令和2年12月11日(金)

令和2年第6回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第2号)
                             12月11日 午前10時開議
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  平 畑 雅 博       8番  伊 藤 嘉 人
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  阿 部 真之助      12番  勝 山 信 吾
13番  川 上 多 恵      14番  淀 川 幸二郎
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  久 田 章 浩
保健福祉局長  舟 越 伸 一   環境局長  細 川 浩 行
経済観光文化局長  天 本 俊 明   農林水産局長  中 村 健 児
住宅都市局長  石 橋 正 信   道路下水道局長  駒 田 浩 良
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  山 下 周 成
会計管理者  中 村 郁 子   教育長  星 子 明 夫
教育委員  西 村 早 苗   選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子
人事委員会事務局長   田 浩 輝   監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  藤 田 英 隆   議会事務局次長  金 子 佳 史
議事課長   着 一 孝   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。落石俊則議員。
 
○60番(落石俊則)登壇 おはようございます。私は福岡市民クラブを代表し、学校の実効ある働き方改革の推進について、高齢者の就業支援についての2点について質問します。
 初めに、学校の実効ある働き方改革の推進についてです。
 教職員の時間外労働や病気休職者の増加は各報道で取り上げられるなど、今や社会問題となっています。社会環境の変化により、学校教育への期待が多様化する中で、多くの教職員が仕事に対する強い不安やストレスを感じ、職場のメンタルヘルス対策が重要な課題となっています。本市では2010年に第1次福岡市立学校教職員心の健康づくり計画が策定され、2015年には第2次計画、2019年には第3次計画が順次策定されました。
 そこで、第2次計画期間中の2015年度から2018年度までの休職者総数、そのうち心の病気による休職者数、あわせて、第3次計画が策定された2019年度並びに本年度の休職者数と心の病気による休職者数をお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 平成27年度から平成30年度までの休職者の総数は283名、うち心の病気による休職者の総数は197名でございます。令和元年度の休職者数は103名、うち心の病気による休職者数は77名、令和2年度は10月末までで休職者数は65名、うち心の病気による休職者数は45名でございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 学校現場からは、中途退職者、とりわけ若い教職員の退職が増えていると聞いています。
 2015年度から本年度までの中途退職者総数、うち新規採用者並びに経験5年以下の退職者総数をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 平成27年度から令和2年10月末までの中途退職者総数は98名、そのうち新規採用者は23名、2年目から5年目の職員は26名となっております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 昨年度までの5年間の休職者総数が386人、うち心の病気による休職者総数は274人で、70%にも上っています。また、2015年度から本年度までの中途退職者総数98人の半数、49人が新規採用者を含め経験5年以下の若い教職員です。学校がブラック企業並みとやゆされるように、憂慮される実態です。新規採用者などを対象にした研修が過度の負担になっていないか、適宜検証するよう要望しておきます。
 担任の先生などが長く休んだり、中途退職したりした場合、子どもたちも保護者も動揺し、特に子どもたちは、自分たちはどうなるのだろうかと学校生活に落ち着きが見られなくなります。早急に代わりの先生を配置する必要がありますが、代替配置が大幅に遅れています。
 配置が遅れている要因は何なのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員の代替配置については、児童生徒数の増に伴い、学級数が増加したことや、産前産後休暇や育児休業を取得する教職員が増加したこと、コロナ対策としての国の第2次補正予算に基づき30人の緊急加配を行ったことなどにより、必要な講師の数が増加したため、一部の学校で配置の遅れが発生しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 本年度は10月末時点で休職者が65人との答弁でした。
 12月1日現在で代替配置が遅れている学校の対応状況はどうなのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員の代替配置が遅れている一部の学校については、既に学校に配置している加配教員を担任とするなどの対応を行っております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 代わりの先生が配置されるまでの数週間、学校の現有人員で対応しなければなりませんが、加配教員を担任に充てるために学校ではどのように対応しているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 加配教員を担任に充てた学校では、少人数指導や専科指導を一時的に縮小して対応しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 代替配置が遅れることにより、少人数指導や専科指導に影響が出ています。子どもたちの学びを保障するためにも、教職員の健康維持の対策が肝要です。第3次心の健康づくり計画では、教職員に占める心の病気による休職者数の割合を2024年度までに0.45%にすることが明記されました。
 第1次、第2次の目標値と実際の数値はどうだったのか、また、直近の全国平均値と政令市の平均値をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 第1次計画は教職員に占める心の病気による休職者数の割合を平成25年度までに0.75%以下とすることを目標としていますが、実績は0.68%と目標を達成しております。第2次計画は平成30年度までに0.59%以下とすることを目標としていますが、実績は0.86%となっております。また、直近の平成30年度の全国平均値は0.57%、政令市の平均値は0.67%でございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 第1次、第2次の心の健康づくり計画では、心の健康の保持増進と予防対策、早期発見と早期対策、再発防止と職場復帰支援の3つの取組が挙げられていましたが、具体的にどのような取組をされたのか、その成果と課題についてはどのように評価されているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) これまでの取組については、職場研修や管理監督者向けのメンタルヘルス研修、各種相談窓口における相談事業、職場復帰訓練や教職員健康管理専門員による学校訪問面談などの復職支援事業を実施しております。第1次計画及び第2次計画の取組により、平成28年度まで教職員に占める心の病気による休職者数の割合が減少するという一定の成果がありましたが、その後、休職者数の割合が増加したことや経験年数の短い教職員に対する支援などが今後の課題であると考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 心の病気による休職者数の割合は、相談事業等により、一定の成果があったとのことですが、先ほどの答弁では2017年度0.7%、2018年度0.86%と、目標値0.59%を超え、全国平均値0.57%、政令市0.67%をも上回っています。本年、2020年度は10月31日時点で既に休職者が45人で、昨年の77人の半数を超えています。
 ここ数年で増えている要因についてどのように分析されているのか、また、本年度の場合、新型コロナウイルス感染対策としての突然の全国一斉休校や学校全面再開後の対応など、肉体的疲労、心労が重なっていることと推測されますが、どのように分析されているのか、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 心の病気による休職者の割合が増えている要因については、心の病は様々な要因が関連して発症する場合が多く、一概には判断が難しいところですが、本人の申立てや診断書の分析では、ここ数年、職場の人間関係や生徒指導、保護者対応などの仕事上の悩みが多くなっております。令和2年10月末の心の病気による休職者数は45名で、前年同月より6名減少しており、新型コロナウイルス感染症と休職者数との関係については明らかではありません。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 休職者が昨年より減っているとはいえ、現時点で僅か6人の差です。学校は教材研究やいじめ・不登校児童生徒への対応、保護者への対応など、教職員同士の支え合い、共助で成り立っている業務がほとんどで、多忙化と長時間労働で、その支え合う機能が崩れかけていることが病休者、退職者を生む大きな要因となっていると言えます。さらに、体調に異変を感じた教員にとっては、代替教員の配置が遅れていることから、自分が休むことで子どもたちや同僚に迷惑をかけられないとの思いから、病気休暇を取ることをためらわせ、結果として症状が重くなり、長期休職を強いられるという事態を招いています。
 第3次計画では、新たに長時間勤務の解消に向け、働き方改革の推進が掲げられ、2019年10月には勤務実態調査が行われています。前回、2014年の実態調査と比べ、在校時間、休憩時間、持ち帰り業務時間はどのようになっているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 昨年10月に実施した教職員の勤務実態調査の結果については、教員の在校時間は平均10時間30分程度で、前回調査と比較すると30分程度の短縮となっております。休憩時間については、全ての学校において45分間を確保しております。採点などの業務を自宅で行った職員の従事日における平均時間は小学校は1時間43分、中学校は2時間2分で、前回調査と同程度でございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 本年4月1日より、福岡市立学校の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例が改正され、勤務時間外の上限は、学校事故等への対応など臨時的な特別の事情を除き、月45時間、年間360時間となりました。昨年の勤務実態調査では、在校時間は30分短縮されたとはいえ、1日平均2時間の超過勤務で、月に換算すれば40時間にもなります。しかも、平均的な数値であることから、大半の教員が超過勤務をせざるを得ない状況にあることを示しています。また、休憩時間は45分確保されているとしていますが、労働基準法上、当然のことで、問題は、授業準備や諸会議で体を休める時間が十分に取れていないことです。さらに、自宅への持ち帰り業務がいまだ約2時間前後もあることは問題です。さらなる実効ある働き方改革のための方策が必要です。
 4月より出退勤管理ツールの活用を含めた労働安全衛生体制整備やスクール・サポート・スタッフ、部活動指導員の配置拡充などが措置されましたが、学校一斉休校の期間が終わって6か月経過したものの、学習の遅れを取り戻すための過密な授業日程が続き、教室等の消毒にも注意を払わなければならない状況にあります。
 教職員の負担軽減として、学校消毒のための運営補助員の配置が6月議会で予算措置されましたが、11月1日時点で18校がいまだ配置されていません。学校任せにすることなく、教育委員会として支援すべきですが、所見を伺います。また、今月よりタブレット端末を活用した授業が始まりました。ICTの活用は一朝一夕では進まず、学習効果を高めるためにも教員の研修の時間確保が必要であり、各学校での校内研修の効率化を図るとともに、サポート体制の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校運営補助員については、11月1日時点で全225校中207校に配置しておりますが、未配置校につきましては、求人情報の登録や地域などへの働きかけを継続し、引き続き人材確保に努めてまいります。
 ICTの運用に関する教員の研修については、対面研修を各校のリーダー教員等に限定して行い、その他の教員については随時オンラインで研修動画を配信するなど、研修の効率化と教員の負担軽減を図っております。また、教員のICT活用のサポートを行うICT支援員を12月から配置し、各学校に週1回訪問して支援を強化しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 学校現場は、これまでの研修にプログラミング研修や英語研修も加わり、スクラップ・アンド・ビルドどころか、ビルド・アンド・ビルドの状況にあり、研修の精選と時間確保が必要です。3月議会において我が会派の池田議員の質問に対し教育長は、「学校長は職員の勤務時間管理や健康管理の責任を有していることから、超過勤務が続く場合、改善につながるよう取り組んでいく必要がある。また、休憩時間の確保について学校への周知を徹底していく」と答弁されています。しかし、学校現場からは、管理職から出退勤管理ツールそのものの説明や休日出勤時の打刻の説明がなかったり、今回の条例の趣旨を理解していない管理職の言動が届いています。
 条例施行から約半年、各学校の実態を把握し、是正すべきと思いますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年度から実施している在校等時間の上限設定や管理職による出退勤管理ツールの活用については、学校長に対し、勤務時間の適正管理の徹底と所属職員への周知を依頼する通知を5回出すなど、周知徹底に努めております。今後も管理職による職員の出退勤時刻の把握を適切に行い、在校等時間の縮減に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 3月以降、5回も通知を発出しなければならないということが問題です。教職員の健康状態を把握し、勤務時間の管理のため、管理監督者としての学校長の責務は重大です。
 勤務時間管理の徹底と併せ、学校行事の精選、標準授業時間を大きく上回らない年間計画の作成、部活動ガイドラインに基づく適切な活動時間と休業日の設定などを学校長に指導すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教育指導計画については、文部科学省の通知を各学校長に周知するとともに、標準授業時数を大きく上回ることがないよう各学校に通知しております。令和3年度の教育指導計画作成の説明会においても、学校行事の精選や標準授業時間を大きく上回らない年間計画の作成について周知しております。部活動については、福岡市立中学校における部活動指導のガイドラインに基づき、週2日以上の休養日の設定を行うこと、活動時間の上限を平日は2時間程度、休業日は3時間程度とすることを示し、生徒と教員の健康保持に努めるよう学校長を指導しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 教職員の健康維持の方策の指導と徹底をよろしくお願いしておきます。
 暫定としていますが、2021年度より小中学校全学年で35人以下学級が実現します。我が会派としても要望してきたところであり、大変喜ばしいことですが、9月議会では必要な学級担任や教科担任については、各学校に配置している加配教員を振り替え、教員の負担が増えないように対応するとの答弁でした。
 仮に学級数12クラスの小学校で、新5、6年生の両学年が35人以下学級措置で2学級増となった場合、加配教員である専科指導や少人数指導担当教員が担任となり、理科など専門的な教科を担う教員が未配置になったり、低学年の算数などへの支援も難しくなります。どのように対応しようとしているのか、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年度は新型コロナウイルス感染症への対応策として、全ての子どもたちが安全、安心に教育を受けることができるよう、小中学校全学年で35人以下学級を実施します。加配教員による少人数指導や専科指導については、国から配当される定数の範囲内で継続して実施をしてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 35人以下学級の実施に当たり、学級増となった学年に担任を新たに正規採用しない場合、福岡市の教育振興計画に基づく一部教科担任制や少人数指導等の教育実践体制が後退すると危惧されます。また、中学校では教科担当時数も増え、学校における働き方改革に逆行する事態になります。
 市独自の加配教員を配置すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和3年度の小中学校全学年における35人以下学級の実施については、教職員の配置を国に強く要望してまいります。また、学校と教育委員会の連携の下、GIGAスクールを強力に推進し、全ての児童生徒の学びを深め、学力の向上に努めてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 小中学校の学級規模を定める国の義務教育標準法改正の見通しが立たず、定数配置も不透明なまま、本市が独自で35人以下学級を実施するのだから、現行の教育実践体制を後退させないよう市独自の加配教員を配置することを強く求め、この質問を終わります。
 次に、高齢者の就業支援について質問します。
 働く意欲がある高齢者が活躍できる環境整備を図るとして、改正高年齢者雇用安定法が2013年に施行され、企業が定年制の廃止や定年引上げ、65歳までの継続雇用制度の導入のいずれかの措置を講ずることが義務づけられました。さらに、雇用安定法が改正され、2021年4月より、努力義務ではありますが、企業に70歳までの就業機会の確保を講ずることを求めています。福岡労働局によれば、2019年6月現在、66歳以上働ける制度のある企業は約32%となっています。高齢者が知識や経験を社会に生かすことは、生きがいや健康づくり、社会的孤立の防止等につながります。就業への支援の拡充が必要です。
 就業についての支援や相談に応じる公的な機関として、シルバー人材センターやハローワーク、福岡県70歳現役応援センター等がありますが、ハローワークやシルバー人材センターがどの程度利用されているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 就業に向けた支援機関の利用状況につきましては、令和元年度に本市が実施しました高齢者の就業に関する調査の結果によりますと、65歳から74歳までの働いていない高齢者のうち、ハローワークの利用が約46%、シルバー人材センターが約14%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 高齢者がハローワークに次いで利用しているシルバー人材センターについて伺います。
 5年前と現在の年代別会員数をお示しください。また、5年前に常勤の職業開拓専門員が配置されたと聞いていますが、どのような職域が開拓されたのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市シルバー人材センターの年代別会員数につきましては、平成27年3月末時点で60歳代が2,982人、70歳代が3,479人、80歳代以上が293人で、計6,754人、令和2年3月末時点で60歳代が1,929人、70歳代が4,472人、80歳代以上が602人で、計7,003人となっております。また、職業開拓専門員につきましては、企業訪問などにより会員の新たな就業機会の確保に取り組んでおりまして、これまでにスーパーでの商品の品出しや高齢者施設での調理補助などの業務を開拓いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) シルバー人材センターの会員は増えていますが、60歳代の会員は5年間で約1,000人減少しています。これは現役時の経験を生かし、事務職、販売を希望している高齢者が増えていることの表れであり、これら業種、職種を希望する高齢者の受皿を開拓する必要があります。
 本市では2019年、高齢者の就業支援を行うシニア活躍応援プロジェクトが開始され、60歳から74歳未満の高齢者を対象とした高齢者の就業に関する調査並びに事業者を対象とした高齢者の雇用に関する調査が実施されていますが、65歳から74歳までの高齢者の就業の割合や就業の意欲はどのような状況にあるのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の就業に関する調査の結果によりますと、65歳から74歳までの高齢者のうち、現在働いている人が約42%、働きたいと考えている人が約55%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 本市の65歳から74歳までの人口は約18万5,000人ですから、この調査結果から推測すると、現在働いている高齢者が約42%で約7万8,000人、働きたいと考えている人が約55%で約10万2,000人となります。働きたいとの意欲を持つ高齢者を支援する事業の展開が求められています。
 高齢者の就業理由や好ましい働き方に関する意識はどのような傾向にあるのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の就業理由につきましては、当てはまるものを全て選んでいただいたところ、生活のための収入が欲しいが約52%、健康のためが約37%、生活のリズムや刺激を得るためが約30%、社会貢献、社会とのつながりが約27%となっております。また、好ましい働き方につきましては、1つの会社に雇用されて働きたい人が約55%、必要なとき、やりたいときに単発で働きたい人が約16%、起業して働きたい人が約14%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 生活のための収入が欲しいが約5割となっているのは、平均寿命が延びていく中、年金の手取り額が下がり、消費税増税もあり、生活資金が足りなくなるのではとの不安の中で、老後2,000万円問題がクローズアップされたことも将来への不安が増していることを反映していると思われます。「定年退職後は、悠々自適に」の希望は、多くの現役世代にとって既に遠い昔話となっています。
 現在働いていない高齢者はどのような就業形態や業種、職種を希望しているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 現在働いていない高齢者が希望する就業形態といたしましては、パートやアルバイトが約65%、嘱託、契約社員が約10%、正社員が約1%となっております。また、業種につきましては、飲食を含むサービス業全般や製造、卸売、小売が多く、職種につきましては、サービスや事務などの希望が多くなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 一方、企業、事業者は高齢者活用の意向に関してはどのような傾向にあるのか、あわせて、高齢者を新規採用している業種、職種はどうなのか、就業形態も併せてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の雇用に関する調査の結果によりますと、60歳以上の高齢者を活用したい事業者は約55%であり、従業員規模が大きいほど活用意向が高くなる傾向がございます。また、高齢者の新規採用の状況でございますが、業種については卸売、小売や医療、福祉など、職種については専門職や技術職、サービス、販売などが多く、雇用の形態については当てはまるものを全て選んでいただいたところ、パートやアルバイトが約56%、嘱託、契約社員が約42%、正社員が約11%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) それぞれの調査により、就業形態については、高齢者が希望する形態、実際に雇用されている形態ともパートやアルバイトが過半数を占めています。業種、職種に関しては、飲食店を含むサービス業や事務職、販売を希望している高齢者も多い一方、事業者の高齢者新規採用では専門職、技術職が最も多く、次いでサービス業や販売となっており、高齢者の希望と実際の雇用の間でミスマッチが生じています。このことが高齢者にとっては、働きたくても希望の仕事が見つからない、事業者側では人材確保が難しいといった状況につながっています。
 このミスマッチを解消する方策が必要でありますが、高齢者への就業支援としてどのような取組が行われているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の就業支援につきましては、シニア活躍応援プロジェクトとして、年間を通じて就業セミナーや個別相談会などを行っているほか、今年度から高齢者が事業所等で就業体験を行うシニア・インターンシップなども開始をいたしております。また、区役所や老人福祉センターなど市内14か所にシニアお仕事ステーションを設置し、求人情報の掲示やセミナー、相談会のチラシの配布などを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 定年をきっかけに、これまでの仕事にとどまらず、新しい仕事に就きたいと希望されている高齢者も多くいます。そのためにも、今年度より始まったシニア・インターンシップの環境整備は重要です。どのように考え、どのように取り組まれているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) インターンシップにつきましては、高齢者が新しい分野や仕事にチャレンジするきっかけをつくると同時に、事前に仕事の内容を知ることで安心して働けるようにするためにも効果的であると考えております。令和2年11月にシニア・インターンシップの第1弾として、コンビニエンスストアでの就業体験を実施したところでありまして、今後、コールセンターなど、高齢者の関心が高い様々な分野に拡大してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 高齢者の希望状況を基に、インターンシップの環境整備を図られるよう要望しておきます。
 シニアお仕事ステーションが市内14か所に設置されています。東区では老人福祉センター東香園内に求人情報の掲示やチラシがありますが、この施設を利用されている高齢者の多くは囲碁や将棋、健康体操などを目的とされており、効果は限定的だと考えます。
 今後、定年前後の現役世代も多く利用されている地域交流センターなど、公的施設への設置も検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) シニアお仕事ステーションにつきましては、高齢者に身近な場所で幅広く就業に関する情報を提供するため設置しているものでございまして、働きたい高齢者に向けて、さらに効果的な情報提供を行えるよう検討してまいります。
 なお、老人福祉センターにつきましては、令和元年度から就業支援の機能を強化し、就業セミナーや相談会などを実施しているところでありまして、高齢者の就業支援の場の一つとして活用を図ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) シニアお仕事ステーションの効果的な情報提供の検討を要望しておきます。
 では、企業、事業者へはどのような働きかけが行われたのか、また、プロジェクトの取組により何人の高齢者が就業されたのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 事業者への働きかけにつきましては、事業者を個別に訪問し、短時間勤務や業務の切り分けなど、高齢者のニーズを踏まえた提案を行うことにより、新たな雇用の開拓に取り組んでおります。また、今年度から専門知識を持ったコンサルタントを事業者に派遣し、各事業者の現状を踏まえて、勤務条件の整備や高齢者に適した仕事の切り分け、事故防止の措置などの職場環境整備の支援を行う取組も開始をいたしております。今年度、本プロジェクトにより就業した高齢者は10月末時点で102人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 新たな雇用の開拓と職場環境の整備の支援を行っているとのことですが、学生の就職については、各高校、大学の学生課が相談に乗り、会社合同説明会も開催されています。
 高齢者は健康状態や職業経験等の個人差があり、希望する業種、職種も多岐にわたっています。また、事業者とのミスマッチもあることから、就業の相談や相談会、セミナーの周知とともに、ハローワークやシルバー人材センター、福岡県70歳現役応援センター等の関係機関との連絡、調整を行う総合的な窓口部署が必要です。どのように考えられているのか、所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者の就業支援につきましては、現在、高齢者の様々なニーズを踏まえ、ハローワークやシルバー人材センターなどの関係機関と連携しながら、各種の相談やセミナー、情報提供などを行っているところでございます。また、国家戦略特区を活用し、高齢者に特化した就業相談窓口であるシニア・ハローワークふくおかの令和3年3月の開設に向けて、国と調整を進めているところでありまして、今後、こうした取組も活用しながら働きたい高齢者の就業支援にさらに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文)登壇 公明党の古川でございます。私は公明党福岡市議団を代表して、誰もが恩恵を受け使いやすいデジタル社会の構築について、自殺対策について、以上2点質問いたします。
 初めに、誰もが恩恵を受け使いやすいデジタル社会の構築についてです。
 本年10月26日、菅首相は、首相就任後、初の所信表明演説を衆参両院本会議で行いました。新型コロナウイルス対策の次に取り上げた新政権の政策課題がデジタル社会の実現と表明。首相はデジタル化をはじめ、大胆な規制改革を実現し、ウィズコロナ、ポストコロナの新しい社会をつくると宣言されました。デジタル化の具体的な取組として、1、役所に行かずともあらゆる手続ができる、2、地方に暮らしていてもテレワークで都会と同じ仕事ができる、3、また、都会と同様の医療や教育が受けられるという3つの目標を掲げられました。この1番目の役所に行かずともあらゆる手続ができるということを中心に、あえて、デジタルが苦手な方々の立場に立って、誰もが恩恵を受けられるように、そして、使いやすいデジタル手続となるように質問をさせていただきます。
 改めて伺いますが、行政分野におけるデジタル化は何のために進めようとしているのか、国の方針並びに本市の考えを伺います。
 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 行政分野におけるデジタル化についてのお尋ねですが、国において、行政のデジタル化の目的は国民の利便性向上と行政事務の効率化とされております。福岡市におきましても国と同様の考え方であり、また、コロナ禍において3密を避ける観点から、行政のデジタル化の重要性はより高まっており、取組をさらに強化しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 役所に行かずとも手続ができるということは、文字どおり市民が市役所や区役所に行かずとも行政事務が何らかの手法で用いたデジタル方式によって、市民は自宅にいながら手続及び用件が完了できるというイメージでよいのか、市の所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議員御指摘のとおり、役所に行かずとも手続ができるとは、市民が区役所等に来庁せずに、自宅や身近な場所で行政手続が可能となるという趣旨であると理解しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 今年のコロナ禍において、私たちは国民1人10万円が給付された特別定額給付金の申請手続を経験しました。マイナンバーカードを既に持っている人は電子申請で、マイナンバーカードを持っていない人は自宅に送られてくる申請書に従い記入、また、必要書類をそろえ返信用の封筒にて郵送することによって、役所に行かずとも手続が完了しました。言わばこのような役所に行かない手続方法をよりスムーズに日常化するためにも、行政のデジタル化に進んでいるものと理解しています。
 そこで、そもそも市役所や区役所では年間どのくらいの件数の申請手続を処理しているのか、また、どのくらいの手続をデジタル対応に移行しようと考えているのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 市で受け付けている年間の申請手続の処理件数につきましては、令和元年度は約870万件となっております。これまでも行政手続のオンライン化に取り組んできたところでございますが、引き続き市民の利便性向上と行政の効率化の観点から、法令等によりオンライン化できない手続等を除き、可能な限りオンライン化を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 年間870万件もの多くの手続が存在します。これら一般の手続が役所に足を運ばず完了するならば、大きな改革です。私の勝手な想像で、近い将来のデジタル行政の手続を想像してみました。1、自宅など好きな場所から手持ちのスマートフォンやタブレットで市役所の申請手続サイトのアプリやQRコードなどからアクセスする、2、申請したい手続の項目を選択しタッチする、3、必要な項目や枚数などを設定し確認ボタンをタッチする、4、本人確認は運転免許証などの顔写真入り身分証明書とスマートフォンで撮影した自分の顔写真を照合、認証するeKYCで、あるいはマイナンバーカードをスマートフォンでスキャンし個人情報と照合する、5、手数料等の支払いはスマートフォンによる電子決済、キャッシュレスで終了、6、電子証明化された書類がスマートフォンに届き、印刷せずともその電子証明書を提出先に送信して終了、簡単に言えばこういう流れでしょうか。慣れてしまえば5分程度で可能かもしれません。また、全ての作業を自宅や職場などから座ったままで手続が可能な気がします。
 そこで、伺いますが、このようなデジタル行政の時代になるには、行政側のデジタル化への更新とともに、利用する市民側もそれに対応できるスマートフォンなどのデジタル機器とインターネット環境の確保が必要になること、また、個人情報など住民基本台帳と照合できるマイナンバーカードの所有が必要になると思いますが、本市の所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) オンラインによる申請につきましては、インターネットを利用して行うため、パソコンやスマートフォン等、インターネットに接続可能な機器及びインターネット環境が必要になります。また、オンライン申請におけるマイナンバーカードの利用につきましては、公共施設の予約やイベントの申込みなどにはマイナンバーカードは不要でございますが、厳格な本人確認が必要な手続につきましてはマイナンバーカードが必要と考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) スマートフォンなどのデジタル機器やインターネット環境をそろえることが必要とのことですが、将来的には本市は市民に対し、デジタル申請等に必要な機器の貸出し等、何らかの支援をする考えはあるのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 申請等に必要な機器の貸出し等につきましては、令和元年度市政アンケート調査の結果報告書によりますと、常日頃からインターネットを利用している市民は約8割となっており、申請に必要となる機器の一定の普及が見込まれること、また、利用の多い住民票等の証明書交付はコンビニエンスストアでも受けられることなどから、現在、機器の貸出し等の検討は行っておりませんが、引き続き状況を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) さて、これまでも行政デジタル化やICT化の基盤となるものはマイナンバーカードの普及と言われてまいりました。マイナンバーカードの普及については伸び悩んでいる状況で、本市においても全国の自治体同様に20%台の普及率です。マイナンバーカードの普及がこれまで進まなかったことは、市民側にメリットが感じられないことだったのではないでしょうか。しかし、今年9月からスタートした最大5,000円分相当のポイントが付与されるマイナポイント事業をきっかけに申請数も増えております。各自治体もマイナンバーカードの普及に力を入れており、この事業に加え、自治体独自の商品券やポイント付与などの施策によってマイナンバーカードの申請を後押しする取組を行う自治体も多いようであります。私は普及促進のためにはそれも必要かとは思いますが、お得だというメリットだけではなく、マイナンバーカードがあればこんなことができて便利になるのだ、また、個人資産などの情報が漏れることが怖いといった市民の不安の声に安心感を与える説明をちゃんとすることが必要だと思います。また、そもそもマイナンバーカードを使って何ができるかもやはり重要でございます。
 そこで、伺いますが、マイナンバーカードがあれば、具体的にどのような行政サービスを受けることができるのか、現在の状況と今後の見込みについてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカードにより受けることができる具体的な行政サービスにつきましては、コンビニエンスストアで住民票等の証明書交付を受けられるとともに、税の申告や児童手当の現況届の提出など、インターネットを通じた各種手続の利用が可能となっております。
 なお、令和3年3月から健康保険証としてマイナンバーカードを利用することが可能となっており、今後も様々な場面での活用が期待されているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) まだまだ使う場面が少ないようであります。私はこの質問に当たり、新潟県三条市を訪問し、担当者から市独自のマイナンバーカード活用のお話を伺ってまいりました。結論から先に申し上げますと、マイナンバーカード内の空き領域、つまりICチップの空き容量に地域住民向け領域のアプリや拡張利用領域を創生し、その中に利用機関の任意カードアプリを搭載すれば自治体独自の市民サービスが可能になり、三条市では自治体独自の活用を行っているというものであります。
 本市も独自のサービスを搭載するなど、マイナンバーカードの利用価値を高めていくことを期待したいと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) マイナンバーカードの活用につきましては、マイナンバーカードに内蔵されたICチップに搭載された電子証明書の機能を活用し、令和3年3月から健康保険証としての利用が開始されるほか、国において運転免許証との一体化などが検討されているところでございます。これらの動きも踏まえ、総務企画局としましても、関係局等と連携し、議員御指摘のICチップの空き容量の活用を含め、マイナンバーカードの活用による市民サービスの利便性向上に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 三条市ではマイナンバーカードを活用し、1、証明書のコンビニ交付、これ以外にも、2、窓口支援、マイナンバーカードがあれば窓口での証明書発行が申請書、パスワード不要で手数料も割引されます。ワンストップで約300種類の申請手続が完了し、自動出力できます。3、図書の貸出受付、4、避難所の入退所受付、5、選挙の投票入場受付、6、職員の出退勤管理、7、期日前投票の宣誓書記載の省略、8、学校等の出退勤管理、9、民間優遇サービスの提供、10、児童手当などの現況届をいつでもどこからでも可能なぴったりサービスに電子窓口を一元化し、申請の簡素化を実現など、市独自のサービスが既に充実しております。本市においても、デジタル社会の展望を見据え、マイナンバーカードを活用し、行政のオンライン手続が全ての人にとって使いやすく利用しやすいものになるよう期待をいたします。
 今年は特別定額給付金のオンライン申請のツールとして注目され、また、現在はマイナポイント事業が着目され、現在、マイナンバーカードの申請が例年になく殺到している状況と伺っております。ところが、11月中旬の報道によりますと、マイナンバーカード発行を申請したのに受け取れないままの人が500万人超に膨れ上がっており、自治体の交付作業が追いついていないという記事が目に留まりました。取材によると、カードを受け取るまでに申請から受け取りまで3か月くらいかかった人もいるとのこと。総務省によると、昨年夏頃までの申請は月間20万件程度だったものが、今春以降は150万件を超えている月も珍しくないとの記事でございました。
 そこで、現在の本市のマイナンバーカードの申請数、また、申請していながら受け取り待ちの状態にある件数をお答えください。また、実際に区役所で今年度マイナンバーカード引取り待ちになっている件数は全体で何件残っているのか、最新の状況をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市のマイナンバーカードの申請数につきましては、地方公共団体情報システム機構から、申請の取消しや不備による再申請の件数等も含め、令和2年10月末時点で概数として46万5,989件と公表されております。また、受け取り待ち件数につきましては把握していないと聞いております。
 次に、区役所で引取り待ちになっている件数は、令和2年10月末時点で内容確認中により交付通知書を送付していない件数が1万3,596件、交付通知書を送付済みで受け取りに来られていない件数が2万3,905件、合わせて3万7,501件でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 約3万7,500件のマイナンバーカードが区役所に取りに来られるのを待っている状況とのことであります。現在の制度では、マイナンバーカードを受け取るためには区役所の窓口に取りに行かなければならないことが一つのネックになっています。平日の区役所の開庁時間に都合がつかない人もいます。コロナ禍の今、わざわざ密になりがちな区役所窓口に行きたくないとの声もあります。
 そこで、伺いますが、マイナンバーカードを一般のキャッシュカードやクレジットカードの送付のように書留郵便によって送付することができない理由は何か、伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) マイナンバーカードにつきましては、原則郵送またはオンラインで申請することとなっており、なりすましを防ぐため、交付時に必ず区役所職員による対面での本人確認を行う制度となっております。
 なお、現在、各公民館において行っているマイナンバーカード申請出張サポートでは、申請時に区役所職員による本人確認を行った場合、本人限定郵便で送付しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 現在、どうしても対面での本人確認が必要とのことであります。答弁で公民館の申請出張サポートについて御紹介いただきました。身近な地域の公民館に職員が出向いて申請を受け付け、カードも郵送で送られてくるので便利なのですが、いつでも実施されているわけではありません。公民館で1回実施され、ようやく二回り目が始まった状況と伺っております。事前予約も必要となっており、都合のいいときにさっと申請に行けるものではありません。
 各公民館で実施されているマイナンバーカード申請出張サポートは、出来上がったマイナンバーカードが自宅に郵送で届けられるとのことですが、申請や郵送に係る個人負担額、また、申請から手元に届くまでのおよその日数など、詳細を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) マイナンバーカード出張申請サポートにつきましては、申請される方の費用負担はございません。また、現在のところ申請から2か月程度でお届けしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 申請を受け付ける側が地域に出向いて、高齢者や障害者等も含め、申請が苦手な方にも対面で詳しく説明しながら手続をサポートする方式は大変重要であり、評価したいと思います。このような手続が常時できないかと思い、地域に根差した郵便局に着目してみました。郵便局は民営化したものの、高齢者等にとてもなじみがあり、準公的な機関として認知されています。行政の窓口よりもはるかに多い、市内に約170局の拠点ネットワークを有しております。また、ゆうちょなどの金融商品の取扱いもあり、本人確認などの業務は日常からこなしております。住民にとって、自宅近所の郵便局が開いている時間の好きな時間に対面で申請できれば大変便利です。また、本市の一部の郵便局では行政の証明書等が発行できるなど、自治体と郵便局の連携体制も整っております。
 ここで連携によるメリットをパネルに作ってまいりました。(パネル表示)時間がないので、さっと言いますが、市民、自治体、国、郵便局、日本郵便、これは行政サービスが郵便局でもできるとなると、それぞれにメリットがありますというのを見ていただきたいと思います。以上です。
 より身近な郵便局は対面で本人確認できる窓口として存在し、申請出張サポートのように郵便で届けていただくことが可能です。郵便局窓口でのマイナンバーカードの申請や受け取りができるように郵便局側と協議を行うべきだと思いますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 郵便局が取り扱える事務につきましては、地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律で定められており、現在のところマイナンバーカードに関する事務は対象となっていないことから、郵便局が本人確認を行うことはできません。
 なお、郵便局におけるマイナンバーカードに関する事務の取扱いについては、現在、国において法改正も含め検討されていると伺っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 郵便局でマイナンバーカードの申請や受け取りを可能にするためには、法改正が必要とのことでありました。国の今後の動きに期待したいと思います。
 さて、忘れてはならないのが、どうしてもデジタル化になじめない、ついていけない方々がいるということです。そういう方々が、たとえスマートフォンやデジタルツール、また、マイナンバーカードを持っていなくても、情報弱者になることだけは避けなければなりませんし、可能な限りデジタル化になじんでいただく取組も求められます。政府においても、10月から全国でデジタル活用支援員の実証実験を始めました。地元IT企業やシルバー人材センターなどが担い手となり、高齢者を中心にスマートフォンをはじめとする電子機器の使い方を分かりやすく伝授する取組とのことであります。
 国が実証実験を行っているデジタル活用支援員の実証実験について、その目的、概要をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 国のデジタル活用支援員の実証実験につきましては、ICTになじみのない高齢者等がデジタル活用の利便性を享受できることを目的に、高齢者等がICT機器、サービスの利用方法に関し、身近な場所で身近な人に気軽に相談できるデジタル活用支援員を配置する実証実験を令和2年度に全国12か所で行っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 携帯ショップなどで教えてもらう簡単なスマホ操作だけではなく、このデジタル活用支援員の役割は、行政のオンライン手続のやり方など、民間では光が当たらない公共分野の操作支援が受けられると好評のようであります。先ほどの答弁で、常日頃からインターネットを使って生活している市民が8割いるとの調査結果があったことをいただきましたけれども、逆に言えばインターネットを使えない市民が2割いるということは判明しておりますので、この方々の支援が求められます。
 そこで、本市においてもデジタル支援体制は必要であり、いわゆるデジタルが苦手な人に対して支援する体制づくりをすべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市における支援体制につきましては、例えば、市民局において主に高齢者を対象としたスマートフォンの活用講座、公民館スマホ塾が実施されておりますが、今後とも、よりきめ細かな支援策を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 従来の窓口業務をできるだけオンライン化し、混雑を減らし、窓口業務も簡素化、スピード化することによって生まれた時間を、デジタルに対応することがどうしても困難な来庁者に対し丁寧な対面フォローを行っていくべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 窓口業務についてのお尋ねでございますが、行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化を推進することで、業務の効率化、生産性を高めることにより、相談業務など人にしかできない業務に人員を再配置するとともに、デジタル化への対応が困難な来庁者に対しても丁寧に対応してまいります。今後とも、デジタル技術の活用を図りながら、これからの時代にふさわしい全ての人が安心し、利用しやすい窓口になるよう取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) ICTは今や社会のインフラそのものです。水や電気、交通と同じように、私たちは常に情報を使いながら生活しています。そして、日本は世界一の高齢国家でもあり、成人人口の半数が既に50歳を過ぎております。視覚や認識に何らかの困難、障がいを抱える人々がICTを必要とする時代に入りました。例えば、災害時やコロナ禍で高齢者や障がい者にこそ正確な情報が伝わることが重要なのに、情報へアクセスするデジタル機器が扱えず、せっかくの情報が正しく伝わらない現状は早急に克服すべき課題であります。
 菅政権誕生で再びデジタル化のスタートラインに立った日本ですが、誰もが恩恵を受け、使いやすいデジタル社会をこの福岡市でもつくるための決意を島市長にお伺いし、この質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におけます行政のデジタル化につきましては、まずは令和2年の9月末までに法令等によって押印が義務づけられている書類以外は全て押印を廃止する、いわゆるハンコレスの取組を完了しています。現在は行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化など、いわゆるデジタルトランスフォーメーション、DXの取組を積極的に進めているところでございます。現在、国においては社会全体のデジタル化をリードするデジタル庁の発足に向けた検討が進められておりまして、福岡市においても、令和2年の11月に新たにDX戦略課を立ち上げますとともに、民間専門人材のDXデザイナーの募集も開始をしております。DXを全庁的に進めていくための体制づくり、また、使いやすく分かりやすいユーザーインターフェースの導入など、利用する市民の目線に立ったDXの推進によって、市民の利便性の向上や業務の効率化、また、生産性の向上を図ってまいります。
 また、これらのデジタル化等の取組の推進によりまして、業務の効率化により生じる人的な資源を福祉などの人のぬくもりが必要な分野へ再配置をするなど、これからの時代にふさわしい行政サービスの提供を積極的に進めてまいります。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 次に、切実な課題である自殺対策について伺います。
 今年に入り、芸能人や著名人の自殺と見られる悲報が相次ぎました。有名、無名にかかわらず、貴い命が自殺という形でなくなっていくことは本当に残念なことであります。日本は主要先進7か国の中でも自殺死亡率が最も高いことで知られておりますが、本市における自殺の状況について伺ってまいります。
 自殺の原因としては、一般的にどのようなことが挙げられるのか、本市と全国のデータから御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自殺につきましては、一般的に多様で複合的な要因と背景があり、また、様々な要因が連鎖する中で発生すると言われております。警察庁がまとめた全国の自殺統計によりますと、自殺の動機、原因は、多いものから健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題の順になっており、この傾向は福岡市でも同様となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 多様な要因が幾つか連鎖する中で発生するとの答弁で理解しました。
 それでは、過去3年間の本市の自殺者数をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 本市の自殺者数につきましては、厚生労働省の人口動態統計によりますと、平成29年が249人、30年が247人、令和元年が220人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 統計がある昭和33年から昨年までの自殺者数の推移を折れ線グラフにして、パネルにしてまいりました。(パネル表示)上が全国の自殺者数で、下が福岡市の自殺者数の推移であります。自殺者数の桁こそ違いますが、同じような推移であるということが分かります。昭和50年代後半から一時期、自殺者数が増えて、平成9年頃にまた増加。また、近年は右肩下がりで減少しているのが分かります。ちなみに、平成9年頃の山は山一証券廃業や日本長期信用銀行破綻の後で、金融危機破綻が社会問題化して、日本経済が危機を迎えた時期であります。失業者の増加等、雇用・経済環境の悪化がありました。昭和50年代後半の山はサラ金問題の頃で、借金の取立てが厳しく、夜逃げや一家心中する事件が多かった頃です。この辺ですね。この頃に貸金業規制法、いわゆるサラ金規制法などができて、取立て時間や金利の上限が規制されることによって自殺者数に歯止めがかかったと言われております。
 なお、完全失業率の高さを示す数値を折れ線グラフにしますと、この自殺者数の折れ線グラフに類似することも知られており、失業という金銭的な経済・生活問題を中心に幾つかの要因も絡み合って、自殺者数が増える傾向にあると言われております。
 本市と全国の自殺者数を比較すれば同じような推移になっておりますが、全国が増えれば本市も増える、全国が減れば本市も減る傾向であると捉えてよいのか、本市の見解を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自殺者数の推移につきましては、福岡市と全国を比較いたしますと、年によって多少の相違はありますが、全体といたしましては同様の傾向を示しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) ここ数年間、本市の自殺者数は減少傾向にありました。これまでどのような計画に基づき、どのような施策で自殺者を減少させることができたのか、これまでの取組を伺います。また、自殺未遂者や自死遺族へどのような支援を行ってきたのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自殺対策につきましては、福岡市自殺対策総合計画に基づき、様々な分野におけるゲートキーパーの養成、自殺未遂者支援、自死遺族支援の強化、若年層、児童生徒への自殺予防教育の推進、この3つを重点施策として事業を推進しております。特に自殺未遂者に対しましては、救急病院や救急隊と連携して、相談先を記載した自殺予防カードを配付し、電話や面接による相談支援につなげております。また、自死遺族の方々への支援といたしましては、自殺予防相談や弁護士と臨床心理士による自死遺族法律相談のほか、自死遺族の会であるリメンバー福岡の活動支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 今年、2020年においては、国の速報値で、本年7月以降、自殺者数が急激に増えているとの情報でありました。本市の状況としては2020年の自殺者数はどうなると予想されているのか、本市の考えを伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 令和2年の全国の自殺者数の状況につきましては、2月から6月までは前年を下回っておりましたが、7月から上昇に転じ、10月は2,000人を超え、前年同月の4割増となっております。福岡市におきましても、これまで全国と同様の傾向を示してきたことから、自殺リスクが高まっていることが危惧されるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 2019年までに取り組んできた自殺対策の支援や研修は、外出自粛や感染拡大防止など、新しい生活様式等の徹底となっていた、このコロナ禍の本年も同様に実施することができているのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自殺対策事業につきましては、令和2年度当初、外出自粛等により集合研修は実施できておりませんが、7月から感染拡大防止に十分配慮しながら、例年より人数を縮小してゲートキーパー養成研修を開始したところでございます。また、9月の自殺予防週間には、生きづらさを抱えている人に気づき、より多くの人が相談につながっていけるよう支援者向けの研修会を実施いたしております。相談支援に関しましては、自殺予防相談を従来どおり実施するとともに、新型コロナウイルス感染症に関連して不安を抱える方のために心のケア相談窓口を新設し、相談機能の充実を図っているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) コロナ禍における今年、令和2年特有の自殺者の傾向や特徴があればお示しください。また、コロナ特有の影響と思われる自殺を防ぐためにはどのようなことが課題と認識されているのか、また、今後どのような対策が必要と認識されているのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 全国の自殺者数の傾向につきましては、例年であれば3月から5月が多く、その後、徐々に下降していたものが、本年の場合は4月、5月は大きく減少し、7月から増加に転じております。また、男女別では従来と変わらず男性のほうが多いものの、様々な年代において女性の自殺が増加傾向にあることが特徴となっております。さらに、コロナ禍における自殺の背景につきましては、失業、生活困窮、DV、孤立などの社会的要因が強まっていると考えられております。福岡市におきましては、全国と同様の傾向を示してきたことから、今後の状況が危惧されるところでありまして、これら自殺の背景にある様々な問題に対応する相談窓口と連携し、相談者の状況に応じた適切な支援を行うことが重要であると考えております。今後とも、生きづらさを抱えている方が相談や様々な支援につながるよう、相談ダイヤルの周知やあらゆる分野におけるゲートキーパーの養成にさらに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) コロナ禍における今年の特徴として、全国的にも自殺者数が本年7月以降、昨年同時期と比べて5か月連続で増加している状況です。様々な年代の女性の自殺者が増えており、看過できない状況、また、新型コロナショックでは男性より女性の雇用が悪化していると言われております。感染症対策で人の移動や接触を伴うビジネス、つまり宿泊や飲食業、観光業などが壊滅的なダメージを受けました。医療や福祉、小売業など、感染リスクにさらされる産業の雇用者が女性に偏っていることもあり、これらの職種に従事する女性たちに相当な心理的負担が生じているのは確実であります。男性を失業に追い込んだ過去の不況とは異なり、コロナショックは女性の雇用を直撃しており、国際労働機関、ILOも世界中で新型コロナによる雇用者数の減少は男性よりも女性の間で大きいと指摘しています。また、外出自粛によるリモートによる授業を余儀なくされ、アルバイトもできずに所持金もなく、友人とも会えず、ひきこもり生活の大学生等の若者の実態把握も必要です。また、学校の休校が実施され、ステイホームとなった結果、虐待やネグレクトなどの問題を抱える家庭の子どもにとっても、生きづらさを抱える要因があるはずです。さらに、コロナ感染症の拡大によって経営不振に陥った飲食店などの小規模事業者やフリーランスの方々に、感染症対策緊急支援として返済期間猶予、無利子の貸付け支援が行われました。この支援策で一時的に助かった方がたくさんいらっしゃることは事実ですが、貸付けである以上、いずれ返済しなければなりません。そして、その返済据置期間が終わり、返済を開始するとき、事業や商売が順調に回復し、返済が確実にできるという希望はまだありません。経済的な問題として、苦しむ方々がこの先出ることは容易に予想されます。
ここ数年はコロナ禍によって生じた経済的、生活的な要因と様々な要素が絡み合う可能性が十分あり、注意しなければならないと感じるのであります。先ほど本市は生きづらさを抱えている方々が相談や支援につながるよう、相談ダイヤルの周知やあらゆる分野におけるゲートキーパーの養成に取り組んでいくとの答弁がありました。
 この2つの取組について、相談ダイヤルはどういう人がどこに相談すればよいのか、また、どのように周知しておられるのか、さらに、ゲートキーパーとは、具体的な役割や活動について詳細をお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 相談ダイヤルにつきましては、先の見えない不安や生きづらさを感じている人に対する自殺予防相談として、精神保健福祉センターにおいて行っております。その周知につきましては、市政だよりやホームページのほか、地下鉄掲示板等へのポスターの掲示、西鉄駅構内への相談カードの配架、さらには新型コロナ関連の事業者向け窓口といった様々な相談窓口にもチラシを置くなどの取組を行っております。
 次に、ゲートキーパーにつきましては、養成研修を修了して、地域や職場などで自殺予防に取り組む方でありまして、身の回りで悩んでいる人の自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、話を聞いて相談窓口につなげ、見守っていくなどの活動に取り組んでいただいております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 私はこの質問に当たり宮城県庁を訪問し、東日本大震災で多くの苦しみを負った方々のための震災後約10年間の自殺対策や遺族支援の取組を伺ってまいりました。忘れもしない2011年3月11日、これまで経験したことのない大地震と津波被害により多くの方々が家族や大切な人を失い、家を流され、仕事を失い、生きる希望を失った。大切な家族や恋人と離れ離れになり、あのときこうしていればという過去の悔やみ、生活再建へのめどが立たない将来への不安、長く続く不安な避難所、仮設住宅生活を強いられ、環境が変わるたびに人間関係にも障害が生まれるなど、時が経過しても被災者としての苦しみは今も続いています。苦しみや悲しみを自分一人で抱え込み、表に出せない苦しみから多量飲酒や薬に頼る生活に溺れ、アルコール依存や薬物依存になり、健康にも影響を及ぼすことにつながっているということを伺ってまいりました。このことを通し、生き残った方々、自殺未遂者、また、身内を自殺で亡くしてしまった遺族の悩みも多いことを感じております。
 先ほど自殺未遂者の支援や自死遺族の支援について伺いましたが、今後も自殺対策を行っていく上で、自殺未遂の再発を防ぐためのフォローが大切であります。自殺に至った要因や心情など、自殺未遂者のデリケートな意見を参考にするなど、心のケアを中心に自殺未遂者支援、遺族支援を強化すべきだと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 自殺未遂の再発を防ぐため、精神保健福祉センターでは、救急病院や警察から連絡を受けた方々に対して相談支援を行うほか、精神科医療が必要でかかりつけ医がいない未遂者については、救急病院から精神科医へつなぐ体制づくりに取り組んでおります。また、自死遺族支援につきましては、コロナ禍におきましても、自死遺族の集いや法律相談を感染予防に十分配慮しながら開催しており、引き続き支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) 引き続きよろしくお願いいたします。
 心のケアの取組としては、これまでにも鬱病に関する普及啓発として、こころの健康チェックなどから相談につなぐ取組や、自殺の原因となり得る現況下のストレスへの対応など、心の健康保持を目指す取組などが行われてきたことは理解しております。そのような中、心の健康づくりを目指すマインドフルネスという言葉を知りました。
 本市は福岡100の取組として、総務企画局の公民連携窓口であるmirai@の取組でマインドフルネスという民間提案を採用したそうですが、マインドフルネスを活用したこのプロジェクトはどのような取組なのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) マインドフルネスを用いた心の健康づくり、いまここ・ふくおかプロジェクトにつきましては、健康日本21福岡市計画のこころの健康づくりに掲げる、ストレスのために体調を崩す人の減少という目標達成に向けて、民間事業者から効果が期待できる事業アイデアを広く募集し、実施をいたしております。マインドフルネスは瞑想による注意力トレーニングや書くことによる思考、感情の整理などのプログラムの実践により、今、この瞬間の自分の気持ち、体の状況に気づく自己認識力、自分の心身を望ましい状態に保つ自己管理力などを身につけていくものでございます。今回のプロジェクトでは、今年10月からの約半年間、新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、最前線で対応に当たり、心身ともに強い負荷がかかった状態となっておられる医療・福祉関係者などのエッセンシャルワーカーを中心とした約300名を対象に、マインドフルネスを実践できる8週間のオンラインプログラムを提供するものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) この事業はコロナ禍での心の健康づくりに効果が期待できるのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルスの感染拡大により、誰もが少なからずストレスや心の不調を感じ得る状況となっております。これらのストレスの要因は様々でございますが、要因の一つとして、過去に行ったことをいつまでも考えてしまうことや、まだ起こっていない未来のことに対して不安や心配を抱いてしまうことが考えられます。マインドフルネスプログラムは、今、この瞬間の状況に注意を向けることで、コロナ禍の暮らしの中でのストレスの対処法、ストレスの対処能力を高める一助となるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) マインドフルネスという言葉から、瞑想ですから、瞑想的な宗教のイメージを想像しますが、特定の思想や宗教に偏ることはないのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) マインドフルネスは心の健康を保つセルフケアを推進するための行動科学の手法の一つとして、国内外の多くの企業が取り入れ実践しているものでございまして、宗教とは切り離されたものでございます。また、国連が国連職員に対して、心身の健康のためにマインドフルネスを推奨するなど、国際的にも認知が広がっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) マインドフルネスは、グーグル社やインテル、ナイキなどの世界的に有名な企業が社員研修に取り入れるなど、まずアメリカで注目を集め、後に国内でもヤフー、メルカリ等の企業にも広がり、最近は新型コロナによる在宅勤務などのストレス緩和策として関心が高まっていると伺いました。
 マインドフルネス事業においてどのような効果が期待できるのか、そして、どのように今後に生かしていけるのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) マインドフルネスは学術的な研究において、ストレスを緩和する、鬱を予防する、不安や心の不調を抑えるなどの心の健康の維持に対し、その効果が実証されておりまして、参加者が自分自身のストレスに気づき、対処することができるようになることを期待いたしております。また、今回のプログラムの実施においても、ストレスや幸福感などについて、大学の協力の下、効果検証を行うこととしておりまして、これらの結果を確認しながら、今後の心の健康づくりの取組に生かしてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) このマインドフルネスは、今のところ限られた人しか受講できません。最近は誰もが手軽に自分のストレス度をチェックできるようなアプリも開発されております。例えば、厚生労働省が取り組んでいる5分でできる職場のストレスチェックや、北九州市をはじめ、多くの自治体でも取り入れているこころの体温計はメンタルヘルスチェックが自分で簡単にできます。例えば、これらのリンクバナーを福岡市のホームページに張りつけたり、市政だよりにQRコードを掲載し、市民が気軽にアクセスし、自分自身のストレスやメンタルの状態を確認することができることなど、そういう取組が可能になっております。
 本市としても、このように誰もが手軽に自分自身でストレスチェックをできるよう取組を進めてみてはどうかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) ストレスチェックにつきましては、精神保健福祉センターのホームページにおいて、福岡市医師会と共同で作成しました「こころの健康をチェック!」を掲載し、厚生労働省のストレスチェックにリンクをさせるとともに、新型コロナ関連の心のケア相談のチラシにストレスチェックの項目を掲載するなど、手軽に自己チェックができるような取組を行っております。議員御提案のとおり、QRコードの活用などによりまして手軽にできるストレスチェックについて、さらに周知を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 古川清文議員。
○17番(古川清文) ありがとうございます。ぜひお願いいたします。
 人は家族や仲間と楽しくわいわいやっているときは突発的な自殺はしません。必ずと言っていいほど、一人になった時間に自殺という行為に至るのであります。大切な人を孤立させない、一人で悩みを抱え込ませないという周りの取組も大切です。これまで以上に医療や福祉、民間団体や地域、そして、職場や家族との協力を理想とし、一人一人に寄り添う心のケアの推進を要望いたします。
 断じて福岡から自殺者を出さない、そんな決意も込めた今後の自殺対策、また、自殺未遂者や自死遺族の支援について島市長の所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、多くの方が不安やストレスを感じて、また、経済的な困窮や孤立に悩む方も増えております。このように生きづらさを抱えている人が増え、自殺のリスクが高まることが危惧されるため、自殺対策は喫緊の課題であるというふうに認識をしております。新型コロナウイルスでこれまで亡くなった方というのは2,000人以上いらっしゃるわけですが、10月の1か月だけで自殺をされた方も2,000人以上いらっしゃるということですから、これは非常に大きな課題だというふうに認識をしております。
 福岡市では、自殺対策総合計画に基づきまして、ゲートキーパー養成、自殺未遂者や自死遺族支援、また、児童生徒への自殺予防教育等の施策を中心としまして、様々な世代やリスク要因に対応した自殺対策を実施しておりますが、特に自殺のリスクが高いとされています自殺未遂者や自死遺族の方々に対しましては、心のケアなどを重点的に行う必要があるというふうに考えています。今後とも、自殺対策は生きることの包括的な支援という考え方に立ちまして、保健、福祉、医療、教育、労働などの関係機関や関係団体と連携をし、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して自殺対策を強力に推進をしてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時27分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、10年が経過した島市政を検証するために質問をいたします。
 まず、核兵器廃絶を求める市民の声にどう応えてきたかについてです。
 国連で採択された核兵器禁止条約が批准国50に達し、1月22日に発効することが確定しました。核兵器禁止条約は、核兵器の非人道性を厳しく告発し、その開発、実験、生産、保有から使用と威嚇に至るまで全面的に禁止して違法化し、核兵器に悪の烙印を押すとともに、完全廃絶までの枠組みと道筋を明記しています。これは広島、長崎の被爆者をはじめ、核兵器のない世界を求める、世界の圧倒的多数の政府と市民社会が共同した壮大な取組の歴史的な到達です。
 そこで、市長は核兵器禁止条約の発効についてどのような所見をお持ちなのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 核兵器禁止条約の発効についてでございますが、核兵器はかけがえのない人命を一瞬のうちに奪う非人道的で許されないものであり、人類共通の願いとして、核兵器の廃絶、世界の恒久平和の実現に向けて国際社会が協力して取り組むことは大変重要なことであると認識しております。条約に対する政府の考え方としては、核兵器廃絶を目指すという目標を国際社会と共有している一方で、国際的な安全保障環境の悪化に対して国民の生命と財産を守る責任を有する立場から、現実の安全保障上の脅威に適切に対処しながら、地道に現実的な核軍縮を前進させる道筋を追求することが必要であり、核兵器保有国や核兵器禁止条約支持国を含む国際社会における橋渡し役を果たし、現実的かつ実践的な取組を粘り強く進めていくと示されており、福岡市としましては、その動向を引き続き注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) いろいろと答弁をされました。
 島市長には毎年のようにヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名、通称ヒバクシャ国際署名への賛同の要請が来ているのになぜ署名されないのか、答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 核兵器はかけがえのない人命を一瞬のうちに奪う非人道的で許されないものであり、人類共通の願いとして、核兵器の廃絶、世界の恒久平和の実現に向けて国際社会が協力して取り組むことは大変重要なことであると認識をしています。国におきましては、核兵器のない世界の実現に向けて取り組んでいくとのことでございますので、福岡市といたしましては、その動向を注視していきたいと考えております。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) これまで市長は、平和首長会議に加盟しているからヒバクシャ国際署名は賛同しなくてもよいと、こういう態度を取ってきたわけです。しかし、それは理由にならないと思います。島市長と同じように加盟している首長の多くが署名に賛同しています。
 そこで、政令指定都市の市長でヒバクシャ国際署名に賛同していない都市をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 政令市のうち、現職または元職の市長がヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名、いわゆるヒバクシャ国際署名を行っていない都市は、浜松市、名古屋市、大阪市、福岡市でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) たった4人のうち、その1人が島市長です。
 この署名は、被爆者は速やかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し、廃絶する条約を結ぶことを全ての国に求めるという被爆者の訴えに賛同する署名です。核兵器廃絶に向けての国際的な力になるものです。しかし、市長はかたくなに拒否されます。平和首長会議にも加盟されておられる。先ほどの答弁でも国際社会が協働することは重要だと、人類共通の願いなんだと、こう言われています。しかしながら、ヒバクシャ国際署名には賛同しない。筋が通らない態度です。
 そこで、市長は直ちにこの署名を行うべきだと思いますが、お尋ねをいたします。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市といたしましては、核兵器の廃絶に向けた国際社会における取組を進めることは大変重要なことであると認識をしております。核兵器禁止条約の締結に向けた政府への働きかけにつきましては、福岡市も加盟しております平和首長会議国内加盟都市会議において、核兵器廃絶に向けた取組の推進について政府に要請を行っております。国におきましては、核兵器のない世界の実現に向けて取り組んでいくとのことでございますので、福岡市といたしましては、その動向を注視してまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) この署名というのは、自治体に求められているわけではなくて、個人に求められている署名なんですね。だから、福岡市としてということではなくて、島市長として署名するのかということが問われているわけです。しかし、市長はこれを拒否される。市議会議長は毎年、署名に応じておられます。市長は本当に核兵器を廃絶したいと思っておられるんでしょうか。
 では、核兵器廃絶を求める非核平和都市宣言についてお尋ねします。
 この10年間で何回議会に請願が出されたのか、答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 非核平和都市宣言に関する請願につきましては、過去10年間で7回提出されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 被爆者や高校生大使など、幅広い市民から7回も提出されていますが、福岡市として非核平和都市宣言をすることをこの10年間かたくなに拒否してきました。その理由についてお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市におきましては、これまで福岡市議会において平和都市宣言が決議されているほか、福岡市としてアジア太平洋都市宣言において国際交流活動を通して平和友好の推進に力を注ぐという姿勢を宣言するとともに、福岡市基本構想においても日本、アジア、世界の平和と繁栄に貢献していくとうたっております。今後とも、憲法に述べられている恒久平和の理念やこれまでの決議、宣言、基本構想の趣旨に基づき、平和に貢献することを基本精神として市政運営に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 今、局長が3つ理由を言ったんですが、まず、1点目の市議会決議が上がっているから福岡市は宣言をしたのと同じなんだという答弁をされました。しかし、市議会の決議はあくまでも市議会の意思を表すものであり、福岡市の意思を表すものではないと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 議会の決議と自治体の宣言は異なるものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) じゃ、さっきの答弁と矛盾するんではないですか。局長は市議会の決議が上がっているから、やったのと同じなんだと言われたんですよ。答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市としましては、議会によって行われた平和都市宣言に関する決議、核兵器のない世界を求める意見書を踏まえるだけでなく、核兵器禁止条約の締結を求める意見書も踏まえており、また、アジア太平洋都市宣言、基本構想にのっとり、世界の平和に貢献することを基本精神として市政運営を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) いや、この論争は既に11月10日に行われた総務財政委員会でも行われているんですよ。そして、あなた方は議会決議は自治体の意思を表すものではないとはっきりと答弁しているわけです。だから、福岡市が非核平和都市宣言を拒む理由にならないんです、市議会がやっているからということで。
 では、もう1つ局長が先ほど答弁されたアジア太平洋都市宣言をやっているから非核平和都市宣言をやらなくてもよいということについてただしてまいります。
 アジア太平洋都市宣言、この文言に核兵器廃絶に関する文言がうたわれているのか、答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 直接的な文言としてはうたわれておりません。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) じゃ、何で直接的に言われていないのに、これが非核平和都市宣言をやったという理由になるんですか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 我々としまして、その宣言に非核の趣旨も含まれているものという認識の下、市政運営を行っているということでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) いや、いいかげんなことを言ってもらったら困るんですよ。それは福岡市が勝手に解釈していることであって、それは社会一般では通用しませんよ。国際社会でも当たり前です。
 それで、世界の平和に貢献していくことをアピールしていると、こういうことも委員会で言われているんですけどね、全くこのアジア太平洋都市宣言を理由に非核平和都市宣言を拒否することは論理的に成り立っていないわけですよ。
 したがって、本市の意思で非核平和都市宣言を直ちに行うべきと思いますが、明確な答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 平和は何物にも代え難い尊いもので、二度と戦争を繰り返してはならないと考えており、今後とも、憲法に述べられている恒久平和の理念や、これまでの決議、宣言、基本構想の趣旨に基づき、平和に貢献することを基本精神として市政運営に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 平和という文言があれば核兵器廃絶につながるという論理はおかしいと思うんですよ。平和でもいろいろありまして、例えば、核兵器があることによって保有国同士が牽制し合って平和を保つことができる、核抑止論に立つ人たちはそういうふうに言うわけです。だから、平和とうたっているだけで核兵器廃絶というふうにはならないわけですね。
 それで、今までの市長や局長の答弁を聞く限り、口では核兵器廃絶を言いながら、ヒバクシャ国際署名には市長は賛同しない、非核平和都市宣言も行わない、極めて不誠実であり、核兵器廃絶を真に願っているとは言い難い態度です。結局、島市政の下で10年間、核兵器廃絶の市民の願いは踏みにじられ続けてきたのであります。福岡市は広島市、長崎市に次いで全国で3番目に被爆者が多い都市であり、福岡市内の被爆者の方の平均年齢は83歳を超えています。年々お亡くなりになられています。その被爆者の願いを無視することは許せません。
 そこで、本当に核兵器を廃絶したい、被爆者の悲願に応えたいと思うなら、核兵器廃絶をうたう非核平和都市宣言を市長の意思で早期に行うべきと思いますが、この問題の最後に市長の答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 我が国は、さきの大戦を通して戦争の悲惨さを身をもって経験しますとともに、平和が何よりも尊いものであることを深く心に刻んでおります。二度と戦争を繰り返してはならないという願いは全人類共通のものであるとともに、全国民、そして、市民の願いでもあると考えています。
 福岡市といたしましては、今後とも、憲法に述べられている恒久平和の理念や、これまでの決議や宣言、また、基本構想の趣旨に基づき、平和に貢献することを基本精神として市政運営に取り組んでまいりたいと考えています。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 情けない答弁です。アジアのリーダー都市のスローガンを掲げておられるならば、世界の流れである核兵器廃絶の分野でイニシアチブを発揮してはいかがでしょうか。再考を求めます。
 次に進みます。
 市長は新聞のインタビューで、10年間の市政運営について、福岡は元気を取り戻したと自己評価されています。しかし、実際にそうなのか、ただしてまいります。
 まず、国際競争力強化についてです。
 福岡市基本計画では、国際競争力を有し、アジアのモデル都市となっているという目標が掲げられており、福岡市においては競争力を強化することを大きな目標としております。一般財団法人森記念財団が毎年公表しているランキング、世界の都市総合力ランキングがあります。世界の主要都市の総合力を経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野で複眼的に評価し、順位づけしているものです。
 そこで、島市長就任時の2010年は本市は何位だったのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 森記念財団都市戦略研究所が平成22年に発表した世界の都市総合力ランキング2010における福岡市の順位につきましては、35都市中28位となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 28位でした。現在は何位ですか、答弁してください。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 令和2年12月8日に発表されました世界の都市総合力ランキング2020概要版における福岡市の順位につきましては、48都市中43位となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 現在は43位です。島市長在任中に15位もランキングを下げてしまいました。その理由についてどのような所見を持っているのか、披瀝してください。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市の順位についてのお尋ねですが、世界の都市総合力ランキング2020は概要版のみが公表されており、現時点で平成22年との詳細な比較分析は困難ではありますが、順位が下がった主な要因としては、平成22年以降、ワシントンDCやメルボルンなど、各国の首都や規模の大きい都市など、新たに13の都市が加わったことが考えられます。
 なお、福岡市基本計画に係る実施状況の報告における成果指標では、計画策定以降、成長分野・本社機能の進出企業数、福岡市への外国人来訪者数、博多港、福岡空港における貿易額など、おおむね順調に推移しており、福岡市の国際競争力は着実に向上しているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) ここまでランキングを下げると言い訳が苦しそうです。いろんなことを言われたんだけど、このランキングのチェアマンは市長のお友達の竹中平蔵さんですから、直接彼から、何でうちはランキングが下がったんですかと聞いたら真意が分かるのではないでしょうか。
 さて、福岡アジア都市研究所が今年3月に「第3極」の都市2019、これですね(資料表示)、というレポートを発表しました。何が書いてあるのか、概要をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 公益財団法人福岡アジア都市研究所が発行する「第3極」の都市につきましては、福岡市の政策立案やプロモーションへの活用等を目的として、福岡市と類似性を有する世界の都市を、都市の成長と生活の質の向上に関連する評価指標を用いて比較分析したもので、平成26年度より隔年で発行しているデータブックでございます。
 お尋ねの「第3極」の都市2019につきましては、シアトル、バンクーバーなど、世界の8都市と福岡市を比較分析したもので、平成31年3月に発行しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 福岡アジア都市研究所が勝手に海外の都市を抽出して、そして、福岡市といろんな分野で比較検討しているというのがこのレポートなんですね。このレポートと、さきに紹介した世界の都市総合力ランキングを基にして、本市の国際競争力の強化に向けた課題を提起した調査結果があるんですよ。それが三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社大阪が作成した九州大学箱崎キャンパス跡地における都市機能マーケティング調査・検討業務です。これです。(資料表示)これは発注元は福岡市。そう、福岡市が作らせたものです。このレポートには、課題の大きな分野として幾つかを列挙していますが、私が注目したのは研究・開発の分野で2つの指標、総合力ランキングと、それと、アジ研が作ったこのレポート、この2つの指標でともに研究・開発の分野は偏差値が低いと評価されているんですよ。厳しい評価を受けている。そして、特にスタートアップに関する偏差値が非常に低いと記されております。
 この間、市長はスタートアップには特に力を入れてこられましたが、特に偏差値が非常に低いと評価されていることにどのような御所見をお持ちか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 海外の都市との比較につきましては、各国において統計の指標や内容が異なることから、一概に比較し評価することはできませんが、福岡市においては11か国・地域、15拠点の海外スタートアップ拠点と連携し、海外において様々な事業を展開してまいりました。これらの事業などにより、グローバルスタートアップセンターに寄せられる相談件数につきましては、平成29年度は月平均で約100件であったものが、令和元年度は月平均で約300件となるなど、相談が増加しているところでございます。また、外国人起業家が日本で創業する場合に、在留資格取得の要件を緩和するスタートアップビザにつきましては、福岡市への申請件数は東京に次いで全国第2位で、申請者の出身は29か国・地域に及んでおり、これらのことから、福岡市といたしましては、スタートアップ都市として外国人起業家から一定の評価をいただいているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) そういうふうに福岡市は思っているということはよく分かりました。しかし、このレポートには、総合力ランキングでも福岡アジア都市研究所のレポートでも、スタートアップは偏差値は40未満だというふうに酷評しているんです。私が言いよるわけやない。10年間、市長の施策の目玉として力を入れてきた分野ですが、この評価です。市長の進めてきたスタートアップは、国際競争力を強化するためには効果がなかったと言えるのではないでしょうか。そのほかにも経済の分野では特にGDPの偏差値が低いと指摘されています。
 この三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が作ったレポートでは、こうも書いてあるんですね。都市の成長が課題だと。そのまま読んでみましょう。「福岡市は「都市の成長」においては、他都市と大きな格差があり「都市の成長」において課題が大きいことがうかがえる」、12ページに書いてあるから後で見ておいてください。抽出された9都市の中でも都市の成長が最下位なんです。
 そこで、お尋ねしますが、市長はこの間、殊さら都市の成長、発展を強調してこられましたが、このレポートにあるように、客観的に見ると本市は他都市と比べて成長していないのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市ではこれまで都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを都市経営の基本戦略として掲げ、まちづくりを進めてまいりました。その結果、人口は増加を続け、企業の立地や創業が進むとともに、市税収入は7年連続で過去最高を更新し、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価されているところでございます。また、福岡市と類似性を有する世界の8都市と比較分析した「第3極」の都市2019の総合評価においても、都市の成長に関するスコアは9都市の中で最も伸びている状況でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 否定されますけどね、この三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が作ったレポートはあなた方が発注した調査結果です。また、この「第3極」の都市2019を読んでみたら、都市の成長が課題だというふうに明らかに書いてあるではないですか。しかも、このアジ研は本市が全額出資しているところですよ。そこが作ったレポートなんです。そこには市長が思い描く結果は残念ながら書いてありませんでした。スタートアップも評価されず、都市の成長についても、課題があると指摘されています。
 つまりこれまでの施策は市長の思いどおりにいかず、国際競争力強化にはつながらなかったと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 繰り返しになりますが、福岡市はこれまで都市の成長と生活の質の好循環をつくり出すことを都市経営の基本戦略として掲げ、まちづくりを進めてまいりました。その結果、人口は増加を続け、企業の立地や創業が進むとともに、市税収入は7年連続で過去最高を更新し、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価されているところでございまして、しっかり成長していると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) いろいろ言われますけどね、厳しい評価を受けているわけですよ。身の丈に合った都市づくりを目指すべきだと思います。
 国際金融都市を目指すとして庁内に新しい部署もつくって取り組まれておられますが、西日本新聞の記事では、人口減などを背景に経済成長の見込みにくい日本に拠点や人材を呼び込むのは容易ではないと指摘され、世界111都市の金融センターランキングでは福岡は圏外と低迷しているとも紹介されています。世界を見る前に、足元の市民をもっと見ることが市長本来の仕事であります。
 そこで次に、島市政の10年間で市民の暮らしはどうなったのかについて検証してまいります。
 ちなみに、イギリスのモノクル誌の生活の質を評価し、ランクづけする世界で最も住みやすい都市ランキングでは、2016年に世界7位にランクインして以降、福岡市の順位は22位に急速に下降していると、福岡アジア都市研究所のレポートにも掲載されております。
 では、検証します。福岡市民経済計算によれば、島市政の直前の2009年度と最新の2017年度を比べると、市民雇用者1人当たりの賃金、俸給は年4万6,000円、1%の微増であります。一方、同じく福岡市民経済計算での同時期の非金融法人企業、金融機関の可処分所得、つまり民間大企業のもうけはどのぐらい増えているのか、答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 非金融法人企業及び金融機関の可処分所得につきましては、平成21年度が約7,322億円、29年度が約1兆568億円となり、約3,246億円増加しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 賃金、俸給、つまり雇われている人の賃金などは1%しか増えていないのに、今答弁があったように、民間大企業のもうけは44%も増えています。市長はかねてから都市の成長の果実を生活の質の向上に振り向けると言ってきました。しかし、果実はほとんど大企業が独り占めしており、あまりにもいびつな状態になっていると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 非金融法人企業及び金融機関の可処分所得が市民雇用者1人当たりの賃金、俸給と比べ伸びが大きくなっていることにつきましては、平成20年のリーマンショック後、企業所得は一旦大きく落ち込み、その後、増加した一方で、市民雇用者報酬はリーマンショック後も微減にとどまり、大きな落ち込みもなく、所得は維持されたものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) リーマンショックのときの落ち込みの影響で大きく伸びているように見えるだけとおっしゃられますが、リーマンショックの影響を受けるのは労働者の賃金も一緒であります。言い訳になりません。
 角度を変えてお尋ねします。
 先ほど紹介した賃金、俸給の額は名目上の数字です。しかし、この間、アベノミクスで物価が著しく上がっており、全国的には名目上の賃金を上回る物価上昇で、実質賃金は逆に下がっています。本市ではどうでしょうか。島市政の直前の2009年度から最新の2017年度の福岡市の消費者物価指数を調べると4%上昇しています。したがって、名目の賃金が1%しか上がっていないならば、賃金は実質的に下がっていると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 実質賃金につきましては、福岡市では内閣府のガイドラインに沿って市民経済計算を行っており、ガイドラインには賃金、俸給を含む市民雇用者報酬の実質値の算出方法は示されていないことから実質賃金は算出しておらず、実質賃金の状況については把握しておりません。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) どう言い訳されても賃金は下がっているんですよ。
 では、さらに別の角度からお尋ねします。
 雇われている人だけでなく、市民全体の家計はどうなっているのかということです。同じ福岡市民経済計算で市民1人当たりの家計の可処分所得は2009年度と2017年度の数字で幾らになるか、答えてください。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 家計部門における市民1人当たりの市民可処分所得につきましては、平成21年度が約226万7,000円、29年度が約220万円となり、約6万7,000円減少しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 減っているんですよ。3%減っています。名目でこの数字です。
 それでは、同時期の1世帯当たりの家計の可処分所得は幾らなのか、答弁を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 家計部門における1世帯当たりの市民可処分所得につきましては、平成21年度が約472万2,000円、29年度が約435万1,000円となり、約37万1,000円減少しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) これを割合で見たら8%、約1割減っているんです。これに物価上昇を加味した実質上の数字で見たら、さらに下がります。
 そこで、お尋ねしますが、市民1人当たりの家計の可処分所得、そして、1世帯当たりの家計の可処分所得も下がっている。つまり島市政の下で市民は貧しくなったのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 家計部門における市民可処分所得の推移につきましては、市民1人当たり及び1世帯当たりの金額が減少している要因の一つとしては高齢化が考えられます。
 なお、市民雇用者1人当たりの市民可処分所得は、平成21年度が約543万8,000円、29年度が約553万7,000円となり、約9万9,000円増加しております。また、福岡市においては全国的に生産年齢人口が減少する中、経済センサスにおける常用雇用者数は、平成24年の70万8,291人から28年は77万3,836人へと約6万5,000人増加するなど、これまでの都市の成長に向けた取組の成果がこれらの指標に表れているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 高齢者が多いと言い訳されましたが、それも含めて福岡市の現実なんですよ。そして、1人当たりの雇用者報酬が増えたと局長は言われたんだけれども、その数字は社会保険料が含まれているんです。それがつり上がっただけです。それを引いた額が雇用者1人当たりの賃金・俸給、先ほど私が紹介したわずか1%しか上昇していないというものなんです。だから、あたかも雇用者の懐が暖かくなったようなごまかしはやめていただきたい。
 そんな言い訳をするなら、もう1つ聞きたい。福岡市が低所得世帯と規定している年収300万円未満の世帯は全世帯のうちどのぐらいを占めているのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 直近のデータである平成30年の住宅・土地統計調査における年収300万円未満の世帯数の割合につきましては42.9%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 42%が低所得世帯です。この数値は政令指定都市の中でワースト3位だということを紹介しておきたいと思います。
 さて、これまで核兵器廃絶、国際競争力、市民の暮らしという視点で島市政を振り返ってみました。時間の関係で今回は3点に絞ったんですけれども、ほかにもただしたいことは山ほどあります。しかし、残念ながら時間が来たので、最後の質問を行います。
 市長は福岡市は元気を取り戻したと言われます。だが、先ほど私が述べたように、市民の暮らしは貧しくなっています。都市の成長の果実を生活の質の向上に振り向けるという路線は破綻しています。この路線は大企業だけを元気づけるものであり、市民にとっては元気を取り戻したなどと言える状態ではありません。インタビューで今までどおりの方向性で前進したいと語っておられますが、開発路線、無計画な人口増、暮らしや福祉に自己責任ばかりを押しつけてきた政治と併せて大きく方向性を変えなければ、市民が本当に元気を取り戻したとはなりません。
 したがって、この10年間の市政運営を反省し、市民の暮らし、福祉と、地域の小規模企業の経営をよくする手だてこそ急ぎ、市民の家計が暖まり、地域経済が活性化する、本当の意味での好循環が始まるような市政に大きく転換すべきと思いますが、市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市では多くの市民の皆様と共に策定をした福岡市総合計画におきまして、都市の成長と生活の質の向上の好循環をつくり出すことを都市経営の基本戦略として掲げ、まちづくりを進めています。これまでの取組の結果、人口は増加を続け、企業の立地や創業が進みますとともに、市税収入は7年連続で過去最高を更新し続けております。この成長の果実を生かして子育てしやすい環境づくりや教育環境の充実、また、安全、安心なまちづくりなどに積極的に取り組み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価をいただいています。
 一方で、新型コロナウイルス感染症によりまして市民生活や地域経済は大きく影響を受け、市税等の減収も見込まれていますが、このピンチをチャンスとして捉え、感染症に強く、より国際競争力が高いまちづくりに積極的にチャレンジをして、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスが取れたコンパクトで持続可能な都市づくりを今後とも進めてまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表いたしまして、本市の子ども・子育て支援施策について、観光産業の支援について、民間スポーツ施設の活用について、以上の3問について御質問いたします。
 まず、本市の子ども・子育て支援施策について質問いたします。
 現在、日本は超高齢化と人口減少に直面しておりますが、将来の日本を見据え、超高齢社会への対応はもちろんですが、少子化というものを止めていくべく、出生率を上げていく必要があります。そうした中、少子化対策は結婚に至るまで、そして、妊娠、出産、育児へと切れ目のない支援が重要になってまいります。本市においても様々な支援を実施しているところでありますが、子育て支援は子どもがいることが前提になりますので、少し少子化について質問をしたいと思います。
 そこでまず初めに、本市の見解として、少子化の要因をどう捉えているのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 少子化の主な要因につきましては、未婚化、晩婚化と出生率の低下であり、その背景には、家事、育児の負担の状況、子育て中の孤立感、子育てや教育に係る費用負担など、結婚や出産、子育てにとって障害となる様々な要因が複雑に絡み合っていると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 少子化の要因は様々であります。そうした中、細かいニーズをしっかり拾いながら少子化対策を進めていかなければならないと思います。少子化対策は入り口となる結婚ということが通常は始まりになると思います。また、先ほどの答弁で未婚化、晩婚化が少子化の原因の一つに挙げられました。
 そこで、本市において結婚に至るまでということを前提とした事業はどのようなものがあるのか、お尋ねいたします。また、他の市町村では市などが主催する若者向けの婚活イベント等を実施しているというニュースなどをたまに目にしますが、本市ではそのようなイベントを実施しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 結婚に対する支援につきましては、福岡県において民間企業が行う300以上の出会いイベント情報の発信などが実施されており、福岡市においても広報の協力を行っております。また、令和元年度から福岡県との共催により婚活セミナーを開催しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 続いて、本市の男女別の初婚年齢の20年前、10年前、直近の推移をお示しください。また、全国の男女別初婚年齢の平均をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の平均初婚年齢につきましては、男性は20年前の平成12年が29.0歳、10年前の22年が30.8歳、直近の令和元年が31.3歳、女性は平成12年が27.6歳、22年が29.4歳、令和元年が30.2歳となっております。また、全国の平均初婚年齢については、男性は平成12年が28.8歳、22年が30.5歳、令和元年が31.2歳、女性は平成12年が27.0歳、22年が28.8歳、令和元年が29.6歳となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 先ほどの答弁で県との共催による婚活セミナーを開催しているとのことですが、男女ともに初婚年齢の平均は昔に比べて遅くなってきておりますので、少子化対策として、まずはここを改善しなければならないと考えております。ぜひ婚活セミナーの開催においても、その効果の検証はしっかりとしていただき、改善すべきは改善していただきますよう強く要望いたします。また、これらのイベント等の周知の強化も併せて要望いたしておきます。
 次に、晩婚化、晩産化対策としても大切になってくると思いますが、中学生の性教育で生物学的な人間の体の仕組みとして、女性の妊娠に関する体の仕組みをしっかりと教えていく必要があると考えます。女子はこのようなことを成長とともに知る機会があるかもしれませんが、男子はずっと知らないまま大人になっていく子たちも多いと感じております。また、このことは人の命の貴さを改めて認識することにもつながり、若い世代の妊娠中絶など、悲しい実態の改善にもつながっていくのではと考えますが、御所見を伺います。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 中学校段階における性教育については、学習指導要領に基づき、保健体育や特別活動の授業において、性に関して正しく理解し、適切な行動を取れるようにすることを目的に、心身の機能の発達や思春期における性的な発達への対応などについて指導しております。今後も男女の児童生徒それぞれが自分のライフプランを主体的にデザインし、健康で幸福な生活を送ることができるよう、ライフプランの基礎となる性に関する正しい知識を習得させ、性教育の充実に努めてまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 少子化というのは、国の存続にも関わってくるものでありますので、真剣に考えていくべきことであると思います。人は結婚しないという選択も、子どもを産まないという選択も自由です。また、子どもを授かりたくとも授かれなかった方々もおられますし、様々な方々への配慮は必要ですが、そのことと少子化対策を一緒にしてしまうと何も前に進みません。様々な配慮をしながらも、少子化という事実を真剣に受け止め、様々な取組を強化しなければならないと考えますし、結婚に、そして子育てに、そして家庭を持つことに希望が持てる環境づくりにも力を入れていただきますように強く要望をいたしておきます。
 それでは、ここから子育て支援について質問していきますが、ひとり親世帯、共働き世帯、夫婦のどちらかが専業主婦(夫)の世帯と、本市の世帯数を多い順にお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市におけるそれぞれの世帯数につきましては、平成27年の国勢調査によりますと、共働き世帯が13万2,106世帯、夫婦のどちらかが専業主婦(夫)の世帯が9万8,757世帯となっており、平成28年の福岡市ひとり親家庭実態調査の推計値によりますと、ひとり親世帯が2万2,681世帯となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 続いて、子育てをしている世帯の中で、ひとり親、共働きで、乳幼児から小学校6年生までの子どもがいる世帯の子どもの人数か世帯数など把握していましたら、分かる範囲でお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 平成28年の福岡市ひとり親家庭実態調査の推計値によりますと、ひとり親で乳幼児から小学生までの子どもがいる世帯の子どもの人数は1万4,300人、また、平成27年の国勢調査によりますと、共働きでゼロ歳から11歳までの子どもがいる世帯の世帯数は3万2,633世帯となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、このような方々向けの本市子育て支援策のうち、例えば、出産直後の育児支援事業とその利用者数はどうなっていますでしょうか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市における出産直後の育児支援事業と、その令和元年度の利用者数につきましては、生後4か月未満の乳児とその母親を対象に、産科医療機関などにおいて授乳や沐浴の指導、育児相談などを行う産後ケア事業が499人、また、生後6か月未満の乳児とその保護者を対象に家事や育児の援助を行う産後ヘルパー派遣事業が226人などとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市の子育て支援サービスは様々ありますが、私は利用されているサービスが限られているように感じております。また、子育て世代のニーズというのは、時代によって変わってきているのではないでしょうか。
 そこで、本市の子育て支援策のメニューの見直しなどは定期的に行っているのか、お尋ねいたします。また、利用者数が少ないサービスはなぜ利用されていないのか、周知の仕方等にも課題があるとは思いますが、サービス自体に魅力がないということも考えられるのではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の子育て支援策につきましては、子ども総合計画に基づき、毎年度、子ども施策の実施状況や進捗状況について自己評価を行うとともに、有識者などで構成するこども・子育て審議会において点検、評価を実施していただいているところであり、今後とも、必要な検討を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) せっかく支援をしていくのですから、しっかりとニーズを把握して、支援策の見直しにも努めていただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、本市の子育て支援サービスの中で、子育て中の親の心の余裕を持たせてあげられるような支援として、産後ケア事業で利用者数は499人、産後ヘルパー派遣事業で226人との答弁がありましたが、そのほかではどのようなものがあるのか、お示しください。また、利用者数も併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市の子育て支援サービスのうち、子育て中の親に心の余裕を持っていただく事業と、その令和元年度の利用者数でございますが、保護者の子育てに関する不安感や負担感を軽減するため、通院やリフレッシュ等の際に一時的に乳幼児を預かる一時預かり事業が2万4,652人、保護者の育児疲れなどに対応するため、児童養護施設や乳児院などで子どもを預かる子どもショートステイが571人、特に養育上の問題を抱える家庭に定期的に子ども家庭支援員を派遣し、家事等の支援を行う養育支援訪問事業が141世帯などとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 一般的に、心に余裕を持つというと自分の時間を持てるということだと思います。自分の時間というと、友人や会社の同僚と食事に行く時間や、運動をしたり、一人でぼうっとしたりする時間などのことで、どのような人にも必要な事柄であると思います。自分の時間が欲しいとき、親と同居している方や親が近くに住んでいる方は頼むことができるかもしれませんが、誰にも頼めない方々も多くおられるのではないでしょうか。また、子どもと触れ合う時間の確保に悩む親も多いと思います。育児、家事、仕事の両立は大変です。女性の活躍推進もあって夫婦共働き世帯も多くなっており、外での仕事のストレスや家庭でのストレスが重なり、虐待や離婚などにもつながっていくケースもあると思います。
昔と比べると子育て支援に関する施策は充実してきているとも思いますが、全ての支援に対する満足度はそう高くないようにも感じます。本市の訪問型サービスには、利用できる子どもの年齢制限、利用時間の制限、利用日数の制限等がありますが、私は利用できる子どもの年齢や時間帯の見直しをすることで、子育て世帯の生活や職選びにも大きな影響があるのではと感じております。基本的に育児、家事、仕事のうち、他人でも代わりにできるものをあえて言えば家事だと思います。また、育児に関しても、仕事などで子どもを見られないときだけでなく、たまに友人と食事に行くときなどにベビーシッターの手を借りることもあってもいいのかなとも思います。
 平成28年のひとり親家庭実態調査によると、日常生活支援事業のサービスを知っているが利用したことがないという方が30歳から49歳の働き盛りの方々の中に数多くおられます。また、ふだんの家事は本人がしているケースがほとんどで、本人が風邪など引いてしまった場合、例えば、母子家庭では代わりに家事をする人はいないと回答した人が32.3%、子どもが代わりに家事をするが30.1%となっています。子どもが親の代わりに家事をすることも大切なことだと思いますが、全ての家事をこなせる子も多くはいないと思いますし、先ほどの答弁において、本市の小学生までの子どものいる共働き世帯の数やひとり親世帯の子どもの数を答えていただきましたが、これだけ多くの家庭が育児、家事、仕事の両立をしているわけですので、日々の生活に追われている方々も多くおられるのではないかと感じております。
 そこで、本市の訪問型サービス提供者として登録をしている家事代行やベビーシッター事業者以外にも、本市地場の小・中事業者もサービス提供者として登録ができるように条件を緩和し、様々な子育て世代のニーズに応えられるようにすること、また、民間の家事代行やベビーシッター事業者と連携し、その利用料金を助成すること、そして、利用可能期間を子どもが小学校を卒業するまでとし、ひとり親家庭世帯、共働き家庭世帯の親が心に余裕を持てるようにしてあげること、さらに、このような事業者を増やすことで利用希望者の選択の幅を広げてあげることも重要になると考えますが、最後に御所見をお伺いしまして、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市では、子育てに関する不安感や負担感を軽減できるよう、出産後の保護者への支援として産後ヘルパー派遣事業など、また、ひとり親家庭向けの支援として日常生活支援事業など、様々な支援サービスを行っており、実施に当たっては、その質を確保するため、安定的にサービスを提供できる事業者を登録することといたしております。今後とも、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに向け、市民ニーズ等を踏まえながら、保護者が心に余裕を持って生活できる支援についてしっかり検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、観光産業の支援について質問いたします。
 本市は九州のゲートウェイ都市として、観光、ビジネス客等の受入れ環境の整備を行っているところであります。これからもさらなる入り込み観光客数の増加や交流人口の増に向け、施策の展開にも力を入れようとしているさなかに、今年の2月から新型コロナウイルスの感染が本市においても始まり、4月には緊急事態宣言が出されたことにより、本市経済面においても様々な面で打撃を受けているところです。
 そうした中、国のGo To キャンペーン等の需要喚起策やPCR検査を広く実施することによる感染者の抑え込み等もあり、本市においても、少しずつではありますが、コロナ禍前の生活が戻りつつあるようにも見受けられます。もちろん終息宣言が出されるまでは気を抜くことは許されません。
 一方、他都市においては、第3波とも言うべき感染者数が急激に増えてきている状況にあります。本市においても、いつ感染者数が増加するかは全く分からないわけであります。そうした中、本市の観光関連産業は引き続き厳しい状況に置かれていると思いますが、特に人の往来がダイレクトに影響する宿泊施設の状況や市が行ってきた支援についてお尋ねしていきたいと思います。
 まず、緊急事態宣言期間に係る4月と5月の市内宿泊施設の客室稼働率について、全国平均も併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 市内宿泊施設における令和2年4月及び5月の客室稼働率と全国平均につきましては、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、令和2年4月については、福岡市が11.3%、全国平均が17.2%、5月については、福岡市が7.9%、全国平均が13.6%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 宿泊施設の稼働率は昨年までは年平均8割の水準で推移していましたが、緊急事態宣言期間には1割以下まで落ち込んでいたということでした。宿泊施設にとって、まさに危機的な状況下にあったと言えます。
 そこで、市はこの時期にどのような支援を行ったのでしょうか。予算額と支援内容についてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 緊急事態宣言下における宿泊施設に対する支援につきましては、徹底的な新型コロナウイルスの感染拡大防止、衛生管理の強化を目的として、4月議会で2億7,840万円の補正予算を計上し、宿泊施設の稼働率が著しく低下する厳しい中で、事業者の負担が大きくなっていたマスクやアルコール消毒液等の消耗品や空気清浄機等の備品など、安全対策に向けた経費に対する支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 4月や5月の緊急事態宣言下、先行きが見えない状況の宿泊事業者にとって、マスクや消毒液等の基本的な衛生対策への対応が大きな負担になっていたと聞いています。この支援は、緊急事態宣言に伴う事業継続に向けた支援として4月21日にいち早くその概要が発表され、宿泊事業者にとって大きな助けになったのではないでしょうか。また、その後、市内宿泊事業者の安全、安心対策を紹介する取組も実施されていると聞いています。宿泊施設と市が共に衛生対策に取り組んでいるというメッセージを発することは、その後、本市を訪れる方にとっても安心材料になりますので、重要なことだと思います。
 さて、その後、7月より国のGo To キャンペーンも始まり、少しずつですが、宿泊施設の稼働状況も回復してきたのではないでしょうか。
 そこで、直近の市内宿泊施設の客室稼働率について、全国平均も併せてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 観光庁の宿泊旅行統計調査で公表される市内宿泊施設における客室稼働率と全国平均につきましては、9月が最新となりますが、福岡市が30.8%、全国平均が40.3%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 直近の稼働率として、令和2年9月の本市の客室稼働率は30.8%とお答えいただきましたが、回復はしてきているようです。また、最近の稼働状況を宿泊事業者に聞きますと、コロナ禍以前のようにはいかないけれども、宿泊者は増えてきているとのことです。11月の連休には稼働率が80%を超えたというような声も聞きました。このような回復の背景には、国のGo To キャンペーン等の需要喚起の効果もあったのではないかと思います。ただし、全国平均と比べると回復が遅いことも分かりました。
 そこでお尋ねしますが、市は需要喚起のためにどのような支援を行ったのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 需要喚起のための支援につきましては、新しい生活様式を踏まえ、宿泊施設の利用形態として、テレワークによるビジネス利用や、自然、歴史、文化などの地域資源を活用した身近な観光の需要が生まれてきております。このため、9月議会で2億円の補正予算を計上し、ビジネスや観光での利用促進に向けて新たなプラン提供にチャレンジする宿泊事業者を対象にプラン造成及び販売に対する支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 本市の宿泊施設を利用される方は観光客だけではありません。新しい生活様式を踏まえ、ビジネス客を含めた多様な側面から需要喚起に取り組んでいるとのことでした。新たな宿泊プランによる需要喚起も必要ですが、本市においてはイベントやコンサート等による宿泊需要も大きかったと思います。こうしたことから、以前から本市は集客交流効果の大きいMICE誘致や施設整備にも取り組んできました。昨年のラグビーワールドカップ、そして、来年のオリンピック・パラリンピックに続き、2022年には本市で世界水泳が行われるなど、大型スポーツMICEの開催が予定されています。このほかにも国際会議等、様々な国、地域の方々が本市にお越しいただけることで、地域経済の活性化や本市のプレゼンス向上にもつながっていきます。一方、コロナ禍においては、密を避けるため、大勢の人が一堂に集まる会議等のMICE開催、イベントやコンサート等の公演の実施が困難な状況にあると思います。
 そのため、実際に会場に集まらないオンライン配信での実施も盛んになっていると聞いていますが、そこで、MICEやコンサート等の開催等について、現状を踏まえてどのような支援を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) MICEの開催に対する支援につきましては、リアルな参加とオンラインの配信を同時に行うハイブリッド開催を促進するため、9月議会で8,100万円の補正予算を計上し、MICE施設を対象にオンライン設備の導入、MICE主催者を対象にオンライン配信やリアル開催における安全対策の経費に対する支援を行っております。また、コンサートなどの文化・エンターテインメントイベントの開催に対する支援につきましては、同じく9月議会で6,400万円の補正予算を計上し、リアルイベントとオンライン動画配信を併用したハイブリッドイベントを開催する主催者を対象に安全対策やオンライン配信の経費に対する支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) MICEやコンサート等の再開に向けて、ハイブリッド開催に必要となるオンライン設備の導入や配信への支援だけでなく、併せて感染拡大防止のため、現地での安全対策についても支援を行いながら、実際に本市にお越しいただけるような取組を行っているということでした。
 さて、本市では本年4月から宿泊税を導入していますが、観光客も激減している現状において、この宿泊税の充当先の優先順位として宿泊事業者への支援は高いと考えます。本市では宿泊税の税収見込みを踏まえて9月に減額補正をしておりますが、宿泊事業者向けの支援は減額せずに継続するとのことでした。
 そこで、宿泊税を活用した宿泊事業者支援の内容についてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 宿泊税を活用した宿泊事業者に対する支援につきましては、宿泊事業者の受入れ環境充実の支援として、令和2年度当初予算として3,636万円を計上し、宿泊や会食の機会が増える年末年始や宿泊需要が高まる受験シーズンに向けて、宿泊事業者が取り組む感染症対策や災害対応強化などの経費に対する支援を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 宿泊税収が厳しい中でも宿泊事業者の支援は継続し、宿泊施設の利用が多くなってくる時期に向けて、対策に取り組む宿泊事業者の声に耳を傾け、必要とされる支援を行っているとのことでした。本市ではコロナ禍前にはホテルの空室率も少なく、ホテル不足が声高に言われておりました。新型コロナウイルスの感染拡大により観光客も激減しており、まさに今は有事と言えます。この先、コロナ終息時、あるいは共存していくことになるかもしれませんが、交流人口を増やしていかなければ本市経済は復活しないと考えますし、コロナ禍の中、宿泊料金の値下げをしているホテル等もあり、決して稼働率と売上げが比例しているわけではないと聞いております。そうした中、観光客等の受入先である宿泊事業者がコロナ禍においてどんどん潰れてしまうようなことや、経営難から来福者へのサービスの低下による本市の魅力が損なわれてしまうことがあってはいけません。現在、全国的には感染者数が抑えられている本市でも、感染者数は増加傾向にあり、宿泊事業者をはじめとした観光関連事業者はこの先も厳しい状況が続くと思います。
 このような状況から、宿泊事業者向けの支援をはじめ、引き続きコロナ禍における新しい生活様式も踏まえた観光振興をお願いしたいのですが、最後に御所見をお伺いいたしまして、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 新しい生活様式を踏まえた観光振興につきましては、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であることから、宿泊により市内滞在が増えることで、飲食や交通など様々な分野への経済効果が広がるものと考えております。旅行者が安全、安心かつ快適に過ごすことができるよう、新型コロナウイルスの感染状況などの動向を注視しながら、宿泊、飲食、イベントなど、観光関連事業者の新しい生活様式に向けた取組を支援するとともに、コロナ禍における観光ニーズも踏まえ、豊かな自然、歴史、文化などの地域資源を生かした観光振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 最後に、民間スポーツ施設の活用について質問いたします。
 国はスポーツに関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るためにスポーツ基本計画を策定しています。計画には、スポーツをすることでみんなが楽しさ、喜びを得られることがスポーツの価値の中核であることや、継続してスポーツをすることで勇気、自尊心、友情などの価値を実感するとともに、自らも成長し、心身の健康増進や生きがいに満ちた生き方を実現していくことができることなどが書かれています。このスポーツの持つ価値はコロナ禍においても全く変わりのないものだと思います。
 そして、スポーツをする上でなくてはならない環境として、スポーツができる施設や空間などの場が存在します。私は本市の厳しい財政事情や今あるものを生かすという観点から、民間スポーツ施設の活用について質問していきます。
 まず、スポーツ環境の現状を確認するために、スポーツをする場や機会が身近にあると感じる市民の割合について、本市の目標と現状値をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 身近なスポーツ環境に対する満足度につきましては、目標値70%に対し、令和元年度の現状値が59.1%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) それでは、福岡市のスポーツ活動のための場づくりの取組について、具体的にどのような取組を行ってきたのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スポーツ活動のための場づくりの取組につきましては、市民が利用しやすい環境づくりのため、体育館の開館時間の延長や利用こまの見直し等を行ってまいりました。また、福岡市のスポーツ施設におきましては、これまで総合体育館や今津運動公園野球場などの新たなスポーツ施設の整備を行うとともに、東平尾公園の博多の森陸上競技場やベスト電器スタジアムの大規模改修を行ってまいりました。身近なスポーツ施設におきましても、利用者が安全に利用できるよう、日頃から点検や維持補修に努めるとともに、ユニバーサルデザインにも配慮し、計画的に体育館や総合西市民プールの大規模改修に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) スポーツ施設について、市民の利便性向上を図るとともに、計画的に施設整備や大規模改修に取り組んでいることが分かりました。
 それでは、市民の身近なスポーツ施設である体育館について、本市の体育館の施設数及び利用状況をお尋ねいたします。また、10年前と比較して施設数と利用者数がどのような状況かをお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 体育館の施設数につきましては、総合体育館、市民体育館、ももち体育館及び各区体育館の計10施設であり、10年前と比較して変わっておりません。体育館の利用者数については、平成21年度が約149万7,000人、令和元年度が約190万8,000人であり、この10年間で約44万1,000人増加しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 施設数は変わらないものの、利用者数は年々増えていることが分かりましたが、福岡市民がスポーツをする場を増やす工夫として、近隣自治体との連携、民間スポーツ施設等の利用促進や連携が有効だと考えますが、まず、自治体間の連携として、スポーツ施設の広域利用について内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) スポーツ施設の広域利用につきましては、福岡都市圏17市町の住民のスポーツ活動の場を拡大し、生涯スポーツ社会の実現に寄与することを目的として、平成17年4月から福岡都市圏17市町の住民が他の市町のスポーツ施設を相互利用できるようにしております。広域利用を行っている施設は、令和2年8月現在、福岡市52施設、他自治体90施設の計142施設でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 福岡都市圏におけるスポーツ施設の相互利用を促進することにより、都市圏全体での既存施設の活用が図られていることが分かりました。
 それでは次に、大会会場として利用されている本市内の民間スポーツ施設や大学スポーツ施設、近年新たに開設された民間スポーツ施設や大学スポーツ施設について、その施設名をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 大会利用実績がある本市内の民間スポーツ施設や大学スポーツ施設につきましては、ペイペイドーム、パピオアイスアリーナ、福岡大学の体育館である第二記念会堂、福岡工業大学塩浜総合グラウンドなどでございます。また、近年新たに開設された民間スポーツ施設は、屋内型スポーツ・アスレチック施設ノボルト、大学スポーツ施設は、福岡大学総合体育館、九州産業大学の大楠アリーナ2020などがございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) つい先月の話ですが、福岡市と九州産業大学との間で災害時における施設等の利用協力に関する協定が締結され、同大学の体育館等の施設を災害発生時の避難所や物資集積拠点とすることに協力いただけることになりました。また、福岡大学や西南学院大学等とも同様の協定が締結されており、非常によい取組だと思います。このような連携をスポーツの分野でも図ることを考えてはいかがでしょうか。
 もちろん大学の利用が優先されるべきですが、大学の行事や学生利用の支障のない範囲で、市民スポーツの利用に供することに協力していただくよう働きかけてはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) まず、先ほどの答弁で、本市体育館の利用者数につきまして、令和元年度の利用者数を約193万8,000人と申すところを190万と申しました。訂正いたします。
 それでは、大学施設の市民利用につきましては、市と大学とで協議する場を設けるなどして協力を求めていきたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) これまで、本市においてスポーツをする場を増やす工夫の余地があるという現状について質問してまいりましたが、そうした中、多く利用者のあるスポーツ施設が老朽化など様々な理由により廃止をされてしまうという事例もこれから出てくるのではないかと感じております。これらの施設には、公共もあれば、民間の施設もあります。
そうした中、民間スポーツ施設で、先ほどの答弁でもありました大会利用実績もある西部ガスグループ所有のスケートリンクであるパピオアイスアリーナがあります。この施設は年齢を問わず多くの一般利用者がおり、また、大学のアイスホッケーチームが練習の場として使用し、スケート競技において将来のアスリートを目指す方々の貴重な練習の場となっている施設です。また、公益財団法人スペシャルオリンピックス日本により、知的障がいのある方々のスピードスケート、フィギュアスケートの練習の場としても利用されている施設であり、国際大会も開催されているようであります。また、昨年、マリンメッセ福岡で行われた世界フィギュアスケート国別対抗戦2019の事前練習場所として外国の選手が利用していたと聞いております。
こうした大規模スポーツ大会の場合、練習会場として公共施設を利用することが多いかと思いますが、この大会ではパピオアイスアリーナも利用しているようであり、これは官民連携の事例の一つと言えるのではないでしょうか。
しかし、新聞報道でもあったとおり、施設改修に伴う費用が莫大なため、民間としてはその費用を賄うことが厳しく、来年の3月で施設を廃止する検討が進められております。私は一般利用者から、私たちの生きがいであるスケートができなくなるということの不安の声をたくさん聞いております。パピオアイスアリーナは民間施設とはいえ、福岡市民のみならず、福岡県民にとっても重要な施設であり、貴重な存在だと言えると思います。私は今ある公共の施設も民間の施設も引き続き存続し、スポーツをできる場が確保されることを強く願っております。
 それでは、話を元に戻します。福岡市内には7つの市民プールに加え、多くの民間プールが存在しております。この民間プールと連携できればスポーツ環境の充実につながると考えます。特に近年、夏休みの学校プール開放事業が猛暑により中止となっていると聞いております。この事業においても、民間プールと連携することにより、より効果的な事業の実施が可能となるのではないかと思います。
 まず、学校プール開放事業の概要についてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 学校プール開放事業につきましては、児童生徒の健康、体力の増進と健全育成を図ることを目的としており、対象者はプール開放実施校の児童生徒、開放期間は夏季休業期間中の15日間、開放時間は原則として10時から12時及び13時から15時でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 近年は猛暑によりプール開放もままならないとお聞きしますが、直近3か年の開放実績についてお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 直近3か年のプール開放事業につきましては、開放期間15日間のうち、平成30年度が開放3日、中止12日、令和元年度が開放5日、半日のみ開放1日、中止9日、2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により夏季休業期間が短縮となり、事業実施が困難となったため中止しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ここ3か年はまともに事業が実施できておりません。近年の猛暑の状況では今後も現状のような学校プールでの開放事業の継続は困難と思われるものの、子どもたちが水に親しむことができる環境づくりは大事だと思いますが、今後についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) プール開放事業につきましては、児童生徒の安全を確保した上で、より子どもたちが水に親しむ環境づくりに取り組んでいくことが大切であると考えております。近年の猛暑による熱中症予防など、安全確保の観点からプールの開放が困難になっている状況を踏まえ、猛暑など気象状況の影響を受けない市民プールを活用して、子どもたちが水を楽しめるような方向で検討を進めております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 福岡市の市民プールは7つしかない一方、民間プールも多くあります。これらを活用することにより、市民プールが近くにないエリアも含め、より効果的に事業が実施できると思いますが、民間プールとの連携はできないのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 民間プールの活用につきましては、より子どもたちが水に親しむ環境づくりにつながるよう、民間プールと連携した事業実施についても検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 現在の市の財政状況では新たなスポーツ施設を整備することは簡単にできるものではないと思います。また、いずれ福岡市においても人口減少が見込まれる一方、既存施設の老朽化が進む中、スポーツの振興は広く市民生活の充実を果たすために、公共だけでなく、民間スポーツ施設や大学スポーツ施設が担っている機能や民間事業者が提供しているサービスなどを含めた市民のスポーツ環境の維持、確保が必要であると考えます。
 今後も市民の身近な利用や大会利用の機会を増やすため、新規のスポーツ施設を整備せずとも、市が他の団体等と協定を締結するなどし、市民が大学施設や民間施設などの公共施設以外のスポーツ施設を利用できるような検討が必要ではないかと思いますが、最後に、中村副市長の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 中村副市長。
○副市長(中村一) 市民スポーツの振興を図る上で、スポーツ活動の場の確保につきましては大変重要なものと考えており、稲員議員御指摘のとおり、大学や民間のスポーツ施設を市民も利用できるようにすることはスポーツ環境の充実に効果的であると認識をしております。市民のスポーツ環境の維持、確保を図りますため、今後、市内の大学スポーツ施設や民間スポーツ施設の実態把握を進めますとともに、広く施設の一般利用に向けて働きかけてまいりたいと考えております。スポーツは市民の健康増進や自己実現、余暇活動の充実など、市民の生活の質を高めますとともに、多くの人々に夢や希望、感動を与えるものと考えており、今後とも、する、見る、支えるの視点に立ってスポーツの普及、振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時45分に再開いたします。
午後2時35分 休憩  
午後2時45分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ)登壇 自民党新福岡の中島まさひろです。よろしくお願いいたします。
 令和2年、2020年も残すところ、あと20日となりました。昨年12月、中国で初めて新型コロナウイルス感染症が確認されてから早いもので1年が経過したわけであります。
 本市においても、2月20日に初めて感染者が確認され、その後、全国的な感染者数の増大によって4月には1か月以上にわたる緊急事態宣言が発せられました。夏には第2波に見舞われ、そして今や国内の感染者数が連日、過去最多を更新するなど、第3波の真っただ中にあります。まさに新型コロナウイルスに翻弄され続けた1年だったわけですが、そうした中、自分自身の感染リスクを顧みず、市民の健康と生命を守るため、一日も絶えることなく働いてくださっている医療従事者の皆様、福祉関係者の皆様、また物流や小売業、公共交通、保育といった我々が日常生活、社会生活を送る上で必要不可欠な業務に従事されている全ての皆様に改めて感謝申し上げます。
 また、本市においても、全庁一丸となって業務に当たっておられる、感染者と接する保健福祉センターの保健師をはじめとする職員の皆さんもウイルスの特徴もよく分からない年度当初においては、非常に苦労されたことと思います。
 緊急事態宣言に基づき、県から休業協力要請がなされた際には、本市は迅速に事業者支援策を打ち出されました。中でも、事業者を対象とした家賃支援は、休業中は家賃など固定費の負担が大きいという事業者の声を島市長がいち早く反映させたものでありました。その後、国や県においても同様の支援策が行われることとなり、外出自粛によって大きく売上げが落ち込んだ事業者が事業を維持、継続する上で大変大きな支えになったことと思います。
 市民の命と健康、経済活動を守るために日々業務に精励されている島市長をはじめ、本市職員の皆様に改めて敬意を表したいと思います。その一方で、新型コロナウイルス感染症による市民生活への影響はまだまだ続き、皆さんの奮闘を期待したいと思います。
 しかしながら、暗いニュースばかりではありません。イギリスではワクチン接種が始まり、国内でも来年前半の実施を目指し、ワクチン接種の具体的な方法について検討が進められている、そういった明るいニュースが聞こえてくるようにもなりました。マスクを外して大声で笑い合える、来年がそんな明るい1年となりますことを心から願いつつ、質問してまいりたいと思います。
 それでは、自民党新福岡を代表して、ICTを活用した新たな学びの構築について、これからの地域活動支援についての2項目、質問させていただきます。
 まず初めに、ICTを活用した新たな学びの構築についてお尋ねいたします。
 世界中で感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症は、私たちの日常生活や経済活動など、あらゆる分野で影響を与え続けています。その中でも教育現場は特に大きな影響を受けているものの一つではないでしょうか。福岡市内の学校は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、今年の3月から休校の措置が取られ、その後、緊急事態宣言の延長などに伴い、学校が始まったのは5月下旬に入ってからと、例年に比べ2か月遅れのスタートとなってしまいました。また、学校は再開しましたが、マスクの着用や教室の換気、小まめな手洗いや消毒といった感染防止対策が必要であったり、運動会や体育会、また自然教室といった子どもたちが毎年楽しみにしている様々な活動や行事が中止となっています。とりわけ、今年入学した1年生は、初めての学校生活がマスクをすることが当然で、給食も静かに食べなければならないなど、多くの制約がある環境でスタートしたため、友達の顔と名前が一致するまでに時間がかかり、なかなか友達ができなかったという声も聞いております。
 こうした中、子どもたちの健康と安全を守りつつ、必要な授業時間数を確保し、学びを保障していくことは大きな課題であると考えます。教育現場はどのような影響を受け、また、それにどう対応したのか、そしてGIGAスクール構想を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのか、質問してまいりたいと思います。
 先ほど述べたとおり、今年度、市内の学校はおよそ2か月間休校したわけですが、それによって今年度に実施すべき授業時間数が確保できるのか心配されています。本来決められた年間の授業時間数は何時間なのでしょうか。また、今年度中にその時間数は確保できる見込みがあるのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年度の年間標準授業時数については、小学校は1年生が850時間、2年生が910時間、3年生が980時間、4年生以上が1,015時間となっており、中学校は全ての学年が1,015時間となっております。
 令和2年度の授業時数の確保については、11月末現在で基礎学力につながる主要教科の授業実績は、昨年度の実績と同等、もしくはそれ以上となっており、年間の標準授業時数は確保できる見込みでございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 基礎学力につながる教科の授業時間数は確保できる見込みとのことですが、学校の臨時休業によって実施できなかった授業数をどのようにして確保してきたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 授業時間数の確保については、1単位の授業時間を小学校、中学校ともに10分短縮した上で、1日最大7時限の授業を実施するとともに、夏季休業期間の短縮や土曜授業の実施回数を増やすなどの工夫を行い、春の一斉休校期間中の授業時数を回復させております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) ただいまの答弁で、授業時間を確保するための工夫として、夏休みを短縮したとのことですが、これまでの夏休みと比べ、どのくらいの日数を短縮したのか、お尋ねいたします。また併せて、今月末から予定されている冬休みについては短縮されるのか、その場合、どのくらいの日数を短縮される予定なのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年度の夏季休業期間については、昨年度より23日短縮し、8月7日から8月19日までの13日間といたしました。夏季休業期間については、昨年度より2日短縮し、12月26日から1月6日までの12日間を予定しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 先ほど授業時間数を確保するための工夫として土曜授業の実施回数を増やされたとの答弁がありました。
 そこで、お尋ねいたしますが、昨年度の土曜授業の実施回数と今年度の実施回数をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) その前に、前の質問で冬季休業期間と言うところを夏季休業期間と言いました。おわびして訂正をさせていただきます。
 質問にお答えいたします。
 土曜授業につきましては、令和元年度は年間4回実施しておりますが、令和2年度については全市一斉休校による授業の遅れを回復する必要があり、年間11回の実施を予定しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 授業の遅れを回復するために、夏休みの短縮や土曜授業の回数を増やすなど、様々な取組を実施されていますが、今まさに全国的に新型コロナウイルス感染拡大の第3波に見舞われており、市内の学校においても感染が判明し、臨時休校の措置が取られている状況にあります。
 今後、感染者数が増加し、市内の多くの学校が臨時休校となり、授業が進まないことで、子どもたちの学びに大きな支障が出ることも予想されます。そうした状況にならないよう事前の備えが必要と思いますが、何か対策を考えているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業については、保健所や感染症の専門家の助言等を踏まえながら、まずは学級単位、次に学年単位、最後に学校単位の臨時休業を検討し、できる限り学校教育活動を継続してまいります。
 また、臨時休業中も子どもたちの学びを止めることがないように、家庭と学校をインターネット回線で接続し、1人1台のタブレット端末、テレビ会議システム、教育アプリケーションなどを用いて、双方向のオンライン授業を実施いたします。
 なお、この取組が全ての小中学校で円滑に行われるように、12月以降の土曜日に小学校と中学校に分けて全市一斉のオンライン授業を2回実施し、学校と教職員の授業スキルを向上させてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) オンラインでの授業については、これまでも基礎疾患のある子どもや感染症の心配がある子ども、様々な理由で不登校となっている子ども、そして感染症の陽性者が発生し、臨時休校となった学校を対象に実施しており、家庭に端末がない場合は教育委員会が端末を貸し出しているとお聞きしております。先日、教育委員会が公表されたように、オンライン授業を行うための環境整備については、令和5年度に実現することされていたGIGAスクール構想を加速させ、本市においては今年11月末時点をもって1人1台端末の整備が完了し、既に端末を活用した授業が開始されています。
 ここで、改めてGIGAスクール構想実現に向けてのICT環境整備について、これまでの経緯をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校におけるICT環境の整備については、令和元年度に小学校と高等学校を対象として、2年度に中学校と特別支援学校を対象として全ての普通教室にプロジェクター、スクリーン、無線LAN環境、指導者用タブレット端末を整備しております。
 また、2年度は全ての市立学校の校内LANについて、高速大容量化を実施するとともに、全ての児童生徒に1人1台のタブレット端末の配備を完了しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 本市においては、子どもたちの情報活用能力育成のために、計画的かつ迅速に端末などの整備を進められたことが分かりました。
 この整備の時期は政令市では堺市と並んで最も早く、また臨時休校に備えてのオンライン授業もこうした環境整備が完了しているからこそ実施できるのであり、御尽力いただいた関係者の皆様に敬意を表したいと思います。
 ここで、先ほど答弁にありました12月以降の土曜日に全ての小中学校において実施するオンライン授業についてお尋ねいたします。具体的には、いつ、何回実施するのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 12月以降の土曜日を活用したオンライン授業については、12月12日に全ての中学校で、来年の1月23日に全ての小学校でそれぞれ実施いたします。また、2月20日には全ての小中学校で全市一斉のオンライン授業を予定しております。
 実施回数については、小学校、中学校ともに2回実施をいたします。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 次に、オンライン授業の方法と内容についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) オンライン授業については、児童生徒が一人一人に配付されている個人用のタブレット端末からインターネット回線とテレビ会議システムを利用して、学校のオンライン授業に参加する仕組みとなっております。全ての児童生徒は個人用のタブレット端末を使って自宅からオンラインで授業に参加します。その授業内容については、まず学級担任が朝の健康観察を行い、その後、1単位30分程度の授業を行うこととしており、それぞれの各学校が決定した2教科の授業を予定しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 中学校においては、まさに明日、12日に実施されるということであり、今後の感染の拡大、臨時休校にしっかり備え、子どもたちの学びを止めないように全ての学校でオンライン授業に取り組まれると聞いて安心いたしました。
 その一方で、オンライン授業となれば、先生も端末を使うことになり、機器の操作も含め、通常の授業と勝手が違い、最初は大変苦労するものではないでしょうか。
 オンライン授業を実施するためには、先生たちがそのやり方をしっかり習得しておく必要があります。実効性のある授業とするために、事前に先生を対象とした研修などが不可欠だと思いますが、これまでどういった対応をされてきたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員への研修については、各学校の管理職、ICT活用推進リーダー、学級担任などを対象としてICT環境の管理方法等に関する研修やAIドリルやデジタル教科書の基本操作、活用、応用に関する研修を実施しております。
 研修の方法は、オンラインによる個人研修、教育センターによる全体研修、学校における実践研修の3つの方法としており、各学校における校内研修を併せて、ICTの活用、指導力の向上を図ってまいります。
 研修期間は児童生徒用のタブレット端末が全校配置されるまでの11月末までを第1期として既に実施しており、12月以降を第2期、第3期として計画的に実施してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 先生たちの年齢構成は様々ですし、端末などの操作が得意な先生もいれば、そうでない先生もいると思います。機器などの操作に関する先生の習熟度によって子どもたちの学習に影響が出ないよう、今後も研修を充実していただくことをお願いいたします。
 土曜日に実施するオンライン授業で使用する端末については、学校で整備されたものを家に持ち帰って利用するとのことでしたが、端末があっても通信環境が整っていない家庭もあると思います。そういった家庭の子どもたちはオンライン授業に参加できないのではないかと懸念されますが、何か対策を考えているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 今回実施するオンライン授業は児童生徒がタブレット端末を利用して授業に参加する方法を自宅または学校のどちらかを選択できるようにしており、全ての児童生徒がオンライン授業に参加することを想定しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 通信環境が整っていない家庭の子どもたちは、学校に登校した上で授業に参加することも可能ということで、一定の配慮をされているようです。しかしながら、通信環境が整っていない家庭に対しては、例えば、Wi−Fiルーターを貸し出すなど、家庭でオンライン授業を受けることができるような方策について検討を進めるよう要望しておきます。
 次に、今回のオンライン授業については、各御家庭の協力、そして学校への説明が不可欠だと思いますが、保護者や学校への説明をどのように行ったのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 保護者への説明については、教育委員会が日程や参加方法、留意点を記載したプリントを作成し、各学校を通じて配付しております。
 また、校長に対して2回の説明会を実施し、オンライン授業の概要や目的とともに、事前の準備や具体的な実施方法について説明しております。さらに、説明会後の質問に対し丁寧に回答することで校長の理解を深め、円滑にオンライン授業が実施できるようにしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 今後、新型コロナウイルス感染症のさらなる感染拡大が懸念される中、オンラインによる授業は基礎疾患をはじめ、様々な理由で学校に来たくても来られない子どもたちが学校に来ている子どもたちと同じように学ぶことを可能にします。
 さらに、臨時休校となった場合でも、家庭で授業を受けることができるようになりますので、子どもたちの学びの機会を保障する上で大変効果的な取組であると思います。もちろん、GIGAスクール構想によって整備された1人1台端末は、臨時的な活用が主な目的ではなく、日々の授業でしっかりと活用していくことが最も重要です。
 GIGAスクール構想では、子どもたち一人一人の理解度に応じた学習や多くの子どもたちの考えを生かす学習ができると聞いており、これまでの教育を大きく変えていく可能性を秘めています。
 現在、子どもたちを取り巻く環境は急激に変化しており、今後、IoTやビッグデータ、AI等の技術革新が一層進展し、我々の生活を大きく変えていく社会、いわゆるSociety5.0の到来が予想されています。これからの未来を担う子どもたちが安心して豊かに学ぶことができるようGIGAスクール構想によって整備され、ICTを活用した新たな学びが生み出され、実践されますことを心から期待しております。
 最後に、教育長の意気込みをお尋ねして、この質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市が進めるGIGAスクールは、授業の中で児童生徒用のタブレット端末機やICT機器を最大限に活用し、児童生徒一人一人の習熟度に応じた個別最適な学びを提供するものです。新しい授業スタイルもデジタル教科書の導入やデジタル教材の拡充、タブレット端末機と同時に導入したAIドリルなどの教育アプリの効果的な活用により、これまで以上に児童生徒に分かりやすい授業を行える仕組みとしております。
 学校と教育委員会が強く連携し、ICTを最大限に活用した教育活動を共に推進することによって、児童生徒一人一人の可能性を最大限に引き出してまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 2問目に入ります。続いて、これからの地域活動支援について質問してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、夏祭りや校区の運動会、餅つき大会といった住民の皆さんも楽しみにしている多くの行事やイベントが中止や縮小を余儀なくされるなど、地域の活動に大変大きな影響を与えています。
 緊急事態宣言が発せられた令和2年度当初、未知のウイルスによる感染症が拡大し、先が見通せない状況にあって、今年度の事業にどう取り組んでいけばいいのか、地域の皆さんは非常に困っておられたと思います。本市はそういった地域の状況をきちんと把握されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 自治協議会等の地域の状況につきましては、緊急事態宣言が出された令和2年4月に各区の地域支援課が全ての自治協議会への聞き取りを行い、状況把握に努めております。その中で、地域からは感染症対策としてマスクや消毒液を購入する場合に、共創補助金を活用できるかといったお尋ねや、自治協議会として事業の計画が立てづらい中で、例年どおり校区運営のための固定費の補助が受けられるか不安であるといった声、総会の開催方法についてみんなで集ってできない場合にはどうすればよいのかといったお尋ねや、町内会費の徴収に当たり、個別訪問ができなくて困っているといった声、外出自粛により高齢者に対する見守り訪問ができないことで、独り暮らしのお年寄りが心配だなどといったお悩みや不安の声がございました。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) それでは、そういった地域の悩みや不安に対して本市はどのような支援を行ったのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域に対する市の支援につきましては、令和2年度の自治協議会共創補助金について、マスクなど感染症対策にかかる経費への活用を認めるとともに、事業が実施できない場合でも運営費を一定額まで認めるなど、特例的に柔軟な運用を行っているところでございます。また、総会については集合形式ではなく、書面による開催を助言するなど、地域の実情に応じてきめ細やかな支援を行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 地域からは活動に支障が出ないよう、地域の実情に応じた支援を早々に決定していただいたといった声が届いており、中でも共創補助金の運用については、市が柔軟に対応されたことを評価したいと思います。
 その一方で、新型コロナウイルス感染症拡大は一向に終息の気配を見せず、地域における活動は当面の間、限定的なものになることが予想されます。そうした中、地域によっては工夫を凝らした活動が行われているところもあると思いますが、どのような事例があるのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域における活動事例につきましては、集合形式ではなく、オンラインにより会議やラジオ体操を実施した事例があるほか、事前申込みや検温、消毒などの対策を徹底しながら、清掃活動やパトロールを実施した事例などがございます。
 また、コロナ禍における災害発生を想定し、大学などから専門的なアドバイスを受けながら、自治協議会と公民館が連携して避難所開設や避難者の受入れ、誘導などについて訓練を実施した校区もございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) コロナ禍にあっても、自治協議会など地域団体は安全、安心のための活動や子どもに関する活動、環境美化や健康づくりに関する活動など、住みよいまちづくりのために工夫を凝らしながら活動されていることが分かりました。
 地域が感染拡大防止を図りながら継続して活動していく、その後押しとなるようにぜひこうした事例をまとめて、広く周知を図っていくなど、市としてしっかりと地域活動を支援していただく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域活動への支援につきましては、感染拡大防止を図りながら安心して地域活動が行えるよう、他の校区の取組事例などを収集し、共有を図るとともに、各区の地域支援課を中心に地域の御意見なども伺いながら、しっかりとサポートしてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、高齢者をはじめ、障がい者への声かけや安否確認、子育てや生活困窮に関する相談対応といった大切な役割を担っていただいている民生委員の活動について質問していきます。
 福岡県における緊急事態宣言中は、民生委員の活動は控えられていたと思いますが、緊急事態宣言が解除された後には活動も再開したとお聞きしております。
 そこで、現時点において民生委員はどのような方針に基づいて活動しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 民生委員の活動方針につきましては、毎月開催しております民生委員児童委員協議会理事会におきまして、新型コロナウイルス感染症の流行状況などを踏まえ、決定をいたしております。現在は緊急時などを除いて、直接の対面による訪問活動は控えておりますけれども、電話やメール連絡、インターホン越しの訪問など、感染拡大防止に留意をしつつ活動を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 本市においては、今年度から地域福祉を献身的に支える民生委員の活動費を1万5,000円増額し、政令市でも最高水準としたところではありますが、コロナ禍においても熱心に活動している民生委員と十分な活動ができていない民生委員もいらっしゃるとお聞きしております。活動費はあくまで民生委員の活動内容に応じたものでなければならないと考えます。
 そこで、個々の民生委員の活動状況について、本市はきちんと把握しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 民生委員の活動状況につきましては、統計法による福祉行政報告例に基づき、各民生委員から毎月、活動状況報告が提出をされております。また、活動費につきましては、民生委員が活動しやすい環境づくりのため、令和2年度に上限額の引上げを行っておりまして、活動状況に応じて支給をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 私は一律に支給されていると思っていました。地域の担い手が少ない中ではありますが、ぜひその活動内容に応じた活動費を今後も適切に支給されますようお願いいたします。
 さて、新型コロナウイルスに感染した場合、高齢者の場合は重症化するケースが多いということで、外出を控える高齢者が多いと思います。こうした状況だからこそ、民生委員には高齢者へ今まで以上に声かけを積極的に行ってもらうことが重要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 議員の御指摘のとおり、民生委員は住民と地域、行政をつないでいく重要な役割を担っているものと認識をいたしております。
 新型コロナウイルス感染症が流行する中にあっても、台風接近前の緊急時などにはマスクの着用など、感染拡大防止に留意をしつつ、高齢者に早めの避難を呼びかけて回るなどの活動を行っていただいております。
 現在、新型コロナウイルス感染症によって民生委員をはじめ、地域の見守りや支え合い活動の一部が制約をされておりますが、これからの新しい生活様式の中でICTの活用なども図りながら、地域福祉活動を推進していけるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) ぜひ新しい技術を活用するなど、民生委員自身も安心して活動ができるような仕組みづくりにチャレンジをしていただきたいと思います。
 次に、住民の生涯学習及び地域コミュニティ活動の支援拠点である公民館についてお尋ねいたします。
 公民館には災害が発生した際の避難所としての役割もあります。今年9月6日の日曜日、大型の台風10号が非常に強い勢力で九州に接近しました。これに伴い、本市では公民館を含め、市内249か所で避難所を開設し、これまでで最大となるおよそ4,500人を避難所で受け入れました。まさにコロナ禍における避難所開設であったわけですが、公民館における避難所運営に当たっては、どのような対応を取ったのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) コロナ禍における公民館での避難所運営につきましては、避難所における新型コロナウイルス感染症対応マニュアルに基づき、間仕切りや養生テープでゾーニングするなど、避難者間のスペースを十分に確保するとともに、小まめな換気を行っております。さらに、マスクの着用や手洗い、消毒を徹底するなどの感染症対策を行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) それでは、避難所の開設や運営に際して、公民館とはどのように連携したのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所の開設、運営につきましては、地域防災計画や避難所運営の手引きにおきまして、市職員、施設管理者、地域が連携し、円滑な運営に努めることとしております。市職員は避難所運営の総括、区災害本部との連絡調整等を担っており、施設管理者である公民館長や公民館主事には施設の維持管理や市職員の補助を、また地域の皆様には自主防災組織を中心として市職員とともに受付や避難スペースへの誘導などを行っていただくこととしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 館長をはじめ、公民館の職員とも連携し、避難所開設、運営に当たったとのことですが、どのように総括されているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所の開設、運営につきましては、避難所運営に関する手引きやマニュアルを作成し、研修や訓練を通じて職員のスキルアップを図っております。今回の台風時においても、おおむね円滑な開設、運営ができたと考えておりますが、一部の避難所では市職員と地域や施設管理者との連携が不十分であったり、避難所運営職員の習熟度が低く、避難所開設、運営に滞りが生じたところもあり、今後の課題であると認識しております。
 このため、その課題を踏まえ、現在、避難所運営の手引きなどの改訂を進めており、施設管理者や地域と手引等を共有するとともに、市職員、施設管理者、地域の3者連携による訓練等を通じて施設管理者や地域との連携強化を図るなど、今後とも、円滑な避難所運営が行えるよう取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 台風であれば、事前の予測が可能ですが、地震の場合はいつ起きるか分かりません。地震が発生し、このコロナ禍において中長期にわたって避難所を運営しなければならないとなったときには相当の負担を強いられることが予想されます。台風10号のときに見えた改善点を含め、万全の備えをお願いいたします。
 また、現在、避難所となる公民館など166か所を対象として電気自動車からの電力供給を可能とする施設整備が進められています。災害によって停電が起きたとしても、照明のため、あるいはスマートフォンといった通信機器の充電等のために電気を使える環境が整いますので、安心して避難所生活を送ることができるようになると私も大変期待をしております。着実に整備を推進されますよう、併せてお願い申し上げます。
 続いて、公民館の運営面からお尋ねいたします。
 市内全ての小学校校区に設置している公民館では、様々な講座やサークル活動などが行われていますが、新型コロナウイルス感染症の拡大によってどのような影響を受けたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 公民館につきましては、国の緊急事態宣言等を踏まえ、4月4日から5月17日までの間、休館いたしました。その後、3密を避ける観点から人数制限を行うなど、感染対策の徹底を図りながら、順次、主催事業やサークル活動などを再開しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 公民館は地域における学びや交流の場として大変重要な役割を担っており、コロナ禍においても感染対策と社会活動、地域活動のバランスを取りながら事業を実施していく必要があると思います。
 そこで、公民館事業を実施するに当たり、工夫しているところや新しい試みがあればお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 公民館におきましては、消毒やマスク着用等の基本的な感染対策を講じるとともに、講座等の開催に当たっては人数制限等を行いながら、密にならないよう実施しております。また、一部の公民館では新たな取組として工作教室や料理教室の動画配信やウェブ会議サービスを活用した御自宅でも受講可能な人権講座などを実施しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 今後、コロナの影響がどの程度続くか見通せない中にあっては、地域のデジタル化、地域におけるDX、いわゆるデジタルトランスフォーメーションを進めていく必要があると思います。
 オンラインを活用することで、これまではなかなか参加できなかったような若い世代や子育て中の世代など、新しい層の地域参加も期待できるのではないでしょうか。しかしながら、地域においてデジタル化を進めるに当たっては、これまでオンラインなどをあまり使っていなかった方への配慮が必要不可欠となります。情報通信技術を使える人とそうでない人の格差、いわゆるデジタル・ディバイド解消への取組を併せて実施していく必要があります。
 そこで、公民館では高齢者等を対象としたデジタル活用の支援に関する事業を行っているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 公民館におきましては、通信事業者の協力を得ながら、高齢者等を対象にスマートフォンの使い方等を学べる講座として公民館スマホ塾を実施しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 国を挙げてデジタル化が推進されている中、これからオンライン申請などが増えてくることが想定されますが、オンライン申請を開始しました、スマホやタブレットで簡単にできます、申請はどうぞオンラインでやってくださいと言われても、すぐにはできない人が当然いるわけです。デジタル化の中でこそ、そういった方を置き去りにしない、ぬくもりのある施策が必要です。
 そこで、公民館における地域のデジタル化等を支援する取組を一層充実させていく必要があると思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域のデジタル化につきましては、新型コロナウイルス感染症を想定した新しい生活様式の実践が求められる中、地域の拠点である公民館においてきめ細やかに支援を行っていくことが重要であると認識しております。そのため、デジタル化への対応が難しい高齢者などに対し、これまでの公民館スマホ塾などの取組に加え、オンラインの活用等に関する講座などの取組を充実してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 中島まさひろ議員。
○35番(中島まさひろ) 今、充実していくと答弁いただいた取組は、SDGsの理念、誰一人取り残さないに通じるものであり、ぜひ取組の充実をお願いいたします。
 現在、本市においても、住民サービスの向上と行政の効率化を図るため、行政手続のオンライン化を進められています。オンラインでできることはオンライン化し、業務の効率性を高める、それによって生み出された人的資源を福祉など人のぬくもりが必要な分野へ配置していく、このように島市長はおっしゃっておられます。
 行政のオンライン化を推進するとともに、地域コミュニティや地域のデジタル化をしっかりと支援できるように、公民館や区役所における支援体制の充実を併せて考えていくべきではないかと思っています。
 今年度から公民館主事が非常勤特別職から会計年度任用職員となりましたが、公民館主事には現場を把握し、地域と行政をつなぐという大切な役割があります。これまで以上に地域支援課との連携を深め、公民館と区役所が一体となって自治協議会、自治会、町内会の皆様の活動を支援していただくことを心より期待しております。
 また、地域の活動を地域住民の皆様に知ってもらうために、情報発信、いわゆる広報の強化に取り組むとともに、公民館に行けば地域の情報や本市の行政情報を入手できるし、教えてもらえる、そうした情報拠点としての機能を果たしていただきたいと思います。
 コロナ禍により新しい生活様式、ニューノーマルに適応していくことが求められており、地域活動自体も活動への支援も変革が必要です。公民館の機能強化を含め、今後の地域コミュニティ活動支援について、どのように取り組んでいかれるか、最後に島市長の御所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症によりまして、地域活動にも大きな影響が生じているわけでありますが、そうした中におきましても、地域の皆様におかれましては、様々な工夫を凝らしながら、住みよいまちづくりに向けて御尽力をいただいておりますことに改めて感謝を申し上げます。
 地域コミュニティにつきましては、今年の6月に外部の検討委員会を設置して、条例なども含めて自治協議会や自治会、町内会の位置づけの明確化ですとか新たな支援策について検討を進めているところでございます。
 今後の地域コミュニティ支援に当たっては、地域活動への参加促進、また担い手の負担軽減のほか、中島議員御指摘の地域のデジタル化支援ですとか公民館や区役所における支援体制などについても検討を行いまして、持続可能な地域コミュニティづくりにしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦)登壇 議員生活22年で初めての大トリですけれども、今日に限って長いんで、すみません。それでは行きます。福岡令和会の国分徳彦でございます。
 現在、全世界で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、人々の命と生活が脅かされる未曽有の事態にあり、経済活動にも甚大な影響が生じております。特に第3次産業が9割を占める福岡市においては、市民生活だけでなく、地域経済にも非常に大きな影響を及ぼしています。
 福岡市が感染症に強く、国際競争力のより高いまちとなるためには、社会経済活動と感染症対策の両立を図る必要があります。そのためにも、この感染症がどのようなもので、どう対処すべきかをこれまでに分かってきたデータに基づき、正確に把握し、適切に対応していかなければなりません。
 そこで、私は会派を代表して、新型コロナウイルス感染症の現状と今後の対応について、コロナ禍における避難所運営について、以上2点について質問いたします。当局の明快な回答を期待いたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症の現状と今後の対応についてお尋ねしてまいります。
 日本で新型コロナウイルスの感染患者が確認されて1年を迎えようとしています。福岡市においても、社会経済活動と感染症対策の両立を図るため、様々な対策に取り組まれているところです。福岡市中に新型コロナウイルスが蔓延するという事態は絶対に避けなければなりませんが、過度に恐怖心をあおり、市民活動を停滞させてしまうことも得策ではありません。福岡市においては、感染にどのような傾向があるのか、本当にリスクが高いのはどのような方なのかということを市民に分かりやすく発信し、正しい理解を促すことこそ、これからのウィズコロナの生活において重要であると考えます。
 そこでまず初めに、福岡市における累計陽性者数と累計死亡者数、並びに病院の重症者用病床の稼働率をお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市における累計陽性者数につきましては、12月8日時点で3,631名、亡くなられた方は60名となっております。また、病床につきましては、県単位で統計されておりまして、重症病床の稼働率は10%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 次に、これまで療養中に亡くなられた60名のうち、新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなられた方及び新型コロナウイルス感染症以外の原因で亡くなられた方の人数をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) これまで療養中に亡くなられた60名のうち、新型コロナウイルス感染症が原因と判明している方は49名、それ以外が原因と判明している方が9名、また、原因が不明の方が2名となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 新型コロナウイルス感染症においては、特に高齢者と基礎疾患のある方については重症化リスクが高いと言われており、そういった方にとっては命に関わる問題になり得ます。
 そこで、新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなられた49名の年代別の人数とその割合をお尋ねします。また、亡くなられた49名の平均年齢をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなられた49名のうち、40代が1名で約2%、50代が1名で約2%、60代が4名で約8%、70代が14名で約29%、80代が18名で約37%、90代以上が11名で約22%となっております。また、平均年齢につきましては、80.7歳となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 次に、重症化リスクが高い基礎疾患とは主にどのような疾患であるのか、お尋ねします。また、福岡市において新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなられた49名のうち、基礎疾患のある方の人数とその割合をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 厚生労働省が作成しました新型コロナウイルス感染症診療の手引きによりますと、重症化リスクが高い基礎疾患として糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、高血圧、腎疾患などが挙げられております。また、福岡市において新型コロナウイルス感染症が原因で亡くなられた49名のうち、基礎疾患の有無が判明している方は40名であり、そのうち重症化リスクが高い基礎疾患のある方は34名で、その割合は85%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 新型コロナウイルス感染症においては、高齢者や糖尿病、心疾患、呼吸器疾患などの基礎疾患がある方のリスクが高いことが分かりました。
 また、これまで国内においては4月以降のいわゆる第1波、7月以降の第2波で感染の拡大が見られております。第2波は第1波と比較すると陽性者に占める死亡者の割合が減少していると報道されておりますが、福岡市においても同様に感染状況に変化が表れているのではないかと思料いたします。
 そこで、65歳以上の陽性者に占める死亡者の割合について、6月末までの状況と再び感染が拡大した7月以降の状況を比較すると、どのような変化が見られるのか、また、その変化の理由について所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市における65歳以上の陽性者に占める死亡者の割合につきましては、2月から6月末までの期間は約18%、7月から10月末までの期間は約10%と、割合は低下をいたしております。この変化の要因といたしましては、検査体制の拡充により感染者を早期に発見し、早い段階での治療開始につなげられたことや治療方法の知見が集積されてきたことなどが考えられます。しかしながら、いずれの時期におきましても、高齢者や基礎疾患のある方の重症化リスクが高いということに変わりはないため、引き続きしっかりと対策を行っていく必要があると考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 福岡市においては、高齢の陽性者における死亡率は低下していることが分かりました。しかし、依然として収束が見通せない中で予断を許さない状況が続いています。今後、インフルエンザとの同時流行も懸念されており、リスクが高い方への感染拡大を防ぐためには、市民一人一人の行動変容を促す啓発が重要です。職種や年代等、それぞれのターゲット層に適した注意喚起を行うなど、様々な工夫をしながら、いま一度周知に努めていただくよう要望いたします。
 新型コロナウイルス感染症は、これまで誰も経験したことがない感染症です。医療関係者や介護関係者の皆さんはもちろんですが、保健所職員をはじめとする市職員の皆さんも最前線で頑張っておられることと思います。
 そこで、感染経路の調査など感染拡大防止の上で重要な役割を担う保健所について、これまで体制強化を図ってきたと聞いていますが、具体的にどのようなことを行ってきたのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 保健所の体制強化につきましては、これまで市役所全体での職員応援体制を整えますとともに、11月からは各区保健所長の所管業務を見直し、負担軽減を図ることで、保健所長が感染症対策に専念できる体制を整備したところでございます。このほか、保健所職員についても、患者から行動歴や接触者の情報を聞き取る疫学調査に専念できるよう業務量の増加に応じて職員の増員を行いますとともに、相談対応、検体搬送、健康観察などについて保健福祉局への集約化や民間への委託化などを行うことにより、体制の強化を図ってきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 保健所の体制強化については分かりましたが、一方で、福岡市の感染拡大防止対策の陣頭指揮を取る保健福祉局の負担も相当なものではないかと推察します。
 新型コロナウイルス感染症の発生は誰も想定しておらず、感染動向や必要となる医療提供体制など、日々状況が変わる中、関係機関と連携して迅速に対応に当たっておられる職員の皆さんの頑張りには本当に頭が下がる思いです。
 先ほど保健所の体制を伺いましたが、全市的な調整等を行う保健福祉局においては、これまでどのような業務をどのような体制で行ってきたのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 保健福祉局の業務につきましては、国や県など関係団体との連絡調整、検査、医療体制の拡充、相談ダイヤルの運営や市民への広報、啓発、また、保健所業務の負担軽減に係る検討などがございます。
 体制といたしましては、福岡市内で最初の患者が確認されました2月下旬には、感染症対策の所管課と保健福祉局内の応援職員とを合わせて12名で従事をいたしておりました。その後、患者の急増等に対応し、検査、医療体制の充実を図っていくため、随時保健福祉局内外からの応援職員を増強するとともに、専任職員の配置や、委託により民間の力も活用するなど体制の強化を図ってまいりました。現在は部長以下14名の専任職員と保健福祉局内外からの応援職員の計35名体制で業務に従事をしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 保健所と保健福祉局のそれぞれにおいて、感染状況に応じ、体制を整備されてきたとのことですが、これまでの対応の経験を踏まえ、より柔軟かつ迅速に即応体制が構築できるよう、感染症の発生の段階や状況の変化に応じた行動計画を策定する必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 議員御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症のさらなる拡大や今後の新たな感染症への備えを万全にするためには、柔軟かつ機動的に感染症対策を実施できる仕組みの構築が必要であると考えております。
 新型コロナウイルス感染症に関する知見やこれまでの対応経験のほか、新型インフルエンザ対策を講じるために策定をしました福岡市新型インフルエンザ等対策行動計画も踏まえ、関係局との役割分担も含めた行動計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 新型コロナウイルスの感染患者が今後急増した場合に備え、早急に行動計画の策定をお願いいたします。
 次に、学校において児童生徒が新型コロナウイルスに感染していることが確認されていますが、その場合どのような対応を取っているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 新型コロナウイルスへの児童生徒の感染を確認した場合は、翌日を学校の臨時休業とし、施設の消毒を実施しております。また、この間に保健所による濃厚接触者等の調査も行われております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 次に、新型コロナウイルスが原因で休校した学校数をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 令和2年12月8日時点で、休校した学校の数は小学校17校、中学校6校となっております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 休校することなく、子どもたちが安心して学校生活を継続するためには、日頃の感染症対策が重要でありますが、学校での取組をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校における感染症対策については、登校前の検温、小まめな手洗い、マスクの着用、教室における換気や1メートルを目安とした座席間隔の確保のほか、学校施設の消毒などに取り組んでおります。特に教室の換気については、冬場においても常に2方向の窓を開けるとともに、室温低下による健康被害が生じないよう空調の設定温度を上げることや教室内での保温、防寒目的の衣類の着用など柔軟に対応しながら、換気の徹底を行っております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 児童生徒の感染が確認された後の対応や日頃の感染症対策は、学校で感染を拡大させないために必要な対応であると思います。
 一方で、感染症対策により教員の負担が増え、本来業務にも影響が出ているのではないかとの懸念もあります。感染症対策の影響で子どもの学力低下があってはいけません。
 そこで、コロナ禍における教員の負担軽減に取り組み、教員が本来の業務に専念できるよう支援するとともに、子どもたちの学力保障のためにも力を入れて取り組んでいく必要があると考えますが、これまでの取組と今後の取組についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) コロナ禍における教員の負担軽減については、消毒作業などに従事する学校運営補助員を配置しているほか、業務時間外における電話対応のための自動音声メッセージ機能つき電話の整備や、教職員を休養させるための学校閉庁日の拡充などを実施しております。また、子どもたちの学力保障のため、学習指導員を各学校に1名配置し、学習内容の理解を深めさせるとともに、確かな定着を図っております。
 今後もスクール・サポート・スタッフなどによる支援や、1人1台端末やデジタル教科書などのICTを活用した授業の実施、庶務事務の効率化を図るシステムの構築など様々な取組により、教員の負担軽減にしっかり取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 専門スタッフやICTの活用、そのほか様々な取組により、教員が子どもと向き合う時間を確保するための努力をしていることが分かりました。
 先日、児童や生徒に1人1台のタブレット端末の配付が完了し、今月1日から活用が始まりましたが、今後も学校の感染症対策を徹底しながら、引き続き子どもたちの学びを保障するための取組をしっかり支援願います。
 ここまで新型コロナウイルス感染症の本市の状況をはじめ、これに対する市側の対応、学校における感染症対策などをお尋ねしてまいりましたが、コロナ禍において、市民の安全、安心な暮らしを守るため、行政に求められる役割はますます大きく、そして重要になってきている印象を受けました。
 社会経済活動と感染症対策の両立を図るための行政による市民や事業者へのきめ細かな支援や対応は、当然のことながら福岡市の職員に担ってもらうことになります。新型コロナウイルス感染症の収束はいまだ見通せません。感染症対策については、引き続き万全を期していただくとともに、コロナ禍にあっても子どもから高齢者まで誰もが安心して暮らしていけるよう、来年度に向け、必要なところにはしっかり職員を配置し、全市的な体制を整えていくことが重要であると思いますが、この質問の最後に御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 新型コロナウイルス感染症の対応につきましては、陽性者数の状況等を踏まえながら、保健所や保健福祉局などにおいて職員の増員や新たな組織を整備するとともに、業務の集約化や委託化、局横断的な応援体制の構築などにより、柔軟かつ機動的な体制を整備し、対応に当たってまいりました。
 人員体制につきましては、民間活力等の積極的な活用とともに、事業の選択と集中に取り組み、感染症への対応をはじめ、福祉や教育など人のぬくもりが必要な分野には職員を重点的に配置し、コロナ禍にあっても市民が安心して暮らしていけるよう全庁挙げた体制をしっかりと整備してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 次に、コロナ禍における避難所運営についてお尋ねしてまいります。
 新型コロナウイルス感染症は、日本においても第3波の到来が危惧されている状態でありますが、自然災害はそういった状況でもお構いなしにいつ襲ってくるか分かりません。
 今年9月には福岡市においても立て続けに台風が接近しました。高潮警報が発表された大型で強い令和2年台風第9号に続き、その数日後には気象庁が数十年に一度の強度と発表した台風第10号が迫ってきました。この台風10号は過去に経験のない特別警報級に発達するおそれがあると繰り返し報道され、最大限の警戒をと盛んに呼びかけられたこともあり、多くの方が自宅の窓ガラスを補強したり、非常食を購入したりして、台風の接近に備えたわけですが、幸いにして進路が西に少しずれたおかげで、福岡市においては大きな被害は生じませんでした。しかしながら、地域の方々と台風10号の話になると、避難所の運営に課題があったという声も聞いております。
 そこで、今後のよりよい避難所運営につなげていくために、台風10号における避難所運営での課題とその対応についてお尋ねしてまいります。
 それではまず初めに、台風10号における開設避難所数と最大避難者数をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 台風第10号接近に伴う避難につきましては、249か所の避難所を開設し、最大4,472人の避難者の受入れを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 先ほど中島議員もお聞きになられたんですが、重複しますけど、すみません。
 約4,500人もの方が避難所に避難されたとのことですが、避難所以外を含めると実際にはもっと多くの方が避難したのではないかと思います。
 親戚、知人宅やホテルなど、福岡市が開設した避難所以外の場所に避難した方もいるのではないでしょうか。福岡市は市民に対し避難についてどのような事前周知を行ったのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所以外への避難につきましては、親戚宅やホテルなどへ避難された方も多くいたと聞いております。また、避難については、ハザードマップで災害種別ごとに避難の必要性をあらかじめ御確認いただいた上で、ちゅうちょなく早めの避難行動を取っていただきたいと考えており、福岡市が開設する避難所に加え、親戚、知人宅やホテルなどの安全が確保できる場所に各自の状況に応じて避難いただくよう市政だよりやホームページなどで周知を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 避難所は密閉、密集、密接のいわゆる3密の状態になりやすい場所です。大勢の避難者を受け入れるためには、しっかりとした感染症対策が必要となりますが、開設した各避難所ではどのような感染症対策が取られたのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、避難所における新型コロナウイルス感染症対応マニュアルに基づき、間仕切りや養生テープでゾーニングするなど、避難者間のスペースを十分に確保するとともに、小まめな換気を行っております。さらに、マスクの着用や手洗い、消毒を徹底するなどの感染症対策を行ったところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 避難所への避難者の中には新型コロナウイルスに感染している疑いのある方も混在している可能性もあり、避難所運営に従事する方は感染のリスクを抱えながらの対応となります。
 そこで、避難所運営に従事する方を感染リスクから守るため、福岡市はどのような対策を取っているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所運営従事者に対する感染予防対策につきましては、避難所における新型コロナウイルス感染症対応マニュアルにおいて、受付時の検温及び問診票の記入、発熱者の別室対応など避難所全体の感染予防対策を行うとともに、運営従事者についてはマスク、フェイスシールド、ゴム手袋やレインコートによる防護服の着用などにより、感染症から身を守ることとしており、必要な感染症対策用品を区役所等に配備しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 新型コロナウイルスの感染症対策として、感染防護服の着用は有効な手段であり、十分な量を保有しておく必要があると思います。
 そこで、避難所における感染防護服として手袋やレインコートなどの保有数量と配備場所をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所運営従事者用の感染症対策用品につきましては、マスク約3万7,000枚、フェイスシールド約3,000枚、ゴム手袋約2万セット、レインコート約2,000枚を各区役所や埋蔵文化財センター月隈収蔵庫などに配備しており、避難所開設時に必要数を避難所に持ち込むこととしております。以上でございます
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 災害時には命を守るための避難行動が何よりも優先されます。それは感染者や発熱者にとっても同様ですが、台風10号では新型コロナウイルスの感染者や発熱者なども避難所に避難してこられたのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 新型コロナウイルス感染症患者につきましては、福岡県が確保した宿泊療養型施設のホテルに避難していただくこととしており、保健所を通じてあらかじめ対象の方にお知らせしていたことから、避難所に避難された方はいらっしゃいませんでした。また、避難所に避難された際に、検温により発熱が確認された方が8人おられ、濃厚接触者で発熱症状のない方も2人避難所に避難されましたが、対応マニュアルに基づき、一般の避難者とは別にゾーンを分けて受入れを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 約4,500人に及ぶ避難者のうち、濃厚接触者は2人だったとのことですが、今回はたまたま少なかっただけかもしれません。今後も避難所における感染症対策は徹底していく必要があります。
 台風10号のときは、9月6日日曜日の午後3時から避難所を開設するとのことで、全市的に事前に発表されました。200か所以上の避難所を同時に開設するには多くの人手が必要となります。しかも、新型コロナウイルスの感染症対策をしながら行うわけですから、なおさらです。それらを全て市職員でやるのは非常に困難で、地域の協力なしには避難所の開設、運営はできないのではないかと思います。
 そこで、避難所の開設、運営について市の方針はどのようになっているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所の開設、運営につきましては、地域防災計画や避難所運営の手引きにおいて、市職員、施設管理者、地域が連携し、円滑な運営に努めることとしております。市職員は避難所運営の総括、区災害対策本部との連絡調整等を行っており、施設管理者には施設の維持管理や市職員の補助を、また、地域の皆様には自主防災組織を中心として市職員とともに受付や避難スペースへの誘導などを行っていただくこととしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) ただいまの答弁にありましたように、避難所の開設、運営にはやはり地域の方や施設管理者の協力が不可欠であると私も思います。ただし、地域や施設管理者の協力を得るためには、皆さんが安心して協力できるよう、感染防護服を十分な数量準備しておく必要があると思います。
 そこでお尋ねしますが、地域から要望があれば、感染防護服の追加配備は可能か、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所における感染防護服につきましては、市職員のほか、避難所運営に御協力いただく地域の方や施設管理者など、避難所運営従事者に対し一定程度準備しておりますが、地域からの御要望があれば、さらに必要数を確保し、適切に配備してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 地域の声を聞きながら、しっかり対応してもらいたいと思います。
 また、コロナ禍で経験した今回の台風への対応について、十分な振り返りを行い、今後に生かしていくことが重要であると思います。
 そこで、台風10号における避難所運営について、うまく対応できた点と課題が残った点をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所運営につきましては、避難所運営に関する手引きやマニュアルを作成し、研修や訓練を通じて職員のスキルアップを図っております。
 今回の台風時においても、おおむね円滑な開設、運営ができたと考えておりますが、一部の避難所では市職員と地域や施設管理者との連携が不十分であったり、避難所運営職員の習熟度が低く、避難所の開設、運営に滞りが生じたところもあり、今後の課題であると認識しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 改善すべき点はしっかりと見直すことが大切です。加えて、見直し後の新たな避難所の運営方法は地域や施設管理者と共有し、災害時には3者が連携し、円滑な避難所運営が行われるようにしておく必要があります。
 福岡市が感染症に強く、国際競争力のより高いまちとなるためには、社会経済活動と感染症対策の両立に加え、災害時の避難所運営と感染症対策も両立させなければなりません。
 最後にお尋ねしますが、今後に向けた避難所運営の見直しや、地域や施設管理者との連携強化についてどのように取り組んでいかれるのか、市の御所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所運営につきましては、先ほど答弁いたしました課題などを踏まえ、市職員のスキルアップ及び施設管理者や地域との連携強化が非常に重要であると考えております。
 このため、現在、避難所運営の手引きなどの改定を進めており、施設管理者や地域と手引き等を共有するとともに、市職員、施設管理者、地域の3者連携による訓練等を通じて、施設管理者や地域との連携強化を図るなど、今後とも円滑な避難所運営が行えるよう、しっかりと取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は12月14日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(阿部真之助) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は12月14日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時5分 散会