令和2年3月12日(木)

令和2年第1回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第6号)
                             3月12日 午前10時開議
第1 議案第25号ないし議案第75号

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (61名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  平 畑 雅 博       8番  伊 藤 嘉 人
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  阿 部 真之助      12番  勝 山 信 吾
      14番  淀 川 幸二郎      15番  調   崇 史
16番  大 坪 真由美      17番  古 川 清 文
18番  高 木 勝 利      19番  新 村 まさる
20番  大 原 弥寿男      21番  今 林ひであき
22番  篠 原 達 也      23番  尾 花 康 広
24番  松 野   隆      25番  楠   正 信
26番  冨 永 計 久      27番  森   英 鷹
28番  南 原   茂      29番  おばた 久 弥
30番  山 口 剛 司      31番  大 石 修 二
32番  黒 子 秀勇樹      33番  藤 野 哲 司
34番  堀 本 わかこ      35番  中 島まさひろ
36番  天 野 こ う      37番  山 口 湧 人
38番  松 尾 りつ子      39番  井 上 麻 衣
40番  飯 盛 利 康      41番  はしだ 和 義
42番  浜 崎 太 郎      43番  堀 内 徹 夫
44番  綿 貫 英 彦      45番  森   あやこ
46番  福 田 まもる      47番  国 分 徳 彦
48番  藤 本 顕 憲      49番  倉 元 達 朗
50番  中 山 郁 美      51番  荒 木 龍 昇
52番  高 山 博 光      53番  ついちはら陽子
54番  田 中 たかし      55番  成 瀬 穫 美
56番  山 田 ゆみこ      57番  宮 浦   寛
58番  近 藤 里 美      59番  川 口   浩
60番  落 石 俊 則      61番  田 中しんすけ
62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (1名)
     13番  川 上 多 恵

説明のため出席した者
市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 a 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  清 森 俊 彦   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  小野田 勝 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長   田 浩 輝
保健福祉局長  舟 越 伸 一    環境局長  坂 本 秀 和
経済観光文化局総務・中小企業部長 今 村    寛   農林水産局長  細 川 浩 行
住宅都市局長  石 橋 正 信   道路下水道局長  駒 田 浩 良
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  山 下 周 成
会計管理者  水 町 博 之   教育長  星 子 明 夫
教育委員  町     孝   選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子
人事委員会事務局長  中 村 郁 子   監査事務局長  馬 場 哲 久

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史
議事課長   着 一 孝   議事係長  中 村   博
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第25号ないし議案第75号、以上51件を一括して議題といたします。
 これより質疑に入ります。発言通告者のうちから順次質疑を許します。高木勝利議員。
 
○18番(高木勝利)登壇 皆さんおはようございます。私は公明党福岡市議団を代表し、尾花康広議員の代表質疑を補足して、ペーパーレスの推進、障がい者の福岡市職員採用、就職氷河期世代の支援の3項目について質疑をさせていただきます。
 まずは冒頭、新型コロナウイルス感染症は日本国内でも日に日に感染者数が増加している現状です。私たち議員の元にも、市民の皆様方からは様々な御要望や御相談が寄せられております。現場で懸命に奮闘されている福岡市職員の皆様や、関係者の方々と共に、小さな声にも耳を傾け、一日も早い終息に向け、力を尽くす所存でございます。
 それでは質疑に入ります。
 まずは、ペーパーレスの推進についてです。
 ペーパーレス化については、全国の議会においてもタブレット端末の導入などの動きが広がっており、福岡市議会としてもぜひ推進すべきと考えておりますが、現在設置されている議会改革調査特別委員会の議論に委ねるとし、今回は福岡市行政側のペーパーレス化について質問いたします。
 福岡市では、新循環のまち・ふくおか基本計画に基づき、元気が持続する循環のまち・ふくおかをテーマに、環境保全と都市の発展を踏まえた福岡式循環型社会システムの構築を推進するため、市民、事業者の自主的、自発的な取組を支援する様々な施策が実施されています。令和2年度予算案においても、脱炭素社会の実現に向けて全国に先駆けて、2040年度温室効果ガス排出量実質ゼロを目指したチャレンジを掲げるなど、全国をリードする取組に期待したいと思います。その実現に向けた一環で、新年度には事業系古紙の分別収集による資源化を推進し、紙の原料である木材使用を抑制することで、CO排出量の削減を図る事業系古紙の資源化推進事業が新規施策として開始されます。まずは、この事業の目的と概要について説明を求めます。
 また、平成28年度の家庭からの燃えるごみの中には、4万2,000トンものリサイクル可能な燃えるごみが入っており、これら雑がみについては、同年の市民アンケートで約5割が燃えるごみとして捨てられているという現状が分かり、新聞紙、段ボールの集団回収などと併せ、雑がみ回収袋を作成するなど雑がみ回収にも力を入れています。
 そこで、この5年間の家庭からの古紙の回収の現状及び雑がみの回収の実績についてお聞きします。
 事業系古紙の分別収集による資源化の推進や、家庭からの古紙回収の現状をお尋ねしましたが、5年間の福岡市の市庁舎内の古紙回収の現状及び本庁舎内の古紙回収の実績をお示しください。
 次に、障がい者の福岡市職員採用についてです。
 令和2年度関係議案として提出された福岡市職員定数条例の一部を改正する条例案は、組織編成を行い職員の定数を定めるものであり、現行の1万6,847人から1万6,957人に110人増員するものです。まずは職員定数について、福岡市の人口1万人当たりの職員数は何人か、政令市で比較するとどうなのか、お示しください。
 福岡市は人口が増加し続けているにもかかわらず、職員は少ない状況で対応しているのが現状であるとお聞きしており、必要な部局に必要な人員確保をしてもらいたいと考えます。今回の職員定数に関する一部改正条例案の概要について伺います。
 また、福岡市における障がい者の雇用率はどうなっていますか。また、福岡市及び教育委員会で働いている障がいのある職員の正規職員と嘱託員の人数の内訳について伺います。
 厚労省は、2019年6月時点での民間企業で働く障がい者が56万608人と16年連続で過去最多を更新したと発表しました。しかしながら一方で、国と自治体は2.5%、企業は2.2%という法定雇用率に対し、特に企業の約半数が達成しておらず、障がい者を一人も雇っていない企業は約3割にも上ります。4月に施行される改正障害者雇用促進法には、働きやすい環境づくりに取り組む優良な企業の認定制度の創出も盛り込まれています。ここで忘れてはならないのは、法定雇用率の達成が本来の目的ではなく、障がい者が能力を最大限に発揮し、適性に応じて働ける環境の整備であります。これらの点も踏まえ、福岡市としても優良企業の認定を行うなど地元民間企業に対し障がい者雇用の促進や重要性をしっかりとアピールする必要があると考えますが、所見をお聞きします。
 次に、就職氷河期世代の支援についてです。
 就職氷河期世代の方からの相談を受けました。現在40歳ですが、大学4年時に経済的理由で中退し、当時はバブル崩壊後の不況の真っただ中で、職を選べるような状況ではなく、アルバイトやフリーターを転々として約15年間働きました。幸いなことに、現在はやっと数年前に企業で正社員として採用されましたが、大学時代に借りた奨学金はフリーター時代には返済できない時期もあったため、元金のほかに延滞利息が発生しており、今も毎月2万5,000円近くの返済を続けられています。まだまだ完済のめども立たず、せめて奨学金の利息分だけでも考慮いただければ本当にありがたいですという大変切実な内容であり、国の問題でもあるため、早速、我が党の国会議員とも認識共有したところです。まずは就職氷河期世代の定義と背景について御説明ください。
 総務省労働力調査では、いわゆる就職氷河期世代と言われる35歳から44歳の方は1,689万人で、そのうちフリーターなどの非正規雇用で働いている人が371万人、さらにそのうち正規雇用を希望しているものの不本意非正規として働いている人が50万人おられ、40万人は無業の状態だそうです。
 福岡市には、この就職氷河期世代と言われる方が何人くらいいるのか、そのうち非正規雇用で働いている人は何人か、さらにそのうちで不本意非正規として働いている人は何人ぐらいいらっしゃるのか、お示しください。
 以上で1回目の質問を終わり、以降の質問は自席で行います。
 
○議長(阿部真之助) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) ペーパーレスの推進についての御質問にお答えいたします。
 まず、事業系古紙の資源化推進事業の目的でございますが、事業所から排出される可燃ごみには約3割、重量にして約7万トンの資源化可能な古紙が含まれていることから、環境審議会における議論などを踏まえ、さらなる資源化の推進を図るため、令和2年10月1日から事業系ごみを現行の燃えるごみ、燃えないごみの2分別から、古紙を追加した3分別へと変更することとしております。
 事業内容については、3分別の要請のため、これまで行ってきた排出事業者や地場大手企業への戸別訪問のさらなる強化に加え、全ての事業者への啓発リーフレットの送付をはじめ、各種業界団体への説明会や出前講座等により制度の周知を図るとともに、業者の相談窓口を設置することとしております。また、古紙の追加に伴い、分別ボックスや古紙保管場所の設置、既存保管場所の改修等が必要となる事業者に対し、整備に係る経費の支援を新たに行うなど、分別ルールの円滑な導入に向けた取組を推進するものでございます。
 次に、過去5年間の家庭からの古紙回収実績につきましては、平成26年度が3万8,095トン、27年度が3万6,537トン、28年度が3万5,372トン、29年度が3万2,516トン、30年度が3万517トンとなっております。情報の電子化による新聞等、紙類の発生量の減少などの影響により、古紙全体は減少傾向となっております。そのうち雑がみの回収実績は、平成26年度が8,350トン、27年度が8,068トン、28年度が7,526トン、29年度が6,931トン、30年度が6,525トンとなっておりますが、雑がみの認知度向上に向けた啓発を行った結果、古紙全体の回収量が減少傾向にある中、令和元年度の雑がみの回収量は前年度と同量の見込みでございます。
 次に、市庁舎内の古紙回収量の推移につきましては、平成26年度が1,562トン、27年度が1,585トン、28年度が1,523トン、29年度が1,447トン、30年度が1,605トンとなっております。そのうち本庁舎からの回収量は、平成26年度及び27年度がそれぞれ333トン、28年度が343トン、29年度が334トン、30年度が314トンでございます。平成30年度から、各職場から排出されるごみ袋の展開検査や古紙が混入した袋の再分別指導を実施するとともに、令和元年度には職員研修をはじめ、職場の巡回指導を徹底した結果、令和元年度の市庁舎内古紙回収量は前年度より約62トン増加する見込みでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 障がい者の職員採用についてお答えいたします。
 まず、人口当たりの職員数につきましては、各都市の特性や実施事業などが異なりますので、一概には比較できませんが、令和元年度の条例定数における福岡市の人口1万人当たりの職員数は107人で、政令指定都市の中で最少の人数となっております。
 次に、職員定数条例の一部を改正する条例案の概要につきましては、職員の配置は毎年度各局の人員要求に基づき協議を行った上で、強化すべき部門には職員を増員するなど、業務の質と量に応じた適切な人員体制の整備に努めております。令和2年度につきましては、児童生徒数の増加等に伴う教職員の増員のほか、児童虐待の未然防止等のためのこども総合相談センターの体制強化や都心部における救急需要の増加に対応するための救急隊の増隊など、子どもの健全育成や市民の安全確保などに必要な組織体制を整備するため、職員定数を1万6,957人といたしまして、昨年度より110人増員するものでございます。
 次に、福岡市の令和元年度の障がい者雇用率につきましては、基準日の6月1日現在で法定雇用率の2.5%を上回る2.63%となっております。また、障がいのある職員の人数につきましては、正規職員が174人、嘱託員が124人となっており、そのうち教育委員会につきましては、正規職員が48人、嘱託員が55人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者の職員採用についての御質問にお答えをいたします。
 福岡市では社会貢献優良企業の優遇制度におきまして、障がい者雇用率が法定の2倍に当たる4.4%を達成している企業に対して、市の契約発注で優先指名をするなど障がい者雇用を促進しているほか、障がい者就労支援センターが実施する企業セミナーや企業訪問を通して、障がい者雇用の理解促進に努めております。今後とも、障がい者雇用の重要性について、様々な機会を捉え啓発を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) 就職氷河期世代への支援についてお答えいたします。
 いわゆる就職氷河期世代の定義でございますが、このたび国が取りまとめた就職氷河期世代支援プログラムにおいては、現在30代半ばから40代半ばに至る世代を指すもので、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代とされております。このような世代が生まれた背景としては、卒業時に希望する就職ができず、新卒一括採用をはじめとした流動性に乏しい雇用慣行が続いてきたことで、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている、または無業の状態にある、社会参加に向けた支援を必要としているなど、様々な課題に直面している方がいるものと認識しております。
 次に、就職氷河期世代の方の人数につきましては、平成29年度に国が実施した就業構造基本調査によりますと、福岡市の35歳から44歳までの人口は23万5,200人となっており、そのうち非正規雇用労働者は5万5,900人となっております。また、このうち、正規雇用を望みながら非正規雇用の職に就いている、いわゆる不本意非正規雇用労働者は7,200人となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) まずはペーパーレスの推進についてです。
 答弁によりますと、情報の電子化等により、家庭からの古紙はここ数年減少していますが、庁舎内古紙回収は増加傾向であります。全国の自治体ではペーパーレスの取組が加速していることから、大変重要な取組であると考えていましたので、我が会派議員とともに、一昨年に福島市、本年1月に東京都を訪問し、話を聞いてきました。
 福島市では2018年6月から12月の7か月間で、紙削減の取組を全庁に広げるため、市役所全体で使用する紙を前年度比10%削減という目標を掲げ、ペーパーレス大作戦と銘打って実施。前年同期比からすると、結果的には7.3%削減、達成率は71%と100%はできなかったものの、コスト削減への職員の意識改革や業務の効率化につながったため、2019年度には4月から3月の通年で2017年度比10%、紙の使用量380万枚を削減することで、720万円のコスト削減を目標に掲げ取り組みました。3か月ごとの結果を職員にフィードバックし、市役所全体の目標達成状況を確認し、その都度、取組の評価と改善方法などを確認しています。その達成のため、ほぼ全ての職員にタブレット端末を配付し、各部課長会議でのペーパーレス会議を推進したところ、内部打合せで80%、庁内会議で53%、外部打合せでも13%がペーパーレス会議で実施されたとのことです。
 また、東京都は都知事の都政改革ビジョンで、業務の効率化や都庁のワーク・ライフ・バランスを進める仕事改革という観点からペーパーレスを推進。コピー用紙の使用量について、2018年度は2016年度比の10%削減という目標に対し、11%削減し達成。2019年度は15%削減、さらに2020年度は20%削減目標としていたものを順調に削減が進んだことから30%削減に上方修正したにもかかわらず、達成の見込みとのことでした。このことによる効果は絶大であり、コピー用紙では、2016年度の2億205万枚が2020年度見込みでは1億4,144万枚に減少することになり、東京都の試算によれば2016年度のコピー用紙代1億3,000万円が2020年度には約9,000万円に減少、複写サービス料も2016年度の約1億6,000万円が2020年度には1億1,000万円に減少の見込みです。これは、毎年経費が削減されることになりますので、2016年度に対し17年度には980万円、18年度は3,100万円、19年度は4,300万円、20年度は8,600万円の経費削減効果が出ています。
 また、ペーパーレス会議実施率では、2018年度は48%、2019年度は60%、2020年度は90%実施という目標を掲げましたが、これも達成の見込みとのことでした。
 この取組には当然ICT環境の整備が必要ですが、東京都では薄型、軽量、無線LANに対応し、持ち運びに適した新TAIMSという端末に順次更新しており、今年度中には本庁舎の全職員1万人に配備できると聞きました。
 さらに東京都では、2019年からペーパーレス会議実施率の目標達成のため、局長から部長までの約180人の幹部説明についてモニターやプロジェクターを活用した原則ペーパーレス化を決め、取組状況の共有や公表をすることで職員全体の意識改革を図っています。
 そこで、福岡市では1年間で何枚のコピー用紙が使用されているのか、過去5年間の状況をお聞きします。
 そのコピー用紙代は幾らかかったのか、5年間の推移はどうか、お聞きします。
 また、コピー機や印刷機などの機器はどのくらい設置されているのか、伺います。
 福岡市ではコピー機等を一括導入していると聞いていますが、年間の経費は幾らかかっているのか、お聞きします。
 そして、福岡市ではコピー用紙枚数削減のためにこれまでどのような取組を実施してきたのか、伺います。
 また、ペーパーレス会議を実施するに当たってのICT化の環境整備には何が必要となるのか、経費の見込額は幾らか、そのためにどのような具体的検討がされているのか、お聞きします。
 環境整備には経費と時間がかかると思いますが、福岡市でもペーパーレス会議の推進に取り組む必要があると思います。まずは幹部説明から実施してはどうかと考えますが、所見を伺います。
 次に、障がい者の福岡市職員採用についてです。
 答弁によりますと、福岡市の障がい者雇用率は2.6%と基準を満たしていることや、障がい者雇用率が4.4%を達成している企業に対し、優遇措置も含め、社会貢献優良企業として認定する取組を実施していることも確認できました。
 2018年12月、厚労省から自治体に対し、特定の障がいの種別の人に応募を限るのは障害者雇用促進法の趣旨に反するとの内容で改善を求めたこともあり、多くの政令市、都道府県、一般市町村においては、障がい者の正規職員採用は身体障がい者だけに限っていたものを、精神障がい者、知的障がい者の採用についても拡大する動きが広がっています。
 先日、平成29年度採用から身体、精神、知的の3障がいの方を対象に正規職員採用を行っている静岡市を訪問し、話を聞いてきました。平成28年度採用までは身体障がい者だけに限っていましたが、障害者雇用促進法の改正を受け、障がい者への合理的配慮の観点から、精神、知的障がい者にも拡大するとともに、優秀な人材確保の観点もあり、令和元年度採用からは18歳から30歳としていた受験資格年齢を18歳から35歳までに拡大しました。あわせて、障がい者の嘱託職員採用でも毎年1回の採用選考、翌年度当初採用としていたものを、令和元年からは随時募集、年度途中採用に切り替えています。障がい者の方などから募集していますかとの問合せは多いものの、年に1回であれば、障がい者の方が応募したいというタイミングと合わず、これにより人材の損失につながってしまうからという観点でした。さらに、会計年度任用職員として、専門的な見地を持つジョブコーチ経験者などを障がい者業務支援員として採用することにより、職員として働く障がい者や配属所属先からの相談に応じるなど、障がい者の特性に合わせた支援を行うこととしています。
 他の政令市では、受験資格のうち、介護者なしに職務の遂行が可能な人という要件を撤廃したり、自力により通勤や自力により職務遂行が可能な人などの要件を撤廃する動きが広がっていますが、福岡市の現状はどうなっているのか、お聞きします。
 さらに、採用された障がい者からの相談や所属先からの相談に応じるためどのような配慮を行っているのか、お聞きします。
 次に、就職氷河期世代の支援についてです。
 先ほどの答弁で、福岡市民の就職氷河期世代の23万5,200人のうち、非正規の方が5万5,900人、そのうち7,200人の方が不本意非正規として雇用されていることが分かりました。この世代の方は非正規雇用が多く、収入が少なく、結婚や子どもを持つことも難しく、年金額にも影響するとされています。
 ちょっとパネルを準備いたしました。(パネル表示)これは日本総研の資料から引用したものでございます。一番右側なんですけれども、2020年、今年の春、3月に卒業した大学生、大学院生の求人倍率というのは1.83、リーマンショック後の求人倍率が大幅に低下した2012年、1.23と比較して高水準をまだ維持しているというふうに言えます。しかしながら、ちょうどこの矢印があるところ、就職氷河期世代と言われているところ、1991年に2.86倍でありました求人倍率は、いわゆる就職氷河期世代ではバブル崩壊による不景気で急落し、2000年には0.99倍となるなど就職難となり、この時代の多くがフリーターや無職となるなど非正規雇用が増えたと言われております。
 もう一枚パネルがあります。(パネル表示)連合総研の年齢層別の大学、大学院卒の月額の現金給与額の資料を引用したもので、2010年と2015年の比較でございます。就職氷河期世代の方はこの赤いところなんですけれども、その後の世代、若い世代は、2010年に25歳から29歳だった人と比べて、2015年に25歳から29歳だった人はプラス8,700円、給料がちょっと上がっています。同様に、30歳から34歳ではプラス6,400円となっています。また、就職氷河期の前の世代ですね。こちらの下のほうにあります。2010年に45歳から49歳だった人と比べ、2015年に45歳から49歳だった人はプラス2,200円、同様に、50歳から54歳ではプラス2万1,100円と、就職氷河期世代の前後の世代の方の給与は増額しています。
 一方、ちょうどこの赤い部分の、まさに就職氷河期世代なんですが、2010年に35歳から39歳だった人と比べ、2015年に35歳から39歳だった人はマイナス4,300円、特にここですね、2010年に40歳から44歳だった人と比べ、2015年に40歳から44歳だった人は2万3,300円も安い給料だったということを示しております。この世代は、リーマンショック後の影響もあり、非正規雇用者も多く、昇給もなかったと指摘されているように、前後の世代と比べ、それだけ安い給料しかもらえなかったという大変厳しい現状がうかがえます。
 今年1月24日、参議院代表質問での公明党山口代表は、就職氷河期世代の方への支援強化について「こうした方々は長期間厳しい現実に直面しながら奮闘されてきたことを重く受け止め、これまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、人生100年時代を展望したキャリアアップ支援をさらに進めるべきである。本年4月からは、大企業における正社員と非正規雇用の不合理な待遇差が禁止される。この世代だけでなく、不本意非正規雇用の待遇改善を進めるべきである」と訴えました。
 昨年末、政府は、就職氷河期世代に対象を絞った事業として、2022年度当初予算までの3年間で650億円を上回る財源を確保することで、この世代の正規雇用を30万人増やすと発表しています。自治体の先進的な取組を後押しする新たな交付金の創設、全国の主要なハローワークに専用窓口を設置、正社員就職に向けた短期資格等習得コースの創設、自立相談支援機関のアウトリーチの強化、職業訓練に参加する際の交通費の支給や地域活性化に資する奨学金の返済支援を可能にすることなどです。
 国は新たな交付金を創設し、自治体の積極的、先進的な取組を支援するとのことですが、福岡市としての支援はどういうことが考えられるのか、お聞きします。
 また、ハローワークへの専用窓口、短期資格等習得コースの創設など十分な周知が大切と考えますが、どう取り組まれるのか、お聞きします。
 さらに、自立相談支援機関のアウトリーチによる個別支援は、福岡市がしっかりと取り組まなければならないと考えますが、どう取り組むのか、お示しください。
 あわせて、就職氷河期世代を含めた中高年層のひきこもり対策のさらなる充実に取り組んでいただきたいと考えますが、所見を伺います。
 以上で2問目を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) ペーパーレスの推進に関する御質問にお答えいたします。
 まず、コピー用紙の使用状況の推移につきましては、購入量での把握となりますが、平成26年度が約3億1,100万枚、27年度が約3億2,100万枚、28年度が約3億2,800万枚、29年度が約3億2,400万枚、30年度が約3億3,900万枚となっております。
 次に、コピー用紙の購入代金の推移につきましては、平成26年度が約1億5,900万円、27年度が約1億6,600万円、28年度が約1億5,100万円、29年度が約1億5,200万円、30年度が約1億7,200万円でございます。
 最後に、コピー用紙使用量の削減に係る取組につきましては、地球温暖化対策実行計画に基づき、両面コピーや裏紙利用はもとより、印刷前の原稿確認やコピー機使用後のリセットボタンを使用したデータ削除の徹底によるミスコピーの防止をはじめ、内部文書や資料作成の簡素化、全庁OAや情報ネットワークの活用によるデータ共有の推進などに取り組んでおります。また、環境調整会議等において、毎年度、全庁のコピー用紙使用状況の進行管理を行うとともに、各局等の模範となる取組事例の共有を図っております。さらに令和元年度からは、各局、区、室のごみ減量等推進者を対象とした実務研修も新たに開始し、コピー用紙使用量の削減に向けて意識の向上などを図っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) ペーパーレスの推進についてお答えいたします。
 初めに、複写機等の設置台数につきましては、令和元年度の実績でコピー機が754台、プリンターが806台、高速印刷機が4台、合計で1,564台となっております。
 次に、複写機等の一括導入につきましては、平成30年度の決算でコピー機が494台、高速印刷機が4台となっており、年間経費は約1億1,700万円となっております。
 次に、ペーパーレス会議につきましては、庁内LAN環境でペーパーレス会議を行う場合は、パソコン、プロジェクター、スクリーンなどのOA機器が必要であり、ワンセット当たりおおむね40万円程度が必要となります。また、所属や局を超えて全庁的にペーパーレス会議を行う場合は、セキュリティーを確保した無線LAN環境の構築が必要で、本庁舎、区役所、出張所のネットワーク整備費用として約3億5,000万円の経費が必要であると見込んでおります。なお、全職員が所属や局を超えて横断的にペーパーレス会議に参加するためには、現在職員に配備しておりますデスクトップ型パソコンを無線LAN対応の携帯型パソコンに切り替える必要がありますが、機器の更新時に合わせて計画的な切替えを検討してまいりたいと考えております。
 次に、高木議員御提案のペーパーレス会議の取組につきましては、令和元年度から総務企画局にパソコン、プロジェクター、スクリーンを設置し、ペーパーレス会議に取り組んでまいりましたが、会議資料の印刷が不要であるため、会議の準備が簡素化され、また、会議の時間も短縮されるなど効果が認められたことから、令和2年度は本庁各局への配備を進めていきたいと考えております。
 また、全庁的なペーパーレスの取組として、令和元年度は文書管理システムを活用して、従来の印鑑で行う紙での決裁を、いわゆる判こレスの電子決裁に切り替えており、法令等により押印を義務づけられている書類などを除いた電子決裁率は、おおむね100%を達成しております。
 次に、障がい者の職員採用についてお答えいたします。
 まず、福岡市における障がいのある方の採用試験の受験資格につきましては、これまで年齢要件に加え、障害者手帳を有していること、自力での通勤ができること、介助者なしで職務の遂行が可能なことを要件としておりましたが、令和元年度から自力での通勤ができること及び介助者なしで職務の遂行が可能なことの2つの要件を廃止し、受験資格を拡大しております。
 次に、障がいのある職員からの相談につきましては、平成30年度から生活リズムの構築や業務指導、職場定着のためのサポートを行うジョブコーチを任用しておりまして、このジョブコーチが障がいのある職員を配置している所属を巡回し、本人との面談や所属への助言を行うなど、障がいのある職員が働きやすい、より活躍できる職場環境づくりに努めております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) 就職氷河期世代の支援につきましては、福岡市では従来より各区の就労相談窓口において、正規雇用希望など求職者の多様な働き方のニーズに合わせた就職支援を行っているところでございます。
 このたび、国が取りまとめた就職氷河期世代支援プログラムを受け、新たな取組として、国、県、経済団体などの関係機関とともに令和元年12月に立ち上げた、ふくおかプラットフォームにおいて、関係局とも連携し、就職氷河期世代の支援に取り組んでまいります。
 次に、議員御指摘のハローワークへの専門窓口や短期資格等習得コースの創設につきましては、国が実施することになっており、その周知につきましては、このふくおかプラットフォームに参画する関係機関と連携して取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 就職氷河期世代の支援についての御質問にお答えをいたします。
 まず、不安定な就労状態にあり、生活にお困りの方につきましては、生活困窮者の相談窓口である福岡市生活自立支援センターにおいて、個別支援を行っております。同センターでは、電話予約の際に、体調不良やひきこもり等により来所が困難な方に対しましては、自宅や公的施設等に相談支援員が出向いて相談を受けるアウトリーチ支援を行っており、今後とも、支援の充実を図ってまいります。
 次に、中高年層のひきこもり対策につきましては、ひきこもりの長期化により、本人や家族が抱える課題が複雑化することが懸念されることから、早い段階で支援につなげることが重要と考えております。このため、地域包括支援センターや障がい者基幹相談支援センターなど地域の身近な相談機関と連携して実態把握に努めますとともに、関係機関や家族にひきこもり支援ガイドブックを配付するなど、ひきこもり相談窓口のさらなる周知を図ってまいります。また、中高年層のひきこもりの方が抱える課題に応じて、就労支援機関などの関係機関とも連携をしながら、多面的な支援のさらなる充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 高木勝利議員。
○18番(高木勝利) まずはペーパーレスの推進についてです。
 所管局をどこまで含めたのかという違いもあり、単純比較はできませんが、東京都では2020年度のコピー用紙使用枚数は削減努力により約1億4,000万枚に減少の見込みであるのに対し、福岡市では近年、約3億3,000万枚が使用されています。また、その用紙代、印刷機器代、複写サービス代など多くの経費もかかっています。また、東京都からは、ペーパーレス化を進めるに当たり、印刷、修正、再印刷など、職員の皆さんの労働時間などの人件費削減効果が大変大きいとお聞きしました。本日御紹介させていただいたほかにも、さいたま市でも効率的な会議を実施するためタブレットを使ったペーパーレス会議を平成26年から導入しているほか、広島市、岡山市、那覇市、別府市など自治体の取組が広がっています。
 ペーパーレス化には課題としては、タブレットなどの導入時のコスト、個人情報などの情報漏えい防止のセキュリティー対策も必要と思います。しかしながら、ペーパーレス化によるメリットは大変大きく、プリンター、コピー機の台数削減、用紙、インク、トナー、電気代など行政コストの削減、保管スペースの削減や有効活用、賃料などオフィスコスト削減、紙で保存するための什器購入費削減、廃棄費用の削減などにつながります。さらには、行政や職員の皆さんの業務効率化や高質化、人件費の削減、在宅勤務の推進やテレワークの推進にも効果があるとともに、CO排出量削減の環境負荷低減に寄与することから、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsにも貢献できるのではないでしょうか。さらに、新型コロナウイルスの感染予防対策として、企業などでは在宅勤務に切り替えるなどの対応が始まっており、福岡市としても今後の危機管理対応強化の一環として、在宅勤務などのテレワークへの環境整備を強化すべきと考えます。
 一昨日の公明党代表質疑では、島市長からタブレットなどOA機器を活用したペーパーレス会議について検討すると答弁を頂きました。福岡市でもコピー用紙の削減やペーパーレス会議などの目標を設定し、ペーパーレス化の取組をぜひ加速させていただきたいと考えますが、島市長の御所見を伺います。
 次に、障がい者の福岡市職員採用についてです。
 先ほどの御答弁では、福岡市でも受験資格となっていた介護者なしの職務遂行や自力通勤などが今年度採用試験から削除され、職場定着をサポートするジョブコーチも昨年度から任用されており、障がい者の方への配慮に取り組まれていると理解いたします。
 私は2017年10月の決算特別委員会において、市民の方からの御相談を受けた療育手帳を持つ子どもの就職の件、脳梗塞などが原因で精神障がいの一つとされる高次脳機能障がいの人からの就職の件を紹介し、現在身体障がい者だけである福岡市正規職員採用を精神、知的障がい者にも拡大すべき、受験年齢も拡大すべきと提案しました。当時の局長からは、精神障がい者や知的障がい者の正規職員としての採用拡大などについては、これまでの嘱託員としての就労に伴う課題等を検証しながら検討を進めていくという答弁内容でした。
 今回の我が会派の代表質疑に対する答弁では、障がい者の正規職員採用の受験資格を見直すとお答えいただきましたが、具体的な見直しの内容について伺います。
 また、他都市で実施している正規職員の年齢要件の拡大、次年度から会計年度任用職員ということになるかと思いますが、現行の嘱託員における随時募集、年度途中採用について所見を伺います。
 多様性を認め合い生かしていくことが社会の持続的な発展には欠かせないというのが国際社会の共通認識であり、この点からも障がい者雇用の促進は重要であると考えます。
 この項目の最後に、福岡市でも障がいのある人の自立や社会参加、障がいの有無によって分け隔てられることのない共生社会を実現させてほしいと考えますが、島市長の御決意を伺います。
 最後に、就職氷河期世代の支援についてです。
 先ほどの答弁では、福岡市としてもふくおかプラットフォームに参画するなど正規雇用に向けた就職支援、ひきこもり状態の方などへのアウトリーチ支援、ひきこもり支援ガイドブック作成などの対策が進められています。
 昨年12月、指定都市市長会において、就職氷河期世代の雇用確保促進に向けた指定都市市長会共同宣言が行われました。「一部の地方自治体でも就職氷河期世代への支援を実施するなど取組が始まっているが、地域活性化等も勘案しつつ、圏域の中核として地域を牽引する指定都市が就職氷河期世代への支援に取り組むことで、民間企業や周辺自治体に大きなインパクトを与え、全国でその取組を加速させることが期待できる。よって、指定都市は地域の実情に応じ、就職氷河期世代への支援を行っていくことを宣言する」というものです。
 先ほどの身体障がい者の正規職員採用に精神、知的障がい者の方を加えることと同様に、福岡市でも就職氷河期世代の正規職員採用で特別枠を設けるなど、まずは門戸を開き、民間企業などに対しても範を示すことが重要であると考えます。
 就職氷河期世代に対する福岡市正規職員採用を実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 最後に、就職氷河期世代の支援強化について、島市長の御所見を伺い、質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 障がい者の職員採用についてお答えいたします。
 障がいのある方を対象とした正規職員の採用試験につきましては、これまでの身体障がいのある方に加え、令和2年度から知的障がいのある方や精神障がいのある方についても採用試験を受験できるように見直しをしております。
 正規職員における年齢要件の拡大、会計年度任用職員の随時募集や中途採用につきましては、今後、実施に向けて検討してまいります。
 次に、就職氷河期世代の支援についてお答えいたします。
 就職氷河期世代を対象とした正規職員の採用につきましては、令和2年度中の試験実施に向け、人事委員会とも協議しながら検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市におきましては、地球温暖化対策実行計画に基づき、令和4年度のコピー用紙使用量の目標達成に向け全庁で取り組みますとともに、行政手続や市民サービスのデジタル化、オンライン化によって、市民の利便性の向上や業務の効率性、生産性を高めるスマート行政を推進し、行政のペーパーレス化に取り組んでいるところでございます。
 高木議員御指摘のとおり、ペーパーレスの推進は経費の削減をはじめ、業務の効率化や働き方改革につながるとともに、脱炭素社会の実現にも寄与するものであり、さらには今般の新型コロナウイルスなどの感染予防対策として、テレワークなどの環境整備にも役立つものと考えております。今後とも、電子決裁や電子申請によるデジタル化などを推進するとともに、タブレットなどOA機器の活用によるペーパーレス会議の手法の検討など、ペーパーレス化の取組を加速させてまいります。
 福岡市では平成31年1月に障がい者差別解消条例を施行し、障がいのある人もない人も相互に人格と個性を尊重し合いながら共に生きるまちづくりを進めております。御指摘のとおり、障がいのある方が能力を最大限発揮し、適性に応じて働ける環境を整備していくことは、自立や社会参加促進の観点から大変重要であり、障がい者就労支援センターにおいて個別の就労支援や企業の職場開拓を進めるとともに、社会貢献優良企業制度の活用などにより、障がい者雇用の拡大に取り組んでいるところでございます。今後とも、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現に向け、障がいの有無にかかわらず、全ての人にとって暮らしやすいまちとなるように取り組んでまいります。
 いわゆる就職氷河期世代への支援につきましては、対象となる方々の状況に応じた多様で広範な取組が必要とされ、個人やその家族だけでなく、社会全体で受け止めるべき重要な課題だと認識をしております。
 福岡市におきましては、これまでに求職者の多様なニーズに合わせた就職支援、就労が不安定で生活がお困りの方に対する生活自立支援、本人や家族に寄り添ったひきこもり支援などに取り組んでまいりましたが、今後は国が取りまとめた就職氷河期世代支援プログラムに基づき、関係機関とも連携をし、様々な観点から総合的な支援にしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男)登壇 私は、自由民主党福岡市議団、冨永計久会長の代表質問を補足して、歴史、文化や自然を生かした観光振興について、公共及び民間建築物の木造、木質化の促進について、以上2点について質問いたします。
 まずは本市の歴史、文化や自然を生かした観光振興についてです。
 島市長は、都市の成長戦略の一つとして観光・MICEの振興を掲げ、これまでクルーズ船の誘致など様々な施策を行い、平成28年には入り込み観光客数も2,000万人を突破しました。中でも、外国人の福岡市からの入国者数が平成30年には300万人を超えるなど、順調に観光客数は伸び続けてきました。ところが昨年、日本政府が韓国を輸出管理の優遇国、ホワイト国から除外したことによって、日韓の緊張関係がより深刻化し、さらに今年になって新型コロナウイルス感染症の影響で、全体のおよそ7割を占めていた韓国と中国からの訪日客が激減したことで本市経済にも様々な影響を与えることが考えられます。
 こうした状況を踏まえ、本市としましても、既に何らかの対応を行っておられると思いますが、中小企業、小規模事業者に対してどのような支援を行っておられるのか、改めてお尋ねいたします。
 新型コロナウイルス感染症が世界各国に拡大している状況を踏まえると、観光関連産業をはじめとして、様々な業種において業績悪化が懸念されますが、本市は第3次産業が9割を占める産業構造ですので、来訪者を増やし、消費を増やすことが経済の活性化につながります。新型コロナウイルス感染症の収束を見据え、引き続き観光振興に取り組んでいかなければなりません。
 今年は何といっても東京オリンピック・パラリンピックが開催されますし、4月からは観光振興の財源となる宿泊税も導入され、観光産業を大きく発展させるチャンスでもありますが、今後、観光・MICEをどのように振興していかれるのか、取組の方向性についてお尋ねいたします。
 次に、公共及び民間建築物の木造、木質化の促進についてであります。
 皆さん、SDGsという言葉を耳にされたことがあると思います。改めて概要を説明しますと、国連に加盟する193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた持続可能な開発目標のことで、貧困や飢餓といった問題から、働き方や経済成長、気候変動に至るまで、現在の世界が抱える課題を解決するための17の目標と169のターゲットで構成されています。日本政府も平成28年に最初の持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合を開催し、これまで8回の会合を重ねています。この持続可能な開発目標推進本部は、安倍総理が本部長を務め、全ての国務大臣がメンバーとなっており、これまでの会合で国際保健の推進支援に約4億ドル、難民問題への対応支援に5億ドル、女性の輝く社会の実現に約30億ドル以上の取組を行うとし、SDGs関連に合計約4,000億円の投資をすることを決定しています。このことからも日本政府のSDGsに対する意気込みが感じられます。
 ただ、このSDGsの理念については、まだ皆さんに十分浸透していないのではないでしょうか。
 私の経験談をお話ししますと、先月、地元の中小企業を対象としたセミナーが開催されたのですが、私は知人に誘われ、どのようなテーマかも知らず会場の席に着きました。机の上にはA4に色鮮やかに印刷されたペーパーが1枚置いてありました。見出しにアルファベットでSDGs、その下に17色の四角の枠にそれぞれ文字が記入されており、その隣にこの頃よく目にする17色の丸いマークがありました。講師は佐賀SDGs官民連携円卓フォーラムの幹事長の大野博之氏でした。大野氏はまず、100名ほどの参加者に、SDGsについて簡単でいいですから説明できる方は手を挙げてくださいと問いかけられましたが、一人も手が挙がりませんでした。しかし、講演後はSDGsに対する参加者の意識は一変し、講師に対しての質問が相次ぎました。参加者の皆さんは、これからは企業経営においてもSDGsの理念を抜きにしては成り立たないことを感じ取られたようですし、私自身もこの取組の重要性を痛切に感じました。将来にわたってみんなが暮らしやすい世界を実現するには、SDGsの目標を達成することが必要であり、そのためには市民一人一人の取組が大切です。今後、市民の皆さんにもっと周知を図っていく必要があろうかと思います。
 さて、SDGsに関する本市の動向に目を向けますと、平成30年8月に開催され、16か国32都市の代表が参加した第12回アジア太平洋都市サミットにおいて、「SDGsを踏まえ、相互に協力しながら、都市の経済発展と、環境の保全や保護、貧困や格差の是正、教育や医療、社会保障の充実、社会的包摂を実現することで、人と環境と都市活力の調和がとれた都市づくりを行い、地球規模の課題解決に寄与し、未来の世代が夢や希望を抱くことのできる世界を築いていく」といった福岡宣言が採択されています。
 福岡市では、この福岡宣言を踏まえつつ、各施策の推進に取り組まれているところと思います。中でも近年、この傾向が顕著である気象災害の頻発化、激甚化は、地球温暖化がその一因とされており、COに代表される温室効果ガスの排出抑制、脱炭素社会の実現に向けた取組が急務となっています。
 国においては、平成30年度税制改正の大綱におきまして、平成31年3月、森林環境税、森林環境譲与税の創設が決まり、昨年から自治体への譲与が開始されました。これらの税は、2020年以降の新たな国際的な枠組み、パリ協定に基づく我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止を図るための森林整備の財源確保のため、そして、森林現場の課題に対応しつつ自治体自らが管理を行う新たな森林管理システムを構築することを踏まえて、国民一人一人がひとしく負担を分かち合い、森林を支える仕組みとして創設されたものです。
 こうした状況の中、昨年の決算特別委員会におきまして、私たち市民が望んでいる温暖化防止や自然災害防止といった森林が持つ多面的な機能を発揮するための荒廃森林の再生や道路網の整備には、平成30年度決算額では不十分であり、その目的を達成することはできないと指摘しました。それに対し島市長からは、今後とも、森林の有する多面的機能を発揮させるとともに、都市型林業の創造に努めていくと答弁をいただきましたが、この都市型林業の創造にも来年度増額される予定の森林環境譲与税を活用されるものと考えております。
 そこで、お尋ねしますが、令和2年度における福岡市への森林環境譲与税の見直し前後の配分見込額はどうなっているでしょうか。
 また、来年度予算における森林の多面的機能を発揮させるための施策や都市型林業の創造など、林業振興に係る主な取組とその予算額についてお尋ねします。
 以上で1問目を終わり、2問目は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) 本市の歴史、文化や自然を生かした観光振興についてお答えいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症の経済への影響に係る中小企業、小規模事業者への支援につきましては、福岡商工会議所ビル内に市の特別相談窓口を設置し、経営や金融相談に対応いたしております。コロナウイルスの影響が観光関連産業をはじめとする幅広い業種に広がっていることを踏まえ、市の融資制度におきまして、事業者が支払う信用保証料を福岡市が全額負担する新たな融資メニューを創設するなど、中小企業に対する支援の充実を図っております。
 次に、今後の観光・MICEの振興につきましては、宿泊税という貴重な財源を活用し、九州のゲートウェイ都市機能の強化に向けて、MICE施設の整備や観光情報の発信強化による九州周遊観光の促進に取り組むほか、今後のスポーツMICE等の開催に向けて、歴史文化資源の魅力向上や地域での観光客の受入れ環境の充実を図ってまいります。また、観光によるまちの活性化と地域や市民生活の調和を図るため、健全な民泊の普及推進や海辺などの地域資源を生かした観光振興などに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) まず、森林環境譲与税の令和2年度の福岡市への配分見込額につきましては、見直し前が約6,700万円、見直し後の令和2年度予算額は1億4,300万円となっております。
 次に、令和2年度の林業関係予算額につきましては4億7,954万円で、令和元年度に比べ6,962万7,000円増額し、予算を拡充しております。
 また、令和2年度の林業関係の主な事業は、森林の有する多面的機能の発揮を目的として間伐を行う森林環境整備事業などに3億1,040万9,000円、都市型林業の創造として林道整備事業などに1億5,360万4,000円、さらに農林業総合計画の策定に向け、将来の森づくりの在り方を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男) 2問目に入ります。まず、歴史、文化や自然を生かした観光振興についてお尋ねしていきます。
 今年度はラグビーワールドカップの開催を契機として、欧米豪をターゲットとした受入れ環境の整備やおもてなしイベントを実施したことで、まちなかでもよく欧米人を見かけるようになり、一定の成果があったと認識しております。今後も大規模スポーツイベントなど、機会を捉えた観光振興が重要だと考えます。来年はFINA世界水泳選手権大会2021福岡大会が開催されますので、今回のラグビーワールドカップでの成果を踏まえ、欧米での福岡市の認知度が高まるように、さらに工夫を重ねていただければと思います。
 一方、福岡市の外国人入国者数は隣の韓国、中国からがほとんどで、先ほど申しましたように、国際情勢に左右され、安定性に欠けることから、特定の国に偏らずにアジアの他の国から、あるいは国内客も含めて幅広く誘客することが必要です。私が3年前に韓国の済州島に旅行に行ったときは、韓国と中国の関係が悪化し、中国が韓国への団体旅行を禁止して間もない頃でしたので、中国からの観光客はいませんでした。ところが、韓国のガイドさんは、中国からの観光客が突然来なくなって今は大変だけど、ここは以前から新婚旅行のメッカでもあり、韓国国内の観光客がまた戻ってきているので、そんなに心配はしていないとおっしゃっていました。
 福岡市においてはインバウンドも重要だと思いますが、国内の観光客を呼び込むことにも力を注ぐべきではないでしょうか。
 歴史的に見ても福岡市には日本で最も古い王墓と言われる吉武高木遺跡や日本で最も早く稲作農耕が開始された板付遺跡など、縄文や弥生持代の遺跡や遺物が数多くあり、さらには金印や元寇防塁など、日本で唯一福岡にしかないものもあります。また、神社では全国二千数百社ある住吉神社の始祖である博多区の住吉神社、日本三大八幡宮の筥崎宮など、歴史や格式ある神社が幾つもあります。さらに、かつては数多くの名僧が博多を通じて日本と中国を行き来し、寺院の数は京都市に次いで日本で2番目に多いとも言われています。また、作家の長谷川町子さんが国民的人気を誇るサザエさんの着想を得たのは百道の海岸で、発案の地周辺はサザエさん通りと命名され、サザエさんや全国初となる長谷川町子さんの銅像が設置されています。福岡市内には観光客を案内する名所が少ないとよく言われますが、このような国内外の観光客を引きつける歴史や文化資源はまだまだあるはずです。
 そこで、お尋ねしますが、歴史文化資源を活用した観光振興としてこれまでどのような取組を進めてこられたのか、お尋ねします。
 本市の郊外には元寇防塁や吉武高木遺跡などに代表される国内でも著名な歴史資源が多数ありますが、比較的整備が進んでいる生の松原の元寇防塁でも、近くに駐車場がないとか、場所を示す看板が分かりづらくて迷ってしまったとの観光客の声を耳にしますし、場所が分かりにくいとの声は吉武高木遺跡でも聞いています。本市の宝とも言える貴重な歴史資源を観光資源として磨き上げるためには、駐車場やトイレ、案内板設置といった受入れ環境の整備が不可欠です。
 そこで、令和2年度の歴史資源の観光活用に向けた受入れ環境整備の主な事業予定とその予算額をお尋ねします。
 次に、公共及び民間建築物の木造、木質化の促進についての質問です。
 SDGsに掲げられている森林の持続可能な管理を実現し、森林を健全な状態で次世代へと引き継いでいくためには、木材を利用することが重要です。
 では、なぜ木材の利用促進が重要なのでしょうか。
 木材利用を促進する目的としては、戦後植林された杉やヒノキが伐採の適齢期を迎えているにもかかわらず、需要が少なく採算が取れないために放置され、森林が荒廃していることから、木材の利用を促進し、林業を活性化させ、森林が元来有している多面的な機能の回復、維持向上を図るということがもちろんあります。ただ、それだけにとどまらず、成長した樹木を建築物などに利用することはCOを封じ込めることにもなるからです。樹木が吸収したCOは炭素として取り込まれ、幹や枝葉を構築する物質となります。木材の重さのおよそ50%が炭素の重さとされており、成長した木は、いわば炭素の塊とも言えます。木材、木製品は燃やせば炭素と酸素が結びつきCOが放出されますが、燃やさない限り、COに由来する炭素が固定されたままになります。つまり、身の回りの木材、木製品が増えるほど、大気中の二酸化炭素が減ることになります。建材として使われるコンクリートや鉄骨などは、もともと地下資源を原材料とし、製造過程で大量のCOを排出します。さらに、海外からの輸入品であれば、輸送にもCOの排出を伴います。そのCOが一因とされる気候変動によって様々な自然災害が起こり、毎年、世界では多くの命が奪われています。
 SDGsでは、気候変動に具体的な対策をとの目標が掲げられています。木材を利用することは、SDGsの理念にかなった世界の潮流であり、国土の68.5%が森林である我が国、3分の1を森林で占める本市が今すぐに取り組める、取り組むべき対策ではないでしょうか。
 樹木が最もCOを吸収し成長するのは樹齢40年頃までで、その後は吸収量が減っていくとされていますので、森林のCOの吸収効果を高めていくには、適齢期の樹木を伐採し、適切なサイクルで植え替えることが必要です。そして、その伐採を促すには、伐採した樹木を木材として利用しなければなりません。
 こうした点からも健全な森林の保全、そのための林業の振興にとっては、木材利用の促進が極めて重要であると思いますが、今年度、本市においては木材利用促進のためにどのような取組を行われたのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) 歴史、文化や自然を生かした観光振興についてお答えいたします。
 福岡市は二千年を超えて栄えてきた都市として、重要な歴史資源を多数有しております。これまでの主な取組として、鴻臚館、福岡城では史跡の修復、復元を図るとともに、身近な文化財を活用し、集客イベントの実施や乗馬や着つけなどの体験プログラムの開発を進めるほか、志賀島における国宝金印の観光案内や情報発信、また、日本で唯一福岡市に現存する元寇防塁を活用した観光振興に取り組んでおります。また、中世最大の貿易港であった博多部において、観光資源を磨き上げ、ストーリーとまち並みでつなぐ博多旧市街プロジェクトを推進しております。
 次に、令和2年度の歴史資源の観光活用に向けた受入れ環境整備の主な事業予定といたしましては、西区生の松原地区の史跡、元寇防塁において、より多くの観光客などの見学者を受け入れるため、駐車施設やトイレの設置に着手するほか、住吉神社の能楽殿について歴史的建造物としての価値を生かしながら、インバウンド向けの伝統芸能やMICE開催時のユニークベニュー活用などの多様な利用に対応できるような施設整備を支援してまいります。これらの令和2年度の関連事業の予算額は3,800万円余を計上しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) 令和元年度における木材利用促進の取組につきましては、早良区入部出張所の内装木質化や木材利用に関するガイドラインを策定するとともに、木材利用のための研修会や市民に木のよさを知っていただくための木製品の展示、配布イベントを開催するなど、木材利用の普及啓発を図っているところであります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 大原弥寿男議員。
○20番(大原弥寿男) それでは、歴史、文化や自然を生かした観光振興についてお尋ねしていきます。
 本市が誇れる観光資源としては、これまで述べてきましたように、本市にしかない歴史資源や文化財があるわけですが、中でも早良南部や北崎・今津地区などには由緒ある寺院が多く存在していますし、早良南部に代表される豊かな自然があることも忘れてはいけません。
 脊振山の歴史については、地元の方もあまり御存じないようですが、709年、元明天皇より勅命を受けた湛誉上人により開山され、その後、数多くの寺が散在する大伽藍となり、脊振千坊・嶽万坊と呼ばれ、比叡山、高野山、英彦山と並び、山岳仏教の聖地として栄えたそうです。
 中国で仏教を学んだ最澄、空海、円仁、栄西といった数々の名僧が帰国して、まず脊振山に入山、修行された後に、奈良や京都に赴かれたそうです。その一人、栄西が持ち帰ったお茶の種が脊振山にまかれ、日本のお茶の栽培の発祥の地とされており、栄西禅師をたたえた記念碑、茶徳碑が建てられ、脇山中央公園として整備されています。
 昭和天皇即位の礼では、大嘗祭に献上される新米を作る主基斎田に脇山が選ばれ、今でも毎年お田植祭が行われています。脊振山系から流れ出る清らかな水で育てられた米はおいしく、ブランド米として絶賛されているほか、きれいなおいしい水で作るそばや豆腐、野菜なども好評を得ています。
 その脊振山系が比叡山、比良山地などとともに、2019年度、日本山岳遺産の認定地となりました。この日本山岳遺産というのは、次世代に伝えたい豊かな自然環境や、人と自然の関わりがあり、それを守りながら活用する地元の活動が盛んな山岳エリアのことであり、日本山岳遺産基金事務局が認定しています。
 今年2月、一橋大学講堂で行われた認定書授与式に、脊振の自然を愛する会の代表、池田友行さんが出席されました。脊振の自然を愛する会は、長年、脊振山の登山道の整備や美化に努められるとともに、多くの方々に脊振山のすばらしさを発信し続けていらっしゃいます。平成30年には、第9回福岡市環境行動賞も受賞されています。
 このように、早良南部には民間団体の活動に支えられている豊かな自然をはじめ、歴史、食といった魅力的な多くの観光資源があります。
 そこで、早良南部にはどのような観光資源があると市は認識しておられるのか、また、これまで早良南部において実施した観光振興の取組にはどのようなものがあるのか、お尋ねします。
 昨年、早良南部の名所旧跡や店舗を紹介した英語版のパンフレットを福岡市に作成していただきましたが、その表紙の写真は脊振山系の野河内渓谷です。この野河内渓谷は、数十年前までは水遊びやキャンプに訪れる家族連れなど、多くの市民でにぎわっていました。しかし、博多駅からの直通バスが廃止になったこともあってか、今はそのにぎやかさがなくなり、渓谷に沿った遊歩道も途絶えてしまいました。昔のにぎわいを何とか取り戻したいとの願いから、7年前に地元の自治会で渓谷の整備作業に取りかかったのですが、直後にリーダーの方が滑落事故に遭われ、そのときのけががもとで、2年後に亡くなられてしまいました。事故の後は誰一人、渓谷のことを口にしなくなりましたが、以前のにぎわいを取り戻したいという気持ちは日々大きくなるばかりです。
 野河内渓谷の下流域では休日になると子ども連れをよく見かけます。特に夏場は芋の子を洗うように川遊びをする小さな子どもたちでにぎわっています。都心部から僅か車で30分ほどの場所に、豊かな自然と歴史に育まれた脊振山系が広がっているのです。脊振の自然を愛する会の池田さんは、口癖のようにこうおっしゃっています。「福岡市民の皆さんに脊振山系をもっと知ってもらいたい、来ていただきたい、楽しんでいただきたい。それには登山口にトイレと駐車場が必要なんだ。だけど、これは自分たちの力ではできません。だから、福岡市にお願いするしかないんです」と。
 早良南部には豊かな自然、おいしい食、そして歴史もあって、観光地としてのポテンシャルは十分にあるのですが、観光客を受け入れる最低限の設備であるトイレや駐車場が不足しています。
 先ほど、来年度の事業として、生の松原地区の元寇防塁においてトイレや駐車場の整備に着手する予定との答弁がありました。私は常々、市街地だけではなく農山漁村地域においても観光資源を磨き上げることにより、地域の活性化やさらなる観光振興が図られるものと思っています。
 令和2年4月から、いよいよ宿泊税の徴収が始まります。今後、宿泊税も活用して、農山漁村地域の観光振興をどう推し進めていかれるのか、お尋ねするとともに、早良南部などにおけるトイレや駐車場、案内板設置といった観光客の受入れ環境の整備を着実に進めていただきますよう要望いたしまして、この質問を終わります。
 続いて、公共及び民間建築物の木造、木質化の促進についてお尋ねしていきます。
 ここで、農学博士の村尾行一氏の著書から、木材に関するデータを紹介させていただきます。
 木材はもろくて燃えやすく、長もちしないので、特に都心部での建築資材には不向きだとの固定観念がありますが、引っ張り強度を比較すると、鋼鉄が641、コンクリートは13に対し、杉が2,570、圧縮強度の比較でもコンクリートが167、花崗岩が508に対し、杉は1,000もあるそうです。
 また、木材は火事に弱いと思われがちですが、柱やはりは表面だけが燃焼するだけで、火事に耐えるそうですが、鋼鉄製のはりだと火災の5分後には強度が半減するため、2階建ての住宅の場合、2階部分が短時間で崩落するとも言われています。
 そして、耐久性ですが、世界で最古の木造建築物とされる法隆寺を見ても、木材を利用した建築物は、管理次第で1,000年以上も長もちすることが分かります。
 さらに今では、木を超える木として、薄い板をつなぎ合わせ、積層して接着させた集成材が開発されており、ドイツのミュンヘンにはこの集成材を使った高さ164メートルの放送塔があるそうです。
 また近年、木材の板を積層接着させた直交集成材、CLTが大いに注目され、現在既に多くの建築物に利用されています。オーストリアなどヨーロッパではCLTを使った高層ビルが何棟もありますし、日本ではオリンピックスタジアムをはじめ、様々な建築物に利用されるようになりました。
 昨年12月末、本市の森林・林業・林産業活性化促進議員連盟で、平成30年に新社屋を木造で建設された佐賀市内のゼネコン、松尾建設さんを視察させていただきました。
 そこで、出迎えていただいた同社の山田会長から、新社屋を木造にされたいきさつをお伺いしました。山田会長によりますと、その時代時代の求めに応じて、常に新しい技術に挑戦していくという社風が引き継がれてきた中で、地球環境負荷の大きなコンクリートや鉄骨から木への転換が世界的な潮流となっていることを踏まえ、創業130周年を契機に、長期的な視野に立って、木造建築を推進するにふさわしい建物を目指して社屋を建設されたとのことでした。CASBEEという環境等に配慮した建物を総合的に評価するシステムでAランクの評価を受けられたとのことです。
 持続可能な環境未来都市づくりへつなげるために、耐震、耐火機能はもちろんのこと、CO削減や創エネ、省エネといった環境への配慮、そして、快適さを追求した技術が至るところに駆使された本当にすばらしい建物でした。
 このように、中央のゼネコンだけではなく、地方でも製造過程で大量のCOを排出するコンクリートや鉄骨から木に転換するための技術開発が急ピッチで進んでいるように思われます。民間における建築物の木造、木質化については積極的に進められているところですが、今後、こうした動きを加速させるための取組が必要であると思います。
 政令指定都市の自民党市議会議員で結成された木材利用促進議員連盟では、毎年2回研修会を行い、建築物だけではなく環境に配慮した木材の利用方法についても意見交換を行っています。
 先ほどの答弁では、早良区入部出張所の木質化を取組事例として挙げられましたが、こうした研修会に参加したり、他都市を視察するたびに、本市の公共物の木造、木質化がまだまだ進んでいない現状をつくづく実感させられます。
 今年度中に木材利用に関するガイドラインを策定するとのことですから、農林水産局だけにとどまらず、環境局や住宅都市局など、局を横断したチームを組んで、実現可能性のある具体的な施策を検討していただきたいと思っていますが、公共、民間建築物の木造、木質化を促進するために、本市はこれからどのような取組を進めようとしておられるのか、お尋ねします。
 木材を利用することで、植える、育てる、使うという森林の持続的なサイクルが保たれることにより、地球温暖化防止や土砂災害防止など、森林の多面的機能が発揮されることは先に述べました。
 さらに、2017年1月に国連森林フォーラムが採択した国連森林戦略計画では、森林の活動がSDGsの17の目標のうち、実に14の目標達成に寄与すると示されています。福岡市域の3分の1は山林です。森林環境譲与税が創設され、さらに増額された、まさに今こそ、森林の整備並びに木材利用促進を計画的に進めるべき好機です。
 そこで、森林がもたらす多様な恵みを守り育て、健全な状態で次世代に引き継ぐために、長期的な視点に立った福岡市の森づくりの展望が必要と考えられますが、本市の意気込みをお聞かせください。
 木材は健康的で安らぎのある空間をつくり出すことから、本市でも私立の保育園や幼稚園、そして障がい者施設などに、落ち着いて温かい雰囲気の木造、木質化の建物が見られるようになりました。木造校舎は鉄筋コンクリートの校舎と比較して、不登校児の割合やインフルエンザの発生率、疲労を訴える先生の割合などを半減できるとの公式なデータもあります。文部科学省の調査によりますと、木造校舎は年々増加傾向にあり、平成30年度における新築の学校施設760棟のうち469棟、割合にして61.7%が木材を使用しているとのことです。
 こうしたことも踏まえ、ぜひ本市の公共施設、とりわけ子どもたちが長い時間を過ごす学校校舎の木造、木質化を推し進めていただきますよう、最後に改めて強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) 歴史、文化や自然を生かした観光振興についてお答えいたします。
 早良南部の観光資源につきましては、野河内渓谷や曲渕の紅葉をはじめとする脊振山系の豊かな自然、脇山米や豆腐などの食材、国宝である西光寺の梵鐘や主基斎田跡などの歴史資源があると認識しております。こうした観光資源をめぐる取組として、平成30年度から早良商工会と連携しながら、グリーンツーリズムの振興を図っており、エリア内店舗の多言語対応支援や英語版の観光マップの作成のほか、外国メディアを活用した情報発信などに取り組んでおります。
 次に、農山漁村地域の観光振興についてお答えいたします。
 農山漁村地域については、豊かな自然環境や美しい景観、歴史文化資源など、都心部にはない地域の大きな魅力があると考えております。令和2年度からは、宿泊税も活用しながら、海辺を生かした観光振興として、志賀島と北崎において、ハードとソフトの両面から海辺の観光周遊コースの形成に向けた魅力向上やブランディングに取り組んでいくこととしております。宿泊税を活用した農山漁村地域の観光振興につきましては、風光明媚な景観を楽しむサイクルツーリズムや、自然や食を生かしたグリーンツーリズムなど、エリアの特性に合わせた持続可能な観光振興に引き続き取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) まず、公共及び民間の木材利用促進についてお答えいたします。
 福岡市では、平成25年度に公共建築物等における木材の利用の促進に関する方針を定めているところであります。令和元年度は、この方針をより実効性のあるものとするため、木材利用に関するガイドラインを策定し、森林環境譲与税を活用した公共建築物の木材利用を進めますとともに、民間建築物の木材利用を促進するため、これまでの取組に加え、他都市の先進事例等を調査、検討するなど、木材利用の普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
 次に、福岡市の森づくりの展望につきましては、森林は大原議員御指摘のとおり、地球温暖化防止や土砂災害防止などの機能のみならず、市民生活に癒やしや潤いを与え、健康増進に寄与し、ミネラル類を多く含んだ滋養豊かな水を作るなど、SDGsの多くの目標達成に貢献する、人と地球に優しい様々な機能を有しております。しかし、現状では手入れがなされず機能が低下した人工林の存在や、森林の多面的機能に対する理解が進んでいないなどの課題があると認識しております。
 このような中、福岡市におきましては、市民が将来にわたって森がもたらす多様な恵みを享受し、それを実感できるよう、市民生活を支える観点やSDGsの趣旨を踏まえ、長期的な視点で福岡市の将来の森づくりの在り方について、しっかりと検討を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時25分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、新型コロナウイルス感染症対策について、会計年度任用職員制度及び市民利用施設の使用料、減免に関する統一基準の検討について補足質疑を行います。
 最初に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 新型コロナウイルス感染症が広がり、本市でもこれまでに2名の感染者が確認されています。感染の拡大は経済活動に影響を与えるだけでなく、市民生活にも大きな影響を与えています。感染拡大の防止で社会的影響を最小限にすることが重要となっています。
 そこで、1点目は相談体制についてです。
 市長は我が党、中山郁美議員の代表質問に対して、必要な相談体制を取っていると答弁されましたが、本当にそうなのか検証したいと思います。現在の相談体制は、一般的な相談については新型コロナウイルス感染症相談ダイヤルを開設しており、保健所や保健福祉局の職員が24時間体制で土日も受け付けています。また、医療機関の受診に関する相談は各区保健所の帰国者・接触者相談センターが対応しています。
 そこで、お尋ねしますが、コールセンターや保健所の相談はどういう体制で行っているのか、また十分に対応できているのか、答弁を求めます。
 2点目は、市立学校の臨時休業についてです。
 教育長は代表質問に対して、子どもたちへの感染拡大防止のために各校長会の意見を聴き決定したと答弁されましたが、この判断が適切であったのか、検証していきます。安倍首相は2月27日に感染拡大を防止するとして、全国の公立の小学校、中学校、高校、特別支援学校を3月2日から春休みまで臨時休業とするよう要請しました。準備期間を設定したり、休校するかどうか独自に判断する自治体が出る中で、島市長は安倍首相の要請が報道された僅か1時間半後にブログに内部での方向性は決まったと投稿しています。
 そこで、お尋ねしますが、安倍首相の全国一律の臨時休業の科学的根拠はなく、政治判断だと言っていますが、島市長はブログの投稿について、福岡市感染症危機管理委員会などの専門家の意見を聞き、科学的な根拠に基づいて書いたのか、説明を求めます。あわせて、教育委員会会議を受けて書いたブログだったのか、答弁を求めます。
 3点目は、臨時休業に伴う市の対策についてです。
 島市長は臨時休業に伴う子どもたちへの対応について、留守家庭子ども会や特別支援学校放課後等支援事業、また放課後等デイサービス事業者に、朝から開所するよう協力を要請しています。利用料について無料にするよう求めたことに対して市長は拒否されました。冷たい答弁です。突然の臨時休業でやむなく利用することになった今回でも、留守家庭子ども会については利用料金3,000円におやつ代など実費負担で約6,000円、特別支援学校放課後等支援事業は1日500円、20日間通えば約1万円にもなるのです。
 そこで、お尋ねしますが、臨時休業に伴って留守家庭子ども会などを利用すれば、経済的な負担が生じるため、利用したくても利用できない保護者がいるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 4点目は、休業補償についてです。
 政府は学校の臨時休業により子どもをどこにも預けることができずに休みを取らざるを得ない保護者の所得減少を支援する助成金制度の創設を掲げ、中でもフリーランスや自営業者への休業補償について、企業など外部から業務委託を受けている人たちなどに限定し、1日当たり定額で4,100円を給付する方針を発表しました。
 そこで、お尋ねしますが、4,100円の給付で十分と考えているのか。また、今回の措置は全てのフリーランスや自営業者が対象とされておりません。このような制度設計は公平性を欠くこととなり、おかしいのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、会計年度任用職員制度についてです。
 これは臨時、非常勤の市職員を今年4月から1年任用で大部分、この制度に移すものです。代表質問で制度移行に伴い処遇の悪化は許されないという質問に対して、市長は法に基づいて適切に対応していると答弁されましたが、そんなことはありません。
 そこで、ここでは公民館主事、学校司書、留守家庭子ども会主任支援員、市立学校臨時教職員、学校生活支援員について検証したいと思います。
 1点目は給与についてです。会計年度任用職員への移行に伴う報酬月額は、公民館主事の手取りが最高号給で14万7,000円となり、月収で4万円余りの引下げ、同様に留守家庭子ども会主任支援員では13万1,000円となり、3万1,000円引下げ、市立学校臨時教職員の報酬日額が8,548円と1,782円の引下げ、学校司書も同様に5,504円と1,000円以上も引き下げられることになっています。
 そこで、お尋ねしますが、労働者にとって月収や日給は日々の生活費そのものであり、報酬月額や日額を安易に引き下げれば、生活設計が成り立たなくなるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 2点目は嘱託職員の正規化についてです。今年4月から会計年度任用職員に移行する公民館主事、学校司書、留守家庭子ども会主任支援員、市立学校臨時教職員、学校生活支援員は、市民や子どもたちが安心して生活していく上で重要な役割を果たしております。
 そこで、お尋ねしますが、これまでこの重要なポストを非正規職員という形で担わせてきたのは問題だと思いますが、答弁を求めます。
 次に、市民利用施設の使用料、減免に関する統一的な基準の策定についてです。
 市は昨年の12月議会、総務財政委員会で市民センター、体育館、美術館など市民利用施設の使用料等の設定に係る基本方針、ガイドラインを策定すると報告しました。これは受益者負担を打ち出した財政運営プランに基づいたものであり、代表質問で我が党は、市民犠牲の同プランの中止を求めました。市長は今後も推進すると答弁しましたが、これ以上の市民負担は許されません。
 そこで、市民利用施設の市民負担がどうなるのか検証したいと思います。市はガイドラインの検討の方向性の中で、使用料の望ましい負担割合は施設で提供される行政サービスの性質を踏まえ、公的関与の必要性や収益性の2要素を考慮して設定するとしています。
 そこで、お尋ねしますが、公的関与の必要性と収益性とは何なのか、答弁を求めます。
また、減免区分や減免率等についても、ガイドラインの検討の方向性の中で福岡100等の施策なども考慮しつつ、統一化を図るとしていますが、具体的にどのようなことを検討しているのか、説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症対策についての御質問にお答えいたします。
 感染症に関する市民からの御相談につきましては、新型コロナウイルス感染症相談ダイヤル及び各区の帰国者・接触者相談センターにおいて受け付けております。
 相談ダイヤルにつきましては、現在、保健福祉局職員及び各保健所職員により、7時から22時までは4名、22時から7時までは3名の体制で対応いたしております。また、各区の帰国者・接触者相談センターにつきましては、日中は保健所それぞれに職員おおむね7名、夜間から早朝にかけてはそれぞれおおむね2名で対応いたしております。
 新型コロナウイルス感染症に関連する報道の直後など電話が集中しました際には、一時的に全ての回線が塞がるようなこともございましたが、全体としましては現在の体制で対応できているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。
 このたびの市立学校の臨時休業につきましては、2月27日に開催された国の新型コロナウイルス感染症対策本部において、内閣総理大臣より、今がまさに感染の流行を早期に終息させるために極めて重要な時期であることを踏まえ、何よりも子どもたちの健康、安全を第一に考え、多くの子どもたちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備える観点から、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における一斉の臨時休業を要請する方針が示され、このことを受け、文部科学省より2月28日に本年3月2日から春季休業の開始日までの間、学校保健安全法第20条に基づく臨時休業を行うよう要請されたことを受け、教育委員会において臨時休業を決定したものです。
 臨時休業を国からの要請に基づき迅速に決定する必要があったため、教育委員会会議を招集するいとまがなく、教育委員会会議において協議は行っておりません。
 なお、臨時休業については、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第25条第1項及び福岡市教育委員会事務委任規則第5条第1項の規定に基づき、私が臨時代理により2月28日に臨時休業とすることを決定しており、次回の教育委員会会議において報告をいたします。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
こども未来局長(田浩輝) 留守家庭子ども会などのお尋ねにお答えいたします。
 留守家庭子ども会の利用料などにつきましては、事業を利用されていない世帯との負担の公平性の観点から、利用される世帯に対して事業に要する経費の一部について御負担をお願いしております。
 なお、保護者の経済的事情等により負担が困難な世帯に対しては留守家庭子ども会などにおいて、生活保護受給世帯の利用料を全額免除とするなど、各世帯の状況に応じた減免制度を設けております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) 小学校等の臨時休業に伴う保護者への休業補償について、経済観光文化局からお答えします。
 国は小学校等の臨時休業により職場を休まざるを得なくなった労働者を支援するため、正規、非正規雇用問わず、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給休暇を取得させた企業に対して賃金相当額を助成する制度を創設したものでございます。
 国は、これに加え、フリーランスや自営業者など企業に雇用されておらず、個人で就業する方に対しましても新たに支援制度を創設することを決定いたしておりますが、この措置は全国一斉休校を要請した国がこの要請によって生じた課題の対応策として取りまとめたものであり、対象や金額など制度設計の詳細については国において適切に判断されたものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 会計年度任用職員についてお答えいたします。
 会計年度任用職員の給料及び報酬につきましては、地方公務員法に基づき国が示した運用の考え方を踏まえ、常勤職員の給料表を準用した上で職務内容や職責等に応じて適切に設定しております。その結果、月収及び年収のいずれも引上げとなる職がある一方で、現行の報酬が高めに設定されている職については、月収が引下げとなる場合もございますが、新たに支給される期末手当を合わせた年収は現行の水準を上回るよう措置しております。
 次に、公民館主事、留守家庭子ども会主任支援員、学校司書、非常勤講師、学校生活支援員につきましては、法改正に当たり国が示した運用の考え方を踏まえ、局とも十分協議を行い、それぞれの職務内容や勤務形態、責任の程度などを勘案した上で、会計年度任用職員として配置することとしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 市民利用施設の使用料、減免に関する統一的な基準についてお答えいたします。
 本市が設置する市民利用施設については、平成27年度の包括外部監査において、使用料を徴収する施設の多くで使用料や減免基準の具体的根拠等が不明確であり、長年見直しがされていない状況であるとの指摘がなされております。また、政令指定都市の半数以上が使用料等について統一的な基準を定めているところでございます。これらを踏まえ、本市においても市民利用施設の使用料等の設定に係る基本方針となるガイドラインの策定を検討することとし、先般12月議会の総務財政委員会で御報告しております。
 ガイドラインの中では、その対象となる施設において、利用者が負担すべき割合などの基準を定めるとともに、使用料の減免については減免区分や減免する割合について基準を設けることとしております。このうち、利用者が負担すべき割合については、各施設の目的や提供サービスの性質にかかわらず一律に設定することは適当でないことから、包括外部監査の意見を踏まえ、施設ごとに公的関与の必要性と収益性を考慮して割合を定める必要があると考えております。
 包括外部監査によると、公的関与の必要性については、安全、安心な市民生活の維持などの必需的な施設なのかという考え方が、また収益性については、民間で相当程度供給されているかなどの市場的な施設なのかという考え方が示されております。また、使用料の減免については、福岡市の各種施策との整合を図っていく必要があると考えており、既存の施策も考慮しながら、減免区分と減免割合などの統一的な基準を設定してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 2月27日の私のブログにつきましては、安倍総理からの一斉臨時休業の要請の報道を踏まえまして、教育長、医師である荒瀬副市長をはじめとする3副市長、こども未来局長などを緊急に集め、臨時休業した場合の子どもの安全の確保や保護者の負担、学校運営上の課題などについて協議を行って、実施の方向性を確認した上で掲載をしたものでございます。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) まず、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 相談について、局長は対応できているというふうに答弁されましたが、3月5日の毎日新聞では、市民からの保健所の窓口への問合せが相次ぎ、つながりにくくなっていると報道されています。相談件数を見ると、コールセンター及び保健所への相談件数は3月9日時点で約9,700件となっています。現在の相談ダイヤルは24時間体制で受け付けておりますけれども、体制を見ると、夜間18時から22時の時間帯は各保健所1名と保健福祉局の3名の合計4名で対応し、そのうち3人は22時から翌朝の7時まで相談業務に入っています。何と13時間連続で相談業務体制に組み込まれております。保健所の状況についても、私はいろいろとお話をお聞きしました。担当は健康課の感染症係ですが、人員は少なく、とても仕事が回らないので、ほかの部署から応援を得て、何とか回っているとのことでした。一方、応援に入っている地域保健福祉課の保健師は、ほかの日常業務だけでも手いっぱいであり、仕事に支障が出ていると語り、さらに先が見えない中で今後のことが不安だと話されていました。
 そこで、お尋ねしますが、相談に対応するためにほかの業務に支障を来すなど、現場の仕事が滞っているのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 次に、臨時休業についてです。
 島市長は教育長などと協議をして方向性を決めたと答弁されましたが、専門家の意見を聴かずに、つまり科学的根拠なしにブログを書いたということです。さらに、教育長が答弁されたように、教育委員会会議も開かれておらず、これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律に違反する疑いがあります。市長が答弁した協議の議事録も作成していません。これは協議どころか、圧力をかけたと言わなければなりません。市長の2月27日のブログを見ると、すぐに協議し、内部での方向性は決まったと投稿したのは20時27分、安倍首相の休校要請が報道され始めたのが18時40分頃、不思議なことに19時には小中高、特別支援学校の校長会会長が集められておりました。安倍官邸から島市長には事前に連絡が入り、校長会会長らを集めさせていたのではないかとさえ思えます。そして、その場では、とても2日間では準備できない、3月2日からの休業はやめてほしい、猶予期間が必要だと要望が出された。私たちは独自の調査で確かな情報を持っています。市長と教育長は、その現場の声を無視して、安倍首相の要請から僅か1時間半余りで決定をしたということなんです。この市長の独断で、あらゆる現場で大混乱が起こっています。子どもたちは突然の別れで号泣するなど、心に大きな傷を残しています。中学3年生にとっては受験に向けて総まとめをする10日間が突然奪われました。教職員は休み期間の課題の用意や通知表はどうしたらいいのかなど、教育現場は大混乱したんです。保護者も仕事はとても休めない、昼食の準備はどうするのかなど、多くの親が突然の休校で、日中の子どもの預け先の確保などに追われました。子どもたちの受入れを突然要請された現場はどうか。留守家庭子ども会の支援員は、新入会の受入れ、朝8時からの人の配置に追われ、マスクも消毒液も足りず、感染のリスクは高くなると語られておりました。放課後デイサービスの事業者は、スタッフがそろわない、何で急にそんなことを決めるのかと突然の要請に怒りを語られました。
 そこで、お尋ねしますが、現場の意見も聞かずに頭ごなしに休校の決定をした市長の独断が、教育の営みを壊し、市民生活にも打撃を与え、現場の混乱を広げたのではないかと思いますが、島市長の答弁を求めます。
 次に、臨時休業に伴う保護者の負担増についてです。
 局長は低所得者対策はやっているんだというふうに答弁されましたが、ぎりぎり減免されない人だってたくさんおられます。その人たちにとってこの負担は重たいですよ。加えて、給食もなくなり、昼食にかかる出費も増えているのであります。
 そこで、お尋ねしますが、留守家庭子ども会や特別支援学校放課後等支援事業の利用料金が発生したのは、市長が決めた突然の臨時休業に伴うものであり、保護者に負担させるのは道理がないと思いますが、答弁を求めます。
 次に、フリーランスや自営業者の休業補償についてです。
 部長は国で検討されたことと、このように答弁されましたが、そもそもこの対象は企業など外部からの業務委託を受けて仕事をしているという要件、これが厳し過ぎます。飲食業や商店街で日用品などを販売している自営業者のほとんどがこの要件に当てはまらないのであります。また、たとえ給付されたとしても、1日に4,100円、20日間でも8万円にしかなりません。
 そこで、お尋ねしますが、一定の要件の方に4,100円を給付するだけでは不十分であり、フリーランスや自営業者は極めて厳しい生活を強いられるのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、会計年度任用職員制度についてです。
 給与の改善について、局長は年収で見たら増えているというふうに言い訳されましたが、年収が少し上がればいいというものではありません。私は、ある臨時講師の方にお話を聞いてきました。日給が1,782円引き下げられれば、1か月の給与は21万6,930円が17万9,508円と3万7,422円も減って、家賃や光熱費などを支払えば生活は成り立たない、死活問題だと語られました。このような声は、公民館主事、留守家庭子ども会の支援員、学校司書も共通して語られております。昨年の12月20日の総務省の通知、会計年度任用職員制度の施行に向けた留意事項についてでは、新たに期末手当を支給する一方で、給料や報酬について抑制を図ることは改正法の趣旨に沿わないものであると明記しているのであります。つまり、期末手当を出すからといって、月額報酬を削減してはいけないということなのであります。
 そこで、お尋ねしますが、毎月の給与を減額して期末手当に充てることは、新制度の立法趣旨を否定するものであり、許されないと思いますが、答弁を求めます。
 次に、重要な職種を非正規に担わせてきた問題についてです。
 局長は問題がないと、このように答弁されましたが、正規職員と変わらない仕事をしているが、身分は非正規のまま、あまりに理不尽ではありませんか。公民館主事は、社会教育の要として公民館主催行事の企画、提供などを行い、それに加えて、市から要請されて地域団体などとの橋渡し役を担っています。住民との連携の中で、社会教育の質を高めていく専門的職員と位置づけられています。また、学校司書は、教師とともに資料や情報収集などを行い、子どもたちの多様な読書活動を支援する役割を担っています。留守家庭子ども会の支援員も、様々な問題を抱える子どもたちのケアや成長を支えるための専門知識が求められる極めて専門性が高い仕事です。学校生活支援員は、障がいのある子どもたちが毎日、学校で生き生きと普通に生活が過ごせるように一人一人の障がいに応じた援助をする。市立臨時教職員も、教員不足の中、正規職員と同じように担任をしている人もいるなど、極めて重要な役割を担っています。しかしながら、会計年度任用職員に移行しても、不安定な1年雇用の上、給与もこれまでとほとんど変わらないのであります。国会でも附帯決議で、公務の運営は任期の定めのない常勤職員を中心としていることに鑑み、会計年度任用職員についてもこの考え方に沿うよう、引き続き任用の在り方の検討を行うこととしております。
 そこで、お尋ねしますが、重要な役割を果たしている非正規職員を、1年雇用で継続性のない、処遇も正規職員と比較して劣る会計年度任用職員として固定化するのは許されないと思いますが、答弁を求めます。
 次に、市民利用施設の使用料、減免制度の統一的な基準の検討についてです。
 局長は必要性や収益性について説明されましたが、これは危険な考え方です。例えば、この2つの要素を市民センターの会議室に当てはめれば、会議室は民間でも供給されているので、公的関与は低くなります。また、収益性についても、使用料金だけで管理運営費を賄うことができないので、これもまた低くなります。このことを考慮すれば、使用料金は現在より引き上げられることが想定されます。減免についてはどうか。局長は他の施策との適合性などと言われましたけれども、あなた方が策定した福岡100には、人生100年時代を見据えれば、65歳以上を高齢者と一くくりにするような考え方は変える必要があると明記されております。この考え方でいけば、現在、市民プールや体育館の使用料が65歳から69歳が半額、70歳以上が無料になっていることや、団体構成員の半数以上が65歳以上であれば、市民センターの会議室を使用する際に全額免除されているなどの減免制度が縮小、廃止される可能性があります。
 そこで、お尋ねしますが、受益者負担の原則を取り入れた統一基準を策定すれば、市民利用施設の使用料金は引き上げられるとともに、減免制度は縮小、廃止されるのではないかと思いますが、答弁を求めます。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 新型コロナウイルス感染症対策についての御質問にお答えいたします。
 相談業務への対応による影響につきましては、保健福祉局職員及び各保健所職員が交代しながら、相談業務に従事する体制をつくることなどによりまして、他の業務に支障を来さないよう取り組んでおります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。
 教育委員会としては、2月28日に臨時休業の実施を決定した後、速やかに学校に通知を出すとともに、当日に、子どもたちの安全確保について協力を依頼する小学校の校長を臨時に招集し、対応について説明する連絡会を開くなど、可能な限り学校現場が混乱しないように努めてまいりました。一部の保護者からは、卒業式は実施されるのだろうかなどの心配の声があったと聞いておりますが、学校から大きな問題はなかったとの報告を受けております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 留守家庭子ども会などのお尋ねについてお答えいたします。
 留守家庭子ども会事業などの実施に当たっては、事業を利用される方は利用されない方と比べると、特定のサービスを受けることになることから、従来よりその事業に要する経費の一部を利用料等として御負担をいただいております。
 なお、これまで継続して事業を利用されている世帯については、負担額が増えることがないよう措置しております。
 引き続き国の動向も注視しながら、適切に対応してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) フリーランスや自営業者への休業補償につきましては、国は先ほど答弁いたしました支援に加え、生活福祉資金貸付けに特例を設け、収入減少などにより一時的な資金が必要な方に20万円を上限とした貸付けなどの支援を実施するとともに、中小、小規模事業者に対して設ける日本政策金融公庫等での特別貸付制度において、フリーランスを含む個人事業主等については、信用力や担保にかかわらず実質的に無利子化する措置を講じることとしております。
 また、福岡市におきましては、今回の新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動に支障を来している中小企業、小規模事業者への金融支援としまして、事業者が支払う信用保証料を福岡市が全額負担する新たな融資メニューを創設するなど支援の充実を図っております。これはフリーランスや自営業者などの個人事業主も利用可能な制度としており、今回の一斉休校による減少以外の理由による資金繰りも対象となることから、その活用に向けて周知を図っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 会計年度任用職員についてお答えいたします。
 会計年度任用職員が導入されました法改正の趣旨につきましては、地方公共団体における行政需要の多様化等に対応し、公務の能率的かつ適正な運営を推進することとされておりまして、これまで各地方公共団体において個別に運用されてきました臨時・非常勤職員の任用や勤務条件等の適正を確保するために全国共通の取扱いが定められたものでございます。
 福岡市といたしましても、会計年度任用職員の給与につきましては、これらの法改正の趣旨や国の通知を十分踏まえた上で適切に設定しております。
 次に、職員の配置につきましては、法改正に当たり国が示した運用の考え方を踏まえ、職務内容や勤務形態、責任の程度などを総合的に勘案しまして、会計年度任用職員の配置も含め、適切に対処しているところでございます。今後とも、毎年度の組織編成の中で各局と十分協議しながら、業務の質と量に応じた適切な職員配置に努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 統一的な基準を策定した場合の使用料や減免についてお答えいたします。
 市民利用施設の使用料等のガイドラインでは、繰り返しになりますけれども、利用者が負担すべき割合や、減免区分とその割合などについて基準を設け、対象となる各施設における使用料や減免の考え方について、原則統一化を図ることとしております。
 ガイドラインを踏まえ、使用料や減免の割合等が変更となる場合も想定されますので、ガイドライン案の策定に当たりましては、地域の方々や外部有識者で構成された第三者委員会を設置し、委員の方々からの御意見も踏まえた上で内容を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 臨時休業につきましては、福岡市において留守家庭子ども会をほぼ全ての小学校の敷地内で運営をしていることなどから、日頃から学校と連携ができており、今回の臨時休業に当たっても、大変御尽力いただいて速やかに対応できたところであります。特に小学生の共働き世帯などの保護者が、子どもだけで留守番をすることに不安を感じることがないように、留守家庭子ども会の開設時間の延長や入会要件の緩和によって対応を行っております。
 また、開設に当たりましては、留守家庭子ども会のスタッフに加えて、教員等の応援や、また教室の活用などにより運営を行っております。
 今や世界が混乱をしている新型コロナウイルスに対応するための緊急対応でありますが、引き続き子どもたちの安全を守るため、教育委員会と一体となって取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 綿貫英彦議員。
○44番(綿貫英彦) まず、市民利用施設の使用料、減免制度についてですが、局長はいろいろと説明されましたけれども、使用料金の引上げや減免の縮小、廃止、これは否定されませんでした。もともと今回の統一基準の策定は、指定管理者制度において使用料金がそのまま民間企業の収入にならず、もうけにならないために、2016年に総務省が打ち出した地方会計マニュアルで、公共施設に受益者負担の適正化を掲げ、使用料金の見直しを求めたということなんです。つまり、財界の金もうけのためであり、使用料の引上げは前提となっているのであります。したがって、公平性を持ち出して利用する市民に負担を押しつけて、使用料金の引上げや減免制度の縮小、廃止は許されず、統一基準の策定はやめるべきではありませんか、市長の答弁を求めます。
 次に、会計年度任用職員制度についてです。
 局長の答弁は、非正規職員の処遇改善について、給与を抑制してはならないという立法趣旨を否定するものです。今でさえ、専門性と必要性に鑑みた給与がもらえていない非正規職員の給与は大幅にアップすべきであります。また、非正規雇用がこれからも続いていくことについて、これも問題がないというような答弁でしたけれども、ヨーロッパでは有期雇用は臨時的、一時的業務と合理的理由のある場合に限定され、正社員との均等待遇を保障しています。また、国際労働機関、ILOは2015年総会で、非正規労働から正規雇用への転換を促進する勧告を採択しております。
 そこで、お尋ねしますが、制度導入に伴う報酬月額や日給の引下げはやめるとともに、見るべき賃上げを行うなど処遇改善を図り、本格的、恒常的業務を担う非正規職員は正規化すべきと思いますが、市長の答弁を求めます。
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策についてですけれども、相談体制を抜本的に強化するとは言われません。職員をどんな状況の中で働かせているのか、私、具体的な事例を言いましたけれども、本当に業務が深夜に及んで、また日常業務も滞っているんだというふうに現場は言っているんですよ。それを、実態を踏まえない、とんでもない今の答弁やったと思います。
 3月9日に開催された政府の専門家会議は、保健所については労務負担を軽減すべく、早急に人的、財政的支援策を講じるべきだとしているんですよ。したがって、市長の責任で市民の相談に迅速に応えるとともに、職員の負担を減らすため、新たな人を配置するなど、相談体制を抜本的に強化すべきと思いますが、市長の答弁を求めます。
 フリーランスや自営業者の休業補償について、部長は貸付制度のこととか言われましたけれども、貸付制度では駄目なんですよ、仕事がなくなっているんだから。だから、給付をしなくてはいけないんです。全然国の方針で十分かのように言われましたけれども、では、なぜフリーランスや自営業者が1日4,100円なのか。この計算根拠については、東京の最低賃金1,013円の4時間分で計算しているんです。そして、この4時間というのは何の根拠があるのかということについて問われても、根拠を答え切れないんです。こんなふざけた制度はありません。
 また、臨時休業に伴う保護者の負担についても、無料にするつもりはないようですけれども、麻生財務大臣も政府が払うのは当然のことだと語っている以上、保護者負担を生じさせないのは当たり前であり、国がしないなら市がすべきです。したがって、学校の臨時休業に伴うフリーランスや自営業者の休業補償については、国に対して給付額の抜本的な引上げや全ての方を対象とするなど、改善を求めるとともに、市独自で上乗せ給付をするべきではないかと思いますが、答弁を求めます。 あわせて、留守家庭子ども会などの利用料を無料化するなど、保護者の負担を減らすべきと思いますが、市長の答弁を求めます。
 最後に、臨時休業についてです。
 市長、私の質問に答えず、現場で子どもたちがどういう状況になっているのか、親がどれだけ苦労しているのか、現場はどれだけ大変なのか、こんなことも、何の責任も感じていないようですが、しかしながら、市長の責任は極めて重大ですよ。子どもたちは、やっぱり学校に行って友達と遊びたい、ストレスが増大している状況です。また、ある母親は、子どもの居場所や仕事をどうしていくのか、ストレスで限界が来ていると語っています。このままでは新たな健康被害が生じかねません。そもそも学校の休業を決定することができるのは教育委員会であって、首長にその権限はありません。ところが、島市長は協議という名の下に、安倍首相が要請したことを教育行政に押しつけたのであります。教育行政に市長であるあなたが介入することは許されないのであります。したがって、市長は間違いを認めて、市立学校の一律の臨時休業を教育委員会に押しつけたことを撤回すべきと思いますが、島市長の答弁を求めます。
 この全国一律の臨時休業は、国会で我が党の小池晃参議院議員の質問の中で、事実上撤回されています。したがって、臨時休業については、医学、公衆衛生等の学識経験者の意見や学校現場の声を踏まえて、その適否や時期、範囲を見直すとともに、登校日の設定など各学校の自主的な判断を尊重すべきと思いますが、最後に教育長の答弁を求めて、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 新型コロナウイルス感染症対策についてお答えいたします。
 新型コロナウイルス感染症対策としての学校の臨時休業については、国の要請に基づき、子どもたちの健康を守るために、小学校、中学校、特別支援学校、高等学校の校長会会長の意見も聞いて実施したものです。また、登校日については、子どもたちの安全を守ることや感染のリスクを防ぐことを最優先し、学校の種類や学年に応じて必要最小限の日数を設定するようにしており、各学校ではそのことを踏まえて適切に対応しております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 新型コロナウイルス感染症については、令和2年2月25日の国の感染症対策の基本方針に示されたとおり、患者の増加スピードを可能な限り抑制し、流行の規模を抑えるための感染拡大防止策を実施する重要な局面へと移行しています。市民からの相談への対応につきましては、24時間の新型コロナウイルス感染症相談ダイヤルや保健所の帰国者・接触者相談センターにおいて受け付けており、今後とも状況に応じた相談体制の強化等にしっかりと取り組んでまいります。
 留守家庭子ども会の利用料などにつきましては、特定のサービスを利用される方に、利用しない人との公平性の観点から、従来より事業に要する費用の一部の負担をお願いしており、その一方で、各家庭の経済的事情等により、負担が大きい世帯につきましては減免制度により適切に対応していることから、事業全体を無料化することは適当ではないと考えております。引き続き、留守家庭子ども会などの円滑な運営に取り組んでまいります。
 また、小学校等の臨時休業に伴うフリーランスや自営業者への休業補償につきましては、国の対応状況を注視するとともに、福岡市といたしましても、中小企業向けの金融支援などを通じ、しっかりと支援をしてまいります。
 臨時休業については、国の要請に基づき、子どもたちの健康と安全を第一に考えて、教育委員会が実施したものであり、今後も教育委員会と連携して、子どもたちが安心して生活を送ることができるように取り組んでまいります。
 会計年度任用職員の勤務条件及び配置につきましては、地方公務員法及び地方自治法の一部改正の趣旨等を踏まえ、福岡市といたしましても適切に対処しているところでございます。今後とも、社会経済情勢や多様化する市民ニーズに的確に対応するため、会計年度任用職員を含め、業務の質と量に応じて職員を適切に配置し、効率的、効果的な業務執行体制の構築に努めてまいります。
 市民利用施設の使用料及び減免については、料金設定の根拠を明確化し、施設利用者の公平性を確保する観点から、統一的な基準を策定してまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康)登壇 私は自民党新福岡を代表して、災害時の電力確保について、福岡版スマートシティについて、以上2項目について補足質疑をさせていただきます。
 まず、災害時の電力確保について質問をいたします。
 平成30年9月、最大震度7を観測した北海道胆振東部地震では、北海道全域において大規模停電、いわゆるブラックアウトが発生をいたしました。また、昨年の9月には、関東を直撃する台風としてはこれまでで最強クラス、後に令和元年房総半島台風と命名された台風15号が東京湾から千葉市付近に上陸し、千葉県を中心に広範囲に甚大な被害をもたらしました。この影響に伴い、関東広域では最大93万戸にも上る停電が発生し、特に千葉県では送配電設備の被害が大きく、復旧作業に時間を要したことから停電が長期化し、住民の生活や地域のビジネスに与えた経済的損失は甚大なものとなりました。
 このように、近年、自然災害は激甚化、頻発化しており、大規模災害はいつ、どこで起きてもおかしくない状況にある中、長期間にわたる停電は現代において市民生活へ大きな影響を与えるということが分かっております。
 内閣府作成の避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針では、避難所には発災時から明かりのある生活及び通信環境を確保するため、非常用発電機などが設置されていることが望ましいとされており、また、同じ内閣府作成の大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引きでは、72時間、3日間は外部からの供給なしで非常用電源を稼働することができる措置が望ましいとされております。このように、災害時における電力の確保は非常に重要であり、福岡市においてもこうした状況に備えて、停電対策の推進が必要であると考えております。
 令和元年房総半島台風により大規模な停電が続いた千葉県内の避難所では、電気自動車が走る蓄電池として、熱中症対策用の扇風機や情報取得のためのスマートフォンなどの充電、夜間には照明用の投光器などに活用され、十分に力を発揮したということを聞いております。
 災害が発生した際、市民の皆さんが避難する先の一つに公民館があります。公民館における非常用電源の確保は優先すべき取組の一つであると考えております。
 そこで、令和2年度における災害時の電力確保に関する取組についてお尋ねをさせていただきます。
 まず、電気自動車などを活用した公民館の非常用電源の確保に関する予算の概要についてお尋ねいたします。
 次に、公民館につきましては、分館も合わせますと市内に150館ほどあるということであります。今回、設備の導入の対象となる公民館は何館となるのか、お尋ねいたします。
 避難所となる公民館では、避難してきた方々の避難生活に電力が、当然ですが、必要となります。設備が導入された公民館においては、停電時にどのようなものが利用できるようになるのか、お尋ねさせていただきます。
 また、公民館に電気自動車などから電力を供給するための設備の整備スケジュールについてお尋ねいたします。
 最後に、今回の電気自動車などを活用した公民館の非常用電源の確保の取組につきましては、公民館における設備の整備だけでなく、その電力の供給源となる電気自動車の確保につきましても同じように重要であると考えます。福岡市の庁用車で、非常用電源として活用できる電気自動車の状況についてお尋ねいたします。
 次に、福岡版スマートシティについて質問をいたします。
 スマートシティという言葉を初めて聞いたとき、皆さんはどういった想像をなさったでしょうか。私は省エネの取組をするまち、もしくは範囲というようなイメージをしたのを覚えております。
 少し調べてみますと、スマートシティという言葉にはきちっとした定義はありません。時代とともにその取組は変化しているようで、スマートシティという言葉が社会に出始めたのが2010年頃と言われておりますが、その際には省エネ、それから創エネ、つまりエネルギー消費を抑える、あるいはエネルギーを自らつくり出すといったエネルギーマネジメントを主眼に置いた環境共生都市としての取組というようなものであったと聞いております。
 しかし、近年ではICT技術の進展により、環境、エネルギー、交通、教育、医療、健康など、複数の分野に幅広く取り組む分野横断型の取組、つまりIoT、ビッグデータ、AIといった先進的な技術を暮らしやまちづくりの様々な場面で活用し、都市や地域が抱える問題を解決しようとする取組が出始めているということであります。
 その具体例が日本を代表する自動車メーカー、トヨタが今年になって発表した未来の実験都市、トヨタウーブン・シティであります。今年1月にアメリカのロサンゼルスで開催されたCES、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー、通称セスと言うようでありますが、世界最大級の家電見本市において発表され、従来の自動車メーカーの枠組みをはるかに超えた壮大な計画は瞬く間に世界中で大きな話題になりました。
 その内容は、2020年末に閉鎖を予定している静岡県裾野市にあるトヨタ自動車の東富士工場の跡地、約70ヘクタールを活用し、約2,000人の住民が住み、ロボット、人工知能、自動運転、MaaS、パーソナルモビリティー、スマートホームといった先進的技術を人々のリアルな生活環境の中に導入、検証できる実証都市をつくるというものであります。様々なパートナー企業や研究者と連携しながら、技術やサービスの開発、実証のサイクルを素早く繰り返し、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスが情報でつながることで生まれる、新たな価値やビジネスモデルを見いだしていく、そういう取組が始まるというようであります。
 一方、海外では日本よりも先行して、IoTなどの先進的技術を活用したスマートシティの取組がもう既に始まっております。中国の杭州市では、道路交通情報をAIで分析し、交通取締り、渋滞緩和を実現する取組が始まっていると伺っております。また、カナダのトロントでは、都市の各所にセンサーを設置し、交通量や大気汚染の状況、エネルギー使用量、旅行者の行動パターンなどの情報を常時収集し、都市設計に反映する取組が始まっているとも伺っております。
 では、福岡市では、これまでどのようなスマートシティの取組を行ってきたのかを確認してみますと、平成23年8月にアイランドシティ自然エネルギー活用ビジョンを策定し、アイランドシティにおいて太陽光などの自然エネルギーを積極的に活用した創エネ、省エネ型のまちづくりとして、街区全体でCOゼロを実現するCOゼロ街区の形成に取り組んでおります。まさに環境共生都市としてのスマートシティの取組をしているというふうに思っております。では、最近ではどうでしょうか。皆さんも御存じだと思います。九州大学箱崎キャンパス跡地において、今後の少子・高齢化などの社会課題を先進的技術で解決するFUKUOKA Smart EASTというものを立ち上げ、取り組んでおります。
 そこで、まず初めに、FUKUOKA Smart EASTは何を目指して、どのような経緯で、いつそれを打ち出したのか、お尋ねをいたします。
 先ほど申し上げましたが、最近、国内外でIoTやAIなどの先進的技術を活用したスマートシティの取組事例を聞くようになってまいりました。特に今年に入り、トヨタがテレビコマーシャルまでして、スマートシティの取組を紹介し始めて、ようやくこのようなまちが日本でできるのかというような認知が広まってきたのではないかというふうに感じております。
 では、FUKUOKA Smart EASTを打ち出したとき、当時の反応はどのようなものがあったのか、また現在はどのように取り組んでいるのかをお尋ねいたします。
 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 災害時の電力確保についてお答えいたします。
 電気自動車等を活用した公民館等の非常用電源の確保に関する令和2年度予算の概要につきましては、停電時に公民館等へ外部から電力の供給を行うための分電盤及び電気の取り込み口の整備に係る調査、設計や電気自動車等の電気を家庭用電源に変換する可搬型外部給電機の購入、電気自動車の導入などに係る経費として7,213万9,000円を計上しております。
 また、分電盤等の設置工事に係る経費について、令和3年度の債務負担行為として限度額6,135万6,000円を計上しております。
 次に、対象となる施設につきましては、公民館150館、空港周辺共同利用会館17館の合計167館でございます。
 次に、設備が導入された公民館等において利用できるものといたしましては、避難所として開設した際に使用される講堂等の照明、情報を得るためのテレビやパソコン等の利用、避難してこられた方のスマートフォンの充電などでございます。
 次に、公民館等に電力供給を行う設備の整備スケジュールにつきましては、令和2年度に設備の整備に係る全167館の調査、設計を実施した上で、令和3年度に全館分の分電盤等の設置工事を実施する予定でございます。
 次に、非常用電源として活用できる庁用車につきましては、普通自動車の電気自動車1台と軽自動車の電気自動車9台のほか、燃料電池自動車2台の合計12台でございます。このうち、軽自動車の電気自動車7台が令和2年度に更新を迎えるため、より電力容量の大きい普通自動車に切り替え、各区役所に1台ずつ配置する予定としております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 福岡版スマートシティについての御質問にお答えいたします。
 FUKUOKA Smart EASTは、少子・高齢化など様々な社会課題を解決しながら持続的に発展していくため、最先端の技術革新の導入などによる快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市の創造を目指していくものであります。まずは、その先駆けとして箱崎のまちづくりにおいて取り組み、それが全市に広がり、より多くの人々に届くよう進めているものであります。
 次に、FUKUOKA Smart EASTを打ち出した経緯及び時期についてでございますが、平成25年に地域の代表や学識経験者等からの提言を受けた九州大学箱崎キャンパス跡地利用将来ビジョンや平成27年に福岡市と九州大学が策定した跡地利用計画におきまして、持続可能なまちづくりや新たな技術、仕組みの導入などの考えが示されております。こういった考え方を平成28年11月の箱崎キャンパス跡地のまちづくりイベント、FUKUOKA NEXT 都市革新フォーラムにおいてFUKUOKA Smart EASTとして打ち出したところでありまして、平成30年7月にはまちづくりの指針であります九州大学箱崎キャンパス跡地グランドデザインにその考え方を取り入れ、その実現に向けて取組を進めているところでございます。
 次に、FUKUOKA Smart EASTを打ち出したときの反応についてでございますが、先ほどの都市革新フォーラムには約400名もの参加があり、参加者の皆様方からは箱崎のまちづくりに対する期待の声などを頂いております。また、現在のところ、生活に身近なものとして普及している最先端技術が少ないことから、市民や地場企業に対し、これらの体験の場の提供や勉強会開催等を行うとともに、来年度の公募に向けて公募条件の整理などに取り組んでいるところであります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) それでは、災害時の電力確保についてお尋ねをいたします。
 今回の公民館などにおける災害時の電力確保の取組につきましては、避難してきた方々の生活を支えるものであり、非常に評価できると思っております。昔は人や物を運ぶ道具でしかなかった自動車ですが、電気自動車などの出現により、自動車自体が電源となって様々な場所に電力を運ぶことができるというような状況になったと思っております。先ほどの質問にもありましたように、走る蓄電池である電気自動車は、今回の公民館などでの災害時の電力確保においては非常に大きなものがあると思っております。
 福岡市においては、もう長く市民の皆さんが電気自動車などの次世代自動車を購入する際の助成を行っているようでございますが、自然災害の激甚化、頻発化が進行している昨今、今後は次世代自動車の導入について、環境性能の側面だけでなく、災害対策にも役立つ機能の側面にも注目し、促進を図っていくべきであると考え、その点を踏まえてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、福岡市が行っている次世代自動車の購入助成について、目的、補助対象、過去5年間の実績についてお尋ねをいたします。
 次に、令和2年度の次世代自動車の購入助成について、補助額、補助枠、補助予定台数をお尋ねいたします。
 また、次世代自動車の導入促進に当たっては、自動車の充電環境の充実が不可欠であるというふうに思いますが、市内における充電設備が少ないような印象があります。その状況についてもお尋ねをいたします。
 さらに、令和2年度における充電設備の設置に対する市の支援策についてお伺いをいたします。
 この質問の最後に、次世代自動車の導入促進について、今後、災害対策としての側面を踏まえて、どのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。
 次に、福岡版スマートシティについて質問をさせていただきます。
 先ほどの御答弁によりますと、FUKUOKA Smart EASTは少子・高齢化などのまちづくりの様々な課題を解決するためにAI、IoTなどの先進的技術を活用し、快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出し、未来に誇れるモデル都市をつくりたいということであったと思います。あの日本が誇る大企業、トヨタでさえ、ようやく今年になりトヨタウーブン・シティというスマートシティの取組をやるということが発表されたんだろうと私は思っています。しかし、福岡市では3年半も前に取組が始められております。その際には都市革新フォーラムの参加者の皆さんからは期待の声が聞かれたということでありました。ただ、当時を思い返しますと、FUKUOKA Smart EASTというものが出てきたときには、なかなかそれが伝わらない、我々もなかなか全体を理解ができないというようなことも、これは正直、市民感情としてあったと思います。しかし、時間がたち、いろんな環境、状況がそろってくると、それをより理解をしていただける環境になってきたというのが結果ではないかなというふうに思っております。
 ここで注意しないといけないことがあると私は考えます。AI、IoTなどの最先端技術は、ややもすると、その活用が目的化してしまうおそれがあるというふうに思っています。最先端技術はあくまでも手段であり、これらの手段を活用し、まちづくりの様々な課題を解決することが大事であり、課題解決型まちづくりという考え方を常にお持ちいただきたいというふうに思っております。
 では、そもそも、いわゆるスマートシティとは何か、その定義をお尋ねさせていただきたいと思います。
 私が以前、平成30年6月議会でSociety5.0へのチャレンジということで議会で質問をさせていただきました。その際には都心部の渋滞緩和や回遊性の向上などを図る交通手段としてシェアサイクルの実証実験が開始されるところでありました。
 また、最近ではスーパーをはじめ、いろいろなお店で見かけるようになったキャッシュレス決済、ペイペイやLINEペイ、auペイなどがその代表的なサービスであるというふうに聞いておりますが、福岡市では昨年度、どの都市よりも早く動植物園などの公共施設をはじめ、屋台や商店街、商業施設などでキャッシュレス決済、スマートフォンによるQRコードの決済の実証実験に取り組み、新聞、ニュースで多くの報道がなされました。このように福岡市では、いわゆるスマートシティの取組という言い方ではありませんが、AI、IoTを活用した様々な実証実験に取り組んできております。
 そこで、改めて確認をいたしますが、このように福岡市が数多くの先進的技術の活用やサービス実証に力を入れるそもそもの目的と福岡市が取り組む必要性についてお尋ねをいたします。
 ここで、少し目線を変えます。総務省が平成31年3月31日に取りまとめた資料によりますと、AIチャットボットという自動会話プログラムを活用して、住民票がどこで取れるのか、必要書類が何かなど、市民からよくある問合せについて24時間いつでも対話形式で自動応答するという仕組みを構築し、市民の利便性向上を図る事例やAI機能を使って観光案内の多言語対応を図った事例、保育所の利用調整に当たり、申請者の優先順位や兄弟同時入所希望などの市の割当てルールを学習したAIが組合せを点数化し、保育所利用調整の業務を省力化した事例などがあったということであります。このようにAI、IoTといった最先端技術は、行政課題の解決、行政サービスの効率化、高度化にも有効であると思っております。
 そこで、福岡市においてAI、IoTといったテクノロジーの活用により行政サービスが効率化、高度化した事例についてお尋ねいたします。
 また、2月21日に行われました令和2年度市政運営方針演説では、IoTなどを活用した実証実験の支援やビッグデータ、AIの活用促進などに取り組み、最先端の技術を暮らしやまちづくりの様々な場面で活用する超スマート社会へのチャレンジを進めるということでありました。
 そこで、お尋ねいたします。人手不足が叫ばれる介護、医療分野における現場の負担軽減や新産業の振興など、IoTやAIといった先進的技術の活用により、民間によるサービス創出や社会課題の解決に向けた様々な施策に取り組んでいると思いますが、これまでの各局の主な取組内容、令和2年度の取組についてお尋ねをいたします。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) 災害時の電力確保についての御質問にお答えいたします。
 まず、福岡市の次世代自動車の購入助成につきましては、温室効果ガスの排出削減を図るなど、自動車部門における地球温暖化対策を推進することを目的といたしております。補助対象は電気自動車とプラグインハイブリッド自動車であり、福岡市内に1年以上在住している市民が自家用として使用する車としております。過去5年間の実績につきましては、平成27年度が100台、28年度が85台、29年度が113台、30年度が89台、令和元年度が2月末現在で104台でございます。
 次に、令和2年度の補助額につきましては、車両本体価格の20分の1を上限として、電気自動車は上限額10万円、プラグインハイブリッド自動車は上限額5万円を助成することとしております。また、補助枠は800万円としており、約100台への助成を予定いたしております。
 次に、福岡市内の充電設備の設置箇所数につきましては、充電インフラの普及促進活動などを行っております一般社団法人チャデモ協議会の令和2年2月現在のデータによりますと、約120か所となっております。国の経済センサスによりますと、平成28年度時点で市内のガソリンスタンドが約170か所であることから、一定程度の普及がなされているものと考えております。飯盛議員御指摘のとおり、充電設備は次世代自動車の普及促進を図る上で重要なインフラであることから、今後とも設置数のさらなる拡大を図ってまいります。
 次に、充電設備設置の支援策につきましては、令和2年度は補助金の全体枠を前年度額から3倍の300万円とすることに加え、機器に係る経費の2分の1を助成の上限として、急速充電設備に対する上限額を前年度から5倍の100万円に、普通充電設備に対する上限額を前年度から2倍の20万円に増額し、大幅な拡充を図っております。
 最後に、災害対策を踏まえた次世代自動車の導入促進の取組につきましては、近年の気候変動の影響により気象災害の激甚化、頻発化などが進行している中、温室効果ガス削減等の環境性能の側面だけではなく、災害対応能力の向上の側面からも大変重要であると考えております。そのため、令和2年度からは住宅用エネルギーシステム導入促進事業におきまして、次世代自動車の蓄電機能を活用し、ためた電気を住宅に供給することを可能にする機器、いわゆるV2Hの設置に対する助成を新たに開始し、市民の災害等への備えを後押ししてまいります。
 また、災害時等により多くの電力の確保を図るため、次世代自動車の購入助成制度の申請要件に、福岡市からの要請があれば申請車両からの電力提供の協力に努めることを加えるなど、要綱の見直しを図ってまいります。
 今後とも災害時等の電力確保に向け、市民局等と連携してしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) スマートシティについてお答えいたします。
 まず、スマートシティの定義についてでございますが、令和元年6月に閣議決定された統合イノベーション戦略2019によりますと、「スマートシティは、先進的技術の活用により、都市や地域の課題の解決を図るとともに、新たな価値を創出する取組であり、Society5.0の先行的な実現の場である」とされております。
 次に、先進的技術の活用やサービス実証につきましては、少子・高齢化が進展する中、効率的で質の高いサービスを持続的に提供していくためには、民間活力や先進的技術のさらなる活用がより重要になってくるものと認識しております。
 政令指定都市である福岡市は、基礎自治体として直接市民サービスを提供する一方で、都道府県並みの権限を有しており、さらに国の規制を改革できる国家戦略特区にも指定されております。このような福岡市において、社会課題の解決に向けた新たな取組に果敢にチャレンジし、民間企業の取組を積極的に支援することにより、先進的技術を活用した新たなサービスを福岡の皆様にいち早く提供するとともに、地域経済の活性化を図っていく、そしてロールモデルとして日本全体の社会課題の解決にも貢献していく、そのように考え、取り組んでいるところでございます。
 次に、先進的技術の活用による行政サービスの効率化、高度化につきましては、まず環境局が取り組んでおります粗大ごみの収集受付につきましては、専用のLINEアカウントにおいてAIチャットボットによる申込みを可能としたもので、サービスを開始した平成30年9月から令和2年1月末までの1年4か月で6万件を超える申込みをいただいております。
 次に、道路下水道局が取り組んでおります道路公園等通報システムにつきましては、市民が道路や公園などの不具合を発見した際に、福岡市LINE公式アカウントから位置情報や写真を送信いただくことで、正確で効率的な状況把握と速やかな補修対応を可能としたもので、サービスを開始した令和元年6月から令和2年1月末までの7か月で1,300件を超える通報がなされております。今後もAIやIoTといった先進的技術を積極的に活用し、行政サービスの効率化、高度化に取り組んでまいります。
 最後に、総務企画局の取組についてお答えいたします。
 総務企画局では平成30年度に民間企業からの提案をワンストップで受け付ける窓口、mirai@を設置いたしまして、実証実験フルサポート事業などにより先進的技術を活用した関係局の事業や民間企業の実証実験を支援しており、これまでスマートフォンのQRコード決済を活用したキャッシュレス実証実験やビーコンを活用した大切な人の見守りサービス実証実験など、52件の事業を支援してまいりました。令和2年度はこれまでの取組をより一層推進するため、福岡市から解決したい社会課題を具体的に提示し、実証実験プロジェクトを公募、支援することなどにより、先進的技術の実装を促進してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡版スマートシティに関する御質問にお答えをいたします。
 保健福祉局における先進的技術を活用した取組についてでございますが、高齢化により在宅医療の需要増加が見込まれることから、平成29年度に福岡市医師会と連携して、ICTを活用したオンライン診療の実証事業を実施し、平成30年度からは国家戦略特区を活用したテレビ電話等による遠隔服薬指導を実施いたしております。また、医療、介護などのケアの分野は、現場の負担軽減や人材不足の解消など喫緊の課題を抱えておりますことから、新たなアイデアや技術を持つスタートアップ企業の参入を加速させ、課題解決を目指すケア・テック・ベンチャー支援事業を平成30年度から進めており、介護事業所の負担軽減が期待される音声入力システムや見守りセンサーといった新たな導入事例も生まれております。
 令和2年度におきましては、行政や民間が保有するデータ等を活用し、高齢者の介護予防や重度化防止につなげるAIを活用したケアプラン作成システムの構築に取り組むとともに、認知症コミュニケーション・ケア技法ユマニチュードのオンラインによる遠隔指導やAIを活用した認知機能の音声判断を試行するなど、新たな取組を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 今村経済観光文化局総務・中小企業部長。
○経済観光文化局総務・中小企業部長(今村 寛) IoTやAIといった先端技術を活用した経済観光文化局の取組についてお答えいたします。
 平成29年度から令和元年度まで、低消費電力で広範囲をカバーするIoT向けの通信ネットワーク、Fukuoka City LoRaWANを実証実験環境として提供し、3年間で68件の実証実験を支援しております。この実証実験の中からは、市内10か所の中小河川の水位を監視するシステムなど、商用サービスとしての活用事例も生まれております。Fukuoka City LoRaWANは、令和2年度からは民間事業者によるサービスとして提供される予定ですが、引き続きAI、IoTの普及などに向け、情報関連産業の振興に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 飯盛利康議員。
○40番(飯盛利康) それでは、災害時の電力確保について質問をいたします。
 市民の皆さんが次世代自動車を購入し、自動車から住宅に電力を供給する設備を整えて、自ら災害に備えるという行動を後押しするという取組であると私は思います。本当に何かあったときの自助という観点から非常に評価できると思っております。
 また、個人で所有される補助を出す車も、可能であればぜひ災害時には協力をしてほしいと、市民の皆さんにも持っているものの力を貸してほしいということをお願いしていく、そういったことが本当に市民の皆さんの中に広がっていくというのは、何かあったとき、万が一の取組に少しでも、より多くの安心が欲しいというのは当たり前のお気持ちだろうと思います。そういうものにつながっていくのではないかと大変期待をしております。ぜひ力強く取組を進めていただきたいというふうに思います。
 それから、災害時の避難所となる公民館についての、電気自動車からの電力供給というものです。
 公民館というのは、皆さん御承知のとおり、常日頃から地域の方々が集まったりというようなコミュニティの核となる施設です。そういったものに、新しい技術というものを見せることによって、やっぱり地域の方々もどういうものがどういうことができるようになるのかということを見て、そして触れて、やっぱりそこにものがあるからこそ、いろんな話題になると思うんです。そういったきっかけをつくっていただきながら、いざ災害があったとき、あっ、こういうものができるなら、じゃ、こういうことはできないのかなと、地域の中でのいざというときのための意識というのも高まるのではないかと私は期待をしております。
 ただし、それに伴って設備があっても電気自動車がないと電気が送れないという形になりますので、市全体で電力の供給源としての電気自動車をどれだけ確保していくのかというのが今後の課題になるのではないかというふうに思っております。
 例えば、西鉄では、温室効果ガスの排出量削減のためということで、今年2月に電気バスを導入し、アイランドシティと西鉄千早駅を結ぶ区間において、朝と夕方だけの運行で使われているということを伺っております。この電気バスは運行が行われていない昼間は、車両に充電した電気の余剰分を営業所のエアコンや照明などの電源として活用されているということであります。
 また、バス1台で携帯電話1万5,000台分の充電が可能な電力を蓄えられるということであり、災害による停電時の非常用電源としての活用も期待されております。このような民間企業における先進的な取組と連携することも災害時の電力確保の一つの方法として考えられるのではないかというふうに思っております。
 福岡市においても、電気自動車などの導入や市民の電気自動車の導入促進に加え、民間企業との災害時における連携協定の締結、民間企業が電気自動車などを購入するための助成やカーシェアリングの活用など、あらゆる方法により、またあらゆる手法の複合化により、災害時における電力として電気自動車などの確保を図っていただきたいというふうに思っております。要望をもって災害時の電力確保についての質問を終わらせていただきます。
 次に、福岡版スマートシティについて質問をいたします。
 先ほどの答弁のとおり、少子・高齢化が進展する中、効率的で質の高いサービスを持続的に継続するためには、民間活力やAI、IoTといった先進的技術の活用がとても重要だと思っております。
 元気な都市と言われる福岡市でも少子・高齢化が急速に進み、支える人と支えられる人のバランスが大きく変わっている中、今までどおりの行政の施策、予算だけではとてもじゃないですけど、対応はできなくなるというふうに思っております。そういった意味では、先ほど各局長から御答弁いただきました様々なチャレンジがとても重要であり、このようなチャレンジができる背景というのは、人口増加、元気なまち、住みやすいまちと、高く評価されている今だからこそできる取組ではないかなというふうに思っております。
 先ほど御答弁の中にもありました、地方都市である福岡市から日本を変えていくというロールモデルになるというお言葉も局長のほうからありました。私は絶対にできると思っています。また、その気概を持って取り組んでいただきたい。島市長のリーダーシップを前提にスマートシティの実現に向けてどのように取り組むのか、またその実現によりどのような社会を構築するのか、市長の決意を伺い、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市が今後も元気で活力ある都市としてさらに発展をして、そして多様化する市民ニーズに的確に対応していくためには、何といっても民間企業が持つ斬新なアイデアですとかAI、IoTなどの先進的な技術、また規制緩和などを積極的に活用して、様々な社会課題の解決に取り組んでいくことが重要であるというふうに考えています。
 そのため、福岡市におきましては、民間からの実証実験などの提案をワンストップで受け付ける窓口、mirai@を開設いたしまして、福岡市実証実験フルサポート事業などによります様々な支援に取り組みますとともに、最先端の技術革新による快適で質の高いライフスタイルと都市空間を創出するFUKUOKA Smart EASTの実現に向けて、九州大学箱崎キャンパス跡地を先駆けとした取組を進めているところでございます。
 今後とも、AIやIoTを活用した先進的な民間提案を積極的に受け入れ、産業や社会生活への実装を支援することによって、様々な社会課題の解決を図りますとともに、新たな価値が創出されるスマートシティの実現をしっかりと目指していきたいと思います。以上です。
 
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時50分に再開いたします。
午後2時40分 休憩  
午後2時50分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎)登壇 私は福岡令和会を代表し、国分議員の代表質問に関して、雑餉隈連続立体交差事業1点についてお尋ねいたします。
 私は地元議員として、これまでも雑餉隈駅付近の連続立体交差事業に関する質問を何度か行ってまいりました。福岡市と福岡県南部地域とを結ぶ交通の大動脈である西鉄天神大牟田線は、重要な路線であるがゆえに運行本数も非常に多く、朝夕のラッシュ時を中心に踏切による交通渋滞が慢性化しております。このため西鉄雑餉隈駅付近では、平成22年度から鉄道を高架化して踏切をなくすとともに、地域を一体化させることで、安全、安心で快適なまちづくりを図るべく連続立体交差事業が進められています。
 地域においても事業に協力をしていくため、事業沿線の3校区の自治協議会が中心となり、事業の計画や地域の発展を考える組織として雑餉隈発展期成会を立ち上げ、地域の意見を取りまとめてまいりました。事業の開始後も事業用地確保のための立ち退きや工事に伴う騒音や振動、道路の通行規制など幾度もの困難がありましたが、地域住民はそれらを乗り越え、今に至っております。それだけ住民の皆さんは令和2年度末予定の鉄道高架化を長年待ち望み、この事業に協力をしてきました。鉄道の高架化工事は終盤に差しかかっており、現在では鉄道高架橋がほぼ出来上がり、雑餉隈の高架駅舎の建築も始まるなど高架化された後の姿がイメージできるようになりました。鉄道の高架化を長年待ち望んできた住民の期待はますます高まっております。
 ところが、突然、昨年の11月に、福岡市の事業に隣接して行われている県の連立事業が、春日原駅の地下に支障物件があり、事業に遅れが生じるとの報道がありました。そのときの報道では2年から4年も遅れると、これを聞いて地域住民は皆もうびっくりでした。
 福岡市と県は連続して高架化を行っており、高架切替えは同時になると以前から伺っておりましたので、県の事業で遅れが生じれば、当然、市の高架切替えも遅れることになります。地域住民は、一日も早い鉄道高架化を待ち望み、高架切替えまであと少しと思っていただけに、今回の県の事業の大幅な遅れは非常に残念で、地域の住民は落胆し、戸惑いと怒りしかありませんでした。
 この遅れは福岡県の事業区間で起こったことであり、福岡市側に責任があるものではないことは、地域の皆さんも私も理解しております。しかしながら、この県の遅れは市の区間にも大きな影響を及ぼすこととなるもので、大変心配しております。
 そこでまず、今回の福岡県事業の遅れについて、福岡市にはいつ報告があり、その内容はどのようなものだったのか、お尋ねいたします。
 また、その福岡県からの遅れの報告を受けた直後、福岡市はどのような対応を取られたのか、お尋ねいたします。
 さらに、福岡県の区間の遅れの影響を受け、福岡市の事業もそのスピードが遅くなることが懸念されます。令和2年度の西鉄雑餉隈駅付近の連続立体交差事業の予算額と事業内容はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 駒田道路下水道局長。
○道路下水道局長(駒田浩良) 福岡県事業の遅れにつきましては、令和元年11月1日に県から報告を受け、その内容は3点ございました。
 まず、令和2年度末に予定していた福岡市の事業と、福岡県の事業との同時高架切替えが2年程度遅れるとの申出が鉄道部分の工事を担っている西鉄から県になされたものであること、次に、県としては、学識経験者を交えた検証委員会を設置し、工期変更の事由及び期間について検証する意向であること、3点目に、福岡市は同委員会にオブザーバーとして参加を求められたこと、以上でございました。
 それまで福岡市といたしましては、この同時高架切替えの時期に変更はないと認識いたしておりましたことから、この報告は非常に唐突であり、また市民に甚大な影響が想定されますことから、大変遺憾なものでございました。このため、11月7日に福岡県に出向き、私から遺憾の意を表明させていただき、また、文書にて報告がこの時期になった理由を求めるとともに、福岡県が責任を持って地域へ説明を行うよう申し入れたものでございます。あわせて、11月13日には、副市長からも福岡県に対し、強く遺憾の意を伝えたところでございます。
 また、地域への対応でございますが、事業の沿線地域に当たります板付校区、那珂南校区、三筑校区へは、校区定例会などにお伺いし、福岡市から速やかに状況について説明をさせていただいたところでございます。
 最後に、令和2年度の連続立体交差事業の予算額は19億2,571万円余を計上しております。その主な内容は、鉄道高架橋工事や鉄道と立体交差している筑紫通り麦野跨線橋の撤去工事などでございます。福岡県事業の遅れが判明している状況ではございますが、令和2年度の福岡市の事業は、当初の事業計画どおり進めることといたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎) 先ほどの答弁にありましたとおり、福岡県の事業が遅れるとの報道があった後、福岡市から地域住民に対し、早々に状況の説明がありました。その際、地域住民からは、福岡県の区間で起こったことなので、県からの説明を求める声が多数ありました。しかし、その後も県からは音沙汰なく、2月になってようやく沿線の地元3校区、那珂南、三筑、板付校区の町内会長などに対して説明が行われました。その際、福岡県は、現在、検証委員会で今後の事業工程などを検証中であり、1月までに開催された3回の検証委員会で、高架切替えは約1年8か月遅れる見込みであると示されたと説明があったと聞いております。最初に報道された2年程度の遅れから4か月ほど短縮されそうとのことですが、それでも1年8か月も高架切替えが遅れるのは、地域住民にとって非常に大きな問題です。あわせて、県は引き続き検証を行うと説明をしたとのことです。
 そこで、福岡県が設置した検証委員会の現在の状況はどうなっているのか、また、この検証委員会はいつまで行われ、いつ取りまとめられる予定なのか、お尋ねいたします。
 先ほどの答弁で、福岡市においては、令和2年度は県の遅れの影響なく、しっかりと工事を進めるとのことで少しは安心いたしましたが、高架切替えは県と同時となるので、遅れざるを得ず、既存の踏切撤去による渋滞や事故の解消といった連続立体交差事業の効果が表れる時期が遅れることになります。そのほかにも、鉄道高架橋工事以外の筑紫通りの復旧や側道の整備などの関連事業にも遅れが生じるでしょうし、現在の西鉄バス雑餉隈営業所に設置される新駅の開業も遅れ、それに伴い、新駅周辺の新たなまちづくり活動への影響も懸念されるところです。
 福岡市では、さざんぴあ博多横の筑紫通り麦野跨線橋を撤去するために、昨年の2月10日に仮踏切を伴う仮設道路に切り替えており、それから1年以上がたちました。仮設道路の付近では、仮踏切を先頭とする渋滞が日々発生しており、その渋滞を避ける車両の周辺生活道路への進入や、麦野跨線橋の下で歩行者の横断ができなくなったために大きな迂回を強いられるといった様々な不便や問題が生じています。
 麦野跨線橋の撤去と、それに伴う仮設道路への切替えは、鉄道高架化のために避けられないことであり、仮踏切も令和2年度末に予定されていた鉄道高架切替えまでの2年間の我慢と思い、地域も協力をしてきました。
 ところが、今回の福岡県の区間の遅れによって、仮踏切の設置期間も1年8か月も延びてしまうと、合計あと3年近くも続くということで、地域住民の我慢は結構限界に近い状態です。県事業の遅れが、仮設道路に切り替える前に分かっていれば、仮設道路への切替えも遅らせることができたのではないかと地域の皆さんはみんな同じことを口にしています。
 そこで、さざんぴあ博多横の仮設道路への切替え時期はいつ頃決定したのか、その際、福岡市は福岡県に事業工程に遅れがないことを確認していたのか、お尋ねします。
 この仮設道路への切替えに際し、周辺の道路での告知看板の設置や市政だよりなどでの周知により、他の幹線道路への迂回を促したり、通学路への車両進入増加に対応するための路面標示といった交通安全対策を地域と一体となって行ったことは承知しており、地域も評価していますが、仮踏切も含め、事業の長期化により地域住民が受ける不便さが長引くことは避けられません。
 そこで、仮踏切の設置に伴う不便を少しでも軽くするための対策や、事業の長期化の影響を軽減する方策はないのか、お尋ねします。
 さらに、県の遅れに伴う影響は多岐に及ぶと思います。さざんぴあ博多横の仮設道路は、沿線住民の土地を借地して利用しており、事業期間の延伸は福岡市の事業費にも影響が及ぶものと考えられます。福岡県の区間の遅れによって、福岡市の区間では追加費用が発生するのか、お尋ねします。
 一方で、新駅を中心とした雑餉隈地区のまちづくりについては、昨年6月に雑餉隈発展期成会より、福岡市並びに事業者である西鉄に対し、新駅周辺のまちづくりについて要望書が提出されており、これを受け、住宅都市局を中心に地域との協議が進められているようであります。
 今年の1月には、沿線地域の一つである那珂南校区において、まちづくりの進め方等に関する市の出前講座が開催され、私も参加しました。勉強会には、町内会役員をはじめ70人近い地域住民が参加され、地域におけるまちづくりへの期待や関心が徐々に高まってきていることを実感しました。
 しかしながら、本来は令和2年度末の高架切替え、新しい雑餉隈駅が出来、そして翌年の令和3年度には新駅も開業する予定であったため、高架切替えが遅れることにより、地域の機運を低下させないためにも、連立事業が遅延する間を無駄に過ごすことなく、その間も地域をはじめ事業者としっかりと対話を行いながら、鉄道駅を中心とした新たなまちづくりに取り組んでもらう必要があると考えます。
 連続立体交差事業が遅れる中、新駅を中心とした雑餉隈地区のまちづくりについては、どのように進めていくのかお尋ねし、2問目を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 駒田道路下水道局長。
○道路下水道局長(駒田浩良) おただしの1点目である検証委員会についてお答えいたします。
 福岡県は、今般の遅れの検証のため、令和元年11月22日に西鉄天神大牟田線(春日原〜下大利)連続立体交差事業計画検証委員会を設置しました。その後、同委員会の中で、遅れの主な要因は春日原駅の地下において、基礎コンクリートなど多量の支障物が見つかり、その撤去作業に相当の期間を要すること。また、同時高架切替えの遅れは1年8か月程度になる見込みであることなどが明らかにされ、福岡県は、その内容を2月3日に県議会に報告したところでございます。同委員会は、今年度には検証を終え、その後、福岡県において結果を公表する予定と聞いております。
 福岡市といたしましては、さらなる工期の短縮、また地域への丁寧な説明を行うよう、引き続き福岡県に対して強く求めてまいります。
 次に、さざんぴあ博多横の仮設道路は、平成31年2月10日に切り替えたものでございます。仮設道路への仮踏切の設置により、渋滞をはじめ地域へ御不便をおかけすることから、踏切の設置期間が最短となるよう、令和2年度末の同時高架切替え、この時期を見据え、切替日を決定したものでございます。
 一方、福岡県事業の工程につきましては、平成29年度末から県に対し再三確認をいたしておりました。最終的には平成30年11月14日に開催された福岡市、福岡県、西鉄など連続立体交差事業の関係者で構成する調整会議、この場におきまして、福岡市事業、福岡県事業の工程は予定どおりである、つまり、同時高架切替えは令和2年度末であることを確認した上で、先ほど申しました切替日の決定に至ったものでございます。
 次に、仮踏切の設置期間の延伸に伴う御不便を少しでも軽減するための対策でございますが、かねてから地域において御要望がなされておりました仮踏切の北側での信号機付横断歩道、これにつきましては、福岡市と福岡県警察で協議を重ねてまいり、今月中に新設されることとなりました。仮設道路への切替えに伴い、先ほど議員ご指摘のとおり、麦野跨線橋の下で歩行者が筑紫通りを横断できず、現在はそこから400メートル程度離れた横断歩道まで迂回をお願いしているところでございますが、このたび、同跨線橋から100メートル程度のところに新設されることで、御不便が幾ばくかは緩和されるものではないかと、このように考えております。
 また、当初、同時高架切替え後に側道の整備を予定しておりましたが、先行して整備することが可能な区間から早期に供用するなど、事業の長期化の影響を軽減する観点から、事業計画の見直しにも着手しております。
 最後に、福岡県事業の遅れに伴う福岡市の追加費用についてでございますが、仮設道路や仮設駐輪場などの借地料のほか、毎年行うことが義務づけられております騒音、振動の調査費などが発生いたすものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 新駅を中心としたまちづくりにつきましては、これまで地域と協議を重ねまして、昨年6月の雑餉隈発展期成会からの要望書提出を契機といたしまして、地域のまちづくり組織の設立に向けて支援いたしますとともに、交通結節機能の強化や利便性の向上、駅周辺の快適な歩行空間の確保の検討などに取り組んできたところでございます。
 今回の連立事業の遅れにより、まちづくりのスケジュールの見直しも必要となっておりますが、今後、具体的に示される連立事業のスケジュールも踏まえ、地域の御意見も頂きながら、事業者や関係部局とともに早期のまちづくりの実現を目指して取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 浜崎太郎議員。
○42番(浜崎太郎) 福岡県による検証委員会の状況について答弁していただきましたが、遅れの期間が明確に判明するのは、年度内の検証を終えた後とのことで、4月になるかもしれませんが、2年近くになることは避けられないようです。
 福岡県の事業の遅れが市にもたらす影響は非常に大きいことが分かりました。それらの原因は県事業の遅れであり、一義的にはその事業主体である福岡県が責めを負うべきと考えます。しかしながら、市においても遅れた期間をただ過ごすだけではなく、その影響を抑えるべく、しっかり汗をかいていただきたいと強く思っています。
 冒頭で、幾度もの困難がありましたと述べましたが、今、最大の困難を迎えているのではないでしょうか。遅れることとなったとはいえ、高架切替えは目前です。その後に待っている安心、安全で暮らしやすいまちを、新しい駅を中心とした魅力的なまちを地域住民は今か今かと待ち望んでおります。
 そこで最後に、事業が遅れることが明確となった、この困難に対し、雑餉隈駅付近の連続立体交差事業とまちづくりをどのように進めていくのか、島市長の前向きな御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 雑餉隈駅付近の連続立体交差事業につきましては、今回の福岡県事業の遅れの影響を受け、同時高架切替えが遅れることになり、誠に遺憾であります。特に、地域におかれましては、これまでも事業に対して多大な御協力を頂いている中、さらなる御迷惑をおかけすることになり、大変心苦しく思っています。
 県事業の遅れに伴う様々な影響については、事業主体である福岡県において責任を持って対応すべきものと考えており、引き続きさらなる工期の短縮を強く要望していきますとともに、地域の皆様には丁寧に説明を行っていただくよう求めてまいります。
 福岡市といたしましては、今回の遅れの影響を最小限に抑え、一日も早い沿線地域の交通の利便性や安全性の向上並びに新駅周辺のまちづくりも含めた良好な住環境の創出に向けて、しっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 池田良子議員。
○62番(池田良子)登壇 私は福岡市民クラブ、田中しんすけ議員の代表質疑を補足し、実効ある障がい者差別解消条例について、里親を活用したショートステイの受入れについて、教職員の働き方改革について、以上3点について質問いたします。
 まず初めに、実効ある障がい者差別解消条例についてお伺いします。
 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例、いわゆる障がい者差別解消条例が2018年6月議会で成立しました。条例では、不当な差別的取扱いと合理的配慮の不提供を禁止し、誰もが障がいを理由とする差別をしてはならないことを基本的な考え方としています。条例の第7条、第8条では、市及び事業者は不当な差別的扱いをしてはならない、市は合理的配慮をしなければならない、事業者は合理的配慮をするように努めなければならないと、規制の対象を具体化しています。そして2019年1月1日施行となって1年が経過しました。
 そこで、本条例がどれだけ市民に浸透してきたのか、より実効あるものとするためには、どんな施策が必要なのか、明らかにしていきたいと思います。
 初めに、障がい者差別解消条例に係る予算の推移を2018年度からお示しください。
 また、2018年6月議会で成立してからこの間、条例の浸透を図るため、どのような啓発活動を行ってきたのか、お尋ねします。
 条例第11条、第14条には、相談体制の強化をうたっていますが、条例施行後、差別に関する相談体制はどのように強化されたのか、また、障がい者110番に寄せられた差別に関する相談件数は何件あったのか、2016年度から年度ごとにお示しください。2019年度については直近の数値でお答えください。
 障害者差別解消法が施行されて1年後の2017年に内閣府が行った人権擁護に関する世論調査では、現在起きている障がい者の人権問題として、就職、職場で不利な扱いを受けること49.9%、差別的な言動をされること48.7%、じろじろ見られたり避けられたりすること47.6%、職場、学校等で嫌がらせやいじめを受けること45.6%、結婚問題で周囲の反対を受けること26.7%、アパートへの入居を拒否されること20.5%などのことが明らかになりました。特に、職場での不利な扱いを受けたと感じている人は約50%です。事業者等での周知、理解が進みにくい状況なのではと考えますが、福岡市は事業者に対してどのような取組を行ってきたのか、お尋ねします。
 また、福岡市においても、市民や当事者、家族を対象に、条例の認知状況や差別に関する経験等の実態を把握するための調査をすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 次に、里親を活用したショートステイの受入れについてお伺いします。
 子どもたちへの虐待やネグレクトのニュースが後を絶ちません。2018年度の児童虐待相談対応件数は全国で約16万件、福岡市でも相談、通告を合わせると2,587件と、それぞれ過去最高となっています。
 DVや貧困、育児不安などに加えて、地域の中での孤立を背景に、子どもの養育に困難を抱える家族が増え続け、家庭支援や社会的養護の必要性が増加しています。厚生労働省は、愛着関係を図るためにも家庭的な環境での養育が望ましいとして里親制度を推進してきましたが、福岡市の里親委託率はNPOとの共働事業の結果、全国でも注目を浴びる委託率の伸びを示しています。
 そこでまず、2015年度、2017年度、2019年度直近での福岡市の里親登録者数及び委託世帯数、委託児童数、里親委託率をお尋ねします。
 昨今、保護者の育児疲れや病気などで、一時的に養育できなくなった子どもを数日間預かる短期入所生活援助事業、いわゆる子どもショートステイが重要視されています。子どもショートステイは、児童相談所えがお館の行政処分である一時保護措置とは異なり、親が申請して利用できる国制度の子育て支援サービスです。在宅の子ども・子育て家庭支援事業として、区役所の子育て支援課が相談窓口となっています。
 そこで、子どもショートステイの利用期間、利用料、預かりに至るまでの手続など、制度の内容をお尋ねします。
 また、子どもショートステイを実施している施設等と、延べ利用者数及び延べ利用日数について、2016年度から2019年度直近の推移をお示しください。
 次に、教職員の働き方改革についてです。
 2月27日夕刻、根拠も対策も示さず、安倍首相は、新型コロナウイルス感染症対策のために小中高特別支援学校を全国一斉に休業するよう自治体に要請とニュースで表明しました。唐突な学校休業要請は、全国の保護者、子ども、学校、教育関係者に大きな不安と混乱をもたらしました。政府の要請を受け、福岡市教育委員会も28日、3月2日より市立小中高等学校及び特別支援学校を臨時休業とし、それに伴う対応を決定しました。働く親の困惑と見通しの持てない学校現場の混乱は火を見るより明らかです。我が会派は、28日に市長、教育長へ、新型コロナウイルス感染症対策に係る学校等の臨時休業に関する申入れを行い、子どもたちの居場所の確保や保護者に過度な負担等が生じないよう具体的な措置を、留守家庭子ども会については、学校施設の利用も含めて受入れ体制、規模の拡充や柔軟な運用を、子どもたちの未学習分についての対策等を緊急措置として求めました。
 教育委員会とこども未来局は、留守家庭子ども会の加入者の増加やルームの過密状況を解消するため、1部屋を30人以下とし、教室の開放や教員の派遣協力を行いました。私は、ほかの会派、議員もそうですけれども、この2日から9日まで学校を訪問し、現状調査を行ってまいりました。学生等の補助支援員の補充や教員の支援を得られているところでも、主任支援員の負担は相当なものであると感じました。しかし、常に子どもたちの安心、安全の確保を最優先して頑張る支援員の方々には頭の下がる思いです。
 1週間が過ぎ、留守家庭子ども会も平穏を取り戻しつつありますが、片や教員は、通信表の作成、例年行われる新学期に向けたもろもろの準備に係る職員会議等に加えて、全ての学校ではありませんが、留守家庭子ども会への応援や子どもたちへの家庭訪問、3学期未指導分の学習を新年度当初に実施するための教育指導計画の作成などに追われています。
 教職員の長時間労働は各種報道でも取り上げられるなど、今や社会問題となっています。2014年実施の福岡市教職員勤務実態調査では、1日の平均在校時間については、小学校教諭11時間13分、中学校教諭11時間1分、特別支援学校教諭10時間21分となっており、1日当たりの超過勤務時間については、それぞれ3時間7分、3時間50分、2時間9分となっていました。
 文部科学省は2016年10月から11月のうち、1週間を調査期間として、教員の勤務実態の実証分析を実施し、2017年4月28日に速報値を公表しましたが、1日の平均在校時間は小学校で11時間15分、中学校で11時間32分で、文科省の前回調査2006年度と比較すると、平日では小学校が43分、中学校では32分、土曜、日曜になると、小学校49分、中学校1時間49分も勤務時間が増加しているとの報告でした。福岡市においては、昨年10月に教職員の勤務実態調査が行われ、現在集計、分析中であると伺っていますが、その結果が待たれるところです。
 教職員の長時間労働については、この間、会派としても幾度となく質問してまいりましたが、長時間労働是正のための教育環境整備や業務削減は進んでいるのでしょうか。教育委員会として進めてきた内容と、学校現場で取り組んできた内容についてお知らせください。
 昨年末、12月4日、学校における働き方改革を進めるための総合的な取組の一環として、文部科学省が2019年1月に策定した公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインを法的根拠のある指針に格上げするとともに、休日のまとめ取りのため、1年単位の変形労働時間制を各地方公共団体の判断により条例で選択的に活用できるようにした、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の一部を改正する法律が成立し、同月11日に公布されました。そのうち、教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針の策定等を定めた第7条については、2020年4月1日より施行となっています。給特法の改正によって、本議会において条例改正案が上程されておりますが、教育委員会規則改正、規則に基づいた上限方針の制定を一体で進める必要があると思いますが、そのスケジュールについてお尋ねいたします。
 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者差別解消条例に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、条例の施行に係る予算額につきましては、平成30年度が1,302万円余、令和元年度が1,543万円余、2年度が1,755万円余となっております。
 次に、条例に係る啓発活動につきましては、市政だよりや市ホームページへの条例内容の掲載、パンフレットやチラシの作成、配布、またポスターの掲示などを行いますとともに、障がい者週間記念の集いにおける啓発事業、また地域や事業所などを対象としました出前講座や研修会の開催などを行っております。
 次に、相談体制の強化につきましては、令和元年度から障がい者110番の相談員を増員しますとともに、条例の施行に伴い、市内14か所の区障がい者基幹相談支援センターにおきましても、差別に関する相談を受け付けることとしたところでございます。
 次に、障がい者110番の差別に関する相談件数につきましては、平成28年度が31件、29年度が22件、30年度が28件、令和元年度が1月末現在で62件となっております。
 次に、事業者に対する取組につきましては、障がい当事者団体などの意見を踏まえて作成しましたパンフレットやチラシを経済団体を通じて市内事業者に配布しましたほか、出前講座や研修会の開催、経済団体の会報誌に条例を紹介する記事を掲載するなどによりまして、条例の周知に努めております。なお、雇用の場における障がい者差別に対する取組につきましては、障害者雇用促進法に基づき、障害者雇用対策として国において進められているものと承知をいたしております。
 次に、差別解消に関する実態調査につきましては、令和元年度に、障がい当事者や家族を対象として、差別を受けた経験等を調査する福岡市障がい児・者等実態調査を実施いたしております。また、今後、市民を対象として、条例の周知の状況などについて調査を行う予定といたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 子どもショートステイに関する御質問にお答えいたします。
 まず、福岡市の里親登録者数などにつきましては、里親登録者数は平成27年度143世帯、29年度193世帯、令和元年度は1月1日現在で247世帯、委託世帯数は平成27年度63世帯、29年度92世帯、令和元年度は1月1日現在で99世帯、委託児童数は平成27年度144人、29年度179人、令和元年度は1月1日現在で180人、里親委託率は平成27年度33.3%、29年度43.1%、令和元年度は1月1日現在で46.7%となっております。
 次に、子どもショートステイの制度についてのお尋ねでございますが、利用期間は、原則として7日以内で、1日当たりの利用料は、生活保護受給世帯及びひとり親世帯は、子どもの年齢を問わず無料、市県民税非課税世帯は2歳未満児が1,100円、2歳以上児が1,000円、その他の世帯は2歳未満児が5,350円、2歳以上児が2,750円となっております。また、預かりに至るまでの手続については、各区役所の子育て支援課が窓口となり、保護者の申請を受け付け、実施する施設と利用調整を行った後、保護者へ利用決定を行っております。
 最後に、子どもショートステイの実施施設についてのお尋ねでございますが、児童養護施設が3か所、乳児院が2か所、子ども家庭支援センターが1か所の合計6か所で実施しております。また、延べ利用者数は平成28年度342人、29年度が424人、30年度458人、令和元年度は12月末現在で414人となっており、延べ利用日数は平成28年度1,610日、29年度2,021日、30年度2,342日、令和元年度は12月末現在で1,979日となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員の働き方改革についてお答えいたします。
 教職員の長時間勤務の是正のための取組は、教育委員会においては、これまでも学校給食費の公会計化や全教員へのパソコンの整備、校務支援システムの導入などの取組や、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置の拡充、部活動指導員の配置など、様々な取組を行っております。また、学校においては、教職員の業務改善のための実施プログラムに基づき、夏季休業期間中における全校一斉の学校閉庁日や原則として週1回の定時退校日、週2回の部活動休養日の設定などの取組のほか、学校内における会議、研修や学校行事の見直しなどに取り組んでおります。
 次に、教員の在校等時間の上限に関する方針等の策定は、いわゆる給特法の改正を踏まえ、令和2年4月1日施行予定の条例改正に合わせ、教育委員会規則の改正及び上限方針の制定を一体で進めることとしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 初めに、実効ある障がい者差別解消条例についてです。
 2016年の福岡市障がい児・者等実態調査では、障がいがあるために差別を受けたり嫌な思いをした経験がある人は、身体障がい者では2割弱、知的障がい者では3割、通院する精神障がい者では2割強、難病患者では1割強ですが、身体・知的障がい児49.9%、約5割、発達障がい児・者45.6%と、半数近くが障がいがあるために、差別等を受けたり嫌な思いをした経験があると回答しています。条例施行後、1年ではありますが、今回の調査結果が待たれるところです。
 障がい者110番に寄せられた差別に関する相談件数は、本年度は2倍以上にも増加しています。2018年、2019年に障がい者110番に寄せられた差別関係の相談で、不当な差別的取扱い、合理的配慮合わせて、どういう分野の相談が多いのか、上位3分野をお知らせください。
 また、寄せられた相談に対して、障がい者110番はどのような対応をされるのか、お尋ねします。
 市は、合理的配慮をしなければならないとありますが、保健福祉局として合理的配慮をしたものについてお示しください。
 また、市長の定例会見において、手話通訳を求めてきましたが、いまだ実現していません。聴覚障がい者の方々からもフリップボードだけでは理解しにくいという意見を聞きます。合理的配慮として、手話通訳者を配置すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 障害者差別解消法の附帯決議には、「グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと」とあります。
 本市においても、障がい者の親なき後の暮らしを見据え、グループホームの設置を進めていますが、建設するに当たって地域から心配や不安の声はあるのかどうか、あれば行政としてどのような対応をされたのか、お尋ねします。
 次に、里親を活用したショートステイの受入れについてです。
 西日本新聞の記事によると、2017年度は全国で延べ約9万人が利用し、前年度から約1万人も急増しています。福岡市においても、保護者の病気や育児疲れなどの様々な理由で、利用日数は2018年度の利用は2,342日で、2016年度の1,610日から732日増え、子どもショートステイの利用者は年々増加しています。受入先は乳児院や児童養護施設などの児童福祉施設と里親ということですが、西区では2017年からモデル事業として、住み慣れた地域、通っている学校や保育園と離れることなく、短期で子どもを受け入れてくれる校区里親の取組を始めました。
 そこで、なぜ西区なのか、校区里親の目的、啓発方法、ショートステイの受入れが可能な里親登録者数及び今年度の委託人数をお尋ねします。あわせて、成果と課題についてもお尋ねします。
 また、第5次福岡市子ども総合計画案には子どもショートステイの今後の支援見込みとして、2018年度の2,342日に対して、2020年度は2,700日、2024年度は4,500日としています。現状の受入れ体制では、到底応えられない人数と考えますが、どのようにして受入先の確保を行おうとしているのか、御所見をお伺いします。
 次に、教職員の働き方改革についてです。
 給特法第7条に基づき、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインが法的根拠のある指針に格上げされ、1月17日、公立学校の教育職員の業務量の適切な管理その他教育職員の服務を監督する教育委員会が教育職員の健康及び福祉の確保を図るために講ずべき措置に関する指針として公布されました。その指針に示された項目について、順次質問してまいります。
 公立学校の教育職員に時間外勤務を命じることができる限定項目として、1、生徒の実習、2、学校行事、3、職員会議、4、非常災害、児童生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合等の、いわゆる超勤4項目以外の業務の時間も含めた在校等時間の上限について位置づけることになっています。上限時間については、月45時間以内、年360時間以内となっていますが、国会審議で、教育委員会が独自に上限を下げることをすることも可能であると答弁しています。例えば、月40時間、年300時間という設定も可能です。長時間労働是正の観点からもそうすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 さらに、在校等時間の上限を定めるに当たっては、その上限まで業務を行うことを推奨するものではないことを明確にすべきと考えますが、いかがですか。
 学校現場では、子ども同士のトラブル等の生徒指導の対応は日常茶飯事です。上限ガイドラインでは、臨時的な特別の事情の場合、月100時間、2か月から6か月間の複数月平均80時間――これは過労死ラインを超えています、年720時間まで勤務できるとしていますが、この臨時的な特別の事情とは具体的にどのような業務を想定しているのか、お尋ねします。
 労働安全衛生法第66条の8の3、客観的な方法その他適切な方法により労働時間の状況を把握することを事業者に義務づける法律は、教員にも適用されます。在校等時間把握のためには、客観的な時間管理が必要ですが、タイムカードなどの客観的時間管理はどの程度導入されているのか、お尋ねします。
 一方、在校等時間を上限時間の範囲内とすることが目的化し、一旦タイムカードに退校時間を打刻して在校し続けるなど記録簿に虚偽の記載をした場合はどうなるのか、時間外勤務の上限を守らない学校の校長は規則違反になりますが、罰則はないのか、お尋ねします。
 労基法では、6時間以上8時間未満の労働の場合、45分間の休憩を使用者の責任で取らせることになっていますが、教職員は現実には休憩時間がほとんど取れていないと聞きます。これは法令違反だと思いますが、今後はどう対応されるのでしょうか。
 さらに、土日の週休日に出勤して授業準備等をした時間や部活動指導時間も計測の対象になるのかどうか、お伺いします。
 今、実質的な仕事が終わらないにもかかわらず、強制的に帰宅させられるなどの時短ハラスメントが学校現場では問題になっています。勤務時間の遵守のみに注力して、持ち帰り業務が常態化することがあってはならないと思いますが、それでも持ち帰らざるを得ない場合、管理職が持ち帰り業務を把握するための記録が必要と考えますが、どうお考えでしょうか。
 在校等時間の記録は、公文書として学校で適正に管理、保存されるのでしょうか。保存する場合、記録する項目や保存期間についてはどのようにお考えでしょうか。
 また、記録に虚偽等がないかを教育委員会が把握するために、教職員保護または内部通報制度の観点から、さらには長時間勤務等の是正やメンタルヘルス不調等の健康に関して相談できる体制として相談窓口を整えることが肝要と思われます。上限時間を遵守させるためにも、相談窓口を設置すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 現場の声、職員団体の意見も十分に聴きながら進めていくべきだと考えますが、御所見をお伺いして、2回目の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者差別解消条例に関する御質問にお答えをいたします。
 まず、障がい者110番が受け付けた相談の分野につきましては、相談件数が多い順に、福祉サービスに関すること、商品の販売及び不動産の売買等に関すること、建物及び公共交通機関に関することとなっております。
 また、障がい者110番の相談対応につきましては、相談内容の聞き取りを十分に行った上で、関係機関の紹介や情報の提供を行いますとともに、必要に応じて関係者間の調整を行っております。
 次に、保健福祉局で行いました合理的配慮につきましては、主なものとして、会議などへの手話通訳者や要約筆記者の配置、点字版、テキスト版、大活字版、音訳版の資料の作成、印刷物への音声コードの掲載、窓口への筆談ボードの設置などを必要に応じて実施いたしております。
 次に、障がい者グループホームの設置に当たりましては、地域の方などから問合せや相談が寄せられる場合もございます。こうした相談などに対しましては、グループホームの趣旨やサービスの内容、また既に設置されているグループホームの利用や運営の状況などを説明し、また必要に応じて障がい者差別解消条例に関する出前講座を実施するなど積極的な啓発に努めております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 定例会見における手話通訳の導入についてお答えいたします。
 市長の定例会見につきましては、聴覚障がい者を含め、様々な方が会見後に速やかにその内容を知ることができるように、会見の翌日には会見録として動画とともに全ての発言を文字に起こして本市のホームページにて公開しております。定例会見における手話通訳の導入につきましては、聴覚障がい者の方の手話の利用状況や会見動画の閲覧状況などを踏まえながら引き続き研究してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 子どもショートステイに関する御質問にお答えいたします。
 西区役所で校区里親に取り組んでいる理由といたしましては、西区内にショートステイの受入先となる施設がなかったことや、現在、受入先となっているNPO法人SOS子どもの村JAPANが運営する子どもの村福岡が西区に立地していたことによるものでございます。
 校区里親の目的につきましては、校区里親は、福岡市の里親制度の事業ではございませんが、SOS子どもの村JAPANと西区役所との共働事業として、ショートステイの受入先を小学校区に少なくとも1世帯確保するという目標を掲げて実施しております。
 啓発方法につきましては、里親向けのハンドブックの作成やショートステイ里親に対する理解を深めるため、市政だよりや新聞広告への掲載などを実施しているほか、気軽に参加していただける講座、交流会や質問相談会の開催などのリクルート活動を実施しております。
 また、校区里親の取組により、ショートステイの受入れが可能となった里親につきましては、令和元年度の12月末時点で5世帯であり、そのうち2世帯による受入れが行われております。また、令和元年度の延べ利用者数は7人、延べ利用日数は38日となっております。
 次に、西区における取組の成果と課題についてのお尋ねでございますが、成果といたしましては、里親がショートステイの受入れを行うことで、家庭的な環境での養育を保障することができること、また、課題といたしましては、担い手となる里親の確保及び受入れ調整やサポート体制などの仕組みの構築が必要であることなどでございます。
 最後に、今後の子どもショートステイの受入先の確保についてのお尋ねでございますが、令和2年度からNPO法人との共働により、ショートステイの受入れ専用枠を設置し、受入先の確保を図ることとしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員の働き方改革についてお答えいたします。
 在校等時間の上限は、民間企業等においては労働基準法の規定により、労使協定による時間外勤務の上限が月45時間、年360時間とされていること、国家公務員や福岡市の行政職職員などにおいても同様の時間外勤務の上限が設けられていることとの均衡を踏まえ、同様の時間を上限として設定することとしております。
 また、文部科学省の指針においても、上限時間まで業務を行うことを推奨するものと解してはならないと示されており、上限の設定に当たっては、上限時間まで業務を行うことを推奨するものではないことを学校長などに対し周知徹底してまいりたいと考えております。
 次に、臨時的な特別の事情の場合の具体的な業務は、文部科学省の指針によると、「児童生徒等に係る通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、一時的又は突発的に所定の勤務時間外に業務を行わざるを得ない場合」とされております。
 具体的にどのような場合が該当するのかについては、具体の事案の内容に応じ、教育委員会及び各学校長が判断していくことになりますが、文部科学省の通知において、「例えば、学校事故等が生じて対応を要する場合や、いじめやいわゆる学級崩壊等の指導上の重大事案が発生し児童生徒等に深刻な影響が生じている又は生じるおそれのある場合」と示されており、限定的なものであると理解しております。
 次に、客観的な勤務時間の管理は、平成31年4月から順次、市内の全学校を対象に、職員カードなどのICカードをかざすことで出退勤時間を記録できる環境を整備してまいりましたが、令和2年2月末現在で、全校に整備済みでございます。
 次に、タイムカードに虚偽の記録を行った場合は、仮に職員が虚偽の記録を行ったときは、学校長等の管理職職員が適正な記録を残すよう指導すべきものであり、各学校長に対し、実態に即した在校等時間の把握を行うよう徹底してまいります。
 なお、文部科学省の通知におきまして、万が一、学校長等が虚偽の記録をさせるようなことがあれば、状況によっては信用失墜行為として懲戒処分等の対象ともなり得るものとされております。
 次に、在校等時間の上限を超えた場合の罰則の有無についてでございますが、罰則規定はございません。しかし、学校長及び教育委員会は、教職員の勤務時間管理や健康管理の責任を有していることから、上限の超過が続く場合、要因を分析し、改善に向けて取り組んでいく必要があると考えております。
 なお、上限の超過が常態化しているにもかかわらず、長期間にわたり縮減に向けた取組が行われていない場合などは、指導の対象になると考えております。
 次に、教職員の休憩時間の確保は、文部科学省の指針においても休憩時間の確保など、労働基準法などの規定の遵守が示されていることから、休憩時間の確保の徹底について学校長などへ周知してまいります。
 次に、土日、祝日に業務を行った時間や部活動指導時間は、校務として業務を行う場合は、在校等時間に含まれるものとして把握すべき対象としております。
 次に、教員の持ち帰り業務の記録は、持ち帰り業務の実態把握に努めるとともに、業務の持ち帰りが生じないように業務の削減に向けた取組を進めてまいります。
 次に、在校等時間の記録は、各学校において管理、保存することとしており、保存期間は労働基準法第109条の規定に基づき3年間としております。記録する項目につきましては、出勤時刻、退勤時刻及び休憩時刻でございます。
 次に、相談窓口の設置は、現在、職員の法令違反行為や非違行為等に関する相談などを受ける職員相談サポートラインや、教職員健康管理専門員による心と体の健康に関する相談窓口を設けるなど、職員が安心して職務に専念できる職場環境の整備を図っておりますが、今後、教員の在校等時間の上限に関する内容を窓口における相談の対象とすることについて検討してまいります。
 次に、現場の声や職員団体の意見を聴くことについてでございますが、在校等時間の上限に関する方針等の策定に当たりましては、引き続き、必要に応じて職員団体と協議を行うなど、適切に対応してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 池田良子議員。
○62番(池田良子) 初めに、実効ある障がい者差別解消条例についてです。
 保健福祉局において、意思の表明がない場合でも自主的な合理的配慮を行った内容についてお答えいただきましたが、そもそも合理的配慮の提供については、障がいのある人やその家族などから、社会的障壁を取り除くために何らかの対応を必要としているとの意思が伝えられたときに合理的配慮をすることが求められます。しかし、合理的配慮の提供は、事業者に対しては努力義務となっていることから、経費を伴う配慮については困難も予想されます。
 明石市では、共生のまちづくりを推進していくために、商業者など民間の事業者や自治会、サークルなどの民間団体に対しても、必要な合理的配慮を提供するためにかかる費用を助成しています。
 福岡市においても、条例に基づく施策を講じるために、さらなる予算の確保をすべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 障害者権利条約や障害者基本法で、手話は言語であると明確に規定されました。市長の定例会見で手話通訳の導入を強く求めておきます。福岡市障がい者差別解消条例における障がい者の定義は、身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がい、難病その他の心身の機能の障がいがある者とされ、聴覚障がいについては特筆されていません。現在、全国301の自治体で手話言語条例が制定されています。福岡県内においても、田川市、直方市、朝倉市など10市町村が制定しています。手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解を広げるために、福岡市においても手話言語条例の制定をすべきと考えますが、御所見をお伺いして、この質問を終わります。
 次に、里親を活用したショートステイの受入れについてです。
 全国の里親委託率が2017年度末時点で19.7%という状況の中、福岡市の里親委託率は2019年度1月1日現在で46.7%と高い委託率を示しています。しかし、西区を除く6区での子どもショートステイの受入先は、ほとんどが児童福祉施設になっています。子どもショートステイは、病気入院だけでなく、子育て不安や子育て疲れなどで精神的に追い詰められた親が、子どもと離れて休息することで、虐待などによる一時保護に至るケースを防げると期待もされています。SOS子どもの村では、在宅支援の切り札とまで言い切っています。短期であっても、仲のよい友だちと離れることなく、住み慣れた校区で、通い慣れた学校、保育園に通えることは、子どもにとっての心理的負担も軽減されます。近隣の里親が子どもを預かるため、利用もしやすい里親を活用したショートステイの受入れを全区で展開し、支援を要する家庭への在宅支援を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 最後に、教職員の働き方改革についてです。
 国会答弁にもありましたが、公文書として学校で適正に管理、保存される在校等時間の記録は、公務災害の判定資料にもなり得ます。障害補償及び遺族補償を受ける権利の消滅時効が5年間であることからすれば、5年間は保存すべきではないかと意見を申し上げておきます。
 教職員の働き方改革について、給特法第7条の改正に基づく上限時間設定の方針が実効性のあるものとなるよう質問してまいりましたが、在校等時間の厳守に注力するあまり、持ち帰り業務が常態化することがあってはなりません。持ち帰り業務が生じないようにするために、教育委員会としてどのような業務削減をしていくのか、お尋ねします。
 また、教職員の勤務時間管理が適切にされるためには、教職員への指導や周知はどうされるのか、お尋ねします。
 2017年決算特別委員会総会質疑で、文科省が例示している、教員の子どもと向き合う時間の確保のためのコピーや印刷などの事務作業を行うスクール・サポート・スタッフの導入など、条件整備を要望いたしましたが、その後、検討されたのか、さらに、中学校教員の勤務時間外活動で最も多い部活動については、各高等学校、中学校に1名の部活動指導員が導入されましたが、1名では足りていないことは明白です。増員すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 さらに、保護者、市民等へはどのように周知されるのか、御所見をお伺いします。
 2020年4月1日の施行は給特法第7条ですが、休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制について明記した第5条については、自治体判断により、2021年4月1日から自治体条例、規則等を定めて導入を可能としました。現在でも有給休暇の消化や夏季休暇の取得、研修や教材研究など、学校現場はまとめ取りができる状況にはありません。変形労働時間制については、現状にそぐわず導入すべきではないと考えますが、福岡市教育委員会はどういうお考えか、御所見をお伺いします。
 教職員の働き方を改革するためには、小学校の英語専科指導のための加配定数の増員や教科担任制の導入など、業務の縮減と定数改善が絶対条件と考えます。また、その推進のためには、給特法を廃止して、抜本的な見直しが必要だと考えます。国に対して定数改善と給特法の廃止を要望すべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 最後に、教職員の働き方改革として、長時間労働是正に向けた教育長の意気込みをお尋ねして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者差別解消条例に関する御質問にお答えをいたします。
 条例に基づく施策につきましては、まずは合理的配慮の提供など条例に関する理解を深めていただくことが重要であると考えておりまして、広報、啓発や相談対応を中心として、さらなる施策の充実を図ってまいります。
 次に、手話言語条例についてでございますが、障がい者差別解消条例において、手話も言語に含むこととし、障がいのある方に対してコミュニケーション及び意思決定の支援等を保障する必要があるとの基本理念を定め、障がいを理由とする差別の解消を推進することといたしております。このため、手話言語条例の制定につきましては、障がい者差別解消条例の普及や施行の状況、また、国の動向などを見守りながら対応を検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 子どもショートステイに関する御質問にお答えいたします。
 平成28年度の児童福祉法改正により規定された子どもの家庭養育優先の原則という理念に基づき、支援を要する家庭への在宅支援の強化を図ることは喫緊の課題であると認識しております。
 その中でも、ショートステイは、保護者の育児負担の軽減につながる在宅支援サービスとして、年々子育て家庭のニーズが高まっており、受皿の確保に加えて、法の趣旨に沿った子どもの家庭的な養育環境の充実にも併せて取り組んでいく必要があると考えております。
 今後、引き続き身近な地域での受入先として、里親等の活用を進め、ショートステイの受皿の確保に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教職員の働き方改革についてお答えいたします。
 教員の持ち帰り業務が生じないようにするための業務削減の取組についてでございますが、教育委員会としましては、これまでも業務改善実施プログラムに基づき、業務改善や長時間勤務の解消に向けた取組を進めております。
 また、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、部活動指導員などの専門スタッフの配置により、教員の支援体制の充実を図っております。引き続き教育委員会及び学校が一体となって教員の業務負担の軽減に向けて取組を進めてまいります。
 次に、適切な勤務時間管理の実施のための教職員への周知は、在校等時間の上限に関する方針の周知に併せて、適切に勤務時間管理を行うよう改めて学校長へ周知を行い、各教職員への周知徹底に向けて取り組んでまいります。
 次に、スクール・サポート・スタッフは、これまでの事務補助職員が会計年度任用職員に移行することに伴い、配置日数を拡充するとともに、教員の負担軽減につながるよう業務内容を見直してスクール・サポート・スタッフとして位置づけ、令和2年度に導入することとしております。
 次に、部活動の支援体制は、平成30年度より単独での技術指導や試合引率など、顧問として部活動に関わることができる部活動指導員を配置しております。
 また、令和2年度より小規模の部活動などに所属する生徒が大会に参加する際、教職員に代わって監督業務を行う部活動指導員を新たに配置してまいります。今後も学校の実態に応じて、部活動支援の充実に努めてまいります。
 次に、教員の在校等時間の上限に関する方針等の市民への周知についてでございますが、この方針の策定に当たっては、教職員だけでなく、市民の皆様の理解を得ることが必要であると考えております。これまでも保護者などに対し、学校の働き方改革の取組に関して、業務改善実施プログラムの策定をはじめとした様々な取組の周知を行っており、在校等時間の上限に関する方針などの新たな取組を含め、引き続き周知を行ってまいります。
 次に、教員に対する1年単位の変形労働時間制の導入は、他都市の動向などに留意しながら検討してまいります。
 次に、教職員定数の充実は、今後とも国に要望してまいります。また、いわゆる給特法の見直しにつきましては、引き続き国の動向に注視してまいります。
 教職員の働き方改革は、これまでもその推進に向けて様々な取組を進めてまいりました。また、令和2年度は、新たに自動音声メッセージ機能付電話の整備や学校の庶務事務の効率化を図るシステムの構築を開始するとともに、少人数部活動などの大会時に監督業務を担う部活動指導員やスクール・サポート・スタッフを新たに配置するなど、さらなる取組の推進を図ることとしております。あわせて、市民の皆様に対しても、教員の業務が複雑化、多様化している現状を周知するとともに、学校の働き方改革の取組への理解を促進してまいります。
 今後とも様々な取組を進め、教育委員会及び学校が一体となって教員が子どもたちに深く関わり、指導に専念できる環境づくりを推進してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) この際、休憩し、午後4時15分に再開いたします。
午後4時1分 休憩  
午後4時15分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。森あやこ議員。
○45番(森 あやこ)登壇 私は緑と市民ネットワークの会を代表し、荒木議員の代表質疑に関連し、生き物が生まれ育つ博多湾の環境保全について補足質疑を行います。
 福岡市は、脊振山地など山々や幾つもの河川と福岡平野、そして博多湾と沿岸地域がある自然豊かなまちです。この豊かな自然の一つである博多湾は、干潟や藻場、浅い海域などがあり、筑前海域における稚仔魚などの生物が生まれ育つ揺り籠としての機能があり、自然の豊かさは人々に多くの恵みを与え、暮らしを支え続け、また、潮干狩りや自然観察など憩いや学習の場としても利用されています。
 この重要な機能を有する博多湾の環境を守るために、生き物が生まれ育つ博多湾を将来像として、平成20年からの8年間を博多湾環境保全計画(第一次)とし、平成28年9月から令和6年度までの8年間を第二次として定めています。これまでの取組を確認しながら、第二次計画の中間に位置する令和2年度の予算と取組について質疑を行います。
 まず、博多湾環境保全計画(第二次)は、どのような視点で計画を推進することとされているのか、お答えください。
また、第二次計画の目標像及び実現するための主な施策についてお答えください。
また、環境局では博多湾環境保全計画の進捗管理のための予算を計上されていますが、その主な内容と平成28年度からの予算の推移についてお答えください。
 以上、2問目からは自席にて行います。
 
○副議長(楠 正信) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) まず、博多湾環境保全計画(第二次)における視点につきましては、博多湾の水質保全、適正な水循環及び物質収支、生物の生活史を通した環境保全、水産資源の保全、回復、親水空間の創出及び市民等との共働による環境保全としており、以上5つの視点で計画を推進することにより、健全な生態系機能の回復を図ることとしております。
 次に、計画における目標像と主な施策でございますが、博多湾全域については、有機汚濁の指標の一つである化学的酸素要求量が環境基準の達成に向け低減傾向にあるとともに、栄養塩の物質循環が生物の生息、生育に適した状態に改善されることを目標像として、合流式下水道の改善や漁業振興による健全な物質循環の促進、海底ごみの回収などに取り組むこととしております。また、岩礁海域、干潟域、砂浜海岸、浅海域、港海域、それぞれ5つの海域についても目標像と施策を定めており、藻場の保全、再生をはじめ、干潟の保全活動やラブアース・クリーンアップ事業、アイランドシティはばたき公園の整備などを推進することとしております。
 次に、計画の進捗管理のための予算の主な内容につきましては、水質などの環境モニタリングを行うための調査費や、学識経験者や事業者の代表などにより構成する博多湾環境保全計画推進委員会の運営に係る事務経費などでございます。予算の推移については、平成28年度が1,725万円、29年度が986万5,000円、30年度が1,076万8,000円、令和元年度が1,505万8,000円、2年度が1,737万6,000円でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) 福岡市の大きな魅力である自然と食の豊かさは、貴重な揺り籠となる海域があるからこそのたまものです。植物や生き物の死骸が微生物により分解され、森の栄養素となり、やがて水に溶け、川や海に流れ込み、様々な生物を育み、また、水、空気、土も様々な生き物によって浄化され、目に見えない微生物から魚や鳥や動物まで、全ての生き物が長い時間進化を重ね、関わり合い、生態系は形成され、維持されています。もちろん私たち人間もこの生態系の中で生物多様性からの恵みに支えられ、運命共同体とも言える関係をなして生きています。決して消失させてはならないものがそこにあります。
 博多湾が将来にわたり命を生み出す揺り籠であるために、下水道の改善や漁業との関連があり、ごみ問題や市民の意識や行動が影響するため、5つの視点を掲げ、市民の皆様からお預かりした税金を使い施策を推進されています。
 では、具体的に令和2年度どのような取組が行われるのか、お聞きしてまいります。
 御答弁にあったように、計画の進捗管理のための予算は、減っていた平成29年度から年々増額されており、令和2年度では1,737万円余が計上されています。そのうち、水質などの環境モニタリング調査がありますが、まず、水質の状況についてお答えください。
 次に、令和2年度に拡充する取組として、市民が触れ合う自然共生のまちづくりの分野別施策の河川における取組の概要と予算についてお答えください。これは和白干潟の市民団体で回収したアオサです。(パネル表示)干潟にほっておくとヘドロ化して、酸欠になり干潟の生き物は生きられなくなります。ごみも含め、定期清掃をしています。
 そこで、お尋ねしますが、博多湾で行われているごみ及びアオサの近年3年間の平均回収量と令和元年度及び令和2年度の予算についてお答えください。
また、毎年市民や企業、行政が協力してラブアース・クリーンアップが行われておりますが、これは福岡市から始まり、九州・山口各県はもとより、遠く石川県や北海道、さらには韓国・釜山広域市まで広がっていると聞いています。(パネル表示)この写真は和白干潟のごみの組成を調べているところです。昨年の粗大ごみにはハンモックや自転車、車のタイヤなどがありひどい状況でした。
では、ラブアース・クリーンアップ事業で回収されたごみの量の3年間の平均と組成調査の結果、令和元年度と令和2年度の予算及び拡充される取組についてお答えください。
 次に、漁業関連の取組についてですが、藻場は稚仔魚の生息の場であるとともに、藻類は育つときに栄養塩を取り込むため自然の浄化能力を高める機能を有しております。(パネル表示)これは海水の浄化実験を観察会でしているところです。アサリの力で濁った水が澄んでいくのが分かります。
 そこで、博多湾におけるアサリなどの福岡の重要な水産資源再生のため、藻場の造成及び海底耕うんの取組をされていると聞いていますが、それらの状況をお尋ねいたします。
また、博多湾東部の人工島周辺の海域などはエコパークゾーンと位置づけ、自然環境の保全、創造に向けた様々な取組が行われています。その一つにアイランドシティはばたき公園の整備が進められていますが、その取組内容と令和2年度の予算についてお尋ねし、2問目を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) まず、水質の状況でございますが、有機汚濁の指標となる化学的酸素要求量、いわゆるCODについては、西部及び東部海域では環境基準を達成する年があるものの、中部海域では未達成の状況が続いておりますが、平成5年頃をピークに低減傾向にあり、近年は横ばいで推移しております。
 次に、全窒素についてはCODと同様の傾向で推移しており、平成21年度以降全ての海域で環境基準を達成しております。
 次に、全リンについては下水の高度処理の導入による効果で低減傾向を示しており、平成10年度以降全ての海域で環境基準を達成しております。
 次に、令和2年度に拡充する河川における取組の概要につきましては、博多湾の環境を保全するためには森、川、海のつながりを意識して取り組むことが重要であることから、河川の水質や底質、生き物の生息状況、ごみの分布状況等について調査を行うものであり、予算額は1,031万3,000円でございます。
 次に、ラブアース・クリーンアップ事業でございますが、博多湾沿岸を含む福岡市内の会場で回収されたごみ量につきましては、平成28年度から30年度までの3年間の平均は約130トンでございます。令和元年度は環境省のプラスチック・スマートキャンペーンの一環として実施し、プラスチックに注目した清掃活動を行うとともに、収集したごみの組成分析を行った結果、プラスチックごみが個数割合で約9割を占めている状況でございます。令和2年度はラブアース・クリーンアップで使用するごみ袋にバイオマスプラスチックなど代替素材を導入するとともに、河川流域圏の自治体等との連携による広域的なプラスチック流出防止に取り組むこととしております。予算額につきましては、令和元年度が236万4,000円、2年度が679万2,000円でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 清家港湾空港局長。
○港湾空港局長(清家敬貴) 博多湾におけるごみの回収などに関する御質問にお答えいたします。
 港湾空港局が海岸、海面及び海底の各清掃により回収をいたしましたアオサを含めたごみの量につきましては、平成28年度から30年度までの3年間の平均で約917トンとなっております。また、これら回収などに係る予算額につきましては、臨港地区内の粗大ごみなどの処理費を含め、令和元年度は1億3,395万3,000円、2年度は1億2,880万7,000円を計上いたしております。
 次に、アイランドシティはばたき公園の整備の取組内容につきましては、人と自然との共生を象徴する空間として整備を進めてございまして、平成30年度に造成工事が完了し、令和元年度は園路等の実施設計を行っております。2年度は園路等の雨水排水施設の整備に着手するとともに、市民見学会などを実施する予定でございまして、予算額は4,101万5,000円を計上いたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) まず、さきに港湾空港局長が答弁いたしました海面清掃に係る農林水産局の予算額につきましては、令和元年度は946万3,000円、2年度は1,018万3,000円を計上しております。
 次に、博多湾での海底ごみの平均回収量と予算額についてお答えいたします。
 農林水産局におきましては、漁業者と連携して海底ごみの回収を進めており、漁業者が操業中に回収した海底ごみの量につきましては、平成28年度から30年度の3年間で平均いたしますと年間346立方メートルで、6立方メートルコンテナに換算して約58台分となっております。この回収された海底ごみの運搬、処分に係る予算額につきましては、令和元年度は220万円、2年度は221万円を計上しております。
 次に、藻場の造成場所につきましては、平成28年度まで主に博多湾西部海域で事業を実施しておりましたが、漁業者の意向を踏まえ、近年は湾外の奈多や藻場の回復が遅れている小呂島で実施しております。また、海底耕うんにつきましては、漁業者によって年間40日程度実施されており、漁業者が行ったモニタリング調査によりますと、海底ごみ回収などの保全活動と相まって、アサリ資源は回復に向かっているものと思われるとの結果が出ております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 森あやこ議員。
○45番(森 あやこ) お答えでは、増額や新たな取組についても御説明いただきました。また、水質に関しては長期的には改善しているとのことですが、CODの環境基準はいまだ達成されず、赤潮の発生も継続していることから、水質の改善は課題です。水、食、それは命をつなぐもので、地道な取組には大きな意味があります。しかし、予算が微増であっても、増税により実際には縮小してしまう取組もあり、各局において命をつなげる取組の実質的充実を要望いたします。
 食料供給の重要な役割を担う農林水産業の持続可能な発展のために、農林水産省でもSDGsの観点を踏まえた検討が進められています。環境に直接関連する取組だけでなく、全庁挙げて環境改善や保全への意識向上と、さらに具体的に踏み込む策が必要であり、重要と考えます。
 昨年6月8日の世界海洋デーに寄せるアントニオ・グテーレス国連事務総長のメッセージで、海洋は私たちの命を維持し、多種多様な生物のすみかで、地球規模の気候緊急事態への対処に欠かせないとりででもある、海は現在かつてない脅威にさらされ、過去150年間にサンゴの生体の約半数が失われ、また、この40年間にはプラスチックによる海洋汚染は10倍に悪化、漁業資源の3分の1は乱獲状態、酸素欠乏で生物が生存できなくなった海底砂漠の数と面積は急速に広がり、汚染は海洋表層水だけでなく、海底堆積物、海洋生態系全体に広がっているなどのことを述べられています。
 廃棄物資源循環学会では、プラスチックに含まれる有害化学物質は、それを食べた生物に移行していることも確認され、海洋環境中でプラスチックが長期間残留し、マイクロ化すると取り除くこともできないことから、国際的には予防原則的な対応が取られている、海洋プラスチックの主な汚染源は陸上で大量に消費されている使い捨てプラスチックで、エネルギー回収も含めたプラスチックごみの焼却やリサイクルよりも、使い捨てプラスチックの削減が優先的に進められている、解決策は、持続的で循環型の社会形成の中に位置づけ、温暖化等の環境問題全体の解決と調和させ、物質循環の視点から考える必要があるとの考えを示しています。
 海洋ごみ問題は国際的な課題であり、福岡市の取組だけで改善することは難しいのですが、環境局が実施した組成調査の結果にもあるように、博多湾で回収された海底ごみの大部分は人間が作り出したプラスチックです。毎年800万トン以上のプラスチックがごみとして海に流れ込み、既にその数は銀河系の星の数より多く、2050年には魚の量より多くなると予測されています。そして、一部は紫外線、海流、波でマイクロプラスチックとなり、有害物質が付着しやすく、魚や鳥が餌と間違えて食べ、その魚を私たちが食べています。問題解決のためには、私たち一人一人が暮らしをいま一度見直し、特に有害なごみを作り出さない社会にするために意識を変え行動すること、暮らしのあらゆるところでできる限りプラスチックをやめることからです。小さなことから積み重ねていくことが必要不可欠かつ最も重要となります。今後も様々な場面で行政、市民、企業が一体となる取組のより一層の充実を要望いたします。
 自然界に森、川、里、海のつながりがあるように、環境に関する問題は互いに関連しています。将来像とした生き物が生まれ育つ博多湾を実現するためには、生物多様性保全の取組はもちろん、様々な課題について一つ一つ取り組み、解決していくことが重要です。
 世界気象機関の発表データを見ると、大気中で熱を閉じ込める温室効果ガスの濃度はさらに記録を更新し、CO濃度は2018年、世界平均で407.8ppmに達し、厳しい転換点と捉えられていた400ppmのレベルを大きく超えたと言われています。CO濃度がここまで高かったのは今から300から500万年前で、そのときの気温は現在よりも二、三度高く、海水面も現在より10ないし20メートル高かったと見られています。ここ5年は記録に残る最も暑い5年間です。その影響はハリケーン、干ばつ、洪水、山火事など異常気象と、それに関連する災害の増大となって表れています。グリーンランドだけでも昨年7月に1,790億トンの氷が解け出し、北極圏の永久凍土層は予想よりも70年早く解け、南極大陸でも10年前の3倍の速さで融解が進む状況です。海面も予測を上回る速さで上昇し、経済的に最も重要な都市の幾つかがリスクにさらされています。また、海水汚染も進めます。海洋は大気中のCO全体の4分の1以上を吸収し、私たちに必要な酸素の半分以上をつくり出しています。COの吸収が進めば海洋が酸性化し、そこに暮らす生物全体が脅かされます。
 博多湾においてももちろん例外ではなく、水温や潮位の上昇が観測されており、また、集中豪雨後には大量のごみや汚れた水が河川から流れ込み、博多湾へ悪影響を及ぼしている状況です。和白の海の広場の砂州では砂浜が浸食されて、センダンやネムノキの根が波に洗われ、このように倒れています。(パネル表示)ひっくり返っています。浸食は今なお進んでいます。現在、第6の絶滅時代に入っており、1年間に4万種の生物が絶滅している状況です。この問題は地球温暖化と並ぶ課題です。和白海岸は幾つもの希少種を抱える生態学的にも貴重な海岸の一つです。和白海岸やそこへ流れ込む唐原川には南限と思われる植物もあり、源流には北限として知られているクスノキの原生林が広がり、成帯構造を維持する貴重な地域です。さらに、湿地の生態系は水と食料の安全保障を確保するという重要な役割もあるとされていますが、地球温暖化に対しては実に脆弱です。だからこそ気候変動の緩和、適応の取組の推進がより一層重要です。
 そこで、お尋ねしますが、和白干潟が分布の南限と言われる海岸に生息する貴重な植物の保全についてどのようにお考えなのか、お答えください。
また、気候変動の緩和、適応の観点から、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお願いします。
 世界では気候変動の影響により、鳥の渡りにも変化が表れており、博多湾東部では人工島建設や埋立てにより鳥の飛来は激減しました。今月26日からの福岡空港奈多地区の供用開始も絶滅危惧種への影響を危惧します。(パネル表示)これはミヤコドリとクロツラヘラサギです。この絶滅を危惧されているクロツラヘラサギ、この日は2羽が安心して求愛の羽繕いをしていたそうです。
 和白干潟は2004年、環境省から世界有数の渡り鳥の飛来地として、水鳥の保護とその環境保全を図る国際条約であるラムサール条約の登録基準を満たす候補地の一つに選ばれています。条約湿地として登録されるには鳥獣保護区の特別保護地区指定に対し、地元自治体としての意識が左右します。九州では東よか干潟や荒尾干潟に先を越されています。ラムサール条約は、健康で心豊かな暮らしや産業などの社会経済活動とのバランスが取れた湿地の保全を推進し、子孫にその恵みをつなぐため、賢く活用するワイズユースの進めをうたっています。世界が認めた干潟として、環境保全の都市として国際的アピールにもなります。何より命を生み育む環境を未来に引き継ぐために、手遅れにしない今の手だてが大事なときと考えます。和白干潟のラムサール条約湿地登録に向けて、もっと積極的に市民の賛意を得、前向きに取り組んでいただくことを求めます。登録に向けて、干潟の重要性について、市民の認識を深めるための啓発等の取組実施状況及び今後の取組に対する考え方についてお答えください。
 最後に、常に変化し続ける環境の課題がある中、より一層危機感を持ち、博多湾環境保全計画(第二次)の残り5年において様々な主体の連携、共働による取組の推進を、また、各局において誰一人取り残さないSDGsの観点で実行していくための牽引を環境局に強くお願いし、新年度の取組に関する決意としての御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) まず、海岸に生息する植物の保全につきましては、気候変動の影響による海面水位の上昇や高潮、台風等の被害の増加が予測されていることから、これらの被害を受けやすい海岸において貴重な植物のモニタリングを引き続き実施し、分布状況を注視してまいります。
 次に、気候変動の緩和、適応の観点からの今後の取組につきましては、まず緩和の観点から、温室効果ガスの排出抑制対策に取り組むことは博多湾の環境保全にもつながることから、脱炭素社会の実現を目指し、市民、事業者、行政が一体となった取組を強化するとともに、CO削減に寄与する資源循環の取組についても、プラスチックごみなどの削減を推進してまいります。また適応の観点からは、生物多様性の損失を軽減するため、国が示す、モニタリングを行って生態系と種の変化を把握するという考え方に基づき、気温や博多湾の水温、潮位など気象データの収集や生き物の生息、生育状況に関するモニタリングの充実を図ってまいります。
 次に、干潟の重要性について市民の理解を深めるための取組につきましては、干潟をテーマとしたエコツアーパンフレットの作成、配布や市民と共働で干潟生物調査などを行っております。干潟は重要な生態系であると考えており、今後も継続して干潟の保全に取り組むとともに、市民啓発などを進めてまいります。
 なお、和白干潟のラムサール条約湿地への登録につきましては、鳥獣保護管理法に基づく特別保護地区に指定される要件を満たしておらず、将来的な課題であると考えております。
 最後に、新年度の取組に向けてでございますが、博多湾は福岡市民の貴重な財産であり、この自然豊かな環境を保全し、将来の世代に引き継いでいくことは大変重要であると認識しており、そのための環境保全の取組はSDGsの目標と方向性を同じくするものであると考えております。環境局におきましては、今後とも、各局等との緊密な連携を図りながら、市民や事業者、NPOなど多様な主体の自主的、主体的な取組を支援するとともに、互いに共働、連携した取組が着実に推進されますよう努めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) この際、時間を延長いたします。淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎)登壇 初めに、新型コロナウイルス感染症に関する多くの御意見と御相談を市民の皆様からお聞きいたします。島市長におかれましては、引き続き感染が拡大しないように、しっかりと対策を取っていただきますように要望させていただきます。
 それでは、私から林業政策の取組状況及び森林の在り方について質疑をさせていただきます。
 自民党の大原議員から質問がありましたが、森林環境譲与税が令和元年度の6,700万円に対し、新年度においては1億4,300万円になり、大幅に増加いたしております。また、毎年森林、林業政策に必要な予算を確保していただいていることには大変感謝いたしております。森林を保全し、多面的機能を維持していくことは、林業の活性化だけではなく、癒やしや潤いを与え、広く市民生活を豊かにすることにつながるものだと考えております。林業を取り巻く環境は依然として厳しく、業として成り立たない森林が増えている状況であります。令和元年度から森林経営管理制度がスタートし、さらに、令和2年度から森林環境譲与税が前倒しで増額されることになったことは、このような課題を早期に、そして、確実に解決する必要があると強く求められていることの表れだと思います。
 そこで、お尋ねいたします。令和2年度当初予算等の概要の都市型林業の中にある、利用間伐を行う林業資源ビジネス化プロジェクトの令和2年度予算額や事業内容はどうなっていますでしょうか。
同じく杉、ヒノキ林を主伐し、花粉発生源対策を実施する主伐推進事業の令和2年度予算額や事業内容はどうなっていますでしょうか。
令和元年度からスタートした森林経営管理制度の概要はどのようなものでしょうか。
森林経営管理制度推進事業の令和2年度予算額や事業内容はどうなっていますでしょうか。
 以上で1問目を終え、以降を自席にて質問させていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) まず、林業資源ビジネス化プロジェクトの令和2年度予算額につきましては1,920万6,000円で、事業内容につきましては、市営林2か所において森林作業道約2,400メートルを効率的に整備することで低コスト化を図り、約12ヘクタールの利用間伐を実施することとしております。
 次に、主伐推進事業の令和2年度予算額につきましては1,609万6,000円で、事業内容につきましては、市有林の杉、ヒノキ林約2ヘクタールを主伐し、広葉樹へ植え替えることとしております。
 次に、森林経営管理制度の概要についてお答えいたします。
 この制度は、平成31年4月の森林経営管理法の施行に合わせてスタートした制度であり、森林所有者に適切な森林の経営管理を促すための責務を明確化し、自ら経営管理を実行できない場合には、市町村が経営管理の委託を受け、そのうち、林業経営に適した森林は意欲と能力のある林業経営者に再委託し、再委託できない森林は市町村が管理を実施するという制度であります。
 次に、森林経営管理制度推進事業の令和2年度予算額につきましては984万円で、事業内容につきましては、森林経営管理制度の周知及び森林所有者への意向調査などを実施することといたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 次に、各事業の効果的な実施についてお尋ねします。
 事業の実施においては、様々な事業が有機的に連携して初めて効果を最大限に発揮できるものだと考えます。木材の有効利用や伐採後の森林をよりよいものにするといった発想がなければ、林業の活性化や多面的機能の向上には十分つながっていかないのではないかと思います。近年の木材価格の低迷や需要の伸び悩みから、間伐した後の木材は利用されることなく森林内に残置されることが多いと聞きます。これは貴重な資源を有効に活用できていない状況だと言えます。そのような中、この事業においては国の補助事業を活用して間伐材を出荷し、収益を上げようという試みとのことであり、評価できるものだと思います。
 そこで、お尋ねをします。これまで林業資源ビジネス化プロジェクトにおいて利用間伐を実施した面積及び出荷できた木材の量はどうなっていますでしょうか。
本来なら切り捨てられていた木材が出荷できたということはすばらしいことだと思います。しかし、さらに望むとすれば、今後も低コスト化を推し進めることによって、補助事業を活用しなくても間伐材が収益を生む構造へと持っていくことができれば林業の活性化に大きく寄与することになると思います。
 そこで、お尋ねをいたします。林業資源ビジネス化プロジェクトにおける木材生産のさらなる低コスト化はどのように図っていくのでしょうか。
 次に、主伐推進事業についてですが、この事業は花粉発生源対策としても位置づけられています。杉、ヒノキは花粉を大量に発生させます。市民の中には花粉症に悩まされている方もたくさんいらっしゃいます。私といたしましては、花粉症対策として考えたとき、主伐をした後には桜や紅葉など鑑賞用として植えられることの多い樹木、また、クヌギやコナラなど福岡市の気候や地勢等にも合い、葉が赤や黄色に色づくような広葉樹を植栽すれば、花粉症の対策を行いつつ、市民が花や紅葉に親しみ、レクリエーションの場として楽しむことができる森林に変わっていくのではないかと考えます。
 そこで、お尋ねをいたします。主伐推進事業における主伐後に植え替える樹木の種類はどのようなものでしょうか。
また、広葉樹への植え替えは市有林を対象として実施されるとのことですが、今後は市有林以外の民有林においても広葉樹への植え替えが進めばよいと思いますが、いかがでしょうか。そうすることで花粉発生源対策としての効果も高まり、鑑賞できる樹木の数も増えると思います。
 そこで、お尋ねをします。今後、市有林以外の民有林における広葉樹への植え替えは検討されているのでしょうか。このように、事業を実施する際、相乗効果や付加価値についても検討しながら進めていただきたいと思います。
 また、森林経営管理制度推進事業についてですが、意欲と能力のある事業者に再委託する事業であるとのことでした。これも森林資源の有効活用につながるものとして非常に期待をしております。この制度を実施する上での第1段階とも言える森林所有者への意向調査の時期などが、西区の金武をはじめとする森林所有者の方々とお話をする中で話題になることがあります。
 そこで、お尋ねをいたします。経営管理制度推進事業における意向調査はどのような手順で実施されるのでしょうか。
 以上で2問目を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) まず、林業資源ビジネス化プロジェクトによる利用間伐の実施面積及び出荷した木材の量につきましてお答えいたします。
 この事業による利用間伐は平成29年度から取り組んでおり、平成29年度は間伐面積が約8ヘクタール、出荷木材量は435立方メートルでございます。30年度は間伐面積が約6ヘクタール、出荷木材量は386立方メートルでございます。令和元年度は間伐面積が約8ヘクタール、出荷木材量は3か年で最も多い558立方メートルを見込んでおります。平成29年度から令和元年度までの3か年を合計しますと、間伐面積が約22ヘクタール、出荷木材量は1,379立方メートルを見込んでおります。
 次に、林業資源ビジネス化プロジェクトにおける木材生産のさらなる低コスト化についてお答えいたします。
 令和元年度までに実施いたしました航空レーザー計測により、市内の森林における地形や樹木の詳細なデータを収集、解析しており、それに基づいた森林支援システムを構築しております。今年度、このシステムを構築することから、森林内の地形などに応じて効率的な作業道を整備することで、伐採や搬出のコスト低減が図られるようになるものであります。今後とも、林業をはじめ、様々な事業において森林支援システムを活用し、さらなる低コスト化を図ってまいります。
 次に、主伐推進事業における主伐後に植え替える樹木の種類につきましては、令和2年度は国の補助事業である花粉発生源対策推進事業を活用し、ヤマザクラやクヌギなど約5,000本の広葉樹の植樹を予定いたしております。今後とも、市有林において杉、ヒノキを伐採した後は広葉樹への植え替えを推進し、天然林化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、今後の市有林以外の民有林における広葉樹への植え替えの検討につきましては、伐採後の植え替えに際して地形や気象条件等に適した広葉樹を提案するなど、相談対応や情報提供を行ってまいりたいと考えております。また、森林経営管理制度において林業経営が厳しく、市が委託を受けて管理することとなった森林につきましては、所有者との協議を踏まえて、広葉樹への植え替えを促進してまいります。
 次に、森林経営管理制度推進事業における意向調査の進め方につきましては、一団のまとまりがある地域や集積が見込める森林から意向調査を開始してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 淀川幸二郎議員。
○14番(淀川幸二郎) 最後に、これからの森林整備の在り方や方向性についてお尋ねをします。
 森林を保全し、多面的機能を維持するためには、植えて、育てて、使って、また植えるというサイクルが不可欠であり、そのためには市民や企業に木材を積極的に利用していただくことが重要であると思います。木材の利用を促進するためには、何より市民に木材のよさを実感していただくことが必要であります。そのためには幅広い市民が訪れる公共建築物に積極的に木材を使用し、木材に触れていただく機会を増やしていくことが求められると思います。地域産材利用促進事業の中で主伐した材などを活用して、幼稚園、保育園、小学校、中学校、公民館、市営住宅などの木造化、木質化をもっと推進すべきであります。先ほど御説明いただいたように、木材の使用促進につながる様々な事業に取り組んでいただいているところでありますが、今後もぜひしっかりと取り組んでいただくように強く要望をいたします。
 また、森林資源を有効に活用していくためには、間伐や主伐のような施業や経営管理といった林業としての関わりが欠かせないものであり、今後も確実に取り組んでいただきたいと思いますが、そうした事業を実施していく中でも、市民の視点に立って市民に愛される森林へと整備していくことが重要であると考えます。
 そこで、お尋ねしますが、今後の森林資源活用の方向性について所見をお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
 
○副議長(楠 正信) 理事者に申し上げます。答弁は的確、簡明にお願いをいたします。細川農林水産局長。
○農林水産局長(細川浩行) 福岡市の森林は市域面積の3分の1を占め、都心近くにあることから、市民に親しまれ、様々な恩恵を与えてくれるものと期待されております。しかし、現状では手入れがなされず、機能が低下した人工林の存在や森林の機能に対する理解が進んでいないなどの課題がございます。これらの課題を解決していくためには、林業の視点からだけでなく、市民に愛される森林へと変えていくような新たな視点が必要であると考えております。今後森林が市民生活に癒やしや潤いを与え、多面的機能が発揮できるよう、様々な視点からしっかりと検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる)登壇 まず初めに、雁の巣レクリエーションセンターにおける共用トイレ増設の必要性についてです。
 福岡ドームが10ほども入る広大な敷地には屋外型共用トイレが10か所設置をされております。グラウンドから共用トイレまで最も遠い箇所を実際に測っていただきました。その距離約350メートル、往復移動だけで10分ほどかかることになります。夏の暑い時期、冬の寒い時期などは、特に練習中や大会中、子どもたちが急に体調を崩すことが少なくありません。グラウンドからトイレまでが遠いために、我慢してかえって体調を悪化させたり、間に合わずユニホーム姿のまま漏らしてしまうという悲しい事態が後を絶ちません。利用者の健康管理のためにも、これ以上子どもたちに心の傷を残さないためにも、共用トイレの増設が急務だと考えております。
 また、グラウンドへ水をまくための散水機能も本来であれば当然備わってなければいけない設備でございます。近年、夏の猛暑化が進み、熱中症による救急搬送事案も急増しております。本市でもその搬送件数は、平成20年の255件から平成30年は821件とやはり増えております。
 そこで、日本高野連では熱中症対策としてグラウンドへの頻繁な散水を積極的に推奨してきました。雁の巣レクリエーションセンターには少年野球などに利用される野球、ソフトボール場が全部で19面あります。そのうち15面のグラウンドで散水の機能がありません。熱中症予防のためにも、子どもたちの命を守るためにも、散水機能、水道設備の拡充は喫緊の課題です。これまでに再三要望を求めてきましたトイレ増設とグラウンドへの散水機能の拡充について、まずはこの間の検討状況を確認させてください。
 一方、本市が管理し、市民の皆さんに提供している野球、ソフトボール場は、雁の巣レクリエーションセンターの19面を除くと市内に42面ございます。この42面のうち、散水機能を有しない施設の数をお示しいただきたいと思います。
 また、市民スポーツの普及推進を所管するのは市民局です。その市民局が直接管理している野球、ソフトボール場はあるのか、お尋ねいたします。
実際に本市の野球、ソフトボール場のうち、その多くは公園施設を管理する住宅都市局の所管だと考えられます。その場合、一定規模以上の施設改修や設備の導入には公園整備費予算が投入されると思います。この公園整備費について、10年前の決算額、5年前の決算額及び新年度の予算額をお示しください。
 次に、障がい者スポーツの推進に向けた環境整備についてです。
 まずは、障がい者スポーツ推進の意義や重要性について、本市の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
本市には障がい者スポーツセンター、通称さん・さんプラザがあります。さん・さんプラザのような障がい者スポーツの利用を専らとするスポーツ施設は、現在、全国で何か所あるのか、お尋ねいたします。
また、今から20年前、10年前、昨年度、それぞれの利用者数の推移もお示しください。
 次に、このさん・さんプラザですが、既存の和式トイレを洋式化してほしいという要望が指定管理者からの要望事項に上がっていると思います。いつから要望項目として上がっているのか、確認をさせてください。
また、車椅子用のトイレを除くと、施設内には和式と洋式、それぞれ幾つずつ設置されているのか、確認させてください。
 以降は自席から質疑を行います。
 
○副議長(楠 正信) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 雁の巣レクリエーションセンター等についての御質問にお答えいたします。
 同センターの施設改良等につきましては、利用者や利用団体からこれまで多くの御要望、御意見が寄せられており、限られた予算の中で、その必要性や緊急性などを十分に検討した上で、優先順位の高いものから順次取り組んでおります。現在はバックスクリーンの改修やトイレの洋式化など、老朽化した施設の改修等に優先的に取り組んでいるところでありまして、トイレの増設や散水機能の拡充につきましては、緊急性や優先順位等も踏まえ、引き続き対応を検討してまいります。
 次に、公園整備費の10年前及び5年前の決算額、令和2年度の予算額につきましては、平成22年度決算額が67億4,600万円余、27年度決算額が52億9,700万円余、令和2年度予算額が44億9,800万円余でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 既存運動施設の利便性向上の御質問についてお答えいたします。
 雁の巣レクリエーションセンター以外の本市が管理する野球、ソフトボール場につきましては、散水機能を持たない施設は42面のうち2面でございます。
 次に、本市が管理する野球、ソフトボール場につきましては、市民局管理のものはございません。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者スポーツについての御質問にお答えいたします。
 まず、障がい者スポーツの推進につきましては、障がいのある方のリハビリや健康の増進、社会参加の促進を図るとともに、生きがいづくりや充実した生活の実現など、生活の質を高める大変意義あるものであり、また、重要なものであると認識いたしております。
 次に、全国の障がい者専用のスポーツ施設の数につきましては、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会に加盟している施設でお答えいたしますと、26施設ございます。
 次に、さん・さんプラザの利用者数につきましては、平成10年度が8万6,783人、20年度が10万8,606人、30年度が11万4,180人となっております。
 次に、さん・さんプラザのトイレの洋式化につきましては、指定管理者であります福岡市社会福祉事業団より平成30年度から要望が上がっております。また、トイレの数につきましては、車椅子用の洋式トイレ4基を除きますと、洋式、和式それぞれ8基ずつ設置をいたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 雁の巣レクリエーションセンターを除くと、本市の野球、ソフトボール場の数は42面、そのうち40面のグラウンドに散水機能の設備が備わっております。雁の巣レクリエーションセンターの年間利用者数は約50万人と多くの市民が利用するスポーツ施設です。野球場施設だけでも市内全体の3分の1ほどがここに集積をしており、少年スポーツにとって多くの大会が開催される最重要拠点施設でございます。住宅都市局長、市民局長、財政局長各位には利用者やその家族の悲痛な声を十分聞き入れてくださるよう要望いたしますし、重ねて、トイレの増設と散水機能の拡充を強く要請しておきたいと思います。
 先ほどの御答弁でこの10年ほどの予算規模をお示しいただきましたが、設備導入や施設改修の原資となる公園整備費の削減が続いてきたことが分かります。この公園再整備費をさらに細分化すると、市内に20か所ある指定管理公園の施設更新等に活用される大規模公園施設に係る再整備費の新年度予算は約6億円となっております。一方で、大規模国際スポーツ大会の開催準備等への新年度予算額はおよそ45億円。国際スポーツコンベンションのMICE価値は認識しておるところではありますが、市民スポーツ大会が行われるグラウンドレベルにもスポーツ振興予算を振り向けていただくよう要望しておきたいと思います。
 また、本市の屋内スポーツ施設のうち、その多くは市民局のスポーツ推進部が所管をしております。一方、屋外スポーツ施設の場合は、住宅都市局をはじめ、複数局が所管をしており、縦割り予算による管理体制となっております。市民局には総合的なスポーツ振興の観点から、所管外のスポーツ施設においても課題や利用者ニーズを把握しようとするなど、施設のさらなる利便性向上を目的として、他局との能動的な連携姿勢を求めておきたいと思います。
 次に、障がい者スポーツセンターさん・さんプラザについてです。先ほどの御答弁からは、この施設を利用される方が年々増えていることが分かります。昨年度は11万4,180人の利用者を数えました。障がい者スポーツ施設は全国的にも少なく、ここ、さん・さんプラザでは多くの障がい者スポーツ大会が開催され、利用者にとって大切な場所と言えます。近年の利用者数の増加も影響し、近年、先鋭化している切実な問題が和式トイレです。現在、施設内の大便器の数は男女合わせて洋式8基、和式8基という現状。トイレの洋式化への要望については、相当昔から利用者からの声が上がっていると聞いております。平成24年に一部改善されたのが直近の対応だそうです。それ以降和式トイレの洋式化が実現してこなかった理由を確認させてください。
 また、和式トイレの洋式化と同様に、駐車場屋根の設置についても予算要望項目として上がっていると思いますが、それはいつから項目として上がっているのか、駐車場屋根の設置の必要性についてどのようにお考えか、当局の見解をお尋ねいたします。
 一般的に障がい者スポーツには障がいがある方やその御家族へのQOL増進効果が期待されております。障がい者スポーツの普及推進は心と体の両方の健康状態を高め、就労意欲や他の社会活動への積極姿勢も生み出してくれる大変有意義な社会参画への支援につながると認識をしております。
 2問目の最後に、これまで本市は障がい者スポーツが障がい者の就労状況に及ぼす影響という、この視点に着目して調査研究に取り組んだことがあるのか、お尋ねいたします。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者スポーツについての御質問にお答えいたします。
 まず、和式トイレの洋式化など、さん・さんプラザの施設の改善につきましては、安全性の確保を要するものや緊急性の高いものを優先しながら計画的に実施しているところでございます。
 次に、さん・さんプラザの駐車場の屋根の増設につきましては、指定管理者である福岡市社会福祉事業団より平成26年度から要望が上がっております。こうした施設の改善につきましては、安全性や緊急性の観点を踏まえながら、計画的に取り組んでいく必要があると考えております。
 次に、障がい者スポーツが障がい者の就労に及ぼす影響につきましては、福岡市において調査等を行ったことはございません。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 新村まさる議員。
○19番(新村まさる) 現在、市内の学校現場でトイレの洋式化が進められております。数少ない障がい者スポーツの拠点施設であるさん・さんプラザ、このような施設こそ配慮と対応が求められるべきだと思います。和式トイレの場合、下肢をはじめ、身体に不自由がある方はもちろん利用が困難です。加えて、知的や精神に障がいがある方にとっても、自宅の便器とは異なるため使用できないケースも多いわけです。トイレが間に合わず失禁となる悲しい事態も少なくないそうです。また、施設の外には障がい者用駐車場スペースが並んでいます。施設の出入口までは20メートルほど、雨の日には車の乗り降りや移動に大変な困難が生じています。身体に障がいがある方にとって車の乗り降りはただでさえ苦労の多い動作です。5分ほどずっと雨に打たれながら乗り降りせざるを得ない、こういう光景が多く見られます。中には雨がやむまで施設内で何時間もの待機を選ぶ、こういう方もいらっしゃいます。トイレの洋式化と駐車場屋根の設置については、今後の改善課題として強く認識いただくよう要望します。
 さらに、障がい者スポーツセンターだけでなく、市内体育館等の一般運動施設においても、障がい者やその御家族の視点に立った利便性向上を追求いただきたい。そのためにもより一層の環境づくりに向けた啓発、取組、他局との連携など、保健福祉局には障がい者スポーツの普及推進に今後、より中心的な役割を果たしていただくよう求めるところであります。
 最後に、障がい者スポーツが就労に及ぼす影響についてですが、本市にはこれまで調査研究事例はありません。正の相関やよい影響について、これまで数値やエビデンスで示されたという調査資料は少ないところです。一部には障がい者スポーツチームに加入後、定期的にスポーツに取り組み、心身ともに健康が増進し、社会参画意欲、就労意欲が高まり、就労が実現した、あるいは就労状況によりよい影響を与えたといった研究事例、指摘も上がってきています。こういった調査研究が進み、数多くのエビデンスが示されれば、障がい者スポーツの推進の意義、社会全体への理解が格段に広がると考えます。障がい者スポーツの推進を広く市民の理解の下に進めていくためにも、本市には障がい者スポーツと就労に着目した調査研究を進めていただき、障がい者スポーツの一層の振興に取り組んでいただきたく、最後に所見をお尋ねして、質疑を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 障がい者スポーツにつきましては、障がいのある方のリハビリや健康づくりなど、心身の機能の維持向上や社会参加の促進に寄与するものであり、ひいては就労の促進にもつながっていくといった効果も期待できるものと認識をいたしております。こうした知見の収集も含め、障がい者スポーツの意義と効果について普及啓発を図りながら、障がい者スポーツのより一層の振興に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 川口浩議員。
○59番(川口 浩)登壇 私は、令和2年度福岡市一般会計及び特別会計予算案について、発言通告にのっとり質問させていただきます。
 まず、福岡市議会社会科特別授業についてであります。私は市議会主体の新しい取組であり、大変すばらしい事業であると思っています。しかし、その実施組織についてはいささか問題があると感じています。小中学校が正規の取組として特別授業に参加する場合のバス代は各学校が調整し、教育委員会の予算で手当てされます。ところが、市議会社会科特別授業は議会事務局が参加のためのバス代を手当てしています。いわゆる特別の扱いです。私は議会事務局がバス代を支出することにおいては議会の総意が必須であると思います。令和元年6月24日の代表者会議でも阿部議長から議会全体で取り組んでいくとの報告がなされていますが、実際は実行委員会に無所属議員は参画できず、直接意見を述べることができません。また、令和2年1月27日の実行委員会でも、実行委員以外の議員に実行委員会参加を呼びかけるとともにとの文言が報告の中にありますが、特別授業の手伝いを呼びかけるといった内容であります。実行委員会への参画ではありません。財政局はバス予算をつけるに当たり、どのような査定をしたのでしょう。議長、そして、議会事務局長は社会科特別授業の円滑な実施にどのように尽力されたのでしょうか。全議員が実行委員となるよう要請すべきとの提案もいたしましたが、実現いたしておりません。議会の総意とする実行組織を持たない現状においては、バス借り上げ代はどのような根拠で支出がなされたのか、お伺いいたします。
 次に、都市圏行政についてであります。都市圏行政については多くの課題があると思います。都市圏行政の今後の取組と展望についてお尋ねいたします。
 次に、国際化の今後の取組についてです。国際化については、よかトピア国際交流財団に任せっきりのように思いますが、今後の取組について所信をお伺いします。
 次に、地域コミュニティの支援についてです。地域自治会や子ども会育成会に参加されない方が増えています。地域コミュニティの活性化が後退しているように感じてなりません。市として校区自治協議会だけでなく、町内自治会を1つの単位としてパートナー関係を構築し、地域コミュニティの活性化の支援を拡充すべきと考えます。コロナウイルス等もありますので、ここは強く要望しておきます。
 次に、市役所西側広場の改修については、今回、割愛させていただきます。
 保育行政においては、施設の整備についてはおおむね充足しつつあると考えます。課題は保育士の確保であります。この一、二年、保育士の確保策を展開してこられたことは評価いたしますが、新卒以外の新規保育士の掘り起こしについては、より一層の取組が求められると思いますが、所信をお伺いします。
 次に、給食の食材料費については、今回、割愛いたします。
 次に、小中学校校舎等の整備計画、いまだに作成されておられませんが、どのようになっておるのか。以前、教育委員会で大事件を起こしたときに、教育委員会から考えるということで、しっかり職員が考えていますよ。全く生かされておりません。早急にしっかり提示すべきであります。
 また、トイレの洋式化は不十分と思います。ひどいところは、小学校では20人に1つもない。中学校では8校が20人に1つもない状況なんですね。これを20年がかりで整備する、例えば、春住小学校は建て替えの計画をされてありますが、三、四年放置するんですか。今困っているんです。大半の家庭は洋式化が進んでおります。1年生になって使いきらない、生理があったら学校に行きたくない、こういうのは速やかに一、二年で、MICEに浮かれることなく、そういうところの弱者にしっかりと予算を傾注すべきです。38.8人に1つしかない、これは多目的トイレ込みの話です。これは女子トイレに限っていますが。女子トイレは、多目的、誰でも使えるトイレを含めて、そして、多目的は校舎外にあるのも数えてです。体育館のところにあるとか、通常クラスがない新館のところも入れてこの数字なんですね。また、頂いた数字は間違っております。私は近くの学校に聞きましたが、数字が合っていない。やる気があるのか。トイレの洋式化を、20年かけてではなく、早急にやっていただきたい。
 次に、長期欠席児童への対応はどのように取り組んでおられるのか、お伺いします。長期欠席児童の人数の推移はどのようになっていますか。保健室登校について、実態はどのようになっているか、お尋ねします。
 教員の労働環境について、オーバーワークになっていると思います。平均で10年間で、平均ですよ、小学校58分、中学校39分増加し、異常事態です。そして、このデータもお持ちのはずなんですね。人員増など必要不可欠であると思いますが、どのように対処するのか、お伺いします。
 次に、水素エネルギーの活用についてどうなっているのか、お尋ねします。
 次に、市民会館地域において、以前から要望していた文化の拠点として周辺の整備を含め、前向きに取り組まれることは評価いたします。しかし、駐車場の確保などについては大変不安に思っています。福岡県においては、当該地にある県立美術館の移転の検討がなされております。移転された場合の跡地の整備について、福岡県と十分に協議がなされているのか。ここは肝要と思いますが、どのような協議をしてこられたのか、お尋ねします。
 次に、アイランドシティにおける駐車場について、アイランドシティ地区において働く人や仕事で訪れる人の駐車場が不足しているのではないかと考えております。市として駐車場を整備する必要があると思うが、所信をお伺いします。
 次に、国際海上コンテナについて、コンテナの取扱個数が増えたとのことでありますが、輸出については空のコンテナが大変多い。輸出増に向けてどのように取り組まれるのか、お尋ねします。
 次に、緊急対策踏切とその周辺の整備についてお尋ねします。開かずの踏切対策やその周辺整備にしっかりと取り組む必要があると考えますが、今後の取組について所信をお尋ねします。
 ウォーターフロントの再整備において、博多駅とウォーターフロント間を結ぶ交通対策について多くの問題を抱えていますが、どのように考えているのか、お尋ねします。
 保健福祉局について、独居高齢者の支援、認知症対策について、独居高齢者の支援の充実や施策の十分な周知が求められていると感じます。特に認知症の方への支援体制のより一層の拡充が必要であると考えます。コロナウイルス等もありますので、強く要望いたしておきます。
 海水淡水化装置、施設について、海水淡水化装置の耐用年数はどうなっているのか、また、施設の今後の在り方についてどう考えているのか、お尋ねします。
 次に、地球温暖化防止、CO削減に向けてについてお尋ねします。地球温暖化防止、CO削減に向けてレジ袋有料化をはじめとするプラスチックごみ削減など、環境を守る取組が必要であると思いますが、今後、市はどのような施策を進めていこうと考えられているのか、お尋ねします。
 最後に、街路灯、防犯灯についてお尋ねします。街路灯、防犯灯が不足して危険な箇所が見受けられます。特に河川周辺の道路、暗いところが多いように感じます。安心、安全のまちづくりに向けた街路灯、防犯灯の今後の設置の考え方をお尋ねします。また、大阪市では以前から一定間隔での街灯の設置がなされていると聞いています。実態はどうなっているのか、お尋ねします。
 2問目以降は自席にて質疑させていただきます。
 
○副議長(楠 正信) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 市議会社会科特別授業につきましては、議会改革調査特別委員会及び各派代表者会議における協議を経まして、議会活動に対する住民理解の促進と選挙権年齢の引下げへの対応を目的として、平成30年度から市議会におきまして実施されている事業と認識しております。
 当該事業におきます自動車借上料につきましては、事業の実施に関して具体的な協議を行うために、平成29年10月に市議会内に設置された社会科特別授業実行委員会におきまして、参加児童の学校と市庁舎の往復交通手段は市議会が主催者として確保するということで協議がまとまり、平成30年2月の各派代表者会議の了承を得た後、当初議会で議決をいただき、平成30年度事業開始当初から予算措置されているものでございます。
 次に、都市圏行政でございますが、福岡都市圏は人口増加が続く元気な圏域ではございますが、少子・高齢化に伴う税収の低下といった様々な課題がより一層顕在化していくことが想定されております。こうした社会情勢の変化に的確に対応しつつ、将来にわたって魅力と活力のある福岡都市圏であり続けるために、現在、都市圏を構成する16の市や町とともに、新たなふくおか都市圏まちづくりプランの策定を進めているところでございます。今後とも、都市圏が目指す将来像を共有し、一体となって取り組んでまいります。
 次に、国際化でございますが、福岡市においては姉妹都市交流や福岡アジア文化賞、アジア太平洋都市サミット、アジア地域への国際貢献や国際協力などに取り組んでおり、一方、福岡よかトピア国際交流財団においては、専門スタッフによる地域での国際交流の促進、外国人相談窓口の設置のほか、ネットワークを活用した留学生と企業との交流などを行っており、福岡市と財団は役割を分担し、連携して事業を推進しております。令和2年度は外国人の転入手続時における生活ガイダンスを開始するほか、行政窓口における多言語対応の強化などしっかり取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 保育士に関する御質問にお答えいたします。
 潜在保育士の保育所等への就職を支援するため、保育士・保育所支援センターでの就職のあっせんやハローワークと共同した出張相談会を開催するほか、就職支援研修会の実施、就職準備金の貸付けなどを行っております。今後、これまでの取組をさらに充実させていくことなどにより、潜在保育士を含めた保育士の人材確保を進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 小中学校校舎の整備計画についてお答えいたします。
 学校施設の整備計画については、国の要請を受け、子どもたちが安心して学ぶことができる教育環境を確保するとともに、財政負担の平準化などを図るため、学校施設全体の建て替えや長寿命化に係る基本的な方針を示した福岡市学校施設長寿命化計画を令和元年度中に策定することとしております。また、学校施設ごとの個別計画については、それぞれ築60年を迎える前に、?体の強度などの調査を実施した上で、教育環境や経済性など様々な要素を踏まえ、建て替えか長寿命化するか総合的に判断を行い、検討を進めてまいります。
 小中学校トイレの洋式化につきましては、老朽化対策の一環として平成9年度から実施しており、平成24年度からは洋便器に改修する割合を高くして本格的に取り組んでおります。令和元年度末時点の便器の総数は約1万5,000基、そのうち洋便器数は約8,000基であり、洋式化の進捗を示す改修率は約68%で、第2次福岡市教育振興基本計画において、令和6年度末に87%とする整備目標を定めております。改修については、1校に複数あるトイレの系統ごとに数年に分けて実施しており、老朽化や使用実態を踏まえ、前年度に翌年度の30校、30系統を選定し、着実に実施していくこととしております。また、児童生徒数に対し洋便器が比較的に少ない学校につきましては、老朽化の状況を踏まえ、優先的に改修を行うことで、できるだけ早期に各学校ごとの洋式化の差の解消を図ってまいります。
 この件の最後に、提出した資料につきましては、過去に学校に対し調査したものを基本に、現在まで更新を重ねている資料であるため、確認や集計、更新などの作業において差異が生じた可能性があると考えております。また、大規模改造や便所改造工事以外で洋便器を設置した際、集計や更新に漏れなどがあった可能性はございますが、各学校の実際の状況については、今後も学校とも協力し、正確な状況把握に努めてまいります。
 長期欠席児童生徒への対応についてお答えいたします。
 これまでの取組につきましては、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどを配置するとともに、市立中学校68校に校内適応指導教室を設置するなど、長期欠席している児童生徒の気持ちに寄り添える環境づくりを行っております。また、フリースクールとの意見交換会などを通して、多様な学びの機会の確保や社会的自立に向けた支援を行っております。さらに、昨年11月に設置した、学識経験者や医師、民間団体等の専門家を委員とした福岡市登校支援対策会議において、児童生徒の欠席の要因分析や地域、保護者との連携の在り方等について協議を行い、その結果を長期欠席児童生徒の未然防止、早期発見に向けた取組に生かしていくこととしております。
 過去3年間の小中学校における長期欠席児童生徒数の推移につきましては、平成28年度は小学校は1,214名、中学校は1,641名、合計2,855名、29年度は小学校は1,338名、中学校は1,748名、合計3,086名、30年度は小学校は1,578名、中学校は2,006名、合計3,584名となっております。
 保健室登校につきましては、教室に入りづらさを感じるようになった児童生徒が登校した際の居場所などとして、学校生活の大半を保健室で過ごしているという状況もございます。なお、平成30年度において保健室登校していた児童生徒数は、小学校は222名、中学校は79名、合計は301名でございます。
 教員の労働環境についてお答えいたします。
 学校が抱える課題が複雑化、多様化する中、教員が本来担うべき業務に注力し、子どもと向き合う時間を確保することは大切であると考えております。そのため、これまでも学校給食費の公会計化や校務支援システムの導入、教員の業務改善のための自主プログラムの策定などの取組を進めてきたほか、令和2年度からは新たに自動音声メッセージ機能付電話を整備するなど、さらなる取組の推進を図ることとしております。
 教員の配置につきましては、義務標準法に基づき適切に行っておりますが、学校が抱える課題が複雑化、多様化する中、教員の勤務実態の把握や分析を行い、必要に応じて国に教員定数のさらなる充実を要望してまいります。また、スクールソーシャルワーカーの増員や、一部を正規職員として配置しているほか、部活動指導員の配置など専門スタッフによる支援の充実を図っているところでございます。あわせて、市民の皆様に対しましても、教員の業務が複雑化、多様化している現状を周知するとともに、学校の働き方改革の取組の理解を促進してまいります。今後とも教育委員会……
 
○副議長(楠 正信) 理事者の答弁中ですが、川口議員に申し上げます。質疑は答弁を含む持ち時間制で運営しております。答弁の途中ですが、持ち時間を経過いたしましたので、残余の答弁は差し控えさせます。御理解いただいて議事を進めさせていただきます。
 以上で質疑を終結いたします。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議題となっております議案51件については、62人の委員をもって構成する条例予算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(楠 正信) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま設置されました条例予算特別委員会の委員の選任については、本市議会議員の全員を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○副議長(楠 正信) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、今期定例会においてその後受理した請願は、お手元に配付の請願文書表のとおりであります。これをそれぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
 以上で本日の日程は終了いたしました。
 次の会議は3月25日午後1時10分に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時29分 散会