識をお尋ねいたします。
 
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 配置の趣旨や業務内容については、毎年度、各学校に通知しておりますが、今後とも、各学校内での理解が進むよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 学校での理解浸透やルールの明確化をぜひ進めていただくようお願いをいたします。一方で、これまで教員の理解が浸透しづらかった要因の一つとして、スクール・サポート・スタッフを導入する以前に配置をされていた学校事務補助の名残を指摘したいと思います。
 まずは、その学校事務補助について職務内容をお示しください。また、令和元年度は小中特別支援学校に何名配置をしていたのか、決算額と併せてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校事務補助は、学校徴収金の補助事務やシステム入力、文書関係事務など、学校事務全般の補助業務を担っておりまして、国が示すスクール・サポート・スタッフの業務に引き継がれているものもございます。
 令和元年度の具体的な配置人数については、各学校から具体的な採用人数等について報告を求める必要がなかったため把握いたしておりませんが、その決算額につきましては1億647万4,000円余となってございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 学校事務補助スタッフのほとんどは事務室に机を構えて、学校事務全般の業務に従事をしていました。令和元年度をもって学校への配置は終了しております。そのときの業務がスクール・サポート・スタッフにも引き継がれることになりました。
 それでは、その翌年の令和2年度、スクール・サポート・スタッフ配置に要した決算額と、そのうち、国による補助額と市の負担額との内訳をお示しください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 決算額は1億6,448万円余であり、うち、国の補助金は4,926万円余、市の負担金は1億1,522万円余となってございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 市の負担額をさほど増やさずに、学校事務補助からスクール・サポート・スタッフ配置へ移行できたことが分かります。
 それまで学校事務補助として勤務していた方が、そのままスクール・サポート・スタッフとなったケースは少なくないのか、その認識をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクール・サポート・スタッフは学校事務補助から移行したという側面もございますため、引き続き応募し、採用された方も少なくないのではないかと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) スクール・サポート・スタッフが執務を行う主な場所は、現在、教職員室と事務室のどちらが多いのか、見解をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 全ての学校を調査しての結果ではございませんが、割合的には事務室に机が配置されていることが多いと思われます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 同一の方が学校事務補助からスクール・サポート・スタッフとなった学校も多いのでしょう。その経緯から、仕事机がそのまま事務室に置かれている現状があります。事務室内業務が多くなると、スクール・サポート・スタッフの方との接点がほとんど持てないという教員の声も届いております。スペースの確保など、課題は多いと思いますが、執務場所の改善を今後検討いただきたいと思います。
 次に、本市はスクール・サポート・スタッフの募集にハローワークなども活用していますが、仕事内容の紹介欄に学校徴収金の事務補助などと記載されて、本来の教員業務サポートに関する記載が見られないものもあるそうです。
 募集時には特に正確な業務内容説明の徹底が求められますが、所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 御意見も踏まえまして、スクール・サポート・スタッフの役割や目的がより明確となるよう説明を工夫してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 教員とスクール・サポート・スタッフによる協働が円滑にいっている学校もある一方で、学校事務補助の頃の運用とさほど変わっていない学校も少なくないのではないでしょうか。今後改善すべき課題として、スクール・サポート・スタッフの業務と役割についての理解を全市的に深めること、教員が業務依頼を行いやすい環境をつくること、各学校で事情に応じた活用手引を作成して、依頼できる業務種類や範疇を明確にすることなどが求められます。
 スクール・サポート・スタッフが、より教員をサポートできるように、全市的にその活用環境を整える必要があると思いますが、所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 国の通知によりますと、スクール・サポート・スタッフの配置校においては管理職が学校組織のマネジメントを行い、教職員及び様々な支援スタッフとの適切な役割分担の下で連携しながら業務に従事できるよう、勤務の体制や環境等に配慮することとされております。各学校の状況に応じてスクール・サポート・スタッフが適切な役割分担の下、より効果的に業務に従事できるよう、各学校を支援してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) ぜひお願いをしたいと思います。
スクール・サポート・スタッフ配置から3年が経過をいたします。実際に、教員それぞれがどのようなサポートを必要としているのか、ヒアリング機会の充実や要望の声が届きやすい体制づくりを求めたいと思いますが、所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市では、スクール・サポート・スタッフを含む支援スタッフの積極的な配置などによりまして、学校における働き方改革を推進しており、取組を進めるに当たっては管理職や教員など、様々な意見を取り入れてきたところでございます。
 今後とも、スクール・サポート・スタッフとの効果的な連携も含め、学校現場の意見を積極的に聴取しながら、取組の支援を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) こちらもぜひお願いをしておきたいと思います。
 次に、スクール・サポート・スタッフの勤務時間の規定についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 複数の勤務パターンを設定しておりまして、1日の勤務時間が5時間で、4週を通じ4日、8日または12日勤務する場合、また、1日の勤務時間が7時間で、4週を通じ4日または8日勤務する場合がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 教員にとって内勤業務が集中するのは放課後の時間帯です。この放課後にスクール・サポート・スタッフがいないことも少なくないようで、コミュニケーションや業務依頼の相談が滞りがちになってしまうという教員からのSOSの声が上がっていないか、確認をさせてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 現時点でそのような声は届いておりませんが、勤務時間の制約もある中、各学校の意見も聴取しながら、より効果的に業務の連携が図れる方法がないか、検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) スクール・サポート・スタッフは短時間勤務の方も多く、働く上限日数も定められています。この勤務形態は、学校事務補助時代からおおむね踏襲されているそうで、放課後の不在や終日不在が生まれやすくなってしまう一因にもなっています。今後、勤務時間や日数の柔軟な運用の検討を求めたいと思います。
 そして、教員数や学級数に対してスクール・サポート・スタッフの人数が圧倒的に少ないために、業務依頼そのものを遠慮してしまう教員も多いという課題があります。スクール・サポート・スタッフとの連携促進と、それから、業務依頼機会の公平性、この両方を推進するのに効果的な改善策はあるのか、見解をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクール・サポート・スタッフとの効果的な連携事例を集約し、各学校に共有するなどして、それぞれの学校の状況に応じた業務の効率化が図られるよう取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 昨年度、市内の小中特別支援学校におけるスクール・サポート・スタッフの総勤務日数と総勤務時間をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 総勤務日数は3万5,843日、総勤務時間は20万8,333時間となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) いただきました数字から割り出しますと、昨年度、学校運営日にスクール・サポート・スタッフが学校に配置されていた時間は、1校当たり1日平均約3.9時間でした。まだまだスクール・サポート・スタッフが不在にする時間のほうが多いというのが現状です。また、20学級以上ある学校でも1人しか配置をされていない状況もお聞きしています。配置拡充が進められてきたとはいえ、多くの教員が遠慮せずにいつでも業務依頼を行いやすい環境にはまだ及んでおりません。
 今後、福岡市の学校現場においてスクール・サポート・スタッフの大幅な増員配置を期待しますが、所見をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和2年度の事業開始以降、4年度及び5年度に配置を充実させてきておりまして、今後とも、教員の負担軽減につながるよう、スクール・サポート・スタッフの適切な配置や教員等との効果的な連携の支援などに加え、引き続き配置の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 今後の全国的な配置推進について、国のほうはどのような方針を持っているのか、お尋ねをします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年6月に閣議決定されました、いわゆる骨太の方針においては、スクール・サポート・スタッフの小中学校への配置拡大を速やかに進めるとされておりまして、文部科学省の6年度予算の概算要求においても、5年度予算の55億円から126億円へと大幅に増額されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 国もいよいよ本腰を入れようとしています。この予算を活用しながら、今後、大幅な増員配置を要望いたします。
 次に、スクール・サポート・スタッフの募集、採用の実施主体と、どのような仕組みで行われているのか、確認をさせてください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校が必要な時期に学校ホームページに掲載するなどして募集いたしまして、面接等を行って選考をいたしております。
 なお、募集案内のひな形などは教育委員会事務局で作成し、各学校に提供いたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) 次に、スクール・サポート・スタッフの報酬額の規定についてお尋ねをいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市での経験年数により異なりますが、1日の勤務時間が5時間の場合は日額4,500円から4,741円、1日の勤務時間が7時間の場合は日額6,300円から6,637円でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 新村まさる議員。
○42番(新村まさる) これまでスクール・サポート・スタッフの採用の大部分を学校側が担ってきましたが、今後の配置拡充には人材確保が大きな課題になると思います。募集要項の周知や採用の手法について、今後できる限り学校の負担とならないサポート体制を整えていただくよう要望いたします。
 そして、現在、最低賃金基準とも言える報酬額の見直しも必要です。以前の学校事務補助の業務も踏襲しながら、主の役割である教員のサポート業務に従事するようになり、仕事量もその役割も大きくなっております。現状の報酬体系では、人材確保にマイナスな影響を及ぼしかねないと強く指摘しておきたいと思います。
 スクール・サポート・スタッフの目的は、教員の負担軽減を広く推進することです。学校現場における理解の浸透やルールづくりをはじめ、配置の拡充、人材の確保、報酬の見直しなど、施策の総合的充実を強く求めて私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ)登壇 私は日本維新の会福岡市議団の和田あきひこでございます。本日は、日本維新の会福岡市議団を代表いたしまして、いじめの認知について質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、本年は、いじめ防止対策推進法が施行されちょうど10年という節目の年であります。ここで、皆様にこの法律が成立するきっかけとなったいじめの事件を御紹介させていただきます。2011年10月11日に滋賀県大津市内の中学生、当時2年生の男子生徒がいじめを原因として自殺するに至った少年犯罪でございます。これは、大津市中2いじめ自殺事件などとも呼ばれ、事件前後の学校と教育委員会の、いじめはなかったという隠蔽体質が発覚し、問題視され、そして、当時大きく報道をされました。そして、翌年には本事件がきっかけとなり、いじめへの対応と防止について学校や行政等の責務を規定する、いじめ防止対策推進法が国会で可決することとなった経緯があります。
 さて、今年は法律が施行され10年という節目の年でありますが、文部科学省の発表によりますと、令和3年度の小中学校、高校及び特別支援学校を合わせてのいじめの認知件数は61万5,351件、同法の施行後、過去最多のいじめの認知件数となっております。これは、積極的にいじめを把握している傾向とも言えますが、一方で、学校側がいじめをなかなか認めないケースや、被害者と加害者、保護者との間でトラブルに発展するケースも少なくないと聞きます。いじめは早期の発見が最も重要であり、そこからどのように対応や指導をし、いじめを防止していくかが大切であると考えております。
 また、子どもは4つの権利を持つと言われており、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つが、子どもたちが持つ基本的な権利の柱とされております。本市の学校に通う子どもたちが、いじめによってこの大切な権利を侵害されないよう、しっかりと見守り、対応していくことが大人の責務であると考えております。
 そこで、本市におけるいじめ防止の取組やいじめの早期発見、早期対応などの取組について質問をさせていただきます。
 はじめに、いじめの定義についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめ防止対策推進法によりますと、「『いじめ』とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) ありがとうございます。いじめが加害者の行為の度合いによって判断されるものではなく、被害者が心身の苦痛を感じた時点でいじめが成立するということが分かりました。
 それでは、本市の市立小学校、中学校、高校及び特別支援学校を合わせた過去5年間のいじめの認知件数の推移をお示しください。また、全国の政令市のいじめの認知件数の総件数の推移も併せてお示しください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市立の学校におけるいじめの認知件数につきましては、平成29年度が734件、30年度が1,486件、令和元年度が2,641件、2年度が2,147件、3年度が2,747件でございます。また、全国の政令市のいじめの認知件数の総件数は、平成29年度が8万2,369件、30年度が10万2,306件、令和元年度が10万8,740件、2年度が9万4,935件、3年度が11万3,665件となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 新型コロナウイルスの影響で休校等の措置があったことを考慮しても、本市及び全国の政令市のいじめの認知件数が過去5年間で増えてきていることが分かりました。
 これは、本市のいじめが年々増加していっているのか、それともいじめの把握が進んでいるのかをお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 認知件数の増加については、国から示されましたいじめの定義の具体的な解釈を各学校に周知し、積極的な認知に対する理解が広がったことなどが要因と考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) ありがとうございます。いじめそのものが増えたというよりも、いじめの定義が変わり、これまでいじめと認知されていなかったものも積極的に認知をしてきているということですね。しかしながら、文科省が発表した2021年度の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によりますと、全国の小中学校、高校及び特別支援学校のいじめの認知件数は、冒頭で申し上げたように61万5,351件で過去最高となっております。児童生徒1,000人当たりの認知件数は全国平均で47.7件となっております。また、これを政令市別で見た場合、児童生徒1,000人当たりの認知件数の一番多い政令市は新潟市の232.2件で、逆に一番少ない政令市はさいたま市の13.1件となっており、約20倍近くの差があります。本市のいじめの認知件数はといいますと21.8件で、20政令市中、下から2番目の低水準になっております。これはいい見方をすれば、いじめが少ないとも取れますが、単純にほかの政令市と比較して、いじめの認知件数が本市は低いように思えます。
 この文科省が発表した調査のデータから見ると、本市においてまだまだ潜在的ないじめがあるのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめの認知件数については、各学校においていじめの定義に照らし、適切に認知されているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 本市では、いじめの認知は適切に対応されているとおっしゃっていただきました。しかし、いじめは様々な要因によって起こるため一概には言えませんが、世間一般的に考えまして、いじめは人間が引き起こす問題であることから、単純に考え、人口に比例して多くなるものと思われます。
 そこで、改めてお伺いいたします。本市のいじめの認知件数は、本市と比べ人口が少ないほかの政令市よりもいじめの認知件数が少なく、また、全国平均の半分以下のいじめの認知件数でありますが、適切に認知され、適切に対応されているという認識でよろしいでしょうか。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、各学校においていじめの定義に照らし、適切に認知されているものと考えております。なお、今後もいじめの定義について周知し、積極的な認知に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 分かりました。教育委員会は適切に認知されているということですね。しかし、適切に認知されているという中でも、本市の認知件数が過去最多であったということは、教育委員会としてこれまで何らかの対策を講じていても、いじめは増加傾向であるという現状を認めなければならない結果となっているかと思います。
 その中で、いじめが未解決となっている事案が何件あるのか、また、いじめが原因で不登校になった児童生徒が何名いるのか、過去5年間でお示しいただくとともに、何をもっていじめが解決したと定義しているのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 解消に至っていないいじめの件数につきましては、平成29年度が5件、30年度が21件、令和元年度が88件、2年度が128件、3年度が89件でございます。また、過去5年間のいじめが原因で不登校になった児童生徒は、一時的な状況であったものも含めまして、延べ23名でございます。また、国がいじめが解消している状態を示しておりますが、いじめに係る行為の解消が3か月以上経過しており、被害児童生徒が心身の苦痛を感じていない状態とされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) お示しいただいた、いじめが解決に至っていない件数といじめが原因で不登校になっている児童生徒数、共に決して少なくない、楽観視できるような数値ではないと認識しております。このような状況を踏まえますと、教育現場がさらに力を入れて取り組むべき問題ではないかと強く感じております。
 そこで、本市ではいじめに対してどのような対応や取組を行っているのか、お伺いしていきたいと思います。まず、いじめの未然防止の観点ではどのような取組を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、道徳におきまして、相手のことを理解し、自分と異なる意見も大切にすることや、誰に対しても差別することや偏見を持つことなく、公正、公平な態度で接することなどについて学びまして、自己の生き方について考えを深める学習を行っております。
 また、毎月10日をいじめゼロの日として、学校独自に取組を行ういじめゼロプロジェクトや、児童生徒が主体となって学校間の取組を共有するいじめゼロサミットを実施しておりまして、昨年度のサミットでは、小学校5年生、6年生と、中学校1年生から3年生の約7万人がオンライン上で一堂に会し、意見交換を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 道徳を中心とした教育を取り入れ、自分と他者の違いを受け入れられるよう学習を行っているのは、非常に有効かと思いますが、学習の理解度も測りながら、しっかりと理解できるように御指導をお願いいたします。
 続いて、いじめの早期発見、早期対応の取組はどのように行っているのかをお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童生徒が発信するサインを見逃さないように、Q−Uアンケートを実施いたしておりますが、令和5年度はその対象を拡大し、小学校1年生から中学校3年生までの全ての学年で実施いたしております。また、教育相談アンケートを月1回、さらに、無記名によるアンケートを学期に1回実施し、いじめの早期発見、早期対応に努めております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) アンケート等でいじめのサインを早期に発見することは非常に有効な手段であるかと思いますが、精神的に未発達な児童にとって、アンケート等を提出することで、よりいじめを助長したり、いじめに巻き込まれたりする可能性が考えられますので、実施に当たってはそのようなことも考慮しつつ、しっかりと児童生徒に配慮しながら実施していただくようお願いいたします。
 続いて、いじめの認知件数が増加傾向であるという現状において、これまでの取組をどのように評価しているのか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめ防止対策推進法にありますいじめの定義が各学校に浸透し、積極的ないじめの認知と早期発見、早期対応の取組につながっているのではないか、また、いじめの解消に至っていない割合が令和3年度の政令市の平均6.7%に対して本市は3.2%となっていることから、一定の成果はあったのではないかと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) いじめの解消に至っていない割合については、政令市の平均に対して本市は平均を下回っているとおっしゃっておりますが、先ほども私が申し上げたように、いじめが解決に至っていない件数、いじめが原因で不登校になっている児童生徒数、共に決して少なくない、楽観視できるような数値ではないと認識しております。平均を下回っているからといって安心するのではなく、可能な限りゼロに近づくように今後も取組をお願いいたします。
 さて、昨今では新型コロナウイルス感染症等の影響で大きく社会情勢が変化し、家庭環境や教育環境が大きく変わってまいりました。また、インターネットの発展やSNS等の浸透で、いじめのフィールドが現実世界からインターネット上に移ってきており、新たないじめや直接目に見えないいじめが増えてきています。
 このように、いじめの複雑化、そして多様化している点などを踏まえますと、今までのやり方では認知に限界があるかと感じますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) SNS等を用いたいじめなど、外部から見えにくい、匿名性が高いなどの性質を有するように、いじめが多様化していることは認識いたしております。そのため、ICTを活用した相談体制や定期的なアンケートの実施等によって、いじめの早期発見、早期対応に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 教育委員会でもいじめの多様化を認識しているということですね。このように、多様化するいじめを未然に防ぎ、また、最小限にとどめて早期解決を図るためには、児童生徒に近い教員のいじめに関する専門的資質の向上が求められ、研修等の取組も重要であると認識していますが、やはり担任の先生だけでは抱える業務も多く、通常の体制だけでは様々なケースに適切に対応できないケースもあるかと思います。
 滋賀県大津市では、様々なケースに対応するため、市立の小中学校にいじめ問題に専門的に取り組むいじめ対策担当教員という人員を配置しており、この担当教員は、担任を持たずに児童生徒や保護者、学級担任のいじめの訴えなどを受け付け、学校で毎週開催されるいじめの対策会議を主導し、また、登下校時に通学路に立って児童生徒と挨拶を交わし、休み時間など校内を巡回して挨拶するなど、児童生徒の変わった様子がないか目を配る役割を担っていると伺いました。また、同じ政令市でいけば、宮城県仙台市でも2014年に市内の中学生が自殺した問題を受けて、市は原則として市内の全中学校にいじめ対策選任教諭という人員を配置し、この教諭は授業を行うものの、クラスの担任を持たずにいじめ対策に専念するといいます。また、小学校には非常勤のいじめ対策支援員という人員も配置しているといいます。
 このように、本市においても潜在的ないじめを見逃さず、早期にいじめを見つけ出し重大化を防ぐため、大津市や仙台市と同様に、担当教員に任せきりにするのではなく、いじめ問題を専門的に取り組む担当教諭を配置するなど学校現場における組織体制の強化を図っていくべきかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめの早期対応につきましては、担任や生徒指導担当教諭が中心となり、管理職のリーダーシップの下、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携しながら、組織的に対応いたしております。特に、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては、国の配置基準よりも市独自に拡充して配置を行っております。今後も、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門家を含めたチーム学校として、いじめの早期対応に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 先ほど、いじめの早期対応については担任や生徒指導担当教員が中心となり、管理職のリーダーシップの下、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携しながら組織的に対応し、特にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては国の配置基準よりも市独自に拡充して配置して、いじめの早期対応に努めているとおっしゃっておりましたが、令和5年3月16日付で本市のいじめ防止対策委員会が報告している報告書によりますと──ここに報告書がありますので、抜粋して読み上げさせていただきます──当時の様々な不備や様々な提言がなされております。このいじめ防止対策委員会によりますと、この案件は、組織的に対応できなかったとして、校長をはじめとするほかの教員との連携や情報共有が不足していた。また、平成19年3月作成のいじめ対応マニュアルには、いじめ発見時には担任を含め、緊急いじめ対策委員会を組織、開催するとされているものの、本件では緊急いじめ対策委員会が開催されなかった。また、本件への対応中に、スクールソーシャルワーカーが積極的に活用された形跡がない。また、福岡市教育委員会が平成19年3月に作成したいじめ対応マニュアルの活用を徹底するよう定められているものの、かかるマニュアルは、いじめ防止対策推進法施行前に作成されているものであって、いじめ防止対策推進法の趣旨に即したものとは必ずしもなっていない。マニュアルづくりの不備がある。また、最後に、この被害生徒が本件LINEいじめのみによって不登校に至ったと考えることは困難であり、そこにはその後の学校側の対応の不備が大きく寄与していたと考えざるを得ないと書かれております。
 以上のように、担当教員の初期対応の失敗の点、組織的に対応できなかった点、スクールソーシャルワーカーを活用できなかった点などが挙げられ、重大事態と認定されております。また、本日、タイムリーではありますが、西日本新聞で「ラインいじめ『重大事態』」という見出しで載っております。これも教員の不適切対応が原因であったと指摘されております。なお、この被害生徒に関しては、3年生になった今もほとんど登校できていないとここに書いてあります。
 以上のように述べられておりますが、それでもいじめの認知は適切に行われ、そして、初期対応やスクールソーシャルワーカーが適切に活用できていると考えていらっしゃるのか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校でいじめが発見された場合は、まず、担当や生徒指導担当教員等が関係の児童生徒から聞き取り調査を行って事実確認を行い、チーム学校として組織的に対応するとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携しながらカウンセリングやケース会議をするなど、早期対応に努めております。御指摘の個別の事案につきましては、いじめ防止対策委員会からの提言を真摯に受け止め、再発防止に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーについては、国の配置基準よりも市独自に拡充して配置を行っているということですが、それが十分に生かされないようでは、せっかく配置した意味がありません。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの方々が最大限生かされるように、資質向上のための研修や担任の先生との連携を深め、活躍の場が広がるよう指導していただくことを強く要請いたします。
 続いて、他都市ではいじめが発見しやすいように様々な工夫を行っております。例えば、児童生徒1,000人当たりの認知件数が最多の新潟市では、認知件数が上がる工夫としていじめアンケートは年3回以上実施しており、小学校においては、低学年、中学年、高学年用に内容を変え、低学年用にはアンケート内容を分かりやすい表現にしたり、ルビを振ったりしてアンケートを行っているとのことです。また、アンケートの回答も該当箇所に丸印をつけるという形で行っているとのことなので、周囲の子に気がつかれないよう、配慮する工夫も行っているそうです。本市のように認知率が低いからといって必ずしもいじめが少ないとは言えず、なぜなら、いじめはいじめの発生そのものを100%認識できないからです。一方、認知率が高いということは、小さいいじめであってもしっかりと把握していることを意味するので、様々な方法を使っていじめを認知する努力をしていく必要があると思っております。
 そういった取組を行っていただけないでしょうか。また、取り組むとしたらどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 本市におけるいじめの早期発見のための取組といたしまして、学校生活における児童生徒の意欲や満足感、学級集団の状態を測定するためのQ−Uアンケートを、市内の小中学校の小学校1年生から中学校3年生までの全学年で実施いたしております。また、学年ごとに分かりやすい表現にするなど、発達段階に応じたいじめの有無について問う教育相談アンケートを毎月記名式で実施しており、さらに、学期に1回は無記名で実施することで、児童生徒が不安に思うことなく相談できる体制を整えております。今後もQ−Uアンケートや教育相談アンケートを実施するとともに、その結果を基にした校内研修の充実を図り、いじめの早期発見に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) 分かりました。アンケートを中心に認知を高めていくということですね。しかし、担任の先生も抱える業務が多く、残業や持ち帰りが多数発生し、とても忙しいと聞いております。そこで、一つの方法としてスクールサインというものがあります。このスクールサインとは、民間企業が運営するネットいじめ対策、スクールガーディアンのサービスの一つで、いつでも、どこでも、匿名でいじめの目撃情報を通報できるシステムであり、メッセージアプリやSNSなどから投稿でき、全国の公立、私立の学校を含め、300校以上で採用されております。また、都道府県レベルでは山形県や熊本県でも導入されており、全国でも自治体がそのサービスを活用しているところもあります。
 こういった技術を活用していくことで、発見しにくいいじめもより認知しやすくなり、認知率の向上に資すると考えますが、このようなシステムの導入の是非について御所見をお伺いいたします。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ICTを活用した相談システムの導入につきましては、いじめの早期発見において有効な手段であると認識しておりまして、本市においても、LINEのやり取りを通じた相談体制や1人1台端末によるタブレット相談により、チャットや音声通話で相談できる等、様々なツールでの相談が可能となっております。また、1人1台端末のトップページの下のアイコンから相談窓口一覧へと進むことができ、そのアイコンをクリックすると、えがお館における相談電話や24時間子供SOSダイヤルなど8か所の相談窓口の紹介ページが表示されるようになってございまして、24時間いつでも相談できる体制を築いております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 和田あきひこ議員。
○33番(和田あきひこ) ありがとうございます。現在でも、LINEやタブレット等で相談できるような体制があるということでとても安心しましたが、認知率の向上や相談体制を強化するためにももっと様々なツールがあれば、より児童や保護者が相談しやすくなると思いますので、ぜひ様々なツールの導入の検討をよろしくお願いいたします。
 最後になりますが、いじめの認知は、いじめの早期防止や解決に非常に重要であると考えております。今後、本市のいじめ認知度向上や解消度向上のため、福岡県や政令市でいじめ解消率ナンバーワンである北九州市などと連携を取りつつ、早期発見、防止、指導に取り組んでいただき、児童生徒や親御さんが安心して学校に通わせられる未来をつくっていってほしいと思っております。しかし、認知の方法や解消の捉え方の差があることから、数値にとらわれ過ぎてしまうと、いじめの実態がむしろ見えにくくなると思いますので、本市の中でどのように取り組んでいくのが最適解なのか、きちんと効果検証を行いながら取り組んでいただき、いじめの認知に努めていただくことを強く要請し、最後に、教育長へいじめについての考え方と今後の取組の方向性をお尋ねし、私の質問を終わらせていただきます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめは子どもの尊厳や権利を侵害する行為で、決して許されるものではなく、いじめをなくすためには、学校の取組とともに、保護者や地域の方々との連携の強化は重要と考えております。今後も定期的なアンケート調査の実施や1人1台端末を利用した相談窓口の紹介、児童生徒が主体的に取り組むいじめゼロサミットの開催と、保護者や地域の方々への啓発活動等、いじめ防止に関する取組を総合的に実施して未然防止に取り組むとともに、早期発見やきめ細やかな対応に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時29分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。小竹りか議員。
○53番(小竹りか)登壇 福岡市民クラブの小竹りかです。会派を代表して、小学校における生き物の適正飼育について、マイナンバーカード交付事務に係る個人情報の管理について、以上2点質問いたします。
 小学校の校庭には飼育小屋があり、ウサギなどの生き物を飼育している光景を見かけます。私も小学生の頃、飼育小屋の中に入って鶏に餌をあげるのが怖かった記憶があります。また、飼育委員をしていた息子が、小屋の隅で亡くなっていたウサギを見つけて、涙を流して悲しんでいた友人の話をしてくれたことがありました。その友人の心の中には、当時の出来事はどのような記憶となって残っているのでしょうか。学校での生き物の飼育が子どもたちへの教育の中で果たす役割を確認するとともに、現状と課題について質問をいたします。
 初めに、小学校に飼育小屋があり、ウサギや鶏などの生き物が飼われていますが、その理由をお示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学校1、2年生で学習する生活科の内容といたしまして、子どもたちに動物を飼ったり植物を育てたりする活動を通して、生き物への親しみを持ち、大切にしようとする態度を育成していくことの大切さが学習指導要領に示されております。そのため、各学校でウサギなどの動物を飼育いたしています。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 1、2年生の生活科における生き物を通じた授業とは、具体的にどのようなものか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 生活科にある「いきものとなかよし」の単元などで、学校や身の回りにいる生き物を探したり育てたりする活動を通して、動植物が変化し成長していることに関心を持ち、生命を持っていることや、その大切さに気づく学習を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 小学校1、2年生が学ぶ生活科の内容として、生き物を育てることで成長を感じ、命の大切さに気づく学習を行うもので、生き物を飼育するように示されているとのことですが、生き物の種類及び飼育をする環境について規定があればお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学習指導要領では、各学校が地域や児童の実態に応じて適切なものを取り上げることが大切であり、身近な環境に生息するものや児童が安心して関わることができるものなどと示され、特に生き物の種類自体については規定はありません。学校で飼育する生き物については、学校が所在する地域性や児童の実態、学習の狙い等を踏まえ、校内で協議し、学校長の判断の下、各学校で選定しております。また、飼育環境につきましても、学習指導要領において、専門的な知識を持った地域の専門家や獣医師などの多くの支援者と連携して、よりよい体験を与える環境を整える必要があると示されてございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では、生き物の種類及びどのような場所で飼育しているのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校では、ウサギや鶏、コイ、昆虫、メダカ等を、その生き物に応じて飼育小屋や観察池、教室等で飼っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 本市小学校145校のうち、令和元年度と令和5年度の飼育小屋で生き物を飼っている学校数と主な生き物の種類をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 飼育小屋で生き物を飼っている学校数は、令和元年度130校、5年度110校となっております。また、飼育小屋では主にウサギを飼育しておりまして、その学校数は、令和元年度118校、5年度99校となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 生活科の学校指導要領には、生き物の種類について規定がないため、学習の狙いが達成できるのであれば、哺乳類に限定されることなく、どの種類の生き物を育てるのか、各学校長の判断により決められるとのことでした。
本市では多くの学校でウサギが飼われていますが、その理由と、ここ5年で飼育している小学校が減少した背景について教えてください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ウサギが多く飼われている理由としましては、児童にとって親しみやすく、安心して関わることができることなどが挙げられます。また、ウサギを飼育する学校数が減少した背景といたしましては、全体として個体数が減少している中で、他の学校から飼育に適した個体を譲り受けることが難しくなっていることなど、新たな動物の入手が困難であることが考えられます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 生き物の飼育を通じて命の大切さを教えるには、適正な飼育環境と飼育方法があってこそです。毎日の餌やり、水替え、飼育小屋の掃除、温度管理や適度な運動ができる環境づくり、そして、日々の観察の中で病気やけがを発見し、手当てをすることなど、生き物の習性に合わせてしっかりと継続して行うことが大切です。不適正な飼育は、結果として命を軽視することにつながっていくのではないでしょうか。
 生活科の学習指導要領では、地域の専門家や獣医師など多くの支援者との連携を通じて、よりよい体験を与える環境を整えるよう示されているとのことでした。獣医師などの支援者との連携について、本市の取組をお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市獣医師会と連携協定を結んでおりまして、各学校の飼育動物の診療や健康診断を行うとともに、教育委員会、学校、獣医師会で構成する協議会を年3回実施し、適切な飼育方法などについて協議いたしております。また、福岡市獣医師会から紹介された市内の59の動物病院で、学校が動物の診療や健康診断のほか、適正な飼育方法についての相談をすることができるようにいたしております。さらに、教育委員会主催の新任教務研修の中で、獣医師会から派遣された講師に学校における動物の飼育方法について講話をしていただいております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 福岡市獣医師会との連携はいつから始まりましたでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 平成5年より福岡市獣医師会の事業として小学校飼育動物の無料診療を開始し、平成28年に福岡市獣医師会と福岡市教育委員会の連携に関する協定を締結いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) これまでに協議会において出された課題についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 協議会では、多頭飼育に加え、暑さや大雨対策などの飼育小屋の環境整備について課題が挙げられております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 教育委員会が課題に対して改善を図るために講じた取組について教えてください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校で飼育しているウサギや鶏などの動物の飼育方法等について研究を行うモデル校を設置し、その取組をリーフレットや通知で全市に周知いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) モデル校が取り組んだ課題について、時系列に教えてください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和元年度から2年度にかけて設置したモデル校では、福岡市獣医師会からの助言を踏まえ、適切な餌やりや多頭飼育解消など基本的な飼育方法の改善に取り組みまして、その成果を教育委員会がリーフレットにまとめ、各学校へ周知いたしております。また、令和3年度以降に設置したモデル校では、リーフレットを活用しながら、特に暑さや寒さを防ぐ環境整備の工夫について取り組み、その事例を各学校へ周知しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 主に飼育されているウサギについてお尋ねします。
 餌やりは誰が担当しているのでしょうか。長期休業中や学校閉庁日を含めてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 飼育動物の管理は、日頃は主に飼育委員会の児童とその担当教員が行っております。長期休業中や学校閉庁日は教員が交代で世話を行うことが多く、一部の学校では保護者や地域ボランティア等に御協力をいただいております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 担当の教員は適正な飼育方法についてどのように習得し、飼育を担当する児童へ周知しているのか、お示しください。マニュアルなど作成しているのでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市獣医師会の助言を踏まえ、教育委員会事務局で学校飼育動物の飼い方リーフレットを作成し、教員と児童が活用できるよう、全市に周知いたしております。さらに、各学校が必要に応じて獣医師に相談し、専門的な意見を聞くことができる体制を整えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 多頭飼育回避の対策方法と、現在の1校におけるウサギの飼育頭数の平均値についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 多頭飼育を回避する対策としては、各学校において飼育小屋の部屋を分けるなどの工夫を行うとともに、教育委員会が福岡市獣医師会に委託している飼育動物診療の中で、去勢手術を行うことも可能としております。ウサギの飼育頭数の平均は、1校当たり約2匹でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) ウサギは繁殖力が強い生き物ですが、多頭飼育に関して改善が図られているようです。令和3年度以降は飼育環境の改善に向けて取り組んでいるとのことでした。その件についてお尋ねします。
 ウサギは温度変化に弱い生き物で約18度から24度の環境での飼育が望ましいとされています。35度にもなる夏の暑さ対策の取組についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市獣医師会の助言を受け、飼育小屋によしずや巣箱を設置して、風を取り込みながら日光を遮断するとともに、状況に応じて室内でケージに入れて飼育するなどの対策を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では次に、大雨対策についてです。令和3年に各学校に配付したリーフレットでも示されているように、巣箱を高い位置に置くことで、浸水からウサギを守ることができるとされています。
現状において、大雨対策の実施はいかほどでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 大雨の対策が必要な学校におきましては、リーフレットにお示ししているように、巣箱を高い位置に置いたり、ウサギをケージに入れて校舎内に一時的に避難させるなどの対応を取っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 教職員の学校不在時に急な大雨に見舞われた場合など、一時避難が難しいケースがあるかと思います。実際に伺った小学校では、高い位置での巣箱の設置はこれからのようでした。迅速な対応を要望いたします。
 では、健康管理についてお尋ねします。
 健康診断を実施しているとのことですが、受診率について統計はございますか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校が隔年で健康診断を受けられるようにしておりまして、令和4年度は、飼育小屋で生き物を飼育している小学校のおおよそ半数に当たります62校が受診いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 受診率を見ると、定期健康診断は多くの学校で活用されていますが、動物病院の診療時間内での受診は授業時間と重なり、時間の調整が難しいという側面もあるようです。また、協議会の議事録によると、獣医師の意見として、診療時間があるため、学校からの飼育相談や学校訪問など工夫が必要だとの声があります。
 獣医師会との取組強化、例えば、学校訪問の実施など、今後の見通しをお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまでも年3回の協議会の実施やリーフレットを活用した飼育方法の研修、動物の健康診断などを行ってきておりまして、今後も獣医師会との連携を通して、より適切な飼育に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 獣医師会は、生き物飼育を通じた教育においても重要な役割を担っていただける存在です。教職員、獣医師、双方限られた時間の中ではありますが、今後も協議を重ね、連携を深めていくようお願いいたします。
 令和元年度から始まったモデル校事業では多頭飼育の改善、令和3年度からは主に飼育環境の改善を図り、事例として全市の小学校に周知したとのことでした。
 紹介した取組内容について教えてください。また、早急な改善は図られたのでしょうか。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 多頭飼育の解消、よしずや巣箱を活用した暑さ対策、病気の予防等について、モデル校の取組を紹介しておりまして、多くの学校が取組例を参考に取り組んでおり、改善は進んでいると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 紹介をしただけでは、全ての学校が改善に向かうとは限りません。
 モデル校での取組の情報共有のほか、各学校に対して、教育委員会等による助言や指導の実施の有無をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和5年5月に全小学校に対して、モデル校での取組を踏まえた飼育環境整備について通知し、情報共有を行っております。今後は飼育環境整備の進捗状況に関するアンケートを10月に実施し、必要に応じて助言、指導を行うこととしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 多岐にわたる学校教育において、就業時間内で生き物の飼育までなかなか手が回らない学校もあるのではないでしょうか。直射日光が当たる場所に飼育小屋を設置している学校では、暑さ対策が難しいようです。校内の駐車場付近に飼育小屋があるため、児童の安全面を考慮して、休み時間などに自由に近寄れない学校もあり、飼育小屋の配置位置に課題があるケースも見受けられました。アンケートの実施がさらなる改善に向けた取組につながるよう期待いたします。
 他の政令指定都市の生き物飼育について調査をいたしました。横浜市では、飼育小屋に限定されませんが、340校のうち164校でウサギを飼育しており、毎年6月、新任副校長と飼育担当者向けに研修を開いているとのことです。堺市では、92校中36校でウサギを飼っており、PTAや子ども会、獣医師会のほか、ボランティア団体等と連携を取り、学校閉庁日には動物の管理、飼育を施設管理事務受託業者に依頼し、飼育体制を整えられています。仙台市では、118校のうち、飼育小屋で生き物を飼っているのは4校です。熊本市では、92校中4校でウサギを飼育小屋で飼っていますが、アレルギー対応の観点から飼育数は減少傾向にあるということでした。新潟市は、106校のうち31校が校舎内のケージでモルモット、ウサギ、亀を飼育しており、新潟県ふれあい動物センターとの連携により、モルモットを学校に譲渡できる仕組みをつくっているそうです。北九州市では、飼育小屋での飼育数は未調査ですが、獣医師会及び北九州市立動物愛護センター、教育委員会の三者による協議会を設置し、ケージによるモルモット飼育を進めており、いつでも観察、お世話ができる環境づくりをしているということです。
 今や、犬や猫も室内で飼われることが多い中で、獣医師会から、夏場の暑い時期はウサギをケージに入れて室内で飼育するよう推奨されています。一方で、児童のアレルギーの問題で、教室での飼育には配慮が必要です。このように、ウサギなどの小動物の飼育は時代とともに変わってきています。動物が怖い、好きだけどアレルギーで近寄れない、ペットを飼いたくても飼えないから学校で飼育委員になりたいなど、児童のニーズも様々です。教職員の負担への配慮も必要でしょう。飼育体験を通じて命の大切さを学ぶ、この前提を踏まえ、今後、どの種類の生き物をどのような環境で育てるのか、検討する時期が来ていることは否めません。
 福岡市は、今回調査した政令指定都市と比較して、多くの学校でウサギを飼育している状況がうかがえます。先日、ある小学校の校長にお話を伺いました。飼育動物介在教育として熱心に取り組んでいる学校です。見たり、触れたり、聞いたり、匂いを感じたりして、自分以外の命を感じる生きた教材として、ウサギを飼育されています。血管が走っている耳を見て生命を感じたり、実際にだっこして温かみを感じたり、ウサギなどの哺乳類だからこそ感じるものがあるとも言われていました。本市の小学校で飼われているウサギは200羽を超えます。そこにはかけがえのない命があります。平成28年から獣医師会と連携を図り、改善に向けて取り組んでいますが、いまだに課題は残っています。今いるウサギの飼育環境の改善には、時間の猶予はないのです。改善の余地はまだあります。どうぞスピードを上げて取り組んでいただくよう要望いたします。
 これまで生き物飼育を通じた命の教育についてただしてまいりましたが、市内全ての学校において適正な環境下での飼育が実現するよう、小学校における生き物の飼育について、今後どのように進めていくようお考えでしょうか。最後に教育長の所見を求めて、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童を取り巻く自然環境や社会環境の変化によって、日常生活の中で自然や生命と触れ合い、関わり合う機会は乏しくなってきておりまして、生き物への親しみを持ち、生命の貴さを実感するために、動物の飼育や植物の栽培を行うことには大きな意義があると考えております。これまで教育委員会として、学校飼育動物の飼い方リーフレットを作成し、暑さや寒さを防ぐ環境整備の工夫等に取り組んできておりまして、今後とも、福岡市獣医師会と連携し、学校が適切な飼育動物の管理やより充実した教育活動を行っていけるよう支援をしてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 昨今、個人情報のひもづけに関する問題等でマイナンバーカードが注目されています。マイナンバーカードの交付事務では、日々多くの個人情報を取り扱っています。今回、私たちの個人情報の取扱いルール及び管理体制について明らかにすることで、市民の安心につながることを目的として質問をいたします。
 マイナンバーカードの交付を希望する方が申請後、自身のマイナンバーカードを受け取る方法をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マイナンバーカードにつきましては、郵送やオンライン申請など、申請時に本人確認を行っていない場合は、区役所等の窓口での受け取りとなります。これ以外の場合については、本人限定受取郵便でも受け取ることができます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では、区役所での受け取りについて質問いたします。
 マイナンバーカード交付の担当窓口をお示しください。また、マイナンバーカードの交付手続に関わる職員の別と人数をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 区役所におけるマイナンバーカード交付の担当窓口は市民課となっております。また、交付手続に関わる職員は区によって異なりますが、6から11名であり、その内訳は、正規職員が3から5名、会計年度任用職員が3から5名、委託業者がゼロから2名となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 1区役所において、1日平均すると何枚のマイナンバーカードが交付されているのか、数をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マイナンバーカードの交付件数につきましては、区によって異なりますが、1日平均90から200件程度となっております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 市民の方がマイナンバーカードを受け取る際の手順をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マイナンバーカードの基本的な受け取り手順につきましては、まず、受付窓口にて個人番号カード交付通知書、通知カード、本人確認書類を提示いただきます。次に、職員が本人確認及びカード内容の確認を行い、御本人に専用端末で暗証番号を入力いただいた後、カードを受け取っていただきます。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 市民の方が区市民課にマイナンバーカードを受け取りに来庁してから、カード交付までの作業工程をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マイナンバーカード交付に係る基本的な作業工程につきましては、まず、窓口で個人番号カード交付通知書、通知カード、本人確認書類を受理し、次に、住民記録システムから出力する確認用住民票と照合し、本人確認及びカード内容の確認を行います。その後、専用端末で交付処理を行い、御本人に暗証番号を入力していただいた後、カードを交付いたします。なお、これらの作業は工程ごとに数名の職員で分担して行っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) マイナンバーカードが交付されるまでに、窓口内では紙ベースで出した確認用住民票が数名の職員を経るということです。この確認用住民票に記載される情報と、その情報が特定個人情報に該当するか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 確認用住民票には氏名、生年月日、住所、個人番号などの個人情報が記載されており、その情報は特定個人情報に該当いたします。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 個人番号であるマイナンバーが含まれる個人情報は特定個人情報とされ、個人情報保護法における個人情報よりも厳格な各種の保護措置が設けられています。区市民課における特定個人情報の取扱いに関する規定についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 区市民課における特定個人情報の取扱いにつきましては、関係法令や国のガイドラインのほか、福岡市個人情報保護事務取扱要綱や福岡市情報セキュリティポリシーにおいて基本的なルールを定めるとともに、所属ごとに個人情報の取扱要領を定めております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 所属、つまり市民課において個人情報の取扱要領を定めているとのことですが、確認用住民票の保管方法、保管場所、保管に係る施錠の有無、鍵の保管方法と取扱者の設定の有無、保管期間、処分方法がどのように決められているのか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 確認用住民票につきましては、マイナンバーカード交付手続に係る書類一式を施錠できるキャビネットなどに保管しており、決められた職員がその鍵を金庫等へ保管しております。また、マイナンバーカード関係書類の保存期間は15年であり、期間経過後はシュレッダー処理を行っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 1日に90から200件ほどのマイナンバーカードが交付される中、業務中の取扱い、保管ルールはございますか。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) マイナンバーカード交付関係書類につきましては、受付後、個人ごとの書類を専用のホルダーに入れ、作業工程ごとに引き継ぎ、確認を行っております。カードの交付が済んだ書類については、ホルダーごとに専用の箱に一時保管し、業務終了後に施錠できるキャビネット等に保管することといたしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 確認用住民票を含む書類一式を施錠できるキャビネット等へ確実に保管するための措置、例えば、担当者や責任者の有無、最終確認者の指定などはあるのでしょうか。また、15年という長期にわたる保管が求められていますが、最終保管場所に至るまで、書類一式が別の保管場所に移動されることはありますか。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 書類一式の保管につきましては、業務終了後に書類の保管や施錠の確認を行う担当職員が決まっております。また、執務室内のキャビネット等に保管した書類については、一定期間経過後に倉庫等に移し、その後、外部保管庫に移送いたしております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 福岡市個人情報保護事務取扱要綱には、個人番号の漏えい等の防止措置、収集、保管を制限する規定がございますが、職員に向けた個人情報の取扱いに関するルールについて、その周知方法をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 個人情報の取扱いにつきましては、所属長が保有個人情報等保護責任者として所属における個人情報の取扱いを取扱要領として定め、所属職員に対する必要な研修、指導などを実施しております。マイナンバーカード交付手続に係る事務につきましても、業務手順のマニュアルや個人情報の取扱要領を作成の上、研修やシミュレーションの実施、業務上の指導を通じて周知を図っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) ルールが確実に守られているのか、どのような方法で確認していますか。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 個人情報の取扱いにつきましては、業務の中で職員同士が互いに確認し、声かけを行うとともに、保有個人情報等保護責任者である所属長が確認、指導を行っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 福岡市個人情報保護事務取扱要綱において、保護責任者は保有個人情報等の記録媒体、処理経路、保管方法等について、定期及び必要に応じて随時点検するようになっています。
 点検、確認の頻度はいかほどでしょうか。また、確認されたことが客観的に分かる方法で行われているのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 記録媒体につきましては、保護責任者が利用や持ち出しの都度確認を行い、チェックシート等に記録をしております。また、決められた処理経路や保管方法等につきましては、保護責任者が日常的に確認を行っております。以上です。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) では同様に、保有個人情報等の管理の状況について、必要に応じ監査を行うことが規定されていますが、監査の実施方法及び過去5年間の監査実績についてお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 監査の実施方法については、過去の事故の発生状況などを踏まえて対象部署を選定の上、現地確認や書面提出の方法により実施しております。過去5年間の実績については、平成30年度現地確認5件、令和元年度現地確認1件、書面提出11件、2年度現地確認2件、3年度現地確認1件、書面提出4件、4年度現地確認1件、書面提出4件となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 小竹りか議員。
○53番(小竹りか) 行政事務に携わる職員の方におかれましては、高い倫理観の下、市民や公共の利益のために業務に従事していただいております。個人番号という高度な保護が求められる個人情報を扱う場においては、ルールの周知徹底とチェック体制の両輪が整っていなければなりません。そうすることで、市民へより一層の信頼と安心を届けることができるのだと切に思います。
 今以上に市民に安心していただけるよう、市民課窓口の現状について課題認識を持って精査し、改善点の洗い出しを行い、個人情報取扱事務の向上に向けた取組を行っていただくよう要望いたします。
 マイナンバーカード交付事務を例に確認してまいりました。区市民課は市民に最も身近な窓口であり、日々多くの市民の個人情報に接する部署です。区市民課において、個人情報の取扱いのあるべき姿をどのように捉えているのでしょうか。また、今後の対応の仕方について所見をお尋ねし、私の質問とさせていただきます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 区市民課における個人情報の取扱いにつきましては、保有個人情報等保護責任者である所属長の下、関係法令や福岡市個人情報保護事務取扱要綱等の関係規定に基づき、個人情報の適切な収集及び保管、複製や持ち出しの制限などの情報漏えいの防止、管理体制の整備や取扱い状況の点検、見直しなど、情報の保護管理を着実に行うことが重要と考えております。今後とも、関係規定等に基づき、個人情報の適切かつ適正な取扱いに万全を期してまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達)登壇 私は、おばた英達です。初めての一般質問をさせていただき、緊張しております。皆様、御清聴のほどよろしくお願いいたします。また、この場をお借りして、市民の皆様には、私を壇上に上げていただきまして、本当にありがとうございます。
 さて、私は自由民主党福岡市議団を代表して、自転車利用の安全向上について、無電柱化について、そして、国内外からの企業の誘致について、以上3項目について質問いたします。
 まず、自転車利用の安全向上についてです。
 自転車は、幼児から高齢者まで幅広い世代が利用する手軽で便利な乗り物として、多くの市民に広く利用されています。ふだん自転車の利用状況を見ていますと、道路交通法上、軽車両と位置づけられ、自動車と同様の取扱いで車道通行を原則とすることや、進行方向などが規定されているにもかかわらず、依然としてルールを守らない利用者が多く見られる状況にあります。
 市内には自転車通行可の歩道も多いですが、歩道上では自転車の進行方向に関する規定がなく、本来、歩行者優先で徐行すべきところを守らず、スピードを出す自転車も多く見られます。また、一方通行の道路においては、自転車を除く等の条件がない限り、自転車も一方通行に従う必要がありますが、例えば、私の地元である姪浜駅付近の鉄道高架沿いの一方通行でも、自転車の逆走により危ない状況が時折見られます。
 このように、交通ルールに従わない危険な自転車の利用状況があり、本市でもこれまで様々な取組が行われてきたと思いますが、ハード、ソフト面から歩行者等の安全確保に向けた継続的かつ着実な取組が必要であり、自転車等の利用における安全向上の取組について質問してまいります。
 まず、福岡市内における令和4年の自転車が関連する交通事故件数並びに対歩行者、対車両それぞれの件数、あわせて、全交通事故件数のうち、自転車が関連する交通事故の件数が占める割合についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 令和4年の自転車が関連する交通事故件数につきましては、総件数が1,365件、そのうち対歩行者の事故が68件、対車両の事故が1,293件となっております。また、全交通事故のうち、自転車が関連する事故の占める割合につきましては、23.6%となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 次に、令和4年における自転車が関連する交通事故について、どのような状況で起きた事故が多いのか、お尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 令和4年の自転車事故発生時の状況につきましては、車両相互の事故が大半を占めており、うち最も多いものは出会い頭の事故で629件、次に多いものは交差点での巻き込み事故など左折時の事故で275件となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 自転車が関連する交通事故は、令和3年に策定されました福岡市自転車活用推進計画によりますと、平成16年の3,700件をピークとしており、令和4年にはピーク時の4割以下、1,365件となり、数字の上では大幅に減少していることがうかがえます。しかしながら、全体の交通事故の割合からすると、自転車が関連する交通事故は23.6%を占めており、今年1月には本市の南区において、自転車の高齢者が乗用車と衝突して死亡する事故も発生しております。また、事故の発生状況を見ても、車両同士の事故である出会い頭の事故が非常に多く、逆走など基本的な交通ルールが多くの利用者に守られていないような印象を受けます。
 交通ルールを理解していない、もしくは無視した危険な運転をしている自転車利用者が散見される現状から、ルールの周知徹底が重要になってくるかと思います。
 そこで、本市における自転車安全利用推進のための取組についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自転車の安全利用につきましては、市政だよりや市ホームページを活用した広報を実施するとともに、小学生を対象とした親子自転車乗り方教室やフードデリバリー事業者と連携をした配達員向けの自転車講習会など、対象に応じた自転車教室を開催しております。また、都心部において自転車安全利用指導員による指導、啓発を行っており、さらに、県警察や関係機関、団体と連携し、毎月8日の自転車安全利用の日や四季の交通安全運動の期間中などに街頭での指導、啓発を行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 市としても様々な啓発の取組を行っているとのことですが、自転車の走行マナーに関しては、自転車利用者が交通ルールを遵守し、歩行者への配慮ができる意識を持つことが重要だと思います。また、啓発と同時に、歩行者、自転車、自動車など全ての道路利用者の安全確保のため、自転車利用環境の構築も重要なものとなります。
 現状、本市に限らず、全国的に自転車通行可の歩道が非常に多い状況にありますが、経緯を確認してみると、過去の自動車及び交通事故の急増を背景とした道路交通法の改定によって、昭和45年に緊急措置的に自転車の歩道通行が初めて認められました。昭和53年には歩道上の通行方法が規定され、こうした動きを経て、自転車は歩道を走る前提での道路整備が進められ、自転車が歩道を走ることが一般的になっていったようです。
 平成23年に、自転車は車両であることを徹底する警察庁通達が出されるなど、近年ようやく自転車は車道通行という原則を踏まえた自転車通行空間整備の動きなどが出てきているようですが、本市における自転車通行空間整備など、自転車利用環境向上の取組についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 自転車利用環境向上の取組につきましては、自転車通行空間整備を平成14年度に開始し、平成23年の警察庁通達以降は車道部での整備を積極的に進めております。このほか、路上の放置自転車対策として、駐輪場整備や放置自転車の撤去などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 本市でも自転車通行空間の整備や放置自転車撤去の取組を積極的に進めてきたようですが、自転車関連の事故が過去最多であった平成16年時点と比較し、自転車通行空間整備延長と放置自転車台数はどのように推移しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 自転車通行空間の整備延長につきましては、平成16年度末の約8キロメートルが、令和4年度末には約138キロメートルと約17倍に増加しております。放置自転車の台数につきましては、平成16年度の調査では約1万6,000台であったのが、令和4年度の調査では約700台と20分の1以下に減少しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 自転車関連の事故が大幅に減少しているところを見ますと、各種の啓発と併せて、自転車通行空間整備等による利用環境向上の効果が現れていると思いますが、長年、自転車専用の通行帯を考慮しない道路整備がなされ、近年ようやく自転車は車両であることを原則に、車道部への自転車通行空間整備が始まった状況からも、全市的に見ると自転車通行空間の整備は十分とは言い難い状況にあると思います。
 引き続き、積極的に整備に取り組んでいただきたいと思いますが、自転車通行空間の整備にはどのような課題があり、対応していくのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 自転車通行空間につきましては、道路構造令にも示されている自転車専用の独立した通行帯である、自転車道や自転車通行帯が望ましいとされておりますが、その整備には道路の拡幅や大規模な改良が必要となるため、多大な時間を要することが課題の一つであると認識しております。このため、国が定めた、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインにおきましては、早期に自転車通行空間の安全性の向上を図るため、車道通行を基本とした暫定形態である矢羽根の整備が示されております。これを受け、福岡市におきましては、矢羽根による整備を進めておりますが、その整備に当たっては、中央分離帯の縮小や幅の狭い側溝への改良などの工夫を行い、幅を広くするなど、より安全な自転車通行空間の確保に努めております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 今のお答えにもありましたが、本市のような都市部におきましては、沿線には多くの建物が張りつくなど既存道路の拡幅も困難で、歩道上にも信号や道路標識、電線共同溝の地上機器や街路樹など様々な支障物があり、既存道路に新たな自転車専用通行空間を確保することは難しい面があるように思います。最近、矢羽根タイプの整備を多く見かけますが、この矢羽根に関しては、車と自転車の通行箇所が重なり、交通安全上、懸念する声も聞きます。
 そこで、矢羽根を整備する効果についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 矢羽根は自転車専用の通行帯ではなく、法定外の路面標示であり、自転車及び自動車のいずれも通行可能となっております。矢羽根整備の効果につきましては、車道部に通行位置や方向を明示することで、自転車の車道通行と逆走防止を促し、自動車利用者だけではなく、自動車ドライバーに対しても自転車の通行位置を知らせ、注意を喚起することが期待できると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 矢羽根整備には、限られた道路空間において一定の整備効果のある手法とのことですが、交通管理者である県警とも十分調整し、安全な自転車通行空間整備を進めていただきたいと思います。
 近年、様々な自転車が普及し、徐行が原則の歩道上をスポーツタイプのようなスピードの出る自転車で疾走する姿も多く見かけます。このようなルールを守らず疾走する自転車と、幼児や高齢者を含めた歩行者が歩道上で混在する状況は大いに問題があります。最近の報道によると、自転車の交通違反者にも自動車同様の青切符を交付することも検討されているようですが、様々な対策により、交通ルールが遵守され、安全が確保されることを期待します。
 自転車利用の安全向上を図るため、自転車は車両であるという原則を踏まえ、自転車利用者に対する啓発と自転車通行空間整備など自転車利用環境のさらなる向上を要望して、この質問を終わります。
 次に、無電柱化についてお伺いします。
 私たちの暮らしを支える電気や通信を家庭や企業に届ける重要なインフラである電線につきましては、電柱に設置されているものを地下に埋設する無電柱化が、国や市において計画的に進められているところであります。
 まず、福岡市と他都市がどのような状況にあるか、確認したいと思います。
 そこで、他都市と比較し、福岡市はどの程度無電柱化が進んでいるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 国が示した無電柱化率の資料によりますと、令和3年度末時点で、20政令市に東京23区を加えた21都市中、上位から、東京23区が約8%、大阪市が約6%となっており、福岡市は約3%で5番目となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 政令市の中では比較的上位にあるようですが、市の無電柱化率は僅か3%と、それほど進んでいないようです。この無電柱化については、国はさらなる推進を図るため、平成28年に無電柱化の推進に関する法律、いわゆる無電柱化法を議員立法により制定するとともに、令和3年には無電柱化推進計画を定めているところであります。
本市においても、国の無電柱化法及び無電柱化推進計画に基づいて取組を進められていると認識しておりますが、改めまして福岡市における無電柱化の目的をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市におきましては、昭和61年度から無電柱化を進めており、現在、令和3年度に改定した無電柱化推進計画に基づき取り組んでいるところでございます。推進計画では、防災、安全、円滑な交通確保、景観形成、観光振興を目的として整備を進めており、近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえ、防災について重点的に取り組むこととしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 福岡市でも昭和61年度から計画的に無電柱化を進められており、特に防災に力を入れて整備を進めているとのことでございました。
近年、大型台風の襲来や大規模地震の発生など大きな災害が多発しており、さらに、本市の市街地の中心部を走る警固断層についても、地震発生率が高い状況にあるとされております。このような状況を踏まえますと、市民の安全、安心な暮らしを確保することは重要なことと考えておりますので、無電柱化の取組状況や具体的な整備の状況について伺ってまいりたいと思います。
 まず、福岡市における防災を目的とした無電柱化について、現状と今後の計画をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 防災を目的とした無電柱化につきましては、災害時の避難や救助、物資供給等を行う緊急車両の通行を確保すべき路線とされている緊急輸送道路などにおいて、無電柱化を推進することとしております。緊急輸送道路における無電柱化につきましては、国が2050年代までに、電柱倒壊リスクがある市街地等における無電柱化の着手率を100%にするとの目標を示しております。福岡市におきましても、目標達成に向け、推進計画に基づいて整備を進めており、令和4年度末の着手率は約39%となっており、7年度末までに約45%とすることとしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 防災を目的とした無電柱化については、市としても国が目標とする2050年代までに、電柱倒壊リスクがある市街地等の緊急輸送道路における無電柱化の着手率100%の達成に向けて計画的に進めているとのことでした。
 災害時には、緊急車両や応援物資、復旧資材など円滑に輸送できることは非常に重要であり、これらのメインルートとなる緊急輸送道路については、災害において、道路上への電柱倒壊等による道路の閉塞などを防ぐことができ、無電柱化を特に優先すべき路線とされていることは理解できます。
 このような電柱が倒壊するおそれがある災害といたしましては、台風や地震が想定されます。特に台風につきましては、令和元年に千葉県を中心に大きな被害をもたらした台風15号により、強風や、それに伴う倒木、破損した建材の飛来などに伴い、多くの電柱の倒壊や電線の断線などの被害をもたらし、大規模な停電を引き起こしたことを記憶しております。このような道路上の電線類に対する被害に対して、無電柱化は強風に伴う飛来物などの被害が軽減され、防災上有効であります。
 その一方、地震につきましては、大規模な地震の発生により、液状化現象などで地盤にずれが生じますので、地中のライフラインにもダメージを受けることが想定されます。無電柱化により地中化された電線類についても、地盤のずれで被害が生じるのではないか懸念されます。
 そこで、無電柱化により地中化された電力線や通信線については、地震による液状化現象による地盤のずれに対応するため、どのような対策が取られているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地震に伴う地盤のずれへの対策といたしましては、市が埋設する管路設備において、国の基準に基づき伸縮性のある材料を使用しております。また、電線管理者が入線する電線類につきましては、管の伸縮に追随できるよう、余裕を持って設置されていると聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 地中化された電力線や通信線などの電線類や、これらを収める管の材料についても、地震による地盤のずれに対し、一定の配慮がなされて整備されていることが分かりました。
 次に、地中には電線以外にも、ガスや水道、下水道などの多くのライフラインが設置されており、不幸な偶然が重なった場合には、これらのライフラインと電力線などが干渉することも想定されます。例えば、電力線とガス管の双方が損傷し、接近してしまった場合には、火災が発生するなどの二次災害が発生することも懸念されるところであります。
 そこで、地中化された電力線が、ガス管など地中に設置されている他のライフラインと干渉することにより、火災などの二次災害が発生しないよう、どのような対策が取られているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 電力線とガス管などの干渉による二次災害への対策につきましては、国の基準に準じて埋設物相互の間隔を基本的に30センチメートル以上設けることとしております。また、埋設する管路設備や電線類につきましては、国の基準に基づき、燃えにくく、絶縁性に優れた素材が使用されております。漏電が発生した場合も、影響が拡大しないよう漏電遮断器が設置されるなどの対策が取られております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 地中化された電力線については、ガス管などと離して整備されるなど、電力線などとの近接に伴う災害に対しても一定の配慮がなされて整備されていることが分かりました。
 これまでも福岡市を震源とする福岡県西方沖地震をはじめとして、各地で地震災害が発生しておりますが、道路上の電線類と地中化された電線類との被害状況の比較など、無電柱化の効果が確認されているものと思います。
 そこで、これまで確認されているもののうち、過去の地震災害における無電柱化による防災効果についてお尋ねします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 無電柱化の防災効果が確認された事例といたしましては、福岡市が被災した福岡県西方沖地震をはじめとして、阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震のいずれにおきましても、無電柱化された地域では電柱倒壊による道路の閉塞が発生しなかったことに加え、建物や看板の倒壊、火災からの被害も受けにくいことから、停電や通信障害の発生が少なかったことが確認されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 福岡県西方沖地震をはじめ、過去の地震災害の事例でも、道路上の電線に比べると、無電柱化したほうが被害が軽減できるということでした。
 これまで無電柱化の安全性について具体的に確認させていただき、防災面で有効であることを改めて認識しました。しかしながら、無電柱化の整備に当たっては、整備コストの高さや事業期間が長いことなど課題があり、急速な整備が困難であることも聞いております。
 このような課題がある中ではありますが、福岡市には、市の直下を通り、地震の発生確率が高いとされる警固断層があり、市民が安心して暮らすことができる災害に強いまちにしていくためには、無電柱化を少しでも早く進めていく必要があると考えています。
 そこで、無電柱化の推進に向けて一層の取組が必要と考えておりますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 無電柱化をさらに推進するため、現在、コスト縮減や事業期間の短縮に資する実証実験として、日々の工事ヤードの撤去、復旧作業をなくし、工事のスピードアップを図る工事ヤードの常設化や、災害時に大規模な停電を防止できるよう、道路の縦断方向の電線類を先行して地中化するファスト地中化などに取り組んでいるところでございます。引き続き、国や電線管理者と連携しながら実証実験に取り組むとともに、新たな知見の収集に努め、効果が認められるものから速やかに事業に反映させるなど、無電柱化のさらなる推進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 無電柱化の推進に向けて、課題解決に向けた実証実験が進められているとのことでした。ぜひその成果を広げていただきたいと考えております。
 また、さらに災害に強いまちづくりを進めるため、国及び県と連携し、無電柱化に関する情報収集に努めるとともに、関係事業者である電線管理者とも密に連携を取り、無電柱化を着実に進めていただきますよう要望し、特に先ほど申し上げた警固断層周辺の無電柱化や、今回の質問では触れませんでしたが、現在、旧世代の仕様である、油を使用したOFケーブルを本市でも使用している箇所が残っており、ここの電線張り替えを速やかに行っていただき、安心、安全のまちづくりのため、当局の格別の御尽力をお願いして、この質問を終わります。
 次に、国内外からの企業の誘致について質問いたします。
 福岡市の元気さを支えている大きな要素の一つは、若者が集まるまちであることであります。九州大学をはじめとする多くの大学、短大、専門学校への入学や就職のために若者たちが福岡市に集まることで、福岡市の元気さが支えられていることは紛れもない事実であり、さらに若者たちの受皿の選択肢を増やす意味でも、企業誘致の取組は非常に重要であると考えています。
 福岡市はこれまでもしっかりと企業誘致に取り組まれてきたとは思いますが、台湾のTSMCが熊本県に進出することとなり、福岡市に集まるはずであった若者が熊本に行ってしまうのではないかと非常に危機感を持っております。
 天神ビッグバン、博多コネクティッドにより、耐震性やセキュリティー面に優れるなど、進出する企業ニーズにも対応した先進的なビルの建て替えが次々と行われ、企業誘致の受皿が整ってきておりますので、今こそ福岡市が中心となって、国内外から多くの魅力的な企業を誘致し、福岡市の若者たちにとって大きなチャンスを与えることで、若者が集まるまちであり続けることが福岡市の元気さを支えていく上で大切であると考えております。
 そこでまず、企業の誘致を行う目的は何か、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 企業誘致の目的は、雇用機会の創出に加え、地場企業の事業機会の増大や税源の涵養を図り、本市経済の活力の維持及び豊かな市民生活の実現に寄与することで、支店経済を脱却し、自立した足腰の強い経済を目指すものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 企業誘致を行うことは、若者の雇用機会創出だけでなく、福岡市経済がさらなる成長を続けていく上で非常に重要であると認識しました。また、立地企業の増加により、若者の雇用の受皿や選択肢が広がることで、これまで首都圏に流出していた若い人材の引き止めやUIターンにつながっていくことも期待されます。
 次に、令和4年度の企業立地実績についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 令和4年度の実績につきましては、主に知識創造型産業や本社機能など成長性が高い分野の企業を中心に65社となっており、10年連続で50社以上、2年連続で過去最高を更新しております。また、当該立地企業に係る雇用者数は2,157人を見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 企業誘致は一朝一夕に成果が出るものではないと思いますので、10年連続で50社以上、2年連続で過去最高を更新されていることからも、福岡市がこれまで継続して企業誘致に注力されてきたことがうかがえます。また、誘致企業により毎年一定の雇用創出効果が得られていることは評価できると思います。
 現在、企業誘致における都市間競争が激しくなっている中で、10年連続で50社以上の企業の立地を実現することは非常に大変なことだと思いますが、近年の企業誘致が好調な要因についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 企業誘致につきましては、福岡市の豊富な人材、ビジネス環境のよさや住みやすさ、BCP観点からのバックアップ拠点としての適性など、従来からの福岡市の魅力に加え、スタートアップ支援、国際金融機能誘致の推進、国家戦略特区等の規制緩和を活用した天神ビッグバンや博多コネクティッドなどの取組が評価を受けているほか、東京一極集中からのリスク分散や新しい働き方の進展などにより、企業の地方移転の動きが活発化していることなどが好調な要因につながっているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 福岡市が持つ従来の魅力に加えて、天神ビッグバンやスタートアップ支援など、福岡市独自の取組などを背景として、企業立地の実績を上げたことがよく分かりました。
 また、東京一極集中におけるリスク分散については、帝国データバンクの調査によると、2022年に本社機能などの主要機能を首都圏から地方へ移転した企業数335社は過去2番目の多さであり、転出超過企業数77社は過去20年で最大となるなど、引き続き高いレベルで推移しており、地方にとっては企業誘致の追い風となっているようです。
 しかし、九州においては、熊本に進出した、来年末に工場を稼働させる台湾のTSMCは半導体製造で世界最大の大手であり、しかも給与水準が高いことから、福岡市の若い優秀な人材や福岡市に来ることが想定されていた人材が熊本に引っ張られてしまい、福岡市の強みである若い人材の集積に影響が出ることを非常に懸念しております。
 そこで、TSMCの熊本進出は、福岡市が企業誘致を進める上で大きな脅威となるのではないか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) TSMCの熊本進出につきましては、市内企業においても人材不足が課題となっている中で、その進出がどのような影響を及ぼすか、注意深く見守っているところでございます。一方で、TSMCの熊本進出決定後、金融機関も含め、台湾企業からの問合せ等が増加しており、追い風もあると感じております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) TSMC稼働後の人材確保への影響について懸念しておりますので、今後の福岡市内企業の状況については引き続き注視していただきたいと思いますが、逆にTSMCの熊本進出が企業誘致の後押しになっている側面もあるということですので、この機を逃さず、国内外の魅力的な企業誘致につなげていってもらいたいと思います。
 福岡市には一級河川がありませんし、広い工場用地も限られているため、豊富な水を必要とする工場などの製造業は福岡市以外に立地するケースがあってもやむを得ない場合があるかもしれませんが、それらに付随する経営企画機能や研究開発部門など、福岡市にしっかり誘致していく手法もあるのではないかと思います。
 そこで、改めてどういった分野の誘致に注力しているのかについてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 福岡市では、主にITやソフトウエア開発、デジタルコンテンツ制作などの知識創造型産業の開発拠点や、本社機能の誘致に注力して取り組んでおります。また、3年前から国際金融機能誘致にも注力しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 福岡市にとって特に重要だと考えられるソフトウエアやデジタルコンテンツなど、開発拠点や本社機能の誘致にしっかり取り組まれていることが分かりました。
 また、3年前からTEAM FUKUOKAの一員として国際金融機能の誘致に取り組まれ、福岡市の特性と親和性が高い資産運用業、フィンテック、BCP対応業務を重点的に誘致することで、グローバル人材が活躍し、継続的にイノベーションを創出する国際都市となることを目指しており、実際に誘致実績も上げているとのことですが、国際金融機能誘致の取組によって、企業誘致活動にどのような変化が出ているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) アジア有数の資産運用会社やシンガポールのユニコーン企業、台湾の商業銀行などのグローバル企業の進出が福岡市の国際的なプレゼンス向上に寄与しており、さらに産学官の推進組織、TEAM FUKUOKAにおいて、オール福岡でビジネス環境を整えるとともに、進出企業のスムーズな事業開始を支援していることが進出先としての魅力向上にもつながっているものと考えております。また、進出企業のグローバルネットワークを通じて、さらなる企業の呼び込みにつながるなど、好循環が生まれております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) おばた英達議員。
○1番(おばた英達) 従来の企業誘致に加えて、国際金融機能誘致に取り組むことによる人材や機能の集積、そして、立地した企業が新たな企業を引き寄せるなど、大きな相乗効果が生まれていることが感じられますし、TSMCの熊本進出を契機とした台湾の金融機関の進出及び半導体関連企業の進出に限らず、国際金融機能誘致の取組を継続することで、ほかの地域からの立地についても大きな希望が持てると思います。
 冒頭でもお話ししましたが、天神ビッグバン、博多コネクティッドで多くのビルが耐震性やセキュリティー面にも優れた先進的なビルに建て替わります。これらは国家戦略特区による航空法の高さ制限の緩和を獲得し、容積率緩和などを組み合わせることで、民間活力を最大限に引き出しながら、元気な福岡市を創出する優れた政策だと認識しておりますが、先進的なビルにどのような企業が入居するかが非常に重要だと考えております。
 先ほどの答弁のとおり、都市の魅力や福岡市独自の施策に加え、様々な追い風となる要因と相まって、好調な企業立地実績を上げられている状況ではありますが、これからもまちに若者が集まり続けることで福岡市の元気さを支えていくには、TSMCのような若者にとって魅力のある国内外の企業の誘致をこれまで以上に積極的に、民間事業者とも連携しながら進めていく必要があると考えております。
 最後に、今後の企業誘致の取組の方向性についてお尋ねし、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 天神ビッグバン、博多コネクティッドによる耐震性の高い先進的なビルの増加や東京一極集中からのリスク分散の動きが追い風となっている今が、企業誘致にとって絶好のタイミングと捉えております。知識創造型産業の大規模開発拠点や本社機能の誘致を強化すべく、令和4年10月に拡充した立地交付金などを効果的に活用するとともに、国内にとどまらず、海外においても福岡市の魅力を広く発信し、国際金融機能誘致の取組と連携しながら、高度人材及び高付加価値なビジネスの集積を図っていくことで、今後とも、夢をかなえられるまちとして若者から選ばれるよう、これまで以上に企業誘致活動を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時40分に再開いたします。
午後2時26分 休憩
午後2時40分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。高木勝利議員。
○24番(高木勝利)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、私道の下水道未整備などの課題解決について、自動車部門のCO排出量削減について、企業と行政による奨学金返還支援について、以上3項目質問をさせていただきます。
 まずは、私道の下水道未整備などの課題解決についてです。
 初めに、下水道整備に関して伺います。福岡市では、現在、下水道事業の基本計画として福岡市下水道ビジョン2026を掲げ、快適な暮らしを守り、都市の魅力を高め、未来につなげる下水道を基本理念として、平成29年度から平成38年度の10年間の施策目標に沿って、着実に事業を推進しています。昭和5年に博多、千代部の整備に着手して以来、水洗化普及や浸水対策などに80年以上にわたり取り組んだ結果、下水道人口普及率は令和4年度末で99.7%に達し、都市の必要不可欠な社会基盤整備が大きく進展してきました。
これまでの下水道普及率の進展に関してどのように評価しているのか、所見をお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、以降の質問は自席で行います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市の下水道事業につきましては、快適な生活環境の提供や公共用水域の水質保全などの観点から、昭和5年に整備に着手して以来、市街化区域のみならず、市街化調整区域においても整備可能な区域について、下水道の整備を積極的に進めてきたところでございます。その結果、令和4年度末時点での下水道処理人口普及率は約99.7%と概成しており、長きにわたり取組を進めてきた成果と考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市は市街地については、生活排水を公共下水道で処理するとともに、農業集落、漁業集落は集落排水施設で処理、どちらも未整備の地域は合併浄化槽で処理をしています。それぞれの汚水処理施設における処理区域内人口の行政人口に対する割合について御説明ください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) それぞれの処理区域内人口の行政人口に対する割合につきましては、令和4年度末で公共下水道が約99.7%、農業、漁業集落排水が約0.2%であり、残りの約0.1%が合併処理浄化槽となっておりますが、このうち約0.05%が下水道の未整備によるものとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) これまでの先人や職員の皆様の努力の積み重ねにより、ほぼ100%近く生活排水処理ができる環境が整ってきたことに敬意を表したいと思います。
 一方では、残り0.05%の方は下水道が未整備ということになります。
 そこで、市内全体の世帯数と下水道未整備世帯数、各区ごとにそれぞれ幾つの地区に幾つの下水道未整備世帯数があるのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市内の全世帯数は令和4年度末の推計人口ベースで86万2,548世帯となっております。また、下水道が未整備の世帯数は371世帯となっており、区ごとの地区数と世帯数の内訳は、東区が10地区で115世帯、博多区が3地区で22世帯、中央区には未整備世帯はなく、南区が1地区で2世帯、城南区が3地区で56世帯、早良区が12地区で80世帯、西区が10地区で96世帯となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市内で371世帯が未整備とのことです。
 それでは、どのような理由で未整備となっているのか、具体例を挙げてお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 下水道が未整備となっている理由につきましては、主に宅地が民間所有の私道、いわゆる「わたくしみち」や河川用地にのみ接していること、地形的に宅地が道路より低いことなどでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 私も先日より市民相談をいただいています。現在、土地所有者の方や各機関とも様々協議されているところですので、具体的な地名は避けて、福岡市内A地区とさせていただきます。その相談内容というのは、このA地区は戸建ての住宅が立ち並ぶごく普通の住宅街となっているところですが、住宅街の一角、私道に接する約10世帯の一部は下水道が整備されていませんとのことです。現場を確認し話をお聞きしてみると、その一角が私道に接しているために整備が残ったと考えられます。住宅が建築されたのは約40年から50年前、当時、そのうち整備されますよという分譲事業者の説明があったものの、具体的な話がなく、これまで何度か私道の所有者とも交渉されてきたようですが、進展しなかったとのことです。現在では私道の名義人は既に故人となられたままとなっており、相続される方も要介護状態でいらっしゃるため、関係先をたどり、そのめいごさんと協議をしていると伺いました。
 通常、私道は個人の所有土地であることから、固定資産税の対象となりますが、私が確認したところによると、固定資産税の対象地にはなっていないとのことです。
 そこで、私道でも固定資産税がかからないケースとはどのようなケースなのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 固定資産税が課税されないケースにつきましては、所有者が何ら制限を設けず不特定多数の利用に供していることや公道から他の公道へ通じていることなど、一定の要件を満たす場合は公共の用に供する道路として地方税法の規定により非課税としております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 御答弁のように、誰もが通行可能な公共の用に供する道路であることで、A地区の私道に固定資産税がかかっていないこともあり、結果的に相続登記が進まなかったことも一因となって、下水道整備のための交渉が進展しなかったと考えられます。これまで相続登記は義務ではありませんでしたが、所有者不明土地が増加することが社会問題ともなる中で法改正が行われ、2024年4月から相続登記が義務化され、相続登記がなされなかった場合には罰則規定も設けられることになります。
 この所有者不明土地対策の一環としての相続登記の義務化についてはどのように市民に啓発するのか、お聞きします。
 
○議長(打越基安) 山嶋財政局長。
○財政局長(山嶋 剛) 相続登記の義務化につきましては、国において幅広く周知、広報が実施されるものと認識しております。また、福岡市におきましても、適正な相続登記は固定資産税の課税業務において重要であることから、現在、市ホームページや市税に関するパンフレット「みんなの市税」において積極的に周知を行っているところです。今後も法務局などの関係機関と連携して周知、広報に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市下水道ビジョン2026によると、下水道事業の目的として、1、下水道は河川と一体で総合的に雨水排水機能を果たすこと、2、生活によって生じる汚水が速やかに排除されず住宅地周辺に滞留すると蚊やハエ、悪臭の発生源となり、周辺環境を悪化させる、また、個々の住宅でし尿をくみ取便所に貯留しておくことは非衛生的、下水道の整備によりくみ取便所を水洗便所に改造することで市民は衛生的で快適な生活ができるようになること、3、公共用水域の水質保全などとされています。そして、汚水処理の最適化を図るため、下水道未普及、未水洗化地区の解消を進めると示されています。
 国交省の資料では、令和4年度末の下水道処理人口普及率は横浜市、大阪市は100%、福岡市は99.7%、政令市平均97.7%です。下水道を整備してほしいというA地区の方からの長年の要望をかなえるためには、私道に起因するものなど地域住民だけでの解決には限界があるのではないでしょうか。いまだに未整備の地区については複合的な課題が重なっていると思います。もう一度申し上げますが、A地区は私道であるがゆえに下水道が整備されていません。
 福岡市が私道に下水道を整備する場合、私道に地上権設定を行う方法もあると聞いています。この地上権設定を行い、下水道を整備するにはどのような条件が必要なのか、福岡市が積極的に相談に乗り、的確なアドバイスをすべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 地上権の設定につきましては、個人の財産である私道に福岡市が安全かつ円滑に公共下水道を整備、維持管理できるよう法的に保全することを目的としており、その場合の条件につきましては、私道に住宅が接していること、幅員が1.5メートル以上であること、私道以外の土地と分筆されており、私道の区域が明確であること、地上権設定の契約を私道の関係所有者全員が一致して行うものであることなどとなっております。また、私道の下水道整備につきましては、市民からの相談内容に応じて、地上権設定に必要な条件や手続の流れなどの制度説明を行うなど、引き続き、残る未整備地区の整備推進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) どのような進め方が最善なのか、そこで改めて福岡市が一歩深く後押しすることで下水道未整備率0.05%を解消すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 下水道は快適な生活環境の提供や公共用水域の水質保全などの観点から、市民生活に欠くことのできない重要な社会基盤の一つであり、残る未整備地区の早期解消は整備を望む市民にとっても福岡市にとっても大変重要であると認識しております。これまでも、下水道が整備困難な箇所につきましては、地上権設定による私道への公共下水道の整備や、私道や低地における排水設備の設置に対する助成を行うなど、未整備地区の解消を図ってきております。今後とも、市民と協力しながら、未整備地区の解消に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) ぜひよろしくお願いします。
 次に、私道となっている道路に関して伺います。
 A地区の方からのもう1つの相談は、土地が私道に接していると新たな建築物を建てられない、再建築ができないのではないかとの心配です。建築物が私道に接していること自体が直接的な原因にならないとしても、接している道路が建築基準法で認められた道路に該当するかどうかが判断の基準となります。
道路の種別には、道路法や都市計画法による道路、位置指定道路のほか、いろいろな道路がありますが、私道でありながら再建築が認められるのはどの種別の道路なのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 建築基準法上、民間が所有する私道で再建築が認められる道路種別につきましては3つございまして、まず1つ目は、新たに築造する道で一定の基準に適合し、特定行政庁が法第42条第1項第5号に基づき指定した、いわゆる位置指定道路。2つ目は、法施行前から建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が法第42条第2項に基づき指定した、いわゆる2項道路。3つ目は、これらに該当しないが、既に建築物が立ち並び、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないとして特定行政庁が法第43条第2項第2号に基づき道路とみなす、いわゆる許可通路がございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 私道でありながら建築基準法上の道路として認められる可能性があるのは位置指定道路や建築基準法の道路とみなされた許可通路などであることのほか、私道を利用する場合や電気、水道、下水道、ガスなどライフライン工事を行う際にも私道所有者の承諾が必要となります。
 このA地区の方が建築物の再建築を行うことができるようにするためには、さきの答弁にあった道路の中で許可通路が考えられますが、許可通路として認められるための条件について何が必要になるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 法第43条第2項第2号に基づき、私道の許可通路とする場合は、通路及びそれに接する土地所有者が建て替えの際にはセットバック等により幅員4メートルを確保することや通路を適正に管理することなどを協定として締結し、市に届け出る必要があります。また、再建築に当たっての許可条件は、A地区の場合、既存建築物と同用途の専用住宅であること、延べ床面積は280平方メートル以下、階数は2階建て以下であることなどがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) また、A地区を含め、私道の所有者が自ら継続して維持管理を行うことは、住民にとって負担になる場合もあるのではないでしょうか。
 所有者が私道部分の土地を市に寄附し、以後は市の道路として維持管理をしてもらいたいと希望する場合、市が寄附を受けるためにどのような要件があるのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 私道を市へ寄附いただき、市の道路として維持管理を行っていくためには、土地の所有者に寄附の意思があること、当該道路の幅員が4メートル以上確保されていること、公道に接していることなどのほか、構造上も安全かつ円滑な交通が確保できる道路であることが必要となるものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 所管局長よりこれまで御答弁いただいたことを勘案すると、課題を一つ一つ解決することにより、私道の下水道整備も住宅の再建築も可能となる明るい見通しが見えてきました。
 さて、今回、私が相談を受けた私道に関する個別、具体的な内容について質問してまいりました。下水道や道路などの社会基盤は基幹となる幹線ネットワークの強化も大事ですが、私道など市民により身近な部分も非常に重要であり、トータルで社会基盤の充実を図っていく必要があると考えています。
 そこで、この質問の最後に、下水道や道路の充実を望んでいる市民に快適で住みやすい生活環境を提供するためにも、関係部局が連携した取組が必要と考えますが、島市長の御見解を伺います。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、下水道や道路といった社会基盤の整備とその適正な維持管理などによりまして、市民の安全、安心な生活や、また良好な住環境の形成を図っており、その結果、国内外から住みやすいまちとしての評価をいただいているところでございます。この福岡市をさらに住みやすいまちにしていくためには、高木議員御指摘のとおり、基幹的な社会基盤整備だけではなく、市民により身近な部分での対策も重要と考えております。今後とも、各局区が連携をし、個々の状況に応じたきめ細やかな対応を行うなど、市民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、快適で良好な生活環境の充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) どうもありがとうございます。
 次に、自動車部門のCO排出量削減についてです。
 福岡市はカーボンニュートラルを実装した都市を目指して2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロという目標を掲げ、様々なチャレンジを行っています。近年の豪雨や猛暑を経験する中で、地球温暖化による気候変動の影響を強く実感するところであり、総合的な施策強化が求められています。
 まずは、福岡市域における家庭部門、業務部門、自動車部門のCO排出量について、福岡市地球温暖化対策実行計画の基準年度である平成25年度と直近のCO排出量をお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 家庭部門、業務部門、自動車部門それぞれの平成25年度と直近の令和3年度における二酸化炭素排出量につきましては、家庭部門は平成25年度が257万トン、令和3年度が135万トン、業務部門は平成25年度が302万トン、令和3年度が172万トン、自動車部門は平成25年度が186万トン、令和3年度が160万トンとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 自動車部門のCO排出削減のペースは、家庭、業務部門と比べて緩やかになっています。世界の自動車の脱炭素化に向けた動向は、2015年に採択されたパリ協定をきっかけとしてイギリスは2030年、フランスは2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止し、EV・電気自動車などに切り替える方針です。日本でも2035年までに新車販売をEV・電気自動車、PHEV・プラグインハイブリッド車、FCV・燃料電池自動車にHV・ハイブリッド車を加えた電動車のみとする方針を打ち立てています。残り12年です。
 そこで、福岡市の乗用車新車販売台数に占めるEV、PHEV、FCV、HVの令和3年度の割合及び2030年度の目標についてお聞きします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 令和3年度における福岡市の乗用車新車販売台数に占める電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車の割合につきましては、電気自動車が0.65%、プラグインハイブリッド自動車が0.63%、燃料電池自動車が0.07%、ハイブリッド自動車が32.22%となっております。
 自動車部門における令和12年度の目標につきましては、福岡市地球温暖化対策実行計画において、乗用車新車販売台数に占めるガソリン車の割合を令和3年度時点の63%から令和12年度までに35%とする目標を掲げております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) ガソリン車の割合を2021年度の63%から2030年度には35%にする目標です。EVなどはガソリン車などに比べ車両価格が高いこともあり、普及を促すため国や自治体では購入する際に補助金を出しています。
 EV、PHEV、FCVを購入する際の国の補助金、福岡市の補助金について、合わせて幾らの補助金となるのか、また、福岡市の補助金の直近3年間の交付実績をお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 令和5年度の国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金の1台当たりの上限額と福岡市の次世代自動車に関する補助額につきましては、電気自動車は国が85万円、福岡市が10万円で合計95万円、プラグインハイブリッド自動車は国が55万円、福岡市が5万円で合計60万円、燃料電池自動車は国が255万円、福岡市が60万円で合計315万円となっております。次に、福岡市の直近3年間の補助金の交付実績といたしましては、電気自動車は令和2年度が64台、3年度が117台、4年度が371台、プラグインハイブリッド自動車は令和2年度が32台、3年度が86台、4年度が133台、燃料電池自動車は令和3年度から補助を開始しておりまして、令和3年度が11台、4年度が3台となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 例えば、東京都でEVを購入する場合も国の補助、東京都の補助があります。
 福岡市と東京都の補助金では幾らの差があるのか、お示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市は車両の購入に対する補助金10万円に加えまして、再エネ100%電力で充電する場合に5万円を加算し、合計15万円、東京都は車両の購入に対する最大55万円の補助金に加えて、再エネ100%電力で充電する場合に15万円を加算し、合計70万円となりますことから、その差は最大で55万円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市ではEV購入の際に10万円の補助金があり、さらに再エネ100%電力の契約をしており、かつその電力で充電する場合には補助金5万円が加算されるとのことですが、東京23区や市によっては、区や市が独自で上乗せ補助する場合もあり、東京都の補助金との差が気になるところです。災害での大規模停電時に避難所でEV車からの電力供給の協定を結んだ方や家庭での再エネ由来電力使用や充電時の再エネ電力100%利用者にはさらなるインセンティブも必要と考えます。福岡市には市民がEVを購入する際の補助だけでなく、市役所自身の取組も求められています。
福岡市では、福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画を策定し、庁用車の脱ガソリン車への切替えを掲げ、電動車の導入方針を定めていますが、その概要と切替えの状況をお聞きします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 庁用車の脱ガソリン化の概要につきましては、福岡市庁用自動車の環境配慮に関する導入基本方針に基づき、庁用車を新規に導入または更新するときには、庁用車を所管するそれぞれの部署において、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の優先的な導入を検討し、脱ガソリン車への切替えを進めていくこととしております。切替えの状況につきましては、令和4年度末時点で、電気自動車が28台、プラグインハイブリッド自動車が15台、燃料電池自動車が3台、合計46台を導入しており、対前年度比で24台の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) EVの普及のためのもう1つの課題は、充電設備の拡充です。国にはクリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金として充電設備設置の際の補助金制度があります。また、福岡市でも次世代自動車の普及に向けて充電設備補助金として経費の一部を助成しています。
 この国の補助金と福岡市の補助金についてそれぞれ内容をお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 充電設備の設置に係る国の補助金につきましては、集合住宅や商業施設等への急速及び普通充電設備の設備購入費及び設置工事費を対象としておりまして、補助額の上限額や補助率は設備の能力や設置場所によって異なっております。具体例を挙げてお示しいたしますと、出力が50キロワットの急速充電設備を商業施設へ1基設置する場合の上限額は、設備購入費が300万円、設置工事費が140万円とされております。また、スタンド式の普通充電設備を集合住宅の駐車場へ1基設置する場合の上限額は、設備購入費が11万円、設置工事費が135万円となっております。
 福岡市の補助金につきましては、広く一般市民が利用できる公共用の急速充電設備と集合住宅に設置する普通充電設備を対象として補助を行っております。急速充電設備は設備購入費のみを補助対象としており、補助率は購入費の2分の1で、1基当たりの上限額は100万円でございます。普通充電設備は設備購入費と設置工事費を補助対象としており、補助率は国の補助金を除いた額の2分の1とし、1施設当たりの上限額を100万円といたしております。また、これらの国及び福岡市の補助は併給を可能といたしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 先日、東京都から話を聞いてきましたが、東京都は集合住宅へのEV充電設備の普及促進を加速化させています。2030年までにガソリンだけで走る車をなくし電動車とする100%非ガソリン化を表明、都内集合住宅への充電設備を令和4年度末の実績899基から6万基設置するとの目標を掲げました。2023年5月にマンション充電設備の設置に特化した東京都マンション充電器情報ポータルの開設、そして充電設備事業者22社、自動車販売会社11社、エネルギー供給事業者1社、マンション関連業界団体1団体、自治体から成るマンション等充電設備普及促進に向けた連絡協議会設立、さらには都内の新築マンションは2025年からEV充電器の設置が東京都の条例で義務化されます。
 また、川崎市でもマンションなど共同住宅に対して導入期の今だからこそ充実した補助があり、少ない自己負担で設置できることを強調し、マンションなどの資産価値向上、空き駐車場や空きスペースの有効活用につながるとアピールして、マンション等への設置を促しています。
 私自身も話を聞くまでは新築マンションと違って既存マンションについては住民の合意形成がなかなか進みにくいのではないか、利用する世帯と利用しない世帯の設置費用や電気料金の負担など公平性が保たれるのかなど課題があると考えていましたが、設置に向けた協議の進め方、現地調査、見積り依頼、補助金申請、設置、維持管理などを一括して行う充電サービス事業者も多数存在し、アプリを使い利用者がスマホで充電設備利用の予約を行い、利用した分の料金をスマホで支払うなど、設置に当たっての環境整備が整ってきています。
 政令市では集合住宅の割合が一番高い福岡市においても、マンション等への充電設備普及促進のため、具体的な設置目標数の設定、情報ポータルサイトのような分かりやすい情報発信、業界団体などと連携した連絡協議会設立、新築マンションへの設置義務化など設置を促す環境整備を進める必要があると考えますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 集合住宅に居住する市民の割合が高い福岡市におきましては、マンション等における充電インフラの整備を促進していく必要があると認識いたしております。このため、令和5年度から新たに集合住宅への普通充電設備の設置についても補助対象に加えたところであり、8月末時点で、新築のマンションにおいて34基の充電設備設置に対する補助申請がなされております。また、既存の集合住宅を対象とした取組といたしましては、令和4年度から住宅都市局やNPO法人が主催するセミナーなどにおいて、マンションの管理組合を対象に充電設備の具体的な導入方法やマンションへの導入事例、国や市の補助制度などについて周知を図っているところでございます。今後とも、他都市の事例なども参考にしながら、集合住宅における充電設備の設置促進に向けて検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) どうぞよろしくお願いします。福岡市の充電設備設置助成金においては、集合住宅を除いては一般市民が誰でも利用できる急速充電設備に限定した補助を行っています。千葉市では市内の中小事業者が自社で所有する車でも対応可能とする電気自動車充電設備設置事業補助金の制度をつくっています。
 民間事業者のCO削減の取組への後押しとして市内中小企業を対象にした充電設備設置の助成を検討してはと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) これまでは一般市民の利用に供する急速充電設備や集合住宅に対する普通充電設備の設置に対して補助を行ってまいりましたが、自動車部門全体の二酸化炭素排出削減を進めていくためには、これらの取組に加えまして、排出割合が乗用車と同程度、もしくはそれ以上に高い貨物車を対象とした取組も重要であると認識いたしております。自動車の脱ガソリン化に向けましては、こうした中小企業等に対する取組も含めた効果的な施策についてしっかりと検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 今後のさらなる推進を期待しています。今年5月には、国土交通省はEV充電スタンドを公道に設置する指針を示しましたが、既に国内で初めて横浜市は交通量の多い一般道の路肩にEV充電器を設置、東京都でも設置されています。国の方針もあり、今後、公道へのEV充電器設置が進むと予測されますので、福岡市でも様々な設置場所の一つとして公道への設置も視野に入れて検討していただければと思います。また、市有施設においても誰もが利用可能な急速充電器の積極的な設置を進めるよう求めておきます。
 先月28日、今年10月上旬に策定される国の充電インフラ整備促進に向けた指針でも、2030年までに公共用の急速充電器3万基を含み、充電インフラを従来目標の15万基から30万基に倍増して設置すると表明しており、福岡市もさらに加速化させるべきです。昨今、リチウムイオン電池を超える次世代電池として全固体電池も注目されており、1回の充電での走行距離が長く、EV自動車の性能を飛躍的に向上させる次世代車載バッテリーとして2027年にも販売されると聞いています。また、電池だけでなく、充電設備も高出力化の方向で製品の開発が進んでいるようですし、電気自動車の普及もより進むことになると思います。
 また、自動車部門におけるCO排出削減のためには、車の所有から共有への移行も有効な取組です。福岡市は9月1日から西部地域交流センターさいとぴあにおいて、市有地を活用したEVカーシェアリング事業を開始されました。ぜひこうした取組も拡充していってほしいと思います。
 最後に、自動車部門におけるCO排出量はほぼ横ばいの状態から脱却し、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、様々なチャレンジを行っていただきたいと考えますが、島市長の御決意を伺って、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市はカーボンニュートラルを実装した都市の実現に向け脱炭素に資する様々な取組を進めてございます。自動車部門では、脱ガソリン化を図るために電気自動車の購入や充電設備に対する補助などを実施しておりまして、令和5年度からは充電設備の補助対象に集合住宅を追加するとともに、市有施設におけます充電設備の設置を拡充するなど、取組を強化しているところでございます。2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロに向けましては、御指摘の自動車部門をはじめ、家庭部門や業務部門における市民や事業者と連携した取組を総合的に推進していく必要があると認識をしております。このため、まずは市役所自身が率先して取組を進めますとともに、市民や事業者の皆様の脱炭素型ライフスタイル、またビジネススタイルへの転換やイノベーションの社会実装を目指したチャレンジへの積極的な支援など、脱炭素社会の実現に向けた取組を加速させてまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) ありがとうございます。
 次に、企業と行政による奨学金返還支援についてです。
 本年3月に公表された労働者団体の調査によると、大学進学などのため日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用し返還をしている方の約4割が結婚に影響、3割が出産や子育てに影響、4割を超える方が日常的な食事に影響していると答えるなど奨学金返還が人生設計の重荷になっているとの結果が示されました。これらの調査では、受け取った奨学金の平均借入額は310万円、毎月の返済額平均は1万5,000円から2万5,000円、返済期間は平均15年から最長20年で返済の負担が苦しいと答えた方は44.5%にも上ります。
 私は2年前の6月議会でも公明党の若者への調査で声が大きかった奨学金返還支援について質問を行い、福岡市内の民間企業型の奨学金返還支援について提案したところです。私自身も奨学金を受けましたが、返済に大変苦労した経験や、最近若者世代と懇談した際に、福岡市でも奨学金返還支援を検討していただけませんかとの当事者の声も再びお聞きしたことで重ねての質問に至りました。
 奨学金の返還に苦労している方が4割以上ともなっている現状をどのように認識しているのか、お聞きします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 奨学金の返還につきましては、経済状況や雇用情勢の影響などによる収入の減少や、ライフイベントなど個人の事情により返済に苦労されている状況にある若い方もおられるものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 福岡市中小企業サポートセンターのホームページでは、人材確保お役立ちサイトとして企業などによる奨学金代理返還について紹介されています。
 2021年より企業が日本学生支援機構に直接代理返還することが可能になり、企業にとっても支援される従業員にとっても使い勝手がよくなりましたが、この代理返還のメリットなど制度の概要をお聞きします。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 日本学生支援機構のいわゆる代理返還制度につきましては、企業が社員の奨学金返還額の一部または全部を社員に支給するのではなく、同機構に直接送金することにより支援するものでございます。この制度では、社員にとっては企業の支援額について所得額が非課税となり、標準報酬月額の算定基礎となる報酬に含まれないなどといったメリットがございます。また、企業にとっては支援額を給与として損金算入できるなどのメリットがございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 支援を受ける社員と支援する企業の双方メリットがあります。2年前の質問の答弁では、活用事例を含め制度周知を検討するとのことでありました。
 それでは、制度を利用し奨学金返還を支援している企業はどのぐらいあるのか、その企業は具体的にどういう支援を行っているのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 制度を利用して奨学金の返還を支援している企業は、日本学生支援機構によりますと、現在、全国では972社あり、このうち福岡県では40社とされております。また、支援企業の具体的な取組については、例えば、月額1万円を上限に最長5年間の支援という企業もあれば、入社3年後に30万円、5年後に50万円を支援するという企業もあるなど、各企業がそれぞれ独自の支援内容を設定されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 先日、金沢市中小企業人材確保奨学金返還支援助成金について聞いてまいりました。背景としては、大学や短大数が全国一で、大学のまち金沢と言われている中で、若年層に地元移住や就職への関心が高まっており、優秀な若手人材の確保、定着により市内中小企業の持続的な成長を一層期待するためのものです。
 金沢市内で従業員の奨学金返還支援制度を設ける中小企業に対し、企業が従業員に支給した手当等の一部を助成することで市内中小企業の人材確保、若者の地元就職、UJIターンの促進を図り、優秀な人材の確保、定着に向け創意工夫を凝らし、職場環境向上を目指す企業を市として支援します。助成額は企業が従業員に支給した奨学金返還支援額の2分の1を金沢市が助成するもので、限度額は1事業所当たり年間120万円かつ従業員1人当たり年間12万円で、対象期間は企業が返還支援を開始した最初の月から起算して5年間です。具体的には企業が毎月2万円、年間24万円を返還支援する場合、金沢市がその半分の12万円を助成します。企業からの声として、企業のPRになり採用活動の強みになった、社員からの声として、月々の返済額を増やせた、返済期間も短くなり将来への不安が減った、就職活動中に返還支援制度を知り、金沢市内への就職理由の一つになったなど、双方にプラス効果が出ています。
 このほかに政令市では札幌市、仙台市、浜松市などでも同様に自治体認定企業や登録企業などの民間企業と行政が連携した奨学金返還支援を実施しています。
 福岡市ではUIJターンの促進についてはどのような取組を行っているのか、伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) UIJターンにつきましては、全国の求職者や転職希望者などと採用意欲の高い市内の中小企業が参加する福岡市オンライン合同会社説明会などを開催し、福岡市での就職を促進しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 優秀な人材確保や若者支援の方法として、金沢市のほかにもこうした奨学金返還支援制度を活用した全国の自治体の取組事例を挙げますと、石川県や和歌山県などでは理系の出身者を対象に奨学金返還支援制度を設けています。さらに、東京都では建設、IT、ものづくり分野の都内中小企業に対し、技術者の確保と定着を支援するため、企業と協同して奨学金返還費用の一部を助成しています。また、名古屋市では市内の推計で2025年度5,000人、2040年度1万3,000人の介護職員不足の可能性があり、採用が難しい職種、退職が多い職種の1位が介護職員であることから、市内事業所で働く介護職員の奨学金返還支援を始めました。
 先日出席した福岡市総合計画審議会では、福岡で学んだ理系、工学部などの優秀な学生はまだ多くが卒業後福岡を後にしている現状もお聞きしました。また、福岡市では保育士への奨学金返還支援を実施していますが、エンジニアフレンドリーシティ構想も進めており、理系出身者に絞った奨学金返還支援など、多様な奨学金返還支援が思い浮かびます。昨今の報道にもあるとおり、宿泊事業者をはじめ、市内の中小企業も人材の確保には相当苦労されております。
 福岡市の将来を見据え、昨今の人材確保に苦労している地場中小企業のためにも奨学金返還支援を検討してはと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 市内経済が新型コロナからの回復期にある中で、市内の中小企業では人材の確保に関する課題感が増してきているものと認識しております。そのような状況の中で、企業の奨学金返還支援は企業の人材確保や持続的な経営のための取組の一つとして認識しており、現在、他都市の実施状況等について調査するとともに、活用事例を含めた制度の周知に努めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 高木勝利議員。
○24番(高木勝利) 御答弁によると、奨学金返還支援は中小企業の人材確保や持続的な経営の一つの取組と認識しているとのことであり、今後に期待しております。現在、学生の約2人に1人が奨学金を利用しているとも言われますが、約13人に1人の割合で返還が困難になっているのも事実です。厚労省では昨年度の自殺者のうち奨学金の返還を苦にしたと考えられる方が10人いたとの痛ましい報告がされました。また、未婚化、晩婚化が進む現在、結婚に踏み切れない主な理由の一つに、適当な人に巡り会わないという理由に次いで、経済的な理由が挙げられています。奨学金の返還期間は最大20年にもなり、結婚や出産の時期と重なるなど少子化の要因の一つにもなっていると考えます。
 福岡市は身体的、精神的、社会的に良好な状態にあり、人々の満足度や充実、幸せなどを表すウエルビーイングの向上を目指した施策を推進しており、また、頑張る中小企業を応援するとともに、新たな価値を創造する人材を応援しています。
 私はここまで奨学金の返還支援について質問してまいりましたが、最後に若者が希望を持って活躍できる福岡市に向けての島市長の御所見を伺って、質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 奨学金については、国において、学びの支援の充実や、また企業の人材確保の観点などから、奨学金の返還の支援や返済不要の給付型奨学金の充実などを進められているところと認識をしておりまして、福岡市では奨学金の返済支援に関し、他都市の実施状況等を調査するとともに、地場企業への制度の周知に取り組んでいるところでございます。また一方、福岡市としても優秀な学生が東京や海外に行かないと夢がかなわないということではなく、福岡をより大きな夢がかなうまちにしたいと強く思い、スタートアップ支援や国際金融機能の誘致、また天神ビッグバンなどに取り組んでいるところですが、今後とも、若者が将来に向かって希望を持ち、活躍できる都市を目指してしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、学校安心メール問題について、認可外保育施設及び院内保育所の保育士への家賃補助、奨学金支援について、東区舞松原地区若宮商店会の水害について並びに九大箱崎キャンパス跡地をめぐる地場連合白紙問題について質問します。
 質問の第1は学校安心メールについてです。
 7月29日に市内108校の小学校の保護者へ一斉送信されたメールについて、何が起きたのか検証します。株式会社UNICSの5歳から11歳までの子どもを対象にした感染予防ワクチンの臨床試験参加募集についての案内が一斉に保護者に送られました。負担軽減費という名目で1通院当たり1万5,000円の報酬が出るという内容で、保護者から見れば、学校や教育委員会がこの内容にお墨つきを与えていると誤解しかねないとの報道もされています。私の下にも驚いた保護者から問合せがありました。
 そこで、教育委員会はこの事件についてどのように考えているか、御所見を伺います。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今回のメールが配信されましたことで、教育委員会や学校が臨床試験を推奨しているという誤解を一部の保護者に生じさせており、その意味で適切ではなかったと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) お認めになっておりますが、そもそも学校安心メールとは何か答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校安心メールは、企業からの協賛により無償で利用できる一斉メール配信サービスでございまして、保護者への休校連絡や災害時の緊急連絡などに活用いたしております。 利用に際しては、メール配信事業者から保護者宛てに協賛企業の広告が月1回程度配信されることとなっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 災害、休校、防犯、不審者などの情報について緊急に保護者へ届ける必要がある場合に使われるメール配信ツールですが、民間の業者を使って行うシステムです。なぜ、今回このような全く目的にそぐわないメールが配信されてしまったのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまでメール配信事業者がショッピングセンターや新聞社など、所定の協賛企業を紹介する広告を月1回程度配信いたしておりました。最近これとは別に、メール配信事業者において一時的に協賛企業となった会社が単発で広告を配信することができるスポット広告という仕組みが設けられております。今回はそのスポット広告として、臨床試験の参加者を募集するメールが学校の承諾なく配信されたものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) それは理由ではないと思います。学校と企業が契約により行っている広告の入る無料のメールなんです。ですから、こういう広告が入り込んだのではないかと思います。子どもたちに治験を募集する、また負担軽減費という名目で報酬も出るなどという内容が一斉に配信されるというのは問題ではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、今回の広告メールが配信されたことで、教育委員会や学校が臨床試験を推奨しているという誤解を一部の保護者に生じさせており、そのような意味では適切ではなかったと考えております。そのため、速やかに今回の広告メールに教育委員会や学校は関与していないこと、また、臨床試験を推奨しているものではないことを保護者にメールで連絡いたしております。
 また、配信事業者からも、保護者へのおわびと併せまして教育委員会や学校が臨床試験を推奨しているものではないことをお知らせするメールが配信されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 責任がないという問題ではないと思います。このような事態が起きてしまって、保護者や市民、全国から不安や心配の問合せがあっていると聞いています。何件の問合せがあったのか、また、どのような混乱の声が寄せられたのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 問合せ件数につきましては、逐一集計いたしておりませんので、具体的な数については把握しておりません。また、寄せられた声としましては、学校が使用しているシステムから配信されたことで、教育委員会や学校が臨床試験の参加者募集に関与しているのではないか、また、臨床試験を推奨していると誤解を与えるのではないかといった意見や質問がございました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 数は分からないと言われますけれども、二、三日対応が続いたとのことで、大変な数であったことは想像に難くないです。全国のニュースでも取り上げられて、今回の問題の反響の大きさがうかがえます。そもそも学校安心メールについて、教育委員会はどのように関与しているのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 現在、各学校では複数の一斉メール配信サービス事業者の中から自校のニーズに合う事業者を選択して利用しております。教育委員会としては、災害時の緊急連絡を迅速に行う必要などから、一斉メール配信サービスの各学校での活用を促すとともに、各学校でどのサービスが利用されているかの確認を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) では、安心メールは学校任せにしているということなのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、各学校でメール配信事業者と契約を行い、一斉メール配信サービスを活用しておりますが、教育委員会としては保護者へ一斉に休校や災害時の緊急連絡などを行う必要もあり、各学校での活用サービスについての確認を行うとともに、全市的な連絡事項については、各学校と配信の内容やタイミング等について連絡調整を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 学校が経費をかけずに広告の入る民間のシステムを利用しているということは、教育委員会は把握をしています。このシステムを利用して教育委員会のお知らせを配信していることも知っておられます。学校現場に責任を押しつける姿勢は許されません。そもそもなぜこのようなことになったのか。学校現場では当初、メール配信システムを導入するときに、少ない学校配当予算から業者との契約経費を捻出するのが大きな負担でした。経費をかけずにメール配信ができる方法が求められていたときに、教育委員会から推奨されたのが無料で配信できるシステムでした。しかし、これは無料という反面、企業の広告も流れるという条件つきのシステムであり、従来も時折商業施設の広告が流れるというリスクを含んだまま運用をされてきました。そして、今回、内容に大きな問題がある広告が配信されることになったのです。
つまり、教育委員会が財政措置をせず、リスクのある無料メールシステムを推奨し続けてきたことが今回の事件の背景だと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育行政につきましても、他の行政分野と同様、目的を実現するため、できるだけ効率的に進めていく必要がありまして、今回の学校安心メールも無償で利用できる一斉メール配信サービスとして福岡市だけでなく、全国でも広く利用されてきたものでございます。今回の事案は、先ほど申し上げましたとおり、メール配信事業者が学校の承諾なくスポット広告を送ったために生じたものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) あくまで責任逃れの答弁をされますけれども、保護者や教職員はそういう教育委員会の姿勢に怒っています。今回のことで、私の下にも保護者や小学校の児童に関わる皆さんから声が寄せられました。学校の安心メールを使って配信される広告の基準を民間の企業がチェックするってどうなのとか、教育委員会や学校はノータッチということだけど、保護者はオーケーしていると勘違いするなどの声です。また、今回のことで有志の会を立ち上げて、教育委員会に問題点を明らかにしてほしいと相談に来られた方もおられます。全国からも、福岡市のこの事件に驚きと批判の声が上がりました。教育委員会はこういった声を真摯に受け止め、再発防止に力を尽くすべきです。そもそも学校から配信するメールに企業の広告が入る仕組みを知っておきながら、これを追認してきたことが問題です。こういう大事なものにはしっかり行政が予算を組んで実施すべきです。
したがって、教育委員会が責任を持って、必要な予算も取って、広告の入らない学校安心メールを管理、運用する仕組みに改善すべきではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、教育行政についても、他の行政分野と同様、目的を実現するため、できるだけ効率的に進めていく必要があり、今回の学校安心メールも無償で利用できる一斉メール配信サービスとして福岡市だけでなく、全国でも広く利用されてきたものでございます。現在、当該事業者とは広告メール配信の取扱いについて協議しておりますが、あわせまして他の事業者のシステムの活用も含め、より適切で効率的にメールを配信できないか、既に検討に入ってございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 検討をぜひ早急にやっていただきたいと思いますし、教育委員会は今回の事件を反省して、メール配信の仕組みは抜本的に見直すべきです。
 質問の第2に行きます。認可外保育施設、院内保育所の保育士への家賃補助並びに奨学金助成についてです。
 第5次福岡市子ども総合計画の計画総論の現状と課題の中では、幼児教育や保育の利用児童数は今後5年も増加する見込みとして、就労形態の多様化にも対応した多様な保育サービスの整備や保育の質の向上が求められているとしています。その中で認可外保育施設、院内保育所はゼロ歳児から5歳児にかけて一定の割合で保育の役割を担っていることがうかがえます。
 そこで、局長は認可外保育施設、院内保育所の意義をどのようにお考えか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 院内保育所を含む認可外保育施設につきましては、保護者の様々なニーズに応じたサービスを提供している施設などもあり、そのような保護者ニーズの受皿になっていると認識しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 御意義を認められました。特に院内保育所はコロナ禍で職員の子どもを受け入れ、医療体制にも寄与してきています。
伺いますが、認可外保育施設、院内保育所への補助金はどうなっていますか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 院内保育所を含む認可外保育施設に対しては、認可外保育施設児童支援事業により、児童と職員の健康診断などにかかる費用及び職員の研修参加にかかる費用の一部を助成しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 福岡市はこのように認可外保育施設へ補助金を出しています。市の保育行政に寄与しているからです。しかし、福岡市が独自に支援している家賃補助や奨学金助成は出されていません。
そもそも家賃補助、奨学金助成とはどういうもので、誰が対象になっているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 家賃助成事業補助金につきましては、認可保育所等や企業主導型保育施設の正規雇用の保育士が家賃を負担している場合に月額1万円を上限に補助を行うものでございます。奨学金返済支援事業補助金については、認可保育所等や企業主導型保育施設の正規雇用の保育士が奨学金を活用して資格を取得した場合に、当初の返済期間の2分の1までの間、短大等の卒業者は月額1万円、大学の卒業者は月額1万5,000円を上限に補助を行うものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) なぜ認可外保育施設及び院内保育所で働く保育士がこれらの補助の対象外なのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市におきましては、児童福祉審議会からの、児童福祉施設最低基準を遵守した保育所の整備を推進すべきとの答申を受け、認可保育所等の整備を基本として定員の確保を行ってきたところでございます。また、平成28年度から国において、認可保育所等と同等の基準の企業主導型保育事業が開始されたことを受け、同事業も含め、保育ニーズに対応してきたものでございます。一方で、施設数の増加に伴い、保育士の確保が従前に比べ厳しい状況となっていることを踏まえ、御質問の2つの補助金については、認可保育所等や企業主導型保育施設における保育士の確保策として実施しているものであり、院内保育所を含む認可外保育施設は対象としておりません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 認可外保育施設、院内保育所の意義を認めながらも、認可か認可外かによって保育士の処遇に格差をつけるのは問題です。家賃補助や奨学金助成の対象から外すのは認められないと思います。私は国立病院の院内保育所の皆さんから要望を伺って、こども未来局の担当課とも懇談を行いました。その保育施設は60年近い歴史があり、当初、労働組合が保育所を立ち上げ、今は病院が委託する民間事業所が運営をしています。資金もバザーでつくり、認可園と同じような保育を行い、年1回市からの監査も受けています。しかし、国立病院であるということと院内保育所であるということで、市からの家賃補助、奨学金助成の対象外だとのことです。国立病院といえど、市内の子どもの保育を担っています。まして、コロナ禍で医療逼迫が起こったときも、一番無理をしてコロナ患者を受け入れてきたのは国立病院です。院内保育所があるからコロナと闘う最前線で医療従事者は仕事ができます。災害時に大きな役割を担っている院内保育所や認可外保育施設を対象外にするのは許されません。
家賃補助、奨学金助成を院内保育所や認可外保育施設にも同じように出すべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 御質問の院内保育所のみならず、認可保育所等も含む全ての保育施設については、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で社会的機能の維持に寄与したものと考えております。
 御質問の2つの補助金につきましては、保育ニーズに対応するために認可保育所等の整備を推進したことに伴い、保育士の確保が従前に比べ厳しい状況となっていることを踏まえまして、認可保育所等や企業主導型保育施設における保育士の確保策として実施しているものであり、院内保育所を含む認可外保育施設は対象としていないところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 院内保育所の役割を理解していない冷たい答弁です。院内保育所の保育士は住宅手当もない中、交代制勤務で医師や看護師の超過勤務にも対応する仕事をしています。職員の子ども優先ですが、地域の子どもも受け入れています。医療従事者の子どもを優先的に受け入れるという病院ならではの事情により、認可外でないと運営はできません。コロナ禍で医療従事者の子どもが保育園での受入れ拒否などがあったときに、国立病院の方々はそのような差別もなく、いち早く医療現場に向かうことができました。コロナと闘う医療従事者の子どもを預かることで、まさに病院と一体で市民の命を守ってきたのが院内保育所です。
 お尋ねしますが、コロナ禍のような災害時に院内保育所の果たした役割をどのように受け止めておられるのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 繰り返しになりますけれども、院内保育所のみならず、認可保育所等も含む全ての保育施設については、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、社会的機能の維持に寄与したものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 認可外保育施設も院内保育所も、災害時の医療者の保育や待機児童の解消の役割を担っています。
 伺いますが、企業主導型保育施設を除く認可外保育所に通っている児童数及びそのうち院内保育所に通う児童数は何人ですか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和5年4月1日現在の児童数につきましては、企業主導型保育施設を除いた認可外保育施設が1,768人、そのうち院内保育所が172人となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 合わせて1,800名近いお子さんを受け入れておられるのが認可外保育施設です。待機児童解消の役割も果たしています。認可や企業主導型で受け入れられないところを支えてきたのが認可外保育施設及び院内保育所です。コロナ禍でさらに明らかになったのは、医療現場には院内保育所がなくてはならないということです。国が進める企業主導型には家賃補助や奨学金助成を行うのに、認可外保育施設や院内保育所を排除するのは間違っています。これらへの支援は市民の理解も得られます。市が掲げる就労形態の多様化にも対応した多様な保育サービスの役割をまさに果たしているのがこのような認可外保育施設や院内保育所ではないですか。
したがって、認可外保育施設、院内保育所の保育士への家賃補助、奨学金助成をすべきと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においては、認可保育所等の新設や増改築のほか、企業主導型保育施設の活用などにより、増加する保育ニーズへの対応に取り組んでまいりました。それに伴い保育士のニーズが高まりを見せる中、お尋ねの2つの補助金については、認可保育所等や企業主導型保育施設における保育士確保策として実施をしているものでございます。今後とも、保育の受皿を十分に活用できるように保育士の人材確保に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) そのような姿勢では、現場で子どもたちと必死に向き合う認可外の保育士さんの声には応えられないと思います。直ちに実施することを求めておきます。
 次に、質問の第3に移ります。東区舞松原地区若宮商店会の水害についてです。
 今回の豪雨災害は7月7日から10日にかけて断続的に雨が続き、特に10日の夜半過ぎから線状降水帯が発生し、局地的には1時間に60ミリを超える非常に激しい雨が降りました。早良区田村の金屑川護岸が崩壊し、城南区茶山の城南高校の校庭に土砂が流出するなど被害が及んでいます。東区では舞松原地区の若宮商店会で浸水被害があっています。
 お尋ねですが、この舞松原地区若宮商店会の被害状況を把握していますか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
道路下水道局長(天本俊明) 舞松原地区における7月10日の浸水被害の状況につきましては、現地調査や地元住民への浸水状況の聞き取り等を行っており、8月31日時点で住家の床上浸水2棟に加え、道路冠水や店舗などの浸水被害を確認しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) まともに把握をされていないと思います。私は被害状況を調査するため、若宮商店会に訪問に回りました。この地域だけで床上、床下浸水被害が10件ほど出ています。整体院では、ウオーターベッドが水に浸かり使えなくなったのに保険で半分しか見ないと言われ交渉中。放課後デイサービスでは、床が水に浸かり全て張り替えた。保険では5%しか見ないと言われた。片づけで1週間休み、その間、保護者から子どもとどうやって過ごしていいか不安だとの声が寄せられたとのことです。骨董屋さんは、店の看板のバイクが水に浸かり処分することになったと嘆いておられました。酒屋さんや花屋さんでは、使うレジや冷蔵庫、居酒屋さんではエレベーターなどに被害が及んでいます。中には、罹災証明書を知らない事業所もおられました。さらに、この聞き取りの中でこの地域が何度も水害に遭っているとの声が上がりました。
 そこでお尋ねですが、1999年の大水害以降、この地域で発生した浸水や道路冠水の被害についてお答えください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成11年以降の舞松原地区における浸水被害や道路冠水につきましては、平成11年6月29日、21年7月24日、25年8月30日、令和5年7月10日の降雨で住家などへの浸水被害が発生しており、平成28年9月18日の降雨で道路冠水が発生しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 1999年6月29日の被害状況と対策について答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成11年6月29日の降雨による浸水被害の状況につきましては、整備水準を超える時間雨量79.5ミリメートルの降雨により、舞松原を含む周辺地区でも床上浸水が79棟、床下浸水が107棟、計186棟の浸水被害が発生しております。この平成11年の集中豪雨により市全体で甚大な浸水被害が発生したことを受け、平成12年に雨水整備Doプランを策定し、優先的に対策を行う重点地区を定め、浸水対策に取り組んできております。舞松原地区につきましても、重点地区に位置づけ、平成19年に主要な施設整備が完了しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 2009年に対策を取られて以降の12年間で計4回にわたり、浸水や道路冠水が繰り返されています。
 お尋ねですが、2009年7月24日の被害状況と対策について答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成21年7月24日の降雨による浸水被害の状況につきましては、市内で観測史上最大の時間雨量116ミリメートルの降雨を記録し、市内各地で浸水被害が発生したものの、平成11年に比べ被害棟数は減少しております。舞松原地区におきましても浸水被害が確認されており、雨水幹線内の土砂撤去などを実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 2013年8月30日の被害状況と対策について答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成25年8月30日の降雨による浸水被害の状況につきましては、整備水準を上回る時間雨量72.5ミリメートルの降雨により、店舗などへの浸水が発生したため、現地調査を行った結果、雨水幹線内に設置しているスクリーンへのごみの堆積が確認されたことから、ごみの除去を行うとともに、目詰まり防止のため、スクリーンの目幅を広くする改良などを実施しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 次に、2016年9月18日の被害状況と対策について答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 平成28年9月18日の降雨による浸水被害の状況につきましては、道路冠水が発生したため、現地調査を行った結果、雨水幹線内に土砂の堆積が確認されたことから、開水路部の土砂撤去を行うとともに、地中深くに設置した雨水幹線に堆積した土砂について撤去方法を検討し、強力なバキューム車による土砂撤去を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) いろいろ対策を取ってきたと答弁をされましたが、今回、私が述べたような被害が繰り返し生じております。
あなた方が行ってきた対策は効果がなかったのではないですか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原地区は雨水整備Doプランに基づき、重点的に浸水対策を進め、主要な施設整備が完了したことにより、住家の浸水被害は令和5年7月は2棟であり、平成11年の186棟から大幅に減少するなど、整備水準を上回る豪雨に対しても浸水被害の軽減が図られていると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 想定外の雨量や、また、数が減ったということですけれども、そういうことでごまかされるものではありません。対策を取ってきたと言いますけれども、事態が変わらない以上、住民からすれば何も対策していない、そういうことになります。実際に私は若宮商店会の方々から、水害のたびに役所に言ってきたけれども何も変わらないと、そういう抗議めいた声を伺いました。4月から開業した放課後デイサービスのスタッフの方は、水害常襲地帯とは知らなかった、ハザードマップでは分からなかった、知っていたらここで開業しなかったと落胆の様子で語られました。布団屋さんからは、水害当日の夜中に撮影した、この商店会の横を通る松崎第11雨水幹線という水路で排水が追いつかず、水があふれ、浸水した状態の写真を見せてもらいました。商店街から水路に至る道がまるで湖のようになっています。あなたたちの対策はこの地域でまともな対策を取ってこなかったというのが実態ではないですか。抜本的に対策を取らないと、また被害を繰り返します。抜本的な対策を取るために幾つか質問をします。
 まず、この地域はどのような地形なのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原地区につきましては、周辺に比べて土地が低く、水が集まりやすい地形であると考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 周辺は高さがあり、この地域が谷になっているため流出した水が集中してくる地形となっています。このような地域で水害を防ぐために何をしなければならないのか、同じような状況で浸水常襲地帯が解消した事例があります。例えば、金山団地口で以前発生した水害の例では、河川の整備とともに水路を深くしています。
舞松原の水路を深く掘り下げて流量を増やすことはできないのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 水路の掘り下げにつきましては、排水能力を強化するための一例でありますが、舞松原地区は水が集まりやすい地形であり、この地区に集まる雨水を減らすとともに、排水能力を強化するためには、新たな雨水幹線を整備することが効率的であることから、雨水整備Doプランに基づき、内径5メートルを超える松崎第12雨水幹線などの整備を行い、排水能力の強化を図っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 別の件なんですが、水路が若宮田でほぼ直角になって、水の流れの障害になっています。ここから溢水したのではないかと考えられますが、この点についての対策が必要だと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原地区の今後の浸水対策につきましては、水路の形状を含め、浸水被害の原因となっているボトルネック箇所を把握した上で、必要な対策を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) もう一つ、市は雨水流出抑制策として、今、小学校のグラウンドや公園を利用して雨水を一時的にためる政策を行っています。この商店街は地形上、谷の底になっているため、流出した水が集中します。
 そこで、若宮商店会付近に水が集中しないよう小学校グラウンドや周辺公園を利用して、雨水流出抑制を行うべきと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 雨水流出抑制につきましては、水害の発生しにくいまちづくりを進めるため、平成21年に福岡市雨水流出抑制指針を策定し、各局と連携しながら、公共施設における雨水流出抑制施設の導入を推進しており、舞松原周辺地区におきましても、公園等において透水性舗装などを整備しております。引き続き、公共施設における雨水流出抑制施設の導入を推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 舞松原地区若宮商店会の水害常襲地帯を解消するためにも、今述べたような提案も含め、早急に調査を行い、対策を打つべきと考えますが、道路下水道局長の答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 舞松原地区の今後の浸水対策につきましては、第1に既存雨水幹線の排水能力の確保が重要と考えており、引き続き雨水幹線内の土砂撤去を進めるとともに、詳細な浸水原因の調査を行い、浸水安全度向上のための効果的な対策を検討してまいります。また、公共施設における雨水流出抑制施設の導入を推進するなど、総合的な浸水対策に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) すぐにでも手を打っていただきたいと思います。市は12年間の間に4回も浸水や道路冠水を繰り返してきたこの地域に抜本的な対策を怠ってきました。今回、この問題を取り上げなければ、7月10日の豪雨災害は大した被害はないかのような態度に終始したのではないかと思います。このような姿勢が、このような浸水被害を繰り返す事態を生み出したと言っても過言ではありません。何度も苦境を訴えている地域住民の声に真摯に向き合い、この地域に二度と浸水を起こさない手だてを取るべきです。
したがって、舞松原地区若宮商店会の水害常襲地帯への抜本的な対策のための調査、そして対策のための計画を立てるべきと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、集中豪雨は全国的に増加傾向であり、市民の安全、安心を守るため、浸水対策の推進は大変重要であると認識をしております。福岡市では平成11年の豪雨災害などを踏まえ、これまでも雨水整備Doプランにより市域全体での浸水対策を進めるとともに、博多駅周辺や天神周辺地区ではレインボープランにより浸水の安全度を着実に向上させてまいりました。今後とも、下水道による浸水対策を推進するとともに、河川管理者などの関係者とも連携をしながら、流域全体での治水対策を充実し、防災先進都市福岡を目指してまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 改めて該当する地域の皆さんの声を聞いて、調査と対策を取ることを求めておきます。
 質問の最後ですが、九大箱崎キャンパス跡地をめぐる地場連合白紙問題についてです。
 8月8日の西日本新聞で「九大跡地再開発 地場連合が解消」という見出しで、JR九州、西部ガス、西鉄、九電が参加する地場企業連合の意見が割れ、共同入札が白紙になったと報道されました。
 お尋ねしますが、一体何が起こったのか、そして市がどのような見解をお持ちなのか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 九州大学箱崎キャンパス跡地につきましては、現在、土地所有者である九州大学とUR都市機構における土地利用事業者募集の期間中、つまり公募中であることから、民間事業者が検討中の開発計画に関し把握をしておりません。
 また、新聞報道に関する見解につきましても、公募における公正、公平性の確保の観点からお示しすることはできませんし、そういう立場にもございません。そもそも公募中に公の立場の者が公の場でこのような議論をすること自体、公募の支障になるおそれがあるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) まるで人ごとのような答弁です。
そもそも福岡市は九大跡地の開発について、どのような役割を担っておられるのか、説明を求めます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市は、地域とともにつくり上げた九州大学箱崎キャンパス跡地グランドデザインの実現に向け、九州大学、UR都市機構と連携して取り組んでおります。これまで多様な都市機能の導入を可能とする用途地域の変更や都市基盤の整備に係る都市計画手続を行うとともに、都市計画道路、土地区画整理事業などの都市基盤の整備を進めております。
 また、公募に当たっては、九州大学等と連携しながら、良好な提案を求めるための計画条件の検討を進めてきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) まさに当該地のまちづくりの役割を中心的に果たしてきたのが福岡市です。だから、これまで税金を投入してきたのではないですか。
 お尋ねしますが、今まで市としてどれだけの税金を投入したのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 九州大学箱崎キャンパス跡地に係る事業費につきましては、周辺4校区からの提案を契機とし、検討を始めた平成23年度から令和4年度の決算見込みまでの合計で約45億円となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 45億円もの市民の税金を使っておきながら、民間同士のことですからと知らないふりをするのは全く道理が通りません。報道された地場連合を見てみると、その構成企業は七社会のメンバーであり、島市長が副会長を務める福岡地域戦略推進協議会、FDCの構成メンバーでもあります。市長と大変関係の深い企業ばかりです。しかも、九大跡地の開発に名のりを上げるこれらの企業の動向を市が知らないはずはありません。新聞報道ではアリーナ案と商業施設案で意見が割れ、地場産業破綻と報道されています。
この新聞報道で言われているアリーナとはどういうものですか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 広辞苑などによりますと、舞台を観客席が四方から取り囲む形式のホールやスポーツ施設、室内競技場や円形劇場などとされております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 何を言っているのかと思います。知らないとは無責任な答弁です。新聞で報道されているのですから、福岡市が知らないことを地場連合がやっていたと、そういうことになりますか。おかしいではないですか、それは。
 では、お聞きしますけれども、住民が要望したグランドデザインにアリーナと書いてありますか。住民はアリーナの建設を望んでいるのか、答弁を求めます。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公募に当たりましては、地域ともお話をする中で、特定の施設ではなく、地域とともにつくり上げたグランドデザインに基づき、居住、生活支援、交流、にぎわい、業務、研究、教育、医療、福祉など多様な都市機能を誘導することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 住民はアリーナなんて一言も言っていないんですよ。グランドデザインの作成過程でもともとの要望が薄められてきた、この結果だと思います。
結局、跡地開発に関わる大企業が巨大な箱物を中心として好き勝手な絵を描いているのではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公募に当たりましては、地域とともにつくり上げたグランドデザインの実現に向け、ゆとりある都市空間や多様な都市機能、様々な社会課題を最先端技術で解決するFukuoka Smart Eastの取組、持続的に発展していくためのまちづくりマネジメントなどを計画条件としており、できるだけ多くの企業の参加の下、民間ノウハウを最大限に発揮していただきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 2013年から始まった箱崎キャンパス跡地協議会に1回目から参加されていた元住民代表の方はこのように言っていますよ。4校区の意見が全く反映されていないと怒りの声を寄せられました。この代表の方は、さらに、自分たちは先祖代々の土地を九大が来るからと差し出したと。当時、下関、堺と並ぶ日本の三大蔬菜生産地であって、その産業を失うという大きな犠牲を払って九大を誘致したと。多くの反対もあったそうです。だからこそ、九大跡地に来るものは跡地にふさわしく、研究機関や教育機関、国の出先機関などを求めてきたと。それが箱崎の発展のためになると考えて意見を言ってきたと。防災センターや防災公園も必要だと。なのに要求が全く入っていない、どういうことか市長に聞きたいと憤っておられます。
 お尋ねしますが、住民の意見は跡地の開発に反映されないまま進められていることが今回はっきりしたと思いますけれども、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりにつきましては、地域とともにつくり上げたグランドデザインに基づき、これまで都市計画道路の整備や土地区画整理事業の着手、公園の都市計画決定や元寇防塁の指定などを着実に進めてまいりました。
 令和5年4月には九州大学等による公募が開始されたところであり、事業者が検討されている中身は把握しておりません。また、見解をお示しすることも適切ではないと考えておりますが、今後とも、民間活力を最大限に引き出すとともに、地域の御意見を伺いながら、グランドデザインの実現に向け取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 綿貫康代議員。
○38番(綿貫康代) 住民の意見は全く反映されていないです。8月10日付の西日本新聞や8月11日付の日本経済新聞の報道にも、市民の意見をもっと聞くべきだと指摘されています。今回、新聞報道によって、いかに住民の意見とかけ離れた計画が進められようとしていたかがはっきりしました。それを福岡市は知らないふりをしていること、これも明らかになりました。そもそも2011年3月に4校区の代表の皆さんが提案された九州大学移転跡地の利用に関する4校区提案では、公用、公共用優先の原則の下という1998年12月の第42回国有財産九州地方審議会答申の方針を踏まえ、地域住民の声を反映させてほしいと長年要望が出されてきました。その答申の中には、医療、社会福祉施設や教育文化施設の用地、また、市民の福祉や生活の質の向上に資すると考えられる用途に利用することと記載されています。それを基に4校区提案では防災ステーションや防災公園、公的なコミュニティ施設、樹木や建物の保存とその活用が求められたんです。2015年に福岡市と九大が共同で出した跡地利用計画にも、この答申の考え方を踏襲し、公共、公用または公益的な施設、教育、研究施設、医療施設、福祉施設などによる跡地利用を優先的に考えると書いてあるではないですか。しかし、今行われているまちづくりは、それらの要望が入ったグランドデザインも無視し、大企業の連合体に好き勝手されようとしています。そもそもの公用、公共用優先の原則がないがしろにされていると言わざるを得ません。民間の好き勝手に絵を描かせ、提案させ、その内容で進めるようなやり方は許されないと思います。
情報公開と住民要求を反映する仕組みをつくり、住民要求が真に反映される九大跡地利用にすべきと思いますが、市長の答弁を求め、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりにつきましては、周辺4校区をはじめとする地域の皆様とともにつくり上げたグランドデザインの実現に向けて、九州大学が100年存在した地域としてのブランドと広大な敷地や高い交通利便性などの強みを生かして、イノベーションを生み出す新たな拠点を創出するとともに、高質で快適なライフスタイルや都市空間づくりに向けた取組を進めており、地域の皆様からも高い関心と期待をいただいております。今後も地域の御意見を伺いながら、多様な都市機能の誘導やゆとりのある空間整備、先進的なサービスの誘導を図るなど、Fukuoka Smart Eastの実現に向けて、未来に誇れるまちづくりに取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(打越基安) この際、休憩し、午後4時25分に再開いたします。
午後4時14分 休憩
午後4時25分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。
 この際、あらかじめ時間を延長いたします。尾花康広議員。
○29番(尾花康広)登壇 公明党の尾花康広でございます。今期初めての登壇となります。どこまでも感謝の心で頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
 私は公明党福岡市議団を代表し、インクルーシブ教育の推進とアイランドシティのまちづくりの2点について質問をいたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
 まず、インクルーシブ教育の推進についてです。
 障がい者の虐待事案が増え続けております。全国の自治体が把握した家庭や施設で虐待を受けた障がい者は、2021年度、計2,960人、前年度比295人増、調査を始めた2012年度以降で最多と、最も多いと厚生労働省が公表いたしました。虐待の発生要因、複数回答として最も多く挙げられたのは、教育、知識、介護技術などに関する問題で64.5%、職員のストレスや感情コントロールの問題が54.8%、倫理観や理念の欠如が50.0%と続いております。全ての国民が障がいの有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合い、理解し合いながら共に生きていく共生社会の実現をするためには、子どものうちからインクルーシブ教育を推進することが何よりも大切であるとの強い思いから、この質問を行ってまいります。
 御承知のとおり、国連の障害者権利委員会は昨年9月、日本に障がい児を分離した特別支援教育の中止を勧告し、インクルーシブ教育の推進を求めております。全国の各自治体では、この勧告を踏まえた取組が動き出しております。
 そこでお尋ねいたしますが、福岡市立学校、小中高におけるインクルーシブ教育の現状をお示しください。あわせて、この勧告に基づいて福岡市は特別支援教育にどのように取り組んでおられるのか、お答えください。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市立学校におきましては、障がいのある児童生徒と障がいのない児童生徒が共に学ぶ仕組みとして、ふくせき制度を活用した交流や特別支援学級と通常の学級とで行う校内交流など、交流及び共同学習に取り組んでおります。国連の勧告に対しまして文部科学大臣は、障がいのある子どもと障がいのない子どもが可能な限り共に過ごす条件整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んでおり、現在は多様な学びの場において行われる特別支援教育を中止することは考えておらず、引き続き、勧告の趣旨も踏まえて、インクルーシブ教育システムの推進に努める旨、発言をされております。福岡市教育委員会といたしましても、国の考え方に基づき、障がいのある子どもの自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できるよう、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の充実、整備を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 自閉症・情緒障がいがあり、学校になじめず、なかなか学校に通うことができない小学生と中学生のお子さんを持つお母様から、地元の小学校と中学校に自閉症・情緒障がい特別支援学級を開設してほしいとの切実な声が寄せられました。
 そこでお尋ねいたしますが、今年度、自閉症・情緒障がい特別支援学級を新設(小学校15校、中学校4校)、増級(小学校7校、中学校4校)、合わせて38学級増設すると伺っておりますが、これまでの福岡市における設置の考え方、課題、どのような経緯、目的から増設することになったのか、お示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 自閉症・情緒障がい特別支援学級につきましては、これまで障がいの特性に応じた質の高い教育を行うために、拠点となる学校を設置し、高い専門性を持つ教員や安全を見守る会計年度任用職員を配置してまいりました。令和4年度に公表されました文部科学省の調査結果では、通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある児童生徒の割合が8.8%となるなど、全国的に対象となる児童生徒は増加しており、福岡市も同様の状況にあると考えております。また、保護者のインクルーシブ教育に対する意識の高まりや、居住校区の学校に通わせたいという要望が増えている状況でもあることから、本年度、大幅に設置を増やし、今後も計画的に増設することといたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 20政令市の中で自閉症・情緒障がい特別支援学級の設置率が最も低いと言われる現状から少しずつ改善されつつあるわけですが、支援教育は障がいの有無にかかわらず、教育的ニーズのある全ての子どもまで枠組みを広げ、いじめ、不登校、貧困、精神疾患等の多様な教育的ニーズのある子どもに対して適切な支援を行うものであり、また、教育的ニーズのある子どもとともに学ぶ子どもの共生の精神の育成にもつながるもので、さらなる取組を進める必要があります。
 そこでお尋ねいたしますが、特別支援学級はどういった条件が整えば開設されるのか、開設の判断の根拠となる基準、開設までのスキーム、流れをお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 特別支援学級の設置に当たりましては、まず、その対象者がおられること、また、本人、保護者の設置要望があることを前提に対象校に教室が整備できるかを検討し、開設を判断しております。開設までの流れは、まず、就学相談会において対象となる児童生徒と、その人数の増減や居住地等の実態を把握いたします。その上で、対象となる学校の教育環境について状況を調査し、当該年度の設置校数、設置校を決定いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 川崎市の先進事例を視察調査してまいりました。川崎市では、おおむね10年間を計画期間とした第2期特別支援教育推進計画を平成27年に策定し、PDCAサイクルに基づき推進した結果、市内の全ての市立小中学校に知的障がい、肢体不自由、病虚弱、弱視、難聴、自閉症・情緒障がい学級が設置されることになっており、障がいの状態や必要な支援によって学級種別が決定され、学級編制が機動的に行われるようになっております。また、全ての小中学校に特別支援学級が設置されていることから、障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に触れ合い共に活動する、校内での交流及び共同学習が日常的に行われております。
 川崎市教育委員会の方に、なぜそこまで取組を進めることができているのかお尋ねしたところ、中央教育審議会答申、令和3年1月に「特別支援教育は、発達障害のある子供も含めて、障害により特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校において実施されるものである」、障害のある子供の教育支援の手引、文部科学省通知、令和3年6月に「子供一人一人の自立と社会参加を見据えて、その時点での教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である。このため、小中学校等における通常の学級、通級による指導、特別支援学級や、特別支援学校といった、連続性のある『多様な学びの場』を用意していくことが必要である」とうたわれており、この国の基本的な考え方を踏まえれば、自治体として当然の責務を果たしているだけとのこと。さらには、全ての教職員が研修で特別支援教育を担当するスキルを身につけており、特別支援教育に携わったかどうかの実経験がその後の管理職登用の条件にもなっているとのことで、川崎市の特別支援教育に対する熱量の高さを実感して帰ってまいりました。
 そこでお尋ねいたしますが、本市でも川崎市と同じように、市内の全ての市立小中学校に原則として、知的障がい、肢体不自由、病虚弱、弱視、難聴、自閉症・情緒障がい学級を設置することとし、障がいの状態や必要な支援によって学級種別を決定し、学級編制を機動的に行い、障がいのある子どもと障がいのない子どもの校内交流及び共同学習が日常的に行える取組を導入してはいかがかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市におきましても、自閉症・情緒障がい特別支援学級を除く特別支援学級の設置については、教員の専門性や教室環境等に配慮しながら、必要な学校に必要な学級を設置することを基本的な考え方としております。自閉症・情緒障がい特別支援学級につきましては、近年の対象者の著しい増加を受けて、本年度大幅に設置数を増やしましたが、今後とも、議員の御指摘も踏まえ、設置学級の大幅な追加に鋭意取り組んでまいります。また、障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に学ぶ交流及び共同学習につきましては、これまでも各教科等の学習や学校行事、給食指導等、様々な機会を通じて実施しておりまして、今後も学級編制の在り方も含め、適切な学びの場の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) さらに川崎市では、通級指導教室も保護者の送迎の下、通級を設置している学校に児童が通って指導を受ける設置方式、本市では拠点校方式と呼んでいますが──と児童が在籍する学校へ通級担当者が出向いて指導を行う巡回方式のハイブリッド型を採用しております。
 ちょっとパネルを御覧いただきたいと思いますけれども、(パネル表示)これまでの方式、福岡市の拠点校方式ですけれども、通級設置校に保護者の方が送迎していく。送迎が大変ですね。そしてまた、保護者の方は共働きで送迎ができないとか、こういった問題がありました。それに対して川崎市が採用している巡回方式というのは、通級設置校から学校の先生が障がいのある子どもたちがいる在籍校に、これは徒歩で歩いていっておりますけれども、そしてまた、自転車で行ったりして、在籍校に先生たちが行っていただけると、こういった方式のことであります。
 通級まで遠くて行くのが大変だったけど、通級の先生が学校に来てくれるからうれしい、教室に迎えに来てくれたり送ってくれたりするときに通級の先生とたくさんお話ができるから楽しい、自分の学校だから安心して落ち着いて指導が受けられるなどの感想が児童から寄せられ、保護者の送迎の負担軽減にも効果を上げています。
 そこで提案ですが、本市では設置校方式のみを採用し、これまで整備面や人的スタッフの集中化で全国に誇れる通級指導に取り組んできたことは承知しておりますが、効果の上がっている川崎市のような巡回方式も取り入れ、ハイブリッド型を採用してはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 巡回方式の通級指導につきましては、保護者の送迎の負担を軽減できるメリットがある一方で、教員の移動に時間を要するため、児童生徒1人当たりの指導時間が少なくなるといった課題があります。今後、御意見を踏まえ、他都市の事例も調査し、導入について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございます。
 次に、市立学校でインクルーシブ教育を推進する際、障がい者の合理的配慮が学校施設で的確になされているのか、とても気になるところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、文部科学省において、令和4年9月1日時点の学校施設のバリアフリー化の実態について、国公立の小中学校等と特別支援学校を対象として調査が実施され、その結果が公表されておりますが、本市の学校施設のバリアフリー化の整備の現状をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小中学校のバリアフリー化の状況としましては、バリアフリートイレの整備が校舎100%、屋内運動場75.6%、門から建物までの段差解消が校舎73.2%、屋内運動場90.6%、昇降口等から教室等までの段差解消が校舎76.5%、屋内運動場91.1%、エレベーターの整備が校舎14.1%、屋内運動場79.8%となっております。また、特別支援学校につきましては、全ての整備が完了いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 私の地元の小学校でもエレベーターが整備されることになって、車椅子利用の対象児童から大変喜ばれておりますが、エレベーターは起案、計画から供用開始までの期間がおおむね3年かかると伺っており、小学校6年間、中学校3年間という限られた期間に、車椅子利用などの対象児童がなるだけ長い期間利用できるように、連続性に留意して整備を早急に進めていただきたいと思います。
 公立小中学校等施設のバリアフリー化に関する令和7年度末までの国の整備目標として、バリアフリートイレについて避難所に指定されている全ての学校に整備する、スロープ等による段差の解消について全ての学校に整備する、エレベーターについて要配慮児童生徒等が在籍する全ての学校に整備するが掲げられ、令和3年度から国庫補助の算定割合を3分の1から2分の1に引き上げるなどの予算措置もなされておりますが、本市においても令和7年度末までにこの目標を達成していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) バリアフリートイレ及び段差の解消につきましては、おおむね完了の予定であり、大規模な改造が必要となります箇所については、引き続き機会を捉えながら着実に整備を進めてまいります。また、エレベーターの整備につきましては、要配慮児童生徒の在籍状況に応じて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 校庭遊具や放課後児童クラブを利用する子どもたちについても、一定の配慮が必要な子どもたちがいます。そういう場合も合理的配慮について検討されるのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 校庭遊具や放課後児童クラブの施設を利用する児童等についても、個人の障がいやその特性に応じて、必要な支援について協議、相談しながら、合理的配慮について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) この質問に当たり、東京都豊島区西巣鴨小学校の校庭に整備された、小学校では全国初となるインクルーシブ遊具の整備とその効果を視察調査してまいりました。一番驚いたのは、遊具が設置してある地面、水色の部分があるんですけれども、遮熱性のゴムチップになっておりますが、均等ではなく、落下の危険性に応じて弾力が増すように作り込まれており、万が一落下しても大丈夫、これは安心して遊べると実感をいたしました。インクルーシブ遊具は学校施設の校庭改修工事に合わせて整備されたそうで、様々な子どもたちがそれぞれの遊びを見いだすことでき、休み時間に全学年が使用し、小さな学年の子たちを高学年の子がサポートしている姿を多く見かけるそうです。放課後は学童クラブが利用し、近隣の幼稚園も週1回訪れ、幼小連携に一役買っているそうであります。休日は校庭開放で親子連れが使用しているとのことです。
 インクルーシブ教育とインクルーシブ遊具との相乗効果として、遊具があることによって障がいがある子もない子も分け隔てなく、みんな一緒の意識が高まり、遊具遊びを通して子どもたちの心の中に、みんな仲間という意識が芽生え、自然に心を耕すことができ、互いに協力、時に手助けしてあげたりすることによって、優しさを育むことができているとのことです。実際遊具で遊んでいる子どもたちに福岡から来ましたと声をかけると、水害は大丈夫でしたかとイの一番に励ましの声をかけられ、その優しさにうるるとうれし涙があふれてまいりました。
 そこで提案ですが、本市においても市立小学校の校庭に、計画的にインクルーシブ遊具を整備してはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市では、インクルーシブな子ども広場の整備が進められていることや、他都市では、学校施設において整備されている事例があることは承知しておりますので、まずは導入されております遊具の形態や、その効果やコスト等について情報収集を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 福岡市の放課後学童クラブの施設も5か所ほど視察調査してまいりました。児童が満杯状態で、かねてより改善を要望しておりました美和台小学校の施設は、増設工事に向けて具体的な検討が始まっているということで少し安堵しておりますが、プレハブ造りの施設は1フロア当たり60から100名ほどの子どもたちで、密集という言葉が当てはまりそうな状態でした。子どもたちは熱中症アラートの発令で外遊びもままならず、体育館には空調がなく、夏休みの小学校でのプール開放もなく、フロア内でできる遊びや工作などにいそしんでいる状況でございました。
 放課後児童クラブを利用している児童の人数に対して、私が調査しただけでも、施設によっては不足しているトイレの応急的な対応として、支援員さんがかわいらしい飾りつけをしてくださっておりましたが、工事用仮設トイレをやむを得ず使用しているなど、ちょっとこういう形でパネルを用意しましたけれども、(パネル表示)学童クラブの教室のすぐ隣に、不足しているトイレの応急処置として工事用の仮設トイレを設置して、子どもたちに供していると。中の写真はございませんけれども、開いてみると、少しでも子どもたちの心が和らぐようにという優しい支援員さんの飾りつけがしてありました。こういった形で、一生懸命支援員さんもこの学童クラブの施設を守っていらっしゃる。この状況をぜひ御理解いただきたいと思います。
 フロア、トイレ、手洗い、空調、Wi−Fiなどの施設整備における課題が散見され、合理的配慮の実現にはとてもほど遠い状況でした。
 そこでお尋ねいたしますが、教育委員会として職員2名体制で、放課後児童クラブの全施設を巡回しておられると伺っております。こうした実態があることは既に御承知のことだと思いますので、現状認識と課題への対応状況をお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 職員が巡回して確認した内容や各児童クラブから連絡があった項目としましては、トイレ、手洗い、空調の不具合に関することが多く、適宜、修繕工事などを実施しながら改善に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、学校本体との連携も大切であります。トイレ、空調の効く教室、図書館などを放課後児童クラブに早急に提供すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育活動などの学校運営や管理への影響、児童クラブの利便性などを踏まえながら学校施設を活用しており、引き続き各学校との連携をしっかりと図りながら、放課後の居場所の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 放課後児童クラブの施設もインクルーシブ教育を進めるべき子どもたちの大事な居場所であることは間違いありません。
 そこで提案ですが、放課後児童クラブの施設も合理的配慮を行う施設として明確に位置づけ、フロア、トイレ、手洗い、空調、Wi−Fiなど施設の改善を計画的かつ着実に行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 放課後児童クラブの施設は、国の基準を踏まえた、福岡市放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例に基づきまして、生活の場として必要なスペースをはじめ、手洗い場、トイレ、空調等の整備を行っておりまして、Wi−Fiにつきましては令和4年度に整備し、全施設で利用が可能となっております。また、障がい者への合理的配慮の観点から、施設の増改築に合わせて出入口のスロープやバリアフリートイレを整備しておりまして、引き続き計画的かつ着実に進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 要望していた学童クラブのWi−Fi設置については、令和4年度中に全施設で対応されたとのことで、一定の評価はしておりますが、さらなるつながりやすさの改善を求めておきます。
 さて、インクルーシブ教育を推進する上で、児童生徒に1人1台配備されたタブレット端末などのICTを授業で積極的に活用することがとても重要であります。ICTの活用は、障がいの有無を問わず、児童生徒の主体的な学びに有用なものであるとともに、特別な配慮が必要な児童生徒に対しては、その障がいの状態等に応じて活用することにより、各教科等の学習の効果を高めたり、障がいによる学習上または生活上の困難を改善、克服するための指導に効果を発揮したりすることは実証されているところであります。
 そこでお尋ねいたしますが、本市の特別支援教育におけるICTの活用状況をお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小中学校の特別支援学級や特別支援学校においては、教材提示、子ども同士の意見交換、ドリル、調べ学習、学習の振り返り、また、コミュニケーション手段等に1人1台端末を活用しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 障がいのある児童生徒一人一人に応じた入出力支援装置を効果的に活用すること、また、GIGAスクール構想に基づいて整備されたICT端末の標準的な学習ツールによって、文字の拡大や配色の変更、読み上げ機能、字幕機能の利用、写真や動画による視覚的な情報保障、音声入力などといった障がいの特性に応じた活用が可能であることを踏まえ、ICT端末を効果的に活用していただきたいと思います。
 さて、教員の特別支援教育の研修の充実の必要性については、令和3年第4回定例会で質問しておりましたので詳細にお尋ねはいたしませんが、その後の充実に向けた進捗状況をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度及び5年度に必修を含む6講座を増やし、その大部分をオンラインで実施するとともに、オンデマンド動画を14本追加するなどして、受講者の拡大と内容の充実に取り組んでおります。また、初めて特別支援学級の担任となった教員への研修に障がいの種別のコースを設定するとともに、質問や悩み相談の時間を新たに設けるなど、受講者のニーズに応じた魅力ある研修の実施に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 全ての教職員が研修で特別支援教育を担当するスキルを身につける体制を構築できたことは大変評価しております。今後は、さらなる実効性を高めるため、川崎市のように、特別支援教育に携わったかどうかの実経験が、その後の管理職登用の条件にもなるような人事の条件設定も必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 管理職は学校運営全般を担う役割があることから、特別支援教育に関する知見と理念を備えていることも大変重要であると考えておりまして、管理職の登用に当たりましては、特別支援教育に携わった経験や特別支援教育に関する研修の受講状況なども重要な要素として勘案してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 市立高校におけるインクルーシブ教育の推進についてもお伺いをいたします。
 6月議会の教育こども委員会において、専門学科を有する市立高校のあり方検討について報告を受け、少子化の影響等により多くの学科で、近年、志願倍率が募集定員割れや低い倍率で推移している現状に愕然といたしました。その際にも意見として申し上げましたが、コロナ禍におけるオンライン教育の実施などにより、既に市立高校には1人1台のタブレット端末を配備済みであり、ICT教育の環境は整っておりますので、障がいのある生徒の受入れを拡大すれば、定員割れの懸念は当面なくなるのではないでしょうか。
 入学者選抜においては、障がいの状態等に応じて適切な評価が可能となるよう、学力検査の実施に際して一層の配慮を行うとともに、選抜方法を増やしたり、様々な尺度から評価することにより、自立と社会参加に向け、障がいのある生徒に対するキャリア教育や就労支援の充実を図ってはいかがでしょうか。このことが、国が示す高等学校の専門学科の在り方で述べられている生徒や産業界のニーズに的確に対応することにつながると思います。
 福岡県立高等学校では、このようなチラシを作成しております。拡大してまいりました。(パネル表示)中学生の保護者、関係者の皆様へということで、安心して県立を選ぼう、福岡県立高等学校、インクルーシブ教育を進めていますと。こういった特別支援教育支援員とか、専門家による巡回相談、医療的ケア看護職員、高校通級とか、いろんな形で、県立高校としては万全の体制でインクルーシブ教育を進めていますから安心して志願してくださいと、こういったチラシを作って出しております。
 本市も市立高等学校において、インクルーシブ教育をさらに進めるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市立高校においては、4校を巡回する通級指導担当教員による障がいに応じた指導をはじめ、発達教育センターや県などと連携した研修、検査方法や試験会場の工夫など適切な措置を講じた入学者選抜を実施いたしております。今後とも、インクルーシブ教育にしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 専門学科を有する学校については、今後、外務委員による有識者会議を設置し、年度内をめどに検討を進めていくと伺っておりますので、議会よりICTの積極的な活用によるさらなるインクルーシブ教育を進める提案が出ていることを確実に伝えていただきたいと思います。
 共生社会とは、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会であり、このような社会を目指すことは、最も積極的に取り組むべき重要な課題であります。
 冒頭に述べた障がい者の虐待事案の増加など、障がい者を取り巻く現状は依然として大変厳しいものがあります。学校教育は、障がいのある児童生徒の自立と社会参加を目指した取組を含め、共生社会の形成に向けて重要な役割を果たします。その意味で、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育の推進の大切さが、学校教育関係者をはじめとして市民全体に共有されることがとても大事であります。
 この質問の最後に、インクルーシブ教育の推進に向けた石橋教育長の決意をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) インクルーシブ教育の推進に向けましては、障がいのある児童生徒が障がいのない児童生徒と可能な限り共に学ぶことができるよう配慮するとともに、障がいのある子どもの教育の充実を図ることが重要であると認識しております。そのため、障がいのある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮の提供、多様な学びの場の整備と交流及び共同学習の推進、教員の研修や支援体制の充実に取り組み、一人一人の教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる多様で柔軟な仕組みを整備するなど、全ての子どもたちが障がいの有無にかかわらず、互いの違いや個性を認め合い、生き生きと活躍できるようインクルーシブ教育システムの構築を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) よろしくお願いいたします。
 次のテーマ、アイランドシティのまちづくりに入ります。
 まちづくりエリアが完売し、アイランドシティのまちづくりも成熟のときを迎えておりますが、先般、地域住民の方と意見交換会を行い、照葉公民館、照葉北公民館を訪れ、館長さんや主事さんからも、お話を伺ってまいりました。その際、寄せられた貴重な御意見を基に質問をさせていただきます。
 まず、アイランドシティコミュニティガーデンについてです。
 イメージ的に写真を拡大して持ってまいりました。(パネル表示)アイランドシティのまちづくりエリアに立派な菜園が造られております。アイランドシティは、官民共同の下、福岡市港湾空港局が主導して21世紀の先進モデル都市づくりを行ってきたわけですが、運営プロジェクトに福岡市港湾空港局も参画し、平成25年にふくおか共助社会づくり表彰(県知事表彰)、平成29年にキッズデザイン賞(優れた子どもたちへの環境教育が認められたもの)を受けたことがあるアイランドシティコミュニティガーデンが令和5年11月をもって閉園になると伺っております。
 そこでお尋ねいたしますが、アイランドシティコミュニティガーデンの概要と閉園となる経緯をお示しください。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティのコミュニティガーデンにつきましては、NPO法人や民間事業者で構成する実行委員会が民間所有の開発予定地において、開発がなされるまで時限的に貸付菜園や花壇、イベントスペースなどを設置しているものでございます。次に、コミュニティガーデンが閉園となる経緯につきましては、このたび、当該民間開発予定地の工事着工が決定したことに伴い、令和5年11月中に土地をお返しすることになったと聞いております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) これまでアイランドシティコミュニティガーデンは誰がどのような目的で利用してきたのか、また、これまで誰を対象にどのようなイベント等が行われてきたのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) お尋ねのコミュニティガーデンは、NPO法人や民間事業者で構成する実行委員会が設置しているものであり、環境啓発活動や地域コミュニティの創出を行うことを目的とされております。
 実行委員会におけるこれまでの活動でございますが、福岡市に在住もしくは勤務され、生ごみコンポストを活用して野菜作りに取り組む方を対象に、有償による菜園区画の貸付けを行うほか、地域住民を対象として、段ボールコンポスト講座やガーデニング講座、ピザ作り体験などのイベントを実施されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) また、アイランドシティコミュニティガーデンのこうした取組を福岡市港湾空港局としてどのように評価しているのか、お伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティのコミュニティガーデンにつきましては、平成21年度に福岡市共働事業提案制度で採択され、25年度からは独自事業として生ごみコンポストの普及をはじめとした環境啓発活動に取り組まれており、アイランドシティ事業計画に掲げる環境共生のまちづくりなどに寄与しているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 地域においては、家庭から出る生ごみや地域の清掃活動で出る落ち葉を堆肥化させ、その土からおいしい野菜が育ち、栄養が循環するサイクルを学ぶ重要な拠点であり、地域の幼稚園、保育所、小学校生たちが遠足や夏休みの自由研究などでたくさん訪れております。また、こうした環境共生の先進的な取組は国内外からの関心を呼び、多くの学識者や自治体関係者、JICAの海外研修生などが視察に訪れております。実際、私のところにも国会議員経由で、視察で訪れたことのある沖縄県那覇市の市会議員さんから連絡が入り、アジアに誇れる大変すばらしい取組であり、閉園するなんてもったいない、ぜひ継続するために尽力してほしいとの御意見をいただきました。
 こうした取組は、半径2キロ圏内のコミュニティの中で誰もが参加できる食料サイクルをつくるものとして、LFC、ローカルフードサイクリングと呼ばれているそうです。ごみ減量、脱炭素につながる循環型社会の構築に資する取組だと思いますが、環境局としての評価をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 地域における生ごみの堆肥化によるリサイクル活動につきましては、循環のまち・ふくおか推進プランにおいて、重点3品目の1つとして位置づけております食品廃棄物の減量・リサイクルにつながるものであり、循環型社会や脱炭素社会の構築に資する効果的な取組であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) アイランドシティの目指す環境共生のまちづくりにおいて、このアイランドシティコミュニティガーデンは確かな貢献の実績があり、地域住民の多くの方がその存続を切に願っております。事業を継続できる手だてはないのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 実行委員会の活動につきましては、環境共生のまちづくりなどに寄与する有意義な環境啓発活動であると認識しておりますが、貸付菜園については民間所有の開発予定地において設置されていたものであり、アイランドシティ内の福岡市所有地で貸付菜園を運営できる場所はなく、現在、実行委員会において、アイランドシティ内で土地を提供できる協力事業者を探していると伺っております。なお、地域において取り組まれる生ごみコンポストの普及などの環境啓発活動や地域住民を対象としたイベントにつきましては、引き続き関係局とも連携しながら協力してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございます。
 次に、アイランドシティの交通アクセスの問題であります。
 まちづくりエリアにおいて、これまで整備された健康、医療、福祉関連機能を有する施設や大型商業、宿泊施設の概要をお答えください。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティにおきましては、平成17年のまち開き以降、こども病院や福岡みらい病院などの医療施設をはじめ、特別養護老人ホームや高齢者向け住宅、総合体育館などが立地しております。また、飲食や物販に加え、約360室ある宿泊施設や最大1,300席を確保できるホールのほか、歌劇団の常設劇場などを有する大規模な複合施設が令和2年3月に開業しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) こうした施設には、現時点でも多くの自家用車による来街者があり、駐車場が不足しつつあると伺っており、アイランドシティ中央公園のインクルーシブ広場の整備、はばたき公園の一部供用開始などが続き、さらに来街者が増えることが予想されます。また、これからもマンションの建設が続き、さらに人口が増えることが予想されます。
 そこでお尋ねいたしますが、アイランドシティ全体として、ミライロIDの活用など障がい者仕様を含めた来街者駐車場の増設とマンション駐車場の確保及び公共交通のアクセス向上にさらに取り組む必要があると思いますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティを訪れる来街者の駐車場の増設につきましては、立地している各施設の駐車場利用状況を踏まえ、必要に応じて関係局や民間事業者等と協議してまいります。なお、障がい者等が利用する駐車場につきましては、福岡市福祉のまちづくり条例に基づき適切に整備されるものと考えております。また、ミライロIDが利用できる精算機の導入につきましては、障がい者割引制度を導入しているアイランドシティ内の各施設管理者と協議してまいります。次に、マンション駐車場につきましては、地域からの声を受け、マンション建設に当たり、できるだけ多くの駐車台数確保について事業者と協議しており、近年では住宅戸数に対して約3割増の駐車台数が確保される物件も出てきており、引き続き事業者と協議してまいります。最後に、交通アクセスの向上につきましては、これまでまちづくりの進展に合わせてバス路線の拡充に取り組んできたところであり、引き続きバス事業者と協議してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) アイランドシティ地区に適用された社会資本整備総合交付金の終了年度は令和6年度と伺っておりますが、残された期間もあと僅か。計画の中で、アイランドシティの目指すまちづくりを官民共同で実現するため、社会資本整備総合交付金などを積極的に活用し、まちの魅力や生活、交通利便性向上のために、効果的な運用や支援を図る必要があると上げられており、実際に地域からも、銀行、郵便局、警察交番など必要な生活インフラの利便性向上を望む声も依然として多く聞かれております。
 この課題解決に向けてどのように取り組んでいるのか、お答えください。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) アイランドシティにおけるまちづくり、みなとづくりの進展に伴う銀行や郵便局、交番などの設置を求める地域の声は伺っておりまして、それぞれの事業者や関係機関に要望を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 長年の懸案事項でございます。しっかり取り組んで、せっかくアイランドシティに居住された方が安心される結果を出していただきたいと思っております。
 そこで提案ですが、駐車場の増設にもやがて限界が来ると思われますので、アイランドシティと特急が停車するJR香椎駅を結ぶ、例えば、アイランドシティを運行するオンデマンドバス「のるーと」などの公共交通の充実を図ることはできないのでしょうか。「のるーと」などがアイランドシティと香椎方面とを往来すれば、行きは「のるーと」などに乗り、帰りは買物や飲食をしてタクシーで帰るのにという地域住民の方からの声をよくお伺いいたします。
 JRや西鉄香椎駅周辺には多くの飲食店街があり、また、アイランドシティ内にも大型複合施設アイランドアイに代表されるホテル、歌劇場、飲食、物販店などがあり、相互の往来によるウィン・ウィンの関係が構築できれば、生活、交通利便性向上や地域経済の振興に一定の寄与ができると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 竹廣港湾空港局長。
○港湾空港局長(竹廣喜一郎) 現在、アイランドシティのバス路線は、平日には350便を超えるバスが運行されており、天神、博多駅方面の運行のほか、JR線と西鉄貝塚線の両線が乗り入れる千早駅まで運行されております。また、平成31年4月よりオンデマンドバス「のるーと」がアイランドシティから千早駅まで運行されております。このような状況でございますが、公共交通ネットワークのさらなる充実はアイランドシティにお住まいの方の生活利便性の向上のためにも重要と考えており、議員おただしのJR香椎駅方面の公共交通の充実も含め、交通事業者や関係局と協議してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) ありがとうございます。
 次に、アイランドシティは福岡市や東区と比較して全人口に占める15歳未満の割合が約2倍の状況であり、子どもが多い特徴を踏まえた子どもたちの居場所づくりが急務であります。
 小中学校の校庭や体育館、福岡市総合体育館で行われている人気のあるバスケットボールなどは定員が満杯、地域クラブに入りにくい状況が続いているそうであります。せめて、福岡市総合体育館周辺の屋外に四方をフェンスで囲まれたバスケットボールコートなどがあれば、子どもの居場所になるのにとの声も伺いました。
地域交流イベントやスポーツイベントが開催されているグリーンベルト付近に整備が可能なのではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) グリーンベルトは、アイランドシティにおける緑あふれるまちの中心軸として、総合体育館や住宅地と隣接する形で整備しております。グリーンベルト内へのバスケットボールコートの設置につきましては、周辺住宅への騒音問題が懸念されることもあり、整備の可能性につきましては、現在のグリーンベルトの利用状況を踏まえつつ、地元住民や公園利用者の意見なども幅広く伺いながら検討していく必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 尾花康広議員。
○29番(尾花康広) 言うまでもなく、地元住民や公園利用者の意見を幅広く伺いながら検討していくのが大前提であります。
 2011年に6回のフォーラムを経て、島市長に同年12月5日に手渡されたアイランドシティ・未来フォーラム提言書、その中にある市民の夢と希望をかなえるアイランドシティの未来像、フォーラム委員の意見と思いは実現されているのでしょうか。今回取り上げたものは、現時点での地域住民の方から寄せられた貴重な御意見の一部のみで、寄せられた御意見の中には当時のフォーラム委員の意見と共通しているのもたくさんありました。
 アイランドシティには、小学校として3校目となる照葉はばたき小学校が来年4月開校予定であり、まちづくりエリアの最終的な姿も見えてまいりました。
 この提言書と成熟期を迎えた現在のまちづくりの進展の検証を行い、どこまでも地域住民の声に寄り添い、課題解決に向けた果敢なチャレンジを行い、アイランドシティがさらに住みたいまちとしてアジアに誇れるすばらしいまちになるよう取り組んでいただきたいと思いますが、最後に島市長のアイランドシティのまちづくりに対する御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 島市長。
○市長(島宗一郎) アイランドシティ整備事業につきましては、アイランドシティ・未来フォーラムの提言を踏まえ、市議会の皆様をはじめ、市民や関係者の御理解、また、御協力を賜りながら、先進的モデル都市づくりや国際物流拠点の形成に取り組んできたところでございます。まちづくりエリアにおきましては、緑豊かで良好な住環境や、また、教育環境が評価をされ、現在1万4,000人を超える皆様が生活をしており、多様な都市機能の集積に併せ、都市高速道路の開通やバス路線の拡充など交通アクセスの向上も図られております。今後とも、豊かな市民生活の実現に寄与するよう、また、新たな雇用や税収を創出し、都市活力を将来にわたって生み出す拠点となるよう、アイランドシティのまちづくり、みなとづくりを着実に推進してまいります。以上です。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文)登壇 私は、もろくま英文と申します。まず、市政の壇上へ送り出していただいた市民の方々のためにも、誰よりも汗を流し、活動してまいりますことをここにお誓い申します。
 それでは、自由民主党福岡市議団を代表して、学校周辺の安全対策、防犯対策について、また、イノシシ対策について、以上2点について質問をしてまいります。
 最初に、学校周辺の安全対策、防犯対策についてです。
 学校は、将来を担う子どもたちの大切な学びの場であります。このため、学校の中はもちろん、学校周辺のエリアも含めた安全、安心な環境づくりのためには地域コミュニティの協力も極めて重要であると考えます。そして、安全、安心な環境づくりの上で大事な要素は2つあり、1つ目は交通安全対策、2つ目は防犯対策です。これらに関する具体的な取組状況について伺ってまいります。
 1つ目、学校周辺などの交通安全対策についてですが、まず、通学路の交通安全対策について、全体的な取組内容をお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 平成27年3月に策定した福岡市通学路交通安全対策プログラムに基づきまして、学校や保護者、地域、警察、道路管理者、教育委員会等の関係機関が連携して毎年通学路を点検しており、防護柵の設置や路側帯のカラー化、横断歩道の設置や交通安全指導等の安全対策の継続的な取組を推進してまいりました。その結果、平成27年度から令和4年度までの対策必要箇所436か所のうち、道路管理者や交通管理者、学校等における対策によって、令和5年3月末時点で373か所が完了いたしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 次に、福岡市通学路交通安全対策プログラムに基づく道路管理者による取組内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 道路管理者において対策が必要な箇所は260か所となっており、路側帯のカラー化や歩道の拡幅などにより、令和4年度までに213か所の対策が完了しております。対策が完了していない47か所のうち36か所につきましては、令和5年度の完了を目指し、取組を進めているところでございます。残る11か所につきましては、歩道設置に伴い用地取得が必要となるなど時間を要することから、早期完了に向けて取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 通学路交通安全対策プログラムの取組については理解できました。また、着実に取り組んでいるようであり、安心しました。
 それでは、通学路交通安全対策プログラムに基づく道路管理者以外の取組として、登下校時などに子どもたちの見守り活動を実施する地域から募る学校安全ボランティア、スクールガードの取組を行っていると思いますが、スクールガードの取組内容についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 主な取組といたしましては、保護者や地域の方々による子どもたちの登下校中の見守り活動や危険箇所での交通安全指導など、交通安全対策や防犯対策でございます。また、校区によりましては、青色の回転灯を装備したパトロールカーでの巡回や、子ども110番の家の周知なども行っております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 私も先日、スクールガード養成講習会に参加しましたが、交通事故の現状と対策、児童生徒の防犯対策、護身術等の実演もあり、大変勉強になる講習でありました。スクールガードを知らない保護者の方も多いので、地域の安全対策全般のスキルアップにもつながる大切な取組として、ぜひ広げていきたいと感じました。
 そこで、スクールガード養成講習会の取組について幅広く周知していくべきと思いますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 講習会は、毎年7月に保護者、地域の方々を対象として、交通事故の現状と対策や地域でできる防犯活動などについて、教育委員会主催で実施いたしております。今後も引き続き、講習会の実施について、各学校と協力しまして、できるだけ多くの保護者、地域の方々に周知してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 今後も引き続き、できるだけ多くの保護者、地域の方々に周知していただきたいと思います。
 一方、防犯に関する子どもたちへの教育は各学校でどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、年度初めや長期休業日前の節目に校区安全マップ等を活用して、全ての児童生徒に危険な場所には近づかない、知らない人にはついていかない等の指導を行っております。さらに、小学校1年生には防犯ブザーを配布して、正しい使い方を指導しております。また、ほぼ全ての学校において、不審者に対応した避難訓練等が実施されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 子どもたちへの教育も、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、具体的な学校のことを伺いたいと思います。
 現在、私が住んでいる西区西部地域は、九州大学の統合移転や、それに伴う区画整理事業、また基盤整備が行われ、目まぐるしく発展し、子育て世代にとって暮らしやすいまち、住みたいまちとして生まれ変わり、地域内の人口は増加中であります。今年4月には西都小学校が分離し、西都北小学校が学級数15、児童数397名で開校しました。西都小学校の過大規模は解消されましたが、私がPTA会長を務める地元の元岡中学校は、今年度は学級数37、生徒数1,127名で、学級数、生徒数ともに市内で一番多い学校となっており、学校敷地内にはプレハブ校舎も整備されています。生徒数の増加に伴い、生徒たちは体育館や運動場、特別教室の利用などにおいて制約のある学校生活を送っていることと思われます。生徒たちの教育環境改善のために今後は分離新設予定であり、令和8年4月の開校を目指して今年度中に開校準備委員会が設置され、私も元岡中学校PTAの代表として、通学路の検討も含め開校準備に携わっていくことになると聞いております。
 中学校を新設予定の湯溜池周辺は、道路が狭く、歩道がない場所もあり、生徒が通学するには危険を伴うことも考えられるため、しっかりとした安全対策が必要と考えていますが、新設中学校周辺の安全対策はどのように進めていくのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 生徒が安全に通学できるように、今後設置予定の開校準備委員会におきまして現地での安全点検などを実施の上、関係機関と連携しながら、開校までに必要な安全対策を講じていくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 子どもたちの安全を守るため、非常に重要であることから、地域や保護者の意見も踏まえ、しっかりと検討していただき、必要な措置を講じていただきたいと思います。
 学校周辺の通学路の対策も大切ではございますが、一方で、通学路以外の交通安全対策も重要であります。一番事故が多いのは、子どもが交差点で道路を横断するときと聞いたことがあります。令和元年5月8日には、滋賀県の大津市で園児を巻き込んだ悲惨な交差点事故が発生しました。
将来ある子どもの貴い命が突然奪われることになった大変痛ましい事案であり、社会全体で守り育てていくべき子どもが交通事故に巻き込まれないように、その後、国からの通知を受け、全国的に点検の実施や道路管理者による対策が行われていると認識していますが、大津市の交通事故後に国からの通知を受けて実施した道路管理者による交通安全対策の内容と進捗状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 令和元年6月の国の通知に基づく安全点検により抽出された道路管理者における対策必要箇所227か所につきましては、防護柵や車止めの設置、路面標示などにより、令和4年度までに226か所の対策が完了しております。対策が完了していない1か所につきましては、令和5年度の完了を目指し、取組を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 大津市の事故を受けた取組については残り1か所とのことで、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 交差点における道路管理者の交通安全対策については、大津市の事故を受けた対策に加え、事故現場と類似した交差点についても対策を実施していると聞いていますが、大津市の事故現場と類似した交差点における道路管理者による交通安全対策の内容と進捗状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市独自に抽出した大津市の事故現場と類似した交差点153か所につきましては、防護柵や車止めの設置などにより、令和4年度までに139か所の対策が完了しております。対策が完了していない14か所につきましては、令和5年度の完了を目指し、取組を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 交差点における交通安全対策についてはよく理解できました。引き続き取組を推進してもらいたいと思います。
 また、通学路や通学路に限らない住宅地などの生活道路において、スピードを上げて通行する車両への速度規制の対策も子どもたちの安全を確保する大切な取組であると考えます。元岡中学校校区では、車が幹線道路の渋滞を回避するため、生活道路を抜け道としてスピードを出して通行しており、すぐ横を通行している歩行者が危険な状況にさらされている状況を目にしたことがあります。何とかならないかと思っているところであります。
 そこで、令和3年8月に国土交通省並びに警察庁において、生活道路の交通安全に係る新たな連携施策としてゾーン30プラスの取組が始まっていますが、ゾーン30プラスとはどのような取組なのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) ゾーン30プラスにつきましては、時速30キロメートルの速度規制と路面標示などを組み合わせたこれまでのゾーン30の取組に加え、国から提供される車両の急ブレーキ箇所などのビッグデータを活用して、ハンプなどの物理的デバイスを効果的、効率的に設置することにより、生活道路における人優先の安全、安心な通行空間の整備に取り組むものでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ゾーン30プラスの進め方について理解できました。通学路の交通安全対策に加えて、ゾーン30プラスの取組により、速度規制とハンプなどの物理的デバイスを組み合わせることで交通安全の向上を図られ、より一層、生活道路における人優先の安全対策の推進に期待ができる非常によい取組だと思います。ドライバーの法令遵守意識の向上を図るとともに、子どもを交通事故から守る取組として、引き続き、地域住民に説明していただきながら展開していってもらいたいと思います。
 ここまで学校周辺における交通安全対策の取組について伺ってきましたが、安全、安心な環境づくりの中で、もう1つ大事な取組である防犯対策についても伺ってまいります。
 近年、不審者が学校に侵入するなど児童にとって危険な状況が見受けられ、地域の防犯に対する関心も非常に高まっております。福岡市犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例にある、地域の安全は地域で守るという防犯意識の下に地域防犯活動に主体的に取り組むという基本理念にもあるように、地域の防犯対策は基本、地域で行うことになっておりますが、見守りやパトロールなどの実施については、高齢化等に伴う人手不足の地域も多く、地域からはしんどいとの声を聞くこともございます。
 そのような中、ハード面の防犯対策として、市の補助金制度を活用して地域が設置管理する防犯カメラや防犯灯の充実は大切であり、防犯カメラを通学路、見通しが悪い場所などに設置することにより、犯罪の予防、事件、事故が起きた際の早期解決など、犯罪のない安全で住みよいまちづくりに期待できると考えます。
 そこで、地域の防犯対策として防犯カメラを設置することでどのような効果があるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 防犯カメラ設置の効果につきましては、防犯カメラの存在を認識させることによる犯罪の抑止効果や地域住民の安心感の醸成に加え、犯罪発生時の犯人の特定、検挙に寄与しているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) それでは、福岡市の街頭防犯カメラ設置補助金制度の概要についてお尋ねいたします。また、防犯カメラの設置に当たってどのような条件があるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 街頭防犯カメラ設置補助金制度につきましては、自治協議会、自治会、町内会などに対して1団体につき年間4台を限度に、1台当たり25万円を上限として購入費及び工事費の75%以内で補助する制度でございます。設置の条件につきましては、道路等の公共空間を撮影区域とし、特定の個人や建物等を監視することがないように配慮することや、設置場所の所有者の同意を得なければならないことなどを要綱に定めております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 街頭防犯カメラ設置補助金制度を活用した防犯カメラの直近5年の設置台数と制度開始後の総設置台数についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 街頭防犯カメラの設置台数につきましては、平成30年度が108台、令和元年度が158台、2年度が163台、3年度が164台、4年度が210台となっており、制度開始後の総設置台数は令和4年度末現在で1,613台となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 令和4年度の設置台数は平成30年度の108台の約2倍、210台となっており、地域の方々の防犯に関する意識や関心が高まっていると感じております。また、街頭防犯カメラは犯罪の減少や犯人の特定にも効果があるということであり、地域の安全、安心のためにも、引き続き地域防犯活動の支援をお願いしたいと思います。
 次に、地域が設置管理する防犯灯について伺っていきます。
 道路照明灯については、交通安全の確保を目的として本市が設置管理している直営灯と、犯罪の防止を目的とし、自治会等が主に生活道路に設置管理している防犯灯があり、自治会等が設置管理している防犯灯に対しては、市は補助金制度にて支援しています。
 そこで、防犯灯における補助金制度の概要についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 防犯灯の補助金制度につきましては、自治会や町内会などに対して工事費及び維持管理費を補助しております。工事費としましては、新設や取替えに係る費用に対して、工事内容ごとの上限額はありますが、3分の2を補助し、維持管理費につきましては、年間電気料金のおおむね3分の2を補助しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 市の補助による防犯灯の直近5年の設置灯数と総設置灯数についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 防犯灯の直近5年の市補助による設置灯数につきましては、平成30年度が457灯、令和元年度が393灯、2年度が303灯、3年度が291灯、4年度が263灯となっております。次に、総設置灯数につきましては、令和4年度末の実績で約4万4,600灯となっております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 毎年300灯前後が新規設置されており、全体では4万4,000灯を超える防犯灯が設置されているということで、ここでも地域の方々の防犯意識の高さがうかがえます。引き続き地域防犯活動への支援に取り組んでいただきたいと思います。
 これまで学校周辺の安全対策の取組や防犯対策への支援について伺ってまいりましたが、いずれも市民の安全、安心を確保する上で非常に重要と考えます。引き続き、地域の声も聞きながら、しっかりと取り組んでいただくようお願いするとともに、子どもが標的となる犯罪を未然に防止するため、不審者情報や事件情報等を地域でも共有し、地域における通学路の見守り活動などの防犯活動に対する支援の強化について要望します。
 また、最後に通学路の交通安全対策向上及び地域における防犯対策に向けての意気込みをお尋ねして、この質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童生徒が安全で安心して通学できるようにするために、通学路の交通安全対策を充実させていくことは大変重要と考えております。現在、福岡市通学路交通安全対策プログラムに基づき、学校や保護者、地域の方々、関係機関が連携して対策を講じておりまして、今後も安全対策の取組を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 犯罪のない安全で住みよいまちづくりに向けて、その基盤となる地域における防犯対策を充実させることは大変重要であると認識をしております。引き続き、街頭防犯カメラの設置促進や防犯パトロールなど地域の防犯活動に対する支援を行うとともに、防犯出前講座の開催や防犯情報の発信、また、IoTを活用した子ども見守り事業を実施するなど、今後とも市民、地域団体、事業者及び関係機関と連携をしながら、犯罪のない安全で住みよいまちづくりに向けた取組をしっかりと進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 次に、イノシシ対策についてお尋ねしてまいります。
 全国的に農業者の高齢化や耕作放棄地の増加などが課題となっている中、気候変動等やロシアのウクライナ侵攻などによる世界的な食糧生産の不安定化の状況を踏まえ、食料安全保障強化が最重要課題とされており、全国的に農地が減少していく中、食料安全保障の観点からも、農地の維持はますます重要となっています。農業や農地は、安全で安心な食料の提供だけではなく、自然環境の保全や洪水防止などの国土保全機能、生物多様性の保全、良好な景観形成等の多面的機能を有しています。充実した都市機能と豊かな自然環境が調和したコンパクトな都市づくりを目指す福岡市においては、農地をしっかり保全し、農業をしっかり支えていくことは非常に重要なことであります。
 私が住んでいる西区西部地域は、隣の糸島市との境にあり、都市部と1次産業である農業、漁業もある日本の縮図とも言える恵まれた地域であります。北崎地区の大根やスイカ、また、花などの花卉類、元岡地区のトマトや酪農、周船寺地区のアイガモ農法による稲作や、今宿地区の博多和牛やブドウ、今津地区のイチゴや露地、軟弱野菜など、農家の皆さんは早朝から炎天下の中、命がけで毎日農作業に携わり、子どもたちへ安心、安全な食を届けてくださっています。しかし、せっかく育てた作物がイノシシに荒らされる被害が後を絶たないと地元の農家の方からお聞きしています。
 また、7月の大雨の際には、イノシシが掘り返したのり面に土砂が流れ込み、農道が崩れて作業車で通るには危険な箇所を、地元農家の軽トラックの助手席に乗せていただき、現地まで足を運び、私も確認してまいりました。ほかにもイノシシがため池周辺を掘り返していて、ため池の堤体に影響を及ぼしているという話も聞いています。イノシシは田や畑を荒らすだけではなく、土を掘り起こし、葛の根やミミズなどを食べるので、平らなところ、土手など辺り構わず荒らし回り、収穫時期の一歩手前で農作物を食べ荒らしていくので、農業従事者の皆様も出荷できなくなると収入が減少することになり、農業従事者にとっては死活問題になり、非常に困っているとのことでした。
 イノシシの被害防止対策をしっかり行うべきと考えており、本市の現状や取組について伺ってまいります。
 まず、本市の現状について、本市のイノシシの生息数についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市では令和3年度に生息調査を実施いたしておりまして、市内の生息数を約4,100頭と推計しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 次に、イノシシによる被害の状況についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) イノシシによる被害につきましては、まず、農作物への食害などの農業被害につきまして、平成30年度の被害額は約3,200万円でしたが、令和4年度は約2,400万円と減少傾向となっております。また、人的被害につきましては、平成30年度に市街地で4件発生いたしましたが、令和元年度以降は市街地での発生はなく、山林などで毎年1件発生している状況でございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 被害の状況として、農業と人に被害が出ているとのことですが、近年では農地のほか、農業用ため池の堤体や農道などの農業用施設をイノシシが掘り起こす等の被害を地元の方々から聞いております。掘り起こしは堤体に影響を与え、そこに大雨が降れば堤体が崩れるなど、ため池に影響が出るのではないでしょうか。また、除草等の維持管理は地域の水利組合が担っていますが、高齢化や参加率の低さにより草むらが残り、そこへイノシシが草むらに寄りつき、掘り起こした穴に足を取られるなど、作業がやりにくく、悪循環となり、支障が出ていると聞いています。
 そこで、令和5年7月末時点で農業用ため池や農道等を掘り起こすなどの被害の件数についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和5年4月から7月までの間、農業用ため池や農道等の被害につきましては、4件の掘り起こしを確認しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) イノシシは常習的に被害を及ぼすと聞いており、放置すると災害にもつながるのではないかと思いますが、被害箇所にはどのような対応をしているのでしょうか。
 農業用施設の被害にどのように対応しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農業用ため池の堤体や農道ののり面に一部損壊を生じた際には、被害状況に応じてのり面整形などの補修を行っております。なお、ため池の堤体から漏水するなど施設の機能低下が確認されました場合には、必要に応じ、堤体の補強工事等を実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) イノシシは泳ぐことができるので、大雨のときでも砂防ダムやため池を怖がらずに移動して、広範囲に被害をもたらすと聞きます。被害が拡大しないよう迅速に対応いただきたいと思います。
 また、先ほどの答弁では、被害額は減少しているとのことでしたが、依然としてイノシシの被害は発生しています。イノシシによる農業被害は金銭的な損失だけでなく、営農意欲の減退を招き、離農や新規就農の妨げにもなるものであります。
 被害の発生原因についてどのように認識しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 国の野生鳥獣被害防止マニュアルによりますと、野生鳥獣は安全で餌のある場所を探しており、管理が行き届いていないやぶや茂みなど安全に隠れることができる場所と、防除されていない農作物や放置された生ごみ、放任果樹など2つの条件がそろうことがイノシシの出没や被害につながる原因とされております。また、福岡市におきましては、市街化の進展により農地や山林の開発が進み、イノシシの生息地と人の生活圏が近くなっていることも原因の一つと考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) イノシシによる被害に対し、どのような方向性で取り組まれているのかをお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) イノシシによる被害対策につきましては、国のマニュアルで示されていますとおり、箱わなによる捕獲などの個体群管理、農地等を防護柵で囲むなどの侵入防止対策、やぶや茂みの刈り払いや放任果樹の除去などの生息環境管理の3本柱を基本として取組を進めております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) それでは、3本柱それぞれについて、本市の取組を伺ってまいります。
 まず、捕獲による個体群管理について、捕獲は主に猟友会により行っていると思いますが、被害に遭われた農業従事者に尋ねると、猟友会の高齢化やイノシシの取締りに関する情報が届いていない、JAや農家任せになっているとの声があります。また、イノシシは1度の出産で5頭から6頭のウリボウを産み、今年の冬が暖冬であれば、さらに農業被害は広がるだろうとのことでした。
 今後の被害を抑えるために捕獲者への支援、取組が必要と考えますが、捕獲による個体群管理について具体的な取組及び今年度拡充した内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) イノシシの捕獲につきましては、市内猟友会会員49名及び自衛箱わな農家45名の協力の下実施しており、これまで箱わな423基を設置したほか、捕獲に対し市独自の上乗せ報奨金を交付するとともに、IoTを活用した捕獲通知システムの貸与や捕獲したイノシシ用の冷凍保管庫の設置を行っております。また、農業者のわな免許や講習会の費用支援などにより、捕獲活動の推進を行っております。令和5年度は、猟友会の活動支援や市独自の上乗せ報奨金を増額するとともに、新たに捕獲通知システムを20台追加貸与するなどの取組を実施しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 年間どれぐらい捕獲しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和4年度におきまして、猟友会等が行う有害鳥獣捕獲が約1,750頭、その他狩猟による捕獲が約250頭、合わせて約2,000頭捕獲しております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 約4,100頭の生息数に対し、約2,000頭捕獲しているとのことでありますが、イノシシは一定地域にとどまらず、市域を越えて出没し、農作物を荒らしています。
 そこで、イノシシ対策の広域的な取組についてお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 広域的な取組につきましては、平成24年度に福岡・糸島地域鳥獣被害防止対策広域連絡協議会を設置いたしまして、共同で被害防止計画を策定するとともに、防護柵や箱わなの導入、捕獲頭数に応じた報奨金の交付などの支援を行っております。また、鳥獣被害防止特措法に基づきまして、令和4年度から県が主体となり、市町村域をまたいだ広域捕獲事業を開始しておりまして、福岡市や糸島市を含む県内8市町が連携いたしまして、さらに広域的な取組を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 捕獲したイノシシはどのように処理されているのか、また、利活用されているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 捕獲したイノシシの処理につきましては、主に捕獲した場所付近において埋設するほか、焼却処理を行っております。なお、埋設処理は捕獲者の負担が大きいことから、その軽減を図るため、今津、能古、花畑の3か所に冷凍保管庫を設置し、捕獲者が保管庫に搬入したイノシシを市が焼却施設へ搬出しております。次に、利活用の状況でございますが、ジビエ加工施設への搬入や捕獲者が自己消費するなど食肉用にいわゆるジビエとして利用されているほか、焼却後、一部は建築資材として活用されております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 捕獲者の高齢化や猟友会会員の減少等の課題もあると聞いていますので、捕獲者の負担軽減に引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 また、人間の都合でイノシシを処分するので、いただいた命はできるだけ活用するべきと考えます。大牟田動物園では、害獣対策としてやむなく駆除されたイノシシなどを殺菌し、そのままの形を保ったままで肉食獣に与える屠体給餌に取り組んでいるものの、一般的な餌代と比べて10倍ぐらいの価格になるとのことであり、なかなか難しいようであります。
 では、ジビエの利活用についての対応及び課題をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 捕獲したイノシシを資源として可能な限り活用することは重要であると認識しておりまして、令和5年度から、捕獲したイノシシをジビエ加工場に搬入した場合、報奨金の額を増額しております。また、ジビエの利活用に向け、県が実施しているふくおかジビエの店の認定やイベントなどと連携し、ジビエの普及啓発に取り組んでいるところでございます。一方、ジビエの利活用に当たっての課題といたしましては、捕獲の段階におきまして、ガイドラインに基づきジビエ利用に適した捕獲方法を取る必要があり、相当の時間や一定の技術を要することから、全体の捕獲数への影響を懸念しております。また、食肉加工の手間や、需要が現在のところあまり大きくないことから安定した供給が難しく、採算性の確保についても課題と考えております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) ジビエの利用拡大には、捕獲、加工処理、供給、消費のサイクルを回すために様々な課題がありますが、環境保全、地産地消、地域活性化へ展開できると思いますので、少しずつでも取り組んでいただくようお願いいたします。
 次に、3本柱の2つ目の侵入防止対策について、今年度の具体的な取組内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 侵入防止対策につきましては、ワイヤーメッシュや電気柵の導入支援に加えまして、令和5年度からは補修に係る経費についても助成を開始しているほか、地域農業者を対象とした侵入防止柵の効果的な設置に向けた講習会を実施するなど、侵入防止対策をさらに推進しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 侵入防止対策については、国の助成に加えて、市独自の助成を設けていることは評価いたします。ぜひ地元の声を聞きながら、より効果的に活用できるよう取り組んでいただきたいと思います。
 次に、3本柱の3つ目の生息環境管理について、今年度の具体的な取組内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) イノシシが出没する原因として、隠れることのできる潜み場や餌資源となる放任果樹等の存在が指摘されており、これらの解消を図るため、令和5年度から新たに、地域ぐるみで実施する雑木林の刈り払いや放任果樹の除去等に係る費用を支援しております。これらの取組を実施することによりまして、イノシシの出没頻度の低下と捕獲の効率化につながると考えており、地域の方々の御協力をいただきながら、生息環境管理の取組をさらに推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 雑木林の刈り払いや放任果樹の除去などイノシシ対策には地域ぐるみで取り組むことが必要だと感じていますが、そのような環境整備が必要な地域ほど高齢化で若い方が減少傾向なので、次世代への農業持続のためにも支援の継続をお願いいたします。
 それから、市民の方々にイノシシのことをもっと知ってもらうことが重要であります。イノシシは、ウリボウのうちはかわいいんですが、通常のイノシシは成人の指や腕を軽く食いちぎれるほどの力があり、見つけても立ち向かっては駄目だと著名な西区の動物病院の獣医から聞いたことがあります。
 そこで、イノシシの危険性について、市民へはどのような周知を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) まず、1つ訂正をさせていただきます。
 先ほど捕獲したイノシシの処理について御質問をいただきました。ジビエに関しまして、イノシシについて焼却後、一部は建築資材として活用しておりますとお答えいたしましたが、これは建設資材の間違いでございます。訂正させていただきます。申し訳ございません。
 それでは、イノシシの危険性について、市民への周知につきまして、まず、市民の方々に対しまして、市政だよりへの定期的な掲載や市のホームページで注意喚起を行いますとともに、必要に応じ、自治協議会等に説明を行っております。また、イノシシ被害の相談があった際には担当者が直接現地に出向きまして、イノシシの危険性や対応について丁寧に説明するなど速やかな対応に努めております。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) もろくま英文議員。
○2番(もろくま英文) 私の地元でも、直接市の職員の方々が現地に来ていただき、対応していただいたと伺っております。
 これまでの取組により、全市的には一定の成果が出ているのかもしれませんが、その一方で、一部の地域では依然被害が発生しています。特に高齢化の地区や市街化調整区域から被害の声が届いております。イノシシの被害防止対策は、被害を受けた住民の声を受け止めながら、対策を継続、強化していくことが重要であります。
 イノシシ対策を今後もしっかり取り組むべきと考えますが、御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 全国的に発生しておりますイノシシによる農作物への被害は、農業者への所得に影響するほか、営農意欲の減退や離農などにつながるおそれもあり、特に人的被害の発生は市民生活にも大きな影響を及ぼすものでありますから、非常に重要なものだと考えております。被害を防止するため、個体群管理として捕獲を行うほか、ワイヤーメッシュ等による侵入防止対策、地域の方々に御協力いただく生息環境管理の取組を、今後とも推進してまいります。また、議員御指摘の中山間地域など特に被害の多い地域につきましては、職員が積極的に現地を訪問し、迅速に対応するなど、今後ともしっかりとした丁寧な取組を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後6時5分に再開いたします。
午後5時54分 休憩
午後時5分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。前野真実子議員。
○39番(前野真実子)登壇 福岡市民クラブの前野真実子です。会派を代表して、人工芝由来のマイクロプラスチック対策についてと、花粉症の発生源対策の2点の環境問題について質問します。
 まず、人工芝由来のマイクロプラスチック対策についてです。
 マイクロプラスチックとは、直径5ミリ以下のプラスチック粒子またはプラスチック断片を指し、人体への影響が懸念されているため、世界中でマイクロプラスチック削減の取組がされています。我が国においては、ライフスタイルを見直すきっかけとなることを主眼として、2020年よりレジ袋有料化が開始されました。そもそも根本的な発生源対策には、我が国のマイクロプラスチックの元の製品は何だったのかを知る必要があります。しかし、現代の分析化学の技術では、マイクロプラスチックを調べても、無限にある製品の中から元の製品を特定することはまれです。そんな中で幾つか特定されているものがあり、最近注目されているのが人工芝です。色や形に特徴があること、そして、赤外線を利用した分析で、マイクロプラスチックに人工芝がかなり含まれていることが分かってきました。インバウンド需要の大きい福岡市ですが、観光客に人気のスポットの百道浜の浜辺では小さくカラフルなプラスチック破片が散乱しています。エビデンスに基づく効果的な対策で、福岡市から人工芝由来の緑色をしたプラスチックの破片をなくすべく、質問してまいります。
 まずは本市のプラスチック削減のために取り組んできた政策や今後の予定についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) プラスチックごみにつきましては、令和3年8月に策定しました循環のまち・ふくおか推進プランにおいて重点3品目の一つと位置づけており、不要なものを断るリフューズの推進による発生抑制や代替素材の普及促進などの減量施策に取り組んでおります。また、令和4年4月に施行されましたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律におきまして、市町村は分別収集、再商品化に必要な措置を講ずるよう努めることとされていることなどから、現在、プラスチックの分別収集導入に向けて、プラスチック回収モデル事業の実施や収集後のリサイクル体制の構築に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 一般的に廃棄されるプラスチックのうち、環境中に流出するのは日本では1%ほどと言われています。総量を減らすというのは、重要な観点だと思います。
 では、本市では海洋性マイクロプラスチックについてどのような対策を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) マイクロプラスチック対策につきましては、国のプラスチック資源循環戦略におきまして、海洋プラスチック対策としてポイ捨てや不法投棄の撲滅を徹底するとともに、地域の海岸漂着物等の回収処理を進めるとされており、福岡市におきましても、不法投棄対策としての監視パトロールの実施やラブアース・クリーンアップでの海岸や河川の清掃等に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) プラスチックごみを放置した場合、物理的な摩耗や紫外線による劣化によってどんどん小さくなっていき、マイクロプラスチックになると言われています。マイクロプラスチックになってしまうと回収は困難で、大きなごみの段階で拾う、そして、捨てさせないというのは、とても重要だと思います。
 では、実際に本市において、海水、浜辺の漂着物、河川についてマイクロプラスチックの調査を実施したことがありますでしょうか。あれば結果をお尋ねいたします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) マイクロプラスチック調査につきましては、福岡市では行っておりませんが、環境省が令和元年度に博多湾内を含む玄界灘で実施いたしております。調査結果につきましては、1立方メートル当たりのマイクロプラスチックの数は博多湾内で1,338個、博多湾の湾口付近の外海で2,110個であり、外海で多く確認をされました。また、種類別ではプラスチック類、発泡スチロール、糸くず、マイクロビーズの4種類に分類して調査が実施されており、博多湾内、湾口付近の外海ともにプラスチック類が全体の95%以上を占め、最も多く確認されました。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) やはりプラスチックがかなり多いようです。現状のごみを拾う、そして、捨てさせない対策以外に、さらなる対策をしていく必要があるのではないでしょうか。
 その中で、マイクロプラスチックの原因物質として本市で人工芝が確認されたことはあるか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市内で実施されたマイクロプラスチック調査につきましては、先ほどお答えいたしました環境省の調査のみで、プラスチック類、発泡スチロール、糸くず、マイクロビーズの4種類に分類して調査が実施されており、人工芝という分類はございません。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) ここでピリカという民間企業が日本財団海と日本PROJECTの助成金を活用し行った宇美川の調査結果を御紹介します。志免町と博多区の境目付近で河川水1立米当たり1.68ミリグラムの人工芝を検出しており、オープンデータとしてネット上で公表されています。さらに、こちらの会社に問い合わせたところ、宇美川の福岡空港付近の水底では、採取されたマイクロプラスチックの18%が人工芝であるとのことでした。そして、こちらは私が撮ってきた百道浜の浜辺の写真です。(パネル表示)ここは多いところですが、このように人工芝の断片らしきものが浜辺に散らばっています。さらに、福岡市以外の例を御紹介しますと、川崎市環境総合研究所の年報によると、多摩川でも試料中の19%が人工芝であったと報告されています。
 今回、民間企業が調査した宇美川以外にも、本市には室見川、樋井川、那珂川、多々良川、御笠川系の河川があります。これらの河川や浜辺の漂着物、海水のマイクロプラスチックについて予算をつけて市独自で調査することを提案しますが、所見をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) マイクロプラスチックにつきましては、環境省におきまして河川の実態を把握するための調査や生態系への影響に関する調査研究等が行われているところであり、まずはこうした新たな知見や国内外の動向などの収集を行っていきたいと考えております。以上ございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 福岡市は全国市区の人口増加数第1位で、元気なまちであることを売り出しています。しかし、人口が増える中、このようなマイクロプラスチック問題は経済成長の負の部分です。日本もかつて1960年代の高度経済成長期は、成長と引き換えに水俣病やイタイイタイ病など、様々な公害をもたらしました。福岡市も人口増加や新しいビルの建て替えばかりに目を向けるのではなく、経済成長と同時に環境調査にも力を入れていただくようお願いします。
 次に、人工芝の流出に関して、国の取組をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 人工芝の流出に関する国の取組につきましては、環境省におきまして、人工芝を購入、使用する方に向けたリーフレットを作成し、長期間の使用等による劣化や不適切な管理等によってマイクロプラスチックが発生し、海や河川へ流出するため、その適切な管理が重要であることなどの啓発が行われております。また、マイクロプラスチックの発生抑制、流出抑制及び回収に資する日本企業等の取組や技術をグッド・プラクティス集として取りまとめて発信されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 国のほうでも人工芝がマイクロプラスチックの発生源であることを認識し、啓発や対策例の紹介を行っているようです。
 では、本市において、人工芝から出るマイクロプラスチックについて対策は行っているか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 出前講座などにおきまして、人工芝も含めたマイクロプラスチックの海洋生態系への影響などについて伝え、啓発を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 年に何回、何人を対象に人工芝についてどのように伝えたかを具体的にお示しください。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 令和4年度につきましては、プラスチックごみ問題をテーマとした出前講座を27回開催し、939人の方々に受講をしていただきました。出前講座の中では、陸域から発生した人工芝も含めたプラスチックごみが川から海へ流出し、その後、マイクロプラスチックとなり、海洋生態系への多大な影響が懸念されていることなどをお伝えしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 出前講座で使っているスライド資料を見たところ、資料中には人工芝の記載がありません。資料中に記載はできないか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 出前講座の資料につきましては、人工芝などのプラスチックごみの例示も含め、より広く市民の啓発につながるような記載方法について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 幅広い啓発をお願いします。
 次に、具体的な流出防止策についてです。
 まず、限りある財源の中からどこから対策をするべきか、横浜市の試みを御紹介します。人工芝の流出は摩耗した芝の破片が雨水などで側溝に流され、それが海洋や河川に放出されます。放出のされ方は、下水処理場を通る合流式と、そのまま雨水が海洋や河川に放出される分流式に分かれます。横浜市の試みによると、まだ調査中とはされていますが、合流式の場合、多くのマイクロプラスチックが下水処理で取り除かれるとしています。
 そこで、本市の下水の処理についてお尋ねします。合流式と分流式の面積の割合を教えてください。
 
○議長(打越基安) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 令和4年度末時点で、福岡市における下水道処理区域面積のうち、合流式は約15%、分流式は約85%となっております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 事前のヒアリングによると、福岡市の中でも都心部は合流式ということでした。可能性から考えて、分流式のエリアから対策を行うのが効果的と申し添えておきます。
 では、どのような対策が考えられるのか。既存の設備に対してと新設の設備に対して対策を行っている地方自治体の2例を御紹介します。
 まず1例目は、東京都の多摩市で、既存の設備であるテニスコートに対し、近くの側溝に不織布を取り付けたフィルターを設置して効果があったそうです。2例目として、千代田区が管理している総合グラウンドに新しく人工芝の導入をする際、施工業者への発注の段階で流出対策に関する事項を仕様書に明記し、結果として施工前から耐久性の高い人工芝の採用や、施工業者が自前で側溝内に設置するフィルターや飛散防止ネットの設置ができました。こちらの技術は先ほど御答弁いただいたグッド・プラクティス集にも掲載されています。
 以上を踏まえ、質問です。
 まず、多摩市は人工芝のテニスコートを25面保有しているそうですが、本市の公園における人工芝の施設規模についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市が管理する公園におきましては、主にテニスコートにおいて人工芝を使用しており、9公園に75面ございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 75面も人工芝のテニスコートを保有している福岡市なら、なおのこと対策が必要ではないでしょうか。
 しかし、そもそもテニスコートに人工芝を使う必要があるのか、使う理由をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) テニスコートの舗装には一般的に土系、天然芝、人工芝、ハード系などの種類がございます。人工芝を採用する理由につきましては、体への負担が小さい、雨にほとんど影響されない、維持管理が容易であるなどの利点があるためでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 人工芝の必要性を認識いたしました。使い続けるには、やはり対策を講じなければなりません。
 では、本市の新設設備への人工芝対策についてです。
 屋外スポーツ施設の建設指針、人工芝グラウンドにおけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドライン、そして、大阪府内の人工芝施設におけるマイクロプラスチック流出抑制に関するガイドラインにおいて、流出抑制策として排水施設の設置や耐久性の高い人工芝の採用などが提案されていますが、本市での取組の可能性について所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 屋外スポーツ施設の建設指針は、公益財団法人日本スポーツ施設協会が策定しており、福岡市におきましても屋外スポーツ施設を建設する際に参考としております。本指針には、参考資料として、人工芝施設の建設や維持管理において、マイクロプラスチック流出抑制に効果があると考えられる対策が記載されておりますが、既に効果が確認済みのものに加えて、まだ検証半ばのものも含まれていると認識をしております。また、全国の自治体において本指針を参考にする中、大阪府においては、独自に人工芝施設におけるマイクロプラスチックの流出抑制に関するガイドラインを今年3月に策定していることは承知しております。今後とも、テニスコートの改修や維持管理に当たっては、本指針や他都市の事例なども参考に調査研究してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 次に、本市の既存設備への人工芝対策についてです。
 福岡市も多摩市のように側溝に人工芝の捕捉機を取り付けることを提案します。御所見をお聞かせください。
 
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 多摩市においては、テニスコートの人工芝から発生するマイクロプラスチックの発生量調査や、一部のテニスコートにおいて、流出抑制対策として、側溝に不織布などのフィルターを設置する実証実験やボランティアによるフィルターの交換作業を行っていることは承知しております。今後とも、テニスコートの維持管理に当たっては、屋外スポーツ施設の建設指針や他都市の事例なども参考に調査研究してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 最後に、本市のマイクロプラスチック問題に対する姿勢をお尋ねします。
 先ほど御答弁いただいた、現時点で人工芝の記載がない市民向けの出前講座のスライド資料は、すばらしい言葉で締めくくられています。「福岡の未来を守るために、私たちができることを、今日から。あなたが変われば、世界が変わる」。国の動向を待つだけでなく、福岡市から変わる。経済成長に取り組む熱量と同じぐらい環境問題にも取り組んでいただきたいです。
 福岡市が独自で調査し、福岡市に合った対策をしていくことを期待したいと思いますが、御所見をお尋ねし、この質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) マイクロプラスチックの調査につきましては、環境省が作成した令和5年版環境白書におきまして、実態調査に取り組むとされているほか、福岡県におきましてもマイクロプラスチックを含めた河川ごみの実態調査が今年度実施される予定であり、福岡市内の河川も調査対象に含まれていると聞いております。マイクロプラスチック対策につきましては、国や県と連携を図りますとともに、引き続き、不法投棄対策としての監視パトロールや、ラブアース・クリーンアップ等の海洋プラスチック対策に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 続きまして、花粉症の発生源対策についてです。
 今年の福岡における花粉の飛散状況は、福岡県医師会のデータによると過去4年間で最多となっています。花粉症は戦後の国策によって植えられた杉やヒノキによってもたらされ、もはや国民病と言われるほどです。関係学会によると、有病率は国民の4割を超えると言われています。その経済損失は日本全体で1兆円弱に達すると言われています。今は、福利厚生で花粉症手当を出す会社や、花粉の少ない沖縄への旅行パッケージで、粉を避けると書いて避粉旅行というものまである時代です。
 幸いにも福岡市は海に面しているため、花粉は山側からしか来ないという恵まれた地形をしております。それを生かしつつ、しっかりと花粉症対策をすることで、花粉症ゼロシティを打ち出すことは福岡市のブランディングにもなります。言うまでもなく、花粉は市や県をまたいでやってくるので、国や県に任せがちな問題ですが、花粉は無風の場合、毎秒二、三センチで落ちていき、風があっても飛ぶ距離はおよそ数十キロと言われているため、市内での取組でかなり軽減できるはずです。市長もテレビやラジオで花粉症については積極的に言及しておられ、本市でもFukuoka Green NEXTに取り組んでいるところです。花粉症対策は様々考えられますが、今回は発生源対策として、森林の現状や福岡市産の木材、いわゆる市産材の利用拡大について、そして、農林業総合計画の推進体制の3つについて質問してまいります。
 まず初めに、Fukuoka Green NEXTとは何でしょうか。Fukuoka Green NEXTの農林業総合計画における位置づけについてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) Fukuoka Green NEXTは福岡市総合計画の部門別計画であります福岡市農林業総合計画に掲げております100年後に向けた森の将来像の実現に向け、幅広い施策について長期的な方向性を取りまとめたものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) Fukuoka Green NEXTというのが農林業総合計画に基づいたものであると理解しました。
 本市の森林の現状把握のため、本市の森林面積をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市の森林面積は約1万1,000ヘクタールでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) そのうち、本市の花粉症の発生源である杉、ヒノキ人工林の面積をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 杉が約2,300ヘクタール、ヒノキが約2,600ヘクタール、合わせて約4,900ヘクタールでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 福岡市の実に3分の1を森林が占め、その約半分を花粉症発生源である杉、ヒノキが占めているのが現状です。
 次に、この4,900ヘクタールの杉、ヒノキを今後どのようにしていくのか、本市の杉、ヒノキ人工林における花粉症発生源対策の方針をお答えください。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 農林業総合計画におきまして、杉、ヒノキ人工林の伐採、利用を進め、広葉樹への植え替えを図ることで花粉症発生源対策を促進することとしております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 広葉樹への植え替えを実施されているとのことですが、樹種をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 杉、ヒノキの人工林におきまして、毎年、クヌギやヤマザクラ、イロハモミジなどの広葉樹に植え替えを行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 確実に杉・ヒノキ花粉は少なくなる上、広葉樹林化することで生物多様性にも貢献すると考えられます。この点、評価いたします。
 次は国の取組について質問です。
 国は今年に入り、4月3日の国会で岸田総理が花粉症は社会問題だと発言し、取組を行っているようです。国の花粉症発生源対策の方針をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 国は花粉症対策の全体像におきまして、10年後に杉人工林を約2割減少させ、約30年後には杉花粉発生量の半減を目指すという方針を示されております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) この数値目標に対して、再び福岡市の状況を伺います。
 本市の杉、ヒノキ人工林を10年後までに2割削減するとすれば、何ヘクタールの伐採が必要か、お答えください。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市におきます杉、ヒノキ人工林を2割削減する場合、約980ヘクタールの伐採が必要となります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 10年間で980ヘクタールを伐採するということは、年間約98ヘクタール杉、ヒノキを伐採する必要があるわけです。
 では、福岡市内の杉及びヒノキの主伐面積について、過去5年間の実績をお尋ねします。また、5年間に主伐された合計面積をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 杉につきましては、平成30年度は約2.7ヘクタール、令和元年度は約18.1ヘクタール、2年度は約4.8ヘクタール、3年度は約10.1ヘクタール、4年度は約14.6ヘクタール、ヒノキにつきましては、平成30年度は約0.9ヘクタール、令和元年度は約2.5ヘクタール、2年度は約4.2ヘクタール、3年度は約6.6ヘクタール、4年度は約4.1ヘクタールの主伐を行っておりまして、この5年間で杉、ヒノキを合わせまして約68.5ヘクタールの主伐を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 国の目標を達成するためには、年間98ヘクタールの伐採が必要となりますが、本市の現状は年平均14ヘクタールです。国の目標には遠く及びません。目標達成には単純計算して約7倍のスピードで取り組む必要があり、今までのスピードだと2割削減でさえ70年かかってしまいます。現状のスピードでは遅過ぎます。杉やヒノキの伐採を進めるためには様々な取組があるでしょうが、出口戦略として木材の利用を拡大していくことが最も重要だと考えられます。
 そこでまず、市内で取った木材がどのように使われているのか、現状の確認をいたします。
市産材の利用方針及び令和5年度の取組についてお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市内の公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針に基づきまして、市産材をはじめとした地域産材による公共施設の内装の木質化や木造化を推進することとしております。令和5年度の取組といたしましては、世界水泳選手権福岡大会におきまして、マリンメッセ福岡及び県立総合プールの選手入場ゲートを市産材で製作したところでございます。また、令和4年度に引き続き、区役所の窓口カウンターや学校の教室、公民館のロビーや床などで市産材を活用する計画としております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 公共施設木質化の取組をされていることが分かりました。
 次に、取組の結果についてですが、公共施設の木質化等における市産材の利用量について、過去3年間の実績を材積量と丸太換算の本数でお答えください。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 日本農林規格の規定により1本4メートルの丸太に換算いたしますと、令和2年度は0.02立方メートルで約1本、3年度は10.53立方メートルで約132本、4年度は80.12立方メートルで約1,002本を利用しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 順調に市産材の利用が増えており、取組の成果が見られます。
 特に令和4年度に突出して市産材の利用量が増えていますが、理由をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 市産材を入手しやすくすることで、市有施設への活用を一層促進するため、令和4年度に福岡県広域森林組合の協力の下、市有林などで伐採した木をストックし、公共施設の改修時に合わせて速やかに供給する仕組みを構築いたしました。この取組により、一定の市産材を確保し、新設の西都北小学校の壁や床のほか、区役所の総合窓口や受付カウンターなどに活用したことにより、利用量が増加したものでございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 小学校などの公共施設への取組で市産材の利用量が増えており、市産材の建築利用に関しては教育委員会などと協力して行われていることが分かります。
 しかし、公共施設の建築利用だけでは限りがあることから、木造、木質化などの建築利用以外において市産材を活用している事例があればお答えください。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市においては、建築用資材とならない伐採木について、木質バイオマス発電施設の燃料として供給を行っております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 木材利用については、国でも建築材以外にマテリアル利用、そして、エネルギー利用などを推進しています。本市ではエネルギー利用をしているとのことです。木材のエネルギー利用は、化石燃料のように地下深くに固定された炭素を地上に取り出してくるものと比べ、地上のCOを吸収して育った木を使うため、燃焼でCOが出ても差引きゼロのクリーンなエネルギーです。
 そこで、本市でエネルギー利用している市産材の量について令和4年度の実績をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和4年度には約290トンの市産材を木質バイオマス発電施設へ供給しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 今後、花粉症発生源対策として、杉やヒノキを今の7倍のスピードで伐採していくとすれば、その受皿としてエネルギー利用を拡大していくことが鍵になると思います。例えば、唐津に新設されるバイオマス発電所では燃料の8割を海外産に頼らざるを得ない状況で、年間、国産材は1万トンから2万トンの需要があると聞いています。京都郡の苅田バイオマス発電所でも年間6万トンの国産木質チップを必要としています。このようにニーズはあるため、調査を含めて検討をしていただきたいと考えますが、実行するには予算が必要です。
 そこで、地方自治体が森林整備及びその促進に関する事業を幅広く弾力的に実施するための財源である森林環境譲与税について質問です。
 本市の森林環境譲与税について、令和5年度の譲与見込額と、譲与税の充当見込額が大きい事業を順に3つお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和5年度における森林環境譲与税の見込額は約1億9,400万円でございます。また、充当につきましては、油山市民の森等リニューアル事業に約8,300万円、地域産材利用促進事業に約3,500万円、森林経営管理制度推進事業に約3,100万円などを予定しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 令和5年度の森林環境譲与税充当事業の中で一番充当見込額が大きい油山市民の森等リニューアル事業について、具体的には何に使うのか、費用の内訳をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 森林環境譲与税の充当につきましては、木質化に係る工事費として、管理事務所の改修に約5,500万円、園内サインの更新に約2,800万円を予定しております。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) つまり工事費に使うとのことです。Fukuoka Green NEXTのリーディングプロジェクトである油山市民の森リニューアル事業は今年度で完了する予定と聞いています。次のリーディングプロジェクトは何とお考えでしょうか。私は花粉症発生源対策だと考えます。今まで油山市民の森リニューアルに費やしてきた約8,000万円の森林環境譲与税を花粉症発生源対策に活用することで、杉やヒノキの伐採を加速して取り組むことを提案します。
 バイオマス発電所で使う以外にも、木質ペレットを燃料とするペレットストーブの活用も現実的なエネルギー活用として有効です。例えば、市内に約150か所ある公民館にペレットストーブを導入すれば、毎年一定量のペレットの安定的な需要が発生しますので、ペレットを作る施設を市で造ることも考えられます。
 そのために、建築材としての利用はこのまま進めていくとして、森林環境譲与税等を活用して木材のエネルギー利用を進めてはいかがか、御所見を伺います。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 森林資源の有効利用は重要な課題と認識しており、木材のエネルギー利用につきましても、国や他都市の動向なども踏まえ、今後研究してまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 森林環境譲与税というのは、国の動向に頼らず、地方自治体で森林整備について解決できるように設けられたものです。ぜひ本市でも広がりのある使い方ができるよう要望いたします。
 そして最後に、推進体制についてです。
 令和3年度に策定された本市の農林業総合計画については、林業分科会を設け、外部有識者の方から意見をいただきながら策定されたと伺っています。林業分科会はどのような分野の委員で構成されていたのか、お尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 委員の構成につきましては、森林組合関係者や材木を扱う事業者などが4名、学識経験者が2名、国、県の森林関係部署の職員が2名、福岡市議会議員が1名の計9名でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 林業分科会の委員のうち、学識経験者の専門分野をお尋ねします。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 学識経験者の専門分野につきましては、1名が森林政策、林業経済、もう1名が木質材料工学でございます。以上でございます。
 
○議長(打越基安) 前野真実子議員。
○39番(前野真実子) 福岡市農林業振興審議会委員の方々の御専門を調べさせていただきましたが、専門分野に偏りが見られました。そもそも森林や林業関係の方が少ないため、林業分科会を別途設け、審議されたと聞いています。花粉や花粉症の専門家も入るべきではないでしょうか。
 ここまでの質問を踏まえ、花粉症の発生源対策に取り組むに当たっては、花粉症の専門家を加える、それとともに、杉人工林の削減目標を設定する。そして、特に木材利用の拡大については、農林水産局だけに任せるには課題が大きく、各局協力して横断型で取り組む、これをやっていくべきだと思いますが、御所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(打越基安) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 花粉症発生源対策につきましては、様々な分野の専門家の意見を伺うとともに、国の削減目標を踏まえまして、杉等人工林のさらなる主伐について検討してまいります。また、木材利用につきましては、地域産材のさらなる利用促進を図るなど、今後とも、関係局と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(打越基安) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明6日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明6日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後6時46分 散会