令和4年9月9日(金)

令和4年第4回福岡市議会定例会
 
議  事  日  程 (第4号)
 
9月9日 午前10時開議
 
 
 
 
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
1.議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  阿 部 真之助       8番  平 畑 雅 博
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  伊 藤 嘉 人      12番  淀 川 幸二郎
13番  勝 山 信 吾      14番  川 上 多 恵
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
 水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  野中   晶
福祉局長  中 村 卓 也   保健医療局長  舟 越 伸 一
環境局長   田 浩 輝   経済観光文化局長  天 本 俊 明
農林水産局長  藤 本 広 一   住宅都市局長  中 村 健 児
道路下水道局長  名古屋 泰 之   港湾空港局長  井 口 宏 樹
消防局長  内 村 弘 文   会計管理者  小 川 明 子
教育長  石 橋 正 信   教育委員  西 村 早 苗
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子   人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  曽根田 秀 明   議会事務局次長  八 木 智 昭
議事課長  水 ア 亮 二   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(伊藤嘉人) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。堀本わかこ議員。
 
○34番(堀本わかこ)登壇 おはようございます。福岡令和会の堀本わかこです。本日は子育て支援策と教育予算の拡充について質問をさせていただきます。
 私がこの質問をしようと思ったきっかけは、本年度の当初予算であるぬくもりと彩りという予算案の概要にあります。本市の財政について、令和4年度予算の市債残高は全会計市債残高見込額から国が償還額を全額地方交付税で措置をする臨時財政対策債の残高見込額を除いた額で、平成16年度末の2兆5,115億円から9,922億円も減少し、1兆5,193億円となります。つまり、実質の市債残は平成16年の約2兆5,000億円から本年度の予算で約1兆5,000億円となる見込みで、実質的な市債残は約1兆円も減ったということになります。なかなか額が大きくて、市民には伝わりにくいのですが、これは島市政の成長戦略と財政改革を実現してきた証跡であり、大きな実績ではないかと思います。さらに、私は今こそこれまでの成長の果実を次の福岡市を見据えた投資に回していくべき大きな転換点にあると思います。ですので、今回の議会質問では、将来の福岡市を見据えた投資という観点から、子育て支援に関することをお伺いいたします。
 初めに、出生数について伺います。
 私は1981年生まれで、当時の全国の出生数について調べたところ、約153万人ということでした。しかし、令和4年の出生数は1月から6月で38万4,942人という報道があり、80万人に達しないと予測されております。つまり私の生まれた時代の半分程度ということになっています。一方で、年金生活者が4,000万人を超えている現実に、このまま国任せの少子化対策でいいのか、福岡市としても他都市を牽引できるような独自施策をもっと推進すべきではないかと危惧しているところです。
 そこで、福岡市の現状についてお伺いいたします。
 福岡市の合計特殊出生率はどの程度あるのでしょうか。また、全国の数値と併せて教えてください。
 以上、次の質問以降、発言者席から質問をさせていただきます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 合計特殊出生率につきましては、15歳から49歳までの日本人女性の年齢ごとの1年間の出生率を合計したものでございまして、人口動態を把握するための基礎資料となる統計上の指標の一つでございます。
 国が国勢調査を基に公表している福岡市の最新の数値は令和2年の数値でございますけれども、福岡市は1.20、全国は1.33となっており、全国的に減少傾向にございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 合計特殊出生率について、全国と本市を比較しても、全国の1.33に対して福岡市の合計特殊出生率は1.20ということです。これは政令市の中でも16位と低い水準です。
 本市でも少子化対策の努力をしていると思いますが、少子化の要因についてどのように分析をしているのか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 合計特殊出生率は、先ほど答弁いたしましたように、年齢ごとの出生率の総計であり、都市の特性ですとか人口動態の影響を受けるものであります。福岡市の合計特殊出生率は決して高くはありませんけれども、少子化は全国的に進んでおり、その要因につきましては、未婚化、晩婚化の影響ですとか、子育ての経済的な負担や不安感など、様々な要因が複雑に絡み合っているものと考えております。一方で、生活圏、経済圏を一にする福岡都市圏で見ますと、総人口が着実に増加する中、合計特殊出生率もほとんどの自治体で全国の数値を上回っている状況でございます。人々のライフスタイルですとか価値観の多様化などによりまして生活行動圏が広域化していることを踏まえますと、都市圏といった広域的な視点からもその動向を注視していく必要があるというふうに考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 少子化は複合的な要因があると思います。様々な要因の一つとして、未婚化があるとのことです。ネットなどでもなぜ未婚率が高いのかを調べてみると、結婚して子どもを産むと経済的に不安だという理由も多く挙がってきております。現在の日本を取り巻く環境は、ウクライナ戦争や円安などで物価はどんどん上がっていくが、お給料は変わらないという現状です。結婚も遠のいていくし、結婚をしても、子どもをたくさん産みたいけど、経済的な理由から1人生み育てるのが限界という方も多いのではないでしょうか。私は、だからこそ若い世代が結婚や育児に経済的不安を抱えない社会をつくること、つまり可処分所得を上げていくことが真の少子化対策ではないかと思います。
 そこで、最近注目されている兵庫県の明石市と福岡市の合計特殊出生率の推移をパネルで紹介いたします。(パネル表示)まず、5年ごとの国勢調査データの推移を御覧ください。こちらです。合計特殊出生率を比較すると、各年において全国平均を福岡市は下回っているのが分かります。一方で、明石市は全国平均を上回り、さらに、2015年以降、全国平均が下がる中でも、明石市は合計特殊出生率が伸びているのが分かります。そこで、明石市に何か少子化対策のモデルになるような事業があるのか等を調べてみたところ、市のまちづくり基本理念にこどもを核としたまちづくりというものがありました。こちら、明石市のまちづくりの基本理念こどもを核としたまちづくりがございます。1、すべてのこどもたちを誰一人として見捨てない、これは貧困家庭限定にしておりません。2、まちのみんなで行政も地域も一緒に、こちらも親だけの責任にしておりません。3、一人ひとりに寄り添ってこども目線、行政目線や親目線にもしておりません。4、本気で応援あれもこれも本気で、予算の範囲内にはしておりません。次のパネルです。(パネル表示)こちら、こんなに充実!明石市の子育てというのがございます。経済的負担の大幅な軽減、5つの無料化がございます。1、保育料、第2子以降は完全無料、2、給食費、中学生は完全無料、3、医療費、高校3年生まで完全無料、4、遊び場、親子ともに利用料無料、5、おむつ、1歳まで無料、これはポイントとしては5つのサービス全て所得制限がございません。子育てを全力で応援する明石市には、確かな理由がここにございました。
 そこで、福岡市が子どもに関する施策として指針にしているものがあればお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子どもに関する施策の指針につきましては、福岡市総合計画などの上位計画に即し、子どもに関する分野の基本的な計画といたしまして、第5次福岡市子ども総合計画を策定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) この第5次福岡市子ども総合計画の基本理念を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 第5次福岡市子ども総合計画は、基本理念をすべての子どもが夢を描けるまちをめざしてとしております。子ども一人一人が自分らしく健やかに成長できるよう、また、子どもが様々な人との交流や体験を通して将来に夢を描き、チャレンジしながら自立した大人へと成長できるまちを目指すものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) この第5次福岡市子ども総合計画にはどのようなことが書かれているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 第5次福岡市子ども総合計画は、計画期間を令和2年度から6年度までの5年間とする計画であり、子どもを取り巻く現状と課題を踏まえ、基本理念の下に、妊娠期から子育て期、さらに、青年期までのライフステージごとに安心して生み育てられる環境づくり、子ども・若者の自立と社会参加、さまざまな環境で育つ子どもの健やかな成長、この3つを基本目標に掲げ、関係部署が連携して総合的、計画的に推進する具体的な15の施策を示しているものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 第5次福岡市子ども総合計画がすべての子どもが夢を描けるまちをめざしてという基本理念の下で策定されていることが分かりました。
 私もこの質問に先立ち、第5次福岡市子ども総合計画を事前に調べてまいりました。第5次福岡市子ども総合計画の施策1、母と子の心と体の健康づくりについてお伺いいたします。具体的に、例えば、産後の母と子の心と体の健康づくりについて、本市の取組を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 母と子の心と体の健康づくりにつきましては、産婦に対する健康診査や生後3か月頃までの乳児がいる家庭を助産師や保健師が訪問する乳児家庭全戸訪問事業のほかに、4か月児及び10か月児、1歳6か月児、3歳児に対する乳幼児健康診査を実施しております。また、公民館など、身近な場所で助産師が相談に応じる母子巡回健康相談事業や医療機関等で母子の心身のケアを行う産後ケア事業、こういったものに取り組んでおります。これらの事業を通じて、支援が必要な家庭を把握し、保健師が継続的に訪問するほか、保育士等の資格を持つ子ども家庭支援員を派遣いたしまして、育児等への助言を行うなど、産後の母親や乳幼児家庭に寄り添い、きめ細やかに支援する様々な取組を実施しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 本市でも産後の母親や乳幼児家庭を支援する取組をされていることが分かりました。この産後の母親や乳幼児家庭を支援について、明石市では独自の先進的な取組があり、御紹介いたします。それは0歳児見守り訪問おむつ定期便事業です。こちらのおむつ定期便事業というのは、生後3か月から満1歳の誕生日までの子どもに対して、1か月に1回、おむつや粉ミルクなどの子育て用品を定期便という形で提供されているそうです。また、配達に併せて赤ちゃんと保護者の見守りを行っているそうです。そして、明石市の場合は民間事業者と提携しているそうですけど、こういう事業をやることによって、市の研修を受けた子育て経験のある配達員が毎月おむつや子育て用品を御自宅にお届けし、その際に育児の不安や悩みを聞き、役立つ情報をそこで共有するなど、大きな利点があると聞いております。
 本市では、赤ちゃん向けの何か拡充した取組など、現在行っているサービスはありますでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 乳児やその保護者を対象とした事業につきましては、先ほどお答えした様々な取組のほか、令和4年7月からは新たに1歳未満の乳児がいる家庭に対し、希望に応じて助産師がお宅を訪問し、母体や乳児のケアや授乳、沐浴のアドバイス、育児相談を行う訪問型の産後ケア事業を実施しております。また、乳幼児親子がいつでも気軽に利用できる遊び場、子どもプラザを市内14か所に設置しておりますけれども、令和4年8月には南区おおはし子どもプラザをリニューアルオープンいたしまして、新たに一時預かり室や外遊びスペースを併設するなど、子育て家庭の育児不安や負担の軽減に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 福岡市産後ケア事業で、令和4年度7月から拡充した訪問型が新たにスタートしたとのことです。私もこの事業内容を確認したのですが、必要な方は予約をし、実際に訪問をしてもらうためには毎回2,000円と料金がかかります。ですので、産後鬱であったり、不安を抱えている親や虐待リスクがある親が、そもそも行政に訪問予約の電話をしてくるとは思いません。私は現在の本市が予約制かつ有償で行っている事業を抜本的に見直して、明石市のように無償かつプッシュ型で事業を実施していく必要があると考えております。明石市の取り組んでいるおむつ定期便事業では、虐待等のリスクの最も高いと言われているゼロ歳児に対して、おむつなどの赤ちゃん用品の配達や子育て情報の提供を活用することにより、毎月、定期的に親御さんと関わりを持つことができているそうです。特におむつは必需品であることから、保護者の方も訪問した際に玄関を開ける確率は100%になり、そこから子育ての不安や悩みを聞きながら見守りを行えます。
 本市でこの明石市をモデルとした事業を行う際はどの程度の事業費がかかるのか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 明石市と同様に、おむつなど、乳児に必要な用品の一部を配達する内容で試算をした場合、用品代は1人当たり3万円、対象者数を福岡市の出生数約1万3,000人とすると約4億円となりまして、その額に委託料を加えた額となります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 福岡市で明石市と同じようにおむつ定期便事業を実施した場合は、約4億円と委託料の予算でできることが分かりました。福岡市において、現在の福岡市産後サポート事業について、福岡市令和4年度当初予算案によると、産後ケア事業や産後ヘルパー派遣事業の実施に約3,850万円の事業予算があります。
 本事業で実際に利用されている人数を令和3年度の実績、令和4年度の見込みを教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 産後ケア事業と産後ヘルパー派遣事業につきましては、令和3年度の利用者数は産後ケア事業が872人、産後ヘルパー派遣事業が295人となっております。また、平成28年12月の事業開始以降、実施施設の増加ですとか認知度向上の取組もありまして、利用者数は年々増えており、令和4年度も増加していくと見込んでおります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 本市の出生数が1万3,000人に対して、産後ケア事業と産後ヘルパー派遣事業を合わせても、利用者は僅か1,167人ということです。私は第5次福岡市子ども総合計画の基本理念に「すべての子どもが」とありますように、一部の子どものための事業ではなく、全ての子どもたちを対象とした事業を実施すべきではないかと思うところです。
 そのため、先ほど御紹介したおむつ配達事業を何とか本市でもできないのかと思うところですが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 明石市で実施されているおむつ配達事業につきましては、乳幼児家庭の見守りを主な目的としていると考えられますけれども、福岡市におきましては、民生委員の方々が出産した赤ちゃんを訪問する、ガーゼハンカチを持ってそれぞれのお宅を訪問していただいておりますが、そのときにお母さんや赤ちゃんの状況を確認していただいているとか、そのほかにも、先ほどお答えしましたような産婦や乳幼児への健康診査、助産師や保健師による全戸訪問、そして、地域での巡回相談、本当に様々な地域の方ですとか専門職、職員がいろいろな機会や多様な手法を通じて全ての乳幼児家庭の状況を確認し、必要に応じて保健師の継続的な訪問ですとか民生委員のその後の訪問、そういった各種の支援につなげるなどにより、乳幼児家庭の見守りを行っているところでございます。これらの取組に加えまして、市内全域でおむつ配達事業を実施することについては、その意義や位置づけ、事業効果など、様々な課題があるというふうに考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) おむつ等を配送する事業は明石市では実現しているのですが、本市では様々な課題も多いと考えられるということですので、また別の機会に質問をして、何とか実現をお願いしたいと思います。
 次に、安心して生み育てられる環境づくりについてお伺いいたします。
 本市の第5次福岡市子ども総合計画には、子ども医療費助成制度についてどのように位置づけられているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 子ども医療費の助成につきましては、第5次福岡市子ども総合計画の施策5、子育てを応援する環境づくりの取組の一つとして位置づけ、子どもの健やかな成長を願い、安心して医療機関を受診できるよう子どもに対する医療費の助成を行うとされております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 次に、この個人負担額について、本市では令和3年度7月から子ども医療費助成制度が3歳から中学3年生までの通院費の自己負担が1医療機関につき一月500円までとなりました。
 本事業について、令和4年度の予算とその内訳を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 令和4年度の予算額につきましては、総事業費が58億9,406万円余で、そのうち57億1,932万円が扶助費となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) こちらの事業は県の補助があると聞いていますが、補助率と金額をそれぞれ詳しく教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 県の補助率につきましては、政令指定都市に対して、ゼロ歳児から小学生は医療費の4分の1、中学生は2分の1であり、補助額は令和4年度予算額で12億917万円余でございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 子どもの医療費助成制度を500円と設定したことについて、様々な意見があります。500円になってありがたいという意見と、500円じゃなくてゼロ円でいいのではないかという意見です。他都市を調べると、政令市ではさいたま市と名古屋市は無償です。合計特殊出生率が伸びている明石市では、国がやらないなら市独自でやると、明石市の子ども医療費は2013年から無償化を実現し、2021年から高校生まで無償化が拡充したそうです。
 本市は子ども医療費500円の負担がありますが、もし無償になった場合、本市の負担は年間額でどの程度あるのか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 自己負担を無償化するために必要な経費につきましては、令和3年7月に制度改正を行ったばかりで、年間の実績がないため見込んでおりませんが、令和4年度予算で見込んでおります受診件数に自己負担額の500円を単純に乗じて算出をしますと約7億円となります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 本市の予算規模は約1兆円あり、追加額が7億円なら、その割合は0.1%以下ですので、何とか捻出できるのではないかと思うところです。そして、今少子化になり、人口減は国難だと思います。子どもの医療費無償化については、ぜひ実現していただきたいと要望いたします。
 次に、子育て世帯で親御さんに負担のかかっている給食費についてお伺いいたします。
 先ほどの質問でも他都市事例でお話ししましたが、明石市ですが、子どもが安心して学べる環境をつくることが人口増や税収増につながり、好循環となるとして、親の所得制限なしに2019年から中学校の給食費の無償化を実現しております。
 そこで、本市の現状を確認いたします。
 小中学校の給食費の概要と月額を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食費については、福岡市では法令において保護者負担とされております光熱水費や食材料費などの経費のうち、食材料費相当額のみを保護者に負担していただいておりまして、1か月の給食費は小学校が4,200円、中学校が5,000円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 次に、小中学校の給食費を支援する制度及びその対象人数と割合について、直近の数値を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 生活保護や就学援助の制度により経済的支援を行っております。令和4年3月1日現在で対象となる児童生徒数とその割合は、生活保護が約2,000人で1.7%、就学援助が約2万6,000人で21.5%、合計で約2万8,000人、23.2%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 令和3年度の給食費の支援対象者は、生活保護1.7%、就学援助21.5%と合わせて23.2%とのことです。
 それでは、第5次福岡市子ども総合計画において、小中学校の教育に係る経済的支援に関する事業はありますでしょうか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 第5次福岡市子ども総合計画の施策13、子どもの貧困対策の推進の主な事業の一つとして就学援助がありまして、世帯の経済的事情を理由として児童生徒が教育を受けることに制約が生じないように、給食費や学用品費などを支援しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 第5次福岡市子ども総合計画において、子どもの貧困対策の一つとして、給食費や学用品費などの支援が示されていることが分かりました。しかし、この第5次福岡市子ども総合計画の基本理念にはすべての子どもが夢を描けるまちをめざしてとあります。これは全ての子どもたちの学校教科書が無償化されているように、貧困対策だけではなく、全ての子どもたちへの支援としての検討が必要であると考えております。
 全ての子どもの給食費を無償とする場合の課題は何か、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 全ての子どもたちへの学校給食費を無償化する場合には毎年多額の費用を要することから、継続的に安定的な財源を確保していく必要がございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) それでは、もし市立の学校の給食費を無償化にした場合、公費で負担している金額を除き、追加で必要となる福岡市の負担はどのくらいになるのでしょうか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 1か月当たりの給食費と対象児童生徒数約12万人を基に試算いたしますと、市立学校の給食費は全体で約60億円となりますが、このうち生活保護や就学援助により公費で援助している金額を除きますと、追加で必要となる福岡市の負担額は毎年度約48億円程度となります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 差額の必要額は48億円とのことです。それを本市が負担すれば、給食費無償化が実現できます。本市の全予算は約1兆円ですので、48億円でしたら0.5%以下の捻出です。市の予算の0.5%を子どものために割り振ることで、給食費無償化を実現できます。他都市においても、国の財政支援を待つことなく、明石市は中学生から無償化を実現し、大阪市については令和2年度からコロナ禍で無償化となり、今後は恒久化を目指すと聞いています。
 少子化問題で本市も少子・高齢化対策特別委員会があるくらい深刻な問題であるからこそ、給食費の無償化はすぐ取り組むべきではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食費について、持続可能な制度として無償化を図ってまいりますためには毎年多額の財源の確保が必要となりますことから、引き続き国に対して財政措置を要望してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 子育て世帯への投資は私たち大人の責任です。福岡市でも学校給食費の無償化に対して、これまでにも議会質問がございました。そして、本市の答弁では国に要望していくとおっしゃられておりました。しかし、まだ国も無償化の実現に至っておりません。私は給食の無償化について、都市の成長で市債残を大きく減らしてきた福岡市こそが全国に先駆けて風潮をつくっていくべきだと思います。学校給食法について調べたところ、第11条で経費負担の定めがあり、施設に要する経費などを設置者の負担とし、それ以外の経費を保護者の負担とすると定められています。しかし、国の見解としては、保護者の経済的負担の軽減の観点から、自治体が食材料費などの保護者が負担すべき給食費を補助することを禁止しないとされております。ですので、自治体判断でもっともっと支援をできると思いますので、ぜひ無償化に向けて前向きに、そして、早急に検討をお願いしたいと思います。
 次に、今年度より子ども習い事応援事業がスタートしました。こちらの事業概要と趣旨を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市子ども習い事応援事業につきましては、生活保護または児童扶養手当受給世帯で、小学校5年生から中学校3年生までの子どもの保護者を対象に電子クーポンを交付し、子どもの習い事費用を助成するものであり、子どもの将来が生まれ育った環境に左右されることがないよう、個性や能力を伸ばし、自己肯定感を育むことを目的としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 習い事費用の助成、月額1万円の対象者の人数とクーポンの対象経費を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 対象となる子どもの人数につきましては約8,000人、クーポンの対象経費につきましては、習い事の月謝のほか、入会金などの初期費用、教材やユニフォーム代など、登録された教室に支払う費用となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) この事業について、第5次福岡市子ども総合計画ではどのように位置づけられているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 第5次福岡市子ども総合計画においては、さまざまな環境で育つ子どもの健やかな成長を目標に掲げ、そのための施策の一つとして子どもの貧困対策を推進しております。子ども習い事応援事業は当該施策に基づく事業でございまして、子どもと家庭に支援が着実に届くための取組として、令和4年度から新たに実施しているものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 総合計画の子どもの貧困対策の推進に位置づけられているということですが、この事業は対象世帯が生活保護世帯などに限定され、枠の狭い所得制限がある状態となっております。どのような考え方から対象世帯を決めたのか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 本事業の助成対象者につきましては、国や福岡市の調査において収入の水準が低い世帯やひとり親世帯では、子どもが習い事や文化、スポーツクラブ等に参加している割合が低く、体験機会が少ないという傾向が出ていたことや、先行自治体の類似事業も参考といたしまして、生活保護世帯と児童扶養手当受給世帯を対象とすることとしたものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) クーポン利用可能教室の現在登録事業者数と利用者数を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) クーポンが利用できる登録教室の数につきましては、9月1日現在で約900となっております。クーポンにつきましては、申請者数約3,000人のうち、利用者数は約1,200人でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) この事業の類似事業として、大阪市が平成25年度から塾代助成事業を行っております。助成対象者の所得制限限度額は、養育者とその配偶者の令和3年中の所得金額の合計が322万円からで、扶養家族が1人増すごとに38万円加算されています。対象の子どものうち約5割が利用されている事業となっております。一方で、本市の場合、支援の対象世帯が生活保護世帯などに限定されているために、実際の利用者は約1,200人という状況です。利用できる市民はごくごく一部です。子どもの個性や能力を伸ばし、自己肯定感を育むために、習い事費用の助成を行う子ども習い事応援事業については、決して経済的に事情のある御家庭だけではなく、その他の御家庭からも対象としてほしいという声をたくさんいただいております。
 ですので、第5次福岡市子ども総合計画の理念であるすべての子どもが夢を描けるまちをめざしてにあるように、親の所得で制限をするのではなく、全ての子どもを対象とし、よりこの事業の利用が広がるよう、対象の世帯を生活保護または児童扶養手当受給世帯に限定せず、対象を拡大してはいかがかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子ども習い事応援事業につきましては、生まれ育った環境に左右されることなく、子どもが自分のやりたいことに挑戦したり、様々な分野の体験活動に取り組むきっかけづくりを支援するものであり、まずは今年度の事業をしっかり進めていくこととしております。クーポンの利用につきましては、未利用者、まだ利用をしていないとか、まだ申請をしていないという方たちに対しましては、勧奨をいたしましたり、アンケート調査を行いながら、引き続きより多くの対象者に利用していただけるよう努めてまいります。また、現時点ではクーポンの利用が始まったばかりであり、対象者を含む来年度の方針につきましては、実施状況を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀本わかこ議員。
○34番(堀本わかこ) 子どもへの支援は将来の福岡市への投資です。冒頭にもお話ししましたが、実質の市債残高は平成16年の約2兆5,000億円から、本年度予算で約1兆5,000億円の見込みで、約1兆円も急減したことになります。この数値は島市政の財政改革と成長戦略を実現してきた成果であるとも思います。ここからさらに福岡市が持続的に成長していくためには、必要なところに必要な予算を確保するなど、今こそこれまでの成長の果実を次の投資に回していくべき大きな転換点にあると改めて思うところです。
 そこで、島市長は子育て支援にさらなる拡充を今後どのように図っていくのか、その方向性についてお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 全国的に少子化が進んでいく中、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえるためには、子育て支援の充実や、また、仕事と生活の調和の実現など、多方面から取組を行っていく必要があると考えております。これまでも福岡市では都市の成長の果実を生かして、妊娠期から子育て期まで子育て家庭の不安や負担の軽減、そして、仕事と子育ての両立のための環境の整備など、様々な支援に取り組んでまいりました。今後とも、市民の皆さんが家庭を築き、安心して生み育て、子どもが健やかに成長していけるよう国への財政支援の拡充を要望しますとともに、福岡市の自主財源を拡大すべく、経済政策をしっかり行いながら、切れ目のない子育て支援に、そしてまた、その充実にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、高齢者のスポーツ施設利用について、いじめについて、以上2点について質問をしてまいります。
 最初に、高齢者のスポーツ施設利用についてです。
 我が国では、総人口が減少に転じる中、世界に例を見ない速さで高齢化が進んでおり、令和元年には高齢化率は28.4%に達し、世界で最も高い水準となっております。本市では、全国平均と比べると低いものの、平成29年には高齢化率は21%を超え、超高齢社会を迎えております。今後、現役世代の急激な減少と高齢者の増加により医療や介護のニーズが高まる中、社会保障制度を維持していかなければなりませんし、このような社会状況の変化を踏まえ、人と人や人と資源が世代や分野を超えてつながり、住民一人一人の暮らしや生きがい、また、地域を共につくっていく社会の実現が求められます。そうした中、高齢者が幾つになっても社会で活躍し続けていけるよう、また、生きがいを持ち、人生100年時代を元気に生活していただける取組が大切であると考えます。
 そこで、本市において65歳以上の高齢者の健康維持に関する事業はどのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 高齢者の健康維持に関する事業につきましては、公民館など市民に身近な場所で認知症予防や介護予防の講座を実施しているほか、高齢者が自主的かつ継続的に健康づくりに取り組める場であるよかトレ実践ステーションの支援や、要介護状態になるおそれがある高齢者を専門職が訪問し、体操や筋トレなどを行う訪問型介護予防事業などを行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市において、高齢者の健康維持に関する様々な事業が実施されていることが分かりました。
 続いて、現在、本市の65歳以上、70歳以上、80歳以上の方の人数をお示しください。また、これらの方々のうち、仕事をされておられる方々の割合をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 福岡市の高齢者の人数は、令和2年の国勢調査によりますと、65歳以上が33万8,930人、70歳以上が25万3,200人、80歳以上が10万1,760人となっております。また、福岡市の高齢者のうち、仕事をしている方の割合につきましては、5年に一度国が実施しております就業構造基本調査によりますと、直近の平成29年では65歳以上が24.2%、70歳以上が14.5%、80歳以上が5.0%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 高齢者が幾つになっても仕事を続けたいと思えば続けられる環境整備は大切ですが、現状は70歳頃からは仕事を引退されている方々が多いようです。
 そうした中、介護の問題が出てくると思いますが、先ほどお聞きいたしました高齢者の方々のうち、要介護認定を受けられている方の割合を過去3年間でお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 要介護認定を受けている高齢者の割合につきましては、各年度3月末現在で65歳以上は令和元年度が20.0%、2年度が19.8%、3年度が20.0%、70歳以上は令和元年度が25.9%、2年度が25.4%、3年度が25.2%、80歳以上は令和元年度が49.8%、2年度が48.7%、3年度が48.1%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 先ほどの答弁にあったように、高齢者の健康維持のための取組はされておられますが、65歳以上の要介護認定者の割合は近年横ばいであります。また、高齢者の仕事をしている割合と要介護認定を受けている割合は反比例をしており、社会とのつながりが減ることで要介護状態になる可能性が高くなることが分かります。そうした中、これまでのコロナ禍において外出機会が極端に減ってしまった高齢者の方々も増えたのではないかと想像いたしますが、そこで問題になってくるのが要介護の要因ともなるフレイル問題であります。
 そこで、フレイルとはどのようなものなのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) フレイルとは、厚生労働省によりますと、年を取って体や心の働き、社会的なつながりが弱くなった状態を指し、そのまま放置すると要介護状態になる可能性があるものとされております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市として、このフレイルに対する対策や啓発はどうしているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) フレイルの対策につきましては、令和4年度はストップフレイルプロジェクトといたしまして、医療、健診、介護データから抽出したフレイルのリスクが高い方への保健師によるアウトリーチ支援や、SNSを活用したコミュニケーションの支援、促進などに取り組むとともに、薬局でフレイルチェックを行い、必要な方をフォローする事業を福岡市医師会、福岡市薬剤師会と共同で実施いたしております。また、啓発につきましては、フレイルの予防方法を紹介するパンフレットを作成し、医療機関、薬局などを通して市民へ配布しているほか、市政だよりやSNSなどでの情報発信を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) この啓発等もしっかりやってもらいたいと思いますが、先ほどお答えいただきましたが、フレイルとは健康な状態と介護が必要な状態との中間地点にある状態のことですが、65歳以上の高齢者が増えてくる中、フレイルの予防、改善はとても大切なことであると考えます。
 フレイルを引き起こす原因として、運動機能に関わる器官の衰え、心や認知、社会性が加齢に伴い低下し、憂鬱な気分になり、社会から孤立してしまい、ひきこもりになってしまうというようなことが挙げられておりますが、そこで、フレイルが発症するリスクはどれくらいの年齢から高くなるのか、お尋ねいたします。また、フレイルと判断する基準はどのようなものがあるのか、お示しください。さらに、フレイルと判断されてから改善せずにいるとどのような病気になる可能性があるのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) フレイルにつきましては、厚生労働省のデータによりますと、75歳を過ぎた頃から発症する方の割合が増加するとされております。フレイルの判断基準につきましては、国立長寿医療研究センターが作成した改定日本版フレイル基準が多く用いられておりまして、体重減少、筋力低下、疲労感、歩行速度、身体活動の5項目のうち3項目以上に該当すればフレイル、1から2項目該当すればプレフレイル、いずれも該当しなければ健常とされております。また、フレイルの状態をそのままにしておくと、転倒、骨折、認知症、鬱など様々な疾病を引き起こしたり、基礎疾患がある場合は症状の悪化を招いたりする可能性が高くなります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、このフレイルの予防や進行を抑える、また、改善するためのポイントをお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) フレイルの予防や改善などのポイントといたしましては、食事と口腔ケアから成る栄養、ウオーキングや筋トレなどの運動、外出や人との交流などの社会参加の3つが挙げられます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) フレイルの予防の重要なポイントとして、運動や社会参加が挙げられます。本市のスポーツ推進計画の中でも、運動やスポーツをすることで人と人、地域と地域がつながり、地域社会に活気が出るということは市民一人一人のウエルビーイングにもつながるとあるように、生涯にわたってスポーツに親しむことはとても大切で意義のあることであると考えます。
 そこで、本市のスポーツができる施設において、高齢者がより施設の利用がしやすく、また、スポーツに親しみやすくする機会を増やしていけるような取組はどのようなことをしているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市体育館及び市民プールを利用される高齢者の使用料につきましては、市内に居住する65歳以上70歳未満の方を半額、70歳以上の方を無料としております。また、高齢者向けの健康教室を実施するなど、よりスポーツに親しみやすい環境づくりに努めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市の体育館やプールでは利用料金の減免がなされておりますが、理由をお尋ねいたします。また、昭和47年から高齢者の施設使用料の減免がなされてきた中、平成17年からは65歳から69歳までの高齢者は施設使用料金の半額は自己負担となっておりますが、70歳以上の方はそのまま無料となっております。なぜ70歳以上は無料のままとしたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市体育館及び市民プールの使用料につきましては、昭和47年から高齢者福祉施策の一環として65歳以上の方を無料としておりました。平成17年から受益者負担の適正化を図るため、65歳以上70歳未満の方を半額、70歳以上の方を無料としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ちょっと理由が分かりませんけれども、先ほどの答弁にあるように、フレイルになりやすい年齢は75歳頃だということであります。このことを鑑みましても、やはり70歳前から運動や社会参加をしていただき、継続していただきたいとの考えであると感じますし、また、収入が減ってしまう年齢であることを考慮した対応であると感じております。
 次に、本市のスポーツ施設の中で高齢者が利用する施設は、体育館やプールだけでなく、舞鶴公園にはテニスコートや球技場、陸上競技場もありますし、雁の巣レクリエーションセンター、東平尾公園、今津運動公園などにもありますが、これらの施設では高齢者の利用料金の減免がなされていないようですが、その理由をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園内におけるテニスコートなどの有料公園施設につきましては、申込者による専用利用となり利用者が限られるため、他の公園利用者との公平性の観点が必要なことや、福岡県が所管する同種の施設でも減免されていないことなどから、利用料金の均衡を保つため、これまで使用料の高齢者減免は行っておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 続いて、スポーツ施設における65歳以上、70歳以上の方々の利用状況はどうなっているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民体育館及び市民プールにおける高齢者の利用状況につきましては、コロナの影響が少ない令和元年度を例に申しますと、市体育館では65歳以上70歳未満の方の利用割合が全体の約5%、70歳以上の方が約18%となっております。また、市民プールでは65歳以上70歳未満の方の利用割合が約6%、70歳以上の方が約23%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園内の有料公園施設につきましては、利用者の総数は把握しておりますが、年齢別の利用状況は把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 屋外施設における高齢者の利用状況は把握していないとのことですが、舞鶴公園内のテニスコートは高齢者の方々の利用割合は多いと感じております。スポーツには屋内でするものもあれば屋外でするものもありますが、本市では屋内でする運動やスポーツに対しての利用料金の減免はされているのですが、屋外の施設ではされておりません。
 先ほどの答弁にあるように、屋外の施設は特定の利用者による専用利用となるため、他の利用者との公平性の観点から減免をしていないということでしたが、そう言われるとそうなのかもしれませんが、そこで、屋内でする運動やスポーツと屋外でする運動やスポーツとで高齢者の健康維持や人と人の絆づくりに何か違いがあるのか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スポーツにつきましては、屋内か屋外かにかかわらず、健康増進や余暇活動の充実、地域の絆づくりなど、市民生活の向上につながるものであると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 現在の社会情勢では、70歳頃までは現役で何らかのお仕事をされている方も増えてきているかと感じておりますが、70歳を過ぎてくると、引退して余暇を楽しもうと考える方もおられるのではないでしょうか。仕事をするということは、体も頭も使いますし、社会とのつながりもできますので、フレイルになるようなこともほとんどないかと思いますが、問題は仕事を引退されてからであります。仕事以外で趣味がないというような私の父のような人もいると思いますが、このような方々は一気に社会参加という面で低下をしてしまうわけであります。このような方々が引退後に新たな趣味としてスポーツを始めようかと考えた場合、今度はお金の問題も出てくると思います。何か趣味をつくろうと思っていても、お金がかかるならとちゅうちょしてしまう方もいるのではないでしょうか。冒頭申しましたが、スポーツや運動に親しむことは、健康維持のみならず、人と人のつながりもでき、社会参加にもなると考えますし、先ほどの答弁にありましたが、高齢者の要介護認定者の割合は令和2年度から横ばいの状態であり、要介護認定者数を減らしていく取組も大切であります。人生100年時代を高齢になっても生き生きと生活し続けてもらい、若い人からお年寄りまでが元気で輝いている福岡市であるべく、そして、フレイル問題解消のためにも重要であります。
 また、先ほどの答弁で、スポーツというのは、屋内、屋外関係なく市民生活の向上につながるとの認識を確認しましたので、ぜひ高齢者の方々がスポーツに親しみやすく、また、継続しやすい環境整備の一つとして、舞鶴公園内のテニスコートを含め、本市の屋外にあるスポーツ施設も屋内施設同様に、65歳以上の利用料金を半額に、そして、70歳以上の利用料金を無料とすることを検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 公園施設における使用料の高齢者減免につきましては、施設の利用状況や他の公共施設との均衡の観点、また、他の自治体の導入状況などを踏まえながら、関係局とも連携して適切な在り方について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 屋外のスポーツ施設は他の利用者との公平性の観点から利用料金の減免はしていないということでありましたが、屋内のスポーツ施設利用者と屋外のスポーツ施設利用者とで公平性が保たれているのか、疑問を感じております。さらに言うと、公園内のスポーツ施設は屋外に限らず、東平尾公園にある体育館などの屋内スポーツ施設でも減免がなされておりません。高齢者福祉の観点も持ち、実施に向け、しっかり検討していただきますよう強く要望いたしておきます。
 次に、いじめについてお尋ねしてまいります。
 昨年、北海道の旭川市で当時中学2年生の女の子が公園で遺体で発見されました。女の子は学校入学直後からいじめを疑わせる行為を受けたとの相談も親にしており、旭川教育委員会は対応していたとのことでしたが、女の子は亡くなりました。その後、第三者委員会が設置されました。この子が亡くなった原因は何だったのでしょうか。残された家族の気持ちはどんな思いでしょうか。このようなことは経験した人にしか分からないことであると思いますが、その方々の気持ちや思いを想像しますと、本市の市立小中高校においてもこのようなことが起きないようにしなければならないと改めて強く思います。
 そこで、旭川市のこの事件について、本市教育委員会としてはどのような認識を持っておられるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 旭川市の14歳の中学生が長い間苦しんだ上に、厳しい寒さの中、公園で貴い命を失うという誠に悲しい事案でありまして、議員御指摘のように、福岡市においてはこのような痛ましい事案が起こることは決してないようにしていかなければならないと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、本市の市立小中高校におけるいじめ認知件数の推移を過去5年間でお示しください。また、全国の総件数を併せてお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市立の学校におけるいじめの認知件数につきましては、平成28年度が122件、29年度が734件、30年度が1,486件、令和元年度が2,641件、2年度が2,147件でございます。また、全国のいじめの認知件数は平成28年度が32万1,439件、29年度が41万2,334件、30年度が54万1,257件、令和元年度が60万9,421件、2年度が51万4,900件となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) このいじめの認知件数は、減るどころか、どんどん増えてきておりますけれども、その中で、いじめが解決した件数、解決に至っていない件数の推移を過去5年間でお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、いじめが解決に至った件数につきましては、平成28年度が116件、29年度が729件、30年度が1,465件、令和元年度が2,553件、2年度が2,091件でございます。また、年度末時点において解決に至っていない件数につきましては、平成28年度が6件、29年度が5件、30年度が21件、令和元年度が88件、2年度が56件でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) このいじめの未解決事案ですが、私が想像していたよりはるかに多いことにびっくりしておりますが、この間、いじめが続いていなければまだよいのですが、では、本市において、いじめが原因で不登校になっている児童生徒は過去5年間で何名に上っているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 数値が確定している平成28年度から令和2年度までの5年間で、いじめが原因で不登校になった児童生徒は29名でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) この29名の中には重大事態調査の対象になっている事例もあるのではないでしょうか。また、先ほどの答弁で、いじめの件数は各年度で変化はありますが、平成30年度から急激に増加していることが分かります。これはいじめの定義が変わり、これまでいじめと認識されてこなかったものも積極的に認知をしてきているからだと思います。そうした中、いじめたとされるほうには、いじめたつもりではなく、悪ふざけでこづいただけだが、されたほうがいじめと感じたら、それはいじめになりますし、いじめの度合いはあれど、いじめがなくなることはなかなか難しいのではないかと感じております。しかし、いじめをなくすという目標はしっかりと持ち、様々な対応をしていく必要があります。そうした中、喫緊の課題としてあるのは、いじめの早期発見と早期解決であると考えます。
 そこで、教育委員会としていじめと認定するための定義はどのようなことが当てはまるのか、認識をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめ防止対策推進法によりますと、いじめとは「児童等に対して、当該児童が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義されております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 続いて、いじめ防止のための取組はどのようなことをしているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、道徳におきまして、相手のことを理解し、自分と異なる意見も大切にすることや、誰に対しても差別することや偏見を持つことなく、公正、公平な態度で接することなどについて学び、自己の生き方について考えを深める学習を行っております。また、毎月10日をいじめゼロの日として、学校独自の取組を行ういじめゼロプロジェクトや児童生徒が主体となって学校間の取組を共有するいじめゼロサミットを実施しておりまして、昨年のサミットでは、小学校5、6年生と中学生約7万人がオンライン上で一堂に会し、意見交換を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) いじめをしている子がこのような取組により自ら気づき、いじめをやめることにつながるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、本市ではいじめの早期発見のためにどのような取組をされているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童生徒が発信するサインを見逃さないように、小学校4年生から中学校3年生までの全ての児童生徒に年1回のQ−Uアンケートを実施するとともに、いじめに関するアンケートを月に1回、また、無記名によるアンケートを年3回実施し、いじめの早期発見に努めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) いじめ防止や早期発見、早期解決に取り組んでいることは確認できました。
 それでは、いじめに対する早期解決への対応は誰がどのようにしているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめが発見された場合は、まず、担任等が関係の児童生徒から聞き取り調査を行いまして、事実確認に努めております。その後、児童生徒間での謝罪や保護者への連絡を行い、被害側、加害側双方の理解が得られるように努めるとともに、スクールカウンセラー等の専門スタッフと連携し、被害を受けた児童生徒はもとより、加害側の児童生徒への心のケアも実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) いじめの解決に至るまで長い期間を要する事例も見受けられます。早期の解決ができない理由についてお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 早期解決に至らない主な理由といたしましては、被害側、加害側の言い分が食い違い、事実確認が困難な場合や加害者の特定ができない場合、双方が被害と加害の立場となるなどといったいじめの構図が複雑化した場合などでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) いじめが原因で学校に行けなくなってしまう児童生徒もいるかと思います。そのような中、いじめが原因で中長期的に不登校になってしまう子もいるということを聞きますが、そこで、いじめをはじめとする様々な理由により中長期的に不登校となっている児童生徒への対応は誰がどのように行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 不登校が長期化した際の対応につきましては、学級担任をはじめ、不登校対応の専任教員であります教育相談コーディネーターが定期的に家庭訪問を行うとともに、面談などを通した状況の確認や学習の支援など、アウトリーチ的な支援を強化いたしております。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが学校と連携し、外部の相談機関を紹介するなど、児童生徒や保護者の状況に応じた支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) これらの対応で子どもたちがすぐに学校に戻れているのか、心配をいたしておりますが、また、解決に至った後もすぐに学校に行けるようになるとは限りませんし、いじめを発覚させたことで、解決後にまたいじめが起こり、そのときには再度いじめられた子が相談もできなくなるということも考えられます。いじめが発覚し、解決をしたと見られる事案もその後のフォローはしっかりしていかなければならないと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いじめが解決した後の児童生徒に対する支援といたしましては、再発する可能性があることも踏まえ、継続的に学級担任を中心にスクールカウンセラー等と連携した見守りを行うとともに、アンケートや面談等を通して当該児童生徒の人間関係について把握するように努めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 これまでは目に見える形でのいじめについてお聞きしてまいりましたが、現在、スマホなど子どもたちも所有するのが当たり前の時代ですが、SNS等でのいじめも取り沙汰されております。子どもたちは友達同士でLINEのグループをつくり、連絡を取り合ったりしているかと思いますが、このLINEのグループ内でのいじめなどもあっていると聞きます。このようないじめは表に出づらく、いじめられた本人が誰かに相談しても証拠を消すこともできますし、人のスマホはプライバシーがありますので、学校の先生もなかなか見ることができず、対応が遅くなっているのではないかと思います。
 そこで、このようないじめの相談があった場合の対応はどうなっているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) SNS等を介したいじめ事案につきましては、議員御指摘のように、事実を確認することが難しい場合も多く、困難を伴いますが、相談があった場合には速やかに関係児童生徒への聞き取りを行い、必要に応じて保護者承諾の上でスマートフォンの内容を確認して、削除させるなどの対応を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) このSNS等を使ったいじめは様々なことが絡み合い、とても複雑なものであり、いじめられたほうは見えない恐怖と人への疑心でとてもつらいものであると考えますので、SNSやLINEを使ったいじめに対しての対応や啓発をしっかりしていくべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) まず、児童生徒にインターネット上で他人をおとしめるような発信は極めて卑劣な行為であること、発信した情報は容易に削除できないことを理解させ、自らの情報発信に責任を持つというモラルを身につけさせていくことが重要であると考えております。そのため、各教科等において、正しい情報と間違った情報の選別方法や、肖像権など個人の権利について理解させる学習を、道徳において、インターネット上の書き込みのすれ違いや他者への思いやり、情報を生かすときの法や決まりの遵守について考える学習を行っておりまして、今後もこれらを充実させてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) SNS等でのいじめに対する対応の効果の検証はしっかりと行い、必要であれば対策の強化をしていただきますよう強く要望しておきます。
 いじめは発覚してからすぐに解決できる事案ばかりではなく、その間に悩み、不登校になったり、自殺に追い込まれている事案は全国であります。不登校になった子がいずれは学校に通えるようになったからそれでよしではありません。その子が学校に行けなかったその時間は、その子にとってはとても大切な時間を恐怖や悲しみで過ごすという必要のない時間であり、本来は授業を受け、学力を向上させることができた時間でありますし、友人との友情を育むことができた時間であったはずです。
 いじめについては、最終的には第三者委員会を設置し、究明をしていくことになりますが、第三者委員会を設置するまでに不登校になったり、自殺をしてしまうという子たちもおります。たとえ第三者委員会が設置されたとしても、傷ついた心は癒えることはありませんし、その子たちの時間は戻ることはありません。また、必ずしも全てのいじめが学校から教育委員会に報告されているのか懸念もあります。学校の先生方も多忙の中、また、様々な要因で積極的にいじめの問題に絡んでいきづらいところもあるのではないでしょうか。いじめの問題では、最後のとりでのような形で第三者委員会が設置されておりますが、しかし、この第三者委員会は調査をする機関であり、直接いじめを解決するような機関ではありません。しかし、最初からこのように第三者が調査をして、また、アドバイスや解決に向けて取り組むような、例えば、いじめに関する専門家や弁護士、教育委員会などが入る機関を設置することで、いじめられた側はこれまで以上に誰かに気兼ねすることなく相談ができ、また、いじめた側にも早い段階でブレーキがかかることにつながり、いじめが大きくなることや、また、中長期に及ぶことも少なくなるのではないかと考えますし、子どもたちの心の傷が深く、大きくなることは避けられるのではないかと考えます。これまでの取組でいじめが激減していない中、だからこそ考え方をがらっと変えて、新しい取組をする必要があると強く感じております。
 いじめられた子たちは、いじめが長引けば長引くほど心の傷は大きく、また、癒えるのにも時間がかかると思います。また、いじめた側においても、もしもいじめた相手が亡くなってしまうようなことがあると、反省するだけでは済まされず、心に大きな傷を負ってしまうことにもつながります。子どもたちには皆同じように明るい未来があるはずですが、いじめのような問題でその未来が閉ざされることは悲しいことであると思います。また、学校の先生方は全児童生徒にひとしく愛情を持っておられると思いますが、だからこそ先生方にとっては様々な思いもあり、しっかりと踏み込んでいけないということもあるのではないかと想像いたします。そのことがいじめの中長期化となっている一つの要因と考えられるのではないでしょうか。先生方にとっても大きな負担ともなっていると考えますので、一度先生方にアンケートを取ってみてもいいのではないでしょうか。
 これまでの答弁でも分かるようにいじめの未解決件数やいじめが原因で不登校となっている子たちは決して少なくないと考えます。そういうことを鑑みましても、いじめの芽を早い段階で摘み取っていくことが大切でありますので、いじめが発覚した時点で相談、調査、解決に導いていけるように何らかの仕組みを検討していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 また、平成25年度から開催しているいじめゼロサミットにおいて、いじめの防止対策をされておりますが、この間、いじめの定義も変わってきており、複雑な世の中になっております。昨年度のサミットには、私も見学させていただきましたが、各学校の教室から約7万人もの子どもたちが一斉に参加し、自分事として捉えられることにつながるきっかけになったのではないかと思います。今後も取組内容等をさらに強化していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまで学校を中心として、いじめの早期発見に向けた組織的な取組を行うとともに、学校、保護者、関係機関が連携して早期解決に向けた努力を重ねてまいりました。今後はいじめを認知した時点で早期解決に努めるとともに、いじめを原因とする不登校が長期化することがないよう、専門的な立場からの指導や助言を得ることができる仕組みについて検討してまいります。また、いじめゼロサミットについては、代表児童生徒が運営に関わり、主体的にいじめの防止について考える全市的な取組で、近年、ICTを活用して内容の充実を図っております。今後もこれまでの成果と課題を検証し、児童生徒が自らいじめについて考え、いじめを許さない機運を高めていけるように、サミットの取組内容を充実させていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) いじめの早期解決に努め、また、不登校が長期化しないための仕組みづくりを検討していただけるとのことです。期待をしておりますとともに、早急に仕組みを構築していただきますよう要望をしておきます。
 また、実施していく中で効果の検証をしっかりと行い、重篤ないじめやいじめが原因で不登校になるような子がいなくならないのであれば、初期の段階でいじめに対応する第三者機関のようなものも設置すべきと考えております。教育委員会として設置ができないということであれば、福岡市として検討すべきと強く要望をいたしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時13分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、30年後を見据えた今後10年間に必要な福岡市の取組について質問を行います。
 今回の質問においては、前半ではこれまでの福岡市の人口動態や経済状況を振り返るとともに、現時点で想定される将来の状況について明らかにしながら、特に直近の4年間について、島市政の主な取組と成果について確認してまいります。また、後半では将来の福岡市の取るべき政策の方向性及び具体策について提案するとともに、これらに対する市長の所見を伺っていきたいと思います。
 それでは初めに、議論の前提条件として幾つかの統計データに関して確認してまいります。
 まず、本市の総人口について、直近の国勢調査が実施された令和2年を起点として、10年前、5年前の人口と併せてお尋ねします。さらに、起点を同じくして、5年後、10年後、30年後の総人口についても、併せてお示しください。
 以上で1問目を終わり、以降の質問は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における福岡市の総人口は平成22年が146万3,743人、27年が153万8,681人、令和2年が161万2,392人であり、将来人口推計の見込みを約4万5,000人上回っている状況でございます。また、福岡市将来人口推計における総人口は令和7年が159万2,200人、12年が160万3,800人、32年が157万3,400人でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、本市の人口構成について、15歳未満の年少人口、15歳から64歳の生産年齢人口、65歳以上の老年人口の人口と割合の推移について、同様に、10年前、5年前、直近の国勢調査における状況をそれぞれお示しください。さらに、これらの数字について、5年後、10年後、30年後はどのように推移していくと想定されているのか、併せてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における年齢区分別の人口と総人口から年齢不詳を除いた人口に占める割合についてお答えいたします。
 15歳未満の年少人口は平成22年が19万1,824人で13.3%、27年が19万9,923人で13.3%、令和2年が20万4,973人で13.4%、15歳から64歳までの生産年齢人口は平成22年が99万7,884人で69.1%、27年が99万6,401人で66%、令和2年が99万298人で64.5%、65歳以上の老年人口は平成22年が25万4,085人で17.6%、27年が31万2,331人で20.7%、令和2年が33万8,930人で22.1%でございます。
 次に、福岡市将来人口推計における年齢区分別の人口と総人口に占める割合についてお答えします。
 年少人口は令和7年が20万1,300人で12.6%、12年が18万9,000人で11.8%、32年が16万4,300人で10.4%、生産年齢人口は令和7年が99万5,500人で62.5%、12年が99万2,700人で61.9%、32年が87万人で55.3%、老年人口は令和7年が39万5,400人で24.8%、12年が42万2,100人で26.3%、32年が53万9,100人で34.3%でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、18歳未満の子どもがいる、いわゆるファミリー世帯について、その数及び総世帯数に占める割合はどのように推移しているか、同様に、10年前、5年前、現在の状況をそれぞれお示しください。また、5年後、10年後、30年後はどのように推移していくと想定されているか、併せてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における18歳未満の世帯員がいる世帯数と総世帯数に占める割合は、平成22年が13万8,175世帯で19.5%、27年が14万3,351世帯で18.7%、令和2年が14万4,152世帯で17.3%でございます。また、18歳未満の世帯員がいる世帯数について将来の推計は行っておりません。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、本市の単身世帯の状況について伺います。
 15歳から64歳までのいわゆる現役世代、65歳以上の高齢者、その内数である75歳以上の後期高齢者別の単身世帯の数及び本市総世帯数に占める割合を、先ほどと同様に、10年前、5年前、直近の状況についてそれぞれお示しください。また、同じく5年後、10年後、30年後はどのように推移していくと想定されているでしょうか、ちょっとここまで長いですけど、併せてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における年齢区分別の単身世帯数と総世帯数に占める割合についてお答えいたします。
 15歳から64歳までの単身世帯は平成22年が25万7,426世帯で36.4%、27年が27万1,706世帯で35.5%、令和2年が27万2,257世帯で32.8%、65歳以上の単身世帯は平成22年が5万9,995世帯で8.5%、27年が8万32世帯で10.5%、令和2年が8万1,715世帯で9.8%、その内数である75歳以上の単身世帯は平成22年が2万9,340世帯で4.1%、27年が3万8,050世帯で5.0%、令和2年が4万1,270世帯で5.0%でございます。
 次に、福岡市将来人口推計における単身世帯数と総世帯数に占める割合についてお答えいたします。
 15歳から64歳までの単身世帯は令和7年が31万5,400世帯で37.9%、12年が33万2,500世帯で38.3%、32年が36万5,100世帯で37.7%、65歳以上の単身世帯は令和7年が11万9,300世帯で14.3%、12年が13万6,500世帯で15.7%、32年が21万6,700世帯で22.4%、その内数である75歳以上の単身世帯は令和7年が7万4,300世帯で8.9%、12年が9万世帯で10.4%、32年が14万9,300世帯で15.4%でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) すみません、ここからテンポよくいかせていただきますけれども、ここまで本市の人口構成の推移について幾つかお尋ねしてまいりましたが、これまでの人口構成の推移、世代別人口割合、ファミリー世帯の数、単身世帯の数を踏まえたとき、まちの特徴としてどのようなことが言えるでしょうか。また、将来の人口動態予測を踏まえたとき、本市では将来どのような課題が顕在化してくると考えられるでしょうか、併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市では、多くの市民の皆さんとともに策定した総合計画に基づきまちづくりを進めてきた結果、人口は増え続け、年少人口や生産年齢人口の割合は将来人口推計における見込みを上回っております。一方、全国と同様、福岡市においても少子・高齢化は進展しており、今後、単身高齢者世帯が増加し、総人口は令和17年頃にピークを迎えるものと見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 続いて、本市の経済状況に関連する幾つかのデータを確認してまいります。
 まず、九州の総人口の推移について、10年前、5年前、現在の状況をそれぞれお示しください。また、5年後、10年後、25年後はどのように推移していくと想定されているか、併せてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国勢調査における九州の総人口は平成22年が1,459万6,783人、27年が1,444万9,895人、令和2年が1,424万6,438人でございます。次に、国立社会保障・人口問題研究所が平成30年に公表した日本の地域別将来推計人口によりますと、九州の総人口は令和7年が1,386万8,276人、12年が1,346万7,925人、27年が1,199万6,819人と推計されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 九州の人口は2010年から2020年の10年間で35万人が減少、そして、2020年から2045年の今後25年間ではさらに225万人が減少するという衝撃的な数字です。今の答弁と併せて、本市、九州ともに人口減のトレンドに入ることが予測されているわけですが、本市の現在の経済構造を前提としたとき、九州全体の人口減少により今後どのような課題が顕在化してくるとお考えでしょうか、本市の認識をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 九州全体の人口減少の影響につきましては、将来の状況を予見することは困難でありますが、一般的には人口が減少することで市場規模の縮小や経済活動を支える労働人口の減少などの影響があるものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、市民1人当たりの所得金額について、最新のデータである2018年度を起点に、12年前、6年前、現在の状況をそれぞれお示しください。また、同様の数字について、九州全体の状況はどうなっているか、併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 市民1人当たりの所得金額につきましては、平成30年度福岡市民経済計算などの統計データによると、福岡市は起点となる平成30年度が約334万円、24年度が約323万円、18年度が約332万円となっており、九州地方では30年度が約269万円、24年度が約236万円、18年度が約242万円となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、本市の市内総生産額及び1人当たり市内総生産額の推移について、最新のデータである2018年度を起点に、12年前、6年前、現在の状況をそれぞれお示しください。また、同様の数字について、福岡市を除く九州全体の状況はどうなっているか、併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 市内総生産額及び1人当たり市内総生産額につきましては、平成30年度福岡市民経済計算などの統計データによると、福岡市の市内総生産は起点となる平成30年度が約7兆8,498億円で市民1人当たり約497万円、24年度が約7兆280億円で市民1人当たり約470万円、18年度が約7兆1,422億円で市民1人当たり約505万円となっており、福岡市を除く九州地方では30年度が約44兆2,844億円で1人当たり約348万円、24年度が約39兆3,138億円で1人当たり約301万円、18年度が約40兆9,551億円で1人当たり約308万円となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今の経済の話を、少し数字ばかりだったのでグラフにしてきたんですけれども、(パネル表示)まず、このグラフは先ほどの答弁で基となったデータを拾って独自に作成しました九州と福岡市における1人当たり所得の増減率の推移です。青が九州、オレンジが福岡市なんですけれども、2006年を100としたとき、平成18年を100としたときに、これを見ると、九州は1人当たり所得が11.2%伸びている。これに対して、福岡市、オレンジは0.5%の伸びにとどまっている。先ほどの答弁も含めると、こういうふうになる。もう1つ、1人当たりの市内総生産額、私、先ほどお尋ねしましたけれども、これも福岡市を除く九州と福岡市における1人当たり域内総生産額の増減率の推移。だから、これも平成18年、2006年を100としたときに、青が九州、オレンジが福岡市。これを見ると、九州エリアでは1人当たりの生み出した付加価値がプラス12.8%です。伸びている。ただこれ一方でですね、福岡市は、これは実は平成18年と比べてマイナス1.6%、こういう状況に統計データからは言えると。これらのデータから言えることとして、1人当たり所得については、その絶対額は九州よりは確かに大きい、1人当たりの所得は九州より大きいんですけど、その伸び率については九州全体のほうが福岡市よりもはるかに大きいということが分かる。また、本市の市内総生産額ですね、人口増に福岡市は支えられて拡大基調にある。先ほどの答弁の数値です。また、1人当たり総生産額、1人当たりが生み出す付加価値というのも数字的には大きい、絶対額は。しかし、1人当たり総生産額の伸び率でいうと、九州の他の地域のほうが大きい伸びを示しているのに対して、福岡市はむしろ減少しているということが分かります。
 もう1つ、(パネル表示)これは政令市における1人当たり市民所得の推移というものをデータを拾って作ってみたんですね。ちょっと見にくいですけど、真ん中の赤いところが福岡市です。これは上位8都市、大阪、名古屋、川崎、横浜、広島、福岡、神戸、仙台、これをグラフにしたものです。数字が取れる2006年から2018年までを集計したんですけど、これを見る限りでは、福岡市は2007年をピークに減少して、その後、増減はあるものの、いまだ2007年の水準に戻っていない。それから、かつては1人当たり所得というのが横浜、広島よりも上位にあったんですけど、近年はこの2都市に追い抜かれて6番目になっているということ。もう1つは、市民所得の増加率でいえば、下位にある神戸、それから、仙台の伸び率のほうが大きいというようなことが指摘できます。それから、こっちが政令市1人当たり市民所得の増減率というのをデータを拾って作ってみました。そうすると、これも2006年を基準にしているんですけど、2006年から2018年まででどれだけ1人当たりの市民所得が伸びたかというと、さっき御紹介した15都市で比較すると、仙台市が13.6%プラス、堺市が12%のプラス、神戸市が8.9%のプラスなんですけど、11番目に、赤いところですけど、福岡市というのが出てくるわけですね。福岡市民1人当たりの所得を見たときに、やはりその実態は本市が言う全国的にも元気があるまちとはちょっとかけ離れた姿を示すものではないかということがあります。
 それから、統計データに関して、最後に平成30年度福岡市民経済計算というものから抜粋した数字を取り上げると、(パネル表示)このグラフは2006年から2018年までの福岡市の総人口と市内就業者数と市民就業者数の推移を示したものです。3本線がありますけど、ここでいう市内就業者数というのは、居住地を問わずに福岡市で就業している人の数、市民就業者数というのは、働いている場所を問わずに福岡市に住んでいる就業者のことなんですね。これを見ると、実はこの13年間で総人口は約16万5,000人増えているんですね、一番上の。16万5,000人増えているんですけど、実は市内就業者数、市内で働いている人というのは144人しか増えていない。そして、市民就業者数、市民で働いている人というのは1万8,000人増えているんですけど、総人口の増と比較すると約1割程度の増なんですね。この2つの就業者数に関する数字の変化を見る限り、福岡市内の就業マーケットが飽和状態にある。つまり、市内の仕事の総量というのが増えていないんではないかと。その結果、福岡市民は市外での就労を求めているということが指摘できるんではないかということで、ちょっと今日の議論の根底になるんですけど、御説明を差し上げました。
 以上、様々なデータに関してお尋ねしてきましたが、ここからは、特にこの4年間における島市政の取組を確認するとともに、今後の人口動態や現在の経済状況を踏まえながら、今後10年間で取り組むべき本市の政策指針について大きく5つの視点から提案をしてまいりたいと思います。
 1点目は、本市経済の構造を前提とした経済政策の推進についてです。
 まず、本市経済の産業構造について、その特徴をどのように認識しているか、改めてお尋ねします。また、その特徴に基づき、特にこの4年間どのような経済施策を展開してきたのか、その成果と併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の経済につきましては、第3次産業が9割を占める産業構造であり、イノベーションの源泉である先端学術研究機能や知識創造型産業が集積するとともに、大学が多く、留学生や理工系学生などの豊かな人材を有し、若者比率が高いことが特徴であると認識しております。これらの特徴を踏まえ、政策推進プランにおいて観光・MICEの推進及びスタートアップ都市づくりを重点分野に位置づけ、地域経済の活性化や新たな雇用の創出などに取り組んでまいりました。具体的には、令和3年4月のマリンメッセ福岡B館の開館や市発着の九州周遊観光の推進などにより九州のゲートウェイ都市としての機能を強化するなど、観光・MICEを推進するとともに、スタートアップ支援施設Fukuoka Growth Nextの運営や、スタートアップビザなどによるグローバルなスタートアップ都市づくりを促進したのに加え、新たにFukuoka Art NEXTとしてアーティストの成長、交流支援を推進しております。また、立地交付金制度を活用するなど、知識創造型産業などの成長分野の企業に加え、付加価値の高い国際金融機能の集積を推進しております。また、新型コロナウイルス感染症が拡大してからは感染拡大の防止と社会経済活動の両立を基本とし、市内中小企業の事業継続や雇用を支えるため、国に先駆けて実施した家賃支援や、国、県、そして福岡市の補助金申請をサポートするなど、事業者に寄り添った支援を速やかに実施してきたところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 答弁にあるように、本市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、特に卸、小売産業については、その消費地となる九州に支えられて、また、観光・MICE産業については、九州をはじめ、全国、そしてアジアからの来街者により支えられてきた側面が強いということは論をまちません。さらに、スタートアップ都市づくりについては、創業を促すことにより新たな雇用が生まれる可能性を秘めており、就業マーケットを拡大するという意味でも重要な視点であります。
 しかしながら、その成果という面では、先ほどの経済統計データに関する議論を踏まえると、確たる数字でそれを裏づけることは難しいのではないかと言わざるを得ません。人口増に支えられて、何となく総量では勢いがあるように見えますが、一人一人の実入りに目を向けると、必ずしもそうではないということです。実は福岡市は言うほど元気なまちではない、今後の経済政策の方向性を語る議論の出発点として、この点は強く御認識いただきたいと思いますが、所見をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市はさほど元気なまちではないのではないかとのおただしにつきましては、平成30年の福岡市への入り込み観光客数は2,141万人で、18年の1,670万人から増加していることや、30年の市内での国際会議開催件数は293件で、18年の126件から大きく増加していること、令和3年度の福岡都市圏の開業率は6.3%で、4年連続で21大都市圏の中で最も高いこと、3年度の企業立地実績は国際金融機能6社を含む64社で、9年連続で50社以上であることなどから、観光・MICEの推進やスタートアップ都市づくりなどは着実に成果を上げており、経済の活性化や新たな雇用の創出に寄与しているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今言われた数字は、私はそのとおりだと思うんですね。ただ、そのとおりだと思うんですけど、その結果がさっきお示ししたとおりなんですよ。市民一人一人に目を向けると、どういう状況が、実態があるのかということを私はお示ししました。私はこれは正面から捉えて、確かにこのデータが精緻なものかというのはまた議論がありますが、少なくとも経済センサスとか市民経済計算とか統計から取ってきたデータを単純に並べて、こういう数字が出てくるわけですね、一人一人でいくと。私はそこから目を背けるというのは、今後の経済政策を考える、今後の施策を考える上で私は非常に問題があると思っていますので、その点は私は強く指摘をしておきたいと思います。
 本市の今後の経済政策を語る上で最も重要な事実は、2035年を境に人口は減少に転じるということです。早ければ13年後には福岡市の人口は減少に向かいます。ましてや福岡市の経済を人材面、消費面で支えてきた九州の人口減は驚異的なスピードで進むということが明らかになりました。程度の差こそあれ、このトレンドは不可避なものとして受け入れなければなりません。
そこで、私たちが提案したい政策指針の一つは、これまでの内需依存型から域外、海外への販路開拓、拡大型へ重心を大きくシフトしていくということです。具体的に言えば、事業規模の大小や商材のいかんを問わず、市内のあらゆる事業者が提供する財、サービスを、全国はもとより、アジアを中心として世界に購入してもらうための仕組みづくり、これを施策の柱に据えて、その仕組みを本市が中心となってつくり上げるということであります。特に中小零細企業にとって域外、海外に商材を売り込むというのは、様々な障壁があります。自治体によっては数年前から地域商社機能を立ち上げて、食を中心に海外販路を開拓するという動きはありますが、その動きに関わっている事業者はほんの一握りであり、決してメインストリームになっているとは言えません。この取組を施策の中心に据えようと思えば、商社をはじめとする民間企業への呼びかけはもちろん、国に対する粘り強い支援要請や提言活動が必要でしょう。一朝一夕にはいきません。しかし、今からやり始めなければ、来るべき人口減少トレンドの中で経済活動が縮小していくことは目に見えています。
もう1つの提案は、市内のあらゆる事業者が活用可能なビジネスインフラを本市が率先して整備していくということです。具体的に言えば、市内事業者、商店街がいつでも利用可能なキャッシュレスインフラを市が保有し、手数料やシステム運用費を低減するといったキャッシュレス共通基盤の提供、また、市内中小零細企業のデジタル化を事業者負担ゼロで実現できるような制度をつくるといったことが考えられます。積極的な財政支出が伴う分野ではありますが、このような取組を通じて、今のうちから市内事業者の競争力の底上げを図っていくことが、今後、本市で強い経済構造を築いていく上で重要ではないでしょうか。
 以上、今後10年間で取り組むべき経済政策の一端として御提案いたしましたが、これら提案に対する市長の御認識をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 域外への販路開拓及び中小企業のデジタル化などのビジネスインフラの整備に関する御提案につきましては、市内中小企業の販路拡大やデジタル化などの生産性の向上は重要と認識しており、今後とも、ポストコロナを見据えながら、アジアをはじめとした海外展開や企業間取引のデジタル化など、販路開拓や生産性の向上を支援し、市内中小企業の競争力、経営基盤の強化に取り組んでまいります。また、福岡市の経済を活性化し、新たな雇用を創出するために、多様な人材や企業を呼び込むとともに、域外との交流を促進することも重要であると認識しております。そのため、知識創造型産業をはじめとする成長分野の企業や本社機能に加え、付加価値の高い国際金融機能の誘致を促進するとともに、国家戦略特区等を活用した創業環境の充実などによるスタートアップ都市づくりの推進や、令和4年9月にオープンした日本初のアーティストカフェを拠点に、アーティストの成長、交流支援に取り組んでまいります。加えて、サステナブルツーリズム推進事業など、地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興や、インバウンドの再開や世界水泳選手権大会を見据えた九州のゲートウェイ都市としての観光・MICEの振興に引き続き取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市内の中小企業のキャッシュレス、それから、デジタル化を推進していくということは、これは成長戦略というか、考えていく上で非常に重要であるというふうに考えております。一方で、その進め方として、今御提案があったキャッシュレスの共通基盤をはじめとするようなビジネスインフラの整備を進めることについて、これはイニシャル、ランニング、そしてまた更新と経費がかかるわけですけれども、こうしたものを、今現在、民間のプラットフォームというものもある中で、行政が行うのが効率的なのかとか、このやり方についてはしっかり見極めていく必要があろうかと思います。各種施策の推進に当たっては、限られた財源というものを最適に配分する必要がございますので、福岡市経済のさらなる成長に向けて、市議会での十分な議論も含め、効果的な施策を検討していく必要があると考えております。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 2点目は、福岡で豊かに暮らし続けたいを支える生活支援施策についてです。
 まずは、これまでの取組についてお尋ねしますが、特にこの4年間について、ファミリー世帯、高齢世帯、特に単身高齢世帯に向けて実施してきた生活支援施策の内容とその成果についてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子育て期のファミリー世帯に関する施策につきましては、福岡市子ども総合計画に基づき、ライフステージごとに様々な支援策を実施してまいりました。主な取組としましては、妊娠、出産期においては不妊治療の助成ですとか産後サポート事業の拡充、子育て期においては保育所等の整備、保育士人材の確保、子ども医療費助成の拡充、子ども食堂への支援の拡充や子ども習い事応援事業の実施など、様々な事業に取り組んでおります。さらに、コロナ下においては、学生支援特別給付金ですとか子育て世帯への臨時特別給付金の迅速な支給に取り組んだところでございます。これらの取組によりまして、保育所待機児童の大幅な解消や妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援など、安心して生み育てられる環境づくりを推進しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 単身世帯も含めました高齢世帯に関する施策につきましては、保健福祉総合計画に基づき、地域包括ケアの推進や安心して暮らせる基盤づくり、いつまでも生き生きと活躍できる環境づくりなどを実施いたしております。また、人生100年時代を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会を目指すプロジェクト、福岡100を産学官民オール福岡で推進いたしております。主な取組といたしましては、認知症の人が住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちづくりを進める認知症フレンドリーシティ・プロジェクトや、地域と企業等の多様な主体のマッチングを図り、地域の支え合いによる買物等の生活を支援する買い物等の生活支援推進事業、働きたい高齢者と企業の多様な雇用をマッチングする仕組みや環境をつくり、高齢者の就業を応援するシニア活躍応援プロジェクトを実施いたしております。これらの取組により、高齢者をはじめとして、誰もが住み慣れた地域でいつまでも安心して暮らし続けることができるまちづくりを推進いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) これからも福岡で豊かに暮らし続けたいと考える市民を支えるためには、ファミリー世帯、高齢世帯に対して適切な支援を継続的に実施していく必要があります。過去に我が会派は、本市においてファミリー世帯が転出超過の状況にあるということを指摘しました。結婚して子どもができるまでは市内に住んでいるが、子どもができたら市外に転出するという世帯が少なからずあるという事実ですが、この要因として、子育てをしていく上で本市はコスト高であるということが考えられると思います。そのために、具体的に言えば、ファミリー世帯に対しては家賃支援や空き家活用といった住宅コスト低減、子ども医療費の完全無料化を実現し、生活コストを大きく引き下げることが重要です。また、本市において高齢世帯は今後30年にわたって一貫して増加していくことが予測されています。これまで取り組んでこられた健康づくり施策はもちろんですが、まだまだ試行段階にあるオンデマンド交通の市内全域展開は不可欠な取組です。さらに、特に単身高齢世帯にとっても、先ほど紹介した家賃支援、空き家活用による住宅コストの低減に加えて、生き生きと暮らしていける環境づくりの一環として、自身のキャリアを生かして働き続けられる仕組みづくり、職づくり、再就職支援に本格的に取り組んでいく必要があります。さきの答弁ではシニア活躍応援プロジェクトについて言及がありましたが、規模も内容も非常に限定的です。本市の中心的施策として位置づけるべきです。
 以上、福岡で豊かに暮らし続けたいを支える生活支援施策の一端を御紹介しましたが、これら提案に対する市長の認識をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 子どもの出生に伴い、市外に転出する世帯についての御指摘でございますが、福岡市では、生活圏、経済圏を一にする福岡都市圏が連携し、安全で安心して生活でき、文化や仕事が充実した市民生活の場を提供するとともに、九州の発展を牽引する国際競争力を持った都市圏を実現することが重要であるとの考えから、総合計画において、福岡都市圏全体として発展することを都市経営の基本戦略として掲げております。こうした考えの下、これまで交通、水、医療、福祉、ごみなどの諸課題に都市圏一体となって取り組むとともに、産学官民が一体となって組織したFDC、福岡地域戦略推進協議会においても、都市圏全体の成長に向けた取組を進めているところでございます。福岡都市圏の視点で見ると、多くの市、町で合計特殊出生率が全国平均を上回るなど、都市圏全体として子育てしやすい環境づくりが進んでいるという側面もあると考えており、引き続き、広域的な視点も持ちながら取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 子育て期のファミリー世帯への支援につきましては、子育ての不安や負担の軽減、仕事と子育ての両立のための環境の整備など、福岡市としても様々な支援に取り組んでまいりました。今後とも、若い世代が希望を持って出産や子育てができる社会を目指して、切れ目のない支援に関係局と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 子ども医療費につきましては、令和3年7月に制度を拡充し、子どもたちが家庭の経済状況に左右されず安心して医療を受けられるよう、3歳から中学生までの通院費を1医療機関一月当たり一律500円までとするふくおか安心ワンコインを実施しております。自己負担につきましては、財源を確保しつつ、将来にわたり持続可能な制度とするため、引き続き一定の負担をお願いするものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) まず、ファミリー世帯向けの住宅への支援につきましては、子育てしやすい居住環境づくりの促進と経済的な負担軽減を図ることが重要であると考えており、引き続き、子育て世帯住替え助成事業に取り組むとともに、住宅市場活性化協議会において既存住宅の流通促進を図るなど、良質な住宅ストックの形成に向け、官民連携した取組を推進してまいります。また、高齢化の進展などに伴い、生活交通の確保に向けた取組は重要と考えておりまして、今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などに取り組むとともに、取組の一つとして、オンデマンド交通の社会実験を進めるなど、引き続き持続可能な生活交通確保の仕組みづくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 高齢者が働き続けられる仕組みづくりにつきましては、高齢者が年齢を重ねても意欲や能力に応じて社会の中で活躍できるよう取り組んでいくことが重要であると認識いたしております。令和元年度に開始したシニア活躍応援プロジェクトにおきましては、就業セミナーや個別相談会をはじめとする高齢者への就業支援、企業への高齢者雇用の働きかけ、高齢者と企業のマッチングなど、幅広い取組を進めているところであり、今後とも、こうした取組を通して高齢者の就業をしっかりと応援してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 今御指摘いただきました問題意識、また、提案については、これはまさに少子・高齢化に伴う国全体が今直面している課題であるというふうに認識をしております。御提案のありました子どもから高齢者まで生活に係る様々な部分の負担の軽減、利便性の向上、こうしたことについては、今、局長が答えたとおり、これまでも様々な施策の充実に一歩ずつ取り組んできたところでありますが、無償化を含めて、さらなる公費の投入に当たりましては、財源も限られている中、その優先順位、実施の手法などについてしっかりと検討していく必要があるというふうに思っております。今後、少子・高齢化が進展していく中にあっても、引き続き市民の生活の質の向上が図られますように、市議会での十分な議論も含め、効果的な施策を検討していく必要があると考えております。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 3点目は、脱炭素社会の実現についてです。
 本年7月、市長は脱炭素社会の実現に向けた福岡市行動宣言を発表しました。このことはこれまでの本市の取組の集大成として捉えることもできますが、脱炭素社会の実現に向けて、特にこの4年間で実施してきた施策の内容及びその成果についてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 地球温暖化対策につきましては、2016年度に策定した第4次福岡市地球温暖化対策実行計画に基づき、温室効果ガスの排出削減に取り組んでまいりました。直近4年間における主な取組としましては、再生可能エネルギーの利用拡大のための住宅用太陽光発電の自家消費を促進する蓄電池やV2Hシステムなどの住宅用エネルギーシステム設置に対する補助、市民の脱炭素行動に対して交通系ICカードにポイントを付与するECOチャレンジ応援事業の実施、事業所省エネ計画書制度による事業所の省エネルギーの支援など、様々な事業を実施してまいりました。こうした取組もありまして、実行計画の成果指標である再エネの発電規模が拡大するとともに、世帯当たり及び業務部門における床面積当たりのエネルギー消費量については着実に減少したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 脱炭素社会の実現に向け、国際金融機能誘致の分野においては、企業の脱炭素の取組を国際基準で評価し、企業の成長資金や脱炭素に取り組む資金を呼び込むことを支援する国内唯一の企業、コウドウ アドバイザリーを誘致するなどの取組を進めてまいりました。また、今後、脱炭素に貢献するエネルギーとして幅広い活用が期待される水素につきましては、下水バイオガスを原料とした世界初の水素ステーションを産学官で運営するとともに、トヨタ自動車と連携協定を締結し、給食配送車などの社会インフラを担う燃料電池車両の開発など、需要供給の拡大に取り組んできたところでございます。将来の脱炭素社会の実現に向けて、関連企業の集積や民間企業と連携した取組などを進めております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 御答弁いただきました。再生可能エネルギーの拡大に向けた取組と省エネルギーへの取組を柱として、これまで取り組んできたという答弁でありました。それぞれについて、それなりの成果はあったとは思いますが、本年8月には福岡市地球温暖化対策実行計画(第5次)が発表されました。中身を見ると、2040年までにカーボンニュートラルを実現するというかなり意欲的な内容です。これまでの施策の延長線で考えても、実現はおぼつかないと認識しています。
そこで、私が提案したいのは、自動車、木造、再生可能エネルギーをキーワードに、それぞれの分野で思い切った施策を採用することです。具体的に言えば、本市の排出量の約3割を占める自動車部門のCOを削減するために、都心循環型LRTの整備やバス路線の幹線・フィーダー化の徹底、これは都市の構造を大きく変えることにもつながりますが、都心に流入する車のみならず、全市的に自動車交通量を減らしていくという強い意思を示すことにもなります。また、産業部門を削減するために、積極的な公共事業を呼び水とした木造建築物や木製品を増やすための支援も重要です。少なくとも公共施設は原則木造とする、民間建築物についても、極力木造を選択してもらえるような強いインセンティブ制度を導入する、川下戦略として、木製品の製造、販売が促進されるような施策の展開が不可欠です。さらに、再生可能エネルギーを全市的に増やす方策として、集合住宅建築時の再エネ標準仕様の促進や地域通貨機能を生かした新たな環境ポイント制度の創設はどうでしょうか。本市においても集合住宅の再エネ化が長年の懸案とされていますが、それこそ建設、不動産関連事業者を巻き込んで、少なくとも新築物件は再エネ標準を備えたものしか建てられない、そのような大胆な方向性を示してもよいのではないかと思います。環境ポイント制度についても、現在のエコポイント制度は間口が狭く煩雑であり、量的に力不足である点は過去に指摘したとおりですが、とにかく環境によいことをしたらいいことがあるという仕組みづくりが重要です。そこに地域通貨機能を付加して、市民、事業者を広く巻き込んでのさらなる脱炭素機運を高められないかと考えています。
 以上、例示した施策については、いずれも私が過去に議会質問で提案した内容でもあります。積極的な財政支出を伴う項目も多いですが、今こそ本市が脱炭素計画の中心施策に据えて主体的に取り組んでいかなければならない内容であると考えます。市長の御認識をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 令和4年8月に策定した第5次福岡市地球温暖化対策実行計画におきましては、2040年度を目指したチャレンジを掲げ、2030年度における市域の温室効果ガス排出削減目標を2013年度比で国の46%を上回る50%削減としております。目標の達成に向けては、温室効果ガスの排出量が多い家庭、業務、自動車に廃棄物を加えた4つの部門を重点的に取り組む部門と位置づけ、公共交通等の利用促進や、エシカル消費の普及拡大による脱炭素型ライフスタイルへの移行、木材利用を含む建築物における省エネルギー化の推進のほか、再生可能エネルギーの導入及び利用拡大などに市民、事業者の皆様と一体となって取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 交通に関する取組として、特に自動車流入が多い都心部につきましては、中心部への流入抑制を図るため、公共交通との結節性が高い都心周辺部の駐車場において自動車交通を受け止めるフリンジパーキングのほか、附置義務駐車場条例の特例制度の運用により附置義務駐車場の台数低減や天神中心部における隔地化などの交通マネジメント施策を展開しております。LRTにつきましては、渡辺通りや大博通りなどの幹線道路内に専用の軌道を確保する場合、車線数の減少に伴う交通混雑の悪化や、これらと交差する明治通り、昭和通り、那の津通りなど、東西方面の道路への影響などの課題を解決する必要があります。このため、マイカーとの共存が可能で輸送力も遜色ない都心循環BRTを導入しているところであり、引き続き温室効果ガスの排出削減に資する施策に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤本農林水産局長。
○農林水産局長(藤本広一) 木材利用につきましては、福岡市では、福岡市内の公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針を平成25年に策定し、全庁的に公共施設の木造、木質化を進めております。これまで中央区、早良区役所など、市民の目に多く触れる施設を中心に取組を進めており、今後とも木材利用の促進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 脱炭素社会の実現に向けてインセンティブを設けることによって市民の参加を促す仕組みづくり、これは大変重要であるというふうに考えております。この脱炭素だけではなくて、例えば、地域活動ですとか健康づくり、こうしたものも同じようにインセンティブ制度をつくることによって市民の参加を促す仕組みづくりということが大事ではないかと思います。その具体的な手法については、御提案があったような地域通貨がいいのか、それともポイント制度がいいのか、こうしたことについては、より効果が高くて、また、市民にとって魅力のある仕組みについて様々なパターンの検討を進めているところでございます。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 4点目です。地域ごとの特性を踏まえた都市の形成についてであります。
 お尋ねしますが、この分野について、特にこの4年間、どのようなプランに基づき、どのような施策を実施してきたのか、その成果と併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、福岡市総合計画や都市計画マスタープランに基づき、地域の特性に応じたまちづくりに取り組んでおります。都心部では、天神ビッグバンや博多コネクティッドなどにおいて、感染症対応シティに向けた制度拡充や、4件の地区整備計画の都市計画決定及び9棟のビル計画のボーナス認定などを実施しております。広域拠点や地域拠点では、香椎駅周辺土地区画整理事業の完成や、橋本駅周辺など3地区において土地区画整理事業や地区計画といった都市計画決定などを実施しております。市街化調整区域では、貴重な自然環境や優良農地などの保全を図りつつ、西区北崎など4地区の既存集落において都市計画法に基づく区域指定型制度を活用した定住化の促進を実施しております。引き続き、都市的魅力と豊かな自然環境が調和し、地域の特性に応じて多様な都市機能が集積した福岡型のコンパクトな都市の形成に向け、着実に進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) これまでの4年間の実績として、都心部、地域拠点、市街化調整区域における整備実績について答弁をいただきました。しかし、これらの事業はいずれもこれまでの市政の延長線上であり、いつかは手がけなければならなかったものばかりです。今後の30年を見据えたとき、市民にも来街者にも、福岡市といえば洗練されたまちの風景、そう言ってもらえるようなめり張りのある外観形成に本気で取り組んでいかなければなりません。
この分野における私の提案は、特に都心部、駅前等拠点、住宅街区を明確に区分し、それぞれのエリアについて、しっかりとしたビジョンに基づいた指針づくりと施策づくりを行うということです。コンセプトとしては、天神、博多エリアの都心部空間は丸ごと観光資源、まさにショーケースのように、駅前等拠点や目抜き通りは暮らしとにぎわいを兼ね備えたエリア丸ごとショッピングモール、住宅街区は閑静で洗練されたくつろぎの空間と定義してみる。そして、このことを都市計画の中にしっかりと打ち込み、それを実現するための新たな施策を検討してみてはどうでしょうか。具体的には、都心部においては自動車の原則進入禁止や歩行者専用エリア化を明確にする、駅前等拠点や目抜き通りにおいては地域商業機能を維持するために容積率のボーナスあるいは制限、もしくは地区計画、特別用途地区制度の積極的利用の促進を行う、住宅街区においては住民発意のまちづくりルール策定を促進するなど、本市が主体的に取り組むべきです。
 まちづくりの分野は土地規制が多く、法制度が難解で、私権の問題もあり、何よりも利害関係者が多く調整が難しいということは過去の議会質問を通じても理解するところです。しかし、だからこそ首長のリーダーシップで推し進めなければならない分野の一つでもあると思います。これら提案に対する市長の御認識をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 都市計画マスタープランにおきましては、主要な拠点などの将来像を掲げておりまして、その実現に向け、都心部や拠点などから周辺部にかけて、商業系地域から住居系地域へ、高密度から低密度へ、段階的な市街地の形成を誘導する用途地域などの都市計画を定めております。これらの下、各地域の特性に応じたまちづくりを進めるため、都心部では、天神ビッグバンなどの推進と併せ、フリンジパーキングなど交通マネジメント施策の推進を、地域拠点などでは、都市機能の集積や良好な都市基盤の形成を図るため、土地区画整理事業の実施や用途地域の緩和など都市計画制度の活用を、住宅市街地などでは、地区計画や建築協定などを活用した地域の取組支援などをそれぞれ実施しております。今後とも、様々な制度を活用しながら、地域とともにまちづくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 都心部への自動車の乗り入れの制限についてなんですけれども、私もこれは必要性は感じております。一方で、関係者との合意形成またはその利害調整が非常に大切ということは御指摘のとおりだというふうに思います。特に福岡の天神だとか、こうした都心部の場合は、車での来客を期待している小売店舗、それから百貨店なども多い中で、急激にこれを一気に進めてしまうと、当然ハレーションも大きいということになろうかなと思います。ただ一方で、これはヨーロッパを中心に展開されている施策でございまして、大きな世界のトレンドでもあります。丁寧に着実にこういったことを進めていくことが大事だというふうに思っております。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 最後、5点目です。5点目は、徹底的な教育投資についてです。
 本市の教育行政について、特にこの4年間、どのようなプランに基づき、どのような施策を実施してきたか、その成果と併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育行政につきましては、令和元年6月に策定いたしました第2次福岡市教育振興基本計画に基づきまして、確かな学力の向上や、いじめ、不登校等の未然防止、早期対応など、同計画に掲げる17の施策を推進しているところでございます。具体的には、1人1台端末の整備をはじめとするGIGAスクール構想の推進や、35人以下学級の実施などにより、個に応じたきめ細かな指導を充実させるとともに、義務教育を受けられなかった方々のために公立夜間中学を設置したほか、特別支援学校高等部を新設し、障がいのある生徒の将来の自立を促進することとしております。また、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置拡充やSNSを活用した教育相談などにより支援体制を強化し、子どもたちの心のケアの充実に取り組むとともに、学校の新設や特別教室の空調整備などにより良好な教育環境の整備を推進いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今後30年を見据えたとき、人づくりは最も重要なテーマであります。答弁でも触れられたGIGAスクール構想に基づく1人1台タブレット配備、35人学級の本格実施などは私たちも要望してきた項目であるだけに、大きな成果であると認識しています。しかし、これらはあくまでも教育の手法に関する問題にすぎません。これら施策によって何を実現するのかという点が非常に重要です。私は過去に議会質問で、本市教育行政が目指すべきは、児童生徒一人一人がそれぞれ夢を描き、その実現に向けて取り組んでいける力を育むことだと指摘しました。現時点で果たしてそれが実現しているでしょうか。家庭環境によって十分な学びを得られない子どもがいる、いじめや人間関係に苦しむ子ども、それに伴い学校に通えなくなる子どもがいる、同じ公立学校でも人気がある学校とそうでない学校とがある、学校によって施設環境に格差があるなど、15年以上議会で教育分野に関する議論に触れてまいりましたが、いまだに解消されていないというのは、ゆゆしい事態です。家庭環境も人それぞれ、親の認識もそれぞれ、地域コミュニティのつながりも希薄になり、社会環境も目まぐるしく変わる、そんな様々な要因に現場が翻弄されていることは理解できます。しかし、学びが保障されてこそ、人は自由に生きる力を獲得し、豊かな社会をつくり上げる一員ともなるわけです。公教育は子どもたちが将来にわたって自由に生きていくための学びを保障する最後のとりでとしての責任を果たしていかなければなりません。そのためには、これまで解消されていない様々な課題に正面から向き合う覚悟が必要です。
 今後10年間の取組に関する重要なキーワードは、きめ細かな良質な教育の提供と公教育の完全無償化です。まず、児童生徒一人一人の適性や状況に合った学びを提供するために、公教育に関わるスタッフを大幅に増やすということが必要です。具体的には、クラス運営と授業を分離し、それぞれスペシャリストとして児童生徒にしっかりと向き合っていくという方向性を検討すべきではないでしょうか。また、いつどこにいても一人でも学習できる環境づくりに向けて、オンライン、オンデマンド授業コンテンツの充実は必須です。極端に言えば、物理的に学校に通わなくても学びを修められるくらいの規模感で取り組む必要があります。学校施設に関して言えば、先ほども少し話題にしましたが、学校の校舎、体育館の木造化を徹底すべきです。積極的な財政支出により、まずは旧基準で建築された体育館から順次建て替えを行うべきです。そして、給食費をはじめとして、教材費や学びに必要な品目は全て公費で賄うという公教育の完全無償化は待ったなしです。
 以上、今後10年で取り組むべき教育政策の一端として御提案いたしましたが、これら提案に対する市長の御認識をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今後10年間で取り組むべき教育施策について御提案をいただきましたが、令和の時代の教育につきましては、一人一人の児童生徒が様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるよう、その資質、能力を育成することが必要であると考えております。このため、GIGAスクール構想により新たに整備したICT環境を基盤に、これまで培ってきた教育実践とICTとのベストミックスを図り、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実してまいります。また、学校施設につきましても、新しい時代の学びを支える安全、安心で持続可能な教育環境を実現していくことが重要であり、計画的、効率的な施設整備を着実に推進してまいります。さらに、経済的理由に左右されることなく、児童生徒が教育を受けることができるように、公教育に係る保護者の負担軽減が求められる一方で、完全無償化については、毎年度、制度の安定的な運営のための多額の財源の確保が必要となるため、国の動向等も踏まえながら、適切に対応していく必要があります。今後とも、教育行政の持続可能性の視点を持ちつつ、新たな時代に即した授業改善や施設改良、児童生徒の教育を受ける権利の保障などにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 御提案をいただきましたオンライン、また、オンデマンド教育については既に教育委員会で取り組んでいるところでありますが、学校に通うことが困難な子どもたちが学校に来なくても学び続けることができる環境を提供すること、これは私も大切なことであると考えておりますので、教育委員会ともしっかり対話をしながら、これらを進めてまいりたいと考えております。その一方、御提案の中には多額の財源が必要なものもありまして、例えば、午前中の討論でもありましたが、給食費の完全無償化であれば、実現には、これだけの追加でおよそ48億円の財源が毎年必要になってくる。それから、公教育の完全無償化というお話も今ありました。たくさんやらなければいけないことがあって、財源が非常にかかるわけですね。各種施策の推進に当たっては、限られた福岡市の財源を最適に配分する必要がありまして、毎年の予算議会において御審議をいただいた上で進めているところでございます。もちろん子育て世帯の負担の軽減については大変重要なことと認識をしております。その実現に向けては、例えば、国に対して財源の措置を求めていきますとともに、限られた財源の中で子どもたちのために何を優先して進めていくのか、市議会での十分な議論も含め、効果的な施策を検討していく必要があるという認識でございます。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) これまで5つの視点から提案をさせていただきました。これが最後の質問になりますけれども、これまで提案してきた指針や施策、これはこれからの30年を見据えたときに、今後10年間で本市が取り組まなければならないものばかり開陳をさせていただいたつもりです。今年度は第9次福岡市基本計画の計画最終年次でもあり、次年度からは新たな基本計画を策定する時期でもあります。また、これらの内容を全て実現しようと思えば、様々な企業や団体、市民の英知を結集する必要があります。そのためにも、首長以下、行政が強力なリーダーシップを発揮し、財政面、特にインフラ整備、制度面、規制緩和や諮問会議の設置等の両面で本市がその呼び水を与えるとともに、本日提案した内容を素案として次期計画が策定されるべきだと考えますが、今回の質問の総括と併せて市長の御所見をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定をした総合計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、まちづくりを進めております。これまでの取組の結果、全国的に人口減少が進む中、福岡市の人口は増え続け、162万人を超えるとともに、企業の立地や創業が進み、市税収入は新型コロナ直前の令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し、その後も高水準で推移をしております。また、この成長の果実を生かして、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに積極的に取り組んで、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高い評価をいただいているところでございます。今日の討論の中で御指摘がありましたとおり、来年度になりますと次期の基本計画をつくる時期になります。新型コロナの発生に伴いまして、市民生活、また、社会経済、また、市民の皆さんの価値観に様々な変化も生じていることから、その動向を踏まえながら、ポストコロナを見据えたものとする必要があると考えておりますが、今後とも、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりを進め、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市の実現を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。今日は30年後を見据えての取組ということで、いろいろと市長にもふだんより多く答弁を求めて、いただいたということで、その中で様々な項目について御意見をいただいて、所見もいただきました。その中でもまた議論をしたいこともありますし、あるいはまた、はっきりとした認識をいただけなかった項目もあったように思います。今後、様々な機会を捉えてこういう政策論争はぜひさせていただきたいというのがまず1点。
 もう1つは、冒頭で、特に経済の指標に関して様々私は指摘をさせていただきました。その中で、やはり一人一人の市民の暮らしぶりがどうなのかというところから私は目を背けるべきではないと思います。確かに今日、経済観光文化局長がおっしゃっていただきました、入り込み観光客数が多いとか、あるいは企業の新しい呼び込みの会社数が50社以上が数年続いているとか、そういうことは確かに実態だとは思います。ただ、その実態があっても、結局、一人一人に目を向けると果たしてどうなのかということは、これは私は本市は目を背けるべきではないと思います。確かに、言い方はあれですけど、見栄えがいい数字を並べて、何となく、ああ、それはすごいなと、何となく元気なんだなと、私はそれが事実であれば、それはそれで発表されて公表されてもいいと思いますけれども、やはりこういう市民一人一人の状況がどうなのかと、生み出す付加価値がどうなっているのかと、所得がどうなっているのかというところをしっかりと見据えて、それに関する所見もしっかりと認識をしていただきたい。そうしなければ、今後の施策の方向性を誤らせることにもなりますし、言い方はあれですけど、度が過ぎると、何よりやっぱり市民を欺くことにつながる危険性があるんですね。ですので、今日、私が示した福岡市の姿というのは、経済の一端ではありますけれども、その辺りの部分もしっかりと捉えて、その上で、その実態を前提にどういう施策を打ち込むのがいいのかということはしっかり本当に認識をしてもらって、政策提案をいただきたいと思います。そういうデータに基づいた、実態に基づいた数字で、よりよい福岡市というのはしっかりとつくっていかないといけないんではないかと思いますので、その点を意見を申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、オンデマンド交通社会実験について、野多目校区における交通対策について、以上2点について質問をいたします。
 まず、オンデマンド交通社会実験についてです。
 生活交通については、高齢化の進展等に伴い、その確保が急務となっており、会派としても様々な検討を行ってきました。そのような中、今年度、福岡市が主体となったオンデマンド交通の社会実験が行われており、東区のエリア、南区のエリア、中央、城南区のエリアの大きく分けて3つのエリアが選定され、事業者としてアイシン、第一交通のグループが選定されております。この社会実験の取組は地域の期待も大きいところであり、持続可能な生活交通の確保に向けて、よりよいものとなるよう、取組内容や方向性などについて確認していきたいと思います。
 まず、社会実験の目的、事業開始からの取組の経過についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) オンデマンド交通社会実験につきましては、高齢化の進展等に伴い、公共交通不便地等における生活交通確保が課題となる中、持続可能な生活交通確保に向けた取組の一つとして、広いエリアや曜日別の運行など、運行内容の工夫に取り組むものであります。社会実験の進捗としましては、地域、交通事業者をそれぞれ募集した後、6月に候補地域、7月には交通事業者を決定し、現在、各エリアの運行内容等について、地域、交通事業者と協議、検討を進めております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 地域などと協議を進めているとのことですが、社会実験の対象となった3つのエリアでは、各地域のどのような場所に停留所である乗り場を設けるか、どのような利便施設の近くに乗り場を設定するのかなど、具体的な協議が進んでいるようです。これまでの状況を見ますと、実験エリアの住民が考えている運行エリア設定の希望と事業者の当初想定との間に細かいずれもあるようですが、住民の意向は日頃の生活圏とも重なっており、できる限り尊重することが利便性の面での評価を高めることになると思います。
 そこで、本市としてどのような姿勢で地域や事業者などと調整に臨む考えか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 乗り場の設置など、運行エリアの検討に当たりましては、地域の御意見や待ち時間も踏まえた利用者全体の利便性等を勘案しながら、地域や交通事業者等と協議を進め、よりよい運行内容となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) また、休憩時間や運行の曜日、時間帯など、エリアごとに要望が異なることも想定されます。どの程度対応していくのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 運行内容につきましては、エリアごとに実情が異なることから、地域の御意見などを踏まえ、関係者と協議を行いながら検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 福岡市が行う社会実験については、持続可能な生活交通の確保という視点に立って、採算の取れるエリアではしっかりと事業者が輸送収益やスポンサー収入などを得ていけるような仕組みを構築していただきたいと思います。今回選定された3つのエリアは、いずれも商業施設や病院、商店街なども立地しており、これらにスポンサーとなってもらえるような働きかけをする上で、地域、事業者、本市が連携を取ることが重要であると思います。
 そこで、スポンサー確保におけるそれぞれの果たす役割についてどのように考えているのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) スポンサー確保に当たりましては、交通事業者、地域及び市で共働して取り組むこととしております。スポンサー候補者との協議は交通事業者が中心となって行いますが、より多くのスポンサー確保のため、地域の方々には候補者を御紹介いただき、市も事業者や地域の取組を支援してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 具体的に想定している協賛の仕組みについて簡単に御紹介ください。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 今回の事業者提案では、協賛いただいた施設等へ乗り場を設置するとともに、ポスターやチラシへの広告掲載を想定しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 1回の乗車料金の設定が300円となっているようですが、例えば、今答弁があったような広告などの協賛メリットではなく、200円の利用割引券にスポンサー名を表記したものを利用者に配りたいといった希望が出てくることを我々としては想定しています。こうした協賛や利用促進などについて検討していくことが重要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 乗車割引券などの利用促進策や協賛の仕組みにつきましては、今後とも、様々なアイデアをいただきながら、地域や交通事業者等と協議、検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 一方で、こうした社会実験の恩恵を受ける地域とそうでない地域との公平性を担保する意味においても、一定の受益者負担的な考え方を検討していくことも今後の課題だと思います。
制度化あるいは義務化するかどうかという議論は取りあえずさておくとして、市民局においては、各自治協議会に出している補助金あるいは各町内会単位で活用が可能な新しい補助金などから地域が生活交通の確保に向けた協賛を支出できるように検討していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 自治協議会共創補助金及び町内会活動支援事業補助金につきましては、地域が主体的に行う取組を支援するものであることから、事業者への協賛金を補助対象経費とすることは困難でございますが、生活交通の確保に向けた地域の取組に対しての補助金の活用については、その具体的な内容を確認し、検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 今回、事業者に選定されたアイシン、第一交通のグループは、利用時の決済に電子マネー機能のついた交通系ICが利用できるようです。しかし、福岡市が高齢者乗車券のサービスの支給に用いているはやかけんをベースにした交通系ICカードは利用できないようになっており、この点は早急に改善を求めたいと思います。
 そこで、高齢者乗車券のサービスで交通系ICカードを選択する人の割合はどのくらいなのか、お尋ねいたします。また、これらの人たちが西鉄バス、市営地下鉄、西鉄やJRなどの鉄道をそれぞれどのような割合で利用しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 高齢者乗車券交付事業におきまして、令和3年度に交通用福祉ICカードを選択した人の割合は74.5%となっております。また、主な交通機関ごとの利用割合につきましては、利用金額を基に算出いたしますと、西鉄バスが61.0%、市営地下鉄が17.5%、西鉄電車が9.7%、JR九州が10.9%となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 西鉄バスの利用割合が6割とのことです。はやかけんベースの交通系ICカードでは、西鉄バスを乗り換える際の負担軽減のためのポイントサービスを受けられず、多くの利用者が現時点においても損をしている状況となっております。
 高齢者乗車券のサービスをニモカへのチャージで受け取れるようにすること、さらには今回のような生活交通に関するサービスの利用に使えるようにすることなど、幾つかの大きな課題があるとは認識していますが、改善の意思はあるのか、御所見を求めます。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 高齢者乗車券交付事業は、高齢者の社会参加を促進するため、公共交通機関の乗車料金の一部を助成する事業でございます。ニモカなどの一般的なICカードには電子マネー機能が付加されており、公共交通機関以外にも買物など様々な目的に利用することが可能となっていることから、これらのカードを利用することは難しいものと考えております。また、新たな生活交通への高齢者乗車券の利用につきまして、交通用福祉ICカードで対応できない場合、現在も専用の回数乗車券等を発行してきているところであり、引き続き市民の利便性が確保できるよう検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 市営地下鉄が独自の交通系ICカードを発行する必要性がどのくらいあるのかということから、一度じっくりと考えるべきだと思います。地下鉄、西鉄、JR九州は、そもそも乗り入れや乗換えで相互につながっており、一本化するほうがメリットがあるのではないかと考えます。
 また、これまで会派の中に生活交通プロジェクトチームを設け、調査研究を進めてきた中で、既存の公共交通サービスとの役割分担については注意を払ってきたところでありますが、今回の社会実験の目的、趣旨やスケジュール感、公募により事業を進めるとした手法などについて、タクシー事業者の方々に十分に理解が広がっていなかったようです。東京都心部の駅周辺などで格安の交通手段としてエリア限定で運行しているモビなどと今回の社会実験を混同しておられる事業者の方、こうした格安サービスを本市が推奨しているかのように誤解しておられる方、ひいては今回の社会実験のようなサービスが市内の至るエリアに広がっていくのではと考えておられる方が一定数おられるようです。我々としては、既存の公共交通サービスへの影響を避けながら、高台や公共交通不便地などを抱える地域で高齢者が運転免許を返納した後も生活を維持できるようにという視点で運行エリアを選定することを求めてきており、とりわけタクシーとのすみ分けについては十分念頭に置きながら政策提言を続けてきた中で、本市とも一定の共通認識を持つことができていると思っております。
 そこで、既存の交通事業者、とりわけタクシー事業者の方々の理解や協力を得られるように十分な説明に努めるとともに、真摯に意見を伺う姿勢が求められると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 今回の社会実験は、公共交通不便地等における身近な通院や買物など日常生活での利便性確保を目的としており、路線バスやタクシーといった既存の公共交通との連携が重要であると考えております。これまでも既存の交通事業者等と協議を行ってきたところですが、交通事業者をはじめとした関係者と引き続き丁寧に協議を行いながら社会実験を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 今回の社会実験の大きな目的の一つとして、公共交通不便地等における生活交通確保に資する仕組みづくりに向けて、オンデマンド交通の有益性を確認することにあると思いますが、今後どのような検証内容を考えているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 今回の社会実験では、広いエリアや曜日別運行などの運行内容の工夫をはじめ、運賃以外の収入確保の工夫を行うこととしております。これらを通じ、利用者の特性や収支状況の把握、分析を行い、利用者のニーズや取組の効果などについて検証してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 今後、様々な課題が出ると思いますが、それを受け止め、一つ一つ改善することで本格運行につなげていただきたいと思います。特に持続的に生活交通を確保するためには採算性が重要になり、まずは協賛金の確保に向け、皆でしっかりと取り組むことが重要ですが、その結果、運行経費に対して運賃収入や協賛金収入がどの程度確保できたかはしっかりと確認する必要があると考えます。民間によるバス路線網が発達した本市では、引き続き民間が採算性を確保しながら路線網を維持していくことが望ましいと考えますが、コロナの影響や燃料の高騰等により全国的に交通事業者の経営は困難となっていると聞いております。また、他都市ではコミュニティバスなど、行政が主体となり運行するケースは多数あります。
 今回の社会実験の結果によっては、行政が主体的に運行することを除外することなく、生活交通確保の仕組みを検討していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市におきましては、バス路線の休廃止に伴い、新たに公共交通空白地となる地域について、生活交通条例に基づき、市が交通事業者に補助を行うことで代替交通を確保しております。今回の社会実験は公共交通不便地等における生活交通確保の取組の一つとして1年間の運行を予定しており、地域、交通事業者と共働で取り組むこととしております。社会実験以降の取組につきましては、把握した課題等を踏まえ、現行の取組等も勘案しながら、持続可能な生活交通の確保に向けた仕組みを検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 来年、七隈線が延伸開業しますが、本市は地下鉄網を整備することでまちの発展につなげてきました。これからは生活交通確保に取り組むことで、市民が安心して快適に暮らせるようにするべきだと考えます。
 これまで様々な提案をしてきた我々としても、地域の意見調整や協賛獲得の後押しをはじめ、しっかりと汗をかいて社会実験の成功に努めていきたいと考えております。関係部局も一丸となって頑張っていただきたいと思います。
 最後に、島市長の意気込みをお尋ねして、この質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市においても、今後、高齢者が増加をしていく中、住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、買物をはじめ、日々の生活を支える基盤づくりが重要になってくると考えています。このために、生活交通確保の取組の一つとして、オンデマンド交通を活用した社会実験に今取り組んでおりまして、共働で取り組む地域や、また、交通事業者を7月に決定をしたところでございますので、まずは関係部署はもとより、地域や交通事業者など、様々な関係者とともにこの取組を着実に進めていきますし、ぜひこれは生活交通対策の切り札になってほしいなというふうに期待をしております。今後とも、生活交通条例に基づく休廃止対策などの取組、これも組み合わせながら、社会実験で得られた課題などを踏まえながら、持続可能な生活交通確保の仕組みづくりについてしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、野多目校区における交通対策についてです。
 福岡外環状道路は平成23年4月に全線開通してから10年がたちました。この間、がんセンター入口交差点はほぼ毎日渋滞しており、特に朝夕の通勤、通学時間帯においては約1キロほどの渋滞が生じております。その上、車だけではなく、人や自転車等の交通量も大変多く、事故も毎日のように頻繁に起こっているのが現状であります。この状況を鑑みて、これまでに私を含む5人の議員がこのがんセンター入口交差点の渋滞対策について計7回の議会質問をしてきました。しかしながら、同交差点における渋滞緩和は全く進展のない状況であることから、これまで本市がどのように検討を重ね、取り組んでこられたのか、改めて質問させていただきたいと思います。
 まず、平成23年4月に外環状道路が開通して以降、これまでどのような渋滞対策に取り組んでこられたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) これまで国や県警察などの関係機関が連携し、平成24年に信号制御の調整を、平成30年には外環状道路の東向き及び国道385号の北向きにおける右折レーンの延伸などの対策を実施してきたところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) では、その結果、交差点の渋滞状況はどのように改善されたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 令和3年11月に実施した交通調査によりますと、夕方ピーク時にはがんセンター入口交差点東西方向の渋滞の長さが最大で730メートルに及んでおります。また、600メートルから700メートル程度の渋滞が約50分間続くなど、依然として渋滞が顕著な状況でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) この10年間で行った対策は、平成24年に信号機の調整、平成30年に右折レーンの延長ということですが、残念ながら渋滞状況は全く改善されておりません。この間、議会においてそれぞれの議員から様々な提案や要望があったと思います。例えば、左折レーン設置等の交差点の改良、横断歩道橋の設置、歩車分離信号の導入、そして、都市高速道路を1区間割引して外環状道路から都市高速道路へと交通の転換を図るという要望などをなされておりました。当局はその都度、国や関係機関と協議して検討しますとの答弁を繰り返してこられました。
 そこで、お尋ねします。これまでの議会からの提案や要望に対して、どのように協議し、検討してきたのか、また、実現しなかった理由もお答えください。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 平成25年から福岡市及び国、県警察などの関係機関により構成される福岡県交通渋滞対策協議会におきまして渋滞対策について協議を重ねてきたほか、適宜、個別に国や県警察などと協議、検討を行ってきたところでございます。これまで議会から御提案のありました左折レーン設置等の交差点改良や横断歩道橋の設置につきましては、都市高速道路の橋脚による制約や用地の取得が必要になるなどの課題がございます。次に、歩車分離信号の導入につきましては、国や県警察と検討を行いましたが、車両に対する青時間が著しく減少し、今まで以上に渋滞に拍車をかけることになることから、導入は難しいと考えております。また、都市高速道路の料金割引による外環状道路からの交通の転換につきましては、福岡北九州高速道路公社において検討を行ったところ、採算性の問題などから実現は難しいと伺っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) これまでにあった議会からの提案の実現は難しいとのことです。この交差点の渋滞解消については打つ手がないということでしょうか。しかしながら、南区にとっては、この国道385号線や外環状道路は大変重要な道路となっております。この交差点の渋滞状況は、そこを使用する市民や近隣住民にとりましても大変大きなストレスとなっており、著しく生活の利便性を欠くものとなっております。
 この状況についてどのように考えるのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) がんセンター入口交差点につきましては、依然として渋滞が顕著であることから、道路利用者や近隣住民に御迷惑をおかけしているものと認識しております。令和3年8月には福岡県交通渋滞対策協議会において渋滞対策が必要な交差点であると改めて打ち出しており、さらなる対策に取り組む必要があるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) これまでがんセンター入口交差点の渋滞についてお尋ねしてきましたが、次に、この渋滞に関連した事故がどれくらい発生しているのかを確認していきたいと思います。
 まず、この交差点を抱えている野多目校区において、外環状道路開通後の交通事故発生件数のうち死傷者が発生している人身事故件数について年間の平均件数をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 県警察が集計している平成27年から令和3年の7年間の統計によりますと、野多目校区における人身事故件数は、車両対車両、車両対人、車両単独の事故の合計で年平均94.5件でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 野多目校区で発生した人身事故件数は年間平均で94.5件ということです。これは3.8日に1回の人身事故が発生している計算になります。では、これだけ多くの人身事故が野多目校区のどこで発生しているのかを確認したいと思います。(パネル表示)これは南警察署から取り寄せた資料ですが、昨年の令和3年に野多目校区で発生した人身事故の発生状況であります。この縦が国道385号線、横が外環状道路で、毎日、朝と夕方の交通量の多い時間帯は本当にこのまま渋滞が発生しておるんですが、見てのとおり、事故のそのほとんどががんセンター入口交差点の渋滞の範囲内で発生していることが分かります。これは27年から7年分の事故の発生状況でありますが、本当にこの交差点、どこに道路があるか分からないぐらい事故が発生しているわけでありますが、やはりこのがんセンター入口交差点の渋滞の範囲内でこれだけの事故が発生しております。そして、この事故がこの場所でこの7年間、3日あるいは4日に一遍、今もなお続いて事故が起こっているということであります。
 では次に、これだけの事故がいつ発生しているのかということでありますが、(パネル表示)これは野多目校区人身事故の時間帯別の発生件数であります。過去6年のものになりますが、どの年も朝と夕方の8時、9時前後、夕方は16時から18時前後、この時間がやはり一番多く事故が発生しているということが確認できます。また逆に、これは曜日別の発生件数を表しておるんですが、交通量の少ない日曜日は、やはり事故が少ないようです。
 渋滞と事故の因果関係は定かではありませんが、やはりこのようなデータを見ても分かるように、渋滞が事故の大きな要因の一つであるということは間違いないと思います。年間平均94件の人身事故のその大部分がこの交差点の渋滞の範囲内で発生しており、この間、1件の死亡事故をはじめ、18件の重傷事故が発生しているという事実は見過ごすことのできない大変な事態であると思います。
 当局はこの実態を把握されていたのか、また、このような事態をどのように受け止めているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 国においては、交通事故が多発している箇所を事故危険箇所と指定しており、福岡市内では45か所が指定されております。そのうち、野多目校区では、がんセンター入口交差点を含め、2か所が指定されております。このため、当該交差点などにおいて、渋滞対策と併せて事故対策についても、国や県警察などの関係機関と連携して取り組んでいく必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 先日、野多目校区で開かれた交通防犯集会では、南警察署の警察官から、この交差点は南区管内で最も事故が多い交差点といった説明がありました。また、日本損害保険協会のホームページによると、令和元年の同交差点における事故件数は福岡県内でも残念ながらワースト4位とのことであります。当局は福岡外環状道路が全線開通してから、この10年間、がんセンター入口交差点の渋滞対策についていろいろと検討はされてきたとは思いますが、結局のところ全く進展がありませんでした。しかし、これは市民の命と安全を守る上でも早急に取り組まなければならない喫緊の課題ではないでしょうか。野多目校区としても、これまでに安全対策として歩車分離信号の導入などの陳情を行ってきており、地域住民からは、毎日の子どもたちの見守りをはじめ、安全に対する啓発など、自分たちでやれることは全てやっている、これ以上何をやればいいのかという悲痛な声が上がっております。
 私はこのような状況下では、もはや最終的な手段として、抜本的な交差点の改良を直ちに行うべきだと考えます。今後は渋滞対策だけではなく、事故対策との両輪で進めていく必要があり、その対策として、右左折する車両と歩行者とを分離させるような横断歩道橋の設置や地下通路の導入など、実効性のある対策に速やかに着手していただきたいと思います。というか、もうこれしかないと思っています。南区は福岡市で唯一地下鉄の恩恵を受けていない地域です。多少予算がかかったとしても、市民の命とよりよい生活環境を守るために本市が率先して取り組むべき問題だと思いますが、最後に、当局の責任ある答弁を求めて、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 現在、福岡県交通渋滞対策協議会におきまして、がんセンター入口交差点における交通状況の調査や渋滞緩和に向けた対策の検討を行っているところでございます。福岡市といたしましても、当該交差点の渋滞対策や事故対策は重要な課題であると認識しており、交通渋滞の解消に向け、放射環状型道路ネットワークの形成を進めることにより交通の分散を図っているところでございます。さらに、議員御提案の横断歩道橋の導入や抜本的な交差点の改良などの対策につきましては課題もございますが、福岡市が率先して国などの関係機関と連携しながら、スピード感を持ってしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) この際、休憩し、午後3時ちょうどに再開いたします。
午後2時47分 休憩  
午後3時 開議  
○議長(伊藤嘉人) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏)登壇 昨夜、エリザベス・英国女王陛下の御逝去が報じられました。英国史上最長となる在位70年の長きにわたり英国民とともに歩まれた御功績をしのぶとともに、英国並びに英連邦の全ての国民の皆様に心よりお悔やみを申し上げるものです。
 私は自由民主党福岡市議団を代表して、博多区庁舎のリニューアル等について、福岡市が管理する橋梁の長寿命化について、大規模災害時における福岡市の受援体制について、以上3点について質問をいたします。
 まず、博多区庁舎のリニューアル等について質問をしてまいります。
 今年5月に博多区役所が新庁舎で全面リニューアルオープンをしました。建て替え前の旧庁舎にはこれまで何度も足を運びましたが、初めて来庁された方にはどこにどの窓口があるのかなどが分かりづらかったように思います。また、保健福祉センターが区庁舎とは別の建物内にあり、例えば、小さなお子さんを連れた親御さんが引っ越しなどの手続を行う際に、子育て支援課が入る保健福祉センターと区役所の行き来をしないといけないというのは大変だなと常々気にかかっていたところであります。今回のリニューアルによって子育て支援課と市民課が同じ建物内の同じフロアとなるなど、市民の皆様が大変利用しやすくなったのではないかと感じております。
 そこで、改めて確認をしたいと思いますが、そもそもなぜ博多区庁舎の建て替えを行ったのか、また、現在、旧庁舎の解体が行われており、その後、公園や駐車場の整備の計画もあると聞いていますが、総事業費は幾らかかる見込みなのか、お尋ねをいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて質問をさせていただきます。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 博多区役所につきましては、既存の庁舎を耐震改修した場合、鉄骨ブレース等により執務室や窓口が分断されるなど、区役所機能が著しく損なわれるため、耐震改修ではなく建て替えることといたしました。総事業費は、博多区役所新庁舎整備事業、現庁舎解体事業、公園再整備事業を合わせて約63億円でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 博多区庁舎は耐震対策のために建て替えられたということです。福岡市では今から17年前の2005年に観測史上最大の地震である最大震度6弱を観測した福岡県西方沖地震が発生し、震源地に近かった西区玄界島や東区志賀島などで大きな被害をもたらしました。この地震の震源域と言われているのが警固断層帯で、今後、志賀島南方沖から筑紫野市にわたる南東部の活断層が一度に揺れた場合、マグニチュード7を超える地震が発生すると言われております。こうした大地震が発生した場合は、市役所本庁舎のみならず、各区役所が災害復旧工事や被災者の生活支援において重要な役割を担うことから、区庁舎の耐震対策は大変重要であります。
 そこで、博多区新庁舎の耐震強度はどのくらいあるのか、大地震などの災害時にも十分に対応できる機能を備えた建物になっているのか、お尋ねいたします。また、福岡市は2040年度に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指し、脱炭素社会の実現にチャレンジすることを表明していますが、脱炭素の取組は行っているのか、併せてお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 博多区新庁舎の耐震性能につきましては、市の施設では初めてとなる中間層免震構造を採用し、震度6強規模の大地震時にも機能継続に支障となるような損傷を生じない耐震強度を確保しております。また、地震や大雨などの災害発生時において電気や上下水道が遮断されたとしても72時間業務を継続させることができる非常用発電設備を整備しております。さらに、脱炭素の取組として、先進的な空調設備を導入するなどにより建物に必要なエネルギーを50%削減したZEB Readyの認証を取得しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 災害対応や脱炭素の取組にも力を入れたということです。地震などの災害はいつ発生するか分かりません。震度6強の地震が発生した場合でも、機能が継続される区役所が身近にあるということは、博多区にお住まいの皆様にとっても大変心強いと思います。
 それでは、ほかの区役所はどうなっているのでしょうか。災害発生時に情報収集や被災者支援を行う重要な拠点として十分に機能するよう、ほかの区役所についても強化する必要があるのではないでしょうか。また、脱炭素についても、温室効果ガス排出量実質ゼロに向け、今後の区庁舎の大規模改修や設備の入替えのタイミングに合わせて対応できることもあると思います。
 そこで、博多区以外の区庁舎について、今後、災害対応や脱炭素の具体的な取組は予定されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 博多区以外の6区役所の災害対応につきましては、今年度から浸水対策も併せ、2.7メートル以上の高所に、発災後72時間稼働できる非常用電源を再整備することとしております。また、城南区役所の改修工事において、省エネ効果のある空調設備の更新などを検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 博多区に話を戻します。災害対応や脱炭素の取組に力を入れたことは分かりましたが、実際に区役所を利用する市民の皆様にとっての利便性はどうでしょうか。
 来庁者の皆様の利便性向上のためにどのような工夫をされたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 博多区新庁舎につきましては、混雑緩和や待ち時間の短縮のため、2階に土日祝日の開庁に対応した証明発行コーナーを設けるとともに、3階に転入、転出手続に必要な窓口を集約し、利便性の向上を図っております。また、1階から3階までをエレベーターだけでなく、エスカレーターでの移動も可能としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 区役所といえば、1階の玄関を入ってすぐのところに市民課の窓口が並ぶイメージですが、新しい博多区役所は1階が総合案内や多目的スペース、2階が証明発行コーナーで、市民課や子育て支援課などの窓口が3階に並んでいるのが大きな特徴だと思います。市民の皆様にとって大変利用しやすくなったと感じる一方で、課題もあるように思います。今回のリニューアルによって区庁舎が高層化されたことに伴い、エレベーターが3基設置されましたが、利用された方々から1階にエレベーターが下りてくるまでの時間が長く、利用しづらいという声を多く聞きました。
 市民サービス向上の観点から急ぎ対策を講じる必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) エレベーターの利用につきましては、車椅子やベビーカーの利用者への配慮から開閉時間を通常より長く設定しておりましたが、待ち時間が長いとの御意見もあり、現在、設置業者とシステム改善などを検討しているところでございます。また、職員に対し階段等の利用や貨物用エレベーターの利用を推奨するなど、障がいのある方へ配慮しながら、市民の利便性向上に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ここからは2階の証明発行コーナーについて質問をしてまいります。
 この証明発行コーナーは、平日だけでなく、土日祝日も利用できるということであります。
 そこで、証明発行コーナーでは土日祝日にどのようなサービスが利用できるのか、お尋ねいたします。また、利用状況も併せてお答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 証明発行コーナーにつきましては、土日祝日に利用可能なサービスとして、予約された税証明の受け取り、引っ越し手続のオンライン予約サービス利用者の手続受付や博多区にお住まいの方の予約分のマイナンバーカードの交付が可能なほか、平日と同様に、住民票の写し、印鑑登録証明書等の発行も行っております。土日祝日でのサービスを開始した6月18日から7月末までの利用状況は、証明書等の発行が328件、マイナンバーカードの交付が92件、オンライン予約の手続受付が13件となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) こうした証明書などが土日祝日に区役所で受け取れるのは大変便利だと思います。一方、利用状況は6月18日の開設から7月末までの土日祝日で328件の証明書を交付されたとのことです。この間の土日祝日の日数は、臨時休館もあり13日ですので、1日当たり約25件の証明書を交付されたことになりますが、それほど多くないように思います。
 そこでお尋ねしますが、この証明発行コーナーはどのような人員体制で運営されているのでしょうか。平日と土日祝日の体制をそれぞれお答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 証明発行コーナーの人員体制につきましては、係長1人、係員7人及び会計年度任用職員16人を配置しており、平日は8人から10人、土日祝日は4人から6人で運営しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 土日祝日は平日よりも少ない人員体制で運営されているようですが、それでも現在の利用状況に見合った人員体制なのか、少し疑問が残ります。土日祝日のニーズがどの程度あるのかを把握するために、ほかの施設にも目を向けてみたいと思います。
 博多区役所以外で土日祝日に証明発行を行っている窓口はあるのか、お尋ねいたします。また、博多区役所を含め、それぞれの開設時間はどのようになっているのか、お答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 土日祝日に証明発行を行っている窓口につきましては、博多区役所のほか、天神、博多駅、千早の3か所の証明サービスコーナーがございます。開設時間は博多区証明発行コーナーが8時45分から17時15分まで、他の証明サービスコーナーが9時から20時までとなっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 博多区役所とほかの証明サービスコーナーでは開設時間が異なっていることが分かりました。天神、博多駅、千早の証明サービスコーナーが夜の20時まで利用できるのは、日中お勤めの方などにとっては大変便利だと思います。
 次に、天神、博多駅、千早の証明サービスコーナーにおける令和3年度の土日祝日の証明発行状況はどうか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 各証明サービスコーナーにおける令和3年度の土日祝日の証明発行件数につきましては、天神が1万6,354件、博多駅が1万6,740件、千早が1万6,735件となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 令和3年度の発行数が最も多いのは博多駅証明サービスコーナーで、年間1万6,740件に上るそうです。令和3年度の土日祝日に開業した日数は116日間ということですので、単純に割ると1日当たり約144件の証明発行を行ったことになり、先ほどの博多区役所の1日当たり約25件と比較すると、かなり利用されているのが分かります。
 そこでお尋ねいたしますが、近くの博多駅に証明サービスコーナーがあったのに、今回、新たに博多区役所内にも土日祝日の窓口を開設した理由をお答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 博多区役所につきましては、窓口の混雑緩和や長い待ち時間の解消を目的として、2階に独立した証明発行コーナーを開設しており、その施設を生かして土日祝日も開設することで、平日の来庁者の分散を図るとともに、その立地のよさを生かし、市民全体の利便性の向上につながると考えたものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 御答弁いただいたとおり、市民の皆様の利便性向上はもちろんのこと、新型コロナウイルス感染症が収束しない中、来庁者の分散を図るという点でも大変重要だと思います。
 それでは、証明サービスコーナーがない南区、城南区、早良区、西区の区役所では証明窓口の土日祝日の開庁は行わないのでしょうか。行わないのであれば、その理由をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 博多区役所の証明発行コーナーにつきましては、今回のリニューアルの機会に設けられた2階の独立したコーナーを生かして土日開庁が可能となったものであり、他の区役所については施設や人員体制などの課題があるものと考えております。
 なお、住民票などの証明書は、マイナンバーカードをお持ちであれば市内に700店舗ほどある身近なコンビニエンスストアなどでも取得ができます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 残念ながら、ほかの区役所は施設面での課題などがあり、土日祝日の開庁はできないということですが、マイナンバーカードを持っていれば近所のコンビニでも証明書を取得できるそうです。
 そこで、本市の状況を改めて確認したいと思います。
 私は博多区民なので、例えば、住民票を取ろうと思ったら、まずは博多区役所に向かってしまうのですが、区役所以外ではどこで取得することができるのでしょうか。また、福岡空港などでは取得することができないのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 住民票につきましては、お住まいの区役所に限らず、市内の全ての区役所、出張所、証明サービスコーナー及び34の郵便局で取得できるほか、郵送請求での取得も可能となっております。また、マイナンバーカードをお持ちの方はコンビニエンスストアやオンライン申請で取得が可能となっており、福岡空港においても、空港内のコンビニエンスストアで住民票などが取得できます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 居住地を管轄する区役所だけではなく、市内のほかの区役所や証明サービスコーナーなどでも取得できるそうです。また、福岡空港では、マイナンバーカードがあれば地下鉄の福岡空港駅を出たところにあるコンビニで取得できるという答弁でした。皆様御存じのとおり、福岡空港は九州の空の玄関口であり、コンパクトシティという福岡市の魅力を支える大変重要なインフラであります。その利便性が世界的にも高く評価される一方で、騒音などの問題に悩まされる地域の皆様がいらっしゃることを忘れてはなりません。2025年には滑走路の増設も予定されております。
 そこで、福岡空港周辺に住む皆様に空港を身近で便利な施設として感じていただくためにも、マイナンバーカードを持たなくても住民票などを取得できる証明サービスコーナーの福岡空港内への設置について検討していただくよう要望いたします。
 なお、コンビニ交付については、今年度末までの期間限定で全ての手数料を100円に減額するという条例改正案と補正予算案が本議会に提出されております。聞くところによると、有料での住民票の発行数のうち、コンビニ交付が占める割合は直近3か年で3倍に増加しているそうです。大変便利だと思いますので、今度、私も住民票などが必要になったときにはコンビニ等で取得をしてみたいと思います。ただ、初めて利用する場合は、コンビニのどこでどのように取得したらいいのか、戸惑うこともあると思います。特に高齢者の方の中にはコンビニで取得すること自体に不安を抱く方もいらっしゃると思いますので、こうした方々の不安を解消するためにもしっかりとした取組が必要だと思います。
 そこでお尋ねいたしますが、博多区役所の1階にはコンビニ交付で利用する機械と同じようなマルチコピー機が3台置かれております。このマルチコピー機にはどのような機能があるのでしょうか。その設置目的と利用状況も併せてお答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) マルチコピー機につきましては、コピー機能のほか、証明書の発行やマイナポイントのお申込みなど、行政サービス機能がございます。博多区新庁舎1階のマルチコピー機は窓口の混雑緩和や市民の利便性向上を目的として設置しており、初めて利用される方でも安心して取得できるよう、操作説明動画の放映のほか、フロアマネジャーによる案内を行っております。利用実績は博多区新庁舎が開館した令和4年5月から7月までで930通でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) コンビニ交付を初めて利用される高齢の方などが安心できるよう、区役所にマルチコピー機を設置し、フロアマネジャーの方が操作方法を教えてくれるのは大変ありがたい取組だと思います。ぜひこれからも継続して頑張っていただきたいと思います。
 デジタル化によって効率化できる部分は最大限に効率化しつつ、その一方で、そういったものに不慣れな方々に寄り添ったサービスも併せて提供をしていただきたいと思います。しかしながら、土日祝日の証明発行コーナーと同様に、こちらもあまり利用されていないようです。こうしたすばらしい取組も市民の皆様に利用されなければ意味がありません。
 ぜひ証明発行コーナーやこのマルチコピー機が十分に利用されるよう、市民の皆様への周知を強化すべきだと考えますが、御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民の皆様への周知につきましては、博多区新庁舎内におけるポスター掲示のほか、市政だよりや公民館だより、市ホームページ等での広報を行っております。引き続き、土日祝日の証明発行コーナーやコンビニ交付のメリットを周知していくとともに、区役所内設置のマルチコピー機については、コンビニ交付の利用促進に併せた効果的な広報を検討するなど、周知の強化に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 次に、福岡市が管理する橋梁の長寿命化についてお尋ねをいたします。
 私は今年4月9日に、国道202号の博多区中洲地区と春吉地区に架かる春吉橋の完成式典に出席をしました。橋が新しくなったことにより、福岡市都心部の円滑な交通に資するのはもちろんですが、春吉橋については、通常であれば撤去する迂回路橋をあえて残し、にぎわい空間として市が活用するということです。どういうふうになるのか、物すごく楽しみにしております。現在、この近くでは福岡市営地下鉄七隈線の延伸に伴い、天神南駅と博多駅の中間駅として櫛田神社前の新駅も建設されていることから、相乗効果が生まれ、周辺地域の活性化が図られるのではないかと大変期待をしております。この春吉橋は国が管理する橋梁ですが、架け替えに至った背景を確認したところ、昭和36年に建造されて60年以上が経過しており、基礎が木工であることから、地震が発生した場合に十分な耐久性が期待できないという問題があったようです。また、橋脚の間隔が短く、川幅も狭くなっており、治水上のネックとなっていたことなどから、約10年前の2013年に国が架け替え事業に着手したということであり、架け替えに要した事業費は迂回路の活用に係る事業費を除いて約41億円と聞いております。
 一方で、福岡市内には市が管理する橋梁も数多く存在します。橋梁は同じ長さや同じ幅の道路を更新する場合と比較して、長い工事期間と多額の費用がかかります。少し前になりますが、8月3日に発生した記録的な大雨により、福島県内のJRの橋梁が一部崩落したというニュースを見ました。JR東日本によると、この橋梁は118年前の明治37年に架けられたもので、建設当時のままの石造りであったということです。昨今の自然災害は私たちの想定を上回る被害をもたらしており、こうした気候変動に伴う大規模な災害が起きるリスクも考慮しながら、市民の皆様が安全に安心して道路や橋梁などのインフラを利用できるよう適切に管理していく必要があります。
 そこでまず、現状を確認したいと思いますが、現在、市内の主要な道路において橋梁の架け替え工事を行っている事例とその事業費をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 現在、橋梁の架け替えを行っているのは、名柄川に架かる西区小戸の興徳寺橋で、事業費は約19億円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 約19億円をかけて西区小戸にある興徳寺橋を架け替えしているということですが、架け替えとなった理由をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 興徳寺橋につきましては、耐震補強が必要であったため、橋脚の周囲をコンクリートなどで補強する工法について検討したところ、河川断面が阻害され、河川法の基準を満たさなくなることから、橋脚のない構造に変更し、架け替えることとしたものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 橋梁を架け替えるのか、それとも補修をして長寿命化を図るのか、それによって工事期間や事業費は大きな違いが出てくると思いますが、国から判断基準等は示されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 国においては、平成25年にインフラ長寿命化基本計画が策定され、長寿命化に取り組むこととされておりますが、橋梁の架け替えの基準などは示されておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 架け替えなどの判断を行う際の基準等は国から示されておらず、各自治体が橋梁の状態に応じて適切に判断する必要があるようです。
 そこで、市が管理する橋梁は幾つあるのか、また、コンクリート構造物の寿命は一般的に50年と聞いたことがありますが、そのうち築40年以上、築50年以上が経過している橋梁はそれぞれ幾つあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市が管理する橋梁は、令和3年度末時点で2,031橋となっております。築年数の内訳につきましては、40年以上経過している橋梁は1,459橋で、そのうち50年以上経過している橋梁は520橋となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 築50年以上が経過した橋梁が約500橋と全体の4分の1を占めており、さらに10年後には、現在築40年以上が経過している約1,500橋が築50年以上となります。全体の4分の3を占めることとなり、仮に計画的に対策を講じることなく橋梁の老朽化が進んだ場合は、架け替えや補修を必要とする橋梁が一斉に発生することが懸念されます。そうなれば、市内の至るところで工事が発生し、円滑な交通に支障が出るでしょうし、万が一対策を講じるまでの間に重大な事故が発生してしまうようなことがあれば、市の管理責任を問われることにもなります。まさに老朽化した橋梁への対応は待ったなしの課題であると考えます。
 そこで、市が管理する橋梁の老朽化にどのように対応していくのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市におきましては、橋梁の中長期的な維持管理に関する基本的な考え方をまとめた橋梁アセットマネジメント基本方針を平成18年に策定しており、この方針に基づき、計画的に橋梁の長寿命化を図ることを基本としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 計画的に橋梁の長寿命化を図るということですが、具体的な取組として、それぞれの橋梁の状態をどのように把握しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市におきましては、橋梁の異常や損傷を早期に発見するため、平成15年から全ての橋梁について目視点検を実施してきたところでございます。平成26年に道路法施行規則が改正され、5年に1回の頻度で近接による目視点検のほか、必要に応じてハンマーによる打音検査などが義務づけられたことを受けて、平成26年度から5年サイクルで新たな方法により全ての橋梁の点検を実施し、状態の把握に努めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 平成26年から5年サイクルで全ての橋梁を点検してきたということですが、点検の結果はどうだったのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 点検は平成26年度から開始し、当時の管理橋梁2,005橋の点検を全て完了しております。点検結果につきましては、国の基準に基づき4段階に区分して損傷状態を評価しており、健全のT判定が1,646橋で全体の82%、措置を講ずることが望ましい予防保全段階のU判定が296橋で15%、早期に措置を講ずべき早期措置段階のV判定が63橋で3%、緊急に措置を講ずべき緊急措置段階のW判定は確認されておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 緊急に措置を講ずべきW判定の橋梁は確認されていないということで安心をしました。しかしながら、早期に措置を講ずべきV判定が63橋、措置を講ずることが望ましいU判定が296橋あるということです。
 そこで、措置が必要と判断された橋梁への対応についてお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市では令和2年度から6年度までを計画期間とする橋梁長寿命化修繕計画を令和2年3月に策定しており、その中で、早期措置段階の63橋のうち62橋につきましては令和6年度までに補修を完了することとしております。残りの1橋につきましては、河川改修に伴う架け替え工事を予定していることから、現在、工事に向けた検討を行っているところでございます。また、予防保全段階の296橋のうち、鉄道や道路の上に架かる11橋につきましては、第三者被害が想定されるため、優先的に補修による長寿命化に取り組むこととし、令和6年度までに完了する予定としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 検討中の1橋を除き、措置が必要な全ての橋梁について令和6年度までに長寿命化対策を完了するということでありますが、それでは、これらの対策のためにどのぐらいの事業費を見込んでいるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 早期措置段階の62橋及び予防保全段階の11橋の長寿命化に係る事業費につきましては、合計で約32億円を見込んでおります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 全体で約32億円ということですので、これを単純に73橋で割ると1橋当たり約4,000万円となり、架け替えを行った春吉橋の41億円や興徳寺橋の19億円と比べると、事業費をかなり抑えることができるようです。しかし、橋梁の長寿命化対策を行わず放置された場合には老朽化の進行が早まり、早期に架け替えざるを得なくなり、多額の費用がかかることが懸念されます。
 福岡市の将来を担う子や孫の世代に過度な負担を残さないためにも、計画的かつ着実に橋梁の長寿命化対策を行っていく必要があると思いますが、今後どのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市が管理する橋梁の多くは高度経済成長期である1970年代から1980年代に建設されてきたため、老朽化が進んでおり、予防保全型の適切な維持管理が重要であると認識しております。そのため、定期的に点検を行って、橋梁の損傷の状態を把握し、早期に補修をしていくこととしており、今後とも、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、橋梁の長寿命化に着実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 次に、大規模災害時における福岡市の受援体制についてお尋ねをします。
 本市では、過去の豪雨災害や震災などの教訓を踏まえ、福岡市地域防災計画の見直しをはじめ、防災、減災のために取組を着実に進めてまいりました。しかし、近年では気候変動の影響による自然災害の激甚化、頻発化が懸念されており、近隣の市町村においては毎年のように豪雨による被害が報じられております。そうした際に、本市ではこれまで迅速に被災地へ職員を派遣し、様々な支援を行ってきたところでありますが、これまでの想定を上回る自然災害によって本市が甚大な被害を受け、他都市等からの応援を受ける事態も想定しておく必要があるのではないでしょうか。
 このような事態に備え、応援を受ける体制がしっかり整っているのかという観点から質問をしてまいります。
 まず、大規模災害が発生した直後に最も重要となるのが人命救助活動であります。
 そこで、消防局として人命救助活動を迅速に行うために他都市等からの消防隊の応援を受け入れる場合、円滑に進めるための計画等はあるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 大規模な災害が発生した場合において、他都市から応援を受けることを想定し、受援に関する計画を定めております。具体的には、災害の規模や被害状況に応じて、まずは福岡都市圏における相互応援協定、続いて福岡県内全域における相互応援協定、さらには国レベルの相互応援である緊急消防援助隊の制度に基づいた受援を行う際の計画があります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 災害の規模や被害状況に応じた相互応援の協定や受援の計画があることが分かりました。大規模災害といえば、一昨年、熊本県に大きな被害をもたらした令和2年7月豪雨が発生しましたが、本市の消防防災ヘリを含め、多数のヘリが全国から集結し、救助に当たったと聞いております。
 そこで、福岡市が豪雨等により被災し、他都市等から消防防災ヘリによる応援を受ける場合、応援に駆けつけてくれたヘリはどこに集結することになるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) ヘリの集結場所につきましては、福岡県緊急消防援助隊航空部隊受援計画に基づき、まずは本市の消防航空隊の基地がある東区の奈多ヘリポートに集結することになります。さらに多くの消防防災ヘリを受け入れる場合は、北九州空港が追加で指定されることになっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 応援ヘリは市内では東区の奈多ヘリポートに集結するということです。このヘリを活用し、例えば、土砂災害現場や孤立集落からヘリで救出した負傷者を直接病院に搬送するケースなどが想定されますが、一部の病院では豪雨災害等の浸水のリスクが低い屋上にヘリが離着陸できるようです。
 そこで、屋上にヘリが離着陸できる病院は市内に何か所あるのか、また、病院以外で屋上に離着陸できる建物は何か所あるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 屋上に消防ヘリが離着陸できる病院は市内に6か所あります。病院以外では、中央区那の津にある中央消防署や中央区長浜にある東芝福岡ビル、そのほかにも高層マンションなど、合計10か所の建物がございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 市内16か所の建物にヘリが離着陸できるとのことです。豪雨以外にも、本市においては、先ほど申し上げましたとおり、警固断層帯南東部を震源域とする大地震の発生も懸念されております。
 そこで、本市において大地震が発生した場合の消防隊の受援体制はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 福岡市を震央とする最大震度5強以上の地震が発生した場合、あらかじめその震度に応じて指定された他県の消防隊から応援を受ける体制を取っております。具体的には、最大震度5強、6弱であれば、まずは近隣の4県、山口、佐賀、熊本、大分県の消防隊が直ちに出動の準備に取りかかります。最大震度6強であれば、さきに申し上げました4県の先遣隊が本市からの応援要請を待たずに出動してまいります。さらに、最大震度7であれば、近隣4県、さらには被害状況に応じて全国各地から陸上部隊が応援に駆けつける計画になっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 最大震度に応じた受援体制が構築されていることが分かりました。大地震といえば、2011年の東日本大震災における津波の恐ろしさを忘れてはなりません。福岡県内における過去の被害地震の記録を調べましたところ、西暦679年に筑後地方で発生した筑紫大地震以降の記録が残っているようですが、この地震を含め、本市における津波の被害は確認されていないようです。しかし、福岡県や国が行った津波の想定によりますと、本市に津波をもたらす波源の断層が西山断層と対馬海峡東の断層の2か所あるとされております。一方で、先ほど、応援に駆けつけてくれた消防防災ヘリは東区の沿岸にある奈多ヘリポートに集結するということでした。ここには消防航空隊の基地もありますが、津波が発生した場合に機能しなくなるのではないかと懸念をしております。
 そこで、奈多ヘリポートにおけるヘリの津波対策はできているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 福岡県が示している津波、高潮浸水想定において、奈多ヘリポートが津波で浸水する想定は示されておりませんが、高潮については予想される最大浸水の深さが3メートルとなっていることから、消防ヘリを格納庫に設置しているクレーンで約4メートルつり上げるといった万全の避難対策を講じているところです。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 津波による被害は想定されていないとのことですが、高潮による浸水への対策は一定講じられているようです。ただ、これらの断層については解明されていない部分も多いようですので、引き続き国や県と連携し、被害想定を最新の内容に更新していくとともに、それに応じて本市の対策も見直していただきたいと思います。
 ここまで大規模災害時の人命救助活動を中心に質問をしてまいりましたが、大規模災害時においては、避難所生活における支援、その後の生活再建への支援にも目を向けなければなりません。市民が日常生活を取り戻すまでの間、継続した支援が必要となります。
 そこで、市民の避難所生活やその後の生活再建においてはどのような支援を行うのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所生活への支援につきましては、福岡市地域防災計画や避難所運営の手引において、市職員、施設管理者、地域が連携し、食料等の供給をはじめ、円滑な避難所運営に努めることとしており、避難が長期化する場合には必要な設備、備品も供給するなど、適切な支援を行うこととしております。また、生活再建への支援についても、関係法令等や福岡市地域防災計画に基づき、住宅の応急修理、市営住宅や応急仮設住宅の供与等のほか、罹災証明の発行、義援金の配分、災害弔慰金等の支給や災害援護資金等の貸付け、租税の減免などを行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 法令や市の計画等に基づき支援するということですが、避難所生活が長期化し、本市単独での対応が困難な場合には他都市等からの支援を必要とする場合もあると思います。
 そこで、他都市等から迅速かつ効果的に支援を受けるための準備は整っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 他都市等からの支援の受入れにつきましては、福岡市地域防災計画において、受援計画として、国や他都市等からの支援を円滑に受けるための手順や体制等を定めております。福岡市において大規模災害が発生した際には、受援計画に基づき、国や自衛隊などの防災関係機関から支援を受けるとともに、災害時における福岡県内市町村間の相互応援に関する基本協定、九州市長会における災害時相互支援プラン及び総務省の枠組みである応急対策職員派遣制度など、災害時相互支援協定に基づく他の自治体からの支援を円滑に受け入れて対応することとしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 受援計画や様々な相互支援の枠組みに基づき対応するということです。九州市長会では、福岡市長を部会長とする防災部会を設置し、九州内で大規模災害が発生した際に迅速かつ効果的な支援を行うための相互支援体制が構築されていると聞いております。そのほかにも、福岡県内の市町村間における相互支援体制や総務省の枠組みも整っているということでした。これらの枠組みにより、本市が被災した場合は支援を受けることができ、一方で、他都市が被災した場合は支援を行うこととなっているようです。実際に本市はこれまで様々な被災地支援を行ってきました。被災地の災害復旧や被災者の生活支援を強力にサポートするとともに、派遣された職員が支援を通じて災害対応を経験することで、いざ本市が被災した場合にその経験を本市の災害対応にも生かすことができます。
 そこで、本市が行った被災地支援についてお尋ねいたします。
 県内の周辺市町村にも大きな被害をもたらした平成29年7月九州北部豪雨の際は、被災地の避難所生活や生活再建のためにどのような支援を行ったのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 平成29年7月九州北部豪雨の際の支援につきましては、発災直後に福岡県庁にリエゾンを派遣し、情報収集を図るとともに、朝倉市や東峰村への支援を行っており、応急給水車の派遣をはじめ、避難所や物資集積所の運営、避難所及び被災者宅への家庭訪問による健康相談、災害廃棄物の収集等に延べ2,363人の職員を派遣したほか、市民の皆様や企業から支援物資を受け入れ、被災地に届けるなどの支援も実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) このような今までの想定を上回る大規模災害が発生した場合に、被災自治体が単独で災害対応を行うことは困難であり、他都市等からの支援を円滑に受けるという前提に立ち、受援計画の策定を含め、あらゆる準備をしていくことが大切であります。
しかし、本市の受援計画は、策定していることを含め、市民の皆様にあまり知られていないように思います。そこで、現在はどのように周知を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 受援計画につきましては、受援計画を掲載している福岡市地域防災計画を市ホームページで公表するとともに、情報プラザや総合図書館、図書館各分館等において配架し、市民の皆様がいつでも確認できるようにしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) 災害が日本各地で発生し、激甚化、頻発化する中、本市において受援計画が策定され、円滑に支援を受ける準備ができていることは市民の皆様にとって大きな安心材料になると思います。
 この受援計画を含め、国や他都市等からの物資供給の流れなど、本市における大規模災害時の対応をより一層市民の皆様に知っていただくために、SNSなどの活用も含め、検討する必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大規模災害時における国や他都市等からの物資供給などの支援に関する市民への周知につきましては、これまでの市ホームページへの受援計画の掲載に加え、LINE等のSNSや防災アプリの活用なども検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 鬼塚昌宏議員。
○2番(鬼塚昌宏) ここまで本市の受援体制について質問をしてまいりました。私たちの想定を上回る大規模な自然災害が発生した場合でも、市民の皆様の命を守り、被災者の生活再建に向けた支援を円滑に行うため、受援体制の構築にしっかり取り組んでいただきたいと思います。また、大規模災害時には職員の皆様も被災している可能性があり、発災直後から行政による災害対応が十分に機能するとは限りません。防災、減災のためには、公助だけではなく、まず、自分の命は自分で守る自助、そして、地域で助け合う共助、さらに、隣近所の方々でお互いに助け合うという意味での近助の取組が大切です。そのためには、市民の皆様一人一人が地域の防災訓練へ積極的に参加する、あるいは各御家庭で生活物資を備蓄するなど、日頃から災害への心構えをしておくことが何よりも重要であります。
 今後も市民の皆様への啓発をしっかりと行っていく必要があると思いますが、最後に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民への防災意識の啓発につきましては、市政だよりや市ホームページなどによる広報のほか、備蓄促進ウィーク等の取組による市民への呼びかけや地域への出前講座の実施など、様々な機会を通じて行っております。今後とも、災害発生時の行動のガイドラインとなるマイ・タイムラインの作成を促進するなど、市民の防災意識の啓発、向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光)登壇 福大、木下敏之教授が「データが示す福岡市の不都合な真実」を発刊されました。福岡市は地方最強と称し、事実とかなり異なる称号に自己満足しているのに警鐘を鳴らします、これは冒頭に示されて、これでスタートしております。木下教授は若くして佐賀市長に当選され、市長としての行政の経験も十分な名教授でございます。
 質問に入ります。
 福岡市は九州で最も子どもが生まれない地方自治体だと記載されています。1組の夫婦、男女2人が平均して何名の子どもを産んでいるんでしょうか。
 2問目からは発言者席より質問を行います。よろしくお願いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 議員のおただしは、合計特殊出生率のお尋ねであると思いますけれども、合計特殊出生率につきましては、15歳から49歳までの日本人女性の年齢ごとの1年間の出生率を合計したものでございまして、人口動態を把握するための基礎資料となる統計上の指標の一つと考えております。福岡市の最新の数値は令和2年の1.20でございまして、全国と同様に減少傾向にございます。合計特殊出生率は年齢ごとの出生率の統計でございまして、都市の特性ですとか人口動態の影響を受けるものであります。一方で、生活圏、経済圏が一体的である福岡都市圏で見ますと、総人口が着実に増加する中、合計特殊出生率もほとんどの自治体で全国を上回っている状況でございます。人々のライフスタイルや価値観の多様化などにより、生活行動のエリアがますます広域化していることも踏まえますと、都市圏といった広域的な視点からも、その動向を注視していく必要があるというふうに考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 2020年、福岡市の出生率は1.2人です。親2人で1.2人ですから、人口は40%減ってまいります。
新生児数について、都市運営上、最も基本的な大事な数字をなぜ福岡市は表に発表していないのか。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市の合計特殊出生率につきましては、国が国勢調査を基に5年に1度算出し、公表しております。福岡市で独自に公表する場合、国の国勢調査と算定の基礎が異なるために、国勢調査により算出された数値との間に差が生じる可能性がございます。合計特殊出生率の他都市との比較ですとか福岡市内における経年比較を行う上で誤解や混乱が生じるおそれがあることなど、課題があるというふうに考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 都市運営上の一番基本的な数字を全く公表しないというのは、非常におかしいと思います。合計特殊出生率は国勢調査のある5年置きに福岡市はごくごく小さく公表していますが、政令市の8割以上が毎年出生率を大きく公表しています。少子化防止対策の基本中の基本でしょう。なぜ他都市並みに公表しないのか、お伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 合計特殊出生率を独自に算出し、毎年公表している政令市は13都市ございますけれども、その目的については、合計特殊出生率の推移を1年ごとに比較するための参考値として算出しているというふうに伺っておりまして、それぞれの都市において独自の取扱いがなされているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 2021年、過去40年間で生まれた赤ちゃんの数は最少を示しています。何人でしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国が令和4年6月に公表いたしました人口動態調査によりますと、全国につきましては2021年の出生数は81万1,604人で過去最少となっております。一方、福岡市の2021年の出生数は1万2,526人となっておりますが、福岡市における過去40年間での出生数が最少であったのは、2005年、平成17年の1万2,477人でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 福岡市の人口は毎年1万人増えているといつも自慢げに発表しておりますが、そのうち60%ないし80%は65歳以上ですが、違いますか。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 毎年9月末現在の住民基本台帳登録人口によると、15歳〜29歳の若者世代、15歳〜64歳の生産年齢人口ともに増加を続けており、議員御指摘の高齢者だけが増えているというような状況ではございません。しかしながら、福岡市においても、今後、少子・高齢化が進んでいく見通しであり、テクノロジーも活用しながら、社会全体で支え合う持続可能なまちづくりを進めていく必要があると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) ゼロ歳ないし14歳は2年前から減少が始まっているでしょう。いかがですか、違いますか。決して新生児や若い世代の人口増加ではありません。高齢者の増加をはっきり明示するべきです。60%ないし80%の間で65歳以上が増えているわけですが、はっきりしてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 15歳未満のいわゆる年少人口については、令和2年まで増加を続けておりましたが、令和3年に初めて減少に転じたところでございます。これは全国的な傾向でもあり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う産み控えなどの影響もあると考えておりますので、今後の動向を注視しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 次に、所得についてお伺いいたします。
 この30年間、市民1人当たりの所得はどう伸びていますか。1996年、343万円です。これは木下教授の作成に基づいていますが、いかがでしょうか。1996年から2018年までどのように変化しておりますか。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 市民所得についてお答えいたします。
 市民所得は福岡市民経済計算において推計されており、平成30年度の市民所得は推計方法の変化で17年度以前との比較は困難なものとなっております。市民1人当たりの所得については、全国的に人口が減少する中、福岡市では15歳未満の年少人口を含め人口が増え続けていることから、市民所得を子どもや高齢者など所得のない方を含む総人口で割り戻した市民1人当たりの市民所得はおおむね横ばいとなっております。一方で、現に働いている方の収入を表す雇用者1人当たり市民雇用者報酬は平成18年度の約485万円から30年度は約513万円となっております。また、雇用者1人当たり市民雇用者報酬では全国平均や九州、また、他の政令指定都市と比べても高い伸び率となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 木下教授は、東京都民の1人当たりの平均所得が520万円、福岡市の1人当たり334万円、186万円少ない、このようになっておりますが、いかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) どなたが答えられますか。天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 東京都の平成30年度の1人当たり都民所得は約541万円となっており、これにつきましては、市民雇用者報酬、財産所得などのほか、企業所得が含まれており、そのため東京が高くなっていると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 福岡市民1人当たりの所得は、木下論文によると、この30年間ほぼ横ばいで、また、九州の中で子どもが一番産まれない超少子化のまちになっております。福岡市の場合、市民が現状に気づいていないことが一番の問題ではないでしょうか。原因は、市が市民に隠しているんではないでしょうか。最も根本的な問題は、市民の1人当たり所得が30年間横ばい、実質的には減少であることです。いかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 繰り返しの答弁になりますが、市民1人当たり市民所得につきましてはおおむね横ばいでございますが、一方で、雇用者1人当たり市民雇用者報酬につきましては平成18年度から30年度と増加しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 所得が増えない原因は、基幹産業である卸売業、小売業の売上げが減少し、付加価値の低い業種の売上げが伸びているからではないでしょうか。
 それから、2018年度、福岡市の世帯の39.6%は年収300万円未満です。なお、200万円未満が21.6%になります。5人に1人が年収200万円以下、5人に2人が300万円以下、福岡市の小中学校生徒の23.6%、すなわち4分の1が就学援助を受けております。就学児童の援助は全国平均何%ですか。福岡は23.6%。いかがですか。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市は年収300万円未満の市民が39%となっているがという御質問にお答えします。
 福岡市は15歳から29歳の若者世代の割合が政令市で最も高いなど、学生や若者が多く、また、単身世帯の割合も政令市で最も高いという特徴がございます。議員御指摘の指標は、平成30年住宅・土地統計調査の結果と思いますが、同調査における年収300万円未満の世帯の内訳を見ると、その67.7%を単身世帯が占めており、こうした福岡市の人口構成、世帯構成の特徴が影響しているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 就学援助の全国平均、令和2年度でございますけれども、14.42%でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 福岡が23.6%、全国平均は14%でしょう。北九州が15%から20%未満です。4人に1人の小中学生が市役所から経済的支援を受けています。これでも福岡市は、どこが地方最強なのでしょうか、お答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 就学援助の割合が全国平均、もしくは北九州市よりも高いという御指摘でございますけれども、他都市と比較して高い根拠につきましては、3点理由もございまして、まず、自治体ごとに認定要件が異なります。続いて、子育て世帯の状況や構成、働き方の状況も異なります。3点目、制度の周知の徹底なども各団体によって様々でございまして、複合的に影響しております。
 認定要件等、他都市との違いにつきまして、ここだけ取り上げて申し上げさせていただきますと、まず1点目でございますけれども、福岡市は国民健康保険料の全額減免でありますとか、生活福祉資金の貸付けを受けている方などを含めて認定対象者を幅広く設定しております。2点目、収入基準でございますけれども、算出の基となる生活保護基準でございますが、級地とか対象年度でございますが、そういったものにつきまして、算出に用いる係数が各都市で当然違います。3点目になりますが、収入の把握の対象でございますけれども、他都市は保護者以外の同居する世帯員も対象としている場合が多うございますけれども、福岡市は保護者のみで対象を把握しております。そういった様々な要素が各自治体で違ってございまして、一概に比較することはできません。一例を申し上げさせていただきますと、平成29年の就業構造調査で子どもと同居している世帯における世帯収入300万円、御指摘があった数字未満の割合でございますけれども、福岡市は4.9%であるのに対しまして、同じ九州の政令市を取り上げさせていただきますと、熊本市は5.8%、北九州市は7.4%と福岡市よりも300万円未満の世帯の割合が高いというふうになってございます。一方で、就学援助は福岡市はその当時22.3%でありましたが、それに対しまして熊本市は15.5%、北九州市は18.8%と逆転してございまして、福岡市より低い割合を示してございます。こうしたことから、就学援助の比率をもって単純に世帯の貧困状況とかを多寡をはかることはできないのではないかと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) また、産業の衰退が著しくありませんか。岩田屋は三越伊勢丹グループの傘下へ入った。ベスト電器はヤマダ電機傘下へ入ったと。スーパーサニーは西友の傘下へ入った。紳士服のフタタも破れましたね。この福岡の主力産業が非常に弱くなっておる。卸と小売額も減少しています。福岡の大企業も弱くなり、日本企業の売上げランキング100社以内に入るのは99位の九州電力1社です。500位以内に入るのは10社のみです。非常に産業力が弱くなっている。いかがでしょうかね。
市民のこの30年間、1人当たり所得が減っている原因は何でしょうかね。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) まず、卸売、小売業につきましては、年度によって増減はあるものの、おおむね横ばいで推移しております。IT化の進展など販売形態が多様化し、ビジネスモデルの転換や産業構造の変化が生じているものと認識しております。これらの変化に対応するため、引き続き市内中小企業のビジネスモデルの転換や生産性の向上を支援していきたいと考えております。また、従来より企業誘致やスタートアップ都市づくりを進めているところでございますが、近年、企業の地方移転の動きが活発化しており、福岡市においては、知識創造型産業をはじめとする成長分野の企業や本社機能に加え、付加価値の高い国際金融機能の誘致を促進するなど、市内経済の活性化に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 市内企業の正規雇用への伸びは過去15年間で4万人伸びておりますが、非正規社員は9.4万人増えています。非正規社員の増加によるものではないでしょうか。福岡市の労働者は非正規社員の増加が非常に目立っております。そう思いませんか。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の労働者数の推移については、総務省の就業構造基本調査によると、平成14年度が57万6,600人で、うち非正規雇用者が18万9,500人、29年度が71万5,100人で、うち非正規雇用者が28万8,600人となっております。この15年間で労働者数は約14万人、約24%増加し、雇用そのものが大きく拡大しており、これは同期間における全国平均の増加率を上回るものでございます。非正規雇用者については約10万人増加しておりますが、29年度の就業構造基本調査によると、非正規の雇用形態に就いている理由として、主に自分の都合のよい時間に働きたいからが約3割で最も多いことから、多様なニーズに応じた働き方が増えているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 2040年には消費額の40%がインターネット通販で占められると予測されています。そうなると、全九州の小売店相手のビジネスを行っている卸売業がダメージを受けませんか。市民の実質的所得は減少し続け、若者は結婚できず、子どもは産まれず、仕事のない高齢者が増加します。何より貧しい家庭のお子さんの割合が23.6%を超える政令市最悪の状況で、子どもの苦しみも続いております。
これでも日本一の市でしょうか、お答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 先ほどおっしゃいましたが、就学援助率が政令市最高であるということではございません。念のため申し上げさせていただきます。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 社会経済環境の変化やIT化の進展などで、いろいろなビジネス形態が多様化し、ビジネスモデルの転換や産業構造の変化が生じていると認識しております。これらの変化に対応するため、引き続き市内中小企業のビジネスモデルの転換や生産性の向上を支援してまいります。また、企業誘致やスタートアップ都市づくりなど、新たなビジネスが創出できる環境づくりにも努めていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 福岡市民の1人当たりGDPが30年間横ばい、就学援助を受けている子どもが4人に1人、23.6%、全国一多い、出生率が1.2という超少子化の現実です。この状態。主力産業の卸売、小売が売上げが激減中です。合わせてこの2つのみでは1兆円ぐらいです。情報通信業の売上げが全く伸びていません。
これらの状況を市行政はどう思い、どのように対応するのか、お聞かせください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 度々申し訳ございません。就学援助率が日本一高いということはございません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 市内総生産につきましては、平成17年度以前との比較は困難なものとなっております。比較可能な18年度以降でいいますと、18年度から30年度と伸びを示しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高山議員に申し上げます。既に持ち時間を超過しておりますので、これ以上の発言を許可するわけにはまいりません。御理解をいただいて、議事を進めさせていただきます。川口浩議員。
 
○59番(川口 浩)登壇 私はまず初めに、アサヒビール博多工場の移転についてお尋ねいたします。
 100年がたちました。当時は誘致で来たという話を聞いておりますが、当時は福岡市ではありませんでしたので、福岡県の誘致だったのかなと思っております。長らく地域とともに歩んできた工場を突然というか、3月に移転だということで、周辺地域は大変驚いておりますし、あとのまちづくりはどうなっていくんだと不安も抱えております。
 そこで、現在、このアサヒビール博多工場は全部で12ヘクタール、主力の工場のところでも10ヘクタール前後と思います。これについて市としてはどのような対応をしてきておられるのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席で質問させていただきます。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) アサヒビールとの接触状況につきましては、アサヒビール側の跡地活用検討の窓口が決定したとのことで、8月19日に挨拶のため来庁され、関係局とお会いし、その際、各局から行政上の課題があることをお伝えしたものでございます。なお、今後の協議に関してはアサヒビール側から、本件は株主をはじめ、ステークホルダーが多く、跡地活用の検討に支障を来す懸念があるため、今後、協議に関する情報は守秘願う旨の要望を受けており、先方の合意が得られた内容に関して今後説明することになると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 相手が言われたことを簡単には言えないということは分かりますが、しかし、福岡市はビール工場に対してどのようなお願いをしていくのかというのは、市民の跡地をお願いしたいということですから、これはしっかり検討して語っていただかねばならないと思っております。特に地域では小学校が足らない。これは3月議会でも答弁がありました。市内で唯一と思いますが、校区調整ということで、同じビルで別々の小学校、別々の中学校。別々の小学校に行っておるのは、同じビルからですが、現在も260人前後行っておると思います。コミュニティ崩壊状態なんですね。
 まずは教育委員会にお尋ねしますが、こういった課題を解決するのに、長年、土地を探してこられましたが、なかなかうまくいかないと。それで、アサヒビール工場さんが移転されるならば、ぜひ市で手を挙げて検討したらどうかという地域の声もありますが、検討状況というか、どのようにお考えか。あわせて、後で聞こうと思っておりましたが、小学校260人、また別の校区には五、六十人行っていますけれども、例えば、工場をお空けいただいたら、その数が戻ってくる。ということは、中学校にもそのまま増えるんですね。お隣の中学校は大変遠うございますので、心配しておりますが、教育委員会としてはどのようにお考えか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育委員会からは、アサヒビールとの話の中で、那珂小学校については分離新設が必要な状況ということでございますので、用地について協議をさせていただきたいこと、また、工場跡地の開発状況によりましては小中学校の教育環境に大きな影響が生じてまいりますために、早めに情報提供いただきたいことをアサヒビール側にお伝えしたところでございます。今後、工場跡地の検討状況も踏まえながら、必要な教育環境の確保について検討してまいりたいと思います。また、那珂中学校につきましては、アサヒビールの開発計画が具体的に明らかになっていない現状では、分離新設の必要性等、その他様々な検討ができない状況でございますので、今後、跡地の検討状況の情報を入手しながら注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 情報収集していたら間に合わないんですね、小中学校においては。小学校は分離せないかんと。子どもが戻ってくると。中学校は市としてお願いしたいのかどうかという、そこをまず決めて、それからの話なんですよ。そこで売ってくださるかどうかは別なんですね。
 次に、前方後円墳の遺跡がありますが、これについてはどのような対応で臨まれますか。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 古墳の史跡指定及び保存につきましては、所有者の跡地の検討状況を踏まえながら対応を検討してまいります。なお、アサヒビール側には工場敷地内は埋蔵文化財包蔵地であり発掘調査が必要になること、古墳の取扱いを今後協議させていただきたいことをお伝えしたところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 工場立地法による緑地が要りますので、その隣接に森があるんですね。多分、遺跡と森を合わせて工場全体の15%ぐらいと思います。これについてはどのようにお願いしようかとか、構想がありましたらお願いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 緑は都市環境の改善、生活多様性の確保、都市景観の形成など、様々な役割を担っております。市民の生活を豊かにするためにも大切なものであるという認識でございます。アサヒビール博多工場内の緑地につきましては、アサヒビールに対して、市街地の緑は貴重であるため、可能な限り保全していただきたい旨、申入れをしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 保全と。売られる場合は、市が買わなければならない話になるということが出てくるんですね。
 次に、道路についてお伺いします。
 開発工事で造られるのか。例えば、小学校を造るならば市が道路を造らなければならない。また、今、工場さんが御好意でセットバックをずっとしていただいています。これはどういうふうに交渉していこうとお考えですか。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) アサヒビール博多工場に隣接する道路につきましては、工場南側でセットバックしていただいている箇所も含め、歩道がない道路や幅員の狭い道路が多いことから、十分な歩行空間が確保できていないという課題がございます。アサヒビールに対しましては、地元から拡幅の要望を受けている工場南側の幅員の狭い道路は、車両の擦れ違いや歩行者の安全確保に課題があるため、今後協議させていただきたいと伝えたところでございます。今後、跡地利用の検討状況を踏まえながら、セットバック箇所も含め、歩道の設置など、良好な歩行空間の確保について検討してまいります。また、学校が新設された場合、通学路におけます歩行空間の整備は重要であると認識しており、教育委員会の検討状況を踏まえながら、安全、安心な通学路の確保に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 今後、どこが中心でやっていかれますか。多分、来年度にならな組織のいろんな都合があるかしれませんけれども、どうお考えか、答えられるところがあったらお答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) アサヒビールとの協議窓口につきましては、工場移転の関係で報告を受けた経済観光文化局がまずは窓口となって関係局との情報共有を行い、庁内の役割分担や方向性について議論するとともに、相手方とも協議を行っていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 経済観光文化局さんには大変御迷惑をかけますけれども、今後は、うちの局はどうだ、うちの局はどうだとばらばらじゃいけないと思うんです。相手は民間なんですね。福岡市として何と何をお願いしたいということを語らなきゃいけない。そういった意味では、住宅都市局さんの役割が多くて、この取りまとめやその準備をしなければいけないけれども、この半年間、十分にできていない、挨拶をしただけでね。中学校は要るのかとか、道路をどうするんだ、遺跡をどうするんだ、寄附とかしていただけるのか、買わざるを得ないのか、そして、福岡市として、アサヒビールさんに福岡市でこれだけ買いたいからとかいう交渉をせないかんので、これをしっかり頑張っていただきたい。これは新年度になりますが、住宅都市局さん、今からでも少しやっていこうとされますか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) アサヒビールへの対応につきましては、工場移転の関係で報告を受けた経済観光文化局がまずは窓口となって、住宅都市局を含む関係局が連携して対応をしているところでございます。その枠組みの中で、まちづくりに関しましては住宅都市局が担当してまいります。今後も土地所有者の意向や検討状況に応じまして、関係局と連携をして、市として必要に応じて体制を整えながら、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 市場みたいに市の土地ならいいんですけどね、相手は民間ですから、中途半端じゃいけないと思うんです。ばらばらな局ではなくて、福岡市、オール福岡として一本でこういうお願いをしよう、こういうものが要りますので協力いただけないか、その調整はね、経済観光文化局さんはちょっと部署的にはどうかな。しっかり住宅都市局さん、今年検討しながら、新年度から即動けるような調査とか、どのような現状か把握いただきたいと要望し、時間もないので、次に行きます。
 次に、保育所等の副食費の無償化に関する国への提言書というものが出されております。私たちも頂きました。これと併せて都市圏のもあります。
 これの無償化について、国にお願いしたお考えはどのようなものか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 国への提言の趣旨についてのお尋ねでございますけれども、コロナ禍の影響を受け、多くの子育て世帯が経済面での不安を抱えており、継続的な支援策が求められているものの、幼児教育・保育の無償化後も保護者負担とされた保育所等の副食費の無償化につきましては多額の費用を要することから、その実施について国に対して提言を行っているものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) では、総務企画局が出していますけど、小中学校の給食費はこれには全く関与されない、出さないということですか。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡県市長会を通じて、市長会要望として提出させていただいてございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 市長会要望はこの議会には配られていますか。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 細かい確認はできておりませんけど、多分配られていないと思います。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 私のところには都市圏の広域、これは市長が会長、それと福岡市は出ているんですよ。市長会は出ていない。これは市民に対して失礼だと思うんですよ。いや、こっちでしています、こっちは書いていません。福岡市で出すなら保育園だけではなくて、18歳までの子育てで大変だから。医療とかも要るわけですよ。だから、子育てという意味で18歳。その中で、まず低学年の保育の無償化をお願いしたいなら分かる。これは切り貼りして出す場所が別というのはおかしいと思うけど、総務企画局、今後ちょっと検討すべきと思いますが、いかがですか。おたくで出していると思うので。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校給食の無償化につきましては、多額の費用を要するという全国共通の課題があると認識したことから、国の制度として実施されることが望ましいと考えてございます。そのため、これまで福岡県内の他の自治体と連携して、福岡県市長会を通じて国に財政措置を要望してきたところでございますが、御意見も踏まえて、来年度意向の国への提言の在り方につきましては、国の動向とか社会情勢も踏まえながら、改めて検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 6月議会でも意見書がありました。今日も午前中質問があったんですけど、それには賛成せんけど、福岡市で出せみたいな質問に感じてしまってね、どうなってんやと思ったんですけどね、その会派は上げられていないんではないかと。
 それで、やっぱりこういった混乱ね、福岡市の姿勢が分からない。出されるなら、私たちが知らないところで出すんじゃなくて、福岡市としては、子育て世帯が大変苦しいと。そこについては、少子化もあるので、給食費までね──国でですよ、国。私も手を挙げていません。今の段階で市でするよりも、例えば減免、生活保護基準の1.25倍ですね。生活保護の方は家を持っていたら収入はなくても保護は出ませんからね、だから、要支援がありますけれども、それが先ほどの話でもあった1.25倍の基準で23.数%という状況。では、これの1.25を1.3出しているところもあるし、1.4のところもあります。まずは増やしていくとか、これは市でできます。そして、国で無償化をお願いするならば、しっかりと小中学校の考え方を整理して、国でぜひしていただければ、出すようにお願いしたいと思いますが、所見があれば再度お伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 給食費についての御指摘がございましたとおり、昨今の物価高も踏まえて、給食費の部分的な公費投入についてもお願いしたところでございます。この状況の中で、来年度以降どういうふうに推移していくかというのは、まだ予断を許さないところでございますが、給食費の確保をきちっとしながら、どこまでの負担軽減を図るか、そういったものが来年度以降の議論として起こってくると思いますので、今後とも、引き続き在り方について、要望も含めて検討してまいりたいと思います。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 材料費も上がっていて、新年度予算はやっぱりしっかりしたお金の確保の下、どうしていくかという大きな課題があると思います。就学援助も他都市は基準がばらばらなんで比べようがないということなんですけれども、生活保護基準の1.3倍のところもあるんです。この中でまたいろいろここまで見るとかいうのがあって、福岡市は頑張っていると思います。私はこの1.25倍、これが4人に1人ぐらい、23.数%、これの拡大も含めて、無償化の前にまずできることをやっていくということをお願いし、質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる)登壇 まず、就学援助率についてですが、今から20年ほど遡って平成13年度、生活保護、就学援助を受ける児童生徒の割合と、それらを合算した就学援助率について、全国平均と福岡市の値をお示しください。
 以降は発言者席で質問します。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省の調査によりますと、生活保護対象の要保護児童生徒は全国が0.93%、福岡市が1.9%、就学援助対象の準要保護児童生徒は全国が8.78%、福岡市が14.6%、要保護と準要保護の合計は全国が9.72%、福岡市が16.4%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 20年ほど前の就学援助率は全国平均が9.7%、福岡市が16.4%。それらの値は令和2年度、どのように変化したのか、お示しをください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 同様に、文部科学省の調査によりますと、要保護児童生徒は全国が1.06%、福岡市が1.9%、準要保護児童生徒は全国が13.36%、福岡市が21.7%、要保護と準要保護の合計は全国が14.42%、福岡市が23.6%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 就学援助率の上昇は、近年全国的な傾向ですけれども、本市と全国平均の差が、この間さらに広がっております。
 直近の福岡市の値は全国平均よりも10ポイント近く高くなっていますが、その要因分析と所見をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市の率が高い要因としましては、そもそも自治体ごとに認定要件が異なっていることや、子育て世帯の世帯収入に影響を与える共働きやひとり親の多寡などの状況が違うこと、制度の周知の手法や度合いなど、様々なものが複合的に影響しておりまして、一概に比較できないものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 就学援助率の上昇要因として、主に3つを挙げられました。1つは認定要件の差、2つ目に子育て家庭の収入状況、3つ目に制度周知の差。
まず、準要保護、いわゆる就学援助の認定に関する家庭収入基準の考え方ですが、一般的には生活保護基準額に一定の係数を掛けて算出をされます。その係数は自治体によって定めが異なりますが、福岡市の係数とその値はいつから採用しているものか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 平成15年度から、生活保護で用いる最低生活費の基準額の1.25倍相当の年収額を基に算定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) この係数の値が大きいほど収入基準額が上がるため、より多くの家庭が就学援助の対象となります。全国の自治体で係数を1.3以下と定めている割合をお示しください。また、本市の係数1.25、これはおおむね標準程度なのか、確認をさせてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年度の文部科学省の調査によりますと、まず、お尋ねの係数が1.3倍以下の自治体は全体の約83%ございまして、そのうち係数が1.3倍から1.2倍までの自治体が55%となっていることから、福岡市の係数の1.25倍は全国的に見て平均的な水準にあると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 係数1.25は多くの自治体と同水準であり、影響要因としては限定的のようです。その他の認定要件においては、今後、他都市との比較を求めておきたいと思います。
 次に、上昇要因の一つに挙げられていました就学援助制度の周知について、本市の状況をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 市のホームページや市政だよりに制度の概要を掲載するとともに、各学校を通じて年に5回程度、個別にチラシを配布するほか、給食費や児童扶養手当の決定通知書にもチラシを同封いたしております。また、各学校におけるメール配信等を活用した周知やスクールソーシャルワーカーによる制度の紹介など、様々な方法を活用して制度周知の徹底を図っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 就学援助を受けるためには、原則、対象家庭からの申請が必要ですので、制度の周知は大変重要です。本市の積極的な周知姿勢は評価されるべきだと思います。一方、国の昨年度調査によると、全国1,765の市町村のうち、入学時と毎年度進級時の両方の場面で制度の案内書類を配布して周知に努めているという自治体が8割を超えておりまして、自治体間の差を生む要因としては、やはり限定的なのかもしれません。では、これは何が大きく影響しているかというと、非常にここは難しいところです。
 本市の就学援助率がこの20年で大幅上昇した要因分析、再びお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 就学援助の認定率は、全国的に平成20年の世界同時不況などの影響もございまして平成24年度までは増加傾向にありましたが、その後は景気回復などに伴い、下降傾向となってございまして、福岡市も同様の傾向を示しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 全国的な傾向を見解とするだけでは不十分だと思うんですよ。上昇要因を明確に分析できていないということを危惧しています。就学援助を必要とする家庭が増えるということは大きな行政課題です。教育委員会による直近の調査では、無回答の2都市を除く18の政令市中、就学援助率が最も高い都市が福岡市でした。考え得る援助率の上昇要因として主に3つ、項目をお示しいただきましたが、特に子育て家庭の収入状況にこそ、今後、詳細な分析を目的とした調査研究が求められると思います。なぜなら、社会課題の原因解明なくして効用ある改善施策にたどり着くことはありません。ぜひ徹底した調査研究が必要であり、得られたエビデンスを関係局と庁内横断的に共有して、効果的な子育て施策につなげる必要があると強く提起しておきたいと思います。
 次に、家庭の所得と子どもの学力との相関について当局はどのような認識をお持ちか、お尋ねをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が平成29年度に実施しました学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究によりますと、家庭の所得、父親、母親の学歴の3つの変数を合成したSES、いわゆる社会経済的背景と呼ばれる指標が高い児童生徒は各教科の平均正答率が高い傾向にあるとの結果が報告されてございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 全く望ましくはありませんけれども、家庭所得の格差が児童生徒の学力格差の一因となり得てしまっているのが全国的な実態です。福岡市には市立の小学校が144校、中学校が70校あります。
 そこで、学校間、地域間の学力格差の実態についての認識をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査における学校ごとの正答率の分布では、平均的な正答率の児童生徒の割合が多い学校もあれば、平均正答率の二極化の傾向が見られる学校もあると認識いたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 相対的に学力に課題がある学校へ、より手厚いサポート体制を導入して、校区間の格差を広げない取組が求められると思いますが、教育委員会の方針をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学力向上においては、学校を単位としてではなく、児童生徒一人一人に着目し、学びの充実に努めることが重要であると考えております。そのため、各学校において授業改善推進プランを作成し、一人一人の実態に応じた取組を推進することとしておりまして、こうした取組を通じて、福岡市全体の学力向上に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) これまで福岡市は学校区ごとに就学援助率の推移を把握してきたのか、お尋ねをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 実務上、学校ごとに就学援助認定率を把握する必要はございませんので、把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) この20年における就学援助率の大幅上昇ですが、これは市内のどの小中学校も平均的に上昇しているものなのか、あるいは校区間、地域間で上昇幅に大きな差が生じているのか、認識をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、学校ごとの認定率は把握しておらず、地域差等の分析も行っておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 実情は校区間には大きな差があります。就学援助率が1桁の校区も、50%を超える校区もそれぞれ一定数あるようです。問題は、今後、学校差が拡大を続けていった場合の適切な対応です。教育委員会内部に限って、校区別の就学援助率の推移という客観的状況を把握することで、学習支援や家庭福祉支援をより必要とする学校への手厚いサポート、この体制を構築していく必要があると思います。
 児童生徒にも家庭にも、よりサポートが必要な学校現場では、現状どのように総合的な教育支援に取り組まれているのか、お尋ねをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学力向上に向けた取組については、児童生徒一人一人に応じ、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実していくことが重要であると認識いたしておりまして、各学校ではICTを活用した分かりやすい授業を行うとともに、習熟度別の学習やチームティーチングによる指導、さらに、AIドリルによる個別学習などを通して、児童生徒のつまずきや学習状況に応じたきめ細やかな指導に努めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 教員の配置は学校規模に応じた人数となりますから、対処すべき課題をより多く抱える学校であっても、教員数は相対的に多いわけではなく、学校現場の先生方の力量や努力に頼っているのが実情です。
 一方、児童生徒支援加配という制度もありますが、この運用の在り方と具体な加配事例をお示しください。また、今年度加配を希望した学校数と実際の加配人数、学校数をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童生徒支援加配につきましては、学力の状況を踏まえた学習指導上の課題や不登校などの生徒指導上の課題を勘案した上で加配する学校を決定しておりまして、配置した教員はチームティーチングなどに従事することで、児童生徒へのきめ細やかな指導を推進しております。また、今年度の加配状況は、小学校で94校の希望があり、41校に1人ずつの計41人を配置し、中学校で35校の希望があり、15校に1人ずつの計15人を配置しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 過去5年の加配人数の推移をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小中学校合わせて、平成30年度以降、毎年度56人を配置しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 通年加配を希望する学校が多い実態は、学校現場の切実な課題を映し出しているんだと思います。加配人員も果たして1人で足りているのか疑問です。
 児童生徒支援加配の予算原資の大半は国庫負担金や交付税措置に頼っていますが、本市は国に予算増額を要望しているのか、確認をさせてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 他の指定都市の教育委員会とともに、国に対し継続的に拡充の要望を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 次に、小中学校ごとの運営予算額はどのように算出をされ、交付されているのかをお尋ねします。また、今年度の予算総額と1校当たりの平均額をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各小中学校に交付する今年度の予算額は、小学校が約14億5,000万円、中学校が約8億5,000万円、1校当たりの平均予算額は小学校が約1,006万円、中学校が約1,218万円となっております。また、学校に交付する予算については、学級数及び児童生徒数などを基本に金額を算出しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 教員配置の論理と同様に、学校運営予算も学校規模に応じた一律の交付です。より丁寧な学習指導や生活指導、保護者との頻繁なコミュニケーションや御家庭への福祉支援など、いわゆるスクール福祉の果たすべき役割が大きい学校現場にこそ多くの人員配置や予算の配分が必要ではないでしょうか。イギリスでは子どもの貧困の連鎖を断ち切るとうたって、低所得家庭の多い学校に配分予算を上乗せするといった仕組みを導入しています。これにより学校は追加教員の確保や独自に手厚い教育支援、福祉支援を展開しています。本市においても、学校の現状に応じた教員の複数加配や学校独自の支援施策に柔軟に使える追加予算を設けるなどの新たな仕組みづくりが必要な時期に来ているということを教育委員会には強く認識をいただきたいと思います。
 次に、複数の教育分野において本市が実施しているモデル校事業についてですが、今年度該当する事業と指定学校数、それから事業別の予算額をそれぞれお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度のモデル校と予算額につきましては、ICTを活用した教育実践事例創出事業が12校、478万円、休日の部活動地域移行に向けたモデル事業が1校、170万円、学校水泳指導における民間プールの活用モデル事業が1校、231万7,000円、不登校等児童生徒の支援に関する文部科学省委託の教育研究開発事業が3校、214万4,000円でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) このモデル校事業を進める目的をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) モデル校事業については、新たな指導方法の普及促進や今日的な教育課題の解決に向けた取組の実証などを通して、福岡市全体の学校教育の質の向上を目指すことを目的としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) より丁寧な学習指導やスクール福祉のサポートの必要性が高い学校にもどうか予算を投入いただいて、効率的、効果的な施策の研究や課題改善への先進的な実証事業を実施されるよう強く要望いたします。
 児童福祉、家庭福祉のプラットフォームとしての機能がますます求められている学校ですが、現場の先生方の力量や努力に頼る現状は物理的にも時間的にも限界に来ております。大きな予算を伴いますが、教員やスクールソーシャルワーカーをはじめとした専門支援員の増配は喫緊の課題です。教育行政は多様な役割を求められるようになりました。今後、学校現場への抜本的な予算拡充を強く求めて、質問を終わりたいと思います。
 
○議長(伊藤嘉人) 以上で一般質問を終結いたします。
 本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は9月14日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時49分 散会