平成30年9月7日(金)

 

平成30年第4回福岡市議会定例会

議  事  日  程 (第2号)

                             9月7日 午前10時開議


第1  一 般 質 問


本日の会議に付した事件

議事日程のとおり


出 席 議 員 (61名)

1番  鬼 塚 昌 宏       2番  堤 田   寛

3番  調   崇 史       4番  津 田 信太郎

5番  大 森 一 馬       6番  大 原 弥寿男

7番  平 畑 雅 博       8番  打 越 基 安

9番  冨 永 計 久      10番  森   英 鷹

11番  川 上 晋 平      12番  稲 員 稔 夫

13番  大 坪 真由美      14番  中 島まさひろ

15番  川 上 陽 平      16番  古 川 清 文

17番  高 木 勝 利      18番  篠 原 達 也

19番  飯 盛 利 康      20番  今 林ひであき

21番  阿 部 真之助      22番  尾 花 康 広

23番  松 野   隆      24番  楠   正 信

25番  福 田 まもる      26番  南 原   茂

27番  おばた 久 弥      28番  光 安   力

29番  山 口 剛 司      30番  石 田 正 明

31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹

33番  新 村 まさる      34番   欠   員

35番  天 野 こ う      36番  橋 田 和 義

37番  堀 内 徹 夫      38番  とみなが正 博

39番  森   あや子      40番  浜 崎 太 郎

41番  綿 貫 英 彦      42番  熊 谷 敦 子

43番  倉 元 達 朗      44番  富 永 周 行

45番  荒 木 龍 昇      46番  国 分 徳 彦

47番  笠   康 雄      48番  藤 本 顕 憲

49番  星 野 美恵子      50番  中 山 郁 美

51番  ひえじま俊 和      52番  高 山 博 光

53番  近 藤 里 美      54番  田 中しんすけ

55番  落 石 俊 則      56番  田 中 丈太郎

57番  太 田 英 二      58番  池 田 良 子

59番  川 口   浩      60番  阿 部 正 剛

61番  栃 木 義 博      62番  江 藤 博 美


欠 席 議 員 (0名)


説明のため出席した者

市       長   島 宗一郎     副市長  貞 刈 厚 仁

副  市  長  中 園 政 直       副市長  荒 瀬 泰 子

水道事業管理者  清 森 俊 彦      交通事業管理者  阿 部   亨

総務企画局長  光 山 裕 朗       財政局長  則 松 和 哉

市民局長  下 川 祥 二          こども未来局長  小野田 勝 則

保健福祉局長  永 渕 英 洋       環境局長  吉 村 隆 一

経済観光文化局長   島   収     農林水産局長  細 川 浩 行

住宅都市局長  石 橋 正 信       道路下水道局長  三 角 正 文

港湾空港局長  中 村 貴 久       消防局長  山 下 周 成

会計管理者  水 町 博 之         教育長  星 子 明 夫

教育委員  町     孝           選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子

人事委員会事務局長  小 西 眞 弓   監査事務局長  落 石 稔 彦


職務のため出席した事務局職員

議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史

議事課長   着 一 孝      議事係長  中 村   博

外関係職員


午前10時 開議  

○議長(川上晋平) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。倉元達朗議員。

 

43番(倉元達朗)登壇 おはようございます。私は日本共産党市議団を代表して、高齢者乗車券制度をめぐっての市の答弁について、本市の公共事業から出された残土が不当に処理されている問題について質問をいたします。

 まず、高齢者乗車券制度についてです。

 本制度は、保健福祉審議会で新しい保健福祉総合計画を策定する議論の中で、市が制度の縮小をほのめかすイメージ図を審議委員に配付したことから、市民の間に不安と懸念が広がりました。市民は、この制度が縮小されては困る、もっと充実してほしいと署名運動に取り組み、6月20日、縮小反対、拡充を求める署名3万2,000筆を福岡市議会に提出いたしました。そういう中、さきに行われた6月議会の一般質問において、自民党市議が、現在、市は高齢者乗車券の廃止、削減などの検討を行っているのかと質問しました。

 そこでお尋ねしますが、この質問に対して、保健福祉局長は高齢者乗車券につきましては現在、廃止、削減などといった具体的な検討は行っておりませんと答弁したと認識しておりますが、間違いはないか答弁を求めます。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行わさせていただきます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 6月議会での高齢者乗車券に関する質疑についてにお答えいたします。

 一連の御質問の中で、これまでに高齢者乗車券について廃止や削減するような説明をしたことがあるかとの御質問に対し、保健福祉総合計画の策定過程の平成27年度の保健福祉審議会等において、高齢者乗車券、インセンティブ制度、移動支援などの高齢者施策を一体的に再構築するイメージを示したことがあるとの経緯をお答えした上で、次の御質問で、現在、高齢者乗車券の廃止、削減などの検討を行っているのかと現在の検討状況について問われたことから、現在、廃止、削減などといった具体的な検討は行っていないと事実関係をお答えしたものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 現在は具体的な検討は行っておりませんと答弁されました。その答弁を検証していきたいと思います。

 昨年度、2017年、健康・社会参加インセンティブ制度検討で1,000万円の予算がつきました。具体的に何をやったのか、説明してください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成29年度における検討内容につきましては、調査委託によりインセンティブ制度の対象者、ポイントのメニューや管理方法等について調査し、それらを参考にインセンティブ制度のあり方について検討したものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 成果物はありますか、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 委託の成果物はございまして、その調査委託の成果物につきましては、インセンティブ制度の設計に向けた検討を行うため、国や他都市の先進事例にも精通し、専門的知見やノウハウを有する受託者のサポートを受け、さまざまな仮定条件に基づいてシミュレーションなどを行う基礎的な調査の結果をまとめた報告書でございます。

 とりわけインセンティブ制度を検討するには、その中核をなすポイントを管理する電算システムをいかに構築するかが重要であることから、その電算システムの設計に資するよう各種条件を設定し、これに基づき行ったシミュレーションの結果などをまとめたもので、具体的には、インセンティブ制度の対象者、ポイントのメニューや管理方法などについて記載しております。

 この成果物は制度検討の材料とするものであり、そのまま制度案として決定を行うような趣旨、段階のものではございません。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) あくまでも提案だというふうに言われていますけれども、あなたたち、1,000万円の予算をつけて、そして業務委託を行って、市民の税金を使ってやったやつなんですよ。

 では、具体的に聞いていきたいと思います。

 この報告書の13ページ、インセンティブ制度が導入された場合の案が記されています。適用者別の基礎ポイント付与ルールというタイトルです。ここに、現制度は70歳で1万2,000チャージと記載されています。現制度から新制度に移行したらどう変化するのかをあらわすためだと思いますが、この現制度というのは、何をあらわしているんですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの現制度につきましては、高齢者乗車券制度を想定しているものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 現制度とは高齢者乗車券制度をあらわしているものだと答弁されました。では、報告書をつくった凸版印刷と随意契約を行う際に、その理由が示してある文書があります。福岡市健康・社会参加インセンティブ制度検討業務委託の実施についてというタイトルですが、ここにも高齢者乗車券制度に係る各種ステークホルダーごとに状況を確かめながら、インセンティブ制度の検討を進めていくこととなりと明記してあります。この書類は平成29年3月15日に起案されたものです。ということは、少なくとも平成29年3月15日以降、あなた方は高齢者乗車券制度のあり方を検討してきたんではないですか、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 調査委託報告書が提出されて以降、高齢者乗車券のあり方について検討したことはございません。本調査委託につきましては、その結果を踏まえて制度検討を行い、次年度の予算編成に反映できるようなスケジュールで検討を進めておりましたが、平成2912月に至りまして、趣旨や対象が異なる制度を一体的に検討することは困難であり、市民にわかりにくいものとなるため、インセンティブ制度のみを個別に検討することとしたことから、以降は高齢者乗車券については具体的な検討は行っておりません。

 なお、調査委託報告書につきましては、内容的には平成2911月ごろにはまとまっておりましたが、受託者からは、委託仕様書に従いまして、平成30年3月15日付で成果物が提出されたものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) もう早速言いわけが出たね。これが、要するに6月議会の言いわけですよ。後から一つ一つ尋ねていきたいと思います。

 まず、検討していないというふうに言うけれども、明らかに現制度は高齢者乗車券制度と報告書に書いてあるわけです。これは検討していないとかいう答弁は成り立たないわけです。

 では、あなた方は一昨年度、2016年にも健康・社会参加インセンティブ制度検討で1,000万円の予算をつけています。何をやったのか、説明してください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成28年度におきます検討内容につきましては、調査委託によりインセンティブ制度に関する他都市の事例や制度導入に向けた課題などを調査し、その結果を踏まえ、平成29年度以降にどのような調査、検討を行うのかを検討したものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) じゃ、具体的な成果物はあったんですか。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成28年度の委託成果物につきましては、他都市調査等を行った上で制度の基本的方向について調査した結果をまとめたものでございまして、具体的には、他都市事例等の調査、制度導入時の課題、事業スキームの検討などについて記載しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) では、その報告書の8ページ、制度導入時の課題で、こう書いてあるんですよ。現行の高齢者乗車券制度では課題が大きい。高齢者乗車券制度にインセンティブ制度を導入したときの課題についてまとめてあります。

 この報告書は提案競技で凸版印刷が選定されてつくられたものです。提案競技に当たって、市は実施要領で競技参加者にリクエストを提示しています。その文書の中には、高齢者乗車券制度を新たな仕組みに組みかえと書いてあります。そして、結果、凸版印刷に決まって正式に契約を交わすわけですが、そのときの仕様書にも同じ文言が明記してあるわけです。

 お尋ねしますが、この実施要領を市が公表したのはいつですか。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの調査にかかわる提案競技実施要領につきましては、平成28年5月17日に本市ホームページに公開しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) ということは、その5月17日以降、つまり2年以上前から、あなた方は高齢者乗車券制度のあり方を検討してきたということだと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券の検討の経緯についてのお尋ねでございますが、保健福祉総合計画の策定過程の平成27年度の保健福祉審議会において、インセンティブ制度等とともに高齢者施策を一体的に再構築するイメージをお示しし、平成28年2月に第2委員会において同資料を報告いたしました。また、平成28年度からはインセンティブ制度に関する委託調査を行い、高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の案について検討していたところでございます。また、平成28年度以降、市議会定例会や特別委員会等においてインセンティブ制度に関する質問がなされ、高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の方向性について検討している旨を答弁いたしてございます。

 しかしながら、インセンティブ制度を高齢者乗車券と一体的に検討することは困難であり、市民にわかりにくいものとなるため、昨年、平成2912月にインセンティブ制度のみを個別に検討することとしたことから、高齢者乗車券については、現在、廃止や削減などといった具体的な検討は行っていないところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) あのね、あなた方は、この実施要領、それから、仕様書を紹介しましたけど、高齢者乗車券制度を新たな仕組みに組みかえ、と委託業者にリクエストをして、あなた方が報告書をつくらせたんですよ。つまり、市は2年以上前から高齢者乗車券制度をつくりかえようとやる気満々だったんですよ。

 では、どんな検討をしていたのかという問題を見ていきたいと思います。

 ことしの報告書の13ページに記されている案には、現制度、高齢者乗車券制度が新制度1年目以降にどう変わっていくのかが書いてあります。制度1年目、制度2年目、制度3年目には、現制度1万2,000円が基礎ポイントという名前になって6,000円分と記されています。その基礎ポイントの上に活動ポイントというのがあって、最大1万ポイントと書いてあります。この案は高齢者乗車券制度で今までもらえていた1万2,000円分が6,000円分に減らされるが、活動ポイントを獲得すれば最高1万6,000円分を使うことができるという解釈で結構ですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成29年度の調査委託の成果物につきましては、インセンティブ制度の設計に向けた検討を行うために、受託者のサポートを受け、さまざまな仮定条件に基づいてシミュレーションなどを行う基礎的な調査結果の報告書でございます。制度検討の材料とするものであり、そのまま制度案として決定を行うような趣旨、段階のものではございません。とりわけその報告書の中で、インセンティブ制度を検討するに当たりましては、その中核をなすポイントを管理する電算システムをいかに構築するかが重要であることから、システム設計に資する条件、留意点をシミュレートすることに主眼を置いた調査を行っております。

 お尋ねのポイントの付与や期間等の条件は、年齢や所得の増減による対象者の変化などに伴う電算システム設計上の留意点をシミュレートするために仮に設定したものであり、制度として何ら方針が決定されたものではございません。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) それでいろいろ言われたんだけど、さっき言った13ページに記載しているのは、私がさっきしゃべったので、おおむねそういう解釈で結構なのかどうか、答弁してください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) あくまでも仮定の条件を設定したものでございまして、御指摘のような条件を立てシミュレーションし、電算システム設計上の留意点などを抽出した資料となるものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) あのね、全然答えていないんですよ。こんなところで時間使いたくないんよね。1万2,000円分が6,000円分になるということが、何もあなたたちが決めたとか言っていないですよ。報告書に書いてあるんですかって聞いているんです。書いてあるんですよ。

 それで、この案では健康づくりや地域活動に参加できず活動ポイントが獲得できない人や少ないポイントしかとれない人にとっては、現制度よりも利用できる金額が少なくなるんです。これは制度の削減になるのではないですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 先ほども申し上げましたように、この調査委託報告書につきましては、インセンティブ制度を検討するに当たり、その中核をなすポイントを管理する電算システムをいかに構築するかが重要であることから、システム設計に資する条件、留意点をシミュレートすることに主眼を置いた調査となっておりまして、お尋ねのポイントの付与や期間等の条件は、年齢や所得の増減による対象者の変化などに伴う電算システム設計上の留意点をシミュレートするために仮に設定したものでございまして、制度として何ら決定されたものではございません。

 なお、お尋ねのような課題につきましては、調査委託報告書の別のページに記載しておりますが、要介護者や障がい者など、そもそも活動ができにくい方を制度の対象とすることが適当であるのか、何らか別の支援策が必要ではないのかといった配慮についての検討も行っているところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) シミュレートどおりにしたら削減になりますよね、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) あくまでも仮定の条件を設定したものでございまして、御指摘のような条件を立ててシミュレーションした分でございますので、御指摘はそのとおりでございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 現制度より金額が少なくなったら削減ですよ。

 ではもう1つ、提案では、4年目以降、基礎ポイント、今まで1万2,000円もらえていたという基礎ポイントはどうなっているのか、シミュレートどおりになったらどうなるんですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの点につきましては、インセンティブ制度を検討するに当たり、システム設計に資する条件、留意点をシミュレートすることでございまして、お尋ねの図につきましては、仮に4年目に基礎ポイントを廃止すると設定し、対象者の変化やポイント管理など電算システム設計上の留意点となるポイントの動きをシミュレートしたものでございます。設定条件そのものについては仮置きしたもので、制度として何ら決定されたものではございません。

 本報告書は制度検討の最初の段階での基礎的資料とするための調査委託の成果物でございまして、そのまま制度案として決定を行うような趣旨、段階のものではございません。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) いや、シミュレートしたら廃止ということが書いてあるんですよ。

 報告書には、さらにこう書いてあります。基礎ポイントを活動ポイントに移行すると明確に書いてあります。先ほども言いましたように、現制度の部分が基礎ポイントに当たるわけですから、これが4年後なくなるということは、事実上、高齢者乗車券制度は廃止になり、全く別の制度になるということをあなたたちは検討しているのではないですか、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの図につきましては、仮に4年目に基礎ポイントを廃止すると設定し、対象者の変化やポイント管理など電算システム設計上の留意点となるポイントの動きをシミュレートしたものでございます。

 なお、インセンティブ制度検討の基礎資料とするために、平成29年に行った委託において高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の案について調査をしたところでございますが、趣旨や対象が異なる制度を一体的に検討することは困難であり、市民にわかりにくいものとなるため、インセンティブ制度のみを個別に検討することとしたことから、高齢者乗車券については、現在、廃止や削減などといった具体的な検討は行っていないところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) いや、検討を行っていないと言うけど、シミュレートしたんでしょう。(発言する者あり)そういうことです。検討のことなんですよ、シミュレートって。この報告の案は削減と廃止が提案されているわけです。ということは、高齢者乗車券制度の新たな組みかえは2年前から行われた上に、今明らかにしてきたように、削減にとどまらず、廃止も視野に入れて検討が進められてきた。つまり、6月議会での答弁、現在廃止、削減などといった具体的な検討は行っておりませんというのは、まさに虚偽答弁ではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 答弁に対する認識をお示しするために、まず、インセンティブ制度の検討経過について改めて御説明させていただきます。

 保健福祉総合計画の策定過程の平成27年度の保健福祉審議会において、インセンティブ制度等とともに、高齢者施策を一体的に再構築するイメージをお示しし、平成28年2月に第2委員会においてその資料を報告いたしました。

 平成28年度からはインセンティブ制度に関する調査委託を行いまして、高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の案について調査、検討をしていたところでございます。また、平成28年度以降、市議会定例会や特別委員会等においてインセンティブ制度に関する質問がなされ、高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の方向性について検討している旨を答弁しているように、過去、調査や検討をしている経緯がございます。しかしながら、インセンティブ制度を高齢者乗車券と一体的に検討することは困難であり、市民にわかりにくいものとなるため、平成2912月にインセンティブ制度のみを個別に検討することとしたことから、高齢者乗車券については、現在、廃止や削減などといった具体的な検討は行っていません。

 このような中、さきの6月議会でも現在の検討状況について問われたことから、現在、廃止、削減などといった具体的な検討は行っていないと事実関係をお答えしたもので、6月時点で検討は行っておりません。何ら虚偽答弁には当たらないものと考えてございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) つじつま合わないよ、全然。それは答弁適当ですよ。何ですか、その答弁は。今になって、それぞれ分けて検討していますなんて議会で説明を受けるのは初めてですよ。じゃ、何で6月議会のときに言わないんですか、そんなこと。隠しているでしょう。

 私たちは、報告書の存在が明らかになって、その中身も高齢者乗車券制度がインセンティブ制度にとってかわられ、その存在さえなくなる可能性があるということが書いてあることを受けて、これは明らかに虚偽答弁だと市長に対して抗議の申し入れを行いました。もし、その時点でそれぞれ分けて検討しているというなら、何で説明に来ないんですか。今の今まで何の音沙汰もないですよ。これは、公党が行った申し入れに対して極めて不誠実で失礼な態度ではないですか、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの調査委託報告書は、制度設計に向けた検討の材料とするため、基礎的な調査の成果物でございまして、そのまま制度案として決定を行うような趣旨、段階のものではございません。保健福祉局では、施策制度を定めるには、まず必要な基礎調査を行い、その結果を参考にしながら制度設計し、素案を作成いたします。それから、所管委員会への報告、保健福祉審議会への諮問、パブリックコメントなど各方面の御意見をいただいた上で、最終的な制度を定めることになります。

 この報告書につきましては、制度検討の入り口段階のものであり、その後、制度案として取りまとめて議会に報告するものと考えてございました。この成果物の内容を参考に局内で検討を加え、局としての制度素案として枠組みが形となった段階で保健福祉審議会や議会にも御意見をいただくこととしていたところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) ふざけた言いわけにすぎません。何も答えていない。

 では聞きますが、どうして高齢者乗車券制度の見直しとインセンティブ制度の導入を分けて検討するようになったんですか。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 先ほども申し上げましたように、インセンティブ制度と高齢者乗車券を一体的に検討する案につきましては、対象年齢の設定やインセンティブになじみにくい対象への配慮など課題も多く、市民にわかりにくく、市民の理解、納得感を得られる制度とはならないと判断し、インセンティブ制度のみを個別に検討することとしたものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) それで、その検討を決定したのは、先ほども答弁ありましたけど、もう一度答弁してもらいましょう。いつ、そして、何の会議で、こんな今まで一体で検討していたものをそれぞれ分けて検討するという、大きな政策転換ですよ。これはいつ何の会議で決めたんですか。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) この報告書につきましては、次年度の予算編成に間に合うように検討を進めておりまして、先ほど申し上げましたように、12月の段階で局内の協議の中で、先ほど申しました理由により個別に検討するということで判断いたしたところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) おかしいですね。昨年の末に決定したんでしょう、政策転換。だけど、そうやって昨年度の報告書、提出されたのは3月15日ですよ。それならば、もう既に凸版印刷は検討しているわけですよ、一体化することを。この報告書を受け取る前に、高齢者乗車券制度とインセンティブ制度を一体化する提案が行われている報告書と全く逆の方針をあなた方は決めていたということですね。発注して調査、検討させておいて、その最中に政策転換、方向転換などあり得ません。もし方針を変えたならば、その時点で凸版印刷に連絡を入れて、いや、もう政策を変えたから報告書も変えてくれよと言うべきでしょう。こんな行政手法は厳しく批判されるべきです。

 では、分けて検討すると言った片方の高齢者乗車券制度は、分けて考えているんでしょう。今後どんな検討を行い、制度はどうなるのか、御説明を願います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券については、先ほども申し上げましたように、現在、具体的な検討は行っていない状況でございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) そんな答弁をする局長だから、ちょっともう1回聞いておきたいんですが、高齢者乗車券の削減や廃止は今後やらないんですね、明確に答弁を求めたいと思います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券については、現在、廃止、削減などといった具体的な検討は行っておらず、何ら変更が決定されていないので、事業は継続することになると思われます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 6月議会の答弁と一緒ですよ。現在はやっていない。だけど、その後はやる可能性がある。実のところ、市長は市長選挙の前に市民の批判が広がるのを恐れて、検討はしているものの、今はですよ、現在は虚偽の答弁を行ってごまかそうとしている、これが真相ではないですか、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 先ほども申し上げましたように、私どもの局内の協議の中で、先ほど申し上げた理由により、12月の段階で個別に検討するというふうに判断したものでございまして、先ほどのお尋ねには当たらないというふうに認識しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 信用できないですね。市民を市長と行政が欺こうとしている。恐ろしいことです。断じて許されることではありません。

 では、市民の代表が集まる議会にこのような検討を行っていることについて報告並びに説明はやってきたのか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 先ほども御説明しましたように、平成27年度の審議会でのイメージ図については翌年の2月に第2委員会に御報告しておりますし、28年度、29年度の調査委託につきましては、議会のときの予算説明書の中で委託調査をするというような御説明をした上で、それぞれ定例会あるいは委員会の中で御質問がございましたので、その旨の答弁をさせていただいておるところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) ごまかしたらいかんですよ。それは予算がついたら予算説明するのは当たり前ですよ。

 じゃ、聞きますけど、インセンティブ制度と高齢者乗車券制度を一体的に検討していた。しかし、それを分けて検討するようになったという説明を議会にしていますか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの調査委託報告書は、制度設計に向けた検討の材料とするための基礎的な調査の成果物でございまして、そのまま制度案として決定を行うような趣旨のものではなく、議会の御意見をいただく前の段階のものと認識してございました。この成果物の内容を参考に局内で検討を加え、局としての制度素案として枠組みが形となった段階で、保健福祉審議会や議会にも御意見をいただくということにしてございました。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 報告書すら見せていないではないですか。でたらめですよ。たとえ政策の違いがあっても、公文書や検討案が存在しているのであれば、真摯にそのことを認め、議会の前に示すことこそ民主主義の前提であります。したがって、今回の市のやり方は、議会を欺いて、その前提を堀り崩す重大な背信であり、謝罪すべきと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねの調査委託報告書は、制度設計に向けた検討の材料とするため、基礎的な調査の成果物であり、そのまま制度案として決定を行うような趣旨、段階のものではございません。保健福祉局では、施策制度を定めるには、まず必要な基礎調査を行い、その結果を参考にしながら制度設計し、素案を作成いたします。所管委員会への報告、保健福祉審議会への諮問、パブリックコメントなど各方面の御意見をいただいた上で、最終的な制度を定めることになります。

 本報告書は制度検討の入り口段階のものでございまして、その後、制度案として取りまとめた上で議会に報告するものと考えております。当該報告書の中での説明が十分ではなく誤解が生じたのであれば、反省すべき点であると考えてございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 反省すべきものだと言うなら謝ったらどうですか、潔く。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 繰り返しになりますが、本報告書は制度検討の入り口段階のものでございまして、その後、制度案として取りまとめた上で議会に報告するものと考えておりました。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) では、私たち共産党市議団は、この議会に対する報告のなさというのを川上議長のほうに申し入れを行わさせていただきました。そして、一昨日の代表者会議では、川上議長のほうから報告がありまして、8月31日に、これほど重要な問題について一切報告されてこなかったことについて問題だと厳しく川上議長が指摘をされて、荒瀬副市長が謝罪をしたという報告があるんですが、それは事実ですか。

 

○議長(川上晋平) 荒瀬副市長。

○副市長(荒瀬泰子) 今回、局長の虚偽答弁ということで議長への申し入れ等がございましたので、それにつきまして、議長にお手数、御心配をおかけいたしましたことを議長にはおわびを申し上げました。そしてまた、そもそもインセンティブ制度そのものの検討が滞っておりますことがこの一因ではないかということで、議会への説明がおくれていることにつきまして、インセンティブ制度の議会への説明がおくれていることが一因になっているかもしれないということでおわびを申し上げたところでございます。

 今、福岡100を推進しておりますが、これからの超少子・高齢化に向けて、私ども、あらゆる制度そのものを検討しているところでございます。その中で、インセンティブ制度というのは非常に大きなところでございまして、そのインセンティブ制度の中の高齢者乗車券のところも、今回、担当のところは基礎資料とするために検討したということでございますが、これが全体の検討につながっているというところではございませんので、私も局長が答弁いたしましたように、説明が不十分だったかもしれませんが、虚偽答弁は行っていないというふうに思っているところでございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 自分が議長に謝罪しているなら、議長というのは、議会の代表ですよ。それで議場で何で謝れないんですか。おかしいでしょうもん。

 時間の関係で次に進みます。

 行政のチェックを行う議会に対して秘密裏に事を進めようとし、明らかに都合が悪くなると、政策転換したかのように振る舞う。そこには民主主義のかけらも感じません。猛省を促します。

 では、市民は高齢者乗車券制度の今後に何を求めているかについてただしていきます。高齢者乗車券を手に入れるためには、自分で申請をしなければなりません。

 そこでお尋ねしますが、高齢者乗車券の対象者数と実際に交付した数について答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券の直近の対象者数と交付者数につきましては、平成28年度の実績で対象者数が174,236人、交付者数が122,622人となってございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 交付率で見ると7割以上、これは高い数字ですよ。制度自体が大変支持されているものだと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券の平成28年度の交付率が、御指摘のとおり70.4%であり、多くの高齢者に活用されているものと認識しております。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) では、高齢者乗車券を利用している人は、この制度について今後どのような要望を持っておられるのか、お尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券につきましては、実際に交付を行っている区の窓口などにおきまして、交通用福祉ICカードでタクシーを利用できるようにしてほしいとか、複数の券種をまぜて申請できるようにしてほしいなど、乗車券の使い勝手をよくしてほしいとの声が寄せられております。また、本年6月に高齢者乗車券制度の拡充等に関する請願が提出されていることは承知してございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) やはり利用できる金額が少な過ぎる、9月に交付されるが年内には使い終わってしまう、城南区の東油山に住む方は、天神に行くには1,000円近くかかると言われています。もっとふやしてほしいという声が少なくないのです。制度の拡充が求められております。こうした市民の声は果たしてぜいたくなのか。他都市の60歳以上が公共交通機関を使う際の助成制度について調べてみました。

 例えば、利用上限ですが、本市は1万2,000円です。しかし、名古屋市、横浜市、京都市は利用上限はありません。新潟市、名古屋市、堺市は65歳から支給です。また、所得制限があるのは、本市以外には神戸市と広島市しかありません。年予算を見てみますと、名古屋市が143億円、横浜市が114億円、京都市が54億円です。

 そこでお尋ねしますが、福岡市の高齢者乗車券制度の2016年度の決算額を答弁してください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) お尋ねは26年度でよろしいんでしょうか。(発言する者あり)では、28年度でお答えいたします。

 高齢者乗車券交付事業の平成28年度の決算額は125,500万円余となってございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) わずか12億円です。これは余りにも少な過ぎます。名古屋市が委託した調査では、敬老パス事業に投じた予算の2.5倍の直接的経済効果が生まれています。つまり、予算を投入すればするだけ効果が上がるというのは、この手の助成制度の特徴なんです。したがって、本市も他都市並みに予算をつけて、高齢者乗車券制度の上限額の引き上げ、対象年齢の引き下げ、所得制限の緩和など拡充を行うべきと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券につきましては、現在、具体的な検討は行っていない状況でございます。高齢者乗車券は70歳以上の市民の方々に広く認知され、利用されている制度でございまして、社会参加の促進に寄与しているものと考えておりますが、一方で、社会経済情勢や市民ニーズは刻々と変化しており、また、高齢者を対象とした民間サービスの状況なども、高齢化の進展に伴い、質、量ともに変化することが予想されます。今後、健康、医療、介護などあらゆる分野で制度や仕組みを持続可能なものとしていくため、保健福祉施策のあり方を検証、検討していく必要がございます。こうした市民生活に身近な保健福祉施策の再構築を進めるに当たっては、保健福祉審議会に諮るなど議会や市民の御意見をいただきながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えてございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) あなた方が持続可能と言ったときは、必ず市民への負担増、そして制度の削減が出てくるんですよ。財政が厳しいとかいろいろ言いますよ。だけど、島市長は博多駅から港までのロープウェーを建設する計画を私の夢と述べ、市の調査予算までつけて検討を進めています。建設に100億円かかると言われておりますが、市民は市長の勝手な夢に税金を使うな、ロープウェーより高齢者乗車券を充実させてほしい、こう批判の声を上げていますよ。無駄遣いはやめて予算をふやし、高齢者に優しいまちをつくる、そのことは、誰もが住みやすいまちをつくることにつながります。

 冒頭に紹介したように、高齢者乗車券制度を守り拡充せよという運動が広がっています。これは、単に一つの高齢者施策を守るというものだけではなく、敬老金の廃止、福祉乗車証の廃止など福岡市で続いている福祉の破壊を食いとめる戦いだと市民が立ち上がっています。市長が削減、廃止を実行しようとするならば、市民の怒りはさらに大きくなり、市民や議会に秘密裏に事を進めようとする市長の非民主的な振る舞いへの批判とも相まって、市長選挙での厳しい審判につながることを警告しておきます。

 したがって、高齢者乗車券制度の削減、廃止は許されず、6月議会での虚偽答弁については謝罪するとともに、制度については拡充すべきと思いますが、この問題の最後に島市長の答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 市長の答弁の前に、インセンティブ制度の検討経緯にかかわる御質問ですので、まず私のほうからお答えさせていただきます。

 保健福祉総合計画の策定過程の平成27年度の保健福祉審議会におきまして、インセンティブ制度等とともに、高齢者施策を一体的に再構築するイメージをお示しし、平成28年度からは委託調査を行い、高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の案について調査、検討していたところでございます。

 29年度の調査委託につきましては、その結果を踏まえて制度検討を行いまして、次年度の予算編成に反映できるようなスケジュールで検討を進めてまいりましたが、平成2912月に至りまして、趣旨や対象が異なる制度を一体的に検討することは困難でございまして、市民にわかりにくいものとなるため、インセンティブ制度のみを個別に検討することとしたことから、12月以降は高齢者乗車券については具体的な検討は行ってございません。

 そのような中で、さきの6月議会では、現在、市が高齢者乗車券の廃止、削減などの検討を行っているのかと、過去の経緯ではなく現在の検討状況について問われたことから、現在、廃止、削減などといった具体的な検討を行っていないと事実関係をお答えしたもので、何ら虚偽答弁には当たらないと私は考えてございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 島市長。

○市長(島宗一郎) 今、局長が答弁したとおり、虚偽答弁には当たらないと認識をしております。

 さて、高齢者がいつまでも元気で活躍して生きがいのある生活を送るためには、さまざまな形で社会に参加をしていくことが重要であるというふうに考えています。一方で、少子・高齢化の進展や超高齢社会の到来に対応していくためには、あらゆる分野において制度や仕組みを再構築し、持続可能なものとしていくことが必要となってまいります。高齢者乗車券につきましては、多くの高齢者に御活用いただいておりまして、社会参加の促進にも寄与している制度であるというふうに認識をしています。

 今後とも、市民生活に身近な保健福祉施策の再構築を進めるに当たっては、さまざまな御意見をいただきながら、丁寧に検討を進めてまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) みんな笑いよんしゃあですよ。謝罪もしないし拡充もやらない、そして、削減、廃止については含みを残した答弁をされました。今回明らかにした報告書には、高齢者乗車券制度の改悪と同時に民間大企業のもうけ口をつくってやる仕組み、いわば公共サービスの産業化ともいうべき提案がされています。時間の関係でこの問題は次回に譲りたいと思いますが、高齢者乗車券制度の改悪の背景に何があるのかについても、今後明らかにしてまいります。

 次に、本市の公共事業から出された残土が不当に処理されている問題についてただします。

 飯塚市の筑穂元吉にある土砂埋立処分場において、土砂処分業者である野見山産業株式会社が県の許可を当時受けていないエリアに残土を捨て、積み上がった土砂が崩壊するなどして地域住民が対応を求める運動が起こっています。監督責任のある福岡県は、昨年5月に区域外に土砂が仮置きされていたと指摘して、野見山産業に指導しました。その後も無許可埋め立ては拡大し、県は繰り返し指導を行いました。無許可で土砂埋め立てを繰り返した野見山産業の悪質さはもちろんですが、土砂搬入にかかわる公共事業を発注した自治体として本市の責任が問われるところであります。

 そこでお尋ねしますが、野見山産業は2016年8月1日に県知事の許可を受けていますが、それ以降で福岡市の公共事業で発生した建設土を野見山産業が処理した工事名を答弁してください。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) おただしの市の発注工事から発生した建設発生土を野見山産業に搬入した工事につきましては、平成29年度発注のアイランドシティ(市4工区2・みなと香椎3丁目)外地区下水道築造工事及び東区三苫8丁目地内釘ヶ浦大池堤体改良工事の2件でございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 本市において建設発生土の処理はどのようになされなければならないのか、説明を求めます。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 建設発生土の処理につきましては、建設発生土は産業廃棄物ではございませんので、施工業者が建設発生土を処理する場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく許可は必要でなく、受け入れ先の了解が得られた場合に搬入が可能となります。また、廃棄物が最終処分場に至るまでの一連の工程を示すマニフェストも不要となりますが、福岡市では、より確実な搬入先の確保のため、建設発生土の処分に関する運用を定めております。この運用に基づいて、まずは工事着手前において施工業者から提出された施工計画書に添付の建設発生土受入承諾書により、受け入れの相手方及び場所などを市の監督員が確認をいたします。

 次に、工事施工中においては、施工計画書に基づき建設発生土の搬入経路などの処理状況を確認しています。さらに、工事完了時において施工業者から提出された建設発生土確認票及び建設発生土処理明細書にて、計画どおりに搬入がなされたのか確認することとしております。

 なお、施工業者がトラックなどから積みおろす具体的な場所については、建設発生土の受け入れ業者の指示に従って行っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 水を多く含むなど質の悪い土砂については、通常の指定処分ではなく自由処分という扱いになります。自由処分の場合、指定処分に課せられていないマニュアルがありますが、それは何か答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 処分方法につきましては、指定処分と自由処分というものがございまして、指定処分は事前に福岡市が搬入先の了解を得て覚書を締結した処分場に搬入するというものでございます。指定処分以外の処分場所に搬入する自由処分につきましては、施工業者が搬入先を工事ごとに選定することから、先ほど御答弁申し上げました手続に加えまして、市の監督員が建設発生土の搬入場所を確認するため、現地での立ち会いを行うこととしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 市の監督員が処分場の立ち会いを行い、確認を行った、行わなくちゃいけないんです。じゃ、その確認をしたというのは、何をもって証明することになりますか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 市の監督員が立ち会ったかどうかにつきましては、写真や工事打ち合わせ簿などによって確認することとなります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 写真を撮って証明するんですね。では、この2件、実はこれ、自由処分なんですよ。ルールが守られていたのか検証していきます。

 まず、人工島での下水道築造工事についてです。いつどれだけの建設発生土が持ち込まれたのか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) アイランドシティ(市4工区2・みなと香椎3丁目)外地区下水道築造工事における建設発生土につきましては、平成291024日から12月5日に1万2,298立方メートルの土砂を野見山産業の処分場に搬入しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 建設発生土処理明細書によれば、38日間で10トンのダンプで2,044台分の土砂が運び込まれたことが記されています。これは相当の量です。

 では、本市のルールに基づいて監督員が立ち会いを行い、確認したのはいつですか、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 平成291013日に発注課の監督員が立ち会い確認を行っております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) では、現地で実際に立ち会いを行ったのかを証明する根拠になる写真についてですが、この質問を行うに当たって、事前に原局から見せていただきました。しかし、野見山産業の処分場は広大です。どの地域で立ち会い、確認を行い写真を撮ったのか、説明してください。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 野見山産業の処分場内で野見山産業が指定した積みおろし場所でございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 議会でそんな答弁されたら困るな。要するに、野見山産業がここですよと言ったらそこに捨てておるわけですね。でもね、それじゃ済まない問題なんですよ。

 質問の冒頭に、野見山産業と地域住民の間でトラブルになっていることをお話ししました。何でもめているのか具体的に言いますと、野見山産業が県の許可をとった地域に残土が捨てられずに、土砂仮置き場と称する未許可の地域に捨てられていく。だから、許可地域では土砂埋め立ては行われず、大きな谷間になっている。一方で、許可区域外には土砂が運び込まれ、ボタ山のようになっています。これはね、野見山産業と福岡県は住民にそうなっているということを認めているんですね。

 そこでお尋ねしますが、監督員が撮った写真の位置、つまり処分の立ち会い、確認の位置は許可地域だったと証明できますか、答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 県の条例に基づきまして、土砂埋め立て等の処理業者は土砂埋め立て等を行う場合、土砂の崩壊、流出等の発生を防止するため必要な措置を講じることと規定されております。このため、土砂埋め立て等の処理業者は必要に応じて土砂搬入後に転圧などの必要な措置を行うことがあることから、土砂を直接埋立許可区域に搬入させるのではなく、作業しやすい場所に一旦搬入させた後、移動や転圧など適切な措置を行った後に許可区域の埋め立てを行う場合もございます。

 今回の私どもの立会でございますが、野見山産業の処分場に掲示されました土砂埋め立て等に関する標識で県の許可を確認し、野見山産業が県から許可を受けた区域の埋め立て作業のため指定した処分場内の積みおろし場所で立ち会いをいたしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 局長の認識はちょっと通用しないです。仮に置いたところだから、後で運び込まれるんだったら合法だと言っているけど、これ、福岡県の復命書があるんですけど、どういうことを野見山産業に指導したかということが書いてあります。でね、仮置きでも許可が必要なんだよということを野見山産業に指導しているわけです。だから、三角局長が言うみたいに、これは仮置きだからいいんだよなんていうことは通用しないんですよ。

 それで、あなた方のね、じゃ、このパネルを見てください。(パネル表示)これ、野見山産業の土地なんだけど、県の許可はここだけなんですよ、当時。それで、三角局長言われました仮の置き場というのは、ここなんですね。こういうふうに、許可はごく一部だったということは局長、御存じだったんですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 野見山産業の処分場に掲示された土砂埋め立て等に関する標識で県の許可を確認し、野見山産業が県から許可を受けた区域の埋め立て作業のため指定した処分場内の積みおろし場所で立ち会いをいたしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) (パネル表示)いや、この図は知っていますか、答弁を求めます。

 これね、何かというと、言っておきましょう。県の飯塚農林事務所が出している資料です。これをもとにして土砂の埋め立て許可が出ているというやつです。それは知っていますか。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 県の条例に基づきまして、土砂埋め立て等の埋め立て処理業者は土砂埋め立て等を行う場合、土砂の崩壊、流出等の発生を防止するため必要な措置を講じることと規定されております。このため、土砂埋め立て等の処理業者は必要に応じて土砂搬入後に転圧等の必要な措置を行うことがあることから、土砂を直接埋立許可区域に搬入させるのではなく、作業しやすい別の場所に一旦搬入させた後、適切な措置を行った後に許可区域の埋め立てを行う場合もございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) (パネル表示)それは違法って県は言っているんですよ、そのやり方は。知っていたら知っていると答弁するから、知らないんでしょう。

 それで、あなたたちが見せてくれた写真でいうと、ここら辺なんですよ、残念ながら。要するに、許可地に捨てていないんです。ここら辺で写真を撮っているんですよ。未許可、仮置き場、許可がおりていないというところで残土を捨てているから、この地域の住民の人たちが腹かいておるわけです。未許可のところに捨てたというふうにお認めになりませんか、写真でも明らかですよ。答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 本件工事の受注者が提出した施工計画書の中で、野見山産業からの建設発生土受入承諾書及び野見山産業が実施する埋め立てに対し県が許可した土砂埋立て等許可書を確認しております。また、野見山産業の処分場内で県の許可標識を確認しております。野見山産業が県から許可を受けた区域の埋め立て作業のため、野見山産業が指定した処分場内の積みおろし場所で立ち会いをいたしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) だから、それが違法なんですと。このパネル、この地図を見たら、福岡市が捨てたところは違法だったから、それは違法なところに捨てたのではないですかと。違うというなら反論してください。それは重要なところなので、ちゃんと答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 財政局長が答弁しましたように、一般残土の処分につきましては、建設発生土につきましては、産業廃棄物と異なることから、まず、建設発生土処分に関する市の運用に沿った形で確認を順次させていただいております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。(発言する者あり)答えられますか。三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) おただしの件につきましては、福岡県土砂埋立て等による災害の発生の防止に関する条例に基づく許可権者である福岡県が監督指導されるものと認識しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) いやいや、県の許可は当たり前ですよ。だけど、あなた方が出した残土が不当なところに捨てられているから問題にしているわけですよ。それで、その事実関係を聞きよるんです。どうなんですか。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 本件工事の受注者が提出した施工計画書の中で、野見山産業からの建設発生土受入承諾書及び野見山産業が実施する埋め立てに対し県が許可した土砂埋立て等許可書を確認し、野見山産業の処分場内で県の許可標識を確認しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) そう言うなら、もう言わんめと思ったばってん言いますよ。あなた方が許可を得ているという地図が添付されているんだけど、これですよ、(資料表示)野見山産業の処分場といって。でね、野見山産業の地域全体に網がかかっているんです、許可があっておるというような感じで。だけど、実際はこっちですよ。(資料を示す)こういうでたらめな資料をあなたたちはうのみにしているんだ。

 この資料には県の印鑑もない、誰が作成しているかも書いていない、こんなのを信用して、そして適正に処分したと議会で言い切れるんですか、答弁を求めます。(発言する者あり)だまされたって言わな。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 本件工事につきましては、建設発生土の処分に関する運用に沿った形で受注者が提出した施工計画書の中で、野見山産業からの建設発生土受入承諾書及び野見山産業が実施する埋め立てに対し県が許可した土砂埋め立て等許可書を確認しております。また、野見山産業の処分場内で県の許可標識を確認しております。それで、県の条例に基づき、土砂埋め立て等の処理業者は土砂埋め立て等を行う場合、土砂の崩壊、流出等の発生を防止するため必要な措置を講じることと規定されております。以上でございます。(発言する者あり)

 

○議長(川上晋平) 理事者に申し上げます。答弁は的確、簡明にお願いいたします。答えられますか。三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 議員おただしの件につきましては、福岡県土砂埋立て等による災害の発生の防止に関する条例に基づく許可権者であります福岡県にお伝えいたします。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) じゃ、野見山産業にせめて問い合わせて、それが間違いやったら抗議するべきだと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 議員おただしの件につきましては、福岡県条例に基づきます許可権者でございます福岡県にお伝え申し上げます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 野見山産業には何も言えないんですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 議員おただしの件につきましては、福岡県土砂埋立て等による災害の発生の防止に関する条例に基づきます指導監督権限を持ってございます福岡県にしっかりお伝えいたします。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 野見山産業に何か言えない、そういう関係があるんですか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 議員おただしの件につきましては、許可権者であります福岡県にしっかりお伝えしてまいりたいと考えております。以上でございます。(発言する者あり)

 

○議長(川上晋平) 答弁できますか。三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 福岡県土砂埋立て等による災害の発生の防止に関する条例に基づきまして、福岡県が埋め立て等を行う者の責務の確認、指導につきまして、福岡県の条例に基づき実施、指導されるものと考えております。したがいまして、ただいまおただしの件につきましては、福岡県にしっかりお伝えしてまいります。以上でございます。(発言する者あり)

 

○議長(川上晋平) 答えられますか。三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 福岡市の発注の建設発生土につきましては、野見山産業からの建設発生土受入承諾書及び野見山産業が実施する埋め立てに対する県が許可した土砂埋立て等許可書で確認するとともに、処分場内での標識を確認しております。

 おただしの件につきましては、野見山産業に対し確認をするよう県にしっかり伝えてまいります。よろしくお願いします。(発言する者あり)

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 市としての建設発生土の処分につきましては、施工計画書の中で野見山産業からの建設発生土受入承諾書及び野見山産業が実施する埋め立てに対し県が許可した土砂埋立て等許可書を確認しております。また、処分場内で野見山産業が指定する場所で積みおろしたことも確認いたしております。検査時には建設発生土確認票及び建設発生土処理明細書により確認しております。福岡市の工事といたしましては、マニュアルに沿ってきちっと確認をさせていただいたところでございます。以上でございます。(発言する者あり)

 

○議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) おただしの件につきましては、野見山産業に確認をさせていただきまして、確認した情報を県のほうにお伝えしてまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 何かあるんだったら。

 

○議長(川上晋平) まだありますか、答弁。三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 福岡県土砂埋立て等による災害の発生の防止に関する条例に基づく土砂埋め立て等の許可を受けた業者の責任において、当該条例に定める規定を遵守されるべきものであると考えます。

 したがいまして、先ほど申しました野見山産業のほうに確認をいたしまして県に伝え、調査、指導等について、許可権者である福岡県において適切に措置されるべきものと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 確認してください。時間かかったね。

 じゃ、もう1つの、野見山産業に残土を持ち込んだ東区三苫の釘ヶ浦大池の堤体改良工事についてお尋ねします。

 監督員が現地に行って立ち会いを行い、確認したのはいつですか。

 

○議長(川上晋平) 細川農林水産局長。

○農林水産局長(細川浩行) 当該工事におきましては、工事施工中の市監督員による処分場の立会は行っておりません。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 行っていないんですよ。監督員が行っていないんですよ。何でですか。

 

○議長(川上晋平) 細川農林水産局長。

○農林水産局長(細川浩行) 福岡市の積算運用の手引きで定められております工事施工中に市監督員が処分場の立会を行う必要があることにつきまして、工事を発注する所管局といたしまして、認識が徹底できていなかったことによるものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) こういう現実です。道路下水道局の建設土処理はルールに基づき適正にされていないんですよ。農林水産局の建設土処理に関しても明確なルール違反。

 残土処理のルールをつくった財政局長にお尋ねしますが、このように立ち会い確認がずさんに行われていることについてチェックしていなかったのか、お尋ねします。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 財政局といたしましては、市の監督員の立ち会いについては確認いたしておりませんが、工事完了後の工事検査において、建設発生土確認票と建設発生土処理明細書などで施工計画書に記載された処分場に搬入したことを確認しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) その確認したけれども、だけど、それが違法なのか合法なのかということは確認できていないんですよ。そんな姿勢でいいんですかね。無責任過ぎやしませんか。

 では、今回検証した2件以外でも不当に処分されている建設発生土があるのではないかという問題です。お尋ねしますが、そもそも今回問題になっている自由処分が行われた工事件数は、自由処分だけじゃなくて、発生土の工事件数は幾らで、そのうち自由処分は幾らなのか、2013年度から2017年度の数字を示してください。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 請負金額が100万円以上の工事を対象に実施しております建設副産物実態調査によりますと、平成25年度から平成29年度の5カ年で残土が発生した工事の件数は3,229件でございまして、そのうち自由処分は2,759件となっております。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 85%、8割、9割は自由処分なんですよ。今度の件と一緒なんです。そうなると、かなりの件数でルールに違反した処分が行われているのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 工事担当部署において施工計画書に示された処分場に建設発生土が搬入されていることを確認しているため、適正に処理されたものと認識しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) だから、それが確認しているとか言うけれども、今回、そういう確認されていないんですよ。しかも、現地に行っていないというのもあるわけですよ。何の根拠もありません。あなた方の希望的観測でしかありません。ルールの遵守を徹底させるために、チェック機能をつくって、二度とこのようなことが起きないようにすべきだと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 建設発生土の処理につきましては、現行の運用に基づき適切に処理されているものと認識いたしておりますが、なお、自由処分における市の立会員の立ち会いにつきましては、改めて周知の徹底を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) どうもあなたたちは今回の問題を軽視しているようです。県の許可を得ていない場所に土砂が次々と運び込まれ、山となる。その発生元は福岡市の公共事業から発生した建設土なのです。しかも、その山が崩れた。周辺の地域住民はたまったものではありません。住民は福岡市に引き取ってもらえと憤っています。しかも、本市のルールで定められた立ち会いを行うも、堂々と違法の地域で写真を撮ってきている。そもそも立ち会いに行っていないというお粗末な工事もあった。こんなずさんな管理は許されないし、改めなければなりません。

 市長が都市膨張政策をとる限り、残土が出るのは必然です。それをわかっていながら何の対策もしていない。他自治体にも迷惑をかけている。これから、天神ビッグバン、ウォーターフロント再開発などを行われるに当たって、今回のようなことが次々に行われる可能性は高くなることを警告しておきます。大体、島市政のもとで開発にかかわって、業者と福岡市との間に極めておかしいことが続出しています。議案質疑で星野議員が取り上げた西中洲樋口建設の問題、給食センターの建設用地ではアスミオとの関係、水上公園での西鉄との関係、最近では、出来町公園に建設予定の観光施設にかかわるTATERUが顧客データを改ざんしていることなどがニュースになっています。

 我が党は市議会において、政治と金の問題、市長と企業の関係について以前から追及してきましたが、最近は特に取り上げなければならない案件が多過ぎる。今回の件も島市政の開発優先路線のもとで膨大な公共事業の残土が出ているはずだが、その処理が適正に行われているのかは極めて疑わしい。したがって、建設発生土の処理について、チェック機能をつくることとあわせて建設発生土の総点検を行い、今回、不正の温床となっていると思われる開発路線は改めるべきと思いますが、市長の答弁を求めて私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 中園副市長。

○副市長(中園政直) 福岡市では、公共工事に伴う建設発生土など建設副産物への取り組みは重要と認識しております。リサイクルや適正な処分に努めているところでございます。

 今後とも、都市の成長と生活の質の向上に必要な施策を推進し、人と環境と都市活力の調和のとれたまちづくりを進めてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美)登壇 私は、福岡市民クラブを代表し、生き生きとしたシニアライフの実現に向けた支援について質問いたします。

 平成28年6月、福岡市保健福祉総合計画が策定されましたが、10年後のあるべき姿には生涯現役という言葉が用いられ、高齢者分野における基本目標の1項目めには、「いきいきとしたシニアライフの実現」が掲げられています。生き生きとしたシニアライフの実現に向けた支援策を考えるとき、高齢者御自身みずからが生き生きするための支援策と、高齢者を取り巻く環境を改善することにより生き生きできるように支援する施策、この両面から考えてみたいと思い、質問させていただきます。

 初めに、福岡市における高齢化の状況について、2020年以降、10年ごとの65歳以上の占める割合と75歳以上の占める割合についてお示しください。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市における2020年以降、10年ごとの全人口に占める65歳以上の割合につきましては、福岡市の将来人口によりますと、2020年度23.4%、2030年度26.3%、2040年度31.0%、2050年度34.3%となっております。また、75歳以上の割合につきましては、2020年度11.6%、2030年度16.0%、2040年度17.7%、2050年度21.3%となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 福岡市は他都市に比べると高齢化の進みぐあいは遅いと聞きますが、それでも2030年には4人に1人が65歳以上、2050年には3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という状況を迎えるようです。そういった将来予測を踏まえて保健福祉総合計画が策定されたことと思いますが、この計画にある「いきいきとしたシニアライフの実現」に向けて掲げた具体的な施策と、その施策に取り組もうとされた理由についてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 生き生きとしたシニアライフの実現に向けた具体的な施策と取り組む理由についてのお尋ねでございますが、高齢者がいつまでも元気に活躍し、生きがいのある生活を送ることができるよう、それぞれの意欲や能力に応じたさまざまな社会参加活動への支援を行うため、老人クラブ活動や高齢者創作講座などによる社会参加活動の促進、シルバー人材センターなどによる就業を通じた生きがいづくりの支援、老人福祉センターなどの活動拠点づくりに取り組むことといたしてございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 具体的施策と施策に取り組もうとした理由についてお尋ねをいたしましたが、生き生きとしたシニアライフを送るためのキーワードは社会参加であるようです。高齢者にとって、社会参加あるいは外出が必要であるとされる根拠となるようなデータがありましたら、そのデータとあわせて高齢者がより健やかにあるための外出の重要性についてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者の外出が必要とされるデータにつきましては、保健福祉総合計画にも記載しております東京都健康長寿医療センターの調査によりますと、まず、外出頻度と歩行障がい発生の関係につきましては、1日1回以上外出する高齢者に歩行障がいが発生するリスクを1といたしますと、2日から3日に1回外出する人のリスクは1.78倍、1週間に1回以下しか外出しない人のリスクは4.02倍になるとの調査結果が示されております。

 また、外出頻度と認知症機能障がい発生との関係につきましては、1日1回以上外出する高齢者に認知機能障がいが発生するリスクを1といたしますと、2日から3日に1回外出する人のリスクは1.58倍、1週間に1回以下しか外出しない人のリスクは3.49倍との調査結果となっております。

このため、高齢者が家に閉じこもることなく積極的に外に出かけることは、介護予防や認知症予防に非常に効果があると考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) ただいま、外出のもたらす効果についてお伺いしましたが、外出することが介護予防、認知症予防に効果が見られるとのことでした。では、本計画において外出に関する成果指標があれば、その項目と計画スタート時点の数値、目標、目標年度と数値についてお示しください。

 また、こうした外出のもたらす効果を踏まえ、総合計画の目標や施策の根底にも流れているこれからの介護予防の考え方について改めて説明願います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 保健福祉総合計画における外出に関する成果指標につきましては、週に4日以上外出する高齢者の割合を指標としており、2010年度61.2%を2019年度には65.0%とすることを目標といたしております。

 次に、これからの介護予防につきましては、保健福祉総合計画では社会参加活動や支え合い、助け合い活動への積極的な参加の支援などを実施し、結果的に介護予防につながるという考え方であり、介護予防、生活支援、社会参加が融合した取り組みが必要であるとしてございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) ただいま、高齢者の外出を促すことについて成果指標を設定し、さまざまな施策に取り組むこととあわせて、介護予防の考え方についてお伺いしました。さまざまな形で社会に参加すること、楽しみを見つけて外出することなどが結果的に介護予防などに大きな効果をもたらすものであり、これからは融合した取り組みが必要だとのことでした。

 これらの答弁を踏まえて、高齢者の外出を支援するために今年度実施している具体的な事業について、主な事業についてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 今年度の主な事業といたしまして、高齢者の社会参加を促進するため、交通費の一部を助成する高齢者乗車券交付事業、高齢者など誰もが気軽に外出しやすいまちを目指し、バス停などにベンチを設置するベンチプロジェクト、老人クラブなどが貸し切りバスを利用する際に助成を行う福祉バス事業などを実施しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 中でも、多くの市民が利用していると思われる高齢者乗車券についてお尋ねをしてまいります。

 事業開始から直近である平成28年度までの利用状況の推移について、5年ごとに高齢者乗車券の交付を受けた方の人数と対象者に占める割合、決算額をお尋ねいたします。また、直近の平成28年度については、制度の対象者の数もあわせてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券交付の推移でございますが、事業を開始した平成13年度から5年ごとに申し上げますと、交付者数は平成13年度が7万1,791人、18年度が8万3,735人、23年度が9万4,608人、28年度が122,622人、対象者に占める割合は平成13年度が68.2%、18年度が67.4%、23年度が64.9%、28年度が70.4%、決算額は平成13年度が7億1,700万円余、18年度が8億1,200万円余、23年度が107,600万円余、28年度が125,500万円余となっております。また、平成28年度の交付対象者数は174,236人でございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 平成13年度の交付者数約7万2,000人と比較すると、平成28年度には約5万人増加し、決算額も約1.8倍にふえていることがわかります。交付率については、当初の68.2%から一旦減少したものの直近では大きく増加し、対象者の7割以上が活用している状況です。

 平成28年度当時の福岡市の70歳以上の人口が約23万人でしたので、高齢者乗車券の交付対象者は約75%、別に福祉乗車券の利用者を踏まえますと、70歳以上の市民のうち80%から85%ぐらいの方が乗車券の利用が可能であることから、市民からの関心が非常に高く、活用度合いも高い有益な事業であると思われます。

 さて、保健福祉総合計画に10年後のあるべき姿を実現するために政策転換を図るとあります。この政策転換の柱となる考え方と、なぜ政策転換を図る必要があるのか、その背景について説明願います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 政策転換の柱とその背景についてでございますが、一つには福岡市においても超高齢社会が到来しており、高齢者を支える支え手が不足する一方で支援が必要な方が急速に増加いたします。また、人口の増加は今後も見込まれ税収の伸びは期待できるものの、社会保障関係費等の増加により、さらに厳しい財政運営となってまいります。このような状況のもとで、これまで以上に生活の質の向上を図るためには、持続可能な制度や仕組みに施策を再構築する必要がございます。制度上、年齢等を条件に一律に実施してきた施策から、年齢を重ねても意欲や能力に応じて活躍できるための施策や、支援が必要な人を社会全体で支え合う施策など、支える側に重点を置いた施策を推進することが重要であります。

 このような中、10年後のあるべき姿を明確にし、この実現のために推進施策の方向性を定め、限りある資源を最大限に活用するよう、市民にとって必要の高い事業へ選択と集中を図るといった政策転換を行い、健康福祉のまちづくりを進めていく必要があると考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 限られた財源の中で、より有効な施策や優先順位の高い施策への選択と集中は一定程度必要であろうと思われます。保健福祉総合計画に掲げられている施策を初め、本市のあらゆる事業について点検見直しを実施していることと思いますが、高齢者の外出支援策として有効である高齢者乗車券については事業の継続、廃止や見直しについて局内で検討されたのでしょうか、具体的な昨年度までの検討についてお尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券に係る昨年度までの検討についてのお尋ねでございますが、保健福祉総合計画の策定過程の平成27年度の保健福祉審議会において、高齢者乗車券や健康づくり、社会参加を促進するインセンティブ制度などの高齢者関連施策を一体的に再構築するイメージをお示しいたしました。

 また、インセンティブ制度検討の基礎資料とするために平成29年度に行いました委託調査において、高齢者乗車券を一体化するインセンティブ制度の案について調査したところですが、趣旨や対象が異なる制度を一体的に検討することは困難でございまして、市民にとってもわかりにくい制度となりますので、インセンティブ制度のみを個別に検討することといたしました。したがいまして、高齢者乗車券につきましては、現在廃止や削減などといった具体的な検討は行ってございません。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 高齢者の健康づくりや社会参加を促進するためのインセンティブ制度と高齢者乗車券について、昨年度までに両制度の一体化の検討をしてみたものの結果的に難しいと判断し、インセンティブ制度については個別に検討することとした。高齢者乗車券については、現在廃止も削減も全く検討はしていないということと理解しました。

 今月は高齢者乗車券の切りかえ、申請の時期とあって、よく市民の方から2020年には高齢者乗車券がなくなると聞いたが本当かという御質問を受けます。高齢者乗車券に対する評価とあわせて、この乗車券の今後について局長にお答えいただきたいと思います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者乗車券に対する評価と今後についてのお尋ねでございますが、高齢者乗車券につきましては、インセンティブ制度と一体化する案について調査、検討してきたところでございますが、趣旨や対象が異なる制度を一体的に検討することは困難であり、市民にとってもわかりにくい制度となりますので、インセンティブ制度のみを個別に検討することとし、現在、高齢者乗車券の廃止、削減といった具体的な検討は行っていない状況でございます。

 高齢者乗車券は70歳以上の市民の方々に広く認知され利用されている制度であり、社会参加の促進に寄与しているものと考えております。その一方で社会経済情勢や市民ニーズは刻々と変化しており、また、高齢者を対象とした民間サービスなどの状況も高齢化の進展に伴い、質、量ともに変化することが予想されます。このような中、今後、健康、医療、介護などあらゆる分野で制度や仕組みを持続可能なものとしていくため、保健福祉施策のあり方を検証、検討していく必要がございます。こうした市民生活に身近な保健福祉施策の再構築を進めるに当たっては、保健福祉審議会に諮るなど、議会や市民の御意見をいただきながら丁寧に検討を進めていきたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 局長の答弁を伺って、多くの市民に活用されている高齢者乗車券を拙速に、乱暴に廃止、削減することはないと理解し、安心をいたしました。高齢者の社会参加を促すための外出、移動支援策は、ますます高齢化が進む中にあって対象者、利用者の増加に伴い事業規模が今後ますます拡大していくと思いますが、引き続き継続、強化していく必要があると考えます。

 生き生きとしたシニアライフを支える外出支援策は今後どうあるべきだとお考えか、将来のあり方について改めて局長のお考えを伺います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 今後の外出支援のあり方についてのお尋ねでございますが、高齢者の積極的な外出は介護予防や認知症予防にも効果があるとされており、社会のあらゆる場面で高齢者が積極的に活躍できるよう支援していく必要があると考えております。

 このため、生き生きとしたシニアライフの実現に向けて趣味、教養、文化などの活動に加えまして、ボランティア活動や就業など社会を支える積極的な活動の促進を図るとともに、インセンティブ制度などのみずから外出したくなるような高齢者の行動変容を促す仕組みづくりやベンチ設置等による外出しやすい環境づくりなどを推進し、これまで以上に高齢者の外出支援を充実させてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 高齢者が積極的に外に出ていく、社会に参加するきっかけをさまざまな視点から充実していくことができますよう、引き続きよろしくお願いいたします。

 続いて、抱え上げない介護、ノーリフティングケアの普及促進について伺ってまいります。

 生き生きとしたシニアライフの実現のために欠かせない要素が介護です。健康寿命と平均寿命の間の期間、多くの方が介護ケアを必要とされます。現状の介護に見る課題を克服し、利用者にとっても、介護従事者にとっても気持ちのよい介護ケアに改善していくために質問をしてまいります。

 まず、介護の実態についてお尋ねをいたしますが、福岡市における介護サービスの利用者について、10年前、5年前、直近の利用者数と65歳以上の高齢者に占める割合についてお答え願います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市における介護サービスの利用者数及び高齢者に占める割合につきましては、直近の統計がある6月時点で比較いたしますと、10年前の平成20年が3万3,455人で14.5%、5年前の平成25年が4万3,390人で15.9%、平成30年が4万7,225人で14.4%となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 介護サービスの利用者数は増加を続けており、10年前と比べると約1万4,000人もふえていることがわかりました。利用率は大体65歳以上の15%前後、7人に1人といったところのようですが、一番最初の質問で伺った今後の高齢化の見込みを踏まえると利用者が格段にふえていくことが想定をされます。

 では、介護サービスの利用形態についてはいかがでしょうか。施設型、在宅型、それぞれの利用人数と割合についてお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市におきます施設サービス、在宅サービスの利用者数とその割合につきましては、平成30年6月時点で施設サービス利用者が7,752人で16.4%、在宅サービス利用者が3万9,473人で83.6%となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 介護サービスの利用形態の内訳については、施設サービス利用者約7,800人に対して在宅サービス利用者は約5倍とのことでした。老後は住みなれた自宅や地域でというニーズが高まることを思えば、将来的には在宅サービスの利用がさらにふえることも考えられます。

 次に、介護サービスの提供側の実態についてですが、福岡市における介護従事者数と福岡市内の就労者に占める割合について直近の数値をお答え願います。

 また、今後ますます介護サービスの需要が高まっていく中で、将来的に必要となる介護従事者数について現在との比較も含めてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市内の介護従事者数と就労者に占める割合でございますが、平成30年6月に実施した市内の介護事業所向けアンケートの結果から推計いたしますと、福岡市内の介護事業所における従業員数は約1万8,000人となり、直近の平成27年国勢調査による福岡市の就業者約668,000人に占める割合は約2.7%でございます。

 また、将来必要な介護従事者数につきましては、厚生労働省の第7期介護保険事業計画に基づく都道府県別介護人材必要数により福岡県の数字でお答えいたしますと、2016年に約7万8,000人であったのが、2020年に約8万2,000人、2025年に約9万5,000人の需要が見込まれております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 市内で働く介護従事者は約1万8,000人で、全就労者に占める割合は約2.7%とのことでした。将来的に必要となる従事者数については、県の数値でお答えいただきましたが、福岡県に占める福岡市の高齢者の割合23.4%で概算しますと、現在の1万8,000人と比較すると2020年にはこれに加えて約1,400人、2025年には今と比べて約4,300人が必要になるという需要見込みとなります。

 今、さまざまな産業で人材不足が叫ばれていますが、現状の1万8,000人という従事者数は、ではどういう状況なのか、福岡市における介護従事者の採用ニーズ、求人状況についてお示しください。

 また、採用ニーズの高さとあわせて離職者が多いということも耳にします。介護従事者の離職状況とその原因、あわせて介護現場の抱える課題について、わかる範囲でお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 市内の介護従事者の採用ニーズ、求人状況でございますが、厚生労働省一般職業紹介状況によりますと、平成30年6月の介護職の有効求人倍率は3.83倍となっております。

 また、介護従事者の離職状況につきましては、平成30年6月に実施した市内の介護事業所向けアンケートの結果によりますと、介護職の離職率は20.9%でございました。

 次に、離職の原因につきましては、厚生労働省の平成29年度介護労働実態調査によりますと、職場の人間関係、結婚、出産等、法人や施設、事業所の理念や運営のあり方に不満があったため等がございました。

 また、介護現場の課題につきましては、同調査によりますと、労働条件等の悩み、不安、不満等といたしまして、人手が足りない、仕事内容の割に賃金が低い、腰痛や体力に不安がある等が上がっておりました。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 有効求人倍率3.83倍とあわせて離職率が20%を超えているという状況からすると、すぐにも対策を講じる必要があると言えます。離職理由としては、他の業界と同じく人間関係や結婚、出産といった項目が並んでいるようですが、最後に答えていただきました介護現場の課題で上げられた4点が実態を如実に示していると思われます。

 では、介護従事者の確保策として、本市が実施している施策があれば具体的な施策内容の事例も含めてお示しください。また、国の対策事業があればあわせてお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市におきます介護従事者の確保のための施策でございますが、平成27年度から地域医療介護総合確保基金を活用し、介護人材の就労を支援する合同就職面談会や介護人材の定着を支援する技術研修等を実施しております。

 また、国における対策事業でございますが、厚生労働省はハローワークでの相談、マッチングや処遇改善加算による待遇面の改善のほか、基金等を活用して県の福祉人材センターを通じた修学資金貸し付けや離職者届け出制度等の人材確保事業を行っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 国、県、市がそれぞれの立場で処遇改善や就職活動支援などの対策を講じているようですが、介護現場の課題で挙げられた腰痛の問題は、介護の仕事が好きで続けたいと思っても物理的に続けることができなくなる大きな課題です。

 そこで、この課題を探るべく、県内の社会福祉施設における労災発生状況と介護従事者の腰痛に起因する労災発生状況について、わかるデータがあればお示しください。あわせて腰痛が発生しやすいとされる介護従事者を取り巻く課題についてどのように認識されているのか、お尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡労働局の平成29年労働災害発生状況によりますと、県内の社会福祉施設における労災発生件数は435件で、前年に比べると12.7%の増となってございます。

 介護従事者の腰痛に起因する労災発生件数につきましては統計がないため、厚生労働省が平成27年に公表した社会福祉・介護事業における労働災害の発生状況でお答えいたしますと、社会福祉施設における腰痛の発生件数は年々増加傾向にあり、平成26年は全国で1,023件となっております。

 また、厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針において、高齢者介護施設で介護作業を行う場合には、重量の負荷、姿勢の固定、前屈等の不自然な姿勢で行う作業等の繰り返しにより、労働者の腰部に荷重な負担が持続的に、または反復して加わることがあり、これが腰痛の大きな要因になっているとされております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 県内の社会福祉施設における労災発生状況は前年よりも12.7%増加、全国的にも腰痛に起因する労災発生件数が年々増加傾向にあるという状況はゆゆしき問題であり、今後ますます需要が高まる介護ニーズに応えるために、介護従事者の腰痛対策は避けて通れない課題だと言えます。

 そこで、介護従事者の腰痛を是正するため厚生労働省が示している対策について説明願います。また、厚労省の対策を踏まえて福岡市が実施していることについてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 厚生労働省が職場における腰痛予防対策指針でお示ししている対策といたしましては、施設長などのトップが腰痛予防対策に取り組む方針を表明し、対策実施組織をつくること、対象者一人一人の具体的な看護、介護作業について作業姿勢、重量などの観点から腰痛発生リスクを評価すること、腰痛発生リスクが高い作業から優先的にリスクの回避、低減措置を検討し実施すること、健康管理、教育にも取り組むことなどがございます。

 当該指針を受け、福岡市では介護保険事業者に対して当該指針の周知を図り、対策を促進しているところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 介護従事者の腰痛は、介護サービスやケアの中で一貫して行われる利用者さんを抱え上げて移乗することが大きな原因となっています。厚労省の対策にある腰痛予防対策を実施するためには、介護にまつわる作業の根本から見直す必要があり、この腰痛対策として抱え上げない介護について紹介をしたいと思います。

 抱え上げない介護、ノーリフティングケアとは、介護する側、される側双方にとって安全な、持ち上げない、抱え上げない、引きずらないケアのことで、介護する側の間違った体の使い方をなくし、対象者の状態や身体的能力に合わせて福祉用具を有効に活用するケアで、この手法をいち早く導入し推進している高知県では、大きく3点の効果が認められています。

 1つ目は、職員の腰痛予防です。福祉用具の導入と合わせてケアの手法が変わり、働き方が変わることで職員の体への負担が大きく軽減され、腰痛の発生率は激減、腰痛がある方でも悪化させず勤務を続けることができているようです。高知では、もはや介護職員イコール腰痛は非常識とまで言われています。

 2つ目は、介護サービスの利用者の2次障がい予防です。力任せの介助による負担がなくなることで、利用者自身が心身ともに安心が得られ精神的に落ちついてくる、筋緊張が和らぐことで筋肉や関節への負担が減り姿勢がよくなるといったよい変化が見られる、中には食事量や排せつにまで好影響が認められるようになっています。

 日本の介護現場特有の利用者の症状として拘縮が挙げられますが、この拘縮も極度の緊張状態が長時間にわたって継続すること、また、何度も繰り返すことが原因だとされており、利用者が置かれた環境がこのような状態をつくっていると言われています。

 拘縮を少し紹介したいと思いますが、きょうパネルをたくさん持ってきました。(パネル表示)これが拘縮の状態、一例ではありますが拘縮が起きている状態です。かなりな緊張が加わるので、体が固まってしまって縮む、もっとひどい方は丸まってしまうようなこともあります。このあたり、膝のあたり、これ固まってしまって御本人が動かそうと思っても動かない状態になってしまう、これが拘縮です。(パネル表示)これをこんなように膝の下にちょっとクッションを入れてあげたりするようなことで、少しここの筋肉が緩んでやわらかくなる、固まっている筋肉がほぐれるといったような効果があるというふうに言われています。この後にさらにリフトを使って、(パネル表示)こうやってこう引き上げるようなことをしますと、私たちもハンモックとかに寝たりすると、ちょっと気持ちがよくなったりする経験があると思うんですけど、リフトで完全に引っ張ってあげてもらうと変な負荷がかからないという状態になりますので、体中の筋肉あるいは関節の緊張がほぐれて体がやわらかくなって、もともとぎゅっと固まってしまっていた状態から徐々に徐々に真っすぐに姿勢を保つようなことができるというようなことにもなってくるというふうに言われています。今の一番スタートの固まった状態が拘縮の状態です。このように抱え上げない介護というふうにしていくことによって、利用者さん自身の体が変わるというような事例も見られています。

 3つ目は、ゆとり、余裕が生まれるということです。今まで2人がかりでやっていた作業を1人で行えることや、小柄な女性や妊婦でも対応ができるという生産性改善によって生まれるゆとり、今まで目を合わせない抱える介護からリフトや福祉用具を活用する際にお互いに目を見て会話をすることで生まれるコミュニケーション、お互いに痛みがないことで生まれる心身の余裕、施設全体に生まれたゆとりや心の余裕は大きな成果につながっているようです。

 では、福岡市内においてこの抱え上げない介護を取り入れている施設があれば、施設数と施設のタイプについてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 抱え上げない介護を取り入れている施設につきましては、一般社団法人全国ノーリフティング推進協会によりますと福岡市内では2施設あり、施設の種類につきましては、いずれも特別養護老人ホームでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) ゼロではなくてほっとしましたけれども、では、抱え上げない介護を実施するために必要不可欠となる福祉用具についてお示しください。また、施設等への福祉用具の導入に際し、国などが助成しているケースがありましたら、その利用状況とあわせてお尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 抱え上げない介護を実施するための福祉用具といたしましては、厚生労働省の告示によりますと、移動用リフトのほか、特殊寝台から滑らせて移乗、位置交換することができるスライディングボード、それから、あおむけからうつ伏せへの体位の変換を容易にする体位変換用クッションなどがございます。

 また、施設が福祉用具を導入する際の助成につきましては、抱え上げない介護を実施している二つの施設に確認したところ、1施設が職場定着支援助成金により電動リフト購入費の一部助成を受けたとのことでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 電動リフトなどの大型機器は、資金面から導入にはなかなか踏み切れない事業所もあることと思いますが、国の助成金もありますので、活用などを通じてより多くの施設への導入が進めばというふうに思います。

 この福祉用具には決して高額なものばかりではなく、使い方を覚えるととても便利なものもありますので、きょうせっかく借りてきましたので、紹介をしたいと思います。

 (現物を示す)これがグローブでして、これを手にはめて使うんですけど、利用者さんの体位が変わるとき、寝ころがったときに背中とその間にこんなふうに通す、ここですね、ここの圧力が抜けてとっても楽になるというものです。これはそんな高いものではありません。そんなグローブもありますし、(現物を示す)これがスライディングボードというものです。裏に滑りどめがついていまして、これが1枚あると抱え上げなくても移乗ができるという魔法のような道具だと私は思いましたけれども、ちょっと使い方を紹介しますと、(パネル表示)これベッドで、椅子で、写真を撮ってもらいましたが、ベッドから車椅子などに移乗する際に橋渡しにするようにかけてもらって、ベッドを1センチから2センチぐらい上げてちょっと傾斜をつける、半分お尻を乗せて、こういう形でスタートするんですが、(パネル表示)ここから利用者さんをするするするっと滑らせて、腰骨のところを押せば痛くありませんし楽ですので、するするするっと滑らせて椅子のほうに移乗するという、こういうものですので、これを見ていただくとわかると思いますが、青い洋服を着ていらっしゃる方が介護者さんなんですけど、向かい合っての作業ですので、利用者さんと会話をしながらできるということ、利用者さんも自分が何をされているのかというのがわかるということで安心して移ることができますし、介護をされている皆さんは負荷がなく、力をそんなに入れず、するっと移動ができるということで抱え上げずに済むという、こんな便利なものがあります。あれ実はスウェーデン製でして、国内でもっと安価にできないのかなというふうに思いますが、普及が進めばもっと安くなるんだろうというふうに思いますし、期待をしたいなというふうに思います。

 福祉用具には大型機器ばかりではなく、利用者の身体能力に合わせて活用できるさまざまな用具が開発されています。介護の分野も老人ホームを中心とした施設型の介護から在宅介護へとニーズも広がっています。

 そんな中で、介護従事者の働く環境改善により介護する側の身体的負担をなくすことはもちろん、介護をしている御家庭でも簡単に取り入れることができる、こういった福祉用具をもっと広く紹介し、実際に活用いただきたいと思います。

 スライディングボードなどの福祉用具の積極的な活用を推奨していただきたいと思いますが、局長の御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) スライディングボードなどの福祉用具につきましては、ふくふくプラザにございます介護実習普及センターにおいて、約1,600点の福祉用具を展示し、実際に試しながら相談ができるほか、福祉用具の選び方や使い方など、依頼者の御要望に応じた介護講座を開催するとともに、市のホームページでも紹介するなど福祉用具の積極的な活用を推進しております。

 また、ケアマネジャーや介護保険事業者向けの研修などにおきましても、福祉用具の活用について一層の周知に努めてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 近藤里美議員。

53番(近藤里美) 平成25年、厚生労働省は腰痛予防指針を改定し、人力での抱え上げは、原則行わせない。リフトなど福祉機器の活用を促すということを明示されました。介護現場のキーマンである施設長や事業所長、ケアマネジャーに対し、事の重大さをしっかりと認識していただき、せっかく開発されている福祉用具、福祉機器が広く活用されるよう本市としての仕掛けをよろしくお願いいたします。

 今回の質問に向けて、先月、高知県の担当課の皆さんと実際に抱え上げない介護を実践されている事業所の皆さんにお話を伺ってまいりました。

 高知県全体の介護需給予測と供給とのギャップは、2020561名、20251,064名で、本市の先ほど紹介しました今後の予測と比べると大きく規模は異なりますけれども、若者の雇用確保を視野に入れた介護を産業化するということを目標に掲げ、人材確保と現場職員の定着に向けて3点を柱に取り組まれています。1つは介護事業所認証評価制度というものを設定し、それを通じて事業所の主体的な取り組みを推進しています。2つ目は処遇改善加算の取得支援、そして3つ目がノーリフティングケアのさらなる推進です。

 高知県のノーリフティングケアの推進は、平成26年度、介護福祉機器等導入支援の補助金の創設から始まりました。初年度の補助金活用事業所は18事業所でしたが、今年度は69事業所が手を挙げており、本年度も含めて延べ180事業所に福祉機器が導入されています。平成27年度には機器、用具の導入とあわせて、その活用度を高めていくために、ノーリフティングケアの意義や目的、正しいケア技術と適切な機器活用について学べる機会の提供と実践施設による成功事例を創出するために福祉・介護就労環境改善推進事業を開始、県の公募に手を挙げた12施設が総合的なマネジメント支援研修を受け、ノーリフティング先進モデル施設として県内全体への正しいケアの周知を牽引しており、全国から注目をされています。

 平成28年度、高知県はノーリフティングケア宣言を行いました。この宣言を通じて、介護業界の意識と働き方を変える取り組みを推進し、今では県内の専門学校でノーリフティングケアを学んだ学生が、その技術を生かすために県内の事業所に就職するという流れができつつあるとのことでした。実際に訪問した事業所でお会いした従業員の皆さんは、施設長こそベテランの方ではありましたが、その他の皆さんは20代から40代くらいの方が多いなという印象を受けましたし、今、育児休暇をとっている人もいますよということもお伺いをいたしました。

 県の担当課長は、施設型の介護サービス分野ではほぼこのノーリフティングケアが定着をしてきたので、次は在宅型の介護に携わる事業所に対して、その考え方や働き方を広めていきたいと抱負を語っておられました。

 こうした取り組みを参考にしていただき、総合計画に掲げる生き生きとしたシニアライフの実現に向け、利用者と介護従事者の双方の満足度を高める介護ケアの提供のため、抱え上げない介護に積極的に取り組んでいくべきだと考えます。

 福岡市には、政令市初の抱え上げない介護への改革宣言とその実現を目指していただきますよう強く要望いたします。介護分野の現場のイメージをきつい、暗い、つらいというものから楽しい、明るい、優しい現場というふうに刷新することも含め、最後に、荒瀬副市長にこれからの介護分野の改革へのチャレンジに対するお考えをお伺いし、私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 荒瀬副市長。

○副市長(荒瀬泰子) 介護人材不足につきましては、福岡市におきましても深刻になりつつございます。近藤議員から介護の仕事をきつい、暗い、つらいというイメージとの御指摘をいただいておりますが、実際に介護を受けておられる利用者や家族の方々からは、サービスを受けることによって自分らしい日常生活を維持できていると感謝されるとともに、介護という仕事はこれからも社会にとって必要な仕事であると考えております。そのためには、介護従事者には体の負担を軽減する介護技術や、スライディングボードやリフトなどの福祉機器の導入、さらには寝たきりにさせない技術など、今、本市が積極的に取り組んでおりますユマニチュードもこの一つでございますが、研修体制をさらに充実させていくとともに、積極的に新しい技法などの情報提供を行ってまいります。

 介護という仕事はこれからも社会にとって必要な仕事であり、楽しい、明るい、簡単まではいきませんが、介護従事者が誇りを持てる仕事となるよう、そして、介護が評価される仕事となるよう努めてまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) この際、暫時休憩いたします。

 午後は1時10分に再開いたします。

午後0時5分 休憩  

午後1時10分 開議  

○副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。国分徳彦議員。

46番(国分徳彦)登壇 私はみらい・無所属の会を代表して、投票所のあり方について、筑紫丘小学校の体育館とプールの合築に向けた将来計画について、若久通りの若久三丁目の交差点改良について、以上3点について質問いたします。当局の明快な回答を期待いたします。

 質問に入ります前に、このたびの平成30年7月豪雨によりお亡くなりになられた方々へ深い哀悼の意をささげますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、昨日、北海道胆振地方中東部で発生した地震により甚大な被害を受けられました皆様に謹んでお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧、復興をお祈りいたします。

 まず、投票所のあり方についてお尋ねします。

 御承知のとおり、ことし11月には福岡市長選挙が予定されております。また、来年4月ごろには私たち福岡市議会議員の選挙と福岡県知事選挙、福岡県議会議員選挙の3つを同時に行う統一地方選挙が予定され、さらに来年7月ごろには参議院議員選挙が見込まれており、ことしの秋から来年夏にかけて選挙が続くことになっております。民主主義国家においては、選挙は言うまでもなく自分たちの代表者を選び、自分たちの意思を政治に反映させる最も重要かつ基本的な機会であります。しかしながら、近年は国政選挙、地方選挙を問わず残念なことに投票率が低い状態が続いております。これは何も本市に限ったことだけではなく、全国的に低下を示しております。このため、国においては投票時間を午後8時までに繰り下げたり、投票日前であっても投票日と同じ方法で投票を行うことができる期日前投票制度を導入したりするとともに、平成28年には18歳選挙権の実現とあわせて、人通りの多い駅やショッピングセンター、また若年層の啓発の観点から大学などにも投票所を従来より設置しやすくしております。市の選挙管理委員会としても投票率の向上に向けて啓発に力を入れたりと、さまざまな努力をされているところではありますが、本市の投票率を向上させていくために今、最も大事なことは投票に行きやすい環境づくりを進めていくことではないかと私は考えております。

 そこで、初めに現在の市内における投票日当日の投票所と期日前投票所の設置状況についてお尋ねいたします。

 以上で1問目の質問を終わり、2問目からは自席にて行います。

 

○副議長(石田正明) 宮崎選挙管理委員会事務局長。

○選挙管理委員会事務局長(宮崎晶子) 投票所の設置状況についてでございますが、投票日当日の投票所につきましては、全市で241カ所設置しております。また、期日前投票所につきましては、7区役所と2出張所及び小呂島の計10カ所に設置しているほか、平成22年の参議院議員通常選挙から7区の投票所を市役所1階に合同で設置、29年の衆議院議員総選挙から東区の投票所をなみきスクエアに増設、さらに11月に執行予定の福岡市長選挙からは博多区の投票所をさざんぴあ博多に増設することとしており、合計13カ所となる予定でございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 選挙管理委員会においても、期日前投票所を増設するなどの努力をされていることは評価いたしますが、もっと投票に行きやすくするためには、例えば、商業施設内に投票所を設置することも有効な方法の一つではないかと思います。近くのショッピングセンターで投票できれば、ふだんの買い物のついでに投票できるようになり、投票率の向上という点では大きな効果ができるのではないかと思います。

 そこで、政令指定都市における商業施設内の投票所の設置状況はどのようになっているのでしょうか。昨年実施された衆議院議員総選挙時の状況についてお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 宮崎選挙管理委員会事務局長。

○選挙管理委員会事務局長(宮崎晶子) 平成29年の衆議院議員総選挙における政令指定都市での商業施設内への投票所の設置状況につきましては、小学校が使用できず臨時的に設置したものを除き、投票日当日の投票所は名古屋市に1カ所、期日前投票所はさいたま市、千葉市、横浜市、浜松市の4市に計10カ所設置されております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) ただいま答弁がありましたように、5つの政令市では既に取り組みが進められております。大規模な商業施設が駅に近いといった立地のよさもあると伺っておりますが、少しずつふえてきているようです。本市の場合、投票日当日の投票所としては、小学校の体育館や公民館の会議室、期日前投票所としては、区役所や出張所、地域交流センターの会議室といったように、いずれも公共の施設に設置されているケースが多く、商業施設内への設置はまだないようです。

 そこで、投票所を新たに設置するためにはどのような要件があるのかお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 宮崎選挙管理委員会事務局長。

○選挙管理委員会事務局長(宮崎晶子) 投票所を新たに設置するための要件につきましては、交通の便がよく、既存の投票所との位置関係やバランスが適切であること、統一地方選挙のように3つの選挙の投票を同時に行うスペースがあること、衆議院の解散総選挙のような急な選挙に際しても優先的に使用できること、そして今後の選挙においても継続的に使用できる施設であること、さらには高齢者、障がい者等への配慮から、できるだけ投票スペースが1階にあることが望ましいといった要件があります。そのほか、地域の意向や人材の確保といった課題もございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 投票所を新たに設置するに当たってはさまざまな条件をクリアする必要があります。先ほど答弁されたように、場所や広さといった施設的な要件に加えて、地域住民の意向や選挙を実施するに当たって必要となる人材の確保といった課題が挙げられております。また、当然のことながら、投票事務に従事する皆さんの人件費や、投票箱などの器材をそろえるための費用も発生すると思います。

 そこで、投票日当日の投票所を新たに1カ所設置するためには、市職員や地域住民を合わせてどれくらいの人数が必要になるのか、また、器材の準備を含めて、それらにかかる費用は全体でどれぐらい必要になるのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 宮崎選挙管理委員会事務局長。

○選挙管理委員会事務局長(宮崎晶子) 投票日当日の投票所を新たに1カ所設置するための必要人員につきましては、統一地方選挙のように3つの選挙の投票を同時に行う場合では、市職員からは投票管理者と庶務係を合わせて4人、地域からは投票立会人と名簿対照係や用紙交付係などの投票事務従事者を合わせて13人程度、合計で17人程度が必要になります。

 また、費用といたしましては、器材の購入やレンタルに要する経費、人件費等で会場使用料を除き130万円ほどが必要となります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 投票しやすい環境の充実を図るに当たり、投票所を身近なところに設置することは大事なことですが、そのためにはクリアしなければならない課題がいろいろあるということがわかりました。費用的な面もありますが、特に大きいのはある程度の手当が出るとはいえ、市職員のみならず、地域住民の方に日曜日にもかかわらず朝早くから夜遅くまで御協力いただく必要があるという、人員の確保という問題ではないかと思います。しかしながら、これからの超高齢社会においては投票しやすい環境づくりはますます重要となっていくものと思われます。

 これまで投票所の設置については、安定的に、また継続的に確保できるという観点などから学校や公民館といった公共の施設が中心となっているようですが、今後はそういった公共の施設に限ることなく、民間の商業施設や駅、大学を初め、市内200カ所を超える保育園など、さまざまな施設を積極的に活用できるよう工夫し、地域の協力も得ながら、有権者の投票の機会を拡充する取り組みをさらに精力的に進めていただくよう強く要望いたしまして、この質問を終わります。

 次に、筑紫丘小学校の体育館とプールの合築に向けた将来計画についてお尋ねします。

 福岡市立の小学校の中には、敷地の形状や学校舎、体育館、プールなどの配置によってはグラウンドが効率よく使われないといった学校もあると思います。南区の筑紫丘小学校もその一つと思いますが、グラウンド内の遊具の設置場所を見直すことで随分グラウンドが使いやすくなりました。また、筑紫丘小学校周辺の道路の状況を見てみると、特に学校西側の道幅が狭く、消防車両など緊急時の大型車両の通行に支障を来しているといった問題もあり、保護者や地域からも災害発生時のもしものことを考えると大変心配しているという声を伺っておりましたが、昨年、小学校西側の道路の拡幅工事が実施されたことで、学校の西門の前までは大型車両の進入が可能になり、学校関係者からも安堵の声が届いております。このように筑紫丘小学校の環境改善に向けて、これまで取り組んでいただいたところではありますが、体育館についても地域から意見が出ているようです。

 そこで、まず体育館など地域からどのような意見が上がってきているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 地域からの意見といたしましては、運動場まで大型緊急車両等が入れない、講堂兼体育館においては狭いといった声など、学校を通じて聞いております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 私も筑紫丘小学校の体育館で開催されている地域の活動にしょっちゅう足を運ぶ機会がありますが、確かに狭いと思います。

 そこで、一般的な小学校の体育館と比較して、筑紫丘小学校の体育館のアリーナの面積はどうなっているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 小学校体育館のアリーナ面積につきましては、昭和63年度より福岡市小中学校施設整備指針において696平方メートルとしておりますが、筑紫丘小学校においては当時の基準である505平方メートルで整備を行っております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 冒頭で申し上げたように、敷地の形状などさまざまですので、学校施設の建設当時は現在の配置や規模が適切だったとは思いますが、何か工夫ができないものでしょうか。小学校西側の道路の拡幅によって西門の前までは緊急時の大型車両の通行が可能となりましたが、西門から小学校の敷地内に大型車両が進入するためには門が狭く、また門の付近にあるプールや倉庫が進路妨害になっており、学校内へスムーズに入れない状況にあります。この際、障害となっているプールの移設を検討し、老朽化して手狭な体育館と合築することで、進入路の確保とグラウンドのさらなる有効活用を図ってはどうかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 議員御指摘のとおり、運動場までの大型車両の進入ができない状況であったことから、進入路を確保するために、現在、西門などの改修工事を行っており、この9月末完成予定となっております。

 また、体育館の建てかえにつきましては、福岡市アセットマネジメント基本方針に基づき、建設から60年経過後に建物の状況を考慮し、改築の判断をすることとしております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 西門の改修工事を行っていただいていることで幾分かは安心いたしました。

 一方、先ほどの答弁では、プールや体育館の建てかえとなると、建設から60年の耐用年数を経過しないとできないとのことです。しかしながら、本市の小学校の体育館の中には60年を経過する前に建てかえられたものもあると思いますが、建てかえを行った理由をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 60年を経過する前に講堂兼体育館の建てかえを行った理由につきましては、耐震基準に合致していなかったもの、児童数増に伴う教室不足の解消、道路拡張工事に伴うものなどでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 60年の耐用年数を待たずに建てかえを行うには特別な事情や要件が必要であることは理解できますが、将来的にはある時期にまとまって体育館やプールの建てかえが必要になることも想定されます。

 また、近年の異常気象の影響もあって、子どもたちが楽しみにしている夏休みのプールの使用が連日の猛暑による熱中症を予防するために中止される状況になっております。早急に子どもたちがプールを安全で安心して使用できるような工夫も必要ではないでしょうか。

 今後、小学校の体育館やプールの建てかえを計画するに当たっては、筑紫丘小学校のような災害時の安全対策への対応や体育館のアリーナ面積が現在の整備指針より約200平方メートルも狭いといった課題を抱えているところを優先的に計画していただき、その際にはあわせて施設の合築などにより、より一層の効率化を積極的に推進されるよう強く要望いたしまして、この質問を終わります。

 次に、若久通りの若久三丁目の交差点改良についてお尋ねします。

 私が住む南区は、7区の中で唯一地下鉄が通っておらず、幹線道路や生活道路を通行するバスを初めとした自動車交通が市民生活の基礎となっております。他の区に比べて南区の住民は公共交通機関の選択肢が少なく、それにかわるものの一つとして自転車は気軽で経済的な移動手段となっております。また、近年の健康志向の高まりや排気ガスを出さない環境に優しい交通手段としても注目され、単に移動の手段としてではなく、手軽な運動や体力づくりにつながる乗り物として多くの市民の方々に利用されております。

 コンパクトシティを掲げる本市のまちづくりなどを支える移動手段としても自転車利用のニーズが一段と高まっていることを受け、本市においても自転車通行空間の整備を鋭意進められているところです。

 そのような状況の中、市内の自転車が関連する交通事故は、平成23年をピークに年々減少傾向にあるものの、平成28年における全交通事故件数に占める自転車事故件数の割合は約2割となっております。南区の若久通りから若久公園へ入る、いわゆるエディオン若久店前の交差点においても、車と自転車が接触する事故がたびたび目撃されております。

 そこで、当該交差点の安全対策について、本市の御所見をお尋ねしてまいります。

 まず初めに、当該交差点から若久公園に入る道路の幅員及び交通量についてお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 南区野間一丁目の交差点から福岡外環状道路を結びます道路愛称名若久通りと、この若久通りと国道385号を結ぶ市道三宅若久線との交差点付近の道路幅員及び交通量につきましては、若久通りが幅員約25メートル、交通量は1日当たり約2万6,000台、市道三宅若久線が幅員約5メートル、交通量は1日当たり約4,300台となっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 主要な幹線道路になっている若久通りが4車線で約2万6,000台の交通量に対し、市道側の交通量が約4,300台ということですが、道路幅が5メートルと生活道路程度の幅員しかない割には車の通行が多いのではないかと感じます。そのような比較的交通量の多い交差点であるにもかかわらず、若久通り側にしか車両用の信号機が設置されておらず、市道側には歩行者用の押しボタン式の信号機しか設置されておりません。

 また、交差点は見通しも悪く、市道から若久通りに合流する車両が若久通り側の車両に注意しながら交差点に進入してはいるものの、若久通りの歩道を走行する自転車との接触事故が多発しており、大変危険な状況になっております。私としては、市道側にも車両用の信号機を設置すれば大幅に安全性が高まり、事故も減るのではないかと考えております。

 そこで、これだけ交通量が多い道路なのに、なぜ車両用の信号機が設置されていないのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) お尋ねの交差点につきましては、歩行者用の信号機は設置されておりますが、車両用の信号機が設置されていない理由といたしまして、警察庁の通達の信号機設置の指針によりますと、車両用信号機の設置条件としまして、一方通行の場合を除き、赤信号で停止している自動車などの側方を自動車などが安全にすれ違うために必要な車道の幅員が確保できることとされており、交通管理者からは当該交差点付近の市道三宅若久線は道路幅員が狭く、自動車などが安全にすれ違うための幅員が確保できておらず、車両用信号機の設置条件を満たしていないと聞いております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) 市道の道路幅が狭いため、車両用の信号機の設置が難しいとのことです。過去に道路拡幅の計画に向けて検討がなされたものの、地域の合意形成が図れず、実現できなかったことは承知しております。しかし、それが原因で信号機の設置が難しいとなると、いつまでたっても有効な安全対策が図れません。実際には市道の両側には建物が建ち並び、市道から若久通りに合流する車両にとっては、交差点の見通しが悪いことに加えて、急いで通行しなければという思いから、歩行者信号の青信号を見ながら減速せずに交差点に進入する車両も見受けられ、過去には人身事故も発生しております。現在もたびたび危険な状況が目撃されるなど、いつ死亡事故が起きてもおかしくない状況です。このような状況から、過去に地域からも安全対策の要望が上がっていると思います。

 そこで、これまでにどのような安全対策を行ってきたのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 当該交差点及びその周辺において、これまでに実施した安全対策につきましては、地域からの要望を受け、交通管理者と現地を確認するとともに、対策についての協議を行い、市においては、カーブミラー設置による視認性の向上や注意を促す路面標示や看板を設置するなどの対策を実施しております。交通管理者においては、市道三宅若久線から無理な交差点進入を防止するため、歩行者用信号を車両から見えにくくする改良が実施されております。

 また、自転車の事故対策といたしまして、歩道を通行する自転車を車道へ誘導するため、若久通りの当該交差点を含めた約2.5キロメートルの区間における自転車レーンの整備に着手しております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 国分徳彦議員。

46番(国分徳彦) これまで交通管理者や市においてさまざまな交通安全対策が実施されております。また、地域としても安全対策に向け、朝の通勤、通学の時間帯に校区の交通安全推進委員による自転車利用の安全指導を行うなどの取り組みを実施されていると伺っております。しかしながら、特に朝の通勤、通学の時間帯に通行する自転車利用者は先を急ぐ余りにスピードも出ており、安全指導を行う交通安全推進委員に対し、かえって苦情を言われるケースも多いと伺っており、地域での対応にも限界があるのではないでしょうか。自転車利用者に安全運転マナーを身につけてもらうためには、自転車レーンの整備も重要であるとは思いますが、当該交差点については抜本的な安全対策として市道の拡幅により、車両用の信号機を設置することで、さらなる交通安全対策を講じる必要があると考えます。

 最後に、当該交差点における今後の交通安全対策について御所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。

 

○副議長(石田正明) 三角道路下水道局長。

○道路下水道局長(三角正文) 国分議員御指摘のとおり、当該交差点の安全対策といたしましては、車両用信号機の設置が望ましいと考えております。しかしながら、車両用信号機を設置するためには、市道三宅若久線の道路拡幅が必要であり、道路拡幅の事業化を実現するためには沿線地権者の皆様の用地買収に対する御理解と御協力を含む地域の合意形成が必要不可欠であります。

 今後、地権者を含む地域の合意形成がなされたときには、車両用信号機が設置できる交差点となるよう、道路拡幅に全力で取り組んでまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏)登壇 私は自由民主党福岡市議団を代表しまして、空き家問題、街路樹の管理、福岡空港の民間委託における周辺住民への対応について、3点について質問いたします。

 質問に入ります前に、7月の九州豪雨災害及び今月の台風21号による関西方面における災害被害並びに昨日の北海道地震により多くの方々がお亡くなりになられたことについて御冥福をお祈り申し上げます。また、行方不明の方々の早期の救出を切に願うとともに、現在も避難を余儀なくされている方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げ、一刻も早い復旧、復興を願っております。

 それでは、質問に入ります。

 まず、空き家問題についてです。

 人口減少と高齢化が進む中、日本各地で空き家の増加が問題視されています。空き家の中には適切な管理が行われていない結果として、安全性の低下、公衆衛生の悪化など、多岐にわたる問題を生じさせ、ひいては地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものもあります。今後、このような放置された空き家の数が増加すれば、それがもたらす問題が一層深刻化することが懸念されます。平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によりますと、全国の総住宅数は6,063万戸となっている一方、総世帯数は5,246万世帯となっており、住宅ストックが量的には充足していることはわかりますが、このうち空き家の数は820万戸であり、これが全国の住宅総数に占める割合は13.5%となっており、また福岡県では空き家の数が約32万戸、空き家率は12.7%となっています。

 そこで、まず福岡市における空き家の現状についてお尋ねし、以降の質問は自席にて行います。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 総務省の平成25年住宅・土地統計調査によりますと、福岡市の住宅総数は約854,000戸であり、そのうち空き家は約104,500戸で、空き家率は12.2%となっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 福岡市の住宅総数は854,000戸、うち空き家数は104,500戸と、空き家率は12.2%となっております。今後もさらに増加することが予想されます。空き家が増加することで地域のイメージ低下をもたらし、それが転入者の減少と転出者の増加を招き、不動産価値の低下などのおそれもあることから、早い段階で食いとめることが求められます。

 それでは、次になぜ空き家になるのか、その理由についてお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 総務省等が示しました空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針によりますと、近年の地域における人口減少、既存住宅、建築物の老朽化、社会的ニーズの変化等が空き家の要因であるとされておりまして、福岡市にも同様のことが当てはまるのではないかと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 地域における人口減少と社会的ニーズの変化はあるように思います。

 私も地域の皆様から一戸建て住宅は高齢者になると管理が難しいため、高齢者は公営住宅や施設等に住みたがる。そうすると、持ち家を子どもたち名義に変更することになるが、子どももほかに持ち家があったり、遠方に住んでいたりするため、その家は空き家となり、適正な管理ができず、樹木や雑草、火災、ホームレスの住みつきなどの問題も心配になる、もしそのような問題が起こっても、近隣の方も連絡先がわからないため対応に困るという話を聞きます。このような空き家について、今後どのように対応していくのかを検討し、適切な対応をとることが求められております。

 このような状況の中、2015年に空家等対策の推進に関する特別措置法が施行され、福岡市においても2017年に議員提案により条例改正された福岡市空家等の適切な管理に関する条例が施行され、法律と条例を一体的に運用されていると思います。

 そこで、適正な管理が行われず放置され、社会的に問題となっている空き家はどのようなものか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 議員お尋ねの空き家等に関しましては、空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項において、特定空家等が定められております。これはそのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態、または著しく衛生上有害となるおそれのある状態等にあるものとされております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) それでは、福岡市内で認められた特定空家等はどれほどあるのか、そして今現在、それらはどのようになっているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) これまで福岡市内で24件の特定空家等の認定を行っております。このうち、所有者等に対し指導等を行った結果、6件が自主的に解体されております。さらに、倒壊の危険が切迫していた2件につきましては、福岡市が空き家等の解体除却を行っており、それ以外の16件につきましても所有者等に対して指導を行っているところであります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 危険な空き家等については、市から所有者に対し粘り強く働きかけを行い、自主的に壊していること、法律に基づき措置を進められていることはわかりましたが、それだけでは福岡市内にある空き家はなかなか減っていかないと思います。空き家をふやさないように、空き家を活用する検討が重要であると考えます。活用の第1段階として、まずは空き家の所有者が自分で住むのか、売却するのか、ほかの人に貸すのかなどの方針を定め、売却や賃貸であれば不動産市場に流通させるということが必要ではないかと考えますが、親が住んでいた家を遠方の子どもが相続したものの、不動産や法律などの専門的な知識がなく、どうすればよいかわからないまま放置されているといった事例もあるのではないかと思います。

 福岡市では、そういった空き家の所有者に対し活用を促すための何らかの対策を行っているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 空き家所有者への支援としまして、福岡市住宅相談コーナーにおいて、弁護士や不動産事業者、建築士などの関係団体に御協力をいただきまして、空き家の管理や利活用を含めた住宅に関するさまざまな相談に対応しているところでございます。また、福岡県や福岡市、不動産事業者などの関係団体で構成される住宅市場活性化協議会において、中古住宅の売買に伴う不安を解消し、住宅市場の活性化を図るため、専門家による建物状況調査を行う住まいの健康診断事業を行うなど、既存住宅の流通促進に向けて官民連携した取り組みを進めているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 所有者に対してさまざまな取り組みをなされているのはわかりましたが、さらに積極的に既存住宅の活用を図る方策が必要ではないでしょうか。

 大牟田市では、空き家を活用し、医療・介護の専門職と連携した「誰もが集える」地域の交流拠点づくり事業を実施されています。その事業では、地域住民から空き家候補をリストアップしてもらうなど、地域住民、地元の病院、行政が連携し、取り組みを進められております。平成29年4月にみんなの家として開所後、地元の病院やグループホームが運営する認知症予防カフェや市内の商店街主催の日用品の出張販売など、広く活用されているようです。

 福岡市においても、地域の方が、例えば集会所や子ども食堂など地域のコミュニティの場として活用できるように、空き家バンクのような地域と空き家所有者をマッチングし、活用につなげる取り組みが有効ではないかと考えますが、そのような取り組みについてどのようにお考えでしょうか、所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) マッチングによる空き家活用の取り組みにつきましては、福岡市社会福祉協議会において、不動産流通に乗っていない空き家を探し、空き家を活用したい所有者と近隣住民のサロンなど福祉的な活用を希望する人のマッチングを行う社会貢献型空き家バンク事業をモデル的に進められていると伺っております。

 福岡市といたしましても、福岡市社会福祉協議会への支援や連携のあり方などについて検討していきたいと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) これまでの答弁を聞きますと、行政として所有者への指導や相談対応、流通促進などの取り組みを行っていることがわかりました。今後も人口減少や少子・高齢化の進展などから、空き家はさらに増加すると見込まれております。福岡市としても、これまでの取り組みをさらに充実させていく必要があると考えます。

 この質問の最後に、空き家対策について、今後どのように取り組んでいくのかをお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 今後の空き家対策につきましては、既存住宅の流通促進が図られるよう、国や県、住宅市場活性化協議会などの関係団体と情報共有を図りながら効果的な支援策等について検討していくとともに、消費者等への情報提供や空き家に対する相談業務についても一層の充実を図ってまいります。

 また、放置空き家等については、空家等対策の推進に関する特別措置法や空家等の適切な管理に関する条例に基づきまして、所有者等に助言、指導や特定空家等に対する必要な措置を適切に行うなど、安全、安心なまちづくりにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 次に、街路樹の管理についてお尋ねをしてまいります。

 これまで福岡市は環境問題や安全、安心で暮らしやすいまちづくりなど、さまざまな行政課題について緑化推進の観点からも積極的に取り組んでこられており、福岡市が風格ある緑豊かで魅力ある都市となるよう努力してこられたと認識はしております。特に街路樹は多くの市民の皆様や来訪者が往来する幹線道路上にたくさん植栽されており、都心部においても最も人の目に触れる緑であって、その都市の潤いや安らぎなど緑がもたらすイメージの大部分を占める非常に重要な要素であると認識しております。

 そこで、今回は街路樹の現状と管理状況及び安全配慮について幾つか質問をしてまいります。

 まず、街路樹の現状についてであります。

 街路樹を所管している住宅都市局では、これまで何本の街路樹を植栽してきたのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 平成30年4月現在、高木5万5,000本余、中木2万7,000本余、低木170万本余の植栽を行ってきております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 長年にわたって非常に多くの街路樹の植栽に力を入れてこられたように思います。

 さて、ことしの夏は大変な暑さが続きました。まちを歩くと街路樹の木陰のありがたさをつくづく実感したところであります。

 先日、インターネットで福岡、天神の猛暑、街路樹でクールダウンという西日本新聞、経済電子版の記事を見ました。記事にも書いていましたが、確かに渡辺通りなどでは街路樹が立派に育ち、木陰を多くつくることで、まちなかを歩く多くの人に暑さの中にもひとときの涼しさを街路樹が提供しており、特に真夏の都心部などでは街路樹はなくてはならないものだと実感しております。

 そのほか、その記事には、街路樹には10度以上の遮熱効果を指摘する報告もあると書かれており、街路樹にはそこまでの効果があるのかと驚いたところであります。

 そのように街路樹には木陰をつくるだけでなく、いろいろな有効な機能があると思いますが、街路樹にはそのほかにもどのような効果があるのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 議員御指摘のとおり、街路樹には木陰をつくることで暑さを和らげる効果がありますが、そのほかにも良好な景観の形成や大気の浄化、歩道への車両の進入防止などの機能がございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 確かに街路樹にはいろいろなすばらしい機能があり、福岡のような人口が密集する市街地が大きい都市においては特に重要であると感じております。しかし、街路樹にはすばらしい機能がある一方で、適正な管理が行われていないと樹木の枝や雑草が伸びることで景観や見通しが悪くなるなど、デメリットも出てくることから、街路樹管理は大変ではないかと感じているところであります。

 そこで、街路樹についてどのような管理を行っているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 街路樹の管理は樹木の成長に合わせた管理を路線単位で長期間行っていく必要があり、福岡市緑のまちづくり協会の樹木医など、資格を有する造園の専門職員が長年にわたり蓄積したノウハウを生かして管理を行っているところでございます。

 管理内容といたしましては、樹木の状態を観察の上、高木はおおむね3年から6年に1回の剪定、中低木は年1回から3回の刈り込み、また、植樹帯の除草作業や花壇管理、街路清掃などを実施いたしております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 福岡市の街路樹は形もきれいで、適正に管理されているように思っていましたが、今日に至るまで緑のまちづくり協会の専門家などによりしっかりと管理されてきたことと思います。

 特に博多駅にほど近い竹下通りのケヤキ並木などは、ほうきを逆さに立てたような木の形が連なって美しい景観が形成されていると感じていたところであります。しかし、その一方で樹木が大きくなり過ぎることで、市民の皆様から剪定などさまざまな要望も寄せられていることと思います。

 そこで、街路樹の管理について、市民の皆様からはどのような要望が寄せられているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 市民の皆様からの要望といたしましては、平成29年度に延べ1,200件余りありましたが、その内容は高木の剪定や中低木の刈り込みのほか、除草や落葉の清掃、病害虫の駆除に関するものなどがあり、優先順位をつけながら適切に対応を行っております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 街路樹は車や歩行者の往来の多い幹線道路に多く植えられているので、都心部の景観形成などいろいろなメリットがある一方で、事故発生のリスクも抱えています。そのため、要望はいろいろあると思いますが、予算も限られている中、優先順位は安全を第一に取り組むべきであると思います。

 そこで、街路樹に関する要望について具体例を挙げて質問をしてまいります。

 例えば、私の地元でございますが、博多区東平尾の席田中学校付近では、街路樹が大きくなり過ぎて根が地上に出てしまい、アスファルトを割って段差をつくってしまい歩きづらくなっている、または転んでけがをしたというような苦情、陳情が寄せられていますが、このような根上がりの問題についてはどのように対応していかれるのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 道路を管理しております区役所と連携いたしまして、樹木の成長に支障がない範囲で根を切ることで対応いたしております。根を切ることで街路樹が倒れたり、成長に支障が出るおそれがある場合などには根株ごと撤去することもございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 根上がりしている箇所の全てを補修するのは予算的にも難しいでしょうから、少しずつでも構わないので、ぜひそのような対応を進めていただきたいと思います。特に学校周辺は多くの学生さんが毎日のように通学するため、転倒したりすることのないよう安全確保の観点からも優先的に進めていただきたいと思います。

 続いて、空港周辺などでは交差点横の雑草が茂って、車が見えにくいといった陳情も受けていますが、雑草の問題についてはどのように対応しているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 草が伸びる6月から9月を中心に年二、三回の除草を実施いたしております。その年の天候状況により、草の伸びぐあいが著しい場合もあり、日ごろから視認性が低下しているような交差点がないかなど、街路樹パトロールにより早期の発見に努めておりますが、市民などから通報いただいた場合には、直ちに現場を確認し、対応を図っております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 空港周辺は地元住民のみならず、多くの来訪者の目に触れることから、雑草が生い茂ると視認性低下といった安全性の問題はもちろんありますが、景観上も悪くなり、福岡市のイメージ低下にもつながりかねないと思います。福岡の空の玄関口である空港周辺については、特に早期の除草作業に努めていただきたいと思います。

 さて、私が視察で水戸市に行ったときには、植樹帯には余り雑草が生えていませんでした。福岡は気候がいいので、それだけ雑草の生育もいいということだろうと思いますが、きちんとした対応をとっていただきたいと思っております。ただし、行政だけでは樹木管理を行うには、人員も予算も限られていることでしょうから、市民の皆様にもいろんな面で協力をしてもらう必要があると思います。

 そこで、現在、街路樹の管理において、市民の皆様の協力によりどのような取り組みを行っているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 福岡市では、これまでも道路上の植樹帯の一部で市民の皆様方にボランティアで花壇づくりを行っていただく取り組みを進めてきておりますが、今後とも、一人一花運動の一環としてさらに広げてまいりたいと考えております。

 また、天神、博多など都心部の歩道や中央分離帯にある植樹帯の一部で、花壇づくりに協賛いただける企業を募集し、1年を通じて市民や来訪者をおもてなしするスポンサー花壇の取り組みも進めており、着々と広がりを見せているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 確かに以前からまちなかで花壇を見かけることはありましたが、最近は特に花を見る機会がふえたように思います。まちじゅうが花であふれているというのは非常にすばらしいことであり、心が安らぐことであることと思いますし、福岡市のイメージアップにもつながることから、今後とも、継続、拡充に努めていただきたいと思います。

 街路樹は都市空間の中において、市民の皆様に安らぎや潤いをもたらす貴重な緑であり、その重要性については大いに認識しています。来年度は東平尾公園において、日本陸上選手権大会やラグビーワールドカップが開催されるほか、福岡市内ではG20財務大臣・中央銀行総裁会議など、国際的イベントが行われることから、福岡市民だけではなく、多くの来訪者の方々にも福岡市の緑は豊かだ、街路樹も美しいと言っていただけるような緑づくりやその管理に努める必要があると思います。

 市民の皆様や企業と一緒に、より質の高い街路樹管理に努めていただくとともに、冒頭でも述べたように、福岡市がより風格ある緑豊かで魅力ある都市となるよう、街路樹のみならず公園、緑地などさまざまな面からも緑のまちづくりに取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、この質問を終わります。

 最後に、福岡空港の民間委託における周辺住民への対応についてお尋ねしてまいります。

 福岡空港の民間委託につきましては、本年5月に地場連合が優先交渉権者として選定され、国との実施契約締結を経て、8月に正式に空港運営会社として発足しました。地域を熟知する地場連合が運営会社になったことは地元地域にとって大変よかったと思っております。

 また、7月には提案概要も公表され、空港の将来のイメージがおぼろげながら見えてまいりました。便利で快適な空港になること自体は喜ばしいことですが、空港だけが便利になっても空港周辺住民にますます負担だけがのしかかってくるようでは困ります。

 新聞等でも発着回数が大幅に増加していくことが報道されましたが、今でさえ航空機騒音に悩まされている地元住民の方々、私も空港前に住む地元住民の一人ですが、今以上に騒音がふえるのではないかと不安に感じております。運営会社には、周辺住民に負担を強いることをきちっと理解してもらった上で、地域の安全、安心を確保してもらうよう努力してもらわなければなりません。

 空港と周辺地域が共存していくことが空港運営の大前提と考えます。運営会社にはこのことをしっかりと肝に銘じてもらいたいと思います。

 そこで、今回は提案概要の主な内容と地域住民の声、そして地域の声をどのように空港運営に反映していくかの2点を中心に質問をしてまいります。

 まず1点目は、提案概要の主な内容と地域住民の声について質問いたします。

 地場連合が優先交渉権者に選定された以降、どのように民間委託の手続が進んできたのか、確認の意味でお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 本年5月16日、国による優先交渉権者選定公表以後の動きにつきましては、まず6月26日に国と優先交渉権者による基本協定の締結、7月2日に優先交渉権者による特別目的会社、福岡国際空港株式会社の設立、7月18日に国による提案概要等の公表、8月1日に国と運営会社による実施契約の締結が行われております。そして、8月29日に運営権者と福岡市の間でパートナーシップ協定の締結及び独自協議の場の設置を行ったところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) それでは、次に民間委託の今後のスケジュールについてお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 今後のスケジュールにつきましては、本年11月に空港ターミナルを運営するビル事業が先行開始され、来年4月から民間委託が全面開始される予定となっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) ただいまお答えいただきましたように、7月18日に国から提案概要が公表されていますが、この提案概要について主な内容をお答えください。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 国から公表された提案概要は、公募手続における第2次審査で運営権者が提出した提案書の骨子という位置づけになってございます。

 具体的な内容でございますが、東アジアのトップクラスの国際空港を目指して、30年後の福岡空港の将来イメージ、旅客数や路線の目標値、都市の役割、機能を補完するエアポートシティの実現、周辺地域の理解を大前提とした滑走路処理容量の拡大や地域との共生に向けた取り組みなどが提案されてございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) さまざまな提案がなされているようですが、それでは、この提案概要は民間委託制度においてどのような位置づけなのか、お答えください。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 空港運営の民間委託制度におきまして、提案概要は運営会社と国との間で締結した実施契約、これと一体化され、運営権者は提案の履行の義務を負うものとなってございます。

 一方、国におきましては、運営会社による提案の履行の状況をモニタリングにより監督指導することになっており、履行が担保される仕組みとなってございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 提案概要は運営会社に履行義務が課せられ、その履行は国のモニタリングによる監督指導されるとのことです。地域共生に向けた取り組みなど、運営会社のさまざまな提案がしっかりと進められていくことは理解しました。

 次に、提案概要には空港容量の拡大と記載されているようですが、一体どのような内容なのか、お示しください。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 提案概要における空港容量の拡大につきましては、周辺住民の理解を大前提といたしまして、現在、国が進めております並行誘導路二重化、これの範囲のさらなる拡大や進入方式の変更、具体的には直線進入の導入ということになりますが、こうした内容が提案されております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 空港運営は、空港と周辺地域が共存していくことが大前提と考えます。

 運営会社が提案した直線進入の導入などによる発着回数の拡大は、航空機騒音をさらにふやすことになるものであり、周辺地域の理解が大前提であることは言うまでもなく、空港と地域との共生を忘れてはなりません。

 そこでお伺いしますが、運営会社は地域との共生についてどのように考えているのでしょうか。提案概要における地域との共生策についてお答えください。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 提案概要における地域との共生に向けた取り組みに関しましては、地域共生事業の専門部署の設置、周辺地域との対話、交流への積極的な参加、周辺住民、地域の意向が反映された地域共生事業の実施、現在実施されております地域共生事業の承継と拡大、さらに周辺地域を結ぶバス路線の開設などが提案されております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) 運営会社がこれらの提案を実現していくに当たっては、周辺地域の理解が大前提であります。当然、運営会社から地域住民の方々にきちんと説明をしていただけるものと考えておりますが、運営会社には地域への配慮を忘れないでいただきたいと思います。

 ところで、これまで私は、地元、空港前に住んでいる議員として地域に足を運び、まちにどのような課題があるのか、実情を肌で感じ、地域の声に真摯に耳を傾けてまいりました。地域住民との信頼づくりには、地域住民の意見をよく聞くことが重要であると考えているからです。

 そこで、2点目の地域の声の空港運営への反映について質問いたします。

 今回の提案概要の公表を受けて、地域住民はどのように感じているのでしょうか、市が把握していることがあればお答えください。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 提案概要の公表後、地域の皆様からは着陸時の逆噴射、これによって生じる騒音の軽減や午後10時以降の遅延便対策といった騒音対策の強化に加え、バス路線網の充実など、生活利便性の向上などに関する意見をいただいておるところでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 鬼塚昌宏議員。

○1番(鬼塚昌宏) そうですね。これが地域住民の率直な気持ちです。運営会社の提案が、国が計画している発着回数より多いため、地域住民は騒音のことを心配しています。市は地域の意見を運営会社や国にしっかりと伝え、地域住民の不安の解消に努めてもらわないといけません。

 先ほど答弁の中にありましたバス路線網の充実は地域において最重要課題だと思っております。これは地域の方々、特に空港南部の方々には本当に切実な問題です。私は以前から考えていることですが、例えば、移転補償跡地を活用してバスの営業所、停留所をつくり、空港周辺地域を巡回するバス路線の開設、特に空港南部の月隈校区、下月隈、上月隈、立花寺や金の隈、金の隈新町は博多駅、天神方面に行くバスが1時間に1本程度と非常に不便な生活を強いられております。今は国内線と国際線を結ぶバスがありますが、そのバスを増便し、空港周辺を大きく回遊させて、バス路線の充実を図るなど、西日本鉄道が運営会社に名を連ねていることは絶好のタイミングだと思いますので、運営会社には思い切ったことをしてほしいと思います。

 答弁をいただいたほかにも、私が地域住民の方々から聞いたところでは、商業施設を初めとした建物が住宅側へ近づき圧迫感が強くなるといった声も聞いております。空港運営会社、空港ビルディングはセットバックをします、セットバックをしますと言っておりますが、空港を前に住む住民にとってはセットフロントになるということになります。その上、空港利用者がふえると周辺地域の交通渋滞が心配されるといった声も上がっております。今でも福岡空港内の立体駐車場周辺では大変な渋滞が発生しております。もう土曜日、日曜日なんかは空港の中に入ると、抜けられないぐらいあります。その影響で北側入り口は慢性的になりつつあるほど渋滞が発生しており、それを解消するためにもマイカー乗り入れの規制をかけるとか、バスと地下鉄をうまく利用していただくなどの方策を考え、運営会社には地域に出向き、こうした地域の声を直接聞き、常に地域に配慮していくという姿勢で提案を実現していってもらいたいと思います。

 さて、もう間もなく11月にはビル事業が開始され、来年4月には本格的に民間委託が始まります。また、空港整備については、国内線ターミナルビルの建てかえ工事がビル解体に伴う騒音対策や安全対策のため、やむを得ずおくれているものの、先月8月29日には空港南側ターミナルビルの一部が供用開始されております。北側ゲートと同様に、南側ゲートにおいても出発と到着の動線が交わることなくスムーズに移動でき、とてもきれいで利便性とセキュリティーが向上したと感じています。これは利用者にとって非常に喜ばしいことです。

 さらに、来年春には地下鉄アクセスホールが、そして2020年1月には国内線にバスラウンジも順次供用すると聞いております。ますます便利な空港になるであろうと期待をしております。

 このように利便性の高い空港になることは大変結構なことですが、地域への配慮も忘れないでいただきたい。利用者も地域も喜ぶ空港にしていただきたいと思います。

 福岡市は先月8月29日に運営会社とパートナーシップ協定を締結し、独自協議の場を設置しました。私の質問の最後に、パートナーシップ協定や独自協議の場を活用してどのように地域の声を運営会社に届け、空港運に反映していくかについて、市長にお尋ねし、私の質問を終わります。

 

○副議長(石田正明) 島市長。

○市長(島宗一郎) 福岡空港は福岡市の成長を牽引する重要な公共インフラでありまして、世界でも屈指の利便性の高い空港として発展をしておりますが、市街地に位置するゆえに騒音問題などを抱えており、空港の円滑な運営は地域住民の理解と協力に支えられていることを忘れてはならないと考えています。

 国から公表された提案概要は、空港利用者や福岡市民にとってとてもわくわくする期待感の持てる提案だと思っております。一方、発着回数の増加などに不安の声があり、地域に配慮した空港運営は不可欠であるとも認識をしています。

 このようなことから、早速、先月末に福岡市と運営会社が相互に協力して、密接かつ持続的に連携していけるようにパートナーシップ協定を締結するとともに、独自協議の場を設置いたしました。その際、私からも空港所在の自治体として物申すときは物申すとお伝えをしました。これに対して運営会社の社長から福岡市の意向を真摯に受けとめ、空港運営に反映したい旨の発言をいただきましたので、福岡市の意見が今後しっかりと空港運営に反映されるものと考えております。

 今後とも、福岡市といたしましては、目的地として選ばれる魅力的な都市づくりを進め、福岡空港がアジアの玄関口としてさらに発展し、アジアのリーダー都市として大きく飛躍するよう、地域の皆様に十分配慮しながら、運営会社と協働して取り組みを進めてまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) この際、休憩し、午後2時25分に再開いたします。

午後2時14 休憩  

午後2時25分 開議  

○議長(川上晋平) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。大坪真由美議員。

13番(大坪真由美)登壇 私は公明党福岡市議団を代表いたしまして、不育症の周知や患者支援の推進について、高齢者肺炎球菌ワクチンについて、学校施設や通学路における安全性確保の推進についての3点、質問させていただきます。

 初めに、不育症の周知や患者支援の推進についてです。

 少子・高齢化が進む中、子どもは未来を担っていく大切な存在です。しかし、赤ちゃんが欲しいと願っているのになかなか授からない、もしかしたら不妊症かもしれないと人知れず悩んでいる人は少なくありません。福岡市においては、昨年11月から不妊専門相談センターが開設となり、子ども施策が一層強化をされております。

 この不妊症という疾患を知らない方は、ほぼいないのかと考えますが、皆様、不育症という疾患は御存じでしょうか。

 私が御相談を受けた御夫婦は3年前から不妊治療を始められ、これまでに5回の顕微授精に取り組まれましたが、2度続けての流産となり、大変に苦しんでおられます。不妊治療にかかった費用はお二人合わせて450万円近くになっており、貯金も底をつき、経済的にも限界が来て、今後治療を続けていけるのかとの不安と6回目の治療に挑むのか、また、赤ちゃんを諦めるべきか、選択に迷っていらっしゃいます。

 また、治療には月に数日間仕事を休む必要があり、職場の理解と協力が得られなければ続けることが難しいのです。ゴールが見えそうで見えない、ゴールに届きそうで届かない、不安と焦りで毎日を過ごしている御夫婦を応援するためにも、ゴールに導く一助を構築し、子どもが欲しいと願う全ての御夫婦が出産を諦めることなく、前向きに妊娠、出産できる環境を福岡市で整備していただきたいと強く願うものです。

 まず初めに、不育症とはどういう疾患なのか、また、不育症患者の方はどれくらいいらっしゃるのか、お尋ねいたします。

 これで1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、厚生労働省の反復・習慣流産、いわゆる不育症の相談対応マニュアルに、妊娠はするが、2回以上の流産、死産もしくは生後1週間以内に死亡する早期新生児死亡によって子どもが得られない場合と定義されております。

 不育症の患者数につきましては、厚生労働省の研究報告書により全国の患者数は140万人で、年間約3万組が発症していると推定されております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、福岡市においてもこうした不育症に悩む方が少なくないと考えます。厚生労働省の実態調査では、流産は妊娠の10%から20%の頻度で起こると言われており、妊娠した女性の16人に1人が不育症であると言われております。流産の確率は年齢とともに上がるため、晩婚や晩産化が進む近年では深刻な課題の一つでもあります。

 次に、不育症の原因についてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症の原因につきましては、厚生労働省のマニュアルに、夫婦の染色体異常に加えて、妻側の要因として子宮形態異常、内分泌異常、凝固異常、母体の高年齢などの場合に発症しやすいと示されております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、不育症の原因については、厚生労働科学研究では子宮形態異常が7.8%、甲状腺異常が6.8%、両親のどちらかの染色体異常が4.6%、抗リン脂質抗体症候群が10.2%などで、原因不明は65.3%にもなります。しかし、検査や治療によって80%以上の方が出産にたどり着けると報告がされております。つまり、不育症を知り、適正な検査や治療をすれば多くの命を守ることができるということです。

 まだまだ一般的に認知度が低い不育症について周知していくことが必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、その大半は胎児の染色体異常を偶然繰り返しただけの症例で、両親には特にリスク因子がないこと、また、2回以上の流産等を繰り返した場合でも不育症のリスク因子の検査や適切な治療により80%以上が出産に至っていることなどから、不育症に関する正しい知識の普及啓発を図り、子どもを望まれる御夫婦の不安解消に努めることは重要であると考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) したがって、3回流産したことのある方でも、約半数は偶発的流産です。検査をしてリスク因子が見つからなかった場合は、何もしなくても次回の妊娠で出産できる可能性が高いわけですから、そのことを伝えていかなければなりません。

 不育症について周知啓発とともに、気軽に相談できる窓口体制の充実が必要であります。

 不育症の相談はどこで対応していただけるのでしょうか、お聞きをいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症の相談につきましては、平成2911月に市役所本庁舎内に開設した福岡市不妊専門相談センターにおいて、不妊カウンセラーの資格を持つ看護師や医師が対応しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) では、不妊専門相談センターでの相談件数について、相談内容とその中で不育症に関しての相談件数は何件となっていますでしょうか、お尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不妊専門相談センターにおける昨年度の相談件数は延べ463件で、主な相談内容は、治療費や助成制度についての相談が116件と最も多く、不妊症の検査、治療についての相談が90件、不妊治療をしている医療機関の情報についての相談が58件、特定不妊治療費助成の申請についての相談が57件、不妊の原因についての相談が46件などで、不育症に関する相談は7件でございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 不育症に関する相談は、不妊専門相談センターで対応していただいていることはわかりましたが、相談件数は7件で全体の1.5%しかありません。市民の方にわかりやすいように名称を不妊・不育専門相談センターとすることなども検討が必要かと思います。

 では、不育症の検査や治療はどこで受けることができるのか、お尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症の検査や治療につきましては、不妊治療を行っている産婦人科医療機関などで受けることができますが、治療のうち、甲状腺機能異常や糖尿病等の内分泌異常につきましては内科医療機関で、また、子宮形態異常等で手術が必要な場合は手術設備がある総合病院などの医療機関で治療を受けることになります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) では、不育症治療にかかる費用についてお尋ねいたしますけれども、医療保険が適用となるものと医療保険が適用されずに検査や治療が自費診療となるものがありますが、現状についてお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、まず、リスク因子を検査し、その結果に応じた治療が行われることになります。

 検査につきましては、子宮形態検査や内分泌検査、夫婦染色体検査、抗リン脂質抗体検査、凝固因子検査がありますが、そのうち、抗リン脂質抗体検査の一部が保険適用外となっております。

 治療につきましては、子宮形成術などの手術や甲状腺機能低下症などに対して行う内服治療、糖尿病に対する内服治療やインスリン治療などは保険適用されますが、抗PE抗体陽性者等に対するヘパリン療法や低用量アスピリン療法などは保険適用外となっております。

 不育症の検査や治療はほとんどが保険適用されておりますが、国において有効性、安全性などが十分に確認されていない研究段階の検査や治療は、保険適用外となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 不育症の方々は、高額で治療を続けることが難しい、子どもを諦めるしかないと大変に落ち込んでおられ、心身ともにつらい思いをされております。そういった中、流産の原因となる血栓症や塞栓症に対する治療及び予防のために行う在宅自己注射に用いるヘパリンカルシウム製剤は平成24年1月から保険適用となり、不育症に悩む女性や家族にとっては朗報となりました。不妊症と比べ、いまだ不育症を知らない人が多く、流産、死産をしたことによって心身ともに大きなダメージを受け、苦しむ女性の4割は強い心のストレスを抱えたままであります。不育症の治療には多額の費用がかかるものもあり、公的助成を行っている自治体もあります。

 政令指定都市の中で不育症治療助成事業に取り組んでいるのはどこか、また、全部で何都市あるのか、お尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 政令指定都市の調査結果では、札幌市、さいたま市、新潟市、静岡市、浜松市、京都市、神戸市の7都市が不育症治療への助成を行っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、神戸市では平成2812月から不育症の助成事業を開始されており、医療保険適用外の医療費の2分の1につき、上限15万円までの助成を行っています。中核市の富山市では、昨年7月から対象者の所得や年齢制限はなく、上限30万円までの助成を受けられます。このようなことから、不育症に悩む方に対して正確な情報を提供し、心理的な相談や医学的な相談を行い、患者支援の取り組みを行っていくことが必要であります。

 不育症の方の検査や治療には一部保険適用されていないものもあります。患者支援として経済的負担軽減を図り、治療を受けやすくする不育症の治療費助成制度についての御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 不育症につきましては、今後も不妊専門相談センターにおいて不育症に悩む方に寄り添ったカウンセリングを行うとともに、不育症に関する正しい知識の普及啓発に努めてまいります。

 不育症の治療費助成につきましては、国の検査や治療に対する保険適用範囲の拡大等の動向を注視するとともに、本市における不育症患者数や治療費負担の実態等について調査してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 冒頭で取り上げましたこの御夫婦のように、妊娠をしても出産に至らない不育症で精神的にも経済的にも苦しんでいらっしゃる方がおられます。不育症は、晩婚化、晩産化が進む今、まさに待ったなしの課題です。子どもを持ちたいと願う親とともに、これから生まれてくる大切な命にかかわる問題です。ぜひ、不育の課題について正面から向き合って、しっかりと福岡市の現状を分析していただきたい、不育症に悩む御夫婦を救うための制度を打ち出していただきたいと思います。

 この質問の最後に、福岡市が子どもを生み育てやすい、子どもを育む日本一の都市を目指して、子どもを望む御夫婦へのさらなる支援に向けての御所見を医療の専門家である荒瀬副市長にお伺いをして、この質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 荒瀬副市長。

○副市長(荒瀬泰子) 福岡市におきましては、合計特殊出生率が伸びており、子育てしやすいという一定の評価もいただいているところでございますが、子どもを望む夫婦に対しても支援し、安心して生み育てられる社会を創造することは大変重要であると考えております。

 近年、晩婚化などに伴い不妊に悩んでいる御夫婦は多く、福岡市におきましては、7区の保健福祉センターに寄せられる不妊相談の件数は年間約3,000件、特定不妊治療費の助成件数も年間約2,000件となっております。

 こうした状況を踏まえ、昨年11月に市役所本庁舎内に不妊専門相談センターを開設し、専門の不妊カウンセラーや医師が不妊や御質問にありました不育に悩む御夫婦に寄り添ったカウンセリングを行うとともに、不妊症に対する正しい知識の普及啓発に努めているところでございます。

 さらに、ことしの7月からは、福岡市独自に一般不妊治療のうち人工授精への助成を開始し、不妊治療を受ける御夫婦の経済的負担の軽減も図っているところでございます。

 議員御提案の不育の問題につきましても、市内には不育症の専門機関も多いことから、しっかりと実態を調査し、安心して子どもを生み育てられる都市の実現に向け、子ども施策を推進してまいりたいと思います。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、高齢者肺炎球菌ワクチンについてです。

 肺炎は日本人の死因の第3位を占める重大な疾患です。肺炎は高齢になるほど重症化しやすく、人口の高齢化に伴い、年々死亡者数も増加をしています。特に高齢者の死亡率が高い肺炎予防のための定期接種制度が平成2610月から開始をされました。高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種制度は65歳を対象として、平成2610月から30年度を65歳以上の全人口をカバーする経過措置期間とし、対象者は65歳から100歳までの5歳刻みの年齢になる方で、生涯に1回だけ制度を活用した接種が可能です。今年度はこの経過措置の最終年度であり、来年度以降は対象者が65歳のみになる予定で、66歳以上の方は定期接種の対象から外れることになります。

 そこで、お尋ねいたしますが、肺炎球菌感染症とはどのような病気なのか、お伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。肺炎球菌は主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染し、体力が落ちたときなどに気管支炎、肺炎、敗血症などを起こすことがございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 今、お答えいただきましたように、肺炎球菌は飛沫感染をすることから、災害の種類を問わず、多くの人が共同生活をする避難所では衛生状態が悪化しやすく、たびたび感染症の流行が起きています。

 東日本大震災では、避難生活で体力が低下をする震災1週間後から感染症、特に高齢者の肺炎がふえてきたとの指摘もあり、中長期的に十分な注意が必要だとされています。

 2016年4月の熊本地震においても、ノロウイルス感染症や高齢者の肺炎が発生している状況であり、災害時の衛生環境悪化がもたらす感染症は非常に怖いものがあります。台風、地震と続いておりますけれども、いつどこで自然災害が起こるかわからない中、防災、減災対策を進めるとともに、平時からの感染症対策が非常に重要であり、特に抵抗力が弱い乳幼児や高齢者はワクチン接種により感染症を防ぐことが重要であります。

 では、肺炎球菌感染症をワクチンで予防することは可能であるのかをお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 定期予防接種で使用している高齢者肺炎球菌ワクチンは、厚生労働省によりますと、肺炎球菌感染症の約7割に効果があるとされております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 東日本大震災において、発災直後から3週間程度の間に肺炎球菌性肺炎が多発をして、定期接種対象者で未接種者は早目に接種することが勧められました。被災地でなれない仮設住宅暮らしを強いられ、ストレスにさらされている方々は身体の抵抗力も低下をしがちで、ウイルス感染が懸念をされています。

 国立感染症研究所は熊本地震を受け、避難所での感染症の流行拡大には注意が必要だとして、どのような感染症が広がるおそれがあるのか、そのリスクをレベル1からレベル3の3段階で示す取り組みを始めました。感染症対策としてワクチン接種は有効であり、接種率を向上するためにも高齢者肺炎球菌ワクチン接種率の向上の取り組みが大切だと考えます。

 この経過措置期間である平成26年からの接種対象者数、接種者数、接種率について実績をお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 対象者数、接種者数及び接種率でございますが、平成26年度が6万8,065人中2万8,632人で42.1%、27年度が6万7,169人中2万3,047人で34.3%、28年度が7万2,842人中2万5,890人で35.5%、29年度の速報値では7万5,624人中2万5,651人で33.9%となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 御答弁いただきました実績について、全国と比較をしてどうなっているのか、また、高齢者肺炎球菌ワクチンの効果をどう捉えておられますか、御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 国におけます高齢者肺炎球菌ワクチンの接種率につきましては、平成26年度が38.3%、27年度が33.5%、28年度が37.8%となっており、福岡市と大きな乖離はございません。また、ワクチンの効果といたしましては、国の厚生科学審議会ワクチン評価に関する小委員会では、肺炎の罹患率を減少させ、肺炎の外来医療費、入院医療費の削減効果があったと報告されております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 高齢者への肺炎球菌ワクチン接種は医療費削減効果も期待をされ、肺炎球菌ワクチンが定期接種化されました。

 公開をされております肺炎球菌ポリサッカライドワクチン作業チーム報告書では、高齢者肺炎球菌ワクチンを毎年65歳の方全員に接種をし、ワクチン接種の効果が5年間持続すると仮定をした場合、1年当たり5,115億円の保険医療費が削減できると推計されております。

 今後の超高齢化社会を迎えるに当たり、健康寿命延伸に加えて医療費の増加を抑えるためには、このワクチンの接種率を上げて、肺炎にかかわる医療費を削減することが非常に有効な手段となるのではないかと思います。接種率を上げて肺炎を予防することは、福岡市の高齢者の健康寿命の延伸につながるのみならず、医療費削減に寄与できると考えられます。

 では、接種費用の個人負担金は幾らになっていますでしょうか、また、その負担金について、他の政令指定都市との比較をお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市の個人負担金は4,200円となっております。生活保護世帯、市県民税非課税世帯等の方に対しましては、個人負担金の減免制度がございます。また、政令指定都市の個人負担金は3,000円から5,000円となっており、個人負担金が福岡市より高い都市は10市、低い都市は9市となってございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 本市の個人負担金は4,200円とのお答えでございましたけれども、年金生活者の方にとっては高いと感じられて、接種を受けていないというお声もお聞きしております。実際はというと、定期接種の接種率は、先ほどお答えいただいた平成26年度から平成29年度の接種率を平均すると36.5%にとどまり、定期接種制度を利用していない人が多いようです。原因としては、接種しようと思っていたが忘れてしまった、機会を逃してしまったといったケースや、生涯1回であればいつでも好きなタイミングで助成が受けられる、5年後にまた接種の機会があるなどの勘違いが考えられます。

 平成26年度から平成30年度までの経過措置期間は、65歳以上の方の肺炎球菌ワクチンの接種率を上げるチャンスではありますけれども、その周知方法や取り組みによって、この5年間で接種率に差がつくことが予想されます。また、接種率によって肺炎による入院や死亡の件数にも大きな差が出てくる可能性があります。

 今年度は経過措置期間の最終年度となっておりますが、どのように取り組まれているのか、お尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者肺炎球菌ワクチンにつきましては、予防接種法で接種の努力義務が課されていないため、通常は個別の勧奨は行いませんが、いつ接種の対象となるかわかりづらいという面もあることから、対象の方へ予防接種のお知らせや予診票、実施医療機関一覧等を同封した封書を個別に送付いたしております。

 また、市政だよりや戸別配布しております健診ガイド、福岡市ホームページによる案内、保健所や医療機関でのポスター掲示等、広く周知を行っているところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 今回の高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種制度は、ワクチンの接種による高齢者の方の肺炎予防と肺炎医療費削減効果が期待をされ、導入されたものだと考えます。定期接種の経過措置の期間は5年間に限られており、来年度からは65歳の方だけが対象になる予定です。経過措置というわかりづらい制度により、高齢者肺炎球菌ワクチンの接種対象期間を過ぎてしまい、接種できなかった方、受け忘れた方を一人でも減らすことが住民サービスの観点からも重要であると考えます。

 また、災害時に問題となる感染症、特に高齢者では避難所における肺炎対策が重要であり、平時において感染症対策を徹底しておくことも災害対策の一つであると考えます。

 市民の方々の大切な命を守るため、行政の責務として、ぜひ積極的な取り組みを御検討いただきたいと考えますが、御所見をお伺いして、この質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢者肺炎球菌ワクチンの未接種者への取り組みでございますが、定期予防接種期間外に任意で接種された方については、接種履歴が把握できず、その方々が5年以内に再接種を行った場合、初回接種より強い副反応が出るおそれがあることなどから、国の厚生科学審議会ワクチン評価に関する小委員会において、次年度以降の接種方法が検討されております。福岡市といたしましては、国の動向を注視しながら、引き続き接種の勧奨にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 最後に、学校施設や通学路における安全性確保の推進についてお伺いをいたします。

 子どもたちが安全に登下校でき、安心して学校生活を送れる環境づくりを強力に進めなければならないとの観点から質問を進めてまいります。

 昨年3月、千葉県松戸市の小3女児殺害事件や、ことし5月の新潟小2女児殺害事件など、子どもが狙われる犯罪がその後も後を絶ちません。地域に衝撃を与え、幼い命が奪われる事態を繰り返さないためにはどうすべきか、福岡市での現状と課題を確認していきたいと思います。

 まず初めに、登下校の防犯対策についてです。

 福岡市では、見守り、青パトなど各学校区で対応していただいておりますが、スクールガードに携わっておられる人数と講習の内容など、また、特徴ある取り組みについてお聞きいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 福岡市における子どもたちの見守り活動を行うスクールガードの人数は、平成29年度は1万8,067人となっております。

 スクールガードを対象とした講習の内容につきましては、防犯に関する専門家の講話や、成果を上げている校区の取り組みの紹介などでございます。

 また、各校区におけるスクールガードの特徴ある取り組みとしましては、自主的なパトロール隊による危険箇所での安全指導や、青色回転灯を装備したパトロールカーで1日3回以上校区巡回をすることや、会報を発行することで情報発信を行うことなどでございます。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 登下校の安全対策については、地域の主体的な取り組みに委ねられてきた面が大きいと考えます。午後3時から6時の下校時間に被害が集中している点や、登下校を見守る担い手の高齢化や共働き家庭の増加により地域の目が行き届かない、また、見守り空白地帯をどう減らすかなど全国共通の課題は少なくないのです。

 子どもたちを見守るために各地の自治体や学校では、ICTを活用し、児童の居場所を知らせるシステムを導入する動きが進んでいるとのことですが、有効な手だての一つになるのか、試験的に導入をされている学校の反応や評価についてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) ICTを活用した児童の居場所を知らせるシステムは、これまでに数種類が試験的に導入されており、ことしの3月から導入されたシステムでは、児童に専用の端末を身につけさせることにより、保護者が自分の子どもの登下校の時刻やセンサーが設置されたポイントを通過した時刻が把握できるものでございます。試験的に導入している学校からは、児童の登下校の時刻などが確認できるため便利であるという保護者の声があると聞いております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) このシステムを導入するかどうかの判断は各学校によるとのことですが、文部科学省は子どもの安全に対する保護者の意識が高まっている、見守りシステムは地域や学校と連携する手段として有効ではないかとされています。

 次に、通学路の安全確保についてです。

 大阪府北部地震で女子児童がブロック塀の下敷きとなり、亡くなる事故が発生したことを受け、文部科学省が全国の学校の安全状況を調査したところ、約4分の1に当たる1万2,640校で建築基準法に適合しないなど、危険な塀があるとの発表が出されました。福岡県では777校。

 また、学校施設が常に健全な状態を維持できるような適切な管理についての通知も発せられていますが、福岡市では文科省から依頼のあった学校施設におけるブロック塀等の安全点検等状況調査において、安全性に問題のあるブロック塀などを有する学校は何校ありましたでしょうか、お尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学校数につきましては、1.2メートル以下を含む全てのブロック塀について、学校の目視点検の結果をもとに軽微なひび割れや一部損傷があると報告があったものを含めて回答しており、小学校103校、中学校37校、高等学校1校、特別支援学校5校、幼稚園1園、計147施設でございます。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 次に、この中には法定点検の対象外の施設はあったのか、これらの安全点検をどうするのか、お聞きをいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学校施設においては、全て法定点検の対象としており、目視や打診による劣化状況の調査を全ての学校で行っております。

 なお、前の質問でお答えした147施設に関して、直近の法定点検では緊急に改修を要するとの報告はございませんでした。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) また、安全性に問題のあるブロック塀などの工事着手までの間、安全確保をどうするかについてお伺いをいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) ブロック塀の安全確保につきましては、注意喚起や部分的な使用制限を行うなど適切な対応を行うよう学校へ周知を行っております。また、現在、専門家によるブロック塀の調査を行っており、調査結果を踏まえ、順次安全対策に努めてまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) では、学校の危機管理マニュアル作成の手引に基づき、改めて通学路を確認すべきと考えます。あわせて、安全性に問題のある通学路についてはどのように対応しておられるのか、お伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 各学校より指定されている通学路の安全点検としては、大阪北部地震の発生直後に小中学校の教職員が通学路に沿ったブロック塀の安全確認を行っております。その後、さらに専門家による通学路沿いのブロック塀の一斉調査を行っております。通学路に危険箇所がある場合は、その箇所を避けて登校することや通学路の変更をするなどして児童生徒の安全確保を行っております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 次に、不審者への対応についてですが、富山市では6月26日、男性が交番襲撃後、警官の拳銃を奪い、小学校に発砲した事件や、福岡市では7月2日、校舎4階女子トイレに男性不審者の侵入事件が発生をいたしましたが、教育委員会ではその後どのように対応されたのか、お伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 不審者侵入事件を受けての対応は、それぞれの事件後に各学校、園に対して、門扉や昇降口などの戸締まりの徹底、来訪者の管理などを行うとともに、学校、園で作成している危機管理マニュアルをもとにした侵入者対策の再確認を行うことなどを改めて徹底しております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 学校に防犯カメラが設置されているということを広く周知することで、不審者への抑止になると考えます。

 そこで、防犯カメラの設置状況、設置場所、誰がモニターの確認をされているのか、また、各学校で現在の防犯カメラの設置場所で大丈夫なのでしょうか、改めて点検をしていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 防犯カメラの設置状況は、各学校に3台の防犯カメラを正門及び裏庭や中庭など人目が届きにくいところに設置しております。モニターは校長室、職員室、事務室などに設置しており、その場にいる教職員がモニターの確認を行っております。また、防犯カメラの作動状況や設置場所等につきましては、毎年、専門家による点検を実施しており、その結果を踏まえ、適切に対処しております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) では、学校来訪者への対応はどのように行われているのかをお聞きいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学校、園への来訪者の対応としては、来訪者は必ず受付で来訪者名簿に記入の上、教職員の許可を受け、許可証を身につけて学校、園に入っていただくこととしております。校内で許可証を身につけていない来訪者を発見した場合は、速やかに複数の教職員で対応し、必要に応じて児童生徒の安全確保の上、警察に通報することとしております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 神奈川県の藤沢市では、学校の入り口から受付まで誘導する矢印のテープを廊下に張ることを提唱され、訪問者がライン上から外れたところにいれば、児童も侵入者と判断ができ、成果を上げているとのことです。

 次に、学校での救命教育の普及推進及び危機管理体制の整備についてお伺いいたします。

 突然の心肺停止から救い得る命を救うためには、心肺蘇生、AEDの知識と技術を体系的に普及する必要があり、学校での救命教育はその柱となるものであります。

 日本では、平成16年に市民によるAEDの使用が認められて以降、急速にその設置が進み、AEDの使用によって救命される事例も数多く報告をされております。しかしながら、いまだなお、毎年7万人に及ぶ方が心臓突然死で亡くなっているのとともに、学校でも毎年100名近くの児童生徒の心肺停止が発生しております。

 そこで、福岡市の小中学校におけるAEDの設置状況についてお尋ねをいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) AEDの設置状況につきましては、小学校、中学校を初め、幼稚園、高等学校、特別支援学校を含む全ての市立学校に設置しております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 日本循環器学会における提言、学校での心臓突然死ゼロを目指しての中に、学校内のAEDの設置推奨場所が示されております。AEDの設置に当たっては、使われる可能性の高い場所からのアクセスを意識する必要があるとされ、小中学校内の心停止発生場所として、グラウンドが53%、プールが19%、体育館が13%と運動に関連した場所で起こっていることから、運動場所を意識したAED設置場所を強く奨励されています。

 また、学校内のどこからでも片道1分以内に取りに行ける場所の設置も奨励されていることから、各学校においての現在設置をされている場所で本当によいのか、改めて点検をしていただきたいと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 各学校でのAEDの設置場所は、主に玄関、職員室など誰にでもわかりやすい場所を選定しているところでございますが、今後、改めて設置場所の確認を行ってまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) また、AEDの設置場所を教職員の方や児童生徒が全員知っておくのはもちろんのことでございますが、学校は、休日や夜間に体育館やグラウンドにおいて活動を行う部活動や少年サッカー、少年野球、また、地域の方が行うスポーツなどの利用もあります。

 そこで、それらの方にもAEDの設置場所がすぐにわかるような掲示の工夫や、さらには利用方法の周知なども必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) AED設置場所の掲示は、各学校において、AEDの近くに表示をするとともに、外部からもわかりやすいよう玄関先などに設置施設であることの表示をしておりますが、よりわかりやすい掲示の工夫について検討してまいります。また、学校施設の利用者などへの啓発につきましても、利用者説明会などの機会を捉えて取り組んでまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) それでは、AEDが設置されていたにもかかわらず、それが適切に使われずに失われた命も少なくありません。その中には、平成23年9月のさいたま市での小学校6年生の女子児童の事故のように、AEDが活用されず、救命できなかったという事例も複数報告をされています。

 教職員の方へのAED講習の実施状況など具体的な取り組みも含め、また、本市の小中学校における児童生徒への救命教育の現状と今後の方向性をお聞かせください。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 教職員へのAED講習は、各学校、園の教職員1名と新規採用教職員全員を対象に、心肺蘇生法とAEDの実技を行う研修を消防局と連携し、毎年実施しております。また、児童生徒への救命教育につきましては、現行の学習指導要領において、小学5年生ではけがの手当て、中学校2年生では応急手当てについて学習することになっております。

 福岡市ではこれに加え、消防局と連携し、小学5年生ではAEDの機能や働きを、中学2年生ではAEDの実技を伴う心肺蘇生法の学習を行っております。これらのAED講習や救命教育は、今後も継続して行ってまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) 学校における救命教育の重要性についての認識は広がりつつあり、平成29年3月に公示をされた中学校新学習指導要領保健体育科の保健分野では、応急手当てを適切に行うことによって傷害の悪化を防止することができること、また、心肺蘇生法などを行うことと表記されているとともに、同解説では、胸骨圧迫、AED使用などの心肺蘇生法、包帯法や止血法としての直接圧迫法などを取り上げ、実習を通して応急手当てができるようにすると明記をされております。しかしながら、全国における教育現場での状況を見ると、全児童生徒を対象にAEDの使用を含む救命教育を行っている学校は、平成27年度実績で小学校で4.1%、中学校で28.0%、高等学校でも27.1%と非常に低い状況にあります。

 そこで、お伺いいたしますが、本市においても、児童生徒、教職員の方に対する心肺蘇生とAEDに関する教育を普及推進するとともに、学校での危機管理体制を拡充し、児童生徒の命を守るための安全な学校環境を構築することは喫緊の課題と考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 福岡市における心肺蘇生とAEDに関する教育につきましては、全ての小学5年生と中学2年生で実施をしております。今後も児童生徒に対して救命教育を継続して行うとともに、教職員への研修の充実を図り、児童生徒や教職員の危機管理意識を高め、安全で安心な学校づくりを推進してまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 大坪真由美議員。

13番(大坪真由美) ぜひよろしくお願いいたします。

 ことしの夏は猛暑が続き、熱中症の多発や豪雨による自然災害の被害など子どもたちを取り巻く環境が変化をしている昨今、各学校を中心に家庭、地域、関連機関がさらに連携を深め、開かれた学校づくりに努められ、安全教育を充実していただくことを念願いたします。

 最後に、学校の安全性確保の推進について島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 島市長。

○市長(島宗一郎) 子どもたちが安心して学校に通って、安全な学校生活が過ごせるような教育環境を整えることは大変重要であるというふうに考えています。

 福岡市はこれまで、学校施設の耐震化や、また、学校への防犯カメラの設置など、学校における防災力ですとか防犯力を高める取り組みを進めてまいりました。また、全ての普通教室に空調設備を整えまして、夏の暑い時期でも熱中症を心配することなく、子どもたちが快適な環境で学習が行えるようにいたしております。

 今後も、大坪議員御指摘のとおり、教育委員会を初め、関係機関と連携を図りながら、引き続き教育環境の整備を進めますとともに、子どもたちへの安全教育の充実を図るなど、より一層、学校の安全性の確保に取り組んでまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) お諮りいたします。

 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は9月10日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○議長(川上晋平) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

 次の会議は9月10日午前10時に開きます。

 本日はこれをもって散会いたします。

午後3時11分 散会