平成301212日(水)


平成30年第5回福岡市議会定例会

議  事  日  程 (第2号)

                             1212日 午前10時開議

第1  一 般 質 問


本日の会議に付した事件

議事日程のとおり


出 席 議 員 (59名)

1番  鬼 塚 昌 宏       2番  堤 田   寛

3番  調   崇 史        4番  津 田 信太郎

5番  大 森 一 馬       6番  大 原 弥寿男

7番  平 畑 雅 博       8番  打 越 基 安

9番  冨 永 計 久      10番  森   英 鷹

11番  川 上 晋 平       12番  稲 員 稔 夫

13番  大 坪 真由美      14番  中 島まさひろ

15番  川 上 陽 平       16番  古 川 清 文

17番  高 木 勝 利       18番  篠 原 達 也

19番  飯 盛 利 康       20番  今 林ひであき

21番  阿 部 真之助      22番  尾 花 康 広

23番  松 野   隆        24番  楠   正 信

25番  福 田 まもる       26番  南 原   茂

27番  おばた 久 弥      28番  光 安   力

29番  山 口 剛 司       30番  石 田 正 明

32番  黒 子 秀勇樹      33番  新 村 まさる

34番   欠   員           35番  天 野 こ う

36番  橋 田 和 義       37番  堀 内 徹 夫

38番  とみなが正 博      39番  森   あや子

40番  浜 崎 太 郎       41番  綿 貫 英 彦

42番  熊 谷 敦 子       43番  倉 元 達 朗

44番  富 永 周 行       45番  荒 木 龍 昇

46番  国 分 徳 彦       47番  笠   康 雄

48番  藤 本 顕 憲       49番  星 野 美恵子

50番  中 山 郁 美       51番  ひえじま俊 和

52番  高 山 博 光       53番  近 藤 里 美

54番  田 中しんすけ      55番  落 石 俊 則

56番   欠   員           57番  太 田 英 二

58番  池 田 良 子       59番  川 口   浩

60番  阿 部 正 剛       61番  栃 木 義 博

62番  江 藤 博 美


欠 席 議 員 (1名)

31番  大 石 修 二


説明のため出席した者

市       長   島 宗一郎         副市長  貞 刈 厚 仁

副  市  長  中 園 政 直              副市長  荒 瀬 泰 子

水道事業管理者  清 森 俊 彦         交通事業管理者  阿 部   亨

総務企画局長  光 山 裕 朗             財政局長  則 松 和 哉

市民局長  下 川 祥 二                    こども未来局長  小野田 勝 則

保健福祉局長  永 渕 英 洋             環境局長  吉 村 隆 一

経済観光文化局長   島   収       農林水産局長  細 川 浩 行

住宅都市局長  石 橋 正 信             道路下水道局長  三 角 正 文

港湾空港局長  中 村 貴 久             消防局長  山 下 周 成

会計管理者  水 町 博 之                教育長  星 子 明 夫

教育委員  町     孝                      選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子

人事委員会事務局長  小 西 眞 弓   監査事務局長  落 石 稔 彦


職務のため出席した事務局職員

議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史

議事課長   着 一 孝          議事係長  中 村   博

外関係職員


  午前10時 開議  

議長(川上晋平) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。中山郁美議員。

 

○50番(中山郁美)登壇 おはようございます。私は日本共産党市議団を代表して、市長選挙における島市長の公約及び言動について並びにウォーターフロント地区再整備計画について質問を行います。

 まず市長選挙についてです。

 今回の市長選挙は、島市長の3期目立候補があるのか注目が集まる中、第4次安倍内閣の閣僚ポストが決定したのとほぼ同じタイミングの10月2日、定例記者会見のついでに出馬表明という異例の形で始まりました。報道によると、9月末に安倍総理と麻生副総理に詣でて出馬のお墨つきを得た上での発表だったとのことであります。そして、選挙戦は市民が主人公の福岡市を目指す、市民の会から立候補した新人の神谷貴行氏と現職の島市長との一騎討ちとなり、メディアも島路線の評価が争点などと報じ、選挙戦が戦われた結果、4年前の投票率をも大きく下回る31.42%という史上最低の投票率の中、島市長が当選したのであります。

 そこでまず、この低投票率の要因及びみずからの責任について島市長の御所見を伺います。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 去る1118日に投開票されました福岡市長選挙の投票率が高くなかったということにつきましては、さまざまな要因が複合的にあるというふうに考えております。投票率が低かったことについては大変残念なことでありまして、真摯に結果を受けとめたいというふうに考えています。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 残念だとのことですが、それでは済まされない、現職市長としての責任が問われる問題です。

 市長の公約や選挙における振る舞いが低投票率を生み出した要因になっているのではないか、以下、明らかにしていきたいと思います。

 まず、市長が今回選挙で公約として掲げた博多駅と博多港を結ぶロープウエー構想についてです。

 これについては、10月の決算特別委員会総会質疑において、私は福岡市ウォーターフロント地区アクセス強化研究会第2回会議の資料を踏まえ、ロープウエーへのレールが敷かれているのではないかとただしました。住宅都市局長はアクセス強化研究会で調査研究していただいており、今後、各方面の意見や研究会の総合的な意見を聞くとの趣旨を答弁されていたと思いますが、間違いないか、答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 10月の決算特別委員会の答弁につきましては、ウォーターフロント地区におきましてクルーズ、MICE、にぎわいが融合した都心部の新たな拠点を形成する上で、将来的な交通事情にも対応できるよう限られた道路空間をさらに有効的に、立体的に活用する新たな交通システムについても、検討を進めておるところでございまして、ルートやシステムの方向性は定まっておらず、スケジュールを申し上げる段階に至っていない旨、また、今後、議会や市民の皆様の御意見も伺いながら検討する旨を答弁しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) その後、市長選挙までに検討に進捗があったのかお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 現在、第3回目の研究会の開催に向けた準備を行っているところでありまして、今後、研究会の意見や助言も踏まえながら、議会の御意見等を伺いながら、早急に望ましい交通システムについて抽出してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) そのように進んでいないんですね。

 ところが、市長は選挙でロープウエーをぜひ実現したいと公約しました。研究会で調査、検討いただいているさなかに、市長はロープウエーだと勝手に決めたと。おかしいと思いますけれども、市長自身の御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 住宅都市局におきましては、研究会を開いて比較を行っている段階ではありますが、私としては、さまざまな交通システムの中で、輸送力、コスト、景観の面からロープウエーがすぐれているというふうに思っています。現在でもイベント時などで交通渋滞が発生している状況にある中で、ロープウエーが導入できれば、渋滞が緩和でき、まちの魅力も高まると考えておりまして、ぜひ実現をしたいと、こういう思いから、新市長の候補者としての立場から公約にしたものでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 決算で私、こども病院のときの例を出して、また市長が独断で決めるのではないかと指摘しておりましたけどね、結局独断で打ち上げてしまったということです。

 研究会では、年明けに第3回の会議をして総合的に議論することになっています。ところが、この手順をすっ飛ばし、市長はロープウエーありきの結論を出して市民に約束したと。これでは、内容はともかく、上司の命を受けて真剣に検討している担当職員も、そして、委嘱されてメンバーになった委員各位も?然でしょうね。こんなやり方は、市担当者を初め、みずから立ち上げた研究会を冒?するものではありませんか、御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 行政としての立場としてはもちろんそうなんですけれども、選挙ということで、私の思いと夢、それを候補者として市民の皆さんにお語りをしたということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) あのね、候補者といっても現職のまま戦っているんですよ。いろいろ言いわけしてもね、これは公約してしまったわけです。とんでもないことです。

 しかしね、公約したからには市長自身、ルートや長さ、経費、市費の負担は幾らになるのかなどについて市長自身が考えているはずですから、その考えの中身をお尋ねしたいと思います。市長よ、公約した中身、具体的なあなたのイメージを言ってください。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) ロープウエーなどの検討を行うということで、これから博多駅、それから、ウォーターフロントの間で新しい交通システムを今、検討しているところでございますので、具体的にどのような形でこれを実現していくのか、また、事業費全体もそうですし、予算、事業費をどこが負担するのか、こうしたことも含めて、これからしっかり検討をしていくという状況でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 何ですか、具体的にはこれから。でたらめですよ。市長ね、子どもが語る夢じゃないんですよ。アクセス強化研究会の資料には、他都市の例による1キロ当たり最大100億円、天神からウォーターフロントまでと博多駅からウォーターフロントまで合わせて4キロというシミュレーションが書いてある。これでいけば400億円ですよ。

 選挙戦で神谷市長候補は、博多駅から博多港を経て天神までの4キロ400億円ものロープウエー計画の中止を掲げましたが、あなたはルートや長さ、必要経費の見込みについて、きょうと同じように何も示さなかった。そして、きょうのこの議会でも示さない。こんな公約や姿勢は無責任極まりないと思いますが、重ねて答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 住宅都市局におきましては、研究会を開いてルートやシステムの検討を行っている段階ではありますが、私としては、研究会におけます8種類の交通システムの輸送性や、また経済性、景観などそれぞれの比較状況から、例えば、モノレールなどに比べてロープウエー優位という結果が明らかになりつつあるというふうに考えております。また、都市型ロープウエーの事例でいきますと、キロ当たりの事業費はおよそ13億円から64億円となっておりまして、福岡市が仮に導入する場合でも、おおむねそのキロ当たり事業費の範囲内におさまるのではないかというふうに考えております。

 そうしたものの比較の上で、比較優位性がこれは非常に高いというふうに考えておりますが、具体的にとなれば、実際にこの福岡の博多駅から、それから、ウォーターフロントまで、例えばどういう位置に、どういう形でこれを設計していくのかということに関しての事業費などは精査をしていくことにこれからなっていこうかというふうに思いますが、もちろん進める上では、今、住宅都市局で行政としてしっかり検討している最中でございますので、そうした内容も議会の皆様にもお示しをしながら、しっかりと議論をしていきたいというふうに考えております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) そんな無責任な公約はありませんよ。市長ね、これ、研究会に諮る上で324万円かけて調査委託かけておるんですよ。そして、それだけのお金をかけて研究会でやっているさなか、そんな中で、もう結論を出しちゃったということなんですよ。

 これね、市民はそのいいかげんさを見抜きました。投票日の読売新聞の出口調査では、63%がロープウエーに反対だという結果が出たとのことです。市長はこのことをどう受けとめるのか、答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) ロープウエーというものを公約にすることによって、より多くの方にこういった議論があるということに関して知っていただいたというふうに考えています。ウォーターフロント地区におきましては、現在でもイベント時などで交通渋滞が発生していること、また、これからウォーターフロントの再開発も含めていろいろな需要が高まってくる中で、交通需要にも対応していくために、道路を立体的に活用していく、こうした新たな交通システムが必要であるというふうに考えています。私としては、ロープウエーが最もすぐれていると考えておりまして、今後、市政だよりなどでも検討状況をお知らせするなど市民の皆様の理解を得ながら進めていきたいというふうに考えています。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 市民の声を聞きながらと言いますがね、もうこれは決着ついていますよね。

 この問題は、そもそも3年前、市が行ったウォーターフロント地区の再整備に関するアイデア公募に対してJRが提案したものです。その提案を受けて島市長は、昨年開いた自身の政治資金パーティーで自分の夢だと語り、公費を使って研究会を立ち上げ、今日まで検討が進められてきたものです。

 研究会では、将来は1日当たり現在の3倍となる16万人が往来するというウォーターフロント地区の根拠のない過大なトリップエンド予測に基づいて検討が進められてきました。そして、8種類の交通体系を比較する中、ロープウエーの高い評価が出ていたところでありました。総延長4キロのロープウエーがビルの合間を縫って大博通りの上空や天神のど真ん中を動いていく。考えたらぞっとします。風の影響が強い博多のまちでの安全性の問題、軟弱地盤に柱を打ち込みつくる危険性の問題、地上の人々に対する圧迫感、伝統文化山笠への支障、まちの景観破壊の問題、そして、最大400億円もの財政負担。どれをとっても解決できないのがこの構想です。現に海外や他都市での先行事例は破綻や失敗ばかりであります。

 出口調査での数字が示しているように、選挙戦を通じて、市民の中でもロープウェイは要らないとはっきり決着がつきました。したがって、ロープウェイ構想はきっぱりやめるべきではないかと思いますが、市長自身の答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 私としては、さまざまな交通システムの中で、輸送力、コスト、景観などの面からロープウエーがすぐれているというふうに考えています。

 ウォーターフロント地区では、現在でもイベント時などで交通渋滞が発生している状況である中、ロープウエーの導入によって渋滞の緩和やまちの魅力の向上が期待できるために、これはぜひ実現をできればというふうに考えております。ただ、もちろん今後の進め方に関しましては、議会の皆様を初め、市民の皆様の御意見を伺いながら、そして、当然今、有識者の皆さんに御検討いただいているわけですから、そうした実現可能性などもしっかりと吟味をしながら、丁寧に進めていきたいというふうに考えています。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 進めるつもりですね、これ。とんでもないと思います。自分が調査委託した途中で自分で結論を出すというのは、これは行政のトップがやっちゃならんことなんですよね。ロープウエーについては少なくない与党議員さんも反発していますね。ごり押しは通用しないと思います。議会で否決されたら、また再議にでも持ち込みますか。今度は勝てないと思いますよ。きっぱりやめるべきだと指摘しておきます。

 次に、市長が選挙期間中に語ったみずからの実績についてです。

 1115日、草ヶ江公民館での個人演説会。市長は少年科学文化会館の移転問題について語っています。内容を紹介します。市長、ようっと思い出してくださいよ。

 科学館つくるときに、少年科学会館のホールのようなものがあって、ホールをつくれという人たちがいたんですよね。それだと六本松の中には入れないんですよ。そういう中で、まちづくり協議会の皆さんが、ホールじゃない、科学館が欲しいんだということで要望書を出していただいて、そういう中でここに科学館を持ってくることができたんですという発言です。

 そこで、こども未来局長にお尋ねしますが、検討過程でホールは六本松には入らないという議論があったのか、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 科学館のホールにつきましては、平成23年に10名の外部有識者から成る少年科学文化会館基本構想検討委員会を設置いたしまして、科学館の役割や機能を検討する中で、劇場型多目的ホールは整備しないという方針で24年6月に基本構想案をまとめております。その後、24年6月議会において中間報告を行い、24年7月から8月にかけて実施したパブリックコメントを踏まえつつ検討を進め、2412月議会において基本構想策定について議会に御報告いたしました。

 また、基本計画の検討において科学への好奇心を高める話題や新しい科学情報を提供するため、講演会やセミナーを実施する場所として300席のホールを設置することとしたものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 今のは方針決定を市がしたんだという経過なんですよね。ホールが六本松には入らないという、そんな議論は一度もされたことはなかったんですよ。

 当初は、実際にホールを含む配置図の案も議会に提出されていますよ。(資料表示)ちゃんと配置されておる。ホールが入らないということはなかったんですよね。これは確認したいと思います。

 それでは、まちづくり協議会の皆さんがホールじゃない、科学館が欲しいんだという要望書を出した経緯があるのか、これも、こども未来局長にお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) ホールの件ですけれども、科学館の検討に当たりましては、当時、政令市の中で、例えば、千葉とか名古屋とかが大規模な科学館をつくって先行する中で、福岡の場合は後発組でございました。やっぱり限られた財源の中で、福岡の子どもにはしっかりとした科学を提供したいということから、機能を厳選して福岡らしい科学館をつくるというコンセプトをもとに、さまざまな検討をしたと思います。私も一、二度見たことありますけど、ホールについての検討はしたことはあるかもしれませんけど、やはり機能を厳選して今の科学館の構想をつくっていったということではないかなと思っております。

 それから、要望につきましては、草ヶ江校区まちづくり協議会からは、少年科学文化会館移転整備に当たっては、六本松の活性化のためまたは草ヶ江校区全体のにぎわいづくりにつながるものとして、九大六本松キャンパス跡地での整備について、平成22年から26年にかけて4回の要望を受けております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 長々言われましたけどね、ホールは入らないという議論はされていない。そして、要望書についても、今答えられたように、これはここにありますよ。(資料表示)全部読み上げてもいいけれども、ホールは要らん、科学館にしてほしいなんて言及は一個もないです。

 これね、要望書のタイトル、少年科学文化会館の移転についてとなっており、タイトルのとおり、少年科学文化会館をホールも含んでそのまま六本松で建てかえてくれというものでした。ホールは要らないとか、科学館が欲しいとか、一言も書いていない。したがって、先ほど紹介した市長の発言はうそだと思いますが、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 要望書、それがいつのものかちょっとわからないんですけれども、いずれにしても、科学館を六本松にぜひ誘致をしたい、九州大学六本松キャンパスという知の拠点の跡地にぜひまた未来の子どもたちの知の拠点をつくっていただきたいということで、福岡市科学館をぜひ誘致したいというお話がありました。またそのときに、草ヶ江校区のまちづくり協議会の当時の会長、早麻さんだったと思うんですけれども──から、これはホールは必須ではないという形で、科学館をぜひ六本松に誘致してほしいというふうにお話を伺いました。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これね、そんな言いわけ通用しないんですよ。あなたね、科学館を持ってきてくれという要望書が出されたと言っているんだから。そんなのは一言も書いていない、(資料表示)科学館なんて。だから、それがうそじゃないかと言いよるんだから、間違いやったら間違いやったと認めなさいよ。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 科学館を誘致したいという要望書は出ているというふうに思います。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) そしたら、こども未来局長にお尋ねします。

 私ね、これ、(資料表示)要望書があるでしょうと言ったらね、こども未来局が持ってきたのはこの要望書だけですよ。探しましたけど見つけきりませんということですから、明確にここに私は書類、証拠を出している。証拠がありますか。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 中山議員から資料要求がありまして、草ヶ江校区からの要望書については、コピーをとってお出ししたものが要望書でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 市長は書いた要望書があると言わっしゃった。どっちが本当ですか。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 六本松の活性化のために科学館を六本松にぜひ持ってきてほしいという内容の要望書でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。(発言する者あり)島市長。

市長(島宗一郎) 言っている意味がわからないんですけど、ただ、要望書の中には科学館を要望するというふうに書いていますよね。そして、それは少年科学文化会館というところが最初の要望だったんですが、最後の要望書には福岡市科学館を福岡市六本松に誘致をお願いしたいというような趣旨のことが書かれているというふうに思います。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 読み上げましょうね。つきましては、今後検討されていくと聞いております福岡市少年科学文化会館の建てかえにおいては、その移転先を六本松キャンパス跡地とするようお願い申し上げますと、(資料表示)これがくくりですよ。市長の事実誤認があるんやったらね、ここで認めてもらわないかん。私がうそを言いよると言うんやったら、それははっきりさせてもらわないかんですよ。議長、ちょっとしかるべき取り計らいしてください。話にならん。

 

議長(川上晋平) 答弁はできますでしょうか。小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 草ヶ江校区のまちづくり協議会からは、平成22年度、平成23年度、平成24年度、それから、平成26年度に要望並びに陳情が出ております。それの一部を資料要求の際にお出ししたのではないかなと思います。

 平成26年度の要望ですけれども、地域の活性化のために一日も早い青少年科学館の整備をお願いするという文言がありますので、地元といたしましては、科学館を整備してほしいというふうな御要望だったのではないかなと思います。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) ということはね、事前に私が質問のために資料請求したんですよ。こども未来局は、探しましたけどこれしか(資料表示)見つけきれませんと言って持ってきたんです。ほかにあったということですね。これは質問準備のために資料を正式に要求しておる議員に対して偽りの回答を当局がしたということですよ。それでいいんですか、確認させてください。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 今、中山議員にどの資料をお出ししたかというのは手元に決裁がございませんので確認はできませんけど、先ほど申しましたように、22年度から26年度にかけて4回の要望なり陳情が提出されております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。(発言する者あり)小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 資料要求につきましては、平成22年から23年、24年、26年に要望が出ておりまして、4回の要望があったということでございますので、中山議員にこの一部しかないということで資料の提供をしておるのであれば、私どもの間違いでございます。訂正しておわび申し上げます。申しわけございませんでした。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 状況わかりました。要望書が出ているんですが、最初は少年科学文化会館の要望があったんですけれども、最後に御要望があったときには、もう科学館をつくるということになっていましたので、要望内容も福岡市の科学館を六本松にぜひ要望したいというお話でした。また、当時のまちづくり協議会の会長さんが手渡しいただいたときに、それは当時、ちょうど科学館というときにホールもつくってほしいという要望があったんですね。それで、ちょうどそれをどうするかもめていたときだったので、そうすると、まちづくり協議会の会長さんが、うちとしては科学館ということですから、ホールということがぜひものではありません、ぜひ科学館を六本松に誘致していただきたい、こういうお話をいただいた、これを今回の選挙のときにお話をしたということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 市長が適当な発言をして、これは住民のほとんどの人はそんな要望していないという認識なんです。だから、ごく一部の方がそういう書面を市長が求めて出してくれと言って出させたかもしれん。でも、それは私の手元には来ていないからね、これはきっちりこの後に提出してもらうように求めたいと思います。それは可能かどうか、重ねて局長に聞きます。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 私どもが受け取りました要望、陳情につきましては、共産党市議団のほうにしっかり資料をお出ししたいと思います。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 安倍政権がやりよるのと同じようなことを部下にさせたらいかんですよ。適当なことをしゃべって、そのつじつま合わせに多分職員苦労したと思うんですよ。結果、資料をごまかしたという話ですね。これはフェイク市長と言わないかんと思いますね。選挙でうそを言って票をかすめ取るなど、犯罪的であり許されないと思います。

 次に、まだあるんですよ。学校の教室エアコンについて、ことしの夏の猛暑で、学校現場においてはエアコンがついていない体育館や特別教室の使用を控えるなど教育活動に支障が出たと思いますが、教育長の御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 各学校が児童生徒の健康確保を第一に考え、外気温が高いときなど必要に応じて全ての市立学校に配付している黒球式熱中症指数計を活用するなどして実際の温度や暑さ指数などの確認を行い、気象状況などを考慮し適切に対応いたしました。学校からは授業等で支障があったとの報告は受けてはおりません。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 教育長まで市長に合わせよるよ。始業式、体育館でできないとかいう学校がいっぱい出たでしょうが。これが支障じゃなくて何なんですか。

 この件についても、市長の発言があるんですけど、市内の全ての小・中学校にエアコンつけた。第1号は草香江。ことしの夏は暑くて全国的にニュースになりました。でも福岡市は問題なかった。なぜなら、2年で100%エアコンつけ終えていたからというものです。

 現場では体育館や特別教室が使えなくて大きな支障が出たのに、福岡市は問題なかったとした市長の発言は事実と違うと思いますが、市長自身の御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 全ての教室と私が言っているのは、ふだん子どもたちが過ごす普通教室全てにエアコンをつけたという話の導入で、そのお話をしたわけでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これはいいかげんな発言なんですよね。学校教育活動は全ての教室や体育館、グラウンドなどを使いながら適切にやるんです。このどこかが使えないといったら、これは適切にやれないんです。これを普通は問題と言うんですよ。誤解を生む発言は許されません。

 次に、普通教室へのエアコン整備についての経緯、そして、整備に係る総経費、そのうち国の補助は幾らついたのか説明を求めます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 普通教室の空調整備につきましては、平成26年度から28年度までの3年間で行っており、26年度は教室内の気温が高かった小学校15校を対象に市による直接施工を行い、残りの大部分を27年度は小学校106校を、28年度は中学校53校を対象に、それぞれPFI事業及び直接施工にて整備しております。

 事業費につきましては、26年度に実施した市による直接施工の事業費は約5億円で、国庫補助額は約1億円となっております。

 PFI事業につきましては、事業費は27年度と28年度の合計で約63億円であり、このうち設計施工費は約50億円で国庫補助額は約10億円となっております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 整備費総額は3年で68億円。国の補助はそのうち11億円程度です。ところが、このことも市長に語らせるとどうなるか紹介します。

 全校を2年、それだけの予算を国から引っ張ってくるというのはすごいことなんですね。文科省からそれだけのお金を何で持ってこれているのというところがすばらしいんです。これが市長の発言です。

 国との太いパイプがあることを強調したかったんだと思います。そして、金額は示さずに11億円の国庫補助をあたかも莫大な補助をとりつけたかのように描いています。針小棒大というのはこのことです。本当は3年かかったのに2年でやったかのようにも言っています。これもうそです。しかも、教室へのエアコン設置について、就任直後の島市長は、子どもを甘やかしてはいけない、暑い教室で忍耐を養わなければならないと自身のブログに書くなどして、エアコンの必要性は否定していましたよ。しかし、世論と運動に押されて渋々設置せざるを得なくなった。その真相は伏せて、自分がやった、やったと自画自賛する。恥ずかしくありませんか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 私は最初、エアコンの設置というのは反対だったんですね。自分のときもエアコンついていなかったので、やっぱり我慢するということも大事ではないかと、そういう考え方だったんですが、暑さが今は違うんだと、こういうような、当然行政をしながらいろんなお声も聞く中で、全ての区の一番温度が高いという学校に行って実際に自分で子どもたちに話を聞いて、先生方にお話を聞くという中で、エアコンの必要性ということを感じた上で設置をしたという経緯でございますので、以前言っていたからといって、それを絶対にしないということではなくて、やはり市民の声を聞きながら柔軟に対応していくのは肝要かというふうに思います。

 また、ふだんからいろんな事業をしていく上で、やっぱり国の補助をとってくるというのは非常に大事になってきますので、やはりしっかりそうした陳情活動を実らせて、そして、こうしたこともできるわけでありますので、国の予算はこれ、つかなければ当然補助事業としてもできないわけですから、選挙ですから、こうしたことをこれまでの活動成果としてお話をしてきたということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これね、言いわけされますけど、都合のいいところだけつまみ食いしていくと、これは事実と違うことに描かれるんですね。こんな手法も安倍政権仕込みでしょうか。事実をゆがめ、市民を惑わす発言だと言わなければなりません。

 また、発言では第1号は草ヶ江と強調されていますが、教育委員会に対して草ヶ江を一番にしちゃれよと、そんな特段の指示でも出していたのか、お尋ねします

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 出したことはありません。ただ、当然行くエリアエリアでその校区の話題というものを入れたりとか、もしくは、かつてこういうことでこの校区にはお邪魔をしたとか、そういうエピソードを入れながら、その地域の方に親近感を持っていただいたりとか、そういう中で、草ヶ江でお話をするというときには草ヶ江校区のエピソードというものを探して、それで最初に着いたのが草ヶ江だったので、そういう発言をしたということでございます。

 これはほかのエリアに行っても、そのエリアのトピックなどを冒頭でお話しをしたりとか、もしくは市民の皆さんにこの地域のこともしっかり向いていますよというふうに、市長選挙としてアピールをする上で、いろんな情報を探して話をしているという中の一つでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) たまたま草ヶ江校区でしゃべったので言ったと。自分がやったかのような言い方は選挙期間中であっても言うべきではありませんよ。地元の議員さんにサービスしたのかもしれませんけどね。

 次に、市長が福岡市の成長の一つとして自慢した観光クルーズ船についてです。

 これがふえて、さらに受け入れを拡大する必要があるとして、同時に2隻着岸を可能とするために中央ふ頭岸壁が延伸されました。

 そこで、整備のために国費と市費合計で幾ら投入したのか、担当局長にお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

港湾空港局長(中村貴久) 国が直轄事業で実施しました中央ふ頭の岸壁延伸の事業費につきましては、国費及び市が負担します直轄工事費負担金の合計が平成29年度の決算の段階で303,400万円となっております。これに平成30年の当初予算額10億円を合わせますと、合計403,400万円となっております。その内訳は2分の1ずつで、201,700万円が国費、同じく201,700万円が市の負担金となっております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) ちょっと合計で市費、国費幾ら投入したのかというのをわかりやすく言ってください。

 

議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

港湾空港局長(中村貴久) 国費と市費合計で403,400万円でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 事前に聞いた数字と若干違うんだけどね、私は47億円と聞いておるけれども、いずれにしても40億円以上が使われておるんですよ。

 これが市長に言わせるとどうなるか。今、博多港はマリンメッセの隣の岸壁をちょっと延ばしたんですよ。ウォーターフロントネクストと言って延ばしましたという発言です。

 40億円以上もの税金を投入した事業について、意図的になのか本心なのかわかりませんが、ちょっと延ばしたという感覚。この感覚は異常ではないかと思いますが、市長の御所見を伺いたい。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) ちょっとというのは事業費が小さいという意味ではなくて、多分市民の皆さんが都市高速から見れば、マリンメッセの奥にクルーズ船が到着できる岸壁が少し延びているというところが目に見えてわかるという意味からお話をしたということでございまして、その額が大きい、小さいという形ではないということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) まあ市長の考え、感覚の一端がよくわかりますよね。金額の問題ではないという話なんですよ。これは大変危険な考えだと思いますね。

 次に、クルーズ船の効果についてです。市長は5,000人のクルーズ船が着岸すれば、1人8万円で4億円、これが年間320回来て1,300億円お金を落としてくれる、そういう話をされています。しかし、それは消費額にしかすぎません。

 そこで、本市への経済波及効果並びに税収効果は幾らか、数字があれば担当局長、お示しいただきたい。なければないでいいですよ。関係ない数字答えんでいいですからね。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) クルーズ船寄港によるクルーズ客の消費額につきましては、クルーズ客1人当たりの平均消費額が約8万円であることから、現在、博多港に寄港する最大級のクルーズ船の場合、乗客数が約5,000人であるため、1隻当たり約4億円と推計しております。また、税収効果につきましては、クルーズ船寄港の経済波及効果によるものに限定したものはございませんが、観光集客全体の振興に伴う税収効果については、平成22年の法人及び個人の市民税の税収効果を512,000万円と推計しております。クルーズ船を含む直近の入り込み観光客数は平成28年の2,050万人で、平成22年と比較して約25%増加しており、経済波及効果は約14%増加の5,320億円と推計しております。これによりまして、税収効果につきましても、平成22年と比較して経済波及効果と同程度の増加につながるものと考えております。

 また、次に、現在博多港に寄港する最大級のクルーズ船1隻当たりの消費額である約4万円に平成29年の寄港回数326回を乗じると、約1,300億円となり、同年の市税収入のおおむね半分となります。これはもちろん、この全部が税収という意味ではなく、規模感でいえばそれくらい大きいという理解をしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) だからね、土台となる年度を平成22年と言われましたけど、もう全然状況が違うでしょう。それから8年たっておるけれども、明確な波及効果も税収も示せないということなんですよ。いろいろ推計も入れながら苦しい答弁をされる、担当課長に端的に聞いたら、それは出せませんと言うんだから。それが実態。

 市長は、今、局長が説明したようなことをいろいろレクチャーを受けて先ほどの発言をされたんですか。市長は2,900億円お金が落ちた。交流人口がふえれば確実に税収が上がるという発言を行っているんですよね。その根拠について市長自身にお尋ねしたいと思います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 福岡市は9割の市民が第3次産業、つまりサービス業で働いているわけであって、たくさんの消費者が来てお金を使っていただくということは、これは確実に消費効果がああって、それが税収につながる、この大きな流れを言っているわけでございまして、これは福岡市として、では、例えば、クルーズ船の寄港数がふえるということは市民生活に全く関係ないかというと、こういう形で税収が上がるということが大事なんですよ、こうしたことを市民の皆さんに今回の選挙でもお話をしてきたということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これも問題がありますよ。クルーズ船が入ったら税収がふえると決めつけて言っているけど、税収がふえる方法はほかにも幾らでもある。もっと地場の業者を応援したら、もっと地域にお金が回って税収ふえますよ。一個だけ取り出して、しかも根拠は極めて脆弱、こんな発言を市長選挙中だからといって言うのは許されないですよ。これも市民に謝罪すべき発言です。

 さて、次に、補助金や配る福祉についての市長の発言を紹介します。

 子どもの全部から、高齢者の全部から、もうついでに国民全員ただってすりゃ、できるんならするって。それはできんさ。皆さんの家庭だってね、子どもたちに服はいい服着させる、医療環境もばっちり、夏休みには海外旅行に行って何とかでって、塾もいっぱい習い事させて、で、お父さん、お母さんにはすばらしいセカンドハウスか何か買ってあげるって、それはできんて。要するに、配る福祉というのは、配り終わったらなくなっちゃうんですと、こんな発言をされた。

 とんでもない発言ですね。福祉を海外旅行に行くことやセカンドハウスを購入することと同列にするとは不適切の極みだと思いますが、御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) これからいろんな施策をしていかなくてはいけません、高齢化に向けていろんな福祉の施策もしていく上で、では、やってあげたいことはたくさんあるけれども、財源はどうするのだと、こういう考え方を行政としても考えなければいけない。市民の皆さんにこれをお伝えするときに、それぞれの家庭の中で考えたときに、子どもたちとか、それから、自分のお父さん、お母さんにもこんなことをしてあげたいということがあっても、それは当然財源がなくてはできないですよね。こういう考え方を示すときの例えとして、これはお話をした話でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) とんでもないですよ。あわせて、市長が配り終わったらなくなっちゃうと言う、配る福祉とは一体具体的に何を指しているのか、説明を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 配る福祉ということは、これは制度上、年齢などを条件に一律に支えられる側、こういう考え方を実施する、そういう施策をあらわしております。

 具体的には、保健福祉総合計画の策定当時は、支える側というものに重点を置いた施策への再構築に向けて、敬老金や高齢者乗車券などを検討の対象にしておりました。

 なお、高齢者乗車券については、高齢者の社会参加の促進に寄与していて、支える福祉にもつながる施策であることから、その効果も含めて保健福祉施策の再構築の中で検証・検討する必要があると認識をしております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 今おっしゃった高齢者乗車券制度、これを配る福祉の例としてこれまで当局は示されてきましたよ。これを再構築するとして、インセンティブ制度の導入が検討されてきたわけです。

 市長は会見で、この乗車券の中のタクシー代は配ったら終わりということで例示もしておられました。しかし、先月30日の高齢者乗車券に関する請願審査において、改めて保健福祉局長はこの制度の目的を述べられました。市長も今少しおっしゃったが、局長のこのときの答弁、再度この場でお示しいただきたい。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの高齢者乗車券の目的につきましては、規則に定めているとおり、高齢者の社会参加の促進であり、例えば、趣味、教養、文化などの活動やボランティア活動、就業、健康づくりや介護予防につながる活動などへの参加を促し、外出の契機となるよう交通費の一部を助成しているものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) おっしゃったように、社会参加の促進に大変寄与している事業なんですね。そして、この事業は当面継続するとも答弁をされましたよね。以前の質疑では経済波及効果もお認めになっております。それを市長は配ったら終わりとねじ曲げている。こんなことを言っているのは市長だけですよ。これもまた偽り、有権者を欺くものでした。しかも、市長のこの考えでいくなら、社会保障全体が成り立たなくなる暴論です。

 以上、選挙期間中の市長のうそとごまかし発言の数々の一端を見てきましたが、島市長は有権者の前で事実をゆがめ、公正な選挙を妨げたと思いますが、御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 済みません、もう一度質問をお願いします。(発言する者あり)

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 選挙中はいろんな市民の皆様のもとに行って、そして、そこにいる地域の皆さんですとか、また、来ている方の年齢層とか、いろんなことを見ながら、できるだけわかりやすくかみ砕いて、また、できるならば双方向なども用いながら、わかりやすく市民の皆様に市政の考え方、そうしたものをお伝えしてきたつもりでございます。

 そうした中で、基本的には、そうした事実関係が間違っているというようなことはないというふうに認識をしておりますが、いずれにしても、福岡市のこれまでしてきた施策、そして、これから候補者として、また、新市長としての公約、こういうことをやっていきたいという思いを市民の皆様に真摯にお伝えをしてきたという認識でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) さらにそのほか、選挙にかかわる振る舞いについてただしていきます。

 今回も市長選立候補予定者説明会が1019日に行われました。しかし、島陣営は誰も参加せず欠席でした。

 そこで、市長は欠席が許されると考えているのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 当然これは参加をしたほうがよいというふうに考えていますが、後で聞いたんですけれども、体が弱い人でして、ちょっと熱が出ていたというふうに後で聞きました。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) そんないいかげんな陣営なんでしょうかね。

 この説明会の予算及び目的について選挙管理委員会事務局長にお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 宮崎選挙管理委員会事務局長。

選挙管理委員会事務局長(宮崎晶子) 立候補予定者説明会につきましては、市役所の庁舎内で職員が説明するため、予算として特に計上しているものはございません。

 なお、立候補予定者に配付する資料の印刷代は選挙の執行に係る経費から支出しております。

 また、説明会の目的ですが、立候補の届出を円滑に受理できるよう開催しており、あわせて選挙運動の注意点等も説明しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これね、予算額として上げていなくても、事務経費の中に積算されているんですよね。それは選挙の予算全体は市長みずからが計上したものであります。そして、公正な選挙を実施するために大事なことだから行われたんです。

 私も出ましたけどね、説明会冒頭で事務局長は、20回目の歴史的市長選、関係法令を遵守し、市民から批判、誤解されない明るくきれいな選挙をお願いすると挨拶されました。そして、諸手続について事務局から丁寧に説明されました。それを現職候補陣営が欠席をした。前代未聞であります。

 そして、その結果、私がるる示したように、諸々の問題発言を島候補本人が行い、選挙戦最終日の1117日午後7時50分過ぎには、神谷候補が街頭で正当に行っている選挙期間中最後の演説の妨害を、何と島候補本人が行うという事件が発生しました。市長は覚えていると思います。あの行為は許されない行為だと思いますが、御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) あと5分で2週間にわたる選挙戦が終わるという最後のクライマックスのときに、ちょうど事務所に帰る最後の交差点を曲がるところで相手候補の方が演説をされていたということで、まさに両候補にとって一番最後の訴えをする場面で遭遇を、鉢合わせをしてしまったということは、双方にとって不幸であったというふうに考えています。もちろん両方とも熱が入って、やはり最後の一票をとるために一生懸命声を枯らしているというところだったんですけれども、特に交差点で、しかも、悪いことにちょうど信号が赤になってしまって信号が変わるまでの間、お互い真横にいなければいけないという事態になってしまったということは非常に残念でありますけれども、こういうことがなければよかったなというふうに思っています。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) とぼけたらいけませんよ。候補者カーでマイクを握り、大音量のままですよ。市長はもう打ち上げ演説終わられた後ですよ。リーダーは島、リーダーは島、絶叫するあなた自身に私は駆け寄りましたね。神谷候補が演説しているので配慮してくれと直接要請しました。わからないとは言わせません。あなたは私からは目をそらして、無視し続けて、大音量のまま連呼を続け、通過し終えるまで神谷候補の演説を妨害し続けました。神谷候補は10秒ぐらい演説をやめていましたよ。相手候補の演説を候補者自身が意図的に妨害する、こんな行為は私、何度も選挙を経験していますが、初めてですよ。

 公職選挙法第225条においては、演説を妨害する行為は禁じられております。誰よりも法を遵守すべき現職市長としてあるまじき行為であり、この場で謝罪すべきではないですか。神谷候補、この場におると思いますよ。あそこにおりますね。答弁を求めたい。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 神谷候補、初めまして、島です。その節は本当に最後の、やっぱりお互い5分、2週間一生懸命本当に精神も肉体もぼろぼろになって訴えてきた最後のシーンで、あのような形で鉢合ってしまったというのは本当に不幸だと思います。

 ただ、今、中山議員から御指摘いただいたように、意図的に妨害しようではなくて、信号が変わってしまったという不幸でして、これは信号が青であればそのままスムーズに通過をしてしまったわけなんですけれども、真横にいて、また、向こうの支持者の方も当然ヒートアップしていますから、車のほうに皆さん駆け寄って物すごい形相で文句をおっしゃっていましたのでね、それで向こうのほうは向けなかったんですが、いずれにしても、そうした意図があって何か妨害しようではなくて、私も立っての演説は終わったんですけれども、最後の訴えを一人でも多くの歩いている方にしようということで、双方大きな音量で頑張っていたということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 現職の市長がそんなに焦らんでもいいんじゃないですか。天神のど真ん中で多くの有権者があれを見ていましたよ。人間としてもどうかと思いますよ。

 次に、神谷候補が正式に文書で申し入れた公開討論に対して、返事一つよこさず無視し続け、実現を妨げた理由についてお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 今回は最後の決算の議会が終わってから、それから、告示までがもう1週間というような非常に短い期間の中で、スケジュールが合わなかったということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) あなたの公務のスケジュール、私、取り寄せましたけど、がらがらですよね。日程調整できないはずはありません。

 神谷候補は念のために、これは回答を求めていたんだけどなかったのでね、あなたの登録住所にも内容証明郵便で申し入れ書を送付しています。何とこれは不在、保存期間が過ぎたという理由で郵便局から返信されてきました。なぜ無視したのか、あるいは、あなたは有権者登録している住所に住んでおられないのか、明確な答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) いや、住んでいると思うんですけれども、私もひとり暮らしなもので、なかなか多分持ってきていただける期間中にいなかったということかもしれません。また、その期間中なんですが、1週間の間、当然公務はそんなに多くなかったと思うんですが、公務ではなくて、その残りの時間でとにかく公務もこなしながら、1週間という限られた期間に支援者の皆さんとかに御挨拶に回ると、こういうスケジュールが優先をされたということでございまして、スケジュール調整がきかなかったということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) うそを言ったらだめですよ。あなたは市民団体からも1028日、日曜日のふくふくプラザでの公開討論会への参加要請、直接文書で渡されていますよね。これについても、返事しないまま欠席。この態度も道義的に許されないと思いますが、御所見を伺います。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) いろんな御質問の紙とか、この際ということで選挙にあわせていろんな質問票とか、また、こういうところに来てくれというのは来ていたそうなんですが、スケジュールの全体調整は事務局というか、秘書のほうがしていたということなんですけれども、1人でいろいろさばいていたので、返せていない部分とか、それから、判断ができないままというようなものもたくさんあったというふうに聞いております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 事務局のせいにせんで、あなたの責任ですから。この場をかりて、返事もできなかったのは申しわけないぐらい謝罪したらどうですか。機会を与えますよ。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 事務局の体制ということでありますけれども、ただ、一方で、いろいろこの際お聞きをしたかった人もいらっしゃったというふうに思いますので、できる限りそういう皆さんにはお答えをできればよかったかなというふうに思います。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 頭は下げないんですね。今や公開討論会は有権者の選挙への関心を高め、投票行動を促す有効な手段だというのは常識です。討論会の実施や出馬要請を無視し続けたというのは、結局有権者の前で公開討論に応じる自信がないから逃げたかったというのが本当のところではないのですか、答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 今回はスケジュールが合わなかったということで、大変残念に思います。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) スケジュールで通されますね。市民の前でみずからの政策を語れないなら、候補者の資格がありません。

 もう一つ確認しておかねばならないことがあります。政党との関係についてです。

 市長は今回、自民党、公明党の市議団にも推薦を要請せず、完全無党派で選挙に臨むと公言していました。しかし、報道によると、選挙戦終盤の1115日に自民党本部に対し支持を要請し、これを取りつけたとのことです。

 そこで、なぜ方針を転換したのかお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 今回の立候補に当たって、私のほうから政党に推薦を求めるというような考えはなかったために、出馬会見でもそのようにお話をしていたんですが、その後、1115日に自民党本部のほうから支持を出すという御連絡をいただきましたので、ありがとうございますということでお受けをしたということでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) あなたが要請したんじゃないんですか。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) いや、要請していません。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これもおかしいですね。16日付の毎日新聞は、自民党甘利選対委員長が島市長本人から要請があったと、そういう報道をしていますよ。市長と甘利氏と一体どちらがうそを言っているのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) いずれにいたしましても、私は要請はしていないということは事実でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) では、政権党の選対委員長はうそをつくということですね。これはゆゆしき事態だ。

 本当にひきょうですよ。選挙戦での数々のうそとごまかし演説、討論拒否、演説妨害、このような姿勢は、選挙管理委員会が説明会で呼びかけた関係法令を遵守し、市民から批判、誤解されない明るくきれいな選挙にも真っ向から反するものであり、候補者として許されない態度であると言わなければなりません。また、この選挙で市長が公約として掲げたロープウエー構想やさらなる大型開発推進、配る福祉から支える福祉へなどとした福祉切り捨て路線に対しても市民の批判が広がりました。このような中、有権者の冷たい反応の前に焦った市長は、選挙最終盤に安倍政権に泣きつき、安倍政権べったりの姿勢を一層あらわにしました。これら島市長の選挙戦における異常な振る舞いの数々が、有権者の選挙離れに拍車をかけ、有権者の約7割が棄権するという今回の史上最低の投票率と、過去最多1万470票という無効票の多さにつながったことは間違いないのであります。その結果、島市長に投票したのは有権者の4人に1人にも及ばず、到底信任されたとは言えない事態となりました。

 したがって、島市長は市長選挙におけるみずからの一連の言動と問題について市民と関係者に謝罪するとともに、公約で掲げたロープウエーなどの大型開発路線と福祉切り捨て路線を見直すべきではないかと思いますが、答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 私はこのたびの選挙におきまして、有効投票数の75.14%に当たります285,435票をいただいたということは、これは私の2期8年間、福岡市の発展と市民のためにチャレンジを続けてきたことが間違いではなかったというふうに強く実感をしますとともに、次の4年間の市政のかじ取りを任せていただいた御期待にしっかりと応えていかなくてはいけないというふうに、改めて身の引き締まる思いでございます。

 また、校区を回らせていただく中で、多くの市民の皆様からさまざまな御意見を直接頂戴もいたしました。いただいた御意見は市政への期待や激励、要望など多岐にわたるものでございましたが、こうした市民の皆様の御期待に応えていくためにも、福岡市の成長をさらに加速させて、また、その成長の果実を生かして、未来を担う子どもたちのための教育環境の向上や、また、妊娠、出産、育児への切れ目ない支援、また、人生百年時代を見据えた持続可能な社会づくりなどにも取り組んで、誰もが安心して暮らせるまちづくりに全力で4年間も取り組んでいこうというふうに思います。以上です。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 反省のかけらもない。勝つためにはこそくな手段も何でもありという市長の姿勢に対して、少なくない市民が選挙をなめている、汚いと批判していることを重ねて指摘しておきます。また、信任されたなどと言ってこれまでの路線を加速させるなら、多くの市民との矛盾は避けられず、厳しい批判にさらされることを警告しておきます。

 次に、ウォーターフロント地区再整備事業についてです。

 本12月議会には第4委員会においてウォーターフロント地区再整備の事業概要案並びにウォーターフロント地区における新たな交通システムの検討状況について報告されるとのことであります。市長選が終わるのを見計らい、早速アクセルを踏もうとするやり方であり、見過ごすことはできません。交通システムについてはロープウエーについての項目でただしましたので、ここでは、入手した報告資料をもとに、再整備問題に絞ってただしてまいります。

 まず今回は、昨年の12月議会への報告と何が変わったのか、説明を求めます。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 平成2912月議会の第4委員会では、ウォーターフロント地区再整備に係る機能強化の方向性、事業スキーム、交通対策等の検討状況について報告をいたしております。

 今回の報告は、これまでの検討を踏まえまして、施設の機能や配置を具体化し、新たに概算整備費や整備効果等を取りまとめ、事業概要案として報告することといたしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 最大3,000席を有するウォーターフロントホール、雨に濡れずに区域を移動できる歩行者用デッキ、新たなクルーズターミナル、バス待機場、現在のサンパレス用地には高級ホテル、その地下に450台の駐車場、大博通りから直接地下駐車場につながる車路、そこから、さらに中央ふ頭につながるバス、連接バス専用道路など、大がかりな全体像が具体化されてきたということです。

 資料によると、サンパレス用地の高級ホテルの北側には前回なかった新たなエリアが設けられ、民間施設とされていますが、これは何を想定しているのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) ウォーターフロント地区の再整備につきましては、貴重な海辺空間を生かし、MICEやクルーズ機能の強化とあわせまして、市民や来街者など多くの方々が海辺を楽しめる新たなまちづくりに取り組んでいくこととしております。

 お尋ねのサンパレス用地北側につきましては、都市高速道路の高架下を活用いたしまして、にぎわい施設などを誘導することで博多ふ頭と中央ふ頭の回遊性を高め、市民や来街者などが楽しめる海辺空間の創出を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) カジノを想定しているのではありませんか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) ウォーターフロント地区の再整備におきまして、カジノ施設を含む特定複合観光施設、いわゆる統合型リゾートの誘致は考えておりません。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 今後もこの地域にカジノを誘致することはないと明言できるか、重ねてお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) ウォーターフロント地区の再整備におきましては、繰り返しになります、カジノ施設を含む特定複合観光施設の誘致は考えておりません。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これも今考えていないということであって、と言って、後々出てこないように監視をしておきたいと思います。

 一連の開発に係る新たに出された概算整備費400億円の内訳と、その金額根拠について答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 今回、事業化を進める公共施設の概算整備費といたしましては、MICE施設として福岡サンパレスを継承するウォーターフロントホールが約120億円、MICE施設や駐車場を結ぶ歩行者デッキが約20億円、クルーズ施設といたしまして、超大型クルーズ船の2隻同時着岸に対応したクルーズターミナル及びバス待機場が約56億円から82億円、環境整備といたしまして、MICE関連の地下駐車場が約50億円、大博通りと地下駐車場をダイレクトに結ぶ地下車路が約20億円、MICE開催に対応した交通広場等が約33億円、路線バスや都心循環BRT等のための公共交通専用動線が約3億円、その他、港湾緑地等に約3億円を見込んでおります。また、先行施設として整備を進めております第2期展示場及び立体駐車場の整備費が約92億円であり、合計しますと約400億円程度を見込んでいるところでございます。

 概算整備費につきましては、各施設ごとに構造や施設規模等を検討いたしまして、類似する施設の整備費などを参考に算出しているものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) 類似施設などをもとにと言われるんだけど、これの根拠も資料でくれと言いましたけどね、これ示されないんですね。適当な試算で過少に見せかけるやり方は許されないと思います。人工島しかり、都市高速しかり、あなた方の見込み通りにいったためしがない。しかも、今回の試算には、新たに整備中の4車線道路、築港石城町線の約25億円は入っていない。ほかにも数カ所の交差点改良、そして、那の津大橋の4車線を6車線化する計画もあるのに、これは経費は含まれておりません。将来的には中央ふ頭の先端をさらに埋め立てる数百億円規模になる計画もあります。そして、ロープウエーの最大400億円、これらを総括すれば、全体で400億円どころか1,000億円以上に膨れ上がるのは必至であります。一方、資料では、再整備による経済波及効果については年間2,000億円と算出されております。私はこれも根拠を示す資料を事前に求めましたが、まともな内容は示されませんでした。あくまでも希望的観測、しかも、市民に還元される保証は島市政の2期8年と同様に全く期待できないと言わなければなりません。

 したがって、根拠のない経済波及効果を理由にして莫大な税金投入を行い、必要のない大型開発に突き進むのは許されないと思いますが、答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 経済波及効果につきましては、現在計画している施設等の基本的な条件設定に基づきまして、MICE、クルーズ、民間施設の機能強化に伴う需要を算出いたしまして、これを産業連関表に当てはめ、波及効果の分析を行っているものでありまして、その業務は公益財団法人九州経済調査協会に委託して実施いたしております。

 先ほど申しました経済波及効果に加えまして、2,000億円程度と見込んでおりますが、それに加えまして、ウォーターフロント地区の再整備に関しましては、民間の活力やノウハウを積極的に活用しまして、供給力が不足しているMICE機能や海のゲートウェイ機能の強化とあわせ、日常的なにぎわいの創出を図るとともに、都心部の貴重な海辺空間を生かしまして、市民の皆様や来街者の方々に親しまれる魅力的なまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 中山郁美議員。

○50番(中山郁美) これもね、今しれっと委託をして算定したと言われたけど、持って来ないんだから。根拠資料をくれと言っても、しようもない一枚ぺらしか出さないんだから、きのうの川口議員ではないけどね。こんなことがあっちこっちで起きよる。本当に議会議員をなめていますよ。何度繰り返してもね、根拠のないただの願望を述べられました。何が何でも着手して強行推進するために、整備費は過少に、効果は過大に描くやり方であり、許されないと思います。安倍政権直結の島市長が国と一緒になってカジノ誘致をもくろんでいるのではないかという疑念も拭えません。

 島市長のもとでのウォーターフロント再整備構想は、MICE、クルーズとかけ声をかけ、市民が望んでいない天神、博多駅に次ぐ第3のにぎわいの拠点づくりをなりふり構わず進めようとするものです。しかも、PFIや港湾全体を民間大企業に投げ渡すコンセッション方式の導入を前提にした開発は、市民の負担した税金で港とまちを壊し、財界のさらなるもうけを保障するとともに、本市の財政を圧迫し、将来に大きなツケを残すものです。

 したがって、今回の事業概要案は撤回、無謀な計画そのものをきっぱり中止し、市民の暮らし、福祉、教育を最優先にする財政運営に転換すべきだと思いますが、最後に市長の答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 福岡市では、第9次基本計画におきまして、生活の質の向上と都市の成長の好循環を基本戦略に掲げて、さまざまな取り組みを進めてまいりました。これまでの取り組みによりまして、人口や観光客がふえ続け、また、企業の立地が進む中で、MICEにつきましては、既存施設の稼働率がほぼ上限に達しまして、また、クルーズにつきましても、クルーズ船の大型化や寄港回数の増加に施設が対応できないということから、ともに多数のお断りが生じています。このお断りによる機会損失は年間800億円程度に上っておりまして、第3次産業が9割を占める福岡市が持続的に発展をしていくためにも、重要な成長機会を失うことになっております。

 このため、ウォーターフロント地区におきましては、福岡市の成長を牽引する成長エンジンとして、MICE機能や、また、海のゲートウェイ機能の強化を行いますとともに、都心部の貴重な海辺空間を生かして、市民の皆様や来街者の方々が憩い、楽しめる魅力的なまちづくりを進め、MICE、クルーズ、にぎわいが融合した東アジアのグローバル交流拠点の形成に向けて着実に取り組んでまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦)登壇 みらい・無所属の会の国分徳彦でございます。昨日、島市長の御挨拶がありましたが、去る1118日の市長選におきまして、過去最多得票を獲得され、見事3選を果たされました。1期目より2期目、2期目よりも3期目と着実に票を伸ばされたことを見ても、市民の島市政への期待の大きさがうかがえます。これは、これまでの2期8年の市政運営について信任をいただき、引き続きしっかりと現在の市政運営を継続していってほしいという後押しをいただいたものと私は理解しております。我がみらい・無所属の会は、市長3期目の市政運営について、これまで以上に一致協力して福岡市の発展のために尽くしてまいりたいと考えておりますので、島市長におかれましても、勇気と覚悟を持って市民の期待に応えていただきたいと思います。

 それでは質問に入ります。私はみらい・無所属の会を代表して、介護保険の介護認定審査について、自治協議会への支援強化について、インバウンド振興について、以上3点について質問いたします。当局の明快な回答を期待いたします。

 まず、介護保険の介護認定審査についてお尋ねします。

 政令市の中でも比較的に若い世代が多く、活気にあふれる福岡市ですが、高齢化の流れは例外ではなく、ついに超高齢社会に突入し、介護需要は今後ますます増加することが予想されます。介護が必要になった高齢者の皆さんにとって、いつでも介護サービスを速やかに受けられることが安心して生活する上で最も大事なことではないでしょうか。この介護サービスを利用するためには、まず要介護認定申請を行い、認定審査を受ける必要がありますが、その要介護認定申請の流れや認定審査について、本市の御所見をお尋ねしてまいります。

 初めに、福岡市の介護保険の第1号被保険者数と要介護認定者数についてお尋ねします。

 以上で1問目の質問を終わり、2問目からは自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市の65歳以上の高齢者である第1号被保険者につきましては、平成3010月末現在で329,515人、要介護認定者につきましては、6万7,197人でございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 次に、介護サービスを利用するために要介護認定を申請し、認定結果が出るまでの流れについてお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 要介護認定の流れにつきましては、まず、お住まいの区に要介護認定申請書を提出していただく必要がございます。申請受理後、区は申請者の自宅等に認定調査員を派遣し、心身の状況や生活状況等について聞き取りを行う認定調査を実施するとともに、申請者の主治医に対して意見書の提出を求めます。次に、認定調査の結果と主治医意見書の項目を全国共通のコンピューターソフトにかけて1次判定を行い、この結果をもとに、介護、医療、福祉の専門家で構成される介護認定審査会において2次判定を行い、最終的な要介護状態区分や有効期間が決定されます。介護認定審査会の判定結果を受け、区より要介護認定結果を通知いたします。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 介護サービスを利用するには、まず要介護認定申請書を市に提出する必要がありますが、中には介護する家族のいない単身の高齢者や、高齢者の御夫婦などで足腰の弱い方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 そこで、申請手続のために区役所を訪れるのも困難な状況の中で、要介護認定を受けるためにはどのようにすればよいのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 要介護認定につきましては、家族や知人、民生委員等による代理申請や郵送による申請も可能でございます。また、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所及び介護保険施設による代行申請も可能でございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 代理申請や郵送による申請などもできるということで安心しましたが、市民の方からは、介護認定の結果が出るまで日数がかかり過ぎて遅いという声をお聞きしています。

 そこで、福岡市では認定されるまでに平均して何日くらいかかっているのか、また、それは他都市と比べて早いのか遅いのか、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市の認定までの平均所要日数につきましては、平成28年度が36.8日、平成29年度が36.7日でございます。

 他の政令市との比較につきましては、平成29年度でお答えしますと、最も早い政令市が32.8日で、全政令市平均が40.7日となっており、福岡市は政令市で4番目に早い状況でございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 要介護認定は介護保険法によると、申請から30日以内に認定結果を通知するのが原則になっておりますが、通知が30日を過ぎてしまうのはどのような理由によるものか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 要介護認定は全国的にも所要日数が30日を超えることが多い状況でございます。

 その理由といたしましては、要介護認定は申請を受理してから認定調査や主治医意見書の受領までに通常2週間程度を要しますが、認定調査において当事者の体調の急変や入退院あるいは家族同席の希望等により、調査日の調整がおくれることがございます。また、主治医意見書では、当事者の医療機関未受診等も含め、医療機関からの提出がおくれることが多い状況でございます。その後の認定審査会では、審査判定を行うための準備に1週間程度を要しますが、申請が集中する時期などには、さらに期間を要することがございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 現状の仕組みではやむを得ない、さまざまな要因があるようですが、御本人の状態やお住まいの環境によっては、一刻も早く介護サービスの利用を希望される場合もあり、その救済措置として、要介護認定の判定結果が出る前でも介護サービスを受けられる暫定サービス制度を利用することができます。しかしながら、認定された介護度が想定よりも低く、その結果、過剰な介護サービスの提供を受けていた場合には、その超えた費用が後で自己負担となる可能性もあるため、あらかじめ低めの介護度で設定せざるを得ず、十分な介護サービスを受けることができなかったといったケースもあると伺っております。介護サービスの利用者やその家族に不安を与えないためには、要介護認定に要する期間を今よりもさらに短縮すべきであると考えます。

 最後に要介護認定に係る今後の対応について御所見をお伺いし、この質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 要介護認定に要する期間につきましては、法定30日の原則を遵守することは全国的にも厳しい状況であり、今後、高齢者の増加に伴う要介護認定者の増加が避けられないことから、一層困難な状況が予想されます。今後、この期間を短縮していくためには、介護認定審査会で必要とする認定調査票と主治医意見書を速やかに整えることが重要であると考えております。そのため、福岡市では、医師会や認定調査を委託している事務受託法人などの関係機関と連携し、認定調査を速やかに実施するとともに、医療機関からの迅速な主治医意見書の提出を求めてまいります。

 なお、来年1月には要介護認定事務センターを設置し、各区で実施している認定事務を集約化することとしており、事務処理のさらなる効率化を行うことで処理期間の短縮を図ってまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 次に、自治協議会への支援強化についてお尋ねします。

 地域コミュニティの活性化を進める上で、自治協議会は欠くことのできない市の重要なパートナーとして位置づけられております。共創の取り組みを加速させ、地域コミュニティのさらなる活性化を図るためには、自治協議会への支援の強化が必要と考えています。

 そこでまず、自治協議会に対して現在どのような支援を行っているのかお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 自治協議会に対する支援につきましては、主なものとして、自治協議会が主体的に行うまちづくり活動を支援する自治協議会共創補助金の交付のほか、区役所地域支援課の校区担当職員による自治協議会の運営や活動の支援、公民館における活動の場の提供や地域活動への助言などを行っております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 次に、市では定期的に自治協議会や自治会、町内会の会長を対象としたアンケート調査を実施されていますが、直近のアンケート調査でわかった自治協議会の運営や活動に当たっての課題はどのようなものがあったのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 自治協議会の運営や活動上の主な課題につきましては、平成26年度のアンケート調査結果によりますと、役員のなり手がいない、活動への参加者が少ない、予算が足りないなどとなっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 自治協議会に対する支援として補助金を交付している一方で、アンケート調査では予算が足りないということが話題として上がっています。これは、自治協議会によっては現在の補助金の額では協議会運営や充実した活動の実施が難しいという切実な訴えであるとも言えるのではないでしょうか。

 そこで、確認のため、自治協議会の補助金はどのようなことに対して交付しているのか、お尋ねします。また、あわせて平成30年度の予算額は全体で幾らになるのかお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 自治協議会への補助金につきましては、安全、安心、子どもの健全育成、健康づくりなどの10項目のまちづくり基本事業に要する経費のほか、地域みずからが企画し自主的に取り組むまちづくり活動などの事業の実施に要する経費及び自治協議会の運営に要する経費を補助対象としております。また、各自治協議会への交付額は人口規模に応じて246万円から394万円までの範囲の中で5区分の限度額を設けており、平成30年度の予算額は5億1,754万円となっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 自治協議会の補助金制度は平成16年度に創設されて以降、これまでに20年度と28年度の2回にわたって補助金が増額されていますが、これはどのような背景や趣旨のもと行われたのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 補助金の増額につきましては、まず、平成20年度は自治協議会における環境活動の充実のため、及び人口が多い校区の経費増大に対応するため増額を行ったものでございます。

 また、28年度は共創の取り組みの一環として、役員の活動費及び事業費をともに増額するなど、自治協議会共創補助金として拡充し、地域の担い手づくりや、きずなづくりへの支援の強化を行ったものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 平成28年度の補助金の増額は共創の取り組みを推進するためのものであったと理解しますが、それによって自治協議会ではどのような効果があったのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 平成28年度の増額の効果につきましては、役員の活動費の増額により、これまで活動費が支払われていなかった自治協議会においても活動費が支払われるとともに、後継者の確保が行いやすくなったといった声をいただいております。また、事業費の増額や運用の見直しにより地域カフェが増加するなど、地域において顔の見える関係づくりが進められるとともに、夏祭りや運動会などにおいて、協力依頼や人材確保が行いやすくなったとの評価をいただいております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) ただいまの答弁によると、確かに一定の効果があらわれてきているように思いますが、先ほどのアンケートの結果にもあったように、地域活動の担い手や参加者が不足しているという声や、活動を充実させるためには予算が足りないといった声は、今もよく耳にするところです。また、現在も福岡市の人口はふえ続けており、28年度以降も約3万人増加している状況を見ると、地域において予算が足りないという声が出ることにも、うなずけるものがあります。さらには、地域における見守りや災害時の助け合い、支え合い活動など地域に期待される役割はますます大きくなっています。支え合いの基盤となる地域コミュニティの活性化に向けては、これらの課題に対し今まで以上のさらなる支援が必要ではないでしょうか。

 最後に、都市の成長で得た果実を本市の地域のまちづくりにおける重要なパートナーである自治協議会の補助金にも振り向け、増額をして活動の充実を図る、それができないのであれば、補助金交付のために実施しなければならない事業を見直して負担の軽減を図っていくべきと考えますが、御所見をお伺いし、この質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 地域コミュニティにつきましては、自治協議会の役員の皆様を初め、地域の皆様の献身的な御尽力に支えられているものと認識しております。

 議員御指摘のとおり、支え合いの基盤となる地域コミュニティの活性化に向けて、自治協議会への支援を強化することは重要な取り組みであり、自治協議会への財政面を含めた支援策や負担の軽減についてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 次に、インバウンド振興についてお尋ねします。

 現在、日本を訪れる外国人は順調な伸びを示しており、平成29年の訪日外国人旅行者数は2,869万人で、旅行消費額は4兆4,000億円と、5年続けて過去最高を記録しています。本市においても、観光は経済を牽引する重要な分野と大いに期待しているところです。

 それでは、まず初めに、インバウンド振興について、市のこれまでの取り組みと成果についてお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 本市のこれまでの主なインバウンド振興につきましては、海外への積極的な福岡ブランドの発信や受け入れ環境の整備、国際会議や大規模スポーツ大会等の戦略的なMICE誘致、クルーズ受け入れ機能の強化などに取り組んでおります。

 その成果につきましては、平成29年の福岡市の外国人入国者数は約298万人となっており、5年間で約3.7倍に増加しております。また、同年のクルーズ船寄港回数は326回となっており、3年連続で日本一を記録しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 本市を訪れる外国人観光客の数も順調に伸びてきていますが、地域経済のさらなる活性化のためには、1人当たりの観光消費の拡大を図る必要があると思います。しかし、残念なことに、外国人観光客の中には、決済に関して現金しか使えないことに不満を持たれることも多いようです。

 そこで、キャッシュレス決済の普及などの利便性の向上を進めるべきだと考えますが、市の取り組みをお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 外国人観光客の消費拡大を図るため、これまでもクレジットカードの使用可能店舗の案内や、中国で一般的なキャッシュレス決済の導入など、決済環境の改善に取り組んでまいりました。平成30年度はキャッシュレス決済の普及に向けて、屋台や飲食店、商店街、博物館、アジア美術館、福岡タワーなどにおいて、民間事業者による携帯端末等を使用した実証実験を行っているところでございます。

 今後とも、キャッシュレス決済の普及を促進し、外国人観光客の利便性を高める環境づくりを進めていきたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 外国人観光客のさらなる消費拡大に向けて、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。また、外国人観光客をふやす取り組みの一方で、市民生活に悪い影響が出ないような取り組みも重要です。

 近隣市町村の話ですが、先日、観光で訪れた外国人団体客のマナーの悪化について新聞で報道されていました。将来に向けて継続するインバウンドの振興のためには、増加する外国人観光客と市民生活との調和が重要であると考えますが、市はどのような取り組みを行っているのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 増加する外国人観光客と市民生活との調和につきましては、クルーズ船寄港に伴う観光バスによる交通混雑への対策としまして、寄港地観光手配予約システム「クルーズNAVI」を活用した訪問先の分散化や公有地を活用した駐車場の確保など、ソフト、ハードの両面から取り組んでおります。また、外国人観光客が市民生活へ支障を与えないよう、日本の生活習慣や文化を理解していただくためのマナー紹介映像を多言語で制作し、福岡タワーなどで放送しております。

 今後とも、住んでよし、訪れてよしのまちを目指して、観光と市民生活との調和に配慮した取り組みを行ってまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 持続可能なインバウンドの振興のためには市民の理解と協力が必須になりますので、必要な対策に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、福岡市は歴史資源や文化財のほか、豊かな自然や食など地域の魅力が大変豊富です。より多くの外国人観光客にそれらを楽しんでもらうためには効果的なプロモーションが不可欠と思いますが、市はどのような取り組みを行っているのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 地域の観光資源の効果的なプロモーションにつきましては、歴史や伝統文化を生かす取り組みとして、博多の魅力をストーリーやまち並みでつなぐ博多旧市街プロジェクトを展開して、博多人形の絵つけやお寺での座禅体験などの体験プログラムを開発し、SNS等で海外にその楽しさを発信してもらうなどの取り組みを進めております。

 また、自然を生かす取り組みといたしましては、志賀島におけるサイクルツーリズムや早良区南部におけるグリーンツーリズムなどにおいて、自然や食を楽しめる商品開発やPR等を進めております。

 また、祭りの躍動感を感じてもらうため、山笠バーチャルリアリティー映像を活用し、海外において旅行会社向けの観光説明会等を行っているところでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 現在、多くの自治体が観光振興に取り組んでおり、今後の都市間競争を勝ち抜くためには、プロモーションにしっかりと予算を投入することが重要です。特に海外に向けては、賞金等を設定して世界中からアイデアを募集するなど、新たな着眼点や発想を得る手法も含めて、民間の海外ノウハウやネットワークを活用した観光プロモーションを検討する必要があると思いますが、プロモーションに係る30年度の予算額とあわせて市の御所見をお伺いします。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 民間の海外ノウハウやネットワークを活用した取り組みにつきましては、MICE誘致において海外在住の有識者を福岡市MICEアンバサダーとして委嘱しており、この活用により国際会議等の誘致を図っておりますが、先般もイノベーションに関する国際シンポジウムの開催が実現したところでございます。

 また、観光振興においては、食や写真などの中国人に関心の高いテーマについて、中国の事業者の提案を受けて商品開発につなげる事業の実施や、米国の世界最大級のオンライン旅行会社のエクスペディアグループと観光振興に関する連携協定を締結し、欧米とオーストラリアでございますが、欧米豪向けのプロモーションに取り組んでおります。

 なお、平成30年度の観光プロモーション事業の予算としては、約2,660万円となっております。

 議員の御指摘のとおり、今後もさまざまな新しい手法を検討し、海外プロモーションに取り組んでまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 国分徳彦議員。

○46番(国分徳彦) 最後に、今後も観光消費の高い伸びが期待されるインバウンド振興について、どのように取り組んでいかれるのか、市の御所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 本市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者をふやし消費を拡大することが経済の活性化につながり、都市全体に活力をもたらすことから、観光・MICEの振興に積極的に取り組んできました。

 今後、ラグビーワールドカップ、世界水泳選手権などの大型MICEの開催や、増加する外国人観光客の需要をしっかりと取り込むために、地域資源の磨き上げや受け入れ環境の整備、市民生活との調和、海外プロモーションなどに取り組み、その経済効果をさまざまな業種や地域に波及させるとともに、九州のゲートウェイ都市として福岡市から福岡県内、九州全域への送客を促進することに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) この際、暫時休憩いたします。

 午後は1時10分に再開いたします。

午前1143分 休憩  

午後1時10分 開議  

副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。光安力議員。

○28番(光安 力)登壇 私は、自由民主党福岡市議団を代表いたしまして、島市長3期目の市政運営について質問いたします。

 まずは島市長、3期目の当選おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

 さて、きょうは私にとりまして24年にわたる議会活動の最後の一般質問ということになり、とても感慨深いものがございます。

 私はこれまで歴史や伝統を重んじ、中庸を重視し、ポピュリズムを嫌悪することを政治姿勢として貫いてきたつもりでございます。机上の空論よりも常識や慣行を重んじ、長年の経験に裏打ちされた大人の知恵を持ち、奇抜な流行に乗らず、未熟な若者の軽率を戒め、道理にもとる振る舞いには断固として立ちはだかるということを旨として過ごしてまいりました。

 さらに、もう一つ心がけていたことがありまして、ユーモアを忘れないということであります。コミュニケーションなくして実のある議論はできないからであります。

 これまでの議員生活の間、御迷惑をおかけした執行部の皆さん、議員の皆さん、大変お世話になりました。大恩は報ぜずと申しますが、至らない点も多々あったかと思います。これまでの御厚情に対しまして心から感謝申し上げます。

 私の歩んだ24年を振り返り、また、これからの福岡市の発展に思いをはせながら幾つか質問をさせていただきます。

 私が議員になった平成7年は第18回ユニバーシアード福岡大会が開催された年であり、校区ふれあい事業として、福岡市内140の小学校区ごとに、国、地域の担当を決めて、競技の応援や歓迎会などで各国の選手役員と心のこもった交流会を行ったことを記憶しております。まさに福岡市での大規模なMICEのはしりではなかったでしょうか。

 それ以降、平成12年には福岡市博物館で九州・沖縄サミット福岡蔵相会合が開催され、平成13年にはアジアで初めて世界水泳選手権が開催されるなど、大小さまざまな国際会議や国際スポーツ大会等が次々と開催され、福岡のプレゼンスを高めることに貢献いたしました。今では福岡市は国内でも有数のMICEの開催数を誇る都市となっており、国際交流や経済面を含め、さまざまな効果をもたらしているものと思っております。

 また、まちなかではさまざまな言語が飛び交う風景が日常のものとなったような気がいたします。ほんの二十数年の間で隔世の感がございます。

 福岡は悠久の歴史の流れの中で、大陸に近いという地理的な特性を生かしながら、海外との交流を深め、発展してきた都市であります。おのずと異国の人々や多様なモノ、文化を分け隔てなく受け入れる気風が備わってきたまちであります。それが福岡市の特徴であり、また強みだと思っております。

 ことしの8月には、16カ国32都市の代表者を初め、世界銀行、アジア開発銀行等の国際機関などに御参加いただき、第12回アジア太平洋都市サミットが福岡市で開催されました。この都市サミットでは、SDGsを踏まえ、人と環境と都市活力の調和がとれた都市づくりを行っていくことなどを盛り込んだ福岡宣言が採択されました。人やモノ、資本が地球規模で行き交う現代においては、海外、国内を問わず似たような課題を抱える都市間で連携、協働して取り組むことが最適解を導く近道になることもあるかと思います。

 さらに、来年6月にはG20財務大臣・中央銀行総裁会議が福岡市で開催される予定であり、このようなハイレベルな国際会議にしっかりと対応できるまでに、都市として仕上がりつつあるのではないかと思っております。

 グローバル化の普遍的な進行によって、さまざまな場面での国の垣根がなくなってきており、例えば、市場が大きく広がるなどの経済的なメリットを享受できる一方で、海外の諸都市との国際的競争に一層さらされることにもなります。

 そこでお尋ねいたしますが、このような難しいかじ取りを迫られるグローバル化の時代の中で、どのように施策に取り組んでいかれるのかについてお伺いいたします。

 以下の質問は自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 光山総務企画局長。

総務企画局長(光山裕朗) グローバル化の進展や情報技術の加速度的な進歩により、時間や場所にとらわれず、誰もが革新的な製品やサービスによる利便性を享受できるようになり、生産性が向上する一方で、産業構造など既存の枠組みの転換が迫られております。

 また、国連が国際社会全体の持続可能な開発目標SDGsを掲げたことを受け、世界中でその実現に向けた取り組みが進んでおります。このような新しい時代への過渡期にあっては、福岡市の強みを生かしながら、世界基準の視点で先進性を実装し、持続可能なまちづくりに果敢にチャレンジしていくことが重要であると認識いたしております。

 福岡市は、海を通じて世界とつながり育まれた歴史や文化の魅力、豊かな自然と充実した都市機能がコンパクトに整った都市空間、また、大学生、特に理工系学生が多い環境に加え、国家戦略特区の獲得などスタートアップ都市としての地位が確立しつつあります。これらの特性や強みを生かしながら、世界を舞台として活躍する企業の創出を目指して、IoTやAIの実装による社会課題の解決やグローバル展開の支援、優秀な創業人材の集積などに取り組むとともに、国際的な都市間ネットワークの形成やプレゼンスの向上などにより、福岡市の国際競争力をさらに高めながら、アジアの中で存在感のある都市づくりに取り組んでいくことが重要であると考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 光安力議員。

○28番(光安 力) それでは、2問目に入ります。

 先ほどの質問の中で、私は福岡の人たちは自由闊達で寛容なメンタリティーを持っており、そのことが福岡市の特徴であり、強みではないかと申し上げました。

 さらに、福岡市の特徴をもう一つ挙げるとすれば、先ほどの答弁にも出てまいりましたが、コンパクトシティだと思います。

 福岡市が昭和36年に全国に先駆けて策定したマスタープランでは、福岡市の産業振興に関して、当時の花形産業で高い成長性が認められた工業の比率を他都市並みに引き上げることが目標として掲げられました。

 しかしながら、それから5年後のマスタープランの改定時には、工業用水の確保等の諸問題もあり、第3次産業を中軸に据えることにかじを切り直しました。このことは、さまざまな事情があったにせよ、時流に引きずられない賢明な判断であったと思っております。

 その後は、都市づくりに当たって無秩序な開発を抑制し、都市の膨張をうまく制御しながらコンパクトなまちづくりが行われてまいりました。結果として、さまざまな都市機能が高密度に集積し、それらが充実した交通網でつながることで、利便性や効率性など経済的合理性にすぐれたまちが実現していると思っております。

 さらに、第3次産業中心のコンパクトなまちづくりを進めてきたことで、煙突一本立っていない臨海部と美しい海岸を有する沿岸部、四季折々の変化を感じられる脊振、三郡山系の山々などの豊かな自然が身近にあります。これらの自然を生かした油山牧場などの体験型施設もあります。通勤に要する時間は短く、週末は子どもと一緒に海辺での散策やもみじ狩りを楽しめる職住近接の住みやすいまちとして、国内外からも一定の評価をいただいているところです。今後も、このコンパクトシティの長所を生かしたまちづくりを引き続き進めていくべきだと思っております。

 また、人口の増加数で日本一を誇る福岡市ですが、高齢者の人口も増加の一途をたどっており、我が国の成長を支えてきた団塊の世代が後期高齢者となる、いわゆる2025年問題が目前に迫っている中、人生100年時代を見据えた持続可能な社会づくりが急務であります。私も団塊の世代の一人でありますが、健康に留意し、これからも支えられる側でなく、支える側としてしっかり頑張っていきたいと思っております。

 まちづくりに当たっては、福岡の成長を牽引する都心部の機能更新等に加え、例えば、交通不便地における移動支援など、都市の周辺部にも目配りと気配りを欠かさず、市民生活に必要な基盤整備は着実に行っていただきたいと思っております。

 なおかつ、先人たちがつくり上げたこのすばらしいまちを、未来を担う子どもたちに、いかにいい形で引き継いでいくかが肝要であります。私にも孫がおり、かわいくて仕方がありませんが、子どもたちに多様な選択肢が用意され、夢を描ける社会にしていかなければなりません。

 今回の選挙で、島市長は市内144校区全てを回られたと伺っております。市役所においでになる方だけでなく、みずから出向いて直接市民の声に耳を傾けることは非常に大切なことだと思います。いろいろな気づきを得られたことと思います。

 そこでお尋ねいたしますが、それら市民の声をどのように受けとめ、どのように応えていこうと考えているのかについてお伺いいたします。

 以上で2問目を終わります。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 私はこのたびの市長選挙においても、たくさんの校区を回らせていただいて、直接お話を伺う機会を得ました。通常、市役所でいろんなレクチャー、お話を聞くときというのは市政としての判断の話が多いんですが、こうやって市民の皆さんに直接お話を聞いてみると、市民の皆さんにとってはそれが国の話なのか、県の話なのか、市の話なのかという部分もわからない中で、率直にふだん思っている疑問とか、こうしてほしいなというような思いをたくさん受けることができたのは、これは政治家にとっても大変大きな自分の糧になったと思いますし、宝物になったと思います。こうした声を一つ一つこの4年間の間でもしっかりと実現できるように、しっかり取り組んでいきたいと思います。

 また、その中でも特に子どもや高齢者、また、障がいがある人など、いわゆる社会的弱者の皆様からの期待が大きいということも強く感じたところでございます。こうした市民の皆様の御期待に応えていくためにも、福岡市の成長をさらに加速させて、その成長の果実を生かして、未来を担う子どもたちのための教育環境の向上、それから、妊娠、出産、育児への切れ目ない支援ですとか、また、人生100年時代を見据えた持続可能な社会づくりなどに取り組んで、誰もが安心して暮らせるまちづくりに向けて全力で取り組んでいきたいというふうに思います。以上です。

 

副議長(石田正明) 光安力議員。

○28番(光安 力) これからの4年間、今の思いを忘れることなく、目の前の課題、新たな課題の解決に向けて果敢に挑戦していただきたいと思います。

 それでは、3問目に入ります。

 国が地方創生を掲げ、各地でそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会づくりに向けた取り組みが進められる中、福岡市は元気があるまちとして書籍等でも取り上げられるなど、全国的に注目をいただいております。九州の経済を牽引する都市としても期待され、真価を問われているのではないでしょうか。好景気も相まって追い風が吹く今だからこそ、決して気を緩めることなく、福岡市の未来のための投資や安全、安心で暮らしやすいまちづくりのための施策の充実を図っていただきたいと思います。

 島市長は今回の選挙において、これまでの2期8年で積み上げた実績と成果について、有権者の審判を受け、過去最多得票285,000票を獲得して当選されました。これからの福岡市政のかじ取りについて信任を得られたことになります。その責任の重さを感じるとともに、より一層自信を深められたことと思います。

 平成の時代は来年4月で終わりを迎え、3期目となる島市政は、まさに福岡市の新たなる一時代、その端緒を開くことになります。これからの市政運営に当たって、島市長の決意についてお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 今回の市長選挙において、多くの市民の皆様から前回を上回る得票をいただきまして、次の4年間の市政のかじ取りを任せていただくことになりまして、改めて身の引き締まる思いでございます。これはまさに光安先生の今のお話にもありましたとおり、これまでの先人の皆様の努力、また先見の明によって、例えば、さまざまなMICE、施設の整備ですとか、港の整備ですとか、こうしたものを地道に着実に続けていただいた、こうした大きなベース、基礎があって、そして今、好景気もあります。それから、福岡市の今の皆さんのいろんなチャレンジというところもあって、福岡は今まさに日本の中でも最も元気と言われるようなまちになってきたというふうに思っております。

 3期目の市政運営につきましては、多くの市民の皆様、そして市議会の皆様とともに策定をした福岡市総合計画を着実に推進しますとともに、今回、公約として掲げた、子どもが将来に夢を描き、女性が輝くまちへなどの6つの施策を柱といたしまして、福岡市をさらにまた新時代に向けて次のステージへと飛躍させるチャレンジ「FUKUOKA NEXT」の取り組みを着実に進めていきたいと考えています。

 このような取り組みによって、現在の成長の勢いをとめることなく、都市の成長と生活の質の向上の好循環を確固たるものとして、そして経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれたコンパクトで、そして持続可能な都市、人と環境と都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市を目指して全力でチャレンジをしてまいります。

 私は、二千年にわたるアジアとの交流により蓄積された歴史や文化、そしてまた豊かな自然、食などの魅力にあふれ、国内外から高い評価をいただいている現在の福岡市を築いていただいた先人たちの御労苦、また御尽力への感謝を決して忘れることなく、国の成長を牽引する都市として大きな期待もされているこの福岡という都市の発展に、市議会の皆様とともに、市民の御期待に応えるべく、しっかりと市政運営を行っていきたいと思います。以上です。

 

副議長(石田正明) 光安力議員。

○28番(光安 力) 島市長の決意を聞かせていただきました。

 島市長には引き続き、二元代表制であることを心にとめ、議会で示される民意を最大限に尊重していただきながら、市民にとって最良の選択を追求し、議会とともに切磋琢磨されることを期待いたします。

 最後になりますが、島市長には強いリーダーシップと推進力があります。だからこそ、判断に当たっては、さまざまな意見を聞く中で、本質を見きわめて対処していってほしいと思います。

 これからの島市政に対するエールの意味を込めまして、孔子の言葉、忠言は耳に逆らえども行いに利あり、この言葉を島市長に贈り、私の質問を終わります。ありがとうございました。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文)登壇 私は公明党福岡市議団を代表して、ふるさと納税について、福岡、博多の伝統工芸継承支援について、福岡の英語教育について、以上3点質問してまいります。

 初めに、ふるさと納税について伺います。

 ふるさと納税は、駆け込み需要とも呼ばれるこの12月、全国的に非常に多くなっていると聞いています。先週はふるさと納税のにせサイトが発見され、県内でも被害者が出たとの報道で、市民の関心も高いのではないかと思います。

 ふるさと納税については、福岡市議会でも多くの議員から一般質問や常任委員会で質疑が行われてきたところであります。ことしはふるさと納税のインターネットサイトのCMが流れるなど、多くの関心を集めた一方で、ふるさと納税の返礼品調達費が寄附額の30%を超える過度な返礼品競争が全国的にも話題となりました。

 総務省は自治体に対し過度な返礼品の見直しを要請し、それに応じる自治体、応じない自治体、様子見をする自治体など対応はさまざまであり、国の動向と名指しで公開された自治体の動向が注目されています。

 そこで、改めてふるさと納税について伺ってまいります。

 そもそも、ふるさと納税とは何でしょうか。その目的をお伺いいたします。

 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) ふるさと納税の目的につきましては、自分の生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域やこれから応援したい地域の力になりたいという思いを実現し、ふるさとへ貢献するための制度として平成20年度に創設されたものでございます。また、その内容といたしましては、道府県、市区町村に対して寄附をすると、寄附額のうち2,000円を超える部分について一定の上限まで、原則として所得税と住民税から全額が控除される仕組みとなっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 福岡市のふくおか応援寄付とふるさと納税の違いがあればお示しください。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) ふくおか応援寄付につきましては、ふるさと納税制度の適用を受ける個人からの寄附に加え、団体、企業等も含め、福岡市を応援していただきたいという趣旨で、ふくおか応援寄付という名称を用いて広く寄附を募集しているものでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) ふるさと納税は全国的に利用が拡大しているようですが、状況をお伺いいたします。また、なぜ拡大したのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) まず、ふるさと納税の全国の受け入れ額といたしましては、制度が創設された平成20年度には約81億円で、その後、約100億円程度で推移しておりましたところ、この3年間で大幅に増加しており、平成27年度が約1,635億円、平成28年度が約2,844億円、平成29年度が約3,635億円となっております。

 次に、ふるさと納税受け入れ額が増加している要因といたしましては、平成27年から寄附金控除額の上限の引き上げや、控除を受ける際に確定申告が不要となるふるさと納税ワンストップ特例制度の創設など、ふるさと納税がより身近になるような制度変更が行われたことが挙げられます。

 加えまして、寄附者に対する返礼品の充実に取り組む団体が増加するとともに、各地の返礼品の検索から寄附手続までを手軽に行えるインターネットサイトが普及したことなどにより、簡単に寄附を行うことができるようになったことが考えられます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) それでは、福岡市への個人からの寄附件数、また受け入れ額は幾らだったのか、過去5年間の実績をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 福岡市への個人からの寄附であるふるさと納税の件数及び受け入れ額の実績につきましては、平成25年度が1,065件で約3,400万円、26年度が993件で約3,781万円、27年度が956件で約4,688万円、28年度が851件で約9,203万円、29年度が985件で約4,924万円となっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 直近の受け入れ額は29年度で約4,924万円とのことでありましたが、同年度のふるさと納税の受け入れ額の全国トップは大阪泉佐野市で135億円と聞きました。全国受け入れ額上位5団体の名称と受け入れ額を伺うとともに、どうして本市とこのように大きな差があるのか、その要因について伺います。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) まず、平成29年度のふるさと納税額の受け入れ額が多い団体と金額につきましては、額の多い順に申し上げますと、大阪府泉佐野市が約135億円、宮崎県都農町が約79億円、宮崎県都城市が約75億円、佐賀県みやき町が約72億円、佐賀県上峰町が約67億円でございます。

 次に、多くの寄附が寄せられている要因でございますが、本年9月に総務省が発表した調査結果によりますと、これらの団体は、いずれも寄附額に対し3割を超える返礼品を送付している団体とされておりまして、家電製品や高級食材など高価な返礼品を送付していることが一つの要因ではないかと考えられます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 自治体の返礼品競争が問題化しているようですが、国においてどのような対応がとられているのか、これまでの状況についてお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 国における対応につきましては、返礼品に関する地方団体間の競争の過熱や一部ふるさと納税の趣旨に反するような返礼品の送付などの状況は、制度全体に対する国民の信頼を損ない、他の地方団体にも好ましくない影響を及ぼすことが懸念されるとして、返礼品の割合の上限を3割以下とすること、金銭類似性の高いものや資産性の高いものを返礼品としないことなどを求めた通知が平成29年4月に総務大臣から出されております。

 また、平成30年4月には、地域資源を活用し、地域の活性化を図ることもふるさと納税の重要な役割であることを踏まえ、返礼品については、地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービスであることが適切であることもあわせて通知されたところであります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 国が自治体に対しさらに見直しを要請したものの、返礼品の見直しを行った自治体と行わなかった自治体があり、大きな差が開いたと聞きます。不公平だとの不満も残りますが、このことに関し、本市の考えと総務省の考えをお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 福岡市におきましては、ふるさと納税の現状が制度本来の趣旨とかけ離れたものとなっていることや、都市部において税収減になっていることについて、指定都市間で問題意識を共有しておりまして、指定都市市長会から国に対しまして、ふるさと納税が地方団体の財政に与える影響を抑制するための見直しを要望しております。

 また、総務省におきましても、一部の団体において返礼品の見直しが進まない状況を踏まえまして、これらの団体をふるさと納税制度の対象外とする方向で、法改正も含めた検討が行われていると聞き及んでいるところでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) ふるさと納税の魅力の一つに、寄附額から所得税、住民税が控除されることが挙げられます。福岡市民がふるさと納税を利用することによって、本来市に入るべき税収が控除され、失った額は平成30年度では幾らか、お伺いをいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 福岡市に入るべき税収から控除されたふるさと納税に係る寄附金控除額につきましては、平成30年度で約299,000万円でございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) ふるさと納税による平成30年度の減収額は、横浜市は約104億円、それから川崎市は約42億円とも聞いております。大都市にとって不利な制度になっていると思いますが、本市の事実確認をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 済みません。先ほど3番目の答えを、私、間違えて答弁いたしておりました。ふるさと納税の全国の受け入れ額でございましたが、平成27年度が約1,653億円、平成29年度が約3,653億円となっております。申しわけございません。訂正させていただきます。

 今の問いでございますが、答弁をさせていただきます。

 ふるさと納税は、自分の生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域やこれから応援したい地域の力になりたいという思いを実現し、ふるさとへ貢献するための制度であり、都市部の住民によるふるさとを初めとした地方への寄附が想定されているものでございます。また、福岡市の都市活力は九州各地からの広域的な人の流れに支えられていること、減収分については地方交付税制度により一定の補?がなされることなどを勘案すると、ふるさと納税により大都市にある程度の影響が生じることはやむを得ないものと認識をいたしております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 私も今、事実認識と聞くところを、事実確認と申し上げました。修正します。

 それから、福岡市の場合、ふるさと納税での税収が4,900万円、失っている税額が299,000万円と伺いました。ふるさと納税による個人市民税の減収額の4分の3相当額は地方交付税の算定上、基準財政収入額が減少し、地方交付税等の増額要素となっていますが、それでもこれだけの財源があれば市民が要望する施策も実現するのかもしれません。

 過度な返礼品競争には本市は加わらず、真面目にルールを遵守してきたとの気持ちもわかりますが、ルール内での返礼品の見直し、追加や福岡のふるさと納税の魅力を高め、受け入れ額をふやす戦略も必要ではないかと思います。

 寄附をする側の立場に立って考えてみますと、節税対策にもなるし、ネットショッピングや通信販売の感覚で、欲しいものがあるかによって自治体を選ぶ感覚は、魅力ある返礼品を用意しているか、自治体の努力次第という気持ちもわからないでもありません。

 福岡市の返礼品の品数と、どのようなものがあるのか、また、どのようなものが喜ばれているのか、さらに本市の返礼品選定の基準などをお聞かせください。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 福岡市における返礼品につきましては、福岡市内産の農水産加工品を中心に13品目をそろえており、平成29年度に希望が多かった返礼品につきましては、唐泊恵比須かき、博多米、志賀島産イチゴジャムなどでございます。

 また、返礼品の選定に当たりましては、寄附者が一度きりではなく継続的に寄附を行う動機づけとなることや、農水産品のブランド化等の観点から、農林水産局等と協議を行った上で決定いたしております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 私は以前、食品メーカーの営業の仕事をしていたことがあるので思うのですが、自社の製品が福岡市のふるさと納税の返礼品として取り扱われるようになることは、商品の知名度も上がり、その影響は大きくて魅力的であります。現在そのような売り込みはないのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 近年の返礼品に対する注目の高まりを受けまして、福岡市におきましても、市内外を問わず、複数の事業者から食品などの自社製品を返礼品として採用できないかという提案をいただいております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 福岡といえばラーメンやうどん、また、もつ鍋や辛子めんたいこといった全国でも有名な特産品もありますが、全国的にまだまだ知られていない商品や生産者が売り込みたい商品もたくさんあるはずです。

 また、食材に限らず、博多の伝統工芸品やお土産に喜ばれる文化芸術品もあります。どの業者の商品を選定するのか、返礼品にふさわしい価格帯で提供できるかなどさまざまな課題はあると思いますが、福岡市の産業を全国にPRできることは大きなチャンスと感じます。

 全国で返礼品競争となっているふるさと納税制度の中で、ルールの範囲内で福岡市を選んでもらう自治体PR競争に積極的に参入しないのはもったいないと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 返礼品につきましては、大都市でありながら全国に誇る農水産品が多いという福岡市の魅力を知っていただきたいという思いで選定しているところでございますが、議員御指摘のように、返礼品を通じて福岡市の多様な魅力や取り組みを全国の方々に積極的にPRしていくという観点は重要なものだと考えております。

 今後、このような視点も踏まえまして、関係局と十分に連携を図りながら、返礼品のあり方について検討を進めてまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 先日、新潟市を訪れ、返礼品の魅力を高める取り組みを伺ってまいりました。

 新潟市では、市の魅力発信を図るため、これまでの市が取り扱っていた農産物関連商品に加え、新たに返礼品を公募により選定、従来の23品目から106品目に拡大しました。寄附額に対して返礼品の価格ランクを5つに区分し、市内に本店や支店、営業所、また工場を有する法人、その他の団体並びに個人事業主であることなどの要件を満たす事業者であれば、1事業者当たり3品目を限度として応募が可能であります。それを選考委員会による審査が行われます。

 採用されるメリットとして、ふるさと納税専用のインターネットサイトや市が作成するふるさと納税のパンフレットに商品の画像や商品名、会社名が掲載され、返礼品の発送の際は事業者のパンフレットやチラシなどを同封できるなど、事業者側にも魅力ある制度になっています。

 問題なのは、担当職員の業務がふえることであります。寄附者からの寄附確認、寄附金受領書の発行手続、事業所への返礼品の発送依頼など業務はたくさんあります。どの自治体でもそうであるように、職員がふるさと納税の対応だけにかかわることは困難であります。そのような背景から、ふるさと納税にかかわる業務を委託する自治体も多いようであります。調査をしましたら、政令指定都市20市中8自治体が業務委託、中核市でも調査した54市のうち37市が業務委託による運営を行っています。

 改めて伺いますが、返礼品選定に当たっては公募という手法をとってはどうか、また、ふるさと納税にかかわる返礼品発送指示業務や寄附金受領証明書の発行など、事務作業を業務委託するということを検討してはどうかと思いますが、御所見を伺います。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 返礼品の選定につきましては、公正な選定が重要と認識しております。このような観点も十分に踏まえまして、ただいま議員から御紹介いただいた公募の方法など、選定のあり方を関係局とともに検討してまいります。

 また、返礼品の発送などの事務作業につきましても、他団体の取り組み状況を調査し、業務の効率化を図ってまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) さて、これまで福岡市ではふくおか応援寄付として、各部局が主導のもと、目的に応じて寄附をお願いする取り組みも行ってこられました。こども病院の移転整備に伴い整備されたふくおかハウスの建設基金や福岡城整備基金などが記憶に新しいところであります。

 これまで本市における目的別寄附事業の中で、寄附者の共感を得、寄附が多くの方から集まった事例は何か、また、寄附者の動機などがわかればお示しください。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) ふくおか応援寄付のメニューのうち、これまで最も多くの寄附をいただいたものは、こども病院の入院時に付き添う家族のための宿泊施設であるふくおかハウス建設募金で、1,169件、約1億5,152万円の寄附をいただいております。

 また、過去3年間におきまして寄附件数が多かった事業といたしましては、動物愛護事業が1,155件で約2,360万円、福岡城整備基金が637件で約3,229万円でございます。

 これらの事業につきましては、寄附者から返礼品は不要という申し出や福岡市の取り組みを激励するメッセージを多数いただくなど、事業に対する共感、賛同が寄附への大きな動機づけになっているものと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) また、全国的にも地域に役立つ使い道を模索する動きもあり、クラウドファンディング型の寄附も広まっていると伺いました。どのようなものがあるか、把握しているならお示しください。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 他団体におきましては、寄附金の目標額や期限を設定して募集を行うクラウドファンディングの手法を活用し、美術館の建設や難病治療の研究支援、廃校のリノベーションなどについて幅広く寄附を募集した事例がございます。また、国におきましても、それぞれの地域において経済を再生させ、人、もの、仕事の好循環を生み出していくため、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用して、起業家支援や移住交流促進に取り組む地方団体に対し財政支援を行っているところでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 寄附をする人の目的は、ショッピング感覚で欲しいものをセレクトできる自治体を選ぶ方、また、自治体の事業を純粋に応援し返礼や見返りを求めない方、また、ふるさとの事業を応援しつつ、返礼品もあればいいなと思う人などさまざまであります。

 しかし、自分の生まれた故郷はもちろん、お世話になった地域やこれから応援したい地域の力になりたいという思いを実現し、ふるさとへ貢献するための制度が、ふるさと納税の目的と冒頭にお示しいただきました。そこに立ち返るならば、例えば、郵便局が取り組んでいるふるさとで暮らす父母の見守りサービスや、シルバー人材センターやNPOが取り組んでいる空き家になってしまった実家の管理見回りサービス、また、お墓の除草や掃除を依頼できる事業など、返礼品に加えてセットすれば継続した寄附も期待できるのではないかと思います。

 個人、ふるさとの家族の悩みでもあり、今後の社会問題とも言える課題に手を打つ返礼事業も積極的に実施していくべきと思います。行政各局が積極的に事業を提案しPRしていくことを求めますが、御所見をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) ふるさと納税につきましては、議員御指摘のとおり、地方団体がそれぞれの地域社会の課題に対応した施策を実現していく上でも大きな役割を果たすことが期待できるものと考えております。

 このような観点から、福岡市における地域課題やニーズ等を踏まえ、ふるさと納税のメニューにサービスの提供をつけ加えることについて、他団体の取り組みを参考にしながら、関係局と検討してまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) この先、過度な返礼品としての自治体競争の不平等が是正されないのであれば、この制度自体の意義が崩壊するおそれもあり、それぞれの自治体が真剣に再考するときが今まさに到来していると思えてなりません。

 ルールを守り、寄附という本来の趣旨を根本にしつつ、寄附金の活用事業の内容をさらに充実させていくべきであり、いただいた寄附金が市政にどのように反映されたかなどの報告もきちんと公表され、寄附していただいた方々の思いに真剣に応えていきながら継続していくべきものと感じます。

 さきにも述べたように、ふるさと納税の返礼品においては、福岡の食材や特産物、伝統工芸品など福岡市の産業や文化、魅力を大きくPRするチャンスであります。今回の全国的なふるさと納税の議論は、よりよい福岡版のふるさと納税を再構築するきっかけとなります。ふるさと納税の今後の取り組みについて島市長の考えをお伺いし、この質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) ふるさと納税につきましては、自治体が国民に取り組みをアピールすることで、選んでもらうにふさわしい地域のあり方を考えるという意義を持つものでありまして、今後、それぞれの取り組みによって応援したい自治体が選択されるような制度になっていくことが望ましいと考えています。

 福岡市を応援したいという善意にお応えをしていくためにも、返礼品を活用して福岡市の多様な魅力をアピールしていくことも含めて、議員から御提案いただいたさまざまな工夫を検討して、より多くの方々から福岡市の施策や事業に共感や、また賛同をいただけますように、ふくおか応援寄付の推進にしっかりと取り組んでいきたいと考えます。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 次に、福岡、博多の伝統工芸継承支援について伺います。

 本年は博多織777周年記念事業として、さまざまなイベントが実施されました。どのような取り組みだったのか、また成果はどうだったのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 博多織777周年記念事業の取り組み内容と成果についてでございますが、取り組み内容につきましては、着物ファン向けのイベントの開催やPR動画制作、若者に人気の高いブランドとのコラボレーションによる商品開発などの初めての取り組みにより、認知度向上と販路拡大を図っております。

 その成果といたしましては、毎年開催している博多織求評会等のイベントでは、例年4,000人余りの方に御来場いただいておりますが、今年度は新たな取り組みにより、既に5,000人以上の方に御来場をいただいております。

 また、販売額につきましても、例年のイベントに加え、新たにモニター販売会の開催やKOUGEI EXPOへの出展等で例年の3倍以上の売り上げとなっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 福岡、博多にゆかりのある伝統工芸品には国指定のものと県指定のものがありますが、それぞれどのようなものがあり、指定される要件はどうなっているのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 福岡、博多ゆかりの国及び県指定の工芸品の品目名と指定される要件につきましては、国指定の工芸品は博多織、博多人形の2品目がございます。指定されるには、主要工程が手づくりであること、技術、技法に100年以上の歴史があり、一定地域で一定数以上が製造に従事していることなどが要件とされております。

 県指定の工芸品は博多曲物、博多鋏、博多張子、博多独楽等の7品目がございます。指定されるには、福岡県内で製造されていること、技術、技法に50年以上の歴史があることなどが要件とされておりますが、従事者数等は要件とされておりません。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 博多織や博多人形は全国的にもとても有名であります。博多曲物や博多鋏なども伝統的な福岡、博多の伝統工芸品ですが、一般には余り知られていないように感じてしまいます。

 国指定の工芸品と県指定の工芸品について、平成29年度の決算額も含め、福岡市の支援にどのような違いがあるのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 国及び県指定の工芸品に対する平成29年度の決算額も含めた福岡市の支援内容につきましては、国の工芸品については、29年度の決算額は約1,300万円で、東京での展示、販売会による販路拡大や博多織デベロップメントカレッジ、博多人形師育成塾等の後継者育成支援などを行っております。

 一方、県指定の工芸品については、それぞれの事業規模が小さいことから、その支援に係る平成29年度の決算額は60万円ではありますが、市内での展示、販売会の開催や大学生との協同による商品の開発など、地元での認知度向上を図る事業を支援しております。

 なお、はかた伝統工芸館におきましては、国及び県の工芸品の情報発信等の支援を行っており、その管理運営費は平成29年度決算額で約2,760万円となっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 国指定の工芸品と県指定の工芸品を単純に比較してみますと、金額に大きな差を感じてしまいます。

 伝統工芸の振興目的は、産業の振興や伝統文化の継承などの側面があると思いますが、本市はどのような観点で施策を進めておられるのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 福岡市の伝統工芸品の振興に当たっては、認知度の向上、販路の拡大、後継者の育成の観点で支援を行っております。

 その中で、最初に取り組むべきは認知度の向上であると考えております。まずは伝統工芸品の存在を知ってもらうことで、消費者に購入してもらうという次の段階に進めるものと考えております。

 その次に販路の拡大に取り組み、より多くの消費者に購入してもらうことで、伝統工芸品の製造に従事する人々の生活の安定と地域産業の振興につながるものと考えております。

 さらに、地域産業の永続的な振興を図るため、後継者育成に取り組み、伝統産業の技術、技法の継承を支援してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) まず、認知度の向上、それから、販路の拡大を目的とする本市の取り組みは有効だったのか、成果はあったのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 福岡市の取り組みの有効性と成果につきましては、認知度の向上については、入館者が年間12万人を超えるはかた伝統工芸館で常設の展示、販売を行うとともに、若者に人気の映画やアニメ等とのコラボレーションにより博多人形を開発するなど、これまで伝統産業に縁のなかった層への浸透も図っております。

 販路の拡大については、博多織、博多人形については、市内の若者に人気の商業施設や東京、上海の百貨店での展示販売に加え、韓国や台湾のイベント等では県の工芸品も一緒に展示販売を行い、国内外の新たな顧客開拓と販路拡大を図っております。

 その結果、市内のホテルのインテリアとして博多織が採用されたり、また、国際会議や国際交流の際のお土産品として博多織、博多人形の活用数もふえてきております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) それでは、福岡県は国指定の工芸品と県指定の工芸品について、それぞれに対しどのような支援を行っているのか、支援額についてもお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 福岡県が行う支援につきましては、国指定の工芸品については、各組合の後継者育成や商品開発、商談会開催の支援を行うとともに、首都圏及び海外での試験販売、異業種店舗との連携による展示販売などの支援を行っております。

 また、国及び県指定の工芸品については、県庁11階やアクロス福岡での展示やウエブサイトによる情報発信や販売支援などを行っております。

 伝統工芸品、農水産物、菓子など物産振興に係る支援額は、平成29年度決算で約1億円であると聞いております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 県は1億円というふうに伺いました。

 本市は、博多旧市街プロジェクトで、歴史ある博多部のハード面の整備に事業費を投じ、観光客受け入れの利便性、魅力向上を図っておられます。

 一方、伝統文化を後世に残し続けるためにも、伝統文化の継承などソフト面の取り組みがもっと必要ではないかと懸念しております。

 少子化の影響や全国的に人口が減少していく時代にあって、あらゆる業種、団体や組織において、いかに人材を確保し、後継の人材として育成するかが団体、組織の存続の鍵となっています。

 伝統産業の分野も同様に、日本の伝統技術や文化を未来に継承しゆく人材を確保できるかどうかは重要な課題であります。

 そこで、今後の方向性について伺ってまいりたいと思いますが、私は現代社会において若者が伝統工芸を継承するためには幾つか課題があると思っております。伝統産業自体がやや閉鎖的になりがちであるために、若者が伝統技術と触れ合う機会が少なく、また、技術を継承したいと願う若者もなかなか出てこないこと。また、ベテランの職人に一人前と認めてもらうには長い年月が必要であることで親族以外では継承が困難であること。また、技術者が高齢化しているとともに、商いとして経済的に厳しい現状があるため、技術を後継に託しても後継者の生活を案ずる傾向にあり、自分の代で終わることも覚悟しているというケースも少なくないと思っております。このような状況の中にあって、若者を中心に伝統産業の後継者をつくっていくことは難しいことと察します。

 そこで伺いますが、本市でも伝統産業の職人が少なくなっていると伺いました。後継者育成として、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 後継者の育成としてこれまで行ってきた取り組みにつきましては、博多織については、博多織工業組合と国、県、市が連携して後継者を育成する博多織デベロップメントカレッジを支援しており、平成18年度から平成29年度までに71人が卒業し、そのうち42人が織元への就職や独立を果たしております。

 博多人形については、博多人形商工業協同組合と福岡市が連携して後継者の育成のため博多人形師育成塾を支援しており、平成13年度から平成29年度までに342人が修了し、そのうち68人が博多人形の制作にかかわっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 国指定の博多織と博多人形については、博多織工業組合や博多人形商工業協同組合と市や県、国が連携して後継者を育成する取り組みが行われており、まずは安心をしております。しかし、問題は県指定の工芸品の後継者育成がなかなか行われていないということであります。

 私は先日、東京都葛飾区に伺い、お話を伺ってまいりました。葛飾区では伝統工芸品が46品目、伝統工芸士が70人指定登録されていますが、伝統工芸士の高齢化等により、現在は40品目で、伝統工芸士は35人まで減っています。

 葛飾区の伝統工芸士の高齢化や後継者不足は深刻であり、そのすぐれた伝統工芸技術、技法を後世に継承するために、全国から伝統工芸に興味のある講習生を募り、伝統工芸士のもとで技能の概要や基本知識の学習、制作体験などの講習会を経て弟子入りへとつなげていくという事業であります。事業期間中の指導、育成料及び講習生の住居費、生活費の一部を区が伝統工芸士側に補助する事業であります。

 この事業は既に平成21年から23年にかけ実施され、その際に弟子になった16人のうち、7人が現在も職人として活躍しているそうであります。このたび平成2910月より2度目となる事業を開始、7人の伝統工芸士募集枠に対し、全国から44人の応募があり、その中から選ばれた11人が2カ月間の講習期間を既に修了。引き続き6カ月の仮弟子期間を経て、現在は弟子期間として平成31年9月までの合計15カ月間の生活の支援をしながら後継者育成を行っているというお話でございました。

 対象は区で認定した伝統工芸士のうち、弟子入り事業の趣旨を理解し、弟子の受け入れを希望する者及び受け入れを希望する伝統工芸士の所属する企業であり、伝統工芸士が直接指導することを条件としております。

 弟子入り側の対象はおおむね19歳から25歳の者、ただし対象年齢を超えた者であっても、本格的に伝統工芸職人の道を進もうとする意欲のある者については面談等によって受け入れるとともに、伝統工芸士の親族には適用されないなど、厳格なルールのもとに運営されているようであります。

 また、新潟県長岡市も訪問し、お話を伺ってまいりました。長岡市でも伝統工芸後継者育成支援事業補助金を28年4月より創設。一人前の職人になるには一般的に10年の期間を要するため、複数年での支援が必要と認識し、弟子期間の長い期間での生活費を支援する事業であります。

 全国各地で伝統工芸の技術者継承者不足の問題があり、危機感を持っている自治体も多いようであります。このような自治体が取り組む後継者育成補助金事業を本市でも取り入れてはどうかと思いますが、御所見を伺います。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 議員から御説明のありました当該事業を実施する他自治体によりますと、支援事業をしてもらうことは助かるという職人、弟子からの声がある一方で、福岡市としましては、この事業で生活費等を支援することに対する社会的な理解や、行政が継続的に支援をしても、最終的に職人になるのかといった解決すべき課題も少なくないと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 伝統工芸分野の弟子入りとして若者が続かない理由を、ある研究者は次のように分析していました。作品づくりと製品づくりには違いがあるため、製品づくりの重複作業になると飽きてしまう、2点目に、会社が小さいため売り上げが直接賃金に関係する、大手のように安定していないということ、3つ目に、職人の仕事はきつい割に給料は安い、4番目に、伝統産業は時代離れしているので、もっと同年代の人々に近づきたいとの思いが募る、こういう時代背景の中で若者がつかない理由もあるようでございます。

 本市も伝統工芸の後継者の育成が重要かと思いますが、市はどのような考えなのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 伝統工芸品の後継者の育成につきましては、福岡市としても大変重要であると認識をしております。そのため、国指定の工芸品については、地域産業の振興の観点から、福岡市としても博多織デベロップメントカレッジや博多人形師育成塾などを通じて、引き続き後継者育成を支援してまいりたいと考えております。

 一方、県指定の工芸品については、国指定の工芸品と比較して、まだ認知度が高いとは言えないため、まずは認知度の向上を図ることで販路を拡大しようと取り組んでいるところでございます。平成28年度からは職人と大学生が協同して博多独楽や博多張子などを制作しており、若者の認知度向上を図ることにより販路を拡大し、後継者の育成につなげていきたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 本年、博多織777周年事業として盛大なイベントが実施され、市内外にかかわらず、多くの方々に福岡、博多の伝統文化に関心を持っていただくことができ、認知度向上や販路拡大につながったことは大変喜ばしいことであります。

 私は、この伝統や文化を後世に余すところなく伝え残していけることが理想だと考えます。仮にいかなるAI技術や文明が進化したとしても、これまで伝統技術者が作品づくりに費やしてきた秘伝の心や伝統技術は絶やしてはならないと思うのであります。

 この質問の最後に、島市長に歴史ある福岡、博多の伝統文化を次の時代へどのように継承し、未来へ存続させていくのか、市長の決意をお伺いし、この質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 福岡市には博多織、博多人形を初め、博多曲物、博多鋏、博多張子、博多独楽など歴史と魅力にあふれるさまざまな伝統工芸品があります。地域の中で育まれてきたこれらの伝統工芸品は、地域産業の観点のみならず、福岡、博多における固有の歴史的、文化的価値を有するものとして、博多旧市街プロジェクトにおいても博多らしさをあらわす魅力の一つであると認識をしています。

 古川議員御指摘のとおり、ことしは福岡を代表する伝統的工芸品である博多織が伝来から777周年という記念の年を迎え、11月には福岡市を主会場といたしましたKOUGEI EXPOも開催されるなど、伝統工芸品の振興にとって記念すべき年となり、今後もこれまで以上にさまざまなチャレンジをする機会が多くなるというふうに思います。

 福岡市といたしましても、こうした伝統工芸を地域産業として育成し、その技術にさらに磨きをかけて、福岡、博多の伝統文化として未来につないでいくことができるように、これからも伝統工芸品の振興を図っていきたいと思います。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 次に、福岡の英語教育についてお伺いします。

  私は福岡の子供たちを日本で一番英語が話せるようにしたいと思っています。英語力は、欧米はもちろん、アジアにおいても、ビジネス・学問など何をするにも必須のものです。場合によっては冷暖房もないような環境で育つ、ハングリー精神が強いアジアの子どもたちにも負けないように、福岡の子どもたちも力強く育てていかなければなりません。これは福岡、日本の未来にとっても、とても大切なことです。

 この言葉は、島市長がかつて御自身のブログの中で福岡の英語教育というタイトルで記された一文です。私は市長のこの言葉に賛成であり、市長のこの思いをぜひ実現してもらいたいという気持ちから、このテーマについて質問をさせていただきます。

 まず、本市の小中学校では英語力を高めるために、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、平成29年度と30年度の関連事業の予算と主な事業内容をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 英語教育に関する予算につきましては、小学校と中学校を合わせた総額として、平成29年度は約4億1,300万円、30年度は約5億900万円でございます。

 平成29年度の取り組みとしましては、小学校の5、6年生には英語が堪能な地域人材であるゲストティーチャー、中学校の全ての学年には外国人英語指導講師であるネイティブスピーカーを配置するとともに、300名の生徒を対象として、ハウステンボスなどの施設を活用して2泊3日での英語体験活動を行うグローバルチャレンジ推進事業などを実施いたしました。

 また、30年度は小学校3、4年生への新たなゲストティーチャーの配置や、これまでゲストティーチャーによる指導だった5、6年生に外国人英語指導講師であるネイティブスピーカーを配置するなど、英語によるコミュニケーション活動の充実を図っております。

 なお、グローバルチャレンジ推進事業は、30年度は実施をしておりません。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 釜山やハウステンボスで行われてきたグローバルチャレンジ推進事業という英語体験学習は、聞く力、話す力に加えて、長文の英語を読む力、書く力を伸ばせることができたと、子どもたちにとって一定の評価があったと聞いていましたが、なぜ今年度は実施していないのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) グローバルチャレンジ推進事業を実施しない理由につきましては、英語に興味を持つ生徒の英語力を伸ばす点で一定の成果はあったものの、一部の生徒しか参加できない点や、平成30年度から全ての学校の小学校5、6年生に外国人英語指導講師であるネイティブスピーカーを配置することなどにより、日常の授業における外国人との英語によるコミュニケーション活動を充実させ、全ての児童生徒の英語力を伸ばすこととしたため、本年度から実施をしていないものでございます。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) お答えのとおり、希望者から選ばれた一部の生徒しか体験できない事業であることは課題であります。全員にひとしく体験できる環境が必要だと私も思うのであります。

 先日、博多区の住吉中学校ではICTを活用し、韓国ソウルの中学校とインターネット中継でお互いの教室をつなぎ、両国の文化を英語で紹介し合い、交流を深めるという授業があったと伺いました。

 海外の学校と福岡の学校を映像でつなぎ、英語で交流するICTを使った遠隔授業は基本的に全員が体験できる授業でありよいと思うのですが、この取り組みの詳細についてお伺いをいたします。また、かかる費用は幾らだったのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 遠隔授業につきましては、ウエブ上のテレビ会議システムを活用したもので、住吉中学校の3年生と韓国のソウルにある中学校の生徒が、互いの国の文化を英語で紹介し合う合同授業を実施したものでございます。

 費用については、既存の情報機器とソフトを活用しているため、特にかかってはおりません。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 住吉中学校以外にも遠隔授業を行っている学校はあるのでしょうか。事例があればお示しください。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 住吉中学校以外で遠隔授業を行った事例につきましては、平成29年度に能古中学校において、以前ネイティブスピーカーをしていた方が現在ニュージーランドに住んでおり、その方と英語で交流する授業を実施しております。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) まだ事例は少ないようですが、遠隔授業で市内の子どもたちが海外の同年代の子どもたちや海外で暮らす人たちと実際に言葉を交わすという体験は、英語を学ぶことの意味や大切さを実感できる大変よい機会となると思うのであります。しかも、費用はかからず、生徒全員が体験できるということですから、ぜひこれを全市的に広げていただければと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 遠隔授業につきましては、空間を超え、児童生徒がさまざまな人とつながり、英語による実践的なコミュニケーション活動にとって効果的な手段であると認識しております。今後、時差などを考慮しながら相手校の選定を行い、多くの学校で実施できるよう取り組んでまいります。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) ぜひ多くの学校で取り組みが始まりますよう要望いたします。

 さて、先ほどの答弁で、小学校5、6年生にネイティブスピーカーを配置するために、平成30年度に新たに1億円近くの予算を上乗せしたという報告がありました。

 このネイティブスピーカーは実際どのような授業を行っているのか、また、それによってどのような成果が出ているのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) ネイティブスピーカーは、委託会社から派遣された外国籍の英語指導講師で、担任とともに英語の授業を進めることができるとしております。児童生徒に英語で質問をして、その場で英語を使って答えさせるなど、ネイティブスピーカーが主体となってコミュニケーション活動の充実を図る授業を行っております。

 成果としましては、児童生徒の生きた英語に触れる時間がふえることにより、一人一人の英語の実践的なコミュニケーション能力や、英語を積極的に聞き、話そうとする意欲が高まっております。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 英語教育の入り口である小学校の段階から、子どもたちが生きた英語に触れ、英語でコミュニケーションをとる能力を高める授業を積極的に取り入れることは大変よいことですので、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それと同時に、英語教育が本格化する中学校の段階では、小学校の段階から実施してきたその英語教育の効果がどの程度上がっているのかを目に見える形で測定し、その後の指導や次の施策につなげていくことが大変重要になります。

 文部科学省の第2次教育振興基本計画では、中学卒業までにCEFRのA1、つまり英検3級相当以上を達成した中学生を50%にするという目標数値が掲げられています。福岡市では中学校段階での英語の実力を知るためにどのような基準で能力をはかっているのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 福岡市における英語力の測定につきましては、市内の全ての中学校3年生を対象に英語チャレンジテストを実施しております。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 中学段階で行われる英語チャレンジテストとはどのようなテストなのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 英語チャレンジテストにつきましては、福岡市が独自に使用している名称であり、公益財団法人日本英語検定協会が開発した英検IBAという判定テストを採用して実施しているものでございます。

 内容については、読むこと、聞くことの2技能によって英検では何級相当であるかが判定され、ふだんの授業時間である50分で実施可能なテスト内容となっております。

 テストの結果については、合否の判定を行うのではなく、読むこと、聞くことの技能ごとに生徒の英語力の定着度を示した資料を生徒一人一人に渡すことができ、その後の学習に生かすことができるものでございます。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 読むこと、聞くことの2技能により判定しているとのことですが、国が数値目標を掲げている英検の場合には、それに加え、書くこと、話すことの4技能の英語力を測定しています。

 書くこと、話すことの2技能については、現在どのように測定しているのか、お伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 中学校における書くことについては、あるテーマについてまとまった英文を書く課題を提出させるなどし、英語科教員が評価を行っております。

 また、話すことについては、外国人のネイティブスピーカー等も活用し、実際に英語による応答を行うなど、各学校が工夫して評価を行っております。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) 先日、京都市に伺い、お話を伺ってまいりました。

 京都市は、読むこと、聞くこと、書くこと、話すことの4技能に対応している英検の受験料を補助する取り組みを行っておりました。4技能に対応している試験なので、国の目標に対し正確な達成度をはかることができます。また、合格すれば相当級の資格がもらえる点で生徒のモチベーションを上げることができると現場の先生方も語っておられるようであります。

 福岡市では、せっかく小学校高学年と中学校の全学年にネイティブスピーカーを配置するなどして4技能の能力を高める教育を実施してきているのに、その効果を測定するチャレンジテストが読むこと、聞くことの2技能しか対応できていないことは大きな課題であると思っております。

 ぜひ4技能をきちんと客観的な数値で測定できるようにすべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 読むこと、聞くことに加え、書くこと、話すことの4つの技能から全ての生徒の英語力を評価し、指導に生かすことは重要だと認識しております。

 文部科学省においては、平成31年度の全国学力・学習状況調査で、中学校3年生を対象とした4つの技能による英語調査を実施する予定となっております。

 福岡市においても、4つの技能から全ての生徒の英語力をはかり、指導に生かすためのあり方について、国の動向や全国学力・学習状況調査の実施方法の状況、民間試験団体が行う新たな試験の開発状況や他都市の事例などを踏まえながら検討してまいります。以上です。

 

副議長(石田正明) 古川清文議員。

○16番(古川清文) これまで教育長にお尋ねしてまいりましたが、英語教育の充実にはやはり福岡市全体での後押しが欠かせません。具体的支援として、京都市以外にも政令市では静岡市と横浜市、東京23区においても9つの区が4技能に対応している英検の受験料を一部補助するなど、子どもたちをグローバル人材に育てることを目的に財政支援を行っております。中でも横浜市では、中学3年生を対象に全員の英検受験料を全額補助、29年度の予算で約6,400万円。学校の授業のこまとして2時間程度を使って各中学校で実施しているとのことです。29年度は約2万6,000人の対象者が英検に挑戦しており、辞退者はほとんどいないというお話でありました。まさに日本一の英語教育の支援だと思います。

 私がこの質問の冒頭で御紹介した、福岡の子どもたちを日本で一番英語が話せるようにしたいという島市長の熱い思いは今もきっと変わらないことと思っております。行政としても他都市に負けない福岡の英語教育で日本一の支援を目指していただくよう要望いたします。

 最後に、福岡の子どもたちの英語力を伸ばし、世界で挑戦、活躍するグローバルな人材の育成に向けた島市長の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 世界に視野を広げて活躍できる、そうしたグローバル人材を育成していくということは、これはアジアに開かれた国際交流都市として発展をしていく福岡市を支え、また担っていく、そういう世代を育てることでありまして、子どもたちがさまざまな国の文化を尊重する態度を身につけるとともに、国際共通語であります英語によるコミュニケーション能力を高めていくということは、基本的な手段としても非常に重要であるというふうに認識をしております。

 今後も古川議員の御指摘のとおり、教育委員会と連携を図りながら、福岡市の英語教育の取り組みを積極的に支援して、世界に羽ばたき行動するグローバル人材づくりを推進してまいります。以上です。

 

副議長(石田正明) この際、休憩し、午後2時40分に再開いたします。

午後2時28分 休憩  

午後2時40分 開議  

議長(川上晋平) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。池田良子議員。

○58番(池田良子)登壇 私は、福岡市民クラブを代表し、医療的ケア児保育モデル事業について、ICTの活用による遠隔教育を生かした在宅児童生徒の教育保障について、西都小学校の分離新設について、災害時の福祉避難所について、以上4点について質問をいたします。

 まず、医療的ケア児保育モデル事業についてです。

 重症心身障がいは、知能指数と運動機能から心身障がいの程度を25群に分類する大島分類により定義されています。しかし、たんの吸引、経管栄養など、医療的ケアは必要だが、知的障がいも身体障がいもなく障がい認定に入らない子どもたちは、保育園、幼稚園にも単独入園できず、療育センター等にも受け入れてもらえない、いわゆる受け皿のないグレーゾーンの子どもたちです。私は、昨年の6月議会において、医療的ケア児が何らの支援も受けられずに制度のはざまにいること、そのことによって保護者の就労の権利を奪われていることを指摘し、早急に医療的ケア児保育の実施を求めました。そして、本年6月より、医療的ケアが必要な子どもに対する保育のモデル事業がスタートしましたが、これに至るまでの経緯と目的についてお尋ねいたします。

 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) モデル事業の経緯等でございますが、医療技術の進歩等を背景とした医療的ケア児の増加を踏まえ、平成29年度から国の補助事業として医療的ケア児保育支援モデル事業が開始されました。また、同年には福岡市の医療的ケア児の保護者からも、保育所での受け入れを求める声も寄せられており、こうした状況を踏まえ、30年度から国の補助メニューを活用し、市立千代保育所において医療的ケア児保育モデル事業を開始したところでございます。この事業では、医療的ケア児の保育に関する課題を把握し、改善を行いながら、今後のあり方を検討することを目的としております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) モデル事業を開始した当初の施設見学件数と入所申し込み者数、そして、現在、入所を受け入れている人数をそれぞれお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) モデル事業開始当初の施設見学件数は6件で、そのうち3件から入所申し込みがあり、平成3011月末現在、2人の医療的ケア児が入所しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 医療的ケア児保育モデル事業は、友達と遊びたいと願う本人はもとより、就労を希望する保護者にも大きな期待感を抱かせています。しかし、当初は希望者3人に対し、1名の受け入れのみでした。入所を認めなかった理由は何でしょうか、御説明ください。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) モデル事業では、受け入れ対象の児童を集団保育が可能な児童としております。入所の申し込みがあった3人の児童については、看護師と保育士の立ち会いのもと、集団保育が可能であるかを観察保育し、医師、保育士、児童発達支援センター、こども未来局で構成する医療的ケア検討会議で受け入れの可否について検討し、その検討結果を踏まえ、1人の医療的ケア児の受け入れを決定しております。当初に受け入れができなかった2人の児童につきましては、集団の中で安全に保育を行うことが困難と判断したため、受け入れができなかったものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) その後、受け入れ困難とされた子ども、就労希望する保護者に対してはどう対応してきたのでしょうか。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 当初受け入れができなかった2人の児童については、児童の心身の状況に変化があったため、再度、入所申し込みがあり、1人の児童については改めて観察保育や医療的ケア検討会議を行った結果、受け入れ可能と判断し、8月から千代保育所に入所しております。また、もう1人の児童については、先日、観察保育が終わり、今後、医療的ケア検討会議で受け入れの可否について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 看護師を保育所に配置することで、この医療的ケア児の受け入れが可能になると私も含め多くの人が期待を寄せていましたが、現実はそう簡単なことではなかったということです。モデル事業を行って半年が過ぎましたが、この間、出てきた課題はどういうものがあったのでしょうか。また、その課題に対してはどう対応されてきたのか。あるいはまた、今後どう対応されるのか、御説明をお願いします。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) モデル事業により把握した課題につきましては、医療的ケアの種類が同じでも、心身の発育状況等の違いにより、例えば、給食の食材を全て刻んだり、昼寝の際に呼吸がしやすいよう姿勢に注意するなど、保育の中で留意すべき事項が大きく異なることや、児童の主治医が医療的ケアを行う看護師をサポートする体制を構築する必要があることなど、さまざまな課題がございます。今後、これらの課題を一つ一つ解決しながら、医療的ケア児をより安全に保育する体制を検討してまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 子どもの成長を見ながら、入所可能な時期まで待つ、これは本当に親子にとって大変過酷な期間です。何を改善すれば、この子どもの受け入れが可能になるのかなど、事業の工夫をしていくのがこのモデル事業の役目ではないかと私は考えているんですが、御所見をお願いします。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 市立千代保育所のモデル事業では、実施前にはわからなかった課題がモデル事業を通じて明らかになってきており、これらの課題については、事業を進めながら一つ一つ解決すべきものと認識しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 日常的な保育室での保育の安全性が重要なことは言うまでもありません。障がい児保育では保育士の加配はありますが、医療的ケア児には適用されないのでしょうか。看護師とともに、保育士の配置も必要と考えますが、御所見をお伺いします。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 医療的ケア児の受け入れにつきましては、児童に障がいがある場合は、その程度に応じて保育士の加配を行うこととしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 昨年の6月議会において医療的ケア児の実態調査を求めましたが、本年8月から本市独自で医療的ケア児に関する保育ニーズ調査を行っています。現時点での回答数にあわせ、主な介助者の就労状況として、現在、就労している人、就労予定、預け先があれば就労したい人はそれぞれ何人でしょうか。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 医療的ケア児に関する保育ニーズ調査につきましては、平成30年9月14日時点で64件の有効回答があっております。主に介助を行っている保護者の就労に関する状況については、就労しているが16人、就労予定が3人、預け先があれば就労したいが24人、その他、就労の希望はないなどが21人となっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 来年度4月1日利用開始のための保育園の第1次入所申し込みが12月5日に締め切られました。医療的ケア児の保育を望む保護者は、博多区の千代保育所でモデル事業として行われている医療的ケア児の保育はどうなるのか、預かり人数はふえるのだろうか、全市的に他の区でもモデル事業、もしくは本格実施として展開されるのだろうか、または医療的ケアが必要と明記して入所申し込みをしたほうがいいのだろうか、入所の可能性がもしあるのなら、今から求職活動をしないと間に合わないのではないかなどなど、大きな不安を抱えています。あるお母さんは、先日、ニーズがあることを知ってもらいたい、そういう思いからも医療的ケアが必要と記載して入園の申し込みをしました。しかし、看護師がいないから預かれない、モデル事業も希望の保育所でできるかどうかはわからないと言われて書類を返されたそうです。私たちは入園の申し込みすらできないのかとひどく傷つき、悲しんでおられます。

 アンケートに答えた64人中43人と全体の67%が就労意向を示しています。特に預け先があれば就労したい人が37.5%と最も多くなっていることから、この医療的ケア児の保育のニーズは高いというふうに考えます。今後、医療的ケア児の保育がどこで始まるのか、申し込みはいつになるのかなど、一日でも早い情報提供をされるよう強く意見を申し述べておきます。

 次に、教育長に特別支援学校を除く小中学校における医療的ケア児の現状についてお尋ねをいたします。

 現在、小中学校に医療的ケアを必要とする児童は何人在籍していますか。また、そのケアは誰が行っているんでしょうか。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 日常的に学校において医療的ケアが必要で、本人が行っているケースを除いた児童生徒を対象とした文部科学省による平成29年度の調査では、本市においては小学生1人でございました。なお、当該児童のケアは保護者によって実施されております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 医療的ケアを必要とする児童で、特別支援学校ではなく、地域の小中学校で学びたいという児童は今現在、何人いるんでしょうか。平成31年度の入学予定者を含めてお答えください。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 発達教育センターが行う就学相談会で把握している人数は、現在、入学予定者を含めて2人でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 医療的ケア児が地域の小中学校を選択した場合、看護師の配置は可能かどうか、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 医療的ケアを必要とする児童生徒の教育機会の場の拡充を図り、保護者の負担を軽減していくことは重要な課題と考えており、小中学校での受け入れ体制について検討してまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 福岡市障がい者差別解消条例が2019年1月1日から施行されます。教育における合理的配慮の観点からも、看護師とあわせて支援員の配置も強く要望しておきます。

 医療的ケア児は年々ふえているにもかかわらず、障がい児保育の枠にもはまらず、医療的ケアができないことで保育園では保育困難とされ、保育対象児から外されてきました。しかし、2016年度の児童福祉法の改正や地方自治体による配慮を求めた国の通知、国による医療的ケア児保育支援モデル事業の開始などを踏まえて、福岡市においても本年度よりモデル事業がスタートをしました。事業の開始当初、受け入れが困難とされた子どもの中には、これは私見ですけれども、障がい児保育で行う加配保育士の配置をすれば可能ではないのかと思えるケースもありました。先ほど医療的ケア児受け入れに当たり、児童に障がいがある場合はその程度に応じて保育士の加配を行うこととしていると御答弁されましたが、実施には至りませんでした。それは福岡市の障がい児保育そのものが、集団保育が可能であり、加配保育士の対応はマンツーマンではなく、あくまで集団に加配されるものという福岡市の障がい児保育制度が大きな壁となっているからです。これまでの福岡市の障がい児保育においても、集団保育が可能ということが前提となっていることから、マンツーマン対応が必要な障がい程度の重い子どもへの保育の提供はなされてきませんでした。福岡市の障がい児保育制度は前回の見直しから既に15年が経過しています。この間、障がい児・者を取り巻く社会、法整備は着々と進んでいます。合理的配慮が求められる昨今において、医療的ケア児の保育を進めるに当たっても、集団保育の不可を物差しにした障がい児保育制度は見直しの時期に来ています。早急に見直すべきであると強く申し上げておきます。

 医療的ケア児の多くは早産児であることから、大なり小なり発達におくれが出ても、不思議ではありません。今回、モデル事業で保育が可能となったのは、そのごくわずかの子どもです。この間、障がい児や医療的ケア児の保護者は、働く権利がないのですかと怒りで涙ながらに訴え続けた保護者、特に介護をしてあるお母さん方です。そして、僕も友達と一緒に保育園で遊びたい、これは私は4歳の子どもから直接訴えられました。兄弟が通う保育園の園庭で泣きながら訴える医療的ケア児です。これは朝、兄弟の保育園の送り迎えのたびに毎日繰り返される光景なんです。この声に早急に応えていかなければならないと考えます。

 福岡市における医療的ケア児保育を今後どのように進めていこうと考えているのか、御所見をお伺いして、この質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

こども未来局長(小野田勝則) 医療的ケア児の保育につきましては、今回の調査により、これまで推測することしかできなかった医療的ケア児の保育ニーズを具体的に把握することができております。今後、このニーズを詳細に分析するとともに、モデル事業を通じて把握した課題も踏まえ、医療的ケア児に、より安全な保育を提供するための体制について、専門家の御意見も伺いながら検討を進めてまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 次に、ICTの活用による遠隔教育を生かした在宅児童生徒の教育保障について質問いたします。

 病気、経済的理由等ではなく、年間30日以上欠席した不登校児童生徒は何人でしょうか。小中学校ごとに過去3年間でお示しください。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 年間30日以上欠席した不登校児童生徒数は、平成27年度は小学校が129人、中学校が767人、28年度は小学校が148人、中学校が838人、29年度は小学校が162人、中学校が639人でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 玄界、小呂を除く全中学校ブロックへの不登校対応教員の配置に伴い、中学校内に適応指導教室、いわゆるステップルームが全中学校に設置されました。また、えがお館、教育センター等に、はまかぜ、まつ風、すまいるなどのステップルームもありますが、そこに通えていない児童生徒もたくさんいます。その中には、フリースクールに通っている児童生徒もいると聞きますが、平成29年度は何カ所のフリースクールに何人の児童生徒が通っていたのか、お知らせください。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 平成29年度は16カ所のフリースクールに小学生4人、中学生41人が通っておりました。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 現行の制度では、フリースクールに通っても学校に通ったことにはなりませんが、フリースクールに通っている児童生徒の出席日数の取り扱いはどうなるんでしょうか。また、卒業証書の取り扱いはどうなっているのか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) フリースクールに通っている児童生徒の出席日数の取り扱いにつきましては、平成28年に文部科学省が示した民間施設についてのガイドラインに沿って児童生徒がフリースクールにおいて適切な相談、指導を受けていると在籍校の校長が判断できれば、通っている日数を出席扱いとしており、卒業証書は在籍校の校長が授与しております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 学校の役割を担っている民間のフリースクール施設との連携で、不登校の子どものあり方を支援する教育機会確保法が2017年2月に施行されましたが、法の制定に至る背景、法の目的、内容について概要の説明を求めます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 教育機会確保法の制定に至る背景としましては、平成27年度において、不登校児童生徒のうち90日以上欠席した者が全国で約7万2,000人に達しており、こうした長期にわたって不登校となっている児童生徒への学校以外の場での学習等に対する支援や、その社会的自立や社会参加を目指すことの必要性が高まったことがございます。法の目的は、不登校児童生徒に対する教育機会の確保、夜間等において授業を行う学校における就学機会の提供等を総合的に推進することなどでございます。主な内容としましては、国や地方公共団体は、不登校児童生徒に対する学校の取り組みへの支援、学習支援を行う教育施設の整備、学校以外の場における学習活動等を行う不登校児童生徒に対する支援などに努めることというものでございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 教育機会確保法には2つのキーワードがあります。休んでもよいということ、そして、学校以外の場の重要性を認めたことです。このキーワードを生かすことが子どもたちを取り巻く環境を変えられるのではないかと考えます。福岡市でも昨年度フリースクールに通った児童生徒は45人とのことですが、不登校児童生徒数やステップルームの現状から見ると、フリースクールの活用は少ないのではないかと思います。フリースクールとの連携を図るべきと考えますが、御所見をお伺いします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 不登校児童生徒の学校以外の学習の場となっているフリースクールと連携することは大切であると考えております。現在、教育委員会はフリースクールの代表者を集めた意見交換会を定期的に開催し、学校との連携の状況や児童生徒の支援方法等についての情報を共有しております。また、各学校においては、担任や不登校対応教員等が、児童生徒が通うフリースクールの担当者と、継続して出席状況や児童生徒の様子などについて連絡をとり合うなどの連携した支援を行っております。今後も引き続き教育委員会及び学校とフリースクールが連携した取り組みを進めてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 不登校児童生徒の保護者は、ステップルームに通えず、自宅にこもりがちな子どもに対して不安を抱きがちです。その不安が子どもをますます追い込んでいくことも懸念されます。しかし、多くの保護者はフリースクールがどこにあるのかなど情報をほとんど持っていません。不登校相談の窓口や学校などでフリースクールの情報提供を行うべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 不登校児童生徒や保護者に寄り添った支援を行いながら、学校以外の学習の場であるフリースクールの情報を提供することは大切なことであると考えております。保護者から学校にフリースクールを利用したいという相談があった場合は、児童生徒や保護者に必要な情報を提供しております。また、不登校対応教員を対象に、フリースクールの団体の代表者を講師とした研修を行い、不登校対応教員を通して、児童生徒や保護者にフリースクールの情報を提供することができるようにしております。今後も児童生徒や保護者の状況に応じて、フリースクールに関する必要な情報を提供してまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 不登校親の会等に出会い、そこで情報を得られる保護者もおられますが、学校からの情報はまだまだ少ないように感じます。教職員の中には、何とか学校に来てほしいと、学校に来ることが目標で、フリースクールを紹介することは責任を放棄したと受け取られるのではないかと危惧している先生もおられます。これは一生懸命さの余りなんですね。しかし、子どもたちが今はどこにいることが最も安心できる場所なのか、何を学びたいのか、どう学びたいのかが選択できる社会にしていくためにも、多くの方に知ってもらうべきだと考えています。そのためには教職員のフリースクールに対する理解と連携がさらに必要だと考えます。不登校児童生徒の中には、学校やフリースクールなどへも通学できない子どももいます。また、極度のアレルギー疾患や入院するまでもないが疾病による自宅療養の子ども、いわゆる病気療養児や障がい児など、さまざまな事情により通学して教育を受けることが困難な児童生徒です。10月末現在、福岡市には病欠で30日以上学校へ通えていない児童生徒は何人いますか。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 病気で30日以上欠席している児童生徒は、平成3010月末現在で小学校が97人、中学校が226人でございます。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) この子どもたちの学習保障はどうしているのでしょうか。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 病気により30日以上欠席している児童生徒に対しましては、各学校において担任や不登校対応教員等が保護者と密に連絡をとり合い、家庭訪問を行うなどして学習プリントや問題集などを利用した個別の学習指導を行っております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 担任や不登校対応教員は、校内の学習活動や生徒指導に加えての訪問教育となるので、タイムリーな学習支援が難しく、児童生徒にとっても学習意欲の継続などの課題があるのではないかと推測します。そのような中、本年9月20日、個々の児童生徒への学習保障として、ICTを活用した同時双方向型で行う遠隔教育の推進に向けた施策方針の策定について、文部科学省から通知がありました。その目的と授業形態など、内容についてお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 個々の児童生徒への対応に関する目的につきましては、さまざまな事情により通学が困難な児童生徒の学習機会の確保でございます。内容につきましては、一人一人に応じた学習機会を提供する観点から、不登校児童生徒に対する自宅等での遠隔教育及び病気による療養などのために相当の期間、学校を欠席すると認められる児童生徒に対する自宅、病院等での遠隔教育について示されております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 先ほど古川議員の御質問にもありましたが、重ねてお尋ねいたします。

 ICTを活用した遠隔教育はこれまで福岡市でも行われていますが、どこでどのように活用されているのか、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 遠隔教育につきましては、テレビ会議システムを活用して、市内や海外の学校とつなぎ、生徒同士の合同の授業や専門家による遠隔授業に取り組んでいる学校がございます。具体的には、住吉中学校では韓国の中学生と互いの国の文化を紹介し合う合同授業を、能古中学校では、以前ネイティブスピーカーをしていた方が現在ニュージーランドに住んでいて、その方と英語で交流する授業を実施しております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) これまでの遠隔教育は、合同授業型や教師支援型が主でしたが、今回の通知は先ほどの御答弁にもありましたように、不登校や病気療養児等、個々の児童生徒への遠隔教育の対応に対して、出席と認めるというものです。9月20日、文部科学省通知、小・中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等についてには、「小・中学校等では、病院や自宅等で療養中の病気療養児に対する学習支援として同時双方向型授業配信やそれを通じた他の児童生徒との交流を行っている場合があり、それにより病気療養児の教育機会の確保や学習意欲の維持・向上、学習や学校生活に関する不安感が解消されることによる円滑な復学につながるなどの効果が見られている」と明記されています。

 不登校や病気療養児など、さまざまな事情により通学して教育を受けることが困難な児童生徒に、教育の機会均等を保障するためには、特別支援学校の訪問教育のように、人的な教員であることが最良の支援教育とは考えますが、一方で、同時双方向型授業は、クラスの中でリアルタイムでともに学び合っている感覚を得られるメリットがあります。

 1113日の朝日新聞に「闘病中の小1女児、教室に分身ロボット みんなと遊べた」という記事が掲載されました。これは大学病院の院内学級での授業ですが、高さ21センチで、マイクとスピーカー、カメラを内蔵した人型ロボットが、周りの映像と音声を送信し、離れた場所でもタブレットなどで見られます。タブレットのマイクをオンにすれば、声をロボット側に届けることも可能です。こういう遠隔教育、これはほんの一例にすぎません。本人の意思確認のもと、ICTを効果的に活用した同時双方向型の個別支援の遠隔教育を進めるべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 不登校児童生徒や病気療養児などの教育の機会を確保するために、ICT等を活用した個別支援を充実させていくことは重要であると認識しております。平成29年度は、児童生徒や保護者の意向を確認の上、タブレットを活用することによって、学校での授業が自宅で受けることができるようにするなどの支援を行っております。今後は学校に行きたくても行けない子どもたちが、離れた場所にいても教室にいる子どもたちとともに、授業を受けることができるようなICTを活用した効果的な個別支援のあり方について研究をしてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 教育機会確保法には、さまざまな理由により中学校を修了できなかった人や形式的な卒業はしたが、学び直しを求める人たちに対しての夜間中学の設置についても言及しています。不登校や病気療養児などの児童生徒も含め、全ての子どもに教育の機会均等を保障するために、福岡市教育委員会として、今後どのような教育施策を行おうとしているのか、教育長の御所見をお伺いして、この質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 義務教育の段階における全ての子どもたちが安心して教育を受けることができるようにすることは大変重要であると認識しております。これまで福岡市では、不登校や病気療養などで学校に来ることができない児童生徒に対し、教員や専門家が直接支援することが大切であると考え、不登校対応教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充してまいりました。

 なお、夜間中学の設置については、設置に係る正確なニーズを把握するために、まずは夜間中学に関する認知度を上げることが必要であることから、広報に努めているところでございます。今後も遠隔教育を含めたICT等を活用した支援の促進に努めるとともに、心理、福祉の専門スタッフと教員の連携を強化し、チーム学校を推進していくことで福岡市の全ての子どもたちの教育機会の確保に努めてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 次に、西都小学校の分離新設について質問いたします。

 福岡市西部地域の新たな拠点づくりとして、九州大学移転に伴うまちづくりが進み、学研都市周辺の人口が急増したことから、周船寺小学校の遠距離通学と玄洋小学校の過大規模の状態を解消するため、周船寺小学校と玄洋小学校の通学区域の一部を分離して、2017年4月、西都小学校が開校しました。課題を抱えていた周船寺小学校、玄洋小学校は西都小学校が開校した2017年度に何人、何学級でスタートしたのか、また、前年度と比べてどのくらいの児童数、学級数の減となったのか、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 西都小学校が開校した平成29年度の周船寺小学校及び玄洋小学校の児童数、学級数につきましては、29年5月1日基準日で周船寺小学校が児童数640人、学級数は特別支援学級2学級を含め23学級で、前年度と比べ193人、5学級減少しております。

 次に、玄洋小学校が児童数808人、学級数は特別支援学級2学級を含め26学級で、前年度と比べ391人、12学級減少しております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 周船寺小学校、玄洋小学校の児童数は今後も課題が解決したと考えていいのか、1年後の2019年度、3年後の2021年度、5年後の2023年度における児童数の推計人数と学級数をお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 周船寺小学校及び玄洋小学校の今後の児童数、学級数につきましては、平成30年度の学校基本調査の数値をもとに作成した推計値でお答えいたします。

 なお、推計値の学級数は、平成30年度の特別支援学級の学級数がこのまま推移すると仮定して推計を行っております。周船寺小学校は特別支援学級が2学級として、2019年度が約630人、22学級、2021年度が約620人、23学級、2023年度が約630人、22学級。次に、玄洋小学校は特別支援学級が3学級として、2019年度が約830人、28学級、2021年度が約860人、29学級、2023年度が約830人、29学級と見込んでおります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 周船寺小学校においては児童数もほぼ落ちついた状況であると考えていいのかなというふうには思いますけれども、玄洋小学校については再び大規模校化への兆しが見えます。西都小学校は今後5年間で大幅な児童数の増加が推計され、開校わずか1年で分離新設の方向性が示されました。西都小学校の2019年度、2021年度、2023年度の児童数の推計人数と学級数をお知らせください。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 西都小学校の今後の児童数、学級数につきましては、平成30年度の推計値では特別支援学級が2学級として、2019年度が約1,000人、34学級、2021年度が約1,220人、38学級、2023年度が約1,390人、42学級と見込んでおります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 1011日、新設小学校の候補地の選定結果が第2委員会に報告されましたが、選定結果と今後の方向性について御説明ください。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 西都地区新設小学校の候補地につきましては、西都小学校の校区内または隣接地で、敷地面積等を確保できる可能性がある3カ所の用地について、関係者からの情報収集等を行うとともに、敷地面積や安全な通学路の確保、開校時期の視点から検討しました結果、元岡中学校の東側の農地を新設小学校の候補地と選定したものでございます。今後は用地取得に向けた関係者との具体的な協議を進め、2019年度以降、用地取得や通学区域の決定、校舎等の設計、建設工事を行い、2023年4月の開校に向けて取り組んでまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 候補地として挙げられた3カ所は、いずれも西都小学校の校区内または隣接地となっていますが、分離新設に当たっては、そもそも西都小学校のみの分離を想定して進められたのかどうか、お尋ねします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 西都地区の小学校の新設に当たりましては、基本的に西都小学校の通学区域を2つに分けることを想定しております。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 今回の質問では、開校1年目にしてさらに分離という事態を招いたことについての要因や推計の甘さについての言及はいたしませんが、今後の教訓として生かしていかなければならないと考えています。先ほど周船寺小学校と玄洋小学校の今後の児童数についてお尋ねしましたが、周辺校区である今宿小学校、元岡小学校についても、2019年度、2021年度、2023年度の児童数の推計人数と学級数をお尋ねします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 今宿小学校及び元岡小学校の今後の児童数、学級数につきましては、平成30年度の推計値でお答えします。

 今宿小学校は特別支援学級が5学級として、2019年度が約970人、34学級、2021年度が約1,080人、36学級、2023年度が約1,150人、40学級。次に、元岡小学校は特別支援学級が2学級として、2019年度が約790人、26学級、2021年度が約750人、26学級、2023年度が約740人、24学級と見込んでおります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 周辺校区である今宿小学校は現在も34学級という過大規模校です。児童数も4年間は横ばいを続けるものの2023年度には40学級が推計されています。現在は3年生、5年生の8教室をプレハブ教室で対応し、増築工事が行われているため、運動会は運動場が使えない状況でした。運動会の学年種目を3種目から2種目に減らすなど、子どもたちの学習活動にも影響が出ています。また、元岡小学校と玄洋小学校は26から29学級の大規模校を推移していますが、新設校予定地が両校区に隣接していることもあり、長期的に見た場合の御意見や要望が各自治協議会から今後出される可能性があるというふうに考えます。

 そこで、1025日、西部7校区会長会が開催され、教育委員会は西都小学校の分離、新設に当たって、各自治協議会の会長さんから質問や要望を受けましたが、どのような内容だったのか、概要をお知らせください。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 平成3010月に開催された西区西部7校区の自治協議会会長が出席された会議では、小学校の新設に伴い、通学区域をどのように決めていくのかや地元の意見の反映の仕組みなどについて質問がございました。また、西区西部地域では、西都小学校のほかにも今宿小学校や元岡中学校、玄洋中学校の児童生徒数も増加することが見込まれるため、新設小学校の通学区域は西都小学校区のみではなく、周辺地域も含めて地域全体で検討する必要があるのではないかとの意見がございました。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 校区割の作業開始はいつから始めるのでしょうか。地域の合意なくして校区の再編はなし得ません。意思反映の仕組みづくりはどのように行い、どのように進めていかれるのか、お尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 新設小学校の通学区域につきましては、地域や保護者の意見を聞きながら、2019年度に、関係する校区の地域関係者、保護者及び学校関係者から成る通学区域協議会において協議を進めてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 中学校の課題も視野に入れておかなければなりません。現状のままの中学校区割で行った場合、5年後の元岡中学校と玄洋中学校の生徒数と学級数の推計をお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 元岡中学校及び玄洋中学校の5年後の2023年度の生徒数、学級数につきましては、平成30年度の推計値では、元岡中学校は特別支援学級が3学級として約1,120人、32学級、玄洋中学校は特別支援学級が2学級として約880人、26学級と見込んでおります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 2023年度の元岡中学校は32学級と過大規模校となります。玄洋中学校も26学級と徐々に増加していくことが予測されています。小学校の新設にあわせて、中学校の新設も視野に入れた計画が必要だと考えますが、御所見をお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 元岡中学校につきましては、今後、生徒数が増加し、学級数が長期にわたって31学級以上になることが見込まれる場合には、福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針に基づき、適切に対応してまいります。

 次に、玄洋中学校につきましては、平成30年度の推計値では、今後6年間は特別支援学級も含めて24学級から26学級で推移するものと見込んでおりますが、引き続き、生徒数の動向を注視してまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 今後、西都校区や周船寺校区、元岡校区が一体となった新たな大型区画整理事業が進められていくというふうにも聞き及んでいます。人口がますます増加していくことは火を見るよりも明らかです。また、2023年4月の開校までの4年間の西都小学校における教室等の確保、留守家庭子ども会の確保等、まだまだ課題もあります。西都小学校の分離新設に当たっては、各町内ごとの新生児数や幼児数の把握も必要となります。区画整理事業を含めたまちづくりの推移を住宅都市局と情報共有しながら、周辺校区も対象にした長期的な小学校の配置計画を立てるべきだと考えますが、御所見をお伺いして、この質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 西区西部地域におきましては、今後も市街地整備の状況にも注視していく必要があることから、関係局との連携を密に図りながら、西都小学校及び周辺の小中学校の児童生徒数の将来推計を行い、引き続き教育環境の整備に努めてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 最後の質問です。最後に、災害時の福祉避難所についてお尋ねいたします。

 近年、地震や豪雨災害等による自然災害が多発しています。2016年4月の熊本地震、2017年7月には死者行方不明者42人となった福岡県と大分県を襲った九州北部豪雨、今年度においても6月18日に発生した大阪北部地震、6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された西日本豪雨災害は、河川の氾濫や洪水、土砂災害などで220人余りの命を奪いました。まだまだ復旧には時間がかかりそうです。その後も9月6日の北海道胆振北部地震など、いつ、どこで災害が起きてもおかしくない状況と言っても過言ではありません。地震や風水害など、大規模な災害が発生した場合は、家屋の損壊やライフラインの寸断等により、多くの市民は自宅での生活は困難となり、指定避難所等に避難することが想定されます。

 そこで、災害時における避難所には、一時避難所、収容避難所、福祉避難所等がありますが、現在、福岡市内にはそれぞれ何カ所あるのか、お示しください。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 種類別の避難所数につきましては、平成30年4月1日現在で、一時避難所は公民館を中心に193カ所、収容避難所は小中学校を中心に239カ所指定しております。また、通常の避難所での生活が困難な要配慮者を受け入れるための福祉避難所は、高齢者施設や障がい者施設など98カ所を指定しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 避難の際、地域で最も配慮を要するのが要支援者の方々です。避難行動要支援者名簿の登載人数はどのようになっているのか、お尋ねします。

 また、福祉避難所として、市と協定を結んでいる施設の受け入れ可能人数は何人でしょうか。高齢者施設、障がい者施設、それぞれについてお答えください。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) まず、避難行動要支援者名簿の登載人数について、市民局よりお答えいたします。

 平成30年度の登載者数は全体名簿が3万6,111人となっており、そのうち本人の同意を得て自治協議会などの避難支援等関係者にお配りしている同意者名簿が1万5,105人となっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 引き続き保健福祉局より、福祉避難所として市と協定を締結している施設の受け入れ可能人数につきましてお答えいたします。

 平成30年4月1日現在の受け入れ可能人数は、高齢者施設は1,531人、障がい者施設は486人となっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 名簿登載者全ての方々が福祉避難所に行くべき人とは限りません。しかし、熊本地震の教訓では、福祉避難所として協定を結んだ施設が被災した例もあったことから、福祉避難所の指定をさらにふやすことを要望しておきます。高齢者や障がい者、乳幼児、妊産婦など、特に配慮を要する人たちの災害時における避難方法についてお示しください。加えて、福祉避難所へ移動するまでの行程についても、その手順を御説明ください。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 高齢者や障がい者などの配慮を要する方々の災害時の避難方法につきましては、まずは最寄りの一時避難所または収容避難所に避難していただき、身の安全を確保した上で避難生活においてどのような配慮を必要とする方なのかを把握し、トリアージを行うこととしております。具体的には、食事や排せつ、移動等の一部に介助が必要な方や妊産婦及び乳幼児などの場合は、学校の教室や公民館の一室に設ける福祉避難室において必要な生活支援を行うこととなります。また、食事や排せつ、移動が一人でできない方や家族のつき添いがなく、常時介護が必要な方などの場合は、あらかじめ指定している福祉避難所の受け入れ可能な人数等を把握し、マッチングを行った上で移送することとなります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 特別支援学校の8カ所以外は福祉避難所の公開をしていませんが、その理由はなぜでしょうか。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 福祉避難所の名称の公表につきましては、福祉避難所は災害発生時に直ちに開設されるわけではなく、まずは公民館等の一時避難所に避難していただき、福祉避難所としての受け入れ態勢を確認した後、必要に応じて移っていただくこととしております。福祉避難所として協定を締結している施設自体の被災などにより、福祉避難所として機能することが困難となる状況も想定され、また、直接、施設に避難された方がいた場合、混乱も生じるおそれもあることから、事前にその場所を広く公開することは望ましくないと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 福岡市発達教育センターは、熊本地震の支援活動、教訓を踏まえ、全ての支援学校は避難所の開設、運営等のノウハウを持っておくことが必要として、本年3月に福岡市立特別支援学校防災推進マニュアルを作成し、学校独自の防災マニュアルを作成しています。そして、先ほど福祉避難所を公開していない理由の一つに、その施設が被災していないかどうかの確認、直接、福祉避難所に避難される方がいた場合、さまざまな混乱が生じるおそれもあるなど、多くの課題が挙げられました。しかし、災害はいつ何どき起こるかわかりません。要配慮者のスムーズな受け入れを図るためにも、福祉避難所としての受け入れについて、あらかじめ高齢者福祉施設や障がい者支援施設などと平常時において福祉避難所等の設置、運営に係る知識と事前の備えが必要ではないでしょうか。福岡市教育委員会マニュアルや、熊本市のように福祉避難所等の設置運営マニュアルの策定をし、施設関係者や区役所職員、地域が共有すべきと考えますが、御所見をお伺いします。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 福祉避難所の設置運営マニュアルの策定やその情報の共有につきましては、平成30年6月の福岡市地域防災計画の改定におきまして、福祉避難所の充実強化が図られ、福祉避難所の役割や対象者、担当部署による受け入れ調整等が新たに明記されております。このことを受け、災害が発生した際に、高齢者施設や障がい者施設等の福祉避難所におきましても、受け入れ調整が円滑に進むよう、今回の改定内容を踏まえた福祉避難所の設置運営マニュアルの整備を行い、関係機関等への周知を図ってまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 本年7月6日の豪雨の際、西区のある校区では、特養の施設長の判断で、みずからが各町内自治会長に連絡をして、民生委員さんや自治会長を介して在宅の要介護者の方2名と家族を受け入れました。避難された方のお一人に話を聞くと、この校区の一時避難所は小学校の体育館に指定されていますが、体育館は2階にあるため、老老介護状態でほぼ寝たきりの夫を避難させるのは無理と不安に駆られたそうです。しかし、今回、特養から自宅まで迎えに来てくれたことから、無事に避難できましたと大変喜び語っておられました。地域内の特養など高齢者福祉施設や障がい者支援施設の多くは、清掃活動や夏祭りなど、地域行事で日ごろから地域との交流を深めています。日ごろの良好な関係づくりが今回の連携につながったものと考えます。もちろん、その施設は福岡市と福祉避難所の協定を結んでいる施設ですが、今回、市が指定する一時避難所を介さず、施設と地域で直接的なやり取りを行い、対応されたことは今後の福祉避難所のあり方を再考するに当たり参考になるのではないかと考えますが、御所見をお伺いします。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 福祉避難所への避難につきましては、要配慮者が避難生活においてどのような配慮を必要とする方であるのかを把握するとともに、受け入れ施設側の人員体制や被災状況等を踏まえた受け入れ可能人数などを把握し、マッチングを行う必要があり、一定の時間を要するものと考えております。そのため、御本人の身の安全の確保を第一に考え、最寄りの一時避難所や収容避難所に一旦避難していただきたいと考えております。福祉避難所への移送が必要な要配慮者を速やかに避難させるためには、要配慮者の情報や受け入れ施設側の情報を迅速に把握し、移動手段の確保も含め、的確なマッチングを行う仕組みづくりが必要であることから、今後とも、他都市の事例も参考にしながら関係局と連携し、研究してまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 今回の質問は、福祉避難所について質問いたしましたが、一時避難所や収容避難所のあり方についても、多くの課題を抱えています。警察庁の東北地方太平洋沖地震による死者の死因等について、これは2011年3月11日から1年間のデータですが、それによると、東日本大震災の犠牲者の65.8%が60歳以上となっており、高齢になるに従ってその率は高くなっています。また、2013年4月22日の中日新聞には、障がい者の死亡率は健常者の2倍以上であったことを明らかにしています。さらに、熊本県のまとめによると、熊本地震では被災のショック、過酷な避難生活等による体調不良などで関連死は直接死の約4倍にもなるなど、日本の避難所は震災関連死を生み出すとまで言われています。大規模災害のたびに報道される日本の避難所の光景は、床に毛布を敷いて大勢がひしめき合う体育館の様子です。避難所運営にかかわる方々の懸命の努力には頭が下がりますが、日本の避難所のあり方ではプライバシーの確保の難しさや寝返りも打てない居住空間の狭さなど、個人の努力では解決できません。避難所の環境について、国際基準と言われる最低限の基準を定めたスフィア基準が日本でも徐々に知られるようになりました。2年前、大地震が起きたイタリアの避難所では、発生から72時間以内に家族ごとにテントやベッドが支給され、衛生的なトイレも整備されたということです。南海トラフ巨大地震の被害が想定される徳島県は、2017年、避難所運営マニュアルにスフィア基準を盛り込みました。段ボールを組み立ててつくる簡易ベッドや持ち運びが可能な簡易トイレもその一つです。地震大国日本こそ、あらかじめ多くの準備をしておくことが大事であり、そのような避難所であれば、多くの要支援者にとっても命と健康を守れる避難所となるのではないかと考えます。要支援者も安心して避難できる福祉避難所のあり方とともに、検討していだたくことを要望しまして、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) お諮りいたします。

 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は明13日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

議長(川上晋平) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

 次の会議は明13日午前10時に開きます。

 本日はこれをもって散会いたします。

午後3時42分 散会