平成30年6月15日(金)


平成30年第3回福岡市議会定例会

議  事  日  程 (第3号)

                             6月15日 午前10時開議

第1  一 般 質 問


本日の会議に付した事件

1.日程第1


出 席 議 員 (61名)

1番  鬼 塚 昌 宏       2番  堤 田   寛

3番  調   崇 史        4番  津 田 信太郎

5番  大 森 一 馬       6番  大 原 弥寿男

7番  平 畑 雅 博       8番  打 越 基 安

9番  冨 永 計 久      10番  森   英 鷹

11番  川 上 晋 平       12番  稲 員 稔 夫

13番  大 坪 真由美      14番  中 島まさひろ

15番  川 上 陽 平       16番  古 川 清 文

17番  高 木 勝 利       18番  篠 原 達 也

19番  飯 盛 利 康       20番  今 林ひであき

21番  阿 部 真之助      22番  尾 花 康 広

23番  松 野   隆        24番  楠   正 信

25番  福 田 まもる       26番  南 原   茂

27番  おばた 久 弥      28番  光 安   力

29番  山 口 剛 司       30番  石 田 正 明

31番  大 石 修 二       32番  黒 子 秀勇樹

33番  新 村 まさる        34番   欠   員

35番  天 野 こ う         36番  橋 田 和 義

37番  堀 内 徹 夫       38番  とみなが正 博

39番  森   あや子       40番  浜 崎 太 郎

41番  綿 貫 英 彦       42番  熊 谷 敦 子

43番  倉 元 達 朗       44番  富 永 周 行

45番  荒 木 龍 昇       46番  国 分 徳 彦

47番  笠   康 雄        48番  藤 本 顕 憲

49番  星 野 美恵子      50番  中 山 郁 美

51番  ひえじま俊 和       52番  高 山 博 光

53番  近 藤 里 美       54番  田 中しんすけ

55番  落 石 俊 則       56番  田 中 丈太郎

57番  太 田 英 二       58番  池 田 良 子

59番  川 口   浩        60番  阿 部 正 剛

61番  栃 木 義 博       62番  江 藤 博 美


欠 席 議 員 (0名)


説明のため出席した者

市       長         島 宗一郎   副市長                          貞 刈 厚 仁

副  市  長           中 園 政 直    副市長                           荒 瀬 泰 子

水道事業管理者        清 森 俊 彦   交通事業管理者              阿 部   亨

総務企画局長           光 山 裕 朗   財政局長                        則 松 和 哉

市民局長                 下 川 祥 二    こども未来局長               小野田 勝 則

保健福祉局長           永 渕 英 洋   環境局長                         吉 村 隆 一

経済観光文化局長      島   収    農林水産局長                  細 川 浩 行

住宅都市局長           石 橋 正 信   道路下水道局長               三 角 正 文

港湾空港局長           中 村 貴 久   消防局長                         山 下 周 成

会計管理者               水 町 博 之   教育長                           星 子 明 夫

教育委員                  菊 池 裕 次   選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子

人事委員会事務局長  小 西 眞 弓   監査事務局長                  落 石 稔 彦


職務のため出席した事務局職員

議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史

議事課長         着 一 孝   議事係長            中 村   博

外関係職員


午前10時 開議  

○議長(川上晋平) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、一般質問を行います。発言通告者のうちから順次質問を許します。森あや子議員。

 

39番(森 あや子)登壇 おはようございます。私は緑と市民ネットワークの会を代表し、強度行動障がい者への支援について、原子力災害に対する対応について質問いたします。

 まず、強度行動障がい者への支援についてです。

 自分の顔が変形するほどたたいてしまったり、こだわりが強い、うなり声を上げる、思いが伝わらず家族や支援者に対して急にかみつく、着ていた服を破るなど、独特の表現や行動が出現する強度行動障がいです。支援をする側は専門的高いスキルを要します。現実的には1950年代からさまざまな取り組みが行われてきましたが、強度行動障がいという用語は、1989年、平成元年に行動障害児(者)研究会により出された報告書で登場しています。その後、平成5年に国としてモデル的な事業をスタートし、25年にわたり多くの実績と研究が蓄積されてきています。私がお受けしている相談者にも強度行動障がいの特性があり、困難な思いをされている方の御家族や支援をされている方々がいらっしゃいます。そして、多くの障がい児・者の家族の悩みは親亡き後のこと。これから先、成長とともに、どのように行動障がいが変化していくのかと戸惑い、安心して任せられる居場所がなかなかない中、とても大きな不安を抱えていらっしゃいます。

 そこで、改めて強度行動障がいとはどのようなものか、お答えください。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 強度行動障がいにつきましては、厚生労働省の資料によりますと、医学的診断に基づくものではなく、かみつきといった他害行為や自傷行為が通常考えられない頻度と形式で出現しており、家庭で通常の育て方をして、かなりの養育努力があっても著しい処遇困難が持続している状態にあることとされております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) 福岡市ではいつごろから、どのようなきっかけで強度行動障がい者への支援に取り組むようになったのでしょうか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 強度行動障がい者の支援につきましては、平成16年に福岡県内の知的障がい者入所施設で発生した職員による強度行動障がい者に対する虐待事件を契機として、平成18年度に学識経験者や障がい施設関係団体の代表などで構成する福岡市強度行動障がい者支援調査研究会を設置し、施設での支援方法や支援に関する諸問題の解決など、支援のあり方について検討を開始したところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) 平成2410月1日から国や地方公共団体、障がい者福祉施設従事者等、使用者などに障がい者虐待の防止等のための責務や虐待を発見した者に対する通報義務を課す障害者虐待防止法が施行されています。障がい者の尊厳を重視し、障がい者に対する虐待を防止することが極めて重要であるとし、施策を促進することをもって障がい者の権利、利益の擁護に資することを目的としています。家族などの擁護者はもちろん愛情を持って育ててはきていますが、介護をする人の中には相談できる人がいなかったり、大きなストレスを抱え、追い込まれた状態にある人がいることも事実です。家族などの擁護者を支援するという部分にもあわせて主眼が置かれている法となっています。社会の中で誰にとっても悲しい結末とならないために、早期に、そして、適切に対応することが重要です。

 そこで、お尋ねですが、強度行動障がい者と言われる方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか、福岡市で実態調査などを行っていれば、その状況をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市における強度行動障がい者の実態につきましては、平成24年8月から9月にかけまして、福岡市強度行動障がい者支援調査研究会において、現状を把握するため、障がい者施設や特別支援学校129カ所に対しアンケート調査を実施し、109カ所から4,916人分の回答が得られたところでございます。この調査の結果、国における判定基準に照らして、強度行動障がいの該当となる方は190人となってございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) お示しいただいたのは6年前の調査結果です。障がい児・者はふえてきています。発達障がいのある場合、本人のもともと持っている素因や障がいの特徴と環境的な要因が影響し合い、生活のしづらさによって二次的に精神障がいを合併しやすくなることも知られ、報告されています。適切な支援を行うためにも、ぜひ実態調査を行っていただくことを強く要望いたします。

 では、強度行動障がい者への支援に関するこれまでの福岡市の取り組み状況についてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 強度行動障がい者への支援につきましては、平成18年度から民間事業所の支援員や特別支援学校の教職員を対象に、障がい特性の理解と支援技術の習得を目的とした支援研修事業を開始するとともに、平成21年度から、受け入れを行っている事業所の負担を軽減するため、複数の事業所の職員で共同して支援に当たる共同支援事業を開始いたしました。また、平成27年度からは強度行動障がい者に対し、24時間体制で集中的に支援することで行動問題の軽減を図る集中支援モデル事業を開始するとともに、平成30年2月には、支援終了後、移行先を確保するまでの期間においても支援を行えるよう、グループホームを併設した障がい者地域生活・行動支援センターか〜むを開設し、集中支援を本格的に実施しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) ありがとうございます。

 では、か〜むとはどのような機能、役割を持っているのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 障がい者地域生活・行動支援センターか〜むにおきましては、24時間体制で1人の利用者に対し複数の支援員により集中的に支援することで、行動問題の分析を行うとともに、個々の障がい特性に応じた支援を実践しながら行動問題の軽減を図っているところでございます。また、集中支援により蓄積されたノウハウを支援研修や共同支援など、ほかの事業でも活用するほか、支援終了後、地域生活へ円滑に移行できるよう、利用者を受け入れる事業所に対し支援方法を引き継ぐとともに、移行した後も事業所や利用者の家族に対するフォローアップを実施するなど、強度行動障がい者支援の中核的な役割を担っているところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) ありがとうございます。

 か〜むの現状を私も見させていただきました。集中支援時期の大変な御苦労を目の当たりにしました。職員の方々は体を張り、一生懸命支援に当たっておられました。かみつき、蹴る、たたくといった行動があり、支援するのが非常に困難な状況から、1年以上かけて手厚い集中支援を卒業し、困難さが軽くなっていき、かわいい笑顔も自然に出る様子もうかがえました。とてもとても大変で、人数も2人ずつと限られてはいますが、とてもよい状況が生まれていることがわかりました。地域の事業所等で暮らせるようになるのは御家族にとってもほっと胸をなでおろす感覚だと思います。

 それでは、今後、福岡市では強度行動障がい者の支援にどのように取り組んでいかれるのでしょうか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 強度行動障がい者の支援につきましては、これまで集中支援モデル事業において3年間で13名の支援を行ってまいりましたが、今後は平成30年2月に開設した障がい者地域生活・行動支援センターか〜むにおいて、併設した移行型のグループホームを活用して利用者への円滑な支援を行うことで、まずは利用者数をふやしてまいりたいと考えているところでございます。今後とも、支援方法の改善やノウハウの蓄積を図るとともに、福岡市強度行動障がい者支援調査研究会の御意見も伺いながら、支援のあり方を検討してまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) ありがとうございます。

 集中支援を終了し、地域での生活等に移行した後、確実に支援方法を引き継ぐことがとても重要です。そして、地域の中でさらなる二次的障がいを引き起こさないよう、困難さが増す前に適切な支援がなされるよう進めることが求められます。社会全体に障がいに関する理解を深め、ボランティアを含めた支援者をふやすことも必要です。そして、6年前の時点で190人。年々、年をとっていく家族での支援をずっと続けることは心身ともに疲弊し、限界が来ます。入所できる施設がごくごく限られ、社会全体ではまだ専門的な知識に乏しい状況です。障がい者の親亡き後の待ったなしの生活も見据え、引き続き強度行動障がい者への支援をより一層取り組まれるよう強く要望し、この質問を終わります。

 続いて、原子力災害に対する対応についてです。

 私たちは原子力災害について、もっと真剣に向き合うことが必要です。原発からの距離、立地県ではないという条件が同様の兵庫県篠山市では、「原発災害にたくましく備えよう」というハンドブックを策定し、市民へ配布されています。1、とっとと逃げる、2、心のバリアをとる、3、被害を少しでも減らすと掲げ、放射線や減災に関することを丁寧に載せ、市長の顔写真の横に「子どもたちを、市民を、守ります」と吹き出しがあり、原発に対する考え等を述べ、最後には「市民あげて災害に強い、そして美しく住みよい篠山市をめざします」と書かれています。これがそのハンドブックです。(資料表示)そして、1ページに3つ、とっとと逃げるというのがまず書かれてあります。そして、最後のほうには篠山市の取り組みと市長の顔写真、それから吹き出し、それと考え方などが書かれております。

 事故は絶対に起こらないとは誰一人断言できないのですから、3.11を教訓とし、原発に頼らない社会をつくる知恵を出すべきです。今すぐに廃炉を進めても、子どもや孫の世代まで作業は続くのです。核のごみも未来世代への押しつけです。福岡市は原発から約37から60キロに位置しています。心のバリアをとり、その危険性を認識し、いざというときに速やかに対応できる備えをすることが重要です。本市の原子力災害に対する危機管理システムは実際に機能できるのか、検証します。

 そこで、お尋ねです。玄海原発の再稼働に当たり、市は九電からの情報などを得ることができていたのでしょうか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 玄海原子力発電所の再稼働につきましては、原子力規制委員会の新規制基準に関する手続に応じ、使用前検査や定期検査、燃料装荷など、再稼働に伴うプロセスについて、九州電力から適時、適切に報告を受けております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) 再稼働については報告を受けただけということでしょうか。国や事業者の言うことに従うという他人事のような姿勢では、市民の命と健康を守ることはできません。国が定める放射線管理区域以上の被曝環境にさらされる可能性がないとは言い切れません。

 それでは、3月30日金曜日午後7時の3号機の事故発生に関しての九電からの情報提供及び福岡市の対応はどのようにされていますか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 九州電力からの情報提供につきましては、玄海原子力発電所3号機の2次系設備である脱気器空気抜き管から微小な蒸気漏れが確認されたが、環境への放射能の影響がないことについて、3月30日の2217分に連絡を受けております。また、福岡市の対応につきましては、九州電力からの連絡を受け、速やかに庁内で情報共有を行うとともに、後日、経過報告のため九州電力が来庁された際、安全確保にしっかり努めていただきたい、迅速かつ正確な情報提供をお願いしたいの2点について申し入れしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) では、5月2日水曜日午後4時、4号機の事故発生に関し、九電からの情報提供及び福岡市の対応はどのようにされていましたか。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 九州電力からの情報提供につきましては、玄海原子力発電所4号機の1次冷却材ポンプシール部における流量が通常より多いことから、起動工程を一旦とめて点検を行うことを検討しているが、このことによる系統外への1次冷却材の漏えいや環境への放射能の影響がないことについて、5月3日の1134分に連絡を受けております。また、福岡市の対応につきましては、九州電力からの連絡を受け、速やかに庁内で情報共有を行うとともに、後日、経過報告のため九州電力が来庁された際、改めて安全確保にしっかり努めていただきたいとの申し入れを行っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) 3号機は約3時間、そして、迅速かつ正確な情報提供をと言ったにもかかわらず、4号機は19時間もたってからの情報提供です。4号機は部品をかえたばかりの1次系の部所です。流量が通常より倍以上になり、中央制御室の警報が鳴り異常が発覚。調整作業を行ったが改善せず、緊急点検されました。4号機ポンプ事故は、エアコンがきいていなかったから水温が3度上がってシール部が壊れたと九電は答えておりますが、原発のアキレス腱とも言われる重要部分です。その異常です。美浜や伊方、川内原発でもシール部分は事故が起こっております。構造部の問題ではないでしょうか。放射能漏れが発生した場合、風向きにもよりますが、2時間もあれば福岡市に到達する予測もあります。異常の発見や警報が鳴った時点での一報を九電には要求し、刻々と変化する事態に避難体制を整える時間の確保が少しでも必要です。

 今回の事故は放射能漏れはなく幸いなことでしたが、どんたくなど福岡で開催されるイベントは多くの観光客が訪れます。そのようなとき、実際に放射能が放出する事故が起こった場合の対応について、3つのパターンを想定してお尋ねをいたします。

 事故により原発から放射能が漏れ出したと九州電力から福岡市へ連絡があった場合、2つ目は、国から30キロ圏内の糸島市民に屋内退避の指示が出た場合、3番目、国から30キロ圏内の糸島市民に30キロ圏外への避難指示及び福岡市においても屋内退避指示が出た場合、本市の避難計画としてある糸島からの避難者受け入れも含め、観光客や市民に対してそれぞれのパターンの想定への対応はどうされるのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 玄海原子力発電所からの大気中への放射能漏れに関する対応についてお答えいたします。

 まず、放射能漏れの連絡を受けた際の対応については、30キロメートル圏外である福岡市では、地域防災計画において、災害の状況や今後の見通し等について情報収集を行うとともに、国、県と連携を図り、市民等への迅速かつ的確な情報伝達活動を行うこととしております。

 次に、国の原子力災害対策指針における全面緊急事態となり、30キロメートル圏内において国から屋内退避の防護措置の指示が講じられた場合についても、福岡市では地域防災計画において、災害の状況や今後の見通し等について情報収集を行うとともに、国、県と連携を図り、市民等への迅速かつ的確な情報伝達活動を行うこととしております。さらに、30キロメートル圏内の糸島市民の圏外への避難及び福岡市民に対し屋内退避指示が出された際の対応については、地域防災計画に基づき、糸島市民受け入れのための避難所を開設するとともに、屋内退避の対象となる地域の福岡市民や観光客などに対し、速やかな屋内退避についての情報伝達や誘導などを行うこととしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。(発言する者あり)

39番(森 あや子) そうですね、ありがとうございます。本当にこれが無事に助けられる計画かどうかというのが、これでわかったかと思います。これが地震との複合災害だったらどうでしょう。市民や観光客は冷静に行動できるか、大いに課題があります。

 時間の都合で、次に進みます。

 BCPである業務継続計画が我が市にはあります。これには放射能汚染に関してのことは含まれてはおりません。万が一の事態を想定しての各局における詳細な行動計画は必要なのではないでしょうか。本市のお考えをお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 原子力防災に関する局や区の行動計画につきましては、所管する業務や地域特性を踏まえ、その必要性も含め、関係局区と協議してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) それでは、例えば水道局の場合、どうなるかということをちょっとお尋ねいたします。

 玄海原発の単独事故もしくは地震や風水害と複合した災害で、水源地や水道施設に放射能汚染の可能性がある状況を想定した準備や検査があるのか、お尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 清森水道事業管理者。

○水道事業管理者(清森俊彦) 水道局におきましては、安全な水道水を供給することを目的として、水源から蛇口までの全ての段階において想定される放射性物質を含むあらゆるリスクに対し、その対応方法を定めた福岡市水安全計画を策定しております。この水安全計画において、放射性物質の管理目標値等をWHOの飲料水水質ガイドライン及び国の通知を踏まえて設定しており、全ての浄水場で全ベータ放射能検査や放射性ヨウ素及び放射性セシウムの検査を定期的に実施し、確認しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) それでは、実際に基準となる管理目標値を超える放射能汚染があった場合、どのように対応することになっているのでしょうか。

 

○議長(川上晋平) 清森水道事業管理者。

○水道事業管理者(清森俊彦) 放射性物質による汚染があった場合の対応につきましては、福岡市水安全計画に基づき、まず、国及び関係機関からの迅速な情報収集に努めるとともに、放射性物質の検査を強化し、汚染状況を把握いたします。その状況を踏まえ、水源を切りかえるほか、放射性物質は通常の浄水処理で除去できることから、活性炭や塩素等の注入量を増加することにより対応することとしております。

 なお、これらの対応策を実施しても管理目標値を継続して超えることが見込まれる場合には、飲用を控えるよう市民へ速やかに周知することとしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) 果たしてスムーズな周知ができるのか、そのタイミングが適切であるのか、屋内退避をする市民の健康状況との連動性など、安全に対応が図られるのかなどなど含めた計画の充実と、その計画に沿って行動をする職員の方々の安全は確保されているのかなどもシミュレーションや訓練をする必要があると考えます。誰一人として被曝をさせたくないという切なる思いです。全職員方々大事な役割を担われますが、安定ヨウ素剤を現在はお持ちではない状況です。各局しっかり充実していただくことを要望いたします。

 質問を市民局に戻します。

 市は、原発事故が単独であれ、地震等との複合的な災害であれ、状況によっては30キロ圏内から避難して来られる方を受け入れる側にもなります。その状況も想定した避難誘導訓練と市民の避難訓練において、放射能汚染に対する対応を図れるように進めていくことが重要と考えますが、これまで行った原子力防災訓練についてお答えいただき、市民の自助力を発揮できるための意識向上や避難計画の充実について、また、訓練のあり方についてのお考えをお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 福岡市が行った原子力防災訓練の実績につきましては、平成25年度から27年度において西区全校区を対象に避難訓練を行うとともに、28年度からは早良区の一部校区において屋内退避訓練を実施しております。また、福岡県原子力防災訓練に参加し、県と合同で糸島市からの避難者の受け入れ訓練などを実施しており、今後の訓練のあり方についても、県と協議してまいりたいと考えております。さらに、出前講座や屋内退避訓練により、原子力防災に関する知識の普及啓発や防災意識の向上を図っており、避難計画については、国の原子力災害対策指針の改定動向等も踏まえ、随時見直しを図っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) 市民の自助力を発揮できる訓練をぜひ行ってほしいと思います。それから、国の動向を待たずしての充実を強く要望いたします。

 改めて、原子力災害に対して今後の福岡市の姿勢をお答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 福岡市の原子力防災への取り組みにつきましては、今後とも、原子力発電所の安全確保や情報公開の徹底について国や事業者への要望を行うとともに、安定ヨウ素剤の段階的備蓄や防災訓練の実施など、原子力防災対策の充実に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 森あや子議員。

39番(森 あや子) ここで九電の取り組みなんですけれども、「環境にやさしいエネルギーと子どもたちの未来豊かな地域・社会を支えるため、社有林をいつまでもしっかりと守りつづけます」と広報されています。社有林を持っています。大分県のほうに福岡ヤフオクドーム630個分の広さを有します。大正時代から山林育成され、本当に守っていく、社会のためにというふうにされています。国も自治体も企業も、ただ掲げているだけではない、真に子どもたちに顔向けのできる判断をされることを心から願い、私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる)登壇 私は自民党新福岡を代表して、福岡空港の民間委託における優先交渉権者の選定について質問いたします。

 先月16日、国土交通省から、福岡空港の民間委託における優先交渉権者として、福岡エアポートホールディングスグループ、いわゆる地場連合が選定されたと発表されました。30年もの長きにわたって空港運営を委ねる運営権者として、地域を熟知する地場企業を中心としたグループが選定されたことは地域にとって大きな安心材料であり、今後の空港運営に大いに期待するところであります。提案内容に関連することは新聞各社からさまざま報道されておりますが、現時点で国から提案の概要は公表されておらず、その具体的内容についてうかがい知ることはできないことは承知しております。一方で、御存じのとおり、市街地に位置する空港ゆえの騒音問題などを抱える福岡空港は、空港周辺の皆様の受忍と協力に支えられているわけですが、民間委託に対する不安の声があるのも確かであります。

 そこで、今回、空港運営の民間委託の意義、目的を再確認するとともに、民間委託への不安の声や懸念を中心に質問してまいりたいと思います。

 まず初めに、福岡空港の民間委託の意義、目的について、空港の民間委託はどういった考え方に基づき、何を目的としているのかをお尋ねして、1問目を終わり、2問目以降は自席にて質問いたします。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 空港運営の民間委託につきましては、所有権を民間に移す完全民営化とは異なり、国が所有権を持ったまま民間に任せられる部分のみを切り出して委託するもので、委託業務の実施条件を定めて、国が運営権者の履行を監督指導するものでございます。この空港運営の民間委託は、その根拠法となるいわゆる民活空港運営法等に基づき、民間の資金及び経営能力の活用による一体的かつ機動的な空港運営を実現するもので、経営の効率化や戦略的な路線誘致により利用者の利便性を向上させ、ひいては内外の交流人口の拡大等により、地域の振興、発展を図ることが目的とされるものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 空港の民間委託は、地域活性化、地域の振興、発展を図ることが目的であり、そのために民間の資金や経営ノウハウを活用する制度だということを改めて確認させていただきました。

 さて、地場連合が優先交渉権者として選定されたと先日公表されましたが、早速その翌日には市長を表敬されたということは地元自治体として非常にありがたいことだと思っております。今回の公募では、地域を理解し、空港及び地域の振興、活性化に資する最もすぐれた提案が評価され、選定されたものと理解しております。

 それでは、今後、提案の概要はいつ明らかになり、民間委託の開始まで国はどのようなスケジュールで進めていくのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 国の公表資料によりますと、まず、当面のスケジュールとしましては、今月中に国と優先交渉権者がそれぞれが負うべき責務及び諸手続について定める基本協定を締結し、その後、速やかに提案の概要が公表される予定となっております。

 次に、民間委託開始までのスケジュールですが、優先交渉権者は特別目的会社、いわゆるSPCを設立し、8月に予定される国との実施契約締結をもってSPCが正式に運営権者となった後、11月に空港ターミナルビルを経営するビル事業を先行開始し、来年4月に民間委託業務を全面的に開始する予定となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) もう間もなく提案の概要は公表されるということで、私自身も楽しみに待ちたいと思います。

 いよいよSPCによるビル事業の先行開始まであと4カ月余り、そして、全面的な民間委託の開始まであと9カ月余りに迫ってきました。空港所在の自治体である福岡市としましては、空港運営が適切に行われるよう運営会社と連携、協力し、その責任を果たしていくことはもちろんですが、地域に寄り添い、周辺地域の住民が持つ不安を払拭していただくことが極めて重要だと思います。公表前なので真偽のほどは定かではありませんが、一部では運営権対価は4,000億円を超えると報道されており、仮にこの額が確かだとすれば、運営権者にとっては大きな負担となり、それが空港運営や地域共生策にさまざまな負担を生じさせるのではないかと危惧する声もあります。

 そこで、今回、そのような不安を払拭していただきたく、各論として大きく4点、1点目、安全、安心について、2点目、地域との共生について、3点目、空港利用者の利便性について、4点目、市と運営権者の連携について順次お尋ねしてまいります。

 まず1点目、空港運営において最も重要な安全、安心についてであります。

 現在、福岡空港は混雑空港に指定されており、処理容量を超えている状況にあります。このような過密な空港の運営を民間に委ねた場合、ますます危険になるのではないかという声もありますが、どのような安全対策が講じられるのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 安全対策につきましては、当然ながら民間委託後も空港運営の最優先事項とされております。航空機の安全運航の柱となる航空管制業務は今回の民間委託の対象とはなっておらず、引き続き国がしっかりと行うこととされております。また、滑走路のメンテナンスなど、民間に任せる部分につきましては、現在の安全基準が確実に履行すべき水準として義務づけられ、国がその履行を監督指導することとなっており、安全性の確保に万全が期される仕組みとなってございます。さらに、優先交渉権者が現状を上回る提案を行っていた場合は、運営権者はその提案を履行する義務を負うため、より高い水準での安全対策が講じられるものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 安全対策は現在の水準が担保された上で、さらに高い水準の安全対策もあり得るということで大変安心いたしました。

 次に、2点目、空港周辺の地域の方々の関心の高い、地域との共生についてであります。

 地域住民の方々からは、利益が優先され、環境対策が後退するのではないかとの不安の声も聞かれますが、今後、運営権者は環境対策をどのようにしていくのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 環境対策には2つございます。まず、空港周辺整備機構が行っている、いわゆる騒防法に基づく住宅防音工事や移転補償などの事業と、空港環境整備協会が行っております騒防法を補完する広場や花壇の整備などの事業、この2つがございます。いずれの事業におきましても、国の監督指導のもと、現状以上の環境対策を行うことが義務づけられる仕組みとなっております。具体的に御説明いたしますと、前者の空港周辺整備機構が行っております事業につきましては、滑走路増設工事完了から4年後の2028年度末まで国と機構が引き続き業務を実施し、その後、その全ての業務が運営権者に引き継がれることになります。また、後者の事業につきましては、これと同等以上の効果が得られる事業を運営権者が提案し、実施することとなっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 民間委託により環境対策の後退は許されるものではありません。運営会社によって現状以上が実施されるということで安心しました。国、県はもとより、市も着実な環境対策事業に取り組んでいただくよう要望しておきます。

 では、福岡空港の運営時間についてはいかがでしょうか。地域住民への配慮から、現在、7時から22時までとなっておりますが、利便性を高めるために利用時間が延長されるのではないかとの心配もあります。民間委託によって利用時間はどうなるのか、お尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 議員御指摘のとおり、現在、福岡空港の利用時間は周辺住民への配慮から7時から22時までとされているところでございます。その変更につきましては、国の実施方針において国や地元自治体と協議することが定められており、運営権者の判断だけで変更することができない仕組みになっております。地元自治体である福岡市としましては、福岡空港の運営は周辺住民の理解や御協力に支えられていると認識しており、周辺住民の理解なしに利用時間が変更されることはないものと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 周辺住民の同意なしに利用時間が延長されることはないとお聞きし、何より安堵いたしました。

 続きまして、3点目、空港利用者の利便性についてお伺いいたします。

 運営会社は着陸料や空港使用料を自由に決定できるようになるため、利用者に運賃値上げといった負担増加を強いるものではないかと危惧される声もあります。料金設定はどのような仕組みになっているのでしょうか、お尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 民間委託後の着陸料や空港使用料などの料金につきましては、運営権者が機動的かつ柔軟に設定することにより、路線誘致を行う上でのインセンティブとして戦略的に活用されるものと考えております。一方で、こういった柔軟な料金設定が利用者の負担増につながるのではといった御指摘でございますが、これらにつきましては国へ事前の届け出が義務づけられるとともに、国による変更命令の対象となっており、国の適正な関与のもと、著しく不適切な料金設定ができない仕組みとなってございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 料金については、利用者の受益の範囲を超える不適切なものにならないと理解いたしました。

 加えて、空港利用者の利便性に関して、現在、国内線ターミナルビルでは空港ビル会社において建てかえ、改修工事が進められております。構内の通路は工事用パーティションで仕切られ、移動も遠回りを強いられています。工事中なので仕方ないのかなと思っておりますけれども、この再整備事業によって利用者はどのように便利になるのでしょうか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 国内線ターミナルビルにつきましては、これまで離島便やLCCなど、目的地や航空会社ごとに動線が分かれておりましたが、新しいターミナルビルでは、目的地などによらず、一つのターミナルから出発できるようになるなど、わかりやすい施設配置になります。また、ビルの全面供用に先立ち、来年春にはターミナルビル内の地下鉄アクセスホールが供用開始される予定でございます。これにより、これまで地下鉄の改札口から2階の出発フロアまで3つのエスカレーターを乗り継ぐ必要がございましたが、新しいターミナルビルでは、改札口を出てすぐにある直通エスカレーター一本でダイレクトに出発フロアまで行ける、そういう状況になり、歩行時間が約半分になるなど、地下鉄の利用者にとっての利便性がますます高まるものと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 来年の春には地下鉄からダイレクトにアクセスできる便利で使いやすい空港になるということで、非常に期待しております。空港を運用しながらの工事であり、安全対策や周辺への騒音に配慮しながら工事を進めていってほしいと思います。

 さて、冒頭答弁があったように、民間の能力を活用して地域の活力を向上する民間委託の趣旨に立ち、民間の柔軟な運営を阻害せず、そのノウハウを最大限発揮させるような環境づくりは非常に重要だと考えます。これを踏まえて、福岡市は一昨年、運営会社への出資は行わない方針を固め、国の公募も本市が出資しない前提で手続が進められてきたと承知しております。一方で、運営会社には安全対策、地域共生策や空港利用者の利便性の向上など、多岐にわたる事業の実施が課せられるわけですので、これまでの地域とのかけ橋を担ってきた福岡市は、地域に寄り添い、周辺住民の意見を代弁することが極めて重要だと考えます。空港所在自治体である福岡市には、運営会社に物申すときは物申すことができるような仕組みの構築並びに運営会社と地域とをしっかりとつなぐという役割が求められます。

 それで、最後の4点目、市と運営権者との連携についてお尋ねします。

 民間委託に対する市民の不安を解消するために、福岡市は運営権者との連携を具体的にどのように取り組んでいこうとしているのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 福岡市といたしましても、運営権者との連携は非常に重要なことであると認識してございます。そのため、国が主宰する法定協議会に加え、市独自の協議の場の設置を予定しております。特に市独自の協議の場については、市と運営権者の間で地域との共生や空港の戦略的な利用促進など、福岡空港の重要課題について幅広く協議するため、8月の実施契約締結後、速やかに設置する予定としております。この市独自の協議の場につきましては、トップレベルによる協議会と実務者レベルによる幹事会の2階建てとすることにしており、直接かつ緊密な協議を図るとともに、その概要を適宜議会に報告し、いただいた御意見も踏まえながら、運営権者としっかりと連携してまいります。

 なお、優先交渉権者とは既に私自身も参加して協議を開始しており、独自協議の場の設置の方向性について確認をしているところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 福田まもる議員。

25番(福田まもる) 既に優先交渉権者と協議をスタートさせ、局長レベルでの協議の場を開催し、夏には市長と社長とのトップによる協議の場が開催されるということで、今後とも、しっかりと連携していける印象を受けました。また、地域住民からは優先交渉権者が早速挨拶に来た、市が間に入ってくれて安心したという声も耳にしており、市の取り計らいにより優先交渉権者がすぐさま地域への挨拶も行うなど、信頼関係を構築し、地域に寄り添う姿勢が見られたことにも安心いたしました。私も地元議員の一人として、いいスタートが切れたなと感じております。

 もう間もなく8月には優先交渉権者と国との間で実施契約が締結され、福岡空港の運営形態が大きく変わろうとしております。福岡市は空港運営会社としっかり連携し、空港利用者や外国人旅行者にとって便利で使いやすく、魅力ある空港となっていくとともに、地域の振興、活性化を図っていくという民間委託の趣旨を実現してほしいと思っております。言いかえるならば、地域の振興、活性化が図れない、まして周辺地域をないがしろにするような空港運営は絶対にあってはなりません。

 この質問の最後に、空港周辺の皆様の受忍と協力に支えられている福岡空港の優先交渉権者として地場連合が選定されたことについて本市としてどのように受けとめているのか、また、民間委託による効果が最大限発揮されるよう運営権者とどのように連携していくのか、市長のお考えをお尋ねして、私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 島市長。

○市長(島宗一郎) 先月16日、福岡空港の民間委託の優先交渉権者として福岡エアポートホールディングスグループ、いわゆる地場連合が選定されたと公表されました。この地場連合には東アジア、東南アジアを中心に空港を運営する企業が参画しており、アジアのリーダー都市を目指す福岡市の都市戦略と合致するものでございます。ぜひそのノウハウやアイデアを最大限活用して、アジアの玄関口であり、都市活力の源泉である福岡空港がより便利で魅力的な空港になることを期待しております。また、選定された翌日には私のところに、翌週には地域にも挨拶に訪れるなど、地域を熟知し、地域に思いのある地場連合だからこそ、地域との信頼関係の構築を最も重要と考えて迅速に動かれたと理解しており、地域に寄り添った経営によりまして、さらなる地域振興や発展につなげていただきたいと考えております。そして、先ほど局長も答弁いたしましたが、既に地場連合とは実務者レベルによる協議を開始しており、市独自の協議の場の設置などに関して、その方向性を確認することができ、今後の連携に向けてよいスタートが切れたと考えています。

 今後、福岡市としては、新たな空港運営会社と連携して空港並びに地域の活性化に努めてまいりますが、同時に、多くの方に訪れていただけるような魅力的な都市づくりを進め、選ばれる都市にしていく必要があると考えています。福岡市がアジアの玄関口としてさらに発展し、ひいてはアジアのリーダー都市として福岡が大きく飛躍するように、協働して取り組みを進めてまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行)登壇 私は福岡維新の会を代表して、保育所等の整備と保育の人材確保の取り組みについて、公営の合葬墓について、以上の2項目について質問してまいります。

 最初に、保育所等の整備と保育の人材確保の取り組みについてです。

 本年4月、厚生労働省より、平成2910月1日現在の待機児童数が全国で約5万5,000人となり、3年連続で増加したと発表されました。平成29年4月1日現在は約2万6,000人であったことから、半年間で倍増していることになります。これは保育の申し込みは年度の中途でも可能でありますが、受け皿である保育所等の保育施設が4月開所に向けて整備される場合が多く、年度途中から開所する保育施設等が少ないために、入所できない児童数が増加するためだと考えられています。近年、多様な保育ニーズが生まれてきていることから、認可保育所の新設や増設だけではなく、本市の特性に合わせた多種多様な保育施設の整備も必要だと考えます。あわせて、昨今、保育士不足が待機児童問題の課題の一つであると言われています。国においても保育士の処遇改善に取り組んではいますが、国の支援に加えて、各自治体が独自の支援に取り組み、保育の人材確保に努めているところです。保育の人材確保はもはや自治体間競争になっているようにも感じますが、本市の待機児童解消と未入所児童削減のためには、保育施設の整備と同時に、本市で保育士として働いてもらうためには、他都市以上の、本市独自の有効的な支援が必要だと考えます。

 以上のことから、本市の多様な保育ニーズに合わせた保育所等の整備と保育の人材に選んでもらえる人材確保の取り組みについて質問してまいります。

 本市を見てみますと、平成30年4月1日現在の待機児童数は40人、未入所児童数は1,471人であったと公表されています。例年、4月1日は新年度の入所日となるため、待機児童数、未入所児童数ともに最も少なくなりますが、以降、新たな入所申し込みが増加し、待機児童数、未入所児童数ともに増加する傾向にあります。そのため、本年も今後増加することが推測されます。昨年の平成29年4月1日現在の待機児童数は89人、未入所児童数は1,810人でありましたが、それが平成2912月1日においてはどのように推移したのかをお尋ねします。

 以上で1回目を終わりまして、2回目以降は自席にて質問してまいります。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 平成2912月1日現在の待機児童数と未入所児童数につきましては、待機児童数が564人、未入所児童数が3,354人となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 平成29年4月1日現在と比較すると、12月1日現在をお答えいただきましたが、待機児童数、未入所児童数ともに大きく増加しています。平成30年4月1日現在の待機児童数、未入所児童数を見ると、平成29年度に整備された2,500人分の効果があらわれて、これは12月1日現在と比べると少なくなって、効果があらわれているとは思うんですが、改めて、平成30年、ことし4月1日現在の入所申し込み数及び待機児童数と未入所児童数を3歳未満児と3歳以上児に分けてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 平成30年4月1日現在の申し込み数、待機児童数、未入所児童数につきましては、申し込み数は3歳未満児が1万7,465人、3歳以上児が2万791人、合計で3万8,256人となっております。待機児童数につきましては、3歳未満児が27人、3歳以上児が13人、合計で40人となっております。未入所児童数は3歳未満児が1,117人、3歳以上児が354人、合計で1,471人となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) お答えいただいたように、3歳未満児のほうが3歳以上児より申し込み数は少ないものの、待機児童数と未入所児童数は多くなっています。3歳未満児の待機児童、未入所児童数が多い理由は、1歳児以下は広い保育スペースが必要であったり、一般的には1年間の育児休業制度を設けている事業者が多く育児休業が明けて仕事に復帰するためにお子さんを保育所に預けたいと考えるお母さんが多いと想定されることを初め、本市においても急増するさまざまな保育ニーズにまだまだ整備が追いついていないためだと思われます。

 このままでは何年たっても3歳未満児の待機児童数、未入所児童数は変わらないのではないかと思いますが、本市は特に多い3歳未満児の待機児童、未入所児童対策にどのように取り組んでいるのかについてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 3歳未満児の保育ニーズに対する取り組みにつきましては、保育所の新設や増改築のほか、生後3カ月から2歳児までを比較的小規模な環境で保育する小規模保育事業を認可するとともに、企業が従業員の子どものために保育施設を設置、運営し、地域の子どもも受け入れる企業主導型保育事業の促進など、3歳未満児の定員をふやす取り組みを行っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 3歳未満児の保育の受け皿の確保について、答弁で企業主導型保育事業の促進とありましたけど、これは保育所の土地の確保が困難な都心部においては、都心部に所在する企業が多いと思いますがその企業が自社ビル内とか近隣に保育施設を整備することができるので、大いに期待できると思います。また、これにおいて親御さんの送迎がスムーズになったり、また、例えば保育施設内でお子さんが体調を崩したり、けがとかされた場合にでもすぐに子どものところに行ける点とか見られる点とか、そういった大きなメリットもありますので、この事業が今後、待機児童ゼロ、未入所児童の減少を目指す上で重要な役割を果たすのではないかなと考えます。

 この事業は平成28年に開始されましたが、本市におけるこれまでの取り組みと、また、その成果について、どの程度の施設と定員が見込まれるのかについてお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 企業主導型保育事業につきましては、これまで企業への制度の周知や説明会の実施、企業からの設置に向けた相談対応を行ってまいりました。開設された施設については、各区の子育て支援課が施設を紹介し、ホームページ等による施設情報の広報も行っております。平成30年3月末現在、101施設が内閣府の助成決定を受けており、定員数は2,640人となっております。これは全国でもトップクラスの規模であり、これまで福岡市が企業主導型保育事業の促進に取り組んできた成果であると考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 答弁ありましたように、既に100を超える施設への助成が決定しているということ、また、定員についても、本市の当初予算で見込まれる2,000人分の整備を超える約2,600人、これにまた先ほど地域のお子さんも利用できる場合もあるということを答弁いただきましたので、この企業主導型保育事業のさらなる推進に期待していきたいと思います。あわせて、これまでは保育事業が本業ではない企業が保育事業を行われますので、整備や運営費の助成にとどまらず、保育士の紹介もされていると思うんですが、あと、事業開始後も絶えず子どもたちの安全管理を本市としても指導するなどといった支援にも今後一層取り組んでいただくよう要望しておきます。

 次に、本年度から予定されております幼稚園における2歳児受け入れ事業についてお尋ねします。

 当初、この事業は、30年2月に幼稚園対象の説明会が開催され、7月から開始予定と説明されていたと思いますが、国における制度設計に時間を要し、いまだ実施園が決まっていないと聞いています。

 そこで、この幼稚園における2歳児受け入れ事業の事業概要と開始予定時期などを含めた進捗状況をお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 福岡市幼稚園2歳児受け入れ促進事業は、保育を必要とする2歳児の受け入れを行う幼稚園に対し、運営費や事業を開始するための準備経費等を助成することで2歳児の受け入れを促進し、保育の受け皿の拡大を図るものでございます。事業の進捗状況につきましては、6月4日から実施幼稚園を募集しており、今後、7月上旬までには実施幼稚園を決定し、できるだけ早期に児童を受け入れてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 保育所に入れなくて、この事業に既に期待されている家庭も多いと思いますので、速やかに事業を推進されることを要望しておきます。

 また、実施幼稚園において、この2歳児受け入れ事業が何ら問題ない環境で取り組まれた場合には、将来的には幼稚園において1歳児を受け入れる事業、ちょっと認定こども園と近い、似たような施設になると思うんですが、もし幼稚園側からのこういった要望があればですけど、検討していただきたいこともあわせて申し述べておきます。

 ここまで保育の受け皿の確保について質問してまいりました。本市が当初予算で予定している保育所の新設や増改築、小規模保育事業の認可などによる2,000人分の整備予定とあわせて、約2,600人の定員となる企業主導型保育事業と幼稚園における2歳児受け入れ事業によって、ことし12月の待機児童数、未入所児童数が例年のように多くならないことを期待して、以降、人材の確保の点から質問してまいります。

 まずは平成30年度の保育所整備予定数2,000人に対して、どの程度の保育士が必要なのかをお示しください。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 平成30年度に予定している2,000人分の定員増に必要な保育士数につきましては、約280人を想定しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) かつては保育士だったんですが、今は保育士ではなく、もう一度保育士として仕事に戻りたい方、また、これから資格を取って保育士になりたい方、そういったさまざまな方がいらっしゃいますが、答弁いただいた数の保育士を確保するには、新卒の方のみではなく、そういった方々を掘り起こして働いていただく必要があると考えます。そこにはやはり保育士の人材確保に向けた支援や取り組みが重要であり、以前から続けられて、本年度も引き続き行われております5つの事業があります。

 そこで、本市が取り組んでいる保育士の人材確保関連の事業について、幾つかその成果並びに今後の課題や取り組みについて質問してまいります。

 最初に、保育士就職支援事業についてです。保育士・保育所支援センターにおける就職あっせんや就職支援研修会の充実などを図ることによって潜在保育士などの就職を支援するこの事業は、平成25年度から取り組まれています。平成27年度以降の3年間の実績としては、各年度100件以上の就職あっせんが成立していますが、この事業を行ってきた中での課題をお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 保育士就職支援事業の課題につきましては、保育所等がフルタイムで勤務できる方を希望される傾向が強いことに対し、求職者は短時間勤務を希望されることも多く、就職に至らないといった事例が見受けられます。より多くの保育人材を確保するため、保育所等と求職者のニーズを的確に把握し、これまで以上にきめ細かな就職あっせんを行ってまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) よろしくお願いします。今後はますます保育士側と保育所側のニーズを的確に把握していただいて、両者にとって最適なマッチングとなるように取り組んでいただきたいと思います。

 次に、保育士の人材確保事業についてです。この事業は、潜在保育士や育児休業などから保育士として職場復帰された保育士へお子さんの保育料の一部貸し付け、また、潜在保育士が就職する際の洋服や自転車などの保育業務に必要とみなされる物品などの購入費用を貸し付けるという事業内容ですが、平成28年度中途より開始されています。この事業が開始以来、保育料の一部貸し付け並びに就職準備金の貸し付けはそれぞれ何件あるのか、年度ごとにお示しください。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 保育料の一部貸し付け及び就職準備金の貸し付けの件数につきましては、保育料の一部貸し付けは平成28年度が38件、29年度が117件、就職準備金の貸し付けは28年度が17件、29年度が76件となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 私も最近、保育士として職場復帰された方から、この事業の就職準備金の貸し付けがあったことで保育士に戻ることを後押しされて職場に戻ったとのお話をお伺いしました。平成29年度も117件と76件ということで相当数の利用があったことから、この事業の今後の継続と、保育士復帰への後押しとなるよう、さらなる事業の充実になることを求めますが、この事業の今後の課題をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 保育士の人材確保事業につきましては、平成28年度に国から30年度までの3年相当分の貸付原資を補助金として受領し、事業を実施しております。引き続き、さらなる保育士の人材確保のためには、31年度以降も事業が継続できるよう追加の補助や制度の充実が必要であり、国に対して要望をしてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) これは国の事業で本年度までということですが、多くの方々が保育士復帰に当たってこの制度を利用されていますので、先ほど答弁にありましたように、国に対して追加の補助等も含めて強く要望していただきたいと思います。

 保育士の人材確保に関連する事業の質問の最後に、平成29年度より開始された本市内の保育所などへの就職を促進し、また、離職防止を図るために、月1万円を上限として正規保育士に対して家賃を助成している保育士家賃助成事業補助金についてです。この事業の平成29年度の対象者数と本年度の対象者数の見込みをお示しください。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 保育士家賃助成事業補助金の対象者につきましては、平成29年度は1,435人、30年度は約1,600人を見込んでおります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) この家賃助成事業補助金も、先ほどの保育料や就職準備金の貸し付けと同様、多くの方に利用されていることから、保育人材確保の後押しになっているのではないかなとは考えます。一方、毎年400人超の正規保育士が離職されています。結婚や出産を機に離職する方も多いんですけど、給与などの処遇や業務の多さに疲弊して離職される方も多いのが現状であります。この状況を鑑みて、この補助金は本市への就職促進とあわせて離職防止の効果も期待できると思います。国でも保育所や保育士に対してさまざまな支援をしていますが、各自治体においても独自の支援で保育士の支援に努める必要があります。本市も保育士の人材確保に向けてさまざまな取り組みを行っていますが、今後も新卒保育士が保育士として働くなら福岡市で働きたい、また、潜在保育士がこれほど支援が充実しているならまた保育士として働きたいと思ってもらえるような、保育士のニーズや希望をきめ細かく把握して、本市独自の支援に努めて、保育士が長く働きたいと思える環境づくりに取り組んでいただければと思います。

 働き出した後も、よい環境で長く働いてもらうという点で、本年度の新たな事業でありますICT化推進事業には負担軽減となる事業であってほしいと考えています。

 そこで、本年度のICT化推進事業はどのような目的や内容になるのか、また、平成28年度に行った同様の取り組みの成果についてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 平成30年度の保育所におけるICT化推進事業につきましては、保育士の負担軽減を図るため、国の補助制度を活用し、業務のICT化に必要なシステム構築及び端末導入等の経費の一部を補助するものでございます。28年度の取り組みにつきましては、27年度の国の補正予算を活用し、単年度事業として保育業務支援システム導入事業を実施しており、28年度末時点で市内307園の保育所等のうち、約35%の106園が業務効率化のためのシステムを導入しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 28年度の事業でも約35%の園が導入されているということです。今回のこの推進事業なんですが、予算額が約3,100万円、これが1施設当たり75万円を上限とする補助内容となっておりますので、これを単純に計算すると、約40程度の施設への補助になるのではと考えてしまいます。前回の28年度の事業のときが106園が導入されたということです。先ほど申しましたけど、単純に計算して40程度、この事業に対して、もし予算額を超える申し込みがあった場合でも、保育士の負担軽減のため補正予算を組むなど、申し込みがある全ての施設に対して対応していただくことを要望しておきます。

 これまで保育の受け皿と保育の人材の確保について質問してまいりましたが、お子さんを預ける方々のニーズを把握し、保育所等の整備に努めることとあわせて、保育士さんにとって働きやすい環境づくりも重要であります。今後も施設の整備と人材の確保の両輪をどちらにも気を抜くことなく取り組んでいきたいと考えます。

 この質問の最後に、本市の待機児童数ゼロ、未入所児童数の削減に向けた意気込みを尋ねて、この質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 福岡市では働く女性の増加や出生率が依然として高いことから、保育所の申し込み数が年々増加しております。これら急増する保育ニーズに対応するため、保育所の新設や小規模保育事業の認可、企業主導型保育事業の促進に加え、平成30年度からは新たに幼稚園での2歳児の受け入れを行うなど、多様な手法により保育の受け皿確保を進めてまいります。また、さらなる保育士の人材確保を図るため、指定保育士養成施設を新たに卒業する保育士の確保にこれまで以上に取り組むとともに、潜在保育士の再就職のための就職準備金や保育料の一部の貸し付け、正規保育士への家賃の一部助成などの現行事業を積極的に実施してまいります。今後とも、多様な手法による保育の受け皿の整備と質の高い保育の提供に向けた人材の確保に取り組み、誰もが安心して子どもを生み育てられる環境づくりを着実に推進してまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) ぜひよろしくお願いします。

 次に、公営の合葬墓について質問してまいります。

 先日、一人の市民の方から墓じまいをしたとのお話を伺いました。墓じまいをされた理由は、その方が亡くなられた場合、その後に遠く離れて暮らす一人っ子のお子さんにお墓の掃除などの管理面で迷惑をかけたくないために、寺院に永代供養をお願いするとのことでした。この方のみではなく、近年、何人かの方から承継者がいないためなどの理由で墓じまいをしたというお話をお聞きします。高齢化が進む中、本市においても高齢者の人口と割合は増加を続けると同時に、単身世帯の高齢者も増加していくと推測します。お子さんや親族がいなかったり、遠くにいる場合は、この方のように、子どもや家族に迷惑をかけたくないとの思いや、お墓を管理してくれる方がいない場合、墓じまいをして納骨堂への埋葬を希望される方も今後多くなるのではないかと考えます。

 そこで最初に、ここ20年ほどの後期高齢者の単身世帯数と単身世帯率の推移はどうなっているのかをお示しください。あわせて、今後、後期高齢者の単身世帯数はどのように推移すると推測されているのか、お尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) ここ20年ほどの後期高齢者の単身世帯数と単身世帯率の推移につきましては、5年ごとに実施される国勢調査の数値でお答えいたしますと、1995年、平成7年が9,334世帯で1.7%、2005年、平成17年が2万1,459世帯で3.4%、2015年、平成27年が3万8,050世帯で5.0%となっております。

 次に、今後の後期高齢者の単身世帯数につきましては、福岡市の将来人口推計によりますと、2025年には7万4,000世帯、2035年には10万世帯となってございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 平成27年と平成7年、わずか20年ですけど、これを比較しても約4倍も単身世帯は増加しております。また、17年後には現在より2.5倍も増加することが推測されます。お子さんと離れて暮らす単身世帯の後期高齢者も多いため、お墓の承継者がいない方ばかりとは考えませんが、それでもお墓を建立したとしても承継者がいないことが理由で、墓地を取得しない方も多いと思います。これまで本市においては、承継を前提とした一般的な墓地や納骨堂が主流でありましたが、特に高齢者の単身世帯の増加によって、今後はお墓の承継者がいない方も安心して利用できる合葬墓は多くのニーズがあると考えます。

 そこで、お尋ねいたしますが、福岡市立の霊園において、近年、墓じまい等による墓地の返還はどのようになっているのか、傾向もあわせてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 返還件数は平成25年度が24件、26年度が47件、27年度が56件、28年度が64件、29年度が52件となっておりまして、近年、増加傾向にございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 近年はお墓の返還が増加傾向であるとのことですが、どのような理由によるものなのか、お示しください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 納骨堂を購入したため、また、承継者がいないため、また、市外転出により維持管理が困難になったためなどの理由によるものでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 答弁によると、承継者がいないために墓地を返還する方や、一般的に維持管理が容易な納骨堂への改葬を望む方が多いということです。本市にはまだ合葬墓が整備されていませんので、市民への認知が低く、なじみが少なく、納骨堂との違いが鮮明ではないと思われます。他都市で既に整備されている合葬墓で納骨堂との違いを比較してみますが、故人を弔う場、供養する場であるとの考え方は同じでありますが、納骨場所の前で墓参する納骨堂と違い、合葬墓は共同の献花台などで墓参することとなります。また、納骨堂は一般的な墓地と比較して使用料が安価ではありますが、永代使用料と合わせて年間管理料の費用を要します。対して合葬墓は、納骨堂と同じくお墓の建立費が不要であり、また、一般的な墓地や納骨堂より使用料が安価で、永代使用料は要しますが、年間管理料は不要であることが特徴であり、一般的な墓地や納骨堂と比較しても費用の面でも多くのメリットもあると考えます。合葬墓は納骨堂と似て異なる施設でありますが、近年の市民の墓地へのニーズが多様化していることから、合葬墓の潜在的なニーズも多くあるであろうことが想定されます。しかしながら、本市や本市近郊の福岡都市圏においては、市立霊園のみではなく、民営の霊園が数多くあります。本市の市立霊園の墓地の保有区画数1万711区画に加えて、平成27年度の福岡市墓地・納骨堂に関するアンケート調査によりますと、福岡都市圏の民営霊園の墓地の保有区画数は8万4,185区画、納骨堂の壇数は7万9,893壇でありましたが、これは回答率が約60%でありましたので、実際の墓地区画数、納骨堂壇数はさらに多いと考えられます。この墓地区画数、納骨堂壇数で充足しているかといえば、これも先ほどのアンケート調査によりますと、墓地、納骨堂の需要数に対して、墓地が約12年、納骨堂が約18年供給可能であると算定されております。そのような状況にあるにもかかわらず、市立霊園において返還による空き墓所の利用者募集の際には、市立、つまり公営であることに安心感を持ち、また、生前の申し込みが可能であること、さらに、本市内に新たに整備される公園墓地が少ないこと、また、年間の管理料が民営と比較すると安価であることなどが要因となり、毎年、高い応募倍率となっていると考えます。

 そこで、平成29年度における各市立霊園の募集数、申し込み者数、倍率についてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 平尾霊園は17区画の募集数に対しまして595人の申し込みがあり、倍率は35倍です。三日月山霊園は18区画の募集数に対しまして154人の申し込みがあり、倍率は8.6倍、西部霊園は29区画の募集数に対しまして607人の申し込みがあり、倍率は20.9倍となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 平成29年度においても相変わらず高い応募倍率ではあったんですけど、本日、ここでは応募倍率以上に申し込み者数に注目したいと思います。

 過去5年間における各市立霊園の申し込み者数の合計をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 過去5年間の合計で、平尾霊園が3,651人、三日月山霊園が628人、西部霊園が2,626人の申し込みとなっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 西部霊園に関しては、平成2年から供用が開始された割と新しい霊園でありますので、墓地を返還される方がまだそう多くないことが想像できます。そのために利用者募集を行わない年度もあるとは思いますが、平尾霊園への申し込みがほかの2霊園と比較しても特に申し込み者が多いと感じます。これは平尾霊園がほかの2つの霊園と比較すると都心部に近く、交通網も発達しているため、利用者にとって利便性のよい霊園であることが大きな要因であるとも考えます。

 昨年12月、平尾霊園近隣の市民の方より、本市が合葬墓の整備の前提となる地質調査を行う旨の案内が郵便ポストに投函されたとの報告をいただきましたが、その調査はいつどのような目的の調査を行ったのか、また、その結果はどうであったのかをお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 合葬墓の検討に当たりまして、整備に必要となる空き地がある平尾霊園と西部霊園の2霊園で、建築物をつくるのに支障がないかなど、地盤の状態を把握するための調査を行ったものでございます。平尾霊園におきましては平成30年1月に、西部霊園におきましては平成2912月に実施し、いずれも支障がないことが確認できたところでございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) 本市の市立霊園における合葬墓等の構想の検討の中では、本年度は調査及び設計、平成31年度から32年度にかけて各種手続及び整備工事に着手し、平成33年度より供用を開始する計画とのことでありますので、速やかに計画どおりに進めていただくことを要望いたします。

 各霊園における利便性や利用者ニーズ、霊園公園内における用地の確保を考えると、平尾霊園が合葬墓を整備する霊園として最も適していると考えますが、整備される際には利用者ニーズを把握し、先行で整備が進んでいる他都市の合葬墓なども参考にし、さらには本市らしいサービスを提供していただきたいと考えます。あわせて、近隣住民への配慮を欠かない点も十分考慮いただきたいと思います。本市が調査された平尾霊園内の区画は、真下に閑静な住宅街があります。調査の案内の報告を下さった市民の方は、もしその区画に合葬墓が整備された場合は、自分の窓から墓が見えるのは何となく感じのいいものではないとの不安をお持ちでありました。墓地は怖いものとのイメージを持つ市民もいらっしゃると思いますし、合葬墓がどのようなものか理解できていない市民の方も多くいると思います。

 整備の際には、周辺住民の不安を取り除くために、例えば、合葬墓が周囲から見えないようにすることや、住民への説明会あるいは利用希望者も含めた供用前の施設見学会などを実施することで市民の合葬墓に対しての認知と理解を深めることができると思いますが、市民の合葬墓への共感を得るためにはどのようにしていかれるのか、所見をお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) まず、合葬墓の整備に当たりましては、建物の高さ、色彩などに工夫を凝らして周囲との調和を保つとともに、植栽などを用いて目隠しを施すなど、周辺地域に配慮してまいります。また、合葬墓の必要性や計画内容につきまして、周辺にお住まいの皆様方への説明会等を行うとともに、広く市民へ広報するなど、合葬墓についての理解を深めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) じゃ次に、本市が平成27年に行いました墓地・納骨堂に関する市民アンケートの結果でも、合葬墓を利用したい方の理由として、承継者がいないが33.1%であったのに対して、子どもたちに迷惑をかけたくないという理由が64%もありまして、承継者がいる方の場合でも、お墓の管理やお墓参りなどをお子さんや子孫にお願いするのが申しわけないという思いから合葬墓への埋葬を望む方が多いという結果でした。また、利用したい理由の3番目として、墓石などが高額であるので合葬墓を利用したい方が30.3%にも上っております。他都市で既に整備されている合葬墓を見てみますと、年間の管理料は全ての合葬墓で不要でありまして、永代使用料も10万円前後の合葬墓が多く、一般的なお墓の墓地、墓石の購入費用などと比較すると費用負担が格段に少ないために利用しやすいのではないかなと考えます。

 こういったさまざまなニーズや利用者の不安などを今後も的確に把握して、例えば、利用希望者数をきっちりと把握し、今の市立霊園のように高い倍率となるようなことがなく、利用希望者全てが利用できる環境の整備や、死後も丁寧な埋葬とされる整備をすることに努められたり、市民に理解され、安心して利用できる合葬墓を整備されることを望みますが、所見をお尋ねいたします。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 合葬墓につきましては、まず、墓の管理が負担である、墓の承継者がいない、墓が高額であるという従来の墓地、納骨堂では対応できない市民ニーズを踏まえまして、市民アンケートの調査結果や将来の死亡者数予測などから、ニーズに応えられる規模を確保するとともに、お参りできる場所として献花台を設けるなど、利用者の気持ちに応えられる施設の整備に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 富永周行議員。

44番(富永周行) これまでの本市あるいは日本の風習においては、故人の家族や親族、友人、知人が墓石の前または納骨場所の前で、一故人や一族に対してお参りをするというやり方が一般的でありましたが、これに加えて、合葬墓という故人を供養する新たな形が日本国内でも形成されつつあります。家族や子孫が守っていく形態と異なり、社会全体で合葬墓に眠る多くの故人を供養できることが合葬墓の大きな意義の一つであると考えます。

 自然豊かな地に死後も安心して眠ることができ、また、本市ならではの配慮が行き届き、誰もが気軽にお参りできる合葬墓の整備を強く望みますが、最後に、本市の合葬墓についての整備の意気込みをお尋ねしまして、この質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 近年の少子・高齢化や死生観の変化などによりまして、新たな形態の墓地を求めるニーズが高まっており、こうした市民の皆様のニーズに応えていくことは今後ますます重要となると考えております。これからの多様化する社会を見据え、承継を前提としない、故人を社会全体で供養する墓としての合葬墓の整備にしっかりと取り組んでまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) この際、暫時休憩いたします。

 午後は1時10分に再開いたします。

午前1128分 休憩  

午前1時10分 開議  

○副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。天野こう議員。

35番(天野こう)登壇 私は、みらい・無所属の会を代表して、市民利用施設における受益者負担のあり方について、地域の野良猫に係る諸問題について、以上の2点を質問します。

 1つ目の質問として、市民利用施設における受益者負担のあり方についてお尋ねします。

 本市は、157万人を超える多くの市民に対して公共サービスを提供するため、多数の市民利用施設を有しております。市民利用施設と一言で言っても、多種多様な公共サービスを提供しており、そのサービス内容はもちろんのこと、運営方法なども異なっており、各所管局の方針に基づき、市民の利用に提供されてきたものと思います。ただ、全て一くくりにできないにしても、一定の共通する課題は存在するのではないかと考えております。当然のことながら公共施設としてのコストは生じますし、利用される市民とそうでない市民もいます。行政サービスとして、公正、公平に実施されているのか、よくチェックする必要があります。

 そこで今回取り上げるテーマが、受益者負担のあり方についてです。受益者たる市民に対して負担を求める代表的なものに施設使用料がありますが、現在の市民利用施設における使用料は、どこでどのように設定しているのか、まず初めにお尋ねします。

 以上で1問目を終え、2問目以降は自席にて質問をします。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 市民利用施設の使用料の設定につきましては、地方自治法第228条の規定により条例で定めなければならないとされております。具体的な使用料については、法令等に定めがある場合を除きまして、各施設の所管局において適切な使用料を検討し、議会の議決を経て適用しております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 使用料の設定は条例への明記、議会の議決を得る必要があるなど、大変重いプロセスを経て設定されるものです。たとえ受益者という立場であっても、市民に税以外で負担を求めることに関しては慎重にならなければならないという証左とも言えます。ただ、その設定プロセスは各所管局の考えで整理しているという御答弁でありました。その考えとは何を指すのか不明瞭です。この点に関しては、後段でお尋ねしてまいります。

 では、本市の市民利用施設における使用料設定の考え方はどのようなものがあるのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 市民利用施設の使用料については、施設の使用または利用という受益に対する反対給付として、受益者から応益的に徴収される負担と解釈されております。

 本市におきましても、このような受益者負担の考え方に基づき、施設利用者に利用料を負担いただいているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) ありがとうございます。こういった使用料の取り扱いは、受益者負担のあり方を考える上で重要になります。受益者負担のあり方に関しては、過去の包括外部監査においても指摘を受けているようです。

 平成27年度に受けた、受益者負担に関する指摘事項の概要をお示しください。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 包括外部監査における受益者負担に関する指摘事項の概要でございますが、まず、本市の現状として複数の施設において使用料の具体的根拠、理由が不明確であるほか、多くの施設において定期的な見直しが行われていないなどの課題があるという指摘がございました。

 このような状況を踏まえ、監査報告書では市民利用施設で提供する行政サービスのコストに対して、受益者負担の割合が適切な水準となっているか、利用者と未利用者の公平性が図られているか、少子高齢化の進展等、社会情勢を踏まえた料金設定となっているか、などの受益者負担のあり方についての検討が必要であるとされたところでございます。

 また、検討の進め方として全庁的な受益者負担の見直しを図るため、本市における使用料設定の基本方針を策定の上、各施設における望ましい受益者負担割合を算定し、料金改定の必要性を検討するとともに、使用料の算定根拠を明確にし、市民に十分な周知を図るべきとの意見をいただいております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 私は重要な御指摘をいただいているものと考えています。一応、その報告書の原本というか、全て今回持ってきてみたんですけれども、(資料表示)相当なボリュームですし、目を通すだけでも大変であったんですが、各施設の詳細な分析というのを行っておりますので、こういったものをしっかり見ていただいた以上は今後検討に使っていくしかないかなと思っております。

 受益者負担の考え方が、本市においてどこまで公平、公正に反映されているのか、外部監査という外からの視点において不十分といった内容でした。報告書の中では、これまで各所管局ごとに設定してきた使用料に関して根拠が不明であると指摘されるなど、私も現在の使用料設定が客観性に欠けるのではないかと思っております。

 現在、既に多くの市民が利用している施設において、使用料を払っていただいているにもかかわらず、その使用料の設定根拠が不明であるということでは、市民に対する説明責任を果たせていないのではないでしょうか、御所見をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 包括外部監査報告書におきましても、市は明確な根拠に基づき使用料を設定していることを市民に対し説明する責任があるとされております。現状は、設定根拠等に課題があるとの指摘をいただいていることから、料金設定根拠をより明確化し、透明性をさらに確保する必要があると考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 設定根拠の明確化の必要性に対する当局との相互理解は図られていると思います。

 次に、現在の状況についてお尋ねします。現在の市民利用施設の使用料設定において、どのように受益者負担の考えが反映されているのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) これまでも施設の所管局におきまして、サービス提供に係るコストや、他都市または本市の類似施設の使用料の水準などを踏まえ、受益者負担の考え方を反映した使用料の設定や改定が行われてきたところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) サービス提供に係るコストや類似施設の使用料水準等をもとに設定してきたとのことです。そもそもの類似施設の使用料水準が適正なのか、また、いつごろ設定されたものなのかなど、根拠をたどってみても不明瞭な点は否めません。

 では、なぜ個別施設ごとの使用料設定を実施しているのでしょうか。また、現在の設定方法に課題はないのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 施設の使用料につきましては、施設の設置目的や提供するサービスの内容に即して設定すべきものであることから、これまでも各施設の所管局において使用料を設定しているところでございます。

 一方で、施設ごとに使用料を設定することによる課題といたしましては、例えば、利用者に負担いただくべきコストの範囲やその算定方法などについて、施設間で相違が生じる可能性があることなどでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 各施設の特性を反映させることも重要なことと思います。しかしながら、その設定根拠は各所管局の判断であるがゆえに、果たして客観的に説明可能なものとなっているのか、疑問が生じます。それは、おっしゃっていただいた施設ごとの受益者負担に関する考え方のばらつきにもつながる懸念があります。

 監査報告書では、全市統一的な考え方に基づく使用料設定の基本方針を定めるべきとされていますが、その場合の効果と課題をどのようにお考えでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 使用料設定の基本方針を定め、市民利用施設共通の料金設定の考え方を整理することによる効果といたしましては、より適切な使用料の設定を行うことができるようになるとともに、施設を利用する方、利用しない方、いずれにとっても納得性が高まるものと考えております。

 一方、使用料の設定の基本方針を定める場合の課題といたしましては、全ての市民利用施設に適応可能な料金設定の考え方を整理することはきわめて困難であり、一部例外的な取り扱いも必要になるものと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 効果と課題の整理は重要です。また、おっしゃっていただいた例外規定の適用など、基本方針を定める困難さも一定理解できます。ただ、市民により御納得いただいて使用料を負担していただく上で、基本となる考え方は大切です。報告書の中では、受益者負担割合に関して監査人独自の試算も行っており、46の市民利用施設が対象となり、その試算に基づいた基準と照らして、現在の施設の受益者負担割合の水準を評価していました。ただ、割合算定上の費用の範囲に減価償却費等のイニシャルコストを含めるかどうかは議論の余地があるとされながらも、本報告書においては、減価償却費を含んで算定しており、その点で、市民に求めるべき受益者負担割合は比較的高くなりがちなのではないかと思っております。しかし、施設の中には現在、本市が市民に求めている受益者負担割合が既に高過ぎると指摘を受けている施設が3施設あり、受益者へ過度な負担をお願いしている懸念もあります。

包括外部監査の指摘は、必ずその指摘に基づいて制度変更をしなければならないものではありませんが、地方自治法に基づき実施されたものですので、十分な検討が必要となります。また、指摘を受けたのが平成27年度ということもあって、既に2年以上が経過しています。

 そこでお尋ねしますが、監査を受けて、これまでどのような検討を進めてきたのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 監査意見を踏まえ、市民利用施設における受益者負担のあり方についての検討等を全市的に行うこととしておりまして、現在関係局とともに、施設ごとのコスト分析や入場者などの利用状況を調査するとともに、他団体における受益者負担の見直しの状況の把握などを行っているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 検討しているということでございますが、その検討プロセスは現時点で不明瞭で、財政局として、各所管局とどう協議を行っているのかが見えません。ただ、簡単な検討ではないとも思います。これまで使用料設定をしてきた背景にも配慮しなければなりませんし、各施設所管局との協議はもとより、市民の理解を得やすい丁寧な議論も必要となります。また、他都市においても同様の議論があり、全市統一的な基準を制定している自治体もふえてきているとお聞きします。

 全国の政令市における取り組み状況はどのようになっているのでしょうか。取り組んでいる具体的な都市名をお示しください。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 20政令指定都市のうち、千葉市、川崎市、横浜市、相模原市、静岡市、浜松市、名古屋市、大阪市、広島市、北九州市の10の都市におきまして、受益者負担の適正化等を目的として、使用料の算定に関する統一的な指針や方針の整備などが行われております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) およそ半分の政令市において統一的な基準が定められていたり、まだ制定には至っていないにしても検討中の自治体もあるようですので、本市においても、積極的な議論を進めていく必要性を感じます。使用料が高い、また場合によっては安いという議論は、あらゆる市民利用施設において特に現場レベルで生じているものと思います。

 しかし、使用料の設定に当たっては、その前提となる受益者負担の考え方が全市統一的に存在しないことが一番の問題と私は捉えています。監査でも既に指摘を受けている内容ではありますが、受益者負担基準の一つの目安として、施設の特性に応じた類型化という手法があります。施設サービスとして必需的なものなのか、もしくは選択的なものなのか、また、民間提供可能なものとして市場的なものか、もしくは非市場的なものかといったすみ分けの方法です。

 もちろん一概に言えない施設もあることから、おおむねの割合で示すことになりますが、いずれにしましても、既に制定している政令市の実例を見てもほぼ同様の基準を設けていることから、基準設定の方向性として多様な手法があるわけではなく、この点、基準設定に係る検討の論点は比較的明確であると言えます。市民への納得性を高めていくためには、他都市でも取り組まれているように、個々の施設所管局にとどまらない全市的な検討が必要と考えます。また、この問題は将来の市民利用施設の問題ではありません。まさに、今現在利用していただいている施設においてお支払いいただいている使用料の根拠が不明瞭ということであれば、そんな不確かな根拠に基づいて使用料を徴収するのかと、施設利用者の方々からはもちろん、施設を利用されていない市民の方々からもお怒りの声を受けかねません。そういった意味では、今すぐにでも根拠を客観的に明確化しなければならないような状況にあるということを肝に銘じるべきだと思っております。

 全市的に早急な検討が必要だと思いますが、御所見をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 則松財政局長。

○財政局長(則松和哉) 議員御指摘のように、現在負担いただいている使用料について、市民に根拠を説明していく必要があると考えております。

 今後におきましても、包括外部監査報告の意見や本日いただいた御指摘を踏まえながら、料金設定の根拠の明確化を図るとともに、引き続き各施設の状況の調査、分析を行い、庁内での調整を図りながら、市民利用施設の受益者負担のあり方について、基本方針の策定の必要性も含め、早急に検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) ぜひともよろしくお願いいたします。今後、受益者負担ルールが明確化された場合、使用料設定の基本方針を策定して、その結果として使用料全体の見直しにもつながることも予想されます。その場合には、直接利用者負担に影響してくる可能性もあります。そのため、決して行政内部だけで検討せずに、広く施設利用者を初めとした市民の意見を聞き、ルールの統一化に対する御理解を得ていく必要性を感じております。私が調べたところによりますと、名古屋市、横浜市、相模原市、北九州市の検討プロセスにおいては、外部の有識者や市民を交えた第三者委員会を設置し、あり方検討に1年から2年の時間を費やしています。スピード感を持って取り組んでいただくと同時に、高齢者や子どもに対する配慮など、市民理解の得やすい丁寧な検討プロセスを踏んでいただくよう要望して、この質問を終わります。

 では次に、地域の野良猫に係る諸問題について質問をします。

 私は昨年の6月議会において、同趣旨の質問をさせていただきましたが、その後の取り組み及び今後の取り組み方針に関しまして、昨年質問をした論点も踏まえながら質問をさせていただきます。

 地域を取り巻く野良猫被害は、なかなか行政だけで察知することは困難です。野良猫を規制する法律がないのはもちろん、人に重大な被害を与えるといったことが一般的に生じにくい点からも、野良猫の存在自体が直ちに悪いといった論調にはなりません。しかしながら、野良猫に対する市民の捉え方はさまざまで、動物愛護の観点から積極的にかわいがる市民がいる一方で、単純に猫自体に嫌悪感を抱く市民がいるのも事実です。その最たる例として、先週の報道にもありましたが、市内各地で野良猫が殺傷、虐待されるなどの痛ましい事件も生じてしまっております。では、その背景には何があるのでしょうか。市民の野良猫に対する考え方や寄せられる情報が重要になりますが、その点の質問を昨年させていただきました。

 29年度に、市民アンケート調査において野良猫に係る問題について質問をしていただいたようでありますが、どのような内容で質問をし、どのような市民の声が拾えたのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 猫問題に関するアンケートにつきましては、猫に関する問題の解決に向け、施策検討の基礎資料とするため、市民の皆様の御意見をお聞きしたもので、平成29年9月に実施しております。主な質問と回答につきましては、過去1年間の猫による被害の有無については、受けたことがあるが39.3%、受けていないが60.3%となっておりました。野良猫の頭数をふやさないための繁殖制限の必要性については、必要が79.7%、必要ではないが9.4%、わからないが10.2%となっておりました。

 また、猫の問題を解決するために市が行う施策として有効だと思うことについては、複数回答可としたところ、野良猫への餌やりの規制が54.0%、飼い猫の登録制が45.6%、地域猫活動の推進が35.2%、行政が野良猫の不妊去勢手術を行うが33.4%などとなっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 猫による被害の有無はもちろん、具体的な対策手法に関しても細かく質問を行っていただきました。中でも繁殖制限の必要性を求める市民の割合が8割近くに上るなど、何かしらの対策を市民が求めていることは確かかと思います。もちろん現在、本市がこういった声に対して何もやっていないわけではありません。本市における対策の中心は地域猫活動かと思います。

 現在の地域猫活動の取り組み状況をお尋ねしたいと思います。直近3年間の地域猫活動の新規指定地域数の推移をお示しください。あわせて、これまでの累計件数もお示しください。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 地域猫活動の新規指定地域数につきましては、平成27年度は10地域、28年度は3地域、29年度は2地域であり、これまでの延べ指定地域数は75地域となってございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 28年度が3分の1に減っている現状を昨年お聞きしましたが、29年度はさらに1件減って2件になっております。地域猫活動に取り組む必要性が薄れてきているのならまだよいのですが、苦情件数の減少につながっているのでしょうか。苦情件数は、後ほどお尋ねしてまいります。

 また、地域猫活動を新たに行うことも重要ですが、これまで行ってきた地域における効果検証も重要です。昨年度までに指定した地域の現在の活動状況をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 昨年度までに指定した75地域のうち、現在も活動中の地域が41地域、活動を終了した地域が34地域となってございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 単純に活動を行えているのか、また行えていないのかをお示しいただきましたが、活動中の地域であっても順調に行えているところと苦労しているところがあったり、活動を終了した地域であっても、野良猫問題が解決して必要がなくなったところもあれば、担い手不足等の問題からやっていけなくなったところもあるかと思います。地域猫活動は当然のことながら、地域住民が主体となって行っていただく活動ですので、その継続性にはさまざまな困難もつきまとってくることが予想されます。せっかく取り組んでいただいても、途中でそのルールが形骸化してしまっては、もとのもくあみです。また、地域猫活動をより活動しやすく行政として促していくためにも、その効果検証は不可欠です。個別事案の検証は丁寧さが求められますが、今後の検証及びよりよい地域猫活動への発展に向けた取り組みを要望します。

 昨年の質疑では、平成26年度実施の市民意識調査の結果による地域猫活動を知らないとする市民の割合が7割を越えていた点に関しても問題視しました。

 そこで、地域の主要な担い手である自治会等への周知徹底が重要であると指摘させていただきましたが、自治会などへどのような周知を行ってきたのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 自治会等に対する周知といたしましては、平成29年度に、各区の自治協議会会長会において地域猫活動の説明を行った上で、地域猫活動の啓発チラシを自治会へ配付し、回覧したところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 積極的に取り組んでいただいたものと思っております。新たに作成していただいたチラシは私も拝見させていただきましたが、視覚的にもわかりやすく、工夫をしていただいたのだなと感じます。ちょっと持ってはきたんですけれども、(資料表示)何種類もつくっていただいて、色鮮やかにつくっていますし、くどくどしく説明もなく、イラストも交えながら、わかりやすく工夫をされているなと感じましたので、この点、つくっていただいて周知していただくことには感謝申し上げたいと思います。私も地域を回っていると、地域の掲示板にこのチラシが掲示されていることを見て、地域によってうまく活用していただいているのだなと思いました。

 では、取り組みを強化した結果、自治会からはどのような反応があり、どのような効果があったと考えておられるのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 自治会への周知に伴い、地域猫活動を始めたいという相談が寄せられる一方で、地域猫活動そのものに批判的な意見を寄せられたことから、地域には多様な意見があることを改めて認識するとともに、地域猫活動について一定程度の周知は図られたものではないかと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 自治会にとって、地域猫活動は問題解決の手段であると同時に、その活動主体が地域となることからも、ある意味では自治会の負担ともなりかねません。その点はおっしゃっていただいたとおり、自治会によって温度差が生じることはいたし方ないと言えます。しかしながら、まずは地域猫活動に限らず、野良猫に関して評価する意見も、また批判的な意見もすくい上げることが必要ではないでしょうか。また、地域住民はさまざまなボランティア活動を行っています。清掃活動など、比較的取り組みやすいものと比べて、地域猫活動は合意形成が難しく、簡単には取り組みにくい難易度の高いボランティア活動とも言えます。地域猫活動は本市に導入されて9年がたち、まだまだ知られていない現状があるにしても、導入期は過ぎているのではないでしょうか。活動の主体は地域だとしても今後はどういった活動のしにくさがあるのかなど、行政的にも地域に、もう一歩歩み寄って、活動の支援を行っていただければと思います。

 地域猫活動の効果検証を図る一つの指標にもなり得るのが、前段でも述べました市民からの苦情件数です。直近3年間の野良猫に関する苦情件数の推移をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 野良猫に関する苦情件数につきましては、平成27年度は267件、28年度は230件、29年度は324件でございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 27年度から28年度に至っては苦情件数が減っているにもかかわらず、29年度の苦情件数は、28年度と比べて100件近く増加してしまっています。これは、27年度までの推移から見ても異常と言っていいのではないかと感じます。

 29年度が急増している要因に何があるとお考えでしょうか。また、苦情の主だった内容もあわせてお示しください。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成29年度の苦情の主な内容としましては、無責任な餌やり、ふん尿被害、物への被害、ごみを荒らすなどがあります。

 平成29年度の苦情件数が前年度に比べて増加した要因については明確ではございませんが、内訳としましては、無責任な餌やりとふん尿被害が大幅に増加しているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 何か特別な出来事があったわけではなく、これだけ増加していることには注意を払う必要があります。地域猫活動を新規で行う数は減少傾向であるにもかかわらず、これほどの苦情が寄せられているということは残念なことではありますが、少なくとも当該の苦情発生地域においては、地域猫活動が十分な効果を発揮していない、もしくは何らの措置も行われていないのではないでしょうか。この苦情の中身から今後の対策のヒントを得ていく必要性を感じます。野良猫に起因する問題は、果たして全市共通したものなのか、それとも地域固有のものなのか、それをはかる上で一つ指標になるのが、この苦情件数ではないでしょうか。

 29年度の苦情件数を区ごとに分けたら、どういった値が出るのでしょうか。全体の内訳をお示しください。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成29年度の野良猫に関する区ごとの苦情件数につきましては、東区57件、博多区49件、中央区45件、南区37件、城南区31件、早良区35件、西区70件でございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) ありがとうございます。区ごとで見た場合に西区が多い印象は持ちますが、各区それぞれ問題が生じており、特段の傾向はつかめません。

 では、さらに細かく見た場合にはどのような傾向があるのでしょうか。小学校区ごとで見た場合はどうなっているのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 平成29年度の野良猫に関する校区ごとの苦情件数につきましては、福岡市内の全小学校区144校区のうち、83校区で苦情が発生しております。

 その内訳といたしましては、苦情件数が4件以下の校区が55校区、5件から9件が24校区、10件以上が4校区となっており、苦情件数の最も多い校区では11件発生しておりました。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) ありがとうございます。大体の傾向が出てきたのではないかと思います。そもそもの苦情が発生していない校区は全体の4割程度あり、全校区に共通した課題ではないようにも、数字上では見てとれます。また、校区ごとの苦情発生件数も1件から4件が多いにしても、10件以上ある校区が4校区あるなど、問題の深刻ぐあいがうかがえます。また、苦情件数はその数以外にも経年での比較も重要かと思います。件数が多くても単年で減っているのか、それとも長年慢性的に苦情が生じ続けているのか、たとえ単年の苦情件数が少なくても、問題が小さいかどうかははかりかねます。

 今回、単年で校区ごとに苦情件数を分類していただきましたが、今後は経年比較を行うなど、苦情の分析をもっと精緻に行っていくべきではないでしょうか、御所見をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 市民の皆様から寄せられる苦情の件数や内容につきましては、事業に係る重要かつ有用な指標の一つであり、御指摘の経年比較を含む傾向分析等に留意しつつ、施策の評価や検討に生かしてまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) ぜひともよろしくお願いいたします。また、野良猫の問題は校区内であっても問題の濃淡があることが予想されることから、校区とは別に苦情が発生している場所を地図上にプロットするなど、問題例の抽出に工夫が必要です。校区ごとの経年比較も行った上で、問題を可視化する意味でも地図分析の手法を用いてみることについても、御提案しておきます。

 私は今回の苦情分析の結果からも、猫問題は全市共通した課題ではなく、地域性のある課題であると考えています。そのため、本市が今後対策を打っていくにしても、全市的に取り組むのではなく、問題が特に深刻な地域を抽出して、集中的かつ抜本的に対策を講じたほうが、効率的、効果的な対策となるのではないでしょうか、御所見をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 猫問題が生じている地域に対し、集中的に対策を講じることは、効率的、効果的であると考えております。一方で、猫問題が生じている地域の選定や効果的な対策の検討に当たり、苦情件数は猫問題をはかる重要な指標の一つではありますが、地域においては、猫問題への対応にはさまざまな御意見があり、また、生じている問題や取り巻く環境もそれぞれ異なっていることから、地域の実情と意向等も踏まえた上で、慎重に検討する必要があると考えてございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 対策の方向性については当局との相互理解は図れていると思います。またおっしゃるとおり、苦情件数だけで一概に対策は図れませんが、自治会などの地域と意見交換をするツールとして、この地域の苦情の実態も活用していただきたいと思います。

 先に述べた、集中的かつ抜本的な対策として有力な方法の一つに、繁殖制限の取り組みがあります。

 繁殖制限活動に関しては神戸市が条例を制定し、先駆的な取り組みを行っていますが、昨年の質疑において本市も調査を行っていく旨の答弁をいただいておりました。その後の調査状況をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 神戸市におきます野良猫の繁殖制限の取り組みにつきましては、平成30年5月に行った聞き取り調査によりますと、神戸市では、平成29年4月に施行された、神戸市人と猫との共生に関する条例に基づき、獣医師会や動物愛護団体、地域団体等から構成される神戸市人と猫との共生推進協議会が地域からの申請を受けて、地域の実情を踏まえ、必要性を判断した上で繁殖制限を実施しております。

 平成29年度の実績としては283カ所の地域で2,051頭の繁殖制限が行われており、神戸市民にはおおむね好意的には受けとめられているようです。また、取り組みの効果判定基準や検証方法等については、現在検討中であるとのことでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) まだ神戸市も取り組みから1年しかたっておらず、効果検証と言えるほどの状況にはないと思いますが、現時点で神戸市民の反応としてはおおむね好意的な意見が多いということです。神戸市の取り組みも、全市的にむやみやたらに繁殖制限を行うのではなくて、苦情件数をもとに対策を行っているようですので、参考に値します。

 取り組み内容もさることながら、その取り組みの進め方にも神戸市は特徴があります。官民の協議体によって施策を検討、実施していく手法は、地域住民や関係諸団体の協力が不可欠な取り組みである以上、大変有意義であり、市民理解も得やすいのではないかと思います。その結果として、神戸市においても、市民からの意見が比較的好意的なのではないかと感じます。

 では、本市においては現在、この野良猫問題に関してどのように民間団体等と連携を図っているのでしょうか。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 猫問題に関する民間団体等との連携につきましては、学識経験者や獣医師会、動物愛護団体等で構成される福岡市動物の愛護と管理推進協議会において、猫問題を含む動物愛護管理行政に関する御意見を頂戴し、施策への反映や推進を図っているところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) 本市でもそういった協議会が存在するのであれば、神戸市のような取り組みもしやすいと思います。

 これまで述べてきた苦情の徹底した分析に基づいた繁殖制限などを、神戸市の検討プロセスも参考にしながら、本市においても積極的に検討していただけないでしょうか、御所見をお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 地域の野良猫にかかわる諸問題への対策につきましては、苦情の件数や内容の分析を初め、地域の実情や意向も踏まえ、福岡市動物の愛護と管理推進協議会の御意見を伺いながら、解決に向けた効果的な対策を検討してまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 天野こう議員。

35番(天野こう) ぜひともよろしくお願いいたします。最後に、市長にお尋ねしたいと思います。そもそもの話をしますと、野良猫問題は人の都合で社会的に生じたものです。見方を変えれば猫も被害者といえます。その視点に立てば、当然殺処分はなくしていかなければなりませんが、同時に、地域の野良猫との共生も真剣に考えていかないと、人にとっても猫にとっても不幸です。現在の野良猫との共生に向けた取り組みである地域猫活動は、これまで述べてきたとおり新規指定地域数が減少する一方で苦情の件数は急増しています。

 本市は、今年度新たに犬猫パートナーシップ制度を始めました。飼い主に対して適正飼育を促し、不幸な野良猫をなるべくふやさないようにする取り組みには賛同いたしますが、現在生じている苦情の多くが、今現在、地域を闊歩している野良猫に起因しております。市民のそういった声に応えるためにも、また先般の野良猫に対する虐待事案への対策の意味でも、ぜひこの野良猫問題にも積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、市長の御所見をお尋ねして私の質問を終わります。

 

○副議長(石田正明) 島市長。

○市長(島宗一郎) 高齢化や核家族化が進んでいく中、史上初めて猫の飼育頭数が犬を超えるなど、猫ブームの到来とも言われ、猫への関心が非常に高まっています。一方では、猫の虐待ですとか、また野良猫による被害など、猫にかかわる問題も生じておりまして、福岡市においても、人と猫との共生に関する施策の重要性が高まっているというふうに認識をしております。共生に向けては、まずは適正飼育や終生飼育を進めることが第一と考えておりまして、犬猫パートナーシップ店制度の普及ですとか猫のマイクロチップの装着、また、不妊去勢手術の推進に取り組みますとともに、地域の野良猫問題の解決に向け、地域住民と野良猫との共生を図る活動でもあります地域猫活動の支援等の取り組みを積極的に推進をしてまいります。

 今後とも、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指して、そして犬猫の殺処分のゼロ、これを目指して、地域、動物関係団体、市民ボランティアの皆様とも連携をして、動物愛護と適正飼育の普及啓発にしっかりと取り組んでまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則)登壇 私は、福岡市民クラブを代表して、小学校への英語専科教員の配置について、博多港の物流機能の充実と港湾労働環境の改善についての2点について質問します。

 初めに、小学校への英語専科教員の配置について質問をします。

 本年4月より、2020年度から実施される新学習指導要領の移行期間として、小学校3、4年生において、新たに外国語活動が、小学校5、6年生は、外国語科の内容を取り入れた外国語活動として英語が教科として位置づけられ、英語教育早期化が始まりました。

 それぞれの目標と授業時数、学習内容はどうなのかお尋ねし、2問目以降の質問は自席にて行います。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学習指導要領の外国語活動の目標につきましては、小学校3、4年生及び小学校5、6年生ともに、外国語を通じて、言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現になれ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養うことでございます。

 次に、授業時数につきましては、3、4年生が15時間、5、6年生が50時間を基準といたしております。また、学習内容につきましては、3、4年生は聞くことと話すことを中心とした外国語になれ親しむ活動で、5、6年生は、これに文字を読むことと書くことを加えたものでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 小学生3年生から6年生まで、授業時数が昨年度より15時間増加しています。子どもたちの学びを保障する体制や教員の教材研究、授業準備の時間確保の支援、授業時数増加への対応が求められます。

 まず、授業時数増加への対応について伺います。小学校3年生から6年生まで、授業時数が15時間増加していますが、ふえた授業時数にどう対応しているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 増加した授業時数への対応につきましては、総合的な学習の時間の70時間のうち、15時間を超えない範囲で外国語活動の時数に充てることができるようにいたしております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 本年度は、ふえた授業時間の15時間は総合的な学習の年間時数70時間のうち15時間以内で対応することができるということで、総授業時数は増加しません。文科省は2020年度までの新学習指導要領の移行期間として、本年度と2019年度に関し、先ほどの答弁にあったように、3、4年生で15時間、5、6年生で50時間を標準として指導するよう各市町村教育委員会に通知していますが、本市の来年度の授業時数はどうなるのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 平成31年度の外国語活動の授業時数につきましては、新学習指導要領で翌年の2020年度からの実施として示された授業時数を1年前倒しし、3、4年生で35時間、5、6年生で70時間実施することといたしております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) その1年前倒しというのが問題であります。文科省は移行期間として授業時数を段階的にふやすよう通知しているのに対し、本市が1年前倒しして、小学校3、4年生で年35時間、小学校5、6年生で年70時間と、授業時間を設定した理由は何か、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学習指導要領を1年前倒しし、授業時数を増加した理由につきましては、2021年度からの中学校新学習指導要領の実施に伴い、中学校英語科の授業において取り扱う単語の数が増加するなど、授業の内容が高度化されることとなっております。

 小学校の早い段階から外国語に十分なれ親しませることで、より円滑に中学校英語教育に対応できるようにするためでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 現在、福岡市では週当たりの授業時数を、小学校4年生から6年生までを中学校と同様に週29時間にしている学校が多くあります。1週間のうち1日だけ5時間授業、あとの4日間は6時間授業の時間割です。現行の学習指導要領が示す5、6年生の年間の総授業時数980時間を年35週で割ると、週当たり28時間になるのですが、2003年ころの学力向上の名のもと、全国学力・学習状況調査、いわゆる学力テストが悉皆化されていくのと歩調を合わせるように、学校独自の時間として、週当たりの授業時数を1時間上乗せし、週当たり29時間にしていると聞いています。

 先ほどの答弁にあったように、本市では外国語活動並びに外国語科を1年前倒して先行実施するとしていますが、特に小学5、6年生の場合、授業時数が年間35時間、週当たり1時間ふえ、週30時間の授業時数となってしまいかねません。そうなれば、毎日が6時間授業となり、子どもたちの放課後の自由な時間をさらに奪ってしまいます。

 一方、5、6年生の担任も、週の授業時数がふえるだけでなく、教材研究や授業の準備、ネイティブスピーカーや英語担当者との打ち合わせなど負担がかなりふえ、業務改善のための実施プログラムも絵に描いた餅になってしまい、教職員の働き方改革の流れに逆行してしまうことになります。

 3月末、「午前5コマ 小学校増加」というタイトルで、午前中5時間授業を実施している本市の小学校の現況が新聞に掲載されていました。一昨年実施された福岡市子どもの生活状況等に関する調査で、朝食を、週に数回、めったに食べないと答えた子どもが約1割いることが明らかになりました。午前中5時間授業は学習に対する集中力が維持されるのか、懸念されます。聞くところによれば、午前中5時間授業を実施している小学校がふえているとのことです。

 そこで、午前中5時間授業を実施することについて教育委員会はどう捉えているのか、伺います。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 午前中5時間授業などの時間割を組むことにつきましては、学習指導要領では、各学校において児童や学校、地域の実態などに応じて創意工夫を生かした時間割を弾力的に編成できることとなっております。午前中5時間授業を実施している学校からは、週当たりの授業時数をふやすことが目的ではなく、午後を1時間授業にすることで、補充学習の時間などを確保することができると報告を受けております。

 教育委員会といたしましては、現在、午前中5時間授業を実施している学校がふえていることを踏まえ、今後、効果や問題点を把握した上で、必要に応じて対応してまいりたいと考えております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 何人かの校長からは、教員が子どもにつく時間がふえ、子どもたちの細かい様子にまで目が行き届くことや、教員の午後の時間にゆとりができるなどの効果があるという声の一方、現場の教員からは、朝がつらそうな子が目立つ、午前中最後の時間は授業にならない、午後2時間の連続授業が組めないなどの声が聞こえてきます。今後、午前中5時間授業の状況を調査し、子どもたちや教職員に負担が生じていればきちんと指導すべきです。

 来年度以降、学校の独自の時数を上乗せにした週29時間授業や学校行事等を見直さないまま先行実施すれば、週30時間が避けられなくなり、時間的にも子どもたちの負担が大きくなります。どう対応しようとしているのか、所見を伺います。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 外国語活動の時間増への対応につきましては、平成31年度も今年度と同様、総合的な学習の時間の時数を活用できるようにしておりますが、時数増への対応については、今後引き続き検討してまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 学校行事等を精選して、子どもたちや教職員への過重負担が軽減されるよう要望をしておきます。

 次に、外国語活動並びに外国語科の支援体制について伺います。

 先ほどの答弁では、小学3、4年生の学習内容は、聞くこと、話すことを中心とした外国語になれ親しむ活動が中心で、小学5、6年生は、英語を読むこと、書くことも学習するとのことでした。教育委員会から示された2018年度、本年度の予算案の概要によれば、小学3、4年生にゲストティーチャーを年間各学級に8時間配置、小学5、6年生にネイティブスピーカーを年間各学級に35時間配置するとなっていますが、ゲストティーチャー並びにネイティブスピーカーは、外国語活動、外国語科の内容を取り入れた外国語活動の学習において、それぞれどのような指導を行うのか、尋ねます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) まず、ゲストティーチャーにつきましては、それぞれの学校が招聘した、地域在住の英語を母語とする外国人や英語が堪能な人であり、担任の授業の補助として正しい発音を示したり、英語での会話の見本を示すなどの役割を担っております。

 次に、ネイティブスピーカーにつきましては、教育委員会が委託した事業者が派遣する英語を母語する外国人の指導講師であり、全てを英語で行うなどのより高度で実践的なコミュニケーション活動を取り入れた授業を担任と連携して行っております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 中学校では、英語の免許を持った教員が英語の学習指導に当たるのですが、小学校教員は、教員養成課程で英語指導を受講した人は少なく、文科省の調査によれば、小学校教員で英語教員免許を持っている人はわずか5%、海外での留学経験のある先生も5%です。本年度、小学3、4年生では、担任とともに、英語の会話の見本を示す等の役割を担うゲストティーチャーを年間15時間の授業時間中8時間に配置、小学5、6年生には、外国人英語指導講師であるネイティブスピーカーを年間50時間の授業時間中、各学級に35時間配置するとしています。しかし、全ての授業に配置されてはいません。基本的に、外国語活動、英語の指導は担任が行わなければなりません。小学5、6年生が学習する外国語科、英語は新しい教科であり、これまでの英会話に親しむ外国語活動とは本質的に違い、読む、書くが求められ、通知表の対象になる教科です。外国語科での学力保障は学級担任の研修、教材研究が大きく影響します。また、授業準備に多くの時間を要します。2014年の文科省調査では、英語活動を指導することに自信がありますかという質問に対し、そう思わない、どちらかといえばそう思わないと答えた教員は65%に上りました。英語力、英語の発音、とっさに英語が出てこないなどがその理由として挙げられています。

 教員への研修などの支援はどのようにされているのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 教員への研修などの支援につきましては、平成28年度からの4年間で、全小学校の英語教育推進リーダーを育成するための研修を実施しており、その研修を受講した推進リーダーは、校内での研修会などを通して、研修内容を全教員に広めております。また、小学校の教科別研修会におきまして、外国語活動の授業公開を通して、指導方法を学び合う研修や各自のニーズに応じて、英会話力や英語指導力を高める研修を実施いたしております。さらに、各学校においてネイティブスピーカーを講師とした研修を実施いたしております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 教員は、子どもたちの興味関心を維持するために、この授業の進め方はこれでいいのかなど、自問自答しながら授業に臨んでいます。英語教育推進リーダーを育成し、全教員に指導方法の学び合う研修をされているとのことですが、ある小学校の教員は、リーダーとなる教員が代表で研修を受けに行き、その内容を校内での教員研修に使っている、これで実際に子どもたちに指導ができるだろうかと、負担感と不安を感じていますと明かしています。英語学習の導入に対して市教委は研修を実施しているとしていますが、研修の時間を確保することも厳しい学校現場の実態から、どれだけ教員の不安解消につながっているのかと疑問に思います。

 小学校の教員に英語の研修や授業を委ねるのではなく、英語の免許を持った専科教員の配置をすべきと思いますが、所見を伺います。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 英語専科教員の配置につきましては、専門性の高い教員による授業の実施及び他の教員がその授業にかかわることによる指導力のさらなる向上の観点から、英語教育の推進に効果的な面があると考えており、平成30年度は、国から配当される教職員の定数を活用し、12人の専科教員を配置いたしております。

 今後もネイティブスピーカー等の活用や研修の実施とあわせ、小学校の教員の指導力向上を図り、児童の外国語によるコミュニケーション能力向上に取り組んでまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 国からの定数を活用して、英語専科教員を12人配置しているとの答弁でした。1人の英語専科教員が最大小学校2校を受け持ち、英語の指導に当たっていますが、本市の小学校144校中20校しかカバーし切れておらず、しかも単年度措置と聞いています。

 先日、英語専科教員が配置されている小学校での6年生の英語の学習を参観しました。英語の専科教員が授業を主導し、ネイティブスピーカーが会話の手本を示すなど、2人が連携をとりながら、子どもたちの興味関心が途切れないよう工夫された学習活動でした。一方、専科教員が配置されていない学校の担任からは、授業の展開は事前に連絡しているものの、授業中の子どもからの質問や活動への対応など、ネイティブスピーカーが日本語がわからないので、計画どおりに授業が進まないなど、苦慮している声が寄せられています。

 来年度から新しい教科である英語の学習が本格的に始まります。三重県四日市市では、本年度、学校英語教育充実事業として、市独自予算で全小学校に英語の免許を持った専科教員が配置されています。先ほど小学校の早い段階から外国語に十分なれ親しませることで、スムーズに中学校英語に対応できるように、1年前倒しにして先行実施するとの答弁がありました。

 文科省に対して英語専科教員の配置拡充を強く求めていくと同時に、段階的にでも市独自予算で英語専科教員を配置することを求め、この質問を終わります。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 小学校への英語専科教員の配置につきましては、学習指導要領にのっとった学校教育の推進に当たり、基本的には学習指導要領を定める国が責任をもって対応すべきものと考えております。英語専科教員の配置の充実につきましては、国に要望してまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 専科教員の拡充を強く求めておきます。

 次に、博多港の物流機能の充実と港湾労働環境の改善について質問をします。

 博多港のシンボルとして、多くの観光客や市民から親しまれている博多ポートタワーは、本年度、13年ぶりに鉄骨部やエレベーターの外壁等が塗りかえられることになりました。博多港の新しい名所となることを期待するものです。

 そのポートタワーの1階にある博多港ベイサイドミュージアムでは、人や物を運ぶ博多港の役割と歴史を、映像やパネル、模型等を通じて学ぶことができます。そこの資料によれば、本年6月現在、博多港は世界12カ国、地域の41の港とコンテナ物流網が形成され、輸移出入とも中国や韓国、台湾など、東アジア地域が全体の約6割を占め、主要な取扱品として、輸移出では北米や中近東向けを中心とする自動車関連産業貨物が、輸移入ではアジア諸国からの家具、装飾品や衣服、履物等の生活物資が上位を占めていることがわかります。博多港の国際海上コンテナ貨物の9割がアイランドシティコンテナターミナルと香椎パークポートコンテナターミナルで取り扱われています。そのアイランドシティコンテナターミナルC2岸壁の延伸について、本年3月30日、アイランドシティの新たな岸壁整備に国予算が配分されるとの発表がありました。

 まず、今回発表された新たな岸壁の整備内容についてお尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) アイランドシティコンテナターミナルにおきましては、岸壁の延長不足による混雑、この解消が喫緊の課題となってございます。そのため、国の直轄事業によりアイランドシティDバース全体計画350メーターのうち150メーターを整備する、それが今回の内容でございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 今回は、全体計画350メートルのうち150メートル区間を整備するということですが、新たな岸壁の整備によりどのような効果があるのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 今回の岸壁整備により処理能力が向上し、岸壁の混雑が緩和されるなど、現状の喫緊の課題の対処には対応が可能となってまいります。

 さらに、岸壁とあわせてコンテナターミナルを一体的に整備することにより、安全性や効率性を含め、ターミナル全体の機能が向上し、今後のコンテナ取扱量の増加にも対応可能となってまいります。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 今回の岸壁整備により、岸壁の処理能力が向上し、今後のコンテナの取扱量増加に対応可能となるなど、博多港の発展につながるものと期待されます。博多港の発展には貨物の取り扱いを着実にふやしていくことが必要であると考えますが、2017年の国際海上コンテナの取扱量は幾らか、また、2018年の取扱量の状況はどうか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 昨年、2017年の国際海上コンテナの取扱量につきましては、約92万TEUと過去最高を更新したところでございます。本年、2018年につきましても、過去最高を記録した昨年を上回るペースで、順調に推移してございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 着実に施設整備が進み、取扱量は好調に推移しているとのことですが、これまで取扱量をふやすために、施設設備以外ではどのような取り組みが行われてきたのか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 取扱量の増加に向けた取り組み等につきましては、成長著しい東南アジア市場、マーケットを視野に入れた、国内外における振興セミナーの開催や荷主や船会社等への企業訪問など、航路誘致や集荷活動に取り組んでおります。さらには博多港物流ITシステム、HiTSの導入や、荷主企業や物流事業者による博多港の試験的な利用を支援する博多港コンテナ物流トライアル推進事業を実施するなど、使いやすい港、選ばれる港づくりを推進し、集荷拡大につなげておるところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) セミナー開催や航路誘致など、これまでの集荷拡大に向けたさまざまな取り組みが成果を上げて、国際海上コンテナの取扱量は好調に推移しているとのことでした。

 港湾空港局作成の、数字で知ろう博多港のパンフレットによれば、九州域内で取り扱われている貨物の半数以上が博多港を利用していること、博多港の発展が物流コストの低減や輸送時間の短縮など、経済活動の生産性向上につながり、その結果、企業立地の促進や雇用の創出、定住人口の増加など、福岡市のみならず九州全体の経済活動や生活を支え、都市の成長につながっていることがわかります。博多港の役割は、社会情勢の変化など、時代の流れの中で刻々と変化してきました。物流に関しては、三、四十年前までは鋼材や穀物など、ばら貨物のみの取り扱いでしたが、コンテナ貨物の登場によりコンテナ化が進展し、その機能は多様化し、大きく拡大しています。港湾計画では、国際海上コンテナ取扱個数の目標値を130万TEUと設定していますが、今後、博多港をさらに発展させていくためにはどのような取り組みが必要であると考えているのか、伺います。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 博多港は、背後に広域にわたる消費地を抱え、生活に欠かせない物資などを輸入する商業港として、議員御指摘のように福岡市のみならず、九州の経済活動や生活を支えており、都市の成長とともに、発展してまいりました。

 今後とも、港と都市がお互いの成長を支え合うという好循環を持続させていくことが重要であると考えております。このためにも、アイランドシティDコンテナターミナルや東航路等の施設整備を着実に推進するなど、港の供給力をより一層高めていくとともに、特に輸出貨物につきましては、新たな視点からターゲットをより明確にした上で、集荷拡大に向けて戦略的に取り組む必要があると考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 博多港の物流機能の充実に向けた取り組みについては、コンテナターミナルや東航路等の施設整備など、港の供給力を高めていくという視点も重要ですが、近年、人口減少に伴う労働人口の減少は、全国的な問題となっています。労働力をしっかり確保していくという観点から、今後、人材確保、人材育成が非常に重要になってくるのではないかと思います。

 経済観光文化局が作成した福岡市の経済概況の資料によると、福岡市の景気は緩やかな回復基調にあるものの、企業へのヒアリング結果でも、人材確保、育成が最も大きな課題と答える企業が多いとのことです。

 厚生労働省が毎年公表している、東京港、横浜港、名古屋港、神戸港、関門港、いわゆる6大港を対象にした港湾労働関係資料によると、常用港湾労働者の入職率、離職率は、全産業よりやや低い水準で推移しており、全産業に比べて超過勤務が多いこともあり、離職者は年々増加している傾向にあるとしています。博多港は、この6大港に含まれていませんが、港湾労働者数の入職率、離職率は同じ状況にあるのではないかと予測されます。近年、貨物輸送のコンテナ化、荷役作業の機械化、設備の近代化など、近代的荷役が進展しており、港湾労働者自身が高度な技能、技術を習得することはもちろん、港湾労働事業者においても高度な技能労働者を確保することが課題となっています。

 そこでまず、博多港では施設面での物流機能の充実に向けた取り組みが着実に進む中、港を効率的に運営していくため、ソフト対策についてこれまでどのような取り組みを行ってきたか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 博多港におきましては、行政や港湾事業者、労働組合などで組織する、使いやすい博多港づくり協議会などを通じ、港の効率的な運営に向けて大きな方向性を共有しながら、関係者が一丸となってさまざまな取り組みを進めてまいりました。具体的には、博多港物流システム、HiTSを活用し、コンテナターミナル周辺の混雑解消や貨物受け渡し時間の短縮といった物流の効率化を図ってまいりました。また、港湾運営会社制度などその時々の制度を活用しながら、民の視点での港湾運営を実現することで、港湾運営の効率化を図るなど、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 物流ITシステムの活用等により、港の効率性向上に取り組んでいるとのことですが、今後は、労働力を確保するという観点から、労働環境の改善についてより一層考えていく必要があると考えます。

 ところで、報道にもありましたように、6月1日、北九州市門司区の太刀浦コンテナヤード内で、貨物コンテナを移動させるストラドルキャリアが作業中横転し、運転していたコンテナターミナルの社員が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。原因は調査中ということですが、大量のコンテナが移動するヤード内での十分な安全対策が求められます。博多港におきましても、今回の事故を受け、十分な安全対策を講じるよう要望をしておきます。

 アイランドシティ及び香椎パークポートのコンテナターミナルには、コンテナ貨物の積みおろしをするガントリークレーンが9基備えられていますが、近くを走行していると、そのガントリークレーンが稼働している時間帯は夜のほうが昼間より多いように見受けられますが、コンテナ船の寄航状況について、昼間と夜間の寄港数の割合はどうなっているのか、また、平日と休日の寄港数の割合はどうか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) コンテナ船の寄港状況についてのお尋ねでございます。

 昨年1年間の寄港実績で見ますと、港運業界において夜間とされております17時から翌朝8時、この時間帯に約半数が寄港しておる状況でございます。土日の休日に約3割が寄港しております。こういう状況になってございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 船舶の大型化が進行をする中で、コンテナ港湾運送事業においてもコンテナ荷役機器の大型化とIT化による荷役の高速化などの技術革新が実行され、港湾荷役労働者の技能を高めることが喫緊の課題となっています。港湾労働安全協会によれば、例えば、先ほどのガントリークレーンの運転操作は、確実性と速さが求められ、1時間当たり30本以上のコンテナ処理が要求されるため、その訓練は本船荷役の際に実践訓練しなければならないことが多く、運転操作技能を習得し、熟練するまでには二、三年かかることが一般的であると言われています。アイランドシティ及び香椎パークポートのコンテナターミナルには、コンテナ荷役機器としてガントリークレーンが9基のほか、トランスファークレーン21基、ストラドルキャリア17基が使用され、それぞれ高度な操作技能と相当な経験が要求されます。

 先ほどの答弁にあったように、コンテナ船の寄港状況は夜間が約半数、休日が3割程度を占め、夜間や休日の作業が非常に多く、港湾労働組合の話では、深夜や休日作業の多さや勤務交代がうまくできないなどの理由で、より環境が整っている仕事へ転職する人も多いと聞いています。熟練の技能を持った人たちが他の仕事に転職していくことは、博多港の振興にとっても大きな痛手であり、損失です。

 港湾空港局として、この労働者の問題についてどのような認識を持っているのか、所見を伺います。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 労働環境をめぐる状況につきましては、港運事業者の個別情報のため詳細な把握はできてございませんが、事業者の皆さんからは、全国的な労働人口の減少などもあり、労働者の確保が課題であると聞いておるところでございます。

 我々港湾空港局といたしましても、議員御指摘のとおり、労働者の問題につきましては、今後も博多港が発展していく上で重要な課題であると認識しております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 落石俊則議員。

55番(落石俊則) 労働者の問題は今後ますます重要となってきます。

 最近、アイランドシティ及び香椎パークポートのコンテナターミナル、箱崎ふ頭内でコンテナトレーラーを運転する女性ドライバーの姿をしはしば見かけるようになりました。また、神戸港や那覇港では、ガントリークレーンの資格取得を目指す女性の報道もあるように、男性の職場とされてきた港湾作業の現場でも、女性の活躍が見られるようになっています。しかし、現在のアイランドシティや香椎パークポートのコンテナヤード内では、トイレや休憩室が不足し、自分の車の中で食事をとったり休憩したりしなければならない状況が続いていると聞いています。女性が活躍できる職場環境を整えるためにも、トイレや休憩室等の整備を図る必要があります。

 今回のアイランドシティコンテナターミナルC2岸壁の延伸により、今後ガントリークレーンなど、港湾荷役機器の整備も進められ、岸壁の処理能力が向上するなど、岸壁の混雑解消に向け前進となると思いますが、同時に労働環境の改善も図っていかなければ労働力確保につながらないと考えます。

 今後、博多港の発展には、港湾運営会社などを含め関係者が一体となって、労働環境の改善など働きやすい環境づくりに取り組むべきであると考えます。所見を伺い、私の質問を終わります。

 

○副議長(石田正明) 中村港湾空港局長。

○港湾空港局長(中村貴久) 働きやすい環境づくりに向けた取り組みにつきましては、現在、港運業界におきまして、労働環境の改善に向けた対策会議を設置し、労働力確保に取り組まれておるところでございます。

 港湾空港局におきましても、港湾運営会社である博多港ふ頭株式会社等と連携し、コンテナターミナル内で、議員が事例に挙げられました休憩施設の設置などを進めているところでございます。

 博多港の今日の発展は、官民労が一体となってさまざまな課題に取り組んできた結果であり、この3者の連携は、博多港にとって最大の強みであると考えております。

 今後も引き続き官民労の3者が連携し、これまでの港湾施設の整備やソフト施策に加え、労働環境の改善など働きやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) この際、休憩し、午後2時40分に再開いたします。

午後2時28分 散会  

午後2時40分 開議  

○議長(川上晋平) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。松野隆議員。

23番(松野 隆)登壇 私は、公明党福岡市議団を代表して、鴻巣山の災害対策と緑地の保全と活用等整備について、地域共生社会における総合事業と生活支援体制整備事業について、以上2件について質問してまいります。

 初めに、鴻巣山について質問いたします。

 福岡市中央区小笹と南区長丘の境に位置する鴻巣山は、標高約100メートルの緑豊かな都心に近い山です。ちょうど今ごろの季節は目に鮮やかな深緑、そして季節ごとに移り行く木々の葉色を楽しみ、その木々に親しみながら、鴻巣山南側斜面の急な勾配に張りつく人口約1万1,000人の長丘校区の住民は日々生活しております。しかし、日々の暮らしの中では、昨今の自然災害に伴う大規模な地域や住宅被害への不安や、長年にわたる課題など、地元ならではの思いを抱える住民の方々も数多くおられます。

 そこで、今回の質問では鴻巣山の土砂災害などへの防災対策と緑地の保全、整備についてお尋ねしてまいります。

 まず、防災対策についてですが、緑豊かで日当たりのよい長丘ですが、南区の土砂災害ハザードマップでは、鴻巣山斜面の一部は土砂災害特別警戒区域、レッドゾーンに指定されております。ことしの4月11日に大分県中津市耶馬溪町で起きた大規模土砂崩れや平成26年8月に広島市安佐北、安佐南両区住民を襲った土砂災害は記憶に新しい災害です。これらの大規模被害を思い出すとき、特にこれから梅雨どきを迎えるに当たり、頻発するゲリラ豪雨が地盤の変化に与え得る影響に多くの地域住民の皆さんが強い不安を抱いておられ、その話題がよく上がります。

 そこで、お尋ねしますが、中津市耶馬溪町の土砂崩れの原因はどう分析されているのか、お示しください。

 以上で1回目を終わり、2回目以降は自席にて質問いたします。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 平成30年4月11日に大分県中津市耶馬溪町で発生した土砂崩れの原因につきましては、現在、国土交通省や大分県により原因究明に向けた調査が進められており、現時点では明確な原因は特定できていないと伺っております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 現在まだ調査中で、原因については特定されていないということですが、それでは次に、平成26年8月に豪雨により広島市の北部、安佐北区、安佐南区の住民を襲った土石流による被害区域の指定内容及び土砂災害の原因は何であったのか、調査結果をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 平成26年8月に広島市の安佐北区及び安佐南区において土砂災害が発生した区域につきましては、国土交通省の報告によりますと、広島県において危険度判定の基礎調査の結果に基づき、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域に指定することとしていたが、指定に関する住民説明会を実施する前に土砂災害が発生したとのことでございます。

 また、土砂災害の原因につきましては、発災前日の8月19日から当日の明け方にかけて、広島市を中心に降った猛烈な雨や地形、地質などによるものとされております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 広島市両区の被害区域は、災害発生時点では特別警戒区域に指定されていなかったということですが、鴻巣山の南側斜面は既に特別警戒区域に指定されております。

 それでは、そもそも土砂災害特別警戒区域、レッドゾーンの指定とはどのような根拠によるものなのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 土砂災害警特別警戒区域の指定につきましては、土砂災害防止法に基づき行われるもので、都道府県において区域指定に必要な基礎調査を実施し、土砂災害のおそれがある区域を土砂災害警戒区域として指定するものであり、このうち土石等の移動等により建物の損壊など大きな被害が生じるおそれがある区域については、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンとして指定されることとなっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 調査の上で特別に警戒を要する地域であるとのことですので、鴻巣山の警戒度はより高く、住宅の戸数や学校施設など災害時の被害の度合いも甚大ではないでしょうか。

 (パネル表示)これが鴻巣山の斜面なんですけれども、こういう急勾配の崖の1本道を挟んだ真下に中学校があるという、大変災害時には被害が心配されているところであります。

 調査の結果、広島市の同地区の斜面はどのような地質だったのか、本市の鴻巣山の南側斜面はどのような地質なのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 土砂災害が発生した広島市の安佐北区及び安佐南区の地質につきましては、広島市の公表資料によりますと、花崗岩が風化した真砂土が表面に堆積している丘陵地が広がっており、集中豪雨による斜面の崩壊や土石流が発生しやすい地形的、地質的特徴を有しているとされております。

 一方、鴻巣山の地質につきましては、福岡市が実施した地質調査の結果によりますと、砂岩や頁岩を中心とした堆積岩となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 広島市の両区の地区の地層は真砂土であり、真砂土が表面化すると地盤が緩くなると言われております。鴻巣山周辺は、砂岩や頁岩を中心とした堆積岩となっており、真砂土とは異なるものでありますが、油断はできないと思っております。

 一口に土砂災害と言っても、どのような種類があるのか、それぞれの特徴とあわせてお答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 土砂災害の区分につきましては、土砂災害防止法施行令において、急傾斜地の崩壊、土石流、地すべりの3つに区分されております。

 それぞれの特徴といたしまして、まず急傾斜地の崩壊は、急な斜面が水を含み、突然崩れ落ちる現象で、崩れた土砂による被害は斜面の高さの2倍程度の範囲にまで及ぶとされており、突発的に発生し、崩れ落ちるスピードが速いとされております。

 次に、土石流は谷や斜面の多量の土砂や倒木が、大雨などの水と一緒になり一気に下流に運ばれる現象で、川底や山腹を削り、時速40キロメートル程度の勢いで下流を襲うため、大きな被害が生じやすいとされております。

 最後に、地すべりは斜面の一部あるいは全体がゆっくりと滑り落ちる現象で、押し出された土砂は非常に広範囲にわたって被害をもたらすとされております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) では、土砂災害が起こり得る危険度の判断は、どのような調査により判別するのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 土砂災害警戒区域等の指定と方法につきましては、土砂災害防止法に基づき渓流や斜面及びその下流など、土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況等について、福岡県が基礎調査を実施し、危険度などを踏まえ指定されております。

 なお、地域の住民の皆様が散歩などの日常生活において斜面に亀裂がないか、小石が落ちてきていないか、異常な地下水の湧き出しがないかなどの変化を見逃さないことも危険回避に有効であると言われております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 専門的な調査方法とかお金をかけた調査というのは多々ありますけれども、山及び地層が経年劣化や地震の影響による緩みによりクラックができて、そこにゲリラ豪雨などの表流水が集中すると一気に地すべりし、表層崩壊を発生させます。福岡市には土砂災害特別警戒特別区域に指定されている箇所が1,553カ所あるとされており、地域の特性はそれぞれでしょうが、大雨が降ればいつ、どの場所で土砂災害が発生するかわかりません。重要なことは、山の斜面やのり面の変化をよく観察すること、特に専門家が見れば危険なスポットもよくわかりますので、定期的な点検、観察とのり面の地質の変化を記録しておくことが大事だと思います。各指定区域での取り組み推進を要望しておきます。

 梅雨を迎え、鴻巣山の土砂災害特別警戒指定区域の南側斜面は市道1本を挟み、長丘中学校や長丘公民館などの施設があり、防災対策上、今後、定期的な点検調査や行政と地域住民が一体となった防災への取り組みが不可欠でありますが、本市の今後の取り組みについて御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 土砂災害危険箇所につきましては、各区役所において出水期前を中心に過去に土砂災害があった箇所や地域から要望があった箇所などについて、順次現場点検等を行っているところでございます。

 また、地域における防災の取り組みにつきましては、出前講座などにより防災に関する情報や知識の普及啓発を行っております。さらに、土砂災害警戒区域等がある地域においては、地質に関する専門家などを招いて、危険箇所の点検や避難経路の確認、土砂災害の前兆現象などを学ぶフィールドワークを実施しております。今後とも、地域の御要望等をお伺いしながら、現場点検を実施するとともに、フィールドワークなど行政と地域が一体となった防災に関する取り組みを進めてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) どうかよろしくお願いいたします。

 次に、鴻巣山一帯を覆う緑地の整備、保全関連についてお尋ねします。

 まず、鴻巣山全体の緑地の保全について、鴻巣山周辺における緑地保全の指定状況と面積についてお示しください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 鴻巣山周辺におきましては、鴻巣山特別緑地保全地区16.7ヘクタール、長丘西特別緑地保全地区1.5ヘクタール、長丘東特別緑地保全地区0.7ヘクタールを指定しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) お答えの指定地区において、市が整備した施設の概要をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 鴻巣山特別緑地保全地区では、昭和56年までに遊歩道を約1.9キロメートル、展望台を1基、平成11年度にトイレ1カ所を整備しております。また、長丘西特別緑地保全地区では、平成11年度から12年度にかけて、遊歩道を0.3キロメートル整備いたしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 近年、鴻巣山特別緑地保全地区における施設の老朽化による苦情や要望も地元住民から数多く寄せられておりますが、それらの維持管理状況についてお答えください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 鴻巣山特別緑地保全地区では平成7年度から11年度に遊歩道及び展望台の再整備を行っております。また、定期的な維持管理として、除草を年2回、側溝清掃及び低木の剪定を年1回、民地や道路へ越境している樹木の剪定を年1回以上、巡回管理を月1回、トイレ清掃を月8回行っております。

 なお、必要に応じて老朽化した手すりの撤去、老朽化した階段のボルトの除去、枯れ木や倒木の撤去などを随時実施いたしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 遊歩道の再整備は平成11年ですから、随分時間も経過しております。私もたびたび住民の皆様からの要望を伝えてまいりましたが、抜本的改善に至っていないというのが現状であります。せっかく整備した展望台も樹木を現状のまま保全ということで、周辺には樹木が鬱蒼と茂り、繁茂した木々の間から遠景が部分的に見える程度です。遊歩道も木質の階段が朽ち、大型のくぎが露出し、転ぶと大変危険な状態もあります。(パネル表示)こういう遊歩道の木質の階段が枯れて腐ってしまって、この大きなくぎが露出しているという状態で、子どもさんなんかが転ぶと大変危険な状態がそのままになっているということであります。

 毎日現場を目にする周辺住民から見れば危険な場所や防犯上暗くて怖い箇所が散見され、緑地保全と整備のバランスのあり方はとても気を使うデリケートな課題なのだとは思います。そもそもこのような特別緑地保全地区の整備に際しては、具体的指針は定められているのか、お答えください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 特別緑地保全地区は、都市の無秩序な拡大の防止に資する緑地、また都市の歴史的、文化的価値を有する緑地など、保全を図ることを目的とする地域地区であり、整備が前提とされておりませんことから、整備指針は定めておりません。

 なお、ある程度の広さがあり、地形的に入りやすいなど一定の要件を満たすものにつきましては、地域住民の身近な緑地として散策を楽しめる遊歩道などを現地の状況に応じて整備いたしております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 具体的な指針はなく、市としては整備していないということですが、鴻巣山の緑の保全活動には、民間の団体の皆さんが大変寄与しておられます。鴻巣山の緑地保全を行う民間の主な団体とその活動内容について御紹介ください。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 平成14年度から民間団体のこうのす里山くらぶにおいて、鴻巣山の多様な自然環境の保全活動や緑地を生かした活動に取り組んでいただいております。活動内容につきましては、間伐や枯れ木の撤去、土どめづくりなどを月1回定期的に実施されており、また福岡市が実施する維持管理と連携を図りながら保全活動を行っておられます。

 さらに、平成29年度は南区役所との連携イベント、南区こども大学2017を開催し、その中で森のワークショップとして間伐体験や鴻巣山で発生した間伐材を使用したオリジナルスプーンづくりなどを実施されております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 市民有志の皆様が長年、主体的に自分たちで会費を集めて、運営費なども自分たちで工面をしながら鴻巣山の自然環境の保全に取り組んでいただいているという、大変ありがたい思いでありますが、この鴻巣山の緑をいつまでも大切に守らなければならないと思います。

 今後の市域全体における緑地保全や里山の整備に関し、これらの団体との連携をいかに図られるのか、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 先進的な取り組みをされている、こうのす里山くらぶのような団体を手本としながら、今後とも、緑地保全活動などを行う団体との連携を推進してまいりたいと考えております。

 なお、その際には緑地保全活動の人材育成のため、緑のまちづくり協会が実施しております緑のコーディネーター養成講座の活用や、地域の森づくり活動支援事業による助成金の支給なども行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 話題は少し変わりますけれども、福岡市には古くからの歴史を彩る数々の遺跡、古墳、古刹などが市内に数多く存在します。その中に鴻巣山や長丘の存在は余り認知されておりませんので、ここで少し御紹介したいと思います。

 長丘の歴史を研究する歴史の会による資料によりますと、かつて福岡藩の藩儒、貝原益軒が編さんした筑前国続風土記によりますと、鴻巣山の山上の松の木にコウノトリが巣をつくったという伝承が名前の由来とされ、鴻臚館の鴻という字は大きな鳥の意味から転じた大きいという意味を持ち、外交使節の来訪を大きな声で告げる鴻声臚伝の略とされ、どこか相通ずるところがあります。 長丘は古くは早良郡下長尾村に属し、かつては奥牟田と呼ばれていたそうです。昭和41年の町界名整理に際し、寺塚、大池、長丘などが正式名称として採用されましたが、長丘の町名の由来は長尾から連なる丘ということで決まったとされております。

 さらに、筑前国続風土記の百塚という項に、岩屋観音も西北に高きところありと示されており、岩屋観音とは現在の寺塚の穴観音で、西北の高きところとは寺塚から平尾霊園の南側に位置する長丘二丁目あたりを指し、その一帯には古く多くの氏族がばっこしたであろう古墳群があったとされ、福岡城を築城する際に、この南向きの石室がことごとく壊されて、石材として持ち去られたということで、全く遺跡の痕跡も残っておらず、その後は荒れ地の時代が続いたというときもあったようであります。

 また、鴻巣山にはドングリの森が広がっており、その森には小さなほこらがあります。中には石像が3体祭られており、中央に豊秀大権現、左右に幸守地蔵、康守地蔵とあり、左の康守地蔵には六文銭が刻まれ、その刻銘により大坂の陣で滅んだ豊臣秀頼や真田幸村などを祭ったものではないかとされております。

 御紹介しましたように、福岡市それぞれの地域にはまつわる歴史をより多くの市民に現地で感じていただく取り組みを進めることによって、地域への愛着とか自然環境の大切さというものを共感してもらえるのではないかなというふうに思います。

 そこで、鴻巣山の現在の遊歩道を今ある自然の地形や勾配を生かし、より多くの市民が市内の眺望やこれらの歴史的遺産に親しむハイキングコースとして再整備、活用すべきではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 鴻巣山特別緑地保全地区は、福岡市の緑の骨格を形成する中央緑地帯の一角となる貴重な自然であり、これを健全な姿で将来に引き継げるよう適正に保全していく一方で、身近な緑として市民の皆様に親しんでいただくことも大変重要であると考えております。

 そのため、地域資源を生かせるよう、地域や区役所などとの連携を図るとともに、現在ある遊歩道の点検、管理を行いつつ、安全で利用しやすいものとなるよう再整備のあり方などについて検討してまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) どうかよろしくお願いいたします。

 最後に、本市の都市に残る貴重な自然環境の保全と活用について、島市長に御所見を伺い、この質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 島市長。

○市長(島宗一郎) 福岡市は南に脊振山系などの美しい山並みが連なっておりまして、その山並みから北の玄界灘に向かって室見川などの美しい河川と4本の緑の丘陵地が伸びておりまして、大都市にありながら豊かな自然環境を身近に感じられる恵まれた都市でございます。

 これまで河川のみならず、丘陵地に残る樹林地などにつきましては、市民が身近に自然と触れ合える貴重な緑として特別緑地保全地区や保全樹の指定などによって保全を図ってきたところでございます。これからは守るという視点だけではなくて、松野議員御指摘のとおり、生かし育てる視点から市民、地域、企業などと共働して、緑地の保全とともに、有効活用を図って、自然と都市が調和をしたコンパクトで暮らしやすい持続可能な都市環境づくりに取り組んでまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 次に、地域共生社会における総合事業と生活支援体制整備事業について質問します。

 この問題につきましては、過去に幾度となく質問させていただき、今年度から生活支援コーディネーターの正式配置が始まったところであります。加速する超高齢化、少子化、人口減少、単身社会、そして大介護時代をどう乗り越えるのか、その処方箋として国が示し推進しているのが地域包括ケアの構築であります。今年度施行された地域包括ケア強化法の特徴は、介護保険法のみならず医療法、社会福祉法、障害者総合支援法、児童福祉法までも含んだ、いわゆる束ね法案でした。国が打ち出した地域共生社会の構築とは、従来の縦型から乳幼児から障がい者、高齢者まで地域住民に横串を通すような基盤づくりのことであると認識しております。中でも高齢者の介護予防と生活支援を豊かにする介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる総合事業と生活支援と介護予防の担い手の充実を進めるための仕組みである生活支援体制整備事業、いわゆる整備事業は喫緊かつ特に重要な課題であります。そのような観点から順に質問してまいります。

 総合事業のうち、従来型と同様、事業者などが提供する、基準を緩和したサービスである訪問型サービスAの実施状況について、利用者数、指定事業所数、サービスを提供した事業所数、指定事業所のうちサービスを提供した事業所の割合について、あわせて実績に対する評価と課題をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市における訪問型サービスAの実施状況につきましては、直近の統計によりますと1月当たりの利用者数は103人となっております。また、指定を受けた事業所が144事業所あり、このうち約17%の24事業所がサービスを提供しております。

 次に、実績に対する評価と課題につきましては、総合事業開始前からサービスを利用している方は、従来サービスと同等の専門職によるサービスを継続して利用される方が多いため、サービスAの普及が進んでいないのではないかと考えております。まずは、サービスAは利用しやすいサービスであることを周知し、その利用促進を図ってまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) まだまだ進んでいないというのが現状のようです。

 次に、平成30年から32年までの3年間の国の介護の方針を決める第7期介護保険事業計画策定における介護保険部会での議論で、要介護1、2のサービスを介護保険給付から外し、現行の要支援1、2と同様に市町村の総合事業に移行するか否かというのが大きな争点となったことは記憶に新しいことです。かつて、経済財政諮問会議が2015年に決定した改革工程表では、要介護1、2の人に対する訪問介護の生活援助を一部介護保険給付から外す提案がなされたことや、ふえ続ける高齢者や単身世帯の現状から迎える将来の大介護時代の需要と供給、さらにふえ続ける財政負担等を勘案すれば、市町村は近い将来そのような時代が来ることも当然視野に入れて、今後の計画をできるだけ早期に策定しなければなりません。将来への種まきが遅ければ遅いだけ、その分だけ市町村事業に移行した場合の市町村の将来の負担責任は大きくなるということになります。

 そこで、要介護1、2の人に対する生活支援サービスが仮に市町村に移行した場合、先ほど言いましたサービスAでカバーできると考えておられるのか、サービスAの提供体制の見通しや限界についての御所見をお示しください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 要介護1、2の方に対する生活支援サービスにつきましては、市町村の事業である総合事業へ移行するかどうかは国において現在検討が行われているところでございます。

 サービスAは、開始から1年経過したばかりであり、現時点で今後の提供体制を見通すことは難しく、まずはサービスの普及に向け周知を図ることが重要であると考えております。

 福岡市といたしましては、今後、高齢化が進み、介護を必要とする方がさらにふえ、介護人材が不足することは喫緊の課題と考えており、国の動向を注視するとともに、サービスAの利用状況の分析を行い、その見通しについて検討するなど、超高齢社会への対応を進めてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) ちょっと取り組みがゆっくりかなというふうに思います。後ほど御紹介しますが、全国各地の地域主体の取り組みは、はるかかなたに進んでおります。本市も一歩先を見越した取り組みが急務ではないでしょうか。

 続いて、生活支援体制整備事業について、2年間のモデル事業から今年度、正式配置に移行し、まずはモデル事業の実績と評価についてお尋ねします。

 国が示す生活支援コーディネーターの役割は、地域住民を支える社会資源の開発や住民、自治会、企業などをつなぐネットワークの構築、さらに地域ニーズと地域活動のマッチングなどを求めており、評価に当たっては地域特性の違いは当然のこととして、福岡市が生活支援コーディネーターにどのような生活支援サービスの開発を期待しているのかという視点からお聞かせください。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 生活支援コーディネーターにつきましては、平成28年4月から福岡市社会福祉協議会及び地域包括支援センターにモデル的に配置してまいりました。生活支援コーディネーターには、地域の実情に応じた多様な支援が求められており、モデル事業においても、アンケート等による買い物困難などの高齢者ニーズの把握や生活支援ボランティアグループの立ち上げ、閉じこもり防止や健康づくり等のための通いの場づくりなど、市が期待したさまざまな形の支援が実施されているところでございます。

 評価といたしましては、社会福祉協議会には、主に地縁組織を通じた見守りなどの生活支援や地域の企業やNPO法人等の、いわゆる多様な主体への支援に対する強みが、また地域包括支援センターには、個別支援で培った地域包括ケアネットワークを生かした支援などに強みがあると考えており、福岡市が持つ多様な地域性に応じた支援が図られるよう体制の強化を図ってまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) ぜひ一日も早く福岡市独自と言えるようなモデルを構築すべきだと思います。

 今後加速する少子化、高齢化、単身化、大介護時代に対応できる生活支援サービスの拡充が必要となります。サービスAの拡大には限界があり、地域主体、住民主体で生活援助を行う訪問型サービスBや移動支援を行う訪問型サービスDの開発実施が不可欠であります。本市のサービスB構築の方針を示していただきたいと思います。明確な答弁を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 高齢化が進む中、要介護者などの多様な生活支援のニーズに対応するために、介護サービス事業者が提供する専門的なサービスから住民主体の支援まで、その地域の実情に合わせた多様な担い手による多様なサービスの提供が重要であると考えております。今後、NPO法人やボランティアの育成、地域組織等の活動支援など、多方面から生活支援サービスの拡充を進めていく必要がございます。

 そういった中、訪問型サービスBや訪問型サービスDにつきましても、担い手の拡大の一つのツールとして考えられるため、サービスBの検討も含め、住民主体のサービスの拡充につきましては、市内のボランティア団体の状況や他都市の実施状況等を踏まえ、第8期介護保険事業計画を策定していく中で、しっかりと検討を進めてまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 私は昨年から地域住民が主体となって取り組んでいる各地の地域住民の受け皿や居場所づくりの好事例への視察を重ねてきました。まず、東京都文京区のこまじいのうちという、これは駒込の秋元さんというおじいちゃんが主催をする居場所です。子ども、高齢者、近隣の大学の学生さんから留学生まで、インターナショナルな居場所で、地域の企業の皆さんがしっかり活動をサポートしておりました。(パネル表示)これは記念写真なんですけど、秋元さんと一緒に写真を撮りまして、この後ろにあるのがもう築100年ぐらいの古い住宅で、こまじいのうちと言われています。駒込はもともと下町の気質が非常に強いところだったんですけど、マンションが乱立して、本当に人間関係が希薄になってきたということで、駒込の町区、12町会の会長さんたちの協力を得てつくった居場所ということであります。

 次に、パネルはありませんけれども、東京都立川市の大山団地というところです。ここは都営住宅とURの団地が混在する既存の大型団地の自治会です。子どもも大人も車椅子の障がい者も高齢者も住民全員、全世帯が自治会活動に参加する、何と自治会加入率100%という自治会主導型の居場所であります。これは、例えば、単身世帯に対する御飯のお裾分け、おかずのお裾分けなんかというのは、当たり前のようになっていますし、それから、団地の中に100を超えるグループがありまして、このグループによるサークル活動も行っていたり、それから団地の集会所を活用して、住民が役員として行う団地葬と、これは料金も非常に15万円ぐらいで格安でできて、そして団地の住民全員が御焼香に行けるということで、大変喜ばれているということで、この団地に入りたいという人が随分待ちをしてあるという状況でした。

 続いて、横浜市金沢区のジュピのえんがわという場所ですけど、これは横浜市金沢区の職員が立ち上げを手伝いながら、縁側がある古民家、駄菓子屋も併設し、わいわいにぎやかな地域の集いの場です。(パネル表示)これがジュピのえんがわに伺ったときの様子ですけれども、こっちではコーヒーを飲みながら談笑しておりますけれども、この隣のこっちでは高齢者の方が10人ぐらい集まって、パソコンの勉強や研修をしておられると。そして、伺ったときは時間が早かったんですけど、この部屋の隣には実は駄菓子屋も併設してありまして、3時ぐらいになると、遠くからも子どもたちが自転車に乗って駄菓子を買いに来ると。始まったときは、もう自転車をあちこちにとめるもんですから、おじちゃん、おばちゃんたちからこらっと怒られて、今では子どもたちは何も言われなくても自転車をきちんと整然と並べて、外で食べずに家の中に入って、おじいちゃん、おばあちゃんたちと一緒にお菓子を食べながら、わいわいにぎわっているそうであります。

 それから、神奈川県平塚市の町内福祉村、これは平塚市が主導で始めた全世代型で、介護のはざまや介護予防の入り口の方々が集う地域福祉活動の拠点、もう既に平成18年から事業開始をしておりますので、実は介護保険が始まったときから、この介護のはざまになる人たちのためにということで、こんな早くから始めておりました。当時、介護特会も使えなかったそうなので、一般財源を活用して積極的にこの制度を導入したということであります。

 それから、新潟市の実家の茶の間・紫竹、これは現在、全国から引っ張りだこの河田珪子さん、そして野崎トシ子さんらが主催した新潟市版地域包括ケア推進モデルの居場所であります。(パネル表示)こういう古い住宅を使って行われておりました。当日、私が行ったときに、現地で本当に細かく説明してくれたサポーターのおじいちゃん、名刺を持って説明してくれるんですけれども、実はこのおじいちゃん、数年前に認知症と診断されているんですね。僕は認知症なんだよと言いながら、元気いっぱい、受け答えも何の問題もなく案内してくれて、当日30人ぐらいのおじいちゃん、おばあちゃんがおられました。こんなにたくさんいるんですかと言ったら、いや、きょうは少ないほうですよと、そのくらい大変地域の皆さんが集われて、私もおいしくお昼御飯を一緒にいただいてきましたけれども、実は新潟市内には、こういう居場所が大小合わせて既に500カ所以上始まっているということであります。

 どの居場所も御当地それぞれの工夫とよさがありましたが、このような成功事例に共通しているのは、ここに集う高齢者は通う前と比べると格段に元気になっているということ、これは多分生きがいが生まれたことによって、それが体の元気につながっていったということなのだと思います。これがまさに介護予防ではないかと思います。そして、行政が主体的につくったスキームではないこと、それぞれの地域の特性を生かして、自分たちがやりたいように、自分たちのやり方でつくり上げた取り組みだということです。

 大山団地の佐藤良子前会長さんは、行政は待っていてもやってこない、待っていると時代におくれるだけ、常に発想しながら行動に移すことが大事と語っておられました。ある意味、地域がこのような主体者意識を持つことこそ成功の鍵ではないでしょうか。

 古い話で恐縮ですが、私は平成22年の6月議会で独居高齢者の孤独死が社会問題となり、孤独死防止に取り組む千葉県松戸市の常磐平団地自治会の中沢卓実会長と出会い、社会福祉協議会等による地域サポート構築を提案し、翌年、社協のCSWによる各区自治会との協働が始まりました。そのCSWがモデル的に取り組んだ自治会との見守り事業がきっかけとなって、今現在、福岡市でもさまざまな生活支援の仕組みが立ち上がってきております。特に平成28年度に2区の社協に生活支援コーディネーターが配置されてから、住民主体の事業所、企業などと連携した取り組みが始まり、先進的な校区には他区からもたくさん視察に来られて、全市的にさまざまな社会資源を生かした地域支え合いの機運が芽生えてきております。行政はこのような動きを大切に育てて、地域共生社会をつくっていただいたいと思います。あれはだめ、これはだめと規制するんではなくて、申請書類の作成だったり、財政的な支援だったり、地域主体のマッチングやリーダー育成など、素人が事業をやるときに困難なところに必要な支援を行い、住民主体の活動が広がっていくようにすることだと思います。

 次に、地域共生の受け皿づくりに欠かせないのが活動拠点、地域共生の居場所です。文京区のこまじいのうち、横浜市のジュピのえんがわ、新潟市の茶の間、どこも地域の皆さんがしっくり落ち着いてくつろげるような古民家を活用しております。私も新潟で過ごしてきましたが、妙に落ち着いた空間でした。皆がくつろげる空間かどうかも大事なポイントです。こまじいのうちも子どもたちがおじいちゃん、おばあちゃんの家に帰ってくるように、ただいまと学校帰りに一斉に集ってきます。全国的に課題となる空き家の利活用の難点は、一軒家は買い手がつきにくいという点です。家主や相続人は固定資産税分ぐらいが何とかなるんであれば、社会に迷惑をかけるよりも役に立ててもらいたいと思うのではないでしょうか。移住者にしても居場所にしても、空き家の利活用は家主と借り主がお互いの利益となり、本市の課題解消に向け一役買えるなら、空き家の福祉的活用を本格的に検討すべきですが、空き家の利活用の現状と今後の方針について所見を求めます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 福岡市における空き家の福祉的活用につきましては、福岡市社会福祉協議会と古家空家調査連絡会との共同事業体が行う空き家の活用が先駆的な社会実験等の技術の検証として、国土交通省のモデル事業等にも採択されておりまして、管理を行う者がいない物件について、地域住民のサークル活動などの集いの場や障がい福祉サービス事業所として活用するなどの取り組みを実施しております。また、今年度中にはウエブサイトで一元的に登録や仲介を行う社会貢献型空き家バンクが開設される予定となってございます。

 福岡市といたしましても、今後、福岡市社会福祉協議会等との連携を図りながら、空き家の福祉的活用について検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) よろしくお願いいたします。

 国が例示する介護予防・生活支援サービス事業は、市町村事業として独自に設計可能なものです。ある地域へのアンケート調査の結果、住民からのニーズが高かったのは、居場所をつくってほしいだとか、ごみ捨てや電球交換など生活を支援してほしい、高齢者だけではない子どもも集まれるような多世代の交流をしてほしいとか、一見、地域共生社会と聞くと抽象的に聞こえますけれども、実態はこのようにちょっとした生活の困り事の相談を受けて解決につなげていくという、そんな取り組みなのではないでしょうか。本市の各地で地域住民が大切に育てている取り組みこそ、本市の社会資源であり、福岡型というべきこれらの取り組みを活用しない手はありません。

 福岡型の介護予防・生活支援サービス事業は、行政がつくるものではなく、行政の縛りは最小限として、住民自身の現在の取り組みを大切にする、生活支援コーディネーターを活用して、住民がみずからの力を最大限に発揮できるよう柔軟かつ適切に支援を行うべきものです。補助してあげるではなく、頑張ってくれる人に補助をさせてもらうという姿勢で考えてほしいと思います。なぜならば、これら地域の取り組みによって、間違いなく今日的な行政が抱える課題は軽減されていくと確信をしております。それこそが地域共生社会ではないかと心から思っております。今後の総合事業及び生活支援体制整備事業への取り組みについて御所見をお伺いします。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) 超高齢社会の到来を受け、これまで以上に地域における支え合いを支援する仕組みが求められているものと認識しております。

 議員御指摘のとおり、支援に当たっては、市内各地における取り組みを大切にする視点が重要であると考えており、他都市の先進事例についても学びながら、社会福祉協議会等が培ってきた専門性を生かして、生活支援コーディネーターの正式配置を進めるとともに、総合事業におけるサービスBなども含め、地域住民が主体的に、より自由で力を発揮できるような支援のあり方を検討し、地域における支え合いの活動を広げていきたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 松野隆議員。

23番(松野 隆) 社協の生活支援コーディネーターはまだ全区配置には至っておりませんので、一日も早く全区に社協の生活支援コーディネーター配置を完了していただきたいということをあわせて強く要望しておきます。

 最後に、厚生労働省が社会福祉法の一部改正等により、地域共生社会の実現を地位包括ケアの上位概念と位置づけて以降、住民主体のサービスや地域共生の居場所に関する取り組みがより活発になってきていることを全国各地の視察を通じて実感しております。

 このような中、福岡市では次期福岡市保健福祉総合計画策定作業の過程を通じ、開かれた活発な論議が行われ、これぞ福岡市と市民の賛同が得られるような地域共生社会づくりの青写真が描かれることを期待いたしております。

 最後に、「みんながやさしい、みんなにやさしいユニバーサル都市・福岡」における地域共生社会実現に向け、島市長の御決意をお伺いし、私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 島市長。

○市長(島宗一郎) 超高齢社会を迎え、地域での支え合いがより重要になる中で、制度や分野ごとの縦割りや支え手と受け手、こういう関係を超えて、誰もが役割を持ち、活躍できる地域共生社会の実現が求められています。こうした中、福岡市におきましても、企業、NPO法人、地域団体、ボランティア団体などにより、地域の実情に応じたさまざまな地域活動が行われています。また、地域と強いパイプを持つ福岡市社会福祉協議会などが地域の抱えているお困り事を包括的に受けとめ、空き家の福祉的活用や地域カフェなどの多様な居場所づくりを支援するなど、地域福祉活動の支援に取り組んでおります。

 福岡市といたしましては、このような地域による主体的な取り組みをしっかりと支援することで、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながり、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく地域共生社会の実現を目指してまいります。以上です。

 

○議長(川上晋平) 今林ひであき議員。

20番(今林ひであき)登壇 私は、マイナンバー制度について、子ども・子育て支援新制度について、BRTと連節バスについて、以上3点について質問いたします。

 まず、マイナンバー制度についてお尋ねいたします。

 国民に対する個人番号の付与であるマイナンバー制度は、平成22年ごろから議論が始まり、平成25年にいわゆるマイナンバー法が成立し、平成28年1月から開始されたものです。その大きな目的は、社会保障や税の情報に関して一元化、統一化による行政サービスの向上であり、その具体的な中身は、所得や行政サービスの受給状況の容易な把握による公平公正な社会の実現、行政同士が情報共有、連携をして行政手続の簡素化による提出書類の削減などの利便性の向上、さらに情報の照合や入力における事務の軽減と行政事務の効率化が図れるものと大きく期待されています。

 そのほかに、ワンストップとして、きのうの古川議員の質問にもありますように、区役所窓口のワンストップ化にも活用できるものと思っております。さらに、私はマイナンバー制度の究極的な効果として福祉、子育て、医療などのさまざまな情報を連携させることで、さらに利便性の向上を図り、市民の皆さんが高度な行政サービスを受けられるようになればよいなと、そういうふうに思っています。

 そこで、まず最初にお尋ねいたします。マイナンバーの利用開始から2年がたちますが、制度導入による効果は上がっているのか、お尋ねいたします。あわせて、マイナンバーカードの申請状況はどうなのか、全国との比較で教えてください。

 次に、マイナンバー制度の導入当初は、マイナンバーカードの交付の手続などで区役所、市民課の窓口業務で混乱もあったと聞いております。さらに、システムの対応や事務処理の見直しなど、職員の負担増もあったのではないかと推測いたします。

 そこで、お尋ねしますが、現在の状況はどうなっているのか、お尋ねいたします。

そのほかに、マイナンバー制度に対する懸念で、よく議論される個人情報の取り扱いについて、個人情報保護の観点から、どのような対策を講じているのか、お尋ねいたします。

 次に、子ども・子育て支援新制度についてお尋ねいたします。

 この新制度は平成27年4月から施行された子ども・子育て支援法などに基づくものであり、幼児期の教育や保育に対する支援として量の拡充や質の向上を進めていくものです。具体的には、施行から3年が経過した新制度においては、新規の地域型保育事業によりゼロから2歳児の施設整備等が進み、量の拡充が図られております。一方、人件費の処遇改善加算が新設されるなど、質の向上にも効果が上がっております。

 そこで、まず子ども・子育て支援新制度による量の拡充について、そのほかに本市ではどのような取り組みを行っているのか、その状況をお尋ねいたします。あわせて、保育の質の向上についても、現在までの取り組み状況を教えてください。

 なお、質の向上に当たっては、平成27年に採択された請願も既に3年近くを経過しており、早期に構築する必要があると思いますが、全く進んでいません。

 そこで、改めて確認いたします。本市独自の新たな福岡方式としての質の向上について、本市の方針を述べてください。

 また、新制度の目的の一つとして、認定こども園の整備促進もあると思います。

 そこで、お尋ねいたしますが、認定こども園の本市での整備状況について、また全国的にはどのような傾向があるのか、施設数、利用者数及び保育所、幼稚園に占める割合などを教えてください。

 次に、BRTと連節バスについてお尋ねいたします。

 なぜこのような質問をするかというと、市と西鉄が連節バスを導入するという話を最初に聞いたとき、連節バスは何で市がかかわるのか、何で補助金を出せるのか、市の説明ではBRTとは連節バス導入と言われ、あたかも連節バスとBRTが同意語のように印象を持ったからです。そもそもBRTとはバス・ラピッド・トランジットであり、訳すればバス高速輸送システムのことです。平成27年、市の最初の都心循環BRTの検討で、その報告書では都心循環BRTとは連節バスの導入となっており、それに加えてシンボリックな停留所の整備、鉄道や路線バスとの乗り継ぎ強化などにより、従来のバスよりも速く、時間どおりにたくさんの人を運ぶ、わかりやすく、使いやすいシステムを想定していると記載されています。

 一方、国土交通省の資料では、BRTとは連節バス、公共車両優先システム、バス専用道やバスレーンとを組み合わせる仕組みと記載されております。さらに、辞書では少しニュアンスが違い、一般道路と区切ったバス専用レーンや完全分離した専用道路を設けて、バスを運行させる新交通システムとあります。また、専用道路を走るため、連節バスなどの大型車体を導入することで輸送能力の拡大も見込めるともあります。つまり、BRTとはイコール連節バスではなく、そもそも新交通システムを指し、連節バスは大型車体の一つであり、量の拡充を見込める単なる手段であると気づきました。BRTを実行するために大事なことは、公共車両優先システム、専用道、専用レーンを考え、計画して実行に移すことです。

 そこで、お尋ねしますが、本市でいう都心循環BRTについて、連節バスは既に導入いたしましたが、そのほかの重要な要素である公共車両優先システム、専用道、専用レーンについて方向性、方針をお示しください。

 最近、都心循環BRTと言いながら、いろいろなところで連節バスを見ます。私は平日の昼間に連節バスを利用した際、利用者が二、三人であったため、意外と少ないなという印象を持ちました。2台分のバスに乗客が少なければ大量輸送とはなりません。つまり、BRTの役割を果たさず、無用の長物になりかねないなと心配になりました。

 我が会派でも、今でも特に天神、博多駅周辺ではバスの数珠つながりで交通渋滞を引き起こしているのに、さらに連節バスの2台分で、特に右左折でさらなる交通渋滞を引き起こすのではないかと心配する声も多くありました。渋滞を解消するのが都心循環BRTの目的であり、その手段としての連節バスだと思います。それが逆効果ではいけません。

 そこで、お尋ねいたしますが、連節バスの現在の運行状況についてお答えください。あわせて、都心部において連節バスが原因で渋滞が発生していないのかについてお尋ねいたします。

 以上で1問目を終わり、2問目以降については自席にて質問いたします。

 

○議長(川上晋平) 光山総務企画局長。

○総務企画局長(光山裕朗) マイナンバー制度についてお答えいたします。

 まず、マイナンバー制度の導入効果につきましては、平成2911月から国や地方公共団体などの行政機関の間で税や社会保障関連の情報をやりとりする情報連携の仕組みが運用開始されております。これにより、福岡市でもさまざまな手続において添付書類の削減が可能となり、市民にとっては手続の簡素化に、また行政にとってもこれまで文書で行っていた照会業務や他機関に提出するための証明書の作成業務が削減されるなど、業務の効率化につながっております。

 次に、マイナンバーカードの申請状況につきましては、平成30年3月末現在で全国の申請数は1,7489,297件、人口比で約13.7%に対し、福岡市の申請数は205,245件、人口比で約13.5%となっており、おおむね全国並みとなっております。

 次に、制度導入時における混乱などのお尋ねでございますが、マイナンバーカードにつきましては、制度開始当初は全国的に一斉の大量申請があったことに加え、カードを発行する地方公共団体情報システム機構のカード管理システムのふぐあいも重なり、交付までに半年程度を要するなど、市民の皆様には御迷惑をおかけしたところでございます。現在ではシステムのふぐあいも解消され、申請から1カ月程度で交付の案内ができております。

 また、福岡市におきましても、平成28年1月の利用開始や平成2911月からの情報連携に対応するため、システムの整備や事務処理の見直しを集中的に行う必要がありましたが、全庁挙げて準備を進め、予定どおりに本格運用へ移行し、現在のところ、特に大きな問題もなく、円滑に運用いたしております。

 次に、個人情報保護の対策についてのお尋ねでございますが、マイナンバー制度は国においてシステム面と制度面の両面からの対策が行われております。まず、システム面におきましては、通信の暗号化やアクセス制限などの対策を行うほか、データを分散管理することにより、万が一の場合に、いわゆる芋づる式の情報漏えいを防ぐ仕組みが導入されております。また、制度面においては、法律で認められている手続を行う場合を除き、マイナンバーの収集、保管を禁止するほか、手続における本人確認の義務化や国の第三者機関である個人情報保護委員会の監視に加え、罰則等の措置を強化することなどによりまして安全性が確保されているものと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 子ども・子育て支援新制度についてお答えいたします。

 まず、本市の保育の量の拡充の取り組みにつきましては、子ども・子育て支援新制度により新設された定員が6人から19人までの小規模保育事業等を活用し、平成27年度から平成29年度までの3年間でゼロ歳児から2歳児まで約1,200人分の定員増を行ってまいりました。さらに、急増する保育ニーズに対応するため、保育所の新設、増改築、認定こども園などの整備を進めており、小規模保育事業も含め、この3年間で約6,000人分の定員増を行ってまいりました。

 次に、平成27年度に採択された請願、子ども・子育て支援新制度に伴う保育の質の向上を目指す取り組みにつきましては、平成2712月以降、福岡市保育協会と保育の質の向上について、これまで9回の協議を行ってまいりました。請願の趣旨でもある保育の質の向上の取り組みにつきましては、これまで保育士への研修や小規模保育事業所への巡回訪問支援のほか、保育士の勤続手当等の福岡市独自の助成を実施しております。28年度からは潜在保育士への就職準備金等の貸し付けや就労の継続を支援することを目的とした保育士を対象とした相談窓口を設置し、29年度からは保育士への家賃助成を実施するなど、人材の確保にも取り組んでおります。

 今後とも、保育の質の向上のため、保育士の負担軽減を図る保育業務のICT化を推進するなど、福岡市保育協会や保育現場の意見をお聞きしながら必要な取り組みをしっかりと進めてまいります。

 次に、福岡市と全国の認定こども園の施設数、利用者数及び認定こども園が保育所、幼稚園に占める割合でございますが、平成29年4月1日現在の状況で申し上げますと、福岡市における認定こども園の施設数は5施設、利用者数は613人、保育所、幼稚園に占める割合は施設数、利用者数ともに1%となっております。

 一方、全国の認定こども園の施設数は5,081施設で、利用者数が689,781人、保育所、幼稚園に占める割合は施設数が13%、利用者数が18%となっております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) BRTと連節バスについての御質問にお答えいたします。

 まず、公共車両優先システム、専用道・専用レーンの方向性等についてでありますが、国土交通省のホームページによりますと、BRTは地域の実態に応じ、連節バスや公共車両優先システム、バス専用道、バス専用レーンなどさまざまな施策を組み合わせることにより、速達性、定時性の確保や輸送能力の増大が可能となるバスシステムとされております。

 福岡市におきましても、都心部の交通特性等を踏まえ、平成28年度から都心循環BRTの形成に向け、連節バスの導入やバス路線の再編、効率化、専用走行空間の確保に取り組んでいるところであり、今後とも、一般交通への影響に配慮しつつ、速達性などの向上と輸送能力の増強に取り組んでまいります。

 次に、連節バスの運行状況につきましては、天神、博多駅、ウォーターフロントの3拠点を結ぶ都心循環BRTの試行運転として、内回り外回り合わせて1日62便を運行しており、利用者数は1日平均3,500名、1便当たり平均で約60名でございます。

 また、連節バスの走行につきましては、西鉄が試行運行に先立ち、夜間や昼間の試走を実施し、一般交通へ特段の影響がないことを確認しており、試行運転においても渋滞を引き起こすような問題は生じておりません。

 なお、連節バス導入に当たり、交通混雑の緩和を図るため、バス路線の再編、効率化をあわせて行っておりまして、連節バス導入後、大博通りで約250便、渡辺通りで約240便の路線バスを減便しております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 今林ひであき議員。

20番(今林ひであき) それでは、2問目に入ります。

 まず、マイナンバー制度についてお尋ねいたします。

 マイナンバー制度の導入による効果について、昨年から情報連携が始まり、本市においても税、社会保障の手続で添付書類の削減などの効果が徐々に見えてきているとの答弁ですが、実際に効果を実感したという声を余り聞きません。また、カードの申請をされた方も全体の13%にしかすぎません。まだまだだと思います。ぜひマイナンバーの導入による効果をもっとPRして普及に努めていただきたいと思います。

 そこで、まずお尋ねいたしますが、マイナンバーの効果を上げるためのカードについて、そもそもマイナンバーのカードを持つと持たないとでは何が違うのか、またこのカードは将来に向かって具体的にどのように活用していこうとしているのか、お尋ねいたします。

 マイナンバーがまだまだなので、将来の話はしにくいのですけれども、私は、これからは行政の窓口を初め、福祉、医療、介護などの分野を横断して一度の手続で1枚のカードで全てを完結するようなワンストップ社会の構築が必要であると思っています。私が思うワンストップ社会についてですが、特に医療分野における情報連携は、市民の健康管理や治療にかかわる重要な課題と考えます。今、福岡県では国の基金を活用して、医療情報ネットワーク、とびうめネットが平成27年から運用を開始していると思います。

 そこで、お尋ねしますが、とびうめネットの概要と期待されている効果について、あわせてマイナンバーとのかかわりがあるかどうかについてお尋ねいたします。

 さらに、本市でも介護分野では地域包括ケア情報プラットフォームにより介護の情報を医療機関や介護従事者において共有できる仕組みづくりに取り組まれています。よりきめ細やかな介護サービスが実現できるかなと期待しています。

 そこで、お尋ねしますが、地域包括ケア情報プラットフォームの概要と期待される効果、あわせてマイナンバーとのかかわりについても、お尋ねいたします。

 次に、子ども・子育て支援新制度についてお尋ねいたします。

 新制度により約6,000人規模の量の拡充、人件費、家賃補助などにより質の向上につながる取り組みが一定程度図られているとの答弁です。しかし、進んでいない取り組みもあります。1つは、採択された請願である新しい福岡方式による質の向上です。本市の保育行政を語るとき、福岡方式という言葉があります。これは本市の保育行政が全国的にも珍しい市有地の貸与という手法により進んだと言われるゆえんです。今では大変な財政負担などから、とてもその発想すら浮かばないものです。私は新しい福岡方式がこれと対比して考えなくてもよいと思っています。ただ、できれば全国に先駆けての福岡市独自の取り組みであればよいなと思っています。そのほかには国の制度を先取りして、国を引っ張っていくような事業もありだと思っています。しかしながら、このような方針や答弁をいただけませんでした。逆に1問目の答弁で、さも新しい福岡方式の取り組みは既にやっているような印象を持ちました。しかし、それは違うと思います。それは少なくともその内容が、請願者が納得するものではないからです。本当は3年近く経過し、何か方向性が見えるのかと思い質問いたしましたが、まだまだのようです。

 そこで、要望にとどめますが、そろそろ具体的な実行段階だと思いますので、質の向上について、福岡市独自の取り組みについて強く要望しておきます。

 次に、2つ目に認定こども園があります。答弁では、全国的には施設数で13%、利用者数で18%を占めているにもかかわらず、本市では施設数、利用者数ともに1%との答弁です。なぜ整備が進んでいないかについて考えていきたいと思います。

 認定こども園は新制度前からあった制度ですが、当時は幼稚園と保育園の垣根を取り除く施設と聞いておりました。しかし、実際に大阪市の施設を視察させていただきましたが、保育園部分と幼稚園部分の認可や会計は別に行い、また保育園は児童福祉法、幼稚園は学校教育法に基づいて実施されることから、単に幼稚園と保育園が隣り合わせにあるだけとの印象を持ちました。当時は、これではとても整備が進まないだろうとも思いました。しかし、新制度における認定こども園は、幼稚園の教育、保育園の保育という、それぞれの機能や特徴をあわせ持った施設として、財政措置や幼保連携型の認可、指導、監督の一本化など改善が図られていると思います。今後、認定こども園への移行や整備が進み、保育の部分が拡充されれば、保育の受け皿の確保にもつながり、待機児童解消につながるものと考えられます。

 そこで、認定こども園の整備促進に対する本市の方針を教えてください。

 次に、新制度の目的の一つである待機児童対策について、以前より市立幼稚園の廃園との関係を問いただしてまいりました。

 そこで、和白幼稚園について質問させていただきます。

 和白幼稚園は地域からも存続を望む声が多数寄せられましたが、ことし3月に63年の歴史に幕をおろしました。今後、解体工事が行われる予定ですが、地域では跡地の活用が話題となっています。跡地は子ども関連施設に活用してほしいとの地域要望に耳を傾けていただき、その方向で進めていただいていると思っています。

 そこで、一つ提案をしたいのですが、待機児童対策は喫緊の課題で、全市で一丸となって取り組むべきものです。既に御存じのように、今、本市では平成14年より福岡方式をやめて、新設の保育園では土地は自前で用意することに方針変更されております。そのため、特に都心部では土地購入に障壁があり、参入が進まない原因の一つになっています。そのような中、ケース・バイ・ケースだとは思いますが、住吉小跡地などは従来どおり福岡方式として貸与されています。また、中比恵公園などの市有地も保育園用地として活用され、貸与されています。また、本市では新しい取り組みとして、さきの公園活用や園庭の緩和など多様な知恵で全市的に待機児童対策に取り組まれており、このことについては大変評価しております。

 そこで、和白幼稚園、それに続く雁の巣幼稚園の跡地についても、待機児童解消を目的とすることを全面に打ち出し、子ども関連施設の誘致に際して、待機児童対策を優先することがよいと思います。そのため、多様な知恵で対応している本市において、この跡地についても、待機児童解消をしやすいようにするため、売却だけではなく、それを前提としない公募条件にできないのでしょうか。以上を提案したいと思います。御所見があればお願いいたします。

 次に、BRTと連節バスについてお尋ねいたします。

 BRTの実行には、バス専用道も一つの重要な要素です。しかしながら、都心循環BRTを考えた場合、専用道の整備は、答弁でもあるように悩ましい問題だと思います。天神、博多駅の周辺で専用道は可能でしょうか。可能性があるとすれば、博多駅とウォーターフロントの拠点間を結ぶ大博通りぐらいかなと、そういうふうには思います。

 そこで、バス専用道の検討状況について具体的にお尋ねいたします。あわせて、全国でBRTの検討や実行されている事例の中で、独立したバス専用道が確保できている事例があるかどうかについてお尋ねいたします。

 私は、BRTとして連節バスの導入に当たり、他都市を視察してまいりました。私が視察した先はBRTは拠点と拠点を結ぶ拠点間の大量輸送で効果を発揮している事例でした。また、BRTというのは、そういうものだとの説明も受けました。また、市の説明でも、ウォーターフロント開発に伴う人の交流として、港と博多駅、天神とを結ぶことから始めるとも聞いていました。そもそもBRTの基本が拠点間を大量輸送するものであるのなら、一挙に都心循環まで考えることには少し無理があるのかなと、そういうふうに思います。都心循環BRTで最も最悪なのは、優先システムや専用道、専用レーンなどの整備が進まないまま、連節バスだけは都心を走り回り、渋滞を起こす姿です。

 そこで、お尋ねしますが、さきの質問と重複するかもしれませんが、全国で優先システム、専用道を伴うBRTで成功している事例、また循環BRTを実施している事例があれば、状況とあわせて教えてください。以上、終わります。

 

○議長(川上晋平) 光山総務企画局長。

○総務企画局長(光山裕朗) マイナンバー制度についてお答えいたします。

 税と社会保障関係の手続を行う場合、マイナンバーの提示と本人確認が必要となりますが、マイナンバーカードを取得すれば、1枚でこの手続が可能となるほか、証明書のコンビニ交付や税の電子申告が可能となります。さらに、インターネット上のサービスであるマイナポータルにおいて御自分の収入や課税状況などの情報確認や子育て関連の申請手続などが可能となります。

 また、マイナンバーカードにはICチップの中にインターネット上で本人確認が可能となる電子証明書の仕組みが備わっており、将来的にはマイナポータルでできる手続が拡充される予定でございます。この電子証明書の仕組みにつきましては、民間企業も利用することができるため、インターネット上で各種手続が完結する便利なサービスがふえていくことが期待されております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

○保健福祉局長(永渕英洋) マイナンバー制度についての御質問にお答えいたします。

 まず、とびうめネットにつきましては、患者の症状や検査結果、服用している薬、アレルギーなどの情報をかかりつけ医や緊急搬送時における救急隊や搬送先医療機関で共有するため、福岡県が開発し運用しているネットワークシステムでございます。

 期待される効果といたしましては、体調を崩すなどの緊急時に迅速で適正な医療を提供することができ、安全、安心な地域医療を支援するものとされております。

 なお、マイナンバーにつきましては、とびうめネットでは利用していないと聞いております。

 次に、福岡市が進めております地域包括ケア情報プラットフォームにつきましては、これまで所管ごとに断片的に管理されてきた保健、医療、介護等に関するデータを一元的に集約するための情報通信基盤でございます。現在、約230種、23億件のデータを集約しており、地域ごとの医療、介護サービスの利用状況や保健、医療、介護データ間の相関関係などが分析できる機能を初め、医療、看護、介護に係る関係者間における多職種連携の機能や、配食や訪問理美容などの介護保険外サービス情報を提供する機能を備えております。

 期待される効果といたしましては、地域ニーズなどに基づく最適な施策の企画立案や医療、介護関係者の負担軽減とケアサービスの質の向上などにより、地域包括ケアシステムの実現に寄与するものと考えております。

 なお、マイナンバーにつきましては、地域包括ケア情報プラットフォームでは利用してございません。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 小野田こども未来局長。

○こども未来局長(小野田勝則) 子ども・子育て支援新制度についてお答えいたします。

 認定こども園の整備促進に対する福岡市の方針につきましては、福岡市では急増する保育ニーズに対応するため、保育所の新設、増改築、小規模保育事業、認定こども園など、さまざまな手法を用い整備を進めているところでございます。認定こども園の整備促進につきましては、既存の幼稚園が保育機能を備えて認定こども園に移行した場合は、増加する保育需要の受け皿になるものと考えており、できるだけ認定こども園への移行を促進してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 市立幼稚園跡地の公募に関する御質問にお答えいたします。

 和白幼稚園及び雁の巣幼稚園の跡地につきましては、市内部で行政需要がなく、また認定こども園や保育所などを新設する場合の土地について、福岡市では原則所有権を有していることが条件となっていることを踏まえ、公募にて売却することにいたしております。公募条件において用途を限定することにより、認定こども園など子ども関連施設を積極的に誘致していきたいと考えております。以上です。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) BRTと連節バスについての御質問にお答えいたします。

 まず、専用走行空間の検討状況についてです。現在、都心循環BRTの運行経路におきましては、一部の区間で時間帯バス専用レーンを設けているところでありますが、運行路線に独立型バス専用レーンを新たに確保する場合は、現在の一般交通の状況から見て、道路交通混雑が懸念されるところであります。このため、一般交通への影響にも十分配慮しつつ、走行空間の明示化や区間、時間帯の段階的な拡充、強化など、さまざまな工夫や改善を交通管理者等と協議しながら検討しているところでございます。

 次に、独立したバス専用レーンを確保できている全国の事例につきましては、廃線敷きを利用している気仙沼市の事例などがございます。

 次に、公共車両優先システムとバス専用道両方を備えたBRTにつきましては、全国的に該当事例はございません。

 さらに、循環型BRTを実施している事例としましては、JR岐阜駅を起点とする約10キロメートルの循環ルートで運行しております岐阜市の事例などがございます。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 今林ひであき議員。

20番(今林ひであき) 3問目に入ります。

 まず、マイナンバー制度についてお尋ねいたします。

 マイナンバーによるワンストップ社会の構築が理想と申し上げましたが、残念なことに今、国では医療や介護サービスの分野で、マイナンバーとは別に番号制度を導入し、情報連携することを検討していると聞いております。また、県のとびうめネット、市の地域包括ケア情報プラットフォームでも連携していません。率直に言って、マイナンバー制度がもったいない、宝の持ち腐れになるのではないかと心配しております。

 一方、本市では、人生100年時代に向けたプロジェクト、福岡100が進行中です。このプロジェクトの中で、このような発想を展開し、地域包括ケア情報プラットフォームなどでマイナンバーも活用できる仕組みづくりはできないのでしょうか。強く要望いたします。

 さらに、福岡市から国に対して分野横断的に連携が進むことを提案できないのでしょうか。確かにマイナンバー制度は全国共通の制度です。国に右へ倣えになるかもしれません。しかし、今マイナンバー制度は大変な過渡期にあると思っております。解決しないといけない課題もたくさんあると思います。しかし、よりよき方向に改善されることを強く国に要望すべきです。そして一方、本市で独自にできることは積極的に取り組むべきだと考えます。

 そこで、この質問の最後にお尋ねいたしますが、本市では今後、マイナンバーやマイナンバーカードの活用をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。

 次に、子ども・子育て支援新制度についてお尋ねいたします。

 今回、この質問をした目的は2つでした。1つの目的は、採択された請願の新しい福岡方式についてです。しかし、いまだ方向性が見えず、納得いく答弁に至らずです。

 また、もう1つの目的であった和白幼稚園跡地の活用についての提案です。既に2問目で提案したように、待機児童対策を全市的に対応すべきだという提案です。そして、認定こども園を誘致対象になればいいなと、そういう思いでした。しかしながら、なかなか納得した答弁がいただけませんでした。毎回同じように行政需要がなく、子ども関連施設を誘致していくとの答弁がありました。保育園という行政需要はない、しかし、子ども関連施設としては保育園はオーケーだという答弁はいかがなものかと申し上げているのです。私は、保育行政が市の責務であるということを御理解いただき、その責務を果たす上で、仮に市有地の活用ができるとすれば、それは優先的に対応すべきだという当たり前の話を言っているのです。さらに、公的利用を促す意味で、活用しやすい借地もありだと提案しているのです。その上でも売却方針を選択されるなら、大名小跡地の売却を賃貸に変更されたように、定期的、長期に収入を得る方法もありますよという提案なんです。

 そこで、何度でも要望いたしますが、この2つのことについて、今回の質問で真摯に受けとめていただき、至急の対応を求めて、この質問を終わります。

 最後の質問になりますけれども、BRTと連節バスについてお尋ねいたします。

 都心の渋滞緩和を図る目的で考えた都心循環BRTがかえって渋滞を引き起こしては元も子もありません。また、BRTは本来の活用である優先システム、専用道があってこそ最大限力を発揮するものだと思います。成功した事例があるとの答弁ですが、廃止された鉄道の線路を活用した事例については、私も視察させていただきましたが、なぜ廃線となったのか、地域の実態などが異なり、本市には適用は難しく、成功という名だけが先行しているように思えます。

 そこで振り返ると、一般道において優先システム、専用道が確保されている事例は全国的にもないようで、これが現実だと思います。つまり、BRTの理論と現実はかなり乖離しているのではないかと思います。都心循環BRTについて、計画、将来性、本市のあるべき姿はあってもよいと思います。また、取り組めるところからやるということも大事なことです。そこで、今回、現実的な話として、少しでも実現可能性のある博多駅−ウォーターフロント間の拠点間を結ぶルートで検討すべきではないかと私も思います。ウォーターフロントの第2期展示場やクルーズ船による集客などから、BRTの話があるとすれば、イベントの開催やクルーズ船の離発着などで人の移動があり、BRTは最大限発揮することになります。その場合、クルーズ船の出発時やイベントの開始前は博多駅からウォーターフロント方向へ、またクルーズ船の到着時やイベントの終了時にはウォーターフロントから博多駅のほうに人が多く動きます。すなわち、活動軸、時間軸、方向軸も一時的に1方向に大量に発生するものと思います。つまり、朝夕の通勤時のバス専用レーンのような利用形態が必要になるのではないでしょうか。また、専用道の設置についても、時間軸、方向軸が偏るということであれば、相互交通の必要もなく、1車線でも可能ではないかと考えられます。そこで大博通りにおいて、幅広い中央分離帯も活用して、1車線分の車道を確保できないかと思います。

 そこで、お尋ねしますが、ウォーターフロント−博多駅間の主要道路である大博通りについて、専用道の検討をする場合、1車線を専用道とする場合の検討もなされているのか、お尋ねいたします。

 元来、BRTがなぜ本市で最初に考えられたのか、また注目されているのかは、多分費用がかからず、導入しやすいという利点があり、そういった意味ではBRTの選択は適切なものだと判断いたします。また、もともとはウォーターフロント地区への交通アクセスについては、地下鉄の七隈線延伸ルートが一つあったとも記憶しております。BRT、七隈線の延伸が現実的にはとても厳しいという話の中で、道路を立体的に活用した、例えば、ロープウエーのような新たな新交通システムの話があるのかもしれません。その場合、今回、市が決めたBRTの検討と矛盾しないようにすべきということは言うまでもありません。ロープウエーの事例として、市からいただいた資料を見ると、イギリスのロンドンでもオリンピックと同時にロープウエーが約50億円かけて整備されたそうです。現在の利用状況や導入に至る経緯、効果などがわかれば知りたいものです。今後とも、しっかり議論していくために、我々としても勉強していきたいと思います。

 そこで、最後にお尋ねいたしますが、BRTの検討とウォーターフロント地区アクセス強化研究会との関連、目的について御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○議長(川上晋平) 光山総務企画局長。

○総務企画局長(光山裕朗) マイナンバー制度についてお答えいたします。

 マイナンバー制度につきましては、公平、公正な社会の実現、国民の利便性向上、行政運営の効率化のための重要な社会基盤でございます。これまでに平成28年1月のマイナンバーの利用開始後、平成2911月の情報連携開始を経て、添付書類削減による手続の簡素化や、自治体間の情報照会業務の削減による事務の効率化など、福岡市においても一定の成果が出ているものと認識いたしております。医療や介護分野などへのマイナンバーの利用拡大にはまだ課題もあるようでございますが、福岡市といたしましても、情報連携の重要性を認識いたしており、例えば、医療や介護にかかわるビッグデータを活用し、データ分析や関係者の情報共有システムの構築に全国に先駆けて着手するなど、独自の情報連携の仕組みづくりに挑戦してきたところでございます。

 今後、国において戸籍事務などへのマイナンバーの活用も検討されると聞いており、さらなる行政手続の簡素化が進むとともに、民間においてもマイナンバーカードを利用したサービスが広がっていくことが期待できます。福岡市といたしましても、国や他都市の動向などを踏まえつつ、番号利用事務の拡充を含め、マイナンバー制度の利活用を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) BRTと連節バスについての御質問にお答えいたします。

 大博通りの中央分離帯を活用した1車線のバス専用道の確保につきましては、中央分離帯が博多駅からウォーターフロントの間の全ての区間には設けられていないため、レーンの確保には困難を伴うと考えております。また、不定期なイベントに合わせて交通規制を設定することは困難であること、また、右折車両と直進するバスの錯綜が生じることなど、道路交通安全上も解決しなければならない課題もございます。

 最後に、都心循環BRTにつきましては、都心周辺部駐車場の確保、バス路線の再編、効率化などとともに、道路交通混雑の緩和や都心拠点間の交通ネットワークの強化を図るための取り組みの一つでございます。また、福岡市ウォーターフロント地区アクセス強化研究会につきましては、再整備に伴い発生する将来的な交通需要にも対応できるよう、限られた道路空間をさらに有効に立体的に活用する複数の交通システムについて、学識経験者等から専門的な知見を得るため設置したものであります。

 今後とも、都心部の交通対策につきましては、道路交通混雑の緩和や都心拠点間の交通ネットワークの強化を図るため、マイカーから公共交通への転換や自動車交通の削減、抑制に向け、総合的に取り組んでまいります。以上でございます。

 

○議長(川上晋平) この際、休憩し、午後4時25分に再開いたします。

午後4時13分 休憩  

午後4時25分 開議  

○副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、一般質問を継続いたします。

 この際、あらかじめ時間を延長いたします。綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦)登壇 私は日本共産党市議団を代表して、本市の観光施策について、中学校給食におけるアレルギー対応食の提供問題及び千早小学校の学校環境について質問を行います。

 最初に観光施策についてです。

 安倍政権は、観光に稼ぐ力を求め、成長戦略の柱の一つに位置づけ、訪日外国人客を20306,000万人にするという目標を掲げています。その内容は、訪日外国人客誘致を口実にして大規模開発や規制緩和をさらに加速させるというものです。中でも、国際会議等のMICE推進は目玉の一つです。島市長もこの方針に従い、福岡観光・集客戦略2013を策定するとともに、MICEの振興については、世界に通じるMICE都市福岡を確立することを目指しています。第2期展示場だけではなく、福岡国際センターを解体し新たな施設を建設したり、ウォーターフロント地区内に別の新たなMICE施設を整備する構想もあります。

 そこでお尋ねしますが、MICE施設を莫大な税金を投入して整備する理由について説明を求めます。

 以上で1問目は終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 第2期展示場やMICE施設を含む整備につきましては、福岡国際センターやマリンメッセ福岡が近年、稼働率が約8割から9割と非常に高く、お断りをしている状況が続いており、新規催事の受け入れが困難となっております。そのため、第2期展示場でありますとかMICE施設整備によりまして、供給力不足を早期に解決するとともに、既存施設との一体的な利用により、展示会併設型の大規模会議や産業特性を生かした展示会など多様なニーズの対応を図るものでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 施設が足りないということですけれども、身の丈に合わない、そんな誘致をしているからではありませんか。あなた方は本市に展示会などMICE誘致が増加し続けていくように考えているようですけれども、安倍政権がグローバルMICE都市を7自治体、グローバルMICE強化都市を5自治体指定してから、指定自治体を中心にMICE誘致競争が起こり、その延長線上に国際会議場、展示場などの整備計画が乱立しています。

 お尋ねしますが、全国で展示場の総面積が5,000平米以上のMICE関連施設数及び今後の施設整備計画がどうなっているのかお尋ねいたします。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 展示面積5,000平方メートル以上の展示施設につきましては、東京都における主要施設として、東京ビッグサイトと東京国際フォーラムの2施設、政令指定都市において16施設でございます。また、大都市における今後の整備計画につきましては、東京都では東京ビッグサイトの2万平方メートル、横浜市では6,000平方メートル増床計画のほか、名古屋市、京都市、熊本市などで計画がございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 5,000平米以上の展示場の総面積を持つ施設は政令市だけでも16カ所。答弁あったように、そのほか、東京ビッグサイト、東京国際フォーラム、千葉県の幕張メッセなどがあります。

 今後の整備計画については、MICEの指定都市では増築3カ所、新築5カ所の合計8カ所。MICE指定都市以外でも、長崎市とか熊本市など6カ所の計画が予定されています。全国至るところに巨大なMICE施設が建設されていくことになります。

 そこでお尋ねしますが、供給過剰になるのではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 施設が供給過剰ではとのお尋ねにつきましては、福岡市はコンベンションゾーンと交通拠点、都市機能が近接しており、国内外からのアクセスのよさや大学、研究機関や産業の集積など特徴を有しております。また、福岡国際会議場、マリンメッセ福岡、福岡国際センターなどのMICE施設が近接して一体的に配置され、利用者の多様なニーズに対応可能となっております。一方で、平成28年度におけるマリンメッセ、国際センター、国際会議場3施設のお断り件数は約90件で、機会損失額は約140億円と試算としております。このような都市の優位性や施設の供給力不足の状況を踏まえ、第2期展示場等の整備を進めているものであり、Meeting Place Fukuokaの誘致活動とあわせMICE機能の強化を図ってまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 今、局長、需要があるように言われましたけれども、こういうのは全国でどうなっているのかというのも見ていかないとだめなんです。実態はどうか。日本展示会協会の資料では、2005年から2014年までに日本で開催された展示会は大体600件台で推移しています。前年度よりも減っている年もあり、大きくは変化していないんです。したがって、本市の展示会開催がふえ続けていくことはあり得ず、100億円もの事業費がかかる第2期展示場整備事業を含めて、MICE施設の増設や新設はやめるべきではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) MICE施設計画を中止すべきとのお尋ねでございますが、福岡市ではMICE機能の供給力や宿泊、にぎわい機能の不足などの課題を踏まえ、平成27年3月にMICE関連施設整備方針を策定し、ウォーターフロント地区において展示場、会議場、ホール、ホテルなどのMICE関連施設が徒歩圏内に一体的、機能的に配置されたオール・イン・ワンのMICE拠点の形成を目指し、取り組みを進めております。

 先行整備を進める第2期展示場等については、平成30年2月よりPFI事業の事業者公募を実施しており、今後、ホール等の施設計画の検討を進めるとともに、ホテルの誘致などMICE機能の強化に向けて取り組んでまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) ふえ続けていくというのは、それはあなた方の願望にすぎないんですよ。これは中止を強く求めておきます。

 大規模開発はMICE施設整備だけではありません。安倍政権は訪日外国人客の受け入れのための観光インフラ整備を前面に打ち出して、訪日外国人受け入れのための港湾整備、羽田や成田空港の増便、新滑走路整備、港湾、空港のアクセス道路の整備など交通インフラの整備を行っています。

 本市でも福岡空港の滑走路増設事業の市負担180億円、空港と人工島までの都市高速の延伸が800億円、ロープウエー構想100億円、ウォーターフロント再整備構想は幾らかかるかもわかりません。いずれにしても、数百、数千億円もの莫大な税金が投入されようとしています。観光を口実にした莫大な税金投入はやめるべきではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) MICEや観光に関する都市基盤の整備に対するお尋ねにつきましては、MICE施設については国際会議や学会、コンサート、イベントなどで、市民を初め、約300万人の利用者数があり、高い稼働率となっており、供給力不足が課題であり、MICE機能の強化は不可欠と考えております。また、ゲートウェイ機能の強化などは、来訪者にとっても利便性や快適性に資するもので、観光・MICEの振興にも寄与するものと考えております。

 都市基盤の整備については、国や関係局で取り組みを進めているものでございますが、今後とも、関係局と連携を図りながら、観光・MICEに関する交流人口の拡大を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 今、局長いろいろと言われましたけど、本当に市民はあきれているんですよ。共産党市議団のアンケートに、ロープウエー構想が自分の夢だと言うなら私財を使ってやってほしいと。これはまさに税金の無駄遣い、こんな痛烈な批判が次から次に共産党市議団に届いています。観光を口実にした大規模開発はやめるべきだと強く指摘をしておきます。

 次に、安倍政権は観光が成長の起爆剤になると言い、島市長も同調していますけれども、果たして市民の生活はよくなっているのか検証したいと思います。市長は観光客や観光消費額が増加すれば、宿泊業や旅行業以外にも飲食業、小売業、農林水産業、食料品製造業、運輸業など幅広い産業に波及すると言われています。

 そこで、まず食料品、卸売業、小売業、農林水産業の市内総生産について、福岡市民経済計算の2009年度と2014年度を比較してどうなっているのか説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 市内総生産につきましては、福岡市民経済計算によりますと、名目で食料品製造業は平成21年度が1,257億円、26年度が1,240億円、卸売業は平成21年度が1兆486億円、26年度が8,832億円、小売業は平成21年度が3,746億円、26年度が4,148億円、農林水産業は平成21年度が92億円、26年度が61億円となっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 今、局長は小売業は伸びた数字を言っておられますけれども、卸売業と小売業については減っているんですよ。あなた方の資料でも卸売と小売業はふえるというふうに言っているにもかかわらず、これは減っているんです。だから、いずれも減少をしています。また、2014年度以降もこの傾向は変わっていません。一方で、運輸業の市内総生産は増加しています。また、宿泊業、旅行業については統計はないので、サービス業について見ると、市内総生産額は増加しています。

 しかしながら、問題はその内容です。お尋ねしますが、運輸業とサービス業の市内雇用者報酬について、福岡市民経済計算の2009年度と2014年度を比較してどうなっているのか説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 市内雇用者報酬につきましては、福岡市民経済計算によりますと、運輸業は平成21年度が2,486億円、26年度が2,321億円、サービス業は平成21年度が8,501億円、26年度が8,004億円となっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) いずれも減少をしています。これも2014年度以降も傾向は変わっていないんですよ。つまり、島市長が観光集客戦略で述べている観光による波及効果は、市民の暮らしの成長には波及していないということですね。答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 観光による経済波及効果につきましては、福岡観光集客戦略策定時に推計した経済波及効果4,680億円に対し、平成29年度に推計した経済波及効果は約14%増の5,320億円であり、観光集客による経済効果が拡大しているものと認識しております。

 本市の推計や国の定期的な調査によれば、観光消費がもたらす経済効果は、宿泊、飲料サービス業、小売業を初め、鉄道輸送業、卸売業、食料品業、金融業などの産業へ広く波及が見られ、国内外からの観光客の増加が本市経済の活性化に寄与しているものと考えております。また、福岡市の経済につきましては、平成25年度から市税収入額が4年連続で過去最高額を更新していることに加え、従業者数の増加などから、全体として成長基調にあるものと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) どんな数字を持ってきても、先ほど私が聞いたように、局長答弁されたように、下がっているんですよ。逆に市民生活が貧しくなってきているというのは、数字ではっきりとしたということなんです。

 さらに生活環境はどうなっているのか。子どもたちの遊び場であり市民の憩いの場である公園を潰して観光バスの駐車場にする。観光バスの増加による渋滞の発生。運転手不足、違法民泊、東京や関西で大きな問題になっている無許可タクシー問題いわゆる白タクについても、福岡空港近くにたくさんいる、違法行為が公然と繰り返されていると報道されています。

 そこでお尋ねしますが、島市長の呼び込み一辺倒の観光施策は市民生活に悪影響を生じさせているのではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 観光振興が市民生活に悪影響を及ぼしているのではないかとのお尋ねにつきましては、クルーズ船の寄港数増加などによる本市への外国人観光客増加に伴い、市民生活への影響を考慮した対策を講じております。交通混雑対策につきましては、クルーズ船寄港により観光バスが増加したため、「クルーズNAVI」システム導入による訪問地分散化などに取り組んでおり、成果を上げております。また、観光地での市民とのトラブルを未然に防ぎ、日本の文化やマナーを周知するため、マナー紹介映像を制作し、福岡空港やクルーズセンターなどで放映しております。

 民泊につきましては、住宅宿泊事業法等の施行に当たり、監視指導体制の充実や取り締まりの強化、関係機関との連絡会議の開催などにより健全な民泊の推進に取り組んでおります。

 なお、先ほど答弁の中で飲食サービス業と言うところを飲料サービス業と申し上げましたので、飲食サービス業と訂正いたします。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 今答弁されたように、悪化しているんですよ。生活環境を悪化させて何が観光ですか。そもそも観光とはどうあるべきなのか。観光立国推進基本法第2条には、観光の発展とは国民が豊かになること、また、そこに住む地域住民が自分の住むまちに誇りと愛着を持てる地域づくりをしていくことが観光の目的だとしています。

 お尋ねしますが、島市長の進めている呼び込み一辺倒の観光施策は法の理念に逆行しているのではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

○経済観光文化局長(島 収) 観光立国推進基本法第2条に定める理念につきましては、地域における創意工夫や誇り、愛着に目を向け、地域社会の持続可能な発展を通して豊かな国民生活の実現に資することが重要と認識し、観光施策を講じることと理解しております。市の観光施策がこの理念に反しているのではないかとのお尋ねでございますが、これまで本市におきましては、地域の主体的な取り組みを促進するために、商店街や地域事業者が実施するおもてなしへの支援に取り組むほか、歴史、文化、自然など地域が誇る観光資源を活用して、農山漁村地域などにおいて観光の魅力づくりやプロモーションを図ってまいりました。その結果、平成29年度に推計した経済波及効果は、観光戦略策定時と比較して約14%増の5,320億円と経済効果は拡大しており、法の理念に即した形で観光・MICE施策を展開していると認識しております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 言いわけされますけれども、私が指摘してきたように、実際には市民の所得は減少、幅広い産業への経済波及効果もありません。若干波及効果が見られる産業でも、そこで働く労働者の所得は減少している。生活環境も悪化をしているんです。

 島市長は、クルーズ船など訪日外国人がふえ続けるかのように言っていますけれども、実際にはどうでしょう。上半期の博多港へのクルーズ船の入港は昨年159回、ことしは125回、約2割も減少しています。しかしながら、あなた方は大型クルーズ船を2隻同時に入港させるために、中央ふ頭の岸壁の延伸、埋め立て、新たなクルーズセンターの建設など莫大な税金を投入しようとしています。市民からは、市長は外国人観光客のことばかり考えている。もっと市民の生活のことを考えてほしいなどの意見が次から次に寄せられています。

 したがって、島市長の観光施策は訪日外国人観光客と観光消費額の目標を立て、そのための施設整備に莫大な税金を投入するだけで、市民生活と住環境の悪化をもたらしており、住んでよし、訪れてよしの国づくりの観光立国推進基本法の理念に基づいた観光施策へと抜本的に改めるべきではありませんか。この問題の最後に島市長の答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 島市長。

○市長(島宗一郎) 福岡市では、生活の質の向上と都市の成長の好循環を基本戦略として掲げ、経済的な成長と安全、安心で質の高い暮らしのバランスがとれた、こうしたまちの実現を目指して取り組みを進めております。福岡市は第3次産業が9割を占める産業構造であり、来訪者をふやし消費を拡大することが経済の活性化につながり、都市全体に活力をもたらすことから、観光・MICEの振興に積極的に取り組んでまいりました。そうした中、供給力不足が顕在化しているMICE施設やゲートウエー機能などの都市基盤の整備は、福岡市を持続的に発展させ、次のステージに飛躍させるために不可欠な施策であると認識しております。

 今後、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年の世界水泳選手権など大型スポーツMICEの開催や、また、増加する訪日外国人の需要をしっかりと取り込むため、都市機能の強化を図るとともに、歴史、文化や自然など地域の魅力を観光資源として磨き上げ、観光客のみならず市民の皆さんが誇りと愛着を持つことができる都市としての魅力を高めることによって、訪日外国人やMICEによる経済効果をさまざまな業種や地域に行き渡らせるよう、しっかりと取り組んでまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 市民生活を破壊させておいて都市の成長はないと、このように指摘しておきます。

 次に、中学校給食におけるアレルギー対応についてです。

 ことし4月3日付の西日本新聞に、「同じ市内でなぜ」、アレルギー用給食に地域差、中学校3割は未提供という記事が掲載されました。記事の内容は、2014年以降に完成した2つの学校給食センターは約7割の学校にアレルギー対応食を配っているが、約3割の学校には提供していない。アレルギー給食未対応の学校に通う東区の母親が、住んでいる場所によって差があるのはおかしいと声を上げ、対応を要請しているが、教育委員会は難色を示しているということであります。

 一方、文部科学省は2015年3月に学校給食における食物アレルギー対応指針を出しています。食物アレルギー対応の大原則の1点目について、何と明記しているのか説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 文部科学省が作成した学校給食における食物アレルギー対応指針は、各教育委員会などが学校給食における食物アレルギー対応に関する方針やマニュアルを作成する際の参考となるよう示されたものですが、その指針にある大原則の第1項目は、「食物アレルギーを有する児童生徒にも、給食を提供する。そのためにも、安全性を最優先とする」と記されています。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 確認しますけれども、全ての生徒に平等に給食を提供しなければならないということですね、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 文部科学省に確認したところ、指針にある大原則の第1項目は、施設設備や人的体制など各自治体の実情に応じて、食物アレルギーを有する児童生徒にも安全性を最優先として、できるだけ給食を提供するという趣旨であるとのことでした。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 不平等はやっぱり許されないと。私も文部科学省に聞きましたけれども、提供するのが大前提なんだということを私も聞いております。不平等は許されないということなんです。

 私は4月に新聞報道された母親から、なぜ近隣の中学校では対応しているのに息子が入学した中学校では対応することができないのか、何とかできないのかとの相談を受けました。5月15日には、この母親やアレルギーのお子さんを持つお母さんたちと一緒になって、教育委員会に対して市内全ての中学校での早急な提供をお願いしますとの申し入れを行っておりました。そのような中、6月13日の西日本新聞に、東区の未対応の5校について、2学期から提供する方針を決めたと報道されています。

 お尋ねしますが、東区の5校には2学期からアレルギー対応食を提供するのですね、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 現在、平成2210月に策定した学校給食センター再整備基本構想に基づき給食センターの再整備を進めており、平成26年度に開所した第1給食センター、平成28年度に開所した第2給食センターと従来からある学校給食センター有田支所及び箱崎支所の4センターから給食を提供しております。

 新しい第1、第2給食センターでは、アレルゲンの混入を防ぐため厳重に管理した専用の調理室や下処理室などを備え、アレルギー対応食を提供しております。現在、第3給食センターの整備を進めているところですが、開所までの間、従来からある箱崎支所から給食を提供している東区の中学校5校については、第1給食センターから距離が近く、学校給食衛生管理基準が求める調理後2時間以内の喫食が可能であることから、ことしの2学期より第1給食センターからアレルギー対応食を提供する方針で既に具体的な準備を進めております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 提供するということです。一歩前進ですけれども、本来なら第1給食センターが稼働した2014年9月から提供できていたということであり、遅過ぎるということを指摘しておきます。

 次に、早良区8校、西区9校、いわゆる西部エリアの未対応の17校についてですが、新聞報道では調理から2時間以内の喫食ができないとの理由で、第3給食センターの稼働まで提供できないとの報道であります。西部エリアの未対応の17校について、この間、どのような検討を行ってきたのか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 西部エリアの17校については、第1、第2給食センターから距離が遠く、学校給食衛生管理基準が求める調理後2時間以内の喫食が難しいと判断したものでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) できない理由を言われましたが、これは何としても提供するという姿勢がないと言わなければなりません。今、時間の問題を言われましたが、配送については、別の車両とか運転手を確保し配送するとか、一般道ではなく都市高速道路を使用するとか、また、あるいは近隣の小学校の調理場を活用するなど、ありとあらゆる手だてを尽くして、残りの全ての生徒たちに2学期からでも提供すべきではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学校給食衛生管理基準に定める調理後2時間以内の喫食を遵守するには、積み込み作業や味やにおいなどを確認する検食及び配膳などに必要な時間を除いて、配送時間を50分以内とする必要がございます。第1、第2給食センターと西部エリアは距離が離れており、この基準を満たせないことから、アレルギー対応食を安全に提供することは難しいと考えております。

 給食は毎日時間どおりに学校に届くことが必要でございます。高速道路は万が一の場合に迂回するなどの対応が難しいため、配送ルートに設定することは適当ではないと考えております。アレルギー対応食は個人別のランチジャーにつぎ分ける作業や提供誤りによる事故を防ぐための何重ものチェックなどのため、通常の給食以上に提供に時間がかかることから、調理後2時間以内の喫食は難しいと考えております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 西部エリアの未対応の約40人の子どもたちには、2年間も待たせる気なんですか。卒業していきますよ。子どもたちにとって一度きりの中学校生活なのに、給食を食べることができない。先ほど文部科学省の方針を確認したとおり、これは許されないことではありませんか、重ねて答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) アレルギー対応食の提供も含めた新たな給食センターからの給食提供体制につきましては、平成2210月の学校給食センター再整備基本構想において、西部エリアについては第3給食センターの開所とともに提供することで御了解をいただき、整備を進めているところでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) アレルギーで苦しむ生徒や親に心を寄せるべきではありませんか。特に思春期の中学生の思いは切実です。ことしの4月に未対応の中学校に入学した男子生徒は、せっかくの給食時間をみんなで楽しく食べることができない。みんなとできるだけ同じ給食を食べたいと語ってくれました。苦しんでいるのは子どもたちだけではありません。あるお母さんは、毎日弁当を持たせているが、弁当が準備できないときは帰宅するまで何も食べられない。このように言って、給食の提供を切望されています。そもそも学校給食というのは、学校教育の一環であり、そこに格差をつけるのは義務教育としては許されません。教育長、西部エリアの生徒全員にも提供すべきではありませんか、重ねて答弁を求めます。

 同時に島市長、教育長と直ちに協議し、西部エリアの未対応の17校についても、必要な予算を組み、市長の責任でアレルギー対応食が必要な生徒全員に給食を提供すべきではありませんか。この問題の最後に島市長の答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 西部エリアの学校におきましては、学校給食衛生管理基準を満たせないことから、アレルギー対応食を安全に提供することは難しいと考えております。このため、今後とも、通常の給食においてできるだけアレルゲンの少ない献立の工夫に取り組み、食物アレルギーを有する生徒が他の生徒とできるだけ同じ献立の給食を食べることが可能となるよう努めてまいります。また、西部エリアにおいてもアレルギー対応食の提供ができるよう、第3給食センターの整備を遅滞なく進めてまいります。

 学校給食は教育活動の一環であり、大変重要なものと捉えております。また、安心、安全な給食の提供は、教育委員会の務めであると考えております。学校給食における食物アレルギーの対応は安全性を最優先とすべきであり、西部エリアにおいてもアレルギー対応食の提供ができるよう、第3給食センターの整備を遅滞なく進めてまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 貞刈副市長。

○副市長(貞刈厚仁) 学校教育の中におきます学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するものであり、食育の観点からも、生涯にわたる健康の保持増進のために重要な役割を果たすものと考えております。

 先ほど教育長が答弁しましたとおり、学校給食における食物アレルギーの対応は安全性を最優先とすべきであり、西部エリアにおいてもアレルギー対応食の提供ができるよう、第3給食センターの整備を遅滞なく進めてまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 安全は最優先、当たり前ですよ。その上で、格差をつけることは許されない、提供すべきだと、重ねて要求をしておきます。

 次に、東区の千早小学校の学校環境についてです。千早校区は福岡市内の主要幹線道路である国道3号線にまたがる校区であり、国道3号線の東側では、香椎副都心土地区画整理事業によって道路などの都市基盤が整備され、中高層住宅や商業施設などの立地が進み、2018年の校区の人口は10年前と比較すると2倍にも膨れ上がっています。

 そこでお尋ねしますが、千早小学校の児童数の5年間の推移について説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 千早小学校の児童数につきましては、各年度5月1日基準日で平成26年度が689人、27年度が751人、28年度が805人、29年度が876人、30年度が927人でございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) この間、かなり、300人ぐらいもふえてきております。過大規模校になっているんじゃありませんか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 過大規模校につきましては、福岡市立小・中学校の学校規模適正化に関する実施方針におきまして、学級数が31学級以上の学校と定義しております。平成30年度における千早小学校の学級数は、特別支援学級2学級を含め29学級であり、過大規模校にはなっておりません。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 実態としてパンクしているんですよ。あなた方の資料では2021年には児童数が1,040名になり、過大規模校になる可能性があります。早く手だてをとらなければなりません。現在の状況は教室が足りなくなり、2016年度末に2階建てのプレハブを校庭に建設し、現在、講堂兼体育館棟の建設工事も行われ、工事ヤードが校庭にも設置されています。

 そこでお尋ねしますが、現在の運動場面積について、国の規定に照らし合わせてどうなっているのか、説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 文部科学省の小学校設置基準で定められる運動場面積につきましては、児童数に応じて小学校は2,400から7,200平方メートルと示されておりますが、地域の実態や特別の事情があり、かつ教育上支障がない場合はこの限りではないとされております。同基準で千早小学校の必要面積を算定いたしますと、7,200平方メートルとなりますが、現在の運動場面積は、児童数増加に対応した増築工事や仮設プレハブ校舎の設置により一時的に約4,400平方メートルとなっております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 一時的とか言われましたけれども、国の基準は大幅に下回っています。子どもたちの学校生活に支障が出ているんじゃありませんか。お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 運動場の利用状況につきましては、多くの児童が運動場を利用する休み時間を3学年ずつ2グループに分けて人数を調整し、中休みと昼休みを交互に使用するなどして工夫して対応しているところでございます。

 また、今年度の運動会につきましては、隣接する香椎第1中学校の協力を得て、同中学校の運動場にて開催しております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 支障が出ているんでしょう。ちゃんと答えてください。普通ではないでしょう。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 今年度のみ、運動会については香椎第1中学校の協力を得て、同中学校の運動場にて開催をしております。来年度以降も、となるかはまだ計画はされておりません。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 今そういうふうに答弁されましたけど、私は先日、公共施設を考える東区の会の皆さんと千早小学校の施設調査を行いました。教育長言ったように、運動場はまともに使えないんですよ。しかも、ことしは自分の学校で運動会ができなかった。極めて異常事態でしょう。校長先生は、狭い運動場のために子どもたち同士がぶつかってけがが増加していると言われていたんです。ことし3月の保護者向けの保健ニュースでは、ことし朝休み、中休み、昼休みの短い時間に毎日平均30人ほどの来室があった。今後、運動場の広さがさらに狭くなり、けがの増加を心配していますとわざわざ保健ニュースで書いているんですよ。異常でしょう。

 運動場だけではないんです。プレハブは非常に暑いし、トイレが2階にしかないために1階の児童は大変とか、昇降口の下駄箱を増設したら廊下まではみ出すかもしれない、職員駐車場も足りずに、香椎一中の駐車場を使用させてもらっている、このように語られていました。

 お尋ねしますが、一刻も放置できない事態ではありませんか、重ねて答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 学校環境の整備につきましては、現在、実施している増築工事や内部改修工事により、平成30年度末までに新たに普通教室を7教室増設することといたしております。そのため、現在、運動場に仮設している仮設プレハブ校舎につきましては、31年度早々に解体工事に着手することといたしております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 本当に実態を無視した答弁だと思いますよ。いろいろと対策をとっているというような答弁ですけど、それでは抜本的な解決策にはなりません。

 そこでまず、なぜこのような事態が起こったのか。千早小学校の児童が急激に増加した理由について説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 千早小学校の児童数につきましては、平成5年度から24年度において行われた香椎副都心土地区画整理事業の区域に大規模なマンション建設が行われたことから、19年度ごろから年々増加したものと考えております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 今、のうのうと言われましたけれども、JR千早駅とか西鉄千早駅、香椎宮前駅があり、非常に便利でマンションも次々に建設されてきたんです。

 そこで、住宅都市局に聞きたいんですけれども、あなた方は学校のことは考えずに開発だけをどんどん行ってきた。このようなやり方は見直さないといけないのではありませんか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 石橋住宅都市局長。

○住宅都市局長(石橋正信) 香椎副都心地区につきましては、都心部への交通利便性が高い地域でありましたが、操車場跡地などの広大な未利用地があったことや、鉄道により市街地が分断されていたことなどから、土地利用の転換を伴うまちづくりを行う必要があり、土地区画整理事業が行われたものであります。

 小学校に関しましては、基盤整備による街区変更や計画人口などの情報を教育委員会に提供し、通学区域の検討など教育委員会と連携して取り組んできたところでございます。今後とも、関係部局と連携しつつ、必要なまちづくりは適切に進めてまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 本当に反省がない答弁です。千早校区では、この5年間にマンションだけで577戸建設されています。これからも次々にマンション建設が予定されていますよ。西鉄香椎宮前駅近くの輝栄会病院が6月に移転し広大な跡地が生まれますけれども、この跡地にはファミリー向けのマンション建設が予定されています。

 そこで教育長、あなたは教育行政の責任者であり、子どもたちの環境を守る責任があります。千早小学校では2021年にはさらに100名近くも児童数がふえるとしています。これ以上児童数がふえることで、学校の生活環境はさらに悪化することは明らかです。したがって、これ以上のマンション建設に歯どめをかけるように関係局に要請すべきではありませんか、お尋ねします。また、千早小学校の児童が落ち着いた環境で学校生活を送るために、学校用地を確保して分離新設をするのが適当ではありませんか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) マンション建設を学校教育の観点から規制することは、さまざまな課題があり困難であると考えております。

 なお、千早小学校における児童数の増加に対応するため、現在、校舎の増築や講堂兼体育館の改築工事等により教育環境の改善を図っているところでございます。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 子どもの生活環境を守る責任者ですよ。関係局に要請することは困難ということですけど、そういう教育の責任者としてしっかりと要請をすべきです。あとまた、分離新設は考えていないというようなことですけれども、西区の西都小学校は、児童の急増で分離新設が決定しました。千早小学校も同じようにすべきではありませんか、重ねて答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 千早小学校につきましては、現在把握している住宅開発に基づく今後の児童数の増減を考慮しても、校舎増築により確保される教室数で対応できるものと考えております。以上です。

 

○副議長(石田正明) 綿貫英彦議員。

41番(綿貫英彦) 本当に実態を見ない答弁ですよ。教育基本法には教育行政について、「教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない」と、地方公共団体の責務を規定しています。千早小学校の現状は、もはや子どもたちが安心して生活できる状況ではありません。教育長、あなたは子どもたちが安心して過ごせる環境を整備する責任があるんです。千早小学校については学校用地の確保を行い、分離新設を進めるべきではありませんか、重ねて答弁を求めます。

 最後に、この問題の大もとには何があるのか、この根本問題を解決する必要があります。島市長、あなたの無秩序な開発行政、人口がふえればそれでいいという、そんなやり方が市内各地で小学校の過大規模校を増加させ、児童や保護者、教職員など教育現場に多大な苦労と負担をもたらしています。これ以上の無秩序なマンション建設など無秩序な人口流入政策をやめるとともに、千早小学校の大規模化については緊急対策のための予算をつけ、小学校用地を確保し、分離新設を進めるべきではありませんか。最後に島市長の答弁を求めて、私の質問を終わります。

 

○副議長(石田正明) 星子教育長。

○教育長(星子明夫) 千早小学校の児童数増加に関しましては、現在実施している増築工事や内部改修工事により今後の児童数の増加にも対応できるものと考えておりますが、引き続き住宅開発の動向や児童数の増減を注視しながら、予算も含め適切な教育環境の確保に努めてまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) 貞刈副市長。

○副市長(貞刈厚仁) 先ほど教育長が答弁しましたとおり、学校教育の観点から民間企業の開発行為に規制をかけることは困難であると考えておりますが、子どもたちのよりよい教育環境の確保に向けて、引き続き市長事務部局と教育委員会がしっかりと連携を図りながら取り組んでまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗)登壇 私は日本共産党市議団を代表して福岡市総合体育館のネーミングライツと外壁の看板について質問いたします。

 まず、ネーミングライツについてです。

 総合体育館の建設運営については、PFI事業として公募され、清水建設を代表企業とした事業体が落札し、福岡照葉アリーナ株式会社を設立し建設が進んでいます。市は公募の時点で、業務要求水準書でネーミングライツを導入してもよいという条件を出していました。

 そこでお尋ねしますが、選定の結果、スポンサーはどこに決まったのか、また、ネーミングライツを使用して総合体育館には何という別称が決定したのか、答弁を求めます。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 福岡市総合体育館のネーミングライツのスポンサー企業につきましては、積水ハウス株式会社であり、また、別称は照葉積水ハウスアリーナとなっております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) では、積水ハウスがスポンサーになった経緯について説明を求めます。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 福岡市総合体育館におけるネーミングライツにつきましては、PFI事業者の公募の際、自由提案事業の一つとしてネーミングライツを示しておりました。事業者選定委員会の審査結果を踏まえ、ネーミングライツの実施を含む提案を行った清水建設株式会社を代表とする企業グループを事業者と決定いたしました。その後、総合体育館の整備運営を行うために設立された福岡照葉アリーナ株式会社と積水ハウス株式会社との間で、積水ハウスをネーミングライツのスポンサーとする覚書が締結されたものでございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) つまり、スポンサーを一般公募で選んだのではなく、PFI事業者が積水ハウスと契約を結んで決まったということです。

 お尋ねしますが、積水ハウスといえば、PFI事業者に選定されたグループの構成員だったと記憶しますが、確認をしてください。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 積水ハウス株式会社はPFI事業の公募に落札した企業グループを構成する7社のうちの1社でございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) もう一つ確認しますが、積水ハウスはPFI事業を行う特定目的会社、福岡照葉アリーナ株式会社の発起人の一企業であり、株主ですね、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 福岡照葉アリーナ株式会社の設立発起人及び株主はいずれも7社であり、積水ハウス株式会社はそのうちの1社でございます。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) つまり、PFI事業者が選定したといっても、身内中の身内の積水ハウスがネーミングライツを獲得したということです。公共施設にかかわる案件ですから、本来、公平性や公正性が問われるのは当然です。にもかかわらず、PFI事業ですから、どんなプロセスがあって決まったかはわからない。これは問題ですよ。

 これを見ていただきたいんですよ。(パネル表示)人工島まちづくりエリアにおいてどれだけ積水ハウスがかかわっているのかについて記したものです。赤いところが積水です。住宅用地は積水の独占状態です。商業、業務施設も手がける予定です。埋め立てたけれども、売れない人工島の土地を買ってあげた。積水ハウスは人工島事業にとって足を向けて寝られない存在です。

 お尋ねしますが、積水ハウスがネーミングライツを獲得できたのは、このような功績が認められて与えられた、つまり優遇されたのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 積水ハウス株式会社がスポンサー企業に選定された経緯につきましては、福岡照葉アリーナ株式会社と積水ハウス株式会社が協議し決定したものと聞いております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 優遇されたようなことはないとのことですけれども、一般的に見たら出来レースだったのではないかと思われても仕方がありませんね。

 では、積水ハウスは一体幾らのネーミングライツ料を払うのですか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) ネーミングライツ料につきましては、年額600万円、運営維持管理期間約15年間で総額9,200万円でございます。

 なお、この収入相当額を福岡市がPFI事業者へ支払うサービス購入費から減じて毎年度支払うこととしており、ネーミングライツ料相当額が総合体育館整備運営事業費の削減効果となるものでございます。

 以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 博多の森球技場レベルファイブスタジアムのネーミングライツ料は年間3,500万円、3年間で1億円を超えます。片や積水ハウスは15年で9,200万円にすぎません。

 お尋ねしますが、総合体育館のネーミングライツ料は余りにも安過ぎると思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) ネーミングライツに関するPFI事業の公募時の条件につきましては、他都市の体育館の事例を参考に年間300万円以上、契約期間5年以上で提案することとしておりましたが、今回のネーミングライツの契約は金額が2倍、期間が3倍以上となっており、PFI事業費の低減に効果があるものと考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 否定されますが、安過ぎますよ。まちの看板の広告代を調べてみました。例えば、天神で3カ月で300万円、1年間で1,200万円です。まちの看板は通り過ぎるときに1回目にするだけですけれども、ネーミングライツの場合は、今回の場合、年間600万円で、あらゆるメディアやイベントで積水ハウスの名前が連呼されます。宣伝効果はその何十倍、何百倍にもなるのではないでしょうか。その上にPFI事業に参加する本来のもうけ口があります。

 そこでお尋ねしますが、積水ハウスはこのPFI事業で幾らのもうけを手に入れる予定なのか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 本PFI事業における利益につきましては、積水ハウス株式会社を初め、個々の構成企業の利益を知る立場になく、承知しておりません。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) わからないと言われますが、これもPFI事業だからということです。しかし、言えることは、積水ハウスはおいしいことばかりということであります。

 では、ネーミングライツ事業を積水ハウスが行うと覚書をPFI事業者との間で交わしたのはいつですか、お尋ねします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 福岡照葉アリーナ株式会社と積水ハウス株式会社との間でネーミングライツに関する覚書が締結されたのは、平成28年2月23日と伺っております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) では、積水ハウスにネーミングライツが決まったことについて、市民の代表が集まる議会への報告はなされたのですか、明確にお答えください。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) ネーミングライツの公表につきましては、総合体育館の別称を含めネーミングライツの詳細の協議が調った事を受けて、平成30年5月7日にプレスリリース等を行っております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 共産党の議員は誰も説明を受けていないけど、それ以外の議員さんに説明をされたということですか。しとらんって言いよったよ。プレス発表もしていないやろう。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 2月23日のときのネーミングライツに関する覚書が締結されたことについては、議会に対する御説明はしておりません。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) やっていないんですよ。2年以上前にわかっていたのに、いまだ説明がなされていません。結局、PFI事業で進めているから市の関与が少なくなり、何が行われているのかが見えなくなり、議会への報告もおろそかになる、これが実態です。

 報告を受けていないのは市民もそうです。鳴門教育大学の畠山輝雄准教授は、公共施設へのネーミングライツの導入の実態と今後のあり方という論文で、税金で建設されている公共施設に関する施設名称の変更及び1,000万円単位の大金が動く案件であることからも、パブリックコメントや住民説明会、アンケート等の住民合意や施設の条例変更等による議会承認を行う必要があると述べています。

 そこでお尋ねしますが、畠山先生が指摘しているように、ネーミングライツの導入については住民の合意を得るためにも、パブコメや説明会、アンケート等を行うべきだったと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 正式名称につきましては条例により福岡市総合体育館と定められており、ネーミングライツはこの正式名称とは別に、施設の運営経費の財源確保を目的としてスポンサー企業が対価を支払い、施設の別称をつけることができる制度でございますので、そういったパブコメ等はいたしておりません。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 住民軽視ですよ。あなた方はネーミングライツの弊害について余りにも軽視し過ぎています。スポンサー企業の不祥事や騒動で契約解除となり、その施設自体のイメージが悪くなった例が他都市でもありました。積水ハウスも例外ではありません。建築士資格の詐称、確認申請書類の偽装、土地取引詐欺をめぐっての会長の解任劇などいろいろあることは皆さんも御存じだと思います。心配ですよ。地域住民から反発が起きた企業の例もあります。施設の所在地や機能がわからなくなった、他の企業の冠がつくイベントがやりにくくなったという例もあります。こうしたトラブルを避けるためにも、慎重に事を進める必要があります。

 しかしながら、今回のPFI事業者に委ねたスポンサーの選定は極めて閉鎖的で、住民の視点も全く考慮されていないやり方であり、今後、トラブルを巻き起こす原因になるのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) PFI事業におけるネーミングライツの実施につきましては、民間企業の努力を促すことでネーミングライツのスポンサー企業を確保し、確実に事業費が低減できるものであり、有効な手法であると考えております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 全然質問に答えていないですよ。

 時間の関係で次に進みます。

 次に、外壁の看板についてです。このパネルを見ていただきたいと思います。(パネル表示)現在の総合体育館です。南側の壁にはTERIHA SEKISUI HOUSE ARENAとアルファベットで書かれています。西側の外壁には「FUKUOKA NEXT」のロゴが掲げられています。

 先日、人工島に住む方からお電話をいただきました。福岡市総合体育館ができると聞いたのに、壁面には積水ハウスと書いてあって、どこにも福岡市総合体育館と書かれていない。まるで積水のモデルルームかと思った、体育館には見えないと。このように言われるわけです。

 そこでお尋ねしますが、この掲げられた看板では、市民にとって、この建物が福岡市総合体育館であることがわかりづらいのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 総合体育館につきましては、現在、開館に向けて整備を行っており、トップレベルのスポーツに触れられる機会の創出や誰もが気軽に運動を楽しめる環境づくりなど、健康スポーツネクストの拠点であり、「FUKUOKA NEXT」のチャレンジを体現する施設として、外壁に「FUKUOKA NEXT」のロゴを掲示しております。さらに、福岡市総合体育館のサインも外壁に設置するよう準備を進めており、今後とも、開館に向けて施設の内外において市の施設であることがわかりやすいようサイン整備を工夫してまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) これからやるとか言いよるけど、何の保証もないですよ。福岡市総合体育館という正式名ではなく、別称であるTERIHA SEKISUI HOUSE ARENAと書いてあるだけでなく、アルファベット表記ですよ。さらに「FUKUOKA NEXT」のロゴマーク。何かいかにも福岡市をあらわすもので市民の中でも浸透しているかのように言われましたが、これは大きな誤解ですよ。そもそも「FUKUOKA NEXT」というキーワードはどうして生まれたか。島市長の2期目の選挙で掲げたキャッチフレーズじゃないですか。雑誌ふくおか経済の201511月号であなたが語っていますよ。公私混同も甚だしく、思い上がった態度と言わなければなりません。そもそも業務要求水準書には、機能性や利便性を高めるために、視認性、目で見たときの見やすさのことですが、視認性にすぐれたサインを適切に配置することと書いてあります。

 お尋ねしますが、現在掲げられている看板では視認性に乏しく、すぐれたサインも適切に配置されておらず、業務要求水準書に合致していないのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 繰り返しになりますが、現在、福岡市総合体育館につきましては、開館に向け整備をしているところでございます。そして、トップレベルのスポーツに触れられる機会の創出や、誰もが気軽に運動を楽しめる環境づくりなど健康スポーツネクストの拠点であり、「FUKUOKA NEXT」のチャレンジを体現する施設として、外壁に「FUKUOKA NEXT」のロゴを掲示しております。さらに、福岡市総合体育館のサインも外壁に設置するよう準備を進めており、今後とも、開館に向けて施設の内外において市の施設であることがわかりやすいようサイン整備は工夫してまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) わかりにくいんですよ。やはり正式名を書かないと市民にわかりにくいんです。6月4日から道路下水道局は歩道橋ネーミングライツパートナーを募集しています。歩道橋に企業名や商品名、企業ロゴを入れることができるという制度ですが、それと並んで歩道橋名、すなわち正式名も表記することになっております。

 そこでお尋ねしますが、総合体育館の看板も正式名福岡市総合体育館を表記しなければ市民の利便性を損なうことにつながると思いますが、御所見をお伺いします。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 繰り返しになりますが、福岡市総合体育館のサインを外壁に設置するよう準備を進めており、今後とも、開館に向けて施設の内外において市の施設であることがわかりやすいようサイン整備を工夫してまいります。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) 局長がそこまで答弁されるなら信じてみましょう。それが大体普通なんですよ。最初からそうしとかにゃいかんとです。でもね、ネーミングライツを導入することによって普通が普通じゃなくなったんですよ。そしてPFI事業というよくわからないものを導入したから。

 聞きますけど、積水ハウスとPFI事業者の福岡照葉アリーナ株式会社はいつネーミングライツの契約を結んでいますか。覚書ではなくて正式な契約はいつなのか、答弁を求めます。

 

○副議長(石田正明) 下川市民局長。

○市民局長(下川祥二) 覚書は28年2月23日に結んでおり、契約はこの後また結んでいくというふうに聞いております。以上でございます。

 

○副議長(石田正明) 倉元達朗議員。

43番(倉元達朗) まだ正式に契約していないんですよ。なのに看板だけは先に掲げている。全くずさんな対応をあなたたちが放置しているわけです。ネーミングライツについても、問題点を指摘してきました。一般公募もせずに企業同士の取引で事が決まっていく。公共施設ですよ。市民の税金で建てるものです。企業のもうけのためならば何でもやる、しかも、人工島で大規模な住宅開発、商業・業務施設も手がけ、今度はネーミングライツ。人工島はまるで積水アイランドです。特定企業にとことん便宜を図ってやっています。そういえば、大名小学校跡地の優先交渉権者も積水ハウスが参加するグループに決定しております。まさに市長らしいやり方です。このようなやり方は改めるべきです。

 したがって、総合体育館の契約を見直し、ネーミングライツをやめるとともに、総合体育館の外壁には福岡市総合体育館と書かれた看板を掲げるとともに、「FUKUOKA NEXT」のロゴは取り除くべきと思いますが、最後に島市長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

 

○副議長(石田正明) 島市長。

○市長(島宗一郎) 福岡市総合体育館におけますネーミングライツにつきましては、事業費の低減を図るために導入したもので、有効な手法と考えておりまして、総合体育館のサインについては、市民や利用者にとって市の施設であることがわかりやすいよう、しっかり引き続き工夫をしてまいります。福岡市総合体育館は5,000席のメーンアリーナを備える西日本最大級の体育館であり、福岡市の新しいスポーツ文化の発信拠点として、「FUKUOKA NEXT」のチャレンジを体現する施設であると考えており、今後とも、総合体育館の開館に向けて着実に準備を進めてまいります。以上です。

 

○副議長(石田正明) お諮りいたします。

 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質問は6月18日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○副議長(石田正明) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

 次の会議は6月18日午前10時に開きます。

 本日はこれをもって散会いたします。

午後5時32分 散会