令和2年9月8日(火)

令和2年第5回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第2号)
                             9月8日 午前10時開議
第1  一 般 質 問

 本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  稲 員 稔 夫       3番  堤 田   寛
4番  川 上 陽 平       5番  津 田 信太郎
6番  大 森 一 馬       7番  平 畑 雅 博
8番  伊 藤 嘉 人       9番  打 越 基 安
10番  川 上 晋 平      11番  阿 部 真之助
12番  勝 山 信 吾      13番  川 上 多 恵
14番  淀 川 幸二郎      15番  調   崇 史
16番  大 坪 真由美      17番  古 川 清 文
18番  高 木 勝 利      19番  新 村 まさる
20番  大 原 弥寿男      21番  今 林ひであき
22番  篠 原 達 也      23番  尾 花 康 広
24番  松 野   隆      25番  楠   正 信
26番  冨 永 計 久      27番  森   英 鷹
28番  南 原   茂      29番  おばた 久 弥
30番  山 口 剛 司      31番  大 石 修 二
32番  黒 子 秀勇樹      33番  藤 野 哲 司
34番  堀 本 わかこ      35番  中 島まさひろ
36番  天 野 こ う      37番  山 口 湧 人
38番  松 尾 りつ子      39番  井 上 麻 衣
40番  飯 盛 利 康      41番  はしだ 和 義
42番  浜 崎 太 郎      43番  堀 内 徹 夫
44番  綿 貫 英 彦      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  国 分 徳 彦
48番  藤 本 顕 憲      49番  倉 元 達 朗
50番  中 山 郁 美      51番  荒 木 龍 昇
52番  高 山 博 光      53番  ついちはら陽子
54番  田 中 たかし      55番  成 瀬 穫 美
56番  山 田 ゆみこ      57番  宮 浦   寛
58番  近 藤 里 美      59番  川 口   浩
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
      2番  鬼 塚 昌 宏

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  坂 本 秀 和   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  龍   靖 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長  久 田 章 浩
保健福祉局長  舟 越 伸 一   環境局長  細 川 浩 行
経済観光文化局長  天 本 俊 明   農林水産局長  中 村 健 児
住宅都市局長  石 橋 正 信   道路下水道局長  駒 田 浩 良
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  山 下 周 成
会計管理者  中 村 郁 子   教育長  星 子 明 夫
教育委員  西 村 早 苗   選挙管理委員会事務局長  内 藤 玲 子
人事委員会事務局長   田 浩 輝   監査事務局長  小 西 眞 弓

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  藤 田 英 隆   議会事務局次長  金 子 佳 史
議事課長   着 一 孝   議事係長  重 松 孝 昭
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。倉元達朗議員。
 
○49番(倉元達朗)登壇 おはようございます。まず初めに、台風10号で被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
 私は日本共産党市議団を代表して、交通安全対策の推進、コロナ禍の下での経済対策、感染拡大抑止策について質問いたします。
 まず、交通安全対策の推進についてです。
 信号のない横断歩道を横断しようとしている歩行者がいるのに、車が歩行者を優先させずに走行することは法律違反です。しかし、実際には信号のない横断歩道で一旦停止するドライバーは少数派となっております。その一因が横断歩道の劣化です。白線が薄くなっていて見えにくいところがあちらこちらで見られ、市民から安全確保のために塗装して補修してほしいという声が上がっています。4年前、神奈川県厚木市で、児童が、消えかかっていた横断歩道を渡っている途中に車にはねられ、死亡するという痛ましい事故が起こっています。
 そこで、塗装が薄くなっている横断歩道はドライバーの目線からも横断歩道を認識することが難しく、一時停止しようにも横断歩道の存在そのものが分からずに大変危険だと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 横断歩道につきましては、摩耗等により白線が薄くなるなど運転者の視認性の低下に伴い歩行者の安全を確保しにくくなり、交通事故の危険性が高まっていくものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 見えにくい横断歩道は歩行者がいた場合、ドライバーに一旦停止の義務を怠らせる大きな原因となり、大事故につながるおそれがあります。私の地元であります城南区長尾でも、(パネル表示)このように消えかかっている。ほとんど横断歩道が見えません。こういう横断歩道があります。道路を渡ろうと思っても一向に車は止まってくれない、危なくて怖い思いをしているという声が地域から上がっています。
 そこで、お尋ねしますが、本市では補修が必要な横断歩道がどれだけ存在するのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 横断歩道につきましては、交通管理者である福岡県公安委員会が設置、管理しており、補修が必要な横断歩道の全体の件数は把握しておりませんが、地域からの要望等で補修が必要と思われる場合は、区役所が各警察署を通じ、福岡県公安委員会に要望を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 全市的なデータを持ち合わせていないということなんです。私は長尾校区を全部見て回ってみました。城南区全部を見るのは大変ですから、自分の地元だけ、横断歩道を全部見てみたら、70か所横断歩道がありました。そのうち34か所、49%が塗装の薄い横断歩道でありました。実に半分です。
各区役所では常日頃から交通安全関係の要望を受理していますが、横断歩道の塗装補修の要望と補修実績の件数をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 過去3年間の横断歩道の補修の要望件数と補修の実績につきましては、平成29年度は要望件数52件のうち、これまでの補修件数が47件、30年度は要望件数59件のうち、これまでの補修件数が32件、令和元年度は要望件数42件のうち、これまでの補修件数が14件となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 今の数字から見ても、地域から出てきた要望にさえ応えられていないという状況です。
 では、なぜこういう事態が生じているのか、理由についてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 横断歩道の補修につきましては、福岡県公安委員会において、摩耗状況や交通状況等を踏まえ、補修の必要性や優先度などを検討の上、計画的に対応されていると聞いております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 局長はそういうふうに言われましたけれども、県警に尋ねてみました。一言で言ったら予算の関係なんです。横断歩道を管理する警察が福岡市内の横断歩道をどれだけ整備しているのか調べてみました。5年前の平成27年度は1,764か所の実績でしたが、令和元年は630か所と、この5年間で最低の数字です。また、横断歩道整備が含まれる交通安全施設整備費の額も、5年間で見てみますと毎年減額されています。
 そこで、横断歩道の補修を進めるためにも県に対して予算の増額を求めるべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 横断歩道につきましては、引き続き地域からの要望等を踏まえ、福岡県公安委員会へ適切な維持管理を求めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 強く要望していただきたいと思います。
見えにくくなっているのは横断歩道だけではありません。車道の中央線や車線境界線、スピード落とせ、一旦停止などの道路に書いてあるサインも塗装が薄くなっているものが少なくありません。これは福岡市が管理する標示です。実態を把握されているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 駒田道路下水道局長。
○道路下水道局長(駒田浩良) 福岡市が管理をいたしております路面標示の摩耗状況につきましては、職員による計画的な道路パトロールの中で確認をいたしますとともに、道路の傷みカードあるいはLINE通報システム等によって市民や企業から寄せられる通報を基に迅速に現地調査を行い、状況の把握に努めているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) パトロールをやっているというふうに言われますけれども、中央線が全く見えないというようなところも散見されます。
 では、その通報に対してどのくらい対応できているのですか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 駒田道路下水道局長。
○道路下水道局長(駒田浩良) 道路の不具合に関する市民からの御要望につきましては、ここ5年間で見ますと、毎年平均して約1万1,000件ございますが、このうち路面標示に関するものにつきましては、平成27年度は137件、28年度は172件、29年度は164件、30年度は223件、令和元年度は336件受付をいたしております。御要望いただきました箇所につきましては、直ちに現場に向かい、塗装の摩耗状況等を確認しているところでございます。
 次に、当該箇所の補修につきましては、交通量の多寡あるいは通学路の有無などの観点から総合的に判断をいたしまして、優先度に応じて対応しているところでございます。過去5年間におきまして路面標示を補修した延長は、御要望いただきましたものに道路パトロールで確認したものを含めまして、平成27年度は84.9キロメートル、28年度は100.1キロメートル、29年度は85.3キロメートル、30年度は89.5キロメートル、令和元年度は135.4キロメートルとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 優先度に応じて随時補修をやっているというふうに言われますが、間に合っていないというのが現実です。市街地中心部や住宅地など住民の生活空間の道路整備は、歩行者が安心して歩行できることを優先して進めなければなりません。しかしながら、道路を見てみると、指摘してきたように横断歩道や路面標示が消えかかっていて事故を誘発するおそれのある箇所が多く放置されています。
 福岡市交通安全実施計画によると、道路交通環境の整備として、夜間、降雨時の視認性向上のため、横断歩道をはじめとする道路標示の更新、高輝度化──輝きを増すということですけれども、これを推進し、セーフティ・フクオカ・ペイント作戦を推進するとあります。この計画をしっかりと取り組むことが今求められております。
 そこで、市が管理する路面標示の補修に係る事業費を抜本的に増額し、補修だけでなく、住民の要望あるところは整備するとともに、県に対しても補修、整備を要請し、交通安全対策を進めるべきと思いますが、この問題の最後に島市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 路面標示をはじめ、市が管理をする道路の維持管理につきましては、今後とも、日常的なパトロールと併せ、道路の傷みカード、それから、LINE通報システムなどによりまして市民や企業から寄せられる通報を基に不具合を早期に確認し、効果的、効率的な維持管理に取り組んでまいります。また、横断歩道について、歩行者を交通事故から守るため、今後とも、福岡県公安委員会へ適切な維持管理を求めていくなど地域や警察、関係団体と連携を図りながら、交通事故のない社会の実現を目指してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 命にも関わる問題ですので、強く要望しておきたいと思います。
 次に、コロナの影響で経済が疲弊する中での中小零細業者への支援とコロナ後の本市経済の在り方についてです。
 内閣府が発表した今年4月から6月期の国内総生産、GDPが戦後最大規模に落ち込み、新型コロナの感染拡大が経済を直撃していることを浮き彫りにしました。こうした影響は本市の中小零細業者にも大きな影響を与えており、売上げががた落ちしている、営業が続けられないという声は少なくありません。
 そこで、2月からのコロナ感染者拡大の影響を受けて本市の中小零細業者はどのような状態なのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 新型コロナウイルス感染症が地元の中小零細企業に与えている影響につきましては、福岡商工会議所が6月に行った調査によりますと、令和2年4月から6月の地場企業の景況判断指数、DI値はマイナス64.6となっており、厳しい状況と認識しておりますが、7月から9月期の予測については、4月から6月期と比較して6.5ポイント、小幅に上昇し、マイナス58.1となる見通しでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 極めて厳しい状態が続いているということは論をまたないと思います。本市は4月以降、市独自の支援策を行ってきました。
 そこで、家賃支援制度、休業対象外施設への支援の実績と、もともとの対象数は幾らだったのか、お尋ねします。あわせて、支援策の効果についてどう評価されているのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 家賃支援及び休業等要請対象外施設への支援の支援対象、申請件数及び支給件数につきましては、8月31日現在でお答えしますと、家賃支援については、支援対象を最大1万7,000事業所と見込んでおり、第1期の申請件数が1万576件、支給件数が1万36件、第2期の申請件数が8,951件、支給件数が8,633件でございます。次に、休業等要請対象外施設への支援については、支援対象を最大約1万事業所と見込んでおり、申請件数が7,029件、支給件数が5,897件でございます。
 申請受付の締切りは9月30日でございますが、申請件数、支給件数のいずれも順調に推移しているものと考えており、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けている地元中小企業等に対する支援として一定の効果があったものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 一定の効果があったというふうに言われますが、深刻な売上げの落ち込み、休業の要請に応えたものの補償もない状況の中で、この金額では到底足らない、また、制度の対象自体が狭いという声が続出しています。今回9月補正で出されている経済対策を見ても、例えば、特定創業支援事業利用者への支援の支援対象は僅か70件です。新型コロナ対策資本性劣後ローン利子補給に関しては、僅か対象は10件です。極めて不十分と言わなければなりません。こうした中、国の家賃支援給付は41万件の申請に対して給付決定は8万5,000件、申請方法が複雑なため、目詰まり状態となっています。
 コロナはどの業種にも大きな影響を与えていますが、とりわけ飲食サービス業は深刻です。スナックを経営されている方々からお話を伺いますと、開けていても客が来ない、前年比の7割減という厳しい声ばかりが聞こえてきます。売上げが減少する反面、コロナ対策、席と席の間に仕切りをつける経費、これまで複数のお客さんに使っていた氷入れやマドラーも一人一人用意しなければならなくなったり、消毒液、ペーパータオルなど出費は今まで以上にかかって大変だそうです。カラオケも使用禁止にしているが、リース代はかかります。居酒屋など飲み屋さんも大変です。一旦戻りかけたお客さんも、この第2波でまた減ってしまった。コロナ対策で客と客の間の距離を取るために客席は半分にしているところも少なくありません。
 そこで、お尋ねしますが、飲食サービス業のこのような実態を放置しておくと廃業が相次ぎ、本市経済にも大きな影響が出ると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 飲食サービス業につきましては、福岡市内の事業所数のうち約14%、従業者数のうち約10%を占める大変重要な産業でございます。6月に福岡市が行った調査では、回答のあった飲食業を営む事業所のうち、約9割が経営に悪影響が出ていると回答しており、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、市内の飲食サービス業は大変厳しい状況に置かれているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 大変厳しい状態に陥っているということは局長もお認めになられました。国の持続化給付金、これも個人事業主の場合100万円です。私聞いてみますとね、手元に残っていないという声が圧倒的に多いんです。4月から6月にかけての給付金が底をついたところで今回の第2波を迎えているわけです。
 飲食サービス業の厳しさを、角度を変えて検証したいと思います。2020年版中小企業白書に掲載されている業種別・規模別に見た、固定費と流動性の高い手元資産の比率という表があります。この表は、流動性の高い手元資産が年間で生じる固定費の何年分に相当するかを業種ごとに示したものです。
 お尋ねしますが、資本金1,000万円未満の小規模な飲食サービス業の数字はどうなっているのか、答弁してください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 資本金1,000万円未満の飲食サービス業における固定費と流動性の高い手元資産の比率につきましては、2020年版中小企業白書によりますと、0.47となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 0.47。したがって、今のように売上げがほとんどない場合、飲食サービス業の固定費を賄う手元資産は約5か月強しかもたないという計算になります。約5か月強といえば、コロナ不況が始まって、既に6か月です。多くの飲食店が限界を迎えていても不思議ではありません。
 これだけではありません。第1波のときよりも第2波のほうが影響は長引くのではないかと多くの業者の方が言われています。多くの会社や団体が飲食店での宴会を自粛、禁止している中、稼ぎの多い忘年会や新年会も期待できない状態です。本市は食やサービスが売りのまちです。それを支えてこられた地元の飲食店が、果たして年を越せるのか、このまま営業を続けられるのかと不安を抱いております。
 そこで、資金繰りが厳しくなるであろうと予想される年末に向けての間、飲食サービス業の営業を支援するために、せめて1か月10万円の給付金を3月、合計30万円を支給する制度をつくるべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 飲食サービス業への支援につきましては、コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策と事業継続が最重要課題と認識し、飲食デリバリーやテークアウト支援に続き、飲食店へのアドバイザー派遣を行っているところでございます。飲食サービス業は福岡市の魅力である食を支える重要な産業であると認識しており、新型コロナウイルス感染症の感染状況を注視しながら、今後も必要な対策について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) デリバリー、それからテークアウト、これだけでは駄目だというのは、私どもだけではなくて、多くの議員さんからも委員会で指摘されたところであります。やはり直接援助する、これが今求められています。体力のない地元の飲食店をこのまま放置すれば潰れてしまいます。地元の飲食店を持続させるためにも、必要な手だてを打つことを再度要求しておきます。
 さて、どうやって景気を回復させるかという問題です。これは全業種に関わる問題です。島市長は今年3月13日に首相官邸に出向き、コロナ対策の申入れを行われました。そこで消費税の一時凍結に言及されました。
 消費税を緊急に減税することは、消費を下支えし、国民の所得を増やし、低所得者と中間層への力強い支援策となります。したがって、市長は消費税5%への緊急減税を本格的に検討し、実行することを国に強く求めるべきだと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 消費税制度につきましては、社会保障などの観点から国が行っている施策と認識しており、今後も国の動向を注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 3月はなかなか勢いのある答弁をしてくれたんですけれども、急にしぼんでしまいましたね。あのときの消費税の一時凍結という市長の思いはもう過去の話ということですか。この経済危機に立ち向かう上でも、消費税の減税が最も有効な対策であることを政府に強く要求するように再度市長に求めておきたいと思います。
 次に、インバウンドについてです。
 2月以降のクルーズ船の寄港状況を答弁してください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) クルーズ船につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国の入国制限や市による寄港のお断りにより、2月3日以降の寄港はございません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 全く入っていません。
 では、今後のクルーズ船の寄港の見込みはどうなのか、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) クルーズ船につきましては、現在、各船会社においても感染症対策について様々な検討がなされており、ヨーロッパの一部や台湾などでは寄港地を絞ってクルーズを再開する動きが出てきております。現時点で寄港の見通しを立てることは困難ではありますが、引き続きコロナウイルス感染症やクルーズ市場の動向などを注視してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 見込みも全く立ちません。本市は、インバウンドを経済観光施策として重視してきたわけです。そのために多くの税金も投入してきたとともに、将来にわたって投入しようとしている。その一つがウォーターフロントネクストです。中央ふ頭を中心に大規模な再開発を行い、第3の天神をつくるという触れ込みであります。
しかし、今どうなっているか。当該地には人もいない、船も入ってこない、見込みも分からない、こういう現在においても、ウォーターフロントネクスト構想は何も見直さずに進めるおつもりか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) ウォーターフロント地区は、MICE機能やゲートウェイ機能が集積しているとともに、都心の貴重な海辺空間を有しております。こうした地区の特性を生かしながら、市民が海辺を楽しめるにぎわいや憩い空間を創出し、魅力あるまちづくりを進めていくことは重要と考えております。現在、新型コロナウイルス感染症の影響によりクルーズ船は寄港していない状況ですが、今後とも、感染症の影響やMICE、クルーズの動向などを注視しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 9月補正での減額をされていますが、この内容を見てみますと、ウォーターフロントネクストの骨格であるホテルやにぎわい施設などの民間施設をどうやって誘導するのかの検討委託を今年度は見送ったということなんです。これは重大ですよ。計画の骨格が揺らいでいるのに計画本体は見直そうとしていない。コロナがいつ落ち着くか分かりません。これから消費動向だってどうなるか分かりません。もともとのウォーターフロントネクストの計画、将来16万人が1日の間にその地域を往来するという予測がそのとおりになると市長は保証できるのか。そんなことよりも、もっとやるべきことや税金を投入すべきことがほかにあるはずです。
 したがって、インバウンド施策が破綻して先が見えない中、この際、ウォーターフロントネクスト構想は撤回すべきだと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 第3次産業が9割を占めます福岡市にとりまして、都心部の機能強化や貴重な海辺空間を生かした市民が楽しめるまちづくりを進めることは、本市が持続的に発展していく上で重要な取組と考えております。繰り返しになりますが、今後も新型コロナウイルス感染症の影響や社会情勢などを注視しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) コロナでクルーズ船の寄港は全くなくなったんですよ。インバウンドを推進する市長自身が新型コロナウイルスの有効な治療法が確立されるまでの間、クルーズ船の寄港を拒否できる独自ルールをつくれば済むような簡単な話ではありません。振り返れば、日韓関係の悪化の影響で呼び込み頼みの島市政のやり方は既に黄色信号がともり、今回のコロナですっかり破綻が明らかになったのであります。その一方で、ウォーターフロントネクストは従来どおり進めると言われますが、その矛盾は顕著です。コロナ危機によって人とモノの流れが止まる下、内需と家計を犠牲にしながら外需頼み、インバウンド頼みを続けてきた経済の脆弱さが露呈しました。まさに福岡市の経済観光施策に深く関わることであり、この機会に見直されるべきではないでしょうか。
 従来どおりの大企業だけがもうけ、市民の生活は一向によくならない経済施策ではなく、コロナで苦しむ中小零細企業をしっかりと守るために支援策を打ち、倒産、廃業を防ぐためにも内需と家計、中小企業を経済政策の軸に据える、本当の意味での強い経済への転換が求められていると思いますが、島市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市は事業所の99%を中小企業が占めておりまして、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在でございます。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、中小企業を取り巻く経営環境は非常に厳しいものとなっており、これまでも事業継続のための支援をはじめ、市民生活に必要なサービスを安全に提供するための取組の支援や、ITの活用による生産性の向上、また、ビジネスモデルの転換を促進する施策を実施してまいりました。また、福岡市は第3次産業が9割を占めておりまして、国内外の交流人口の増加によって域内消費を拡大し、成長を図ってきたところであります。
 今後とも、感染拡大の防止と中小企業の事業継続の両立を基本とし、旅行者と受入れ側の双方が新しい生活様式を徹底しつつ、交流を促進するとともに、インバウンドの動向も注視しながら、福岡市経済の活性化を目指していきたいと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) コロナ前の考え方では、本市経済がさらに深刻な状態になってしまうことを指摘しておきます。
 次に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大をどうやって抑止するのかについてです。
 この間、病院、診療所、介護施設、障がい福祉施設、学校、保育所、幼稚園などの集団感染が全国で発生し、感染急増をもたらす重要な要因となっています。また、これらの医療機関や施設を利用する高齢者、有病者、障がい者の感染は命の危険に直結します。
 そこで、本市での集団感染はどういうところで起きているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市におけます集団感染、これは5人以上の感染者が発生しましたクラスターについてでございますが、感染拡大が見られました7月以降で申し上げますと、接待を伴う飲食店など酒類を提供する店舗、学校、福祉施設、病院等において発生をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) やはりそういう施設での対策が求められているわけです。
 そこで、本市は介護従事者を対象にPCR検査を受けた場合の費用の一部を助成する方針を打ち出していますが、どのような方針なのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの制度につきましては、高齢者、障がい者施設等で働く従業者がPCR検査を受けた場合、自己負担額が1万円となるよう検査費用の助成を行うものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) この取組は一歩前進だということで大事ですが、やはり介護従事者という対象施設が限定されていること、そして、1万円かかるという自己負担があるということが問題です。
 そこで、今回の制度では検査が進まないおそれがあるために、無料で介護従事者が検査を受けられる制度を新設すべきだと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) PCR検査の費用につきましては、発熱などの症状がない方が受検する場合は自由診療となりますので、通常でしたら全額自己負担となります。しかしながら、介護の現場で不安を抱えながら勤務される方の精神的な負担の軽減、それから、従業者から感染が広がるリスクを低減するために、1万円の自己負担で検査を受けていただけるよう今回の助成制度を設けるものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) どうして無料にしないのですか。1万円かかるなら検査を受けるのをちゅうちょする、こういう声も聞かれていますよ。先日、介護施設、障がい者福祉施設の経営者からお話を聞きましたが、ぜひ無料でやってほしい、こうおっしゃっておられました。今回、新制度として打ち出している妊婦に対する検査は無料となっています。ぜひ介護従事者も無料に改めていただきたい。
 こうした中で、厚生労働省はこれまでの新型コロナウイルス感染症に関する行政検査に係るQ&Aを改定しています。その改定の内容について答弁してください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 8月18日付の厚生労働省通知によりますと、感染者が多数発生しているまたはクラスターが発生していると考えられる地域において、医療施設、高齢者施設等に勤務する方や当該施設に既に入院、入所されている方及び新規に入院、入所される方について、施設内における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、幅広く検査を実施することは可能とされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) つまり、感染多発地施設で集中検査が可能だということなんです。そして、こうした地域を生活圏域としている人が勤務、入院、入所する施設でも同様の取扱いをしていいとの見解も示しています。
この国の考え方に従って、本市でも医療機関、福祉施設、学校で働く職員などへの無料の定期的検査を行い、感染拡大を未然に防ぐべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策におきまして検査は非常に重要なものでありまして、国におきましても、感染多発地域では自治体の判断により幅広く検査をすることは可能としまして、積極的な検査を推進する方針が示されております。しかしながら、現在のところ、我が国では増加してきたとはいえ、検査機器、人材、試薬などの検査資源が職種を一定程度重点化、絞ったといたしましても、全員検査に対応できるような水準には達していないものと認識をいたしております。
 経済センサス活動調査によりますと、福岡市における医療、福祉事業所の従事者は約10万人、学校関係を加えれば約12万人と見込まれます。御指摘がありましたとおり、検査は一度受ければよいというものではなくて、一定期間ごとに行う必要がありまして、月に1回検査を行うとしましても、30日間フルに検査をして1日当たりの検査件数は4,000件、ウイルスの潜伏期を勘案して2週間に1回検査するとすれば、1日8,000件の検査が必要となります。したがいまして、現在の検査手法、能力の下では現実的な問題として対応は非常に困難であり、現時点では限られた資源の適正配分の観点から、感染状況を踏まえながら、必要なところに効果的に資源を投入していく、このような検査を行っていく必要があると考えております。
 福岡市といたしましては、今後とも、民間検査を含め検査能力の拡大を図ってまいりますが、検査の対象の拡大につきましては、急激に拡大をすることで、より必要な人が検査できないといった事態が生じることのないよう検査能力や医療資源の拡大に応じて段階的、計画的に行っていくことが不可欠でありまして、感染拡大防止の観点から検査が必要な方が確実かつ迅速に検査を受けることができるよう検査体制の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 局長は細かい数字を並べて、あたかもそれは非現実的なんだというような答弁をされたわけですけれども、でも、ほかの自治体では独自でやっているんですよ。東京都千代田区では介護施設全職員にPCR検査を3か月ごと──それは2週間ごとにやれたらいいですよ、だけど、それでもやはり財政状況とか自治体の都合に合わせて、ここは3か月ごとに行うことにしました。それから、世田谷区でも介護、医療、保育などの施設で働く人を対象に社会的検査を行う方針を打ち出しています。定期的に、それは詰めてやったらいいでしょう。それにこしたことはない。しかし、それができなくても、やはり定期的にそういう人たちに検査をしてもらう、それは福岡市の財政状況、福岡の財政規模があれば十分できることですよ。国がまともな対策を打ち出さない中、このような流れは加速していくでしょう。本市も見習って、早急に必要な社会的検査を行うべきです。
 角度を変えてただしてまいります。政府の専門家組織の会合は、新規感染者は全国的には緩やかに減少しているものの、福岡や沖縄などは注視が必要と評価しました。
 そこで、本市の7月から今日に至る検査数の推移について答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 7月から現在までの検査数の推移につきましては、7月後半から陽性者数の増加に伴い検査数も増加しておりまして、7月29日にはこれまでで最多の1,125件となっております。その後、8月に入り、陽性者数の減少傾向とともに、検査数は緩やかに減少し、8月中旬から現在にかけては600件から800件程度で推移をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 検査数は減少しているんですよ、今。国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターが発表した緊急レポートでは、5月から6月の長期間、軽症者もしくは無症状陽性者が感染リスクを静かにつないでいた可能性が残ると分析しています。つまり、5月に新規感染者数が減少した際に、検査を増やさずに感染の抑え込みをやってこなかったことが第2波というべき水準となり、極めて憂慮すべき事態を起こしているとしています。検査数を増やし、陽性者を保護、隔離すること以外に感染抑制の方法はありません。
 日本医師会が出したニューヨーク州におけるPCR検査の実際という緊急レポートによると、ニューヨーク州は4月時点での検査能力は1日1万件でした。これを6月には5万件に上げるためにドライブスルーの検査所700か所、病院、診療所、薬局でも検査できるように、とにかく増やして検査能力を上げ、感染者の早期発見、感染状況の実態把握を徹底的にやったそうです。その結果、陽性率1%台にまで抑制に成功したそうであります。
 東京医師会の尾崎治夫会長はインタビューで、人口1万人に1か所、小学校の数と同じくらいの1,400か所の検査所をつくると語っています。このように今まで行っていた、症状のある人、陽性と診断された人と接触した人だけを検査するだけでなく、感染震源地を明確にして、その地域の住民や事業所で働いている人の全体に対して網羅的で大規模な検査、すなわち点と線ではなく、面での検査を行うことが求められていると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの一定の範囲、ブロックを定めて、その中で関係者を幅広く検査するということは、感染拡大防止対策の手法の一つとして考えられるものであると認識をしております。しかしながら、繰り返しになりますが、現在のところ、我が国では増加してきたとはいえ、検査資源がいまだ潤沢にあるというような状況にはなく、この限られた資源の適正配分の観点から、特定地区における集中検査を行おうとするに当たっては当該地域における感染状況を踏まえ、その必要性、範囲や対象等の実施方法等について、非効率な検査とならないよう慎重に判断する必要があるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) やらないということなんですがね、しかし、8月27日、中洲地区の5つの町内で組織する中洲町連合会は、同地区で定期的なPCR検査を実施するように市長に要望しています。連合会の南原茂会長は、中洲関係者全てが検査を受けることで、安心、安全なまちであることを広く知ってもらいたいと語っておられます。まさに面での検査を求めておられるわけです。
 それでは、8月7日の厚生労働省の事務連絡は何が示されているのか、明らかにしてください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 8月7日付厚生労働省通知によりますと、クラスターの発生など地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、自治体の判断により、現に感染が発生した店舗等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であるとされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 地域の関係者を広く、つまり、面で検査することを事務連絡で認めています。こうした施策を行うためには検査能力の拡大が不可欠であります。
 そこで、本市の検査所数と検査能力を抜本的に増やすことこそ感染拡大抑止につながると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策におきまして検査は非常に重要なものでありまして、国におきましても、地域における感染状況を踏まえ、自治体の判断により幅広く検査することは可能として、積極的検査を推進するとともに、季節性インフルエンザ流行期を踏まえた検査需要に対応できるよう、さらなる検査体制の確保、拡充に取り組んでいくとの方針を示しているところでございます。
 検査の拡大に向けましては、検体採取、検査分析、そして、結果の通知と隔離、療養の対応など一連の流れを総合的かつ計画的に増強していく必要がございます。このため、国は都道府県に対し指針を示し、早期に新たな検査体制整備計画を策定するよう要請をすることとされておりまして、福岡市といたしましては、この整備計画の動向などを踏まえながら、検査体制の拡充に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 検査能力を一定増やされているという努力はあるんだけれども、しかし、これまでその能力を余らせてきているんですよ。これからはその能力をフルに活用することと同時に、可能な限り検査数を増やして感染を封じ込める方針にかじを切らなければなりません。早急に整備すべきであります。
 そもそも網羅的、大規模な検査とリスクの高い場所への社会的検査は、国がイニシアチブを取り、財源も確保することが当然です。それだけに市長がしっかり国に物を言う姿勢が求められています。
 そこで、令和3年度国に対する提言事項の中で、コロナ対策関連では何を国に要望したのか、明らかにしてください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 令和3年度国に対する提言事項のうち、コロナ対策関連といたしましては、医療提供体制の整備、構築に向けた医療機関への要請等を行うこと、医療物資等の備蓄についての財政支援を行うこと、感染症に対する水際対策の強化を行うことについて提言をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) 国への要望は現場の声が反映されていません。検査の抜本的拡充、そのための財政措置も求めていない。経営に苦しむ医療機関への支援についても、触れていません。
こんな要望では今の感染拡大を抑止するために極めて不十分であり、再度、国に検査の拡充、医療機関への支援を求めるべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 検査体制の充実及び医療機関に対する財政支援につきましては、全国共通の課題でもございますので、これまでも全国市長会や指定都市市長会等を通じて国に対して重ねて要望を行っているところでございます。今後とも、様々な機会を捉え、国へ要望してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 倉元達朗議員。
○49番(倉元達朗) しっかり要望することは要望していただきたいと思います。
 今回の質疑を通して分かったことは、政府の無策ぶりに本市も追随し、旧態依然の感染症対策しか行わないということであります。症状のある人を確実に診断、隔離する。そして、無症状で感染源になっている人を発見する。医療従事者や介護従事者などウイルスへの暴露機会の多い人、感染させるリスクの高い人には無症状であっても検査を考慮する。さらに、感染者が非常にたくさん出て、リスクの高い地域、業種、施設を集中的にPCR検査することが重要です。同時に、感染抑え込みなしには経済の回復はあり得ないことは多くの専門家が指摘するところであります。
 紹介したように、他都市では首長の姿勢で、たとえ国の財源がついていなくても独自で検査を増やしています。市長は感染症対応シティと言うならば、しっかりとその対策をやる──肝腎なことはやっていないと言わざるを得ません。
したがって、国に検査の抜本的拡充とそのための財政措置、医療機関への支援を求めるとともに、市として独自に財政も確保して検査所を増やし、検査能力を向上させ、網羅的、大規模な検査並びに医療機関、介護施設、学校等で働く人たちに定期的に無料で検査が受けられるようにすべきと思いますが、最後に島市長の答弁を求めて質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に当たりましては、早期に感染拡大の兆候を捉えまして、適切な医療につないでいくための検査体制の強化が極めて重要であると考えております。今後のインフルエンザの流行期を見据え、感染拡大防止の観点から、必要な方への検査が確実かつ迅速に実施できるように、さらなる検査体制の拡充に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 打越基安議員。
○9番(打越基安)登壇 質問に先立ちまして、一昨日から昨日未明にかけて九州に上陸した台風10号の被害により犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、安否不明となっておられる方々の御無事を心から願うものであります。
 また、本市においては甚大な被害は避けられましたが、一昨日から市内の公民館や学校の体育館等に249か所の避難所が開設され、4,000名を超える市民の皆様が不安な一夜を過ごされました。新型コロナウイルス感染症への警戒という課題もある中で、各避難所の運営や避難者の対応に当たられた地域防災関係者の皆様、本市職員の皆様の御労苦に対し、深甚なる感謝の意を表します。
 それでは、質問に入ります。
 私は自由民主党福岡市議団を代表して、地域コミュニティへの支援の強化について、避難所の暑さ対策について、3世代近居施策の推進についての3点について質問いたします。
 まず初めに、地域コミュニティへの支援の強化についてお尋ねいたします。
 福岡市は、生活の質の向上と都市の成長の好循環を創り出すことを都市経営の基本戦略として掲げておりますが、私は生活の質の向上には地域コミュニティの力が重要であると考えております。平成16年度に町世話人制度から自治協議会制度に移行し、今年で17年目となりますが、市内の全校区で自治協議会が設立され、まちづくりのパートナーとして校区ごとに特色のある取組が進められております。これはひとえに地域で活動されている皆様の御尽力によるものでありますが、一方で、自治協議会や自治会、町内会では役員の高齢化や固定化、また、過重な業務による後継者不足など深刻な課題を抱えております。現在は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から住民同士の交流を図る事業の多くが実施困難な状況にありますが、地域の安全、安心を支え、住民の暮らしを豊かにする地域コミュニティに対し、その担い手を支え、活動の場を提供し、財政的な援助を行うといった支援策は今後ますます重要であると思います。
 まず、自治協議会や自治会、町内会の現状について、自治協議会や自治会、町内会の会長の平均年齢、一月当たりの活動日数、手当や活動費の支給状況はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 また、福岡市には町内会などが設置する集会施設について、新築や増築などに要する費用の一部を補助する地域集会施設補助金がありますが、制度の概要並びに新築時の補助上限額についてお尋ねいたします。
 また、自治協議会に対して市が交付している共創補助金の交付目的と補助対象経費の考え方、また、この補助金が自治協議会の総予算額に占める割合についてお尋ねいたします。
 さらに、新型コロナウイルス感染症への不安というこれまでにない状況の中で、地域コミュニティに対して市はどのような支援をしているのか、お尋ねいたします。
 続いて、避難所の暑さ対策について質問いたします。
 近年、全国各地で自然災害が多発しており、特に梅雨や台風シーズンに当たる出水期には、ここ数年連続して風水害による大規模災害に見舞われ、いずれの災害においても避難が必要となった方が数多く生じています。被災地では小学校の体育館などを避難所とし、多数の避難者を受け入れていますが、被害の規模によっては長期的な避難所生活を続けざるを得ない状況が生じています。
 そこで、問題となるのは暑さ対策です。十分な対策がないと熱中症などの二次的災害が心配されます。避難者の中には高齢者や妊産婦、乳幼児など配慮が必要な方もいます。本市においては、いつ大規模災害が起きるか分からない状況にあることを踏まえ、本市の学校体育館などの避難所における暑さ対策について質問してまいります。
 まず、本市における避難所指定の状況についてお尋ねいたします。
 また、指定避難所における空調設備の設置状況についてお尋ねいたします。
 さらに、学校の体育館など空調設備が設置されていない避難所の暑さ対策はどのように行うのか、お尋ねいたします。
 次に、3世代近居施策の推進について質問いたします。
 平成28年12月議会において質問した少子・高齢化社会での3世代同居、近居の推進について、その後の進捗状況と実績の評価を踏まえた支援策の充実を伺うものであります。
 昔から日本の社会は、同居する祖父母が孫の面倒を見ながら情操教育やしつけも行い、家族みんなで支え合いながら子どもを育て、親から子へ、子から孫へと3世代同居によって連綿と受け継がれてきました。ところが、近年では少子・高齢化や核家族化が進み、独り暮らしの高齢者が増加するなど社会構造の変化が顕在化しています。家族の絆や地域コミュニティが希薄になる中、高齢者の日常生活の支援や見守り、孤独死対策などが重要な課題になっています。同時に、共働き世帯は年々増加し、平成30年の男女共同参画白書によると、平成9年を境に共働き世帯が専業主婦世帯の数を上回り、専業主婦世帯の2倍弱となっているデータもあり、子どもの急病への対応や育児疲れなど子育てに不安や負担を感じている世帯も多くなっています。働き方や生活環境が変わっても、家族での支え合いは理屈ではない優位性があります。親と子が接する時間が少なくなり、親子での一家団らんという家庭の機能が失われつつある中、3世代で支え合い、高齢者の見守りと併せて子育て環境を整えていくことがますます重要になってくると考えます。
 そこで、3世代同居を推進するための住宅に対する支援策についてお尋ねいたします。
 まず、3世代同居に対応した国の支援策の概要についてお尋ねいたします。
 あわせて、福岡県でも親世帯との同居に対応した支援策があると伺っておりますが、その概要をお尋ねいたします。
 また、福岡市における全世帯数に対する3世代同居世帯数の割合について、過去10年間の推移はどうなっているのか、全国値との比較も併せてお尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降については自席にて質問いたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域コミュニティへの支援の強化に関する御質問にお答えいたします。
 自治協議会や自治会、町内会の会長についてのお尋ねでございますが、平成30年度に実施した自治協議会、自治会等アンケートの調査結果によりますと、自治協議会会長については、平均で年齢は72.8歳、一月当たりの活動日数は16.6日、手当は92%の団体で支給されており、その平均額は年間約12万4,000円、活動費は81.5%の団体で支給されており、その活動費は年間約4万9,000円となっております。また、自治会、町内会長については、平均で年齢は68.9歳、一月当たりの活動日数は10日、手当や活動費は95.3%の団体で両方もしくはいずれか一方が支給されており、その平均額は年間約10万6,000円となっております。
 次に、地域集会施設補助金につきましては、自治会、町内会が設置する集会施設の新築、増改築、修繕、借り上げ等に際して費用の一部を補助する制度であり、新築時の補助上限は建築費の2分の1以内で、上限額は800万円となっております。
 次に、自治協議会共創補助金につきましては、自治協議会が主体的に行うまちづくり活動を支援し、住民自治及び市民と行政との共働によるまちづくりを推進することを目的として交付しており、安全、安心、子どもの健全育成、健康づくりなどの10項目のまちづくり基本事業に要する経費のほか、地域自らが企画し、自主的に取り組むまちづくり活動などの事業の実施に要する経費や、自治協議会の運営に要する経費を補助対象としております。また、自治協議会の年間予算額に占める共創補助金の割合は、平成30年度に実施いたしました自治協議会、自治会等アンケートの調査結果によりますと、平均で54.6%となっております。
 次に、新型コロナウイルスの影響下における地域コミュニティ活動への支援につきましては、例年どおりの活動が困難な状況等を踏まえ、自治協議会共創補助金について、新型コロナウイルス感染症対策に係る経費への活用など地域の実情に応じた柔軟な運用ができるようにするとともに、地域活動の実施に際し、区役所を中心に感染症対策などへの助言を行っているところでございます。
 次に、避難所の暑さ対策に関する御質問にお答えいたします。
 避難所につきましては、比較的軽微な災害時に優先して開設する一時避難所と比較的大規模な災害の発生により多数の被災者が生じた場合に開設する収容避難所とに区分し、指定しております。一時避難所については公民館など193か所、収容避難所については小中学校など241か所を指定しております。
 次に、避難所における空調設備の設置状況につきましては、一時避難所では公民館、市民センター及び市立体育館など191か所に設置してあり、収容避難所では私立高等学校の体育館など5か所や市立小中学校の普通教室にはございますが、体育館にはございません。
 次に、空調設備が設置されていない避難所における暑さ対策につきましては、民間事業者との災害協定に基づき、必要に応じて速やかに移動式エアコンなどを設置することといたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 3世代近居施策の推進についての御質問にお答えいたします。
 まず、国の支援策につきましては、長期優良住宅化リフォーム推進事業として、質の高い住宅ストックの形成及び子育てしやすい環境づくりを進めるため、既存住宅の劣化対策や耐震性向上などのリフォーム工事に合わせて行う3世代同居に対する台所や浴室などの増設について、その費用の一部を補助する制度がございます。また、福岡県の支援策につきましては、既存住宅流通・多世代居住リノベーション推進事業として、高齢者や子育て世帯などが共に安心して暮らすことができるよう多世代居住の促進に向けて、親世帯との同居や近居をするための改修工事費用の一部を25万円を上限として補助する制度がございます。
 次に、全世帯数に占める3世代同居世帯数の割合につきましては、国勢調査のデータを基にお答えいたしますと、福岡市においては、平成17年が3.4%、22年が2.6%、27年が2.0%となっておりまして、また、全国の割合といたしましては、平成17年が8.6%、22年が7.1%、27年が5.7%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 打越基安議員。
○9番(打越基安) それでは、2問目に入ります。
 地域コミュニティへの支援の強化についてお尋ねしていきます。
 先ほどの答弁によりますと、自治協議会や自治会、町内会の会長さんは高齢の方が多く、一月僅か1万円程度の手当で10日以上も活動されているとのことです。このような中で、負担が大きいとの声が大きいのが行政からの依頼事項への対応です。会議への出席や、住民への情報の周知、各種委員の推薦依頼など市の様々な部署からの依頼は、各部署にとっては小さなことでも、それを受ける地域側は限られた人数で引き受けており、相当な負担感となっています。しかも、その多くが担う労力に見合わない僅かな謝礼金しかないという現実であります。業務を委託するのであれば相応の対価を払うべきであり、それができないのであれば、地域に負担を強いるようなやり方を改め、別の方法を考えるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 また、実際に活動されている方々の活動実態に照らし、地域の役員が相応の報酬を受け取れるようにするべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 さらに、今年度の地域活動は例年にはない緊急事態にあります。先ほどの答弁の中で、今年度の共創補助金の使い方については、ある程度柔軟な運用を認めるとのことでしたが、例えば、今年度の共創補助金は特例として翌年に繰り越して使うことを認めるなど、さらに柔軟な対応も必要であると考えますが、所見をお尋ねいたします。
 次に、避難所の暑さ対策についてです。
 避難所のうち、市立小中学校の普通教室には空調設備が設置され、体育館には設置されていないとの答弁でしたが、感染症の集団発生を避け、夏は熱中症、冬は感冒などを防ぐためにも、避難所には空調の設備は欠かせないものと考えます。全国各地で自然災害が多発している状況を踏まえると、本市においてもいつ発生してもおかしくない状況であり、市立小中学校の体育館や教室を避難所として多くの市民が使用することも十分あり得ると考えます。
 そこで、学校施設における空調設備の整備状況や計画についてお尋ねいたします。
 また、小中学校の普通教室に設置している空調設備はガス方式が多数と聞いておりますが、ガスの種類には都市ガスとLPガスがあります。近年、LPガスは導管設備が不要な利点や、災害時を想定した分散型設備としての有利性がクローズアップされています。
 そこで、小中学校の普通教室に設置している空調設備における都市ガスとLPガスの選択の考え方についてお尋ねをいたします。
 続いて、3世代近居施策の推進についての質問に移ります。
 3世代同居の施策は、国の基本方針や施策に伴い、引き続き積極的に進めてもらいたいと思います。近年、3世代同居、近居施策の研究者が増えてきておりますが、その中でも福井県立大学の塚本教授が示してある福井モデルを紹介いたします。
 福井県では女性の就業率が高く、共働きの世帯が日本一となっており、女性の労働参加と出産、育児が両立されています。就業と子育ての両立は、子どもの急病や通院、残業や出張など不測の事態において臨機応変に対処できるかや、ちょっとした融通が利くかどうかによります。ここで強みを発揮するのが3世代近居の居住パターンになります。近居による親世代からの育児支援の受けやすさは大きな利点となっているようです。福井県と福岡市は立地状況や産業構造も違いますが、就業と子育ての両立に向けて、参考にすべき事例だと考えます。先ほどの答弁でもあるように、3世代同居世帯数の割合は減少しており、特に福岡市は全国と比べてもともと割合も少ない状況です。福岡市は転勤族が多く、共同住宅の割合が高いという特徴が反映した結果だと考えます。距離が近過ぎる同居は干渉し過ぎる側面もあるため、お互いに気を遣い、本来のメリットが生かされず、今の時代になじまないこともあるのではないかと思います。今後は距離も保ちつつ、育児支援も受けることができる近居のほうが現実味があると考えます。事例で紹介した福井県は、行政による子育て支援も充実しております。
 そこで、福岡市の子育て世帯に対する近居施策についてお尋ねいたします。
 まず、子育て世帯に対する近居施策の概要についてお尋ねいたします。
 また、近居施策の利用実績についてお尋ねいたします。
 さらに、子育て世帯が親世帯と近居を行うために住宅を取得する場合に、金融支援を行うことも求められると考えます。
 これらと併せて実施している金融支援についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域コミュニティへの支援の強化に関する御質問にお答えいたします。
 市から地域への協力依頼等につきましては、地域への負担を軽減するため、原則として行わないこととしておりますが、防災や地域福祉など地域の協力が不可欠な場合もございます。また、やむを得ず協力依頼をする場合は、相応の報償等の支払いや適切なサポートを行うことなどを方針として定めております。これまで実施してきた見直しにより、負担が大きいとの声がある推薦依頼等については、新たな報償費の支払いや報償の額の増額などを行っておりますが、今後も引き続き積極的に見直しを推進してまいります。
 次に、地域の役員に対する手当や活動費につきましては、それぞれの団体において話合いの下でその額などが決定されております。なお、自治協議会の役員への活動費については、共創補助金の補助対象としており、平成28年度からは役員の皆様に活動費を受け取っていただけるよう補助額を拡充しております。
 次に、自治協議会共創補助金につきましては、当該年度に必要とする事業費はその年度の市の予算により補助するという考え方により、福岡市自治協議会共創補助金交付要綱を定め、要綱に基づき毎年度交付し、精算させていただいております。なお、自治協議会共創補助金については、地域の実情を踏まえ、今後とも、より使いやすいものとなるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 避難所の暑さ対策についてお答えいたします。
 まず、学校施設における空調設備につきましては、普通教室は平成28年度までに全ての小中学校の整備を完了しております。特別教室は、令和2年8月に整備手法を決定したところで、可能な限り早期に着手できるよう引き続き取り組んでまいります。体育館は、構造や断熱性などに課題があること、整備に多額の費用を要し、施策の優先順位を総合的に判断する必要があることなどから、今後の検討課題と考えております。
 次に、小中学校の普通教室に設置している空調設備のガス種類の選択につきましては、都市ガスが供給されている地域の学校は都市ガスを採用し、山間部や離島など都市ガスが供給されていない地域の学校はLPガスを採用しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 3世代近居施策の推進についての御質問にお答えさせていただきます。
 まず、子育て世帯に対する近居施策の概要につきましては、平成30年度より子育てしやすい居住環境の促進と経済的な負担を緩和するため、子育て世帯住み替え助成事業を実施いたしております。この事業におきまして、子育て世帯の住替えに係る初期費用の一部を15万円を上限として助成いたしておりまして、近居などの世帯については、さらに5万円を加算することとしております。
 また、住替え助成事業の利用実績につきましては、平成30年度は196件で、このうち近居世帯は40件、令和元年度は153件で、このうち近居世帯は21件となっております。
 次に、住替え助成事業と併せて実施している金融支援につきましては、助成事業の対象世帯が既存住宅を購入する際に、住宅金融支援機構のフラット35子育て支援型の住宅ローンを御利用いただいた場合、金利が5年間0.25%引き下げられる支援策を実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 打越基安議員。
○9番(打越基安) それでは、3問目に入ります。
 地域コミュニティへの支援の強化についてです。
 地域集会施設については、1度建設されると、50年以上、2世代にわたって地域住民に利用されることから、建設に当たっては地域住民による話合いや建設費の積立てなど長い年月が費やされます。そうして完成した施設には、将来にわたって住民に親しまれ、有効に、気軽に利用したいという地域の願いが込められています。こうした地域の思いに寄り添い、地域集会施設の設置や老朽化した施設の建て替え等をさらに促進していくため、近年、建築に要する費用が上昇している状況を踏まえ、新築時の補助金の上限額の引上げを行うよう強く要望しておきます。
 また、地域で活動するには物資の購入など相応の予算が必要であり、市は地域に対してもっと財政的な支援を強化するべきです。今年度はコロナの影響で多くの地域活動が中止を余儀なくされておりますが、今年度の共創補助金については、これまで予算が足りずにそろえられなかったものや、これからの地域活動に必要なものに充てるなど、地域住民のためになる使い方は幾らでもあります。コロナ収束後の地域活動が円滑に進むためにも、今年度の共創補助金については、それぞれの校区が実情に応じて全額活用できるよう地域の声に耳を傾けながら、適切な助言を行っていただくことを要望しておきます。
 これからも少子・高齢社会の進展や相次ぐ自然災害への対応など、地域コミュニティの役割は今後ますます重要なものとなってきます。担い手の負担を減らし、多くの参加者を得られる方法を考え、地域の主体性を尊重した支援策を講じることは待ったなしの課題です。
 自治協議会や自治会、町内会に対して支援の充実に一層取り組んでいく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 次に、避難所の暑さ対策についてです。
 先ほどの答弁によりますと、本市の小中学校における空調設備の整備は、普通教室では完了しているものの、体育館については費用などの観点からまだまだ先のようであります。そして、災害時、空調設備が整備されていない学校体育館などの避難所には、民間事業者との協定により、必要に応じて移動式エアコン等を設置するとのことでした。全国的に見ると、昨年9月時点で空調設備設置率は普通教室では78.4%でありましたが、体育館では3.2%にとどまっている現状であります。しかし、このたびの令和2年7月豪雨においては、隣県の熊本では甚大な被害を受け、また、福岡県内においても大牟田市で貴い命が失われるほどの被害が生じています。近年頻発する災害を鑑みれば、対岸の火事ではないことを肝に銘じ、これまで以上に災害への備えをしっかり整えておく必要があることは明らかであり、災害時に避難所として活用する学校の体育館には、空調を整備する重要性は一層増したように思います。
 また、空調の熱源についてですが、本市の小中学校の場合、大半は都市ガス方式でありますが、全国的に見て、学校施設へのLPガス仕様のガス式空調の導入事例も徐々に増えてきているようです。東京都府中市では昨年夏に小学校22校全ての体育館に導入され、和歌山県和歌山市でも市立中学校7校の体育館にLPガス空調の導入が進み、本年9月の竣工を予定しているとのことであります。
 そこで、ここに東京都府中市の導入事例を紹介したいと思います。令和元年9月の2学期始業に合わせ、市立の全小学校22校の体育館に、市民の命を守る避難所利用を第一に考慮してLPガス空調を導入したとのことであります。平時には熱中症などから児童を守り、災害時には避難生活の安全性向上に役立てる狙いとのことです。府中市は都市ガス供給エリアにありますが、災害時にも自立して避難所を運営できる体制を構築すべく、LPガス空調システムの導入を決めたとのことです。導入に当たっては、東京都公立学校屋内体育施設空調設置支援事業を活用したそうであります。平成30年12月に成立した都の独自補助であり、事業規模は81億円、府中市では体育館空調設備に約6億6,000万円を予算計上し、同補助金の活用によって実質3億5,000万円の負担で体育館空調設備を推進したそうであります。また、導入直後の昨年10月には、皆さんの記憶に新しい関東地域での記録的な大雨被害をもたらした台風19号により、この府中市も被災をいたしました。LPガス空調システムを導入した22校のうち、11校の体育館が避難所として開設され、この中、7か所でLPガス空調が稼働し、市民の避難生活を支えたのであります。以上、府中市では今後、中学校体育館へのLPガス空調の導入や非常用発電機の導入なども視野に入れ、災害に強いまちづくりを推進していこうとする力強い意思を感じるものであります。
 本市においても、災害時に市民を守る避難所となる学校体育館に国の補助などを活用し、空調を整備しておくべきであり、夏の暑さが厳しさを増す中、平常時は学校行事の中でも有効に活用できるものと考えます。また、近年は大きな災害に直面することが増え、世間一般がそれに備える意識が高まっていることを踏まえ、市民局、教育委員会は協働でぜひとも元気出して空調実現に向けて頑張っていただくよう強く要望し、期待しております。
 また、整備に当たっての熱源については、電気や都市ガスに偏ることなく、災害時のリスク分散や他都市で整備実績があり、発電の動力や炊き出しにも活用できるという有利性を踏まえ、LPガス空調の整備を一定数取り入れて検討するよう強く要望しておきます。
 最後に、3世代近居施策の推進についての質問に移ります。
 国や県の制度に加えて、福岡市において住替え助成制度を創設し、多くの方を支援してきたことが分かりました。また、既存住宅の購入時に住宅金融支援機構と連携し、子育て世帯へ金融支援を行うことは、近居施策の推進として大変よい制度だと思います。東京や大阪などの大都市圏では転勤も多く、同居、近居は難しいのでしょうが、福岡市は人口増加率は上位であるものの、ぎりぎり近居施策が打ち出せる都市ではないかと私は考えています。大都市には、親世帯は子や孫のためだとしてもなかなか移住しませんが、福岡はまだ住みやすいほうなので、親世帯も移住する可能性が高いと思います。だからこそ、今、福岡市で近居施策を推進する必要があるのではないでしょうか。住宅の購入や親世帯近くへの住み替えは、人生で1度あるかないかでしょう。住替え助成事業については、費用的に継続的な行政負担が生じるわけではなく、初期費用に対する1回きりの助成であるため、本気で近居施策を進めるために思い切った取組や付加価値の向上が必要です。近居施策をより充実させるため、現行制度を継続するだけでなく、幅広い世帯が活用できるようにするなど、さらなる支援策の拡充が必要だと考えますが、所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域コミュニティへの支援の強化に関する御質問にお答えいたします。
 自治協議会や自治会、町内会は、住民に身近な自治組織として重要な役割を担っていただいており、地域の皆様の御尽力により、それぞれの地域で住みよいまちづくりが着実に進められております。その一方で、地域活動の担い手不足などの課題は深刻化しており、これらの課題について検討するために、本年6月に外部検討委員会を設置し、条例なども含め、自治協議会や自治会、町内会の位置づけの明確化や新たな支援策について検討を行っているところでございます。今後とも、持続可能な地域コミュニティづくりに向け、地域の皆様とともに、しっかりと取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 3世代近居施策の推進についての御質問にお答えいたします。
 親世帯である高齢者の住まいにつきましては、心身状況や生活状況により多様なニーズがあり、ニーズに応じた住まいの選択を支援し、また、居住の安定を確保する観点から、平成29年度より高齢者世帯住替え助成事業を実施いたしておるところでございます。子ども世帯との近居は、高齢者の多様なニーズの一つでございまして、引き続き高齢者世帯、子育て世帯の2つの住替え助成事業を実施するとともに、より利用しやすい事業となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時28分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦)登壇 福岡令和会の国分徳彦でございます。質問に先立ち、今回の台風をはじめ、7月の豪雨で被害に遭われた皆様に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、一日も早い復旧、復興を心からお祈り申し上げます。
 また、新型コロナウイルスの新規感染者が再び増加傾向に転じるなど、いまだ感染症拡大に歯止めがかからない状況の中、昼夜を問わず最前線で御尽力いただいている医療、介護従事者等の方々に改めて感謝申し上げます。
 私は会派を代表して、コロナ禍における本市の財政運営について質問してまいります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、市民の暮らし、地域経済を直撃し、経済活動の幅広い業種にこれまでにないダメージを与えております。日銀福岡支店が7月に発表した九州・沖縄の6月の企業短期経済観測調査では、全産業の業況判断指数、DIが3期連続で悪化し、過去最大の下落幅となり、感染症拡大による景気の急速な後退と雇用情勢の悪化が鮮明になりました。
 さらに、内閣府が先月発表した今年4月から6月までのGDP、国内総生産は、物価の変動を除いた実質の伸び率で、前の3か月に比べてマイナス7.8%、このペースが1年続いた場合の年率に換算するとマイナス27.8%となり、リーマンショックのときを超えて戦後最大の落ち込みとなっております。
 緊急事態宣言による外出自粛などで個人消費が大幅に減少し、外食や旅行などサービス業が大きな打撃を受けており、訪日外国人観光客によるインバウンド消費がほぼゼロになったこともマイナス幅を拡大させているようであります。
 本市では、これまで市税収入を伸ばし、人口も160万人を突破するなど元気で住みやすいまちとして高く評価されておりますが、市税収入の落ち込みは避けられない状況であると認識しております。経済活動が正常化し、コロナ禍からV字回復を遂げる。早期にこのような状態になることを期待していたわけでありますが、昨年のラグビーワールドカップを超える盛り上がりが期待されていた東京オリンピック・パラリンピックが延期となり、毎年多くの市民が楽しみにしている伝統ある祭りやイベントでさえも、残念ながら今年は中止や延期を余儀なくされるなど、現状ではその道は険しいように感じております。
 私は本年3月の代表質問で、施策の展開に当たっては、必要性や緊急性が薄れた事業、あるいは優先度が低くなった事業の見直しを行うなど、選択と集中をさらに進める必要があると申し上げました。民間活用やICT等の先進的な技術の活用により、これまで以上に業務の効率化を進めていくことはもちろんですが、財源不足が見込まれる中、社会経済情勢の変化や多様化する市民ニーズに的確に対応していくためにも、今こそ事業をゼロベースで考え直し、徹底して事業の見直しに取り組むべきと考えます。
 今はまだ感染症の終息が見通せない状況です。既に決定している事業であっても、一旦立ち止まり、改めて施策の優先順位を見極め、限りある財源をより効果的に投入していくべきと考えます。極めて厳しい財政見通しになることが懸念される中、この状況を乗り越えるためには徹底して支出を切り詰めていくしかないと思いますが、今後どのように財源を確保し市政を安定的に運営していくのか、それでは、具体的に質問してまいります。
 まず、現在の景気動向や雇用情勢について、本市はどのように認識しておられるのか、お尋ねします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 現在の景気動向につきましては、福岡商工会議所が6月に行った調査によりますと、令和2年4月から6月の地場企業の景況判断指数、DI値はマイナス64.6となっております。また、7月から9月期の予測については、4月から6月期と比較して6.5ポイント、小幅に上昇し、マイナス58.1となる見通しでございます。
 雇用情勢につきましては、福岡労働局によりますと、福岡県における令和2年7月の有効求人倍率は1.08倍で、令和2年1月から7か月連続で低下しており、新型コロナウイルス感染症が景気動向や雇用情勢に与える影響に一層注視する必要があると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 今の答弁から、福岡市においても景気動向、雇用情勢に影響があることがうかがえます。
 先日、市長は令和元年度の市税決算の見込みを発表され、市税収入額が7年連続で過去最高額を更新し、これは政令指定都市で唯一のことで、市民の皆様、企業の皆様の頑張りのたまものであると話されましたが、一方で新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、今年度の税収については厳しいとの認識を示されました。市税収入の増で財源をしっかり確保し、様々な施策を実施するとともに、万が一のときに備えるためには、税収の増加というのは、私も非常に重要なことであると考えております。しかしながら、経済活動が停滞している状況は、全国、いや世界全体の状況であり、本市も例外ではありません。
 そこで、新型コロナウイルス感染症の影響により市税の減収をどれぐらい見込んでいるのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 新型コロナウイルス感染症による市税等への影響につきましては、緊急事態宣言期間中に休業要請があったことや、外出自粛の影響による消費の減少が見込まれることから、直近の申告納入状況や国や県の収入額などを踏まえ、法人市民税が60億円、市たばこ税が5億円、宿泊税が約12億円、航空機燃料譲与税が20億円、法人事業税交付金が8億円、地方消費税交付金が55億円の減収となり、総額で約160億円の影響を見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 市税の減収について説明いただきましたが、法人市民税が60億円の減額、地方消費税交付金が55億円の減額ということで、経済活動の停滞が数字となって表れているのではないでしょうか。
 まだ皆さんの記憶にも新しいと思いますが、平成20年から21年にかけて、リーマンショックがアメリカを起点に発生し、世界経済に深刻なダメージを与えました。福岡市もその例外ではなく、平成21年度の市税の歳入決算額は前年度と比較して約84億円も減少しました。しかし、今回は160億円もの減額ということで、桁違いの数字であり、まさに戦後最大の危機と言っても過言ではありません。
 そこで、この深刻な市税等の減収に対し、どのような対応をされるのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 市税等の減収への対応についてお答えいたします。
 今回提出した補正予算案におきましては、地方交付税等に係る国の交付決定額が予算を上回ったため、その差額である約40億円の一般財源を増額補正しております。また、法人市民税などの減収見込額を踏まえ、減収補てん債を60億円発行しております。さらに、財源確保の取組といたしまして、令和2年度当初予算に計上した事業の一部について、約60億円の財源確保に相当する減額補正を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 今回の補正議案では、地方税の減収を補うことができる減収補てん債が60億円計上されていますが、年度当初に見込んでいない市債であり、予定外の市債の発行によって減少傾向にあった市債残高が再び増加する要因になるのではないかと心配しております。
 そこでお尋ねですが、補正後の令和2年度の全会計の市債発行予定額と令和2年度末の市債残高の見込み及び令和元年度末残高との比較についてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 今回の補正予算後の市債の新規発行予定額につきましては、全会計で約1,170億円となり、満期一括積立金を除く今年度末の全会計の市債残高は約1兆9,986億円となる見込みでございます。市債残高は、令和元年度末の約2兆122億円と比べて約136億円の減となる見込みでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 市債を追加発行しても、市債残高は前年度と比較して減少する見込みであるとのことで、少し安心いたしました。
 本市はこれまで新型コロナウイルス感染症拡大防止策を国に先んじて行うため、4月、5月議会において、積極的に財政調整基金を活用し、迅速な対応や支援策を講じてきたところです。また、9月議会でも財政調整基金を活用して、さらなる対応を図ることとされています。一方で、財政調整基金は災害等の不測の支出の備えとして一定額確保しておく必要がありますが、今回のコロナ対策で基金が枯渇してしまった自治体もあると聞き及んでおります。
 そこでお尋ねします。令和2年度末の財政調整基金の残高は当初予算では幾らと見込んでいたのでしょうか。そして、4月から今回の補正まで合わせて今年度は幾ら取り崩すことになり、年度末の残高は幾らになると見込まれているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) お尋ねの財政調整基金につきましては、当初予算において、今年度末の残高として約250億円と見込んでいたところでございます。また、今回までの補正予算を踏まえると、今年度の取崩し額につきましては約150億円となっており、今年度末の残高は約155億円になると見込んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 4月からの度重なる補正額を加えた今年度の取崩し総額程度は残高が確保されているということで、本市の財政調整基金は災害等の不測の支出の備えに対し、一定額確保されていることが分かり、安心しました。
 一方で、新型コロナウイルス感染症は全世界に広がり、いまだ終息の兆しが見えません。私たち人類が過去に経験した感染症を振り返ってみると、ペストは6世紀以降、現代に至るまで、3度にわたり世界的大流行が起こっており、終息に400年かかった時代もあると言われております。また、今から100年前には新型インフルエンザによるスペイン風邪の世界的大流行が起こり、その後、ウイルスが変異しながら、40年続いたと言われております。今回の新型コロナウイルスもその影響は令和2年度にとどまらず、3年度以降の市税等にも大きな影響を与えるものと考えます。減収補てん債の活用や財政調整基金の取崩しももちろん必要でしょうが、市債を発行し過ぎれば、福岡市の将来を担う子どもたちへの大きな負担になり、財政調整基金にも限りがあります。今後も持続可能な財政運営を行っていくためには、市債や財政調整基金にできるだけ頼らずに、この厳しい局面を乗り切ることが重要ではないでしょうか。
 冒頭でも申し上げたように、私は今こそ、必要性や緊急性が薄れた事業、あるいは優先度が低くなった事業の見直しなどを積極的に行い、財源を生み出す必要があると考えております。
 今回、財源確保の取組により約60億円の財源を確保するとのことでしたが、どのような事業を見直すのか、お尋ねします。また、令和3年度の財政見通しと対応策についても併せてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) まず、財源確保の取組に関するお尋ねにお答えします。
 今回提出した補正予算案におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により今年度の実施が困難な事業や、事業に関する財源が予算を大幅に下回ることが見込まれる事業、市の財政状況などを踏まえ、実施時期を来年度以降に先送りすることが可能な事業等について予算の減額補正を行っております。
 次に、令和3年度の財政見通しと対応方針についてお答えします。
 令和3年度は新型コロナウイルス感染症による市税等への影響があるものと考えておりますが、現時点で精緻な見通しを立てることは困難でございます。今後、市税等への影響を引き続き注視するとともに、持続可能な財政運営の視点を念頭に置きながら、事業の選択と集中を行うなど財源確保の取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 国分徳彦議員。
○47番(国分徳彦) 令和3年度に向けて、新型コロナウイルス感染症の市税等への影響をしっかり見極めながら、事業の見直しを含めた今後の予算編成に取り組んでいくことが分かりました。今後の財政見通しが非常に不透明な中で、特に重要になるのが3年度の財源の使い方であります。
 島市政は、この新型コロナウイルス感染症という前例のない危機に対し、国の対応を待つことなく、率先して市民生活や経済活動を守る施策を次々と打ち出してきました。今後も島市長のリーダーシップにより市民目線で事業の選択と集中を行いながら、限られた財源を有効に活用し、様々な課題に迅速かつ的確に対応していくことが肝要であります。
 これについて市長の御所見をお聞かせいただき、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、これまで検査体制の充実をはじめ、市民生活や企業活動の支援、また、教育環境の充実など様々な施策について、国の交付金や財政調整基金などを積極的に活用して迅速に対応してまいりました。これからは、新型コロナウイルスと共存しながら感染拡大の防止と社会経済活動の維持の両立を図るとともに、このピンチをチャンスに変える発想で、様々な施策やまちづくりに取り組んでいくことが必要であるというふうに考えています。
このため、今後の財政運営につきましては、新型コロナウイルス感染症による市税等への影響を注視しながら、徹底した事業の選択と集中を進め、限りある財源を有効に活用することによって持続可能な財政運営に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司)登壇 質問に入ります前に、今月初めから7日にかけて、九州・沖縄地方を中心に大きな被害をもたらした台風第9号、第10号により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。
 また、今なお全世界において猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、島市長や医療及び介護従事者をはじめ、昼夜を問わず最前線で御尽力いただいている方々に対して心から敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます。
 私は自民党新福岡を代表して、コロナ禍を踏まえた公園活用と、福岡空港の周辺環境対策について質問いたします。
 新型コロナウイルス感染症に係る状況としましては、福岡県においては、5月14日に緊急事態宣言が解除されたものの、7月より再び全国的に感染者数の拡大が見られる状況となりました。私たちは新型コロナウイルスによって、これまで当たり前だった生活様式を根底から変えざるを得ないのを目の当たりにしていますが、今後も気を緩めることなく、一人一人が意識を高く持ち、常に感染症のリスクを低減することを念頭に置いた新しい日常へ進んでいく必要があると考えております。
 リスクの低減に関しましては、早い段階から密閉空間、密集場所、密接場面のいわゆる3つの密を避けるということが広く提唱されており、社会活動のあらゆる場面で様々な取組が行われているところであります。そのような中、3つの密を避けやすい公園というオープンスペースの価値が再認識されており、公園という社会資本の特性、効用を踏まえて、新型コロナウイルス感染症危機下にあっても、その効用をできる限り発現できるようにすべきというような声があることを踏まえまして、まずはコロナ禍を踏まえた公園活用について質問いたします。
 初めに、4月7日から5月14日まで新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発出され、福岡県が同法に基づき不要不急の外出自粛を要請しました。それを受けて、福岡市における公園はどのような対策を行ったのか、お尋ねします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 福岡市の公園では、不要不急の外出自粛の要請を受けまして、集客イベントの中止や屋内公園施設の閉鎖、遊具の一部使用禁止などの対策を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 緊急事態宣言中において、メディアから流れてくる映像には、使用禁止のテープが張り巡らされた滑り台やブランコなどのほか、遊びに来ている親子連れやランニングをしている若者など公園利用の様子も多く取り上げられていましたが、コロナ禍において公園の利用状況はどのように変化していったのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 緊急事態宣言直後は公園利用者も一旦減少いたしましたが、その後、健康維持やストレス緩和のための散歩などのニーズの高まりに応じまして、利用者は増加いたしました。宣言解除後においても、屋外で3つの密を回避しやすいことから、子どもから高齢者まで幅広い利用が見受けられるところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 私も3つの密にならないように配慮しながら、気分転換も兼ねて近くの公園に子どもを連れていくことがありますが、身近な自然を感じながら運動ができ、また、季節や1日の移ろいを意識することで新鮮な驚きや喜びを公園にて感じる方も多かったのではないでしょうか。
 今回の新型コロナウイルス危機に直面し、市民生活における公園という存在は、これまで以上に価値あるものとして再認識されたと思われますが、そもそも公園の意義とは何であるのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 国土交通省監修の下、一般社団法人日本公園緑地協会が策定しております公園緑地マニュアルにおきましては、公園の意義として、環境保全、景観形成、防災、レクリエーションが掲げられているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 公園の意義として4つあるとのことですが、今年7月には九州北部地方を中心に広い範囲で甚大な被害をもたらした豪雨災害も発生しており、近年における自然災害から得る教訓を顧みますと、公園の防災機能というものは、災害などの非常時の対応などまちづくりを行う上で重要な要素であると考えます。新型コロナウイルス危機を契機として、災害、感染症などのリスク回避のためにも都市のオープンスペースの重要性が再認識されており、また、防災の取組として地域コミュニティが重要であると強調されております。
 コロナ禍において災害に備えたまちづくりのためには、公園の設計や管理運営を検討する際の住民参加が必要となり、地域にとって使いやすく魅力的な公園づくりと地域コミュニティの活性化を目指すコミュニティパーク事業などの手法も活用しながら公園づくりをしていくことを要望しておきたいと思います。
 次に、4つの公園の意義の1つであるレクリエーション機能に関しましては、新型コロナウイルス感染の収束が見えない中、在宅勤務や旅行自粛などにより自宅で過ごす時間が増え、運動不足の解消やストレス緩和などのために公園を利用する市民がますます多くなってくると予想されます。
 国土交通省ではウォーカブル都市の構築を推進しており、公園や街路空間などを居心地よく歩き回れる空間づくりを進めることで、健康づくりや人々の幸福度の上昇に寄与するなど、公園の魅力を市民に再認識していただくことができると考えます。
 そこで、今後の公園において、レクリエーション機能の観点でどのような取組が可能であるのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 議員に御指摘いただきましたとおり、公園におけるレクリエーションの機能は幼児から高齢者に至るまで様々な年齢層を対象として、散歩、遊び、休憩、スポーツなどの形態がございまして、その効果は体力の向上のみならず、心身の健康の保持にもつながるものでございます。
 これまで多種多様な市民ニーズに応える形で、運動公園の整備をはじめ、ウオーキングコースや健康遊具の設置などレクリエーション機能を備えた公園づくりを行ってまいりました。今後とも、コロナ禍を踏まえた公園の活用を図るため、地域合意に基づき、ボール遊びやバーベキューの実施などを可能とするコミュニティパーク事業を推進するなど、柔軟な公園活用を地域との連携を図りながら進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今後、新型コロナウイルス感染症に伴う影響は人々の生命や生活のみならず、経済、社会、さらには人々の行動、意識、価値観にまで多方面に波及し、いわゆるニューノーマルへの移行が進む中、これまで室内で行われていたコミュニティ活動が屋外にて展開されるなど、公園に対する市民からの注目度や期待感は相当高いものがあると予想します。
 そこで、コロナ禍を踏まえた公園活動については、これまでの取組をさらに進化させる必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 身近な公園は、緑豊かで開放的な環境の下、健康的な生活に欠かせない活動を楽しめる貴重なオープンスペースとなっております。国においては、新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性を検討する中で、オープンスペースの今後の在り方について、検討に着手したところでございます。
 福岡市におきましても、国の動向などを踏まえながら、本来公園が持つ4つの意義に基づいた公園づくりを継続するとともに、今後の公園の在り方について引き続き検討してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今後の新しいまちづくりにおいては、新型コロナウイルス危機を契機とした変化を踏まえることが必須であり、その中で公園というオープンスペースは非常に重要な位置づけとなってきております。
 7月の日本経済新聞に都立公園でキッチンカーの営業を許可するという記事が掲載されていましたが、これは新型コロナウイルスの影響で業績不振の飲食業を支援するのが狙いだとのことです。経済支援という側面のみならず、新型コロナウイルス感染症が長期化する中で、3つの密になりにくい公園において、外食グルメを味わう機会が創出されるという意味でも良好な公園活用事例であると思います。
 また、公園は緑に囲まれた解放感を味わうことができるオープンスペースであると思っておりますので、その特色を生かして、公園の広場の木陰に机、椅子などを配置し、さらにはWi−Fi機能を導入することで野外オフィスとしての利用ができるような環境整備があってもいいのではないかと考えております。これによって密な空間での仕事からの解放や気分転換など、これまでのワークスタイルには想定できないプラス要素が生まれてくることでしょう。
 最後に、緊急事態宣言から5か月が経過したところですが、これからは自分や大切な家族を守るだけではなく、感染拡大の防止と社会経済活動を両立させるために、根本的な感染対策を生活に取り入れた新しい日常を継続していくことになります。
 これから新しいまちづくりが展開される九大箱崎キャンパス跡地におきましては、移転する中学校に隣接する形で災害時に避難活動の場として活用可能な近隣公園などを整備することが予定されております。ウィズコロナ時代にふさわしい公園モデルとなるように、地域住民と連携を図りながら尽力していただきますことを要望しまして、この質問を終わります。
 次に、福岡空港の周辺環境対策についてです。
 福岡空港は九州・アジアのゲートウェイであり、福岡市の発展に大きな役割を果たしている重要なインフラでありますが、この福岡空港に昨今、大きな変化が生じていることは皆さん御承知のことと思います。
 昨年4月からは空港運営の全面的な民間委託が始まり、本年1月には平行誘導路の二重化が完成し、運用が開始されています。そして、将来的な空港需要の増加に備えるための滑走路増設が進められており、空港機能の強化が図られているところです。もちろん、現在は新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって航空機の便数が減っていることはメディアでも報じられているとおりで、実際に私の住んでいる空港北側の進入路直下の箱崎地区でも航空機が減少していると実感しています。ただ、7月ぐらいからは少しずつ回復してきているように感じますし、将来的には航空機の発着回数はまた増加していくものと予想しています。
 ところで、この福岡空港は市街地に位置していることから、空港の近隣地域や飛行経路の下にお住まいになる住民の方々に航空機騒音の負担を強いていることも事実です。福岡空港の存続と発展は、空港周辺の地域の方々の御理解と御協力を得ることが大変重要であると考えております。
 本日は福岡市の発展に欠かすことのできない福岡空港が抱える航空機騒音問題を中心に質問してまいりたいと考えていますが、現在、国の内外で感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症が福岡空港にも大きな影響を与えていると思いますので、本題に入る前に、福岡空港の利用状況や福岡空港に入国した際の水際対策について、幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、福岡空港の利用状況についてお伺いします。
令和2年上半期の国内線と国際線の乗降客数について、前年比と併せてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 令和2年1月から6月までの福岡空港の乗降客数とその前年比につきましては、国内線が約443万人で49.9%の減、国際線が約87万人で75.2%の減となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 報道によりますと、新型コロナウイルスの影響により、3月下旬には福岡空港の国際線の就航がゼロになったとのことです。また、国内においては、4月に緊急事態宣言が出され、ゴールデンウイーク期間中には全国的に外出自粛、そして、6月には移動制限が解除されはしましたが、新型コロナウイルスの影響は非常に大きなものがあったと思います。
 それでは、本年4月から6月の月ごとの国内線と国際線の乗降客数はどうなっていますか、前年比と併せてお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 令和2年4月から6月までの福岡空港の乗降客数とその前年比につきましては、国内線が4月は約18万人で87.3%の減、5月は約14万人で90.6%の減、6月は約36万人で75.2%の減となっております。また、国際線が4月は347人、5月は412人、6月は131人で、前年比につきましては、いずれの月も99.9%の減となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 新型コロナウイルスが福岡空港の利用者数に大きな影響を与えていることがよく分かりました。
 御答弁によりますと、福岡空港国際線の利用者は前年に比べ99.9%の減となっているようですが、それでも、僅かとはいえ、毎月何百人かが利用しています。いまだ新型コロナウイルス感染症は世界の各地、国で蔓延しており、陽性者が福岡空港から拡散していくようなことがないのかが懸念されているところです。
 そこでお伺いしますが、福岡空港における水際対策についてお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 福岡空港における水際対策につきましては、国において、上陸拒否の対象地域に滞在歴のある日本人を含めた全ての入国者に対して、空港に到着した際にPCR検査が実施されております。その検査結果が陰性の場合には入国が許可されますが、14日間の自宅などでの待機や、公共交通機関を使用しないことが要請されております。さらに、外国人に対しては出国前に新型コロナウイルスの検査を求め、入国時にその陰性の検査証明の提示が要請されるなど追加的な防疫措置が講じられております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 国において水際対策が適切に行われていることは分かりましたが、空港での外国人の受入れに市民が不安を抱かないよう、引き続き水際対策を徹底していただきたいと思います。
 福岡市は、第3次産業の従事者の割合が全体の9割を占め、観光産業も重要な分野です。新型コロナ対策を行いながらも、空港の利用者を増やすことにより交流人口を増加させ、経済を発展に導くことが今後必要となってまいります。
 そこで、新型コロナウイルスによって影響を受けている福岡空港の今後の航空需要の見通しについてお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 航空需要の今後の見通しにつきましては、国において感染拡大防止対策を講じつつ、社会経済の活動レベルを段階的に引き上げることとされております。
 国内旅行につきましては、令和2年5月に緊急事態宣言が解除された後、6月に都道府県をまたぐ移動の自粛が解除され、7月から感染拡大防止対策を徹底した上で需要の喚起を図るGo To トラベル事業が開始されているところであります。一方で、国際的な人の往来につきましては、感染状況が落ち着いている一部の国との間でのビジネス人材などに限定されていることから、まずは国内線の航空需要から回復していくものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 新型コロナウイルスの影響から直ちに脱却することは難しい状況にあるようですが、福岡の発展のために重要なインフラである福岡空港においては、今後予想される航空需要の増加を見据えた空港の機能強化は進めていかなければならないと考えています。
 一方で、空港機能の強化により発着回数が増加すれば、騒音の発生頻度も増加してしまうことになります。空港の機能強化を進めるに当たっては、空港周辺の地域の方々のより一層の理解を得ることが必要であります。
 そこで、ここから福岡空港周辺地域における騒音対策や環境対策について質問してまいりたいと思います。
 まず、騒音対策についてお聞きします。
 国などが空港周辺で騒音測定を実施していると聞いておりますが、空港の北側に当たる私が住んでいます東区において、航空機の騒音測定は何か所で実施されていますか、主な場所と併せてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 福岡市東区における航空機騒音測定につきましては、令和元年度は6か所となっており、主な場所は筥松小学校、東箱崎小学校、筥松第2ポンプ場、坂本町ポンプ場となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 東区では6か所で航空機騒音の測定が実施されていることが分かりました。そのうち、児童が日々学んでいる小学校2か所で騒音測定をしているとのことですが、より空港に近い筥松小学校では校舎の真上を飛行機が飛んでいます。
 そこでお伺いしますが、筥松小学校での騒音測定値は過去5年間でどのように推移していますか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 筥松小学校で測定された年間平均値の推移につきましては、エルデン値で平成27年度が67デシベル、28年度が68デシベル、29年度から令和元年度までが67デシベルとなっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 空港を設置、管理する国は、エンジン音が小さな、いわゆる低騒音型機の導入など騒音の発生そのものを小さくする発生源対策を行っていると聞いたことがありましたが、筥松小学校での過去5年間の測定値の推移では、実際は横ばいで、小さくなってはいないということが分かりました。
 そこで、空港周辺地域の住宅や子どもたちが通う学校については、どのような騒音対策が講じられているのか、順に質問してみたいと思います。
 まず、空港周辺地域では住宅に対する騒音対策としてどのようなものが実施されているのか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) いわゆる航空機騒音防止法で指定された第1種区域内の住宅につきましては、福岡空港の設置管理者である国から委託された空港周辺整備機構において、防音工事や空調機の更新工事に対する助成が行われております。また、より騒音の程度が大きな第2種区域内では、同機構において移転を希望する住民に対する移転補償事業が実施されており、騒音の程度に応じた対策が実施されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 住宅に対する騒音対策については分かりました。第2種区域とは、騒音がひどくて引っ越したいという方に対し、移転補償をするぐらい騒音が大きな区域です。先ほど騒音測定値を答えていただいた筥松小学校はその第2種区域に立地していますが、このような小学校は市内には見当たらないと思います。
 そこで、学校や地域の皆さんが利用される集会所などに対しては、どのような騒音対策が行われているのでしょうか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 学校や地域集会所などに対する騒音対策につきましては、おおむねエルデン57デシベル以上の地域において、国が学校等の防音工事や空調機の更新工事に対する助成を行っているほか、地域集会所などの共同利用施設整備に対する助成を実施しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今までの御答弁によりますと、住宅や学校、地域の集会所などへの騒音対策は、国あるいは国から委託された空港周辺整備機構が実施しているということですが、私は、地域の理解を得るためにはさらなる施策の充足が必要であると考えています。
 そこで、国や空港周辺整備機構が実施している施策のほか、空港周辺地域の理解を得るために市や空港運営会社はどのようなことを実施しているのでしょうか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 福岡空港の円滑な運営は、空港周辺地域の御理解と御協力が不可欠であることから、福岡市といたしましては、地域からの要望等を踏まえ、空港周辺の生活環境の改善に資するため、生活道路の改良や移転補償跡地を活用した野球場やパークゴルフ場などのスポーツ施設、公園及び広場、花壇等の整備を行っております。また、空港運営会社におきましては、周辺住民や地域との信頼関係の構築や、地域共生事業の継承と発展を柱とする地域との共生に関する取組が実施されており、具体的には住民が行う空調機等の修理費の助成のほか、巡回健康診断などが実施されております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 国や空港周辺整備機構だけではなく、市や空港運営会社もそれぞれの役割分担の下、様々な施策が実施されていることは分かりました。しかしながら、今後の空港機能強化に対して、地域の方々は発着回数の増加などに伴う地域への影響を懸念されています。
 そこで、空港の設置管理者である国には地域のニーズに即したさらなる騒音対策の強化を行っていただきたいと考えますが、地域からどのような声が出ているのでしょうか、お尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 地域からの主な御意見につきましては、住宅の建て替えや増改築時の防音工事も助成対象とすること、また、3回目までとなっている空調機更新工事の助成制度を早急に確立すること、防音設備の経年劣化対策を講じることなどがございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 局長から御答弁いただいたとおり、私も地域の方々とお話しする中で、建物の老朽化に伴い防音工事を施したサッシにも徐々に隙間が生じてきている、そうすると航空機の轟音も家の中に頻繁に入ってきて、度々テレビの音がかき消されるという声や、航空機が通過するときにテレビの映像が乱れるというような声をお聞きします。このように、地域住民の方々の実態は真摯に受け止めていく必要があると思います。
 例えば、市の施設であれば、先ほど御答弁いただいた共同利用施設として昭和50年代に整備された筥松会館では、現在、大規模な改修工事を進めていただいておりますが、過去に防音工事を行った多くの民家でも同じことが言えると思うのです。生活の多くの時間を過ごす民家でも、時がたてば、老朽化により建て替えしますし、家族が増えれば増改築もします。国にはこのような実情を認識していただき、助成の対象とするよう切に願うものであります。
 また、航空機騒音は子どもたちにも大きな影響を与えると思います。地域の行事が行われる小学校の体育館においては、航空機騒音により先生や来賓の挨拶が中断するということが1人の挨拶の途中に何度もあるということを実際に経験してきました。筥松小学校の児童たちは、それだけ大きな騒音の下で学校生活を送っているわけであり、今後、航空機の発着回数が増えていくとなると、その影響が懸念されるところです。
 そこで、お伺いします。福岡空港が所在する自治体である福岡市としては、国に対して騒音対策の強化を訴えるべきであると考えますが、どのように対応してこられたのでしょうか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 福岡空港の円滑な運営は、空港周辺地域の御理解と御協力に支えられていることから、空港周辺の騒音対策の強化は大変重要であると考えております。福岡市といたしましては、現在進められている空港機能の強化に伴う環境の変化を見据え、地域からの御意見である住宅の防音工事や空調機更新工事の助成制度の拡充など、住宅や教育施設等の騒音対策の一層の強化を国に要望いたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 空港がある限り、航空機の音を消すことはできないことは皆さん御承知のことであります。古くから地域に住んでいる方々からは、空港の近くはこういうものだという声を聞くこともあります。長年、地域の方々が福岡空港とそこで離発着する航空機の騒音を受け入れていただいたということであり、そのような事実があってこそ、福岡市がここまで発展できたと言っても過言ではないと思います。今後、機能強化による発着回数の増加に当たり、周辺地域の方々と共生していくために、周辺地域の方々のさらなる御理解を頂けるよう取り組んでいくことを要望いたします。
 特に航空機の飛行経路直下で長年大きな騒音にさらされてきた箱崎、東箱崎、筥松の地域の方々は、今後の空港機能の強化など空港に関する正確な情報を得ることで理解を深めたいとのことから、地域の方が情報連絡会を立ち上げられました。地域の方々の思いに応え、積極的に情報を提供していただきたいと思います。
 騒音対策は、確かに空港設置者である国が実施することとされていますが、先ほどの局長の御答弁で、市も問題意識を持っていることが分かりました。市には、国に要望するだけではなく、地域の課題やニーズに応じた対策を検討し、講じていただくよう要望いたします。
 最後の質問となりますが、福岡市の発展に資するためには、福岡空港のさらなる航空需要の増加とそれに見合った空港機能の強化は必要なことですが、それには地域の方々の理解と協力が不可欠であり、環境対策や環境整備を強化することが必要と考えますが、島市長の御所見をお伺いしまして、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡空港は、福岡市のみならず、九州・西日本地域の成長を牽引する重要な公共インフラであり、世界でも屈指の利便性の高い空港として発展をしている一方で、空港が市街地に位置するゆえの騒音問題などを抱えており、空港の円滑な運営は地域住民の理解と協力に支えられていることを決して忘れてはならないと考えています。
 飛行経路の直下に位置します箱崎、筥松地区をはじめ、空港周辺地域におきましては、藤野議員御指摘のとおり、空港の機能強化による発着回数の増加などに不安の声があるものと受け止めており、空港と周辺地域との共生はますます重要になってくるものと認識をしております。
福岡市といたしましては、今後とも、国や空港運営会社などと連携をして、空港機能の強化に伴う課題やニーズなどを地域と共有しながら、空港と周辺地域との調和的な発展を目指して周辺地域の環境対策と環境整備に取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時15分に再開いたします。
午後2時5分 休憩  
午後2時15分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、丘陵地域の住宅に対する支援策の拡充について、飲食産業に対する支援強化について、行政ポイントと地域通貨の連携について、以上3点について質問いたします。
 はじめに、丘陵地域の住宅に対する支援策の拡充についてです。
 先日、丘陵地域にお住まいの方から、「見るからに隣家ののり面が崩壊しそうで、その下に住んでいる身としてはとても不安を感じています。相談しようにも、そこは最近売地になっていて人が住んでおらず、なかなか話が進まない。さきの7月豪雨の経験もあり、ますます不安は募るばかりです」という御相談をいただきました。
 私はこの相談をきっかけに、市内の丘陵地域に建てられている住宅の状況をこの目で確認する機会を得ました。傾斜地で斜面に近いにもかかわらず、十分な擁壁が設置されていないように見受けられる建物や見るからにのり面の状況が厳しそうな箇所。場所によっては、人が住んでいる気配のない一軒家、空き地などが少なからずあり、土砂災害が起きたときにこの家は大丈夫だろうかと心配になるとともに、建物地盤やのり面が崩壊したら下の家に被害が及ぶことになるが、維持管理はしっかりとなされているのだろうかと感じずにはいられませんでした。
 一方で福岡市も、土砂災害が予想される場合や発生した場合に市民の自主的な避難行動を支援し、土砂災害から人命を守るとともに、被害を最小限とするために土砂災害ハザードマップを校区ごとに作成し、注意喚起を促しているところです。このマップを見ると、急傾斜地における崖崩れや土石流の危険性がある箇所が、それぞれ土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンと、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンというエリア分けとともに、明示されています。
 今回の質問では、これらレッドゾーン、イエローゾーンを含めた丘陵地にある住宅、建物に対する支援の在り方を検証し、当該地域における安全、安心な住環境整備に向けた取組を提案できればと思います。
 そこでまず、お尋ねいたします。この土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域とは何か、それぞれの定義と法的根拠について説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域につきましては、土砂災害警戒区域などにおける土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づき、福岡県において区域指定に必要な基礎調査等を実施し、指定されるものでございます。
 それぞれの定義については、土砂災害警戒区域は、「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危険が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」とされ、また、土砂災害特別警戒区域は、「警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生じるおそれがあると認められる土地の区域」とされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域について、本市にはそれぞれ何か所あるのか、また、それぞれの区域内にある人家戸数についても、併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 本市における土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域の箇所数及び区域内の人家戸数につきましては、令和2年4月24日現在で土砂災害警戒区域は1,782か所、このうち土砂災害特別警戒区域は1,542か所となっており、土砂災害警戒区域内の人家戸数は2万6,861戸、このうち土砂災害特別警戒区域内の人家戸数は4,233戸となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市においては、レッドゾーンとイエローゾーンに合計で2万6,861戸、住民の数で言えば、少なく見積もってもおよそ5万人以上の方々が生活されている計算です。それ以外の丘陵地も含めるとそれ以上の数字になるわけですけれども、次に、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域にある住宅について、安全性向上に関する行政支援はどのようなメニューがあるのでしょうか、その制度の概要と、過去5年間の利用実績についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 土砂災害警戒区域の建築物に関する助成制度はありませんが、土砂災害特別警戒区域内にある建築物については2つの助成制度がございます。
 1つは、福岡市土砂災害等危険住宅移転事業として、現に居住している住宅で土砂災害に対する構造耐力上の安全性を有していないもの、もしくは福岡県知事からの移転勧告を受けたものに対しまして、福岡市内の土砂災害警戒区域外への移転や除去却に要する費用の一部を助成するもの。
 もう1つは、福岡市住宅・建築物土砂災害対策改修事業といたしまして、土砂災害に対する構造耐力上の安全性を有していない住宅や建築物に対し、土石流から守る塀の設置等に要する費用の一部を助成するものでございます。
 移転事業は平成26年度より、改修事業は29年度より実施しておりまして、過去5年間の実績につきましては、移転事業の2件でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここで、行政支援制度のうち、福岡市住宅・建築物土砂災害対策改修事業に関してお尋ねいたします。
 事前に頂いた資料によれば、これは土砂災害特別警戒区域内にある住宅に対して、土石流から守る塀の設置等に、あるいは改修に必要な経費の23%、上限で75万9,000円を補助するという内容です。答弁によりますと、当該事業は平成29年度に事業が始まって以来、全く活用されていないようですけれども、これは使い勝手が悪いことが原因ではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 改修事業につきましても、相談や問合せはございますが、一定の自己負担が必要であり、また、改修ではなく建て替えを希望されたなどの理由から、助成事業の利用に至らなかったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) また、この改修助成事業は、土砂災害警戒区域、イエローゾーンには適用されていないとのことですが、その理由についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 土砂災害特別警戒区域内においては、建築基準法施行令第80条の3の規定によりまして、居室を有する建物を建築する際に、土砂災害に対して建物の外壁等、もしくは塀で、構造耐力上、有効な措置を講じなければならないと規定されておりますが、土砂災害警戒区域内についてはその定めはございません。そのため、土砂災害特別警戒区域では、国の制度を活用して、構造耐力上、有効な措置を講ずるものに対して助成を実施いたしているところでございます。
 なお、国の制度におきましても、土砂災害特別警戒区域のみを対象とされてございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今回の質問の根底には、冒頭にも述べましたけれども、そもそも丘陵地における建物、住宅は安全性に問題はないのかという問題意識があります。土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域については言うまでもなく、本市にはそれ以外の区域にも丘陵地及び傾斜地に住宅が張りついている地域が少なくないと思います。この点に対する施策はとても重要です。
 そこでお尋ねしますが、住宅の安全性向上に関して、丘陵地及び傾斜地に住む市民から寄せられている意見、要望とはどのようなものがあるのか、その内容についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 傾斜地等におきましては、住宅の新築や改築に当たり、既存擁壁の取扱い、擁壁の構造、仕様に対する相談や隣地擁壁の安全性などの相談を受けることがございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) そのとおりだと思います。私の感覚とも合致するわけですけれども、それでは現在、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域にある住宅について、どれだけの家屋が構造耐力上の安全性が十分であるという状況にあるか、この点について本市は把握しているのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 建築物や塀の構造耐力を把握するためには、それぞれの建築物等において構造図や構造計算に基づく安全性を確認する必要がありますことから、個々の建築物について行政がそれを把握することは極めて難しいのではないかと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
 これまでのやり取りから分かることは、本当は擁壁や住宅の改修をしたいけれども、多額の支出がネックとなって改修に踏み切れない。自身が住んでいる建物の耐久性に不安を抱きながら暮らしている市民も少なくないのではないかということです。答弁によれば、現状の把握も十分ではないようです。
 そこでお尋ねしますが、そのような人々がどれくらい存在するのかという点を把握するとともに、現行の助成制度に対する評価を聞くために、まずは全市的に丘陵地エリアの現状調査を行ってはどうかと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 住宅をはじめとした建築物や擁壁等の安全性への対応につきましては、個人の財産であるという意味において、その所有者が適切に維持管理されるのを原則としつつ、土砂災害に対する対応として、国の制度に基づき、助成制度を実施いたしております。他の政令市ではまだ実施されていない都市が多い状況ですが、実施されている都市の多くは、対象区域や助成率など、本市と同様の要件となってございます。
 今後とも、市政だより等による助成制度の広報、周知を行うとともに、擁壁に関するチェックシートの活用などで、維持管理についても、助言等も行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここでパネルを出したいんですけれども、(パネル表示)これは今年の7月27日、1か月半前、大雨によって小呂島簡易水道浄水場ののり面が崩壊するという事案が発生しています。このパネルはそれを図示したものなんですけれども、これ自体は今回問題にはしませんが、土砂災害が及ぼす住宅への影響というのをイメージしていただければなと思ってお持ちした次第です。
 右上にあるんですが、この浄水場は盛土の上に建てられているんですけれども、例えばこれを丘陵地に造成された戸建て住宅として見てもらうと、今回のケースは、高いところにある家の例えばA宅がこの浄水場の建屋だとして、ここのB宅に土砂が流れ込んだという事案に例えることができます。これはさきの答弁を踏まえると、こういう事態が発生したときには、それはこの上のA宅の人が法面をしっかりと管理しなかったから生じたんですよねというのが、本市の見解だと思います。
 しかしながら、丘陵地においてこのような状況にある宅地というのは多く存在する上に、さきの答弁でも紹介されたとおり、相談の今の状況を私聞かせていただきました。自身が住む建物やのり面の強度に不安を抱いている市民も存在するということです。これは例えば、独自に擁壁設置やのり面補強に対応できる余力がある、そういう家だったらいいんですけど、現行の助成制度の利用状況を見る限りでは、例えば台風や豪雨の際に、建物や法面の強度に不安があるけれども、補強や改修のための費用が大きいため、なかなか対応できていないという市民がいるのではないかと発想するのが私は自然であると思いますし、強く思うわけであります。
 実際に丘陵地を回ってみると、このようなパネルのように家が立ち並んでいる状況というのは、ざらであります。中には、高い位置にある家が空き家であったり売りに出ていたりするケースもある。そうすると、仮に家屋地盤やのり面に問題があったとしても、対応が遅れたり、対応自体が困難であったりというケースも容易に想像できる。下の家に住む人の不安もいかばかりかと私は思うわけであります。よって今回の提案として、この丘陵地エリアにおいて自宅の家屋地盤のみならず、隣家ののり面強度に不安を抱えている市民がどれだけいるのかという点を明らかにするために、まずは実態調査だけでもやってみるべきではないかと。その過程で、現行の助成制度が不十分だったとすれば、その改善につなげるようになるのではないかという思いで、土砂災害の話からこういう話をさせていただきました。
 今後、丘陵地対策、傾斜地対策の一環として、将来的には現行の助成制度の改善に取り組み、丘陵地に住まう方々ののり面改修や住宅改築を促すなど、安心して生活を送っていける住環境づくりを目指すべきではないかと思いますが、この質問の最後に、市長に御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、熊本地震や九州北部豪雨などの大規模な災害が毎年のように発生しておりまして、土砂災害などによります被害を防ぐため、建築物や擁壁等については日頃から維持管理に注意をして、事前の防災に向けた対応が大変重要であるというふうに考えています。
 今後も引き続き、防災性の向上に向け、ホームページや市政だよりなどによります広報、周知をはじめ、国の制度を活用した助成制度を実施するなど、安全、安心なまちづくりに向けて取り組んでまいります。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 市長、御答弁ありがとうございます。
 ただ、今日のやり取りで私が丘陵地に求める対策、認識と、市の対策、認識というのは非常に距離感があるなということが分かったわけです。ただし、先ほどよその都市もこういう基準でやっているというお話があったんですけど、でも実態は違うわけですね。例えば、長野県飯田市の事例でいうと上限が100万円で補助率が50%。福岡市は23%の上限──75万9,000円なんですけどね。例えば福井県大井町というところがあって、ここは補助率が80%で上限が330万円。同じ政令市の神戸市、それから同じ兵庫県の三田市、芦屋市、それから岐阜県の郡上市、ここは補助率が3分の1で上限が112万円。鳥取県は補助率50%、市町村と合わせて200万円の上限でこういう改修のための補助が出るということなんですね。つまり、そういう他都市の事例もありますので、ぜひともこういう丘陵地に向き合っていただいて、まずは実態を把握されるということはぜひやっていただきたいと改めて要望して、次の質問にまいります。
 次に、飲食産業に対する支援強化についてお尋ねします。
 これまで本市は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、家賃補助やデリバリー、テークアウト支援など、飲食店に対しては様々な経済対策を実施してきたところです。これら飲食店舗を支えるための緊急の経済対策については引き続き求めていきたいと思いますが、今回の質問では、本市の基幹産業ともいうべき飲食関連産業を盛り上げていくために必要な取組について、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済支援とは違った視点で、既にある状況を生かして、その基盤を強化するといった視点から議論をしていきたいと思います。
 はじめに、福岡市内で飲食関連産業と言われる事業所の概要についてお尋ねします。
 本市には食料品製造業、飲食料品卸売業、飲食料品小売業、飲食サービス業の事業所がそれぞれ幾つあるのか、また、当該事業所で従事している従業員の数は何人でしょうか、それぞれお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市内の飲食関連産業の事業所数及び従業員数につきましては、平成28年経済センサスによりますと、食料品製造業が416事業所1万1,068人、飲食料品卸売業が1,505事業所1万8,038人、飲食料品卸売業が3,585事業所3万7,306人、飲食サービス業が9,987事業所8万4,524人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) とりわけ飲食サービス業についてお伺いいたします。
 飲食サービス業の事業所数及び従業員数は、本市全産業の中でそれぞれどれぐらいの割合を占めているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 先ほどの質問で答弁に間違いがありましたので、訂正させていただきます。本来であれば、飲食料品小売業と申し上げるところを卸売業と申し上げました。正確には、飲食料品小売業が3,585事業所3万7,306人となっております。訂正します。すみませんでした。
 そして、今の御質問にお答えします。
 福岡市の全産業における飲食サービス業が占める割合につきましては、平成28年経済センサスによりますと、事業所数の割合が約14%、従業員数の割合が約10%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市の飲食関連産業のボリュームとしては、事業所数では1万5,493事業所で全体の21%、従業者数では15万936人で全体の17%を占めます。その中でも飲食サービス業について言えば、事業所数で本市全産業の14%、従業員数で10%と、とりわけ大きな部分を占めていることが分かります。
 ところで、本市は食べ物がおいしいまちとしてPRを行っていると思いますが、具体的にどのような媒体でどのような点をPRされているんでしょうか。また、その結果、国内外でどのような評価を受けているのか、併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の食に関するPRにつきましては、拡散性の高いSNSや動画共有サイトなどを活用し、観光客に人気のある博多ラーメン、もつ鍋、水炊きや新鮮な海産物をはじめとする豊かな食文化に関して情報発信を行っております。また、国内外での評価につきましては、大手旅行予約サイトの調査によりますと、グルメ旅行にお勧めの日本の都市第1位を獲得するなど、高い評価を得ております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ただいまの答弁でもさることながら、本市は食べ物がおいしいまちとしての認知度も高く、それは飲食関連産業の事業所、従事者が多いということとも無関係ではないと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症発生以前における本市の飲食サービス業をめぐる課題や問題点及び本市による支援の実績についてそれぞれお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の飲食サービス業につきましては、増加する国内外からの観光客へ対応するため、多言語対応や多様な食習慣への対応などが課題と認識いたしております。
 また、福岡市による支援の実績につきましては、外国人受入れに関するセミナーの開催やメニューの多言語化に関する支援、キャッシュレスの促進に取り組むとともに、大規模スポーツMICEにせて、ホームページやパンフレットで飲食店の情報発信を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。また、本市の1次産品の消費拡大を目的としてうまかもん条例に基づく施策展開があると思いますが、関連施策の内容と実績についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) うまかもん条例に関する施策の内容と実績についてでございますが、農林水産局では、平成27年4月に施行されたふくおかさん家のうまかもん条例に基づき、市内の農林水産物の生産、消費拡大を図る目的で、ふくおかさん家のうまかもん事業者の認定に取り組んでおります。市内産農林水産物及びその加工食品を提供または販売する事業者をふくおかさん家のうまかもん事業者と認定し、専用ホームページでの紹介やPRグッズの交付などの支援を行っており、認定事業者数は令和2年9月1日現在で飲食店485件、小売店246件、直売所19件の合計750件でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、食に関する学びという視点からお尋ねいたします。
 福岡市内で食に関する専門学校や大学が幾つあるか、また、そこで従事する従業員数及び学生の総数をお示しください。さらに、そこで学んだ学生のその後の進路はどうなっているのか、把握されている内容でお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市内の食に関する学校数と、その従業員数及び学生数につきましては、大学が2校、短期大学3校、専門学校6校で、全学校の従業員数は約700人、学生数は約3,100人でございます。
 また、学生の進路先につきましては、飲食店やホテルに加え、学校、病院、福祉施設における給食調理などとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、飲食店が集まって組織している団体についてお尋ねします。
 飲食店によっては、○○飲食組合や○○料飲組合など組織化を図っているところもあり、飲食産業の活性化のため、様々な活動を行っているようです。しかし、これらの団体の本市における窓口は経済部門ではなく、衛生部門と聞いています。
 そこでお尋ねしますが、料飲組合と本市との関係は具体的にどのようなものなのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 飲食業の組合と本市との関係についてでございますが、食品衛生の向上のために相互に協力を行っておりまして、具体的には、組合が開催する食品衛生講習会に職員を講師として派遣するほか、施設の衛生状態を確認するための立入検査を組合単位で実施するなどしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここまで飲食店や食に関する学校及び上記のような組織化された飲食・料飲関連団体の概要についてお尋ねしてきましたが、本市はこれらのステークホルダーと定期的な意見交換の場を持っているのでしょうか、または意見要望を受ける窓口は設けているのか、実績があるなら、その具体的な事例を併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 飲食店等からの意見交換や要望への対応につきましては、事業内容に応じてそれぞれの担当課が関連団体との窓口になっております。
 経済観光文化局における事例といたしましては、福岡フードビジネス協議会との食の海外販路拡大や福岡商工会議所との大規模MICEの受入れや食のイベント開催について、意見交換や連携を図っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 御答弁ありがとうございました。これまでの答弁を踏まえてまとめの提案なのですけれども、本市の飲食産業を今後さらに盛り上げていくための取組の方向性として、個々の店舗を組織化していくこと、これが重要ではないかと考えております。具体的には、本市が個々の飲食店の組織化を促し、自発的な提案やアイデアを持ち込んだ団体に対して支援を強化するといった方向性を打ち出してはどうでしょうか。そのためにも、まずは飲食組合や料飲組合といった飲食関連産業に携わる既存団体の実態把握を行い、それら団体との連携を強化するとともに、将来的には、本日の議論で御紹介した様々な食に関するキーパーソン、製造業や卸売業、飲食に関する小売業、飲食サービス業はもちろんですけれども、料飲組合ですとか、食に関する学校の関係者、これらを集めた福岡市食文化創造協議会、これは仮称ですけれども、このような会議体を立ち上げるべきではないかと考えますが、この質問の最後に御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 協議会等の立ち上げについてのお尋ねでございますが、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし、消費を増やすことが地域経済の活性化につながることから、観光MICEの振興に積極的に取り組んでいるところでございます。
 飲食関連産業は、福岡市の魅力である食を支える重要な産業であると認識しており、コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策と事業継続が最重要課題と考え、飲食のデリバリー利用促進やテークアウト支援に続き、飲食店へのアドバイザー派遣を行っているところでございます。
 今後も既存団体と連携するとともに、飲食関連事業者に対し情報提供や交流の促進を図るなど、観光MICEの事業展開を通じて、飲食関連産業の振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 与えられた時間もあまりないんですけれども、せっかく作ってきたので、見ていただきたい、市長にも特にですね。(パネル表示)
 先ほど言った食文化創造協議会というのは、何かイメージとしたらこんな感じで、先ほど申し上げた飲食サービス業はもちろんですけど、学校関係者とか、あと食に関する広報、雑誌を作っている会社とか。それに加えて、今ここに載せているのは、例えばラーメン部門とか、明太子部門とか、もつ鍋部門とか、何かそういう代表者の方々にも入ってもらって、福岡として食を盛り上げていこうやというような姿勢を本市として見せていただければなというのが今回の提案の趣旨であって、もう1個言ったら、提案を独自に持ってきた団体に対して支援しましょうよというのは、例えばこの各部会ごとに、例えばこれはもつ鍋部会を例に挙げていますけど、いろいろともつ鍋店が集まって交流会を開催して、調理法とか、経営法とか、そういうところを共有できるような独自の動きを促す、そんな呼び水として福岡市が食文化創造協議会というのを作ったら面白いんではないかなということで提案をさせていただきます。よろしくお願いします。
 最後に、行政ポイントと地域通貨の連携についてです。
 全国の自治体では、地域活動、健康づくり、省エネなどの行政課題に率先して取り組む市民に対してポイントを付与するという、いわゆる行政ポイント制度が広がりを見せているようです。
 はじめに、このような制度が全国の自治体で実施されている背景や目的についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 行政ポイントにつきましては、地域活動、健康づくりなどの行政課題について、それぞれの事業への市民の参加や活動、理解を促進すること。また、付与されたポイントの消費により地域経済を活性化することなどを主な目的とするもので、ICT技術の進化や普及、民間活力の導入などを背景に、自治体での導入が進められているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
 それでは、全国で実施されている地域活動、健康づくり、省エネに関する行政ポイント制度について、本市が把握している内容があればお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域活動に対するポイント付与制度を実施している都市につきましては、政令指定都市では相模原市がマイナンバーカードを活用して、自治会などによる地域の安全、安心なまちづくりに資する活動に従事するスタッフに対し、市内の商店街などで利用できるポイントを付与しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 健康づくり活動に関するポイント事業につきましては、平成28年度に実施した調査によりますと、横浜市においては歩数に応じてポイントがたまり、一定ポイント達成者に抽せんで商品券が当たるよこはまウォーキングポイント事業が実施されております。
 また、千葉市におきましては、健康づくりに取り組むグループでの活動にポイントがたまり、一定ポイントを達成したグループに抽せんで景品が当たる、健康づくり事業が実施されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) 省エネ行動に関するものについてお答えいたします。
 令和2年8月に、ホームページ及び電話にて確認いたしましたところ、政令指定都市では本市を含め6市が、都道府県では東京都などが実施いたしております。その内容につきましては、例えば北九州市では、学識経験者や消費者、事業者の代表等からなる市民協議会を設置し、環境事業への参加などに対し、抽せんで景品等に交換可能なポイントが付与されております。
 また、東京都は、省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、給湯器の買換えに対し、商品券とLED割引券に交換可能なポイントが付与されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 他都市では様々な事例があるようです。
 それでは、本市においてこのような行政ポイント制度を導入した事業の実施に関して、これまでの過去の実績があればお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 健康づくり活動に関するポイント制度の導入実績につきましては、活動を始めるきっかけづくりやその活動の継続促進を目的に、健診受診やウオーキングの実践、健康づくりイベントへの参加などに対してポイントを付与するふくおか健康マイレージ事業を、平成26年度から29年度にかけて試行的に実施をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) 省エネ行動に関するものにつきましては、地球温暖化対策の積極的な実践活動を推進するため、福岡市が事務局をしております福岡市地球温暖化対策市民協議会が、市民の省エネ行動に応じてポイントを付与するECOチャレンジ応援事業を平成23年度より実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市でも、保健福祉局と環境局とでそれぞれポイント付与の実績があるとのことです。
 それでは、そのうち現在も実施されているECOチャレンジ応援事業について、その概要及び仕組みについてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) ECOチャレンジ応援事業は、参加世帯が取り組んだ省エネ行動に応じてポイントを付与するものでございます。
 まず、参加希望の世帯が専用ウェブサイト、メール、ファクス、郵送のいずれかにより申込みを行い、登録後約3か月間、電気やガスの使用料削減、省エネ家電の購入、環境イベントへの参加など、省エネ行動に取り組みます。取り組み後、参加世帯からのメール等でレシートなどを事務局が実績確認した後、令和2年度は最大で1万7,200ポイントが付与されます。参加世帯は、ポイント、はやかけん、ニモカ、スゴカのいずれの交通系ICカードのポイントに変換して受け取る仕組みになっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ECOチャレンジ応援事業についてもう少し詳しく伺っていきます。
 直近3年間に当たる平成29年度からの事業予算額、参加登録世帯数及び付与したポイント数についてはどのようになっているか、それぞれ年度ごとにお示しください。
 また、当該事業の成果について、本市はどのように評価しているのか、併せてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) ECOチャレンジ応援事業に係る福岡市地球温暖化対策市民協議会の予算額は、平成29年度が435万円余、30年度が611万円余、令和元年度が744万円余、2年度が744万円余でございます。また、参加登録世帯数は、平成29年度が152世帯、30年度が1,050世帯、令和元年度が1,065世帯でございます。また、付与したポイント数は、平成29年度が約11万3,000ポイント、30年度が35万5,000ポイント、令和元年度が約36万ポイントでございます。
 次に、事業の成果は、毎年参加者へアンケートを実施いたしておりまして、直近3か年のアンケートでは、95%を超える参加世帯が今後も省エネ行動を続けていきたいと回答していることから、参加者の省エネ行動を促進しているものと評価いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
 これまでは、行政ポイントについてお話をお伺いしてきましたが、この行政ポイントの連携先として考えられる地域通貨についてお伺いしていきます。
 まず、そもそも地域通貨とは何か。また、地域通貨を発行する目的や課題について、それぞれどのようなことが考えられるか、説明を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 地域通貨につきましては明確な定義はありませんが、特定の地域やコミュニティにおいて、物やサービスの対価として決済に使うことができる疑似的な通貨と認識しております。
 発行目的につきましては、一般的には地域経済と地域コミュニティの活性化などが挙げられます。
 また、課題といたしましては、発行や管理、換金などに労力や経費を要することや、認知度や利便性が高くないことなどが考えられます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 近年、その地域通貨についてはデジタル化が促進されていると聞いていますが、その背景と目的についてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 地域通貨のデジタル化の背景につきましては、現時点では、デジタル化の事例は限られていますが、スマートフォン等の普及に伴う電子決済の広がりなどが考えられます。
 また、目的につきましては、利用者の利便性向上や参加店の負担軽減を図ることなどが考えられます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 全国では、これらデジタル化の促進を背景に、地域を限定して使用できる電子地域通貨を発行している団体があると聞いています。この点について、本市が把握している内容についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 電子地域通貨の先行事例として、まず、アクアコインにつきましては、千葉県の君津信用組合が発行する電子地域通貨で、木更津市から付与されたボランティア活動に対するポイントを当該コインとして利用できるとのことでございます。
 次に、さるぼぼコインにつきましては、岐阜県飛騨信用組合が発行する電子地域通貨で、高山市、日田市では、窓口手数料や市税などを当該コインで支払うことができるとともに、日田市では、当該コインのアプリで防災情報を市民に配信できるとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 私の最後の質問であります。
 これは理想の状況と書いていますけど、(パネル表示)左手が行政ポイントで、右手が地域通貨という話なんですね。これは、将来的には今デビタル化の話もしましたけど、先ほど今日のお話で御紹介した、例えば健康づくりポイントだとか地域活動ポイント。福岡市がやっているのはECOチャレンジもありますけれども、それぞれポイントが、多分──過去は電子化されていなかったみたいですけど──それを別々につくるんじゃなくて、同じようなポイントというのを発行してあげると。そうすると、この福岡市共通行政ポイント制度という中で、この福岡市地域通貨システムとの互換、つまり換金をすると。そうすると、例えば商店街でのお買物ですとか、将来的には納税もこういうポイントでできたらいいなというふうな御提案です。今回納税はききませんでした。とういうか、そもそも地域通貨の話自体が、多分、福岡市の現状と私が言っていることは結構距離があると思うんですね。ただし、左側のこの行政ポイント、これは、ECOチャレンジ事業はいい取組だと私は思っています。だからこれを、レシートを貼ってメールを添付してとかじゃなくて、スマートフォンでやり取りができて、勝手にそこにチャージされるというような仕組みが望ましいなということで提案をさせていただきました。
 これは、納税も実は技術的には難しい状況ではなくて、あとはコストの面というのがあるわけですけれども、そういうコストを下げていくためにもこういうシステムに加入する自治体が増えていかなきといけませんし、そこに対する行政の支援、国の支援も含めてですけど、こういうのが増えていかないと、なかなかこういうところにはたどり着かないのかなというのは、あるわけです。ただ、やはり行政ポイントの部分については、やっぱり全国に先駆けてそういう共通の基盤をつくっていただければなという思いで今日、地域通貨まではちょっと時間がかかるかもしれませんけど、御提案をさせていただきました。
 最後です。
 本市においても全市共通の行政ポイント制度を構築した上で、当該ポイントを、地域を限定して使用できる通貨、地域通貨として活用できるような仕組みを導入してはいかがでしょうか。技術的にはもう難しくない──難しいこともありますけど──将来的にはやっぱり電子通貨として流通させることも考えられると。そうすることにより、こういう行政ポイント制度、最初に目的をお伺いしましたけれども、やっぱりそれは市民に関心を持っていただいて、その市民の行動変容というのを呼び起こす。そのための仕掛けとしては私はいいと思います。そのスピードも上がっていくと考えるわけですけれども、最後に御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市におきましては、市民の活動に対するポイントの付与、関連情報の効果的な発信など、様々な行政課題解決の一助となる市民の行動変容を促す仕組みについて、ICT技術等を活用した、使いやすく安価なシステムを模索するため、令和元年度にサウンディング調査を実施したところでございます。
 今後とも、各局が実施する事業の目的や必要性、サウンディング調査の結果などを踏まえ、効果が高く、市民にとって魅力のある仕組みについて、関係局とともに、検討を進めてまいります。以上でございます。
 
午後 時 分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ)登壇 私は福岡市民クラブを代表して、丘陵地域の住宅に対する支援策の拡充について、飲食産業に対する支援強化について、行政ポイントと地域通貨の連携について、以上3点について質問いたします。
 はじめに、丘陵地域の住宅に対する支援策の拡充についてです。
 先日、丘陵地域にお住まいの方から、見るからに隣家の法面が崩壊しそうで、その下に住んでいる身としてはとても不安を感じています。相談しようにも、そこは最近売地になっていて人が住んでおらず、なかなか話が進まない。さきの7月豪雨の経験もあり、ますます不安は募るばかりですという御相談をいただきました。
 私はこの相談をきっかけに、市内の丘陵地域に建てられている住宅の状況をこの目で確認する機会を得ました。傾斜地で斜面に近いにもかかわらず、十分な擁壁が設置されていないように見受けられる建物や見るからに法面の状況が厳しそうな箇所。場所によっては、人が住んでいる気配のない一軒家、空き地などが少なからずあり、土砂災害が起きたときにこの家は大丈夫だろうかと心配になるとともに、建物地盤や法面が崩壊したら下の家に被害が及ぶことになるが、維持管理はしっかりとなされているのだろうかと感じずにはいられませんでした。
 一方で福岡市も、土砂災害が予想される場合や発生した場合に市民の自主的な避難行動を支援し、土砂災害から人命を守るとともに、被害を最小限とするために土砂災害ハザードマップを校区ごとに作成し、注意喚起を促しているところです。このマップを見ると、急傾斜地における崖崩れや土石流の危険性がある箇所が、それぞれ土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンと、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンというエリア分けとともに、明示されています。
 今回の質問では、これらレッドゾーン、イエローゾーンを含めた丘陵地にある住宅、建物に対する支援の在り方を検証し、当該地域における安全、安心な住環境整備に向けた取組を提案できればと思います。
 そこでまず、お尋ねいたします。
 この土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域とは何か、それぞれの定義と法的根拠について説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域につきましては、土砂災害警戒区域などにおける土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づき、福岡県において区域指定に必要な基礎調査等を実施し、指定されるものでございます。
 それぞれの定義については、土砂災害警戒地域は、「急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命または身体に危険が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」とされ、また、土砂災害特別警戒区域は、「土砂災害警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民の生命又は身体に著しい危害が生じるおそれがあると認められる土地の区域」とされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域について、本市にはそれぞれ何か所あるのか、また、それぞれの区域内にある人家戸数についても、併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 本市における土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域の箇所数及び区域内の人家戸数につきましては、令和2年4月24日現在で土砂災害警戒区域は1,782か所、このうち土砂災害特別警戒区域は1,542か所となっており、土砂災害警戒区域内の人家戸数は2万6,861戸、このうち土砂災害特別警戒区域内の人家戸数は4,233戸となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市においては、レッドゾーンとイエローゾーンに合計で2万6,861戸、住民の数で言えば、少なく見積もってもおよそ5万人以上の方々生活されている計算です。それ以外の丘陵地も含めるとそれ以上になるわけですけれども、次に、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域にある住宅について、安全性向上に関する行政支援はどのようなメニューがあるのでしょうか、その制度の概要と、過去5年間の利用実績についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 土砂災害警戒区域の建築物に関する助成制度はありませんが、土砂災害特別警戒区域内にある建築物については2つの助成制度がございます。
 1つは、福岡市土砂災害等危険住宅移転事業として、現に居住している住宅で土砂災害に対する構造耐力上の安全性を有していないもの、若しくは福岡県知事からの移転勧告を受けたものに対しまして、福岡市内の土砂災害警戒区域外への移転や除去に要する費用の一部を助成するもの。
 もう1つは、福岡市住宅・建築物土砂災害対策改修事業といたしまして、土砂災害に対する構造耐力上の安全性を有していない住宅や建築物に対し、土石流から守る塀の設置等に要する費用の一部を助成するものでございます。
 移転事業は平成6年度より改修事業は29年度より実施しておりまして、過去5年間の実績につきましては、移転事業の2件でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここで、行政支援制度のうち、福岡市住宅・建築物土砂災害対策改修事業に関してお尋ねいたします。
 事前に頂いた資料によれば、これは土砂災害特別警戒区域内にある住宅に対して、土石流から守る塀の設置等にあるいは改修に必要な経費の23%、上限で75万9,000円を補助するという内容です。答弁によりますと、当該事業は平成29年度に事業が始まって以来、全く活用されていないようですけれども、これは使い勝手が悪いことが原因ではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 改修事業につきましても、相談や問い合わせはございますが、一定の自己負担が必要であり、また、改修ではなく建て替えを希望されたなどの理由から、助成事業の利用に至らなかったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) また、この改修助成事業は、土砂災害警戒区域、イエローゾーンには適用されていないとのことですが、その理由についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 土砂災害特別警戒区域内においては、建築基準法施行令第80条の3の規定によりまして、居室を有する建物を建築する際に、土砂災害に対して建物の外壁等、もしくは塀で、構造耐力上、有効な措置を講じなければならないと規定されておりますが、土砂災害警戒区域内についてはその定めはございません。そのため、土砂災害特別警戒区域では、国の制度を活用して、構造耐力上、有効な措置を講ずるものに対して助成を実施いたしているところでございます。
 なお、国の制度におきましても、土砂災害特別警戒区域のみを対象とされてございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 今回の質問の根底には、冒頭にも述べましたけれども、そもそも丘陵地における建物住宅は安全性に問題はないのかという問題意識があります。土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域については言うまでもなく、本市にはそれ以外の区域にも丘陵地及び傾斜地に住宅が張りついている地域が少なくないと思います。この点に対する施策はとても重要です。
 そこでお尋ねしますが、住宅の安全性向上に関して、丘陵地及び傾斜地に住む市民から寄せられている意見、要望とはどのようなものがあるのか、その内容についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 傾斜地等におきましては、住宅の新築や改築に当たり、既存擁壁の取扱い、擁壁の構造仕様に対する相談や隣地擁壁の安全性などの相談を受けることがございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) そのとおりだと思います。私の感覚とも合致するわけですけれども、それでは現在、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域にある住宅について、どれだけの家屋が構造耐力上の安全性が十分であるという状況にあるか、この点について本市は把握しているのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 建築物や塀の構造耐力を把握するためには、それぞれの建築物等において構造図や構造計算に基づく安全性を確認する必要がありますことから、個々の建築物について行政がそれを把握することは極めて難しいのではないかと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
 これまでのやり取りから分かることは、本当は擁壁や住宅の改修をしたいけれども、多額の支出がネックとなって改修に踏み切れない。自身が住んでいる建物の耐久性に不安を抱きながら暮らしている市民も少なくないのではないかということです。答弁によれば、現状の把握も十分ではないようです。
 そこでお尋ねしますが、そのような人々がどれくらい存在するのかという点を把握するとともに、現行の助成制度に対する評価を聞くために、まずは全市的に丘陵地エリアの現状調査を行ってはどうかと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 住宅をはじめとした建築物や擁壁等の安全性への対応につきましては、個人の財産であるという意味において、その所有者が適切に維持管理されるのを原則としつつ、土砂災害に対する対応として、国の制度に基づき、助成制度を実施いたしております。他の政令市ではまだ実施されていない都市が多い状況ですが、実施されている都市の多くは、対象区域や助成率など、本市と同様の用件となってございます。
 今後とも、市政だより等による助成制度の広報、周知を行うとともに、擁壁に関するチェックシートの活用などで、維持管理についても、助言等も行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここでパネルを出したいんですけれども、(パネル表示)これは今年の7月27日、1か月半前、大雨によって小呂島簡易水道浄水場の法面が崩壊するという事案が発生しています。このパネルはそれを図示したものなんですけれども、これ自体は今回問題にはしませんが、土砂災害が及ぼす住宅への影響というのをイメージしていただければなと思ってお持ちした次第です。
 右上にあるんですが、この浄水場は盛土の上に建てられているんですけれども、例えばこれを丘陵地に造成された戸建て住宅として見てもらうと、今回のケースは、高いところにある家の例えばA宅がこの浄水場の建屋だとして、今土砂が流れてきますけど、ここのB宅に土砂が流れ込んだという事案に例えることができます。これはさきの答弁を踏まえると、こういう事態が発生したときには、それはこの上のA宅の人が法面をしっかりと管理しなかったから生じたんですよねというのが、これは今のやり取りだと、本市の見解だと思います。
 しかしながら、丘陵地においてこのような状況にある宅地というのは多く存在する上に、さきの答弁でも紹介されたとおり、相談の今の状況を私聞かせていただきました。自身が住む建物や法面の強度に不安を感じて、不安を抱いている市民も存在するということです。これは例えば、独自に擁壁設置や法面補強に対応できる余力がある、そういう家だったらいいんですけど、現行の助成制度の利用状況を見る限りでは、例えば台風や豪雨の際に、建物や法面の強度に不安があるけれども、補強や改修のための費用が大きいため、なかなか対応できていないという市民がいるのではないかと発想するのが私は自然であると思いますし、強く思うわけであります。
 実際に丘陵地を回ってみると、このようなパネルのように(パネル表示)家が立ち並んでいる状況というのは、ざらであります。中には、高い位置にある家が空き家であったり売りに出ていたりするケースもある。そうすると、仮に家屋地盤や法面に問題があったとしても、対応が遅れたり、対応自体が困難であったりというケースも容易に想像できる。下の家に住む人の不安もいかばかりかと私は思うわけであります。よって今回の提案として、この丘陵地エリアにおいて自宅の家屋地盤のみならず、隣家の法面強度に不安を抱えている市民がどれだけいるのかという点を明らかにするために、まずは実態調査だけでもやってみるべきではないかと。その過程で、現行の助成制度が不十分だったとすれば、その改善につなげるようになるのではないかという思いで、土砂災害の話からこういう話をさせていただきました。
 今後、丘陵地対策、傾斜地対策の一環として、将来的には現行の助成制度に改善に取り組み、丘陵地に住まう方々の法面改修や住宅改築を促すなど、安心して生活を送っていける住環境づくりを目指すべきではないかと思いますが、この質問の最後に、市長に御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、熊本地震や九州北部豪雨などの大規模な災害が毎年のように発生しておりまして、土砂災害などによります被害を防ぐため、建築物や擁壁等については日頃から維持管理に注意をして、事前の防災に向けた対応が大変重要であるというふうに考えています。
 今後も引き続き、防災性の向上に向け、ホームページや市政だよりなどによります広報、周知をはじめ、国の制度を活用した助成制度を実施するなど、安全、安心なまちづくりに向けて取り組んでまいります。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 市長、御答弁ありがとうございます。
 ただ、今日のやり取りで私が丘陵地に求める対策、認識と、市の対策、認識というのは非常に距離感があるなということが分かったわけです。ただし、先ほどよその都市もこういう基準でやっているというお話があったんですけど、でも実態は違うわけですね。例えば、長野県飯田市の事例でいうと上限が100万円で補助率が50%。福岡市は23%の上限──75万9,000円なんですけどね。例えば福井県大井町いうところがあって、ここは補助率が80%で上限が330万円。同じ政令市の神戸市、それから同じ兵庫県の三田市、芦屋市、それから岐阜県の郡上市、ここは補助率が3分の1で上限が112万円。鳥取県は補助率50%、市町村と合わせて200万円の上限でこういう改修のための補助が出るということなんですね。つまり、そういう他都市の事例もありますので、ぜひともこういう丘陵地に向き合っていただいて、まずは実態を把握されるということはぜひやっていただきたいと改めて要望して、次の質問にまいります。
 次に、飲食産業に対する支援強化についてお尋ねします。
 これまで本市は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、家賃補助やデリバリー、テークアウト支援など、飲食店に対しては様々な経済対策を実施してきたところです。これら飲食店舗を支えるための緊急の経済対策については引き続き求めていきたいと思いますが、今回の質問では、本市の基幹産業ともいうべき飲食関連産業を盛り上げていくために必要な取組について、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済支援とは違った視点で、既にある状況を生かして、その基盤を強化するといった視点から議論をしていきたいと思います。
 はじめに、福岡市内で飲食関連産業と言われる事業所の概要についてお尋ねします。
 本市には食料品製造業、飲食料品卸売業、飲食料品小売業、飲食サービス業の事業所がそれぞれ幾つあるのか、また、当該事業所で従事している従業員の数は何人でしょうか、それぞれお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市内の飲食関連産業の事業所数及び従業員数につきましては、平成28年経済センサスによりますと、食料品製造業が416事業所1万1,068人、飲食料品卸売業が1,505事業所1万8,038人、飲食料品卸売業が3,585事業所3万7,306人、飲食サービス業が9,987事業所8万4,524人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) とりわけ飲食サービス業についてお伺いいたします。
 飲食サービス業の事業所数及び従業員数は、本市全産業の中でそれぞれどれぐらいの割合を占めているのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 先ほどの質問で答弁に間違いがありましたので、訂正させていただきます。
 本来であれば、飲食料品小売業と申し上げるところを卸売業と申し上げました。正確には、飲食料品小売業が3,585事業所3万7,306人となっております。訂正します。すみませんでした。
 そして、今の御質問にお答えします。
 福岡市の全産業における飲食サービス業が占める割合につきましては、平成28年経済センサスによりますと、事業所数の割合が約14%、従業員数の割合が約10%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市の飲食関連産業のボリュームとしては、事業所数では1万5,493事業所で全体の21%、従業者数では15万936人で全体の17%を占めます。その中でも飲食サービス業について言えば、事業所数で本市全議案の14%、従業員数で10%と、とりわけ大きな部分を占めていることが分かります。
 ところで、本市は食べ物がおいしいまちとしてPRを行っていると思いますが、具体的にどのような媒体でどのような点をPRされているんでしょうか。また、その結果、国内外でどのような評価を受けているのか、併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の食に関するPRにつきましては、拡散性の高いSNSや動画共有サイトなどを活用し、観光客に人気のある博多ラーメン、もつ鍋、水炊きや新鮮な海産物をはじめとする豊かな食文化に関して情報発信を行っております。また、国内外での評価につきましては、大手旅行予約サイトの調査によりますと、グルメ旅行にお勧めの日本の都市第1位を獲得するなど、高い評価を得ております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ただいまの答弁でもさることながら、本市は食べ物がおいしいまちとしての認知度も高く、それは飲食関連産業の事業所、従事者が多いということとも無関係ではないと思います。
 次に、新型コロナウイルス感染症発生以前における本市の飲食サービス業をめぐる課題や問題点及び本市による支援の実績についてそれぞれお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市の飲食サービス業につきましては、増加する国内外からの観光客へ対応するため、多言語対応や多様な食習慣への対応などが課題と認識いたしております。
 また、福岡市による支援の実績につきましては、外国人受入れに関するセミナーの開催やメニューの多言語化に関する支援、キャッシュレスの促進に取り組むとともに、大規模スポーツMICEに合わせて、ホームページやパンフレットで飲食店の情報発信を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。また、本市の1次産品の消費拡大を目的としてうまかもん条例に基づく施策展開があると思いますが、関連施策の内容と実績についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 中村農林水産局長。
○農林水産局長(中村健児) うまかもん条例に関する施策の内容と実績についてでございますが、農林水産局では、平成27年4月に施行されたふくおかさん家のうまかもん条例に基づき、市内の農林水産物の生産、消費拡大を図る目的で、ふくおかさん家のうまかもん事業者の認定に取り組んでおります。市内産農林水産物及びその加工食品を提供または販売する事業者をふくおかさん家のうまかもん事業者と認定し、専用ホームページでの紹介やPRグッズの交付などの支援を行っており、認定事業者数は令和2年9月1日現在で飲食店485件、小売店246件、直売所19件の合計750件でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、食に関する学びという視点からお尋ねいたします。
 福岡市内で食に関する専門学校や大学が幾つあるか、また、そこで従事する従業員数及び学生の総数をお示しください。さらに、そこで学んだ学生のその後の進路はどうなっているのか、把握されている内容でお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 福岡市内の食に関する学校数と、その従業員数及び学生数につきましては、大学が2校、短期大学3校、専門学校6校で、全学校の従業員数は約700人、学生数は約3,100人でございます。
 また、学生の進路先につきましては、飲食店やホテルに加え、学校、病院、福祉施設における給食調理などとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 次に、飲食店が集まって組織している団体についてお尋ねします。
 飲食店によっては、○○飲食組合や○○料飲組合など組織化を図っているところもあり、飲食産業の活性化のため、様々な活動を行っているようです。しかし、これらの団体の本市における窓口は経済部門ではなく、衛生部門と聞いています。
 そこでお尋ねしますが、料飲組合と本市との関係は具体的にどのようなものなのか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 飲食業の組合と本市との関係についてでございますが、食品衛生の向上のために相互に協力を行っておりまして、具体的には、組合が開催する食品衛生講習会に職員を講師として派遣するほか、施設の衛生状態を確認するための立入検査を組合単位で実施するなどしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ここまで飲食店や食に関する学校及び上記のような組織化された飲食・料飲関連団体の概要についてお尋ねしてきましたが、本市はこれらのステークホルダーと定期的な意見交換の場を持っているのでしょうか、または意見要望を受ける窓口は設けているのか、実績があるなら、その具体的な事例を併せてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 飲食店等からの意見交換や要望への対応につきましては、事業内容に応じてそれぞれの担当課が関連団体との窓口になっております。
 経済観光文化局における事例といたしましては、福岡フードビジネス協議会との食の海外販路拡大や福岡商工会議所との大規模MICEの受入れや食のイベント開催について、意見交換や連携を図っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 御答弁ありがとうございました。これまでの答弁を踏まえてまとめの提案なのですけれども、本市の飲食産業を今後さらに盛り上げていくための取組の方向性として、個々の店舗を組織化していくこと、これが重要ではないかと考えております。具体的には、本市が個々の飲食店の組織化を促し、自発的な提案やアイデアを持ち込んだ団体に対して支援を強化するといった方向性を打ち出してはどうでしょうか。そのためにも、まずは飲食組合や料飲組合といった飲食関連産業に携わる既存団体の実態把握を行い、それら団体との連携を強化するとともに、将来的には、本日の議論で御紹介した様々な食に関するキーパーソン、製造業や卸売業、飲食に関する小売業、飲食サービス業はもちろんですけれども、料飲組合ですとか、食に関する学校の関係者、これらを集めた福岡市食文化創造協議会、これは仮称ですけれども、このような会議体を立ち上げるべきではないかと考えますが、この質問の最後に御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 協議会等の立ち上げについてのお尋ねでございますが、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者を増やし、消費を増やすことが地域経済の活性化につながることから、観光MICEの振興に積極的に取り組んでいるところでございます。
 飲食関連産業は、福岡市の魅力である食を支える重要な産業であると認識しており、コロナ禍においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策と事業継続が最重要課題と考え、飲食のデリバリー利用促進やテークアウト支援に続き、飲食店へのアドバイザー派遣を行っているところでございます。
 今後も既存団体と連携するとともに、飲食関連事業者に対し情報提供や交流の促進を図るなど、観光MICEの事業展開を通じて、飲食関連産業の振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 与えられた時間もあまりないんですけれども、せっかく作ってきたので、見ていただきたい、市長にも特にですね。(パネル表示)
 先ほど言った食文化創造協議会というのは、何かイメージとしたらこんな感じで、先ほど申し上げた飲食サービス業はもちろんですけど、学校関係者とか、あと食に関する広報、雑誌を作っている会社とか。それに加えて、今ここに載せているのは、例えばラーメン部門とか、明太子部門とか、もつ鍋部門とか、何かそういう代表者の方々にも入ってもらって、福岡として食を盛り上げていこうやというような姿勢を本市として見せていただければなというのが今回の提案の趣旨であって、もう1個言ったら、提案を独自に持ってきた団体に対して支援しましょうよというのは、例えばこの各部会ごとに、例えばこれはもつ鍋部会を例に挙げていますけど、いろいろともつ鍋店が集まって交流会を開催して、調理法とか、経営法とか、そういうところを共有できるような独自の動きを促す、そんな呼び水として福岡市が食文化創造協議会というのを作ったら面白いんではないかなということで提案をさせていただきます。よろしくお願いします。
 最後に、行政ポイントと地域通貨の連携についてです。
 全国の自治体では、地域活動、健康づくり、省エネなどの行政課題に率先して取り組む市民に対してポイントを付与するという、いわゆる行政ポイント制度が広がりを見せているようです。
 はじめに、このような制度が全国の自治体で実施されている背景や目的についてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 行政ポイントにつきましては、地域活動、健康づくりなどの行政課題について、それぞれの事業への市民の参加や活動、理解を促進すること。また、付与されたポイントの消費により地域経済を活性化することなどを主な目的とするもので、ICT技術の進化や普及、民間活力の導入などを背景に、自治体での導入が進められているものと認識しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
 それでは、全国で実施されている地域活動、健康づくり、省エネに関する行政ポイント制度について、本市が把握している内容があればお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域活動に対するポイント付与制度を実施している都市につきましては、政令指定都市では相模原市がマイナンバーカードを活用して、自治会などによる地域の安全、安心なまちづくりに資する活動に従事するスタッフに対し、市内の商店街などで利用できるポイントを付与しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 健康づくり活動に関するポイント事業につきましては、平成28年度に実施した調査によりますと、横浜市においては歩数に応じてポイントがたまり、一定ポイント達成者に抽せんで商品券が当たるよこはまウォーキングポイント事業が実施されております。
 また、千葉市におきましては、健康づくりに取り組むグループでの活動にポイントがたまり、一定ポイントを達成したグループに抽せんで景品が当たる、健康づくり事業が実施されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) 省エネ行動に関するものについてお答えいたします。
 令和2年8月に、ホームページ及び電話にて確認いたしましたところ、政令指定都市では本市を含め6市が、都道府県では東京都などが実施いたしております。その内容につきましては、例えば北九州市では、学識経験者や消費者、事業者の代表等からなる市民協議会を設置し、環境事業への参加などに対し、抽せんで景品等に交換可能なポイントが付与されております。
 また、東京都は、省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、給湯器の買換えに対し、商品券とLED割引券に交換可能なポイントが付与されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 他都市では様々な事例があるようです。
 それでは、本市においてこのような行政ポイント制度を導入した事業の実施に関して、これまでの過去の実績があればお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 健康づくり活動に関するポイント制度の導入実績につきましては、活動を始めるきっかけづくりやその活動の継続促進を目的に、健診受診やウオーキングの実践、健康づくりイベントへの参加などに対してポイントを付与するふくおか健康マイレージ事業を、平成26年度から29年度にかけて試行的に実施をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) 省エネ行動に関するものにつきましては、地球温暖化対策の積極的な実践活動を推進するため、福岡市が事務局をしております福岡市地球温暖化対策市民協議会が、市民の省エネ行動に応じてポイントを付与するECOチャレンジ応援事業を平成23年度より実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 本市でも、保健福祉局と環境局とでそれぞれポイント付与の実績があるとのことです。
 それでは、そのうち現在も実施されているECOチャレンジ応援事業について、その概要及び仕組みについてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) ECOチャレンジ応援事業は、参加世帯が取り組んだ省エネ行動に応じてポイントを付与するものでございます。
 まず、参加希望の世帯が専用ウェブサイト、メール、ファクス、郵送のいずれかにより申込みを行い、登録後約3か月間、電気やガスの使用料削減、省エネ家電の購入、環境イベントへの参加など、省エネ行動に取り組みます。取り組み後、参加世帯からのメール等でレシートなどを事務局が実績確認した後、令和2年度は最大で1万7,200ポイントが付与されます。参加世帯は、ポイント、はやかけん、ニモカ、スゴカのいずれの交通系ICカードのポイントに変換して受け取る仕組みになっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ECOチャレンジ応援事業についてもう少し詳しく伺っていきます。
 直近3年間に当たる平成29年度からの事業予算額、参加登録世帯数及び付与したポイント数についてはどのようになっているか、それぞれ年度ごとにお示しください。
 また、当該事業の成果について、本市はどのように評価しているのか、併せてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 細川環境局長。
○環境局長(細川浩行) ECOチャレンジ応援事業に係る福岡市地球温暖化対策市民協議会の予算額は、平成29年度が435万円余、30年度が611万円余、令和元年度が744万円余、2年度が744万円余でございます。また、参加登録世帯数は、平成29年度が152世帯、30年度が1,050世帯、令和元年度が1,065世帯でございます。また、付与したポイント数は、平成29年度が約11万3,000ポイント、30年度が35万5,000ポイント、令和元年度が約36万ポイントでございます。
 次に、事業の成果は、毎年参加者へアンケートを実施いたしておりまして、直近3か年のアンケートでは、95%を超える参加世帯が今後も省エネ行動を続けていきたいと回答していることから、参加者の省エネ行動を促進しているものと評価いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) ありがとうございます。
 これまでは、行政ポイントについてお話をお伺いしてきましたが、この行政ポイントの連携先として考えられる地域通貨についてお伺いしていきます。
 まず、そもそも地域通貨とは何か。また、地域通貨を発行する目的や課題について、それぞれどのようなことが考えられるか、説明を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 地域通貨につきましては明確な定義はありませんが、特定の地域やコミュニティにおいて、物やサービスの対価として決済に使うことができる疑似的な通貨と認識しております。
 発行目的につきましては、一般的には地域経済と地域コミュニティの活性化などが挙げられます。
 また、課題といたしましては、発行や管理、換金などに労力や経費を要することや、認知度や利便性が高くないことなどが考えられます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 近年、その地域通貨についてはデジタル化が促進されていると聞いていますが、その背景と目的についてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 地域通貨のデジタル化の背景につきましては、現時点では、デジタル化の事例は限られていますが、スマートフォン等の普及に伴う電子決済の広がりなどが考えられます。
 また、目的につきましては、利用者の利便性向上や参加店の負担軽減を図ることなどが考えられます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 全国では、これらデジタル化の促進を背景に、地域を限定して使用できる電子地域通貨を発行している団体があると聞いています。この点について、本市が把握している内容についてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 天本経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(天本俊明) 電子地域通貨の先行事例として、まず、アクアコインにつきましては、千葉県の君津信用組合が発行する電子地域通貨で、木更津市から付与されたボランティア活動に対するポイントを当該コインとして利用できるとのことでございます。
 次に、さるぼぼコインにつきましては、岐阜県飛騨信用組合が発行する電子地域通貨で、高山市、日田市では、窓口手数料や市税などを当該コインで支払うことができるとともに、日田市では、当該コインのアプリで防災情報を市民に配信できるとのことでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田中しんすけ議員。
○61番(田中しんすけ) 私の最後の質問であります。
 これは理想の状況と書いていますけど、(パネル表示)左手が行政ポイントで、右手が地域通貨という話なんですね。これは、将来的には今デビタル化の話もしましたけど、先ほど今日のお話で御紹介した、例えば健康づくりポイントだとか地域活動ポイント。福岡市がやっているのはECOチャレンジもありますけれども、それぞれポイントが、多分──過去は電子化されていなかったみたいですけど──それを別々につくるんじゃなくて、同じようなポイントというのを発行してあげると。そうすると、この福岡市共通行政ポイント制度という中で、この福岡市地域通貨システムとの互換、つまり換金をすると。そうすると、例えば商店街でのお買物ですとか、将来的には納税もこういうポイントでできたらいいなというふうな御提案です。今回納税はききませんでした。とういうか、そもそも地域通貨の話自体が、多分、福岡市の現状と私が言っていることは結構距離があると思うんですね。ただし、左側のこの行政ポイント、これは、ECOチャレンジ事業はいい取組だと私は思っています。だからこれを、レシートを貼ってメールを添付してとかじゃなくて、スマートフォンでやり取りができて、勝手にそこにチャージされるというような仕組みが望ましいなということで提案をさせていただきました。
 これは、納税も実は技術的には難しい状況ではなくて、あとはコストの面というのがあるわけですけれども、そういうコストを下げていくためにもこういうシステムに加入する自治体が増えていかなきといけませんし、そこに対する行政の支援、国の支援も含めてですけど、こういうのが増えていかないと、なかなかこういうところにはたどり着かないのかなというのは、あるわけです。ただ、やはり行政ポイントの部分については、やっぱり全国に先駆けてそういう共通の基盤をつくっていただければなという思いで今日、地域通貨まではちょっと時間がかかるかもしれませんけど、御提案をさせていただきました。
 最後です。
 本市においても全市共通の行政ポイント制度を構築した上で、当該ポイントを、地域を限定して使用できる通貨、地域通貨として活用できるような仕組みを導入してはいかがでしょうか。技術的にはもう難しくない──難しいこともありますけど──将来的にはやっぱり電子通貨として流通させることも考えられると。そうすることにより、こういう行政ポイント制度、最初に目的をお伺いしましたけれども、やっぱりそれは市民に関心を持っていただいて、その市民の行動変容というのを呼び起こす。そのための仕掛けとしては私はいいと思います。そのスピードも上がっていくと考えるわけですけれども、最後に御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 龍総務企画局長。
○総務企画局長(龍 靖則) 福岡市におきましては、市民の活動に対するポイントの付与、関連情報の効果的な発信など、様々な行政課題解決の一助となる市民の行動変容を促す仕組みについて、ICT技術等を活用した、使いやすく安価なシステムを模索するため、令和元年度にサウンディング調査を実施したところでございます。
 今後とも、各局が実施する事業の目的や必要性、サウンディング調査の結果などを踏まえ、効果が高く、市民にとって魅力のある仕組みについて、関係局とともに、検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、子ども・子育て支援について、社会福祉施設で新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応について、災害時の高齢者、障がい者の避難について、3問質問をいたします。
 はじめに、子ども・子育て支援について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の流行は、結婚、妊娠、出産、子育ての当事者にも多大な影響を与えており、安心して子どもを生み育てられる環境を整えることの重要性を改めて浮き彫りにしました。妊産婦が抱える妊娠、出産、子育ての悩みに対して、孤立感や負担感を取り除き、安心して妊娠、出産できる支援を届けることが、今、自治体に求められています。
 まず、本市が行っている産後ケア事業の概要についてお聞かせください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業につきましては、産後間もない母親が安心して子育てができる支援体制を確保することを目的に、生後4か月未満の乳児とその母親を対象に、産科医療機関などにおいて、授乳や沐浴の指導、育児相談、母体の体調管理を行うもので、宿泊型のショートステイと日帰り型のデイケアがございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 産後ケアには、ショートステイとデイケアがあるようですが、利用者数、利用日数についてそれぞれお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の利用者数と利用日数につきまして、令和元年度の実績でお答えいたします。
 ショートステイについては、実利用者数が131組で延べ利用日数が413日、そのうち市民税課税世帯は、実利用者数が121組で延べ利用日数が374日、市民税非課税世帯と生活保護世帯は、実利用者数が10組で延べ利用日数が39日となっております。また、デイケアについては、実利用者数が395組で延べ利用日数が524日、そのうち市民税課税世帯は、実利用者数が383組で延べ利用日数が490日、市民税非課税世帯と生活保護世帯は、実利用者数が12組で延べ利用日数が34日となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 年間約1万4,000人の新生児が生まれていることを思うと、ショートステイが131組、デイケアが395組と、思っていたより利用者数が少ないと感じます。その理由と、利用者増に向けての取組をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業につきましては、平成28年度から開始した事業であり、年々利用者数は増加してきておりますが、今後とも、利用者増に向けてさらなる事業の周知に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、ショートステイ、デイケアを利用する際の自己負担額をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の1日当たりの自己負担額につきましては、市民税課税世帯は、ショートステイが6,000円、デイケアが4,000円、市民税非課税、生活保護世帯は、ショートステイが2,000円、デイケアが500円となっております。また、特に保健福祉センター所長が必要と認めた世帯については、自己負担なしとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) ショートステイが6,000円、デイケアが4,000円の自己負担になるとのことですが、その自己負担額の決定理由と負担の要件にある市民税課税世帯とは、一般的に所得金額が幾ら以上の世帯なのか、教えてください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の自己負担額の決定に当たりましては、先行都市を参考に、利用料の3割を自己負担額として設定しておりましたが、その後の他都市の実施状況等も踏まえまして、令和元年度からは、利用料の2割を自己負担額といたしております。また、市民税課税世帯については、例えば、夫が妻と子ども1人を扶養する場合、令和2年度では、夫の所得が126万円を超える世帯がこれに該当することになります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 令和元年度から、ショートステイ、デイケアの自己負担が3割負担から2割負担になったとのことですが、これを2割から1割にした場合、本市の負担額はどれくらい増えるのでしょうか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業利用者の自己負担割合を現在の2割から1割にした場合における福岡市の負担額につきましては、令和元年度の利用実績を基に試算いたしますと、約210万円の増となります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 昨年度から自己負担が2割に下がったことは、家計の負担軽減につながり、利用者も喜ばれたことだと思います。
 しかしながら、市民税課税世帯も幅があり、所得が126万円以上の低所得世帯がショートステイを利用する際、負担が2割の6,000円だと、利用したいと思っても家計の負担を第一に考えてしまい、手を出しづらい金額だと感じます。このコロナ禍の経済不況で、勤めている会社から給料の減額や解雇、雇い止めに遭ったり、また、個人事業主は持続化給付金や本市の支援策への申請数からも分かるように、収入が激減している世帯がたくさんあります。本市が210万円を負担増するだけで、収入が激減したり、低所得の世帯など、産後の赤ちゃんを抱えながら懸命に育てている方々を助けることができます。そのためにも、さらなる負担割合の軽減が必要だと思いますが、本市の所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の自己負担額につきましては、市民税非課税世帯や生活保護世帯に対して減免を行っており、市民税課税世帯についても、令和元年度に自己負担の割合を引き下げたところでありますが、この制度の目的を踏まえつつ、その利用状況等も考慮しながら、今後の対応を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、対象となるのは生後4か月未満の赤ちゃんとのことですが、その理由をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の対象につきましては、出産から4か月頃までが、一般に母親の身体的回復と心理的な安定を促進し、育児に関する不安等に対する専門的な指導またはケアが必要な時期として、厚生労働省のガイドラインで目安とされていることなどを踏まえ、生後4か月未満で設定いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 厚労省のガイドラインには、出産から4か月頃までと示されているとのことですが、実際の妊婦さんは核家族化が進み、実家に里帰りして出産する人も多く、赤ちゃんの首が据わった頃に、実家とは違う環境の自宅に戻り育児と向き合います。
 令和元年12月6日、産後の母親の孤立を防ぎ、妊産婦及び乳児に対する一体的な支援を行うことが重要との認識から、母子保健法の一部を改正する法律が公布され、産後ケア事業が法制化されました。この母子保健法では、対象については、出産後1年を経過しない女子、乳児となっています。先ほども述べたように、実家とは違う環境の自宅で育児を始める母親の心身の負担を考えると、対象者については、期間を延ばすことが実情に合った支援につながると思いますが、本市の所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 産後ケア事業の対象者の期間につきましては、令和3年4月1日施行予定の母子保健法の改正に関する厚生労働省からの通知において、出産後1年を通じたメンタルヘルスケアの重要性などを踏まえつつ、母子及びその家族の状況や社会資源の状況などから、産後ケア事業の対象者の期間を各自治体において判断するという考え方が示されたことを踏まえ、福岡市においても、産科医療機関などの実施施設における受入れ体制等も考慮した上で、今後検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 利用者の負担軽減、対象期間について、前向きに検討をお願いいたします。
 次に、多胎児を育てる家庭について伺います。
 2018年1月、愛知県で三つ子の母親が生後11か月の次男を床にたたきつけ死亡させるという痛ましい事件が起こりました。命をあやめた行為は絶対に許せませんが、人ごととは思えない母親も一定数いたと言います。切実なSOSに応える支援があれば、救えた命だったかもしれません。多胎児を育てる家庭に対して、自治体の取組を着実に進めるとともに、その現状を知り、理解を深める必要が大いにあると思います。
 はじめに、過去3年の本市の出生数と、多胎児出生数と割合をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 福岡市における出生数及び双子などの多胎児の出生数とその割合でございますが、厚生労働省の人口動態調査によりますと、平成28年は出生数が1万4,488人、そのうち多胎児が307人で出生数全体の2.1%、29年は出生数が1万4,382人、そのうち多胎児が326人で出生数全体の2.3%、30年は出生数が1万3,927人、そのうち多胎児が309人で出生数全体の2.2%でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 多胎児の出生率は約2%、100名中2名が双子などの多胎児になり、多胎育児家庭は身近に存在しています。本市でも平成30年度から一般不妊治療費の助成事業が始まり、ここ2年間で約2倍の479件の申請がありました。不妊治療を受けて子どもを授かりたいと思っている人はたくさんいらっしゃいます。
 また、平成29年の全国のデータによると、体外受精や顕微授精などの不妊治療による妊娠のうち、多胎児出生率は3.1%で、全国の多胎児出生率から見ても1%多く、今後も不妊治療の普及、増加に伴い、多胎児は増えることが予測されます。
 そこで、特に多胎妊婦が抱える不安や問題についてどのようなことがあるか、伺います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 多胎児を妊娠されている妊婦の方が抱える不安などにつきましては、平成30年度の厚生労働省の調査によりますと、出産後の生活に対する不安や御自身と子どもの健康に対する不安、多胎妊娠に対する周囲の理解不足などがございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 2019年、多胎育児のサポートを考える会が1,500人を対象に行ったアンケート調査において、多胎育児中につらいと感じた場面ではとの問いに対して、外出、移動が困難であると答えた人が89.1%、約9割で1位でした。その実際の声には、とにかく外出が大変、2人以上の子どもを抱えてベビーカーを折り畳んで乗ることは現実的ではない、2人が同時に泣くかもしれないと思うと不安で公共交通機関を利用できない、外出準備の段階からとにかく大変、1人の準備をしても、もう1人の準備をしている間に泣いたり、どこかへ行ったり、結果、ひきこもってしまうとの声がありました。
 多胎児を育てる家庭については、体力的、精神的な苦労が多く、外出も難しいため、母親は社会との交流も少なくなり、孤立しがちな傾向にあります。虐待死が起きる割合は、1人で生まれた単胎児を育てる家庭と比べ、2.5倍から4倍になると言われています。
 そこで、本市の多胎育児家庭に対する支援についてお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 多胎児を育てている家庭への支援につきましては、福岡市では、各区の子育て世代包括支援センターの保健師等が、電話や訪問で相談に応じたり、関係機関につないだりするなど、必要な支援に取り組んでおります。特に多胎児を育てている家庭に対しましては、訪問回数を増やすなど、状況やニーズに応じた支援を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 現在の支援制度は、単胎児に対する支援を想定してつくられた制度がほとんどですが、裏を返せば、多胎児家庭への支援を充実させることが、単胎児家庭への支援にも必ず生かされると思います。
 そういった多胎育児家庭の状況を踏まえ、厚生労働省は今年度から、多胎妊産婦や多胎育児家庭に特化した新規の支援事業を始めました。その支援事業はどのような事業なのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 厚生労働省が多胎児を育てる家庭への支援を目的に今年度開始した市町村向けの補助事業につきましては、多胎児の育児経験者による家族との交流会やアウトリーチでの相談支援を実施する多胎ピアサポート事業と、多胎妊産婦へサポーターを派遣し、外出時の補助や日常の育児に関する介助等を行う多胎妊産婦サポーター等事業の2つがございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) お答えいただいたように、厚生労働省は、訪問型支援を重視し、多胎児を育てた経験者による相談支援や交流会を新たなピアサポート事業として実施しています。また、外出時の補助や家事の支援を行う事業も新設しています。これらの事業は、いずれも実施主体は市区町村となっており、国が2分の1を補助します。
 岐阜県大垣市では、1歳未満の多胎児を養育する保護者に、1家庭当たり2万4,000円分のタクシーチケットを配付する、多胎家庭おでかけアシストタクシー事業を今年度から実施しています。また、東京都の荒川区では、都バスで双子用ベビーカーが使用できないことをきっかけに、多胎育児家庭の外出の不自由を緩和するため、2万円を上限にタクシー利用料の補助を行っています。お隣の佐賀県でも、多胎妊婦や多胎育児家庭に対して2万円分のタクシー利用券を交付しています。
 私も、この多胎家庭の声をお聞きしたとき、外出したいときに悩むことなく外出でき、何より、さきの愛知県で起こった事件が二度と起こらないよう、多胎家庭の孤立を防ぐ一助として、本市でもタクシー利用料の助成を行ってはどうかと考えますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 多胎児を育てる家庭への支援につきましては、多胎児を含めた多くの子どもを育てる世帯に対して、産後ヘルパー派遣事業を活用した保護者同伴での病院受診など、外出時の付添いや保育料の減免などにより負担の軽減を図っております。今後とも、多胎家庭の孤立を防ぐため、必要な支援の在り方を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、多胎育児経験者によるアウトリーチ型の相談支援、ピアサポート事業について所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 多胎児の育児を経験した方による相談支援につきましては、育児の専門家による相談支援とは異なり、多胎児を育てる家庭の悩みや不安に寄り添い、気軽に相談できるという観点から、意義があるものと認識いたしております。一方で、多胎育児の経験者の数が限られることから、相談支援への対応が可能な方の継続的な確保などの課題があると考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 答弁にあったように、多胎育児経験者が悩みや不安に寄り添うこの事業は、とても意義があることですが、課題はやはり経験者の確保であります。岐阜市では、平成31年度から岐阜市多胎児家庭サポート事業としてピアサポーターによる新システムを構築し、虐待防止につなげるため、多胎児家庭の支援団体であるぎふ多胎ネットへ事業委託をしています。多胎育児経験者の確保については、ぎふ多胎ネットに所属する育児経験者が、ピアサポーターとして訪問活動をされております。
 また、久留米市でも2017年から、新生児訪問の際、多胎育児経験者が保健師に同行する多胎妊産婦のための産前産後サポート事業を展開しておられます。自分と同じ多胎児の出産経験をしたピアサポーターが家庭訪問をし、同じ目線で相談を聞いてくれ、一つ一つ不安を取り除いてくれることは、多胎の妊産婦にとって何より心強いと思います。
 本市においても、まずは日本多胎支援協会や多胎家庭を支援する団体などから多胎育児経験者などの情報を収集し、連携を取りながら国が支援するピアサポート事業を前向きに検討いただきたいと思いますが、本市の所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 多胎ピアサポート事業につきましては、相談支援が可能な方を継続的に確保するなどの課題があることから、多胎児を育てる家庭や多胎児の育児経験者の状況把握に努め、その支援の在り方について検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 現在、4月と比べても、コロナ感染者が急増する中、里帰り出産ができないなど様々制限され、出産される妊婦さんの心身に与える負担は非常に大きいと思われます。
 このコロナ禍で、国の特別定額給付金の基準日を過ぎて生まれた新生児に対して、地方創生臨時交付金を活用し、市独自の給付金など、支援を検討している自治体が増えております。
 兵庫県明石市では、市長が、10万円の給付だけでなく新生児を抱える家庭の悩みにも寄り添っていきたいと、市独自の給付金事業を継続する意向を示しています。仙台市では、2021年4月1日までに新生児が生まれた世帯に半額の5万円を支給することを7月の補正予算で決定しました。
 国の特別定額給付金事業が全国一律の制度であることは重々承知しておりますが、コロナの収束が見えず、第1波より感染が拡大している中、1日違いで給付金を受けられたり受けられなかったりということでよいのでしょうか。今こそ市独自の給付金を支給するなど、困っている妊産婦やお母さんが希望を持って出産や子育てできる支援をすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 久田こども未来局長。
○こども未来局長(久田章浩) 新型コロナウイルス感染症の拡大における子育て支援につきましては、これまで、特別定額給付金や子育て世帯臨時特例給付金、ひとり親世帯臨時特別給付金などのほか、ひとり親の養育費確保支援事業、子ども食堂への食料の提供など、様々な支援に取り組むとともに、区の子育て世代包括支援センターにおいて支援を必要とする子育て家庭に寄り添いながら、保健師等が相談に応じ、支援につなげております。また、今回は、新型コロナウイルスの感染拡大で不安のある妊婦の方が安心して出産できるよう、妊婦の方へのPCR検査費用を助成するための補正予算案を提案させていただいております。
 今後とも、新型コロナウイルスの影響がある中においても安心して出産し、希望を持って子育てができるよう、必要な支援を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 今年の2月議会の議案質疑で、子育て世帯の国民健康保険料の緩和について質問させていただきました。国民健康保険料の均等割保険料は、子どもの数が多ければ多くなるほど保険料は高くなります。近年では、教育費などに係る家計の支出が増加し、経済的に生活にゆとりがないと感じている子育て世帯が半数以上あり、多子世帯に関してはなおさらのことだと思います。これらのことを考えると、特に子育て世帯に対してはできるだけ負担を少なくする配慮が必要だと思います。
 2月議会の答弁では、令和3年度からの実施に向け、具体的な内容を検討するとのことでしたが、実施に当たっては新たな多胎育児家庭の負担緩和の観点からも、第2子から軽減を図っていただきたいと考えます。
 そこで、現在の検討状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 国民健康保険における多子世帯の保険料の軽減につきましては、現在、制度内容を検討しているところでございますが、具体的には、所得制限を設けず、15歳以下を対象に、均等割保険料を第3子以降は全額、第2子は半額を軽減する方向で検討をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 このテーマの最後に、多胎育児家庭も含めた子ども・子育て支援について、島市長の御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 勝山議員御指摘のとおり、少子化対策は福岡市においても重要な課題であり、新型コロナウイルスの感染拡大においても、希望を持って出産や子育てができるよう、地域において安心して子どもを生み育てられる環境を整えることは大変重要であるというふうに考えています。
 福岡市では、子育て世帯に対し、これまで、妊産婦や乳幼児のいる家庭への保健訪問指導、多様な保育サービスの充実、多子世帯を対象とした第3子優遇事業をはじめ、様々な支援に取り組んでいます。今後とも、多胎児を育てている御家庭を含め、子育て家庭の皆様に対し、妊娠、出産、子育てへの不安や悩みに寄り添いながら、切れ目なく支援を届けられるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、社会福祉施設で新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応について伺います。
 福祉サービスは接触を伴うサービスであるという特性から、利用者もサービスを提供する事業者も、大きな負担を抱えます。また、感染者を差別する風潮は、差別を恐れて感染を隠すことにつながるため、大流行の温床になってしまいます。
 そこで、実際に障がい者施設などで利用者や職員に感染の疑いが生じたとき、どのような対処がされ、利用している障がい者にどのような情報が伝えられるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者施設などの利用者や従業者に感染の疑いが生じ、検査を受けることになった場合につきましては、当該施設から速やかに福岡市に連絡がなされることとなっております。福岡市では、連絡を受けた後、検査を受ける方の利用や出勤の状況、他の利用者や従業者との接触状況などの詳細を確認した上で個々の状況に応じ、本人及び濃厚な接触がある方の施設利用や出勤の停止のほか、施設の休業も含め感染を拡大させないことを最優先に、施設等と協議を行い、対応をしているところでございます。
 なお、濃厚接触者に該当しない一般の利用者に対しましては、個人情報保護の観点から、検査の結果が判明するまでは感染に関する情報はお伝えをしておりません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 障がいのある人は、ショートステイやデイサービスなど、複数の事業所でサービスを受けています。1か所だけではありません。感染に対して、自分は接触者なのか、非接触者なのか、非接触者であっても、健康観察を自宅ですべきなのかを判断しなくてはなりません。もしかすると、自分は感染を広げているかもしれないという罪悪感すら感じてしまいます。
 先日、福岡県内の障がい者施設で感染者が発生しました。ここは福岡市内に住む障がい者も利用していましたが、当局はこの人たちにどのような情報を伝えたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染者が発生した際の利用者への感染情報の周知につきましては、施設の休業や当面の通所利用の取扱いなどについて状況を最もよく把握しております施設等から直接周知を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) リスク回避という事態から、感染情報を知らされない利用者は、通常どおり翌日からほかの複数のサービス事業所へ通います。福岡市内の施設や特定相談員さんにも感染情報が遅れて伝わったり、知らされていないケースもあり、感染リスクは低いという安全宣言のない状態で、その利用者を受け入れていました。
利用する障がい者にも、サービスを提供する事業所にも、感染拡大防止と差別を生まないという観点からの最低限の情報を提供するというガイドラインをつくるべきだと思いますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染者が発生した場合につきましては、施設等の利用調整を行う計画相談支援事業所を中心に、関係する施設等が連携し、個人情報保護の配慮を行った上で必要な情報の共有を行い、感染拡大防止を図ることとなっております。一方、議員おただしのケースでは、一部の施設等に対し連絡が遅れるなど改善すべき点もありましたことから、今後速やかな情報の共有がなされるよう、感染者が発生した場合の対応について、施設等に改めて周知を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 厚労省の社会福祉事業所への通達にもあるように、県や保健所などと連携し、必要な情報はしっかり利用者、事業所へ伝え、共有できる体制を組んでいただくようお願いいたします。
 次に、障がい者の家族が感染、もしくは濃厚接触者となった場合、誰がどこで介護を行えばいいのか、どこの窓口が調整し費用はどうなるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 在宅の障がい者を介護している家族が感染し、介護ができない状態となった場合につきましては、計画相談支援事業所が中心となってホームヘルプサービスなどの利用調整を行い、その方の在宅生活を支えることとなっております。また、サービスの提供に要した費用につきましては、通常どおり障がい福祉サービスの報酬により支払われることとなります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 先ほど述べたように、感染者の非接触者であっても、事業所はリスク回避のために施設を閉鎖するぐらいです。家族が感染すれば、障がい者自身が濃厚接触者となるため、受け入れてくれる事業所を探すのは至難の業です。現実に、感染疑いがあるというだけでサービスを受けられず、途方に暮れている利用者はたくさんおられます。計画相談支援事業所が障がい者の在宅支援を支えることがなされていないので、私は質問をしております。こうした事態への対応策を打ち出す自治体が出てきております。神戸市と堺市の事例を紹介します。
 神戸市では、家族などの介護者が新型コロナウイルス感染で入院し、在宅での生活が困難となった場合、障がい者を一時的に受け入れる拠点、保養センターひよどりを設置しています。最大で10人の受入れが可能で、期間は2週間、介護、看護の専門職が24時間体制で生活を支援し、費用は全て無償です。
 堺市は、家族などの介護者が感染すると、事業者からサービスは提供できないと断られる懸念があるため、新型コロナウイルス感染症在宅ケア継続支援事業を5月から開始しています。これまでの介護事業者に継続してサービスを提供してもらうのが目的ですが、在宅生活が困難と判断される場合には、市で借り上げた宿泊施設に移ってのサービスが始まります。このように、現実的な具体的な支援を皆さんは待っています。
 ここまで障がい者についてお聞きしてまいりましたが、介護の必要な高齢者についても、同様のことが言えます。
 そこで、障がい者や高齢者、その家族の不安が解消できる実効性のある支援策をぜひ検討すべきだと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡市におきましては、障がい者や高齢者、その御家族の不安を解消するため、濃厚接触者など、感染リスクが高くなった要介護者が継続してサービスを利用できるよう、介護する方が感染し入院した場合などにおいて、自宅に残された要介護者に対して支援を行った事業所の従業者に、要介護者1人当たり15万円を給付する事業を実施するなどの取組を行っているところでございます。
 引き続き、今後の感染状況を踏まえ、他都市の事例も参考に、障がい者や高齢者、そしてその御家族がこのコロナ禍においても安心して生活できるよう、必要な支援を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) また、介護をする側の職員には、PCR検査費用の助成が今回の補正予算案で上がっていますが、重症化リスクの高い利用者への検査も行う考えがないのか、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 感染症対策を進める上で検査は非常に重要なものでありまして、国におきましても、医療機関、介護施設等に勤務する従業者、入院、入所者について幅広く検査することが可能とし、積極的な検査を推進するとともに、さらなる検査体制の確保、拡充に取り組んでいくとの方針が示されております。
 しかしながら、現在のところ我が国では検査、医療資源が、いわゆる全員検査に対応できる水準には達しておらず、限られた資源の適正配分の観点から、感染状況を踏まえながら、必要なところに効果的に資源を投入するような検査を行っていく必要があります。
 高齢者施設等での感染事例を見ますと、従業者から感染が広がる事例が多くなっていることから、まずはリスクの高い従業者を対象に検査費用の助成を行うこととしたものでございます。
 今後の検査の拡大につきましては、検査能力や医療資源の拡大を踏まえて、段階的、計画的に行っていくことが不可欠でありまして、感染拡大防止の観点から、必要な方への検査が確実かつ迅速に実施できるよう検査体制の充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 8月26日、公明党は、高齢、障がい者施設の職員と利用者にPCR検査を行うため、財政支援が確実に行き届くよう、国に対して十分な国費の措置を求めました。高齢者施設においてのクラスター発生状況を考えると、施設の職員だけではなく、同時に利用者にもPCR検査を行うことがクラスター発生防止により一層効果があると考えます。国の動向をしっかり見ながら、利用者へのPCR検査の拡充を要望いたします。
 この質問の最後に、社会福祉施設で新型コロナウイルス感染者が発生した場合の対応について、荒瀬副市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 荒瀬副市長。
○副市長(荒瀬泰子) 福岡市におきましては、特に7月以降、介護施設やデイサービス事業所等において新型コロナウイルスの感染者が発生し、クラスターも複数の施設で確認されております。
 介護施設等では、従業者と入所者やサービス利用者が接する機会が多いこと、また、高齢者や基礎疾患のある方が多く、重症化するリスクが高いことから、施設等で感染者が発生した場合には、これまで重点的に対応してきたところでございます。
 最近では、介護施設等において感染者が発生した場合、濃厚接触者に限らず、無症状であっても、原則、関係者全員にPCR検査を行うとともに、感染拡大を防止するため、施設内の消毒、施設への立入りの制限、入所者の隔離、分離などの感染症対策の徹底を図っており、必要に応じて感染症対策の専門家を施設等に派遣し、支援を行っているところでございます。
 さらに、福岡市からマスクや防護服などの衛生資材の提供や、介護を行った従業員に対する15万円の福岡市独自の給付金の支給も行っております。
 新型コロナウイルス感染症を介護施設等で発生させないためには、ウイルスを持ち込まない、うつさせない、うつされないという基本が非常に重要であり、今回の補正予算案で提出しております介護施設等の従業員に対するPCR検査費用の助成をはじめ、引き続き危機感を持って必要な支援をしっかりとしてまいりたいと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 一昨日から過去最大級の台風10号が接近し、九州各地で多くの方が避難されました。被災された方、お亡くなりになられた方に心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。
 今から約2か月前の7月豪雨では、河川が氾濫し、熊本県球磨村の特別養護老人ホームの入所者が犠牲になられました。高齢者施設の被災は過去にも繰り返され、法改正などで度々、避難体制が見直されてまいりました。
 そこで、災害時の高齢者や障がい者の避難について質問いたします。
 平成29年6月19日、水防法の改正が行われましたが、その背景と理由、その内容についてお聞かせください。
 また、要配慮者利用施設とはどのような施設で、本市の浸水想定区域内にある要配慮者利用施設の内訳と、それぞれの施設数をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 平成29年6月の水防法改正の背景及び理由につきましては、全国各地で洪水などの災害が頻発、激甚化し、住民の逃げ遅れや家屋の浸水により甚大な被害が発生していることから、洪水などからの逃げ遅れゼロと、社会経済の被害最小化を実現するためとされております。改正の主な内容は、市町村長による水害リスク情報の周知制度の創設、洪水のリスクが高い区域にある要配慮者利用施設の管理者等に対する避難確保計画の作成、避難訓練実施の義務化、国等の技術力を活用した中小河川の治水安全度の向上などでございます。
 また、要配慮者利用施設については、水防法において、社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設と規定されており、福岡市の浸水想定区域内には1,210か所ございます。内訳は、介護予防型通所サービス事業所などの社会福祉施設が980か所、小中学校などの学校が123か所、病院などの医療施設が107か所となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 保健福祉局では、水防法改正を受けて、要配慮者利用施設に対して避難確保計画の作成を指導されていると思いますが、これらの施設の直近の作成件数と作成率をお示しください。また、未作成の施設に対してはどのような指導を行ったのか、お聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 避難確保計画につきましては、令和2年8月末現在で、対象となる高齢者や障がい者の要配慮者利用施設のうち332施設が作成しており、作成率は約46%となっております。また、未作成の施設に対しましては、これまで事業者説明会などの際に作成義務の周知に努めますとともに、施設での実地指導において作成指導を行ってきたところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 未作成の施設に対して、今まで作成指導を行ってきたとのことですが、現状は46%と半分も満たしておりません。一体今までどのような指導を行っていたのか、具体的にお示しください。また、なぜ計画作成が進まないのか、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 避難確保計画の作成につきましては、事業者説明会などの際に災害対策の説明時間を設けて制度の説明やマニュアルの案内を行い、作成義務の周知等に努めますとともに、施設での実地指導においては計画の提示を求め、作成していない場合は、改めて制度の趣旨説明やマニュアルの周知を行うなどの作成指導を行ってきたところでございます。
 計画の作成が進まない理由といたしましては、計画作成の重要性の周知が届いていないことやマニュアルだけでは個別の事情に応じた作成の方法が分からないことなどが考えられ、それぞれの施設の事情に応じた、きめ細やかな対応が必要になるものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) より細かな対応が必要とのことですが、実際に計画を作成することが命を守ることにつながります。未作成の施設には期限を定めて作成を求めるなど、市民局や保健福祉局など、各関係部局の連携を強化し、積極的に支援を行うことが重要だと思います。
 国は、令和3年度までに避難確保計画の策定を目指すとしていますが、本市の具体的な目標と、それに向けて今後どのように取り組まれるのか、伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 避難確保計画につきましては、まだ作成ができていない対象施設に対しまして、引き続き事業者説明会などの際に重点項目であることを明示した上で周知を図りますとともに、それぞれの施設における未作成の事情を把握した上で、各施設での実地指導などにおいて参考となる事例を示し、きめ細やかな助言や指導を行うなど、令和3年度末までの作成を目指して、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 今までの取組と今後の取組の内容がほとんど変わっていません。確かに、避難計画は施設が作成するものですが、答弁をお聞きすると、施設任せになり過ぎているように思えてなりません。どうやったら施設が本気になって避難計画を作成してくれるのかという視点で本市の責任の下、作成率向上に努めていただきたいと思います。
 九州を襲った7月豪雨で、熊本県では死者の約8割が65歳以上の高齢者だったそうです。平成25年に改正された災害対策基本法では、避難行動要支援者名簿の作成が義務づけられていましたが、避難行動要支援者とはどういう人なのか、また、避難行動要支援者数と情報提供に同意した要支援者数、その割合をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難行動要支援者につきましては、災害対策基本法において、災害が発生し、または災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するものと規定されております。
 また、令和2年度における避難行動要支援者数は、本人の同意の有無にかかわらず、要支援者全員を登載した全体名簿登載者が3万5,843人、全体名簿に登載された方のうち、自治協議会や民生委員・児童委員などの避難支援等関係者へ名簿情報を提供することに同意いただいた方を登載した同意者名簿登載者が1万8,570人となっており、同意された方の割合は51.8%でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 同意率が約5割とのことですが、同意が進んでいない理由についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 同意が進んでいない理由につきましては、本人への意向確認の結果、未回答の方が全体の約25%になっており、制度に対する理解が進んでいないなどの理由から、回答をいただけていないのではないかと考えております。また、地域への情報提供に同意しないと回答された方が全体の約24%となっており、主な理由としては、助けてもらえる家族がいる、自分で避難できるなどとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 様々理由はありますが、同意率を上げることが、ひいては要支援者の命を守ることにつながります。名簿情報を地域に提供し、日頃から見守り活動などを通じて顔の見える関係づくりを進めてもらうことが重要です。
 そこで、より多くの名簿情報を提供するために、他都市の条例制定の事例などを参考にして、同意の取り方についても工夫して対応すべきだと考えますが、本市の所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 意向確認の工夫につきましては、文書を郵送する際に制度の説明資料やQ&Aを同封するほか、市政だよりや市ホームページへの解説記事の掲載、避難支援等関係者向けのハンドブックの作成、配布など、積極的な周知に努めるとともに、令和元年度には未回答者全員に対し、再度の意向確認を2回行っております。
 今後とも、他都市の条例制定の事例などを参考に、同意率の向上に向けた新たな手法について検討を進めるなど、地域への情報提供に同意された要支援者が増えるよう取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 国は、名簿に登載されている要支援者への個別避難計画の作成も進めております。
 そこで、本市の個別避難計画の作成件数と作成率、その取組について伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 個別避難計画の作成件数につきましては、令和元年度の集計で557件となっており、作成率は地域への情報提供に同意された要支援者の約4%となっております。また、個別避難計画作成に係る本市の支援については、避難行動要支援者支援に関するハンドブックを作成し地域に配布するとともに、出前講座において防災担当職員がハンドブックに基づき個別避難計画について説明しております。さらに、区役所においても個別避難計画作成についての地域からの相談に対応しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 今までの本市の取組の結果、作成率は僅か4%です。同じような取組だとこの先の現状は変わらないと思いますが、作成が進まない理由と、今後の取組について所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 個別避難計画の作成が進んでいない理由につきましては、地域からは、特定の方を担当することに対する精神的負担や責任が大きいといった御意見があり、今後とも、個別避難計画の趣旨を丁寧に御説明するとともに、地域の負担感などの軽減に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 自治体がどれほど熱心に計画作成を促したかが大切で、そこに自治体の本気度が表れると思います。
 この8月、内閣府は市区町村に対し、専門知識がある福祉職が作成に関与すれば効果的と判断し、ケアマネジャーら福祉職と連携を強化し、個別計画の作成を促す方針を固めました。
 大分県の別府市では、この内閣府の方針に先行して、2016年度から福祉の専門職が利用者の個別避難計画を作成する事業を始め、着実に成果を上げているそうです。
 福祉職の負担増など課題もあると思いますが、本市としてもこの先行事例を参考にしながら、まずモデル地域を定め、モデル事業として取組を検討してはどうかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 個別避難計画の作成促進につきましては、国の動向や他自治体の事例なども踏まえ、地域でのモデル事業の実施も含め、今後とも、作成率の向上に向けた取組を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、災害時の高齢者や障がい者の避難場所と、障がい者の日常生活用具について伺います。
 先日、福岡市視覚障害者福祉協会より、緊急地震速報が聞けるラジオについて、日常生活用具に加えてほしいとの要望を受けました。公明党市議団としても、本市に対して予算編成の中で毎年要望をしています。他の政令市においても、日常生活用具として認めている都市も多くあります。このコロナ禍において地域の見守りも手薄になっており、視覚障がい者の方の不安はより大きいと思います。
これらの状況を考えると、今こそ日常生活用具として加えるべきだと考えますが、本市の所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 緊急地震速報につきましては、一般に普及しておりますテレビ、ラジオ、携帯電話などで受信が可能でありまして、緊急地震速報が聞けるラジオにつきましては、日常生活の要件であります、日常生活品として一般に普及していないものには該当しないものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 地震速報が聞けるラジオと、一般に普及しているテレビや携帯電話の機能の違いなどをしっかり検証し、引き続き検討をしていただきたいと思います。
 次に、災害時、緊急時における障がい者への支援について伺います。
 障がいのある人たちは、災害時、幾つもの困難に直面し、災害により停電した場合には命の危険にも直面いたします。
 そこで、自宅で人工呼吸器を使用している場合、停電すると深刻な状況になると予想されますが、福岡市内には、難病の方も含め在宅での人工呼吸器使用者は何人おられるのか、また、名簿やマップの作成状況などどうなっているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 在宅で24時間人工呼吸器を使用している方につきましては、令和2年7月末時点で63人でありまして、うち難病患者の方は27人となっております。また、使用者名簿につきましては、訪問看護ステーションから提供される情報に基づき作成し、毎月更新しておりますが、マップについては作成いたしておりません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 在宅での人工呼吸器使用者の正確な把握は支援の根幹となり、停電時の電源確保や人工呼吸器の作動停止を想定した対応など、平時からの備えが必要です。
 災害時にどこの機関がどのように対応をしてくださるのか、支援内容をお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 在宅で人工呼吸器を使用している方に対する災害時の支援につきましては、日頃から訪問看護ステーションを通じて、市が対象者を把握し、停電時の対応準備、緊急時の支援者の確認、移送手段や医療機関の確保を行うよう注意喚起を行いますとともに、災害発生時には速やかに安否確認などが行えるよう緊急連絡体制を整備いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 予備バッテリーや発電機を持っている家庭は少ないと伺っており、機械破損の危険性から、避難することも難しいと聞いています。かかりつけ医が、災害時、一人一人の障がい者へ対応するのは大変に難しいとの声を防災協議会でドクター自身が述べられています。
 お答えいただいた本市の緊急連絡体制だけでは、支援内容の違う一人一人の命を救っていくのは難しく、個別の支援の充実が求められています。
 東京都では、東北の震災での教訓を生かし、在宅人工呼吸器使用者災害時支援指針を策定し、どの機関がどう動くのか、災害時の支援を強化しております。東京都23区では、人工呼吸器使用者の徹底した把握に取り組み、名簿やマップを基に、個別の支援計画を訪問看護ステーションなどに委託して策定しています。
 まずは、在宅人工呼吸器使用者の徹底した把握に取り組み、かかりつけ医も納得する個別の支援計画へつながる体制を検討すべきだと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 在宅の人工呼吸器使用者につきましては、まずは難病患者について医療機関や訪問看護ステーションと連携しながら、対象者の現状把握に努めることといたしております。今後は、難病患者以外の在宅人工呼吸器使用者も含め、関係局で連携をしながら、災害時の個別の支援につながる検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) よろしくお願いいたします。
 次に、福祉避難所について伺います。
 福祉避難所の課題は、今日まで数多く議論されてきました。福祉避難所の数の少なさや施設名の非公開など、障がい者の方々は災害が起こった際、私たちは無事に避難できるのかと不安を抱えながら生活をしています。
 そこで、過去3年間の福祉避難所の箇所数と非公開の理由をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福祉避難所の箇所数につきましては、それぞれ4月1日現在で、平成30年度が98施設、31年度が102施設、令和2年度が109施設となっております。
 また、非公開としている理由につきましては、福祉避難所は災害発生時に直ちに開設されるわけではなく、福祉避難所としての受入れ態勢を確認した後、必要に応じて公民館等の一時避難所から移っていただくこととしております。施設の被災などにより、福祉避難所として機能することが困難となる状況も想定されることや、直接、施設に避難された方がいた場合、混乱が生じるおそれもありますことから、事前にその場所を広く公開するような取扱いは行っていないところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 福祉避難所の非公開の理由を答弁されましたが、それでは、障がい者がデイサービスなどを利用中に災害が発生し、自宅に戻ることができない場合、どこに避難することになるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者が日中のサービスを利用している際に災害が発生した場合、被災した施設において、その地域の災害状況を把握した上で、施設内の安全が確認された場所にとどまったり、施設の職員とともに最寄りの避難所に避難したりするなど、各施設における非常災害対策計画に沿って対応することとなっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) デイサービス施設が所在する地域の一時避難所に本当に避難することができるのでしょうか。デイサービス利用者全員が避難しても、一時避難所として収容力に影響を与えないのか、地域の方々と接点のない利用者が受け入れてもらえるのか、心配は尽きません。
 福岡市の避難所運営に関するマニュアルにはどのように定めているのか、また、各校区の避難所運営マニュアルにはどのような記載がなされているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所運営につきましては、福岡市避難対策マニュアルや避難所運営の手引きにおいて、避難所の受入れ対象者を避難勧告等により緊急避難の必要がある者等とし、避難された方は全てを受け入れるとともに、障がいがある方を含め、様々な方に配慮した避難所運営を行うことを明記しております。また、校区で作成している避難所運営マニュアルにおいては、要配慮者の受入れスペースを確保した避難所レイアウトなどを定めている事例もございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 避難された方は全てを受け入れると明記はされているとの答弁ですが、私が問いたいのは、実際に収容人数を超えたときの対応が、明確に、具体的に示されているのかということです。その地域の住民でもない利用者が心配するのは当然のことです。本市が積極的に施設と地域をつないでくれるだけで、利用者の不安は安心に変わります。
 4年前に発生した熊本地震は大きな被害をもたらし、避難所での混乱も起きました。熊本市は、地震災害を経て見えてきた課題と対策に徹底して取り組んできました。その一つが福祉避難所です。
 人口が福岡市の約半分の熊本市は、本市の約2倍に当たる192か所の福祉避難所を設置しています。震災以前は、熊本市も本市と同様に、福祉避難所が非公開だったそうです。実際に震災が起こったとき、福祉避難所の場所や役割が、障がい者や地域住民への周知不足のため、震災以前に作成されていた福祉避難所マニュアルが機能することはなく、避難所が大混乱したそうです。発災直後から派遣された福岡市の職員さんも、その実態を目の当たりにしているはずです。
 この災害を教訓として、熊本市は、協定団体及び福祉避難所等となる施設一覧を市のホームページに掲載し、平常時から広報活動や震災対処実動訓練などを通して、福祉避難所について地域住民に周知を図るとともに、その役割や利用方法など、理解と協力を求めています。
 福岡市も西方沖地震を経験しました。熊本市を例に、再度、福祉避難所の課題について精査し、福祉避難所の機能を高め、障がい者と同様の状況にあると思われる高齢者も含めて、福祉避難所に避難する方々の不安を払拭する取組をぜひ検討をしていただきたいと思いますが、所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福祉避難所につきましては、今年度、国の考え方や他都市の事例、有識者の見解等を整理するなど、福祉避難所の充実に向けた調査を行うこととしておりまして、この結果も踏まえて、福岡市における福祉避難所の在り方について検討をしてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 最後に、災害時における障がい者や高齢者の避難の課題についてどのようにお考えか、島市長の御所見を伺い、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、大規模な自然災害が頻発をしておりまして、防災・減災の対策を推進していく上で、勝山議員御指摘のとおり、障がい者や高齢者の避難など、災害時における要配慮者への取組は大変重要であるというふうに考えています。
 このため、要配慮者利用施設における避難体制の確保や避難行動要支援者名簿のさらなる活用、福祉避難所の充実などに取り組んでおります。
 今後とも、市民の貴い命と財産を守ることを第一に、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明9日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(阿部真之助) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明9日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後3時59分 散会