令和4年6月16日(木)

令和4年第3回福岡市議会定例会
 
議  事  日  程 (第3号)
 
6月16日 午前10時開議
 
 
 
 
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  阿 部 真之助       8番  平 畑 雅 博
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  伊 藤 嘉 人      12番  淀 川 幸二郎
13番  勝 山 信 吾      14番  川 上 多 恵
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
 水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  野中   晶
福祉局長  中村卓也   保健医療局長  舟 越 伸 一
環境局長   田 浩 輝   経済観光文化局長  天 本 俊 明
農林水産局長  藤 本 広 一   住宅都市局長  中 村 健 児
道路下水道局長  名古屋 泰 之   港湾空港局長  井 口 宏 樹
消防局長  内 村 弘 文   会計管理者  小 川 明 子
教育長  石 橋 正 信   教育委員  西 村 早 苗
選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子   人事委員会事務局長  大 園 喜代香
監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  曽根田 秀 明   議会事務局次長  八 木 智 昭
議事課長  水 ア 亮 二   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(伊藤嘉人) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。荒木龍昇議員。
 
○51番(荒木龍昇)登壇 おはようございます。私は緑の党と市民ネットワークの会を代表して、IRについて及び単身高齢者の支援について質問します。
 まず、IRについて質問します。
 市長は3月の我が会派の代表質問で、IRについては検討していないとの答弁をしています。しかし、ちまたではIR誘致の動きがネットニュースで報じられ、市民が不安に感じています。自治体で検討されていない状況で、民間企業が勝手に準備を進めることは住民無視で問題です。改めて市の考えをただします。
 IRの核心はカジノです。IRを誘致するということはカジノを誘致することであり、賭博を市民に勧めることになります。横浜市長選挙ではIRが争点となり、IR反対を表明した市長が当選するなど、IR法については多くの国民が反対しています。その理由は、パチンコ、パチスロの2019年の総売上げは約20兆円、競輪、競馬、競艇、オートレースなどの公営ギャンブルは、2020年の総売上げは6兆8,500億円と言われ、日本は世界一のギャンブル大国であり、ギャンブル依存症が多い日本の現状について多くの国民が危機感を持っているからです。
 そこで、日本においてギャンブル等依存症が社会的問題になっていることについての認識をお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席で行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) ギャンブル等依存症につきましては、依存症の方やその家族の日常生活や社会生活に支障を生じさせるものであり、多重債務、貧困などの社会問題も起きていることから、平成30年にギャンブル等依存症対策基本法が制定され、総合的かつ計画的に対策を推進することとされているものと認識をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、IRの主たる事業はカジノです。市としてカジノについての認識を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 特定複合観光施設、いわゆるIRの誘致については検討を行っておりませんが、一般的には、観光や地域経済の振興という観点がある一方で、カジノについてはギャンブル等依存症や治安に関する不安など様々な意見があるものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 3月30日に米国企業バリーズコーポレーションがホテルオークラでIR事業を福岡市で行うという記者会見をしましたが、市は参加したのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市は記者会見に参加しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、バリーズ側は基本計画や意向表明書を福岡市長、福岡市議会議長、九州経済連合会会長、九州IR推進協議会会長などの各関係機関に提出したと報道されていますが、福岡市は受け取っているのか、その扱いはどうなっているのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 基本計画書や意向表明書については、福岡市は受け取っておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 福岡市はバリーズから基本計画書や意向表明書は受け取っていないとのことですが、バリーズは具体的な計画を発表しています。市民や議会での議論もない状況で、バリーズコーポレーションは福岡市の海の中道海浜公園エリアに2028年の開業を目指すと報道されていますが、市は認知しているのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 新聞等でそうした報道があったことについては承知しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 福岡市は計画書や意向表明書を受け取っていないと言っていますが、バリーズは、総事業費は4,800億円、年間来場者数460万人、年間売上高2,495億円を見込むとの事業計画までつくっています。また、バリーズの計画を基に、ネットニュースではIR事業のための交通インフラの整備の必要性について様々な意見が表明されています。
整備の費用は幾らで、誰が負担するのか、市民も議会も全く議論がないままで、民間事業者やその周辺の民間が勝手に議論を進めることが許されるのか、市の所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 事業の計画については民間事業者が独自に検討されたものであり、その内容については承知しておりません。なお、IR区域の認定に当たっては、法令等に基づき様々な手続が必要であり、国への認定申請は令和4年4月28日をもって終了し、福岡市は申請を行っておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 福岡市は、バリーズが勝手に計画しているもので関知していないと言っていますが、バリーズ周辺の民間では、さらに踏み込んで、富裕層のために奈多のヘリポートを使用するとの検討がなされているとの報道もありますが、騒音や落下物の問題などがあり、周辺住民の同意もないままこのような議論がなされることは問題ではないかと思いますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 事業の具体的な内容については承知しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) IR法で、IR誘致はまず地元自治体の誘致の同意が必要であり、当然、先に自治体での検討がなされなければなりません。ところが、3月30日のバリーズの記者会見について、バリーズが表明するIR福岡プロジェクトは管轄行政が立候補していない中、民間組織先行でほぼ全ての準備作業と基本的計画を行うという全国で初めてのケースと報道されています。これに関して所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 民間事業者が独自に検討されたものと認識しております。なお、国への認定申請は令和4年4月28日をもって終了し、福岡市は申請を行っておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) IRへの観光客は海外の富裕層が大半を占めるかのようなイメージがありますが、日本人がターゲットとなっています。横浜市の事例では、国内、海外観光客の割合について、国内観光客は約4割から約9割、海外観光客は約6割から約1割と事業者の計画では想定されていました。また、IRの収益については、15%が国、15%が横浜市に納付となっています。これを見ても日本人がターゲットとなっており、日本人から巻き上げたお金は胴元のアメリカ企業に吸い上げられることが分かります。
ギャンブル依存症対策の直接的経費や社会的費用を考えると地域の活性化と言えるのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市ではIRの誘致について検討を行っておりませんし、他都市の事例についても承知しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 厚生労働省がギャンブル依存症の実態把握のために2017年に実施した調査によると、生涯でギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある人は成人の3.6%と推計しています。この値を国勢調査のデータに当てはめると、約320万人に相当します。この割合はオランダ1.9%、フランス1.2%、スイス1.1%、カナダ0.9%、イタリア0.4%、ドイツ0.2%等、海外に比べると異常に高いことが分かります。ギャンブル依存症は経済的破綻、鬱状態、子どもへの虐待、自殺願望など自身の精神的な症状だけでなく、家庭破壊など深刻な状況を生み出します。自治体がまちの活性化と称してギャンブル依存症が増える環境をつくり、ギャンブル依存症を治療するセンターを造るというマッチポンプのまちづくりは、住民の福祉の増進を図るという地方自治の本旨に全く逆行するものです。カジノによるまちづくりは福岡市にはふさわしくなく、地域の豊かな自然や歴史を生かした地域の活性化が市民や未来を担う子どもたちに希望を与え、地方自治の責務と言えます。
 カジノという重大な事案について市民や議会で議論がなく、民間が先行してつくった計画を、自治体が後からその計画を追認するということはあってはならないことです。市長は私たち会派の代表質問に、IRについては検討していないという答弁をしており、市民や議会を無視してカジノ誘致は許されません。住民無視、議会無視のこのような民間の動きをやめさせるよう、福岡市に強く求めて、この質問を終わります。
 次に、単身高齢者の支援について質問します。
 国民の平均寿命は延び、超高齢社会になっています。それに伴い、高齢者のみの世帯や単身高齢者世帯が増えています。地域包括支援センターや社会福祉協議会、自治協議会など地域ぐるみでの高齢者の見守りや支援がなされていると思いますが、幾つか相談を受けた事案について質問します。
 単身高齢者が増えていますが、過去3回の国勢調査における単身高齢者の割合について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 施設等入所者を除いた65歳以上人口に占める単身高齢者の割合は、平成22年が25.4%、27年が27.7%、令和2年が26.1%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 人口増加と高齢化率が高くなるとともに、高齢者に占める単身者の比率も増加傾向が見られます。単身高齢者の支援がますます必要となっていることが分かります。
 では、単身高齢者の支援はどのようなものがあるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 単身高齢者等を対象とした支援につきましては、電話で毎日安否確認を行う声の訪問や、緊急時に通報し助けを求めることができる緊急通報システムのほか、孤立死が疑われる場合などに地域住民等からの通報により安否確認を行う見守りダイヤルなどを行っております。また、老人クラブによる友愛訪問や校区社会福祉協議会によるふれあいネットワークなどの地域見守り活動への助成を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 単身高齢者の支援として声の訪問や緊急通報システムのほか、地域住民等からの通報により安否確認を行う見守りダイヤル、また、老人クラブや校区社協によるふれあいネットワークなどの見守り活動がなされているとのことです。しかし、見守り活動以外での日常生活面での相談ではカバーできていない部分もあるのではないかと感じています。
 具体的には、単身高齢者の方から入院時の保証人について困っているとの相談を受けました。治療の同意等は親族等の了解が必要とは理解しますが、入院費用に関する保証人については対策が考えられるのではないかと思いますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 入院時の身元保証人につきましては、国の通知において、入院による加療が必要であるにもかかわらず、入院に際し、身元保証人がいないことのみを理由に医師が患者の入院を拒否することは医師法に抵触するとの解釈が示されておりまして、医療機関に対して適切な対応をするよう本通知の周知を行っております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 医師法で身元保証人等がいないことのみを理由に医師が患者の入院を拒否してはならないとされており、各医療機関に対して適切な対応を行うよう周知されているとのことですが、私も単身高齢者の入院時に保証人がいないために相談を受けて保証人になりました。市民に周知されているのか、再度確認いたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健医療局長。
○保健医療局長(舟越伸一) 福岡市医師会等の関係機関を通じて医療機関に通知を行うとともに、市ホームページに掲載するなど周知を図っております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 医療機関には保証人がなくても入院を拒否しないよう周知しているとのことですが、単身高齢者だけでなく、知っている市民はほとんどいないのではないかと考えます。病院からの説明がない場合は、やむなく保証人になっていただく方を探しているというのが現状です。医療機関だけでなく、市民にもきちんと周知することを求めます。
 次に、単身高齢者のワンストップの相談窓口はどうなっているのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 福岡市におきましては、単身でお住まいの方も含めた高齢者の身近な相談窓口として、市内57か所に地域包括支援センターを設置いたしております。年齢を重ねても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、健康や福祉、介護などに関する様々な相談を受け、適切なサービス、制度の活用や関係機関との連携による支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 高齢者の総合相談窓口として、市内57か所に地域包括支援センターを配置しているということは私も知っています。しかし、地域包括支援センターに夕方5時以降や休日に連絡するとつながりにくいという声を何度か聞いています。実際連絡がつかず困った体験をした人から苦情を聞いていますが、どのように対応しているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 地域包括支援センターの開設時間は月曜日から土曜日の9時から17時までであり、17時以降や日曜日など開設時間外につきましては、21時までは専門の窓口で緊急時の電話相談を受け付け、21時以降は保健所夜間通報ダイヤルを案内し、対応することといたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 夜間及び休日の対策は取られているとのことですが、対応に問題がないのか、もう一度検証を求めておきます。
 超高齢社会となり、高齢者ほど認知症を発症する人が増えます。認知症が進んでいる単身高齢者の支援についてはどのように取り組まれているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 認知症の高齢者の支援につきましては、地域包括支援センターをはじめ、区役所、医療機関、介護サービス事業所などの関係機関が連携し、世帯の状況に応じて認知症初期集中支援チームの派遣や、認知症医療連携システムを活用したかかりつけ医から専門医へのつなぎ、適切な介護サービスの調整、財産管理や契約を適切に行うための成年後見制度の活用支援などを行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 単身高齢者の方の場合、認知症が進んだ状態での支援は難しくなると考えられます。早期発見、早期対応が重要と考えます。そのためにも単身高齢者の方への保健師などの定期的な訪問体制などが必要だと考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村福祉局長。
○福祉局長(中村卓也) 認知症の早期発見、早期対応につきましては、地域における見守り活動や地域包括支援センターをはじめとした関係機関の連携が重要であると考えております。今後とも、保健師を含め、関係者が連携しながら、認知症の早期発見、対応に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 以上、単身高齢者に対する支援の現状について質問しましたが、身近に相談者がいない場合もあるように見受けられます。民生委員や校区社会福祉協議会、自治協や老人会など地域ぐるみの見守りがなされ、相談窓口として地域包括支援センターがありますが、各区役所での単身高齢者の生活状態の把握と支援の連携を図り、見守りと支援がさらに充実することを求めて、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、気候危機打開について、就学援助について、南区南西部の交通対策と地域交流センターについて質問をいたします。
 質問の第1は、気候危機打開についてです。
 国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、この4月に、今世紀末の世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5度に抑えるには全ての部門で、急速かつ大幅に、ほとんどの場合、即時に温室効果ガス排出量を削減する必要があると強調しています。そこで、気候危機打開に対する本市の取組は十分なのか、ただしてまいります。
 まず、気候非常事態宣言についてです。
 福岡市民は、議会や本市に気候非常事態宣言を出すようにと請願や陳情を行ってきました。また、我が党としても毎年繰り返し求めてきましたが、本市は国会で宣言していることを理由にその必要はないと拒否してきました。
 そこで、改めて本市は宣言すべきだと思いますが、今後も拒否し続ける姿勢を変えないつもりなのか、明確な答弁を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 気候危機につきましては、令和2年6月に環境省が気候危機宣言を行い、令和2年11月には国会で気候非常事態宣言が決議されるなど、既に国全体で共有されているものと認識しております。福岡市においては、今年度は福岡市地球温暖化対策実行計画を改定し、市民、事業者等と一体となり、取組を進めていく重要な年度であるため、地球温暖化のもたらす影響や気候変動の影響への危機感を改めてあらゆる主体と共有した上で、連携、協力しながら脱炭素社会の実現に向けて行動を加速させていくため、脱炭素社会の実現に向けた福岡市行動宣言を福岡市地球温暖化対策実行計画原案に係るパブリックコメントの実施に合わせて7月に行うこととしており、4月の福岡市環境審議会の地球温暖化対策部会、5月の福岡市環境審議会においてもその内容を御報告しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) これまでは拒否し続けてきたけれども、態度を変えられたわけです。気候危機打開の取組はスピードが命だと言われており、遅過ぎると言わなければなりません。私たちが言い始めて、既に3年以上が経過しています。問題はその中身です。
生活や仕事のスタイルの転換、省エネの推進、再エネの拡大など、社会システムを変えるような抜本的な手だてが本市として必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 脱炭素社会の実現に向けた福岡市行動宣言につきましては、ライフスタイルやビジネススタイルの転換、省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの利用拡大など、気候変動への対策の必要性を踏まえた上で、あらゆる主体と連携、協力しながら、脱炭素社会の実現に向けて行動を加速させていくことを宣言する内容となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) さらに加速させていくと言って、社会システムを大きく変えていくと述べられました。
 本市では、2016年に第4次福岡市地球温暖化対策実行計画を策定しましたが、昨今の社会状況を踏まえ、脱炭素社会を看板にした実行計画の見直し作業が進められてきております。改定されることになる福岡市地球温暖化対策実行計画の原案は、今後パブリックコメントにかけられ、市民の声を聞いた上で、今年の秋に改定が完了する予定です。その実行計画の原案には本市が出す宣言がどう具体化しているのか、ただしていきます。
 温室効果ガス排出量が実質ゼロとなる目標年が政府より10年早い本市の実行計画の原案では、計画の目標として市域の温室効果ガス排出量の2030年度における削減目標を2013年比50%削減としています。
 お尋ねいたしますが、2030年度までに50%削減できれば、2040年度に温室効果ガス排出量の実質ゼロを達成できる根拠について答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 現在、改定を進めております福岡市地球温暖化対策実行計画の原案におきましては、チャレンジ目標として2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを掲げており、2040年度に向けた取組として、発電所での化石燃料の使用減などによる電源構成の変化や、再エネ由来電力や水素などのカーボンフリーエネルギーへの利用転換、省エネルギーの推進によって、市域の温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、残る温室効果ガスの排出量を、環境に優しい消費行動であるエシカル消費や廃棄物埋立技術である福岡方式の海外展開、森林による炭素吸収などの市外への削減貢献量や吸収により、実質的な排出量ゼロを目指すものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) いろいろ言われましたけど、根拠について、2040年にゼロになるかどうかについては分からないという内容の答弁です。政府も計算していないからできないですよという態度では、国よりも10年早く、2040年ゼロとはなりませんよ。
 長野県では、CO排出量を2030年、2040年、2050年と独自の試算を行って、2050年ゼロを国の数値を待たずに決めています。長野県にできていることがなぜ本市ではできないのか、理由をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画につきましては、地球温暖化対策推進法に基づく法定計画として国の地球温暖化対策計画に即して策定するものであり、令和3年10月に閣議決定された国の地球温暖化対策計画では2030年度を目標年度としていることから、市の実行計画におきましても同様の目標年度として策定を行ったものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 私は長野県の担当者にお聞きしましたよ。長野県では、県民からのパブリックコメントを受けて、現在できる条件と今の技術で試算を出して、県民の意欲を引き出すために中間からゴールまでの具体的な目標設定をしています。福岡市についても、既に研究者の皆さんが試算しておられます。それによると、省エネ設備導入と断熱建築導入で2050年に最終エネルギー消費は4割まで削減が可能であり、それらによりCO排出量は2030年に2013年比で約60%以上の削減ができ、2050年には99%以上の削減となって、CO排出で残るのは船舶のみになるというシナリオです。福岡の現状から、現在の技術を前提にして計画が策定できる一つの試算がここにあるわけです。
 いろいろ言わずに、本市としても研究者の知恵を借り、試算してみるべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 2030年度以降の福岡市域における温室効果ガスの削減量につきましては、今後の様々な技術革新の進展や新たな製品、サービスの普及など不確実な要素が多いこと、また、算定の基礎となる国の数値も示されておらず、電源構成においては複数のシナリオが想定されている段階であることから、現時点でお示しすることは困難であると考えております。なお、国の地球温暖化対策計画は3年をめどに内容の見直しが行われることとされていることから、国の見直し内容等を踏まえて、福岡市の実行計画についても、適宜必要な対応を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 悠長なことを言っている時間はないんですよ。試算もしない無責任な目標であることははっきりしました。
 では次に、原案の2030年までに50%削減目標、それ自体は不十分なわけですが、その目標に対する本市の独自の努力はいかほどのものなのか、ただしてまいります。
 実行計画の原案では、本市域における温室効果ガス総排出量は2019年度から2030年度に50%削減する計画です。
 お尋ねいたしますが、2020年度から30年度の10年間で、家庭、業務、自動車の3部門合計ではCO排出を何トン減らし、そのうち本市が独自に努力する分、つまり、上乗せ分は幾らなのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 温室効果ガス排出削減量につきましては、福岡市地球温暖化対策実行計画原案において、2020年度から2030年度にかけて、家庭部門では56万トン、業務部門では72万トン、自動車部門では36万トンの合計164万トン削減することとしております。また、この中に含まれる福岡市の上乗せ分は、家庭部門は6万トン、業務部門は18万トン、自動車部門は2万トンの合計26万トンでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 10年間で、家庭、業務、自動車の3部門で164万トン減らすと。そのうち本市の上乗せ分は26万トンだということです。結局、原案の目標である2030年までに50%削減と言ってはいるものの、そのうちの9割ぐらいは国がやってくれるということです。
 少し具体的にお尋ねします。自動車部門で見れば、10年間で36万トン減らしますよと今言われました。そのうち市の上乗せ分は2万トンだと今言われました。つまり、自動車部門では、国全体で進めるガソリン車からの置き換えなどがほとんどで、購入補助金を設けるなど本市の独自の努力は削減量全体の5.5%しかありません。
 お尋ねいたしますが、50%削減と大見えを切っていますが、本市はほとんど努力していないということではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案に記載する取組につきましては、市の上乗せ分のみならず、国の計画に記載されている取組も含め、全てに関して、計画の策定主体である福岡市がその達成に向けて総合的かつ計画的に対策を進めていく必要があるものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 市の努力はありません。原案についてただしてきましたが、原案の2030年までに50%削減計画は、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロとなる根拠は全く示されませんでした。また、削減量の内容を見ても、ほとんどは国が行う施策での数値であり、市の努力は1割程度と全く不十分であることが明白になりました。
 これでは、気候非常事態宣言で先ほど局長が言われた抜本的な手だてが必要だという答弁と違うのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案につきましては、脱炭素型ライフスタイル、ビジネススタイルへの行動変容、省エネによるエネルギーの効率化、再生可能エネルギーの使用によるエネルギーの脱炭素化に関する施策を重点的に実施することとしており、脱炭素社会の実現に向けた福岡市行動宣言の内容とは整合が図られているものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 大きく矛盾していますよ。目標に掲げて宣言したことが計画となっていないわけです。
 では、本来あるべき計画とはどういうものが求められているかについて、次にただしてまいります。
 まず、計画の全体目標である2030年50%削減についてです。
 クライメート・アクション・トラッカー、略称CATという国際環境シンクタンクNGOがあります。このCATが、日本の温暖化対策をパリ協定の1.5度目標に整合させるためには、国内の温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比で60%削減すべきとし、これによって50年実質排出量ゼロは可能だという分析結果を発表しています。先ほど紹介した長野県では、日本の脱炭素化をリードする野心的な削減目標をスローガンに温室効果ガスの削減は2030年までに6割減と目標を掲げています。CATも長野県も2050年がゴールで、共に60%削減を目標に掲げています。本市のゴールはそれらよりさらに10年も早いのに50%というのは低過ぎます。
 したがって、2030年50%削減という目標を抜本的に見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 2030年度における市域の温室効果ガス排出削減目標につきましては、国の地球温暖化対策計画における見積りや福岡市の上乗せ余地を踏まえて設定したものであり、国の計画における削減目標が46%である中、福岡市の今後の人口増、世帯増なども見込んだ上で50%という高い目標を掲げたものでございます。環境省の地方公共団体実行計画策定・実施マニュアルにおきましては、50%の削減は野心的な目標であるとされている中で、福岡市においては、まずは設定した目標を確実に達成できるよう取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) この目標では2040年実質ゼロが実現できないということが分かっておられない。
 では次に、計画原案の省エネと再エネについてただしてまいります。
 2040年実質ゼロにしていくための決め手は、省エネと再エネを組み合わせて実行することです。2030年までにエネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の5割を賄えば、50から60%の削減は可能です。さらに2040年に向けて、残されたエネルギーの転換で再生可能エネルギー100%を目指していけば、実質ゼロは実現できます。
 まず、省エネについてお尋ねします。
 エネルギー消費量を減らす目標数値は分野ごとにありますが、原案では市全体の省エネ目標がなく、本市の独自の努力についても見えません。
 お尋ねいたしますが、省エネについて明確な市全体の目標を持つべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 省エネルギーの目標につきましては、再生可能エネルギー由来電力やグリーン水素等のエネルギーは消費しても二酸化炭素が排出されないことから、エネルギー総量は目標設定の対象とすることにはなじまないものと考えております。そのため、福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、家庭部門及び業務部門における成果指標として1世帯当たり及び床面積当たりのエネルギー消費量を設定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 持つ必要がないなど、あまりにも驚くべき答弁です。
 長野県では、省エネによって2030年までに4割減、2050年までに7割減の目標を掲げ、再生可能エネルギー生産量以下に抑えて、エネルギー自立地域を確立することを目標としています。本市の原案には、市の独自努力についてもほとんど記載がありません。例えば、家庭部門で住宅の省エネルギー化を促進させるためには、新築やリフォームをするときに高断熱、高気密化を進めることはもちろん重要です。ところが、それを促進する国や県の制度は子育て世帯に限られており、現役世代や高齢者は対象となっていません。金額は僅か30万円と低過ぎます。しかも、それを補完する本市の独自の制度は全くありません。
 したがって、脱炭素化を行う住宅分野での国や県の制度に市独自の横出し、上乗せを行って対象と金額を広げて、市独自の省エネの取組を促進させていくべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 住宅における省エネにつきましては、ヒートポンプ給湯器や家庭用LED照明器具の購入、複層ガラスによる断熱改修などに対してポイントを付与するECOチャレンジ応援事業を実施するとともに、住宅窓改修の手引きを活用した啓発などによって住宅における省エネルギー化を推進しております。また、国において住宅新築時におけるZEH支援事業やこどもみらい住宅支援事業などの補助事業が実施されており、これらの補助金の活用が図られるよう併せて周知を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 省エネを促進する制度を抜本的に強化すべきだと要求しておきます。
 次に、計画原案における再生可能エネルギーの位置づけについてです。
 8年前、本市は福岡市環境・エネルギー戦略をつくり、再エネの発電規模について目標を立ててきました。
 お尋ねいたしますが、2030年度の再生可能エネルギーを幾らにするという目標を立てたのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 平成26年に策定した福岡市環境・エネルギー戦略においては、市内の再生可能エネルギーによる発電規模を2030年度に40万キロワット以上とすることを目標としております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) この目標は電力自給率では何パーセントになるんですか。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市環境・エネルギー戦略における再生可能エネルギーによる40万キロワットの発電規模は、戦略策定当時の最新値であった平成23年度の市内における電力使用量の割合からすると約8%に相当すると記載しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 電力自給率は僅か8%の計画だったわけです。
 では、原案では再エネの2030年度の数値目標は幾らで、電力自給率は幾らになるのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、再生可能エネルギーに係る2030年度の成果指標として再生可能エネルギーの設備導入量40万キロワットを掲げております。また、電力自給率に関する成果指標につきましては設けておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 再エネの発電量の目標は8年前から1ミリも変わらず、40万キロワット、電力自給率は目標すら立てていないということです。なぜですか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 2030年度における再生可能エネルギーの設備導入量40万キロワットの成果指標につきましては、これまでの導入実績等を踏まえ設定したものであり、目標値として適切であると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 苦しい言い訳をされますけど、2040年度実質ゼロを打ち出したにもかかわらず、再エネの目標は8年前と変えず、電力自給率の目標は持たないというのは、あまりにも異常です。自分たちは何の努力もしようとしていないことがこの原案の計画に表れています。再エネのポテンシャルは、環境省のホームページでも、既存の発電設備と比べて15倍あるとされています。結局、再エネ発電を妨害し続けている九州電力への忖度なのではありませんか。世界120か国以上、1,100団体から構成される気候変動問題に取り組むNGO、気候ネットワークは、2030年までに再エネ電力の割合を50%にするようにと提案しています。
 お尋ねいたしますが、あまりにも低過ぎる再エネ目標を抜本的に見直すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 環境省が公表している再エネポテンシャルにつきましては、地図上で確認できる地理的な条件などに基づき算出された発電可能性量であり、実際の導入に当たっての設置費用や売電価格などの事業性までは考慮されてございません。
 再生可能エネルギーに関する施策の成果指標につきましては、福岡市地球温暖化対策実行計画原案において再生可能エネルギーによる設備導入量の指標に加え、再生可能エネルギーの利用率を2019年度の23%から2030年度には45%とする成果指標を設けております。再生可能エネルギー等の導入推進と再エネ由来電力等の利用拡大という両面の取組によって再生可能エネルギーの普及拡大を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) こんな低い再エネ目標で2040年ゼロなんてできませんよ。
 今回、改めて気候非常事態宣言をすると言われますが、政府より10年早く温室効果ガス実質ゼロを実現する計画とはなっていません。しかも、2030年までに50%削減すると言われますが、そのほとんどは国のすることだということで、市の努力は見えません。今日の質疑の中で、福岡市地球温暖化対策実行計画の原案には非常事態宣言に伴う具体的な中身が全く見えません。宣言の素案では、ライフスタイルやビジネススタイルの転換、省エネルギー化の推進、再生可能エネルギーの利用拡大など、気候変動への対策をさらに加速させていく必要があると、こう言って、つまり、システムを変えるような抜本的な手だてが本市として必要だということを述べているわけです。本気で2040年カーボンゼロを実行するためには根本的に姿勢を変えるべきです。
 したがって、福岡市地球温暖化対策実行計画原案は見直し、省エネについては削減目標を定めるとともに、省エネ住宅リフォーム助成制度を充実させるなど市独自の努力を抜本的に強め、再エネ目標も大幅に引き上げるべきだと思いますが、この問題の最後に市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は、世界や日本が目指すカーボンニュートラルに積極的に取り組むこととし、2040年度を目指したチャレンジを掲げております。現在改定を進めております福岡市地球温暖化対策実行計画においては、2030年度における市域の温室効果ガス排出削減目標を2013年度比で国の削減目標よりも高い50%削減としており、市の施策に加え、国の取組や制度を組み合わせながら、脱炭素型ライフスタイル、ビジネススタイルへの転換や住宅における省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用拡大などに取り組んでまいります。引き続き市民や事業者の皆様と一体となって、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 長野県では、県知事が先頭に立って、庁内横断的にあらゆる施策をカーボンゼロを目指す取組でやっています。市長の本気が問われています。
 次に、質問の第2、就学援助についてです。
 今日のコロナ禍の下、さらには物価高騰の中で家計が急変しているなど、経済的な困難を抱える子どもたちの教育を支える就学援助となっているのか、ただしてまいります。
 そこでまず、就学援助の後払い制度についてです。
 入学準備金は、小学校ではランドセル、中学校では標準服やかばんなど、まさに入学するのに必要な用品をそろえるために充てられるものであり、市民の声を受けて、現在は入学前から支給されています。一方、入学後に購入が求められる学用品などについては、これとは全く別のものであり、支給が学期末ごとの後払いとなっています。例えば、ある就学援助を利用している中学1年生の家庭に届いた学校徴収金の年間計画表によれば、入学後、5月31日までに1万4,880円を納めることとなっています。通知を受け取ったお母さんがびっくりして私に電話してこられました。就学援助費で返ってくるのは分かっているけど、この立替額は厳しいと。
 そこでお尋ねいたしますが、就学援助利用世帯にとって教材費の後払い制度は厳しく、前払い制度に改めるべきだと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ノートや学習教材などの費用に充てるために就学援助制度に学用品費の支給項目を設けて支援しているところでございまして、現在、学用品費の支援は支払い業務の効率化を図るため、年3回に分けて学期ごとに支払いを行っております。また、経済的事情などにより教材費の負担が困難である場合には、学校に相談していただくことで、学校において就学援助の支援と教材費を精算するなどの対応もいたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 入学前に準備金があるし、計算ができないということで、そう言われることもあるかもしれませんが、窓口をつくることは大事なことです。
 さらに、金額が大きいのが修学旅行費です。小学校6年生と中学校2年生の就学援助費の中の修学旅行費上限額はそれぞれ幾らなのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 修学旅行費の上限額は、国の要保護児童生徒援助費補助金における単価に基づきまして、小学校6年生では2万2,690円、中学校2年生では6万910円といたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 修学旅行費は小学校で2万円を超え、中学校で6万円を超える大きな金額です。これを数回に分けて学校が徴収しておいて、一括して旅行業者に支払う仕組みになっています。この分は就学援助では事前に渡されず、旅行後に各家庭に支給されることになっています。
 お尋ねいたしますが、修学旅行費を前もって自腹で積み立てるやり方は就学援助利用世帯にとってはとても大きな負担だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 就学援助は、給食費や学用品費、入学準備金など様々な支給項目に応じて支払い額や支払いの時期、また、定額払いや実費による精算払いなどの手法について、それぞれの項目の性格に応じて設定いたしております。このうち修学旅行費については、例えば、バスの実際の利用人数によって金額の変動が生じるなど、その性格上、実費の精算が必要なことから、精算払いとしております。また、修学旅行費やその他の学校徴収金は一時期に徴収すると保護者に負担となることから、その一部を積立てにするなど保護者の負担の平準化を図っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 大き過ぎる負担なんですよ。教育委員会にこの経済的な負担により修学旅行に行けなかった子どもたちは本市で何人いますかとお聞きしましたけど、分からないと言われるので、私のほうで試算してみました。2019年度の就学援助における中学校修学旅行費を先ほどの上限額で割ってみると、修学旅行に行った生徒数の概算が出ます。その数と実際の当時の中学2年生の数を比べてみると、1中学校当たりにして約5名分の差が出るのです。就学援助を受けている家庭の生徒の中で、高い修学旅行費を払えないことで行けない子も含まれているのではないでしょうか。
 したがって、修学旅行に行けない生徒を生まないように修学旅行費の後払い制度は改善すべきだと思いますが、明確な答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、就学援助には様々な支払い項目が盛り込まれておりまして、支払い額や支払いの時期、また、定額払いや実費による精算払いなどの手法につきまして、それぞれの項目の性格に応じて設定いたしております。このうち修学旅行費については、その性格上、実費の精算が必要なことから精算払いとしておりますが、できる限り保護者の事情に配慮するなど修学旅行に参加できない児童が生じないよう対応を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 本市が修学旅行の該当学年には修学旅行費を年度初めに支給すればいいことです。そうすれば、一時的な保護者の多額の負担とはならない、そのルールをつくるよう改善を強く求めておきます。
 では次に、就学援助での補助対象についてです。補助対象は市町村で決めることになっています。
 まず、お尋ねしますが、生活保護法に基づいて要保護者には支給されるクラブ活動費、生徒会費、PTA会費が本市では就学援助の支給対象に入っていません。これはなぜですか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 就学援助の支給項目につきましては、他の多くの政令市と同様、本市も保護者の負担が大きく、全ての児童生徒に関わるものを中心に設定しておりまして、おただしの費用については対象外としております。なお、他都市におきましても、御指摘のような費用を就学援助の対象としている団体は一部に限られております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) いろいろ言って、国のメニューに入っている補助対象を本市は除外しているわけです。クラブ活動費は、まさに部活動のための費用であります。体育系でいえば、ユニホーム、シューズ、ラケットなどを購入しないと試合にも出れません。文科系でいえば、楽器、筆、絵の具などを買わないと活動ができません。お金がかかるのです。
 お尋ねいたしますが、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費について、就学援助の支給品目に入れれば市の支出はそれぞれ幾らになるのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和2年度の就学援助の認定者数に国の令和4年度要保護児童生徒援助費補助金における単価を用いて積算いたしますと、クラブ活動費、生徒会費、PTA会費は小中学校合わせて、合計で5億2,642万円の増額となります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 就学援助は、予算の範囲内で国から2分の1の補助がある制度です。市全体の予算から見れば、今の5億数千万円、僅かな金額、支出で対象品目を増やせます。経済的な困難さからクラブ活動などを生徒に諦めさせてはなりません。クラブ活動費、生徒会費、PTA会費も就学援助に入れるべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、就学援助の支給対象につきましては、保護者の負担が大きく、全ての児童生徒に関わるものを中心に設定しておりまして、御指摘の費用を支給項目に加えることにつきましては、現時点では考えておりません。なお、支給項目につきましては、福岡市においては、本市独自のものや他都市の多くが対象としていない項目を本市では設定しているものもございまして、全体として見れば、1人当たりの支給水準は他都市と比べても遜色のないものとなっているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 本市は独自に出しているからといって、クラブ活動費などを出さない理由になりませんよ。国の基準に基づいてやるべきです。
 では次に、眼鏡とコンタクトへの助成についてお聞きします。
 視力が低下しているにもかかわらず、眼鏡を使わずに、よく見えないまま過ごしていては様々な支障が出ます。子どもの心身の発達のためにも視力に合った眼鏡やコンタクトが必要です。学校では、健康診断において視力検査があります。その結果、眼科の受診、眼鏡、コンタクトの購入は教育の一環として非常に大事なものだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 授業を適切に受ける上でも、また、日常生活全般においても、視力の矯正は必要であると考えております。なお、板書が見えにくいお子さんにつきましては、教室の前方に机の配置をするなど適切な学習環境の確保に向けた配慮を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 眼鏡とコンタクトは、それを必要とする子どもの生活にとって不可欠なものです。しかし、これが安くありません。経済的困難から眼鏡が買えないと、黒板の字が読めないなど学習や学校生活に支障が生じます。
 そこで、就学援助の項目に加えるべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 繰り返しになりますが、就学援助の支給項目につきましては、保護者の負担が大きく、全ての児童生徒に関わるものを中心に設定いたしておりまして、眼鏡等の購入費を支給項目に加えることを現時点では考えておりません。なお、支給項目につきましては、福岡市においては、本市独自のものや他都市の多くの団体が対象としていない項目を本市では設定しているものもございまして、全体として見れば、1人当たりの支給水準は他都市と比べて遜色のないものとなっていると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 全国的には、神奈川県下の各自治体や東京都の墨田区をはじめ、多くの自治体で、今日、急速に眼鏡やコンタクトへの助成制度が始まっています。本市も見習うべきだと要求しておきます。
 これまで就学援助の補助対象についてただしてまいりましたが、全く広げるつもりがないという冷たい態度に終始されました。では、就学援助の最後に、本市の就学援助制度の基準についてただしてまいります。
 そもそも就学援助制度は、国民はひとしく教育を受ける権利を有するという憲法26条の規定に基づく制度です。本市でも学習等に必要な費用の支払いにお困りの世帯に対して就学援助制度を設けているというわけです。
 まず、本市の就学援助の支給対象基準は生活保護基準所得との関係でどうなっているのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 就学援助の認定基準につきましては、原則として生活保護で用いる最低生活費の基準額の1.25倍相当の年収額を基に算定した市県民税の所得割額を基準といたしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 就学援助は生活保護に連動しており、本市の就学援助利用世帯の年収は生活保護基準所得の1.25倍で線を引いているということです。
 では、令和2年度と平成28年度の就学援助の認定者数について、要保護人数と準要保護人数、合計認定率について答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 生活保護世帯の児童生徒である、いわゆる要保護児童生徒の数は、平成28年度が2,869人、令和2年度が2,215人、就学援助認定者である、いわゆる準要保護児童生徒の数は、平成28年度が2万6,276人、令和2年度が2万5,882人となっております。また、要保護児童生徒及び準要保護児童生徒の合計が全児童生徒に占める割合は、平成28年度が25.4%、令和2年度が23.6%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 令和2年度の利用者の割合は小中学生全体の23.6%、ほぼ4人に1人の子どもが利用しています。さらに教育長の答弁で、要保護人数は654人減、準要保護人数は394人減、認定率も1.8%、この数年で下がってきていることが明らかになりました。ここには、生活保護基準額が大幅に引き下げられ、それに伴って就学援助認定基準額も大きく引き下がってきたという状況があります。
 お尋ねいたしますが、モデル世帯での就学援助認定基準額とその計算の基となる生活保護基準額について、平成26年と令和3年の金額について答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 両親と子ども2人世帯の場合の就学援助の認定基準額を年収額で見ますと、令和3年度は約402万円、平成26年度は約451万円でございます。また、この額の計算の基としております生活保護基準額は、令和3年度については約322万円、平成26年度については約360万円でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) この数年間で、生活保護費の支給額が年39万円下がり、それに連動して就学援助を受けられる年収要件が49万円も下がっているわけです。そのため、多くの人が就学援助の制度から締め出され、認定者数が減ってきています。今、物価高騰が暮らしと営業に深刻な影響を与えている下で、国民からは悲痛な声が上がっています。
 政府は4月26日、地方創生臨時交付金、コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分1兆円を対策として盛り込みました。この交付金は就学援助の横出しや上乗せに活用できると思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 地方創生臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分の活用につきましては、内閣府におきまして、コロナ禍において原油価格、物価高騰等に直面する生活者等の支援を主たる目的とする事業であって、交付金による支援の効果が当該生活者等に直接及ぶ事業が対象とされているところでございまして、御指摘の就学援助の横出し、上乗せがこれに該当するのであれば、当該交付金を活用できるものと考えられます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) できるのであれば、活用するべきではありませんか。なぜしないのですか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 今回の臨時交付金の活用につきましては、原油価格などの高騰により全国的に物価高騰が見られる中、国において、栄養バランスや量を保った学校給食等が実施されるようにコロナ禍において物価高騰等に直面する保護者の負担軽減に向けた自治体の努力を強力に促し、必要な支援を迅速に行うとされていることも踏まえまして、本市としましても、給食食材の価格高騰に適切に対応していくことが必要との考えから学校給食の負担軽減に取り組むこととしたものでございまして、まずはこの取組を着実に進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 財源があるのでできないということですね。実際のところ、子育て世帯への支援の気持ちがないということだと思います。
 この間、就学援助の基本となる生活保護基準が度々引き下げられてきました。そういう中で、文部科学省は連動させないでと言っているのに、本市はそれで就学援助利用世帯を締め出してきています。この方向を今こそ切り替えるべきときです。東京都世田谷区では、消費税が10%に増税されたときから就学援助の基準を見直し、支給対象者をそれまでの生活保護基準の1.24倍から1.4倍に拡大しています。担当の方は、子育て応援都市として、保護者負担の軽減策としてやっていると言われていました。やる気があればできるんですよ。
 したがって、全ての子どもがお金の心配なく教育を受け、健やかに成長できるよう就学援助の支給対象基準の拡大をするべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 本市におきましては、従来から原則として就学援助の認定基準は生活保護基準に準じて改定いたしておりまして、御指摘の平成25年の生活保護基準の改定の際も同様に対応いたしました。生活保護基準は、国が物価動向や低所得者の消費状況などを調査の上、決定していることから、生活保護基準の変動に応じて就学援助の認定基準を定める考え方は適切であると考えております。
 繰り返しになりますが、さらに就学援助につきましては、その認定基準を原則として国が決定する生活保護基準に準じて定めております。全ての支給項目に関わるものを中心に設定しておりまして、福岡市独自のものや他都市の多くの団体が対象としていないものを本市では設定しているものもございまして、全体として見れば、1人当たりの支給水準は他都市と比べて遜色のないものとなっていると考えております。また、従来から、昨年の収入等では認定基準の要件に該当しない場合であっても、失業や倒産などの諸事情により前年に比べて急激に収入が減少し、認定基準の要件に該当するときは就学援助を認定するという対応も行ってございまして、今後も制度の周知を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) ずっと一貫して冷たい答弁ですよ。コロナ禍の中でやっているのは当たり前の話なんです。できないのではなくて、子どもたちを健やかに育てる気持ちがない教育長の態度だと言わざるを得ません。就学援助の抜本的な拡充を求めておきます。
 では次に、質問の第3、南区の南西部の交通対策と地域交流センターについてただしてまいります。
 まず、南区の南西部と南区の中心地、大橋方面との交通アクセスの問題です。
 生活交通条例の前文では、市民の生活交通を確保し、全ての市民に健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動を保障するとして、市民の足の確保は生存権だとうたっています。南区の大橋地区には区役所があり、南市民センターや九州中央病院もあります。しかし、南区の長住、花畑、柏原方面からは、平日に走っている大橋、区役所方面行きの西鉄バスが土日祝日にはありません。区役所は、選挙になれば期日前投票所になります。また、南市民センターは今年8月にリニューアルオープンする予定であり、土日祝日は特に利用が多い公共施設です。これは市民活動の権利を奪っていると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 土日祝日に長住、花畑方面から大橋方面へ向かうバス路線につきましては、清水町バス停での乗り継ぎで大橋方面へアクセスが可能となっておりますが、利用者の方には乗り継ぎの手間が生じていると認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 明らかに権利が侵害されています。バス路線の休廃止に伴い、公共交通空白地になる地域における代替交通の確保は本市の責務です。西鉄の利益の都合でバス路線の空白は認められないという立場に立つべきです。もともと南区桧原営業所から長住、野間経由の大橋行きバス路線では、平日は9本、土曜は7本、日祝日は8本走っていたんです。ところが、その土日祝日の便がなくなり、平日も6本となっています。本市は西鉄に増便を要請したと言われますが、本気で迫っていません。だから、どんどん後退していっているわけです。
 お尋ねいたしますが、本市は西鉄に長住、花畑、柏原方面から大橋方面行きの土日祝日の便の運行を強く要求するべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 交通事業者からは、バス乗務員不足に加え、コロナ禍に伴うバス利用者の大幅な減少などによりバス事業を取り巻く環境は厳しく、当該路線も一定の利用が見込めない状況であると聞いておりますが、土日祝日の当該バス便の運行について働きかけてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 公共交通事業者としての責任放棄は許されず、市として強く迫るべきです。
 仮に、もしもそれでも西鉄がバスを動かさないのであれば、本市が独自に長住、花畑、柏原方面から大橋方面への土日のコミュニティバスを走らせるべきではないかと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市が主体となったバスの運行につきましては、コロナ禍に伴う交通状況の変化や、持続可能でバランスの取れた公共交通ネットワークの確保など踏まえる課題が多いと考えております。引き続き地域の実情などを踏まえながら、交通事業者と連携してバス路線の維持、充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) いろいろ言われますけど、犠牲になっているのは長住、花畑、柏原地区の市民です。西鉄が走らせないのであれば、本市がコミュニティバスを運行すべきです。
 次に、南区地域交流センターについてただしてまいります。
 総務企画局は、拠点施設を南区に造ることを毎年重要施策として位置づけていますが、2014年から現時点まで何を調査し、どういう方向性を出しているのか、明確な答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 南区につきましては、区の西南部を中心に高齢化が進展しており、公共交通の利便性の向上や道路交通網の強化が求められているほか、行政サービス機能の配置状況などの課題があると認識いたしております。このため、平成26年度から区レベルの行政サービスを補完する機能を持った拠点施設の検討として、民間を含めたサービスの配置状況、交通や住宅の状況、そして、校区ごとの人口動向などの地域特性調査を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) お茶を濁している程度の話ですよ。いつまでこんなことをしているんですか。本当にやる気があれば、こんな調査なら1年でできますよ。それを8年もかけている。しかも、その調査の結論として、センターや施設が必要かどうかもはっきりさせていません。
 まず、何よりも地域交流センター、拠点施設の必要性を認め、施設を造ること自体を早急に決定すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 南区における拠点施設につきましては、整備に向けた検討として地域特性調査を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 重要施策というのに決定もしていない、スケジュールも示せないとは異常です。本当はやりたくないのではないですか。市内には各地に地域交流センター、市民センター、体育館、図書館など拠点施設が24か所あります。
 お尋ねいたしますが、その拠点施設から半径3キロメートルを利用圏とした場合、各行政区のカバーできない人口を平成27年の国勢調査に基づいて算出すると、南区は何人で、また、カバー率は何パーセントですか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 平成27年の国勢調査における250メートルメッシュデータを使用した調査では、南区における市民センター、体育館、地域交流センターなどの施設を中心とした半径3キロメートル圏内の人口につきましては20万9,301人で、その割合は80.9%となっております。また、半径3キロメートル圏外の人口につきましては4万9,390人で、その割合は19.1%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) カバー率、行政区で見ますと、中央区と博多区は100%、城南区は99.9%、その他の行政区は95%なんです。しかし、南区だけは80%と全市で断トツの最下位。
 では聞きますけど、福岡市全体では、拠点施設の半径3キロメートル以内に住んでいない市民は何人ですか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市全域における市民センター、体育館、地域交流センターなどの施設を中心とした半径3キロメートル圏外の人口につきましては、8万4,845人となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 市内全体で8万4,845人が半径3キロメートル以内に住んでいない。そのうちの6割の約5万人が南区民です。南区南西部の地域交流センターの設置は人口分布からも求められています。さらに、市民の実際のニーズは高いのです。区役所に行かなくても用件を済ますことのできる区役所代替機能が求められています。また、市民センターに行かなくても行事や企画を開催し、参加できる地域コミュニティの場を望む地元の声は切実です。さらに、高齢者から子どもまで集える施設、とりわけ5,800人もの署名が集まった児童館の設置は多くの人が希望しています。さらに、文化芸術の発表、練習の場もこの地域には全く足りていません。
 お尋ねいたしますが、そのような多様な要求を満たせる地域交流センター、拠点施設を南区南西部に急いで設置すべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 南区における拠点施設につきましては、地域特性に関する調査を実施した上で、行政サービス機能の配置状況なども踏まえながら、基本的な考え方や機能などについて検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 堀内徹夫議員。
○43番(堀内徹夫) 市民ニーズも高く、設置すれば行政的にも利点が多く、さらに交通拠点にしていけば、交通問題の解消にもつながります。本市の基本計画に基づいて南区の南西部でのコミュニティバスを含む交通対策を抜本的に強めるとともに、拠点施設、地域交流センターを造るべきだと思いますが、最後に市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 南区につきましては、高齢化の進展をはじめとして、道路交通や行政サービス機能の配置などに課題があると認識をしております。南区南西部の公共交通の充実につきましては、地域の実情を踏まえながら、引き続き交通事業者と連携をして取り組んでまいります。また、南区における拠点施設につきましては、南区の現状と課題、将来の見通しなどを踏まえながら、整備に向けた検討を進めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司)登壇 私は自民党新福岡を代表して、庁用車の脱ガソリン化の取組について、観光・MICEの推進について、以上2項目について質問してまいります。
 まず初めに、庁用車の脱ガソリン化の取組についてお尋ねいたします。
 地球温暖化対策については、全人類が一丸となって取り組むべき喫緊の課題となっております。世界の動きに目を向けますと、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量削減を目指し、平成27年、国連気候変動枠組条約締約国会議、COP21においてパリ協定が採択され、その運用が令和2年から開始されました。昨年11月に開催されたCOP26では、世界各国が2030年時点での削減目標を引き上げました。また、こうした気候変動への対策は、先日、アメリカのバイデン大統領が来日した際に岸田総理との間でも協議され、共同声明に盛り込まれるなど、国家という大きな単位で取り組むべき課題ではありますが、温暖化対策が奏功するか否かは、我々一人一人が、また、企業がどのような取組をするかにかかっています。
 初めにお尋ねしますが、福岡市域における二酸化炭素の総排出量はどのくらいでしょうか。また、部門別の排出量の傾向はどうなっているのでしょうか。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市域における二酸化炭素の総排出量につきましては、直近の2019年度で約570万トンと推計しており、その排出量を部門別に見た割合は、多い順に自動車部門が約32%、業務部門が約28%、家庭部門が約24%となっております。排出量の傾向については、基準年度である2013年度と比較しますと、業務部門と家庭部門は毎年度減少し、ほぼ半減している一方で、自動車部門はほぼ横ばいとなっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 二酸化炭素の排出量が最も多いのが自動車部門とのことです。全体の排出量の約3分の1を占め、また、近年の排出量もほぼ横ばいであれば、まずは自動車部門における対策に特に力を入れるべきだと考えます。
 自動車部門における排出削減の取組としてまず思いつくのが、ガソリン車から電気自動車への切替えを促していくことと思いますが、市はどういった取組をされているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 自動車部門における市の取組につきましては、市民のガソリン車から電気自動車等への移行を進めるため、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の購入費用の一部助成や、市民が利用できる電気自動車等の急速充電設備の設置に対する一部助成などを行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 市民の方へは購入時の助成を行うことで、購入してもいいかなと思っている人に電気自動車等を選択する後押しになっていると思いますが、電気自動車に興味がない人にも購入するようなマインドに変えていくことが重要になってくると思います。そのためにも、まずは市役所が率先して取り組み、市民や企業に範を示していく必要があると思います。
 そこで、市役所の庁用車における脱ガソリン化の取組を中心にお尋ねしていきたいと思います。
 最初に、庁用車の脱ガソリン車への切替えについて、どのような方法で進められているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 庁用車の脱ガソリン車への切替えにつきましては、車両を新規に導入または更新する際に、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車の導入を各車両の利用用途も踏まえながら検討し、切替えを進めていくこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今後、車両の更新に合わせ、車両の用途も踏まえながら導入を検討し、切替えを進めていくということでありますが、現在、市役所が所有またはリースしている庁用車は何台あり、そのうち電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド車など、いわゆる次世代自動車は何台あるのか、また、令和2年度と比較するとその数は増えているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 庁用車の台数につきましては、令和3年度末時点で948台であり、このうち消防車などの特殊車両等を除き、職員が使用する一般の庁用車は648台でございます。これらに占める次世代自動車については、電気自動車が13台、プラグインハイブリッド自動車が7台、燃料電池自動車が2台、ハイブリッド自動車が29台、合計51台でございます。また、令和2年度末時点の次世代自動車は合計33台であったことから、比較いたしますと18台の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 令和3年度は次世代自動車の導入を増やしたようですが、51台というのは、まだまだ少ないように感じます。
 ここで、実際に本庁舎や区役所等で庁用車の所管をしている財政局にお尋ねします。
 令和4年度に更新を予定している車両が何台あり、そのうち次世代自動車は何台導入する予定なのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 令和4年度において財政局が更新を予定している庁用車は26台で、そのうち次世代自動車は22台でございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 更新される車両の大半が電気自動車やプラグインハイブリッド自動車といった次世代自動車ということで、まずは一安心いたしました。
 では次に、実際に次世代自動車の導入を図っていくには多くの課題があると思いますが、どういった課題があるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 次世代自動車の導入に当たっては、現時点では販売されている車種が限られていること、ガソリン車と比べ高額であり、航続距離が短いこと、充電設備等が必要であることといった課題があると考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今御答弁いただいた課題のほかにも、自動車に限らず、世界的な半導体不足や情勢不安などにより多くの機械や家電製品の部品が不足し、製品を発注しても納入までにかなりの期間がかかっていると聞いておりますので、導入に当たっては計画的に実施していただきたいと思います。
 また、先ほど御答弁いただいた中にもありましたが、庁用車を電気自動車に切り替える場合、充電するための設備も同時に導入していかなければならないという課題もあります。
 そこで、庁用車用の充電設備の設置状況及び今年度の対応予定についてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 庁用車用の充電設備の設置状況につきましては、令和3年度末時点で本庁舎や区役所など9施設に設置しております。また、令和4年度には電気自動車を新たに設置する10の行政施設に充電設備を新設する予定でございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 充電設備が整備されていないから電気自動車を導入できない、そういったことにならないように、電気自動車の導入とともに、充電設備の整備も計画的にしっかりと進めていただきたいと思います。
 また、用途に応じた車種がない場合、今後の対応車種の販売を待つ必要があるとは思いますが、先月、日産と三菱から軽自動車規格の電気自動車が販売されるとの発表がありました。これまで電気自動車といえば普通車やSUVといった車種ばかりでしたが、いよいよ軽自動車も加わりましたので、庁用車への導入も加速していくのではないかと期待します。
 ただ、軽自動車といっても電気自動車はまだまだ価格が高いことから、車両購入の際に国による補助金があったと思いますが、先月発表された軽自動車規格の電気自動車の補助金額は幾らなのか、また、その補助金は地方自治体も活用できるのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 電気自動車等を購入する際には、国のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金を申請することができ、おただしの補助金額については55万円となっております。また、本補助金は地方自治体も申請可能であり、福岡市も活用しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 財政負担軽減のためにも、ぜひ積極的に国の補助金を活用いただきたいと思います。
 軽規格の電気自動車購入に対する国の補助金額については、令和3年度当初予算では1台当たり14万円だったものが、補正予算、令和4年度当初予算では41万円になり、ただいま御答弁にあったように5月に発表された新型車両については55万円となるなど、国の補助額は拡充されてきております。しかしながら、これまでの庁用車として導入してきた軽自動車と比較した場合、補助金を活用したとしても依然として高額である、そう言わざるを得ません。市の負担軽減のためにも、引き続き補助金のさらなる拡充を国に対して要請していただきたいと思います。
 先月のことですが、2021年、全世界における電気自動車とプラグインハイブリッド自動車の販売台数が前年の2倍となり、過去最高の660万台に達したとの報道がありました。660万台と言いますと、世界の自動車販売台数の約1割に達する数字です。ヨーロッパでは、2030年にはガソリン車の販売ができなくなりますし、日本においても、2035年には乗用車の新車販売において100%の電動車化が目標とされています。そうした状況も見据えながら、市役所自らがまずは範を示していただければと思います。
 市民や企業による自動車の脱ガソリン化の動きを大きく加速させるために、庁用車の脱ガソリン車への切替えを計画的かつ着実に進めていただきますよう最後に要望いたしまして、この質問を終わります。
 次に、観光・MICEの推進について質問してまいります。
 観光・MICEの振興は福岡市における重要な政策の一つであり、本市の地域経済を支えるとともに、都市のプレゼンス向上に寄与してまいりました。あわせて、九州のゲートウェイ都市としての機能を強化し、利便性を高めることで、国内外からの多くの来訪者をお迎えし、各地を周遊していただくことにより、本市の観光・MICEが九州全体の活性化にも大きく寄与してきたところです。しかしながら、この2年間は新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、観光客やMICEをはじめとするビジネス客の来訪が大幅に減少し、大規模なイベントなども軒並み中止、延期となり、市内ホテルの客室稼働率は年平均30%台まで落ち込むなど、本市経済も大きな打撃を受けました。
 そのような中、国の水際対策が緩和され、6月から外国人観光客の受入れも再開されることになり、少しずつではありますが、インバウンドが戻ってくるとともに、ビジネス交流も活性化し、MICEも再開されていくことで、まち全体に活気が戻ることが期待されます。今後、観光客、そしてMICEの誘致において、都市間競争が激しくなることが想定されますが、その競争に勝ち抜いていくためには、福岡市が国内外の観光客やMICE関係者に選ばれるまちにならなければなりません。
 そこで、今回は地域経済の回復に向けた観光とMICEの戦略的な推進についてお尋ねしたいと思います。
 まずは、新型コロナ感染拡大の影響によって観光・MICEにどのような変化があったのか、確認していきます。
 コロナの影響が出る前後の令和元年と令和2年の外国人入国者数と国際会議開催件数をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 外国人入国者数につきましては、福岡空港及び博多港からの入国者数でお答えしますと、令和元年は269万5,000人、2年は32万人となっております。次に、国際会議開催件数につきましては、令和元年は313回、2年は15回となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 新型コロナの感染拡大前後で状況が一変したことが分かりました。
 改めて数字を伺いますと、新型コロナ感染拡大前は観光・MICE都市としての積極的な誘致活動が実を結んでいたことがうかがえます。
 そこでお尋ねですが、コロナ前はどのような誘客プロモーションやMICEの誘致活動を行ってきたのか、伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 新型コロナウイルス感染拡大前の誘客プロモーションにつきましては、福岡空港に直行便が就航している国や地域をターゲットに、旅行博への出展や現地旅行会社に対する営業活動など効果的なプロモーションを行ってきたところでございます。また、MICEの誘致活動につきましては、福岡観光コンベンションビューローのMICE誘致の専門的組織であるMeeting Place Fukuokaにおいて、国際会議協会のネットワークなどを活用し、国内外で学会等のMICE主催者への営業活動を行ってきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) そのような積極的な誘致活動の結果、順調に推移してきたインバウンドやMICEですが、新型コロナウイルスの感染拡大により激減するという事態になりました。移動制限や3密の回避は、旅行や大規模なイベントの自粛につながり、まさに福岡市の強みであったインバウンドやMICEがストップしてしまうという事態にあったと思います。
 新型コロナウイルスの感染拡大後は、ほとんど誘致活動が実施できなかったのではないかと推察されますが、コロナ下では何か誘客プロモーションやMICEの誘致活動を行ってきたのか、お伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) コロナ下における誘客プロモーションにつきましては、国内向けには県境をまたぐ外出の自粛など移動制限がある中、宿泊事業者によるプランの造成、販売を支援し利用促進を図る「福岡STAY」安全安心利用キャンペーンや修学旅行などによる都市圏周遊の推進などの需要喚起策のほか、市民も含め、Fukuoka East&West Coastなど近場の観光スポットの情報発信などに取り組んできたところでございます。
 また、海外向けには、インバウンドの再開を見据え、入国制限がある中でも訪日旅行再開後に福岡市を旅行先に選んでいただけるよう、ホームページやSNSを活用した情報発信に加え、世界水泳選手権に向けた福岡・九州における観光の魅力発信などに取り組んできたところでございます。
 さらに、MICEの誘致活動につきましては、オンライン商談会などで誘致活動を行うほか、令和2年10月から開始したMICEのハイブリッド開催支援事業により施設のオンライン対応を図るとともに、主催者にオンライン経費や安全対策経費の助成を行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) これまでの観光客の誘致やMICEの誘致活動について理解いたしました。
 特にコロナ下においても、感染の終息をただ待つのではなく、安全、安心に向けた取組や小規模、近距離の旅行需要を高めるとともに、将来のインバウンド需要獲得に向けた魅力発信やオンラインを活用したMICE誘致、MICE施設所有、管理者や主催者に寄り添った支援事業が行われていたことは、今後の観光・MICE振興にきっと生きてくると考えます。
 福岡市においては、これらの取組に加え、観光関連事業者や飲食事業者等に対し、安全、安心に向けた感染拡大防止対策や家賃支援など事業継続のための経済支援のほか、様々な需要喚起策などに取り組み、地域経済を支えてこられたことは、これまでの議会報告などで認識しております。コロナという大きなピンチではありますが、このピンチをチャンスに変えて、安全、安心に福岡の観光を楽しんでいただくための環境が現在進行形で構築されているのではないかと感じています。
 ただ、一方で、まだまだ従来のような経済状況ではないことも事実です。コロナ前は市内のホテル等の客室稼働率は80%を超えるなど、予約が取りにくい状況であったと記憶しているところでございます。また、MICEにおいては、G20財務大臣・中央銀行総裁会議やラグビーワールドカップなどの華々しい国際イベントが開催されたのもほんの少し前のことであります。
 先ほど、コロナ下でも誘客プロモーションやMICEの誘致活動を行ってきたとのことですが、現状は厳しい状況が続いているのではないでしょうか。
 そこで、直近の市内のホテル等の客室稼働率や宿泊事業者の声は把握しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 直近の市内のホテル、旅館等の客室稼働率につきましては、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、直近である令和4年3月で42.2%でございます。宿泊事業者の声といたしましては、週末は回復傾向であるものの、ビジネス客の出張など、平日についてはコロナ前までには回復していないと伺っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 徐々にイベントが開催され、地域経済において、人流は回復基調ではあるものの、出張控えなどにより国内の需要だけではやはり厳しい状況であり、インバウンドやMICEの再開による消費の上積みに期待するところであります。
 それでは、これからの観光・MICEの取組についてお尋ねしてまいります。
 まず、コロナによる観光への意識変化やMICEにおけるニーズ変化は認識しているのか、お伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 新型コロナウイルス感染拡大による観光への意識変化につきましては、施設等における新型コロナウイルス感染症対策のほか、民間企業の調査によると、環境に優しい方法で旅行することへの関心の高まりや、旅行に伴うCO排出量の削減を希望するという結果が出ているなど、SDGsへの貢献と持続可能な観光に対する意識が高まってきていると認識しております。また、MICEにつきましては、オンラインやハイブリッドによる開催が主流となる中、主催者にとってはリアルで開催したいというニーズがあるとともに、観光同様にSDGs推進の意識が高まっていくと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) やはり、コロナによって社会環境やニーズは変化していることが分かりました。
 コロナの感染拡大を機にオンラインによるビジネスシーンが増加したほか、自然、景観を楽しむ旅行や感染症への対応、環境に配慮した旅行など、今後の需要回復には、これまでにはない様々な旅行者ニーズに応えていく必要があるようです。また、MICEにおいても、オンラインの活用とリアルに人が集まるハイブリッド開催が主流のようですが、主催者にリアル開催のニーズがあるということは明るい兆しではないかと思います。さらに観光・MICEにとっても、SDGs推進への対応は世界的に取り組むべき課題となっていることがうかがい知れます。
 それでは、6月10日からの国の水際対策緩和を踏まえて、今後のインバウンド誘客におけるマーケティングは重要と考えますが、ターゲットについてはどのように考えているのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 今後のインバウンド誘客におけるターゲットにつきましては、新型コロナウイルス感染症の状況や外国人観光客の受入れ開始に係る国の方針を踏まえ、定期航空便就航の再開に向けた取組を進めながら、自国への入国制限がなく、かつ福岡空港への直行便が就航している国や地域をターゲットとして誘客に取り組むとともに、デジタルマーケティングを活用し、国、地域ごとの嗜好や関心に合わせたプロモーションに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 7月から外国人観光客の受入れも段階的に拡大していくというお話もありますので、他都市に乗り遅れないようしっかりと取り組んでいただきたいところであります。
 先月、世界経済フォーラムが発表した2021年版の旅行・観光開発指数によりますと、日本は総合評価で初めて世界1位を獲得しております。特に5つのカテゴリーがある中で、インフラのカテゴリーと旅行、観光の需要喚起のカテゴリー、つまり、その国、地域に旅行したい理由があるという指数は高い評価を得ており、日本に訪問したい外国人は多くおられるということになります。今回の発表において、旅行、観光が社会経済にもたらす役割は大きく、観光産業が成長していくには、コロナ下からの回復力と旅行者と地域住民がお互いに満足できる持続可能で様々なリスクにも対応できる旅行、観光の再構築も求められているようですので、受け入れていく環境整備も併せて進めていただきたいところです。
 また、報道によりますと、福岡市においても、国内クルーズ船の寄港が秋頃には再開されていく見通しとの記事も出ておりました。国際クルーズ船については、これからの国の水際対策などを見極めながら再開の時期を検討されていくことかと思いますが、クルーズ船においても安全、安心に配慮していただきながら、インバウンドの回復に向けてしっかりと取り組んでいただくことを期待いたします。このようなインバウンドの受入れは、今後急速に進んでいくのではないかとも感じているところです。
 そこで、今後のインバウンド回復に向けた誘客プロモーションではどのように取り組んでいくのか、また、MICE回復に向けた取組はどう進めていくのか、お伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 今後のインバウンド回復に向けた誘客プロモーションにつきましては、まずは国が公表した外国人観光客の受入れ対応に関するガイドラインをはじめ、マスクや消毒などといった旅のエチケットに関する情報など、安全、安心に旅行していただくための情報発信を行ってまいります。その上で、新型コロナウイルス感染症の状況や水際対策の段階的な緩和状況を注視しながら、自然環境や地域の暮らしなどに配慮したサステナブルツーリズムなど、コロナ下となり変容した旅行者のニーズを踏まえた誘客プロモーションを行ってまいります。
 また、MICEにつきましても、再開が早いインセンティブトラベルの誘致を行うとともに、より多くの参加者にリアルに来訪していただくため、ユニークベニューやアフターコンベンションなどにおける都市の魅力を発信することに加え、SDGsの観点からの受入れ体制づくりなどニーズに沿った取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) しっかりとプロモーションし、インバウンド観光客の取り込みに期待いたします。
 これからの本市における地域経済の活性化には、インバウンドから生まれる経済効果は重要となってまいります。以前のインバウンドに対するイメージとして、爆買い、オーバーツーリズムやマナーの悪さなど、あまりよくないイメージを持っている方もおられるかと思いますので、インバウンドの受入れにおいては、受け入れる側の地域住民の理解も必要となってまいります。
 先ほどインバウンドの受入れに関しては、旅のエチケットや安全、安心の情報発信、自然環境や地域の暮らしに配慮したサステナブルツーリズムの取組など進められていくとの発言がございました。つきましては、地域にも配慮したインバウンドに対する受入れ環境づくりにもしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。
 また、来年は世界水泳という大きな契機となるイベントが待っています。世界水泳に向けた取組もしっかりと進めていただきたいと思っておりますし、マスターズ選手権においては、九州域内の福岡市、熊本市、鹿児島市の3都市で開催されることとなっています。
 そこで、世界水泳に向けて、観光部門としてはどのような取組を進めているのか、また、ゲートウェイ都市としての九州域内及び各都市との連携が必要ではないか、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 世界水泳に向けた観光部門の取組につきましては、海外から、より多くの旅行者が訪れるよう、引き続き、福岡・九州における観光の魅力発信を行うほか、国内外からの来訪者を歓迎するおもてなし店舗の充実強化に加え、会場やまちなかにおけるイベントや歓迎装飾の準備を進めてまいります。また、九州域内及び各都市との連携につきましては、九州のゲートウェイ都市である福岡市が中心となり、マスターズ大会が開催される熊本市、鹿児島市を含む九州各都市と連携し、現在、世界水泳参加者をターゲットとした観光特設サイトを立ち上げ、九州の魅力を発信しているところでございます。引き続き世界水泳選手権の開催に向けて、九州周遊観光のさらなる推進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 世界水泳についても、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催が2023年に延期となり、関係者の皆様は大変苦労をされたのではないかと推察されます。何としてもこの世界水泳を成功させ、インバウンドの本格的な復活の契機とし、福岡市の元気を国内外に発信していただきたいと思います。
 冒頭にも申し上げましたが、インバウンドが再開し、今後は観光・MICEともに都市間における競争が激しくなっていくと考えます。それは国内の都市だけではなく、海外の都市との競争になってくるものと考えられます。福岡市には観光地がないという声を時々聞きますが、ラーメン、水炊きなどの食やショッピング、Fukuoka East&West Coastなどの豊かな自然や、博多旧市街プロジェクトなどの歴史、文化、国際会議や様々なイベントの開催、市民の温かいおもてなしなど、多様な魅力が折り重なり、都市全体が観光地としてうまくパッケージされているのではないでしょうか。
 冒頭でお尋ねしたコロナ前の外国人入国者数や国際会議の開催件数などにおいて、国内でも有数の実績が残せているのもその表れの一つではないかと思っておりますし、一朝一夕ではなし得ないものと考えております。しかしながら、今後、改めて観光・MICEにおいて選ばれるまちとなっていくためには、これまで以上に受入れ環境の充実や魅力発信のほか、観光とMICE誘致が連動した体制の強化にも取り組んでいく必要があります。そうして、国内からの内需だけではなく、インバウンドによる外需もしっかりと取り込んでいくことが重要であり、新型コロナの感染状況に留意しつつも、交流人口を回復させることが地域経済にとって一番のカンフル剤になるのではないでしょうか。さらには、海外と九州をつなぐゲートウェイ都市としての機能を強化しつつ、九州各都市と連携した魅力的な観光ルートの造成や情報発信などに取り組むことで、本市が九州を牽引していくことが重要だと考えます。
 最後に、これからの観光・MICEに向けた意気込みについて島市長にお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は、第3次産業が9割を占める産業構造であり、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく減少している交流人口の回復は、観光産業をはじめとした市内経済の活性化に重要であると認識をしています。藤野議員御指摘のとおり、地域経済の活性化のためには、安全、安心に配慮をしながら、インバウンドの受入れによる需要を取り込んでいく必要があると考えております。
 国においては、これから段階的に外国人観光客の受入れを拡大することとしておりまして、それにしっかりと対応するため、まずは安全、安心な受入れ環境の充実を図ってまいります。今後さらに、福岡の自然、歴史、文化等を生かした観光コンテンツの造成と魅力の発信を進めていき、この福岡市が観光やMICEにおいて選ばれる都市となるよう取組を進めますとともに、来年7月の世界水泳選手権に向けて、ゲートウェイ都市として九州各都市との連携を強化し、福岡・九州の観光・MICEの振興に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時46分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。田中たかし議員。
○54番(田中たかし)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、本市の持続可能な観光地の実現について、Fukuoka East&West Coastプロジェクトを事例に質問いたします。
 コロナ後の観光需要の回復に期待が寄せられる一方、観光地におけるオーバーツーリズムは社会問題化しております。住んでよし、訪れてよしの観光地を実現するために、行政が果たすべき責任と役割は小さくありません。
 そこで、今回の質問ではFukuoka East&West Coastプロジェクトに焦点を当て、本市がその責任を果たせているのか検証し、持続可能な観光地に向けた御提案も交えながら質問してまいります。
 まず初めに、福岡市における観光政策の位置づけについて、そのお考えをお聞かせください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光政策の位置づけにつきましては、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、交流人口の増加は市内経済の活性化につながるため、観光・MICEの振興は福岡市の重要な施策と位置づけられております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) では、本市の観光施策は何を根拠に進められるのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光施策を進める根拠につきましては、平成30年9月に制定された観光振興条例を踏まえ、令和2年度からの観光・MICEの取組の方向性を示した観光・MICE推進プログラムに基づき進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) この観光・MICE推進プログラムですけれども、こちらの策定はコロナ禍以前となります。コロナ禍の影響により、観光・MICE推進プログラムの方向性に変化はあるのか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光・MICE推進プログラムの方向性の変化につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は大きいものの、九州のゲートウェイ都市としての機能や、自然や歴史、文化等の地域資源の重要性は変わらないと考えております。なお、現行のプログラムにつきましては、令和4年度末までの取組となるため、コロナからの回復及び変容した観光を取り巻く環境やニーズなどに対応するよう、現在、改定作業を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) では、コロナ前と今のコロナ下でありますけれども、観光客の福岡市内の訪問先、これに動態の変化があるのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) コロナ前とコロナ下における観光客の動態の変化につきましては、携帯電話の位置情報データから推計した都心部及び郊外エリアの来訪者割合では、コロナ下である令和3年5月から12月の天神エリア、博多エリアの来訪者は、コロナ前である元年5月から12月と比較して半分以下となっております。一方で、コロナ下の北崎エリア、志賀島エリアにつきましては、コロナ前と比較して増加傾向となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) では、この結果をどう分析し、その分析の下、本市の観光戦略に変更はあるのか、現時点での御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) コロナ前とコロナ下での来訪者の動態変化の分析につきましては、北崎や志賀島などの自然豊かな観光スポットは、コロナ前と比較して来訪者割合が高まっていると認識しております。また、観光戦略の変更についてですが、コロナによって変容した観光客の動向やニーズを踏まえながら、豊かな自然を生かしたFukuoka East&West Coastプロジェクトや、歴史、文化等の地域資源を生かした博多旧市街プロジェクトに取り組むほか、SDGや環境に配慮した持続可能な観光を推進しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 来訪割合にも表れておりましたけれども、自然豊かなスポットへの人気の高まり、これは全国的な傾向にも合致すると思います。
 では、改めてFukuoka East&West Coastプロジェクトが立ち上がった背景と経緯について御説明願います。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) プロジェクトに取り組む北崎や志賀島などの農山漁村地域におきましては、人口減少や高齢化の進展などに伴い、農林水産業の振興や地域コミュニティの維持など様々な課題を抱えていると認識しており、定住化の促進や農林水産業、観光業といった地域産業の振興など、関係部局が連携し、地域と一体となって活性化に取り組んでいるところでございます。お尋ねのFukuoka East&West Coastプロジェクト立ち上げの経緯につきましては、令和2年度からの観光・MICEの取組の方向性を示した観光・MICE推進プログラムにおいて、海辺を生かした観光振興を位置づけ、写真を撮りたくなる海辺の魅力づくりや立ち寄りスポットづくりなど、ソフト、ハード面から取り組むこととしたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) つまり、このプロジェクトは令和2年度から始まったということで、まだ日も浅いということだと思います。
 そこで今回、私、西区の人間ですので、北崎、今津の当該地ですけれども、地域住民、観光客、いろんな方にこのプロジェクトについて聞き取り調査をしてみました。これからのプロジェクトですから、ぜひそういった声もしっかり拾いながら進めてほしいと思うわけですけれども、そこで、ここからは西区のWest Coastに絞ってお聞きしていきます。
 まず、West Coastプロジェクトで進められる事業は何か、具体的な説明をお願いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) Fukuoka East&West Coastプロジェクトのうち、北崎地区においては美しい海辺空間としての魅力をさらに高めるため、歩道の美装化や無電柱化など、豊かな自然環境と調和した道路整備やエリアの周遊促進に資する立ち寄りスポットの検討、地域特有の資源を生かした滞在型コンテンツの造成や情報発信、海づり公園のリニューアルなどに取り組むこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 早速、ここで地域の声を一つ御紹介したいんですけれども、まず、そもそもWest Coastプロジェクトと言われても、北崎が今後どうなるのかイメージが湧かないという御意見です。確かに今の御答弁ではイメージや将来像まで北崎がどうなるのか見えてきません。観光分野の研究におきますと、イメージが明確な観光地ほど選ばれる確率が高まるということが証明されております。つまり、例えば有名な日本の観光地、富良野とか箱根とか、そういうところは考えたときにぱっとイメージが鮮明に思い浮かぶ、そして行きたくなると、そういうふうになるわけなんですけれども、そこでこのイメージについてお伺いしていきます。
 当該地のある北崎、今津のイメージをどう捉えているのか、お伺いいたします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 北崎地区や今津地区などの農山漁村地域につきましては、海や山などの豊かな自然環境や新鮮な農水産物、歴史、文化資源など、都心部にはない地域の大きな魅力があると考えております。また、北崎地区や今津地区の海辺空間におきましては、美しい海岸線やフォトスポット、おしゃれなカフェ等が集まる魅力的なエリアがあると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 観光施策を進めるには、その関係者の間でイメージの共有というのが、まずされなくてはいけないかと、これが大事だと思うわけですけれども、庁内や地域でどのように図られているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 庁内での共有につきましては、関係課長会議等の開催により、プロジェクトの趣旨やイメージを含む事業内容等の情報共有を行っているところであり、引き続き連携を図っていくこととしております。また、地域に対しましても、地元自治協議会や農協、漁協の代表者等に事業内容等を説明する中で、イメージの共有は図られていると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) では、実際に本当に庁内で共有されているのか、これは農林水産局にお伺いしますが、先ほど事業の中にあった海づり公園のリニューアルについて、共有されたイメージに沿ったものであると理解してよろしいのか、御答弁ください。
 
○副議長(山口剛司) 藤本農林水産局長。
○農林水産局長(藤本広一) 海づり公園のリニューアルにつきましては、Fukuoka West Coastの魅力をアピールする立ち寄り拠点となるよう、地域との協議を積み重ねるとともに、関係局と連携し検討を進めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 2月議会の経済振興委員会で、リニューアルの概要が示されております。農林水産局の説明では南国のようにと、そういう具体的な表現があったと聞いております。しかし、今日のどの答弁にも南国という言葉は出てきません。北崎、今津をどういうイメージで売り出して、それに沿ってこんな施設を造るんだと、そういうところが全く見えてきません。観光施設は、その土地のイメージや風土に沿うものにしないとバランスを欠いた景観になりますし、これは訴求効果にも関わってきます。
関係部局、地域の徹底したイメージ共有が大事だと思うわけですが、では、イメージや観光地の将来像を共有する場として、DMOや事業者など外部団体との会議体を設けている自治体もありますが、本市にはあるのか、教えてください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 北崎地区における外部団体との会議体の有無につきましては、Fukuoka East&West Coastプロジェクトのための会議体は設置しておりませんが、地域や自然、文化体験などを実施する団体、観光関連事業者などとプロジェクトの推進に向けて連携、共働を図っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 会議体はないということなんですね。これは私、市が主導してつくるべきだと思うんです。地域の農林水産業者や商工業者、交通、観光事業者、地域住民など、多様な関係者による会議体を設置することで、相乗効果のある事業連携を図り、イメージの共有や発信のみならず観光施策全般で効果を上げている自治体も実際にあります。ぜひ御検討いただきたいと思います。
 イメージの共有について伺ってまいりましたけれども、次はイメージ戦略についてお伺いします。本プロジェクトのイメージ戦略への認識と今後の展開について御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市は充実した都市機能と豊かな自然環境が近接したコンパクトな都市であることが強みであり、魅力の一つだと考えております。Fukuoka West Coastとして取り組む北崎地区におきましては、海や山などの豊かな自然や新鮮で豊富な農水産物、歴史、文化資源など、都心部にはない魅力があり、二見ヶ浦地区などの海辺空間は、今でも多くの観光客が訪れるフォトスポットとしても人気の魅力的な空間であると認識しております。今後とも、観光資源の磨き上げや、観光振興に資する民間事業者の誘致など、Fukuoka West Coastとして海辺の魅力向上やブランディングに地域や関係者と連携しながら、取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 私、今質問で、今後どういう戦略で進めるんですかと聞いているんですけれども、これも具体的な戦略は何もおっしゃっていただいていないんです。
 そこで、今度は交通局にお伺いします。Fukuoka East&West Coastプロジェクトの広報や宣伝など、イメージ戦略に関わる事業を市の公共交通機関として他局と連携して行っているのか、御説明願います。
 
○副議長(山口剛司) 重光交通事業管理者。
○交通事業管理者(重光知明) 市のイメージ戦略に関わる事業につきましては、交通局ではこれまでも美術館口、博多旧市街口など、市の集客施設や観光エリアの名称を付しました副駅名の設定や、これらのイメージに合わせた駅の装飾、また、大規模イベントの開催に当たりましては駅での情報発信スペースの確保や構内放送などによるイベント情報の発信など、関係局と連携して取り組んできたところでございます。Fukuoka East&West Coastプロジェクトにつきましても、現時点では具体的な連携事業はございませんが、今後、プロジェクトの進捗に合わせまして、関係局と連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 交通局のほうでも具体的な事業はないということなんですよ。豊かな自然や海岸線、おしゃれなカフェ、忘れてはいけないのは、これを売りにしている観光地というのは全国各地にあるということなんです。とすれば、北崎、今津と聞いて、そのイメージがぱっと浮かんで、そして行こうと思ってもらうには、関係部局の相当な努力と連携、綿密なイメージ戦略が必要だと思うわけですが、これまでの御答弁を聞く限りでは、イメージ戦略は多分重要視されていないんだろうなと、私はそう感じております。観光地の地域間競争は厳しさを増しておりますので、まずは他と差別化を図れるイメージ戦略、これを確実にやっていただきたいと要望しておきます。
 続いての声に参りますが、これは、観光客が来るのはうれしいが困ることも多いという地元の方の声です。具体的に何かというと、1つ目が観光客による渋滞、2つ目がサイクリストの危険性、3つ目が公共交通の確保、4つ目が観光客のポイ捨て、ほぼこの4つに集約されておりました。
 そこで、まず確認ですが、北崎エリアを観光するための交通手段は何か、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 北崎地区を観光するための交通手段につきましては、自動車、自転車、路線バスがございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 今、お答えいただきました交通手段、自動車、自転車、バスということなんですけれども、それぞれが先ほどの困り事と密接に関連しています。
 そこで、まずは渋滞についてお伺いしていきます。
 ここの地域の方はやはり皆さん、二見ヶ浦の渋滞に悩まれておりました。休日は二見ヶ浦には近づきたくないという方までいらっしゃったんですけれども、二見ヶ浦の道路交通状況についてどのような調査を行い、どのような課題があると認識しているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 二見ヶ浦周辺の道路交通状況につきましては、周辺駐車場の利用実態調査や民間事業者へのヒアリングなどによりますと、日常的な交通混雑は発生していないものの、春から秋にかけての観光シーズンの週末や祝日には特定の駐車場への入庫待ちなどによる一時的な交通混雑が発生している状況と認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) このエリアの渋滞は、駐車待ちの車列が原因となっておりますが、これら入庫待ちによる車両混雑についてどのような対策を行っているのか、お伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 二見ヶ浦周辺における交通混雑対策につきましては、民間事業者などと連携しながら、交通指導員の配置や駐車場の満空情報の配信、E−バイクなど二次交通の活用などを行うとともに、交通混雑の緩和や北崎地区の周遊促進に資する立ち寄りスポットについて検討を行っております。また、公共交通機関の利用促進に向け、情報発信や路線バスの新規導入、増便などに向けた協議を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 対策は取っているとのことですが、実際のところ解消していないんです。だから地域住民は困っているわけですけれども、これはさらなる対策が必要かと思うんですね。
 そこで御提案です。例えば、パーク・アンド・バスライド、これはマイカーで最寄りのバス停まで行って、バス停備付けの駐車場に駐車をし、バスに乗り換えて目的地に向かうという乗換システム、さらには駐車場の事前予約制、そして混雑時間帯を避けた観光客へのインセンティブの付与など、効果を上げている対策はいろいろと他都市でもやっております。こういった手法の検討もぜひお願いしておきたいと思います。
 さらに、渋滞についてはもう一点あるんですけれども、これはパネルを御用意させていただきました。(パネル表示)これは糸島半島の地図なんですけれども、二見ヶ浦がここです。市長にぜひ見ていただきたいんですけど、ここですね。では、この北崎エリアに行くにはどうしたらいいかといったら、この海沿いの道を走って北上していく道、それとこの国道202号バイパスとその上を走る西九州道、この3本が大体大きな北崎に行くための道になるんですけれども、ここの道の渋滞も大変なんです。
北崎方面への観光客が増加すれば、唐津街道や国道202号バイパスのさらなる渋滞悪化が懸念されますが、どのような認識で、今後どう取り組むのか、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 西区西部地域につきましては、福岡市と唐津方面を結ぶ国道202号や市道千代今宿線、西九州自動車道福岡前原道路など、幹線道路ネットワークの強化による渋滞対策が重要であると認識しております。これまで国において、国道202号バイパス今宿大塚交差点の改良など、渋滞対策が実施されており、福岡市におきましても北崎方面へのアクセス向上を図るため、今宿から北崎地区を結ぶ主要地方道福岡志摩前原線における今津橋の改築の検討や、同路線のバイパスとなる市道宮ノ浦線の拡幅整備を行うとともに、国道202号バイパス徳永交差点から北崎方面へ向かう市道学園通線につきましても整備に取り組んでおります。今後も、北崎方面へのアクセス向上に向け取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 渋滞解消の実現に向けて、将来的な展望も持って、住民も観光客も渋滞に悩まない道路整備を強くお願いしておきたいと思います。
 続いてのお困り事、自転車についてです。
 まず確認ですが、今多くのサイクリストが糸島半島に訪れています。福岡市ではサイクルツーリズムについてどのような認識なのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) サイクルツーリズムにつきましては、現在、志賀島、北崎地区においてエリアの回遊性を高める手段として、事業者などと連携し推進しているところでございます。なお、福岡県サイクルツーリズム推進協議会において、北崎地区を含む福岡市中央区から糸島市までの福岡・糸島ルートや、直方市から志賀島までの直方・宗像・志賀島ルートが広域モデルルートとして設定されるなど、福岡県においても取組が進められているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 本市としては推進されているということですが、では、West Coastプロジェクトのエリアでは福岡志摩前原線がサイクルツーリズムの対象となっておりますが、そのうち、市が管理する区間の延長、その中で自転車通行空間整備が完了している距離をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡・糸島ルートとなっている福岡志摩前原線のうち、福岡市が管理する区間は、今宿交差点から糸島市との市境までで、総延長は約12.7キロメートルでございます。そのうち、市境から約0.7キロメートルの区間につきましては、海側は自転車通行空間の整備を完了しており、残る山側につきましては令和4年度の完了を目指し、無電柱化に合わせた整備を進めております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 先ほどのパネルなんですけれども、(パネル表示)これはここに自転車を描いていますけれども、結局これは12キロあって、整備されているのはここだけなんです。これだけです、700メートル。今、検討していると言ったのがここの2キロの今津橋のところです。これは自転車を糸島半島で楽しんでくださいと市が言いながら、自転車通行空間整備は全然進んでいない。これでは市の施策に矛盾があるように私は思うんですけれども、サイクルツーリズムを推進するならば、自転車通行空間の整備をもっと集中的に進めるべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡志摩前原線のうち、今宿交差点から今津橋までの約2.0キロメートルの区間において、現在、自転車通行空間整備の調査、検討を行っているところでございます。残る区間につきましては、道路の幅員が狭く、地形上の制約から拡幅も困難な状況でございますが、交通管理者などと協議し、安全な自転車通行空間の整備手法について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 検討はされているということですけれども、これは一体どれだけかかるんですかという話なんですよ、残りの十何キロメートル。ぜひ積極的な整備をお願いしたいと思います。
 一方で、道路の整備に時間を要するというのであれば、ここはサイクリストの方にマナーを守って走ってもらいたいわけなんですけれども、他都市では──これもパネルを用意しました。(パネル表示)いろんな観光地にサイクルロードというのがあります。これは淡路島とか、奈良県、愛媛県とありますね。大体こういうところにはサイクリストに注意喚起する標示があるんです。これは注意とか書いていますけれども、ゆっくりとか、注意とか書いて、ここなんかも標識を立ててサイクリストに対して注意喚起を行っている。
 では、このWest Coastにおいてはどうなんだということなんですけれども、West Coastプロジェクトでのサイクリストのマナー向上について、具体的な対策をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) サイクリスト向けのマナー向上対策につきましては、現在、自転車販売店に対する交通ルール周知の依頼や北崎地区でのE−バイク貸出しの際のマナー動画の放映などを行っているところでございます。注意喚起板などにつきましては、地域からの要望があれば設置について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 自転車通行空間も道路標示も、地域住民の安全を考えれば、もっとスピード感を持ってやるべきだと思います。重大事故が起きる前に、ぜひ危機感を持って整備をお願いしたいと思います。
 続いての声、公共交通の確保、バスについてです。
 これは地域住民と観光客、両方から多かった声です。まず、地域住民ですが、観光客でバスが混雑するから1本見送ることもあると、こういった声です。これは昭和バスさんにも届いているそうです。一方で、観光客からは本数が少ない、糸島半島を周遊する路線がないから乗換えが面倒と、こういう声をお聞きしました。
 まず、この乗換えが面倒という声なんですけれども、これもまた先ほどのパネルなんですけれども、(パネル表示)要するにこれは赤と青でバス路線を描きました。こっちが西の浦線、こっちが筑前前原駅から出ている野北線というやつなんですけれども、ここを回るバスがないんですね。だから、西浦まで行けても糸島半島には抜けられない。乗換えが面倒というのは、ここの赤と青が交差するところで乗り換えなきゃいけないんですけれども、本数も少ないから、観光客は結構戸惑うんです。これは糸島の観光協会から話を聞いたんですけれども、バスがないもんですから、筑前前原駅に来て二見ヶ浦に行きたいんですけどと言った人には、これは九大学研都市駅まで戻すと言うんです。悪いけど、電車で九大学研都市駅に戻ってくださいと。なぜなら筑前前原駅からバスがないから。だから、これは非常に観光客にも不親切といいますか、なかなか昭和バスさんも大変だろうなとは思うんです。
 そこでお伺いしますけど、まず、West Coastプロジェクトについて、昭和バスさんとはどのような連携を取られているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 昭和バスとの連携につきましては、西の浦線の路線維持のため、昭和バスと地域の店舗などと連携して利用促進に取り組むとともに、令和3年度は観光庁の補助事業を活用し、土日祝日の快速便の追加運行の実証事業を行ったところでございます。また、令和4年7月より、博多、天神からノンストップで北崎、二見ヶ浦エリアに行くことができる新路線、ウエストコーストライナーが運行されるに当たり、情報発信を共同で行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) これはさっき実証実験という御答弁がありました。実証実験とは何かというと、野北線を二見ヶ浦まで延ばしましょうよということなんです。そしたら少なくとも筑前前原駅から二見ヶ浦に行けますから。だけれども、これは昭和バスさんが諦めてしまったんです。やはり人員がいない、運転手がいない、お金もきついということで、だから結局、今、元に戻っている。さっき言った天神からのウエストコーストライナーというやつなんですけど、それは天神から来て、ここまで直接一本で行けますよというバスなんですね。でも、周遊はしてくれないわけです。これはプロジェクトを推進する市が支援策を昭和バスさんなどに対してやるべきだと思いますけれども、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 昭和バスにつきましては、観光シーズンなど乗客が特に多いときに臨時バスを運行していることに加え、令和4年7月からは北崎地区へ新路線も運行開始されるなど、連携してプロジェクトを推進しているところでございます。今後とも、交通事業者などと連携を図りながら、観光の活性化と地域住民の生活が調和した観光振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) やはりこれも積極性を欠いていると言わざるを得ません。市はもっと主体的に動くべきだと思うんですけれども、では、少し角度を変えて質問します。
 福岡市は2040年度に温室効果ガス排出量実質ゼロのチャレンジを掲げており、環境局は現在、改定を検討中の福岡市地球温暖化対策実行計画において、自動車部門の温室効果ガス削減と公共交通の利用を進めています。郊外の観光地化が進んで自動車が流入してくるのは環境の面からも決して好ましい状況ではないと思うんですが、環境局の御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 現在改定を進めております福岡市地球温暖化対策実行計画におきまして、温室効果ガスの排出削減に向けて重点的に取り組む部門の一つとして、自動車部門を位置づけております。具体的な取組の方向性といたしまして、公共交通等の利用、自動車の脱炭素シフトの推進、シェアリング等の推進を掲げており、観光地を含む市域全体での自動車の利用に伴う温室効果ガスの排出削減に取り組むこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 御答弁のとおり、自動車部門の温室効果ガスを削減しなきゃいけないということですから、やはり観光地とはいえ、自動車が増えるのはよくないんですよ。渋滞、サイクリストの危険性、そして環境負荷、今言ったものを考えれば、私はやはりバスの充実が一番ではないかと思うわけです。
 そこで、また御提案ですけれども、市が観光周遊バスを走らせてみてはいかがかと、そう思っています。都心ではオープントップバスが運行されていますが、まさに観光客向けのバスです。そういったバスがあれば、観光客と地域住民とのすみ分けも可能となり、地域住民は観光客で混雑するバスに悩まされることはありませんし、自動車の流入抑制と環境負荷の軽減ができます。
ぜひ観光周遊バスを運行してみてはいかがかと思いますが、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光周遊バスの運行につきましては、令和4年7月21日より、主に観光客向けの昭和バスの新路線、ウエストコーストライナーも運行開始されることとなっており、福岡市としても公共交通を利用した観光が広がっていくよう、まずはこの路線の定着に向け、情報発信等の協力を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) やはり民間事業者任せなんですよ。昭和バスさんも採算が不透明な路線に投資するのはなかなか難しいわけですから、今、環境局もおっしゃっていましたけれども、市が公共交通の利用を進めるのであれば、具体的な施策を市は打つべきです。市のプロジェクトで地域住民の足に影響が出ているわけですから、市はその点をしっかりと認識して主体的に対策を進めるようにお願いしておきたいと思います。
 次のお困り事で、観光客のポイ捨てについてお伺いしていきます。
 私がさっき調査と言いましたけれども、この中で、観光客のポイ捨てにより景観が損なわれる、または衛生環境が悪化することを心配されている方が大変多くおりました。環境局の認識をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 環境局といたしましては、市民だけではなく観光客に対しても意識の啓発を図ることにより、生活環境の保全と地域の観光振興の調和が図られるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) では、観光客に対してどのような啓発を行っているのか、具体的に御説明をお願いします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) ごみのポイ捨てを含む不法投棄の禁止を呼びかける看板を、地域からの御要望を受けて観光客も利用される道路沿いに設置するなど、啓発を行っているところでございます。なお、Fukuoka West Coastのエリアにおきましては、合計23か所に設置しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 啓発に努めているということですので、そこは引き続きお願いしたいと思いますが、海岸のごみ、これはポイ捨てだけではなくて漂着ごみ、海から流れてくるごみもあります。
 そこで、海岸清掃について確認していきますが、西浦や大原海岸の清掃について、改めて所管はどこか御説明ください。
 
○副議長(山口剛司) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 西浦地区及び大原地区の海岸につきましては、海岸法に基づきまして、福岡県が海岸管理者となっておりますので、お尋ねの清掃につきましても県の所管でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 所管は県であるということです。では、West Coastプロジェクトに当たって、海岸清掃について県とどのような協議をされているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 福岡県が管理する海岸の清掃につきましては、適切な維持管理や予算の確保について、毎年県に対して提言を行いますとともに、漂着ごみ等が堆積するなど清掃の必要性が生じた場所について、適宜、県と協議しているところでございます。特にFukuoka East&West Coastプロジェクトは、福岡市の重要施策でございますので、港湾空港局といたしましても、当該エリアに係る海岸の状況に十分留意し、県に対し積極的な働きかけを行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) では、令和4年度、その清掃の必要な場所とはどこか、具体的にお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 福岡市域内における県管理海岸で清掃が必要な場所につきましては、福岡市の重要プロジェクトや漂着ごみなどの堆積状況を踏まえまして、適宜、福岡県と協議を行い、決定しております。その結果、令和4年度につきましては、5月末までに勝馬地区、志賀・西戸崎地区及び西浦地区の海岸において清掃を実施いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 今年度は西浦地区の清掃は既にされたということです。しかし、県が行う清掃では不十分なんですよ。なので、このエリアでは実に多くの方々がボランティアで清掃をしてくれています。
 そこでお尋ねしますが、West Coastエリアの海岸線を清掃している団体は把握されているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) Fukuoka West Coastのエリアにおきましては、令和3年度に海岸清掃で回収したごみの収集依頼があった実績から、12の地域団体などを把握しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 12団体もあるということなんですね。では、そういった団体に対してどのような支援を行っているのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 海岸清掃に取り組まれている地域団体などへの支援といたしましては、その自発的な活動を支援するため、清掃用具の貸出しや集められたごみの収集を行うこととしているほか、ラブアース・クリーンアップや地域ぐるみ清掃として行われる場合などは、専用ごみ袋の提供を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 私は、昨年の一般質問で、環境美化に取り組む団体への積極的な支援を求めました。しかし、その頃と支援内容は変わっておりません。美しい海岸線というのはこのWest Coastプロジェクトの生命線です。その生命線を多くのボランティアが保ってくれている。この現実を市はもっと真剣に受け止めなきゃいけないと思うんです。その支援策がごみ回収やごみ袋の提供というだけでは、プロジェクトを推進する市として人ごと過ぎると私は思います。プロジェクトと言うのであれば、各団体と連携して、海岸線の美化のためのプロジェクトを立ち上げるなど、もっと積極的な施策を展開すべきと考えるわけですが、改めて環境局の御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 海岸の清掃につきましては、それぞれの海岸管理者により行われるべきものと考えております。一方で、地域団体等が自発的に行っている海岸清掃が、海岸線の美化に貢献していることも認識しており、引き続き実施団体の意見も伺いながら、必要な支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 現在、持続可能な観光地の実現が世界的な潮流となっております。であるならば、このプロジェクトもコンセプトの中心に、専門的に言うところの環境配慮行動、これを据えてもいいと私は思うんです。環境配慮型先進バスによる観光周遊と車利用の抑制、環境に優しい自転車利用を促すための自転車通行空間の充実、公共交通や自転車での来訪者への特典の付与など環境保全に貢献している方への手厚い支援、新たな建物を建設する際の環境配慮建築物の促進など、実現可能施策は幾らでもあります。環境省では、今年1月、2030年度までに家庭部門と業務その他部門の電力消費に伴うCO排出実質ゼロを実現する脱炭素先行地域を募集し、選定するという事業を始めており、環境配慮型の観光施策を前面に押し出した自治体もそこには選出されています。ちなみに、これは福岡市は応募しておりません。
 Fukuoka East&West Coastプロジェクトは、環境に徹底的に配慮したプロジェクトとして明確に打ち出すべきだと思いますが、これについては観光振興の旗振り役である経済観光文化局にお伺いしますが、いかかでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興は重要であると認識しており、Fukuoka East&West Coastプロジェクトにおいても、地域や事業者の皆さんと連携し、豊かな自然環境を生かした体験プログラムの造成や、環境に優しいE−バイクの導入などに取り組んでいるところでございます。今後とも、関係局とも連携しながら、環境に配慮した持続可能な観光振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 環境への配慮は重要であると認識はされているようですが、その方針も施策の内容も、目に見える形にはなっておりません。このプロジェクトが観光客を受け入れながら、環境保持に先進的、挑戦的に取り組みつつ、観光資源と住民生活の両立を実現できるものとなれば、それは観光地としての新たな付加価値、イメージ向上へとつながります。ぜひ環境配慮への積極的な施策を要望しておきたいと思います。
 続いて、糸島市との連携についてお伺いします。
 (パネル表示)またパネルなんですけど、皆さん御存じのとおり、この糸島半島は糸島市と二分する形になっています。一番の名所は、この二見ヶ浦。夫婦岩というのがありますけれども、ここが市境になっております。観光客は、福岡市と糸島市関係なくこの糸島半島全体で楽しみたいと思いますから、糸島市といかに連携していくか、これは大変重要となるわけですけれども、West Coastプロジェクトに関して、糸島市とはどのような連携体制が取られているのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 糸島市との連携につきましては、二見ヶ浦周辺における駐車場満空情報の発信などの交通混雑対策や、サイクルを活用した周遊観光モデルルートの形成などに連携して取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 今の内容ではまだまだだと私は思うんです。これは象徴的と言えば象徴的なんですけれども、市境の道路です。(パネル表示)これは福岡市は美装化を進めていますから、こうやって道もきれいになっています。だけど、糸島市の道路はこんな感じなんです。これは雑草を刈るのも大変だと糸島市の人は言っていましたけれども、やはり福岡市というのは政令指定都市ですから、いろいろと市街化調整区域の規制緩和も含めて独自にできる施策もあるとは思うんですけれども、糸島市と歩調を合わせないと、同じ糸島半島の中で観光振興の方向性や開発の進捗に違いが出てくる。これは糸島市民のお話なんですけれども、福岡市だけ開発が進めば、糸島市のお客を取れてしまうんじゃないかと、そう心配されておりました。
市が違いますから施策に違いがあっても仕方がないんですけれども、これは観光客を奪い合うんではなくて、相互に潤う振興策が必要かと思うわけですが、先ほどの御答弁では連携は取れているとありましたけれども、そういう局所的な話ではなくて、もっと大局的に、糸島半島の一体的な観光振興という視点で、糸島市との連携体制を組織的に構築していくべきだと思うんですけれども、御所見をお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 糸島市とはWest Coastプロジェクトにおいて、様々な連携を図っているところであり、引き続き糸島半島全体がさらに魅力的な観光エリアとなるよう、より緊密に連携を図りながら取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) これでもやはり具体的な御答弁はいただけないみたいですので、ここで一つ、また御提案させていただきたいと思います。
 観光協定というものです。一般的に観光協定というものは、自治体と大学、自治体と企業という形でよく見られますけれども、自治体同士の観光協定というのも存在します。まず、この観光協定についてどのような認識をお持ちか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光協定につきましては、他の自治体において観光協定が締結されていることは承知しております。福岡市の観光施策においては、協定を締結する形ではなく九州のゲートウェイ都市として、九州各都市との共同プロモーションなど、多くの自治体と連携した事業を適宜、効果的に行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) 観光協定の事例として、山口市と宇部市というものがあります。両市の観光分野における交流を活発化するために2012年に締結され、現在、7市町に拡大しております。私はその山口市で話を伺ってきましたが、協定という錦の御旗ができたことで観光施策の方向性の決定がスピーディーにできる、何よりも市長の意気込みが内外に伝わり、機運醸成につながった効果は大きいと、そういうお話をされておりました。2市から始まったものが市と町に7市町へ広がったというのも効果を裏づけているんではないかと思いますが、糸島半島においても、両市で将来像を共有して、同じ方向性の下、一体的な観光振興を進めれば観光地としてのブランドも向上します。 観光協定はその起爆剤になり得ると思うわけですが、糸島市の観光協定について、ぜひ御検討してみてはいかがかと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 糸島市との観光協定につきましては、糸島市とはこれまでも情報共有を図りながら、交通混雑対策や周遊促進などに取り組んできたところであり、現在、観光協定という形を取ることは考えておりませんが、引き続き糸島半島全体が魅力的なエリアとなるよう、連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田中たかし議員。
○54番(田中たかし) ここまでWest Coastプロジェクトを基に質問させていただきました。やはり私、これを聞いていて、ちぐはぐ感が拭えないんです。先ほども言いましたけれども、公共交通利用を進めながら、バスに対して何の支援策もしようとしない。自転車で来てくださいと言いながら、自転車通行空間整備自体は進まない。環境も海岸線が大事だと言いながら、そこを清掃してくれている団体に支援はごみ袋の提供程度。これでは、やはり市としていけないんじゃないかと私は思うわけです。地域の方の期待は大変大きいプロジェクトです。これはやるならちゃんとやってほしいんですよ。来てくださいと言うばかりで、将来像も見えなければ受入れ体制も不十分というのでは、困るのは地域住民です。これは観光客にも優しくありませんし、そういう観光地にはリピーターは来てくれません。北崎、今津をがっかり観光地――これは残念な言い方ですけれども、日本ではそうやって言われているところもあります。これはぜひ地元のことを思えば、北崎、今津をがっかり観光地にしてほしくないんです。道路も自転車もバスも環境も、全庁一丸でとおっしゃっている割には、このプロジェクトにひもづいた事業が少な過ぎます。各局が積極的に取り組んでいるようには見えません。私なりに理由を考えると、やはりこのプロジェクト推進のための明確なビジョンがないからだと思うわけです。綿密な調査をして、誰が、どこの局が、何をいつまでにどうするのか、最終的にどういう観光地にするのか、そういうビジョンがこのFukuoka East&West Coastプロジェクトにはないんですよ。これだと、施策も場当たり的になりますし、対応も後手後手になります。
 先ほど冒頭で御答弁ありましたけれども、これは始まったばかりのプロジェクトですから、今のうちに明確なビジョンを打ち出して、各局の取り組むべき施策を明確にして、PDCAサイクルを回していけば、これはもっといい観光地になれるんです。もう観光資源は豊富なわけですから。福岡市には北崎や志賀島以外にもすばらしいエリアがたくさんあります。付加価値ある観光地をつくり上げるために、まずは観光地ごとにそういったビジョンを設定して、そして達成のために市はどういう体制で臨むのか、具体的に示す必要があります。
 観光・MICE推進プログラムが現在、改定作業中とのことでしたので、ぜひそういった視点も改定作業に反映していただいて、将来像が見える観光施策を進めていただきたいと考えるわけですけれども、最後に市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし、消費を拡大することが経済の活性化につながり、都市全体に活力をもたらすことから、観光・MICEの振興に積極的に取り組んでまいりました。Fukuoka East&West Coastプロジェクトにつきましては、海辺の多様な魅力を生かし、地域と調和した持続可能な観光振興を図ることが重要であることから、観光・MICE推進プログラムに位置づけて推進をしているところでございます。新型コロナウイルスの影響や、またはSDGの世界的な広がりなどによって観光客のニーズが変容する中で、豊かな自然やコンパクトシティという福岡市の特徴は、コロナ後においてもその重要性や魅力が高まるものと認識をしています。今後とも、観光を取り巻く国内外の動きや変化を的確に捉え、地域や事業者とも連携をして、持続可能な観光振興に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎)登壇 福岡令和会の浜崎太郎です。昨日のコロナ陽性者の数、市内201名、ここ数日200名台で推移をしていると思っています。行政の皆さん、本当に今までかなり残業等もたくさんされてきた中で、少し緩和されてきているのかなというふうに安心をしているところですが、まだ引き続き頑張っていただきたいというふうに思っています。
 思い起こせば2年前、まちじゅうの光が全部消えていって、私も近くの公園にランニングに行って大分体重も落ちまして、肝臓の数値も基準値まであとちょっとのところまでいったんですが、最近夜の経済活動も激しくなってきまして、元に戻ることができまして、日常が戻りつつあると思っております。
 私はスマホの不正利用について、福岡市独自のエネルギー施策について、以上2項目を質問していきます。
 初めに、スマホの不正利用についてですが、私の友人の女性がスマートフォンを乗っ取られたと聞きました。この女性の会社の携帯電話の毎月の請求額は約5,000円ほどだったのに、突然6万円もの請求が来てびっくりしたそうです。この携帯電話から、何とアップルで使えるアイチューンズコードを購入されていたそうです。この携帯電話はアップル製で、キャリアはソフトバンクだそうですが、彼女がソフトバンクに連絡したら、アップルに言ってくださいと。アップルに言うと、ソフトバンクに言ってくださいと。ソフトバンク側の主張は、我々はあくまで中間業者であって、アップルが不正利用を認めて、アップルからソフトバンクへの請求を取り下げてくれないと、こちらではどうしようもない。アップル側からは、ソフトバンクのセキュリティーの問題で、2段階認証までして決済したのだから、ソフトバンクが補償するべきと。どうしようもなくなって、彼女は警察に行き、相談されたそうですが、警察は直接介入できないけれども、このような相談が多いので、どのように話がついたのか、逆に後で教えてほしいと言われたそうです。
 そこでまず初めに、福岡市消費生活センターにおいて携帯電話の不正利用の問合せはどれくらいあるのか、お尋ねいたします。
 次に、福岡市独自のエネルギー施策についてです。
 我々のこの美しい日本はエネルギー資源をあまり持っていません。ですので、今まで他国より莫大なお金でエネルギー資源を購入し、経済発展を遂げてきました。液化天然ガスにおいてはCO排出量が石炭より少ないということで、現在も積極的に利用をしています。1970年代から2020年まで、日本は液化天然ガス輸入量世界第1位でしたが、昨年、中国に抜かれたそうです。
 冷静に考えますと、輸入量世界第1位は致し方なかったことではありますが、決していいことではないように感じています。そして、今もまだ大量の液化天然ガスや石油、原油を輸入していることは事実です。確かに今の日本において、我々の生きていくために必要不可欠なものだと思いますが、一体いつまで、莫大なこのお金を他国に払い続けていくのでしょうか。しかし、この夏には火力発電所の休止などで多くの地域で電力が不足し、停電のおそれがあると経済産業省が伝えています。よって、まだまだ資源を輸入し、莫大なお金を支払い続けていくことになります。これは本当に致し方ないことなのか、ほかによい方法がないのか、疑問に思います。
 先日、東京へ福祉施設の視察に行ってきたのですが、電車に乗ってつり広告を見ていますと、都営バスが水素で動く燃料電池バスを71台運行しているとありました。最近は各都市で燃料電池バスはよく走っていますが、都営で71台はすごいと思います。とても意気込みを感じました。また、車窓から見る公立学校の屋根には、大型の太陽光パネルが設置してあり、戸建て住宅の太陽光パネルの設置も他都市より多いような気がしました。進んでいるな、東京はと思いました。気持ち的に、この活動がさらに進めば進むほど、よその国にお金を払わなくて済むんじゃないかなと思ってしまいます。
福岡市も改定を進めている福岡市地球温暖化対策実行計画の中で、2013年度比で2030年度に温室効果ガス排出量50%削減、再生可能エネルギーの設備導入量40万キロワット以上と定め、前に進んでいるとは感じます。
 私、昨年の12月に日産自動車製の電気自動車、中古ですが購入をしました。私はマンションに住んでいるので、自宅で充電はできないんですけれども、本来なら戸建て住宅の太陽光パネルによる発電で車を充電することが、化石燃料を一切使わず、またCOを全く出さない移動手段として最高の手法となるのですが、今のところ戸建てを購入する予定はないので、最高の手法を取ることができません。日産自動車で充電をするということになります。マンション住まいの人が多い福岡市では、なかなか電気自動車の普及は進みづらいのではないかと思います。
 そこで、福岡市は温室効果ガス排出量50%削減、再生可能エネルギーの設備導入量40万キロワットの目標達成をどのように行っていくのか、具体的にお尋ねいたします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目から発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スマートフォンの不正利用に関する御質問にお答えいたします。
 消費生活センターにおけるなりすましによる携帯電話の不正利用の相談件数につきましては、平成29年度が3件、30年度が16件、令和元年度が37件、2年度が7件、3年度が18件となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) エネルギー施策に関する御質問にお答えいたします。
 福岡市域における温室効果ガス排出量の削減につきましては、2030年度時点における市内での再生可能エネルギー設備導入量40万キロワットの達成に向けて、建築物の屋根への太陽光発電設備の設置を推進するとともに、二酸化炭素を排出しない再エネ由来電力や水素などのカーボンフリーエネルギーへの利用転換、省エネルギーの推進などによりまして、2030年度における排出量を2013年度比で50%削減できるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎) 2問目になります。スマホの不正利用についてですが、今の相談件数が思ったより少ないので、本当はもうちょっとあるんじゃないのかなと、なかなかかけられないのかなと思っていますけど、彼女にもっと詳しく話を聞いていくと、携帯を契約するときに、おまとめ決済といって、ネットで買物をして、その支払いを携帯電話の請求と一緒に払うことができるようになっているそうです。そして、その支払い可能金額が、彼女の場合、最初から10万円に設定されているとのことでした。当然、買物なんか一切していないんですが、過去に荷物のお届けで、部屋番号が分からないので教えてくれというショートメールが彼女に来たそうです。折り返しで電話をしたそうですが、つながらず、メールで誰宛ての荷物ですかと返信をしたそうですが、返答もなく、その後は連絡もなく放置をしていたそうです。そうしているうちに、1,000円、3,000円、1万円と小分けで11回、計5万5,000円の被害に遭ったそうです。当然身に覚えのない請求なので、ソフトバンクに何のおまとめ決済かと聞くと、不正利用された日と金額を教えてくれたそうです。そして、購入したものはアップルで使えるアイチューンズコードなので、アップルに連絡してくれと連絡先を教えてもらったそうです。そして、アップルに電話すると、アップルIDで決済されたものならばこちらで分かるが、キャリア決済の場合はキャリア側で対処してもらわないと分かりかねると言われたそうです。なので、またソフトバンクに連絡したら、うちは中間業者で、アップルの商品が不正に買われているのだから、アップルが不正利用と認定して、請求金額を返還してくれたら、うちがアップルから預かって返金する流れになります、アップル側で不正利用の認定を受けてくださいと言われたそうです。なので、またアップルに連絡を入れると、ソフトバンクが2段階認証までして決済をしたのだから、決済したのはソフトバンクなので、なりすましでも何でもソフトバンクのセキュリティーの問題ではないか、アップルとしてはソフトバンクが間違いないと認証したので、商品を販売したと主張されたそうです。
 警察に相談したところ、被害に遭ったのはアップルもしくはソフトバンクなので、両者のどちらかが被害届を出すことができるそうです。実際に被害を受けた彼女は、被害届を出せないそうです。ますます分からなくなりました。
 高齢者もみんなスマホを持っている時代です。しかし、この事件での女性は私の同級生です。どんな世代でもこのような被害に遭うことが考えられます。また、メーカーとキャリアによる責任の所在が未定のまま、我々市民が被害に遭う状況を放っておくことはできないと感じます。
 そこで、このような状況をしっかり市民に周知し、少しでも被害を抑える広報が必要ではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、福岡市独自のエネルギー施策についてですが、2030年度の目標達成のためには、今の答弁にあったような市の取組のほか、発電時における化石燃料の使用を減らすといった電力事業者による取組も大きな役割を果たすことになると思います。では、我々福岡市民がダイレクトに貢献できる取組は何でしょうか。LED照明に換えたり、CO排出量の原因のトップである自動車からの排出量を減らすために電気自動車に買い換えたり、戸建ての方は太陽光発電パネルを設置して自前で電力をつくり、消費するなど、いろいろ考えられます。
 パネルを持ってきたんですが、(パネル表示)さっき藤野議員からもありましたけれども、COを出している原因の一番が、全体の32%が自動車ということになっています。次が業務ということで、商業、サービス、事業所、会社等が出している28%、そして家庭が24%、あと産業8%、鉄道、船舶が3%、廃棄物5%ということで、では、どこにメスを入れなくてはいけないかというので、自動車部門32%、さっき藤野議員も庁用車電気化と言っていましたけど、私も電気自動車にしましたし、今、議員の中で電気自動車は勝山議員と私、プラグインハイブリッドが篠原議員、黒子先生は以前電気自動車だったと思いますが、庁用車もいいんですけど、どうせなら議会全部62台、どうでしょうかと思うところであります。そうなると、かなり進んでいくんではないかというふうに思っているところです。
 マンションでも電気自動車に充電ができるよう、行政側からの要望を掲げ、管理組合で協議ができるような仕掛けも必要ではないかと思います。私は自分が電気自動車だから、マンションに充電設備を作ってくれとはなかなか言いづらい。自分のためにしか聞こえない。電気自動車を買ってもいいけど、充電がねと思っている人もたくさんいると思います。また、いまだに戸建て住宅にも太陽光パネルは設置されていない方が多いです。費用面も当然あると思います。
 そこで、福岡市の戸建て住宅の太陽光パネル設置率はどれほどなのか、お尋ねいたします。また、マンションで太陽光パネルを設置しているところはあるのか、あるのであれば、つくった電気は何に使われているのか、お尋ねします。
そして、今後の目標値などは設定しているのか、お尋ねいたします。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スマートフォンの不正利用に関する御質問にお答えいたします。
 スマートフォンの不正利用に関する広報につきましては、大手事業者をかたる不審メールへの対応やキャリア決済での注意事項などについて、出前講座を実施するとともに、市政だより、市ホームページで広く注意喚起や啓発を行っております。今後とも消費者に対し、注意喚起や啓発を行うとともに、トラブルに遭ったときはすぐに消費生活センターに相談していただけるよう、相談窓口のさらなる周知に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) エネルギー施策に関する御質問にお答えいたします。
 まず、市内の戸建て住宅の太陽光発電設備設置率は、国の住宅・土地統計調査によりますと、平成30年10月1日時点で7.8%でございます。また、共同住宅にも太陽光発電設備は設置されており、発電された電力は共用部分の照明や売電などに利用されております。
 次に、再生可能エネルギーに関する成果指標といたしましては、現在改定を進めております福岡市地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーによる設備導入量に係る指標に加え、再生可能エネルギーの利用率を2019年度の23%から2030年度には45%とする成果指標を設けております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎) 3問目ですが、スマホの不正利用についてですが、この質問を作っているさなかの夕方のニュースで、外国籍の女性2人が他人のメルペイを不正入手して8億円を得ていたとありました。電子決済などで、我々普通の市民は便利な世の中になったなとしか思わないのですが、不正利用という落とし穴がたくさんあることも知らなければなりません。
 5月25日の参議院本会議で、定額制サブスクリプション契約の解約手続に必要な情報提供の努力義務を事業者に課すことを盛り込んだ改正消費者契約法が可決成立したと報道されました。私も簡単にアプリを、無料と思い指でぽちっとしてしまい、よく見ると1か月後から請求が始まるサブスクであったので、解約しようと解約の画面を探しますが、どこにも解約手続方法が書いていない怖い経験をしたことがあります。今回の改正法では努力義務となっており、これでは安心できないのですが、メーカーやキャリアの責任の所在をしっかり決め、不正を明確に阻む取決めが必要だと思います。先ほどのサブスクの問題でも、消費者庁の検討会では、より強制力がある義務とすることが消費者団体から意見されたのですが、事業者側が慎重であったことから、努力義務になったようです。もしかしたら事業者側でも、それほどもう手が回らない状況かもしれません。まず、市民それぞれが詳しくなることが求められますし、おまとめ決済などは、最初はゼロ円からスタートするような設定が必要ではないかと思います。
 この問題の最後に、ますますテクノロジーが発展していく中、市民局としてどうやって市民を守っていくのか、我々地方議員も国会議員に伝えるべきことと思いますが、地方行政として国に現状を伝えるべきと感じますが、御所見をお伺いします。
 次に、福岡市独自のエネルギー施策についてですが、東京都は新築戸建て住宅に太陽光パネル設置義務化の検討をするという報道がありました。びっくりです。本当にこんなことができるのかねと思いましたが、5月末、G7気候・エネルギー・環境大臣会合が閉幕し、2035年までに電力部門の大部分を脱炭素化するという目標に最大限努力すると世界基準で決まりはでき始めていますので、太陽光パネルの設置義務も普通に感じるときがすぐそこに来るのかもしれません。
 カリフォルニアではもう1年前に始まっていますし、ベルリンも既に検討を始めたとなっています。しかし、我々は今も莫大なお金を払って化石燃料を輸入しています。正直、今の日本の経済を動かしていくには、再生可能エネルギーだけでは電力は足りないと思います。そんな中でありますが、国の動向もしっかり見据え、福岡市でできることに最大限取り組み、そして、それが全国に波及し、強い日本をつくり出していくものと思います。
 ロシアのウクライナ侵攻により、世界でエネルギー争奪競争が始まっています。2年から3年続くと言われています。国の動向もありますが、福岡市独自の施策がもっと必要ではないかと感じます。最後に環境局長の御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スマートフォンの不正利用に関する御質問にお答えいたします。
 福岡市を含む全国の消費生活センターに寄せられた消費生活相談情報は、国民生活センターにおいて収集、分析され、消費者への注意喚起などに活用されるとともに、消費者庁など、国において消費者政策の企画、立案、実施のために利用されております。また、インターネットや携帯電話などの電気通信サービスに関しましては、総務省九州総合通信局、九州内の消費生活センター、電気通信事業者が定期的に意見交換を行い、消費者トラブルの円滑な解決の促進に取り組んでおり、議員おただしの不正利用などもこうした機会を通じ、国や関係機関と情報共有を図るなど、今後とも、スマートフォンの不正利用をはじめとする消費者被害の防止に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) エネルギー施策に関する御質問にお答えいたします。
 福岡市における温室効果ガス排出量の削減に向けましては、再生可能エネルギーの積極的な使用や水素をはじめとしたカーボンフリーエネルギーへの利用転換などを進めるほか、省エネルギーを推進していくこととしております。その一環として、市有施設における太陽光発電や清掃工場におけるごみ焼却熱を活用した廃棄物発電などにより、令和2年度は年間約2億8,000万キロワットアワーの電力を生み出しております。また、太陽光発電の自家消費を促進する蓄電池などの住宅用エネルギーシステムの導入補助については、令和4年度の補助枠をおよそ1億円拡充し、政令市の中で最大の規模としており、太陽光発電の導入を後押ししていくこととしております。さらに、電気自動車や燃料電池自動車の購入費用の助成、電気自動車の普及拡大に不可欠である急速充電設備の設置に対する助成についても予算を拡充いたしております。引き続き、建物の屋根やごみといった都市ならではの空間やエネルギー資源の有効活用を図るとともに、カーボンフリーエネルギーへの利用転換を推進することなどにより、カーボンニュートラルを実装した都市の実現に向けて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) この際、休憩し、午後2時30分に再開いたします。
午後2時19分 休憩  
午後2時30分 開議  
○議長(伊藤嘉人) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、保育問題について、指定管理者制度について、各区の均衡ある発展について、以上3項目質問します。
 まず、保育園のコロナ対応についてお尋ねします。
 保育園のクラスで1人陽性者が出た場合、そのクラスの子どもは登園自粛となるのか、保育園の対応についてお示しください。
 2問目以降は発言者席で行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 登園自粛の対象につきましては、陽性者との接触状況に応じて、各保育所等で判断していただくものでございますけれども、陽性者との詳細な接触状況の確認が難しいことから、多くの園において、その日に登園した同じクラスの児童は登園自粛とされております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 今はコロナが落ち着いているのでいいんですが、1月、2月、3月はちょっと大変でした。小学校では現在、クラスに2人陽性者が出れば学級閉鎖ということで、保育園では1人陽性者が出ると3日間、もう1人3日以内に出るとプラス4日間のルールとなっています。
 保護者は小学校と保育園のルールが違うので困惑しているようですが、小学校のようなルールにできないのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 保育所等において陽性者が確認された際の対応につきましては、以前は濃厚接触の疑いのある場合の登園自粛期間を7日間としておりましたが、3月中旬からは感染状況等を踏まえ、濃厚接触の可能性がある児童や保育士から新たに陽性者が確認されない場合には、自粛期間を3日間に短縮し、早期に児童が登園できるように変更いたしております。保育所等においては、着席で授業を受けることが多い小学校と比べて、児童同士や児童と保育士が触れ合いながら過ごすことが多いことを踏まえまして、小学校とは異なる取扱いをしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 今、局長が言われたそのことを、ぜひ、こ未来としても強調をしていただきたいなというふうに思います。1週間行ってまた休みが出た、そしたらまた仕事を休むというような、2回、3回と続けば仕事にならないということで悲鳴に近い声が上がっていましたので、よろしくお願いしておきます。
 それでは、マスクについて現在どのようなルールがあるのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 児童のマスクの着用につきましては、厚生労働省の通知に基づき、ほかの児童や保育士との距離にかかわらず一律に求めないこととされており、特に2歳未満の児童につきましては着用を推奨されておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 園庭遊びや外での運動のときは外してよいが、3、4、5歳の子どもたち、管理できるはずもなく大変と思います。これから熱中症の危険もあります。園判断、保護者任せでいいのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 厚生労働省の通知において、保護者の希望等により児童がマスクを着用している場合でも、昼寝や屋外での保育、プール活動の際にはマスクを外すこととなっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) マスクの考え方もいろいろあって、1年目は、就学前の子どもたちにマスクさせるのはいいのかと、させられないよねという声が多かった。去年はどうかというと、当然、感染拡大防止が優先になったので、就学前の子どもたちはマスクをつけるのが当然みたいになった。今年はどうかというと半々。どちらの考え方も分かるというのがあるので、保護者も十人十色、いろんな考え方があって、それを園にぶつけてくる。それをそのまま、こ未来にもぶつけてくるということになろうかと思うけれども、園が板挟みなので、そこはぜひ分かっていただきたいというふうに思います。
 それでは全く別の問題で、令和4年4月1日現在の待機児童数及び未入所児童数をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和4年4月1日現在の待機児童数は1人、未入所児童数は651人でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 令和4年4月1日現在で定員割れしている保育園は幾つあるのか。また、定員割れしている保育園の割合と欠員数を市全体及び区ごとにお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和4年4月1日現在の入所児童数が定員に達していない保育所は、福岡市全体で177施設で市内保育所の約60%に当たり、欠員数は3,755人でございます。区ごとの状況は、それぞれ、東区が38施設で約61%、860人、博多区が25施設で約58%、377人、中央区が17施設で50%、271人、南区が29施設で約65%、645人、城南区が15施設で約78%、249人、早良区が19施設で約48%、472人、西区が34施設で約66%、881人、以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 定員割れの認可保育所が全体の6割になるようです。2年前の令和2年4月1日では55%、約2,800人だったのが、今、定員割れしている園が60%、1,000人増えて3,755人と、確実に増加しています。
 それでは、定員を10人以上割り込んでいる保育園数とその割合、さらに、30人以上割り込んでいる園の数とその割合を示してください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 入所児童数が定員を10人以上下回っている保育所数は109施設で、全体の約37%に当たり、入所児童数が定員を30人以上下回っている保育所数は37施設で、全体の約12%でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 4月1日時点で定員が割れているとしても、少しずつ入所はしてくるというふうに思いますが、今これだけ保育園がありますから、1年間かけて10人入所というのもなかなかないのではないか。昔は10人、20人というのは当然あったんですが、今の時代、これだけ保育園があるので、1年間で10人というとなかなかないんだろうというふうに思います。
 それでは、定員が60、80のところから200、300の園もあります。定員の1割以上が未入所の園はどれくらいあるのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 入所児童数が定員を1割以上下回っている保育所数は、92施設でございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 定員の1割以上が未入所が92園、31%。驚くべき数字だというふうに思います。これに加えて、通常、小規模保育所が150園あるんですが、小規模なので、4月1日で定員を満たすという園はほとんどないだろうと思いますが、それでも小規模の入所率、60%から70%だというふうに思いますので、本当にこれも経営的にどうかなと、厳しいなというふうに思います。
 保育園もそれぞれ事情があって、保育士が足りないので定員になっていない園もあれば、地域に保育園が多くてという園もあろうかと思います。
 福岡市も西区の学研都市地区周辺で糸島市からの広域入所を昨年から開始されましたけれども、6月1日時点で8人にとどまっているというふうに聞いております。保育士がいないため入所できないようなことを極力なくしたいと、また、保育士の処遇改善もちゃんとやりたいということで、福岡市は家賃助成と奨学金返済支援をしていますが、対象人数と金額をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 令和4年度予算で申し上げますと、家賃助成事業補助金は対象者2,490人で、予算額は2億9,880万円、奨学金返済支援事業補助金は対象者1,142人で、予算額は1億5,360万円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) これまで福岡市は、待機児童解消に向けて計画的に保育所の整備、また、保育士の処遇改善を進めてきました。
 振り返れば、当時、私も第2委員会の委員として待機児童の解消に向けて保育の受皿確保に取り組む市に対し、叱咤激励してきた自負もあります。その不断の努力のたまものが、現在の待機児童数1人に結実していると考えております。
 ただ、昨今の少子化に伴い、福岡市の就学前児童数は減少傾向にあります。今回お尋ねしたように、30人以上未入所の園が37園、定員の1割以上が未入所の園が92園もあります。経営的に大丈夫なのか心配ですし、保育士の処遇にも影響がないのか気になります。保育所は定員があります。定員に合わせて保育士が配置されています。例えば、ゼロ歳だと3人に1人ですから、ゼロ歳が9人の保育所だと、それだけで保育士は3人要るということになります。園児数に合わせて運営費が来ますから、保育士は用意します。すると、園児が来ない場合は、保育所は保育士の処遇、要は人件費をどう負担するのかというと、法人が、園長や理事長が何らか負担をする、もしくは寄附をいただく。どうにかして赤字を解消しなければならないということに今なっている園がかなり多いのではないかというふうに心配をいたしております。園によっては、できて5年も6年もたつ、でも、100人ぐらいの園でまだ定員になったことがないという園、最近できた園で、定員を一回もオーバーしたことがないという園が幾つもあるみたい。大変心配な状況であります。
 各保育園からこども未来局に相談があっていると思いますけれども、今後とも、保育所経営を取り巻く環境変化や個別の園の状況を考慮しながら、まずは丁寧に相談に乗っていただき、引き続き、市は保育所等の定員の見直しについて検討していただきたいと強く要望をしておきます。
 次に、医療的ケア児の保育所入所についてです。
 まず、医療的ケア児の説明をしてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律において、医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である18歳未満の児童及び18歳以上の高等学校等に在籍する児童とされております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 福岡市では、現在何人ぐらい在園しているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 福岡市内の保育所等に入所している医療的ケア児の人数は、4月1日時点で15人となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) これは、通常、保護者が保育園を訪問してというか、普通の保育園児と一緒で希望園に提出しますが、命にかかわる話なのでマッチングが難しいと思いますが、入所の希望を出す時点で、福岡市が間に入って調整してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 年度当初の入所申込みの場合、医療的ケア児につきましても、医療的ケア児以外の児童の手続と同じように保護者が保育所等を見学し、希望の施設に申込書を提出していただくこととなりますが、そのほとんどのケースで見学前に医療的ケア児の保護者から市の窓口に対し、入所に関する御相談が寄せられております。寄せられた御相談に対しましては、お聞きした状況に合わせ必要な情報提供を行うとともに、入所申込みに至った場合は、保護者や保育所等及び関係機関と、医療的ケア児に必要な支援等に関する情報共有を行っているところでございまして、今後とも安心して預けていただけるよう、丁寧に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) そうしていただきたいと思っているんだけど、なかなかそれができていないので、保護者がやっぱり保育園を幾つかお訪ねして断られる。要は、断る保育園も、受け入れたいんだけど既にサポートを必要とするお子さんがいたりして、預かりたいんだけど預かれないということもあって、そのマッチングをぜひ区役所のコンシェルジュさんをうまく使ってやっていただきたいというふうに要望して、次の問題に行きます。
 指定管理者制度についてですが、私、福岡市ヨットハーバーを事例として質問をしていきたいと思います。
 昨年3月、条例予算特別委員会で、福岡市ヨットハーバーの指定管理者選定について質問した。そのとき、主に3点について質疑しましたが、1つ目は、市の指定管理者ガイドラインによると、選定委員は5名程度で市職員は1名に限定することになっているのに、今回は、7名中3名は本市の関係者であると。2つ目は、選定された事業者、城ヶ島グループが提出した事業計画書が、スバル興業という一部上場企業が東京都の東京夢の島マリーナの指定管理者となった際の事業計画書とほぼ同一だったこと。3つ目は、選定委員会で城ヶ島からスバル興業と推測される団体と協力関係にあるとの発言があったが、福岡県セーリング連盟が確認したところ、スバル興業から一切関わりないと回答があったこと。この3点について改めて確認してまいります。
 まず、選定委員の選び方のことですが、ガイドラインでは選定委員は5名程度となっているが、この場合は7名であった。人数はどのようにして決定したのか。また、選定委員は原則、外部委員のみで構成することが望ましく、市職員を入れる場合は必要最小限とし1名が限度とされていますが、この場合は3名であった理由をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 選定委員会の委員につきましては、多角的に審査を行うため、ヨットハーバーに知見のある利用者団体の方をはじめ、学識経験者、市民代表、公認会計士、市の関係部署の職員など、様々な分野から7名就任いただいたところでございます。議員御指摘のとおり、指定管理者の指定の手続に関するガイドラインでは、原則として市職員は1名を限度としておりますが、ヨットハーバーを所管いたします港湾空港局の職員に加え、隣接する小戸公園との連携等の観点から住宅都市局の職員に、また、観光振興の観点から市のOB職員である福岡観光コンベンションビューローの役員に委員に就任していただいた結果、市の関係者が3名となったものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 福岡市ヨットハーバーが民営化できなかった理由の一つが、隣接の小戸公園が、自由がなかなか利かないということで各事業者が撤退したというふうに聞いています。また、観光振興の観点から市OB職員を選んだということなんですが、観光分野の有識者がその方しかいないように聞こえます。港湾空港局が、市OB職員なので話しやすい、あるいは市の意向を酌んでくれるのではないかと思って選考したと思われても仕方がないというふうに思います。
 ガイドラインによると原則5人だが、原局で判断して人数を増やすことはガイドライン上問題ないのか、港湾空港局の選定委員の人数や人選に関して、制度を所管する総務企画局の所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 指定管理者の指定の手続に関するガイドラインについては、指定管理者制度を適切かつ円滑に運用するために必要となる本市の基本的な考え方や標準的な手続などをまとめたものでございます。今回の委員の選定は、港湾空港局がガイドラインの趣旨を踏まえつつ、これにより難い事情の有無について慎重に判断した上で選定したものと考えております。今後も、施設の内容に応じた委員の選定が行われるよう、ガイドラインなどを通じて施設所管局に周知してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 市のガイドラインから大きく逸脱して3人にしているのに、原局の判断を尊重するということになります。市OB職員は市職員ではないからと考えているように聞こえます。公平、公正に選考するなら広く人材を求めるべきであり、今後、市OB職員も選考するなら、市職員と同等に考えるべきであるというふうに思います。
 ヨットハーバーは、公園のような一般的な施設ではなく特殊な施設であり、詳しい専門家などをもっと多く選任すべきと考えますが、市の関係者の割合も含めて港湾空港局の所見を尋ねる。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 選定委員会の委員につきましては、ヨットハーバーの管理運営を任せるに当たり、よりふさわしい事業者を選定するため、これまでもヨットハーバーに最も知見のある利用者団体から就任いただいたところでございますが、より適切な審査及び評価が実施できるよう、御指摘も踏まえまして、専門家や市の関係者の人数あるいは割合等について検討してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 次に、ほぼ同一の計画書、文書だけでなく写真や図表まで同じものが利用され、完全コピーというか、コピペというか、計画書が選定委員会で問題なく審査されて選ばれたことについて、港湾空港局はコピペの計画書だと把握したときに、提出した指定管理者にのみ確認し、問題なしと結論づけたようだが、提出者にしか確認しなかったのは問題ではないのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 事業計画書の確認につきましては、指定管理者の指定を終えた令和2年12月末に、ヨットハーバーの事業計画書の内容が他の企業が作成したものと酷似していることを把握した際に、当該指定管理者に確認を行いましたところ、著作権の取扱いについては整理しており問題ない旨の回答を得ましたことから、引き続き手続を進めたところでございます。一方で、令和3年3月の条例予算特別委員会における議員の御指摘を踏まえまして、改めて同年3月末に、当該企業や市の顧問弁護士に確認を行っております。その際、当該企業からは、著作権侵害の有無を含め法的措置について検討中である旨の回答がございましたが、現時点で何らかの措置が取られたとの報告は受けておりません。また、顧問弁護士からは、他と類似する事業計画書を作成する行為のみをもってヨットハーバー条例が定める指定管理者の取消し事由に当たるとは言い難いなどの見解をいただいているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 今、びっくりするような答弁なんだけれども、要は、スバル興業に確認をしたら、著作権侵害の有無も含め法的措置について検討中というふうに回答したのが3月なんですね。それでも城ヶ島さんは問題ないですと、著作権の取扱いについては整理していますからと言ったのも、本当は虚偽になるわけですね、提訴すると言われているんだから。
 提訴されなければ問題ないということなのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 当該企業からの回答は、あくまで法的措置を検討中とのことであること、また、当該企業と指定管理者の主張が異なっており、仮に提訴された場合にどのような判決となるか不明であることなどから、顧問弁護士の見解も踏まえまして、その時点では、指定管理者の指定の取消しを行うことは適当ではないと判断したものでございます。なお、仮に著作権法違反の事実が確定した場合には、指定の取消し事由に該当するかどうかを検討する必要があるというふうに考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) これがおかしくて、法的措置を検討中だからいいとしたと。そして、裁判で結果が出るまではいいということにするのかなと、そこが不思議でしようがない。
 顧問弁護士さんに完全コピーの提案書を見て判断いただいたのか、ほかに意見や見解は何も言われていなかったのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 顧問弁護士への確認に当たりましては、東京夢の島マリーナ及び小戸ヨットハーバーの事業計画書の双方を提示した上で見解をいただいております。また、先ほど御答弁しました見解以外のものといたしましては、著作権法に違反するかどうかは解釈上微妙な点があり、弁護士間でも見解の相違があり得、最終的には裁判所の判断を待つしかないこと、指定管理者制度を定める地方自治法やヨットハーバー条例の趣旨からすると、重要なことは、事業計画書が指定管理者としてヨットハーバーの管理運営を適切に行える内容となっているかどうかであることといった見解をいただいております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 港湾空港局はコピペの提案書を見せたと言っていますが、それを見た福岡市の顧問弁護士が、文章、写真、図表、全部一緒の提案書を見て、見解の相違があると本当に言ったのかなと、本当に見せたのかというふうに思います。
 さらに、重要なことは管理運営を適切に行えるかどうかだというふうに言われるんですが、管理運営をできる能力があれば、最初からコピペの事業計画書なんか提出するはずがないというふうに思います。
 福岡市の指定管理者の指定の手続に関するガイドラインにおいて、今回のような完全コピーの計画書を使った提案でも問題ないとなっているのか尋ねる。また、他都市のガイドラインではどうなっているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市のガイドラインでは、他社の計画書等と酷似している計画書が提出された場合の対応については定めておりません。他都市のガイドラインにつきましても、定められている事例は把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) それは前も言ったんだけれども、そもそもコピペの計画書が提出されることは、どの都市も想定していないということです。
 コピペの計画書を使った提案は禁止すべきことをガイドラインなどで定めるべきと思うが、所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 他社と酷似した計画書による提案については、参考にした出典元を事前に明らかにすることをガイドラインに明記し、施設所管局に周知することを検討しております。
また、ガイドラインでは、偽りその他不正な手段により指定を受けたときには指定の取消し等ができるとしており、著作権法等に反する計画書による提案であった場合には指定を取り消す可能性があることについて、募集要項等に明記していくなどの対策を講じていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 次に、完全コピーであるにもかかわらず指定管理者に選定されたことに関して、改めて、昨年3月末に選定に携わった委員を集めて選定手続について意見を聞いたということですが、委員からはどのような意見が出されたのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 選定に携わった委員からは、選定委員会の役割は、提出された事業計画書の内容を審議し、評価するものであること、事業計画書の内容を確実に実行することが重要であることなどの御意見をいただいております。また、酷似した事業計画書であることを知っていれば評価に影響があったとの意見も一部ございましたが、総じて、選定をやり直すべきであるとの御意見はございませんでした。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 私もこの3月末にあった選定委員会、傍聴を希望したんですが、これは非公開なんだということで傍聴ができなかったんですが、選定委員から意見聴取した会議が非公開であった理由をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 議員御指摘の会議につきましては、提出された事業計画書など、選定委員会における資料等を基に、当時の審議を振り返りながら委員の皆様の意見を聞く場であったことから、企業情報や利益の保護、あるいは円滑な審議の確保のために非公開といたしました選定委員会の取扱いに準じまして、非公開としたものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 非公開とするのは当然だろうというふうに思うんですね。要は、自由な委員さんの意見を聞きたいということが半分、もう一つは今言われたように企業の情報、著作権なり、特許権なり、企業の情報があるので非公開とするというのは当たり前だと思いますが、その著作権侵害をしている企業をそのままにするのでね、大丈夫かと、おかしいのではないですかという話をしているわけです。
 今、評価に影響があったという意見が委員から出たにもかかわらず、そのままにしている。総合点でこれは決定したんですが、728点と、次点が724点、4点差の僅差。そのまま通したというのはあまりにも不適切だと思いますが、いかがですか。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 委員の皆様から、選定をやり直すべきであるとの意見がなかったこと、それから、顧問弁護士の見解等を踏まえまして、再度選定手続を行う必要はないというふうに判断したものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 選定委員は提出された事業計画書を評価するものですから罪はないというふうに思います。提出された計画書を事前確認もせず、コピペをそのまま提出した港湾空港局の職務怠慢。加えて、著作権侵害で訴えられるかもしれないということも言わず、スバル興業と話がついているというのもついていなかった、虚偽だったにもかかわらず、再選定はしないというふうに決められた。これでは選考されなかった会社はやりきれないし、コピペを平気で出す新事業者と付き合わざるを得ないハーバー利用者の不安は拭いきれないというふうに思います。
 次に、選定委員会の中で選定委員から、構成企業の株主等に大きな会社は入っているかと質問がなされ、事業者から、協力関係にある一部上場企業があり、この企業には小戸のヨットハーバーで協力してもらうことになっている旨の回答がされていますが、実際にはこの一部上場企業、スバルさんですが、スバル興業からは一切関わりないということでした。
 選定過程の中で疑義が生じていると思われるが、港湾空港局の所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 井口港湾空港局長。
○港湾空港局長(井口宏樹) 選定委員会におきまして、議員御指摘のような質疑応答がなされておりますが、その後、いずれの委員からも、協力企業の名称や協力内容について追加の質問や議論がなされていないこと、また、協力関係の有無が指定管理者の選定に係る評価の対象になっていないことから、選定手続は適正に行われたものというふうに認識してございます。なお、選定委員会における当時の委員長にも、当該企業の協力の有無は評価に全く影響しておらず、選定手続は適正に行われたことを確認しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 委員さんたちが再質問をしなかったのは、そのまま事実と認識したというふうに思いますね。虚偽の発言があったことはなくならないと思いますし、評価の対象でなかったので、虚偽の発言でもよいということになるんだと思います。それでいいんですかね。
 他の政令市の条例やガイドラインにおいて、指定管理者の選定過程に問題があった場合の措置についてどのように定められているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 他の政令市においては、指定管理者の選定過程で問題があった場合は、指定前であれば失格として選定の対象から除外することや、指定後であれば指定の取消しを行うことなどがガイドラインなどに定められております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 著作権の取扱いは整理しているから問題ないと回答したのが、当の本人の応募事業者。完全コピーの事業計画書と分かった時点で港湾空港局が激怒しなければならないのに、平然と、はい、そうですかと話を終了させているのが異常です。
 港湾空港局が何度も視察に行っている夢の島マリーナであり、その事業計画書とうり二つというのが応募書類を提出した時点で分からないのがおかしいと思うが、港湾空港局によると気づいたのは12月議会が終了した後。それを信じれば、議会を通っているので、このままいかせるしかないという判断もあったかと思います。議会の議決は言うまでもなく大変重いものですが、我々も全ての指定管理者の指定を詳細にチェックできるわけではありません。正式決定ではないと断った上で、利用者に早めにお知らせすることは必要と考えますし、今回の場合も、新事業者に交代するまでに4か月ぐらいはあったと思います。その間に重大な疑義が生じております。まずは、我々市議会に対し報告をしなければならないし、第三者委員会を立ち上げるようなガイドラインの改正が必要と思います。
 選定に関する疑義の申出に係る手続について、入札制度も参考にしながら検討するとのことでした。できるだけ早く改善すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 選定に関する疑義の申出に係る手続については、議員の御指摘を踏まえ、これまでに他都市の事例調査などを進めてきたところであり、令和4年度は指定管理者の適正な選定を推進するため、選定されなかった団体からの疑義の申出に対して第三者がチェックする仕組みなど具体的な制度設計を行い、令和5年度からの運用を目指してまいります。今後も、指定管理者制度が市民や事業者等にとってよりよい制度となるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 前回のときと局長も代わっておられるし、担当課長も代わっておられます。前局長の清家さんは、私には、コピペでいいと思います、提案したことさえちゃんとやってもらえばいいんですみたいなことを言っておられました。まさにそのときのトップの局長がそう考えていたので、著作権違反あるいは虚偽の発言があっても立ち止まることをしなかった。福岡市の指定管理者の選定に当たって、本当にいいのかと、正しい判断ができなかったので、私は大きな汚点を残すことになったというふうに思います。コピペ、パクリで提案したことを許せないという当然の考えに立ってほしかったというふうに思います。
 福岡市ヨットハーバーは、近い将来、民営化するのか、できるのか、それとも指定管理でいくのか決まっておりませんけれども、コピペの事業計画書でもいい、福岡市ではパクリでも不問に付するとなっている状況は、福岡市の指定管理者制度にとってマイナスにしかならないと思います。一日も早い改善を要求して、次の質問にまいります。
 各区の均衡ある発展について、島市長が市長に就任されてもうすぐ丸12年となります。その間、福岡市は様々な分野で着実に取組を進めており、都市全体としては一定の成果を上げてきたと考えております。しかしながら、その期間の取組を少し細かく振り返ると、地域ごとに予算配分の不均衡があるのではないかと感じております。具体的には、東区や博多区、中央区に予算が、ということは、市の事業がということとほぼ同じではないかと思いますが、偏って集中し過ぎているのではないかという懸念です。
 そこで、ハード部局である住宅都市局と道路下水道局にお尋ねします。
 住宅都市局には重要施策と主な事業を7区ごとに、道路下水道局には一般土木と舗装などを7区ごとにまとめてもらいましたので、その結果をお尋ねします。指定しなかったので、両局で予算と決算でばらばらになりましたが、傾向をつかむためなので、わざわざ改めての整理はお願いしていません。7区ごとに、住宅都市局は重要施策と主な事業を予算ベースで、道路下水道局は一般土木と舗装工事など投資に係る事業費を決算ベースで、過去5年間の金額をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 平成30年度から令和4年度までの直近5年間の重要施策と主な事業のうち、7区ごとの当初予算額の合計につきましては、東区は約195億8,700万円、博多区は約142億7,100万円、中央区は約136億9,100万円、南区は約92億5,900万円、城南区は約14億6,600万円、早良区は約28億7,300万円、西区は約138億200万円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路、下水道、河川事業における平成28年度から令和2年度までの直近5年間の維持補修を除いた一般土木や舗装の工事、用地補償、委託などの契約金額の合計につきましては、東区は約325億5,600万円、博多区は約523億8,400万円、中央区は約306億6,500万円、南区は約144億5,900万円、城南区は約98億1,100万円、早良区は約146億2,400万円、西区は約234億8,400万円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) それぞれ、過去5年間の合計金額に対する7区ごとの割合をお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 直近5年間の7区の合計額に対する区ごとの割合につきましては、東区は26.1%、博多区は19%、中央区は18.3%、南区は12.4%、城南区は2%、早良区は3.8%、西区は18.4%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 一般土木や舗装工事、用地補償、委託などの直近5年間の合計額に対する区ごとの割合につきましては、東区は18.3%、博多区は29.5%、中央区は17.2%、南区は8.1%、城南区は5.5%、早良区は8.2%、西区は13.2%となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) これは、東区、博多区、中央区で住都が63.4%、道下が65%ということです。
 局の分でお答えいただいていない福岡市以外の関連分もお尋ねします。九州地方整備局と福岡北九州高速道路公社の工事の発注状況についても、過去5年間、把握できる範囲で7区ごとに一般土木と舗装の合計を金額でお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 九州地方整備局における平成28年度から令和2年度までの直近5年間の維持補修を除いた一般土木や舗装工事の契約金額の合計につきましては、東区は約61億6,800万円、博多区は約40億8,800万円、中央区は約5億8,800万円、城南区は約1億3,700万円、西区は約10億2,500万円となっており、南区と早良区につきましては対象工事がございません。また、福岡北九州高速道路公社における同様の契約金額の合計につきましては、東区が約54億2,900万円となっており、その他の区につきましては対象事業がございません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) これまでの答弁を踏まえて、道路下水道局、九州地方整備局、福岡北九州高速道路公社の発注金額を区ごとの割合で整理したところ、東区、博多区、中央区で約67%、住宅都市局でも、東区、博多区、中央区で約63%となっています。この状況は、私が実感として感じていたものとも一致するように思います。
 こういった区ごとに偏りのある結果となっている要因等について、道路下水道局長と住宅都市局長にお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路、下水道、河川の整備につきましては、長期的な視点に立ち、各事業の必要性や緊急性を踏まえながら計画的に進めております。直近5年間におきましては、自動車専用道路アイランドシティ線整備事業や西鉄天神大牟田線連続立体交差事業、雨水整備レインボープラン天神、国におきましては、一般国道3号博多バイパス整備などの大規模事業を行っていることから、区ごとに事業費が異なっているものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 住宅都市局が所管している事業につきましても、長期的な視点に立ち、各事業の必要性や優先度を踏まえながら計画的に進めております。直近5年間の主な事業といたしましては、市営住宅における老朽化や耐震性などを踏まえた城浜住宅の建て替えや福浜住宅の耐震改修、全市的な観点から取り組んでいるセントラルパーク構想の推進や動植物園の再生、高宮南緑地の整備などを進めていることから、区ごとに事業費が異なっているものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) それぞれの区の特性やその時々の施策の優先順位があることは理解しています。また、10年といわず遡れば、また違う傾向もあるとは思います。加えて、市民の生活はハード系の予算だけで全ては語れないとも考えています。しかしながら、今回私が問題提起しているのは一つの事実として、ハード系の予算だけを見てもそういった傾向が強過ぎるのではないかということです。
 これからの市域全体の発展に向けた取組についてどのように考えておられるのか、島市長の思いを聞かせていただきます。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定をした総合計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、充実した都市機能と豊かな自然環境が調和をした、コンパクトで持続可能なまちづくりを進めております。7区においては、都心部を抱える区や市民が暮らす住宅地を多く抱える区などそれぞれの特徴がありますが、今後とも、地域の資源や特性を生かした魅力あるまちづくりに取り組むとともに、道路や公園など、計画的な都市機能の更新、強化を進めながら、市域全体の発展に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 平畑雅博議員。
○8番(平畑雅博) 私、実はこれは10年前の資料も要求はしたんです。ただ、大変時間もかかるし、大変手間暇をかけるので、私も傾向しか知らなくていいので、じゃ、いいかと思って、そこまでいいですと言って5年間にしたんだけれども、感覚的にはこの10年間、多分同じようなことがずっと続いていたんだろうというふうに思います。
 市域のバランスある発展のためには、全体へのバランス感のある目配りが必要と思います。そう考えると、南区、城南区、早良区、西区の発展に向けた取組も必要になってこようと思います。
 市長には、全ての福岡市民の代表として、ぜひ7区の均衡ある発展という視点を持って市政を運営していただくよう要望して、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也)登壇 私は公明党福岡市議団を代表し、ケアリーバー、社会的養護経験者の継続支援について、福岡市営住宅で快適に暮らすための課題について、DXの推進について質問をいたします。
 初めに、ケアリーバー、社会的養護経験者の継続支援についてです。
 皆さんは、ケアリーバーという耳慣れない言葉を御存じでしょうか。社会的養護経験者と言われることが多く、2021年には厚生労働省が初の全国実態調査を行い、その支援の必要性が求められています。
 そこでまず、社会的養護経験者と言われるケアリーバーについて分かりやすく説明をしてください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) ケアリーバーにつきましては、法律上の定義はございませんが、一般的に児童養護施設等への入所措置や里親委託が解除された者、いわゆる社会的養護経験者のことを指すものとされております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 答弁されましたように、ケアリーバーについては、児童養護施設や里親などを離れた若者のことを指すそうです。今回私がこのケアリーバーの質問を行うきっかけとなったのが、市内にあるファミリーホームとまとの中島さんとの出会いでした。10年前に御挨拶に訪問したのがきっかけで、それから何度となく御相談を受けるようになりました。中島さんは約20年前に、お盆の間、子どもを預かることから始められ、その後、養育里親を約6年務め、多少子どもたちが増えても頑張れるとの思いから、ファミリーホーム事業所を11年前に立ち上げられました。毎日の生活の中で、子どもたちの見送りからお出迎えまで、赤ちゃんを抱き抱え、時には御近所に住んでおられる娘さんと協力して、煮物を鍋のまま運んでいる姿に頭が下がります。中島さんが運営されているファミリーホームとまとでは、18歳で巣立っていった子どもたちが7人いらっしゃると聞いており、中島さんは、今でもその子どもたちのことを御心配されています。児童養護施設や里親の社会的養護の下で生活している子どもたちは、原則18歳で自立の道を歩み出します。しかし、自立後に、困窮や過去の虐待によるトラウマなどにより、孤立に陥る例も多くあるとのことです。
 一般家庭における子どもの自立の年齢は、高校を卒業して就職をする子どももいれば、大学まで自宅で生活をし、そこから自分で暮らし始めるなど様々だと思いますが、福岡市の社会的養護経験者に対する18歳以降の公的支援の仕組みはどうなっているのか、お伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 現行の児童福祉法に基づく社会的養護の措置につきましては、原則18歳までとなっておりますが、進学などにより引き続き自立に向けた支援が必要な場合は、施設入所や里親委託等の措置を20歳まで延長することが可能となっております。さらに、20歳以降も支援が必要な場合は、社会的養護自立支援事業といたしまして、22歳の年度末まで支援を続けることが可能となっております。それ以降につきましては、必要に応じて様々な成人向けの支援制度につないでおります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) ケアリーバーへの支援の第一歩は、社会的養護の下にいるときからの子どもたちの環境づくりではないかと思います。
 そこで、本市の取組として社会的養護にいる間から、生活体験や地域と積極的に交流できる仕組みづくりについてお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 社会的養護の下にある子ども時代から、家庭や地域で様々な生活体験をしながら育つことが、自立後の安定した暮らしにつながるものと認識しております。このため福岡市では、地域の里親家庭への委託を増やす取組に力を入れておりまして、全国の中でも高い里親委託率となっております。
 また、児童養護施設等においては、少人数でより家庭に近い環境づくりや地域にある一般の住宅を活用したグループホームの設置を推進しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 里親委託の推進は、子ども時代から地域での生活体験する大切なことだと思います。市が全国に先駆けて取組を進めている里親ショートステイも、里親の担い手を増やしていく有効な手段であると思いますので、さらなる推進を期待いたします。
 ケアリーバーについては、特に虐待によるトラウマ体験などのつらい体験をし、誰かに頼ることもできないまま孤立し、心理面や周辺の支えもないことで不安定となり、早期の離職など、自立後の生活の困窮につながっていると聞いています。このような不安定になりがちなケアリーバーの支援については、何より、相談できる理解者がいる、たとえ挫折しても再挑戦できるという安心感が不可欠だと思います。
先日視察した山梨県では、支援が必要なケアリーバーに出身施設の職員や里親を派遣しているそうです。気心知れた大人が自立後も継続的に寄り添うことで、悩みを打ち明けやすくなるのが狙いです。延べ200人以上の利用実績があり、その際にかかる交通費、宿泊費を県が負担しています。また、世田谷区では、月に一度は出身施設の職員に自宅を訪問してもらい、学業や就労について相談に応じているそうです。
 そこで、ケアリーバーに対する相談やサポートについて、本市の認識と現状をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 自立後のサポート体制につきましては、出身施設によるサポートを含め、自立後も息長く伴走して支援する体制が重要であると認識しております。そのため、現在子ども総合相談センターに社会的養護自立支援員を配置し、施設や里親と連携しながら、進学、就職等の自立支援や退所後の継続的な相談、支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 退所後も継続的な相談支援を行っていただいているようですが、行政の相談窓口は垣根が高いと感じる人もいます。
 そうであれば、福岡市でも、これまで生活の場だった施設において、自立後もサポートできる体制や定期的に訪問するような支援があってもいいと思いますが、本市のお考えをお伺いいたします。 また、困ったときは施設に相談できるというためには、心理面でのサポートも重要だと思います。民間でのカウンセリングでは、信頼関係が築きにくいあるいは費用が高額になり、ケアリーバーが気軽に相談できる環境にはなりにくいと思います。
 施設に臨床心理士など相談に応じる職員を増員するなど、マンパワーを支援する議論が望まれると思いますが、本市のお考えをお聞かせください。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 施設における自立後のサポートにつきましては、今年度から児童養護施設にも自立支援担当職員を配置し、定期的な訪問による支援を行うなど、継続的なアフターケアを充実させるとともに、心理療法担当職員も増員し、訪問も含め、施設による心理的サポートの強化を図っており、今後とも、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) ぜひとも、しっかりとサポートをしてください。福岡市でも、児童養護施設に自立支援担当職員を配置して継続支援を充実させ、さらに心理療法担当職員を増員しサポート強化に取り組まれているとのことですので、信頼関係を築くための継続的な相談、支援を大いに期待しております。
世田谷区の報告書2020年度版によると、施設出身者の中途退学者は20.8%、一般学生の中途退学者は2.65%と、施設出身者の中退率は、一般学生と比べると約8倍になると言われています。このように、経済的自立もケアリーバーが直面する悩みの一つです。進学しても中退してしまう原因にもなっています。そこで、世田谷区では2016年から、進学を希望する施設の子どもたちに向け、寄附で集めたお金を給付型の奨学金として支給をしており、2021年度は2,750万円以上の寄附が集まり、8人が給付を受けたそうです。
 経済的な支援も重要だと思いますが、福岡市ではどのような取組があるのか、お伺いをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 大学等への進学や就職し自立する場合の経済的な支援につきましては、国の基準に基づく支援金と併せて、ふくおか応援寄付を活用した福岡市独自の支援制度による支度金を支給しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) それでは、市独自の支度金の支給金額と、過去3年間の支給人数をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 支度金の支給金額につきましては、子ども1人当たり4万5,000円であり、支給人数の3か年の実績は、令和元年度が17名、2年度が15名、3年度が21名でございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) さらに、ふくおか応援寄付を活用した支援制度の充実をお願いいたします。
 また、安定した住まいの確保も重要だと思います。世田谷区では就職した人も含め、高齢者向けの借り上げ区営住宅の空き部屋を月1万円で提供しているとのことですが、本市ではどのような取組があるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 自立して児童養護施設等から退所した後の住まいにつきましては、福岡市の住宅確保要配慮者への入居支援事業のほか、県の生活費や住宅費の返還免除付貸付事業などを活用し、安定した居住を支援しております。
 なお、施設入所や里親委託の解除後も支援が必要な場合は、22歳まで引き続き施設や里親家庭に居住することが可能となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) このほか、民間でもNPOがケアリーバーへ学費や家具を提供するなど、自立を支える活動が広がっています。福岡市においても官民が連携し、支援がさらに充実していくことを期待したいと思います。さらに、情報交換や交流によって孤立を防ぐ、いわゆる居場所支援も重要だと思います。先日、この居場所支援の活動に尽力されている東京都武蔵野市にあるビリーズカフェのオーナーで児童養護施設職員、武石和成さんにお話を伺いました。武石さんは「自立には挫折も失敗も伴います。その姿を期限なく見守る定点のような役割が不可欠です」と強調をされていました。
これは、ケアリーバーをはじめ、ひきこもりや非行、不登校や中退後の孤立など、困難を抱えた若者に共通する話だと思いますが、このような若者たちが気軽に寄れる場所として、居場所支援の取組を行ってはいかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 野中こども未来局長。
○こども未来局長(野中 晶) 若者の居場所につきましては、市が開設するフリースペースてぃ〜んずに加え、民間団体等が運営するものが17か所ございまして、若者のぷらっとホームサポート事業において、居場所の広報や居場所づくりを行う団体への補助、ノウハウの提供などを行っております。また、約30の民間団体が、困難を抱えた若者の相談支援や就労支援など、多様な支援活動を行っております。引き続き、これらの団体等と連携しながら、若者の居場所づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 職員に限らず、外部の相談しやすい人と打ち解けたり、学生と交流できたりすると、進学や仕事への夢を具体化する支援につながると思います。これまで紹介しました山梨県や東京都世田谷区の取組では、今年4月に「ケアリーバー継続支援必要」という新聞記事で目にし、私もすぐに山梨県や世田谷区のNPO法人を視察させていただき、それぞれの現状や取組などをお伺いしてきました。改めて、児童養護施設や里親の社会的養護の下で生活している子どもたちは、自立の道を歩み出した後も多くの困難があるんだということを目の当たりにし、再認識をいたしました。社会的養護の子どもたちの退所に向けた支援は、社会的養護施設等を利用し始めた時点で既に取組がスタートをしています。自立後もこれまで生活していた場ともつながりながら、新しい環境でも様々な人の助けを借りながら生活をすることは大切なことであると思います。ケアリーバーに対する継続的な支援は、さきの国会で成立した改正児童福祉法のポイントの一つともされており、自立支援に関する上限年齢を撤廃し、自立可能と判断した時期まで継続できるようになるとともに、施設を出た後のサポートの強化にも取り組まれる予定です。また、今回はケアリーバーを取り上げましたが、ひきこもりや非行、不登校や中退後の孤立など、困難を抱えた若者など、家庭やその他の事情により自立の準備ができていないにもかかわらず、やむを得ず自立せざるを得なくなった若者は数多くいると思います。その問題については、社会全体でしっかり支えていく体制の構築が求められると思います。
 そこで、この質問の最後に、ケアリーバーをはじめ、様々な困難を抱える若者への自立支援の推進に向けた今後の意気込みを荒瀬副市長にお尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 社会的養護から巣立っていく若者、ケアリーバーや困難を抱えた若者の自立支援は非常に重要な課題であると認識しております。そのため、国におきましては、児童福祉法を改正し、ケアリーバー等への自立支援の強化が図られたところでございます。
 福岡市におきましても、社会的養護施設における相談体制を強化するとともに、福岡市独自の支度金や居住支援など、ケアリーバーの自立に向けた支援策の充実に取り組んでおります。さらに、困難を抱えた若者の支援体制を強化するため、本年4月に、国、県、市の関係機関で構成する福岡市若者支援地域協議会を設置し、民間支援団体のネットワークの構築を進めているほか、現在、若者の相談拠点施設の開設に向けて準備を進めているところでございます。
 生まれ育った環境に左右されず、全ての若者が夢に向かって自立した大人へと成長していけるよう、今後とも、行政、民間団体、地域が連携し、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 次に、福岡市営住宅に関してお伺いいたします。
 市営住宅はたくさんの住人が暮らす共同住宅です。高齢者、単身高齢者、障がい者、母子世帯、生活保護など、いろいろな生活スタイルの方々がおられます。このような中で、市営住宅の住民の皆様から御相談を受けたことなどを質問してまいります。
 これまで、市営住宅の募集から入居審査、決定、各種申請手続の受付、修繕などの一連の業務は、本市の外郭団体である福岡市住宅供給公社が市内全ての住戸に対し、一体的に行ってきました。現在、中央区、南区、城南区では、市営住宅の管理業務のうち、緊急・小口修繕や保守管理、駐車場管理といった一部の業務を民間の指定管理者に委託しており、民間の指定管理者によるサービスについては、入居者や管理組合から、丁寧で迅速であるなど、評価する声を伺っております。一方、緊急・小口修繕や保守管理などの業務以外にも幅広く業務を行っている住宅供給公社の職員の対応については、住民の方から苦情の声をよく耳にします。
 市営住宅の現場を預かる公社は、入居者との潤滑油としての役割を担っており、職員の対応については、特に高齢者や障がいを持つ住民の方には寄り添った対応を心がけてほしいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 住宅供給公社につきましては、これまで市営住宅の管理において、現場で長年培ってきた経験とノウハウを生かし、入居者からの相談内容に応じ、迅速かつ丁寧に対応する必要があると考えており、さらなるサービスの向上に努めるよう求めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 一つ一つは小さな相談かもしれませんが、入居者の皆さんは、日々の暮らしの中で切実な思いで相談をされております。入居されている方からの相談にはしっかり耳を傾け、現場の実態を確認の上、対応をしていただくなど、入居者に寄り添った対応をぜひ心がけていただくようお願いをいたします。
 次に、市営住宅の現状についてお尋ねをいたします。
 福岡市営住宅の築年数が30年以上40年未満、40年以上50年未満、50年以上、それぞれの戸数と市営住宅全戸数に占める割合を教えてください。また、直近の福岡市全体の高齢化率及び市営住宅全体の高齢化率を教えてください。あわせて、高齢化率が高い住宅及び単身高齢者の多い住宅についても、それぞれ上位3つを教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 令和4年3月末における築年数別の住宅戸数と割合につきましては、市営住宅全戸数3万1,217戸のうち、築30年以上40年未満は6,627戸21.2%、築40年以上50年未満は1万2,468戸39.9%、築50年以上は3,029戸9.7%となっております。
 次に、令和4年3月末における65歳以上の高齢化率につきましては、福岡市全体では22.2%、市営住宅全体では40.1%となっております。
 次に、高齢化率が高い上位3住宅につきましては、高い順に、中浜町、福浜、城浜の各住宅、単身高齢者の多い上位3住宅につきましては、多い順に、城浜、中浜町、福浜の各住宅となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 福岡市営住宅は約3万1,000戸。その中で、築年数が30年以上の住戸が2万2,000戸、7割を超えるとのことです。高齢化率、高齢単身世帯率とも高い城南区の中浜町団地では、当初設置されていなかったエレベーターが後づけで設置されていますが、中浜町団地のように、築30年以上の住宅を有効に活用しながら、高齢化の進展への対応が必要だと考えます。
 そこで、既存の住宅を有効に活用するための取組についてお尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 福岡市市営住宅ストック総合活用計画に基づき、既存ストックの有効活用を図る観点から、長期活用する住棟につきましては、これまで、耐震改修や内外装、設備の改修、エレベーター設置などを実施してきたところであり、現在は、建物の耐久性を向上させる外壁改修及び屋上防水を実施しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 高齢者が多くなるとエレベーターの設置は必要だと思いますが、築30年以上の住宅におけるエレベーターの設置状況と現在の取組状況を教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) エレベーターの設置状況につきましては、6階以上の高層住宅は、築年数にかかわらず全て設置しております。また、中層住宅につきましては、築年数30年以上の住宅は17.2%設置しておりますが、老朽化が著しい住棟につきましては、エレベーターつき住棟へ建て替えるとともに、長期活用する住棟につきましては、既存エレベーターの安全性向上を図っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 高齢化の進展に伴い、住宅内の居住環境の改善やエントランス周辺の段差解消などのバリアフリー化が必要と考えますが、取組についてお尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 居住環境の改善につきましては、これまで、住戸内のバリアフリー化や経年的な劣化に伴う水回り設備の改善を実施してきたところであり、現在は三点給湯化や流し台、コンロ台の給排水設備等の更新を行っております。また、ユニバーサルデザインの推進に向け、住棟エントランスへのスロープや手すりなども計画的に設置しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 次に、日々の管理に関してですが、市営住宅に関する維持管理について、入居者自身で行うもの、管理組合が行うもの、管理者が行うものなどについてどのようなものがあるのか、また、それは入居者にどのように説明をされているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅における維持管理につきましては、住戸内のガラスの取替えや畳の表替え、照明器具の修繕など、住宅の軽微な修繕、構造上重要でない部分の修繕は入居者が行うこととしております。また、廊下灯や階段灯の取替え、樹木の剪定や除草など、住宅の共用部分の修繕は管理組合が行うこととしております。
 なお、家屋の床、屋根、電気施設など、構造上重要な部分の修繕は、市及び住宅供給公社で行っております。入居者への説明につきましては、住宅供給公社が入居上のルールを分かりやすくまとめたリビングノートを用いて、入居時に説明を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 管理組合が行う修繕については、住宅の共用部分が11項目の修繕等とありますが、樹木の剪定については、高齢化率の高い住宅では対応が困難という相談を受けています。
 そこで、樹木の剪定や除草、また、排水口、玄関扉の塗装、風呂釜設置についてはどのような対応をされているのか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 市営住宅敷地内の樹木の剪定、除草や屋外排水管、排水口や排水ますの簡易な清掃、詰まりの清掃などにつきましては、福岡市営住宅条例などに基づきまして、入居者の方々により行われております。なお、高木の剪定やのり面の除草など、作業に危険を伴うような箇所につきましては、指定管理者が作業しております。玄関扉の塗装につきましては、おおむね18年経過したものについて、市及び住宅供給公社が実施しております。また、風呂釜設置につきましては、昭和56年以降に建設した住宅では、新築当初より、浴槽、風呂釜が設置されておりますが、昭和55年以前に建設した住宅では、浴槽、風呂釜が未設置のため、市及び住宅供給公社が入居者の希望を受けて設置する場合と、入居者の希望がなく、退去後に設置する場合がございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 樹木の剪定や除草については管理組合が行う決まりとなっているとのことですが、実態として高齢化率の高い団地では、そのために人を集めるのも苦慮されていると聞いております。リビングノートに掲載されています入居のルールも大事なことですが、入居者の話をよく聞いていただき、柔軟に対応していただくことを強く要望しておきます。
 入居者が死亡したときの手続についてお伺いいたします。
 以前、UR団地で高齢者の身寄りのない方が孤立死をされ、その後の対応について相談を受けたことがあります。高齢化が進む市営住宅についても、孤立死については他人事ではありません。
 市営住宅における、いわゆる孤立死の件数、また、孤立死を発見した後の手続を教えてください。また、市営住宅での孤立死対策として現在どのようなことを行っているのか、教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 単身の入居者がお亡くなりになった件数につきましては、病院などで亡くなられた場合も含み、令和3年度は208件となっております。そのうち、近隣住民からの通報等により住宅内で亡くなられたことが判明した件数は19件となっております。その場合の手続につきましては、まずは警察による検分が行われ、単身入居の場合には親族に連絡を取り、退去に伴う諸手続や遺品の整理を求めることとなりますが、親族がいない場合などには福祉部局による対応や公社による退去手続などを行うこととなります。
また、孤立死対策につきましては、安否確認を要する事案において、あらかじめ把握している緊急連絡先に連絡して対応するほか、住宅供給公社が直接住戸に出向いて確認するなどの対応を行っております。夜間、休日につきましても、福祉局が実施する見守りダイヤルと連携し、24時間365日通報可能な体制を取っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) ぜひ、しっかりと対応していただきたいと思います。
 また、高齢化に関して、市営住宅に入居されている高齢者の方から駐車場の利用について多くの相談を受けております。デイサービスを利用しているが、迎えに来る車の駐車スペースに困ることが多い、何とかできないかとの内容です。
 高齢者、障がい者のデイサービス等の駐車スペースについては、今後、さらなる高齢化の進展において課題の一つになります。現在の状況についてお伺いをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) デイサービス等に対応する駐車スペースの現状につきましては、介護事業者や来客者等の利用状況を踏まえ、平成25年から敷地内にコインパーキングの設置を行ってきており、現在の設置数は、今年度の2か所11区画を含め、合計33か所218区画となっております。また、駐車場は原則1住戸に1区画の利用を認めておりますが、空き駐車場があり、余裕がある場合は、2区画目以降の利用を認めて対応しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 私がよく伺う市営住宅では、デイサービス等の駐車スペース利用がスムーズに行われています。エントランスの空きスペースを利用して、デイサービス等の車の利用は数分程度で特段の問題もなく行われているとのことです。
 市民の財産である市営住宅駐車場の空き区画をコインパーキングとして有効活用することは理解できますが、特に高齢化率が高い住宅においては、居住者のための必要な施設として、デイサービスの利用などについて一定のルールの下に使用できる駐車区画を整備するなど、今後検討していただきたいと考えていますので、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村住宅都市局長。
○住宅都市局長(中村健児) 介護事業者等の駐車場は必要と考えており、駐車場の利用状況等を踏まえつつ、コインパーキングを拡充するとともに、他都市の取組状況などを調査し、検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) ぜひ、よろしくお願いをいたします。市営住宅の居住者については、全市と比べ高齢化率が約18%も高く、一般の住宅以上に高齢者に配慮した環境が一層求められています。築30年以上の中層住宅でのエレベーター設置率は低く、約17.2%にとどまっていることなどを考えると、これからの建て替えも計画的にしっかり進めて、高齢者の居住環境に適した住宅にしていく必要があります。今後、市営住宅における居住者の高齢化はますます進み、これまで想定していないような新たな課題が生じることも想定されます。
 そこで最後に、今後の市営住宅の在り方について、ハード、ソフト両面でどのように進めていこうとされているのか、光山副市長の御所見をお伺いしてこの質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 光山副市長。
○副市長(光山裕朗) 市営住宅につきましては、住宅困窮者などに安全、安心な住宅を提供するという、住宅セーフティネットの中核としての重要な役割を担っており、将来にわたって、長期的、安定的な運営を図っていくため、福岡市市営住宅ストック総合活用計画に基づき、計画的な建て替えや改善事業に取り組んでおります。これらの整備に当たりましては、ユニバーサルデザインの理念を踏まえ、機能の維持、更新を着実に進めるとともに、管理運営につきましても、高齢化の進展などを踏まえ、入居者からの相談や要望に耳を傾けながら、管理上の制度運用の工夫や丁寧な対応に努めてまいります。
 今後とも、ハード、ソフトの両面から、全ての入居者が安心して暮らせる環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 最後に、DXの推進についてお伺いをいたします。
 先日、国において骨太の方針が閣議決定されました。世界を一変させた新型コロナウイルス感染症、気候変動問題、人口減少、少子・高齢化、災害の頻発化、激甚化など、様々な難局が同時複合的に押し寄せている中、課題解決と経済成長を同時に実現しながら、経済社会の構造を変化に対してより強靱で持続可能なものに変革する新しい資本主義を起動することがうたわれています。そして、新しい資本主義に向けた重点分野として、人への投資と分配、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーントランスフォーメーション、GXへの投資、デジタルトランスフォーメーション、DXへの投資、これら5つの方向性が示されました。GXとは、カーボンニュートラルや温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取組を経済の成長の機会と捉えた、排出削減と産業競争力の向上に向けた改革を指します。また、DXとは、デジタル技術の活用による新たなサービスの提供などを通して、社会制度や組織文化なども変革していく取組を指すものであり、本市においても、既に行政手続のオンライン化など、様々な取組がなされています。
 そこで、本日は、福岡市が進めるDXについて、特にオンライン申請に関して、使いやすさや操作性の向上などを中心に質問をしてまいります。
 まず、本市の行政手続のオンライン化の状況と今後の目標についてお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市における行政手続のオンライン化の状況については、市民の利便性の向上と業務の効率化を図る観点から、令和4年3月末時点で年間総処理件数の約86.2%の行政手続について、オンラインによる申請等を可能としてきたところでございます。
 また、今後の目標については、法令等によりオンライン化できない手続等を除き、可能な限りオンライン化を進め、令和4年度末までに年間総処理件数の90%以上の行政手続について、オンラインによる申請等が可能となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 目標の90%以上までもう一息ということですね。ぜひ達成していただきたいと思います。オンライン化を進めるに当たっては、単にオンライン手続を増やすということだけでなく、利用される市民の分かりやすさや使いやすさが大事なことだと思います。
 行政手続のオンライン化を進める上で、市民にとって使いやすいサービスとなるような利用者目線に立ったサービス提供にどのように取り組んでおられるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 利用者目線に立ったサービスの提供については、高齢者等にも十分配慮しつつ、広く市民に利用してもらうためにも、利便性の高いユーザーインターフェース、つまり、誰もが使いやすく分かりやすいデザインや操作性が大変重要であると認識しております。そのため、民間人材のDXデザイナーからも多くの意見やアイデアをいただきながら、スマートフォンでも見やすく、シンプルで入力しやすい画面のデザインなどの工夫を行っております。例えば、令和3年度にリニューアルした高齢者乗車券の申請においては、文字の大きさや画面の色使いなどにも配慮し、利用者からは、分かりやすく申請が簡単に済んだ、の声をいただくなど好評を得ており、利用者数もリニューアル前の令和2年度と比較して3倍以上の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 民間人材のDXデザイナーとの共働により、利用者目線での工夫が施され、利用者数が大きく増加したことはすばらしい成果であると思います。
 では、市民の利用が多いオンライン申請にはどのようなものがありますか。上位3つの手続を教えてください。また、それらの手続に現在使われているシステムの導入時期または更新時期をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市民利用が多いオンライン申請については、まず、最も利用が多い手続は、福岡市公共施設案内予約システム、通称コミネットによる文化、スポーツ施設等の抽せん予約申込みで、令和3年度の利用件数は約183万件となっております。同システムは平成16年度に更新しております。
 2番目は、新型コロナワクチン接種予約システムによるワクチン接種予約で、利用件数は約128万件となっており、同システムは令和3年度に新たに導入しております。
 3番目は、総合図書館の蔵書検索、予約システムによる図書の予約受付で、利用件数は約76万件となっており、令和元年度に更新しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 最もオンライン申請が多いのはコミネットということですが、平成16年度の更新以降、約20年間更新されていない古いシステムのようです。
 コミネットの活用メリットはどのようなものか、お尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) コミネットを活用するメリットについては、利用者においては、自宅や外出先からインターネットで施設の開館時間とは無関係に24時間、空き状況の確認や利用申込みができること。施設側においては、利用の受付や抽せんだけでなく、システムで施設使用料の口座振替手続等を行うため、各施設での事務処理の負担軽減となることが挙げられます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) コミネットについては、過去に我が会派の古川議員からも質問をしており、折に触れて利用者目線での課題の指摘、改善の要望などを行ってきました。
 コミネットのサービスは、当初、いつから始まり、これまでどのような改善をしてきたのか、また、利用者である市民の意見を踏まえて、現在の課題をどのように認識されているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) コミネットについては、平成元年4月の運用開始以来、市民の利便性向上を図るため、順次、サービスの拡充、改善を行ってまいりました。
 具体的には、当初スポーツ施設のみであった対象施設について、文化施設を加えるなど拡大し、現在約80の施設の予約申込み等に利用されております。また、稼働当初は体育館などの施設等に設置している専用の情報端末からのみの利用でしたが、平成14年4月以降、システムをインターネットに接続し、家庭のパソコンや携帯電話等からの利用も可能としております。さらに、9時から20時までであった利用時間を24時間化するなどしております。
 また、現在の課題については、市民から寄せられた意見などから、スマートフォンでも見やすく入力しやすい画面デザインへの対応など、ユーザーインターフェースの改善やキャッシュレス決済の導入など、決済機能の拡充のほか、利便性向上の観点から、施設の運用ルールや業務プロセスの見直し等を踏まえたシステム改修などを検討していく必要があると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) これまでも適宜、機能拡充や改修は行われてきたとのことですが、デジタル技術が急速に進む中、御答弁にありましたように課題も大きいと言わざるを得ません。
 利用者数が多いコミネット等の電子申請システムについては、優先的に更新し、市民の利便性の向上を図るべきではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員御指摘のとおり、行政手続の中でも利用者が多いものについては優先的に更新していくことが重要であると考えております。コミネットについては、最も利用が多いオンライン申請手続であることに加え、直近のシステム更新から相当の期間を経過し、先ほど答弁いたしましたユーザーインターフェースなど様々な課題も見られることから、利用する市民の目線に立ち、誰もが使いやすいサービスとなるよう、施設の運用ルールや業務プロセスの見直し等も含め、システムの更新についてしっかり検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) 高齢者のデジタルデバイド対策も含め、誰もが使いやすく、分かりやすい仕組みとなるよう、システムの更新などの検討を、めり張りをつけながらしっかりと進めていただくよう要望をいたします。
 少し視点は変わりますが、オンライン申請を進める一方で、市民にとって利用できる制度や給付の要件が複雑だったり、そもそも制度自体を知らなかったあるいは申請期間を忘れるなど、残念ながらサービスを受けられなかったケースもあると聞いています。
 そこでお尋ねをいたしますが、デジタル技術を活用し、利用できる制度、給付などの情報提供や、申請漏れを防止するための、いわゆるプッシュ型の案内なども併せて行うべきではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) デジタル技術を活用したプッシュ型の案内については、市民が利用できるサービスを申請がなくても提供できるようにするなど、申請主義からプッシュ型の行政サービスへの転換を図っていく必要があると考えております。このため、令和4年度に分野横断的な官民データの連携を可能とするデータ連携基盤を構築し、プッシュ型の情報提供を行うなど、その実現に向けた取組を進めることとしており、現在、事業者選定手続を行っております。
 また、具体的なサービスの内容について、子育てや教育、福祉などの関係課と協議を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 篠原達也議員。
○22番(篠原達也) プッシュ型の情報提供などによって、受給漏れなどを防ぐことが期待できると思いますので、しっかりと進めていただくようお願いをいたします。
 来庁不要のオンライン申請やプッシュ型の情報提供を実現するには、システム整備だけでなく、ルールの整備も必要です。本議会に提出されている住所変更手続を簡素化する条例改正など、既にルールの見直しに取り組まれておりますが、現在、対面や書面を求めている行政手続は、デジタル化を前提としたルールに改めていくべきと思います。今後のさらなる取組と成果が大いに期待をされます。
さて、骨太の方針には、デジタル時代にふさわしい行政、規制、制度に見直すため、デジタル改革、規制改革、行政改革を一体的に推進することがうたわれております。島市長が構成員となっておられるデジタル臨時行政調査会における市長の提言も含めた議論が、国の施策や骨太の方針をはじめとした戦略などに反映されているものだと思います。
 最後に、今後のDXの推進に対する島市長の意気込みと決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) DXの推進につきましては、市民の利便性の向上と業務の効率化を図る観点から大変重要であると考えておりまして、国におきましても、先日閣議決定をされた骨太の方針において、デジタル原則への適合や行政のデジタル化を着実に推進することなどが示されております。
 福岡市におきましては、これまでも、DXデザイナーの専門的な知見を活用しながら、誰もが使いやすく、分かりやすいユーザーインターフェースの導入などを積極的に進めておりまして、オンライン申請の利用者の増加など、成果を上げてきたところであります。また、今後さらに市民がデジタル化の恩恵を実感できるように、プッシュ型の情報提供など、これからの時代にふさわしい行政サービスの実現に向けたデータ連携基盤の構築や、また、住所変更等の届出の省略など、国に先駆けたルール見直しなどに取り組んでいるところでございます。引き続き、行政手続やまた市民サービスのデジル化、オンライン化を進め、来庁の必要がない、ノンストップ行政の実現を目指して、スピード感を持ってDXの取組を推進してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) この際、休憩し、午後4時15分に再開いたします。
午後4時3分 休憩  
午後4時15分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。松野隆議員。
○24番(松野 隆)登壇 公明党の松野隆でございます。本日8人目で、最後の登壇となりました。大変お疲れの時間帯だとは思いますけど、いましばらくお付き合いをいただきますようによろしくお願いいたします。
 それでは、まず初めに、イノベーションを活用した温暖化対策の推進についてお尋ねしてまいります。
 私は令和3年の第1回定例議会で、福岡市におけるカーボンニュートラルの実現に向けた取組について質問をいたしました。その後、僅か1年ほどしかたっておりませんが、日本、そして世界における脱炭素、カーボンニュートラルの実現ということがますます大きな潮流となっております。
 日本では昨年5月に地球温暖化対策の推進に関する法律が改正され、2050年までの脱炭素社会の実現が基本理念として明確に位置づけられ、10月には2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減するとの目標を踏まえた地球温暖化対策計画が閣議決定されました。また、世界においても同月、2年ぶりの開催となるCOP26、気候変動枠組条約締約国会議がイギリスのグラスゴーで開催され、今世紀半ばのカーボンニュートラル及びその経過点である2030年に向けて野心的な気候変動対策を行っていくことが確認されるなど、温暖化対策に関して各国協調による大きな前進が見られました。
 日本において、政府は2050カーボンニュートラル実現に向けたクリーンエネルギー戦略の今年度中の策定を目指しており、福岡市においても今後の温暖化対策の取組の方向性を示す、新たな福岡市地球温暖化対策実行計画の改定が進められております。
 そこで、まずはこの計画の概要について改めてお尋ねをするとともに、前回の答弁にありましたイノベーションの導入や企業支援について質問してまいります。
 まずは、地球温暖化対策実行計画の改定に向けたこれまでの経緯と計画原案においては、どのような目標設定しているのか、お尋ねいたします。
 以降の質問は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画につきましては、令和2年9月に改定に着手し、国の地球温暖化対策計画の改定状況や市民、事業者、学識経験者等から成る福岡市地球温暖化対策実行計画協議会や福岡市環境審議会での御意見を踏まえながら検討を進め、本6月議会において計画原案の委員会報告を行った上でパブリックコメントを実施し、9月に策定する予定としております。
 計画原案における目標といたしましては、2030年度の市域の温室効果ガス排出量を2013年度比で50%削減すること、及び2030年度の市外への温室効果ガス削減貢献量と市内での吸収量を100万トンとすることを掲げております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) では、目標達成に向けて地球温暖化対策実行計画原案では、どのように温暖化対策に取り組んでいくこととしているのか、その方向性についてお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、温室効果ガスの排出量が多い家庭、業務、自動車に廃棄物を加えた4つの部門を重点的に取り組む部門と位置づけ、これらの部門において脱炭素型ライフスタイル・ビジネススタイルへの行動変容、省エネによるエネルギーの効率化、再生可能エネルギーの使用によるエネルギーの脱炭素化、緑や海による炭素吸収増に関する施策を実施することとしております。
 また、取組の視点といたしまして、ライフスタイル、ビジネススタイルの転換、将来の世代を見据える、様々な主体とのパートナーシップ、新たなイノベーションの積極的な取り込みの4つの視点を持って、市民、事業者と連携した取組を進めていくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 取組の視点として4つ挙げられましたが、私はその中でも将来の世代を見据える、つまり子どもたちへの環境教育が非常に重要な視点の一つだと考えます。
 そこでお尋ねをいたしますが、これまで児童生徒に対してどのような環境教育を実施してきたのでしょうか、お答えください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 児童生徒に対する環境教育につきましては、環境分野の専門家を派遣する環境わくわく出前授業の実施をはじめ、小学生を対象として環境副読本の作成、配布や市ホームページでの動画配信などを実施しているほか、中学生を対象として脱炭素社会を分かりやすく理解できる啓発リーフレットを作成し、配布しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 脱炭素社会の実現を目指すには、将来を担う今の子どもたちに対して、これまでの枠にとどまらない環境教育が必要となってくる新たな視点が求められていくと思いますが、今後どのような環境教育に取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 環境教育の取組につきましては、環境施設見学会などの体験学習やイベント、動画を通じた学習機会の充実などにより、より分かりやすく楽しみながら脱炭素社会や再生可能エネルギーなどについての気づきや理解を深めることができる機会を増やしていきたいと考えております。
 また、令和4年度から環境教育、学習の施策に関して協議いただいている福岡市環境教育・学習計画推進協議会に地球温暖化対策に関する普及啓発を進めている福岡県地球温暖化防止活動推進センターからも参画していただき、脱炭素の視点を持った取組をさらに進めていきたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福岡市は温室効果ガスの排出量、実質ゼロを2040年度に実現することを目指しております。2040年度といえば今から18年後ですから、まさに今、小学生や中学生である子どもたちが成人し、社会に出て、この福岡市を支えている時期になるわけです。
 子どもたちが未来の地球にとって脱炭素社会の実現がいかに大切なのかを心から実感し、脱炭素に資する行動がごく当然のことになるよう、しっかり啓発、環境教育に取り組んでいただくようお願いいたします。
 次に、温暖化対策に重点的に取り組む分野として、家庭、業務、自動車、廃棄物の4つの分野を挙げられましたが、私は脱炭素社会の実現のためには、企業が非常に重要な役割を担うものと考えております。それは自社の活動において排出量を削減していくという側面と、温室効果ガスの排出がより少ない製品やサービスを開発してもらうという両面の役割があると考えるからです。
 そこで、新しい地球温暖化対策実行計画において、企業の活動である業務部門に関し、どのような方向性で取り組むこととしているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案における業務部門に関する取組の方向性につきましては、福岡市の目指す姿を脱炭素を経営にとり込み持続的成長を続けるまちとしており、その実現に向け市民や事業者、行政が取り組む方向性として脱炭素経営への移行、脱炭素関連のイノベーションの創出、建築物や設備の省エネルギー化、再生可能エネルギーの利用拡大を掲げております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 企業の活動である業務部門について答弁をいただきましたが、私はその中でも脱炭素経営への移行、脱炭素関連のイノベーションの創出の2つは大事な視点だと考えます。
 まず、脱炭素経営への移行に関してですが、脱炭素の取組はSDGsの達成に欠かすことができないものです。令和3年12月議会において、我が会派の高木勝利議員がSDGsの認証制度について質問しましたが、本市は4月から福岡市Well-being&SDGs登録制度をスタートされました。このようにSDGsの達成に積極的に取り組む企業を行政が支援することで脱炭素の取組も広がっていくものと考えます。
 また、企業での脱炭素の取組を支援するための民間企業の動きとして、4月にCodo Advisoryという企業の脱炭素経営への移行戦略を支援する会社がこの福岡で開業しました。5月にはふくおかフィナンシャルグループが脱炭素関連の課題への対応として、温室効果ガス排出量を算出して可視化するサービスの提供を行う会社と連携協定を結び、顧客のニーズに対応するという報道もありました。福岡市においても、脱炭素に取り組む企業を支援する環境が確実に整ってきております。こういった情報も市から広く企業に届けてもらい、企業の脱炭素経営への移行が進むよう取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つの方向性として、脱炭素関連のイノベーションの創出については、先ほど答弁いただいた取組の視点の一つには、新たなイノベーションの積極的な取り込みがあるとのことでした。つまり、新技術の導入やスタートアップをはじめとした企業支援ということが脱炭素社会を目指す上で非常に重要なキーワードになってくるということだと思います。
 それでは、イノベーションの創出に向けた取組として、具体的にはどのようなことを行うこととしているのか、お答え願います。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、イノベーションの創出に向けた環境づくりといたしまして、脱炭素につながるテーマでの実証実験の支援や脱炭素に関する技術についての専門的な知見を有した大学などの研究機関や事業者との連携、中小企業等によるカーボンニュートラルに資する製品開発の支援などに取り組んでいくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 前回質問した際、私は脱炭素社会の実現にはこれまで以上に民間活力を生かした技術革新、イノベーションの実現こそ必要不可欠であると申し上げました。特に福岡市は、時期としては国よりも10年早い2040年度の温室効果ガス排出量実質ゼロを目指しているわけですが、既存の技術だけで、その目標を達成することは極めて困難であると思っております。
 ここで、私が4月に視察してきました企業について御紹介したいと思います。
 平成27年に設立された東京の株式会社CO資源化研究所という企業で、水素菌を用いた技術を有するバイオベンチャーです。水素菌と言っても聞き慣れない方が多いと思いますので、簡単に説明しますと、この水素菌は水素をエネルギー源としてCOを取り込み、有機物に変換しながら自ら増殖するという性質を持った細菌です。
 穀物生産量もその生産に必要な水資源も限界が近いとされながら、しかし、世界的人口増による動物性たんぱく質の食材の需要は急増しております。また、脱石油の流れから、日本政府はバイオマス原料のプラスチック製造の実現を産業界に要請、あるいはバイオ原料をCOから製造し、ジェット燃料に精製する技術開発など、環境問題だけでなく地球規模の課題解決への新しい技術が日本で生み出されました。このCO資源化研究所は水素菌を活用して二酸化炭素と水素から代替肉やプラスチック、バイオ燃料といったたんぱく質や化学品を製造する技術の特許も既に取得しております。
 パネルを見ていただきたいんですけど、これですね。(パネル表示)パテのような食品、それからクラッカーに塗ってあるリエットのようなもの、それからスープのようなものですね。こういったものは全てこの技術で生み出された動物性たんぱく質の食品となります。
 そして、また同じ技術から(パネル表示)プラスチックのカップ、プラスチックのトレーなど食品包装容器なども生み出されており、こういう新しい技術が日本国内で生まれているということです。
 そして、何といっても温室効果ガスとして削減の対象となっている二酸化炭素をこの企業はモノを生み出すための原料として利用しております。ですから、二酸化炭素の排出削減につながるだけでなく、造り出される代替肉は食料問題の解決に、またバイオ燃料は飛行機のゼロエミッションにもつながり、温暖化対策に大きく貢献することが期待されます。実際にバイオ燃料による飛行実験も既に行われております。こういった革新的な技術を持つ企業と連携し、地場企業が環境負荷軽減に資する新技術の開発を行う、あるいは新技術を持つ企業が福岡からぜひ誕生して、福岡市だけでなく日本、そして世界のカーボンニュートラルの実現に貢献してほしいと願っております。
 そこでお尋ねいたしますが、福岡市ではスタートアップ支援に力を入れておりますが、これまで環境、脱炭素の分野で先進的な技術を有するスタートアップ企業は誕生しているのでしょうか。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 環境や脱炭素の分野におけるスタートアップにつきましては、これまでにCOを回収し、有効利用する技術を開発する企業や再生可能エネルギー由来の電力を販売する企業などが誕生しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) それでは、スタートアップ企業に対して福岡市は具体的にどのような支援を行っているのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) スタートアップへの市の支援につきましては、創業の裾野拡大のためのスタートアップカフェや官民共働型の創業支援施設、Fukuoka Growth Nextの運営など、福岡市独自の取組に加え、グローバル創業・雇用創出特区などの国の施策を活用しながら、スタートアップ支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) スタートアップ企業は事業が軌道に乗るまで、また事業を成長させていくためには資金をどのように調達するのかという課題もあると思いますが、資金調達に係る市の支援策、また民間企業による取組について、どのようなものがあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) スタートアップの資金調達に係る市の支援につきましては、Fukuoka Growth Nextにおいて資金を提供するベンチャーキャピタルとスタートアップ企業のマッチング機会の提供を行っております。
 民間企業における取組につきましては、再生可能エネルギー発電事業への融資や、環境に配慮した経営を行う企業に対して金利の引下げを行う融資などがあると聞いております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) バイオエタノールやバイオマスに続く第3世代としてCOなどにシフトしたバイオプロセス産業を目指し、欧米のベンチャーは日本では考えられない規模の資金調達を達成しております。
 さきに質問したESG投資は世界の潮流であり、福岡市自らの取組だけでなく、中小企業の支援や大学との連携による産業の振興、国際金融都市づくりも視点で、脱炭素、カーボンニュートラルに大胆に取り組み、今後の日本の経済成長戦略の柱となるグリーン戦略も大いに活用しながら、福岡市から脱炭素に貢献する技術を持った企業が誕生するよう引き続き支援をお願いいたします。
 次に、福岡市の強みとも言える水素についてお聞きします。
 先ほど申し上げ、先月取りまとめられた国のクリーンエネルギー戦略の中間整理において、水素は発電や運輸、産業部門といった幅広い分野での利活用が考えられており、導入の拡大や商用化に向けた支援措置が行われる方向性が示されました。
 また、通常国会では、省エネの対象範囲の見直しや非化石エネルギーへの転換促進などを図る安定的なエネルギー需給構造の確立を図るためのエネルギーの使用の合理化等に関する法律等の改正案が成立し、これまでエネルギーとして法的な位置づけが不明瞭であった水素やアンモニアを非化石エネルギー源として位置づけ、今後は脱炭素燃料として利用促進が図られることとなりました。
 福岡市においては、2月にトヨタと連携協定を結び、水素社会のまちづくり実現に向けた幅広い取組を進められていくこととされました。
 そこで、この連携協定でどのようなことに取り組もうとしているのか、また令和4年度に具体的にどのような取組を実施されるのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市とトヨタ自動車の連携協定による取組につきましては、社会インフラを担う燃料電池車両の開発、実装を通した水素の社会受容性向上と需要拡大、市民に身近な施設やイベント等での水素エネルギーの活用、水素社会の実現のために必要な規制の適正化などに取り組むこととしております。
 また、令和4年度の具体的な取組については、給食配送車への燃料電池トラックの導入や災害時に活用可能な大型FCモビリティーの導入を進めるとともに、ごみ収集車の燃料電池自動車化に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 燃料電池自動車は二酸化炭素を排出しないゼロエミッション車です。福岡市は下水処理の過程で出てくるガスから水素を製造しているため、グリーン水素と呼ばれる環境に非常に優しい水素を使うことができるという大きなアドバンテージがあります。
 そこで、改めてではありますが、水素リーダー都市プロジェクトについて、これまでの取組と成果についてお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 水素リーダー都市プロジェクトのこれまでの取組につきましては、水素社会の実現のため、中部水処理センターで発生する下水バイオガスを原料として水素を製造し、燃料電池自動車、いわゆるFCVに供給する世界初の水素ステーションを産学官で運営してまいりました。
 また、このステーションの水素を活用し、民間事業者の実証実験に協力するとともに、国内外からの視察の受入れなど、水素エネルギーに関する普及啓発を実施しております。
 これまでの成果といたしましては、国内初の燃料電池トラックの実証実験や燃料電池二輪車の実証への協力、さらにトヨタ自動車の水素エンジン車への水素供給などを行っております。
 また、平成27年3月の水素ステーション開設から令和3年度までの7年間で、国内外から約730件、約6,150名以上の方に御視察いただいております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 国では水素は温室効果ガスを排出しない非化石エネルギーとして位置づけ、利用を促進していこうとしておりますが、現在、改定中の福岡市地球温暖化対策実行計画では、水素についてどのような内容が盛り込まれているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画原案におきましては、温室効果ガス排出削減の方策の一つとして、水素などカーボンフリーエネルギーへの利用転換を進めていくとの内容を盛り込んでおります。
 具体的には、自動車部門の取組として燃料電池自動車の購入時の助成などにより導入推進に取り組むとともに、市内における水素ステーションの空白地域を中心に、民間事業者との導入協議を進めることを掲げております。
 また、様々な用途の車両での燃料電池自動車の開発や実装に向けた実証実験を支援するなど、水素社会の実現に向けた取組を推進していくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 温暖化対策実行計画においても、水素社会の実現に向けた取組を推進していくこととされているとのことですが、今後、水素リーダー都市プロジェクトをどのように推進していくのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 水素リーダー都市プロジェクトの今後につきましては、水素は脱炭素に貢献するエネルギーとして幅広い活用が期待されております。引き続き下水バイオガス水素ステーションの機能強化を図り、水素供給力を強化してまいります。
 また、水素の需要拡大に向け、令和4年度よりFCVの補助対象に法人を追加するなど、FCVの普及促進を推進するとともに、民間事業者と連携して燃料電池トラックや燃料電池ごみ収集車などFCモビリティー導入促進を図ってまいります。
 さらに、先進的なまちづくりへの水素の実装を目指し、民間事業者や大学などの研究機関とともに、水素社会の実現に向け積極的に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 水素については国からの支援が拡充されることが期待される中、アドバンテージを持つ福岡市は、これをぜひ追い風にして、引き続き水素リーダー都市として、この分野を牽引していただきたいと思います。
 今回、環境教育やイノベーションの創出、脱炭素技術を持つ企業への支援策などについてお尋ねしてまいりました。脱炭素社会を実現することが、将来世代にわたって安心して生活を送るために必ず達成しなければならない命題であります。また、新たな技術を生み出し、実装していくことができれば、世界の中で日本が存在感を示し、また経済的に成長していくための強みとすることができると思います。
 この質問の最後に、脱炭素社会の実現に向けたイノベーション創出や企業支援に係る取組について、島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は世界や日本が目指すカーボンニュートラルに積極的に取り組むこととし、2040年度を目指したチャレンジを掲げ、現在改定を進めております福岡市地球温暖化対策実行計画において、2030年度における市域の温室効果ガス排出の削減目標を2013年度比で、国の46%を上回る50%の削減としております。
 脱炭素社会実現に向けては、松野議員御指摘のとおり、イノベーションの創出や企業支援が重要であると考えておりまして、産学官連携による研究開発の促進や、また脱炭素分野のスタートアップの支援、国際金融機能の強化によるESG投資の呼び込みなどに取り組んでまいります。
 引き続き、人と環境と都市活力の調和が取れた世界から選ばれる都市を目指して、市民、事業者の皆様と一体となって脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) この際、時間を延長いたします。松野隆議員。
○24番(松野 隆) どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして、都市の成長と教育の充実の好循環に向けてと題して質問をしてまいります。
 近年、コロナ禍が続くさなかに、福岡市は人口増加数、増加率ともに政令市1位という結果が出ました。福岡市総合計画にある生活の質の向上と都市の成長の好循環のまちづくりを目指し、人口も速報値で162万人を突破しました。
 天神ビッグバンに代表されるように福岡市の持つポテンシャルの高さによる都市の発展は今後まだしばらくは続くのではないでしょうか。数年前までは市内各区での自然減による人口減少が続いておりましたが、今ではマンションの新規着工とともに、古い家屋は分割され、複数の戸建て住宅に生まれ変わり、子育て世代が福岡市内にどんどん増えております。
 このように人口増加が続く福岡市において公立学校における教育環境の現状はどうなっているのか、幾つかのテーマについて質問を進めてまいります。
 初めに、教員配置等の状況についてお尋ねします。
 昨年度暫定実施した小中学校全学年での35人以下学級について、本年度はいよいよ本格実施に移行しました。新型コロナへの対応やきめ細やかな教育の推進、学級担任の負担軽減等の面でよい取組である一方、担任以外の教員の一部を学級担任に振り替えたことで、学校運営が厳しくなった学校もあると聞いております。専科指導等に従事する担任以外の教員数について、本年度本格実施するに当たり、昨年度から増やしたのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 担任以外の教員数につきましては、令和4年度は小中学校合わせまして431人となっておりまして、国の定数改善などにより、3年度の345人から86人増員いたしております。
 加えて、本年度、福岡市独自に30人の非常勤講師を新たに配置しており、学校体制の充実を図っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員数増は学校現場にとって大変ありがたいことですが、実際に配置しないと意味はありません。教員不足が大変深刻な問題となり、昨年度は国による初めての全国調査も行われ、大きく報道されたところですが、昨年度及び本年度の5月1日時点での小中特別支援学校ごとの不足教員数についてお答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) いわゆる教員不足数につきましては、令和3年度が小学校ゼロ、中学校19人、特別支援学校1人となっておりましたが、4年度は小中特別支援学校いずれもゼロとなっており、改善いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 昨年度よりは改善しているという答弁です。しかし、少なくとも私が声をお聞きした教員の皆さんからは、学校現場では多忙を極め、教員同士で助け合いながら何とかやりくりしているという声を多く聞いております。本市だけでなく、全国的に教員不足と言われている状況ですが、学校現場の声を聞いて、しっかりとサポート体制を取っていただくよう要望いたします。
 また、学校現場には教員以外にも様々な職員がおりますが、そういった専門スタッフを拡充させ、チーム学校を推進し、教員にとって働きやすい学校とすることが子どもたちの教育環境の向上につながると思います。特にニーズが高まっている福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカー、支援を必要とする児童生徒をサポートする学校生活支援員について、昨年度から拡充したのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクールソーシャルワーカーにつきましては、令和4年度に8名増員し、合計79名を、学校生活支援員につきましては同じく令和4年度に50名増員し、合計318名を配置しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員が子どもたちの指導に専念するためには、事務的な補助を行う職員の充実も重要であります。そのような事務的な補助を行う職員としてスクール・サポート・スタッフがおりますが、昨年度から拡充したのか、お答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) スクール・サポート・スタッフにつきましては、各学校に雇用できる日数という形で配当しておりますが、令和4年度は総配当日数を3万2,400日とし、3年度の2万6,600日から5,800日拡充しておりまして、教員のさらなる負担軽減を図っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員も、そしてそれ以外の学校職員についても配置の充実を進めているというお答えですが、ぜひ今後も教員の負担を軽減することが教育環境の充実には不可欠であり、今後さらに学校の働き方改革を推進すべきと考えますが、御所見を求めます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 学校における働き方改革は、教員が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで、子どもたちに効果的な教育活動を行えるようにすることを目的としておりまして、教育委員会としても大変重要なことと考えております。
 このため、これまでスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフの配置、拡充をはじめ、全学校への自動音声メッセージ機能つき電話の整備や学校の庶務事務の効率化を図るシステムの導入など様々な取組を行ってきております。
 また、令和4年4月に働き方改革のさらなる推進に向け、福岡市立学校における働き方改革推進プログラムを策定したところであり、このプログラムに掲げる取組を着実に進めてまいります。
 今後とも、教育委員会事務局と学校が一体となり、教員が子どもたちと深く関わり、指導に専念できる環境づくりを推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 次に、Society5.0時代の教育環境についてお尋ねします。
 一人一人の多様な幸福感達成のために、科学技術の応用により課題解決を目指すSociety5.0時代にあり、子どもたちが置かれている環境や特性も多様化しております。アナログからデジタルへと変革の岐路にあるSociety5.0時代の本質は、多様性やウエルビーイングという豊かさを求めることにあります。
 特にアジアの中でもシンガポールや台湾など、ICT教育先進国ではSTEAM教育と言われる分野横断的な学びの機会を通じ、それぞれの個性や特性に応じて、いや応なく進展するデジタル社会に対応し、恩恵を享受できる人材の育成に力を入れております。
 一方で、OECD、生徒の学習到達度調査2018によりますと、日本の子どものICT活用状況はOECD加盟国の比較で、学校の授業での利用時間が短く、学校外ではチャットやゲームの利用に偏っており、本市でもGIGAスクールを入り口としてICT教育の拡充が必要ではないでしょうか。ビッグデータ解析による課題解決など社会構造の変化に対処するために必要な技術や現在の子どもたちを取り巻く環境の変化について御所見をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和3年1月の中央教育審議会答申によりますと、AI、ビッグデータ、IoT、ロボティクス等の先端技術が高度化して、あらゆる産業や社会生活に取り入れられたSociety5.0の時代が到来しつつあり、社会の在り方そのものがこれまでとは非連続と言えるほど劇的に変わる状況が生じつつあるとした上で、このように急激に変化する時代の中で、我が国の学校教育には、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるよう、その資質、能力を育成することが求められているとされてございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) では、STEAM教育の必要性について教育委員会の考え方、方向性についてお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 中央教育審議会答申によりますと、STEAM教育とは各教科での学習を実社会での問題発見、解決に生かしていくための教科横断的な教育であり、文系、理系といった枠にとらわれず、各教科等の学びを基盤としつつ、様々な情報を活用しながら、それらを統合し、課題の発見、解決や社会的な価値の創造に結びつけていく資質、能力の育成が求められるとされてございます。
 教育委員会としましても、STEAM教育を推進していくことは重要であると認識しておりまして、その土台として児童生徒のものづくり体験や科学的な体験活動の充実、小中学校での各教科等や総合的な学習の時間における教科等横断的な学習やプログラミング教育、そして高等学校での総合的な探求の時間などの充実に努めているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 一部の子どもたちだけが私学においてICT教育による恩恵を受けるのではなく、全ての子どもたちが社会の問題に関心を広げ、才能を開花させ、自身の意欲と能力で将来の人生を生き抜いていくスキルと力を養う機会を平等に持つためにも、公立小学校においてICT教育を行うべきだと思います。
 福岡市では全国に先駆けて令和2年から教員が授業で使用する端末や児童生徒の1人1台端末を整備し、ICTを活用した授業に取り組んでおりますが、ICTを活用して具体的にどのような授業が行われているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) ICTを活用した授業につきましては、デジタル教科書内の音声や動画を活用して理解を深める学習、AIドリルによる児童生徒の習熟の度合いに応じた個別学習や反復学習、アプリを使ってクラスメートの考えを比較検討して自分の考えを深める学習などを行っております。
 また、教室にいながら、通常では行けない様々な場所の様子をオンラインで見学したり、話を聞く授業も充実しております。
 なお、令和3年12月に行いましたICT活用に関するアンケート調査では、9割を超える教員が毎日の授業などでICTを活用しており、教員の指導力の向上が図られております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教員の指導力の向上が図られ、ICTの活用が推進されておりますが、教育委員会として教員の指導力向上のために、これまでどのような支援を行ってきたのか、お答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 教員の指導力向上のために各学校に指導主事を派遣し、校内研修をサポートするとともに、ICT支援員を月2回派遣し、ICTの操作研修や授業での効果的な活用の提案を行い、日々の授業の充実に努めてまいりました。
 また、ICTを活用した授業における先進的な事例や有効な学習アプリの紹介などを盛り込んだ教育ICT推進通信を教員一人一人の端末に配信し、いつでも授業に役立てることができるようにしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ICT教育の推進に当たっては、幅広い学識や研究者のアドバイスを活用していくことも今後考えなければなりません。
 さらに、今後新たに求められる教育を推進するには、市内の学校をモデル校に指定し、学習成果を検証しながら事業拡大を図るべきだと考えますが、今後、モデル校指定の有無と予定しているのであれば、学校名についてもお答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年度よりICTを活用した教育実践事例創出事業として、教育委員会がモデル校を指定し、ICTの効果を最大限に発揮させる取組を推進するとともに、こうした先進的な事例を全小中高等学校へ広げ、共有することにより、教員一人一人のICT活用指導力の向上を図ることに取り組んでおります。
 なお、令和4年度のモデル校は、西高宮小学校、小笹小学校、弥永小学校、有住小学校、草ヶ江小学校、香椎東小学校、東光小学校、田村小学校、百道浜小学校、東光中学校、当仁中学校、福翔高等学校の12校でございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 教育委員会の取組等について、るるお聞きしてきましたが、今後のICT教育の推進について、改めて教育長の御所見をお伺いします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 福岡市の教育につきましては、これまでの黒板とチョークを使った一斉学習から、ICTを活用した主体的、対話的で深い学びへと授業スタイルが変わってきております。今後も、これまで取り組んできた教育実践に、モデル校でのICT活用の事例を組み合わせ、さらに学習履歴を蓄積して活用するなど、児童生徒一人一人の可能性を最大限に引き出す新たな学びの構築に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) よろしくお願いいたします。
 次に、過大規模校についてお尋ねします。
 直近の過大規模校数は幾つあるのか、学校名と併せてお答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 31学級以上の過大規模校は、令和4年5月1日時点で、小学校が西都小学校、西高宮小学校、名島小学校など20校、中学校が元岡中学校、和白中学校、友泉中学校など6校となってございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 先ほどモデル校というお答えもありました南区の西高宮小学校ですけれども、西高宮校区は交通の便もよく、人気が高い校区であり、マンション開発の影響もあり児童数も増え、平成23年以降、過大規模校の状況が続いております。これまで西高宮小の過大規模校への対応についてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 西高宮小学校につきましては、平成21年度以降、校舎増築や教室改造等を行うとともに、平成30年度に隣接地を借地して校地を拡張するなど、教育環境の改善を図ってきております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今年度の児童数、学級数はどうなっているのか、また、今後の見込みについてもお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 令和4年5月1日時点で、児童数1,155人、学級数41学級となっております。
 現在、校区内の住宅開発が落ち着いてきており、幼児数が減少に転じていることから、徐々に児童数も減少し、令和9年度には児童数1,001人、学級数33学級程度になると見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) それでも令和9年度以降も過大規模校状態は続きます。
 西高宮校区は、住宅需要が依然として高く、今後もマンション開発計画が続き、当面、過大規模の状態は継続すると思いますが、そもそも西高宮小学校は校地面積が狭く、借地に第2運動場を整備したことによって、市の基準面積を確保できたのか、御所見を求めます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 校地面積は、借地している3,209平方メートルを含めて1万6,155平方メートルとなっておりまして、基準面積であります1万6,500平方メートルをほぼ確保いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 借地を含めて何とか基準面積に近づく状況であり、そもそも過大規模校であるかどうかに関わらず、将来にわたって必要な敷地であり、本来取得すべきだと思うのですが、借地となった理由をお聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 土地所有者との協議の中で、相手方から売却ではなく賃貸借であれば可能との提案があり、市としましても、第2運動場を早期に確保する必要があったことから、その提案を受け入れたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 当該民有地は平成24年に私も質問しましたが、当時あった社宅が老朽化し、処分を検討している旨の情報があり、地元自治会関係者の皆さんから、西高宮小の校舎や運動場の狭隘化対策を求める声が上がっていたことから、再三にわたり土地所有者に対し福岡市教育委員会から学校整備の土地として売却を要請していただきました。土地所有者の意向もあり、当時の判断はやむを得ず、借地に校舎ではなく第2グラウンドとして整備されました。それでもようやく、久しぶりに自前の学校で運動会が開催できたと、地元住民に大変喜んでいただきました。
 しかし、昨年度、その第2グラウンドに仮設校舎、いわゆるプレハブが整備され、またもグラウンドが半分の狭さとなってしまいました。もともと校地が狭い上に過大規模校であり、今後さらに児童数が増加した場合、第2グラウンドに新たな仮設校舎を建設するのか、また、現借地は今後も必要と思いますが、今後どのように対応するのか、お答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 児童数は今年度がピークになると見込んでおりまして、当面の教室不足に対応するため、第2運動場に仮設校舎を設置いたしましたが、今後は学級数の減少に応じて複数ある仮設校舎を集約しながら、第2運動場を確保してまいります。
 今後も第2運動場の利用が継続でき、必要な校地面積が確保できるよう所有者としっかり協議をしてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) よろしくお願いします。
 民間の所有地であり、土地の売却の困難さは承知しております。しかし、公共色が濃い事業者の職員には、同小学校の卒業生と保護者もたくさんおられます。しかも、福岡市とビジネス上の取引もありますので、地元の子どもたちが置かれた教育環境をどうか御理解いただき、ぜひとも用途に制限がある借地ではなく、売却を御検討いただきたいと願いますし、子どもたちのために必要不可欠な用地であり、保護者や地元も要望しているその思いを先方にも伝えながら、本市として粘り強く取得に向けて交渉していただきたいと強く要望しておきます。
 去る5月20日、21日に過大規模校に対する取組が進む川崎市と横浜市を訪問し、両教育委員会の担当職員から取組について御教授いただいてまいりました。
 川崎市の開校150周年を迎えた川崎市立高津小学校、現在39教室の同校は、令和元年から空間をうまく活用し、約12億5,000万円で仮設ではない普通教室10教室、多目的スペース2か所、第2理科室、第2音楽室、体育倉庫を増築。
 次に、川崎市立小杉小学校は、武蔵小杉駅周辺の児童数増加に伴う学校新設の必要性が生じる一方、まとまった土地の確保が困難なため、学校法人日本医科大学と2010年に基本合意を交わし、同法人から定期借地による学校用地提供を受けました。平成29年から令和30年まで33年間の長期間、地代は令和3年度評価額で年額2億5,000万円、鉄骨一部鉄筋コンクリート造5階建て、借地期間終了後は原状復帰の上、返還となりますが、廃校としない場合は合意の下に再契約を行う方法も考えられます。
 横浜市立みなとみらい本町小学校は、近代的商業ビルが林立するビジネス街に設立された10年限定の本町小学校の分校として校舎を新設しました。JR桜木町駅前に位置する本町小学校の過大規模化を見越し、将来的な児童数も踏まえ、平成30年10年限定の分校として開校しました。鉄骨4階建ての校舎、開校時は普通17教室、通常費用負担が軽い建物ですが、都市の立地上、防音、免震、吸じんなど約26億円と、RC工法とほぼ変わらない事業費をかけ設置されました。
 横浜市では、ほかにも特色ある過大規模校対策として、児童数が減少に転じると予想される暫定30年まで、横浜市の下水道用地を一時利用して開校した市場小学校けやき分校や開校120年を迎える横浜市立子安小学校は旧日産マリノス所有地を民間事業者から割増しで取得し、将来的には50教室まで設置可能とお聞きしました。
 土地の取得が本市以上に困難な川崎市、横浜市、ともに様々な手法を駆使して教育環境整備に尽力しておりました。学校整備に関する国の補助金は31教室を超える過大規模校の建て替えには交付されないという財政的な課題は残りますが、福岡市が過大規模校を容認するのであれば、児童生徒の環境を第一に考え、抜本的な教育環境の整備は不可欠であります。福岡市立小学校・中学校の学校規模適正化に関する提言において、検討委員会の検討の理念、大規模校の課題及び新しい学校づくりの提案には何と記述してあるのか、お答えください。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 平成20年に提言をいただいた福岡市学校規模適正化検討委員会の検討においては、福岡市の将来を担う子どもたちを健やかに育み、豊かな人間性や社会性を育成し、確かな学力が身につく教育環境が整うよう、公教育の機会均等の確保などの4つの理念が掲げられております。
 また、大規模校の課題として、競争心や向上心が育まれるという長所がある反面、学級数が多いことによる多様な体験活動が制限されるなどの課題が挙げられております。
 また、新しい学校づくりの提案として、地域に守られる安全な教育施設や多目的な機能を有する施設など、4つの視点が挙げられております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福岡市が都市として成長したことで過大規模校が発生するのであれば、当然、教育環境の充実を図るべきであり、今後、西高宮小学校においても建て替え等、あらゆる手法による校舎整備が必要と考えますが、改めて明確な答弁を求めます。
 
○副議長(山口剛司) 石橋教育長。
○教育長(石橋正信) 過大規模校も含む全ての学校において、良好な教育環境を維持、改善していくことは大変重要であると考えております。
 西高宮小学校につきましても、第2運動場の確保の必要性について、所有者に御理解いただけるようしっかりと協議を進めていくとともに、将来的な校舎の建て替えも視野に入れながら、児童数に応じた施設整備を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ありがとうございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 南区には同じく過大規模校である西花畑小学校についてもグラウンドが狭く、隣接する国有地の取得に向けて国と協議を進めていただいていると聞いております。過大規模校の教育環境確保についてはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 横浜市では、校舎整備だけでなく、同時に特色ある教育も導入しております。みなとみらい本町小学校では、しなやかな学校になろうを合い言葉に、SDGs国認定校となり、ESD、持続可能な社会の担い手を育てる教育にも力を入れ、近隣企業と協働してSDGsを広める活動や、子安小学校はプログラミング教室にも力を入れ、いずれもレジリエントな人材育成を行っております。
 DXをはじめデジタル化を推進する本市であればこそ、施設整備を含め、ICT教育環境の充実により、人材が育ち、さらなる都市の発展につながる好循環を生まなければなりません。感染症、大規模災害、AI技術の急速な進展など、変化を予測しにくいVUCA時代と言われる難しい時代を生き抜くため、人も企業も自力で生き残るスキルが必要だと言われており、そのような時代を力強く生き抜くために、子どもたちの育成に福岡市はどう取り組むべきなのか、島市長にお考えをお聞きして、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 松野議員御指摘のとおり、今まさに社会の変化が加速度を増して、複雑で予測困難な時代と言われる中、社会全体が答えのない問いにどう立ち向かうのかが問われている状況であると認識をしています。
 このような時代においては、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識するとともに、多様な人々と協働しながら、様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となるための資質や能力を身につけていくことが重要であり、今後も教育委員会と一体となって次代を担う子どもたちの育成にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質疑は明17日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(山口剛司) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明17日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時8分 散会