令和2年9月10日(木)

令和2年第5回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第4号)
                             9月10日 午前10時開議
第1  一 般 質 問

  本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  平 畑 雅 博       8番  伊 藤 嘉 人
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  阿 部 真之助      12番  勝 山 信 吾
13番  川 上 多 恵      14番  淀 川 幸二郎
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  久 田 章 浩
保健福祉局長  舟 越 伸 一   環境局長  細 川 浩 行
経済観光文化局長  天 本 俊 明   農林水産局長  中 村 健 児
住宅都市局長  石 橋 正 信   道路下水道局長  駒 田 浩 良
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  山 下 周 成
会計管理者  中 村 郁 子   教育長  星 子 明 夫
教育委員  西 村 早 苗   選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子
人事委員会事務局長   田 浩 輝   監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  藤 田 英 隆   議会事務局次長  金 子 佳 史
議事課長   着 一 孝   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。成瀬穫美議員。
 
○55番(成瀬穫美)登壇 おはようございます。私は福岡市民クラブを代表し、コロナ禍の中での教育体制について及びインターネット上の誹謗中傷による人権侵害について質問いたします。
 2月の終わりの学校の突然の休業要請から半年がたちました。子どもも親も学校現場も、この間、経験したことのない環境に翻弄され、不安な毎日を過ごしてきました。5月の再開後も保護者や学校関係者からたくさんの声が私たちの会派にも届けられました。コロナ禍の前からも学校をめぐる様々な悲鳴は聞こえていました。例えば、いじめ、不合理な校則、教師の負担増、部活動の過熱化、学力格差、不登校の増加など、例を挙げれば切りがありません。そんな学校をめぐる課題に輪をかけて今回の事態が押し寄せてきました。
 今議会では、子どもたちの学びの確保のために9億円を超える追加補正が計上されましたが、その対応を暫定的とするのではなく、従前の教育体制の在り方を検証する機会とし、コロナ禍から見えてきた新しい価値観に基づいた夢と希望が持てる学校づくりは何かということを質問させていただきます。
 まず、学校休業中、子どもや保護者の生活や家庭学習の進捗などはどのように把握されてきたのでしょうか。また、再開後から今日までに子どもの様子に困難や懸念されることはなかったでしょうか。さらに、学校によってその対応にばらつきは起きなかったでしょうか。
 これで1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 臨時休業期間中の児童生徒の実態把握については、各学校において電話や家庭訪問を実施するとともに、必要に応じて心のケアを行ってまいりました。学校再開後は、生活習慣が整わない児童生徒や新型コロナウイルスへの不安を感じる児童生徒が一部見られましたが、全ての学校において適切に対応をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 再開後の授業はどのような形態、内容で行ってこられたのでしょうか、従前の通常授業の在り方との比較でお示しください。
 また、学校における新しい生活様式にはどのように取り組んでこられたのか、併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校再開後は授業時間を10分短縮して、小学校は35分、中学校は40分として、1日最大7時限を実施するとともに、国語、算数などを優先し、音楽、家庭、体育等の教科については年間指導計画の後半に組み替えております。
 新しい生活様式については、文部科学省が示す学校の新しい生活様式に沿って、各学校が適切に対応をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) コロナ感染への不安や生活リズムの不安定によって休みがちになったり、登校を渋ったりする様子は把握されていますか。
 また、6月定例会の我が会派の一般質問において、欠席の実態の把握とその適切な対応を求めておりました。学校再開から約4か月が経過いたしますが、学校再開時と夏休み後の始業日の出席状況を比較してお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 児童生徒の様子の把握については、毎日の健康観察をより丁寧に行うとともに、学校再開時に実施したこころと体の健康アンケートや月1回の学校生活アンケートによって状況把握に努めております。
また、学年ごとに分散登校を開始した5月21日から23日の3日間の出席の割合は98.4%、夏季休業期間後の始業日である8月20日の出席の割合は97.2%となっております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 出席率が下がっていることが分かりました。学校再開時からの比較で1.2%の減、つまり人数にすると欠席者が約1,440人増加していることになります。欠席の理由の分析を重ねてお願いいたします。なお、不登校になった場合、学習や生活を支援するための選択肢を本人や保護者にどのように示されているでしょうか。特に今年度になって新たに対応していることをお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 不登校については、児童生徒の状況に応じ、学校内に設置の適応指導教室や福岡市が市内に4か所設置している適応指導教室で受け入れるほか、民間施設なども紹介しております。今年度はオンライン授業についても案内し、希望した児童生徒に実施をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) では、オンライン授業について伺います。
 臨時休業でのオンライン授業の活用は各自治体で大きな差があったようです。本市の取組とその利用状況はどうだったのでしょうか。また、その効果をどのように評価していますか、さらに、学校再開後の内容充実に向けた取組や活用はどのようになっているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 臨時休業期間中は同時双方向のオンライン授業を市立高等学校4校で実施しております。小中学校におきましては、福岡 TSUNAGARU Cloudやテレビ放送で学習動画を配信し、家庭学習を支援いたしました。福岡 TSUNAGARU Cloudの動画視聴数は延べ約54万回で、多くの児童生徒や保護者からは、手軽に学習動画を視聴でき、学習に取り組みやすくなったという感想が寄せられております。また、学校再開後については、登校していない児童生徒へオンライン授業を実施しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 自宅等でのオンライン授業はどのような形態で進められているのでしょうか、また、オンラインでの授業参加は出席扱いになるのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) オンライン授業については、ビデオ会議システムを活用して学校での授業を配信しております。出席の取扱いについては、国の方針に基づき、各学校が適切に判断をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 設備や教育技術によると思いますが、単に授業風景を映し出すものでは、特に小学生低学年では効果的とは思えません。子どもの発達に合わせたオンライン授業の在り方を研究していただきたいと思います。また、教職員に過度なストレスをかけることがないよう配慮もお願いいたします。さらに、出席の取扱いについては柔軟な対応をお願いいたします。
 さて、GIGAスクール構想による1人1台の端末配付が完了した後の基本的な活用はどのように想定されていますでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 1人1台端末は学校における活用を基本に、デジタル教材やATドリルなどを活用し、より分かりやすい授業を行ってまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 様々な事情によって再度長期にわたる臨時休業になった場合、学校と家庭をつなぐツールとして、子どもたちの学びを止めないために使うことは可能でしょうか。現状の課題と照らし合わせて整備が必要なことはどのようなことでしょうか。なお、1学期に行われた調査では、インターネット環境が整っていない家庭はどの程度の割合だったのでしょうか、その家庭への対応はどのようにされていますでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 臨時休業となった場合は、児童生徒に配付する端末を活用し、オンライン授業を実施することとしております。児童生徒の家庭のインターネット環境については、約18%の家庭が通信環境がないと回答しており、臨時休業などの場合には通信機能を有するLTE付端末の貸出しを行って対応いたします。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ICTは学習にとって便利で有効であり、1人1台端末の整備が進めば大きな効果が出ると期待されます。しかし一方で、子どもたちにとって生活や健康への影響を考えると負の側面もあります。その課題をどのように捉えられており、また、どのように対処しているのか、お聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) インターネットの課題は、不適切な情報によって誤った知識を身につけてしまうことや犯罪に巻き込まれる危険性があること、安易な書き込みによって被害者にも加害者にもなる場合があるなどでございます。また、インターネットの長時間の使用により生活リズムが乱れることや視力が低下することなども考えられます。各学校では通信会社等と連携し、インターネットやSNSの正しい利用の仕方について学ぶ授業を実施しており、教育委員会においてもインターネットやSNSなどに関する資料を全学校に配付し、児童生徒や保護者へ啓発をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) ほかにも想像力や言語力にも影響が出るという指摘もあります。現場でのフォローをお願いしたいところですが、冒頭にも指摘したように、コロナ禍以前より学校は手いっぱいでした。その負担を軽減するために学習指導員や学校運営補助員を配置しているとのことですが、その効果はいかがでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学習指導員の配置により今まで以上にきめ細やかな学習指導が行えており、また、学校運営補助員の配置により学校施設の消毒等が強化されております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 学習指導員及び学校運営補助員はいまだ全校へ配置されていないということが我が会派の議案質疑で明らかになりました。勤務条件に無理があったのではないでしょうか。この間、採用に関してどのように対応されてきたのか、お示しください。また、学校のサポート体制は一時的なものではなく、今後も継続していくべきと考えますが、その見通しはどのようにお考えでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 勤務条件については、学習指導員は有償ボランティアとしており、学校運営補助員は会計年度任用職員として複数の勤務形態を設定しております。人材確保については、文部科学省の登録サイトの活用や大学への周知、新聞等での広報を行ってまいりました。教員の負担軽減については、今後も検討してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) また、国の第2次補正予算によって全国に加配教員が配置されました。その加配によって身体的な距離の確保、学習の遅れに十分対応できているのでしょうか。今回の加配は市内では僅か30校とのことです。加配対象ではない学校が大多数ですが、どのような工夫や努力でそれを補っているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国の第2次補正予算に基づく追加加配教員と既に学校に配置している加配教員を活用して少人数編制授業を実施し、文部科学省が示す学校の新しい生活様式に沿って教室における身体的距離を確保するとともに、学習指導員を活用し、指導体制も強化をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) これまでもそもそも教員の数が不足していたのではないでしょうか、どのようなシミュレーションに基づいて採用計画をしてこられたのでしょうか、また、教職員を増員するにはどのような調整が必要なのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員の採用計画は、今後の退職予定者数や児童生徒数の推計などを踏まえ策定しております。教職員は国の法律に基づき適切に配置しており、定数の充実については国に要望してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 採用条件の緩和や勤務条件、キャリアラダーの整備などは、正規教員の場合と常勤講師の場合、非常勤講師の場合についてそれぞれどのようになっているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 正規教員については、教員採用候補者選考試験において志願者の経歴等に即した特別選考や一部試験免除など、多様な方法により人材の確保に努めるとともに、一般選考については年齢制限を40歳から50歳に緩和しております。常勤講師及び非常勤講師については、臨時教職員任用候補者選考試験を実施しており、年齢制限は設けられておりません。勤務条件については、地方公務員法の趣旨などを踏まえ、適切に設定をしております。また、福岡市教員育成指標に基づき、経験年数や職務に応じて研修を実施し、教員の育成に努めております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 今議会で子どもの学びの確保として少人数学級への整備が示されました。全学年で35人以下学級を実施するとのことですが、暫定的という表現が気になります。今回はコロナ禍による密を避ける対策と認識していますが、文部科学省の諸外国の教育統計によると、諸外国の学級編制基準は20から30人の場合が多く、35人学級が実現したとしても、日本の基準は多いと感じます。
 そこで、お伺いいたしますが、福岡市独自の基準としてさらなる見直しを図ることは検討されているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学級編制基準のさらなる見直しについては、相当数の教室及び教員が必要であり、福岡市独自には困難であると認識をしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 教員の増員と少人数学級を求める声は様々なところから上がってきています。いずれも30人学級を目指すものです。ぜひ前向きに検討をお願いいたします。
 ところで、小中学校の各最終学年には特別な配慮が必要だと思いますが、特に来春の入試への対応は授業時間の確保の観点だけで十分でしょうか。高校側との学習状況のすり合わせや範囲の軽減など協議が必要だと考えますが、現在どのような調整に入っていますか。また、十分に学ぶことができなかったことが後々の人生に影響してくることもあり得ると思われます。そのような場合に学び直す方法はあるのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 高校入試については、全ての志願者が安心して受験に臨めるように、福岡県教育委員会と連携してまいります。学校の再開後は、各学校が授業時数を確保するとともに、授業に遅れがないよう適切に進捗管理しております。今後もICT機器や学習指導員の活用によるきめ細やかな指導を通して、児童生徒の学習理解を深め、学び直す必要がないようにいたします。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 様々な連絡や調査がこの間、次々と出され、現場や家庭が混乱したということを聞いています。教育委員会と学校、保護者の連絡体系についてどうあるべきか、所見をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校、保護者、教育委員会における情報共有は重要であるため、これまでも混乱が生じないよう丁寧に説明をし、情報を共有してきており、今後も適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) マスコミやSNSから先に情報が流れてしまうと、現場では保護者に対して説明ができず、学校に対する不信感につながります。連絡の流れは迅速かつ丁寧に進めていただくよう重ねてお願いいたします。
 さて、第2波ともされる感染拡大の中で、既に児童生徒が感染していることが確認されていますが、その場合、休校措置や感染防止はどのように進められているのでしょうか。また、その間の学習はどのように行うのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 児童生徒の感染が確認された場合は、感染が確認された日の翌日から原則3日間休校し、施設の消毒を行います。また、この間には保健所による濃厚接触者等の調査も行われます。休業期間中の学習については、児童生徒に家庭学習を伝えるとともに、オンライン授業を実施しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 子どもたちは生活や学習環境が大きく変わり、その変化に戸惑いや不安を抱えています。コロナ禍において、国連・子どもの権利委員会が子どもたちの意見を聞いたり、考慮して利する機会を各国に求めています。コロナの感染対策やこの間に起きたことなど、正確な情報を子どもたちに優しく伝えるなどの措置はできていますでしょうか、また、子どもたちの意見に対してどのような対応をしているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 各学校は毎月、児童生徒を対象として学校生活に関するアンケートを実施しており、全教職員で一人一人の状況を的確に把握し、日常を通して適切な助言や指導を行えるようにしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 時間短縮による1日7時間授業や音楽や体育の授業削減、学校行事の中止などは教職員や子どもたちに大きな影響があったと考えます。2学期以降も1学期と同様の授業体制で進めているのでしょうか、見直しがあるとすれば、目安となるガイドラインや評価項目などは提示できているのでしょうか、また、6月定例会の答弁の中で、当面、学校行事や社会体験などは中止するとのことでしたが、どのように実施の判断をされているのか、お聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 2学期以降の授業体制については、1学期における1日最大7時限授業の実施や土曜日授業の実施により臨時休校期間中の授業の遅れを回復できたことから、今後は各学校が実情を踏まえつつ、教育委員会が複数示した授業実践例を選択するようにしております。学校行事や社会体験などについては、児童生徒の健康、安全を最優先にし、中止としておりますが、修学旅行については実施の方向で進めております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 子どもたちは学校だけでなく、地域でも暮らしています。休校中は特にその時間が長かったわけです。本来、地域全体で子どもの育ちを見守るべきところ、子どもたちが歓迎されているかどうか疑わしい事案も起きていると聞きます。今後、子どもが地域で安心して成長していくための対策は講じられているのでしょうか、今回の臨時休業や夏季休暇の間、学校から地域への働きかけなどはあったのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教育委員会では、第2次福岡市教育振興基本計画に沿って、家庭、地域、企業等と連携し、社会全体が共通理解の下、一体となって子どもを育む共育に取り組んでおります。今後もこの取組を着実に実施し、子どもたちを安全、安心に育ててまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 国立成育医療研究センターが実施しているコロナ×こどもアンケートによると、7割の子どもがストレスを抱えており、その子どもたちを支える保護者も教職員も悩んでいます。これまでの学校をめぐる課題の解決に向けた鍵は少人数学級にあると思われます。分散登校や少人数指導は、感染防止だけではなく、授業形態を見直すきっかけとなりました。今後はグループ学習なども含めた多層的な組合せにより、一人一人を見ることができる教育を目指していただきたいと思います。まずは来年度に実施される35人以下学級及びオンラインでの教育の整備、教員採用の増員など着実に進められることを要望し、次の質問に移ります。
 続いて、インターネット上の誹謗中傷による人権侵害についてお尋ねいたします。
 今年5月末にリアリティー番組に出演していた女性アスリートがインターネット上の誹謗中傷により精神的に追い詰められ自死したことをきっかけに、多くの地方議会から国に対してインターネット上での人権保護を求める趣旨の意見書が次々と提出されています。誹謗中傷は有名人のセンセーショナルな話題になるだけでなく、一般の人が対象になっていることも様々な調査や相談事例からも分かってきました。ある日突然、身に覚えのないデマやプライベートな情報がインターネット上に流れていることを目にしたときの恐怖や当惑は想像を絶します。インターネット上の情報は拡散性が高く、一度公開された情報は永久に残っていく性質があることから、その対策と支援は一刻を争うものとなっています。
 まず、本市における対策について質問いたします。
 今年度より福岡市人権教育・啓発基本計画の新たな実施計画が始まりました。
 インターネットによる人権侵害について、これまでの取組と新しい課題についてどのように整理されているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネットによる人権侵害への取組につきましては、福岡市人権教育・啓発基本計画や実施計画に基づき、これまで市民の皆様に対し講演会などによる啓発を図るとともに、児童生徒に対しインターネットを介した被害の防止に向けた教育などを実施しております。また、実施計画では、個人や団体に対する誹謗中傷の書き込みやインターネットでのいじめの発生などを課題として挙げております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 本市がインターネット上の誹謗中傷を課題として認識していることが分かりました。
 では、本市においては被害者から相談があればどのように対応しているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネットによる人権侵害についての相談につきましては、福岡市人権啓発センターなどで受け付けており、同センターでは相談内容に応じて助言等を行うとともに、必要に応じ人権擁護機関である福岡法務局や警察などの関係機関へつなぐこととしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 法務局ではインターネットに関する人権相談を受け付け、必要に応じて人権侵犯事件としてプロバイダーへの削除要請を行っていると聞きますが、そのインターネット上の人権相談は本市ではどのくらい発生しているのか、お示しください。
 また、そのうち人権侵犯事件となったものはどの程度あり、過去の推移からどのようなことが言えるのか、御所見をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡法務局が取り扱った人権相談及び人権侵犯事件の件数につきましては、市町村別の数値は公表されておりませんので、福岡県全体の数値でお答えさせていただきます。
 まず、インターネット上の人権侵害に関する相談件数については、平成31年1月から令和元年12月までで252件となっております。
 次に、同期間で新たに救済手続を開始した人権侵犯事件は63件となっており、現行の統計を開始した平成13年以降では平成30年に次いで過去2番目に多い状況でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 深刻な問題となっています。
 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律、いわゆるプロバイダ責任制限法と呼ばれるものですが、この法律では、どのような条件であれば発信者の情報を開示申請できるのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) プロバイダ責任制限法におきましては、発信者情報開示請求の要件として、侵害情報の流通によって請求者の権利が侵害されたことが明らかであること、かつ損害賠償請求の行使その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることとされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) プロバイダー責任制限法は現在改正が検討されていると聞きますが、現在の課題と、この法律が改正されたら市としてどう取り組むのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) プロバイダー責任制限法につきましては、総務省の発信者情報開示の在り方に関する研究会によりますと、発信者情報開示制度に関して、発信者を特定できない場面が増加していることや発信者特定のための裁判手続が負担となっていることが課題として挙げられております。国においては、法改正も視野に入れ、総合的な対策の検討がなされており、福岡市といたしましても、今後の動向に留意してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 発信者情報が開示され、発信者へ連絡すると、まさか特定されるとは思わなかった、軽い気持ちでやったなど、操作の簡易さと匿名性からついやってしまうという心理が働くという報告もあります。
 啓発活動が大きな役割を担うと思いますが、本市の取組はどうなっていますか。
 あわせて、国の取組としては、インターネットトラブル事例集の発行や特設サイト#NoHeartNoSNSを開設したりしていますが、そのような取組の中でも特に直接的に啓発ができるe-ネットキャラバンの福岡市での実施状況などもお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネットによる人権侵害に関する啓発につきましては、例年12月に開催している人権を考える市民の集いの講演会や市政だより及び人権啓発ラジオ番組こころのオルゴールなど、様々な機会を通じて市民への啓発に取り組んでおります。また、総務省が実施しているインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的とした学校等での出前講座e-ネットキャラバンの令和元年度の福岡市での実施件数は、市立小学校や高等学校など7件となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 人権問題に日頃から意識の高い方が参加する機会にとどまっているように思えます。
 ついという軽い気持ちからくる誹謗中傷ですか、炎上に加担する人たちの割合はどの程度だと報告されているでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネット上でのいわゆる炎上の書き込みに直接参加する人の割合につきましては、総務省の令和元年版情報通信白書では、インターネット利用者の数パーセント程度以下のごく少数にすぎないと記載されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 複数の調査があるようですが、いずれも1%程度だとされているようです。となれば、99%近い人が単なる閲覧者となるわけですが、その人たちが誹謗中傷の炎上抑制の鍵を握ると考えられます。
 これまでに御答弁いただいたように、被害者への支援、加害者への対策、また、サービスを提供するプロバイダー等への対応は直接的には必要ですが、インターネット上での加害、被害、自傷行為などをほのめかす投稿があった場合、閲覧者の役割としてはどのようなものがあるか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネット上では人権に関わる様々な投稿や情報があり、どこに相談したらいいか分からない場合につきましては、まずは福岡市人権啓発センターや法務局のみんなの人権110番などに御相談いただければと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) インターネットは今後も教育やコミュニケーションのツールとして子どもの使用も増えていくと予想されます。子どもや若者が安心してインターネットを利用することができるように、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律があるわけですが、本市での取組はどうなっているでしょうか、現状をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 青少年のインターネット利用に関する取組につきましては、福岡県青少年健全育成条例に基づき、毎年、市内の携帯電話販売店への立入調査を行い、青少年の有害情報の閲覧、視聴を防止するフィルタリングの必要性を販売時に説明しているかなど、必要な措置の実施状況を確認し、違反があった場合は速やかに是正を指導いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) SNS利用状況は増加傾向にあることから、若年世代を加害者にさせないためにも、中学生のうちから情報発信に関する教育の充実を果たす必要があると考えますが、学校ではどのように取り組んでいるのでしょうか。また、その課題はどのように考えられているか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 各学校では、各教科や道徳の時間などで自分の言葉に責任を持ち、相手を思いやる心情や態度を育てる学習や、通信会社等と連携し、SNSの正しい利用について学ぶ授業等を実施しております。また、教育委員会が作成したSNSなどに関する資料を配付し、保護者や児童生徒に啓発しております。正しい知識の習得と相手を思いやる心情や態度の育成の両方が大切であり、さらなる指導の充実を図ってまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) インターネットやSNSは社会的に立場の弱い人たちが声を上げたり、エンパワーメントする場として大きな役割を持ちます。言わば民主主義の支えとなるものとして私たちが手にしたものです。表現の自由を自ら狭めないためにも、他人に対しての誹謗中傷と正当な批判とは区別して対応するべきと考えますが、その区別はどのように考えればよいのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネット上の誹謗中傷への対応につきましては、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会の提言において、誹謗中傷と正当な批判とは区別して対応すべきとの視点から、プラットフォーム事業者の取組など総合的な対策が求められており、今後の国の動向に留意してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 若者たちのコミュニケーションツールにはSNSが欠かせないものですし、社会人にとっても仕事のツールとなっているケースも多く、インフラと同じ存在価値を持ちつつあると考えます。
 今後、安心して利用できる場にするためにその環境づくりが急務と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネット上の誹謗中傷につきましては、国において総合的な対策が検討されているところであり、今後の動向に留意するとともに、福岡市といたしましては、引き続き人権教育・啓発基本計画や実施計画に基づき啓発に取り組むとともに、福岡市人権啓発センターをはじめとする各種相談窓口の市民への周知に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 成瀬穫美議員。
○55番(成瀬穫美) 今年8月、総務省からインターネット上の誹謗中傷への対応の在り方に関する緊急提言が公表されました。さらに、9月1日、インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージが公表されました。これらを受け、特に相談体制の在り方について、違法・有害情報相談センターは地方自治体との連携を求めています。また、多数ある窓口をどのように活用すれば利用者が簡単に把握できるようになるか、手だてを打とうとしています。今後さらに対策を進めるに当たっては、情報共有とともに、お互いに意見を交換しながら効果的な啓発活動等に取り組んでいく必要があります。特に地方法務局と地方公共団体との積極的な連携により、身近な相談窓口から専門性の高い窓口へつながるスピードも加速できると思われます。
 最後に、本市ではどのようにその役割を捉え、連携していくのか、その展望をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) インターネットによる人権侵害の相談体制の在り方につきましては、国において検討がなされているところであり、今後の動向に留意するとともに、法務局など関係機関と緊密に連携を図りながら、市民に身近な相談機関である人権啓発センターなどにおいて様々な相談に対応してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆)登壇 皆さんおはようございます。私は公明党福岡市議団を代表して、ポストコロナを見据えた住まいと暮らしについて、特に障がい者日常生活用具の給付について、そして、地域共生社会の構築について、以上2点について質問をさせていただきます。
 初めに、障がい者の日常生活用具給付についてであります。
 障がい者への各種福祉サービスについては、時代の推移とともに、障がい者の全体数も高齢化も進展しており、給付内容の見直しや検討が求められております。しかしながら、サービス拡充に伴う財源確保などの課題もあり、これまで公明党福岡市議団も一つ一つ要望を行い、改善、拡充もしておりますが、その中で、今回は紙おむつ等の給付についてお尋ねします。
 おむつといえば高齢者が対象となるサービスがありますが、初めに、高齢者対象のおむつサービスの内容について、対象者、要介護度別の利用者数及び全体の利用者数についてお答えください。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて質問させていただきます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者のおむつサービスにつきましては、福岡市の介護保険被保険者のうち、要介護3から5と認定され、在宅で生活をされているおむつが必要な方を対象に実施をしております。要介護度別の利用者数は、平成30年度末現在で要介護3の方が1,816人、4の方が1,758人、5の方が1,400人であり、利用者数の合計は4,974人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 要介護3から5で約5,000人の方がサービスを受けられている、そして、これは答弁にはありませんでしたけれども、高齢者以外の方でも要介護認定者は72人サービスを受けておられるということであります。
 また、高齢者へのおむつサービス助成の理由についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者へのおむつサービスにつきましては、在宅の寝たきり高齢者等に対し、おむつの給付配送を行うことにより、介護の負担軽減等を図ることを目的に実施をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 介護の負担軽減のためということであります。
 次に、障がい者へのおむつ等の給付対象となる条件及び対象者数についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 給付対象となる方の条件でございますが、まず、対象となる障がいの内容、程度につきましては、ストーマの著しい変形や高度の排尿機能、排便機能障がいがあるなど、ストーマ装具では対応できない方、またはおおむね3歳未満で発生した脳性麻痺などの脳原性運動機能障がいにより、排尿、排便の意思表示が困難で、自力でトイレに行けない、自力で便座に座ることができないなどの状態にある方で、医師の意見書などにより紙おむつ等を必要とする状態であるとされていることといたしております。また、所得要件につきましては、障がい児・者の属する世帯員のうち、市民税所得割の最多納税者の納税額が46万円未満となっております。
 次に、紙おむつの給付者数につきましては、平成30年度の延べ人数で5,949人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) ストーマの補助と、もう一つはおおむね3歳未満で発症した運動機能障がいが原因と、様々な症状はあってもこれが原因という厳しい条件がついております。延べ人数は約6,000人ということですけれども、実人数がどれくらいなのか、気になるところであります。
 高齢者と障がい者では相対的に障がい者のほうが給付対象となる割合は低いようですが、障がい者に紙おむつ等を給付する理由について、法的根拠と併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 紙おむつ等につきましては、障がいのある方が日常生活をよりスムーズに送るために、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第77条第1項第6号に規定された日常生活用具として位置づけ、給付をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 障害者総合支援法によるサービスということです。今、給付の理由についてお答えいただきましたが、国の制度であるということです。
 この障がい者へのおむつの給付については、本市ではストーマの補助か、3歳未満で発症する脳性麻痺などに限定されており、条件設定がとても厳しく、後天的に病気や事故により障がい認定され、寝たきりになり、紙おむつが必要になった方々は制度の対象外のまま、ここは何の見直しもないままで、当事者や家族にとって経済的な負担が大変大きいとお聞きしております。紙おむつについては、寝たきりの障がい者だけではなく、乳幼児を持つ家庭も負担しております。いずれ高齢者になれば必要に応じて助成対象ともなります。ということから、ほかの年齢層との整合性に立って現状の判断を行っているということなのでしょうか、御所見を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 紙おむつ等の給付の判断基準につきましては、市において対象者の障がいの内容及び程度や対象年齢を定めておりまして、これに基づき給付の可否を判断いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 何度も言いますけれども、国のサービスは3歳未満発症という厳しい対象年齢があり、可否の判断はとても厳しいものです。
 そもそも障がい者への生活用具給付内容について、検討は定期的に行われているのでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 日常生活用具の給付内容につきましては、市が利用者のニーズや他都市の状況等を勘案しながら、必要に応じ、福岡市障がい児・者日常生活用具検討委員会に意見を求めております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 定期的ではありませんが、行っているそうです。
 では、おむつ等の助成等について給付の可否が行われた直近の検討会の開催日と検討結果についてお答えください。また、制度を拡充すべきとの意見はないのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの検討委員会につきましては、直近では平成24年9月6日に開催し、紙おむつの給付対象者拡大について検討のみを行っております。この際、制度を拡充すべきとの意見はございませんでした。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 意見はないそうであります。この方々は当事者の声は聞いておられるのでしょうか。直近で平成24年から見直しも検討も行われていないということであります。
 私は昨年、紙おむつ給付による障がい者支援事業を行っている新潟市の障がい福祉課で話を伺ってきました。新潟市では、本市と同様に日常生活用具による紙おむつ支援以外に、市単費の紙おむつ給付を行っております。対象者は3歳以上で常時紙おむつを必要としている方のうち、身体障害者手帳下肢1、2級、体幹1、2級、移動機能1、2級、療育手帳Aで、所得制限は生計中心者の課税標準額700万円以上が対象外となっております。支給内容もパンツ型と平型があり、世帯全員非課税、生計中心者が非課税、生計中心者が課税により支給枚数が変わってきます。対象者は大変喜ばれておりますが、担当課の説明では、特に進んでいるという印象はなく、ごく当たり前に支援が必要な障がい者に必要な支援を行っているという印象でありました。
 これはぜひ参考にしていただきたいなというふうに思うんですが、本市が新潟市と同様の内容で紙おむつ給付事業を行った場合、対象人数と事業費の概算についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新潟市と同様の給付要件とした場合の福岡市における対象人数につきましては、令和2年3月31日現在で8,920人となります。また、事業費につきましては、対象人数のうち、紙おむつを必要とする方の人数が把握できておりませんので、仮に対象者全員に給付を行うとした場合は年間12億8,000万円余となります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 仮に全員に行う場合の試算ということであります。
 個人的に御相談を受けた事例でありますが、本市在住、成人男性のAさんは生まれつき重度の知的障がいがあり、このために言葉も話せず、療育手帳A1を所持しております。数年前に不慮の交通事故により両足切断の大けがを負い、以降10回近くの手術を経て、現在も在宅でリハビリ療養を行っておられます。当然、本人はトイレで排せつできる状況ではなく、御家族が毎日おむつの交換を行っております。現在、本市からの支援はありません。昨年、診断書に医師の意見書を添付し、本市に相談されましたが、結果はやはり駄目でした。現下の条件に合致しないために個別に給付申請したけれども、結果は変わりませんでした。生まれつき重い障がいを抱え、さらに予期せぬ大事故に遭い、在宅でほぼ寝たきり、そこに毎日のおむつ交換という多額の出費も重なり、現在もさらに親なき後の経済的負担の大きさも言うまでもありません。生活保護を受けるほうが本市の負担は軽いのでしょうか。
 改めて、重度障がい者に対する紙おむつ給付について本市独自の支援を行うべきではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 重度障がい者の方々につきましては、多様な支援やサービスを必要とされておりまして、また、経済的な負担も大きく、厳しい状況にあるものと認識をいたしております。
 御提案をいただきました紙おむつ給付に係る福岡市独自の支援につきましては、厳しい財政状況の中で、障がい者施策全体の中での優先度や他都市の状況などを含めて総合的に判断をしていく必要があるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 私たち健常者は風邪を引いたとき、また、けがをしたときに、治れば健康のありがたさを実感し、また普通の暮らしに戻ることができます。しかし、このたびのコロナウイルス感染症はこれまで誰も経験したことがなく、いつ収束するかも分からないことから、生活苦や閉塞感で多くの国民が悩み苦しんでおります。一方で、重度障がい者の皆さんは、コロナ感染が収束したとしても、生きることのつらさは解消しません。Aさんは御自分の障がいによる悔しさや交通事故による両足切断の苦しさも、そして、コロナ感染による恐怖感も何も自身では言葉にできず、表現のすべさえありません。この先、言葉も出ないまま、両足も失ったままです。このようなときだからこそ、重い障がいを抱える弱者への視点や制度のはざまに置かれた方々に思いをはせ、少しでも生活が改善するよう配慮があるべきであり、見直しのきっかけとしていくべきではないでしょうか。
 コロナにより今後新しい日常に向けた新たな障がい者の日常に向けては、これまで以上に障がい者に寄り添い、支援を充実させていく必要があると思いますが、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がいのある方への支援の充実につきましては、区基幹相談支援センターを中心とする地域の体制づくりやホームヘルプサービスなどの在宅支援サービス、介護者の入院時における短期入所での受入れなど、地域で安心して暮らせる生活支援に取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘のとおり、コロナ禍における新しい日常の実践におきましては、新たな課題の発生も見込まれますことから、今後とも、障がい者に寄り添いながら、地域や家庭で生き生きと生活できるまちづくりを目指して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 重度障がい者の生活実態を見て、当事者の声を聞いて、支援の在り方がどうなのか、ぜひ改めて御検討いただきたいと要望しておきます。よろしくお願いいたします。
 次に、地域共生社会の構築についてであります。
 地域共生社会の実現に向けた包括的支援体制の整備のため、本年6月、改正社会福祉法が可決成立しました。現在、本市では次期保健福祉総合計画の策定に向けた審議中であり、地域共生社会は計画の中核とも言うべきテーマということもあり、質問させていただきます。
 改めて、地域共生社会の理念には、「子ども、障がい者、高齢者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる社会の実現のため、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する」とあります。
 私は平成28年より、地域住民が地域住民のための居場所をつくり、乳幼児から高齢者まで世代を問わない空き家などを活用した手づくりの支え合いの事例について勉強してきました。東京都文京区のこまじいのうち、横浜市のジュピのえんがわ、神奈川県平塚市の町内福祉村、新潟市の実家の茶の間・紫竹、東京都立川市の大山団地自治会等を訪問、視察し、地域共生社会における生活支援の一つとして、いずれの取組も驚くような成果を上げているそれら住宅の活用やコミュニティ力向上のための主体的な事業を紹介し、質問をしてまいりました。地域住民同士の知恵を生かした空き家の福祉的活用が全国的に進み、地域コミュニティの互助、共助の力を確実にボトムアップしております。現在、福岡市社会福祉協議会の職員の皆さんの精力的な活動のおかげで、本市においても空き家の活用や居場所づくり、さらに、住宅を含む生活支援まで徐々に広がりつつあります。私も実際に福岡市民の方から実家を地域活動に生かしたいとの御相談を受け、まだ何の助成もありませんが、住宅を自己資金により改修し、活動がスタートして既に1年以上が経過しております。一日も早く地域に認知され、幅広く活用されるよう暗中模索の地道な活動が続いておりますが、最近、移動販売の車両が空き家を拠点とするようになり、地域の皆さんが集まり始め、地域の居場所として活用できるとの認識が急速に広がりつつあります。
 このように、全国的に地域の高齢者の支え合いから子ども食堂等の拠点まで幅広く進むことで、基礎体力の維持や買物弱者対策、さらに孤立防止まで、新しい日常における互助、共助による新たな地域福祉の進展という高いポテンシャルを秘めております。今も市内では、町内会や地域社協が地域の個人所有の空き家を借りて、高齢者の居場所や会議をする場として活動を始めたいと希望するグループが実際にあるようですが、ここで問題なのが、空き家を活動拠点として活用する前提として、消防法や建築基準法による家屋の改修が必要となり、その費用などイニシャルコストが捻出できずに一向に活動を開始できずにいるようです。
 そこで初めに、本市における地域活動や住民福祉を推進するための固定資産税の減免について、過去5年間の減免の概要と件数をお示しください。また、固定資産税の減免についての根拠もお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 集会所等に係る固定資産税の減免につきましては、地方税法及び福岡市市税条例等に基づき、自治会等が所有または無償で借受けしている専ら集会等の用に供する固定資産であって、不特定多数の地域住民が原則無料で利用できることなどの要件を満たしたものを対象としております。また、集会所等に係る過去5年間の減免件数は、平成27年度が559件、28年度が560件、29年度が551件、30年度が490件、令和元年度が505件となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 昨年、空き家の有効活用に注力している会津若松市や新潟市を訪問し、話を伺ってきました。会津若松市では、空き家を活用したささえあい拠点認定制度として30万円の改修費助成と固定資産税の減免を行っております。固定資産税の減免については、大阪の豊中市でも早くから実施していて、多くの居場所ができておりますし、空き家だけでなく、空き地も対象として、住宅地の真ん中に豊中あぐりという農園を造り、高齢男性を引っ張り出すことに成功しておられます。豊中市も会津若松市と同様、社協が推薦し、対象物件を市が決定しているということです。
 高齢化による地域活動拠点の不足がこれまでも指摘されてきました。しかし、多額の財政負担により新規着工する時代ではもはやありません。
 そこで、増え続ける空き家や社会資源の活用により、地域住民の互助、共助の場づくりを行うには家主への固定資産税の減免は時代に見合う有効な手段だと思います。
本市においても、固定資産税の減免を推進すべきと考えますが、地域住民が空き家を活用して地域活動を行う場合に先ほどお聞きした減免の対象となるか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 空き家を活用し、地域活動を行う場合の固定資産税の減免につきましては、自治会等が無償で借受けし、専ら集会等の用に供する固定資産のうち、先ほど申し上げた一定の要件を満たす場合に減免の対象となるものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 現状でも固定資産税の減免は可能であると理解しました。今後、具体的に申請の在り方や空き家資源の掘り起こしのための周知活動が進むよう、空き家の積極的福祉活用の制度化についても、御検討いただきたいと要望しておきます。
 次に、改修費の助成についても、昨年視察した新潟市の空き家活用リフォーム推進事業は、福祉や文化活動、さらには住み替えまで、空き家の利活用を促進する場合、リフォーム費用の一部を補助します。例えば、地域交流活動、高齢者シェアハウス、子ども食堂などの場合、補助率2分の1、1件当たり上限が100万円となっております。この制度は新潟市建築部住環境政策課が補助金交付申請の窓口となり、新潟市福祉部と協働しながら事業展開しており、まさに地域共生に向けた包括的な取組と言えます。新潟市では国交省の補助により予算化したのは住宅部局ですが、福祉部局が市民からの窓口となり、相談に乗り、適切な候補かどうかを審査し、団体を選定した上で住宅部局につなぎ、住宅部局が今度は技術的な審査を行って決定するという流れになっていて、関係各局が連携して市民ニーズに対応しておりました。
 本市には様々、住宅改修や耐震化、バリアフリー化、グループホーム建設、さらに、地域集会施設建設助成など、住宅の建築、改修にまつわる助成制度がありますが、空き家を福祉や文化拠点として利活用することを促進するため、国土交通省の空き家対策支援メニューを活用し、積極的に地域コミュニティの活性化を行う団体や空き家に対し、法に適合する施設とするための新たな住宅改修助成を行うべきではないでしょうか。
これらの空き家の地域での利活用の際の住宅改修助成について、新潟市のように保健福祉局と住宅都市局が協働して実施すべきと思いますが、それぞれの御所見をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 空き家の福祉的な活用に向けた改修支援につきましては、福岡市社会福祉協議会が専門知識を持つ一般社団法人古家空家調査連絡会と共同して、空き家の所有者と福祉的な活用の希望者とのマッチングを行っておりまして、その際に活用のための法的な助言などの支援を行っております。議員御指摘のとおり、空き家が福祉的に活用されることで地域福祉活動の拠点となることが期待されるため、令和2年度から同事業に対して補助を開始したところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 空き家の地域での活用に向けた改修助成につきましては、既存住宅の流通促進や活用ニーズの把握などに取り組むとともに、国の支援制度や他都市の事例の調査研究を行うなど、保健福祉局や関係部署との連携による空き家の活用方策について段階的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 今、段階的に検討と一歩前進の御回答を頂きました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 次に、本市も例外なく高齢者数が着実に増加し、総住宅数に占める空き家数も増え続ける中、本市では福岡市社会福祉協議会が、新設された地域福祉課や住宅計画課等と協働で、空き家を福祉活用する社会貢献型空き家バンクや高齢者の住み替えを支援する住まいサポートふくおかなど、全国的にも先進的な取組を意欲的に推進しており、今後もそれら事業の需要と重要度は高まり続け、より一層の事業推進を図る必要があります。しかし、同時に課題も多々あり、例えば、空き家の確保だけでも大変な苦労であります。
 お尋ねいたしますが、今年度から家賃低廉化の住宅セーフティネットが制度化され、事業者を募集されたと聞いておりますが、事業者の応募状況についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 住宅セーフティネット機能の強化を図るため、民間賃貸住宅の空き家を活用し、高齢者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅について、登録促進に向けた改修費補助や入居者負担低減及び居住環境改善のための経済的支援制度を創設いたしました。制度開始に当たり、周知も兼ねた意見募集を行った上で、7月より事業者の募集を開始したところであり、問合せは多数頂いておりますが、現状では応募につながっていない状態でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) まだどこからも手は挙がっていないということでありますが、その理由についてどう評価しておられるのか、御所見を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 事業者募集につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、年度当初に予定しておりました制度の説明会が開催できずに、事業者への周知が十分とは言えない状況でございます。しかしながら、賃貸住宅の大家などから問合せを多数頂いておりますことから、経済的支援制度は大家にとって空室対策に有効な、興味のある事業であると認識いたしております。
今後は制度説明会の開催などにより周知を図るとともに、事務手続の支援など、事業者負担軽減を行いながら活用促進に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 御答弁いただきましたが、高齢者や障がい者には生活上の不安や終活にまつわる問題も多々あり、それらの課題に対する支援も同時に行って、家主、貸す側にとっての不安材料を軽減しないと住宅の供給もなかなかスムーズにはいかないと思われます。だからこそ高齢者や介護保険、住宅など、包括的な支援体制の構築が重要となります。
 次に、国のコロナウイルス感染拡大対策である第2次補正予算では、住宅困窮者に対する居宅生活移行緊急支援事業費が計上されました。これもまた若年層の生活困窮者が住まいは確保できても、その後の就労がうまくいかなければ生活保護申請へと直結します。しかしながら、同事業を活用し、就労支援により生活困窮状態を抜け出すことができれば自立した生活が保障され、本市の財政上も大きなメリットがあります。
 本市は国の第2次補正の同事業を採用したのか否か、その理由についてもお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 居宅生活移行緊急支援事業につきましては、住まいを失ったまたは失うおそれのある生活困窮者に対して、住まい確保のための相談支援や入居後の定着支援などを行う事業でございます。本市におきましては、従来からある国の類似の補助メニューを活用し、福岡市生活自立支援センターでの生活困窮者の相談やホームレスの巡回相談事業による相談支援のほか、ホームレス自立支援施設における就労支援などを既に実施しておりますことから、居宅生活移行緊急支援事業につきましては採用いたしておりません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) 各局とも新型コロナの対応で、それどころではないというのが現状でしょうか。しかし、今お聞きした住宅セーフティネット事業も居宅支援事業も、局を超えて連携して、実績を基に国への要望を重ねれば、もっともっと自治体が使いやすい制度になるかもしれませんので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 地域共生社会の実現は1つの局だけでは決してできません。せっかくの機会ですので、本市の居住支援法人等とも連携し、各局がタッグを組んで取り組むべき事業ではないかと思います。保健福祉局、住宅都市局ともに御所見をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 生活困窮者の居住支援につきましては、住宅都市局が作成しました居住支援法人のリストに掲載された法人と連携して支援を行っているところであります。今後とも、住宅都市局とともに居住支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 住宅確保要配慮者への支援活動に関する情報共有などを目的といたしまして、市内の居住支援法人で構成する福岡市居住支援法人連絡協議会を令和元年8月に設立してございます。福岡市及び各法人間で連携を図りながら、引き続き保健福祉局とともに住宅確保要配慮者の居住支援に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 松野隆議員。
○24番(松野 隆) (パネル表示)ここでパネルをちょっと御紹介したいと思いますけれども、このグラフは、小さくて国名が見えないかもしれません、左からオランダ、アイルランド、アメリカ、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、イギリス、ベルギー、アイスランド、カナダ、スペイン、フィンランド、韓国、オーストラリア、イタリア、フランス、ポルトガル、チェコ、メキシコ、日本と、日本が一番高いグラフになっております。これは何かといいますと、家族以外の人と交流のない人の割合の国際比較であります。OECD加盟20か国の中で日本が一番、家族以外と交流がないという結果が出ております。このパネルは、ミシガン大学が行っている世界価値観調査の一部で、社会的孤立に関する国際比較を示しております。この調査結果では、総人口、低所得者とも家族以外の者とたまにしか会わない、全く会わないのどちらの回答もOECD加盟の先進20か国の中で日本が一番高くなっており、これは本当に意外でした。家族などを超えた集団や社会とのつながりや交流がなく、社会的孤立の度合いが最も高くなっており、集団を超えて個人と個人がつながるような関係性をいかに育てていくかが日本社会の今後の最大の課題となっていると言われております。
 それと、もう一つ御紹介したいのが日本経済新聞社の産業地域研究所が行ったアンケート結果で、首都圏に住む60歳から74歳の男女1,236人に、退職後の居場所について、あなたは自宅以外で定期的に行く場所がありますかという質問を行いました。そうしたら、男女ともに1位は、昨日うちの大坪議員が質問しました図書館が1位なんですね。その後、女性はスポーツクラブ、親族の家、友人宅と多彩に続いていくわけなんです。ところが、男性は図書館に次いで行く場所はどこかといいますと、これは公園だったそうです。何か目に浮かぶようですね。設問が自宅以外ですので、男性は強いて挙げれば公園ということなんですが、実際は見つからない、特にないとの回答が男性は2位だったそうで、寂しい限りであります。このように、男性の孤立が際立つ結果となっており、地域で友達と生きがいをつくるかは定年後の課題と言えます。社会的つながりをより多く持つことが健康と暮らしの向上につながると言われております。
 地域共生社会が地域包括ケアの上位概念と位置づけられて以来、冒頭に申し上げたように、介護保険法や社会福祉法の改正が重ねられてきました。高齢化と人口減少の進行に伴い、福祉ニーズも多様化、複雑化し、従来の考え方や枠組みでは対応が難しくなったことに加え、コロナウイルス感染という未曽有の経験も踏まえ、今後の社会経済も行政サービスも新たな局面を迎えております。本市においても税収の見通しが大幅に減少し、あらゆる事業の見直しが求められておりますが、ポストコロナを見据え、行政サービスだけに依存することなく、地域や社会全体で孤立化を防ぎ、支え合う取組のさらなる進展を図るため、既存の取組に対する発想の転換も重要なのではないでしょうか。
 改正社会福祉法の包括的支援の3つの支援は、1、属性にかかわらず受け止める相談支援、いわゆる断らない支援、2、地域資源を生かしながら就労、居住等の提供による社会とのつながりを回復する支援、いわゆる参加支援、3、地域社会からの孤立を防ぎ、多世代の交流や多様な活躍の機会と役割を生み出す支援、いわゆる地域づくりに向けた支援、この3つを内容とする新たな事業の創設を行うべきとされております。年齢や性別にかかわらず、意欲や能力に応じて役割を担い、支援が必要な人を社会全体で支え合う福祉に重点を置いた施策を推進する次期福岡市保健福祉総合計画にも合致する事業であります。
 今回の社会福祉法改正により、令和3年度から予定されている重層的相談支援体制整備事業に係る国の交付金の詳細はまだ明らかになっておりませんが、これまでの対象者別の縦割りの補助金を統合し、市町村において属性や世代を問わない相談、地域づくりに活用できる交付金として交付されると聞いております。いずれにしても、今回の改正社会福祉法に定められた地域共生社会の実現に向け、複雑化、多様化する超少子・高齢社会の地域ニーズに対応するための包括的支援体制をどうするのか御検討願いたいと思いますが、質問の最後に島市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、若いまちと言われる一方で、少子・高齢化は着実に進んでおり、複雑化、そして、多様化する地域ニーズに適切に対応して、子ども、高齢者、障がい者など全ての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる地域共生社会の実現を図ることが重要であるというふうに認識をしています。松野議員御指摘のとおり、今般の社会福祉法の改正によりまして、各自治体は地域共生社会の実現を図るために相談支援や地域づくりに向けた支援などに包括的に取り組むものとされております。
福岡市といたしましても、改正社会福祉法の内容や、今後、公布されます関係政令などを踏まえながら、現実に即した包括的な支援体制の構築に取り組み、地域共生社会の実現を目指してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時15分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。落石俊則議員。
○60番(落石俊則)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、コロナ禍での雇用維持と就職・再就職支援について、子どもの貧困解消に向けてのひとり親家庭への就労支援についての2点について質問します。
 初めに、コロナ禍での雇用維持と就職・再就職支援についてです。
 厚労省の調査によると、新型コロナウイルスの影響で雇用調整の可能性がある事業所数が9月4日時点で全国で9万8事業所、解雇や雇い止め見込みの労働者数が5万2,508人に達していることが明らかになりました。雇用調整の可能性がある事業所とは、各地の労働局等に休業に関する相談を行った事業所であることから、実際の数はそれを上回ることが推測され、今後さらに解雇や雇い止めの労働者数が増加することが懸念されます。市民の暮らしを守るために、雇用の維持と再就職支援の両面から施策を進めることが必要です。
 そこでまず、福岡県内の雇用状況はどうなのか、5月末と8月末における新型コロナウイルス感染症に起因する雇用調整の可能性がある事業所数と解雇や雇い止め見込みの労働者数をお尋ねします。
 以上で1問目の質問は終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 県内における雇用調整の可能性がある事業所数及び解雇等見込み労働者数につきましては、厚生労働省によりますと、令和2年5月29日時点で133事業所、450人、直近の8月28日時点で320事業所、1,421人でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) わずか3か月余りで福岡県下でも雇用調整の可能性がある事業所数が2.4倍、解雇や雇い止めに追い込まれそうな労働者数が3倍に達しています。これ以上の解雇や雇い止めを増やしてはなりません。早急に防ぐ手だてが求められます。
 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が労働者の雇用を維持するため、休業手当の支払いを国が肩代わりする雇用調整助成金制度があります。さきの第2次補正予算では日額1万5,000円に拡充され、また、新たに、休業手当を受け取れない労働者に国が直接給付する新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金──以下、休業支援金・給付金と略します──が臨時的に創設されました。
 県内での直近の雇用調整助成金並びに休業支援金・給付金の申請件数と決定件数をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 県内の雇用調整助成金及び新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の直近の申請件数と決定件数につきましては、福岡労働局によりますと、まず、雇用調整助成金は8月28日時点で申請件数2万6,234件、決定件数2万2,511件、次に、休業支援金・給付金は8月24日時点で申請件数4,421件、決定件数1,770件と聞いております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 雇用調整助成金の申請が既に2万6,000件を超え、新型コロナウイルス感染症拡大が雇用に大きく影響しています。福岡労働局内の特別労働相談窓口への相談は雇用調整助成金関連の相談が約8割に達し、事業主が雇用を懸命に維持しようと努力している姿勢がうかがえるものの、休業支援金・給付金の申請がわずか2か月足らずで4,421件にもなっています。
 この要因についての所見を求めます。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 休業支援金・給付金につきましては、本年4月1日から12月31日までの間に事業主の指示を受けて休業した中小企業の労働者で休業中に休業手当を受けることができなかった方が対象とされております。本年7月10日より郵送受付が開始されており、支給要件を満たす方々による申請が増えているものと認識しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 休業支援金・給付金が創設された背景は、事業主が雇用調整助成金の利用を敬遠し、休業手当を払わない事例が数多く報告されていることにあり、支給要件を満たす申請が増えたというより、事業主の雇用を守る意識、姿勢が低いと言わざるを得ません。雇用調整助成金の特例措置や休業支援金・給付金は、各政党や連合などの労働団体からの要望もあり、9月末から12月末まで延長となりました。
 これらは国の事業ですが、本市として、事業主に対し、働く者が不利益を被らないよう雇用調整助成金申請など、雇用を維持するための対応をしっかり行うよう強く働きかけることが必要です。
 また、新たに始まった休業支援金・給付金は、雇用保険未加入のパートやアルバイトも対象となっています。申請時には事業所の休業証明書の発行が必要であり、最初の申請期間の締切りが9月末までとなっていることから周知が重要と考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 事業主に対する雇用を維持する対応及び支援策の周知につきましては、事業者の皆様には雇用調整助成金や休業支援金・給付金を活用し、従業員の雇用の維持に努めていただきたいと考えており、支援策の周知は重要と認識しております。そのため、国、県及び市の事業者向け支援策について、市のホームページやチラシ等で周知を図っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 確かに市のホームページには生活者への支援メニューの中に休業支援金・給付金の項目がありますが、どのような生活者を対象にしているのか、分かりづらくなっています。
 「市税や水道料金等でお困りの方へ」のように、「休業手当を受けることのできない方へ」などと支援を必要とする労働者につながるような表示の工夫をすべきと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市ホームページへの支援策の掲載につきましては、市民や事業者に分かりやすい表記となるよう努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 本市では、国や県の支援策に加え、雇用を維持するため、市独自の緊急経済支援策として店舗等への家賃支援や休業等要請対象外施設への支援などが実施されています。この2つの支援策の申請期限が9月末まで延長となりました。
 これまで未申請だった事業主の中には、申請が煩雑だとして申請を避けていた方もいます。6月から実施されている派遣・出張相談事業を積極的に事業者に活用いただくことで、行政書士、社会保険労務士の派遣などサポートをしっかり行い、短期間で給付ができるようにすべきと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 事業者の申請支援につきましては、事業者の皆様には市独自の経済支援策をはじめ、国や県の支援策も含めて利用可能な支援策を活用し、事業の継続と雇用の維持を図っていただきたいと考えております。そのため、事業者向け出張相談会などを通じて事業者の申請などの支援を丁寧に行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 次に、就職・再就職支援について伺います。
 コロナ禍の下で、さらに失業者が増加することが懸念され、再就職支援を強化しなければなりません。あわせて、来年卒業予定の大学や専門学校生などへの就職支援もしっかり行う必要があります。
 初めに、大学生などへの就職支援について伺います。
 市内事業者と大学、短大、専門学校卒業予定者との対面による従来形式の合同会社説明会等が軒並み中止となったことから、「コロナに負けるな!採用応援企画!!」としてオンライン合同会社説明会が8月1日と2日に実施されました。この合同会社説明会は、新型コロナウイルスの影響により解雇や雇い止めを含め仕事を探している人も対象としていますが、参加した企業と学生数並びに既卒者の数をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 8月に実施したオンライン合同会社説明会の出展企業数及び参加者数につきましては、8月1日と2日の2回合計で出展企業数は42社、求職者は申込みベースで831人、延べ参加者数は1,545人、求職者の申込数831人のうち、学生は771人、既卒者は60人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 求職中の人たちが60人も参加していたとの答弁でした。
 6月議会では開催回数4回の合計で出展企業48社、参加者2,400人との答弁でしたが、今後の予定はどうなのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) オンライン合同会社説明会の今後の予定につきましては、8月に実施した2回の開催で出展企業数42社、参加者数1,545人と、出展企業数、参加者数ともに当初予定を大きく上回っております。残る後半の2回も、前回の2回と同程度の規模で秋頃開催を予定しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 大学生などの就職活動が長期化し、採用人数を減らしている企業もあり、来年春までに就職未決定の大学生も出るのではないかと懸念されます。次回の開催に向け、解雇や雇い止めが増えていることから、求職中の人たちへの周知も充実させるよう要望します。
 次に、再就職支援についてです。
 9月1日付の福岡労働局の広報によれば、県内の雇用失業情勢について、求人が求職を上回って推移しているものの、求人が大幅に減少するとともに、求職が増加に転じているとしています。本市の既存事業である就労相談窓口や、ふくおかのしごと見える化事業を含め、再就職支援を強化しなければなりません。
 一般的に職を探すならハローワークと認識されていますが、本市独自の就労相談窓口事業の特徴は何なのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 本市の就労相談窓口の特徴につきましては、市民により身近な各区に窓口を設置しており、気軽に相談できること、担当制、予約制による相談できめ細やかに対応できること、様々な課題により就職への一歩が踏み出せない方などを対象とした臨床心理士による専門相談も実施していることなどが挙げられます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 身近な区役所で求職者に寄り添いながらの就労支援であり、この事業の特徴を生かす必要があります。
 就労相談窓口の2018年度、2019年度の新規相談者数、相談件数、就職決定数をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 就労相談窓口の実績につきましては、まず、平成30年度は新規相談者数504人、相談件数3,735件、就職決定件数420件、次に、令和元年度は新規相談者数494人、相談件数3,522件、就職決定件数390件となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 過去2年間、就職決定数は400件前後で推移しています。本年度の取組方針では、就職決定数をこれまでを上回る500件とされていますが、この件数は新型コロナウイルスの影響による求職者数を想定していない件数であり、目標数を増やすとともに、周知の充実、工夫を図る必要があります。
 市役所1階の情報プラザや各区役所等に「働きたい!あなたを応援します!」と就労相談窓口のチラシが置いてあり、市ホームページにもアップされていますが、この就労相談窓口を通して就職した人の声を掲載するなど、活用を促す工夫が必要ではないかと考えますが、所見を伺い、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 就労相談窓口につきましては、情報プラザや各区役所等でのチラシの配布をはじめ、市ホームページや市政だより等への掲載による広報のほか、新型コロナウイルス感染症の影響等で仕事を探している方を対象とする就職活動セミナーを開催し、活用を促進してまいります。引き続き求職者の方に就労相談窓口を積極的に活用いただけるよう周知等に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 次に、子どもの貧困解消に向けてのひとり親家庭への就労支援について伺います。
 厚生労働省が本年7月に公表した2019年の国民生活基礎調査によると、中間的な所得の半分にも満たない家庭で暮らす18歳未満の子どもの貧困率は13.5%、世帯類型別では、ひとり親世帯の子どもの貧困率は48.1%に上っています。
 この調査は3年ごとに実施されていますが、2016年の調査に比べ、子どもの貧困率並びにひとり親世帯の貧困率、全世帯並びに母子世帯の平均所得金額はどうなのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 令和元年と前回の平成28年の国民生活基礎調査の比較についてお答えいたします。
 まず、子どもの貧困率につきましては、令和元年の調査では13.5%となっており、前回調査の13.9%と比較して0.4ポイント低下しております。ひとり親世帯の貧困率につきましては、令和元年の調査では48.1%となっており、前回調査の50.8%と比較して2.7ポイント低下しております。
 次に、全世帯の平均所得金額につきましては、令和元年の調査では552万3,000円となっており、前回調査の545万4,000円と比較して6万9,000円増加しております。母子世帯の平均所得金額につきましては、令和元年の調査では306万円となっており、前回調査の270万1,000円と比較して35万9,000円増加しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 2016年と2019年の調査を比べると、ひとり親世帯の子どもの貧困率は50.8%から48.1%と微減ではありますが、依然として高止まりし、平均所得金額も2016年から児童扶養手当の第2子、第3子への加算額が増えたものの、全世帯の平均所得金額の約半分と厳しい状況にあります。
本市の状況はどうなのか。本市では5年ごとにひとり親家庭実態調査が行われています。
 直近のひとり親世帯数、うち母子、父子それぞれの世帯数をお尋ねします。あわせて、母子家庭の就労状況並びに仕事による1か月の手取り収入をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 直近のひとり親世帯数につきましては、平成28年度福岡市ひとり親家庭実態調査によりますと、推計で2万2,681世帯、そのうち母子世帯が2万377世帯、父子世帯が2,304世帯となっております。
 次に、母子家庭の就労状況並びに仕事による1か月の手取り収入につきましては、母子家庭で就労している人の割合は86.8%、1か月当たりの平均手取り収入は推計で15万7,000円となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 働いているお母さんが9割近くおられます。しかし、1か月の収入が16万円にも届かず、厳しい実態であります。これらの調査は新型コロナウイルス感染拡大以前の調査であり、突然の全国一斉休校の期間中、仕事に行けなかったり、休業を余儀なくされてもその補償がなされなかったり、パート等の非正規で働いている母子家庭の暮らしが脅かされています。6月の国の第2次補正予算でひとり親世帯への臨時特別給付金支給が措置され、6月からの養育費保証支援事業が始まったことは一歩前進と評価するものの、新型コロナウイルス感染拡大の長期化が懸念されている中、さらなる支援策の拡充が必要です。
 2013年6月、子どもの貧困対策を総合的に推進するための子どもの貧困対策の推進に関する法律が制定されました。生まれ育った環境で将来が左右されないようにと主に教育に力点を置いた施策が行われ、昨年2019年6月に改正されました。改正の内容をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 子どもの貧困対策の推進に関する法律の改正内容につきましては、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、子どもの将来だけでなく、現在の生活等に向けても子どもの貧困対策を総合的に推進することが明記されたこと、市町村が子どもの貧困対策についての計画を定めるよう努める旨が規定されたこと、保護者に対する就労の支援について、職業生活の安定と向上に資するためとの具体的施策の趣旨の明確化がなされたことなどがございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 今回の改正は、貧困が連鎖しないように、現在の貧困解消を明記するとともに、教育、生活、経済的支援に加え、職業と家庭が安心して両立できる働き方の実現として保護者の就労支援を含めた貧困対策の計画を定めるよう努めることが規定されています。
 本市ではその計画は策定されているのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 子どもの貧困対策に関する計画につきましては、令和2年3月策定の第5次子ども総合計画を子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく計画と位置づけております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 第5次福岡市子ども総合計画には、ひとり親家庭支援の施策の方向性に、教育や生活の支援、保護者の就業支援、経済的支援等について関係機関と連携して取り組むとあります。
 そこで、保護者に対する就労支援について伺います。
 本市では、第5次子ども総合計画を策定するに当たり、昨年1月から2月にかけ調査が実施されています。乳幼児、小学生の保護者を対象とした就労状況によれば、ひとり親世帯では、他の世帯に比べ、フルタイムへの転換希望が「ある」、「いずれは」の割合が61.7%と高くなっています。本市では中央区大手門に福岡市ひとり親家庭支援センターが開設され、就業相談をはじめ、生活相談等が行われています。
 そのひとり親家庭支援センターでの過去3年間の就業相談者数と受講者数並びに就業者数、雇用形態をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭支援センターにおける過去3年間の就業相談者数につきましては、延べ人数で平成29年度が2,294人、30年度が2,403人、令和元年度が2,551人でございます。就業支援講習会の受講者数については、平成29年度が423人、30年度が433人、令和元年度が357人でございます。
 次に、ひとり親家庭支援センターを利用した方の就業者数とその雇用形態については、平成29年度が就業者数185人のうち、常勤105人、非常勤80人、30年度が就業者数189人のうち、常勤114人、非常勤75人、令和元年度が就業者数138人のうち、常勤80人、非常勤58人でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 過去3年間で就業相談者数の合計は7,200人を超え、就業者数も500名を超え、常勤雇用の割合が多くなっているなど、ひとり親家庭支援センターの事業が就労に大きく寄与していることが分かります。さらなる支援の充実を求めておきます。
 また、厚労省はひとり親家庭の母親や父親が安定した仕事と収入を得られる資格を取得することを後押しする事業として、看護師や保育士等の養成機関において修業する場合に、上限4年の修業期間中の経済的支援を行う、ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金事業を推進しています。
 過去3年間の受給者と就業者の合計数並びに主な職種をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金事業の過去3年間の受給者と就業者の合計数につきましては、直近の数値で申し上げますと、平成28年度から30年度までの3年間の合計で受給者数は延べ256人、就業者数は84人でございます。また、主な職種については、看護師が約8割を占めており、その他、保育士や介護福祉士などとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 3年間でこの事業を利用した方が延べ256名、84名の就業につながっています。この事業の利用をさらに促す方策が求められます。
 2017年9月議会において、高等職業訓練促進給付金事業の対象資格拡大の検討並びに希望者への支援の強化について、修業期間中の経済的な支援として、北九州市のように市独自の加算を図るべきと要望していましたが、どのように検討されたのか、伺います。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 高等職業訓練促進給付金事業につきましては、市民からの要望等を踏まえ、今年度から、働きながら資格取得を目指す場合などに新たに通信制を利用できるよう拡充したところでございます。
 次に、市独自の加算につきましては、現状では受給者数は福岡市よりも北九州市が多いものの、就業者数は大きな差異はなく、事業効果について課題があると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 対象資格に通信制が利用できることは喜ばしいことです。しかし、現在の対象資格は福祉や医療関係が中心です。さらに利用を促すためにも、女性の進出が目覚ましい運輸業や建築業も含め、対象資格を広げる必要があります。
 川崎市や大阪市では、市の実情に応じて認める資格、市長が定める資格など、取得資格が追加されています。本市も広げるべきと考えますが、所見を伺います。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 高等職業訓練促進給付金事業の対象資格の拡大につきましては、他都市の状況等を踏まえ、引き続き検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) しっかりと検討をされるよう要望しておきます。
 次に、修業期間中の経済的な支援についてです。
 現在、家計の心配をすることなく資格取得ができるよう、市民税非課税世帯では月10万円、修業最終年は月14万円、修了後5万円の給付金が支給されるなど、修業期間中の経済的な支援が行われています。しかし、授業料や施設設備費等の校納金を考慮すれば養成機関に入学するのをちゅうちょしてしまうという声が聞かれます。
 北九州市では独自加算を行っています。過去3年間の受給者数と就業者数の合計数をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 北九州市の過去3年間の高等職業訓練促進給付金事業の受給者数と就業者数の合計数につきましては、平成28年度から30年度までの3年間の合計で受給者数が延べ392人、就業者数が94人と伺っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 市独自の加算について、就業者数については北九州市と大きな差異はないとの答弁でしたが、直近のひとり親世帯数は本市が2万2,681世帯、北九州市は1万7,030世帯と推計されています。過去3年間の就業者数は、さきの答弁で本市が84人、世帯数が約5,000世帯少ない北九州市は94人です。独自の加算をすることで、資格を取得するための効果が現れています。
 子どもの貧困対策に関する大綱の基本方針にある、職業と家庭が安心して両立できる働き方の実現のためにも再度検討されることを要望しますが、所見を伺います。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 高等職業訓練促進給付金事業の市独自の加算につきましては、導入している政令市は北九州市以外になく、その受給者数と就業者数の実績などを参考に、引き続き検証が必要と考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 効果は明らかです。前向きな検討をお願いします。
 最後に、実態調査について伺います。
 ひとり親家庭の日常生活の状況等を把握し、今後の福祉施策の充実を図るための基礎資料を得るとして、ひとり親家庭実態調査が11月1日を基準日として5年ごとに実施されていますが、それぞれの調査後、どのような事業が行われたのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 平成23年及び28年のひとり親家庭実態調査後に実施した事業につきましては、平成23年の調査後には自立支援プログラム策定事業、高等職業訓練促進貸付事業、養育費・面会交流セミナーなどを実施しております。また、28年の調査後には、高等職業訓練促進給付金及び自立支援教育訓練給付金の支給期間、支給額の拡充、児童扶養手当の全部支給の所得制限限度額の引上げ、養育費確保を支援する公正証書等作成支援事業、養育費保証支援事業の新設などを実施しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 落石俊則議員。
○60番(落石俊則) 答弁があった事業のうち、養育費に関する取組以外は全て国の事業です。実態と要望を検証し、市独自の事業を拡充すべきです。次回の調査は2021年度の予定です。新型コロナ感染拡大は、特に非正規雇用で働くひとり親家庭への影響が大であることから、日常生活にどのような影響が出ているのか、それらに対しどのような取組をすべきかを検討するためにも、実施予定を待たず、本年度中に実施すべきと考えます。
 最後に所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) ひとり親家庭の実態調査につきましては、国が行うひとり親家庭の実態調査の実施時期に合わせて、5年ごとに福岡県、北九州市、久留米市と合同で実施しているところであり、国や他都市との比較、5年ごとの経年比較等の必要性から来年度に実施したいと考えております。
 新型コロナウイルス感染症拡大に伴うひとり親家庭への影響については、ひとり親家庭支援センターや各区家庭児童相談室の相談窓口などで適宜状況を把握しながら必要な支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表し、福岡市が実施するがん検診での事故対応について質問をさせていただきます。
 新型コロナ感染症対策の対応で大変お忙しくしておられるこの時期に、保健福祉局関連の質問をするのにちゅうちょしましたが、市主催の胃がん検診時におけるバリウム誤嚥事故から5年も経過しました。当事者Aさんと家族の皆さんは、事故の原因やその後の対応も含め納得をされていない御様子です。月日がたつことで市や事業団の関係者の異動があり、事故当時の状況が分かりづらくなっていくことやAさんが事故によって日に日に衰弱されていかれる中、早く納得いただける返答が頂けるようにと今議会で質問をすることにいたしました。しかしながら、残念なことに、この質問の準備中に、Aさんは8月24日の夕方、急性呼吸不全によりお亡くなりになりました。Aさんが生前語っておられた、健康を願って受けた健康診断で二度と私のような苦しみや無念さを味わう人が出ないようにしてくださいの言葉が遺言となってしまいました。
 Aさんは事故の後、日常に戻り、夢を追い続けるために御家族とともに治療とリハビリに励んでおられました。この事故の原因やその後の対応などを精査し、亡くなられたAさんの遺志を受け、今後に生かされることを願い、この質問をさせていただきます。
 まず、市が実施するがん検診の概要についてお答えください。
 次に、現在、市が各区保健福祉センターや公民館等における集団がん検診を委託している事業者と事業者の概要についてお答えください。
 次に、当該事業者との現在の集団がん検診の委託契約に関して、相手方の選定方法、契約期間及びその更新に関してお答えください。
 次に、当該事業者との平成27年度以降の契約状況についてお答えください。
 次に、当該事業者が福岡市から受託する集団がん検診の年間回数と検診委託に係る支払い額の実績についてお答えください。
 次に、平成27年度の集団検診において事故が発生した場合の受託者から市への報告義務の定めについてお答えください。
 次に、平成27年度の集団検診において第三者に損害が発生した場合の対応についてお答えください。
 以上で1問目を終わり、2問目からは自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市が実施するがん検診につきましては、健康増進法に基づき市町村が実施に努めることとされている事業でありまして、福岡市医師会に委託し医療機関で行う個別検診と検診事業者に委託し各区保健福祉センターや公民館等で行う集団検診の2種類がございます。
 次に、集団がん検診の委託事業者につきましては、公益財団法人福岡県すこやか健康事業団でございます。事業者の概要につきましては、がんや生活習慣病などの予防医学活動を実施するとともに、健康情報の普及啓発、がん研究への助成を通じて地域住民の保健、医療、福祉の向上に寄与すべく各種の事業活動を展開している団体でございます。
 次に、委託事業者の選定につきましては、競争見積り合わせにより行っております。契約期間につきましては、令和2年4月1日から令和3年3月31日までの1年間であり、業務遂行において福岡市が求める条件を満たしていると認められた場合は、3年間を限度に継続して契約ができることといたしております。
 次に、平成27年度以降の集団がん検診の契約につきましては、福岡県すこやか健康事業団が継続して受託者となっております。
 次に、事業団が行う集団がん検診につきましては、直近の令和元年度の実績で年間回数は227回、委託費用は8,300万円余となっております。
 次に、集団がん検診で事故が発生した場合の報告義務につきましては、業務委託契約書第8条において、事故が発生したときは、直ちに市に報告しなければならないと定めております。
 次に、集団がん検診において第三者に損害が発生した場合の対応につきましては、業務委託契約書第9条において、業務の履行に伴い第三者に損害を及ぼしたときは、受託者がその賠償をしなければならない、ただし、その損害のうち福岡市の責に帰すべき理由により生じたものについては、福岡市がこれを負担すると定めております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男) 2問目に入りますが、まず、このパネルを見ていただきたいと思います。(パネル表示)これはAさんの誤嚥事故直後の病院でのレントゲンの写真です。当時、これは単なる誤嚥ということで見てあるんですが、ネットでいろいろ調べたんですが、こんな誤嚥というのは、ネット上にも出てきません。何でこういうふうなことになったかというのは、本当に今でも疑問といいますか、考えられないことなんです。これは事故当時直後にこうして写真を撮られたんですが、先月亡くなられたんですが、このままバリウムは固形しますので、取り出しが利きません。だから、亡くなられたときも同じような状態で亡くなられたんじゃなかろうかと思います。そういうところで、これだけひどいバリウムの誤嚥事故があるということ。分かりますね、これは胸の肺なんですね。肺の下のほうにバリウムが入っているような状況です。
 今回の誤嚥事故は平成27年度に発生しました。福岡市西部は豊かな自然に恵まれ、古代から連綿と歴史や文化が育まれてきました。その中で生まれ育ったAさんとその御主人は、近年の急速な都市化、市街化とともに、地域の自然や自然を相手にした子どもたちの遊びが失われていくことに寂しさと危機感を持たれました。そこで、このふるさと西部地域の自然を子や孫たちにつないでいこうと、地元の草花や動物、昆虫などを私たちの生活や遊び、地域の歴史と絡め、面白く紹介した本を自費出版しておられます。今年7月で5冊目を出版されました。
 様々な活動の中で、Aさん御夫婦が最も楽しみにして力を入れてこられたのが、各地で行われるイベント会場や公民館に出向き、子どもたちと昔遊びを通して触れ合うことです。ある日のイベント会場で子どもたちを前に、Aさん御夫婦はシュロの葉っぱを使って器用に何かを作っておられました。出来上がったのはバッタ。本物のバッタと見間違うぐらい見事な出来栄えに感動しました。子どもたちも教えてもらいながら、一生懸命挑戦していました。どの会場でお会いしても、いつも御夫婦一緒で、ほほ笑ましく、羨ましく私は思っていました。御夫婦そろって散歩を日課にされ、健康診断も毎年受けるなど、健康にはとても気をつけられ、その活動や生き方は新聞やテレビでも紹介されました。
 4年前、Aさんの御主人が不意に今にも泣き出しそうな表情で私の事務所を訪ねてこられました。事情を聞くと、家内の体が衰弱して口から食事ができないので、直接胃に栄養を送る胃ろうの手術をしたけど、ますます体が衰態して、もう長くはないと思うとのこと。詳しくお話を伺うと、地元の公民館での集団健診で胃がん検診を受けたところ、多量のバリウムが肺の中に入り、中で固まってしまい、食事をする力がなくなって、やむを得ず胃ろうの手術をしましたとのことでした。仲のいい御夫婦だけに、御主人は物すごく落胆しておられました。それから何か月か後に、Aさんの御主人は笑顔で事務所を訪ねてこられました。駄目かと思っていたら、胃ろうのリハビリがうまくいって家に連れて帰るようになりましたとの報告でした。ただと言って、なぜ家内がバリウムの誤嚥事故に遭ったのか、その後の対処の仕方についても、市やすこやか健康事業団からの説明がどうにも納得がいかないとのことでした。昨年2月にもAさんの御主人が事務所に訪ねてこられ、相談を受けました。市が主催した検診での事故ですので、その概要について説明を求めたいと思います。
 まず、平成27年8月5日の事故が起こった集団健診において、健診の種類、種類ごとの定員、参加者数についてお答えください。
 当日、問題のバリウム誤嚥事故が発生しました。発生した事故の概要についてお答えください。
 事故が発生した当日の事業団の対応についてお答えください。
 次に、事故が発生した後、事業団から市への報告はどのようになされたのか、また、その内容についてお答えください。
 次に、市は報告を受けてどのような対応をされたのか、お答えください。
 誤嚥の程度や症状、誤嚥対応確認などの記録を行う事業団の内部文書の誤嚥状況報告書について、市が事業団から取り寄せてAさんの家族に交付した誤嚥状況報告書の写しと、以前、Aさんの家族が事業団の顧問弁護士から受け取った誤嚥状況報告書の写しの内容が違っていました。
 なぜ2種類の報告書が存在するのか、このことについて市はどう思われるのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 平成27年8月5日の集団健診についてでございますが、健診の種類は、よかドック、胃がん、子宮頸がん、肺がん、大腸がんの5種類でありまして、その定員と延べ参加者数は、よかドックが定員50人に対して17人、胃がんが50人に対して22人、子宮頸がんが80人に対して14人、肺がんが80人に対して26人、大腸がんが80人に対して23人でございます。
 次に、発生した事故の概要につきましては、受診者のお一人が胃がんの検診としてエックス線検査を受診した際、飲用したバリウムが肺に流入してしまう誤嚥事故が発生したものでございます。
 次に、当日の事業団の対応につきましては、問診にて受診者の既往歴などの確認を行い、バリウムを飲む際には事業団の職員が立ち会っております。また、事故発生後は直ちに検査を中止し、当該受診者に対してバリウムの排出を促すタッピングを行い、バイタルチェックや事業団の嘱託医による診察を行いました。嘱託医の指示により、事業団の職員が付き添い、当該受診者のかかりつけ医から紹介を受けた近隣の診療所へタクシーで移動し受診したところ、当該診療所の医師の判断により入院や処置ができる病院へタクシーで移動し受診をしたものでございます。
 次に、事業団から市への報告につきましては、事故発生から約3時間後にバリウムの誤嚥事故が発生したこと、病院を受診したことなどについて電話による報告があり、平成27年8月27日付で当日の経緯の詳細やその後の事業団の対応について文書で報告を受けております。
 次に、事故発生当初における市の対応につきましては、事故内容や経過の詳細について事業団へヒアリングを行いますとともに、当該受診者の御家族に病状や経過などをお聞きし、入院先へのお見舞いに伺うなどの対応を行っております。
 次に、誤嚥状況報告書につきましては、誤嚥事故が発生した際に事業団が内部文書として作成しているものでございます。2つの報告書が提出された理由につきましては、事業団の職員が顧問弁護士から誤嚥状況報告書の提出を求められた際に、正式な報告書ではなく、手元にあった報告書の下書きコピーに未記入事項を記入し提出したものとの報告を受けております。2つの異なる報告書が作成、提出されたことにつきましては、文書管理上、極めて不適切であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男) 事業団の対応にAさんの御家族が感じる最も大きな疑問は3つです。
 1つ目は、130ccもの大量のバリウムが肺の下部まで流入したのはなぜかについてです。Aさんは毎年、胃がん検診ではバリウムでの検診を受診されましたが、何も異常はなかったとのことです。Aさんの家族の話では、日常生活においても飲食時にむせぶことはなかったそうです。また、今まで誤嚥を起こしたこともなく、今回の事故があるまで誤嚥という言葉さえ知らなかったとのことです。事業団によれば、バリウムを飲む速度は遅かったが、むせる等の症状はなかったとありますが、なぜ130ccもの大量のバリウムが途中せき込むこともなく肺の奥に流入してしまったのかが疑問です。これだと受診者は日常生活での飲食どころか、唾液も飲み込めないくらいの誤嚥の重症患者だったことになります。なぜこのときだけ誤嚥が起こったのでしょうか。また、Aさんがバリウムを飲む現場には介護士とレントゲン技師の2人がいたはずですから、何らかの異変があったことに気づかなかったのも疑問です。
 2つ目は、なぜタクシーではなく救急車を呼ばなかったかについてです。当日撮影された肺のレントゲン写真をAさんの家族から見せていただきましたが、多量のバリウムが肺の奥まで入っていることが確認できました。事故の後、Aさんは4か所の病院で治療を受けられたそうですが、Aさんの肺のレントゲン写真を見て、どの病院の先生方もこんなのは初めてだと驚いておられたそうです。私もAさんが最初に受診された医院の先生にお会いし、状況をお伺いしたところ、レントゲンを見てびっくりしました、私の病院ではバリウム吸引の設備がないので、設備がある近くの病院に連絡を取り、急いで行っていただきましたと言われました。酸素濃度は80%と危険レベルになっており、ここで酸素吸入しなければ命を落としていたかもしれない危機的状況でした。Aさんの家族は、こんなに重篤な事故なのに、なぜ救急車を呼んでバリウムの吸引設備が整った病院に搬送してもらえなかったのか、これが一番悔やまれるし、事業団の対応に納得がいかないといつも言っておられます。嘱託医は酸素飽和度を測定せず、レントゲン写真を見たとの記録もありません。果たしてこれで正確な診察を行ったと言えるかが疑問です。
 3つ目は、誤嚥状況報告書についてです。先ほど質問したとおり、誤嚥状況報告書は2種類存在していました。示談あるいは裁判資料となる大事な報告書を誤った内容で渡してしまう、ましてや未記入欄に記入してというのは、非常に不適切な取扱いだったと考えます。また、事故の報告書は正確さと信用が求められます。病院のカルテと一緒で裁判等での重要な資料となるので、事故直後に手書きで記載されたものを後で書き加えや削除ができないようにPDF形式で、また、撮影した写真をJPEG形式で保存するようになっているのだと思います。今回の事故に関する時系列の対応を記録した報告書は、ワードプロセッサーで作成されたものでした。文字ははっきり読めますが、逆に当時の事故の状況が分かりづらくなっています。マニュアルには対応者の名前を書くようになっていますが、この記録では職員の誰がどのような対応をしたのかが分かりません。これでは原本を正確に書き写したのか、また、作成者の作為もあるのではないかとの疑念も起こり、客観性に欠けた報告書ではないかと勘ぐりたくなります。これは何らかの対応のミスを隠すために、手書き記録をわざわざワードプロセッサーで作成し直したのではないかと疑念が生じます。
 改めて、検診の主催者である市はこの誤嚥事故についてどのように捉えられ、どのように改善しようと考えておられるのでしょうか。
 Aさんの家族に対する市や事業団の説明は、Aさんの家族から伺った限りでは、一方的で耳を傾けてもらえない部分も見受けられます。今後、Aさんの家族に対して真摯に対応していただくよう強く要望しておきます。
 また、バリウム飲用での事故は全国的にも後を絶たないようです。
 バリウムを飲用することによる胃のエックス線検査は中止したほうがいいのではないでしょうか。せめて70歳以上の胃のエックス線検査は中止すべきだと考えますが、市の御見解をお聞かせください。
 次に、今後の一般的な話として、がん検診で事故が起こり得ること、また、起こった場合にはどういう対応になるのかについて受診者の方に周知する必要があると考えますが、所見を求めます。
 日本人は一生のうちに2人に1人は何らかのがんにかかると言われています。がんは全ての人にとって身近な病気です。がん検診の最大のメリットは、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。人生100年時代を迎えています。子どもたちや次世代のためにと夢を持って意気込んでおられたAさん御夫婦に突然襲った健康診断での事故は、お二人にとってやり場のない悲しみだったと察するに余りあります。このような事故は私だけでいい、二度とこのような事故が起こらないようにとのAさんの願いから、事故の原因と事故の処置に対して、5年間ずっと納得のいく説明を求めてこられました。しかしながら、問診時のAさんの答えが適切でなかったという理由によって、今回起こった事故は事業団や市には何ら責任はありません、Aさんの自己責任です、そのことに関して説明の義務はないと取り合ってもらえませんでした。
 健康を願って受ける健康診断で命をなくしたり、寿命を縮めたりすることは絶対にあってはならないことです。一日も早く事故の原因を究明していただき、二度とこのような事故が起こらないように、そして、市民の皆様が安心して、納得して受診できるよう万全の対策を取っていただきますことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 健康を願って受ける検診で健康被害が起こるということはあってはならないことであり、市が主催します検診事業で事故が発生しましたことにつきましては大変重く受け止めております。
 今回の事故につきましては、福岡市と業務委託契約を結んだ事業団が実施した検診において発生したものでありまして、事業団に対して実施主体としての責任を果たし、当該受診者に対して真摯な対応を行うよう求めるとともに、福岡市といたしましても、委託元として当該受診者や御家族からの御質問について事業団に調査、報告を求め、医療的、法的な側面も含む問題点や疑問点に対し御説明を重ねるなどの対応を行ってきたところでございます。また、このような事故が二度と発生することのないよう、事業団に対し再発防止の対策を求め、胃がん検診の禁忌事項の会場への掲示、バリウム飲用方法の会場内及び検診車内への掲示、事前説明書や問診票の改定、また、70歳以上の対象者への内視鏡検査の勧奨の徹底などの改善の実施について確認をしているところでございます。
 次に、胃のエックス線検査につきましては、国の指針で胃がん検診の実施方法はエックス線検査あるいは内視鏡検査のいずれかとされております。がん検診の方法について検討を行う国のがん検診のあり方に関する検討会の中間報告書によれば、エックス線検査については年齢が上がるにつれてバリウムの誤嚥などの偶発症の発生率が増加傾向にあることが指摘されております。これまでも集団検診においては、70歳以上の方には問診の際に個別検診での内視鏡検査をお勧めしておりますが、国の検討会において、がん検診の方法等について議論されることから、引き続き国の動向に注視をしてまいりたいと考えております。
 次に、検診受診者に対する周知につきましては、今回の事故の発生を踏まえ、がん検診の受診者に対して誤嚥などの偶発症が発生するおそれがあることを説明し、注意を促すことは大変重要であると考えております。国の検討会の中間報告においては、検診にはがんの早期発見などの利益と偶発症などの不利益があるが、不利益の説明をする際には、受診率の低下を招かないよう伝え方に留意が必要であるとされ、国において対象者に対する説明を市町村が円滑に行えるよう、市町村向け説明資料の見直しなどについて検討すべきとされております。
福岡市といたしましては、今後とも、国の動向を注視しながら、がん検診受診者に対するより分かりやすい周知方法について、しっかりと検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時25分に再開いたします。
午後2時13分 休憩  
午後2時25分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。伊藤嘉人議員。
○8番(伊藤嘉人)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表し、4か月児健診の個別健診化について、福祉有償運送の実施団体への支援について、バス路線の利便性向上について、家庭ごみの紙の分別について、以上4点について質問いたします。
 まず最初に、4か月児健診の個別健診化についてお尋ねいたします。
 近年、子どもたちが置かれる環境は大きく変化しております。厚生労働省の人口動態調査によりますと、福岡市における人口1,000人当たりの出生数は平成30年で8.8人であり、同時期の全国の値である7.4人と比べ高い状況にあるものの、全国の傾向と同様、減少傾向が続いています。また、国勢調査では、福岡市の1世帯当たりの平均世帯人員数は平成27年で2.01人となっており、こちらも年々減少傾向が見られます。このように、全国的に社会問題となっている少子化、核家族化は福岡市でも同様に問題となっております。これまでは同居の祖父母が子どもの面倒を見たり、近所に同世代の子どもを育てる親がいたりして、子育ての相談が気軽にできていたところが、だんだんとそのような相談ができる人が減り、子育てへの不安や負担を感じる保護者の割合が増加するといった影響が出てきております。
 このような中で、子どもが心身ともに健やかに成長するためには、生まれてくる子どもを家族が安心して迎え、心身の発達にとって重要な乳幼児期を子ども自身が安全に安心して過ごすことができる環境が重要であり、出産前から出産後、乳幼児期、さらにはその先への切れ目ない支援が求められているところです。子どもとその保護者を必要な支援につなげていくためには、その子の健康状態や発育、発達上の問題点、子育て家庭における問題点を把握していくことが必要であり、乳幼児健診はそこで大きな役割を担っていると考えます。
 そこでまず、乳幼児健診の概要や現状について質問いたします。
 福岡市が費用を負担して実施している乳幼児健診はどのようなものがあるか、その乳幼児健診の目的は何か、お尋ねいたします。
 また、乳幼児健診の主な健診項目は何か、それぞれの乳幼児健診における昨年度の受診者数及び受診率をお尋ねいたします。
 あわせて、現在、乳幼児健診はどのような形で行われているのか、お尋ねいたします。
 次に、福祉有償運送の実施団体への支援についてお尋ねいたします。
 自動車を使って有償で他人を運送する場合には、通常は輸送の安全などを確保する観点から、バスやタクシーの事業の許可が必要とされております。しかしながら、公共の福祉を確保する観点から、一定の要件を満たした場合は、国が申請に応じて団体を登録の上で、所定の講習を受講したボランティア運転手がタクシーなどのいわゆる緑ナンバーではなく自家用車などの白ナンバーの車両を使って有償で輸送サービスを提供できるようにする制度があり、これが福祉有償運送であります。地域には介護が必要な方や障がいがある方など、一人では外出することが難しい方々もいらっしゃいます。福祉有償運送は、他人の介助によらずに移動することが困難な方々、タクシーなどの公共交通機関を単独で利用することが難しい方々を対象とするドア・ツー・ドアの個別輸送サービスであり、福岡市においても様々な団体の手で実施され、多くの方に利用されている状況があります。
 そこで、福岡市において福祉有償運送を実施している団体が何団体あるのか、主にどのような団体が実施しているのか、お尋ねいたします。
 あわせて、福祉有償運送は具体的にどのような方が利用できるのか、また、福岡市において何人が利用しているのか、お尋ねいたします。
 次に、福岡市におけるバス路線の利便性向上についてお尋ねいたします。
 人口が160万人を超え、企業の立地や創業が進み、元気なまち、住みやすいまちとして国内外から高く評価されている福岡市が、今後、コロナウイルス感染症収束後においても引き続きさらなる成長を続けていくためには、都心部における道路交通混雑の緩和や都心拠点間の交通ネットワークの強化、将来の交通需要に対応した交通対策の検討や、子どもから高齢者まで誰もが安全、安心な交通環境づくりが必要であり、その中で公共交通は重要な役割を担っていくと考えております。
 福岡市の公共交通機関としては、鉄道のほか、バスやタクシーがありますが、このうち身近な交通手段であるバス路線は地域の基幹的な交通手段として市民生活に必要なサービスとなっております。
 福岡市では、交通事業者と協議を行い、公共交通の利便性向上に向けた取組を進めてこられているかと思いますが、バスの利便性向上に向けた福岡市の取組状況についてお尋ねいたします。
 次に、家庭ごみの紙の分別についてお尋ねいたします。
 福岡市では、新循環のまち・ふくおか基本計画に基づき、循環型社会の構築に向けた施策に取り組まれており、その一環として、事業所から排出される古紙の資源化を促進するため、令和2年10月から事業系ごみの分別区分に古紙が追加されることとなっています。そのような中、家庭ごみについても、新型コロナウイルス感染症対策である新しい生活様式の実践例で通信販売の利用が紹介されていることから、梱包資材として使用される段ボールが増加する可能性があります。また、世界的にプラスチックごみが問題となる中、令和2年7月からは全国でレジ袋の有料化が始まり、プラスチック製のレジ袋に代わって紙製の手提げ袋の使用も増加しています。
 これまでも家庭から出る古紙については、地域集団回収などの取組によりリサイクルが進められていると思いますが、今後、社会状況の変化に合わせて家庭から出る古紙が増加することが見込まれる中、古紙の資源化を進めるため、福岡市における古紙回収の取組や課題について質問してまいります。
 まず初めに、令和2年10月より事業所から排出されるごみについては、新たに古紙の分別が義務づけられますが、その経緯と市の取組の状況についてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 4か月児健診の個別健診化に関する御質問にお答えいたします。
 福岡市において費用を負担して実施している乳幼児健診につきましては、母子保健法第12条に基づく、いわゆる法定健診である1歳6か月児健診、3歳児健診に加え、同法第13条に基づき福岡市が独自に実施する4か月児健診及び10か月児健診がございます。
 次に、乳幼児健診の目的につきましては、乳幼児の健康状態のほか、子育て家庭における育児上の問題点などについて確認し、保護者等に保健指導や助言を行うことで、乳幼児の健康の保持増進を図ることでございます。
 次に、乳幼児健診の主な健診項目につきましては、専門職による診察や身体計測、問診を通した乳幼児の発育状態、栄養状態、疾病の有無、生活環境などの確認のほか、乳児期には先天性の異常の確認、幼児期には歯科及び精神発達の確認などを行っております。
 次に、令和元年度の乳幼児健診の受診状況につきましては、4か月児健診は受診者数が1万2,482人で受診率が97.2%、10か月児健診は受診者数が1万2,314人で受診率が90.6%、1歳6か月児健診は受診者数が1万2,967人で受診率が96.7%、3歳児健診は受診者数が1万3,050人で受診率が96.4%となっております。
 次に、乳幼児健診の実施方法につきましては、従来から4か月児、1歳6か月児及び3歳児の健診は区保健福祉センター等での集団健診により、10か月児健診は医療機関での個別健診によりそれぞれ実施してきております。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、10か月児以外の健診については一時休止いたしましたが、現在は暫定的な措置として、4か月児及び1歳6か月児については個別健診により実施し、3歳児については感染対策を十分に講じた上で集団健診を再開いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福祉有償運送についての御質問にお答えをいたします。
 まず、福岡市内の福祉有償運送の実施団体につきましては11団体であり、その内訳はNPO法人が9団体、一般社団法人が1団体、医療法人が1団体となっております。
 次に、福祉有償運送の利用者につきましては、道路運送法に基づき要介護認定を受けている方や身体障害者手帳をお持ちの方など、単独で公共交通機関を利用することが難しい方とされております。また、福岡市における利用登録者数は令和2年3月末時点で539人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) バス路線の利便性向上についての御質問にお答えいたします。
 福岡市におきましては、公共交通を主軸とし、多様な交通手段が相互に連携した総合交通体系の構築を目指し、地下鉄や幹線道路の整備を図るとともに、パーク・アンド・ライド等の交通マネジメントを推進するなど、ハード、ソフトの両面から様々な取組を行っております。このうち、バスの利便性向上につきましては、鉄道駅を乗継ぎ拠点としたバス路線の再編、効率化をはじめ、駅出入口とバス停の近接化、バス停の上屋やベンチの設置、運行情報の提供といったバス待ち環境の改善など、総合的に取り組んでいるところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) 家庭ごみの紙の分別についての御質問にお答えいたします。
 まず、事業系一般廃棄物の古紙分別の経緯についてでございますが、福岡市の事業所から排出される可燃ごみには約3割、重量にして約7万トンの資源化可能な古紙が含まれております。この古紙のさらなる資源化を推進するため、平成30年5月からごみ収集業者の収集ルートを活用した回収の仕組みや、新たな古紙分別施設、福岡市リサイクルベースが整備されるなどの環境が整ったことから、環境審議会における議論などを踏まえ、周知期間を考慮し、本年10月1日から事業系ごみを現行の燃えるごみ、燃えないごみの2分別から、古紙を追加した3分別へと変更することとしております。
 次に、現在の取組状況でございますが、円滑な制度開始に向け、市内事業者へのリーフレット送付、事業者説明会、出前講座の開催等により周知を図りますとともに、事業者からの問合せ対応を行う事業系古紙分別サポートセンターの開設、排出事業者に対する古紙分別保管場所等の整備支援などに取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 伊藤嘉人議員。
○8番(伊藤嘉人) それでは、2問目です。
 まず、4か月児健診の個別健診化についてです。
 新型コロナウイルス感染症は世界中で猛威を振るい続け、いまだにその混乱のさなかにあります。福岡市においても、第2波と言われるほどの感染者数の増加が見られ、市民の感染に対する不安は非常に大きく、また、コロナの影響により私たちの生活は大きな変化を求められています。特に子どもの成長を確認したり、子育てに関する悩みを相談したりする非常に重要な機会である乳幼児の健診は、新型コロナの影響で、区の保健福祉センターなどで実施されていた集団健診が3月以降休止されました。現在は様々な形で再開されていますが、休止期間中の保護者の方々の育児不安はとても大きかったことと思います。乳幼児健診を安定的に継続して実施していくことは、幼い子どもを持つ子育て家庭の育児不安の軽減にはとても重要だと考えます。福岡市においては、これまで集団健診で実施してきた乳幼児健診のうち、4か月児の健診について、新型コロナの流行下における暫定的な措置として医療機関での個別健診にいち早く切り替えられ、続いて1歳6か月児健診についても、同様に個別健診に切り替えるなど、子どもの健診機会の確保を図られています。
 そこで、これまで集団健診として実施してきた乳幼児健診のうち、特に4か月児健診と1歳6か月児健診を個別健診としたのはなぜか、3歳児健診はなぜ集団健診として再開したのか、お尋ねいたします。
 また、コロナの感染が続いているが、集団健診を続けるに当たって対策は取っているのか、個別健診に比べ感染予防対策の負担が大きい集団健診を今後も続けていく必要があるのか、お尋ねいたします。
 次に、福祉有償運送の実施団体への支援についてです。
 福祉有償運送について市内で実施している団体は11団体あり、利用登録者は539人に上っているとの答弁をいただきました。また、利用されている方については、実際の例として私のほうでも、例えば、透析を受けている障害者手帳をお持ちの方が病院への通院に利用されているといった話や、介護認定を受けられている方がリハビリに通うために利用されているといった話を聞いております。そうした方々にとって、福祉有償運送はまさに日々の生活になくてはならないサービスだと思います。NPOなどの実施団体において、福祉有償運送を担っているのはボランティアの運転手の皆さんであります。また、運送の際に利用者から受け取る対価はタクシーの上限運賃のおおむね2分の1の範囲内と定められております。こうした状況の中、実際に福祉有償運送を実施しているNPOなどからは、例えば、送迎を行ってくれるボランティアが足りない、採算が合わず財政的に厳しいなどの声を聞いております。福祉有償運送は国が設けている制度ではありますが、円滑に実施されるためには地方自治体の取組や支援が欠かせません。
 そこで、市は福祉有償運送についてどのような役割を担っているのか、お尋ねいたします。
 また、市は福祉有償運送を行っている団体に対してどのような支援を行っているのか、お尋ねいたします。
 次に、バス路線の利便性向上についてですが、先ほどの御答弁では、これまで福岡市においては鉄道駅を乗継ぎ拠点とした路線再編等による利便性の向上に取り組んでいるとの話でした。私が住んでいる南区は7区の中で唯一地下鉄が通っておらず、公共交通機関であるバス路線が地域の重要な足となっています。特に鶴田や屋形原など、南区の西南部地域は西鉄天神大牟田線からも大変遠く、バスに頼らざるを得ません。鶴田では天神方面に向かう便は多いのですが、桧原営業所などのある西方面に直接向かうバス路線がなく、屋形原交差点を天神方面へ右折してしまいます。このため、鶴田から西方面へ向かうには屋形原で乗換える必要がありますが、屋形原から西方面へ向かう路線は1路線しかない上、便数も少ない状況です。地域からは福大病院に通院する方や雙葉学園や上智福岡中学高等学校に通学している学生さんから、西方面にはバス路線で行きづらく、都心方面経由の遠回りになってしまうのが現状ですといった声をいただいております。
 そこで、南区におけるこれまでのバス路線の利便性向上に向けた取組についてお尋ねいたします。
 次に、家庭ごみの紙の分別についてです。
 事業系古紙については、分別義務化を行うことにより、今後、資源化が進んでいくと思われますが、家庭から出される古紙の資源化についてはどのように進めているのか、まず、現状として家庭から排出される燃えるごみの量と、その中に占める資源化可能な古紙の割合についてお尋ねします。
 次に、現在は地域集団回収などの取組により古紙のリサイクルが行われていますが、地域集団回収などでリサイクルされている古紙の量はどれくらいあるのか、お尋ねします。
 また、燃えるごみに含まれる古紙をリサイクルに回していくために回収量を増やす取組も行われているかと思いますが、古紙のリサイクルについて、福岡市における取組の現状と課題についてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 4か月児健診の個別健診化に関する御質問にお答えいたします。
 これまで集団健診としてきた4か月児と1歳6か月児の健診を個別健診とした理由でございますが、福岡市の乳幼児健診につきましては、集団健診を基本として実施してきており、新型コロナウイルスの感染拡大により一時、集団健診を休止いたしましたが、4か月児健診については、出生後最初に実施し、早期に子どもの状況を確認する非常に重要な機会であり、受診が望ましい期間が限られることから、暫定的に個別健診に切り替えて5月から再開いたしております。また、その他の休止していた健診についても、感染状況を見ながら受診機会を早期に確保するため、1歳6か月児健診については暫定的に個別健診により、3歳児健診については1回当たりの対象人数を減らし、密をつくらない形で集団健診により7月からそれぞれ再開したものでございます。
 また、3歳児健診を集団健診として再開した理由につきましては、3歳が福岡市が実施する最後の乳幼児健診の機会であり、発育、発達の状況が明らかになってくる時期であること、医師、助産師、保健師、栄養士など、多くの専門職が関わることによって、支援が必要な子どもと保護者をしっかり把握することができ、その時期までに区の保健福祉センターや関係機関による支援に確実につなぐ必要があることから、集団健診により再開したものでございます。
 次に、集団健診の実施時の感染対策につきましては、密の状態をつくらないよう、健診1回当たりの対象人数を減らす、受付時間を分ける、待合時に人と人の間隔を空ける、さらに、定期的に換気を行うなど、十分な対策を講じて実施しております。また、従事者は検温やマスク等の着用、アルコールによる消毒を行っており、来所者には入室前に健康状態の確認を行うほか、マスクの着用やアルコールによる消毒をお願いするなど、対策を徹底いたしております。
 次に、集団健診を今後も続けていくのかとのお尋ねでございますが、集団健診は多くの専門職による確認や保健指導などの保健、医療的な面だけでなく、生活環境の問題や育児上の不安などの福祉的な面での相談へのアドバイス、情報などを得られるとともに、身近な相談相手である保健師等とつながる場にもなっております。また、受診できていない子どもを早期に把握することで、虐待などへの支援が必要な家庭を関係機関等に確実につなぐ重要な機会となっております。これらのことから、乳幼児健診につきましては、今後も集団健診で実施することを基本としたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福祉有償運送についての御質問にお答えをいたします。
 福祉有償運送における福岡市の役割につきましては、道路運送法に基づき、福岡運輸支局、タクシー事業者による協会、タクシー運転者の労働組合、福祉有償運送を実施しているNPOなどの協議の場として、福岡市福祉有償運送運営協議会を主宰しております。実施団体の登録や更新、利用者から受け取る対価の設定などに当たっては、この協議会の合意を得ることが必要とされております。
 次に、実施団体への支援につきましては、各団体からの相談に応じて助言や国との調整などを行っているほか、ボランティアで車両を運転する方に受講が義務づけられている福祉有償運送運転者講習会を開催し、実施団体の運転手を確保するための支援を行っております。また、令和元年度は実施団体からの、他の団体の取組を運営の参考にしたいとの御意見を踏まえ、ワークショップ形式による情報交換会を開催いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) バス路線の利便性向上についての御質問にお答えいたします。
 南区における取組といたしましては、大橋駅や高宮駅における折り返し系統バスの導入によりまして、当該バス路線の定時性が向上いたしております。また、南区の西南部地域においては、福岡外環状道路を運行するバス路線の新設に地域と連携して取り組んだところでございまして、東西方向のアクセス性が向上いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) 家庭ごみの紙の分別についての御質問にお答えいたします。
 まず、家庭から排出される燃えるごみの量と、その中に占める資源化可能な古紙の割合についてでございますが、平成30年度の家庭から排出された燃えるごみ約27万トンのうち、資源化可能な古紙が約4万4,000トンで約16.6%を占めております。
 次に、地域集団回収等でリサイクルされている古紙の量につきましては、平成30年度実績として、地域における集団回収や紙リサイクルステーションで約2万3,000トン、区役所等公共施設で行っている拠点回収等で約7,000トン、合計で約3万トンとなっております。また、古紙の回収量を増やすための取組についてでございますが、資源化可能な古紙約4万4,000トンのうち、その約9割を占める雑がみについて、その種類や出し方を分かりやすく解説した雑がみ回収促進袋の配布や、出す場所を分かりやすく情報提供するための資源物回収場所早わかりマップの周知を図り、校区単位での取組を支援するとともに、古紙の出し方などを市政だより等で広報、啓発しているところでございます。
 地域集団回収については、共創のまちづくりを推進する上でも自治会や子ども会等において定着した事業となっており、回収に対する報奨金が団体の活動資金になるとともに、環境教育の場にもなっているものと認識いたしております。一方で、地域活動の担い手不足や地域活動に参加が困難な高齢世帯や単身者等の増加などの課題があり、今後、多様な主体に対する効果的な施策を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 伊藤嘉人議員。
○8番(伊藤嘉人) それでは、3問目です。
 まず、4か月児健診の個別健診化についてです。
 乳幼児健診を集団健診で行うことは、大変意義があるということはよく分かりました。しかしながら、集団健診の場合、特に生後4か月の頃は、幼いお子さんを連れ、多くの荷物を持って遠くの保健福祉センターなどの健診会場まで外出するのは保護者の方にとって大変な御苦労を伴います。また、小さく生まれたお子さんや生まれつきの病気を持っている場合、健常児が大半を占める集団健診の場に行くのは精神的につらいという保護者の方のお声も耳にします。医療機関であれば、身近な場所で予防接種と一緒の日に健診を受けることができるといった利便性が大きく、また、いつも診てもらっている医師に診察をしてもらえる安心感があり、保護者にとって大きなメリットがあると考えます。事実、今回、福岡地区小児科医会が4か月児健診を受けに来られた保護者の方にアンケート調査を実施されたところ、上のお子さんの時に集団健診を経験された保護者のうち、実に9割以上の方が個別健診のほうがよかったと回答されているということです。
 今回、4か月児と1歳6か月児の健診を個別健診に変更したのは、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた暫定的な代替措置ということですが、新型コロナの流行が第2波、第3波と続いた場合あるいは近い将来に別の新しい感染症が流行した場合に、また集団健診を実施できない状況がやってくることも十分に考えられます。個別の医療機関であれば、感染防止策も十分に取ることが可能です。現に他の幾つかの都市では、4か月児健診を恒常的に個別健診で実施しているとのことです。
 そこで、特に4か月児の健診については、今後、緊急事態が発生しても安定的に健診が受けられるよう恒常的に個別健診として実施してはどうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、福祉有償運送の実施団体への支援についてです。
 福祉有償運送については、まさに市民が介護を要する方、障がいがある方々を善意と熱意で支える仕組みだと思います。しかしながら、福祉有償運送を実施しているNPOなどの団体においては、ボランティア運転手の確保や運営資金の不足など、様々な課題を抱えているのが現状であります。先ほど市においては、ボランティア運転手の講習会の開催などの支援を行っているとの答弁がありましたが、NPOなどの実施団体にとってボランティアの確保は切実な問題であり、実施団体が必要な人手を確保できるよう、こうした取組を継続、強化していただきたいと思います。また、福祉の一翼を担うこれらの団体が安定的に事業を継続できるよう、財政的な支援も含め、必要な支援をしっかりと検討していただくようお願いいたします。それぞれの団体の状況をやっぱり行政のほうでしっかりと把握していただいて、一般的に余裕のある団体は多分十分やっていけるというふうに思います。ただ、そうではない団体もたくさんありますので、そういったところにしっかりと目を向けていただいて、行政のほうの手を差し伸べていただきたいということを強く要望いたしておきます。
 次に、バス路線の利便性向上についてですが、南区のバス路線の利便性向上については、大橋駅や高宮駅を乗継ぎ拠点とした取組等を行われており、今後も引き続き取り組んでいただきたいと思います。一方、地域ではそうしたニーズばかりではなく、行きたい場所に直接バスで行けないということを大変不便に感じている方もいるのではないかと思います。先ほど述べた鶴田では、桧原営業所へ行ければ六本松などへ行くこともでき、通勤、通学といったことも容易になると考えており、バス路線の創設についてバス事業者にしっかりと働きかけてほしいと思います。
 交通事業者は現在、バスの乗務員不足や今般の新型コロナウイルス感染症の影響等に伴うバス利用者の減少といった課題に直面していると聞いておりますが、一方で、バスに頼らないと生活できない市民の皆さんがいるのも事実であります。厳しい状況ではありますが、市と交通事業者のより一層の協議により、バスの接続や乗継ぎが悪いところについて少しでも改善していくことが重要だと考えております。バスの公共性を考えると、今まで述べてきた状況を改善するためには事業者と協働でしっかりと対策を考えていくべきだと思います。
 そこで、今後のバス路線の利便性向上に向けた取組について、市としてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 次に、家庭ごみの紙の分別についてです。
 地域集団回収は市民による主体的なhの取組を行政が支援する仕組みとして有効に機能しており、市民の生活に定着しています。また、回収活動による報奨金は、地域活動の貴重な財源として地域コミュニティの活力の一端を担っているほか、地域における環境教育の場として重要な意義があります。しかしながら、答弁にもありましたように、地域では担い手不足が問題となっており、活動に参加することが難しい単身者や高齢世帯に対する古紙の回収を今後どのように進めていくのかといった問題もあります。また、総務省の調査でも、通信販売の利用率は増加しているなど、新しい生活様式によってライフスタイルが変化しており、段ボールなどの家庭から出る古紙の量が増えていく可能性があります。そのような中、家庭ごみの分別区分を増やして、市が直接、古紙回収を行うこともごみ減量・リサイクルを進める上での有効な手段ではないでしょうか。
 これまで続けられてきた地域集団回収の活動には十分に配慮しながら、将来的な検討課題として、家庭から出される古紙の分別収集の実施について検討をお願いし、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 4か月児健診の個別健診化に関する御質問にお答えいたします。
 4か月児健診を恒常的に個別健診としてはどうかとのお尋ねでございますが、個別健診につきましては密の状態をつくることなく受診できることから、今回の新型コロナウイルスの感染拡大のような有事と言える状況の中で、受診機会の確保のため大変重要なものであると考えており、現在、関係医療機関の皆様に個別健診の実施に御尽力いただいていることに深く感謝いたしております。一方で、集団健診についても、多くの専門職による保健、医療的な面からの確認や助言だけでなく、福祉的な面からの相談対応や虐待防止など、子どもや保護者にとって様々なメリットがあることから、平時における乳幼児健診はこれまでどおり集団健診を基本とすることが適切であると考えております。今後とも、乳幼児健診の実施に当たっては、子どもの健康の保持増進の観点から、平時は集団健診を基本としつつ、感染症などの有事の際には医療機関の御協力をいただきながら、状況によって実施方法を柔軟に対応することにより、子育て家庭をしっかりと支援してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) バス路線の利便性向上についての御質問にお答えいたします。
 バス路線を取り巻く状況といたしましては、議員に御指摘いただきましたとおり、乗務員の不足に加えまして、今般の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う利用者の減少などにより厳しさが増しております。路線バスは市民に身近な公共交通機関でありますことから、今後とも、交通事業者や地域など様々な関係者と連携し、バス路線の再編、効率化や交通結節点における乗継ぎ利便性の向上などに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 私は緑と市民ネットワークの会を代表し、たばこや化学物質、香りの害という香害による市民の健康への影響と対策について質問いたします。
 新型コロナウイルスのPCR等の検査結果を見ると、同じ空間にいる全ての人が陽性になるわけではないことが分かります。インフルエンザもそうです。体質や体調の状態も含め、罹患するかしないかが左右する場合があり、基礎的な抵抗力や免疫力を下げないようにする、健康を害しないための予防が重要であると言えます。健康を害するものは病原性であるウイルスやばい菌だけではなく、生き物にとって欠かすことのできない大気や水の汚染をもたらす化学物質も健康を害し、いまだ解明されていないものも含めて、地球上の全ての生き物に影響を及ぼします。コロナ禍ではなおのこと、少しでも健康を損なわない暮らし方や自治体としての対策が必要となってきます。
 そこでまず、たばこに関する質問ですが、分煙の意識が一般的常識となり、平成30年7月には受動喫煙対策を強化するため、健康増進法の一部を改正する法律が成立しました。受動喫煙対策と今回の法改正の動きに合わせた本市の取組の経緯と啓発、広報についてお答えください。
 以上、2問目からは自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 受動喫煙対策の取組につきましては、平成15年に健康増進法が施行されたことに伴い、平成16年3月には福岡市たばこ行動指針を策定し、さらに、平成25年6月に策定をいたしました健康日本21福岡市計画では、たばこ対策を重点施策として位置づけ、禁煙、受動喫煙対策に取り組んでまいりました。令和元年7月1日には改正健康増進法が一部施行となり、学校、病院、児童福祉施設、行政機関の庁舎などの第一種施設が原則として敷地内禁煙となることに伴い、対象施設、関係団体などにルール徹底に関する通知を送付いたしております。また、令和2年4月1日の改正健康増進法の全面施行により、第一種施設以外の多くの人が利用する施設が原則として屋内禁煙となることに伴い、受動喫煙対策事業の専用サイトの開設や事業者向けの説明会の開催、市政だよりや市ホームページでの広報、飲食店などへのダイレクトメールの送付と個別訪問など、受動喫煙対策について幅広く周知を図ってきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 次に、路上でのたばこの煙で体調への影響を心配する方も多く、化学物質に過敏な方は反応が現れたりします。
 そこで、本市における歩行喫煙の防止について、これまでの路上禁煙地区指定の経緯と現在の啓発、広報の取組をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 路上禁煙地区の指定につきましては、人に優しく安全で快適なまち福岡をつくる条例において、たばこの火による人体等への危害を防止することを目的として、路上禁煙地区を設けることとしており、平成15年10月に天神と博多駅周辺に路上禁煙地区を指定しております。さらに、20年7月には大名に路上禁煙地区を指定するとともに、博多駅周辺の路上禁煙地区の指定範囲を大幅に拡大しております。また、路上禁煙地区において、モラル・マナー推進指導員による巡回指導や啓発を行うとともに、街頭ポスター、街路灯バナー、路面標示や地下鉄駅構内放送などにより、路上禁煙地区の周知を図っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 続いて、市役所本庁舎の屋外喫煙場所が設置されていますが、その経緯について、また、来庁者や職員向けのお知らせや啓発についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 本庁舎及び北別館の屋外喫煙場所につきましては、改正健康増進法の一部の施行日であります令和元年7月1日に本庁舎5か所、北別館2か所を特定屋外喫煙場所に位置づけたものでございます。また、来庁者等へのお知らせや啓発につきましては、喫煙場所を目につくように表示するとともに、床に喫煙可能な範囲を明示することで適正な利用を促進しております。さらに、職員向けには喫煙場所の位置や利用時間を通知するとともに、適正利用の徹底を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、受動喫煙や歩行喫煙についての対策は十分なのでしょうか。
 改正健康増進法全面施行後、市民からの通報や寄せられた苦情、相談について、その件数と内容をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 受動喫煙に関する通報や相談につきましては、改正健康増進法が全面施行となった令和2年4月1日から7月末までの間に、本市の受動喫煙相談窓口に146件が寄せられております。主な内容といたしましては、20歳未満の者が喫煙可能な店に入店していた、標識を掲示していない、喫煙室から煙が漏れているなどの義務違反が疑われる施設の通報や、公園やコンビニ前の灰皿で喫煙しており迷惑だ、路上喫煙が増えたなどの屋外での受動喫煙に関する相談などでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) では、今年4月から7月までのモラル・マナー推進指導員による指導件数及び路上禁煙地区の指定前と現在の歩行喫煙率をお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 令和2年4月から7月における歩行喫煙の指導件数につきましては、4月233件、5月248件、6月350件、7月509件となっております。また、歩行喫煙率につきましては、路上禁煙地区指定前の平成15年5月の調査では3.09%でございましたが、令和元年11月の調査では0.08%となっており、路上喫煙者は大幅に減少しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 歩行喫煙率は格段に減っていますが、歩行喫煙指導は緊急事態宣言中でも200件を超え、行き交う人が増えれば指導件数も増えています。
 では、本庁舎の屋外喫煙所に関して、利用者や市民から寄せられている御意見はどのようなものがありますか。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 本庁舎の屋外喫煙場所に係る利用者等の意見につきましては、特定屋外喫煙所を設置した令和元年7月1日以降の市民の声におきまして、たばこの煙に対する意見や喫煙所をしっかり整備すべきといった意見などがございました。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 取組は本当に進めていただいておりますが、市民からの通報や相談、指導状況など、実態が分かってきました。健康増進のためやモラル・マナーとして、市民や来訪者の理解と協力をもっと得ることが必要です。市役所周辺では天神ビッグバンの工事もあり、私は歩行中、息苦しい思いをするのですが、コロナ禍で一部の喫煙所が閉鎖し、駐車場や路上などでの喫煙者が増えたり、本庁舎中央公園側の屋外喫煙所からの煙が本庁舎ロビーに入ってきたりと、市民や来訪者の健康も心配です。
 受動喫煙対策を推進するため、改正健康増進法に基づく新しいルールについて、さらなる周知が必要であると思いますが、今後の具体的取組についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 改正健康増進法のさらなる周知の取組につきましては、今年の4月に受動喫煙対策事業の専用サイトをリニューアルし、新たにメールによる事業者などからの質問に対応するとともに、周知が行き届いていないと思われる施設に対しましては、積極的な架電により受動喫煙対策の説明などを行っております。さらに、事業者向けの受動喫煙対策ガイドブックの作成、配付や新規開設の店舗も含め、飲食店などに再度ダイレクトメールの送付を行うなど、受動喫煙対策の周知徹底に努めております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) ありがとうございます。
 では、歩行喫煙防止対策の今後の取組についても、お答えください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 歩行喫煙の防止に向けた今後の取組につきましては、引き続きモラル・マナー推進指導員による巡回指導を行うとともに、街頭ポスター、街路灯バナー、路面標示に加え、市政だよりやラジオ放送、デジタルサイネージや地下鉄駅構内放送など、多様な媒体を活用し、市民や来街者の皆様に周知を図るなど、歩行喫煙の防止に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) ありがとうございます。
 市役所本庁舎の屋外喫煙場所の今後の取組についても、お答えください。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 本庁舎の喫煙場所につきましては、新型コロナウイルス感染対策の一環として、人数制限や喫煙者間のソーシャルディスタンスの確保といった対策を講じるなど、改正健康増進法や新型コロナ対策に即した喫煙場所の確保に努めてまいります。今後も同法の趣旨を踏まえまして、関係局と連携し、適正な喫煙場所の利用を促してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) ありがとうございます。よろしくお願いします。個人的には禁煙をお勧めしたいのですが、喫煙者にとっても安心できる環境が必要と考えます。昨日もはしだ議員の質問の中で、市長もしっかりと推進していくとの御答弁がありました。ウイルスやばい菌に負けない健康増進のための様々な対策が市民と共に取り組まれるよう、私も尽力してまいりたいと思います。
 さて、たばこに関しては、身近な暮らしの中に法律で定められたものが整ってきました。しかし、6万種類以上もある化学物質の規制対象とされるものは約1%の640ほどにすぎず、しかも、それは労働安全衛生法などやPRTR法で安全データシートがあっても、一般市民の健康を守るものとしては足りません。
 今、化学物質等の適切なリスク管理体制の構築につなげることを目的として、世界で、そして、日本でも10万人規模でエコチル調査が行われております。福岡市民もこの調査に協力をしていますが、本市はなぜこの調査に協力されたのか、エコチル調査の概要とその意味の大切さを併せてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) エコチル調査につきましては、環境省が子どもの健康や成長に影響を与える環境要因を明らかにすることを重視し、平成23年から令和9年までの計画で実施している全国調査で、10万組の子どもとその保護者を対象に、胎児から13歳になるまで定期的に健康状態を確認するものでございます。福岡市内では九州大学が中心となって調査を実施しており、福岡市といたしましても、環境省及び九州大学から協力依頼があったため、市政だよりへの記事掲載やポスター掲示等の広報に協力を行ったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 重要な調査が行われているわけです。この世界的な調査が始まった一方で、10年ほど前から外国製の香りの強い芳香柔軟剤が人気を呼び、香りブームで、日本でも暮らしの中に強い香りを伴う製品により、様々な合成化学物質が充満し、健康被害、いわゆる香害が社会問題化しています。健康を害し、化学物質過敏症と診断された人と何らかの健康障がいが出ている潜在的な人を合わせれば、日本の人口の7%から10%、100万人にも及ぶと言われ、決して少数者の問題ではなく、合成化学物質が知らないうちに体内に入り蓄積して、香りの害に悩む人たちがじわじわ増え、将来は花粉症のように国民病になるおそれもあるとされています。
 そこで、市民の健康増進を図る保健福祉局として、化学物質への懸念とこの社会的状況も含めた香害についての考えをお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 保健福祉局といたしましては、シックハウス症候群など、有害な化学物質によって生じる体調不良などは承知をいたしておりますが、御指摘のいわゆる香害につきましては、その原因や病態、発症のメカニズム等が不明であるため、国においても疾患概念としていまだ確立しておらず、傷病名としても認められていない状況であるとされているものと認識をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 化学物質過敏症は環境不耐症とも言われ、低濃度の化学物質の曝露に関係した多臓器にわたる非特異的な症状を持つ病態として定義されています。昨年1月から行われたアレルギー専門医による有害化学物質であるイソシアネートの抗体ルーチン検査により、様々あるイソシアネートの中のトルエンジイソシアネートの測定数値が、化合物質を扱う労働者の2%という数値よりも、患者からは10.9%と高い抗体の数値であると学会で示され、子どもの免疫を脅かしていると警鐘を鳴らしています。イソシアネートはウレタン樹脂の原料で、道路舗装や外装塗装、消臭除菌剤等のスプレー剤、壁紙、接着剤、柔軟剤の香料や衣類、一部のマスクなど、身の回りの様々なものに使われており、ポリウレタンは分解すると毒性のあるイソシアネートが揮発し、空気中にまき散らされます。カナダでは使われていない、このトルエンジイソシアネートは今年10月1日から毒物劇物指定となりますが、平成5年から最近までイソシアネートを利用する新技術の特許が6万5,000件も公開され、世の中に出回っております。イソシアネートは炎症反応に加え、一般の化学物質に比べて空気中のごくごく薄い濃度でも症状が現れ、酸欠により頭がぼうっとして手足がうまく動かず、精神的にもおかしくもなります。筋肉痛や心臓や血管の動きも乱れ、たやすく病気を引き起こし、発がん性もあるとみなされています。曝露を繰り返していると過敏になって、労働現場の薄い規制値よりも、さらにどんなに薄い濃度でもすごい症状を再発するようになり、フィルター式のマスクでは防げす、ボンベに入ったきれいな空気を吸う式の呼吸器でなくては防げません。エコチル調査は化学物質の曝露や生活環境の健康影響等を十数年かけて調査しますが、その結果を待ってはいられない状況だと考えます。国民生活センターへの相談は約10年前から増加傾向にあり、平成24年度に寄せられた柔軟剤の臭いに関する相談は65件だったそうですが、日本消費者連盟が平成29年7、8月に設置した電話相談、香害110番には、たった2日間で213件の相談が殺到しています。
 では、本市の令和元年度における市民からの相談状況についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 保健福祉局及び各区保健福祉センターにおいて、市民からいわゆる香害についての相談を受けた実績はございません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 消費生活センターにおける香りによる体調不良に関する相談件数につきましては、令和元年度は柔軟剤によるものなど2件となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 昨年、私どもの福岡県内で行ったアンケート調査では、車やトイレなどに置いてある芳香剤の臭い、給食エプロンの強い香りなどに不快感や体調不良があるという方でも、香りの害という認識がない方が多くいらっしゃいました。また、体調不良の主な相談先は病院などのため、行政が把握しにくい状況があるのだと捉えます。一般的にも受動喫煙の害の認識とは格段に違います。危険性を知るだけで、まず有害物質に気をつけて避けることもでき、一人一人が健康被害を防ぐための予防ができます。市民の健康被害を広げないように、最新の知見と状況を勘案し、対策を取るべきと考えます。
 そこで、他都市の取組事例についてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 他の政令市におきましては、環境保全対策としての化学物質の適正管理や身近な生活環境においての洗剤や柔軟仕上げ剤等の適正使用、香りのマナー、学校におけるシックハウス症候群やその対応などについて、ホームページなどによる情報提供が行われているところもございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 政令市だけではありません。いろんな他都市で取り扱われております。(パネル表示)これは高知県のポスターです。県のポスター、高知市からもダウンロードができます。そして、こちらは大阪市ですね。本当に丁寧に紹介がされています。市民の健康をいかに守るかという視点で、相談先まできちんと表示されております。
 厚生労働省は、毒性が認められているトルエンジイソシアネートを扱う職場の特別健康診断では症状など把握すべきとしていますが、アメリカ環境省は労働現場だけでなく、暮らしに身近なイソシアネート製品による居住環境汚染と健康被害が発生している可能性の例を挙げて、詳細に指摘しております。専門医は、根拠のある病気で、世界的にも公認されている、誰もに起こり得る可能性がある、人ごとと思わず、今使っている柔軟剤が自らの体に悪影響を及ぼすかもしれないとの認識に立って買物をすべきと啓発しております。重症化すると、電車にも乗れず、学校や職場に行けなくなる人もいます。(パネル表示)これは日本消費者連盟の用意しているポスターだったり、香料自粛のお願い、それから、こっちが電車用、学校のプール用です。こういったところでそういうものを使うと、やっぱり気分を悪くするという方がたくさんいます。これはどなたでもダウンロードして利用できるようになっております。
 行政として市民への香害の認識を深める啓発が必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 繰り返しになりますが、いわゆる香害につきましては、その原因や病態、発症のメカニズム等が不明であるため、国におきましても疾患概念としていまだ確立しておらず、傷病名としても認められていない状況にあるとされているものと認識をいたしております。福岡市といたしましては、まずは国の動向を注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 国の動きは鈍く、水俣病をはじめとする過去の公害事件では、原因が絞られてきても、因果関係がはっきりしないと有効な対策はなかなか実行されず、因果関係が明らかになって対策が取られるときには被害の規模が途方もなく膨らんでいるのが常でした。香りの害もまたメカニズムが明らかでないことを強調して、同じ道を繰り返すのでしょうか。今や海はプラスチックのスープ、大気にもマイクロプラスチックが検出されております。おなかの赤ちゃんを包む羊水にも香りがついていると言われております。これから生まれてくる命のためにも、スピーディーに自治体環境政策力を発揮すべきで、市民の状況把握のための相談窓口や情報収集の仕組みづくり、そして、特に有害化学物質から子どもを守るための条例策定を求めます。
 まずは、本市でも先進的な都市のように市民の健康を損なわないよう啓発と予防対策を早急に始めていただくことを要望し、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) この際、休憩し、午後3時40分に再開いたします。
午後3時29分 休憩  
午後3時40分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。高山博光議員。
○52番(高山博光)登壇 福岡市が結んでいる包括連携協定の相手先は、LINEなど10社あります。包括連携協定を個々の企業と結ぶにつき、議会で議論された形跡は全くありません。包括連携協定も最初は災害の際の水、食料を企業が確保するなどの簡単なものでした。今ではLINEのように携帯電話を通じて個人の行動や情報を採取できるようなものや、メルカリやヤフーも参入してきました。福岡市の広報でも、LINEで市内の友だちが100万人を突破と誇らしげに書かれています。そして、LINEプライバシーポリシーには、情報の御提供はお客様の任意ですが、提供いただけない場合、本サービスの一部が御利用いただけない場合がございますとあり、アドレス帳は、お客様が友だち自動追加機能を御利用の場合、端末のアドレス帳を取得する場合がございますとあり、ITに精通していない一般の市民は福岡市を友だちとするためには、自分のアドレス帳をLINE側にさらすことになります。また、利用者情報の委託では、お客様から取得した利用者情報の全部または一部を業務委託先(外国にある委託先を含みます)に委託することがございますとあります。本来、行政が市民から信頼をいただけるのは、議員も市長も選挙で選ばれ、職員も地方自治法や公務員法で縛られているからであり、100%外資の会社の社長や役員は外国の株主が委託するわけですから、大きな問題だと思います。
 LINE全てが悪いわけではなく、福岡市は大変恩恵を受けています。LINE Fukuokaの社員や福岡市当局の職員も市民生活向上を目的にしていることは全く疑っていません。ただ、議会はメリットだけではなく、デメリットについても、監視していく必要があるのです。
 包括連携協定のローソンやソフトバンク等については、個人情報には関係がなさそうですのでよいが、LINEは福岡市民の粗大ごみの収集依頼や引っ越し手続のオンライン予約までできるとありますが、これらは市民から税金をお預かりした上で本来自治体がすべき仕事で、行政が行わなければならない仕事です。それを民間の一会社に任せてよいのでしょうか。
 市民との信頼関係があってこそだと思います。少なくともLINEであれば氏名や電話番号等を登録する必要があるが、このような市民の個人情報やプライバシーを民間企業にさらして大丈夫なのか、議会に諮らずに任せてよいのか、以上、お尋ねいたします。
 2問目からは自席にて質問させていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 粗大ごみ収集受付や引っ越し手続のオンライン予約等、本来は自治体がすべき、民間の一企業に任せて問題ないのか、議会に諮らずに任せてよいのかとのお尋ねでございますが、福岡市では基本計画において、包括連携協定をはじめとした多様な手法やつながりにより様々な社会課題や地域課題の解決に取り組むこととしております。包括連携協定につきましては、様々な分野において福岡市と企業がお互いの資源や魅力を生かした事業に共働で取り組むことで、地域の一層の活性化や市民サービスの向上に資することを目的にしているもので、協定の締結につきましては、企業より御提案があった場合に、その提案内容が包括連携協定の趣旨、目的に合致するかなど、検討、協議を行った上で締結しているものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 高山博光議員。
○52番(高山博光) アプリ内で個人情報をブロックしても、ちゃんと使える仕様になっているのか、災害情報等は位置情報を渡さないと使えないのではないのか、その上、個人情報をブロックできる仕様とは言うが、お年寄り等、誰にでも簡単に操作できるのか、いかがですか。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) アプリ内で個人情報をブロックしても使える仕様になっているのかという御質問ですが、LINEを利用するに当たり、携帯電話番号、メールアドレス、そして、ニックネームの登録が必要となっております。
 災害情報等の入手に当たり、位置情報の提供が必要かという御質問ですが、まず、福岡市の公式アカウントにつきましては、その利用に当たり、新たな情報を入力する必要はございません。防災など個別の情報発信を御希望の場合は、位置情報ではなく、情報が欲しいエリアを選択いただく必要がございますが、近くの避難所を調べる場合などにおいては位置情報を提供いただく必要がございます。
 次に、お年寄り等誰でも簡単に操作できるかという御質問ですが、福岡市の公式アカウントにつきましては、LINEを通常利用されている方であれば簡単に操作できるよう設計されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 福岡市はLINEとは包括連携協定を結んでおり、大変役に立っていることは理解しています。
 LINEという企業が悪いとは思わないのですが、株主はどこの国にいるんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) LINE株式会社の株主につきましては、同社が発表しております株式基本情報によりますと、令和2年6月30日時点において、韓国に本社を置くNAVER Corporationが72.44%を保有しているとされております。
 なお、LINE株式会社につきましては、東京に本社を置く企業でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 韓国の企業や人ですね。福岡市民の大事な個人情報を韓国という海外資本の企業が持っているのはいかが思いますか。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) LINE株式会社につきましては、東京に本社を置く企業であり、日本の法令にのっとり個人情報は管理されております。また、同社が提供する通信サービスLINEは、電気通信事業法に規定する電気通信事業として、その所管である総務省に届出がなされております。同法には、その第4条において「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」と規定されており、LINE株式会社におかれても、他の企業と同様に、当該規定に基づき情報を適正に管理されているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 高山博光議員。
○52番(高山博光) LINEの利用規約第15条には「当社は、本サービスに関する瑕疵がないこと、ならびに安全性、信頼性、正確性、完全性、有効性および特定の目的への適合性を明示的にも黙示的にも保証していません」となっております。「当社は、お客様に対して、かかる瑕疵を除去して本サービスを提供する義務を負いません」と書いてあります。LINEプライバシーポリシーには、利用者情報の委託では、お客様から取得した利用者情報の全部または一部を業務委託先(外国にある委託先を含みます)に委託することがございますとあるが、LINEの社長は福岡市の投票で決まるのか、外国の株主が委託しているのではないのか、このことに関してどう考えるのか、本当に大丈夫なんでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) LINEの利用規約やプライバシーポリシーに関する御質問にお答えします。
 プライバシーポリシーにつきましては、個人情報を取り扱う事業者が個人情報の保護に関する法律等にのっとり個人情報の保護を推進する上での考え方や方針を定めたもので、LINE株式会社においても、プライバシーポリシーにおいて利用者のプライバシーを保護する観点から、同社の個人情報の取扱いについて規定されているものと考えております。また、繰り返しになりますが、LINE株式会社につきましては、東京に本社を置く企業であり、日本の法令にのっとり個人情報は管理されております。同社が提供する通信サービスLINEは、電気通信事業法に規定する電気通信事業として、その所管である総務省に届出がなされております。同法には、その第4条において「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」と規定されており、LINE株式会社においても、他の企業と同様に、当該規定等に基づき情報を適正に管理されているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 高山博光議員。
○52番(高山博光) 先日、河井克行元法務大臣が逮捕されました。押収された携帯電話の位置情報から、いつどこで誰に会ったか、全てが割り出されたと聞いています。警察は裁判所の令状がないと位置情報を取れないが、最適な情報サービスを提供するために位置情報等の活用を推進します、あなたの安全を守るための情報や生活に役立つ情報を位置情報に基づいて提供するための取組を推進しますとありますが、ここに同意して利用する場合、サービス改善や広告配信に活用するほか、LINE関連サービス会社やLINEの業務委託先にも共有されることがあるとされております。
 本日は議論を分かりやすくするためにLINEという固有名詞で質疑を行いました。福岡市はLINEには大変お世話になっていますので、一民間企業ですが、大変ありがたく思っています。幾ら便利とはいえ、市民を危険にさらしてまでスマートシティを推進することは大いに問題があるということを指摘しておきます。いかがですか。
 
○副議長(楠 正信) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) LINE株式会社との包括連携協定につきましては、LINE株式会社及びLINE Fukuoka株式会社と本市の3者で、お互いの資源や魅力を生かして先端技術を活用した、より豊かで、より便利な未来指向のまちづくりに共働して取り組むことで社会的課題を解決し、本市の一層の活性化及び市民サービスの向上に資することを目的として締結したものでございます。繰り返しになりますが、LINE株式会社につきましては、東京に本社を置く企業であり、同社が提供する通信サービスLINEは、電気通信事業法に規定する電気通信事業として、その所管である総務省に届出がなされております。同法には、その第4条において「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない」と規定されており、LINE株式会社におかれても、他の企業と同様に、当該規定に基づき情報を適正に管理されているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 高山議員に申し上げます。既に持ち時間を経過しておりますので、これ以上の発言を許可するわけにはまいりません。御理解をいただきまして、議事を進めさせていただきます。新村まさる議員。
 
○19番(新村まさる)登壇 まず初めに、本市のPCR検査体制についてですが、緊急事態宣言当初と現在の違い、これを確認させてください。
 以降は自席にて質問いたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) PCR検査の体制につきましては、4月の緊急事態宣言時には帰国者・接触者外来で検体を採取し、保健環境研究所において検査を行っておりました。現在はこれに加えて、医療機関や地域外来・検査センターで検体を採取し、当該医療機関または民間の検査機関においても検査を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 行政検査と民間検査に分けて、7月と8月それぞれの検査数と陽性者数をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 本市における行政検査の検査数及び陽性者数につきましては、7月は検査数が3,719件で陽性者数が407人、8月は8,230件で799人となっております。次に、民間検査につきましては、7月は5,995件で286人、8月は1万2,113件で837人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 今では検査の大半を民間検査が担うようになりました。それぞれ陽性率は行政検査で10.1%、民間検査で6.2%と少し開きが見られます。
 次に、行政検査によるPCR検査を受けるための要件、これをお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 行政検査につきましては、発熱等の風邪症状があり、帰国者・接触者外来で医師の判断により検査が必要と認められた場合、保健所の調査で陽性者の濃厚接触者になった場合、その他当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由がある場合においてPCR検査を実施することとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 次に、民間検査による保険適用のPCR検査を受けるための要件、これをお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 保険適用の民間検査につきましては、発熱等の風邪症状があり、かかりつけ医等で医師の判断により検査が必要と認められた場合にPCR検査を実施することとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 帰国者・接触者外来を受診した際、またはかかりつけ医を含む民間医療機関を受診した際、それぞれ検体採取とPCR分析検査を行う機関をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 帰国者・接触者外来を受診された場合は、そこで検体を採取し、保健環境研究所において検査を行っております。また、かかりつけ医を含む医療機関を受診された場合は、その医療機関または地域外来・検査センターで検体を採取し、当該医療機関または民間の検査機関において検査を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) それでは、濃厚接触者の場合、検体採取、それから、分析検査を行う機関は主にどこなのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 濃厚接触者につきましては、地域外来・検査センター等で検体を採取し、保健環境研究所において検査を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 感染有無を判定する機関ですが、濃厚接触者を含む行政検査受診者の場合には保環研が担って、民間医療機関受診者への判定は民間の分析機関または分析機器を備える医療機関が担います。先ほどの行政検査の陽性率の高さは、この検査経路のすみ分けによるものです。
 保環研と市内の民間検査機関について、それぞれ1日当たりの最大検査能力を教えてください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 本市におけます1日当たりの検査能力につきましては、現在のところ保健環境研究所において240件程度、医療機関を含めた民間の検査機関において1,160件程度の検査が可能となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 行政検査と民間検査別に、検査数が最も多かった日とその数をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) これまでで最も多かった検査数につきましては、行政検査では8月9日の488件、民間検査では7月29日の764件となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 保険適用PCR検査の検体採取を自ら行う市内の医療機関の数をお尋ねします。また、保険内PCR検査を自らの医療機関内で行うための手続、それと要件をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) PCR検査等につきましては、現在のところ約60の医療機関で保険適用の検査が実施可能となっております。また、実施する医療機関につきましては、感染の疑いがある方と他の患者との動線が分けられていることなど、適切な感染対策が講じられていることを本市が確認した上で、各医療機関と委託契約を締結することとしておりまして、この委託契約を保険適用の要件といたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 今後、医療機関でのPCR検査体制のさらなる充実について本市の方針をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策を進める上で、検査は非常に重要であると考えております。福岡市といたしましては、今後とも、かかりつけ医による検査を拡大していくなど、検査体制のさらなる充実に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 受診から検体採取、分析判定まで行うことができる医療機関は7月時点では市内6か所でした。当局には分析機器の導入支援や検査協力に応じた財政支援への取組など、今後は特に受診から判定結果通知までの迅速化に重点を置いた施策が進められるよう要望をいたします。
 次に、濃厚接触者に指定されてから検査の判定結果が通知されるまでどのような生活行動が要請されるのか、これをお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 濃厚接触者に対しましては、検査結果が通知されるまでの間、せきエチケットや手洗いの徹底、不要不急の外出の自粛、やむを得ず外出する場合のマスクの着用などの感染予防策を徹底するよう要請をいたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) その検査結果を待つ濃厚接触者とそれまで濃厚接触があった方、いわゆる2次濃厚接触者に対してや濃厚接触者が出た事業所へはどのような対応指導となるのか、お尋ねをします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 国立感染症研究所の新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領によりますと、濃厚接触者とは、陽性者の感染可能期間に接触した者のうち、手で触れることのできる距離で、必要な感染予防策なしで陽性者と15分以上接触があった者などとされておりまして、保健所はこの濃厚接触者に対して、せきエチケットや不要不急の外出の自粛などの感染予防策の徹底を要請するものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 今の御答弁が物語っておると思うんですけれども、現状、濃厚接触者への対応までが行政指導の対象です。2次濃厚接触者に対してや濃厚接触者が発生した事業所に対しての対応指導というのは、対象外です。しかしながら、感染が多発した時期などは検査受診から判定結果の通知まで数日かかる事例もあり、その間、事業者はやむなく閉鎖措置に追い込まれたり、2次濃厚接触者は家族、同僚への感染不安や周囲からの疎外など、辛辣な境遇にさらされてきました。補正予算で示された介護従事者等への一部検査助成は歓迎すべきだと思います。今後さらに、基礎疾患者や高齢者の多い医療機関、介護施設など、特に感染拡大を早期に抑え込む必要がある施設において、2次濃厚接触者が速やかにPCR検査を受診できる施策の検討を求めておきます。
 次に、抗体検査と抗原検査について御説明をください。また、検査時の感染有無の判定への適性をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 抗体検査とは、血液中の抗体を調べることで過去の感染の有無を確認し、一定範囲の抗体の保有状況を把握する検査でございます。現在、法に基づく体外診断用医薬品として承認を得た抗体検査はなく、診断を目的として単独で用いることは推奨されておりません。また、抗原検査とは、一般的に簡易検査キットを用いて鼻咽頭ぬぐい液中のウイルス抗原を短時間で簡便に検出する検査でございます。有症状者で発症2日目から9日目以内の場合は確定診断が可能である一方、無症状者に対する使用は適切な検出性能を発揮できないため、適さないものとされております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 抗原検査はPCR検査の代替機能を果たせるものなのか、お尋ねをします。 また、今後、抗原検査に期待する役割をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 簡易検査キットによります抗原検査につきましては、無症状者の場合、確定診断とすることができないため、PCR検査を完全に代替するものではございませんが、地域の医療機関において簡易で迅速な検査が可能となりますことから、PCR検査を含めた検査体制の充実が図られることが期待をされております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 御自身の感染の有無を調べるために、自由診療で抗体検査や抗原検査を受ける方が少なくないと聞いております。まず、抗体検査については、検査時の感染有無を判定するのにはそもそも適しておらず、抗原検査キットでは無症状の方への判定は難しいということです。中には誤った理解のまま、自分は陰性と結論づけてしまうケースも考えられます。
 それぞれの検査利用に当たっては、適宜正しい情報を市民に広く発信、提供いただきたいと思いますが、所見をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 検査に関する情報につきましては、今後とも、ホームページなどを活用し、適切な情報提供に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 県議会では、新たに無症状者にも対応できる高精度の抗原検査機を保健所に導入する補正予算が上がっています。安価で判定時間の短い抗原検査においては、さらなる精度向上により、今後、PCR検査の補完機能が高まっていくことを期待したいと思います。検査体制の充実と検査から判定通知までのさらなる迅速化を目的として、将来的には両検査手法の適材配置への研究も求めておきたいと思います。
 次に、旧大名小跡地の事業計画についてですが、民間施設部分の概要と供用開始までのスケジュール、これをお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) まず、民間施設につきましては、地上25階建てのオフィス・ホテル棟にオフィス、ホテル、カンファレンス、商業施設が、地上11階建てのコミュニティ棟に保育施設、創業支援、人材育成施設、レジデンス、オフィスが整備される計画となってございます。また、今後のスケジュールにつきましては、令和3年10月から公共施設を順次供用開始し、令和4年12月にオフィスや商業施設など、令和4年度末にホテルが開業予定となってございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 供用開始以降、SPC事業者が本市へ支払う土地の年間定借料と定借期間を確認させてください。あわせて、本市からSPCへの費用負担、これもお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 事業者であるSPCが市へ支払う定期借地料は年額約6億3,000万円、定期借地期間は70年間となっております。また、市がSPCへ支払う南校舎敷地転借料及び公共施設賃料は年額約1億4,000万円となっております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 旧大名小跡地のまちづくりが計画どおりに進められるために、今後、本市に求められる役割をどのようにお考えか、その認識をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 契約の当事者といたしまして、事業契約に基づき、事業者から経営状況等について定期的な報告を受け、確認を行うこととなっております。今後も必要な協議は随時行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 現在の整備状況や商業テナントの誘致、リーシング状況など、供用開始に向けた進捗と今後の見通しをお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 工事の状況につきましては、令和元年7月に着工し、現時点で特に工事遅延等は発生しておりません。今後も開業に向けて随時事業者と協議してまいります。また、商業テナントの誘致やリーシングにつきましては、令和4年度末の開業に向けて、今後、事業者において実施されることとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 供用開始まで2年ほどに迫った民間施設の延べ床総面積は9万平米を超えます。その建設費は数百億円規模とも見られ、地代賃料も70年総額で約340億円。事業者にとって開業後の収益の大部分は誘致したテナントからの賃料収入です。昨今のコロナ禍による先行き不安や経済停滞が長引くほど、オフィス需要、商業需要の減退トレンドはますます進むことが予想され、テナント誘致やリーシングは難航し、個々の賃料交渉も厳しいものになるのではと危惧をしております。想定賃料からたった1割目減りするだけでも、経営収支には大きなマイナス要因となり得ます。一日も早いポストコロナの到来を願うわけですが、今後の社会情勢は見通せないのが実情です。供用開始までの準備状況、それから、開業から数年ほどの経営状況を特に注視する必要があると思います。
 万が一、SPCからの定借料支払いが滞るような場合、契約上定められている遅延損害金の年率と年額をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 遅延損害金につきましては、支払い期限の翌日から実際の支払い日までの日数に応じまして、地代の金額に対し、年率14.6%で計算する規定となっております。年額では最大約9,200万円となります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 次に、本市が預かる契約保証金の額をお示しください。また、契約保証金が没収となるような事態にはどのようなケースが想定されるのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 契約保証金につきましては、工事着手から供用開始前までは土地一時賃貸借契約において地代1年分、供用開始後は定期借地契約において地代2年分と規定しておりまして、最終的には約12億円となります。また、この保証金は事業者の債務を担保するためのものであり、地代の滞納があった場合や事業者が建物を解体しない場合などの債務に充当するケースが想定されます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 財務リスクへの備えは確認できましたが、何より今、本市に求められるのは、計画どおりに開業を迎えて、長期的な事業運営が実現するための備えとサポートだと思っています。
 本事業は本市の将来的な経済動向に大きな影響を与える事業だとお考えか、当局の認識をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 旧大名小学校跡地活用事業につきましては、校区行事や災害時の避難場所として利用できる広場の確保や、公民館、老人いこいの家などの整備はもとより、天神ビッグバンの西のゲートとして、都心部の機能強化を図るためのハイグレードオフィスやハイクオリティーホテルを整備する計画ともなっており、今後も地域にとって、福岡市の将来にとっても魅力的な場となるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 本市では天神ビッグバン、博多コネクティッドと大きな都心部のまちづくりが進んでおり、さらにこれから進展を加速するという今の時点です。旧大名小跡地のまちづくりは、これから広がる福岡の都心創生におけるスタートシンボルでもあり、万が一にも計画頓挫となれば、今後の都心部建て替え事業の多くに影響を与え、コロナ禍の経済停滞に引きずられるように、本市の経済がしぼむトリガーにもなりかねません。特に危惧するのが、同様に市有地を活用したまちづくりとして事業者公募を控える九大箱崎キャンパス跡地やウォーターフロントの事業に与える影響です。コロナ禍で先が見通せない中、次の公募事業へ参加を検討している企業の多くは、旧大名小跡地のこの事業の長期的な成功に向けた本市の熱意や姿勢はどれほどか、国内外を問わず、必ず見ています。今後控えている事業者公募がもし不調に向かえば、魅力的なまちづくりの提案は望めませんし、市有地の契約賃料も目減りすることで長期的には本市の収入も大幅減となります。
 旧大名小跡地事業、これはコロナ禍で経済不安がはびこる今だからこそ、事業者との情報交換、共有の徹底をお願いしておきたいと思います。また、今後、事業者との協議の下、必要があれば柔軟なサポート体制を検討いただき、事業の長期運営に向けた本市の牽引姿勢を国内外に広く発信いただくよう要望して、質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎)登壇 私は今回、スマート農業の振興について質問をさせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大、長期化に伴い、生産、流通の分野への影響も広がっており、今後、食料供給リスクの高まりも懸念されているところであります。こうした懸念に対応するため、農業の分野においても、国内の生産基盤を強化し、食料自給率や自給力の向上を図ることが必要だと強く感じており、本市においても、農業の強い生産基盤づくりに真剣に取り組む必要があると考えます。
 そこでまず、本市の農業の現状について、農業従事者数と農家の経営主の平均年齢の過去3年間の推移をお示しください。
 以上、1問目の質問を終わり、以降、自席にて質問をさせていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 農業従事者数につきまして、福岡市農林水産統計書に基づきお答えいたしますと、平成29年が3,202人、30年が3,044人、令和元年が2,894人でございます。また、農家の経営主の平均年齢につきましては、JA福岡市が実施した調査結果によりますと、平成29年度が71.2歳、30年度が71.7歳、令和元年度が72.1歳でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 本市の農業の現状は担い手の減少や高齢化が進んでおり、今後、担い手不足が深刻化していくことが予想されます。そのような中、農作業の時間短縮や農業経営の安定化、生産性向上を目的としたスマート農業は今後重要な役割を果たすと考えます。
 昨年度から実証実験を行っており、スマート農業の導入に向けて動き出しておりますが、昨年度からの実証実験で取り組んでいるスマート農業の取組についてお尋ねをいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) スマート農業の取組につきましては、令和元年度より産地の課題解決につながるAIやIoTなどを活用した実証実験の取組を始めております。具体的には、昨年5月と7月に生産者、JA、大学、事業者と共にワークショップを開催し、産地の現状やニーズの把握、課題の明確化に取り組みました。その上で、9月に事業者公募を行い、11月より実証実験を開始しております。今回の実証実験では、イチゴやバラ農家などの農業用ハウスにて環境制御システムを設置し、温湿度や二酸化炭素などのデータを蓄積するとともに、適切な水と肥料の自動供給や既存設備の遠隔操作などを実施し、農作業の省力化、効率化やデータの共有などによる生産性向上の検証に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 現在まで行った取組の中でどのような成果があったのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 取組の成果につきましては、実証実験を行った圃場のうち、イチゴ栽培については春の収穫シーズンが終了したことから、これを機に全ての実証実験について一度データを取りまとめ、大学等と連携し検証した結果、労働負担の軽減や栽培の最適化が見込まれることが確認されました。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 昨年度からのスマート農業の取組について、その予算額をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 令和元年度の予算額につきましては、ワークショップの開催や実証実験実施に伴う費用等として260万円余を計上しております。また、令和2年度の予算額につきましては、実証実験の取りまとめや報告会開催費用等として25万円を計上しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) スマート農業の推進に当たって、意欲ある若手農業者の参画は不可欠であると考えますが、若手農業者や新規参入者を増やすための取組は行っているのか、お尋ねをいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 新規就農者等を増やす取組についてでございますが、福岡市におきましても農業従事者の減少や高齢化が進んでおり、担い手の確保は喫緊の課題と認識しております。一般に新規就農に当たっての課題は、資金、技術、農地と言われており、これらの課題に対応し新規就農者を増やすため、福岡市では、民間主催の就農相談会や求人サイトを活用し、若者へ農業の魅力を発信するとともに、関係機関と連携しながら就農に係る新規相談、研修、農地の紹介、農機具購入等の費用支援などの施策を実施しております。このほか、福岡市農業の次世代を担う青年農業者を応援するため、福岡市青年農業者連絡会の活動に対する支援を実施しており、同会が発行しております広報誌、あとつぎを活用し、若手農業者の活躍する姿を発信することで、新たな若者の就農促進に取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 新規就農者の確保のための施策と青年農業者を応援するための福岡市青年農業者連絡会の活動に対する支援を実施しているとのことであります。次世代を担う若手農業者が付加価値の向上、規模拡大や投資を通じた生産性の向上に挑戦し、効率的かつ安定的な農業経営を実現していくことは重要なことであります。今後も引き続き、様々な方法で農業の魅力を積極的に発信していくことを求めておきます。
 次に、スマート農業は今後さらに推進していくべき事業であると考えますが、今後どのように普及させていくつもりなのか、具体的な内容をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) スマート農業の普及についてですが、さきに答弁いたしましたとおり、農業従事者の減少や高齢化が進んでおり、担い手の確保は喫緊の課題であります。このため、福岡市としてもスマート農業の普及を促進し、生産性の向上等を図っていく必要があると認識しております。スマート農業の導入に当たっては一定の費用負担が必要であることから、生産者がその導入を判断するに当たっては、導入効果が明らかであること、また、導入費用に対する支援策の有無等が重要な判断材料となります。このため、引き続きデータを収集し、生産者の声に基づき、導入効果の明確化に取り組むとともに、市内生産者を対象にメリット等についてのPR活動を実施してまいります。また、導入意欲を示す農家に対しましては、活用可能な国等の補助事業を紹介するなど、導入費用の軽減に向けた支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 国等の補助事業を紹介するなど、スマート農業導入費用の軽減に向けた支援を行うことは大切でありますが、今後、スマート農業を普及させていく上で市独自の取組も検討することを要望しておきます。
 次に、現在行っている施設栽培における環境制御システムのほかに、露地栽培などでの新たな技術の取組を並行して行っていくべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 新たな技術への取組についてでございますが、現在行っている施設栽培の実証実験の取組は、昨年実施した福岡市の生産現場での課題解決に向けたワークショップの結果を踏まえ、生産者が望むテーマについて実施いたしました。今後も生産者の方々の声に耳を傾けながら、新しいテクノロジーで省力化、高品質生産をいかに効率的に実現できるかの観点で、研究機関等とも連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 今後は露地栽培などに取り組む農家の方々に対しても、本市から積極的にスマート農業の可能性について提案していくことをお願いいたします。
 実証実験を経て、来年度からは生産現場への普及を行っていくことになりますが、実証実験を行った農家の方に話を聞くと、同業者の中にはスマート農業のことはよく分からないという農家の方や、知っていても積極的に取り組もうという農家の方は少ない状況だ、もっと導入のメリットなどをPRして、よりたくさんの農家の方がスマート農業を一日も早く導入できるようにしてほしいということをおっしゃっておられました。スマート農業を早急に普及させることは、新規就農者の参入を促進することにつながると思います。
 本市の農家の経営主は平均年齢72.1歳であり、農業従事者の数が劇的に減少する前にスマート農業を迅速に導入していく環境を整備していくべきと考えますが、御所見をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) 早期導入への環境整備でございますが、スマート農業は生産性向上による労働負担の軽減のみならず、長年の経験に基づき培われたノウハウを見える化することで、若い世代への栽培技術の継承等にも資するものと期待されております。このため、福岡市におきましてもスマート農業の普及に向けて取り組んでいるところであり、生産者の皆様に早期にスマート農業の導入について御検討いただけるよう、実証実験を通じた導入効果などの分かりやすいPRに努めてまいります。また、早期導入に意欲を持つ生産者に対しましては、活用できる支援制度へつなぐとともに、今後、生産者のニーズも踏まえながら、引き続き、早期普及のために必要な支援について検討をしてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 本日の質問の冒頭でも申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大等により食料供給リスクの高まりが懸念される中、農業の強い生産基盤づくりはまさに喫緊の課題であります。一方、本市においても農業の担い手が減少し、高齢化も進んでおり、こうした課題に対応していくためにはスマート農業の普及促進は必要不可欠であり、今後、大きな役割を果たすものと確信しております。福岡市では昨年度からスマート農業の実証実験の取組を始めておりますが、ぜひともこの取組の芽を大切に育てていただき、将来的にはさらに多様な先端技術を市域全体の生産者へと広げていただきたいと思っております。
 そのためにも、スマート農業の普及促進に必要な予算をしっかりと確保し、生産者のニーズも踏まえた支援を積極的かつ効果的に行っていただきますよう要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩)登壇 私は東住吉小学校の過小規模校対策について、学校施設の整備について、以上2点について質問をいたします。
 まず、東住吉小学校の過小規模校対策についてお尋ねします。
 東住吉小学校は本年、1年生が35人を超え、2学級になりましたが、昨年までずっと全学年1学級で、クラス替えができない状況が続いております。これまで博多部においては、4つの小学校を統合した博多小学校や住吉小中学校など、過小規模校対策を実施した実績はあるものの、最近は都心部の過小規模校には対策を講じておらず、放置されており、問題であると言わざるを得ないと考えています。
 そこで、お尋ねですが、学校規模適正化実施方針では過小規模校をどう定義し、どう対応する方針としているのか、お尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問させていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 東住吉小学校の小規模校対策については、平成21年3月に策定した福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針において、小学校については11学級以下を小規模校と定義しております。そのうち、全ての学年でクラス替えができない6学級以下の小学校を第1次計画とし、地域や保護者などと協議を行いながら、地域の御理解が得られた学校は統合などを進めてきております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 私は規模が小さい小規模校ではなくて、過小規模校と思っております。東住吉小学校は博多駅から近いことから、オフィスやホテルが増えており、今後、校区の人口や児童数が増えて12学級の適正規模といいますか、そうなるとは到底考えにくいと思いますし、これまで何も手だてが講じられていないのはおかしいと思います。答弁とは違う対応になっているのではないかなと。10年後、20年後には現状より児童が減っていき、子どもたちの教育環境が悪化していくと私は思っております。
 そこで、お尋ねしますが、東住吉小学校を含めた過小規模校対策について今後どのように進めていこうと考えておられるのか、所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 東住吉小学校の小規模校対策については、福岡市の人口推計では、ゼロ歳から14歳の子どもの数は令和2年度をピークに減少していくと見込まれており、東住吉小学校を含めた小規模校の教育環境整備について、様々な手法、視点から検討してまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 子どもたちは現在も同級生が少ない中で学校生活を送っており、過小規模校対策は待ったなしであります。保護者の中には、都心部にありながらですけれども、物理的にどうしようもないならやむを得ないんですが、過小規模校に不安を感じて校区外に引っ越して転校する方もおられます。また、隣接の春住小学校の建て替えが予定されておりますが、同じ中学校区の東住吉小学校区には相談や説明は十分なされておりません。これは統合等も検討しなければならなかったのではないのかと思っております。ぜひ早急に住宅施策も含めた過小規模校対策を進められるよう強く要望しておきます。
 次に、学校施設の整備についてお尋ねします。
 まず、小中学校の校舎等の整備計画ですが、教育委員会は令和元年度末に長寿命化計画を策定していると言っておられますが、長寿命化の考え方と総事業費を漠然と示すだけでは意味がないのではないかと思います。いつ、どの学校をどう整備するのかといった具体的な計画を作成し、示すべきであります。
 そこで、お尋ねしますが、校舎などの整備計画はどうなっているのか、お尋ねします。
 また、校舎等の整備計画について、各学校の年度ごとの計画を策定しているのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校施設の整備計画については、国の要請を受け、学校施設全体の建て替えや長寿命化に係る基本的な方針を示した福岡市学校施設長寿命化計画を令和2年3月に策定し、これまで目標使用年数を60年としていたものを、予防保全の取組の強化と機能を向上することで80年に改めております。学校施設ごとの個別計画については、それぞれ築60年を迎える前に?体の強度などの調査を実施した上で、建て替えか、さらに長寿命化するか、総合的に判断することとしております。具体的には令和2年度に築55年以上を経過している約40校について?体調査を実施し、令和3年度以降に個別計画を作成することを検討しております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 校舎の整備計画においては、校舎の建て替えなどには多額の予算が必要となることは理解いたしますが、教育委員会がしっかりと具体的な計画を立て、必要な予算を確保して、計画どおりに整備していくことが将来を担う子どもたちに対する行政の責任であり、今までのような積み残しへの対応ではなく、先を読んだ計画をしっかりと明示して実行されるよう強く要望しておきます。
 次に、学校施設の整備計画の中でも、子どもの生活に直結する学校トイレの洋式化についてお尋ねします。
 私は教育委員会が学校トイレの整備計画について明確な基準や具体的な計画を示していないことについて、取組が不十分であると考えます。
 そこで、お尋ねしますが、洋便器を整備する基準があるのか、また、基準があるとすれば、基準を満たしていない学校は何校あるのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 和便器と洋便器を合わせた大便器1基当たりの児童生徒数の基準は、公益社団法人空気調和・衛生工学会の給排水衛生設備基準を用いており、それに基づき算出すると、男子が1基当たり33.3人以下、女子が20人以下であり、全ての学校で男女とも基準を満たしております。また、洋便器のみを整備する基準はございませんが、仮に利用頻度の高い女子の洋便器だけで1基当たりの児童生徒数を見ますと、20人を超える学校は小学校22校、中学校9校、計31校でございます。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 和式と洋式を足した便器数は基準を満たしているかもしれませんが、子どもたちが日常使う洋便器の数が基準を満たしていない学校が31校あり、これは日常生活の中では異常な問題だと思います。異常であると思います。
 次に、直近の新設校とその他の学校でどれだけの格差があるのかをお尋ねしたいと思います。
 直近、もっとトイレが多いところもあるんですが、西都小学校や照葉北小学校の女子の洋便器1基当たりの人数と洋便器1基当たりの人数が最も多い学校名と人数をお尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 女子の洋便器1基当たりの人数については、西都小学校が約9人、照葉北小学校が約8人でございます。また、女子の洋便器の1基当たりの人数が最も多い学校については、現時点では筥松小学校で約41人でございます。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) ある中学校においては、学校全体ではトイレの数は一定程度確保されている──例えば、運動場とかも含めてですね。棟ごとやフロアごとに見ると、生徒数に対し便器の数が明らかに不足しており、バランスの悪い配置となっておるところ、そういった学校もあります。学校からのトイレ増設の要望も上がっていると聞いております。私は先ほど申し上げたとおり、教育委員会の学校トイレ洋式化の取組が不十分であり、しっかり考えられていないのではないかと思っております。
 改めてお伺いしますが、教育委員会における具体的な学校トイレの洋式化の計画はどうなっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) トイレの洋式化の整備計画については、洋式化に加え、老朽化対策、バリアフリー化、床の乾式化など、総合的な改修をすることとしており、年間30校の改修に取り組むことで、10年後の令和12年度末の完了を目指してまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) 現在、ほとんどの家庭のトイレは洋式化されており、洋便器しか使えない子どもがたくさんいると思います。新設学校は十分に洋便器が整備され、恵まれている中、トイレ改修が未整備の31校では子どもたちは洋式トイレが不足して不自由を感じており、明らかな格差が出ている状況であります。また、トイレの洋式化は年間30校しかできず、10年かかってしまうとの答弁ですが、今年度もコロナの影響で既に予定していた工事は先延ばしされ、さらに工事が遅れております。これから10年以上かけて洋式化していくというのは、あまりにも遅過ぎるのではないかと思います。児童の長期欠席の要因の一つにもなっているのではないでしょうか。
 そこで、お尋ねしますが、トイレ改修はなぜ年間30校しかできないのか、もっと早くすべきであると思いますが、どうなっているのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) トイレの改修工事については、校舎の1階から最上階まで縦につながっている給排水管の単位ごとにまとめて工事をしていく必要がございます。学校においては、このような縦系列のトイレが複数箇所あり、子どもたちが学校施設を利用しながら順次工事を行うため、1校に複数年の期間を要しており、今後、残りのトイレを全て洋式化するのに10年間を見込んでおります。
 なお、小中学校のトイレの給排水管の総数が約600系統あり、これを更新の目安としている20年経過後に改修する必要があることから、年間30校としているものでございます。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩) これまでお聞きした数字だけを見ましても、新設校はしっかり整備されている一方、古く改修が遅れている学校は置き去りにされているのではないかと思います。各学校での格差をなくしていく努力を教育委員会、教育長は怠るべきではないと思います。学校トイレの整備計画において、単に経過年数が古いという理由だけでなく、トイレの配置が悪かったり、校舎によってはトイレがない、足りない、洋便器が不足している学校の実情をしっかり把握し、早急に整備すべきと思います。これは毎日の生活なんですね。本当に不登校になる子がいると思いますよ。福岡の未来を担う大切な子どもたちのためにも、まずは学校ごとの格差や課題をきちんと把握した上で、速やかに改善していただきたいと思います。
 最後に、学校トイレの洋式化の整備について、学校ごとの格差や課題のある学校をいつ解消するのか、整備を進めていくに当たって教育長の決意をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校トイレの洋式化については、年間30校を整備し、できるだけ早く洋式化を完了させることとしております。あわせて、児童生徒数に対し洋便器が少ない、また、フロアごとに見ると洋便器が不足しているなど、課題がある学校は早急に工事を実施してまいります。一日の大半を学校で過ごす全ての児童生徒が快適で安心して学ぶことができるよう、今後も引き続きトイレの洋式化整備にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 以上で一般質問を終結いたします。
 本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は9月15日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後 時 分 散会