令和3年6月16日(水)
令和3年第3回福岡市議会定例会
議 事 日 程 (第2号)
6月16日 午前10時開議
第1 一 般 質 問
本日の会議に付した事件
議事日程のとおり
出 席 議 員 (62名)
1番 稲 員 稔 夫 2番 鬼 塚 昌 宏
3番 堤 田 寛 4番 川 上 陽 平
5番 津 田 信太郎 6番 大 森 一 馬
7番 平 畑 雅 博 8番 伊 藤 嘉 人
9番 打 越 基 安 10番 川 上 晋 平
11番 阿 部 真之助 12番 淀 川 幸二郎
13番 勝 山 信 吾 14番 川 上 多 恵
15番 調 崇 史 16番 大 坪 真由美
17番 古 川 清 文 18番 高 木 勝 利
19番 新 村 まさる 20番 大 原 弥寿男
21番 今 林ひであき 22番 篠 原 達 也
23番 尾 花 康 広 24番 松 野 隆
25番 楠 正 信 26番 冨 永 計 久
27番 森 英 鷹 28番 南 原 茂
29番 おばた 久 弥 30番 山 口 剛 司
31番 大 石 修 二 32番 黒 子 秀勇樹
33番 藤 野 哲 司 34番 堀 本 わかこ
35番 中 島まさひろ 36番 天 野 こ う
37番 山 口 湧 人 38番 松 尾 りつ子
39番 井 上 麻 衣 40番 飯 盛 利 康
41番 はしだ 和 義 42番 浜 崎 太 郎
43番 堀 内 徹 夫 44番 綿 貫 英 彦
45番 森 あやこ 46番 福 田 まもる
47番 国 分 徳 彦 48番 藤 本 顕 憲
49番 倉 元 達 朗 50番 中 山 郁 美
51番 荒 木 龍 昇 52番 高 山 博 光
53番 ついちはら陽子 54番 田 中 たかし
55番 成 瀬 穫 美 56番 山 田 ゆみこ
57番 宮 浦 寛 58番 近 藤 里 美
59番 川 口 浩 60番 落 石 俊 則
61番 田 中しんすけ 62番 池 田 良 子
欠 席 議 員 (0名)
説明のため出席した者
市 長 島 宗一郎 副市長 光 山 裕 朗
副 市 長 中 村
英 一 副市長 荒 瀬 泰 子
水道事業管理者 坂 本 秀 和 交通事業管理者 重 光 知 明
総務企画局長 龍 靖 則 財政局長 松 本 典 久
市民局長 下 川 祥 二 こども未来局長 久 田 章 浩
保健福祉局長 舟 越 伸 一 環境局長 田 浩 輝
経済観光文化局長 天 本 俊 明 農林水産局長 中 村 健 児
住宅都市局長 西 野 仁 道路下水道局長 名古屋 泰 之
港湾空港局長 清 家 敬 貴 消防局長 内 村 弘 文
会計管理者 中 村 郁 子 教育長 星 子 明 夫
教育委員 コ 成 晃 驕@ 選挙管理委員会事務局長 内 藤 玲 子
人事委員会事務局長 柴 田 淳 司 監査事務局長 小 西 眞 弓
職務のため出席した事務局職員
議会事務局長 曽根田 秀 明 議会事務局次長 八 木 智 昭
議事課長 水 ア 亮 二 議事係長 重 松 孝 昭
外関係職員
午前10時 開議
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ)登壇 おはようございます。一般質問初日の一番手を務めさせていただきます。本日の質問のテーマは都市計画ということで、ともすると、ちょっと堅苦しいお話になりがちですけれども、分かりやすく面白い内容となるように努めてまいりますので、お付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。
私は福岡市民クラブを代表して、住民発意によるまちづくり計画の促進について、マンション建設紛争の予防に向けた取組について、地域拠点等における商業機能の維持について、以上3点について質問を行います。
1点目は、住民発意によるまちづくり計画の促進についてです。
私たち福岡市民クラブは、会派の政策提案指針となる会派基本政策2019において、洗練された空間形成により都市の価値を高めるという理念を掲げ、緑があふれるスカイラインが整った開放的なまち並み、広くて歩きやすい歩道、にぎやかで洗練された都市空間などを計画的に形成していくことの重要性をうたっています。また、都心部と生活住空間、それぞれのエリアの特性と歴史を踏まえた景観形成を推進し、品格ある都市づくりに取り組んでいくことがこれからの都市の魅力と価値の向上につながると考えています。
さらに、具体的な取組として、周辺のまち並み形成やインフラ整備を含めた商店街まちづくり計画の策定を促し、計画実現に必要な規制の緩和あるいは強化、財政支援などを行うにぎわいあふれる商店街まちづくり施策、また、地域の特性を生かした建築物や景観に関するルールづくりを支援し、地域住民が良好な市街地環境を守っていくための取組を推進する洗練されたまち並みの形成施策といった政策パッケージの実現を目指しているところです。
そこで、今回の質問では、本市における都市計画の現状や課題を確認しながら、私たちが掲げる品格のある都市づくりを推進していくために必要な取組について議論を重ねてまいりたいと思います。
初めに、まずお尋ねいたします。そもそも都市計画とは何か、その理念及び法的根拠について御説明願います。また、都市計画について、本市においてはどのような方針に基づいて施策を実施しているのか、併せてお示しください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 都市計画につきましては、都市計画法第2条において「農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする」とされております。
また、本市におきましては、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、都市計画法第18条の2に基づき、都市計画に関する基本的な方針となる都市計画マスタープランを策定しております。この中で、豊かな自然環境と充実した都市機能を備えたコンパクトで持続可能な都市づくりを目指し、都心部や拠点における機能強化、快適で住みやすい日常生活圏の形成、災害に強く安全な都市空間の形成などの方針を定め、計画的な都市施設の整備や地域に応じた建物の規制、誘導などを行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市のまちづくりは、都市計画法及び都市計画マスタープランにのっとって、快適な都市生活と機能的な都市活動を確保するために、土地の合理的活用や計画的な都市施設の整備、地域に応じた建物の規制、誘導を行っているということです。
それでは、それら土地利用の規制の内容はどのような手順で決まるのか、具体的な手順と併せてお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 土地利用規制に関する都市計画につきましては、都市計画マスタープランに基づく土地利用の方向性の下、住民意見を踏まえた上で都市計画案を作成し、公告、縦覧を行い、都市計画審議会への諮問、答申を経て、決定、告示するものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) また、都市計画法や都市計画マスタープランを見ると、これらの土地利用計画や規制は都市計画区域、市街化区域、地域地区といった言葉で説明されていることが分かります。
そこでお尋ねしますが、これら用語の定義について、それぞれの関連性と併せてお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 都市計画区域につきましては、一体の都市として総合的に整備、開発または保全するため定める区域であり、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街地の整備を図るため、市街化を促進する市街化区域と抑制する市街化調整区域に区分されております。地域地区につきましては、その利用目的などに応じて建物などについての必要な制限を行うことで土地の合理的な利用を図るものであり、本市では市街化区域において用途地域や特別用途地区などを定めております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 地域地区に関する御説明の中に、用途地域という言葉がありました。これは私にもなじみのある用語ですが、この用途地域とはどういうものでしょうか。また、これを定める効果について併せてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 用途地域につきましては、都市レベルでの土地利用の基本的な枠組みで、建築基準法と相まって、建物の用途や容積率、建ぺい率などを規制、誘導するものであり、良好な市街地環境の形成や機能的な都市活動の確保を図るものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここで、(パネル表示)今いろんな用語が出てきたので、私も勉強がてら、都市計画制度の構造ということでまとめさせていただきました。今、区域区分とか地域地区とかいう言葉が出てきたんですけど、基本的にこの区域区分というのが、要は都市計画区域というのを定めて、その中を市街化区域、それから、市街化調整区域というふうにまず大きく2つに分けると。その後、この地域地区という言葉があるんですけれども、これが用途地域と言われるところで、例えば、商業地域あるいは第一種住居地域とか、そういう話があると。その後に、実は先ほど軽くだったんですけど、都市施設といって、例えば、都市計画道路という言葉があったんですね。道路をこう引きますよと。じゃ、公園はここに造りましょうとか、それから、ある一定の土地があったら土地区画整理事業で一気にやりましょうとかいう話があるんですね。今ここに市街化区域があって、それから、用途地域があって、都市施設を決めて、その後、この地区計画というのがあって、大体こういう4層構造になっている。これは国土交通省の資料なんですね。
お尋ねしますけれども、この地区計画という用語が出てくるわけですけど、用途地域の上にかぶせられる地区計画とはどういうものか、そして、これを定めることによってどのような効力が発生するのか、それぞれお尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 地区計画につきましては、都市レベルで定める用途地域などを補完し、街区などの地区レベルで道路などの配置や規模、建物用途や形態意匠などに関する制限を定めるものであり、市への届出、審査を通して、良好な市街地環境の形成を図るものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) (パネル表示)先ほどの図でいうと、4つ、がしゃんと合わせると、この土地にどういうものを造っていくかというのが見えてくるわけですけど、先ほど言った地区計画のイメージというのが、ある街区を今設定していますけど、例えば、高さ制限、緑地の保全、用途規制、容積率の規制とか、それから、セットバックのルールもつくりましょうとかいうのがあるんですね。例えば、このエリアには高さ何メートル以上のものは建てられませんよとか、容積率はほかと違って、本当だったら、用途地域だったらもっと建てられるけど、ここは規制しますよというようなことがこの地区計画ということで決められるということなんですね。
それで、ここまでは都市計画法に基づく土地利用規制について概観してきましたが、ここからは良好なまち並み形成に向けて、もう一段掘り下げた規制の話を取り上げながらお尋ねしてまいります。
初めに、市内のある地域に建物を建築しようとしたとき、高さ、形状、色合いなど、様々な制限を受けることになると思いますが、建築主はどのような法令、規制等を考慮する必要があるでしょうか、具体的にお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 建物の建築に当たりましては、建物の計画や敷地、道路の状況などに応じて、都市計画法や建築基準法などに基づく用途や容積率、建ぺい率の規模、道路や隣地境界線からの高さ、防火の構造などの規制を受けるものでございます。また、地区特性に応じて、建物の用途や規模、形態意匠などのまちづくりルールが別途定められている場合は、その内容に基づく配慮が必要となるものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 実際にある土地に建物を建てる際には、これまで御紹介した規制とは別に、地区特性に応じて用途や規模、形態意匠等のまちづくりルール、これが定められている場合は、それに配慮しなければならないという答弁でした。
そこでお尋ねしますが、このまちづくりルールについて、さきに説明があった地区計画ですね、一番最後の部分、これ以外に本市においてはどのようなものがあるのか、それぞれの内容と効果、その法的根拠についてそれぞれ説明願います。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市におきましては、地区計画以外のまちづくりルールとして、建築協定、景観協定、特定まちづくりルールなどがございます。
まず、建築協定につきましては、建築基準法第69条に基づき、地域住民が一定の区域で建物の敷地、用途、形態意匠などに係る地域独自のルールについて協定を締結し、地域の運営委員会の審査を通して良好な住環境などの形成を図るものでございます。次に、景観協定につきましては、景観法第81条に基づき、地域住民が一定の区域で建物の形態意匠や屋外広告物などに係る地域独自のルールについて協定を締結し、地域の運営委員会の審査を通して良好な景観形成を図るものでございます。最後に、特定まちづくりルールにつきましては、福岡市地域まちづくり推進要綱に基づき、地域住民等で構成する地域まちづくり協議会が活動区域内における建物の用途や形態意匠、生活環境などに関するルールを定め、区域内で建築等の行為をする事業者と事前に協議を行うことで、良好な市街地の形成や居住環境の維持、改善を図るものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
本市においては、決められた用途地域の上に、まちづくりルールという枠組み、具体的には地区計画、建築協定、景観協定、特定まちづくりルールの大きく4つを設定して、地域住民による主体的なまちづくりルールの策定を促しながら、良好なまち並みの形成に取り組んでいるということが分かりました。
それでは、これらまちづくりルールについて、本市で指定されている数をそれぞれお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 地区計画につきましては133地区、建築協定につきましては95地区、景観協定につきましては4地区、特定まちづくりルールにつきましては5地区でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。質問の冒頭でも述べましたが、私たちは地域の特性を生かした建築物や景観に関する住民主体のルールづくりを支援して、地域住民が良好な市街地環境を守っていくための取組を推進することが重要であると考えています。
そこで、改めてお尋ねいたしますけれども、本市において、さきに御紹介いただいた住民発意のまちづくりルールの策定が促進されることは大変重要であると考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 地域の現状、課題や特性に応じたまちづくりを行う上で、地域におけるきめ細かなまちづくりルールを策定することは有効であると考えており、本市においても地域まちづくりの支援を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 都市計画法に基づく地区計画の設定について、まずちょっとお話をします。
先ほどの4つのうちの1つですが、都市計画提案制度というものが法でも定められているようですので、ここで御紹介したいと思います。都市計画提案制度とは、福岡市のホームページを見ると「土地所有者等が一定の条件を満たした上で、市に都市計画の提案ができる制度です。近年、まちづくりへの関心が高まる中で、住民やまちづくりNPO等が主体となったまちづくりに対する多くの取組が見受けられるようになったことを受け、市民の方々が、より主体的かつ積極的に関わっていくことを期待し、また可能とするための制度として平成14年7月に創設されました」と説明されています。
制度が始まっておよそ20年がたっていることになりますが、この制度によって提案、決定された地区計画の件数とその内容についてお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 都市計画提案制度につきましては、0.5ヘクタール以上の区域において、土地所有者などの3分の2以上の同意を得ているなどの要件を満たした場合に提案できる制度でございます。本市におきましては、提案制度に基づき、天神明治通り地区の1件を決定しており、内容は都心機能を強化し、国際競争力を高めるため、業務機能の高度化や建物低層部への集客、交流機能などの導入を図ることや、地域の回遊性向上のため、快適で高質な歩行者空間を創出することなどを定めております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市の地区計画の決定件数が133件であることを踏まえると、提案制度を活用した決定件数が極端に少ない印象を受けます。
このように、都市計画提案制度が活用されていない要因について本市はどのように分析されているでしょうか。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 地区計画につきましては、地域と協議を重ね、地域意見を取り入れながら計画を作成した上で市で手続を進めることが一般的であるため、提案制度を活用しなくても着実に地域のルールづくりが行われている現状にあると考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、景観協定についてお尋ねします。
さきに答弁された4地区ともアイランドシティに存在しているようですが、これら協定締結の経緯をお示しください。また、地区計画や建築協定と比較すると協定締結数が少なく、アイランドシティ以外では1件も登録がないようです。このように、登録が進まない要因をどのように分析しているでしょうか、併せてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 香椎照葉地区の景観協定につきましては、アイランドシティの事業用地を購入した開発事業者によって、建物の形態意匠や屋外広告物などに関するルールとして作成され、福岡市が認可したものであります。景観協定につきましては、平成24年3月に福岡市景観計画を策定したことに伴い、同年から運用を始めた制度で、地区計画や建築協定と比較すると経過年数が浅く、また、協定に定めることのできる内容の多くが重複していることなどから、締結数は4地区となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ちょっとすみません、先ほど言い回しがおかしかったです。都市計画提案は今、答弁で1件しかなくて、ちょっとそれよりも多い4件なんですけど、どちらも少ないということを言いたかったわけですね。すみません。
一般社団法人住総研による研究論文「住環境の維持、向上に資する都市計画提案制度の活用方策の研究」というのが2015年に報告されています。住民発意のまちづくりルールの策定を促進するためには行政による積極的な支援が不可欠だとされており、その内容については、資金提供、説明会、勉強会等での制度説明、地域要望を踏まえての素案作成、同意獲得のそれぞれの視点からの支援策が重要であると指摘されています。
そこでお尋ねしますが、これら4つの視点から見たとき、本市の支援策の現状はどうなっているか、地区計画、建築協定、景観協定、特定まちづくりルールのそれぞれについて具体的にお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 住民発意によるルールの策定に当たりまして、地域に対する出前講座の実施や勉強会への参加、アドバイザー派遣などを行っております。また、地域まちづくり協議会が設置され、特定まちづくりルールを策定する場合などには、コンサルタント派遣や活動費の一部助成を行っております。同様に、景観づくり地域団体が景観協定を策定する場合には、専門家による技術的援助や活動費を一部助成する制度がございます。その他、地域まちづくり協議会などが設置されない場合でも、地区計画や建築協定、景観協定の策定に当たっては、素案作成へのアドバイスやアンケートなどの地域の意向調査、同意取得促進に向けた支援などを適宜行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 答弁を踏まえると、地区計画、建築協定には資金提供という点でさらなる支援の拡充の余地があるようです。これはぜひ今後の課題として捉えていただきたいと思います。
一方で、その他の説明会、勉強会等での制度説明とか、地域要望を踏まえて素案をつくりますよとか、あるいは同意獲得のために協力しますよというような点については、実はいずれのまちづくりルールにも何らかの支援策が提供されているということが、私、今回質問をつくる上で分かったことです。だから、それなりに制度としてはある部分もあるんですけど、ただ、それならば既存のまちづくりルールがもっと地域住民に活用されてもいいのではないかと思います。私は今回の質問をきっかけに勉強させていただきましたが、例えば、まちづくりコンサルタントやアドバイザー派遣の人数要件、これが厳しかったり、資金的な支援の条件──先ほども述べましたけれども──など、ある程度の人数や規模がないと支援に乗らない部分があったり、複数あるまちづくりルールのうち、どの制度を利用すれば最もよいのかが分かりづらかったりと、地域住民にとっては活用する敷居がまだまだ高いというのが実態ではないでしょうか。
今後、住民発意のまちづくりルールの策定を促進する上で、地域住民にとってまちづくりはもっと身近なものであると実感してもらえるようなさらなる取組が必要であると考えますが、この質問の最後に御所見をお伺いします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 住民発意によるルールの策定に当たりましては、様々なまちづくりに関する制度があり、技術的、専門的な内容も含まれることから、関係課が連携したワンストップでの対応や積極的にアドバイザーを派遣するなど、まちづくりに対するニーズを的確に把握しつつ、引き続き地域の特性に応じた必要な支援を行ってまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) より積極的な支援をぜひ御検討いただきたいと思います。
2点目です。マンション建設紛争の予防に向けた取組について。
初めに、マンション建設など、中高層建築物等に関する相談件数と相談内容の内訳について、それぞれ直近5年間の数字をお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 中高層建築物等に関する相談件数につきましては、平成28年度が92件、29年度が48件、30年度が67件、令和元年度が50件、2年度が89件でございます。また、相談内容の主な内訳につきましては、平成28年度から令和2年度までの累計で、日照に関するものが135件、工事の騒音、振動などに関するものが132件、工事に関する説明不足についてが97件、プライバシーに関するものが67件などとなっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 年によって増減はあるものの、近年においても90件近い相談が寄せられていることが分かります。
次に、マンション建設など中高層建築物等に関する紛争を予防するために本市が取り組んでいる内容について具体的にお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 福岡市では、中高層建築物等の建設に伴い生じる建築紛争の予防と調整を図るため、福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例を制定し、建築紛争の未然防止に努めております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) この福岡市建築紛争の予防と調整に関する条例について、制定の経緯とその内容について御説明願います。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 条例につきましては、都市化の進展と建築物の高層化に伴い、建築主と近隣住民との間で日照やプライバシー等に係る建築紛争が増加していたことから、昭和63年に福岡市中高層建築物の建築に関する指導要綱を制定したところであります。その後、法的な根拠に基づく手続及び指導を行うため、平成12年に条例化したものであります。当該条例では、建築主等の配慮すべき事項、建築計画等の周知の手続、本市が行う指導、建築紛争の調整及び調定に関する手続などを定めております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今、マンション建設の紛争の話と件数とか、あとは条例の制定の経緯とかをお尋ねしたんですが、これは実は、(パネル表示)先ほど5年間お尋ねしましたが、これは20年間の数字です。過去20年間、一番多いときは270件もの相談があったと。平成12年というのは、ここからですね、いわゆる条例が制定されて、やっぱり最初はすごい厳しい状況が続いていたんですけど、どんどん減ってきているというところがあるんですね。ですから、私はこの条例ができて、この件数を見ると、やっぱり当局もそれなりに頑張ってきたというところや制度もどんどん改善されてきているということは分かるんですね。ただ、やはりまだ89件、私の活動の実感からすると、まだまだやっぱり改良の余地があるということを言いたいんですね。
例えば、本市においては、これまでもマンション建設など中高層建築物等に関する紛争及びそれに伴う議会への請願提出が度々起こっていますけれども、その原因についてはどのように認識しているのか、お尋ねいたします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 建築紛争の未然防止のため、条例に基づき建築主等が計画する建築計画と近隣住民の要望などとの乖離について調整に努めているところでございますが、建築紛争の解決に至らず請願書が提出される場合があると認識しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今年に限っても、さきの5月、中央区小笹地区で計画されているマンション建設に関する請願が福祉都市委員会で審議されていますが、審議の中では本市の調整に係る対応について、かなりの意見が出されたと聞いています。
そこでお尋ねしますが、その審議において本市の対応に関して委員からどのような指摘がなされていますか、お示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 請願審査において、建築主が行った事前説明の方法及び市における事前説明報告書の受理や近隣住民に寄り添った調整に対し質問や意見を受けており、市といたしましては、引き続き建築紛争の解決に向け調整を図っていく旨、お答えをしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 私もこれまで幾つかマンション建設に係る地域住民からの相談を受けてきました。ずっと私も経験する中で、あと、近年の傾向を見ると、本市においてマンション紛争が起こる大きな要因の一つに、先ほどの相談内容の内訳でも第3位に入っていたんですが、建設事業者が地域住民に対して丁寧な説明を行わないということから問題が大きくなっていくことが多いというふうに私は認識しています。
今後、当局においても積極的に調整を図って、近隣住民に対する丁寧な説明を促していくということはもちろんなんですが、もう少し踏み込んで、例えば、中高層の建物を建設する際には事業構想、土地を取得してこういうのを造ろうと思っていますという段階で市への届出を事業者に義務づけるとか、あるいは地元説明会の議事録作成や確認、本市への提出を義務化したりするなど、地域住民に寄り添った制度改正を行うべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 建築紛争の予防につきましては、条例に基づき建築紛争の解決に向けた調整に努めるとともに、近隣住民には1級建築士及び弁護士からの専門家助言制度も活用いただくなど、当事者間の理解と話合いを促進しており、今後とも、より効果的な制度となるよう研究していきたいと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ぜひ研究して、こういう制度をさらにまた改良を重ねて充実させていただきたいと思います。
それでは、本日最後、3点目です。地域拠点等における商業機能の維持についてですけれども、これは最後のパネルですが、(パネル表示)これは中央区の平尾の交差点を南西から見た、鳥瞰した写真です。ここに交差点があって、こっちが北に行くと薬院大通りとかですね。これは高宮通りと山荘通り、百年橋通り、ここで、後でちょっと市長にも見ていただきたいんですが、これはどういう印象を受けるかというのは人それぞれだと思いますが、実はこの辺、敷地が狭くて低い建物というのが連檐しているんですね。一方で、こういう大きなマンションがあったりもするわけです、大通りにね。これは実は二、三年前の写真でして、ここの連檐しているビル、背の低いビルがあって、今この半分が更地になっています。これをちょっと見ていただきたいんですけど、これは高宮通りと百年橋通りの幹線道路沿いの風景です。
今日、私が取り上げたいのは、ここ10年、15年、私、地域でずっと見ていると、先ほどの更地の例もあるんですが、実は狭い土地が幾つかまとめられて、それが、店舗が入れない、テナントスペースを持たないマンションになるという事例が増えてきているように思っています。
この動きが加速すると、従前あった1階テナントスペースが減少して、それに伴い、まちのにぎわいや人流も減ってしまうことを危惧しています。この点について本市の所見をお伺いします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 幹線道路沿いにおけるマンションの建築につきましては、複数の老朽ビルがマンションに建て替わり、店舗が減少する事例も見受けられ、地域によってはまちのにぎわいへの影響も考えられます。一方で、このような事例は敷地の統合や建物の更新により防災性の向上や定住人口の増加などに寄与する側面もございます。建物の建築に当たりましては、都市計画や関係法令に沿って計画がなされますが、まちづくりの観点からは地域の特性や課題にも配慮して取り組まれることが望ましいと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) こういう地域が議員各位のお近くにもないかと、ぜひ思いをはせながら聞いていただきたいんですが、今回御紹介する事例は、用途地域でいえば商業地域、近隣商業地域で起こっている課題だと認識しています。
そこでお尋ねしますが、商業地域、近隣商業地域とは、土地利用制度上どういう地域でしょうか。また、当該地域において、近年、特に幹線道路沿いに1階テナントスペースを持たない集合住宅が増えていることについて、本市はその要因をどのように分析しているでしょうか、併せてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 商業地域につきましては、主として商業及びその他の業務の利便を増進するため定める地域で、近隣商業地域につきましては、近隣住民に対する日用品供給などの商業及びその他の業務の利便を増進するため定める地域であり、本市におきましては、都心部や各拠点、鉄道駅周辺などにこれらの用途地域を指定しております。当該用途地域におきましては、建築基準法において住宅から大規模な店舗や事務所、遊戯施設まで幅広い用途が立地可能であるため、共同住宅も立地いたします。議員おただしの事象につきましては、建築主の意向や敷地の状況、地域の特性、事業性など、様々な要素が考えられるため、一概に言えないものと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 最近は分譲マンションのみならず、賃貸マンションであっても1階テナントスペースを持たない造りになっているということが私は気になります。私はこのような動きが加速している要因として、やっぱり事業性の問題がその大部分を占めていると認識しています。先ほど商業地域と近隣商業地域について御説明いただきましたが、現在の土地利用規制の状況では、当然建てられるから建つわけですね。それに加えて、より大きな土地を集めてマンションにしたほうが事業性は高いということ。裏を返せば、1階にテナントスペースを設けると事業性が下がる。例えば、分譲であったらやっぱり売りづらい、それから、賃貸であれば駐車場にしたほうがいいと、そういう思いが働く。それはそれで、しようがないと私は思っています。ただ、私はこのままの状況を放置しておけば、本市においても、私が今紹介した平尾の事例だけでなくて、特に地域拠点や駅周辺のテナントビルが1階テナントスペースを持たないマンションに次々と置き換わることで、地域商業機能の空洞化が進行するのではないかと大変心配しております。本市においても何らかの対策が必要ではないでしょうか。
例えば、同じ政令指定都市である神戸市においては、都心部の商業機能を確保することを目的として、商業エリアにおける住宅建設を制限するという条例改正を2019年に行っています。この内容についてお示しください。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 神戸市におきましては、都心部の中でも都市計画マスタープランで高度商業・業務地に位置づけられ、高い容積率を指定した商業地域において大規模マンションが多く建設され、商業、業務施設の立地が阻害されるなどの懸念が生じたことから、平成31年3月に特別用途地区を定め、住宅などの用途の制限を行っております。具体的にはJR神戸駅から三宮駅、新神戸駅に至る292ヘクタールの商業地域で容積率400から800%のエリアを都心機能活性化地区に指定し、住宅などの用途の規模は原則容積率400%までに制限しております。さらに、三宮駅周辺の中心部22ヘクタールのエリアは都心機能高度集積地区に指定し、住宅などの建築が禁止されております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 御答弁ありがとうございます。これは、神戸の事例は確かに神戸とか三宮とかですね、福岡でいうと天神、博多エリアに相当する地域での取組なんで、だから、私が問題意識を抱いているエリアにそのまま当てはめるのは難しいというのは分かります。それから、神戸の事例は実はタワーマンションが商業地域にどんどんできていると。だから、それを何とか抑制したいといった取組であるとも解されているんですね。それで、実はこれは様々な議論を呼び起こしているということも分かっています。ただ、都心部に近接しながらも独特の商店景観を形成してきた地区や駅周辺あるいは福岡市都市計画マスタープラン上で地域拠点と呼ばれる地区などの近年の変化を踏まえると、神戸市が抱くような商業機能の空洞化という問題意識は、地域商業レベルでいえば、本市においても共有されるべきではないかと私は思っています。あわせて、その対策として、建物用途や形状によって容積率の最高限度を制限するという手法、実はこれはこれまでも本市が採用してきている内容なんです。
そこでお尋ねしますが、本市においても、都心部に近接しながらも独特の商店景観を形成してきた地区や駅周辺あるいは福岡市都市計画マスタープラン上で地域拠点と呼ばれている地区において、地域商業機能の維持という観点から、まち並み実態調査を行うとともに、地域商業機能の空洞化を避けるために、商業地域、近隣商業地域において建物用途や形状によって容積率の最高限度を制限するという手法を導入すべきであると考えますが、御所見をお伺いいたします。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 本市におきましては、都市計画マスタープランで都心部では高度な都市機能の集積、創出を、地域拠点などでは商業、業務機能の充実などを図ることとしており、これまで地区の課題や特性、地域まちづくりの熟度に応じ、地区計画制度などを活用してきております。具体的には天神明治通り地区や博多駅中央街地区では業務機能の高度化と併せ、最上階などを除き住宅用途の制限、香椎副都心土地区画整理地区では低層階での住宅用途の制限、六本松の九州大学キャンパス跡地地区では住宅用途で使用できる容積率の制限などを定め、業務、商業などの機能誘導を図っております。
地区特性に応じた容積率の制限につきましては、土地所有者などの合意形成が重要と考えており、今後とも、地区特性に応じたまちづくりを支援していくため、まちの動向も注視しながら、様々なまちづくり制度の広報、啓発や地区の土地利用状況の情報提供などを行ってまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。最後に一言申し上げますが、先ほど答弁にもあったように、実はさっきの香椎副都心とか六本松とか、そういうことをやっている地域というのはあるんです。ただ、それは一度再開発という枠組みに入れて、じゃ、こうやっていこうというのは話ができるんですよ。ただ、今日、地区計画の話もしましたけど、こういう場所、既に市街化されている部分というのは、じゃ、地区計画でつくればいいかというものでもないんですけど、実は土地の所有者と住んでいる人が違うわけです。そういう意味で、かなりハードルが高い状況なんです。そういうところは、やはり福岡市が呼び水として、福岡市が積極的にそういうことを検討して、注視しながら制度化していってほしいということを最後に要望して、私の質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司)登壇 私は自民党新福岡を代表して、豪雨災害時における避難行動の啓発について、保育士の人材確保について、以上2項目について質問してまいります。
まず初めに、豪雨災害時における避難行動の啓発についてお尋ねいたします。
今年は梅雨入りが例年より3週間程度も早いと聞いておりますが、大雨に見舞われた5月20日には福岡県うきは市や熊本県天草市では避難情報が発令されました。気象庁の3か月予報では、大雨のリスクがある梅雨が長引くおそれがあるとして災害への備えが呼びかけられたところであり、より一層市民への啓発が必要となっております。
近年、風水害が激甚化しており、昨年の台風第10号では気象庁と国土交通省が相次いで合同の記者会見を開き、特別警報級という言葉を使って最大級の警戒を呼びかけました。気象庁の職員は、明治以降最悪の5,098人もの犠牲者を出した1959年の伊勢湾台風に匹敵する勢力だとも話していました。台風による大きな被害も毎年のように各地で起きております。海面水温が高いほど台風の勢力はより強くなると考えられるそうですが、気象庁によると、日本近海の海面水温は上昇しているそうです。今後、間違いなく最大級の警戒が必要となる災害が幾度となく起こるだろうと想像しております。
そこで、災害時の適切な避難行動をいかに促進し、自らの命は自ら守るための取組を進めていくのかという観点から質問を進めてまいります。
近年の豪雨においても、避難をしなかった、また、避難が遅れたことによる被災や屋外移動中の被災、多くの高齢者等の被災などから、国のワーキンググループにおいて災害からの避難に関する検討が進められ、報告書が取りまとめられたことを踏まえて、課題に対応するために法改正を行ったと聞いています。
そこで、令和3年5月には災害対策基本法が一部改正されましたが、避難行動に関してどのような課題があったのか、お尋ねいたします。
以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 今回の災害対策基本法の改正につきましては、国によりますと、避難勧告や避難指示の両方が警戒レベル4に位置づけられており、その違いが分かりにくく、避難勧告で避難すべきであることが理解されていないことなどが課題となったものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 市民が命を守るためには、いつ避難したらよいのか分かりやすく、そして、迷わず行動に移せるよう、適切なタイミングで的確な表現で情報提供されることが前提でなければならないと考えます。
その課題を踏まえ、避難情報の発令に関しどのように改定されたのか、概要をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 改正の概要につきましては、警戒レベル3は従来の避難準備・高齢者等避難開始から高齢者等避難に改められており、警戒レベル4は避難勧告が廃止され、避難指示のみとなり、避難のタイミングが明確化されております。さらに、警戒レベル5の災害発生情報が緊急安全確保に改められ、災害が切迫、発生した状況であることを伝え、近傍の堅固な建物への移動等、身の安全を確保するための行動を指示できることとなっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今お答えいただいたように、避難のタイミングが分かりやすく明確になったことはよいことだと考えますが、その情報が市民に正しく理解され、適切な避難行動を取ることができるようにすることが大変重要だと考えます。
法改正を周知するための啓発ポスターがこの庁舎の議会棟エレベーターにも掲示してあるのを見ましたし、地下鉄の通路にも掲示してあるようですが、ぜひ多くの施設でも掲示していただきたいと考えております。また、掲示だけでなく、市民の皆さんにも正しく御理解いただけるよう丁寧な説明が必要だと思いますが、緊急事態宣言下で地域での会合等もほとんどが中止になっている現状では地域の皆様への説明も不十分であろうと思われます。しかし、命を守るためには重要なことですので、様々な機会を捉え、しっかりと市民への啓発に取り組んでいかれるよう要望しておきたいと思います。
また、全戸配布されている市政だよりには、この改正についての記載とともに、出水期を前に、この避難行動や防災に関して、気象予報士の解説なども掲載された特集が組まれており、非常に興味深く読んだところです。私の住んでいる東区版には家庭における備蓄についても掲載されておりまして、重要なことだと改めて認識したところです。昨年は九州に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨や特別警報級の警戒が呼びかけられた台風第10号など、災害の激甚化を改めて認識させられた一年でした。幸い福岡市では大きな被害はありませんでしたが、それでも避難勧告等の避難情報が発令されたことを記憶しています。
そこで、令和2年度に今回一本化された避難指示に当たる避難勧告を発令した回数、対象世帯数、対象人数についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 令和2年度の避難勧告につきましては、延べ14回発令し、対象は41万4,037世帯、83万141人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 令和2年度に発令された避難勧告では、多くの世帯と人数が対象となっていますが、避難情報の発令に伴い、開設した避難所数と避難所に避難した避難者数についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 令和2年度の避難情報発令に伴う避難につきましては、延べ567か所の避難所を開設し、延べ4,528人の避難者の受入れを行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 避難情報の発令状況に対し、実際の避難者数が少ないように思いますが、適切に避難を行うためには、市民一人一人が災害に備え、自分の身は自分で守るという意識を持つことが重要であると考えます。
市民が適切な避難行動を行うためには平時からどのような準備を行っておけばよいか、また、どのような点に留意が必要か、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 災害時における適切な避難行動につきましては、日頃からハザードマップ等により御自宅周辺の危険度を確認しておいていただき、災害時には気象情報や福岡市が発令する避難情報を踏まえ、状況に応じ適切な避難行動を取っていただくことが重要であると考えております。また、避難の必要を感じた場合はちゅうちょなく避難行動を取っていただくことが重要であり、避難の際は福岡市が開設する避難所に加え、親戚、知人宅やホテルなどの安全が確保できる場所への避難など、避難所を頼らない避難も検討していただきたいと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 最近、梅雨時期にかかわらず、ニュースでもハザードマップを事前に確認しておきましょうといったことをよく聞くようになりますが、ハザードマップの認知度としてまだまだ高くないのではないかと思うのですが、ハザードマップの周知、啓発はどのように行っているのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) ハザードマップにつきましては、市政だよりやホームページなどで広報を行うほか、地域における防災訓練や講演会、出前講座等において、ハザードマップを活用し、身近な災害リスクを確認するなど、周知、啓発を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 様々な災害リスクを確認できる総合ハザードマップは、拡大、縮小などして自分に必要な大きさで印刷できるなど、非常に便利でよい取組だと思いますが、インターネットを利用できない高齢者も多くいらっしゃると思います。避難行動をはじめとする災害への備えとして、平時から自宅などの災害リスクを知るということはもちろん重要ですが、実際に避難が必要となる場合には的確な避難情報の提供が大変重要であると考えます。
適切な避難行動を取ってもらうため、どのような情報伝達手段を用いているのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難情報の伝達手段につきましては、テレビやラジオをはじめ、ホームページへの掲載や防災メール、各種SNSや緊急速報メールなどによって広く発信するとともに、広報車を利用し、地域における周知を図るなど、多様な手段を用い、迅速かつ的確な情報発信を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 防災メールやホームページなどを活用しているとのことですが、スマートフォンやインターネットに不慣れな高齢者などは、なかなか避難情報が出ていることを知ることができないと思います。
特に視覚や聴覚に障がいがある方などは避難情報を収集するのは難しいと思いますが、インターネットに不慣れな高齢者や、視覚や聴覚に障がいがある方に適切な避難行動を取っていただくために、どのように避難情報の提供や周知を行っているのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネットに不慣れな高齢者や、視覚や聴覚に障がいがある方への避難情報の提供につきましては、本人の希望に応じて、御自宅の電話やファクスへ避難情報をお知らせする避難情報配信システムにより情報の提供を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 高齢者や障がい者へ適切に避難情報の提供や周知を行っていることはよく分かりました。一方、激甚化している自然災害への対応は公助だけでは限界があり、地域住民による自主防災活動など、平時の避難訓練による顔の見える関係の構築が大切であり、有事には避難行動につなげることができるよう、地域住民同士の声かけなど、助け合う共助の取組が不可欠であると思います。過去に豪雨などで甚大な被害を受けたことがある地域では、そのときの経験を教訓として、災害時の避難行動を事前にルール化しておくなど、地域で自ら命を守るための取組を行っているところもあり、このような取組が災害時の速やかな避難行動につながり、一人も貴い命を失わずに済んだという事例もございます。
そこで、各地域における自主防災組織など、地域の災害対応力を高めるためにどのように取り組んでいるのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域の災害対応力を高める取組といたしましては、校区の自主防災組織などが中心となり、地域で実施されている防災訓練について、地域からの相談や要望に応じ、企画段階から助言を行うとともに、区役所や消防署の職員、消防団の団員が参加者への指導や講習などを実施しております。また、マンション管理組合向けの出前講座、地域における避難所運営ワークショップの実施など、地域の災害対応力の強化に取り組んでおります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 各地域においては防災訓練や避難所運営に関するワークショップなどに取り組まれているということであり、引き続き地域における災害対応能力の向上に取り組んでいただきたいと思います。
本市では幸いなことに、長い間、多くの命が失われるような大きな災害は起こっていませんが、この福岡市でも災害がいつ起こってもおかしくない気象状況にあると考えています。いつも避難情報が発令されるけれども、何も起こらないから避難しなくて大丈夫といった意識の市民がいらっしゃるかもしれません。しかし、次は経験したことのない災害が起こるかもしれませんし、それでは自分の命を守ることはできないと思うのです。避難しないということが自分の命を危険にさらしていることを認識していただき、災害を自分事として考え、適切な避難行動を取ってもらえるよう早急に取り組まなければならないと考えます。前回と同じや何も起こらないという自然災害のレベルではなくなっていることを市民の皆さんが理解した上で、逃げ遅れゼロの実現に向け、自らの命は自らで守る社会を構築していく時期に来ているということを広く周知し、市民の適切な避難行動へつなげるための啓発や取組が重要であると考えます。
最後に、地域の災害対応力を高めるためには市民一人一人の防災知識の向上が必要であり、市民の適切な避難行動へつなげるための啓発や取組が重要であります。逃げ遅れによる犠牲者が出ることのないよう、市民の皆さんに適切な避難行動を取っていただくため、しっかりと防災知識の周知、啓発に取り組んでいただくことを要望いたしまして、この質問を終わります。
次に、保育士の人材確保についてお尋ねいたします。
島市長就任以降、安心して子どもを生み育てやすい環境づくりに向けて保育所等の整備を推進された結果、これまで10年間で1万7,000人分の保育の受皿を確保されています。これにより平成31年4月以降、年度当初には定員が入所申込みを上回る状況となっており、今後も地域の保育ニーズに応じた一定の整備は必要と思いますが、現在、本市はこれまでのハード面の受皿の確保に重点を置いた保育施策から保育の充実に向けたソフト面への転換期にあると考えております。
そこで、保育所等の現状に目を向けますと、全国的に保育士の確保が難しい状況が続いており、市内の園長先生方からも、五、六年前から保育士の採用が難しくなったというお話を伺っております。
そこで、5年前の平成27年度と令和2年度を比べて、福岡市における保育士の確保状況がどのように変化したのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市における保育士の確保の状況につきましては、福岡市を管轄しているハローワークにおける保育士の有効求人倍率の平均でお答えいたしますと、平成27年度は1.72倍、令和2年度は2.24倍となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 4月に公表された全国における全職種の令和2年度平均有効求人倍率が1.1倍ということですので、本市における保育士の確保がいかに難しい状況にあるのかが分かります。このような状況では、園の自助努力だけでは保育士の確保は進みませんので、本市においては、保育士・保育所支援センターによる就職の相談、あっせんや潜在保育士向けの就職準備金等の貸付けなど、様々な取組を実施されています。全国的に保育士の確保が難しい状況ですので、他都市でも国庫補助金を活用するなどしながら保育士確保の取組が行われていますが、本市では国庫補助によらない独自の施策も実施されています。
そこで、市が独自に実施されている家賃助成と奨学金返済支援について、制度の概要と過去3年間の補助金の対象となった保育士数についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市で独自に実施しております家賃助成事業補助金につきましては、家賃を負担している正規雇用の保育士に月額1万円を上限に家賃の助成を行っているものであり、補助金の対象となった保育士数は平成30年度が1,765人、令和元年度が2,000人、2年度が2,190人でございます。また、奨学金返済支援事業補助金については、奨学金を活用して資格を取得した正規雇用の保育士に、当初の返済期間の2分の1までの間、短大等の卒業者は月額1万円、大学の卒業者は月額1万5,000円を上限に返済額の助成を行うものであり、補助金の対象となった保育士数は事業を開始した令和元年度が908人、2年度が1,028人でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 両方の補助を受けた場合、大学を卒業された方であれば合計で最大年間30万円の助成を受けることができ、保育士さんにとって大変助かる制度だと思われます。保育士資格を取得する方の多くは、所定の科目、単位数を履修し、卒業することで資格を得ることができる指定保育士養成施設と言われる大学や短期大学、専門学校に入学されます。福岡市及び近郊には指定保育士養成施設等が18施設あり、毎年多くの卒業生が保育士として市内の保育所等へ就職しています。人材確保に当たって、対象者のニーズを踏まえることは必要不可欠であり、保育士の場合であれば、これらの指定保育士養成施設等の学生の状況をしっかり把握することが重要だと考えます。
そこで、市内とその近郊の指定保育士養成施設等の学生の就職に関する意向等は把握しているのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 指定保育士養成施設等の学生の就職に関する意向等につきましては、毎年度、福岡市保育協会と共同で福岡市内及びその近郊の施設を訪問し、就職に関する意識等を把握するとともに、福岡市の保育士確保の事業に関する情報提供や施設の卒業生による福岡市内の保育所のPRを実施しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 学生の意向等を把握するだけでなく、学生に直接市の施策や市内の保育所等のPRを行っているとのことで、指定保育士養成施設等とも連携しながら保育士の確保を進めていることが分かりました。
では、訪問等により把握した学生の意向を踏まえて実施した施策があるのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 学生の意向を踏まえて実施した施策といたしましては、学生へのヒアリングを実施したところ、半数程度が奨学金を活用しており、その多くが就職に当たって返済に不安を感じていたことを踏まえ、令和元年度から奨学金返済支援事業を実施しております。また、福岡市内には保育所等が多く、それぞれの特色が分かりづらいという意見を踏まえ、令和2年度からホームページ「保育士就職支援NAVI」を開設し、保育の内容や教育メソッド、勤務条件などの項目ごとに検索でき、各保育所の状況を容易に見ることができるようにいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 以前から就職して間もない頃には奨学金の返済が苦しいという話も耳にしていましたし、また、本市の賃貸住宅の家賃水準は東京などと比べると安いですが、九州各県などと比べると割高であり、特に就職した当初は大きな負担を感じるものだと思います。家賃助成や奨学金返済支援は、このような本市の保育所等に就職する保育士の実情を踏まえたものであることが分かりました。
家賃助成以降、保育士確保策として補助金を交付するなど、市独自の施策を実施されていますが、家賃助成の実施前である平成28年度と直近の市内とその近郊の指定保育士養成施設等の卒業者における福岡市内の保育所等への就職状況についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市内とその近郊の指定保育士養成施設等を卒業した学生が福岡市内の保育所等へ就職している割合につきましては、平成28年度は34.8%、令和元年度は39.8%でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) どこまでが市の施策の効果と言えるかは難しいところもありますが、家賃助成の実施前と比べて、市内及び近郊の指定保育士養成施設から市内保育所等への就職率が5ポイント上昇しており、先ほど答弁いただいたように、補助対象となった保育士数も増加していることから、家賃補助や奨学金返済支援は保育士確保に効果的な施策だと思います。また、家賃助成と奨学金返済支援は、市内や近郊だけでなく、県外の指定保育士養成施設等の卒業生の福岡市への呼び込み策としても有効な制度だと思われます。福岡市は人口の増加数、増加率で政令指定都市トップを走る元気な都市であり、全人口に占める10歳から29歳の若者人口の割合でも政令指定都市で第1位となっています。このように元気な都市である福岡市の保育所等で働きたいという県外の指定保育士養成施設等に通う学生も一定数いるのではないでしょうか。
また、先日、人口減少が進む地域では既に保育所等の利用児童数が減少しているという新聞報道がありました。
今後、福岡市と比べると保育士が充足している地域から保育士に来てもらうことができればと思いますが、そこで、家賃助成や奨学金返済支援などの福岡市の施策を積極的にPRして、他都市から保育士に来てもらえるような取組が必要と考えますが、御所見をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の内外を問わず、希望いただける多くの保育士の方に福岡市内の保育所等に就職していただきたいと考えており、今後とも、保育士就職支援NAVIなどを活用しながら、学生の方に届くような効果的な広報に努めてまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 県外の方も含め、少しでも多くの保育士の方に本市の保育所等で働いていただけるよう、今後とも、より効果的な方法を検討の上、PRを実施していただきたいと思います。
次に、保育士の人材確保を進めるためには、新たに採用するだけではなく、現在就労している方に継続して働いていただくことも重要です。しかしながら、園長先生の中には、毎年一定数の保育士が退職しているとおっしゃる方もいらっしゃいます。
そこで、保育士の就労継続を促進するための本市の取組についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 保育士の就労継続を促進するための取組につきましては、産業カウンセラーや社会保険労務士による職場の人間関係や就労に関する悩みなどの無料相談窓口を開設しております。また、保育士の業務の負担軽減のため、保育記録の作成や出欠の管理などをICT化するシステムの導入費用や保護者との意思疎通のための外国語翻訳機の導入費用に関する助成などを行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 最近は少しずつ見直されているようですが、保育現場では記録や連絡帳など手書きで作成するものが多く、また、保育室の季節ごとの飾りつけやお遊戯会の準備など、保育士さんが手作りで行っていることもあり、負担になっていたという話も耳にしています。確かに手書きや手作りのよさはあると思いますが、そのことが保育士さんの過度の負担になっているのであれば、軽減すべきところもあると思います。現在、テクノロジーの進歩により様々な業種でICT化が進み、業務の効率化が図られています。
先ほど本市では保育業務のICT化等の助成を実施しているということでしたが、本市の保育所等におけるICT化の進捗状況についてと、今後どのようにしてICT化を推進していくのか、御所見をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の保育所等におけるICT化の進捗状況につきましては、令和2年度末現在、約52%の保育所等でICTのシステムを導入しております。今後とも、補助制度の積極的な周知などにより保育所等のICT化を推進してまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 保育において記録等の作成などは子どもの成長を保障する上で必要不可欠なものでありますが、ICT化によって効率化が図られれば、その分、子どもと接する時間が増えるなど、保育の質の向上にもつながるものだと思います。ぜひとも一層の導入促進に努めていただきたいと思います。
ここまで本市が現在実施されている保育士の人材確保策について質問してまいりました。本市では指定保育士養成施設等の学生の状況等も踏まえながら、実効性のある施策を実施されています。しかしながら、各保育所等ではいまだに保育士の確保に苦労されている現状もあります。
これまで整備を行ってきた保育の受皿を有効に活用するためにも、本市にとって保育士の確保は重要な課題だと思いますが、保育士の確保に今後どのように取り組んでいくのか、福岡市の意気込みをお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市におきましては、これまで市独自に家賃や奨学金返済の助成を行うとともに、指定保育士養成施設等を訪問してPRなどを行い、学生のニーズも踏まえて施策を実施することにより保育士の確保に取り組んできたところでございます。今後とも、保育の現場や学生等の状況を踏まえながら、保育士の確保にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 福岡市の人口はいまだに増加を続けていますが、一方で、就学前児童数は減少傾向にあり、今後、保育を取り巻く環境は変化していくことが予想されます。その時々の状況に合わせて保育所等が保育士を確保できるよう、福岡市の支援の検討をお願いいたします。
最後に、これまでお尋ねした施策は本市が保育士の確保のために行っているものでしたが、保育士さんに継続して働いてもらうためには職場の努力も重要です。東京都が平成30年度に実施した保育士実態調査では、過去に保育士として就労した方が退職した理由として最も多かったのが職場の人間関係となっています。様々な方がいますので、どうしてもなじめず退職することもあると思いますが、市が保育士確保のために多額の公費を使っても、職場が理由となって各保育所等で多数の保育士が退職してしまうのであれば、元も子もありません。現在、各保育所等では働き方改革の流れもあり、職場環境の改善に懸命に努力されておられますが、園内のどこに課題があるのか、内部からは分かりづらいところもあり、保育士さんの退職に至っているケースもあると思います。
本市では施設長を対象として職場環境改善の研修等を実施されていると聞いていますが、各保育所等が魅力ある職場となることは保育の質の向上を図る上でも重要ですので、本市としても、施設長に対する研修の充実など、今後とも、保育士にとって働きやすい職場づくりに向け、各保育所における取組を進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩をいたします。
午後は1時10分に再開いたします。
午前11時14分 休憩
午後1時10分 開議
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。川上陽平議員。
○4番(川上陽平)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表して、新型コロナウイルスワクチン接種の円滑な推進について、福岡市民体育館跡地への福岡武道館の移転について、2点質問いたします。よろしくお願いいたします。
まず初めに、新型コロナウイルスワクチン接種の円滑な推進についてお尋ねいたします。
福岡市は現在、緊急事態宣言下において、新型コロナウイルス感染症対策として、不要不急の外出自粛や営業時間の短縮など、市民の皆様に御協力をいただいており、陽性者は減少傾向にあります。しかしながら、これまでも収束に向かうと思えば感染拡大が広がるといったことを繰り返し、感染が拡大するたびに市民の皆様に大きな負担を強いてきました。このような中、やはり感染収束の切り札はワクチンではないでしょうか。実際にワクチン接種が進んでいる国々では、陽性者や死亡者の数が激減し、日常を取り戻しつつあります。福岡市においても、5月から高齢者向けの接種が本格的に始まりましたが、菅総理が7月末までに高齢者への接種を終えることができるよう政府を挙げて全力で取り組むと表明され、国と自治体が一体となってワクチン接種の推進に力を注いでおります。我が会派といたしましても、福岡市選出の自民党国会議員とのワクチン接種等についての意見交換会や福岡市医師連盟との情報交換会を行ってまいりました。一日も早く、一人でも多くの方にワクチン接種を行うことはもちろん重要ですが、市民の皆様がより円滑に、そして、安心して接種を受けられる機会をしっかりと提供していくことが何よりも大切であります。
そこで、福岡市のワクチン接種の実施状況について質問してまいります。
まず、本市におけるワクチン接種の対象者数と、そのうち65歳以上の高齢者の数をお尋ねいたします。また、あわせて、市民へのワクチン接種をどのように実施するのか、本市の接種体制をお尋ねいたします。
以上、1問目を終わり、2問目以降は発言者席で行います。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチン接種の対象者数につきましては約134万人で、そのうち65歳以上の高齢者は約36万人となっております。また、ワクチン接種の体制につきましては、約800か所の地域の身近なクリニックによる個別接種を中心に、土日も含め対応可能な集団接種、高齢者施設等への出張接種により実施をいたしております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 本市では地域の身近なクリニックによる個別接種が中心ということですので、かかりつけの先生から安心してワクチンを打ってもらえますし、土日も含めて対応できる集団接種会場、さらには施設に入所していてクリニック等へ接種に行くことが難しい高齢者に対しては、施設に出向いて施設内での接種ができるということで、大変バランスの取れた接種体制が組まれていると思います。
そこで、これまでの接種実績について、接種方法別の内訳も含めてお尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチンの接種回数につきましては、6月14日現在で約22万7,000回となっており、内訳といたしましては、個別接種が約16万9,000回、集団接種が約3万1,000回、出張接種が約2万7,000回となっております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 現在は国が示す接種順位の中で医療従事者の次に位置づけられている65歳以上の高齢者の方への接種期間だと思いますが、本市では高齢者への接種と併せて独自の優先接種も行われています。その内容についてお尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市独自の優先接種につきましては、感染症や予防接種の専門家、福岡市医師会などによります福岡市新型コロナウイルスワクチン接種体制検討会議の御意見やクラスターの発生など感染動向も踏まえ、特に感染拡大防止や社会経済活動への影響の大きい職種について行っているものでございます。具体的には、クラスターが発生しやすい環境にある施設において重症化リスクが高い高齢者と接する介護従事者、ワクチン接種の対象外とされている子どもたちと接する保育士や教職員を対象とし、全体で約3万7,000人の方の接種を高齢者への接種と並行して実施いたしております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 重症化リスクの高い高齢者の方を守るため、また、クラスター防止の観点から、早めのワクチン接種が望まれる職種の方に優先的に接種が行われているようですが、全国に先駆け福岡市が実施したことで、他都市にも同様の動きが出ているとも聞いております。私も独自優先は感染症対策として非常に効果的で、大変よい取組だと思います。ただ、高齢者接種と並行して進めているということですので、その分、高齢者への接種のスピードが遅くなることが懸念されます。
そこで、独自優先をやりながらでも高齢者接種を7月末までに終えることができるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 独自優先接種につきましては、マリンメッセ福岡B館会場の運営時間の延長やクルーズセンターへの新たな集団接種会場の設置により接種能力を拡大し、その拡大した部分を活用することで、高齢者接種を遅らせることなく実施いたしております。高齢者接種につきましては、接種開始から2か月で実施する計画といたしております。5月下旬から本格実施をスタートし、計画どおりに進捗していることから、独自優先接種とともに、7月末までに実施できるものと考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 高齢者接種が7月末までに完了できると聞き、安心いたしました。
本市ではクリニックでの個別接種や集団接種会場での接種に加え、高齢者入所施設への出張接種も進められていますが、このうち接種医を確保できない施設への対応はどのようにされているのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者入所施設等への出張接種につきましては、施設管理者と施設の嘱託医等の間で実施日や対象人数、接種場所等の調整を行い、準備が整った施設にワクチンを配送し、接種を行っていただいておりますが、施設側から接種医が確保できないなどの相談を受けた場合は、福岡市医師会などの関係機関と連携の上、福岡市で接種医を確保し、派遣することといたしております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、高齢者全体でどれくらいの人数の方が接種を受けられるのか気になるところです。
そこで、現時点で高齢者の接種予約は何件入っているのか、また、接種は2回受ける必要がありますので、高齢者全員が2回接種すると仮定した場合、何パーセントの方が既に予約を完了していることになるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の接種予約状況につきましては、6月14日現在で予約システム上に7月末までの予約分として登録されている件数が約49万3,000件となっております。1人が2回分を予約したと仮定いたしますと、約7割の方が7月末までの接種予約を完了されているということになります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 相当数の方が7月までの間に既に予約を済まされているようですが、あるクリニックでは8月以降にしか予約が取れなかったという事例も聞いております。
こうした方たちが少しでも早く接種を受けられるようにどのような対策を取られているのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 予約の状況につきましては、6月1日から市のホームページ上に福岡市コロナワクチン予約空き状況検索サイトを開設し、各クリニックや集団接種会場の空き状況が簡単に確認できるようにいたしております。現在、6月及び7月中に予約できる枠が多く残っておりまして、より早い接種を希望される方には予約空き状況検索サイトで予約可能な日時を確認の上、予約日の前倒し変更を行うことをお勧めしておりまして、今後とも、積極的に周知を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、接種券の配付及び予約受付について質問いたします。
高齢者向けの接種券については4月末に一斉送付されましたが、その際、予約開始日の案内文書が同封されておらず、予約開始前からコールセンターやクリニックへ問合せや予約の連絡が殺到いたしました。クリニックでは高齢者の予約開始後、通常の診療業務に加えて、ワクチン接種に伴う予約や問合せ対応に日々追われているとも聞いております。
高齢者に続き、いよいよ64歳以下の方へ接種が始まりますが、高齢者の予約開始の際の課題を踏まえ、一般向けの接種についてはどのように接種券を送付し、予約を受け付けることとするのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 16歳から64歳までの方の接種券につきましては、6月30日に一斉に送付をする予定といたしております。また、接種の予約方法につきましては、原則インターネット上の専用サイトからの予約とさせていただくことといたしております。予約受付開始日につきましては、基礎疾患を有する方と60歳から64歳までの方は接種券が届き次第、また、60歳未満の方につきましては、予約集中による混雑の回避や予約システムへの負荷の軽減を図るため、年齢区分に応じて段階的に開始日を設定させていただきます。これら予約の方法や受付開始日につきましては、接種券に同封するお知らせに加え、市のホームページや市政だよりへの掲載などによりまして周知を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 予約専用サイトからの予約を原則とするということですが、インターネットから予約できない方にはどのように対応するのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 予約につきましては、市のホームページや市政だよりにワクチン接種に係るインターネット予約の手順を掲載するなど、丁寧な説明に努めております。今回接種対象となります64歳以下の方は日常生活の中でスマートフォンやインターネットになじみのある方が多いものと考えておりますが、予約専用サイトからの予約ができない方につきましては、コールセンターで対応することといたしております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 今回は64歳以下の方が対象とはいえ、やはりインターネットを使えない方も一定数おられると思います。
高齢者の方に対しては、先日まで公民館においてインターネット予約のサポートが行われていましたが、再度同様のサポートを実施するべきではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 予約専用サイトからの予約が難しい方につきましてはコールセンターで対応いたしますが、公民館での予約サポートの実施につきましても検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) いずれにしても、予約専用サイトまたはコールセンターで円滑な予約受付を行い、できるだけクリニックに負担をかけないような対応をお願いしたいと思います。
次に、基礎疾患を有する方への接種について確認いたします。
先ほど基礎疾患を有する方は、年齢にかかわらず、接種券が到着次第、予約可能とするとの答弁がありましたが、そもそも基礎疾患を有する方とはどのような方なのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 基礎疾患のある方につきましては、国がその範囲を示しておりまして、慢性の呼吸器の病気や心臓病、肝臓病、糖尿病などの疾患をお持ちで通院または入院している方、また、BMIが30以上の肥満の方とされております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 行政としては誰が基礎疾患をお持ちなのか情報を持っていないと思いますが、基礎疾患を有する方をどのように把握するのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 基礎疾患を有する方につきましては、国が示す要件に該当する方が市のホームページ上に開設しております基礎疾患登録サイトやコールセンターで登録していただくことで該当者を把握することといたしております。なお、基礎疾患の登録は6月8日から受付を開始しておりまして、登録者については、接種券が届き次第、予約ができるようシステム上の処理を行っております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) では、現時点で何人の方が基礎疾患登録サイトに登録しているのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 基礎疾患登録サイトには6月14日現在で約2万2,000人の方が登録されております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 既に相当数の方が基礎疾患の登録をなされているようですが、基礎疾患をお持ちの方は、かかりつけのクリニックでの接種を希望されるケースが多いと思われます。
クリニックの協力なしには円滑な接種は進んでいかないと思いますが、一般の方も含めて、全ての対象者への接種はいつまでに終わる見込みなのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチン接種につきましては、希望される全ての方への接種を10月までに実施する計画でございますが、可能な限り期間の短縮を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) スピーディーな接種を進めるに当たり、一方で、ワクチン接種に抵抗感を示す人が一部おられるとも聞いています。
このため、ワクチン接種の正確な情報や有効性などを分かりやすく示すとともに、市全体の接種済みの件数など日々の進捗状況を可視化するなど、接種を迷っている方や積極的に打ちたいと思っていない方に対する啓発を行っていくことが必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチン接種に関する啓発につきましては、ワクチンの有効性や安全性について科学的知見に基づき国が示した正しい情報を分かりやすくお伝えしますとともに、福岡市における接種回数などの接種状況をホームページで公表するなど、できるだけ多くの方に接種をしていただけるよう積極的な周知、広報に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、高齢者施設を対象に行われている出張接種ですが、これから64歳以下の方への接種が始まる中、障がい者施設の入所者や在宅の要介護者などもワクチン接種のためにクリニックや集団接種会場に出向くことは難しいと思われるため、障がい者施設なども出張接種の対象にしてはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 64歳以下の方への接種を進めるに当たり、障がい者施設につきましては出張接種の対象としますとともに、自宅で介護を受けるなど接種会場に出向くことができない方につきましては、訪問診療を行っている主治医と連携の上、接種を行うなど、ワクチン接種の機会を確保する方策を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、接種を進める上で欠くことのできない医療従事者の確保についてです。
ワクチン接種会場については、福岡市ではマリンメッセでの時間延長に加え、新たにクルーズセンターに開設し、さらには各区での集団接種会場の開設を予定されていますが、打ち手である医療従事者の確保はできているのでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 医療従事者につきましては、福岡市医師会や歯科医師会、福岡県看護協会などの関係団体の御協力を得ながら確保に努めているところでございます。今後とも、円滑なワクチン接種を推進していくため、関係団体と連携し、医療従事者の確保にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 24時間対応可能な接種会場の開設も予定されていますが、その概要をお尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 24時間対応可能な接種会場につきましては、様々なライフスタイルの方がおられる中で、利便性を確保し、接種を迅速に受けられるよう、一般向け接種の開始に合わせての設置を予定いたしております。設置に向けては夜間帯におけるワクチン接種後の副反応への対応に備え、救急病院との連携が確保できるなどの要件を踏まえ、検討を進めているところでございます。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 国は職域接種について最短で6月21日から開始するとのことですが、職域接種とはどういったもので、福岡市においてはどの程度の企業等が実施の意向を示しているのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 職域接種につきましては、住民に対する接種を行う地方自治体の負担を軽減し、接種の加速化を図るため、企業や大学等において医療従事者や会場などを自ら確保した上で、従業員や学生など、職域単位での接種を実施するものとされております。福岡市におきましては、西日本鉄道株式会社や九州大学、福岡大学などが国に職域接種の実施申請を行っているほか、様々な企業が前向きに検討を行っていると聞いておりまして、これからもこの動きは拡大していくものと考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 職域接種はワクチン接種を効率的に進める観点から有効な取組だと思います。福岡市には数多くの企業や大学が集積しており、職域接種の実施について前向きに考えている企業や大学も多いと聞いておりますので、これらのサポートをしっかりと行っていただくよう強く要望しておきます。
本市におきましては、市独自の優先接種の実施や24時間対応可能な接種会場の開設など、様々な工夫を凝らしながら市民の安全、安心を守るためのワクチン接種が進められております。また、これから水害等の災害リスクが高まる中、災害支援等に従事する職員や消防団、また、災害ボランティアの方への優先接種が始まるなど、我が会派の進言を踏まえた取組も着実に進められております。改めてコロナ収束の切り札はワクチン接種にほかならず、本市のこれらの取組は大変すばらしく、評価に値するものだと思います。
最後に、市民の皆様が安心してワクチン接種を受けられるよう、ワクチン接種事業に対する島市長の決意をお伺いして、この質問を終わります。
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症につきましては、いわゆる第4波が収束へ向かいつつありますが、変異ウイルスの影響による感染の再拡大も懸念されるなど、いまだに予断を許さない状況でございます。そうした中で、感染状況が落ち着きつつあるまさに今、より多くの市民の皆様に一日でも早くワクチンを接種していただくことが重要であるというふうに考えています。そのためには、川上議員御指摘のとおり、市民の皆様が円滑に、そして、安心してワクチンを接種できる機会をしっかりと提供していくことが重要でございます。
福岡市におきましては、およそ800の地域の身近なクリニックでの接種を中心として、集団接種や高齢者施設への出張接種によって高齢者への接種を全力で進めておりまして、さらにはそのスピードを緩めることなく、市独自の優先接種を実施するなど、円滑で効果的なワクチンの接種に向け、様々な取組を行っております。今後とも、市民の皆様が安心してワクチン接種を受けられる機会の拡大を図っていきますとともに、これから進んでいく職域接種を適切に支援するなど、希望する市民の皆様へのワクチン接種が迅速に進むようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、福岡市民体育館跡地への福岡武道館の移転について質問をしてまいります。
福岡市民体育館は市民体育の振興を図る施設として昭和47年に開館され、数多くのスポーツ大会が開催されるなど、多くの市民に利用されてきました。私にとりましても、幼い頃から剣道の試合で何度も利用してきた思い出深い施設であります。この福岡市民体育館については、平成30年12月に福岡市総合体育館がアイランドシティに整備されたことを受けて、今後の在り方についての検討が行われました。令和元年12月に、第1競技場棟については大会需要への対応として継続利用することが決まりました。また、第2競技場及び本館については、老朽化が進んでいることに加え、地区体育施設や民間施設などでの代替が可能であることから廃止するとの方針が示されました。これを受けて、令和3年3月31日付で第2競技場及び本館が廃止され、現在、第1競技場の改修工事や廃止した施設の解体工事に向けて手続が進められております。
そこでまず、継続利用が決まった第1競技場の改修工事について概要をお尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市民体育館第1競技場棟につきましては、老朽化に対応し、競技場機能を維持するため、令和3年9月から空調設備の新設や競技場の床改修など、必要な改修工事を行い、4年5月に供用開始の予定としております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 第1競技場については、市民にとってより利便性の高い施設となるよう期待しております。
次に、廃止することとなった第2競技場棟及び本館棟の解体工事について今後のスケジュールをお尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 第2競技場棟及び本館棟の解体工事につきましては、令和3年9月から工事に着手し、4年8月に完了する予定でございます。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 令和4年の8月には建物の解体が終わるとのことですが、建物解体後の跡地利用についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民体育館の敷地につきましては、国有地であり、国と借地契約を締結しております。第2競技場棟及び本館棟の解体後は当該敷地を国へ返還することとなります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 福岡市民体育館の敷地は国からの借地であるため、施設の廃止後については国へ用地を返還しなければならないということです。
では、国へ返還予定の用地について、返還する面積と時期についてお尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 国へ返還を予定している面積につきましては、令和3年3月31日付で施設の廃止を行った第2競技場棟及び本館棟の敷地相当部分で、約6,420平方メートルでございます。返還時期は第2競技場棟及び本館棟の解体後、令和4年秋の見込みでございます。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 約6,420平米の用地を令和4年度の秋に国へ返還予定であるとのことですが、この用地については、先月開催された国の国有財産九州地方審議会において留保財産に選定されたと伺っております。
そこでまず、留保財産とはどういうものなのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 留保財産につきましては、有用性が高く、希少な国有地について、国が所有権を留保しつつ、地域のニーズなどを踏まえ、定期借地を前提として貸付けを行う用地のことでございます。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) それでは、留保財産と位置づけられた福岡市民体育館用地は、国において今後どのような検討が行われていくのか、その流れを教えてください。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民体育館の返還予定地につきましては、国の留保財産として福岡市や福岡県へ意見照会があり、意見や要望などを踏まえ、国において検討が行われ、用地の返還後に国有財産九州地方審議会に諮問した上で利用方針が決定されると聞いております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 国がこの留保財産の利用方針を決定するに当たっては、県や市の意見、それから、地域のニーズも踏まえられるとのことであり、今後、本市においても様々な検討がなされることと思いますが、この件につきまして本質問の趣旨である私の意見を述べさせていただきます。
現在、大濠公園と隣接した場所に福岡県警察が管理しております福岡武道館があります。福岡県において、昨年1月に新福岡県立美術館の建設地が大濠公園南側にある福岡武道館及び日本庭園の一部を再整備した用地と決定されました。これを受けて、福岡武道館の移転先の検討が進められ、今月の10日には福岡県の服部知事が県議会において、福岡武道館の移転先は福岡市民体育館の跡地が最適であると判断したと答弁されました。交通利便性や大会利用を踏まえますと、私も留保財産と位置づけされた市民体育館の跡地こそが福岡武道館の移転先として最適であると考えております。
そこでまず、福岡武道館とはどのような施設なのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡武道館につきましては、福岡県警察における武道訓練の推進向上を図るための施設であるとともに、剣道、柔道、弓道、相撲などのスポーツを通じ、県民、特に青少年の健全育成と心身鍛練の場に供することとされております。主な施設といたしまして、剣道場や柔道場がそれぞれ4面あり、さらに弓道場や相撲場がございます。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) 次に、どのぐらいの県民、市民に利用されているのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡武道館につきましては、武道大会や武道教室の場として年間約9万人の市民、県民に利用されていると聞いております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上陽平議員。
○4番(川上陽平) ただいまの答弁からも分かるとおり、福岡武道館は現在も広く県民、市民に利用されている施設であります。特に武道関係者にとっては、講習会や研修を通して交流を深めながら、指導者同士の技量を高め、後進の指導育成を行い、青少年の健全育成の一役を担ってきました。これは本市教育委員会が力を入れている武道教育等にもつながるものであります。
また、福岡は武道大国と言われています。剣道を一例に挙げてみますと、昨年はコロナで残念ながら全国大会等は開催できませんでしたが、一昨年の大会では小学生の全国大会で優勝したのは福岡市内の道場であり、また、全国中体連の女子個人で優勝したのも福岡市内の中学生です。インターハイでは個人優勝した男女ともに福岡市の出身者であります。福岡市で毎年行われている高校玉竜旗大会では、男子が福岡第一高校、女子は中村学園が優勝、ともに市内の高校であります。そして、剣道の最高峰である全日本選手権大会では男女ともに福岡市出身の選手が日本一に輝いています。このことは、福岡市剣道連盟を中心とした先生方の熱心な指導や日頃からの御尽力、御努力のたまものだと思います。それに加え、福岡市内には福岡市民体育館や福岡武道館等の充実した環境があることも大きな要因だと考えております。このすばらしい環境は、福岡の武道の発展に大きく寄与してまいりました。
ところが、昨年の1月に福岡武道館の移転が決まったことから、多くの武道関係者から不安や心配の声が多く寄せられています。私は福岡市におけるこれまでの教育環境を今後も維持し、すばらしい実績を引き継いでいくためにも、新しい武道館は市民体育館の跡地に誘致すべきだと考えます。我が会派においても、福岡武道館を福岡市内へ整備、誘致するよう要望してきました。また、今月3日には福岡市剣道連盟とともに市長に対して、市民体育館跡地への誘致に取り組んでいただくよう要望書を提出したところです。福岡市民体育館と福岡武道館は、これまでそれぞれの役割の中で多くの人々に利用されてきました。その両施設が今後隣接し、連携することができれば、これまで以上に市民スポーツや武道の振興につながり、ひいてはより魅力ある福岡市の発展にも寄与するものだと確信いたしております。
先日の県議会で服部知事は県と福岡市の連携、協力の一つの成果となるよう、島市長と連携して武道館の移転に向けて取り組んでいくと答弁をされておりました。このことからも、ぜひ福岡県と連携の上、市民体育館跡地への福岡武道館の移転実現に向けて、国に対してしっかりと働きかけていただくようお願いいたします。
最後に、福岡武道館の移転に関する島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は剣道をはじめ、武道が非常に盛んな都市でありまして、福岡武道館は県警察の施設ではありますが、武道関係の大会や教室の場として多くの市民に利用されている施設でもあります。先日も福岡市剣道連盟より福岡武道館の移転に関する要望書を頂くなど、福岡市民体育館の敷地内への移転について武道関係者から多くの期待を寄せられているものと認識をしています。そうした中、さきの福岡県議会において服部知事からも表明があったように、福岡市民体育館の現敷地内に福岡武道館が立地することによって、双方の施設が市民、県民にとってより利用しやすい施設となることが期待をでき、武道をはじめ、スポーツエリアとしての魅力が向上するものと考えています。福岡市としましても、福岡武道館の移転が福岡市と福岡県の連携、協力の一つの成果となるように、福岡県と連携をして取り組んでまいります。以上です。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵)登壇 公明党の川上多恵でございます。公明党福岡市議団を代表して、ひとり親家庭の支援について、産前産後の支援について、新型コロナウイルスに感染された方のアフターケアについて質問をいたします。
初めに、ひとり親家庭の支援についてです。
本市でもひとり親家庭への支援策を様々行っており、本年度は我が会派の尾花議員が提案した高等職業訓練促進給付金の対象資格を拡大していただきました。しかしながら、長引くコロナの影響で、家計収入の激減や育児不安など、ひとり親家庭が抱える課題は深刻になっています。そこで、支援を必要とする方々に確実に支援が行き届くよう、また、分かりやすい情報提供を行っていけるよう質問をしてまいります。
まず、本市ではひとり親家庭への支援事業をまとめたひとり親家庭ガイドブックを作成しています。このガイドブックはどのようなタイミングで配布され、どこで入手できるのか、教えてください。
以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭ガイドブックにつきましては、各区役所の子育て支援課やひとり親家庭支援センターのほか、市役所1階の情報プラザ、アミカス、子どもプラザや子育て中の方などを対象とした国の就職支援窓口であるマザーズハローワークなどにおいて、相談などの際に広く配布しております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 周囲のひとり親の方にこのガイドブックのことを聞いてみても、認知度が低く、あまり活用していないという声が多く聞かれました。今回の質問に当たり、私もひとり親家庭ガイドブックを読んでみました。様々な情報がコンパクトにまとまっているのに、あまり活用されていないのは残念に思いました。社会的にもスマートフォンの普及が進んでいるので、より多くの方に情報をお届けするために、情報発信のツールとしてスマートフォンからでも気軽に見れるほうがよいのではないかと思います。
そこで、市の公式LINEを活用して、ひとり親家庭ガイドブックが閲覧できるようにしてはどうかと提案いたしますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の公式LINEでの情報発信につきましては、現在、LINE内にひとり親のカテゴリーを設け、ひとり親家庭に関する情報発信を行っているところですが、さらに、ひとり親家庭ガイドブックの情報を参照できるようにするなど、より分かりやすい情報発信を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ありがとうございます。紙媒体のガイドブックと併せて、市の公式LINEでの情報発信もぜひよろしくお願いいたします。
では、本市のひとり親家庭への支援事業にはどのようなものがあるのか、お示しください。また、ひとり親家庭の方が相談する窓口はどこになるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭への支援策につきましては、日常生活支援事業などの生活支援、自立支援プログラム策定事業などの就労支援、児童扶養手当などの経済的支援、公正証書等作成支援事業などの養育費確保支援などがございます。次に、ひとり親家庭向けの相談窓口については、ひとり親家庭支援センターや各区役所の子育て支援課などがございます。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 相談窓口は区の子育て支援課やひとり親家庭支援センターなどがありますが、ここからはひとり親家庭支援センターについて質問をしてまいります。
まず、ひとり親家庭支援センターでの生活相談、就業相談、法律相談、心の相談、養育費の相談において、それぞれ直近5年間の相談件数をお示しください。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおける相談内容ごとの直近5年間の延べ相談件数につきましては、生活相談が平成28年度は883件、29年度は893件、30年度は891件、令和元年度は846件、2年度は1,161件、そのうち養育費の相談は平成28年度は62件、29年度は61件、30年度は55件、令和元年度は82件、養育費確保支援事業を新設した令和2年度は307件となっております。次に、就業相談については、平成28年度は2,209件、29年度は2,294件、30年度は2,403件、令和元年度は2,551件、2年度は2,149件、最後に、法律相談については、平成28年度は102件、29年度は85件、30年度は83件、令和元年度は103件、2年度は103件となっております。なお、心の相談につきましては令和3年度からの新規事業となります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ただいまの御答弁から、全体的には就業相談が最も多いこと、生活相談が令和2年度は急増し、そのうち養育費相談が5年前と比較して5倍近くも増えていることなどが分かります。
一方で、平成28年度のひとり親家庭実態調査によると、ひとり親家庭での学習習慣が定着しないことや、進学、教育に関する悩みの割合が大きくなっています。ひとり親家庭支援センターではそのような相談はありますでしょうか。また、それに対する支援はあるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおきましては、ひとり親家庭の子どもたちの進学や教育に関する相談をお受けしております。また、進学や教育に関する支援といたしましては、センターで子どもたちへの夏休み学習支援や春休み学習支援を実施しております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) お示しいただいたとおり、ひとり親家庭支援センターでは、進学、教育に関する相談もできること、夏休みなどの長期休暇に学習支援を実施しているとのことですので、情報を周知していただきますようよろしくお願いいたします。
では、離婚、養育費、親権などの法律相談についてですが、本市では土曜日の午後2時から4時に対面形式で開催しています。例えば、神戸市では法律相談の開催時間が午前、午後、夜間に設定されており、相談方法も面談、電話、オンラインから選択できるようになっています。
そこでお尋ねいたしますが、本市のひとり親家庭支援センターにおける法律相談の開催時間帯や相談方法など、利用者がより利用しやすいよう検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおける法律相談につきましては、毎週土曜日の午後に予約制で女性の弁護士により対面で実施し、事前に電話で受け付ける際に相談内容を踏まえて時間の調整を行うなどの柔軟な対応を行っており、現在のところ相談者からの依頼には対応できていると考えておりますが、今後とも、利用者のニーズに留意しながら必要な対応を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 次に、就業相談についてです。
本市では事前に求職登録をした方に対して、ハローワーク等と連携し、求人情報を提供しています。なかなかハローワークへ行けない方にとっては大変ありがたいサービスであると思います。また、家庭の状況や就業経験に応じて就業相談員がアドバイスをしていただいておりますが、Zoomでの相談、電話相談など、コロナ感染防止にも配慮した柔軟な相談方法を検討していただくよう要望しておきます。
資格取得のための就業支援講習会については、本市ではパソコンの基礎講座や介護関係、医療関係の講座等をひとり親家庭支援センターで行っています。働きながら育児をしているひとり親の方が多い中、同センターに通いながら受講ができるという方はごく一部の限られた方になるのではないでしょうか。神戸市では民間の人材育成企業に委託して、資格取得WEB講座を開催しています。就職に結びつく可能性の高い技能や資格を取得するための講座が開設され、開催方法は講座によって、オンライン形式やハイブリッド形式のほかに、自分の好きな時間に何度でも受講できる動画形式があり、コロナ感染防止にも配慮した受講しやすい形となっています。
本市でもオンラインを活用した資格取得のための講座を開催し、受講者がより受講しやすい環境を提供してはどうかと提案いたしますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 現在、ひとり親家庭支援センターにおいては、様々な資格取得のための講座をセンターや専門学校への通学、または通信講座の活用により実施しております。資格取得のための講座にオンラインを活用することにつきましては、利用者のニーズや講座の受講状況などを踏まえながら、より受講しやすい環境づくりに向け、必要な対応について検討してまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
次に、本市のひとり親家庭支援センターのホームページからの情報発信についてお尋ねいたします。
同センターのホームページを開くと、相談できる曜日や時間帯の御案内などが主で、支援内容や知りたい情報の提供が乏しいように感じます。東京都では、ひとり親の方、また、これからひとり親になる方向けのサイト、シングルママ・シングルパパくらし応援ナビを開設しています。状況に応じた様々な支援事業とその概要、それに関する問合せ先や、よくある質問とその回答をまとめたお悩みFAQが掲載されています。特にお悩みFAQは24時間いつでも見ることができ、問題解決の糸口になるのではないかと思います。掲載されている内容もシンプルで分かりやすく、トップページには「わたしたちはひとり親をひとりにしません。それぞれ違う背景や心配ごとに寄り添い、それぞれの想いや歩調に合わせて、一緒に進んでいきます」と東京都からのメッセージが発信されております。
本市のひとり親家庭支援センターのホームページでも、相談したい方がいつでもアクセスできて、よくある質問とその回答、また、支援事業やその問合せ先を掲載してはいかがでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターの情報提供の方法につきましては、現在、センター専用のホームページを設けるとともに、LINEでも情報を発信しているところでございます。今後、ホームページの掲載内容を工夫するなど、より分かりやすい情報提供に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 他都市の事例を参考に、より丁寧な情報発信とともに、各種相談などの事前予約もホームページからのネット予約を可能とするなど、利用者の視点に立ったサービスの質の改善を要望しておきます。
この質問に当たり、母子家庭の友人4人から話を伺いました。友人からは、母子家庭同士の2つの世帯が1つの物件を借りて同居した場合、それぞれの収入が合算されて、児童扶養手当の収入基準から外れてしまうのではないかと質問がありました。
このように、同じ住所に別々の母子家庭が同居した場合、児童扶養手当の認定はどうなるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 同じ住所に別々の母子家庭が同居した場合の児童扶養手当の認定につきましては、法令に基づき、それぞれの家庭で受給要件の確認を行い、要件に該当すれば家庭ごとに認定することになります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ただいま御答弁いただいたように、他人の母子家庭同士が同居しても、児童扶養手当に関して受給要件を満たしていれば認定されるということです。私の友人をはじめ、家賃負担の軽減につながる情報ですので、ぜひ周知をよろしくお願いいたします。
また、国土交通省は住宅セーフティネット制度のシェアハウスに関する基準を改正し、本年度からひとり親世帯が入居するシェアハウスもセーフティネット住宅として登録することが可能となりました。先ほどのように、ひとり親世帯にとって家賃の負担を軽くするために同居する選択肢もあるという周知が広がれば、ひとり親世帯からのシェアハウスの利用のニーズも高まると思いますので、住宅セーフティネット制度の活用が進むよう、関係事業者への周知も併せてよろしくお願いいたします。
ここまでひとり親家庭の支援の在り方について要望、提案をさせていただきました。第5次福岡市子ども総合計画の中で、ひとり親家庭の支援施策の方向性として、身近な相談支援体制の充実と利便性向上を図るために、区役所、ひとり親家庭支援センター、男女共同参画推進センターにおける相談体制を充実し、情報発信や連携を強化するとあります。時間的に余裕のないひとり親家庭に対してタイムリーな情報をより確実にお届けし、様々な制度を活用していただけるような仕組みづくりとともに、5年ごとに行われるひとり親家庭実態調査が本年行われますので、コロナ禍というこれまでになかった状況を踏まえて調査項目を設定していただくよう重ねてお願いをいたします。
最後に、ひとり親家庭の支援について島市長に御所見をお伺いし、この質問を終わります。
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) ひとり親家庭の方が安心して子育てができて、仕事と子育てが両立できる環境を整え、また、自立に向けて支援を行っていくということは大変重要であるというふうに考えておりまして、福岡市ではこれまで養育費の確保支援や職業訓練給付金の資格の拡大など、様々な支援の充実を図ってきたところであります。今後とも、コロナ禍においても必要とする方々に支援が行き届くように、生活や就業などを支援する様々な施策の充実を図りますとともに、必要な支援の情報が確実に届き、より利用しやすい支援となるようにしっかりと取り組んでまいります。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 次に、産前産後の支援についてです。
産後の母親は、出産による体の変化だけでなく、ホルモンバランスも急激に変化するため、精神的にも不安定になりがちな時期です。母親にとって、出産直後1か月は子どもに対する愛情が育まれる最も大事な時期と言われています。しかし、近年は核家族化や晩婚、晩産が進み、親の高齢化や就労により身近な家族からサポートが受けにくい環境になっています。加えて、コロナ禍による外出自粛や子育て施設の閉館、育児に関するイベントの中止や里帰り出産がしづらくなるなど、社会情勢の変化により母親の孤立した育児不安がより一層広がっています。筑波大学の松島みどり准教授が昨年、約3,000人の妊産婦に対して行った心の状態の調査結果によると、産後鬱の可能性がある母親の割合はおよそ24%となり、通常は10%ほどであることから、そのリスクは倍以上となっていることが分かります。
こうした背景を踏まえ、特に産後の母親へのサポートが急務であるとの思いから質問をしてまいります。
まず、本市の産後支援にはどのような事業があるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市における産後の支援につきましては、産後間もない時期の母親を対象に産科医療機関で健診を行う産婦健康診査事業や、助産師等が乳児のいる全ての家庭を訪問する乳児家庭全戸訪問事業、産後1年未満の母子を対象に産科医療機関等で授乳等の助言、育児相談、母体の体調管理を行う産後ケア事業、生後6か月未満の乳児がいる家庭を対象に家事や育児を援助する産後ヘルパー派遣事業などを実施しております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) では、産後ケア事業、産後ヘルパー派遣事業についてそれぞれ事業開始以降の利用者数及び当該年の出生数をお示しください。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業、産後ヘルパー派遣事業につきましては、いずれも平成28年12月から実施しております。まず、産後ケア事業の実利用者数は平成28年度37人、29年度188人、30年度248人、令和元年度499人となっております。次に、産後ヘルパー派遣事業の実利用者数は平成28年度38人、29年度152人、30年度173人、令和元年度226人となっております。また、出生数については、平成28年1万4,488人、29年1万4,382人、30年1万3,927人、令和元年1万3,309人となっております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ただいまお示しいただいたとおり、利用者数が最も多い令和元年度で見ても、産後ケア事業が約4%、産後ヘルパー派遣事業は約2%しか利用されていません。さきに述べたような社会状況を考えると、産後ケアや産後ヘルパーを利用したい方はもっといるのではないかと推測をいたします。また、事業の中には申請から利用開始まで時間がかかり、利用をしづらいという市民の声も届いております。
そこでお尋ねいたしますが、この現状に対しての課題認識をどのように分析されているのか、お聞かせください。また、産後ケアを実施している施設は市内に何か所あるのか、各区ごとにお示しください。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業及び産後ヘルパー派遣事業につきましては、母子健康手帳交付時や産科医療機関でのチラシの配布、子育て情報ガイドへの掲載などにより周知を図っており、いずれも年々利用者数は増加してきておりますが、事業の認知が十分とはいえないと考えられることから、今後とも、利用者増に向けてさらなる事業の周知に努めるとともに、より利用しやすい事業となるよう取り組んでまいります。また、産後ケア事業の実施施設については市内に10か所あり、東区2か所、中央区2か所、南区1か所、早良区3か所、西区2か所となっております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 利用者は赤ちゃんと一緒に産後ケアを実施している施設に行きますので、利便性の観点からも、せめて各区に1か所は産後ケア施設を確保すべきではないでしょうか。
現在未実施の博多区、城南区について、産後ケア施設を早急に整備していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の実施施設につきましては、産婦人科等の医療関係団体の協力を得ながら、事業開始以降、積極的に募集を行っているところでありますが、博多区や城南区でも整備が図られるよう、その確保に向けてしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 前向きな御答弁、大変ありがとうございます。どうかよろしくお願いいたします。
産後ケアを利用した方のアンケートによると、利用した理由について多かった順に、授乳がうまくいかなかった、ゆっくりしたかった、病院に勧められた、疲れていたと続き、利用した満足度については多かった順に、ゆっくり食事が取れた、相談に乗ってもらえた、ゆっくり休むことができたとの回答が得られ、心身ともに疲れを癒やし、母体ケアをすることの大切さがうかがわれます。
そのような産後の母親に寄り添い、家事や育児の訪問支援の資格を持つ産後ドゥーラという方がいます。ドゥーラとは、ギリシャ語で他の女性に寄り添い支援する経験豊かな女性という意味だそうです。産後ドゥーラは母親サポート、家事サポート、育児サポートを担い、産前産後の女性の心身の変化、新生児のケア等についての知識、対応スキルを身につけており、母親の気持ち、ニーズを受け止め、包括的にサポートをしてくれます。また、出産前から産後のサポートについてプランニングをすることもできるので、家族の状況や母親の要望を聞きながら、母親との信頼関係を築く中で継続的にサポートすることができます。
今、関東を中心にこの多くの産後ドゥーラが活躍をし、東京都や横浜市、千葉市などでは産後支援事業の制度として活用され、利用料の一部助成を行っております。利用者からも大変好評で、多くのニーズがあると伺っています。本市でもぜひこの産後ドゥーラを利用することで産後の母親が安心して子育てができる一助となればと思いますが、本市ではまだまだ産後ドゥーラの認知度が低く、産後ドゥーラが数人しかいらっしゃらないというのが実情でございます。
そこで、本市においても産前産後の母親に寄り添ったサポートを提供するために、まずは産後ドゥーラのことを市民の皆さんに知っていただけるよう、チラシやポスターなどを子育て施設や公共施設などに配備していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ドゥーラにつきましては、民間資格の一つと承知しておりますが、その位置づけや活動状況等を把握した上で、周知を含め、取扱いを検討する必要があると考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 東京都では産後家事・育児支援事業の中で、家事育児サポーターとして産後ドゥーラがきちんと位置づけされており、港区や品川区では産後ドゥーラ養成促進のために講座の受講料を一部助成するなど、産後支援の体制が強化されております。また、政令市である千葉市や横浜市においては、産前産後のヘルパー派遣事業の事業者の中に産後ドゥーラが含まれており、他の自治体では産後ドゥーラを制度の中に取り入れ、活用されています。
産後の母親の育児不安、孤立、産後鬱、コロナ禍という社会情勢を踏まえ、今本当に必要な産後サポートの在り方として、産後ドゥーラを活用している他都市の先進事例をしっかり調査して、産後ドゥーラの役割の評価と本市での活用の見込みについて検討をしていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後の母親を支援することは重要であると考えております。産後ドゥーラについては、他都市の状況等を参考にしながら、母子保健法に基づく産後ケア事業等においてどのような位置づけとなるのか、また、提供されるサポートの内容や性質、福岡市における活動状況などを総合的に踏まえた上で対応について検討していく必要があると考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ありがとうございます。産前産後の母親が何を求め、どのようなサポートを必要としているのか、それに対して寄り添った支援が行き届く、そんな産前産後支援の充実が図られるよう強く要望いたします。
最後に、コロナ禍での産前産後支援について島市長の御所見をお伺いし、この質問を終わります。
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 妊産婦及びその家族が産前産後の不安や悩みを軽減し、社会全体で安心して子育てができる環境をつくっていくということは大変重要であるというふうに認識をしております。
福岡市としましては、これまで妊産婦の方への保健師等による家庭訪問、また、産婦健康診査事業などを行うとともに、産後ケア事業や産後ヘルパー派遣事業については、期間の延長または減免制度の拡充を図りますほか、コロナ禍において新たにオンラインを活用した母子保健事業を実施するなど、産前産後の支援に取り組んでいるところであります。今後とも、子育て家庭の皆様に対し、妊娠、出産、子育ての不安や悩みに寄り添いながら、切れ目なく支援を届けられるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 次に、新型コロナウイルスに感染された方のアフターケアについて質問をしてまいります。
新型コロナウイルスに感染し、一定期間の治療や療養が終わった後も、長期間にわたり倦怠感や息苦しさ、味覚、嗅覚障がい、気持ちの落ち込みなど、心身ともに負担が大きく、悩んでおられる方がいます。後遺症に苦しむ人がなかなか社会復帰できずに職場で解雇されたり、どこに相談してよいか分からずに一人で悩み、追い詰められているケースも少なくありません。そのような方々に対して、体調面、精神面でのサポート、そして、差別や偏見のない人権を尊重する社会の構築が必要であると考え、この3点の角度から質問をしてまいります。
まず、本市におけるこれまでの陽性患者数を教えてください。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 6月15日現在の陽性者の累計は、再陽性の事例を除き1万6,700人となっております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) では、体調面でのサポートとして、新型コロナウイルスに感染された方が治療や療養が終わった後も症状が続く場合、相談する窓口はどこになるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 療養が終わった後も症状が続く場合の相談につきましては、各保健所の健康相談や新型コロナウイルス感染症相談ダイヤルにおいて、症状に応じ、かかりつけ医や新型コロナウイルス感染症の治療を行った病院等での受診を案内いたしております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 新型コロナウイルスの後遺症についての調査で、イタリアでは143人の回復者のうち、回復後、発症から平均2か月後に87%の人が何らかの症状を訴えているとの調査結果が報告されています。日本においては、国立国際医療研究センターが回復した63人に行った疫学調査結果によると、回答した63人のうち、発症から2か月で48%の人にせき、たん、だるさ、味覚、嗅覚障がいなどの症状が見られ、4か月後も27%の人に何らかの後遺症が認められたとのことです。これらの結果から、多くの方が長期間にわたりコロナ感染による体調不良を抱えていることが分かります。このような状況を踏まえ、東京都では都議会公明党の推進により、この4月に都内8か所の都立病院などにコロナ後遺症相談窓口を設置いたしました。
そこでお尋ねいたしますが、新型コロナウイルスの後遺症について、現時点では確立された治療法はないものの、症状がなかなか回復せずに悩んでおられる方のために、本市においても福岡市民病院に専門の窓口の設置を検討してはどうかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 専門窓口の設置につきましては、現在、国におきまして新型コロナウイルス感染症による後遺障害の頻度や症状、期間などについての研究が行われているところでありまして、今後の国の動向を注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 東京都墨田区ではコロナ後遺症相談センターを設置し、電話相談のほか、症状に応じて対応できる区内の医療機関を紹介したり、区のホームページに様々な症状別に診療可能な病院の一覧が掲載されています。本市としてもこのような行政の相談窓口を設置できないのか、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 議員お尋ねの相談窓口につきましては、新型コロナウイルス感染症による後遺障害に限らず、各保健所におきまして、その症状に応じた医療機関を紹介しているところでございます。今後とも、適切な医療機関の受診につながりますよう、効果的な周知について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
東京都では後遺症の認知度が低い現状を踏まえ、入院や施設、自宅で療養する方向けに後遺症の事例や相談窓口を紹介したり、リーフレットを作成し、配布をしています。新型コロナウイルスに感染された方が一人で不安や孤独を感じながら後遺症に悩むことのないよう、チラシやポスターなどの周知、啓発に取り組み、安心して日常を取り戻せるよう体制整備を早急に構築していただきたいと要望しておきます。
続いて、精神面でのサポートについてお伺いいたします。
社会復帰をするに当たり、周りの目を気にしたり、心ない言葉を浴びるなどして、心の不調を感じている人も少なくないと思います。このように、コロナに関連して不安を抱える市民の方が利用できる相談窓口はあるのか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルスに関わる心のケアにつきましては、市民の不安感やストレスといった幅広い相談に対応する新型コロナウイルス感染症関連心のケア相談窓口を令和2年6月に開設しておりまして、精神保健福祉士や保健師等がこれまで600件程度の相談を受けております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 新型コロナウイルス感染症関連心のケア相談窓口が一般的な相談窓口として開設されているとのことですので、ポスターやチラシなどを活用し、市民の皆さんへの周知をよろしくお願いいたします。
それとは別に、本市では新型コロナウイルス感染症専門メンタルケアを本年3月に開設しておりますが、その背景と事業概要、これまでの相談者数及び相談件数をお示しください。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症専門メンタルケアにつきましては、感染したことにより、眠れない、自分を責めてしまうといった深刻な悩みを抱えて、精神的な不調が長く続く場合があることから、感染された御本人とその御家族、また、クラスターが発生した施設の従事者等を対象に専門的な心のケアを行うため、本年3月に設置したものでございます。専門の臨床心理士が電話相談に応じており、その連絡先は、感染された方の入院先、それから、クラスターが発生した事業所等に直接お知らせしているところでございますが、令和3年5月末現在における相談者数は8名で、相談件数は16件となっております。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 開設から3か月で相談者数が8人、相談件数は16件とのことですが、とても少ないように感じます。もっと多くの方が利用できる相談窓口であるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症専門メンタルケアにつきましては、深刻な悩みを抱えている方を対象として専門的なケアを行うため、対象者を特定し、連絡先を直接お知らせしているところでございますが、今後、より多くの方に利用していただけるよう、効果的な周知方法を検討してまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 今後はより多くの方が利用できるように検討いただけるとのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
感染拡大の影響でコロナ鬱が増加していると言われています。私が伺う相談の中でも、コロナによって仕事や生活のこと、育児不安など、様々な悩みを抱え、先が見えない現実に翻弄されるケースもまれではありません。そのような中、先日、福岡市の30代女性が自宅療養中に自ら命を絶つという悲しいニュースが飛び込んでまいりました。私はこのニュースを聞いて、大変心が痛みました。何とか彼女の心の声を聞くすべはなかったのだろうかと悔やんでも悔やみ切れない思いでいっぱいになりました。
市民の命を守るためにゲートキーパーを活用するなど、メンタルケアが必要な方が早期に支援につながるよう、寄り添った支援の在り方を検討していただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) メンタルケアの必要な方を早期に支援につなげるためには、悩みを抱えた方が一人で考え込んで孤立に陥るのを防ぐ必要があり、身の回りで悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守るというゲートキーパーは重要な役割を担っているものと認識をいたしております。そのため、医療職員や福祉関係職員といった専門職だけではなく、地域や職場、学校など、支援の必要な方の身近な分野で幅広くゲートキーパーを養成しますとともに、保健、福祉、医療、教育、労働などの相談窓口や関係団体と連携して、悩みを抱えている方ができるだけ早く相談窓口につながるよう、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
次に、人権を守る観点からお伺いします。
新型コロナウイルスは誰でも感染する可能性があります。周りからの差別や偏見、そして、誹謗中傷を根絶するための取組は非常に重要であると考えます。
教育現場において、児童生徒が本人及び家族がコロナに感染したことにより周りから差別や偏見を受けた場合の相談先や相談方法、また、子どもたちへそのことがしっかりと周知されているのか、お伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 本人及び家族が新型コロナウイルスに感染した児童生徒に対しては、担任をはじめとする教員がサポートするとともに、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどがチーム学校として対応しております。相談先等については、24時間子供SOSダイヤルや福岡市こどもSNS相談など、児童生徒の状況に応じた相談窓口を開設しております。その周知方法につきましても、全ての児童生徒に相談機関の連絡先を記載したプリントを配付するとともに、児童生徒に貸与した1人1台のタブレット端末を活用し、一人一人がいつでも連絡先の一覧を見ることができるようにしております。以上です。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 子どもにとっては、何げなく発言されたことがきっかけで、いじめや不登校の要因にもなりかねません。各学校におきましては、新型コロナウイルス感染症に対する偏見や差別をしてはいけないという教育をより一層強化していただくようお願い申し上げます。
新型コロナウイルスに感染された方やその御家族、また、医療従事者や介護従事者の方々などが社会から誹謗中傷を受けることなく、そのことを一人で抱え込んで孤立することがないように、社会全体が人権を尊重し、思いやりのある地域社会を構築することが大事であると思います。
コロナ差別や偏見の根絶に向けての対策についてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 新型コロナウイルス感染症につきましては、感染した方やその家族などの人権が尊重され、差別的な取扱いを受けることがないよう、市ホームページや市政だより、ポスター掲示のほか、市庁舎や地下鉄構内のデジタルサイネージを活用した啓発、人権に関する講演会など、様々な機会を捉えて取組を進めております。今後とも、国や県など関係機関と連携しながら、新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識や情報の発信などに努めてまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) 拝見しましたら、市のホームページに掲載してある資料が具体例とイラストで表記され、見て、とても分かりやすいと感じました。
これは国からの通知文の別添資料ということで、配布物として作成されているものではないとお聞きしていますが、とても分かりやすいので、ぜひ市独自で加工をした上でチラシ、ポスターとして市の施設などに新たに掲示するなど、啓発に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 新型コロナウイルス感染症につきましては、議員から御提案がありましたように、今後とも、国や県の資料も活用しながら、人権が尊重され、差別的な取扱いを受けることがないよう、市民にとって分かりやすい啓発に努めてまいります。以上でございます。
○副議長(楠 正信) 川上多恵議員。
○14番(川上多恵) ぜひよろしくお願いいたします。
最後に、新型コロナウイルスに感染された方に対するアフターケアについて本市としてどのように取り組んでいかれるのか、荒瀬副市長に御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
○副議長(楠 正信) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 新型コロナウイルス感染症は一昨年の冬に中国において確認された後、瞬く間に全世界に広がり、猛威を振るっておりますが、まだ感染症の全貌がつかめておりません。そのため、罹患後の予後や社会復帰の際の偏見など、様々な問題を抱えている患者さんも多く、不安や抑鬱などの症状が出現し、適切なサポートが必要な方も多くおられます。
福岡市では身体的症状に関しましては、保健所等を通じ、適切な医療機関につなげるとともに、メンタルヘルスにつきましては、市精神保健福祉センターの心のケア相談窓口で対応してまいりましたが、本年3月にはより専門性の高い専門メンタルケアを設置し、深刻なメンタルヘルスに対応してきたところでございます。今後とも、社会における差別や偏見をなくすための啓発等にも努めながら、新型コロナウイルス感染症に感染された方々が心身の健康を回復して、元の生活ができるよう取り組んでまいります。以上です。
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時40分に再開いたします。
午後2時27分 休憩
午後2時40分 開議
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。中山郁美議員。
○50番(中山郁美)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、新型コロナワクチン接種問題、メーデー名義後援問題について質問を行います。
まず、ワクチン問題についてです。
新型コロナ感染拡大の第4波の下で、感染力が強く重症化のリスクも大きいとされる変異株の広がり、長引く医療危機、暮らしと事業の疲弊などが深刻になっています。緊急事態宣言が20日で解除される見込みとなっていますが、解除されたとしても、これまでと同じ対策の延長線上では感染を封じ込めることはできません。そのような中、菅政権はワクチン接種を対策の決め手として、首相が、1日100万回、全世代11月完了などと躍起になり推進しているものの、2回目まで完了した国民の数は約700万人と、先進国の中では大きく遅れております。本市においても早期接種に対する市民の願いが高まっていますが、順調に進んでいるとは言えません。現場の実態をリアルに把握し、ネックとなっている問題をつかみ、安全かつ迅速なワクチン接種へ行政が責任を果たすことが求められております。
そこでまず、現状での到達を確認してまいります。
ワクチン接種の際の打ち手となっていただく医療従事者全体の人数及びそのうち現在までに2回目まで接種を終えた人数についてお尋ねします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 医療従事者に対するワクチンの接種状況でございますが、事業を行っている福岡県によりますと、対象者数は約21万2,000人で、そのうち2回目の接種を終えた方は6月10日時点で約15万4,000人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 身体的な事情のある方もおられるでしょうが、接種済みはやっと7割。打ち手になっていただくところの接種でさえ順調とは言えません。
次に、島市長が、7月中には完了させると述べ、現在接種が進められている65歳以上の人数及びそのうち現在までに2回目まで接種を終えた人数についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市における65歳以上の接種対象者数につきましては約36万人で、そのうち2回目の接種を終えた方は6月14日時点で約1万7,000人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) まだ1万7,000人ということです。大きく遅れています。本市においては、現在マリンメッセB館で行っている集団接種と地域の医療機関で行っている個別接種が並行して進められていますが、いずれも予約が前提となっています。
そこで、65歳以上で接種が終わっていない人数のうち、7月末までに2回目までの予約が完了しているのは何人なのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 2回目の接種を終えていない高齢者のうち、7月末までに2回目の予約が済んでいる方は6月14日時点で約21万3,000人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 結局、高齢者のうち予約さえできていないのは何人になるのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 1回目の予約を行っていない高齢者は6月14日時点で約9万5,000人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 大体高齢者のうちの約3割が予約さえできていないということです。
これは身体的な事情で接種できない方、副反応が怖くて希望しない方なども含まれた数字ですから、このうち接種を希望しているのに予約ができていないのは何人なのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 予約が済んでいない高齢者のうち、接種を希望されている方の人数につきましては把握いたしておりません。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 把握していないというのは問題です。高齢者の中には、ネットはできない、電話は何度かけてもつながらず諦めているという方がいらっしゃることが考えられます。
そのような方を取り残さず、一人一人の状況を把握すべきではないか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチンの接種につきましては、接種を希望される方を対象に実施することとなっておりまして、コールセンターやインターネット上の予約専用サイトにおいて広く接種予約の受付を行いますとともに、インターネットに不慣れな高齢者の方を対象とした公民館での予約サポートのほか、地域の高齢者の相談窓口であるいきいきセンターふくおかや介護サービス事業者などに予約に関する案内や助言等への協力のお願いをしているところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 広報が行き渡らない方々、また、予約にたどり着けていない方々が一定数存在しています。こういう方たちを見捨てるのは許されません。自助に任せていては救えず、ワクチン難民を生みかねません。博多区に拠点を置くふくおか健康友の会という団体では、会員が予約できたか連絡を取り合い、必要があれば予約をサポートしています。
そこで、ワクチン難民を生まないよう、行政こそがあらゆる手だてを取って全員の意思を確認し、取り残されている方には予約のサポートをすべきではありませんか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチンの接種につきましては、接種を希望される方を対象に実施することとなっておりまして、任意で行われるべきものであると考えております。接種を希望される方へのサポートにつきましては、公民館での予約サポートのほか、いきいきセンターふくおかなどを通じた案内や助言等を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 公民館でのサポート事業は一体何人活用したのか、また、そのために派遣された市職員の延べ人数についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 公民館での予約サポートでございますが、利用された高齢者の方は約1,000人、市が派遣した職員は、延べの人数でございますが、約1,600人となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 各局から1,000人以上職員を動員したけれども、利用した高齢者は僅か1,000人ですからね、1日にすれば1公民館当たり1人にもなりませんよ。この事業の効果は薄かったと言わなければなりません。助けてほしければ出向いてきなさいというやり方は高齢者にはなじみません。
したがって、可能であれば民生委員さんに協力いただくなどして、一人一人に声かけをして確認するなど、全員にサポートが行き渡る効果的なアウトリーチをすべきではないか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 接種を希望される方へのサポートにつきましては、公民館での予約サポートのほか、いきいきセンターふくおかなどを通じた案内や助言等を行っております。今後とも、より多くの方に接種を受けていただけるよう、効果的な啓発に努めてまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 緻密にサポートすることを求めておきます。
次に、スケジュールと体制についてです。
当初、2月の段階でつくられたシミュレーションでは、1週間当たり4万2,000人ずつの接種を進めていくとされていました。
そこで、それに照らして、これまでの1週間当たりの接種実績について、集団接種と個別接種それぞれについてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチン接種の実施状況につきましては、現在、1日当たりの接種回数は約1万6,000回で、内訳といたしましては、集団接種が約1,000回、個別接種が約1万3,000回、出張接種が約2,000回となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これはかなり無理しているんではないかと思われますが、読売新聞9日付の夕刊は「接種担う開業医多忙」と書きました。日々の診療やワクチン接種、集団接種会場での接種業務に奔走する医師の状況を報じ、この記事では、福岡市医師会が行った医療機関への調査で8割が通常診療への影響があると答え、内科では96%に上ったとされております。もうこれ以上増やすことはできないところまで来ています。
このような状況を生み出したのは、コロナと闘う医療現場が人手不足のため困難を極める実態を見ず、勝手に無理なシミュレーションをしたからではないのか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ただいまおただしのありました医師会のアンケートにつきましては、本格実施が始まる前の5月14日から22日に実施されたアンケートでございます。5月22日の本格実施からは接種回数も増えております。福岡市におけるワクチン接種につきましては、当初計画どおり進捗をしているところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 現場の苦労については言及されませんでしたが、島市長流の打ち上げ花火が医療機関に相当な負担を押しつけることになったわけです。現場の協力あってのことです。トップダウン方式は改めるべきです。
次に、接種会場の問題です。
本市においては、集団接種と個別接種とが並行して行われております。しかし、高齢者が集団接種会場であるマリンメッセB館まで時間と労力、交通費もかけてわざわざ接種に行く負担は大きく、予約可能な地域の医療機関へと予約が集中することとなりました。慌ててシャトルバスが手だてされたものの、天神の福岡市役所からしか乗車できず、利便性に欠け、ほとんど利用されておりません。
そこで、接種のスピードを上げるためには、遠くの大規模接種会場まで行ってもらうというこれまでのやり方を見直す必要があるのではないか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市のワクチン接種につきましては、約800か所の地域の身近なクリニックによる個別接種を中心に実施をいたしております。集団接種会場での接種を希望される方に対しましては、駐車場を十分に確保しますとともに、天神とマリンメッセを結ぶシャトルバスを運行するなど、来場される際の利便性の向上を図っております。また、今後は7区の集団接種会場が順次開設されてまいりますので、利便性は現在よりも高まっていくものと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 感染拡大防止のためには人流を抑制しなければならないのに、わざわざ多くの高齢者に距離の長い移動をお願いすること自体、矛盾しています。遠くの会場まで来てもらう医療スタッフにも負担をかけています。これは今後、各区1か所の会場に移行しても同じ問題です。
そこで、これまでの集団接種の考え方を転換し、身近なところ、例えば、公民館などを会場にし、近くの病院から当番制でスタッフに出向いてもらうやり方へ見直すなど、関係者と協議すべきだと思いますが、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市におけるワクチン接種につきましては、感染症や予防接種の専門家、福岡市医師会などによります接種体制検討会議の御意見も踏まえながら、約800か所の地域の身近なクリニックでの個別接種を中心として、市民の皆様が円滑に、そして、安心してワクチンを接種できる体制を整えてきたところでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 検討を求めておきたいと思います。
次に、出張接種についてです。
高齢者施設においては施設内で接種を受けられる出張接種が行われていますが、その進捗をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者施設への出張接種につきましては、対象となる575施設のうち、実施を予定しているのは427施設でありまして、そのうち6月14日現在で368施設で接種を開始いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これも急ぐ必要があります。併せて求めたいのは、障がい者施設や自宅で訪問診療を受けているような高齢者宅へも出張接種を広げることです。障がい者の中には、マスクを外してしまったりして、つけ続けることが困難な方もおり、感染リスクが高いという指摘があります。しかも、自力で予約もできないため取り残される危険もあり、施設ごとに受けさせてもらえないだろうかという切実な声が関係者から寄せられております。また、自宅から自力で出られない高齢者も現状では接種の権利が奪われています。
したがって、希望者全員に接種の権利を保障するためにも、出張接種の対象を障がい者施設や在宅の高齢者にも広げるべきではないか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 65歳以上の障がいのある方が入所する施設につきましては、出張接種を実施しているところでございます。また、自宅で介護を受けるなど、接種会場へ出向くことができない方につきましては、訪問診療を行っている主治医と連携の上、接種を行うなど、ワクチン接種の機会を確保する方策を検討してまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 障がい者施設にもそのような利用ができるということが周知されておりません。ぜひ改善を図っていただきたい。
予約は自己責任、行政は申請を待つだけというこれまでのやり方だけでは、ワクチン難民を生み、集団免疫も獲得できません。島市長は著書において、申請主義の下では制度の存在を知らない人、申請することに対し心理的、物理的なハードルがある人は制度を利用することができず、社会のセーフティネットからこぼれ落ちてしまうと述べ、申請主義からプッシュ型への転換を叫んでおられます。
したがって、言うだけでやらないというのは許されず、この考えをワクチン接種にこそ生かすべきだと思いますが、島市長の御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 私のほうから回答させていただきます。
福岡市のワクチン接種体制につきましては、感染症、予防接種の専門家、福岡市医師会等で構成する福岡市接種体制検討会議の御意見も踏まえて、より多くの方が安心して接種を受けられるよう、約800か所の地域の身近なクリニックでの個別接種を中心として、土日も含め対応可能な集団接種、高齢者施設等への出張接種と併せて計画的に進めております。なお、後期高齢者は特に9割がかかりつけを有していると答えておられますので、かかりつけの身近なクリニックでの個別接種を中心として計画的に進めていきたいというふうに考えております。今後とも、希望される市民の方がより早く安心してワクチン接種ができるよう体制の充実に努めてまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 漏れを残さないよう改善を求めておきたいと思います。
次に、コールセンターや大規模接種会場準備など、ワクチン接種業務全体の推進体制についてです。
私の調査では、包括業務委託をしていますが、業者選定方法、委託先、契約方法及び契約総額について説明を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 包括業務委託の事業者の選定につきましては、公募型プロポーザル方式による提案競技を実施し、応募のあった6件のうち、選考委員会による審査により最優秀提案者とされました日本トータルテレマーケティング株式会社と随意契約により契約を締結したものでございます。契約金額につきましては、令和2年度が1億9,417万7,384円、令和3年度が9月末までの履行期間で21億6,004万5,235円、合計しますと23億5,422万2,619円となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 24億円もの高額契約を随意契約で行っています。なぜ随意契約なのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) このたびの新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、ワクチンの供給時期や量が不明確な状況の中、供給され次第、速やかに多くの方に接種が行えるよう、優れたノウハウを持つ民間の力を大いに活用した接種体制を構築する必要がありますことから、令和2年度に公募型プロポーザル方式の提案競技を実施し、その最優秀提案者である事業者と随意契約を行ったものでございます。また、当該業務は令和3年度も継続して実施する必要がありまして、中途で委託先を変更すると著しい能率の低下、履行の遅れ等が生じることから、令和3年度も引き続き同一業者と随意契約を行ったものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 優れたノウハウを持っているかのように言われますけれども、この企業は業務の多くを別の企業に再委託をしているでしょう。その内容とそれぞれの金額をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 再委託の内容につきましては、接種券等の印刷業務について大日本印刷株式会社及び株式会社サンニチ印刷に、コールセンター業務の一部について株式会社Openに、予約システムの構築について株式会社サイシードに、集団接種会場の準備、運営について株式会社博報堂プロダクツ九州支社に、郵送データ作成のためのパンチ業務について株式会社電算に再委託がなされております。再委託の契約金額は、それぞれ予定額になりますが、大日本印刷株式会社については令和2年度が4,697万円、3年度が5,226万8,456円、株式会社サンニチ印刷については3年度のみで3,826万9,800円、株式会社Openについては2年度が2,384万円、3年度が1億6,500万円、株式会社サイシードについては2年度が2,024万4,400円、3年度が1,252万8,000円、株式会社博報堂プロダクツ九州支社については2年度が1,729万円、3年度が10億8,056万2,146円、株式会社電算については2年度のみで44万円となっております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 24億円で仕事を取って、そのうち約14億円をほかに丸投げ。国の持続化給付金をめぐって電通などによってほぼ全額が再委託、中抜きされて大問題になった事件や、本市の特別定額給付金におけるパソナ問題と同じ構図です。
そこで、これら受託業者が適切に業務をやっているのか検証したい。
4月の末に接種券等が高齢者に発送されました。先ほどの答弁によると、印刷業務はテレマーケティングから再委託された大日本印刷が行っています。ところが、この印刷物の中に大きなミスがありました。この接種のお知らせ、(資料表示)このチラシですね。このチラシの中に予約受付開始の期日が記載されていなかったんです。そのことにより、本来は5月12日からの予約受付開始なのに、ゴールデンウイーク前後からコールセンターや地域の病院に予約などの電話が殺到しました。行列ができた病院もあり、やむなく予約開始期日より早く予約を受け付けたところもあり、期日を守った高齢者との公平性を損ないました。
そこで、このミスの責任はどこにあるのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の接種券などの郵送物につきましては、大量の印刷等を行うために相当の準備期間を要する一方で、国からワクチンの供給時期や量がなかなか示されず、それによりまして市の接種スケジュールが固まらない中で印刷等の作業を先に進めざるを得ず、結果としまして同封したお知らせに予約開始日を記載することができなかったものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 印刷会社の責任とは言われませんでした。市の設計書では、接種券等印刷費の中に原稿作成費も計上されているはずです。その金額と印刷費等経費の設計総額をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 接種券等の印刷業務に係る令和2年度の福岡市の設計金額につきましては3,072万6,585円となっており、そのうち封入物の作成経費は90万円でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 3,072万円が総額で、うち90万円が原稿作成費として計上されているんですね。ということは、原稿の最終チェックの責任も当然この印刷会社にあるはずです。原稿のミスは明らかにこの印刷会社の責任。
したがって、大日本印刷に責任を取らせるべきではないか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の接種券などの印刷物につきましては、36万人分という大量の印刷、そして、その封入作業を行いますなど、相当の準備期間を要する一方で、国からのワクチンの供給時期、ひいては市の接種スケジュールが固まらない中で、やむを得ず印刷物等の作業を先に進めざるを得なかったものでございます。全体の作業工程上、こうせざるを得なかったというものでございまして、事業者の不手際というものではないと認識をいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 大きな混乱を生んだんですよね。国の責任か、市の責任か、業者の責任か、どう考えますか。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 繰り返しになりますが、接種券等の印刷物の印刷につきましては、大量のものを手がけますことから、相当の期間を要する一方で、ワクチンの供給時期、また、市の接種スケジュールが固まらない中で、やむを得ず作業を進めたものでございます。これは事業者の不手際というものではないというふうに認識をいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 答えていません。責任は誰かと聞きよります。
○議長(阿部真之助) 答弁できますか。舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) おただしの印刷物の不備などにつきましては、接種券に同封したお知らせに予約開始日を記載できなかった、このことについては確かに不備でありまして、反省すべき点であるというふうに認識をしております。ただ、大量の印刷物を印刷し、封入を要する全体の作業工程上、こうせざるを得なかったというものでございます。事業者の不手際とか契約上の問題とか、そういうものではないというふうに認識をいたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これは誰も責任取らんとですか。どれだけ現場でね、医療機関に迷惑かけとうですか。局長なり市長なり、これは一言この場でおわびされたらどうですか。重ねてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) おただしの印刷物の不備などにつきましては、市民の皆様や医療機関の皆様に大変御迷惑をおかけしまして申し訳なく思っております。この件につきましては、このことがありましたときに各医療機関のほうにおわびといいますか、お知らせの文書、それから、今後の徹底についての文書を発送しているところでございます。今後、このようなことがないように、しっかり進めてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 最初からそげん言やいいとですよ。
次に、さらに尋ねたい。市の設計額3,072万円に対して、実際に大日本印刷へ支払われるのは幾らなのか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 再委託先への支払いにつきましては、再委託承諾申請書に記されました契約予定額については承知をしておりますが、実際に支払われた金額については把握をしておりません。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 予定額は幾らですか。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 大日本印刷株式会社に支払われます契約予定金額につきましては、2年度が4,697万円、3年度が5,226万8,456円でございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 4,697万円、これは市が見積もった金額よりも1,600万円も上乗せされているわけです。普通、再委託の場合、元の積算額よりも少額しか支払われないケースが多いのに、ここは逆です。特段の理由があるのか。島市長は自らの著書の大宣伝を今しておられます。広告も見られた方も多いと思います。この本を印刷したのも大日本印刷なんですね。
まさかお手盛り契約の見返りに印刷費を安くしてもらったということはありませんよね、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 印刷所を、どこで印刷しているかまでは今初めて知ったぐらいでございますので、そういった事実はございません。以上です。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 知らなかったということですがね、そもそも市長が自分の個人的なビジネスに関わっている会社に市の業務を委託するという行為が行政の中立性を損なう重大問題ですね。
そこで、市長の政治倫理条例の第3条第1項第1号と第3号には何と書かれているか、お示し願います。
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市長の政治倫理に関する条例についてでございますが、第3条、政治倫理基準では、第1項第1号において「政治不信を招くことのないよう、品位と名誉を損なう行為を慎み、その権限又は地位のもたらす影響力を私的な目的のために行使しないこと」、第3号において「市民全体の利益の実現のために全力を尽くすことを基本とし、特定の者の利益を実現するために、職務執行上の有利な取り計らいをしないこと」を規定しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これね、市長は御存じなかったと言われましたが、どこかで忖度が働いとうかもしれんとですね。市長たるもの、私的なビジネスをしたいなら、権限を私的な目的のために行使しているのではないかとか、特定の者の利益実現のために動いているのではないかという疑念を生じさせない厳格な立場を取るべきだと指摘をしておきます。
次に、コールセンターの問題についてです。
市の設計書では従業者の給与について時給幾らで積算されているか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コールセンターにおける予約の受付や相談業務の従事者につきましては、時間単価1,850円と積算いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 1,850円。私が調べたところ、コールセンターの再委託先であるOpenの求人では1,300円となっています。
550円もの格差分をトータルテレマーケティングとOpenとが利益として分け合うということですよね、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 受託事業者からコールセンターの従業者に支払われている金額については承知をいたしておりません。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) そこが問題なんですね。利益を生み出す仕掛けはまだあります。
コールセンターの規模について、回線数とスタッフの数並びに開設期間についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コールセンターにつきましては、開設期間は3月9日から9月30日までで、回線数は15回線からスタートし、最大140回線、現在は100回線となっておりまして、回線数に見合う従事者を配置いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これは9月30日までずっと100回線程度のままでいく前提で見積もられているんです。しかし、予約開始当初は回線が全然足りずパンクしました。140回線と言うけれども、NTTが通信制限などを行った影響もありますしね、これはパンクしましたよ。高齢者に多大な負担と迷惑をかけました。
見通しが甘く、回線を増やす手だても取らなかった責任は受託事業者にあるのではないか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コールセンターにつきましては、高齢者接種の予約開始日に合わせて140回線に増強して対応に当たることとしておりましたが、NTTなどの通信会社が警察や消防への緊急通報を確保するため、全国的に各自治体のコールセンターの電話番号に対する通信制限を実施しましたことから、福岡市においても最大で同時に100回線程度の受電に制限されたものでございます。このため、予約開始当初は電話がつながりにくい状況にございましたが、数日で解消いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 見通しも含め、業務の適正な履行がされなかったわけであります。
今後、7月頭から64歳以下の一般接種の予約が始まります。その際にもまた混乱するのではないか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 64歳以下の方の予約につきましては、日常生活の中でスマートフォンやインターネットになじみのある方が多いものと考えておりまして、原則インターネット上の専用サイトからの予約をいただくことといたしております。また、予約の集中による混雑を回避するため、年齢区分に応じて段階的に予約開始日を設定するとともに、予約の方法や受付開始日につきましては、接種券に同封するお知らせに加え、市のホームページや市政だよりへの掲載などにより周知を図るなど、円滑に予約を受け付けられるようしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) そしたら、この一般予約のピークが過ぎた後、これは9月末まで100回線が必要なんですかね、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コールセンターの回線数につきましては、これまでの受電件数の推移、それから、今後の動向等を踏まえながら、事業者と協議の上、調整を行ってまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 100回線が7月から9月までずっと必要だという根拠は今のところ見当たらないわけですね。
したがって、今後、仮に体制や人員を100回線より縮小するなら、実態のない業務の対価を支払ってしまうことになるのではないか、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) コールセンターの体制につきましては、当初見込みの人員数等を設計書に記載しているものでありまして、事業者と協議の上、調整した結果、差が生じる見込みとなった場合には、これに応じた契約変更を行うことといたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 契約変更するということですね。これは初めて聞きましたが、これはそうならないとすれば、受託業者が回線を減らせば減らすほど利益を上乗せできるということになります。
こうなると、契約金額積算の土台が崩れ、最少の経費で最大の効果を挙げなければならないと定めた地方自治法に反するやり方ではないかと思いますが、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 委託契約につきましては、設計書の記載内容と実際の業務量との間に差異が生じる場合には、双方協議の上、契約変更を行い、実際の業務量に応じた委託料を支払うことになるものと考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 昨年はパソナのときには一切、これは指一本触れない形で市職員まで動員してもうけさせてやったということがありました。これは今回、受託業者が変わっただけで構図は同じだと思うんですね。
このように、住民の命を守る業務において、公金を使って大企業に利益を上げさせる仕組みには重大な問題があると思いますが、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチン接種事業に係る包括委託につきましては、公募型プロポーザル方式の提案競技を実施し、選考委員会による審査を経て、その最優秀提案者である事業者と適切に契約を行っておりまして、契約金額についても適正なものであると考えております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 委託費の中抜き問題とか、それぞれの業務の責任体制も見えなくなります。何が行われているか分からないやり方です。しかも、従事する労働者に実際に払われるのは、市の設定より大幅に低い賃金となっています。
労働者の本来の賃金をピンはねさせ、過剰な業務の見積りで大企業ばかり潤わせる、このような包括委託はやめ、労働者に適正な賃金を支払う直接雇用、そして、業務ごとに真に専門性のある業者に委託する分離分割発注を基本とすべきではないか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ワクチン接種事業につきましては、日々刻々と変化する多様かつ大量な事務処理に対応することが必要であるため、民間事業者のノウハウを生かしながら、一体的かつ効率的に業務を遂行できるよう、接種に係る各種業務を包括的に委託することが適当であると判断したものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 以上、ワクチン接種をめぐる問題についてただしてきましたが、受注企業がミスをしても利益を保障され、市民は予約で苦労させられ、遠くまで接種に行かされる。そして、その流れに乗れない市民は落ちこぼされ、ワクチン難民にさせられていくというのは重大問題です。
今後、一般接種も始まるに当たり、これまでの失敗の轍を踏まず、接種を希望する市民の予約の苦労を軽減し、医療現場にも過度の負担を押しつけることなく可能な形での協力を得ながら、安全かつ迅速な接種を実現できる手だてを取る責任を果たすべきだと思いますが、市長の御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におけるワクチン接種につきましては、感染症や予防接種の専門家、また、福岡市医師会などから成る接種体制検討会議の御意見も踏まえ、接種の安全性や利便性、ワクチン管理の効率性、さらには限られた医療資源の効果的な活用などの観点から検討を重ねたものであり、およそ800か所の地域の身近なクリニックでの個別接種を中心に、市民の皆様が円滑に、そして、安心してワクチンを接種できる体制を整えてきたところであります。今後とも、より多くの方に一日でも早くワクチン接種をしていただけるように、しっかりと取り組んでまいります。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 次に、検査の充実についてです。
ワクチン接種により集団免疫を獲得するためにはまだまだ時間がかかります。変異株の脅威もあります。ワクチン頼みで検査体制や感染防止対策を弱めることがあれば、第5波が7月にも襲うとの見方もあります。現在、陽性者数は減っているように見えるものの、病床使用率は高止まりし、予断を許しません。しかも、ワクチンを打たない子どもの感染も慢性的に広がり、連日、学校、保育所等では学級閉鎖などが行われてきました。目に見えない感染を早く見つけ出し、治療の手だてを取る以外にありません。判明している陽性者数が下降傾向にある今こそ、大規模検査戦略を取り、封じ込めを図るべきです。 我々は繰り返し学校や子どもの施設における面的検査を提唱してきましたが、本市においては、いまだに学校や保育園等での大規模検査には踏み切っておりません。一体なぜなのか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) おただしの無症状者に対するスクリーニング検査につきましては、大規模な検査が可能な民間サービスを活用して実施をいたしておりますが、その検査能力には一定の限りがあるため、重症化リスクや感染動向、国の通知などを踏まえ、医療、介護施設の従事者などを優先して実施しているところでございます。なお、学校や保育所等で感染が判明した場合には、接触者として施設内の職員や児童生徒などを速やかに、かつ幅広く検査を実施いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 相変わらずの答弁ですが、検査能力は市内で7,000件以上ある。余裕はありますよ。多いときには、これも不十分ですけれども、2,600件程度やった実績もあります。しかし、直近では五、六百件から1,000件程度にとどまっています。市役所駐車場の検査センターだって、ほとんど閉鎖されています。大体ですね、ワクチンについては保育士、教職員などに優先接種を開始したのに、検査はいまだ拡充しないのは矛盾です。
検査数も減っており、余力もある今こそ大規模検査へとかじを切り、抑え込みを図るべきではないか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策におきましては、感染者の早期発見、早期隔離、治療を図ることが重要であり、幅広く検査を行うことが非常に重要であると考えております。このため、民間サービスを活用して無症状者に対しても検査を拡充してきたところですが、その能力には一定の限りがあるため、重症化リスクが高い施設の従事者や感染が多発している地域などに重点化して検査を実施しているところでございます。今後とも、必要とする方が速やかに検査を受けることができるよう検査能力の拡充を図ってまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 残念ながらこれまでの国の対策も市の対策も、いずれも中途半端で失敗続きでした。島市長も基本、国の対策に追随し、独自の手だては不十分でした。
したがって、感染の封じ込めのためには、ワクチン接種の安全かつ迅速な推進、大規模検査、十分な補償を一体的に進めるべきではないか、この問題の最後に市長の御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市の検査体制につきましては、現在、市内6か所の地域外来・検査センターに加え、およそ600の身近な医療機関で診療、また検査が受けられるなど、整備、拡充を図ってまいりました。また、ハイリスクとなる医療、高齢者施設等の従事者には抗原定性検査キットを無料配布して定期的なスクリーニングを行いますとともに、学校や保育園などで感染が判明した場合には職員や児童生徒などに対して速やかに、かつ幅広く検査を実施するなど、早期発見に努め、感染の拡大防止を図っているところであります。今後、検査対象の拡大につきましては、民間の検査体制も含めた検査能力や医療資源の拡大に応じて、段階的、計画的に行っていくことが不可欠であり、新たな検査手法等の状況も見ながら、必要としている人が速やかに検査を受けることができるように検査体制の充実に努めてまいります。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 菅政権追随、危機感のない対応、非科学的なトップダウンの姿勢など、これまでの市長の姿勢を改めるよう強く求め、メーデーの名義後援拒否問題に移ります。
1886年5月1日、アメリカの労働組合が8時間労働制を要求してストライキ、デモ行進を行ったことが起源となった労働者の祭典がメーデーです。
我が国でも毎年5月1日前後に行われているメーデーの意義について、市長の御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) メーデーの意義につきましては、労働者の地位や労働条件の向上、権利拡大などのメッセージを発信する労働者の行事であり、労働者の福祉の向上に寄与するものと認識しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 労働者の権利擁護、地位向上を掲げて取り組まれる重要な祭典です。これまで福岡中央統一メーデーについては、実行委員会から市長宛てに名義後援の申請がなされ、承認されてきました。ところが、今回は4月30日、開催の前日に突然、不承諾との決定をして通知したのであります。
そこで、その経緯と理由についてお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 第92回福岡中央統一メーデーの名義後援申請を不承諾とした経緯につきましては、4月19日に主催者より最初の申請書を受領、書類不備などについて補正された申請書を4月28日に受領し、4月30日に決裁、同日、主催者に通知を行ったものでございます。
また、不承諾とした理由については、事業の内容が担当課の名義後援の承諾に関する取扱要領に定める承諾基準を満たさないと判断したことから、不承諾としたものでございます。具体的には、承諾基準では、事業の内容が政治的な立場等、特定の主義主張に立脚しており、かつ本市が名義後援を承諾することにより行政の中立性を損なうおそれがあると判断されるものでないことという要件に該当する必要がある旨を定めております。今回の名義後援申請については、主催者から提出された申請書などを確認しましたところ、デジタル関連一括法案の廃案や、来るべき解散総選挙では市民と野党共闘で政権交代実現を目指すという特定の主義主張に立脚したメーデー宣言が事業の内容に含まれており、福岡市が名義後援を承諾することにより行政の中立性を損なうおそれがあり、承諾基準を満たさないと判断したものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 政治的な立場等、特定の主義主張に立脚しているなどというのが理由です。本市においては、島市長の下で、2015年、平和のための戦争展について長年の名義後援の実績をほごにし、企画内容に難癖をつけて後援拒否が行われました。そのときに持ち出した理由は、今、局長が述べたのと同じ、特定の主義主張などでした。その後も市民団体が行う福岡大空襲展の名義後援を一旦承諾し、後に取り消すなど、ひどい対応を続けております。そのような中、ついに労働者の祭典にまでこの理由を持ち込んできたかと、関係者やメーデー参加者に疑問と怒りが広がっております。
昨年はコロナの影響でメーデー自体が中止されましたが、一昨年まではずっと承諾をされてきました。今回、突然の不承諾という対応はこれまでの対応と矛盾するのではありませんか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡中央統一メーデーの名義後援申請に関し、平成29年度、30年度、令和元年度に承諾し、令和3年度に不承諾としたことについてでございますが、平成29年度、30年度、令和元年度につきましては、名義後援の承諾に関する取扱要領に定める承諾基準に照らし、事業の内容が基準を満たすものと判断し、承諾したものでございます。また、令和3年度については、繰り返しになりますが、名義後援の承諾に関する取扱要領に定める承諾基準に照らし、事業の内容が基準を満たさないと判断し、不承諾としたものでございます。この対応の違いにつきましては、今回、改めて平成29年度、30年度、令和元年度の当時の申請書などを見直しましたところ、政治的な立場等、特定の主義主張の有無について、当時、資料内容の確認が不足していたものと認識しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 見過ごしとったと言われるわけですね。それなら、前回までは担当課長が決裁していたのに、今回初めて局長まで決裁を上げた理由をお尋ねします。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 今回、過去に承諾しているものを不承諾ということにすることについて、局長である私が決裁しております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) いや、違うんですよ。今年のだけ局長が決裁しとんですよ。過去のは誤りだったという決裁をあなたがしたわけやないでしょうが。今までの分はそのままなんですよ。今年、突然対応を変えて局長決裁になっとんですよ。もう一遍答弁してください。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 通常の場合、事業担当課の名義後援の承諾に関する取扱要領に基づき担当課長が判断を行うものでございます、通常の場合は。今回は平成29年度、30年度、令和元年度に承諾してきたものを不承諾とする事案であることを踏まえ、私、経済観光文化局長が決裁したものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 要するにね、今まではよかったけど、今年から駄目にするという重大な方針転換をしたんですよ。これは異常な対応ですね。これは前回まで承諾とされよった、その稟議書を私は見ましたけどね、申請書もしっかりと精査をして、提出資料を確認した上で決裁されています。提出資料として添付されたビラには「9条変えるな!戦争反対」とか「原発ゼロで再生エネへ」という記載もあるんです。それを承知の上で承諾しているんですよね。
そこで、その際、2017年から2019年まで過去3回分では、それぞれ名義後援を承諾することとしたしっかりした理由が書いてある。何と記載されているか、説明を求めます。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 平成29年度、30年度、令和元年度に名義後援を承諾した理由につきましては、当時の決裁文書によると、労働者の賃上げと雇用の安定、働くルールの確立、長時間労働の是正につながることを目指す事業であり、労働施策の推進に寄与すると認められるため、本市の後援は妥当と判断し、承諾したものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) まさにメーデーの掲げる太い幹であるところの理念が理解された適切な対応でしたよ。細かいスローガンなどの記載は問題にしていないんです。
まさに市民の表現の自由を尊重し、行政の中立を保った適切な対応だったと思いますが、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 名義後援の審査につきましては、催事の趣旨や全体としての内容が局が所管する業務の行政目的に合致していることを前提といたします。そして、その内容に特定の主義主張に立脚するものや特定の宗教を支持するものなどが含まれていないか、営利を目的としていないかなどを審査し、福岡市の後援名義の使用が妥当かどうかを判断するものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これまで3年間は局の姿勢に合致するということやった。そして、内容は大して変わっていないと言ったらいかんけれども、趣旨は今まで貫いてきたのと一緒ですよ、労働者の権利を守ると。それなのに、あなた方が突然変わったんですわ。
これね、武蔵野美術大学の志田陽子教授は、行政が中立を保つ本来の理由は、一般市民の自由を一定の政治的見解や価値観へと囲い込まないことにあるとし、政治的中立とは――よく聞いてくださいよ――この線引きを公権力担当者の側が守ることを意味すると述べておられます。つまり、集会の参加者や主催者が何らかの政治スローガンを掲げていても、その集会の趣旨が憲法が保障する市民の政治参加を促したり表現の自由を具現化したりするものである限り、その成功を後押しすることこそ行政の仕事だということです。
一部の政治スローガンや政治的立場に矛先を向け、それが含まれているから後援しないということこそ行政の中立性を損なうことだと思いますが、御所見を伺います。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 政治的な立場等、特定の主義主張がある場合に名義後援をしないことが行政の中立性を損なうのではないかというおただしにつきましては、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの印象を与え、行政の中立性が保てなくなるおそれがあるため、そのような内容が含まれる場合には、名義後援の承諾に関する取扱要領に定める承諾基準に照らし、事業の内容が基準を満たさないと判断し、不承諾とするものでございます。なお、福岡市が名義後援を行わないことが、主催者をはじめ、市民や団体の活動を制限するものではございません。あくまで当該行事が福岡市の名義を使用することを承諾するかどうかについて、名義後援の承諾に関する取扱要領に定める承諾基準に照らし、適切に判断するものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 市が応援していると誤解を生むと言うんなら、本市の立場ではありませんと一言添えればいいだけだと思いますけれども、いかがですか。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 繰り返しになりますが、特定の主義主張に立脚する事業を後援することで、福岡市がその主張を支持しているとの印象を与え、行政の中立性が保てなくなるおそれがあるためでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 同じ答弁を繰り返されますが、そもそも具体的な場面で、政治的な立場とか特定の主義主張という判断は誰が行うのか、説明を願います。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 先ほどの繰り返しになりますが、通常であれば所管課の課長が判断することになります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 判断する際の基準や根拠があるのか、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 政治的な立場等、特定の主義主張についての判断基準などにつきましては、政治的な立場等、特定の主義主張に立脚しており、かつ本市が名義後援を承諾することにより行政の中立性を損なうおそれがあると判断されるものでないことという要件に該当する必要がある旨を取扱要領に定めており、政策的に議論が分かれているテーマについて、特定の主義主張に立脚した内容を含んだものではないもの、具体的には、制度や法律、条例等の制定、改正、廃止、締結などについて賛成または反対を主張したり、求めたりするような内容が含まれるものではないことを判断の基準としております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 今の答弁からいくとね、これは恣意的な運用になるんですね。例えば、島市長は著書の中で、ある有識者が言っている「選挙の際、投票者の平均余命が長いほど票に重みをつける」という提案を引いて、若者の一票を高齢者の一票より重くするということを提唱しておられます。この名義後援の大本である総務企画局長は、この考えは特定の主義主張に当たると思われませんか、お尋ねします。
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 名義後援の審査につきましては、催事の趣旨や全体としての内容が局が所管する業務の行政目的に合致していることを前提といたしまして、その内容に特定の主義主張に立脚するものや特定の宗教を支持するもの等が含まれていないか、営利を目的としていないかなどを審査し、福岡市の後援名義の使用が妥当かどうかを判断するものでございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) これは定量的な判断ができるぴしゃっとしたものはないんですね。今、局長がおっしゃったように総合的に判断するということなんだけれども、その姿勢こそが局長や市長のさじ加減で判断される――場合によっては課長ということもあるでしょうがね、こういうことを示しているんですよ。市長は著書でね、福岡市長だけれども日本市長を自負しているとも書いています。私から見たらね、これは変わった考え方だなと思いますよ。でも、そういう考えもあるんでしょう。個人の思想であって、自由ですよ。しかしね、もし市長や局長が自分の主張を基準にして、ほかの考えや主張を裁き始めたら、これは大変なことになる。行政の担当者も主義主張や政治的立場は様々であり、そもそも何が中立かなんていう判断をする権限も能力もないはずであります。
したがって、根拠も示せない政治的中立を振りかざし、応援すべき市民の活動や表現活動に難癖をつける後援拒否の態度を改めるべきだと思いますが、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 名義後援の承諾につきましては、繰り返しになりますが、特定の主義主張に立脚する対象を後援することで、福岡市がその主張を支持しているという印象を与え、行政の中立性が保てなくなるおそれがある場合などは不承諾とするものでございます。今後も名義後援については、行政の中立性の確保などの観点から取扱要領に基づき適切に対応してまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) 今年のメーデーでいえば、デジタル関連一括法の廃案とか、市民と野党共闘で政権交代実現という表現がやり玉に上げられています。先ほど局長が述べたとおりです。あなた方が問題にしている特定の主義主張に立脚したものというのは、結局、時の政権の政策を批判するものにほかならない、こう思いますが、答弁を求めます。
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 具体的には、制度や法律、条例等の制定、改正、廃止、締結などについて賛成または反対を主張したり、求めたりするような内容が含まれるものではないことを判断の基準としております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中山郁美議員。
○50番(中山郁美) そんなこと言いよったらね、もう面白くも何ともない無味であるしかない、そういう集まり事しか福岡市は名義後援せんということになりますよ。名義後援できる催事そのものが極めて狭められていく。こんなのは福岡が長年やってきた名義後援と違いますよ。全く変質させている。おかしい話です。要するにどのような政治主張の団体であっても、様々な立場の活動を市が後援することで言論や表現は活発になるんです。あら探しをして、あなた方が言う中立でないものを後援から外していけば、社会にタブーを生み出し、自由な言論や表現を停滞させてしまいます。福岡市をそのようなまちにするのは絶対許されません。事もあろうに、労働者の祭典、メーデーにまで市長の偏狭な思想による名義後援不承諾という形の攻撃や差別をするなど言語道断であります。
したがって、特定の政治的立場を不承諾の根拠としている取扱要領とガイドラインは撤回し、見直すとともに、今年のメーデーについても不承諾を撤回し、名義後援すべきではありませんか、島市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市民の表現活動につきましては、憲法の保障する表現の自由の下、公序良俗に反する場合を除き、自由に行うことができるものであります。一方で、福岡市の名義後援については、行政の中立性を確保する必要があるため、全庁的なガイドラインを定めるとともに、今回のメーデーの名義後援についても、当該ガイドラインを踏まえ、所管局で定めた取扱要領に基づき対応したものでございます。今後とも、中立、公平な行政運営の下、適切に対応してまいります。以上です。
○議長(阿部真之助) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎)登壇 福岡令和会の浜崎太郎です。私は建物の脱炭素化について、マイナンバーカードについて、技術革新による障がい者のクオリティー・オブ・ライフ向上について、以上3項目について質問をいたします。
最初に、建物の脱炭素化についてお尋ねします。
皆様御承知のように、国は2050年までに脱炭素社会の実現を目指すと表明しています。我が福岡市も気候変動の影響による災害が頻発化、激甚化する中、市民の安全、安心を守り、気候に育まれた生活や文化を未来に継承していくため、環境省の呼びかけに応え、2040年度温室効果ガス排出実質ゼロを目指し、脱炭素社会の実現にチャレンジすることを表明いたしました。これからも住みよい地球を守り続けるために、市民と行政、一つになって進めていかなければならない事案です。脱炭素の質問は最近よく行っているんですが、今回は建物について質問をしていきます。
というのも、近年、ニュース等で脱炭素をテーマにした民間建築物の情報をよく目にします。御紹介しますと、5月14日の産経新聞の記事ですが、ゼネコン大手の大成建設は沖電気工業の工場建築に当たり、工場内の生産エリアで使用する空調や換気、照明設備など、施設全体で使う電力を自前で賄う独自の環境基準を策定したとありました。屋根に太陽光発電設備を取り付け、大成建設が同工場の消費エネルギーのデータを分析し、電力使用の運用改善を沖電気側に提案し、生産工場の温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現を後押しするとありました。
また、清水建設はネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ZEB認証を取得した金沢市の北陸支店新社屋で、屋根全体に敷き詰めた太陽光発電パネルや地下水を利用し、省エネタイプの照明、空調などを導入し、エネルギー消費を実質ゼロに抑えたとありました。この清水建設は、たしか光山副市長が以前お勤めになられていた会社と思いますが、この清水建設は、設計、施工を担当した全ての建物は基準値より平均で約20%の省エネを達成し、今後は50%の省エネを目指して技術開発を進め、ZEBで日本の未来を変えるとまで言われています。清水建設のとても有名な施工事例として、2013年に山梨県に竣工した生長の家さんの森の中のオフィスというのがあります。自然との共生をテーマに、八ヶ岳の麓に建設した新しい働き方を実践する日本初のゼロ・エネルギー・ビルで、山梨県産材を主に使用した大断面集成材による準耐火木造建築物で、大規模木造建築では日本初のFSC、森林認証制度プロジェクト全体認証を取得。自然エネルギーを活用し省エネ化を図り、太陽光発電、木質バイオマス発電、大容量蓄電池を設置し、マイクログリッド──大規模発電に頼らない電力の集合体により制御している。すばらしい取組を8年前に始められています。このマインドはぜひ行政建物に生かしていただきたいと私は感じています。
他の企業の御紹介として、三井不動産は2030年までに首都圏の全120施設の共用部の電力を再生可能エネルギー由来の電力に変えると発表し、1年間で一般家庭のおよそ6万9,000世帯の排出分の二酸化炭素を削減する効果があるとのことです。そのほか、三菱地所は丸の内の19棟の全電力を再生可能エネルギー由来に変更すると発表、森ビルの六本木ヒルズも同様の声明が発表されています。
このような動きを助長したのは、平成26年4月に閣議決定した第4次エネルギー基本計画で、令和12年までに新築建築物の平均でZEBを実現するという政策目標を設定し、基準を満たせば国の補助が受けられる仕組みとなっていることがあり、ZEBの認証件数は令和2年1月時点で323件と、今後増加が期待されます。そんなさなか、政府は先週の9日、国・地方脱炭素実現会議において、自治体や企業が温室効果ガス排出実質ゼロへの中長期的な計画を進められるよう、国はこれまでの資金支援を見直し、複数年度にわたる支援のスキームを構築すると表明し、2040年までに国と自治体の建築物等のうち設置可能なもの全てに太陽光発電を導入する計画を盛り込んだとありました。また、民家に対しては、初期費用の住民負担なしで太陽光パネルを設置するビジネスモデルを普及させ、2050年までに全家庭で電力を自給自足するとの目標も盛り込んだそうです。今から大きな動きが始まります。
お尋ねしますが、そもそもZEBとはどういったものか。
福岡市においてZEB認証を受けた建築物はどれぐらいあるのか、お尋ねします。
また、天神ビッグバンや博多コネクティッドにおいて建築される建物はZEB化などの環境負荷低減に向けた動きはあるのか、お尋ねします。
ビルというものは、一度建築すると60年以上使い続けるのが一般的ではないでしょうか。これからの技術革新のスピードを考えれば、新築しても最先端の技術を導入していなければ、すぐに古ぼけてしまうことも想像できます。これからの脱炭素社会に向け、ぜひZEB化された建物が多く建てられることを望みます。
福岡市は市有施設の整備に対し、温暖化対策の観点から、これまでどのような取組が行われてきたのでしょうか。また、現在建設中の博多区役所や早良南地域交流センターではどのような環境対応がなされているのか。さらに、これから新たに整備される学校校舎や南部療育センターなど、今後の市有施設について、ZEB化を含め、どのような脱炭素の動きを行っていくのか、お尋ねします。
また、リフォームにおいてもZEB化は認められていると思います。久留米市の環境部の庁舎がZEB認証を取得したとネットにありました。50キロワットの太陽光発電と90キロワットアワーの蓄電池、床の断熱と真空ペアガラス、LED照明、高効率パッケージエアコンを導入し、達成しています。この効果として、温室効果ガスの削減量は平成30年度と比べて約80%の削減を見込み、太陽光、蓄電池の導入で停電時の業務継続が可能となっています。また、通常の空調改修と比較し、20年間で4,000万円の費用対効果でプラスとなるそうです。総事業費は約2億500万円で、うち1億3,000万円は何と環境省の補助金を受ける予定となっています。
福岡市の市有施設もリフォームによる脱炭素への取組も可能と思いますが、計画などはないのか、お尋ねします。
また、民間のZEB化リフォームについても、広く周知を行い、ZEB化を広めていくべきと思いますが、その状況についてお尋ねいたします。
次に、マイナンバーカードについてお尋ねをいたします。
昨年の9月、菅総理は就任記者会見で「行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカードだ。役所に行かなくてもあらゆる手続ができる社会を実現するためにはマイナンバーカードが不可欠だ」と言われています。マイナンバーカードに付随している金色のICチップにより、パソコンやスマホで本人証明ができ、役所まで行かなくても行政手続ができる機能がついてくるということです。コンビニでの住民票や印鑑証明の取得などはもちろん、私も含め、多くの人が確定申告をマイナンバーカードを利用して行っていると思います。この確定申告は本当に便利になったと感じます。以前は税務署に出向き、大混雑の中、やっと申告していた嫌な思い出がありますが、今はオンラインですっと申告ができています。
私にとっては、こんなにも便利でいいものかとしか思っていないのですが、なかなか国全体で一斉にとはなっていません。しかし、先日、デジタル改革関連法案が参議院本会議で賛成多数で可決成立しています。計6種64本から成る法改正は、デジタル庁新設や緊急事態におけるマイナンバー利用範囲の拡大、マイナンバーと公金受け取り口座の任意登録、マイナンバーカードの利便性向上策、個人情報保護制度の見直しなどが盛り込まれたそうです。今後の施策に大いに期待するところでありますが、特にマイナンバーカードにおいては、多くの市民に保有していただかないと、市全体として最大限の効果が発揮できないと感じています。
まず、福岡市の考えをお聞きします。
マイナンバーカードを市民が持つメリットは何なのか。普及することで行政側のメリットは何なのか。
それから、福岡市のマイナンバーカードの申請率と、他の政令市と比較して多いのか少ないのか。
福岡市はそもそも普及したほうがいいと感じているのか。
全国の申請率が高い自治体は何か特別な取組を行っているのか、事例についてもお尋ねいたします。
次に、技術革新による障がい者のクオリティー・オブ・ライフ向上についてお尋ねします。
最初に、この写真を御覧いただきたいです。(パネル表示)スウェーデンのペルモビール社の電動車椅子です。F3コルプスという型番です。四輪独立サスペンションや優れた重量配分による抜群の安定感、最大30度の前傾ティルト──一番端っこのほうにあるやつですね──や、ほぼ180度のリクライニング機能を搭載しています。そして、この車椅子の最大の特徴は、上に30センチリフトアップできることです──この一番左側にあるですね、30センチリフトアップをするということです。一番下げた時点で座高面が45センチ、そこから30センチアップするとのことですので、合わせて75センチの高さにまで行きます。それにプラス利用者の座高、例えば、私の場合、座高が95センチでしたので、ちょうど170センチの方と同じ目線で向かい合うことができます。これならファストフード店で台の上のメニューを見ながら注文もできます。リフトアップしたまま自走、走ることもできます。非常にすばらしい。前傾のティルト機能があれば、銀行ATMも利用できます。通常の車椅子では手が届きません。
次に、こちらの写真を見ていただきたいと思います。(パネル表示)同じペルモビール社のF5VSというスタンディング機能を搭載しています。座位からスタンディングに至る全ての姿勢で走行が可能で、スタンディングによる健康増進効果や医学的効用が期待されるそうです。そうでしょう、エコノミー症候群などがありますから、そう思います。そして、目線を高くしてコミュニケーションを促進、届く範囲を広げることでもたらされる社会的、心理的恩恵があるとのことです。ホームページを見ると、この電動車椅子に乗って、おすし屋さんで、障がいを持たれた大将がこれでおすしを握って商売をされているというのが出ています。こんな車椅子を造ろうというすごい技術と、すごい思いですね、これらは、利用する障がいを持つ方々の意見や気持ちを採用して、クオリティー・オブ・ライフの向上のために造られてきたものと思います。当然、日本メーカーにも電動車椅子はあり、座面の昇降機能はあるんですけれども、日本メーカーには1台でティルトとリクライニング、座面昇降、スタンディング全てを持ち合わせた車椅子はないとのことです。
先日、西日本新聞に記事が出ていました。多機能車椅子の補助どこまでという記事です。東区に居住する御家族で、特別支援学校に通う小学6年生の息子さんにこのペルモビール社の電動車椅子を購入したいが、国の補装具補助の基準価格と実際の価格が大きく乖離しているようです。この車椅子を使用することによって身体の同じ箇所への長時間の負荷による褥瘡──床擦れみたいなものですね、褥瘡も回避できるし、リハビリの先生からも効果が期待されると言われているそうです。
まずお尋ねしますが、障がいのある方に対しての補装具の支給制度について、内容と対象者と自己負担額についてお聞きします。
また、補装具の支給可否を決定する過程と基準をお尋ねいたします。
以上で1問目を終わり、2問目以降は発言者席にて行います。
○議長(阿部真之助) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 建物の脱炭素化に関する御質問にお答えいたします。
まず、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、いわゆるZEBと呼ばれる建築物とは、断熱性能の高い外壁の使用や自然採光の活用、エネルギー効率が高い空調設備の導入などにより、大幅な省エネルギー化を実現した上で、太陽光発電などで電気をつくり、その建物に必要な年間のエネルギー消費量との収支をゼロとすることを目指した建築物のことでございます。
次に、福岡市内でZEB認証を受けた建築物の数につきましては、ZEBの認証は建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に基づく、建築物省エネルギー性能表示制度において行われており、関係機関のホームページで把握できている認証施設が12施設ございます。
次に、市有施設の整備及び改修につきましては、これまで市有施設の整備に当たりましては、福岡市市有建築物の環境配慮整備指針に基づき、天井裏への断熱材施工やエネルギー効率が高い空調設備の導入などによる施設のエネルギー消費量の削減のほか、再生可能エネルギーの導入などを建築物の用途に応じ進めてまいりました。これにより、令和3年3月末時点で188か所の施設に太陽光発電設備を設置いたしております。さらに、現在建設中の博多区役所新庁舎につきましては、福岡市の市有施設としては初めて、エネルギー消費量を基準より50%以上削減したZEB Readyの認証を受けており、また、早良南地域交流センターにおいては、太陽光発電設備を設置するほか、断熱材や複層ガラスの利用などにより省エネルギー化を図っております。
また、市有施設の改修に当たりましては、その施設の改修内容に応じて、新築の場合と同様に整備指針に基づき、空調設備の改修において個別空調へ変更を行うなど、施設の省エネルギー化などに取り組んでおります。今後も引き続き、施設の整備や改修に当たりましては、施設のエネルギー消費量のさらなる削減や再生可能エネルギーの導入に取り組むとともに、整備指針の内容の見直しについて検討を行ってまいります。
次に、民間ビルの省エネ改修につきましては、経年劣化により効率が低下した旧式の空調機器などを更新することで光熱水費の削減が図られることもあり、各事業者において取組が進められているところでございます。福岡市におきましては、事業所省エネ計画書制度による専門家の派遣などの実施により、事業所の自主的、計画的な省エネルギー化の取組を支援するとともに、その利用者に対し、ZEB化改修を含め、国の補助制度を紹介いたしております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 西野住宅都市局長。
○住宅都市局長(西野 仁) 建物の脱炭素化についての御質問にお答えいたします。
都心部につきましては、更新時期を迎えた民間ビルが多いことから、天神ビッグバンや博多コネクティッドにおいて、市独自の容積率緩和制度を活用しながら、環境負荷を低減する取組を誘導しております。具体的には、換気時における温度変化を抑えるシステム、省エネ性能の高い空調、人感センサー、照度制御システムを採用した照明設備、断熱性能の高い複層ガラスの導入や太陽光発電による再生可能エネルギーの活用、緑化などによるヒートアイランド対策に資する取組などが民間事業者により行われております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカードについての御質問にお答えいたします。
マイナンバーカードを市民が持つメリットについてでございますが、マイナンバーカードは身分証明書としての利用のほか、カードを活用してコンビニエンスストアで証明書交付サービスを受けられるとともに、税の申告や児童手当の現況届の提出など、インターネットを通じた各種手続の利用が可能となっております。これに加えまして、令和3年4月から新たな電子申請システムの本格運用を開始し、カードを活用して住民票の写しや納税証明書等の交付申請が自宅や外出先などからいつでもスマートフォンで簡単にできるようになっております。また、普及することによる行政側のメリットといたしましては、マイナンバーカードを活用した行政手続のオンライン化を推進することで業務を効率化し、生産性を高めることができると考えております。
次に、福岡市のマイナンバーカードの申請率と他の政令市との比較につきましては、令和3年5月末現在での申請数は74万3,250件で、人口に対する申請率は約47.8%となっており、20政令市中で10番目となっております。
次に、マイナンバーカードの普及についてのお尋ねでございますが、マイナンバーカードはマイナンバーの確認と身元確認を1枚で行うことができ、官民や分野を問わず、対面でもオンラインでも確実な本人確認手段として利用可能なものとなっております。このカードを活用することで、先ほど答弁いたしましたように、市民が様々なメリットを受けることができるなど、市民の利便性向上や業務の効率化、区役所窓口の混雑緩和を図る上で有効な手段となっていることから、その普及促進に取り組んでいるところでございます。
次に、全国の申請率が高い自治体の取組事例につきましては、福岡市でも実施しております、公民館などの身近な場所へ出向き、申請手続の補助や受付等を行う出張サポートなどが行われております。その他の特別な取組としましては、比較的人口規模の小さい自治体では、マイナンバーカードを申請した方へ商品券を配付する事例などがございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 技術革新による障がい者のQOLの向上についてお答えをいたします。
まず、補装具支給制度につきましては、身体障がい児・者や難病患者の身体機能を補完または代替するものとして、車椅子や補聴器など補装具の購入、修理に係る費用の助成を行うものでございます。次に、対象者につきましては、国の通知において補装具の種目ごとに支給対象となる方の障がいの部位などが定められております。次に、自己負担額につきましては、所得に応じた負担上限月額が定められており、市民税非課税世帯の方は無料、市民税課税世帯の方は費用の1割または負担上限額である3万7,200円のいずれか低いほうの額となります。
次に、支給可否を決定する過程につきましては、区で申請を受け付けた後、障がい者更生相談所において、医師の意見等を踏まえて当該補装具の要否の判定を行った後、区が決定を行っております。また、その基準につきましては、補装具の種目によって異なり、国の基準に基づき支給可否の判断を行っております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎) 建物の脱炭素化についてですが、福岡市中の建物がZEB化されれば、かなりの脱炭素化に近づきますし、市民意識も高まると思います。そこでネックとなるのが初期投資費用と導入後の経費です。
国のZEB化の補助金の額と、それを受ける条件についてお尋ねします。
また、導入後の経費削減ですが、我が市においては貴重な収入である固定資産税ではありますが、ZEB化することにより固定資産税の減額などの措置が受けられるなど考えられないのか、また、全国で似たような事例がないのかをお尋ねいたします。
次に、マイナンバーカードについてお尋ねします。
昨年の一律10万円給付の配付時に振込先の通帳がマイナンバーにリンクされてあれば、オンライン申請による早めの給付ができたという話がありました。しかし、この通帳がリンクされていればという内容が多くの市民に不審を与えたこともあるかもしれません。例えば、個人の収入を全て把握されてしまうとか、個人情報を丸裸にされてしまうとか、負のイメージにつながったような気もします。マイナンバーカードを持つことの不安を取り除き、事実をしっかり市民に伝えないと普及100%には近づかないと感じます。そんなとても大切なマイナンバーカードのセキュリティーですが、今年の3月、佐賀市のホームページでマイナンバーカードや運転免許証などの個人情報が写った66人分の画像データが1年半もの期間で外部から閲覧できる状況であったとの報道がありました。
これはホームページのセキュリティーの問題だと思いますが、マイナンバーカードにはどのようなセキュリティー対策が行われ、福岡市はどのように市民に安心を提供していくのか、お尋ねいたします。
次に、技術革新による障がい者のクオリティー・オブ・ライフ向上についてお尋ねします。
電動車椅子についてです。いろいろ私もお聞きしてきました。例えば、国の基準の車椅子に基準以外の機能、先ほどの昇降機能やスタンディングなどのプラスされる機能は、その部分だけを自己負担でよいとする自治体と、基準を超えた機能がついている車椅子は全て補助対象から外れる自治体があるとのことでした。市民からすると、一体どうなっているんだとしか思えません。先ほど紹介したスタンディング機能つきの車椅子は350万円を超えます。仮に国の基準まで補助が取れて、補助が100万円受けられたとしても、残りの250万円は手出しとなります。国の基準が当然あり、それに準じて決められていくものです。しかし、特例という支給が認められる場合があると先ほどの新聞記事にもありました。
特例補装具の制度について、その内容、そして支給可否の基準をお尋ねします。
以上で2問目を終わります。
○議長(阿部真之助) 田環境局長。
○環境局長(田浩輝) 建物の脱炭素化に関する御質問にお答えいたします。
ZEB化に関する国の補助制度につきましては、環境省と経済産業省においてZEB実証事業として実施されております。その補助金額については、従来の建築物と比較して50%以上の省エネルギー化を達成した上で、再生可能エネルギーの導入を合わせることで100%以上の削減が必要とされている最も高い性能の区分に該当するZEBにおいては5分の3の補助となっているなど、建築物のエネルギー消費性能を条件として補助対象経費の3分の1から3分の2の範囲内で定められております。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 建物の脱炭素化のうち、民間ビルのZEB化に対する固定資産税の減額措置についてお答えします。
脱炭素化の取組に対しましては、地方税法に基づく全国的な措置として、省エネ改修住宅や特定再生可能エネルギー発電設備に対する減額措置がございますが、お尋ねのZEB化に対しましては、地方税法に基づくもの、また、政令市の独自減免、いずれも事例はございません。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカードのセキュリティー対策についてお答えいたします。
マイナンバーカードに内蔵されたICチップには、税や年金などのプライバシー性の高い個人情報は記録されておりません。また、マイナンバーカードは顔写真つきの身分証明書であることから、他人が成り済まして利用することはできないものとされております。加えて、カード本体やICチップにも偽造防止のための様々なセキュリティー対策が施されております。カードを持つことに不安を感じている市民に安心していただけるよう、今後とも、カードの安全性について周知を図ってまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 技術革新による障がい者のQOL向上についてお答えをいたします。
特例補装具につきましては、障がいの状況や生活環境、その他真にやむを得ない事情により国の基準に定められた型式等に該当しない補装具を支給する必要が生じた場合、障がい者更生相談所の判断に基づいて、特例として支給できるとされているものでございます。支給の可否につきましては、医師の意見等も踏まえ、日常生活や学校生活を含む社会生活において真に必要なものであるかという観点から、個々のケースに応じて判断するものでございます。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎) 3問目です。建物の脱炭素化についてお尋ねします。
脱炭素の取組は自分たちのために、自分たちの後世のために当然のごとくやるのが当たり前のことと思っています。そして、民間の動きを加速させるためにも、福岡市が率先して活動し、世の中を牽引していくべきと感じています。
最後に、福岡市自身の今後の脱炭素化に向けた意気込みを、環境局を所管している中村副市長にお尋ねして、この質問を終わります。
次に、マイナンバーカードについてお尋ねします。
私はマイナンバーには大きな期待をしています。そして、何より、このコロナ禍において市民はマイナンバーカードの必要性を前より感じているのではないでしょうか。申請率を向上させるときは今かもしれません。
今後、マイナンバーカードはどのような発展を遂げるのか、国の方向性と福岡市の普及に向けた取組、それを利用した市民生活の向上への施策をお尋ねして、この質問を終わります。
最後に、技術革新による障がい者のクオリティー・オブ・ライフ向上についてですが、障がいを持つことは全ての人にあり得ることです。例えば、私ですが、これから交通事故にいつ遭うか分かりません。家族がいつ障がいを持つかも分かりません。生まれてくる孫が障がいを持つかもしれません。みんないつでも障がいと関わる可能性があります。電動車椅子が購入できても、それを使って家族でお出かけするのに車が必要です。大型のリフトつきとなるでしょう。消費税は免税されるみたいですが、リフトへの補助は少額と聞いています。大きな手出しとなるでしょう。やはりいろいろと費用がかかります。補装具の支給可否については、障がい者更生相談所が責任を持って判断されるものなので何も言えませんが、誰もが住みやすいまちにさらになるよう要望して、この質問を終わります。
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカードについての御質問にお答えいたします。
まず、国の方向性でございますが、令和4年度末にはほぼ全国民に行き渡ることを目指してカードの普及を推進しており、電子証明書のスマートフォンへの搭載、健康保険証としての利用や運転免許証との一体化など、カードの利便性の向上を図っていくこととされております。
次に、福岡市の普及に向けた取組としましては、公民館などの身近な場所へ出向き、申請手続の補助や受付等を行う出張サポートを令和2年8月より実施しておりますが、令和3年度は公民館などのほか、地域の団体等が希望される場所に出向く出前サポートを新たに実施するとともに、実施回数を令和2年度の約400回から800回程度へ倍増する予定としております。
次に、カードを利用した市民生活の向上への施策としましては、関連する局や区と連携しながら、スマートフォンでのオンライン申請など、マイナンバーカードの活用による市民サービスの利便性向上に取り組んでまいりたいと考えております。マイナンバーカードはオンラインで確実に本人確認ができ、デジタル社会を支える基盤となるものであり、福岡市におけるデジタルトランスフォーメーション、DXを推進する上でも重要な役割を担うことから、その一層の普及に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) 中村副市長。
○副市長(中村英一) 建物の脱炭素化についての御質問にお答えをいたします。
福岡市におきましては、気象災害など、気候変動が及ぼす安全、安心への懸念から、世界が目指すカーボンニュートラルに積極的に貢献をいたしますため、2040年度を目指したチャレンジを行っているところでございます。浜崎議員御指摘のとおり、建築物は使用期間が長く、その性能、特性は長期にわたり固定されますことから、建築物の脱炭素化は、今後、取組の充実強化が求められる分野でございます。
現在、国土交通省において脱炭素社会に向けた住宅、建築物の省エネ対策等の在り方についての検討が進められているところでございまして、福岡市におきましても、その方向性を踏まえながら、より早い達成に向けて公共施設の環境対応の推進に取り組んでまいります。今後とも、持続可能な都市の成長を目指し、市民、事業者の皆様と連携しながら、市役所が率先して脱炭素社会の実現に取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(阿部真之助) お諮りいたします。
本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明17日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(阿部真之助) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次の会議は明17日午前10時に開きます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時20分 散会