平成30年9月6日(木)

 

平成30年第4回福岡市議会定例会

議  事  日  程 (第1号)

                             9月6日 午前10時開議


第1 会期決定の件

第2 議案第139号 平成29年度福岡市一般会計歳入歳出決算

第3 議案第140号 平成29年度福岡市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算

第4 議案第141号 平成29年度福岡市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算

第5 議案第142号 平成29年度福岡市介護保険事業特別会計歳入歳出決算

第6 議案第143号 平成29年度福岡市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算

第7 議案第144号 平成29年度福岡市集落排水事業特別会計歳入歳出決算

第8 議案第145号 平成29年度福岡市中央卸売市場特別会計歳入歳出決算

第9 議案第146号 平成29年度福岡市港湾整備事業特別会計歳入歳出決算

10 議案第147号 平成29年度福岡市営渡船事業特別会計歳入歳出決算

11 議案第148号 平成29年度福岡市伊都土地区画整理事業特別会計歳入歳出決算

12 議案第149号 平成29年度福岡市香椎駅周辺土地区画整理事業特別会計歳入歳出決算

13 議案第150号 平成29年度福岡市公共用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算

14 議案第151号 平成29年度福岡市駐車場特別会計歳入歳出決算

15 議案第152号 平成29年度福岡市財産区特別会計歳入歳出決算

16 議案第153号 平成29年度福岡市立病院機構病院事業債管理特別会計歳入歳出決算

17 議案第154号 平成29年度福岡市市債管理特別会計歳入歳出決算

18 議案第155号 平成29年度福岡市モーターボート競走事業会計利益の処分について

19 議案第156号 平成29年度福岡市モーターボート競走事業会計の決算について

20 議案第157号 平成29年度福岡市下水道事業会計利益の処分について

21 議案第158号 平成29年度福岡市下水道事業会計の決算について

22 議案第159号 平成29年度福岡市水道事業会計利益の処分について

23 議案第160号 平成29年度福岡市水道事業会計の決算について

24 議案第161号 平成29年度福岡市工業用水道事業会計利益の処分について

25 議案第162号 平成29年度福岡市工業用水道事業会計の決算について

26 議案第163号 平成29年度福岡市高速鉄道事業会計の決算について

27 議案第164号 平成30年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)

28 議案第165号 平成30年度福岡市港湾整備事業特別会計補正予算案(第1号)

29 議案第166号 平成30年度福岡市市債管理特別会計補正予算案(第3号)

30 議案第167号 福岡市立老人いこいの家条例の一部を改正する条例案

31 議案第168号 福岡市建築関係手数料条例等の一部を改正する条例案

32 議案第169号 福岡市公民館条例の一部を改正する条例案

33 議案第170号 平成30年度公営住宅(城浜住宅)新築工事請負契約の締結について

34 議案第171号 百道公民館・老人いこいの家及び百道小学校講堂兼体育館複合施設改築工事請負契約の一部変更について

35 議案第172号 埋立造成地の処分について

36 議案第173号 固定資産税に係る家屋調査中の事故による損害賠償額の決定について

37 議案第174号 調停について

38 議案第175号 調停について

39 議案第176号 平成30年度福岡市一般会計予算の補正に関する専決処分について

40 議案第177号 平成30年度福岡市市債管理特別会計予算の補正に関する専決処分について

41 議案第178号 南部工場解体工事請負契約の一部変更に関する専決処分について

42 議案第179号 平成29年度公営住宅(下山門住宅その1地区)新築工事請負契約の一部変更に関する専決処分について

43 議員提出議案第2号 福岡市観光振興条例案

44 議員提出議案第3号 労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に関する条例案


本日の会議に付した事件

1.日程第1

2.日程第2ないし日程第44


出 席 議 員 (61名)

1番  鬼 塚 昌 宏       2番  堤 田   寛

3番  調   崇 史       4番  津 田 信太郎

5番  大 森 一 馬       6番  大 原 弥寿男

7番  平 畑 雅 博       8番  打 越 基 安

9番  冨 永 計 久      10番  森   英 鷹

11番  川 上 晋 平      12番  稲 員 稔 夫

13番  大 坪 真由美      14番  中 島まさひろ

15番  川 上 陽 平      16番  古 川 清 文

17番  高 木 勝 利      18番  篠 原 達 也

19番  飯 盛 利 康      20番  今 林ひであき

21番  阿 部 真之助      22番  尾 花 康 広

23番  松 野   隆      24番  楠   正 信

25番  福 田 まもる      26番  南 原   茂

27番  おばた 久 弥      28番  光 安   力

29番  山 口 剛 司      30番  石 田 正 明

31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹

33番  新 村 まさる      34番   欠   員

35番  天 野 こ う      36番  橋 田 和 義

37番  堀 内 徹 夫      38番  とみなが正 博

39番  森   あや子      40番  浜 崎 太 郎

41番  綿 貫 英 彦      42番  熊 谷 敦 子

43番  倉 元 達 朗      44番  富 永 周 行

45番  荒 木 龍 昇      46番  国 分 徳 彦

47番  笠   康 雄      48番  藤 本 顕 憲

49番  星 野 美恵子      50番  中 山 郁 美

51番  ひえじま俊 和      52番  高 山 博 光

53番  近 藤 里 美      54番  田 中しんすけ

55番  落 石 俊 則      56番  田 中 丈太郎

57番  太 田 英 二      58番  池 田 良 子

59番  川 口   浩      60番  阿 部 正 剛

61番  栃 木 義 博      62番  江 藤 博 美


欠 席 議 員 (0名)


説明のため出席した者

市       長   島 宗一郎     副市長  貞 刈 厚 仁

副  市  長  中 園 政 直       副市長  荒 瀬 泰 子

水道事業管理者  清 森 俊 彦     交通事業管理者  阿 部   亨

総務企画局長  光 山 裕 朗       財政局長  則 松 和 哉

市民局長  下 川 祥 二          こども未来局長  小野田 勝 則

保健福祉局長  永 渕 英 洋       環境局長  吉 村 隆 一

経済観光文化局長   島   収     農林水産局長  細 川 浩 行

住宅都市局長  石 橋 正 信       道路下水道局長  三 角 正 文

港湾空港局長  中 村 貴 久       消防局長  山 下 周 成

会計管理者  水 町 博 之         教育長  星 子 明 夫

教育委員  木 本 香 苗          選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子

人事委員会事務局長  小 西 眞 弓   監査事務局長  落 石 稔 彦


職務のため出席した事務局職員

議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史

議事課長   着 一 孝      議事係長  中 村   博

外関係職員


議長(川上晋平) 開会に先立ち、このたびの平成30年7月豪雨災害により被災された方々に対し、衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い救済と復旧を念願するものであります。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと思います。一同御起立願います。──黙祷

      〔総員起立、黙祷〕

 

 黙祷を終わります。一同御着席ください。

 次に、地球温暖化防止に向けた夏の省エネルギー対策として、冷房設定温度が28度になっておりますので、今会期中、上着並びにネクタイの着用をしなくてもよいことにいたしております。

 

午前10時2分 開会  

議長(川上晋平) ただいまから平成30年第4回福岡市議会定例会を開会いたします。

 これより本日の会議を開きます。

 会議録署名議員に古川清文議員、荒木龍昇議員を指名いたします。

 日程に入るに先立ち、この際、報告いたします。

 まず、市長から別紙報告書類一覧表に記載の書類が提出されましたので、その写しを去る8月30日お手元に送付いたしておきました。

 次に、教育委員会から地方教育行政の組織及び運営に関する法律の規定に基づき、教育委員会の事務の管理及び執行の状況に関する点検・評価報告書が提出されましたので、その写しをお手元に送付いたしておきました。

 次に、人事委員会から地方公務員法の規定に基づき、職員の給与等に関する報告及び勧告が提出されましたので、その写しをお手元に送付いたしておきました。

 次に、地方自治法第100条第13項及び会議規則第125条第2項の規定により、お手元に配付いたしております議員派遣報告一覧表のとおり議長において議員の派遣を決定いたしておきました。

 また、平成30年第3回定例会で議決いたしました議員の派遣について、お手元に配付いたしております議員派遣変更報告一覧表のとおり議長において変更を決定いたしておきました。

 以上で報告を終わります。

 これより日程に入ります。

 日程第1、会期決定の件を議題といたします。

 お諮りいたします。

 今期定例会の会期は、本日から9月14日までの9日間といたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

議長(川上晋平) 御異議なしと認めます。よって、会期は9日間と決定いたしました。

 次に、日程第2ないし日程第44、以上43件を一括して議題といたします。

 この際、上程議案中、まず議案第139号ないし議案第179号、以上41件について市長から提案理由の説明を求めます。島市長。

 

市長(島宗一郎)登壇 最初に、提案の説明に入ります前に、平成30年7月豪雨による災害について一言申し上げさせていただきます。

 このたびの豪雨災害に被災されました皆様方には心よりお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになられた方々に対しまして、謹んで哀悼の意を表するものであります。

 福岡市におきましても多くの地域が被災しており、全力を挙げて復旧に取り組みますとともに、被災された他都市に対してもさまざまな支援を実施してまいりました。引き続き、被災地の一日も早い復旧、復興にしっかりと取り組んでまいります。議員各位を初め、市民の皆様方の御協力をお願い申し上げます。

 それでは、ただいま上程になりました議案41件について提案の趣旨を説明いたします。

 まず、予算案について説明いたします。

 今回の補正規模は一般会計39357万円の追加、特別会計184,582万円の追加、合計574,940万円の追加となっております。

 その主な内訳といたしましては、災害復旧事業として7億6,550万円の追加、国内示に伴う街路整備事業10900万円の追加、河川整備事業5億622万円の追加などとなっております。

 以上の歳入歳出予算の補正のほか、債務負担行為の補正といたしまして、文教施設災害復旧事業7億7,935万円の追加、消防航空隊庁舎建設工事6億1,357万円の追加などを行うものであります。

 次に、条例案について説明をいたします。

 老人いこいの家条例の改正案につきましては、百道老人いこいの家を新設するとともに、別府老人いこいの家を移転するものであります。

 建築関係手数料条例等の改正案につきましては、建築基準法の一部改正に伴い、建築物の敷地と道路との関係に関する認定等の事務に係る手数料の額を定める等の改正を行うものであります。

 公民館条例の改正案につきましては、百道公民館を移転するものであります。

 次に、一般議案について説明をいたします。

 まず、契約関係といたしまして、平成30年度公営住宅(城浜住宅)新築工事の請負契約を締結するための議案並びに以前の議会で議決をいただきました百道公民館・老人いこいの家及び百道小学校講堂兼体育館複合施設改築工事の請負契約について、賃金水準及び物価水準の上昇に伴い、契約価額を変更するための議案を提出いたしております。

 次に、財産の処分関係といたしまして、アイランドシティ地区埋立事業において造成した土地のうち、港湾関連用地を処分するための議案を提出いたしております。

 そのほかの一般議案といたしましては、固定資産税に係る家屋調査中の事故による損害賠償の額を決定するための議案及び福岡地方裁判所に係属中の河川改修工事に係る損害賠償請求調停事件について調停を成立させるための議案2件を提出いたしております。

 次に、専決処分をいたし、議会の御承認をいただく案件でありますが、まず、平成30年度福岡市一般会計及び市債管理特別会計予算の補正に関する専決処分については、平成30年7月豪雨により生じた公共施設などの被害について緊急に対策を講じることに伴い、予算の補正を行う必要があったものであります。

 また、南部工場解体工事請負契約及び平成29年度公営住宅(下山門住宅その1地区)新築工事請負契約の一部変更に関する専決処分については、契約の相手方である建設工事共同企業体からの構成員の脱退に伴い、契約の相手方を早急に変更する必要があったものであります。

 最後に、平成29年度決算につきましては、さきに監査委員の審査をお願いいたしておりましたところ、このほど審査が終わりましたので、全会計の決算について議会の認定をお願いするものであります。

 なお、モーターボート競走、下水道、水道及び工業用水道の各事業会計につきましては、決算の関連議案として利益の処分に関する議案をあわせて提出いたしております。

 以上で説明を終わります。よろしく御審議をお願いします。

 

議長(川上晋平) 次に、議員提出議案第2号について、松野隆議員から提案理由の説明を求めます。松野隆議員。

○23番(松野 隆)登壇 私は自由民主党福岡市議団、福岡市民クラブ、みらい・無所属の会、自民党新福岡及び公明党福岡市議団を代表いたしまして、本議会に上程されました議員提出議案第2号、福岡市観光振興条例案につきまして提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 まず、条例案の提案の趣旨を御説明させていただきます。

 福岡市における入り込み観光客数の推計は2012年から5年連続で過去最高を更新しており、2016年には初めて2,000万人を突破しております。また、訪日外国人旅行者数について、国は、明日の日本を支える観光ビジョンにおいて、2020年に4,000万人、2030年には6,000万人の目標を掲げており、今後も増加が見込まれております。

 古来よりアジアとの交流の窓口であり、近年、第3次産業が産業構造の9割を占める福岡市におきまして、観光振興による集客交流人口の増大は市のさらなる発展に不可欠であると考えております。観光振興のさらなる推進のためには、観光に関する産業の振興、受け入れ環境の整備などを通して旅行者に市の魅力を感じてもらい、福岡市を訪れたことに対する満足度を高めてもらう必要があります。また、これらの取り組みの推進に当たっては、市内の混雑、民泊の急速な広がりに対する不安などを含めた国内外からの旅行者の増加にまつわる市民生活上の課題の克服にもあわせて取り組み、旅行者と住民の双方にとって魅力あるまちづくりを行うことも必要であります。また、観光振興は本市経済全体の活性化と収益の向上につながるとともに、市民もその利益を享受することができます。

 以上を踏まえ、福岡市の観光振興に関する条例案を提案することといたしました。

 以上が提案の趣旨であります。

 次に、条例案の主な内容を御説明させていただきます。

 まず、本条例案の目的についてですが、市として観光振興に取り組むことにより、本市経済の健全な発展と市民生活の向上を目指すこととしております。

 次に、本条例案の目的を達成するための取り組みの指針である基本理念を規定するとともに、市の責務並びに市民及び事業者の役割を定めております。

 次に、市の経済の健全な発展と市民生活の向上を目指すために市が実施する施策として、観光産業の振興、受け入れ環境の整備、観光資源の魅力の増進等、MICEの振興、持続可能な観光の振興の5つを定めるとともに、これら5つの施策を実施するための財源確保策として宿泊税を創設することを定めております。なお、宿泊税の詳細な制度設計につきましては、別に条例で定めることとしております。

 その他、附則では本条例案は規則で定める日から施行することとしているほか、本条例案の施行後、5年ごとの見直し規定を定めております。

 以上が本条例案の概要となります。

 最後になりますが、平成14年、日本で初めて導入されました東京都の宿泊税を例に挙げますと、初年度の税収は半年間で約5億円でしたが、15年後の平成28年度には22億円超となっており、その間、宿泊者数は順調に増加し、その結果としての税収増は観光政策の安定財源として新たな環境整備や投資を生み、それらによる快適さや利便性の向上がさらなる旅行者の増加に寄与するという好循環を見せております。その後、大阪府でも宿泊税が導入され、京都市、金沢市、北海道倶知安町でも導入が予定されるなど、地元経済の発展に向け、産業振興の大きな柱として観光に注力する地域を中心に広がりつつありますが、その根底には一般財源から観光政策への安定した財源確保が困難となっているという現状があります。

 本市もこれまで観光政策へ毎年一般財源から多額の予算を投入し、今日の入り込み観光客数の成果につなげてまいりましたが、社会保障費の増嵩など、今後、一般財源からの事業費確保には限界もあります。より便利で快適かつ安全な環境整備による交流人口、宿泊者数の増加と、それによる経済活動の活発化を図りつつ、一方で、市民生活に与える交通渋滞の緩和など、観光と市民生活との調和を図るための財源として活用することで、同時に、限りある一般財源を市民生活にかかわる重要な課題にも、より有効活用できる効果があるものと確信いたします。

 したがいまして、本市において宿泊税を創設すること、そして、目に見える形でその貴重な財源を有効に活用することにより、旅行者、観光事業者を初めとする本市の産業、市民、全てにその利益を還元していく、そのことを強く望んでおります。本条例案が施行された暁には、いただいた税収がこのような成果につながるよう、また、目に見える形で使われるよう、議員として引き続き取り組んでいく所存であります。

 以上で説明を終わらせていただきます。議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

 

議長(川上晋平) 次に、議員提出議案第3号について、綿貫英彦議員から提案理由の説明を求めます。綿貫英彦議員。

○41番(綿貫英彦)登壇 皆さんおはようございます。提案に入ります前に、本日、北海道で震度6強の地震が発生しました。まだ全体像はわかりませんが、かなりの被害が出ている模様です。被災された皆様にお見舞い申し上げるとともに、関係各機関が救援、復興に全力を尽くされるよう求めるものであります。また、先日の西日本豪雨、台風21号につきましても、命を落とされた方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた皆様方にお見舞いを申し上げます。

 私は日本共産党福岡市議団を代表して、ただいま上程されました議員提出議案第3号、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に関する条例案について提案の趣旨を説明します。

 初めに、本条例案の概要について説明します。

 本条例案の目的についてですが、労働法令に違反している企業や不適切な労働環境にある企業、いわゆる労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶のための対策を推進し、市民の福祉の増進及び地域経済の健全な発展に寄与することを目的とするものであります。そして、この目的を達成するための取り組みの指針である基本理念を規定するとともに、市の責務並びに企業及び労働組合の役割を定めています。また、労働者の使い捨てが疑われる企業を根絶するための対策として、調査研究、啓発、相談体制の整備、顕彰、関係機関との協力等について定めるほか、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶のための審議会を置き、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に関する重要事項の調査、審議などをすることとしております。

 そのほか、本条例案は2019年4月1日から施行することとしております。

 続いて、本条例案を提案する理由について御説明します。

 福岡地区の労働者の使い捨てが疑われる企業として、厚生労働省が調査した企業44社のうち、違反が判明した企業は30社に上りました。私どもが弁護士や労働組合などにヒアリングした結果でも、月100時間を超える残業、パワハラ、セクハラ、試用期間の悪用、大手コンビニでの画一的な手法とも言えるノルマ、買い取り、一人体制、いわゆるワンオペの押しつけなど、福岡市内においても労働者の使い捨てが疑われる企業についての相談が相次いでいることがわかりました。また、共産党市議団の調査で、福岡市の学生がアルバイトする9割の職場で法令に定められた労働条件の書面での提示がない事実も明らかになり、この調査を受けて行われた福岡労働局の調査でも同様の問題が明らかになりました。すなわち福岡市内で労働者の使い捨てが疑われる企業が市民生活に大きな被害を与えていることが明らかになったものであり、本条例案を提出するに至ったのであります。

 本市でこうした事態が生じた背景として挙げられる第1は、本市における非正規社員の増大です。福岡市内の正規の職員、従業員が2007年から2017年の10年間で約2万4,600人増加したのに対し、非正規労働者数は同じ期間で約5万9,600人増加し、2.5倍の増加率となっています。非正規化の圧力は正社員のサービス残業や使い捨てを起きやすくする原因ともなっています。背景の第2は、ワークルールに関する理解が進んでいないからであります。行政や民間団体による学生や労働者を対象にしたワークルールに関するアンケート調査によれば、ワークルールに関する基本的事項についてすら知らない人の割合が高いという結果が出ています。日本共産党福岡市議団による専門家へのヒアリングでも、労使双方にワークルールの知識や理解があれば防げたという事案が少なからずありました。したがって、不安定雇用や労使紛争が増加する中で、本市が教育活動や広報活動等を通じて労働法令に関する知識の重要性について市民の自覚を促し、これに対する市民の関心と理解を深めるように対策を講じる必要が高まっています。背景の第3は、起業、スタートアップに伴う問題です。福岡市の開業率は10.3%であり、全国平均の6.5%と比較しても高く、2009年7月から2016年6月にかけて福岡市で新設された事業所は7,811社、従業員数は8万7,087人に上っています。ベンチャー企業では仲間感覚で出発しつつ、労使関係や労働条件が不透明になる問題が指摘されており、労使間紛争の一因ともなっています。

 最後に、本条例制定の意義について御説明いたします。

 私どもの聞き取り調査や研究の中で明らかになったことは、使い捨てが疑われる企業の被害とは、単なる法令違反の問題にとどまらず、労働者、若者の一生がかかった重大な問題だということです。聞き取り調査の中で、鬱などにさせられ、その後、長い後遺症に苦しめられ、働けなくなる、社会の入り口で人生をめちゃめちゃにされてしまい、時には過労死や自殺のように命まで奪われてしまうことがある事例を知りました。同時に、この問題は労働者にとってだけの問題、一部の悪質な経営者だけの問題ではなく、地域経済の根幹にかかわる労使共通、社会を挙げて取り組むべき問題だということです。このような企業がはびこれば、ルールを守っている良心的な経営は価格、納期などの面で太刀打ちできなくなっていくとともに、労働者の使い捨てが疑われる企業によって良質な労働力が大量に破壊されていくことにもなり、健全な地域経済の根幹が壊されていくからであります。したがって、この条例とそれに基づく取り組みは、本市全体のいわばオール福岡市で合意できるようなものである必要があります。専門家からのヒアリングでも、全市を挙げての決意を条例の形であらわすことの世論への効果は大きく、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に重要な役割を果たすものだと指摘をされました。

 以上、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に関する条例案に議員各位の御賛同を心からお願いをいたしまして、私の提案趣旨の説明を終わります。

 

議長(川上晋平) これより質疑に入ります。

 発言通告者のうちから順次質疑を許します。田中しんすけ議員。

○54番(田中しんすけ)登壇 おはようございます。福岡市民クラブの田中しんすけであります。質問に入ります前に、本年7月に発生した西日本豪雨災害による被害の爪跡も癒えない中、本日未明には北海道南部を震源とした推定マグニチュード6.7、最大震度6強の地震により家屋倒壊や土砂崩れ等、広範囲にわたって被害が発生したとの報に接しました。この地震により道内全域にわたって停電が起こり、都心部では道路陥没の影響で地下鉄がストップ、小学校も休校となるなど、市民生活にも大きな影響が出ているとのことであります。被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げる次第であります。

 それでは、質問に入ります。

 私は議員提出議案第2号、福岡市観光振興条例案について質問をさせていただきます。

 先ほどの趣旨説明をお伺いして、私といたしましては、福岡市のさらなる発展に資する非常に有意義な条例案ではないかと考えるところでありますが、この条例案に関する理解を深めるべく、提案議員に対して質問をさせていただきます。

 まず、福岡市観光振興条例案について、改めて提案に至った理由及び目的をお尋ねいたします。

 次に、この条例の制定によって福岡市へ来訪した旅行者、市民及び事業者はどのような利益を享受するのかについてお尋ねをいたします。

 1問目の最後に、この条例の第4条には市民の役割を、また、第5条には事業者の役割を規定されていますが、このようにあらゆる市民及び事業者について役割を規定した理由及び役割の具体的な内容についてお尋ねをいたします。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問をさせていただきます。

 

議長(川上晋平) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 提出者を代表いたしまして、田中しんすけ議員の御質問にお答えいたします。

 まず、条例案提案に至った理由及び目的についてですが、観光振興の側面と財源確保の側面から提案に至りました。

 観光振興の側面からについて、先ほどの松野議員の提案理由説明にもありましたように、観光振興による集客交流人口の増大は市のさらなる発展に不可欠であると考えておりますが、一方で、旅行者増加による市民生活上の課題も生じており、今後も観光客の増加が想定される中、市民生活との調和に配慮した旅行者の受け入れ体制の整備は早急に行う必要があります。

 次に、財源確保の側面からについて、本市においても少子・高齢化の進展などによる社会保障関係費の増加、公共施設などの改修や修繕などに係る財政需要の増大が見込まれ、新たな投資に回すことができる予算は限られております。これまでも観光振興の重要性は認識してきたところではありますが、残念ながら観光振興に係る予算は近年、減少傾向になっているところでございます。したがいまして、本市経済の健全な発展及び市民生活の向上に寄与する観光振興を着実に推進していくためには、今回、この条例でしっかりと財源確保策を講じた上で観光振興策について定める必要があるという判断に至ったものであり、御理解をお願いしたいと考えております。

 次に、旅行者、市民及び事業者が享受する利益についてですが、観光振興に向けた基本理念、施策、財源確保策を明確に定め、着実に事業を推進することで、旅行者にとっては、より安心して安全かつ快適に福岡市の魅力を楽しんでもらうことができると考えております。また、市民にとっては、市外からの訪問者が増加しても快適な市民生活が確保できるとともに、地域経済の活性化による利益を享受できると考えております。また、事業者にとっては、集客交流の増大及び幅広な産業への好影響が見込まれ、本市経済の活性化につながると考えております。

 次に、市民及び事業者の役割に関する規定を設けた理由についてですが、観光振興は国際コンベンション開催時におけるボランティアや、飲食施設等による多言語メニュー対応など、これまでも市民や事業者と市が協力する形で実施されてきましたが、この条例で定める目的を達成するためには引き続き市民や事業者の協力が不可欠であるとの考えのもと、この規定を設けました。

 この規定の内容としては、両者ともに観光振興に御理解をいただくとともに、市民は日々の生活、生活事業者は事業活動の中で市の施策に接することがあれば、これまでと同様に、必要な範囲で御協力をお願いするものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 田中しんすけ議員。

○54番(田中しんすけ) 丁寧な御答弁をありがとうございました。

 2問目から引き続き、この条例案の案文の中身について、るるお尋ねをしてまいります。

 この条例の第6条から第10条にかけては市が取り組むべき施策について規定されているとともに、第11条には財源確保策について規定されているものと理解をしております。そのことに関連して、5つの点を質問させていただきたいと思います。

 まず、福岡市の現状についてでありますけれども、これは理事者にお尋ねをしたいと思います。

 現在においても福岡市では観光及びMICEの振興について取り組まれているものと認識しておりますが、主な取り組み状況について、経済観光文化局長にその概略をお尋ねいたします。

 あわせて、観光及びMICEの振興に関する過去3年間の当初予算額の推移及びその予算額に占める市費の割合について、理事者にお尋ねをいたします。

 2点目に、この条例の第6条から第10条にかけて規定されている市が取り組むべき施策について、提案者としては具体的にどのような施策が展開されることを想定しているのか、提案者となられた議員の方の意思をお尋ねいたします。

 3点目に、この条例の第11条には観光振興のための財源確保策として宿泊税を課すると規定をされておりますが、なぜ新たな税を創設する必要があるのかについてお尋ねをいたします。

 あわせて、税以外の財源確保策及び宿泊税以外の徴税手段について検討がなされたのかについても、お尋ねをいたします。

 4点目に、観光振興及び財源の確保に当たっては関係者の理解及び協力が不可欠であると考えております。関係者への説明及び意見交換は行ったのかについてお尋ねをいたします。

 最後になりますが、福岡県においても県内の観光振興に必要な施策や財源の確保策などに関する検討が行われていると聞いております。そのような中で、福岡市が独自に課税する意義についてお尋ねをいたします。

 以上で2問目を終わります。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 観光・MICEに関する主な取り組みについてお答えをいたします。

 福岡市は海外への積極的な福岡ブランドの発信や多様なクルーズ船の誘致のほか、外国人観光客の受け入れ環境の充実や歴史、文化、自然などの地域資源を生かした魅力づくりに取り組むとともに、戦略的なMICE誘致や施設整備に取り組んでおります。

観光・MICEに関する過去3年間の当初予算の額と、そこには国の予算等も入っておりますので、その予算額に占める市費の割合をそれぞれ申し上げますと、平成28年度は約236,000万円で、市費の割合は約91%、29年度は約225,000万円で、市費の割合は約90%、30年度は約221,000万円で、市費の割合は約90%となっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 想定している具体的な施策についてお答えいたします。

 まず、第6条の観光産業の振興に関する具体例ですが、観光関連産業における経営人材の育成や飲食、サービス業においてゲストをおもてなしするスタッフの充実などの観光産業の人材確保、育成、キャッシュレス化の推進、IoT活用の推進を想定しています。

 次に、第7条の受け入れ環境の整備に関する具体例ですが、観光施設等における多言語表記、トイレの洋式化などの海外からの旅行者対応、市内の回遊性向上を想定しています。

 次に、第8条の観光資源の魅力の増進などに関する具体例ですが、アジアとの交流などにより培われた福岡市の歴史や伝統文化、風光明媚な自然など、地域資源を生かした魅力づくりや都市のエンターテインメント機能の充実を想定しています。

 次に、第9条のMICEの振興に関する具体例ですが、本市のプレゼンス向上に資するようなMICEを戦略的に誘致できるよう、組織の整備や人材の確保を行うことや新たなユニークベニューの開発促進、スポーツMICEの振興などを想定しています。

 最後に、第10条の持続可能な観光の振興に関する具体例ですが、違法民泊対策を含む健全な民泊の普及や旅行者への良質な宿泊施設の情報提供、旅行者増加による市民生活への影響緩和など、市民及び旅行者の安心、安全の確保のための取り組みが挙げられます。

 次に、新たな税を創設する必要性についてお答えいたします。

 福岡市にとって観光振興は都市の経済成長や市民生活の向上に重要であると考えておりますが、そのような中、近年の外国人の入国者数やクルーズ船寄港回数、国際会議開催件数の増加に伴い、観光、ビジネス客の受け入れ環境整備や市民生活への影響などの課題が生じております。これらの課題への対応など、観光に関する新たな行政需要は増加傾向にあり、これに適切に対応していくためには必要な財源を新たに、かつ安定的に確保していく必要があり、その方策について検討を行いました。

 新たな財源確保策については、受益と負担の関係及び安定的な財源確保等の観点から、有識者の意見や負担金、分担金、寄附金といった税以外の財源確保手段、静岡県熱海市における別荘等所有税や太宰府市の歴史と文化の環境税などの他都市の状況なども踏まえて慎重に検討し、宿泊税の導入が適当という結論に至りました。

 次に、関係者への説明及び意見交換の状況についてお答えいたします。

 宿泊事業者の御協力は宿泊税創設に際して不可欠になると考えていることから、複数の宿泊事業者団体との意見交換をそれぞれ複数回にわたり実施いたしました。また、観光産業や地域経済、税制に関する複数の有識者から意見聴取を実施いたしました。また、条例案の提案に際しては意見交換及び意見聴取で得た意見を踏まえ、検討してまいった次第でございます。

 福岡市で独自に課税する意義についてお答えいたします。

 福岡市は古来より大陸との交流窓口及び外交、貿易の拠点として世界とつながってきた国際交流都市であり、また、現在でも福岡空港や博多港、JR博多駅が立地する陸、海、空の玄関口として、国内外から九州を訪問する多くの観光客やビジネス客などを受け入れるゲートウェイ都市と言えます。このようなポテンシャルと九州の中枢都市としての役割を認識し、福岡市ではこれまで九州各地の情報発信や宿泊機能の供給、MICEの振興などに積極的に取り組んできました。今後も九州のゲートウェイ都市として、また、旅行者や市民に最も身近な基礎自治体として、市民生活にも配慮しつつ、観光施策を効果的に推進していく必要があり、福岡市における宿泊税導入が必要であると考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 田中しんすけ議員。

○54番(田中しんすけ) お答えをいただき、ありがとうございます。

 3問目です。最後に、条例案が可決された場合において、条例案の提出者である議員及び条例に基づく施策を執行する立場にある理事者から御所見をお聞かせいただきたいと思います。

 この条例案が可決された場合、条例案の施行に向け、宿泊税の制度設計の詳細に関する検討が行われるとともに、具体的な施策の内容に関する検討がなされるものと考えております。

 そこで、この条例案が可決された後、この条例を受けて実施される、福岡市における今後の観光振興について提案議員及び理事者の御所見を求めたいと思います。

 最後になりますが、福岡市の持続可能な発展を目指して検討を重ねられた提案議員の皆様に敬意を表しまして、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 今回、宿泊税という形で市内に宿泊される旅行者の方からも一部御負担をお願いすることといたしました。この宿泊税の創設を市民、旅行者、事業者の方などに御納得いただくためには、いただいた税収をどのように使わせていただくか、すなわち使途、使い道が最も重要であると考えております。我々提案議員は福岡市の観光等を取り巻く環境には、急増するインバウンドの方々などのための多言語対応や国内外の旅行者の方にもっとわかりやすいインフォメーションセンターの充実、交通渋滞対策、福岡市のプレゼンスを向上させるようなMICEの誘致、急増する民泊への対策など、まだまだ多くの課題があると認識しており、これらの課題に対し、しっかりと明確に対応する、すなわち税収を目に見える形で還元することが必須であると考えております。

 我々がお知恵を頂戴したJTB総研の山下氏は、旅行者にとって便利で安全で快適な都市は、住んでいる市民にとっても便利で安全で快適であると述べておられました。私どもはこの御指摘に深く共感したところでございまして、我々が目指す観光振興のあり方が示されたものだと考えております。そのためにも提案者としては、旅行者、市民、事業者などにこの条例の成果を実感してもらい、この条例の目的を達成できるよう、議会、議員の立場から、今後とも、しっかり観光振興に取り組んでいく所存であります。

 また、この条例案は本市として極めて重要な課題である安定的な財源を確保した上での観光振興にスピード感を持って対処するため、最善の方策をとるとの一念で提案をさせていただいたものですが、島市長を初め、執行部の皆様にも我々の提案を受けとめていただき、この条例の施行に向け、しっかり取り組んでいただくよう強く期待して、答弁といたしたいと思います。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 貞刈副市長。

副市長(貞刈厚仁) 宿泊税の導入に係る市の考えについてのお尋ねですが、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者をふやし、消費をふやすことが経済の活性化につながることから、観光・MICEの振興に積極的に取り組んできたところでございます。アジアのゲートウェイ都市を目指してきた福岡市にとって、交流人口の拡大を図る観光振興は福岡市の重要な施策であると考えております。近年、外国人観光客はショッピングのみならず、その土地ならではの体験や交流を求めるなど、そのニーズが多様化してきております。これまで大陸との交流で培われた本市の伝統文化や各種エンターテインメントなどのさらなる魅力向上のほか、都市の知名度向上のためのMICE誘致の強化など、取り組むべき課題は多く、これらの対応に係る財源の確保が重要であると認識しております。

 今回の議員提案により宿泊税の導入が明記された福岡市観光振興条例が提案されておりますが、新たな税の導入については、その目的や必要性、使途などを明確にし、納税者や関係者の理解も得るなど、慎重に検討する必要があると認識しております。福岡市としては、提案の趣旨、審議内容及びその結果などを踏まえて、観光・MICEの振興にしっかり取り組んでまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 堀内徹夫議員。

○37番(堀内徹夫)登壇 おはようございます。私は日本共産党市議団を代表して、議案第164号、一般会計補正予算案中、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議準備経費の追加、7月豪雨災害復旧事業及び小中学校のコンクリートブロック塀改修工事について質疑を行います。

 質問の第1は、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議準備経費の追加についてです。

 G20財相会合の開催について、3月議会での我が党、中山議員の質問では、開催は市民と議会にも諮らずに一方的に決めたもので、市民生活にも財政面にも大きな負担と混乱をもたらすことが明確になりました。私は引き続きこの問題についてただしてまいります。

 1点目は、補正予算案の6,920万円についてです。

 18年前のG8九州・沖縄サミットのときは、道路整備や施設整備費に14億円を初め、189,000万円もの予算が組まれました。ところが、今回は随分と予算額が低く見積もられています。

 お尋ねいたしますが、今回のG20財相会合は今回の補正予算だけではとても済むものではないと思いますが、答弁を求めます。

 あわせて、G20財相会合関連の本市負担の事業費総額は最終的に幾らになるのか、答弁を求めます。

 2点目は、警備体制などによる市民生活への影響についてです。

 18年前は会議当日と前日の3日間にわたって厳重な警備体制が市内でとられ、検問や物々しい警備で市民は移動の自由も制約を受けました。また、都市高速や会場周辺の一般道路の通行が規制され、空港や駅などでの厳重な警戒、テロ防止のためとしてトイレやコインロッカーの使用禁止から、マンホールのチェックなどが県警を中心に行われました。18年前のG8の後、2001年には9.11同時多発テロが起き、その後、テロが世界的に拡大するなど、世界情勢は大きく変わっており、警備の体制は前回以上に求められることは必至です。

 そこで、お尋ねいたしますが、今回のG20財相会合では、18年前のG8九州・沖縄サミット以上の制約が行われ、市民生活が混乱するのではないですか。明確な答弁を求めます。

 3点目は、市民へのイベント動員についてです。

 補正予算では1,700万円もの委託料を計上し、セミナーやイベントを行うとされております。18年前のG8九州・沖縄サミットのときはシンポジウムや花いっぱい運動、餅つき大会などのイベントへの参加を自治協議会や企業などに強く要請していました。

 そこで、お尋ねいたしますが、今回も市民は前回のG8のとき以上にイベントなどに地域や団体、企業が動員されるのではありませんか。答弁を求めます。

 質問の第2は、7月豪雨災害復旧事業についての補正予算7億6,550万円と債務負担行為補正の7億7,935万円の計154,485万円についてです。私が把握している市民の被害からすると、必要と考える経費のうち、今回の補正額に含まれていないものがあります。その点についてただしてまいります。

 1点目は、南区源蔵池の問題についてです。

 ここでは大雨の影響で十数軒の宅地の一部である池ののり面が崩落し、今日に至るまで2カ月間、いまだに避難指示が解除されていません。しかし、今回の補正予算にはこの源蔵池に対する対策予算はありません。今回の大雨で民有地ののり面が崩落したところは、市がこれまで護岸工事を行っていない部分です。ここに護岸ができていないことには、自力でののり面復旧も進まないのです。だから、被害者と町内会は市が護岸をつくってほしいと8月23日に局長に陳情書を提出されています。

 そこで、お尋ねいたしますが、今回、宅地の一部が崩落した原因と市の責任についてどのように考えているのですか、答弁を求めます。

 また、これまでは源蔵池に関して大雨による災害復旧のために市が護岸をつくってきたのに、今回はなぜすぐにやろうとしないのですか、明確な答弁を求めます。

 2点目は、西区西陵中学校のグラウンドの一部と擁壁の崩落についてです。

 ここでは集中豪雨でグラウンドと擁壁が壊れ、目の前の2軒の屋内まで土砂が流れ込み、2軒ともいまだに住めない状態になっています。この土砂に誰も巻き込まれなかったから人災にはなっていませんが、人の命が犠牲になったかもしれない大規模な土砂災害です。今回の補正予算にはグラウンドの崩壊などへの対応として8億9,250万円が計上されていますが、この被害を受けた民家に対する補償は全くありません。

 そこで、お尋ねいたしますが、市として西陵中学校のグラウンド崩壊はなぜ起きたと考えているのですか。また、市は加害者として被害を受けた住宅への原状回復と補償をどのように考えているのですか。答弁を求めます。

 3点目は、高台にある早良区脇山中公園の擁壁が崩落した被害についてです。

 ここでは公園の土砂と階段が崩れ落ち、下にある民家のブロック塀がなぎ倒され、倉庫の壁に大きな穴があき、庭は土砂で埋もれ、車2台も使用不能となりました。補正予算に公園の改修費5,500万円はありますが、被害者への補償は全くありません。

 そこで、お尋ねいたしますが、市としてこの崩壊事故はなぜ起きたと考えているのですか。また、市は加害者として被害を受けた住宅への原状回復と補償をどのように考えているのですか。答弁を求めます。

 質問の第3は、小中学校のコンクリートブロック塀改修工事の23校の追加1億7,5357,000円についてです。

 6月の大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒れ、小学生が下敷きになり亡くなるという痛ましい事故が起きました。日本共産党福岡市議団は6月28日、島市長に市立学校内で建築基準法の規定に適合していないブロック塀を緊急に除却、もしくは適合の対策をとることを申し入れ、本市は大阪地震後の調査で87校でのブロック塀に疑義があるとして調査をしてきました。

 そこで、お尋ねいたしますが、この補正予算によって改修される23校以外は安全なのですか、答弁を求めます。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 光山総務企画局長。

総務企画局長(光山裕朗) G20福岡推進事業に係る補正予算についてお答えいたします。

 G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議につきましては、日本が議長国となって開催される会議であり、その会議自体の開催経費につきましては国が負担するものでございます。開催都市として選定された福岡市におきましては、会議の準備や支援、参加者などのおもてなしや歓迎、さらには機運の醸成に資する事業を実施することとしており、今回の補正予算は、これらのうち2018年度に実施する事業に係る経費、また、2019年度に実施する事業の準備に係る経費についてお諮りするものでございます。

 次に、G20福岡推進事業に係る経費の総額につきましては、現在、2019年度に実施します事業の詳細を検討いたしているところでございまして、今後、財務省や福岡県警察などの関係機関と協議をしながら、必要となります事業及びその経費を精査した上で議会にお諮りしてまいりたいと考えております。

 次に、市民生活への影響につきましては、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議は、現在、主催者でございます財務省及び日本銀行において会議の内容や運営方法、参加国の調整など、実施の詳細について検討がなされているところでございます。したがいまして、市民生活への影響につきましては、それらが決定されるまで具体的にははかりかねるところでございますが、会場や宿泊施設の周辺において立入規制や交通規制などが想定されることから、その周辺にお住まいの皆様を初め、市民の皆様に対しまして交通規制の内容などを事前に十分に御説明し、御協力をお願いしたいと考えております。このため、会場がヒルトン福岡シーホークに決まりました2018年6月末以降、近隣校区の自治協議会会長や医療機関、商業施設などを直接訪問させていただき、まずは警備による交通規制等の影響が想定されることなどをお伝えさせていただいております。また、7月には関係行政機関や運輸等の業界団体、公共交通機関の事業者などで構成されます交通総量抑制連絡協議会を設置し、会議開催当日における交通混雑の緩和策を検討いたしているところでございます。今後とも、関係機関と連携しながら、市民生活への影響ができるだけ少なくなるよう努めてまいります。

 次に、市民の皆様の関連イベントへの参加などにつきましては、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の開催に当たり、まずは多くの市民の皆様に会議の意義を理解していただくことがまちを挙げての歓迎ムードの創出につながっていくものと考えております。また、会議に関連するテーマなどに興味のある市民の皆様にイベント等に御参加いただくことは、会議をより身近に感じていただき、金融、国際経済の動向や情勢などに関心を持っていただくよい機会になると考えております。このため、参加意欲のある市民の皆様にどのような形でかかわっていただくのがよいか、イベントなどの事業の詳細とあわせて検討を進めてまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 細川農林水産局長。

農林水産局長(細川浩行) 源蔵池周辺の住宅地被災の原因と市の責任についてはどのように考えているのかという御質問にお答えいたします。

 7月の豪雨による住宅地被災につきましては、源蔵池に隣接し、池より高所、高い地にある住宅用地ののり面が崩壊したものでございます。現在、当該住宅用地ののり面崩壊とため池との因果関係について地質調査専門のコンサルタントに委託し、地元の御協力をいただきながら調査を進めているところであります。その調査結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、災害復旧についてのお尋ねにつきましては、ため池の災害復旧事業は、ため池が被災し、池ののり面が崩壊した場合などに従前の効用を復旧するために必要な護岸整備等を行うものであり、源蔵池につきましては昭和40年代などに実施したものでございます。今回は源蔵池には雨水流入による直接の損壊はなく、ため池として必要な機能を維持できております。今後、地質調査専門のコンサルタントの調査結果を踏まえ、適切に対応してまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 豪雨災害復旧についてお答えいたします。

 まず、7月6日に起きました西陵中学校の擁壁崩落によりまして、市民や関係者の皆様、そして、議員の皆様方に大変御心配をおかけいたしましたことを心から深くおわびを申し上げます。また、被災家屋や道路の土砂撤去に関しましては、地域やボランティアの皆様から大変なお力添えを賜りまして心から感謝を申し上げます。

 お尋ねの災害原因につきましては、長時間にわたり多量の雨が降り、誘発されたものでございますが、地質の状況など、さまざまな要因が考えられることから、現在、地盤工学に詳しい学識経験者や設計コンサルタントの意見を聞きながら調査を行っているところでございます。

 次に、擁壁の一部が崩落したことにより流出した土砂が住宅などに流入した方などに対する原状回復につきましては、できるだけ速やかに敷地内や床下に流入し、堆積した土砂の撤去や清掃活動、石灰散布による消毒などを行ったところでございます。また、補償につきましては、被災された方々の御自宅を一軒一軒、課長級の職員が分担して訪問し、今回流失した土砂による被災に関係してお困りになっていることがないか、お伺いしているところでございます。家屋や自動車などに及ぼした損害につきましては、適切な補償を行うことを検討いたしております。

 引き続き、学校ブロック塀の改修についてお答えいたします。

 今回、改修を行うブロック塀につきましては通学路に面したブロック塀で、目視で既にひび割れなどの劣化が認められ、緊急性の高いものについて改修工事を行う予定としております。現在、専門家によるブロック塀の調査を行っており、その他のブロック塀につきましても、調査結果を踏まえ、順次対応を行ってまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 豪雨災害復旧に関する御質問にお答えいたします。

 まず、脇山中公園の擁壁が崩壊した原因につきましては、専門業者による調査を行っておりまして、現時点で記録的な大雨、擁壁周囲の地質、現行の基準に適合していない古い擁壁の形態であったことなど、複合的な要因により生じたものと推察されるとの報告を受けております。

 次に、被害を受けた住宅への原状回復と補償につきましては、被災後、直ちに流出していた土砂等の撤去に着手し、既に完了いたしております。補償につきましても、被害の内容や程度について確認した上で適切に対応してまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 堀内徹夫議員。

○37番(堀内徹夫) 最初に、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議準備経費の追加についてです。

 これだけの補正予算で済むのかに対して、今のところはわからない、総額を聞いてもわからないというようなお答えでした。幾らかかるかもわからないG20財相会合の福岡招致に島市長は手を挙げて受け入れ、議会で尋ねても幾らか答弁できない、こんな無責任なことがありますか。補正予算の7,000万円で済む話ではないでしょう。財政負担を少額に抑えて発表し、今後、小出しにしていくというこそくなやり方なのですか。補正予算の内訳を具体的に見てみますと、VIP70人の会議の歓迎レセプションとして、その企画委託費として900万円を計上していますね。その委託費は、2017年に横浜市で行われたアジア開発銀行年次総会の歓迎レセプションの委託費が900万円だったからだと総務企画局内で決裁されています。会議の性格も内容も違う、よその都市で開催された会議の企画委託費だけを参考にして、今回の企画予算をつけたのであります。いいかげんな積算ですよ。結局、昨年の横浜でもレセプションに当たって3,000万円近くの予算を組んでいるわけで、実際に行われるG20財相会合の本市主催レセプションは企画委託費の何十倍もかかる予算となるのではないですか。また、特設花壇の企画委託費として300万円も計上されていますが、会場内と周辺、それに空港に花壇をつくるものです。これもどんな規模でつくり、どれだけの費用がかかるか、わかりません。結局、次々と出てくるこれらの費用が雪だるま式に膨れ上がって、新年度予算にあらわれてきます。

 そこで、お尋ねいたしますが、この補正予算は2日間の国際会議を口実に莫大な税金を投入する入り口のものであり、実際のG20財相会合関連の本市の事業費総額は今回の補正予算案の何十倍にも膨れ上がるのではないですか、答弁を求めます。

 次に、市民生活の影響についてです。

 局長の答弁では、自動車の総量を抑制し、協力してもらい、交通渋滞を緩和する対策をするから大丈夫だと言われました。市民生活のことなんて考えていないでしょう。18年前の九州・沖縄サミット蔵相会議のときは5,000人の警備体制で、福岡空港と市内10のホテルから当時会場だった博物館まで、会議の当日と前日の3日間にわたり頻繁な交通規制が都市高速道路、渡辺通り、昭和通り、よかトピア通り周辺で行われ、市内の交通は大混乱いたしました。そのときの警備対象はVIP8人プラスアルファでしたが、今度のG20財相会合でのVIPは70名となり、国の数が2.5倍にふえるわけで、随行者と報道関係者も大幅にふえ、18年前の何倍もの対応が求められることになります。外出や移動の自粛を呼びかけられる市民は大変な大迷惑な話ですよ。例えば、中央区の福浜や地行浜、早良区の百道浜の住民の皆さんは、今でもヤフオクドームなどのイベントのたびに家から出られないと言われています。また、この秋には巨大商業施設も開業するわけで、不安がさらに大きくなっています。

 お尋ねいたしますが、市民は突然の通行どめなどにより、ふだんは通れる道が通れない、駅ではコインロッカーが使えない、観光客も右往左往することになるなどして、このような市民生活に幅広く悪影響を与えることは許されないと思いますが、答弁を求めます。

 さらに、あなた方の計画しているイベントの市民動員についても、意義を理解してもらって協力してもらう、自主的にやってもらうなどの趣旨の答弁をされました。補正予算では3回にもわたるセミナーの開催や歓迎行事などが計画されています。18年前には市民のおもてなしを示すものとして、地元の百道浜の住民の皆さんには餅つき大会までしてもらい、早良区、中央区、博多区の21校区の自治連合会には地域協力会なるものをつくり、事前イベント動員、花いっぱい運動、不審情報提供など、次々と無理やりの歓迎ムードとボランティア要請を行いました。事実上の強制動員だったんですよ。当然、不満の声があちこち上がったのでした。だから、今回は地元一丸となってと、自治協議会等7区会長会に協力要請をしていますね。つまり全ての自治会に協力せよと言っているわけですよ。ことし初めから、本来は自主性に任せられるべき地域の活動に、島市政のもとで一人一花運動が半ば強制的に押しつけられてきています。市民は嫌気が差していますよ。

 お尋ねいたしますが、G20財相会合の機運醸成について、自主的とかボランティアというのは、あくまで体裁にすぎず、これらのイベントは事実上の強制動員になると思いますが、御所見をお伺いいたします。

 次に、7月豪雨災害等に係る予算措置についてです。

 1点目の南区源蔵池の問題についてです。

 農水局長は住宅地ののり面の崩壊であり、コンサルに調査を依頼しているなどと言われました。何を言っていますか。歴史を知っていますか。源蔵池で過去に起きた土砂災害で、同様に民有地が崩れ、池に落ちたときに、市はちゃんとすぐに護岸工事をしていますよ。1971年に59.5メートルを施工、1980年には47メートルを施工、1985年には30メートルを施工した記録があり、過去3回、いずれも大雨による災害復旧工事として市がコンクリートブロック積み工を池の2カ所に分けて合計102メートルにわたって行っているんです。(パネル表示)これが源蔵池の地図です。赤いところが市が行った護岸工事です。こことここが市が護岸工事を行い、この間は護岸工事を行っていません。しかも、今回の水害では、この市の護岸工事は崩れずに、赤いところは崩れずに、護岸と護岸との間の民間の擁壁が壊れているのです。結局、対症療法的に水害が起きたところを、こことここを手直しした、そういったことによって、災害のときにのり面が壊れたところだけに市が護岸をつくった、それがのり面の強弱にばらつきが出て、弱い部分の民有地の擁壁を壊したのではないかというふうに住民は言っておられるわけであります。また、市の護岸がないところに民有地の擁壁を新たにつくるとすれば、また壊れるのではないかとの心配の声も上がっています。被災者の皆さんと町内会は財産区と民有地の境界に市の護岸を延長してくれと言っているんです。当たり前の要求ですよ。

 そこで、お尋ねいたしますが、市の過去の護岸工事を鑑みて、今回の水害についても、護岸のないところに市が責任を持って護岸をつくり、護岸の一体化をするべきではありませんか。答弁を求めます。

 いまだに住民に避難指示を出している行政として、その解決のために、今回の豪雨について国や県などとも相談して、あらゆる手段を活用すべきです。そこで、私から二つの点での提案を行います。1つは、農水省の災害復旧事業の活用です。これは降水量1日80ミリ以上の災害に適用されますから、福岡市内の農地、農業施設ならどこでも今回の豪雨で適用されます。民有地の擁壁崩落は、ため池ののり面であり、それが崩落する状況はため池の機能が損なわれます。そののり面補強のためには民間の擁壁の工事が必要であり、その基盤になる池側の護岸工事を行政として国と相談してやるべきではないですか。そのために使える事業として活用すべきです。もう1つは、農村地域防災減災事業というのもあります。これはため池が壊れていなくても、災害の未然防止を図るための長寿命化対策として活用できる事業です。また、農村地域でなくても福岡市において活用できるものと農水省は言っています。

 そこで、改めてお尋ねいたしますが、源蔵池への対応として、農水省の災害復旧事業や農村地域防災減災事業を活用して源蔵池の護岸工事を一気にやるべきではありませんか。答弁を求めます。

 3点目は、西区西陵中学校のグラウンド崩壊による民有地への土砂流入による被害の問題についてです。

 原因は調査中だと、補償も検討中と言われましたが、何を言っているんですか。明らかにあなた方の管理ミスで、あなた方が加害者なんですよ。本来、災害が発生したら、直ちにもとの生活に戻すことが基本です。今回は中学校の擁壁が壊れて市民に迷惑をかけているんだから、一にも二にもなく、まず補償を急いでするべきでしょう。しかし、あなた方がやっていることは、行政としてやるべきことをやっていません。大体市は災害直後、重機も入れてすぐにでも泥かきをしなければならなかったのに、教育委員会の職員にスコップを持たせ、ボランティアで泥出しをさせて、それを美談にしていますよね。おかしな話です。さらに、被害者に対しては全面的に補償して、もとの生活に戻すのが市の責務です。ところが、2カ月たっても話がほとんど進んでいない。さらに、かわりの住宅を市が提供しているが、そこでもいろいろと不自由な生活を強いられています。

 お尋ねいたしますが、被害者にはすぐにもとの生活に戻せるようにして、補償は直ちに行うべきであり、2カ月も待たせているのは遅過ぎるのではありませんか、答弁を求めます。

 次に、西陵中のグラウンドについてですが、水はけの悪さはかねてから指摘されており、擁壁の排水溝から水が出ているのを見たことがないという証言もあっています。また、晴れた日でも擁壁がぬれている部分があるとの指摘もあります。崩落したグラウンドは今後1年間、生徒が使えないと説明されており、体育の授業も、体育大会も、部活動もできない状況が続きます。現場からは何とかしてほしいと強い要望も上がっています。

 そこで、お尋ねいたしますが、西陵中のグラウンド使用については、西部運動公園などへのバスの借り上げによる送迎も含めて検討すべきだと思いますが、答弁を求めます。

 また、西陵中学校のような擁壁のある全ての学校について、直ちに調査すべきではありませんか、答弁を求めます。

 4点目は、脇山中公園についてです。

 ここについても、原因は調査中、補償も検討中ということです。崩れた小山は、もともと脇山小学校が建っていた場所です。地元の皆さんが昔から大切にされていた山です。しかし、晴れた日も水が階段のところから噴き出していたと地元の方は言っています。ここも西陵中と同じで、あなた方が加害者なんですよ。高台にある公園の擁壁ののり面が壊れて、下に住む被害者に迷惑をかけているんです。まず、補償を急いでするべきでしょう。しかしながら、2カ月間たった9月4日になって、やっと初めて説明に来ている。だから、こちらではいまだに補償の話は入り口にも立っていません。市長、あなたは現場を見に行っているんでしょう。所有していた車が2台潰され、使用不能になった、仕事をしないといけないからあなた方の対応を待っていられないと、結局、御自分の保険を使ってレンタカーを1台借りて、もう1台は修理されているんですよ。保険会社からは、等級が落ちて、今後数年間、年間の保険料が3万円上がると言われたそうですよ。土砂で埋まった間、お母さんにはデイサービスに避難してもらい、その分の支出もふえています。

 お尋ねいたしますが、被害者への補償は2カ月も待たせているのは遅過ぎであり、直ちに行うべきでありませんか、答弁を求めます。

 また、レンタカー代など、当座の余分な負担についても、すぐに支払うのは当たり前だと思いますが、答弁を求めます。

 質問の第3は、コンクリートブロック塀改修についてです。

 64校が専門家による調査中、急いですると言われましたが、残りの64校は今回の補正予算では全く対応をしていないということでしょう。そもそもブロック塀が危険だということは、死亡事故を起こした西方沖地震の最大の教訓だったはずであります。

 そこで、お尋ねいたしますが、学校ブロック塀について、補正予算での対応で危険なブロック塀を残したままというのは、おかしいのではないですか、答弁を求めます。

 また、学校の敷地だけがブロック塀が危険というわけではないですよ。福岡大学の調査によれば、福岡市内の通学路のブロック塀645カ所のうち、国の基準を満たしていなかったものは実に95%にも達しています。

 そこで、お尋ねいたしますが、通学路の民間のブロック塀についても特段の調査が必要だと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 以上で2問目を終わります。

 

議長(川上晋平) 光山総務企画局長。

総務企画局長(光山裕朗) G20福岡推進事業の補正予算についてお答えいたします。

 まず、G20福岡推進事業に係る経費の総額につきましては、現在、2019年度に実施します事業の詳細を検討しているところでございまして、今後、財務省や福岡県警察などの関係機関と協議をしながら、必要となります事業及びその経費を精査した上で議会にお諮りしてまいりたいと考えております。

 なお、2000年に開催されました九州・沖縄サミット福岡蔵相会合に関連して、福岡市が負担いたしました経費には会場となった博物館の改修や道路整備の経費として146,000万円余が計上されておりましたが、今回のG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議では道路などの施設整備は想定していないことから、予算規模といたしましては、九州・沖縄サミット福岡蔵相会合で負担した経費を大きく下回るものと考えております。

 次に、市民生活への影響についてのお尋ねでございますが、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議は、国際金融システム上、重要となります20カ国・地域から財務大臣や中央銀行総裁などが一堂に会し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長の達成に向けて、主要な国際経済、金融問題について議論されるもので、そもそも首脳会議に先駆けて開催されておりました世界的に注目度の高いハイレベルな国際会議でございます。

 福岡市といたしましては、このG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されますことは、福岡市の魅力を国内外に広く発信できる絶好の機会であるとともに、国際的なプレゼンスを向上させることで、今後のMICE誘致などにおきましてその効果が期待できるなど、大変意義のあるものと考えております。したがいまして、市民生活への影響ができるだけ少なくなるよう、引き続き関係機関とも連携しながら、交通対策などについて効果的な対策を検討してまいります。

 次に、機運醸成は事実上の強制動員ではないかというお尋ねでございますが、G20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議の開催に当たりましては、まずは多くの市民の皆様に会議の意義を理解していただくことがまちを挙げての歓迎ムードの創出につながっていくものと考えております。この会議の開催は、地元である福岡市への愛着やグローバル意識の向上などにつながることが期待できますとともに、会議に関連するテーマを市民や企業の皆様にわかりやすく発信していくことにより、特に学生や子どもたちなど、若い世代が金融、国際経済の動向や情勢などに関心を持ったり、自身の将来に思いをめぐらす機会にもなり得るのではないかと考えております。このため、意欲のある市民の皆様が多数参加できますセミナーの開催など、機運を醸成する事業につきまして今後検討を進めてまいります。さらには、G20という日本で初めて開催されます大規模で注目度の高い国際会議でございますので、何らかの形で市民の皆様に多文化交流を体験していただき、国際感覚を肌で感じていただけるような場も設けてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 細川農林水産局長。

農林水産局長(細川浩行) 源蔵池の護岸整備についての御質問にお答えいたします。

 ため池の災害復旧事業は、ため池が被災し、池ののり面が崩壊した場合などに従前の効用を復旧するために必要な護岸整備を行うものであり、源蔵池につきましては昭和40年代などに必要な部分について実施したものでございます。また、議員お尋ねのこの事業要件は、農林水産省の施設災害復旧事業でも同様の要件でございます。今回はため池には雨水流入による直接の損壊はなく、ため池として必要な機能を維持できております。現在、当該住宅用地ののり面崩壊とため池との因果関係について地質調査専門のコンサルタントに委託し、地元の御協力をいただきながら調査を進めているところであり、その調査結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、農林水産省の農村地域防災減災事業につきましては、同事業の実施要綱で、この事業の実施区域が農業振興地域の農用地区域内など限定されておりますので、市街化区域にある源蔵池につきましては、この事業の対象施設には該当しないものとなっております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 豪雨災害復旧についてお答えいたします。

 今回の擁壁の崩落により被災された方々に対しましては、課長級の職員が直接お会いして被災状況を確認し、関係書類の提出をお願いするなど、補償のために必要な作業を進めているところでございます。特に応急復旧に時間を要したことや住宅の被災の程度により、まだ御自宅に戻ることができていない被災者の方々に対しましては、担当する課長級の職員が連絡を密にとり、これまでお住まいに関する御要望等をお伺いし、できるだけの対応を行ってきたところでございます。また、現在、建築の専門家による調査を行い、家屋の補修や補償に向けた協議を進めているところでございます。今後、補償につきましては、被災された方々との協議を進め、金額を確定し、所定の手続を経てお支払いしたいと考えております。

 次に、西陵中学校の運動場使用につきましては、現在、運動場面積の4分の3程度は使用できる状況でございます。体育の授業は体育館を併用し、安全に配慮しながら実施をしております。部活動につきましても、安全に配慮しながら活動を実施しております。夏季休業中や土日の活動につきましては、ソフトテニス部は西陵小学校の運動場を、軟式野球部は西部運動公園を使用することがあり、西部運動公園の使用に当たっては使用料の減免を受けております。今後も生徒たちが安心して体育の授業や部活動に取り組むことができるよう努めてまいります。

 次に、擁壁の点検につきましては、3年ごとに専門家による法定点検を行っており、全ての学校の擁壁について、直近の法定点検では緊急に改修を要するとの報告はございませんでした。今後は今回の擁壁崩落を踏まえ、学校職員による日常的な管理のあり方について検討をしてまいります。

 引き続き、学校ブロック塀の改修についてお答えいたします。

 現在、専門家による調査中でございまして、調査の結果を踏まえ、順次必要に応じた改修を行ってまいります。

 なお、ブロック塀の安全確保につきましては、注意喚起や部分的な使用制限など、適切な対応を行うよう学校へ指示を行っております。

 次に、各学校により指定されている通学路の安全点検といたしましては、大阪北部地震の発生直後に小中学校の教職員が通学路に沿ったブロック塀の安全確認を行っております。その後、さらに専門家による通学路沿いのブロック塀の一斉調査を行っております。通学路に危険箇所がある場合は、その箇所を避けて登下校することや通学路の変更をするなどして、児童生徒の安全確保を行っております。以上です。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) 豪雨災害復旧に関する御質問にお答えいたします。

 脇山中公園の被害者への補償は直ちに行うべきとのおただしでございますが、現在、被災された方への聞き取り調査や補償額算定の手続を進めているところであります。今後、被災された方と協議し、議会にお諮りした上で被災状況を踏まえた適切な補償額の決定を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 堀内徹夫議員。

○37番(堀内徹夫) まず、G20財相会合についてです。

 総額についてはわからない、なるべく小さく見せかけようとしているのが見え見えです。市民生活の影響もわからないなどと言われました。一方で、市民の強制動員は押しつけてやることが局長の答弁でもはっきりしてきました。あなた方は福岡市をアピールすることになると経済効果について言及されるが、人と企業を呼び込むと称して異常な開発優先、財界奉仕を進めようとするのが今回のG20財相会合誘致の目的です。大体地方自治体の仕事として、果たしてG20財相会合を迎え入れることが大事なことなのですかね。地方自治法では「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする。」と定められています。住民の福祉増進どころか、大規模な税金投入と、市民には不安と動員をあおることしかありません。

 したがって、G20財相会合の補正予算は撤回するとともに、開催地を返上すべきだと思いますが、市長の答弁を求めます。

 次に、7月豪雨災害等に係る予算措置についてです。

 源蔵池については、局長はこれまで過去にはやっていたのに、今回については護岸を整備するとは言わない。大体あなた方は7月6日以来、この池の周辺の地域に危険性が高いということで避難指示をいまだに出されたままなんですよ。これを解消するためには護岸の整備がどうしても必要です。あなた方の責任で直ちに手を尽くすべきではないですか。それから、西陵中と脇山中公園については、さすがに市の責任はないとは言われないが、ぐずぐずと2カ月が経過しています。何はともあれ、もとの生活に戻すことを市が責任を持って行うことが当然なのです。

 そこで、島市長にお尋ねいたしますが、源蔵池の護岸を市として設置する、また、市が加害者である西陵中学校と脇山中公園の土砂による被害家屋に対しては早急に原状回復させるとともに、十分な補償を速やかに行い、加えて、この間、被害者が要した経費については全額補償すべきではありませんか。御所見をお伺いいたします。

 さらに、補正予算案について、豪雨災害の被害を受けた市民に対する援助を再度精査して抜本的に増額すべきではありませんか。答弁を求めます。

 最後に、学校ブロック塀についてです。

 教育長はいろいろ言われましたが、学校ブロック塀の問題は緊急性が求められていますし、市民も求めています。

 ブロック塀の対応は全ての対象校について一気にやるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 また、通学路のブロック塀の対応については曖昧な答弁をされました。学校だけにとどめず、市内の危険なブロック塀への対策を強める必要があります。そのためにも全ての危険なブロック塀の撤去とあわせて、ブロック塀等除却費補助事業を抜本的に使いやすいものにすることを求めます。現在の補助事業は著しいひび割れまたは傾きなどがある塀の除却のみに限られています。そのため利用が限られており、除却や対策は進んでいません。

 そこで、島市長にお尋ねいたしますが、通学路のブロック塀について、民間の所有物も含めて緊急の調査、点検を行うとともに、市のブロック塀等除却費補助事業は極めて不十分なので充実させるべきであり、そのための補正予算をつけるべきだと思いますが、答弁を求めます。

 同時に、通学路に特化した新たな補助制度を創設するための補正予算を組むべきだと思いますが、御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 細川農林水産局長。

農林水産局長(細川浩行) 源蔵池の護岸設置についての御質問にお答えいたします。

 現在、当該住宅用地ののり面崩壊とため池との因果関係について、地元の御協力をいただきながら専門家による調査を進めているところでございます。その調査結果を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 豪雨災害復旧についてお答えをいたします。

 被災された方々への補償につきましては、速やかに補償のために必要な作業を行い、被災された方々との協議を進め、所定の手続を経てお支払いしたいと考えております。

 引き続き、学校ブロック塀の改修についてお答えいたします。

 対象校の対応につきましては、高さ1.2メートルを超えて控え壁のないブロック塀のうち、隣接地の所有者との協議が必要となるなど、個別に検討を要するものがございます。今後、専門家の調査を踏まえ、全てのブロック塀について早期の改修に向け、取り組んでまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

住宅都市局長(石橋正信) まず、豪雨災害復旧に関する御質問にお答えいたします。

 脇山中公園の補償につきましては、繰り返しの答弁となりますが、速やかに補償額算定の手続を行い、被災された方と協議するなど、所定の手続を経て、被災状況を踏まえた適切な補償額を決定してまいりたいと考えております。

 次に、ブロック塀の改修に関する御質問にお答えいたします。

 福岡市のブロック塀の除去事業につきましては、福岡県西方沖地震を契機として、平成18年5月に福岡市ブロック塀等除却費補助事業制度を設けております。平成30年6月の大阪府北部地震を受け、自民党福岡市議団、公明党福岡市議団、みらい・無所属の会、自民党新福岡市議団からも制度拡充の御要望をいただいたところでございます。制度拡充の必要性につきましては十分認識しているところであり、他都市の状況も踏まえながら早急に対応してまいります。

 なお、6月から通学路におけるブロック塀の安全点検を行ったところであり、今後、所有者等に対して適正管理の依頼とあわせて、ブロック塀の除却費補助事業について周知することとしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 補正予算案の豪雨災害復旧に係る質問についてお答えをいたします。

 補正予算案を拡充すべきとのおただしでございますが、本議会に提出しております平成30年度一般会計補正予算案(第2号)につきましては、公共施設の復旧に必要となる予算を計上させていただいているところでございます。市民に対する補償等につきましては、現在、関係局において精査等を進めているところであり、今後とも、関係局からよく事情を聞きながら、必要となる予算の計上につきまして適切に対応してまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 福岡市は多くの市民の皆様とともに策定をした基本計画に基づき、福岡の成長を牽引する観光・MICEの推進に力を入れて取り組んでいるところでございます。今回、福岡市で開催されますG20福岡財務大臣・中央銀行総裁会議は、国際金融システム上、重要な国々の財務大臣や中央銀行総裁等が一堂に会し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長の達成に向けて、主要な国際経済、金融問題について議論をする世界的に注目度が高いハイレベルな国際会議であり、これまで以上に福岡市のプレゼンスを向上させ、さらなるMICEの推進につながる絶好の機会であるというふうに考えています。このため、開催都市として財務省を初めとする関係機関との連携を図り、市民生活への影響を最小限にとどめながら、会議の開催に万全を期すとともに、市民の皆様にG20の開催を歓迎していただき、また、開催してよかったと思っていただけるようにしっかりと取り組んでまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) この際、暫時休憩いたします。

 午後は1時10分に再開いたします。

午前 時 分 休憩  

午後1時10分 開議  

副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。星野美恵子議員。

○49番(星野美恵子)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、議案第178号、南部工場解体工事及び議案第179号、(下山門住宅その1地区)新築工事の請負契約の一部変更に関する専決処分についてに関し、質問いたします。

 本議案は、市発注の南部工場の解体と下山門の市営住宅の新設工事を受注し、施工していた西中洲樋口建設が本年5月21日、突然、県に廃業届を提出し、7月20日に本市へこれらの工事のJVから脱退するという届けとその承認願を提出したため、契約の相手方を変更する必要が生じ、専決処分を行ったという内容の議案です。

 そこで、質問の第1は、西中洲樋口建設の突然の廃業についてです。

 同社の代表取締役である横尾博氏が昨年5月に暴行事件を起こしたため、建設業法に抵触し、廃業せざるを得なくなったということですが、どのような事件だったのか、詳細についてお尋ねします。

 また、市の工事を受注中にもかかわらず、代表取締役自身がその工事を投げ出す原因をつくり、市に多大な迷惑をかけ、しかも、廃業したことすら法定期限内に発注元である本市に通知もしなかったことなどについて、市へ正式な謝罪があってしかるべきだと思いますが、いつ誰に対し、どのような形で行われたのか、答弁を求めます。

 あわせて、横尾氏が暴力事件を起こしたのは昨年5月です。建設業の代表として、当然、横尾氏は建設業法を熟知しておられるでしょうから、御自分が役員をしている建設会社は公の仕事の受注どころか、会社の存立すら危うくなる可能性があることを予想できたはずです。

 そこで、お尋ねしますが、暴力事件から今日までの間、同社は市と新たにどのような仕事の契約を行ったのか、答弁を求めます。

 さらに、建設業法は第1条の目的で建設業を営む者の資質の向上を図ることと、それにより発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もって公共の福祉の増進に寄与すると定めています。そして、その資質の確保のため、役員の欠格条項を定めるとともに、建設業に誠実性、つまり誠実な行いをすることを求めていますが、その理由をお尋ねします。

 質問の第2は、西中洲樋口建設への本市からの仕事の発注状況等についてです。

 今回、西中洲樋口建設からの脱退届が出され、議案となったのは、南部工場の解体と下山門住宅の新設の2つの工事ですが、実際には同社へ発注の市の関連工事はこれだけにとどまりません。市の施設整備公社が発注している人工島地区の小学校建設と福岡市立病院機構発注の旧こども病院解体工事、さらにPFI方式により同じく人工島に建設中の総合体育館もJVに西中洲樋口建設が入っています。これらの工事についても、今回の議案と同様に、JVの構成員あるいはSPCの株主から脱退したのか、答弁を求めます。

 2点目は、同社への市の発注件数についてです。

 福岡市では従来手持ち工事があれば、JVの代表企業としての入札には参加できませんでした。ところが、2014年中ごろから、手持ち工事があっても別のJVの代表として入札に参加し、JVの代表として2つの工事ができるように変更されました。なぜ長い慣例を変更したのか、その理由をお尋ねします。

 また、制度が変更された201412月から、先月、2018年7月までの44カ月の間の同社への市の具体的な発注状況について、公社や病院機構分を含めた実質の市の発注工事において西中洲樋口建設の手持ち工事の件数を月ごとに見て、受注が2件未満の月があったのか、また、3件の月は何カ月か、4件の月は何カ月か、お尋ねします。

 3点目は、西中洲樋口建設の脱退が実態を伴うのかという問題です。

 同社はことし5月21日に県に対して建設業許可を廃業する届けを出しましたが、翌日には代表取締役を変更し、同5月末には新たな建設業の許可を県に申請し、7月末には許可を得るなど、自社の存続だけに突き進む態度をあらわにしています。

 そこで、今回脱退した工事について同社が下請業者を動かすなどして実質的に利益を得たりすることはないのか、また、市がないと言うならその担保は何か、お尋ねします。

 質問の第3は、この問題での市の対応についてです。

 今回の専決処分に関して、市が出した継続中の工事請負契約の取り扱いに関する考え方では、2週間以内に通知しなかったことだけを問題にし、しかも、解除することが可能だと伝えただけです。それをきっかけに、西中洲樋口建設が自主的にJVからの脱退の意向を示したので、市としては、いわゆるおとがめなしという結果です。本来、代表取締役の暴力事件に端を発し、その後、それを隠したまま市の工事を続け、さらに新しい契約まで行い続け、それに加えて法定期限を超えての廃業通知なのです。これらの状況を見れば、同社が建設業を行う会社として信頼を置けない会社であることは明らかではありませんか。

 これら一連の経過と西中洲樋口建設の対応について市長はどう考えておられるのか、御所見をお伺いいたします。

 また、昨年5月の代表取締役が行った暴力事件の現場には、当時、島市長の私設秘書だった木村氏も同席していたことも伝えられていますが、事実はどうだったのか、調査はされたのか、市長にお尋ねします。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 工事請負契約の一部変更に関する専決処分についてお答えをいたします。

 まず、株式会社西中洲樋口建設に関する暴行事件につきましては、平成29年5月、当時の代表者が暴行事件を起こし、傷害罪により起訴され、平成30年1月に罰金刑が確定したものでございます。

 次に、株式会社西中洲樋口建設からの謝罪につきましては、平成30年6月25日、同社の専務取締役が財政局契約監理課を訪れ、福岡市に対して、廃業届提出の福岡市への報告が遅くなったことなどについて謝罪がなされております。

 次に、株式会社西中洲樋口建設との平成29年5月以降の契約につきましては、同社を含む建設工事共同企業体と福岡市との間におきまして、平成29年8月に青果部3市場(青果市場)施設解体工事その3、平成30年2月に平成29年度公営住宅(下山門住宅その1地区)新築工事、また、福岡市施設整備公社との間におきまして、平成2910月にアイランドシティ地区小学校(仮称)校舎棟新築工事、以上、計3件の工事請負契約を締結しております。

 次に、建設業法において許可要件として誠実性が求められている理由についてでございますが、建設業の営業は他の営業と異なり、注文生産であるため、その取引の開始から終了までに長い期日を要すること、また、前払いなどによる金銭の授受が習慣化していること等により、いわば信用を前提として行われるものであることからとされております。

 次に、アイランドシティ地区小学校(仮称)校舎棟新築工事の対応についてでございますが、発注者である福岡市施設整備公社におきまして、福岡市の取り扱いに準じ、7月25日付で建設工事共同企業体からの脱退手続を行っております。また、福岡市総合体育館整備運営事業におきましては、株式会社西中洲樋口建設は特別目的会社福岡照葉アリーナ株式会社の株主構成員であり、現在、株主からの脱退に向けて手続を進めていると聞いております。なお、旧福岡市こども病院解体工事は平成29年度に完了しております。

 次に、平成26年度途中に建築Aの手持ち要件を変更した理由についてでございますが、変更前は福岡市発注工事の手持ち要件を単体またはJVの代表者として参加する場合はゼロ件、JVの構成員として参加する場合は1件までとしておりました。しかしながら、この要件のもとでは最初に受注する工事が単体またはJVの代表者か構成員かによって業者の間で入札参加機会及び受注機会に不均衡が生じることから、JVの組成が難しく、入札不調となるおそれがございました。平成26年度に入り、発注件数が増加したことも相まって、実際に2件連続で入札不調が生じたことから、これを契機に業者の入札参加機会及び受注機会の均衡を図るとともに、不調対策を講じるため、手持ち要件を単体、JVの代表者または構成員にかかわらず、施工中工事が1件までであれば入札に参加できるように見直したものでございます。

 次に、平成2612月から平成30年8月までの月ごとの株式会社西中洲樋口建設の手持ち件数でございますが、月ごとに件数をお答えいたします。

 一般競争入札における建築工事及び解体工事の合計は、福岡市施設整備公社等による発注分も含めまして、平成2612月から平成27年7月までが3件、平成27年8月から10月までが2件、同年11月から平成28年3月までが3件、平成28年4月及び5月が2件、同年6月及び7月が3件、同年8月から12月までが4件、平成29年1月から3月までが3件、同年4月から7月までが2件、同年8月が3件、同じく9月が2件、同年10月及び11月が3件、同年12月から平成30年4月までが4件、平成30年5月から7月が3件となっております。

 次に、下請に入ることについてですが、本来、下請業者の選定につきましては民間企業の自由意思に基づき行われるものであり、株式会社西中洲樋口建設を下請から強制的に排除する権限は福岡市にはございませんが、これまでの同社との協議の中で、今回、JVから脱退する工事に同社が下請として参画することは望ましくないという市の考え方を伝えたところ、同社から下請に入らないとの意向が示されております。福岡市といたしましては、こうした意向を踏まえ、施工管理台帳等によりしっかり確認をしていきたいと考えております。

 なお、同社が脱退した工事に係る利益につきましては、建設工事共同企業体協定書第16条の規定により、脱退した構成員に対しては利益金の配当は行われないこととなっていることから、当該協定書に基づき適正に対処されるものと考えております。

 最後に、今回の事案につきましては、建設業の廃業届の提出により許可取り消し処分を受けたことについて、建設業法に定められた通知を期限内に発注者である福岡市に行わなかったことや福岡県に対して欠格要件に該当したことを同法の定める期間内に届け出をしなかった結果、新たな契約に至ったことなど、株式会社西中洲樋口建設の一連の行為は発注者である市との関係を大きく損なうもので、大変遺憾であると考えております。そのため、福岡市としては、競争入札有資格者名簿から抹消するとともに、継続中の3件の工事についてJV脱退という措置を講じたものでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 暴力事件があったときに当時の私の秘書がいたのではないかという御質問ですが、今回、本人に確認いたしましたが、そのような事実はございません。以上です。

 

副議長(石田正明) 星野美恵子議員。

○49番(星野美恵子) まず、事件の詳細について全く触れられませんでした。その暴力事件があったということまでは報告があっているんですよ。建設業法に基づき、会社が廃業にまでなり、本市の公共工事が続けられなくなり、そして、議会でこのように審議までしなければならないという公共工事に関する問題です。ボクシングの経験者である横尾前代表取締役が女性を殴打した事件だと言われています。女性は法的に訴え、横尾被告は何も争うことなく罰金刑が確定しています。自分より明らかに力の劣った人を殴打するなど、まさに人の命を軽んずる行為であり、このような人を建設会社の役員にしてはいけないというのが法の趣旨です。要は命の問題です。だからこそ、きちんと調査をし、建設業法に基づき厳しく対処することが公共工事の発注者の代表である市長、あなたに求められており、きちんと調査すべきだと思いますが、再度市長の御所見をお伺いします。

 建設業法の第1の目的は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護することです。逐条解説によれば、適正な施工を確保するとは、手抜き工事、粗雑疎漏工事等の不正工事を防止すること等としており、これにより契約の目的にかなった工事の完成が担保され、発注者を保護することになるとあります。だからこそ、建設業の役員を暴力事件を起こすなど命を軽んずるような人に任せてはいけないということが法により欠格要件として決められているのです。これは法の規定ですから、当然、企業の自覚や市への届け出の有無などに左右されるものではありません。特に代表取締役への暴力行為による罰金刑が確定した後は明確な法違反であり、少なくともその後結ばれた下山門住宅その1地区についての契約は無効だと思いますが、答弁を求めます。

 さらに、法は第7条で4つの許可要件を定めており、その一つが誠実性です。答弁されたように、建設業との関係というのは、信用が前提なんだということです。法は発注者と約束したことを誠実に履行する会社でならなければならないと定めているのです。この法に照らしてみれば、西中洲樋口建設はどうですか。昨年5月、代表取締役が女性に暴力を振るい、このときから役員の資格はありませんでしたが、それを隠したまま市と青果3市場の解体、人工島地区小学校の新築工事の新しい契約を結び、罰金刑が確定した後にも今回議案の下山門住宅新築工事の契約を締結したのです。それだけではありません。同社はことし5月21日、建設業者としての許可を県に返上し、いわゆる廃業をしました。建設業を営めなくなったんです。ところが、発注者である市に対して正規の手続をとることもなく、そのまま市の工事を続けてきたのです。そして、廃業から一月以上もたった6月25日に、やっと市へそのことを報告に来た。そこで、市は同社や県の調査を始め、弁護士も含めて、この問題をどう処理するかを話し合ったということです。謝罪もないんですよ。遅くなってごめんなさいという謝罪はあったけれども、こんな事件を起こして済みませんという謝罪は正式には何もないということです。そして、市は弁護士等とも話し合って、どう処理するかということで、結局、7月25日までにJVから脱退しなければ建設業法に基づき契約解除になるからと西中洲樋口建設を促して、7月20日に脱退届を出させたということです。

 お尋ねしますが、この間の経緯を見ると、西中洲樋口建設には建設業法が求める誠実性、信頼性が全くないと思いますが、御所見をお伺いします。

 また、この間の市の対処は同社の信頼性を高めるような反省を促すものではなく、まさに救済策を考え、促してやったということだと思いますが、答弁を求めます。

 次に、本市からの仕事の発注状況についてです。

 まず、2014年中ごろから手持ち工事があってもJVの代表企業の入札ができるように制度を変更した理由について、最終的に入札不調があり、業者が不足したためだというようなことを説明されましたが、もともとランク別の登録業者数は3年ごとに工事件数等を見直して市が決めているんです。入札参加業者を格付して点数順に並べて、ある年は工事件数がこれくらいだから建築Aのランクは30番目まで、3年後の見直し時には工事が多くなるから今回は40番目までなどと決めてきており、これまでこの予測数が大きく狂うことはなかったということです。開発をどんどんされる市長のもとで、工事がそのとき多かったのかもしれません。しかし、当時でいえば、2013年に登録数を決定したばかりです。わずか1年で長年の慣例を変えなければならないほど狂うことはなかったはずです。もし不調が続いたにしても、それはその年だけ何らかの対処策をとり、次の格付のときに工事数に合わせて登録業者数をふやせばよいだけの問題でした。ところが、市は制度を変更して、それ以降はずっと代表でも手持ち2件を可能にしたんです。それはまさに恣意的に建築Aランクの業者数を少なくして、特定の業者へ仕事が確実にダブっていくようにするために変更したということではありませんか、答弁を求めます。

 西中洲樋口建設の受注状況を見てみました。制度改定の恩恵をすぐに活用して、201412月には弥永住宅新築工事にあわせて、名島小学校の体育館改築をどちらもJVの代表で受注しています。この年、201412月からことし7月までの月ごとの工事の手持ち件数を答弁されましたが、非常にわかりにくかったと思いますので、まとめてみました。2件未満はないんですよ。2件のところが10カ月です。44カ月のうち10カ月。3件が24カ月、そして、4件が10カ月、これが局長が答弁した内容です。これだけでもまさに驚きです。建築工事は2件までですが、その枠に入らないWTO案件や、同時に2件までとれる解体工事も組み合わせて、実に巧みに常に2件以上の市の仕事を受注しているのです。しかも、実態はそれだけにはとどまりません。(パネル表示)これは市の資料をもとに、工事施工期間を並べてみた表です。このように、実に巧みにつながっていっています。どのようにつながっているかということですけれども、201412月からことし7月までの月ごとの工事の手持ち件数、これは市の資料をもとにつくった表ですが、先ほど局長が答弁されたのは、市が入札に関与し、財政局がつかんでいる件数です。しかし、市の工事はそれだけではなく、事業をPFI方式で行っている第2給食センターと人工島の総合体育館のJVにも西中洲樋口建設が入っており、これは手持ち2件というものの別枠です。緑のところが別枠のPFI、そして、一番上がWTOです。そして、この黒いところが解体工事、これを実に巧みに駆使しています。不思議なほど切れ目なく仕事が続いているのが実態です。第2給食センターが8月に終わったら、9月には南部工場の解体、弥永住宅が12月末に終わったら、2月1日には総合体育館、さらに2017年、城浜住宅が8月13日に終わると、同月29日に青果3市場の解体が入りました。そして、それがことし2月15日に終わったら、その2月の23日から下山門住宅の工事です。切れ目ない受注状況です。

 先ほどの市の答弁にこのPFIの分も入れて44カ月を月ごとに見ると、手持ち2件以下の月はありません。3件が18カ月、4件が20カ月、そして、何と5件が6カ月にもなっています。これが実態です。これらの実態は市の工事の受注は2件という基本から見て異常に優遇された受注状況ではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 このように、一部業者を異常に優遇する制度改定の前年、2013年3月には任期途中の副市長2人をやめさせるという異例な形での副市長交代が行われました。我が党は質疑で2階級特進の中園副市長が一般社団法人21・建設クラブ・福岡と密接な関係があることなども指摘し、反対しましたが、西中洲樋口建設も当時このクラブの一員でした。そして、中園副市長は契約課長も経験して、契約の制度に熟知しておられたわけですから、このような制度の改定をすれば、どのような影響が出るかは予測できたんではありませんか。

 一部の事業者の異常な厚遇を生み、入札制度の公正性に不信を抱かせるような制度の変更について中園副市長が大きな役割を果たしたのではありませんか、答弁を求めます。

 また、優遇された業者に慢心が生まれたことが今回の事態につながったんではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 次に、西中洲樋口建設が下請業者を動かすなどで実質的に利益を得ることはないかという問いに、利益を得ることはないかのような答弁でした。しかし、最後におっしゃった協定書というのは、JV間で交わしている協定書、その中の実効性、これについては市は実際にはわからないというのが実態です。それでは、代表の暴力事件に端を発したこの件で業者は何の教訓も学ばず、うかつだったで終わるのではないですか。これは重大なことです。

 人の命を軽んじ、明らかに建設業法に抵触するような事態を引き起こしても、政治的背景があれば本市では問題にならないというようなことがまかり通るならば、本市の建設業界全体にモラルハザードが起き、市の公共工事の信頼性を大きく揺るがすことになりかねないと思いますが、御所見をお伺いします。

 実は同社が廃業の件を市に報告してきたことし6月25日に、西中洲樋口建設の新しい樋口代表取締役が廃業で不安を感じておられる下請業者の方たちを集めて話をされています。その内容について資料の提供がありました。その内容を見てみると、まさに反省がないことがうかがえます。もともと同社は公共工事や老人ホームを中心に市や県の工事を行い、その中で具体的に自社の関連会社名を挙げて、来年は博栄建設はAランク、筑糸建設もBランクに上がるなど、当初描いた構想どおりに進んできた、こう述べておられます。樋口代表が思っていたとおりに公共工事によって会社が大きくなってきたことを誇らしげに語っておられるのです。そして、今回の暴力事件については、各社に報告していなかったことはおわびをされました。しかし、まさかの事態、うかつだった、早く知っておけば手の打ちようは幾らでもあったのにと述べるだけで、建設業者としてあるまじきことだったとの反省の弁は皆無です。今後については、県に建設業の再申請を出したが、全く問題ない、現在やっている仕事は継続できると、大丈夫だと殊さら強調しています。さらに、今後の受注について問われました。そのときに、今は廃業している状況なので、受注したら業法違反になるので自粛していると言いながら、博栄建設で受注していますと西中洲樋口建設のかわりの受注だとあからさまに言い、また、5月31日から7月20日ぐらいまでは受注しませんと述べて、その後は受注できるかのような説明もしています。

 そこで、お尋ねしますが、市がそれでよいとしているのか、このように新社長が語ったことはよいとしているのか、同社が速やかな復帰ができるよう何らかの約束事を市としているのか、明確な答弁を求めます。

 また、今回の議案である下山門住宅建設についても、市に行ってきました、預かってもらいましたとして、今後、書類を出さなければいけないが、現場は監督も行っているし、工事もそのまま変わらず続いている、御心配なく、このように説明しています。

 市は廃業、脱退でこの会社がまるでけじめをつけたかのように言いますが、新しい代表取締役が赤裸々に述べているように、実態は代表と許可番号の変更だけで、あとは何も変わらないということではありませんか、御所見をお伺いいたします。

 最後に、木村秘書が暴力事件の現場にいたのかということについて否定されました。しかし、こんな問題に私設秘書の名前が取り沙汰されること自体が異常なことだと、これを指摘して、2問目を終わります。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) まず、株式会社西中洲樋口建設に対する建設業法に基づく処分につきましては、監督官庁である福岡県において、8月13日付で建設業法第28条第1項本文の規定に基づく監督処分がなされております。また、発注者である福岡市におきましては、同社の一連の行為に対して競争入札有資格者名簿から抹消するとともに、継続中の3件の工事についてJV脱退という措置を講じたところでございます。

 平成29年公営住宅(下山門住宅その1地区)新築工事の契約の有効性についてでございますが、株式会社西中洲樋口建設の代表者の罰金刑が確定したのは平成30年1月でございますが、同社の建設業の許可は廃業届の提出により平成30年5月21日に福岡県によって取り消されるまでは有効だったため、当該工事の請負契約は有効に成立しております。

 次に、株式会社西中洲樋口建設に誠実性などがないのではないかということでございますが、建設業法の欠格要件に該当したにもかかわらず、同法に定められた届け出を期限内に提出しなかったことや、許可の取り消しを受けたにもかかわらず、同法に定められた通知を期限内に行わなかったことなど、同社の一連の行為は発注者である福岡市との信頼関係を大きく損なうものであり、法が求める誠実性に欠けるものであると認識をしております。

 次に、福岡市の対応が救済策であるとの御指摘についてでございますが、今回、福岡市は競争入札有資格者名簿からの抹消及び継続中の3件の工事についてJV脱退という対応を行いました。競争入札有資格者名簿からの抹消につきましては、同社の建設業の取り消しを受けて行ったものですが、結果として、仮に同社が新たな登録申請を行い、名簿に登録されることとなっても、次回登録の平成31年8月までの約13カ月間、市の入札に参加できないこととなります。近年の競争入札参加停止の措置事例では契約不履行や契約解除によるもので2カ月から8カ月、贈賄や談合によるもので6カ月から9カ月の措置であり、これらの期間と比較しても決して軽いものではないと考えております。

 また、JVからの脱退につきましては、建設業法上、受注者が許可を取り消されても契約を継続することは可能でありましたが、同社の一連の行為を踏まえ、JV全体との契約解除、もしくはJVから同社を除く方法で協議をすることを方針決定し、この市の考えを同社に明確にお伝えした結果、脱退に至ったものでございます。国や他都市におきましては、公共工事を受注している業者が何らかの不祥事を起こしても、契約済みの工事については当該受注者に継続して請け負わせることが通例であり、そういった面から見ても、今回の福岡市の措置は一歩踏み込んだものと認識をしております。

 次に、手持ち要件を変えずに建築Aの業者数をふやせばよかったのではないかとのお尋ねでございますが、平成26年度の建築Aの手持ち要件の見直しにつきましては、業者間の入札参加機会及び受注機会の均衡を図ることを目的として行ったものでございます。

 なお、登録事業者の等級格付につきましては、3年に1度行う市の競争入札有資格者名簿の更新の際に、発注件数の見直しなどを踏まえ、ランクごとの業者当たりの受注可能件数に偏りが生じないよう全体のバランスも考慮しながら行うこととしております。

 次に、株式会社西中洲樋口建設を優遇しているのではないかとの質問でございますが、予定価格1億円以上の工事の入札におきましては、総合評価方式により価格に加えて品質を含めた総合的な評価により落札者を決定しており、また、技術提案の評価は企業名が伏せられた状態で行っていることなどから、特定業者を優遇することはできない仕組みとなっております。PFI事業につきましても、同様でございます。

 次に、入札制度において一部の業者を優遇する役割を副市長が担っているのではないか、また、優遇することで今回のような事態を招いたのではないかとの御指摘でございますが、福岡市の入札におきましては、落札者は価格競争または総合評価の結果により公正公平に決定しているものでございまして、副市長から入札に関しまして特定の業者を優遇するような指示は一切ございません。したがって、御指摘はいずれも当たらないものと考えております。

 次に、公共工事の信頼性に関するお尋ねでございますが、今回、福岡市が株式会社西中洲樋口建設の一連の行為に対して、JV全体との契約解除に伴う市民生活への影響等も勘案し、残存構成員による工事の確実な履行を前提として、継続中の3件全ての工事からの脱退という厳しい措置を講じたことは、公共工事の信頼性を保つためにも必要な措置であったと考えております。

 最後に、株式会社西中洲樋口建設の新しい代表者の話や市との約束についてのお尋ねでございますが、福岡市といたしましては、るるお話しされた代表者の話は全く承知をいたしておりませんし、同社との間で今後の契約などについて協議したこともございません。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 中園副市長。

副市長(中園政直) 私が一部の業者を優遇する役割を果たしていたのではないかという御指摘でございますが、特定の業者を優遇するために何らかの指示をするなどの関与を行ったことは一切ございません。

 

副議長(石田正明) 星野美恵子議員。

○49番(星野美恵子) 局長は罰金刑が確定した後、それを隠して受注契約を行った下山門住宅の件も廃業前だからよいといって、建設業の許可要件である誠実性、信頼性にも何の問題もないと、あくまでかばい続ける姿勢です。この横尾氏、いやしくも公共工事を受注している会社のトップだった方です。暴力行為が建設業法の欠格条項に当てはまることぐらいは承知していたでしょう。ところが、その後も自分が代表として次々と市との契約を繰り返すなど許されないことを続け、罰金刑確定後にも新しい契約を交わしたんです。自分が代表の会社です。不誠実で信頼性に欠けるのはどう見ても明らかですが、それを何も問題にしないとしてかばい続ける局長、市長の態度は異常です。しかも、13カ月間は入札できないからといいながら、前の仕事は継続していいと。これですよ。(パネル表示)暴力事件があって、その後、駆け込みでこれだけ契約を3件させているんです。これは事前に契約をしたから仕事は継続していいよと言っておられる。この処分は軽いものではないと、13カ月間入札をできないからと。軽いもんではないですか。先にそこまで、ばれる前にやってしまえという契約までさせて、その仕事は継続ですよ。何がこれが重いですか。

 樋口新代表が下請の方たちを前に話されたようなことを市は約束していないと言いますが、実態はそういうことですよ。仕事は継続しています、安心してくださいということでしょう。その真偽はこれからさらに明らかになるでしょう。当日、代表は迷惑をかけることはない、それでも心配な方はこの場でお引き取りをと、前時代的なおどしのようなことまで言われています。いまだに謝罪と反省のかけらもうかがえないことは重大ではありませんか。この自信はまさに市の力が背景にあると思っているからではありませんか。何があっても西中洲樋口建設を重用してくれるという自信です。公共工事で隆盛をきわめたと誇る背景に、契約に関する制度まで変えて、重層でコンスタントな受注の確保を保証する本市の対応が問題なんです。このような状況を島市長になってから保証されたんです。市の資料で見ると、市長になってからPFIでの契約も始まりました。最初が2012年の1件です。そして、2件目が2階級特進で中園副市長が誕生した後の201412月に事業開始した第2給食センターです。施工工事には西中洲樋口建設が入ったJVです。契約制度の変更でもPFIの工事でも、確実に西中洲樋口建設の仕事づくりにつながりました。その後、2015年3月から2016年3月までのわずか1年余でPFI事業が7件も取り組まれ、公共工事を地場企業の育成にもつなげるという、その基本が大きく変質することになっています。もともと入札参加者のランクづけをするのは、地場で同じような力を持った企業に公共工事が公平に入札できるようにするためのものではありませんか。西中洲樋口建設が同時に市の仕事を四つも五つもとっているということは、他の会社の分をまさに独占していたということです。建設業界では、市の工事を途切れず何件も同時に受注している西中洲樋口建設の実態に疑問の声が既に出ています。市は厳正な対応をしたようなことをおっしゃいましたが、実態は契約解除になる前に自主的脱退で救われるようにしたということではありませんか。体育館でも学校でも、公共施設の適正な施工は利用するたくさんの人の命にかかわる問題です。女性を殴打し、その後、何の反省もなく、知らん顔して市の工事の入札、契約を繰り返し、法が求める誠実性のかけらも見えない業者を市が重用し続けることで、市内の建設業者の中に市への不信が募り、公共工事へのモラルハザードが高まる、そんな状況を市自身がつくり出すなど、絶対に許されず、本市の公共工事への市民の信頼を取り戻すことこそ、今、早急に行わなければならないことです。

 そこで、今回の専決処分は撤回し、西中洲樋口建設のJVからの脱退にとどまらず、契約を破棄し、下山門住宅その1の新築工事については入札のやり直しを含めた厳しい対処を行うべきだと思いますが、答弁を求めます。

 あわせて、中園副市長と建設業界との関係を明らかにするとともに、問題の発端である代表取締役による暴行事件の詳細について調査の上、公表すべきだと思いますが、市長の責任ある答弁を求め、私の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 御答弁を一言申し上げますが、株式会社西中洲樋口建設の一連の行為は、受注者である市との信頼関係を大きく損なうものであるというふうに考えております。大変遺憾であると考えております。そのため、福岡市としては、競争入札有資格者名簿から抹消するとともに、継続中の3件の工事につきましてはJV脱退という措置を講じております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 福岡市の入札は公平、公正に実施をされておりまして、特定の業者を優遇するような事実は一切ありませんので、調査を行う必要はないものと考えています。また、今回の受注業者の一連の行為に対する福岡市としての対応は適切であるというふうに考えております。以上です。

 

副議長(石田正明) 熊谷敦子議員。

○42番(熊谷敦子)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、本議会に提案されている議員提出議案第3号、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に関する条例案について質疑を行います。

 近年、過酷な労働条件、雇用環境で労働者を使い捨てにする疑いのある企業、すなわちブラック企業や、違法、無法な働かせ方で若者を使い潰すブラックバイトが広がり、大きな社会問題となっています。ブラック企業の被害とは、労働者、若者の一生がかかった重大問題であり、中には鬱病などになり、その後、長い間、後遺症に苦しめられ働けなくなり、社会の入り口で人生をめちゃくちゃにされてしまい、ひいては過労死や自殺のように命まで奪われる例も生まれています。

 そこで、質問の1点目は、ブラック企業を根絶するには本市の施策では不十分ではないかという問題です。

 本条例案では、ブラック企業をなくすためには調査研究、相談体制の整備、啓発、顕彰が重要だとして、その対策を定めております。この観点から見て、本市の対策がどのようになっているのか、ただしてまいります。

 まず、経済観光文化局にお尋ねいたしますが、本市ではブラック企業の疑いのある企業を市独自で調査しているのか、また、労働相談窓口は設置しているのか、もし設置していれば過去5年間の相談件数についてお答えください。

 あわせて、働き方のルールについての啓発はどのように行っているのか、また、働き方について企業を顕彰する制度があるのか、お伺いいたします。

 質問の2点目は、この条例案の具体的な中身についてです。

 条例案第2条の定義では、用語の意味として、労働者の使い捨てが疑われる企業について、不当な長時間労働、不当に過重な負荷もしくは強い心理的負荷と記載されておりますが、具体的にはどのようなものなのか、あわせて条例案第10条には顕彰とありますが、どのような企業を想定しているのか、また、第13条には労働者の使い捨てが疑われる企業根絶審議会とありますが、どのようなことを話し合い、どのような効果があるのか、提案者にお伺いいたします。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) いわゆるブラック企業に関する実態調査についてお答えをいたします。

 福岡市ではこの調査を実施してはおりませんが、労働基準関係法令に基づき監督指導権限を有する国において、事業者への立入調査、是正勧告、改善指導、重大、悪質な事案の場合の検察庁への送検などを行っており、平成29年5月からは厚生労働省が労働基準関係法令違反の疑いで送検された企業を公表しております。

 次に、労働相談につきましては、福岡市の各区に設置している市民相談室や就労相談窓口で受けた相談のうち、労働問題に関する相談件数は平成25年度が85件、26年度が61件、27年度が56件、28年度が73件、29年度が91件でございます。

 なお、平成28年度以降は市民相談室で労働相談を受け、国、県の関係機関へつないだ件数も統計をとっており、先ほど申し上げた相談件数とは別に、平成28年度が80件、29年度が115件でございます。

 次に、働き方の啓発に関するお尋ねにつきましては、福岡市の取り組みとして労働に関する法令や制度をわかりやすく解説した働くあなたのガイドブック及びガイドブックを抜粋した働くあなたのリーフレットを発行し、福岡市内の高等学校や専門学校、大学、短期大学、本庁舎1階の情報プラザや区役所などで配布するとともに、福岡市ホームページへ情報を掲載しております。

 次に、働き方改革を推進している企業の顕彰につきましては、福岡市の取り組みとして、働き方改革を積極的に進めている企業を本市が認定することにより、福岡市内企業における働き方改革の促進を図ることを目的として、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業に取り組んでおります。働き方改革により職場環境の改善が進むと、生産性、従業員の満足度、定着率、モチベーションが高まり、その結果、企業イメージ向上や人材確保などの効果も期待できると考えております。平成2911月から開始し、平成30年8月末現在で11社を認定しております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

○41番(綿貫英彦) お答えをしたいと思います。

 まず、条例案第2条にある不当な長時間労働等が具体的にどういうものかということについてですが、1998年の労働省告示第154号、時間外労働の限度に関する基準として、1カ月に45時間を時間外労働の限度として定めており、こうした告示は一つの基準となるものと考えています。また、不当に過重な負荷もしくは強い心理的負荷とはどういうものかにつきましては、厚生労働省による過重労働による健康障害を防止するため事業者が講ずべき措置などに定められた内容が遵守されているかどうかが、やはり一つの基準になるものと考えています。

 次に、条例案第10条の顕彰についてです。

 どのような企業を想定しているのかということについてですけれども、それは制定後に市のほうでよく論議していただきたいと思っております。ただ、提案者としては、例えば、現在1日8時間が法定時間となっておりますけれども、フルタイムの労働者に対して7時間を所定労働時間とし、十分な賃金を支払って、しかも、法令違反が実態として全くないようなケースこそ顕彰されるべきであり、月60時間の残業で顕彰しているような現在の市のやり方は問題外であると考えております。

 次に、第13条の労働者の使い捨てが疑われる企業根絶審議会についての御質問にお答えをします。

 同条第1項では、この審議会の目的をこの条例の適正な運用を図るためと定めています。また、同条第2項において、審議会の役割について、「市長の諮問に応じて、労働者の使い捨てが疑われる企業の根絶に関する重要事項を調査審議し、及び当該事項に関して市長に建議するものとする」と規定し、同条第3項では、それ以外の点について規則で定めるとしています。これに沿って制定後に市側で具体化していただきたいと考えております。ただ、提案者といたしましては、有識者はもとより、労働者の使い捨てが疑われる企業の一番の被害に遭っている若者の代表にも審議会に入っていただき、現場を知っている人でなければわからない、そのような具体的な問題点と対策をぜひ建議していただきたいと考えております。以上です。

 

副議長(石田正明) 熊谷敦子議員。

○42番(熊谷敦子) 質問の1点目は、本市の施策についてです。

 ブラック企業の実態調査について、局長はいろいろ言いわけをされましたが、結局、国がやっているからいいという、まさに国任せの姿勢であります。これでは、のっけからブラック企業を根絶しようなんて思っていないあらわれであります。では、本市の実態はどうなのか。島市長のもとでスタートアップへの支援が偏重しているために、開業率は10.3%と政令市トップであります。こうしたベンチャー企業では仲間感覚で出発するため労使関係や労働条件が不透明になりやすい、また、市内には大学が多いこともあって学生アルバイトが大変多い、だから、ブラック企業やブラックバイトが生まれやすい、これが本市の特徴です。実際に日本共産党市議団が独自に行った本市の学生アルバイトの実態調査があります。これが結果の冊子であります。(資料表示)労働時間や賃金などの労基法で定められた労働条件を働く前に書面で渡されなかった、つまり法令に沿った労働条件の明示を受けなかった学生が、ここに書いてありますけれども、9割もいたということが明らかになっています。

 そこで、お尋ねいたしますが、本市は起業がとりわけ多いという特殊性があるからこそ、市独自の実態調査をやるべきではないかと思いますが、経済観光文化局長の答弁を求めます。

 次に、相談窓口についてです。

 局長は市民相談室や就労相談窓口を設置していると答弁をされました。しかし、労働相談に特化した窓口は事実上ありません。相談件数もお聞きしましたが、2017年度は就労相談も含めて、わずか216件であります。ところが、同じ政令市の川崎市では経済労働局に労働雇用部があり、市独自の労働相談窓口を設けています。相談員は2人、うち1人は労働運動にかかわった人、もう1人は社会保険労務士。街頭相談会も行うなど、出前で相談活動をして、労働基準監督署には行きにくい人でも身近なところにある川崎市役所なら安心して足を運べるとして、2014年度だけでも2,572件と、本市とは桁違いの相談件数になっています。

 そこで、局長にお尋ねいたしますが、本市においても労働相談に特化した常設の相談窓口を設置することがブラック企業をなくしていくことになるのではないかと思いますが、答弁を求めます。

 次に、啓発についてです。

 局長は働くあなたのガイドブックを発行して、市内の高校や大学に送付している、公共施設など限られたところに置いていると言われましたが、それがどれくらい活用されているのか、あなた方は後追いはしていないでしょう。私が先ほどお見せしました、(資料表示)この学生アルバイトの実態調査では、このガイドブックという冊子を見たことがあるという人は100人のうち、わずか1人でした。99%の学生は知らない、こういうこのガイドブックの認知度の低さが明らかになりました。さきの川崎市では本市と同じようなガイドブックを市立高校の授業に使って働くルールを教えている、また、JOB−Lかわさきという民間のポータルサイトで周知するなどの啓発を行っています。

 お尋ねいたしますが、本市が行っている啓発では不十分ではないかと思いますが、局長の御所見をお伺いいたします。

 次に、働き方についての企業の顕彰制度についてです。

 局長はふくおか「働き方改革」推進企業認定事業のことを言われましたが、この事業は、例えば残業時間の問題でも、大臣告示では月45時間までとしているにもかかわらず、それを大きく上回る60時間残業させる企業でも顕彰するものになっております。ことし3月の議会の補足質疑で、我が党の堀内議員が明らかにしたとおりであります。

 そこで、局長にお尋ねいたしますが、この顕彰では逆に法令違反を認める、つまりブラック企業を合法化することになるのではないかと思いますが、答弁を求めます。

 質問の2点目は、条例案の中身についてです。

 提案者から不当な長時間労働、不当に過重な負荷もしくは強い心理的負荷の内容について、また、顕彰や審議会はどのようなものなのかについて答弁があり、条例案の中身の詳細が明らかになりました。

 では、さらに条例案の中身について伺います。

 今回の条例案は、福岡市のブラック企業を取り締まるために特別に重い罰則規定を設けたり、その取り締まりの対象を広げたりと、国の法令を超えて行うのではないのかという、このような意見がありますが、その点はどうなのか、提案者にお伺いいたします。

 また、市民の皆さんの中で労働行政は本来国がやるべきものであり、ブラック企業の規制は国が法律をつくり対策をすることが当然のことという意見があり、条例で規制するというのであれば、それは二重行政になるのではないかという懸念がありますが、そのような意見についてどのように考えているのか、提案者にお伺いいたします。

 以上で2問目を終わります。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) いわゆるブラック企業に関する実態調査につきましては、労働基準関係法令に基づき、監督指導権限を有する国が実態把握に努めており、労働基準監督署など法的な権限を有する専門機関において調査を行うことが適切であると考えております。

 次に、労働問題に関する相談窓口の設置につきましては、先ほど答弁いたしましたように、福岡市でも市民相談室で労働問題に関する相談を受けた場合は弁護士による法律相談も行っております。また、必要に応じ、国の労働基準監督署や県の労働者支援事務所などの専門機関につなぐなど、国や県と連携、協力を図りながら取り組みを進めております。また、福岡市内においては、国が労働局や労働基準監督署のほか、総合労働相談コーナーを3カ所設置していることに加え、平日の夜間及び土日も電話相談が可能な労働条件相談ほっとラインを設置するなど、相談体制の充実強化が図られているところでございます。

 次に、今の啓発のやり方では不十分ではないかとのお尋ねでございますが、福岡市の取り組みといたしましては、働くあなたのガイドブックについては、平成30年2月に8,700部作成し、その後も各学校や大学からの追加要望に応じて3,000部増刷するなど、市内の高等学校全41校、専門学校全81校、大学、短期大学全23校に必要な部数を配布しております。また、福岡県などと共催で労働問題に関する相談会を年4回、労働教育講座を年2回、労働経営セミナーを年2回、パネル展を年2回開催するなど、啓発事業を実施しております。さらに、国が実施する労働問題に関するセミナーや電話相談につきましても、チラシやパンフレットの配布など、広報での連携、協力を行っているところでございます。

 次に、ふくおか「働き方改革」推進企業の認定につきましては、働き方改革の理念を踏まえて、長時間労働の是正、非正規労働者の処遇改善、ワーク・ライフ・バランスの確保、ダイバーシティの推進の4つの分野の取り組みを進めていくことを推奨し、市内における働き方改革の機運の醸成、意欲の喚起を促進する制度でございます。

 なお、本事業の認定に際しましては、申請のあった企業の事務所を実際に訪問し、代表者や働き方改革を推進する部署の担当者に直接会って状況を確認し、実態に即した申請がなされているかどうかを把握しており、働き方改革推進の実態が伴った企業を認定しております。仮に認定企業が労働関係法令に違反し、その事実を公表されるなど、いわゆるブラック企業と判明した場合には認定を取り消すこととしており、適切な運用を行っております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

○41番(綿貫英彦) 御質問は、法律よりも厳しい基準を課す、いわゆる上乗せや、法律よりも広い範囲を対象にする、いわゆる横出しをしない条例で実効性が果たしてあるのかというようなお尋ねだと思います。

 もちろん本条例案はこうした上乗せや横出しをする条例ではなく、あくまで現行法の範囲での取り組みを定めています。私どもが聞き取りをした弁護士や労働組合によれば、協定もなく長時間の残業をさせたり、解雇の要件を全く満たすことなく、いきなり解雇したりするなど、労働者の使い捨ては現行の労働法令に違反して行われることが大半でした。共産党市議団が行ったアンケートでも、9割のアルバイト職場で法令どおりに労働条件の通知がされていなかったことが明らかになっています。したがいまして、現行法をしっかり守らせるだけでも、労働者の使い捨てが疑われる企業をめぐるトラブルのかなりの部分が解決し、実効性が極めて高いものであると考えております。

 次に、二重行政になるのではないかという点についてですが、重なるからといって何の問題もないと考えております。むしろいろいろな形で市民が相談や啓発に触れる機会がふえると考えております。実際に川崎市、横浜市、相模原市では、国、県ではなく、市として労働相談に取り組んでおり、市への相談件数は福岡市の数十から数百倍の件数に達しています。

 なお、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第20条、青少年の雇用の促進等に関する法律第6条、第11条でも、労働相談を初めとする労働行政に関して地方公共団体が必要な施策、必要な措置を行う責務が定められております。以上です。

 

副議長(石田正明) 熊谷敦子議員。

○42番(熊谷敦子) ブラック企業、ブラックバイトをなくすために条例案に規定している調査研究、相談窓口の設置、啓発、顕彰について局長にただしてまいりましたが、市独自の調査はやらない、相談窓口も現状でいい、啓発は十分、顕彰に至っても問題ないという答弁です。どれをとってもブラック企業を根絶しようという姿勢は見えません。この問題は労働者にとってだけの問題、また、一部の悪質な経営者だけの問題ではなく、大きく言えば地域経済の根幹にかかわる労使共通、社会を挙げて取り組むべき課題であります。実際にブラック企業がはびこれば、ルールを守っている良心的な経営者は価格や納期の面で太刀打ちできなくなり、駆逐されます。また、ブラック企業によって多くの良質な労働力と健全な地域経済の根幹が破壊されていくことになります。

 我が党は国会において、若者を初め、働く人を過酷な労働に追い込んで物のように使い捨て、使い潰すブラック企業を国政の大問題として取り上げ、2013年、ブラック企業規制法案を国会に提出いたしました。それを受けとめ、厚生労働省は5,000を超える事業所に実態調査に入り、82%の事業所が法令違反を犯していたことを明らかにし、是正指導、勧告を行いました。また、2015年にはハローワークがブラック企業の新卒求人を行わないことや、募集、採用や労働時間など職場情報の開示を企業に義務化することを求めるようになりました。そして、その後、国会において青少年雇用促進法が全会一致で可決し、成立いたしました。しかし、現在でもブラック企業、ブラックバイトは後を絶ちません。だからこそ、自治体で条例制定を行って、労働者を守る、地域経済を守っていかなければなりません。今回の条例案は市民の中にブラック企業をなくしていこうという機運を広げていくことになります。本市は島市長のもとで国家戦略特区を使って新たに開業しようとする企業に、雇用労働相談センターを開設して労働者の解雇をする方法を指南するなど、全国でも国会でも大問題となったのであります。だからこそ、本市の条例は極めて重要であります。

 したがって、我が党は労働者の使い捨ての疑いがある企業を根絶する条例案を成立させるために全力を尽くす決意を述べまして、私の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) この際、休憩し、午後2時35分に再開いたします。

午後2時25分 休憩  

午後2時35分 開議  

議長(川上晋平) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。富永周行議員。

○44番(富永周行)登壇 質問に入ります前に、7月の西日本豪雨災害並びに先日の台風21号によって犠牲となられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災者の方々へ心からお見舞い申し上げ、一日も早い復興、復旧をお祈りいたします。また、本日未明の北海道で発生した震度6強の地震によって被災された方々へお見舞いを申し上げるとともに、被害が最小限にとどまるようお祈りするものであります。

 それでは、質問に入ります。

 私は福岡維新の会を代表して、議案第164号、平成30年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)のうち、改修工事費用約1億7,500万円余が計上されています市立小中学校のコンクリートブロック塀改修工事について質問いたします。

 本年6月18日に震度6弱を記録した大阪北部での大地震において、通学中であった大阪府高槻市の女子児童が小学校のブロック塀の倒壊によって下敷きになり亡くなる事故が発生いたしました。この小学校の外壁は基礎部分の上に高さ1.6メートルのブロック塀が設置されていましたが、上部まで鉄筋が届いておらず、接続する鉄筋の長さがわずか33センチであったことから、接続部分が脆弱であったために崩壊したとされています。このような構造のブロック塀は現行の建築基準法へと改定される前に整備された学校において、全国に多く存在すると思われます。本市はこの事故を受けて、事故翌日に各市立学校にコンクリートブロック塀の緊急点検を依頼し、迅速な対応をとられています。

 本議会に上程された補正予算案は、緊急点検の結果を踏まえて、コンクリート塀の改修工事が必要であった小学校14校、中学校9校、計23校に係る安全確保事業によるものですが、各市立学校のコンクリートブロック塀の緊急点検はどのような内容で行われたのかをお尋ねいたします。

 あわせて、その点検結果はどうであったか、また、安全対策をどのように講じたのかをお示しください。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 市立学校のコンクリートブロック塀についてお答えします。

 6月18日に大阪北部で発生した地震による倒壊事故を受け、6月19日に学校長、園長に緊急点検を実施するように通知を出し、学校職員の目視による点検をいたしました。点検結果につきましては、現行の建築基準法の規定に適合していない可能性のある高さ1.2メートルを超えて控え壁のないブロック塀が87校あり、うち高さ2.2メートルを超えるものが4校ございました。この4校につきましては、6月24日までに撤去を完了しております。また、安全対策につきましては、注意喚起や部分的な使用制限を行うなど、適切な対応を行うよう学校へ指示するとともに、現在、専門家による調査を行っております。以上です。

 

議長(川上晋平) 富永周行議員。

○44番(富永周行) 現行の建築基準法の規定に適合していない可能性のある高さ1.2メートルを超えて控え壁のないブロック塀が87校ありまして、うち高さ2.2メートルを超えるものが4校とのことです。そのうち、高さが2.2メートルを超えるブロック塀がある4校については既に緊急工事で撤去したとのことですが、この4校を含む87校については、今現在、専門家による調査を開始したとのことですが、この調査の結果についてお示しください。

 あわせて、今回、コンクリートブロック塀の改修工事が予定されている23校におきましては、どのような危険があり、改修工事が必要であるのかをお示しください。

 また、今回の大阪府北部で起きた事故は学校のブロック塀の倒壊によるものでありますが、子どもたちの通学路にも建築基準法に適合しない可能性のあるブロック塀は点在いたします。昨年の福岡大学の調査によりますと、本市内の通学路にあるブロック塀645カ所のうち、基準を満たしていないものが95%にも上り、控え壁が必要な箇所69%のうち、設置しているものはわずか1%であったとされています。

 大地震が発生した場合は、学校だけではなく、通学路にも安全対策が必要だと考えますが、ブロック塀など倒壊のおそれがある通学路についてどのように取り組むのかを尋ねて、2問目を終わります。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 市立学校のコンクリートブロック塀についてお答えします。

 専門家による調査につきましては、現在、調査が続いておりますが、9月末をめどに調査概要の報告を受けることとしており、その後、調査内容を分析し、最終的な調査結果を取りまとめることとしております。今回、改修工事を予定している23校につきましては、通学路に面したブロック塀のうち、目視で既にひび割れなどの劣化が認められ、緊急性が高いと判断されたものでございます。

 次に、各学校により指定されている通学路の安全対策の取り組みといたしましては、大阪府北部地震の発生直後に小中学校の教職員が通学路に沿ったブロック塀の安全確認を行っております。その後、さらに専門家による通学路沿いのブロック塀の一斉調査を行っております。通学路に危険箇所がある場合は、その箇所を避けて登校することや通学路の変更をするなどして、児童生徒の安全確保を行っております。以上です。

 

議長(川上晋平) 富永周行議員。

○44番(富永周行) 今回の補正予算案で改修工事が予定されている23校につきましては、通学路に面し、さらに目視でひび割れなどの劣化が確認されたとのことですが、現在調査中のものにも緊急な改修工事の必要性があるものが出てくる可能性もあると考えます。専門家による調査報告結果により緊急性があるものについては、早急に改修工事に着手されるよう強く要望しておきます。また、緊急性がないものでありましても、控え壁がないものや大阪の事例のように内部の鉄筋が塀の上部まで届いていないものなど、現行の建築基準法に適合していないものについては、来年度の予算まで待つのではなく、年度内にしっかりと補正予算などを組んで改修工事に当たられるように、こちらも要望しておきます。

 また、ブロック塀など倒壊のおそれがあるものがある通学路については、教育委員会による調査の後、各学校へ通学路の変更などの注意喚起を指導したとのことですが、現在行われている専門家による一斉調査を踏まえて、例えば、住宅都市局には危険なブロック塀などを撤去する際の工事費用の補助などがありますが、昨日、4会派の代表の方から市長へこちらの増額を求められたとのことですが、ぜひこの制度も拡充していただいて、その制度の市民への周知なども含めて、学校のみではなく、他局や地域など関係機関との連携を図って、改めて安全な通学路を確保することを強く要望するものですが、最後に、災害時の安全な通学路の確保への取り組みを尋ねて、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 地震などの災害から子どもたちのとうとい命を守るために、通学路の安全を確保することは大変重要であると認識しております。福岡市はこれまでに地震発生時における通学路の安全対策として、学校及び通学路のブロック塀の安全点検を行い、必要な対応を行ってまいりました。また、子どもたちがみずから自分の命を守ることができるように、災害発生時の安全確保の仕方を学んだり、安全マップを用いて危険箇所の確認をするなどの安全教育を行ってまいりました。今後も子どもたちの安全確保に向け、関係機関や地域と連携して安全対策を進めるとともに、子どもたちへの安全教育の充実に取り組んでまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 荒木龍昇議員。

○45番(荒木龍昇)登壇 質問に先立ち、西日本豪雨災害及び台風21号により被災された方にお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げます。また、本朝の北海道南部地震における被災者の方にお見舞い申し上げますとともに、早期の復旧、復興をお祈りいたします。

 では、私は緑と市民ネットワークの会を代表して、今議会に上程された諸議案のうち、議案第164号、平成30年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)、歳出のうち総務費施設保全推進費委託料について、議案第171号、百道公民館・老人いこいの家及び百道小学校講堂兼体育館複合施設改築工事請負契約の一部変更について、議員提出議案第2号、福岡市観光振興条例案について質疑いたします。

 まず、議案第164号、平成30年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)、歳出のうち総務費施設保全推進費委託料について質疑します。

 ことし6月18日に大阪で起こった地震により高槻市立寿栄小学校のブロック塀が倒壊し、小学校4年生の児童が亡くなったことを受け、全国でブロック塀の点検及び対策がとられております。この補正案の委託料は教育委員会所管の学校施設以外の福岡市の公共施設におけるコンクリートブロック塀の調査とされております。

 そこで、まず第1点として、大阪府北部地震後の福岡市の学校施設以外の公共施設におけるブロック塀の点検はどのようになされたのか、2点目として、今回の補正予算委託費の内訳はどのようなものか、また、調査結果はいつ出されるのか、3点目として、調査後の対応はどのようになされるのか、4点目として、調査委託先はどこか、以上、説明を求めます。

 次に、議案第171号、百道公民館・老人いこいの家及び百道小学校講堂兼体育館複合施設改築工事請負契約の一部変更について質疑します。

 この議案は、賃金水準及び物価上昇に伴いインフレスライド条項を適用し、契約額を変更するものです。

 そこで、第1点として、契約の工期は何カ月で、対象となる残期間は何カ月か、2点目として、残工事額は幾らで、変動額及び市が負担すべき額は幾らか、3点目として、労務単価の上昇は幾らで、予期することができない特別な事情に該当するのか、判断基準は何か、4点目として、6月議会でなく9月議会に上程された理由について、以上、説明を求めます。

 最後に、議員提出議案第2号、福岡市観光振興条例案について質疑します。

 今回の質疑は、条例案の賛否を検討するに当たり、以下の点について御回答をお願いいたします。

 第1点として、観光推進するに当たり、福岡市が保健所設置自治体でありながら民泊申請を受ける業務をしていないことについて、第2点、第2条基本理念において第5項及び第8項で市民生活との関係をうたっているが、民泊についての県及び市の条例がつくられていないことについて、第3点、第2条基本理念において九州内の地方公共団体との連携をうたっているが、どのようなことを想定しているのか、第4点、県内における他の地方公共団体との連携については、税も含めて福岡県との協議が必要と考えるが、この点について、第5点、第9条MICEの振興において受け入れ環境の整備、誘致体制の強化、その他のMICEの振興に必要な措置とは具体的にはどのようなものを想定しているのか、以上の点について提案者の所見を求めます。

 なお、この質疑については1問で終わります。

 以上で1回目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 補正予算、施設保全推進費についての御質問にお答えをいたします。

 まず、大阪府北部地震後の学校施設以外の公共施設におけるコンクリートブロック塀の点検につきましては、地震が起きました翌日の6月19日より各施設管理者においてコンクリートブロック塀の高さや控え壁の有無、ぐらつきや破損など、倒壊のおそれの有無を確認する緊急点検を実施し、その結果を6月25日に公表いたしました。緊急点検の結果、現行の建築基準法で規定されている高さの上限である2.2メートルを超えるコンクリートブロック塀が7施設において確認されました。このうち、5施設は塀を撤去、1施設は1.2メートル以下の高さになるよう塀の一部のカットを行いました。なお、残りの1施設は、現在、隣地所有者と対応を協議中でございます。

 また、現行の建築基準法で控え壁が必要とされている1.2メートルを超えるコンクリートブロック塀を対象として、建築士の資格を有する専門家が塀の高さやコンクリートブロックの厚み、ひび割れなどを確認する目視調査を7月末から8月末にかけて実施しております。

 次に、委託費についてお答えいたします。

 今回の委託は、建築基準法で規定されている、目視では確認できないコンクリートブロック内の鉄筋の状況や基礎の深さなどを確認する詳細調査を実施するもので、約100施設を対象としております。その費用の内訳といたしましては、コンクリートブロック塀の一部を破壊し、内部の鉄筋の状況を確認するための調査費、地中に埋設されている基礎の状況を確認するための調査費、舗装の撤去、復旧費などを見込んでおります。補正予算が成立後、速やかに契約手続を行うこととしており、その調査結果につきましては11月末までに取りまとめることを予定しております。

 次に、今後実施する詳細調査で建築基準法に適合していないと判明したコンクリートブロック塀につきましては、隣地の地権者との協議や、改修等に際して設計が必要となる施設を除きまして、所管局において、できるだけ年度内に改修等を行うこととしております。

 次に、詳細調査の委託につきましては、短期間に多数の施設の現地調査を行う必要があることから、建築士の資格を有する専門家の体制などが整っている事業者への委託を考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 百道公民館・老人いこいの家及び百道小学校講堂兼体育館複合施設改築工事請負契約の一部変更についてお答えいたします。

 まず、契約の期間につきましては、平成29年9月23日から301130日までの約14カ月で、今回のインフレスライド条項の対象となる残工期につきましては、平成30年5月1日から1130日までの7カ月となっております。

 次に、工事額につきましては、新単価で積算した残工事額は消費税を除き3億7,582万円余で、旧単価による積算額から932万円余の増額となっております。また、市が負担すべき額は消費税込みで611万円余でございます。

 次に、労務単価につきましては、国土交通省が公表している公共工事設計労務単価において、平成30年3月1日時点で前年比、全国平均で2.8%、福岡県平均で5.3%の上昇となっております。また、今回のインフレスライド条項の適用につきましては、建設工事請負契約書第25条第6項に規定する予期することのできない特別の事情に該当するものと考えており、国土交通省の通知に基づいて判断しております。

 最後に、9月議会に上程した理由でございますが、インフレスライド条項を適用し、契約を変更するに当たっては、受注者からの請求を受け、市と受注者が残工事量やスライド額を協議し、契約変更額を決定することといたしております。今回の契約変更におきましては、受注者からの請求を受けた後、7月中旬に変更額が確定したため、9月議会に上程したものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 提出者を代表いたしまして、荒木議員の質問にお答えをさせていただきます。

 質問の1点目及び2点目でおただしの趣旨は、本市として、いわゆる民泊と市民生活との調和に主体的にしっかり取り組むべきと考えるがどうかというものだと理解しております。

 御指摘のとおり、住宅宿泊事業法は原則として都道府県が住宅宿泊事業を営む旨の届け出を受け付けることとしていますが、同法第68条の規定により、保健所設置市等は届け出の受理等を初めとした都道府県が処理することとされている事務を処理することができるものとされています。また、同法第18条の規定により、都道府県や住宅宿泊事業関係の事務を処理する保健所設置市等は、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、条例で定めるところにより住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができるものとされています。

 民泊については、シェアリングエコノミーが世界の潮流となる中、遊休資産の活用や旅行者と住民との交流などの観点から意義を有する一方、一部の法令に基づく届け出や許可を得ない、いわゆる違法民泊が問題となり、地域住民の不安の声なども聞いているところであります。民泊と市民生活との調和に取り組むべしとの荒木議員のお考えは我々提出者も思いを同じくするところであり、その思いを込めて、この条例の第10条に宿泊施設に関する法令の適切な運用の確保、良質な宿泊施設に係る情報の提供その他の市民生活との調和に配慮した持続可能な観光振興に必要な施策を講ずるものと規定させていただきました。

 違法民泊対策については、執行部が既に取り組んでいると聞いておりますが、提出者としては、この条文に基づき、違法民泊対策を含む健全な民泊の普及や旅行者への良質な宿泊施設の情報提供、旅行者増加による市民生活への影響緩和など、市民及び旅行者の安心、安全の確保のための取り組みなどが行われることを想定しているところであり、この条例が施行された暁には執行部にしっかり取り組んでいただけるものと考えております。

 次に、九州内の他自治体との連携についてお答えいたします。

 本市は福岡空港、博多港、JR博多駅が立地する陸、海、空の玄関口として、国内外から九州を訪問する多くの観光客やビジネス客などを受け入れるゲートウェイ都市であると考えております。そのことを踏まえて、本市がより一層観光振興に取り組み、九州全体をさらに発展させるべく、連携の具体例として、本市から九州内の他都市への周遊ルートを含んだ観光プロモーションや各都市へのアクセス情報の充実などを想定しております。このように、九州内の各自治体と手を携え、観光振興を図っていく所存でございます。

 次に、県との協議が必要と考えるがどうかというお尋ねについてお答えいたします。

 県において、観光振興に関する新たな財源確保策が検討されている旨の報道は把握をしております。福岡県観光振興条例の第12条第2項には、観光振興財源の確保に取り組むに当たっては、市町村と十分に協議し、その意見を踏まえる旨の規定がございますので、今後、執行部において協議等が行われるものと考えております。

 最後に、第9条に基づく施策として具体的に想定しているものについてお答えいたします。

 提出者としては、本市のプレゼンス向上に資するようなMICEを戦略的に誘致できるよう、組織体制の強化や人材育成、また、大規模MICE開催時の受け入れ体制の強化や新たなユニークベニューの開発促進、スポーツMICEの振興などを想定しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 荒木龍昇議員。

○45番(荒木龍昇) ではまず、総務費施設保全推進費委託料についてです。

 6月18日の大阪地震直後に公共施設のブロック塀について調査し、2.2メートルを超えるものについては緊急措置がとられ、1.2メートルを超えるもので建築基準法で控え壁が必要とされるものについては目視で調査し、約100カ所が調査が必要ということです。2005年3月20日に起こった西方沖地震において、民間のブロックの倒壊による死者が1名出ております。西方沖地震後には民間のブロック塀について、生け垣等に変更するよう市が助成策を講じてきた経緯もあります。

 そこで、西方沖地震後、公共施設ブロック塀の点検がなされたと考えられますが、その結果は保存されているんでしょうか、2点目として、今回の目視調査の結果、問題が指摘されたものは経年劣化なのか、3点目として、目視調査で問題が指摘されたブロック塀はどのように対処するのか、4点目として、今回は緊急点検を実施していますが、通常は公共施設の管理はどのようになされているのか、以上、説明を求めます。

 次に、議案第171号、工事請負契約の一部変更についてです。

 今回の工事請負契約の一部変更は国の通知を適用しているとの答弁ですが、2013年に国土交通省から、技能労働者への適切な賃金水準の確保に係る要請についてという通知が出され、その後も同趣旨の通知が出されております。通知では建設労働者に適正な賃金を支払うように求めており、発注者側の自治体だけでなく、受注者の事業団体にも出されています。スライド条項を適用した契約変更であるなら、当然、技能労働者への適切な賃金水準の確保に係る要請についてという通知を遵守し、一人親方を含めた末端の建設労働者まで周知を図るべきです。

 そこで、今回、発注者としてインフレスライド条項の適用となる労務単価の上昇について、受注者に対してどのように周知を行ったのか、説明を求めます。

 以上で2問目を終わります。

 

議長(川上晋平) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 補正予算、施設保全推進費についての御質問にお答えいたします。

 まず、福岡県西方沖地震後の公共施設のブロック塀の点検につきましては、敷地内に高さ1メートルを超えるコンクリートブロック塀がある417施設を対象として実施しており、その調査結果に係る資料については保存しております。

 次に、今回の目視調査の結果、劣化が著しいと判定されたコンクリートブロック塀につきましては、その原因が経年劣化によるものなのかについては把握しておりません。

 次に、目視調査で問題が指摘されたブロック塀の対応につきましては、専門家が外観を確認し、ブロック表面の落下やひび割れなど、劣化が著しいもので、改修しても安全性が保持できないと判定されたコンクリートブロック塀は撤去することとしております。

 なお、その際、各施設管理者において塀の更新が必要かどうかを判断し、更新が必要な場合は金属フェンスなどの採用について検討してまいります。

 次に、公共施設の維持管理につきましては、各施設管理者において、外壁の確認などの日常点検や消防設備等の機器の保守委託など、関係法令や施設保全マニュアル等に基づいて行われております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 百道公民館・老人いこいの家及び百道小学校講堂兼体育館複合施設改築工事請負契約の一部変更についてお答えいたします。

 労務単価の上昇についての受注者への周知につきましては、平成30年2月中旬に国において新たな労務単価が公表されたのを受け、福岡市として2月下旬には関係団体に対して、技能労働者への適切な賃金水準の確保についての通知を行うとともに、3月上旬には受注者に対して個別に通知を行い、賃金水準の引き上げなど、適切に対応するよう要請を行っております。さらに、受注者と協議を行う際にも説明しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 荒木龍昇議員。

○45番(荒木龍昇) ではまず、総務費施設保全推進費委託料についてですが、ブロック塀の管理については、経年劣化の問題もあり、今回の補修で終わりというわけにはいきません。また、壁は施設と一体なものであり、施設の利用目的や利用形態によって設置の有無や形状が異なることになります。塀の管理の問題は施設管理の問題でもあり、公共施設も補修時の管理情報がなければ適切な予防管理ができず、長寿命化にも支障を来します。公共施設の管理は各局でなされているとのことですが、公共施設ごとに枝番号をつけて補修、点検情報を記載した管理台帳が必要だと考えます。また、将来の人口動態や施設の利用状況を把握し、施設の転用や統廃合ができるようにすべきです。

 財政局として、補修、点検、人口動態や人口の将来推計、利用状況等を記載した建物管理台帳をつくり、一元的に管理すべきではないかと考えますが、所見を求めます。

 次に、議案第171号、工事請負契約の一部変更についてです。

 建設労働者に適切な賃金を支払うことは、将来不足すると考えられている建設労働者の育成とともに、福岡市の経済活性化に大きく寄与します。スライド条項を適用したならば、労務単価は幾ら上がったのかも確認しなければ、労働者は幾ら受け取ることができるのかわかりません。また、周知もできないし、確認のしようもありません。川崎市では公契約条例をつくり、事業者に現場でポスター掲示やチラシを配付して労務単価が幾らかを周知することを義務づけ、一人親方を含め、末端まで適正な価格を支払っているかを賃金台帳で確認しています。

 そこで、そもそも全ての建設労働者に適正な賃金が支払われていることを確認する必要があると認識しているのか、また、末端の建設労働者まで全ての建設労働者に適正な賃金が支払われ、それを確認するためにどのような措置を講じるのか、所見を求めます。

 以上で質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 則松財政局長。

財政局長(則松和哉) 補正予算案、施設保全推進費についての御質問にお答えいたします。

 補修、点検、利用状況等を記載した建物管理台帳での一元的管理につきましては、庁舎や公民館、市民センターなどの一般建築物では100平米以上の建築物を対象に、財政局が保有している保全情報システムで施設利用者数、施設や設備の改修履歴、建築基準法で規定されている定期点検の結果などの情報を登録するなど、一元的に管理し、施設の保全業務で活用しております。このほかの市営住宅、学校施設、道路、港湾、下水道等においては、それぞれの施設の特性を踏まえ、施設類型ごとに所管局において管理をしております。今後も引き続き改修履歴や点検結果などの情報を蓄積し、アセットマネジメントを推進してまいります。

 続きまして、議案第171号、工事請負契約の一部変更についてお答えをいたします。

 全ての労働者に適正な賃金が支払われていることの確認及びそのための措置につきましては、国土交通省からの通知を踏まえ、福岡市から関係業界団体に対して、平成30年2月28日付の、技能労働者への適切な賃金水準の確保についてにおいて、適切な価格で下請契約を締結することや下請業者に対し、技能労働者への適切な水準の賃金を支払うことなどを要請しております。

 また、適切な賃金の支払いの確認については、元請業者は建設業法に基づき、下請業者等を記載した施工体制台帳を作成することとしており、工事担当課が施工体制台帳により下請契約金額等を確認しております。引き続き技能労働者に適切な水準の賃金が支払われるよう、元請業者へ指導をしてまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) この際、休憩し、午後3時25分に再開いたします。

午後3時11分 休憩  

午後3時25分 開議  

副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。川口浩議員。

○59番(川口 浩)登壇 私は議員提出議案第2号、福岡市観光振興条例案について質疑をいたします。

 まず1問目は、議員提出議案第2号、福岡市観光振興条例を議員提案として出すに至った経緯を詳しく述べていただきたいと思います。

 次に、福岡市当局にお尋ねしますけれども、福岡市は福岡県の動向を注意しながら宿泊税導入等に対する対応をすべきであったと思いますが、何もなされてきておらないと思います。この宿泊税部分に関してどうお考えなのか、お尋ねいたします。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問させていただきます。

 

副議長(石田正明) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 提出者を代表いたしまして、川口議員の質問にお答えをいたします。

 まず、条例案提案に至った経緯についてですが、会派の垣根を超えた複数会派の有志議員が定期的に会合を開き、福岡市の政策課題について協議してきた中で、今回は観光振興をテーマに検討を重ね、条例案の提案に至ったものであります。

 古来よりアジアとの交流の窓口であり、第3次産業が産業構造の9割を占める福岡市において、観光振興による集客交流人口の増大は市のさらなる発展に不可欠であると考えています。観光振興のさらなる推進のためには、観光に関する産業の振興、受け入れ環境の整備等を通して旅行者に市の魅力を感じてもらい、福岡市を訪れたことに対する満足度を高めてもらう必要があります。また、これらの取り組みの推進に当たっては、市内の混雑、民泊の急速な広がりに対する不安等を含めた国内外からの旅行者の増加にまつわる市民生活上の課題の克服にあわせて取り組み、旅行者と住民の双方にとって魅力あるまちづくりを行う必要もあります。また、観光振興は本市経済の活性化につながり、観光振興に関係する事業者の収益向上につながるとともに、市民も利益を享受することができます。以上を踏まえ、有志議員で観光振興施策及び財源確保策について検討を重ねた結果、今回、福岡市の観光振興に関する条例案を提案する運びとなったものでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 宿泊税の導入に係る福岡市の考えについてのお尋ねでございますが、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者をふやし、消費をふやすことが経済の活性化につながることから、これまでも限られた財源の中、事業の選択と集中を図りながら観光・MICEの振興に積極的に取り組んできたところでございます。そのような中、外国人観光客の増加に伴う多言語対応や質の高いMICE誘致に向けたハイクオリティーホテルなどの受け入れ環境の充実、MICE誘致体制の強化などの新たな課題も生じており、これらの対応に係る財源の確保が重要であると認識しております。今回、議員提案により宿泊税の導入が明記された福岡市観光振興条例が提案されておりますが、新たな税の導入にはその目的や必要性、使途などを明確にし、納税者や関係者の理解も得るなど、慎重に検討する必要があると認識しております。福岡市としては、提案の趣旨、審議内容及びその結果などを踏まえて、観光・MICEの振興にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 川口浩議員。

○59番(川口 浩) 議会から聞こうと思ったんですが、今の市の答弁を聞いていますと、福岡県では条例が早くにつくられまして、2810月ですかね。それを受けて市は、やっぱり福岡市の態度というのも、きちんとどうしていくのか、検討せないかんやったと思います。

 まず、戻りまして、議会のほうに聞きますけれども、今回の条例案には宿泊税を課すということになっております。それで、今後、これをするに当たっては県との調整や、国も含めて関係機関、事業者等には話をされたということですけれども、それでは、なぜ6月議会に質疑をされなかったのかと。私どもは新聞記事によって市長の意向や議会の意向は把握できておりますけれども、本来、きちんと市政のことを議論する議場で、提案者であります浜崎議員の質問をかりますと、「議会の議員有志で、観光・MICEの振興を目指し、議員提案条例の検討を開始したところであり、福岡市のさらなる発展に向けて、真剣にかつスピーディーに検討していきたいと考えております」。それならば、なぜ6月議会に、やはりいろいろな問題があるので、福岡市としてしっかりとこれに正面から向かい合って、すぐ課税するかどうかは別ですけれども、どう考えているのか、必要と思うならば課税すべきではないかという議論を市民の代表として、意見が違うなら、この議会の場で市長に求めるべきであったのではないかと。議員が数で決めればいいというものではないと私は思っています。じゃ、どこにどういう事業者にいつからやっていくのかは明示されておりませんし、宿泊税を課す、あとは当局にお願いしますと。それならば、しっかりと市の意見を聞くべきでなかったろうかというのが非常に残念なところであります。

 私個人は県の動向を見るならば、今、宿泊税も前向きに検討し、そして、県との調整も図りながら、導入に向けて御理解いただく部分、やりたいと思っております。しかし、それはまず当局に必要ではないかと理解いただくことが重要ではないかと。当局がやはり後ろ向きだと、課税についてはまだまだと、そういうことをしていたら、県の課税になると事業者も困るよという議論を深め、それでどうしても埋められない部分があるならば、議員提案というのはわかります。しかし、そういった汗をかいてきていない、ただつくったということになっては意味がありません。しっかりと財源を確保し、観光振興に使うならば、その道筋をはっきりし、当局にまずは求めるべきであると思います。このような過程が全て省かれていて、議会が県と責任を持って交渉できるのか、執行部は本当に議会が言うからとすぐするんだろうかと疑問を感じます。情報は新聞からいただいておるような状況。このようなやり方ではいけないと思いますが、提案者はどのように考えているのか、お尋ねします。

 あわせて、他自治体でも導入されているところが4カ所程度あると思いますが、それも議員提案なのか。これは詳しい話を聞いても、議会としては、議員としては答えにくいでしょうから、どのようなところがそのような宿泊税を導入しているのか、お尋ねします。

 次に、当局にお尋ねします。

 私は当局にも非常に不満なところがあります。なぜならば、県がいろいろ協議している、条例もつくって課税についても検討しているという情報を早く知りながら、これは6月議会、新村議員の質問に財政局長と経済観光文化局長が答えてあります。しかしながら、私は聞いていませんけれども、マスコミ報道によりますと、市長は記者会見で、ここでは宿泊税に慎重姿勢、福岡市長、競争力の低下懸念ということで、宿泊税について、福岡市にはビジネス目的でたくさんの人が来ており、新たに税負担が発生すると、競争力の低下につながる。事業者にも相当な負担になると市長が述べられたと。これが全てではないと思います。それならば、市長がみずから、もしくは市長のかわりとして、しっかりこの議論する場の議会に答えるべきでありますけれども、新村議員が一生懸命聞いた答えには、どういうことが起きるとかいろいろ言われていますよ。それとか、よその例も少し出されましたね。事業者はコンピューターとかのやりかえもあるんだと。しかし、最終的には島経済観光文化局長は、「現在、福岡市議会議員有志の方々で検討がなされており、その検討状況について注視してまいりたいと考えております。以上でございます」、こんな無責任な答弁じゃだめだということを言いたいんです。県が動いていて、島市長は別の場所で、やっぱり課税については慎重にならざるを得ないというような記事も載っているんですね。それなのに、考え方の違いは当然あると思います。本来、議論すべき議場で、市長は答えていませんから市長の代理で答えている島局長がこのような他人任せの発言、これはいかがかと思います。市の考え、きちんと市民に向けて、議会に向けて、わかりやすく、今の段階ではどうだとか、それは振興は大事だとおっしゃっておりますけれども、宿泊税部分について聞いておるわけですから、非常にこれも誠意がないと言わざるを得ないと私は思っております。

 そういった意味で、質問ですけれども、やはり執行部が議員提案よりも先に県の動向を踏まえ、報告もしながら、じゃ、何ができるのか、課税のよしあし、市が研究して検討すべきじゃなかったかと思いますが、いかがお考えか、お尋ねします。

 次に、県も報道によりますと、これは県知事の記者会見の長いのがありますけれども、県は福岡市にも配慮してということがあります。また、今後、相談もあるかもしれません。しかし、福岡市は何もやっていないと。県も宿泊税の検討に向けて動いているようですけれども、そうならば、福岡市のスタンスをしっかりとこちらから伝えていかないといけないんではないでしょうか。入り込み観光客の約半分近くが宿泊していますし、約52%前後が福岡市に宿泊している現状なんですよ。そして、県の仕事もありますが、福岡市がいろいろやはり違法がないように啓発したり、言葉がわからない、場所がわからないとかを案内できたり、私は福岡市のほうがたくさんの役割を背負っておると思うから、観光振興するならば、まずは自治体、福岡市が県よりも中心にならざるを得ませんし、そういったものの財源を求めるならば市がしっかりして、県なり九州で必要となれば、その組織があって、そこに拠出するということも可能と思います。そういった議論を専門である市がせずに、議会の動向を見ながら今から考えるでは間に合わないと思います。

 県に市のスタンスをしっかりとこちらからでも考え方を伝えて、議会の動向もあるかもしれませんけれども、協議すべきだと思いますけれども、なぜしてこられなかったのか、どうしていくのか、お尋ねします。

 次に、当局への3問目として、今回の条例案は議員提案でありますけれども、可決された場合、どのような取り組みが早急に必要になってくるのか。早急なやつと長期があると思いますけれども、例えば、可決されたら速やかに上限の検討に入らないかんのかどうか、また、速やかに県に行って御相談するのか、総務省に行って御相談するのか、また、関係者に聞かないかんのか、他都市の課税状況やそういった負担感とか調整されるのか、いろいろ考えたら切りがないと思いますけれども、大きなところで市は、これが最終日には可決されるような流れで提案されているわけですから、そうなった場合、議員がしたとはいえ、条例可決ですから、市としてどういう作業といいますか、取り組みが必要になるのか、お尋ねします。

 2問目の最後に、今回の議員提案条例は宿泊税を課すとなっていますけれども、これは市長の提案権を侵害するおそれはないのか、少し危惧を持っております。ないとすれば、きちんと理由を説明してお答えをいただきたいと思います。

 以上で2問目を終わります。

 

副議長(石田正明) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 条例提案より先に執行部に対して本件に取り組むよう提案すべきだったのではないかという御指摘でございますが、今回、我々が最も大事にしたことはスピード感を持って本市の政策課題を解決するということであります。交流人口の増大は福岡市の発展に不可欠ですが、外国人旅行者の増加に伴う多言語対応や便利で快適な受け入れ環境の整備などに取り組むとともに、国内外からの旅行者増加に伴う市民生活上の課題を迅速に解決することが必要であると考えており、これは観光を所管する経済観光文化局だけでなく、市民生活に関する複数の組織を横断して総合的に検討する必要があり、市民の代表である議員の視点から観光振興策及び財源確保策を検討いたしました。その上で、スピード感を持って政策提言ができる議員提案が最善の解決策と考え、今回、条例案を提案することに至りました。

 また、県との調整に関する御指摘ですが、県において観光振興に関する新たな財源確保策が検討されている旨の報道は把握をしております。福岡県観光振興条例の第12条第2項には、観光振興財源の確保に取り組むに当たっては、市町村と十分に協議し、その意見を踏まえる旨の規定がございますので、今後、執行部において協議等が行われるものと考えております。

 他自治体の導入状況についてですが、宿泊税について定めた条例は4例ございまして、東京都は平成1410月から、大阪府は平成29年1月から宿泊税の徴収を実施しており、また、京都市は本年10月から、金沢市は平成31年4月から宿泊税の徴収を実施する予定だと聞き及んでおります。

 なお、全て首長提案でございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 新たな税の導入について市が先に検討すべきではないかとのおただしですが、観光・MICEの振興につきましては重要な施策として認識しており、これまでも積極的に予算の確保に努めてまいりました。新たな税の導入につきましては、先ほど申しましたように、納税者や関係者の理解も得るなど、慎重に考える必要があると認識しているため、これまで他都市の情報収集等は行ってきているものの、踏み込んだ検討は行っておりません。一方で、市議会有志の皆様による検討が進み、今回の議会で福岡市観光振興条例が提案され、財源確保策として宿泊税の導入が明記されていることから、福岡市としては、提案の趣旨、審議内容及びその結果などを踏まえて対応していきたいと考えております。

 次に、福岡県に市のスタンスを伝えるべきではないかとのおただしですが、県は有識者で構成される検討会議で観光振興の財源について検討しております。また、その財源の確保を進めるに当たって、福岡県観光振興条例には市町村と十分に協議し、その意見を踏まえると定められており、県に対しては福岡市の観光・MICEの取り組みや成果、今後の課題等について、今回の議会での審議内容及びその結果を踏まえつつ、説明してまいりたいと考えております。

 次に、今回の条例が可決された場合の想定される対応についてお答えいたします。

 関係者の理解を求めていくことにつきましては、宿泊税を導入している他都市の例で申しますと、関係者に対し、ヒアリングや説明会等を実施していることを把握しており、そのような手法も含め、検討をしていくことになると考えております。

 次に、県との協議につきましては、先ほど申しましたように、福岡県観光振興条例には市町村と十分に協議し、その意見を踏まえると定められておりますので、県に対しては福岡市の観光・MICEの取り組みや成果、今後の課題等について、今議会での審議内容及びその成果を踏まえつつ、説明してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 光山総務企画局長。

総務企画局長(光山裕朗) 本条例が市長の提案権を侵害するのではないかとのお尋ねでございますが、本条例は宿泊税について具体的な規定を置かず、宿泊税を課すること及び宿泊税については別に条例で定めることのみを規定しており、本条例によって直ちに宿泊税を課税するものではございません。また、本条例の施行期日が規則に委任されていることから、宿泊税の導入時期を含めて市長に裁量が認められる内容となっております。以上のことから、本条例は市長の権限を侵害するものではないと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 川口浩議員。

○59番(川口 浩) 今、答弁があったんですけど、まずは経済振興のほうで、やはり宿泊税に関しては市長みずからが記者会見の場で、少し慎重意見、また、MICEは頑張りたいという意見がある。それはあなたが代弁するならば、今の中では、振興は必要だけれども直ちにではないと。せめて記者会見以上、説明をしないと。答弁の中ではその言葉すら出てきていませんよ。後ほど答弁を求めますけれども。

 それと、議会のほうでスピード感を持ってと言うけれども、今お尋ねした提案権の侵害にならないのかと、なると心配だよと。ならないと。その理由は、直ちにするということを縛られるものではないと。するとしても、ヒアリング等をよその都市ではしているので、やるとすれば、そういうことが必要になっていく。これは当局ですね。そして、市長に裁量権があると、誰まで課すのか、目的も含めて──目的はある程度同じかと思いますけれども。条例が通ったからといって、そこら辺の裁量権は市にあるから、直ちにこれがせないかんと、通ったから何でせんのかという話ではないと。もしも議会がやりたければ、予算案のときに修正動議でも出されればいいのかもしれません。その覚悟で、議員提案で、議会の場で当局との意見の違いなり交換をせぬままやってきておるわけですから、議員提案でいきなり出した以上、その責務は議会にあるのかなと思っております。

 先ほど述べましたように、提案権の侵害にならない、そして、自由度がある、いつとも明示されていない、そういった中で、これがやはり6月にしっかりとそこを詰めなければ、課税すると言ったものの、現実はつくったけれども、そのままという結果になってしまうのではないかと。これこそ本来、私たち議会が市民に公開された場の議場で互いの考え、違いを議論するのが仕事ではないですか。それを抜かして数で勝てば、条例が通ればいいということであれば、たくさんの人の理解を得られないのではないかと。そして、あとは市役所の皆さんがするんだと。そして、市役所の方は今度、いやいや、それは条例は通ったけれども、すぐする責務はないということを裏返せば言われたわけですね。直ちにすることではないと。するにしても、いろいろ当局がするならば一から、ヒアリングからせないかんと。日時も明示されておらない。こういった中で、私は遠回りになったんではないかなと。やるべきことをちゃんとやって、そして、やっぱり意見の違いを埋めるために、やむなく議員立案ということでされるならばよかろうと。再度言いますが、私は市の意見とは違います。私は県の動きもあって、他都市もあって、福岡市が全国からも入り込み観光客が伸びて、インバウンド、アウトバウンドを今議論されている中、空港でも空港施設使用税とかもあります。いろいろな中で、例えば、バスのとめ場の整備とか、出来町もそうですね。そういった中、そういう方たちのために、やっぱりいろいろ福祉もある中、税金を割いていかないかん。若干の負担をいただいて、そういったものをよりまた来てもらいやすい、安心して来れる、それによって市の事業者も潤う、そして、市民も豊かになれるというためにもこれは導入していいんではないかなと。周りの状況もあります。県がそういう動きなので、待っておったんじゃ議論する場を逃すよということもあります。一番には市がしっかりとこれに向き合ってこなかったんではないかなと。そして、しびれを切らせてやられたことが結果的には遠回りになった。当局は、いやいや、宿泊税についてはまだまだ議論しないと、すぐ実行ではないと。議員のほうは提案して、課税することができるではないんですね。課税するじゃないかと。速やかに課税の検討をせろというようなね。また、議会内部でも議論の応酬がないもんですから、誤解も招くような形になって、私は遠回りと思います。

 こういう事態について提案議員はどう進め方をお考えなのか。また、市においては、こういったことを招くのは、やはり市が、市長は誠実にというかね、マスコミ取材には自分の本音、ただ、直接聞いていませんから全ては伝わらないですね。マスコミの方が紹介してくださったんですけれども、やはりこれはそれ以上の、同等の私の考え、そして、大事なところ、今後、やはり検討も必要になるだったり、きちんと入れた上で答えないと、議会の答弁のほうが黙っている。それが6月でしょう。あなたが、経済観光文化局長が言われたのは、議会の動向を見守って今後考える、そんなんじゃだめなんですよ。それも市長のかわりで答えているんだから。市長が答えればいいわけで。

 最後に、議会、そして当局に今後そういったことについてどうお考えか、また、市は今後きちんと答えられるのか、再度どうしていくのか。懸念も持っているなら持っているでいい。しかしながら、今後そういうのもやっぱり必要があれば間を置かずというか、早急に詰めていくとか、そういったお考えをお尋ねし、質疑を終わります。

 

副議長(石田正明) 平畑雅博議員。

7番(平畑雅博) 川口議員からの御質問でございますが、もともと提案の仕方としてどうだったのかと、そういう中で施行期日も決めていない中で、本当に実効性があるのかと、本当にやれるのかと、多分持っていき方は反対だと、中身はいいんではないかというふうに聞こえております。施行期日を我々は設けておりませんけれども、この観光振興条例が成立した後に宿泊税を課するとして、まず、別の条例をつくらなければなりません。納税義務者や税率、課税方法などを定めた条例、それから、総務省のほうに協議が入ります。それも時間があって、その後に福岡市の宿泊事業者や市民の方に周知をする、広報するという期間がありますので、なかなか施行期日まで明記ができなかった。これは我々も何とか提案できないかと、期日をつくりたいということも議論しましたが、これで期日を設けるのはなかなか難しいということで期日は設けておりませんけれども、そこは市の行政の皆様方がきょうの議論を聞いていただきました。しっかり真摯に前向きに検討していただけることを信頼しているということを申し上げて、答弁としたいと思います。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 私のほうで先に答弁をさせていただきます。

 6月議会で、なぜ明確に市の考えを示さなかったのかというお尋ねでございます。

 福岡市といたしましては、5月の市長発言にもありましたように、そもそも新たな税の導入については慎重であるべきとの認識でございました。そのような中、6月14日の一般質問において浜崎議員より、宿泊税など新たな財源確保も含め、議員有志で議員提案条例を真剣にかつスピーディーに検討していく旨の御意見がございました。当該御意見につきましては、議員有志のこうした明確な御意向を妨げるものではないとの判断から、6月18日の新村議員の一般質問の答弁におきましては注視していくと述べたものでございます。一方で、今回の議会において宿泊税の導入が明記された福岡市観光振興条例が提案されましたので、新たな税の導入に対する考えを含めた福岡市の観光・MICE振興の課題認識や姿勢を改めて述べさせていただいたものでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 貞刈副市長。

副市長(貞刈厚仁) 宿泊税の導入に係る市の考えについてのお尋ねですが、福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者をふやし、消費をふやすことが経済の活性化につながることから、観光・MICEの振興に積極的に取り組んできたところでございます。アジアのゲートウェイ都市を目指してきた福岡市にとって、交流人口の拡大を図る観光振興は福岡市の重要な施策であると考えております。近年、外国人観光客はショッピングのみならず、その土地ならではの体験や交流を求めるなど、そのニーズが多様化してきております。これまで大陸との交流で培われた本市の伝統文化や各種エンターテインメントなどのさらなる魅力向上のほか、都市の知名度向上のためのMICE誘致の強化など、取り組むべき課題は多く、これらの対応に係る財源の確保が重要であると認識いたしております。今回、議員提案により宿泊税の導入が明記された福岡市観光振興条例が提案されておりますが、新たな税の導入については、その目的や必要性、使途などを明確にし、納税者や関係者の理解も得るなど、慎重に検討する必要があると認識しております。福岡市としては、提案の趣旨、審議内容及びその結果などを踏まえて、観光・MICEの振興にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 以上で質疑を終結いたします。

 ただいま議題となっております議案中、議案第164号ないし議案第179号、議員提出議案第2号及び議員提出議案第3号、以上18件は、お手元に配付の議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。

 この際、お諮りいたします。

 議案第139号ないし議案第163号、以上25件については、59人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、これに付託の上、審査することにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

副議長(石田正明) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま設置されました決算特別委員会の委員の選任については、本市議会議員のうち監査委員2人を除く59人を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

副議長(石田正明) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

 以上で本日の日程は終了いたしました。

 次の会議は明7日午前10時に開きます。

 本日はこれをもって散会いたします。

午後3時58分 散会