令和5年9月4日(月)
令和5年 第5回 福岡市議会定例会
議 事 日 程 (第2号)
9月4日 午前10時開議
第1 一般質問
本日の会議に付した事件
議事日程のとおり
出 席 議 員 (62名)
1番 おばた 英 達 2番 もろくま英 文
3番 淀 川 幸二郎 4番 稲 員 稔 夫
5番 鬼 塚 昌 宏 6番 堤 田 寛
7番 大 森 一 馬 8番 大 原 弥寿男
9番 今 林ひであき 10番 阿 部 真之助
11番 打 越 基 安 12番 堤 健太郎
13番 坂 口よしまさ 14番 新 開 ゆうじ
15番 とみながひろゆき 16番 田 原 香代子
17番 たのかしら知行 18番 石 本 優 子
19番 勝 山 信 吾 20番 調 崇 史
21番 川 上 陽 平 22番 津 田 信太郎
23番 古 川 清 文 24番 高 木 勝 利
25番 篠 原 達 也 26番 平 畑 雅 博
27番 伊 藤 嘉 人 28番 川 上 晋 平
29番 尾 花 康 広 30番 松 野 隆
31番 山 口 剛 司 32番 大 石 修 二
33番 和 田あきひこ 34番 あ べ ひでき
35番 大 沢 めぐみ 36番 木 村てつあき
37番 橋 口 えりな 38番 綿 貫 康 代
39番 前 野 真実子 40番 中 島まさひろ
41番 藤 野 哲 司 42番 新 村 まさる
43番 天 野 こ う 44番 堀 内 徹 夫
45番 森 あやこ 46番 福 田 まもる
47番 はしだ 和 義 48番 浜 崎 太 郎
49番 阿 部 正 剛 50番 倉 元 達 朗
51番 中 山 郁 美 52番 川 口 浩
53番 小 竹 り か 54番 勝 見 美 代
55番 井 上 ま い 56番 ついちはら陽子
57番 田 中 たかし 58番 山 田 ゆみこ
59番 近 藤 里 美 60番 落 石 俊 則
61番 田 中しんすけ 62番 池 田 良 子
欠 席 議 員 (0名)
説明のため出席した者
市 長 島 宗一郎 副 市 長 光 山 裕 朗
副 市 長 中 村 英 一 副 市 長 荒 瀬 泰 子
水道事業管理者 坂 本 秀 和 交通事業管理者 小野田 勝 則
総 務 企 画 局 長 龍 靖 則 財 政 局 長 山 嶋 剛
市 民 局 長 舟 越 伸 一 こども未来局長 野 中 晶
福 祉 局 長 藤 本 広 一 保 健 医 療 局 長 藤 田 三 貴
環 境 局 長 中 村 卓 也 経済観光文化局長 鈴 木 順 也
農 林 水 産 局 長 姉 川 雄 一 住 宅 都 市 局 長 中 村 健 児
道路下水道局長 天 本 俊 明 港 湾 空 港 局 長 竹 廣 喜一郎
消 防 局 長 田 浩 輝 会 計 管 理 者 小 川 明 子
教 育 長 石 橋 正 信 教 育 委 員 町 孝
選挙管理委員会事務局長 内 藤 玲 子 人事委員会事務局長 大 園 喜代香
監 査 事 務 局 長 上 薗 久 美
職務のため出席した事務局職員
議 会 事 務 局 長 曽根田 秀 明 議会事務局次長 八 木 智 昭
議 事 課 長 水 ア 亮 二 議 事 係 長 實 政 伸一郎
外関係職員
午前10時 開議
○議長(打越基安) これより本日の会議を開きます。
日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫)登壇 おはようございます。私は日本共産党市議団を代表して、熱中症対策について、断熱に力を入れた省エネ対策について、コミュニティバスについて質問をいたします。
質問の第1は、熱中症対策についてです。
この夏は、気象庁が1898年の統計開始後最も暑いと発表するなど全国各地で記録的な暑さとなっており、福岡市内でも熱中症になる人が急増しています。熱中症の発症は気温だけでなく、湿度や日差しなども作用するとされています。体内に熱が籠もり、体温調節ができなくなると、頭痛や吐き気、けいれんなどの症状が現れます。重症化すると死に至ることもあり、決して軽く見てはならず、命を守るための対策ができているのか、ただしていきます。
福岡市は、熱中症予防対策に資する効果的な情報発信として、環境省と気象庁が発表する熱中症警戒アラートをホームページに表示して市民に注意を喚起しています。その基準は暑さ指数で、気温のほかに湿度や日射など影響を取り入れた暑さを表す数値です。暑さ指数が31を超えると危険と発表されます。
そこでお尋ねいたしますが、本市のホームページに掲載された熱中症警戒アラートで危険と発表された今年8月の日数について答弁を求めます。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 今年の熱中症警戒アラートの8月の日数につきましては17日となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 熱中症リスクの極めて高い危険という日が8月は17日というふうに言われました。実に3日に1回程度です。まさに命の危険があると警報が頻繁に出されていたわけです。
では、市内で今年5月以降に救急搬送された熱中症の患者は、これまで何人で、そのうち65歳以上の高齢者は何人なのか、また、昨年同日比ではどうなっているのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 田消防局長。
○消防局長(田浩輝) 令和5年5月から8月31日までの熱中症による傷病者の搬送者数につきましては、速報値として755人、そのうち65歳以上が360人となっております。また、全ての熱中症による搬送者について、前年同日である令和4年8月31日現在の数値と比較しますと19人の増となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 市内でこの4か月間に搬送された熱中症の患者は755人で、昨年同日比でプラス19名と急増しています。このままいけば、昨年を大きく上回りそうな状況です。そのうち360人、約半分が65歳以上の高齢者です。市医師会の平田泰彦会長は、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しており、自分でも気づかないうちに脱水症状を起こすおそれがあると注意を呼びかけておられます。
熱中症アラートで危険が連日のように発表され、警戒を呼びかける日が続き、救急搬送も急増している中、福岡市は熱中症予防についてどのような取組を行ってきたのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 福岡市の熱中症予防の取組につきましては、暑さ指数予測情報のホームページへの掲載や防災メール、LINEによる配信のほか、熱中症予防リーフレットなどの啓発物の配布や街頭ビジョンでの動画放映など様々な媒体を活用した啓発を行っております。また、高齢者向けの施策といたしまして、高齢者の見守り活動を行う地域ボランティアの方々に、暑さ指数計を提供するなどの取組を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 注意喚起や情報発信だけされていますが、具体性が足りません。これでは実際に市民の命や健康を守ることができません。そこで、今日は私のほうから具体的な提案を行っていきたい。
1点目の提案は、エアコン使用によって高くなった電気代高騰への支援についてです。
まずお尋ねいたしますが、市内で今年5月以降に搬送された熱中症の患者のうち、一番多かった発生場所とその人数、割合について答弁を求めます。
○議長(打越基安) 田消防局長。
○消防局長(田浩輝) 令和5年5月から8月31日までの速報値において、熱中症で搬送された傷病者が発生した場所で最も多いのは住居となっており、その数は274人で、全ての熱中症による搬送者に占める割合は36.3%でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 36%が住居で熱中症を発症しています。住居の中での熱中症予防については、市は、高齢者には昼夜問わずエアコン等を使用をと呼びかけ、節電を意識し過ぎるあまり、暑さを我慢していると熱中症になる危険性が高くなると啓発しています。しかし、エアコンを使うと電気代が上がるために使用をためらう人が少なくありません。私がお聞きした70代の夫婦は、室温が33度になってからスイッチをつけると言われています。また、エアコンを使っているとチャリンチャリンとお金が落ちていくようだと言われる方もおられました。
お尋ねいたしますが、この異常な暑さの中、電気代を気にしてエアコンを使わないことは命や健康に関わる問題だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 暑さ指数が高い状況で熱中症の予防行動を適切に行っていない場合は、命に関わる可能性があると認識いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 否定はされませんでした。この夏に使った電気代の請求が各家庭に配付され始めています。1年を通して、夏は特に電気代の負担が大きなものとなります。その上、今年の異常な暑さです。しかし、特に低所得世帯にとって、エアコンの使用による電気代の負担は大変大きなものとなっており、市からのエアコン使用の呼びかけぐらいでエアコンのスイッチを入れてはくれません。冷房は命綱、だけど電気代が怖くて使えないと市民は嘆いており、安心してエアコンを使うためには電気代がネックなのです。
そこで、本市が熱中症から市民の命を守るために、この夏の電気代への支援を本市独自で緊急に行うべきではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 暑さ指数が高いときは、命を守るためにエアコン等を適切に使用していただくよう呼びかけを行っているところでございます。なお、電気料金につきましては、国が電力会社に電力・ガス激変緩和事業の補助金を交付しているほか、福岡市では低所得世帯を対象とした緊急支援給付金などの支援を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 市民全体に必要なんですよ。冷たい答弁です。熱中症から命を守るために電気代への支援を強く求めておきます。
次に、2点目の提案です。低所得世帯のエアコン設置助成についてただしてまいります。
熱中症予防のためにエアコンの電気代がかかり過ぎる問題と併せて、もっと深刻なのがエアコンのない世帯がまだたくさん残されているということです。
お尋ねいたしますが、エアコンを設置していない世帯は市内に何件ありますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市としての統計はございませんが、国の統計である平成26年全国消費実態調査によりますと、福岡市の2人以上の世帯におけるルームエアコンの普及率は94.0%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ちょっと古い数を出されましたが、内閣府の2023年度消費動向調査によれば、2人以上世帯のエアコン普及率は92.2%です。また、その内閣府の調査によると、単身世帯の普及率が低く、特に男性高齢者と男性若年者では約2割の人がエアコンなしと回答しています。また、年収300万円以下の世帯では17%がエアコンなしという回答で、これは福岡市でいえば5万4,570世帯、全世帯の約6.6%となります。一方、エアコンの値段は平均で8万4,000円。低所得世帯にとって購入は簡単ではありません。
お尋ねいたしますが、エアコンを未設置の低所得世帯が購入、設置するための助成制度がありますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護制度におきまして、保護開始時や長期入院から新たに居住を始める際に、必要な家具や電化製品がないなど一定の要件に該当する場合に、購入費用を支給することが可能となっており、冷房器具もその中に含まれております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 低所得世帯についてお聞きしましたけれども、生活保護行政にしか制度がないという答弁です。
では、この生活保護利用世帯の中で、今言われた制度ができる前に未設置だった世帯も制度の対象となりますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 平成30年の国の通知により冷房器具が対象に追加されたものであり、平成30年4月1日以降、要件に該当した世帯が対象となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それでは、制度の対象とならない人たちはどうやって最低生活費の中から新たにエアコンを設置すればいいと考えているのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護を受給されている方には、日常生活に必要な冷房器具などの生活用品の費用を含め生活費を支給していることから、家庭訪問などの機会を通して計画的に生活費をやりくりしていただくよう適宜助言を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 生活費の計画的なやりくりをすればと簡単に言われますけど、最低生活費であり、貯金できるような余裕はもともとありませんよ。この猛暑の中ですぐにでもエアコンが必要なのにお金がなく、暑い夏を何度もエアコンなしで過ごすなど命に関わります。
お尋ねいたしますが、保護費、すなわち最低生活費のやりくりではエアコン設置、購入はできないと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 生活保護制度におきましては、日常生活に必要な費用として支給している生活扶助費に冷房器具などの生活用品の購入費用が含まれております。家庭訪問などの機会を通して冷房器具等の購入の意向を確認し、必要に応じて購入に向けた家計管理についての助言などを行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) いや、だから、やりくりではできないんだというふうに言っているんですよ。だから、今、全国で生活保護利用世帯がエアコンの購入、設置をできるようにと、名古屋市や江戸川区、千葉県流山市などで、近年の熱中症の状況から見て、低所得世帯等へのエアコン設置費の支給が行われています。本市の調べでは未設置の保護利用者495世帯とのことですから、全ての未設置世帯にエアコンをつけることは十分に可能です。
お尋ねいたしますが、エアコン未設置の保護利用世帯への購入、設置費の助成を行い、熱中症から身を守る手だてを取るべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 冷房器具の購入につきましては、毎月の保護費のやりくりによって計画的に購入するよう助言しております。なお、緊急に購入する必要があって購入費用がない場合は、福岡県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度を紹介し、その申請手続のサポートなどを行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 貸付けは借金をすることと同じであり、制度を利用することは実際には難しいのが現実なんですよ。495世帯はエアコンがなくて、命の危険にさらされているんです。放置は許されません。
では、エアコン設置を進めるもう一つの方法を提案したいと思います。私がエアコンを設置している世帯の保護利用者に聞いてきたところ、ほとんどが自分で設置したのではなく、大家や住宅管理会社が設置したとのことでした。
そこで、保護利用者の設置が経済的に難しい以上、大家や住宅管理会社が生活保護世帯へのエアコン設置助成制度を本市独自につくって、生活保護世帯の市民の命を守る施策を実施すべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 熱中症の予防は大変重要なものであると認識しております。冷房器具の設置費用を含め、生活保護制度は最低限度の生活を保障するために国において一定の基準を定め、実施されているものでございますので、今後も国の動向を注視してまいりたいと考えております。
また、繰り返しになりますが、生活保護受給者の冷房器具の購入につきましては、訪問の機会などを通して保護費のやりくりによって計画的に購入いただくよう適宜助言を行うとともに、やりくりが難しい場合には、福岡県社会福祉協議会が実施する生活福祉資金貸付制度の紹介や申請手続のサポートを行っているところでございます。今後とも、生活保護受給者の支援にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) やりくりだ、貸付けだといまだに言われる。冷たい答弁です。低所得世帯がエアコンで命の危険にさらされている。放置は許されません。
次に、3点目の提案に移ります。クーリングシェルターについてです。
まず、お尋ねいたしますが、市内で今年5月以降に救急搬送された熱中症の患者の発生場所で、先ほどの住居の次に多い場所はどこで、何人、何パーセントですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 田消防局長。
○消防局長(田浩輝) 令和5年5月から8月31日までの速報値において、熱中症で搬送された傷病者のうち、住居に次いで発生が多い場所につきましては道路となっており、その傷病者の数は169人で、全ての熱中症による搬送者に占める割合は22.4%でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 熱中症搬送者の22.4%が道路での発症です。道路では、アスファルト舗装面はかなり高温となり、直射日光も直接当たり、熱中症の危険がさらに高くなります。
そこで、街角に涼める休憩所があると予防になると思いますが、御所見を伺います。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) まちなかに市民が気軽に涼める場があると熱中症の予防に一定の効果があると認識いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) とても大事なことです。そこで、今年、熱中症による重大な健康被害が生じるのを防ぐため、気候変動適応法が改正され、クーリングシェルターの確保が位置づけられました。どういうものですか、説明を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) クーリングシェルターにつきましては、令和5年5月に公布され、1年以内に施行される改正気候変動適応法におきまして、新たに設置されます熱中症特別警戒情報が発表された場合に、住民などに開放する冷房設備を有する指定暑熱避難施設のことでございまして、市町村が指定できることとされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) クーリングシェルターは、極端な高温で健康に重大な危険が迫ると予測される場合、来年度からは市町村がシェルターを開放して住民が利用できるようにする施設です。埼玉県熊谷市では、市役所などの市有施設以外に民間施設も指定できるようにして、対応をこの夏から急いで行っています。東京都墨田区では、6月から薬剤師会の協力により、31薬局がクーリングシェルターとして利用できるひと涼みスポット薬局として登録し、活動を開始しています。
お尋ねいたしますが、本市ではこの夏、どこでクーリングシェルターを設置しているのですか、具体的にお答えください。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 改正気候変動適応法につきましては、公布から1年以内の政令で定める日に施行となっており、令和6年春頃の予定でございます。したがいまして、現時点におきましては、クーリングシェルターに位置づけた施設はございません。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) なぜ本市ではやっていないのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) クーリングシェルターの設置につきましては、改正気候変動適応法の令和6年春の施行に合わせ、開設に向けた検討を行うことといたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) この異常な今年の夏の暑さの中、他都市では様々な取組が行われたにもかかわらず、本市では何もやっていない。この問題に対する危機感のなさが露呈しています。さらに9月も猛暑は続くと気象庁は注意を呼びかけています。今からでもできる熱中症対策を速やかに行うべきです。
お尋ねいたしますが、本市でも市民センターや公民館、図書館などの公共施設をクーリングシェルターとして位置づけて、使用されていない施設や部屋を市民に開放するべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 現在も熱中症になるリスクが高いときには不要不急の外出を控えることや、暑さを避け、涼しい場所、施設を利用することなどにつきまして、啓発チラシなどを活用して呼びかけを行っているところでございます。クーリングシェルターにつきましては、来年春の改正法施行に向け、一般の方が利用しやすい公共施設等の指定について今後検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ここでもやらないと言われます。これまで熱中症について聞いてきました。アラートが連日出されている、救急搬送が昨年を大きく上回っている、そういう中、電気代を気にしてエアコンの利用を我慢している人がいます。しかし、電気代支援もしない、エアコン設置費用の助成はやらない、クーリングシェルターもやっていない。結局、注意喚起と情報発信しかやっていないじゃありませんか。国連のグテーレス事務総長は、地球沸騰化の時代と世界に警告しました。厳しい気候が続くことを前提に、熱中症への対応は待ったなしの状態です。適切な予防と対処が実施されれば、熱中症による死亡や重症化は防ぐことが可能です。
したがって、本市として熱中症対策を庁内の連携の中で一体的に進めるとともに、市民に対しては啓発で終わりとせず、具体的に電気代の支援、エアコン設置の助成、そして、クーリングシェルターの位置づけなどを急いで検討すべきだと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、地球温暖化の影響によりまして、熱中症患者の増加が懸念をされていると認識しております。福岡市では、市民の熱中症による健康被害を防止することを目的として、暑さ指数の情報発信や、また、予防行動の啓発などの熱中症対策に取り組んでおります。引き続き、熱中症予防のための効果的な啓発を行いますとともに、クーリングシェルターの開設に向けた検討を進めるなど全庁で熱中症対策に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 市民の命を守る市政を強く求めておきます。
次に、断熱に力を入れた省エネ対策についてただしてまいります。
今、私たちに求められているエネルギー政策は、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーに置き換えることです。しかし、これだけでは本市が定めたカーボンニュートラルの目標年次2040年度には間に合いません。そこで、再エネへの転換と合わせて、使うエネルギー量を減らすことが求められています。日本のエネルギー消費のうち、その3分の1は建築物です。新築だけでなく、既存住宅にもエネルギー消費の削減が求められます。しかし、これまでただしてきたように、暑い部屋で電気を使わない生活では命に関わる問題となります。そこで、今、重要な課題となってきているのが断熱です。建築物の断熱性能を上げることで、エネルギー削減となります。電気を使うのを止めるのではなく、電気をたくさん使わないで効果の出る快適な建築物にしていくということです。今日は、子どもたちが生活する学校の断熱についてただしてまいります。
まず、エアコンは何度で設定して、実際教室の温度は何度なのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が定める学校環境衛生基準においては、教室の温度は18度以上28度以下であることが望ましいものとされております。各教室のエアコンの設定温度は、教室の位置や時間などにより条件が異なることから学校長の判断で柔軟に調整することとしておりまして、実際の教室の温度につきましては、各教室の状況に応じて適切に設定されているものと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 設定は学校任せ、そして、教室の温度は計測していないという驚くべき答弁です。
学校環境衛生基準では、17度以上28度以下が基準とされています。そして、学校保健安全法第6条では、学校設置者は学校の適切な環境の維持に努めなければならないと定めています。これを満たしているのかどうか分からないという今の教育長の答弁は、本市は学校保健安全法第6条違反をしているのではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校保健安全法第6条第2項において、学校の設置者は学校環境衛生基準に照らして適切な環境の維持に努めなければならないと規定されております。同項の規定を踏まえ、各学校に対して、教室の温度など学校が点検すべき項目を示し、日常的に点検を行うように通知いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) ごまかされましたが、室温を測っていない、法違反を犯しています。我が党が2001年以来、毎年要求し、市民の運動も大きく広がる中、現在、全ての小中学校の普通教室、特別教室にエアコンがつきました。しかし、私はこの夏休みに校長先生たちと何校か見て回る中で、冷房が効かないという声をたくさん耳にしました。本市の学校の造り方には特徴があります。右利きを基準にして、電気がなくても光が取り入れられるように教室は南側に窓があります。熱い太陽の日差しを窓ガラスから受け入れる断熱ができていない教室だから、エアコンを使いっ放しでも涼しくならないのです。
お尋ねいたしますが、これは教室に断熱性能が備わっていないということだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 冷房効果は、校舎配置や窓ガラスの熱伝導または教室の換気などの複合的な要因で変化いたしますが、学校施設の断熱につきましては、平成29年3月に改定されました福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に断熱材の導入が明記されたために、指針に基づいて整備いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 新しいところだけやっているという話ですね。いろいろ言われますが、断熱性能のない教室でエアコンをフル回転させても涼しくならないという声が市内でたくさん上がっているんですよ。
建築環境工学の東京大学の前真之准教授によると、日射の影響を受けやすい最上階の教室や窓際では、夏場にエアコンを入れても室温が35度近くになる例が各地で見られるので、断熱効果を高める改修工事によって冷房の効果を高め、室内を快適に保つことが求められていると言われています。岡山や宮城、長野をはじめ、全国で断熱改修がどんどん進められています。どこでも天井板を取り外し、天井裏に断熱材を敷き、窓の下部の壁にも断熱材を増設しています。そして、窓は二重窓にする。こうやってやれば、電気使用量を6割から7割に削減できたというデータが仙台市の小学校の教室で出ています。
他都市の例に倣って教室の断熱改修をするべきではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 他都市ではモデル的に断熱改修に取り組んでおられると聞いておりますが、本市の学校施設につきましては、福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に基づきまして、長寿命化改修等の機会を捉え、着実に整備、改修に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 着実になど言われますが、教育長は全く断熱を本気で進める気がありません。大体エアコンと断熱はセットでないと意味がないようなことを、体育館のエアコン設置を市民や我が党が求めたときに、できない言い訳としてあなたは言っていたじゃないですか。今、国土交通省は建築物省エネ法を改正し、2024年4月から大規模な省エネを推進しようとしています。
その省エネ基準を満たしている市内の学校は何校あるのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 2024年4月改正の省エネ基準を既に満たしている学校は4校でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 4校だけだと。それ以外の学校218校は、どのような計画で、いつまでに新しい省エネ基準を満たしていこうと考えているのか、御所見をお伺いします。
○議長(打越基安) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律は新築等が対象となりますが、既存の学校につきましては、福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に基づき、長寿命化改修等の機会を捉え、着実に整備、改修を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) それじゃいつまでもできないじゃないですか。新築や改築などのときしか断熱改修などの省エネ化は着手しないというふうに言われました。結局、他都市に倣うこともない、国の基準も知ったことっちゃないというのが教育長の態度です。
お尋ねいたしますが、このような省エネやる気なしの構えで、国より10年早く、2040年度カーボンニュートラルを目指す本市の計画は実現できないのではないかと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村環境局長。
○環境局長(中村卓也) 2040年度の温室効果ガス排出量実質ゼロに向けましては、まず市役所が率先して取組を推進していくことが重要であり、市役所自身の計画であります福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画を定め、エネルギー使用に係る二酸化炭素排出量について、2030年度までに70%削減という目標を掲げております。この目標を達成するため、本実行計画や福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に基づき、ZEB化や高効率機器の導入による省エネ化の推進、再生可能エネルギーの利用拡大などに全庁一丸となって取り組んでいるところでございます。こうした取組によりまして、2022年度の市役所からのエネルギー使用に係る二酸化炭素排出量は、基準年度である2013年度比で56%減となる10.7万トンとなっております。こうした市の取組や効果を広く発信し、市民や事業者と連携しながら、温室効果ガスの排出削減に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) いろいろ言われますけどね、そのとおりやっても間に合わないんですよと私は言っているんですよ。新築、改築のときしかやらないと言っているんだから。
ここまで学校施設の断熱についてただしてまいりました。断熱をすればエアコンなどの効き目が上がり、消費エネルギーを抑えられます。熱中症の予防となります。学校の断熱施工は大企業ではなく地場中小企業なので経済波及効果が期待できます。学校という場所での断熱改修は、多くの人に断熱の大事さを体感してもらい発信する力になります。また、学校の次は公共施設にも断熱改修を広げていくことにより、市民や事業者がこの効果を実証することになります。その中で、市としてワークショップをやり、市民啓発も進めるならば相乗効果を生み出し、多くの子どもたち、市民、事業者が省エネの実践活動を体験します。さらに民間住宅への断熱改修が波及すれば、大きな産業の創出となります。いいことずくめではありませんか。
したがって、2040年度カーボンニュートラルを本気で実現するためには、学校の教室をはじめとして全ての市有施設の断熱化に今すぐ取り組むべきではないかと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 脱炭素社会の実現に向けては、まず市役所自らが先頭に立って市民に範を示す必要があることから、省エネルギー化の推進や太陽光発電の導入をはじめ、温室効果ガス排出削減につながる様々な取組を全庁挙げて推進をしてきているところでございます。温室効果ガスの排出削減のためには、こうした市役所の取組に加え、市民や事業者の皆様による取組も不可欠であることから、脱炭素型のライフスタイル、ビジネススタイルへの転換をしっかりと後押しするとともに、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化をより一層推進するなど、市民、事業者と一体となった取組によりまして脱炭素社会の実現を目指してまいります。以上です。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 断熱改修を急ぐことを強く求めておきます。
次に、コミュニティバスについてです。
南区の桧原や老司、弥永などの南西部では鉄軌道がなく、公共交通は専ら西鉄などの民間交通事業者に任されています。西鉄は那珂川、柏原、桧原の各営業所などから西鉄大橋駅や清水町を経由して市中心部に向かうバス路線を走らせていますが、近年、バスの減便が相次いでおり、それへの市の対応についてお伺いしていきます。
お尋ねいたしますが、南区市民の公共交通における移動手段のほとんどが西鉄に頼らざるを得ない中、西鉄がバスを減便している事態についてどのように認識されているのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 郊外部における人口減少やバス乗務員の不足に加えまして、利用者数もコロナ禍前の状態には回復しておらず、路線バスの維持につきましては、交通事業者とも重要な課題として共有しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) あまり市民のことを深刻にはお考えでない答弁です。南区南西部は古い新興住宅が多く、不動産会社の開発した団地がつながるようにしてまちが構成されており、そこを縫うようにして路線バスが市民の足となってきています。そのバスが減便され、住民の移動が不便になっています。例えば、南区長住からはリニューアルした南市民センターに走っている区2というバスがあります。2021年度までは、平日は1日6本、土日は各8本と走っていたものが、今は土日は一本も走っていません。また、国道385号線にある南区向新町の那珂川病院バス停では、2010年に上下線580便のバスが運行されていましたが、2023年のダイヤ改正からは410本となり、1日170本のバスが減便しています。
お尋ねいたしますが、西鉄はなぜ減便や路線廃止を行ってきていると認識されていますか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) バス利用者の大幅な減少に加えまして、従前から課題となっておりますバス乗務員の確保など、バス事業を取り巻く環境を踏まえたものと伺っておりますが、あわせて、利用状況等を踏まえ、再編、効率化を図りながら極力路線の維持を図っていきたいと聞いております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 利用者減少、バス運転手不足と言われます。
では、本市として西鉄が減便することはやむを得ないことだと考えているのですか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) バス交通につきましては、市民生活にとって重要な公共交通であり、地域の御利用によって支えられていることから、地域、交通事業者、行政が共働して取り組み、公共交通ネットワーク維持に努めていく必要があると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 事情はごもっとも的に減便を擁護する答弁は、市民の交通権に責任を持たないものであり、認められません。そもそも市民の足を確保すべきは利用者減少地域でもあり、民間企業がその路線で利益を上げるということが矛盾するわけです。そういう地域でもバスを走らせるのが交通事業者の責務です。
お尋ねいたしますが、利益が上がらなければ撤退する民間任せでは市民の交通権は確保できないのではありませんか。また、行政が責任を持ってバス運行をしなければならないのではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 生活交通の確保に当たっては、生活交通条例に基づき、福岡市による公助、市民及び市民団体による共助及び自助並びに公共交通事業者の努力で補い合っており、引き続き、地域及び交通事業者と共働し、生活交通の確保に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 公助、共助、自助、そして努力でやっていくというふうに言われますが、その中で、あなた方が言われているオンデマンド交通の社会実験もその中の1つに入りますね。
お尋ねいたしますが、南区におけるオンデマンド交通で1日当たり平均利用者は何人なのか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) エリア2、南区における令和5年7月の利用者数は1日当たり平均9人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 1日9人、社会実験開始から8か月でいまだに1桁です。
オンデマンド交通は役に立っていないのではありませんか、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) オンデマンド交通につきましては、地域の生活交通の足を確保する上での社会実験でございます。これから乗客の増も図ってまいるところでございますので、非常に期待をしているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 結局、地域自治体などに負担を負わせた上で民間任せのやり方では、だんだんと市内での市民の足が確保できなくなってきていることをあなたの答弁で証明しました。もちろん、人口減少、高齢化によって利用者が減っていくのはある程度避けられない事態でもあります。しかし、交通事業者が撤退したら市民の生活は成り立たなくなるのです。大体あなた方は民間任せにしている背景に、交通対策になるべくお金をかけないという姿勢がありますね。
そこで私は、福岡都市圏のコミュニティバスの運行経費について調査しました。例えば、太宰府市のコミュニティバス、経費は2022年度決算で1億4,458万円余です。車両13台で運行は11路線、年間54万人の利用者です。同様に年間の経費だけを2022年度決算額で見ていけば、春日市では9,019万円余、大野城市では8,503万円余、那珂川市では7,264万円余などと、年間1億円前後でコミュニティバスを運行しています。本市においては、今年2月に早良区南部のコミュニティバス導入を求める住民からの請願の審査も行われています。
そこでお尋ねいたしますが、それらの都市圏の自治体と同程度の面積と人口である南区南西部でコミュニティバスを運行するとしたら、年間1億から1億5,000万円ぐらいの予算で可能かと思いますが、答弁を求めます。また、市内でコミュニティバスが求められている数か所に対応するとしても、数億円ぐらいの予算で市民の足を確保することが可能だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 議員お尋ねの2つの試算とも、運行する区域や便数、時間帯や車両の種類などのほか、既存路線バスの状況等によっても異なりますので、運行の可否を判断することは難しいと考えます。なお、生活交通条例に基づく取組として早良区南部地域では2系統の代替交通を確保し、地域等との協議により集落内に停留所を設置する乗合タクシーに運行内容を見直すなど、地域の実情に応じた生活交通の確保に取り組んでおります。また、令和4年度より生活交通の確保に向けた取組の一つとして、市内3エリアでオンデマンド交通社会実験を実施しているところでございます。引き続き、地域や交通事業者と共働した取組を進めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 判断できない、やる気がないということですよ。そして、オンデマンドについては言われるけど、どこも成功していないじゃないですか。予算規模の小さな周辺自治体が頑張って市民の交通権を守っているんです。
それに倣って、本市が直接財政負担してでもコミュニティバスを走らせるべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、バス路線の休廃止に伴い公共交通空白地となる地域については、生活交通条例に基づきまして、休廃止対策として市が直接運行委託をするのではなく、交通事業者に補助を行うことで代替交通を確保しているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) いろいろ言われるけど、採算性だけを考えるからあなた方のような発想になるわけです。交通政策が間違っています。全国でコミュニティバスを運行しているところでは、最初は採算性を重視してきたところが多かったわけですが、それよりも大事なことがあると位置づけを変えてきています。クロスセクターベネフィットという考え方です。これは、ある部門で取られた出費行動が他の部門に利益や節約をもたらすという考えです。名古屋市は、実施している敬老パスの効果を検証するために高齢者の交通行動の実態把握等調査を行いました。その中で、敬老パス利用者は敬老パス未利用者と比べて、買物、食事は約1.5倍であるという結果が出ています。つまり、公共交通を使ってまちに市民が出ることは、経済に貢献していることを証明しているわけです。
お尋ねいたしますが、クロスセクターベネフィットの考え方から公共交通を見てみると、自由な移動は商業や観光などの活性化になると思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 鈴木経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(鈴木順也) 移動には目的や消費行動を伴うものかなど様々な要素があり、一概には申し上げられませんが、その移動が観光目的である、または消費行動を伴うものであるとなれば、本市の商業や観光の活性化に一定の寄与をし得るものと考えます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 自由な移動は社会全体の利益につながっていくわけです。クロスセクターベネフィットの考え方からもう一つお尋ねいたします。
高齢者は自宅中心の生活となると足腰が弱くなり、また、認知症のリスクが増え、結果として医療費が増えることにもつながります。高齢者の外出の機会を増やすことは市民の健康増進に役立つ施策です。
お尋ねいたしますが、住民に交通権を保障し、高齢者や障がい者が気軽に外出できるようにすれば、それが健康増進につながり、自治体の負担する医療費負担も少なくなると思いますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 高齢者や障がい者が気軽に外出し、体を動かす機会が増えることは、健康増進や介護予防につながる一つの要素になるものとは認識をいたしております。医療費につきましては、仮に健康が増進し、高齢者等の病院受診が減少することになった場合には、負担の減少が期待できるものと考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 寝たきりになりにくい健康な高齢者のまちとなれば、介護保険料の負担を抑えることにもなります。経済効果が波及するのであれば、また、健康増進のためになるのであれば、運賃収入で採算が取れなくても赤字ではなく、社会全体では大きな利益となります。この考え方がクロスセクターベネフィットです。しかし、本市の交通政策は民間交通事業者任せであり、企業は採算性を最重視し、路線ごとに赤字となれば、南区で言えば弥永、老司、桧原方面のように減便を進めてきます。一方、減便や交通不便地に関わる市民は生活のために公共交通を求めています。
この矛盾の解決のためには、本市がクロスセクターベネフィットの考え方で、市独自の財源でコミュニティバスを運行すべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、バス路線の休廃止に伴い公共交通空白地となる地域において、市が補助を行い、代替交通確保を行う休廃止対策を実施しております。また、高齢化の進展等に伴い、公共交通不便地等における地域ニーズと交通手段をマッチングさせるなど、持続可能な生活交通の仕組みづくりに取り組む必要があると考えており、令和4年度より市内3エリアでオンデマンド交通社会実験を実施しているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 堀内徹夫議員。
○44番(堀内徹夫) 私はその採算性重視のやり方ではなしに、クロスセクターベネフィットの考え方を取り入れてくれというふうに申し入れているんです。検討もしないということですね。これは南区だけの問題ではなく、市全体に起きている課題です。その市民の悩みを金がないと放置していては、市民の交通権の保障はできません。今日はコミュニティバスについて、民間任せではもう難しく、市として運行しましょうよとただしてきました。今、各地の取組の中で、採算性から公共交通を見るという概念をクロスセクターベネフィットという考え方で乗り越えようとしています。そこに希望があります。
そこで、最後に市長にお尋ねいたしますが、クロスセクターベネフィットの考え方で市民の交通権を確保するためにも、本市がコミュニティバスを求められる地域に市独自に走らせるべきではないかと思いますが、市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においても、今後高齢者が増加をしていく中、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、買物をはじめ、日々の生活を支える基盤づくりが重要になってくると考えております。このため、生活交通確保の取組の一つとして、公共交通不便地等においてオンデマンド交通を活用した社会実験に取り組んでおり、まずは地域や交通事業者などとともにこの取組を着実に進めているところでございます。今後とも、生活交通条例に基づき、休廃止対策などに取り組むとともに、社会実験で得られる課題なども踏まえながら、持続可能な生活交通の確保に取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、高齢者、障がい者の交通費助成について、保護者や保育士等の負担軽減について、市営住宅の管理運営と車椅子使用者向け住戸の拡充について、以上3問質問いたします。
初めに、高齢者、障がい者の交通費助成について質問をしてまいります。
本市では、高齢者の社会参加を促進するために交通費の一部を助成する高齢者乗車券を交付しております。
そこで、高齢者乗車券の概要と事業の目的についてお伺いをいたします。
以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券交付事業につきましては、高齢者の社会参加を促進し、福祉の増進を図ることを目的として、公共交通機関の乗車料金の一部を助成する事業でございます。満70歳以上で福岡市介護保険料所得段階が1から7の方を対象に、交通用福祉ICカードやタクシー助成券など7種類の中から1種類を選択していただき、交付しております。交付額は、申請時期と所得段階に応じて年額1万2,000円または8,000円を上限としております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 高齢者乗車券のうちタクシー助成券とはどのようなものか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) タクシー助成券は、タクシー乗車時に初乗り運賃の一部を助成するものであり、1回の乗車につき1枚500円分が利用いただけます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 1乗車につき1枚の利用に制限をしているようですが、なぜ1乗車につき複数枚利用できないのか、また、高齢者が2人で乗車した場合、それぞれ利用できるのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券交付事業は、高齢者の社会参加を促進するための事業であり、できるだけ多く外出の機会を持っていただけるよう初乗り運賃の一部として1回500円の助成を行っております。2人で乗車した場合も同様の取扱いとしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 社会参加の促進を目的としていることから、できるだけ多く外出の機会を持っていただけるように1乗車につき1枚利用としているとのことです。また、2人で乗車した場合もどちらかのタクシー助成券1枚しか使用できないとの答弁でした。
それでは、タクシー助成券は実際にどれくらい使用されているのかが重要な目安になると思います。
そこで、高齢者乗車券のタクシー助成券の使用率と交付人数の直近5年間の推移をお示しください。あわせて、その使用率と交付人数の推移を見たときの本市の見解をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) タクシー助成券の使用率と交付人数の推移につきましては、平成30年度が72.0%で3万437人、令和元年度が70.4%で3万2,617人、2年度が57.7%で3万5,650人、3年度が62.5%で3万8,154人、4年度が63.2%で3万7,814人となっております。使用率につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による外出控えにより低下したものの、徐々に回復しつつあるものと認識しております。また、交付人数につきましては、感染症流行下において密を避けるため、タクシー助成券を選択した方が増加したのではないかと推測しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) コロナ禍で使用率は低下したようですが、徐々に回復傾向にあるようです。令和4年度の使用率は63.2%、交付人数は3万7,814人となっております。引き算をしますと36.8%が使用されていないということになります。また、予算がどれくらい執行されているのかを見たいと思います。
そこで、高齢者乗車券交付事業の直近5年間の予算額と決算額をお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券交付事業の予算額と決算額につきましては、平成30年度は予算額15億2,200万円余に対し決算額14億7,400万円余、令和元年度は16億1,700万円余に対し15億4,800万円余、2年度は17億2,600万円余に対し18億3,500万円余、3年度は19億3,200万円余に対し17億2,000万円余、4年度は予算額19億4,600万円余に対し、決算見込額でございますが、16億5,000万円余となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和4年度の予算額が19億4,600万円余に対して決算見込額が16億5,000万円余、約3億円執行されておりません。また、未使用率が36.8%となっておりますが、事業開始から今日までタクシー助成券の利用者数や1人当たりの利用回数など、この事業の検証を行っているのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) タクシー助成券につきましては、実際の利用者数などを正確に把握することは難しい状況がございますが、タクシー助成券の交付を受けた方の数で申し上げますと、令和4年度は3万7,814人、全体の使用枚数は約52万4,000枚であり、1人当たりの平均利用回数は14回程度となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 1人当たりの平均利用回数は推計で14回程度とのことです。
そこで、仮に年間の交付枚数が上限1万2,000円分の24枚と考えると、10枚程度が使用されずに利用者の手元に残っているということになります。冒頭の答弁であった社会参加の促進を目的として、できるだけ多く外出の機会を持っていただくためとの趣旨に沿うと、十分に目的が果たされているのか、甚だ疑問でございます。使用されていない10枚を使って、1乗車につき2枚利用のほうに回すことも十分に考えられますし、その結果、外出の機会が減少するとは考えにくいと思います。また、実際の利用者等を正確に把握するのは難しいとの答弁でしたが、予算額19億円を超える大きなこの事業で、今後も高齢化に伴い事業費が増加することを考えますと、本市でこの事業の詳しい分析や検証が今までされていなかったことに驚きを感じるところでございます。
では、タクシー助成券の利用者からはどのような要望が上がっているのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) タクシー助成券の利用者からは、タクシー助成券があって外出の機会が増えた、ICカードでタクシーを利用できるようにしてほしい、1回の乗車で複数枚利用したいなどの声を聞いております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 実際に利用されている方々からの御要望に、複数枚利用したいとの声もあるようです。また、私たち公明党市議団にも、複数枚利用できるようにしてほしい、また、利用額を増額してほしいなどの声を多数いただいております。
そこで、1枚500円の回数乗車券にしておりますが、いつから500円なのか、また、その理由についてお伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) タクシー助成券につきましては、平成27年度に導入した際、タクシーの初乗り運賃の一部として500円を助成することとしたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 今から8年前の平成27年度に導入され、タクシーの初乗り運賃の一部を助成するために500円を助成しているとのことです。
九州運輸局は、福岡Aブロックにおけるタクシーの運賃改定した新公定幅運賃を本年6月26日付で公示いたしました。
そこで、改定初乗り運賃の上限運賃と下限運賃をそれぞれお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和5年6月26日付の九州運輸局の公示によりますと、普通車の改定初乗り運賃は、新公定幅運賃による場合は上限が830円、下限が770円、初乗り距離の短縮制度を適用した場合は670円となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 新公定幅運賃による普通車の初乗り運賃の上限運賃が830円、下限運賃が770円、短縮制度を適用した場合の初乗り運賃は670円とのことです。
次に、九州運輸局が発行した令和4年度版の九州運輸要覧において、福岡交通圏のタクシー1乗車当たりの実車キロ数についてお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 令和4年度版の九州運輸要覧におきましては、福岡交通圏のタクシー1乗車1回当たりの実車キロ数は3.3キロメートルと記載されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 今お示しいただいたように、1乗車当たり3.3キロメートルになっております。
そこで、新改定運賃を基に1乗車当たりの支払い上限額と下限額、短縮制度を適用した額はそれぞれ幾らになるのか、お示しをください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 九州運輸局公示の改定初乗り運賃と令和4年度版の九州運輸要覧に記載されている実車キロ数により1乗車当たりの額を算出しますと、新公定幅運賃を適用した場合は、上限が1,300円程度、下限が1,200円程度、また、初乗り距離の短縮制度を適用した場合は1,300円程度と積算されます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) お示しいただいたように、支払いの上限額が1,300円程度、下限額が1,200円程度、短縮制度適用額で計算すると1,300円程度との答弁でございます。いずれも回数乗車券2回分に当たる1,000円を超しております。
それぞれお示ししたことを整理いたしますと、1つ、複数枚利用したいとの実際に利用している人からの声がございます。
2つ、初乗り運賃相当とした1乗車500円の回数乗車券ですが、改定された現在の初乗り運賃は短縮の初乗りで670円、新公定幅初乗り運賃では770円から830円と500円回数券の1.3倍から1.6倍となっていること。
3つ、1乗車1回当たりの支払い額が1,200円から1,300円になっていること。
4つ、タクシー助成券の未使用率が36.8%であること。
5つ、1人当たりの平均利用回数は14回程度で手元に使用されなかった10回分の乗車券が残っていること。
今お示しした5つのことに加えて、ここ近年の全国的な燃料費や物価の高騰を勘案いたしますと、今こそ現状に即した運用と利用者側に立った運用に見直すべきだと強く求めます。
そこで、本市においても高齢者タクシー助成券を1乗車複数枚利用できるなど運用を見直すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券交付事業は、高齢者の社会参加を促進するため、公共交通機関の乗車料金の一部を助成する事業でございます。介護予防、認知症予防に向けては、できるだけ多くの回数外出し、社会参加をしていただくことが重要であると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 今の答弁のように社会参加を促進するため、多くの外出の機会を持つための事業にもかかわらず、使用率を見ると本当に事業の目的である社会参加の促進に十分つながっているとは言い難いと思います。
使用枚数の増枚、交付額の増額、2人乗車でそれぞれ使用できるなど事業の目的の解釈に幅を持たせて、利用者の声を基にしっかり分析、検証し、運用の見直しを行うとともに、使用率のさらなる向上に取り組むべきだと考えますが、再度答弁を求めます。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者乗車券は、70歳以上の市民の方々に広く認知され、利用されている制度であり、高齢者の社会参加の促進に寄与しているものと考えております。これまで郵送、オンラインでの申請及び交付、オンデマンド交通に利用できる新たな券種の追加などの工夫や改善を図ってきたところであり、引き続き持続可能な制度としながら、利用者の利便性の確保に取り組んでまいります。また、タクシー助成券の使用率につきましては、議員御指摘のとおり、助成券をしっかりと活用し、できるだけ多く外出していただくことが非常に重要であると認識しており、高齢者乗車券を使った外出を広く呼びかけるなどしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 次に、在宅の重度心身障がい児・者がタクシーを利用する際に、タクシー代の一部を助成する福祉タクシー料金の助成について伺ってまいります。
福祉タクシー料金の助成の概要と事業の目的についてお伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福祉タクシー料金助成事業につきましては、心身に重度の障がいがある方の日常生活の利便と社会活動の範囲の拡大を図ることを目的として、タクシー利用料金の一部を助成する事業でございます。市民税非課税世帯で、視覚障がい、下肢、体幹機能障がい、内部障がいなどの身体障害者手帳1級及び2級の方や、療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級の方を対象に1回の乗車で1枚利用できる500円分のタクシー利用券を55枚交付しております。また、車椅子からタクシーへの移乗が難しい方にはワゴン型タクシーの運賃の一部を助成しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 1回の乗車で1枚利用できる500円分のチケットを55枚交付し、1乗車につき1枚の利用に制限をしているようですが、なぜ1乗車につき複数枚利用できないのか、お伺いします。また、なぜ年間55枚なのか、根拠をお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 障がいのある方の社会活動の範囲の拡大を事業の目的としており、できるだけ多く移動の機会を設けていただくため、1回の乗車につき1枚の利用としております。福祉タクシー利用券の交付枚数につきましては、平成27年度までは初乗り運賃相当額を月に4枚利用する想定で48枚交付していたところでございますが、平成28年度からは新たに導入された高齢者乗車券などに合わせ、1枚当たり500円とし、助成総額を従前と同等とするため、55枚を交付することとしたものでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) そこで、福祉タクシー利用券の使用率と交付人数の直近5年間の推移をお示しください。あわせて、その使用率と交付人数の推移を見たときの本市の見解をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福祉タクシー利用券の使用率と交付人数の推移につきましては、平成30年度が48.7%、8,518人、令和元年度が47.2%、8,312人、2年度が43.3%、7,505人、3年度が44.5%、7,155人、4年度が48.7%、6,898人となっております。新型コロナウイルス感染症の影響により低下しておりましたが、使用率につきましては徐々に回復しつつあるものと認識しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) こちらもコロナ禍で使用率は低下していたようですが、徐々に回復しつつあるようです。令和4年度の使用率は48.7%、交付人数は6,898人で約半分の使用率にとどまっております。
では、直近5年間の予算額と決算額をお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福祉タクシー料金助成事業の予算額と決算額につきましては、平成30年度は予算額1億1,800万円余に対し決算額1億1,300万円余、令和元年度は1億2,300万円余に対し1億800万円余、2年度は1億1,900万円余に対し8,500万円余、3年度は1億1,200万円余に対し8,700万円余、4年度は予算額8,900万円余に対し決算見込額8,300万円余となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和4年度決算見込額が8,300万円余、直近5年の使用率を見ても、使用率が5割を下回っており、使用率の向上も今後の課題だと思います。
では、同じ政令市の中で複数枚使用できる政令市はあるのでしょうか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 他の政令市における本市の福祉タクシー料金助成事業と同様の事業につきましては、1枚当たりの助成額や1回の乗車につき利用できる枚数の上限などは異なりますが、政令市のうち11市で1回の乗車につき複数枚利用も可能とされております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 20政令市中11の政令市が複数枚利用を認めているとのことです。
先日、重度障害者福祉タクシー利用券交付事業について川崎市へ行政視察に伺いました。川崎市では、民間バスの利用が困難な移動に制約を伴う重度障がい者に対して福祉タクシー利用券を交付し、タクシー乗車料金の一部を助成することにより、重度障がい者の外出と社会参加を促進し、福祉の増進を図ることを目的として事業を行っておられました。平成25年当初は1乗車1枚のみの使用に制限をしていたそうですが、当事者からの声を真摯に受け止め、複数枚使用できる運用に見直したそうで、利用者からは大変好評だということでございました。
そこで、本市においても、同じ政令市の川崎市を含む11の政令市が行っている事例を参考に、福祉タクシー助成券を1乗車当たり複数枚利用できるなど運用の見直しを強く要望いたします。
次に、腎臓病の患者団体などから本市に対する通院支援に関する要望があれば内容をお示しください。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 腎臓病の患者団体から透析患者に対する通院支援の要望が出されており、週に3回通院する必要がある透析患者の中にはタクシーしか通院手段がない方もいるため、福祉タクシー利用券の交付枚数を増枚するよう要望が出されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 透析患者や団体などから交付枚数の増枚が要望で上がっているとのことです。
ここで確認ですが、人工透析患者は福祉タクシー料金の助成の対象者になるのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 市民税非課税世帯の方で、腎臓機能障がいの身体障害者手帳1級または2級の所持者であれば助成の対象となります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 全腎協のホームページによりますと、人工透析治療後の患者は不均衡症候群や高血圧、低血圧、貧血が起因して吐き気や嘔吐、脱力感やふらつきの症状が現れるそうで、治療後の移動に不安を抱えている人も多くいらっしゃいます。私たちの下にも、ふらつきが怖くて車の運転を控え、この酷暑の中、歩いて通院しているとか、休み休み運転して帰宅しているなどの声が届いております。
また、視察で伺った川崎市では、腎臓機能障がいのある団体からの要望もあり、週3回以上、人工透析で通院している腎臓機能障がいの方には、継続して治療を受けてもらうために月7枚の割増しで、1人当たり月14枚、年間168枚タクシー利用券を交付されていました。ちなみに福岡市は先ほど答弁があったように55枚でございます。
平成30年にユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律が制定をされました。川崎市では同法第8条で、障がい者の移動上または施設の利用上の利便性及び安全性の確保をすることが求められていることを法的根拠として外出移動支援を行っているそうでございます。
そこで、本市においても人工透析治療を受けているなど重度障がい者の外出を支援するため、福祉タクシー利用券の運用の見直しを検討すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福祉タクシー料金助成事業につきましては、障がい者の日常生活の利便や社会活動の範囲の拡大を図る事業でございます。外出支援など障がいのある方の生活支援は重要であり、当事者の皆様の御要望や他の障がい福祉施策の実施状況などを踏まえ、外出支援の在り方について総合的に検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 当事者の方々の声に寄り添って、しっかりと検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、保護者や保育士等の負担軽減について質問をしてまいります。
保育施設で出た子どもの使用済みおむつを保護者に持ち帰らせず、施設側で廃棄処分する動きが各自治体でも広がっております。民間企業の調査によると、施設側が処分する自治体は約7割に上っているそうでございます。
初めに、令和5年1月23日付で通知された保育所等における使用済みおむつの処分についてにおいて示された厚生労働省の見解をお示しください。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 厚生労働省の通知におきましては、使用済みおむつの持ち帰りがなくなることは保護者にとっては大きな負担軽減になるとともに、保育士等にとっても使用済みおむつを子どもごとに振り分ける業務がなくなることで負担軽減にもつながることから、保育所等において使用済みのおむつの処分を行うことを推奨することとすると示されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 厚生労働省の通知によると、認可保育所における使用済みおむつの処分状況についての調査を踏まえ、保護者や保育士の負担軽減につながることから、保育所等において使用済みおむつの処分を推奨しているとのことです。
そこで、本市の状況について順次お聞きしてまいります。
昨年12月に本市でおむつ使用状況調査を行ったそうですが、その概要についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和4年12月に民間の保育所等に対し、使用しているおむつの種類や使用済み紙おむつの処分の方法など、おむつの使用状況に関する実態調査を実施しており、全452施設の約84%に当たる379施設から回答があっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 昨年の12月に民間保育所等に対しておむつの使用状況を調査し、約8割の施設から回答を得ているということです。
そこで、市の調査において使用済みおむつを園で処分している施設数と保護者持ち帰りを行っている施設数をそれぞれお示しください。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 紙おむつを使用する333施設のうち、使用済み紙おむつを施設で処分している保育所等は251施設、保護者の持ち帰りとしている保育所等は82施設となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 園処分は251施設で、保護者持ち帰りは調査で紙おむつを使用していると答えた施設の4分の1に当たる82施設ということになります。
そこで、園が保護者持ち帰りとする理由と、保護者に持ち帰っていただく場合に生じる保護者の負担と併せて保育士の負担についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保護者の持ち帰りとしている理由につきましては、福岡市の調査結果において、保護者による児童の体調確認のためが最も多い回答となっております。次に、保護者が持ち帰る場合、保護者にとっては持ち帰りの際の臭いが気になること、保育士にとっては使用済みおむつを子どもごとに分ける手間などの負担があると考えております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 保護者については持ち帰りの際の臭いが負担となっている、また、保育士については使用済みおむつを仕分けることが負担になっているようで、また、保護者持ち帰りの理由については、児童の体調確認のためとの理由が多いようです。
そこで、園で処分する場合において、排便状況、回数など児童の体調確認をどのように保護者に伝えているのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所等でおむつを処分する場合、児童の排便状況等の健康状態については、書面の連絡帳や、保育業務のICT化のためシステムを導入した保育所等においてはスマートフォンのアプリにより保護者に伝えられております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 園が連絡帳のアプリを導入し、排便状況、回数など保護者との連携が取れているとのことですので安心をいたしました。アプリを導入するに当たり、国からの補助金も利用できるようですので、引き続き、まだ導入していない園への周知をお願いしたいと思います。
続いて、処分費の負担についてお聞きしてまいります。
市の調査において園で処分している施設のうち、園または保護者が処分費を負担している施設の割合とその数についてお示しください。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 使用済み紙おむつを保育所等で処分している251施設のうち、処分費用を保育所等が負担しているのは67.3%に当たる169施設、保護者が負担しているのは32.7%に当たる82施設となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 約67%が園で負担、約33%が保護者の負担となっているようです。
では、福岡市の市立保育園では園での処分、保護者の持ち帰りとどちらで対応しているのか、また、その理由についてお伺いをいたします。あわせて、園処分をされているのであれば、処分費の負担状況についても、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市の公立保育所につきましては、保護者及び保育士の負担軽減を目的として令和5年4月より保育所で費用を負担し、使用済み紙おむつの処分を実施しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 市立保育園では保護者の負担軽減のため、今年度より園でおむつの処分を実施し、かつ園で処分費を負担しているようです。また、約33%の保護者が処分費を負担していることを考えますと、おむつ処分費の補助が行われることによって子育て世帯へのさらなる負担軽減につながると考えます。私の地元地域の保育園の園長先生からも、福岡市でもおむつ処分費の補助をしていただけたらとても助かりますとの声をいただいております。
そこで、おむつ処分費の補助を行っている政令市があればお示しください。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所等に対し、おむつの処分費用の助成を行っていると福岡市が把握している政令市は、千葉市、名古屋市、神戸市でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 政令市では、千葉市、名古屋市、神戸市で処分費の補助を行っているようです。
先日、神戸市が行っているおむつ処理費用補助事業について行政視察に伺いました。神戸市では、令和元年10月に公立、民間の全ての施設に調査を行い、民間施設では約35%の施設において保護者が持ち帰りをしており、また、処分している施設のうち約20%は処分費用を保護者から徴収していたそうです。ちなみに福岡市では32.7%が処分費を保護者から徴収しております。そこで、保護者及び保育士の負担軽減を目的として、令和2年度よりおむつ処分費用の補助事業を開始されたそうです。事業効果についても、子ども一人一人のおむつをかばんに詰める作業がなくなり、保育士の精神的な負担が軽減された。また、トイレ等で一時的に保管することもなくなり、衛生上の問題が解決されたとのことでした。本市では、第2子以降の保育料の完全無償化や定期的な見守りとともに、おむつ等を届けるおむつと安心定期便など、今年度は40億円、来年度以降は50億円規模という子育て支援の大幅な拡充を図っていただいております。
そこで提案ですが、本市においても、おむつ処分費の補助など子育て世帯の負担軽減と併せて保育士の負担軽減につながる取組を拡充すべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市ではこれまで、保育士等の負担軽減や保護者の利便性の向上を図るため、保育所等への保育支援者の配置やICTシステムの導入などを推進してまいりました。今後とも、国や他都市の動向も注視しながら、引き続き子育て世帯や保育士の負担軽減に必要な取組を推進してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 子育て世帯や保育士の負担軽減につながる取組の拡充をぜひともよろしくお願いいたします。
続きまして、保育園の事務負担軽減の観点から業務の効率化についてお伺いをしてまいります。
教育、保育施設に対しては運営に必要な費用を施設型給付費として支給しておりますが、各施設は給付を受けるために本市に対して毎月手続が必要だと聞いております。
そこで、本市の施設型給付費の概要と各種加算の項目数についてお伺いをいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 施設型給付費の概要につきましては、認可保育所等の運営に必要となる費用について、国の定める公定価格を基に算定した費用を支弁するものでございます。利用する子どもの年齢や人数に応じた基本単価と、職員の配置や障がい児の受入れなど施設の種類や取組状況によって適用される各種加算で構成されており、毎月、施設からの請求が必要となります。加算の項目数は19項目ございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 各単価、職員の情報、利用子ども数など19項目の公定価格があり、複雑な給付費の精算や前月からの差分を突き合わせしているため、施設の事務作業の負担は多大になっております。
そこで、保育施設から施設型給付費の加算業務、精算業務、報告業務などとても煩雑化しているとの声をお聞きしますけれども、各施設とのやり取りの方法をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育施設との給付事務のやり取りにつきましては、メールや紙媒体のほか、令和3年10月からはファイル共有システムを導入しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和3年度10月からファイル共有システムを導入して施設とやり取りをしているとのことですが、その効果についてお伺いをいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) ファイル共有システムの導入によりまして、それまで郵送等で行われていた請求書のやり取りがシステムを使用することで簡易的になり、事務処理の負担が軽減されております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 先日伺った神戸市では、各施設における各種申請業務に毎月20時間、各施設からの問合せ件数が年間4,000件、市における各種申請にかかる審査業務時間は7,400時間を要しており、どうにか施設の負担軽減を進めることができないか模索されていたそうです。そういう中、民間園における行政報告や補助の申請手続等について、大幅な改善効果をもたらす新たなクラウドサービスを導入することを決め、施設、職員の負担軽減をさらに進める取組を行われているそうです。
そこで提案でありますけれども、本市においても施設、職員のさらなる負担軽減を図るためにクラウドサービスの導入を検討してみてはと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) クラウドサービスの導入につきまして、他都市の状況把握を行うとともに、今後、さらなる事務効率化に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
島市長は、昨年の11月の市長選挙で最重点施策として、子育て支援を掲げられ、本年度より子育て支援の拡充を図っていただいております。
この質問の最後に、子育て世帯や保育士等の負担軽減につながる今後の取組について、島市長の御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 子どもは一人一人が未来をつくるかけがえのない存在であり、子ども、子育て施策の充実は重点的に取り組むべきものと考え、今年度から第2子以降の保育料の無償化や、おむつと安心定期便など新たな取組を実施しております。また、働き方改革など働きやすい環境づくりに取り組む保育所等への支援や、保護者や保育士の利便性向上を目的にICT化を進める保育所等への支援など、子育て世帯や保育士等の負担の軽減に努めております。今後とも、市民の皆さんが安心して生み育て、子どもが健やかに成長していけるよう、様々な負担の軽減にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
次に、市営住宅の管理運営と車椅子使用者向け住戸の拡充について質問してまいります。
初めに、市営住宅の管理運営について質問してまいります。
本市の市営住宅における管理方法の現状についてお伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 現在の市営住宅の管理方法につきましては、公営住宅法に基づく管理代行制度及び指定管理者制度を併用し、住宅供給公社による一体的な管理を行っております。その中で、平成30年度からは中央区、南区及び城南区の一部業務において、民間の能力やノウハウを活用し、入居者サービスの向上などを図るため、公募で選定した民間事業者による指定管理を導入しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 本市では、管理代行制度及び指定管理制度を併用し、住宅供給公社による管理を行っており、平成30年度より公募で選定した民間事業者による指定管理を導入しております。
そこで、民間指定管理者の業務範囲を含め、今後の管理方法についてどのようにお考えか、所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 平成30年度に公募で選定した民間の指定管理者のサービスは一定の評価を得た一方で、管理主体の複数化によるコストの増加や業務の非効率性が課題となったことから、令和5年度からは3つの区を一本化して新たな公募を実施し、民間の指定管理者による管理を実施しております。今後の市営住宅の管理方法につきましては、公募による指定管理者の業務範囲を含め、現在の管理方法の成果や課題を整理し、望ましい管理の在り方について総合的に検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 今後の管理方法については、課題をしっかり洗い出し、望ましい管理の在り方についてしっかりと検討をしていただきたいと思います。
近年、市営住宅における共益費やコミュニティ活動の課題について、住民の方々から様々な御相談をいただきます。
そこで、市営住宅における共益費の実態や未払いの状況、コミュニティ活動の今後の課題や支援の在り方についてどのように把握しているのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和3年度に福岡市及び住宅供給公社の連名により市営住宅の管理組合または自治会に対し、共益費の実態や清掃活動及び除草活動における課題やニーズなどを把握するため、アンケート調査を実施しております。なお、アンケート調査は、把握している管理組合等234団体へ送付したところ、170団体から回答があり、回答率は72.6%でございました。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和3年度に市と住宅供給公社の連名でアンケート調査を実施されたとのことです。
ここからはアンケート調査の内容について質問を進めてまいります。
まず、清掃活動、除草活動の要望内容とそれぞれの委託状況についてお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) アンケート調査では清掃活動や除草活動の要望として、住宅敷地内に公園や緑地が多いが、高齢者等が多く、清掃や除草活動が困難であるとの意見をいただいております。次に、業務委託に関する状況でございますが、清掃の業務委託をしていると回答した管理組合等は22.3%、委託していないとの回答は66.5%、未記入は11.2%でございます。また、除草の業務委託をしていると回答した管理組合等は28.2%、委託していないとの回答は57.1%、未記入は14.7%でございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 住宅敷地内に公園や緑地が多く、高齢化に伴い清掃、除草活動が困難とのことです。また、アンケートで委託なしと回答された割合から考えますと、少なくとも約6割の管理組合等で清掃、除草を自ら行っていただいております。私の地元地域でも有志の方々が草刈り機を担いで除草作業をしてくださっております。
そこで、清掃活動、除草活動について本市としてどのようなサポートを行っているのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 重量のあるコンクリート製の蓋や固定式グレーチングなど管理組合等では対応できない側溝の清掃や、作業に危険を伴うのり面等の除草は指定管理者等が作業を実施しております。また、管理組合等から依頼があれば、清掃業者や除草業者の紹介も行っております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 近年の燃料や物価の高騰で清掃、除草の委託作業費が非常に高くなっているとの声もお聞きしますので、しっかりと相談に乗り、寄り添った対応を要望いたします。
次に、共益費の未払いの有無についてお伺いします。また、未払いがある場合、その世帯数についてお示しください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 共益費の未払いの有無につきましては、アンケート調査に回答された管理組合等170団体のうち43%に当たる73団体から未払いありとの回答がございました。また、共益費の未払いがある世帯数につきましては、管理組合等1団体当たりで1から5世帯との回答が75.4%と最も多い結果となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 約4割の管理組合等が共益費の未払いがあると回答されており、共益費未払いについては長年の課題になっております。
そこで、共益費の未払いについて、管理組合から相談があった世帯数とその対応についてお伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和4年度に管理組合等57団体から76件の共益費の未払いに関する相談を受け、その全ての未払い世帯に対して、訪問または電話により共益費の支払い義務の説明及び支払い要請を行っております。その結果、76.3%に当たる58件から支払うとの回答がございました。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 相談を受けた場合は、共益費未払い世帯へすぐに訪問や電話による支払いの要請を行っていただいているようで、引き続き迅速な対応をお願いしたいと思います。
共益費を支払わない世帯があることで、管理組合が負担する光熱水費などの支払いはどういう状況になっているのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) アンケート調査では、光熱水費の支払いが滞る事態が常態化していると回答した管理組合等はございません。また、複数回答可となっているアンケート項目では、89.2%の管理組合等が現時点で支払いに支障はないと回答している一方で、27.9%の管理組合等が将来的には支障が生じる可能性があると回答しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 光熱水費の支払いが滞る事態が常態化している管理組合は今のところないようですが、将来的に支障が生じる可能性に不安を持っている方が3割弱おられるようです。
次に、共益費の集金方法と現金集金によるトラブル事案があればお示しください。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 共益費の集金方法についてアンケート調査では、自治会費とともに、組長、棟長宅のドアポストに投函するや、組長、棟長または当番が戸別訪問して集金するなどの現金による集金が大半を占めております。また、現金集金によるトラブル事案といたしましては、支払いの約束を守らないといったものや、支払いをした、しないについて言い争いになったものがあると聞いております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 現金を扱うことによって、今後も様々なトラブルが生じる可能性が推測されます。
そこで、共益費の集金作業についてどのような要望が上がっているのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) アンケート調査では、共益費の徴収等を委託する場合における費用負担の条件は設定しておりませんが、38.2%の管理組合等から市または公社による共益費の徴収及び光熱水費の支払いを希望するとの回答がございました。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) アンケートによりますと、約4割の管理組合等が市または公社による光熱水費の支払い及び共益費の徴収を希望しているようです。
私の地元地域の香椎浜住宅の自治会長さんからも、共益費の未納問題や団地の高齢化に伴い集金業務が負担になっている、今後はさらに高齢化が進むので市や公社で徴収してほしいとの声をいただいております。
そこで、管理組合等から共益費の一括徴収の要望を受け、本市ではどのような検討を行っているのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市及び住宅供給公社において行政等における共益費の徴収に関するワーキンググループを立ち上げ、他都市の先行事例の調査を行うなど検討を行っているところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 神戸市、京都市、仙台市、相模原市、東京都では、自治体や指定管理者または管理代行者が家賃と共益費を一括徴収し、共用部分の光熱水費の支払いを行うなど共益費を徴収管理する制度を取り入れております。中でも20年以上前から家賃と共益費の一括徴収を行っている神戸市では、阪神・淡路大震災の発生後、早期かつ大量に市営住宅を供給するため、URや民間オーナーから住宅を借り上げることとなり、オーナーからの要望を受け、平成8年1月から一部の借り上げ住宅において共益費一括徴収制度を導入することになりました。
行政等が共益費を徴収するに当たり、様々な課題があると思いますが、期待されている入居者もいらっしゃいます。
そこで、ワーキンググループにおいて検討を進め、モデル的に一部住宅で試行するなど早期に取り組むべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 行政等による共益費の徴収につきましては、共益費の法的な位置づけの整理や多くの管理組合等で一体的に管理されている共益費と自治会費を明確に区分する必要があるなどの課題もございます。その一方で、高齢化により人手不足となっている管理組合等の負担軽減につながることから、一部住宅での試行を含め、導入に向けた検討を行ってまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) ありがとうございます。一部住宅での試行を含めて検討を進めていただくことに期待をしております。
次に、市営住宅の車椅子使用者向け住戸の拡充について質問してまいります。
令和4年12月議会において、我が会派の松野議員が車椅子使用者向け住戸の拡充と早期整備について質問していたところ、テレビでも報道されておりましたが、今年6月に車椅子使用者向け住戸の整備拡大について方針が打ち出されました。迅速な対応をいただきありがとうございます。
そこで、改めて車椅子使用者向け住戸の見直しについて、幾つか確認をしたいと思います。
まず、今回の見直しの内容についてお尋ねいたします。また、いつからその見直しは行われるのか、そして、比較されることの多い政令指定都市において同様の整備を行っているところはあるのか、お伺いをいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅の建て替えなどの機能更新におきましては、障がいの有無、年齢、性別などにかかわらず、全ての人が利用しやすいユニバーサルデザインを基本仕様とした居住環境の確保に努めております。一方で、高齢化の進展に伴い、車椅子使用者向け住戸の必要性がさらに高まると考えられることなどから、これまでの車椅子使用者世帯専用の住戸に加え、車椅子使用者も生活できる基本的な水準を備えた住戸を整備することとし、原則として建て替えなどの新築工事を行う住棟の1階は全て車椅子使用者向け住戸として整備することといたしました。なお、整備につきましては、令和5年度に着手する新築工事から対応していくこととしております。また、同様の整備を行っている政令市はございません。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 他の政令市では行っていないということでございます。人に優しいすばらしい取組だと思います。
今年度着手するものから全て対応するとの御答弁でしたが、市民の方が実際に入居できるのはいつ頃になるのか、お伺いいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 車椅子使用者向け住戸につきましては、今年度は22戸の着手を予定しており、そのうち8戸は令和7年夏頃に、残りの14戸も秋頃には入居ができる予定となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 令和7年夏頃から順次入居予定ということであります。市民の方々に少しでも早く喜んでいただけるように、一日でも早く、早期入居できるよう整備を進めていただきたいというふうに思います。
今回の拡充により車椅子対応住戸の大幅な拡大が見込めると期待しておりますが、今後は年間どの程度供給されることになるのか、また、整備数の目標などはあるのか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 車椅子使用者向け住戸につきましては、今後、年間20戸から30戸程度供給していく予定であり、現在のストック総合活用計画の計画期間である令和12年度末までに180戸程度の供給を予定しております。以上でございます。
○議長(打越基安) 勝山信吾議員。
○19番(勝山信吾) 政令市唯一との答弁が先ほどもありましたが、建て替えが進む中で1階部分を全て車椅子使用者向け住戸とするのは、恐らく全国的に見ても最も進んだ取組だと思います。車椅子使用者に対応した仕様にすることで全ての人が心地よく暮らせるという、市の掲げるユニバーサル都市・福岡の理念にもつながるものであります。今後も住宅困窮者などを支える住宅セーフティネットとしての市営住宅の役割が果たせるよう、使命感を持ってしっかりと取り組んでもらうことに期待をしております。
最後に、人に優しい市営住宅として住宅の確保に特に配慮が必要な方へのさらなる施策の拡充について、島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市営住宅につきましては、住宅の確保にお困りの方などに安全、安心な住宅を提供するという住宅セーフティネットの中核としての重要な役割があると認識をしており、ユニバーサルデザインの理念に基づき機能の更新を行うとともに、新婚世帯や子育て世帯などの多様な世帯の入居を促し、地域活動の担い手確保などによりコミュニティの維持、活性化を図るなど、ハード、ソフトの両面から様々な取組を行っております。
令和5年度からは新築工事において、1階は全て車椅子使用者向けの住戸として整備することを基本とするとともに、医療や介護のサービス事業者のための駐車場を確保するモデル事業なども開始をしたところでございます。さらに、子育て家庭の支援のために民間住宅での住替え助成事業において、助成の対象となる子どもの数を3人以上から2人以上に拡充を行っております。
今後とも、増加、多様化していく高齢者や障がい者、子育て世帯など、特に配慮が必要な皆様の状況を把握しながら、誰もが安心して暮らせる住環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○議長(打越基安) この際、暫時休憩いたします。
午後は1時10分に再開いたします。
午前11時49分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(松野 隆) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、本市の森づくり施策について質問いたします。
今年、福岡市の気温35度を超える猛暑日が、8月末で例年の平均8.1日を大きく上回り、18日になったと発表されました。9月になっても全国的に厳しい暑さが続き、熱中症対策が欠かせません。この暑さは日本だけではなく全世界を覆い、各国から猛暑に翻弄されている様子が度々報道されるようになりました。この状況を国連のグテーレス事務総長は、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来たと述べ、続けて、各国政府の地球気候変動施策の最も力を注ぐべきCO2削減に、これまで以上に緊急度を増して野心を持って取りかかるべきだと警鐘を鳴らしています。
温暖化は暑さだけではなく、豪雨や台風、そして干ばつや山林の火災等、様々な災害を引き起こし、多くの人命が犠牲となり、飢餓で多くの人たちが苦しんでいます。世界中で地球温暖化防止が叫ばれており、世界中で様々な取組が行われています。しかし、国や企業などに任せるだけでいいのでしょうか。私たちもこの危機的状況下に手をこまねいてはおられません。私たち一人一人が意識を持ち、節電など身近なところから実践することが大切だと思っています。
本市においても、各局が地球温暖化防止のために様々な施策を講じておられます。その中でも、本市の面積の3分の1を占め、年間80万トンの二酸化炭素を吸収すると言われている山林の働きは大きいと思われます。本市の山林に目を向けていただき、少し手を入れるだけで年間80万トンが100万トンにも200万トンにもなると考えられます。
森林はCO2の吸収や木材の供給だけではなく、土砂災害の防止、水を蓄える水源涵養機能、生活環境の保全、生物の多様性など、私たちの目に見えないところで様々な機能を果たしています。その森林を受け持つ市の担当部署である森林・林政課は、今年度から森づくり推進課へ課の名称を変更されました。脱炭素社会の実現やSDGsの目標達成など、特に森林を取り巻く環境が大きく変化していることを踏まえ、森林の多面的機能を発揮させ、引き続き幅広く森づくりにチャレンジするために課名を変更したと聞いており、心強く思っています。
市の森づくり長期ビジョン、Fukuoka Green NEXTを踏まえ、令和4年度には今後5年間の農林業振興の方向性を定めた新しい農林業総合計画がスタートしています。新たな取組も始まっていますので、その内容を踏まえ、今回は主に森林整備と木材利用の2つの取組について質問してまいりたいと思います。
それではまず、森林整備の取組からお尋ねいたします。
初めに、福岡市全体の森林面積、そのうち、杉、ヒノキ等の人工林の面積はどのくらいあるのか、お答えください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市の森林面積は約1万1,000ヘクタールでございます。そのうち、杉、ヒノキ等の人工林につきましては、約5,300ヘクタールでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 人工林は、切って、使って、植えるといった生産と育成の循環を生み出すことが重要です。そのためには伐採適齢期を迎えた杉やヒノキをまとめて伐採する、いわゆる主伐を実施していくことが必要と考えます。
そこで、杉とヒノキの伐採適齢期は、それぞれおおよそ何年なのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡県が策定しております福岡地域森林計画によりますと、標準的な伐採の適齢期は、杉が植林からおおむね35年、ヒノキが40年とされております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) それでは、本市の人工林において、伐採適齢期を迎えた人工林の面積をお答えください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市において、伐採の適齢期を迎えた人工林の面積は約4,500ヘクタールでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 1つ目の質問で、杉、ヒノキ等の人工林の全体面積は約5,300ヘクタールとのお答えをいただきましたので、実に8割が伐採時期を迎えています。
そこで、木材の利用を目的とした主伐の状況についてお尋ねしてまいります。
市内では杉やヒノキ等の人工林について、どのくらいの主伐が行われているのか、過去5年間に主伐された面積をお答えください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 平成30年度から令和4年度の5年間の市内における人工林の主伐面積は、約87ヘクタールでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 人工林の約8割が伐採適齢期を迎える中、年平均17ヘクタール程度しか主伐されていません。先ほど人工林の全体面積は約5,300ヘクタールとお答えいただきましたが、このペースでいきますと、全ての主伐が完了するまでに数百年単位の時間がかかる計算になります。脱炭素の視点からも、森林がCO2を最も吸収するのは成長期の30年から40年までと言われており、伐採適齢期を過ぎるとCO2の吸収率が低下していきます。悠長に構えているわけにはいきません。
国は、花粉症対策の大きな柱の一つとして、発生源対策について杉人工林を10年後に2割減少させるなど、今後の取組を5月に示しました。
そこで、花粉発生源対策やCO2削減対策としても、杉等人工林の主伐にもっと積極的に取り組み、花粉発生源対策に適した樹木に植え替えるべきと考えますが、市の所見をお伺いいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 花粉発生源対策といたしましては、令和元年度より市有林における杉やヒノキ人工林を主伐し、クヌギやヤマザクラなどへの広葉樹への植え替えを約3万本行っております。また、国において、令和5年5月に花粉症対策の全体像が示されたところであり、今後、年内に策定予定の具体的な施策内容等を踏まえ、杉等人工林のさらなる主伐について検討してまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 花粉症はいまだに多くの国民を悩ませ続けている社会問題でもあり、今後、国の具体的方針も打ち出されるとのことです。しっかりと取り組んでいただくよう要望いたします。少なくとも、市が管理している森林については、市の考え方次第で主伐することができると思いますので、腰を据えて取り組んでいただきますようお願いします。
次に、市が管理している森林の状況についてお尋ねしてまいりたいと思います。
まず、人工林面積5,300ヘクタールのうち、市が管理している森林の面積をお尋ねします。あわせて、民間所有の森林を市が管理し、伐採した木材の売払い時の収益を両者で分け合う契約を結んでいる、いわゆる分収林の面積についてお答えください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 市が管理している森林の面積は、約1,850ヘクタールでございます。そのうち、分収林の面積は約1,000ヘクタールとなっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 分収林は昭和50年代に始まり、契約開始から既に40年が過ぎ、こちらも伐採適齢期になっているものが多くあると思います。
そこで、本市における分収林の伐採はどのような目的で行っているのか、また、過去5年間の伐採面積をお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市におきます分収林の伐採につきましては、木材として利用できる杉やヒノキを成長させるために周囲の育成不良木を切り捨てる保育間伐と、従来、山に切り捨てていた間伐材を搬出し、木材として利用する林業資源ビジネス化プロジェクト、いわゆる利用間伐を実施しております。平成30年度から令和4年度の5年間の伐採面積は、保育間伐が約360ヘクタール、利用間伐が約46ヘクタール、合わせて約406ヘクタールとなっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 分収林においては約406ヘクタールを伐採し、そのうち約46ヘクタールについて木材利用するための利用間伐が行われているとのことですが、利用期に達した樹木を全面的に伐採し、木材利用する主伐は行われていないようです。その理由をお聞かせください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市の分収林につきましては、長期にわたる国内産木材価格の低迷に対応するため、平成25年度に将来の木材価格の上昇を期待し、分収林の契約期間を40年から60年へ延長する方針を定めております。現在におきましても、木材価格の状況に大きな変化は生じていないことから、現在、保育管理を継続しておりまして、分収林の主伐については実施しておりません。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 分収林は全国的にも、同様の理由により契約期間の延長を図っているところが多いと聞いています。延長の理由として、木材価格の低迷が続いているとのことですが、昨年度、市有林の伐採では国の補助を活用することで、僅かですが利益が出ていますし、民有林での主伐においても、組合の努力等により利益が出ているとも耳にします。また近年、基幹林道早良線沿いでは、森林組合や民間事業者が杉人工林の主伐を行っています。幹が大きくなると木材価格が低下し、ますます切り出しにくくなります。分収林の主伐に向けた検討は課題が多いとは思いますが、森林組合など関係者と連携して、速やかに取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
次に、市が直接管理していない森林についても少しお尋ねしたいと思います。
市が直接管理していない森林、いわゆる民有林については、近年、間伐などの手入れが行われず、荒廃しているところが多くなっていると聞いています。
そこで、民有林において間伐などの森林整備が行われず、荒廃が進んでいる理由についてお答えください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 民有林において森林整備が行われていない理由につきましては、何代にもわたって相続登記が行われていないことにより所有者不明の森林が増加していることや、小規模な森林所有者が多く森林の境界が未確定なものが多いことから、伐採が困難な森林が増加していることによるものと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 森林所有者不明や境界未確定などにより、間伐や主伐、また、林道の整備に手をつけられないなどの課題を抱えている森林について、福岡市はどのような取組を行っているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 民有林の適切な森林管理を行っていくため、令和元年度から森林所有者に対し、今後の森林管理の意向を確認する調査を実施いたしております。また、令和3年度から、福岡県内では初めて航空レーザ計測データ等の最新技術を活用いたしまして、森林境界を明確化する取組を実施しておるところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 森林所有者に対して意向調査を実施したとのことですが、意向調査の内容と結果について教えてください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 森林所有者への意向調査につきましては、自ら管理を行うか、または第三者へ委託するかなど、今後の森林管理について意向確認を実施しているものでございます。
調査結果につきましては、令和元年度から4年度までに約1,500件の調査を実施いたしまして、約6割、900件の回答をいただいております。内訳といたしましては、約5割が管理困難のため誰かに委ねたい、約2割が所有者自身で管理すると回答していただいておりまして、残りの3割は未定となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 意向調査の結果、森林所有者自身で管理すると答えた森林所有者は2割に満たないようです。このままでは森林が荒廃していくばかりと危惧しています。森林所有者の高齢化などを踏まえると、森林整備について、市がしっかりとフォローしながら取り組んでいただきたいと思います。
次に、2点目の木材利用について質問してまいります。
杉やヒノキの主伐を進めるためには、出口戦略として、切った木材を利用していくことが重要と考えます。
そこで、市は令和4年度にどのような施設で市産材を活用したのか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和4年度における市産材の活用につきましては、本年4月に開校した西都北小学校の壁や床のほか、東、南、城南、早良の各区役所の総合窓口や受付カウンターで活用いたしております。また、道路下水道局が実施したベンチプロジェクトにおいて、市産材による木製ベンチ62基をバス停へ設置しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 令和5年度はどのような施設で市産材を活用するのか、お尋ねします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 令和5年度は世界水泳選手権福岡大会におきまして、マリンメッセ福岡及び県立総合プールの選手入場ゲートを市産材で製作したところでございます。また、令和4年度に引き続き、区役所の窓口カウンターや学校の教室に活用するほか、新たに公民館のロビーや床などで市産材を活用する予定としております。今後とも、木材利用の普及啓発に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 今年度から公民館の改修等において、市産材の活用に積極的に取り組まれているようですが、公民館を対象にした理由をお尋ねします。
また、今年度はどこの公民館で市産材が使われているのか、併せてお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 公民館を対象にした理由につきましては、地域コミュニティ活動を支援する拠点であり、市民に木のぬくもりや親しみやすさを感じてもらう場としてふさわしい場所であることや、規模、用途から、法規制上も木造・木質化に取り組みやすいこと、また、毎年度3館程度改修等が行われており、安定的に木材の利用が見込まれることなどから、市民局と連携させていただきまして、公民館において市産材の活用推進に取り組むこととしたものでございます。なお、今年度につきましては、西都北校区の公民館におきまして、ロビーや廊下の床などに市産材を活用する予定といたしております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 森林組合をはじめ関係者に、公共施設で使う市産材について、定量的かつ安定的に需要があることを示すことは、市産材活用の仕組みづくりを構築していく上で大変重要なポイントになると思います。
公民館は平成5年度から順次150坪化が進められておりますが、それから30年が経過した今、いまだに着手されていないのは内野公民館だけです。地元の皆さんは一刻も早い着手を強く望まれています。
また、内野校区は早良区の南部に位置し、脊振山系の自然の恵みにより古くから農林業が盛んでした。近年の農林業の衰退から従事する人は少なくなっていますが、自然に恵まれた環境は、その住み心地のよさから都心のベッドタウンとして活気を維持しています。内野校区の山林は、戦後の林業施策によってよく手入れがされており、伐採適齢期を迎えたところです。2年前に林業の活性化を目途とした基幹林道が脊振の中腹に開通しました。これによって、地元では林業の復興に期待が高まっています。
最近建て替えが行われている公民館はふんだんに木材が使用され、温かみのある公民館となっています。これも地域のコミュニティづくりには木の持つ特性、効果が理解されつつあるからではないかと考えられます。内野公民館の150坪化に当たっては、地元の風土や環境に合わせ木造にしていただきたい、そして、できるなら地元産材を利用していただきたいとの地域からの強い要望が上がっております。公民館は地域コミュニティ活動の拠点であり、地元のシンボルとなる重要な建造物です。
そこで、内野公民館について150坪化に速やかに着手するとともに、地元の自然環境や歴史、民風とが一体となったものにするためにも強く木造化を要望するところですが、市のお考えをお尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 内野公民館につきましては、地域の特性も踏まえ、木材利用も含めた150坪化に早期に着手できるよう検討を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) ぜひともよろしくお願いします。
公共施設等における市産材の利用が進んでいることは非常によい取組だと思っていますが、一方で市産材は一般に流通しておらず、入手が困難と聞いています。市産材を活用するための具体的な取組を教えてください。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 市産材を入手しやすくすることで市有施設への活用を一層促進するため、令和4年度より福岡県広域森林組合の協力の下、市有林などで伐採した木を早良区にある旧原田加工場にストックし、公共施設の改修時に合わせて速やかに供給する仕組みを新たに構築し、取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 森林組合と連携した市産材のストック活用は、今までにない取組だと思います。市産材の活用を広げていくことで森林の循環や林業振興にもつながりますので、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
木材の利用促進を進めるにおいて、地域林業の活性化のためにも地元産材を利用することは重要だとも思いますが、市産材にこだわり過ぎると、コストとか生産量の面等で逆に利用を控えることにもつながるおそれがあることからも、県内産、九州内産と枠を広げることで市産材の利用も増えると考えられます。
木材の利用促進は、ただ単に林業の活性化だけではなく、木材はCO2の塊であって、木材を利用することによってCO2を閉じ込める、固定化することから、空気中のCO2の削減につながり、環境問題に大きく貢献することになります。
休むという漢字は、にんべんと木から成っています。つまり、古代から人間は木に寄り添って生きてきたのではないでしょうか。現代ではIT化やデジタル化が進み、私たちの生活は日々便利になってきていますが、同時に社会は無機質化しており、人間関係で様々な事件やトラブルが起きているように思われます。有機質の木に囲まれた空間は、科学的検証からも心身に好影響を与えることは実証済みです。
これらの取組を進める上で主な財源となる森林環境税は、国において、来年度から本格的に課税徴収が開始されますが、全国の市町村へは令和元年度から森林環境譲与税として前倒しで配分されております。
そこで、森林環境譲与税について、福岡市は今まで幾ら配分されてきたのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 森林環境譲与税は令和元年度より配分されておりまして、令和元年度は約6,000万円、2年度と3年度は約1億4,000万円、4年度は約1億9,000万円が福岡市へ配分されております。また、令和5年度は約1億9,000万円が配分される予定となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 大原弥寿男議員。
○8番(大原弥寿男) 森林環境譲与税については、今後も安定的な財源が確保されているようですので、森林整備や木材利用について既存の事業を強化するとともに、さらなる取組を実施されるなど、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
ここまで、森林整備と木材利用の2つの視点からお尋ねしてきました。私は長年、脊振山の裾野に住まわせていただいて、毎日山を眺めていますが、本市の山林は年々荒れてきているように感じています。もっと手を加えるべきと思います。間伐や主伐をスピードアップしていただき、樹木の植え替えを促進することで、早く健康な森を実現していただきたいと要望いたします。
農林水産局森づくり推進課に与えられた年間約7億円の限られた予算で、本市の面積の3分の1を占める約1万ヘクタールもの森林の整備や木材利用促進を行う等、熱心に取り組んでいただいていることは理解しています。しかしながら、冒頭に申しましたように、日本だけではなく、世界中が温暖化による気候変動を受けて様々な災害が増えつつあります。自然災害をなくすことを含むSDGsの達成年限は2030年です。残された時間は、僅か7年しかありません。それには一日でも早く脱炭素社会の実現を目指して行動を起こさなくてはなりません。私たち市民一人一人の努力ももちろんですが、まず行政がイニシアチブを取って、脱炭素社会実現に向けた強力な施策を掲げて取り組まなければなりません。
国は温暖化対策の一つとして、平成22年に制定された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を令和3年6月、脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律として改正されました。これにより、対象が公共建築物だけではなく、建築物全般に拡大しました。さらに政府は地方公共団体や関係団体と連携し、建築物におけるさらなる木材利用促進を図るために、各省庁が一体となって取り組むべく、木材利用促進本部を設置しました。このような政府の決定を受けて、各地方公共団体は新たに建築物における木材利用促進の方針を作成し、建築物の木造化、木質化の普及促進に着手していると耳にします。本市がもっと木を切って使うことによって、他都市に先駆けて脱炭素社会が実現し、健康で元気いっぱいの未来都市になることを大いに期待しています。
平成26年6月議会において質問いたしました森林資源の活用についてに対し、森林は様々な多面的機能を有しており、その貨幣価値は福岡市の森林面積からすると、年間310億円になると答弁をいただきました。つまり、年間7億円の林業施策予算から40倍以上の貨幣価値が生まれていることになります。森林を放置せず、健康な森林へと整え、大いに活用することで、さらに価値ある森林になると考えられます。
福岡市は人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身とも健康で、自分らしく活躍できるまちを目指すプロジェクト、福岡100に取り組んでおられます。人生100年を目指す本市としても、公共施設だけではなく、オフィスや商業施設などの民間施設にも木質、木造化がもっと進むように啓発が必要ではないでしょうか。福岡市の都市計画や開発計画に関わりが大きい建築会社や設計関係者等と接する機会が多い住宅都市局をはじめ、関係局と連携して木造、木質化の促進を啓発していただくよう強く要望いたします。
最後に、森林整備や木材利用をはじめ、今後の森づくり施策をどのように進めていくのか御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 姉川農林水産局長。
○農林水産局長(姉川雄一) 福岡市は市域の3分の1を森林が占め、快適で豊かな市民生活を送る上で森林は重要な役割を担っております。また、脱炭素社会の実現や花粉症対策など、森林を取り巻く環境が大きく変化する中、森林の果たすべき役割はますます重要になっていると認識いたしております。これらの課題に対応するため、さらなる主伐の検討やICTを活用した境界明確化の推進などにより森林整備を進めるとともに、伐採から利用に至る安定的な供給の仕組みづくりを行い、地域産材のさらなる利用促進を図るなど、関係局と連携しながら、森林資源の循環により次世代に残していく森づくり施策にしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、市営住宅建て替え事業に伴う新たなまちづくりの取組について、豪雨災害を想定した防災について、市民の生活交通の確保について、以上3点について質問いたします。
まず、市営住宅建て替え事業に伴う新たなまちづくりの取組についてです。
市営住宅の4割は、高度経済成長に伴う人口増加に対応して、昭和40年代から50年代前半に大量に供給してきた時期の住宅であります。これらの住宅は築40年を経過し、建物や建築設備の老朽化とともに、入居者の高齢化が急速に進んでいる中で、エレベーターの設置や住戸内のバリアフリー化などに対応するため、現在、建て替えが進められています。この建て替え事業は、そこに暮らす住民にとっても大きく期待するものであります。
建て替え計画の概要と事業の進捗状況についてお尋ねしてまいります。
初めに、福岡市が管理する市営住宅の管理戸数と、現在、建て替えで工事が進められている市営住宅をお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和4年度末時点の市営住宅の管理戸数につきましては、169団地、3万1,211戸となっております。また、現在、建て替えで工事が進められている住宅につきましては、壱岐、城浜、下山門、弥永、板付、ニュー堅粕の6団地でございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 建て替えが進められている市営住宅のうち、おおむね市営、県営住宅で1校区を形成している市営住宅及び校区をお示しください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 建て替え中の市営住宅のうち、おおむね市営住宅と県営住宅で1つの校区が構成されている団地は、壱岐東校区の壱岐住宅と城浜校区の城浜住宅の2団地がございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) では、おおむね市営、県営住宅で1校区を形成している西区壱岐東校区、東区城浜校区の建て替え事業計画の進捗状況と事業完了の見通しはどのようになっているのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 壱岐住宅につきましては、平成29年より建て替え事業を行っており、現在、整備予定戸数950戸のうち336戸に着手し、進捗率は35.4%でございます。城浜住宅につきましては、26年より建て替え事業を行っており、現在、整備予定戸数1,640戸のうち696戸に着手し、進捗率は42.4%でございます。また、今後につきましては、引き続き移転計画などにおいて入居者への負担軽減を図るとともに、できるだけ早期の事業完了を目指して取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、市営住宅の建て替えと併せ、周辺の歩道や道路、公園、広場などの公共空間について改良がされているのでしょうか。進め方と併せてお示しください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 大規模な市営住宅の建て替えに際しましては、周辺の歩道や道路、公園など、施設を所管する部署と連携しながら進めており、必要に応じて、所管局において再整備などを行っております。なお、壱岐住宅におきましては、歩道の段差解消などを行っており、安全で安心な住環境の形成を目指し、地域の意見を聞きながら進めております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 壱岐住宅周辺の歩道等の段差解消については、多くの方から大変喜んでいるという声が上がっており、建て替え事業と併せた住みよいまちづくりを考えた事業と思われます。
それでは、壱岐住宅や城浜住宅において、エレベーターのない5階建てから高層に建て替えることによって余剰地が創出されるのでしょうか。創出されるのであれば、余剰地の活用計画はいつから検討されるのでしょうか。また、余剰地活用について、地元住民の意見や要望は取り入れられるのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 大規模な市営住宅の建て替えに際しましては、住棟の高層化や集約化を図り、周辺環境へ配慮したゆとりある住環境を形成するとともに、創出した将来活用地は、地域の御意見を踏まえながら、地域課題などに対応した機能の誘導を図ることとしております。その結果、城浜住宅の将来活用地につきましては、特別支援学校高等部用地としての活用が決定しております。壱岐住宅の将来活用地につきましては、創出される事業期間の終盤に具体的な活用の検討を行うことを予定しており、地域の御意見を聞きながら進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、建て替え事業に伴って、地元自治協議会など地域コミュニティとの連携はどのように進められているか、お尋ねします。
市営、県営住宅だけで1校区を形成している壱岐東、城浜校区を例として教育委員会に問い合わせたところ、壱岐東小学校の全児童数は現在96人、令和元年度より50人以上減少しており、城浜小学校も現在92人と、100人に満たない児童数です。
では、高齢化率はどのようになっているか、直近5年の数字をお示しください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 直近5年の高齢化率としましては、各年6月末時点におきまして、壱岐東校区では、令和元年が39.1%、2年が40.3%、3年が42.0%、4年が43.1%、5年が44.1%となっております。また、城浜校区につきましては、令和元年が54.5%、2年が55.2%、3年が56.3%、4年が57.4%、5年が57.8%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) どちらの校区も子どもの数の減少、高齢化率の上昇が著しい中、自治会活動等に関しても影響があると考えますが、どのような課題があると認識しているのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自治会、町内会等の課題につきましては、令和4年度に実施した自治会、町内会アンケートの調査結果によりますと、役員の成り手がないが79.3%、活動への参加者が少ないが56.7%となっておりまして、地域活動の担い手不足や地域活動への参加者の減少などが課題であると認識をしております。以上です。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 担い手不足や参加者の減少という課題に対し、どのような対策を行っているのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 自治会、町内会等への支援につきましては、令和4年度に共創による地域コミュニティ活性化条例を制定し、条例の趣旨や地域コミュニティの大切さを広く周知することなどにより、地域活動への理解や参加の促進を図っております。また、自治協議会共創補助金の要件緩和や自治会、町内会への補助の拡充とともに、地域への依頼の見直しによる負担軽減などを行ってきたところであり、今後とも、持続可能な地域コミュニティづくりに向け、自治協議会や自治会、町内会をしっかりと支援してまいります。以上です。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) それでは、建て替えに伴い、地元自治協議会等より地域コミュニティづくりに関して、どのような要望や意見が寄せられているのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅の自治会を含む壱岐東校区や城浜校区の自治協議会などからは、地域活動の担い手不足による自治会活動の停滞や地域コミュニティの希薄化が課題となっていると聞いており、子育て世帯の入居促進などの要望や意見が寄せられているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) このように建て替えを機に、子育て世代や若い世代の入居者が増えることを住民の皆さんは大変期待していることと思います。
では、リニューアルされた住宅に若い世代を呼び込む具体的施策をどのように行ってきたのか、また、その施策効果はあったのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅の建て替え事業に際しましては、バランスの取れたコミュニティ形成のため、子育て世帯をはじめとする多様な世帯の入居が可能な複数の住戸タイプの供給を行うこととしております。特に子育て世帯に向けては、抽せん倍率の優遇、収入基準の緩和などの優遇措置に加えまして、建て替え後の面積の広い空き住戸につきましては、定期募集において子育て世帯向けの別枠募集を実施しております。その結果、子育て世帯の募集枠の拡大を行った平成30年度以降、城浜住宅におきましては27戸、壱岐住宅におきましては4戸、子育て世帯が入居しております。さらに今年度は、壱岐住宅において子育て世帯枠での募集を6戸予定するなど、若い世代の入居に努めているところでございます。引き続き、事業期間を通してこれらの取組を進め、若い世代のさらなる入居を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、県営住宅も本格的に建て替え事業が進められていますが、市と県との連携は取れているのでしょうか。連携がどのように進められているのか、具体的にお示しください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 県営と市営が隣接している住宅を対象に、県と市の事業担当課で構成する建替事業推進連絡会議を設置しており、定期的に計画内容や事業スケジュール、地域との協議内容などについての情報共有や意見交換を行うなど、連携しながら取り組んでいるところでございます。また、壱岐住宅においては、地域のまちづくりのパートナーとして、自治協議会の役員で構成されたまちづくり協議会が設置されており、市と県とで連携し、意見交換などを行いながら、建て替え事業を進めているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) では、壱岐団地の県営住宅高層建て替えに伴う余剰地はどうされるのでしょうか。県の考え方について把握されていればお示しください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 県営壱岐住宅の建て替えにおける余剰地につきましては、住棟間に創出されるものは広場として整備し、まとまった余剰地の活用方法については、現時点では未定と聞いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 現在、全面建て替え事業を進める中、まちづくりという視点で住民と協議しながら、余剰地の活用を含めた住環境の整備に取り組むチャンスと考えます。特に年齢のバランスを考慮し、若い世代が入居しやすい環境づくりは大変重要です。壱岐東校区では、2018年にまちづくり協議会が設置され、市、県の関係者が連携を取りながら建て替え事業が進行しています。この連携に福岡市が要となって、まちづくりに責任を持って進めるべきと思います。
建て替え事業が進められていく中、特におおむね市営、県営住宅で1校区を形成している地域における今後の建て替え事業とまちづくりについて当局の見解を伺い、この質問を終わります。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 大規模な市営住宅の建て替えに当たりましては、超高齢社会に対応したユニバーサルデザインの導入やバランスの取れたコミュニティ形成のため、複数の住戸タイプの供給などに取り組んでまいります。また、ゆとりある住環境を形成するため、住棟の高層集約化を図るとともに、集約化などで生み出した将来活用地は、地域の意見を踏まえ、県をはじめとする関係部署と連携を図るとともに、地域課題の解決に対応した機能の誘導を図るなど、将来にわたって安心して快適に住み続けられるまちづくりに取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、豪雨災害を想定した防災について質問いたします。
近年、大雨による災害が多く発生しております。約2か月前の7月10日早朝の豪雨によって、福岡県内では久留米市などで甚大な被害が発生いたしました。改めて被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。
まず、7月10日早朝の豪雨被害状況についてお尋ねします。
福岡市において、今回の豪雨はこれまでと比較しても相当の降水量だったと思いますが、市内で計測した24時間当たりの最大降水量はどれぐらいだったのか、また、過去5年間における最大値はどのようになっているのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) お尋ねの7月10日の降水量につきましては、24時間最大で401ミリでございます。また、過去5年間における24時間最大値は、平成30年7月の429ミリとなっております。以上です。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 5年前の西日本豪雨に匹敵する雨が降ったということです。
それでは、市内の二級河川での河川氾濫や堤防決壊など、把握されている内容をお示しください。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 県が管理する二級河川の被害状況につきましては、護岸崩壊が、室見川で4か所、那珂川で3か所、日向川で2か所、御笠川で1か所、樋井川で1か所、椎原川で1か所、計12か所あったと県から聞いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 近年の豪雨は、堅固な橋までも流木等によって崩壊している映像を目にしますが、河川の氾濫による橋梁崩壊被害も朝倉豪雨で起きていることを考えると、県管理の二級河川に架かる橋梁の点検や護岸点検も必要ではないかと考えますが、現在、その点検はどのようにされているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 県管理の二級河川に架かる橋梁のうち、福岡市が管理する橋梁の点検につきましては、国の道路橋点検要領に基づき、5年に1回の頻度で専門技術者による目視点検を行っており、災害時などには職員による目視点検を適宜実施しております。そのほかに、定期的な道路パトロールにおいても職員による目視点検を行っております。職員による目視点検において異状が発見された場合には、必要に応じて専門技術者による点検を実施することとしております。 また、県管理の二級河川の護岸点検につきましては、巡視による日常点検を実施しており、毎年出水期前には、日常点検で把握している要注意箇所について、再度点検を実施していると県から聞いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 室見川中流に架かる田村大橋下の早良区側護岸が一部崩壊しました。室見川も上流脇山地区で、早朝1時間当たり56.5ミリの雨が観測されました。また、室住団地横の堤防で、あと1メートルのところまで水位が上がったと聞いており、室見川に架かる橋本橋では欄ぎりぎりまで水位が上がり、室見川沿線住民はいつ避難するか大変心配したようです。西区と早良区の間を流れる室見川は県管理の二級河川ですが、大雨による護岸の崩壊や氾濫を近隣の住民は大変危惧しておりますので、今後も県としっかりと連携を取っていただきたいと思います。
次に、市が管理する河川は何本あって、どのように管理されているのか、お示しください。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 福岡市におきましては、準用河川と普通河川を管理しており、その河川数は、準用河川が25河川、普通河川が64河川となっております。また、維持管理につきましては、排水機場や護岸などの河川管理施設において、定期的な点検による状況把握や修繕を行うとともに、河川の流水機能を確保するためのしゅんせつや除草などを実施しているところでございます。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) では、今回の豪雨で市が管理する河川の氾濫や道路の冠水、また、住宅への床下、床上浸水などの被害は、市内全域で何件報告されているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 舟越市民局長。
○市民局長(舟越伸一) 市が管理する河川につきましては、香椎川での溢水が1件、道路については、内水氾濫による冠水が3件、住宅への被害については、8月31日時点で床上浸水が5件、床下浸水が2件、一部損壊が4件報告されております。以上です。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 雨水排水路である通称道隈川の増水による浸水被害があったと聞いていますが、被害の状況をお答えください。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 7月10日の豪雨による通称道隈川の増水に伴う浸水被害の状況につきましては、西区野方の道隈交差点周辺において、道路冠水や店舗、倉庫などで浸水被害が発生しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) (パネル表示)これは7月10日早朝の道隈交差点での冠水の様子です。また、交差点周辺の道路も冠水しており、住宅前の道路も水があふれています。被害の原因について把握されているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 浸水被害の原因につきましては、詳細な調査が必要ですが、近隣の雨量計で記録された市の整備水準を上回る時間最大60.5ミリメートルの集中豪雨により、浸水が発生したものと考えております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 市の整備水準を上回る降雨による浸水とのことですが、それに対し、市はどのような対応、対策を考えているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 今後の対応につきましては、詳細な浸水原因の調査結果を踏まえ、必要な対策の検討を進めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 具体的な対応策は現段階では回答いただけませんでしたが、原因をしっかりと調査して、被害が繰り返されないよう対策を進めていただきたいと強く要望します。
次に、山林の土砂が玄関に流れ込み、1階が浸水被害に遭った高齢者施設では、災害発生から2日後に福岡市へ支援を求める通報があったと聞いています。(パネル表示)こちらのパネルの右側がその高齢者施設の玄関の様子です。災害発生以降の経過をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 災害発生以降の施設からの通報等に関する経過でございますが、7月10日午前6時46分頃、消防局に建物1階が浸水したとの通報があり、午前9時40分頃、福祉局に被害状況についての連絡がございました。また、7月12日午前9時35分頃、西区役所に衛生面の状況について連絡がございました。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 施設からの通報を受けての市の対応について、説明をお願いいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 被害に対する市の対応でございますが、7月10日に消防局において、建物へのさらなる浸水を防ぐため、土のう積みを実施。また、同日以降、福祉局において、連日施設と連絡を取り合い、入居者及び設備の状況を確認するとともに、入居者への対応に関する助言等を実施しております。7月12日に、西区役所及び水道局が現地の状況を踏まえ、緊急物資の提供や衛生面に関する助言等を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 7月10日の朝、福祉局が聞いた施設、入居者の状況はどういうものだったのでしょうか。また、それに対してどのような助言を行ったのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 福祉局におきましては、7月10日の時点で施設からの聞き取りにより、人的被害は生じていないこと、建物の1階に居住していた14名の方々は、同じ法人が運営する他の施設に避難済みであること、エレベーターが使用不能となっていること、給水ポンプが故障しているが、飲料水は備蓄しており問題はないことなどを把握しております。また、こうした状況を踏まえ、施設に対し、他の施設への避難がさらに必要となる場合は市が支援することを伝えるとともに、緊急時の介護サービスの利用などについて助言を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 第一報があった7月10日以後、福祉局が現地に行ったのはいつでしょうか。そして、現地ではどのような対応をされたのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 現地の状況につきましては、7月12日に西区役所が確認し、情報は共有していたことから、その後の設備の復旧状況や入居者の生活状況等を確認するため、7月20日に訪問調査を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 7月20日に実地確認を行ったとのことですが、では、高齢者施設に対してどのような非常災害対策に関する指導を行っているのでしょうか。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者施設に対しましては、非常災害対策計画の策定及び従業者への周知、避難訓練の実施、業務継続計画の策定等について継続的に指導を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) この高齢者施設ではエレベーターが使用できない状態が続いており、1階部分は現在も使用できません。厨房も9月3日より一部使用可能となりましたが、建物1階に居住していた14名はいまだ関連施設にて生活されています。
このように災害が発生すると、通常どおりの業務を実施することが困難となります。災害発生時に適切な対応を行い、利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制を構築するため、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続計画、BCPの策定が2024年4月1日より義務づけられると聞いています。2024年3月31日までは経過措置期間となっていますが、現在、福岡市内の高齢者施設において、この業務継続計画が策定されている施設の数をお示しください。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 高齢者施設における業務継続計画の策定状況につきましては、令和4年度に実施した調査によりますと、回答があった574施設のうち、策定を完了している施設は、自然災害については318施設で約55%、感染症については335施設で約58%となっております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) まだまだ4割強の施設が未策定ということです。
では、2024年4月1日より義務づけられるこの業務継続計画、BCPの策定に関し、施設に対し、今後どのような指導を行っていくのか、お尋ねいたします。
○副議長(松野 隆) 藤本福祉局長。
○福祉局長(藤本広一) 業務継続計画につきましては、未策定の施設に対し、速やかに策定するよう強く求めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 日頃の多忙な業務の中、業務継続計画の作成は事業者にとって大変な作業と思われます。未策定の高齢者施設に対し、作成についての勉強会やアドバイスを行い、実際に災害が起きたときにサポートできる体制を日頃より整えておくことが重要かと思います。
また、この施設における浸水被害の原因については、施設の横を流れる沢に、大雨によって大量の樹木や土砂が流れ込み、排水管が詰まったことにより溢水したと考えられますが、このような溢水は施設を利用されている方のみならず、周辺の住宅地にも被害が及ぶ可能性があり、近隣住民は大変心配していると聞いています。
今回の豪雨は幸いにも福岡市において人的被害はありませんでしたが、洪水ハザードマップに浸水想定区域が示されていない小さな川においても、浸水被害が発生しています。道路と川の境目がなくなり、歩行者が川に落ちるなどの甚大な被害も当然考えられます。今回の溢水箇所をしっかりと調査し、道路の冠水などの主原因と思われる水路や側溝の土砂の除去、近年の豪雨に耐えられる雨水排水整備計画を検討すること、また、現在の洪水ハザードマップに二級河川以外の浸水想定などを作成し、市民に注意を喚起するなど、あらゆる状況を想定した対策が必要だと思いますが、当局の所見を伺います。
○副議長(松野 隆) 天本道路下水道局長。
○道路下水道局長(天本俊明) 近年、集中豪雨は全国的に増加傾向にあり、浸水リスクは高まりつつあることから、浸水対策は大変重要と考えております。今回、浸水被害があった箇所につきましては、詳細な調査を行い、水路内の土砂撤去や雨水排水施設の整備など、浸水安全度向上のための効果的な対策を検討し、実施してまいります。また、ソフト対策としましては、洪水ハザードマップの作成に必要な準用河川の洪水浸水想定区域図などの作成を進めているところでございます。引き続き、市民の生命と財産を守るため、ハード、ソフト両面から必要な浸水対策を推進し、浸水被害の軽減に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、市民の生活交通の確保について質問します。
近年、高齢化率が高まるとともに、高齢者の運転による交通事故の多発などで高齢者の免許返納が推奨されており、自家用車以外のバスやタクシーなどの公共交通に頼らざるを得ない方がたくさんいらっしゃいます。運転手不足や経費の高騰で路線バスの廃止や減便など進む中、高齢者のみならず、介護が必要な方や障がいをお持ちの方なども含め、市民の生活交通の確保は毎日の暮らしに欠かせないものです。
まず初めに、2011年にスタートした橋本駅を起点とするコミュニティバスの社会実験実施について、実施に至る経緯をお示しください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 地下鉄七隈線開業後の平成18年に、橋本駅周辺整備まちづくり連絡協議会より、橋本駅周辺のまちづくりの一環として、地域の公共交通利便性を向上させるため、地域循環バスの導入についての要望書が提出されております。その後、連絡協議会に設置された橋本地区地域循環バス実行委員会等において、地域、交通事業者、市で運行内容などの協議を重ね、地域団体が主体となった橋本駅循環バスの社会実験を23年10月から24年1月の期間、1日当たり目標利用者数を255人とし、実施しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) では、この社会実験に関しての市の関わりと、要した費用についての説明をお願いいたします。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 平成23年10月より実施した社会実験では、運行の収支差額に関する補助金として882万円を交付しておりますが、このほか、実行委員会等に市も参画し、社会実験の運行ルートや運行内容等の協議を行うとともに、実施期間や運行ルート等を掲載したチラシ配布などの利用促進を行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 次に、地域循環バスからオンデマンドバスへ移行した背景をお答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 橋本駅周辺の循環バス等の運行に当たっては、地域、交通事業者、市の3者共働で持続可能な運行形態について協議を行いながら進めているところでございます。まず、平成25年12月からは車両を小型化し、1日当たりの目標利用者数を200人とした西日本鉄道による橋本駅循環ミニバスを、次に、27年12月からは運行事業者を西鉄タクシーに変更し、1日当たりの目標利用者数を100人とした橋本駅循環ミニバスの試行運行を順次実施しております。また、いずれも利用者数が目標に届かない状況が継続する中、西日本鉄道から代替の提案があったことから、令和2年5月末にミニバスを終了し、6月から1日当たり目標利用者数を70人としたオンデマンドバス「のるーと」の実証運行が開始されております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 事業者から代替の提案があったということです。
では、オンデマンドバス「壱岐南のるーと」の運行状況について、現在設定されている1日当たりの目標利用者数と令和2年度から4年度の利用者数の推移、直近の利用者数をお示しください。また、令和4年度の運行収支の概要についてもお答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和5年度の1日当たりの目標利用者数は50人、損益分岐点としては1日当たり75人となっております。1日当たりの平均利用者数は、2年度が約22人、3年度が約30人、4年度が約41人、直近の5年7月は約53人と増加傾向となっております。また、4年度の運行経費については約1,161万円であり、運賃収入約293万円、協賛金等の運賃外収入約703万円との差額、約165万円の欠損が生じたと聞いております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 経費費用の多くは地元企業の協賛で補っていると聞いています。
では、オンデマンドバス「壱岐南のるーと」に関して、市はどのような支援を行っているのでしょうか。費用についてもお答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 「壱岐南のるーと」につきましては、生活交通条例に基づき生活交通確保支援に取り組んでおり、地域、交通事業者、協賛事業者、市などで構成される「壱岐南のるーと」運行連絡会議において、利用者数や乗り場の新設、移設等の情報も含めた利用状況の共有や、新たな予約方法の導入、イベントにおけるPR活動等の利用促進策の検討、実施を行っております。このうち、壱岐南校区の約4,600世帯を対象とし、利用方法や乗り場を掲載した利用ガイドを共働で作成しており、令和4年度には利用ガイドの発行費用に約18万円を支出しております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 現在も支援を継続しているというのは、市としても生活交通の確保に対する重要性は高いと認識されているというのが分かりました。また、2019年9月の市議会では、壱岐南校区自治協議会が6月に請願した「生活交通の充実、整備について」が全会一致で採択されました。そして、2020年9月には、池田良子議員も生活交通の充実、整備について質問されています。オンデマンドバスを持続可能なものとするために、市はどういう施策を打っていくのかという質問に対し、当時の住宅都市局長は、オンデマンドバスなどの公共交通につきましては、地域の方の利用によって支えられており、引き続き地域、交通事業者と共働で利用促進を行うなど、本格運行を目指して取り組んでまいりますと答弁されています。
その後の福岡市の取組状況をお答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和元年度の請願採択以降、請願項目である全市的な住民意識調査を元年度に速やかに実施し、その後、4年度よりオンデマンド交通を活用した社会実験を3エリアで実施しております。また、「壱岐南のるーと」の2年9月以降の取組としましては、連絡会議において利用促進策の検討を行い、地域の方々の利用を促進するため、乗り場を運行開始当初の26か所から43か所へ増設したことをはじめ、待ち時間減少に向けた運転手の増員、電話予約の受付時間帯の延長や受付日の拡大、利用ガイド等の配布による周知などを行っております。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 今答弁がありました、乗り場の増設と運転手の増員や電話予約の受付時間帯の延長、拡大等は、事業者である西鉄が実施しています。福岡市としての支援は利用ガイド等の印刷で、地元校区自治協議会を通し、地域住民に配布されています。
それでは、現在3か所で行われているオンデマンド交通社会実験の結果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、お答えください。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 現在実施している社会実験のうち、エリア1の東区は令和4年11月に、エリア2の南区は5年1月に、エリア3の中央区、城南区は6月にそれぞれ運行開始しております。今回の社会実験は持続可能な生活交通確保の取組の一つとして、地域、交通事業者、市の共働で取り組んでいるところであり、社会実験で得られる課題等を踏まえ、地域の実情に応じた持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 今回の社会実験で得られた課題等をしっかりと調査して、報告をしていただきたいと思います。本市において、およそ12年に及ぶ壱岐南校区を中心とした生活交通の取組、壱岐南モデルに対し、福岡市としても継続して支援をし取り組んできたことから、今後の福岡市の生活交通の方向性を見極める上で重要な実績となると思いますが、市としての評価、見解を伺います。
○副議長(松野 隆) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 壱岐南校区では、平成23年10月より実施した橋本駅循環バスの社会実験以降、地域、交通事業者、市の共働で持続可能な運行形態について協議し、適宜見直しを行いながら試行運行等を実施してきております。「壱岐南のるーと」の運行当初は、新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、利用者が伸び悩んでおりましたが、3者共働の取組によって利用者が増加傾向にあり、市としても引き続き条例に基づく支援を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(松野 隆) 勝見美代議員。
○54番(勝見美代) 最後に、長きにわたる壱岐南校区での社会実験において、必要としている住民が一定数いらっしゃることが明確に分かってきました。この地域だけではなく、福岡市内で買物や通院などの移動手段に関して困っている方はたくさんいらっしゃいます。本市の交通網は都心を中心に充実していると言われておりますが、こういった不便を感じている市民に対して手を差し伸べること、それが福岡市が目指す誰にでも優しいまち、ユニバーサル都市・福岡ではないかと思います。以上で質問を終わります。
○副議長(松野 隆) この際、休憩し、午後2時35分に再開いたします。
午後2時25分 休憩
午後2時35分 開議
○議長(打越基安) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな)登壇 私は日本維新の会福岡市議団の橋口えりなでございます。初めに、初めての議会であり、初めての一般質問により緊張し、至らない点がたくさんあるかと思いますが、御容赦いただけますと幸いです。また、このような場所に立たせていただき、市民の皆様、そして福岡市議会全ての皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
本日は日本維新の会福岡市議団を代表しまして、がん検診受診率アップとがん患者支援構築について質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
現在、2人に1人はがんにかかる時代となっており、1981年から42年間連続で、がんは日本人の死因1位となります。年間で約100万人罹患、2021年の死亡者数は38万人と、がん患者は増加傾向にあります。しかし、適切な対策やがん予防、そしてがん対策は、命を救うだけでなく、医療費経済的負担の軽減までもが期待をされています。
そこで、がん検診については、健康増進法に基づく健康増進事業として市町村が実施しており、厚生労働省ではがん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針を定め、検診を推進しています。がんの予防及び早期発見のために重要になります。
初めに、国が認めているがん検診の受けるべき対象年齢を踏まえた福岡市での人口をお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 国の指針におけるがん検診の対象年齢及び福岡市における対象人口につきましては、令和4年度末時点で胃がん検診が50歳以上で65万853人、肺がん及び大腸がん検診が40歳以上で88万9,984人、乳がん検診が40歳以上の女性で48万1,846人、子宮頸がん検診が20歳以上の女性で69万8,113人となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。次に、がん検診やがん患者支援などの県の取組をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡県におきましては、がん対策基本法で都道府県に策定が義務づけられているがん対策推進計画に基づき、市町村が実施するがん検診の精度管理、がんの予防及び検診受診率の向上対策、がん医療提供体制や相談支援体制の整備などに取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 続きまして、県と協力してやっていかないといけないと思いますが、がん検診やがん患者支援などの市の役割をお尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 福岡市におきましては、健康増進法に基づいたがん対策事業として、がん検診の実施のほか、検診受診率の向上やがんに関する啓発、がん患者への支援などに取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。
それでは、市のがん検診受診率向上に向けて実施している取組である住民登録をしている対象者への無料クーポンである、子宮頸がん20歳無料クーポン、乳がん40歳の無料クーポンの対象者数及び利用率をそれぞれ3年分お示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 無料クーポン券事業の対象者数及び利用率につきましては、子宮頸がん検診が令和2年度8,845人、26.2%、3年度8,816人、21.1%、4年度8,746人、17.4%、次に、乳がん検診が令和2年度1万2,076人、26.5%、3年度1万1,669人、24.5%、4年度1万1,476人、22.9%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。福岡市の状況がよく分かりました。毎年の国民生活基礎調査によると、がん検診に行かない理由として、費用がかかるからという理由は常に上位にあり、この無料クーポン券の配付は有用性があり、特に重要な取組だと思っております。また、厚生労働省の調査データによると、国際的にも日本のがん検診率は最も低い水準となっており、8か国調査した諸外国の中、6か国のイギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オランダ、フィンランドは、自己負担を徴収されずに、全て公費から負担されていたそうです。
以上2点の理由から、無料クーポンは特に強化すべき取組だと思われます。現状の課題をお聞かせください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 無料クーポン券事業につきましては、福岡市においては利用率が年々増加傾向にありましたが、令和2年度以後は2年続けて減少いたしております。無料クーポン券の利用率は全国的にも低迷しており、未利用者への個別勧奨やSNSを活用したより効果的な広報を行うなど、利用率の向上を図るための取組が必要であると認識いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) がん検診受診率は、国民生活基礎調査によると、2022年も福岡県は全国の中でも低い水準であると感じております。胃がん、大腸がんに至っては47都道府県中34番目、子宮頸がん、乳がんに至っては36番目となっております。また、福岡市においても、国が推奨しているがん検診の胃、肺、大腸、子宮、乳がんの5項目では目標を50%としておりますが、同調査では全て45%に満たない状況でございます。要因は何だと思われるか、所感をお聞かせください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和4年国民生活基礎調査によりますと、福岡市における健診を受けなかった理由につきましては、必要なときはいつでも医療機関を受診できるからや、時間が取れなかったからが多くなっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 令和5年3月に、がん検診の受診目標を50%から60%に引き上げることを盛り込んだ新しい第4期がん対策推進基本計画を閣議決定しました。加藤厚生労働大臣は、新たながん対策推進基本計画を全ての国民ががんを克服することを目指す目標に向けた取組だと語られました。
検診を受けなかった理由を先ほどお聞きし、現状を踏まえて、とても高い目標だと感じておりますが、受診率を向上するために市として工夫をしている取組や施策は何か、お示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 受診率向上のための取組につきましては、節目年齢や検診受診歴に応じた受診勧奨はがきの送付、健診ガイドの全戸配布、啓発イベントの開催など、広報、啓発を行っております。また、健診専用ウェブサイトによるオンライン予約の導入や、協会けんぽなどと連携し、ホテルや商業施設などで各種健診を行うよりみち健診の実施など、受診しやすい環境づくりに取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 次に、令和5年度のがん検診事業等に係る予算、10億9,000万円の予算の内訳をお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 令和5年度予算の内訳につきましては、集団検診事業者や医療機関への委託料などが10億4,760万8,000円、イベント開催やチラシ作成などの広報経費が3,450万5,000円、その他事務経費が889万6,000円となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 私が代表を務めるNPOにおいて、福岡に通う大学生を中心とした学生インターン生を主体とした独自SNS調査により、がん検診について福岡市民よりデータを収集させていただき、8月7日から11日、そして8月29日、30日と、合計7日間で179件の回答を収集いたしました。結果に関しまして、福岡市のがん検診の取組を77.9%が知らないと回答するなど、取り組んでいる市の施策を目にしないと市民の声が上がっております。
広報量や手段は最適と思われるか、お尋ねいたします。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 広報につきましては、健診ガイドの全戸配布や個別の受診勧奨はがきや再勧奨はがきの送付、健診専用ウェブサイトの運営、啓発イベントでのチラシの配布などにより、効果的な受診勧奨に努めております。しかしながら、受診率は目標に達していないことから、受診率の向上に向け、さらに効果的な取組を進める必要があると認識いたしております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 福岡市でも実施されている個別受診勧奨と再勧奨、いわゆるコール、リコールはイギリスでも認められ、大阪府池田市でも実施されていますが、受診率向上に大きな効果があると聞いております。毎年10月にピンクリボンがあり、市の取組にもより、がん検診啓発活動によって認知度は広がっておりますが、内閣府世論調査によると、がん検診は「たまたま行っていない」が1位に来ており、行動に移すにはきっかけを提供する個別勧奨がとても重要だと思われます。独自SNS調査に至っても、「行ったことがない」、「行こうと思っているが、行っていない」が64.4%になっております。ぜひ継続して実施していただきたいと要請いたします。
それらを踏まえた上で、広報の実績であるダイレクトメールの開封率やDMレスポンス率、ユーチューブ視聴回数、フォロワー数、リーチ数、アクセス数、アンケート結果など、お示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 広報の実績につきましては、令和4年度の健診専用ウェブサイトのアクセス数が13万1,774件、がん検診の大切さを市民に伝えるために作成した啓発動画のユーチューブ再生回数が令和5年1月時点で約21万回となっております。また、令和4年度に実施したがん検診受診者へのアンケート結果において、がん検診を受診したきっかけが福岡市からのダイレクトメールと回答した方の割合が45.6%となっております。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 続きまして、先ほどおっしゃっていただいた広報、啓発への市の取組に関して、またそれら実績を踏まえてよかったもの、よくなかったものをお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 広報につきましては、いずれの取組も一定の効果があったものと認識いたしておりますが、より効果的な広報、啓発の手法について引き続き検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。しかし、広報に関して、その効果を結果検証してみないことには、適切な広報であったのか分からないことを大変危惧しております。実際にがん検診受診率は、市の取組も含め、課題が明白であるという状況になっております。さらに、市町村で受診をする方、職場で受診をする方、人間ドックなど任意で受診する方など、検診を提供する機関は多数存在しており、それらのデータを一くくりに集約する仕組みがありません。そのため、誰がどこでどんな状況でがん検診を受けたのか、未受診者は誰なのか、特定できる手段がありません。現状できる効果検証材料として、ダイレクトメールや郵送物の中にアンケートを入れて効果検証をするべきだと考えます。
何が正解なのか分からない状態を可視化するためにも、QRコードを入れて効果検証を要望いたします。すぐにでも取り入れていただきたいと考えますが、所感をお聞かせください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) アンケートにつきましては、市民のがん検診に関する認知度やニーズなどを把握するために、ウェブによるアンケート調査などを実施しております。今後も、QRコードの活用も含め、目的や内容に応じた効果的なアンケートの手法について検討してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。また、その他、がん検診の受診率を向上するためには、メールよりも、現在、生活インフラ化され、コミュニケーションツールとしても当たり前に使いやすく、目にも触れやすいため、今はLINEの時代だと思われます。LINEでのがん検診受診へのアプローチはかけられているのでしょうか。また、LINEでがん検診予約までの仕組み構築などはあるのでしょうか。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) LINEの活用につきましては、福岡市公式LINEアカウントからがん検診の受診勧奨やがんに関する情報発信を随時行っております。また、そのメッセージの中にオンライン予約サイトのリンクを貼って予約できるようにしておりますが、引き続き、受診率向上に向け、予約しやすい環境づくりに努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。ぜひLINEの中で完結できるチャット機能やAI導入のような仕組み構築ができれば、さらに予約へのハードルが下がるかと思います。引き続き、LINEによる支援、仕組み構築を要望いたします。
また、厚生労働省のデータによると、がん検診に行かない理由の上位に時間がないからとあります。SNS独自調査では、1位、時間がないからが46%となっております。特に乳がんに関しましては40歳以上女性が受診対象となり、子育て世代、そして仕事と両立をしている働き盛り世代にもなります。時間がないことを払拭できる打ち手を事前に準備すべきだと考えます。それらに対する対策や取組は市として何か工夫している点があればお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) 時間がないことを理由に健診を受けない方に対しましては、健康づくりサポートセンターにおいて、平日夜間や土日の健診を実施するとともに、小学校低学年までのお子様がいらっしゃる方のために集団健診会場で無料託児サービスを行うなど、健診を受けやすい環境づくりに取り組んでいるところでございます。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。
また、最新のがん検診の傾向によると、安価で血液や尿でがん検診ができる線虫がん検査や、米国で認められ、効果が実証されていると聞いている乳がん検診のエコーなど、先進的な検査方法を福岡市でも導入できないのか、所感をお聞かせください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) がん検診につきましては、がんによる死亡率を低下させるなどのメリットがある一方で、偽陰性や偽陽性の判定や、検査による身体的負担などのデメリットもあるため、国が科学的根拠を基に定める指針に基づき実施をいたしております。現在、国の指針において、線虫がん検査や乳がん検診における超音波検査は推奨されておりませんが、引き続き、国の動向を注視してまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) 他都市調査によると、がん検診率向上に向けて、宮城県では若い女性へのがん予防とがん検診の受診勧奨として、大学生等を対象とした講演会や働く人へのがん検診の重要性を啓発する出前講座を行っており、がん教育事業に力を注いでいるようです。山梨県でも同様に講演会や健康相談を、特に受診率の低い子宮頸がんを若年層において正しい知識と検診の重要性に関する理解と関心が得られるように動いているそうです。新しい視点でがん検診率を向上するために、がん教育を取り入れていくのも得策かと思います。
また、がん検診受診都道府県別ランキング1位である山形県では、がん検診推進強化月間である10月の土日祝日に、市町村が実施する乳がん及び子宮頸がんの集団検診を受託した検診機関が医師を確保することが困難で、医師の派遣を受けた場合に、その派遣された医師2名を上限とする医師に係る人件費を補助するものである事業は受診拡大につながっているそうです。そして、東京都においては、関連団体や企業との連携をして、キャンペーンやイベント、ポータルサイトの普及啓発など、広報やイベントに力をかけられて、国が指針で定めるがんの検診受診率50%を達成しているそうです。他都市の事例も積極的に取り入れ、福岡のがん検診受診率向上を推進していただきたく、強く要望いたします。
また次に、がん患者支援について質問いたします。
がんになると、どんな治療が受けられ、副作用が出るのか、仕事は続けられるのか、患者は様々な悩みを抱えます。国は全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院など、約450か所に看護師やソーシャルワーカーらが対応するがん相談支援センターを整備しており、ほかの医療機関で治療中の患者やその家族も無料、匿名で利用できるそうです。第3期がん対策推進計画福岡県対策の取組において、がんに関する相談支援及び情報提供が取り上げられており、今後の取組で診断早期にがん相談支援センターの存在、役割など、利用促進に一層努めるとありますが、市で取り組んでいることをお示しください。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) がん相談支援センターにつきましては、国立がんセンターでの研修を修了した相談員ががん患者や御家族等の相談に応じており、福岡市内にはがん診療連携拠点病院の10か所に設置されております。本市におきましては、相談支援センターの設置者である福岡県と連携し、ホームページ等における分かりやすい情報発信に取り組んでおります。以上でございます。
○議長(打越基安) 橋口えりな議員。
○37番(橋口えりな) ありがとうございます。窓口は設置され、情報発信は行っているのですね。しかし、18年度の調査では、相談支援窓口を知っている人のうち、利用したことがあるのは成人で14.4%だったそうです。未利用のうち、13.1%が「必要としていたときには知らなかった」、12.7%は「何を相談する場なのか分からなかった」と、周知が課題となっていたそうです。令和5年3月に閣議決定された次の第4期がん対策推進基本計画では、患者のアクセス向上を図るため、オンラインなどを活用した相談支援体制の整備を進めているそうです。ツイッターやユーチューブなどSNSには、○○を食べるとがんが予防できる、○○をするとがんが治療できるなどの言葉であふれています。専門的な知識がなければ、その情報が正確かどうかを見極めることは簡単ではありません。ぜひともよりがん検診、がん患者支援構築に向けて、より市民が安心できるがん相談支援センターの認知度向上を要望いたします。
その他、病院においての課題では、コロナ禍、特に面会制限が行われるなど、入院患者の孤独をより深めている状況でした。つながりのプラットフォームとして、Wi−Fiが整備されていることは、小児患者の教育の機会、入院中でも仕事をできる手段、家族や友人とつながるための心の救いとも言われております。2021年、病室Wi−Fi協議会の推進により、全国の病室にWi−Fiをつけるための補助金まで下りたそうですが、突発的な施策であったため、全国のがん拠点病院では約2割のWi−Fi設置率だったそうです。しかし、福岡市民病院ではWi−Fiが設置されており、環境整備がされています。患者の要望も踏まえ、令和4年4月に病棟にWi−Fi環境を整備し、入院患者の療養環境の向上を図っているそうで、コロナ禍における面会制限が行われている中、院内のWi−Fi環境を活用し、オンライン面会の活用推進につながったそうです。
これから取り組むべき第4期のがん対策推進基本計画においては、支える基盤としてデジタル化の推進が挙げられております。患者や家族等のアクセス向上と効果的かつ効率的な取組に向け、がん対策のデジタル化の推進をする必要性が示されています。入院中のがん患者にとっても、なかなか病院に来られない御家族との面会がオンラインでもできることから、設置が難しい病院もあるかとは思いますが、普及に向けた取組を行っていただくように要望いたします。
最後に、AYA世代という若年性がん患者支援においての質問となります。
AYA世代とは15歳から39歳までの年代を指しております。AYA世代は多くの人にとって親から自立したり、生活の中心が家庭や学校から社会での活動に移行したりしていくなど、大きな転換期を迎えることがあります。その中で医学的、整容的、心理社会的支援を用いて外見の変化を補完し、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケアをアピアランスケアといいますが、AYA世代には特に必要だと感じております。しかし、実際にアピアランスの助成を受ける人は五、六十代だそうです。まだまだ、がん患者はネイルやメイクなんてできないのでは、ウィッグも高価で自然ではないのではなどと、誤った市民の見解も聞いております。
就労世代に向けた広報やPRはできているのか、がんとうまく付き合わないといけない就労世代であるAYA世代こそ、本当にアピアランスを必要としているのではと考えます。所感をお聞きして、私の質問を終わります。
○議長(打越基安) 藤田保健医療局長。
○保健医療局長(藤田三貴) アピアランスケア推進事業につきましては、がんの治療に伴う心理的負担を軽減し、社会参加を促進することで療養生活の質の向上を図ることを目的としており、就労世代を中心に、外出する機会の多い年代の方への広報は重要であると認識いたしております。今年度からはインターネットを活用した電子申請も取り入れて、就労している方にも申請しやすい環境づくりに努めているところであり、引き続き、効果的な広報に努めてまいります。以上でございます。
○議長(打越基安) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明5日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(打越基安) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次の会議は明5日午前10時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後3時4分 散会