令和4年9月8日(木)

令和4年第4回福岡市議会定例会
 
議  事  日  程 (第3号)
 
9月8日 午前10時開議
 
 
 
 
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
1.議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  阿 部 真之助       8番  平 畑 雅 博
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  伊 藤 嘉 人      12番  淀 川 幸二郎
13番  勝 山 信 吾      14番  川 上 多 恵
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
 水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  野中   晶
福祉局長  中 村 卓 也   保健医療局長  舟 越 伸 一
環境局長   田 浩 輝   経済観光文化局長  天 本 俊 明
農林水産局長  藤 本 広 一   住宅都市局長  中 村 健 児
道路下水道局長  名古屋 泰 之   港湾空港局長  井 口 宏 樹
消防局長  内 村 弘 文   会計管理者  小 川 明 子
教育長  石 橋 正 信   教育委員  町     孝
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子   人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  曽根田 秀 明   議会事務局次長  八 木 智 昭
議事課長  水 ア 亮 二   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(伊藤嘉人) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。荒木龍昇議員。
 
○51番(荒木龍昇)登壇 おはようございます。私は緑の党と市民ネットワークの会を代表しまして、こどもに関する各種データの連携による支援実証事業について、建築紛争予防条例について、市及び財産区が管理する施設における農薬、除草剤の使用について、安倍元首相の記帳所設置について、教育委員会の弔旗掲揚の要請通知について、以上5点について質問します。
 まず、こどもに関する各種データの連携による支援実証事業について質問します。
 この事業は、デジタル庁が地方自治体において教育、保育、福祉、医療等のデータ分野を超えて連携させ、真に支援が必要とする子どもや家庭に対するニーズに応じたプッシュ型の支援に活用する際の課題等の実証事業に福岡市が応募し採用されたものです。
 そこで、事業概要と事業期限について説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) お尋ねの事業につきましては、デジタル庁が実施するこどもに関する各種データの連携による支援実証事業といたしまして、支援が必要な子どもや家庭に対するニーズに応じた支援のために保健や福祉、教育などのデータを活用する際の課題等を検証するものでございます。事業期間は令和5年3月までとされております。支援が必要な状況にある子どもや家庭は、その実態が見えにくく、捉えづらいことから、支援が行き届きにくいということが課題であると認識しており、データを活用することでさらなる支援の必要性や支援ニーズを把握し、より多くの子どもや家庭の支援につなげることを想定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、使用するデータの対象と対象者について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 実証事業で使用するデータにつきましては、中学3年生までの子どもに係る児童扶養手当などの各種支援の状況や各種健診の受診状況といった保健や福祉、教育などに関するデータでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、データ処理の流れについて、データの保有、管理者は誰で、誰にデータが提供されるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) データの保有、管理者につきましては各業務所管課となっており、必要な都度、各業務所管課から実証事業を担当するこども未来局こども見守り支援課に提供されることとなっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、提供されたデータはどのように処理されるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) こども見守り支援課に提供されたデータにつきましては、個人を識別することができないよう匿名化を行った上で、支援ニーズを把握するための統計分析を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、処理されたデータは誰に提供されるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 統計分析の結果につきましては、児童福祉や保健、教育などの子ども家庭の支援を担当する職員が活用することを想定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、提供されたデータを子ども家庭の支援を担当する職員はどのように使うのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 区役所などで相談を受けた際に、職員が支援の現状確認やさらなる支援の必要性を判断する一助として活用することを想定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、使用後のデータはどのように処理されるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) デジタル庁が示した実証事業ガイドラインに沿ってデータが不必要となった場合に都度消去することとしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) この事業で最も重要なことは、データの分析においてデータの判定基準及びアルゴリズムがどのような考えでつくられるのかです。
データの判定基準及びアルゴリズムは誰が行うのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) データの分析に当たりましては、子ども家庭の支援を担当する職員や有識者の意見などを踏まえ、こども見守り支援課において基準等を構築することを想定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、データの不正アクセス、改ざん、消去、漏えい防止対策はどのようにされるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) データの不正アクセス等の対策につきましては、実証事業ガイドラインや福岡市情報セキュリティーポリシーに沿って適切に対応していくこととしており、利用権限の付与を最小限としたアクセス制御やアクセス記録の確認、外部から遮断されたネットワーク内で管理を行うなどの安全管理措置を講じることとしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 尼崎市では受託事業者の下請が持ち出し、データを紛失する事件が起こっています。
活用するに当たり、個人情報保護及びプライバシーの保護についての対策について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) データを活用する際の個人情報保護及びプライバシーの保護についての対策につきましては、個人情報の保護に関する関係法令や実証事業ガイドラインを踏まえ、適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 個人情報保護の観点から、本人が自分のデータがどのように使われているのかを知ることが重要です。
個人の情報の使用状況について情報主体はどのように知ることができるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) データの使用状況など透明性の確保につきましても、個人情報の保護に関する関係法令や実証事業ガイドラインを踏まえ、適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) データを連携させて対象者のアセスメントが行われますが、データだけではつかみ切れない内面的なものもあります。アウトプットされた情報をどのように使うのか、子どもの支援をする担当者の能力にかかっています。
担当者の育成と支援の検証についてどのように考えているのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 担当者の育成と支援につきましては重要であると考えており、様々な専門研修の実施など、職員の知識や能力の向上を図りながら、実証事業を行う中で検証してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 地方自治体に保有するデータを連携させることでアウトリーチの支援ができることは意味があると考えますが、課題もあります。特に重要なことは、1点目は判定基準やアルゴリズムをどのような考えでつくるのか、誰がつくるのかにあります。オランダでは児童扶養手当の給付受付をAIを使って実施していましたが、有色人種出身の国民、移住者が不当に排除されていたことが問題となりました。原因は担当者の偏見がアルゴリズムに反映されていたことと判明し、大臣が辞任するという事態になっています。
 第2点は、アウトプットされたデータを使うのは担当者であり、データをどう理解するか、対象者のキャリアが重要となります。こういった課題について十分配慮されることを求めます。
 次に、建築紛争予防条例の問題について質問します。
 福岡市建築紛争予防条例において、第15条で当事者間において事前説明が十分になされていないと認めるときは、当事者に対し、事前説明の促進について指導することができる、また、第36条では第3章に規定する建築計画等の周知の手続の全部または一部を実施しないときは当該建築主に対し、期間を定めて、建築紛争の予防と調整のために必要な措置を講じるよう指導し、または勧告することができるとなっています。いずれも事前説明に対する指導及び勧告ができるとしています。
 しかし、第5条の周辺の居住環境に十分配慮するとともに、市民の良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならないとあるものの、指導し、勧告することができる対象となっていません。
 さいたま市の条例では「第11条、近隣住民又は周辺住民は、第7条第1項の規定により標識を設置した日から閲覧期間が終了する日までに、閲覧図書又は当該閲覧図書に係る対象事業の計画の内容に対する意見書を事業者に提出することができる。2項、事業者は、前項の規定による意見書の提出があったときは、当該意見書を提出した者に対し、口頭又は書面により回答しなければならない」となっており、第12条では「市長は、説明報告書及び意見対応報告書を受理したときは、意見対応報告書を受理した日から起算して30日を経過する日までに審査し、審査が終了したときは、その旨を事業者に通知しなければならない。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、その通知に意見を付すことができる」となっています。
 そこで、周辺住民の住環境を守るために福岡市において事前説明の実施に関する指導だけではなく、建築主等事業者が周辺住民の住環境に十分配慮するよう、さいたま市のような住民が事業者に意見書を提出することができ、事業者に回答を義務づけ、その内容を市長が審査し、意見書をつけることを条例にすべきと考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) さいたま市における意見書につきましては、近隣住民が事業者側に対して意見書を提出する制度であります。一方で、福岡市の建築紛争の予防と調整に関する条例第4条では、市の責務として、建築紛争が生じたときは、迅速かつ適正な調整に努めることとしております。
 住民より相談があった場合は、その内容や要望を建築主等へ伝え、検討を依頼するとともに、回答を行うよう市が直接指導しているところであり、今後とも、条例に基づき、実効性のある調整に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 住民より相談があった場合は建築主等へ伝え、検討を依頼するとともに、回答を行うよう指導していると答弁していますが、事業者に住民の要望が伝わるように指導しているようには見えません。現在、小笹におけるマンション紛争で、事業者は隣接するマンション住民に擁壁のはらみがある旨の発言を住民がブログに掲載したことを虚偽の発言をしたと名誉棄損の裁判を起こしています。この件について、福岡市は住民にメールで、写真でブロック塀等のはらみが確認できるので、早急に対策を行うよう指導していますと伝えています。このようなことが起こる背景には、福岡市からの指導が事業者にとって明確に指導と受け止められていないこと、事業者に住環境に十分配慮することについて指導がなされていないことにあると考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 小笹におけるマンションの擁壁につきましては、建築主に対して住民の意見を十分に伝えるとともに、建築基準法第12条第5項に基づき、安全性の措置や施工状況の報告を求めるなど、適切に対応を行ってきたと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 建築主に対して住民の意見を十分に伝えるとともに、建築基準法第12条第5項に基づき、安全性の措置や施工状況の報告を求めるなど適切な対応を行ってきたと考えていると答弁していますが、事業者は、指導は受けておらず、虚偽の掲載をしていると主張し、損害賠償を請求しています。建築主に対して住民の意見を十分伝え指導したと言えるのでしょうか。
 また、マンション建設の事前説明に使った図面をブログに掲載したことも、事業者は著作権を侵害したと損害賠償請求訴訟をしています。さいたま市では「第10条の4、市長は、説明報告書の提出があったときは、規則で定めるところにより、当該説明報告書の一部(以下「閲覧図書」という。)を一般の閲覧に供するものとする」と事前説明会の資料を一般公開していますが、福岡市として条例で公開を義務づけるべきと考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市におきましては、近隣住民より事前説明報告書の閲覧の希望があった場合には、情報公開条例などに基づき適切に対応しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 市は、近隣住民より事前説明報告書の閲覧の希望があった場合には、情報公開条例に基づき対応していると言いますが、市は住民への事前説明に使ったものは公開されたものとして明確に位置づけなければ、事業者が権利の乱用をすることにつながっていることをきちんと認識すべきです。
 また、事業者に対する指導、勧告や住民との調整を実効的なものとするには、指定確認検査機関において建築確認の審査が行われている事案でも建築確認申請に係る資料が福岡市の手元になければならないはずで、規則等を改正して福岡市へ提出を義務づけるべきと考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 紛争予防条例では、建築主等は事前説明で使用した配置図、平面図及び立面図の図書を添付して事前説明報告書を市に提出するよう定めており、住民からの相談などについてはこの資料により調整を行っております。また、建築基準法第6条の2及び同法施行規則第3条の5において、指定確認検査機関が確認済証等の交付をした際に、福岡市に提出する書類が定められており、建築計画の概要など基本的な情報を得ることができるため、同法施行規則以上に書類の提出を業務づけるまでの必要はないと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 現に事業者が言いがかりのような訴訟を起こしている実態について市として認識すべきで、条例及び規則について再検討することを強く求めておきます。
 次に、南区高宮において、所有する土地の改変を行った土地所有者が、隣接する土地所有者の擁壁に影響が生ずるおそれがあるにもかかわらず、隣接する土地所有者にきちんと説明せずに土地の改変工事を強行しています。これは建築基準法第90条に抵触するにもかかわらず、住民が相談したが、市は土地を改変している土地所有者に何ら指導しようとしておりません。これで適切に対応していると言えるのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) おただしの工事につきましては、土地所有者より駐車場とするための工事と聞いており、建築物の建築や解体工事ではないことから、建築基準法の対象ではございません。しかしながら、隣接者より受けた相談については、現場を確認後、土地所有者に対して安全の配慮を求めるとともに、双方の間で話合いが行われるよう適切に対応を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 東京都ではこのようなケースでは建築基準法第90条第1項に該当するとしており、市の認識には問題があります。
 本市では、住民より相談があった場合は建築主へ伝え、検討を依頼するとともに、回答を行うよう指導していると答弁していますが、きちんと事業者にどのように改善するのか指導できていません。だから、小笹のような事態が起こっています。神戸市では事業者向けのパンフレットに、議事録、説明会、個別説明等で多くの質疑応答があった場合は、そのやり取りの内容を議事録にまとめてください、説明会の出席者名簿(写し)があれば添付してくださいとなっており、報告書には説明事項の欄、説明に対する住民の要望欄とそれに対する事業者の回答欄があり、最後に市長宛ての事業者の誓約書欄となっています。ところが、福岡市は事業者からの一方的な報告書しかありません。このような条例の不備が今回の小笹における事業者が住民を訴える、いわゆるスラップ訴訟と言われるような事態を引き起こしています。
条例を整備し、住民と事業者の話合いの経緯が明らかになるようにすべきと考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市におきましては、紛争予防条例で事前説明の報告を義務づけており、報告の際は条例規則に定める事前説明報告書に近隣住民個々の意見を記入する意見等の欄を設け、事前説明の際の近隣住民の意見を丁寧に確認しております。また、条例の運用に当たりましては、その解説を作成しており、その中で住民と事業者の話合いの経緯について把握するため、事業者に対し事前説明報告の際に説明会を開催した場合の議事録を添付するよう求めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 様々に指摘しましたが、相変わらず問題がないかのような答弁です。先進的な他都市の事例を真摯に学ぶよう強く求めます。
 次に、市及び財産区が管理する施設における農薬、除草剤の使用について質問します。
 まず、市が管理する学校、公園、緑地、街路樹、財産区が直接管理する土地における農薬及び除草剤の使用について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校における除草剤の使用は、確実に安全性が確保される場合を除き禁止しておりまして、使用の実績はほとんどございません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 住宅都市局所管の都市公園、緑地、街路樹につきましては、原則として薬剤散布による病害虫防除及び除草は行っておりません。なお、害虫が大量発生した場合などに限り、薬剤散布を行うことがあり、その場合は公園利用者や周辺住民へお知らせした後、必要最小限の散布を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 財産区が直接管理する土地のうち、財政局が行う除草等においては、農薬や除草剤は使用しておりません。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) いずれの管理地においても除草する場合には農薬、除草剤は原則使っていないということです。しかし、城南区茶山にある財産区が市に貸し付けている田島新池に農薬が使用されているとのことを近隣住民から聞きましたが、事実でしょうか、事実であればやめるべきではないでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 田島新池は洪水調節の機能を有した治水地でございますが、通常は水がたまっていないため、年に数回程度、地域のイベントなどで広場として利用されております。
この治水地の除草につきましては、従来、草刈り機等で行っておりましたが、雑草の繁殖状況等を踏まえ、地域と協議を行った上で、平成29年より一般家庭でも使用されており、農薬取締法に基づいて国に登録された安全の除草剤を使用しております。なお、使用に当たりましては、使用方法を遵守するとともに、天候などにも配慮しながら作業を行っております。除草剤の使用につきましては、今後、地域とも協議を行いながら、慎重に判断してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 田島新池において一般家庭でも使用されている除草剤を使っているとのことですが、一般家庭でも使用されている除草剤なら問題がないという認識は間違っています。アメリカでは一般家庭で使用されている除草剤ラウンドアップ、その主成分のグリホサートに発がん性があるとして訴訟となり、メーカーは敗訴し、多額の賠償金を払っています。ルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、チェコ、フランス、マルタ、メキシコ、フィジー、トーゴなどが使用を禁止しており、世界的に禁止の動きが広がっています。国でも、みどりの食料システム戦略では有機農業を進め、農薬の使用量を削減するとしています。環境及び生活の場には様々な化学物質があり、できるだけ化学物質の摂取は避ける必要があります。市が管理する場所でグリホサートなどの除草剤や農薬を使うのはやめるべきです。
 次に、安倍元首相の記帳所設置について質問します。
 安倍元首相が7月8日に銃撃を受けて亡くなりました。市長は7月11日午前に記者会見し、11日午後2時には記帳所が設置されています。特定の政治家のためにこのような設置を配することは問題があります。
 そこでまず、記帳所設置の設置期間及び記帳所設置は誰が指示したのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 記帳所及び献花台の設置については、令和4年7月8日の正午前に安倍元首相が銃撃されたという報道がなされ、同日夕方5時頃、救命措置もかなわず御逝去されたことが報じられました。総務企画局ではこの痛ましい事件を受けて、歴代の首相経験者や皇族の方々が御逝去された際の本市の対応や、今回の事件を受けての他都市の動向、報道で伝えられる事件の反響などについて情報収集を行うとともに、福岡市としてどのような対応を行うべきか検討を行いました。そして、二役まで協議を行い、7月11日に、民主主義を擁護するという決意を多くの市民と共有するとともに、事件の犠牲となられた安倍元首相を追悼したいという市民の思いを受け止めるための記帳所及び献花台を同日から15日までの5日間、市役所本庁舎1階に設置することとしたものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、起案者及び決裁者等、決裁の過程について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 記帳所及び献花台の設置方針については、7月11日の総務企画局と市長との協議の中で決定しておりますが、同日は記帳所及び献花台の設置準備などのため、事務を担当する総務企画局総務課において直ちに方針決定の起案を行うことが困難であったため、市長まで御了解いただいた内容を福岡市公文書の管理に関する規則第6条の規定に基づき、翌12日に起案し、7月14日に市長の決裁をいただいております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 記帳所には民主主義を擁護し、犠牲となった安倍晋三元首相を悼む弔問記帳所と記載されていましたが、国会で118回も虚偽答弁をする、憲法に基づく国会召集を無視する、森友学園、加計学園、桜を見る会など国政を私物化し、真相究明の調査もしない、強行採決を繰り返す、このような安倍元首相が民主主義を擁護したと言えるのか、市長の所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 民主主義を擁護しとの表現については、7月8日に発生した残忍で痛ましい事件が国政選挙のさなかにこれを妨害する許し難いものであり、民主主義を揺るがす暴力への怒りや抗議の思いを多くの市民の皆様と共有するという趣旨を端的に表したものでございます。民主主義を擁護した安倍元首相が犠牲となられたという趣旨ではございません。
 なお、記帳所及び献花台の設置の趣旨については、報道機関への資料に記載するとともに、記帳所の会場入り口にもパネルを設置して周知を行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) いろいろ言ってますが、特定の政治家の記帳所を設けることは行政の政治的中立を侵すのではないのか、市長の所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 記帳所、献花台の設置については、先ほど答弁いたしました設置の趣旨に鑑み、公共性があり、行政の政治的中立性を損なうものではないと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 選挙中の応援演説の銃撃という民主主義を揺るがす暴力への強い憤りと民主主義を擁護するという決意を市民の皆様と共有するという趣旨に公共性があると言ってますが、特定の政治家、それも民主主義を破壊し、統一教会を差配し選挙するなど反社会的な団体との深い関係がある安倍元首相の記帳所を置くことには公益性があるとはとても考えられません。仮に選挙中の銃撃事件に対する抗議であるなら、市長の声明で十分です。記帳所設置は公益性があるとは言えず、政治的中立を侵していると考えます。また、平和のための戦争展を福岡市が名義後援しなかった理由に憲法改悪に反対という主張が特定の政治思想であるので、行政の中立性を侵すと言っていますが、憲法には国会議員をはじめとして公務員は憲法を遵守する義務が課せられており、福岡市が平和のための名義後援を拒否する理由はありません。福岡市の名義後援拒否こそが政治的中立を置侵したと言えます。記帳所の設置は市長の決裁で行われたもので、行政の政治的中立性とは何かについて及び安倍元首相に対する記帳所設置の妥当性について、市長に答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 記帳所及び献花台の設置については、先ほどの総務企画局長の答弁のとおり、その設置の趣旨に鑑み、公共性があり、行政の政治的中立性を損ねるものではないと認識をしております。
 また、名義後援につきましては、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの誤解を与え、行政の中立性を保てなくなる場合などには、所管局が定めた取扱要領に基づき、承諾の可否を慎重に判断しており、引き続き適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 記帳所設置の経緯を見ると、明確には答弁していませんが、市長が指示し総務企画局に起案させたと判断されます。特定の政治家のための記帳所を設けることは市政の私物化と言えます。中村哲さんのように、福岡市との関係もあり、社会的に評価された方であれば市民の合意も得られると思いますが、国会で118回も虚偽答弁をし、国政を私物化し、憲法を遵守しない、反社会的組織である旧統一教会との深い関係があった安倍元首相の記帳所設置に公益性はあり得ません。記帳所設置という市長の市政の私物化に強く抗議します。
 また、昨日の答弁で、国葬については国から案内が来れば出席すると答弁していますが、議会中の出席自体問題であり、また出席するのであれば公費でなく私費で行うべきです。
 次に、教育委員会の弔旗掲揚の要請通知について質問します。
 まず、通知の内容及び通知は誰が指示したのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育委員会の通知につきましては、総務企画局から市役所本庁舎での取組等について通知があった旨を各学校長に対しお知らせしたものでございます。また、経緯につきましては、私も含め、教育委員会事務局内で協議した上で通知を発出しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、起案者と決裁者及び通知を出した時間的経緯について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年7月12日に総務企画局の通知を受け、私も含め教育委員会事務局内で協議を行った上で、教育支援課で起案し、教育支援部長の決裁により、同日付で各学校長へ通知したものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、弔旗を上げた学校は何校か説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今回の通知は、各学校長に対して市役所本庁舎での取組等についてお知らせしたものであり、弔旗の掲揚状況については把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、弔旗は誰が上げたのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、各学校における弔旗の掲揚状況については把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 弔旗を掲げた学校が何校か、誰が上げたのか把握していない。全く無責任だと思います。
 では、弔旗掲揚の要請通知は弔意の強制にならないのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今回の通知は教育委員会から各学校長に対して市役所本庁舎での取組等について情報提供を行うために、総務企画局の公文通知の写しを付して当該通知があった旨をお知らせしたものでございまして、弔意を強制したものではございません。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 市の公文書通知の写しを付して当該通知があった旨をお知らせしたもので、弔意の強制に当たるものではないと言っていますが、通知を出すこと自体が教育における政治的中立の問題があるのではないのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育基本法第14条では、特定の政党を支持し、またはこれに反対するための政治教育その他の政治的活動が禁じられておりまして、この政治的活動は、国においてその行為の目的が政治的意義を持ち、その効果が政治に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になるような行為をいうとされてございます。今回の通知等は、その目的が政治的意義を持つものではないこと等から、同法に抵触するものとは考えてございません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 今回の弔旗掲揚は目的及び効果として政治的意義を持つものではないと答弁していますが、弔旗を上げるという行為は弔意を示すということであり、対象となる個人に対する支援、支持を表明する行為です。
特定の政治家について弔旗を子どもに上げさせる、ないし職員に上げさせることは対象となる政治家の思想信条を支持することを表明する行為であり、その効果が政治に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になり、明確に法律に抵触するのではないのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、今回の通知は教育委員会から各学校長に対して、市役所本庁舎での取組等についてお知らせしたものであり、弔旗の掲揚を要請したものではございません。また、弔旗の掲揚は弔意を表すものでありますが、そのことをもって特定の政治家の思想信条を支持するなど政治的意義を持つものではなく、教育基本法に抵触するものとは考えておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 特定の政治家のために市の施設に市費、市職員を使って記帳所を設置することは、政治の中立性を著しく侵しています。加えて、安倍元首相は生前、森友学園、加計学園問題、桜を見る会など国政を私物化し、憲法を守らない、国会で虚偽答弁を118回も行い、反社会的組織である統一教会と深い関係を築き、自民党憲法草案に見られるように、統一教会が政治に影響を与えてきたと思われるなど、記帳所を設置するに値しないにもかかわらず設置したことについて、市長の責任が問われます。
 また、特定の政治家の弔旗掲揚を要請した教育委員会は教育の中立を侵した上、このような人物を子どもに尊敬させるような行為は教育委員会として恥ずべきことです。まともな教育委員会になることを切に求めて、質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、中学校の給食時間について、東区市営蒲田団地の交通対策及び物価高騰に対する医療機関や介護事業所への支援について質問します。
 まず、中学校の給食時間についてです。
 7月6日、KBC九州朝日放送の番組、アサデスで、福岡市の給食において、適切な喫食時間が取れていないことが取り上げられておりました。そこで、本市中学校において適切な喫食時間が確保されているのか、検証したいと思います。
 学校給食は学校給食法に基づき実施され、成長期にある児童生徒の心身の健全な発達に資するものであり、給食時間については、そのために必要な時間を確保することとなっています。
 そこでお尋ねしますが、本市中学校の給食時間及び喫食時間はどうなっているのか、説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目から発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 給食時間につきましては、各学校において学習時間やその他様々な教育活動を盛り込んだ1日の時制を定める中で、準備や喫食時間等を含め、適切な時間の設定に努めてございます。令和3年度時点の中学校の給食時間は、全市平均で約34分、うち喫食の時間は約21分となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 平均で給食時間が34分、喫食時間が21分と答弁されました。しかしながら、これはあくまでも平均です。1年生はまだ要領が分からない、友人関係ができていないなど、学校生活に慣れずに準備に時間がかかり、喫食時間は10分程度と非常に短くなることがあります。
 そこでお尋ねしますが、配膳など準備が長くなれば、喫食時間が10分程度にしか取れなくなるケースが少なくないのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 通常は20分程度の喫食時間を確保できておりますが、まれではありますけれども、給食直前の授業の終了が遅れた場合などに特定のクラスでやむなく短くなる場合もあると伺っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 教育長はおおむね適切な時間が取れていると答弁されましたけれども、現場では10分ぐらいしか取れないことも少なくないという声が出されています。さらに、4時限目が特別教室での授業や体育などのときには、準備に取りかかる時間も遅れ、喫食時間がさらに短くなることもあります。喫食時間が短くなれば、当然、時間内に食べ終わることができない生徒も出てきます。
 そこでお尋ねしますが、このような生徒は非常に困るのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校では、生徒の喫食状況を見ながら、必要に応じて給食時間を延長するなどの対応も行っていると聞いております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 教育長は適切に配慮しているというふうに答弁をされましたけれども、実態は違います。私は、ある保護者の方から訴えを受けました。ある中学2年生は、小学校のときから時間内に完食できずにパンを持ち帰っておりました。中学校で給食の量が増え、さらに時間が短くなることに不安を覚え、摂食障がいになってしまいました。
 そこでお尋ねしますが、このケースは生徒への配慮がされなかったケースだと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 御指摘のようなケースは承知いたしておりませんが、食事のペースは個人によって異なるため、各学校では生徒一人一人の喫食状況を十分に確認し、食べるのにどうしても時間がかかる生徒などに対しては、生徒本人とよく話した上で、個別に時間を設けるなど、適切に対応していると伺っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 繰り返し、個別に配慮しているというふうに言われますけれども、この生徒に配慮しているなら、ここまで追い込まれなかったということなんです。
 そこでお尋ねしますが、食事をゆっくりしか食べられない生徒や喫食時間が短いことで精神的に追い込まれている生徒について、学校や教育委員会はどのように把握しているのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 給食時間においては、担任等が生徒と食事を共にする中で、喫食中の様子を観察し、生徒の実態を把握するように努めております。また、給食に限らず、各学校では生徒からの毎日の生活ノートの提出や定期的に実施する教育相談アンケート等を通じて、生徒が抱える悩みなどの実態把握に努めるほか、三者面談の実施やスクールカウンセラーの配置等により、生徒や保護者の心の悩みを聞き、一緒に悩みを解決できるよう取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 結局、生徒本人とか保護者が学校に言わなければ、負担になっているかどうか分からないということです。
 そこでお尋ねしますが、生徒や保護者に喫食時間についてのアンケートを取り、喫食時間が短いなど負担を感じている生徒を把握し、個別の配慮をしっかりと行うべきではないかと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、給食時間においては、担任等が生徒と食事を共にする中で、喫食中の様子を観察し、実態把握に努めております。また、日頃より生徒が抱える悩みなどの把握に努め、一緒に悩みを解決できるように取り組んでおります。今後とも、生徒の喫食状況等の把握に努めるとともに、必要に応じて個別の配慮も行うなど、適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 教育長はごまかされたんですけれども、これは喫食時間について、その生徒がどう思っているのかとか調べたことではないんです。喫食時間について、生徒がどのように思っているのか把握することもなく、個別の配慮ができるはずがありません。生徒全員の声を聞くべきであります。
私は教職員が喫食時間についてどう思っているのかについても話を伺ってまいりました。ある先生は「多くの教員がもっとゆとりを持って給食当番の活動に取り組ませたり、じっくりと食事を味わいながら楽しく会食をさせたいと思っている。今の喫食時間は短い」と述べられておりました。
 お尋ねしますが、そもそも喫食時間は短いのではありませんか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 各学校では限られた1日の時制の中で、喫食時間も含め適切な給食時間の設定がなされているものと考えております。なお、他の指定都市の喫食時間はおおむね15分から20分程度であり、これと比較しても本市の平均約21分の喫食時間が短いとは考えておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) あくまでも適切だと答弁されましたけれども、ある先生は、喫食時間を長くすると必要な授業時間を確保することができない、今のシステムで学校が運営されているので、どうしようもないと、喫食時間を長くしたいけれどもできないと語ってくれました。
そこで、ある中学校の1日の時制を見てみました。50分の授業を6時間行い、間に休み時間や帰りの会、クラス活動時間などを挟み、下校は16時20分となっています。学校があまりにも過密スケジュールになっており、全くゆとりがありません。ゆとりがない中で喫食時間を長くすれば昼休みが短くなったり、下校時間が遅くなったり、生徒や教師たちに負担がかかってしまいます。
 そこでお尋ねしますが、喫食時間を長くしたいという学校現場からの声があれば、現場任せにせず、学習内容の精選を行い、1日の授業時間が5時間程度で終われるようなカリキュラムにし、喫食時間を長くできるように教育委員会が現場に助言をすべきと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 授業時数につきましては、国が定める学習指導要領に基づきまして、中学校では年間授業時数1,015時間を確保する必要があります。各学校は自校の状況を踏まえつつ、適切に年間計画を作成しております。その中で、給食時間につきましても適切に確保されているものと認識しておりまして、教育委員会といたしましては、各学校において適切な指導計画に沿った学校運営が行われるよう、引き続き必要な指導、支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 拒否をされましたけど、少なくない生徒や保護者から喫食時間を改善してほしいという切実な声を受け止めるべきです。準備に時間がかかったり、4時限目が体育や特別教室のときには喫食時間が決められた時間よりも短くなる日があることは明らかです。そのような日にも、時間内に食べられない生徒に対する個別の配慮が必要であります。そもそも学校給食法において、学校給食を実施するのに当たって達成されるよう努めなければならない目標として、適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること、日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと、学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うことなどが掲げられております。
したがって、生徒が、喫食時間が短く精神的に追い込まれていないかなどを把握するとともに、配慮が必要な生徒も安心して給食を食べられるよう、喫食時間を十分に確保できるよう、教育委員会が責任を持つべきだと思いますが、教育長の答弁を求めて、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、各学校では1日の時制の中で、喫食時間も含め適切な給食の時間の設定がなされているものと考えております。また、担任等は日々生徒の喫食状況等の把握に努めておりまして、必要に応じて個別の配慮も行っております。今後とも、給食時間の確保はもとより、生徒たちの実態把握に努め、適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 現場の切実な声を受け止めていただきたいと、安心して給食が食べたい、食べさせたい、そのような生徒や教員の思いに応えるべきだということを指摘しておきます。
 次に、東区蒲田団地の交通対策についてです。
 蒲田団地は久山町の隣に位置する106戸の市営住宅であり、JRバスが主要な公共交通機関となっており、蒲田団地バス停が設置をされています。しかしながら、東区の箱崎駅前を通って博多駅まで行く都心部行きのバスは、平日が8時台に2本しかなく、帰りは15時台に1本、16時台に1本のみ、土日や祝日には1本のバスもありません。
 そこでお尋ねしますが、通学や買物などに支障を来すなど、住民が不便な状況に置かれている、この状況は問題ではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 蒲田地区を運行するJR九州バス直方線につきましては、福岡市や直方市など、複数の自治体にまたがる広域的なバス路線であり、市内の運行本数は平日46便、土日祝日37便となっております。そのうち、平日4便は蒲田団地まで乗り入れておりますが、それ以外の便は最寄りのバス停までの歩く距離が長くなると認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 今、局長が言われたように、蒲田団地の住民は非常に苦労しています。
 まず、小学生や中学生の通学についてです。
 蒲田団地から多々良小学校や多々良中学に歩いて通学すれば40分はかかります。蒲田団地バス停から8時1分発のJRバスに乗車すれば、学校の目の前の多々良農協前バス停に8時10分頃には着きます。しかしながら、始業時間に間に合うバスはこの1本しかありません。
 そこでお尋ねしますが、学校に間に合うバスが1本しかなく、児童生徒が大変不便になっているのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) バスを利用して登校している児童生徒の状況につきまして、学校に確認しましたところ、保護者からの要望等は特にないということでございまして、不便であるという声は伺っておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 教育長はそういうふうに答弁されましたけど、把握されていないだけですよ。大きな負担がかかっています。例えば、児童生徒が朝起床して、学校に行くのを渋ったりすれば、保護者は子どもの話をしっかりと聞くことが必要となります。しかしながら、蒲田団地に住んでいる児童生徒は8時1分発のバスに乗車しなければ遅刻をしてしまうんです。無理やりバスに乗せなければいけなくなります。学校が遠いために小学生がバスで通学しなければいけない環境の中で、しかも、始業に間に合うための便が1本しかない状況について改善が必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 蒲田地区からの通学につきまして、先ほど申し上げましたとおり、これまで特に要望等はございませんで、通学が厳しいとの声は届いてございません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 人ごとなんですね、結局ね。それに間に合って行けばいいじゃないかというような人ごとなんです。1本しかないのは児童生徒に大きな負担になっていると、そのように何で考えられないのかということなんですね。
下校時間についてはどうか。下校時も団地行きのバスが15時台と16時台の合計2本しかないために、学校の行事や早く下校させるときなどは、バスの時間に合わせなければなりません。
 そこでお尋ねしますが、学校教育に支障が出ているのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これにつきましても学校に確認しておりますが、授業や学校行事の実施に支障があるといった話は特にございません。なお、学校ではバスの時間を踏まえつつ、必要に応じて下校指導や行事の時間調整などの工夫も行われていると伺っております。また、蒲田団地を経由しない場合でも、近くを通るバスも利用できまして、特に支障もないと伺っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 結局これも人ごとのように答弁をされています。小中学生がバスで通学をしなければならない特殊な事情であり、大きな負担になっているんです。特別な配慮が必要です。
 そこで、蒲田団地など蒲田地域から多々良小学校や多々良中学校に通学している児童生徒の負担を軽減するためにスクールバスの運行など検討すべきと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) これまで通学に際しての不便や学校教育の支障の声は特に届いておりませんので、引き続き状況の把握等に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 全くそういうような現場での苦労を把握していないということなんです。安心して学べる教育環境を整えるのは、教育委員会の責任です。スクールバスの検討を検討すべきです。強く求めておきます。
 次に、高齢者などの移動についてです。
 車を持っていない高齢者が、市の都心部に行こうと思えば、蒲田団地バス停からのバスはほとんどないので、20分近く歩いてJRバスの筑前蒲田バス停や西鉄名子道バス停に行くしかありません。また、30分歩いてJR香椎線の土井駅まで行くしかありません。団地にお住まいの高齢者にお話を伺ってまいりました。「バスがないので、病院や買物に行くときにはタクシーを利用するしかない。往復で3,000円から5,000円もかかり大変だ」と述べられておりました。
 お尋ねしますが、このような交通弱者の放置は許されないと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) JR九州バス直方線につきましては、複数の自治体にまたがるバス路線であることから、国や県の補助により維持されている路線であります。福岡市では、地域、交通事業者と連携して利用促進に取り組んでおり、引き続き路線の維持に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 先ほど不便だということは認められております。
 一方で、蒲田団地はバス停が目の前にあるために、公共交通空白地等及び移動制約者に係る生活交通の確保に関する条例に定められている交通空白地でも交通不便地でもありません。
 そこでお尋ねしますが、蒲田団地のように交通空白地にも不便地地域にも該当しないものの、公共交通機関が少なく、生活の足の確保が困難な地域へはどのような支援をしているのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 生活交通確保支援といたしまして、地域が主体となった生活交通確保の取組に対する活動支援を行っており、地域と交通事業者間の調整や利用促進活動などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 地域から話があった場合にいろんな対策を協議するということです。この方式は乗客の確保をしなければならないなど地域に負担がかかって、地域が手を挙げることはできません。あなた方は高齢化が進展する中で、生活交通確保は非常に重要な取組だと言いながら、事実上放置するのは許されません。小中学生や高齢者など交通弱者にとっては、公共交通機関を充実しなければ安心して日々の暮らしができない状況となっています。
 そこでお尋ねしますが、蒲田団地の住民が安心して生活していくために、JR九州に対してJRバス直方本線の蒲田団地バス停を通過するバスを増やすように要請すべきと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 交通事業者からはバス乗務員不足に加え、コロナ禍に伴うバス利用者の大幅な減少などにより、バス事業を取り巻く環境は厳しい状況であると聞いており、引き続き地域や交通事業者と連携した取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) いろいろと今言われましたけど、早急に増便を要請すべきです。
 しかし、JRバスが増便するかは分かりません。蒲田団地の住民は、高齢者が通院や買物など住民の日常生活に大きな支障を来し、小学生や中学生も通学に非常に苦労しています。しかしながら、あなた方の交通支援策は事業者への僅かな補助や、買物支援事業やその他モデル事業などはごく一部の地域に限られており、しかも住民に丸投げし、実質、市の責務は放置しているのが実態ではありませんか。
 そこで、島市長、市民の移動の権利を確保することは、市長であるあなたの責任です。責任を持って蒲田団地の住民の皆さんの移動の権利を守るべきです。
したがって、JRバスへの増便要請とともに、児童生徒のスクールバスでの送迎、また、コミュニティバスの運行など市長の責任で実施すべきではないかと思いますが、市長の答弁を求めて、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市が主体となったバスの運行につきましては、コロナ禍に伴う交通状況の変化や持続可能でバランスの取れた公共交通ネットワークの確保など、踏まえる課題が多いと考えております。バス路線の維持、充実につきましては、地域の実情などを踏まえながら、引き続き交通事業者と連携をして取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 市民の移動の権利を保障するのは市長です。直ちに蒲田団地の住民の交通対策に取り組むことを強く求めておきます。
 次に、最前線でコロナから市民の命を守るために闘っている医療機関や介護施設などへの支援についてです。
 まず、医療機関への支援についてです。
 コロナ第7波の感染爆発の中で、医療現場や保健所では、医師、看護師、保健師などのスタッフが患者の命を守るために必死に闘っています。しかしながら、現在、コロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻、円安の影響などによる電気、ガス、燃料費の高騰、また食材費の値上げが医療機関の経営を直撃しています。
 そこでお尋ねしますが、物価高騰の医療機関への影響について把握しているのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 令和4年6月に独立行政法人福祉医療機構が全国の病院に対して実施をしました経営動向調査によりますと、物価高騰による影響を受けていると回答した施設は86.6%となっておりまして、市内の医療機関も一定の影響を受けているものと認識をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 影響を受けております。私は博多区の社団法人福岡医療団で物価高騰が経営に与える影響についてお話を伺ってまいりました。福岡医療団は博多区の千鳥橋病院、東区のたたらリハビリテーション病院、市内5医科診療所が介護事業所などとも連携を取り、救急対応からリハビリ、往診、緩和ケア、介護連携など市民の命や健康を守っています。物価高騰の影響は法人全体で電力料金とガス料金合計で月に290万円、年に3,480万円もの負担増になるということです。医療機関は療養担当規則上、光熱費など療養の給付と直接関係のないサービスに関しての費用徴収は認められていません。全て医療機関の持ち出しとなっています。
 そこでお尋ねしますが、物価高騰に伴う光熱費の値上げは、医療機関の経営を大きく圧迫していると思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 物価の上昇によります光熱費の高騰につきましては、全国的なものであり、国の定める公定価格、つまり診療報酬により経営を行う医療機関にも一定の影響を及ぼしているものと考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 医療機関の経営を大きく圧迫しています。
 次に、介護事業所への影響についてです。
 食材費、光熱費の高騰が介護事業所に与えている影響を把握しているのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 介護事業所に及ぼす影響につきましては、令和4年6月に独立行政法人福祉医療機構が全国の特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人に対して実施した経営動向調査によりますと、原油価格や物価高騰による影響を受けていると回答した施設は88.5%となっており、市内の介護事業所も一定の影響を受けているものと認識いたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 大きな影響を受けています。私は市内で2か所の特別養護老人ホームを運営している、ちどり福祉会で聞き取り調査を行いました。この法人は水光熱費だけでも年間で856万円、前年比で30%余りの費用増が見込まれており、今年度の当初予算で見込まれていた100万円の黒字が700万円以上の赤字になるおそれが出てきています。介護事業所は国が定める公定価格により経営をしています。加えて、介護施設では、昨年8月に補足給付の見直しが実施され、多くの入所者で利用料負担が増加し、物価高騰の影響を価格に転嫁することが現実的に不可能となっており、結局、職員の人件費に手をつけざるを得ない状況となっていると話されておりました。
 そこでお尋ねしますが、食材費、光熱費の値上げは、介護事業所の経営を大きく圧迫していると思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 食材費や光熱費の上昇につきましては全国的なものであり、市内の介護事業所の経営にも一定の影響が生じているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 物価高騰で食材費や光熱費が値上げされ、経営が圧迫されている医療機関や介護事業所に対して、島市長はどのような支援をしているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 医療機関に対する支援につきましては、現在の物価の上昇は全国的なものであり、また、国の定める公定価格との関係が不可分であることから、まずは国において検討されるべきものと考えております。福岡市といたしましても、医療機関の経営の安定化のため、必要な財政支援について、従前から国に要望しているところでありますが、引き続き機会を捉えて国へ要望してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 介護事業所への支援につきましては、現在の物価の上昇は全国的なものであり、医療機関と同様に、まずは国において検討されるべきものと考えております。福岡市といたしましても、全国共通の制度である介護保険制度における適切な報酬設定等を従前から国へ要望しているところではありますが、引き続き機会を捉えて国へ要望してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 結局市としては、島市長、何も物価高騰に対する支援はしていないということなんです。
医療機関や介護事業所では、現在、コロナ第7波の感染急増の中、命を守る闘いが24時間続いています。医療機関や介護事業所はコロナ禍に引き続き、物価高騰の影響を受け、人件費を削らざるを得ない状況まで経営が圧迫されています。先月、福岡医療団とちどり福祉会が島市長に対して、物価高騰に対する緊急要望書を提出されました。そのときに対応した担当課長は医療現場や介護現場からの深刻な状況の告発に対して何か検討したいと言われましたが、この9月議会でも医療機関や介護事業所への支援策は何もありません。
 お尋ねしますが、医療機関、介護事業所への支援について検討はしなかったのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 繰り返しになりますが、医療機関への支援につきましては、現在の物価の上昇は全国的なものであることなどから、まずは国において検討されるべきものと考えております。現在、国において原油価格や物価の上昇に対するさらなる支援策が検討されているものと承知をしておりまして、医療機関に対する新たな支援策等が示された際には、広域的な医療体制整備を担う県と連携し、対応を図ってまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 介護事業所への支援につきましては、現在の物価の上昇は全国的なものであることから、医療機関と同様、まずは国において検討されるべきものと考えております。現在、国において物価の上昇に対するさらなる支援策が検討されており、介護事業所に対する新たな支援策等が示された際には、速やかに対応を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 言い訳をされましたけど、あれだけ医療現場とか介護現場の切実な思いが出されて、政府に要請をするということもありますけれども、市として何かやってほしいということに対して何も検討していないというのが本当にひどいことだというふうに私は思います。ある医療機関の職員は、コロナと最前線で闘っている医療機関、介護事業所への支援が優先されるべきではないのか、市は施策の優先順位をどのように決めているのかと述べられています。
したがって、電気、ガス、燃料費の高騰に対して医療機関や介護事業所への補助金の実施を政府に求めるとともに、市独自に医療機関や介護事業所への補助金等の財政措置を実施すべきと思いますが、島市長に答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 物価高騰の影響を受けながらも、市民の生活を守るために御尽力をいただいている医療機関や、また介護事業所の経営の安定化は重要な課題であると認識をしております。福岡市といたしましては、医療機関や、また介護事業所の経営の安定化と、これに見合う報酬水準が確保されるよう、引き続き国に要望してまいりますとともに、現在、国において検討されている物価上昇に対するさらなる支援策を踏まえ、適切に対応してまいります。今後とも、市民の生活の質の向上が図られるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 支援が重要と言うなら、速やかに市独自として財政措置をすべきです。強く求めておきます。
 次に、医療機関を守る上で重要な役割を持つ保健所の体制強化についてです。
 現在、コロナ第7波で感染者が急増しています。このような状況に対応するために保健所体制の強化が必要です。我が市議団も度々保健所体制の強化を議会で求め、また、申入れもしてきたところであります。
 そこでお尋ねしますが、この間、島市長はどのように保健所体制の強化をしてきたのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 保健所体制の強化につきましては、従来、保健福祉センター業務も担っていた保健所長の所管業務を見直し、専任化をして、感染症対策に専念できる体制を整えるとともに、保健師等の職員の増員、感染動向に応じた他部署からの応援や外部派遣人材の増員を行い、また、業務の委託化や本庁への集約化、ICTを活用した効率化を行うなど、様々な手法により取り組んできたところでございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) いろいろと強化してきたように今答弁されましたけれども、基本は全庁からの応援体制、そして外部人材派遣だということなんです。肝腎な保健所職員は2021年度と比較すると僅か6人しか増やしていません。
 お尋ねしますが、保健所職員の働き方は改善されているのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 今回のいわゆる第7波におきましては、令和4年7月から8月の2か月間の新規陽性者数が同年6月までの全陽性者数を上回るなど、想定をはるかに超える感染の急増、急拡大が発生しておりますが、保健所職員の時間外勤務は職員や外部派遣人材の増員とともに、様々な業務手法の見直しなどによりまして、これまでの波のピーク時と比べましても減少しておりまして、一定の改善がなされているものと認識をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 今、局長は改善してきたかのように答弁されていますけど、とんでもない認識ですよ。第7波が始まった7月を見ると、過労死が懸念される月に80時間を超す残業をしている職員が19人ですよ。最大で142時間の時間外労働をしている職員もいまだに残されています。
いつまでこのような異常な働き方をさせるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、陽性者数などの感染動向や国の対応方針等によりその業務量が大きく変動しますことから、柔軟かつ機動的な体制づくりが肝要であると考えておりまして、引き続きこうした状況も踏まえながら、適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 私はいつまでこんな状況を、いつになったら改善するのかということを聞いているんです。80時間を超す職員が19人でしょう、142時間でしょう。これはいつまでに改善するんですか、はっきりと答えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 保健所職員の働き方につきましては、時間外勤務がこれまでのピークと比べましても減少しておりまして、一定の改善がなされているものと考えております。コロナウイルスの感染対策につきましては、感染動向などに応じてその業務については大きく変わってくるものでございます。柔軟かつ機動的な体制づくりを行っていくことが必要であるというふうに考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 一定の改善をしているという認識そのものがやっぱりおかしいですよ。この働き方は異常じゃないでしょうか。これをいつまでに改善することも言えないと。本当にびっくりするような答弁です。
 保健所職員の数を抜本的に増やしてこなかった市長の責任は大きいと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症につきましては、今回の第7波において直近の2か月間の新規陽性者数がそれまでの全陽性者数を上回るなど、想定をはるかに超える感染の急増、急拡大が発生しております。こうした中で、保健所では感染動向に応じた職員の増員や不断の業務手法の見直し等により、第6波のピーク時の令和4年1月と比べ、同年7月の時間外勤務の平均時間数が約3割減少するなど、職員の働き方は一定改善してきているものと考えております。
変異株の出現等によりまして、想定外の感染拡大が生じるこの新型コロナウイルスへの対応におきましては、柔軟で機動的な体制づくりが肝要であるものと認識をしておりまして、引き続き感染動向や国の対応方針等を踏まえながら、適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) 想定外、想定外と言われますけど、私たち市議団はこのような状況になると、なるおそれがあるということで、この間、度々保健所職員の抜本的な増員を図ることということを求めてきたのに、それをやってこなかった。だからこそ、こういう異常な働き方が続いているんです。
 保健所職員に過労死基準を超える時間外労働を強いている責任を全く感じていない答弁だと思います。そもそも保健所は人員不足が常態化しており、コロナ第5波の中で、2021年5月の時間外勤務については、平均時間が86.9時間、100時間を超える人員は24人で、担当職員全体の41.4%、最大時間は198時間であり、過労死ラインを大きく超えて働かせていました。改善が求められていたにもかかわらず、抜本的に職員を増やしていません。職員の応援、外部人材派遣しても状況は改善されていないじゃありませんか。外部からの応援頼みでは限界であります。コロナ禍で保健所が逼迫し、患者が医療機関にアクセスできない状態が続いています。今こそ医療機関への支援とともに、保健所機能が働くための支援が求められています。
したがって、過労死ラインを大きく超えて働いている保健所職員がいることは異常であり、許されません。安心して働けるよう、保健所職員を抜本的に増やすべきだと思いますが、島市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症対応に係る保健所体制の強化につきましては、これまで職員の増員や外部派遣人材、また業務委託など民間の力も活用するなど対応してきたところでございますが、引き続き国の対応方針等も踏まえながら、感染動向に応じて柔軟に対応できる機動的な体制づくりに取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時17分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、市民参加型政治を実現するためのシティズンシップ教育について、また、平和行政の推進を求める、特に非核平和都市宣言の早期実施と平和資料館の設置について質問いたします。
 選挙権が18歳に引き下げられて以降、福岡市では、この夏の参議院選挙で8回目となる選挙が実施されました。この間、課題になってきたことは、若者の投票率です。政治離れと言われて久しく、しかしながら、そこに効果的な手を打てずにきたことは、政党や議員の責任もさることながら、教育や行政も責任を負う必要があると思います。このまま政治離れを置き去りにすると、民主主義の形骸化はますますひどくなります。様々な機関が投票率を向上させるための調査をしたり、提案をしたりされていますが、本市が取り組んできたこと及び今後の展望についてお伺いしてまいります。
 まずは、本質問のテーマでもあるシティズンシップ教育という言葉の定義です。辞書によれば、市民としての資質、能力を育成するための教育、他人を尊重すること、個人の権利と責任、人種、文化の多様性の価値など社会の中で円滑な人間関係を維持するために必要な能力を身につけさせるとありますが、本市の小中高等学校におけるシティズンシップ教育の意義と課題はどのように捉えていらっしゃるか、お伺いいたします。
 これで1問目を終わり、2問目以降は発言者席で行います。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) シティズンシップ教育の定義につきましては、学習指導要領上には示されておりませんが、各教科、道徳、特別活動、総合的な学習の時間などにおいて、よりよい社会人としての生きる力を育んでいく教育と認識いたしておりまして、小中高等学校の発達段階に応じた計画的な学習を実施することが必要であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 小中高等学校の教育の中で市民としての資質や能力を育成するために実現していることは何か、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 小学校では、社会科において政策の内容や計画から実施までの過程、法令や予算との関わりなど、国や地方公共団体の政治の取組を捉えるとともに、政治の働きを考え、表現することなどについて学習いたしております。また、中学校の社会科や高等学校の公民科においては、民主政治の推進と国民の政治参加との関連について、多角的、多面的に考察、構想し、表現することなどについて学習しております。さらに、児童会活動や生徒会活動など特別活動を通して、集団の一員として行動していく態度や社会に参画していく態度と能力を育んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 社会科の公民分野とシティズンシップ教育は似て非なるものと感じますが、どのような認識でいらっしゃいますでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) シティズンシップ教育は、各教科等の学習や道徳、特別活動、総合的な学習の時間などにおいて、横断的に児童生徒が政治参加などについて学ぶものである一方、中学校の社会科や高等学校の公民科の中では政治の仕組みや主権者としての権利について学んでおりまして、両者の関連性は大きいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 高等学校においては、今年度より公共の新科目が設置されました。これが(資料表示)公共の教科書です。背景や趣旨、その学習の進め方など、従来の科目と違う点はどのようなところか、お伺いいたします。
 また、従前より配付されている副読本「私たちが拓く日本の未来」、それはこちらです。(資料表示)活用状況はいかがでしょうか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 高等学校の公共は、学習指導要領の改訂に伴い、これまでの現代社会に代わり設置された科目でございまして、主体的に国家、社会の形成に参画し、持続可能な社会づくりに向けて必要な力を育むことを目的といたしております。科目の内容では、社会との関わりを生徒が実感できるよう、現実社会の諸課題から学習上の課題を設定し、探求する活動を行うことが加えられております。また、現代社会が選択して履修する科目であるのに対して、公共は全ての生徒が必ず履修する科目となっております。さらに、国が発行している副読本「私たちが拓く日本の未来」については、公民科の補助教材として市立4校で活用されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 従来型の教育から新しい学びのスタイルが模索され、実践に移っていると感じます。福岡市内でモデルとなる学びを実践している学校があれば、その内容も含めて例示してください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育委員会としてモデル校の設置はいたしておりませんが、選挙に関する出前授業の実施など、発達段階に応じて政治参加の仕組みなどについて学ぶ学習が行われている学校もあります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 昨年秋に博多区の東光中学校での取組が新聞などで話題になりました。このような取組はほかの小中学校で広がっているのでしょうか。広がっていないとすれば、どのような課題があるのか、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 若者の選挙に関する関心を高め、社会に参画する態度と能力を育成することは大切との考えから、東光中学校では、社会科の授業で生徒自身が主体的に情報を集め、投票を体験する学習が実施されております。他の学校においても、政治的中立性を担保できる授業方法の工夫などについての模索が行われておりますが、まずは小学校での代表児童による話合いを行う代表委員会や中学校での生徒会役員の選挙などの体験的な活動を通して、社会参画に向けた態度と能力を育んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 昨日、我が会派の落石議員が主権者教育について学校現場での苦悩に言及をいたしましたが、政治的中立性をどう確保するか、悩ましいものだと思います。まさに今回の献花台、記帳台の設置、弔旗、半旗の件、また、国葬問題については世論を二分するほどの論争が起きており、政治的中立を守るとはどういうことなのかを考えさせられた一件でした。一方的に配慮を求める通知ではなく、どのような対立や論争が起きているか、その事象こそ教育の現場で論じるべきではなかったのでしょうか。政治的中立性をどう捉え直すのか、シティズンシップ教育を進めていこうとするこの時代では、避けては通れない課題だと思います。議論が進むことを期待しています。
 さて、冒頭にも述べましたが、この間、若者の投票率の低さについて指摘がされています。本市ではどのような策を講じているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 若者への選挙啓発につきましては、まず、日頃からの啓発として、小中高、大学生等を対象に明るい選挙出前授業を実施しており、令和4年度からは出前授業の動画を作成して、いつでもどこでも利用できるよう教育委員会が管理する福岡 TSUNAGARU Cloudで公開しています。また、はたちのつどいの案内はがきを活用した啓発や、市内の学生等に対して進学や就職などで引っ越しする場合の住民票異動の呼びかけなどを行っております。
 次に、選挙時の啓発として、高校生が期日前投票所で投票事務を体験したり、地下鉄の各駅で高校生自らが考えた投票を呼びかけるアナウンスを流しています。また、大学生の選挙啓発グループによる期日前投票所での投票立会人従事やSNSを活用した情報発信、さらに、若者による啓発動画の作成などを行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 本市では、住民異動届を出さないで市外に出る人と住民異動届を出さないで市内に居住している人はどの程度いらっしゃるのでしょうか。また、それぞれに対して届出の呼びかけなどはされているのでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 住民異動届を行わず、市外へ転出される方や市外から転入される方につきましては、その人数を把握することは難しいものと考えております。なお、進学や就職などの引っ越しシーズンに合わせ、引っ越しをされる方への住民異動届出の啓発を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 総務省が2016年に実施した18歳選挙権に関する意識調査によると、親と一緒に住んでいない人のうち住民票を移しているのは3割余りでした。興味深いのは、住民票を現住所に移している人のほうが投票した割合が10ポイント高いという結果です。住民票異動が選挙行動に影響するのは確かなようです。住民票異動に対して選挙管理委員会は何が阻害要因になっているとお考えなのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 学生等が住民票を異動しない理由としましては、いずれ実家に帰るつもりである、住民票を移すと地元の成人式に出席できないと思っている、住民票異動の手続が面倒である、在学中は住民票を異動するメリットがないなどが考えられます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 先ほどの総務省の調査によれば、今お答えいただいた理由に加え、親が移さなくてもいいと言っているからという回答が15%余りあり、親の意識も大きい影響があると感じました。投票率の課題は若者だけではなく、親世代にもあるのではないでしょうか。全体ではどのような傾向がおありになりますか。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 投票率につきましては、立候補者の数や選挙の争点、当日の天候など様々な要因が総合的に影響するものと考えられますが、国政選挙を含め、平成以降の選挙において、全体的に投票率は低下する傾向にあります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 令和3年度市政アンケート調査において、選挙についての調査結果が出ているようです。投票していない理由について、上位5項目をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 市政アンケート調査の回答で令和3年度に執行された福岡県知事選挙と衆議院議員総選挙で投票していない理由の上位5項目は、高い順に、仕事や用事などで時間がない45.3%、適当な候補者がいない32.3%、候補者に関する情報が分からない17.4%、選挙によって政治や暮らしに影響があると思わない12.4%、病気または体調が悪い11.9%となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 仕事や用事などで時間がないという理由の次に、適当な候補者がいない、候補者に関する情報がないという理由が多いようです。この一因は政党や議員、候補者側にあることも否めませんが、候補者の情報発信についてはどのように行っていらっしゃるのでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 候補者の情報発信は、有権者が候補者の政策などを知るために重要であると考えており、選挙の際は選挙公報を全世帯に配布するとともに、選挙時に市選挙管理委員会が設置する特設サイトに選挙公報の写し及び立候補届の際に提出された候補者のウエブサイトのアドレス等の情報を掲載しているところでございます。今後も公平、中立な選挙の管理執行に留意しながら、分かりやすい情報発信に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 投票率の低下をはじめとする政治的無関心に対して、民主主義の仕組みや選挙の意義について市民に理解を得るための取組を選挙管理委員会にお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 政治や選挙への意識を高めるための取組につきましては、公民館などで身近な政治問題等をテーマとして話し合う話合い学級の実施、新入社員研修や福岡市新規採用職員研修での啓発、せんきょかわら版の全世帯への配布及びホームページでの情報発信などを行っています。また、将来有権者となる児童や生徒を対象に模擬投票を取り入れた明るい選挙出前授業や明るい選挙啓発ポスターコンクールの実施、投票器材の貸出しを行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 選挙啓発の在り方についても、再考が必要だと考えています。年代別にどのような広報媒体が効果があるのか、分析はできていらっしゃいますでしょうか。また、その分析を基に各世代へ届ける仕組みはできているのでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 内藤選挙管理委員会事務局長。
○選挙管理委員会事務局長(内藤玲子) 選挙の啓発につきましては、幅広い年代に広く周知するとともに、特に若年層に対しては効果的な情報発信が必要と考えております。毎年度、市政アンケートにおいて効果的だと思う広報手段についての調査を行っており、全年代ではテレビCMや市政だよりによる啓発、若年層ではこれに加えてSNSによる啓発が高い傾向にございます。この傾向を踏まえて、ポスターなどの掲示物、市政だよりなどの広報紙、ホームページやテレビCMに加え、SNSを活用した情報発信にも力を入れております。今後とも、全年代及び若年層への効果的な選挙啓発に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 市民がコミュニティの一員と自覚し、その活動に主体的、能動的に関わる素地がまだ未熟だと感じます。シティズンシップ教育は子どもだけが対象ではなく、成人向けにも必要とされています。主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うため、政治、経済、社会制度の理解といったシティズンシップ教育の推進が重要です。公民館や市民センターなど身近な場所で市民の生涯学習を支援する取組が必要と考えますが、そのために取り組んでいることをお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 公民館及び市民センターにおける生涯学習の取組につきましては、SDGsや少子・高齢化などの社会的な課題のほか、介護保険をはじめとした社会保障制度の仕組みなどを学ぶ講座、講演会等を実施しております。今後とも、身近な地域で学びの機会を拡充するため、公民館や市民センターを中心に生涯学習の機会が一層提供されるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 自分の意見を発言しにくい風潮は、わきまえることや自己主張を抑えること、画一的な風潮を生み出した学校や地域の中に残念ながらはびこっています。特にジェンダー差別が残っているコミュニティの中では、女子や女性の発言権が得にくい状況です。このような状況に男女共同参画行政ができることをお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 男女共同参画の推進につきましては、第4次福岡市男女共同参画基本計画におきまして、男女の固定的役割分担意識の解消度を数値目標に掲げており、地域における取組として、女性リーダー育成研修を行うとともに、自治協議会や男女共同参画協議会の委員を対象とした講座などを実施しております。引き続き、あらゆる世代への男女共同参画意識の浸透に努め、令和7年度までの数値目標達成に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 子どもたちや女性たち、障がい者や外国人など、あらゆる市民の多様な価値観を反映する市政を運営していくためには、市民参加型政治の実現が必要です。そのためには、市民が政治にアクセスしやすくなるとともに、一人一人の意見が尊重される社会をつくらなければなりません。その土台を今後の教育、学校教育だけではなく、社会教育にも求めておきます。
 ところで、民主主義は話合いで問題を解決するというルールが根本にあります。だから、そもそも戦力という暴力は使わないとするのが民主的平和論の考え方です。民主主義を守ることは、これから述べる平和行政の根幹だという前提に立ち、次の質問に移ります。
 もはや戦後ではないと言われたのが1956年。それよりも後の世代にとって、戦争は過去のこと、遠い国のことのように感じてきましたが、ロシアによるウクライナ侵略が始まって以降、そうとは言えない空気が漂っています。
 先月、核兵器不拡散条約再検討会議が国連本部で開催されました。本体制のさらなる発展に向けた検討が進められると期待されていましたが、残念なことに最終文書は決裂となり、大きな落胆が広がっています。日本では戦後77年を迎え、今、当事者たちの高齢化が進んでいます。以前、90歳の方とお話しする機会をいただきました。女学校に通っていたとき学徒動員で日田の軍需工場で小銃を造らされたこと、福岡大空襲のとき自宅から弟たちの手を取って逃れたこと、焼け野原の焼死体を横目で見ながら悲しみの感情を殺してきたこと、その震える声は、決して昔の話をしているのではありません。今も残るそのときの感情は、昨日のことのように心に残っていらっしゃいました。戦争は嫌だ、平和を守ってほしいと強く手を握られました。90歳のお声は弱々しく、か細くなりつつあります。その声を私たちの世代がどう引き継いでいくのか、大切な宿題を与えられた気持ちです。その宿題に対して本市ではどのような取組を進めてきたのか、また、今後どう進めようとしているのか、お尋ねいたします。
 まずは、非核平和都市宣言についてです。
 1989年3月に福岡市議会において、平和都市宣言に関する決議が可決されました。議会が宣言することと市が宣言することには市政に対してどのような違いがあるのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市議会の決議は議会の意思を表すものであると認識しておりますが、福岡市では、アジア太平洋都市宣言や基本構想だけでなく、議会における平和都市宣言に関する決議も踏まえて、世界の平和に貢献することを基本精神として市政運営を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 今年7月25日に総務財政委員会において、平和都市宣言の早期実施について請願審査が行われました。この質疑の中で、議会の決議を尊重する旨の答弁がありましたが、この尊重とはどのようなことを指すのでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市議会における平和都市宣言に関する決議については、その趣旨を受け止め、市政運営を行うという趣旨で、従前から、尊重する、踏まえる等の答弁を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 委員会審査では、本請願は継続審議となっていますが、今後どのような対応になるのでしょうか。また、同様の請願が複数回提出されていると聞いていますが、最近12年間とその前の12年間の請願の件数をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 非核平和都市宣言の早期実施についてに対する本市の考え方については、請願審査の中で、これまでの取組を踏まえ、今後とも、市民の平和と安全を守り、世界の平和に貢献することを基本精神として市政運営を行っていくことを説明させていただいております。また、請願の件数ですが、平成23年度以降の12年間で8回、平成11年度から22年度までの12年間で1回提出されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 島市政になってからのこの12年間、請願が毎年のように出されている意味をどう考えていらっしゃるのでしょうか。また、市民の思いはどのようなところにあると思われるのか、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 平成23年度以降、12年で8回提出された請願のうち6回が福岡市原爆被害者の会からの請願でございますが、当団体におかれましては、広島、長崎での被爆の実相を踏まえ、悲惨な戦争を風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えていくため活動されています。会員の高齢化などに直面する中で一刻も早く核兵器を廃絶し、平和な世界を実現したいとの思いで請願を出されているものと認識しております。また、高校生平和大使や1,664名の市民の方からの請願についても、同様に、核兵器のない平和な世界を実現したいとの思いで提出されたものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 非核平和都市宣言は多くの自治体で実施されていると聞いています。政令市における他都市の状況はどのような様子でしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 自治体として非核平和都市宣言を行っている政令指定都市については、12都市でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) その数は年々増えていることを考えれば、この宣言にほかの自治体は意義を見いだしていると思われます。宣言をすることの意義はどんなところにあると思われるか、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 一般に自治体が行う宣言については、議会の御賛同をいただきながら、市の姿勢を内外に対して広く表明していくことであり、その宣言の趣旨を基本精神として市政運営を行っていくものであると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 宣言をすることで、市政運営に対して拘束されたり、制限されたりすることなどおありになるのでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 一般に自治体が行う宣言については、市の姿勢を内外に対して広く表明することであり、法的拘束力を有するものではないと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 本日のこの質問あるいは何度となく重ねられてきた請願審査の質疑の中で、宣言することは自治体の姿勢を内外に対して広く表明するという分かりやすいサインになると解釈いたしました。また、これまで市が取り組んできた平和行政とも特段矛盾していることもないということが分かりました。であれば、自治体として非核平和都市宣言をしてもいいのではないかと思われますが、なぜしないのか、いや、なぜできないのか、その理由をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市としましては、これまで福岡市議会において平和都市宣言が決議されているほか、福岡市としてアジア太平洋都市宣言において、国際交流活動を通して平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を宣言するとともに、福岡市基本構想においても、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくこととうたっております。今後とも、憲法に述べられている恒久平和の理念や、これまでの決議、宣言、基本構想の趣旨に基づき平和に貢献することを基本精神として市政運営に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 先ほど御答弁いただいたように、市議会の決議はあくまでも議会の意思を示すものです。行政が宣言することとは違うものです。これらの宣言などの趣旨を市政に生かすというからには、自治体自身が宣言する必要があると考えています。同様の請願が出されるたびに同じような説明しか繰り返されず、請願者をはじめ、平和を希求する市民は大きな失望を抱いています。
 ところで、福岡市が自治体として非核平和都市宣言をしていないことを知らない市民のほうが多いと推測されます。多くの自治体で宣言が実施されている中で福岡市が宣言をしていないということを市民が知ったとき、疑問とともに、市政に対する不信の念も抱きます。市民の平和行政に対する意識をアンケートや意識調査などで調査したことがおありになるでしょうか。また、その計画はおありになるでしょうか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 非核平和都市宣言に関することなどを含め、市の平和行政に対する意識調査を実施したことは、確認できる範囲ではございません。また、現在そのような意識調査を実施する予定はありませんが、市民の皆様からの御意見を生かし、展示の充実を図るため、各施設等において必要に応じてアンケート等を実施しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 平和に対して市民の意識が高まっている今こそ、民意をきちんと捉えておくべきだと指摘しておきます。
 次に、平和資料館の設置について伺います。
 まず、平和行政への取組を進めるに当たって、庁内の横断的な取組はおありになるのでしょうか。また、それぞれの局の役割はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 庁内の横断的な取組については、各局で実施している平和関連施策の情報共有等を行い、関係課同士の連携を図ることにより平和関連施策をより一体的に推進していくことを目的として、今年度から関係課長等による会議を開催することとしております。また、総務企画局においては、平和首長会議に関する事業のほか、平和関連施策を所管している関係局の連絡調整を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 福祉局におきましては、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えるため、ふくふくプラザの資料展、引揚港・博多におきまして、博多港引揚資料を常設展示しているほか、戦没者合同追悼式の開催などを行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 博物館におきましては、関連資料の展示などを通して戦時下の人々の暮らしを紹介しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教育委員会としましては、各学校で平和に関する教育を実施するとともに、図書館では資料の利用等を通して戦時中の市民の暮らしの紹介等を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) どのような機会を捉えて平和関連施策に関する資料を市民へ公開していらっしゃるのか、各局の取組もお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 総務企画局においては、核兵器がもたらした被爆の実相や平和の尊さを伝えるため、例年8月に市役所本庁舎において原爆ポスター展を開催しております。また、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えるため、例年8月に福岡県と共催で福岡県戦時資料展を開催しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 資料展、引揚港・博多におきましては、平成23年度から引揚げに関する資料を常時公開いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 博物館におきましては、常設展示室内の福岡大空襲と戦後復興のコーナーで常時公開するとともに、毎年6月19日の福岡大空襲の時期に合わせ、企画展「戦争とわたしたちのくらし」を開催し、戦時下の人々の暮らしに関する資料を公開しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 総合図書館では、文書資料の複製本やマイクロフィルムなどを常時閲覧できるようにしております。また、毎年7月及び8月に戦争及び平和に関する図書の展示コーナーを設け、市民に貸出しを行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ふくふくプラザの引揚げに関する資料や博物館常設展資料、総合図書館の資料等はどこに保存していらっしゃるのでしょうか、関係局にお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 資料展、引揚港・博多で展示していない資料につきましては、総合図書館の収蔵庫において保管をいたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 博物館の収蔵資料につきましては、常設展示室で展示しているもの以外は館内の収蔵庫で保存しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 総合図書館におきましては、文書資料等を通常、複製本やマイクロフィルムの形で閲覧に供しておりまして、実物は収蔵庫に保管しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ふくふくプラザの引揚港・博多の常設展示についてお尋ねいたします。
 本年3月に設置後、10年ぶりとなるリニューアルがされています。10年間一度も展示の入替えが行われず、館内で十分な誘導もされていなかったことに驚きは隠せませんが、今後の取組に期待して、幾つかお尋ねしてまいります。
 まず、このリニューアルの経緯と取組の内容、今後の展望についてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 展示資料の入替えにつきましては、令和2年度に展示入替検討委員会を設置した上で、効果的な展示方法等について御意見をいただき、開設から10年目の節目となります3年度末にリニューアルオープンをいたしました。リニューアルでは、従来の展示資料の8割以上を入替え、さらに、展示総数を102点から148点に拡大したほか、引揚げ当時の親子の服装をマネキンで立体的に展示した象徴展示や引揚げに関する漫画の作品展示、その時々のタイムリーな内容を紹介する特殊展示コーナーを新設いたしました。また、保管する資料のほぼ全てを網羅したファイルの閲覧や、アンケートの記載ができるコーナーも新設いたしております。今後につきましては、歴史的な資料が展示により劣化することを防ぐためには複製品の活用が望ましいとの展示入替検討委員会の意見を踏まえ、随時複製品を作成し、現物資料との置き換えを進めていくことといたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) これまでふくふくプラザ引揚港・博多の常設展示には学芸員が配置されてこなかったと聞いています。
 まずは、学芸員の役割とは何か、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 博物館法第4条第4項によりますと、学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどると規定されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 今御答弁があったように、学芸員は資料保存や研究など重要な役割を担っています。その学芸員がふくふくプラザ引揚港・博多の常設展示に配置されていなかったことが、10年間一度も展示の入替えもされず、置き去りにされた要因の一つではないかと思われます。このたびのリニューアルでは、学芸員はどのように関わっていらっしゃるのでしょうか。また、リニューアル以降、学芸員を配置しているのでしょうか。配置していないとすれば、今後、収集や保管、展示、調査をする担い手は誰になるのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) リニューアルに当たり、当該分野に造詣が深く、福岡市と共同で引揚げに関する展示会を開催した実績もある外部の学芸員に検討委員会にも御参画いただいたほか、入替え資料の選定、配置、キャプションなど展示全般にわたって監修をしていただきました。リニューアル後、学芸員は配置いたしておりませんが、引揚げ資料の保管と展示につきましては、今後も必要に応じて学芸員の協力を仰ぎながら実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 他都市の平和祈念資料館の設置状況についてお伺いいたします。
 その設置状況は把握されていらっしゃいますか。また、その効果について、どのような見解をお持ちでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 他の政令指定都市の状況でございますが、単独の施設を設置している都市が北九州市、広島市など6都市、他の施設の一部などを利用して平和関係の資料を展示している都市が堺市など3都市でございます。これらの資料館設置の効果については把握しておりません。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 今年4月に北九州市で平和のまちミュージアムが開館されました。新しい平和教育の姿を模索する状況の中で意義ある施設であり、戦争を知らない世代に伝えていくという平和教育のターニングポイントという時期にオープンする施設として期待されているようです。本市においても、平和資料館の設置について市民の意識は高まってきています。どのような要望が出されているのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 平和資料館の設置については、直近では令和3年9月に市議会に請願が提出されており、博多港引揚げと福岡大空襲、さらに、人類を破滅に導く原子爆弾を投下された広島、長崎など戦争と郷土の歴史を記憶にとどめ、後世に引き継いでいくために平和資料館を設置してほしいことなどが述べられております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 本日の質問で、ふくふくプラザ引揚港・博多や博物館、図書館での保存や展示についてお伺いしてまいりました。現在のところは、限定的、期間的なものになっているということが分かりました。
 そこで、お尋ねいたします。総合的、恒久的に資料の収集、保管、展示及び調査研究、その他これに関連する事業を実施する施設設置についてどのような展望をお持ちでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市における平和関係の施設については、戦争体験などを通じて平和の尊さを後世に伝えていくため、博物館における戦時関係資料やふくふくプラザにおける博多港引揚資料の常設展示などを行っており、今後とも、平和に関する取組を実施することにより、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 総合的、恒久的に歴史資料を取り扱っている施設として博物館があります。福岡市博物館についてお伺いいたします。
 まず、設置の目的をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 博物館の設置目的につきましては、福岡市博物館条例第1条に、市民の教育、学術及び文化の発展に寄与するため設置すると規定されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) その目的の実行のため、歴史、民俗等に関する資料を収集し、保管し、及び展示することとされているわけです。福岡市の歴史、民俗等に関する資料というのは、金印からよかとピアまで様々ありますが、現代の福岡市につながる近現代のことを市民が学ぶことは重要だと考えます。
 そこで、お尋ねいたします。近現代のゾーンは、常設展示のおおよそどの程度、何割ほどでしょうか。その中でもとりわけ、福岡大空襲や引揚げに関する資料展示はどの程度になっていますか。昨今、博物館における近現代の位置づけはどのようになっているのかも併せてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 近現代の展示につきましては、常設展示室面積のおよそ2割で、戦時関連部分はそのうちのおよそ1割強となっております。常設展では、旧石器時代から現代に至る福岡の長い歴史の全体を通史的に取り扱う中で、全体のバランスを考慮しながら展示内容を構成しているところでございます。また、近現代につきましては、歴史の全体においても私たちの暮らしと密接に関連する大切な時代と捉えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) お答えいただいた割合を全体のパーセンテージに換算しますと、2%ということになります。福岡市は、福岡大空襲や引揚港・博多の歴史、また、それに派生する二日市保養所のこと、また、広島市、長崎市に次いで全国で3番目に被爆者が多く暮らしている市ということを考えれば、戦時関連の資料の展示割合が2%というのは、その歴史と民俗を研究、展示する博物館として極端にバランスが悪いと思われます。現在、博物館のリニューアルが検討されていると聞いています。背景と今後の役割及び取組についてお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 博物館リニューアルの背景につきましては、開館から30年以上経過し、施設設備の老朽化対策とともに、博物館を取り巻く社会状況の変化への対応が必要となっております。また、今後の役割や取組につきましては、大規模改修と運営体制の強化により、歴史、文化の発信拠点や文化観光の拠点などの機能向上に向けたリニューアル基本計画を策定することとしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 先ほど、近現代は歴史の全体においても私たちの暮らしと密接に関連する大切な時代と捉えているとお答えいただきました。また、最近の歴史の教科書、例えば、今日持ってきたのは「高校日本史B」(資料表示)、山川出版が作っているものですけれども、これの近現代のボリュームを見てみると、私たちが習ったときとは随分違っていて、何とここから先全部、4割が近現代のボリュームで占められています。ほかの教科書も同様です。教科書と博物館の展示には直接的な関係はないとは思いますが、市民の教育、学術及び文化の発展に寄与するための博物館は、学校教育とも連携していく必要もあると思います。リニューアルを検討するに当たり、近現代エリアの構成の見直しや拡充に取り組んでいただけないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 展示内容の構成などにつきましては、今後、リニューアル基本計画を策定する中で、近現代エリアも含め、総合的に検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 戦時下での資料は、当事者の高齢化とともに、失われていきます。その保存は急ぐ必要があると考えます。保存方法として今後の展望をお尋ねいたします。また、戦争遺構の保存状況と市民への周知や教育利用についても、併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 引揚げに関する資料につきましては、引き続き総合図書館の収蔵庫におきまして適切な管理の下、保存してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 博物館の収蔵資料につきましては、館内の収蔵庫において適切な管理の下、保存してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 総合図書館で収蔵している文書資料のうち、歴史的、文化的価値の高いものにつきましては、引き続き劣化することがないよう適切な方法で保存してまいります。また、教育利用については、福岡大空襲を経験された方の戦争体験談の動画を福岡 TSUNAGARU Cloudを通していつでも視聴できるようにしておりまして、各学校で平和学習の際に活用されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 博物館での管理方法、また、学芸員の配置などから、この施設を利用した平和資料の総合的、恒常的な展示をするのがベターな方法かと思われます。福岡市は開発が急激に進み、まちが変貌しています。今だったら残せる記録や証人もいらっしゃいます。しかし、あと10年もたてば、人間の寿命にあらがうことはできず、その機会もなくなってしまいます。残された時間は僅かしかありません。まちの歴史を行政が責任を持って残していただきたいと要望いたします。
 これまでの答弁で、各局それぞれが平和のための取組を実施されていることは分かりました。しかしながら、総合的な取組としては、現状では散逸な印象は拭えません。各局が共同、連携して取り組むことで、より充実した内容になるのではないでしょうか。今年度から各局の情報共有等を行い、平和関連施策をより一体的に推進していくことを目的に関係課長の会議を開催すると御答弁されました。総務企画局として、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか、御所見をお願いいたします。
 また、平和資料館については、市民が求める恒久的、総合的な平和資料館の設置にまだ至らない場合であっても、何らかの形で実現できないでしょうか。例えば、東京都三鷹市のデジタル平和資料館や札幌市の平和バーチャル資料館などインターネットを使った展示の例も全国にはあります。また、来年4月1日から施行される改正博物館法により、博物館資料の電磁的記録を作成、いわゆるデジタルアーカイブ化し、公開することになっています。ぜひ、そのタイミングで本市も全国の事例を参考にデジタル平和資料館を造る考えはないのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市では、博物館の常設展示や企画展示、ふくふくプラザの博多港引揚資料の展示など、既存の施設を活用するという観点から順次取組を充実させてきたところでございます。また、デジタル化の取組としましては、博物館では、おうちDE展示室観覧としてバーチャル閲覧等を行っており、ふくふくプラザでは収集資料の約2,600点のうち、ホームページでの掲載の了承を得られた約500点の資料の公開を行っております。また、学校では語り部動画を配信し、授業や研修で活用しているところでございます。今後とも、戦争の悲惨さ、平和の尊さを後世に引き継いでいけるよう、デジタルなど新しい技術も含め、関係局と連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 博物館のリニューアル、そして、デジタル技術を生かした取組に期待したいと思います。平和行政の推進には、このほかにも戦没者追悼行事や平和授業の在り方なども考えていかねばなりませんが、今回の質問では、非核平和都市宣言の早期実施と平和資料館の設置について特にお尋ねいたしました。
 戦争は弱い立場の人が犠牲になります。今回は詳しくは述べませんでしたが、優生保護法や戦争未亡人問題、二日市保養所のことなど、戦争で多くの女性の尊厳が奪われた歴史はまだ終わっていません。同じ間違いを繰り返さぬよう、やはり最後は平和を守ることに尽きます。平和であることが前提だからこそ、私たちの暮らしは守られます。経済活動も教育も平和だからこそ続けられるのです。住民一人一人の暮らしを守るため、自治体が核兵器廃絶を世界に訴える非核平和都市宣言を一刻も早く実施するように望みます。
 島市政でのこの12年間の間に非核平和都市宣言の早期実施を求める請願は8回提出され、平和資料館の設置については、署名は3万筆を超えました。市民の思いは十分に高まっています。それにもかかわらず、その声をまるで無視するかのような現在の島市政の下での平和行政の在り方は、市民に寄り添う態度が全く見えてきません。福岡市基本構想の目的には、日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくことと掲げられています。ロシアのウクライナ侵略により多くの市民が戦争の現実を映像等で間近に感じ、平和への願いは強く大きくなっていると思いますが、今こそ、まさに福岡市としてアジアのリーダー都市にふさわしい非核平和都市宣言を行い、市民の方々へ平和に対する市の姿勢を表明するとともに、子どもから大人まで多くの市民が平和について学ぶことができる資料館の設置について検討すべきと思いますが、最後に市長にお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 我が国は、さきの大戦を通して戦争の悲惨さを身をもって経験するとともに、平和が何よりも尊いものであることを深く心に刻んでおります。福岡市といたしましては、今後とも、憲法に述べられている恒久平和の理念やこれまでの決議、宣言、また、基本構想の趣旨に基づき、平和に貢献することを基本精神として市政運営に取り組んでまいりたいと考えております。また、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えていくために、博物館やふくふくプラザなどにおける戦時関係の記録や資料の収集及び展示の充実に努めるなど、平和に関する取組を引き続き実施してまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表いたしまして、姪浜駅と橋本駅間における道路環境の改善について、今津地区における観光資源の有効活用についての2点について質問をいたします。
 まずは、初めに姪浜駅と橋本駅間における道路環境の改善について質問をさせていただきます。
 西区には重要な交通結節点として姪浜駅と橋本駅があります。しかしながら、当該駅間は鉄道でつながっていないことから、交通の環境について不便に感じているという地域の声をよく耳にすることがあります。そのような中、現在、西区の橋本駅の南西エリアでは組合施行の区画整理によるまちづくりが進んでいます。橋本駅周辺の区画整理事業の進展により、今後、西区ではさらなる交通需要の増大が予想されることから、西区管内において重要な交通結節点である姪浜駅と橋本駅間における道路環境の向上が必要であると考えております。これらを踏まえ、今回は姪浜駅と橋本駅の駅前広場、当該駅間を結ぶ道路に関し、現在の整備状況及び今後の整備に向けた取組について質問をしてまいります。
 まず初めに、西区の主要な交通結節点である姪浜駅の南側駅前広場についてでありますが、現在ここは一般車の乗降場や、バス、タクシーの乗降場及び待機場などが確保されています。しかしながら、同駅前広場は今の形状に整備されて20年以上が経過しており、整備時から現在までに姪浜駅周辺の幹線道路の整備は進み、人や車両の交通量も整備時から比べ増加していることから、姪浜南側の駅前広場の現状に関しては課題があるように思えます。
 例えば、姪浜駅の南側駅前広場においては、一方通行であり、1車線の道路でありますが、駅舎寄りの路肩に乗降のための一般車が停車するケースが多く、さらには路肩に寄れない後続の一般車が1車線道路を塞ぐ形で乗降のため停車をします。そうすると、後続のバスやタクシーなどが通行できず、直進阻害が発生している状況を私も目にしたことがあります。実際に駅を利用している方からも「混雑しているときはバスやタクシー、一般車などのクラクションが鳴ることも少なくない、トラブルになる可能性も高く、どうにかならないのか」との声もお聞きいたします。私も姪浜駅をよく利用するのですが、同じことを常に感じており、早急に解決していく課題と認識しております。
 そこで、姪浜駅南側の駅前広場に対し、本市はどのような課題の認識を持っているのか、お尋ねをいたします。
 以降は発言者席にて行わせていただきます。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 姪浜駅南側駅前広場では、中央部に一般車の乗降場が設置されておりますが、駅舎までの動線上に段差があることや、緊急車両の乗降場が確保されていないことに加え、一般車の乗降場が駐車場として長時間利用されているため、満車時には多くの車が駅舎側の道路上に停車し、バス等の通行に支障を来しているといった課題があると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 姪浜駅南側の駅前広場においては、交通の安全面だけではなく、バリアフリーや緊急車両の乗降場確保の課題があるとのことであります。
 駅は多くの人が利用するため、姪浜駅南側の駅前広場について、これらの課題解決に向け、何らかの再整備を行うべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 高齢者や障がい者など、全ての人が安全で快適に移動できる環境づくりは重要であると認識しており、現在、バリアフリー化や緊急車両の乗降場の確保など駅前広場の利用環境向上に向けた検討を行っているところでございます。また、一般車乗降場の長時間利用に伴う課題につきましては、乗降場の適切な運用について検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 姪浜駅の南側駅前広場については、利用環境の向上に向けた検討を行っているということでありますが、利用者が安全で快適に移動できる環境づくりのためにも早急に再整備を行っていくよう要望しておきます。
 それでは、もう1つの主要な交通結節点である橋本駅の駅前広場についても、今後、区画整理事業に伴い、福岡市において整備が予定されていると聞いております。
 そこでまず、現在の橋本駅の駅前広場における一般車やバス、タクシーの乗降場などの設置状況についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 橋本駅駅前広場は、平成24年度に暫定で整備を行っており、一般車両、バス、タクシーや障がい者用の乗降場及びバス、タクシーの待機場を設置しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 次に、橋本駅の駅前広場における整備の進捗状況と今後のスケジュールをお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 現在、地域や交通事業者などの声を聞きながら設計を行っており、令和5年度から整備を進めていくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 現在、設計を行っており、令和5年度から整備を進めていくとのことでありますが、姪浜駅と橋本駅をつなぐ地下鉄がないため、今回の橋本駅の駅前広場の整備において交通結節機能の強化を図る必要があると考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 駅におけるバスやタクシーなどとの交通結節機能の強化は重要であると考えており、今回の駅前広場整備におきましては、これまでの路線バスの乗降場に加え、新たにオンデマンドバス「壱岐南のるーと」専用の乗降場を設置するとともに、一般車及びタクシー乗降場の拡充や、乗降場に至る歩行者の動線上に雨にぬれずに快適に乗り継ぎができるシェルターの設置を予定しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 七隈線延伸事業の影響によって橋本駅のさらなる活性化が期待され、利用者の増加が見込まれる中で、橋本駅や姪浜駅の駅前広場といった交通結節点の整備については、西部地域の道路ネットワークづくりに重要であると認識しているため、今後も機能拡充に向け、しっかりと取組を進めていただくよう要望させていただきます。
 これまでの答弁で、姪浜駅や橋本駅の駅前広場については、今後、交通結節機能の向上に向けた取組が進められるとのことでありますが、橋本駅と姪浜駅間の交通アクセスの強化も必要であると考えます。橋本駅と姪浜駅間は、まさに環状の鉄道網が欠けている部分であります。同駅間のバスなど速達性を高めることは、利便性の向上のためにも極めて重要であると考えます。現在、橋本駅と姪浜駅は福岡外環状道路を経由してバスで行き来する場合、所要時間は約20分でありますが、同じくらいの直線距離で4車線の道路の藤崎駅と大濠公園駅間では約14分で行くことができます。また、福岡外環状道路は頻繁に渋滞が起こっており、さらに時間がかかる場合があります。
 そこで、現在の橋本駅と姪浜駅間における道路の渋滞状況をどのように認識しているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 橋本駅や姪浜駅を結ぶ福岡外環状道路におきましては、福岡県交通渋滞対策協議会において外環西口交差点及び橋本西交差点が主要渋滞箇所に選定されており、姪浜駅や橋本駅へのアクセスに課題があると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 姪浜駅と橋本駅間を結ぶ外環状道路については、2つの交差点が主要渋滞箇所に選定されているとのことであり、アクセスについても、課題があると認識しているとのことであります。
 それでは、福岡外環状道路と並行して、橋本駅と姪浜駅間を南北に結ぶ都市計画道路の姪浜飯盛線がありますが、この都市計画道路姪浜飯盛線の全体概要についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 当該路線は、姪浜地区と飯盛地区を南北に結ぶ幹線道路で、姪浜駅や橋本駅へのアクセスを確保するとともに、周辺地域の道路ネットワークを形成し、交通の円滑化を図ることを目的として都市計画決定されたものでございます。路線の延長は約5.2キロメートル、標準幅員は27メートルの4車線道路の計画となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 西区の道路交通の円滑化を図る上で重要な幹線道路であり、姪浜駅と橋本駅のアクセスを考える上でも重要な道路だと考えますが、姪浜飯盛線の進捗状況をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 計画延長約5.2キロメートルについて、北側から順に整備状況を申し上げます。
 まず、明治通りと交差する姪浜五丁目交差点から国道202号と交差する福重交差点までの約2.3キロメートルは整備済みでございます。次に、福重交差点から橋本二丁目までの約0.8キロメートルは未整備でございます。次に、橋本二丁目から福岡外環状道路と交差する橋本駅入口交差点までの約0.6キロメートルは整備済みでございます。残る飯盛地区までの約1.5キロメートルにつきましては未整備でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 今の答弁によれば、姪浜駅から橋本駅までの間のうち、福重交差点から橋本二丁目までの約0.8キロメートル区間のみが未整備とのことであるため、姪浜駅と橋本駅のアクセス向上を図るためには、特にこの区間の整備を早急に進めていくべきであると考えますが、この質問の最後に当該区間の整備に向けた今後の取組についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福重交差点から橋本二丁目までの未整備区間につきましては、道路整備アクションプラン2024において調査、検討路線に位置づけられていることから、財政状況を踏まえた事業実現性や橋本駅前土地区画整理事業の動向などを勘案しながら調査、検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 都市計画道路姪浜飯盛線は、福岡市道路整備アクションプラン2024において調査、検討路線に位置づけられていることから、事業実施に向けて、しっかりと検討して早急に整備を進めていただくように要望しておきます。
 次に、今津地区における観光資源の有効活用について質問をいたします。
 今津地区は、美しい海辺や松林、国指定史跡である元寇防塁、山頂より博多湾を一望できる毘沙門山や今津運動公園など観光資源に恵まれている一方で、その資源を有効に活用できていないと感じる部分が多くあります。特に地域の皆様と地域活動などに取り組む中で、元寇防塁などの既存施設や道路、松林をうまく管理、活用することで、もっと面的な観光集客につなげることができると考えております。
 そこで、今回は長浜海岸の松林や元寇防塁、そこへのアクセスについて、管理の現状や今後の取組について、提案も交えながら質問をしてまいります。
 まず、長浜海岸の松林についてお尋ねします。
 博多湾沿岸一帯では、江戸時代から筑前国黒田藩により主にクロマツの植林が始まり、今津の長浜海岸松原も地元の方の話によると、昭和初期の頃には海岸近くの農地を守るための防砂林として既に現在のような松林が形成されていたとのことであります。そのような歴史ある松林でありますが、今から約10年前、平成24年には松くい虫によって松が枯れるという被害が発生いたしました。玄界灘一帯で発生した大規模な松枯れで、今津でも被害に危機感を抱いた地元の方々を中心に、現在まで松くい虫のすみかとなる松の枯れ枝の清掃活動に熱心に取り組まれています。このように、地元の方々の積極的な取組もあり、平成24年以降、今津地区では目立った松枯れ被害は発生していないと聞いております。
 そこで、長浜海岸の松林の位置づけや維持保全に関して、市はこれまでどのような取組を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 藤本農林水産局長。
○農林水産局長(藤本広一) 今津地区の松林は、暴風、防砂や景観形成などの機能を有する重要な森林であり、保全すべき松林として、県により森林病害虫等防除法で定める高度公益機能森林の指定を受けております。福岡市では、公益的機能が高い松林を松くい虫被害から守るため、被害に遭った松の搬出、処分や松林への薬剤の散布などの対策に年間を通じて取り組んでおります。これらの取組によりまして、市内における松くい虫被害は平成24年度をピークに減少しており、今津地区におきましても、令和3年度の被害本数はピーク時の約7分の1まで減少しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 毎年、国や市が地上散布や伐倒駆除等を継続して取り組んでいることで、ピーク時の約7分の1まで減少し、現在では復活した松林が美しく保たれているとのことであります。引き続き、松くい虫防除に係る対策の継続をお願いいたします。地元の方々とよくお話をする機会があるのですが、自分たちが住んでいる自然豊かな地域を次の世代にしっかりと引き継いでいきたいという思いで、美しい青松松原を維持するため、先ほど述べたとおり、長年、植林活動や清掃活動に熱心に取り組まれています。
 そこで、市は地元の松林保全の取組についてどのような支援を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 藤本農林水産局長。
○農林水産局長(藤本広一) 福岡市におきましては、地域の活動で集められた枯れ枝の回収や地域活動の支障となる枝の剪定などを実施しております。市民の貴重な財産である松林を松くい虫被害から守るため、今後とも、松くい虫防除を徹底し、地域とともに松林の保全に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 地域の方々が行っている植林活動や清掃活動に対して、市としてもしっかり支援をしていくよう求めておきます。
 続いて、今津の元寇防塁についてお尋ねいたします。
 今津地区には、鎌倉時代、蒙古が来襲した文永の役の後、再度の来襲に備えて築かれた歴史ある国指定史跡の元寇防塁があります。現在、松林の中に約200メートル復元整備されております。
 その元寇防塁の管理状況は現在どのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 元寇防塁につきましては、復元展示など史跡指定地内の管理を行っております。管理に当たっては、地域から推薦された史跡管理人及び史跡保存会による巡回や清掃、除草などの日常管理のほか、民間事業者委託による園路の除草を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 次に、元寇防塁への集客にはどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 元寇防塁への集客につきましては、海に臨む立地を生かし、来訪者が長大な防塁を体感できるような復元整備を行うとともに、近接したあずまやにおいて防塁の歴史的価値を解説した展示を行っております。また、民間事業者と連携した駐車施設の確保や誘導板などのサインの改修、設置、トイレの管理など見学環境の整備にも取り組んでおります。さらに、ホームページやリーフレットによる情報発信にも取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 地域の重要な歴史資源である元寇防塁が観光や社会見学にこれまで以上に活用されるための取組や、元寇防塁を解説展示しているあずまやの活用促進が必要であると考えます。
 そこで、元寇防塁やあずまやの現在の来訪者数や利用状況はどうなっているのでしょうか。また、今後のさらなる集客促進に向け、どのように取り組むのか、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 元寇防塁やあずまやにつきましては、常時公開としており、来訪者数の把握はできておりませんが、現在、観光客による見学だけではなく、地域の小学校による社会科見学や団体での見学、ボランティアによる案内ガイドなど様々な利用がなされているところでございます。今後とも、元寇防塁やあずまやの受入れ環境の充実を図るとともに、見学利用の促進に向け、SNSなどを活用した情報発信など広く元寇防塁の周知広報に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 元寇防塁は日々管理されていて、観光や見学環境の整備にも取り組んでいるとのことでありましたが、元寇防塁への集客をより増加させるためにアクセス状況の改善が必要であると考えます。今津元寇防塁は松林の中にあり、アクセスは決してよいとは言えない状況であります。現在、長浜海岸の松林に自転車でアクセスできる道路として西ノ浦今宿自転車道線が通っており、この道路は今宿交差点から二見ヶ浦まで通じています。
 この西ノ浦今宿自転車道線はどのような目的、経緯で整備され、どのような利用状況なのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 西ノ浦今宿自転車道線は、自転車利用の多様化に対応して、自転車交通の安全を確保し、併せて心身の健全な発達に資することを目的として、昭和51年度から平成6年度にかけて史跡や景勝地等を回遊できる道路として整備したものでございます。当該路線は、そのほとんどの区間が主要地方道福岡志摩前原線と一体となった歩道形態となっておりますが、長浜海岸松原から元寇防塁、毘沙門山付近を通る区間などでは、福岡志摩前原線から離れて自転車と歩行者の専用道路の形態となっております。利用状況につきましては、福岡志摩前原線と一体の区間では通学、日常生活やサイクリングといった用途に使われており、令和3年10月に横浜交差点南側で行った調査では12時間に776台の自転車通行があっております。一方、福岡志摩前原線から離れた元寇防塁等のある区間につきましては、調査は行っておりませんが、利用者が少ない状況と認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 福岡志摩前原線から離れた区間は、調査はしてないが、利用者が少ない状況と認識しているとのことでありますが、私も何度か自転車道線を実際に自転車で走ってみました。利用者は本当に少ない状況でありますし、道も凸凹してあったり、竹が落ちていたり、草が生えていたりと管理が十分にできている状態ではないと思います。
 この西ノ浦今宿自転車道線の管理は誰がどのように行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 管理は福岡市が行っており、道路を良好な状態に保つために定期的な道路パトロールを実施しております。パトロールや市民通報等により不具合が確認された場合は、適宜、維持補修等の対応を行っており、近年では傷んだ舗装の補修や通行を妨げる樹木の剪定等を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 福岡市が管理を行っているとのことでありますが、西ノ浦今宿自転車道線を管理していくには、地域の方々の協力は重要であります。ぜひよく耳を傾けて、可能な限り地域の方々の要望に対応していくことを求めておきます。
 実際に自転車で走っていると、標識なども少なく、途中どこが自転車道線なのか、どの道を自転車で走ればどこに向かっていくことができるのか分からなくなりました。実際、私も今宿から自転車道線を走っていると、道を間違えて行き止まりになってしまいました。地元の方にお話を聞くと、自転車道に間違えて車が入ってしまうことも多々あるとのことであります。もっと市民や観光客がどの道を通ればどこに行くか分かりやすいように整備していく必要があることを感じました。今津地区の観光資源である長浜海岸松原や元寇防塁などへのアクセスという点では、既存の西ノ浦今宿自転車道線を活用することは効果的と考えます。
 そこで、今津地区全体の観光振興という観点から西ノ浦今宿自転車道線を活用した周遊について検討すべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 今津地区における取組につきましては、これまで今津地区の周辺情報を発信する地区観光案内板や観光案内誘導板などを主要なアクセスルートである主要地方道福岡志摩前原線や今津元寇防塁の入り口に設置するなど、観光客の受入れ環境整備に取り組んできたところでございます。西ノ浦今宿自転車道線の観光活用につきましては、松林や元寇防塁と並行した路線となっており、それぞれのスポットへのアクセスルートの一つとして活用が考えられるため、今後、利用する観光客や市民により分かりやすい案内表示の設置などを検討し、周遊を促進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 案内表示などを検討し、周遊を促していただけるとのことでありますが、第三者や地域外からの視点による観光資源の整備も必要であります。今ある西ノ浦今宿自転車道線を有効に活用し、今津地区の観光周遊が進むように事業者などと連携した取組も考えていくべきであります。冒頭にも申しましたが、元寇防塁などの既存施設や道路、松林をうまく管理、活用することで、もっと面的な観光集客につなげることができると思っております。これまで以上に地元住民やボランティア団体の方々などと連携を取って、今津地区の観光振興を図っていくことは、福岡市の観光産業にも大きく貢献することになります。
 そこで、最後になりますが、今津地区には松林や元寇防塁だけでなく、毘沙門山や誓願寺、長浜海岸や今津運動公園など観光スポットとして魅力的な場所が多くあります。これら地域資源を活用したエリア全体での観光振興を図る必要があると考えます。福岡市により多くの観光客を集め、活性化できるように市が率先して施策を展開していただきたいのですが、今後の取組についてお尋ねをして、私の質問を終わらせていただきます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 今津地区の観光振興につきましては、同地区は自然や歴史など魅力的な観光資源が豊かな地区と認識しており、これまでも松林や元寇防塁の活用に向け、地域や事業者とも対話しながら、地域資源の掘り起こしやモデルコースの形成など観光振興に取り組んでまいりました。観光客の来訪を地域の活性化につなげるためには、松林や元寇防塁だけではなく、周辺の観光スポットや飲食店などと組み合わせた周遊の促進を図っていく必要があると認識しております。今後、Fukuoka East&West Coastプロジェクトの取組を進める中で、今津地区についても、今津運動公園や宿泊施設など地元事業者と連携を図りながら、地域資源を活用した体験プログラムやモデルコースの情報発信、サイクルを活用した周遊促進などに取り組み、今津地区の活性化につながる持続可能な観光振興を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) この際、休憩し、午後2時45分に再開いたします。
午後2時30分 休憩  
午後2時45分 開議  
○議長(伊藤嘉人) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲)登壇 福岡令和会の藤本顕憲であります。生涯現役社会の実現に向けて、高齢者の就労について質問をいたします。
 現在、我が国においては急速に高齢化が進み、令和3年9月時点の推計人口で高齢化率は29.1%に達しています。出生率の低下、少子化と相まって、15歳から64歳までの生産年齢人口は減少を続けており、働き手の不足が日本社会の根本課題として、その解決が喫緊の課題となっています。一方で、高齢者の中には現役世代と変わらない能力を持ち、仕事をしたいとの意欲をお持ちの方が多くおられます。平均寿命が伸び、今や人生100年時代が目前に迫っている中で、周囲を見回すと、元気な高齢者が本当に増えてきたと感じます。こうした方々に戦力として社会に復活していただき、持てる力を存分に発揮していただくことは、本人はもちろん、雇用を必要とする企業にとっても、人口構成のいびつな社会全体にも明るい可能性をもたらすものと思います。誰しも年齢にかかわらず活躍できる社会、生涯現役社会の実現を目指して、今、福岡市では面白いプロジェクトが進められています。
 現在、福岡市においては、シニア活躍応援プロジェクトが進められています。その概要についてお尋ねいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目からは発言者席から行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) シニア活躍応援プロジェクトにつきましては、高齢者が年齢を重ねても意欲や能力に応じて活躍できるよう、働きたい高齢者と企業の多様な雇用をマッチングする仕組みや環境をつくることを目的として、令和元年度に開始したプロジェクトでございます。具体的には、高齢者に向けて就業セミナーや相談会、企業で就業体験を行うシニア・インターンシップなどを実施しているとともに、企業に向けては、個別訪問による求人開拓や職場環境整備のためのコンサンルティング、人材活用に関するセミナーなどを実施いたしております。さらに、令和3年3月に開設したシニア・ハローワークふくおかも活用しながら、高齢者と企業とのマッチングを行うなど、幅広い取組を推進いたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) 私は、私の死の直前まで人間として生きる喜びを味わうことが大事だと考えています。では、人が喜びを感じるのはどんなときでありましょうか。それは恐らく、自分が人様の役に立っていると感じたときであり、そうした満足感を得たときにそう思えるのではないかと思います。シニア活躍応援プロジェクトは、働きたい、世間の役に立ちたいと思っている方々の就業を応援するもので、生涯現役でいられる社会、生きる喜びを感じられる社会の実現に資するすばらしい取組だと思います。
 では、シニア活躍応援プロジェクトを通じて実際に何人の方が就業されたのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) シニア活躍応援プロジェクトにおきましては、就業セミナーや個別相談会をはじめとする高齢者への就業支援、企業への高齢者雇用の働きかけ、高齢者と企業のマッチングなど幅広い取組を進めることにより、令和4年6月末時点で1,314人が就業されております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) なかなかすばらしい成果だと思います。
 それではここで、高齢者の就業について、これまでの取組について振り返ってお尋ねします。高齢者に働く機会を提供している団体といえば、誰しもが思い浮かべるのがシルバー人材センターです。
 福岡市のシルバー人材センターはどのような団体で、何人の会員がいらっしゃるのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 福岡市シルバー人材センターは、高齢者が働くことや多様な社会参加を通して、健康と生きがいの充実を図り、活力ある地域社会づくりに寄与することを目的として、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき設立された公益社団法人であり、高齢者の希望に応じて、臨時的かつ短期的、または軽易な業務に係る就業機会を提供いたしております。会員数につきましては、令和3年度末時点で6,695人となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) それでは、会員の皆さんは、実際にどのような業務に携わっておられるのか。令和3年度にシルバー人材センターが受注した主な業務と契約金額の総額、会員1人当たりの月平均配分金額についてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) シルバー人材センターが令和3年度に受注した主な業務につきましては、駐輪場等の施設管理、屋内清掃、除草、植木の剪定、家事援助などであり、契約金額の総額は22億9,100万円余、会員1人当たりの月平均配分金額は4万1,574円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) 福岡市シルバー人材センターが受注した業務の契約額は約23億円であります。ところで、シルバー人材センターは、先ほどの答弁にもありましたが、高齢者等の雇用の安定等に関する法律に基づき設立されている団体です。この法律でシルバー人材センターが法制化されたのは1986年。当時の定年は55歳が主流であり、シルバー人材センターもその前提で制度設計されたものだと思われます。業務としては、当時から今日まで、清掃、除草、駐輪場管理などが中心的業務のようです。
それから40年弱、この間に時代は大きく変化しました。平均寿命が延び、今や人生100年時代が目前に迫っている中で、国の研究機関によると、実際に歩行速度が10年ほど若返っているという報告もあるように、元気な高齢者が増えています。また、仕事をしたいとの意欲をお持ちの方も多く、そうした方々にとって働くことは身体の健康の面、精神面、さらには経済的な面でも様々なプラスの効果があります。私も、五、六回はこの場から質問をしたことがありますが、シルバー人材センターも、率直に言って十年一日のごとくではなく、やはりこれを大きく変えていかなければならないと痛感しています。高齢であっても高い能力を持つ人材を発掘し、その能力や適性を十分に生かして働ける仕事、働くことの喜びを感じられるような新しい就業の機会の提供は、社会の要求する喫緊の課題であります。
 福岡市シルバー人材センターにおいては、新たな業務や就業先を開拓するため、どのような取組を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) シルバー人材センターにおきましては、平成27年度から、新たな就業機会を開拓する業務に専任で従事します就業開拓専門員を配置いたしております。令和4年度におきましては、6名の専門員が様々な業種の企業等を訪問し、高齢者ならではの知識や経験、根気の要る仕事にも対応できるといったシルバー人材センターの利点を紹介するなどして、新たな業務や就業先の確保に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) このシルバー人材センターの業務に、民間の力を活用することも考えてはいかがでしょう。例えば、リクルート、パソナなど相当規模の企業、多士済々の民間の人材派遣会社があります。そういった専門家の手を借りて、人材の発掘や雇用の開拓を行う、また、福岡市が力を入れるスタートアップ企業と連携して、高齢者一人一人に対し、より細かなフォローアップを行う、そういったことも考えてみてはいかがでしょうか。
 皆さん御存じかどうか分かりませんが、実は、英語のシルバーという単語には高齢者という意味はありません。なぜ日本では高齢者のことをシルバーと呼ぶのか。ゴールドやダイヤモンドなどでは駄目なのか。正直、シルバーの表現には、若い世代が我々高齢者に敬意を表しながらも、若者世代の優位性を心根に持って、少し高齢者を見下している、上から目線の印象を感じ、あまり愉快な言葉ではありません。実は、このシルバーという言葉は、1973年に国鉄が高齢者に優先席を設けた際に座席の色がシルバーだったことから来ているそうであります。高齢者の中には、ゴールドもダイヤモンドも、様々な貴重な人材がいらっしゃると思います。そうした人材に、いかに社会で活躍していただくか。シルバー人材センターの役割は大きく、高齢者に限らず、オールラウンド人材発掘センターとして今後に期待をしたいと思います。
 さて、高齢者が働くということを改めて考えたときに一つ思い出すことがあります。10年ほど前のことですが、NHKの番組で、ある会社が紹介されました。番組のタイトルは「わが工場 96歳もエース」です。大変評判がよかったのか、その後何度も再放送がなされていますので、御記憶の方もいらっしゃるかもしれません。番組の中で紹介されたのは、全米の零細企業の中でも高収益の会社として、ボストン郊外で実験用注射針を製造している会社であります。従業員のほとんどは65歳以上で最高齢者は実に96歳。従業員の中には、NASAの元エンジニアや会社の役員だった方なども含まれていて、この経歴の幅が企業の競争力を生み出していると言っております。この会社では、従業員は好きな日に好きな時間だけ働きます。体力や通院の都合など高齢者の事情に対応するため、生産工程を細分化し、作業の内容を簡素化した上で、それぞれの工程を何人かの従業員が受け持てるように研修が行われているとのことでした。誰かが抜けても別の誰かがカバーに入り、互いに穴を埋め合う。仕事をシェアして、人と人とをつないで、高齢であっても、また障がいがあっても、若者や健常者に対するのと変わらない賃金を支払う。本当に温かい職場で、番組を見ていて、働くことのすばらしさ、そしてすばらしい仕事に出会えることの幸せを深く感じました。
振り返って日本の状況を見ると、残念ながら、こうした雇用が実現できているとは言えません。労働環境などへの配慮はもちろん、賃金一つを取っても、高齢者であるというだけで賃金が低く抑えられている場合も多く、同一労働同一賃金が当然視されていないことを疑問に思います。付け加えれば、福祉の授産施設の賃金もそうです。障がい者であるだけで安い賃金に抑えられているという事例が多々あります。高齢者が真に働きやすい、また、意欲を持って働ける雇用を実現するためには、こういった分野は役所仕事ではなかなか難しいものではないかと考えます。企業に対してしっかりと働きかけを行っていくことが重要です。
 シニア活躍応援プロジェクトにおいては、高齢者が働きやすい環境をつくるため、企業に対してどのような働きかけを行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) シニア活躍応援プロジェクトにおきましては、企業に対し、高齢者が抱える、短時間の仕事をしたい、体力的に無理のない仕事をしたいといったニーズを踏まえた働きかけを行っております。具体的には、企業訪問の際に、業務の切り分けや短時間雇用、高齢者の生活に合わせた就業時間の設定などの提案を行っているほか、専門のコンサルタントによる、それぞれの企業の現状に応じた勤務条件の整備や事故防止のための措置などに関する助言、企業向けの人材活用に関するセミナーを通じた高齢者雇用に関する理解促進などに取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) 企業側の環境を整えると同時に、高齢者自身も、いつまでもチャレンジし続ける精神を持つことが大切です。先般、シアトル・マリナーズで活躍したイチロー氏が、マリナーズの球団殿堂入りを果たすこととなり、そのセレモニーがシアトル・マリナーズの本拠地で行われました。4万5,000人を超えるファンで埋め尽くされた中、イチロー氏は紺色のスーツ姿で登場しスピーチをされたのですが、その最後に、ファンへのメッセージとしてこのようなことを話されました。「自分自身を制限せず、日々の課題を克服する欲求と情熱を見いださなければなりません。それが自分の可能性を最大限に引き出す方法なのです。そこには想像もつかないような未来があると信じます」と述べました。野球の本場で想像もできない結果を生み出した人の言葉です。まさにこの言葉のとおり、自分自身に対し、年齢などのハードルを課すのではなく、やりたいと思えることを一生懸命にやる、前へ前へと進んでいくための努力に日々励むからこそ、生涯現役の生き生きとした人生を送ることができるのだと思います。
 私の知り合いに、地元、福岡工業高校機械科を卒業し、長年務めた上場企業の役員を67歳で退職し、その後、トヨタカンバン方式という生産工程を通じて、日本語の「ゲンバ」、いわゆる現場主義、「カイゼン」などの日本語を世界に広めたトヨタ自動車、大野耐一副社長に、私の知人は断られても断られても大野学校の門をたたき、12回目の訪問で入門を許可され、その後、大野耐一さんの一番弟子として、ベンツやフォルクスワーゲン、ロッキード、日立製作所、安川電機など、世界12か国、40企業もの技術顧問として現役で活躍し、全米を代表する業界紙の表紙を全身像で飾り、また、日本の看護師の優秀さを知るアメリカのクリントン元大統領直々の要請で、全米第一の病院の看護師職業訓練として日本の病院で看護研修を指導する活躍をされ、ついこの8月末、87歳で他界された方がいらっしゃいます。私が最も尊敬する方のお一人でしたが、この方も年を取って、自分でここまでだというバリアを設けるのではなく、もっとこういう人生を生きたいという意思を抱き、チャレンジし続けることが、今持っている力を失うことなく生きていくこと、未来を切り開くことにつながっているんだと、イチロー選手と同じことを言っておられました。
 高齢者の活躍に向けて、高齢者自身のチャレンジを積極的に後押ししていくことが重要だと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 高齢者自身のチャレンジを積極的に後押ししていくことは大変重要であると考えており、シニア活躍応援プロジェクトにおきましては、高齢者が経験のある仕事や職場にとどまらず、新しい分野や業務にも積極的にチャレンジできるよう、シニア・インターンシップや高齢者と企業の交流会、高齢者向けの業種別セミナーや創業セミナーなどを実施いたしております。また、このほかにも、60歳前後の世代を主な対象として、就業や地域活動、余暇活動など、これからの過ごし方について考えるきっかけづくりを行うイベント、アラカンフェスタや、参加者が自らプログラムを企画、実施するR60倶楽部を実施しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤本顕憲議員。
○48番(藤本顕憲) かつて、人生50年と言われた時代がありました。そうした時代には、二十歳までに受けた教育で人生を渡り終えることができました。しかしながら、今まさに訪れようとしている人生100年の時代にあっては、若い頃、自分が教育を受けた頃とは生活様式も、技術も、文化も大きく変わってしまい、新しい知識を身につけることが必要になってきています。新しいチャレンジをするにも、人生の中間地点の、例えば50代なのか、60代なのか、70代なのか、どこかで、第2の義務教育的な場で知識の補強をしなければ、生きていくことが難しい時代になりました。日本人は大変勉強が好きです。資格取得が大好きです。その日本人の特性をうまく利用していくことが必要だと感じます。それによって何らかの技術や知識を身につけることができ、就業機会と現役世代に負けない賃金を確保するインセンティブになるような仕組みなどがあれば、さらによいのではないでしょうか。
 以前、福岡市には老人大学という事業があり、非常に評判がよかったと記憶しています。参加された方から、新しいことを学ぶことはもちろん、新しい仲間と出会うことがその後の大きな糧になったとの声を耳にしたこともありました。ものを発明したり、新たに起業するといったことだけではなく、若い時代にがむしゃらに頑張った自分をもう一度思い起こして、例えば、ITなど必要な知識を改めて学んで補充し、時代に乗り遅れたり、若い人に後れを取ったりすることなく、新しい分野で社会の一員としての役割を担うことができれば、本当にすばらしいことだと思います。人生100年時代において高齢者が生き生きと働き、活躍できるようにするためには、企業側の理解を得ながら高齢者が意欲を持って働く環境を整えていくこと、学び直しを含めて高齢者自身のチャレンジを積極的に支援することなど、取り組むべきことがたくさんあります。総務省が今年5月に発表した2020年の国勢調査の就業状態等基本集計によりますと、90歳以上で雇用者として働く人は全国で約5,000人であります。95歳以上も500人となっています。人生100年時代、高齢者世代が若い世代から支えられるだけの側から、若い世代の諸負担を軽減し、少子化の改善や医療福祉財政の改善に支える側として寄与する、そのときが夢物語ではない時代に入ってきています。今からは、高齢者の就業が同一労働同一賃金を目指し、納税ができる就業参加を目指すことが現実に近づくことになります。
 私が大学卒業の折、ソニーの創業者、井深大氏が言われた言葉が記憶の底にあります。技術開発は人間開発である。5年後のソニーの業態の5割以上が入れ替わるくらいの人材開発に力を入れろとの言葉であったと記憶しております。ソニー創業以来の今日までの浮沈を支え、事業の多角化で世界的企業として成功に導かれた基本が、既に当時の経営思想の根幹にあったのであります。井戸を深く掘れば環境が大きく変化する、私流の井深大哲学の解釈であります。
 シルバー、イコール高齢者との発想の原点という貧弱な思想ではなく、シルバー人材センターをゴールド人材センター、人間能力人材開発センター、人間開発センターあるいは人生開拓センターなど、力強さを発想する言葉に切り替え、細かい法律等に職域や就業分野が拘束されない、若者でも働き盛りでも高齢者でも気軽に相談ができ、さらに、日本人にはどちらかというと欠ける、働くことは幸せであり人生を楽しむことであるという要素も取り入れた、そうした就業支援ができる組織をつくられてはいかがでしょうか。私は大学を卒業する時期に、半年ほどカナダのバンクーバーに行き、カナダのバンクーバーの横を流れるフレイザーリバーという大きな川がありますが、その上流にある移動製材工場を見学に行きました。ちなみに、カナダの領土は85%が英国王室財産、英国の土地であり、民間の持つ土地というのは沼の横とか、非常に足場の悪いところに民間の森林が展開していましたが、その一つの視察に行ったわけでありますが、そこに移動製材工場というのが動いていました。トレーラーの上に事務所が載り、トレーラーの上に製材機械が載り、そしてトレーラーの上に宿舎が載って、びっくりしたのは、あるトレーラーの上には映画館までが載っていたんですね。仕事を楽しむということは人生を楽しむということであって、娯楽などの要素は欠かすことのできない人生の一部なのだと考えたのでしょう。そういう人生に対する豊かさ、余裕がそこには感じられましたが、日本にもそういう余裕のある働き方が欲しいなと感じたものでした。シルバー人材センターも、そういった力強さ、楽しさなどを兼ね備えた名称なり、運営の在り方なり、民間経営的組織として改革を進められてはいかがでしょう。ぜひ、そうした発想の転換をお勧めします。
 最後に、生涯現役社会の実現に向けて荒瀬副市長のお考えをお尋ねし、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 生涯現役社会の実現に向けては、藤本議員の御指摘どおり、市民一人一人が様々な形で社会に参画し活躍できるよう取り組んでいくことは非常に重要であると認識しております。福岡市においては人生100年時代を見据え、健康で自分らしく暮らせる持続可能な社会の実現を目指し、平成29年度に、企業、大学、市民と力を合わせて取り組んでいくプロジェクト、福岡100を立ち上げ、進めているところでございます。高齢者の就業につきましては、高齢者自身の意欲を高め、また、その知識や経験、スキルを社会で生かしていただくことは、生きがいや健康づくり、社会的孤立の防止、健康寿命の延伸につながるとともに、少子・高齢化の進展に伴う社会の担い手不足の解消にも寄与することが期待されます。今後とも、シニア活躍応援プロジェクトをはじめとした様々な取組を通して、高齢者の就業やチャレンジをしっかりと応援してまいります。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、福祉に関する相談や障がい者支援の充実、未来へつなぐ水道事業の推進、災害に備えたマイ・タイムライン作成支援の3項目について質問をいたします。
 初めに、福祉に関する相談や障がい者支援の充実についてです。
 令和4年度の福岡市当初予算の特色のテーマはぬくもりと彩り。困難な環境に置かれる子どもたちへのサポート、障がい者や高齢者など、誰一人取り残さないまちづくりを進めているところです。島市長はDXの取組を積極的に推進し、業務の効率化により生じる人的資源を福祉など人のぬくもりが必要な分野に再配置するなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を進め、デジタルデバイドの解消に取り組んでいくと一貫して議会答弁をされてこられました。
先日、横須賀市より、令和2年12月から本年3月まで実証実験を経て改善が進み、本年5月に本格導入されたAI相談パートナーについて聞いてまいりました。役所の住民相談で音声認識やデータ分析技術等のAIを活用することにより相談員の業務を支援するもので、住民相談の中でも福祉分野を中心に、児童、子育て、生活困窮者、要介護認定などに対応をします。面談相談、電話相談の会話内容をリアルタイムにテキストに変換、AIが相談者への確認が必要な内容とひもづけ、相談中に参考となる情報を会話内容に応じて相談を受ける職員の画面に表示。自治体のパソコンを相互接続する行政専用ネットワークであるLGWANにも対応しており、議事録作成にも利用可能です。
 福岡市の職員の皆さんは、市民から様々な福祉に関する相談を受けると思いますが、例えば、生活保護に関する相談に関して、記録を取り保管するといった一般的な作業の流れはどのようになっているのか、伺います。
 以上で1問目を終わり、以降の質問は発言者席から行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 生活保護に関する相談につきましては、相談者から生活困窮の状況等を聞き取り、その内容を面接記録票にまとめ、管理いたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 相模原市のAI相談パートナーによる福祉に関する相談の業務負担の軽減効果として、言った、言わないなどのトラブル発生が防止され、心理的負担軽減になった、帳票や議事録作成などの業務負担が軽減された、AIによるガイダンス機能があることで、新任者の相談スキルが向上した、現在の知識の補完になり、市民への説明時の手助けになった、ベテランも新人も市のサービスの均一化が図れたなど、相談を受ける職員からはおおむねよい評価だったことで本格導入に至っています。福岡市でも、生活保護に関する相談では、障がい、住宅、子ども施策、介護など、複合的課題も多いかと思います。
 相談を受ける側にとってどのような課題があり、新任者教育はどのように行ってきたのか、お聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 相談を受ける際の課題といたしましては、生活保護では、年金や各種手当の受給など、他法他施策の活用が要件の一つとなっておりますが、制度が複雑で多岐にわたっているため、相談の際に必ずしも十分な助言ができないことがございます。また、新任職員などの教育につきましては、着任後すぐに研修を実施し、生活保護業務に必要な基礎的知識の習得を図るとともに、ベテラン職員の面接に同席するなどして、面談スキルの向上を図っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市での生活保護に関する相談で活用されている生活保護システムは30年以上経過しているとお聞きしており、システム刷新が必要です。
福岡市でも事務の効率化や職員の負担軽減につなげるため、DXをさらに推進し、横須賀市のようなAIを活用した相談支援ツールなどについて検討されてはと考えますが、所見をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 現在、国が社会保障系システムの刷新を進めており、それに合わせて福岡市でも生活保護システムの刷新を予定いたしております。新たなシステムでは、業務軽減に向けたITの導入や業務のオンライン化を予定しており、これに加えて、AIを活用した相談支援ツールを含むDXの推進についても検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) どうぞよろしくお願いします。
 障がい者の方が電車やバスなどの公共交通機関を利用する際には、障害者手帳を提示し、券売機で割引乗車券を購入する必要があり、手続が非常に煩雑であることに加え、周囲の目が気になるなどの利用者の声を聞いております。
 福岡市地下鉄でも、割引乗車券を購入する場合には、乗車のたびに駅係員を呼び出し、手帳を提示し、券売機で購入する必要がありますが、本年7月1日から、小学生以下の障がい児がはやかけんで改札機にタッチして一旦小児普通料金を支払うと、翌月10日に割引料金との差額分がポイントとして付与される仕組みが導入されました。手帳の写しを事前登録すれば毎回提示する必要がなくなり、利便性が向上したと思います。関西圏では、事前申込みにより購入した障がい者用ICカードがあれば、改札機にタッチするだけで乗車できると聞いています。関東圏においても、中学生以上の障がい者用ICカードを今年度後半からの導入が予定されています。
 福岡市地下鉄では現状、中学生以上の障がい者を対象としたICカードはどうなっているのか、また、介護が必要な障がい者本人に同行する介護者を対象とした割引料金が適用されるICカードがあるのか、西鉄やJR九州における、これらの対応状況と併せてお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 重光交通事業管理者。
○交通事業管理者(重光知明) まず、中学生以上の障がい者を対象とする割引ICカードについてでございますが、福岡市地下鉄では、既に割引料金で利用できる割引はやかけんを導入しており、西鉄におきましても同様の割引ICカードが導入されております。なお、JR九州では導入されておりません。
 次に、障がい者に同行する介護者を対象とする割引ICカードについてでございますが、福岡市地下鉄では、同じく、介護者を対象とする割引はやかけんを導入しており、介護者は障がい者に同行するたびに割引料金で利用することができるほか、障がい者が定期を利用する場合には、介護者も同じ区間の割引定期で利用することができることとなっております。西鉄におきましても、介護者を対象とする割引ICカードが導入されておりますが、障がい者が利用する定期と同じ区間の割引定期を利用する場合に限られております。なお、JR九州では導入されておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市地下鉄と同様に、ほかの交通事業者への広がりにも期待しております。
 私は3年前の決算特別委員会質疑で障害者手帳のカード化を求めました。その際、ICTを駆使した障害者手帳のカード化など、障がい者の社会参加は重要との答弁をいただきました。福岡市地下鉄では、大人も子どもも障がい者へのICカード対応がなされており、また、令和3年3月からは、障がい者割引の際に障害者手帳の情報をスマホ画面に表示するミライロIDを障害者手帳の代わりとして認めることになっています。ミライロIDをパネルにいたしました。スマホの画面です。(パネル表示)ミライロIDは、障害者手帳を所有する方を対象にしたスマホを使った障害者手帳アプリです。これを提示すれば、障害者手帳と同様に、本人確認書類として割引乗車券や施設等の利用料を割引料金で利用することができます。身体、精神障害者手帳に加え、今年から療育手帳も対応可能となり、このパネルの中では、障がいの種別としては身体障がい、等級が2級、旅客運賃減額は第1種、マイナポータル連携済みというような情報が分かります。さらには、このアプリの所有者向けの飲食店クーポン特典などもついているということであります。
 福岡市の公共施設のうち、どこの施設がミライロIDの提示に対応しているのか、今後対応する施設をどう拡充していくのか、所見をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) ミライロIDの提示につきましては、現在、博物館や美術館などの文化施設、総合体育館などの体育施設をはじめとして、市の公共施設の9割以上で対応いたしております。今後、対応できる市の公共施設の拡充に向け庁内に対して周知を図り、ミライロIDの利用を働きかけてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ただいまの御答弁では、ミライロIDが利用できないところも一部残っているようです。外出する際に、手帳は忘れることがあってもスマホは忘れにくいと思います。できるだけ早期に、民間事業者も含め、全ての施設で利用できるようにすることを要望しておきます。
 福岡市の福祉タクシー料金助成事業では、一般車タクシーは500円券を最大55枚助成する制度ですが、利用する際、このタクシー券と一緒に障害者手帳の提示が必要です。今後、タクシー事業者とも協議して、ミライロID提示でも可能としてはいかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 福祉タクシーにおけるミライロIDの適用につきましては、現在、国において公共交通事業者に対する障がい者の本人確認の簡素化が進められており、その例としてミライロIDが示されております。福岡市におきましても、福祉タクシー事業者に対して周知を図り、利用を働きかけてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ミライロIDの利用が拡大される中にあっても、神奈川県は昨年10月、身体、精神障害者手帳をこれまでの紙の仕様からプラスチック製のカード形式にしました。紙の手帳では使用するうちにぼろぼろになるためで、横浜市も昨年6月に導入しています。
福岡市は障害者手帳のカード化を検討するのか、またはマイナンバーカードにひもづけるのか、今後の方向性をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 障害者手帳のカード化につきましては、現在の手帳と同等の記載スペースを確保することが課題であり、行政手続の電子化が進められる中、様々な情報を連携させていくことも考慮する必要があります。国におけるマイナンバーカードとの一体化の検討の動向も見ながら、障害者手帳の在り方を総合的に検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) デジタル技術のミライロIDの活用によって、障がい者の利便性の向上を図ることができます。また、横須賀市の事例のように、AI相談パートナーというDXを活用することにより、窓口相談対応をこれまで以上に的確に行うことは、市民サービスの向上を図るだけでなく職員の負担軽減にもつながるなど、DXの可能性は計り知れないものがあると思います。
 この項目の最後に、福岡市においてもさらにDXを推進し、業務効率化によって生じる人的資源を市民相談窓口など、人のぬくもりが必要な分野などに充てていただき、誰もが福岡市に住んでよかったと思えるようなまちづくりを進めるための島市長の御決意を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 今後、人口減少や少子・高齢化が進んでいく中で、多様化する市民ニーズに丁寧に対応して、よりきめ細かな行政サービスを提供していくため、飛躍的に進化するデジタル技術が果たす役割は非常に大きいと考えています。福岡市では現在、行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化などのDXの取組を進めており、オンライン申請利用者が増加するなど、成果を上げてきたところでございます。今後とも、DXの取組を積極的に推進し、市民の利便性の向上に加え、業務の効率性、生産性を高め、それによって生じた人的資源を人のぬくもりが必要な分野に配置するなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を進め、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ありがとうございます。
 次に、未来へつなぐ水道事業の推進についてです。
 1923年、大正12年、曲渕ダムや平尾浄水場(現福岡市植物園)などの一連の施設が完成し、給水が開始された福岡市の水道が始まって来年3月で100周年。その間、昭和53年、平成6年と2度にわたる大渇水を経験するなど、数多くの困難を乗り越えてきた先人や市民の皆様の努力に対して、心から感謝とお礼を申し上げたいと思います。いついかなる場合でも、安全でおいしい水道水を供給するという水道事業者の使命を果たし続け、さらに100年後の福岡市でも、安全でおいしい水道水を蛇口まで送り続けるため、これからも多くの課題に挑戦し、たゆまぬ努力と工夫で福岡市民の生活と都市の成長を支えていくとの水道事業者としての熱い思いも伺いました。
 これまでの100年の主な歩みを振り返るとともに、この機会に、福岡市水道事業が他都市に比べ優れている点などについてお聞かせください。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 福岡市におきましては、政令指定都市で唯一、市域内に1級河川を有していないなど地形的に水資源に恵まれていないことから、福岡市が使用している水のおよそ3分の1を頼っております筑後川からの導水をはじめ、渇水対策容量を持つ五ケ山ダムや海水淡水化施設の建設など、水資源確保のため、他都市では例のない19回にも及ぶ拡張事業を重ねてまいりました。この間、昭和53年と平成6年に2度の異常渇水を経験した福岡市は、限りある水資源の有効利用に積極的に取り組み、平成15年には、全国に先駆けて福岡市節水推進条例を施行するなど、節水型都市づくりを、市民、事業者、行政が一体となって進めてきたところであります。この結果、節水を心がけている市民の割合は9割を超え、家庭で使う1人当たりの水の使用料は、大都市の中で最も少ない水準となっており、また、世界トップの低い漏水率を達成しております。今後とも、先人たちが今日まで築き上げてきた成果を生かしつつ、環境の変化や様々な課題にもしなやかに対応することができる、市民の皆様から信頼される水道であり続けることが重要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 今回の質問では、福岡市の水道のこれからの、次のステップに向けて幾つか提案をさせていただきたいと思います。
 全国各都市では、水道スマートメーターの設置が始まっています。この水道スマートメーターとは、現在使用している水道メーターと何が違うのか、基本的な仕組みについて伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 現在使用しております水道メーターは、2か月に1度、各営業所の検針員が現地の水道メーターの使用水量を目視で確認するものでございます。一方、水道スマートメーターは、無線通信機能を有し、各家庭などの使用水量をデジタルデータでシステムに通信するもので、1日当たりや1時間当たりの使用水量が遠隔で自動的に把握できるとともに、漏水や蛇口の閉め忘れ等の異常水量を使用者のスマートフォン等に知らせるアラーム通知機能等も有するものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 東京都は、世界でデジタル化が加速する中、事業運営の仕組みを抜本的に見直し、アナログからデジタルに転換するDXが求められており、スマートメーターは通信機能を備えた水道メーターとして、自動検針だけでなく、新しいお客様サービスや水道事業を実現するための新たなビジネスモデルと位置づけています。令和3年4月に水道スマートメータトライアルプロジェクト推進プランの策定後、令和6年度までに13万戸を導入、2030年代までに全戸導入を目指しています。通信手段は携帯電話電波のセルラー系を利用します。また、豊橋市でも、令和元年10月に国の水道事業におけるIoT活用推進モデル事業1期目に採択され、水道スマートメーターの設置を開始しました。令和3年4月には2期目の採択をされ、令和7年度までに大規模開発地であるミラまち、公共施設、小規模配水区、市営住宅で合計1,114件設置する計画です。令和元年から令和7年まで5,900万円の事業計画で、厚労省の補助金としてイニシャルコストに係る費用の3分の1、1,600万円が交付されます。このイニシャルコストの内訳は、メーター本体、通信端末本体、有線結線費用、メーター取替え、水使用量が見えるサービスのウェブ構築が含まれます。令和7年度までに、技術面、利活用面、コスト面などの検証と問題解決を図り、その後、全戸展開する方針です。豊橋市の導入経緯は、もともと市が導入を検討していたところ、工場跡地で大規模開発による住宅分譲計画が進み、中部電力からスマートメーター事業を協働したいとの話があったこと、国がIoTを活用した事業に補助金を出すメニューを創設したことで、水道、電気、ガスの共同自動検針の検証を実施するために補助申請し採択され、水道、電力に加え、ガス会社も電力事業者の通信ネットワークを採用し、水道、電気、ガスによる全国初の共同自動検針を実現させました。さらに、大阪市水道局がNTT西日本と協働し、令和3年5月、大阪市域における水道スマートメーター全戸導入に向けた共同研究の協定を締結、2030年代の全戸導入を目指す取組を発表したほか、全国でも多くの自治体が検討を始めています。
 福岡市としてはこれまで、水道スマートメーターの設置に関してどのような議論がされてきたのか、お聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 水道局におきましては、令和元年9月に局内プロジェクトチームを立ち上げ、水道スマートメーターの活用の在り方や今後の実証実験の進め方などについて研究、検討を進めております。また、東京都や主に政令市の水道事業者で構成する水道ICT情報連絡会にメンバーとして参画し、水道スマートメーターを含む新技術について他都市の取組状況やメーカーの動向把握などの研究を併せて進めているところでございます。さらには、水道スマートメーターの通信性能の確認や検針業務に係る課題の解決等に資するため、これまでに、西区田尻地区において通信性能に係る実証実験を行うとともに、現在、中洲地区の検針困難箇所への試験導入を実施中でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 水道DXとも言われる水道スマートメーター設置は、水道事業が抱える課題の解消、例えば、2か月に1回現地に出向きメーター量を確認する検針員不足の対策、自動検針であるため誤検針の防止や敷地内に入らなくて済むことから、例えば、検針時にいつもメーターボックス上に車が駐車されているなど検針ができない場合の対策、宅内漏水や蛇口の閉め忘れなどの早期発見、日ごと、時間ごとの使用料等のグラフ化、見える化、水の不使用等をアプリで異変の通知をする見守り機能などのお客様サービスの向上、検針票や請求書を電子配信するペーパーレスなど、業務の効率化を進め、水道事業運営の効率化を図り、データ活用によるエネルギー効率化や環境負荷低減など、SDGsに貢献し、スマートシティの実現に寄与するものです。一方では、設置に関して解決しなければならない課題が多いのも事実です。メーター本体や通信端末などのコスト面の課題、設置箇所の防水性能の確保、メーターボックスの蓋が鋳物製か鉄製か、薄いか厚いかによっての通信速度の違い、国でも延長を検討中ですが、計量法による8年ごとの更新の経費などです。それでもなおかつ各都市は設置に向けたかじを切り始め、既に、東京都、大阪市、横浜市は3都市会議でスマートメーター使用の共通化でのコスト削減や普及戦略を共同する検討を開始しています。
 東京都や大阪市では全戸導入に向け動き始めており、福岡市でも水道スマートメーターの導入について、より一層の取組を推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 水道局におきましては、令和3年3月に策定いたしました第2次福岡市水道中期経営計画において、水道ICTの積極的な推進を掲げ、事業運営のあらゆる分野において戦略的なICT技術の活用について検討を進めているところでございます。水道スマートメーターにつきましては、様々な導入効果が期待されるとともに、将来、水道事業が直面する課題や新たな社会的価値の創出などを考えますと、福岡市においても、将来的には全市的に導入を図っていく必要があると考えております。一方で、導入に当たっては、現在使用しているメーターと水道スマートメーターの価格差が10倍から15倍と大きいことから、メーター価格や新たに発生する通信料の低廉化が必要でございます。また、エリア環境に適合した通信方式の確認や情報セキュリティー対策の検討なども進める必要があると考えております。引き続き、水道ICT情報連絡会を通じた研究や必要な実証実験をさらに積み重ねながら、技術的な課題等の解決を図るとともに、財政収支計画への位置づけや配水調整システムなどとの連携に関する検討を進めるなど、水道スマートメーターの活用の在り方等について、さらに検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市でも課題はあるものの、将来的に全市的に導入を図る必要があるとの答弁をいただきました。早期の導入に期待いたします。
 次に、水道の漏水対策について伺ってまいります。
 福岡市の浄水場から家庭などへ配水される水量のうち、水道管から漏れて届かない水量の割合である漏水率は令和2年度で2.0%、政令市と東京都を合わせた21都市の中でも第1位の漏水率の低さを誇り、世界一とも言われています。これは福岡市民にとっても大変喜ばしく、水も漏らさぬ技術が誇りの福岡の水道と言われているように、水道事業者のこれまでの100年の努力に敬意を表したいと思います。
 そこで、改めて福岡市の排水管延長は何キロか、その膨大な延長を抱えながら、漏水率の低さが近年、全国また世界トップなのか、福岡市の取組について説明ください。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 福岡市の配水管の総延長につきましては、令和3年度末時点で約4,055キロメートルでございます。福岡市が世界一低い漏水率を維持できている要因といたしましては、管路の実質的な耐用年数を踏まえた計画的な配水管の更新や昭和53年の渇水を契機に導入した福岡市独自の配水調整システムを用いて、水管理センターにおいて365日24時間体制で行っている水圧調整による漏水量の抑制、さらには、過去の漏水実績や布設年度などのデータを踏まえた漏水防止調査計画に基づく年間9,660キロメートルに及ぶ漏水調査の実施などの相乗効果により、極めて低い漏水率を達成できているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市での漏水調査は、音聴調査や相関式漏水調査などがあると聞いております。具体的にどのような方法の調査なのか、他都市よりも優れている技術面にはどういうものがあるのか、お聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 現在、福岡市が実施している配水管や給水管などからの漏水を調査する方法といたしましては、音聴調査と相関式漏水調査の2種類がございます。音聴調査につきましては、調査員が道路上で音聴棒や漏水探知機を用い、漏水音を聞いて漏水を発見するものでございます。また、相関式漏水調査につきましては、鉄道や幹線道路下に埋設された漏水音を直接聞き取ることが困難な箇所において、消火栓などに設置するセンサーにより、漏水による振動を探知するものでございます。
 福岡市では、国が新たな水源開発の困難性や貴重な水資源の有効利用等の観点から、漏水防止対策のより一層の強化を全国に要請した昭和51年より遡ること20年前の昭和31年より漏水防止調査計画を策定し、小ブロック単位のエリアに分けて、きめ細かな漏水調査を開始するなど、水道局や地場企業に漏水調査に係る優れた知見や技術の蓄積が図られており、そのことが精度の高い漏水調査につながり、世界トップの低い漏水率という成果となって現れているものと考えております。
 すみません、1つ前の御質問で訂正がございます。給水管の漏水防止調査計画に基づく年間のキロ数を2,960キロと言うべきところを9,960キロと答えたようでございます。訂正しておわび申し上げます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 豊田市では、令和2年8月、国内で初めて宇宙航空研究開発機構、JAXAの衛星だいち2号が撮影した画像とAIを解析することで漏水箇所を発見する調査を実施。衛星からマイクロ波を放射、マイクロ波が湿った地下で反射するため、収集データを画像に登録。水道水は非水道水とは異なる反射特性を持つため、反射特性を解析し、漏水可能性区域を抽出、直径200メートルで漏水場所の推定が可能になりました。私も豊田市からこの説明を聞いて、ちょっと初めは分かりにくかったので、パネルにいたしました。(パネル表示)人工衛星から地中に放射されたマイクロ波は、水道管などが通っている地下2メートル程度まで浸透します。その地中の水分の中には下水や海水、汚染水などいろいろとありますが、水道水には塩素が含まれているほか、元来、この水道水が持つ炭酸マグネシウムや炭酸カルシウムなどの塩基成分の値で水道水かどうかを判別できるものです。そのため、水道水が地中で水道管から漏水をしている場合には、マイクロ波が違った反応で衛星のほうに戻るような状態になります。通常、漏れがない場合にはマイクロ波はそのまま同じような波長で返るんですが、地中で水道水が漏れているということを発見できるというような仕組みのものでございます。効果として、調査期間が従来方式で5年間かかっていたが、調査が7か月間に短縮、調査費用は数千万円が数百万円に削減、漏水発見箇所数は、令和2年度に調査延長80キロで69件だったのに対し、令和3年の今回調査では調査延長2,217キロで259件発見に至っています。今後、岐阜市などの他の自治体でも導入されます。
 福岡市は漏水率の低さは世界トップであり、次の100年もこれを継続していくために、人工衛星画像やAIなどの新技術を最大に活用するなど、引き続き世界トップの低い漏水率の維持を目指してほしいと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 福岡市におきましては、生産年齢人口の減少や施設の老朽化に伴う更新費用の増大など、水道事業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中にあっても、低い漏水率を維持するための新たな取組として、令和3年度からIoTセンサーを活用した水道管漏水調査の実証実験を実施するとともに、令和4年度からは、AIを活用した水道管劣化予測の実証実験に取り組んでいるところでございます。また、人工衛星画像を活用した漏水調査につきましても、他の自治体における活用状況の調査や企業ヒアリング等により、効果や課題等を検証し、福岡市域における採用可能性について検討していくこととしております。今後とも、漏水防止に向けたこれまでの取組をしっかりと行うとともに、新しい技術の活用などを進めながら、より効率的かつ効果的な漏水防止施策の実施に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、福岡市の2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを目指した脱炭素社会の実現へのチャレンジに対する水道事業者としての貢献についてです。
 福岡市では、乙金浄水場、瑞梅寺浄水場、曲渕ダムでの小水力発電などにより、CO排出量削減に向けた取組を推進しています。その概要や貢献度について、また、ほかにはどのような取組で貢献しているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 水道局におきましては、自然環境の恩恵を享受して事業を営む者の責務として、省エネルギー対策や再生可能エネルギーの利用などによる環境負荷の低減に取り組む必要があると考えており、ダムから浄水場までの導水や浄水場から各家庭への配水などを整備するに当たっては、地理的な高低差を活用した施設整備を行っております。ダムから浄水場へ自然流下で水を送る際に生じる高低差のエネルギーを利用する小水力発電設備につきましては、乙金浄水場、瑞梅寺浄水場、曲渕ダムの3か所に導入しており、年間発電量は、令和3年度実績で約115万キロワットアワーでございます。また、太陽光発電設備につきましては、夫婦石浄水場と水道局本庁舎の2か所に設置しており、年間発電量は、令和3年度実績で約8万キロワットアワーとなっており、小水力発電と太陽光発電を合わせて、一般家庭換算で約360世帯分の電力を発電しております。さらには、令和4年度から福岡市役所では初めてデマンドレスポンスを開始するとともに、電気自動車の導入拡大やマイボトルの利用促進によるプラスチックごみの削減を図る給水スポットの設置拡大などを進めているところであります。今後とも、再生可能エネルギー由来電力への切替えを進めるなど、水道事業者としてCO排出量の削減にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 近年、ダイキン工業の子会社であるDK-Powerは、日本国内には浄水場や配水池などの水道施設が2万7,000か所あり、水力発電は天候に関わらず水が安定的に流れていれば24時間発電できることから、これまで使われていなかったエネルギーを活用して発電する取組を自治体の水道事業者とともに拡大しています。設置工事や発電システムの運用、保守に関するコストは全てDK-Powerが負担、発電した電気を売電して自治体に対して売電収入を還元するとともに、土地代としての固定資産税や水の使用料を支払う仕組みです。一例を御紹介しますと、東大阪市では水走配水場で令和3年4月から出力75キロワットの発電を開始。上流の浄水場から高低落差で水流を利用して水車を回す方式で、年間発電量は一般家庭164世帯分の490メガワットアワー、設置する際の市の負担はゼロ、今後20年間、売電収入の一部である年140万円が市に還元されるとともに、設備の固定資産税も受け取れるというものです。この取組は、神戸市、広島市など、全国の多くの自治体が採用に至っています。
 発電量は決して大きいとは言えませんが、福岡市水道局としても、福岡市関連施設などで、福岡市の大きな目標である2040年度カーボンゼロに貢献するために、さらなる導入を検討してはと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 水道局におきましては、脱炭素社会の実現に向け、さらなる再生可能エネルギーの導入に向けた取組を進める必要があると考えております。小水力発電設備につきましては、設置可能な箇所への導入は完了し、水道長期ビジョン2028で掲げた施策目標は達成しているところですが、今後は、より小規模なマイクロ水力発電設備の導入を進める必要があると考えており、御提案いただきました官民連携スキームも視野に入れながら、導入に向け、しっかりと検討を進めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) しっかりと検討を進めるとの答弁をいただき、期待しております。
 島市長の令和4年度市政運営方針では、脱炭素社会の実現に向けて市有施設における再生可能エネルギーへの切替えを表明されています。先ほどの答弁にもありましたが、福岡市関連の水道施設で使用される電力の全てが、早期に再エネ由来電力となるよう、よろしくお願いいたします。
 この項目の最後に、福岡市水道が3月に100周年を迎えるに当たって、また次の100年に向けての水道事業管理者の決意を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 坂本水道事業管理者。
○水道事業管理者(坂本秀和) 高木議員御指摘のとおり、福岡市の水道事業は、これまで幾多の困難を乗り越えてきた先人たちのたゆまぬ努力と、多くの関係者の方々の多大なる御支援と御協力があって、これまで100年の長きにわたり、市民生活と都市の成長を支える重要なライフラインとして、その使命を果たしてまいりました。ポストコロナの新しい時代が始まり、ウエルビーイングなど新しい価値観が生まれ、少子・高齢化や災害の激甚化、頻発化がますます顕著となるなど、水道事業を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、今後とも、施設の強靱化をはじめ、水道ICTの推進や脱炭素社会の実現に取り組むとともに、市民満足度を高めていくための施策など、ハードとソフトの両面から、たくましくしなやかに取組を進めていく必要があると考えております。市民の貴重な財産である水道事業を次の世代に健全な形で確実に引き継いでいくため、そして、これからの100年も安全で良質な水道水を安定供給していくという変わることのない使命を果たすべく、持続可能な水道事業の構築に向けて全力でチャレンジしてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) どうもありがとうございます。
 次に、災害に備えたマイ・タイムライン作成支援についてです。
 今回の台風11号は、福岡市においても高齢者等避難が発出され、避難所を開設、公共交通機関も運休になるなど、大きな影響が出ました。今年は、東北や北陸を中心とした線状降水帯発生による豪雨水害をはじめ、多くの地域で災害が発生しています。災害は、いつ、どこで、いかなる災害が発生するのかを正確に予測することは困難であり、さらなる災害対策の強化についてお聞きしてまいります。近年の異常気象とも言われる線状降水帯予測や豪雨災害などに対応するため、自治体と気象庁退職者や研修を受けた気象予報士などに気象庁が委嘱する気象防災アドバイザーとの連携が進んでおり、今年7月現在、110名、20自治体が活用しています。自治体への気象防災アドバイザー活用については、我が公明党の山口代表がかねてから提案し、今年の参議院代表質問等でも重ねて主張してきました。
 福岡市でも、この気象台との連携や気象防災アドバイザーの活用を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 気象防災アドバイザーにつきましては、福岡市での活用実績はございませんが、福岡管区気象台とは、適宜、気象情報等に関する勉強会や情報交換会を実施するなど、日頃からの関係づくりを進めており、大雨や台風等の際にも、気象状況の見通し等について気象台にホットラインで確認するなど、密に連携を図りながら災害に対応しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市では気象防災アドバイザーの活用実績は現在ないという御答弁でしたが、今後前向きな検討をお願いしておきます。
 私は、令和3年6月議会で避難対策の強化について質問し、マイ・タイムラインの作成を推進するため、作成手順の方法などを周知すべきと提案してきました。
現状のマイ・タイムライン作成を促す取組方法など、コロナ禍のため、思うような地域活動もできない状況ではありましたが、市民の皆様の作成状況はどの程度なのか、伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) マイ・タイムラインにつきましては、梅雨入り直前の市政だよりに特集記事を掲載しております。また、様式や作成例などのパンフレットを作成し、市ホームページに掲載するほか、防災フェアなどの啓発イベントでの紹介や、情報プラザ、区役所窓口で配布しております。さらに、防災メールや市LINE公式アカウントなどを活用し、広く作成を促すとともに、出前講座でも直接、作成の支援を行っております。
 なお、市民の作成状況の把握はしておりませんが、より多くの方に作成いただけるよう、今後とも積極的な周知、啓発に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 作成状況は把握していないとの答弁でした。コロナ禍でもあり理解しますが、相模原市など、児童生徒に学校の授業でマイ・タイムライン作成を実施している自治体もあります。
福岡市では、学校の授業でマイ・タイムライン作成を行ったことがあるのか、児童生徒への授業での啓発は重要と考えますが、所見をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 学校における防災学習につきましては、小学3年生から中学2年生まで、学年ごとに自然災害や防災について学ぶ授業が実施されているほか、総合学習の一環として防災をテーマにマイ・タイムラインを活用した学校もあると伺っております。また、防災教育推進に向けた教職員研修の中でマイ・タイムラインの紹介も行っており、今後とも、授業への活用が進むよう教育委員会と連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) さらに、他自治体では、ハザードマップにマイ・タイムラインを書き込めるガイドブックを作成できるようにすることや、地域や町内会対象の出前講座などでの作成支援、ユーチューブなど動画での作成講座、市職員や要配慮者利用施設の職員対象の作成講座など、工夫した作成を推進しています。このような動画での作成講座など、工夫を凝らした作成支援がさらに必要と考えますが、所見をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市におきましては、先ほど御答弁しましたとおり、様々な媒体を用いてマイ・タイムラインの作成支援を行っております。今後とも、より多くの方にマイ・タイムラインを作成していただけるよう、他都市の取組なども参考にしながら、さらなる作成支援について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 東京都では、マイ・タイムラインを全ての都立、私立学校の低学年用、高学年用、中学生、高校生別にしたものを毎年配付しています。しかしながら、児童生徒がそれを持って帰らないケースや若い人が作成することは難しい側面もあると捉えていたことから、スマホやタブレットなどで作成できるアプリ版マイ・タイムラインを、本年4月に作成しました。
紙ベースのタイムラインは、若者世代などでは作成に至りにくいことがあるため、常に身近にあるスマホやタブレット端末で作成できる仕組みが必要ではと考えますが、所見をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スマートフォンなどのデジタル技術を活用したマイ・タイムラインの作成につきましては、既に導入している他都市の取組なども参考にし、検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) アプリ版東京マイ・タイムラインの便利な機能として、作成時には、自宅のリスクを簡単に確認できる、水害リスクマップと連携しており、選択した地点の河川氾濫や土砂災害などの想定される水害リスクを視覚的に表示できる、河川の氾濫や土砂災害などを疑似体験できるVR動画も視聴可能です。また、チャットボット機能によるらくらくナビゲートで質問に答えながら手軽にマイ・タイムラインを作成でき、適切な避難タイミングが提示されます。災害発生時には大雨警報などの気象情報がプッシュ通知され、マイ・タイムラインの確認画面へ誘導されるため、適切な避難行動を容易に確認でき、作成したマイ・タイムラインに沿って、自分や家族が取るべき行動をチェックできます。台風、長引く大雨、短時間の急激な豪雨という3種類の災害ごとの避難行動計画の作成が可能で、自宅の位置や家族構成、避難場所、災害時要支援者対応も盛り込まれています。避難先を自宅外か在宅かを判断する際、チャットボットの質問に答える形で、自宅が浸水エリアにあっても、土砂災害のリスクはないか、浸水水位より高いところに住んでいるかなどの条件を示しながら、在宅での避難を促すこともあるそうです。水害リスクの見える化として、洪水や高潮などの災害を選択すると、人の身長や建物の高さに合わせ、どの程度浸水するのかイラストで表示されるなど、河川氾濫、高潮、土砂災害を想定したVR、仮想現実で疑似体験できます。
 福岡市でも、これら多くの機能を盛り込み、スマホなどを利用して作成、活用ができるマイ・タイムラインについて検討してはどうかと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市におきましては、市民の皆様に、防災アプリ、ツナガルプラスを利用していただいており、災害時には最寄りの避難所を表示するとともに、市からの物資支援に関するお知らせをプッシュ通知するなどの機能を有しております。議員御提案の先行事例については、身近なスマートフォンを活用することで手軽にマイ・タイムラインを作成できるなど、防災推進に有効なアプリであると考えており、今後、ツナガルプラスの改修に際し、機能の追加について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 多くの人が常に持ち歩くスマホなどでの活用をよろしくお願いしておきます。
 今、避難スイッチを決めておく取組も進んできました。災害が発生しそうなときに、避難かどうかを判断する基準となる情報で、避難スイッチとして設定した避難指示や気象情報、ライブカメラや目視での河川などの水位情報に達した段階で避難を開始するものです。
 マイ・タイムライン作成を通して、この避難スイッチについても普及啓発してはいかがでしょうか、所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難情報につきましては、市民の皆様が適切な避難行動が取れるよう、市ホームページへの掲載や防災メールでの配信のほか、テレビやラジオ等も活用し、広く周知を行っているところでございます。また、防災気象情報サイトにおいて、気象情報や雨量並びに河川の水位情報なども提供しており、マイ・タイムラインの作成に当たりましては、これらの情報を生かし、適切なタイミングでの避難行動につながるよう、啓発に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 最後に、マイ・タイムライン作成のさらなる推進で、災害から福岡市民を守り抜くための島市長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、毎年のように全国各地で大規模な自然災害が続いており、高木議員御指摘のとおり、行政が適切なタイミングで避難情報等を発信することや、市民が常日頃から災害に備え必要な準備を行い、危険が迫ったときには適切な避難行動を取っていただくことが大変重要であるというふうに考えています。マイ・タイムラインの作成支援につきましては、引き続き市政だよりやホームページ、出前講座などで普及啓発に取り組むとともに、デジタル化についても検討を進めてまいります。今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指し、取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) この際休憩し、午後4時15分に再開いたします。
午後4時3分 休憩  
午後4時15分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。
 この際、あらかじめ時間を延長いたします。飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康)登壇 私は自民党新福岡を代表して、新型コロナウイルス感染症対策に係る情報発信、ICT活用について質問させていただきます。
 現在、福岡市では、保健、医療、福祉、学校や教育、子どもの育成、地域活動、文化、スポーツ、環境、ごみ対策、災害対策、地域経済の発展など、様々な取組を行っております。市民の皆様には、例えば、住民票を発行するサービスを利用していただいたり、ごみの分別など福岡市民が知っておくべき事項を伝えたり、あるいは人権の尊重など市民に理解していただく事項もあるため、福岡市は職員や予算などを活用しながら、多種多様な広報と啓発業務を行っているところであります。しかしながら、職員も予算も市が持っている施設などの財産も無尽蔵にあるわけではなく、限りというものがあります。その中でいろいろと工夫しながら、これらの業務を日々実施していく必要をこれまで機会を捉えて申し上げてまいりました。近年において、国政、国全体としてもそうですし、市政への影響が最も大きかったのが令和2年当初から始まった新型コロナウイルス感染症への対策ではないかと、そのように考えております。
 福岡市では、令和2年当初に初めて感染者が確認された新型コロナウイルス感染症について、これまでワクチン接種や感染者、濃厚接触者などの行動制限、一人一人の基本的感染対策など、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に様々な取組を行ってきておりますが、感染拡大と収縮を繰り返し、いまだに収まる気配がありません。現在のオミクロン株は全国的にも6月下旬から増加傾向に転じ、7月に急増したことから、地域の医療機関や保健所が逼迫するとともに、熱などの症状がある市民からの救急車による救急搬送が非常に多くなっているとお聞きいたしております。
 そこで、まずお尋ねいたしますが、報道によりますと、コロナ第7波では、救急患者の受入先がすぐに決まらない救急搬送困難事案が全国に増えたということを言っておりました。コロナ事案も含め、福岡市の状況はどうなっているのか、お尋ねをさせていただきます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 救急搬送困難事案などの救急出動の状況につきましては、本市も全国と同様の逼迫した状況にございました。現在は減少傾向にあるものの、7月25日から7月31日までの1週間当たりの救急搬送困難事案は217件、コロナ事案も631件と、いずれも過去最高の件数となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) コロナ事案も過去最高の件数となったということでありますが、第7波のコロナ事案における特色についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 過去の状況と比較いたしますと、第7波では、軽症や搬送に至らなかった事案が多いことがその特色として挙げられます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 救急要請をしたものの、実際には救急搬送されなかった事案が多いということでありますが、搬送されなかった理由はどのようなものがあるのか、また、その割合はどれくらいあるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 救急要請をしたものの、実際は救急搬送されなかった事案が多い理由といたしましては、発熱や喉の痛みなどで不安になり、一旦は救急要請したものの、救急隊が到着したことで本人やその御家族が安心され、自宅で様子を見ることとなり、搬送に至らなかった例などがございます。また、こうした事案はコロナに関する救急出動のおおむね3割程度を占めております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 救急車を呼んで待っている間に症状が回復された事例もあるということですが、もしかしたら、最初から救急搬送の必要性がなかったものが中にはあるかもしれません。先ほど伺ったお答えで、最大値ということではあるんですが、コロナ事案として1週間で631件ありましたので、その3割が搬送されなかった事案と仮定をいたしますと、約190件程度になると思います。救急搬送の必要性について、正しい情報を事前に市民が得ることによって、救急要請の件数自体を減らせる可能性があるのではないかと私は思っております。
 いずれにしても大変な状況であり、当局の持つリソースも限界に近いところだと私は感じておりますが、こうした状況に消防局としてどのように対応されているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 消防局としましては、救急隊員に加え、消防隊員からも応援を行い、通常の救急車32台に加え、非常用救急車4台、計36台の救急車をフル稼働させるとともに、救急隊に配備したタブレット端末でリアルタイムに病院情報を共有し、迅速な病院選定につなげるなど、消防局職員総動員で対応しております。また、福岡県、医師会、搬送医療機関をはじめ、本市の保健医療局などと毎日詳細に情報を共有し、受入れ体制の拡充を図るなど、さらなる連携の強化に努めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 第7波の難局を乗り越えるためには、消防局の頑張りだけではなく、市民の協力も必要だと私は考えております。市民への啓発活動は行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) 市民への啓発につきましては、市のホームページやフェイスブック、報道などのパブリシティーを通じ、逼迫した救急搬送の現状を発信するとともに、保健医療局と連携し、医療機関に直接相談したい方や症状に不安がある方のための相談窓口であるコロナ相談ダイヤルを周知するなど、市民への啓発活動を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) ホームページなどを通じた広報では、必要な情報が市民に十分に届かない可能性もあります。今後は、市が市民に対し情報を積極的に発信する意味でも、LINEなどを活用したプッシュ型の広報を行う必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 内村消防局長。
○消防局長(内村弘文) プッシュ型の広報につきましては、市民に対し安心情報を提供する観点から、これまでもメールやLINEにより、火災や事故など、今何が起こり、消防隊がどこへ出動しているのかなどの情報は発信しておりました。今後はさらに、市民への積極的な情報発信のツールとして、逼迫した救急搬送の状況や救急車の適正利用への協力要請等についても、LINEなどを活用し、プッシュ型できめ細かく広報してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 救急搬送だけでなく、新型コロナウイルス感染症に不安を持つ市民が発熱し、急患診療センターに殺到したというお話も伺いました。特に夜間や休日には、急患診療センター受診に患者が殺到し、待ち時間が長時間に及んだとのことでしたが、どのような状況だったんでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 急患診療センターにつきましては、夜間や休日における救急患者の診療を行うために設置しているものでありますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、7月以降、同センターの受診者も昨年同時期に比べ増加をしております。特に7月の3連休につきましては、いわゆる第7波による急激な感染拡大と時期が重なったことなどから、想定を上回る受診者の急増につながり、時間帯によっては、会計処理も含め待ち時間が6時間程度となるなど、大きな混雑が生じてしまったものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 待ち時間が6時間程度となった事案もあるということですが、体調が悪い中、急患診療センターで長時間診療を待つことは、具合が悪い患者さんにとっても大変苦しいことだと思います。待ち時間解消に向け、どのような対策を講じられたのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 急患診療センターの状況を踏まえ、指定管理者である福岡市医師会と協議を行い、同センターで診療に従事する医師、看護師などを増員しますとともに、発熱以外の患者の診療を行っている各区の急患診療所の診療体制を再編し、医療従事者を同センターに集約するなど、発熱患者に対する診療体制の強化を図っております。また、子どもや症状の重い患者を優先的に診療するトリアージ体制の強化を図り、さらに、電話による問合せ等に従事する人員の配置や、会計事務及び駐車場誘導員を増員するなど、混雑解消に向けた対策を行い、待ち時間についても改善をしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 急患診療センターの待ち時間を解消するためには、診療体制の強化だけでなく、市民に急患診療の状況を正しく伝えるなどにより、市民の理解、協力を得る努力も必要であると考えますが、市民への啓発活動は行っているのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 市民への啓発につきましては、急患診療センターの混雑を緩和し、症状の重い方へ適切な医療を早く提供するため、比較的症状の軽い方については、次の平日にかかりつけ医を受診していただくなど、適正受診について市ホームページやメディアを通じてお知らせをしているところでございます。また、新型コロナウイルス感染症の相談ダイヤルに診療の御相談をいただいた方や自宅療養中の方に対しても、電話やショートメッセージにより同様の案内を行うなど、適正受診のお願いをいたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 救急搬送や急患診療の急増に対し、職員や医療従事者の皆さんが土曜、日曜、祝日にかかわらず頑張っておられていると思います。その一方で、市民に今の状況を伝え、市民と情報共有することで、今の状況を聞いた市民が、例えばですが、その話をお友達などに話したり、それが広がっていったり、それを聞いた市民が一人でも、自分も症状が出たときは、救急車の要請や急患診療を受ける前に冷静な判断ができたかもしれませんし、気をつけなければと思っていただけることもあるかと思います。そうすることで、職員の業務が減り、より重篤で生命の危機に瀕する、真に助けなければいけない、もしくはより危険度が高い、そういう市民が助かりやすくなるようになるのではないかというふうにも考えております。
 また、情報を伝える方法は、これまでのように市政だよりやチラシ、ホームページだけでなく、いわゆるプッシュ型情報発信という機能があるLINEなどのSNSが、もう既に福岡市には備わっています。この機能は、ホームページのように情報を知りたい人がインターネット検索すれば情報を見つけることができるのではなく、SNSを閲覧している人を対象に、例えばですが、若年層といった市民の中で知ってほしい層、人に、自動的に伝えたい情報を閲覧している画面に表示できる機能で、市政だよりやチラシと比べ、お金も時間も手間もかからず、とても便利なものだと思っております。こういった機能をもっと福岡市でも活用すべきではないでしょうか。
 救急搬送や急患診療の急増の要因となっている新型コロナウイルス感染症対策についてですが、福岡市の対策についてホームページを見ると、ワクチンに関する情報や、市民向けの情報、事業者向けの情報、福岡市での発生状況など、様々な情報が掲載されております。市民向けの情報を見てみますと、新型コロナウイルス感染症に関する説明や、3つの密の回避、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生、換気などの基本的な感染対策のほか、陽性が疑われる場合や陽性と判明した場合の対処方法が掲載されております。情報が詳しく、ホームページを見ればいろんなことを知ることができます。
しかし、ホームページはどちらかというと、情報を見たい人がインターネット検索で見つけ出すような使い方が多いのではないかと私は思っています。新型コロナウイルス感染症対策は、一人一人の基本的感染対策や、陽性が判明した方やその御家族に一定の期間の自宅療養、または自宅待機を求めるなど、市民へのお願いも多く、このようなお願いはしっかりと伝えていく必要があるのではないでしょうか。多くの人が毎日新型コロナ陽性と診断されているわけなので、その方たちにしっかりと情報を届ける必要性を感じております。
 これは私の知人の方から聞いた話ということになりますが、先日コロナウイルス感染の疑いがあり、病院を受診しようとしたそうです。かかりつけ医に電話されたそうですが、最初にかけた病院は、コロナウイルス感染症疑いの場合は診療できませんと言われ、2つ目のかかりつけ医に電話し、受診することができたということでした。自動車で病院に自ら行ったそうですが、到着するとスタッフの方から、車の中で待っててくださいと言われたと。そして、この後どうなるんだろうということで車の中でじっと待っていたということでした。その後、車に乗ったまま検査をし、いわゆるドクター、病院の先生から直接関わっていくような問診、そういったものもいわゆる電話なりということで、状況を聞いて話をして、そこで終わるというやり取りがあったというふうに聞いています。
 ここで私が疑問に感じたのは2つあります。1つ目は、コロナウイルス感染症疑いのため、検査が受けられる医療機関が分からなかったということであります。
そこで、新型コロナウイルス感染が疑われる方を検査する医療機関が市内に幾つあるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 福岡市内で保険適用による検査が実施可能な医療機関につきましては、令和4年8月末時点で777機関となっております。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 検査が受けられる医療機関はそれなりにあるようですが、これはどのように知ることができるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 検査ができる医療機関につきましては、事前に公表の同意を得た医療機関について、市ホームページや相談ダイヤルで案内をしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) ホームページに掲載しているとのことでありますが、実際に熱やせきなどの症状が出たときというのは、当然ながら、その御本人は具合が悪い、検査する気力もなくなると私は思います。また、同意が得られない医療機関は分からないという状況にもなるのではないかと疑問も感じてしまいます。
 私が知人のエピソードで疑問に感じた2つ目は、新型コロナウイルス感染症疑いで病院に行ったとき、どのようなことをされるのか、診察の案内がなかったということであります。
どこの病院にかかればいいのか、もしくはどこの病院が診てくれるのか、また、新型コロナウイルス感染症疑いで病院を受診する手順について、例えば、SNSでふだんから、近所の新型コロナウイルス感染症疑いでも診てくれる病院の一覧とか、発熱したときの一般的な受診の流れについてプッシュ型情報発信で案内しておけば、いざ病院に行こうとしたときに必ず役に立ち、市民の安心につながると思います。そのためにも、このようなことができないのか検討していただきたいというふうに思っております。
 また、コロナ感染症は感染力も強いため、まだまだほかの人に自分がコロナに感染したということを話しにくく、知られたくないという思いがあるようにも感じております。先ほどの事例でも申し上げたとおり、具合が悪い中、自分で調べるということだけでも不安につながっているのではないか、そう思います。情報を持っている、または自分ですぐに情報を見つけられる、たったそれだけで市民は不安が解消するのではないかというふうに思います。
 福岡市は、ホームページや市政だよりなどで情報提供をしておられますが、そういった市民が自ら取りに行く情報ではなく、市民が意図せず情報を受け取るように市側が積極的に情報を発信していく、いわゆるプッシュ型の情報発信が必要と考えます。
 そこで、福岡市では、新型コロナに関するプッシュ型の情報発信として、どのような媒体で、どのような内容の発信を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) プッシュ型の情報発信としましては、陽性と診断された方へのショートメッセージに、自ら検索をしなくてもアクセスできるよう、療養情報や受診できる医療機関リストのURLを添付して送信しております。また、市の公式アカウントの登録者に対して、ツイッターやLINE等を活用し、福岡コロナ特別警報発動や換気等の感染対策に関する情報などを自動的に画面表示されるように送信しております。さらに、30歳までの若者を対象に、インスタグラムやLINE広告を活用し、感染対策やワクチン接種に関するお知らせ等を、これも自動表示されるよう送信いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) コロナ関連でもいろいろとプッシュ型で発信を行っていることが分かりましたが、まだまだ情報発信が足りないと感じております。特定のトピックなど、お知らせしたいときに一度のみ発信するのではなく、何でもないときに広く日常的に繰り返し発信していくことが私は必要だと考えています。これは例えばですが、警察は110番、消防や救急は119番というのは、小さい頃から情報が繰り返し繰り返し積み上げられることで認識が確立していくからだと思っています。市民それぞれの認識が高まることで、突然の出来事にも自分で考え、判断し、行動できるようになると私は思っています。そうすることにより、市民の不安を解消する、もしくは解消とまではいかなくても、市民不安を低減できるとともに、行政も問合せが減るなど負担が軽減されると思います。
 このようにプッシュ型発信をどんどんやっていくことが必要だと考えているわけですが、これは新しいシステムを構築せずに、LINEやツイッターなど既存のシステムの中で、今あるデータをどんどん出していくなど、もっと工夫していけばよいのではないか、そう思っています。市の能力を生かして、プッシュ型の情報発信をどんどんやってもらって、ぜひ市民に安心を提供していただきたい。また、職員の負担軽減に寄与していただきたいというふうに思っています。
 職員の負担軽減という意味では、積極的な情報発信と併せ、事務の効率化として積極的なICT活用を行っていただきたいと思っています。先日、ニュースで岸田総理がコロナの全数把握の見直しを表明されておりました。その内容は、現在、医療機関や保健所が行っている発生届の事務を今のまま続けることにより、新型コロナウイルス感染症の患者への医療提供に支障を生じるおそれがあると都道府県知事が認める場合は、厚生労働大臣に届け出ることにより、医療機関が作成している発生届を高齢者などに限定することができるというものでありました。
 また、先日、保健所のデジタル化に関する記事を拝見いたしました。他都市ではファクスでの提出割合が多く、医療機関からの提出後、保健所にてハーシスに代行入力しているという話を聞きました。大阪市においては8月からシステムを導入し、ハーシスへの反映時間が半分になったと報道されておりました。新型コロナウイルスに感染と診断された方が多いので、医療機関などでの発生届の事務が多くなるということが起きているんだというふうに思いますが、本市で新規陽性者と診断された方は7月には6,000人近くとなるなど、昨年度を大きく上回る水準で推移しており、現在減少傾向にあるものの、まだ収束するに至っていないという状況であります。
 そこで、発生届に関して、医療機関や保健所がどのような事務を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 医療機関では、患者一人一人の住所や氏名、発症日など26項目に上る情報を検査結果管理システムへの入力、または所定の届出書のファクス送信等により保健所に提出いただいております。保健所では、ファクスなど紙ベースの情報については、データ入力作業を行った上で、システムで送信された情報と一体化し、この情報を活用して、国への報告などの統計処理や陽性者へのショートメッセージの送信などの事務を行っております。なお、福岡市におきましては、多くの医療機関が検査結果管理システムによる届出を行っていただいておりますので、保健所でのデータ入力事務の多くを省略することができております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 福岡市においては、発生届の多くがシステムを使用しての報告となっているということです。医療機関の協力があってのことと思いますが、これは大変すばらしいことだと思います。全数把握の見直しが行われるということですので、医療機関の負担軽減については、今後の国の動向に期待をしております。
 発生届だけでなく、ほかのコロナ対策についてもICTを活用し、もっと効率化できるところがあるのではないかと考えますが、現在、効率化の取組はどのようにされているのでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) ICTを活用した効率化の取組ですが、患者情報システム等を用いた療養証明書のデジタル発行や、自動計算システムを用いた複数の患者を効率的に移送するための行程表の作成、また、統計情報の自動作成機能を用いた感染動向の集計、公表などを行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) 既にコロナ対策に関しては、ICTを活用し効率化を進めていることが分かり安心いたしました。しかしながら、それでも既にコロナの対応で職員は疲弊しており、今、防災関係など緊急事態が生じた場合、パンクしてしまうのではないかと危惧もしております。ICTを活用して市民の不便さを取り除くとともに、職員の負担を軽減し、人が行うべき仕事に適切に人を配置していくことが求められております。このように、コロナ禍を契機としてICTを活用し、効率化が進んでいる部分もあるかと思いますが、全庁的に見るとまだまだできるところがあるのではないでしょうか。今後、市の様々な業務においても、さらなるDXの推進に努めていただきたいというふうに思います。
 私は、コロナ禍においても現場を逼迫させないためには、ICTを活用した業務の効率化を進めるとともに、市民にも自ら行動していただくことが必要であると考えます。自ら行動するためには、当然ながら情報が必要となります。市民がコロナに関する様々な情報を知っておくということは、市民の安心につながるとともに、市民の自発性を促し、率先して感染対策に取り組んでいただいたたり、いざ感染した際にも、知識さえあれば冷静に行動していただくことができるというふうに考えます。思うに、直接行動につながるレベルの知識とは、日常的に繰り返し、頭に刷り込まれている必要があるのではないでしょうか。つまり、ホームページにアクセスすれば分かる、またはチャットボットで問合せをすれば分かるというものだけでは不十分で、日常的にプッシュ型を通じて繰り返し繰り返し必要な情報を届けていくという必要があると思います。そうすることで、いざというときに行動につなげることができる生きた情報として頭に残っていく、そう思っております。正しい情報を基に、自発的に冷静に行動できる市民が増えることで、結果的に職員の負担も減り、その分、重症化リスクの高い方へ、よりきめ細やかなサポートを提供することができるなど、好循環が生まれることになるのではないでしょうか。
 最後になりますが、市民の不安を解消し、職員の負担を減らすため、プッシュ型情報発信を積極的に推進していくべきと思いますが、今後のコロナ対策に関する市民への積極的な情報発信について、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 国内で初めて感染が確認されてから約2年半が経過したものの、いまだ分からないことも多い新型コロナウイルス感染症ですが、こうした感染症に関する情報発信は、議員御指摘のとおり、市民の不安感を解消、低減するとともに、感染防止のための対策や行動の促進を図る観点からも大変重要であると認識をしております。今後とも、SNS等を活用したプッシュ型情報発信などの手法を積極的に活用しながら、正しい情報を分かりやすくタイムリーに、そして必要な人に必要な情報が届くよう、効果的な情報発信と広報、啓発にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広)登壇 本日のトリを務めます公明党の尾花康広でございます。最後まで元気いっぱい行ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 2030年はSDGs、持続可能な開発目標、誰一人取り残さないのターゲット年、目標到達年であります。ウクライナ情勢が混迷を極める中、一地域の紛争がこれほどまでにエネルギーや食糧など、地球規模で大きな影響を及ぼすのか。私たち人類は地球という惑星に住む運命共同体として、いかなる困難があろうとも、連帯してSDGsの目標達成に向けて前進を続けなければなりません。その先頭を日本が、なかんずく福岡市が走り続けてほしいとの思いから、本日のテーマの質問を行ってまいります。
 私は、公明党福岡市議団を代表し、福岡市の脱炭素に向けた取組の加速化と障がい者等の社会参加施策の推進の2点について質問をいたします。当局の前向きな答弁に期待するものであります。
 さて、世界において脱炭素化への動きが加速化しております。本年7月18日には、海抜の低い太平洋島嶼国が存続に関わる脅威として、気候変動の悪影響から現在と将来の世代の権利を守るため、各国の義務の明確化を国際司法裁判所に求めたとのことであります。また、7月27日、日本政府においては、ロシアのウクライナ侵略の長期化により、日本のエネルギーの安定供給の再構築に必要となる方策の検討と、脱炭素に向けた経済、社会、産業構造の変革を図るため、GX、グリーントランスフォーメーション実行会議が開催されております。こうした情勢を踏まえ、環境省は太陽光発電導入を2030年度までに設置可能な国施設の50%以上の導入を目指す基準を示し、各自治体に同様の取組を求めております。
 国の調査によれば、2021年10月時点では92.8%の自治体が太陽光発電設置可能施設を把握していないとのことでしたが、本市の設置可能施設調査の進捗状況をお答えください。あわせて、福岡市において50%以上の設置を促進していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 市有施設における太陽光発電設備の導入に向けた調査につきましては、令和4年度は設置可能な施設への導入規模を把握することとしており、現在、建物の屋根の面積や形状、日射条件などの施設の状況を調査しているところでございます。太陽光発電設備につきましては、福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画において、2030年度までに設置可能な施設の50%以上に設置することとしており、令和4年度の調査結果も踏まえ、導入を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) また、環境省は、自治体の地中熱利用を促進するために、自治体が庁舎や学校など大規模施設に地中熱利用の冷暖房導入の参考となる内容を新たに盛り込む考えを示すために、ガイドラインを今年度中に改定するとのことです。
福岡市の庁舎や学校などの地中熱利用の状況をお答えください。あわせて、さらなる設置の促進を図るべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 地中熱利用につきましては、福岡市市有建築物の環境配慮整備指針において、建物を新築する際に、地中熱を利用した空調や換気の導入について検討するよう規定しており、令和3年度までに青果市場、なみきスクエア、8つの小中学校の合計10施設に導入しております。また、令和5年3月に開業を予定している地下鉄七隈線の櫛田神社前駅の空調に地中熱を利用することとしており、引き続き地中熱の利用を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、総務省は脱炭素の取組の重点支援として、地域経済循環創造事業交付金(ローカル10,000プロジェクト)の国庫補助率を2分の1から4分の3に引き上げております。他の政令指定都市などでは活用が進んでいるようですが、福岡市において、この交付金を活用したプロジェクトはないとのことであり、この交付金の活用をしっかり図っていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 地域経済循環創造事業交付金につきましては、民間事業者等による地域密着型事業の立ち上げを支援するため、事業化の段階で必要となる施設整備費等の費用を支援するものであり、事業者等において本交付金の活用の検討が図られるよう、脱炭素に係る国の各種支援制度とともに周知を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、全国知事会においては、公用車は原則電動にと、脱炭素化で行動宣言を発出し、都道府県が新たに導入する公用車については、原則全て電動車への切替えを目指すとしております。
福岡市の公用車のEV、PHEV・プラグインハイブリッド、FCV・燃料電池自動車の導入状況をお答えください。あわせて、福岡市においても、新たに更新する公用車は、全てこれらの脱炭素化に貢献できる車種にすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の導入状況につきましては、令和3年度末時点で、職員が使用する一般の庁用車として22台導入しております。庁用車の脱ガソリン車への切替えにつきましては、新規に導入、または更新する際に、電気自動車等の導入を各車両の利用用途も踏まえながら検討し、切替えを進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、指定都市自然エネルギー協議会においては、再エネの主力電源化を提言し、国内の再生可能エネルギーの電源構成比率を2030年度までに少なくとも45%にすることを国に求めております。
福岡市においても、再生可能エネルギーの利用を拡大し、2030年度までにその利用率を45%以上達成していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 再生可能エネルギーの利用につきましては、令和4年8月に改定した福岡市地球温暖化対策実行計画におきまして、市域における再生可能エネルギーの利用率を2030年度までに45%とする成果指標を設定しております。太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの導入推進と再エネ由来電力等の利用拡大という両面の取組によって、再生可能エネルギーの普及拡大を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 最近、温暖化対策で福岡市は九州電力や西部ガスと連携協定を行い、先進的な脱炭素のまちづくりや電気自動車の導入促進などに取り組み、温室効果ガス排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを達成するとしております。
この連携協定の狙いと内容、今後の具体的な取組をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 九州電力株式会社福岡支店及び西部ガス株式会社との間でそれぞれ締結した地球温暖化対策に関する連携協定につきましては、地球温暖化対策を包括的かつ着実に推進することを目的としたものでございます。協定の内容としましては、市民や事業者の温暖化対策に関する意識醸成や実践行動の推進、市有施設における温暖化対策の推進等に加え、九州電力とは電気自動車導入の促進を、西部ガスとは水素の利活用などを連携事項としております。今後は市民の脱炭素行動に対し、交通系ICカードへポイント付与を行うECOチャレンジ応援事業のメニュー協賛等による実践行動の推進に加え、新たなイノベーションや水素の利活用など、先進的な脱炭素のまちづくりに関する連携、協働などにも取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) ここで私が調査した各自治体の特徴的な取組を紹介したいと思います。
 横浜市、兵庫県、滋賀県など、全国的な広がりを見せておりますが、初期投資なしで太陽光導入、いわゆるゼロ円ソーラーと言われるPPA方式を導入する自治体が増えております。PPA、Power Purchase Agreementとは、電力販売契約という意味で、第三者モデルとも呼ばれ、企業、自治体が保有する施設の屋根や遊休地を事業者が借り、無償で発電設備を設置し、発電した電気を企業、自治体が施設で使うことで、電気料金とCO排出の削減ができ、設備の所有は第三者、事業者または別の出資者が持つ形となるので、資産保有をすることなく再エネ利用が実現できる画期的な取組であります。
福岡市の公共施設へのPPA方式の導入を加速化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画におきまして、太陽光発電設備の導入に当たっては、PPA方式の活用など、新たな導入手法についても検討を行うこととしております。現在、施設の状況を調査するとともに、PPA事業者の選定要件等について検討を進めているところであり、今後とも市有施設への太陽光発電設備の設置を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 環境省が経済産業省などと連携して進めるPPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業において、太陽光発電設備とともに蓄電池等を導入することが推奨されております。
横浜市などの先行自治体で既に取り組んでいるように、レジリエンスの観点からも福岡市の公共施設へのPPA方式の導入に当たっては、太陽光発電設備とともに、蓄電池や電気自動車を活用したV2Xシステム等の導入を図るべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。あわせて、九電や西部ガスとの連携協定の中でも、ぜひ進めていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) PPA方式の実施に際して、蓄電池を同時に導入した場合は、夜間など太陽光発電設備で発電できない時間帯にも、ためた電力を利用できるというメリットがありますが、その一方で、事業費が上昇するといった側面もございます。レジリエンス確保の観点からは、非常用電源として電気自動車を活用することも考えられることから、PPA方式を活用する際の公募条件等につきましては、他都市で既に実施された公募条件の事例のほか、九州電力や西部ガスをはじめとしたPPA事業者からの意見も参考にしながら、蓄電池等の導入も含めて検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 堺市では、市民が環境に配慮した製品やサービスを選んだ際、スマートフォンアプリを用いて市独自のポイントを付与する取組を進め、政策手法、ナッジを活用しています。福岡市のこうした取組の進捗状況をお答えください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市におきましては、環境に配慮した製品や再生可能エネルギー由来の電力購入など、市民が実施する脱炭素行動に対して、交通系ICカードへ最大5,000ポイントを付与するECOチャレンジ応援事業を実施しており、これまでで延べ7,519世帯に参加いただいております。本事業におけるポイント付与額は、他の政令市が実施する同種の事業の中でも最大規模であり、引き続きECOチャレンジ応援事業の推進等により、脱炭素型ライフスタイルの普及促進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 名古屋市では、SDGs脱炭素花壇、高機能花壇を設置し、CO削減が期待できる人工土壌、高機能ソイルを活用しています。この人工土壌は、名古屋大学発のスタートアップ企業が開発したもので、原料に炭を含み、それがCOと吸着し、空気中へのCO放出を防ぐとのことであります。例えば、花壇にカモミールなど3種類の苗、約750株、1年で計約1,500株を植えたとすると、1株につきCO約150グラムの削減効果が期待でき、これはガソリン車が1キロ走行した場合のCO排出量に当たるとのことであります。
これは福岡市の一人一花運動との親和性がある取組であり、脱炭素と流域治水を踏まえた土壌の研究、活用を本市も積極的に進めてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 脱炭素につながる土壌の研究、活用につきましては、福岡市地球温暖化対策実行計画において、炭素吸収増に関する施策を実施することとしており、土壌への炭素貯留についても、新たな技術開発の動向も踏まえながら、関係局と連携の上、取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、尼崎市は、伴走型で市内中小企業の脱炭素化を現状把握から改善までセットで支援する取組を始めております。まず、対象企業が省エネルギーセンターの省エネ最適化診断を受け、その結果を基に、センターから派遣される専門家が具体的な改善方法や行政の補助制度を活用した設備導入を提案いたします。市は診断や設備導入の各費用を補助します。診断は消費税などを除いた全額、省エネ導入は補助率3分の2、上限100万円、太陽光パネルや蓄電池などの再生可能エネルギー導入は設備能力に応じて一定金額、上限200万円をそれぞれ支給します。専門家の派遣費用も市が負担します。今年度、最適化診断30件、そのうち再エネ導入10件、省エネ導入5件程度の受付を想定しているとのことであります。
 福岡市は、市内に本店を置く中小企業に対し、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルに寄与する新たな製品、サービスの開発などに必要な経費について、最大200万円を補助して脱炭素分野をビジネスチャンスとして捉える企業を支援し、環境・エネルギー関連の技術革新を推進していますが、あくまで脱炭素製品、サービス開発への補助にとどまっております。
経営支援の一環として、これからの脱炭素という時代のニーズに対応するために間口をもっと広げてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 市内中小企業の脱炭素への取組の支援につきましては、令和4年度から議員御指摘の福岡グリーンイノベーションチャレンジ補助金を設け、企業を支援しており、公益財団法人九州先端科学技術研究所において、製品開発などに関する技術相談にも対応しております。あわせて、4年度においては、カーボンニュートラル資金を新たに創設し、再生可能エネルギー、省エネ設備やEVなどの次世代自動車の導入など、幅広く、金融面からも市内中小企業の脱炭素に向けた取組を支援しております。引き続き、これらの制度の積極的な利用を促進していくとともに、市内中小企業のニーズも把握しながら、より使いやすい制度となるよう検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律が成立いたしました。
改正の内容としては、省エネ対策の加速と木材利用の促進の2本が大きな柱となっておりますが、このうち省エネ対策の加速に関する概要をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律において、これまで一定規模以上の非住宅建築物につきましては、エネルギー効率が高い空調設備などの導入や建築物の断熱、気密性を求める省エネ基準への適合が義務化されております。今回の法改正の主な内容としましては、令和7年度からこの対象が全ての建築物に拡大されること、また、令和4年10月からは長期有料住宅等の省エネに関する認定基準が引き上げられることなどでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 新築住宅等の省エネ適合基準の義務づけ等が2025年度までに実施されることになったわけですが、東京都は条例化により、先行的な取組を進めております。
福岡市も脱炭素の実現に向けて取り組んでいく上では、条例化とまではいかないまでも、福岡市の建築物や設備に関する補助金の要綱の中には、必ず脱炭素に向けた省エネ基準適合等の項目が入っているという福岡スタンダードの確立を図るべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 住宅都市局が所管しております住宅市街地総合整備事業や木造戸建住宅耐震建替費補助事業等の建築物に関する補助金交付要綱につきましては、国の交付要綱の改正に合わせて、省エネ基準への適合を交付要件とする改正等を行っております。今後、8月に改定した福岡市地球温暖化対策実行計画も踏まえながら、脱炭素に資する誘導策の検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 福岡市においては6月議会で、カーボンニュートラル達成に向けた学校施設のZEB化の更なる推進を求める意見書が全会一致で採択されました。その際の調査で、福岡市においては、エコスクール事業など脱炭素に向けた施設整備が進んでいない状況が分かりました。
福岡市のエコスクールの現状をお答えください。あわせて、環境教育の観点からも学校施設のZEB化など、エコスクールの整備に積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校の新築、改築時におきましては、これまでエネルギー効率が高い空調設備やLED照明、太陽光パネルの設置など、エコスクールの趣旨に沿った整備を進めてまいりました。今後、福岡市役所地球温暖化対策率先実行計画に基づきまして、さらなる省エネルギー性能の向上に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 市民向けの脱炭素啓発も大事であります。鳥取県は、CO排出ゼロクリスマスドライブインシアターと銘打ち、家族や大切な人と映画を楽しみながら、地球温暖化の現状を知り、県民みんなで温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするゼロカーボンの啓発を目的としたイベントを実施しております。ドライブインシアターは、米子市内にあるチュウブ YAJINスタジアムの駐車場で午後6時から開催され、参加者は県民限定で、抽選で決めています。EVとPHEVの利用者を優先的に選び、ガソリン車の利用者が参加する場合、県が用意するEVに乗り換えてもらうなどの徹底ぶりであります。上映したのは、米国のアニメーション映画「SING」、約2時間の映画で、上映前に県が進める地球温暖化対策などを紹介しています。ドライブインシアターで使う電力は、EVで給電される電気を活用し、イベントでのCO排出量はゼロであります。
福岡市でもこうした取組を行い、市民の脱炭素に向けたきっかけづくりを積極的に行っていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 脱炭素社会の実現に向けましては、脱炭素型ライフスタイルへの転換が不可欠であり、そのための市民向けの啓発は重要であると認識しております。3年ぶりに市役所西側ふれあい広場で開催する予定の環境フェスティバルや電気自動車をはじめとする次世代自動車の展示、試乗会といった多数の来場者が見込めるイベント、今回の実行計画の改定に合わせて新たに作成した市民向けのリーフレットなど、様々な機会や広報媒体をフル活用し、市民の脱炭素型ライフスタイルへの転換に取り組んでまいります。また、より多くの市民の皆様に脱炭素に関する情報を提供できるよう、新たな広報、啓発の手法についても検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 福岡市の脱炭素に向けた取組の加速化に関して、るる述べてまいりました。高知県のように脱炭素の関連施策にKPI、重要業績評価指標を設けることも待ったなしの脱炭素目標達成のためには必要だと考えますが、それと並行して、市民に開かれた脱炭素アクションプランの進行を提案したいと思います。
 福岡市では、市民、企業、大学などの知恵や工夫を取り入れ、オール福岡で人生100年時代に向けて、誰もが住み慣れた地域で、心身ともに健康で自分らしく暮らせる、人もまちもどちらも幸せになれる社会の実現を目指すプロジェクト福岡100を推進しています。福岡100が打ち出された当時、ある自治協議会の会長さんから福岡100の詳しい資料が欲しいと言われ、御自宅にお届けしたところ、福岡市は何か面白いことを始められましたね、とてもわくわくしますねと満面の笑顔で話されたことが思い起こされます。この手法を脱炭素に取り入れ、脱炭素に向けたロードマップを示すと同時に、先日は、ある有識者からフロー型のいかだで水生植物を栽培し、そのことにより水質浄化やCO削減などを図るお話を聞く機会がございましたが、世間にはいろいろなアイデアや知恵が転がっていることを実感いたしました。
門戸を開き、オール福岡で脱炭素に向けた様々なアクションが進捗していく状況をつくり出してはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市では、令和4年8月に改定した福岡市地球温暖化対策実行計画において、都市の将来像や2030年度における市域の温室効果ガス排出量の50%削減目標、市民、事業者、行政が行う具体的な取組をまとめたところでございます。計画の推進に当たりましては、温室効果ガスの排出量が多い家庭、業務、自動車に廃棄物を加えた4つの分野を重点的に取り組む分野と位置づけ、部門別の成果指標として世帯や業務分野の床面積当たりのエネルギー消費量、乗用車新車販売に占めるガソリン車の割合、再生可能エネルギーによる設備導入量などを掲げ、毎年度の達成状況を評価、公表、見直しを行いながら、取組を進めてまいります。脱炭素の取組を推進するに当たっては、市民、事業者と一体となった取組が不可欠であると考えており、脱炭素に関連する市の取組を分かりやすく紹介するとともに、市民の方々が持つアイデアなどをお聞きする手法についても検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) プロジェクトのネーミングは島市長の得意とされるところでございますが、チカッぱ脱炭・福岡100、バリバリ脱炭・福岡100、単に博多弁を使っただけですけれども、どうかネーミングをしっかり考えていただき、ちなみにここで言う100はRE100、事業で用いる電力を再エネで調達、EP100、事業のエネルギー効率を倍増、EV100、輸送手段の電化を目指すなど、脱炭素達成100%を目指す意味を私なりに込めております。御承知のとおり、2030年度までにCO排出実質ゼロを目指す第1弾として26件、19道府県の48自治体が選ばれ、都市部では横浜市、さいたま市、静岡市、名古屋市、北九州市が選ばれております。福岡市は脱炭素に向けて、これらの都市に負けないポテンシャルがあると確信しております。どうか福岡市が脱炭素先行地域に選ばれる取組をぜひお願いしたいと思います。
 最後に、島市長の脱炭素に向けた取組についての御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は、世界や、また日本が目指すカーボンニュートラルに積極的に取り組んでいくために2040年度を目指したチャレンジを掲げておりまして、福岡市地球温暖化対策実行計画を策定いたしました。この計画に掲げますカーボンニュートラルを実装した都市の実現のためには、尾花議員御指摘のとおり、市役所が率先して取組を進めますとともに、分かりやすい情報発信によって、市民や事業者の皆様に共感を広げて、実践につなげていくなど、脱炭素の取組を加速化していくことが重要であるというふうに考えております。引き続き、脱炭素型ライフスタイル、またはビジネススタイルへの転換、そして省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの利用拡大など、もろもろの取組に加えまして、今後、脱炭素先行地域など、国の制度の活用も進めていきながら、目標の達成に向けて取組を加速してまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次のテーマ、障がい者等の社会参加施策の推進に入ります。
 公明党として、市会、県会、国会のネットワークを生かし、当事者からのお声を基に、これまで障がい者等の社会参加の推進に向けた着実な法整備を図ってきたところであります。
新しい順で並べますと、2022年5月、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の成立、2021年5月、改正障害者差別解消法の成立、2020年4月バリアフリー法改正、2018年12月、ユニバーサル社会実現推進法の成立など、たくさんの動きがございました。それぞれのポイントをお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法につきましては、障がい者による情報の取得利用、意思疎通に係る施策に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項が規定されております。改正障害者差別解消法につきましては、事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮の提供について、努力義務から義務とされたほか、国及び地方公共団体の連携協力の責務の追加、障害を理由とする差別を解消するための支援措置の強化が規定されております。改正バリアフリー法につきましては、公共交通事業者などにおけるソフト対策の強化や、心のバリアフリーなど、国民に向けた広報、啓発の推進などが規定されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) ユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律につきましては、ユニバーサル社会の実現に向け、障がい者、高齢者等の自立した日常生活及び社会生活が確保されるための諸施策を総合的かつ一体的に推進することを目的として、国や地方公共団体の責務などを定めるものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法においては、基本理念として、1、障がいの種類、程度に応じた手段を選択できるようにする。2、地域にかかわらず等しく情報取得、利用、円滑に意思疎通ができるようにする。3、障がいのある人が障がいがない人と同一内容の情報を同一時点で取得できるようにする。4、デジタル社会において、高度情報通信ネットワークの利用、情報通信技術の活用ができるようにする。国や自治体が取り組む施策、責務として、1、機器、サービス開発、提供、習得の支援。2、防災、防犯に関する情報を取得できるようにする体制の充実。3、多様な手段による緊急通報の仕組みの整備。4、意思疎通支援者、手話通訳者などの確保、養成、資質の向上などがうたわれております。
 福岡市は、現在どのような施策、事業を推進しているのか、お伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) お尋ねの法律に基づく施策の実施状況につきましては、まず、視覚障がい者への情報提供として、市からの重要なお知らせなどに音声コードを掲載するとともに、市民や企業に向けて、音声コードに関するチラシや動画を作成して普及啓発をいたしております。また、令和4年8月から携帯電話事業者4社と連携し、視覚障がい者に対して、区役所や市内の携帯ショップなどで音声コードアプリの使い方の支援を行っております。次に、聴覚障がい者に対しましては、意思疎通支援として、手話通訳者や要約筆記者の養成と派遣を行っております。また、4年7月からは聴覚障がい者が区役所に来所せずに必要な相談等を行うことができるよう、ビデオ通話によるオンライン手話通訳を導入いたしております。さらに、視覚障がい者や聴覚障がい者に対して、区役所窓口にタブレットを配置し、文字を拡大するアプリや音声を文字化するアプリを利用して円滑なコミュニケーションが行えるサービスを今年度中に導入することといたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 次に、改正障害者差別解消法については、例えば、車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡すことなど、合理的配慮の提供がこれまでは努力義務とされていたものが、3年以内に、実質あと2年を切りましたが、地方自治体と同様に、事業者においても義務化が実施されることになっております。
福岡市はこれまでどのような施策、事業を推進しておられるのか、お伺いいたします。また、あわせて、学校施設におけるバリアフリー化についても、どのような施策、事業を推進しておられるのか、お伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 改正障害者差別解消法に基づく施策の実施状況につきましては、今回の法改正に伴い、現在、国において基本方針の改定が進められていることから、福岡市におきましては、当該基本方針の改定内容を踏まえ、事業者への周知などの具体的な施策を検討してまいります。以上でございます。
 
○福祉局長(中村卓也) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校施設のバリアフリー化につきましては、文部科学省において、令和2年度に車椅子使用者用トイレとスロープは全ての学校に、エレベーターは要配慮児童生徒などが在籍する全ての学校に整備するという目標が示されたところであります。福岡市の小中学校及び特別支援学校における整備状況といたしましては、車椅子使用者用トイレは、既に全ての学校で整備済みであり、スロープなどは172校、エレベーターは37校で整備を終えております。引き続き、未整備となっている学校の整備をしっかりと進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 最近の動きとして、福岡市においても携帯電話4社と連携し、音声読み上げアプリの利用の促進、区役所にオンライン手話通訳の導入、福岡市営地下鉄の障がい児割引をポイント式で改善、遠隔手話通訳サービスの導入など、様々な取組を実施されていることは承知しておりますが、さらに取組を進めるべく、私が調べた各自治体の特徴的な取組を紹介いたします。まず、先ほど我が会派の高木勝利議員の一般質問で言及がございましたが、障害者手帳アプリの利用拡大のためには、その母数となる障がい者が利用しやすい施設やサービスが増えるための具体的な環境整備が必要であります。
全産業のうち、卸売業、小売業、サービス業が占める割合が高い福岡市の特徴を踏まえ、行政としてこうしたところを対象に、これまでにどのような合理的配慮の提供やバリアフリー促進に向けたアプローチを行ってきたのか、お答えください。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 事業者に対する合理的配慮の提供の周知につきましては、障がい当事者団体などの意見を踏まえ作成したチラシやパンフレット、啓発動画を活用した広報啓発を行いますとともに、研修会などを開催しているところでございます。また、事業者のバリアフリー促進に向けた取組につきましては、店舗のバリアフリー化や人的対応のポイントについてまとめたみんなにやさしいお店づくりの手引きによる広報、啓発を行うとともに、出前講座などを行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 東京都小金井市では、バリアフリー化など、障がい者のために具体的な合理的配慮を行う市内事業者や団体に助成を行っております。助成する費用は、点字メニューや筆談会話ボードなどのコミュニケーションツール作成、音声拡張器やローカウンター、簡易様式トイレなどの物品購入、手すり設置や段差解消などのバリアフリー化工事、不特定多数の市民が参加するイベントなどへの手話通訳者や要約筆記者の派遣の4種類です。限度額はツール作成が5万円、物品購入が10万円、バリアフリー化工事が20万円、通訳者や筆記者派遣が3万円と設定されております。
福岡市もこのような民間事業者が合理的配慮を提供するための環境整備費用の助成を行ってはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 民間事業者による合理的配慮の提供につきましては、負担が重過ぎない範囲で、必要かつ合理的な配慮が求められていることを理解していただくことが重要であるため、今後の義務化に当たりましては、民間事業者が対応する際の基本的な考え方を知っていただくための周知や啓発に取り組んでまいりたいと考えております。また、民間事業者のへ支援につきましては、他都市の実施状況なども踏まえ、今後検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 広島市では、障がい者が安心して利用でき、障がい者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう積極的に環境整備に取り組む、みんなのお店ひろしま宣言店を募集しています。宣言店については、市のホームページなどで取組内容を公表、周知することで、障がい者差別の解消に向けた機運を醸成しております。宣言店は市内の飲食店や小売店などから幅広く募集し、障がい者対応に関する心構えとして、1、入店、サービス拒否をしない。2、合理的配慮の提供に努める。3、心のバリアフリーを大切にするの3つを設定、それを遵守した上で、店舗に筆談ボードや点字メニューを用意し、手すりやスロープを設置するといった取組を1つでも実施していれば、宣言店に認定いたします。認定されれば、取組内容を記載した宣言書とシンボルマークが入ったステッカーが交付されます。パネルを出しましたけれども、(パネル表示)このシンボルマークは広島市立大学芸術学部の学生がデザインしたものであります。笑顔を中心に様々な人が手をつなぎ、広島の県花でもある紅葉、また、特産品であるもみじまんじゅうが連想されるシルエットになっております。
 高松市では、意思の伝達が難しい聴覚障がい者や発達障がい者らに向けた支援ツールとして、店舗用のコミュニケーションボード、たかまつ楽楽ボードを作成しています。(パネル表示)こういったボードを用意いたしましたけれども、イラストを指すことで注文などの意思の疎通ができます。中央商店街の68店舗が利用しているほか、市のホームページでもダウンロードできます。ボードは2種類で、ゆっくり話してくださいとか、もう一度言ってくださいとか、基本的な表現から(パネル表示)ほかのサイズはとか、ラッピングお願いしますとか、そういった店舗で使える20パターンのイラストで用意されています。イラストは香川大の大学院生が描き、英語、韓国語、中国語でも表記されています。ボード製作は、市と高松中央商店街、香川大の特別支援教育を学ぶ学生らによる連携事業で、学生が店舗にアンケートを実施して、項目を選定し、ネーミングを決めたりしたとのことであります。市によると、新型コロナウイルスの影響で、パーティションの設置や、マスクの着用などが広がったため、市民から大きな声で話したくない、聞こえにくいなどの声が上がったとのことであります。誰もがよりよいコミュニケーションを取れることを目指し、このボードがその一歩になればとしています。
これらの取組を福岡市においても推進してはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 現在、福岡市では、コミュニケーションを支援するツールといたしまして、聴覚障がい者向けには、筆談などができるよう、区役所などの窓口に耳マークや筆談ボードの設置を促進するとともに、新たにビデオ通話によるオンライン手話通訳を導入いたしております。また、視覚障がい者向けには、携帯電話事業者と連携した音声コードの普及促進に取り組んでおります。障がい者差別の解消に向けた機運を醸成することは重要であると考えており、他都市の事例も参考に、当事者や事業者などと連携したコミュニケーションツールのさらなる充実について検討を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 川崎市では、オリンピック・パラリンピックの開催を、社会に有形、無形の持続的効果を生み出し、長期にわたり、特にポジティブな影響を与えるもの、レガシーとするため、パラムーブメント推進ビジョンを策定し、具体的な取組としては、健常者が障がい者の身になってレストランを利用するバリアフルレストランを2022年度に2回開催して市民の障がい者への理解を深めています。また、エレベーターの設置が難しい市の施設を利用してもらうための対応方法に関する職員研修の実施、スポーツ活動や文化芸術活動への障がい者の参加が少ない場合に、関係者への聞き取り調査や外部の有識者の分析を行うなど、バリアの解消に取り組んでおります。さらに、障がい者雇用を促進するため、特別支援学校で生徒に遅刻をしないなど、基本的な生活習慣を身につけさせるほか、定着支援のために教員が就労先を訪問するシステムをつくり、市職員についても障がい者の雇用率を2021年6月の2.66%から3%に高めることなどを行っております。
 福岡市もこれらの取組を行ってはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 障がいに関する理解を深めるための取組につきましては、毎年12月に障がい者週間記念の集いとして、障がいのある方とない方が触れ合うためのイベントを実施いたしております。また、小中学校などにおいて、障がい者による講話や車椅子体験などを行う福祉教育を実施しており、今後とも当事者団体の意見を踏まえながら、市民の障がいに関する理解を深める取組を検討してまいります。また、エレベーター設置困難な市の施設の利用支援につきましては、福岡市職員が適切な支援を行うための対応要領やマニュアルを定めており、これらを活用した研修の実施などにより、今後とも適切に対応なされるよう周知を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スポーツ活動への障がい者の参加促進の取組につきましては、総合体育館や市民体育館において、パラスポーツ体験会等を実施するほか、福岡マラソンでは、車椅子競技に挑戦する中高生への競技用車椅子の貸与や競技指導、視覚障がい者への伴走者の紹介などを実施しております。今後とも、関係者のお声をお聞きしながら、スポーツ活動への障がい者の参加促進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 文化芸術活動への障がい者の参加促進につきましては、福岡市文化芸術振興財団において、障がい者団体などの御意見を伺いながら、特別支援学校での文化芸術の鑑賞、体験プログラムを実施しております。また、美術館においては、視覚や聴覚に障がいがある方や車椅子利用者を対象とした美術鑑賞ツアーを実施するほか、障がい者も参加しやすいオンライン上で作品を紹介するギャラリートークを開催しております。今後とも、関係者の御意見をお聞きしながら、文化芸術活動への障がい者の参加促進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 特別支援学校においては、職業科や作業学習の時間をはじめとする教育活動全体を通じて就労に必要な基本的生活習慣の習得に向けた指導を行っております。また、卒業後の定着支援につきましても、卒後3年間を目安に必要に応じて教員が就労先を訪問し、生徒や保護者と面談して助言を行うなどの追指導を行っておりまして、今後とも就労促進に向けた指導の充実と就労後の継続支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地方公共団体における障がい者の法定雇用率は令和3年3月に2.6%へ引き上げられたところでございます。福岡市の障がい者の雇用率は令和4年6月1日現在で2.68%を達成いたしましたが、まずは改正された法定雇用率を確実に上回ることができるよう、雇用拡大の取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 利便性の向上を図るとともに、緊急時の命を守る対策も必要であります。山口県周南市では、市内に住む視覚、聴覚障がい者を対象に、災害時に着用するベストと呼び笛を無料で配付しています。外見からは障がいの有無が分かりにくく、移動や対話が難しい人に対し、避難時や避難所での介護や支援を強化することが狙いです。配付対象者は1級から3級の障害者手帳を持つ市内在住者。ベストの前後には、目が不自由ですなど、障がいの内容を表示できるようにし、夜間対応のため一部に反射材を使用、300着を用意し、事業費は約50万円とのことであります。
福岡市もこのような取組を行ってはいかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 視覚や聴覚に障がいがある方に対しましては、福岡市では本人の御希望に応じて御自宅の電話やファクスへ避難情報をお知らせする避難情報配信システムにより、情報の提供を行っております。また、避難所においては、受付時に特に配慮が必要な事項を一人一人に確認しており、公民館の和室や学校の諸教室を利用した福祉避難室での受入れを行っているほか、避難所内でのお知らせ事項は、聴覚に障がいのある方にも確実に情報が伝わるよう、掲示板に貼り出すなど、障がいをお持ちの方にも配慮した避難所運営に努めております。さらに、避難時に支援が必要な方については、現在、地域において個別避難計画の作成を進めていただいており、議員御提案の他都市事例も含め、障がいがある方への支援については、地域の方々などの御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 最後に地元の課題にも触れます。
 私の住む東区にはJR香椎線が通っております。福岡市内には西戸崎駅から土井駅まで9つの駅があり、そのうち、香椎駅を除いて8つの駅が無人駅であります。国においては令和2年11月に障がい当事者団体、鉄道事業者及び国土交通省の3者から成る意見交換会が設置され、所要の議論を経て、駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドラインが策定されておりますが、そのガイドラインが描く望ましい無人駅のイメージが、これまで述べてきた一連の障がい者関連の法の趣旨に基づき、JR香椎線で実現される期待が刻々と高まっております。
鉄道事業者に積極的に働きかけ、障がい特性に応じた障がい当事者への適切な情報提供、利用者利便の向上などの実現にしっかり取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市では、福岡市バリアフリー基本計画等に基づき、鉄道事業者と連携しながら鉄道駅のバリアフリー化に取り組んできたところであり、平成27年3月にJR香椎線の駅が無人化された際にも、カメラやインターホン、遠隔放送装置等による駅遠隔案内システムが導入されております。また、JR香椎線では、令和4年2月から乗務員による乗降介助が試験的に開始され、車椅子利用者が事前連絡なく介助が受けられるようになるなど、国のガイドラインに示された取組が進められております。今後とも、国のガイドラインも踏まえながら、無人駅における安全性や利便性を確保するよう、鉄道事業者にしっかりと働きかけてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 尾花康広議員。
○23番(尾花康広) 最近の法改正に沿った障がい者等の社会参加施策の推進について、るる述べてまいりました。最近の障がい者関連の法の趣旨と、努力義務から責務への法の改正の動きを、どうか鋭敏に感じ取っていただき、医療、介護、保健、福祉、教育、労働、交通、電気通信、放送、文化芸術、スポーツ、レクリエーション、その他の関係部局の連携を密にし、オール福岡で障がい当事者等の意見を尊重し、共生社会の実現のため、さらなる実効的な施策を展開していただきたいと思います。
 最後に、島市長の障がい者等の社会参加の推進に向けた御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 障がいのある方が社会を構成する一員として、経済、文化、スポーツ等、あらゆる分野の活動に参加するためには、尾花議員御指摘のとおり、障がい当事者等の意見を尊重し、官民を挙げて、オール福岡で取り組むことが重要であるというふうに考えております。福岡市におきましては、視覚障がい者への情報提供を支援するため、今年8月から携帯電話事業者と連携をして、音声コードの普及促進に取り組みますとともに、令和3年12月に改正した福岡市バリアフリー基本計画に基づき、公共交通事業者などとともに、旅客施設や道路などのハード整備や、また、心のバリアフリーの推進を図るなど、障がい者の社会参加の促進に向けて官民連携して取り組んでおります。今後とも、みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡の実現に向け、障がいの有無にかかわらず、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明9日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(山口剛司) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明9日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時41分 散会