令和3年12月20日(月)

令和3年第6回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第3号)
12月20日 午前10時開議
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  阿 部 真之助       8番  平 畑 雅 博
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  伊 藤 嘉 人      12番  淀 川 幸二郎
13番  勝 山 信 吾      14番  川 上 多 恵
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      41番  はしだ 和 義
42番  浜 崎 太 郎      43番  堀 内 徹 夫
44番  綿 貫 英 彦      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  国 分 徳 彦
48番  藤 本 顕 憲      49番  倉 元 達 朗
50番  中 山 郁 美      51番  荒 木 龍 昇
52番  高 山 博 光      53番  ついちはら陽子
54番  田 中 たかし      55番  成 瀬 穫 美
56番  山 田 ゆみこ      57番  宮 浦   寛
58番  近 藤 里 美      59番  川 口   浩
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
40番  飯 盛 利 康

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  久 田 章 浩
保健福祉局長  舟 越 伸 一   環境局長   田 浩 輝
経済観光文化局長  天 本 俊 明   農林水産局長  中 村 健 児
住宅都市局長  西 野   仁   道路下水道局長  名古屋 泰 之
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  内 村 弘 文
会計管理者  中 村 郁 子   教育長  星 子 明 夫
教育委員  町     孝   選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子
人事委員会事務局長  柴 田 淳 司   監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  曽根田 秀 明   議会事務局次長  八 木 智 昭
議事課長  水 ア 亮 二   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(伊藤嘉人) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。荒木龍昇議員。
 
○51番(荒木龍昇)登壇 おはようございます。私は緑の党と市民ネットワークの会を代表して一般質問を行います。
 まず、みどりの食料システム戦略の福岡市の取組と学校給食のオーガニック化について質問します。
 国はみどりの食料システム戦略を策定しましたが、同戦略の農業部門に関して概要の説明を求めます。
 1問目はこれで終わり、2問目以降は発言者席で行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) みどりの食料システム戦略は、令和3年5月、国における食料、農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための中長期的な政策指針として策定されたものであり、2040年までの技術開発目標と2050年までの社会実装目標の2段階の目標が設定されております。このうち農業部門では、2040年までに農業機械の電化、水素化などや次世代有機農業に関する技術を確立すること、また、2050年までに農林水産業のCOゼロエミッション化の実現や有機農業に取り組む耕地面積の割合を25%とすることなどが掲げられております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、同戦略では有機農業の拡大をうたっていますが、福岡市の現状と福岡市における取組について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 有機農業は、労力や収量、販路確保等の課題が数多くあることから、福岡市におきましては、適正な農薬や化学肥料を使用する慣行栽培が一般的となっております。また、環境保全型農業直接支払交付金事業などにより、有機農業やレンゲ、堆肥を利用した自然環境の保全に効果の高い営農活動を推進しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、有機農業の拡大と自給率の向上に向けて就農者を増やすことが必要と考えますが、兼業農家や自給的農家の育成及び高齢者、障がい者の雇用の場としての拡大について所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市では、兼業農家や自給的農家に限らず、安全、安心な農産物の提供や環境に優しい農業に取り組む農家を支援することで、有機農業への機運の高まりにつなげていきたいと考えております。また、有機農業は一般的な栽培方法に比べて労力が多くかかり人手が必要となることから、高齢者や障がいのある方などの雇用の場にもなり得ると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) そこで、有機農業を促すには、出口である有機農産物市場の拡大が必要です。中長期的な視点から、今後、県内生産者と連携し、学校給食において有機食材を使用する考えはないのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市の学校給食は、1日の食数が約12万食と非常に多く、大量かつ安定供給が可能な食材を調達する必要がありますが、現状では有機食材の安定供給は難しいことから、給食での使用についても、今後の研究課題であると認識しております。引き続き国の動向などに留意し、農林水産局とも連携しながら、有機市場や生産者の実態など、情報収集に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 有機農産物消費拡大の受皿として学校給食が期待されております。一部の学校においてモデル的に有機食材を使用した学校給食を実施できないでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 仮にモデル的に一部の学校で実施するとしても、一定量を適切な金額で安定的に調達する必要があり、まずは農林水産局とも連携し、福岡市における有機市場や生産者の実態など、情報収集に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 今、ネオニコチノイド系農薬がミツバチの減少など、生態系に影響を与えているなど問題となっており、世界では規制する動きとなっております。
 ネオニコチノイド系農薬は神経系農薬で、最近の研究では、体内における分解が遅く蓄積されること、無害とされる低レベルの残留量でもマウスの実験では行動異常が見られること、日本におけるネオニコチノイド系農薬使用量と発達障がい児の増加に相関関係が見られるという研究結果が出されています。また、グリホサートは発がん性が疑われており、海外では禁止している国がありますが、日本では広く使われています。また、多くの輸入小麦からは、グリホサートなどの農薬が検出されています。成長期にある児童が微量でも摂取し続けることは十分影響があることが想定できます。
みどりの食料システム戦略においても、ネオニコチノイド系農薬の切替えと農薬使用の削減をうたっています。児童の健康を守るため、今後の学校給食のオーガニック化をどのように進めるのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国のみどりの食料システム戦略において、2050年までの中長期的な目標として、化学農薬、肥料の低減や有機農業の取組面積の拡大などが掲げられていることは承知しており、学校給食のオーガニック化についても、将来的な研究課題として引き続き情報収集に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 学校給食のオーガニック化は世界各国で広がっております。有機農業を広げることは、食の安全とともに、環境保全、生態系の保全に重要です。とりわけ子どもの健康と食育にオーガニック化は必要です。市内だけでなく県内の有機農業生産者との連携で、学校給食に有機農産物を増やしていくことを求めて、この質問を終わります。
 次に、2040年カーボンゼロに向けて地域エネルギー自給について質問します。
 福岡市地球温暖化対策実行計画の骨子案が出されていますが、まず、福岡市における直近の2019年度のエネルギー源の主な割合について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 2019年度に福岡市域で消費されたエネルギー量の主な割合は、ガソリンなど自動車燃料が約38%、電気が約34%、ガスが約17%と推計しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、2030年のエネルギーの割合の目標と2040年に向けたロードマップについて説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 2030年度のエネルギー割合の目標は、令和3年10月に策定された国のエネルギー基本計画において、国内全体での今後の需給見通しの下、示されており、福岡市において独自に定めるものとしてはなじまないと考えております。また、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロの達成に向けましては、省エネルギーの推進、再生可能エネルギー等の導入や利用による使用エネルギーの脱炭素化、及び森林など吸収源の保全に取り組んでいくほか、都市としての特性を踏まえ、環境に優しい商品やサービスを選ぶ、いわゆるエシカル消費を広げていくことで製造、流通過程での二酸化炭素削減などに取り組んでいきたいと考えております。これらにより、まずは2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度と比較して50%程度まで削減する方向で現在精査を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 地球温暖化対策実行計画において、非化石燃料について原発が含まれていますが、原発をゼロにし、再生可能エネルギーに変える計画は検討しているんでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画の骨子案は、令和3年10月に策定された国のエネルギー基本計画で示された将来の電源構成を踏まえて検討を進めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 九電が原発を稼働させ、発電量が増えるとともに、再生可能エネルギー買取りの出力制御回数が増えていますが、九州において原発の発電量は再生可能発電量で賄えるという資料もあり、原発に頼らない政策は可能だと考えますが、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 国内における発電の電源構成につきましては、国がエネルギー政策の中で検討、決定するものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 原発のですね、人の命を犠牲にしなければ運転できない非倫理的エネルギーに依存することはやめるべきと考えます。
 次に、福岡市役所の地球温暖化対策に関する率先計画が検討されていますが、具体的な数値目標と実施工程に関しての検討について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市役所の業務に関する温暖化対策の目標につきましては、エネルギー起源の二酸化炭素排出量を2030年度までに2013年度と比較して70%削減することで検討を進めております。その実現に向け、市有施設の省エネ性能の向上と再生可能エネルギーの利用促進及び庁用車の脱ガソリン車化などに取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 答弁のように、福岡市として率先した取組が進められているということですけれども、浜松市では既に市域における再生可能エネルギーの自給率は約65%とされています。
 2050年に市域でのRE100を宣言していますが、福岡市における市域のRE100についての所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 浜松市では、南アルプスなどの豊かな自然を生かし、従来から大規模な水力発電所が区域内に多数設置されており、こうした再生可能エネルギーの発電量が区域の総消費電力量に相当する状態を、同市は独自にRE100と定義しております。再生可能エネルギーの導入拡大につきましては、区域の自然的、社会的条件に適したエネルギーを促進していくことが重要であり、福岡市におきましては、建築物の屋根等への太陽光発電の設置を進めていくほか、廃棄物など都市資源を活用したバイオマス発電、そのほか、再生可能エネルギーや未利用エネルギーについても、今後の拡大に向け、民間事業者の動向や技術開発の進展を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) エネルギーの地産地消に向けて、浜松市のように地域電力会社を民間と共同で設立し、RE100を進めている自治体がほかにもあります。福岡市の市域のRE100を実現するために地域電力会社を設立することに関しての所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市におきましては、再生可能エネルギー由来電力を提供できる小売電気事業者が複数存在していることから、まずはその小売電気事業者とその利用を希望する市民や事業者をつなぎ、発電時に温室効果ガスが排出されない電力を利用しやすい環境をつくっていくことが重要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 市域でのRE100を実現するために、地域電力会社を設立し、地域で発電した再生可能エネルギーを買い取り、地域に供給するシステムを検討するべきと考えます。
 そこで、民間建築物におけるZEBを促進するとしていますが、どのように進めるのか、また、大規模開発エリアである人工島、中央ふ頭地区、天神地区、博多駅周辺地区においてはどのように誘導するのか、また、開発エリアごとの省エネの量や再生可能エネルギーの自給量に関する目標は検討されているのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 建築物の省エネ性能向上につきましては、現在国において、住宅、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する事項の審議が行われていることから、その状況を注視し、関係部局と連携して必要な検討を行ってまいります。また、今後の整備に当たりましても、こうした国の動きや現在改定を進めている福岡市地球温暖化対策実行計画を踏まえた建築物の省エネルギー化を推進してまいりたいと考えております。エネルギーの効率化による省エネや再生可能エネルギーの導入につきましては、建物の立地、用途、規模ごとに条件が異なることから、まずは建物ごとに管理されるものであると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 大規模な開発を促進しているエリアについては、特に省エネ量と再生可能エネルギー自給量の数値目標を設定し、事業者に達成するように誘導すべきです。
 次に、市域のRE100に向けて太陽光発電及び風力発電などを市域において増やすことが必要ですが、浜松市のように立地可能性に関する調査はしているのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市では、環境省が示している再生可能エネルギー発電可能性量の数値を使用しており、設置が有望である太陽光発電を中心に検討を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、2040年カーボンゼロ実現には、森林によるCO吸収量も大きな要因としてあります。みどりの食料システム戦略においても地球温暖化対策を提起していますが、林業部門について概要と福岡市における取組について所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 林業部門の概要につきましては、カーボンニュートラルに向けた森林、木材のフル活用によるCO吸収と固定の最大化を掲げ、林業イノベーション等による森林吸収の向上と木材利用拡大による炭素貯蔵、CO排出削減効果の最大化を具体の取組としています。現在策定中の次期福岡市農林業総合計画においても、快適で豊かな市民生活を支える森づくりと持続的な林業経営基盤の構築を今後5年間の目標として掲げており、国の戦略にも寄与する取組であると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、現在の福岡市地球温暖化対策実行計画における森林のCO吸収量の目標はどのように設定されているのか、また、改定の際にはどのように目標を設定するのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 平成28年策定の現計画におきましては、森林による吸収に関する目標は設定しておりません。今回の計画改定に当たり、炭素吸収の取組を今後進める施策の一つとして位置づけることを検討しており、その成果指標には、森林の間伐等を実施した面積を設定したいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 2040年カーボンゼロを実施するために、具体的な施策と数値目標を持ったロードマップと進行管理が重要と考えます。
 そこで、ロードマップについて市民及び事業者にどのように共有されるのか、札幌市のような市民会議などの場は考えていないのか、所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロ達成に向けた基本的な考え方や2030年度までの進め方につきましては、福岡市地球温暖化対策実行計画として取りまとめ、市政だよりやホームページ、SNSなどの媒体を活用して発信するとともに、市民、事業者、行政が協力して実践活動の推進を図る福岡市地球温暖化対策市民協議会での事業やシンポジウムを通じて、周知、広報をしていくこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、どの部署がロードマップの掌握と進行管理をしていくのか、また、進捗状況は市民にどのように公表されるのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市地球温暖化対策実行計画の進捗状況につきましては、環境局が取りまとめ、福岡市環境審議会及び事業者、学識経験者、市民等から成る福岡市地球温暖化対策実行計画協議会へ定期的に報告し、評価いただくこととしております。また、その内容は、引き続き年次報告書「ふくおかの環境」やホームページで公表することとしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 環境省は政府の2050年カーボンゼロを実現するため、2030年度までに温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指す脱炭素先行地域の公募を来年1月から始めると報道されています。脱炭素先行地域は、2025年度までに対策の道筋をつけ、家庭やオフィス、店舗、公共施設など、民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素排出を2030年度までに実質ゼロにするというものであり、年末に募集に当たっての要領を公表するとしています。認定されれば、再生可能エネルギー導入の補助率を2分の1から4分の3とし、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金が交付されるということです。
 福岡市は家庭と業務での二酸化炭素排出量が52%を占め、電気エネルギーが34%、ガスが17%という現状から、脱炭素先行地域にチャレンジしてもよいのでないかという意見を述べて、この質問を終わります。
 次に、須崎公園における樹木の保存について質問します。
 まず、伐採する本数、現地に残す本数、移植する木の本数について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 須崎公園においては、既存樹木や移植樹木、また、新たに植える樹木を合わせ、全体で700本を超える樹木を配置し、拠点文化施設の整備に合わせてこれまで以上に緑豊かな都市空間を創出していくこととしております。公園内の樹木につきましては、現地にそのまま残す樹木は101本、移植樹木は217本、病害虫の被害などにより、やむを得ず撤去する樹木は79本を予定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、移植する樹木について移植先と選定基準について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 移植樹木につきましては、外部の専門家による樹勢や樹形、病害虫の被害などの調査結果に基づき選定しており、主に雁の巣レクリエーションセンター内への移植を予定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、移植先は雁の巣レクリエーションセンターということですが、砂地であるため活着は難しいと考えられますが、対策は取るのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 雁の巣レクリエーションセンター内の移植先は、既存樹林地の隣接地であり、樹木の健全な成長を促すため、土壌を確認した上で必要な土壌改良を行うとともに、発根促進剤の散布などを実施してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、移植や管理に関する費用は幾らか、また、どこが負担するのか、説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 移植費用につきましては、現在、事業契約の範囲内で行っておりますが、今後、移植による公園計画の見直しや工事の進捗などによる事業費の増減も含め、必要に応じて事業者と協議してまいります。また、移植樹木の管理につきましては、移植先の雁の巣レクリエーションセンター等の維持管理の中でしっかり対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 地球温暖化防止対策が喫緊の課題となっている今日、ヒートアイランド現象軽減や二酸化炭素の吸収など、都心部の緑地保全及び緑化促進が求められていると考えます。須崎公園の拠点文化施設整備事業の結果、都心部の緑地は大きく損なわれることになりますが、失われた緑地の機能をどのように補填し、都心部における緑地機能をどのように拡充していくのか、また、その財源について所見を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 須崎公園においては、既存樹木や移植樹木、また、新たに植える樹木を合わせ、全体で700本を超える樹木を配置し、拠点文化施設の整備に合わせてこれまで以上に緑豊かな都市空間を創出していくこととしております。都市における緑は、二酸化炭素の吸収や雨水の保水機能を有するなど、都市環境の改善に寄与しており、特に都心部においては、ヒートアイランド現象の緩和に貢献することなどの役割も果たしていることから、引き続き必要な予算を確保しながら都市の緑化を推進してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 地球温暖化防止対策は2030年までに思い切った政策が必要とされています。街路樹や公園の樹木など都心部の樹木を増やすことや、エリートツリーの活用による林地の管理と木材の消費促進による二酸化炭素吸収量を増やし、都市の気温上昇を抑制することでのエネルギー消費削減が求められています。福岡市は緑の基本計画の策定が2020年までであったにもかかわらず、いまだに新たな計画を策定する動きは見られません。須崎公園の問題は、都心部の緑をどのようにするのか考えられないままに進められたと言えます。先日、雁の巣で移植された60本程度の樹木を見ました。強剪定され、3メートルほどの密植でした。今後の活用が気がかりです。速やかに新たな計画を策定し、都市の樹木を増やし、林業の活性化を図ることを求めて、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表いたしまして、国旗・国歌について、未就学障がい児の療育について、動植物園の再生事業について、この3点について質問をいたします。
 まず、国旗・国歌についてです。
 現在、国際化の進展に伴い、我が国と諸外国との文化、経済などにおける交流が盛んになっており、外国の方々の生活に触れるような機会も増えてきております。そうした中、外国の伝統文化を尊重する態度を育てることが大切になりますが、そのためには、まずは、我が国の伝統文化を尊重する態度を育み、豊かな人間性や社会性、そして豊かな国際感覚を高めることが重要となります。
 国旗・国歌というのは、いずれの国においても大切に扱われているものであり、国民のアイデンティティーのあかしとして、また、国を愛する心を育てる重要な役割を果たしていると考えます。 平成16年から26年にかけて我が会派の冨永議員が、国旗・国歌についての質問をいたしており、当時、本市の市立学校において、国旗の常時掲揚と国旗、市旗、校旗の掲揚ができる3本ポールの設置をするよう求めてきておりますが、そこでまず初めに、市立学校における国旗の常時掲揚状況と、国旗、市旗、校旗を掲揚するための3本ポールの令和2年度末における設置学校数並びに平成26年度から増加した学校数をお示しください。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗の常時掲揚については、全ての市立学校で実施しております。また、掲揚ポール3本の学校は、令和2年度末現在で225校のうち164校となっており、全ての学校において2本以上掲揚ポールを整備しております。なお、平成26年度から令和2年度までに掲揚ポールを3本に整備した学校数は27校でございます。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 4分の3程度の学校に掲揚ポールが3本設置されておりますが、残り4分の1程度の学校は2本のままであることが分かりました。
 そこでお尋ねしますが、掲揚ポールが3本未満の学校の整備については今後どのように対応していくのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 掲揚ポールの増設については、学校からの申請を基に順次整備してきたところで、今後とも、学校への周知を図るとともに、ポールの使用年数や適切な設置空間の有無など、施設状況を踏まえながら積極的に整備を行ってまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、改めて本市の市立学校において国旗、市旗、校旗の意義を指導することについてどのように認識しているか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗の指導については、学習指導要領に「我が国の文化と伝統に対する理解と関心を深め、それを大切にする態度の育成を図るとともに、日本人としての自覚やものの見方、考え方についての基礎を培う」と示されております。市旗、校旗の指導も同様に、福岡市や学校の文化と伝統を大切にする態度の育成を図るもので、教育委員会としても、それらの指導は大変意義があると考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 1999年、国旗及び国歌に関する法律が制定されており、当時の文部省教育助成局長は、日章旗の掲揚や君が代斉唱の指導について、「教職員が国旗・国歌の指導に矛盾を感じ、思想や良心の自由を理由に指導を拒否することまで保障されていない。公務員の身分を持つ以上、適切に執行する必要がある」と表明されておられます。市立学校において、国旗、さらに市旗、校旗についての児童生徒への指導をしっかり行うべきであると考えます。
 そこで、本市への市立学校において、国旗について、そして市旗、校旗についても、児童生徒にはその意義についてどのように指導しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗の指導については、学習指導要領にのっとり、小中学校では社会科の学習で、我が国の国旗と国歌の意義を理解させ、これを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を育てるよう学習しております。さらに、各学校において、学校行事等の節目を活用し、適宜指導しているところでございます。市旗、校旗についても同様に、各学校において、学校行事等の機会に適宜指導をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、国旗は、日が昇る頃に掲揚し、日が沈む頃に降納することを原則とされておりますが、現状どのように対応しているのか、また、掲揚、降納は誰が行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗の掲揚や降納については、原則平日に行うこととし、掲揚する時間帯は始業時から終業時など、校長が定め、丁寧に取り扱うよう平成26年3月に各学校に通知しております。また、児童生徒あるいは教職員が国旗の掲揚、降納を行っております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 続いて、国旗の降納をしていない学校があると聞いたのですが、教育委員会として把握されているのか、お尋ねします。また、そのような学校にどのような指導をしているのか、併せてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗の掲揚については一部の学校で降納していない状況が見られますが、約8割の学校が、始業時に掲揚し終業時に降納しております。また、市民からも、掲揚されたまま降納されていない学校があるとの意見も寄せられていたことから、令和2年12月にその旨も併せて、国旗などの常時掲揚について再度通知をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、昨年の通知による改善はされているのか、現状をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗を始業時に掲揚し、終業時に降納している学校数については、通知後の令和3年4月の調査によると、小中合わせて24校増加をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 先ほど、学習指導要領にのっとり、小中学校では我が国の国旗・国歌を尊重する態度を育てるよう学習しているとのことでありましたが、国旗を降納せずに放置していることは、尊重するどころか、逆に粗末に扱っていると思いますので、教育委員会として国旗の降納をしていない学校に降納するよう指導すべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国旗などの常時掲揚については、令和2年に再度通知したことにより、大半の学校において掲揚及び降納を実施しているところでございます。今後、児童生徒の入学や進級、教職員の異動の時期である年度当初に国旗などの掲揚方法に関する通知を行い、周知を図るとともに、未実施の学校については個別に注意喚起を行ってまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、児童生徒が掲揚、降納している学校はどれぐらいあるのでしょうか。また、児童生徒が掲揚、降納に関わっている学校数は、平成26年3月に通知を出されてから現在まで増えているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年4月の調査によると、小学校52校、中学校9校で児童生徒が国旗の掲揚と降納を行っており、調査を開始した平成27年度と比較して17校増加をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 児童生徒に国を愛する心を、そして地域や母校への愛着を高めてもらうために、そして、自国の国旗を尊重し、他国の国旗や伝統文化を尊重する心を育むためにも、国旗等の掲揚、降納に児童生徒が関わることがとても重要と考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 自国の国旗を尊重し、他国の国旗や伝統文化を尊重する態度を育てるために、国旗の掲揚に児童生徒が主体的に関わることが望ましいと認識しております。今後も、児童生徒が日頃から国旗に慣れ親しみ、尊重する態度を育てていきたいと考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、本市市立学校において、国歌斉唱をする機会はどのように確保されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学習指導要領にのっとり、全ての市立学校において、入学式や卒業式に児童生徒が一堂に会して国歌を斉唱しております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 現在、市立学校で君が代を入学式と卒業式では斉唱されているようですが、国歌の指導はいつされているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 小学校の学習指導要領に「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるよう指導すること」と示されており、各学年の音楽の時間に計画的に学習するとともに、入学式や卒業式の事前指導も行っております。また、中学校及び高等学校においても同様に、生徒に対して入学式や卒業式の事前指導を行っております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 2019年にはラグビーワールドカップが日本で開催され大変盛り上がったことを思い出しますが、当時の日本のチームには海外の選手も入っておりましたが、皆、国歌斉唱のときには君が代を斉唱しており、涙を流す選手もおりました。私もその場面では、テレビの前では自然と涙が出てきたことを覚えております。今思うと、当時の外国人選手は、日本代表である以上は日本人と同じ気持ちで、そして、日本に敬意を持ち試合に挑んでいたのかなと考えております。また、日本人選手も、国を背負い出場しているとの責任と誇りを持って試合に挑んでいたのだと感じました。
 そこで、市立学校において、国歌の意義についての指導、そして、国歌斉唱する機会を入学式や卒業式以外でも設けるなど、児童生徒がさらに国歌を大切にし、君が代をしっかりと覚えられるよう取り組むべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国歌の指導については、小中学校における社会科や音楽科の学習の中で指導するとともに、学校行事等の様々な機会を捉え、指導の充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 今回私がこの質問をしたのは、日本人として我が国の国旗や国歌を大切にすることは当たり前のことだからであります。
 この国では、なぜか日章旗や君が代の話をすると軍国主義を想起させるとおっしゃる方もおられますが、君が代や日章旗は戦前からあるもので、戦争を想起させるものではないと考えます。さきの大戦で、世界で唯一原爆を投下された我が国は、終戦からこれまで世界の平和に貢献をいたしてまいりました。そうした中、グローバル化が進む上で、さらに世界の平和に貢献するためにも、自国の伝統文化や国旗・国歌を尊重する心がなければ、諸外国の伝統文化等を尊重することもできず、争い事へとつながってしまうのではないでしょうか。
 私は、日本人として当たり前に基本的なことはしっかりと身につけた上で様々な思想を持っていくことはいいと思います。しかし、思想ありきで子どもたちが身につけるべき基本を身につけさせずに生きていくことは不幸でありますし、それをないがしろにすることは大人たちが責任放棄をしていることになると考えます。
自分たちの家族、友人、知人の住むこの国を愛する気持ちを育み、また、自分たちは日本人であることの自覚をしっかりと持ってもらい、他国の様々な伝統文化や考え方を尊重でき、そしてこれからも日本人として世界の平和に貢献していけるよう、教育の場での取組を充実していただきたいのですが、最後に御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校における様々な教育活動を通して、我が国の文化と伝統に対する理解と関心を深め、それを大切にする態度の育成を図るとともに、日本人としての自覚やものの見方、考え方についての基礎を培うことは重要であると認識しております。国旗及び国歌の指導についても、日本人としての自覚を高め、国家社会への帰属意識を涵養するとともに、国際社会において信頼される日本人を育てるという観点から、その充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、未就学障がい児の療育について質問します。
 毎年、現在の教育こども委員会の委員長、副委員長立会いの下、2歳親子通園児の進路を考える会、略称、進路の会の方々から陳情書の提出がなされているかと思いますが、私も今年は副委員長として立会いをいたしました。そこで、進路の会の方々からは、陳情書の中身についてなかなか改善がされていないというお話もありました。
 障がいのある子どもに寄り添うことは当然のことですし、その保護者にもしっかりと寄り添い、安心してよりよい療育を受けられる環境づくりは大切なことであります。
 そこで、現在、本市の未就学の障がい児を支援するための施設が何か所あり、その施設に通っている子は何人いて、どのような支援が行われているのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 施設の設置数とその利用児童数につきましては、令和3年4月末現在で、児童発達支援センターは13か所、552人、児童発達支援事業所が14か所、373人となっております。また、支援内容については、食事や遊び、施設に通うための準備、言葉を発する練習など、日常生活における基本的な動作や知識技能の習得、集団生活の適応などに関する専門的な訓練などを行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 子どもたちは市内の13か所の児童発達支援センターと14か所の児童発達支援事業所にて様々な機能訓練等を受けていることが分かりましたが、児童発達支援センターと児童発達支援事業所の違いを教えてください。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 児童発達支援センターは、児童指導員と保育士の配置基準が子ども4人につき1人であり、嘱託医と栄養士の配置が義務づけられております。また、屋内と屋外の遊戯室や医務室、相談室、調理室等の設置も義務づけられているほか、保育所や幼稚園への支援など、地域における児童発達支援の拠点と位置づけられております。一方、児童発達支援事業所は、児童指導員等の配置基準が子ども5人につき1人であり、嘱託医、栄養士の配置や遊戯室等の設置は義務づけられておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 他都市を見てみますと、令和3年4月1日時点で、神奈川県の川崎市では4つの児童発達支援センターと95の児童発達支援事業所があるようです。神戸市は8つの児童発達支援センターと126の児童発達支援事業所があるということです。
 その一方で、本市の児童発達支援センターは13で他都市よりも多いですが、児童発達支援事業所は14であり少ないように感じるのですが、何か理由があるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市では、子どもたちへのきめ細かな質の高い支援を行うとともに、保育所や幼稚園に通う障がい児への支援も行うことができることから、設備やスタッフを整えている児童発達支援センターの整備を基本に進めているためでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 進路の会からの陳情書では、現在ある児童発達支援センターだけでは、毎年施設の空き枠数はあるにもかかわらず、待機児童が出ているとのことです。
本市においては、療育の質の確保のためにも、小規模の児童発達支援事業所を増やすのではなく、設備やスタッフがそろった児童発達支援センターの整備を進めているとのことで、そのことは理解いたしますが、それでは、南部療育センターが開設すれば、これらの待機児童は解消されると考えているのか、またあわせて、児童発達支援センターの整備もさらに進めていく必要があると考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市では、療育に関する相談や新規受診児が増加し、障がい児への支援ニーズが高まっております。そのため、相談や診断、通園による療育を総合的に行い、南部地域における児童発達支援の拠点となる新たな療育センターの整備を進めることにより、通園できる施設が増え、受入れ児童数も増えることになると考えております。今後とも、障がい児の支援の希望に応えられるよう、児童発達支援センター等の必要な整備に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、待機児童が発生している原因の一つとして、エリア制度の課題があり、単独通園施設は利用調整委員会を設けて、住所で通園先を決める利用調整を行っているとのことですが、居住区により施設の有無や機能の違いがある中、施設間の調整により通園先を決められており、中には近くの施設があるのにそれよりも遠くの施設に通わなければならないということがあるようですが、利用者の希望どおりの施設に通うことができるよう努めることも必要であると考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 各児童発達支援センターにおきましては、障がい児の居住地に応じた通園エリアを設定し、希望するセンターに通園できることを基本としておりますが、障がい児の居住地の偏りや希望状況により、希望数が定員を一部上回ることがございます。その場合も、障がい児及びその保護者に寄り添った利用の調整を行っているところであり、今後とも、希望する身近な施設に通えるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市では、待機児童ゼロを目標に掲げ、保育所整備に力を入れてきております。これはとても大切なことであり、ありがたいことですが、障がいのある子たちも待機児童ゼロを目指すべきであり、その解消に向けて支援にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、本市の認可保育所や幼稚園での障がいのある子の受入れについてお尋ねします。
 保育園や幼稚園では、ただでさえ子どもを預かる上で大変な状況であると思いますが、障がいのある子を預かるとなると、さらに細やかな神経も使わなければならないのは当然だと思います。しかし、未就学障がい児の保護者の方々の中には、地域の保育園や幼稚園に我が子を通わせ、地域の中で育てたいと考えている保護者もいるのではないでしょうか。
 そこで、本市の認可保育所や幼稚園にて障がいのある子を預かっている施設はどれくらいあるのか、お尋ねします。また、預かっている園ではどのような障がいを持っている子が通っているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 障がい児が入所している認可保育施設及び幼稚園の施設数につきましては、年度当初の集計時点で、認可保育施設が224園、幼稚園が82園となっております。また、対象児の障がいの種類につきましては、発達障がいや知的障がいなど様々でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市の認可保育所や幼稚園には様々な障がいのある子が通っているということですので、児童発達支援センターを希望する未就学障がい児に待機児童も出ている現状を考えますと、本市の認可保育所や幼稚園での受入れが進むような支援も必要であると考えます。
 そこで、障がいのある子を預かる園に対しての本市からの支援はどのようなものがあるのか、お示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 障がい児を預かる保育所や幼稚園への支援につきましては、障がいの程度等に応じて保育士の加配にかかる費用の助成を行っております。また、療育センター等の保育士が施設を訪問し、障がいの特性を踏まえた助言や指導を行うとともに、施設職員への研修を実施しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 続いて、保育園や幼稚園に通う未就学障がい児は、並行して療育センター等の分園で支援を受ける、いわゆる並行通園がありますが、保育園や幼稚園から分園への送迎についての課題を把握していたらお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 保育所や幼稚園から分園への送迎につきましては、複数の保育所や幼稚園からの送迎の負担やそれに要する時間などが課題であり、現在は行われておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 障がいのある子が地域の保育園や幼稚園に通えることはよいことですが、並行通園においては送迎の実施は課題があるということでしたが、その背景にあるのは、安心して仕事をしながら支援を受けたいという保護者の願いにあります。送迎に係る報酬の充実など、必要によっては国に対しても要望することも福岡市としてしっかり検討していただくよう要望しておきます。
 また、障がいのある全てのお子さんが希望する保育所や幼稚園に入所でき、健やかに成長できるよう、インクルーシブの理念の下、今後も支援にしっかり取り組んでいただくようお願いいたします。
 次は、児童発達支援センターでの機能訓練についてです。
 児童発達支援センターでは、登降園の準備や食事、遊びなど様々な訓練が行われているようですが、私は進路の会の方々から機能訓練についてお伺いする中で、「作業療法士などの医療的な訓練の専門職の方から、子どもの特性に応じた訓練をしてもらうのはとてもありがたい」との声を聞きました。
 本市の児童発達支援センターでは、機能訓練を行う際に作業療法士などがどのように関わっているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 児童発達支援センターでは、障がいのある子どもが、将来日常生活や社会生活を円滑に営めるよう、日頃から子どもと関わっている保育士や児童指導員が中心となって、医療関係従事者である作業療法士などと連携しながら発達支援に必要な訓練を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 児童発達支援センターでも作業療法士などと連携しているということでしたが、作業療法士による専門的な機能訓練を望んでいる保護者もいます。その場合、民間の医療機関に通うことになると聞きましたが、保護者の方々はどこで機能訓練が受けられるのか知らない方も多いとのことですので、保護者の方に必要な情報が分かりやすく届くための検討をしていただくよう要望しておきます。
 次に、中央区のあいあいセンター内にある知的障がい児を対象としたぴよぴよ園では、1、2歳児だけの預かりとなっており、知的障がいの3、4、5歳児の預かりはしておりませんが、その理由をお尋ねいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) あいあいセンターでは、知的障がいの対象を1、2歳児としておりますが、その理由は、乳幼児期の段階において、子どもの障がいの特性に対する親の理解を深めることを目的に、知的障がいのある1、2歳児の親子への支援を専門的に特化して行っているためでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) あいあいセンターでは親子への支援に特化して行っておられるとのことですが、その子たちは3歳からはほかの施設を探してそちらに通うことになります。他の単独通園施設への通園はスムーズに行われているとのことですが、本来はあいあいセンターに5歳まで通えることが望ましいと思います。また、あいあいセンターにて5歳までの療育が可能となれば、他の施設の枠も空き、待機児童の解消にもつながると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市では、1、2歳児の段階では子どもの障がいの特性に対する親の理解を深めるため、あいあいセンター等で重点的に行っております。また、3、4、5歳児の通園については、学校への進学も見据え、生活の場に近いところで支援していく観点から、障がい児の居住地に応じた児童発達支援センターを御利用いただいております。今後とも、子どもたちにとってよりよい療育の提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、あいあいセンターも大分古くなってきているかと思いますし、施設内の環境もこれまでどおりでよいというわけにはいかないと感じております。園庭が整備できないため単独通園の受入れもできないということも聞いておりますが、より利用しやすい施設を目指していくためにも、いずれは建て替えも検討しなければならないと考えております。しかし、中央区内で広い土地を確保することはなかなか難しいのではないかと感じておりますので、将来、あいあいセンターや隣接する老人福祉センターなどをスムーズに建て替えるため、中央区内での土地の確保も検討していただくよう要望しておきます。
 未就園児の療育に関しては、早期発見、早期療育が重要になることは御存じのとおりです。相談から受診、そして療育へのスムーズな移行がまずは大切です。何かの理由で療育を受けることが遅れたり、受けられない状況ができるということは絶対にあってはならないと考えます。
 私は議員1期目の頃に、障がいのあるお子さんを育てるお母さん方との勉強会に出席をした際、1人のお母さんが勉強会終了間際に言われた言葉が今も胸から離れません。それは、「私はこの子に先に亡くなってほしいと考えています。そしたら、私は安心して死ねるんです」と泣きながら言われました。この言葉は、とても深い愛情の中において、悲しみや苦しみ、不安など、様々な思いから出てきた言葉だと感じました。しかし、そのとき私が強く思って今も持ち続けていることは、愛する我が子に先に亡くなってほしいと親に言わせてしまう社会は絶対に駄目だということです。
例えば、発達障がいといっても様々であります。それに伴う保護者の将来への不安も様々であります。未就学障がい児を持つ御家庭に寄り添うことを忘れず、未就学障がい児の療育の充実に向けてしっかりと取組を進めていただきたいと考えますが、御所見をお伺いしまして、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 障がいがある子を持つ保護者にとって子育ては大きな不安があるため、寄り添いながら支援することは大変重要であると考えております。
 福岡市では、児童発達支援センターを中心に、子どもの将来の不安を解消するため、子どもだけでなく、保護者へのきめ細かな支援を行ってまいりました。また、令和元年度と3年度に児童発達支援センターを新設するとともに、障がい児を受け入れる保育所等に対する保育士の加配費用を助成するほか、南部地域における療育センターの整備など、支援の充実に向けた検討や様々な取組を実施しているところでございます。今後とも、就学前の障がい児及びその家族に寄り添いながら、療育の充実にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、動植物園の再生事業について質問します。
 動植物園は、新型コロナ感染症拡大の影響で臨時休園になるなどしましたが、現在は入園者も通常どおりに戻り、にぎわいを見せているようです。
 私は平成30年に、新エントランスのオープンに合わせ、動植物園の魅力向上について気になる点を質問しました。その際には、象やサイなどの人気動物の導入などもお願いしました。市長の御尽力もあり、翌年、サイを迎え入れることができましたし、さらに今般、象も受け入れることができることとなり、感謝を申し上げます。
 動物園では、今後リニューアルが進められ、令和3年度にペンギン展示施設がオープン、さらに、令和4年度にはアジアゾウの展示を開始する予定で準備に取り組まれていることと思います。
 いわゆるコロナ疲れには、動物や緑が人の心を癒やすと言われており、その役割も見直され、高く評価をされております。このような中で、植物園の一人一花運動の拠点化も進められており、動植物園再生事業については、動物園と植物園のシナジー効果で順調に進んでいくものと思っております。しかしながら、気になる点もありますので、何点かお伺いをしてまいります。
 まずは、動植物園再生事業のこれまでの進捗状況についてお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 動植物園再生事業につきましては、動植物園再生基本計画に基づき平成18年度から工事に着手しており、20年度に管理運営ゾーン、25年9月にはアジア熱帯の渓谷エリア、30年10月にはエントランス複合施設、令和3年4月には植物園立体駐車場などを整備しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、動植物園の入園者数の推移についてお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 入園者数は、昭和28年の開園以来徐々に増加し、パンダを公開した昭和55年度には過去最高の172万人を記録しました。その後、他のアミューズメント施設のオープンや少子化などの影響により、平成16年度には63万人まで落ち込みました。そのような中、再生事業に取り組み、アジア熱帯の渓谷エリアオープン後の平成26年度には、平成以降最多の99万人となったところです。近年におきましては、新型コロナの影響が大きかった令和2年度を除き、年間80万人を上回った推移をしております。
 今後も、動植物園再生事業により施設のリニューアルを進めるとともに、新たな動物の導入や動植物のことが楽しく学べる企画の開催などにより魅力向上に努め、入園者数の増加を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 入園者数はここ数年横ばいのようですが、パンダの公開やアジア熱帯の渓谷エリアオープン時などの数字を見ると、リニューアルにより再生事業の目標である100万人を達成し、維持していくことも十分に可能だと思われます。再生事業の進展により魅力を増し、なお一層、市民に親しまれる動植物園を目指して努めていただくようお願いいたします。
 さて、ペンギン展示施設については、今年の夏頃とされていたオープンが延期をされていますが、ペンギン展示施設の進捗状況についてお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) ペンギン展示施設は、本年8月のオープン予定が遅れており、楽しみにされていた市民の方々には申し訳なく思っております。現在、令和4年1月のオープンに向けて準備を進めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ペンギン展示施設は1月にオープンされるということですが、多くの市民の方が楽しみにしていると思いますので、しっかりと準備をお願いいたします。
 私は子どもを連れてよく動物園に行きますが、今、園では正門を抜けると、目の前で象を迎え入れるための工事が大々的に行われており、それを見るたびに、もう少しで象が福岡市にやってくると子ども共々楽しみにしています。市民の方からも、象が動物園に来るので、何か応援したいという声もいただきます。
 象の受入れについては、ミャンマー国との動物交流事業を通じて行われるものと承知をしておりますが、ミャンマー国との動物交流事業の内容とその進め方についてお伺いいたします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 動物交流事業は、生息地と生育環境の保全、生息地域内と地域外での保護繁殖などを通じて、絶滅のおそれのある動物などの種の保全を目的として行う事業であります。
 事業内容とその進め方としましては、まず、獣医療の技術交流を開始し、ミャンマーの動物園と共同で生息地における野生動物や希少動物の保護活動などに取り組んでまいります。次に、象の受入れに先立ち、福岡市からミャンマーへ飼育担当者を派遣、象の健康管理や飼育技術を習得し、象との信頼関係を築いた上で、象4頭と飼育の専門家や獣医師をミャンマーから同時に受け入れます。続いて、ミャンマーの動物園が繁殖に取り組むため、福岡市からフラミンゴやライオンを送ります。福岡市で受け入れた象については、心身の健康を保ちながら繁殖を目指し、かつ飼育展示することで、自然環境保護の大切さを学ぶ環境教育を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 現在、持続可能な社会という点で非常に重要視されている、野生動物や希少動物の保護活動や種の保全について、ミャンマー側と協力してぜひとも成果を上げてもらいたいと思っております。
 動物交流の進め方についてはよく分かりましたが、ミャンマーでは、周知のように今年2月にクーデターが発生しました。報道などによれば、市民の不服従運動などが続いており、社会の混乱は続いているようです。また、新型コロナ感染症の感染も収まっていないようです。これらの点は、交流事業の進捗に大きな影響を与えるのではないでしょうか。ミャンマー国政府は軍部が武力により実権を掌握しており、国際社会からも深い懸念が示されています。
 本交流事業の相手方は、クーデターが起きたミャンマー国の省庁ですが、このような状況下で象を動物園に迎え入れることについて、国の見解と市のスタンスをお聞かせください。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 本交流事業は国とも協議して進めており、外務省からは、本事業を進めることがミャンマーでのクーデターや軍事政権を認めることにはならず、国軍の体制強化にもつながるものではないとの助言を受けております。しかしながら、新型コロナ感染症の拡大やミャンマーの治安情勢から、1年以上日本とミャンマー両国の往来はほぼ不可能となっており交流事業は進められておりません。象の受入れにつきましても、獣医師や象の飼育担当職員の派遣などができておらず、当初予定していた令和4年春の受入れは困難になっております。このような厳しい状況ではありますが、交流事業につきましては、希少動物の保護繁殖や種の保全のためにも引き続き進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 交流事業は続けて進められていくということで安心をしました。しかしながら、答弁されたように、なかなか渡航ができずに厳しい状況です。
 このような中で、今後の動物交流事業の進め方と象の福岡市動物園への受入れ時期の見通しをお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 事業を進める前提として、両国のコロナ情勢やミャンマーの治安情勢が好転し、職員が相互に安心して行き来できるようになることが必要であると考えております。象の受入れ時期につきましては、現時点では見通しがはっきりしておりませんが、条件が整い次第、できるだけ速やかに進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 職員の安全は最優先であります。安全に渡航ができるようになり、一刻も早く動物園で象を見られる日が来ることを心より期待しています。一番の人気者であった象のはな子が亡くなって以降、多くの市民や来園者の方々、中でも幼稚園や保育園のたくさんのお友達から、象が見たい、象に会いたいといった要望が多数寄せられていると聞いております。何かできることを協力したいといった申出もあっているやに聞いております。そういった思いに応えてしっかり頑張っていただきたいと思います。
 次に、ペンギン展示エリアのリニューアルや象の受入れなどにより、より多くの来園者も期待できますし、動植物園から情報の発信を来園者ができるようWi−Fiの整備も進めていく必要があると考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 動植物園のWi−Fiにつきましては、Fukuoka City Wi-Fiを動物園正門エントランス施設と、植物園の緑の情報館に設置しております。今後とも、再生事業を進めていく中で、来園者の利便性向上に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) Wi−Fiの整備もしっかり進めていただきますよう要望しておきます。
 また、以前から、遊園地スペースは廃止するのではなく残しておくよう要望しておりましたが、改めて遊園地スペースを残していただけるよう併せて要望をいたしておきます。
 動植物園では、今後も再生計画に基づいて事業を進められることでしょうが、計画は平成18年に立案されており、10年以上経過をしております。植物園でも、新たな事業として一人一花運動の拠点化を進めるなどし、魅力づくりに努めています。そうした中、動物園と植物園のさらなる一体化による回遊性の向上を考えていく必要もあると思います。
 冒頭申し上げましたように、今後、再生事業は順調に進んでいくものと思っておりますが、時間が経過し、時代にそぐわない点も出てきているのではないでしょうか。
 最後に、動植物園がさらに魅力ある施設になるため、動植物園再生基本計画の見直しも必要だと思いますが、御所見をお聞きし、質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 動植物園におきましては、これまで動植物園再生基本計画に基づき、生態展示や行動展示、にぎわいの創出などに取り組んでまいりました。近年、動植物園を取り巻く環境が大きく変化しており、動物福祉に配慮した獣舎の面積確保などの飼育環境整備や、花や緑であふれ、市民の心を豊かにできる場づくりなどが求められております。これらの状況を踏まえ、さらに魅力ある施設になるよう再生基本計画の見直しを検討してまいります。
 見直しに当たり、特に動物園においては、これまで取り組んでまいりました、驚き、楽しみ、学び、活動できるなどといった基本的方向性については継続するとともに、希少生物の種の保全や調査研究、日々失われつつある地球規模の自然環境の現状と課題を伝えていく環境教育などにも積極的に取り組める施設にしていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、平和資料館、ヤングケアラー、島市長の政治姿勢について質問を行います。
 まず、平和資料館についてです。
 1945年6月19日、本市は米軍機による福岡大空襲に見舞われ、1,000人以上の命を失いました。また、8月6日、9日に、広島、長崎に投下された原爆によって被爆者となられた方々が、両市に次いで多く居住しておられるのが本市であります。さらに、戦後、旧満州や朝鮮半島等の戦地から祖国に帰国する方を139万人受け入れ、中国や朝鮮に帰国する外国人を50万人送り出した我が国最大の引揚港、博多港を擁しております。これだけの体験や要素を持っているのは他都市にはない本市の大きな特徴だと思いますが、御所見を伺います。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 御指摘の点は歴史的な事実でありまして、この3つを兼ね備えているという意味では、ほかには見られない本市特有のものであると考えます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 本市には、これらの特徴を後世に伝えていく責務があるのではないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市が経験した戦争の悲惨な体験を風化させることなく後世に正しく伝えていくことは、市として取り組むべき重要な課題であると認識をしております。
 本市では、これまで戦没者合同追悼式の開催や原爆被害者関係団体への支援のほか、ふくふくプラザにおける博多港引揚資料の常設展示などを行ってきたところであり、今後とも、これらの取組を通じて戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) やっていると言われるわけですが、極めて不十分です。
 まず、引揚げの歴史について、本市は当事者の皆さんたちの粘り強い要請や運動を受け、常設展、引揚港・博多をふくふくプラザの一角に作ったのが10年前、しかし、展示は僅か110点、開設から入替えは行わず、当事者から寄贈された2,600点の資料は総合図書館の倉庫に眠らせたままであります。これ自体が許し難いと思います。
 そこで、展示資料の数や入替え、規模等について、当事者団体からどのような要望が出されてきたのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 常設の資料展、引揚港・博多に対しましては、展示物の更新を行うこと、終戦記念日の前後に企画展を開催すること、引揚資料の収集を引き続き市民に呼びかけることといった要望を受けております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これは資料は適宜入れ替えるという約束だったのに、一度も実行してこなかったのであります。重大な約束違反ではないのか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 展示資料の入替えにつきましては、開設から10年目という節目を迎える令和3年度の実施に向けまして、令和2年度に展示入替検討委員会を設置し、効果的な展示方法と併せて御意見をいただき、検討を進めているところでございます。
 なお、引揚資料につきましては、平成24年3月から市のホームページ上に博多港の引揚げの歴史について紹介をしますホームページを開設し、掲載について了承を得られた約500点の資料について広く公開をいたしております。
 さらに、引揚げに関する企画展への資料の貸出しを行うなど、引揚げの歴史をより多くの方に知っていただけるよう努めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 高齢である戦争体験者にとって10年は大変重いんです。早急に約束を果たしていただきたい。
 しかし、入替えをしたとしても、1回に100点程度しか展示できない今の場所では、毎年入れ替えたとしても、全資料を展示し終えるには25年かかります。これでは貴重な資料を提供していただいた引揚者の願いに応えられず、広いスペースが必要だと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 引揚資料の展示場所につきましては、福岡市博多港引揚記念碑等検討委員会において展示の在り方について検討がされ、資料の収集状況、資料の種類、点数等を踏まえると、単独での資料館設置は難しいと思われ、公共施設の一部を活用して展示を行う方策等が妥当であるとされたことから、市有施設への設置検討を進め、ふくふくプラザでの常設展示に至ったものでございます。
 今後とも、展示スペースを有効に生かしながら、より効果的な展示に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) あれこれ言い訳せず、全ての資料を展示すべきです。
 次に、原爆被害についてです。
 本市には、原爆被害の実相を市民が学べる常設の展示場がない中、原爆被害者の会の皆さんなど、当事者が語る体験のみが被爆の実相を継承する唯一の手段になっています。しかし、会員の高齢化が進み、語り部の後継者づくりは大きな困難に直面しております。
 広島平和記念資料館は、被爆資料や遺品、証言などを通じて、世界の人々に核兵器の恐怖や非人道性を伝え、ノーモア・ヒロシマを訴え、毎年国内外から多くの来館者が訪れ、被爆の実相を海外にも広げる重要な役割を果たしています。長崎原爆資料館も同様です。
 そこで、原爆の非人道性を伝える資料を展示し、本市に在住されている被爆者の証言を基にして被爆の実相を継承し、語り部養成にも取り組む拠点施設が本市にも必要ではないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 本市では、国の援護施策を補完する原爆被爆者への支援として、被爆の実相証言とその継承に係る活動を行う原爆被害者団体に対し、活動支援を行っております。
 今後とも、引き続き団体への支援を行い、被爆の実相の継承を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 市が直接責任を負うことが必要です。
 次に、本市が直接空襲を受け、博多区や中央区を中心に多大な犠牲を出した福岡大空襲についてです。
 これについては、実態を日常的、継続的に市民に伝える活動や資料展示に関して、本市は一切何も関わっておりません。本市の教育現場では、一定数の学校でかろうじてこの6.19だけは平和教育として位置づけられていますが、体験者が減る中で、学習そのものが困難になっています。教師も児童生徒も、そこに行けば学べるという常設の場所が求められていると思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡大空襲については、教育委員会作成の人権読本「ぬくもり」に福岡大空襲に関する読み物資料を掲載するとともに、福岡 TSUNAGARU Cloudに戦争の体験談や資料をデジタル化して収録しております。6月19日前後には各学校において、それらを活用した授業や地域におられる戦争体験者を招聘した授業などに取り組み、平和の大切さについて学習を行っております。
 今後も、人権読本「ぬくもり」や福岡 TSUNAGARU Cloudに掲載する資料の活用を図るとともに、平和学習の充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 拠点がないんですよね。
 全国政令市においては、半数近くに平和に関する資料館が設置されており、北九州市は来年の開館予定です。それなのに、引揚げ、被爆、大空襲、これだけの体験や要素を持つ本市がいまだに常設の平和資料館を設置していないのはどう考えてもおかしいと思いますが、市長の御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 平和資料館の設置についてのお尋ねでございますが、戦争の悲惨さと平和の尊さを後世に正しく伝えていくため、博物館における戦時関係資料やふくふくプラザにおける博多港引揚資料の常設展示、小中学校においては平和に関する学習などを行っており、今後とも、平和に関する取組を実施することにより、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和の尊さを後世に伝えてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 市長は答弁にも立たないという大変後ろ向きの姿勢、改めていただきたいと思います。
 今日は平和資料館の設置場所についても、提案したいと思います。現在、跡地活用の検討が行われている冷泉小学校の跡地であります。
 そこでまず、冷泉小跡地活用について現在の検討状況をお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 冷泉小学校跡地の活用につきましては、これまでも様々な検討が行われてまいりましたが、平成31年3月には、地域の代表者や学識経験者から成る冷泉小学校跡地活用協議会を設置し、現状の整理や跡地活用の方向性などの検討を行っていたところであります。その後、埋蔵文化財調査で石積み遺構が発見されたことから、遺構の取扱いが確定した後に協議会を開催し、検討を進めることとしております。
 現在、関係部局や地域との調整を行いながら開催に向けた準備を進めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 発掘された石積み遺構などの文化財は博多の歴史を知る上で重要かつ貴重な市民財産だと認識してよいか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 石積み遺構など、発掘された文化財の評価につきましては、現時点で定まっているものではなく、今後、発掘調査の結果を整理し、有識者などの意見も踏まえながら判断してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 博多の町家、櫛田神社に加えて、中世からの貿易港の様子を伝える石積み遺構等の文化財、これらは冷泉地域に残る重要な歴史遺産であり、保存、活用が必要だと思います。
 そのような中、冷泉小学校跡地活用に向けた調査検討業務委託報告書が今年3月に出されております。その中では跡地活用案として3パターンが示されています。そのうち、オフィスとホテルを含んだ3つ目の案について説明を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 令和2年度の業務委託につきましては、跡地に建築する建物や施設についてどのような配置や規模が可能か、敷地を分断する形で発見された遺構による影響を仮定し、遺構を除く敷地両側を活用する案、敷地片側のみを活用する案、敷地全体を活用する案の3案を検討したものであります。
 その中でお尋ねの案は、敷地全体を活用し、指定容積率の規模まで建築した場合の案であり、建物用途は一例として、ホテルやオフィス、観光施設などとしたものであります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 隣接する櫛田神社を上から見下ろす場所に13階建てのホテル、しかも、石積み遺構に覆いかぶさる形で絵が描かれています。幾ら何でもこれはひどいと思います。委託の際、ホテルを入れるように市が要求したのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 市がホテルを検討するよう指示したものではなく、建物の規模や形状などから建物用途を一例としてホテルなどとしたものでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) それが指示したということなんですよね。空き地を見れば、ホテルやにぎわいの場をつくりたくなるというのは異常です。冷泉地区に新たな大規模ホテルはなじみません。そもそも2016年に地元自治協議会の総意として出された要望書ではどのような内容を望んでおられるのか、6項目についてお示し願いたい。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 博多校区冷泉自治協議会からは、跡地活用の具体化に当たり、体育館などによる避難所としての機能、博多の歴史や伝統文化の展示、体験できる観光の拠点機能、特別養護老人ホーム、保育所、図書館、旧冷泉小学校跡地活用に合わせた冷泉公園の再整備を踏まえて検討を求める旨の要望書をいただいております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 歴史を生かした活用、避難所、図書館や保育所、特養ホームなど、福祉活用が求められております。要望もされていないホテルをイメージに勝手に入れ込み、既成事実とし、地元意向をねじ曲げるやり方は許されないと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 令和2年度の業務委託では、跡地活用のイメージとして、建物の規模等に応じた建物用途を想定し、検討したものであります。
 跡地活用につきましては、地域からの要望や跡地活用協議会での意見なども踏まえながら検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 住民要望こそ生かした活用にすべきです。冷泉地区特有の文化財を保存しつつ、さらには避難所、特養ホーム、保育所、図書館等、地元住民の命と暮らしを支える施設こそ造るべきではないか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 冷泉小学校跡地につきましては、博多の歴史や伝統文化などの地域の特性を生かし、地域からの要望や跡地活用協議会での意見なども踏まえながら、地域や市民にとって魅力的な跡地活用となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) さらに、この冷泉小学校跡地は、福岡大空襲における戦災被災地という大きな特徴があり、隣接する冷泉公園には慰霊碑も建立され、毎年6月19日に慰霊式典が執り行われている場所です。まさに平和を語り継ぐにふさわしい場所であります。
 今、福岡市に平和資料館を求める運動は市民の間に大きく広がり、保守、革新などという政治的立場は関係なく、賛同の声が寄せられております。議会請願署名は約3万筆が提出されております。街頭署名では、小中学生や高校生など、若い世代から戦争体験者まで、いい活動ですねと署名に応じていただいており、設置を求める願いは世代を超えて共通のものとなっております。平均年齢は84歳となった引揚げ体験者や被爆者が中心となって、自分たちに残された時間は少ないと重い体にむち打ってこの運動を進め、いろいろな立場の方々が賛同され、共同しています。
したがって、この願いに応え、さきに述べた冷泉地域の住民の願いにもかなう歴史、平和資料館を建設することこそ冷泉小跡地の活用にふさわしいと考えますが、この問題の最後に市長の御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 我が国はさきの大戦を通して戦争の悲惨さを身をもって体験しますとともに、平和が何よりも尊いものであることを深く心に刻んでおります。
 福岡市におきましても、多くの方が戦禍の犠牲となられ、かけがえのない多くのものを失い、博多港には終戦直後、多くの方が苦難の中、異郷の地より引揚げてこられた歴史がございます。二度と戦争を繰り返してはならないという願いが人類共通のものであるとともに、全国民、そして、市民の願いでもあると考えています。
 このため福岡市では、博多港引揚げの歴史や戦争体験を通して平和の尊さを後世に伝えるため、ふくふくプラザにおける引揚資料の展示や博物館における戦時関係資料の常設展示を行うとともに、小中学校において様々な機会を捉えて平和に関する学習を積極的に行っています。
 また、毎年福岡大空襲について、戦没者合同追悼式や博物館における企画展示を開催しているところでございます。
 今後とも、戦時関係の記録や資料の収集及び展示の充実に努めるなど、平和に関する取組を実施することによって、戦争の悲惨さを風化させることなく平和の尊さを後世に伝えてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これまでの取組では不十分です。当事者の悲願に応え、早急に平和資料館を形にするよう求めておきます。
 次に、ヤングケアラー問題です。
 共産党市議団は3月予算議会でヤングケアラーの実態把握と対策を求めました。その後、教育委員会が調査を行い、11月15日、相談窓口の設置が行われたとのことであります。
 そこでまず、調査の方法と明らかになった内容について説明を求めます。また、不登校の児童生徒に対する調査は行ったのか、併せてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ヤングケアラーに関する調査は、福岡市立の各学校が実施している教育相談アンケートにヤングケアラーに関する質問項目を加え、毎月実施しております。令和3年度9月までの調査では、改善した児童生徒を除き、ヤングケアラーの可能性のある児童生徒は累計160名で、幼いきょうだいの世話や家事を行っているなどの報告を受けております。
 なお、学校に来ることができない児童生徒に対しても、家庭訪問などで把握しております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 160人というのは、あまりにも少なく、実態は反映されていないと言わなければなりません。ヤングケアラーになっている可能性もある不登校児童生徒についても、これは極めて不十分な調査になっています。
 教育相談アンケートに質問項目を加えて把握したとのことですが、具体的にどういう表現になっているのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ヤングケアラーに関する調査は、あなたは家族のお手伝い、お世話をしていますかという項目で、お手伝いなどの頻度を尋ね、さらに、お手伝いやお世話をすることで、友達と遊ぶ、宿題や勉強、部活動をする、睡眠を取るなどといった自分のことをする時間が取れなかったり、やりたいことができなかったりすることがありますかという項目によって児童生徒の置かれている状況を確認しております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 今、教育長言われたように、その文章だけでは調査を行う意図が子どもたちに伝わらないと思うんです。お手伝い程度と捉えてしまいかねません。
 そこで、調査の際、教員からは丁寧な説明をしたのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) アンケート実施の際に、子どもたち自身が家族の世話や介護をしていることを否定的に捉えたり、傷ついたりすることがないように配慮し、一人一人の児童生徒の実態に応じて丁寧な把握に努めるよう各学校に通知をしております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 学校任せです。尋ねる側も尋ねられる側もヤングケアラーに対する認識が十分でない中、こういうやり方では、実態は把握できません。ヤングケアラーの支援に取り組んでおられる方からお話を聞いたところ、今大事なのは啓発だ、ヤングケアラーとは何か、解決しなければならない課題だということを、教員、子どもたち、そして、多くの市民に認識してもらう取組こそ必要であり、当事者や体験者のお話を聞くことが有効だとのことです。
 そこで、このような啓発活動が必要だという認識はないのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ヤングケアラーの啓発につきましては、ヤングケアラーは家庭内の問題で外部からは分かりにくいため、周囲の理解が重要であると考えております。
 そのため、令和3年5月に厚生労働省から出されたヤングケアラー支援に向けた報告に基づき、ヤングケアラーの特徴を基に、早期に発見し、適切に支援につなげられるよう、子どもを支援する関係機関への周知や研修に速やかに取り組んだところでございます。また、専用相談窓口の設置に合わせて広報を行うことを通じて、ヤングケアラーの認知度を高めるよう努め、福岡市の取組が取り上げられたところであり、今後とも、市民への啓発に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 市民への啓発、ここが非常に重要だと認識していただきたいと思います。
 次に、11月15日から児童家庭支援センターに置かれた相談窓口について、設置以降の相談件数と支援策につながった件数、その内容についてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ヤングケアラー専用相談窓口の相談件数につきましては、令和3年11月15日の開設から同月末までの2週間で12件に対応したところでございます。現時点では、具体的な支援につながったものはございませんが、ヤングケアラーの支援策への助言等を行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これは、ケアラー本人からの相談もゼロなんですね。これでは実効性に乏しいのではないかと懸念されます。子どもたちは自分がケアラーかどうか分からないし、ましてや声を上げることは困難です。相談どうぞと幾ら言っても活用されません。この問題では独自に支援に取り組んでこられた団体などとの協議もないまま突然打ち出したやり方に関係者から驚きと戸惑いが広がっています。トップダウンで行政だけでやるのか、現場の意見は無視かと感じたというのが支援当事者の声です。
 そこで、今回の相談窓口の設置については、進め方に問題があったのではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ヤングケアラー専用相談窓口設置の経緯につきましては、令和3年5月に厚生労働省のヤングケアラー支援に向けた報告により、認知度が低く気づきにくい、支援の窓口が明確でないなどの課題や方向性が示されたため、福岡市では、同年6月から9月にかけて、現場で子どもを支援する要保護児童支援地域協議会の構成機関を中心に、ヤングケアラーの周知や研修等を行っております。
 また、11月には、専門知識を有するヤングケアラーコーディネーターによる専用相談窓口を設置するとともに、併せて広報を行ったところであり、今後も市民への啓発などに努めながらヤングケアラーの支援の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 打ち上げればいいというものではありません。ヤングケアラー問題は、当事者が子どもだというケースが多いため、個々の背景を捉え、支援の当事者や専門家の意見やノウハウを丁寧に酌み取りながら行政が責任を果たさなければなりません。重要なことは、この問題は学校や福祉の現場職員の認識を高めるとともに、市民への啓発を強化し、社会全体で認知度を高め、アンテナを高くして実態をつかむことです。そして、行政が責任を持ち、地域や関係団体と共同して個々のニーズを把握するアウトリーチ、つまり訪問型支援を強化し、継続性のある取組につなげることだと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ヤングケアラーへの訪問支援につきましては、要保護児童支援地域協議会で把握したヤングケアラーの場合は、区保健福祉センターや関係機関が訪問支援などを行っており、また、ヤングケアラー専用相談窓口の場合についても、専門のコーディネーターが必要に応じて訪問支援を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) いや、あまりにも枠が狭いんですね。もっと幅広くやるべきです。急ぎ積極的な施策を構築するべきです。
 具体的な手だてとして何が求められるか。まず、地域ソーシャルワーカーの配置です。その役割は、既に北海道などで始まっているように、学校と地域、介護や医療現場、そして、行政とをつなぎ、ケアラー本人はもちろん、ケアを受けている家族を含めた包括的な支援を実施していくことです。したがって、本市においても関係機関と協議して早急に地域ソーシャルワーカーを配置すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 地域におけるヤングケアラー対策につきましては、学校や地域などの子どもや家庭を支援する関係機関が連携して、ヤングケアラーを速やかに発見し、支援につなげられますよう、今後とも、関係機関への周知や研修を行うとともに、啓発等にも取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 人的配置を求めておきたいと思います。
 そして、最後に提案したいのは、ヤングケアラー対策をワンストップで担う専門部署の立ち上げです。
 神戸市では、今年度既に部署を立ち上げ、対策を始めています。試行錯誤もあるようですが、まずは専門職を配置し、立ち上げ、市民からの様々な情報や提案を受けることが大事です。したがって、直ちに準備に入り、新年度から担当部署を立ち上げるべきだと思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ヤングケアラーの担当部署につきましては、教育委員会において学校での調査やスクールソーシャルワーカーによる対応などを行うとともに、こども未来局では専用の相談窓口を設置したところです。
 また、各区の要保護児童支援地域協議会において、家族の介護や世話を行うヤングケアラーを把握した場合には、状況に応じて必要な福祉サービスなどの支援につないでおります。
 今後とも、関係する部署がしっかりと連携を図りながらヤングケアラーの支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 個々ばらばらのまま連携を強めるというのでは不十分なんですよね。
 11月25日付の西日本新聞に、福岡県内の40歳女性のケースが紹介されました。小学生時代から虚言、暴言を繰り返す父親と長期の家出を繰り返す母親の下で、家事を一手に担い、必死で高校、大学と進学し就職するも、40歳になる現在も高齢で認知症となった両親のケアを続けています。今年2月、会社を辞めて精神科を受診、愛着障がいとADHDとの診断を受け、夏にヤングケアラーの支援団体と出会いました。御本人は、子どもの頃に頼れる人や場所があればと語っています。早期発見と早期支援が求められているのです。
 そこで、ヤングケアラー問題は、支援団体の方々の意見を踏まえ、教育現場や福祉現場におけるヤングケアラー問題の研修の充実、市民への啓発を進めながら、改めて総合的な実態調査を行い、地域ソーシャルワーカーの配置をはじめとした本市の支援策を構築するべきだと思いますが、御所見を伺います。
 また、その推進のためにも、社会福祉や教育、児童心理分野等の専門家を配置し、総合的に取組を進めることができる担当部署を設置すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) ヤングケアラーにつきましては、家庭内の出来事が多く、子ども自身が気づきにくく外から見えにくいなどの課題があることから、行政、学校、地域、子ども関係機関、医療、福祉等の多くの機関が連携して早く気づき、支援につなげていくことが重要であると考えております。
 福岡市におきましては、学校をはじめ、要保護児童支援地域協議会の構成機関などが連携しながらその実態の把握に努めているところであり、11月には専門のコーディネーターを配置したヤングケアラー専用相談窓口を開設したところでございます。
 福岡市では平成28年からこれまで、こども未来局が事務局となり、教育委員会や保健福祉局などの関係機関で子どもを取り巻く様々な課題について、協議、検討を行う、子どもの貧困対策に関する推進本部会議を定期的に行っており緊密な連携体制を構築しておりますので、ヤングケアラーの支援につきましても、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 掛け声倒れでなく、着実な取組をすべきだと指摘して、次に、市長の政治姿勢について伺ってまいります。
 島市長の3期目の任期も残り1年を切りました。この間、メディアによる各種インタビューでは、4期目に挑戦するかどうか、態度を明らかにしておられないようです。自ら身を引かれるにしろ、続投を目指されるにしろ、残り1年、市長がどのような基本姿勢で市政運営に臨まれるのか、お尋ねしてまいります。
 まずは、市長と財界との関係を如実に示す、いわゆる政治資金パーティーについてです。
 市長は就任以来、毎年、自らの資金管理団体、アジアリーダー都市研究会の市政報告会と称した大規模パーティーを開催して、一度に二、三千万円も荒稼ぎしてこられました。市民とコロナとの闘いのさなかだった昨年9月にも開催されました。
 そこで、その規模、収入額、開催目的並びに市長就任の2010年以降、累計で幾ら集めたのか、お尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) まず、県のホームページに公表されている事実につきましては、私のほうから答弁させていただきます。
 令和2年9月の市政報告会につきましては、人数は1,648人、収入額は2,918万円となっております。また、これまでの収入総額は、平成23年から令和2年までの10年間で4億2,032万5,000円となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法第8条の2に規定されている政治資金パーティーとして、私を応援、支援していただいている方々に対して市政報告などを行うため、政治活動の一環として開催したものであります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 昨年9月に1,648人で2,918万円、10年間の累計では4億円を超えるというすごい金額です。
 ところで、昨年9月1日と言えば、第2波が終息に向かっていたとはいえ、社会的には、大規模な人の集まりや移動は自粛する流れでした。そのような中で、市長が資金集めのために1,648人も集めたというのは問題ではなかったのか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 令和2年9月の市政報告会につきましては、5月の緊急事態宣言解除以降の感染状況を踏まえた国の基本的対処方針及び県からの通知に沿った感染防止対策を十分に講じて開催をしています。さらに、会場以外での参加を希望される方のために、オンラインによる配信を行っております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 法的には問題がないと言われますが、道義的には大いに問題です。国政においても、岸田現首相をはじめとする時の大臣たちが大臣規範に反して大規模パーティーを開いてきたことに国民の批判の声が上がっています。この規範には、政治資金の調達を目的とする大規模パーティーは自粛することが書かれています。これは大臣でなければ許されるというものではないと思います。市長も同様です。市長の政治倫理条例では、政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しないと政治不信を招かないよう定められています。市長のパーティーへの主な参加者は、地元財界の関係者が中心だというのは、周知の事実です。
 そこで、市長は政治資金について大規模パーティーで集めた財界からの多額の資金に依存するなど、財界と癒着し、財界要求実現のために市政をゆがめるやり方はやめるべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政報告会につきましては、政治資金規正法に基づく政治資金パーティーであり、今後とも、法にのっとり適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 市民より財界という姿勢は改めるべきです。
 次に、名義後援についてです。
 市民が自主的に集会等を開催し、社会や政治への参加を図ったり文化振興を図ったりする活動を行政が後押しするのが名義後援です。ところが、島市長は2015年の安保法制成立直後からその運用を変え、特定の政治的立場に立脚しているなどとの理由で平和のための戦争展などの後援拒否を行っています。今年はついに、労働者の祭典、メーデーまで後援拒否の対象にしました。団体や関係する市民の思想や主張まで、ネットなどを使い調べ上げて不可とするやり方は異常であり、市民の自由な活動を阻害しています。まさに、名義後援の趣旨を履き違えた権力の濫用であります。
 そこで、島市長は名義後援に対する間違った認識を改め、ガイドライン並びにその運用を抜本的に見直すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の名義後援につきましては、行政の中立性の確保やより統一的な運用を図るため、全庁的なガイドラインを策定しているものございます。当該ガイドラインを踏まえ、所管局で定めた取扱要領に基づき適切な対応がなされているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 強硬姿勢ですが、これは憲法にも反する重大な問題です。名義後援拒否というやり方で市民の思想信条にレッテルを貼り、自由な表現を拒否し、政治の舞台から排除する権力の濫用は許されないことを指摘しておきます。
 次に、コロナ危機への対応についてです。
 コロナ禍は、住民の命と暮らしを守るための行政のあるべき姿を浮き彫りにしました。この角度から島市政を検証していきます。
 まずは、大規模業務委託についてです。
 昨年は1人10万円給付の特別定額給付金や生活困難に陥った方々への住居確保給付金など、国の大規模事業が行われました。これらの事業について本市は、非正規雇用の大量活用を前提とした株式会社パソナへ随意契約で両方合わせて10億円以上の業務委託を行ってきました。現在作業が進められている子育て世帯への10万円分の給付金もパソナへ委託しています。ほかにも同様に、Go To事業などは大手旅行会社等に業務委託されてきました。これらの業務委託においては、再委託を容認し、子会社等の多重の中抜きで無駄な支出をも増大させてきました。そして、特別定額給付金事業では、パソナがやるべき業務に市職員を大量に動員し、現在、住民監査請求まで行われております。住民の暮らしを支えるための給付金事業において、低賃金、不安定雇用を利用する巨大派遣会社や大企業に丸投げするのは、最少の経費で最大の効果をという地方自治にももとるやり方です。したがって、給付金等事業においては、大規模業務委託は縮小、廃止し、労働者の適切な賃金や待遇を保障する直接雇用に転換すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 業務の遂行に当たりましては、所管局において業務の性質や量などを勘案した上で実施手法を決定しておりまして、必要に応じて民間の能力やノウハウを活用しているものと承知しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) あくまでも正当化されますが、コロナ禍においても、市民の税金を使い、労働者からは搾取し、大企業に大もうけさせるやり方はやめるべきです。
 次に、生活困窮に陥った市民への支援策についてです。
 コロナで傷んだ暮らしや経済はいまだ元に戻らず、この時期に状況は悪化しており、生活保護申請が増えてきているのが実態です。この状況が示しているのは、国の施策が不十分な中、とりわけ、学生、ひとり親世帯をはじめ、生活困窮に陥った市民、小規模事業者に対するこれまでの市の独自支援策が不十分だったということではないのか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 学生への支援につきましては、国や大学等により様々な支援が実施されており、福岡市としましても、学生支援特別給付金を支給するなど、新型コロナの影響を受け、経済的に厳しい状況にある学生を支援してきたところでございます。
 また、ひとり親世帯への支援については、ひとり親世帯臨時特別給付金や子育て世帯生活支援特別給付金を支給するなど、子育ての負担や収入の減少などを踏まえた支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 生活困窮世帯への支援につきましては、国の制度による各種給付や貸付けなどの支援が実施されており、福岡市といたしましても、生活自立支援センターにおいて、それぞれの方が抱える課題に応じた適切な支援を関係機関と連携しながら行ってきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 小規模事業者への独自支援策につきましては、これまで商工金融資金による過去最大規模の資金繰り支援に加え、事業者を幅広く支援する施策として、売上げが減少した事業者への支援、感染症対応シティ促進事業、全市版プレミアム付商品券事業などを実施するとともに、感染症の影響を特に受けた事業者を支援する施策として、休業要請への協力店舗等への家賃支援、宿泊施設の高付加価値化等支援事業、MICEのハイブリッド開催支援、文化・エンターテインメントのハイブリッド開催支援、地域を支える商店街支援などを実施してまいりました。
 また、国、県及び福岡市の支援制度に関する案内や申請手続の支援も実施しており、事業者に寄り添いながら中小企業の経営をしっかりと下支えしてきたものと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 3人の局長とも実態を見ようとしておられません。私どもの生活相談にはリーマンショック以来なかったほど連日相談が寄せられています。「リフォームの仕事がコロナで激減、何かいい方法はないか」、「年寄りは給付金をもらえないのか」、「国の緊急小口資金や総合支援資金などの貸付けも目いっぱい借りてもう限界、生活保護しかない」など、支援策から漏れた方々の状況はせっぱ詰まっています。これまでの国、市の施策では救えていないのであります。したがって、今後は国施策で救済されない市民や事業者には市独自で下支えする施策を遅滞なく打つべきではないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 学生への支援につきましては、国の緊急給付金10万円などの支援策が実施、検討されており、福岡市としましても、国や大学等における様々な支援が必要な学生に届くよう分かりやすい周知に引き続き取り組んでまいります。
 また、ひとり親世帯の支援については、これまでも就業や養育費確保の支援、行政サービスの利用料減免などに取り組んでまいりましたが、今後も国の支援策と併せてコロナの影響を受けているひとり親世帯への支援にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 生活にお困りの方への支援につきましては、生活自立支援センターにおいてそれぞれの方の状況に応じたきめ細やかな支援を行っているところであり、さらに、国の制度に基づき住居確保給付金や生活困窮者自立支援金、また、現在検討されている住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金なども活用しながら、引き続きしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市独自の経済支援策につきましては、企業ニーズや各業種の置かれている状況などを踏まえ、国の支援の対象とならない事業者を支援するなど、総合的に事業者支援を実施しているところでございます。
 今後とも、国や県の支援策の動向及び感染状況を注視しながら、感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を基本とし、事業継続や雇用を支える取組を実施してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これまでの延長線上では困窮者を救えません。抜本的な充実策を求めておきます。
 次に、医療、保健についてです。
 現在、感染者数は抑えられているもの、オミクロン株による影響も徐々に広がり、予断を許さない状況です。第6波を抑止していくためにこれまでの教訓をどう生かすかが問われております。最大の教訓は、ワクチンとともに、無症状者へのPCR検査を拡大し、無症状者による感染を未然に防ぐことです。
 これまで国は、症状の出た人や濃厚接触者への検査のみを原則としてきており、本市は一部医療、介護職員などへの検査拡大を行ってきたものの、狭い枠にとどまっています。国は今後も無症状者への検査は感染拡大時に限定する姿勢を見せており、国任せでは感染拡大を抑止できません。今後、変異した新種株により、ブレークスルー感染や無症状感染が広がる可能性が指摘されており、感染が抑えられている今こそ、独自にでも、いつでも誰でもという検査方法に転換すべきではないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策においては、感染者の早期発見、早期隔離、治療が何より重要であり、幅広い検査を行うことが重要であると考えております。そのため、福岡市としましても、様々な手法により検査体制の拡充を図ってきたところでございます。
 一方、いまだ検査資源等には限りがある中、エビデンスやリスクに応じた検査資源の配分を行う必要があり、検査対象の拡大については、計画的、段階的、効果的に行うことが不可欠であります。
 このほど国の基本的対処方針において、感染が拡大傾向にある場合には、感染に不安を感じる無症状者に対して都道府県において無料検査を実施することができるとされるなど、検査の拡大が進んできているところでありまして、今後とも、引き続き国の動向や感染状況を踏まえながら、必要な方が迅速かつ確実に検査が受けられるよう検査体制の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 国の対策待ちでは間に合いませんよ。市中感染を見逃さない戦略的検査への転換を求めます。
 次に、感染抑止、発見の要となる保健所についてです。
 5回にわたる感染爆発の下で、保健所には慢性的な過重労働、人手不足で逼迫状況に陥り、医療現場同様、崩壊寸前となりました。
 そこで、第5波の8月における平均残業時間及び最高の残業時間についてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 主に感染症対策業務に従事をします保健所職員の令和3年8月の時間外勤務につきましては、会計年度任用職員を除き、1人当たりの月平均時間が89.9時間、最大時間が221時間となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 平均で過労死ラインを大きく超える80時間を超え、最高で221時間という非常事態です。この事態を打開するためには、保健所予算並びに人員も2倍程度へと拡充するしかないと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策の中枢を担う保健所におきましては、職員の増員や業務の委託化や集約化、効率化などにより、防疫業務に注力できる体制を整えてきたところでございます。
 今後とも、次の感染拡大に備え、職員の応援、受援の体制づくりや委託や派遣により外部人材のさらなる活用を図るなど、感染動向に応じて柔軟に対応できる機動的な体制づくりを行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 今ある資源だけでは、これはもう、また不安ですよ。増やさないと駄目だ。同じ事態を生まないために、これは絶対欠かせない課題だと強調しておきます。
 次に、少人数学級についてです。
 今年度、小中学校の全学年を35人学級にした目的、効果、成果について御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年度の小中学校における35人以下学級については、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から全学年で暫定的に実施しているものでございます。
 この取組により、文部科学省が教室内における児童生徒の間隔の目安と示した1メートルを確保できており、このことは、他の基本的な感染症対策と併せ、子どもたちが安全、安心に学ぶことができる環境の整備につながっていると考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) ほかにも数々あると思います。教育長はあえて少ない答弁しかされませんでした。少人数学級の効果は顕著です。しかし、一方では、教員を増やさず既存の人員で賄ったため、教員には長時間過密労働が強いられ、大きく疲弊しました。その認識はあるのか、お尋ねします。
 あわせて、全学年での少人数学級については、今年度だけで終わらせることに道理はなく、必要な人員増を図った上で恒久化すべきではないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 35人以下学級実施に当たっては、国の法律に基づき配当される教員定数を各学校に適切に配分しております。あわせて、教員の負担軽減に取り組んでおり、チーム学校の充実を図るため、スクールソーシャルワーカーや部活動指導員などの専門スタッフの配置、拡充を進め、さらに、令和3年度はスクールカウンセラーを大幅に増員したところでございます。
 加えて、全学校に自動音声メッセージ機能つき電話を導入するとともに、4年度の導入に向けて教職員庶務事務システムなどの整備を進めているところで、引き続き教員の負担軽減にしっかりと努めてまいります。
 35人以下学級の継続実施については、現在、今年度の取組の教育効果を検証しているところで、今後の新型コロナウイルスや国の動向等を踏まえながら判断していきたいと考えております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 現状で基本間に合っているかのような答弁は現場の教職員が聞いたら本当怒りますよ。これまでの姿勢を転換すべきだと指摘しておきます。
 次に、国際的にも大きな流れとなっている課題にどう向き合うかという問題です。
 まず、気候危機への対応についてです。
 市長は2040ゼロカーボンを打ち出しておられます。しかし、具体的な各分野の目標を見てみると、再生可能エネルギーが全電源に占める割合は2030年に僅か8%、省エネルギー推進については中間目標さえ立てていない状況です。これではあと20年でのカーボンゼロは到底達成できないのではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 地球温暖化対策につきましては、気候変動による影響の深刻化や世界的な脱炭素の潮流を受け、福岡市においても、これまでの低炭素から脱炭素へと取組を進めていくこととし、福岡市地球温暖化対策実行計画の改定を進め、現在、骨子案を取りまとめたところでございます。
 2040年度に向け、省エネルギーの推進、再生可能エネルギー等の導入や利用による使用エネルギーの脱炭素化及び森林など、吸収源の保全のほか、都市としての特性を踏まえ、環境に優しい商品やサービスを選ぶ、いわゆるエシカル消費を広げていくことで、製造、流通過程での二酸化炭素削減などを進め、実質的な排出量をゼロにしていきたいと考えております。
 これらにより、まずは2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度と比較して50%程度まで削減する方向で現在精査を行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 願望を述べられたわけですが、具体化がないんですね。それならば、天神ビッグバンをはじめとした大型開発のプロジェクトを今後計画どおり進めた場合並びに観光客呼び込みによって航空機の飛来が増大した場合、温室効果ガスはどのくらい増えると見込んでいるのか、答弁願います。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 今後の開発に伴う温室効果ガス排出量の見通しにつきましては、建て替え前後の使用エネルギー量や使用エネルギーの種類、電源が不明であり、把握は困難でございます。
 また、航空機の温室効果ガス排出量につきましては、市域の温室効果ガス排出量の推計に用いております環境省の地方公共団体実行計画策定・実施マニュアルにおいて、航空分野は県の計画の対象となっていることから、福岡市では把握しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 答えられないんですよね。あきれる状況です。一方では、カーボンゼロを掲げ、他方では温室効果ガスの増加は頬かむりし、脱炭素に逆行する事業を進めるというのは、矛盾の極みです。この問題は人類の存続に関わる問題です。地方自治体においてもまさに有事だという認識が求められております。したがって、市長は気候危機非常事態宣言を行い、200人以上の市民参加で検討を進めているバルセロナのように、市民参加で市政の計画全般を見直すべきではないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 気候危機につきましては、令和2年6月に環境省が気候危機宣言、令和2年11月には国会で気候非常事態宣言が決議されており、既に国全体で認識されているものと考えております。
 福岡市でも、既に脱炭素社会の実現に向け、ゼロカーボンシティを表明し、現在、福岡市地球温暖化対策実行計画の改定を進めているところでございます。また、計画改定に当たりましては、市民、事業者、学識経験者等から成る福岡市地球温暖化対策実行計画協議会で意見を伺うほか、出前講座や市政アンケート調査、大学生を対象としたワークショップなどで幅広く意見を聞きながら進めているところでございます。
 引き続き市民の方から意見を伺いながら計画改定を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 本気でやる気がない。それじゃ、目標達成はできません。
 次に、ジェンダー平等についてです。
 市長はこのテーマについて市政における今後の基本戦略に据えるつもりがあるのか、答弁を求めます。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) ジェンダー平等など、男女共同参画の推進につきましては、第9次福岡市基本計画の分野別目標「一人ひとりが心豊かに暮らし、元気に輝いている」において、施策として、全ての人の人権が尊重されるまちづくりと男女共同参画の推進と位置づけ、取組を進めております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) いろいろ局長言われましたが、例えば、男女共同参画という1テーマだけ見てみても、2025年までの女性管理職比率が市役所で20%、企業で15%というお粗末な目標になっており、話になりません。ジェンダー平等の課題を男女共同参画という一部門にとどめることや市民の意識改革に矮小化することは許されません。したがって、社会全体での男女管理職比率の平等化等について、積極的な数値目標へと変更するとともに、諸計画や政策を根底からつくり直し、ジェンダー主流化を根幹に据えるべきでないか、御所見を伺います。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) ジェンダー平等など、男女共同参画の推進につきましては、第4次福岡市男女共同参画基本計画におきまして、男女の固定的役割分担意識の解消度や企業における女性管理職比率など、7つの数値目標を掲げており、今後とも、第9次福岡市基本計画や第4次福岡市男女共同参画基本計画に基づきまして、福岡市のあらゆる施策に男女共同参画の視点を反映させ、各関係局、区とも連携しながら全庁一体となって取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) ジェンダー主流化には程遠い姿勢です。この問題の重要性を捉え直すべきです。
 以上、コロナ禍における島市長のこれまでの市政運営や今後の政治姿勢についてただしてきました。市民の暮らしや営業への支援策は不十分なまま、大企業には大盤振る舞い、PCR検査や保健所体制は脆弱なまま、そして、学校現場、とりわけ教職員の過酷な労働環境などの問題にも向き合わない姿勢が浮き彫りになりました。また、名義後援の在り方を大きくゆがめ、市民の人権をないがしろにしていることには無反省。財界に支えられ、癒着を生み出している政治資金パーティーもやめない。さらに、国際的な死活問題となっている気候危機打開には具体性はなく、ジェンダー主流化もほぼ眼中にない。これらの姿勢を続けるならば、市民の命も暮らしも権利も守れません。
 したがって、コロナ禍におけるこれらの教訓を踏まえ、市民には自己責任を押しつけ、大企業応援は強化するという新自由主義から脱却し、命と暮らしを最優先にする自治体本来の姿へ抜本的な転換を図るとともに、気候危機対策及びジェンダー主流化を本気でこれからの市政の基本戦略に位置づけるべきだと思いますが、島市長の答弁を求め、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定をした総合計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを都市経営の基本戦略として掲げ、人と環境と都市活力の調和が取れたアジアのリーダー都市を目指してまちづくりを進めております。
 これまでの取組の結果、人口は161万人を超え、企業の立地や創業が進み、市税収入は令和元年度まで7年連続で過去最高を更新し、この成長の果実を生かして、子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、安全、安心なまちづくりなどに取り組み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価をいただいています。
 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、感染症の影響を受けた市民生活や中小企業などへ支援などを実施するとともに、必要な人員体制についても、柔軟かつ機動的な体制を整備し、全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。引き続き市民の命と暮らしを守るため、感染の拡大防止と社会経済活動の維持の両立に向けた取組を推進してまいります。
 世界ではSDGsの理念の下に、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けて地球環境への負荷の軽減や、また、人権への配慮などの経済的な価値以外の要素が様々な活動における重要な判断基準となっており、あらゆる分野で劇的かつ急速に意識や行動の変容が起こっております。
 今後とも、こうした情勢変化への対応をはじめ、ポストコロナ時代を見据え、総合計画に基づき、経済的な成長と、安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午後0時9分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。高木勝利議員。
○18番(高木勝利)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、SDGs認証について、ボトル to ボトルリサイクルについて、浸水対策の強化について、観光関連事業者支援についての4項目、質問をさせていただきます。
 初めに、SDGs認証についてです。
 福岡市はSDGsの達成に向け、福岡市総合計画に基づき、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりを着実に進めることが、誰一人取り残さない持続可能な社会実現というSDGsの理念と同じ方向性であり、SDGs達成につながる。環境、教育、産業、福祉などSDGsの17分野の国際目標のそれぞれの分野ごとに福岡市SDGs関連事業を実施し、その達成のためには、行政、企業等の団体、市民一人一人の行動が大切であるとして施策を推進しています。
 福岡市のSDGs達成に向けた普及啓発の現状と今後の取組について御説明ください。
 以上で1問目の質問を終わり、以降の質問は発言者席から行わせていただきます。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) SDGsの達成には、市民や企業、NPOなど多様な主体の参画が重要であると認識しており、自治体にはSDGsの理念の周知や、達成に向けた取組を促す啓発などを実施する役割があるものと考えております。
 令和3年度につきましては、10月にオンラインで開催したアジア太平洋都市サミットにおいて、前回に引き続きSDGsの視点を踏まえた議論が行われたほか、12月10日から1か月間、SDGsと脱炭素をメインテーマとする環境フェスティバルを開催しているところでございます。
 また、市政だよりや各種パンフレットなどの印刷物を活用した広報の実施、地下鉄の駅やコンビニなどへの啓発ポスターの掲示、市役所1階ロビーでのデジタルサイネージによる啓発動画の放映、SDGsに関する出前講座などを実施しております。
 引き続き、様々な機会を捉え、SDGsの達成に向けた取組について普及啓発の充実を図ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 内閣府は、地方公共団体、民間団体が地方創生SDGsに貢献しようとする地域事業者を見える化し、地域金融機関の支援の補助材料とすることで地域経済を活性化し、好循環を形成することが重要としており、全国各都市ではSDGs達成に向けて、行政と企業等との団体の協働を強化するための様々な施策が行われています。
 横浜市では、令和2年に横浜市SDGs認証制度、Y−SDGsを開始し、市内のSDGsに取り組む市内事業者がこの制度を活用し、持続可能な経営への転換や新たな顧客獲得などを狙いとするとともに、投資家や金融機関がESG投資等の投融資判断の情報として活用してもらうことを目指した取組です。ESG──環境、社会、企業統治及びLocal、地域の4つの視点から30のチェック項目について自社に当てはまる項目にチェックしてもらい、ヒアリングを通して外部評価を行い、Y−SDGs認証取得となります。中小企業診断士が申請者の取組内容とヒアリングの内容を基に評価書を作成、Y−SDGsの認証は各事業者の取組内容と進捗に応じ3段階──最上位、上位、標準に区分。認証期間は2年間、手数料は無料、年4回の申請受付を実施しています。
 福岡市では、企業や団体等とのSDGsの協働ではどのようなことを実施しているのか、お聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) SDGsの達成に向けた企業や団体等の協働による取組につきましては、様々な施策分野で企業等と連携した取組を進めているところであり、市内企業の働き方改革の取組を応援するふくおか「働き方改革」推進企業認定事業や障がい者雇用率4.6%以上を達成している企業を認定する障がい者雇用促進事業、女性活躍やワーク・ライフ・バランスの推進に取り組む企業を認定する次世代育成・男女共同参画支援事業のほか、自治会等が行う地域活動を企業が応援する“ふくおか”地域の絆応援団、市民や企業等とともに、花によるまちづくりを進める一人一花運動、多くの企業や団体等が会員として参加している福岡市地球温暖化対策市民協議会による温暖化対策の活動など様々な取組を実施しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 横浜市の認証取得によるメリットは、1、横浜市認証マークを名刺やホームページなどに表示可能、2、認証事業者名や取組内容を横浜市ホームページ等でPR、3、各種マッチングイベントやセミナー等への優先参加、4、横浜市総合評価落札方式の評価項目とする、5、よこはまプラス資金、信用保証協会の保証料減免の対象、6、三井住友海上・MS&ADインターリスク総研からのサポート提供などです。
 認証事業者へのフォローアップとして評価結果についてフィードバックを行い、コーディネーターが今後の取組に関するコンサルティングを実施、例えば、電力契約の再エネへの切替えなど速やかに取組の向上を図る事業者も多く見られ、ランクアップに向けて再申請する事業者も多いそうです。本年9月現在、最上位10、うちランクアップ2、上位65、うちランクアップ11、標準165の計240事業者です。
 認証を受けた事業者の反響として、取得してよかったは96%にも上り、企業内の議論の際も、これはSDGsの取組になる、SDGsの観点からそれは駄目といった意見が聞かれるようになった、社外からSDGsに積極的な企業として認知された、SDGs取組企業として取引先からの信用度が増した、企業がモノやサービスを提供するビジネスでSDGsを踏まえた事業提案を求められることが増えた、大手企業との商談でSDGsへの取組が受注のポイントになることが増えた、就職希望者からSDGsへの取組が選択のポイントとして評価されたことなど多くの効果を実感したとの回答を得ています。
 一方で、帝国データバンク福岡支店の昨年6月の地場832社への調査では、SDGsを認知していても取り組んでいない企業は46.2%、特に中小企業からは何から手をつければいいか分からないとの声が多かったという結果になっています。
 福岡市でも、地元企業等を支援するために企業等をSDGs推進企業として認証する制度を検討してはと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) SDGsの達成に向けて取り組む企業等の認証制度につきましては、内閣府が示したガイドラインにおいて、地域金融機関や様々なステークホルダーと連携して地域事業者等の取組を支援することで、さらなる取組の推進及び地域の自律的好循環の形成の加速化につなげることができるとされており、福岡市におきましても本ガイドラインや他都市の状況等を踏まえながら検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 地元企業等から福岡市でもSDGsの認証の制度はありますかとの問合せも多いと聞いております。どうぞよろしくお願いいたします。
 横浜市のY−SDGsの協力金融機関は令和3年10月現在、神奈川銀行、かながわ信用金庫、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、横浜銀行、横浜市信用保証協会、横浜信用金庫で、金融機関の営業担当がY−SDGs認証取得を推進、環境面では脱炭素に向けたさらなる省エネ、太陽光、蓄電池導入や再エネ電気切替えを促進し、自律的好循環とゼロカーボン実現を推進しています。また、政令市では初めて、Y−SDGs認証取得を目指す企業に対し、評価結果を参照に昨年12月に三井住友銀行が融資を実行しています。
 また、熊本県では、九州フィナンシャルグループが持続可能性を意味するサステナビリティ宣言を行い、SDGsの趣旨に賛同し、持続可能な社会づくりへの取組を進めています。積極的に支援するのは、CO排出量削減など気候変動の抑制のための事業、水資源や森林資源など生物多様性保全の事業、農林水産業、観光業など地域の基幹産業の振興事業、世界遺産、有形無形文化財など文化財保全の事業、防災、減災に関する事業、その他持続可能な社会づくりへ事業などで企業向けコンサルティングや、特に興味深いのは熊本県と連携し、企業等のCO排出量算定の支援を行っていることです。また、同グループの肥後銀行では、中小企業などを対象にエネルギー使用量や温室効果ガス排出量削減などの条件を満たせば、金利を最大0.3%割り引く金融商品を提供しており、中小企業が自分ではなかなか把握しづらいCO排出量の算定支援と合わせてSDGsの取組を後押ししています。
 このような自治体と金融機関との連携は、民間事業者がSDGsを推進する上で大変重要であると思います。
 福岡市でも、既に地元の西日本シティ銀行、福岡フィナンシャルグループなどがSDGs関連事業を推進していますが、福岡市は金融機関との連携についてどのように考えているのか、伺います。
 
○副議長(山口剛司) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地元の金融機関では、SDGsに取り組む企業への融資やワークショップ等を通じたSDGsに資する事業創出へのサポートなど様々な支援を行われております。
 福岡市といたしましても、企業等のさらなる取組を後押しする金融機関との連携の在り方について検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 現在、浜松市、川崎市、堺市、新潟市などもSDGs認証を行うなど官民一体でSDGs推進を図っています。
 SDGsに取り組む企業等への認証制度は、SDGsを原動力に地域課題の解決に取り組み、その中で得られた収益を地域に再投資するという地方創生SDGsを通じた自律的好循環の形成を図るものと考えます。
 島市長に福岡市による認証制度も含めたSDGsの推進についての所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では、多くの市民の皆様とともに策定をした総合計画において、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを基本戦略として掲げ、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりに取り組んでおります。
 これは、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現を目指すというSDGsの理念と方向性を一にするものであり、総合計画の着実な推進によってSDGsの達成に向けて取り組んでいるところでございます。
 世界ではSDGsの理念のもと、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けて、地球環境への負荷の軽減や、また、人権への配慮などの経済的な価値以外の要素が様々な活動における重要な判断基準となっており、あらゆる分野で劇的かつ急速に意識や行動の変容が起こっております。
 ポストコロナの時代を見据え、こうした情勢変化に柔軟かつ適切に対応していくためには、市民や企業、NPOなど様々な、また多様な主体の参画と共創が不可欠であると考えており、高木議員御指摘の認証制度を含め、SDGsの達成に積極的に取り組む企業等を応援する仕組みについて、しっかりと検討してまいります。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ありがとうございます。
次にボトル to ボトルリサイクルについて伺ってまいります。
 海洋プラスチックごみ問題、気候変動問題、諸外国の廃棄物輸入規制強化等を契機に、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する重要性が高まっております。
 このため、多様な物品に使用されているプラスチックに関し、包括的に資源循環体制を強化する必要があり、本年6月にはプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が制定されています。
 この法律では、環境配慮設計やプラスチック使用の合理化、再資源化の推進など、あらゆる主体が資源循環体制を強化し、効果的で持続可能な資源循環を促進することを目的としています。
 福岡市では、循環のまち・ふくおか推進プランに基づき、発生抑制や再利用など3Rの取組を市民や事業者など、あらゆる主体と連携して推進することや、水平リサイクルなど効率的なリサイクルの実現、環境負荷の低減に向け、分別区分の在り方や、事業者と連携した自主回収の強化について検討を進めるとしています。
 また、福岡市ではプラスチック製品をできるだけ使わないリデュースの推進に向け、マイボトルの利用を促進するため、給水スポットの設置を進めています。
 今後も、車椅子の方などバリアフリーにも配慮した設置や、ペットボトルが何本削減できたか分かる表示なども工夫して進めてもらいたいと思います。
 まず、マイボトルの利用促進について現状と今後の方針をお示しください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) マイボトルに給水できる環境づくりを進めるため、区役所、植物園等に給水スポットを設置しているほか、マイボトルへの給水等に協力いただける飲食店を募集、登録し、マイボトル協力店として市のホームページで紹介しており、現在67店舗となっております。今後も、継続して給水スポットやマイボトル協力店の活用について市民の皆様に呼びかけ、マイボトルの利用を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 次に、プラスチックの中でも代表的なペットボトルの回収とリサイクルの状況について質問してまいります。
 福岡市は、使用済みペットボトルをどのくらい回収しているのか、お聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 福岡市内の家庭から出されたペットボトルを市が回収した量につきましては、令和2年度の実績で約3,700トンとなっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ペットボトルのリサイクルについて、市区町村が民間事業者に引き渡す独自ルートと指定法人ルートの2つが示されています。この独自ルート、指定法人ルートについての説明と、福岡市はどちらの方法で処理を行っているのか、お示しください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) ペットボトルのリサイクルにつきましては、独自ルートとして自治体がリサイクル事業者に直接処理を委託するものと、指定法人ルートとして自治体から容器包装リサイクル法に定める指定法人である公益財団法人日本容器包装リサイクル協会に対し、回収後のリサイクル処理を委託するものの2通りございます。
 福岡市におきましては、指定法人ルートによりリサイクル処理を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ペットボトルのリサイクルには、ペットボトルからペットボトルを作る水平リサイクルと食品トレイや繊維製品などの衣類等に再利用されるカスケードリサイクルがあります。また、実際には資源物として回収されずに燃えるごみなどに混入するものもあると聞いております。
 先日、葛飾区の水平リサイクルであるボトル to ボトル100%実施の取組について聞いてきました。葛飾区がボトル to ボトルを推進する理由として、従来から資源循環型社会を形成するため、水平リサイクルを推進してきており、平成18年度からスーパーなどの食品トレイを再びトレイにリサイクルするトレイ to トレイ、平成20年度からはプラスチック製容器包装の分別収集を開始、さらに令和2年2月に区内のCO排出量を実質ゼロにするゼロエミッションかつしかを宣言したことが、ボトル to ボトルに踏み切る大きな転機になりました。
 令和2年度までのペットボトル処理は、行政回収分をリサイクル事業者へ、その95%が食品トレイや繊維製品等にカスケードリサイクルされ、残り5%がボトルからボトルへの水平リサイクルでしたが、令和3年度からは行政回収分の100%をボトル to ボトルでペットボトルに再生させることが開始されています。その量は年間約1,700トン、500ミリリットルペットボトル換算で約6,800万本になると見込んでいます。
 そこで、水平リサイクルについて福岡市ではどう捉えているのか、お聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 水平リサイクルにつきましては、使用済みの製品を原料として用い、同一種類の製品を製造するリサイクルであり、市民に分かりやすく資源の循環が見えるリサイクルとして、化石由来資源の削減にも寄与する質の高いプラスチックのリサイクルであると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) この100%が実現できたもう1つのきっかけは、全国清涼飲料連合会のKIRIN、伊藤園、コカ・コーラなどの清涼飲料業界はペットボトルの100%有効利用を目指し、2030年までにボトル to ボトルの比率を50%にするというプラスチック資源循環宣言をしたことです。また、中国が使用済みペットボトルの輸入を制限したことも追い風になったと聞きました。これにより、ペットボトルを回収する行政側の資源循環推進と清涼飲料業界の思惑が一致し、協定が締結され、葛飾区のペットボトル100%有効活用であるボトル to ボトルが可能になりました。
 葛飾に行ったときに頂いてきましたペットボトル(現物表示)、一見、何が何か口頭で分かりにくいと思います。少しだけ大きくしてパネルにしてみましたけれども、(パネル表示)この一番下の部分に白い丸い囲みがあります。これが2か所、ペットボトルの中に表示をされておりまして、さらに、この丸いところだけを拡大したのがこれになります。(パネル表示)ここには「環境に優しい100%リサイクルボトル」というふうに書かれています。これが2か所にペットボトルの中に表示をされています。また、ラベルのちょうど接合部分というか、裏側部分になるんですが、(現物表示)「100%リサイクルボトルは環境に配慮し、再生PET樹脂を100%使用したペットボトルです」というふうに表示されています。福岡ではまだまだ見ませんけれども、東京では既に販売されています。いよいよボトル to ボトルが実際始まるんだなということを実感したところであります。
 全国の自治体では、ボトル to ボトルの取組が広がっています。兵庫県の高砂市、加古川市、稲美町、播磨町の2市2町はサントリーと本年4月にボトル to ボトルの実施に向けた協定を締結、姫路市は伊藤園やリサイクル事業者など4者で協定を締結し来年4月から、仙台市も伊藤園やペットボトル事業者と連携協定し来年4月から、それぞれのやり方でボトル to ボトル事業を開始します。
 そこで、福岡市においても独自のやり方も含め、水平リサイクルであるボトル to ボトルの取組を実施してはと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) ボトル to ボトルの取組につきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、質の高いリサイクルとして認識しております。新たなごみ処理基本計画である循環のまちふくおか・推進プランにおいても、実行計画に定める施策として新たなペットボトルリサイクルの仕組みを検討していくこととしております。
 一方で、独自ルートによる処理をする場合は、指定法人ルートと異なり、リサイクル事業者の安定的な確保などの課題もございますので、今後、市で回収したペットボトルの一部を対象としてボトル to ボトルの取組を試行的に実施する方向で検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 実施の方向で検討するとの答弁をいただきました。
 葛飾区では、さらに本年度は区役所内にペットボトルのボトル、キャップ、ラベルの3分別のリサイクルステーションを設置、また、ボトル to ボトル啓発ポスターを区内230か所の公共施設に掲示しています。中身を軽く水洗いし、異物がないきれいなペットボトルを回収することが有効活用最大化の鍵になるとのことです。
 使用済みペットボトルを資源物として適正に処理するためのさらなる啓発の強化も必要と考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 家庭からのペットボトルの排出につきましては、ラベルやキャップの取り外し、水洗いなど適正な手順により排出いただくよう広報、啓発を行っているところでございますが、ラベルやキャップなど不適物の混入も一定程度見られるのが現状でございます。
 効率的で質の高いリサイクルを推進するためには、市民の皆様に適正排出をしていただくことが重要であると認識しており、ボトル to ボトルのリサイクルを実施するに当たっては、資源の循環が見えるリサイクルという分かりやすさを生かして、市政だより等の広報物やSNSなどを通じ、啓発の取組をしっかり行っていく必要があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) さらに、全国ではペットボトル飲料を販売するセブンイレブンなどと連携し、ペットボトル回収機を店舗などに設置し、回収機に入れると自動的に圧縮され、5本入れるごとに電子マネーナナコに1ポイント付与といった仕組みも広がっています。
 このような販売する店舗との連携も進めてはと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 販売する店舗との連携につきましては、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律において、製造、販売事業者の自主回収の強化が定められていることを踏まえ、福岡市におきましても各事業者の回収の取組が推進されるよう連携、協力を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 今年9月議会での公明党の楠議員の質問でプラスチック系ごみの拠点回収や分別回収を含め一括回収を提案し、局長から国の動向も見ながらプラスチックごみリサイクルの検討を行うと答弁をいただきました。
 一方で、プラスチックごみ処理についての課題として、汚れの付着など約3割が不適物として焼却処理されており、プラスチックのリサイクル施設が市内に存在せず、九州内でも3施設しかなく、処理能力の課題もあると聞いております。そのことも理解はできますが、プラスチックごみの分別回収に向け、できることから始めていくことが大切ではないでしょうか。また、ボトル to ボトルもぜひ実現してもらいたいと考えます。
 つい先日、サントリーが100%植物由来のペットボトルを開発したとの報道もありました。
 福岡市は、ゼロカーボンチャレンジとして2040年度に温室効果ガス排出量実質ゼロへの全国に先駆けた取組を目標にしています。その実現のためには、民間事業者との連携を強化し、目の前の一つ一つの課題を着実に実行していくことが重要と考えます。
 島市長に活力ある未来へつなぐ循環のまちふくおか推進のための意気込みを伺います。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、人と環境に優しい持続可能な都市を目指し、環境負荷を軽減し、都市の発展を持続させる福岡式循環型社会システムの構築に取り組んでおります。
 高木議員御指摘のとおり、脱炭素社会の実現に向けては様々な課題に対し、解決に向けた取組を着実に推進していくことが重要であると考えており、プラスチックごみの分別回収につきましては、まずはモデル事業を実施する方向で検討を進めてまいります。
 また、ボトル to ボトルリサイクルについても、試行実施に向け、しっかりと検討を進めてまいります。
 今後とも、循環のまち・ふくおか推進プランに基づき、福岡市に関わる全ての市民、事業者、団体等の皆様とともに、持続可能な社会を実現し、安全、安心な生活環境を将来世代に引き継いでいけるようにしっかりと取組を進めてまいります。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) ありがとうございます。
続きまして、浸水対策の強化について伺ってまいります。
 今年9月の気象庁の異常気象分析検討会では、地球温暖化の影響で大気中の水蒸気量が増え、これまでにない雨量が各地で観測される可能性が高まっていると指摘されました。
 令和元年10月の台風19号では、関東・東北地方を中心に142か所で堤防が決壊し河川が氾濫する極めて甚大な被害が発生、また、15都県135市区町村で内水氾濫が発生し、約3万戸が浸水しました。近年各地で発生する局地的豪雨に下水道の処理能力が追いつかず、市街地に水があふれる内水氾濫は、都市化でコンクリート舗装が進み、雨水の地中への浸透量が減ったことが要因の一つとされています。
 福岡市において、平成11年に博多駅周辺などで発生した大規模な浸水被害は、浸水対策強化のきっかけとなっており、私の記憶に強く残っています。
 まずは、福岡市における平成11年以降の浸水被害状況について説明願います。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市におきましては、時間雨量79.5ミリメートルを記録した平成11年6月29日をはじめ、平成15年、21年の集中豪雨により、博多駅周辺地区を中心に合わせて6,000棟を超える浸水被害が発生いたしました。
 一方で、平成22年以降はレインボープラン博多、天神やDoプランに基づき、雨水管や貯留施設、ポンプ場などの整備を進めてきた結果、平成25年8月には時間雨量72.5ミリメートルの集中豪雨もございましたが、大きな浸水被害が発生しておりません。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市は浸水対策としてレインボープラン博多が完了、レインボープラン天神も令和8年度をめどに第2期工事を完了させ、第3期を目指すなど大規模浸水対策を進めているとともに、雨水整備Doプランとして市内の浸水地域の浸水対策を図るなど全国トップクラスの実績がありますが、近年の地球温暖化の異常気象による局地的な大雨被害など、今後も十分備える必要があります。
 福岡市の雨水をためるための下水道事業の貯留施設の主な整備箇所と貯留容量についてお聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 主な貯留施設でございますが、雨水整備レインボープラン博多に基づき整備した山王雨水調整池及び雨水整備レインボープラン天神に基づき整備した中部2号幹線などで、貯留容量は令和2年度末時点で約13万立方メートルとなっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市は13万立方メートルとの答弁でしたが、横浜市は浸水対策として平成3年度から平成25年度の工事期間を経て、延長20キロ、貯留容量約41万立方メートルに及ぶ大規模貯留管である新羽末広幹線を整備しています。ちなみに、これは福岡市の貯留容量の3倍の規模です。鶴見川流域の治水安全度の向上のため、1時間雨量50ミリから60ミリへ、5年確率降雨から10年確率降雨に対応させるものです。
 工事期間が長期にわたることや財政面での課題もありますが、福岡市民の生活や財産を守り抜くため、横浜市の新羽末広幹線のような大規模な貯留施設を新たに計画するなど整備水準を上げて、さらなる施設整備を検討すべきではないかと思いますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 気候変動の影響による水災害の激甚化、頻発化などを踏まえ、令和3年5月、流域治水関連法が改正され、国は将来の降雨量増加に対応するため、整備水準の見直しについて検討するよう各地方公共団体に求めております。
 そのため、福岡市においても整備水準の引上げ並びに施設整備計画の策定に向け、まずは浸水想定区域図を作成し、現在、浸水対策を実施している地区に加えて、新たに対策が必要となる地区の検討を進めてまいります。その後、整備期間や費用等を考慮し、排水、貯留及び浸透の3つの施設を組み合わせた最適な施設計画の検討を行うなど、将来にわたり浸水安全度のさらなる向上に向けてしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) どうぞよろしくお願いいたします。都市型水害の特徴として、都市は舗装された道路や宅地が多く、降った雨は地中に浸透しにくいため、川や水路、下水道に一気に集まることにより発生する都市特有の水害とされており、浸透施設の整備も重要です。
 公共施設における雨水流出抑制のための浸透側溝などの雨水浸透施設の整備状況をお聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市の公共施設における雨水浸透施設といたしましては、下水道や河川に加え、道路、公園、学校等において、令和2年度末時点で浸透側溝約154キロメートル、雨水浸透ますを356基、透水性舗装を約136ヘクタール整備いたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 福岡市では、これらの雨水流出抑制のための市の整備と併せて、市民や市内事業者を対象に雨水流出抑制のための雨水貯留タンクや雨水浸透ますの設置をする際に費用助成を行うとともに、開発許可においては雨水流出抑制施設の設置を義務づけている場合があると聞いています。
 これは市民の皆様とも浸水被害を軽減させるという意識を共有する施策であり、さらなる周知、啓発を行い、市民や事業者の雨水流出抑制の取組を強化してもらいたいと考えますが、これまでの市の取組状況と今後の対応についてお聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) まず、開発行為に該当する場合は、福岡市開発行為の許可等に関する条例に基づき、開発区域下流の水路や河川の排水能力に応じて調整池や浸透ますなどの雨水流出抑制施設の設置を義務づけております。
 また、市民や事業者の自発的な取組を促進するため、市政だよりやホームページ等により、浸水対策の意義や効果について周知、啓発を行うとともに、雨水流出抑制施設助成制度に基づき雨水貯留タンクや雨水浸透ますの設置費用に対する助成をしており、助成件数は平成28年度から令和2年度の5年間で合計約200件となっております。
 今後も、市民の皆様により一層御協力いただくため、ホームページの充実によるさらなる周知、啓発に取り組むなど雨水流出抑制にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 平成27年の水防法改正では、内水氾濫により相当な被害を生じるおそれがある主に地下街等が発達した地区において、浸水被害の危険を知らせる水位周知下水道を指定し、1000年に一度の規模に相当する降雨に対し、内水浸水想定区域を指定する制度が創設されました。
 福岡市では、令和2年6月、かつて甚大な浸水被害が発生した大規模地下街を有する博多駅周辺地区の比恵1号幹線を全国で初めて水位周知下水道に指定し、内水氾濫危険水位に到達した場合は、その情報を市民や地下街管理者などに福岡市防災メールで配信しています。内水氾濫危険情報の配信の仕組みと効果についてお聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 内水氾濫危険情報の仕組みでございますが、福岡市防災メールに登録し、下水道水位情報の配信を選択した方に対して、下水道が氾濫危険水位に達した場合に直ちに防災メールで自動配信するものでございます。
 また、効果については、この氾濫危険情報を配信希望者がいち早く入手することにより、例えば、地下街管理者が止水板を設置し、浸水を防止するとともに、利用者を円滑に避難誘導するなど地下街等における浸水安全度の向上が図られるものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 先ほどの横浜市では、駅周辺4か所のマンホールの蓋の裏に水位計を設置し、下水道からあふれるおそれがある場合、横浜市ホームページに水位情報が表示され、マップ上の色が溢水以下の場合は緑色、浸水のおそれがある場合は赤色に変色させ、危険を知らせます。
 一人でも多くの市民や来街者がリアルタイムで見ることができる仕組みをつくるべきと考えますし、現在の博多駅周辺だけでなく、天神地区や地下鉄駅などにも拡大すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 下水道水位情報につきましては、現在の防災メールによる周知に加え、市民や来街者の方々がホームページにより、リアルタイムで閲覧できるよう速やかに検討を進め、次の梅雨時期までにホームページに掲載してまいります。
 また、対象区域の拡大につきましては、まずは大規模な地下街を有する天神周辺地区について鋭意検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 内水氾濫は降雨から浸水発生までの時間が短く、河川から離れた場所でも発生することから、地下街やアンダーパスなどでも特に注意が必要であり、対策強化をお願いします。
 国交省は来年1月頃から自治体や民間事業者と連携し、大雨による浸水被害を迅速に把握し被害を軽減させるため、浸水想定区域などに小型センサー設置の実証実験の参加団体を募集するなどIoTを活用した取組が進められています。
 そこで、福岡市においてAI、IoT技術を活用した浸水リスク低減のためにどのような取組を行っているのか、お聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市では、AIやIoT技術を活用し、雨水ポンプ場への流入量を予測することにより運転制御を高度化する実証実験を令和2年度から開始しております。
 具体的には、下水道水位や気象レーダー等のデータを組み合わせてポンプ場への流入量を予測し、集中豪雨で急激な水位上昇が発生した場合や水位が頻発に変動した場合等においても、雨水ポンプの運転制御を効果的に行うことにより、浸水リスクの低減を目指していくものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) この項目の質問で、福岡市の下水道の浸水対策は他都市をリードする施策が進められていることが分かりました。さらなる市民の安全、安心のため、浸水対策の強化にどう取り組むのか、島市長の所信を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、集中豪雨は全国的に増加傾向にあり、また、福岡県においても平成29年から5年連続で大雨特別警報が発表されるなど浸水リスクは高まりつつあることから、高木議員御指摘のとおり、浸水対策の強化は喫緊の課題であると認識をしています。
 福岡市では、平成11年の豪雨などを踏まえ、これまでも雨水整備Doプランにより浸水対策を進めるとともに、博多駅周辺や天神周辺地区ではレインボープランにより、全国最高水準である時間雨量79.5ミリメートルに対応した施設の整備を進めるなど、浸水安全度を着実に向上させてまいりました。
 今後とも、市民の安全、安心を守るため、将来的な降雨量増加への対応も含め、下水道施設による浸水対策を推進するとともに、関係者と連携をしながら流域全体で治水対策に取り組み、防災先進都市・福岡を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) どうぞよろしくお願いいたします。
次に、観光関連事業者支援についてです。
 今回のコロナ禍で特に深刻な打撃を受けた業種として宿泊事業者、旅行会社、貸切りバス事業者、土産物店、飲食店などが挙げられます。観光関連事業者の中では、給料やボーナスのカット、早期退職を募ったり、人員削減、会社の倒産などの事業者もあったと聞いています。
 先日の西日本新聞の島市長へのインタビュー記事では、小売、宿泊、飲食など第3次産業が生産額の9割超を占める福岡市は、交流人口を増やすインバウンドやMICEの誘致に力を入れてきただけに、コロナ感染症拡大前後で状況が一変し、これまでの市政運営で最も厳しかったということが紹介されており、観光関連事業者などへの支援は福岡市の経済全体への回復に好影響を与えると考えます。
 まずは、このコロナ禍の厳しい現状の中で、福岡空港及び博多港からの外国人入国者について、令和元年と2年の人数についてお聞きします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡空港及び博多港からの外国人入国者につきましては、令和元年が約269万人、2年が約32万人にとなっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 次に、福岡市のMICE施設の稼働状況について、令和元年と2年の利用率を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) MICE施設の稼働状況につきましては、マリンメッセ福岡A館は令和元年度が83.3%、2年度が14.7%、福岡国際センターは元年度が80.7%、2年度が20.3%、福岡国際会議場は元年度が77.7%、2年度が31.8%となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 次に、福岡市内宿泊施設の稼働率について伺います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市内宿泊施設の稼働率につきましては、観光庁の統計によりますと、令和元年が79.6%、2年が34.8%となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 九州運輸局の新型コロナ感染症による九州の公共交通事業者、観光事業者への影響についての調査では、今年6月の輸送人員をコロナ前の令和元年同月と比較すると、タクシーが41%減、高速バスが49%減、旅客船は58%減、貸切りバスは何と76%減など、観光目的の方が利用する割合が大きい貸切りバスは著しい落ち込みになっています。特に貸切りバスの同年同月の運輸収入は82%減など壊滅的な数字になっています。
 そこで、貸切りバスの稼働状況について伺います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 貸切りバスの稼働状況についてでございますが、県内の貸切りバス事業者へのヒアリングによりますと、インバウンドを多く取り扱う事業者は新型コロナウイルスの影響により、稼働率が大幅に下がり、経営に支障が出ているところもあると聞いております。
 また、国内客の取扱いが多い市内の事業者などにつきましても、修学旅行や学校行事のキャンセルなどに伴い稼働率が下がっていたものの、最近は学校関係の需要は戻りつつあると聞いております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 回復の兆しはあるようでありますが、今まで答弁いただいたように、観光関連事業者全体で極めて厳しい現状であり、国のGo To トラベルなどの再開が期待されるところです。
 そこで、年明け早々にも再開が予定されている国のGo To トラベルの概要を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 国のGo To トラベルの概要についてでございますが、政府の最新の発表によりますと、割引上限額を1万円とした30%の旅行割引と最大3,000円の地域共通クーポンが付与される観光需要喚起策となっております。
 実施時期につきましては、年末年始の感染状況を改めて確認した上、全国規模でゴールデンウイーク前までの実施の予定となっております。
 なお、令和2年度実施のGo To トラベル事業と異なり、ワクチン・検査パッケージの活用や低価格帯の実質割引率の引上げなど中小事業者への配慮、平日は地域共通クーポンを上乗せするなど平日への分散などの措置が講じられております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 国のGo To トラベルとは別に、各都道府県でも現在、観光関連事業者への様々な支援を実施しています。
 例えば、北海道では苦境に陥っている貸切りバス事業者支援のため、車検整備費などとして道内の約2,600台の貸切りバスに1台4万円の補助を行います。岩手県では新型コロナウイルス感染症対策として観光関連事業者への様々な支援を実施、地元の宿応援割、観光バス運行支援、県民を対象とした県内旅行の旅行代金割引や土産物店等で利用可能なクーポン券の発行、観光バス等旅行商品造成支援などを実施、また、兵庫県でもふるさと応援県民割、ふるさと応援旅クーポンのほか、県外からのバス旅行誘致の事業などで、いずれも国の事業を活用したものです。
 一方、福岡県では福岡避密の旅という県民向け観光キャンペーンを実施し、最近、県外在住者にも対象を拡大しましたが、概要についてお聞かせください。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡避密の旅の概要につきましては、1人1泊当たり最大7,000円補助が受けられる観光需要喚起策となっており、期間は令和4年2月14日までとなっております。
 また、これまでは福岡県民を対象としておりましたが、12月10日販売分から、隣県である佐賀県、
長崎県、熊本県、大分県、山口県民についても、ワクチン・検査パッケージの活用条件に対象として追加しております。
 なお、福岡県民についても、12月17日販売分以降はワクチン・検査パッケージの活用が条件となっているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 観光関連事業者等への支援は、どちらかといえば国や都道府県が主体となった事業と思われがちですが、実は政令市や一般市などでも独自に様々な支援が実施されています。
 仙台市は日本一の体験プログラム創出を目指した取組や宿泊代1万円を割り引くTravel仙台選べるトク旅キャンペーンを実施中で、今後、感染が落ち着けば東北6県に拡大を予定しています。また、旅行中に様々な場面で利用可能なクーポンも同時併用。また、静岡市は、静岡市はいいねぇ。しずトクキャンペーンとして貸切りバス、タクシーで市内目的の観光ツアーを企画した旅行業者と市内バス事業者に助成金など市内の新たな観光商品をつくることで、今まで立ち寄ることがなかった場所にも訪れてもらいたいとの趣旨からです。ほかにも、宿泊、貸切りバス、ツアー等への助成金は、千葉市、神戸市、高知市、長野市など多くの都市が実施中です。
 そこで、貸切りバス事業者支援を含め、これまで福岡市が実施してきた観光関連事業者への支援策を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) これまで実施してきた観光関連事業者への支援につきましては、事業者の事業継続に向けた支援として、売上げが減少した事業者への支援や融資制度の拡充、来店型店舗等の感染症対策強化支援などを実施しており、観光関連事業者にも活用されているところでございます。
 また、特に観光関連事業者を対象とした支援として、宿泊施設の衛生対策支援を実施するとともに、需要喚起策として、修学旅行等による都市圏周遊の推進や宿泊事業者によるプランの造成、販売を支援し、利用促進を図る「福岡STAY」安全安心利用キャンペーン、MICE施設のオンライン設備導入や主催者側への開催経費を支援するMICEハイブリッド開催支援などを実施しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) アジアのゲートウェイ都市を目指し、観光・集客で福岡市を盛り上げる施策を推進してきた福岡市だからこそ、今こそ独自に観光関連事業者を支援するさらなる施策を実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光関連事業者へのさらなる支援につきましては、新型コロナウイルスの影響により観光関連産業は大変厳しい状況にあると認識しており、経済効果の高い宿泊需要を喚起するための切れ目ない支援策として、12月補正において、新たな生活様式に対応した宿泊施設の多様な利用促進事業を計上したところでございます。
 今後、博多旧市街などの歴史文化や食の魅力など、地域の観光資源の掘り起こしや磨き上げにつなげるため、国や県の支援策の動向及び各業種の置かれている状況などを注視しながら、貸切りバスを活用した団体旅行を促進するなど観光関連事業者に対する福岡市独自の支援について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) 現在、まだまだインバウンドなどコロナ終息の見通しが立ったとは言えない状況でありますが、来年こそは福岡市経済のV字回復を成し遂げてもらいたいと心から願っていますし、我々も力を尽くしたいと思っています。
 最後に、今後の福岡市のさらなる発展へ観光の振興にどう取り組まれるのか、島市長の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、新型コロナウイルス感染症の影響で大きく減少している交流人口の回復は、観光産業をはじめとした市内経済の活性化に不可欠であると認識をしております。
 高木議員御指摘のとおり、観光産業は宿泊や飲食、交通など裾野が広く、今回、影響を大きく受けた産業でもあるため、福岡市といたしましては事業の継続や需要の喚起に向けた支援を切れ目なく実施しております。
 今後も、感染の拡大防止と社会経済活動の維持の両立を基本とし、コロナによって変容した観光を取り巻く環境やニーズを踏まえながら、また、来年5月に開催をされる世界水泳選手権に向けては、福岡・九州の自然、歴史、文化等の地域資源を生かした魅力の発信を行うなど、観光・MICEの振興に取り組むことでコロナ禍のピンチをチャンスに変え、福岡市経済の回復、そして、さらなる成長につなげてまいります。以上です。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司)登壇 私は自民党新福岡を代表して、筥崎宮地区における都市景観の取組について、都市計画道路吉塚松崎線の整備促進について、以上2項目について質問してまいります。
 まず、筥崎宮地区における都市景観の取組についてであります。
 東区の箱崎は、古くから筥崎宮の門前町、唐津街道における宿場町、昭和15年に福岡市に編入されるまで粕屋郡の政治、経済の中心地、さらに明治以降は九州大学のある学問のまちとして千年以上の歴史と伝統を誇るまちであります。
 筥崎宮は、西暦921年に応神天皇、神功皇后、玉依姫命を祭神として、筑前国穂波郡の大分宮から箱崎の松原への遷座の神託があり、西暦923年に現在の箱崎の地に遷御しました。筥崎八幡宮とも称し、宇佐、石清水両宮とともに日本三大八幡宮に数えられ、放生会や玉せせりなどのお祭りは地域の伝統として受け継がれており、全国的に有名なお祭りとして知られています。
 また、江戸時代に唐津街道が整備されると、交通の要所である宿場町として発展し、町家が連なる箱崎宿のまち並みは箱崎千軒とも呼ばれ、沿岸漁業と近郊農業を営みながら暮らす住民と商店街が筥崎宮を中心として地域の人と人の結びつきをつくり、箱崎のまちを形成してきました。
 現在でも、旧唐津街道の周辺は神社仏閣や町家によって形成された歴史的に価値の高いまち並みが残されています。筥崎宮の参道沿いにある恵光院というお寺では、豊臣秀吉が箱崎宿陣の折、千利休が茶を奉ったところとしても有名であり、箱崎校区では御茶屋跡や茶屋小路といった町内会の名称が現在も残っています。
 この千年以上の歴史と伝統の中で、近年では九州大学箱崎キャンパス移転などをきっかけとして、校区の課題やまちの将来像を考えるため、平成9年に箱崎まちづくり推進委員会が設立され、箱崎マップの作成、まちづくりワークショップの開催、箱崎まちづくり計画の策定に続き、来年1月23日には、まち歩きボランティアと唐津街道箱崎宿お宝探索プロジェクトコラボ企画である箱崎宿歴史散策が予定されるなど、地域コミュニティを活発にする活動が行われてきました。
 令和元年には、快適で美しい住環境を維持向上することを目的として、人がふれあい活気あふれる歴史と伝統のまち箱崎を将来像として掲げ、歴史、景観に配慮されたまち並みづくりを実現させるため、特定まちづくりルールを含む、新たな箱崎まちづくり計画が策定されました。
 令和2年には、筥崎宮を中心とするエリアの筥崎宮地区において、箱崎校区と馬出校区の自治会長など地域住民の発意により、筥崎宮地区歴史景観づくり準備会が設立され、行政の支援の下、地域主体で景観づくりを進めており、現在は都市景観形成地区の指定に向けて歴史と伝統を生かしたまち並みのルールづくりに取り組んでいるところですが、改めて、本市の都市景観形成地区の制度内容についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 都市景観形成地区とは、景観法及び福岡市都市景観条例に基づき、都市景観の形成を重点的に図る必要がある地域において、都市景観の形成に関する方針及び基準を定め、市が指定するものであります。指定した地区では、建築物の新築等を行う際に市への届出が必要となり、市と届出者との協議を通して良好な景観形成を図っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 都市景観形成地区につきましては、福岡市都市景観条例等に基づき市が指定するとのことでございますが、本市における都市景観形成地区の指定状況及び筥崎宮地区の取組と同様に歴史的なまち並み形成を目指して指定された地区があるのか、お尋ねします。また、景観づくりに当たっての地域の取組に対してどのような支援がなされているのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 本市では、これまで地域の特性に応じて8地区で都市景観形成地区を指定しており、このうち歴史的なまち並みの形成を図る地区として、平成10年に御供所地区、令和2年に承天寺通り地区の2地区を指定しております。景観づくりに係る地域の取組に対しましては、アンケートなどによる地域の意向調査やまちなみのルールの素案作成に対するアドバイス、同意取得の促進に向けた支援などを適宜行っております。また、市が委嘱した都市景観アドバイザーによる技術的援助や、認定した景観づくり地域団体に対する活動費の一部助成を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 歴史的なまち並み形成を図る地区として、これまでに2地区が都市景観形成地区に指定されているとのことですが、特に御供所地区においては、博多の秋の風物詩ともなっている博多旧市街ライトアップウォークや博多灯明ウォッチングなどのイベント開催や、石畳風舗装による道路の美装化など地域と行政が一体となった様々な取組により、市民や観光客への魅力発信が行われ、歴史資源を生かした景観づくりの好事例となっています。
 平成10年に都市景観形成地区に指定され、20年余りが経過している御供所地区ですが、これまでに御供所地区の景観づくりにおいて市はどのような支援を行ってきたのか、支援の概要についてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 都市景観形成地区に指定した御供所地区につきましては、歴史的なまち並みと調和した景観形成を図るため、伝統的な町家等の外観の保全などを行っております。その取組において、景観づくり地域団体に認定した御供所まちづくり協議会に対し、活動費の助成を令和6年度から3年間にわたり行っております。また、神社仏閣や町家等の伝統的建築物の修理費や民間建築物の建て替え等の際の修景費に対しても助成を行っており、平成12年度から令和2年度までの21年間で36件の助成を行っております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 先日、私も筥崎宮地区歴史景観づくり準備会が企画した御供所地区のまち歩きに参加させていただきましたが、実際に現地を歩いてみて、神社仏閣や伝統的な町家と調和したまち並みを存分に楽しむことができました。公民館や消防団分団車庫などの公共施設についても、歴史的な景観と調和した外観となっておりました。住民主体による景観づくりを行政が支える長い取組により、御供所地区のまちの価値がますます高まっていることを実感できて、とても感心いたしました。
 筥崎宮地区においても、御供所地区と同様の取組を進めていくことにより、まちの魅力が向上していくのではないかと考えておりますが、本市の景観行政における筥崎宮地区の位置づけについてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) まず、先ほどの御供所地区の景観づくりに対する支援の概要についてのお尋ねの中で、御供所まちづくり協議会に対する活動費の助成について、令和6年度から3年間にわたりと申し上げましたが、平成6年度からの3年間でございました。
 それでは、本市の景観行政における筥崎宮地区の位置づけについてお答えいたします。本市では、歴史資源を生かした景観づくりを推進するため、福岡市景観計画において平成28年に筥崎宮地区を含む5地区を歴史、伝統ゾーンに位置づけております。筥崎宮地区につきましては、歴史的資産である筥崎宮を核に、参道などの周辺も含め一体的に歴史と伝統を生かした景観形成を図る地区としており、地域と市との共働によってまち並みのルールづくりを進めていくこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 筥崎宮地区についても、御供所地区と同様に福岡市景観計画における歴史・伝統ゾーンに位置づけられ、積極的に景観形成を進めていることが分かりました。
 現在、筥崎宮地区では筥崎宮地区歴史景観づくり準備会が設立され、行政の支援の下、地域主体で景観づくりを進めておりますが、開催実績と検討状況についてお尋ねします。また、準備会ではどのような意見が出されているのか、併せてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 筥崎宮地区歴史景観づくり準備会につきましては、令和2年12月に設立され、これまでに会議が6回開催されております。現在、歴史資源を生かした景観づくりに向けてワークショップの開催や先進事例の調査研究などを行いながら、指定エリアやまち並みのルールの素案が検討されているところであります。また、準備会の参加者からの意見として、まちの将来像やルールづくりに当たって配慮すべき事項などのほか、筥崎宮に隣接する通りや旧唐津街道を含むエリアにおいて、まち並みのルールづくりが必要であるとの意見が出されております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今後とも、筥崎宮地区において筥崎宮や旧唐津街道の歴史を伝えるまち並みを守り育てていくためには、御供所地区と同様にソフト面とハード面の両面で地域の取組を支援していく必要があると考えますが、まず、ソフト面での支援について、御供所地区のような地域の取組に対する活動助成制度の活用が考えられますが、筥崎宮地区においても活動助成は可能なのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 筥崎宮地区におきましても、景観づくり地域団体として認定された場合には、都市景観形成地区の指定に向けた活動に要する経費の一部を助成することができます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 筥崎宮地区においても、地域の団体が景観づくり地域団体に認定された場合には活動助成制度の活用が可能であるとのことですが、一方で、ハード面での支援について、御供所地区のように建築物の修景等の工事費に対する助成事業が考えられますが、都市景観形成地区に指定された場合、筥崎宮地区においても修景等の工事費への助成は可能なのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 御供所地区におきましては、都市景観形成地区において定めている景観形成基準に加え、より歴史的なまち並みの創出や調和に寄与する修景等に対して助成を行うことにより、歴史資源を生かした景観の形成及び地区の魅力向上を図っております。現在、修景等の工事費に対する助成は御供所地区都市景観形成地区のみで実施しておりますが、筥崎宮地区につきましても、地域と共働でまち並みのルールづくりを進める中で必要性などについて検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 御供所地区の魅力は、民間の建築物による景観配慮はもちろんのこと、公共の建築物による景観配慮や石畳風舗装による効果も大きいと感じており、地域の努力に加え、行政の本気度も感じられました。
 御供所地区の名前の由来につきましては、江戸の本草学者の貝原益軒が著しました筑前国続風土記によりますと、その昔、筥崎八幡宮のお供え物を調えたので、御供所という名前がついたとされています。御供所と筥崎宮の御縁がとても長くて深いことが史実を通してうかがい知ることができます。
 その筥崎宮においては、毎年行われる祭りがまちの風物詩になっており、特に博多三大祭りの放生会は延べ100万人が訪れる九州随一の祭りであり、正月に執り行われる締め込み姿の競り子たちによる勇壮な祭りの玉せせりも、なくてはならない祭りの一つであります。
 筥崎宮地区では、伝統的な町家を生かした物販や飲食の店舗も増えてきており、歴史的な価値が高い筥崎宮や旧唐津街道を中心としたまち並みは、市民の貴重な財産となるだけではなく、統一感のある町家が並ぶ通りは、観光需要の増加や商店街の活性化にもつながるのではないかと期待しております。また、北側の九州大学箱崎キャンパス跡地で新しいまちづくりが進められる中で、改めて筥崎宮地区においては歴史的資産に対する評価や景観づくりの意義が高まっておりますし、何より地域住民がこの地域に愛着を持ち、歴史と伝統を守り育てようとする営みの蓄積が未来に向けた景観づくりの原動力となっております。
私も何度か筥崎宮地区歴史景観づくり準備会の活動に参加をさせていただき、毎回、闊達な意見交換がなされていることを承知しておりますが、景観づくりを進めるためにはソフト面とハード面の両面において何かと負担が生じるのではないかと考えています。
先進事例である御供所地区のように、筥崎宮地区においても地域の取組に対する一層手厚い支援を行っていく必要があると考えますが、最後に、今後の筥崎宮地区における景観づくりの取組に対する支援について、その意気込みをお尋ねして、この質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 本市には、悠久の歴史と伝統で培われた多くの資源があり、それらの魅力的な歴史資源を生かした景観づくりが極めて重要と考えております。筥崎宮や旧唐津街道の町家のたたずまいが残る筥崎宮地区におきましては、地域住民の景観づくりに対する意識が高く、都市景観形成地区の指定に向けて熱心な活動が継続されております。今後とも、筥崎宮地区のまちの魅力がより一層高まるよう、地域主体の取組をしっかりと支援しながら歴史資源を生かした景観づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) ありがとうございます。次に、都市計画道路吉塚松崎線の整備促進についてであります。
 九州大学箱崎キャンパス跡地では、土地利用事業者の公募とともに、先進的なまちづくり、Fukuoka Smart Eastの取組により、新しいまちづくりが行われようとしています。
 跡地南側のJR箱崎駅周辺には、東区役所、福岡県粕屋総合庁舎、県立図書館等の公共公益施設が集積しており、第9次福岡市基本計画において、箱崎地区は東区の地域拠点として位置づけられています。跡地を取り囲む箱崎、筥松、東箱崎、松島校区においては人口も増加傾向となっております。また、地元から強い要望があったJR新駅についても、設置が実現することとなりました。このように箱崎地区は、非常に魅力あふれるまちづくりへの期待が大きく、今後とも、さらなる発展が見込まれる注目のエリアと思います。
 そのような中、周辺の広域幹線道路等は都市高速道路や国道3号のほか、都市計画道路別府香椎線、いわゆる国道3号バイパスなどが整備されていますが、例えば、九州大学箱崎キャンパス跡地からJR鹿児島本線を挟んで東側の筥松校区においては、幅員の狭い道路が多く、生活エリアから主要な幹線道路に出るまでに狭い道路をぐるぐると回りながら進まなければなりません。
 また、そのような狭い道路は通学路にもなっており、子どもたちを安全、安心に育てるためには、道路においてもよりよい環境づくりをする必要があると考えます。そのためには、生活道路の安全対策はもちろん重要ですが、同様に、主要な幹線道路と地域をつなぐための補助的役割を持つ幹線道路の整備を進めることが必要と考えます。
 そこで、筥松校区を南北に貫く吉塚松崎線についてお尋ねしてまいります。
 まず、都市計画道路吉塚松崎線の概要についてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路吉塚松崎線は、6車線の国道3号バイパスや4車線の都市計画道路堅粕箱崎線など主要な幹線道路を補完するとともに、地域内の交通を円滑に処理する道路として昭和21年に都市計画決定がなされております。延長は博多区吉塚六丁目から東区松崎二丁目までの約3,790メートルで、計画幅員15メートルの2車線道路となっており、このうちJR篠栗線との交差部付近約300メートルの区間については、幅員24メートルの計画となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 次に、道路整備アクションプラン2024における吉塚松崎線の位置づけについてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 吉塚松崎線につきましては、東西方向の主要幹線道路である千代粕屋線及び箱崎阿恵線の整備完了に伴い、両幹線道路を南北に結ぶ区間について先行的に整備する必要が高まったことや、九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりの動向などを踏まえ、同区間をアクションプラン2016で事業着手路線として位置づけ、アクションプラン2024では事業継続中としております。現在は、同区間1,170メートルのうち、概成部分を除いた延長850メートルについて事業を実施しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 吉塚松崎線は博多区吉塚から東区松崎までの延長約3.8キロメートルの幹線道路ですが、周辺の主要な幹線道路の整備が進んだことで、まずは概成されている部分を含めた吉塚から原田までの約1.2キロメートルについて先行的に整備する必要性が高いとのことです。
 そこで、現在事業を進めている概成部分も含めたこの区間について掘り下げていきたいと思います。
 (パネル表示)このパネルは吉塚松崎線を中心とした周辺幹線道路の地図であります。このピンクのエリアが九大箱崎キャンパス跡地のエリアですが、ここからちょうど東側、JR鹿児島本線と並行する堅粕箱崎線と国道3号バイパスの中間ほどに吉塚松崎線が南北に計画されています。先ほどの当局の御答弁のとおり、起点部の博多区吉塚から終点部の東区松崎までが全長約3.8キロメートルとなり、先行的に整備する必要がある区間というのは、この千代粕屋線の東吉塚小学校付近から箱崎阿恵線と交わるところの筥松小学校付近の約1.2キロメートルの区間であります。黄色で示している箇所は概成部分となっており、当局が答弁されていたJR篠栗線との交差部も含まれていますが、この概成部分については、現状、既に広がった道路となっております。これは、昭和38年度から昭和43年度にかけて行われた組合施行による箱崎南部土地区画整理事業により、整備が進められたことで、現状で計画幅員が既に確保されているところであります。赤線で示してある箇所は、現在事業が進められているところで、ここは既存の道路がなく、新しい道路を整備していくことになるため、整備に当たっては用地買収なども多く発生することになると思われます。ただ、苦労された分、新設の道路が整備され、黄色の概成部分とつながることで非常に大きな効果が見込まれるのではないかと考えます。
 アクションプラン2016で着手に位置づけられた経緯もそのあたりにあると思いますが、吉塚松崎線沿線地域の道路交通状況について当局はどのような認識を持っておられるのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 吉塚松崎線沿線には、小学校や中学校がありますが、当該地域は準工業地域であることから工場や倉庫等も多く立地しております。このため、通学路を大型車が頻繁に通行するなど、交通安全上の課題を抱えている地域であると認識しております。また、並行する国道3号バイパスや堅粕箱崎線などにおける慢性的な交通渋滞に伴い、当該地域への通過交通が多いことから、交通円滑化の観点からも同地域における幹線道路の整備が重要であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) それでは、吉塚松崎線の現在事業を進めている区間が整備完了することで、どのような効果があるのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 現在事業中の博多区吉塚から東区原田までの区間の整備により、新たな南北の幹線道路が完成するとともに、当該路線が千代粕屋線及び箱崎阿恵線と接続されることとなります。これにより、周辺の幹線道路で交通渋滞が緩和されるとともに、生活道路から通過交通が排除されることにより、安全性が向上するなど大きな効果が得られるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 冒頭にも申しましたが、吉塚松崎線が計画されている筥松校区では狭い道路が多く、通学路となっている道路は歩道が連続していない箇所も見受けられます。新たに南北の幹線道路が整備されれば、交通の円滑化はもとより、生活道路の安全性の向上も図られるため、吉塚松崎線の現在事業が進められている区間の早期整備完了は地域にとって非常に重要な意味を持ちます。
 この区間の整備が果たしていつ完成するのか気になるところですが、吉塚松崎線の現在事業が進められている区間の見通しについてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 現在事業中である吉塚から原田までの区間のうち、事業効果の早期発現のため、まずは千代粕屋線に接続する吉塚付近から用地取得を進めており、令和3年度は宇美川に新たに架ける橋梁の設計などにも取り組んでおります。また、原田付近につきましては、令和3年度に綿打橋の設計等に着手しており、今後、綿打橋架け替えの工法の検討や用地取得等を行うこととしております。引き続き、必要な予算の確保に努め、まずは吉塚付近について令和7年度の完了を目指して整備を推進してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 宇美川に橋梁を架ける箇所でございますが、(パネル表示)それがこの辺りとなりますけれども、確かにここに橋が架かることで宇美川や須恵川、綿打川などに囲まれ、行き止まりの多かった筥松校区から地域住民が博多駅方面など都心部へ随分行きやすくなると思います。橋梁の工事は一般的に時間がかかるとお聞きしますので、地域の意見も踏まえつつ、河川両岸の用地取得を優先的に進めるなどして、ぜひ早めに工事に取りかかっていただきたいと思います。
 次に、概成部分についても、確認していきたいと思います。
 (パネル表示)この黄色で示した部分でありますけれども、過去の組合による土地区画整理事業で既に道路が24メーターまで広がっているところですが、ちょうど中間にあるJR篠栗線の踏切部については非常に狭くなっております。ここは筥松小学校の通学路にもなっており、自動車や歩行者のほか、自転車で通行する方も多く見受けられますが、吉塚松崎線とJR篠栗線との交差部にある踏切の現況について、交通量も含めてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) おただしの象池踏切は、現在、道路幅員が車道5メートル、歩道1メートルの計6メートルで、12時間当たりの交通量は令和元年度の調査によると、自動車が約2,500台、自転車が約350台、歩行者が約130人となっております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) この象池踏切については、当局の御答弁のとおり、車道の幅員は約5メートルしかなく、大型車は離合ができない狭い車線であるにもかかわらず、通行する自動車は多く感じます。さらに、歩道についても、片側一方だけで幅員も約1メーターしかなく、自転車が1台通行するだけで人との離合も難しい状況であり、通学路として利用する児童と自転車が接触しないかなど、見守る親からすると冷や冷やする箇所となっています。
 今後も交通量の増加が見込まれる中、地域としては吉塚松崎線の早期全面開通を望んでおりますが、当面、この地域の市民生活と通学のための安心、安全なまちづくりには、この象池踏切の拡幅改良だけでも早急な整備が必要として地元からも福岡市に対して要望書が提出されており、対応を急ぐ必要があると考えますが、象池踏切の拡幅改良の対応状況についてお尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 象池踏切でございますが、平成18年に筥松校区自治協議会をはじめ、地域住民から踏切改良に関する要望書を頂いております。その後、九大箱崎キャンパス跡地のまちづくりが進捗してきたことなども踏まえ、JR九州や地域の方々と協議を進め、令和元年に踏切の拡幅についてJR九州と合意に至ったものでございます。拡幅につきましては、現況6メートルの幅員を14メートルに広げ、2車線の車道と併せ、両側に歩道及び自転車通行空間を設置することとしており、令和4年度の完了を目指し、令和3年度に工事に着手したところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 当該踏切については、地域においても危険を感じていたところであり、来年度末の拡幅工事完了を目指しているということで非常に喜ばしいことであります。この部分が改善されるだけでも、短期的に非常に大きな効果を発揮すると思います。
 このような短期の取組を進めていただきながら、概成部分も含めた吉塚から原田までの先行的に整備することとした区間について、着実な整備をお願いしたいと思います。
 Fukuoka Smart Eastの取組など九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりが進む中、筥松校区も含めた地域の自動車交通が増えることも予想されるため、安全、安心な環境づくりのためにも、吉塚松崎線の同区間の整備について早期完成に対する地元の期待も大きくなっています。
 そこで最後に、吉塚松崎線の吉塚から原田までの現在事業を進めている区間の早期整備完了に向け、当局の意気込みをお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市では、道路整備アクションプラン2024において、都市の魅力に磨きをかける道づくりをビジョンの一つとして掲げ、経済活動や物流、交流を支える幹線道路の整備に積極的に取り組むこととしております。吉塚松崎線は、幹線道路ネットワークの形成に加え、生活利便性の向上や歩行者の安全性の確保など良好な居住環境の形成に資する幹線道路であることから、現在事業を進めている区間の早期整備完了に向け、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) この際、休憩し、午後2時50分に再開いたします。
午後2時39分 休憩  
午後2時50分 開議  
○議長(伊藤嘉人) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義)登壇 私は福岡令和会を代表して、子どもの外遊び推進について、農福連携について、以上2問を質問します。
 まず、子どもの外遊び推進についてです。
 幼少期の頃から外遊びをたくさんすることで身体機能はもちろん、自律神経や交感神経の機能も高まり、さらには脳の発達につながります。また、他の子どもたちと遊ぶことによりコミュニケーション能力が育成され、社会性を身につけるといったように、子ども期の外遊びは生きる力を養うためにとても重要です。振り返ってみると、私が子どもの頃は日が暮れるまで外で遊ぶのが当たり前でした。しかしながら、現在の子どもを取り巻く環境は、コロナ禍に加え、スマホ、ゲームの普及、習い事が忙しいなど、室内にいる時間が増え、健康的な生活習慣が崩れてきている上に、実際には近視の低年齢化、強度化が進んでいます。文部科学省の学校保健統計調査によると、視力1.0未満、いわゆる強度近視の小中学生の割合は過去最高となっています。強度の近視は、最悪の場合、失明につながる眼疾患のリスクを高めることが国内外の研究でも発表されています。まさに超近視時代の到来です。ところが、太陽光を1日2時間浴びることで脳内のドーパミンが放出され、近視を抑制できることが分かりました。実際に台湾では、小学校の体育の授業で週に150分、その他の授業でも1日2時間屋外で過ごすように義務化したところ、近視抑制の効果が出ているそうです。
 そこで本市では、子どもにとって大切な外遊びをどのように推進しているのか、放課後の遊び場づくりわいわい広場と、公園を活用した外遊びに分けて質問をしてまいります。
 まず、わいわい広場の内容、目的についてお尋ねします。また、その運営については、民間企業やNPOなど様々な団体が関わっていると思いますが、組織の内訳及び地域との関わりについてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目からは発言者席にて質問をします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) わいわい広場は、子どもたちの自主性や社会性、創造性、コミュニケーション力などを育むことを目的に、放課後の校庭を活用して、小学生の子どもたちが自由に安心して自発的に遊ぶことができる場や機会を提供しております。運営については、地域団体のほか、民間企業やNPOに委託しており、内訳は地域団体が2団体、民間企業が4者、NPO法人が2団体となっております。また、実施に当たり、各校区において保護者や地域関係者、学校関係者で構成される運営協議会による助言を受けながら、保護者や地域の方々に見守りに御協力いただくなど、地域全体で子どもを育んでおります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 次に、わいわい広場の実施校の状況及び参加人数の推移についてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年度は市立小学校144校のうち138か所において常設で実施しており、その他6か所についてはスタッフを派遣し、年2回を目安に臨時的に実施する予定としております。
また、参加人数の推移は、令和元年度は1校につき1日当たり平均30人、2年度が36人となっております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 先日、放課後事業推進委員会を傍聴してきました。この委員会は、わいわい広場の円滑な推進に向けた協議をする場ですが、留守家庭子ども会との連携や、能古島や玄界島といった離島の小学校での実施など、力の入った取組が進んでいることを実感しました。一方で、委員の中からは、今後は質の向上と持続可能な運営に力を入れるべきとの意見がありました。
 そこで、委託事業者に対して適切な運営指導ができているのか気になります。例えば、遊び道具はそろっているのか、古くなったままになってはいないかなど、予算の使い方のチェックはできているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 委託事業者に対しては、各事業者から提出される事業報告や市職員による巡回等により、仕様書に基づいた運営が行われているか、遊具は適切に準備されているかなど、適宜、現状を確認した上で、より適切な運営となるよう協議や調整を行っております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 現場責任者であるわいわい先生からは、委託事業者によって広場の運営に使う予算配分に差があり、予算を削減されて運営に苦労しているといった話を聞いています。道具に関しては、きちんと整備をしておかないと、事故の危険性も考えられます。学校によって差が起こらないように、決算報告書等適切な予算の使い方についての対応を検討願います。
最も重要なのは、わいわい広場の方向性や理念をしっかりと共有し、衰退しないことです。
 そこで、事業者に対する研修は定期的に開催されているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) わいわい広場が子どもたちにとって居心地のよい放課後の居場所であり続けるために、わいわい広場の方向性や理念を委託事業者と共有していくことは重要なことと捉えており、定期的に意見交換を実施しております。研修については、事業者が配置している現場責任者を対象とした研修を定期的に実施しておりますが、今年度より事業者自身を対象とした研修も取り入れており、今後も必要に応じて実施してまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 現場の声が届くよう意見交換会や研修のさらなる充実を要望します。
また、できれば事業者よりも地域が主体となっての運営が理想であり、そのためには補助員、見守りサポーター、学生プレイワーカーといった人材の確保が必要です。
 そこで、地域や学生プレイワーカーに対してはどのように募集を行っているのでしょうか。また、育成講座の参加状況はどうなっているのでしょうか。さらに、地域が主体となってわいわい広場を運営している地域型のケースがあればお示しください。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 補助員や見守りサポーターにつきましては、校区の運営協議会ごとに登録を行っており、委託事業者を通じて地域関係者や保護者に呼びかけを行っております。一方、遊び場の活性化を支援するプレイワーカーについては市で登録しており、ホームページなどで募集を呼びかけております。また、大学生等を対象に実施している学生プレイワーカー育成講座は、わいわい広場の活性化と遊びの支援者を養成することを目的として実施しており、募集については委託事業者が行い、令和2年度の登録者数は58名となっております。地域主体で運営している地域型わいわい広場については、若久と有田の2か所で実施しております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 実際に私もわいわい広場に参加して、年がいもなく子どもたちと思い切り遊んできましたが、子どもたちを心から迎え入れる気持ちが大事であることを実感しました。コロナ禍が長期化し、人との関係性やコミュニケーションがうまくいかない子どもたちの様子を鑑みると、子どもの側に立って見守る視点を得た学生プレイワーカーの存在はとても大事ですし、場の活性化にもつながります。現在、学生プレイワーカーの登録者数は58人とのことですが、できるだけ多くの学校へ配置ができるよう、より多くの登録を目指していただきたいと思います。
 また、地域型は子どもにとって顔なじみの大人が多く参加していることからも安心感につながりますし、学校外での普段の見守りにもなります。現在は若久小学校と有田小学校の2校のみとなっていますが、地域型を増やしていくにはどうしたらよいか検討いただきたいと思います。
 そこで、先ほど委託事業者に関する意見交換や研修についてお尋ねしましたが、地域型わいわい広場への研修やサポートはどのようにされているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 地域型わいわい広場につきましても、現場責任者を対象とした研修に参加していただいております。地域型については、市としても重要と捉えており、引き続き、関わっていただく地域の方の御意見を聞きながら、安定した活動継続に向けて助言など支援を行ってまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ところで、雨の日の開催についてはどうなっているのでしょうか。例えば、草ヶ江小学校では、5年ほど前までは特別教室や体育館を借りることができたのに、現在は借りることができないと現地のわいわい先生や補助員さんから意見がありました。
他の学校の状況も含めて、雨の日の対策についてお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) わいわい広場は、外遊びを基本に校庭を活用して実施しているため、もともと雨天時の実施は難しい状況にありますが、授業など学校運営に支障がない場合については、体育館や特別教室などを活用して実施しております。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 雨天時であっても、できるだけ体育館や特別教室を利用することができるよう学校との小まめな調整をお願いします。
 目標であった全校展開が達成され、今後は継続に向けた取組が重要となってきます。コロナ禍や生活様式など変容していく中、子どもの遊び場、居場所を保証し、子どもがストレスを発散しながら生き生きと過ごすことのできる場を我々大人が日常的に保証させていくことはとても大切です。放課後の居場所づくりとして、全国に誇ることができる、このわいわい広場の今後の取組の充実に期待をしています。
 次に、公園の活用における外遊びの推進について質問します。
 以前に比べ、公園での禁止事項が増えたような気がします。私の地元の公園でも、厳しい禁止看板が設けられたことでボール遊びが全くできなくなり、ついにはその公園から子どもの姿が消えました。
 そこで、どういった経緯や基準で禁止事項を設けるのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園での禁止行為につきましては、福岡市公園条例において定められているほか、一部の公園においては、立地や利用状況など個々の公園の特性に応じて、地域で合意形成を行った上で詳細な利用ルールを設けております。ボール遊びに関する禁止事項につきましても、公園利用者の安全確保や近隣住民への配慮などの観点から、地域での話合いを経て設けております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 苦情を出してきた方と公園利用者がルール決めをする上で、市が調整役として役割を果たすことはとても重要です。
 そこで、ボール遊びを一律に禁止するのではなく、例えば、乳幼児と保護者のボール遊びはしてもよいといったように、細かい調整をするべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 公園のルールづくりの際には、福岡市も地域での話合いに参加しており、今後とも、様々な御意見や立場を踏まえ、ルールが設定されるよう支援してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 今日はちょっと時間がたくさんあったので、パネルをたくさん作ってきました。(パネル表示)これは東京都の足立区の事例なんですが、できるボール遊びという看板を掲げていまして、例えば、キャッチボールでも軟式野球ボールまではいいとか、サッカーもパス回しはいいとか、こういったようにできることを看板にしています。これは子どもが見て分かりやすいようにイラストにしているんですね。例えば、ルール決めを話合いする上で、できないことではなく、できることを決めるのも風通しのよい地域のコミュニティをつくる方法ではないかと思います。御参考いただければと思います。
 また、六本松では、九大跡地の開発と併せて3,000平米もの公園を整備いただいたおかげで、平日は近隣の保育園の園児たち、週末は近所の子どもたちがあふれんばかりに遊んでいます。ところが、これを見ていただきたいんですが、(パネル表示)その公園から500メートルほど離れたところの、これ、菊池児童広場というんですけれども、ここの広場から滑り台が撤去され、その後設置しないと役所から言われた、どうにかならないかと町内会長から相談がありました。市に問合せしたところ、一見公園に見えるこの場所は、実は公園ではなく児童広場として位置づけられたもので、古くなった遊具は撤去をし、再設置はできないとの回答でした。
 そこで、その児童広場とは何なのか、撤去された遊具の再設置はなぜできないのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 児童広場につきましては、昭和43年度に子どもの遊び場助成制度として始まったものであり、地域住民団体が土地所有者から無償借地して管理運営しているものでございます。公園整備が進む中で、設置数も減少傾向にあったことなどから、平成7年度に制度を廃止しており、現在は当時設置されていた広場に限り、貸与済みの遊具について市において必要な点検や補修を行い、御使用いただいているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 制度を廃止した理由として、公園整備が進んだからとの回答でしたが、この児童広場の近くに公園はなく、近隣の保育園児が毎日のように遊びに来ていて、滑り台がなくなってしまっては行き場がなくなり、とても困ると声が上がっています。市民からすれば児童広場も公園も見た目は同じです。必要とされるところには地元の声に応え、遊具の再整備を検討いただくよう改めて要望しておきます。
 また、中央区舞鶴にある長浜公園では、町内会が中心となり公園の有効活用に知恵を絞り、キッチンカーやマルシェの開催など様々な企画を展開しています。(パネル表示)これなんですけど、特にこの2つの巨大トランポリンですね、このように子どもたちに大人気で、第3日曜日のみ町内会で見守りをしながら運営をしています。そこで、町内会長の話を聞いたところ、遊具や収納する倉庫の購入費用は、本市から出ている親不孝通りエリアまちづくり協議会への負担金を活用しているほか、町内会の会費により捻出をされているそうです。
 私は以前、一般質問で、特に都心部にありがちな、たまった町内会費を有効に使う提案をしました。町内会費の使い道として誰もが納得のいくであろう良い事例を周知すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 自治会、町内会につきましては、住民にとって最も身近な自治組織であり、住民同士のつながりや支え合いのために様々な活動を行っていただいております。自治会、町内会の活動や会費の使われ方などについては、市政だよりなどで紹介するとともに、他の地域の参考となるよう取組事例の共有なども図っているところでございます。持続可能な地域コミュニティづくりのためには、広く市民の理解と協力が必要であり、今後とも、様々な機会を捉えて自治会、町内会の活動についてしっかりと広報してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 公園を町内会自らが積極的に運営、管理をすることで、かつてはなかった絆が生まれ、自主的な公園の清掃活動も始まっています。地域が主体となる遊び場づくりのよい事例として、他の校区でも広がればと思います。
 また、城南区では、乳幼児期の親子を対象としたプレイパークを西南杜の湖畔公園で定期的に実施をされ、毎回100名を超える親子が参加し、とても好評だったと聞いています。
しかし、ここ数年は残念ながらコロナ禍により実施をされていないようですが、このプレイパークの内容と、申出があった場合、再開は可能なのかお尋ねします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 西南杜の湖畔公園でのプレイパークにつきましては、平成24年度まで市民団体により実施されており、樹木を活用したブランコ遊び、広場での穴掘り、手作りプールでの水遊び等が行われておりました。平成25年度以降は市民団体からプレイパーク開催の申出がなく実施されておりませんが、今後、申出があれば協議を進めていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 参加していた親御さんからも、気軽に子育ての相談ができ、友達づくりの場になっていたと聞いています。定期的に開催することが望ましいため、団体からの申出があった場合はぜひ再開いただくよう支援をお願いします。
 ところで、先ほどお話しした六本松公園でも、地元の町内会が主体となり、過去3回プレイパークを実施しています。(パネル表示)これがその先月開催されたプレイパークの様子なんですけれども、今回、中村学園短期大学の学生と一緒に運営をしました。今はやりのスライム作りをやっているところなんですが、やったりとか、あと、大きなキャンバスを用いて自由に絵を描いてもらったりとか、それから、(パネル表示)こういった、こま回しとか巨大オセロとか、このオセロは実は手作りなんですけれども、あと、巨大なしゃぼん玉作りとか、そして、一番人気だったのは、竹の棒の先にパンの生地をつけて焼く竹パン焼きなんですね、これは200名もの子どもが参加しました。ちなみに、この竹は植物園の職員の皆さんに協力いただいて切ってきました。このように、プレイパークのいいところは、親子で一緒に工夫をしながら遊ぶことです。実は子ども同士が仲良くなるだけではなく、普段公園で見かけていたけど話をしたことはなかったという親同士が子どもを通じて仲よくなるといった効果もありました。
 このように、誰もが身近な公園で主体的に楽しめるプレイパークをぜひ広げてほしいと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) プレイパークにつきましては、NPOや地域などが実施主体となって、公園などの屋外において子どもたちが自由な発想で遊びの場や機会をつくる活動であり、プレイリーダーが遊び場全体をコーディネートするものでございます。福岡市といたしましては、プレイパークなどによる公園の利活用を推進することは大変重要と考えており、今後とも、主催団体からの御提案がありましたら、実施方法や地域の合意形成の助言を行うなど、さらなる公園の利活用が図られるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 遊び道具は一度作れば何度でも使えますし、あとは多少の費用とテーブル程度です。いわゆる地域の夏祭りのように大がかりな設営は必要なく、何といっても手軽さが魅力です。過去には子ども会によるフリーマーケットも開催しました。小さなお子さんを持つ親が主体となることからも、子ども会の行事として定期的に開催できれば、各地で衰退する子ども会を復活できるのではと私は思っています。本市では地域コミュニティ活性化条例の制定に向けた動きも始まりました。先ほどの公園での禁止看板の件も、日頃から挨拶を交わす関係をつくれば、そもそもトラブルにならないと思います。そういった意味でも、地域コミュニティを活性化するのにこの効果的なプレイパークの活動が広がることを期待しています。
強く健康な体、健全な心、そして健全な脳の発達は、創造力や前に踏み出す力、やり抜く力となり、それらは全て生きる力につながっていきます。そして、これらの力は子どもが成長し、社会で活躍する上でますます必要とされるものです。国においても外遊びの推進の政策は重要視されるようになり、国会議員や大学教授によって設立された子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会からは提言書も出されました。そのような中、本市は全国に先駆けて、放課後等の遊び場づくり事業であるわいわい広場を全ての小学校で実施をしていますし、新たなインクルーシブな遊具広場づくりも始まっています。
 今後は公園のより一層の活用も含め、さらに外遊びを推進していただきたいと思いますが、この質問の最後に島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 島市長。
○市長(島宗一郎) 子どもの外遊びにつきましては、子ども同士の交流を通して連帯感や協調性、責任感などを身につけ、健康な体や健全な心の育成につなげるなど、子どもの健やかな育ちにとって重要な要素であると認識をしています。福岡市におきましては、地域やNPOなどの参画を得て、小学校の校庭などを活用したわいわい広場の実施や、安全に楽しく遊べる公園づくり、障がいの有無や年齢などにかかわらず、みんなが一緒に遊べるインクルーシブな遊具広場づくりの検討を進めるなど、子どもが屋外で活動できる場の充実に取り組んでいるところです。
 今後とも、子どもたちが地域の様々な人との交流や体験を通して、豊かな人間性や社会性、主体性を身につけ、成長できるまちを目指して取組を進めてまいります。以上です。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 次に、農福連携について質問をします。
 まず、農福連携とはどういった取組なのか。取組主体それぞれのパターンについて説明願います。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農福連携は、障がいのある方の農業分野での活躍を通じて、農業経営の発展とともに、障がいのある方の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組でございます。また、その取組パターンといたしましては、国の資料によりますと、農業者が障がいのある方を直接雇用する直接雇用型、福祉事業者が単独で農業を行う福祉完結型、農業者と福祉事業者が農作業に関する請負契約を行う連携型、農業法人が社会福祉法人等を、もしくは社会福祉法人等が農業法人を設立するグループ内連携型の4つの形態が示されております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 農福連携の取組パターンは4つあるとのことですが、これまでの実績や先行事例も含めて農林水産局、保健福祉局それぞれから御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市では、令和2年度より農福連携推進の取組を開始いたしております。これまでの取組といたしましては、まず、福祉事業者の側から農業に関する知識や技術を習得したいとの要望があったことから、福祉事業者スタッフを対象とした農業研修を実施し、令和2年度は6名、令和3年度はお一人に参加いただいております。さらに、農家での就労を推進するため、意欲ある農家と就労支援施設とのマッチングを行い、西区元岡の農家において、障がいのある方3名が大根の収穫等の業務に従事されました。このほか、既に農福連携に取り組まれている福祉事業者等の調査を実施しており、その中の一つである障がい者支援施設、早良厚生園では、施設自ら農地を確保され、生産した大根を切り干し大根へ加工し販売されております。なお、その切り干し大根の一部は学校給食にも提供されております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 農福連携につきましては、障がいのある方が農作業に従事することで就労に向けた訓練や心身の状況の改善が促されるとともに、農家をはじめとする地域住民との交流や障がいに対する理解の促進につながるものと考えております。このため、保健福祉局といたしましても、農林水産局が行っている農業研修や農家と障がい者就労施設とのマッチング事業を障がい福祉事業所に周知し、広く参加を働きかけるなど、農福連携の推進に努めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 農業研修の参加者は1名、農家と就労施設とのマッチングは1件という回答でした。コロナ禍ということもあったのでしょうが、農福連携はまさにこれからという印象です。
 そこで、農福連携に既に取り組んでいる早良厚生園では、切り干し大根を学校給食に取り入れているとのことですが、その効果についてはどのように検証しているのでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 早良厚生園では、市内農地で栽培された大根を使用し、切り干し大根を生産されており、学校給食で提供される食材が市内産で賄われているという観点から、地産地消に資する取組であると考えております。また、福祉事業者が自ら農業を行う場合、生産物の販売先確保は重要な課題であり、同園では学校給食というまとまった量の販売先が確保できたことにより、経営の安定化が図られ、利用者への安定的な工賃支払いにもつながっていると認識しております。その一方で、同園からは、価格設定など収益面で施設に負担があるとの声も伺っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 安定的な工賃支払いになっている一方で、収益面での負担があるとの回答でした。地産地消にもつながるこの早良厚生園の取組に引き続き支援いただくようお願いします。
 また、農家にとって最も人手が必要な作業は収穫です。そこで最近は、応援する農業と書いた「援農」の取組が広がりつつあります。私も収穫体験ができる民間のアプリを使い、家族で何度か北崎や金武の大根やカブの畑に訪れましたが、小さいお子さんを連れたたくさんの家族連れでにぎわっていて、子どもが農業に触れるよい機会として、また、農家さんのお手伝いとしても収穫体験のニーズの高さを実感しました。このように、農業体験が人気となっていることからも、自治体によっては援農ボランティアとして制度化しているところもあるそうです。
 そこで提案ですが、福祉事業所がいきなり農業をするにはハードルが高いため、まずは繁忙期にだけでも農業のお手伝いをしに行く援農の仕組みをつくるべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市では現在、繁忙期において人手不足の農家と市民の方を農作業ヘルパーとしてマッチングさせる農の応援事業を行っているところであり、今後、障がいのある方などの活躍の場として、人手を要する農家と福祉事業者を結びつけることができないか、検討してまいります。なお、現在の農の応援事業におきましても、就業時間や時期、期間などの面で農家とヘルパーとの間で折り合いがつかず、マッチングが成立しないケースがある等の課題があり、福祉事業者の場合につきましても、こうした課題への対応を検討していく必要があるものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 先日、福岡県が主催する農福連携の研修会に参加した生活介護事業者にお聞きしたところ、農作業を依頼する農家がしてほしいことと事業者側ができることのギャップを埋めることが重要だとのことでした。確かにお互いがお互いを知らないままで農福連携をするには無理があります。したがって、まずは事業者側のできる、できないを明確にしなければなりません。先ほど、就業時間や時期で折り合わず、マッチングが成立しないケースがあると回答がありましたが、例えば、福祉事業所の場合、畑に移動して準備して作業に入るのが9時過ぎで、12時から1時間ほど休憩をして、17時には終了といったように、実際に農家が働いている時間帯とは大分ずれがあります。一方で、農家側からの発注も、例えば、現金支給なのか現物支給なのか、両者にとって必要な情報を事前に明確化することが重要です。
 そこで、本市としても両者をつなぐために、しっかりとヒアリングをした上で必要な項目をフォーマット化すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農福連携のうち、障がいのある方が農家の下で従事するタイプの取組につきましては、農家が必要とする作業と障がいのある方ができる作業とをうまく組み合わせることが重要なポイントであると考えております。このため、今後さらに、農福連携の取組を推進するため、農作業を細分化し、障がいのある方でも可能な作業を切り出すなど、農家が求めることと福祉事業者等ができることをうまくマッチングできる仕組みづくりなどについて、関係機関とも協力し検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ここで農福連携のグループ内連携型の事例を紹介します。
 先日、我が会派の浜崎議員とともに、糸島市にある農業生産法人スマイルファームの畑にお伺いしてきました。(パネル表示)本人には無断でパネルにしましたけれども、スマイルファームさんの話をこのように熱心に聞いておられました。ここではB型事業所と提携し、通常の野菜だけでなく、ビニールハウスで高付加価値のあるシイタケを作っています。また、ここはもともと耕作放棄地だったんですけれども、次々と開墾し、ハーブやレモングラス、キクイモの栽培をしています。ちなみに、ここは一面レモングラスにしています。これから耕すという耕作放棄地もたくさん見せてもらいましたが、本当にこんなところが畑になるんだろうかと思うぐらい荒れた土地だったので驚きました。耕作放棄地を借り受ける場合、土地の所有者はもちろん、近隣の農家さんに受け入れてもらえるかが重要となりますが、実は障がい者が一生懸命に働いている姿を見た農家さんが感銘を受け、次々と農地を貸してくれるようになったそうです。ちなみに、障がい者の体に悪影響が出ないようにと農薬を一切使わない有機栽培を目的とした農地活用に取り組んでいるそうです。
 ここの特徴は出口がはっきりしていることで、シイタケは近くのイオンや伊都彩々に、キクイモは健康茶の原料として販売先が確保できているなど、まさに農福連携の理想的な形をつくっています。このように、農家さんのお手伝いではなく、事業所が主体となり農業をする場合、そもそもJAの登録業者ではないため、一般の流通に乗せるわけにもいかず、販売先の確保が重要となります。しかし、農家にとっても、障がい者施設にとっても、独自で販売先を見つけるのはとても困難であり、かといって市自らが探すのも難しいことからも、販売先とのマッチングをする機関の必要性を感じました。
 そこで、先日、北九州市にある北九州共同受注センターというマッチング機関にお伺いしてきました。ここはもともとあったNPOが、北九州市からの依頼により、障がい者施設や特例子会社を含む91の事業所と地元企業とをマッチングする役割として設立され、北九州市役所の1階のロビー内に窓口を設けています。(資料表示)このような冊子を作っているんですけれども、そこではこのような福祉事業所の紹介冊子を作っていまして、A型、B型、生活介護事業所それぞれの特徴、例えば、送迎の方法、利用時間、作業内容、利用者の年齢構成、具体的な工賃など、企業が一目で分かるよう詳しく記載をされています。そこで、企業から依頼があった場合は、センターから登録している事業者へメーリングリストで呼びかけをし、手を挙げたところに仕事を依頼しているそうです。職員からは、農福連携は利用者の体の状態や天候に左右されやすいので難しいが、最近は企業が農業に関心を持っている話をよく聞くので、今後検討してみたいと意見を伺いました。この北九州市のように、マッチング役の機関が分かりやすく庁内のロビーにあるのはよい事例だと思います。
 そこで、農福連携を成功させるためには農家と障がい者施設、さらには販売先とのマッチングを行う機関をつくる、もしくはそのような機関を支援すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農福連携の持続的な実現のためには、生産物の販路確保により障がいのある方の工賃として安定的な収入が得られることが重要でございます。こうした生産物の販路確保は農福連携に取り組む福祉事業者に限らず、一般の農家にとっても重要な課題であることから、関係機関とも連携し、研究をしてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ここで実際に農福連携を体験した事例を紹介します。
 先日、北崎の農家さんを紹介してもらい、生活介護事業所に通っている知的や精神障がいの子どもたちと一緒にサツマイモ掘りをしてきました。(パネル表示)これがその様子なんですけれども、この写真、ダウン症のサチさんと言われる方ですけれども、このサチさんをはじめ、みんな休むことを忘れてしまうくらい、本当に楽しそうに作業に没頭していました。また、このように小さなお子さんを連れた家族連れもたくさん参加していまして、障がいのある子どもたちとも仲よく芋掘りをしていました。事業所の支援員が驚いていたのは、日頃、施設内の作業では落ち着きのない子どもたちが、農作業にはとても集中し、生き生きと楽しそうに作業していたとのことです。みんなで協力した結果、僅か2時間足らずで520キロものサツマイモを収穫することができました。農家さんは大変な収穫を全てやってもらったお礼として芋を分けてくださり、後日、その芋は公園でのマルシェで、キッチンカーが販売する豚汁の材料に使ってもらいましたが、その売上げはキッチンカーの御厚意により、全額事業所に寄附をいただいたため、農家さんにとっても、事業者にとっても、お互いが喜ぶ結果となりました。また、障がいのある子どもたちが青空の下、生き生きと作業することで得る心身の効果は大きかったということで、市場に出荷されない未利用野菜の活用も視野に入れ、今後、さらに農福連携に力を入れていきたいと、その事業者はとても意欲的でした。
ただ、そのとき感じたのは、事業所の支援員は農業のノウハウはない上に、利用者の見守りで精いっぱいだったということでした。しかも、農業の支援員としてプラス1人必要となるため、その分の人件費が捻出できないと。生活介護事業所の場合、通常の場合でも利用者3人に1人は支援員として必要です。
 そこで、例えば三重県では、農業と福祉両方の基本的な知識、技術を身につけた農業ジョブトレーナーを派遣する制度があり、障がい者に対して農機具の使い方を教えるなど、農業を進路選択の一つになるようにと活躍しています。
したがって、本市としても、農業現場で的確に指示ができる人、いわゆる農業ジョブトレーナーとしての育成が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) いわゆる農業ジョブトレーナーについて、既に農福連携に取り組んでいる事例では、福祉事業者の中に農業の技術を有するスタッフがおられ、効果を上げている場合が多いことから、福岡市におきましても、福祉事業者のスタッフを対象とした農業研修を実施し、人材の育成を図りたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ただいまお答えがあった福祉事業所に対する農業研修、それはどういった内容でしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市では、新規就農希望者を対象に、農業全般の基礎的知識習得のための実践研修を実施しており、令和2年度から福祉事業者スタッフを対象とする枠を設け参加をいただいております。具体的には、露地野菜の栽培に係る土づくりから害虫対策、農業用機械の操作、販売実習などの研修を年間30日程度実施しており、農業を始めるに当たり必要な一連の知識等を習得していただくことを目指しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) その研修により、事業所のスタッフが農業に関する知識と技術を身につけるのは重要ですが、農業ジョブトレーナーも加われば、実際に自らが耕す農地で学ぶことができます。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 いずれにしても、農福連携を実現するには出口である商を含めた農福商の連携が必要です。そこで、例えば、本市独自で農福連携の認定制度をつくることで、認定を受けた事業所や農家さんは公園や公開空地で青空市をしてもよいみたいなことができれば、売上げへの貢献だけでなく、地元の障がい者施設や農家さんを地域の人に知ってもらうよい機会にもつながります。ちなみに、東京都では、農水省と共催で有楽町駅前広場にて農福連携マルシェを開催しています。
 そこで、本市が主催する農福連携マルシェの開催や、九州広場や公開空地における定期的な出店など、認定を受けた事業所や農家が直販できる仕組みづくりを検討してはいかがでしょうか。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農福連携の認定制度として、既に国においてノウフクJASの認証制度がございますので、この制度の活用を含め、福祉事業者等との意見交換や関係機関との協議を行い、販売場所の提供などの可能性について研究してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 人がたくさん集まる場所を提供することで、障がいのある人たちとの交流を生み、お互いを知ることで差別がなくなり、日々の生活も災害時にも助け合うことができます。副次的な効果が期待できる取組としても検討願います。
 また、積極的に障がい者を雇用したいと特例子会社をつくり、畑を借り上げて野菜の加工、販売まで手がける6次産業まで検討している企業から、どうやったら農地を借りることができるのかと先日相談を受けました。
 そこで、本市として、そのような動きをサポートする体制があるのかお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市では、これから農業に取り組もうとする新規就農者を対象とした各種支援を行っておりますが、企業が新たに農業に取り組む際にも、農地情報の提供や農業研修などのサポートを行っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 法定雇用率の達成のためだけでなく、社会貢献として本気で農業に取り組む企業をしっかりと支援することは重要です。課題となっている耕作放棄地をやる気のある企業に紹介をする、そして、農業ジョブトレーナーを派遣し、農業のやり方を習得できれば、農地は復活し、障がい者の雇用が生まれます。受け身ではなく、積極的な支援策を検討いただくよう要望します。
また、先ほど紹介したスマイルファームは、障がい者の体に悪影響が出ないようにと全て無農薬で農業を行っていましたが、国も2050年のカーボンニュートラルに向けて、有機JASに認定された農地面積を数倍に増やすための補助制度の活用に力を入れています。特に、数年にわたり手が入っていない耕作放棄地は、有機JASを取りやすいメリットもあります。
 そこで、農福連携における耕作放棄地対策としても国の補助制度を活用すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 有機農業は、農産物の付加価値を高めることにもつながると考えられる一方で、農産物に「有機」を表示できる有機JASの認証取得は、取得要件や経費、費用対効果などの面でハードルが高く、福岡市において認証取得している農家はまだ少ないのが現状でございます。しかしながら、今年5月に策定された国のみどりの食料システム戦略におきましては、有機農業に取り組む耕地面積の割合を2050年までに25%とする目標が掲げられており、福岡市としましても、有機JAS認証を希望する農家等があれば、取得要件を満たすことができるよう各種補助制度を活用し、支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 国においては、令和6年までに全国で3,000の新たな農福連携を創出することを目標に掲げています。補助制度の告知も含めて、活用いただくよう要望します。
 農家は担い手不足の解消になり、障がい者は農作業により心も体も元気に豊かに生きることができ、自立の足がかりになります。食料自給率の問題をはじめ、食の大切さが見直されている今の時代において、農業は必要不可欠ですし、課題となっている耕作放棄地対策にもつながる可能性があります。
本市として農福連携に今後どう取り組んでいくのか、農林水産局長に意気込みをお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農福連携は、担い手不足や農地の適正管理等の課題を有する農業分野において、新たな働き手となる可能性があることや、耕作放棄地の解消にも貢献する可能性が考えられます。また、福祉側も障がいのある方などが農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していくことができる大変意義のある社会課題解決方法であると認識しております。福岡市の農業は家族経営によって小規模な農業を営む農家が多数を占めており、障がいのある方などを雇用する環境は限られているのが現状でございますが、一方で、議員が事例を御紹介された福祉事業者や農業法人が主体となった連携であれば、耕作放棄地を絡めた農業と福祉の双方がウィン・ウィンとなり得る取組が可能と考えられます。そのため、福岡市としましては、どのようなサポートが必要か、あるいはできるのかなどにつきまして、今後しっかり検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛)登壇 福岡市民クラブの宮浦寛です。今回私は、再犯防止に向けた本市の取組についてと防災重点ため池の対策について、以上の2項目について質問いたします。
 まず最初に、再犯防止に向けた本市の取組についてです。
 平成28年に制定された再犯の防止等の推進に関する法律の下、都道府県及び各市町村においても、地方再犯防止推進計画を策定する努力義務が課されたことは周知のとおりです。本市においても、令和3年6月議会総務財政委員会において、福岡市再犯防止推進計画の策定の方針が示され、令和4年度から8年度までの5年間を期間とする計画案の作成が鋭意進められていることと存じています。
 そこで、新年度からの推進計画の施行推進に当たって、市民や民間事業者等の先駆けとなるような福岡市の主体的な取組を示すことが重要であると考えており、再犯防止に向けた本市の取組の現状と課題をお聞きしていきます。
 この再犯防止推進法や国の推進計画の中では施策の柱として、再犯防止に向けた教育・職業訓練の充実、社会における職業・住居の確保、保健医療及び福祉サービスの提供などが掲げられ、地方公共団体の施策は国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の状況に応じ、施策を講ずることとされています。
 そこで、今回は社会における職業・住居の確保、これを中心にお尋ねをしていきます。
 最初に、職業、就労の支援等に関することについてです。
 現在、就労確保の取組の大きな柱である協力雇用主制度があります。この制度は犯罪や非行の前歴のために定職に就くことが容易でない刑務所出所者等を、その事情を理解した上で雇用していただき、改善更生のために民間の事業主の方々に協力をいただいている重要な取組ですが、本市における協力雇用主数の直近5年間の推移をお聞きします。
 以上で1問目の質問を終わり、以降の質問については発言者席にて行います。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市における直近5年間の協力雇用主数の推移につきましては、各年4月1日現在で、平成29年が247社、30年が268社、31年が297社、令和2年が324社、3年が330社となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 平成29年の247社からこの5年間で83社増加し、現在は330社とのことです。
 では、実際に対象者を雇用した協力雇用主の数と被雇用者数をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 実際に対象者を雇用した協力雇用主の数につきましては、令和3年10月末時点で23社、被雇用者数は44人となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 協力雇用主は330社あるものの、実際に雇用いただいている事業者は10月末時点で23社であり、その雇用数は44名とのことです。出所者等の雇用については、様々な課題から協力雇用主となりながらも、実際の雇用に結びついていない事業者が多い様子が見受けられます。また、昨年からの新型コロナウイルスの影響で、雇用主となる企業の経営が悪化し、出所者の新規雇用を断らざるを得なくなっているとの報道もあり、今後さらに対象者の就労の確保に関する支援の充実を図ることは重要だと考えます。国が地方自治体の再犯防止推進計画策定を促すために示している地方再犯防止推進計画策定の手引において、就労の確保に関する取組の具体例の一つとして、地方公共団体による罪を犯した者等の雇用を上げています。ただし、地方公務員法では、職員となるための欠格条項が定められており、仮釈放期間や執行猶予期間にある人を雇用することはできないとされています。
 そこで、確認のため、地方公共団体による罪を犯した者等の採用、選考に係る条件を定めた地方公務員法第16条に規定されている内容についてお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 地方公務員の欠格条項を定めた地方公務員法第16条では、第1号におきまして、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでまたはその執行を受けることがなくなるまでの者は、職員となり、または競争試験もしくは選考を受けることができないと規定されております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 地公法第16条については理解をします。では、本市が出資、出捐する外郭団体については、直接的には地公法の規定は及ばないのではないかと私は考え、議会事務局を通じ、本市の外郭団体について、職員の採用条件について欠格条項を付しているか否かの調査を行いました。その結果、本市の外郭団体30のうち、4つの団体において職員の採用条件に当該欠格条項が付されているとの調査結果がありますが、この現状について外郭団体を総括的に所管する総務企画局は認識しておられるのかお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 本市の外郭団体の職員の採用条件につきましては、総務企画局では承知しておりません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) それでは、これらの外郭団体の職員採用に係る欠格条項に対する市の所見をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 外郭団体の職員につきましては、地方公務員法第16条第1号の職員採用に係る欠格条項の適用はございません。外郭団体の職員の採用条件は、団体の設立の目的や職務の性質等に応じ、それぞれの団体において決定されるものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 外郭団体の職員については、地公法16条の適用はないとの答弁でした。今回の調査によると、職員採用において欠格条項を付しているとされた4団体の回答を見ると、当該団体が欠格条項を定めている法律等の根拠はなく、それぞれの団体の規則などで定めているものや地公法を準用しているもの、また、団体の規定等に定めはないが、言わば慣例的に募集案内に記載をしているとした団体もあるようです。いま一度、その妥当性について点検、検証の必要性があるのではないかと考えます。
 再犯者も含む対象者の雇用に関しては、様々な課題があることは国の手引でも示されています。いわゆる前科への忌避感、これを乗り越えて、民間事業所等へ雇用の拡大をお願いしていくわけですから、国や地方公共団体がまず率先して行動を起こす必要があるのではないかと考えます。既に先進的な自治体では、保護観察所などから推薦を受けた対象者を非常勤職員として雇用するなどの事例も示されています。本市においても、再犯防止の観点から、その取組に積極的な姿勢を示すことは、雇用を通じて罪を犯した方などの社会復帰を支援することの意義や必要性を民間事業者の方々に対して大きなアピールとなると考えますので、今後の前向きな検討を要望しておきます。
 次に、住居の確保に関しお聞きをします。
 保護観察所から委託を受け、帰る先のない対象者の宿泊や食事をはじめ、就職援助や生活指導等を行うため、全国各所に更生保護施設がありますが、本市内の更生保護施設の数とその総定員及び直近の入所者数をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市内の更生保護施設数につきましては3か所あり、総定員数は60名で、令和3年3月末時点での入所者数は45人となっております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) その更生保護施設と本市との間では連携をどのように取っているのか、その現状をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 更生保護施設との連携につきましては、間接的ではありますが、本市が活動補助金を交付している更生保護女性会において、更生保護施設での食事作りや諸行事への参加交流などの支援協力が行われております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 更生保護施設は更生保護法人等の民間団体が運営しており、その充実には地方自治体との連携や支援が必要であることを意見として述べておきます。その上で、再犯防止に向け、対象者の住居確保に係る課題をどのように認識しているのかお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 住居確保に係る課題につきましては、犯罪をした人たちの中には、保証人を得ることが難しいことや、家賃滞納歴により民間家賃保証会社が利用できないことなどにより、適切な定住先が確保できない場合があると認識しております。そのため、犯罪をした人たちが地域社会において安定した生活を送ることができるよう、住居確保を支援する取組が重要であると考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 国の報告書によると、刑務所等を出所した者のうち約4割が適切な住居が確保されないままで出所している現状にあることが示されています。さきに述べた更生保護施設は、あくまで一時的な住居であり、地域社会で安定した生活を送るためには住居の確保は最重要課題であるとも言えます。まず、国にしっかりとした取組を求めていかなければならないと思いますが、その上で、民間住宅への入居に係る本市の支援策とその取組の現状をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 住宅確保要配慮者の居住の安定確保に向けて、要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅の供給を促進しており、そのうち保護観察対象者等を拒まないとして登録された住戸数は11月末時点で2,878戸でございます。また、入居相談等の支援業務を行う居住支援法人については、福岡市内を業務地域とする27法人のうち17法人が、保護観察対象者等からの入居相談等に対応しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 居住支援法人による入居支援の取組と併せ、住宅確保要配慮者に向けた市によるセーフティネット住宅支援が進められているとのことです。今後さらに実効性を高めていくよう要望をしておきます。
 それでは、市が所有する賃貸住宅である市営住宅の入居に関しお聞きをします。
 本市の市営住宅入居において、再犯防止の観点からの配慮や支援策の現状をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 入居者募集において、保護観察対象者等を直接対象とした優遇は行っておりませんが、入居時に連帯保証人を不要としていることや高齢者等に対する優先入居、収入に応じた家賃制度や減免制度を設けております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 住居の確保に関しても、さらに民間事業者の協力や支援団体の取組を広げていかなければならないと考えます。そのためにも、例えば、保護観察所や各区にある保護司会サポートセンターの近隣に位置し、見守り体制が整いやすい地域の市営住宅などを対象に選定するなどして、再犯防止の観点から市営住宅への優先入居などについて、積極的な検討を進めていただくよう求めておきます。
 この項の最後に、現在策定が進められている再犯防止推進計画の早期策定と計画実行に向けた市民局長の決意をお伺いし、この項の質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 再犯防止推進計画につきましては、この12月議会の総務財政委員会におきまして、計画案の報告をさせていただいた後にパブリックコメントを行い、今年度中に策定に向け取組を進めております。計画の推進に当たりましては、犯罪や非行をした人が孤立することなく、地域社会の一員としての円滑な社会復帰を支援することにより再犯を防止し、犯罪のない住みよいまちづくりを実現するため、保護観察所などの関係機関と連携を図るとともに、福岡市保護司会連絡協議会や協力雇用主などの民間協力者の御協力をいただきながら、全庁を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 次に、防災重点ため池の対策についてお伺いします。
 農林水産省のホームページによると、ため池とは、降水量が少なく、流域の大きな河川に恵まれない地域などで、農業用水を確保するために水を蓄え取水ができるよう、人工的に造成された池のことで、ため池は全国に約16万か所存在し、特に西日本に多く分布しているとされています。また、ため池の多くは江戸時代以前に築造され、その築造に当たっては各地域において試行錯誤を繰り返して得られた経験を基に造られたものと推測されるとも掲載されています。稲作を広げ安定させるための先人たちによる努力のたまものでもあります。
今回はそのため池について、防災の観点からお聞きをします。直近10年間におけるため池の被害は、約79%が豪雨によるもので、約21%が地震によるものとされていますが、近年、集中豪雨が頻発する傾向にあり、これに伴い土砂災害も増加傾向にあるようです。また、ため池の多くは水利組合や集落などの受益者を主体とした組織によって管理されてきましたが、農家戸数の減少や土地利用の変化から、管理及び監視体制の弱体化が懸念されています。
 そこで、平成30年7月豪雨によるため池被害を踏まえ、国が選定基準を見直し、令和元年6月に県による再選定が行われた防災重点農業用ため池とはどのようなため池か、その定義をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 防災重点農業用ため池とは、決壊した場合に想定される浸水区域に家屋や公共施設等が存在し、人的被害を与えるおそれのある農業用ため池のことでございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) では次に、福岡市内の農業用ため池の総数及び防災重点農業用ため池の数は何か所あるのかお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市内の農業用ため池の総数は、令和3年3月末時点で316か所となっており、そのうち257か所が防災重点農業用ため池に指定されております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 農業用ため池の所有者ごとの数をお聞きします。また、所有者不明のため池はあるのかお答えください。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農業用ため池316か所の所有者ごとの内訳は、福岡市や財産区などが全部または一部を所有している農業用ため池が307か所、個人等が所有している農業用ため池が9か所となっております。また、所有者不明の農業用ため池はございません。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) では、農業用途が廃止されたため池のうち、他の用途への転用や廃止工事が完了したため池はどれくらいあるのかお聞きをします。あわせて、直近の農業用ため池の転用実績をお伺いします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農業用ため池の転用等につきましては、記録が残っている昭和49年度から令和2年度末までに農業用ため池166か所の用途を廃止しており、そのうち86か所のため池を他の行政用途へ転用しております。また、用途廃止を行った残り80か所のため池につきましては、売却したものが28か所、国への返還や他の行政用途への転用協議を進めているものが15か所ございまして、他の行政用途での利用予定がないため池37か所につきましては、安全対策として、ため池の水位を低い位置に保ちながら売却、もしくはため池の貯水機能をなくす廃止工事を進めております。
 なお、近年、農業用ため池を他の行政用途へ転用した実績としましては、令和2年度に公園へ転用した実績がございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 全国的に問題となっている所有者や管理者がはっきりしないため池は、本市内にはないとの答弁でした。また、農業用としての用途は廃止済みで、行政用途での利用予定がないため池が37か所存在しているとのことです。冒頭に述べたように、全国的にも農家戸数の減少や農業者や水利組合員の高齢化などが進む中、周辺の宅地化などの土地利用の変化などから、ため池の管理の重要性は増す一方で、その監視体制の弱体化が課題となっているようですが、農業用ため池の日常管理を行っている水利組合への市の支援や対応はどのように行われているのかお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農業用ため池は、基本的に地域の水利組合が日常管理を行っている状況でございますが、急傾斜面の除草などの危険を伴う作業につきましては、水利組合との協議を踏まえ、市が外部委託や直営作業によって対応するなど、必要に応じて支援を行っている状況でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 全国で発生しているため池による災害被害を見ると、直接的な原因は豪雨や地震によるとのことですが、ため池決壊のメカニズムや全国における主な災害発生事例を尋ねるとともに、防災重点農業用ため池に指定されたため池の基本的な対策の考え方をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) まず、農業用ため池決壊のメカニズムについてでございますが、ため池の決壊は、豪雨時において、ため池を越流した雨水によって堤体が浸食されたり、地震時の強い揺れによって土の強度が低下し、堤体がずれたり沈下することによって発生すると考えられます。また、主な災害発生の事例としましては、防災重点農業用ため池の指定基準が見直される契機となった平成30年7月豪雨がございまして、その際は広島県を中心として32か所の農業用ため池が決壊いたしております。
 次に、防災重点農業用ため池に指定されたため池に関する福岡市の基本的な対策の考え方としましては、まず、対策の必要性を判断するための調査を実施し、調査結果に基づいて防災工事を計画的に推進していくこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 国の農業用ため池の管理及び保全に関する法律や防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法、いわゆるため池特措法、これらの制定を受け、本格的な調査や対策が始まっているようですが、本市では、防災重点農業用ため池についてどのような調査を行っているのかお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) まず、令和2年度より、市独自の取組としまして、豪雨時においても貯留水が堤体を越えて流れることがないよう、ため池内の水を安全に流すための施設である洪水吐の流下能力を確認する洪水吐現況調査を実施しております。また、令和3年度からは、福岡県防災重点農業用ため池に係る防災工事等推進計画に基づきまして、ため池の漏水や変形などの変状を把握し、防災工事の必要性を判断する劣化状況評価を実施しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 大雨などによる洪水の流入に対し、ため池の安全を確保するために設けられた放流設備である洪水吐、これの現況やため池の周囲の堤体、堤防などの調査が開始されているとのことですが、洪水吐現況調査及び劣化状況評価、これらのそれぞれの進捗状況をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) まず、洪水吐現況調査についてでございますが、既に農業用途を廃止したものや、過去に同調査を行ったものを除いた農業用ため池206か所を対象としまして、これまでに170か所の調査を実施しております。また、劣化状況評価につきましては、他の行政用途で利用する計画があるものや売却、廃止工事の見込みがあるものを除いた農業用ため池233か所を対象としまして、現在27か所を調査中でございます。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) その洪水吐調査及び劣化状況評価の結果はどうだったのかお答えください。また、当該調査等の完了見通しをどのように持っているのかお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) まず、洪水吐現況調査の結果ですが、調査した防災重点農業用ため池の約7割で流下能力の強化が必要であると判断されている状況でございます。また、劣化状況評価につきましては、現在調査を進めている状況であり、令和3年度末に調査が完了する予定でございます。なお、洪水吐現況調査は令和4年度末、劣化状況評価は令和7年度末の調査完了を予定しております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) それでは次に、ため池が決壊した場合の浸水区域を示し、緊急時の迅速な避難行動につなげるため、浸水想定区域図が公表されていますが、この浸水想定区域図の概要と本市内における公表済みの箇所数及び今後の公表予定の箇所数をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 浸水想定区域図は、満水状態のため池が自然災害等により決壊し、貯留していた水が全て流れ出た場合に想定されるため池下流側の浸水の範囲や深さを示したもので、福岡県が作成しております。福岡市では、県が作成した浸水想定区域図の再確認を行い、必要に応じて修正した上で順次公表していくこととしており、令和3年5月末には95か所を公表済みで、令和3年12月末には新たに88か所を公表する予定でございます。
 また、今後公表予定の浸水想定区域図の数につきましては、農業用途を廃止した後に、他の行政用途への転用協議を進めているものや廃止工事を行うものを除いた36か所を予定しており、市での再確認作業を終え次第、速やかに公表していくこととしております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 既に公表された95か所のうち、私の地元である早良区内には現時点で5か所が公表されています。しかし、その全てが市街化区域内に位置し、低層階の戸建て住宅地と隣接をしています。区域図では堤防、堤体が決壊した場合に想定される浸水範囲と、決壊してから1時間以内に想定される浸水の最大深さが色分けして表示されていますが、相当数の世帯がその対象となるようです。
 浸水想定区域図の関係住民への周知はどのような方法で行っているのか、その現状をお聞きします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 浸水想定区域図につきましては、防災重点農業用ため池の位置を示すため池マップと併せて、市のホームページへ掲載し、周知を図っております。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 先ほど言いました特に市街化区域の新興住宅地などを含むエリアにおいては、御自身の自宅等がこの浸水想定区域内に位置していることや、その防災重点とされているため池の存在すら認識しておられない方も存在しているようです。
 そこで、この農業関係者のみならず、該当エリア住民への周知徹底が重要であると考えますが、今後の周知や区域図の活用方法についてお聞きをします。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 浸水想定区域図のため池周辺住民へのより効果的な周知を図るため、現在、市ホームページへの掲載に加えて、市政だよりを活用した広報を行う準備を進めております。また、令和4年度以降には、関係部局と連携しながら、ため池周辺住民の参加によるハザードマップ作成にも着手していく予定であり、ため池周辺地域のさらなる防災意識の向上に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 農家戸数の減少や農業者の高齢化など、ため池の管理及び監視体制の弱体化の課題について触れましたが、草刈りや洪水吐、堤防などの日常の点検はもちろんのこと、豪雨発生時などにも水利組合の方々は見守りや応急処置に取り組まれています。ため池はその構造上、傾斜地に多く存在しますので、豪雨時に近づくと危険な箇所も多くあるようです。私もこの質問に際し、数か所のため池を視察してきましたが、現地までの道中、道路の道幅や舗装が十分ではない林道のような区間もあり、普通乗用車では走行が困難な道路状況も見受けられました。平常時でもこの状況ですから、豪雨時の見回りについての危険性があることは容易に想像ができます。
 そこで、農業者の減少に伴う地元管理体制の弱体化などの課題に対応するとともに、豪雨や地震などの自然災害により、ため池が決壊するおそれが生じた際の避難行動につなげるため、監視カメラの設置など、ICT等の先端技術導入による管理体制の強化も有効な対策と考えますが、市の御所見をお伺いし、質問を終わります。
 
○議長(伊藤嘉人) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) ICT技術の導入による管理体制の強化としましては、人工衛生データを活用し、ため池の貯留水を排水する際に妨げとなる洪水吐周辺の堆積ごみや堤体の劣化状況を監視する実証実験を令和3年10月より開始しているところでございます。また、監視カメラの設置につきましては、ため池監視の有効な対策であると考えられますが、一方で、設置場所の選定や効果的な運用方法等の課題もございますので、引き続き他都市の活用状況を調査、把握するとともに、他の対策の進捗状況なども考慮した上で設置を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(伊藤嘉人) この際、休憩し、午後4時20分に再開いたします。
午後4時7分 休憩  
午後4時20分 開議  
○副議長(山口剛司) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。
 この際、あらかじめ時間を延長いたします。山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、パピオアイスアリーナの存続についてと、世界水泳大会について、以上2点について質問してまいります。
 これまでに何度もパピオアイスアリーナについて質問してまいりました。本市で唯一の通年利用可能なスケート場が本年6月末をもって休館になりました。
 そこで、現在、西部ガスが運営しているパピオアイスアリーナはどのような状況になっているのか、本市で把握しているのか、お尋ねいたします。
 以上、1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) パピオアイスアリーナにつきましては、施設点検等のために令和3年7月から休館しており、運営事業者において、今年度末を目途に今後の在り方について検討するとお聞きしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 本市で唯一の通年利用のアイスアリーナを練習拠点とする競技団体が存続を求めていたと思いますが、スケート連盟やアイスホッケー連盟等との協議や企業との話合いはどのような状況なのか、また、その結果はどのようになったのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 競技団体などとの協議状況につきましては、福岡のスケートリンクを守る会から令和3年9月に存続に関する要望をお受けしたほか、運営事業者からは検討状況等をお聞きしているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) では、パピオアイスアリーナが休館になったことで、スケートやカーリングを身近な場所で体験することができなくなりましたが、市民からはどのような声が届いているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) パピオアイスアリーナにつきましては、福岡のスケートリンクを守る会から、多くの存続を望む声があるとお聞きしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 福岡のスケートリンクを守る会から、多くの存続を望む声があると聞いているとのことですが、本市はどのように受け止めているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) パピオアイスアリーナにつきましては、年間を通じ市民の皆様が気軽にアイススケートを楽しめる場になっていることから、市として、事業者に運営を継続していただきたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 本市としても継続していただきたいと考えているとのことでした。
 では、先ほどの答弁で、パピオアイスアリーナの運営事業者からは検討状況等を聞いているとのことですが、今現在どのような状況なのか、詳しく説明願います。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 現在の検討状況等につきましては、休館し点検を行った結果、冷媒液を流している機器や配管の腐食が進んでいることから、現在の設備による長期的な運営は難しい状況であることを確認されており、今年度末を目途に今後の在り方について検討を行っているとお聞きしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 来年2月には中国の北京で冬季オリンピック・パラリンピックが開催され、大会終了後はウインタースポーツをやってみたいという市民が増えると思います。本市には、年間を通してウインタースポーツをする場所がなくなっています。
このような状況では、ウインタースポーツを見る人もやる人も減っていくと思われますが、それに対し、今後どのような対策と対応を取られるのか、お尋ねします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) ウインタースポーツにつきましては、その他のスポーツと同様に市民の健康増進や自己実現、余暇活動の充実など、市民の生活の質の向上につながるものと考えております。パピオアイスアリーナについては、運営事業者において今後の在り方を検討しているところでございますが、市としても運営を継続していただきたいと考えており、存続に向けた支援について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 裾野を広げ、多くの皆様に楽しんでいただくためにも、市民にウインタースポーツの施設は必須だと考えます。
今後、本市として、施設建設の計画など予定はあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市内のスポーツ施設につきましては、福岡市だけでなく、民間や大学、県など様々な主体により運営されており、今後とも、大学や民間等の施設の活用や、県や周辺自治体などと連携した広域的な対応など、効果的、効率的に施設サービスを提供していく必要があると考えております。市内のウインタースポーツ施設については、パピオアイスアリーナと福岡県立総合プールスケートリンクがございますが、パピオアイスアリーナについては、今後とも、民間事業者において継続いただくことが効果的、効率的なサービス提供につながると考えており、市による施設建設などは考えておりません。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 本市では、スケート場の施設建設計画はないものの、パピオアイスアリーナについては運営事業者において運営を継続していただきたいと考えており、市としても存続に向けた支援について検討するとのことですが、支援についてはどのような支援を検討しておられるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) パピオアイスアリーナの存続につきましては、施設の所有者であり、運営主体である運営事業者の取組が第一であり、また、広域行政を担う福岡県の協力も不可欠であると考えております。そうした前提の中で、市としても存続に向けた設備更新経費の一部について支援を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 運営事業者の取組や県の協力を前提に、存続に向けた設備更新の経費支援を検討するとのことでした。
運営事業者においては、今年度末を目途に今後の在り方について検討するとのことですが、本市としては今年度末までに運営事業者の検討結果に応じてスムーズに支援することができるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 存続に向けた支援につきましては、運営事業者の検討状況等をお聞きしながら、福岡県とも連携して検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) これまで私はパピオアイスアリーナについて何度も質問し、市民の声を届けてまいりました。また、休館になる前から全国のトップスケーターもパピオについては非常に注目をしております。
 本市では、存続に向けた支援について検討していくとのことでしたので、今年度末を目途に答えを出すという運営事業者と密に情報交換を図り、次年度以降の運営がスムーズに図られますよう、よろしくお願いいたします。以上でこの質問を終わります。
 次に、2022年5月に開催される世界水泳大会についてお尋ねいたします。
 本市では、これまでにワールドカップやその他様々な世界大会が開催されてきましたが、今回、世界水泳大会を本市で開催することになったきっかけ、また、開催をする目的と意義をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 世界水泳選手権の開催招致につきましては、平成27年に市議会での御質問や地元経済界等からの招致要請を受け、28年1月に国際水泳連盟へ立候補書類を提出し、同連盟の理事会において福岡での開催が決定されたものでございます。開催の目的や意義については、市民の皆様がトップアスリートの競技を間近で観戦すること等によるスポーツの振興や、福岡市に多くの観客等を迎えることによる地域経済の活性化、世界で40億人の視聴が見込まれるテレビ放映等を通じた福岡市の都市ブランド力の向上であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 世界水泳大会を開催するに当たり、本市が選ばれた理由と選ばれるための基準、本市が評価された点などはあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 本市が選ばれた理由と基準につきましては、国際水泳連盟からは発表されておりませんが、ウォーターフロントを中心に、コンパクトなエリアに大会会場を配置したコンセプトが評価されたと考えております。また、2001年大会の成功など、大規模国際スポーツ大会開催の実績も高く評価されたと考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 2001年に世界水泳大会を本市で開催されていますが、前回の世界水泳大会とどのように変わったのか、また、どのような違いがあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 2001年福岡大会からの変更点といたしましては、大会で実施される競技数が増加しており、2001年大会の6種別59種目から、ハイダイビング競技など1種別17種目が追加され、本大会では6種別76種目となっております。これに伴い、参加する選手数も2001年大会の約1,500人から2,400人に増加する見込みでございます。また、トップアスリートが出場する世界水泳選手権の終了後に、世界中の水泳愛好者が参加する世界マスターズ水泳選手権を開催するなど、大会が大規模化しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 2001年大会に比べ、種目が増えることと併せて、マスターズ大会も開催され、期間も会場も規模が拡大することが分かりました。
 では、本市で開催される世界水泳大会全体にかかる費用総額とマスターズ大会の総額をお尋ねいたします。加えて、スポンサー企業等がいると思いますが、企業等が負担する金額と本市が負担する金額をそれぞれお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会費用につきましては、世界水泳選手権と世界マスターズ水泳選手権を一体で計画しており、現在の大会予算の見通しは総額170から180億円を見込んでおります。スポンサー企業からの協賛金を含む大会の収入については、企業等からの協賛や寄附等を35から40億円、国などの公的機関からの助成を50から60億円と見込んでおり、市の負担は大会予算の半分程度を想定しております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 今回の大会は6種別76種目ということですが、施設は常設のものを使用するのか仮設なのか、また、各種目と開催場所を教えてください。加えて、世界大会終了後、マスターズ大会を開催されると思いますが、マスターズの会場はどこの施設を使用するのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 世界水泳選手権につきましては、競泳、アーティスティックスイミング、水球、飛び込み、ハイダイビング、オープンウォータースイミングの6種別を、また、世界マスターズ水泳選手権では、ハイダイビングを除いた5種別を実施することとしております。競技会場といたしましては、世界水泳選手権においては、競泳、アーティスティックスイミングをマリンメッセA館で、水球をマリンメッセB館で、飛び込みを福岡県立総合プールで、オープンウォータースイミングとハイダイビングをシーサイドももち海浜公園で実施いたします。
 また、世界マスターズ水泳選手権におきましては、競泳をマリンメッセA館と総合西市民プールで、アーティスティックスイミングを鹿児島市の鴨池公園水泳プールで、水球を熊本市の総合屋内プールで、飛び込みを福岡県立総合プールで、オープンウォータースイミングをシーサイドももち海浜公園で実施いたします。
 競技会場のうち、マリンメッセA館、B館及びシーサイドももち海浜公園では、仮設で会場整備を行うこととしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 大規模な大会でもあり、常設の会場が市内にないため、仮設の会場を整備することと思います。
 マリンメッセA館、マリンメッセB館、シーサイドももち海浜公園では、仮設プールを建設するということですが、大会会場は、大会開始のどのくらい前にでき上がるのか、また、建設に当たりどのくらいの費用がかかるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) まず、先ほどの答弁を訂正いたします。
 本大会と2001年大会の違いをお尋ねの部分で、2001年大会の種別を6と申しました。5が正しい数字でございます。訂正いたします。
 次に、大会会場の完成時期といたしましては、いずれの会場も開幕の1か月程度前にはプールなどの仮設工事がおおむね完成し、その後、開幕までの間に、会場装飾や競技備品の設置をはじめ、大会運営テストを実施する予定でございます。また、会場整備にかかる費用については、全体で70億円から80億円を見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 今回の大会で何か国の選手、役員、それぞれ何名来福されるのか、選手、役員が宿泊するホテルなど確保できているのか、また、どのような振り分けをされているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 世界水泳選手権の参加者につきましては、190か国、地域から選手約2,400人、コーチなどの関係者約1,800人、審判員など約200人を見込んでおります。世界水泳選手権に参加する選手や役員が宿泊するホテルについては、現在、国際水泳連盟や各ホテルと宿泊計画について協議を行い、必要な部屋数を確保することとしており、計画が確定した後に、各国選手団が自らホテルを選択し、組織委員会を通じて申込みを行うこととなります。世界マスターズ水泳選手権の参加者については、100か国、地域から約1万人、審判員など約300人を見込んでおります。世界マスターズ選手権の参加者のホテルについては、大会ホームページなどで福岡や熊本、鹿児島市内のホテルの情報をお知らせしますが、基本的には参加者が自ら調べて予約することとなります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 今回の大会に東京オリンピックに出場した選手が来福されると思います。
 そこで、オリンピックに出場した選手を見に他県からも多くの人が集まってくることと予想されます。東京オリンピックでは、交通規制や移動制限がされたことが話題になりましたが、大会期間中の交通規制や移動制限などを行うのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会開催に関しまして、交通規制や市民の方への移動制限を行う予定はございません。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 次に、ボランティアの募集をしていると思いますが、募集人数は何名だったのか、また、何名集まったのか、ワクチン接種の有無は問うのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会ボランティアにつきましては、募集期間を8月30日から11月19日までの約2か月半としており、締切りまでに5,180人と募集人員5,000人を超える応募をいただいております。なお、ワクチン接種を応募条件にはしておりません。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 東京オリンピック・パラリンピックや北九州で開催された世界体操など、感染対策を講じながら開催されましたが、今回の世界水泳大会もコロナ禍での開催になると思うが、選手、役員は本市に来福した時点で事前に隔離などされるのか、また、ワクチン接種の有無は問うのか、どのような対策を行う予定なのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会におけるコロナ対策につきましては、大会組織委員会に水泳競技や地域医療、感染症の専門家が参加した対策検討会議を設置し、市民の安全確保や円滑な大会運営に向け、東京オリンピック・パラリンピックや今年10月に開催された世界体操・新体操選手権北九州大会、来年2月に開催予定の北京冬季五輪などのコロナ対策並びに入国規制の状況や国が示す感染症対策の基本方針を踏まえ、バブル方式の採用も含め、詳細なコロナ対策を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) バブル方式とは、選手や関係者の移動、滞在を一定の空間に限定し、外部との接触を極力避ける感染対策方法のことだと思います。
大会期間中の選手をはじめとする関係者の移動については、相当な人数になると思われるが、選手、役員は会場までどのような手段で移動するのか、また、ボランティアの方々はどのような移動手段を使うのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会における選手や役員の移動につきましては、大会組織委員会が準備する貸切りバスなどの専用車を利用し、ホテルから競技会場などの間を移動することとなります。また、大会ボランティアの方については、応募者の希望を踏まえて決定した活動場所に公共交通機関を利用して集合いただくこととなります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 東京オリンピック・パラリンピックや北九州での世界体操のマニュアルなどを参考にして、本市での世界大会を開催されると思いますが、万が一、選手、役員、加えてボランティアの方がコロナウイルスに感染した場合、対応や対策は万全なのか、医療機関との連携などできているのか、また、重症化に備えて医療機器などの確保はできているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会での選手等の感染時の対応につきましては、今後、医療機関等との連携や医療機器の確保を含め、大会で必要な感染時の対応を対策会議で検討し、万全の対策を取ることといたしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 感染対策に関して現在、変異株、オミクロンの発見もあり、市民には不安が広がっていると思います。世界中から福岡に集う大会が安心、安全に開催されるよう、できる限りの対策を講じていただくようお願いいたします。
 次に、世界大会となれば、各国の選手は最高のパフォーマンスを出すために時差やコンディションの調整を行います。
 そこで、大会前の事前合宿などは行うのか、行うのであれば、その事前の練習風景など見学ができるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 各国チームの事前合宿につきましては、市内に合宿利用できるプールがないことから、予定されておりません。そのため、大会公式の練習会場において、市民見学会の開催を検討しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 市内での合宿予定はないとのことですが、選手側からの立場だと大会が行われるプールで事前に練習することは非常に大切なことであり、ベストな状態で、記録やパフォーマンスを出すためには欠かせないと思われますが、なぜ市内での事前合宿の予定がないのか、また、できない理由をお尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市内で事前合宿が行われない理由につきましては、福岡県立総合プール、総合西市民プール、福岡大学プールといった市内3か所の50メートル室内プール全てを本大会の競技会場や公式練習会場として使用することとしており、競技開始5日前から始まる公式練習開始直前まで設営や運営テストなど、開催準備を行っていくことによるものでございます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 選手にとって、ちょっとした環境の変化で記録やパフォーマンスに影響が出ることもあり、本来であれば、選手は事前に大会会場での合宿をし、水質や環境に慣れたいところであると思いますが、本大会会場が5日前から利用できることは、選手にとっては少し安心できるのではないかと思います。
 次に、本市での世界水泳大会は約20年ぶりということで、多くの方が楽しみにしていると思われますが、コロナ禍の状況もあると思います。
 そこで、大会での観客動員はするのかしないのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 観客の取扱いにつきましては、競技会場の収容定員の100%まで来場できるよう準備に取り組み、市民の皆様に生のトップアスリートの競技に触れていただきたいと考えております。新型コロナウイルスの感染状況によっては、世界体操・新体操選手権北九州大会においても活用された、入場時にワクチン接種証明や陰性証明を確認することにより収容定員の100%の来場を可能とするワクチン・検査パッケージ制度の活用を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) コロナ禍の開催ではありますが、万全の体制で大会運営されるということで少し安心しました。
 では、大会の前売りチケット販売等は行っているのか、加えて、本市にどのくらいの方々が来福されるのか予測はついているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会チケットの販売につきましては、令和4年1月からの開始を予定しております。また、大会来場者については、選手、観客、関係者のほか、マーケットストリートへの来場者なども含め、延べ40万人から50万人を見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 大会チケットは、令和4年1月から販売開始予定ということですが、チケット収入額は本市の費用負担分との相殺はできるのか、また、軽減されるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会チケットの売上げにつきましては、大会組織委員会の収入となり、大会開催経費の一部に充てられます。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 本市で世界水泳大会を開催することにより、どのような効果があるのか、また、世界水泳大会の成功とは何なのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会開催による効果と成功といたしましては、大会に選手、観客、関係者のほか、マーケットストリートへの来場者なども含め、延べ40万人から50万人が来場することによる福岡市内での470億円の経済波及効果に加え、熊本市や鹿児島市と連携した周遊観光の促進による九州経済の振興であると考えております。また、子どもたちをはじめ、市民の皆様に世界のトップスイマーの活躍や大規模国際スポーツ大会に間近に触れていただくことにより、夢や希望が育まれ、スポーツの振興、健康の増進に寄与するほか、大会の開催、成功による地元福岡への愛着や誇りの醸成につながるものと考えております。さらには、5,180人にも上る大会ボランティアの方々の活動を通じた国内外の選手、関係者や観客との交流、官民連携したおもてなしに取り組んだ実績や、世界中のメディアでの放送などを通じた国際都市福岡の都市ブランド力の向上であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 観客をはじめ、選手、役員、他県から来福されたボランティアなど、大会を開催するに当たり、福岡市に来られる方々に本市の魅力などを知っていただける機会でもあります。歴史や文化のPRももちろんですが、やはり福岡は食べ物がおいしいと評判ですので、食も含めた本市の魅力を伝えられるような取組などはないのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の魅力を伝える取組につきましては、世界水泳選手権の来訪者に向けた観光特集サイトを設け、福岡の観光情報のPRを行っているところでございます。感染状況を注視しながらではございますが、会場となるウォーターフロントエリアにおいて山笠や屋台、伝統工芸などが体験できる場を設置いたします。また、博多駅前のエリアでは、大会期間中に歓迎イベントを開催するとともに、博多旧市街の歴史資源を生かし、来訪者の回遊促進を図ってまいります。さらに、国内外からの来訪者を歓迎する飲食店や小売店、体験コンテンツを提供する店舗をおもてなし店舗として募集し、福岡市の歴史、文化、アート、食などの魅力を体験していただく取組を進めてまいります。このほか、都心部において花を中心とした装飾を行うなど、来訪者のおもてなしに向け、関係局、区と連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 本年開催された東京オリンピック・パラリンピック終了後、本市民のスポーツに対しての関心や、やってみたいという声が上がっていたかと思われますが、市民の声はどうだったのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民のスポーツに対する関心につきましては、競技団体などから、東京オリンピック・パラリンピックを契機として様々なスポーツをやってみたいという声が増えてきているとお聞きしております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 2001年の世界水泳大会を見た方々はいろんな思いで見られたと思います。また、中には大会を見ることにより、夢や目標への挑戦意欲などがかき立てられて、競技者として頑張っている方もいると思います。
 そこで、世界水泳が終了した後の施設利用はできるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(山口剛司) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会終了後の仮設プールの利用につきましては、次代を担う子どもたちに大会の醍醐味を感じていただけるよう、大会終了後の競技会場での中学生や高校生の大会開催の検討を進めてまいります。また、本大会で使用したプールは大会後に解体いたしますが、市内小学校において再活用するほか、宮崎県の高校からも再活用の申出をいただいております。以上でございます。
 
○副議長(山口剛司) 山田ゆみこ議員。
○56番(山田ゆみこ) 大会終了後、仮設プールについては、学校プール等での再活用を予定しており、また、解体前に中高生の大会開催を検討しているとのことですので、世界大会会場で泳いだ子どもたちから世界へ羽ばたく選手が誕生することを大いに期待したいと思います。トップアスリートが集う大会ですので、次代を担う子どもたちをはじめ、多くの人に大会の醍醐味を体感していただける取組をしっかりと進めていただきたい。多くの方々が水泳を楽しみ、水泳をやってみたいという人が増えることも大会レガシーの一つだと思います。
 今回の質問を通じて、市民にとっての安心、安全な大会開催、本市の費用負担をいかに削減できるか、観客をはじめとする多くの方への本市のPR、そして、次代の子どもたちへの体験の機会設定など伺ってまいりました。来年5月の大会の成功に向けた万全な対応と、今後の世界大会の誘致の際にも同じく対策を講じていただきますよう要望し、私の質問を終わります。
 
○副議長(山口剛司) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明21日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(山口剛司) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明21日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時52分 散会