令和3年6月18日(金)

令和3年第3回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第4号)
6月18日 午前10時開議
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  平 畑 雅 博       8番  伊 藤 嘉 人
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  阿 部 真之助      12番  淀 川 幸二郎
13番  勝 山 信 吾      14番  川 上 多 恵
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  久 田 章 浩
保健福祉局長  舟 越 伸 一   環境局長   田 浩 輝
経済観光文化局長  天 本 俊 明   農林水産局長  中 村 健 児
住宅都市局長  西 野   仁   道路下水道局長  名古屋 泰 之
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  内 村 弘 文
会計管理者  中 村 郁 子   教育長  星 子 明 夫
教育委員  西 村 早 苗   選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子
人事委員会事務局長  柴 田 淳 司   監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  曽根田 秀 明   議会事務局次長  八 木 智 昭
議事課長  水 ア 亮 二   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。淀川幸二郎議員。
 
○12番(淀川幸二郎)登壇 おはようございます。私は自由民主党福岡市議団を代表して、中学校における部活動の充実について、学校におけるICT活用の推進についての2点について質問をいたします。
 まずは、中学校における部活動の充実について質問をさせていただきます。
 部活動はスポーツや文化芸術活動等の理解や習得を目的として、学生の参加により行われるものであり、その活動を通して、技能、知識等の習得のみならず、人間関係の構築を図り、仲間と協力して何かに取り組むなど、身体的にも精神的にも学生の多様な学び、成長の場として非常に大きな意義があると考えております。私も学生時代、野球部に所属し、大会の優勝を目指して日々努力する中で、多くの友人などとの交流を持ち、試行錯誤しながらも様々な経験をすることができたと感じております。また、私の息子も現在、サッカー部に所属し、毎日練習に励んでいるところであり、親としても、多くの経験を積んで、より成長してほしいと願っておるところであります。こういった自分自身の経験からも、部活動が果たす役割は子どもたちにとってかけがえのないものであるという思いから、今回、部活動の充実について質問するに至った次第であります。
 本市においては、現在、中学校の部活動は非常に盛んに行われており、今後もより一層の活性化を進めていかなければならないと考えております。しかし、部活動の運営に当たっては、現在のコロナ禍における不都合や、教員が専門種目ではない部活動の顧問になったり、生徒が入りたい部活動が学校になかったりするなど、課題も多くあると思われます。そういった課題を解決していくことで、より一層の部活動の充実を図ることができると考えております。
 そこで、まず初めに、コロナ禍における部活動の状況についてお尋ねをし、以降は発言者席にて質問をさせていただきます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 現在、福岡県に緊急事態宣言が発出されている中での部活動は、身体的距離を確保した練習方法の工夫や指導者のマスク着用など、十分な感染症対策を徹底し、全ての部活動において活動しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 先生方や保護者の方の協力の下、感染症対策をしながら何とかコロナ禍においても部活動の円滑な運営が図れているところだと思います。
 令和2年度は中体連、中文連関係の大会が中止となっております。令和3年度においては今のところ大会を実施する予定であると聞いておりますが、例年行われている各区の大会会場の幾つかはワクチン接種の会場に使用されており、代替の場所は確保できているのか、状況についてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 例年実施されている大会会場の中では、南体育館、城南体育館、中央体育館がワクチン接種会場となっております。令和3年度については、中学校体育連盟や中学校文化連盟が計画段階から関係機関と調整することで、会場も確保され、感染予防を徹底した上で開催されることとなっております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 中体連や中文連は、関係機関の協力の下、既に大会のための会場は確保されているということで安心をいたしました。今後もコロナ禍における部活動の運営に対する継続的な支援と感染の予防を徹底した上で、中体連、中文連関係の大会が開催できるための支援をお願いいたします。
 次に、令和2年9月議会において、我が会派の川上陽平議員からの質問に対し、教育長より、部活動の新設及び廃止に関するガイドラインを作成するとの答弁がありましたが、ガイドラインは作成されたのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年の秋以降、教育委員会と中学校校長会等とで協議を重ね、部活動の新設の条件や廃部する場合の留意事項などについてまとめたガイドラインを作成したところで、令和3年3月に各学校に通知し、各学校で適切に対応しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 教育委員会と校長会等での協議の下、部活動の新設、廃止に関するガイドラインが作成されたということであります。
 それでは、ガイドラインの具体的な内容についてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 具体的な内容は、部活動新設の条件として、安全に活動できる場所が確保できること、原則として、入部予定の生徒が一定数以上で、団体種目においては大会出場に必要な人数以上であること、指導可能な顧問を2名以上配置できること、一方、部員の減少などにより廃部する場合の留意事項として、在籍部員や保護者及び地域へ十分に説明し周知すること、新たに入部する生徒の受付は行わず、在籍部員が引退するまでの活動を保障することなどとしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) このガイドラインが部活動の新設、廃部についての詳細を規定しているということであります。各学校ではこのガイドラインを基に部活動の新設、廃部を適切に判断していると考えておりますが、このガイドラインに基づいて、令和3年度に部活動の新設や廃部のあった学校数及び部活動の数をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年度は4校で5つの部活動が新たに開始された一方、2校で2つの部活動が部員の減少などにより廃部となっております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 令和3年度において部活動の数は、多少ではありますが、増加しております。しかしながら、指導可能な指導者がいないために新設することができなかった部活動もあるようです。今後も各学校の生徒や保護者のニーズを的確に捉えて、適切に対応していくことができるよう継続した取組をお願いいたします。
 次に、中学校の部活動における日常的な支援も重要であります。現在の部活動は顧問の先生が自身の得意な競技や分野ではない種目を任されることも多くあるようであり、そういった場合、子どもたちは専門的な知識、技術を習得することがなかなか難しいという問題があります。自分の意思で入部し、練習に取り組む子どもたちの意欲に応えるためにも、子どもたちへのより専門的なサポートが必要であると考えております。
 一方で、部活動は先生方の熱い思いや善意によって支えられている部分も多く、日頃の指導や引率、休日の練習や試合のために多くの時間が必要となるため、授業の準備や教材づくりが後回しになるなど、部活動が勤務上の負担となっている現状もあります。また、様々な生徒や保護者との人間関係の中で、部活動に対する考え方も一人一人異なるため、その方針の違いからトラブルに発展することも多いという声を耳にします。そのため、先生方の体力的、精神的負担を考えると、先生方に対してもさらなるサポートが必要であると考えております。
 これまでに本市では、それぞれの部活動の専門的な知識や技能を有する教員以外の人材を任用するなど、部活動支援の充実に向けて取り組んできたことは承知しておりますが、改めて、部活動の支援に関わる令和3年度の予算と支援体制についてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年度の部活動支援に関わる予算は8,709万1,000円でございます。支援体制としましては、顧問である教職員のほかに外部指導者を招聘しており、顧問の補助として技術指導を行う部活動支援員、顧問として単独での指導や大会への引率ができる部活動指導員A、小規模の部活動が大会に参加する際に教職員に代わって引率や監督業務を行う部活動指導員Bを配置しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 顧問の補助として指導を行う部活動支援員や、顧問として指導や引率ができる部活動指導員A、教職員に代わって引率や監督業務を行う部活動指導員Bを配置し、部活動の支援を行っているということであります。私はこれらの支援の中で、日常的に生徒の指導に携わる部活動支援員と部活動指導員Aの役割は大変重要であると考えております。また、先生方の身体的、精神的負担を分担する役目を果たし、先生方が余裕を持って生徒に目配りができるようになることで、部活動の充実、トラブルを防止するといった観点からも非常に意義があると考えております。
 そこで、部活動支援員及び部活動指導員Aについて、令和2年度の配置人数と令和3年度の配置予定人数をそれぞれお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年度の配置実績人数は、部活動支援員が248名、部活動指導員Aが70名、令和3年度の配置予定人数は、部活動支援員が253人、部活動指導員Aが72人でございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 令和2年度から令和3年度にかけて、少しではあるものの、配置人数は増員されているようであります。
 それでは、部活動支援員及び部活動指導員Aについて、教育委員会は各学校への配置をどのように決めているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) まず、部活動支援員は各学校の要望に応じて配置しております。次に、部活動指導員Aは各中学校に1人配置できる予算を確保しており、配置を必要としない学校がある場合は、教育委員会で部員数や学校規模などを基に調整し、追加配置を希望している学校に複数配置をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 教育委員会は各学校の要望に応じて部活動支援員や部活動指導員を配置しているとのことでありますが、配置人数だけでなく、各学校が部活動支援員や部活動指導員として適切な人材を確保できるかということも大変大きな問題であると考えております。十分な人数が配置された上で、部活動支援員や部活動指導員が適切な指導を行うことによって初めて、部活動はより充実したものになっていきます。
 そこで、人材確保について教育委員会は各学校にどのような支援を行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校での人材確保が困難な場合や学校がより専門性のある人材を希望する場合には、教育委員会が福岡市スポーツ協会等と連携し、学校の要望に応じて人材を紹介しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 教育委員会は部活動支援員、部活動指導員の人材確保のための取組を行っているようでありますが、私は学校が部活動支援員や部活動指導員として適切な人材を確保できないことを理由に配置ができないということはあってはならないと考えております。これからも引き続き適切な対応を行い、様々な方法で人材の確保を行うことを要望しておきます。
 また、部活動支援員や部活動指導員といった外部指導者が実際に配置されることによりどのような効果があるのか、現場の声を聞く必要があると考えます。
 そこで、今までお尋ねしてきた外部指導者を活用した支援について、教職員や生徒、保護者からはどのような声が上がっているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校への聞き取りを適宜行っておりますが、教職員からは部活動に関する負担が軽減された、生徒や保護者からは専門的な技術指導により技能が向上し充実感が得られているなどの意見をいただいており、部活動の充実につながっていると考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 先ほどの答弁でも分かりますように、令和2年度から令和3年度の外部指導者の増員は、部活動支援員で5名、部活動指導員Aで2名と少しの増員であります。しかしながら、部活動における外部指導者を活用した支援は教職員や生徒、保護者からもとても好意的に受け止められております。
 このような声に応え、教職員の負担を軽減し、子どもたちがより充実感を得られる部活動にしていくためにも、外部指導者を活用した部活動の支援のさらなる拡充を図るべきだと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 外部指導者を活用した支援については、これまで配置してきた部活動支援員に加え、平成30年度に部活動指導員A、令和2年度に部活動指導員Bを新たに配置するなど、支援体制の充実を図ってまいりました。今後も教職員の負担軽減や生徒の技能の向上などのため、外部指導者を活用した支援体制の充実に努めてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 今後も外部指導者を活用したさらなる部活動の支援を要望しておきます。
 ここまで、日常的に生徒への指導に携わる部活動支援員と部活動指導員Aについて質問をしてきましたが、水泳や空手道など、地域のスポーツクラブや道場で活動している生徒が大会に参加する際、多くの場合で専門的な知識や技能を持たない教職員が引率し、監督業務を行っていると聞いております。日頃から関わりのある指導者の方が引率、監督ができれば、生徒も安心して大会に参加でき、また、適切なアドバイスをもらえることでパフォーマンスの向上にもつながります。そのため、部活動指導員Bについても、積極的な活用をお願いしておきます。
 部活動は子どもたちが多くの人たちと関わっていく中で得られる多様な学びを通して、社会で生き抜いていく力を養うために、非常に重要な役割を果たすものであると考えております。本市においても、部活動の充実のためのさらなる支援を行っていくことで、子どもたちのさらなる成長を可能にし、これからの社会を担っていく人材となっていくと考えております。そのためにも、今回の質問で取り上げさせていただいた外部指導者のさらなる活用は、部活動のより一層の充実のために非常に有効な方法であります。
 この質問の最後に、このような教職員や生徒、保護者の声を受け、これからの部活動のさらなる充実に向けて教育長の御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校教育の一環として行われている部活動は、異年齢──異なった年齢との交流の中での生徒同士及び生徒と指導者との好ましい人間関係の構築や、自己肯定感、責任感、連帯感の涵養に資するなど、生徒の多様な学びの場として、大変教育的意義の高いものであると考えております。中学校におけるかけがえのない3年間が、部活動を通して各生徒の成長につながり、より有意義なものとなるよう、部活動のさらなる充実に向けて取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 続いて、学校におけるICT活用の推進について質問をさせていただきます。
 超スマート社会、Society5.0が唱えられている現代において、社会は大きな転換期を迎えており、急速に加速する技術革新によって常に社会は変化し続けております。そういった中において、国は教育のICT化に向けた環境整備5か年計画を策定し、教育現場におけるICT環境の整備を推進しております。また、福岡市においても、福岡市教育の情報化推進に関する指針に基づき、教育用ICT機器の整備など、ICTを活用した教育活動の充実を図っているところであります。そして、GIGAスクール構想の下では、昨年度までに全ての市立学校で1人1台のタブレット端末が整備されるに至りました。
 私は教育現場におけるICT活用の推進は、これからの急速な社会変化の中で、子どもたちが主体的に学習する能力や情報を活用する能力、そして、社会で生き抜く力を身につけ、子どもたち一人一人の可能性を最大限に広げるために重要であり、また、指導を行う先生方にとっても効率的な学習指導や負担の軽減につながると考えるため、今回質問するに至った次第であります。
 今後の教育現場でのICT活用をよりよいものにしていくために、まずは学校におけるICT活用の現在の状況を教えていただきたいのですが、各学校に1人1台のタブレット端末が整備され、授業などで活用されるようになっていると思いますが、実際にどのように活用されているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ICT教育においては、これまでの教育実践と最先端のICT環境とのベストミックスを図り、主体的、対話的で深い学びの視点から授業改善を行うことで、児童生徒の力を最大限に引き出していくことが重要であると考えております。具体的な活用方法は、一斉学習の場面では児童生徒一人一人の反応を踏まえた双方向型の授業の実施、個別学習の場面では一人一人の教育的ニーズや学習状況に応じたAIドリル等の活用、協働学習の場面では児童生徒が互いの考えを即時に共有し、共同編集などを行う学習などとなっております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 授業におけるICTの活用については、一斉学習、個別学習、協働学習等で活用しているとのことでありますが、タブレット端末の導入から半年以上が経過しました。1人1台のタブレット端末の活用によって、学習に取り組む子どもたちの活動の様子はどのように変わったのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ICTの活用は児童生徒の学習意欲を高め、理解を深めることを目的としておりますが、令和3年2月に小中学校に対して実施したアンケートによると、児童生徒の関心が高まったと回答した学校が小学校98%、中学校100%、学習内容の理解が深まったと回答した学校が小学校76%、中学校68%、課題解決に向けて、自分で考え、自分から取り組むようになったと回答した学校が小学校65%、中学校56%となっており、子どもの学びに役立っていると考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) タブレット端末を活用することによって、子どもたちが主体的に物事を考え、行動する能力を養うことができることは非常によいことであります。また、実際に子どもたちに直接話を聞いてみたところ、タブレット端末を利用することによる効用を実感しているようでありました。
 次に、子どもたちはタブレット端末を利用し、意欲的に学習に取り組んでいるということでありますが、一方で、子どもたちを指導する側の先生方は1人1台のタブレット端末が整備されたことについてどのように感じているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 一部の学校を抽出して行ったヒアリング調査の結果では、ICTの整備によって授業の在り方が大きく変わり、授業がやりやすくなった、当初、機器の操作などに不安を感じていたが、子どもたちの喜ぶ姿を見て自分自身の意欲も高まったなどの意見が多く、授業内容の充実に対する教員の期待は大きいと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 子どもたちにとってもICTの活用が学びに役立っており、先生方にとってもICTの活用による授業内容の充実への期待が大きいということで、子どもたちも先生方もICTが学校教育で生かされていると実感しているようであります。私も教育現場におけるICTの活用によって、子どもたちの学力向上が期待できることに加え、教員の負担軽減が期待でき、子どもたちに直接向き合うことができる時間が増えることで、個別学習や一人一人のニーズに応じたサポートを充実させることができると考えております。しかしながら、ICTを活用した学習がとても分かりやすく便利になったという話を聞く一方で、一部の保護者や子どもたちからは、学校やクラスによって端末を活用した授業や内容に差があるようだ、先生によってはタブレット端末を授業で全く使わないことがあるという声も耳にします。
 ICTの活用を進める上で、子どもたちの学びに差が出ないようにすることは重要なことであります。どの先生もしっかりとICTを活用していただきたいと考えておりますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学習指導要領の改訂などに伴い、ICT活用の導入や小学校における英語の教科化など、教員に求められる資質、能力は多様化しております。このため、全ての教員がこれらの状況の変化に的確に対応できるよう様々な形での研修を進めてきたところで、今後も教員の資質、能力の向上に向けて研修の充実などにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 研修を重ねることによって、先生方のICT活用能力の向上を図っていくということであります。私も現場の先生方が一生懸命にICT活用に向けて取り組んでおられることは承知しておりますが、子どもたちのためにも学びの差が出ないよう、継続した取組を要望しておきます。
 また、先ほどの答弁のとおり、全ての教員がこれらの状況の変化に対応する能力を身につけていくことを期待しておりますが、活用能力の差を解消するために教育委員会としてはどのようなことに取り組んでおられるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校全体として教員のICT活用能力の向上に取り組む必要があり、管理職をはじめ、各学校で核となるICT活用推進リーダーへの研修を重点的に行うことにより、リーダー等が主催する校内研修の推進を図っております。また、教育センターでは、機器操作が苦手と感じている教員を対象に端末の操作方法を練習できる研修を実施したほか、経験年数や職務内容に応じた研修においてもICT活用に関する内容を加えるなど、様々な形でICT活用能力の向上を図る取組を行っております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 校内研修の推進や、活用が苦手な先生が取り組みやすい研修環境を準備しているということであります。しかしながら、それでなくても教職員は忙しいと言われており、私も現場の先生方からはそういった声をお聞きすることもあります。
 そこで、先生方に効率的に学んでいただけるような研修の工夫はなされているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教員が学校から研修に参加できるよう、現在、オンラインによる研修を中心に行うとともに、自身の都合に合わせてパソコンから視聴できるマニュアル動画を作成、配信しております。令和3年度はこれらに加えて外部の専門企業による研修動画を視聴できるようにするなど、研修方法の工夫を行い、教員が自らいつでも学ぶことができる環境の充実を図ってまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 時間にとらわれずに学べる仕組みをつくっていることはよいことでありますが、私は子どもたちも先生方も何度も実際に直接使ってみることで、少しずつスキルが上がっていくと考えております。また、時間がない中、かつ直接使う形となれば、各学校で日常的にICT活用推進リーダーから学べるようにすることが効果的、効率的であります。
 そこで、校内推進リーダーに対しての研修はどのくらい実施したのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年度は延べ28回、全学校565名に対して実施しております。最初の研修では、管理職も併せて受講し、学校全体での意識向上も図っております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 昨年度においても、全学校に対して校内推進リーダーに研修を実施し、学校全体の意識向上を図ったということでありますが、校内研修を学校に任せるだけでは十分に行き届かないことも考えられます。先ほど述べたように、私は校内研修の充実がICT活用推進の一番肝となる部分であると考えております。
 そこで、校内研修の進み具合や理解度などのアンケート調査が必要ではないのか、また、結果を踏まえて校内研修のさらなる活性化が必要であると考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 全ての学校を対象に、今後、校内研修の実施状況やICTの活用状況についての調査を行うこととしており、それにより、ICT機器の活用が進んでいないと見られる学校などに対しては、指導主事を派遣し、校内研修の方法や内容の指導を行うなど、しっかりと支援をしてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 校内研修やICTの活用状況の調査を行い、それを受けての支援をされるということでありますが、私も教育委員会から積極的にアプローチすることは非常に効果があると考えており、今後も継続した支援をお願いいたします。
 次に、これまでどのくらい実際に学校へ訪問されたのか、また、今後、指導主事の派遣といった形で行う研修や支援はあるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年度は延べ219回、教育センターの主事が各学校を訪問して支援を行っており、今後も引き続き必要に応じて学校訪問を行い、校内研修をサポートすることとしております。また、ICT支援員についても、昨年度に引き続き今年度も各学校へ派遣してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 今年度も必要に応じて校内研修のサポートを予定しているとのことであり、ICT支援員の派遣も引き続き行う予定であるということでありますが、ICT支援員の質という部分もしっかりと確保して、これからも現場の先生方に様々な研修や質の高い支援をしていただくようお願いしておきます。
 今後について考えると、若手教員はある程度ICT機器になじみやすいとは思いますが、基礎的な知識を高めるために、例えば、新たに教員となる学生などに対する研修なども効果的ではないかと考えておりますが、何か取組があるのかをお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) これから教員になる学生への研修については、採用予定者に行っているウオームアップ研修の中で、学校でのICT活用の状況について理解を深めるとともに、端末の操作などについての指導を行っております。また、令和2年度末に近隣15大学と締結した教員養成の連携協定に基づき、教員を目指す学生の実践力を養成するため、指導主事などの現職教員を大学に派遣し、ICTの活用能力を育成するための講義や指導を行うこととしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 本格化するICT教育に対応した先進的な教員養成を目指して取り組んでいることは評価いたします。ICT活用に向けていろいろと取り組んでおられることは理解いたしましたが、一方で、活用スキルの上達以上にICTは日々進化している状況であります。
 そこで、新たな機能、新しい技術などに対してはどのように対応していくのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ICTの新たな機能や技術の導入が子どもたちの学びにとって有効である場合は、導入についての検討を行ってまいります。また、実際に導入すると判断した場合には、新たな技術に応じた教員研修も実施してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 新しい機能や技術について、子どもたちの学びにとって有効である場合は検討を行っていくとのことでありますが、子どもたちの学びのためにも、新たな技術に応じた教員研修は積極的に導入していくことを要望しておきます。
 一方で、学校においては通信が不安定でつながりにくいことがあるとの声も聞きますが、どのように対応しておられるのか。また、子どもたちがタブレット端末を誤って壊したり、なくしたりすることもあると思いますが、その場合、保護者は弁償しなければならないのかと心配している声も耳にします。そこで、どのように対応するのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校の通信環境は児童生徒数の多い学校で一時的に回線の容量が不足する状況が見られたため、現在、学校規模に応じたインターネット回線の増強に取り組んでおり、6月末には全ての学校で完了する予定となっております。また、タブレット端末の故障や紛失につきましては、学習活動を行う上で生じたものであれば、原則として公費で対応することとしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) 通信環境の増強整備については、6月末には全学校で完了する予定であるということであります。また、子どもたちがふざけていてタブレットを壊してしまったなどは起こり得ることであります。その際の保護者への対応など、しっかり検討していくように求めておきます。
 私はICTの活用によって、これまではできなかった新たな方法での学習が可能となり、今後、学習方法がより多様化していくと考えております。6月10日の西日本新聞の記事に、福岡市西区の小呂小学校が北海道の落石小学校とオンラインで発表し合う授業に取り組んでいる様子が掲載されました。記事によれば、児童たちは好奇心旺盛に交流を深めているとのことでありました。
 私はICTの活用においては、オンラインによって他都市や海外の学校などとをつないだ交流をすることも非常に効果的であると考えており、教育委員会としても積極的に取り組んでいくべきであると考えておりますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 遠隔授業については、既に他校の児童生徒や海外の人々との交流に取り組んでいる学校もあり、時間と場所を超えて、大きく学びの幅を広げる学習であることから、教育委員会としても各学校の取組をしっかり支援してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 淀川幸二郎議員。
○12番(淀川幸二郎) オンラインの遠隔授業を通して、遠く離れた会ったことのない児童などと交流することで、コミュニケーション能力や多様な考え方を学ぶことができます。また、海外の方々と交流することで、子どもたちは自身の語学能力を高めることもできます。先ほどの答弁では各学校の取組をしっかり支援していくということでありますが、特に海外との交流は、グローバル社会を生きるキャリア教育の推進を掲げる福岡市ならば、取組をしっかり支援していくぐらいではなく、積極的にオンラインによる遠隔授業を教育委員会が各学校に推進していくことを強く要望しておきます。
 今回の質問を通して、教育現場におけるICTの活用への取組や現状、課題などが分かりました。教育現場におけるICTの活用によって、学習方法や内容が大きく変化し、これまで以上に子どもたちが主体的に学習し、情報を活用する力を身につけることが可能となっていきます。そのため、本市において学校のICT活用の推進を行うことは、これからの急速な社会変化に直面する子どもたちが社会を生き抜いていくためにも重要な役割を果たしていくと思っております。また、子どもたちのみならず、先生方にとっても効率的な学習指導、負担軽減といったメリットが大きく、その意味で学校におけるICTの推進はこれからの学校教育にとって非常に大きな意義があると考えております。
もちろん、これまでのオンラインではできない実習や体験型の授業も重要であります。また、紙面に文字を書いたり、図を書いたりと実際に手を動かすことによっての学習も記憶に残りやすいという魅力もあります。実際に子どもたちから、書いたほうが記憶に残るとの話も聞きました。対面による授業や紙面による学習も大切にしながら、ICTを活用したオンライン学習と両立する学校教育のスタイルを確立していくように要望いたします。
 デジタル教科書やリアルタイムでの遠隔授業のように、私は将来的にまだまだ多くの効果的なICTの活用方法が生まれてくると考えておりますが、最後に、福岡市として、学校における先進的なICT活用に向けた教育長の意気込みをお尋ねいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和元年6月に策定した第2次福岡市教育振興基本計画において、特に重視する教育方法の一つとして、ICTを活用した教育活動の充実を掲げており、子どもたちに情報技術を手段として活用できる力を育むとともに、ICTを活用した教育環境や教員の指導力の向上などに取り組むこととしております。そのため、令和2年度に新たに整備したICT環境を生かし、デジタル教科書や学習支援ソフトを活用した新しい授業の構築、タブレット端末の持ち帰りによる家庭学習の充実、様々な理由で登校できない児童生徒に対するオンライン授業の実施など、新しい学習スタイルを確立してまいります。また、教員についても、校内ICT活用推進リーダーによる研修など、様々な研修を通して全教員の指導力向上を図り、子どもたちの学びを一層深めてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆)登壇 私は公明党福岡市議団を代表しまして、困難な状況を抱える若者の支援体制について、野間屋形原線整備など福岡市における道路施策の推進について、以上2点について質問をしてまいります。
 初めに、困難な状況を抱える若者の支援体制についてであります。
 人口減少社会や消滅可能性都市という言葉に象徴されるように、日本は次代を担う世代が減り続けております。総務省発表によりますと、超少子・高齢社会の進行による2050年の総人口に占める14歳以下の年少人口割合は現在の12%から10.6%へと、また、15歳から64歳までの生産年齢人口は59.1%から51.8%へと、共に大きく減少し、その結果、高齢化率は28.9%から37.7%へと今後増加の一途をたどります。
 日本において、高齢者施策に加え、出産から育児、学齢期へと人口減少を何とか食い止め、人口増加に転じるため、出産一時金、児童手当や子ども医療費、授業料の無償化など、様々な支援策が次々と創設、拡充されてまいりました。青少年問題では、ニート、ひきこもりなど社会的自立が困難な若者への対策、キャリアコンサルティング、就職体験、就職支援セミナーなどといった取組が行われてきましたが、しかし、これまでの対策もなかなか奏功せず、総務省統計による若年無業者数は2020年で87万人を超え、2000年から30万人以上増加をしております。若者を取り巻く社会環境が年々大きく変化し続ける中、今やコロナ禍において、学校に行けない、友達に会えない、バイトも就職もかなわないなど、その環境は悪化の一途です。現実社会における若者のストレスを拭い、夢や希望の実現に社会全体で寄り添い、若者の自己実現や社会的自立のために本格的な支援が必要とされております。
 そこで、福岡市では、子ども・若者育成支援推進法に基づき、若者に関する総合的な支援、連携体制の強化、構築に取り組んでおります。
 まず、若者を取り巻く現状について本市の御所見を伺います。
 以上で1回目を終え、2回目以降は発言者席より行います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者を取り巻く現状につきましては、平成30年度の福岡市青少年の意識と行動調査によりますと、福岡市内のひきこもりの状態にある18歳から39歳までの若者は約3,300人、無業の状態にある若者は約2万人と推計されており、さらに、コロナ下の影響により孤立や孤独の問題が一層顕在化し、若者を取り巻く状況も深刻さを増していることから、困難な状況にある若者への支援に社会全体で取り組む必要があると考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福岡市内のひきこもりの状態にある若者が約3,300人、無業の状態にある若者が約2万人というお答えですね。多くの若者の現状をお示しいただきました。
 では、そのような困難な状況にある若者に対し、福岡市はどのような支援を行っているのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市では困難な状況にある若者に対し、ひきこもりや不登校の相談、居場所づくりなどを担う福祉、教育、保健医療等の担当部局が国や県における更生保護、雇用等の機関などと連携しながら、各分野の専門性を生かし、若者が置かれている様々な状況に応じた支援に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 福祉や教育や保健医療の担当部局とか、それから、更生保護、雇用等の機関が連携して様々な取組を行っているということでありますが、本市には若者支援に取り組んでいる団体が数多くあるとお聞きしておりますが、NPOなど民間団体などの活動状況についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) NPOなどの民間団体につきましては、現在、約30の団体が市内で活動されており、不登校やひきこもり、非行など、若者を取り巻く様々な困難を解決するためのきめ細やかな支援に取り組んでおられます。その活動内容は、家庭や学校以外で気軽に立ち寄れる居場所づくり、困難な状況にある若者への学習支援や農業体験などの社会参加支援、同じ悩みを抱える保護者や家族に対する相談支援など、多岐にわたっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 居場所づくりから、学習支援や社会参加の支援、そして、家族に対する支援と、約30もの団体が若者の困難を解決するための支援に様々取り組んでいただいております。
 そのように、福岡市では民間団体による活動が活発に行われており、その民間団体に対してどのような支援を行っているのでしょうか。また、支援を行い、その力を生かして民間のネットワークを生かすということが不可欠だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市で活動している民間団体への支援につきましては、地域における若者の居場所の立ち上げや運営等に係る費用の一部を助成するとともに、新規開設に向けた居場所の運営へのアドバイスなども行っております。令和2年度には約20の民間団体が参加した若者支援フォーラムを開催し、民間団体同士の交流によるネットワークの構築を図っております。今後もそのネットワークを広げるとともに、関連する行政機関との連携も進めながら、困難な状況にある若者の支援の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 立ち上げの費用の一部を助成とか、それから、民間団体同士の交流の場づくりを支援していただいておりますが、若者支援フォーラムというキックオフのイベントも、市長が御参加の下、開催をしていただいたというふうにお聞きをしておりますので、今後もぜひしっかり取り組んでいただきたいと思いますが、次に、若者を支援するに当たり、現状どのような課題があると認識しておられるのか、お答えください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者を支援するに当たっての課題につきましては、中学卒業や高校中退等を機に、それまでに受けていた様々な支援が途切れ、社会とのつながりがなくなり、ひきこもりや無業などの困難な状況に陥ってしまうことが課題であると考えております。また、自分の抱える困難の原因に気づけていない若者や自力では適切な支援にたどり着けない若者が、必要な支援を受けられていないことも課題であると考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) まず、自分がどんなに困難な状況なのかという原因に気づいていないということ、それから、それで適切な支援にたどり着けない、必要な支援を受けられていないということなんですけれども、まずは自分が今どういう状況にあるのかという現状認識がとても大事ではないかと思います。そして、意欲を持ってもらって、そこから始めて必要な支援にたどり着くのではないかというふうに思います。社会的自立に自信が持てず、彼らの年齢が高くなるにつれて、個人の課題解決がより難しくなってまいります。
 若者の相談支援体制の強化を図るということですが、どのような取組を行うのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者の相談支援体制の強化につきましては、令和4年度に若者を支援する関係機関等で構成する協議会を立ち上げ、幅広い分野の機関が連携して、切れ目なく支援を行えるネットワークを構築し、必要な情報や課題を共有しながら、各機関がニーズに応じたより適切な支援を行えるようにしたいと考えております。また、若者の相談機関を設置し、協議会のネットワークを生かしながら、困難な状況にある若者を早期に把握し、適切な支援につなぐ機能を充実させていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 就業や自立の前の段階での各団体との連携や、福祉や保健、医療など専門性の高い分野ごとの支援が重要になると思いますが、現段階での事業の進捗状況はどうなのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 事業の進捗状況につきましては、令和4年度の協議会の立ち上げに向けて、福岡市と国、県の若者を支援する関係機関等による準備会を令和3年度中に設置したいと考えております。準備会においては、関係機関や民間団体の専門分野や活動内容が多岐にわたっていることから、協議会での役割、相談機関の機能、支援につなぐ際のルールなど、連携して若者を支援していくための仕組みについて検討していきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 課題が長期化、深刻化する前に早期に支援の手を差し伸べ、寄り添いながら伴走型の支援を行うことが大事だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 若者の支援に当たっては、課題が長期にわたり、また、深刻化する前に早期に状況を把握し、適切な支援につなぐことが重要であると考えております。そのため、特に中学卒業や高校中退等を機に支援が途切れることのないよう、早期の段階で困難な状況にある若者の支援に重点的に取り組み、社会とのつながりを維持し、社会参加や自立に向けて、見守り、寄り添いながら支援できるよう取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) いろいろ御答弁をいただいているように、とても重要な準備に、しかも、大変根気が要る事業にしっかり取り組んでいただいているということであります。
 困難な状況にある若者を支援する総合的な機関における業務や相談対応には高い専門性が求められます。令和4年度から相談機関を立ち上げるに当たっては、まずは支援体制の基盤づくり、土台をしっかりと固めつつ、相談機関における人材の確保、育成を行いながら、段階的に機能を拡充すべきではないかと思います。人材確保や運営のための財政負担についても、今後、国からの支援、これが必須ではないかというふうに思っておりまして、国への要望についても、福岡市とともに私どももしっかり頑張っていきたいというふうに思っております。各関係機関や民間団体がそれぞれの専門性を生かしながら、互いにつながり、支援を途切れさせないように、こども未来局だけではなく、関係機関を所管する各局が主体的に協力することが極めて重要であるということは論を待ちません。しっかり連携していただくことを強く求めておきます。
 若者の自死が増え続けております。突然の凶行に走る若者もいます。なぜ自ら命を絶たなければならなかったのか、なぜ他人の命と暮らしを奪ってしまったのか。若者が置かれている厳しい状況は本人たちの問題とともに、社会環境の大きな変化と、それにより自分や家族の将来に夢と希望が持てない社会の問題とも言えます。困難を抱え、もがき苦しむ若者の社会的孤立を防ぎ、社会全体で支え励まし、心の闇を振り払わなければなりません。この国と私たちが暮らす地域の未来も若者次第です。大人たちが若者を支えて、その若者が次の、そのまた次の世代や高齢者をやがて守り支えていける社会となるのか、世代間が断絶することなく、支え合いの好循環をつくることもSDGsの精神に合致する社会の在り方ではないでしょうか。
 コロナ禍の影響も含め、困難な状況にある若者は今後増えることが予想されます。多岐にわたる関係機関や団体が緊密に連携し、若者の置かれている状況をしっかりと把握し、必要な支援を講じていく、これが重要であると考えます。
 この質問の最後に、困難を抱える若者支援への島市長の御決意をお聞きいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) コロナ下において、多くの若者は以前より不安が高まり、孤立や孤独の問題など、若者を取り巻く状況はさらに深刻となっていることから、そうした困難な状況にある若者を社会全体で支援していく必要があると考えております。
 現在、福岡市におきましては、福祉、保健、教育など、各分野の担当部局と国、県の機関が連携をしながら、専門性を生かして様々な支援を行っており、また、多くの民間団体による支援も活発に行われております。今後は福岡市の担当部局と行政機関が連携を深めつつ、民間団体のネットワークを強化し、社会全体で困難な状況にある若者の社会参加や自立に向けた支援にしっかりと取り組んでまいります。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 次に、野間屋形原線整備など福岡市における道路施策の推進についてお尋ねいたします。
 福岡市では、都市機能の強化に取り組み、超高齢社会に適応可能で持続可能なまちづくりが進んでおります。その都市機能強化と地域のネットワーク化の骨格をなす道路施策は、社会参加や自然との触れ合いがより身近なコンパクトシティとしての福岡市の魅力形成に大いに貢献しております。この道路施策については、限られた財源の中、国庫補助金などを活用しつつ、地域幹線道路や生活道路の整備に着実に取り組んでおりますが、一方で、様々な道路整備を同時に進めるに当たり、課題となるのがまとまった財源の確保であります。しかし、道路整備の初期に道路用地の先行取得が思うように進んでいない現状が生じ、今後の事業の懸念材料となっており、道路整備予定地域の住民からも早く用地取得を行ってほしいとの御要望が日々数多く寄せられております。また、野間屋形原線以外の道路に関する要望も、私たち議員が市民の皆様から受ける最も多い要望の一つでもあります。
 そこで、今回の質問では、福岡市の道路施策の現状と課題について尋ねていきたいと思います。
 まず、道路施策の概要について、道路施策の推進に要する当初予算のこれまでの推移として、ピークである平成9年度及び平成19年度、平成29年度、令和3年度について、それぞれの内訳を含めてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路施策の推進に要する当初予算の全体額とその内訳でございますが、まず、平成9年度は全体額が約1,029億円、その内訳は道路、街路事業費が約716億円、維持管理費等が約81億円、その他都市高速道路に対する貸付金、出資金及び直轄工事負担金が約232億円となっております。また、平成19年度は全体額が約394億円、内訳は道路、街路事業費が約255億円、維持管理費等が約85億円、その他が約54億円、次に、平成29年度は全体額が約243億円、内訳は道路、街路事業費が約164億円、維持管理費等が約61億円、その他が約18億円、最後に、令和3年度は全体額が約237億円、内訳は道路、街路事業費が約162億円、維持管理費等が約66億円、その他が約9億円となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 平成9年度は全体の予算が1,029億円、これに対して令和3年度は237億円ですから、約20%近くに減少しているという現状です。
 次に、都市計画道路の整備率の推移について、同じく平成9年度末、平成19年度末、平成29年度末、令和2年度末の数値をお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路の整備率でございますが、平成9年度末が49.7%、19年度末が71.4%、29年度末が83.7%、令和2年度末が84.7%でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 道路予算とは逆に、都市計画道路の整備率は大きく向上していると。だから、予算が減っているということも言えるんですけれども、ただ近年、当初予算の減少に伴いまして、都市計画道路も整備率が少し鈍化傾向にあるのではないかと気にしております。
 では、都市計画道路整備の基本的な考え方について御所見を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路整備の基本的な考え方でございますが、これまでの整備により幹線道路ネットワークの形成が進んできたものの、市内の一部においては依然として混雑箇所が見受けられることなどから、都市活力の維持向上や良好な市街地形成に向けて計画的に道路整備を進めていくことといたしております。具体的には、福岡市道路整備アクションプランに基づき、拠点間の連携強化、周辺の市や町との広域交流、港湾、空港へのアクセス強化など、経済活動や物流、交流を支える幹線道路を整備することにより放射環状型道路ネットワークの形成を図ることとしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 年々、福岡市では道路整備率が向上しておりますが、都市計画に伴う幹線道路整備や市内各地に見られる慢性的な交通渋滞の解消など、道路整備に関するニーズはいまだにあります。先ほど答弁の中で道路整備アクションプランの話が出ましたけれども、せんだって策定されたばかりの道路整備アクションプラン2024において、現在未着手となっている都市計画道路の記載もあったと思います。
 そこで、道路整備アクションプラン2024において示されている未着手の都市計画道路の数をお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路整備アクションプラン2024でお示ししている令和2年度末における未着手の都市計画道路は35路線、52区間となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) その35路線、52区間の中で都市計画決定が最も古いもの、これ、ちょっとびっくりしたんですけど、戦後の復興期である昭和21年に都市計画決定され、70年以上も未着手となっているものも多く存在すると当局からお聞きしました。そのうち代表的なものとして、区間延長の長いものから3つ、路線名、区間、その延長をお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 昭和21年4月に都市計画決定された路線の未着手区間のうち、延長が長い3路線についてお答えいたします。
 まず、区間延長が最も長いものは博多駅春日原線の博多区弓田交差点から諸岡五丁目付近の約1.6キロメートルの区間でございます。次に長いものは原田久原線の東区多田羅橋東交差点から土井三丁目付近の約1.5キロメートルの区間でございます。最後に、吉塚松崎線の東区原田交差点から松島四丁目付近の約1.4キロメートルの区間でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、3路線について御答弁をいただきましたけれども、当時必要として都市計画決定された道路でも、長い期間未着手のものが多く存在しております。このような道路の整備に一刻も早く着手するためにも、現在事業中である路線の整備を早期に完了することが重要であると考えます。
 私の地元、南区の花畑地域でも、平成24年に都市計画決定された野間屋形原線の整備に向けて道路用地の取得が行われておりますが、同事業の概要と進捗についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 都市計画道路野間屋形原線は、南区南西部地域における交通渋滞の緩和に向け、幹線道路ネットワークの強化を図るために整備する計画幅員25メートルの4車線道路でございます。このうち南区野間一丁目付近から福岡外環状道路、花畑二丁目交差点までの通称若久通りの区間は平成17年度に完了しております。平成29年度より花畑二丁目交差点から都市計画道路老司片江線までの約760メートルの区間に着手しており、事業期間は令和10年度までの予定で、全体事業費は約48億円を見込んでおります。また、事業の進捗につきましては、現在、用地取得を進めているところであり、用地取得率は令和2年度末で約18%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 野間屋形原線の整備について進捗はまだ18%ということで、当時は市内でもこれは優先的に行われますという説明を私もお聞きしておりましたけれども、ですから、対象地域の住民からも用地の早期取得について度々御質問や御要望を受けてまいりました。
 そこで、野間屋形原線の用地取得に要する財源について説明を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 野間屋形原線の用地取得の財源につきましては、基本的には国庫補助金を活用しつつ、市債及び一般財源で対応することとしておりますが、早期の買取り要望に応じるなど、時期を逃さず事業用地を先行取得する必要がある場合には福岡市土地開発基金を活用しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) それでは、財政局にお尋ねいたします。
 今、道路下水道局長のお答えにありました土地開発基金、これが先行用地取得の財源となっておりますが、それでも先ほどの答弁にありましたように、令和2年度末の野間屋形原線の用地取得率は18%しか進んでおりません。
 この土地開発基金についての概要並びに仕組みはどうなっているのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 土地開発基金につきましては、福岡市土地開発基金条例に基づき、公用もしくは公共用地を取得する必要がある場合に活用できるものでございます。基金の仕組みにつきましては、用地の取得見込みや基金の活用可能残高を踏まえ、毎年度、取得限度額を定め、基金により取得を進めた後、事業所管局は事業実施のタイミングで用地取得費等を予算化し、基金に戻すこととしております。
 なお、基金の活用に際しましては、事業所管局は取得の概要を、財政局は取得限度額等について所管の委員会に報告を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) これまで福岡市の外郭団体として存在した土地開発公社が昨年度末に完全に解散し、現在、公社に代わる機能としてこの基金を利活用して用地の取得を行っております。この基金については土地開発基金条例に基づき、先行取得を希望する年度の前の年度に所管の常任委員会で事業概要の説明を行うようになっておりまして、道路下水道局であれば、生活環境委員会において毎年の先行取得の事業計画が報告されているということであります。しかしながら、事業計画には基金を充当する路線名や補償件数が記載されるのみで、基金の運用状況の説明など詳細事項は記載されておらず、基金の全体像がブラックボックス化しているように思います。
 しかし、都市開発基金は道路整備に要する用地の先行取得に不可欠な基金でありますので、お尋ねいたしますが、土地開発基金の残高の状況と令和3年度の新たな積み増し額、あわせて、今後の活用見込みについてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 土地開発基金の残高につきましては、令和元年度末で151億円余でございます。また、令和3年度は土地開発公社解散に伴う残余財産19億円余を新たに積み立てることとしております。基金につきましては、これまで道路、公園、学校等の用地取得に活用しており、今後とも、関係局と連携しながら、必要な公共用地の機動的、弾力的な取得に取り組むことで事業の円滑な執行を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、残高が151億円余と、そして、今年度も約19億円を新たに積み増しをするということで、この土地開発基金が道路整備上、有効な基金であるということは理解できます。しかし、同時並行で進められる道路整備は当然優先順位や基金残高にも限りがあります。しかし、整備対象地域住民からの要望も多くありますので、時期を逃さず用地を取得するため、一般財源から基金へのさらなる積み増しを行い、必要に応じ先行取得額を増やせるようにするとともに、土地取得に要した費用を原局から基金に戻す時期についても、大型案件の場合や国庫補助の状況によっては延長する等々、弾力的な基金運用が可能となるよう強く求めておきます。
 次に、道路整備の中身についてお尋ねしていきますが、道路整備アクションプラン2024においては、道路分野における中期的な方向性や目標、優先的、重点的に取り組む事業が示されております。また、福岡市を取り巻く状況などを踏まえ、令和3年度から令和8年度までの道路整備の基本的な考え方についても示されていたと思います。
 そこで、道路整備アクションプランにおける令和8年度までの道路整備の基本的な考え方として示された3つのビジョンについてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路整備アクションプラン2024に掲げる3つのビジョンにつきましては、まず、ビジョン1として、生活道路の安全対策などを主要施策とするユニバーサル都市・福岡を実現する道づくり、次に、ビジョン2として、都市計画道路をはじめとする幹線道路整備を主要施策とする都市の魅力に磨きをかける道づくり、最後に、ビジョン3として、防災、減災に資する道路整備や適正な維持管理などを主要施策とする市民のくらしを守る道づくりとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、3つのビジョンの基本的な考え方を御答弁いただきました。アクションプラン2024については、このビジョンを実現するための具体的な施策を掲げておりますけれども、では、その中で、今後新たに取り組む施策やこれまでの取組から拡充する施策についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 道路整備アクションプラン2024において新たに取り組む施策やこれまでの取組を拡充する施策につきまして、それぞれのビジョンに沿ってお答えいたします。
 まず、ビジョン1、ユニバーサル都市・福岡を実現する道づくりにおきましては、これまでの事故発生箇所に対する対処療法型の対策に加え、交通事故を未然に防ぐため、車両の走行履歴などのビッグデータを活用しながら潜在的な危険箇所を特定し、交通安全対策に取り組んでいくことといたしております。
次に、ビジョン2、都市の魅力に磨きをかける道づくりにおきましては、新たな生活様式に対応したにぎわいや憩いを感じるゆとりある歩行者空間の整備を進めるとともに、自動運転技術の進展や多様化するモビリティーに対応した道路空間の在り方についての検討を進めていくことといたしております。
最後に、ビジョン3、市民のくらしを守る道づくりにおきましては、激甚化する自然災害に備えて無電柱化を推進するため、国や電線管理者等と連携し、低コスト手法の検討に取り組むなど、これまで以上に災害に対する備えを強化していくとともに、効率的な維持管理のため、ドローンなどの新技術を活用した橋梁点検の検討を進めていくことといたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) まだまだ課題もニーズもたくさんあるというふうに思います。これまで進めてきた地域に身近な生活道路や、超高齢社会における人に優しいユニバーサルな道路の整備、野間屋形原線を含む幹線道路の整備、防災、減災に資する道路整備などに加えて、近年ではビッグデータを活用した交通安全対策や、多様化するモビリティーに対応した道路空間の検討、無電柱化を推進するために低コストな手法の検討を行うなど、社会情勢の変化を踏まえた新たな視点も盛り込まれており、最も基本的な社会資本である道路に対する市民の多様なニーズを的確に捉え、反映したプランでありますので、しっかり取り組んでいただきたいと要望いたしておきます。
 その上で、このアクションプラン2024を着実に進めていくためには、当然、先立つものが必要となります。
 そこで、道路整備アクションプラン2020と2024における3つのビジョンごとの投資額及び2020から2024の増減額をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 3つのビジョンごとの投資額につきまして、最初に、道路整備アクションプラン2020の執行見込額、次に、道路整備アクションプラン2024の計画額、最後に、これらを比較した増減額の順にお答えいたします。
 まず、ビジョン1、ユニバーサル都市・福岡を実現する道づくりにつきましては、約292億円に対し約329億円で、約37億円の増加となっております。次に、ビジョン2、都市の魅力に磨きをかける道づくりにつきましては、約420億円に対し約296億円で、約124億円の減少となっております。最後に、ビジョン3、市民のくらしを守る道づくりにつきましては、約233億円に対し約298億円で、約65億円の増加となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 生活道路の安全対策などを主要施策とするユニバーサル都市・福岡を実現する道づくりや、防災、減災に資する道路整備や適正な維持管理などを主要施策とする市民のくらしを守る道づくりの投資額が増加しているということは喜ばしいことでありますが、野間屋形原線を含む幹線道路整備を主要施策とする都市の魅力に磨きをかける道づくりについては約124億円も減少している状況となっているため、しっかり予算を確保し、取り組んでいただきたいと考えます。
 先ほど述べた野間屋形原線整備も直近の都市計画決定から約10年が経過し、当該地域の住民の高齢化も進んでまいりました。事業が遅々として進まず、ついの住みかの先行きを思うとき、長引くコロナ禍と相まって、住民の不安は増しております。
今後、天神ビッグバンに伴い天神通線の拡幅など大規模道路整備も予定されており、本市が発展していくために、こういった道路整備はしっかりと進めていただきたいとは思っております。一方で、野間屋形原線など、これまで進めてきた他の道路事業を着実に進めていくことも重要であり、十分な予算措置を講じる必要があります。ここからが言いたいポイントなんですけれども、土地開発基金の充当増を図ること、これは必要なことですが、道路下水道局が用地の先行取得に要した資金は後年に予算化し、同基金へ戻さなければなりません。そうすると、その分、当然、将来の道路整備予算を結果的に圧迫してしまうことになります。これは考え方なんでしょうけれども、年度当初の予算に計上されない用地取得の費用を基金を使って先出ししているから同じではないかと、こういう御意見もあるかとは思いますが、しかし、だとすれば、野間屋形原線の進捗が約10年で18%の取得しか進んでいないという現状からも、道路整備は基金ありきではないと、このことについて申し上げておきたいというふうに思います。
 したがいまして、道路整備予算そのものを時々の道路整備事業に応じて拡充すべきであります。道路整備に係る予算が年々減少し、ピーク時の2割となるなど先細る中にあっても、今後、必要な道路を時期に応じて都市計画決定していくことは必要でありますので、こういった新たに都市計画決定した道路も、現在予定されている既存の道路も、予算措置を確実に行い、両方しっかり進めていくことは本市の責務であります。また、将来、計画そのものが困難とならないように十分に配慮することも当該地域の住民に対する本市の責務であります。あわせて、地域に身近な生活道路においても、超高齢社会において地域経済や地域活動、社会参加など、持続可能なまちづくりに寄与する人に優しいユニバーサルな道路の整備や維持管理も大変重要な事業であり、主に一般財源で単独事業として行われる各区役所の道路予算の確保にも影響しないように、これまでるる申し上げた点について重ねて強く要望しておきます。
また、道路整備アクションプランを策定した道路下水道局においては、限られた予算の下、より効率的な整備が求められることはもとより、市民の安全、安心の提供や地域経済の下支えの観点などからも重要である道路事業にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、今後の道路施策の着実な推進について島市長のお考えをお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 道路は市民生活や都市活動を支える最も基本的な公共インフラであり、松野議員御指摘のとおり、道路施策の推進に当たっては、必要な財源を確保しながら、時期を逃さず着実に実施をしていくことが重要であります。
 今回策定をした道路整備アクションプラン2024では、道路のバリアフリー化や幹線道路整備といった取組に加え、多様なモビリティーに対応した道路空間の整備や新たに低コスト手法なども取り入れた無電柱化の推進、さらにはビッグデータを活用した交通安全対策など、新たな施策にも積極的にチャレンジをすることにしております。今後とも、都市の成長と生活の質の向上の実現に向け、安全、安心で人に優しく都市の魅力に磨きをかける道づくりを着実に進めてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時22分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義)登壇 私は福岡令和会を代表して、パーソナルモビリティーを活用したまちづくりについて、命をつなぐための動物愛護管理センターとボランティアとの共働について、以上2問質問します。
 まず、パーソナルモビリティーを活用したまちづくりについてです。
 パーソナルモビリティーとは、まちなかでの近距離移動手段を想定した1人から2人乗り程度の乗り物をいいますが、ここでは自転車と電動キックボードにフォーカスして質問します。
 コロナ禍の影響により、公共交通機関から車や自転車に切り替えた話をよく耳にします。実は私も六本松から市役所まで自転車で通勤するようになりました。距離にして約3キロを車だと渋滞にはまり20分もかかっていたのが、自転車だと心地よい風を受けながら15分ほどで到着と、自転車のすばらしさを再認識しているところです。
ところが、朝の通勤時間帯は歩道を自転車で飛ばす人が多く、警察が取り締まらない限りなかなかルールを守ってもらえず、やはりマナーよく走ってもらうためには自転車が走りやすい空間を整備し、歩行者と自転車のすみ分けをきっちりすることが重要と言えます。
 そこで、今後の自転車通行空間の整備予定延長と主な整備手法についてお示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市管理道路における自転車通行空間の延長につきましては、これまで歩道部に整備した区間も含め、令和2年度末時点で約122キロメートルを整備しており、今後は令和3年3月に策定いたしました福岡市自転車活用推進計画に基づき、令和6年度までの4年間で約38キロメートルを整備し、合計約160キロメートルとすることを目標としております。また、整備手法につきましては、国のガイドラインに基づき、原則として車道部に整備することとし、縁石または柵等により分離された自転車道や、路面の着色に加え、区画線で視覚的に分離する自転車通行帯、さらに、矢羽根など自転車の通行位置を示す路面標示など、幅員に応じて整備することとしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) これから4年間で約38キロを整備するとのことですが、整備する路線はどのような基準で決めているのか、また、整備済みの自転車走行空間をどのくらいの自転車が利用しているのか、検証はしているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 自転車通行空間の整備につきましては、原則として幅員15メートル以上の都市計画道路の中から、自転車や歩行者の交通量、自転車事故の発生件数、既存の自転車通行空間との接続性、鉄道駅へのアクセス性といった観点に加え、整備の実現性を踏まえ路線を選定いたしております。また、自転車通行空間の利用状況につきましては、交通量調査により整備効果の検証を行っております。一例を挙げますと、平成23年度に自転車通行帯を整備した国道385号の音羽交差点付近では、車道を通行する自転車の割合が整備前の約14%に対し、整備後は約60%と、自転車の車道通行を促す効果が得られております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 先ほど答弁があった様々な整備手法のうち、道路幅員が狭くても整備ができる手法が矢羽根です。今日はパネルを6枚作ってまいりました。(パネル表示)ここは特に自転車の交通量が多い六本松の交差点ですが、国によりこの矢羽根が整備されたおかげで、車やバスのドライバーから認知をしてもらえるようになり、車道の左側を安心して走行できるようになりました。これが整備された当初は認知をされていなかったもんで、私も車やバスから大分幅寄せされ大変な目に遭いましたが、今は安心して走れます。本市においても幹線道路においては那の津通りなどで整備が進んだおかげで快適に走行はできていますが、特にこの明治通り、赤坂交差点から天神付近など都心部は自転車の交通量が多い割に整備がされておらず、このように歩道を走っていますけれども、人通りがとても多い歩道を走行せざるを得ない状況です。何よりも歩行者の安全確保のためにも自転車は車道の左側を走るべきであり、道路幅員が狭いのであれば、側溝を幅の狭いものに変更してでも矢羽根を整備すべきではないでしょうか。
 私が一番言いたいことは、単に計画どおりの距離を整備するのではなく、自転車利用が多い、必要とされる場所を可能な手法で整備をすることであり、特に道路幅員に余裕がない中、自転車走行空間を確保するためには、この矢羽根の整備が唯一の解決策だと考えます。
したがって、これからの整備については、ニーズが高い道路を優先し、積極的に整備を進めていただくよう要望します。
 そこで、友人の協力の下、ふだん自転車を利用されている方に対し、自転車走行空間に関するアンケートを実施し、114名の方から回答をいただきましたが、自転車の利用頻度が最も高く、最も走りにくいと回答があったのは国の管轄である国体道路でした。(パネル表示)ここは国体道路のけやき通りですけれども、実はここは皆さん矢羽根の上を走っていますが、この先の赤坂一丁目の交差点から先が矢羽根が途絶えています。さらに、路肩はがたがたして、とても走れる状況ではありません。したがって、この走っている皆さんは、大体8割ぐらいの方がこの角を途中曲がって、裏の生活道路を抜けているんですね。ここで問題なのは、この抜け道となっている生活道路の先には小学校の通学路があるんですけれども、自転車に対しての規制や標識はないので、縦横無尽に走行して危険だということです。
 そこで、解決策はないものかと自転車政策が進んでいる京都市にお話を伺いました。(パネル表示)実は京都市では自転車が走ってはいけない幹線道路というのが結構ありまして、生活道路を面的に整備。そして、生活道路であっても自転車はやはり左側を通行するべきだということで、こういった矢羽根、自転車のマークがくっついていますけれども、こういったマークをつけたりします。こんな感じです。これは交差点の状況ですね。自転車も一時停止をするようにということで、こういったびっくりマークがついた自転車のマークもついています。実はこの整備により、自転車の左側通行については整備前は58%だったのが整備後は94%まで上がったそうで、生活道路における自転車の左側通行が日常化され、事故も減っているとのことでした。
 そこで、このような他都市の好事例を調査し、本市においても危険と思われる生活道路における計画的な整備を地域や各区役所と連携の上、検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 生活道路における自転車通行空間の整備につきましては、福岡市内で既に整備しております西新地区等での検証結果や他都市の事例などを踏まえつつ、地域や交通管理者などと協議を行いながら、各区役所と連携して検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ぜひお願いいたします。
 生活道路は自転車通勤者だけでなく、子どもや子どもを送迎する親が自転車を運転するところでもあります。したがって、推進計画に記載のない生活道路の面的整備に関しては、通学路の安全対策の一環としても進めるべきです。必要な整備は道路へのマーキング程度で済みますし、ぜひ検討をお願いします。
 次に、駐輪場について質問します。
 5年前の平成28年度と比較した放置自転車台数と自転車の撤去台数、また、今後の駐輪場整備の予定についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) まず、福岡市における放置自転車台数でございますが、毎年10月に実施しております自転車等駐車実態調査によりますと、平成28年度の1日約1,900台から令和2年度は約800台へと約58%減少しております。
 次に、自転車の撤去台数につきましては、平成28年度の年間約4万400台から令和2年度は約1万400台へと約74%減少しております。
 また、今後の駐輪場整備につきましては、福岡市自転車活用推進計画において、令和6年度末までに約1,000台を増設する目標を掲げており、具体的には藤崎駅第2駐輪場の収容台数を454台から約820台へと約370台増設するとともに、地下鉄七隈線延伸事業に係る中間駅において、新たに収容台数約300台の地下駐輪場の整備などを行うこととしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) お答えいただいたように、都心部における放置自転車は明らかに減ってきており、整備を進めてきた効果が現れていると感じます。
ところが、以前、違法駐輪の指導をされているシルバー人材センターの方から、地下鉄赤坂駅の辺りは自転車を止めるところがなく、違反者に指導するのが本当に大変だという相談を受けました。(パネル表示)これは中央区役所の駐輪場なんですが、実はこれは朝の9時の時点で満車なんですね。恐らくここに自転車を止めて近くに出勤をされているか、そのまま地下鉄にてまたどこかへ出勤されているかだと思うんですが、近隣のサイクルポストも既に満車なので、これでは、9時に区役所が開いて、自転車で来られた方は止める場所がないという問題が起きています。
 そこで、このような駐輪場が不足している都心部では今後も自転車の利用増加が見込まれることからも、どう駐輪対策をしていくのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 今後の駐輪対策でございますが、特に都心部では新たな駐輪場用地を確保することが困難なことから、駐輪場の空き状況をリアルタイムに配信し、余裕のある駐輪場への誘導を図るなど、ソフト施策を中心に取り組んでいるところでございます。また、民設民営による駐輪場整備を促進するため、福岡市自転車等駐車場の附置及び建設奨励に関する条例、いわゆる附置義務条例に基づき、一定規模以上の施設を建築する際に駐輪場の整備を義務づけるとともに、民間ビル等の開発のタイミングを捉え、附置義務台数以上の駐輪場整備などに対して容積率を上乗せできる容積率緩和制度も活用し、駐輪場整備の誘導を図っております。さらに、1台の自転車をシェアすることで駐輪場の利用台数を減らす効果が見込まれるシェアサイクルの普及についても、積極的に支援してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 新たな駐輪場用地の確保は困難との回答ですが、先ほど答弁がありました民間の協力を得て駐輪場を整備している事例があればお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 民間による駐輪場整備につきましては、附置義務による整備に加え、容積率緩和制度を活用した事例として、天神地区、博多駅地区のオフィスビルやホテル、また、赤坂地区の共同住宅などにおいて附置義務台数以上の駐輪場が整備されております。今後とも、附置義務条例による駐輪場の確保と併せ、民間開発のタイミングも捉えながら、民間による駐輪場整備の誘導に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 一般的にマンションの駐車場、車1台分に当たり、自転車であれば10台分のスペースが確保できます。お答えいただいた容積率緩和のインセンティブにより不動産業者は駐輪場の整備にメリットを感じますし、駐輪場が確保できれば、車ではなく、自転車の利用者もおのずと増え、都心部への車の乗り入れを減らそうとする本市の方針と合致します。
 そこで、容積率緩和制度を活用し、不動産業界にも周知を図ることで駐輪場の整備を進めていただくよう要望いたします。
 また、先ほどの答弁にもありましたが、駐輪場の課題を解決する方法として最適なのが自転車をシェアすることです。最近、まちじゅうで赤い自転車をよく見かけるようになりました。
 そこで、シェアサイクルの事業開始当初と現在の利用状況についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) 福岡市が民間事業者との共同事業として実施しているシェアサイクルにつきましては、事業を開始した平成30年6月時点では、設置ポートが57か所、導入自転車が約300台、1台当たり1日約0.9回利用され、1か月当たりの利用回数は約8,000回でございました。直近の令和3年3月では設置ポートが371か所、導入自転車が約1,300台、1台当たり1日約6.3回利用され、1か月当たりの利用回数は約24万回と大きな伸びとなっており、大変多くの方に利用されている状況でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 答弁いただいたように、利用者数の大きな伸びからも、コンパクトで平たんな本市はシェアサイクルに適していると言えます。また、他都市では事業に係る費用の一部を負担している事例もあるのに対して、本市はポート用地の無償提供にとどまっています。
 一方で、天神周辺におけるポートが全然足りないと市民や事業者から声が多く上がっています。今後、東区へのエリア拡大の予定もあると聞いていますが、シェアサイクル普及のためのポート増設について本市としてどのような対応をしていくのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 名古屋道路下水道局長。
○道路下水道局長(名古屋泰之) これまで都心部を中心に、ポート用地として市有施設を無償貸与するとともに、県や医療機関などへポート設置の協力依頼や市民への情報提供を行ってまいりました。天神地区周辺におきましては、市役所本庁舎等の敷地の一部をポート用地として提供するとともに、事業者においても自ら民間施設にポートを設置しているところでありますが、議員御指摘のように、さらなる増設が必要であると認識しております。また、事業者においては、アイランドシティなど東区へのエリア拡大を図ることとしており、当該エリアにおいても新たなポート設置が必要となります。このため、福岡市といたしましても、市営駐輪場など市有施設の貸与や関係機関へポート設置の協力依頼を行うなど、利用環境の向上に向け、積極的に協力してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) これは提案なんですけれども、例えば、天神周辺の公開空地の活用やサイクルポストからの一部シェアサイクルへの変更、さらには民間における駐輪場附置義務の必要台数にシェアサイクルをカウントするといったような施策を検討してはいかがでしょうか。また、事業者からは、シェアサイクルに搭載されたシステムにより利用者の移動データの集約が可能であり、ぜひ活用してほしいと提案がありました。今後、事業者との連携により、道路整備や観光施策におけるデータの活用を検討いただくよう要望します。
 次に、電動キックボードについてお聞きします。
 大橋駅周辺に続き、今年4月より中央区でも実証実験が始まりましたが、本市として電動キックボードを支援している理由について、実証実験の制度概要と他都市の状況を併せてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 電動キックボードにつきましては、このような新しい技術やサービスの社会実装を促進することで、ラストワンマイルなどの交通課題を解決する一助となるものと考え、支援を行っているところでございます。現在、福岡市で実施されております実証実験は、産業競争力強化法の新事業特例制度を活用し、経済産業省の認定等を受けた事業計画に基づいて株式会社mobby rideが実施するもので、他都市におきましては、3つの事業者が大阪市や千葉市、渋谷区など11の自治体において実証実験を実施する予定とされております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 実際に乗ってきました。(パネル表示)私の写真で恐縮なんですけれども、正直、最初電動キックボードと聞いて、すごく危険な乗り物ではないかという懸念をしていましたが、実際に乗ってみると時速15キロまでと小走り程度しかスピードが出ず、思ったより安定もしていたので、安心はしました。これが大名小学校にあるポートなんですけれども、このようにシェアサイクルのチャリチャリと電動キックボードが併用されていますので、利用者はどちらか選択できるという非常に便利なポートができたなと実感しております。
ただ、安全性については、やはり車道を走るという点で懸念があります。
 そこで、実証実験における電動キックボードの交通ルールはどうなっているのか、また、実施事業者は安全面での配慮を行っているのか、お伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 電動キックボードの交通ルールにつきましては、今回の実証実験におきまして、道路交通法上、小型特殊自動車として位置づけられているため、最高速度が時速15キロメートルに制限され、運転時のヘルメットの着用が任意となり、また、車道に加え、普通自転車専用通行帯及び自転車道での走行が可能となる特例措置が設けられております。安全面については、実施事業者におきまして、交通量の多い渡辺通りなどを走行禁止とされ、利用登録時に交通ルールなどに関して警察庁監修のテストへの合格を必須とするなどの対策が講じられております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) では、実証実験を経て交通ルールはどのようになっていくのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 電動キックボードの交通ルールにつきましては、警察庁が設置している多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会において検討が進められ、令和3年4月に中間報告が出されたところでございます。中間報告においては、最高速度に応じて車両区分を3つに分け、それぞれの区分に応じた交通ルールについて基本的な考え方が示されておりますが、今後、現在実施されております実証実験の結果などを踏まえ、検討を進められていくものと承知しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 電動キックボードは手軽な移動手段だけでなく、観光を楽しむツールとしても大きな可能性を感じます。しかし、幹線道路を走行するバイクや自転車とのスピードの差やヘルメット着用が任意であることを考えても、現行のルールにおいては生活道路のみを走らせるべきです。さらに、公道を走行してはいけない市販の電動キックボードが公道を横行し、全国的にも問題となっています。
市が推奨していく以上、利用者がきちんと交通ルールを守るよう、事業者や警察と協力して指導するとともに、安全に走行できる道路整備を強く要望します。
 これからは自転車や電動キックボードといった環境や健康に配慮したパーソナルモビリティーが活躍する時代です。先日は地場企業と九州大学との協働によるEVスクーターシェアリングの実証実験も始まりました。
 今後、天神ビッグバンが進んでいく中、都心への車の流入を減らし、市民が様々なパーソナルモビリティーを使って快適に移動している姿を想像したとき、脱炭素社会の実現に向けた新たなモデルケースができるのではないかと私は期待していますが、最後、島市長にパーソナルモビリティーを活用したまちづくりに対する御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 今後、人口減少や、また、少子・高齢化が進んでいく中で、直面する様々な課題を克服し、より便利で豊かな生活を体現するためには、既存の制度や考え方にとらわれず、新しい技術やイノベーションを積極的に取り入れていくことが肝要であるというふうに考えています。
はしだ議員御指摘のとおり、安全性と快適性を両立しながら、個人の移動の可能性を広げていくことが課題となっておりまして、環境にも優しく、手軽な移動手段である自転車や電動キックボードなどのパーソナルモビリティーを積極的に取り入れていくことは重要であるというふうに考えています。また、これらのモビリティーは、新型コロナウイルスの影響が続く状況においては、密を避ける移動手段として注目されておりますし、また、海外では既に観光面での回遊性の向上にも寄与しています。このため、民間事業者と連携をしたシェアサイクルの共同事業や電動キックボードの実証実験の支援などに積極的に取り組んできたところでございます。また、この実証実験の結果、今後、全国的に活用されるに当たって、どのような形でより安全に走行できるのかというルールづくりも行われるというふうに認識をしております。今後とも、利用環境の向上や、また、より安全な活用の促進を図りながら、安全、安心で環境にも優しく、これからの時代にふさわしいパーソナルモビリティーを活用したまちづくりを進めてまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 次に、命をつなぐための動物愛護管理センターとボランティアとの共働について質問します。
 まず、動物愛護管理センターの業務と委託業者を含めた職員数についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 動物愛護管理センターの業務につきましては、犬の捕獲や登録と狂犬病予防注射、犬猫の苦情相談対応、収容、譲渡、適正飼育の啓発、動物関係団体、ボランティアとの共働事業などでございます。職員数につきましては、市職員が獣医師10名と事務職員11名、また、犬の捕獲や収容動物の飼育管理等を委託しております民間会社の職員が3名となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 本市の動物愛護管理センターでは平成24年より市民ボランティアを受け入れていますが、その目的と登録しているボランティアの人数、活動内容についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ボランティアを受け入れている目的につきましては、福岡市ボランティアとの共働により実施する動物愛護管理事業実施要綱において、ボランティアとの共働により動物愛護管理事業を実施することで、動物の適正飼育に関する意識向上並びに動物愛護精神の普及を図ることと定めております。また、令和2年度末におけるボランティアの登録人数は217名となっております。ボランティアの活動内容につきましては、収容された犬猫の飼育補助、啓発イベントの補助などでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 多くのボランティアの方々に登録いただいているようで、とても心強く感じます。市民ボランティアを受け入れている動物愛護管理センターは全国的にも珍しく、開かれたセンターという意味でもすばらしい取組であると思います。また、ボランティアの意識も意欲も高く、センターへの市民の関心の高さがうかがえます。
 そのような中、本市は平成25年に殺処分ゼロへの誓いを宣言していますが、平成27年度には犬の実質的殺処分をゼロに、令和元年度には猫の実質的殺処分をゼロにすることができたとホームページで公表しています。
 そこで、実質的殺処分とはどういう意味なのか、お示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 実質的殺処分とは、殺処分のうち、負傷等による収容中の死亡と感染症の罹患や攻撃性等を理由としたやむを得ない殺処分を除いたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) では、そのやむを得ず殺処分された犬や猫の頭数についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) やむを得ない殺処分頭数につきましては、令和2年度でお答えをいたしますと、犬が6頭、猫が191頭でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) そこで、昨年11月26日に収容された中型犬が約3週間後の12月18日に殺処分されています。どういった判断により殺処分に至ったのか、経緯と理由についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの犬につきましては、令和2年11月26日に飼い主不明犬として収容し、福岡市動物の愛護及び管理に関する条例に基づき、収容している旨を動物愛護管理センターホームページに掲示いたしました。しかし、掲示期限である12月4日までに元の飼い主からの申出がなかったことから、譲渡適性を確認するため、12月7日に1次判定、12月14日に2次判定を行った結果、譲渡不適と判断。さらに、12月16日には譲渡の可能性などについて最終確認するカンファレンスを行いましたが、譲渡不適のため殺処分とすることを決定し、12月18日にやむなく殺処分の手続を行ったものでございます。殺処分に至った理由といたしましては、餌への執着心が強く、餌を食べているときに手を出すとかみつくなどの行動が認められ、咬傷事故につながるおそれがあることなどから譲渡不適と判断したものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) (パネル表示)これが実際に殺処分された中型犬です。お答えいただいたように、餌に対する執着心が原因との答弁でしたが、譲渡適性判定の際、ふだんとは違う餌を与えられ、執拗に疑似手を押しつけられていたとボランティアさんから報告がありました。このような感じで散歩中は手でおやつを与えられるくらい穏やかであったそうで、保護されていた期間が短かったことからも、安易な殺処分だったのではないかと疑問を持つ多くのボランティアから声が上がっています。(首輪表示)さらに、これはその犬がつけていた首輪ですけれども、殺処分後に汚物が入っていたごみ箱に捨てられていたのをボランティアが発見し、拾ったと聞いています。
 そこで、どういった方が判定をしていて、判定の内容はどうなっているのか、また、殺処分後の首輪の処理はどうすべきなのか、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 譲渡適性判定につきましては、獣医師1名を含む職員3名で行っております。また、判定の内容につきましては、環境省の譲渡支援のためのガイドラインを参考に作成した市の犬の譲渡実施マニュアルに基づき、譲渡後、新しい飼い主が適正に終生飼育を行うこと、また、地域でのトラブルや事故が起きないようにすることを目的として、健康状態や警戒心、凶暴性、社交性、また、人に対する許容性などの気質を評価するものでございます。
 おただしの首輪につきましては、動物の命に対する尊厳の意を持って丁重に扱うべきものであったというふうに考えております。このことにつきましては重く受け止め、改めてセンター職員に周知、確認をし、取扱いの徹底を図ったところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) まず、首輪については、答弁でありましたように、動物の命に対する尊厳の意を持ち、丁寧に扱われるべきです。
 次に、判定についてですが、ある開業獣医師さんは、人間に対して不信感しかない虐待を受けた犬の唯一の楽しみは御飯であり、そこに手を出したらかみつくのは当たり前と言われていました。センターに入ってきた犬の中には、行き過ぎたしつけなど、虐待を受けた犬もいると思います。
 したがって、センターに入ってきた経緯も考慮した譲渡適性判定や殺処分の判定基準を整備すべきであり、医療に携わる獣医師だけでなく、動物福祉や行動学を学んでいる獣医師にも判定に関わっていただくべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 環境省の動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の改正を受けまして、譲渡適性判定や殺処分の判断基準を定める市の譲渡実施マニュアルの見直しを考えておりまして、より適正な譲渡の推進に向け、譲渡判定等に関する最新の知見や他都市の状況について調査研究してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) また、現状の基準は到底今の時代に合ったものではありません。市民に対して譲渡実施マニュアルの内容の公開を要望しますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 譲渡実施マニュアルにつきましては、譲渡適性判定や殺処分の判断の透明性を高めるため、ホームページへ掲載するなど、広く市民に周知してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 保護された犬を殺処分することになると、担当している職員や飼育に関わっていたボランティアも少なからず心に負担を生じます。また、保護された犬は飢えていたり落ち着きがなく、不安定な状態であったりするので、時間をかけて精神状態を落ち着かせるのはとても重要だと思います。さらに、最近では受け入れる犬の頭数も少なくなってきているようです。
 そこで、ボランティアに協力を依頼することで、1次判定、また、2次判定の結果を受けた後、すぐに殺処分するのではなく、ある程度の期間を設けてトレーニングを行うことはいかがでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 譲渡実施マニュアルの見直しに当たりまして、譲渡不適となった犬に対して、社交性や人に対する許容性等の改善を図るトレーニングの実施などにつきましても検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ある程度の期間を設けて、なぜそのような行動を取ったのかという原因を考察し、命をつなぐ可能性を見いだすトレーニングを行うことはとても重要です。ぜひ実施に向けて検討願います。
 また、殺処分ゼロを目指していくためにも、できる限り譲渡を目指していかねばなりません。
 そこで、譲渡をするに当たり、どのような条件があるのでしょうか。また、新しい飼い主になりたいと希望する方が果たしてきちんと飼うことができるのか、譲渡をする前に一定期間飼育を体験するトライアル期間を設けるべきと思いますが、いかがでしょうか。あわせて、譲渡後の追跡調査はされているのか、お伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 犬猫を譲渡する際の条件につきましては、家族全員の同意が得られていること、終生飼育などの誓約をすること、ペット飼育可能な住宅に住んでいること、万が一飼い続けられなくなった場合に飼い主の代わりに終生飼い続けてもらえる方を準備することでございます。また、譲渡前のトライアルにつきましては、他都市の実施状況を踏まえ、その有効性などについて調査研究してまいります。なお、譲渡後の追跡調査につきましては、譲渡1か月後に飼い主に電話をし、現在の状況について聞き取りを行うとともに、必要なアドバイス等を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) きちんと責任を持って飼っていただけるのか、適性を見るためにもぜひトライアルの実施をお願いします。
 では、譲渡した後のトラブルを未然に防ぐためにどうしているのか、また、どういったトラブルがあるのか、その対応についてもお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 譲渡後のトラブル防止対策につきましては、新しい飼い主に適正飼育の大切さなどをしっかりと伝えるため、譲渡するまでの期間において個別に2回の講習を行いますとともに、新しい飼い主と動物の相性を確認するためのマッチングを行っております。さらに、新しい飼い主のライフスタイルなどを聞き取るとともに、家を訪問するなど、飼育環境調査を行った上で譲渡しております。
 次に、譲渡後にセンターに寄せられたトラブルの内容といたしましては、譲り受けた犬にかまれたので返したい、散歩のときに引っ張りが強い、譲渡動物の体調がよくないなどがございます。なお、譲渡後にトラブルなどがあった場合は、継続して飼育できるよう、しつけ方など適切なアドバイスを行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 譲渡について他都市はどうなのか。先日、北九州市動物愛護センターを訪問してきました。北九州市はいまだに野犬が多く、何と年間200頭もの野犬を捕獲しているそうです。また、本市と違う点は、譲渡先として20もの民間団体があり、犬や猫の大半をその団体に譲渡することで実質殺処分ゼロを掲げているところです。したがって、譲渡した後のトラブルは団体が対応しています。
 一方、本市は保護犬や猫の大半を個人へ譲渡しています。譲渡する際、新しい飼い主になった方と誓約書を取り交わしていますが、その内容についてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 誓約書の内容につきましては、犬猫の共通事項として、愛情を持って終生飼育し、センターに引き取りを求めないこと、他人に迷惑をかけないよう周辺環境に配慮すること、不妊去勢手術などの繁殖制限を行うこと、また、犬については、登録及び狂犬病予防注射の実施と鑑札、注射済票を装着すること、適正なしつけを行うこと、放し飼いをしないこと、散歩時のマナーを守ること、さらに、猫については、屋内で飼育すること、所有者明示のため名札等をつけることといたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 答弁いただいたような誓約書を取り交わしていても、譲渡後、センターへのクレームはあるとのことです。センターが自ら責任を持って譲渡先を探しているのはすばらしいと思いますが、センターに収容された犬の生育歴などは不明なことが多く、譲渡する犬が健康面や性格面で絶対に安心、安全な犬であることは難しいと言えます。保護犬を譲り受ける側はそのリスクを理解すべきであり、所有権が移った後に起こるトラブルに対してセンターが全ての責任を負う必要はないと私は思います。
 そこで、例えば、その犬の癖などプロフィールを伝えることで、新しい飼い主にリスクを理解してもらった上で譲渡するのはいかがでしょうか。リスクを承諾してもらった上で譲渡をすれば後々のトラブルは回避できるはずです。御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 譲渡後のトラブル防止につきましては、新しい飼い主に対して事前講習や犬との相性マッチングを行う中で、犬の癖や性質などについて十分に説明をしてまいります。また、譲渡後もしつけ方の相談を受けるなどのアフターフォローを行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) また、何よりも重要なのは、飼っている犬や猫ができるだけセンターに持ち込まれないようにすることです。コロナ禍による在宅時間が増えると同時に、ペット需要が高まっていることからも、最後まで責任を持って飼うという啓発がより一層重要になります。
 そこで、現在どのような啓発事業を行っているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 動物愛護や適正飼育の啓発としましては、動物愛護フェスティバルなどの啓発イベント、ペットに関する相談会、犬のしつけ方講習会、小学校での出前講座などを行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 環境省は動物愛護管理法を改正し、令和4年6月からはペットショップで販売される犬猫に対してマイクロチップの装着が義務化されますが、どのような効果が期待できるのか、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) マイクロチップ装着の義務化につきましては、動物愛護管理センターに収容された犬猫の元の飼い主への返還の推進や遺棄、盗難防止等の効果が期待されているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) 先日、センターに持ち込まれた2匹のチワワは、マイクロチップをたどって本人に連絡を取るも、既に引っ越し済みで住所が特定できず、登録していた携帯はつながらなかったと聞いています。家族の一員として犬を飼ったのであれば、引っ越しの際に当然連れていくべきですし、マイクロチップの住所変更手続もしなくてはいけないはずですが、このように守らない人がいます。つまりマイクロチップを装着していても、住所の変更届をしていなくては効果を発揮できないのです。
 そこで、住所変更届の提出について対策が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) マイクロチップを装着している犬猫の飼い主に対しましては、連絡先や住所などが変わった際の変更届の必要性について、啓発イベントやホームページなど、様々な機会を捉えて周知、啓発してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) また、保護された犬は、その後1週間は本市のホームページに掲載され、飼い主からの申出を待ちますが、譲渡適性の判定に入った途端ホームページから消えてしまい、その後どうなったのか分からないままです。譲渡が決まったら、またホームページに復活するようですが、譲渡不適で殺処分となった場合、ホームページから消えてしまうだけなので、その事実が市民に伝えられていません。殺処分になった場合のクレームがセンターに来ることを恐れるのは理解ができます。しかし、今の状態だと、センターに持ち込めば、殺処分されることなく全て譲渡されると勘違いされ、捨てに来る人が後を絶ちません。先日は自分が飼っていた犬を拾ったふりをしてセンターに持ち込む人がいたと聞きました。
 重い病気だったからか、かみ癖がひどく危険であったため譲渡はできないと判断されたからなのか、やむを得ず殺処分になる理由や頭数をホームページ上に公表することは飼い主への啓発に効果があると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの公表につきましては、飼い主の適正飼育や終生飼育の啓発の観点から、ホームページへの掲載について検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) また、土日祝日について、収容された犬や猫のお世話は午前中のみとなっています。負傷や衰弱している犬や猫の対応ができないのはとても心配ですし、半日近く係留されたままでは衛生上も問題があります。当然、職員の人員配置の課題は理解できますが、そこで、例えば、動物園の勤務体制を参考にするなど、午後もお世話ができるよう検討を要望します。
 最後に、施設について質問します。
 昭和54年に建設された東部動物愛護管理センターはかなり老朽化しています。犬や猫を収容する施設として、施設整備後40年以上が経過するとともに、犬の収容室には一部にしかエアコンが設置されていないなど、夏の暑さや冬の寒さによる犬猫の体調への影響が懸念される状態となっています。また、手術室も十分な設備が整っておらず、術後の弱った個体に十分なケアができていません。
 動物福祉の観点からも、設備、衛生面の改善をすべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 東部動物愛護管理センターにつきましては、令和3年度に空調設備を増設することといたしております。今後とも、収容された動物の飼育管理環境や治療のための設備について必要な改善を検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) はしだ和義議員。
○41番(はしだ和義) ぜひよろしくお願いいたします。
 福岡県はかつて殺処分全国ワースト1位でしたが、センターの職員やボランティアの努力により殺処分数は減り、環境は徐々に改善されています。しかし、まだまだ改善の余地がたくさんあります。
 ドイツやギリシャといった動物愛護先進諸国の事例を学び、献身的なボランティアとの連携をより深めながら、保護された犬や猫の命をつないでほしいと願いますが、最後、局長に決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢化や核家族化を背景に、犬や猫などの動物は心の支えや潤いをもたらす人のパートナーとしての存在となっております。そのような中、福岡市では人と動物とのよりよい関係を築くため、動物の生命を尊重する気風の醸成や飼い主責任の重要性などの普及啓発に努めてまいりました。一方で、様々な理由からパートナーである動物を手放す飼い主が見られるなど、相当数の犬や猫が動物愛護管理センターに収容される現状がございます。福岡市といたしましては、ボランティアの皆さんとの連携を深めながら、犬や猫の譲渡の可能性を広げる取組を進めますとともに、適正飼育のさらなる普及啓発を図るなど、実質的殺処分ゼロの継続、そして、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向け、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、福岡市主催の胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故について、コミュニティパーク事業の見直しについて、本市の農業振興について、以上3点について質問をさせていただきます。
 初めに、福岡市主催の胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故についてお尋ねいたします。
 令和2年9月定例会で質問いたしました、市主催によるがん検診での事故対応について、再度質問をさせていただきます。
 バリウム誤嚥事故については、再三保健福祉局に事実確認の調査を申し入れてきましたが、応えてもらえませんでした。しかし、9月定例会で質問したことにより、「肺にバリウム後遺症」の見出しで新聞報道され、がん検診の受託業者である旧福岡県すこやか健康事業団、以下、事業団と言います──の理事長の目に留まり、再発防止の取組が始まりました。事業団において第三者も入った検証が行われると聞き及んでいます。事業団理事長の英断には感謝しますが、事業団内部の検証であり、再発防止に主眼が置かれているようで、御家族の方が望まれている調査が実施されるかどうか分かりません。御家族の方は事故の真相と事故発生後の対応の検証を福岡市に強く求められています。胃がん検診の主催者として、福岡市にはしっかり事故調査に取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、質問に入ります。
 まず、誤嚥事故が発生した平成27年8月5日当日の様子を保健福祉局が作成した経緯報告書から振り返ってみたいと思います。10時5分頃、透視撮影のため、発泡剤5グラムとバリウム20ccを飲む。続けてバリウム130ccを飲む。透視撮影開始。誤嚥確認のため、気管分岐部を透視したところ、両下肺野全般にバリウムが貯留していたため検査を中止。待合室のソファーで誤嚥したバリウムを排出させるため、タッピング、ハッフィングを行う。10時15分、検診に従事している内科医師による診察。医療機関受診を指示。10時30分、N公民館をタクシーで出発。A医院で診察を受けるが、肺に入ったバリウムがあまりにも多く、ここでは処置できないとのこと。F病院を紹介される。11時20分、タクシーでF病院へ向かう。11時30分、F病院到着。11時40分、診察開始。この段階で誤嚥から1時間15分以上経過しています。肺の洗浄を予定していたが実施されず。高熱が発生しており、そのまま入院。以上が誤嚥事故発生当日の経緯です。
 御家族の方は上述した経緯について疑問を持たれ、保健福祉局と事業団、以下、保健福祉局等と言います──に質問されています。しかし、保健福祉局等からの回答は御家族からの質問に真摯に答えるというスタンスは一切感じられず、質問に正面から答えてもらうことはありませんでした。令和2年9月定例会でも私の質問に対し、保健福祉局長から、「福岡市といたしましても、委託元として当該受診者や御家族からの質問について事業団に調査、報告を求め、医療的、法的な側面も含む問題点や疑問点に対し説明を重ねるなどの対応を行ってきた」との答弁がありましたが、独自に調査や事実確認をすることもなく、事業団からの報告を説明されるのみでした。
 それでは、誤嚥事故当日の疑問点を述べたいと思います。
 第1に、バリウムを誤嚥したときに異変があったのではないかという疑問です。経緯報告書に、飲む速度は遅かったが、むせる等の症状はなかったとのコメントが付されていますが、多量のバリウムを誤嚥しているのにむせることはなかったとは不自然で、とても信じ難いことです。介助スタッフが立ち会っているのに、本当に異変に気づかなかったのでしょうか。第2に、透視撮影で両下肺野全般に多量のバリウムが貯留していることをレントゲン技師が確認しています。異常事態です。多量のバリウムが肺に流入している重篤な状態なのに、なぜ救急車を要請しなかったのでしょうか。第3に、内科医師が診察を行い、病院移送の指示が出されたそうですが、レントゲン技師から多量のバリウムが肺に貯留していたことを伝えられなかったのでしょうか。現状を正確に把握していれば、内科医師は救急車を要請したのではないでしょうか。第4に、医療機関受診手配をされる際、肺に多量のバリウムが流入している重篤な状態であることを説明されたのでしょうか。誤嚥発生から肺洗浄ができる病院に到着するまで1時間25分も経過しています。症状が正確に伝えられていれば、短時間で処置可能な病院に到着したはずです。また、救急車を要請するよう言われた可能性も高いと思われます。
 以上が疑問点ですが、事業団は示談の提案の中で3つの主張をなされています。1つ目が、バリウム誤嚥はK様御自身で飲まれた結果によるもので、当事業団に過失はなかったと考えています。2つ目が、誤嚥発覚直後の内科医師診察では重篤な身体症状等の所見がなく、救急車による搬送の必要性はなかったと答えてあります。3つ目が、F病院での肺洗浄中止については、御家族より主治医から機器が故障する可能性があるとのことで中止となったとの報告を受けており、医療機関の判断であって、当事業団が関与できるものではありません。この主張にも矛盾点があります。重篤な身体症状等の所見はなくとありますが、多量のバリウムが肺に流入しているわけですから、時間の経過とともに、症状が悪化してくるはずです。医者がそういうことも予見できなかったのでしょうか。保健福祉局は、誤嚥事故後の事業団の対応について大きな瑕疵はなかったと主張されていますが、レントゲン技師、内科医師、看護師等の専門知識を有した方々は予見できなかったのでしょうか。また、3つ目の主治医からの報告は、バリウムが固形化しており、医療機器での洗浄ができなかったことを言われたものです。時間の経過によってバリウムが固形化したことが要因なのに、事業団に過失はないのでしょうか。検診医の経験がある博多区の医師も、バリウムを使った胃がん検診は本来危険性が高く、固まるので肺に入ったら迅速な対応が必要。救急搬送をしなかった判断について詳しく検証する必要があると、誤嚥事故が掲載された新聞記事の中で指摘しています。誤嚥事故で亡くなられた家族の方は、胃がん検診の事故がこれ以上起こらないよう真相を徹底的に調べてほしいと言われています。事故の未然防止を図るためにも、当該誤嚥事故の検証は極めて重要と思います。また、福岡市には胃がん検診事業の主催者として、その責務もあると思います。
 そこで、胃がん検診事業が決められた手順を遵守して履行されたか、また、誤嚥事故発生当時の対応は適切だったか、福岡市主導で調査、検証を行うべきと考えますが、荒瀬副市長の見解をお伺いします。
 次に、コミュニティパーク事業の見直しについてお尋ねいたします。
 都市公園は、景観に潤いを与えるとともに、市民に対し、憩い、レクリエーション、スポーツ、地域コミュニティ形成、地域の防災拠点など、貴重な都市空間を提供する重要な社会基盤であると言われています。特に身近な公園である街区公園等は、地域住民の憩いの場、交流の場として、また、地域行事の実践の場として、ふだんから目にするところです。そういった身近な公園を対象にしたコミュニティパーク事業、以下、パーク事業と言います──は、地域コミュニティの活性化に大いに寄与するものと期待しているところでありますが、反面、パーク事業を自治会等で運営していくことができるだろうかとの不安があります。
 1つ目には、地域活動の担い手不足という地域の実情です。パーク事業を紹介した福岡市ホームページにも、公園愛護会などの担い手不足、地域活動に参加する人の減少、地域活動の担い手不足・固定化、見守り・支え合い機能の低下といった自治会等が抱えている課題が記載されてあります。2つ目は、パーク事業の運営に関わる人についてです。当然、無償ボランティアですし、公園の維持管理等に携わるのはこれが初めてというような人ばかりだと思います。地域主体がパーク事業のキーワードになっていますが、地域ボランティアが自己の裁量で責任を持って従事するような活動は、経験豊富なボランティア以外は困難と思われます。地域によっては適材なボランティアが確保できるかもしれませんが、そのようなボランティアがいることは希有なことであると自覚すべきです。
 それでは、パーク事業の課題を具体的に指摘したいと思います。
まず、パークハウスの管理人配置についてです。パーク事業のQ&Aによると、パークハウスは、利用者の多い土日や放課後を含め週5日間程度は開所すべきとあります。現在の地域共通の問題は、地域活動の担い手不足や、その担い手が高齢化、固定化していることです。既にパークハウスを設置している自治会の方にお伺いしましたが「今は何とか自分たちでやれるが、高齢者ばかりなので、病気などで動けなくなったらどうしようかと不安になる」と言われています。また「パークハウスの開所ができなくなれば、パークハウスは解体撤去しなければならない。自治会から多額の資金を投じているのに全てが無駄になってしまう」との声も聞きました。地域活動を持続させるためには無理をさせないこと、地域に過大な負担をかけないことと考えます。
 パークハウスの開所日を弾力的に設定することはできないでしょうか。
 次に、運営委員会が行う管理活動の中に、地域ボランティアでやるには困難と思われるものがあることです。「利用上の注意、指導」、「協定、地域ルール違反指導」を運営委員会が行うようになっていますが、自治会等のほとんどが若者や大人に対して注意、指導するなど怖くてできないと言われます。パーク事業の手引の中に指導のやり方が紹介されていますが、なかなかできるものではありません。マナー注意等がきっかけで口論になる、暴力事件になるということはよく聞きますし、事件につながることもあります。
 運営委員会に公園利用上の注意、指導を義務づけるのではなく、今まで同様、公園利用上の注意や地域ルールを掲示し、周知することでは駄目でしょうか。
 以上、地域の方が最も気になっていると思われる問題点を2つ述べさせていただきましたが、どうお考えでしょうか。住宅都市局の御見解をお伺いいたします。
 次に、本市の農業振興についてお尋ねいたします。
 昨今、テレビの番組ではグルメに関したものが多く取り上げられていますように、グルメ社会真っただ中です。まさに飽食の時代です。ACジャパンのキャンペーンにありますように、我が国ではおにぎりに換算すると毎日1億個が破棄されているそうです。大変な食品ロスです。このことから、我が国には食物があふれているように感じますが、そのほとんどは輸入に頼っているのです。食料自給率は僅か38%ほどでしかありません。ちなみに、ドイツの自給率は95%だそうです。
 福岡では江戸時代、享保の大飢饉で博多町民の3割以上が亡くなったと記録にあります。飢饉は遠い昔の出来事ではありません。忘れてしまった方も多いのではないかと思いますが、今から約30年前に平成の米騒動がありました。平成5年、日本は日照不足と冷夏によって大凶作に見舞われ、米をタイやアメリカから緊急輸入し、その場をしのいだ苦い経験があります。世界の人口は増え続けています。加えて、気候変動などで世界的規模の凶作が起これば食料事情は逼迫し、現在のコロナ禍以上の混乱が予想されます。世論調査では国民の8割以上が自給率38%の実態を知らないとのことです。もっと農業に関心を持ってもらい、他国に頼らない農作物の自給に努めなければならないところですが、農林水産省によると、令和元年の農家数は113万戸で、10年前の平成22年の半分に減少したとのことです。その中でも減少が著しいのは第2種兼業農家で、6割も減少し、58万戸になったそうです。このように全国的に農家の減少が進んでいる状況では、農業の担い手を確保し、農家戸数の減少を食い止め、農地をこれ以上減らさないことが重要だと考えられます。
 そこで、本市の農家戸数、うち専業農家、兼業農家の戸数とその割合、従事者の平均年齢を10年前の平成22年と直近の数値を比較してお示しください。
 農業の担い手の確保は、農業所得をどのようにして上げるかが課題です。本市でも農業所得の向上を目指していますが、直近の農業所得の数値とその算出方法、また、その数値を本市はどのように捉えているのか、お尋ねいたします。
 また、農業の牽引役としてのJAの役割は大きいものがあると思います。そのJAとの情報交換と事業の連携は不可欠と思いますが、現在どのような取組が行われているのか、お尋ねします。
 次に、現在の福岡市農林業総合計画、平成29年度から令和3年度において、これまで重点的に取り組んでこられたことの進捗状況をお尋ねします。
 本市農業の強みを伸ばし、課題を克服することが重要ですが、本市農業の強みと課題はどのようなものがあるか、どのように取り組まれてこられたのか、御所見をお伺いします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) コミュニティパーク事業の見直しについての御質問にお答えします。
 都市公園法におきまして、公園施設とは都市公園の効用を全うするために設けるものとされております。パークハウスは地域がつくる魅力的な公園づくりと地域コミュニティの活性化を目的とした公園施設であり、誰もがいつでも自由に使え、デッキを設けるなどして公園と一体的に活用する施設でございます。運営方法につきましては、その趣旨を踏まえた上で、実施協定の締結の際に地域とも十分協議して設定してまいります。
 次に、公園利用上のルールにつきましては、地域で適切な運用ができるよう地域で定めることといたしております。利用者への注意、指導といった運営に際しましては、運営委員会にとって過度の負担にならないよう取り組まれるものであると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市の農業振興についての御質問にお答えいたします。
 まず、福岡市の農家戸数、うち専業農家戸数、兼業農家戸数とその割合につきまして、福岡市農林水産統計書に基づき、平成22年と直近の令和元年の数値の比較でお答えいたします。
 福岡市の農家戸数は平成22年の2,566戸から令和元年の2,005戸へと21.9%減少しております。このうち専業農家戸数は478戸から476戸へと横ばいで推移し、兼業農家戸数は自給的農家を含め2,088戸から1,529戸へと26.8%減少しております。また、農家全体に占める兼業農家の割合は平成22年が81.4%、令和元年が76.3%であり、やや減少しております。一方、農家の経営主の平均年齢につきましては、JA福岡市が実施した調査結果によりますと、平成22年度の69.2歳から令和元年度の72.1歳へ2.9歳上昇しております。
 次に、農業所得についてでございますが、福岡市では、JA福岡市が行う組合員への農家実態調査と併せて、JAの御協力の下、所得調査を実施いたしました。所得調査では、各農家に回答いただいた品目ごとの売上金額にJA福岡市が作成した品目ごとの標準的な所得率を乗じた額を農家の所得としております。実際の所得とは少し上下するとは思いますが、福岡市の農家の所得の傾向を示す数字として活用しております。
 そこで、専業農家の平均所得でございますが、平成26年が294万5,000円、令和元年が速報値で330万8,000円で、5年間で約36万円増加しておりますが、現総合計画における農業所得金額の目標値が350万円ですので、目標を達成できるよう引き続き各施策を進めてまいります。
 次に、JAと連携した取組についてでございますが、福岡市では、JAをはじめとして、県や農業委員会等の関係機関とも連携し、農業経営の安定化や生産性の向上、求人農家とアルバイト求職者とのマッチング、農業研修、米の生産調整による経営所得安定対策など、様々な事業で一緒に取り組んでおります。
 次に、現在の福岡市農林業総合計画の進捗状況についてでございますが、平成29年に策定いたしました現総合計画の実現に向け、5年後の目標として23項目を設定し、各種施策を展開してまいりました。この目標23項目のうち、令和2年度末時点で、既に目標に達したものが新規就農者数や市内産農畜産物を使用した加工品開発など7項目、初期値より増加、向上したものが担い手への農地集積や農業所得金額など8項目がございますが、まだ目標設定時の初期値を下回る項目が8つあるため、今後も全ての項目が目標を達成できるよう引き続き施策を進めてまいります。
 最後に、福岡市の農業の強みと課題についてでございますが、福岡市の農業の強みとしましては、都市と農業の距離が近く、人口が160万人を超える大消費地を抱えるとともに、都市の特徴として流通、観光、サービス業など第3次産業が集積していること、また、都市で働きながら農業を営む兼業が可能なことなどと考えております。一方、課題としましては、都市部と近接した地理的条件や農地の一つ一つが狭いという農地の形状から規模拡大が図りづらいことなどが挙げられます。このことから、福岡市では小規模な農地でも高収益が期待でき、新鮮な野菜、花卉などが届けられる園芸用ハウスを中心とした都市型農業を推進しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故についての御質問にお答えをいたします。
 がん検診は、がんの早期発見、早期治療のため重要な事業であり、御自身の健康を願って受診いただいた検診でこのようなバリウム誤嚥による事故が起こったことや、受診された方が昨年8月にお亡くなりになられましたことは誠に残念でございます。そして、御遺族の皆様も疑問を抱かれたまま今日を迎えられており、大変重く受け止めているところでございます。
 議員が疑問をお持ちの誤嚥の原因や肺洗浄などの事故発生の原因やその後の対処について検証するためには医療的な判断が不可欠となることから、市からも働きかけを行ったことにより、事業団、現在のふくおか公衆衛生推進機構において、第三者も加わった検証が行われることとなっております。福岡市といたしましても、この検証に参加し、協力していきたいというふうに考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男) それでは、2問目に入ります。
 まずは、福岡市主催の胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故についてお尋ねします。
 バリウム誤嚥事故に対する福岡市の責務についてですが、保健福祉局は、本件事故につきましては、市と業務委託契約を結んだ事業団が実施した検診において発生しており、法的には事業の当事者である事業団が事故に係る対応を行うべきとの判断をされております。胃がん検診事業の主催者である福岡市が当該事故に関与しなくていいはずはないと思い、その根拠を保健福祉局に再度尋ねました。保健福祉局は、当該業務委託契約が民法第656条の準委任契約に該当するものとし、準委任契約においては、受任者が自己の裁量で事務を処理するという独自性を有しており、自己の裁量で処理した事務については受任者が責任を負うものとの回答で、事業団が全ての責任を負い、市に責任はないとの判断です。本当に市に責任はないのでしょうか。準委任契約に限らず、業務委託契約は仕事を依頼する側に指揮命令権は発生しません。そのため、契約書、仕様書等に委任事務の詳細を記述し、委任事務が円滑に履行できるようにしています。また、契約書の条文には協議項目があり、業務委託契約書に記載がない事項については双方で協議して定めることになっています。業務委託された事務処理を受任者が自己の裁量で行うことは当然のことであり、善管注意義務に違反しない限り、責任を問われることはないのではないでしょうか。誤嚥事故で亡くなられた家族の方は、福岡市が主催するがん検診だったので安心感があり、受診を継続していたと言われています。
 胃がん検診は福岡市の主催事業ですが、責任は全て受託業者である事業団にあり、福岡市には何の責任もないのでしょうか。荒瀬副市長の見解をお伺いします。
 次に、コミュニティパーク事業の見直しについてお尋ねいたします。
 まず、ある文書を御紹介します。「自治会、町内会サークル活動、ボランティア活動と年間を通して行事活動が多く、公民館の使用が重なり、利用困難なことが多々あります。町内会役員、また、町民の集まりの場、話合いの場所、また、子どもからお年寄りまでの老若男女の積極的な集まりの場所、高齢者の元気な居場所づくりにも活用できます。最大限考慮していただきまして、A町内会のコミュニティ活動の拠点として使用、利用させていただきたく、町民の皆さんの署名を添えて嘆願いたします」これは街区公園内にある旧老人いこいの家を町内のコミュニティ活動の拠点の場にと使用を求める嘆願書の冒頭の言葉です。公民館と老人いこいの家の合築が進んでいますが、集会所施設はまだまだ不足しています。地域で建設費を負担してでも集会所を確保したいとの思いが地域にあります。公園内に集会所建設ができないかと行政に相談すると、このパーク事業が紹介され、パークハウス建設の協議になります。休養施設のニーズが高い公園であれば、デッキで公園と一体となったパークハウス建設でよいと思いますが、集会所建設を望んでいる自治会が大半と思われます。
 地域の声に応え、パーク事業の公園施設にぜひ地域集会所の追加をお願いいたします。また、標準的な街区公園で65平米から100平米程度の地域集会所が建設できるよう建ぺい率の緩和検討もお願いします。公園を維持管理するための用具保管場所や作業時の詰所等も必要です。住宅都市局の御見解をお伺いします。
 次に、本市の農業振興についてお尋ねします。
 農家戸数の減少の食い止めには農家の所得向上が最も重要と申しました。答弁では、令和元年の専業農家の平均所得は330万8,000円で、目標の350万円に近づけたいとありました。平均値が300万円台とすると、200万円台、もしかすると100万円台の農家の方もおられるということです。
 専業農家でこの数値だと、家族だけではなく、本人だけでも生活が難しいのではないかと思われる数値ですが、本市が目標値を350万円にしている根拠をお尋ねします。専業農家でこのような低い数値だと、若い方に新規就農をとても勧めるわけにはいきません。
 新規就農を決心するにはある程度の所得の確証がないと難しいのではないかと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 農業従事者の高齢化による後継者不足解消対策とともに、耕作放棄地に直結する兼業農家の農業離れをなくす施策が急がれるところです。私が住んでいる早良区南部の中山間地域も農家のほとんどが兼業農家です。私も兼業農家の一人です。2反の田んぼと1反の畑のいわゆる3反百姓です。我が家には60年前までは山あいに1町歩近くの棚田がありましたが、耕作機械が入らないことや採算が合わないことで、何百年も続いたと思われる棚田も今では杉林に変わってしまいました。周辺の農家もほとんどが同じような3反百姓の兼業農家です。しかも、その兼業農家のほとんどが60歳以上で、80歳以上の方も多く頑張っておられます。農地は狭隘で農業収入は見込めませんが、先祖伝来の田畑を荒らすのは申し訳ない、自分がしなければほかにする者がいないといったところから農業を続けてきた人は少なくありません。近年、高齢化により親世代が引退を余儀なくされる中、子世代は農業経験が少なく、しかも、採算が取れないことから農業に魅力を感じられず、農業離れに拍車がかかっており、市街化調整区域でも耕作放棄地が目立つようになりました。一度荒れた農地は元に戻すのに多くのコストと年月がかかります。
 そこで、お尋ねします。
 本市としては兼業農家の実態をどのように把握し、今後どのようになると想定しておられるのでしょうか。
また、兼業農家の後継者対策や耕作放棄地をなくす対策はどのように取り組んでおられるのでしょうか。また、現状を踏まえ今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。
 先日、市街化調整区域の耕作放棄地を利用し、高齢者のリハビリに農業を活用する有料高齢者施設の建設計画の相談をいただきました。超高齢化社会を迎える中で、農業活動は元気な高齢者の活躍の場だけではなく、認知症など介護を要する高齢者のリハビリや生きがいの場としてニーズが高まっているとのことです。厚生労働省や農林水産省では、障がい者や生活困窮者の農業分野での就労や高齢者の健康、生きがいづくりへの活用に支援策が講じられ、各自治体で取組が始まっているようです。
 本市でも農福連携に取り組んでいると聞きますが、本市の現況と今後の取組についてお尋ねします。
 近年、SDGsが浸透していく中、食料の安定供給やCOの削減などによる地球環境へ配慮した農作物、生産や原料、資材の由来、栽培、製造のプロセスへの関心が国内外で高まっています。国においても、みどりの食料システム戦略というこれからの日本の農業をどうしていくかについて、30年を見据えた長期ビジョンが5月に発表されました。その中で、国は2050年までに耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万ヘクタールに拡大することを目指す農業戦略を打ち出しています。今後の都市農業を推進していく中で、本市としても重要施策として取り組むべきだと考えられます。
 本市においても有機農業への戦略が急がれるのではないでしょうか。有機栽培は手がかかりますが、市民が求める食の安全、安心という大きな付加価値がつくことから生産者の所得向上につながると考えられます。将来を見据えて本市としても有機農業を推進すべきだと思いますが、有機農業について本市は現在どのような支援をしているのか、お尋ねいたします。
 また、農業所得向上のためにも、有機農業による農産物の付加価値を高める取組にも力を入れていただきたいと考えますが、御所見をお尋ねします。
 農業での省力化、人手の確保や負担の軽減を進める上で、ロボット、AI、IoTなど最先端技術を活用したスマート農業の普及と支援を行うべきだと思いますが、現在どのように取り組んでおられるのか、お尋ねいたします。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) コミュニティパーク事業の見直しについての御質問にお答えします。
 設置者が専用で利用する集会所につきましては、国において、都市公園が一般公衆の自由な利用に供する目的を持って設置される公共施設であることに鑑みれば、通常は都市公園の効用を全うするとは言い難いとする見解があることなどから、公園内への設置は認めておりません。また、都市公園に設置できる建築物の建ぺい率につきましては、都市公園法を参酌して福岡市公園条例で定めており、一般利用が可能な集会所や用具保管場所、詰所等管理施設の建築面積は公園トイレ等の既存施設と合わせて公園面積の2%までとなっております。そのため、都市公園において地域が設置する集会所につきましては、都市公園の効用を全うするため、一般開放を前提に、誰もが自由に利用できる公平性が担保された運営が必要であり、慎重な判断が必要と考えておりますが、今後、国の動向を注視するとともに、他都市の事例を調査してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市の農業振興についてお答えいたします。
 まず、現総合計画での農業所得金額の目標値についてでございますが、国が農林水産業、地域の活力創造に向けた政策改革のグランドデザインとして平成25年に取りまとめた農林水産業・地域の活力創造プランを参考に、福岡市では専業農家の平均所得を10年間で1.5倍程度に増加させることを目指すものとし、総合計画の計画期間である5年間の目標値として350万円と設定したものでございます。
 次に、新規就農者の所得についてでございますが、議員御指摘のとおり、福岡市においても担い手の減少、高齢化など、依然として厳しい状況が続いております。この担い手の課題を解決し、魅力ある農業とするためにも、所得を向上させ、若い人たちが働きたいと思える仕事としていくことが重要であると認識しております。そのため、農業所得の向上を現総合計画の目標として設定するとともに、新しく就農してもしばらくはきちんと売れる作物が作れない傾向にあることから、国の農業次世代人材投資事業を活用し、新規就農後、最大5年間は生活資金にも使えるお金を一定額補助するなど、新規就農者の支援に取り組んでおります。
 次に、福岡市の兼業農家に関する認識についてでございますが、福岡市農林水産統計書によりますと、世帯員の中に兼業従事者が1人以上おり、農業以外の所得を主とする農家である第2種兼業農家及び自給的農家の兼業農家全体に占める割合が令和元年で91.7%と、そのほとんどを占めております。そうした福岡市の兼業農家の特徴は、都市と農地が近いため、平日は会社等に勤めながら、主に休日だけ農作業に従事する方も多いと認識しておりますが、農地は都心部に近く平たんなところばかりだけでなく、中山間地域の農地のように耕作環境として比較的厳しいところも多いので、そのような農地の維持については、まさに代々受け継いできた兼業農家さんの使命感によるところが大きいのではないかと考えております。兼業農家戸数につきましては、全国平均ほどではありませんが、福岡市でも今後も減少することが想定されることから、中山間地域の農業を引き続き支えていくことが必要であると認識しております。
 次に、兼業農家の後継者対策や耕作放棄地をなくす対策などについてでございますが、後継者対策につきましては、新規就農スタートアップ支援事業において、退職等を機に営農を始める場合、就農から5年以内の農家を対象に農業機械の導入や施設整備への支援を行っており、令和2年度は7件の農家に対し、トラクター導入やビニールハウス設置などに係る費用の一部を補助しております。また、耕作放棄地対策につきましては、農地の貸手と借手のマッチングを行うとともに、再生事業に取り組んでおります。今後につきましては、農業者のニーズを踏まえ、継続的に営農ができるよう担い手を支援するとともに、耕作放棄地の解消に向けてさらに事業を充実させてまいります。
 次に、農福連携の現況と今後の取組についてでございますが、令和2年度に農家と障がい福祉サービス事業所とのマッチングを行い、西区元岡の農家において、障がいのある方3人が大根の収穫等の業務に従事されました。今後につきましては、引き続き農家と福祉事務所等とのマッチングに取り組むとともに、福祉事業所スタッフを対象とした農業研修を行うなど、障がいのある方などがさらに農業分野で活躍できるよう、関係機関と連携し、支援を行ってまいります。
 次に、有機農業の支援についてでございますが、福岡市では、有機農業やレンゲ、堆肥を利用した自然環境の保全に効果の高い営農活動を推進するため、環境保全型農業直接支払交付金事業などに取り組んでおります。
 次に、有機農業により農産物の付加価値を高める取組についてでございますが、有機農業は農産物の付加価値を高めることにつながると考えておりますが、農産物に有機と表示するためには有機JAS認証が必要となってまいります。この有機JAS認証の取得につきましては、取得要件や経費、費用対効果などのハードルが高いことから、まずは安全、安心な農産物の提供や環境に優しい農業に取り組む農家を支援することで有機農業への機運の高まりにつなげてまいります。
 最後に、スマート農業の取組についてでございますが、令和元年度より生産者やJA、大学、事業者と連携し、AI、IoT等を活用したスマート農業の普及に向けた取組を開始いたしました。令和元年度及び2年度は産地の現状や農業者のニーズの把握、課題の整理を行い、課題解決につながる実証実験を支援いたしましたが、実証実験におきましては、イチゴやバラなど13農家において生産性の向上を検証した結果、イチゴの7農家がその効果を評価し、正式に機器の導入が進められております。福岡市においてスマート農業の推進は所得向上の手段としても重要な施策であると考えており、令和3年度も引き続き取組を推進し、生産技術の改善、向上を図るとともに、新たなテクノロジーの導入にもチャレンジしてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故についての御質問にお答えいたします。
 検診の責務についてでございますが、検診の制度設計や企画については福岡市、その実施については受託事業者それぞれが責任を有しているところでございます。前回、事業団の一連の対応に大きな瑕疵はなかったと答弁いたしましたが、第三者も加わった検証が行われることから、その結果を踏まえ、事故防止対策のより一層の徹底など検討してまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男) それでは、3問目に入ります。
 まずは、福岡市主催の胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故についてお尋ねします。
 事業団による再発防止の取組決定後の保健福祉局と事業団の対応について、令和2年9月議会の誤嚥事故質問を契機に事業団で再発防止の取組を行うこととなり、保健福祉局と事業団は御家族を訪問し、説明がなされております。しかしながら、令和2年11月18日付の保健福祉局健康増進課長名の文書で、質問に対する回答と称し、当該事故について事業団に大きな瑕疵はなかったと判断している旨の回答がされています。事業団で今後調査が進められる事件なのに、この段階で瑕疵はないと主張されるのはなぜでしょうか。結論ありきの調査なのではないかと怒りが沸き上がります。
 当該回答文書については撤回すべきと考えますが、荒瀬副市長の所見をお伺いします。
 あと、時間がないので割愛して、ちょっと農業問題を最後まとめに入りたいと思いますが、兼業農家対策はスピード感を持って手を打っていただかないと取り返しがつかないところまできています。具体的な答弁は難しいとお察し申し上げますが、御所見をお伺いします。
 農業はただ単に農作物を生産し、食生活を豊かにするだけではなく、昔から地域コミュニティを形成、維持するものであり、地域の歴史や文化をつくり出し、引き継いでいく地域の基幹産業でもあります。このことから、農業問題は農家だけの問題ではなく、市民の皆さんにも深く関わる問題であります。また、農業に市民の皆さんが関われるようにするのも重要だと考えます。来期の福岡市農林業総合計画が現在の農業の諸問題を解決し、危機を打破し、農家だけではなく市民の皆さんにも夢と希望が持てる新たな時代に対応できる農業施策を福岡市から発信すべく、十分な熱意と時間を持って検討していただきますことを切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 福岡市の農業振興についてお答えいたします。
 兼業農家への支援についてでございますが、福岡市の専業農家の戸数につきましては、この10年ほど維持している一方で、兼業農家の戸数につきましては、国の減少率ほどではないものの、直近10年間で26.8%減少しており、福岡市といたしましても喫緊の課題と認識しております。こうした中、農業者が減り、農地が放置されますと、いわゆる耕作放棄地の増加につながってまいります。この耕作放棄地が増えるということは、農地が有する多面的機能が失われるだけでなく、地域コミュニティにも悪い影響を及ぼすものと考えております。現在、兼業農家を含めた農業後継者対策として各種施策を実施しているところでございますが、今後どうすべきかにつきましては、現在、学識経験者等で構成する農林業振興審議会で次の農林業総合計画を御審議いただいておりますので、その結果を踏まえ、スピード感を持って対処してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 胃がん検診事業におけるバリウム誤嚥事故についての御質問にお答えいたします。
 令和2年11月18日付文書は、令和2年9月の議員の御質問を受けた後、御家族からの質問に対して、それまでの事業団の報告などに基づいて回答したものでございますが、その後も事業団と受診者の御家族では事故の原因や対応についての認識が大きく異なっており、今後、事業団において医療関係の第三者も加わり、再度、事故の実態、対応について検証されますので、その結果を踏まえた上でその後の対応をしっかり行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時55分に再開いたします。
午後2時45分 休憩  
午後2時55分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、コロナ禍で失われた子どもと親の居場所について、また、生活困窮者支援と女性の貧困の構造的な問題について質問いたします。
 2020年2月末、政府は全国全ての小中高等学校、特別支援学校に一斉臨時休校を要請しました。あれから1年余り、今回の緊急事態宣言下では臨時休校になることはありませんでしたが、この間、子どもたちは学びや体験など、様々な機会を失いました。昨年の9月定例会の私の一般質問でも言及いたしましたが、国立成育医療研究センターが実施している「コロナ×こどもアンケート」はその後も調査が続けられ、5月末に最新の第5回調査の結果が公表されました。それによると、公的に相談できる場、機会が減ったと感じた人は7割以上、子が自由に遊べる場、機会が減ったと感じた人は8割以上です。
 今回は特に、就学前の親子の居場所について質問をさせていただきます。
 本市には就学前の親子が過ごす居場所としてどのような場所が提供されているのでしょうか。それぞれの目的も併せてお示しください。
 これで1問目を終わり、2問目以降は発言者席より行います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市における就学前の親子が過ごすことのできる居場所につきましては、乳幼児親子が気軽に集まり利用できる遊び場を常設し、子育て活動を支援する拠点として子どもプラザを設置いたしております。また、身近な地域において乳幼児の親子が集い、交流の場や機会を提供するための子育て交流サロンを開設するとともに、子育て中の保護者が自主的に活動する育児サークルへの支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 子どもプラザにおいては、コロナ下で利用方法に何らかの変更があったのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 子どもプラザにおきましては、新型コロナウイルスの感染防止対策として、人数及び利用時間を制限するため、事前予約制などに変更いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 感染拡大防止のためのやむを得ない措置であると承知していますが、乳幼児の遊び場に予約制はそぐわないのではないでしょうか。計画ができないのが乳幼児との生活です。お散歩がてら、ふらっと立ち寄れるような場所が地域にあることがとても大事だと考えますが、例えば、体育館など広い空間を使った活動や屋外をフィールドとした活動をするなど工夫はできないものでしょうか。また、都度都度の事前予約制ではなく、登録制などほかの手段はないのでしょうか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 子どもプラザにつきましては、乳幼児を対象として、気軽に集まり、交流や相談を行うという活動の性質を踏まえ、感染防止対策を徹底しながらプライバシーに配慮した授乳室などを整備するとともに、子どもの目線や動線を考慮した安全対策を講じるなど、必要な設備の整ったよりサービスを提供しやすい施設で実施する必要があると考えております。また、登録制につきましては、利用対象者を特定することになることから、多くの親子に幅広く御利用いただくことができるよう、予約制などによる対応を行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 今後とも、安全、安心に配慮した運営に心がけていただくことは言うまでもありませんが、全国では地域の公園を利用して交流の場をつくったという例もあります。ぜひ先行事例を研究していただき、親のニーズにも応えていただきたいと思います。
 また、最初の質問で子育て交流サロンや育児サークルの活動についてもお答えいただきましたが、これらの活動は時間が決まっており、多くの働く親は参加しづらくなっています。また、孤独なワンオペ育児を強いられている親もいます。
 いつでも立ち寄れる場所の設置が必要だと考えますが、御見解をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 地域で子どもと子育て家庭を見守り、支える施設といたしましては、子どもプラザを市内14か所で実施しており、施設により土曜、日曜日や祝日も利用できることとしております。今後とも、子育て家庭が利用しやすいよう工夫しながら、様々な支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 土日祝日に利用できる子どもプラザがあるといっても、各区にあるとは限りません。そもそも160万都市に14か所では圧倒的に数が足りないのではないかと思います。私の住む南区は2か所です。子どもたちの一年は大人にとっての一年とは意味合いが違います。
 成長著しい時期の心身の発達のために、子どもと親の居場所をどのように支援するかが重要だと考えますが、見解をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 子どもプラザなどの子どもと親の居場所につきましては、コロナ禍においても人数制限や事前予約制等の必要な対応を行うなど、感染防止に十分配慮しながら、その確保に努めているほか、オンラインや電話で子育てに関する相談に応じるなど、様々な工夫をしながら支援を行っております。また、中央児童会館や科学館などで緊急事態宣言に伴い施設を閉館する場合等においても、人形劇や科学実験などの動画をオンラインで配信するなどの工夫も行っております。今後とも、子どもが健やかに成長するための居場所づくりや様々な体験ができる機会の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 社会的なつながりが実感できる居場所が制限されると、家庭に閉じ込められた親子は違う問題を持つおそれもあると感じています。例えば、親が仕事を家に持ち込むことで子どもたちは生活音さえ立てることができない、子どもたちが攻撃的な遊びや振る舞いをするようになった、親のストレスが子どもへの虐待に向かう、漠然とした不安感に襲われるなどの報告もあり、子どもの心身の発達に影響を及ぼすような危険な状況が見受けられます。
 このような状況に対してどのような対応を取っているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) コロナ下におきましても、子どもを守る地域ネットワークである要保護児童支援地域協議会の構成機関である学校や保育所、各区保健福祉センター、こども総合相談センターなどにおいて、支援が必要な子どもや家庭の状況把握を行い、情報を共有するとともに、必要な支援につないでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 関係機関で情報を共有することは大切ですが、子育て世代にとっては、子どもの成長とともに、地域が拠点になります。しかしながら、地域にある公共施設が子育て世には使いづらいといった声も届いています。
 各校区に老人いこいの家という施設があります。公民館と合築だったり、公園の敷地内にあったりしますが、特に公園内にある場合などは、親子が集うことができる多世代交流施設としての位置づけにならないでしょうか、御見解をお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 老人いこいの家につきましては、国が定める老人いこいの家設置運営要綱に基づく施設でありまして、高齢者の利用が優先ではございますが、福岡市におきましては、子育てサロンなどの地域の子育て支援活動にも利用できることといたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) もっと地域に開かれた公共施設の位置づけが子育て世代にとっては助けになります。
 本市では赤ちゃんの駅事業の取組がありますが、この事業が目指していること、その効果などもお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 赤ちゃんの駅事業につきましては、授乳やおむつ替えスペースを提供していただける施設にシンボルマークを掲示しているものであり、乳幼児親子が外出しやすい環境づくりを進めるとともに、社会全体で子育て家庭を支える意識の醸成を図ることを目的として実施いたしております。事業を開始した平成21年度以降、登録数は年々増加し、令和2年度末で380か所となっており、この取組が着実に広がってきているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) これまでに例示したもの以外にも、地域には集会所や地域会館、パークハウス、コミュニティスペースといった公共性の高い施設が点在していますが、外見からは設置者が分かりづらく、子育て世代が利用しにくい雰囲気があります。平成30年度自治協議会・自治会等アンケート報告書によると、自治会、町内会が集会施設を持っていても、その1か月当たりの利用頻度は平均で6.6回で、毎日使っている様子ではありません。このようなところを活用し、赤ちゃんの駅を設置していただければ、子育て世代が地域の中で安心して出歩くことができるのではないかと感じています。ぜひ自治会、町内会等へ好事例を提示していただき、場の活用を促していただきたいと思います。
 この際ですので、子どもと親の居場所について様々な可能性を尋ねたいと思います。
 全国ではインクルーシブ公園の設置が進みつつあります。市内に障がいのある子もない子も一緒に遊べる公園の設置もしくは設置計画はあるのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) インクルーシブ公園の定義は明確ではございませんが、令和3年4月に策定された東京都のガイドラインでは、ユニバーサルデザインの視点で整備した、障がいの有無や国籍などにかかわらず、あらゆる子どもが一緒に遊べる遊具広場のことをインクルーシブな遊び場と呼んでおります。福岡市では、誰もが思いやりを持ち、全ての人に優しいまち、ユニバーサル都市・福岡の実現を目指し、公園においてもバリアフリー、ユニバーサルデザインを取り入れた整備を行ってきたところであります。
 インクルーシブな遊び場づくりには、近づきやすさや利用のしやすさ、安全性の確保といった観点でのハード面の整備に加え、管理者や地域住民、ボランティアなど、多様な関係者が参画して継続的に運営の改善を行っていくといったソフト面の取組も重要と言われており、今後、東京都などの先進的な事例も参考にしながら、調査研究を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ぜひ実現させていただきたいと思います。
 子どもの遊び場は、都市化や核家族化、そして、少子化の進行により大きな変化をしています。特にコロナ下で外遊びは、子どもたちの心も体も解放するための大切な時間です。その中で、考え工夫しながら遊びをつくり出していくことが大事なことだと考えます。子どもたちの外遊びを担保するために、特に本市のような都市では、その場を地域につくることが必要になってきているのではないでしょうか。
 このような遊び場の一つとして全国でプレーパークが注目されていますが、本市で常設のプレーパークはありますか。まちなかに点在する緑地の活用なども含めて検討を進めてほしいと思いますが、所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) プレーパークとは、子どもたちの健全な育成を目指し、自己責任を前提とした自由な遊びを実現する遊び場づくりの活動などと言われており、NPO法人日本冒険遊び場づくり協会の調査によりますと、関東圏を中心に、市民団体の主催により公共空間を活用して活動されている事例が多いと聞いております。福岡市では常設で行われているプレーパークはございませんが、西南杜の湖畔公園や鴻巣山特別緑地保全地区において活動された事例があり、今後も主催団体からの提案があれば、公園、緑地の利活用について積極的に対応をしてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) プレーパークの設置数はほかの都市より本市は極めて少ないようですし、また、園舎を持たない森のようちえん事業も全国で注目されています。主催団体が活動を始めやすくなるよう、対応をお願いいたします。
 ここまで様々な観点から子どもと親の居場所について質問をさせていただきました。冒頭に示した「コロナ×こどもアンケート」では、様々な子育てのための機会や資源が減っている現状に触れ、コロナ禍での子育て支援の見直しが指摘されています。家庭内での密状態がプラスに働く家庭もあるかもしれませんが、そうばかりではありません。コロナ禍だからと大きなストレス状態を家庭内に押し込めるのではなく、親子の居場所を広く整備していただきたいと考えます。
 本市では子どもの遊び場についてどのような展望を持っているのか、御所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 子どもの遊び場につきましては、地域やNPOなどの参画を得て、小学校の校庭などを活用したわいわい広場を実施し、より子どもたちが主体的に活動できる場になるよう取り組むほか、中央児童会館において遊びのプログラムを体育館や公民館等に出向いて実施するなど、感染対策に十分留意しながら子どもの遊び場の充実に取り組んでおります。また、コロナの感染拡大の状況でも、オンラインによる遊びのコンテンツの配信やオンラインで相談を受ける取組など、家庭でもサービスや支援につながることができるよう様々な工夫も行っております。今後とも、関係部局と連携して、コロナ下でも安全に楽しく活動できる場の確保や多様な遊びができる場の充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 続いて、生活困窮者支援と女性の貧困の構造的な問題についてです。
 1年以上に及ぶコロナ禍で、立場の弱い人たちが生活困窮に追い込まれています。本年4月28日に厚生労働省から最新のホームレスの実態に関する全国調査の結果が発表されました。民間団体や行政の支援が進み、確認されたホームレスの人数は全国的には減少傾向にあるものの、炊き出しや夜回りをしている支援者の方々の感覚からは、ここ数か月、仕事を失い、住む場所を失った人の数は増加傾向にあると聞きます。
 今回の質問では、ホームレス状態にある方たちの現状と救済の方法を尋ねるとともに、ホームレスとしては見えてこない、とりわけ女性の貧困について、その構造的な問題についてお尋ねいたします。
 福岡市におけるホームレス自立支援実施計画で位置づけるホームレスとは、どのような定義によるものでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ホームレスにつきましては、ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法において、都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者と定められております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 2002年にホームレスの自立の支援等に関する特別措置法が施行された後、本市でも2004年にホームレス自立支援実施計画が策定され、現在、第4次計画の途中ですが、これまでの第1次から第3次の計画においてどのような取組を進めてこられたのでしょうか。また、第4次計画ではどのような方針でどのようなことに取り組んでいるのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ホームレス自立支援実施計画の第1次から第3次計画につきましては、民間団体との共働による相談事業をはじめ、自立支援施設の設置、巡回相談事業、自立支援施設退所後の支援を行うアフターケア事業などを実施し、それぞれの方の事情に応じた支援に重点を置く取組を行ってまいりました。第4次計画につきましては、自立支援施設等を中心とした施策の推進、多様化するホームレスへの柔軟な施策、再ホームレス化の防止に向けた施策の推進という基本方針を第3次計画から継承し、これまでの事業を継続するとともに、生活自立支援センターを活用して就労支援や住居確保給付金などを広く周知し、住居を失った方だけではなく、住居を喪失するおそれのある方への支援も行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 約20年かけて様々な施策を実施されてきたことが分かりました。
 前期計画から引き続き基本方針となっている自立支援施設ですが、本市にはどのような種類のものがあるのでしょうか。また、それぞれの施設の役割はどのようなものでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市が設置しております自立支援施設といたしましては、アセスメントセンター、就労自立支援センター、シェルター、福祉センターの4種類がございます。アセスメントセンターでは、入所者の生活歴や病状などから総合評価を行い、他の施設へ入所するための準備などを行っております。また、就労自立支援センターは主に就労可能な方、シェルターは主に高齢者や傷病者、福祉センターは主に女性や夫婦世帯を対象に、就労、医療機関の受診、その他福祉施策への手続の支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) このような自立支援施設で生活できるのは、個人によって違いはあるものの、数か月です。どのようなゴールを目指して支援をしているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自立支援施設につきましては、賃貸住宅や施設への入所などにより安定した住居を確保するとともに、それぞれの方の状況に応じて就労や年金の受給、生活保護などの福祉制度の利用による自立を目指しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 自立支援施設へつなぐことができた人がいる一方で、情報を受け取る手段を持っておらず、支援の手からこぼれ落ちた人たちも少なくないと推測いたします。
 天神地区の場合、地下鉄階段で寝泊まりをするホームレスも多いことを考えると、そこで情報を取れる仕組みをつくってほしいと思いますが、可能性について御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市では巡回相談員が公園や商業施設をはじめ、地下鉄駅なども含めて巡回し、困り事がないか声かけを行うとともに、それぞれの状況に応じて必要な支援窓口への案内や同行支援を行っております。今後、地下鉄駅などにおいて生活自立支援センターの情報の提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 市の専門相談員が手を差し伸べようと懸命な努力をしていることは承知していますが、人への不信感が根底にあり、支援に結びつかないケースも少なくないと感じます。その結果、長く路上にいる人や情報不足でなかなか行政の窓口へつながらない人が出てきます。今、例に挙げた地下鉄階段のほか、天神地区に限って言うと、市役所の市民ロビーや地下の広場でも日中を過ごす人たちが複数います。地下は消防法による制限があることも承知していますが、各局の協力の上、ホームレスの方が行動する場所に情報を取れる仕組みをつくっていただきたいと思います。
 ところで、自立するにはお金と家があればいいというものではなく、社会的なつながりを持つことが大切だと考えます。
自立支援施設は人との関係を築く場でもあると思いますが、ソーシャルスキルの習得やカウンセリングなどの心のケアなどはどのような体制を整えているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自立支援施設には、入所者と定期的に面談を行い、入所者が社会生活に適応できるよう支援を行う相談員を配置いたしております。社会のルールや金銭管理などについて助言するとともに、求職活動や年金受給、介護サービス、障がい者施策などの福祉施策の手続、医療機関の受診支援など、入所者に応じた支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 自立支援施設で一定期間過ごした後に、就労または生活保護の支援を受け、自立に向かうことになると思いますが、生活保護ケースワーカー1人が担当する世帯は何世帯でしょうか。また、標準とする世帯数はどのように定められているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ケースワーカー1人当たりの平均担当世帯数につきましては、令和3年4月1日現在で102.1世帯となっております。次に、標準とする世帯数につきましては、社会福祉法で、市の設置する福祉事務所におけるケースワーカー定数は条例で定めることとされており、その定数を算出するための標準とするケースワーカー1人当たりの世帯数は80世帯となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 標準が80世帯ということであれば、福岡市のケースワーカーはかなり負担が大きいと感じます。標準とする世帯数に近づけていただくために、職員の増員等が必要だと感じます。また、生活保護につなげられた場合でも、生活習慣や生きること、働くことへの考え方の違いで、依然として生活困難に至っているケースも少なくないと思われます。
 生活自立に向けて、就労準備や家計管理に関してどのような支援をしているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自立に向けた支援につきましては、担当ケースワーカーが就労に向けた支援や保護費の計画的な消費についての指導を日常的に行っております。また、基本的な生活習慣に問題があるなど、就労に向けた課題をより多く抱える方に対しましては、委託業者による日常生活や社会生活の自立支援、就労準備トレーニングなどを実施するとともに、金銭管理が難しい方に対しては、福岡市社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業の金銭管理サービスを活用するよう助言をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ここでホームレスの人数の直近3年間の推移と男女の数についてお伺いいたします。特にコロナ禍となったこの1年間での変化は見られたのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市のホームレスの人数の推移につきましては、厚生労働省が毎年1月に実施しておりますホームレスの実態に関する全国調査による概数調査結果によりますと、平成31年は168人で、男性160人、女性6人、不明2人、令和2年は184人で、男性171人、女性13人、令和3年は193人で、男性177人、女性11人、不明5人となっております。次に、コロナ禍における変化につきましては、令和3年は前年に比べ9人増加しており、男性は6人の増、女性は2人の減となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 全国的にはホームレスの人数は減少傾向にあるものの、福岡市では増加傾向にあるようです。
 ホームレスの実態に関する全国調査はどのような方法で調査をしているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 概数調査につきましては、調査員が午前、午後、夜間、深夜の4つの時間帯に福岡市内を巡回し、目視による調査を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 目視では大きな荷物を抱えている、服装がひどく汚れている、路上で寝ているなど、明らかにホームレスだと判断できる人しか把握できないのではないかと推測いたします。ベテランの支援者でも、若くて路上に出たばかりのホームレスの把握は難しいと言います。実態を捉えるためには、現在の調査方法は限界があることを指摘しておきます。
 ところで、ホームレスになった原因は何か分析はされているのでしょうか。特に女性と男性で違いはあるのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ホームレスとなった原因につきましては、厚生労働省が5年に1回行っておりますホームレスの実態に関する全国調査の結果によりますと、平成28年度は倒産、失業や仕事を辞めたことが最も多くなっておりますが、男女別の調査は行われていないため、その違いについては把握できておりません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ホームレスとは、法令上の定義では、さきにお示しいただいたような路上生活者ですが、住むための家がないハウスレスの方たちや生活保護受給者や住宅確保要配慮者など、生活困窮をしている方たちも含めて、帰る場所がない方もホームレスと言えると思います。女性の場合、明らかなホームレス状態とはならず、友人の家に世話になっている、車中泊をしている、ネットカフェや24時間営業飲食店などで夜を明かしているなど、広義の意味でのホームレス状態であり、言わば隠されたホームレスが少なくないと推測されます。
 そのような実態を認識されていらっしゃいますでしょうか。実態が把握できていないとすれば、どのような手段で救済できるとお考えでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 家を失い、ネットカフェなどで過ごされている移動型のホームレスがおられるということは認識をしておりますが、性別や人数などの実態は把握いたしておりません。福岡市といたしましては、生活にお困りの方々が必要な支援を受けられるよう、今後もホームページなどを活用して、生活自立支援センターや生活保護などの相談窓口の周知を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 果たしてホームページで周知ができるのか、甚だ疑問です。
 女性の貧困に対して伺います。原因をどのように捉えているのか、御所見をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 女性の貧困の原因につきましては、国において令和2年12月に閣議決定がなされた第5次男女共同参画基本計画の中で、男性に比べ女性のほうが雇用者に占める非正規雇用労働者の割合が高いことが、女性が貧困に陥りやすい背景の一つとされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) コロナ禍で雇用に大きな変化が表れています。NHKなどの調査によると、性別による影響も数字として現れてきています。
 働き方がその後の人生にどのように影響してくるのか明らかにするために、男女別に国民年金と厚生年金の老齢年金受給月額をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 国民年金につきましては、令和元年度の平均受給月額が男性が5万8,866円、女性が5万3,699円となっております。次に、厚生年金につきましては、男性が17万1,305円、女性が10万8,813円となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 実はここに平均のマジックがあります。国民年金の受給月額は平均を取ると男女とも5万円で、そんなに変わらない額になりますが、詳しくデータを見ていくと、男性は6割以上の人が6万円以上受け取っているのに対して、女性は6割の人が6万円未満です。厚生年金は言うまでもなく歴然とした格差があります。
 なぜ女性がこんなにも低い水準にあるのか、その御見解をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 女性の受給額が低い理由でございますが、国民年金につきましては、昭和61年3月以前は、いわゆる専業主婦が任意加入であったことなどから、女性の加入期間が男性よりも短いことが要因と考えております。また、厚生年金につきましては、加入期間が短いことや、短時間労働者が多く標準報酬月額が低いことから、加入期間における年金保険料の納付額が少なくなり、年金の受給額が男性より低くなっているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 現役時代の働き方が生涯にわたって影響することが分かりました。
 貧困状態にある女性たちの支援のために、先進的な取組として横浜市男女共同参画センターでは困難と希望を分かち合える場づくりをしています。生活技術や習慣を学ぶ講座や当時者同士が共感し合えるようなグループの支援など、特別なサポートが必要だと考えます。
また、2014年度に全国知事会が行った自主調査研究委託事業、女性の貧困問題と地方自治体のとるべき施策の調査研究報告書において、地方自治体の女性の貧困問題に対する関心の低さが指摘されて、既に6年が経過します。
 その間に生活困難に苦しむ女性が希望する働き方や生き方を選択できるようどのように取り組まれてきたのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 生活困難な女性に向けたこれまでの取組につきましては、平成28年度から令和2年度の第3次福岡市男女共同参画基本計画において、貧困、高齢、障がい等により困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備を施策の方向として位置づけ、相談体制の充実や就業支援などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 取り組んでいるにもかかわらず、女性の生き方、働き方は改善していないのは一体どういうことでしょうか。女性の非正規雇用比率は、この間、依然として6割で変化なしです。社会に出たその時代の状況がバブル崩壊やリーマンショックによって就職氷河期の憂き目に直面した世代が50代を迎えようとしています。派遣社員や契約社員など非正規で就職せざるを得なかった女性たちを支えてきた家庭も、親の高齢化や死亡とともに、その力を失っています。労働と家庭からの排除によって、能力や努力ではどうにもならない困難を抱えた女性がコロナでさらに生きづらくなっているのです。
内閣府に設置されたコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会が本年4月28日に公表した報告書によると、1つ、女性に対する暴力、2つ、経済、3つ、健康、4つ、家事・育児・介護(無償ケア)の4分野での影響を統計分析し、対応を求めています。とりわけ経済分野で指摘されることは、女性を取り巻く非正規雇用の問題です。
 企業における非正規雇用の待遇改善の状況をどう把握しているのでしょうか。また、本市においてはこれからどのような取組を考えているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 非正規雇用の女性に対する待遇改善の状況につきましては、女性活躍推進に関する取組の実施状況が優良な企業に対する厚生労働省の認定制度である「えるぼし」において、女性の非正社員から正社員への転換等を含む多様なキャリアコースの基準を満たして認定を受けている市内の企業が21社ございます。また、ふくおか女性活躍NEXT企業見える化サイトの掲載企業302社のうち、女性の非正社員から正社員への転換実績がある企業は令和3年3月現在96社でございます。今後とも、ふくおか女性活躍NEXT企業見える化サイトにおいて女性の活躍推進に取り組む企業を紹介するとともに、企業における多様で柔軟な働き方の普及促進に向けた啓発や推進に国や県等と連携しながら取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) まだまだ進んでいないと感じます。
 コロナ下での課題は、従来からの問題が顕在化したにすぎません。女性が自立して生きていくため、また、貧困の固定化を防ぎ連鎖を止めるために、本市でも女性の貧困の問題に対して取組を早急に進めていただきたいと思いますが、どのように取り組んでいくのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 生活困難な女性に向けた取組につきましては、令和3年度からスタートした第4次福岡市男女共同参画基本計画に基づき、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も踏まえながら、引き続き困難を抱えた女性等が安心して暮らせる環境の整備に向けて、相談業務の充実や就業支援などに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 男女共同参画推進センターは、これまで就労や能力向上について女性に特化した施策を進めてきたことや市が直轄する施設として地域から信頼されていることなどから、ここが困難を抱えた女性たちのセーフティネットとなるべきだと考えます。今年度から事業推進課に加えて、企画、立案する部署である男女共同参画課と女性活躍推進課もセンターで一体的に男女共同参画を推進しているはずです。
 女性の貧困に対して速やかに具体的な施策を進めるべきだと考えますが、御所見をお願いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 男女共同参画推進センター・アミカスにつきましては、令和3年度から本庁にあった男女共同参画課、女性活躍推進課が移転し、アミカスの利用者や市民の皆様の生の意見をお聞きしながら、既存事業の見直しや新たな事業の企画、立案などを進めているところでございます。第4次福岡市男女共同参画基本計画の目標達成に向けて、男女共同参画部が一体となり、関係部署とも連携を図りながら、より効果的できめ細かに女性への支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 生活困窮者の現状と支援策について、また、とりわけ女性の貧困の構造的な問題について、ここまで様々お伺いしてまいりました。今、目の前で生活に困っている人がいれば、支援の手を伸ばすのは当然のことです。しかしながら、一つ一つの支援は、言わばばんそうこうのようなものです。何度歩き出しても劣悪な道では、転んだり滑ったりして、またけがをしてしまいます。まさに今この国の状況だと言わざるを得ません。ばんそうこうを都度都度貼るのではなく、しっかり歩ける道にするために、段差をなくす、凸凹道をなくす、亀裂をなくす、道幅を広くするのが行政の仕事のはずです。社会福祉政策、労働政策、ジェンダー政策、転ぶほうが悪いという前提になってやしませんか。一人一人が自立していくためには、最初の時点で社会が責任を持って整備をしていかねばなりません。市民が元気を取り戻す道をきちんとつくってください。そのことを切にお願いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史)登壇 自由民主党福岡市議団を代表して、発言通告のとおり質問をいたします。
 生活交通についてであります。生活交通の確保に向けた取組については、2025年問題を念頭に対応を急ぐことを会派から強く求めてまいりました。
 まず、今年度の生活交通に関する取組の内容をお尋ねいたします。
 以降は所定の席で行います。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 令和3年度につきましては、生活交通条例に基づく休廃止対策や不便地対策などに引き続き取り組むとともに、多様な交通手段の特性などの調査、検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 市はおととし、生活交通に関する住民意識調査としてアンケートを実施されました。60歳以上の方々を無作為抽出して調査票を送るもので、5,000通余りの回答がありました。一方、自由民主党福岡市議団ですが、今年の1月から4月にかけて、この市の住民意識調査を8割方踏襲して、一部独自の設問を加えた生活交通に関するアンケートを実施いたしました。60歳以上の方がいる世帯に合計1,840通を各議員が送付または配付をして、500通余りの回答を得ました。送付先は市内全7区の高台、それから、交通の不便な場所にお住まいの方を抽出するということで事前に申し合わせました。市の調査に地理的要件でバイアスをかけるという位置づけであります。
 以下、集計した結果を基に市のアンケートと市議団のアンケートを比較いたしますけれども、家族構成の面ではほとんど違いがありませんでした。年齢層は市議団の調査は70歳から79歳、つまり後期高齢者の前後5年の方からの回答が半数に上るなど、市の調査よりも年齢層が高くなりました。 続いて、買物の頻度ですけれども、市の調査で最も多かった週に二、三日という回答が市議団の調査でも多くなりました。しかし、その交通手段なんですが、自らの運転または同乗による自動車の利用とお答えになった方が市の調査では37.9%でしたが、市議団では68.7%となりました。これは通院についてお尋ねしても同様でありました。地理的な要件が違うと、自動車への依存度が高まる傾向が読み取れたと思っております。
 自動車運転免許を持っており運転しているという回答、市の調査では42.2%だったのに対し、市議団では66.6%。また、将来的な運転免許証の返納については、市の調査で返納するとお答えになった方が33.1%だったのに対し、私どもに対しては21.4%と低くなりました。さらに、市の調査では返納の時期を75歳頃とされた方が36.9%だったのに対して、市議団の調査では11.8%にとどまり、85歳頃に返納するという方は市の調査で10%、市議団の調査では26.1%と逆に高くなりました。地理的要件を変えて調査すると、運転免許証の返納意思というのが低くなって、できるだけ長く運転したいと思われるという傾向が読み取れました。
 また、市の調査にはなかったんですが、市議団では、これから年齢を重ねていかれる中で外出の際にどのような交通手段を利用したいかと選択式でお尋ねをいたしました。複数回答を認めるものですが、バスや地下鉄などが合わせて35.5%だったのに対して、自宅近くと買物先などを循環する乗合自動車、これはオンデマンド交通を意識した選択肢ですけれども、これを選んだ方が11.4%、自己の運転による自動車というのが17.2%、近所との乗り合いや医療機関等の送迎などの自動車が合わせて6.9%、これら自動車に類するものが35.5%となりました。また、タクシーという回答も別に16.6%ありましたので、合わせると52.1%の方が何らか自動車を使いたいという回答をなさったということになります。
 今回の調査のポイントは、地理的要件がアンケートの回答にどう影響するかということを分析することでありましたので、回答はですね、私どものサンプルというのは、市の周辺部とか山裾だけではなくて、例えば、中央区の都心に近い高台エリアなどからもいただきました。地理的に不便な場所では運転免許証の返納が進みにくいこと、自動車頼みの生活様式になっているということが浮き彫りになったと思っております。
 改めてお尋ねをいたしますが、高齢者の運転免許証返納について市としての取組をお尋ねいたします。また、地域特性を踏まえた取組を行っておられるか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 高齢者の運転免許証返納の取組につきましては、高齢者自身が加齢に伴う身体機能や判断能力の変化に気づくことで安全運転を心がけていただけるよう高齢運転者講習を実施しており、その講習の中で運転免許証の自主返納制度の御紹介等を行っているところでございます。また、地域からの御要望に応じて行う出前講座の中でも自主返納制度の御紹介を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 基本的にはお返しになること、やはり高齢者だと危ないですよというふうな啓発だと思います。
 市議団の調査では、自由筆記で現にお困りになっていることというのを尋ねました。ほぼこの回答の半数が運転免許証の返納に関する意見でありました。中には、運転免許証の返納を後悔しているという声もありました。やはり代替交通の手段がなければ免許は返せない、だから、次の一手が急がれるゆえんだと思っております。
 以上、アンケートの結果を分析した上でありますけれども、やはり課題は既存のバス路線などを維持するということと、そして、自動車による生活交通を確保することではないかと思っております。路線バスについては、コロナ禍でありまして、西鉄も昨今かなり厳しい内容の決算を発表されておったようでございます。
 運転手の確保も難しくなっているということも相まって、不採算路線の合理化圧力が高まることも予想されるんですけれども、バス事業者とは綿密な協議を重ねていただく必要がありますが、最近の状況をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 路線バスにつきましては、都心部を中心に再編、効率化しつつ、郊外部におけるサービス水準を維持できるよう、交通事業者と協議を行いながら取り組んできたところであります。コロナ下でバス利用者が大幅に減少しており、バス路線の維持に向け、事業者と協議を進める中、令和3年3月より利便性確保や密の回避に配慮したダイヤ改正が行われたところですが、従前から課題となっているバス乗務員の確保など、バス事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いていると聞いております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 合理化の要請というのは、一定受け止める必要があるのかもしれませんが、特に鉄軌道のない周辺部のバス交通というのは、できるだけ削減されないようにしなければならないわけです。ちょっとテーマが大きくなるので、また機会を改めさせていただきます。
 一方で、自動車による生活交通の確保についてですが、ここは全国でも導入が今進んできているオンデマンド交通が担えるように、早く具体的な検討に進まなければならないというふうに思っております。昨年の決算の質問でも指摘をさせていただいたんですけれども、生活交通条例の枠組みで地域主体の取組を支援するなどという悠長なことを言っている状況ではなくなってきたと思っております。問題は全市に広がりつつあります。
 そして、会派としては西鉄などが試験的に運行しておられる「のるーと」に注目をしてきたわけでありますけれども、壱岐南地区での実証運行における利用者数、さらに、どの程度のスポンサーがついているのか、採算について最近の状況をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 「壱岐南のるーと」につきましては、令和2年度の1日当たりの平均利用者数が約22人、協賛企業、団体数が9社となっております。採算性が確保される利用者数には達しておりませんが、令和2年6月の運行開始以降、利用者は徐々に増加しており、引き続き地域や交通事業者と共働して利用促進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) コロナ禍もあって何とも言えないところだと思いますが、ほぼ毎日利用する方の割合というのはどのくらいか、お分かりになりますか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 平日に毎日利用する方の割合につきましては、交通事業者から1割程度と聞いております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) おととしの本市の調査、それからまた、市議団の調査で共通することなんですが、高齢の方々の買物頻度というのは、40%以上が週に二、三回でありました。市議団の調査では74.6%の方が週に二、三回よりも頻度が低いということでありました。ちなみに、市の調査ではこれは61%ということでした。こうした状況を見たときに、一般論としてなんですが、オンデマンド交通は同じエリアを毎日走ってほしいというニーズは思ったよりも低くて、今後、現在とは別のエリアでもし導入を検討するという場合においては、むしろ日を分けて、1台が幅広いエリアをカバーして、月曜日と木曜日はこのエリア、火曜と金曜日はこのエリアといったふうに運行エリアを拡大していったほうが、より多くの方々のニーズに応えるものになるのではないかと思っております。持続可能性の最大の要素というのは、民間の採算に乗る仕組みかどうかということだと思っていますが、これは1台の車両に集まるスポンサーシップが多ければ多いほどよいわけでありまして、そうなると、多くのスーパー、商業施設、病院、公共交通機関、駅やバス停、曜日限定でも循環する仕組みにするほうが収益の改善が図れるんではないかと想像しております。
 今年度の生活交通に関する調査、検討は、生活交通条例の枠組みにとらわれることなく、地域ごとの実情に合った対策が何なのか、どのような交通手段が求められるのかという視点も持っていただきたいと思います。市議団の調査報告については、昨日、住宅都市局に提出させていただきましたが、その結論にあるとおり、今後の調査は困っている地域を選んで声を拾うべきであるというふうに思っております。
 今年度の調査、検討に当たっては、今述べたような視点をしっかりと意識していただきたいと思っておりますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 地域ごとに実情が異なる中で、交通手段についても、既存の路線バスやタクシー、新たな取組であるオンデマンド交通など、多様化してきております。令和3年度につきましては、地域の実情に応じた適材適所の交通手段の確保に向け、多様な交通手段の特徴や仕組みを調査、検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 問題だというふうに感じておりますのが、調査、検討というのは、ずっと言っていただいているんですね。ただ、なかなかこの段階から進展がないという状態で何年も続いているということであります。やはり生活交通の問題に対する、ちょっと厳しい言い方をしますが、本市の危機感の欠如というのが現れているんではないかと思っています。
 いつまでに何をやるというロードマップをぜひ早急に示していただきたいというふうに願うものでありますが、今年度は様々な調査、検討と併せて、生活交通の問題への取組に向けたロードマップづくりにぜひ着手していただきたいと考えておりますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 生活交通の確保につきましては、郊外部における人口減少やバス乗務員の不足に加え、今般の新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、バス利用者が減少していることなどから、路線バスの維持について事業者とも危機感を共有しているところであります。このため、生活交通の確保に向け、地域や交通事業者と共働して公共交通ネットワークの維持に努めており、西区壱岐南地区などでは新しい技術を活用したオンデマンド交通の実証運行も実施されております。今後とも、生活交通条例に基づく施策に着実に取り組んでいくとともに、コロナ下における社会情勢等の変化を注視しつつ、地域の実情に応じた持続可能な生活交通の確保に向け、令和3年度調査の中で今後の進め方などについて検討をしてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) どうぞよろしくお願いします。
 次に、感染拡大防止に向けた本市の取組や情報発信についてということであります。
 3度の緊急事態宣言が発出されまして、本市ではいずれも期限が延長されることになりました。政治は結果だけが問われます。ちょっと時間がなくて、ぶしつけで恐縮なんですが、市長にお尋ねをいたします。
 緊急事態宣言がいずれも延長される結果になったことに対して、市としての啓発、協力の呼びかけ、さらには市長個人としての啓発や協力の呼びかけにどのような反省点があったとお考えになられるでしょうか、答弁をお願いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 感染拡大防止のためには、市民一人一人が基本的な感染対策を行っていただくことが重要であると考えております。これまで県の独自措置や、また、緊急事態宣言など、機を捉えて情報発信や呼びかけを行い、また、個人的な活動でもメッセージを発信してまいりました。一方で、全国的にも感染の長期化による緊急事態慣れや、また、若者啓発の難しさが指摘されておりますが、今後とも、感染状況に応じた効果的な情報発信に努め、感染拡大の防止を図ってまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) おっしゃったとおり、非常に難しいというふうに感じております。
 ちょっとこれは申し訳ない、時間がないので、この項目の以降の質問を全て落とさせていただくんですが、申し上げたかったことというのは、警固公園の閉鎖がありました。この時期というのが適切だったかどうかということをぜひ、もし、これからまた感染拡大の局面になったときには、もうためらうことなく、ぜひやっていただいていいんではないのかということを申し上げたかった。
 それと、市のメッセージが、市長も今御答弁あったんですけど、若い市民の一部になかなか行動変容につながらなかったという事実をぜひ直視して、今後も予想される流行に当たって、どうやって届けるのかということをやっぱり考えておく必要があると思っていまして、ここは抜かりない準備をお願いしたいということも申し上げたかったということです。
 それとあと、地下鉄のアナウンスですけれども、マスクの着用とか会話の自粛のお願いの繰り返しになっているので、交通局で今の時期に何が本当に必要なのかということをぜひ考えていただきたいということを申し上げたかったということであります。ぜひよろしくお願いいたします。
 駆け足で大変聞き苦しくて恐縮ですが、ここからは、できれば時速15キロぐらいで電動キックボードについて質問させていただきたいと思っております。
 現在行われております実証実験の車両によるものかどうかは定かではないんですけれども、かなり自由気ままな乗り方をしておられる利用者が目につく状況であったので、ちょっと質問することにいたしました。
 当初、ちょっとタイトルは乗ってみたとなっていまして、(パネル表示)淀川議員に協力をいただいて、私は写真を撮って、周囲の状況をよく観察して、その課題を明らかにしたいと思っていたんですけれども、先輩議員から自分で乗ってみらんで質問できめえもんと言われまして、こんな感じで乗っています。淀川議員と私。左端を走るということで、私、どこが左端なのか分からないで、この白線の内側を一生懸命走ったので、平均台を一生懸命走ったような感じになって、なかなか快適じゃなかったんですけど、試乗してみた感想等については後でお伺いするとしまして、2問まとめてお伺いします。
 実証実験の概要について説明をお願いします。また、この実証実験に関してなんですが、本市はどのように関わっておられるのか、お尋ねをします。
 また、この電動キックボード、実証実験の分というのは、車両としてどのような扱いで、どのような交通法規に準拠をし、また、利用に当たって必要な資格は何なのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 現在、福岡市で実施されております実証実験につきましては、産業競争力強化法の新事業特例制度を活用し、経済産業省の認定等を受けた事業計画に基づいて、株式会社mobby rideが実施しているものでございます。この新事業特例制度により、今回の実証実験におきましては、電動キックボードの最高速度が時速15キロメートルに制限され、運転時のヘルメットの着用が任意となり、また、車道に加え、普通自転車専用通行帯及び自転車道での走行が可能となる特例措置が設けられております。福岡市におきましては、プレスリリースなどの広報や関係部署との調整、電動キックボードの置き場所として市の施設を提供するなどの支援を行っております。
 続きまして、今回の実証実験における電動キックボードにつきましては、道路交通法上、小型特殊自動車として位置づけられたことから、自転車道が走行可能であるなど、一部の特例を除き、小型特殊自動車として交通法規が適用されることとなっております。また、利用に当たりましては、小型特殊自動車の運転に必要な免許を所持していることが条件となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 幾つか不安とか疑問に感じ点があるので、まず、その不安の面ですが、安全性ですね。6月5日の朝日新聞の朝刊に大きく記事が出ておりました。大阪市で電動キックボードによる重傷ひき逃げ事件があって、30歳の男が逮捕されたと。48歳の女性が首の骨を折る大けが。また、6月9日のプレジデントオンライン、それから、昨日の朝、テレ朝系の報道でも電動キックボードの紹介がされていたということでありましたけれども、こうした最近の報道もそうなんですが、私たちに聞こえてくる市民の反応というのを見ておりますと、電動キックボードについてはかなり不安の声が大きいように感じております。
 そこで、実証実験の電動キックボードが加害事故を起こした場合の保険についてどうなっているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 今回の実証実験における電動キックボードにつきましては、実証実験の実施事業者が自動車損害賠償責任保険に加え、任意の自動車保険にも加入しており、事故が発生した場合にはそれらの保険で対応することとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) ちょっと1問飛ばしまして、利用者が事故を起こしたり、例えばなんですけれども、駐車してはいけないという場所に駐車をした場合、警察はどのように対処するのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡県警察に確認いたしましたところ、今回の実証実験におきましても通常の事故や交通違反を起こした場合と同様に対処するとのことであり、例えば、駐車禁止違反の場合にはその内容に応じた交通違反点数の付与や反則金の納付命令がなされるとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 大阪市も実証実験のエリアになっているところでありますが、このひき逃げ事件を起こしたというのは、一般に市販されている電動キックボードだったようであります。今回の実験とは関係がないと。ただ、実証実験の影響で、今後、自己所有の電動キックボードの利用者が増えることも想定されると思っていますけれども、同じように、加害事故を起こした場合の保険についての加入の義務があるのか、また、購入時にナンバープレートやライトなどが全車両につくのか、速度はどれほどまで出せて、どこを走ることができるのか、事故を起こしたり交通法規を犯した場合の警察の対応がどうなるのかということについてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 個人が所有する電動キックボードにつきましては、道路交通法及び道路運送車両法において原動機付自転車に位置づけられており、自動車損害賠償責任保険への加入やナンバープレートの取得、原動機付自転車が公道を走行するための保安基準を満たすことなどが必要となります。また、最高速度は時速30キロメートルで、原動機付自転車の走行が認められているエリアであれば走行は可能でございます。
 福岡県警察によりますと、事故や違反に対しての警察の対応につきましても原動機付自転車に対する場合と同様であり、事故や違反の内容に応じた交通違反点数の付与や罰金、反則金の納付命令がなされるとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 既に私ども自由民主党福岡市議団の会派内でもですね、各議員のところになんですけれども、歩道、それから、横断歩道を走行しているものを目にしたという声が聞かれました。私も先日、夜に車を運転しておりましたら、地下鉄大濠公園駅の出入口付近に歩道上に設置されたポートというか、置き場所があるんですけれども、そこに電動キックボードを止めるまでの間、堂々と歩道を走行しているという事例を目撃いたしました。こうしたルールなんですが、恐らく単に電動キックボードの利用者だけが気をつけているとか分かっているということだけでは、やはり全体の安全とはならなくて、幅広く一般のドライバー、それから歩行者にまで一定の認知がされていなければいけないというふうに思うわけです。
 そこで、電動キックボードの利用に関するルールの周知というのは、どの程度まで進んでいる認識でしょうか。課題や今後の対応方針もあれば、お示しをいただきたいと思います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 個人が所有する電動キックボードにつきましては、福岡県警察におきましてホームページに使用する際の注意事項が掲載され、電動キックボードの法的位置づけや通行方法などについて周知が行われております。加えまして、交通事故防止に資するため、他の車両と同様に、電動キックボードについても、適切に指導、取締りを実施していると聞いております。今回の実証実験における電動キックボードにつきましては、利用登録時に交通ルールなどに関する警察庁監修のテストに合格する必要がございます。また、福岡市から実証実験開始前に公道での実証実験が開始される旨と電動キックボードの法的位置づけや通行方法など、新たな規制の特例措置の概要を掲載したプレスリリースを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 警察庁監修のテスト、私も利用登録のときに見ました。電動キックボードを利用するための事前の登録の際に携帯端末で答えるものでしたけど、間違ったらやり直しが利くということになっていて、実質、不合格になることは難しいのかなというものでありました。
 6月11日の日に乗ってみたわけでありますけれども、(パネル表示)春吉にですね、弥太郎うどんさんから入っていったところにポートがありまして、そこから、市役所の庁用車の出入口のところにもポートがある、そこまでを乗ってみようということで淀川議員と一緒に乗らせていただいたわけであります。その途中で、(パネル表示)これは国体道路から中央警察署のところに至る信号であります。こっちが中央警察署、市役所ですね。右折帯に淀川議員が止まっているという状況であります。こんなことしたらいかんめえもんというふうに思われる方も中にはいらっしゃるんではないかなと思うんですけど、これは適法な右折です。小型特殊車両ということですので、言ってみればトラクターとかと一緒なんですけど、原付バイクは2段階右折ができますけど、これは2段階右折ができないということです。なので、これは適法な右折なんです。私が待っている間に左側をどんどん車が通り抜けていくんですけど、やっぱりかなり近くて怖かったなということは感じました。そして、これを曲がっていった先というのが、(パネル表示)ちょっと先輩議員に写真を撮っていただいたんですが、これはこうやって曲がっていったとき、後続のドライバーがですね、やっぱりかなり我々を追い抜いた後にぶわっと吹かしていかれました。我々は15キロで行っています。ノーヘルです。かなり嫌だったんだろうということは感じました。私の前を走っていた淀川議員も、ずっとルールを守って、ちゃんとやっていただいていたんですけど、市役所の北辺りを通ったときにはクラクションを鳴らされていましたし、よけていく車が、そもそも自転車をよけるよりも、かなり大きく膨らんでよけていっていると。やっぱり怖がっているのかなという印象を受けました。ただ、淀川議員は終わった後に結構楽しかったという感想を述べておられたんですが、ただ、私は乗ってみて分かったんですが、右手元のアクセルスイッチというのは、これは単にオンにするだけでは走り出さなくて、蹴らないといけないわけですね。だから、暴走するというふうなことはないのかなということは、少しそれは安心をしました。乗ってみてやっぱり分かることはあるかなと。淀川議員は、ちょっと最近、つま先あたりが痛くなるようなことがあるので、ちょっと地面を蹴るとき痛かったということはおっしゃっていました。
 今、ほとんどの方があまり事情をのみ込めていないんではないのかなという中で、私は乗ってみた感想として思うんですけれども、急に見慣れない乗り物が動き出して、何だか怖いなと、やっぱりそういう印象ではないかなというふうに思います。
 今、安全面について質問してきましたが、次に、疑問点についてです。
 聞くところによると、電動キックボードの実証実験については、福岡市の実証実験フルサポート事業にmobby ride社の取組が採択され、福岡市から国に国家戦略特区で規制緩和が提案されたということのようであります。
 この点の経緯を簡単に御説明いただきたいと思います。なぜ電動キックボードを国家戦略特区で規制緩和の提案がなされたのか、理由も併せてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市が国家戦略特別区域会議で電動キックボードに関する規制緩和の提案を行うまでの経緯でございますが、平成30年に株式会社mobby rideの前身に当たりますAnyPay株式会社より、シェア型電動キックボードによるラストワンマイル問題の解決や観光客の回遊性向上などに関する提案を受けまして、本市の実証実験フルサポート事業として採択し、その後、平成31年に国家戦略特別区域会議に規制緩和の提案を行ったものでございます。
 次に、規制緩和の提案を行った理由でございますが、現在、日本では電動キックボードは原動機付自転車に位置づけられ、公道で走行するには車体に道路運送車両法の保安基準を満たす装置が必要で、利用者は運転免許の所持やヘルメットの着用が必要であるなど、手軽な移動手段という本来の利点が失われております。そのため、電動キックボードの操作性や車体の規格、走行速度、重量などは電動アシスト自転車と同等であると考え、シェアリングサービス事業者の適切な管理を前提として自転車とみなし、公道での走行が可能となるよう規制緩和の提案を行ったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 昨年10月に南区の一部で公道の実証実験が開始された際、それから、4月に中央区の一部にもエリアが広がった際には、市長自ら電動キックボードに乗ってみられて、広報に一役買われたようでありました。ただ、私は福岡市が少し前がかり過ぎではないかという懸念を持っていると申し上げたいと思います。
 先ほど福岡市はmobby ride社の電動キックボードについて置き場所を提供しているという答えでありましたけれども、現状でどの市の施設に置き場所があるのかというのをお尋ねしたいと思います。また、置き場所を利用するに当たって、事業者は幾ら負担をしているのかということを併せてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 今回の実証実験において、電動キックボードの置き場所が設置されている市の施設は、現在、市役所本庁舎、競艇場、美術館、Fukuoka Growth Next、かもめ広場、南区役所、南区役所別館、南市民センターの8か所でございます。置き場所の利用につきましては、実証実験フルサポート事業の支援として無償で提供しているため、実施事業者の負担はございません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 実証実験とはいえなんですけれども、民間の営利事業という側面はやっぱりあるわけでありまして、市の施設をただで使わせるというのが道理に合うかどうかというのは、問題があるかと思っています。
 相応の負担を求めるということもあるんではないかというふうに思いますけれども、答弁を求めたいと思います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 現在、国におきましては、多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会を設置し、電動キックボードや自動配送ロボットなどの新たなモビリティーの交通ルール等が検討されているところでございます。今回の実証実験については、国が新たなモビリティーに関する交通ルール等を検討していくに当たり、走行距離や安全性など、必要なデータを収集する貴重な機会であると考えており、より多くのデータを収集するため、市の施設を無償で提供することには一定の合理性があると考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) どこまで前がかりになっていいのかというところ、乗り物として結構市民の不安があるかなと思うだけに、やはり行き過ぎると、これはいつ起きるともしれない事故、このときに福岡市にまで、例えば、賠償の請求とかですね、そういった塁が及ぶことになりはすまいかということも心配をしております。
 実証実験でもし事故があった場合の福岡市の責任というのはどうなるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 今回の実証実験で事故があった場合につきましては、通常の事故と同様に当時者間で解決されるものと認識しておりますが、今回の実証実験においては、実施事業者におきまして交通量の多い渡辺通りなどを走行禁止とされ、利用登録時に交通ルールなどに関して警察庁監修のテストへの合格を必須とするなど、安全対策が講じられておりますとともに、万一の事故に備え保険に加入し、24時間対応のカスタマーサービスを用意されているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) 今答弁をいただいてきた流れの中で、本市が事業者の取組を後押ししてきたということは明らかだと思うんですが、会派の中でも議論になりました。これが市民にどのような利益をもたらすのかということがいま一つ今明確ではないというふうに感じています。
 昨年の公道実証実験の開始後ですが、さらには今年4月の実証実験開始後、エリアの拡大後ですね、市民からはどのような意見が寄せられているか、お知らせをいただきたいと思います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和2年10月及び令和3年4月の実験開始後に市民から寄せられた主な意見としましては、専用道路を整備して、車、歩行者、自転車、キックボードを区別すべきなど道路整備についての御意見や、交通ルールを守れていない利用者を警察と連携して取締りを強化してほしいなど交通ルールに関する御意見、そのほか、利用範囲を拡大してほしい、手軽に乗れるようになるとうれしいといった御意見などをいただいております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) おっしゃったように、観光地なんかでこれを置くということについては、いろんな歓迎されそうな場面があるなということはよく想像できます。海の中道、ちょっとこれは例示ですけど、思いつきで、動物園とか、いろんなところであるのかなというふうには思います。ただ、公道に今出てきているということが、どうしようもない唐突感というかですね、やはり市民に広く認知されているわけではないというところで公道で走り出したと。その環境整備ができていないのに無理があるという御意見が今答弁の中にあったと思います。まさにそのとおりではないかなというふうに思っています。自転車でもなんですけれども、今、専用走行帯が整備されてきているけれども、必ずしも十分ではない中で、利用に当たってのルールというのが必ずしも守られていないから、会派でも自転車に関する質問というのは、過去出てきたわけであります。電動キックボードについては、今、市民あるいはこの議会の中からも十分な理解や共感、これが得られていないという状況でありまして、フルサポートを約束している本市としては、事業者任せにすることなく、自分事として丁寧に課題に対応していただきたいと思っております。
 それから、公道での実証実験の交通ルールとヘルメット着用の任意という、この特定の企業の提供するサービスのみ今回適用されているわけでありますけれども、電動キックボードの共通する利用のルールはまだ定まっていないという状況であります。市販のものがスピードは倍の30キロくらい出るということでありまして、ただ、市民からすれば、今、見かけた電動キックボードが実証実験のものなのか、あるいは市販の一般利用のものなのかというのは、基本的には区別がつかないということを前提にしなければいけないと思っています。
 ヘルメットを着用しない一般の電動キックボードの利用が横行し出したりとか、あるいは事故、それからドライバーとのトラブルが相次いだりとか、本市が事態をしっかりコントロールできないような状況が生じてしまった場合には実験そのものを中止させるというのも本市の責任だと思っていますが、所見を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 今回の実証実験につきましては、mobby ride社が経済産業省から認定を受けて実施している事業でございますが、福岡市といたしましても市民の安全の確保は重要であると考えております。議員が不安を感じておられる右折の方法、今回、先ほど議員おっしゃられました2段階右折はこの車両はできないわけです。実証実験で30キロから15キロに落としていることによって、今回の実証実験では、横断歩道を押して渡り、方向を変えることを推奨しております。そういった中で、いろんな交通の問題など、電動キックボードの交通ルールの在り方につきましては、現在実施されております実証実験の結果などを踏まえ、国において安全性が確保されるよう検討を進められていくものと承知しております。福岡市といたしましても、電動キックボードの適正な利用が促進されるよう、交通ルールの周知に努めるとともに、実施事業者や福岡県警察と密な連携を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 調崇史議員。
○15番(調 崇史) まず、今、局長が答弁された横断歩道を押して渡って、方向を変えて走り出すことが推奨されているという部分、私、自分の原稿にはあったんですが、ちょっと読み落としました。おっしゃるとおり、小型特殊車両としての右折の仕方は、私どもが実験したとおり、ああいうやり方ができると。今回の推奨は、横断歩道を渡って、そして向きを変えるということが推奨されているということを私からもつけ加えさせていただきます。
 ただ、実験に関してですね、やはり市が止められるとか止めないとか、そういった権限が既にないという話になっているというふうに理解をいたしました。推進をしっかりしてきたという割に、なかなかグリップが効いていないんではないのかなというふうに思うんですね。しっかり監督をしていただきたいと思っています。
 本当に今回、厳しい意見ばっかりを申し上げてきたわけでありますけれども、やはり乗ってみて感じる周りの目というか、今、市民にとって、まだ十分に周知が行き渡っているとは思わないこの電動キックボード、いたずらに不安や危険を増長するようなことがあってはいけないというふうに思うわけであります。いろんなこれを活用した未来の話とか理念があるということは承知をいたしましたが、今はとにかく事故がないように、そして、違反がないようにということ、これに責任を持って取り組んでいただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) この際、休憩し、午後4時25分に再開いたします。
午後4時12分 休憩  
午後4時25分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。
 この際、あらかじめ時間を延長いたします。荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇)登壇 私は緑の党と市民ネットワークの会を代表して質問します。
 まず、建築紛争の予防と調整に関する条例について質問します。
 福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例第15条第1項及び第36条にどのように記載されていますか。
 これで1問目を終わり、2問目以降は発言者席で行います。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例第15条第1項は中高層建築物の建築に係る指導について定めており、建築主が事前説明を十分に行わない場合や、近隣住民が事前説明の申出に応じないなどの理由により当事者間において事前説明が十分になされていない場合は、当事者に対し事前説明の促進について指導することができる旨が記載されております。
 次に、同条例第36条は建築主に対する指導及び勧告について定めており、建築主が条例に規定する建築計画等の周知の手続を実施しないときや、ワンルーム形式集合建築物の建築計画及び自動車保管場所の設置計画の事前協議を行わないとき、また、ワンルーム形式集合建築物に係る管理人室の設置などを行わないときには、当該建築主に対し、期間を定めて、建築紛争の予防と調整のために必要な措置を講じるよう指導または勧告することができる旨が記載されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 今、小笹で建築紛争を起こしている田中構造設計は、5月17日付で住民に対し、3月7日に市も同席の上、説明会を開催したので、条例第11条に定める事前説明は終了しているとして、今後、工事説明会は開催しない旨を通告しています。
 説明会の開催について条例第11条第4項にどのように書かれているんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例第11条は事前説明について定めており、同条第4項では、建築主は建築計画等について近隣住民から説明会の開催を求められたときはこれに応じるよう努めなければならない旨が記載されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 条例の解説では、事前説明会報告書について当事者間で確認するよう指導していますが、住民は事前に当日は参加できないと通告したにもかかわらず、2月25日に田中構造設計は一方的に住民不在の説明会を強行開催しています。
 市は住民不在での説明会を説明会開催として認めるんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例第11条第4項では、建築主は近隣住民から説明会の開催を求められたときはこれに応じるよう努めなければならないと定められております。また、その運用として、説明会を欠席した近隣住民には改めて個別説明を行うか、後日説明対応ができるよう連絡先を記した連絡票を同封した資料を投函、郵送することとしており、本件についてはこの条例等に沿って手続がなされております。
 なお、福岡市がトラブル防止のため双方で確認するよう啓発を行っているのは事前説明報告書ではなく、説明会の議事録であります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 田中構造設計は3月1日に条例に基づく事前説明報告書を提出。事前説明報告書に添付された議事録は2月14日に開催された説明会のものですが、事前説明の終了と言えるんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 事前説明報告書が市へ提出された3月1日までに建築主は住民からの求めに応じ数回の説明会を開催しており、市といたしましては、条例に基づく事前説明は行われていると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 2月14日に田中構造設計が行った住民説明会の議事録について、住民に配ったものと市に提出したものとの相違点は何でしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 市に提出された事前説明報告書に添付の議事録では近隣住民の要望への対応状況が追加されており、また、既に対応がなされた近隣住民の意見が省略されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 福岡市は、「田中構造設計が事前説明報告書を持ってきたが、受理せず市が預かっている。問題点を指摘し、報告書は受理できないと田中構造設計に伝えるため、問題をペーパーにまとめてほしい」と住民に言ったにもかかわらず、その直後の3月2日に受理しましたが、その根拠は何でしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 事前説明の報告につきましては、事前説明で使用した条例施行規則第5条第2項各号に定める建築計画概要書や配置図などの建築計画に係る図書を添付して行うこととされております。提出された事前説明報告書は、数回の説明会が行われるなど、条例に基づく事前説明が行われ、規定の添付図書などが提出されたため受理したものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 田中構造設計は3月7日の説明会に市が参加したことをもって条例第11条の事前説明の要件は満たしたので説明しないと言っていますが、要件を満たしたと言えるんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例では事前説明について、建築主は近隣住民に対し、中高層建築物等の位置、規模、構造及び用途などの建築計画及び工事の施工方法についての説明を行わなければならないと定められており、また、建築主は建築計画等について近隣住民から説明会の開催を求められたときはこれに応じるように努めなければならないと定められております。これらの規定に基づき、建築主は数回の説明会を開催しており、市の出席に関わらず条例に基づく事前説明が行われていると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 事前説明を行う事項について、建築紛争の予防と調整に関する条例施行規則第5条第1項にどのように書かれているでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例施行規則第5条第1項では、事前説明は、中高層建築物等の位置、規模、構造、用途、敷地の形態及び面積並びに当該建築物が他の建築物の日照に及ぼす影響、中高層建築物等の工事の施工方法及び予定期間並びに条例第8条の規定により講じる工事に関する措置の内容、テレビジョン電波の受信障害に対する措置の内容のほか、中高層建築物等の建築について配慮する事項について行わなければならない旨が記載されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、条例第8条にはどのように書かれていますか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例第8条では、建築主等は中高層建築物等または特定集合住宅の工事が周辺の居住環境に著しく影響を及ぼすおそれがあるときは、工事車両の通行及び駐車に関すること、工事に伴う騒音、振動の防止やほこり等の飛散防止に関すること、工事により生じるおそれのある危害の防止に関することなどについて、当該工事の着手前に近隣住民と協議するとともに、必要な措置を講じなければならない旨が記載されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 福岡市建築基準法施行条例第5条、通称崖条例では、当該建築予定地はどのような条項に該当しますか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 建築確認済証の交付を行った指定確認検査機関からは、福岡市建築基準法施行条例第5条第1項第3号の規定に該当するものと聞いております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 福岡市建築基準法施行条例第5条第1項第3号の規定はどのようなものでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市建築基準法施行条例第5条第1項第3号では「がけの上に建築物を建築する場合にあっては、がけの崩壊により当該建築物が自重によって損壊、転倒、滑動又は沈下しない構造であると認められること」と規定されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、建築予定地の擁壁から異常が生じておりますが、市は確認していますか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 当該擁壁の一部からセメントミルクと思われるものが少量流出したことを建築主より聞いております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) では、異常の原因は何か、説明を受けていますか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 建築主からは、当該擁壁に近接した位置において行った土留め工事に起因するものと思われるが、擁壁の安全性について支障はないとの報告を受けております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) この擁壁は既に膨らんできているんですね。市は説明を受けても、住民は説明を受けておりません。
 居住者及び区分所有者の全員に対して説明責任がありますが、クレスト小笹の区分所有者の中には説明や資料の投函もされていない方がいますが、条例上、問題がないと言えるんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例の運用として、説明会を欠席した近隣住民には改めて個別説明を行うか、後日説明対応ができるよう連絡先を記した連絡票を同封した資料を投函、郵送することとしており、本件はこの条例の運用に沿って説明会を欠席した近隣住民には連絡先を記した連絡票を同封した資料を投函した旨、建築主より報告を受けております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 5月17日の請願審査では田中構造設計の手続について適正と答えていますが、本当に適正と言えるんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 請願審査においては、建築主は規定の図書をもって面談による説明及び数回の説明会を実施するなど、条例に基づく事前説明が行われており、手続自体に不備はないとお答えしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 条例第37条にはどのように記載されていますか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例第37条では「市長は、前条の規定による指導又は勧告を受けた建築主が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することができる」と記載されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 神戸市の説明に関する報告書に誓約書がついておりますが、福岡市も検討すべきではないでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市の建築紛争の予防と調整に関する条例では、当事者の責務として、建築紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもってこれを自主的に解決するよう努めなければならないと定められております。また、市の責務として、建築紛争が生じたときは迅速かつ適正な調整に努めなければならないとされております。市といたしましては、条例の趣旨に沿って双方の誠意ある対応が図られるよう引き続き調整に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 他政令市において条例が制定されている市の数、条例で業者に近隣住民に説明を義務づけている市の数及び条例で市民の責務はどのようになっているのか、説明をしてください。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市では、建築紛争の予防と調整に関する条例において建築主に事前説明を義務づけるとともに、近隣住民に対してはこれに応じるように定めております。さらに、建築主は近隣住民から説明会の開催を求められたときはこれに応じるよう努めなければならないとしております。
 お尋ねの福岡市を除く19政令市の状況でございますが、建築物の紛争予防に係る条例を定めているのは14都市で、条例で事業者に近隣説明を義務づけているのは14都市となっております。また、事前説明に係る市民の責務については2都市において定められており、近隣住民は建築主等から説明の申出があった場合は、当該申出に応じるよう努めなければならないとされております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) るる質疑を行ってきましたけれども、福岡市の問題は明らかになっています。条例を持つ14市では、住民が事業者に説明を求めたときは事業者は説明しなければならないとなっています。説明会についても、同様な記載がある市が幾つかあります。福岡市は事業者へ説明を義務づけていますが、住民が求める説明会は努めるとなっています。このような記載がある市はほかに2市だけです。3市では事前説明報告書等を審査し、必要な措置を勧告できるようになっています。4市では市長が必要と認めたときは説明会について事業者に報告を求めることができます。さいたま市では事業者の事前報告書を公開し、近隣住民は意見を述べることができます。これまでの質疑で明らかなように、田中構造設計の不適切な対応は福岡市の姿勢にあり、福岡市の建築紛争が多い理由は福岡市の条例にあります。条例改正が必要だと考えます。改正を求めて、次の質問に移ります。
 次に、福岡市の緑地について質問します。
 福岡市新・緑の基本計画の目標年度は2020年度となっていますが、既に2021年になっています。緑の基本計画はどうするのか、説明を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市新・緑の基本計画においては、緑は失われやすいことを踏まえて、緑の総量をこれ以上減らさないことなどを目指しており、引き続きこれらの目標の達成に向けて取り組んでまいります。
 今後、現計画における成果や施策の進捗状況について検証などを行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 新・緑の基本計画の2020年の目標では、市街化区域における永続性のある樹林地の面積213ヘクタール、都心部の緑被面積約11%、都心部の緑が豊かであると感じている市民の割合50%、全市域における緑の面積、緑の総量を維持する、永続性のある緑の総和、緑被面積1万1,549ヘクタール、市域に占める割合33.7%となっております。
 2020年度の実績の説明を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 新・緑の基本計画の目標値の実績について、直近の2017年の値と2007年との比較で申し上げますと、市街化区域における永続性のある樹林地の面積は14ヘクタール減の124ヘクタール、都心部の緑被面積は1ヘクタール増の97ヘクタール、都心部の緑被率は約1ポイント増の約11%、全市域における緑の面積は57ヘクタール増の1万8,921ヘクタール、永続性のある緑の面積は250ヘクタール増の1万1,059ヘクタール、永続性のある緑の市域に占める割合は0.6ポイント増の32.3%となっております。また、都心部の緑が豊かであると感じている市民の割合については、現在調査中でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、福岡城址において5年間に何本の木が伐採され、緑化率が減少した割合は幾らでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡城址における舞鶴公園については、利用者の安全面などからやむを得ず伐採した高木が過去5年間で98本ございます。
 なお、緑化率については、著しい変化がないと見込まれるため調査は行っておりません。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 伐採したやむを得ない理由の上位3つを示してください。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 高木を伐採した主な3つの理由については、樹木医による調査の結果、腐朽等により倒木の危険性があったこと、台風等により倒木または枝や幹が大きく損傷していたこと、枯れていたことでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 次に、須崎公園に現在樹木は何本あるのか、計画によって何本伐採され、緑化率の減少は幾らでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 須崎公園には高さ3メートル以上の樹木が約400本ございます。そのうちカイヅカイブキなど、見通しを阻害する樹種などを除くと約250本の樹木がございます。約250本の樹木につきましては、拠点文化施設との一体的整備に当たり、施設本体の整備や公園再整備等により約150本、工事に係る資材置場などにより約80本の樹木に影響がある見込みです。現在、事業者に対し、資材置場を縮小するなどの工夫により一本でも多くの樹木を残すよう要請しているところでございます。また、緑化率につきましては、都市緑化マニュアルに基づき50%以上の緑化を行うこととしており、既存の樹木に加え、再整備時には400本を超える樹木を新たに植える予定でございます。これらの樹木の健全な成長を図りながら、これまで以上に緑あふれる公園づくりを進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 須崎公園での拠点文化施設の建築確認の手続をする前に、中高層建築物同様に近隣住民に対して事前説明が必要と考えますが、実施されているんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 中高層建築物に係る近隣住民に対する事前説明につきましては、拠点文化施設が建築紛争の予防と調整に関する条例第2条に定める中高層建築物に該当することから、同条例第11条の事前説明を開始しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 具体的にいつ誰にどのように説明を実施しているんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 事前説明につきましては、建築紛争の予防と調整に関する条例第10条に基づき、6月2日に建築計画の概要を記載した標識の設置を行うとともに、拠点文化施設の敷地境界線からの水平距離が15メートル以下の範囲及び拠点文化施設敷地の真北方向に建築物の高さの1.5倍に相当する水平距離の範囲の土地に存する建築物の所有者、管理者及び居住者を対象に、同条例施行規則第5条に定義する建築物の位置、規模、構造及び用途や敷地の形態及び面積などに関する事前説明を開始しており、6月末をめどに説明を終える予定としております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 2017年時点で開発により市街地の永続的な緑地が14ヘクタール減少、これは目標の58%余であり、緑被率も低下しております。新・緑の基本計画では「多様な役割を担う“緑”に対して我が国の多くの都市では、経済発展を最優先に捉えた政策で、多くの自然や緑を減少させてきました。しかし、近年の地球温暖化やヒートアイランド現象、都市災害などの深刻な環境問題の顕在化などの課題をも引き起こしてきています」、そして次に「福岡が持続的に発展していくためには、福岡の持つ特性を活かしつつ、経済性、効率性優先だけではない都市づくりを進め、「都市の中に緑を創る」という発想から転換した「緑の中に都市がある」姿を目指さなければなりません」こう書いてあるわけです。
 この理念が実現できていると考えているのか、市長の所見を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は豊かな自然環境とコンパクトに集約された都市機能が共存する魅力的で住みやすいまちとして、国内外から高い評価をいただいております。私たちはこのすばらしい財産を次世代に引き継いでいくために、福岡市新・緑の基本計画の基本理念である風格ある緑豊かな環境共生都市を目指して、特別緑地保全地区の指定、また、都市公園の整備など、緑の保全や緑化を推進するとともに、市民や企業の皆様と一緒に一人一花運動を進め、花による共創のまちづくりに取り組んできたところでございます。今後とも、緑を守り、つくり、育てる観点から市民、地域、企業などと共働して、自然と都市が調和したコンパクトで暮らしやすい持続可能な都市環境づくりに取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 緑の中に都市がある、この100年先を想像することが今必要です。
 次に、自衛隊への名簿提供について質問します。
 今年も同意がない市民の名簿が自衛隊に提供されました。今年度の名簿提供者数と望まない市民の数はどうなっているんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 令和3年度の自衛隊への自衛官等募集対象者情報の提供人数につきましては2万9,536名であり、本人の申出により除外する措置を行った人数は67名でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) この数字は緊急事態宣言が発出される環境の中で周知ができていない状況を示しています。
 高校、大学、地域などに対する周知の徹底はどのように取組をしたのか、ポスターの配付状況や除外申請書の配付など、具体的な説明を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 名簿提供や除外申請に関する広報につきましては、市ホームページや市政だよりへ掲載するとともに、市の公式ツイッターやメールマガジンで配信するほか、報道機関への情報提供を行っております。また、市内の高等学校42校及び大学14校のほか、公民館、市民センター、区役所、出張所へポスターを配付しております。除外申請書につきましては、市ホームページへ掲載し、ダウンロードできるほか、市民局区政課で配付しており、令和3年度からは郵送に加え、インターネットによる申請も受け付けております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 昨年度提供した名簿の使われ方及び廃棄等協定の確認はどのようにされているんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 自衛隊へ提供した名簿につきましては、市と自衛隊との間で募集対象者情報の取扱いに関する協定を締結し、自衛官及び自衛官候補生の募集に係る事務に限定して使用することとなっております。また、名簿の廃棄状況については、自衛隊からのシュレッダー処理の状況が確認できる写真を添付した報告書により適正に廃棄されたことを確認しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 自衛隊が今年5月11日から17日にかけて、霧島で米、仏の軍隊と共に市街戦などの訓練をしており、紛争地への派遣は現実化しています。
 自衛隊への同意なしの名簿提供は個人の権利侵害になると考えますが、所見を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 自衛隊への名簿の提供につきましては、従前は閲覧により全ての住民の情報を見ることができる状態であったものから、システム刷新により対象者のみに絞った情報に限定するとともに、情報提供を望まない方を除外することとしており、より個人情報の保護に配慮しております。また、個人情報保護審議会で自衛官等募集事務に利用することを目的として名簿を提供することは公益上の必要性が認められるとの答申を受けたことから、本人の同意は必要ございませんが、答申の附帯意見を踏まえ、除外措置について市政だよりや市ホームページなどで広く周知を図っているほか、自衛隊と個人情報の取扱いに関する協定を締結するなど、管理の徹底を図っており、個人の権利利益の侵害に当たらないと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 荒木龍昇議員。
○51番(荒木龍昇) 国会でデジタル関連法、そして、土地利用規制法が成立し、監視社会は現実のものとなっています。個人情報保護の仕組みが必要です。
 監視社会をつくらないために、福岡市は国にデジタル関連法や土地利用規制法の廃止を求め、同意がない名簿を自衛隊に提供することをやめるよう強く求めて、質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩)登壇 私は国際金融機能の誘致について、デジタルトランスフォーメーションの取組について、消費税見直しにおける適格請求書発行事業者登録制度について、以上3点お尋ねいたします。
 まず、国際金融機能の誘致についてですが、国際金融機能とは何なのか、そして、国際金融機能の誘致に取り組む理由、また、地域経済へのメリットはいかなるものなのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 国際金融機能につきましては、法令などの明確な定義はございませんが、外資系金融機関や金融人材、資金情報が集積し、国際金融取引が活発に行われていることを意味するものと考えております。
 次に、誘致に取り組む理由については、福岡市は多くの市民の皆さんと共に策定した第9次基本計画に基づき、外国企業などの誘致に取り組んでいるところでございますが、国際金融機能誘致はその誘致対象をより具体化、重点化させたものであり、これによりグローバルな人材が活躍し、継続的にイノベーションが生まれる国際都市となることを目指すものでございます。
 次に、地域経済へのメリットについては、雇用の創出や税源の涵養に加え、企業法務や国際商取引に精通した弁護士や会計士のような専門性が高いビジネスなどの進出が見込まれ、スタートアップ企業や地場企業の成長や海外展開を後押しすることなども期待されると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 今後どのように取り組んでいかれるのか、例えば、誘致の目標とかあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 国際金融機能誘致の進め方につきましては、豊かな自然と充実した都市機能がコンパクトに整った生活の質の高さや全国有数のスタートアップ都市であること、東京、大阪との同時被災リスクが低いことなどの福岡市の特性と親和性が高い資産運用業やフィンテック、BCP対応業務を重点的に誘致することで、福岡らしい国際金融機能の集積を目指したいと考えております。また、外資系金融機関などの誘致目標については、国際金融機能の誘致に特化した取組をスタートしたところであり、今後、事業を進めながら適切な目標を設定することとしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) ちょっと福岡らしいというのは分かりづらかったんですけど、後ほど聞くとして、たくさんの国際金融機能を有する企業を集めたいということなんですが、その中で、市長も触れてありましたけど、ダルマ・キャピタルさんの報道があっていました。その取組で福岡証券取引所はどう変わるのでしょうか。どうお考えか、お尋ねします。
 また、ダルマ・キャピタルさん、例ですけれども、国際金融機能としてどのような役割を担うのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) ダルマ・キャピタル株式会社は金融庁に登録している高速取引行為者のうち唯一の国内企業であり、市場に売りと買いの両方の注文を出し、他の投資家の取引相手となることで、福岡証券取引所の売買取引が活発化することが期待されているところでございます。また、ダルマ・キャピタル株式会社は令和3年度中に福岡市に証券会社を設立し、世界中から投資を呼び込むことと聞いております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) そこで、ダルマ・キャピタルさん、高速取引業者さんですね。今は日本唯一であります。これが市場にもたらすメリット、そして、弊害について市はどうお考えか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 高速取引の市場への影響につきましては、国の金融審議会、市場制度ワーキング・グループにおいて、高速取引行為者が活発に売買を行うことにより、一般投資家の取引が成立しやすくなる一方で、高速取引に太刀打ちできないなどといった不公平感を与えるなどの懸念が挙げられており、国における議論の動向を注視してまいります。福岡市としましては、高速取引行為者として国が登録を認めたダルマ・キャピタルなどの多様な企業が集積し、市場の活性化が図られることは国際金融機能の向上に資するものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 高速取引行為者が世界で数十社ほどあると思います。そういう流れなのかもしれません。
 こういった中で、国際金融機能の誘致で福岡のまちがどのように変わっていくのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 国際金融機能の誘致につきましては、これまで進めてまいりました本社機能やグローバル企業などの誘致、イノベーションや付加価値を生み出すスタートアップ都市づくりを加速させるものであり、これによりグローバルな人材が活躍し、継続的にイノベーションが生まれる国際都市になることを目指し、産学官が力を合わせて取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) いいことばかりありそうなお話なんですけどね、しかし、デメリットもあるかもしれないんですね。世界の流れの中で、高速取引等が福岡でも展開されるであろうと。しかしながら、デメリットもある中で、どういった秩序でやっていくのか。1円違えば、ぱっと売って、あと買ったりですね、時間勝負ですから、誰がやっても同じなんで早く申し込むかが勝負になる、そのような世界の方たちと思う。これ以外にもたくさんの国際金融機能を有する企業が来られるものと思います。
 これを市が進めておられる中で1つ心配事があるのは、やっぱりこの流れに行政がついていけていない。なぜかというと、答えは求めていませんけれども、市長は御存じなのかもしれない。じゃ、委員会とか市民への説明が足らんのではないのか。どういったまちを目指していて、どういったものが来て、課題はある、どういった懸念もあるけれども、しっかり取り組んでいって活性化したいというものが市民や議会に報告がないんです。ちゃんとやる気はありますか。それが分からない。やる気があるなら、ちゃんと報告すべきと思いますけど、6月議会でもあるのかなと期待していますけど、どうお考えですか。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 国際金融機能誘致に関する事業につきましては、議会質疑や予算審議などにおいて説明を行いながら進めているところでございます。また、市民や地場企業を対象に国際金融の理解を深めていただく取組として、フォーラムやセミナーを開催することとしております。今後とも、議会や市民の皆さんへの丁寧な情報提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) ぜひ今からですから、分からんでお任せじゃいかんわけですね。しっかりそこら辺は勉強もして、福岡市が市長が先頭に立ってどう関わっていって、そのリスクを減らしていく、または世界の中でどういうところを利点として取っていく、もう少し分かりやすい説明をすべきと思いますので、今後よろしくお願いします。
 次に、デジタルトランスフォーメーションの取組についてお尋ねします。
 まず、この略称DXの取組というのは、何を目的にされるものか、これは何で、市民に対してどういう目的でされるのか、お尋ねします。また、どういったことをいつまでに取り組むのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市のデジタルトランスフォーメーション、DXの取組につきましては、市民の利便性の向上、行政事務の効率化等を図ることを目的に、まず、令和2年9月末までに法令等によって押印が義務づけられている書類から全て押印を廃止する、いわゆるハンコレスの取組を完了しております。また、同年11月には市役所のDXを全庁的に推進するため、新たにDX戦略課を新設し、民間人材であるDXデザイナーの専門的な知見を活用しながら電子申請システムを刷新し、令和3年4月から住民票の写しや納税証明書等の交付申請が自宅や外出先などからいつでもスマートフォンで簡単にできるようになっております。今後の取組につきましては、法令等によりオンライン化できない手続等を除き、令和4年度末までに年間総処理件数の90%以上の行政手続についてオンラインによる申請等が可能となるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 答弁をいただいたんですけどね、利便性の向上、それから効率化、これは全然反対するものではございません。民間なら頑張れということで、使える方が便利になりますよと門戸をどんどん開いていっていいんですが、本市においては、それではやっぱり済まされない。なかなか使い勝手が悪いというか、使い切れない方はまだまだ時間かかるだろうと。御年配の方で携帯とかパソコンが苦手、また、契約して変なものを押してしまって大変なことになる心配をされることもあると思うんですね。そういった不慣れな方たちが取り残されるんではないかと心配をしているんです。便利になるのはいいと思います。行政としてはしっかりそこにDXを進めるならば、それになかなか乗っからない人、当面10年はまだまだかかると思うんですね、そこら辺のサポートをどうしていくのか、考えがあればお聞かせください。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) デジタルに不慣れな市民へのサポートにつきましては、市民に最も近い基礎自治体として行政手続のオンライン化などの取組を進めていくに当たり、子どもから高齢者まで誰もがデジタル技術を活用できる環境づくりを進めるとともに、デジタルに不慣れな、またはデジタル化への対応が困難な高齢者などにも十分配慮しながら、市民の利便性の向上を図っていくことが重要と考えております。具体的には行政手続のオンライン化に当たっては、誰もが使いやすく分かりやすいユーザーインターフェースの導入や仕組みづくりを進めるとともに、令和3年度には全ての公民館に整備するWi−Fi環境を活用し、オンライン申請の相談会を実施することとしております。また、公民館などの市民の身近な場所にビデオ通話が可能な機器を設置することで、市民が区役所等に出かけることなく、遠隔での手続や相談を可能とする実証実験を行うこととしております。今後は業務の効率化、生産性を高めることにより、相談業務など人にしかできない業務に人員を再配置するとともに、デジタルへの対応が困難な来庁者に対しても丁寧に対応してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 私はそれでは不足と思うんですね。
 そこで、ちょっと飛びますけれども、保健福祉局長、通告は出しておりましたので、お尋ねしたい。
 今回、コロナの件で公民館を利用していろんな相談をするようにしていますけれども、これはどういう目的で、どういう相談が多いでしょうか。分かる範囲でお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの公民館における新型コロナワクチンの予約サポート事業でございますが、福岡市ではワクチン接種の予約に際しましてインターネットによる予約を推奨しておりますが、インターネットに不慣れな高齢者の方を対象といたしまして、接種の予約をサポートするために、市内147か所の公民館において、スマートフォンの使い方や入力方法の説明などの支援を実施したものでございます。11日間の平日の期間中、約1,000人の高齢者の方に利用いただきまして、非常に助かったというような声もいただいております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 公民館の設備で登録とかできるんですか、自分でそういう機器を持ってこないといけないと思ったらいいですか。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 御自分で機器をお持ちになった方もおられますし、通信事業者と連携をしてこの事業を行っております。NTTドコモさんとかKDDIさんとかからスマートフォンを御提供いただいて、そのスマートフォン等で予約を頂いたということもございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 先ほどの総務企画局長の答弁では、やはり使えるのが前提のお話なんですよ。手続、使いやすい、分かりやすい、Wi−Fi、オンライン、ビデオ通話で教えてあげるよ。しかし、当面しっかりとそういった公民館に来て、それが使えない方にもう少しこうしたらいいんよと貸してあげたり、今、保健福祉局さんがしているような取組が必要ではないかと。置いてきぼりにしてはいけないと思います。民間業者でないんですから、しっかりその辺をね、すぐにみんなデジタル化せろといっても、まだなかなか取っつきにくい方、かえってマイナスが出る方、変なのを押しちゃったとか返事しちゃったとかないようにお願いします。
 時間がないので、ここでやめておきますが、最後に、消費税見直しにおける適格請求書発行事業者登録制度について、これは大変考え方が整理されていないと思うんですね。国のせいもあるのかもしれない。情報が伝わらない。どうかといえば、今まで払わなくてよかった方が払わないといけなくなる。これは公平性が担保されればいいんだけれども、業種によって担保されない。今まで、これはあくまでも納税事務の手続の負担分ということで払わなくてよかったものが払わないといけない状況に追い込まれる。これは零細事業者にとっては大変なことと思うけれども、福岡市の認識はどうか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 適格請求書発行事業者登録制度につきましては、令和5年10月から導入される適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度において、消費税率や税額が記載された適格請求書を発行することとなる事業所が税務署へ登録申請を行うものでございます。このインボイス制度は、消費税率に10%の標準税率と8%の軽減税率という複数の税率が存在する中で、売手が買手に対し正確な適用税率や税額等を伝えるために必要な制度として導入されるものと認識しております。
 御指摘がありました消費税の免税事業者が適格請求書発行事業者に登録する場合、消費税の申告、納付など新たな事務が生じることや、BtoB取引が多い事業者が登録しない場合、取引から排除される等の懸念があることは承知しております。そのため、インボイス制度の導入に当たっては、令和元年10月の軽減税率の導入から4年間の準備期間を設けるとともに、令和5年10月の制度導入後もさらに6年間免税事業者からの仕入れに一定の税額控除を認める経過措置が設けられるなど、国におきまして免税事業者の登録にも配慮した制度設計が行われていると認識しております。福岡市といたしましては、事業者等へこのような制度内容の十分な周知が図られるよう、これまでもホームページや市政だより、ポスター等の掲示などによりまして広報を行っておりますが、引き続き税務署や国税局等とも連携し、広報等に努めてまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 私はそうではないと思うんですね。市民が圧迫されていると、零細事業者が。あなたの言う制度を説明するという話じゃ済まないでしょう。例で言いましょうか。例えば、床屋さんとか、市民にサービスを提供する方は今までどおり免税なんです。払わなくていいんですよ、1,000万円以下であれば。ところが、今度は例えば、内装だったり、建具屋さんだったり、自分で納品するところは、そこが納めなければ、仕事を発注した側が納めないかん。今までは免除やったんです。これの免除の理由は、納税の事務負担、これは書いてありますよ、これは国のやつですから。そういう納税事務の軽減なんです。これが税率が上がったから、みんなから取るんなら分かるんですよ。それから、一定額を納税事務手続で控除するなら分かるんですよ。ところが、不公平なんです。公平性がないんです。床屋さんとか、そういうところはシャンプーとかには消費税がかかっているはずなんです。それを払わなくていいよと。しかし、納めるような業種をしている方、建具とか内装で仕事している方は、自分が事業者だったら払わないといけなくなるんですよ。だから、時間が何年間もあって、税理士に頼めばお金も要るんですね。
 
○副議長(楠 正信) 川口議員に申し上げます。持ち時間を超過しておりますので、速やかに質問をまとめてください。
○59番(川口 浩) 分かりました。
 これは国に零細が困っているというのをね、財政局は市のお金だけじゃなくて、そういった弱者の立場に寄り添って、しっかり関係機関に声を出すべきと思いますが、考えをお伺いして、質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 適格請求書発行事業者登録制度の導入に当たりましては、国におきましても、説明会の開催や相談窓口の設置、ホームページなどでの制度案内など、周知、広報に取り組まれているところでございますが、令和5年10月の円滑な制度導入に向けまして、今後とも、しっかりと対応いただく必要があることから、国との協議会の場などにおきまして適宜意見交換を行ってまいります。また、福岡市におきましても、引き続きポスターの掲示や市政だより等を使った広報等に努めてまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる)登壇 初めに、今年度から導入の防犯カメラ賠償責任保険制度についてです。
 まず、概要と導入への経緯をお尋ねいたします。
 以降は発言者席で行います。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 街頭防犯カメラ賠償責任保険の概要につきましては、福岡市街頭防犯カメラ設置補助金制度を利用して、自治会などが設置した街頭防犯カメラの落下事故などに伴い生じた損害賠償責任を補償する保険でございます。補償額は最大で対人賠償1事故1億円、対物賠償1事故3,000万円となっております。保険の導入の経緯につきましては、福岡市街頭防犯カメラ設置補助金制度開始から10年目となることから、器具の老朽化なども考慮し、万が一の事故に備え、自治会などの負担を軽減するため、市が一括して保険に加入することとしたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) この設置補助制度を利用して、これまで設置を行ってきた団体数、それから、防犯カメラの数をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市街頭防犯カメラ設置補助金制度を利用した団体数及び設置台数につきましては、利用団体数が延べ362団体、設置台数が1,239台となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 賠償保険制度について関係自治会等へ案内されたと思いますけれども、本市に寄せられた主な問合せ内容、これを確認させてください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 自治会などからの保険に関する問合せにつきましては、自治会などの自己負担で設置した街頭防犯カメラは賠償責任保険の対象にならないことの確認などがございました。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 過去に補助金制度を利用して防犯カメラを設置する際、自治会等の設置団体が希望する台数に対して、希望台数への補助金交付が認められない事例もあったと聞いています。
 昨年度、希望台数から減ることとなった団体数と、そのうちやむなく全額自治会等の費用負担によりカメラを設置することとなった団体数をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 街頭防犯カメラ設置補助金制度につきましては、他の申請団体との均衡や予算状況などを考慮し、複数台の設置を希望した団体に対して、補助の上限である4台を3台にするなど、設置台数を1台程度調整していただく場合もございます。令和2年度において設置台数を調整いただいた団体数は22団体であり、そのうち全額自費負担で街頭防犯カメラを設置された団体数は9団体と聞いております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 昨年度、減台措置が生じた理由をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 台数の減となった理由につきましては、令和2年度の設置意向台数が元年度の設置台数から約20%増加したことから、他の申請団体との均衡及び予算状況などを考慮し、調整いただいたものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 過去にこのような行政予算の都合で自治会等が全額負担で設置せざるを得なかった防犯カメラについては、今回の賠償責任保険の対象に追加されるべきだと思いますが、本市の見解をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 補助対象とならず、自治会などの全額自費負担により設置された街頭防犯カメラの賠償責任保険につきましては、街頭防犯カメラの設置状況なども踏まえ、今後検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) ぜひとも早急な対応をお願いしておきたいと思います。
 また、補助制度以前に自治会等が独自に設置している防犯カメラも、老朽化が進んでいるにもかかわらず、賠償保険の対象とはなりません。新しいカメラへの取替えには補助制度が活用できて、保険対象に追加されることをしっかり啓発していただくよう併せて求めておきたいと思います。
 次に、感染症対応シティ促進事業についてです。
 まず、事業の目的と概要をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 感染症対応シティ促進事業の目的につきましては、市民の皆さんが立ち寄る商品販売やサービス提供を行う幅広い施設などに感染症対策を促すことで、安全、安心な店舗環境づくりを進めるものでございます。また、概要については、店舗を有する中小事業者などを対象に、感染症対策強化の取組に係る工事や物品、サービス導入に対して対象経費の3分の2、上限60万円、うち物品、サービスの導入については上限20万円を支援するものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 工事、物品ともに補助申請が進んでいると思いますが、どういった感染対策に活用されているのか、申請内容の上位3項目を教えてください。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 事業者が本事業を活用し取り組まれている感染症対策のうち、上位3項目についてでございますが、工事については、エアコン工事、換気設備工事及び光触媒コーティングとなっており、また、物品、サービス導入については、空気清浄機、アクリル板などのパーティション類及び自動消毒機となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 補助対象となる事業所は市内にどれほどあるのか、また、そのうち補助申請を行うのはどれほどと見込んでいるのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 本事業の対象となる事業所数につきましては約4万事業所であり、そのうち支援金交付対象事業所数は4,000事業所を見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 申請見込みは対象事業者の1割程度ということです。なぜ1割にとどまるのか。
これまで複数店舗分として補助申請を行っている事業者の割合をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 本事業は店舗を有する中小事業者などを支援対象としており、そのうち複数店舗で申請されている事業者の割合につきましては、全体の申請数に対して1割弱となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 3店舗以上での申請ともなると、さらにほんの僅かだそうです。市内で複数店舗を経営する中小事業者は少なくありません。多くの来店型の施設で機能性の高い感染対策を進めることが最大の目的ですので、今後も新たな感染症対応シティ促進事業が展開されることを期待したいと思います。
 次回の施策には多店舗中小事業者にも活用いただきやすい支援策を求めますが、本市の所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 本事業につきましては、複数店舗を経営する事業者においても上限額の範囲内で活用されており、より多くの事業者に感染症対策に取り組んでいただける制度となっております。今後とも、事業者が置かれている状況や、国や県の支援策の動向などを踏まえながら、使いやすく効果的な支援策を検討、実施してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 次に、コロナフレイルについてです。
 コロナ禍の自粛生活が長期化する中、高齢者の身体機能や認知機能の低下、精神、鬱症状の悪化など、高齢者の健康問題が全国的に表面化をしています。
 この問題について、本市の課題認識をお聞きいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コロナ禍において高齢者が家に閉じ籠もりがちになり、認知症や要介護のリスクが高まることが懸念される中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図りつつ、高齢者の健康づくりや介護予防に向けた取組を推進していくことが重要であると認識をいたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) コロナフレイルについて本市はどう高齢者の実態を把握しているのか、お尋ねをします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者のフレイルにつきましては、地域包括支援センターや区役所において、認知機能や下肢筋力の低下などに関する相談が寄せられている状況がございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 現在、高齢者を対象にICTツールを活用した講座を準備いただいているようですが、予算や具体な計画内容、目的を御説明ください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの介護予防の充実・強化事業につきましては、高齢者の継続的な交流やオンラインでのコミュニティ創出を支援することにより、新しい生活様式に対応した健康づくり、介護予防をさらに推進するものでございます。8月から65歳以上の高齢者を対象に、市内全ての公民館151館と老人福祉センター7園において、SNSの活用に関する講座を行うほか、オンラインでの非対面交流など、様々なプログラムを実施することといたしております。事業費は856万円余でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 特にどのような高齢者に参加いただきたいのか、参加想定人数と併せて募集方法もお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 介護予防の充実・強化事業につきましては、コロナ禍で家族や友人との交流の機会が少なくなっている方をはじめ、地域の高齢者の方々を幅広く対象としておりまして、参加人数は事業全体で2,300人程度を見込んでおります。募集につきましては、公民館や老人福祉センターでのポスター掲示やチラシの配布、市政だより、市のホームページへの掲載等により行うことといたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 今回の狙いは、高齢者層へのオンラインコミュニケーションツールの普及だと思います。SNSやオンラインというワードにアレルギーを示す高齢者も少なくはないと思います。募集、案内時には易しく簡便な言葉を使って、どういった交流シーンを実現できるのか、ゴールモデルを分かりやすく示すことが大切です。また、平均して1校区当たり15人程度の参加を見込んでいるようですが、自治協関係者のみならず、地域と関わりが少ない高齢者にも参加いただけるよう、今後、募集の在り方をしっかり準備いただきたいと思います。気づかないうちに直面するコロナフレイルという社会問題について、広く市民への周知啓発を求めておきたいと思います。
 次に、本市の要介護者と要支援者についてですが、現在とコロナ禍以前を比較して、その数と増減率、これをお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) まず、要介護の認定者につきましては、コロナ禍以前の令和2年1月末が4万4,270人、直近の令和3年4月末が4万6,114人で約4.2%の増となっております。また、要支援の認定者につきましては、令和2年1月末が2万4,478人、令和3年4月末が2万3,664人で約3.3%の減となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) なぜ要支援認定者の数は減っているのか、要介護認定の新規申請件数について、令和元年度と昨年度の数字をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 要介護認定の新規申請件数につきましては、令和元年度は2万530件、2年度は1万9,664件でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) コロナ禍が続いた昨年度、新規に介護サービスを受けるための認定申請の数が1,000件近く減っています。
 それでは、同じく令和元年度と昨年度、要支援者向けの通所型、訪問型サービスを利用した方の数と増減率をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 要支援者向けの通所型、訪問型サービスの利用者数につきましては、各年度の平均で申し上げますと、通所型サービスは令和元年度が7,882人、2年度が6,631人で約15.9%の減、また、訪問型サービスは令和元年度が7,681人、2年度が7,186人で約6.4%の減となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) ある民間調査では、通所施設でのリハビリテーションを2週間休んだだけで、握力や下肢の筋力の明らかな低下が認められたといいます。コロナ禍の認定申請控えも影響して、身体機能、認知機能の維持向上に必要な介護サービスやリハビリテーションの機会が失われている現状を強く問題提起しておきたいと思います。
 次に、高齢者の状態に応じた要介護度の区分変更も、本来なら年間を通じて適宜行われます。令和元年度と昨年度、本市でより重度の区分へと変更になった件数とその増減率をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 更新申請及び区分変更申請により重度の区分に変更になった件数でございますが、令和元年度は1万4,447件、令和2年度は7,061件であり、約51.1%の減でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) より重度への区分変更件数が半減しているのは、国による、要介護認定の臨時的な取扱いという通達が影響しています。この内容を御説明ください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 要介護認定の臨時的な取扱いでございますが、通常、認定の有効期間満了を迎える被保険者に対しては、認定調査員が訪問調査した結果とかかりつけ医の意見書を基に介護認定審査会で介護度等を判定し認定しているところですが、感染防止の観点から面会が困難な被保険者については、これらの手続を経ることなく、現在の介護度のまま有効期間を延長することができる緩和措置でございます。
 なお、この取扱いにつきましては、更新申請であっても、介護認定審査会での判定を希望される被保険者は通常どおり申請できるほか、有効期間が延長された場合であっても、状態が悪化した場合は区分変更申請ができることとされております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 令和元年度の更新申請件数が約4万件、これに対して昨年度は1万件を下回っています。要介護度が実際の状態より軽度に区分されたままの高齢者が多くいると思われます。本来の要介護区分に応じた介護サービスやリハビリテーションを受ける必要性について、要介護者の御家族や介護事業者、認定機関などと課題認識を共有いただくよう強く要望したいと思います。
 ここで改めてコロナ禍の介護福祉サービス利用への考え方について、本市の方針をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 介護サービスにつきましては、要介護者やその家族等の生活を支える上で欠かせないものであり、適切な感染防止対策の上、サービスが継続される必要があると考えております。そのため、介護現場における感染症対応力の底上げを図りながら継続的なサービス提供が可能となりますよう、事業者や介護従事者への支援を行うことといたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) コロナ禍のこの間、高齢者に安心して安全に介護福祉サービスを利用いただくために本市が取り組んできた施策をお尋ねします。また、今後の感染対策支援について検討しているものがあればお示しをください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市におきましては、コロナ禍にあっても利用者が安心して介護サービスを利用できるよう、介護サービス事業所等を対象とした感染拡大防止指針の策定や感染予防対策をまとめた映像の制作などに取り組むとともに、介護事業者への支援として、介護従事者や新規入所者のスクリーニング検査の実施、介護従事者への特別給付金の給付、多床室の個室化に向けた改修等に対する助成、全介護事業者を対象としたオンライン研修、マスク等の衛生資材の提供や感染症が発生した事業所の消毒、洗浄に係る経費の助成などを行ってまいりました。今後も感染症の状況や国の動向等を注視しながら取組を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 次に、介護事業者の経営状況にコロナ禍が与える影響をどう認識されているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コロナ禍において通所介護の利用者の減少などにより事業所の経営に一定の影響があったものと認識をいたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 利用者の減により収入が減少した介護事業者も多いでしょう。また、収入減だけでなくて、国の調査によりますと、大半の施設でこの間の支出が増えていることが分かっています。その出費要因の最たるが感染対策に係る衛生備品です。
 今年4月、国による介護報酬改定が行われました。
感染対策に係る費用分の上乗せ措置について確認をさせてください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 令和3年度の介護報酬改定における国の考え方でございますが、新型コロナウイルス感染症に対応するための特例的な措置として、全ての介護保険サービスについて令和3年4月から9月末までの半年間、基本報酬に0.1%上乗せすることとされております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 利用者や職員へのワクチン接種が進む今でも、感染防止への必死の闘いは介護施設各所で変わらず続いています。基本報酬に0.1%上乗せ、半年間、先ほどの国による介護報酬の上乗せはもちろん歓迎なんですけれども、半年の時限的措置にすぎません。市内2,300ある介護事業所を平均すると、1つの事業所当たりの収入増は数万円程度にとどまる見込みです。どの介護事業所においても、絶対にクラスターを出さないようにと今でも徹底した感染対策で踏ん張ってくださっています。苦しい経営状況が続く介護事業所では、今後どこまでこの自助努力を続けることができるのか見通せないほど、ウイルスとのぎりぎりの攻防が続いています。より利用者が安心して介護福祉サービスを利用できるように、行政による安定的な支援が求められるべきだと思います。介護事業者に対して、感染対策備品やその資機材に係る経費への継続的な助成、補助を今後さらに検討いただきますよう強く要望して、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 以上で一般質問を終結いたします。
 本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は6月23日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時35分 散会