令和元年12月11日(水)

令和元年第5回福岡市議会定例会
議  事  日  程 (第2号)
                             12月11日 午前10時開議
第1  一 般 質 問

本日の会議に付した事件
議事日程のとおり

出 席 議 員 (62名)
1番  稲 員 稔 夫       2番  鬼 塚 昌 宏
3番  堤 田   寛       4番  川 上 陽 平
5番  津 田 信太郎       6番  大 森 一 馬
7番  平 畑 雅 博       8番  伊 藤 嘉 人
9番  打 越 基 安      10番  川 上 晋 平
11番  阿 部 真之助      12番  勝 山 信 吾
13番  川 上 多 恵      14番  淀 川 幸二郎
15番  調   崇 史      16番  大 坪 真由美
17番  古 川 清 文      18番  高 木 勝 利
19番  新 村 まさる      20番  大 原 弥寿男
21番  今 林ひであき      22番  篠 原 達 也
23番  尾 花 康 広      24番  松 野   隆
25番  楠   正 信      26番  冨 永 計 久
27番  森   英 鷹      28番  南 原   茂
29番  おばた 久 弥      30番  山 口 剛 司
31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹
33番  藤 野 哲 司      34番  堀 本 わかこ
35番  中 島まさひろ      36番  天 野 こ う
37番  山 口 湧 人      38番  松 尾 りつ子
39番  井 上 麻 衣      40番  飯 盛 利 康
41番  はしだ 和 義      42番  浜 崎 太 郎
43番  堀 内 徹 夫      44番  綿 貫 英 彦
45番  森   あやこ      46番  福 田 まもる
47番  国 分 徳 彦      48番  藤 本 顕 憲
49番  倉 元 達 朗      50番  中 山 郁 美
51番  荒 木 龍 昇      52番  高 山 博 光
53番  ついちはら陽子      54番  田 中 たかし
55番  成 瀬 穫 美      56番  山 田 ゆみこ
57番  宮 浦   寛      58番  近 藤 里 美
59番  川 口   浩      60番  落 石 俊 則
61番  田 中しんすけ      62番  池 田 良 子

欠 席 議 員 (0名)

説明のため出席した者
  市       長   島 宗一郎   副市長  光 山 裕 朗
副  市  長  中 村 英 一   副市長  荒 瀬 泰 子
水道事業管理者  清 森 俊 彦   交通事業管理者  重 光 知 明
総務企画局長  小野田 勝 則   財政局長  松 本 典 久
市民局長  下 川 祥 二   こども未来局長   田 浩 輝
保健福祉局長  舟 越 伸 一   環境局長  坂 本 秀 和
経済観光文化局長   島   収   農林水産局長  細 川 浩 行
住宅都市局長  石 橋 正 信   道路下水道局長  駒 田 浩 良
港湾空港局長  清 家 敬 貴   消防局長  山 下 周 成
会計管理者  水 町 博 之   教育長  星 子 明 夫
教育委員  武 部 愛 子   選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子
人事委員会事務局長  中 村 郁 子   監査事務局長  馬 場 哲 久

職務のため出席した事務局職員
議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史
議事課長   着 一 孝   議事係長  中 村   博
外関係職員

午前10時 開議  
○議長(阿部真之助) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。藤野哲司議員。
 
○33番(藤野哲司)登壇 皆さんおはようございます。私は自民党新福岡を代表して、福岡100プロジェクトについて、福岡市における水害対策と地域防災について質問いたします。
 まず初めに、福岡100プロジェクトについてお尋ねします。
 昨今、さまざまな場面で人生100年時代という言葉を聞くようになりました。福岡市で生活しておられる100歳以上の方は、約30年前の平成元年には29人でしたが、現在は600人を超えています。また、福岡市東区には116歳で世界最高齢の田中カ子さんもお住まいです。まさに100歳まで生きることが特別ではない人生100年時代が目の前に迫ってきています。
 そこで、本市で進められている福岡100プロジェクトについてお尋ねしていきます。
 まず、福岡100プロジェクトの目的と概要についてお尋ねします。
 これで1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡100プロジェクトにつきましては、人生100年時代の到来を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく暮らしていくことができる持続可能な社会の実現を目指すプロジェクトで、平成29年7月から取り組みを開始いたしております。その推進に当たりましては、健康、医療、介護分野の取り組みに加え、住まいや地域づくり、働き方なども含めた広い意味でのまちづくりとして、市民や企業、大学など、さまざまな主体の参画を得ながら産学官民オール福岡で取り組みを進めております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 次に、平成29年7月にプロジェクトがスタートして約2年が経過していますが、福岡100プロジェクトの目標と現在の進捗状況についてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡100プロジェクトにつきましては、団塊の世代が全て75歳以上となります2025年までに100のアクションを実施することを目指しております。現在の進捗状況でございますが、認知症の人が住みなれた地域で安心して暮らせるまちづくりを進める認知症フレンドリーシティ・プロジェクト、健康増進や介護予防に役立つ新たな製品、サービスの普及を促進する福岡ヘルス・ラボ、また、働きたい高齢者と企業の多様な雇用をマッチングする仕組みや環境をつくり、高齢者の就業を応援するシニア活躍応援プロジェクトなど、52のアクションを実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 福岡100プロジェクトでは、従来の保健福祉分野の枠を超え、また、高齢者だけではなく、子どもや勤労世代も含めた全ての市民を対象として幅広い取り組みを進めておられますが、私はその中でも人生の最後まで健康で自分らしく暮らしていくことができるよう、市民の健康寿命を延ばしていくことが必要であり、そのためにも特に若いころからの健康づくりに積極的に取り組んでいくことが重要であると考えています。
 そこで、現在取り組みが進められている福岡100のアクションの中で、若い世代を主な対象とした健康づくりの取り組みはどのようなものがあるのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡100における若い世代を対象としました健康づくりの取り組みでございますが、家庭や地域での食と健康への関心を高めるがめ煮つくろうプロジェクト、昼寝を推奨することを通して睡眠に対する意識の改善を図るPowerNapプロジェクト、運動習慣のない方にウオーキングを促進するスマートフォンアプリ活用によるウォーキング促進実証事業、また、買い物などのお出かけのついでに、気軽にさまざまな健診を受診できるよりみち健診などの取り組みを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) それでは、お答えいただいた取り組みの中から幾つか質問したいと思います。
 まず、市内企業に対して休憩時間などで昼寝を推奨するPowerNapプロジェクトについてお聞きします。
 このプロジェクトは新聞やテレビなどでも報道され注目されていますが、なぜ昼寝を推奨するのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 心身の疲労回復のための休養は、適度な運動、バランスのとれた栄養、食生活とあわせまして健康のための3要素となっております。特に睡眠不足は疲労感をもたらし、情緒を不安定にするなど、生活の質に大きく影響するとともに、心疾患や脳血管疾患の死亡率の上昇にもつながると言われております。このため、健康日本21福岡市計画では、睡眠で休養が十分にとれていない人の割合の減少を目標項目としておりますが、いまだ目標値に届いていないことから、民間事業者から事業アイデアを広く募集しましたところ、夜の睡眠の質を高め、午後の作業の効率化につながる短時間の昼寝を推奨しますPowerNapの取り組みの提案があったものでございます。昼寝を疲労回復のための充電として捉え、休憩時間などでの昼寝を推奨することを通して睡眠への関心を高める取り組みとして実施をいたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) それでは、PowerNapプロジェクトにはどれくらいの事業者が参加されているのでしょうか。また、どのような成果が出ているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 参加事業者数につきましては、本年11月末時点で152社となっております。参加者アンケートの速報値によりますと、約5割の人が取り組み前と比べ休養がとれていると感じるようになったとし、約6割の人が睡眠を大切にするようになった、また、約4割の人が仕事の能率が改善したといった結果が出ておりまして、参加者の健康の維持増進に一定程度つながっているものと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 参加された半数以上の方がPowerNapプロジェクトをきっかけに睡眠を意識し、大切にするようになったことは、健康にもつながるよい結果ではないかと思います。全国的にも珍しい取り組みであり、ぜひ実証の結果を踏まえて、健康づくりの一環としてPowerNapを広げ、社会に定着させてもらいたいと思います。
 次に、ウオーキングの取り組みについてですが、健康づくりのためにウオーキングなどの運動をしなければという気持ちはあっても、きっかけがないため、なかなか実践に結びつかないという人が多いのではないかと思います。
 そこで、スマートフォンアプリ活用によるウォーキング促進実証事業はどのような取り組みを行っているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 健康日本21福岡市計画の目標としまして、1日当たりの歩数、男性9,000歩、女性8,500歩を掲げておりますが、男女とも目標値に届いていないため、民間事業者から事業アイデアを広く募集いたしまして、パ・リーグウォーク、そして、ふくおか散歩というスマートフォンアプリを活用した2つの事業を実施いたしております。パ・リーグウォークではプロ野球パ・リーグ各球団のファン同士の1日の合計歩数を競い合う機能、また、ふくおか散歩では歩数に応じた特典クーポンを獲得できる機能などがありまして、ウオーキングに関心がない方でも自然に楽しみながら日常的に継続して歩くことにつながることを期待いたしております。ことしの9月から約1年間の実証を行い、アプリを利用された方の歩数や運動習慣などの変化を確認してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 日ごろの運動など、健康づくりは大切だとわかっていても、なかなか継続することが難しいというのが現状です。継続するためには楽しみながら自然に健康づくりに取り組めることが必要であり、この事業はスマートフォンアプリを活用したよい取り組みであると思いますが、まだまだこの取り組みを知らない方が多く、もっと多くの市民に参加してもらう工夫が必要であると思います。まだ実証は始まったばかりですので、しっかりと周知していただき、よい成果につなげていただきたいと思います。
 ところで、今、AIやICT、IoTなどの技術が日進月歩で進展しており、ビッグデータの活用も注目されています。これらの新たな技術や手法を医療、介護現場の慢性的な人材不足などの課題解決や、高齢となっても住みなれた地域で安心して生活を続けることができる環境づくりに積極的に取り入れていくことが必要であると考えます。
 そこで、現在取り組みが進められている福岡100のアクションの中で、AIやICT、IoTの技術やビッグデータを活用した取り組みはどのようなものがあるのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 福岡100におけるICTやビッグデータなどを活用した取り組みでございますが、保健、医療、介護等に関するデータを一元的に集約、管理、活用するための情報通信基盤、地域包括ケア情報プラットフォームの構築、かかりつけ医の機能強化のためのICTを活用したオンライン診療の実証実験や国家戦略特区を活用した遠隔服薬指導、介護などケア分野の事業者とベンチャー企業をマッチングし、現場の課題解決につなげるケアテック推進コンソーシアム事業、また、単身高齢者の在宅生活の不安感と地域の見守りの負担感の軽減につなげるICTを活用した単身高齢者あんしん見守り実証事業などの取り組みを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) ICTなど新たな技術を活用したさまざまな取り組みを進めておられますが、中でも医療、介護などのビッグデータを活用した地域包括ケア情報プラットフォームの取り組みは今後ますます重要になるのではないでしょうか。このプラットフォームにより、市民の健康づくりや介護予防などに関する科学的根拠に基づいた最適な市民サービスの提供や市民への啓発などが可能となるほか、医療、介護関係者の情報共有の負担軽減やケアサービスの質の向上にもつながると聞いており、こうした活用に加え、オープンデータ化などにより市民や事業者もデータを利用できるような取り組みを進めていただきたいと考えます。
 そのほか、私は、特に集合住宅が多く、今後ますます単身者がふえていく本市において、高齢者の見守りは切実な課題であり、ここにICTをうまく活用していくことができるのではないかと考えています。
 そこで、現在実施されているICTを活用した単身高齢者あんしん見守り実証事業について、その取り組みの内容をお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの事業につきましては、単身高齢者の自宅に温度、湿度、照度などを感知する多機能センサーを設置して常時見守りを行い、異変を察知した際には事業者が自宅への電話や訪問による確認を実施するという見守りから安否確認までを一体的に行う事業でございます。福岡市では地域での見守りやサービスとしての見守り、ライフライン企業による見守りなどによる重層的な見守り体制を構築しておりますが、今後さらに単身高齢者の増加が見込まれることから、民間事業者から単身高齢者の在宅生活の不安感と見守る方の負担感の軽減につながる事業アイデアを広く募集し、実証を行っているものでございます。ことしの8月から約1年間の実証を行い、単身高齢者の不安軽減や見守る方の負担軽減などについての効果の確認を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 高齢者の方は高温になっても気がつかず、エアコンをつけないで熱中症になったり、自宅でつまずいて骨折し、助けを呼べないこともあったり、本人も遠くで暮らす家族も不安を抱えたまま生活しているのが現状です。今回、実証で使用されている機器は、カメラと違ってプライバシーも侵害せず、生活パターンも把握でき、本人も遠くで暮らす家族も安心できるのではないかと考えています。
 実証は始まったばかりのようではありますが、これまでの実績や利用者の感想はどのような状況でしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 本年11月末までの約4カ月間の実証実績といたしましては、センサーが室内で利用者の動きがない状況を長時間示していたため、利用者御本人に連絡をとったという事例がございましたが、御自宅までの駆けつけによる確認を行ったケースはございませんでした。利用者御本人や御家族からは、見守られている安心感がある、親の行動パターンが一目でわかるので安心できるといった感想をいただいているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 利用者御本人、御家族ともに安心感を持たれていることがわかります。実証は引き続き行われていくとのことですが、しっかりと実証の結果、効果を見て、今後の施策の検討に生かしていただきたいと思います。
 さて、ここまでお尋ねしてきた3つの事業は、全て民間事業者と共同して実施している事業となっているようですが、行政と民間事業者との役割や費用の分担など、どのような枠組みで事業を行っているのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) これまでお尋ねがありましたPowerNapプロジェクト、スマートフォンアプリ活用によるウォーキング促進実証事業、ICTを活用した単身高齢者見守り実証事業につきましては、いずれも総務企画局が設置しております公民連携窓口mirai@を通じて、広く民間事業者等に保健福祉分野における行政課題を提示することにより、その解決につながる先進的なアイデアを募集し、採択の上、実施しているものでございます。これらの事業では、民間事業者が提案事業の運営や費用負担を行い、福岡市は事業実施のための関係者との調整や参加の呼びかけ、周知などの広報を行うという役割分担のもと、共同事業として取り組みを進めております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 行政課題の解決につながる事業を民間事業者の費用負担のもと実施し、行政が広く市民や企業に情報を発信することで、民間の新たな発想による事業を後押ししていくという仕組みは、これらの事業を将来的に持続可能な仕組みとして社会に定着させていく上でも非常に効果的なのではないかと考えます。ぜひ今後とも、このような仕組みを生かしてさまざまな取り組みにチャレンジしていただきたいと思います。
 今回の質問では、若い世代を対象とした健康づくり、ICTの技術やビッグデータを活用した取り組みについてお尋ねしましたが、これらのほかにも、高齢化の進展に伴う認知症の人の増加も大きな課題の一つであると考えています。ことし6月に国において取りまとめられました認知症施策推進大綱では、共生と予防を両輪として認知症施策を推進していくことが示されました。福岡市においても、福岡100のアクションとして進めている認知症フレンドリーシティ・プロジェクトをさらに推進していただきたいと思います。
健康の維持増進については、市民一人一人による健康づくりはもちろんのこと、住居やコミュニティ、学校、労働環境といった個人を取り巻くさまざまな社会的要素が大きく影響していると言われます。今後も公園や道路、歩道などの整備なども含め、まちづくり全体として福岡100の取り組みをしっかりと進めていただくことを要望して、この質問を終わります。
 次に、福岡市における水害対策と地域防災について質問いたします。
 一昨年の平成29年7月九州北部豪雨、昨年の平成30年7月豪雨、そして、ことし8月下旬に九州北部を襲い、豪雨災害をもたらした令和元年8月の前線に伴う大雨など、近年、西日本を中心に風水害が続いています。そしてさらに、10月には千葉県に大規模な停電をもたらした台風第15号、その数日後に過去最強クラスと言われた台風第19号が再び関東地方、東北地方を襲いました。台風第19号は多くの河川で堤防が決壊するなど、大量の雨を広範囲に降らせました。新幹線の車両が水没した様子をテレビなどでごらんになった方も多いと思います。台風第19号については、気象庁においても最接近予想の3日前に緊急記者会見を実施するという異例の対応を行い、約60年前に死者、行方不明者が1,200人を超えた狩野川台風を例えに出し、最大級の警戒を呼びかけましたが、結果的には人的、物的にも甚大な被害が発生しました。
このように、自然災害が毎年のように発生し、しかも、激甚化している中で、市民の大切な命を災害から守るためには、河川改修などのハード面と避難訓練などのソフト面の両方の対策が重要です。
 そこで、台風第19号を教訓として、自助、共助、公助の力を集結して、災害に強いまちづくりへいかに取り組んでいくかという視点で質問を進めてまいります。
 まず初めに、ことし10月に発生した台風第19号の被害についてお聞きします。
 この台風により、どれくらいの河川で堤防が決壊したのでしょうか。また、人的被害、住家被害について、死者、行方不明者、全壊、半壊、床上浸水の数はどれくらいだったのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 台風第19号により堤防が決壊した河川につきましては、国土交通省によりますと、国管理河川と都道府県管理河川を合わせて20水系、71河川、140カ所となっております。また、人的被害、住家被害については、消防庁によりますと、死者85人、行方不明者3人、全壊3,063棟、半壊2万4,759棟、床上浸水1万1,607棟となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今お答えいただいたように、台風第19号では広域にわたる同時多発的な堤防の決壊などにより、極めて甚大な被害が発生しております。これは今回の台風が12時間降水量で120地点、24時間降水量で103地点において観測史上1位の値を更新するなど、記録的な大雨を伴ったことが大きな被害をもたらした要因の一つではないかと思われます。昨年の西日本豪雨に引き続き、ことしもこのような豪雨が発生している状況を踏まえると、気候変動などの影響により、今後とも、豪雨の頻発化、激甚化が懸念されるところです。
一方で、今回の台風第19号においても、これまで整備した治水施設が確実に効果を発揮したことにより、堤防の決壊が回避された箇所もあることから、今後とも、関係機関の連携による河川改修などのハード対策を推進していくことは重要であると考えます。また、ハード対策とあわせて、防災知識の普及啓発や避難訓練の支援など、地域や関係機関と連携したソフト対策についても進めていき、今後の豪雨災害への取り組みとしては、ハードとソフトの両対策を組み合わせて備えていく必要があると考えます。
 そこでまず、ハード対策について質問していきます。
 福岡市においても過去幾度となく河川の氾濫などが発生し、水害を経験しながらも着実に河川改修に取り組んでこられていると思いますが、福岡市内の河川の数とその種別、また、直近の水害における河川の氾濫状況についてお尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 駒田道路下水道局長。
○道路下水道局長(駒田浩良) 福岡市における河川数につきまして、河川法に基づく種別ごとに申し上げます。まず、国が管理する1級河川につきましては、これは市内にはございません。次に、県が管理する2級河川が42河川、また、市が管理する準用河川が25河川、及び市の条例に基づく普通河川が64河川ございまして、合計で131河川となっております。
 次に、直近の水害における市域内の河川の氾濫等の状況につきましては、平成21年7月中国・九州北部豪雨におきまして、西区内の2級河川、周船寺川で1カ所破堤いたしました。そのほか、2級河川で8河川、21カ所、準用河川で3河川、4カ所、普通河川で1河川、1カ所、計12河川、26カ所において溢水が生じております。これらの被害が発生いたしました河川につきましては、2級河川の管理者である福岡県と連携を図りながら、同様の水害を再び発生させないよう、河川改修などの対策にこれまで取り組んできたところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 福岡市では、今答弁にありました平成21年7月中国・九州北部豪雨以前にも、平成11年と平成15年に大規模な水害を経験しております。その後の対策として、雨水整備Doプランやレインボープランに取り組んでこられたことは承知しております。そのほかにも豪雨による浸水被害への対策として、ため池の活用など、雨水をためるという方法もございますが、特に都心部では地下などを活用した施設整備が必要と考えます。
 そこで、福岡市では博多区の山王公園の地下に雨水をためる施設がありますが、同様に、先ほどのプランによって雨水をためる施設が市内に幾つ設置されており、どれくらいためることができるのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 駒田道路下水道局長。
○道路下水道局長(駒田浩良) 市内に整備している雨水貯留施設でございますが、福岡市におけるこれまでの浸水対策につきましては、平成11年の集中豪雨により市内各所で甚大な浸水被害が発生いたしましたことを受け、平成12年度に雨水整備Doプランを策定し、取り組みを進めてきたところでございます。
また、地下空間利用が高度に進んでおります博多駅周辺地区につきましては、平成15年にも甚大な被害が発生したことから、平成16年度に整備水準を引き上げた雨水整備レインボープラン博多を策定いたしまして、平成24年度には山王雨水調整池などの主要施設が全て完成したところでございます。
さらに、天神周辺地区につきましても、平成21年度に同様に整備水準を引き上げたレインボープラン天神を策定いたしまして、平成30年度までに貯留管の整備など、第1期事業を完了いたしました。令和元年度からは引き続き第2期事業に取り組んでいるところでございます。
これらの浸水対策により整備いたしました雨水貯留施設の数及び貯留量につきましては、博多区におきまして、山王公園の地下に整備いたしました貯留施設であります山王雨水調整池を初め、7施設、また、中央区は天神周辺地区におきまして、貯留機能を有する雨水管渠として2施設を整備しており、合計で9施設でございます。
 最後に、貯留量でございますが、雨水整備Doプラン及びレインボープランに基づき、今申し上げました9施設の合計で約12万8,000立方メートルを貯留することができるものでございます。引き続き市民の安心、安全に向けて着実な施設整備に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 水害対策として施設整備によるハード対策は重要であり、限られた予算の中で、引き続き着実なハード整備をお願いしたいと思います。また、河川については、今後とも、2級河川の管理者である県との連携を図りながら、改修などを進めていただきますようお願いいたします。
 次に、ソフト面の対策について質問していきます。
 大規模な災害が発生した場合、被害を最小限に食いとめるためには、自分自身の命を守る自助の力を高めるとともに、地域住民同士の助け合い、いわゆる共助の力が必要不可欠であり、これら地域防災力のさらなる向上に向け、行政は日ごろから市民に対する防災知識の普及啓発や各地域で行われる避難訓練への支援などにしっかりと取り組んでいく必要があります。
 そこで、災害が起きたときの適切な避難行動などについて、市民に対しどのような周知、啓発を行っているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 災害時における避難行動につきましては、気象情報や福岡市が発令する避難情報を踏まえ、状況に応じ、御自分の命を守るための適切な行動をとっていただくことが重要でございます。このため、市政だよりやホームページなどによる広報を行うほか、各種講演会や地域での出前講座を実施するとともに、河川の浸水や土砂災害に関するハザードマップ、防災の手引きを配布するなど、災害時の適切な避難行動につながるよう、防災知識の周知、啓発に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 誰しも災害時に慌てずに行動することは非常に難しく、そのためには日ごろから訓練を重ねておくことが必要でありますが、各地域で行われる各種訓練についてどのような支援を行っているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 校区の自主防災組織などが中心となり、地域で実施されている防災訓練の支援につきましては、地域からの相談や要望に応じ、企画段階からの助言や物的な支援を行うとともに、区役所や消防署の職員、消防団の団員が訓練において参加者への指導や講習などを実施しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 地域防災力の向上に向けては、消防団との連携も重要な視点と考えます。我が国では、近年、東日本大震災を初めとする大規模自然災害が頻発し、住民の生命、身体、財産を災害から保護するための地域防災力の重要性が増大しております。一方で、少子・高齢化の進展や被用者の増加及び社会経済情勢の変化などにより、地域における防災活動の担い手を十分に確保することが困難になっております。
そのような状況を受け、平成25年12月に消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が施行され、住民の積極的な参加のもとに、消防団を中核として地域防災力の充実強化を図ることが明文化されました。その後も平成28年の熊本地震や平成29年の九州北部豪雨、ことし10月の台風第19号など、大規模化、激甚化する自然災害により、改めて消防団の必要性が再認識されているところです。私自身も東消防団の一員として火災や風水害に伴う現場活動や災害対応訓練などの活動を行っておりますが、先月の24日には地元の箱崎校区で行われた自主防災訓練に参加して、地域住民の皆様とともに、水消火器を使用した訓練や心肺蘇生法などの訓練を行ってまいりました。また、その訓練には防災士の資格を持った方々で組織される博多あん・あんリーダー会も参加されていて、被災後の避難所生活で必要となる段ボールベッドのつくり方などを展示されており、訓練に参加された地域住民の皆様も高い関心を持って、熱心にその様子を見ている姿が印象に残りました。改めて、地域防災力の向上に向けては、地域住民を初めとして、行政や消防団、民間ボランティア団体などが一体となって、ソフトとハード両面の充実強化に取り組んでいかなければならないという思いを強くした次第でございます。
 そこで、地域防災力の向上に向けた消防団のソフト面での取り組みについてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市消防団におきましては、地域防災力の向上に向けたソフト面の取り組みとして、地域で行われる自主防災訓練などの機会を通して、参加者に対して災害時における消火器の使用方法や応急手当て、傷病者の搬送方法などの指導を行っているほか、春と秋の火災予防運動期間中には啓発チラシの配布や、主に高齢者宅への防火訪問など、住宅に対する火災予防広報を行っているところでございます。また、平成24年度からは一部の消防団が先進的な取り組みとして、地域住民とともに、地図を囲みながらゲーム感覚で災害時の対応策などを考える図上訓練、英訳いたしますと、ディザスター・イマジネーション・ゲームの頭文字をとった、いわゆるDIG訓練を開始いたしました。このDIG訓練につきましては、平成27年度以降、全ての消防団において実施されているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 消防団によるDIG訓練はどのように実施しているのか、また、過去3カ年の実施状況についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 消防団によるDIG訓練につきましては、各消防分団が管轄校区における自治協議会の定例会などで訓練の趣旨や効果などを説明した上で実施を呼びかけ、その実施について要望があったときなどに行っております。また、消防局が実施しております災害に強い地域づくり事業において、自主防災組織の関係者からDIG訓練実施の要望があったときなどに、消防局からその地域を管轄する消防分団に依頼して実施することもございます。
 なお、過去3カ年の実施状況につきましては、平成28年度は延べ2,147名が参加して48回、29年度は延べ2,002名が参加して62回、30年度は延べ1,979名が参加して49回実施しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 今御説明いただいたDIG訓練は、先月30日にも東区の筥松校区で行われております。消防団と地域住民が共同で実施するDIG訓練を通して、集中豪雨や台風が上陸した際に河川氾濫や浸水、土砂崩れのおそれがある地域または地震が発生した際にブロック塀が倒壊するおそれがある場所など、地域における災害時の潜在リスクについて事前に把握し、共通認識を持っておくことは地域防災力の充実強化に寄与するところが大きく、消防団によるDIG訓練は非常に有意義な取り組みであると考えます。
既に以前から消防局と消防団が一体となり、さまざまな取り組みが行われていることがわかりましたが、今後もこの取り組みがより充実したものになるように、消防団のDIG訓練指導者のための研修の充実や関係部局との調整など、引き続き消防局の消防団に対する全面的な支援を要望いたします。
 また、校区内の危険箇所や過去の災害発生箇所など、地域住民とのDIG訓練などを通じて把握できた情報は大変貴重であり、行政と地域で共有の上、今後の防災対策に有効に活用していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) DIG訓練等で得た情報につきましては、地域の状況を熟知した地域住民の方から提供された災害時に役立つ有益な情報であり、地域住民と共働で作成している各校区の安全安心マップに、浸水や土砂災害のハザードマップの情報とともに、地域の危険箇所として反映させております。今後とも、DIG訓練等で得た情報については、地域の防災対策に活用してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 次に、いざ災害が発生した場合の避難所の開設、運営について質問していきます。
 まず、福岡市が避難所として指定している施設の種別と施設数についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 指定避難所の種類につきましては、比較的軽微な災害時に優先して開設する一時避難所と、比較的大規模な災害の発生により多数の被災者が生じた場合に開設する収容避難所がございます。一時避難所として193カ所を指定しており、その主な内訳は、公民館、分館150カ所、空港周辺共同利用会館17カ所、市民センター7カ所、市立体育館10カ所、その他9カ所となっております。また、収容避難所として240カ所を指定しており、その主な内訳は、小学校145カ所、中学校63カ所、高等学校22カ所、その他10カ所となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 次に、災害時における避難所開設はどのように行うのでしょうか。また、避難所の運営はどのようになるのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 災害時における避難所の開設につきましては、地震発生時は震度5強以上の場合に、震度に応じて公民館や小学校などを避難所として開設することとしております。また、風水害の危険がある場合は、あらかじめ指定した避難所のうち、災害の状況及び規模を勘案し、公民館や小学校などの適切な避難所を開設することとしております。
 次に、避難所の運営については、福岡市が作成した避難所運営の手引きなどを踏まえ、地域住民、施設管理者、市職員の3者が連携して行うこととしており、避難所の設置が長期化する場合は、できるだけ避難者を含めた地域主体で行っていただきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 地域が主体となった避難所運営を目指すとの答弁がありましたが、その単位は小学校校区ごとの自主防災組織を含めた自治協議会が中心になると思います。
 それでは、仮に公民館や小学校が被災し、中学校に避難所が開設された場合には複数の小学校区の住民が1カ所に避難することになりますが、各自治協議会はどのように避難所運営を行えばよいのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 複数校区の住民が同じ避難所に避難した場合につきましては、避難所の状況に応じて、避難所の担当職員と避難者や各校区の自治協議会などが連携、協力し、運営していただきたいと考えております。さらに、熊本地震の経験を踏まえ、福岡市が養成した避難所運営エキスパートも活用し、より円滑な運営を行っていただきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 福岡市は「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」の実現を目指し、市政の柱の一つとしてその取り組みを推進されていますが、災害発生時においてもその視点は重要と考えます。
 そこで、避難所には高齢者や障がい者、妊産婦、外国人など、さまざまな方が避難していることとなるため、それら全ての人に対する適切な措置が必要となりますが、福岡市地域防災計画などにおいてはどのように定めているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所における高齢者などへの配慮につきましては、福岡市地域防災計画において、高齢者、障がい者、乳幼児、外国人、女性、性的マイノリティなど、全ての人に対する適切な配慮を基本理念として挙げております。また、避難所においては、避難されてきた方の状況に応じて、学校体育館などの避難所とは別に、公民館や学校の教室などの一室に設ける福祉避難室や老人福祉施設などの福祉避難所に避難していただくことを定めております。さらに、避難所運営の手引きにおいても、要配慮者の視点に十分配慮した運営を行うよう記載しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 避難所は見知らぬ人同士が共同生活を行う場所です。緊急時の対応ですので、ぜいたくは言えませんが、プライバシーへの配慮や高齢者、障がいのある方への配慮は欠かせません。
 そこで、避難所には各避難者のプライバシーを確保するための間仕切りや、少しでも楽に横になるためのベッドなどが設置されるのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所のプライバシー確保などにつきましては、段ボール間仕切りと更衣室や授乳室などとして使用できるテント式のマルチルームを各小学校に設置している防災倉庫に備蓄しており、また、簡易式のベッドを博多区の埋蔵文化財センター月隈収蔵庫に備蓄しており、避難生活が長期化する場合には、これらを設置することなどにより環境整備を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) 重い障がいのある方などは小学校の体育館などでの避難生活には耐えられないのではないかと思いますが、どのような対策を考えているのでしょうか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難所における障がいのある方などへの対応につきましては、避難生活においてどのような配慮を必要とする方なのかを把握し、その状況に応じて適切な対応を図ることとしております。具体的には食事や排せつ、移動等の一部に介助が必要な方や妊産婦及び乳幼児などの場合は福祉避難室において対応し、食事や排せつ、移動が一人でできない方や家族の付き添いがなく常時介護が必要な方などの場合は福祉避難所へ移送することとなります。また、避難所や福祉避難室においては、保健師等の巡回訪問を実施するなど、必要な生活支援を行うこととしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 藤野哲司議員。
○33番(藤野哲司) これまで申し上げてきましたとおり、災害に対してはソフト、ハード両面の対策が必要であり、また、日ごろからの十分な備えと、いざというときの自助、共助、そして公助の力を結集して立ち向かっていくことが重要であります。
 最後に、市民一人一人の防災意識の高揚や全ての人に適切に配慮した避難所運営など、災害に強いまちづくりへの取り組みについて島市長の所見をお伺いしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) ことし10月に関東、東北地方を襲った台風19号など、近年、毎年のように全国各地で大規模な自然災害というものが続いておりまして、こうした災害に対しては、藤野議員御指摘のとおり、日ごろからの十分な備えとして、ハード面、また、ソフト面からの対策が重要であるというふうに考えています。このため、ハード面については、河川の改修に加えまして、雨水整備Doプランによります浸水対策を進めておりまして、その中でも特に都市部、博多駅ですとか天神周辺地区においては雨水整備レインボープランに基づきます大規模な雨水の貯留施設、その整備に取り組んできているわけでございます。また、ソフト面につきましても、災害時に市民一人一人が適切な避難行動をとっていただけるように、広報、また、啓発に努めますとともに、地域や自主防災組織等での防災訓練の支援ですとか避難所運営エキスパートの養成などによりまして地域防災力の向上に取り組んでおりまして、避難所におきましても、高齢者や、また、障がいのある方など、全ての方に適切に配慮した運営を行っていくこととしております。
今後とも、市民のとうとい命と財産を守ることを第一にいたしまして、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指して取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表いたしまして、ユニバーサルデザインについて、セントラルパーク構想について、以上の2問について質問いたします。
 まずはユニバーサルデザインについて質問いたします。
 本市は「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」をまちづくりの目標に掲げ、市政の重要な柱の一つにしております。また、福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例も施行されている中、公共施設のバリアフリーにもさらなる取り組みがなされていると思います。
 そこで、まずは教育現場におけるユニバーサルデザインについてお尋ねしますが、本市の小中特別支援学校においてユニバーサルデザインの考え方をどのように取り入れているのか、お尋ねをいたします。
 これで1問目の質問を終わり、2問目以降は自席で行います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 平成23年に教育委員会が策定した福岡市特別支援教育推進プランの中にユニバーサルデザインに基づく学校づくりを掲げ、障がいの有無にかかわらず、学校に通う全ての児童生徒が過ごしやすく、わかりやすい教育環境の充実を図ってきております。また、平成26年にはユニバーサルデザインに基づいた授業づくりを周知するために、わかる授業づくりハンドブックを作成し、全ての学校に配付するとともに、発達教育センターのホームページに掲載し、活用できるようにしております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ユニバーサルデザインとは、ただいまの答弁にありますように、障がいの有無にかかわらず、より多くの人が利用できるようにデザインすることです。本市在住の児童生徒の中にもさまざまな障がいを抱えて生活している子どもたちがおりますが、その中で、読み書き障がい、いわゆるディスレクシアの児童生徒は本市には何人いるのか、把握していればお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 障がいの中で、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどにおいて著しい困難を示す障がいは学習障がいとされております。このうち、読むこと、書くことに関して困難さを持つ障がいをディスレクシアと呼んでおります。教育委員会では、このディスレクシアに限定せず、学習障がいの可能性がある児童生徒数について毎年度調査しており、令和元年度は863名でございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ディスレクシアの可能性があるその子たちはどのような教材、教具を使用しているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 読むことに困難さを抱えている児童生徒については、音声で教科書を読み上げるデイジー教科書等のデジタル教材や文字を大きくした拡大教科書などの活用が多く、書くことに困難さを抱えている児童生徒については、ICT機器等で黒板に書かれた文字などを画像として記録したものを学習の振り返りなどに使用するなどの工夫を行っております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 改めてお聞きしますが、学校においての教科書や配付資料等、また、試験問題などはどこで作成しているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教科書、また、販売されている資料や試験問題については、それぞれの出版社が作成しております。その他必要となる資料などについては、学校でみずから作成しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) また、学校で作成される配付資料や試験問題にはどのような書体の文字が多く使用されているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学校で作成する配付資料や試験問題に使用される書体の多くは、教科書体、明朝体、ゴシック体などでございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ディスレクシアや視力の弱い子は、通常よく使用されているような文字が読みづらく、間違った認識をしてしまうことがあり、読む、書くといった文字を使用した学習活動が多い教育現場においては、どのような児童生徒にも受け入れられやすい文字を使用することが大切であると考えます。学習障がいを抱えている子どもたちへの対応で、読むということに視点を当てた場合、文字のフォントが重要になります。
 そこで、お尋ねいたしますが、UDフォントというものがありますが、御存じでしょうか。御存じであれば、どのようなフォントなのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) UDフォントと呼ばれるユニバーサルデザインフォントには明確な定義はなく、フォントメーカーが文字の形がわかりやすく、読みやすいという観点でデザインしたフォントを指すものと認識しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) このUDフォントですが、UD教科書デジタル体というものがあります。今後、教育現場のICT化が進む中、電子黒板やタブレットにも使用できますし、先生方の使用するパソコンにも導入できます。また、福岡市障がい者差別解消に伴う条例の中で合理的配慮という言葉が出てきます。しかし、未来を担う子どもたちが使用している教科書等にはこの合理的配慮が足りていないのではないかと感じておりますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 検定教科書は全ての児童生徒が使用しやすいように工夫されていると捉えています。また、福岡市では教科書の採択に際して、印刷の鮮明さ、文字の色合いや大きさ、字体、行間等が適切であるかなどについても調査した上で選定を行っております。
 なお、令和2年度から福岡市で使用する小学校の教科書では、4つの出版社がUDフォントを採用しております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) UDフォントが採用されている教科書が採択されればいいんですが、そうとは限りませんが、奈良県生駒市では本年から、市内の小中全学校にて文字の読み書きに困り感を抱えて日々過ごしている児童生徒のみならず、全ての児童生徒がわかりやすい、読みやすいと感じ、意欲を持って学習に取り組めるよう、このUDフォントを導入し、日々の学習活動に活用できるようにしております。また、生駒市では民間会社の協力を得て、小学生116名を対象に実証実験も実施しております。その内容は、一般的な教科書体とUDフォントを使用した2つの文章を読んでもらい、正しいことが書いてあるかどうかを考え、正しいか間違いかに丸をつけてもらうという問題、36問を1分間で幾つ解決できるかというものです。これは大人でも結構大変なことだと思いますが、平均回答数は一般的な教科書体で24問、UDフォントを使用した場合は29.5問、全36問到達者は一般的な教科書体では4名、UDフォントを使用したものでは30名、36問中の正答率は一般的な教科書体では66%、UDフォントでは81%であったということです。このことを踏まえましても、UDフォントは文字の読み書きに困り感を抱えている子どもたちのみならず、全ての子どもたちの学習意欲の向上、学力の向上にも期待ができるのではないかと考えます。
 ぜひ障がいの有無にかかわらず、学校に通う全ての子どもたちがわかりやすい教育環境の充実のためにも、このUDフォントを全ての小中学校において導入していただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) UDフォントの効果については、さまざまな視点から研究が進められており、学校で使用する配付資料等は全ての子どもが理解しやすいものであることが大切であると考えております。今後、各学校に対してUDフォントについて周知するとともに、UDフォントを含め、子どもたちが読みやすい文字を使用した配付資料や文書の作成を推奨してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ディスレクシアの児童生徒に限らず、子どもたちが正しい文字を身につけるためには、日常の学習で目にする文字のとめ、はねなどの形がはっきりしており、見やすいことが大切であると考えます。一般的に使用されているゴシック体の場合、漢字、平仮名、また、英字において正確に表現がされていないものがあり、そのことで児童生徒が間違った文字を習得してしまうことが懸念されます。そのため、学校の配付資料や試験問題に読みやすい文字であるUDフォントを使用することは必要なことだと考えます。これらのことを踏まえ、児童生徒のために学校でのUDフォントの積極的な使用を進めていただきますようにお願いをいたします。
 また、今後、学校においてはICTを活用した学習をさらに充実させていくと聞いておりますが、児童生徒が実際に操作するタブレットやパソコンなどでもUDフォントが使用できる環境を整え、ユニバーサルデザインの視点に立った授業づくりを充実していただきますように要望しておきます。
 次に、天神地下街であります。
 天神地下街は昭和51年にオープンし、ヨーロッパ調のコンセプトによる洗練され落ちついた雰囲気のある地下街です。多くのお店があり、交通機関や隣接ビルなど、さまざまな施設と結節している地下街においては、国内外から多くの人が訪れることから、誰もが迷わずに通行できるような案内が必要だと思います。
 そこで、地下街における案内誘導について、ユニバーサルデザインの観点からどのような取り組みをしているのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 天神地下街では、各出入り口付近に多言語表記をいたしました地下ネットワーク案内マップを、経路上には多言語表記とピクトグラムによる統一したわかりやすい案内誘導サインを設置いたしております。また、視覚に障がいがある方に対しましては、地下街案内板や階段手すりへの点字案内表記、点字ブロック等により案内を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 天神地下街は、南は地下鉄七隈線の駅から、北はミーナ天神のところまで続いております。その中で、車椅子で来られる方、ベビーカーを押して来られる方もおります。また、こういう方々は雨や雪の日または冬場や猛暑日など、地上を移動することが困難な日は地下街を通り移動することもあるかと思いますが、これらの方々が地上に出るためにはエレベーターを利用する必要があります。
 そこで、地下街におけるエレベーターの設置状況についてお尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 当初、地下街が建設された時点では地下街へのエレベーター設置を義務づける法令等はございませんで、昭和51年開業の北側部分には設置されておりませんけれども、平成17年に開業いたしました南側延伸部分には、中央部付近に東西それぞれ1カ所ずつ、南端部に交通局や民間企業により東西各1カ所の計4カ所にエレベーターを設置いたしております。また、本市では天神地区の回遊性の向上を図るため、地下歩行者ネットワークの拡充に取り組んでおりまして、地下街に隣接する民間ビル内のエレベーターを活用したバリアフリー動線の充実に取り組んできたところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 天神地下街がさまざまなビルと接続し、利便性の高い地下歩行者ネットワークが形成されていることは理解できます。しかし、例えば、地下街の北端部に接続しているフタタビルにエレベーターがあり、自由に利用できることを知らない人も多いのではないでしょうか。
 そこで、地下街から周辺のビルを通じて地上に行き来しやすくするために、エレベーターがあるビルへの案内誘導をもっとわかりやすく充実すべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 案内誘導を充実させることは、ユニバーサル都市・福岡を実現するためにも重要であり、案内板やリーフレット、ホームページの改良など、地下街を管理運営する福岡地下街開発株式会社との協議を行ってまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 天神地区は、来街者が快適に移動できる地下歩行者ネットワークが充実していることがまちの特徴となっております。その中でも、地下街はまちの背骨として重要な役割を担っております。
 天神地区においては、今後、ユニバーサルデザインに一層配慮しながら、誰もがもっと利用しやすい地下歩行者ネットワークを形成していく必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 天神地区におきましては、天神地下街開業以来、これまで地下街を軸に隣接するビルと接続することで、天候に左右されず、いつでも通行できる地下歩行者ネットワークを拡充し、来街者の利便性や回遊性の向上を図ってまいりました。今後も引き続き地下街に隣接するビルの建てかえ等にあわせまして、経路上の段差解消やエレベーターの設置、わかりやすい案内誘導等を進めていくことで、安全で誰もが利用しやすい地下歩行者ネットワークを形成してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、セントラルパーク構想について質問をいたします。
 平成26年にセントラルパーク構想が策定をされてから基本計画の策定までに大分時間がかかっておりましたが、やっと本年6月にセントラルパーク基本計画が策定されました。
 まず初めに、この基本計画の概要をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) セントラルパーク基本計画は、平成26年6月に策定したセントラルパーク構想の具体化を図るための計画でございまして、両公園の特性を最大限に生かし、県民、市民、観光客の利活用を推進することを基本方針とし、利用者のさまざまなニーズに応じた利活用を実現するために、ゾーニングや管理運営、整備の方向性を取りまとめております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) セントラルパーク基本計画では、西公園、南公園との緑のつながりや天神地区、六本松等の周辺地域との機能連携を考慮して、周辺地域に視野を広げた取り組みを含めた検討を進めるとあります。私もこれらの連携はセントラルパークのさらなる魅力向上につながると感じておりますが、具体的にはどのような取り組みを進めていくのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 周辺の公園や街路樹とのつながりが感じられるような緑のネットワークの形成を図るとともに、現在、福岡城さくらまつりにおいて、地域が主催する福岡城おおほりまつりを実施したり、指定管理者が実施するイベントにおいても、周辺の自治会や高校から出店いただくなどの連携を図っているところでございます。今後とも、周辺地域と連携した公園の利活用の推進を進めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、基本方針には、大濠公園と舞鶴公園の特性を最大限に生かし、県民、市民、観光客の利活用を促進するとあります。
 改めて大濠公園と舞鶴公園の特性をどのように見ているのか、お尋ねいたします。また、どのように県民、市民、観光客の利活用を促進していくおつもりなのか、あわせてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 都心部に近接する場所にありながら、豊かな自然を有する貴重なオープンスペースであること、また、国史跡福岡城跡や美術館などがあり、歴史、芸術文化を感じられることが両公園の特性と捉えております。今後とも、季節の花々や緑、歴史、芸術文化などの資源を生かした魅力的なイベントや福岡城の歴史に関するガイドツアーなど、さまざまなサービスを展開し、多くの人々が訪れ、愛される公園づくりに取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、両公園の特性を生かし、一年を通して来園をしていただくことが大切であります。県民、市民と国内外の観光客とでは魅力の感じ方がそれぞれ違うのではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 県民、市民にとりましては、都心の近くで水や緑豊かな景観を楽しめる憩いの空間であること、また、観光客にとっては、これに加えて鴻臚館や福岡城、日本庭園や能楽堂など、地域の歴史や文化、伝統を直接体感できることが魅力であると考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、大濠公園、舞鶴公園にはさまざまな施設もありますし、また、福岡城跡、鴻臚館跡の貴重な歴史資源もありますが、ゾーン展開をどのように考えているのか、また、それに伴い、両公園を回遊するための動線はどのように考えているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 公園全体を城跡イメージゾーン、憩いと文化の交流ゾーン、福岡城跡ゾーン、鴻臚館跡ゾーンの4つのゾーンに分けております。また、これらを回遊できるように、豊かな緑を感じ、季節の変化を楽しむことができる緑の道や、福岡の歴史の重層性とまちの魅力を知ることができる歴史をつなぐ道、そのほか、水辺の道、お堀をめぐる道など、緑や水辺などの自然や歴史、芸術文化といったさまざまな魅力を感じられる動線を設けることといたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、誰もが憩える場所として利用している中、来園者がSNS等を通じて両公園の魅力やさまざまな情報発信ができるように、Fukuoka City Wi-Fiの導入の検討をするとあります。現状、さまざまなイベントも開催されており、スポーツ施設利用者、観光客、公園を散策されている方々など、来園者は多いと感じております。また、災害時の避難場所にも指定されておりますので、早急にWi−Fiを導入するべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) これまでにWi−Fiを鴻臚館跡展示館や三の丸スクエア、福岡城むかし探訪館、美術館、能楽堂、また、スターバックスコーヒーやボートハウスの計7カ所に導入してきたところであります。また、今年度、鴻臚館広場において光無線通信を使ったWi−Fiエリア拡大の実証実験を予定しておりますが、今後、実証実験の結果や費用対効果などを踏まえ、拡大を検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) ひとつよろしくお願いいたします。
 次に、AEDについてですが、現在はどこに設置されているのでしょうか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 両公園の管理事務所や鴻臚館跡展示館、三の丸スクエア、福岡城むかし探訪館、美術館、貸しボート切符売り場、スターバックスコーヒーなど、計10カ所に配置いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 今後、セントラルパークとして魅力向上をしていく中、来園者がさらにふえてくると想像ができます。また、さまざまなイベント開催もなされることを考えますと、緊急事態が発生する可能性も必然的に多くなってくるのではないかと思いますので、AEDの設置箇所の増設も検討していただきますよう、よろしくお願いをいたします。
 次に、基本計画には、今後、城内住宅地を駐車場として整備するとされております。しかし、住宅地にはまだ住人の方々がおられますが、今後どのように対応していくのか、お尋ねいたします。
 また、城内住宅地前の歩道も狭いと感じております。バス停もありますが、このバス停を城内住宅地側に移設するか、城内住宅地側の歩道側は土地もあいておりますので、観光客等、皆さんが安全に歩きやすくするためにも歩道の拡張をするべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 城内住宅につきましては、公園整備のための用地取得を進めておりまして、平成31年3月末現在で196区画のうち148区画の移転が完了しておりまして、48区画になお居住者がおられます。引き続き居住者の意向を尊重しつつ、公園用地の取得を進めながら、まとまった用地を確保できた段階で歩道としても活用できる園路や広場などを検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) よろしくお願いいたします。
 陸上競技場も年間を通してたくさんの利用者がおります。以前、私が陸上競技場について質問した際に、スタンドなどの施設が利用できる間は存続する、将来のあり方については十分に検討するとの答弁をいただいております。
 そこで、基本計画の中でどのように位置づけているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 平和台陸上競技場は、セントラルパーク構想において、少なくともスタンドが使用に耐えられなくなるまで供用することとし、将来のあり方については今後十分に検討を行いますとしておりまして、また現在、多くの市民に利用されておりますことから、基本計画においても同様の考え方としております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、駐車場についてですが、現在、舞鶴中学校跡と舞鶴公園内にありますが、計画によりますと、福岡高等裁判所跡に駐車場を整備するとあります。また、最終的には史跡地外に駐車場を確保するとなっております。セントラルパークにはできるだけ公共交通機関を利用して来ていただくことが望ましいとは思いますが、現実的には大型観光バスや乗用車で来園する方々が多くおられると想像いたします。私は、史跡地内に駐車場がなくなると、公園に車で来られた方が近隣の地域にあるコインパーキングにとめてしまい、その地域に用事があり車で来られた方がとめられず、路上駐車がふえたり、渋滞が発生する可能性があるのではないかと懸念をいたします。また、障がいのある方や高齢者の方々には公園のすぐそばに駐車場があることが望ましいと考えます。
 先日、福岡武道館前から福岡城跡の多聞櫓前あたりまで大型観光バスが列をなして停車をしており、2車線道路の1車線を潰してしまっておりました。このようなことが続いてしまうと、まずは市民の皆様に迷惑がかかってしまいます。大型観光バスを含めた駐車場の不足は否めないのではないでしょうか。加えて、今後、高等裁判所跡地や現在ある駐車場の車の出入りによる渋滞なども考えられますので、駐車場対策にはしっかりとした対応をしていただくよう要望をいたします。
 次に、特に国内外から観光に来られた来園者が最初に訪れるであろう総合案内施設ですが、いろいろな情報が発信できる場所にする必要があると考えます。舞鶴公園、大濠公園だけでなく、周辺の西公園、南公園、動植物園、さらには中央区以外の観光名所なども紹介し、観光客の方々が福岡市内を回遊してもらえるような取り組みも必要であると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 総合案内施設は今後必要な機能を検討することとしておりますが、舞鶴公園へのメーンエントランスとして、来園者の皆様に古代から現代まで連なる福岡の歴史の重層性などさまざまな情報を提供し、その上で、両公園内を散策できるような案内機能を持たせることも検討いたしております。それらの機能に加えまして、議員の御指摘がありましたとおり、観光客に市内を回遊していただけるよう、周辺施設などの情報発信にも取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) また、総合案内施設については、近隣住民を初めとした市民の方などが小さなコンサートや室内イベントができるような多目的な空間を持つ施設とすることができないのか、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 総合案内施設については、平成31年3月に行いました市民アンケートにおいて、休憩施設、飲食、物販施設、歴史展示施設の要望が多く上がっているところでございます。それらの機能に加えまして、御提案の多目的な空間を設置できるか否かにつきましては、今後、施設計画を検討していく中であわせて検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、福岡城跡、鴻臚館跡の整備についてであります。
 福岡城跡、特に本丸、二の丸周辺の城郭としての景観づくりについてですが、基本計画には歴史的建造物や庭園等の復元整備、石垣の保存、修景に努め、城郭としての景観保全を重視した整備を行うとあります。また、整備イメージ図も掲載をされております。本市は、アジアからの観光客を本市に呼び込むことはもちろん大切であると思います。しかし、これからは欧米の方々にももっと本市に訪れてもらう取り組みも必要になってくると考えます。本年、ラグビーワールドカップの予選が本市でも開催される中、欧米の方々を多く目にする機会がありました。2021年には世界水泳選手権大会も本市で開催されますが、さまざまな国からのお客様が来られることが想像できます。こうした機会に本市の文化や歴史にも触れていただくことが大切になってまいります。欧米の方々は買い物目当てというよりも、その国や都市の文化や歴史などに興味を持たれて観光される方が多くいると感じます。また、ことし6月にはG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議が本市で開催され、文化プログラムとして舞鶴公園内で流鏑馬等のイベントが開催をされました。このイベントが福岡城の城郭の雰囲気の中で実施されていれば、さらに喜ばれ、また、感動していただけたのではないかなと感じております。
 そこで、福岡の貴重な歴史資源の一つとして重要な福岡城跡において、城郭の景観づくりにはいつごろから取り組むのか、本当に整備イメージ図のような城郭としての景観にしていけるのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(島 収) 城郭の景観づくりにつきましては、これまでも長屋門や多聞櫓などの歴史的建造物や石垣の修復等を行っております。また、現在は本丸石垣の修復とともに、潮見櫓の復元整備にも取り組んでおります。基本計画に掲載しております整備イメージ図は、本丸や二の丸周辺のやぐら復元等による将来的な景観創出のイメージとして掲載したものではありますが、今後とも、歴史的建造物の整備や石垣の保存、修復に取り組みながら、城郭の景観づくりを進めていきたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) また、福岡城再整備に関しては、福岡みんなの城基金の寄附増額への取り組みも強化しなければならないと考えておりますが、そこで、平成26年度からことしまでの基金への寄附金額をお示しください。また、基金はこれまでどのようなことに活用したのか、事例があればあわせてお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 島経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(島 収) 平成26年7月の福岡城整備基金の募集開始から本年9月末までの寄附の総額は約9,250万円でございます。また、基金は福岡城の復元整備事業のうち、主に歴史的建造物の復元に活用することとしており、現時点ではまだ基金を活用しておりません。
 なお、今後、潮見櫓の復元工事を予定しており、基金を充当する計画としております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 寄附の増額に向けて一生懸命取り組んではいただいていると思いますが、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、鴻臚館跡についてですが、現在は広場として利用されております。また、鴻臚館跡展示館もありますが、来館者数が伸びていないようであります。
 そこで、鴻臚館跡展示館の過去5年間の来館者数をお示しください。また、展示館内を活用したイベントなどはこれまで開催してきたのかもあわせてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(島 収) 鴻臚館跡展示館の過去5年間の来館者数は、平成26年度が約3万7,000人、27年度が約2万9,000人、28年度が約2万6,000人、29年度が約2万6,000人、30年度が約3万人でございます。また、展示館では近年、福岡の歴史を感じることができる場所として、ユニークベニューとしての活用の取り組みを進めており、昨年10月には約500名の参加を得て、国際学会の晩さん会を行い、本年3月にはジャズコンサートを行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 展示館を活用したさまざまな取り組みを行っているようですが、鴻臚館跡は日本で唯一発見されているものであり、貴重な歴史資源であります。私の妻も最近行って、本当にびっくりしたと言っておりました。
 もっと当時の鴻臚館の雰囲気が伝わるような整備もすべきと思っておりますが、基本計画を見る限りイメージが浮かばないのでお尋ねいたしますが、鴻臚館跡はこれからどのように整備していくおつもりでしょうか、また、展示館の来館者増への取り組みを今後どのように進めていくのかもあわせてお尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(島 収) 鴻臚館跡では、まずは展示館の改修を行い、さらに、鴻臚館が存在した時代を体感し理解できるように、当時の地形を復元し、歴史景観の創出に取り組む予定としております。また、鴻臚館の価値を伝える重要な施設である展示館につきましては、わかりやすい情報発信や体験プログラム等の充実を図りながら、ユニークベニューとしての活用も推進し、来館者の増加につなげたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 舞鶴公園は四季を通して楽しむには、冬場の閑散期にいかに来園者をふやすかが課題の一つであると感じております。冬場の来園者をふやすべくライトアップなどのイベントを開催されておりますけれども、これは夜であり、日中の来園者増にはやはり福岡城跡、鴻臚館跡の魅力向上は絶対に欠かせないと思いますので、しっかりと整備を進めていただきますようよろしくお願いいたします。
 次に、令和元年度市政に関する意識調査では、舞鶴公園で開催されているイベントの認知度について調査されており、その結果、福岡城さくらまつりについては、知っているが行ったことがない、または知らないと回答した市民の割合が全体の51.8%、藤まつりは81.4%、梅まつりは83.2%となっております。
 このようなイベントに市民、県民、さらに、国内外からの観光客にもっと来ていただき、楽しんでいただく取り組みが大切であると感じますが、御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 公園内のイベントにつきましては、多くの方々にお越しいただけるように、市政だよりや個別チラシ、ホームページなどによる広報を行っております。特に福岡城さくらまつりでは、最寄り駅でのポスター掲示やSNSの活用、ホームページなどによる桜の開花情報のリアルタイム発信など、さまざまな情報発信に努めております。今後は藤まつりや梅まつりのイベントについても、関連する施設などへのポスターの掲示やSNSの活用など、多くの方に楽しんでもらえるよう情報発信に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) また、舞鶴公園には市民のみならず、国内外からの観光客も多く訪れていただきたいと考えますが、観光客にも楽しんでいただけるよう、どのような取り組みがなされているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島経済観光文化局長。
○経済観光文化局長(島 収) 舞鶴公園におきましては、福岡城跡や鴻臚館跡などの貴重な文化財を活用していくことが重要であると考えております。そこで、三の丸スクエアや福岡城むかし探訪館などの観光案内施設で乗馬や着物の着つけなどの体験プログラムを提供しております。また、舞鶴公園全体にまたがるイベントとして、七夕まつりやサムライフェア秋の陣の開催に取り組んでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 次に、舞鶴公園、大濠公園には豊かな水辺がありますが、この水辺は都会の中では貴重なオアシスであります。この貴重な水辺をもっと活用し、来園者増、また、地域、市民の方々が両公園にさらにかかわりを持っていただけるような取り組みも重要ではないかと感じております。舞鶴公園にはお城のお堀や護国神社側には池があります。また、高等裁判所跡の裏側には通路があり、その通路に沿って水路があります。私が小学生のころ、この水路の水質は余りよくなかったように記憶しますが、現在は見た目はきれいになっており、エビや小魚も生息をしております。先日、私の住む地域の方々とこの水路の散策をいたしましたところ、蛍の幼虫の餌となるカワニナも生息をしておりました。
 そこで、この水路の水はどこから来ているのか、また、護国神社側にある池やお城の堀とどのようにつながっているのか、お尋ねをいたします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 舞鶴公園の6つの堀は水路でつながっておりますが、その水には雨水を利用しておりまして、ポンプを活用して公園全体を循環させております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) この水路の水質は良好な状態なのか、お尋ねします。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 毎年、水質調査を実施しておりまして、環境省が定めました湖や沼など、いわゆる湖沼の環境基準における環境保全を目的とする基準値、これを満たしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 稲員稔夫議員。
○1番(稲員稔夫) 私は、これはちょっと笑われるかもしれませんが、この水路に蛍が生息できる環境を整備することで、都会で蛍が飛ぶ公園としてセントラルパークの大きな魅力につながると考えます。福岡市が率先してやるというのは難しいのかもしれませんが、地域の方々がこのような取り組みをする際にはぜひ御協力をいただけますよう要望をいたします。
 また、この水路は警固中学校の裏から赤坂小学校の裏、市民センターのところまでつながっておりますが、赤坂小学校裏側の水路の水は流れがあるのですが、警固中学校の裏側の水路部分は泥もたまり、水も流れがないため水たまりができ、夏場はにおいがきつく、蚊も発生するとの苦情が私のところにも入っております。人目につかないところではありますが、しっかりとした対応を要望しておきます。
 現在、天神ビッグバンが進められている中、旧大名小跡地にはザ・リッツ・カールトンが誘致されます。これは本当にすごいことだと思います。リッツ・カールトンがないまちには訪れないという海外の方々がいるということも聞いたことがあります。リッツ・カールトンが本市にあるということは、これまで福岡市を知らなかった方や興味を持たなかった方々、興味はあるけど来なかった方々を呼び込む大きなチャンスであると感じます。そうした中、舞鶴公園、大濠公園の特性を生かし、ユニークベニューとして活用をしていくだけでなく、セントラルパークのポテンシャルを最大限生かしていかなければ、他都市との観光競争に負け、また、観光による経済効果の機会損失にもつながるのではないかと危惧をしております。今後もセントラルパーク構想の実現に向けて、スピード感を持ってさまざまな取り組みを積極的に推進していただきたいと思います。
 都会の中のオアシスとして、本市の新たなランドマークとして、地域、市民の方々が主体的に公園にかかわり、みんなで育てていきたくなるような公園として、そして、未来へつながる福岡のシンボルへとすべく、今後どのように取り組んでいくのか、島市長の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 舞鶴公園や大濠公園は、緑、そして、水の豊かな市民の憩いの場でありますとともに、市民が身近に触れることができる史跡として、また、国際会議などユニークベニューとしてこれまでさまざまなイベントを行うなど、公園の利活用に努めてきたところでございます。稲員議員御指摘のとおり、今後も歴史や、また、文化を感じられ、都心に近い貴重なオープンスペースという公園の特徴を最大限に生かしまして、市民や、また、来街者の憩いの場、歴史や文化芸術、また、観光の拠点として魅力的な公園となるように、セントラルパーク構想の実現に向けてしっかりと取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) この際、暫時休憩いたします。
 午後は1時10分に再開いたします。
午前11時31分 休憩  
午後1時10分 開議  
○副議長(楠 正信) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。天野こう議員。
○36番(天野こう)登壇 私は福岡令和会を代表して、戦略的な児童生徒数の推計について、釜山市との交流事業について、避難行動要支援者名簿の活用について、以上3点を質問します。
 1問目に、戦略的な児童生徒数の推計についてお尋ねします。
 本市では西区及び東区における都市開発に伴う人口増、児童増に対応するため、新たな学校の整備を予定しています。本質問ではその学校整備及びそれに伴う児童推計のあり方に関してただしてまいります。
 では初めに、西区西都地区及び東区照葉地区の児童増に伴う学校整備の概況をお示しください。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) まず、西区西都地区についてでございますが、平成9年度に事業着手した伊都土地区画整理事業地内に平成29年4月に西都小学校を開校するとともに、令和5年4月には西都地区新設小学校を開校する予定です。
 次に、東区アイランドシティ地区についてでございますが、平成17年度のまち開き以降、平成19年4月に照葉小学校、平成20年4月に照葉中学校、平成31年4月に照葉北小学校を開校いたしました。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 西都地区、照葉地区いずれも学校整備事業が続いており、先日の報道では元岡中学校の分離新設や照葉地区のさらなる新設小学校、中学校が必要とありました。都市開発に伴ってまちがにぎわい、ファミリー世代が増加して児童がふえることは本市の活力の源泉とも言え、大変に喜ばしいことです。一方で、そういった社会動態を見据え、中長期の視点に立った効率的、効果的な学校整備が求められ、子どもたちのためにさまざまな知恵を絞っていかなければなりません。そういった視点を持って、以下の質問では私の地元である西区の例を用いて以下検証してまいります。
 まず、現在の西都小学校建設の経緯をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 伊都土地区画整理事業による住宅開発によって児童数が増加し、新設小学校の必要性が見込まれたことから、平成10年8月に当時の都市整備局に対し、伊都区画整理事業地内への小学校用地の確保を依頼し、平成16年5月に用地が確保されました。開校時期については、住宅開発の進捗状況を注視しながら検討しておりましたが、平成25年3月、当該事業地を通学区域とする玄洋小学校の児童数が大幅に増加し、31学級以上の過大規模校の状態が長期にわたり継続することが見込まれたことなどから、福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針に基づき新設小学校整備の方針決定を行い、平成29年4月に西都小学校を開校しました。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 長年にわたって小学校新設に向けて準備を進めてきたことがわかりました。
 では次に、今度の西都地区に予定している小学校新設計画の経緯をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 西都小学校校区内の幼児数や児童数が開校から短期間で増加していたことから、平成30年3月に児童数推計の時点修正を行ったところ、平成31年度に過大規模校となり、その状態が長期にわたり継続することが見込まれたことから、平成30年5月、実施方針に基づき西都小学校の分離新設を方針決定しました。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 昨年3月に児童数推計を修正したとのことです。学校新設の必要性の判断は、教育委員会独自に毎年行っている児童生徒推計に基づいているようですが、西都小学校については開校1年後に分離新設が必要となってしまっており、計画的な学校新設となっているのか、甚だ疑問です。私も地域の方から、西都小新設時も小学校が足りなくなるのは薄々わかっていた、昨年の新設小計画時にも中学校が足りなくなるかもしれないのは薄々感づいていたという意見をよく聞きます。
 そこで、お聞きしたいのは、西都小新設時に次の新しい学校の必要性はわからなかったのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 西都小学校の児童数は、設置の方針を決定した平成24年度の時点では、今後10年間は適正規模で推移すると見込んでおりました。その後、西都小学校が開校した平成29年度時点では当時の推計において一時的に過大規模校とはなるものの、その後、児童数の減少が見込まれたことから分離新設の判断には至りませんでした。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 当初からの推計を読み間違う結果となったことを単純に批判するつもりはありません。しかしながら、西都小学校の分離新設の判断において、推計と実数の乖離が大きいため推計の修正を行っていることで、どうしても場当たり的に整備方針を変えていっている印象が拭えず、先を見越した学校整備とは言えないと思います。
 その点から今回の質問の本題に入りますが、現在の児童生徒数の推計は何年間分をどのように行っているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教育委員会では各学校における将来の教室不足に対応することを目的に、学校ごとに児童生徒数の見込みを毎年算出しております。具体的には過去の幼児数や児童数などの転出入から算出した増減率の影響、民間事業者への照会や現地調査などの情報により把握した将来的な住宅開発による増加数を加味し、学校ごとに推計しております。また、推計年数は原則として推計する年度に実在するゼロ歳児が小学校1年生になるまでの6年間となっております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 現在の推計は6年間しか実施していません。現在の推計手法は実在するゼロ歳児以上を根拠とした推計などを行っており、6年という短期の児童生徒数を予測するには数値の確度が高く、有効と思われます。しかし、本事案のような児童急増地区や、また、今後の人口減少を鑑みると、非常に難易度の高いことかもしれませんが、10年、20年後の児童生徒数をしっかりと推計し、長期的な視点に立った学校の整備、改築や補修などを行っていく必要があります。
 長期推計の重要性について御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 長期推計につきましては、今後、人口急増により過大規模校となる学校がある一方で、全市の児童数の減少が見込まれる状況もあり、適切な教育環境を確保する上で重要であると認識しております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 長期推計の重要性はお認めいただきました。しかしながら、現在の西都地区及び照葉地区の事業を見ると、長期的な視点を持った学校整備が行われてきているとは感じません。学校の新増築事業には国の補助が必要額の2分の1入る仕組みになっています。厳しい地方の財政運営からもこの補助に頼らざるを得ない実情がありますが、現行補助制度では最大3年先までの学級数のみでしか補助資格の算定を行うことができず、どうしても短期的な事業が増加してしまいます。今回のような児童急増という都市部特有の課題について、もっと中長期の視点を持った国の補助事業にしていただきたいことは、既に全国の指定都市教育委員会協議会で国に要望していただいているところであり、引き続き国に対して要望を続けていただきたいと思います。
 しかしながら、国の補助対象期間でないからといって、本市が中長期的な推計をしなくてもよい理由とはなりません。本市として永続的に質の高い教育環境を整備、維持していくためには、しっかりと目の前の課題に取り組みながらも、一度立ちどまるくらいの覚悟で学校整備の中長期戦略を練るべきではないでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 大規模なまちづくりに伴う学校整備に当たりましては、これまでも関係局と連携し、計画人口を踏まえた6年間以上の長期推計を個別に算出しております。長期推計の根拠となる住宅開発計画は景気動向等に左右されることから、多額の予算を伴う学校の分離新設の意思決定に際しては、より精度の高い6年推計で判断してきております。また、平成20年度には実施方針策定に向けた基礎検討として、民間事業者に委託し、規模に課題のある学校の長期推計を行いましたが、実績と比較すると、おおむね推計値と同様の推移をたどる学校がある一方、傾向が大きく乖離する学校もあり、長期推計の困難さを認識しております。今後の学校整備の中長期戦略については、長期推計のあり方も含め、検討課題と考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 本市でも平成20年度に20年間の長期推計を行ったとのことでした。当時、民間の調査会社に委託された長期推計の内容を見せていただきましたが、20年間の住宅供給状況の変化による補正を何パターンにも分けて行うなど、社会動向によって状況が変化し得るのは容易に想像できます。20年推計を行う時点において、ほぼ正確に20年後を予測することは不可能だと思います。しかし、そこで大切なのは長期推計後の修正、点検であり、20年推計の定期的な検証もなしに、いきなり6年推計で確度を高めても、それは長期推計が外れている、当てにならないといった評価になるものも出てしまいます。課題なのは、20年の長期推計と6年の短期推計のつなぎがないことです。
 本市のこのような局地的な児童の急増は全国の大都市でも似たような状況にあるようで、東京や大阪、神戸などでも同様の課題に頭を悩ませているようです。本市教育委員会も大阪市の取り組みを視察されたとお聞きしました。どのような取り組みで、どのような所見をお持ちになりましたか。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 大阪市の取り組みにつきましては、平成29年度に過大規模校や校地が狭隘な学校の急増対策として、市長を委員長とする市内中心部児童急増対策プロジェクトチームを設置され、今後の対応策について検討されております。具体的には特に課題がある9校について、過去の実績や各校区内に存在する空き地等をもとに20年間の中長期的な児童数推計を作成し、それを踏まえ分離新設や新たな校区指定のあり方、現校地での施設整備等の方針を具体的に検討するとのことでございます。
 なお、中長期推計は今後の経済状況で大きく左右されるため、定期的な見直しが必要と認識されているようですが、過大規模校対策の一つとしては福岡市でも参考になると考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 大阪市の本プロジェクトチームの会議録によると、出席者には市長、副市長、教育長を初めとした教育委員会関係者はもちろん、関係行政区長、都市計画局の部長や小学校校長なども出席しており、全庁的な検討体制が見てとれます。中長期推計を実施して終わりではなく、定期的な見直しが必要なことは当時の吉村大阪市長も指摘していますが、参加している行政区長も長期推計結果が実感と合っており、重要なエビデンスになるということで一致しているようでした。本市の西都地区及び照葉地区における学校整備計画は6年推計をもとに進んでおり、長期推計の視点を持った計画になっていないことは残念です。先ほど引用した11年前に本市が実施された長期推計にも両地区は検討対象校に入っておりません。遅きに失した感は否めませんが、両地区の長期推計があれば学校整備における選択肢がもっと多様に示せたのではないでしょうか。
 例えば、西都地区の一連の学校整備プロセスには、照葉地区のような小中連携の視点が全く感じられません。本市教育委員会の小中連携の取り組み方針とこれまでの取り組みをお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 小中連携教育の取り組み方針につきましては、平成18年度からその取り組みを開始するとともに、平成21年度に福岡市小中連携教育指針を策定し、9年間を見通した小中連携教育を推進しております。また、令和元年6月策定の第2次福岡市教育振興基本計画においても、特に重視する教育方法である福岡スタイルの一つとして中学校ブロック内での小中連携教育を位置づけており、市内全小中学校で進めることとしております。あわせて、施設一体型の学校についても、これまでに照葉小中学校を初め、舞鶴小中学校、住吉小中学校、能古小中学校、照葉北小学校を整備しております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 私もきょう持ってきましたが、福岡市小中連携教育指針を拝見しました。さまざまな視点を持って、よく言われる中1ギャップの解消に向けて取り組んでいるのがわかりますが、教育内容などのソフト的な記載が中心であり、施設整備などのハード的な小中連携のあり方についてはこちらではほとんど触れられておりません。
 西都地区においてもハード的な小中連携の視点があれば、仮に中学校が足りなくなるといった事態を予測できたのであれば、現在開校準備を進めている西都地区新設小学校と同時に施設一体型小中連携教育校を整備することも検討でき、福岡市の教育水準をより高めることができたのではないでしょうか。本市が本当に小中連携を推進するのであれば、ソフト、ハード両面からの取り組みが重要ではないでしょうか。御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) ハード面での小中連携の視点でございますが、施設一体型の学校につきましては、アイランドシティ地区における研究開発、研究授業実践校としての整備を初め、実施方針に基づき、小規模校の統合に際しスケールメリットを生かした教育効果が得られるような場合に検討してきております。
 なお、1つの中学校の通学区域に複数の小学校の通学区域が含まれる場合には、施設一体型となる小学校とそうでない小学校が併存することになることから、小中連携教育の実施に当たり工夫が求められるなどの課題があり、小中連携教育を推進する視点からもハード面における整理が必要と考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) ぜひハード面における小中連携教育の考え方の整理をお願いいたします。
 これも中長期推計があれば、今後の分離新設や老朽校建てかえの検討なども含め、早い段階で選択肢をふやすことが可能となり、小中連携の可能性も広がります。
 良好な教育環境を整備することはもちろん、人口減少時代も見据え、柔軟性や永続性のある学校施設とするために、教育委員会はまちづくり関係局と積極的に連携し、中長期推計の作成に取り組んでいただきたいと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 現在の地域にお住まいの市民や子どもたちにとっても、また、福岡市に魅力を感じ、夢と希望を持ってこれから移り住まれる保護者や子どもたちのためにも、良好な教育環境を整備することは福岡市教育委員会の責務と考えております。人口急増により過大規模校となる学校がある一方で、市全体としては将来的に児童数の減少が見込まれるような状況におきましては、中長期的な視点を持って整備を進めていく必要があると考えております。そのためにはまちづくりに関係する市長事務部局の知見を活用することが重要であり、中長期推計も含めた児童生徒推計の改善について今後も関係局と連携しながら検討してまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) ぜひとも早期の推計手法の改善をよろしくお願いいたします。
 ただ、実効性のある長期推計とするためには、お話のとおり、市長部局も含めた全庁的な協力体制が必要不可欠です。この質問の最後に、島市長の御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 福岡市の未来を担う子どもたちの健やかな体を育み、そしてまた、豊かな心を育んでいく、こうしたことのためにはよりよい教育環境を確保していくということが重要でありまして、それがまちの魅力を高め、さまざまな人を引きつけることによって活力を生み出すという好循環につながっていくと考えています。先ほどの教育長の答弁にもありましたように、中長期的な視点を持って学校施設の整備を進めていくためには、まさに天野議員御指摘のとおり、まちづくりに関係する部局の協力が必須であるというふうに考えています。将来の福岡市を担う子どもたちのよりよい教育環境の確保に向けて、今後とも、教育委員会としっかりと連携を図りながら取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) それでは2問目に、釜山市との交流事業についてお尋ねします。
 日本と韓国の国際関係がさまざまな要因により悪化していることは甚だ残念なことではありますが、本市と特にこれまで深い関係を築いてきた姉妹都市である釜山市との関係も気になります。
 ではまず、本市の釜山市との現下の関係はどのようになっているのか、お示しください。
 
○副議長(楠 正信) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 釜山広域市との関係につきましては、釜山日本国総領事館前の慰安婦像問題に加え、ことし7月に釜山広域市長が日本との行政交流を中断すると発表されるなどの状況の中で、交流事業は双方が希望して初めて成り立つものであることから、釜山広域市側の実施の意思などを踏まえ、市民感情等にも配慮しながら長期的視点に立って冷静に対応しているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 本市はこれまで最も近隣にある姉妹都市として釜山市とさまざまな交流事業を行ってきたかと思いますが、具体的にどのような交流事業を行ってきたのでしょうか、また、それらの事業は今年度実施できているのでしょうか。実施のでき、ふできの傾向とその主な経緯をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 釜山広域市との姉妹都市交流事業につきましては、これまで主に職員相互派遣研修事業、経済分野の交流事業、住宅や地下鉄分野の交流研修事業、教育やスポーツ分野の交流事業などを実施してまいりました。今年度は職員相互派遣研修事業以外の事業につきましては、釜山広域市側からの申し入れなどにより、ほとんどが延期や中止となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 一般市民同士においては、現在の関係性を憂慮する声も聞こえます。そのような中、荒瀬副市長も参加されたようですが、駐福岡韓国総領事館において11月22日に実施されたキムチづくりを通じた民間交流の取り組みには敬意を表したいと思います。
 一方で、行政交流が中止や延期となっている状況は、現下の関係上、仕方のない部分もあるかと思います。しかしながら、そういった事情に振り回されるべきではないと特に考えるのが子どもたちについてです。本市の子どもが関連する釜山市との交流事業の概要と令和元年度予算額をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 市民局所管の交流事業につきましては、福岡市・釜山廣域市中・高校生スポーツ交流大会を実施しております。同事業は両市において5種目を選定し、トップレベルの中高校生を毎年交互に派遣、受け入れを行うスポーツ交流大会であり、令和元年度の予算額は310万円でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教育委員会では平成21年度に釜山広域市教育庁と交わした教育交流に関する覚書に基づき、福岡・釜山教育交流事業及びアジア・ユース・教育フォーラム派遣事業を実施しております。福岡・釜山教育交流事業は隔年で中学校の生徒10名を相互に派遣、受け入れをするもので、予算額は50万円となっております。また、アジア・ユース・教育フォーラム派遣事業はアジア各国の高校生が釜山広域市で英語によるプレゼンテーションなどを行う交流事業で、市立高校生6名を派遣しており、予算額は28万5,000円となっております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 釜山市とはこれまでスポーツ、教育分野それぞれで両市の子どもたちの交流を図ってきており、有意義な事業だと思います。
 では以下、お示しいただいた子ども関連交流事業に関してお尋ねしてまいります。
 市民局の福岡市・釜山廣域市中・高校生スポーツ交流大会について、令和元年度の実施状況についてお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 令和元年度の中高校生のスポーツ交流大会につきましては、釜山市長による行政交流中断の発表がなされる中、生徒たちの安全面や釜山市の開催意向について確認が十分にできなかったため延期することといたしました。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) では、来年度以降の事業実施の見通しは立っているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 令和2年度以降の事業実施の可否につきましては、現時点では明確な見通しを立てることは困難であると考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) ここで心配なのが、ことしも来年も仮に実施できないとなると、将来的には事業自体がなくなってしまうのではないかという点です。御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 中高校生のスポーツ交流大会につきましては、大会の開催に当たり、生徒たちの安全に対する配慮が確保されるなど環境が整えば、開催に向けて釜山市と協議を行いたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 当然、交流事業の開催ができれば一番望ましいですが、現下の情勢が不透明な以上、開催できないケースも考えなければならないと思います。今後、事業実施のあり方に関して、御尽力いただいている関係スポーツ団体等とも協議を行っていくのでしょうか、また、本市は本事業を今後どのようにしていきたいのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 中高校生のスポーツ交流大会につきましては、今後も継続的に実施してまいりたいと考えており、引き続きスポーツ団体等とも協議を行いながら開催に向け取り組んでまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 来年できればよいですが、来年も仮にできないとなると、本市の子どもたちの貴重な国際交流の機会を2年続けて減ずることとなります。本市とスポーツ団体等との協議を見守りますが、いつまでもこういった状況が改善されない場合には、日程や予算等の調整は必要かもしれませんが、釜山市のみならず、他の都市との交流も見据えた事業実施を御検討くださいますよう要望しておきます。
 では次に、教育委員会の福岡・釜山教育交流事業の令和元年度の実施状況をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 8月に中学生を派遣することで日韓情勢を注視しながら準備を進めておりましたが、釜山広域市長による行政交流中断の発表があったことから、事業実施の可否や現地の安全面についての確認が十分にできなかったため延期をしております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) では、来年度以降の事業実施の見通しは立っているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡・釜山教育交流事業の事業実施の可否については、生徒の安全面の確保を図ることが第一と考えており、現時点では明確な見通しを立てることは困難であると考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 教育委員会には釜山市との交流事業とは別に、本市の各学校が世界の姉妹校などと交流を行っている事業があるかと思いますが、その事業の概要と平成30年度決算額、令和元年度の予算額をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 市立学校が姉妹校を初めとする諸外国の学校等と行う交流行事に対して、その費用の一部を助成する姉妹校等交流事業を実施しておりますが、平成30年度は延べ37校の国際交流に対して助成しております。また、平成30年度の決算額は68万円余、令和元年度の予算額は90万円となっております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 昨年度は決算額が68万円余で、37校で実施されたとのことです。また、事前にいただいた資料によると、公益財団法人教育振興会が基金を活用し、各学校が海外へ渡航する際の旅費の助成を実施しており、昨年度は別途1,500万円余の助成があったとのことですが、基金助成なくしては事業実施もままならない事業規模です。あと10年は基金助成できるだけの原資はあるということでしたが、永続的な姉妹校等との交流事業の実施に向けては、まだまだ本市の予算額としては不十分であると思います。
 先ほどの市民局の事業と同様、子どもたちの貴重な国際交流の機会をなくさないようにしていただきたいと思います。釜山市との教育交流事業が延期になっていますが、各学校の姉妹校等交流事業の拡充をして、子どもたちの国際交流の機会が減ずることのないよう、むしろ増大するよう取り組んでいただけないでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡・釜山教育交流事業は生徒の英語能力の向上や国際理解を深める上で一定の成果があったと考えておりますが、令和元年度が教育交流に関する覚書締結時に取り決めた交流期間の最終年になることから、今後の事業のあり方について検討しているところでございます。令和2年度につきましては、子どもたちが外国の言語や文化に関する理解をさらに深めていけるように、各学校が諸外国の学校等と交流を行う姉妹校等交流事業の拡充について検討を進めていきたいと考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) ぜひとも姉妹校等交流事業の拡充をよろしくお願いいたします。
 本市としてはこれまで同様、冷静な対応を続けていくことで釜山市との関係改善が図られればよいと思いますが、先行きは不透明です。私はそのような政治情勢に関係のない市民、特に子どもたちに国際交流の観点から不利益が出ないよう、今後も持続的、発展的な事業実施をお願いしたいと思っております。中村副市長の御所見をお尋ねして、この質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 中村副市長。
○副市長(中村●一) グローバル化が急速に進みます中、福岡市が国際競争力を有し、アジアのモデル都市として成長していくためには、次代を担う子どもや若者が異文化と触れ合い、豊かな国際感覚を身につけることは重要であると認識をいたしております。海外諸都市との交流事業は相手都市との交流の歴史ですとかニーズなどを踏まえ、双方の都市で関係機関や団体とも適宜協議をしながら取り組んでおり、今後とも、できる限り子どもたちや若者の国際交流の機会が確保されるよう努め、グローバル人材の育成を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) よろしくお願いいたします。
 それでは最後、3つ目の質問に、避難行動要支援者名簿の活用についてお尋ねします。
 まず、避難行動要支援者名簿とは何なのか、その概要をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難行動要支援者名簿につきましては、平成23年の東日本大震災において、高齢者や障がい者の方が多く犠牲になられた教訓を踏まえ、25年の災害対策基本法の改正により市町村に作成が義務づけられたものでございます。この名簿は、災害が発生しまたは発生するおそれがある場合にみずから避難することが困難で、特に支援を要する方を登載しており、円滑かつ迅速な避難の支援や安否の確認などを実施する際の基礎資料となるものでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) ありがとうございます。
 では、本市における名簿の作成状況及び登録要件をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難行動要支援者名簿につきましては、これまでの災害時要援護者台帳にかえて平成29年度から作成しており、本人の同意の有無にかかわらず要支援者全員を登載した全体名簿と、全体名簿に登載された方のうち自治協議会や民生委員・児童委員などの避難支援等関係者へ名簿情報を提供することに同意いただいた方を登載した同意者名簿がございます。名簿登載の要件については、全体名簿は施設入所者を除き、身体障害者手帳1級または2級の交付を受けている方や要介護認定3以上の方などとしており、同意者名簿は全体名簿のうち避難支援等関係者へ名簿情報を提供することを同意された方のほか、指定難病患者の方、65歳以上で身体虚弱の方などで名簿登載を希望された方としております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) それでは、地域では実際に名簿がどのように活用されているのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域における同意者名簿の活用につきましては、平常時においては日ごろからの見守り活動や防災訓練などで御活用いただいており、平成30年7月豪雨や令和元年8月の大雨の際には名簿を活用し、自治協議会、民生委員・児童委員などの避難支援等関係者による要支援者への電話や訪問による安否確認、避難所への避難誘導などを行った地域もあったと伺っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) もっと名簿を効果的に活用していただくためにも、各地域で実施されている防災訓練との連携は重要だと思いますが、要支援者を想定した訓練というものは余り聞きません。本市の要支援者を想定した訓練の実施状況をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 要支援者への避難支援等を想定した防災訓練につきましては、地域が主体となり、避難行動要支援者への電話や訪問による安否確認、福祉事業者などと連携した車椅子を使用した避難支援、避難所到着後の福祉避難室への受け入れなどの訓練を実施された地域がございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 私も10月に西区の西陵校区で実施された要支援者を想定した防災訓練を見学させていただきました。自分が住んでいる校区、町内、組にはどういった要支援者の方がいるのか、個別支援計画をもとに把握をし、災害時に集会所や公民館などにどう誘導するのか、各班に分かれて議論をしておりました。この取り組みは実際の災害時に役立つことはもちろん、避難行動要支援者名簿の意義の理解にもつながり、個別支援計画作成の促進も期待できると感じ、大変有意義でした。しかしながら、本事業は福岡県の個別避難支援計画策定支援事業というものでした。
 本事業は西陵校区のみならず、本市の多くの校区で必要な事業だと思いますが、今後は本市としても取り組んでいけないでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 西陵校区における防災訓練につきましては、事前に個別支援計画の作成などの学習を行った上で、避難行動要支援者への電話や訪問による安否確認、避難所までの避難支援などの訓練が行われております。今後とも、区役所、消防署などと連携しながら避難行動要支援者に向けた訓練が広がっていくよう支援してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) よろしくお願いいたします。
 名簿の活用、充実のための一つの視点として、その土台となる名簿登載ルールに関してこれまでの議会でも指摘をしてまいりました。
 それでは、現在の役所が保有する全体名簿及び地域へ提供可能な同意者名簿への登録者数と要支援者の回答率、同意率の割合と本市の課題認識をお尋ねします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 名簿への登載人数につきましては、令和元年6月1日時点で全体名簿が3万6,238人となっており、同意者名簿が1万5,188人となっております。意向確認については約5割の方から回答をいただき、そのうち約8割の方が情報提供に同意されておりますが、意向確認への回答率が低く、避難行動要支援者名簿制度に関する市民の理解が十分に進んでいないことが課題であると認識しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 回答率は約5割です。多くの市民に御理解いただくため、本市が行っている名簿の周知方法や出前講座の実施状況及びその成果と課題をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 避難行動要支援者名簿に関する制度の周知につきましては、同意者名簿の登載に係る意向確認の際に制度をわかりやすく説明した資料を同封するほか、市政だよりや市ホームページへの解説記事の掲載や避難支援等関係者向けのハンドブックの作成、配付など、積極的な周知に努めております。また、平成30年度からは市民の皆様に広く制度を理解していただくための出前講座を開催しており、30年度は地域住民や民生委員が集まる場などで8回実施し、784名の方に受講していただいております。出前講座実施後の受講者へのアンケートでは、制度の理解が進んだという御意見があった一方で、避難行動に支援を要すると思われる人が同意者名簿に掲載されていない、避難支援等関係者の連携が大事であるという意見もございました。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 御答弁いただいた中にもありましたが、ここで改めて課題を整理しますと、本市が採用する名簿登載に同意した方のみを登載する手挙げ方式、同意方式は、不同意者を名簿不登載とする点はよいものの、約5割の未回答者は意思表示が確認できない状態で、不同意者とまとめて名簿不登載として要支援者としての対象から外している課題です。全国の自治体でも議論のある課題であり、136の自治体において、名簿情報の提供に際し、本人が拒否をしない限り提供可能とした条例を規定しております。政令市においては、千葉市、横浜市、神戸市において条例により名簿情報の提供に拒否の申し出を行った方を除いて名簿情報として提供する逆手挙げ方式及びみなし同意方式を採用しております。
 過去の議会質問においても、この課題について当局も検討する旨の答弁をいただいておりました。他都市の動向を見ると、やはり本市においても条例を制定しないと平時からの名簿情報を地域に提供できないのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 地域への名簿情報の事前提供につきましては、災害対策基本法において、市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、本人の同意が得られない場合は地域に提供することはできないとされております。条例に特別の定めがある場合とは、外部提供について本人の同意を不要とする旨を条例で定めている場合のほか、個人情報保護条例上の他の規定を根拠とする場合もこれに該当するとされており、本人の同意を得ず地域へ情報提供するためには、条例の制定、もしくは個人情報保護条例の適用により行う必要がございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 要支援者の個人情報保護に配慮した検討が必要になると思います。とはいっても、個人情報の保護に十分配慮しながらも、やはり私は多くの意思表示の確認がとれていない要支援者を支援の対象に加えるべきと考えておりますので、これまで同意方式の見直しを訴えてまいりました。しかし、昨年12月議会での本市の答弁では、本年度、制度導入から3年がたち、多くの未回答者に対して再度の意向確認をする、その成果をもって今後の検討を進めたいということでした。
 再度の意向確認はどのように実施されたのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 同意者名簿への登載に係る意向確認につきましては、これまでの意向確認において回答が得られなかった1万7,154人に対し、令和元年9月にダイレクトメールを発送し、再度の意向確認を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) それでは、結果はどうだったのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 再度の意向確認につきましては、令和元年11月末時点で5,890人の方から御回答をいただいております。
 なお、未回答の方に対しましては、12月末までに回答いただくよう案内文書を改めて送付しております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 未回答者1万7,154人に対して5,890人からの回答ということで、3割強は回答がとれたということです。ただしかしながら、全体名簿3万6,238人からすれば1.6割程度の微増であり、抜本的に回答者をふやせているとは言えません。
 意向確認を真摯に実施していただいたことには感謝いたします。しかしながら、その効果が十分に出たとは言いがたい中、今回の意向確認の結果を踏まえると、やはり本市も私が再三申し上げている逆手挙げ方式及びみなし同意方式への見直しにかじを切るべきではないでしょうか、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 逆手挙げ方式やみなし同意方式などの導入につきましては、できるだけ多くの要支援者の情報を地域へ提供し、地域全体での共助の取り組みを推進する上で有効な手段と考えており、現時点での回答状況を踏まえますと前向きな検討が必要な段階に来ているものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 現在の個人情報保護にウエートを置いた同意方式において回答率を上げる手段は尽くしてきていると思います。いよいよ同意方式自体の見直しへ検討のステップを上げていただく時期に、おっしゃるように来ていると思います。
 平時の見守りでの活用は言うまでもなく、有事の活用においても、これだけ毎年のように災害が発生する昨今においては検討のスピード感も大切です。今後、逆手挙げ方式及びみなし同意方式等の新たな手法の検討をどのようなスケジュール感で行っていくのでしょうか。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 逆手挙げ方式やみなし同意方式など、同意率の向上に向けた新たな手法につきましては、現在行っている意向確認の結果を踏まえ、令和2年度から防災や個人情報の取り扱い等に関する外部委員会を設置するなど、学識経験者や関係者の御意見も伺いながら検討を進め、対応策をまとめてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 天野こう議員。
○36番(天野こう) 有識者の御意見を聞く来年度の外部委員会の設置、ぜひともよろしくお願いいたします。
 先ほど地域への名簿情報の事前提供については、本人の同意を得る以外には、条例の制定、もしくは個人情報保護条例の適用の検討が必要になるとの答弁がありました。命の大切さは言うまでもありませんが、個人情報保護も大切です。だからこそ外部委員会で専門家や協力団体などの御意見も聞いた上での判断になるのでしょうが、命を守る上での個人情報の取り扱いについて、市民の納得を得るためには条例制定による明確化が最適であると私は考えております。名簿登載者もふやすこと自体が目的ではなく、その後の活用が何よりも大切です。
 避難行動要支援者名簿のさらなる充実、活用も含め、今後どう要支援者に対する支援を行っていくのか、島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 大規模災害時におきまして、高齢者や、また、障がいのある方などが命を守る行動をとっていただくためには、地域の皆様による安否の確認ですとか避難行動の支援など、そうした共助の力というものが大変重要であるというふうに考えています。このため福岡市においては、防災に関する出前講座の実施ですとか地域における防災訓練を支援するなど、地域防災力の向上に向けた取り組みを進めているわけでございますけれども、避難行動要支援者名簿の同意率の向上は大きな課題でありまして、天野議員御指摘の条例化も含めて対応策を検討してまいりたいと考えています。今後とも、地域での共助の取り組みを充実するなど、災害に強いまちづくりを進め、防災先進都市福岡を目指し、取り組んでまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛)登壇 福岡市民クラブの宮浦寛です。私は会派を代表して、1つ、公立夜間中学校の設置について、2つ、子どもの貧困と学力格差について、3つ、いわゆる休眠NPO法人について、この3つの項目について質問をいたします。
 まず最初に、公立夜間中学校の設置についてです。
 これまで本市議会においても会派、党派を超え、公立夜間中学校設置に向け、さまざまな質疑が交わされてきたことは承知をしています。現在、千代中学校で行われている自主夜間中学よみかき教室の立ち上げにかかわった者の一人として、今回、私も質問を行わせていただきます。
 1990年代の後半、私が当時勤務をしていた教育委員会へ男性の声で電話がありました。電話をとった私に対し、母に、あいうえおを教えてくれるところはありませんかとのことでありました。その男性にお母さんの経緯や状況などを私が幾つか問い直していくと、実は電話の主は交番の警察官の方でありました。交番に落とし物をとりに来たけれど、受取簿に自分の住所や氏名を書くことができなかった中年女性Aさんの身の上話を聞き、何とかしてやりたいとの思いから市に電話をかけてきたとのことでありました。その女性は幼いころ重い皮膚病にかかり、家から出ることができず学校へ行けなかったことや、社会に出て文字の読み書きができずに仕事や生活で苦労をしてきたことをとつとつと語られました。識字率世界一とも言われる日本ですが、さまざまな理由で未就学、文字の読み書きにさえ苦労している方がおられるという現実を突きつけられました。何度も悔しい思いをしてきた、今度こそ文字を学び、勉強したいとのAさんの声を受け、市の新規事業開設に向け奔走しましたが、当時、国や県の補助、支援策はなく、市民ニーズがどれだけあるのか不明、前例がなく予算根拠が乏しい等々として検討すら進めることはできませんでした。
 同じ時期に北九州市でスタートしていた自主夜間中学青春学校の取り組みに刺激を受け、夜間中学や識字問題を共有する学校の先生方や大学生などとともに、ボランティアによる自主夜間中学よみかき教室を1997年に立ち上げました。手製のビラや口コミでの周知でありましたが、初回の生徒さんは13名お見えになりました。使った教科書は小学校1年生の国語の教科書。力が入り過ぎて鉛筆の芯を何度も折りながら平仮名をノートに書き写していくことから始めました。週1回の授業では物足りず、毎朝5時に起きて、あいうえおの自習をする77歳のおばあちゃんもおられました。こんな話もありました。この前、食堂に行きました。メニューにうどんと書いてあったので、声に出して読みました。そしたら、店員さんがうどんですねと言われ、うどんが来ました。うどんが食べたかったわけではなかったけれど、とってもおいしかったですと作文に書かれた方もいらっしゃいました。開設から22年になるこの自主夜間中学ですが、ここには高齢の方だけでなく、例えば、中学校時代からひきこもり状態でほぼ不登校のまま過ごし、ようやく外に出ることができるようになった20代の若者が学ぶ姿もありました。
 ボランティアによる自主学級として活動を続けながら、多くの市民の皆さんとともに、この間、2度の議会請願を提出するなど、福岡市に学びの場を求めてきましたが、公立夜間中学について全国各地で新たな動きも出てきておりますことから、改めて夜間中学の設置に関する教育機会確保法成立以降の国の動きについてお聞きします。
 これ以降の質問については自席から行います。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 国の動きについては、平成30年6月に閣議決定された第3期教育振興基本計画において、全ての都道府県に少なくとも1つの夜間中学が設置されるよう促進する、夜間中学の教育活動の充実や受け入れる生徒の拡大を図るなど、教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することが示されたところでございます。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 国の基本計画の中では、全ての都道府県に少なくとも1つの夜間中学設置を目指すことに加え、今後、全ての指定都市における設置も促進することが示されたと私は認識をしています。さらに、文部科学省の来年度概算要求では、夜間中学の設置促進に関し、前年比約3倍増となる総額1億3,200万円が計上されています。また、本年4月には埼玉県川口市と千葉県松戸市において公立夜間中学が新たに設置されたと聞きます。
 このような動きの中で、全国の県や政令指定都市などの動向についてどのように把握をしているのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 文部科学省によりますと、これからの公立夜間中学の設置を対外的に表明している地方公共団体は、静岡県、徳島県、高知県、長崎県、茨城県常総市、福岡県大牟田市、指定都市は札幌市、相模原市となっております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 福岡県大牟田市は早ければ2021年度にも夜間中学を設置する方針を明らかにし、開校に向けた福岡県との協議を開始したと聞いています。
 大牟田市が表明した夜間中学設置方針についての情報があればお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 大牟田市教育委員会に確認したところ、近年は市内の製造業などでベトナム人など外国人の就労がふえ、日本語など基礎的な学力を身につけたい外国人を雇う企業などから夜間中学の設置要望が上がっており、大牟田市として設置に向けた検討を行っているとのことでございました。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 夜間中学の設置に関するこれまでの本市の取り組みについてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) これまでの取り組みでございますが、市民の皆様の夜間中学に関する認知度を向上させるため、文部科学省作成の広報チラシを各区役所を初め、市内23カ所の公共施設に設置してきたことに加え、市政だよりの折り込み広報紙、ふくおかの教育においても夜間中学に関する記事を掲載するなど、広報の強化を図ってきたところでございます。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 公共施設へのチラシの設置や自主夜間中学の情報を市の広報紙へ掲載するなどの取り組みを受け、千代中学校で行われている自主夜間中学よみかき教室へは、今年度に入り、新たな学級生が来られたり、問い合わせが大きくふえていると聞いています。また、2010年の国勢調査によると、福岡県内の義務教育未就学者数、これは学校に行ったことがない人または小中学校中退者でございますが、これが6,543名、そのうち福岡市内の方は1,842名であり、県内で最も多い数字となっています。義務教育を終えていない方というと高齢者をイメージしがちですが、市内の未就学者1,842名のうち15歳以上60歳未満のいわゆる稼働年齢層が848名、約46%を占めています。さらには増加している不登校のまま中学校を卒業した、いわゆる形式的卒業者の存在やその方々の学び直しの場も未着手のままの現状です。これらのことから、声を上げることができない対象者は相当数存在していることは容易に推定できると考えます。
 入学希望者がどれだけいるのかわからない、ニーズ把握の困難さのみを設置困難理由とすることなく、本市においても公立夜間中学設置を進めるべきだと考えますが、国が示す政令市への設置方針と今後の取り組みについて本市の考えをお聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 指定都市への設置推進方針につきましては、令和元年11月に閣議決定された子供の貧困対策に関する大綱の中で、全ての指定都市において夜間中学が設置されるよう促進するという内容が盛り込まれたところでございます。取り組みとしましては、ことしの4月に開校した埼玉県川口市の公立夜間中学を視察し、取り組み内容の確認をしてきたところで、今後も引き続き積極的な情報収集に努めてまいりたいと考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) さらなる情報収集とともに、県との連携も図っていただきながら、夜間中学設置に向けての取り組みを進めていただくように要望を申し上げ、次の質問に入ります。
 次に、子どもの貧困と学力格差についてです。
 平成25年に成立した子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づき、去る11月29日に新たな子供の貧困対策に関する大綱が閣議決定されました。この大綱では、現在から将来にわたり、全ての子どもたちが夢や希望を持てる社会を目指すこと、子育てや貧困を家庭のみの責任とせず、子どもを第一に考えた支援を包括的、早期に実施することを目的に掲げ、地方公共団体による取り組みの充実が基本方針の柱の一つとして明示されています。また、対策を進めるための指標がこれまでの指標数25項目から39項目に大きく追加をされています。これから具体的な検討が始められることとなりますが、本市においても、これまで以上の取り組みを進めていかなければなりませんし、特に子どもの貧困と学力格差の相関や因果関係を明らかにし、負の連鎖を断ち切らなければならないとの思いで質問をいたします。
 最初に、本市における子どもの貧困の現状についてです。
 これまで子どもの貧困問題に関してさまざまな取り組みが進められてきましたが、本市における児童養護施設や里親など社会的養護を必要とする子どもの数及びひとり親家庭の数をお聞きします。また、生活保護を受給する17歳以下の子どもの数と総数に占める割合及び就学援助の認定者数と全児童生徒数に占める割合をお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) まず、児童養護施設に入所しているなど、社会的養護を必要とする子どもの数は、令和元年11月1日現在、401名でございます。また、ひとり親家庭の世帯数は、平成28年度に実施した福岡市ひとり親家庭実態調査による推計値で2万2,681世帯でございます。
 次に、生活保護を受給する17歳以下の子どもの数は、令和元年10月末現在、4,608人で、17歳以下の子どもの総数に占める割合は1.8%、また、就学援助の認定を受けている子どもの数は、平成30年度末時点で2万5,897人で、全児童生徒数に占める割合は22.2%でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 福岡県においては、平成28年に福岡県子どもの貧困対策推進計画を策定していますが、その中で、県における子どもの貧困について、生活保護世帯の状況や就学援助の対象者数などを示した上で、これらの状況を勘案すると、子どもの貧困率は全国数値を上回っているのではないかと考えると県の現状認識を示しています。
 そこで、本市においては子どもの貧困をどのように定義しているのか、また、その現状をどのように認識しているのか、お聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 子どもの貧困はさまざまな側面で捉えることができることから、どの側面に着目するかによりその定義は変わっていくものであり、一律に定義することは難しいと考えておりますが、生活保護を受給する子どもの数や就学援助の認定を受けている子どもの数などからも、依然として子どもの置かれた状況は厳しいと認識いたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 国の調査によると、就学援助の率は2016年で15.04%とされていますので、本市は全国平均を上回っているようであり、厳しい状況にあると認識しなければならないと私も考えます。
 次に、平成28年度に行われた福岡市子どもの生活状況等に関する調査についてです。
 この調査は子どもの生活状況と家庭環境の相関関係を分析するため、当時、政令指定都市としては踏み込んだ調査であったと聞いています。
 この調査の概要とあわせ、特に子どもの学習、放課後の過ごし方などについてどのような結果が示されたのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 平成28年度に実施いたしました福岡市子どもの生活状況等に関する調査につきましては、本市の子どもや子育て家庭の生活状況を多岐にわたって把握し、市として効果的な施策を推進していくための基礎資料を得ることを目的に、市立小学校6年生及び市立中学校3年生に在学する生徒がいる全ての世帯を対象に実施したものでございます。実態調査の結果として、収入が低い世帯やひとり親等の世帯では子どもの学習の習慣が定着していない、放課後や夕食後に子どもだけで過ごす割合が高いなどが見られます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) この調査結果の分析をされ、その後の施策にどのように反映してきたのか、教育関連の施策を中心にお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 調査結果を踏まえまして、教育と福祉の両面から課題を持つ子どもたちの支援を行うことを目的として、スクールソーシャルワーカーを全ての中学校区に配置いたしております。また、生活習慣や育成環境に課題がある生活保護世帯等を対象に訪問型の相談支援を行い、その支援の一つとして学習支援を行っているところでございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) この調査にある学校等での勉強の成績という設問がありますが、ややおくれている、かなりおくれているとの回答が世帯の年収300万円未満では32.2%、600万円以上では12.9%と約20ポイントの大きな開きが見られます。この調査はアンケート形式であり、成績については主観的なものでもあるため、必ずしも実態をあらわしているとは言い切れませんが、家庭の経済力と子どもの学力には相関があると見なければなりません。さらに、この調査は小学校6年生と中学校3年生を対象に実施されたとのことですが、学校等での勉強の成績のほか、学習塾も含めた習い事の実施状況や不登校の経験などの項目でも大きな格差が見られています。
 特に子どもの学習や学力の面において、格差はどの時点から発生し、拡大してくると考えているのか、所見をお聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 児童生徒の学力の差は小学校の初期段階から個人差があり、児童生徒一人一人の学力課題に応じた指導方法の工夫を行っております。また、学識経験者によると小学校3年生及び4年生の学力がその後の学力の定着に大きな影響を与える傾向が強いと分析されております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 子どもの生活状況と家庭環境の相関関係が福岡市において存在することが明らかとなった調査であると考えます。
 施策効果検証のため、継続した調査が必要と考えますが、今後、この調査の実施計画はあるのか、お聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 5年ごとに実施いたしております子ども・子育て支援に関するニーズ調査及びひとり親家庭実態調査の中で、子どもや子育て家庭の実態や状況の変化について把握してまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 次に、子どもの貧困と学力格差の相関についてです。
 本市における子どもの学力格差の現状認識をお聞きするとともに、その要因解明に向け、調査や分析をどのように行っているのか、お聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 教育委員会では文部科学省が実施する全国学力・学習状況調査や福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査などを活用し、正答率の分布と学習習慣や生活習慣との相関をもとに多面的に分析を行っております。学校ごとの正答率の分布を見ると、平均的な得点の分布を示す学校もあれば、二極化の傾向を示す学校もあり、学校によってさまざまな課題があると認識しております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) その学力格差が生じる要因をどのように捉えているのか、所見をお聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 学力の差が生じる要因は、みずから進んで学習に取り組むなどの学習意欲や自分の身の回りのことは自分で行うなどの生活習慣、そのほかに家庭での学習時間や習い事などの放課後の過ごし方、子どものよいところを褒めるなどの保護者の適切な働きかけなど、さまざまであり、それらの要因が複合的に影響していると考えております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 家庭の経済格差が子どもの学力に及ぼす影響について、本市の現状をどのように認識しているのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市における家庭の状況が子どもの学力に及ぼす影響については、福岡市子どもの生活状況等に関する調査では、収入が高い世帯の児童生徒のほうが宿題や次の日の準備をする割合や自宅で学習する割合が高くなっていると認識しております。また、福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査では、宿題をしている児童生徒の学力が高い傾向にあるという分析をしております。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 教育委員会においても、これまで取り組んできたさまざまな取り組みや事業の効果を検証するためにも、調査や分析の継続、そして、追跡調査の必要性について所見をお聞きします。
 
○副議長(楠 正信) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 文部科学省は全国学力・学習状況調査の目的を義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図るとともに、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てること、さらに、そのような取り組みを通じて教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立することとしております。教育委員会といたしましても、全国学力・学習状況調査や福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査をもとにした分析や追跡調査を行うことは、各学校が自校の課題を明確にし、学力向上のための取り組みを充実させるとともに、児童生徒一人一人の学力を向上させていくために必要だと認識しております。
 今後も全ての小中学校が自校の学力の課題を把握し、その課題の解決に向けて取り組む学力パワーアップ総合推進事業を実施し、学力向上の取り組みをさらに推進してまいります。以上です。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 次に、子どもの貧困と教育に関する情報共有や調査も含めた全市総合的な推進体制と相互連携についてです。
 子育て支援に関するニーズ調査というのも行われていますが、この調査の概要と調査結果についてどのように活用したのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 平成30年度に実施した子ども・子育て支援に関するニーズ調査につきましては、第5次福岡市子ども総合計画を策定するための基礎資料を得ることを目的に、18歳までの子どもの保護者を対象として実施したところでございます。調査内容といたしましては、教育、保育事業の利用状況や利用希望、子どもの生活習慣、地域の子育て環境、就学、就業状況など、さまざまな視点からの設問を設け、幅広く意見を伺っております。また、調査結果につきましては、第5次福岡市子ども総合計画の策定に反映いたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 先日、市民意見の募集を終えたようでありますが、第5次福岡市子ども総合計画案の概要をお示しください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 第5次福岡市子ども総合計画案は、福岡市総合計画などの上位計画に即し、子どもに関する分野の基本的な計画として、施策の総合的、計画的な推進を図るものでございます。計画期間は令和2年度から6年度の5年間であり、基本理念は、すべての子どもが夢を描けるまちをめざしてといたしております。また、基本目標として、妊娠期から子育て期、さらに、その先の青年期までライフステージごとに3つに整理し、目標1、安心して生み育てられる環境づくり、目標2、子ども・若者の自立と社会参加、目標3、さまざまな環境で育つ子どもの健やかな成長を掲げ、子どもに関する施策の充実強化に取り組み、切れ目のない支援を推進することとしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) この総合計画案の中で、子どもの貧困対策の推進も含め、15の施策区分ごとに現在の主な事業としてさまざまな取り組みが列記をされています。前項でお聞きをした28年度子どもの生活状況等に関する調査報告書の中で、調査を監修された福岡大学の添田准教授は、まずやるべきことは、既存事業や既存実践の棚卸しではないでしょうかと示されています。
 この際の御指摘も含め、現在の主な事業として列記をされた取り組みの効果検証をどのように行うのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 施策事業の効果検証につきましては、毎年度、計画に基づく施策の実施状況などを取りまとめ、福岡市こども・子育て審議会に報告を行い、同審議会において点検、評価を行っております。その報告内容や審議内容、点検、評価の結果は市のホームページにおいて公表することといたしております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) その点検、評価結果の可視化をさらに進めていくことも今後の課題であると意見を述べておきます。
 その上で、今回の第5次計画を踏まえ、今後の施策をどのように具体化していくのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 田こども未来局長。
○こども未来局長(田浩輝) 第5次福岡市子ども総合計画案につきましては、子どもを取り巻く現状と課題を踏まえ、令和2年度から6年度までの具体的な施策の方向性を示すものであり、策定後は計画に基づき、関係部局が連携しながら取り組みを進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 私は今回の質問に当たり、各局へのヒアリングを行う中で、福岡市として調査や情報の共有が進んでいないのではないかと感じています。それぞれの調査や分析結果からは、本市においても子どもの貧困と学力や家庭の教育力格差の相関が明らかになりつつあり、学校教育のさらなる推進、世帯の経済力を高める取り組み、家庭の教育力向上とそれを補完する地域の教育力向上など、それぞれの所管ごとに多くの取り組みが展開をされています。しかし、施策立案のための基礎的なデータ収集や子どもの貧困と学力格差の因果関係の把握と分析、また、事業効果を検証する仕組みがまだまだ十分でないと考えます。
 貧困対策や格差是正の取り組みを全市一体となって進めていくために、それぞれの調査や分析を含め、所管を超えた情報の共有と子どもの貧困と学力、教育力格差に係る総合的な調査や分析の必要性に対する市長の所見をお聞きいたします。
 
○副議長(楠 正信) 島市長。
○市長(島宗一郎) 子どもの貧困対策につきましては、子どもたちの将来がその生まれ育った環境によって左右されることがないように、全ての子どもが健やかに育成される環境を整備しますとともに、教育の機会均等を図っていくことが重要であるというふうに考えています。そのため、子どもたちの置かれた状況を把握し、その実態を踏まえながら教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援など、さまざまな面から総合的に施策を推進してまいりました。今後とも、貧困が世代を超えて連鎖することがないように、全市一丸となって子どもの貧困対策に取り組んでまいります。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 全市一丸となって取り組みを進めていくとの答弁をいただきました。私はやっぱり、繰り返しになりますが、子どもの貧困対策を進める上で、所管を超え、調査や情報の共有をすることは重要であり、今後、その具体検討を進めていただきたいとの意見を申し上げ、次の質問に移ります。
 次に、いわゆる休眠NPO法人についてです。
 1998年に特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行され、21年が経過をしました。日本でNPO法が成立するきっかけとなったのは、1995年に発生した阪神・淡路大震災でした。全国各地の多くのボランティアが取り組んだ復旧、復興支援活動のうねりが国会を動かし、法制定につながったことは周知のとおりです。それまでは法人格を持たない市民団体等は事務所の賃貸契約や銀行口座を開設することすら難しかったりしていたものが、NPO法人として認証されることにより活動の幅が広がり、社会的な認知も高まりました。
福岡県NPO・ボランティアセンターは、NPOの社会に対する役割として、NPOは社会的ミッションの実現を目指し、政府や企業とは異なり、市民の立場、視点から社会的、公共的課題に取り組み、多様で個性豊かな、しかも、個々のニーズに応じたきめ細かな活動、サービスを提供するものとしています。21年前、社会が抱える困難な問題を解決していく主体として、新しい公共の担い手、また、社会変革の推進力として熱い期待が込められる中で始まった我が国のNPO制度ですが、その社会に対する責任も年々重くなっていると私は思っています。
しかし一方で、社会に対して問題意識を持ってNPOを立ち上げ、活動を始めたものの、多くの団体が人材や資金の調達など、いろんな問題や悩みに直面している状況もあるようです。NPOが寄附やボランティア等の支援を受けやすくするためにも、また、共助社会の推進を図る大きな柱になるためにも、その信頼性を高めることが重要だと考えています。
 今回はこれらの観点から、NPO法人の情報開示の適正化と行政の指導、助言の充実について質問を行います。
 最初に、NPO法人数と推移の概要に関してお聞きします。
 福岡市が所轄している法人数について、平成24年に県から移譲を受けた際の法人数、そして、5年前及び現在の法人数についてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市におきましては、平成24年度に所轄庁として福岡県及び国から業務の移譲を受けており、福岡市所轄のNPO法人数については、24年度に県から移譲を受けた法人は583法人、5年前の26年度末は645法人、令和元年11月末現在で632法人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 次に、活動分野ごとの法人数とその割合について、上位5つをお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市所轄のNPO法人の活動分野ごとの法人数とその割合でございますが、NPO法人の活動分野は特定非営利活動促進法に定める20の分野から選択することとなっており、法人の多くは複数の分野を選択されております。このため令和元年11月末現在で割合の高い活動分野は、保健、医療または福祉の増進が377法人で59.7%、社会教育の推進が312法人で49.4%、子どもの健全育成が286法人で45.3%、団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助が279法人で44.1%、まちづくりの推進が250法人で39.6%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 次に、NPO法人とその活動に対する評価についてです。
 NPO法人とその活動に対し、本市としてどのように評価をしているのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) NPO法人につきましては、地域が抱える課題やニーズをいち早く捉え、行政では十分に対応できない個々の課題やニーズに対し、柔軟かつ迅速に対応できるものと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) NPOに対する認知度や活動に対する信頼性について、市民意識の現状はどのようになっているのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) NPOに対する市民意識の現状につきましては、平成30年10月に実施された内閣府世論調査によりますと、NPO法人を知っている、89.2%、知らない、10.2%、NPO法人を信頼できる、71.5%、信頼できない、14.4%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 信頼できないと答えられた割合が約15%、平成25年の同調査によると、活動のイメージについての設問では、世の中に役に立つ活動をしているとの回答が48.7%と高い評価である一方、どういった活動をしているのかよくわからないと答えた方が19.6%とのことでした。
日本NPOセンターはホームページの中で、NPO法制定を受け、非営利活動という考えが日本社会に着実に受け入れられつつある一方で、法律制定当時に抱いたNPOへの熱い思いが少しずつ忘れられてきているようにも感じられると指摘をしています。その上で、信頼されるNPOの7つの条件の一つに事業報告などの情報を積極的に公開していることを挙げ、この中では、何を目的にどのような活動を行っているのか、その成果はどういうものだったのかという事業の報告と、収支や資産等の会計の報告が大切であり、NPO法人は年度終了後3カ月以内に所轄庁に事業報告書や決算書を提出し、一般の閲覧に供することが義務づけられていますとわかりやすく示しています。
 そこで、平成30年度に内閣府が行った、いわゆる休眠状態にあるNPO法人の実態調査についてお聞きします。
 最初に、この実態調査の目的と調査結果の概要はどのようなものであったのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 平成30年度に内閣府が実施した、いわゆる休眠状態にあるNPO法人の実態調査につきましては、NPO法人の売買問題などが報道され、その背景として、いわゆる休眠状態にある法人の存在が指摘される中、その実態等を把握するため、所轄庁である都道府県及び政令指定都市に対してアンケート調査を実施したものでございます。調査結果といたしましては、30年10月1日時点で全認証法人5万1,745法人のうち、提出期限から3年未満の間、事業報告書等を提出していない法人は6,791法人で約13.1%、提出期限から3年以上、事業報告書等を提出していない法人は1,273法人で約2.5%となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) それでは、本市における事業報告書未提出法人数を3年未満と3年以上に区分してお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 本市における事業報告書等未提出法人につきましては、令和元年10月末現在で3年未満未提出法人が130法人、3年以上未提出法人が18法人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) それでは、本市においては、報告書を提出していない法人に対する指導や処分をどのように行っているのか、これも3年未満と3年以上に区分してお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 提出期限までに事業報告書等を提出していない法人に対しましては、文書により報告書の提出の督促を行っております。また、3年以上にわたり報告書の提出を行っていない法人に対しましては、聴聞の機会を設けており、聴聞に応じなかった法人や報告書の提出に至らなかった法人については認証の取り消しを行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) この実態調査の中では、NPOからの報告書が3年を超えて未提出であるにもかかわらず、一度も取り消し処分を行っていない自治体があることが明らかになっています。本市においては適正に処理されているとのことですので、今後とも、よろしくお願いいたします。
 この報告書の提出がおくれたり未提出のままになっている法人が全国で約15%との報告でしたが、報告書作成すらできていない法人の存在について、報告書未提出というのは肯定はできませんが、年間収益1,000万円以下のNPOが半数を超え、また、3割強は有給の職員がいないことなど、活動基盤の脆弱な団体が多いことを指摘する声もあるようです。
 そこで、NPO法人運営の現状について、年間収益ごとの法人数についてお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 福岡市所轄のNPO法人の特定非営利活動事業の年間収益につきましては、令和元年11月15日現在で事業報告書等を提出されている429法人のうち、ゼロ円が49法人、1円以上1,000万円以下が244法人、1,000万円を超える法人は136法人となっております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) それでは、本市が所轄するNPO法人のうち、活動実績や収入がないなど、活動実態が不明確であると考えられる法人の数をお答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 活動実態が不明確であると考えられる法人については明確な定義はございませんが、議員おただしの活動実績及び年間収益がない法人数は令和元年11月15日現在で、事業報告書等を提出している429法人のうち27法人でございます。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) では、その活動実績が不明確な法人に対する助言や指導はどのように行っているのか、お答えください。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 活動実績がない法人等につきましては、事業報告書等提出時などに、相談窓口において今後の法人運営の方向性や支援ニーズなどの聞き取りを行い、事業の継続や法人の解散などについて助言等を行っております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) 私は今後さらにNPO活動への信頼性を高めるための支援策が必要だと考えます。例えば、市の窓口に来られず、郵送等で報告書が提出された、活動実績が不明確な法人に対しても積極的な指導、助言を行うべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 郵送等により事業報告書等が提出された法人につきましても、必要に応じ助言等を行っておりますが、今後、一定期間活動実績がない法人等に対しましては、法人運営等の相談窓口の案内とともに、事業の継続、法人の解散などについて助言を行うなど、法人の実態に沿った支援を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) 宮浦寛議員。
○57番(宮浦 寛) それでは最後に、NPO活動への信頼性を高める支援施策の推進について本市の考えをお聞きし、質問を終わります。
 
○副議長(楠 正信) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) NPO法人への支援につきましては、今後とも、NPOのニーズに応じたきめ細かな相談体制を整え、活動しやすい環境づくりを進めるとともに、活動実績等の情報公開を積極的に行うよう助言、指導してまいります。また、NPO・ボランティア交流センター等において、さまざまなNPOの活動事例等を積極的に発信するなど、NPO活動への市民の信頼性の向上に向け取り組みを進めてまいります。以上でございます。
 
○副議長(楠 正信) この際、休憩し、午後2時50分に再開いたします。
午後2時40分 休憩  
午後2時50分 開議  
○議長(阿部真之助) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。山口湧人議員。
○37番(山口湧人)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、桜を見る会について、引揚港・博多について、ブラック校則について質問いたします。
 まず、桜を見る会についてです。
 桜を見る会は歴代の内閣総理大臣が主催し、1952年からほぼ毎年4月に開かれています。第2次安倍政権発足後の2013年以降、それまで1万人前後だった参加者がふえ続け、ことしは約1万8,200人となりました。予算額は毎年1,700万円ほどだったのですが、安倍政権になってから予算を超過し続け、ことしは約5,500万円と予算額の3倍に膨れ上がっています。一連の報道にあるように、これだけの税金をつぎ込んで実施している公的行事、桜を見る会は、安倍首相や自民党議員の後援会の接待の場として私物化されている事態が野党一丸の追及のもとで明らかになってきました。
 そこで、お尋ねいたしますが、島市長が2010年に市長に就任して以来、この桜を見る会への市長の参加状況について説明を求めます。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 桜を見る会への市長の出席につきましては、保存文書として確認できる範囲で申し上げますと、平成27年度以降、毎年、内閣総理大臣より招待を受け、公務として出席しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 第2次安倍政権になって、毎年参加をされているようです。桜を見る会は、各界で功績、功労のある方々を招待し、日ごろの労苦を慰労するという目的で開かれています。例えば、勲章を受けたり、ボランティアや災害復旧、復興などに貢献されたりしてきた方々です。
 そこで、お尋ねしますが、島市長はどのような功績、功労が評価されて毎年招待されているとお考えですか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 桜を見る会の招待者につきましては、内閣府及び内閣官房において取りまとめられているものと聞いておりまして、福岡市としては具体的な招待理由については把握しておりません。
 なお、桜を見る会の開催要領では、都道府県の知事及び議会の議長など、地方自治体関係者も招待範囲とされておりますことから、市長は地方自治体の関係者として招待されているものと理解しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) その全国地方自治体の枠でと、そういうふうに招待されていると、その根拠は何ですか、説明をお願いします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 内閣官房及び内閣府より発出されております開催要領の中に、招待範囲として都道府県の知事及び議会の議長などのというふうに文言が記載されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 結局、何の功績か功労が評価されて呼ばれているのかわからないと、市長もそれは説明されないとわからないということでよろしいですか。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) それは参加者は多分どなたもどういった功績でということを明確に言われているわけではないというふうに思います。取りまとめた内閣府等のほうで、そうした功績と呼ぶべきかそうでないのかというような判断をされているものというふうに認識をしております。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) それでは、今問題になっているのは首相推薦枠であります。その中には首相夫人の昭恵氏のお友達も多数含まれているということが濃厚となっております。招待状と一緒に受付票も届くはずですが、その受付票には推薦者の招待区分を示す数字が記載され、60は首相枠だという報道があります。
 そこで、お尋ねいたしますが、島市長のもとに届いた招待状、受付票には首相推薦を示す60という数字が記載されていたのではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 招待状の同封物につきましては、旅行命令書の作成に必要な招待者、日時、会場などの情報が記載された招待状の写しは保存しておりますが、受付票につきましては当日の受付に提出しているため、内容を確認することができません。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) そうなんです。ですから、市長にしかわからないんですよ。招待状のコピーをいただきましたけれども、これだけでは誰の推薦かわからない。昭恵氏から直接お誘いを受けたということはありませんか、市長、答弁をお願いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 先ほどから言っているとおり、個人的に呼ばれるという形ではなくて、最終的に内閣府が取りまとめて、そちらのほうから招待状が来るわけですから、どういった形で来たかはわかりません。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) これは否定されますけれども、結局どんな理由で、誰からの推薦なのかわからないけれども、毎年参加をし続けたと。公務として出席しておられるわけですが、余りにも無責任だと言わなければなりません。今そういうふうにどんどん参加者がふえ続けているということが問題となっているわけです。
 それでは、桜を見る会に毎年参加をされている島市長に、今問題となっている一連の疑惑について、その認識をお伺いしたいと思います。
 まず、公的行事でありながら、安倍首相らが自身の後援会員を大量に招待していた事実について、税金を使った私物化だという批判が強まっておりますが、市長の御所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 桜を見る会につきましては、私は招待される側でありまして、全容を把握しているわけではありませんので、主催される国において適切に対応されるものと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 明確な答弁を避けられました。
 では、桜を見る会に反社会的勢力が招待され参加をしていたこと、首相推薦枠で悪徳マルチ商法で行政処分を受けたジャパンライフの元会長が含まれており、その招待状を使って大々的に宣伝し、強引な勧誘を展開して多くの被害者を生み出したこと、こういうこと自体が重大な問題だと思いますが、市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 繰り返しになりますが、桜を見る会につきましては、私は招待される側でありまして、全容を把握しているわけではございませんので、主催する国において適切に対応されるものと考えております。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 報道を見ておられないんですか。反社会的勢力とかジャパンライフの元会長が招待されていたんです。桜を見る会は招待されないと参加できないんです。そういう方々と同じ場所にいたんですよ。ジャパンライフによる被害者は約7,000人で、被害額は約2,000億円に上ると言われています。このような悪徳商法の会社の元会長や反社会的勢力と同じ場所にいたということは重大だと認識すべきであります。
 さらに、次々浮上する疑惑を解明しようという野党議員の追及に対して、政府は資料要求の当日に名簿を廃棄し、バックアップデータが一定期間存在していたのに復元もせず、資料は廃棄したので確認できない、バックアップデータは行政文書ではないなどと繰り返し、真相究明に背を向けております。
 お尋ねしますが、安倍政権は国会での説明責任を全く果たしておらず、このまま疑惑をうやむやにすることはあってはならないと考えますが、市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 私は国会議員でもありませんし、与党と野党が今、国会のほうでどういうやりとりをしているかという全容を把握しているわけではございませんので、そうした内容については国において適切に検討がなされるものと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) これだけ桜を見る会の問題は安倍政権のうそとごまかし、改ざん、隠蔽、虚偽答弁、究極のモラルハザードが露骨にあらわれた問題だと思うんです。こういうものに物が言えない、自分の考えを述べようともしないというのは、さすが安倍首相と昭恵夫人のお友達だと言われても仕方がないと思います。
 それでは、公的行事であるこの桜を見る会への参加は公務だということですが、あなた方の資料の出張命令書では直近の3年間、この出張の交通費はゼロ円であります。なぜ公費が支出されていないのか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 平成30年及び平成31年の桜を見る会につきましては、市長が公務外の要件で東京に滞在している期間中に開催されまして、航空賃や日当が必要なかったため、旅費の全額を減額したものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 桜を見る会の前日に公務外の要件があるために公費が使われていないということでありますが、その公務外の要件というのは、桜を見る会の前夜祭のことですか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 公務外の話ではありますけれども、公務外で私が東京に行っている間に桜を見る会もありましたので参加をした、ですから、交通費等は自分で払っているということであります。ちなみに、前夜祭にも時間が合えば参加をしているということでございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) その前夜祭にも毎年参加されているんですか。ことしも参加されたんでしょうか、答弁を。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) ことしは参加をいたしました。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) その前夜祭の会費は幾らお支払いになられましたでしょうか。それは自費で払ったのか、公費なのか、あわせてお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 招待されているわけではありませんけれども、入り口で、受付でお金を払えば入ることはできますので、受付で払いました。定かではありませんけれども、5,000円だったというふうに思いますので、そのときポケットからお金を出して払いました。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 会費5,000円を自費で払ったということですけれども、破格の安さだなと思われませんでしたか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 値段はいろいろありますけれども、夕食会というような形で書いていますけれども、実際は夕食というか、立食でたくさんの人が立っている状況でありまして、食事は端っこのほうにつまみのようなものがあったので、実際、食事は多分ほとんどの人は、その後、私も含めて、せっかく東京にいるわけですから予定をするわけですね。ですから、立派な食事が出たというわけではありませんので、5,000円というのは適切だなというふうに思います。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 夕食会ですけれども、その後に御飯を食べるだろうということなんでしょうか。私もホテルニューオータニに行ったことありませんけれども、5,000円というのは非常に安いというのが広く一般的な感覚ではないかと思います。
 この前夜祭はどんな問題が指摘されているかといいますと、その安倍後援会主催の行事であるにもかかわらず、政治資金収支報告書に記載がないばかりか、明細書や領収書などもいまだに示されておりません。本来の価格と実際は大きく開きがあって、その差額を安倍事務所が負担したのではないかという疑惑が指摘されております。これは公選法違反の疑惑です。
 このような前夜祭のあり方、問題だと考えますけれども、市長の御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) そのあたりの全容に関しては、私は参加をした側でありますので、適切にその主催者のほうに聞いていただければというふうに思います。いずれにいたしましても、ニューオータニというホテル自体は立派なホテルでありますけれども、食事自体が、例えば、着席で1人5,000円、もしくは1万円分の食事が出るという形ではなくて、実際、場所があって、そして、飲み物と、それから、おつまみのような食事がそこにあったというものでございます。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 正当化されます。相変わらず問題ないという答弁ですけれども、事は首相の公選法違反が疑われている事態であります。
 ことしはその前夜祭に約850人が参加をされ、翌朝の桜を見る会には貸し切りバス17台で移動をしたという証言もあります。まさに前夜祭と桜を見る会がセットとなっていて、事実上の後援会の一大行事になっているわけであります。
 そこで、お尋ねしますが、この安倍首相の後援会の行事にどうして島市長が参加をされているのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 正式に招待をされているわけではありませんが、開催されている日時等は知っているわけでありまして、公務外で私は東京にいたんですけれども、時間が合えば顔を出すという形で参加をしているということです。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 市長が毎年のように福岡を離れて、2日間にわたり安倍後援会の行事である前夜祭、そして、なぜ呼ばれているかもわからない桜を見る会に参加をしていると。これが市長の適切な職務だとはとても言えないと私は思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) この呼ばれていることに関しては、なぜ呼ばれているかわからないというか、それは一定の功績があったというふうに最終的に内閣府のほうで御判断いただいたので、私は参加をしているわけでございますし、また、その前の前夜祭等も、これは公務外の話で、自費で行っているわけですから、何ら問題ないというふうに思っています。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) まるで市長は安倍後援会のお一人のようであります。桜を見る会は安倍政権になってから参加者がふえ続け、首相を初め、自民党議員、とりわけ選挙を控えた議員に多くの招待状が配分されていたことが明らかになっております。新宿御苑を貸し切って、禁止されている飲食も特別に認められ、飲食物も無料で提供されて、お土産まで配られると、これを国民が納めた税金でやっているんですよ。しかも、国会の予算審議の最中にその予算を大きく上回る発注がなされていたということです。東京見物や前夜祭も組み込まれた一体ツアーまで行われるという異常事態であります。公的行事を私物化し、税金を使って選挙活動をしていたという事実上の買収行為、安倍政権と自民党の公選法違反の疑惑が一層深まっております。
 このような会に市長が参加することには市民の理解は得られず、問題があると考えますが、市長の御所見を伺って、この質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 桜を見る会につきましては、内閣総理大臣が主催をする伝統ある公式の行事でありまして、政令市の市長として、このような会に招待されることは名誉なことであるというふうに考えています。一方、会のあり方についてさまざまな意見もあっていることから、今後、主催する国において適切に対応、また、検討がなされるものと考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) そんな答弁では納得できません。問題や疑惑だらけの桜を見る会に市長が参加するのはおかしいというのが市民の声です。このような行事にうつつを抜かすべきではないと強く申し上げて、次の質問に移ります。
 引揚港・博多についてです。
 1945年の敗戦と同時に、中国や旧満州、朝鮮半島などに取り残された日本人は軍人や軍属などを含め約660万人であり、そのうち博多港では約1年5カ月の間に約139万人の日本人が引き揚げてきました。私の祖母も引揚者で、幼い弟の手を引いて何日も懸命に歩き続けたそうです。一夜にして敗戦国の国民となった日本人の多くが命からがら引き揚げてきたこと、日本最大規模の引揚港としての役割を果たした博多港の歴史や記憶を次世代の若者に伝えたいという引揚者の皆さんの思いは切実であります。そのような中で、市は2021年度までに市民福祉プラザの一角にある資料展示コーナーのあり方を見直し、活性化を目指す方針を示しました。
 そこで、お尋ねいたしますが、今回、市が重い腰を上げて展示コーナーの改善が必要だという方針に転換した理由と今後の検討内容について説明を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの資料展につきましては、博多港の引き揚げの歴史を通して平和のとうとさを後世へ伝えるため、平成23年度から市民福祉プラザ1階に開設をいたしております。資料展では、開設以来、118点の資料やパネルなどを展示しておりますが、令和3年度に開設から10年の節目を迎えることを機に、展示資料の一部について入れかえを行うこととしているものでございます。入れかえに当たりましては、関係者や有識者などから成る検討委員会を設置し、資料の選定方法や展示のあり方などについて検討することといたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 開設から10年を迎える節目に展示資料の入れかえを行うと言いますが、そもそも市は展示コーナー開設時には3年ごとに入れかえると言っていたのに全く動かず、引揚者などから提供された資料約2,600点は公開されずに、総合図書館の保管庫に眠ったままという状態であります。
 お尋ねしますが、見直しに当たり有識者を含めた検討委員会を立ち上げ、関係者や専門家の意見を聞くということですが、この検討委員会は既に立ち上がっているのか、メンバーは決まっているのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 検討委員会につきましては、現在、設置に向けた準備を行っておりまして、また、委員につきましても、その構成について検討しているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) まだ検討中ということであります。早急に立ち上げるべきです。
 そこで、その際、この検討委員会には当事者である引揚者の方々及び引揚げ港・博多を考える集いの方々を加えるべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 検討委員会の委員につきましては、引き揚げ当事者や関係団体、学識経験者など、幅広く検討をいたしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) これも検討中だということです。本当に資料展を改善しようという気があるのであれば、当事者を、引揚者の方を検討委員会のメンバーにすることは必須条件だと指摘しておきます。
 引揚げ港・博多を考える集いの堀田広治事務局長は、ふくふくプラザ内の資料展について、博多港が果たした歴史的役割に比べ、余りに規模が小さい、資料についての説明をする学芸員もおらず、深みのある展示になっていないと指摘されています。先日、福岡で初めて開催された東京の平和祈念展示資料館の毎年巡回展である平和祈念展in福岡では、福岡市所蔵の資料52点が引き揚げ関係資料として展示されました。その中には、引き揚げで孤児となった子どもたちのかつての孤児院、聖福寮の名簿やアルバムがありました。また、引揚げ港・博多を考える集いのメンバーの一人、倉地弘子さんの引き揚げのときに必要だった腕章も展示されていました。この腕章は約20年前に倉地さんが福岡市に提供したもので、今回初めて公開されたわけです。倉地さんはもう見られないかもと半ば諦めていたといいます。
 そこで、お尋ねいたしますが、引揚者の方々が当時の状況を広く市民に知らせたいという思いで提供された資料を暗い倉庫に眠らせたまま入れかえもせず、その思いにふたをし続けてきたことについて市はどのように認識しておられるか、答弁を求めます。あわせて、提供された資料や遺品を全て公開するという立場に立つべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 市民の皆様から寄贈いただきました引き揚げ関係資料は大変貴重なものであり、これを効果的に生かしながら博多港の引き揚げの歴史や、これを通して平和のとうとさを後世に伝えていくことが重要であると認識をいたしております。このため、常設をしております資料展におきましては、関係団体の方などと協議を行った上で資料を選定し、わかりやすい展示に努めているところでございます。また、平成24年3月から市のホームページ上に博多港の引き揚げの歴史について紹介するページを開設し、掲載について了承を得られた約500点の資料について広く公開をいたしております。さらに、引き揚げに関する企画展への資料の貸し出しを行うなど、引き揚げの歴史をより多くの方に知っていただけるよう努めているところでございます。今後、設置を予定しております検討委員会におきましては、資料の選定方法や展示のあり方に加え、資料のさらなる活用方法についても、検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 引揚者の皆さんと関係者の思いを重く受けとめて、資料の全面公開をするように強く求めておきます。そこで、約2,600点の資料を全て展示しようとなると、現在の展示コーナーは余りにスペースが小さ過ぎます。西日本新聞の報道によると、引揚げ港・博多を考える集いに参加している福岡女子大の学生は、その展示コーナーが奥まった場所にあり、追いやられている感じがしたと語っています。福岡市は引き揚げの歴史だけではなくて、広島、長崎に次いで被爆者が多く、福岡大空襲では1,000人以上が亡くなるなど、戦争による痛ましい歴史があります。
 そこで、お尋ねしますが、本市が原爆や福岡大空襲、そして、引揚港・博多の歴史を網羅した常設の平和資料館を設置することが必要だと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 常設の平和資料館の設置についてのお尋ねでございますが、戦争の悲惨さと平和のとうとさを後世に正しく伝えていくため、博物館やふくふくプラザにおいて戦時関係資料の展示を行っているところであり、今後とも、その充実に努めてまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 真剣に検討を始めるべきだと思いますし、本市の責任でこの平和資料館の設置を進めるように強く求めておきます。
 次に、引き揚げの歴史の継承についてです。
 公立の資料館がないので、体験を継承することが難しい中、大学生が引き揚げ体験の聞き取りを始めております。その学生が毎日新聞の取材に、リアルな体験を直接語ってもらうほうが若者も理解しやすいし、体験していない自分たちが語り部になったときにも伝えやすいと語っています。私も広島や長崎で被爆者の方から直接体験を聞かせていただく機会がありました。本や資料だけでなく、直接体験を聞いて、歴史を真摯に学ぶことは心を揺さぶられ、平和な社会をつくるための主体的な行動につながります。現在、広島市や長崎市は被爆者本人から体験を聞いて実相を語り継ぐ伝承者、いわゆる語り部の育成に力を入れています。被爆者の平均年齢が82歳を超える中で、被爆体験を次世代に継承する事業に自治体が責任を持って取り組んでいるのです。
 そこで、お尋ねしますが、本市も広島市などに学んで、引き揚げ体験を本人にかわって語り継ぐ伝承者を養成する事業を始めるべきだと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 博多港の引き揚げの歴史につきましては、現在検討を進めております展示資料の入れかえによる資料展の充実や引き揚げ関係資料の各種イベントなどへの貸し出し、また、学習教材としての活用などを通じて、今後とも、その継承に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 全くやる気のない答弁でありますが、引揚者は高齢となり、市民が直接話を聞くことができる時間が少なくなってきています。先ほど紹介した学生は、引揚者の方は誰かに託さないと引き揚げの歴史や記憶が消えてしまうという思いが強い、それに応えたい、体験者による語り部のイベントを企画したいと積極的に取り組んでいます。また、南区の高校生たちは引き揚げに関する記録映像を制作し、体験者の話を聞く活動を続けています。その一人は、福岡は引き揚げを学ぶ機会が少ない、軽視しているのではないかと語っています。そして、今、長年口を閉ざしていた引き揚げ体験者の方々がその歴史や記憶を広く市民に知らせたい、誰かに託したいと自分の体験を語り始めています。市は若い人たちの声と行動、引揚者の思いを受けとめ、歴史の継承に責任を果たすべきです。
 そこで、お尋ねいたしますが、今回の資料展、引揚港・博多の見直しについては、引揚者の思いを最大限反映し、全ての資料を市民に公開するためにも、原爆や福岡大空襲、引き揚げなど、福岡市の戦争の歴史を網羅した常設の平和資料館をつくるとともに、引き揚げの歴史を後世に語り継ぐ伝承者の育成に踏み出すべきだと考えますが、最後に市長の答弁を求めて、この質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 我が国は、さきの大戦を通して戦争の悲惨さを身をもって経験しますとともに、平和が何よりもとうといものであることを深く心に刻んでおります。福岡市におきましても多くの方が戦禍の犠牲となられ、かけがえのない多くのものを失い、博多港には終戦直後、多くの方が苦難の中、異郷の地より引き揚げてこられた歴史がございます。二度と戦争を繰り返してはならないという願いは人類共通のものであるとともに、全国民、そして、市民の願いでもあると考えています。福岡市では博多港引き揚げの歴史や戦争体験を通して平和のとうとさを後世に伝えるため、ふくふくプラザにおける引き揚げ資料の展示や博物館における戦時関係資料の常設展示を行いますとともに、小中学校においてはさまざまな機会を捉えて平和に関する学習を積極的に行っています。また、毎年、福岡大空襲について戦没者合同追悼式や博物館における企画展示を開催しているところでございます。今後とも、戦時関係の記録や資料の収集及び展示の充実に努めるなど、平和に関する取り組みを実施することによって、戦争の悲惨さを風化させることなく、平和のとうとさを後世に伝えてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) そのためにも、常設の平和資料館や伝承者の育成が求められているわけであります。引揚者も被爆者も、もう時間がありません。私たちが直接その思いを聞くことができる最後の世代だという意識が高校生や大学生の活動につながっています。その行動を市が応援すべきであり、その責任があることを指摘しておきます。
 次に、ブラック校則についてです。
 ブラック校則とは、一般社会から見れば明らかにおかしい校則や生徒心得、学校独自のルールなどの総称として定義されています。2017年、生まれつき茶色がかった地毛を黒く染めるよう教員から強要されて精神的被害を受けたとして、大阪府の女子高生が裁判を起こしたことをきっかけに、「ブラック校則をなくそう!」プロジェクトが立ち上がりました。このプロジェクトが集めた署名は2年間で6万筆を超え、ことしの8月に文科省に提出されて、ブラック校則についての社会の関心は高まり、全国で校則の見直しが広がっております。
 そこで、お尋ねしますが、本市において各学校の校則はどのように決められているのか、また、教育委員会は各学校の校則について把握しておられるのか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 校則は学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において定められるもので、各学校の校長、副校長や教頭、生徒指導担当教員等で組織する会議で検討し、校長が制定しております。また、福岡市教育委員会では服装の規定や頭髪などの主な校則や指導のあり方について、福岡市立中学校校長会と情報共有するなど、取り組みを行っております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 校則は校長が制定をし、全て教育委員会が把握しているわけではないということですけれども、学校任せでいいのかが問われていると思います。私は実際に中学生などに、これはおかしいと思う校則はないか、聞き取りをしてまいりました。例えば、頭髪について、生まれつき茶色がかった明る目の色の生徒に対して黒く染めるよう指導したり、天然パーマの生徒には天然パーマ証明書を提出させたりという指導があったと聞きました。また、前髪は目や耳にかからない、横は耳、後ろは襟足にかからない長さとされ、女子は長過ぎるとピンでとめたり、ゴムで結んだりしなければならず、ピンやゴムの色も細かく指定されております。
 そこで、お尋ねしますが、このような事例は個人の尊厳を踏みにじる人権侵害に当たるのではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 髪を染めた生徒に対しては、生徒指導上、もとに戻すよう黒染めの指導を行うことはありますが、市立中学校においては、議員が指摘されたように、本来の髪の色を黒く染めさせるようなことや地毛証明を提出させることは行ってはおりません。また、髪が目にかからないよう指導することは生徒の目の健康上の理由があり、防寒着や靴下の色の指定は経済的に入手しやすいものとなるようにとの理由から定められていますので、議員が指摘された校則につきましては、社会通念上、合理的範囲内であると考えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 実際にあると中学生から私が聞いたことを話しております。学校の裁量でそのままではなく、野放しにすることは許されないと思います。生徒からなぜ眉や耳にかかってはいけないのか、なぜ生まれ持った髪を染めないといけないのかと質問されても、教員は明確にその根拠を語れずに、校則で決まっているからとただ繰り返すだけです。先生によって基準が違う、厳しい先生もいれば緩い先生もいる、検査のときだけ守っている、こういう声も聞かれました。校則に合理的な理由、意味がないことをあらわしていると思います。
 次に、ほとんどの学校でカッターシャツの下に着る肌着、下着の色を白と指定し、そのチェックまでしておりますが、これはハラスメントに当たるのではありませんか、答弁を求めます。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市立中学校では、カッターシャツやブラウスの下に着用するものについては、華美な色はシャツやブラウスから透けて見えるためや経済的理由から色の指定をしていることはございます。しかし、それ以外の下着などの色を指定することはありません。また、下着の検査は実施しておらず、ハラスメントに当たるような対応は行っておりません。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) そもそも肌着や下着の色まで校則で決めることに教育的意義は全く感じられません。一般社会でワイシャツの下に着る色まで指定なんてされません。学校では色つきや派手なシャツを着ていたら脱がされるんです。肌着や下着の色を指定し、チェックすることは、あらゆるハラスメントをなくしていこうという社会の流れに逆行しております。ほかにも靴下の色はほとんどの学校が白と指定し、その長さは床から15センチ以上と決まっています。防寒着やマフラーについても、色や長さの指定があり、派手なものは禁止されています。また、アレルギーで肌が弱く、日焼けどめをいつも塗らないといけないのに、その許可が必要だったという声もありました。
 子どもの了解もなく、一方的に決められた理不尽な校則が子どもの健康を損なわせ、精神的にも肉体的にも苦しめているという実態を放置することは許されず、教育委員会がイニシアチブをとってブラック校則の実態調査を行うべきと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市立中学校の校則は学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において定められるものと認識しており、今後も各学校の校則の内容把握に努めてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 必要かつ合理的、適切に運用されていると言いますけれども、これは実態を見ない答弁だと思います。実態をしっかり調査していただきたいと思います。
 文科省は校則について、校則自体は教育的に意義のあるものですが、その内容、運用は児童生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情、時代の進展などを踏まえたものとなるよう積極的に見直しを行うことが大切としています。社会通念に照らして合理的でない校則は見直すべきであります。ブラック校則は単に明文化されたおかしな校則のことだけを指すのではなく、理不尽な指導や学校独自のルールを子どもたちに押しつけていることが問題だという指摘もあります。私が聞き取り調査をしたところ、ある学校で行われた遅刻ゼロ週間では、その期間に遅刻した生徒は昼休みに武道場に集められて正座をさせられた。これは体罰であって、許されません。そして、給食時間には放送で名前を発表されるそうです。まさに見せしめであります。
 お尋ねしますが、こういった余りにも行き過ぎた指導が生徒を学校から遠ざけている、不登校にもつながっているのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市立中学校においては、議員御指摘のような指導が行われているという報告や相談は受けておりません。全ての生徒が健全で快適な学校生活を過ごすために、校則は学校や生徒にとって必要なものであり、生徒みずからが校則の必要性を理解し、納得できるような指導を行うことは大切であると認識しております。また、不登校生徒への対応については、個々に応じた丁寧な対応を引き続きしてまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 実際に起こっているんですよ。教育委員会として学校現場に至急調べさせてください。調べてください。校則や指導が厳しくて学校に行けなくなったという子を私もたくさん知っています。校則が生徒の自尊心を傷つけてストレスになっています。
 そこで、お尋ねしますが、個人の尊厳を傷つける理不尽で行き過ぎた指導はやめるべきだと考えますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 福岡市立中学校においては、それぞれの教育目標を達成するために必要かつ合理的範囲内において校則が定められております。生徒への指導については、各学校に対し、適切な対応が行われるよう指導してまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 繰り返しの答弁ですけれども、その学校の理不尽をこのまま放置するのは許されません。政府も生徒の自尊感情の低下を招き、精神的に追い詰める指導は好ましくないと国会で答弁しています。また、多いところで毎月1回行われている生活頭髪検査は、生徒を指導しなければならない教員も大変です。授業を潰して、1時間の検査のためにその学年担当の先生たちが集められます。生徒指導のために朝早く出勤したり、それぞれの学校の校則や独自のルールに振り回されたりするのは教員側にも大きな負担となっています。
 そこで、お尋ねしますが、意味のない校則を守らせる、従わせる指導をすることは教員の負担を増大させ、多忙化に追い打ちをかけているのではないかと思いますが、御所見を伺います。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 子どもたちに校則や社会規範を守ることの大切さを理解させたり、校則を自分のものとして自主的に守るように指導する時間は子どもたちにとって大切であり、教員の重要な役割であると捉えております。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 山口湧人議員。
○37番(山口湧人) 先生たちは勤務時間前の朝早くから校門に立って、服装や頭髪をチェックしているんです。校則を守らせないといけないと、その思いで教員も学校で息苦しさを感じていますよ。東京都の世田谷区では校則を公開して議論を進め、2020年度から男女別の髪形や下着の色といった校則を撤廃する方針を示しました。世田谷区の桜丘中学校は制服も髪形も自由にし、生徒手帳には校則ではなくて子どもの権利条約を載せています。校長先生は、校則を守らせることで、むしろ思考停止になっていることが多い、なぜ髪を染めたらいけないのか、なぜ靴下は白でないといけないのか、その明確な説明がないままに、ただ規則だから守れというのでは生徒との信頼関係はつくれないと語っています。この学校では、校則をなくすと先生たちも気が楽になって、荒れていた状況は改善され、学力も上がったそうです。このような話を聞きますと、ほとんどの校則が必要ないんだなと感じさせられます。国連子どもの権利委員会は日本政府に対し、学校制度において子どもが参加する権利が制限され、子どもの意見の尊重が限定的なものにされているということを懸念する旨を何度も勧告しております。
 したがって、子どもを自律した存在として捉え、主体的なかかわりを重視して、校則の見直しに生徒の意思が反映される仕組みをつくり、ブラック校則を本市の学校現場から一掃すべきと考えますが、最後に教育長の明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 星子教育長。
○教育長(星子明夫) 校則は学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的範囲内において定められるものであり、生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として、各学校において定められています。文部科学省発行の生徒指導提要では校則の見直しは校長の権限と示されておりますが、生徒の意見を取り入れた学校の事例も紹介されております。福岡市においても、各中学校で令和2年度から採用する中学校の新標準服の校則を定める際には、新標準服採用における校則に関するガイドラインに基づき、生徒や保護者からさまざまな意見を取り入れてきました。今後も各学校の校則が生徒、保護者が理解し、より教育的効果を高める内容となるよう取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾)登壇 お疲れさまです。本日の質問の最後のバッターになります。公明党の勝山信吾でございます。私は公明党福岡市議団を代表して、市政情報の積極的な発信について、高齢者を住宅火災から守るための対策の拡充について、被災者に対する住宅支援について質問させていただきます。
 初めに、市政情報の積極的な発信についてお伺いいたします。
 市税収入が6年連続最高を更新するなど、福岡市は勢いのある元気な都市として認識していますが、自分たちが納めた税金が適正に使われているのか知る機会が少ない、市の財政状況や今後の課題がわからないとの市民からの声が私のもとに届きました。また、一般の市政の情報をもっと知りたい、市政だよりにも目を通すが、知りたい情報が記載されていないこともあり、どこで情報を入手すればいいのかわからないとの声を伺うケースも少なくありません。市民に財政状況はもとより、あらゆる市政情報をわかりやすく積極的に発信することで、本市が目指す重点施策や財政情報などが市民にしっかり伝わり、理解を広げ、信頼を深めることができます。
 そこで、本市では市民に対し、市政情報についてどのような情報発信を行っているのか、情報発信の手法やツール、発信時期などについてお伺いいたします。
 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 市政情報につきましては、市政だよりとホームページを基本に、テレビ、新聞を初め、インターネットによる動画配信やSNS等の多様な広報媒体を効果的に組み合わせて市民へ提供するとともに、報道機関への情報提供などを通じて発信しております。市民に情報を発信する時期につきましては、事業やイベントなどの実施状況に合わせて市民が情報を必要とするタイミングを勘案し、事業担当課と協議の上、決定しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) また、財政情報は市民の関心も高く、わかりやすく市民に伝える必要があると考えます。
 財政状況について市民にどのように情報を発信しているのか、発信時期や冊数、配布方法を含めた情報発信の具体的な取り組みについてお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 松本財政局長。
○財政局長(松本典久) 福岡市では4月の市政だよりで新年度当初予算の内容を市民にわかりやすくお知らせしているほか、ふくおかしの家計簿を作成し、本庁舎や各区役所、出張所などで約1,700部を配布しております。また、決算につきましても、財政のあらましを10月ごろに作成し、本庁舎や各区役所、出張所などで約200部を配布しております。さらに、これらの内容を市のホームページに掲載し、ダウンロードできるようにしているところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) ふくおかしの家計簿、財政のあらましを発行しているとのことですが、恥ずかしながら私は議員になって初めて、これらの説明資料を目にいたしました。とてもわかりやすくまとめられており、一人でも多くの市民に手にとってほしいと思っております。
 市政情報に話は戻しますが、先ほどの答弁でホームページの情報発信もあるとのことでしたが、閲覧件数が多く、市民の関心が高い主な内容は何かをお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 福岡市ホームページにつきましては、ごみに関する情報、福岡市関連ダムの貯水率等の情報やお出かけ情報などのページのアクセス数が年間を通して多くなっておりますが、大雨や台風接近時には災害に関するページの、大規模なイベント時にはその関連ページのアクセス数が多くなるなど、時期やその時々の状況により市民の関心が高いと思われる内容は異なっております。例えば、ことしの10月はラグビーワールドカップの情報、浸水ハザードマップなどのページのアクセス数が目立って多くなっておりました。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 10月にはラグビーワールドカップの情報とともに、浸水ハザードマップなどのアクセスが多かったとのことです。ことしの台風19号で河川が氾濫したニュースを見て、自分の住むエリアを浸水ハザードマップで確認したいと思った市民も多いのではないかと思います。私のもとにも、どこでもらえるのかという問い合わせも数件ございました。
 そこで、伺いますが、浸水ハザードマップについて、最新のものはいつごろ作成され、各戸に配布されたのか、詳細をお伺いします。また、ハザードマップに関する問い合わせが本市でもあったと思いますが、そのような場合、区役所等で個人に再配布できる体制は整っているのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 浸水ハザードマップにつきましては、平成23年6月に作成し、市内の全世帯へ約77万4,000部を配布いたしており、現在は市役所1階の情報プラザのほか、各区役所防災担当課や情報コーナーにおいてどなたでも入手できるようにするとともに、市ホームページにも掲載し、いつでも確認、印刷することができるようにしております。また、市民の皆様が必要なときに必要な情報をスマートフォン等により確認でき、複数の災害リスクを重ね合わせて表示することや、任意の場所を拡大し印刷することも可能な総合ハザードマップを平成31年3月より配信いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) ホームページなどで検索できることはわかりました。
 近年のスマートフォンの普及率、保有率は高く、スマートフォンを巧みに操作する人も多くなりました。全てを依存することのよしあしはあるにせよ、情報ツールとして使わない手はないと思います。
 福岡市ではLINEを活用してごみ出し日に関する情報提供などを行っていますが、現在、LINEを活用してどのような情報発信を行っているのか、お伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) LINEを活用した情報発信につきましては、福岡市LINE公式アカウントに友達登録した利用者に対し、防災、ごみの日、子育て、防犯・交通安全、市政だより、お知らせの6つのカテゴリーの中から利用者が配信を希望する情報をタイムリーに発信しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) スマートフォンの利用者はLINE以外のSNSも利用していると思いますが、現在、市の情報発信においてどのように活用しているのか、また今後、スマートフォンを活用した効果的な情報の発信についてどのように考えているのか、所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) スマートフォンの利用者に向けた情報発信につきましては、現在、LINEを活用した情報発信以外にも、ツイッターを活用したイベント情報や防災情報などの発信や、フェイスブック、インスタグラムなどを活用した市政情報の発信も行っております。今後も発信する情報の内容に応じて使用する媒体を使い分け、それぞれの媒体の利用者層などの特性に合わせた効果的な情報発信に取り組んでまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 引き続きスマートフォンなどの便利な機能やSNSを活用し、その特性を生かして、タイムリーできめ細かな情報発信をしてもらいたいと思います。
 一方、スマートフォンやパソコンなどより、紙媒体での情報を求める人も多いのが実態です。私は対面でやりとりしながら市民が求める情報を提供でき、そこに行けば知りたい情報が手に入るというワンストップの場所が求められていると思います。
 そこで、本市には対面で対応し、情報を提供する場所の一つとして情報プラザがあります。この情報プラザの概要についてお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 市役所本庁舎1階ロビーに開設しております福岡市情報プラザでは、市民生活にかかわりが深い市政情報や文化、スポーツ・レクリエーションなどの情報をチラシやパンフレットとして提供するほか、本庁舎の利用案内や本市刊行物の有償頒布などを行っており、年間の来館者数は約32万人、1日当たり約880人の方が利用されております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 本庁舎の情報プラザは私も利用しますが、大変便利です。
 住民にとって一番身近な各区役所ではどのようにしているのか、お伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 各区役所におきましては情報コーナーを設けており、市政情報に関するチラシやパンフレットなどを配架し、市民に提供しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 各区役所の情報コーナーと本庁舎の情報プラザを比較して、各種チラシ、パンフレットの種類など情報量に違いはありますでしょうか、お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 各事業担当課で広報印刷物等を発行した場合は、情報プラザのほか、各区役所にも送付し、市政情報の提供に努めております。各区役所におきましては区に特化した情報も提供しており、情報量の単純な比較はできませんが、区役所の1階には市民課などの利用者が多い窓口を設置しておりますので、その中で限られたスペースを有効に活用し、できるだけ多くの情報を提供できるよう各区で工夫してチラシなどを配架しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 先週、東区役所を見てまいりましたが、柱の周りにぐるりと各種チラシやパンフレットが置かれ、決して目につきやすい場所ではございませんでした。また、知人から伺った話だと、知りたい情報があり尋ねると担当の窓口を案内されたり、複数の情報を入手したいときは結果的に何カ所も足を運ぶことになったとのことでした。先日、さいたま市役所を視察させていただいた折、同建物に入っている浦和区役所の浦和区情報公開コーナーに案内され、話を伺うことができました。さいたま市は区ごとに情報公開コーナーを設置しており、1日約50名の方が利用されているそうです。そこには市、区の情報チラシ、市政だより、各区のハザードマップも設置され、皆さん自由に持ち帰ることができます。また、市の総合計画や各種議事録なども閲覧可能で、その場でコピーをすることもできます。専用タブレット端末も設置され、窓口職員の方が来室者の方への助言や対応を行っていました。さらに、各区で情報公開請求の手続をすることもできるとのことでした。
 私は市民が知りたくなった市政情報はここに行けば入手できるという情報プラザ機能を各区役所に拡充すべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 小野田総務企画局長。
○総務企画局長(小野田勝則) 市民に身近な区役所における市政情報の提供は大変重要と考えており、どのような情報提供のあり方が望ましいか、区役所とともに検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) また、区役所だけに限らず、東区のなみきスクエアなど、区役所から遠い地域の住民向けにも市のさまざまな施設で、情報発信、情報提供の場として活用し、市民の皆様に情報がすぐに届けられるよう市の情報提供を一層充実させてほしいと思います。
 福岡市は発信力のすぐれた都市であると評価されていますが、私は市長の発信力が大きな要素の一つであると感じています。本市の発信情報が市民に確実に届くことは重要です。あらゆる媒体、技術を活用し、広い世代の市民や地域に届くような効果的かつ積極的な情報発信について島市長の所見をお伺いし、この質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 市政の推進に当たりましては、まちづくりの主役である市民との共働が基本でありまして、そのためには市政に関する情報をわかりやすく発信して、そして、市民の納得や共感を得られるように努めていくことが重要であるというふうに考えています。例えば、市長就任後、すぐに広報戦略室を設置いたしまして、動画配信ですとかSNSを使った広報、また、定例会見でもフリップボードを使うとか、こうした市民に伝わりやすい情報発信に積極的に取り組みますとともに、職員一人一人の広報意識の向上にも力を入れてきたところでございます。今後とも、福岡市のさまざまな情報が年代や、また、お住まい、地域にかかわらず幅広く届くように、市政だよりですとかホームページ、また、LINEやツイッターといったSNSを初め、さまざまな広報媒体や手法を効果的に組み合わせながら積極的な情報発信に取り組んでまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、高齢者を住宅火災から守るための対策の充実についてお伺いいたします。
 年末年始に向けて空気が乾燥し、暖房器具など火気を扱う機会も多くなり、火災が発生しやすい時期になります。この時期は特に火災の発生を防ぐことが重要になります。
 そこで、平成16年の改正消防法により、本市では平成18年6月1日から新築住宅に、平成21年6月1日から既存住宅に住宅用火災警報器の設置が義務化されました。その改正理由を教えてください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 平成16年に住宅用火災警報器の設置が義務化された理由でございますが、総務省消防庁の諮問機関であります消防審議会の平成15年の答申におきまして、全国の住宅火災における死者が急増し、死に至った理由の多くが逃げおくれによるものであったことを踏まえ、火災の早期発見、早期避難に有効な住宅用火災警報器の設置を法制度化する必要があるとされたことなどから消防法が改正されたものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 火災で死に至った多くが逃げおくれによるものとのことです。
 それでは、現在の本市の住宅用火災警報器の設置率をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における住宅用火災警報器の設置率につきましては、令和元年6月1日現在で90.2%となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 住宅火災件数と住宅火災による死者数について、設置義務化された平成19年と平成30年の推移と増減割合をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における住宅火災の件数と死者数の平成19年と30年の推移と増減割合につきましては、住宅火災の件数は平成19年の205件に対しまして30年は131件で74件の減少、割合といたしましては36.1%の減少となっております。また、住宅火災による死者数につきましては、平成19年の10人に対しまして30年は8人で2人の減少、割合といたしましては20%の減少となっております。
 なお、この数値につきましては、放火自殺によるものを除いております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 設置率は90.2%、義務化されたここ約10年間で住宅火災は74件減少していますが、住宅火災の減少の要因をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 住宅火災の減少の要因につきましては、近年、各家庭に住宅用火災警報器や安全装置つきこんろが普及してきたことが要因と考えております。住宅用火災警報器が煙などを早期に感知して鳴動し、火災を未然に防ぐことができたことや、安全装置つきこんろが異常な加熱をセンサーで感知し、自動消火により火災を未然に防ぐことができたことなどにより住宅火災が減少してきたものと考えられます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) ここで住宅用火災警報器の効果についてお伺いします。
 住宅用火災警報器を設置している場合と設置していない場合の死者数、焼損床面積、損害額の比較をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における住宅用火災警報器を設置している場合と設置していない場合の死者数などの比較につきましては、平成19年以降の火災統計をもとに比較いたしますと、死者数につきましては、設置している場合の8人に対しまして、設置していない場合は14人となっております。火災1件当たりの焼損床面積につきましては、設置している場合の9.27平方メートルに対しまして、設置していない場合は12.51平方メートルとなっております。火災1件当たりの損害額につきましては、設置している場合の79万7,580円に対しまして、設置していない場合は113万3,380円となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 平成18年度から消防本部が認知している住宅用火災警報器が作動したことによって功を奏した、いわゆる奏功事案の件数をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における平成18年度から認知しております奏功事例につきましては290件でございます。
 なお、この290件以外にも、例えば、鍋をこんろにかけ、点火放置し、住宅用火災警報器が鳴動したことにより火災を初期の段階で未然に防ぐことができ、119番通報をするまでに至らなかった事案なども多数あると推測しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) お示しいただいたように、住宅用火災警報器を設置している住宅のほうが死者数、焼損床面積、損害額ともに少ないのがわかりました。また、ぼやや部分焼で済んだり、火災に至らなかった奏功事案が290件と、住宅用火災警報器の設置効果が高いこともわかります。
 ここで本市の住宅用火災警報器の設置率向上のためのこれまでの取り組みをお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における住宅用火災警報器の設置率向上のためのこれまでの取り組みにつきましては、市政だよりを初め、テレビやラジオなど各種メディア等を活用した広報や、イベントなどにおける消防音楽隊による広報のほか、出前講座や防災訓練での市民への啓発、保健福祉局が行う助成制度の周知など、あらゆる機会を捉えて普及啓発活動に取り組んでまいりました。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 普及啓発活動を実施されているとのことですが、まだ1割は設置されておりません。
 そこで、住宅用火災警報器の設置状況を掌握するための調査などを行っているのか、教えてください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における住宅用火災警報器の設置状況の調査につきましては、毎年度、無作為抽出による戸別訪問を初め、郵送による市政アンケートや来庁者へのアンケートなど、合わせて1,700件の調査を実施いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) それでは、住宅用火災警報器の未設置の主な理由について教えてください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 住宅用火災警報器の未設置の主な理由につきましては、先ほど答弁いたしました各種アンケート調査の集計によりますと、設置が義務であることを知らなかったや、取りつける場所を知らなかった、また、取りつける方法がわからないであるとか、どこで販売しているか知らないなどの理由が挙げられております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 未設置の理由は、取りつける場所を知らない、取りつける方法がわからないなど、さまざまですが、設置率向上のためには未設置のお宅がどこなのかを知る必要があります。未設置先は掌握しているのでしょうか、お尋ねいたします。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 住宅用火災警報器の未設置先の掌握についてでございますが、個人住宅への立ち入りは、消防法において特に緊急の必要がある場合でなければ消防職員は立ち入ることができないなどと規定されていることや、設置しなければならない場所が主に寝室であり、個人のプライバシーも考慮する必要があることから、戸別の設置確認は非常に困難であり、未設置世帯は掌握していないところでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 消防法に基づき、プライバシーの保護も考慮し、未設置世帯は掌握していないとのことです。掌握するための調査についても、アンケート調査や戸別訪問調査は行っているとの御答弁でしたが、いずれも無作為による調査で、一番肝心な未設置世帯を掌握することはできません。設置率向上に当たり、未設置先を掌握することが効果的に設置を進めるために必要なことだと思います。火災の早期発見につながり、被害縮減に大きな効果のある住宅用火災警報器の設置は今後も粘り強く取り組む必要があります。
 そこで、お尋ねいたしますが、本市の住宅用火災警報器の設置率向上に対する今後の取り組みをお答えください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 住宅用火災警報器の設置率向上に向けた今後の取り組みにつきましては、従来の取り組みに加え、今年度、市内の全ての151校区、地区の自治協議会の定例会等におきまして、約2,300人の自治会長、町内会長に対し、消防職員が直接その周知啓発を初めて実施したところであり、今後は町内会などに対して取り組んでまいります。また、福岡市域のみならず、県域全体での広報を有効に行うため、県内全ての消防本部に協力依頼を行い、県内一斉住宅用火災警報器普及啓発キャンペーンを今年度初めて実施し、普及啓発活動の充実強化を図ったところでございまして、この取り組みについては来年度以降も継続して実施していくことといたしております。今後も引き続きあらゆる機会を捉えて、その設置促進や点検、維持管理につきまして普及啓発活動を実施してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) この質問に当たり、先日、住宅用火災警報器の設置率向上に熱心に取り組んでいる愛知県の豊橋市にお話を伺ってまいりました。豊橋市の住宅用火災警報器の設置率は86.7%で、昨年より0.6ポイントアップしているものの、今後、設置率を上げることは非常に難しいと感じていたとのことでした。そこでまず、木造住宅が密集し、より火災危険の高い地域を選び、その地域の中で、避難に時間を要する65歳以上の高齢者を対象に絞り込みを行ったそうです。また、調査を開始するに当たり、消防職員のみで正確な設置状況の調査は難しいと判断し、地域包括支援センターとの連携により、対象地域及び対象世帯の住宅用火災警報器の設置状況の掌握に取り組まれたそうです。そして、事前に地域包括支援センターの職員にこの取り組みの趣旨を丁寧に説明し、センター長の理解も得て、現在、密に連携をとり合いながら住宅用火災警報器の設置状況の掌握と実際の取りつけに取り組んでいらっしゃいます。結果、ことし10月から設置状況の調査を開始し、現在5軒のお宅に住宅用火災警報器の設置を実際に行うことができ、高齢者の方たちからも、取りつけまでしてくれてとてもありがたかったと笑顔で話されていたそうです。
 そこで、本市の高齢者がいる世帯とひとり暮らしの高齢者世帯の数と全世帯に占める割合をお示しください。また、団塊の世代が75歳以上となる令和7年の推計をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 高齢者がいる世帯及びひとり暮らしの高齢者世帯の数と全世帯に対する割合につきましては、平成27年の国勢調査によりますと、高齢者がいる世帯が21万1,316世帯で27.7%、ひとり暮らしの高齢者世帯が8万32世帯で10.5%となっております。また、令和7年の推計につきましては、福岡市の将来人口推計によりますと、高齢者がいる世帯が27万400世帯で32.5%、ひとり暮らしの高齢者世帯が11万9,200世帯で14.3%と見込んでおります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) お示しいただいたように、本市において団塊の世代が75歳以上となる令和7年には高齢者世帯数が約6万世帯も増加し、今後も増加が予測されます。
 それでは、住宅火災の死者に占める65歳以上の高齢者の割合を過去5年分お示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 福岡市における過去5年間の住宅火災の死者に占める65歳以上の高齢者の割合につきましては、住宅火災による死者計28人のうち65歳以上の高齢者は18人で、その割合は64.3%となっております。
 なお、この数値は放火自殺によるものを除いております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 住宅火災による死者のうち高齢者は64.3%と高い割合にあります。
 そこで、本市も特に高齢者における住宅用火災警報器の設置率向上のため、地域包括支援センターなどとの連携により住宅用火災警報器のさらなる啓発、掌握に取り組まれてはいかがでしょうか、所見をお伺いします。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 地域包括支援センターなどとの連携による住宅用火災警報器のさらなる啓発、掌握の取り組みにつきましては、高齢者の住宅防火対策のため、昨年度から新たに各行政区の地域包括支援センターの連絡会議におきまして、消防職員が地域包括支援センターの職員に対して防火講話を実施し、高齢者と接する機会を捉えて防火啓発を行っていただくよう御協力をいただいているところでございます。今後も保健福祉局が行う助成制度の周知を初め、高齢者と接する機会を捉えて、その設置や維持管理、火災予防の啓発等を行っていただけるよう地域包括支援センターとの連携を強化してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 先ほど地域包括支援センターとの連携により、高齢者宅に住宅用火災警報器を設置できたと豊橋市の取り組みを紹介させていただきました。実はこの高齢者宅に設置された住宅用火災警報器は、もともと市営住宅に設置されていたリユースの住宅用火災警報器です。処分される住宅用火災警報器は市の保有する大切な財産との観点から、何か有効活用ができないのかと検討の結果、豊橋市消防本部が中心となって、全国で初めて住宅用火災警報器の再利用事業に取り組まれたとのことでした。まさしく地域包括支援センターとの連携と住宅用火災警報器の再利用事業をマッチングさせた事業だと感じました。さまざまな工夫で住宅用火災警報器の設置が高まれば、それだけとうとい命を守ることができるようになります。既存の制度と新たな発想のマッチングなど、既成概念にとらわれることなく、幅広く柔軟な取り組みが今後さらに求められることだと思います。
 この質問の最後に、住宅火災から高齢者を初めとした市民を守る対策の充実について島市長に所見と御決意をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、住宅火災は減少傾向にはありますけれども、依然として住宅火災により亡くなられる方が発生しておりまして、しかも、その多くが高齢者であるという現状は大変憂慮をしています。高齢者を初め、市民の皆様の生命、身体、財産を住宅火災から守るためには、高齢者に対する助成制度の活用や住宅用火災警報器の設置の促進などのハード面と、また、火災予防広報や出前講座を通じた防火意識の醸成などのソフト面の両面の充実強化が重要であるというふうに考えています。勝山議員の御質問のとおり、今後も高齢者世帯数の増加などの状況を踏まえまして、従前からの取り組みに加えて、既成概念にとらわれない新たな発想やさまざまな工夫によってさらなる普及啓発活動に取り組む必要性があるというふうに考えます。今後とも、さらに関係機関が連携、協力をして、高齢者を住宅火災から守るための対策の充実に努めてまいります。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 次に、被災者に対する住宅支援について質問させていただきます。
 近年、地震だけではなく、大規模化、頻発化する台風や局地的な豪雨など、日本各地で多くの災害が発生しており、今後もさらに大規模な災害が起こる可能性もあります。また、大規模な災害が起こると、災害規模に比例して多くの被災者が住むところを失い、応急的、一時的な住まいにおける生活の長期化が想定されます。これらの状況に的確に対応し、被災者の住まいを迅速に確保することが被災者の生活再建を円滑に進めるための第一歩となります。
 そこで、ことしの台風15号、19号の人的被害と住宅被害の数をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 台風第15号における人的被害、住家被害につきましては、消防庁によりますと、死者1人、重傷13人、軽傷137人、全壊342棟、半壊3,927棟、床上浸水127棟となっており、台風第19号については、死者85人、行方不明者3人、重傷39人、軽傷437人、全壊3,063棟、半壊2万4,759棟、床上浸水1万1,607棟となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 台風15号、19号の住宅被害を合わせてみると、全壊3,000棟以上、半壊と床上浸水が合わせて4万棟以上の被害を受け、被災者の多くの人が住まいを確保するために苦労されたことと思います。毎年発生する台風ですが、今回はこのような多大な被害を日本列島にもたらしました。
 そこで、平成30年7月豪雨災害、平成29年7月九州北部豪雨における九州内での被害、福岡県西方沖地震、それぞれの人的被害と住宅被害の数及び被災者に対する市営住宅の貸し出し戸数をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 平成30年7月豪雨における人的被害、住家被害につきましては、消防庁によりますと、死者263人、行方不明者8人、重傷138人、軽傷311人、全壊6,783棟、半壊1万1,342棟、床上浸水6,982棟となっており、また、平成29年7月九州北部豪雨における九州内の被害については、死者40人、行方不明者2人、重傷13人、軽傷20人、全壊338棟、半壊1,100棟、床上浸水189棟、さらに、福岡県西方沖地震については、死者1人、重傷198人、軽傷1,006人、全壊144棟、半壊353棟となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 被災者に対する市営住宅の提供戸数は、平成30年7月豪雨が3戸、平成29年7月九州北部豪雨が2戸、平成17年福岡県西方沖地震が151戸でございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 本市におきましても、14年前の福岡県西方沖地震で最大震度6弱の地震を経験し、大きな被害があったことはまだ記憶に新しいと思います。翌日から住む家を失い、生活が一変する環境に追いやられた被災者の心情はいかばかりだったかと思います。お示しいただいたように、西方沖地震での住宅被害は全壊、半壊合わせて約500棟で、被災者の方への市営住宅の提供戸数は151戸と、市営住宅が応急仮設住宅としての役割を果たし、被災者の方々の生活再建へ向けて後押しができたことは、住まいに関して被災者の負担を取り除くことができたことと思います。
 そこで、本市の災害被災者への住生活品の提供等があれば、その支援内容をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 災害被災者への支援につきましては、保健福祉局におきましては、寝具一式として、かけ布団、敷布団、毛布、シーツ、枕の支給を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) 環境局におきましては、市内2カ所の3Rステーションがリユースのため市民から受け入れました家具及び衣類を被災者の方の必要に応じて提供いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 被災者が避難先として市営住宅を一時使用された場合は、必要に応じましてガスこんろや照明器具の提供を行っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 被災者が市営住宅を一時使用する際、お答えいただいたものとは別に、エアコンや冷蔵庫などの提供等は行っているのでしょうか、なければ、その理由をお聞かせください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 市営住宅の住戸につきましては、エアコンや冷蔵庫などは設置しておりませんが、被災者向けに一時使用する住戸につきましては、空き住戸を緊急的に転用しているものであること、また、内閣府が定めた災害救助事務取扱要領においても提供等を行う生活必需品にエアコンや冷蔵庫は含まれていないことから、エアコンなどの提供は行っておりません。
 なお、他の多くの政令市においても、本市同様、提供等は行っていないと聞いております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 災害救助事務取扱要領において提供等を行う生活必需品に含まれておらず、他の多くの政令市でも行っていないとのことですが、エアコン提供を行っている政令市をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 大阪市と神戸市の2市のみと伺っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) では、エアコンを提供した大阪市と神戸市が被災者にエアコン提供を決めた理由をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 大阪市につきましては、平成23年3月の東日本大震災をきっかけに、また、神戸市につきましては、市外の被災者に対しては東日本大震災を、市内の被災者に対しては平成30年7月の豪雨をきっかけに被災者支援を強化することとし、熱中症予防などのためにエアコンの提供を開始したと伺っております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) お答えいただいたように、大阪市、神戸市では主に熱中症予防のためにエアコンの提供を決められたとのことです。
 そこで、本市の過去3年の熱中症の症状で病院などに搬送された搬送者数と死亡者数をお示しください。また、熱中症の主な発生場所をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 山下消防局長。
○消防局長(山下周成) 過去3年の熱中症による救急搬送者数、死亡者数、発生場所についてですが、救急搬送者数につきましては、平成29年が580人、30年が821人、令和元年が653人であります。死亡者数につきましては、過去3年、救急隊が搬送した時点で死亡と診断された方はいませんでしたが、平成30年に搬送後、医療機関で亡くなられた方が1人いらっしゃいました。発生場所につきましては、総務省消防庁が示している場所の区分でお答えいたしますと、住居が一番多く、2番目は運動場や競技場、駅構内などの公衆の出入りする場所、次いで道路、その次は仕事場の順で発生いたしております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) ただいま御答弁いただいたように、平成29年は580人、平成30年は821人、令和元年は653人の方々が熱中症の症状で搬送されており、まことに残念なことですが、平成30年はお一人の方が亡くなられています。そして、熱中症は住居で一番多く発生しているとのことです。熱中症の症状は一様ではなく、症状が重くなると生命に危険が及びます。そのためには、熱中症を防ぐことがとても重要になります。
 そこで、本市が推奨している住居室内での熱中症予防方法をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 坂本環境局長。
○環境局長(坂本秀和) 室内での熱中症予防方法といたしましては、温度計で室温を確認し、エアコン、扇風機で室温を28度以下に保つこと、小まめな水分補給を心がけること、福岡市のホームページや防災メール、LINEで熱中症のなりやすさの指数である暑さ指数の予測情報を確認して体調管理に注意することなどを推奨しております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 室内での熱中症予防には小まめな水分補給とエアコンや扇風機で室温を28度以下に保つことが本市も推奨されているとのことです。
 先日、私は神戸市に市営住宅の被災者に対する支援についてお話を伺ってまいりました。神戸市では、生活物資として照明器具、寝具セット、こんろ、カーテン、タオル、雑巾等の提供を行っており、特に夏場には被災者に意向調査を行った上、エアコン、もしくは網戸と扇風機を提供しているそうです。エアコンを神戸市が提供していることを担当者から直接お聞きしたときは、改めて感動したと同時に、複雑な気持ちになりました。というのも、ことしの7月、昨日の大雨で自宅が被災し、一時避難先を探しているのですが、市営住宅は受け入れてくれるでしょうかとの御相談を受けました。すぐに住宅供給公社に確認し、受け入れができる市営住宅があると回答をいただきました。しかしながら、その方は幼い赤ちゃんと小さなお子さん2人をお持ちで、入居した場合、この猛暑の中で万が一子どもたちが熱中症にかかってしまったら不安との理由で、結局入居を断念されました。被災者は変わらないのに、自治体によってエアコン提供の有無が変わる現状に歯がゆさを感じました。神戸市は大きな災害を経験した被災市ということもあり、担当者も翌日から住む当てもなく、着のみ着のままで避難されてきた被災者にでき得る限りの支援をしていきたい、神戸市としても最低限度の生活環境を提供してあげたいと被災者目線に立って話されていたことがとても印象に残っております。
 そこで、最低限度の生活環境の提供という点から質問させていただきます。
 生活保護受給者に対する平成30年6月27日付の厚生労働省保護課の事務連絡内容をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) お尋ねの事務連絡の趣旨でございますが、近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていることを踏まえ、生活保護の開始時や転居の場合などの要件に該当する者に対して、冷房器具の購入に必要な費用の支給を認めるとされております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 確認になりますが、熱中症による健康被害が数多く報告されているとのことで、一定の要件に該当すれば冷房器具の購入費の支給を認めるとの御答弁でした。
 そこで、生活保護世帯への冷房器具、いわゆるエアコン購入費用の支給件数及び支給額について、昨年度と今年度の状況をお示しください。
 
○議長(阿部真之助) 舟越保健福祉局長。
○保健福祉局長(舟越伸一) 生活保護世帯への冷房器具購入費用の支給実績につきましては、平成30年度が233件で819万円余、令和元年度が10月末現在、179件で664万円余となっております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 施行日の平成30年7月1日から令和元年10月末までの1年4カ月の間で支給件数は412件と、支給件数が思っていた以上に多いのに驚きましたが、一方で、412世帯の方々がエアコンを利用して熱中症を予防できることは生活環境を守る上で非常に重要な見直しだったと感じました。
 世界規模で地球の温暖化が進む中、将来的にも、特に夏場は今まで以上の猛暑日が続き、高温になることと予測されます。健康な生活を送っていただくためにも、エアコン設置は住宅設備の一部として考える時期を迎えているのではないでしょうか。近年の大規模化する災害によっては本市も被災市になる可能性もあり、誰しも被災者になり得る可能性があります。
 以上、述べさせていただいたとおり、被災者に対してのエアコンの提供はもとより、いま一度被災者目線に立ち返っての災害対策や支援制度の充実を強く要望いたしますが、所見をお伺いいたします。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 被災者への支援につきましては、災害救助法の基準が定められており、給与または貸与が認められない物品とされておりますエアコンの提供は現状では困難であると考えておりますが、今後とも、被災者支援のあり方について国の動向や他都市の状況等を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 今月、12月5日付の日経新聞に、100年に一度と形容されている大規模災害について、毎年来ると思って対策を立てる必要があると赤羽国交大臣のコメントが掲載されていました。本市としても、今お答えいただいたように、国の動向や他都市の状況等を踏まえながら、被災者支援の拡充に積極的に取り組むよう求めておきます。
 次に、ことしの4月1日、改正災害救助法が施行されましたが、その概要を教えてください。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 災害救助法における応急仮設住宅の建設など、被災者の救助、支援につきましては、これまで都道府県知事が行うこととされ、一部を除き、委任事務として市町村が行っておりましたが、法改正により国の指定を受けた救助実施市については、みずからの事務として行うことが可能となったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 救助実施市の指定を受けたことで、みずからの事務として大規模災害への対応が可能になったとのことですが、本市にはどのような効果や権限がもたらされましたでしょうか。
 
○議長(阿部真之助) 下川市民局長。
○市民局長(下川祥二) 救助実施市の指定を受けた効果や権限につきましては、これまで委任されていなかった応急仮設住宅の建設を含め、全ての災害救助の事務を福岡市が主体となって実施できることとなり、より迅速かつ円滑に被災者の救助や支援を行えるようになったものでございます。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 応急仮設住宅の供与を本市が主体的に実施することになったことで、被災者へのエアコンの提供などは可能になりますか、お答えください。
 
○議長(阿部真之助) 石橋住宅都市局長。
○住宅都市局長(石橋正信) 災害救助法に基づく建設型応急仮設住宅の供与につきましては、令和元年10月1日付で災害救助実施市としての効力が発生したことを受けまして、4つの関係団体と仮設住宅の建設に関して協定を締結したところでございます。現在、被災者への支援内容に関する国の基準に基づき、関係団体とともに、詳細な設計仕様を検討しているところであり、エアコンの設置につきましても設計仕様の検討の中で、災害救助法の趣旨や県内における過去の事例を踏まえて検討してまいります。以上でございます。
 
○議長(阿部真之助) 勝山信吾議員。
○12番(勝山信吾) 現在、本市としても詳細な設計仕様を検討しているところとのことですが、ぜひエアコン設置についても、被災者の支援拡充に向けて前向きに検討をお願いいたします。
 最後に、救助実施市の指定を受けたことによって、災害時には全庁挙げて市民を守り、被災者を守る重大な責任を負うことになると思いますが、福岡市のリーダーである島市長の所見と決意をお伺いして、私の質問を終わります。
 
○議長(阿部真之助) 島市長。
○市長(島宗一郎) 近年、地震や台風、また、豪雨災害などのさまざまな自然災害が、しかも、毎年のように全国各地で続いておりまして、大規模な人的な被害ですとか住家の被害というものが発生をしているわけでございます。本当に100年に一度ではなくて毎年来ているような状況が続いております。大規模災害時におきましては、被災者の個別の特性や、また、ニーズに応じた応急の対策ですとか、また、速やかな復旧、復興が大変重要であるというふうに考えております。今回、応急仮設住宅の建設を含みます全ての災害救助を主体となって実施することができるようになりました。こうした救助実施市に指定されたということを受けまして、市民のとうとい命とその財産を守ることを第一に、これまで以上に迅速にかつ円滑な被災者の救助や、また、支援をしっかりと行ってまいります。以上です。
 
○議長(阿部真之助) お諮りいたします。
 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明12日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。
      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
○議長(阿部真之助) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次の会議は明12日午前10時に開きます。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後4時31分 散会