平成30年3月7日(水)


平成30年第1回福岡市議会定例会

議  事  日  程 (第6号)

                             3月7日 午前10時開議

第1 議案第30号ないし議案第95


本日の会議に付した事件

議事日程のとおり


出 席 議 員 (61名)

1番  鬼 塚 昌 宏       2番  堤 田   寛

3番  調   崇 史       4番  津 田 信太郎

5番  大 森 一 馬       6番  大 原 弥寿男

7番  平 畑 雅 博       8番  打 越 基 安

9番  冨 永 計 久      10番  森   英 鷹

11番  川 上 晋 平      12番  稲 員 稔 夫

13番  大 坪 真由美      14番  中 島まさひろ

15番  川 上 陽 平      16番  古 川 清 文

17番  高 木 勝 利      18番  篠 原 達 也

19番  飯 盛 利 康      20番  今 林ひであき

21番  阿 部 真之助      22番  尾 花 康 広

23番  松 野   隆      24番  楠   正 信

25番  福 田 まもる      26番  南 原   茂

27番  おばた 久 弥      28番  光 安   力

29番  山 口 剛 司      30番  石 田 正 明

31番  大 石 修 二      32番  黒 子 秀勇樹

33番  新 村 まさる      34番  天 野 こ う

35番  浜 崎 太 郎      36番  橋 田 和 義

37番  堀 内 徹 夫      38番  とみなが正 博

39番  森   あや子      40番   欠   員

41番  綿 貫 英 彦      42番  熊 谷 敦 子

43番  倉 元 達 朗      44番  富 永 周 行

45番  荒 木 龍 昇      46番  国 分 徳 彦

47番  笠   康 雄      48番  藤 本 顕 憲

49番  星 野 美恵子      50番  中 山 郁 美

51番  ひえじま俊 和      52番  高 山 博 光

53番  近 藤 里 美      54番  田 中しんすけ

55番  落 石 俊 則      56番  田 中 丈太郎

57番  太 田 英 二      58番  池 田 良 子

59番  川 口   浩      60番  阿 部 正 剛

61番  栃 木 義 博      62番  江 藤 博 美


欠 席 議 員 (0名)


説明のため出席した者

市      長             島 宗一郎   副市長                          貞 刈 厚 仁

副  市  長             中 園 政 直   副市長                          荒 瀬 泰 子

水道事業管理者         清 森 俊 彦   交通事業管理者             阿 部   亨

総務企画局長            中 村 英 一   財政局長                       赤 岩 弘 智

市民局長                  下 川 祥 二   こども未来局長               石 橋 正 信

保健福祉局長            永 渕 英 洋   環境局長                       吉 村 隆 一

経済観光文化局長       島   収   農林水産局長                 則 松 和 哉

住宅都市局長            光 山 裕 朗   道路下水道局長              三 角 正 文

港湾空港局長            中 村 貴 久   消防局長                        山 下 周 成

会計管理者               水 町 博 之   教育長                           星 子 明 夫

教育委員                  木 本 香 苗   選挙管理委員会事務局長  宮 崎 晶 子

人事委員会事務局長  立 石 茂 喜   監査事務局長                  落 石 稔 彦


職務のため出席した事務局職員

議会事務局長  土 井 裕 幹   議会事務局次長  金 子 佳 史

議事課長           着 一 孝   議事係長           中 村   博

外関係職員


午前10時 開議  

議長(川上晋平) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第30号ないし議案第95号、以上66件を一括して議題といたします。

 これより質疑に入ります。発言通告者のうちから順次質疑を許します。堀内徹夫議員。

 

○37番(堀内徹夫)登壇 おはようございます。私は日本共産党市議団を代表して、働き方改革について、水道配水管の耐震化について、及び介護保険制度について補足質疑を行います。

 質問の第1は、働き方改革についてです。

 まず、本来の働き方改革がどうあるべきかについて、我が党の代表質問に対して、市長は、残業時間月100時間までよしとする国の改革については何も示されませんでした。そもそも労働基準法で1日について8時間を超えて労働させてはならないと定められ、どうしても残業が必要なときには、大臣告示により月45時間までの範囲でしか認められていません。8時間働けば暮らしていける社会にすることが本当の働き方改革です。

 お尋ねいたしますが、島市長は、1日8時間労働が基本であり、残業を認めたとしても月45時間までが絶対的な上限だという認識さえ示すことはできないのですか、答弁を求めます。

 次に、本市の取り組みについてです。

 市は今年度、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業を始めましたが、この認定事業は、本当に働き方改革に役に立つのか、検証していきたいと思います。

 この制度は、働き方改革を積極的に進めている企業を推進企業として本市が認定し、さまざまな特典を受けられるというものです。そして、この制度の要綱で、非正規雇用の処遇改善、正規雇用の推進、長時間労働の是正などの実現を図っていくと定義づけています。今、日本社会全体を見ても非正規や長時間労働は大きな社会問題化しており、早急に是正が求められているところです。しかしながら、本市のこの制度は、全28項目の中の16項目にチェックがつけば認定されるものです。すなわち、肝心かなめの非正規雇用の処遇改善や、長時間労働の是正にチェックが入らなくても、介護や子育てと仕事の両立のための支援をしているとか、中途採用があるとか、高齢者の継続雇用の制度があるとかでチェック項目が満たされれば認定される仕組みとなっております。

 このように、非正規雇用の処遇改善や、長時間労働の是正のチェックがなくても推進企業として認められるのは問題ではないか、お尋ねいたします。

 さらには、チェック項目自体が異常な労働環境を是認するケースがある問題についてです。

 長時間労働の削減のチェック項目に、正社員の所定外労働時間が月平均20時間以下であることというものがあります。つまり、時間外労働で過労死ライン80時間を超える正社員が何人いようが、正社員の平均が20時間におさまれば達成するということなのです。

 これは問題だと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 また、別のチェック項目には、月平均の所定外労働時間が60時間以上の正社員がいないことというものがあります。

 お尋ねいたしますけど、残業時間は月45時間までとしている大臣告示を初めから大きく上回るこの項目の60時間という基準そのものも問題があると思いますが、答弁を求めます。

 質問の第2は、水道配水管の耐震化についてです。

 水道配水管の耐震化について最優先で行えという我が党の代表質問に対し、段階的にしかできないという悠長な答弁をされました。しかしながら、市長室が昨年行った市民の意識調査で、一番多い不安な災害は何かについては、地震が87%で第1位、大規模地震後に不安になることの一番は何かについては、水道、電気、ガスの使用ができなくなるが82%で第1位、さらに、備蓄している品物は何かでは、水が83%で第1位、それだけ市民は地震時に水を手にできるかどうかを一番心配しています。本市の水道配水管の耐震化の計画は、古い配水管を入れかえる時期に耐震管にかえていくというものです。それは、全配水管の総延長4,000キロメートルのうち、まだ耐震化できていない1,700キロメートルを毎年45キロメートルずつ耐震化させていくとするもので、完了まであと40年間もかかる計画です。

 お尋ねいたしますが、このような計画では地震のときに水の心配をしている市民感情と大きくかけ離れていると思いますが、御所見をお伺いいたします。

 また、耐震化ネットワーク工事の計画も実に悠長です。この施策は、例えば道路が通行どめになったら別の道に迂回して目的地に行くように、水道管が地震によって被害を受けた場合でも、重要施設となる避難所や主要病院にバイパスルートをつくっておくことによって水の確保ができるというものです。本市の計画の現状は、重要施設256に対し、現在182カ所にネットワーク工事が終わっており、進捗率は71%です。しかし、残る74施設へのネットワーク工事はあと6年もかかるとしています。

 耐震化ネットワーク工事計画についても大幅に前倒しして実施すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 質問の第3は、介護保険制度についてです。

 まず、介護保険料と利用料の問題についてです。

 今回、議案第67号、介護保険条例の一部を改正する条例案で、ことし4月からの保険料改定案が提案されていますが、現行基準月額5,771円が6,078円に大きく引き上げられる議案です。介護保険導入時の3,290円が3年ごとにずっと上がり続けて、とうとう1.8倍もの保険料となる提案を市長はしているわけです。こうした高額の保険料に対して、高齢者の生活が苦しい中で耐えられないという声が上がっています。我が党は代表質問で、一般会計からの繰り入れを行い、保険料の引き下げと市独自の利用料の減免、助成制度をつくれと求めたのに対し、市長は拒否しました。

 そこで、今回の保険料の値上げは、市民にとってこれまでも高かった保険料がさらに重い負担になると思いますが、市長の認識をお尋ねいたします。

 また、利用料については、3年前の介護保険法が改定されたことにより、これまで全ての人が1割負担だったものを、一定の所得がある人は2割に引き上げられ、負担が2倍になりました。日本共産党市議団が市民に行った介護保険のアンケートでは、もう高過ぎて介護保険制度は使えないという声や、切実な意見や要望などたくさんの声が寄せられています。南区の89歳の女性の方は、高い保険料を払い続けても、利用料も高く介護サービスを使えないと言われています。しかし、ことしの8月から、さらに現役並み所得者の介護利用料自己負担が3割に引き上げられます。

 そこでお尋ねいたしますが、一昨年に強行した2割負担の影響が市民生活の中にどのようにあらわれているのか、御所見をお伺いいたします。

 また、現役並み所得者の介護利用料を3割負担にするということで、サービスの利用抑制をさらに深刻にすることは明らかではありませんか、御所見をお伺いいたします。

 次に、介護現場の人手不足問題です。

 介護人材確保のため施策を求めた我が党の代表質問に対し、市長は国がすることと他人事のような答弁をされました。国任せでやってきて、ますます深刻になっているではありませんか。介護職は他の産業と比較しても手取りで月額10万円も低い賃金です。さらに、重労働で離職率が高く、求人を出してもほとんど応募が来ないという深刻な状況です。本市は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年時点で、介護人材は市内で2,000人不足する見込みとしています。

 お尋ねいたしますが、不足する2,000人の人材確保が本市の施策で確保できるとお考えなのか、明確な答弁を求めます。

 以上で1問目を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業に関する御質問にお答えいたします。

 まず、労働時間につきましては、労働基準法第32条第2項において、労働者に、休憩時間を除いて1日について8時間を超えて労働させてはならないと定められております。また、労働基準法第36条の規定により、時間外労働、休日労働に関する協定、いわゆる三六協定を労使で締結し、労働基準監督署長に届けることを要件に、法定労働時間を超える時間外労働などが認められており、その限度基準は大臣告示により1カ月45時間とされております。

 次に、本事業の認定要件につきましては、働き方改革は、働く方の置かれた個人の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人一人がよりよい将来の展望を持てるようにすることを目指したものであります。企業経営者みずからが働き方改革の重要性を理解し、経営者がみずから意識とリーダーシップを持って取り組んでいただくことが必要であり、その推進に当たっては、御指摘の非正規雇用労働者の処遇改善や長時間労働の削減だけではなく、仕事と育児、介護などの生活の調和を図るワーク・ライフ・バランスの確保、高齢者や障がい者、外国人の働きやすさなどに配慮するダイバーシティの推進の4つの分野での取り組みが求められております。これらの4分野はどれも大切なものと考えており、御指摘の点は当たらないと考えております。

 次に、本事業の労働時間に関する要件につきましては、認定を受けようとする企業に目指すべき目標をわかりやすく示すため、既にあるよりよい労働環境の整備を推奨する国の認定制度等の基準を準用しております。例えば、議員御指摘の労働時間に関する2つの基準については、若者が働きやすい企業を国が認定するユースエール認定企業の基準に合致させたものでございます。この基準は、働きやすい企業の認定要件の一つとして国が示しているものであることから、当然違法性はなく、本市が働き方改革に取り組む企業を認定する基準とすることに問題ないと考えております。なお、国の労働基準監督署が長時間労働が疑われる事業所への監督指導の権限を有しており、長時間労働への是正指導については適切に実施されるものと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 清森水道事業管理者。

水道事業管理者(清森俊彦) 水道配水管の耐震化についてお答えいたします。

 水道施設の耐震化につきましては、水の安定供給を持続するための重要な施策であり、市民意見を踏まえ、平成29年2月に策定した水道長期ビジョン2028において主要事業に位置づけ、計画的に取り組んでいるところであります。このうち、配水管の耐震化については、管の新設や更新の際には全て地震に強い耐震管を使用し、計画的に行っておりますが、全てを耐震化するには相当の期間が必要となります。このため、震災時において特に重要な拠点となる避難所や救急告示病院などへの配水管を優先的に耐震化する耐震ネットワーク工事の早期完了に向け、鋭意取り組んでいるところでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 介護保険制度についての御質問にお答えいたします。

 まず、介護保険料につきましては、3年ごとに見直しを行っており、必要な介護サービス費用等を見込んだ上で設定しております。高齢化が進展し、特に医療や介護のニーズが高くなる後期高齢者が急増していくことが見込まれており、また、介護職員の処遇改善等を目的に平成29年4月にプラス1.14%の介護報酬の改定が行われ、さらに、平成30年4月にプラス0.54%の報酬改定が予定されていることなどから、介護サービス費用等についてもふえていく見込みでございます。

 そのような状況の中、福岡市といたしましては、これまでに積み立ててきた介護給付費準備基金のほぼ全額に相当する22億円を活用し、保険料上昇の抑制を図ることといたしております。さらに、福岡市におきましては、引き続き保険料の減免を行うとともに、保険料段階を国の基準である9段階より多い13段階で設定することで、より低所得者の負担を軽減いたしております。加えて、国、県、市が費用を投入し、所得の最も低い層である保険料段階の第1段階の方の保険料の軽減を図っているところでございます。

 介護サービス費用等がふえ続ける中、第7期介護保険事業計画では、高齢者の方がいつまでも健康に暮らせるよう、これまで以上に介護予防や健康づくり、自立支援、重度化防止に向けた取り組み等を推進してまいります。

 次に、2割負担につきましては、65歳以上の被保険者の中でも相対的に負担能力の高い方を対象としており、負担の公平性の観点から、一定以上の所得のある方に2割を御負担いただくものと考えてございます。

 なお、高額介護サービス費の制度により、所得段階に応じた月額の利用者負担の上限額が設けられておりますので、負担割合が2割となっても、対象者全員の負担が必ずしも2倍となるものではございません。

 また、2割負担の影響についてでございますが、平成29年5月時点において、2割負担である方の同月のサービス利用状況と1割負担であった平成27年5月のサービス利用状況を単純に比較しましたところ、要介護度や生活環境など個別の状況の変化はございますが、対象者全体のサービスの利用は減っていない状況でございます。

 次に、3割負担につきましては、2割負担者の中でも特に所得の高い層である方が対象となっており、国においては利用者全体の約3%に当たる方が対象となるとしてございます。費用負担につきましては、持続可能な制度とするため、所得の低い方に配慮しつつ、負担能力の高い一定以上の所得のある方に3割の御負担をいただくものであり、法令に基づき、全国一律に定められたものでございます。

 最後に、介護人材の確保につきましては、国において福祉人材確保指針を定め、介護職員の資質向上や介護職員処遇改善加算の充実などが行われております。この指針において、福祉人材の確保については国や都道府県の役割が大きいことから、国、県に対し、引き続き人材の確保策の充実を要望してまいります。

 また、福岡市といたしましても、介護人材の確保は喫緊の課題であると認識し、合同就職面談会の実施、有資格者で働いていない人への研修や就職して間もない職員の職場定着のための研修などを実施しており、引き続き独自の取り組みも進めてまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 堀内徹夫議員。

○37番(堀内徹夫) 質問の第1の働き方改革についてです。

 労働時間の法律の規制についての認識をただしたことについて、局長は、1日8時間、残業45時間が原則ですとお認めになりました。それでは、福岡市内の企業における働き方改革の促進という認定制度を実際には実施していくことになるんですが、福岡市内の企業で今どんなことが起こっているか、市長御存じでしょうか。労使が残業時間を取り決める三六協定を結べば、際限なく残業時間を延長することができます。福岡市内に本社のある資本金10億円以上の企業29社の三六協定について、日本共産党市議団が福岡労働局に対して開示請求を行いました。(パネル表示)パネルにしてきております。この開示請求の結果、何と29社中9割に当たる26社が大臣告示を超える残業上限協定を結んでいました。さらに、そのうちの13社、このパネルにしている会社でございますが、13社では、政府が過労死ラインとしている月80時間以上の残業上限協定が結ばれております。この13社というのは、社名と残業時間をパネルにしているんですけど、上から九電工、正興電機製作所、日本タングステン、九州旅客鉄道、富士ピー・エス、西部電気工業、日創プロニティ、九州電力、西日本シティ銀行、西日本鉄道、西部ガス、プレナス、昭和鉄工でございます。福岡の経済界を代表する大企業の多くが月45時間の大臣告示を全く無視しているわけでございます。月80時間以上の過労死ラインを超える残業上限協定を平然と結んでいる企業が、この13社もあるわけでございます。

 そこでお尋ねいたしますけど、局長は、先ほど1日8時間、残業時間45時間が原則ですとお認めになっているわけですから、市内の大企業がこのように45時間を超えて、さらに過労死ラインの80時間を超えて働かせているというのは異常であり、是正されるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 次に、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業についてです。

 局長は、いろんな形でチェックをしているから、それで十分なのだということを言われましたけど、要綱自体にイの一番に非正規雇用の処遇改善があり、その次に長時間労働の是正のチェック、これを要綱としてこの認定事業は進めておられるわけですよね。推進企業に認定された1社の申請書を見ますと、長時間労働の削減については、ノー残業デーの設定の箇所にチェックが入っているだけです。それだけでは長時間労働の是正はできませんよ。また、過労死ラインを超える働かせ方をする企業でも改革推進企業となるとの指摘に対して、これは否定されませんでしたけど、長時間労働は国がすることとも言われました。そもそも労働基準法は8時間労働と決められているわけです。働き方を改革すると言いながら、残業を前提にした項目がある。しかも、本市のその基準は所定外労働時間が60時間以上を超える正社員がいないこととして、月45時間の大臣告示を規定自体を全く無視しています。

 お尋ねいたしますけど、正規雇用労働者をふやすとか、長時間労働の削減に取り組んでいない企業でも推進企業となり得るこの制度は、ブラック企業でも認定されることになり、間違ったメッセージを市民に発することになると思いますけど、御所見をお伺いいたします。

 さらに問題は、この認定企業4社について、ヒアリングについては労働者に対して行っておらず、主には書面審査での認定となっている点です。東京では、ブラック企業被害対策弁護団が労働環境をチェックし、問題のない法人を認証するホワイト認証推進機構が設立され、ブラック企業撲滅の活動を展開しています。労務規定の整備状況を書面審査で把握することに加え、現場での運用の実態を経営者だけでなく、労働者からもヒアリングを行い、丸1カ月かけて約150項目をチェックし認証を行っています。ホワイト認証推進機構の弁護士さんは、書面だけでの審査では正確ではなく、現場がどうなっているかの実態掌握作業を行っているのです。

 そこでお尋ねいたしますが、本市のこの認定結果は、労働者の声や実態を反映せず、企業側だけの申請に基づくものであり、問題があると思いますが、御所見をお伺いいたします。

 質問の第2の水道配水管の耐震化についてです。

 地震時に水の心配をしている市民感情と大きくかけ離れているのではないかという問いに対して、計画に基づき努力してきているように言われました。しかし、今大きな地震が来たらどうしますか。水道局が想定している地震は警固活断層による震度6強の地震で、今後30年に地震が起きる可能性は、熊本地震での活断層よりも高く6%だと言われています。今月で福岡西方沖地震から13年がたちます。地震はいつ来るかわかりません。なのに、本市の現在の計画では、これから40年間もかけて耐震化させていくとするものです。ここに水道配水管の耐震化状況につきまして地図に落としたものがあります。(パネル表示)遠いところからわからないと思いますが、赤い線が耐震化済みの線です。浄水場から一定の距離までは耐震化ができていますけど、天神地区、博多駅地区、そしてかなりのところでまだ耐震化が残っています。天神地区の配水本管では、国体道路、渡辺通り、天神通線、長浜通りと耐震化が終わっていない。また、博多駅周辺では耐震化はほとんど手についていない状況です。さらには、西新地区、百道地区、姪浜地区でもほとんど耐震化されていません。厚生労働省の水道の耐震化計画等策定指針では、耐震化計画は10年間でどこまでやるかの計画を持ち、急いで前倒ししてでも進めると方向づけています。それは、東日本大震災で257万戸が断水し、飲料水の確保ができない状況が長期間広範囲に起こったからです。

 お尋ねいたしますが、耐震化に40年もかける現計画を改め、あらゆる手だてを講じて耐震化を急ぐべきではありませんか、答弁を求めます。

 また、耐震化ネットワーク工事を急ぐべきだとただしたことに対し、現在の計画は2024年までに完了するから大丈夫とのことでした。避難所や救急指定病院の水の確保を6年間も待っていられませんよ。もっと急ぐべきです。さらに、本市の耐震ネットワーク工事計画は、完了したとしても、対象施設が256カ所では不十分なのです。厚生労働省が昨年5月に発表した重要給水施設管路の耐震化計画策定の手引きでは、人工透析病院や避難所、福祉施設、防災拠点が重要給水施設と指定されているのに、本市の計画ではそれら全てが対象となっていません。人工透析病院は市内に39カ所ありますが、そのうち、あなた方の計画に入っているのは10病院、26%しかありません。福岡市地域防災計画では837カ所が避難所に指定されていますが、本市の耐震化ネットワーク工事計画では200カ所、24%にとどまっています。特に驚くべきは、復旧拠点事務所となる7つの区役所周辺では、現時点でそのほとんどで耐震化ネットワーク工事が進んでいないことです。本市の耐震ネットワーク計画を大もとから見直さなければ、大地震後に必要な施設に水が供給できない事態を生み出しかねません。

 したがって、耐震ネットワーク工事は、厚生労働省が重要施設としている透析病院や避難所、福祉施設なども本市の計画に入れるように見直し、実効性あるものとすべきと思いますが、答弁を求めます。

 質問の第3は、介護保険についてです。

 まず、介護保険料と利用料の問題について、局長いろいろ言われましたけれども、高い保険料と利用料で苦しんでいる市民に全く心を寄せていない答弁だと思います。

 先ほどのアンケートをもう少し紹介させていただきますと、ある60代後半の方は、介護保険料が高い。年金から引かれ、生活に充てるお金はごくわずかと言われています。お母さんを特養に入れているという方は、母の年金で特養の費用、税金、電気代を払うと手元には残らず、葬儀代の備えもないと言われています。ほかにも、保険料、利用料について、低額所得者は免除してほしいとか、働けなくなったらどうして生きていけばいいのかなど切々と書かれた市民の声が届けられています。これが実態ですよ。

 さらに、一昨年に導入した2割負担の市民生活の影響については、利用状況の調査は何かの形でされているようですが、市民の声を聞いているとはほど遠い状況です。介護保険の実施主体である本市が、市民が介護保険制度の中でどういうふうな利用の思いを持っているのか、状況なのか、制度の設計の変更によってどういう影響が出ているかを市民段階でしっかりと調査しないというのは許されません。しかも、そんな状況と認識のまま、ことし8月からは現役並み所得者の利用料を3割負担に引き上げるわけでしょう。年間合計所得金額が160万円以上の人でも2割負担となっています。さらに、合計所得金額が220万円以上の人が3割負担となります。これが高額所得者ですかね。この所得金額には前年度の一時的な収入も含まれます。例えば、生命保険が満期となって一時的な収入があった方でも、翌年は2割負担、3割負担となります。介護と医療の両方で自己負担を強いられている人、施設に入所していて食費、居住費の負担をしている人などにとっては極めて過酷な負担増になってきます。決して豊かな人たちばかりではありません。これは応能負担に反する収奪ですよ。

 お尋ねいたしますが、必要な人に必要なサービスを給付するために、国に対して2割負担や3割負担への改悪を撤回し、1割に戻すよう求めるべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 また、利用料について、本市独自の減免制度を創設すべきではありませんか、答弁を求めます。

 次に、介護現場の人手不足の問題です。

 不足する2,000人の確保について、就労支援とか定着支援事業、研修などもやっていると言われましたけど、従来の延長線上の施策です。実に無責任です。

 今、介護の現場では何が起こっているか。介護現場で働いている人たちは、人に役立ちたいと思って資格を取って仕事をされていますけど、仕事は過酷で腰を痛めたり、精神的にも追い詰められたりするなど、これでは続けられないと思いながら、ぎりぎりのところで頑張っておられます。ある女性は、毎日二、三時間の残業が当たり前。夜勤も月7回。大変な仕事なのに手取りは月十数万と言われています。知らないうちに同僚がやめ、その分の仕事もふえ、新しい人は来ないとも言われています。介護職はもう限界ですよ。そういう中で、施設では人がいないことから、昼間でも職員1人で十数人を見なきゃいけない状況が横行しています。そこでは、もし1人の利用者さんをトイレに連れていかなきゃならなくなったとき、ほかの9人がこけたり、よそへ行ったりしないために、車椅子を一時的に壁に押しつけて固定するなどして身体拘束が常態化している状況もあります。夜勤になると、もっと深刻な状況です。虐待など痛ましい事件も起きています。人手不足は、真面目に働く介護職の心身をぼろぼろにして、介護の質を極めて低下させています。

 介護現場の人材不足が深刻なのは、他産業と比べても手取りで月額10万円も低い賃金、労働基準法さえ守れない雇用条件、高齢者の尊厳を大切にしたいという初心を生かせない労働環境など、労働条件が劣悪だからです。そういう状況を行政として見て見ないふりをするのではなく、あらゆる手段を講じて介護人材の新たな確保と定着の支援に全力を挙げるべきです。このままでは介護人材不足は介護の質を低下させ、介護そのものを崩壊させます。

 したがって、介護職の処遇改善について、介護報酬の大幅引き上げを国に求めるだけでよしとはせず、市独自の施策を緊急に行うべきと思いますけど、明確な答弁を求めます。

 

議長(川上晋平) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業に関する御質問にお答えをいたします。

 先ほど大臣告示、1カ月45時間との時間外労働について答弁いたしましたが、この大臣告示の限度時間につきましては、自動車の運転でありますとか、新技術研究開発など、適用除外となる業務もあり、一概に所定外労働時間の限度時間の長短により、よしあしを判断するものではないと認識をしております。

 また、同じ法律で臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、1カ月45時間の限度を超える一定の時間を延長できるとの特別条項が示されております。

 それを前提といたしまして、三六協定についてのお尋ねですが、労働基準法の遵守については、監督指導、是正勧告などは国が行うことと法で定められており、福岡市はその権限を有しておりません。したがって、福岡市としては市内各社の三六協定の内容については評価する立場にはございません。福岡市は、労働紛争を未然に防ぐための情報提供につき、国を補完するため、働くあなたのガイドブックを発行するなど、労働関係法令の周知に努めております。お尋ねの三六協定は、各社それぞれの事情に応じて労使の合意のもと締結されるものであり、国の労働基準監督署長が関係法令に照らし、その届け出を受理されるものと認識しております。各社の時間外労働の実態に問題がある場合には、監督指導権限を有する労働基準監督署によって適切に監督指導がなされるものと考えております。

 次に、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業について、ブラック企業がこの制度を使って推進企業になるのではないかとの御指摘ですが、本事業の認定に際しては、申請のあった企業の事務所を実際に訪問し、労働環境が整っているかなど現場を確認した後、代表者や働き方改革を推進する部署の担当者に直接会って状況を確認し、実態に即した申請がなされているかどうかを把握しており、働き方改革推進の実態が伴った企業を認定しております。なお、フォローアップを行い、項目遵守がされていない場合などには認定を取り消すことといたしております。

 労働者の意見を聞かないで認定を行っているのではないかという御指摘につきましては、申請に当たっては、必須の要件として、働き方改革に関する方針を策定し、労働者に周知していること、この改革を推進する部署または担当者を設置していること、この改革に関し、労働者の意見を把握する制度を有することを確認することとしており、企業における働き方改革推進に労働者のかかわりを求めております。

 重ねて申し上げますが、本事業の認定に際しては、事務所を実際に訪問し、労働環境が整っているか現場を確認した後、代表者や担当者に直接会って状況を確認しており、実態に即した申請がなされているかどうかを把握しており、働き方改革推進の実態に合った企業を認定しております。以上のことから、御指摘の点は当たらないと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 清森水道事業管理者。

水道事業管理者(清森俊彦) 水道配水管の耐震化についてお答えいたします。

 配水管の耐震化につきましては、平成29年度から更新、耐震化のペースを従来の年間約40キロメートルから約45キロメートルに拡大し、その推進を図っておりますが、市内の配水管の総延長が約4,000キロメートルであることから、財政的、施工的な状況を考慮すると相当の期間が必要となります。このため、耐震ネットワーク工事に取り組むとともに、災害時における市民生活への影響を最小限にとどめることができるよう、配水管のループ化及び配水調整システムなどのバックアップ機能の強化や応急給水、応急復旧体制などの災害応急対策の充実など、総合的に取り組んでおります。

 次に、耐震ネットワーク工事の対象施設については、福岡市地域防災計画を踏まえて設定しており、同計画の改定状況等に応じて適宜見直しを行っております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 介護保険制度についての御質問にお答えいたします。

 まず、利用者負担につきましては、保険料の上昇を可能な限り抑え、団塊の世代の方が75歳以上となる2025年以降も持続可能な制度とするため、所得の低い方に配慮しつつ、負担能力の高い一定以上の所得のある方に3割の御負担をいただくものであり、法令に基づき全国一律に定めたものでございます。

 介護保険制度は、全国共通の制度として関係法令の規定に基づき実施されており、保険料の設定につきましては、法令に基づく適切なものと考えております。

 また、法令により定められた負担額を超えて市の一般財源を繰り入れ、保険料を軽減することにつきましては、適切でないとの国の見解が示されており、困難であると考えております。

 利用者負担につきましては、国において統一的に定めるべきものと考えておりますので、福岡市独自で減免制度を設けることは考えておりません。

 今後とも、国に対し低所得者の保険料、利用者の負担軽減拡大の措置などを講じるよう要望してまいります。

 次に、介護職員のさらなる処遇改善につきましては、喫緊の課題であると認識し、国に対して強く要望していくとともに、福岡市といたしましても、平成30年度に専任職員を配置し、従来からの取り組みに加え、市内の事業所の現状やニーズを把握し、効果的な支援策を検討するなど、福祉人材の確保、育成、定着に向けた検討を進めてまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 堀内徹夫議員。

○37番(堀内徹夫) まず、働き方改革についてです。

 局長、いろいろと長々と言いわけをされました。しかし、結局、福岡市の大企業の働かせ方が過労死ラインを超えているということについては全く異常とは思わないという答弁でございました。電通の高橋まつりさんの過労自殺後も過労死の例が後を絶たず、日本を代表する企業で将来ある若い命が奪われている異常な働き方を一刻も早く是正しようという国民世論が大きく盛り上がる中で、安倍政権が国会提出を予定している働き方改革関連法案は、長時間労働を一層ひどくするものだと批判の的となっています。福岡市でも先ほど示したように、過労死予備軍の労働者が福岡市内の大企業にたくさんいる状況なのです。市が行政としてやるべきことは、長時間労働の削減のために行政として責任を果たすことです。ところが、島市長、本市がやっているこの事業は、こんなやり方でブラック企業が推進企業となる誤ったメッセージを市民に発信することになりかねません。結局、この事業は、安倍政権が進める働き方改革を福岡市は積極的にやっていますよと打ち上げるためにパフォーマンスとしてやっているとしか見えません。

 お尋ねいたしますが、市長は国に対して働き方改革関連法案の撤回を求めるとともに、8時間働けば暮らせる社会を目指し、残業は月45時間までを上限とするよう労働基準法の改正を求めるべきだと思いますが、答弁を求めます。

 あわせて、ふくおか「働き方改革」推進企業認定事業は、これだけの問題がはっきりしているわけですから、そのあり方については抜本的に見直すべきではありませんか、答弁を求めます。

 次に、水道配水管の耐震化についてです。

 いろいろ言われましたけど、40キロから45キロにスピードアップしていると言われましたけど、それでも耐震化の計画も耐震ネットワーク工事も来るべき地震に対する備えから見ればスピードも遅いし、規模も不十分です。厚生労働省の水道の耐震化計画等策定指針では、大規模地震において水道の応急復旧はできる限り速やかに行い、住民の生命、生活の維持を図る必要があるとして、実効性ある耐震化を進めるために、耐震化計画の期間は10年間程度を基本として適切に定めるとの指針を出しています。警固活断層による地震の可能性は以前より増して大きくなっています。ところが、福岡市の、あと40年間かかるという耐震化計画では、警固活断層による地震に間に合いませんよ。水道会計は黒字なんですから、予算もつけて、耐震化計画、そして耐震ネットワーク工事は前倒しで行うべきです。

 お尋ねいたしますが、地震に備えるのであれば、10年間という単位の計画をつくり、前倒しで予算計上して耐震化を急ぐべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 また、耐震ネットワーク工事については、現計画を急いで完了するとともに、重要施設の対象を抜本的に見直して計画を広げ、給水を確保できる体制を強化すべきと思いますが、答弁を求めます。

 最後に、介護保険制度についてですが、局長いろいろと答弁をされましたけど、結局、切実な市民の声には何も心を寄せておられません。介護職の人材確保についても無策です。これがまさに、これからやろうとしている第7期介護保険事業計画です。もともと介護保険制度は、18年前、家族介護から社会で支える介護へと言って導入をされました。それが、政府の社会保障費削減路線のもと、保険料、利用料の負担増が繰り返され、サービスの制度も悪くなってきているのです。今回のアンケートでも、いざというときに使えない、何のために保険料を納めてきたのか、などたくさんの悲鳴が届いていますよ。

 今、介護をめぐって家計の破綻や家族の崩壊など、どこでも起き得る状況であり、介護心中とか介護殺人などのニュースを見ることも珍しい話ではなくなりました。さらには、高齢者のお世話をしたいと夢を持って就労した介護労働者は、今、異常な低賃金と長時間過密労働の蔓延、劣悪な労働環境などにより、働きたくても離職せざるを得ない人が相次ぎ、介護現場は深刻な人手不足となって、介護制度の存立が脅かされる重大事態となっています。これ以上の放置はできません。ところが、本市の第7期介護保険事業計画は、これらの問題に何ら対策が講じられておりません。

 したがって、保険料を引き上げる議案第67号は撤回し、また、一般会計からの繰り入れも行い、保険料を引き下げ、利用料は独自減免するとともに、第7期介護保険事業計画は抜本的に見直すべきだと思いますが、最後に市長に答弁を求めて、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 清森水道事業管理者。

水道事業管理者(清森俊彦) 水道配水管の耐震化についてお答えいたします。

 配水管の更新、耐震化につきましては、平成29年度から12年間を計画期間とする福岡市水道長期ビジョン2028において、成果指標やスケジュールを設定し、長期的な財政収支の見通しも踏まえつつ、計画的に取り組んでおり、今後とも、本ビジョンに基づき着実な推進を図ってまいります。

 次に、耐震ネットワーク工事については、2024年度までの完了に向け、引き続き取り組んでまいります。また、対象施設の見直しについては、福岡市地域防災計画の改定状況等を踏まえ、必要に応じて検討することとしております。今後とも、安定経営の持続を図りつつ、さらなる水の安定供給に向け、配水管の耐震化について計画的に取り組んでまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 島市長。

市長(島宗一郎) 働き方改革は、働く皆さんが多様な働き方を選択できる社会を実現し、一人一人がよりよい将来の展望を持てるようにすることを目的、目指すものであると国において示されており、現在、関係する法律の整備等に取り組まれているところであります。福岡市といたしましては、働き方改革の理念を踏まえて、長時間労働の是正、非正規雇用労働者の処遇改善、ワーク・ライフ・バランスの確保、ダイバーシティの推進の4つの分野の取り組みを進めていくことを推奨し、市内企業における働き方改革の機運の醸成、意欲の喚起を促進する制度として、平成2911月より本事業を開始したところであり、今後とも、しっかりと取り組んでまいります。

 介護保険制度につきましては、介護を社会全体で支える我が国の社会保険制度として創設されたものであり、市町村は国の制度に基づき、3年ごとに介護保険事業計画を策定することとなっております。第7期介護保険事業計画におきましては、高齢者になっても住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療や介護が一体的に切れ目なく提供される地域包括ケアの構築を進めるため、介護人材の確保、介護サービス基盤の整備、介護予防、健康づくり、認知症施策の推進などに取り組んでまいります。

 さらに福岡市では人生100年時代の到来を見据え、高齢者が健康寿命を延ばし、自分らしく生きていける社会の実現を目指すため、産学官民、オール福岡で取り組むプロジェクト、福岡100を打ち出したところでございます。今後とも、この福岡100プロジェクトをしっかりと進め、個人にとっても、社会にとっても幸せであり得る健寿社会に向け、持続可能なまちづくりに取り組んでまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 今林ひであき議員。

○20番(今林ひであき)登壇 私は、自由民主党福岡市議団の森会長の代表質問を補足して、本市の財政状況全般について、そして、特に歳出の中で規模の大きい生活保護費の状況と、歳入の中で本市独自で工夫できる資産の有効活用について質問します。

 また、行政サービスの提供について、特にサービスを受ける場合の負担の公平性の観点で、駐車場の有料化、さらに、市の責務で提供すべきサービスがあるという観点で、自治協議会との関係について質問いたします。

 まず最初に、本市の財政状況についてですが、福岡市の現状は今どうなんでしょうか。福岡市は成長、発展しているのでしょうか。国との関係はどうなっているのでしょうか。

 昔の話ですが、平成6年、国の人口は約1億2,500万人、福岡市は約128万人と国の約100分の1でした。また、予算についても、国の予算が約70兆円程度、福岡市は約7,000億円程度と同じく約100分の1でした。

 本市を他都市へ紹介するときや、あるいは観光客へのPRや企業誘致の際には、国の100分の1都市であると言っていました。

 また、同じような比較として、九州の面積、人口、総生産は国の約10分の1、また、九州の面積、人口、総生産はオランダ国家に相当すると言われていました。しかし、その後、バブルの崩壊後の失われた10年や、リーマンショックなどの複雑な社会経済情勢、また、予定していない急速な少子・高齢化の進展など、時代の変化とともに、九州についてはオランダに水をあけられ、また、本市と国との関係を人口や予算規模で比較すること自体もなくなりました。

 そこで、私はもう一度この視点に戻って考えたいと思います。

 まず最初に、国との比較で質問していきたいと思います。

 国、本市の動向を示すものとして、推計人口や予算規模の推移を見たいと思います。それぞれバブル崩壊前の平成元年度及び10年前である平成20年度、直近とで比較した数字を教えてください。

 次に、成長のバロメーターの一つである名目国内総生産及び市内総生産、いわゆるGDPについてですが、現状はどうなっていますか。国、本市について同様に比較できる数字でお答えください。

 次に、負の財産である市債等についての比較ですが、国も市も成長のために借金もします。予算編成に当たり、伸びを左右する財源の一つは国債、市債です。借金での成長は、場合によっては偽りの成長と見られることもあり、市債残高の動向は注目されているところです。

 そこでお尋ねしますが、国の国債残高と本市の市債残高についてお尋ねします。ピーク時の残高と現在の状況はどうなっているのか、教えてください。

 また、近年の動向として、平成25年度末から平成30年度末までの5年間について、残高の増減をお尋ねいたします。

 あわせて、本市の市債残高がふえた理由と減少への取り組みについても教えてください。

 財政の健全化が行われつつ、均衡して予算が拡大し、新規事業を展開するこの好循環が理想の都市の発展だと思います。しかし、バブルや高齢化の進展などに見るように、社会経済状況の変化、国と国との国際関係などにより、全てが予定どおりにうまくいくものではありません。

 そこで、本市の成長と今後の課題について、少し具体的に質問してまいります。

 これまで本市においては、都市基盤では、下水道や道路の整備を初めとして、平成5年の地下鉄、同じく平成5年の博多港国際ターミナル、平成7年にはマリンメッセ、それから、国際会議場、都市高速の環状化、ベジフルスタジアムなどが続きます。また、生活基盤では、平成2年の博物館、8年の総合図書館、それから、市民福祉プラザ、アジア美術館、博多座などなどがあり、それらがうまくかみ合って今の福岡市があると考えます。

 そこでお尋ねしますが、現在の市債残高について、どのような事業で市債が残っているのか、割合を教えてください。

 次に、具体的な歳出歳入の中で、特に注目したい項目について質問します。

 まず、歳出規模の大きい生活保護費について質問します。

 増大する義務的経費である扶助費の中で、特に目を引くのが生活保護費です。福岡市の生活保護費は、平成24年度に一般会計予算の1割を突破し、25年度には800億円を超える規模になっています。

 ところで、近年、アベノミクスの効果もあって景気は好転しているようですが、現在の生活保護費の予算はどうなっているのか、お尋ねいたします。

 そこで、平成26年度から30年度までの5年間の生活保護費の予算の推移を教えてください。

 また、生活保護費は平成29年度も減額補正されており、見込みを正確に出すことに苦労されているようですが、平成30年度はどのような考え方のもと積算されたのか、お尋ねいたします。

 生活保護は憲法で保障された権利であり、最後のセーフティネットであることは皆さん御存じです。しかし、予算の約1割を占め、生活保護費は扶助費の中で最も多く、今後も高い水準が予想されるなど、予算編成における裁量のフリーハンドを圧迫しているのも事実です。

 不正受給の抑制など適正な執行に努めることはもちろんですが、扶助費の中で多くを占める生活保護に加え、国民健康保険や介護保険について、持続可能な社会を維持していくためには、国としてもシステム、制度自体の見直しが早急に必要だと思います。

 私たちは制度ばかりに目が行き、市民を忘れがちになります。持続可能となるように制度の維持ばかりを考え、本来の市民生活、社会の持続可能性のためである制度自体の根本的な見直しの視点を置き去りにしがちです。

 平成20年のリーマンショックを契機として、全国的に生活保護世帯が急増しました。当時、本市でもホームレスの方々からの集団申請で、ケースワーカーの皆さんの御苦労も多かったと記憶しております。

 リーマンショック後の生活保護世帯の急増を見てわかるとおり、有効求人倍率など社会経済情勢の変動が生活保護に大きな影響を与えることはもちろんですが、一方では、生活保護の制度の見直しや運用等の影響も大きいと思います。

 そこでお尋ねしますが、リーマンショック後に生活保護世帯が急増した原因の一つに、厚労省による生活保護制度の運用に関する通知があったと思います。具体的にはどのような内容だったのか、説明を求めます。

 次に、歳入面から資産の有効活用について質問します。

 過去最大となる平成30年度の一般会計予算ですが、バランスのよい予算を組むためには収入の確保も大事です。主な収入源となる市税については、人口増や教職員の権限移譲による税率変更などにより、平成30年度は過去最大が見込まれるところです。税金負担は公平、公正であるべきで、負担を逃れるものがあれば適正に対処しつつ、引き続き財源アップを図っていただきたいと思います。

 市税以外のその他の収入については、地方交付税や国庫支出金などもありますが、本市独自で工夫できるものの中に資産の有効活用があります。

 そこでお尋ねしますが、資産の有効活用にはどのようなものがあるのか、具体例をお示しください。

 また、歳入に占める割合はどの程度になっていますか、あわせて、項目別の収入割合も教えてください。

 次に、行政サービスの提供についてお尋ねいたします。この質問では、真に市民のための行政サービスが行われているかという観点から、2つの視点で質問します。

 まず、行政サービスを受ける場合の負担が公平であるかどうかという観点から、駐車場の有料化についてお尋ねいたします。

 行政サービスを受ける場合、市民が負担するものとしては、一般的には使用料・手数料があると思います。

 そこでまず、平成30年度の使用料・手数料の収入見込みをそれぞれ教えてください。

 例えば、総合図書館の利用については無料である一方、体育館、美術館、博物館の利用については有料など、無料になる場合と有料になる場合があります。

 そこでお尋ねしますが、個人に応益負担を求める場合、根拠が必要になると思いますが、施設利用に対する有料と無料の考え方を教えてください。

 また、それぞれの施設には駐車場が付随して設けられていると思いますが、有料化の方向になっています。

 そこでお尋ねしますが、区役所、体育館、有料公園、総合図書館について、駐車場の有料、無料の対象者、その目的、また、料金を徴収する根拠についてお尋ねいたします。

 次に、私は、市の責務として提供すべき行政サービスが、地域である自治協議会への押しつけになっていないかという視点で質問してまいります。

 現在、市の補助金として、自治協議会に対して校区の人口に比して1校区当たり246万円から394万円を支援しています。しかし、補助金の交付を受けるには、自治協議会がみずから地域として実施すべき条件があり、交通安全、防災、防犯から健康づくり、男女参画など、さまざまな分野の事業10項目を必須事業として行う必要があります。補助金ですので、市の責務で行うサービスの委託ではなく、自治協議会に対する支援であります。つまり、地域で行う互助に対して行うものであり、市の責任ですべき公助に対するものではありません。当然、自治協議会は自助、互助、公助のうち、地域での住民同士の助け合いである互助の主体です。しかし、私は、防災、防犯など市民の安全、安心に直接かかわることについては、本来、市が責任を持って実施すべき公助だと思っています。

 補助金が公助の代替として市からの押しつけになっていないのか疑問に思います。

 さらに、市からあれもこれもと言われ、必須10項目ができなければ補助金は返してもらうと言われれば、この今の仕組みが地域の担い手不足に追い打ちをかけているようにも見えます。市の公助はどこに行ったんでしょうか。

 例えば、防災については国が防災基本計画を作成し、あわせて、市町村が地域防災計画を定める流れで行われてきました。しかしながら、東日本大震災の教訓による災害対策基本法の改定により、地域における互助を大事とする観点から、地域が行う自発的な防災活動に関する地区防災計画制度が創設されました。

 そこでお尋ねしますが、この地区防災計画制度とはどのような制度なのか、教えてください。

 次に、多くの地域の方が、いまだに町世話人制度のほうがよっぽどよかったという声が後を絶ちません。それはなぜかといえば、市、行政との関係でいえば、町世話人制度では、地域の自主性、互助の精神、独立性は弱くなりますが、しかし、一方で市の公助の一翼を担うという点で公助の面が強くなります。市の公助ということで安心感があるのかもしれません。

 そこで、まず自治協議会への補助金の目的と必須事業の実施の考え方についてお尋ねをして、1問目の質問を終わります。

 2問目以降については自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 中村総務企画局長。

総務企画局長(中村英一) 福岡市の財政状況に関するお尋ねの中で、まず、国及び福岡市の推計人口の推移について、各年度9月1日時点の推計人口でお答えをさせていただきます。

 総務省統計局が公表しております国の人口推計につきましては、平成元年度が1億2,3115,000人、平成20年度が1億2,8043,000人、そして平成29年度が1億2,6678,000人でございまして、平成元年度と比較いたしますと3563,000人の増、平成20年度と比較いたしますと1365,000人の減となってございます。

 また、福岡市が公表しております推計人口は、平成元年度が1222,748人、平成20年度が1438,199人、そして平成29年度が1566,488人でございまして、平成元年度と比較いたしますと343,740人の増、平成20年度と比較いたしますと128,289人の増となってございます。

 次に、名目の国内総生産及び市内総生産の推移についてのお尋ねにお答えをいたします。

 国内総生産につきまして、内閣府経済社会総合研究所が公表されております国民経済計算年次推計によりお答えをいたしますと、平成元年度が4064,768億円、平成20年度が4895,201億円、そして直近の平成26年度が4896,234億円でございまして、平成20年度と比較いたしますと1,033億円の増となってございます。

 また、福岡市が公表しております市民経済計算における市内総生産は、平成元年度が4兆8,026億円、平成20年度が6兆6,418億円、そして平成26年度が6兆7,340億円でございまして、平成20年度と比較いたしますと922億円の増となってございます。なお、平成元年度と平成26年度では、推計基準ですとか算出方法が変更されておりますため、比較になじまないものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 赤岩財政局長。

財政局長(赤岩弘智) まず、国と福岡市の予算規模についての御質問にお答えいたします。

 国の一般会計の当初予算規模につきましては、平成元年度が約604,142億円、平成20年度が約83613億円、平成30年度予算案が約977,128億円となっており、平成元年度と平成30年度の比較では約372,986億円、約62%の増、平成20年度と平成30年度の比較では約146,514億円、約18%の増となっております。

 一方、福岡市の一般会計の当初予算規模につきましては、平成元年度が約4,437億円、平成20年度が約6,638億円、平成30年度予算案が約8,388億円となっており、平成元年度と平成30年度の比較では約3,951億円、約89%の増、平成20年度と平成30年度の比較では約1,750億円、約26%の増となっております。

 このように、一般会計の平成元年度から平成30年度予算案までの当初予算規模の伸び率及び平成20年度から平成30年度予算案までの当初予算規模の伸び率を国と福岡市で比較いたしますと、いずれも福岡市のほうが上回っているところでございます。

 次に、国の平成30年度末までの普通国債残高のピークは平成30年度末の約883兆円となる見込みであるとされている一方、福岡市の満期一括積立金を除く全会計の市債残高のピークは平成16年度末の約2兆5,882億円で、平成30年度末の残高見込みである約2兆1,054億円は、これと比較し約4,827億円、約19%の減少となっております。

 次に、国の平成30年度末の普通国債残高見込みは、平成25年度末と比較し約139兆円、約19%の増加となっている一方、福岡市の平成30年度末の満期一括積立金を除く全会計の市債残高見込みは、平成25年度末と比較し約1,564億円、約7%の減少となっております。

 次に、福岡市の市債残高につきましては、かつての集中的な社会資本整備により、多くの資産が形成された反面、多額の市債残高を抱えるに至ったものでございます。近年は行財政改革プランや財政運営プランにおいて、将来世代に過度な負担を残さないよう市債残高の縮減に取り組むこととし、市債発行の抑制に努めてきているところでございます。

 次に、平成30年度末の全会計の市債残高見込みの主な内訳につきましては、下水道関連が16.4%、道路関連が15.8%、地下鉄関連が13.7%となっているほか、臨時財政対策債などの特例債が20.0%となっております。

 次に、資産の有効活用についての御質問にお答えいたします。

 平成30年度一般会計予算案における財産収入につきましては、市営住宅用地を含めた土地建物売払収入が約313,100万円で、その歳入総額に占める割合は0.4%、中央児童会館用地の貸し付けなどの土地貸付収入が約7億5,700万円、旧臨海工場余熱利用施設の貸し付けなどの建物等貸付収入が約8,600万円、土地と建物等の貸付収入の合計は約8億4,300万円で、その歳入総額に占める割合は0.1%となっており、これらの売払収入と貸付収入の合計は約397,400万円となり、その歳入総額に占める割合は0.5%となっております。

 次に、行政サービスの提供に関する御質問にお答えいたします。

 まず、平成30年度一般会計予算案におきましては、使用料が約1745,500万円、手数料が約832,800万円となっております。

 次に、公の施設の利用に係る使用料につきましては、地方自治法及び地方公共団体が制定する施設設置条例等により、必要に応じて対価を徴するものですが、一部の施設の利用については対価を徴収してはならないことが当該施設に係る法律で明記されているところでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 財政状況についての御質問にお答えいたします。

 生活保護費の当初予算の推移でございますが、平成26年度が7957,371万円余、27年度が7951,743万円余、28年度が8028,855万円余、29年度が8057,360万円、30年度が7975,524万円余となっております。

 次に、平成30年度の生活保護費の積算につきましては、生活扶助、医療扶助、介護扶助など、29年度前半の保護の種類ごとの給付状況や近年の給付の伸び率、保護受給者数の推移などを勘案して積算いたしております。

 次に、リーマンショック後に厚生労働省から出された生活保護制度の運用に関する通知につきましては、平成21年3月18日付の職や住まいを失った方々への支援の徹底についてを初めとして、平成21年中に3本の通知が出されております。通知の内容でございますが、職や住まいを失い、困窮している方に関しては、ハローワークや不動産関係団体等との連携により、就労や住宅確保を支援するとともに、生活保護が必要な場合は、速やかに決定することなどでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 行政サービスの提供についてお答えいたします。

 まず、駐車場の有料化についてでございますが、区役所駐車場の有料化の対象は、区役所に用件のない方であり、窓口の手続などで来庁された方については所要時間を無料としております。

 有料化の目的につきましては、区役所に用件のない方の駐車場利用を抑制すること、区役所の閉庁時における行政財産の有効活用を図ることでございます。

 有料化の根拠につきましては、地方自治法に基づいて実施しております。

 次に、体育館駐車場につきましては、体育館利用者のうち、駐車場を利用される方を有料の対象にしております。

 有料化の目的につきましては、駐車場を利用する体育館利用者に相応の御負担をいただき、駐車場を利用しない方との公平性を確保し、負担の適正化を図ること、また、体育館利用者以外の駐車を抑制し、施設利用者が駐車場を利用しやすい環境を整えることとしております。

 さらに、有料化に伴う収入について、体育館の維持管理費の財源に充当することで、利用者サービスの向上が図られるものと考えております。使用料徴収の根拠は、福岡市立地区体育施設条例でございます。

 次に、自治協議会に関するお尋ねですが、地区防災計画制度につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、平成25年の災害対策基本法の改定において創設され、地区居住者等が、市町村防災会議に対し、地域防災計画に地区防災計画を定めることを提案することができると規定されております。地区防災計画は、平常時の防災訓練や災害時の住民相互の支援体制等、校区や自治会などの地域の防災行動計画を定めたものであり、自助、共助の精神に基づき、市町村等と連携して行う自発的な防災活動を促進し、地域の防災力を高めるものとされております。

 次に、自治協議会共創補助金につきましては、自治協議会が主体的に行うまちづくりを支援し、住民自治及び市民と行政との共働によるまちづくりを推進することを目的に交付しております。補助対象事業のうち、防災、防犯、子どもの健全育成、健康づくりなど10項目の事業を住みよいまちをつくるためのまちづくり基本事業として実施していただくこととしております。これらの具体的な事業内容につきましては、校区の実情や特性に応じて、自治協議会において地域の皆様が主体的に決めていただけるような仕組みといたしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 光山住宅都市局長。

住宅都市局長(光山裕朗) 行政サービスの提供の御質問のうち、公園駐車場の有料化についてお答えいたします。

 有料化の目的と対象者につきましては、公園利用者以外による駐車など、管理運営上の課題について、有料化により適正利用を図ること、また、有料化に伴う収入について、公園管理費の財源に充当し、公園施設の改修や利用者サービスの向上を図ることなどから、駐車場を利用される方を対象に一定の料金を御負担いただくもので、市民への周知を図りながら、有料化する公園を段階的にふやしているところでございます。

 また、料金徴収の根拠につきましては、福岡市公園条例及び同施行規則において有料公園施設使用料として定めております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 総合図書館の駐車場有料化についてお答えいたします。

 総合図書館の駐車場につきましては、周辺に多くの利便施設が立地しており、以前は無料であったため、図書館利用者以外の方の駐車により、図書館を利用される方の駐車に支障を来しておりました。そのため、地方自治法及び福岡市公有財産規則に基づき、駐車場を民間事業者に貸し付け、図書館利用者の駐車は無料、図書館利用者以外は有料として運営することで、駐車場の適正利用を確保するものでございます。

 また、図書館の休館日なども有料で一般開放することにより、市有財産の有効活用を図っております。以上です。

 

議長(川上晋平) 今林ひであき議員。

○20番(今林ひであき) 2問目に行きます。

 福岡市の財政状況全般についてですが、まず、名目の国内、市内のGDPについて答弁をいただきました。それをもとに国と市を比較してみます。統計の関係上、直近の数字は比較できませんし、数字は丸めます。

 国は平成20年度489兆円、26年度も同じく489兆円、ほぼ変わらず。一方、本市は同じ比較で6兆6,400億円が6兆7,300億円と900億円の増です。

 同じように人口について、国は平成20年度1億2,804万人から29年度1億2,667万人で136万人の減。一方、福岡市は同比較で143万人が156万人と13万人の増。また、予算規模については、国は平成20年度83兆円から30年度97兆円で118%の増。同じ比較で福岡市は126%の増です。

 今の比較だけを見ると、福岡市は国と歩調を合わせるように回復、成長しているどころか、国を追い越す勢いではないかと思います。

 また、国と市の人口の推移から見ても、福岡市はまだまだ成長、発展する予感があります。現在、本市は平成47年の160万人を人口ピークと推計しています。

 そこでお尋ねしますが、本市の人口推計による人口ピーク時について見直しを行う予定があるのかどうか、お尋ねします。

 次に、市長は都市の成長の果実を市民生活の隅々にまで行き渡らせると言われました。しかし、平成30年度予算編成において、例えば、農林水産局の予算は特別会計ではふえておりますが、一般会計予算では前年度94億円から82億円と13%の減となっています。

 農林水産局といえば、第1次産業で日本の基幹産業とも言える農業、漁業の所管であり、どちらも後継者不足に悩むなど課題の多い産業です。

 そこでお尋ねしますが、平成30年度予算が直接市民に、そして地域の隅々まで行き渡らせる予算となっているのか、お尋ねいたします。

 次に、生活保護について質問いたします。

 1問目で答弁いただいた生活保護費の予算の推移は横ばいのようであり、好景気にもかかわらず減少に向かっていません。有効求人倍率が1.5倍を超えるなど高水準になっているにもかかわらず、生活保護は依然と高い状況にあります。

 そこでお尋ねしますが、この原因について御所見をお伺いします。

 平成30年度に予定されている生活保護制度の見直しについて質問します。

 生活保護基準を見直す一方で、子どもの進学等の支援に手厚くなっている見直しだと思います。このことは、今の社会実態に即したものとして一定評価できるものだと思います。

 そこで、平成30年度に予定されている生活保護制度の見直しについて具体的にお尋ねします。

 まず、生活保護基準額の改定内容について具体的に教えてください。

 そして今回、生活保護世帯の進学支援が実施されます。貧困の連鎖を断ち切る観点からも、意欲と能力のある子どもたちが経済的理由により大学等への進学を断念することがあってはなりません。

 そこでお尋ねしますが、進学支援の具体的な内容を教えてください。あわせて、進学支援の対象者数をどの程度と見込んでいるのでしょうか、お尋ねいたします。

 さらに、生活保護費の積算の考え方については1問目でお示しいただきましたが、平成30年度の生活保護制度の見直しの影響を予算にどう反映させているのか、お尋ねいたします。

 希望の党の前の代表である小池東京都知事は、基礎年金、生活保護、雇用保険等をベーシックインカムに置きかえるということを検討すると言っています。

 そこでお尋ねしますが、フィンランドなど一部の国で実証実験が行われているようですが、この聞きなれない言葉、ベーシックインカムとはどのような制度なのでしょうか。また、本市でベーシックインカムを導入したとして、どの程度の経費を要するのか、お答えください。

 次に、生活保護費の約半分を占める医療扶助についてですが、高齢化の進展なども重なり、今後とも、医療扶助の増加が懸念されます。本市においても医療扶助の適正化のため、重複受診などの是正やジェネリック医薬品の促進などを進めていますが、平成30年度はジェネリック医薬品について処方の考え方が変わると聞いております。どのように変わるのか、お尋ねいたします。

 次に、資産の有効活用についてお尋ねいたします。

 1問目で資産の有効活用の状況と具体例をお示しいただきました。

 そこで、資産のうち、土地の有効活用における貸し付けに絞って話を進めていきます。

 平成30年度予算における財産の活用による収入についてはもっとあると思ったんですが、土地、建物の売却収入が約31億円、0.4%、土地、建物の貸付収入が約8億円、0.1%と、もっと収入が上がらないかと思う余りです。

 そこでお尋ねしますが、貸し付けなど活用がされていない土地、用地がほかにあるのではないかと心配します。また、土地の貸し付けの場合、規則では評価の3%で貸し付けすることになっていますが、減免しているものがあるのかどうか、教えてください。

 資産の有効活用を図る観点で、資産を貸し付けるなど収入を得る場合はよいのですが、有効活用が図られていない事例もあります。有効活用が図られていない事例として、平成28年の6月議会に提案された中学校用地の占有に関する和解についてお尋ねいたします。

 この案件は、市内の中学校用地の一部である本市の土地と、これに隣接する国有地を占有して20年以上が経過し、時効により所有権を得たと主張する隣人から、本市及び国に対し所有権移転を求める訴えがあったものです。結果は、裁判所から和解勧告があり、土地を有償譲渡することで決着いたしましたが、この和解に至った経緯とその後の状況についてどうなったのか、お尋ねいたします。

 また、このときの説明では、この案件以外にも4件の占有事例があったと言われましたが、この4件については現在どのようになっているのか、お尋ねいたします。

 あわせて、学校用地以外の市有地において占有に係る訴えがあるのかどうか、お尋ねいたします。

 次に、行政サービスの提供について質問してまいります。

 まず、駐車場の有料化についてです。

 先ほど有料化の目的について答弁がありましたが、駐車場の有料化の目的が、本来の施設利用者ではない方の利用を抑制する効果があるのであれば、円滑な行政サービスの提供にもつながり、その視点ではよいことだと思います。

 その代表例として、区役所における有料化は、区役所に用件のない方の駐車場利用を抑制することや、閉庁時における行政財産の有効活用を図るためのものです。混雑解消が図られ、利用者のためにもよいことだと思います。

 ここで注目したいのは、行政サービスを受ける区役所利用者は無料だということです。

 また、総合図書館の駐車場の有料化も、ドームに近いこともあり、野球やイベントなどで図書館利用者以外の駐車を有料化することにより、駐車場の適正利用を図ろうとするものです。

 ただし、これには少し問題もあります。一見、図書館の利用者には混雑解消の適正化としてよいことのようにも見えますが、しかし、実態は図書館利用者以外の野球、イベントの利用者も駐車料金を払うということで正当化されるため、本来の図書館利用者は駐車に困ることとなります。何のための、誰のための駐車場かという本末転倒の事態が起きています。このことについては課題としてしっかり認識してほしいと思います。

 話を戻します。

 しかし、ここでも注目は行政サービスを受ける図書館の利用者自体は無料なのです。

 一方、体育館や一部の公園の利用者は有料です。私は、駐車場を有料化することで利用阻害が生まれると思っています。つまり、駐車料金が負担となり、利用を控えることが起きかねません。また、近くにお住まいで徒歩で来られる方を除けば、公共交通機関の利用をお願いすることになりかねません。公共交通機関の整備が必要になるのではないでしょうか。

 そこでお尋ねしますが、市として駐車場の有料化が利用抑制につながらないような対策が必要と考えますが、どのようなことを考えているのか、お尋ねいたします。

 次に、自治協議会との関係についてです。

 今、地域では、本市も課題として認識されているように、高齢化の進展、人口減少社会に伴う担い手不足が課題となっています。例えば、地区防災計画などは、市としても、地域としても大事で必要なことです。国の法律で、素案は地域住民みずからがつくり、提案できるとの説明がありましたが、しかし、直接市がつくって悪いとは書いてありません。市でつくる市町村防災計画の中には、各校区ごとの防災計画があってもおかしくないと思います。

 今、地域の担い手不足から地域コミュニティに支障が生じ、住民同士の助け合いもままならない状況が到来しようとしています。超高齢社会への対応において、地域への期待が大きくなる一方で、担い手不足の課題などによって自治協議会の維持そのものが懸念される状況にもなってきています。必須項目を行う上で、市の責務、公助として行うべき事業を市から地域への委託としてできるなら少しは改善されるかもしれません。地域もお金が欲しいから要求しているように見られるのは不本意ですが、地域の互助の維持が大変なんです。

 そこでお尋ねします。自治協議会制度の発足から10年経過し、補助金のあり方の見直しが行われたと思いますが、見直しはどのような視点で行われたのか、お尋ねいたします。

 以上で2問目を終わります。

 

議長(川上晋平) 中村総務企画局長。

総務企画局長(中村英一) 福岡市の財政状況に関する御質問のうち、人口推計を見直す予定があるのかとのお尋ねにお答えをいたします。

 福岡市の人口は、平成30年2月1日現在で157925人となりまして、基本計画策定時の将来推計より早いペースで増加しているところでございますが、現時点でこのことをもって直ちに見直すことは考えてございません。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 赤岩財政局長。

財政局長(赤岩弘智) まず、平成30年度予算案についての御質問にお答えいたします。

 平成30年度予算案につきましては、元気で住みやすいまち、成長可能性が高いまちにさらに磨きをかけ、都市の成長と生活の質の向上の好循環の実感をあらゆる人に、そして都心部から農山漁村地域まで行き渡らせられるよう編成いたしました。具体的には、安心して生み育てられる環境づくり、教育環境の充実、性的マイノリティの方や障がい者、認知症の方やその家族、そして高齢者への支援など、市民一人一人にぬくもりのあるまちづくりを進めるとともに、市街化調整区域については、地域特性や観光資源、農水産物等を生かした地域や民間の取り組みを支援し、地域と一体となって地域産業の振興や地域の活性化を図り、また、農山漁村地域の付加価値を生み出すまちづくりを進めることとしております。

 次に、貸し付けなどの活用がなされていない土地につきましては、例えば、事業の完了により生じた不整形または面積が狭小な残地や利活用に一定の制限のある土地などがございます。

 次に、土地の貸付料の減免事例につきましては、例えば、国やほかの地方公共団体、公共的団体などに公用や公共用などの用に供する貸し付けをする場合がございます。

 次に、福岡市の土地が占有され、当該用地の所有権が時効取得されたとして、その確認に係る訴えが提起された近年の事例につきましては、道路下水道局が所管する里道に係る占有案件があり、これにつきましては、平成28年第3回福岡市議会における議決を経て、訴訟上の和解がなされたものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 財政状況についての御質問にお答えいたします。

 まず、生活保護費が依然として高い状況にある理由でございますが、高齢化の進展により生活保護を受給する高齢者世帯数が一貫して増加し続けていること、また、失業等を契機として生活保護受給に至ったその他の世帯の数がリーマンショック前の水準に戻っていないことなどが挙げられます。

 次に、生活保護基準額につきましては、厚生労働大臣が決定するものですが、全国消費実態調査の結果を踏まえて5年ごとに改定されており、一般低所得世帯の消費実態との均衡を図るとともに、物価動向を加味して、年齢、世帯員数、居住地域別に示されることになっております。厚生労働省によりますと、今回の基準の改定により、全保護受給世帯のうち、67%の世帯が減額になると推計されておりますが、激変緩和のため、平成3010月から3年間をかけて段階的に実施される予定でございます。また、子育て世帯を支援するための児童養育加算の対象拡大や母子加算の見直し、教育扶助、高等学校等就学費の増額、大学等に進学する子どもへの給付金の新設なども予定されております。

 次に、保護受給世帯の子どもが大学等に進学する際の支援につきましては、自宅通学生の場合は10万円、自宅外通学生の場合は30万円を一時金として支給する進学準備給付金が制度化され、平成30年4月の入学生から支給されます。保護受給世帯から進路希望を聞き取った結果、福岡市の進学支援の対象者数として、自宅通学生を120名、自宅外通学生を22名と見込んでおります。

 次に、生活保護基準額改定の福岡市予算への反映についてお答えいたします。

 改定後の保護基準額は、今後、厚生労働省により告示される予定であり、詳細が明示されていないことから、当初予算には反映させておりません。なお、進学準備給付金につきましては、大学等への進学支援対象者全員に支給することを見込んで予算を計上しております。

 次に、ベーシックインカムにつきましては、国民一人一人に無条件で定期的に一定の現金を給付することにより、国民の最低生活を保障する制度でございます。

 次に、福岡市でベーシックインカムを導入した場合に要する経費につきましては、給付額のみでお答えいたしますと、福岡市の推計人口約157万人に対して毎月1人5万円給付すると仮定して、年間9,400億円を超える予算が必要となります。

 最後に、保護受給者に対するジェネリック医薬品の処方につきましては、現在、可能な限りジェネリック医薬品の使用を促す努力規定となっておりますが、平成30年度からは医師が先発薬の使用を認めた場合や薬局に在庫がない場合などを除き、ジェネリック医薬品の使用が原則化される予定になってございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 平成28年6月議会に提出いたしました中学校用地の占有に関する和解議案の経緯とその後の対応についてお答えいたします。

 この件は、平成2212月に福岡市と国に対し、中学校用地の一部及び隣接する国有地を昭和35年から長期にわたり家屋等で占有していると主張する相手方が、時効による所有権を取得したとして、所有権移転登記手続を求め、福岡地方裁判所に提訴したものです。これに対し福岡市は、不法に占有している相手方に立ち退きを求めるため、市有地の範囲及び土地の境界を確定させるとともに、相手方の主張である取得時効は完成していないことを国とともに主張してまいりました。しかしながら、28年1月に国が相手方に国有地を売却することで和解を成立させたため、28年5月に福岡地方裁判所から福岡市に対し、市有地を売却することでの和解勧告がなされました。この和解勧告を受け、行政財産としての活用可能性等を検討した結果、学校敷地と一体的に活用することが困難な土地であったため、議会の議決を得て相手方と和解し、当該用地を売却したものでございます。和解議決後は、その和解条項に基づき、28年7月に相手方から当該用地の譲渡代金の支払いを受け、同年8月に所有権移転登記を行いました。

 次に、同様な他の4件につきましては、いずれも学校の塀の外側にあり、学校敷地と一体的に活用することが困難な土地で、隣接者に占有されていたことから、市の不動産価格評定委員会による評定額で29年度中に4件全てを売却しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 行政サービスの提供についてお答えします。

 まず、駐車場有料化のお尋ねですが、施設利用者の抑制とならない対策につきましては、施設利用者に対し、入庫から最初の60分までの駐車場使用料を免除いたしますとともに、1日の最大料金を300円とするなど、利用者に過度な負担とならないよう配慮いたしております。

 次に、自治協議会に関するお尋ねでございますが、自治協議会への補助金につきましては、平成28年度から自治協議会共創補助金として、役員の活動費及び事業費をともに増額し、地域の担い手づくりやきずなづくりへの支援を強化しております。

 また、補助金の運用方法について、より地域の負担が軽減されるよう、地域の皆様の御意見や地域活動の実態を踏まえた見直しを行っております。具体的には、夏祭りにおける舞台の設営などを外部に委託する費用や、地域行事の運営に携わる方への謝礼を補助対象とするとともに、事業に必要な弁当やお茶などを購入する際の要件を緩和しております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 光山住宅都市局長。

住宅都市局長(光山裕朗) 行政サービスの提供の御質問のうち、公園駐車場の有料化についてお答えいたします。

 駐車場を有料化したことで、利用者からは公園利用者以外の駐車が減り利用しやすくなった、また、ごみなどが減り駐車場がきれいになったなどの声をいただいており、公園の適正利用につながっているものと考えておりますが、議員おただしのように、駐車料金が利用の抑制につながらないようにしていくことは重要であると考えております。そのため、近隣駐車場との均衡を図りながら、駐車料金に上限額を設けるなど、過度の負担感のない料金体系とすることや、利用頻度の高い方には回数券を発行するなどの対応を行っているところでございます。なお、この回数券につきましては、今後4つの公園において共通化を進めていくことといたしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 今林ひであき議員。

○20番(今林ひであき) 福岡市の財政状況全般についてですが、負の財産である市債残高は、平成16年のピークである約2兆5,800億円から約4,800億円減少し、現在、約2兆1,000億円と改善に向かっているとの答弁です。

 昔、桑原元市長は、なぜ借金が多いのかと問われ、当時は東京などに比べ、まだ地下鉄整備などのハード整備もおくれ、また、生活基盤である下水道の普及率もおくれていたこともあり、市民生活の基盤整備が必要と言われました。そして、それが市の将来の発展につながることから、未来を担う子どもたちも共有できる後世に残る資産であり、悪い借金ではないと言われたことを思い出します。

 計画性のないものであれば個人同様に破産を招きます。しかし、借金が将来のために役立つものであれば、市政繁栄につながるものであれば、それなりの意義もあります。

 今後の市政は、主体性を持ち、独自の政策を行い、それが成果を生み、成長へとつながっていくのでしょうか。現在、地下鉄延伸、総合体育館、今後、天神ビッグバン、九大箱崎キャンパス跡地、第2期展示場を初めとするウォーターフロントなどの事業がめじろ押しです。お尋ねしようと思ったんですが、要望に変えます。

 そこで要望ですが、財政健全化とのバランスの中で、成長の果実を地域の隅々に行き渡らせるような均衡ある発展のために、今後の財政運営に一生懸命取り組んでいただくようお願いして、この質問は終わります。

 次に、生活保護についてですか、お答えいただいたベーシックインカムについては、全ての国民に対し最低額の所得保障をすることは、理論上、簡素な社会保障制度のあり方としては考えられることです。また、困窮者を生まない社会の実現などの利点は考えられます。しかし、私は一方で、途方もない経費を要すること、また、働かない社会を生み、勤労、勤勉をよしとする我が国の社会風土とは相入れない制度だと思います。今後とも、慎重に議論していく必要があると思います。

 しかしながら、問題なのは、生活保護基準以下の収入しかないにもかかわらず、保護を受給していない方が多数おられるということです。ある推計では、生活保護が必要な方のうち、実際に保護を受けているのは2割程度にしかすぎないとの報告もあります。高齢者の中には生活保護基準以下の生活をされながらも、生活保護には頼りたくないと考える方も多いようです。私は、昔の日本人の美徳である武士は食わねど高ようじの一言で済ませることはできないと思います。憲法により全ての国民に対して権利を保障しているにもかかわらず、具現化した生活保護に対してちゅうちょする方が多数いらっしゃることは不合理ではないでしょうか。生活保護の財源は税金であることからも、税の使い道として不公平でもあります。

 しかし一方で、そのような潜在的な生活保護の対象者が全て保護を受けるようになると財政がもたないことも容易に想像できます。私は、このような制度の矛盾を解消するためには、憲法の定める権利の具体的なあり方については、年金制度との整合や超高齢社会などの課題も踏まえながら、時代に合わせて見直していくべきだと考えます。

 政府は、持続可能な制度の維持のためとよく言われますが、例えば、単身高齢者の生活保護費が月額約11万円であるのに対して、40年間納付した方の国民年金は月額約6万5,000円にしかすぎません。制度がおかしくないですか。社会全体の制度設計自体に問題があると思いませんか。

 しかし、今少しずつ改善の兆しがあります。平成30年度の生活保護基準額の改定は、保護費が下がる世帯の割合が7割と試算されましたが、一方で、子どもの進学には手厚くなるなど、めり張りのきいた見直しだと思います。そのまた一方で、国民年金は物価や賃金動向により見直されていますが、まだまだ格差解消にはほど遠いものだと思いますが、少しずつ前進しています。

 私は、今ある各種の制度を根本的に見直さなければ、今後も急速に進展する超高齢社会に立ち向かうことはできないと心配しています。国に対して地方から声を上げ続けるとともに、現状できることとして、今はまず少しずつでも足元を固めながら、じっくり着実に取り組むことが大事だと思います。

 そこで、平成30年度の生活保護制度の見直しにしっかりと対応し、新制度の周知や適切な運用、予算の確保をお願いしたいと思います。

 また、生活保護は税を財源としていることから、制度に対する市民の理解と信頼が大切です。そのため、不正は徹底的に排除するとともに、必要な方には適切な保護と自立のための支援を行っていく必要があります。

 そこで要望いたします。本市の生活保護行政を一生懸命に頑張っていってください。お願いいたします。

 次に、資産の有効活用についてお尋ねいたします。

 資産の有効活用には、まだ手もつけていない土地や、貸し付けの目的からして、理由が明確でなく収入が十分に得られていない減免している土地などもあると思います。さらに悪いのは、市の土地が無断で使用されている事例もあることから、公平性の観点からも問題があります。

 市内には莫大な市有地があり、このような事例がたくさんあるのではないかと心配いたします。市有地の資産を管理、整理するシステムが必要だと思います。そこで、この分については御所見をお伺いします。

 また、資産の有効活用を積極的に図り、促進するために、今後どのように取り組んでいくのかお尋ねして、この質問は終わります。

 一方、行政サービスの提供についてですが、体育館や有料公園においては、施設利用者を含めて、駐車場を利用した全ての方に料金の負担を求めています。これには違和感を覚えます。私は、行政サービスを提供する上で一番大切なことは、市民への公平性の維持だと思います。

 私たちは、体育館や有料公園にある駐車場そのものに対してだけ、駐車場を利用するためだけに体育館や公園には行きません。体育館や公園利用などは何のためにあるのでしょうか。逆に、市は何のために体育館や公園を整備しているのでしょうか。体育館や公園を利用しやすくするのが市の責務だと思います。

 財政面のことだけで考えてよいのでしょうか。体育館、有料公園を利用される方は、施設自体の利用に際する応益負担として正式に使用料・利用料を払っています。行政サービスの提供を受ける対価として使用料・利用料を既に払っているのです。その上、さらに駐車料金を求めるということは二重の負担を強いているのではないかと思います。もし仮に財政状況の厳しい折、財源の確保が必要と言われるなら、駐車場の利用に対して料金を課すのではなく、利用料・使用料そのものに対して見直しを行うのが普通です。検討をお願いいたします。

 以上、市に対して行政サービスの公平性を求めまして、この質問は終わります。

 最後に、自治協議会との関係についてです。

 さきの答弁にあるように、補助金の増額などで多少は改善すると思いますが、根本的な改善が必要だと思います。市も地域の担い手不足から、さまざまな施策を展開しようとしています。平成16年度に町世話人制度から自治協議会制度に仕組みが変わったことについては、公助の依存から互助への転換として、理念は大変すばらしいことだと思います。しかし、一方では公助が少なくなり、互助に対して質、量とも多くなったと思えます。また、見方を変えれば、市の公助に限界があることから、地域の互助への協力関係を結ぶという転換を図ろうとしたと思います。しかし、今、地域でも限界が見え始めています。

 高齢化の進展に伴う1人世帯高齢者の増加、誰もいなくなった空き家の発生、個人主義による昔ながらの向こう三軒両隣の崩壊、さらに、助けるほうから助けてもらう方のほうが多くなる現象、また、そのお世話をする地域担い手不足、日本のよき昔ながらの隣人が助け合う社会の崩壊が起きております。

 今、地域のためにボランティアとして頑張っている方が疲れています。疲弊しています。さらに、逆に同じ方が長年役員を務めることを余儀なくされ、新しい方が入りにくくなるという弊害などもいろいろあります。近い将来に地域コミュニティの崩壊が予測されます。つまり、平成16年には予定していなかった地域の互助の限界が、今、浮き彫りになってきたと思います。時代の変化に伴う新しい地域コミュニティの形成が必要だと思います。

 そこで最後にお尋ねいたしますが、本市の地域に対する今後の支援のあり方についてお尋ねして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

 

議長(川上晋平) 赤岩財政局長。

財政局長(赤岩弘智) 資産の有効活用についての御質問にお答えいたします。

 福岡市が保有する財産につきましては、市民の皆様から負託された貴重な経営資源と認識し、最適な手法により効果的に活用し、財源の確保も図っていくことが重要であると考えております。福岡市におきましては、全ての地方公共団体において固定資産台帳の整備などを前提とした統一的な基準に基づく財務書類などを作成することを国から求められたことを踏まえ、固定資産台帳システムを構築してきたところであり、これを生かしつつ、より精緻な資産情報の把握に努めるとともに、未利用地等の有効活用策を検討してまいりたいと考えております。

 また、未利用資産の有効活用に向けて、福岡市ホームページに売却予定情報を掲載し、市民の皆様や民間事業者の方々へ情報提供を行っているところでございまして、今後とも、民間事業者のノウハウも活用しながら、多様な手法により、市有財産のさらなる有効活用に取り組んでまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 地域コミュニティの今後の支援のあり方についてお答えいたします。

 地域コミュニティの課題については、地域活動への参加者の減少や活動の担い手の不足などがあると考えております。これらの課題解決に向け、平成28年度から自治協議会と福岡市がパートナーとして、さまざまな主体を巻き込みながら、地域の未来をともにつくり出す共創の取り組みを推進しており、企業や商店街などの参加を促進するふくおか地域の絆応援団事業など、地域活動の新たな担い手づくりに向けた取り組みを進めております。

 また、さまざまな主体と地域をつなぐ共創コネクターを配置し、地域の活性化や課題解決に向けた新たな取り組みを進めるとともに、自治会や町内会への支援にも取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) この際、暫時休憩いたします。

 午後は1時10分に再開いたします。

午前1156分 休憩  

午後1時10分 開議  

副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。篠原達也議員。

○18番(篠原達也)登壇 質問に先立ちまして、みらい福岡市議団、故三角公仁隆議員の御冥福を心からお祈り申し上げます。

 私は公明党福岡市議団を代表して、松野議員の代表質問に関連して、入院患者の転院支援について、骨髄ドナー助成制度について、防犯カメラの設置について補足質疑をいたします。

 初めに、入院患者の転院支援についてです。

 福岡市では、健康先進都市戦略を策定し、保健医療分野における人生100年を見据えた新戦略、福岡100を開始しました。誰もが100歳まで健康で自分らしく暮らし、生き続けられる持続可能な社会システム構築の実現を目指しています。

 福岡市は若くて元気なまちと言われておりますが、高齢化も進んでおり、75歳以上の後期高齢者の数は、団塊の世代が後期高齢者になる2025年ごろに急増し、その割合は7人に1人に、さらに2050年には5人に1人になると予測されております。一般的に75歳以上の後期高齢者になると、医療を必要とする方の割合が急激に増加しますので、100歳まで健康で自分らしく生き続ける社会を実現するためには、安心して医療を受けることができる体制づくりも重要と考えています。

 国は、高齢化に伴い急増する医療需要に対応するため、病院完結型から地域完結型へという考えのもと、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めております。これ自体は大変にすばらしいことであり、本市としても積極的に推進すべき施策だと思いますが、地域包括ケアシステムが構築されても、病院の患者が減るというわけではありません。むしろ高齢化に伴い、入院する患者も高齢化していくわけですから、それへの対応も重要な課題の一つであると考えています。

 私のところにも、病院に入院し、さまざまな御苦労をされている方からの御相談があります。その全てをお尋ねする時間はありませんので、本日はその中の転院支援に絞ってお尋ねをいたします。医療制度は複雑で、わかりにくい部分もありますので、わかりやすい明快な答弁をお願いいたします。

 代表質問でもお尋ねいたしましたが、入院して一定期間が過ぎたところで病院側から転院を求められるという話をよく聞きます。これは国の方針として、各病院の役割を明確化し、一定のタイミングで患者が転院をするような制度設計がなされていることが要因のようですが、国の方針はどうなっていますか、お尋ねいたします。

 また、各病院の役割分担は具体的にどのようになっていますか、お伺いいたします。

 あわせて、本市には各区に医療相談窓口がありますが、昨年度、平成28年に何件の医療相談が寄せられ、そのうち医療機関が入院患者に対し、転院、退院を求めたものが何件あったのか、また、その主な相談内容と結果についてお示しください。

 患者は通常、期間の経過とともに容体が回復していくわけですから、診療報酬による誘導もあるのでしょうが、患者に適切な医療を提供するために、一定の期間が経過すると、医師の判断で次の医療機能の病院へと転院するのはやむを得ない一面もあるのでしょう。入院を経験された方は御存じだと思いますが、昔に比べて随分と短い日数で退院させられると感じられているのではないでしょうか。こんなに早く退院させられて大丈夫なのかと不安を感じながら、転院や退院をされた方も多いと思います。

 そこで、転院に当たり、通常どのように転院先が探されるのか、また、どのような情報をもとに転院先を探しているのか、お尋ねをいたします。

 次に、骨髄ドナー助成制度についてです。

 白血病など重い血液の病気と診断される方は、年間およそ1万人。医療の進歩で薬などの治療が功を奏する患者さんがふえているものの、移植でしか治療が望めない患者さんはまだ多く、年間2,000人以上の方が骨髄バンクを通しての移植を待ち望んでいます。そうした患者さんのためにドナー登録をしている方は、現在48万人以上です。しかし、少子化で兄弟姉妹が少なくなっている現在は、血縁者からドナーを探すことも難しくなっています。移植にはHLA、白血球の型が一致するドナーを見つけなければなりません。非血縁者間でHLAが一致する確率は数百人から数万人に1人と低くなってしまうため、数十万人のドナー登録が必要になるわけです。実際に移植を受けることができる方は6割程度にとどまっており、ドナー登録の一層の拡大とドナーが提供しやすい環境づくりが求められています。

 初めに、どのような方が骨髄ドナーとして登録ができますか、あわせて、登録の方法について具体的にお伺いいたします。

 骨髄ドナーからの採取方法には2種類があります。1つが骨髄採取です。骨髄液を腸骨という腰の骨から専用の針で吸引をし、採取します。この場合、採取後の貧血を軽減するため、事前に1日から2日間の通院による自己血採血を行うとともに、骨髄液採取のため4日間程度の入院が必要になります。2つ目が末梢血幹細胞採取です。白血球をふやす薬を注射すると、末梢血、全身を流れる血液の中に造血幹細胞が増加をします。その後、腕に針を刺し、専用の機械を用いて造血幹細胞を採取します。この場合、薬を注射するため、3日から4日の通院または入院が必要であります。また、細胞採取のため、1日から2日間の入院が必要となります。いずれかの方法でドナーから採取された骨髄液または末梢血幹細胞を患者に点滴で投与することにより、骨髄移植、末梢血幹細胞移植を行うことになります。

 次に、移植希望者、患者について伺います。

 骨髄移植が必要な主な病名と移植の方法について、さらに福岡県で現在、移植希望の登録をされている人数を教えてください。

 先ほども述べましたが、移植にはHLA、白血球の型が一致するドナーを見つけなければなりません。また、骨髄バンクを通じて毎年1,200人以上の患者さんが移植を受けています。骨髄移植の必要な患者が移植を受けやすくするためには、ドナーをふやさなければなりません。そのためにも、ドナー側の経済的な負担を軽減することで、ドナー登録の拡大の推進とドナーが提供しやすい環境づくりを図ることが必要です。

 それでは次に、福岡県骨髄ドナー登録者の過去3年間の登録数、取り消し数、純増数及び骨髄等の提供者数をお尋ねいたします。

 ドナーの候補者が実際に提供するに当たっては、最終同意後、4日間程度の通院や入院が必要であり、家族や職場の理解と協力が不可欠です。しかし、官公庁や大手企業などではドナー休暇制度が整備をされていますが、中小企業に働く方や自営業者、育児や介護をしている方は、休むことが経済的な負担に直結するなど、簡単には時間をつくれない事情があります。

 では、官公庁及び民間企業のドナー休暇制度の概要についてお尋ねをいたします。

 ドナー休暇制度がない方々にも経済的な負担を軽減して、ドナーになっていただけるよう支援をするのが骨髄ドナー助成制度です。その先駆けとして、平成23年に新潟県加茂市が初めて助成制度を実施して以降、全国に広がり、現在では322市区町村が制度を導入しています。新潟県加茂市に住む高野夫妻は、全国各地で開かれるドナー登録会で説明員のボランティアをするたびに、3泊4日の入院は厳しいね、ぎりぎりの給料で生活しているので会社を休めません、休業補償はありますか、そんな声をよく耳にしました。夫婦は平成17年、当時18歳の息子さんを白血病で亡くしました。亡き息子さんにずっとかかわっていたいと、平成20年から患者遺族の立場からバンク事業の普及啓発に取り組んでいました。自治体の援助があればドナー登録や実際の提供をふやせるのではないか、そう考えた2人は県内市町村への要望活動を始め、真っ先に応えてくれたのが地元の加茂市でした。約1年半にわたって交渉を続け、提供したドナーに1日2万円、7日間を上限に支給する全国で初めての助成制度が実現をしました。

 そこで、福岡県で骨髄ドナー本人への助成制度を行っている市町村があれば、その助成内容と実績をお尋ねいたします。

 あわせて、政令指定都市で同様の助成制度を行っている都市の助成内容をお伺いいたします。

 次に、防犯カメラの設置についてです。

 近年、都市化や情報社会の進展など社会情勢の変化、社会的な規律意識の低下、地域社会の連帯感の希薄化などにより、身近な場所での犯罪が多数起こっています。福岡市では、犯罪のない安全で住みよいまちづくりの実現を目指し、市民の安全確保や地域防犯活動に取り組んでいます。

 福岡市が策定をした福岡市防犯のまちづくり推進プラン、平成31年度までの5カ年計画がありますが、その地域防犯活動支援の防犯カメラの設置に対する助成についてお伺いをいたします。

 防犯カメラに関する市民意識は、9割以上の方が安心、安全な日常生活を送る上で効果があると考えています。過去、防犯カメラについては何人もの議員が質問をしてきましたが、行政は思い切った施策をとってきませんでした。市民の安全、安心に対する認識が低いと言わざるを得ません。

 初めに、犯罪のない安全で住みよいまちづくりの実現に関し、基本理念をお示しください。

 次に、福岡市街頭防犯カメラ設置補助金制度によって取りつけられた防犯カメラのこれまでの設置数と助成金額及び保守費について、過去5年間の推移と今年度の予算をお示しください。

 また、平成30年度の設置予定数と予算要求額、及びその考え方をお示しください。

 さらに、補助申請者は防犯カメラを何台まで申請できるのか、希望する台数が助成可能な台数より多い場合はどうするのか、あわせてお答えください。

 子どもたちを取り巻く劣悪な犯罪がふえていることから、小中学校の通学路や子どもたちの遊び場となる公園などに防犯カメラを設置すべきであると考えます。

 そこで、福岡市街頭防犯カメラ設置補助金制度を活用した防犯カメラの設置場所をお尋ねいたします。また、通学路に設置しているかを含めてお答えください。

 あわせて、道路上、公園での犯罪認知件数について、過去3年間でお答えください。

 福岡市における刑法犯認知件数の推移を見ると、平成14年の5万7,578件をピークに減少しており、平成25年は2万3,399件とピーク時に比べ約6割減少していますが、人口1,000人当たりで見ると、政令指定都市中ワースト上位で推移しているなど、憂慮すべき状況にあります。そこで先日、地域一体型の社会インフラ整備に全国で取り組んでいる一般社団法人安全・安心まちづくりICT推進機構の代表にお話をお聞きしました。この団体は、飲料自動販売機の売上金の一部を活用して、防犯カメラ等の整備事業を行っています。具体的な事業の取り組みとして、原則、行政が支払う防犯カメラ及び設置費、保守点検費などの手数料は無料、ICT推進機構が支払う電気代、行政財産使用料は自治体ごとに相談して協定を結びます。この事業を採用している世田谷区では、ICT推進機構と協定を結び、行政は自販機を設置する場所を無償で提供することで、自販機の設置台数12台より多い25台の防犯カメラを設置することを実現しています。ICT推進機構は、自販機会社より自販機の売り上げの一部を受け取ることで、防犯カメラの設置や保守点検などを請け負うことができるようになっています。本庁舎等に設置している自販機については、平成22年度から財産の有効活用と新たな財源確保のため、公募によって設置することを推進されていますが、公民館など収益性が低いと思われている箇所には自販機を活用した防犯カメラを取りつけてみてはいかがかと考えます。

 では、公民館147館における現在の自販機及び街頭防犯カメラの設置方法及び状況についてお答えをください。

 またあわせて、設置されている自販機に付加された機能などがあればお答えください。

 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 初めに、入院患者の転院支援の御質問についてお答えいたします。

 まず、転院が生じる仕組みに関する国の方針についてのお尋ねでございますが、国は高齢化等への対応として医療制度改革を進めており、その中で急性期や回復期といった患者の病態などに適合した適切な医療機関で治療が受けられるように、各医療機関の役割分担の明確化と相互連携を求めております。また、各都道府県に対し、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年に向けた、あるべき医療提供体制の姿を明らかにする地域医療構想の策定を義務づけ、病床の機能分化、連携を進めることとされております。

 次に、各病院の役割分担につきましては、この地域医療構想の中で、病床を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの機能に区分することとされており、各医療機関では、この4つのうちいずれかに相当する医療機能を病棟単位で選択して提供しております。このことにより、例えば、急性期治療を終えた患者が引き続き入院による治療を必要とする場合には、回復期の病院へ転院し、また、空いた病床は急性期治療を必要としている新たな患者が利用できるようになることから、常に各患者が状態に応じた最良の医療を適切な時期に受けることができるような体制となっております。

 次に、平成28年度の医療安全相談窓口の相談件数につきましては、合計で1,858件でございます。

このうち25件が医療機関から転院、退院を求められたもので、その内容といたしましては、大部分が御自身の要望などを全て医療機関側へ伝えられていないことによるものでございました。これらの相談に対しては、患者側の希望や不安などを医療機関側へ率直にお伝えするよう助言しておりますが、病院への不信感などから、御納得いただけない事例も数件ございました。

 次に、転院先がどのように探されているのかというお尋ねでございますが、通常、各医療機関に設置している地域連携室や相談窓口において、医療ソーシャルワーカーを初めとした医療従事者が患者の病態等に応じた転院先を紹介しております。また、地域連携室などを設置していない医療機関においては、担当の看護師等がその役割を担っております。

 次に、転院先を探すに当たっての情報につきましては、各医療機関の地域連携室や医療ソーシャルワーカー等が、これまでの実績や独自で収集した情報を活用するほか、福岡県が提供しておりますインターネット医療情報サービス、ふくおか医療情報ネットも活用されていると伺っております。

 引き続き、骨髄ドナー助成制度についての御質問にお答えいたします。

 まず、ドナー登録ができる方でございますが、骨髄、末梢血管細胞の提供の内容を十分に理解している方で、年齢が18歳以上54歳以下で健康な方、体重が男性で45キロ以上、女性で40キロ以上の方となっており、満55歳の誕生日で登録取り消しとなります。

 次に、ドナー登録の方法でございますが、骨髄バンクドナー登録申込書を主に献血会場などの登録窓口へ持参し、窓口にて2ミリリットルの採血を行い、登録が完了いたします。

 次に、骨髄移植が必要な主な病名は、白血病、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、リンパ系悪性腫瘍などでございます。

 移植の方法といたしましては、患者は前処置として抗がん剤投与や放射線照射でがん化した骨髄細胞を破壊し、その後、ドナーから採取した骨髄液を患者の腕の静脈に点滴することで正常な造血幹細胞を骨髄に復活させ、血液をつくる能力を回復させます。福岡県で現在、移植希望登録をされている人数は、平成2912月末現在で77人となっております。

 次に、福岡県の骨髄ドナー登録者の過去3年間の登録数、取り消し数、純増数及び骨髄等の提供者数でございますが、平成26年度の新規登録数が1,179人で、取り消し数が911人、純増数が268人、骨髄等の提供者数が71人であり、平成27年度の新規登録数が1,279人で、取り消し数が1,017人、純増数が262人、骨髄等の提供者数が54人であり、平成28年度の新規登録数が1,426人で、取り消し数が915人、純増数が511人、骨髄等の提供者数が68人となっております。

 次に、官公庁及び民間企業のドナー休暇制度の概要についてでございますが、国家公務員につきましては、平成5年からドナー休暇制度を導入されており、必要と認められる期間について特別休暇が認められております。地方公務員につきましても、約8割の自治体がドナー休暇制度を導入しており、福岡市でも必要と認められる期間、特別休暇を取得することができます。民間企業につきましては、日本骨髄バンクにおいて確認がとれている企業及び団体の数は全国で341社でございます。

 最後に、福岡県内で骨髄ドナーの助成制度を行っております市町村は、北九州市、古賀市、新宮町、うきは市、大木町、柳川市、みやま市でございます。助成内容につきましては、骨髄の提供を行う骨髄ドナー個人に対し、通院や入院1日当たり2万円、最大14万円を上限とする費用を助成されております。実績につきましては、北九州市が平成29年度が1月末現在で4件、その他の市や町の実績はございません。

 政令指定都市につきましては、先ほどの北九州市のほか、新潟市、さいたま市、静岡市、名古屋市、京都市が福岡県内で実施している自治体と同様の助成となっており、そのほか岡山市が通院1日当たり5,000円、入院1日当たり2万円で、上限が105,000円の助成、千葉市が一律10万円の助成でございます。このうち、さいたま市、京都市、岡山市、千葉市は、府や県から助成金額の2分の1の補助を受けております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 防犯カメラの設置についてお答えいたします。

 まず、犯罪のない安全で住みよいまちづくりの実現に向けた本市の基本理念につきましては、福岡市犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例におきまして、市民等はみずからの安全はみずからで守り、地域の安全は地域で守るという防犯意識のもとに、地域防犯活動に主体的に取り組み、地域社会のきずなの強化を図ること、また、市は関係機関との連携のもと、市民等が行う地域防犯活動の促進を初めとした防犯施策を推進することとしております。

 次に、街頭防犯カメラ設置補助金制度による過去5年間の設置数及び助成の決算額につきましては、平成24年度は64台、1,499万円余、25年度は159台、3,632万円余、26年度は145台、3,895万円余、27年度は96台、2,552万円余、28年度は220台、6,009万円余となっており、29年度の設置予定数及び助成予定額は、126台、約3,000万円となっております。保守費につきましては地域が負担することとなっており、1台当たり電気代を含み年間6,000円から3万円程度と聞いております。

 次に、平成30年度の街頭防犯カメラの設置につきましては、29年度に事前申請していただいたものに対して助成することとしており、30年度の予算額は107台分、2,050万円余となっております。

 また、申請台数につきましては、多くの地域団体に設置していただきたいと考えており、1団体につき年間4台を限度としております。なお、4台を超える設置を希望される団体は、複数年度にわたり申請していただくことを可能としております。

 次に、街頭防犯カメラの設置場所につきましては、通学路を含む道路等を撮影できる場所に設置していただいております。

 また、福岡市の道路上における刑法犯認知件数の過去3年間の推移につきましては、平成271,811件、281,707件、291,418件となっており、福岡市の公園における刑法犯認知件数の過去3年間の推移は、平成27207件、28204件、29164件となっております。

 最後に、公民館における自動販売機の設置状況につきましては、設置を希望した公民館47館に47台を設置しており、機能としましては災害時に自動販売機内の飲料が無償提供可能である災害対応型となっております。

 また、公民館敷地内の街頭防犯カメラの設置は、自治協議会等からの設置要望があった場合に許可しており、設置された台数は8館13台でございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 篠原達也議員。

○18番(篠原達也) 2回目に移ります。

 初めに、入院患者の転院支援についてです。

 各医療機関は、急性期や回復期等のいずれかの医療機能を選択しているという実態は理解をいたしました。

 一方、転院は場所を初め、担当医や看護師なども全て変わるわけですから、患者やその家族にとっては大きな負担となる可能性があります。ほとんどの場合は医療機関側が提案した転院先で問題なく済んでいるのでしょうが、中には病院から紹介をされても、高額な費用や通いにくい場所にあるなどの理由で悩むケースがあり、場合によっては患者や家族が転院先を自力で探さなければならないというケースもあるようです。私のもとに以前寄せられた御相談では、2011年に御主人が脳梗塞で倒れてから2016年7月に亡くなるまで、初めは病院、自宅、病院と、入退院を繰り返していましたが、2013年ころからは認知症が進行し始め、病院や施設を転々とされていたようです。その際、転院先を紹介されてもマッチせず、自分で区役所や福祉事務所などを訪ね歩いて相談をされたり、やっと転院先が見つかっても、バスと電車を乗り継いでいかないと行けないような不便な場所であったりといった御苦労もあったようです。

 このように、転院先に関する患者、家族側の要望と、実際に紹介される医療機関等の間に生じる溝について、どういった原因が考えられるのでしょうか、御所見をお尋ねいたします。

 こういった溝を埋め、転院を円滑に進めるため、東京都では、所在地や保有病床、病棟、おおよその月額入院費用、対応可能な医療処置などの条件によって該当する医療機関を検索できる転院支援情報システムを運用しています。このシステムを利用できるのは、医療機関で転院支援を担当する医療ソーシャルワーカーら医療従事者のみではありますが、詳細な条件で検索できることから、患者の状態などを踏まえながら、より希望する条件に近い転院先を探し出すことに役立っていると聞いています。

 そこで、福岡県においては先ほどの答弁にもありました、ふくおか医療情報ネットいう類似のシステムも活用されているようですが、この点について東京都の支援システムと比較をした場合、どのような状況になっているのか、お尋ねいたします。

 あわせて、このシステムの効果と活用について伺います。

 次に、骨髄ドナー助成制度についてです。

 岡山県では、平成28年度から県内のドナー助成制度を導入した市町村を対象に、予算の半分を県が助成する制度を実現しました。この取り組みにより、県内28全市町村でドナー助成制度が導入されました。また、埼玉県の場合は、ドナーの負担を軽減しようと、埼玉骨髄バンク推進協議会が県議会に請願書を提出しました。この請願が採択をされたことを受け、県が事業化し、63全市町村がドナー助成制度を導入しました。

 そこでお尋ねいたしますが、福岡県では骨髄ドナーの助成制度はありますか、あるのであれば、福岡市で独自の助成制度を整えれば利用することができるのではないかと考えますが、いかがお考えですか。

 ここでパネルがありますので、ちょっとこの紹介をいたします。(パネル表示)これは埼玉県の平成26年度から28年度の補助金の事業予算は、毎年、この3年間、595万円です。この内容が、先ほどありましたように、1日2万円掛ける7日間を上限として85人分で、この2分の1が埼玉県から補助をされます。この一番下の平成26年度からの提供者数と助成人数などの実績を示したのが、このパネルになります。例えば、この28年度では、埼玉県内の提供者数は66人ですが、このうち制度を利用したドナーが県内で50人となっており、さらに、そのうちさいたま市で制度を利用した人数は11人です。ですから、助成額は77万円となっております。ちなみに、参考として、福岡県の提供者数も提示をさせていただきました。同じく平成28年度、福岡県内の提供者は68人で、ほぼ埼玉県と同数ですが、このうち、先ほど答弁がございました福岡県内で独自で骨髄ドナーの助成制度を行っている7市町で唯一実績のある北九州市でも助成件数わずか4件です。助成額に対して、最大で考えても北九州市は56万円です。福岡県が助成制度を創設すれば、半額の28万円です。先行しているさいたま市でも、27年度はさいたま市で21人に助成をしている実績がありますが、その場合も助成額は147万円となっております。過大な財政負担にはなっていないものと考えます。これは埼玉県では県が助成をしていますので、全体では294万円かかりますが、その半額で147万円ということです。

 また、ドナーが勤務する事業所にも助成金を支払う自治体が出てきています。本市の職員もドナー休暇制度を取得できるということですが、このような取り組みについて本市のお考えを伺います。

 東京都では、ドナー制度を導入した市区町村に対して、都が助成金の半分を出しています。担当者は仕事を休めないというドナーの障害を取り除きたいと説明をしています。ただ、自治体ごとの支援では地域により金額のばらつきが出るため、東京都ではドナーを対象にした休業補償制度の創設を国に要望しています。

 福岡市においても国に対して骨髄ドナー休業補償制度の創設を要望すべきと思いますが、いかがお考えですか。

 3つ目が、防犯カメラの設置についてです。

 過去3年間の道路上及び公園における刑法犯認知件数はいずれも減少傾向にはありますが、一概に街頭防犯カメラの影響だけとは言えませんが、それ以外の取り組みや積極的な活動の成果が反映されていると考えられるでしょう。また、公民館に設置されている自販機は災害対応型で、災害時には飲み物を無料で提供します。このような自販機を活用した各種の事業があります。

 今回の提案は、自販機を活用した防犯カメラの設置です。この事業の特徴は、防犯カメラ及び設置費、保守点検費は全て無料、行政は自販機と防犯カメラの設置場所を提供するだけ、全ての費用は自販機の飲料売上金により賄われ、自販機の契約期間中は市の負担はなく、防犯カメラと自販機は別々の場所に設置をすることができます。平成24年度から街頭防犯カメラの補助制度により設置をされてきましたが、通学路については防犯カメラの設置状況を具体的に把握をしていないということには驚きました。地域への安心、安全の意識をもっと高めるべきです。

 そして、街頭防犯カメラの把握については市としてしっかりと設置状況を把握することが大事ではないでしょうか。お尋ねをいたします。

 地域との協働により、街頭防犯カメラの設置台数はふえてはきていますが、保守費については地域が負担することになっています。地域の安全、安心のために設置している防犯カメラなのに、その保守費用が重荷になっているという話を聞きます。

 そこで、地域の負担を軽減する方策はないのか、御所見をお伺いいたします。

 また、自販機を活用した防犯カメラの設置事業は、行政が自販機を設置できる場所だけでは必要な売り上げが得られず、十分に防犯カメラを整備できない場合もありますので、その場合は民間に協力を求め、民有地にも自販機を設置させてもらうなど、官民一体型という方法もあります。これを採用している奈良県の王寺町では、行政で自販機を20台、民間で自販機を2台設置し、手数料は行政が負担をし、防犯カメラを設置しています。

 それでは、民間などとの協力により街頭防犯カメラを設置した事例はありますか、あれば教えてください。

 もう一つ、別の方法で自販機を活用した防犯カメラの設置事業を行っている事例があります。まず、行政で先行的に実施し、事例を示すことにより、民間にも紹介し実施を促す、官から民への形です。沖縄の浦添市がこの事業を採用した大きな理由は、カメラの保守費が不要という点です。沖縄では基地の関係で防犯カメラは国から補助金が出ていますが、どの市町村も2年目以降の保守費がかさんで苦しんでいました。このように、まずは試しに行政で採用し、それから民間に波及させるというのが理想ではないでしょうか。今後は、インフラ整備としても民間の知恵と工夫を活用していく必要があります。さらにもう一例、京都府から約90分ほどかかる人口1万人弱の小さな町、宇治田原町では、以前から自治会から防犯カメラを公民館に設置してほしいとの要望がありましたが、予算がなく、町の担当者も頭を抱えていました。公民館は町の中心からさらに離れており、住民も少なく、自販機を設置しても売り上げが期待できないとのことでした。自販機業者の見込みは月100本、少なくとも250本は売れないと厳しいと。そこで、自治会と相談をし、会合があるときは必ず自販機を利用してほしいとお願いをし、自販機を活用した防犯カメラを設置することができました。地域の安心、安全に寄与をしています。

 街頭防犯カメラの取り組みがさらに加速するよう、自販機を活用した防犯カメラ設置を推進すべきと考えますが、公民館など、まず可能なところから試行的に設置してはいかがですか、お尋ねいたします。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 初めに、入院患者の転院支援の御質問についてお答えいたします。

 転院に当たり患者側の要望と医療機関との間に生じる溝の原因につきましては、医療機関の提示する転院先の候補は、最良の医療を適切な時期に提供することを目的に、当該患者の状態や必要と思われる医療、リハビリ等の内容を第一に考慮し選定されます。その上で転院先の空きベッドの状況や患者、家族の御意向などを勘案して提示されておりますことから、必ずしも全ての要望に沿えない事例が生じているのではないかと思われます。

 次に、ふくおか医療情報ネットにつきましては、災害用などの特殊なものを除き、全てが一般の方向けの情報となっており、東京都のような医療従事者だけがアクセスできるページはございません。ふくおか医療情報ネットは、住民や患者が医療機関を適切に選択できるよう、各種医療情報の報告を医療機関へ義務づけ、それを公表することで、ばらつきのない情報を都道府県単位で提供することを目的とした医療機能情報提供制度に基づき作成されております。

 このため、本来対象として想定されている患者側の情報収集に役立てられているほか、疾患や治療内容等ある程度詳細な情報が検索できることから、医療ソーシャルワーカーなどの医療従事者にも有効に活用されていると伺っております。

 次に、骨髄ドナー助成制度についての御質問にお答えいたします。

 まず、福岡県の骨髄ドナー助成制度についてでございますが、福岡県においては骨髄ドナーの助成制度はないため、利用することができません。

 次に、ドナーが勤務する事業所への助成金についてでございますが、ドナー登録者をふやすためには事業所の理解は必要であり、事業者への助成についてもドナー登録者をふやすための選択肢の一つとして考えられますが、基本的には国や県において広域的に行われることでより大きな効果が得られ、都道府県からの支援により助成制度を導入する市区町村もふえるものと思われます。

 最後に、骨髄ドナー休業補償制度創設についての国への要望についてでございますが、骨髄ドナー休業補償制度はとても重要な制度であると考えております。全国の都道府県や政令指定都市で組織されております全国衛生部長会の衛生行政の施策及び予算に関する要望書において、骨髄ドナー休業補償制度創設についての要望がなされているところであり、福岡市といたしましても、ドナーが安心して骨髄提供ができるよう国に対し引き続き要望してまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 下川市民局長。

市民局長(下川祥二) 防犯カメラの設置についてお答えいたします。

 まず、街頭防犯カメラの把握につきましては、警察や地域と連携し、全市の設置状況を把握することといたしております。

 次に、街頭防犯カメラの保守費につきましては、地域において負担を感じるとの意見があることは認識しており、保守費に関する地域の負担のあり方につきましては今後検討してまいります。

 次に、民間企業等の協力により街頭防犯カメラを設置した事例につきましては、民間団体が自治協議会へ10台の街頭防犯カメラを寄贈した事例などがございます。

 また、自動販売機を活用した防犯カメラの公民館などの施設への設置につきましては、他都市の状況等も調査し、全市的なルールづくりも含め検討を行ってまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 篠原達也議員。

○18番(篠原達也) 3回目に入ります。

 初めに、入院患者の転院支援についてです。

 東京都では、転院支援情報システムが2014年に稼働開始してからの運用状況を踏まえて、2016年に機能改修を行い、これまで病院のみだった検索対象に有床診療所が追加され、検索可能な医療機関が650から1,000強に拡大し、検索項目や検索方法も拡大されました。これに伴い、月平均229件だったアクセス数が現在では360件を超えているそうです。また、探しにくいと言われているアルコール依存症治療病棟が検索項目に追加をされたことから容易に探し出せるようになり、転院支援の大きな後押しになったといいます。従来の転院支援では、医療機関名簿などの資料が主な情報源だったため、詳しい内容はソーシャルワーカーらが各病院に直接問い合わせないとわからなかった。これがシステムの導入によって、担当者が都内全域の医療機関の情報をスムーズに入手し、提示できるようになりました。担当ソーシャルワーカーは、自分の知識とあわせてシステムを有効に活用し、患者さんや御家族の負担を軽減したいと話しています。

 そこで、この質問の最後に、本市においても東京都のような転院支援システムの導入について福岡県と協議するなど、転院支援策を検討すべきと思いますが、御所見をお伺いします。

 骨髄ドナー助成制度についてです。

 命を救いたいというドナーの善意で成り立つ移植医療です。

 白血病や骨髄移植が描かれた映画「世界の中心で、愛をさけぶ」、「半落ち」、(パネル表示)それと、これが最近出ていますポスターですが、「僕が卒業しても」、これは木下ほうかさんがACジャパン支援キャンペーンに出たポスターで、この反響は著しく牽引をしているということでした。テレビやラジオ、映画で取り上げられるたびに、この登録者は一時的にはふえますが、今後は若年層のドナー登録の推進が求められています。

 福岡県ではドナー助成制度はないということですが、福岡県内で7市町村が単独で助成を開始しています。本市職員もドナー休暇制度を取得できます。公正公平の観点からも、福岡市民の骨髄ドナー提供者に対する助成制度を行うべきと思いますが、福岡市も北九州市に続いて助成制度を開始してはいかがですか、お尋ねいたします。

 その上で、県に助成制度の創設を要望すべきと思いますが、いかがお考えですか。

 日本骨髄バンク広報チーム担当者は、ドナー助成制度は自営業者や非正規雇用のドナー、また育児や介護をしているドナーにとって提供に伴う経済的負担を軽減するもので、提供しやすい環境づくりの一環と考えると期待されています。

 この質問の最後に、本市の骨髄移植に対する支援の充実について、島市長の決意をお伺いします。

 最後に、防犯カメラについてです。

 地域の安全、安心は地域全員が協力して守るということが基本です。特に事件、事故が起こった公園、施設、道路上等では、防犯カメラの設置が急務です。公民館で災害対応型の自販機を活用した防犯カメラも設置することは可能です。公民館に防犯カメラが必要なければ、違う場所にも設置ができます。

 最後に、島市長の防犯に対する決意をお聞きして質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 初めに、入院患者の転院支援についての御質問にお答えいたします。

 転院支援策の検討に関するお尋ねでございますが、進展する高齢化などに対応するため、病院の機能分化は今後ますます進むものと考えており、それに伴い、患者の転院も増加する可能性があることから、患者や御家族の御要望にも応えることができ、また、患者の容体に合った医療機関へ円滑に転院できる体制を整備することは大変重要なことであると考えております。今後とも、福岡県と情報共有を図り、また、国の動向や他都市の状況なども把握しながら、福岡市として可能な転院支援策について検討を行ってまいります。

 次に、骨髄ドナー助成制度の御質問についてお答えいたします。

 福岡市での骨髄ドナー助成制度の創設についてでございますが、骨髄ドナーへの助成制度は、広域的に行われることでより大きな効果が得られるとともに、自治体ごとの支援では助成内容などのばらつきが出ることも考えられることから、まずは県において市町村に対する補助制度の創設が必要であると考えております。このようなことから、福岡県に対して補助制度の創設を要望してまいりますとともに、導入している他の自治体において効果をどのように評価しているかなどの調査を行ってまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 骨髄移植に対する支援についてでございますが、骨髄移植や末梢血幹細胞移植は、白血病や再生不良性貧血などの難治性血液疾患に対する有効な治療法と聞いております。また、骨髄ドナーを支援する助成制度の取り組みは、広域的に行われることにより、大きな効果が得られると考えられるため、骨髄ドナー特別休暇制度の普及拡大や、ドナーが骨髄などの提供に伴う入院、通院などのために休業する際の補償制度の創設などについて、国や県に対し要望を行ってまいります。今後も、多くの市民の皆様に骨髄移植に関心を持っていただき、骨髄ドナーが安心して骨髄などを提供できるような仕組みや環境づくりを国や県、日本骨髄バンクなどの関係団体と協力をして推進をしてまいります。

 次に、犯罪のない安全で住みよいまちづくりを実現させますことは、生活の質の向上の基盤となるもので大変重要だと認識をしており、福岡市犯罪のない安全で住みよいまちづくり推進条例に基づきまして、犯罪防止の啓発活動及び地域防犯活動への支援や防犯に配慮した環境整備をするなど、ソフト、ハードの両面から防犯のまちづくりを推進しております。

 篠原議員御指摘のとおり、街頭防犯カメラにつきましては、市民の防犯意識の高揚や犯罪の抑止などの観点から非常に有効な手段でありまして、設置促進に取り組んでまいります。今後とも、地域団体、企業、警察などとさらに緊密な連携を図り、街頭防犯カメラの設置促進に向け取り組むなど、犯罪のない安全で住みよいまち福岡の実現に向けて全力で取り組んでまいります。以上です。

 

副議長(石田正明) 浜崎太郎議員。

○35番(浜崎太郎)登壇 みらい福岡の浜崎太郎です。このたびはいろいろ本当にありがとうございました。多分明るく行けと言っていると思いますので、元気よく前に進んでいきたいと思います。

 私は、みらい福岡市議団を代表し、国分議員の代表質問に関連し、大規模市営住宅を抱える校区について、障がい者施設の活動支援について、医療的ケア児に対する保育について、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業について、以上4点について補足質疑を行います。

 最初に、大規模市営住宅を抱える校区についてお尋ねします。

 先日、板付北校区の歴代の自治協議会長さんで私の同級生のお父様から、近年は若い子育て世代が減ってきて、子どもの数も減ってきている。校区の行事がだんだんできなくなってきているというお話がありました。

 板付北小学校の児童は、卒業後、現在は板付中学校に通っていますが、以前は私の母校である三筑中学校にたくさん通ってきていて、学校活動の中心を担ってくれていました。私が感じることは、当時、多くの児童生徒が市営住宅に住んでいたということです。今はどうなっているのでしょうか。

 博多区全体の小学校児童数は、2000年の8,024人から2016年には8,587人に増加していますが、板付北校区の状況を見ると、板付北小学校では、2000年は591人、2016年には358人と逆行して大幅に減少しています。6歳未満の子どものいる世帯数では、2000年は737世帯あったのですが、2015年には449世帯と、これも大幅に減少をしています。

 お聞きすると、板付北小学校の児童数は、最近は横ばいで推移しているらしいのですが、私が小学生のころと比べると、驚くことにおよそ1,000人も減っているそうです。以前とは随分減少していることは、じかに感じます。

 一方、65歳以上の高齢者がいる世帯は、2000年は964世帯から2015年には2,026世帯に急激に増加をしています。これは何か施策を考えなければならないのではないかと本気で考えます。

 福岡市には、このような校区が多くあると思います。そこで現在、1,000戸を超える大規模な市営住宅の戸数と高齢化率についてお尋ねします。

 また、その市営住宅が立地する校区のうち、2000年度と2017年度の比較において、児童数が100人以上減少している小学校について、それぞれの学級数及び児童数をお尋ねします。

 次に、障がい者施設の活動支援についてお尋ねします。

 私は、平成16年から知的障がい者施設の施設長を7年間務めてきました。障がいを持つ施設利用者の皆さんと一緒に素材にこだわったお弁当をつくり、特に高齢者の方々を中心に一軒一軒御自宅にお届けをして、毎日の食の提供を担い、地域の皆さんから必要とされる施設でありたいという思いで活動をしていました。その当時は、障がい者施設がお金を稼ぐということは大変困難なことで、活動したくても皆そういった機会を得ることに苦戦していて、なかなか思うような利益を出すことができませんでした。

 そのような中、福岡市は障がい者施設の施設長を集めて、ビジネスの講座を開いたり、市役所前広場でイベントを行ったりと熱心に支援活動を行ってくれました。そのようなさまざまなサポートをいただき、また、施設の皆様も努力された結果、今現在は当時に比べ、世間一般の皆様にも施設の周知が進み、活動が盛んになって利益も上がってきていると感じています。

 その後、障害者優先調達推進法が平成25年4月1日より施行されています。この法律は、障がい者就労施設などで働く障がい者の経済面での自立を進めるため、国や市などの公的機関が物品やサービスを調達する際、障がい者就労施設などから優先的、積極的に購入するよう定められているものです。

 近年、福岡市の障がい者施設が取り組む活動は多岐にわたり、さまざまなサービスを提供していると思いますが、福岡市では障害者優先調達推進法の趣旨を踏まえ、障がい者施設からの物品等の優先的な調達について、どのような方針を立てられているのでしょうか。過去3年間の調達金額の推移とあわせてお尋ねします。

 また、昨年度の調達金額は、他の政令市と比較するとどうなったのか、お尋ねいたします。

 次に、医療的ケア児に対する保育についてお尋ねします。

 医療技術の進歩等により、いわゆる医療的ケア児は増加していると言われておりますが、こうしたお子さんたちが安心して生活していくためには、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要とするため、保健や医療、障がい福祉だけでなく、児童の心身の状況に応じたさまざまな支援が重要となってまいります。

 このような状況を踏まえ、平成28年度に児童福祉法が改正され、関係機関の連絡調整に関する体制の整備について地方自治体の努力義務が規定されました。あわせて、国から通知が出され、保育分野においては、医療的ケア児についても、保護者の就労等によるニーズを受けとめ、これを踏まえた対応を図っていくことが重要であり、医療的ケア児の保育ニーズに応えられるよう、看護師の配置などについて地方自治体による配慮を求められたところであります。

 そのため、今年度からは医療的ケア児の地域生活支援の向上を目的に、地方自治体による保育所等での医療的ケア児の受け入れが可能となるような体制整備の取り組みを国が後押しする医療的ケア児保育支援モデル事業が開始されております。

 そこで福岡市においては、医療的ケア児の保育所等での受け入れは現在どうなっているのか、お尋ねいたします。

 次に、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業についてお尋ねします。

 西鉄天神大牟田線は、福岡市と福岡県南部地域とを結ぶ交通の大動脈であり、市民生活や経済活動を支える重要な役割を担っております。しかしながら、日々多くの利用者があり、運行本数も朝夕を中心に非常に多いために、西鉄雑餉隈駅付近の踏切では、遮断時間が長くなる通勤、帰宅ラッシュ時を中心に交通渋滞が慢性化しており、踏切事故の危険性もはらんでいるなど、沿線住民の日常生活にも大きな影響を与えており、安全で快適なまちづくりを行う上での支障となっております。

 これらの問題を解決するために、西鉄雑餉隈駅付近では踏切を一気になくす連続立体交差事業が進められていますが、高架橋工事は最盛期に差しかかってきたようで、最近では線路沿いに立ち並ぶ橋脚の数が日に日にふえてきており、高架化される鉄道の姿が何となくイメージできるようになってまいりました。また、ことしに入り、雑餉隈駅も平面の仮駅舎への切りかえが完了したところです。

 このように、西鉄雑餉隈駅付近の連続立体交差事業は目に見える形で進んできており、沿線住民の皆様の鉄道高架化に対する期待はますます高まっていると思われます。

 一方で、事業の進捗に伴って、これから建設される鉄道の高架橋とほぼ同じ高さにある筑紫通りの麦野跨線橋を解体する必要がありますが、交通量の多い筑紫通りを通行どめにしないよう、麦野跨線橋を平面の仮設道路に切りかえる予定であると伺っております。そうなりますと、事業を進める上で避けられないこととはいえ、鉄道が高架化されるまでの間は一時的に筑紫通りに新たな踏切が設置されることになりますので、通勤や帰宅のピーク時を中心に渋滞が懸念されます。

 そこで、未確定の部分もあると思いますが、大まかで構いませんので、まず、西鉄雑餉隈駅付近の連続立体交差事業の進捗状況と今後のスケジュールについてお尋ねします。

 また、麦野跨線橋の仮設道路への切りかえに伴う交通渋滞についてお尋ねいたします。

 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 光山住宅都市局長。

住宅都市局長(光山裕朗) 大規模な市営住宅を抱える校区の御質問にお答えいたします。

 市内に176ある市営住宅のうち、1,000戸を超える大規模な市営住宅は5つございまして、それぞれの管理戸数と65歳以上の高齢化率につきましては、平成28年度末現在、東区の城浜住宅が約1,940戸で高齢化率は41.3%、博多区の板付住宅が約1,010戸で高齢化率は42.9%、中央区の福浜住宅が約1,950戸で高齢化率は46.4%、南区の弥永住宅が約1,520戸で高齢化率は42.0%、西区の下山門住宅が約1,890戸で高齢化率は38.5%となっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 大規模市営住宅が立地する校区についての御質問にお答えします。

 1,000戸を超える市営住宅が立地する校区のうち、平成12年度と平成29年度の比較において児童数が100人以上減少している小学校は、城浜小学校、板付北小学校、福浜小学校、弥永小学校の4校となっております。

 5月1日基準日の学級数と児童数の比較は、城浜小学校は13学級330人が8学級114人に、板付北小学校は17学級591人が13学級363人に、福浜小学校は12学級397人が8学級188人に、弥永小学校は15学級454人が13学級308人にそれぞれ減少しております。以上です。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 障がい者施設の活動支援についての御質問にお答えいたします。

 障がい者施設からの物品等の調達につきましては、毎年度、調達目標を盛り込んだ障がい者就労施設等優先調達方針を策定しております。

 その中で、障がい者施設でつくられる物品や提供可能な役務の種類、受注できる数量など、発注の際に必要な情報を庁内の各所属に提供するほか、障がい者施設において積極的に商品開発ができるよう、各所属が必要とする物品の情報を調査し、障がい者施設へ提供するとともに、各所属からの問い合わせに対応するため、受注コーディネート窓口の設置といった調達推進のための取り組みを定めているところでございます。

 過去3年間の調達金額につきましては、平成26年度が7,693万円、27年度が8,003万円、28年度が8,905万円と、徐々にですが毎年度増額しているところでございます。

 また、平成28年度の調達金額の全国の政令指定都市との比較につきましては、20政令指定都市中11番目となっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 医療的ケア児に対する保育についての御質問にお答えいたします。

 いわゆる医療的ケア児の受け入れ状況につきましては、市内の保育所で現在1名を受け入れておりまして、そのお子さんの医療的なケアは保護者が行っておられます。

 なお、保育所での受け入れに関する相談や問い合わせにつきましては、平成2912月末時点で6件いただいているところであります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 三角道路下水道局長。

道路下水道局長(三角正文) 西鉄天神大牟田線連続立体交差についての御質問にお答えいたします。

 雑餉隈駅付近の事業の進捗状況についてでございますが、平成22年度に事業を着手し、平成29年3月に仮線路への切りかえを行い、ことし1月には雑餉隈駅を仮駅舎に切りかえたところでございます。

 現在は鉄道の高架橋工事を進めるとともに、筑紫通りの麦野跨線橋の撤去に向けた仮設道路の工事を行っており、進捗率といたしましては、平成29年度末の事業費ベースで約69%を見込んでおります。

 今後のスケジュールにつきましては、引き続き鉄道高架橋の工事を進め、隣接する春日原駅下大利駅間の福岡県事業と同時の平成32年度、鉄道の高架切りかえを予定しており、その後、既設道路の撤去や側道の整備などを行い、平成35年度の事業完了を目指してまいります。

 また、来年度予定しております筑紫通り麦野跨線橋の仮設道路切りかえに伴う渋滞対策につきましては、当該道路の利用者や沿道の方々に対し、他の道路への迂回や車から鉄道利用への転換などをお願いするため、早い段階からわかりやすい予告看板やお知らせの横断幕の設置、ホームページやメディアを活用した効果的な広報などを行ってまいります。あわせて、通過交通の増加が懸念される周辺の通学路などにおける安全対策についても、しっかりと実施してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 浜崎太郎議員。

○35番(浜崎太郎) 2問目です。

 大規模市営住宅を抱える校区についてお尋ねします。

 市営住宅などの団地を抱える校区では、他の校区と比べて少子・高齢化の進行が速く、学校の運営への影響だけでなく、地域のコミュニティづくりにも大きな影響が出ていると感じます。もっと若い子育て世帯を呼び込む方策が必要ではないでしょうか。

 そこで、市営住宅の入居に当たって、子育て世帯への優遇措置制度の概要とこれまでの子育て世帯向けの募集戸数をお尋ねいたします。

 次に、障がい者施設の活動支援についてお尋ねします。

 福岡市は、もっと障がい者施設の活用を考えるべきと感じます。福岡市の責務でやらなくてはならないことが、少しおろそかになっているものがあるのではないでしょうか。

 例えば、野球場や公園の芝や草刈りなどです。私は過去に2度ほど、香椎パークポートの香椎浜野球場の芝刈りをやってほしいと東区役所に要望したことがあります。審判団の皆さんから、中学生の県大会を開催するのだが、余りに外野の芝がぼうぼう生えていてゲームにならないと相談があったからです。その都度、区役所は対応してくれて、大会も無事に終えることができましたが、なぜ毎回こんなことになるのかが私の疑問でした。これは多分、福岡市が業務を委託する際に、ほかの業務を含めた多くの仕事をまとめて発注していて、受注した事業者さんは、それらの業務のスケジュールを組み立ててあるとは思いますが、球場内の芝刈りのタイミングが芝の伸びぐあいに合致していなかったのではないかと感じています。とはいっても、野球場ですから、いつでもよいグラウンド状態で使用できるように保ってほしいものです。

 事務作業が増加するとは思いますが、この際、もっと委託する業務を細分化して発注してみてはどうでしょうか。そうすれば新しい受注先が誕生し、ひいては、より迅速かつきめ細かい市民サービスにつながるのではないかと感じています。

 そこで、現在、市が障がい者施設に発注している仕事はどのような種類があるのかについてお尋ねします。

 また、市が障がい者施設に発注している仕事のうち、野球場や公園の芝刈りのような仕事は障がい者施設にとっては得意な分野であって、十分に力を発揮することができるのではないかと感じますので、それらの仕事をもっと障がい者施設に発注すべきではないかと考えますが、御所見をお尋ねします。

 次に、医療的ケア児に対する保育についてお尋ねします。

 医療的ケアを行うことができるのは、法令により、医師や看護師等の有資格者や、県知事が行う研修を修了した保育士などの職員もしくは保護者に限定されております。しかしながら、保育士は日々の保育に一生懸命で研修を受講する余裕などないのではないでしょうか。また、保護者が保育所等で医療的ケア児に常に付き添い、必要なケアを行うというわけにもいきませんので、医療的ケア児の保育所等への入所には、医療的ケアを行うことができる看護師の配置が必要となります。

 そのため、医療的ケア児を各保育園で受け入れるためには、新たに看護師を雇用する必要がありますが、現実の問題として、保育園で看護師を雇用するということは、そう簡単なことではありません。ハローワークに求人を出したとしても、働きたいという人がすぐに見つかるかどうかはわかりませんし、もし見つかったとしても、医療的ケア児が必要とするケアの内容やその頻度は、それぞれのお子さん一人一人で異なりますので、その方が適任なのかどうかということを判断しなければなりません。さらに、雇用するにしても、医療的ケア児が卒園した後に新たな医療的ケア児が入園するかどうかはわからないとなれば、非正規の雇用でしか募集できないことも予想されます。不安定な雇用条件では、なおさらのこと人材が見つからない可能性が高くなるでしょう。

 こうした施設運営上の課題は、私立の保育園にとって負担が大きいと思います。これを各保育園が負わなくてはいけない状況のままでは、医療的ケア児に対する支援は何も進まないのではないでしょうか。

 先ほどの質問の中で、国は今年度から医療的ケア児保育支援モデル事業を開始したことに触れましたが、今年度は全国で23の自治体がこの事業を活用し、医療的ケア児の保育所等への受け入れを行っていると伺っています。

 そこで福岡市は、医療的ケア児に対する保育のため、今後どのような取り組みを行うのか、お伺いします。

 次に、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業についてお尋ねします。

 先ほどの答弁で、連続立体交差事業が順調に進捗しているようであり、安心しています。一日も早く高架化されることを期待しております。

 さて、鉄道が高架化されると、その下には新たな空間が生まれ、トータルでは相当大きな面積になると思われます。福岡市内での既存の高架下を見ますと、商業施設や駐車場、倉庫など、さまざまな用途に利用されているようです。高架下の大部分は鉄道事業者の所有地かと思いますが、中には公共施設用地として利用しているところもあるようです。福岡市内の既存の高架下でも多くの駐輪場が設置されていますし、東京の武蔵野市ではJR中央本線武蔵境駅付近の高架化に当たっては、平成19年に市民、団体を対象とした高架下に希望する公共施設に関するアンケートをとられたそうです。

 そこで、連続立体交差事業に伴い、西鉄雑餉隈駅付近の高架下において利用可能となる土地の面積は全体でどれくらいになるのか、お尋ねします。

 あわせて、高架下で福岡市が公共利用できる面積とその用途についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。

 以上で2問目を終わります。

 

副議長(石田正明) 光山住宅都市局長。

住宅都市局長(光山裕朗) まず、大規模な市営住宅を抱える校区の御質問にお答えいたします。

 市営住宅における子育て世帯への優遇制度の概要につきましては、子育て世帯への適切な居住の支援やコミュニティの維持、活性化を図るため、年4回の定期募集時における別枠募集や抽せん倍率の優遇、収入基準の緩和などの優遇措置を実施いたしております。

 このうち子育て世帯向けの別枠募集の戸数につきましては、平成28年度までの過去3年間では、平成26年度が108戸、27年度が119戸、28年度が99戸で、市営住宅全体における毎年度の募集戸数のうち、おおむね10%程度となっております。

 次に、障がい者施設の活動支援についての御質問にお答えいたします。

 公園の維持管理業務につきましては、作業内容に応じ分割して造園業者などに発注しており、除草作業などは市が指示する年間管理計画に基づいて行っておりますが、一部の清掃業務や花壇管理業務など専門性や危険性の少ない業務につきましては、障がい者施設に発注しているものもございます。

 議員おただしの野球場や公園などの除草作業を障がい者施設に行っていただくことにつきましては、履行能力や安全性の確保などの観点から、関係局などと協議しながら検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 障がい者施設の活動支援についての御質問にお答えいたします。

 福岡市から障がい者施設に発注している内容につきましては、物品の購入として、筆記具や封筒、ゴム印などの事務用品や、弁当やパン、菓子類などの食料品、身の回りの小物、雑貨などがあり、役務の提供として、ポスターやチラシ、リーフレットの印刷、シーツなどのクリーニング、公園や広場の清掃などがございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 医療的ケア児に対する保育についての御質問にお答えいたします。

 今後の取り組みについてでございますが、平成29年度に開始された国の医療的ケア児保育支援モデル事業は、平成30年度から全国60カ所に拡充される予定とされております。本市もこの事業を活用し、新たに博多区の市立千代保育所に1日8時間、看護師を配置し、医療的ケアが必要な児童を受け入れるモデル事業を実施することといたしております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 三角道路下水道局長。

道路下水道局長(三角正文) 西鉄天神大牟田線連続立体交差事業についての御質問にお答えします。

 鉄道が高架となった後の雑餉隈駅付近の高架下において利用可能となる土地の面積についてでございますが、全体面積でおよそ1万4,000平方メートル程度となる見込みであります。

 また、そのうち福岡市が公共利用できる面積につきましては、連続立体交差事業における施行方法や費用負担などを定めた国の要綱において、自治体が公共利用できる面積は全体面積の15%までとなっておりますので、およそ2,100平方メートル程度と見込まれ、その用途は現時点では駐輪場などとしての活用を考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 浜崎太郎議員。

○35番(浜崎太郎) 3問目です。

 大規模市営住宅を抱える校区についてお尋ねします。

 せっかく子育て世帯が入居しやすい優遇制度があるわけですから、さらに利用しやすいものに見直す必要があるのではないかと感じます。残念なのは、20年前にそういった子育て世帯向けの優遇措置をなぜとれなかったのか。今からでも遅くはないと思いますので、できればもっと拡充していただければ、さらに多くの子育て世帯が手を挙げてくれると思います。

 では、今できることとは一体どういったことがあるのでしょうか。

 例えば、市営住宅の建てかえ等により、新築の住宅が供給されるのであれば、それを子育て世帯向けに新しい基準で一定期間安い賃料で入居させ、徐々に賃料が上がるようなシステムを導入して、子育て終了後は転居するか、高い賃料を払って入居を続けるか選択できたりと、勝手な意見ですが、要するに、特に高齢化率が高い大規模市営住宅において、次の子育て世帯に循環されるような仕組みをつくることや、大胆に子育て世帯の募集枠をふやすなど、何か手を打たなくてはならないと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 今後ますます少子・高齢化が進む中、市営住宅が中心となっている校区の児童数減少などの改善に当たっては、子育て世帯をいかにしてその地域に呼び込むかが大変重要であると思います。

 この質問の最後に、大規模市営住宅を抱える校区のよりよい教育環境づくりに向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。

 次に、障がい者施設の活動支援についてお尋ねします。

 障がいのある方が利用される施設のうち、就労系の事業所と呼ばれるものに就労継続支援事業所がありますが、その事業所は、一般企業での就労が困難な障がい者に就労の機会を提供するとともに、生産活動を通じて就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練を行うところとなっています。障がいのある方も、その事業所で職員の支援のもと、お菓子やパン、雑貨などの物品の製造のほか、印刷やクリーニングなど作業を日々頑張っておられます。しかしながら、事業所側も職員の人手には限りがありますので、利用者にさまざまな支援を行いつつ、受注する仕事の種類や量をふやし、工賃の向上を目指すことは、多様な障がい特性を持つ利用者を受け入れている事業所にとって難しい状況にもあります。

 平成28年度に実施された福岡市障がい児・者等実態調査における意見では、障がい者の就労支援に必要なこととして、調子の悪いときに休みをとりやすくする労働時間の配慮を望む声が多い一方、工賃収入の増加を求める意見もありました。

 企業などでの一般就労が困難であり、福祉的就労の場である就労継続支援事業所を利用する障がい者の工賃水準を向上させ、障がいのある方が地域で生き生きと自立した生活を送るためには、行政、企業、地域の関係団体などが一体となって取り組みを推進していく必要があると考えます。

 福岡市におかれては、毎年度、障がい者施設等からの調達目標額を盛り込んだ福岡市障がい者就労施設等優先調達方針を策定し、障がい者施設からの商品、サービスの調達を積極的に行っているとのことですが、障がいのある方が利用する事業所の側も、それぞれの事業所での作業の質を高めるとともに、経営効率の改善や魅力ある商品の開発、新たな市場の開拓に向けた営業基盤の強化など、障がい者の工賃引き上げに向けた取り組みが必要だと考えます。

 しかしながら、昨今の障がい福祉サービス事業所を取り巻く厳しい状況の中、障がい者の工賃向上に向けた取り組みを行っていくためには、行政の役割は大変重要であると考えております。

 今後、福岡市は障害者優先調達推進法に基づく調達金額の日本一を目指してほしいと考えますが、御所見をお伺いします。

 次に、医療的ケア児に対する保育についてお尋ねします。

 平成30年度から福岡市が開始するモデル事業は、博多区の千代保育所で行うということですが、私が住んでいるまちからはとても通える距離ではありません。

 福岡市が公立保育所でのモデル事業の実施により、医療的ケア児に対する保育に向けて一歩踏み出したことは評価をいたします。しっかり取り組んでもらいたいと思います。しかしながら、モデル事業で千代保育所に入所できる医療的ケア児はほんの少数ではないでしょうか。福岡市がモデル事業を実施し、検証を行っている間にも、支援を必要とする医療的ケア児とその御家族の多くは悩み、大変困っているんです。福岡市は人口がもうすぐ160万人になろうとしている都市なのですから、他の地方自治体の模範となるような支援を積極的に行うべきではないでしょうか。

 そこで、モデル事業と同時進行で構いませんので、例えば、福岡市が看護師を10人程度直接雇用し、医療的ケア児を受け入れる保育所等に派遣する支援を検討してはどうでしょうか。そうすれば、医療的ケア児は自宅近くの通いやすい保育園に通うことができますし、きょうだい児と一緒の保育園にも通うことができ、保護者も安心して預けられます。私立の保育園などにとっても負担が軽くなり、医療的ケア児を受け入れやすくなるといった効果が見込まれ、医療的ケア児への支援がより一層促進されると考えますが、御所見をお伺いいたします。

 次に、西鉄、連続立体交差事業についてお尋ねします。

 先ほどの答弁で、西鉄雑餉隈駅の高架下には、とても大きな土地が新たに生まれることがわかりました。1万4,000平米、約4,200坪。高架下は西鉄の鉄道用地であるため、福岡市が公共利用できる分を除いた高架下をどう利用するかは所有者である西鉄が判断するものと思います。しかしながら、沿線の住民が希望する高架下の活用というものもあると思います。高架下なので柱も多く、土地の形状も細長いために使いにくい土地であると想像できますが、例えば、高架下が資材置き場として使われたり、フェンスで囲まれて殺風景であったりすれば、これまで線路で分断されていたまちとまちがつながる効果も薄れ、地域の活性化や住みやすいまちづくりという観点からは好ましくないと思います。

 沿線市街地の密集度や高架下の広さなどの点で事情が異なると思いますが、東京では、御徒町秋葉原周辺のショッピング街や阿佐ケ谷高円寺間の阿佐ヶ谷アニメストリートなど、鉄道事業者がみずからの土地を有効活用し、にぎわいを創出している事例が見られます。

 また、兵庫県尼崎市では、鉄道事業者が高架下を活用してグリーンリーフなどの野菜の水耕栽培を行っています。

 行政側でも、西鉄雑餉隈駅付近と同時に高架化される春日原駅から下大利駅にかけて、春日市では駅付近に導入してほしい公共施設と民間施設についてというアンケートが実施され、大野城市では沿線で並行して進めている市街地整備とあわせたまちの将来像が検討されています。

 福岡市が公共利用できる部分以外の西鉄が活用する高架下についても、地域住民の声を反映してもらうよう要望しておきます。

 一方、現在の西鉄バス雑餉隈営業所付近に西鉄が駅を新設されると聞いておりますが、新駅周辺での新たな交通結節点としてのまちづくりのイメージがまだなかなか見えてきません。新駅が開業すると、これまでの人や車の流れが大きく変わり、特に朝の通勤通学時間など駅に向かう人や車が集中することが懸念されるところです。連続立体交差事業が終わってから対応しても遅いことから、同時進行でしっかりと対策を講じておかないと、将来、整備が困難になるなど、新たな課題が発生することも考えられます。

 そこで、将来、人の流れが大きく変化することが予想される中で、雑餉隈地区が安全、安心なまちとなるよう、しっかりとしたサポートをする必要があると思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いして私の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 光山住宅都市局長。

住宅都市局長(光山裕朗) まず、大規模な市営住宅を抱える校区の御質問にお答えいたします。

 大規模な市営住宅を抱える校区におきましては、高齢化の進展や世代間バランスの偏りなどにより、担い手不足などコミュニティ活動の維持が困難となってきているため、子育て世帯などの入居を促進していくことが必要であると考えております。

 このため、現在の子育て世帯向けの優遇措置を引き続き実施するとともに、平成30年度からは特に高齢化率が高い大規模な市営住宅などを中心に、子育て世帯の別枠募集の割合をこれまでの約2倍となる20%程度に拡大してまいります。

 さらに、建てかえ事業における新築住宅についても、事業の進捗状況に配慮しながら、できる限り子育て世帯枠の確保に努めてまいります。

 今後とも、住宅困窮者の住まいを確保するという市営住宅の役割を踏まえながら、良好な世代間バランスの確保に努め、コミュニティの維持、活性化や子育てしやすい住環境づくりに取り組んでまいります。

 次に、西鉄天神大牟田線連続立体交差事業についての御質問にお答えいたします。

 雑餉隈地区のまちづくりにつきましては、今後、鉄道が高架化され、新駅が設置されると、さらに交通利便性が向上し、地区の魅力が高まっていくものと考えられます。

 このため、高架下の利用とあわせて、新駅における交通結節機能の強化や、既存駅も含めた駅周辺の安全で快適な歩行空間の確保などについて、地域の御意見をお伺いしながら、西鉄はもちろんのこと、道路下水道局や博多区とも連携して、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 大規模市営住宅が立地する校区についての御質問にお答えします。

 大規模な市営住宅が立地する校区には児童数が減少している小学校が多く、中には1学級20人未満の学級もあり、そのような小学校においては児童一人一人の状況に応じて教員がきめ細やかな指導を行うほか、学年の枠を外した縦割りグループで他学年や集団とのつながりを深めるなど、学校が創意工夫した教育活動を多く取り入れております。

 今後も、さまざまな創意工夫により、実態に応じた教育内容の充実を図ってまいります。以上です。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 障がい者施設の活動支援についての御質問にお答えいたします。

 障がい者施設からの調達の推進につきましては、担当副市長をトップとして障がい者施策推進本部を設置し、毎年度、調達目標を盛り込んだ方針を策定し、全庁的に取り組みを進めているところでございます。

 また、関係局で構成する推進本部の幹事会においても、障がい者施設とのマッチングを行う受注コーディネート窓口の紹介や各局の調達事例を共有するなど、調達額の拡大に取り組んでいるところでございます。

 このほか、市役所だけでなく、民間企業への販売を増額するため、障がい者施設を対象にマーケティングを専門とする講師を招いた講座を開催するとともに、有識者等で構成されるときめきプロジェクト推進委員会を設置し、商品の魅力アップや販売手法に関する意見をいただきながら、障がい者施設の営業力、販売力向上にも取り組んでいるところでございます。

 今後も引き続き、これらの取り組みをしっかりと進めるとともに、他都市の事例も参考にしながら、障がい者施設への発注拡大に努めてまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 医療的ケア児に対する保育についての御質問にお答えいたします。

 支援の促進に向けた検討についてでございますが、保護者の就労等に伴う保育ニーズがある一方で、議員御指摘の看護師の確保のほかに、当該児童の体調不良時や緊急時にどう対応するか、また、主治医や嘱託医、保護者とどう適切に連携していくか、それと、看護師や保育士に対する研修やサポートの実施など多くの課題もございます。そのため、モデル事業を通じて、求められる医療的ケアの内容や程度、また、医療的ケア児に対して安全、安心な保育を実施していく上での解決すべき課題等の把握、整理を行いまして、今後のあり方等について検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) この際、休憩し、午後2時55分に再開いたします。

午後2時44分 休憩  

午後2時55分 開議  

議長(川上晋平) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。池田良子議員。

○58番(池田良子)登壇 私は、福岡市民クラブ、太田英二議員の代表質疑を補足し、非公務員のモチベーションの向上について、一人一人の学びを保障する教育政策について質問をいたします。

 初めに、非正規公務員のモチベーションの向上についてです。

 全国の各自治体においては、厳しい財政状況のもと、市民のさまざまなニーズに応え、持続的な公的サービスを提供していくためとして、民でできることは民でと、行財政改革の名のもとに、業務の外部委託や指定管理者制度の導入などを推し進めています。その結果、総務省の調査では、全国における地方公務員数は、教育部門を除く一般行政部門のみを見ると、2015年以降は3年連続で増加、2017年の総職員数は約274万人で、対前年比で約5,000人余りの増加となっているものの、それは23年ぶりであり、1994年をピークとして、約54万人も減少しています。一方、臨時・非常勤職員数は、同じく総務省が実施した臨時・非常勤職員に関する実態調査によると、2005年約456,000人、2008年約498,000人、2012年約599,000人、そして2016年は約643,000人と、年々増加の一途をたどっています。職員に占める臨時・非常勤職員の割合も13.0%から14.7%、17.9%、19.0%と増加をしています。福岡市役所においても、常勤職員を基本として、行政サービスの提供を行っていますが、本市の臨時・非常勤職員の現状についてお尋ねいたします。

 まず、福岡市役所で働く非正規公務員には、主に、特別職非常勤職員である嘱託員と臨時的任用職員がいますが、その任用根拠の規定をお示しください。さらにその人数を、嘱託員、臨時的任用職員別にお示しください。あわせて、県から権限移譲した教職員を除く正規公務員の条例定数、職員に占める臨時・非常勤職員の割合についても、それぞれ過去3年間の推移をお示しください。

 ところで、2018年1月1日より、市職員の名札が職員証と一体化されました。職員証がない嘱託員や臨時的任用職員は、従来どおり台紙の名札となっています。誰が見ても一目で正規職員か非正規職員かがわかるようになったわけですが、このように名札を変更した経緯についてお示しください。

 次に、一人一人の学びを保障する教育政策についてお尋ねします。

 福岡市では、確かな学力の向上の取り組みとして、2010年の試行調査から例年、生活習慣・学習定着度調査を実施しています。この間、調査結果を分析して、生活習慣と学習定着度の相関関係及び明らかとなった課題は何か、また、一人一人の学びを保障するために、教育行政としてどのような教育環境の整備を行ってきたのかをお尋ねいたします。

 ふれあい学び舎事業がスタートして2年が経過をしようとしています。2016年度決算額と2017年度、2018年度の予算額、あわせて事業の目的や対象学年、活動内容など、その概要についてお尋ねします。また、学び舎事業の成果、課題についてもお知らせください。スタート時は、教員への負担はかけない方向で地域ボランティアの教育力によるとしていましたが、指導員の体制はどうなっているのかも、あわせてお伺いいたします。

 こども未来局は、2016年7月に福岡市立学校に在籍する全小学6年生、全中学3年生の保護者を対象に、福岡市子どもの生活状況等に関する調査を行いました。調査の目的と、その結果明らかとなった課題について、概要をお知らせください。

 これで1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 中村総務企画局長。

総務企画局長(中村英一) 臨時・非常勤職員の現状に関するお尋ねにお答えをいたします。

 まず、嘱託員及び臨時的任用職員の任用の根拠となる法令の規定につきましては、嘱託員は、地方公務員法第3条第3項第3号でございまして、臨時的任用職員は、地方公務員法第22条第2項及び地方公務員の育児休業等に関する法律第6条第1項第2号でございます。

 次に、権限移譲を受けた県費負担教職員を除きます条例定数並びに嘱託員及び臨時的任用職員の人数について、過去3年間の推移でございますが、条例定数につきましては、平成27年度が9,313人、平成28年度が9,318人、平成29年度が9,405人でございます。

 嘱託員につきましては、平成27年度が2,752人、平成28年度が2,738人、平成29年度が2,828人、臨時的任用職員につきましては、平成27年度が905人、平成28年度が799人、平成29年度が809人でございます。また、条例定数と嘱託員及び臨時的任用職員を合わせた職員数に占める臨時・非常勤職員の割合につきましては、平成27年度が28.2%、平成28年度が27.5%、平成29年度が27.9%でございます。

 最後に、職員の名札を変更した経緯につきましては、職員証の有効期間が平成2912月末までとなってございまして、全ての職員の職員証を一斉に切りかえる必要がございましたことから、その切りかえ時期に合わせて、福岡市職員であることを明確に示すことにより、市民によりわかりやすい名札とすることを目的として、新しい職員証を名札として活用することとしたものでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 一人一人の学びを保障する教育施策についてお答えします。

 福岡市独自の生活習慣・学習定着度調査の分析につきましては、代表的なものとして、小学校では、朝食を毎日食べていると回答した児童の学習定着度調査における正答率が高いこと、中学校では、テレビゲームをする時間が1時間未満と回答した生徒の正答率が高いことが明らかになっており、そのことから、基本的な生活習慣の育成が、学力の向上にとって重要であると認識しております。

 次に、教育環境の整備につきましては、新しいふくおかの教育計画に基づき、小学校1年生から4年生までは少人数学級、小学校5、6年生では一部教科担任制及び少人数指導、中学校1年生においては、学校の選択による少人数学級の教育実践体制を整備しております。さらに、平成28年度から開始した、放課後の補充学習によって児童の学力向上を目指すふれあい学び舎事業などの学力パワーアップ総合推進事業を実施しております。

 次に、ふれあい学び舎事業の決算額と予算につきましては、平成28年度の決算額が2,2895,000円、29年度の予算額が7,4515,000円、30年度の予算額が1億3,5809,000円でございます。また、ふれあい学び舎事業の目的は、放課後に行う学習会の中で、これまでに学習した内容の振り返りや繰り返し学習をすることで、基礎的な学力の定着を目指すこととしており、原則として小学校3年生と4年生を対象に、週に2回2時間程度、算数を中心とした個別の学習指導を実施しております。

 次に、ふれあい学び舎事業の成果につきましては、1学期に解くことができなかった内容が、振り返り学習を行うことで2学期には解けるようになるなど、基礎的な学力が定着しております。課題につきましては、学力に課題があるものの放課後学習に参加していない児童もおり、より多くの児童を放課後補充学習に参加させるための工夫が必要であると考えております。

 次に、指導体制につきましては、児童の学習指導を行う学習支援リーダーと学習支援員の数名で構成されており、教職経験者や地域の方などに依頼しております。以上です。

 

議長(川上晋平) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 一人一人の学びを保障する教育政策についての御質問にお答えいたします。

 福岡市子どもの生活状況等に関する調査につきましては、本市の子どもや子育て家庭の生活状況を多岐にわたって把握し、効果的な施策を推進していくための基礎資料を得ることを目的として実施いたしました。調査結果から見えてきたものは、収入が低い世帯やひとり親世帯では、放課後や夕食後に子どもだけで過ごす割合が高い、子どもの学習の習慣や環境が不足している割合が高い、保護者の公的機関への相談ニーズが高いことなどが明らかとなっておりまして、子どもの居場所の充実や学習習慣づくり、学習環境の確保、公的機関の相談体制の充実などが課題と認識いたしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) まず、非正規公務員のモチベーションの向上についてお尋ねいたします。

 福岡市においても、正規職員は増加しているものの、職員に占める嘱託員の割合は約23%、臨時的任用職員を含めれば約28%にもなり、全国平均を大きく上回っています。本市の公共サービスが非正規職員に依存して展開されている現状は明らかです。公的サービスに従事する人々の多くが非正規職員に切りかえられ、目いっぱい働いても年収200万円前後という官製ワーキングプアの問題、パート労働法も適用されないなど、非正規公務員は法の谷間に置かれてきました。特に地方公務員法第3条第3項第3号、いわゆる3の3の3に規定された嘱託員は、専門職としての任につきながら期間の定めがある有期雇用で、その処遇についても、不十分であると言わざるを得ません。そのような職場環境の中で、市民から見ても正規か非正規かが歴然としてわかる名札の使用は、非正規職員にとってモチベーションの維持に支障を来すのではないかと考えますがいかがですか、御所見をお伺いします。

 現在、国会において働き方改革が議論されています。過労死促進法と言われる裁量労働制の対象拡大について、今国会では削除の方向が示されましたが、残業代ゼロ法案と言われる高度プロフェッショナル制度などの問題のある法案も残されています。その中で、安倍首相は、同一労働同一賃金の実現など、非正規雇用の待遇改善について、非正規という言葉を国内から一掃すると発言し、今や全雇用者の4割に及ぶ非正規雇用者の待遇改善につながる可能性は見えてきました。また、改正労働契約法により、有期契約が5年を超えた労働者は無期雇用への転換も可能になります。しかし、非正規公務員は、これらの法律の適用対象外にあります。福岡市では、市政への即戦力として活躍できる人材募集として、社会人経験者を対象にした民間等社会人採用があります。受験資格として、職務経験が直近10年中7年以上で、週30時間以上の勤務を1年以上継続して就業となっています。しかし、週27.5時間の嘱託員はこの要件にかなわず、正規になりたくてもなるチャンスがないということになります。嘱託員など、培われてきた専門知識、キャリアを生かして能力をさらに発揮したい人にとっては、正規へのチャンスさえないことは問題だと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 また、職員の資質の向上など、ブラッシュアップしたい職員に対して、夜間の自主研修等がありますが、嘱託員は対象となるのかどうか、お伺いをいたします。

 非常勤公務員の働き方や待遇が低いことの問題が、この間、社会的な問題となってきました。そして、昨年には、地方自治体の非常勤職員の待遇改善を図ることを目的にした地方公務員法の改正が行われ、2020年4月1日の施行に向けて、現在、各地方自治体で制度整備が進められています。地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律において、会計年度任用職員制度を創設し、臨時・非常勤職員等の移行を図るとしていますが、その法改正の目的と趣旨、福岡市のスケジュールについてお尋ねいたします。

 次に、一人一人の学びを保障する教育政策についてお尋ねします。

 去る1月14日、福岡教育大学准教授、川口俊明さんの研究チームが、小学4年から中学3年までの学力変化を調査した研究結果が「学力格差の芽、小4から」という見出しで西日本新聞に掲載されました。それは、生活習慣と学習時間、そして成績に相関関係が見られること、小4時点で既に成績差が存在し、中学校では縮まらないこと、小4では遅過ぎる可能性が高く、入学時あるいは就学前など早い時点での対策が必要であること、そして、これら子どもの育ちには、家庭環境が大きな影響を与えているということなどを指摘しています。これまでも、親の経済格差と子どもの学力格差の相関関係は課題となってきましたが、課題解決のために、教育委員会はこれまでどんな対策を行ってきたのか、お尋ねいたします。

 また、経済的に厳しい家庭への相談、支援を行っている保健福祉局は、子育て支援としてどんな支援を行っているのか、その中で今後、学習支援の取り組みを考えているのかどうか、また、就学前児童、家庭にかかわりの多い保育所では、家庭環境の厳しい子どもに対してどんな支援を行っているのか、お尋ねいたします。

 また、川口准教授は、就学前など早い時点での対策が必要であると指摘をしていますが、そのためには、保幼小連携が大変重要となってきます。現在はどのような保幼小連携を行っているのか、お知らせください。

 少人数学級の実施について、福岡市は国の定数改善に先駆けて、1年生から4年生まで順次、少人数学級を実施してきましたが、5、6年生については、一部教科担任制の実施にとどまっています。少人数学級の成果について、改めてお伺いいたします。

 全国学力・学習状況調査で毎年話題になるのが、全国都道府県の平均点の競い合いです。関心の多くが、平均点のみに目を奪われ、順位争いに躍起になっていますが、平均点は上位層の点数が上がれば上がるのです。川口准教授が指摘しているのは、上位層と下位層の格差の問題です。得点の低い子どもへの支援策をどのように図ってきたのかが大変重要です。大阪府茨木市は、一人も見捨てへん教育という考え方のもと、全ての子どもの学力向上に挑むとして、3年を1サイクルとして学力向上の取り組みを進めています。特徴としては、平均点だけを問題にするのではなく、上位層を増加させると同時に、下位層を減少させることに焦点を当てていることです。とりわけ、下位層への注目は特筆に値します。一人一人、とりわけ、しんどい層と言われる子ども、その基礎学力を下支えする学力保障の考え方に沿い、学校でしか学ぶことができない子どもたちに、確かな基礎学力を身につけてもらうことこそが公立学校の務めであるというスタンスです。家庭生活や学校生活に多くの課題を抱えている、しんどい層の子どもたちの学力を引き上げることを明確な目標の一つとしています。学力を底上げするためには、もっと抜本的な対策が必要になることは言うまでもありません。ふれあい学び舎事業は成果が上がっているとのことですが、一方で、参加してほしい子どもの参加を促すことも課題としてあります。授業で学力を保障することをまずやるべきです。個別支援の必要な児童は、1クラスに数名はいます。その子たちが安心して授業を受けられ、周りの児童も達成感を感じられるような授業をするためには、人が必要です。落ち着いて授業ができてこそ学力は向上します。低学年から学習支援対策をすべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 また、ふれあい学び舎事業のコーディネーターや指導員の確保は学校任せにするのではなく、人材登録など、教育委員会が積極的に行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。以上で2回目の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 中村総務企画局長。

総務企画局長(中村英一) 臨時・非常勤職員のモチベーションや待遇の向上などに関するお尋ねにお答えをいたします。

 まず、職員の名札によりますモチベーションへの影響についてのお尋ねでございますが、嘱託員や臨時的任用職員につきましても、福岡市職員としての自覚と責任を持って市民サービスに取り組む必要がございますことから、各職場において、嘱託員や臨時的任用職員を含めた全職員が、職場の課題や目標を共有し、一体感を持って働きがいのある職場づくりを進めていくことが重要であると考えております。

 次に、社会人経験者の受験資格についてのお尋ねでございますが、社会人経験者の採用につきましては、民間企業等で培われた経営感覚や専門的知識と豊富な経験を福岡市のために役立てたいという意欲にあふれ、改革意識が高く、市政への即戦力として活躍できる人材を対象としております。このため、受験資格における民間企業等の職務経験につきましては、常勤職員と同程度の勤務実績とみなせる週30時間以上の勤務とすることが妥当であると考えております。

 次に、夜間に行っております自主研修等の対象者のお尋ねでございますが、夜間の自主研修を含む職員研修につきましては、職員が、採用後、長年にわたり各部署を異動しながら勤務していくために必要な資質向上、能力開発を目的に実施しております。一方、嘱託員は、既に専門の知識、技能を有し、かつ即戦力として業務を遂行できる資質、能力がある方を採用していること、また、任期がある職員で他部署への異動もないことも踏まえ、職員研修の対象とはいたしておりません。

 なお、嘱託員が日々の業務を行っていくために必要な研修につきましては、各任用所属において適切に実施されているものと考えております。

 最後に、地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の趣旨などについてのお尋ねでございますが、改正法案の国会への提出理由において、地方公共団体における行政需要の多様化等に対応し、公務の能率的かつ適正な運営を推進することが改正の趣旨とされており、そのため、会計年度任用職員の任用等に関する規定や特別職及び臨時的任用に関する制度の整備が行われるものでございます。

 今後、施行時期でございます平成32年4月に向けて、引き続き最小の経費で最大の効果を上げるという地方自治法の基本理念にのっとり、非常勤職員の任用ですとか勤務条件等のあり方などにつきまして、国が示した運用の考え方を参考に、他都市の状況等も踏まえながら検討を行い、適切に対処してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 一人一人の学びを保障する教育施策についてお答えします。

 児童生徒の学習課題の解決に向けた取り組みにつきましては、各学校において、児童生徒の習熟度に応じたグループによる指導や授業の内容を定着させるための練習問題を繰り返して行うなど、児童生徒一人一人の学力に応じたきめ細やかな指導を行っております。

 さらに各学校は、家庭訪問などの際に、児童生徒の家庭内での学習状況について保護者と話し合いを行い、学習の仕方や家庭学習の進め方を伝えるなど、家庭と学校が連携、協力して、子どもたちの学力の向上に取り組んでおります。

 次に、保育園、保育所、幼稚園と小学校との連携につきましては、小学校の教員と幼稚園の教員や保育士がお互いの授業を参観して、それぞれの指導内容や指導方法について理解を深めたり、保幼小の枠を超えて、発達段階に応じた適切な指導のあり方を協議するなど、保幼小連携した取り組みを行っております。

 次に、少人数学級の成果につきましては、基本的な生活習慣の定着が求められる小学校1、2年生や基礎的な学習の定着が求められる小学校3、4年生という大切な時期において、少人数を対象としてきめ細やかな指導を行うことは有効であると認識しております。

 次に、低学年からの学習支援対策でございますが、発達段階に応じた教育実践体制のあり方につきましては、平成31年度からの次期教育振興計画を策定する中で検討してまいりたいと考えております。

 次に、ふれあい学び舎事業における学習支援リーダーや学習支援員の確保につきましては、平成30年4月上旬までに教育委員会が、学習支援リーダーや学習支援員の登録ができるようにしてまいります。退職教員を初めとする多くの市民の方にお知らせして広く公募することとしており、学校と連携しながら学習指導員の確保に努めてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 一人一人の学びを保障する教育政策に関する御質問にお答えいたします。

 子育て支援についてのお尋ねでございますが、保健福祉局におきましては生活保護世帯及び生活困窮世帯を対象に、子どもと保護者の両方に対して、生活習慣や育成環境の改善に関する助言や教育に関する情報提供などの支援を訪問型で行う、子どもの健全育成支援事業を実施しております。

 学習支援につきましては、平成30年度から子どもの健全育成支援事業の支援世帯で、不登校やひきこもりなどの理由で学習支援が必要な子どもに対して、高校進学に向けた訪問型の学習支援を行うことといたしております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 一人一人の学びを保障する教育政策についての御質問にお答えいたします。

 保育所における子どもの支援につきましては各保育所において、日ごろから子どもと保護者の関係や家庭での生活状況等を把握した上で、その思いや願いを丁寧に酌み取り、各家庭の状況に応じた支援を実施しているところでございます。

 特に家庭環境に配慮を必要とする子どもが多数入所している保育所等につきましては、保育士の加配費用を助成する家庭支援推進保育事業を実施しており、よりきめ細やかな支援を行っております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 池田良子議員。

○58番(池田良子) 3回目です。まず、非正規公務員のモチベーションの向上についてです。

 研修については、業務上必要がある専門的分野だけではなく、公務に携わる者として一般教養などの研修も、資質の向上としては欠かせません。職員研修規定の見直し、もしくは弾力的な運用を図るなど、研修の自由を確保すべきと申し上げておきます。また、非正規公務員の仕事は、もはや補助的な、臨時的なものではありません。公共サービスの基幹的業務を担う存在になったと言っても過言ではありません。同一労働同一賃金が適用されない中での名札による区別化について、局長は、全職員が職場の課題や目標を共有し、一体感を持って働きがいのある職場づくりを進めるというふうに御答弁されましたが、職場の一体感を損なう何物でもないと私は考えます。たかが名札と思われるかもしれませんが、名札が果たす役割は非常に重要です。自分の所属、肩書としてのあかしであれば、それは自信につながると同時に責任も発生します。しかし、それ以前に、名札を見た途端、正規か非正規かが一目瞭然となる、これですね、正規の人と同等の仕事をして、それに誇りを持って働いてきた嘱託員、非常勤職員はたくさんいます。そういう嘱託員などにとって、モチベーションを下げる何物でもないんではないでしょうか。これは、本当に必要な名札だろうかというふうに思っています。以前の名札、本当に温かかったです。それぞれの局に応じて、農林水産関係は野菜とか果物があったりとか、こども未来局は子どもの笑顔があったりとか、それぞれの局で工夫して、本当に温かい名札を全職員さんがつけてありました。それは、正規か非正規かがわかるような名札ではありません。その自分たちの局に沿った、そういう目的にとって、本当に一生懸命頑張っているというのが、私は名札から見てとれたんですね。それが今、本当に違うイメージを受けてしまっているということは、これは私個人の意見ではありますけれども、申し上げておきたいというふうに思います。こんな名札、一目瞭然となるようなこんな名札はいかがなものかということで、市民サービスに携わる公務の場で、これは使用すべきではないということを強く申し上げておきたいと思います。

 2020年施行、新設の採用類型、会計年度任用職員は、3の3の3に基づく特別職非常勤職員、いわゆる嘱託員の範囲が厳格化され、労働者性の高い一般職に準ずる職は、会計年度任用職員へと移行、さらに、これがフルタイムとパートタイムに分かれるなど、賃金や労働条件などとあわせて、まだまだ不明確なものとなっています。会計年度任用職員制度の創設によって、臨時・非常勤職員等の働き方が現状より低下することなく、不利益が生じないよう、また、正規職員が行っている業務を安易に会計年度任用職員に切りかえることがないよう、職員団体の意見も十分聞きながら制度設計をされるよう強く要望しておきます。さらに、非常勤職員の将来の生活や職業キャリアを展望できるような働き方改革を、非常勤職員の正規の道への緩和、スキルアップのための研修等の機会の確保にも努められますよう要望して、この質問を終わります。

 次に、一人一人の学びを保障する教育政策についてです。

 福岡市子どもの生活状況等に関する調査報告書によると、入浴はどの世帯においてもほぼ毎日の割合が高いものの、300万円未満世帯において、週に数回が5.2%、月に数回が0.2%、めったにないが0.1%あるという、これを見過ごすわけにはいきません。平日の朝食の摂取状況については、全体で、ほぼ毎日が93.4%あるものの、300万円未満世帯では、ほぼ毎日は86.7%です。週に数回食べているが8.3%、めったに食べないとかほとんど食べていないというのが約117人で3.6%もいます。歯磨きや宿題、そして次の日の準備、自宅での学習状況、学校等での勉強の成績などは、収入が高い世帯ほど、できているの割合が高く、収入が低い世帯ほど、できていないの割合が高くなっています。そして、学校等での勉強の成績や高校進学への意欲では、収入が高い世帯ほど、成績が良好、意欲があるの割合が高く、収入が低い世帯ほど、勉強におくれている、進学への意欲がないの割合が高くなっています。

 世帯収入と家庭環境や子どもの学力との相関関係については、この間、子どもの貧困問題としても指摘されてきましたが、今回の調査、本当に私は、こども未来局は思い切った調査をしていただいたと思っています。個人情報、さまざまな課題もありました。そういう中でも、これは大きな意味があったと思います。この調査を生かさないわけにはいかない、そう思っているんですね。今回のこの調査によって、子どもの生活状況と家庭環境、学習意欲などが、この福岡市においても相関関係が見られたということなんです。川口准教授の研究チームが行った学力変化の調査と照らし合わせてみても、子どもの学びと育ちを支援していく施策は喫緊の課題だと言えます。こども未来局においては、家庭支援推進保育事業として、保育士の加配を行い、困難を抱えた家庭や児童への支援を行っているとのことですが、保育園からは、近年の社会情勢で、困難を抱えた児童が増加しているとの報告を受けています。学力と相関関係のある生活習慣の改善など、園や保護者との連携を密接に行い、きめ細かな支援策を講じるためにも、保育士の加配基準の引き下げを行うべきだと考えますが、御所見をお伺いします。

 また、保健福祉局においては、2018年度より、高校進学に向けた訪問型の学習支援を展開されるということで、大変期待するものです。ただ、主に中学生を対象とした支援となっています。今後は、家庭内での教育が困難な状況に置かれている子どもたちへの支援策として、基本的な生活習慣の改善を含め、今後、2018年ですが、全中学校ブロックに配置をされるスクールソーシャルワーカーと連携しながら進められることを要望しておきます。

 2018年度は、新しいふくおかの教育計画の最終年度であるとともに、新たな福岡市教育振興基本計画の策定に向けて検討をする年でもあります。ここまで現状がわかっていて、何もしないわけにはいきません。ふれあい学び舎事業は、学習習慣づくりや補充学習として、学力の定着を目指すということでは大いに意義ある事業です。しかし、先ほども申し上げましたが、学力に課題を抱えながらも放課後学習に参加していない、参加できない子どもたちがいます。学力保障は、授業が勝負です。習熟度別学習は授業方法の一つであり、一人一人の学びの保障には、人的措置は必須です。これまでの新しいふくおかの教育計画の取り組み及び成果と課題をしっかり分析され、課題解決に対応する計画を作成していただくことを強く要望します。特に基本的生活習慣や学習習慣の定着効果が確認されている少人数学級は、小学校5、6年生及び中学校全学年で実施し、学力格差の縮小に向けた早期対応などを盛り込むべきと考えますが、御所見をお伺いします。

 学力の格差は、低学年から生じています。保幼小連携についても、授業や子どもの様子の参観も重要ですが、保幼小連携のあり方など、抜本的な見直しが必要だと考えます。学力、健康格差に早期に対応するため、本市の幼児教育の現状と課題を整理、分析するとともに、保幼小連携の観点から、新たな教育カリキュラム、手法の研究機関が必要と考えますが、御所見をお伺いします。

 再度申し上げます。学校でしか学ぶことができない子どもたちに、確かな基礎学力を身につけてもらうことこそが公立学校の務めです。子どもの貧困対策法の目的には、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備するとともに、教育の機会均等を図るため、子どもの貧困対策を総合的に推進することとうたっています。学力保障のかなめは、授業づくりです。教職員が授業づくりにじっくりと取り組む時間もない学校現場の多忙化解消も並行して取り組まねばならない問題ですが、あわせて、各校が学力向上計画を学校教育の柱として位置づけ、組織的に取り組みを推進するためには、予算の確保は重要です。次代を担う子どもたちの育ちや学びを支援する教育予算の拡充に向けて、教育長の決意をお伺いし、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 一人一人の学びを保障する教育政策についての御質問にお答えいたします。

 家庭支援推進保育事業の加配基準につきましては、国の基準としては、特に配慮を必要とする児童の割合が40%以上の保育所等を対象とすることとされておりますが、福岡市では独自に基準の引き下げを行い、児童の割合が35%以上の保育所等に対しても、保育士の加配費用を助成しており、よりきめ細やかな支援を既に行っております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 一人一人の学びを保障する教育施策についてお答えします。

 発達段階に応じた教育実践体制のあり方につきましては、これまでの本市の取り組みを踏まえ、平成31年度からの次期教育振興計画を策定する中で検討をしてまいります。

 次に、幼児教育につきましては、関係局や保育園、幼稚園、小学校、中学校の代表で構成する、福岡市保・幼・小・中連絡協議会において、連携を、幼児教育と小学校教育の接続の観点から、教育内容や教育方法について課題分析や協議を行い、幼児教育の質の向上に努めてまいります。

 次に、学力の向上に向けた取り組みの推進につきましては、児童生徒一人一人に、基礎的、基本的な知識及び技能を確実に習得させ、これらを活用し、課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力を育むことは、これからの社会を担っていく児童生徒にとって、とても重要であると認識しております。全ての児童生徒の学力の向上を図ることは、生まれ育った環境に左右されることなく、子どもたちの可能性を引き出し、未来につなぐことであると考えており、今後とも学力向上の取り組みをさらに推進してまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 中島まさひろ議員。

○14番(中島まさひろ)登壇 質問に入ります前に、去る2月19日にお亡くなりになりましたみらい福岡市議団、三角公仁隆議員の御冥福をお祈り申し上げますとともに、哀悼の意を表します。

 私は、自民党新福岡、飯盛会長の代表質問を補足して、歯科保健の推進について、生活道路の交通安全対策について、道徳教育について、以上3項目、質問させていただきます。

 まず初めに、歯科保健の推進について、歯や口腔の健康についてお尋ねいたします。

 日本人の平均寿命が過去最高を更新して延び続ける中、一日でも長く、健康で、心身ともに充実した日々を送り続けたいと思うことは、市民共通の願いではないでしょうか。福岡市は、全国的にも、若くて元気なまちと言われ注目されていますが、これからも活力あるまちであり続けるためには、高齢者はもちろん、働き盛りの世代や子どもまで、全ての市民の健康が極めて重要だと考えております。福岡市では、人生100年時代を見据え、個人の幸せと持続可能な社会を両立できる健寿社会を目指す福岡100を推進しています。これは、行政だけでなく、市民や企業などにも参画してもらいながら、オール福岡で平均寿命と健康寿命の差を縮めていこうという取り組みであり、市民一人一人の生活の質の低下を防止するとともに、社会的負担を軽減する上でも、とても重要です。健康は、全ての市民がともに支え合い、助け合いながら、希望や生きがいを持ち、心豊かに自分らしい生活を続けるために、最も優先されるべきものです。健康の維持増進には、さまざまなアプローチがあると思いますが、歯や口腔の健康を保つことは、食べることという人間の営みの大切な基本に大きく関係するだけに、とても重要なものです。従来から、全ての国民が、生涯にわたって自分の歯を20本以上残すことをスローガンとした8020運動が展開されており、子どもから高齢者まで、それぞれのライフステージを通じた歯や口腔の健康を保つ取り組みが実施されていますが、福岡市では、歯科保健について各世代でどのような取り組みが行われているか、お尋ねします。

 次に、生活道路の交通安全対策についてお尋ねいたします。

 平成24年4月の、京都府亀岡市で発生した登校中、児童の列に自動車が突入する事故を初め、平成2810月には、神奈川県横浜市において登校中の児童の列に車両が突入し、1名が死亡、6名が重軽傷を負う事故が発生したほか、同年11月には、千葉県八街市においても、同様の事故により4名が重軽傷を負う事故が発生、記憶に新しいところでは、平成2910月、大阪府枚方市において、集団登校中の生徒の列に後ろから乗用車が突っ込むという事故が発生しています。また、本市におきましても、登下校中ではございませんが、先週3月2日に、南区大楠で小学生が横断歩道を横断中に車両に接触しけがを負う事故が発生するなど、毎年のように、同様な痛ましい事故が繰り返されており、通学路は依然として危険な状況にあると感じています。本市では、通学路の安全確保に向け、教育委員会や交通管理者とも連携し、通学路の合同点検や安全対策を図るとともに、路側のカラー化などによる通学路の歩車分離にも積極的に取り組まれてきていると認識しております。一方、通学路に限らず道路全体においては、平成28年の全国の交通事故死者数は3,904人となり、昭和24年以来、67年ぶりに4,000人を下回るとともに、平成29年は3,694人と、昨年からさらに交通事故死者数が減少するなど、これまでの交通安全対策が一定の成果を上げてきたところでありますが、近年の交通事故死者数は、歩行者や自転車乗車中が全体の半数を占め、また、その半数は自宅から500メートル以内の身近な道路で発生しているなど、生活道路における交通安全対策は、喫緊の課題であると感じております。

 このような状況を踏まえ、国土交通省では、今後、自動車交通を安全性の高い道路へ転換するとともに、生活道路を、歩行者及び自転車中心の空間にしていくという考えのもと、地域住民や都道府県、警察などの関係者と連携して、ハンプや狭窄の適切な設置、生活道路におけるスピードの抑制、通過交通の進入抑制を図るなど、生活道路の交通安全対策をより一層推進しているところです。

 このような中、私は昨年、条例予算特別委員会の総会質疑で、生活道路の交通安全対策における国や他都市並びに本市の取り組み状況について質問し、本市においては、今年度、薬院、平尾、平丘町地区において、仮設ハンプを設置した実証実験に取り組むとの答弁をいただきました。その後、地域とも協議を重ね、平成2911月には実証実験が実施されましたが、実験開始前から多くのマスコミ、メディアが記事に取り上げるなど、注目の高さがうかがわれたところであります。また、平成30年2月には、本市における、薬院、平尾、平丘町地区や志免町志免中央地区の実証実験の結果が国土交通省福岡国道事務所により公表されたところであります。

 そこで、薬院、平尾、平丘町地区における仮設ハンプの実証実験の内容及び結果についてお尋ねします。また、仮設ハンプの設置による実証実験に当たっては、行政から地域の住民の方々に対し、先進事例の紹介を行うとともに、沿道の乗り入れ口などと調整が必要な仮設ハンプの設置場所や箇所数など、地域住民の理解と協力のもと、実証実験に至ったものであり、その実証実験を振り返る上でも、地域住民の意見がとりわけ重要かと思います。

 そこで、この薬院、平尾、平丘町地区の実証実験の結果における周辺の学校や地域の方々の意見はどうだったのか、あわせてお尋ねいたします。

 続いて、道徳教育の推進についてお尋ねいたします。

 平成30年度から、小学校において、特別の教科、道徳として、道徳の教科化がスタートします。それに続き、平成31年度からは、中学校においても教科化となります。道徳教育は、社会において大切にされ、受け継がれてきたルールやマナーについて子どもたちが学び、実際に身につけることや発達の段階に応じて、礼儀や規則の尊重などのさまざまな道徳的内容について実践的な態度を身につけていくことが重要であるとされております。新たに教科化される道徳においても、文部科学省は、規範意識を育てることなどが大切であるとしており、これまでの道徳教育の本質は変わるものではないと考えております。さらに、今の時代、情報通信技術はますます発展し、子どもたちを取り巻く地域や家庭の状況も急速に変わってきています。そのため、人間関係も希薄になりつつあり、隣に住んでいる人の顔さえ知らない、どんな人が住んでいるのかよくわからないという現実もあります。このような状況の中、道徳教育の果たす役割は、今後ますます大きくなってくると考えます。私は、PTA時代から、地域に住む住民の1人として、保護者の方々と一緒に、子どもたちの登校に合わせて通学路に立ち、安全の見守りをしています。見守りを始め、もう15年近くになりますが、見守りを始めたころに比べ、最近の子どもたちは、余り挨拶をしなくなったように感じています。社会ではさまざまな事件があり、もしかすれば、家の中で、知らない人から話しかけられても返事をしてはいけないよ、挨拶を返してはいけないよ、などという会話があっているのかもしれません。しかしながら、同じオレンジ色のベストを着て、学校、家庭、地域が一体となって登校の見守りをしているのに挨拶が返ってこないことに、一抹の寂しさを感じています。教育委員会では、これまでにも、学校が家庭や地域と連携した道徳教育を推進していると聞いております。

 そこでまず、教育委員会が実施してこられた道徳教育の推進の取り組みとその成果についてお尋ねいたします。

 以上で1問目の質問を終わり、2問目以降は自席にて行います。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 歯科保健の推進についての御質問にお答えをいたします。

 福岡市での各世代における歯科保健の取り組みにつきましては、乳幼児期には、虫歯予防を中心に乳幼児への歯科健診のほか、歯磨きやおやつの与え方について、保護者への教育を行っております。学齢期では、学校における歯及び口腔の健康診断のほか、各教科や特別活動など、学校教育活動全体を通して、歯や口腔の健康づくりを進めております。成人期以降は、妊婦歯科健診や若いころからの歯周病予防を目的に、国の基準に加え、35歳も対象にした歯科節目健診などの各種歯科健診のほか、歯周病予防の健康教室などを行っており、特に高齢期においては、介護予防教室などで歯周病予防に加え、口腔機能の維持についての啓発に力を入れております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

道路下水道局長(三角正文) 生活道路の交通安全対策についての御質問にお答えします。

 薬院、平尾、平丘町地区における仮設ハンプの実証実験につきましては、ゾーン30の交通規制と連携した、国が登録する生活道路を対策エリアとして、平成2911月6日から約1カ月間、平尾小学校から福岡中央高等学校前面の道路に、狭窄部を組み合わせた仮設のハンプを2カ所設置し、通過する車両の走行速度や騒音、振動について調査したものでございます。なお、車両の走行速度については、2カ所の仮設ハンプとその中間地点を含めた合計3カ所で測定をしております。

 実証実験の結果といたしましては、時速30キロメートルを超えて走行する車両の割合が、仮設ハンプ設置箇所では、設置前はおよそ5割であったものが、設置後はほぼなくなりました。また、ハンプとハンプの中間地点では、設置前は8割以上でしたが、設置後は半減しており、実験路線区間の平均走行速度を見ますと、ハンプ設置により、時速10キロメートルから15キロメートル程度の速度低減効果が確認されております。また、騒音や振動につきましては、設置前後で大きな変化はございませんでした。

 次に、実証実験を行った地域の御意見につきましては、仮設ハンプを設置した道路に隣接する平尾小学校、福岡中央高等学校及び沿道の町内会長や近隣住民、交通安全推進員などの関係者の方々に、今回の実験前後の安全性に関することや騒音、振動についてヒアリングを行いましたところ、騒音や振動の変化についてはほとんど感じなかった、また、速度抑制効果が感じられる、安全になったなどの意見があり、今回の実験結果を踏まえて、ハンプの本設置を望む声を多くいただいているところでございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 道徳教育の推進についてお答えいたします。

 道徳教育につきましては、平成25年度から、道徳の時間に地域の方などをゲストティーチャーとして招き、生き方について考える学習や道徳の時間を保護者や地域の方に公開するなど、学校と地域、保護者が一体となり、児童生徒一人一人の自尊感情や規範意識を育んでまいりました。平成2912月に教育委員会が実施した道徳教育の推進に係る調査の結果では、自分自身の長所や短所を理解できている、学校の決まりが守れているなどの児童生徒がふえてきたという結果が出ております。以上です。

 

議長(川上晋平) 中島まさひろ議員。

○14番(中島まさひろ) 引き続き、歯科保健の推進について質問いたします。

 従来、歯科保健対策は、子どもの虫歯予防の対策に大きく重点が置かれてきましたが、関係各位の御尽力もあり、子どもの虫歯の状況は、近年大きく改善していると聞いています。

 そこで、福岡市の子どもの虫歯の状況は、5年前と比べてどのようになっているのか、お尋ねいたします。

 また、高齢者の歯の本数とほかの疾患との関連については、さまざまな研究がされており、神奈川歯科大学のグループが平成22年から24年に行った調査では、義歯が必要にもかかわらず使用していない人は、歯が20本以上ある人に比べて認知症発症のリスクが最大1.9倍高くなることが示されております。平成29年に発表された東北大学のグループの調査においても、歯が20本以上ある人はゼロ本の人に比べて健康寿命が長く、要介護でいる期間が短いことがわかりました。厚生労働省が実施した歯科疾患実態調査によりますと、80歳から84歳で20本以上の歯を残している人の割合が、平成23年には29%だったのが、平成28年には44%となり、生涯にわたって20本以上の歯を残せる人がふえてきていると言えます。

 そこで、福岡市においても、80歳から84歳で20本以上歯が残っている人は増加しているのでしょうか、お尋ねいたします。

 また、健康寿命の延伸には糖尿病を初めとする生活習慣病や、女性ではロコモティブシンドロームの対策が重要と言われていますが、最近は高齢者の低栄養対策も課題の一つとされています。低栄養は口腔機能とも関連があると思いますが、高齢者の低栄養は一体なぜ起こるのでしょうか。また、その予防には、歯科保健においてどのような取り組みが必要か、お尋ねいたします。

 次に、生活道路の交通安全対策についてお尋ねいたします。

 薬院、平尾、平丘町地区の実験結果については、速度超過する車両の割合が減少するとともに、ハンプを設置した箇所以外の中間地点についても、時速30キロメートルを超える車両の割合が大きく減少するとの回答をいただきましたが、私も実際に現地を何度も通ってみましたが、ハンプの前では、無意識のうちに自然とブレーキを踏んでしまうような状況であり、非常に効果的なものであったのではないかと考えています。一方で、児童や生徒が通る通学路において、ほとんどの車両が速度30キロメートルを超えて走行している光景を想像すると、本市においても、他都市で起きているような登下校中の重大な事故を引き起こしかねない状況ではないかと危惧を抱いております。本来であれば、ドライバーの一人一人が制限速度を守り通行するという意識を持つことが非常に重要ではありますが、この結果を見てみると、交通ルールの遵守に頼るだけでは、もはや限界があるのではないかと考えています。幹線道路では、車両と歩道が物理的に分離されていますが、生活道路では、車両と歩道の物理的な分離は、用地買収を行った上で拡幅する必要があるため難しく、そうした状況から、今の道路幅員の中で、自動車の走行速度を半ば強制的に抑制するハンプなどの交通安全対策が全国的にも注目を浴びているのではないかと思います。全国的にもハンプの設置事例はまだまだ少ないようですが、国土交通省の資料によりますと、福岡県内では平成28年度に、新宮町緑ケ浜地区、平成29年度に福岡市薬院、平尾、平丘町地区、志免町志免中央地区で実証実験が完了、また、広川町川上地区においても、現在、実証実験が進められております。このように、実証実験とはいえ、福岡県内でもハンプなどの設置による生活道路の交通安全対策が活発に行われているということがわかりました。また、実証実験ではなく本設置に取り組む自治体も出てきており、平成28年度に実証実験を行った新宮町緑ケ浜地区においては、ことし3月にハンプ本設置がなされる予定と聞いております。

 そこで、ハンプの本設置が予定されている新宮町緑ケ浜地区における生活道路の交通安全対策の取り組みについてお尋ねいたします。

 次に、道徳教育の推進についてです。

 自転車の交通安全対策にも重複する話かもしれませんが、先日、神奈川県川崎市で、いわゆる、ながらスマホで自転車を運転していた大学生が、歩いていた女性に衝突し、ぶつけられた女性が死亡してしまうという痛ましい事故が起きました。警察は、自転車を運転していた大学生を重過失致死の疑いで書類送検したとのことですが、大学生は左手にスマートフォン、右手に飲み物を握り、驚いたことに、左耳にはイヤホンをしていたということです。最近は、スマートフォンを操作しながら、画面に気をとられた状態で歩いたり、自転車に乗っている人の姿を見かけることが多々あります。そればかりでなく、危うくぶつかりそうになったことも何回もあります。もはや、子どもばかりでなく、大人のモラルの低下も危惧されるところであります。また、平成2911月には、埼玉県で、同級生からソーシャルネットワーキングサービス、いわゆるSNSに悪口を書き込まれた小学校6年生の女子児童が、みずからの命を絶ってしまうという悲しい事件が報道されました。今は、小さなお子さんでも、おもちゃがわりにスマートフォンを扱っている姿を見かけます。年齢が上がるにつれて、スマートフォンやタブレット端末を初めとする情報機器に接する機会がますますふえてきます。情報機器を使うことは、大変便利になっていく反面、使い方によっては、とうとい人の命さえも奪ってしまう危険をはらんでいます。社会の情報化が進展していく中、学校教育において、情報モラルに関する指導が一層重要になってくるのではないかと考えます。小中学校の時期に、モラル・マナーやエチケットについての教育をしっかり行うことは、先ほど例に挙げたような悲劇的な事故を将来的に防止するためにも、非常に大きな意味があると感じてやみません。

 そこで、小中学校では、実際に情報モラル等の指導をどのように行っているのかお尋ねいたします。あわせて、30年度から始まる道徳科においては、情報モラルに関する内容はどのようなものがあるのか、また、どのように指導していくのかお尋ねいたします。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 歯科保健の推進についての御質問にお答えいたします。

 福岡市の子どもの虫歯の状況につきましては、乳幼児期と学齢期の虫歯の状況を評価する上で代表的な指標となる3歳児と12歳児の虫歯のない者の割合でお答えいたします。

 3歳児歯科健康診査によりますと、平成23年度が80%、平成28年度が86%、学校における健康診断によりますと、12歳児では、平成23年度が51%、平成28年度が62%となっており、いずれも改善しております。

 次に、福岡市において80歳から84歳で20本以上歯が残っている人につきましては、3年ごとに実施している福岡市高齢者実態調査によりますと、平成22年度が36%、平成28年度が53%と増加しております。

 次に、高齢者の低栄養の原因につきましては、いわゆる粗食や小食により、摂取するたんぱく質とエネルギーが不足することが大きな要因と言われております。高齢者の粗食は、歯の喪失や義歯を適切に使用しないことでそしゃく機能が低下することが要因の一つであり、その結果、食べられる食品の種類が限られ、肉類などのたんぱく質摂取の減少につながります。また、小食は、口の周りの筋肉や舌の動きが悪くなることで嚥下機能が低下することも要因の一つであり、うまく食べることができないため、食事量が減少することにつながります。そのため、低栄養予防で歯科保健において必要な取り組みは、そしゃく機能と嚥下機能を維持することでございます。特にそしゃく機能を維持するには、歯周病による歯の喪失を防ぐことであり、歯磨きなどの日常の口腔ケアに加え、かかりつけ歯科医での個人の歯や口腔の状態に応じた定期的な歯科健診が重要でございます。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

道路下水道局長(三角正文) 生活道路の交通安全対策についての御質問にお答えします。

 新宮町緑ケ浜地区における生活道路の交通安全対策の取り組みにつきましては、この地区で抜け道となっている生活道路において、平成28年度に狭窄部を組み合わせた仮設ハンプ設置の実証実験が行われており、その結果を踏まえ、平成30年3月を目途に、アスファルト舗装によるハンプが本設置される予定と聞いております。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 道徳教育の推進についてお答えします。

 情報モラル等の指導につきましては、小学校5年生以上の学年の道徳や中学校の技術・家庭科の授業において、ほかの人に迷惑をかけない情報発信や個人情報の保護などの情報モラルに関する指導を全ての学校で行っております。さらに、児童生徒と保護者が、規範意識について一緒に学ぶ講演会を行い、ネットの利用による心身の健康問題についても親子で学習しております。

 次に、平成30年度から始まる道徳科における情報モラルに関する内容につきましては、インターネット上のルールや著作権などの法や決まりを理解することや、情報機器の使い方によっては、相手を傷つけ、人間関係にマイナスの影響を及ぼすことを理解することなどでございます。

 また、具体的な指導につきましては、情報モラルにかかわる内容について、児童生徒がお互いに話し合うことで理解を深めたり、コンピューターを活用し、メールのやりとりをシミュレーションすることで、相手を思いやる言動について考えていく学習を授業の一部に取り入れるなど、指導方法を工夫して、多様な授業を展開してまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) 中島まさひろ議員。

○14番(中島まさひろ) 引き続き、歯科保健の推進について質問をいたします。

 福岡市においても、虫歯のない子どもがふえ、生涯にわたって20本以上の歯を残す人がふえていることは、行政や学校、関係機関などがこれまで取り組んできた歯科健診や啓発等により、市民一人一人が歯と口腔の健康に関心を持ち、口腔ケアに取り組んできた成果があらわれていると私は思います。国の基準では、40歳、50歳、60歳、70歳を対象に歯周病健診を実施することになっているそうですが、福岡市では、歯科節目健診として国の基準に加え、35歳も対象にしており、若いころから歯周病予防に取り組んでいることは、とてもよいことだと思っています。歯科節目健診をもっと利用してもらい、多くの市民が健診、受診をきっかけにかかりつけ歯科医を持ち、歯科健診を定期的に受けるという行動につながればよいと思います。乳幼児期から高齢期まで、切れ目のない歯科健診の重要性の啓発に加え、これからは、健康寿命の延伸に、歯と口腔の健康が大きく関連していくことの啓発も期待しています。また、最近は、高齢者の社会参加が健康増進や介護予防につながることが報告されています。歯や口腔の健康は、人との会話や食事をともに楽しんだりすることを通じて、友達との交流やそのための外出といった社会的活動に大きく影響することからも、歯や口腔の健康が重要な役割を果たしていると思います。こうしたことからも、歯や口腔の健康を維持することは、超高齢社会を迎えた福岡市にとって、市民が長寿でみずからの人生を楽しむためにも、今まで以上に大きな意義を持つと考えます。

 最後に、福岡100が目指す健寿社会の実現に向け、福岡市はどのように歯科保健を推進していくのかお尋ねいたします。

 次に、生活道路の交通安全対策についてお尋ねします。

 これまで、本市以外のハンプ設置による交通安全対策に関する事例について答弁いただきましたが、生活道路の交通安全対策は、各自治体も苦労を重ね、試行錯誤している状況がかいま見られます。今回、実証実験を行った薬院、平尾、平丘町地区は、福岡市内でも有数のマンモス校である平尾小学校や福岡中央高校、さらには平尾保育園、わかば幼稚園など、多くの児童、学生等が通う施設が立ち並んでいる地域です。実証実験によって対策効果も十分にあることが確認できており、地域としてもハンプの本設置を望む声も大きいことから、今後検討すべき課題はあると思いますが、生活道路の交通安全対策に本格的に取り組む必要があるのではないかと考えております。

 ハンプ設置に対する課題認識及び薬院、平尾、平丘町地区における生活道路の交通安全対策の今後の進め方についてお尋ねいたします。

 最後に、道徳教育の推進についてです。

 今、社会は、これまでにないスピードで情報化が進展しています。日常生活の中にも、多様な情報機器やAI、つまり人工知能があふれ、今後ますます子どもたちを取り巻く地域や家庭、社会が変化していくと考えられます。このような時代だからこそ、学校教育における道徳科の中で学んでいく、情報について正しく理解し、正しく使っていく態度の育成が、これまでにも増して大切であり、強く求められると考えます。正しい情報モラルを身につけ、変化していく社会の中で生き抜く力を育てる上で大切になることは、まさに子どもたちの心です。未来のつくり手、担い手となる子どもたちが、ルールやモラル、規範意識を身につけ、心豊かに育ち、これから生きていく社会や、みずからの人生について考え、よりよい明るい未来と社会を築いていくことを心から願っています。そのためにも、来年度から教科化される道徳科の学習を初め、学校教育全体を通して行われる道徳教育は大変重要な役割を担ってくると考え、大いに期待しているところです。

 最後に、これからの道徳教育の充実に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

 

議長(川上晋平) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 歯科保健の推進についての御質問にお答えいたします。

 健康寿命の延伸には、市民一人一人の取り組みと、社会全体で歯科口腔保健を推進することが重要であると考えております。福岡市では、平成27年度に口腔保健支援センターを設置し、歯科口腔保健事業を総合的に推進する体制を整備するとともに、保健、医療、社会福祉、労働衛生、教育などの関係者で構成される福岡市歯科口腔保健推進協議会で、課題の抽出や関係団体の連携推進に取り組んでおります。

 今後も、福岡100が目指す健寿社会の実現に向け、そしゃく機能と嚥下機能の維持向上のために、定期的な歯科健診の重要性など、歯や口腔に関する正しい知識を普及啓発し、市民が適切な歯科保健行動を実践できるように、各世代の特性を踏まえ、適切かつ効果的に歯科口腔保健を推進してまいります。

 以上でございます。

 

議長(川上晋平) 三角道路下水道局長。

道路下水道局長(三角正文) 生活道路の交通安全対策についての御質問にお答えします。

 今回の仮設ハンプの実証実験結果を踏まえますと、ゾーン30の交通規制と連携した、国が登録する生活道路対策エリアにおいて、交通安全対策の一つとして、速度抑制効果があることが確認できたところでございます。

 一方、課題としては、ハンプは路面に起伏を設けることから、沿道の状況や地域の意向等の条件が整っていること、歩行者や自転車の通行に対しても安全性が確保されていること、また、他都市の先行事例を見ますと、ハンプの施工に当たっては、ゴム製やアスファルトなど、材料の違いによる施工性や耐久性、経済性など、維持管理面も含めた十分な検討が必要となりますが、今後、薬院、平尾、平丘町地区における地域特性に合った生活道路の交通安全対策として、地域の意向も踏まえながら、平成30年度中のハンプの本設置を目指し、これらの課題についてもしっかりと検討を進め、取り組みを進めてまいります。以上でございます。

 

議長(川上晋平) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 道徳教育の推進についてお答えします。

 道徳教育の充実に向けた取り組みにつきましては、これまでも、児童生徒が決まりやルールを守ることやいじめや差別をなくすことなど、さまざまな問題にしっかりと向き合い、自分の生き方について見つめ直す道徳教育を、学校教育全体を通して実施してまいりました。平成30年度は、道徳が教科化いたしますが、グローバル化や情報化が急激に進展し、目まぐるしく変化する現代社会において、児童生徒が自分のよさを理解し、他の人のよさを認め、互いによりよく生きていくための基盤となる、道徳的な判断力、道徳的な心情、道徳的な実践意欲と態度の道徳性の育成をより一層図り、道徳教育の充実に努めてまいります。以上です。

 

議長(川上晋平) この際休憩し、午後4時30分に再開いたします。

午後4時15分 休憩  

午後4時30分 開議  

副議長(石田正明) 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を継続いたします。

 この際、あらかじめ時間を延長いたします。とみなが正博議員。

○38番(とみなが正博)登壇 質問に入ります前に、まず冒頭、去る3月1日、韓国の文在寅大統領は独立運動記念式典の場で慰安婦問題に触れ、加害者である日本政府が終わったと言ってはならないとの驚くべき発言をされました。既に日韓両政府は慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決をうたった日韓合意を締結しており、韓国大統領のこのような発言は多くの日本国民が到底容認できるものではありません。文在寅大統領に対しては、韓国大統領及び韓国政府閣僚が慰安婦問題はまだ終わっていないなどと言ってはならないと逆に申し上げたい。

 また、文在寅大統領は過去にも元慰安婦の方々は納得されていないとの趣旨の発言をされていますが、では、日本政府からの10億円の搬出金に対して、元慰安婦の方々が受け取りの意思を表明している事実をどのように説明されるのか。また、多くの韓国国民は納得をしていないとの趣旨の発言もありましたが、韓国国民を納得させるのは韓国大統領であるあなたの責務であり、日本国政府に対してそれを求めること自体がそもそも筋違いなのであります。このような文在寅大統領の大統領就任以来の数々の妄言に対して、我々福岡維新の会は、ここに断固たる抗議の意思を表明いたします。

 それでは、私は昨日の富永周行代表の補足質疑といたしまして、3項目について質問させていただきます。

 まずは慰安婦像をめぐる釜山広域市との姉妹都市関係についてです。

 最初に、釜山広域市との姉妹都市交流事業に係る予算額についてお伺いいたします。

 議会費における海外交流事業の新年度予算では、釜山広域市との交流事業費は270万円でありますが、釜山広域市との主な姉妹都市交流事業について、それぞれ所管局と平成30年度予算額を姉妹都市交流を主管される総務企画局にお伺いいたします。

 次に、釜山広域市の日本総領事館前に設置された慰安婦像及び設置が計画されている徴用工像に関して、市民の皆様から寄せられた御意見について、件数やどのような御意見が多かったのかなど詳細にお示しください。

 次に、そもそも姉妹都市とはどのようなものなのか、本市市民にとってどのようなメリットがあるのか、わかりやすく御説明をお願いいたします。

 また、釜山広域市とのこれまでの交流事業の内容や成果等をお尋ねいたします。

 次に、確認の意味でお尋ねいたしますけれども、いわゆる慰安婦問題及び徴用工問題について、国の基本的な考えと本市の認識をお示しください。

 次に、現在までの釜山広域市側との慰安婦像問題に伴う交流事業の協議実績について、釜山市を訪問して行ったもの、福岡で行ったもの、テレビ会議により行ったもの、それぞれの回数をお伺いいたします。

 また、昨年12月、年内にも本市の幹部を釜山市に派遣するといった報道がなされましたが、中村局長は釜山広域市を訪問されたのでしょうか、訪問されておられなければ、その理由についてあわせてお尋ねいたします。

 釜山市との協議の場において、慰安婦像問題についてはどのように言及しているのでしょうか。慰安婦像の撤去及び徴用工像の設置阻止について、本市の意向をはっきりと釜山市側には伝えてきているのでしょうか。協議内容についてお尋ねいたします。

 島市長と釜山市長との電話会談において合意された決定事項として、市民の安全性が確保されないと判断したときには、共催イベントを直前でも開催中止にすることができる連絡体制の構築を図るということなどを伺っていますが、これを具体的に御説明ください。

 市民の安全に配慮しなければならないと言われますけれども、今後、市民の安全が脅かされるような事態が考えられ得るのでしょうか。それは慰安婦像がその要因となっていると考えられているのか、市民の身に何かあってからでは遅いと思うのですが、明確な御答弁を求めます。

 米国では、慰安婦像が設置されて以来、在外邦人への嫌がらせや子どもたちへのいじめが頻発していると聞いております。釜山市と情報共有を行う中で、釜山側の情勢等について、釜山市内で暮らす日本人への嫌がらせや子どもたちへのいじめについては把握されておられるのか。海外在留邦人の生命や財産の保護については、在外公館の役割だとは思いますが、本市としても何か把握されておられればお伺いいたします。

 最後に、島市長にお尋ねいたします。

 昨年末、報道にもありましたが、釜山市側からすると、姉妹都市を提携している都市の中でこの慰安婦像問題に言及したのは福岡市だけだったとのことです。慰安婦像問題と姉妹都市交流とは全く別のものとして、慰安婦像問題には触れることなく交流だけを行うという考え方もある中で、福岡市が交流事業の協議を行う中でこの問題に言及したのはなぜか、島市長の御所見を求めます。

 続きまして、精神障がい者支援体制の構築推進について御質問してまいります。

 精神保健福祉法では、国民一人一人が精神障がい者への理解を深め、その社会復帰と社会経済活動への参加に協力するよう定められております。精神障がいのある方が地域社会で安心して生活を送れるようになるためには、地域住民の方々の御理解と各関係機関の連携の構築が欠かせません。

 そこで、最初に、本市における精神障がい者の状況についてお伺いしてまいります。

 まずは福岡市における精神保健福祉手帳の取得者数は10年前と比較してどのようになっているのでしょうか。

 次に、福岡市において1年以上長期入院をしている患者の近年3年間の推移はどのようになっているのでしょうか。

 次に、入院患者が1年以内に退院している割合は近年3年間でどのように推移しているのでしょうか。

 次に、福岡市における精神科病院の病床数は10年前と比較してどのようになっているのでしょうか。

 最後に、本市では現状をどのように認識されているのか、お尋ねいたします。

 続きまして、博多の伝統産業の振興についてです。

 (資料表示)こちらは、最新版の福岡市政だよりです。もう皆様お目にされてあると思います。表紙と見開きで博多織777周年、また、博多のさまざまな伝統産業が大きく掲載されております。表紙には島市長の着物姿も大変よくお似合いで。

 博多織は、名刺入れやネクタイなど小物類に関しまして、議会の先輩方、同僚議員、また、島市長を初め、市の職員の皆様方も御愛用されておられます方が多いと思いますけれども、実はきょうも私、この質問に合わせて博多織のネクタイを着用してまいりました。朝一度締めたら夜まで緩まなくて、非常に重宝しております。

 それでは、まずは現況についてお尋ねしてまいります。

 福岡、博多を代表する伝統工芸品である博多織や博多人形の事業所数、従業者数及び出荷額、生産数量について、ピーク時と比較して、それぞれ現在はどのような状況なのか、お尋ねいたします。

 次に、伝統産業の振興として、新年度に取り組まれる新規事業及び継続されている事業について、それぞれの予算額と事業内容、取り組みの狙いについて御説明ください。

 次に、こちらも新年度新規事業の博多旧市街プロジェクトについて、博多の伝統産業の振興施策における連携が期待されているところですが、新年度の予算額と事業内容、取り組みの狙いと他局における関連事業について御説明ください。

 次に、博多の伝統産業には、博多織や博多人形のほかにも博多曲物や博多独楽、博多張子や博多鋏、マルティグラスなどさまざまございますが、職人の皆様が集い、御活動されておられます博多伝統職の会について御説明を求めます。

 以上で1回目の質問を終わり、2回目以降は自席にて質問させていただきます。

 

副議長(石田正明) 中村総務企画局長。

総務企画局長(中村英一) まず、私から慰安婦像をめぐる釜山広域市との姉妹都市関係についてのお尋ねにお答えをいたします。

 まず、釜山広域市との主な姉妹都市交流事業とその所管局及び平成30年度予算額につきましては、総務企画局所管の職員相互派遣研修事業が418万円、経済観光文化局所管の福岡釜山経済交流事業が8542,000円、水道局所管の上水道相互交流研修事業が483,000円、交通局所管の地下鉄相互交流研修事業が348,000円などでございます。

 次に、市民から寄せられた御意見についてのお尋ねでございますが、平成28年9月26日から平成30年1月31日までの間に市長室広聴課に寄せられた御意見は117件で、多かった御意見といたしましては、福岡市から釜山広域市に慰安婦像設置に対する抗議をしてほしいですとか、福岡市は釜山広域市との姉妹都市交流を中止すべきなどでございました。また、慰安婦像問題について、福岡市が釜山広域市へ懸念を伝えることに反対であるなどの御意見もございました。

 次に、姉妹都市とはどのようなものか、また、市民にとってメリットがあるのかとのお尋ねでございますが、姉妹都市とは、都市と都市とがあらゆる分野において包括的に交流していく関係を約束するもので、交流を通して両都市の発展を目指すものでございます。

 福岡市では、これまでの各姉妹都市との交流事業を通して市民に異文化理解や相互信頼醸成の場を提供いたしまして、国際都市としての福岡市の魅力向上や活力増進に貢献をいたしております。さらに、姉妹都市としての関係を活用し、地域経済の活性化を促進するためのビジネス展開につながる事業などにも取り組んでいるところでございます。

 次に、釜山広域市とのこれまでの交流事業についてのお尋ねでございますが、福岡市と釜山広域市は海を挟んで約200キロメートルと極めて近い距離にございまして、多くの市民団体の姉妹提携や、さまざまな分野での交流を背景として、まず、平成元年に行政交流都市を締結いたしました。それ以降も、両市は経済、文化、観光、スポーツなどあらゆる分野において活発な交流を続ける中で、平成19年に姉妹都市を締結し、これまでさまざまな分野における交流事業を実施してきております。

 具体的には、上水道、地下鉄、文化財等における行政交流事業の実施によりまして、それぞれの行政分野における知識や技術の向上が図られましたほか、超広域経済圏の形成に向けた共同観光プロモーションや、貿易商談会の開催支援などにより、観光客の来訪促進や地場企業等のニーズに合ったビジネスマッチングによる経済交流の促進が図られたところでございます。さらに、学生の相互派遣などの教育交流によりまして、地域の発展に寄与しますグローバル人材の育成が促進されたものと考えております。

 次に、慰安婦問題及び徴用工問題についての国の基本的な考え方と福岡市の認識についてのお尋ねでございますが、外務省作成の平成29年版外交青書におきまして、まず、慰安婦問題については、平成271228日に行われた日韓外相会談における合意によって最終的かつ不可逆的に解決されることが確認された。日韓合意は国際社会も高く評価したものであり、日韓それぞれが合意を責任を持って実施することは国際社会に対する責務である。引き続き韓国側に対し、粘り強く、あらゆる機会を捉えて、合意の着実な実施を求めていく。また、徴用工問題については、日韓間の財産、請求権の問題は、日韓請求権、経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるとの一貫した立場に基づき、今後とも、適切に対応していくなどと記載されております。慰安婦問題及び徴用工問題については、外交に関する国の専管事項でございまして、福岡市といたしましては、日本政府が示されている見解に沿った認識をいたしております。

 次に、釜山広域市との協議実績についてのお尋ねでございますが、総務企画局における釜山広域市との対面による協議は、釜山広域市において行ったものが4回、福岡市において行ったものが2回、テレビ会議によるものが3回の計9回でございます。また、昨年12月に報道がございました私の釜山広域市への訪問につきましては、訪問の際に想定されます一部の韓国市民団体の過敏な反応やその報道なども両市の間で勘案しながら、適切な訪問時期の調整を行っているところでございます。

 次に、釜山広域市との協議内容についてのお尋ねでございますが、現下の情勢のもと、交流事業に参加される福岡市と釜山広域市の両市民に万が一にも安全面で支障が生じたり、不快なお気持ちを抱かせることがあってはならないとの考えに基づきまして、在釜山日本国総領事館前の慰安婦像や設置が計画されている徴用工像に関して、日本政府から韓国政府に撤去や適切な対応を求めたことなどについての報道や世論、姉妹都市交流事業への影響の懸念などを随時釜山広域市に伝えて共有し、両市で連携、協力し合いながら交流事業に取り組んでいくことを相互に確認しているものでございます。

 次に、福岡市と釜山広域市との間で合意いたしました連絡体制についてのお尋ねでございますが、両市の間で世論や交流事業への影響の懸念などを随時共有し、万が一、情勢の急変等により安全面の支障などが生じた場合には、事業実施の直前であっても緊急に両市で連絡をとり合い、必要があれば中止あるいは延期できるような緊密な連絡体制を築き、両市で連携しながら交流事業に取り組んでいくことを確認したものでございます。

 次に、市民の安全についてのお尋ねでございますが、福岡市といたしましては、慰安婦像問題に伴う現下の情勢のもと、釜山広域市との交流を推進すべき、中止すべきなどさまざまな感情や御意見の市民がおられる中で、万が一にも情勢の急変等によって交流事業に参加する両市民の安全面での支障や不快な思いを抱かせることがあってはならないと考えているものでございます。

 次に、釜山広域市内で暮らす日本人への嫌がらせなどについてのお尋ねでございますが、福岡市といたしましても、釜山広域市との協議や派遣職員などを通して情報収集に取り組んでいるところでございますが、現在までのところ、特にそのような事実は把握いたしておりません。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 精神障がい者支援体制の構築推進についての御質問にお答えいたします。

 福岡市における精神保健福祉手帳の取得者数でございますが、平成19年度は5,615人、平成28年度は1万3,290人でございます。

 次に、福岡市内の精神科病院に1年以上長期入院をしている患者数でございますが、厚生労働省が行っている調査によりますと、平成27年時点で2,154人、28年時点で2,112人、29年時点で1,934人となっております。

 次に、福岡市内の精神科病院に新規入院後1年以内に退院している患者の割合でございますが、厚生労働省が行っている調査によりますと、平成26年時点で90.7%、27年時点で89.9%、28年時点で90.3%となっております。

 次に、福岡市における精神科病院の病床数でございますが、平成19年度末時点で4,077床、28年度末時点では3,963床となっており、114床減少しております。

 最後に、福岡市における精神障がい者の現状ですが、精神保健福祉手帳取得者は年々増加しており、精神科病院の入院者は徐々に減少し、通院者は増加しております。また、入院者総数は減少しているものの、1年以上の長期入院者はいまだ多いと認識しております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 博多織、博多人形の現状に関する御質問についてお答えいたします。

 博多織、博多人形の現状につきましては、それぞれの組合が毎年行っている調査によりますと、昭和50年ごろが事業所数や出荷額などがピークとなり、その後、減少傾向となっております。平成28年度は、博多織の事業所数は50社でピーク時の約30%、博多人形の事業所数は65社でピーク時の約50%となっております。また、従業者数につきましては、どちらもピーク時の10%程度となっております。

 次に、生産数量についてでございますが、博多織の代表的な生産物である博多帯で申しますと、平成28年度は約7万5,000本でピーク時の約4%、出荷額は約20億円でピーク時の約10%となっております。また、博多人形の生産数量は42万本でピーク時の約16%、出荷額は6億5,000万円でピーク時の20%となっております。

 次に、平成30年度に取り組むべき事業につきましては、新規事業では、11月にマリンメッセ福岡を主会場に開催される伝統的工芸品月間国民会議全国大会や、博多織伝来777周年を記念する事業を支援し、本市伝統工芸品の魅力を全国に発信し、工芸品のブランド化を図ってまいります。予算額は1,470万円でございます。また、主な継続事業といたしましては、はかた伝統工芸館において、博多織、博多人形などの展示や伝統工芸関係のイベントの開催により認知度の向上を図っており、予算額は管理運営経費として2,770万円余でございます。

 次に、博多旧市街プロジェクトにつきましては、博多織や博多人形などの伝統産業を初めとした博多部の歴史、伝統、文化の魅力を市民や観光客に再認識していただき、まちを楽しんでいただくことを狙いとして取り組むものです。

 平成30年度の経済観光文化局の予算額は1,3455,000円であり、事業内容につきましては、ストーリー性のある魅力ある情報発信やロゴを活用したPR、市民や観光客の回遊を促す観光案内板の改修並びに市場調査やコンセプト整理など、将来に向けた博多部エリア全体の観光振興の検討を行ってまいります。

 他局における関連事業につきましては、道路下水道局が所管する歴史文化に配慮した道づくり、住宅都市局が所管する冷泉小学校跡地の活用の検討及び博多旧市街を醸し出すまち並みの誘導、博多区が所管する博多ライトアップウオークの推進などがございます。

 次に、博多伝統職の会──職人の職でございますが、博多伝統職の会につきましては、福岡県知事の指定を受け、福岡、博多にゆかりのある民芸品、工芸品の制作者や事業者が連携し、平成8年度に組織化されたもので、伝統工芸品のよさや魅力を広く宣伝し、需要の喚起に努め、伝統工芸品の振興を図ることを目的に博多曲物、博多独楽、博多張子、博多鋏、マルティグラスの5品目6事業者が参画しております。事業内容といたしましては、はかた伝統工芸館での展示販売や福岡市役所1階ロビーでの展示活動などを行っております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 在釜山日本国総領事館前の慰安婦像問題に伴いまして、さまざまな感情、御意見の市民の皆様がいらっしゃいます中で、福岡市としましては、交流事業に参加されます福岡市民と、また釜山広域市の両市民に万が一にも安全面で支障が生じたり、また、不快なお気持ちを抱かせることがないよう、この問題に伴う世論や、また交流事業への影響の懸念などを随時釜山広域市に伝え、共有しながら事業を実施しているものでございます。以上です。

 

副議長(石田正明) とみなが正博議員。

○38番(とみなが正博) 2問目に入ります。姉妹都市関係についてです。

 ちょっと質問を要望に切りかえさせていただきます。

 先ほど御答弁いただきましたが、釜山市との姉妹都市交流事業について予算計上されるに当たり、各局でこの慰安婦問題、こういった情勢下で例年どおりの予算計上がされてあるようです。やはりこういう状況ですから、事業の縮小や中止とか、そういった慎重な検討や配慮がなされていないのか、なされたのか、ちょっと気になるところであったんですが、今後、そういったところも伺えたらと思っております。

 次、要望です。中村局長、お忙しいとは思いますけれども、ぜひ早期に釜山広域市を御訪問いただいて、慰安婦像撤去に向けた実務的な協議に入っていただきますよう要望いたします。

 次に、釜山広域市との協議の場において、釜山広域市側に対して本市としては懸念を伝えるのみで、慰安婦像を撤去することや徴用工像の設置を阻止することについては、国の専管事項だとしてはっきりと言及すらされていない、求めていないということが先ほどの御答弁で明らかとなりました。これは大変ゆゆしき事態であり、本市に寄せられた多くの市民の思いを裏切る行為だと言わざるを得ません。

 お尋ねいたしますが、慰安婦問題及び徴用工問題は国の専管事項だと言われますが、では、その根拠となるものがありましたらお示しください。

 次も、ちょっと要望に切りかえさせていただきます。

 釜山市との協議の場において、いついつまでに慰安婦像を撤去するという期限を設けるべきだと考えています。その約束された期日までに慰安婦像を撤去することができなければ、釜山市側に対して、制裁措置として姉妹都市交流事業を縮小、廃止、姉妹都市関係自体を見直していくということは当然検討されるべきだと思いますので、そういったことも局内の協議の中において検討していただくよう要望いたします。

 次も要望にさせていただきます。

 本市といたしましては、慰安婦像の早期撤去を求めるとともに、これは日韓合意の不履行であり、ウィーン条約、国際条約の違反なんですね、日本総領事館前に設置されている慰安婦像はですね。これに対して姉妹都市関係の信頼関係、一番大切だと思うんですが、これを一方的に傷つけている責任として釜山市側に正式に謝罪を求める、こういったことを真剣に検討していただきたいというふうに要望いたします。

 この問題の最後に島市長にお尋ねいたします。

昨年1216日、西日本新聞の記事なんですが、市長も目にされたと思うんですけれども、釜山市の徐秉洙市長のインタビュー記事が西日本新聞に掲載されました。慰安婦像に触れまして、道路法に違反して適切ではないと否定的な考え方を明らかにした一方、あくまでこれは韓国人が解決しなければならない問題として、日本側からの釜山市への批判が強まることに懸念を示されたようです。一方で、姉妹都市交流に関しては、もちろんこれはしっかりやっていきたいということを言われています。何とも虫がいいといいますか、そういうふうに感じるのは私だけでしょうか。市長、これは釜山市長のコメントです。福岡市に触れて、市長が敏感に動いていると思っているが、その必要はない。何とまあ上からな感じですね。これは私だけじゃなくて、多くの福岡市民がはらわた煮えくり返ったんではないでしょうか。

 それで、私はこの記事を書かれた、インタビューをされた記者の方にお電話させていただいて、1時間以上お電話で話して、釜山市長の様子とか、韓国のリアルな状況とか、いろいろお話を伺いました。いろんなことが見えてきました。それで、この記者の方が一番懸念を持たれていたのが、5月1日に設置予定されている徴用工像なんです。徴用工像が建ってしまったら、日韓関係が取り返しのつかないところまでいってしまうと。現地の特派員、記者の方がそのように言われておられました。徴用工像の設置の狙いは日本企業への損害賠償請求にあるとも言われていまして、これ以上、日韓両国民の憎悪の感情が高まれば、日韓両国民の間に、本当にいつ何が起こってもおかしくはありません。万が一、メーデーに総領事館前に徴用工像が設置をされ、釜山市がそれを容認した場合、私は本市と釜山市との姉妹都市としての信頼関係が完全に破壊されたと考えます。残念ではありますが、そのときには釜山市との姉妹都市関係を解消すべきであると考えています。信頼関係が破壊された都市との交流事業に税金を使うことは、到底市民の皆様の御理解を得られるものではないと考えるからです。

 先ほど釜山市との姉妹都市交流事業の内容について御答弁をいただきましたが、市民の安全を犠牲にしてまで実施しなければならないような事業は一つもありませんでした。また、姉妹都市関係でなければ実施できない事業ばかりというわけでもなく、仮に釜山広域市との姉妹都市関係を解消したとしても本市市民にはさほど影響はなく、大きな不利益も生じないものと考えます。釜山広域市との姉妹都市関係の継続よりも、もっと大事な、もっと大切なこと、それは我々の先人の名誉を守り、我が国の誇りを保つことであります。何より市民の安全を確保することは本市としての責務であり、市民の安全を犠牲にしてまで姉妹都市関係を継続しなければならない理由などはありません。本市と釜山市との協議については政府も注視しているものと思われますが、徴用工像が設置をされた場合、日韓関係がこれまでにないレベルにまで悪化することは必至であり、その場合、釜山市側との協議をまとめることができずに交渉に負けてしまった福岡市には多大な責任が問われてくるものと考えますが、島市長、そのあたりはどのように御認識をされておられますか。その場合、島市長が責任をとられるのでしょうか。あるいは中村局長でしょうか。責任は両国の政府にあるとして、本市としては引き続き経済交流のみを続けていきますか。あるいは責任は全て釜山市側にあるとして、釜山市との姉妹都市関係を解消されるのか。最終決定権者である島市長に御覚悟のある御答弁を求めます。

 続きまして、精神障がい者の支援体制の構築推進についてです。

 私は、一昨年前の3月議会及び10月の決算特別委員会の場におきまして、精神障がい者の交通運賃割引について、過去2回にわたり質疑を行ってまいりましたが、今年度より福岡市営渡船では精神障がい者の方々にも乗船運賃の割引が実施されることとなりました。また、民間事業者の西鉄でも精神障がい者の交通運賃割引が実施されることとなり、精神障がい当事者の方々はもちろん、御家族や支援施設、支援団体の方々からも喜びの声が届いております。特に福岡市民にとって身近な西鉄バスは、精神障がい者の方々にとりましても御利用のしやすい公共交通機関であり、身体障がい者、知的障がい者の方々と同様に精神障がい者の方々にも運賃割引サービスが導入されましたことは、本市がこれまで西鉄やJRなどの公共交通事業者に対して要望を重ねてこられました結果であり、心より敬意を表したいと思います。公共交通運賃の割引が精神障がい者の方々の社会参加の促進に果たす役割と意義は大変大きなものだと思っておりますので、今後のさらなる進展に期待いたします。

 では、新年度の新規事業、精神障がい者支援体制の構築推進について、施策の社会的背景、目的、内容について、また、各区役所の健康課に1名ずつ職員が増員となるようですが、具体的にどのような職務を担うのか、あわせてお尋ねいたします。

 続きまして、博多の伝統産業の振興についてです。

 先ほど御答弁いただきましたように、博多織や博多人形はかつてのピーク時に比べて、まさに衰退の一途をたどっているかのような大変厳しい状況にあることが見えてまいりましたが、その理由についてはどのように捉えられておられるのでしょうか、御所見をお伺いいたします。

 また、博多伝統職の会についてですが、以前に比べて支援予算額が減額されていると伺いました。博多の伝統産業は、ピーク時に比べて大変厳しい状況にある中で、なぜ支援予算額が減額されてしまっているのでしょうか、説明を求めます。

 博多の伝統産業の振興は、まさに本市喫緊の課題の一つであると言えます。このままでは後継者の育成もままなりません。後継者がいなければ、いずれはどの伝統産業も衰退してしまいます。博多の伝統産業における後継者育成施策について、現在どのような取り組みがなされているのか、お尋ねいたします。

 以上で2回目の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 中村総務企画局長。

総務企画局長(中村英一) 慰安婦問題などを国の専管事項とする根拠についてのお尋ねにお答えをいたします。

 国と地方公共団体の役割分担に関しましては、地方自治法第1条の2の規定によりまして、外交や防衛のような、国際社会における国家としての存立にかかわる事務については、国が本来果たすべき役割とされているところでございます。また、総務省が示しておられます地方公共団体における国際交流の在り方に関する指針におきましては、地方公共団体が行う国際交流事業の主眼は、住民の国際認識と国際理解の喚起などによって地域産業、経済を振興することとされているところでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 永渕保健福祉局長。

保健福祉局長(永渕英洋) 精神障がい者支援体制の構築推進についての御質問にお答えいたします。

 精神障がい者支援体制の構築に当たっての社会的背景につきましては、精神科病院へ入院された方の中で帰住先や家族等の支援が得られないなどにより、長期に入院している患者がおられる現状があることや、措置入院者が退院後、医療の中断により再入院となる例も見られるということでございます。目的といたしましては、長期入院者、措置入院者を含めた精神障がい者が地域で孤立せず、安心して暮らせる支援体制を整備することでございます。

 具体的な事業内容につきましては、1つ目として、行政、医療、福祉の関係者で構成される協議の場を設置し、精神障がい者支援体制の構築について協議することでございます。また、2つ目は、長期入院者、措置入院者等について、入院中から本人や家族、医療機関、福祉関係者等と協議して退院後支援計画を作成し、医療を中断せず、地域で継続して生活できるよう支援することでございます。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 博多の伝統産業の振興についてお答えいたします。

 博多織、博多人形の事業所数や従業員数が減少している理由につきましては、和装離れや住宅環境の変化などに伴う需要の低迷が主な理由であると考えております。全国的に見ましても、大量生産方式による安価な生活用品の普及や、海外からの輸入品の増大などの要因により伝統工芸品の生産、売り上げは減少しているところでございます。

 次に、博多伝統職の会の予算が減額されている理由につきましては、平成23年4月にはかた伝統工芸館が開館し、当該団体が行う作品の展示、販売場所が無料で確保できるようになったこと、制作者の日々の創作活動に支障が生じないようイベントなどへの出展を効果的なものに絞り込んだことなどによって、事業内容に見合った予算となったものでございます。また、予算を伴わない支援といたしまして、「博多町家」ふるさと館での実演という形で制作者の活躍の場を設けたり、国際会議場などに伝統工芸品を常設展示し、認知度の向上を図る広報活動を行うなど会の活動を多面的に支援しております。

 次に、伝統工芸における後継者育成の施策についてでございますが、博多織につきましては、平成18年度から福岡市と国、県、業界が一体となり、博多織技能開発養成学校の支援を行っております。これまで67人の卒業生を輩出しており、その多くが織元への就職や独立を果たしており、着実に成果があらわれてきております。

 博多人形につきましては、平成13年度から博多人形師育成塾を開催し、後継者の発掘と育成に努めております。受講修了者の中には、伝統工芸師として認定される者も出るなど大きな成果が出てきております。また、平成28年度より博多独楽や博多張子の作家と大学生が協働し、若者への訴求力の高い商品を開発することで若者の間での認知度を向上させ、後継者の発掘を図る事業を行っております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島市長。

市長(島宗一郎) 釜山の日本国総領事館前に徴用工像が設置された場合、私か局長が責任をとるのかという御質問でありますが、徴用工像の問題につきましては、日韓両政府間で解決に向けて取り組んでいただくべき問題であるというふうに考えています。以上です。

 

副議長(石田正明) とみなが正博議員。

○38番(とみなが正博) 3回目の質問に入ります。

 慰安婦像をめぐる釜山広域市との姉妹都市関係についてです。

 先ほどの御答弁でも、慰安婦問題及び徴用工問題は外交問題であり、国の専管事項だと市長も局長も繰り返し、去年の10月の決算のときも繰り返しおっしゃられますけれども、それはあくまでも原則論にすぎないわけでありまして、地方都市が他都市、ましてや姉妹都市です。姉妹都市である相手方に対して物を言ってはならないなど、どこにも書かれてはいないわけです。まして、国は地域の国際化の推進として自治体レベルでの国際交流を推進し、多くの自治体では、いわゆるグローバルな自治体間外交が定着してきております。国際化の進んだ現代社会においては、地方自治体も国益をかけて外交の一翼を担わなければなりません。外交は国の専管事項というのは、一昔前の話です。自治体として担わなければならない役割の一端を放棄する言いわけに使ってはいけません。事実、大阪市では多くの市民の声を反映させた行政対応をされておられるではないですか。

 そこで、今後の協議におかれましては、はっきり堂々と釜山市側に対して慰安婦像の撤去と徴用工像の設置阻止を要求されますことを強く要望いたします。それでも万が一、5月1日に徴用工像が釜山広域市の日本総領事館前に設置をされ、釜山広域市がそれを容認した場合には、即刻本市と釜山広域市との姉妹都市関係を解消すべきであるとの意見を重ねて申し述べておきます。

 釜山市の日本総領事館前に設置された慰安婦像の早期撤去と徴用工像の設置を阻止することは、本市と釜山市との良好な姉妹都市関係にとっても、また、日韓の将来にわたる友好的な関係にとっても、大変重要な問題であります。慰安婦像の撤去を望んでいるのは、実は日本人だけではありません。在日本大韓民国民団の呉公太団長は、昨年の1月12日、東京都内で開かれた新年会の場において、釜山市の日本総領事館前に設置された慰安婦像問題に触れ、撤去すべきだというのが私たち在日同胞の共通した切実な思いだと述べられておられます。また、同じく韓国民団の林三鎬副団長も、昨年6月、ビジネスジャーナルのインタビューに対して、日韓合意は履行すべきとした上で、像については撤去すべきだと思いますと答えられておられるのです。日韓の友好関係を妨げるとげがあるのであれば、それは一刻も早く抜かなければなりません。

 現在、釜山市長を務められる徐秉洙氏は、保守系の自由韓国党です。本年6月に行われる釜山市長選挙の結果次第では、像の撤去がますます困難になることも考えられます。なおかつ、5月1日のXデーは目前に迫っており、とにかく急がなければなりません。

 誤解をされるかもしれませんけれども、私は決して釜山広域市との姉妹都市関係の解消を望んでいるわけではありません。これまでの両市の交流事業などにより積み重ねられてきた高度な信頼関係がある本市と釜山市だからこそ、冷え込んでしまっている現在の日韓関係を再び温め直すことができるものだとかたく信じているからこそ、ここまでのお訴えをさせていただいているのです。

 島市長、要望ですが、できるだけ早期に市長みずからが直接釜山市に出向いていただき、釜山市長とトップ会談を行って、一気にこれらの問題の解決を図るべきであります。私は、島市長の実行力をもってすれば、必ずそれが実現できるものだと信じて、このことを強く要望いたします。

 最後に、島市長にお尋ねいたします。

 昨年、大阪市はサンフランシスコ市との姉妹都市関係の解消を宣言されました。60年間続いた姉妹都市関係を解消することについては、36人の議員を擁する大阪維新の会市議団の中でもさまざまな御議論があったとのことです。しかし、最終的に結論の決め手となったのは、吉村市長の発した私は命をかけてやっているんですの、その一言だったそうです。私も今回、この質問に当たりましては、それなりの覚悟を持って臨んでおります。島市長にも命がけでとまでは申しませんが、日韓両国が本当の意味で近くて近い国と呼び合えるように、また、本市と釜山広域市とがさらなる友好関係を築いていくためにも、両市の間に横たわる慰安婦像及び徴用工像問題の解決に向けた島市長の強い御決意をお伺いいたしまして、この質問を終わります。

 続きまして、精神障がい者支援体制の構築推進についてです。

 私にも精神障がいを抱えた家族がおりました。本人が一番つらく苦しいというのは、これはもちろんそうなんですけれども、同じくらいに家族も毎日大変な日々を送っておりました。家庭内暴力、入退院の繰り返し、服薬の副作用で言語障がいになってしまっていました。そういう言語障がいがあらわれ始めたら、途端に服薬を拒否し始めました。本当にやっぱり服薬はきついんですね、周りが思っている以上に。通院、入院の拒否、そしてまた説得と、当時は、社会の中で私たち家族だけが孤立をしたかのような、まさに灰色のときを過ごしていたかのような、そのような実感です。正直、何をどうしていいのかわからない、先が全く見えない中で、家族みんな深刻な不安を抱えながら日々を送っておりました。

 家庭内暴力が一番ひどかった時期、手を上げた本人はいつも泣いていました。手を上げられた家族も泣いていました。周りの家族も泣いていました。本人も家族も、あすをも見えない毎日を必死で暮らしてきました。今現在も、本市内には同じような御事情を抱える御家庭は決して少なくはないと考えます。本当に支えが必要な方々を漏らさず、しっかりと支える社会福祉体制の構築、精神障がい者の退院後の医療の継続や、長期入院者においては、御本人が安心して退院できるための支援体制の構築推進が求められております。

 そこで最後に、福岡市における今後の精神保健福祉について、真のユニバーサル都市づくりに向けた永渕局長の御所見をお伺いいたしまして、この質問を終わります。

 最後に、博多の伝統産業の振興についてです。

 先ほど博多伝統職の会への支援予算の減額理由を御答弁いただきましたが、私はこの質問に先立ち、職人の先生や関係者の方々にお話をお伺いしてまいりましたが、皆さん、博多の伝統産業を自分の代で途絶えさせるわけにはいかないという思いで、必死になってお守りいただいているという現実があることを知りました。博多伝統職の会の支援予算額について、今後、増額の方向で再検討していただきますよう要望いたします。

 重ねて要望ですが、後継者育成施策について、こちらもぜひ、博多織や博多人形以外の博多の伝統産業にも今以上にお力を注いでいただきますように要望いたします。

 次に、博多の伝統産業におけるインバウンドの取り込みについては、現在、どのような施策が検討、実施されているのでしょうか、お尋ねいたします。

 私は、この質問に当たり、「博多町家」ふるさと館とはかた伝統工芸館を視察させていただきましたが、はかた伝統工芸館では、企画展を行っていた博多織の先生の御指導のもとで手織りの体験をさせていただきました。実際に手織りの体験をすることで、博多織をとても身近に感じることができます。その日は欧米からの観光客の皆様がお見えになられておられましたが、博多織の体験も御好評だったようで、館内も大変にぎわっておりました。このような体験型としての博多の伝統産業のPRというのは、大変すばらしい取り組みだと思いますが、博多織以外の伝統産業でも同様の体験型の取り組みをされておられるのでしょうか、お尋ねいたします。

 再び要望ですが、本市内の子どもたちへの教育の一環として、ぜひこの博多伝統産業の体験型の取り組みを導入、推進していただきたいと思っております。子どもたちがさまざまな博多の伝統産業に身近に接して、よく理解をし、より親しみを持って感じることができるようになることは、教育的な観点からも大変意義があることですし、長期的には博多の伝統産業の職人への道を志す若者の増加にもつながるものと考えておりますゆえ、ぜひ前向きに御検討をいただきますようよろしくお願いいたします。

 ことしは、博多織777周年という大きな年を迎えています。博多の伝統産業の振興という意味においては、大きな追い風の吹いていることしを逃す手はありません。島市長の抜群の発信力には、博多の伝統産業関係者の皆様方も大きな御期待を寄せられておられます。

 そこで最後に、博多の伝統産業の振興について、島市長の強い意気込みをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) とみなが正博議員に申し上げます。質疑は、答弁を含む持ち時間制で運営しておりますので、答弁の途中で持ち時間を経過することも予想されます。それで、時間になりましたら、適当なところで残余の答弁は差し控えさせますので、御了承願いたいと思います。

 また、この際、理事者に申し上げます。答弁は、質疑に対して的確、簡明に願います。それでは、永渕保健福祉局長。

 

保健福祉局長(永渕英洋) 精神障がい者支援体制の構築推進についての御質問にお答えいたします。

 福岡市における今後の精神保健福祉についてでございますが、精神障がいの有無にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるよう、保健、医療、福祉関係者との連携ができる体制構築を図り、差別や偏見のない、あらゆる人が共生できる包摂的な社会を目指してまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 島経済観光文化局長。

経済観光文化局長(島 収) 博多の伝統産業の振興につきまして、まず私からお答えを申し上げます。

 伝統産業振興におけるインバウンドの取り組みにつきましては、伝統工芸品の国内需要の低迷を受け、これまでも国内市場だけでなく、海外の展示会への出展や実演、体験などによるPR事業で認知度向上と販路拡大に努めてまいりました。

 平成28年度より、上海島屋での工芸品の常設販売を開始し、その販売実績をマーケティングとして生かすなど、外国人のニーズ把握に努めてまいりました。さらに、平成29年度からは、外国人観光客の需要を視野に入れた商品開発を支援する事業を実施し、このたび、3作品の商品開発を行い、販売でも好評を博しております。今後も、急増している外国人観光客の需要の取り込みに意欲ある伝統工芸品の作家や事業者などの商品開発の取り組みを支援してまいります。

 続きまして、博多織以外での体験型の取り組みにつきましては……

 

副議長(石田正明) 理事者の答弁中ですが、とみなが議員に申し上げます。持ち時間を経過しましたので、先ほど申し上げましたように、残余の答弁は差し控えさせます。御理解をいただいて、議事を進めさせていただきます。よろしくお願いします。森あや子議員。

 

○39番(森 あや子)登壇 質疑に際しまして、その前に、先月2月19日、御逝去されました三角公仁隆議員への哀悼の意を表します。

 それでは、質問に入ります。

 昨日の当会派の荒木議員の代表質疑を補足し、障がい児の保育と特別支援教育について質疑を行います。

 平成28年4月に障害者差別解消法が施行され、本市においても、障がいを理由とする差別の解消を目的とする条例の制定に向けて取り組んでいるところです。昨年3月に本市がまとめた障がい児・者等実態調査報告書では、差別を受けた内容で全ての障がいに共通して、近所の人たちの対応で不愉快な思いをした、また、役所の窓口に行ったとき、職員の対応で不愉快な思いをしたの2項目どちらも上位5位以内に上がり、発達障がい児・者においては、学校、職場、施設などで不当な扱いを受けたが1位に上がっています。

 全ての人は、障がいの有無にかかわらず、平等に、かけがえのない個人として尊重され、地域社会でみずからの個性と能力を発揮しながら心豊かに生活する権利を有しているということを全ての人が自覚し、市民一人一人の意識向上が図られることが重要です。誰もが、病気やけがによって社会的障壁となるものがいつ我が身に起こってしまうかわかりません。年をとっても障がいがあっても、一人一人が大切にされ、誰もが自分らしく生き、一人一人の内なる力を発揮できる社会が、持続可能な社会をつくり上げると考えます。特に社会の宝である子どもたちが将来への夢や希望を自由に描ける社会でなければいけません。

 その子どもたちの保育に関しては、本市において、昨年度に引き続き待機児童対策に力を入れて取り組んでいただいていますが、保育の現場では、ゆったりした気持ちで働ける状態とは言いがたい状況です。保育士不足、処遇問題を根本的に解消する策を講じなければ、質の高い保育の確保は実現しません。保育士等々の働き方が厳しい状況であれば、どうしても子どもたちへしわ寄せが行きます。心のゆとりある保育のあり方がこれからの社会は必要とされます。乳幼児期は、子どもが生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期です。少子化が進み、家庭や地域の子育て力の低下が指摘され、子どもの育ちや保護者をめぐる環境も変化している中、保育所への期待は高まり、質の高い養護と教育の機能が強く求められています。特にハンディのある子どもたちにとっては、専門的な知識が加えて必要です。全ての子どもの最善の利益のために、子どもの健康や安全の確保、発達の保障としての重要な役割を担っているのが保育の現場です。このことは教育の場面でも同じです。保育や教育に携わる専門家として、障がいを有する子どもたち、また、特別な配慮が必要となる子どもたちの本人の困り感を軽減し、子どもがみずから発達していく力を理解し認め、その姿に寄り添いながら、子どもの可能性を引き出していくことが重要です。全ての子どもたちが自分の夢をかなえるためにも、誕生から就学、そして、就労までの長期的視野をもって、子どもを切れ目なく理解し、支援していくことが必要です。自閉症など発達障がいのある人の中には、知的障がいを伴う人も少なくありません。見えない脳の障がいの特性について理解を深めていくために、発達障がい児や知的障がい児への支援に目を向けながら、保育所、幼稚園の支援体制や特別支援教育について質問してまいります。

 まず、心身障がい福祉センター及び東部、西部療育センターにおける新規受診児の人数の総数と発達障がいと診断された人数について、平成24年度と平成28年度の比較はどうなっているのか、お答えください。

 また、障がい児を受け入れた保育所、幼稚園に対する助成制度についてお答えください。

 その制度の過去3年間の保育所、幼稚園から申請された園数と障がい児の人数の推移及び平成28年度決算額と平成30年度予算額をお答えください。

 特別支援教育については、平成29年度における特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室の対象となっている障がい種及び設置状況並びに平成29年度と平成25年度それぞれの児童生徒数についてお答えください。

 以上で1問目を終わり、2問目から自席にて行います。

 

副議長(石田正明) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 療育センター等における新規受診児数と、そのうち発達障がいと診断された人数の平成24年度と平成28年度の比較につきましては、平成24年度は新規受診児数が1,092人、うち発達障がいと診断された人数は632人、平成28年度は新規受診児数が1,423人、うち発達障がいと診断された人数は938人となっております。

 次に、私立保育園及び認定こども園への助成制度につきましては、障がいやかかわりの程度が軽度の場合、児童1人当たり月額で6万5,000円、中度の場合9万7,000円、中度より重い場合13万円を保育士の雇用費として助成しております。

 申請された障がい児の入所状況につきましては、平成27年度は154園で445人、平成28年度は163園で442人、平成29年度は2月1日現在となりますが、165園で462人となっております。また、補助金の平成28年度決算額は3億5,200万円余、平成30年度予算案計上額は4億2,200万円余となっております。

 次に、私立幼稚園への助成制度につきましては、所管である福岡県が障がい児を1名以上受け入れている幼稚園に対して児童1人当たり年額で392,000円を助成しており、さらに本市からも県の助成に上乗せして児童1人当たり5万円を私立幼稚園運営費補助金として助成しております。

 幼稚園への障がい児の入所状況につきましては、平成27年度は73園で319人、28年度は81園で407人、29年度は83園で440人となっております。また、補助金の平成28年度決算額は2,035万円、30年度予算案計上額は2,200万円となっております。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 特別支援学校等の設置状況などについてお答えします。

 特別支援学校は、知的障がい、肢体不自由、病弱を対象に全部で8校設置しており、児童生徒数は平成29年度1,485人、25年度1,353人でございます。

 特別支援学級は、知的障がい、肢体不自由、病弱、自閉症・情緒障がい、弱視、難聴を対象に小学校139校、中学校66校に設置しており、児童生徒数は平成29年度2,035人、25年度1,367人でございます。

 通級指導教室につきましては、情緒障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいであるLD、ADHD等、難聴、言語障がいを対象に小学校15校、中学校3校に設置しており、児童生徒数は平成29年度650人、25年度501人でございます。以上です。

 

副議長(石田正明) 森あや子議員。

○39番(森 あや子) まず、本市の状況として、各センターにおける新規受診児総数は、平成24年度と平成28年度の比較では331人増加、そのうちの306人が発達障がい児と診断されています。平成元年度からの受診の推移も出していただいたのですが、新規受診児総数は平成元年比較で1,000人以上ふえています。そのうち、推移に余り変化がないのは肢体不自由で、それ以外の精神遅滞、聴覚言語障がい、発達のおくれと診断されたお子さんは、いずれも約1.5倍です。発達障がいの増加はもとより、障がい児・者が全般的にも増加傾向にあります。

 また、発達障がいに関して、文部科学省の平成24年の調査によると、通常学級に在籍する児童生徒の中で発達障がいの特徴を示す子どもは全体の約6.5%という結果です。これは、診断を受けていない子どもの数を含め、その特徴を示す子どもが約15人に1人の割合でいるということで、調査から5年たっている現在は増加していると推測されます。本市においても、発達教育センターが作成したチェックリストに基づく小中学校の平成29年の調査報告によると、発達障がい傾向のある児童生徒数は2,461人で、そのうち診断がある児童生徒数は836人、診断はないがその傾向があるとされる児童生徒数は1,625人となっています。2年前の平成27年の同調査報告と比べても、200人以上の増加を示しています。発達障がい児は、診断や検査に時間を要し、医学的診断は医療機関が担っていますが、受診までの待機期間が長期化している状況です。子どもたちを目の前にした支援には、ひとときも目を離せない状況もあります。子どもの状態を正しく理解し、できるだけ早く支援が充実するために、他機関との連携及びさまざまな支援や助成制度のさらなる充実が必要です。

 例えば、幼稚園教育の振興と保護者の教育費負担の軽減を図ることを目的として、本市独自で行っている私立幼稚園運営費補助金の制度ですが、先ほど御答弁いただきました障がい児対策費は年間で5万円と少額です。障がい児を受け入れている園にとっては、保育の充実のために助成を必要とされています。この本市の助成の申請時期が5月末に一度だけとなっていますが、県のほうでは、9月にももう一度申請できるようになっています。発達障がいにおいては、保護者が理解して受け入れ、承諾しなければ、園からはこの助成金を申請することができません。入園してから5月末までに発達障がいの疑いのある子どもの保護者と丁寧に面談をし、承諾を受ける必要がありますが、1学期の早い段階のこの時期に障がい児全員の申請を間に合わせることは困難で、間に合わなければ、1年後にしか助成を受けることができません。県の補助制度と同じように、2学期にもう一度申請受け付けが可能になることを要望します。9月の申請が可能になれば、子どもたちの保育の場面に生かされます。ぜひ御検討くださることをお願いいたします。また、この制度自体、平成32年度が補助金の終期とされています。子育て環境満足度の上昇に寄与していると考えられているため、今後も継続して実施する必要性があるとして、終期を平成28年度から延長された経緯があるので、平成32年度以降も制度の継続をぜひお願いいたします。

 そもそも、障がい児等の受け入れそのものが困難な状況がベースにあります。障がい児や特別な配慮を必要とする子どもの保護者からは、育児や発達に関する相談対応ができる専門職が必要とされています。看護師や障がいに対応する保育士等の増員を図り、保育所での療育等、専門的な支援の実施、医療機関などの専門機関との連携についても、保育所等への期待が高まっています。障がい児等の受け入れが着実に推進されるよう、国による後押しを一層求めるとともに、本市の取り組みのさらなる強化をお願いいたします。

 さて、子ども・子育て支援新制度が平成27年からスタートしています。その目的は、1、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供、2、保育の量的拡大・確保、教育・保育の質的改善、3、地域の子ども・子育て支援の充実とされています。利用者支援事業との連携で充実を図られているところですが、本市において取り組まれている障がい児にかかわるさまざまな支援事業について質問いたします。

 まず、障がい児等療育支援事業について、事業内容の説明を求めます。また、過去3年間の保育所等への施設支援件数及び平成28年度決算額と平成30年度予算額をお答えください。

 次に、障がい児保育訪問支援事業、私立幼稚園障がい児支援事業についての事業内容の説明を求めます。また、過去2年間の利用状況、訪問園数や訪問回数及び平成27年度と平成28年度決算額と平成30年度の予算案額をお答えください。

 さらに、児童福祉法上のサービスである保育所等訪問支援事業の利用状況についてお示しください。また、施設への訪問支援以外で、こうした保育所等に通う障がい児が専門的な療育を受ける機会があるのか、お答えください。

 次に、特別支援教育についてですが、通級支援教室の状況については、ふだんは自分の住む地域の学校の通常の学級に所属し、週に1度、指導教室に保護者とともに通います。通級指導教室の設置状況は、全ての小中学校に設置されているのではなく、通級がない学校で通級指導の対象となった児童生徒は近隣の学校の通級教室に移動して授業と相談支援等を受けます。少子化の進展により、全国的には児童生徒数は減少傾向にありますが、発達障がいに対する認知の向上や個別の支援を必要とする子どもたちの早期発見体制が整ったことなどの要因もあり、通級指導の対象となる児童生徒は、この10年ほどで約2.3倍に増加している状況です。診断の有無によらず、学習、行動面で個別の取り出し支援が必要かつ有効な子どもが多くいる中、専門性の高い教職員を安定して確保、育成していくことは、全ての子どもたちの学びが豊かになるためにとても重要な施策です。

 発達障がいは、脳機能の発達が関係する障がいで、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は自分勝手とか、変わった人、困った人と誤解され、敬遠されることも少なくありません。障がいが見た目からはわかりにくいので、理解する上での難しさがそこにあります。自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいなど、発達障がいの特徴はさまざまです。複数の障がいが重なってあらわれることもあり、障がいの程度や年齢、発達段階、生活環境などによっても症状は違ってきます。このように、発達障がいは多様なので、支援も多様になってきます。一人一人の教育的ニーズに応じて適切な指導及び必要な支援を行うことができるよう充実を図ることが必要です。このことは、障がい児にとっての対応だけでなく、周りの全ての子どもたちにも、集団の中で学び取る、人権意識を育てることにもつながります。さまざまな違いを持つ他者との出会いがあり、接していく中で、自分自身に気づき、子どもも大人も育ち合う場となります。

 特別支援教育は、障がいのある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障がいの有無やその他の個々の違いを認識しつつ、さまざまな人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っていると文科省もうたっています。通級指導を受けるのは週に一度です。児童生徒が日ごろ在籍する教室でも生き生きと過ごせるよう、全ての教育現場のさらなる理解の推進を求めます。

 そこで、お尋ねします。

 以前、通級指導教室の待機児童生徒がいると聞いていましたが、平成29年度、新たに通級指導教室対象と判断され、通級指導教室に受け入れられた児童生徒数は何人でしょうか、お答えください。

 また、身近な地域の学校の通級指導教室に通えていない児童生徒がいると聞いています。今後、ニーズはふえていくと予測されますが、教室の設置と教員確保をどのようにされるのでしょうか、お答えください。

 次に、1問目でお答えいただいた特別支援学校や特別支援学級を設置する小中学校のほとんどで知的障がいの児童生徒が在籍しています。

 そこで、中学校特別支援学級卒業後の平成28年度の進路について、また、特別支援学校卒業後の進路状況と知的障がいの生徒の進路状況についてお答えください。

 続いて、軽度の知的障がいのある生徒が通う博多高等学園の取り組みについて、また、特別支援学校高等部生徒の就職推進のために立ち上げられた夢ふくおかネットワークの取り組みについてお尋ねします。

 以上で2問目を終わります。

 

副議長(石田正明) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) まず、障がい児等療育支援事業につきましては、在宅障がい児の地域での生活を支援するため、療育センターで外来療育を行うとともに、療育センターから言語聴覚士や作業療法士等を派遣し、障がい児宅での訪問療育や児童発達支援センター等の職員に対して、障がいや発達に応じたかかわり方などの助言を行うものであります。過去3年間の施設への支援件数は、平成26年度252件、27年度241件、28年度297件となっており、平成28年度の決算額は2,491万円余、30年度予算案計上額も同額の2,491万円余となっております。

 次に、障がい児保育訪問支援事業及び私立幼稚園障がい児支援事業の事業内容につきましては、保育施設等や幼稚園からの要請を受け、訪問支援保育士が訪問し、助言、指導、研修などの支援を行うものであります。過去2年間の保育施設等への訪問につきましては、平成27年度は93園に延べ181回、28年度は115園に延べ240回となっております。また、私立幼稚園への訪問は、平成27年度は25園に延べ33回、28年度は66園に延べ146回となっております。両事業の平成27年度の決算額は703万円余、28年度の決算額は1,562万円余、30年度の予算案計上額は1,591万円余となっております。

 児童福祉法上の保育所等訪問支援事業につきましては、平成28年度の年間延べ利用人員は11人となっております。また、保育所等に通う障がい児への療育の機会確保につきましては、療育センターで子どもの障がい特性に応じて少人数にグループ化した外来療育を実施するとともに、平成28年度には児童発達支援センターの分園を4カ所開設して、保育所や幼稚園との並行通園を開始したところであります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 特別支援教育についての御質問にお答えします。

 平成29年度に通級指導教室対象と判断された児童生徒数は298名で、全員受け入れております。

 次に、今後の通級指導教室の設置と教員確保につきましては、対象となる児童生徒数の推移を踏まえ、適切に設置してまいります。また、教員については、計画的な採用を行ってまいります。

 次に、平成28年度の中学校特別支援学級在籍生徒200名の卒業後の進路につきましては、特別支援学校高等部への進学は119名、高等学校への進学は61名、高等専修学校への進学は14名、就職3名、その他が3名でございます。

 次に、特別支援学校高等部の卒業後の進路状況につきましては、平成28年度における特別支援学校高等部卒業生172名の進路先は、企業や事業所への就労が40名、障がい福祉サービス利用が122名、進学が1名、その他が9名でございます。そのうち、知的障がいのある生徒155名の進路先は、企業や事業所への就労が40名、障がい福祉サービス利用が107名、その他が8名でございます。

 次に、博多高等学園につきましては、軽度の知的障がいの生徒を対象とした高等特別支援学校として設置し、企業や事業所と連携し、卒業後の就労を目指した3年間の職業教育に取り組んでおります。

 次に、夢ふくおかネットワークにつきましては、特別支援学校高等部生徒の就労を促進するため、教育委員会に登録いただいている企業や事業所233社を中心に、企業における障がい者雇用の理解促進を図るとともに、職場実習を通じて、生徒本人やその保護者、学校、関係機関と企業との相互理解を深める取り組みを行っております。以上です。

 

副議長(石田正明) 森あや子議員。

○39番(森 あや子) 私立幼稚園障がい児支援事業、これは額が昨年度からふえておりますけれども、これは西部と東部の両センターに専任の訪問支援保育士を配置したために回数も延べ人数もふえているということで、充実していただいていることに感謝いたします。それと、福祉事業団への委託のため、障がい児等医療支援事業は同額ということですが、果たしてこれからどんどんふえていく中で、もっと予算をかける必要があるのではないかと思っております。

 子ども・子育て支援新制度の活用や、御説明いただいた各支援事業の予算確保や実施施設と人員の拡充など図りながら展開してくださっています。これらの支援事業等を利用された園や保護者の方々は、とてもよかった、もっと多くの人に利用してほしいとの実感と評価を聞いております。保育には、子どもの現在のありのままを受けとめ、その心の安定を図りながらきめ細かく対応していく養護的側面と、保育士等としての願いや保育の意図を伝えながら、子どもの成長、発達を促し、導いていく教育的側面があります。子どもも保護者も保育士もともに生きるのが保育の場であり、質の確保が重要で、こういった支援事業によって充実を図ることが求められます。発達障がい児が急増する中、専門機関以外でも幼児の段階で適切な支援を受けることも重要で、情報や支援が必要な人や施設にしっかりと行き届き、利用できるようさらに周知を図られること、そして、支援事業等の推進によって、障がい児を中心に豊かな保育の場が広がっていくよう取り組みへの強化を求めておきます。

 特別支援教育については、平成29年度に通級指導教室が必要とされた児童生徒全てが指導教室に通えていることがわかりましたが、遠い学校に通わざるを得ない事態も起きております。保護者もともに学べるとてもよい支援です。身近な学校に通えるよう通級指導教室の配置と専門性が高い教員の確保について、さらにしっかりと寄り添える形で取り組まれることを求めておきます。

 中学校特別支援学級卒業後の進路は、多くの生徒が進学されています。特別支援学校卒業後の進路は、多くの生徒は福祉サービスの利用ですが、知的障がいの生徒は企業やA型事業所へ就職をされています。就労へつなぐ支援の充実が図られていることがうかがえます。また、在宅や未定等の生徒もいます。もし迷っていたり疲れていたりする生徒がいれば、ゆっくりでいいんだよとぜひ周りの大人が声をかけ、その子を中心にして、家族丸ごとの見守りや支援を継続できるよう体制づくりの強化を求めます。

 さて、就労支援の取り組みに力を入れている博多高等学園は、卒業した後、企業に就労して働き続けたいという意欲、根気、実行力を持った生徒たちに対して就労に必要な知識、技能、態度を身につけさせることを目的として、平成16年4月に開校された高等特別支援学校です。昨年、私も公開授業の見学に行かせていただきました。アットホームな雰囲気の中で、授業を受ける子どもたちの生き生きと輝く笑顔が印象的でした。学校の使命は、軽度の知的障がいのある生徒の企業就労で、働き続けることを目指し、生徒主体の本物に出会わせる現場実習を体験する、教育実践に取り組み、企業や関係機関等との連携を図ることを学校の経営方針に掲げ、できるだけ多くの生徒が卒業後に企業就労できるように、開校以来、職業教育に力を入れられています。

 そして、生徒の企業就労を促進する夢ふくおかネットワークの取り組みですが、平成24年末に立ち上げたころの登録企業、事業所数46社から、お答えにあったように現在は233社にもふえています。会報夢だよりには、講演会や交流会等に参加した方々の感想などが紹介されています。

 保護者の立場からは、ぶつ切りの教育でなく、小中高のつながり、教育内容の向上が望まれると感じた。ネットワークが広がっていくことは、共生社会を築いていくことにつながると感じた。学校、保護者、福祉サービス、行政機関、企業、全てが連携をして、全ての障がい者に働く場所ができてほしい。そして、社会福祉法人やNPO法人の立場の方々からは、とてもいい取り組みであると思うとともに、特別支援学校だけでなく、ほかにも広げていきたい。保護者の方々が小学部から家庭内で指導をしていくことが重要なのではないかとの御意見が出ています。教員の立場では、教員として改めて就労を目指す生徒たちにどのような支援ができるのか考えていきたいと思うなどです。

 早い段階から、小中学校の義務教育課程とそこからの進路について、一人一人が自分の道を歩んでいくために、望ましい未来をつくり出す力の基礎となる豊かな経験が必要で、一人一人のニーズに合った適切な教育を提供できる多様な学びの場として博多高等学園で実践されていると思います。御答弁にも感想にもあったように、特別支援学校だけでなく、ほかの学校等にも広げることはもとより、このような支援学校が身近なところにあることが望ましいことですが、まずはもう一校ふやすことはできないかと考えます。定員は1学年40名で、入学したくてもできないと軽度知的障がい児の保護者から聞いたことがあります。ぜひ御検討いただきますよう要望いたします。

 また、夢ふくおかネットワークは、就労支援として生徒と仕事をつなぐだけではない、人権意識を高め、心や思いをつなぐ大きな役割があると考えます。情報の発信や共有に力を入れ、ますますの取り組みの充実を図っていただきたいと考えます。

 幼児期から学齢期を経て社会へ旅立っていく子どもたち、三つ子の魂百までとも言われます。障がいの有無にかかわりなく、特に保育、そして教育の場面は重要な人育てを担っています。保育所保育指針には、養護と教育が一体的に展開され、保育の内容が豊かに繰り広げられていくためには、子どもの傍らにある保育士等が子どもの心をしっかりと受けとめ、相互的なやりとりを重ねながら、子どもの育ちを見通し、援助していくことがとても大切とされ、子どもを一人の人間として尊重し、その命を守り、情緒の安定を図りつつ、乳幼児期にふさわしい経験が積み重ねられていくように援助することとされています。子どもは、自分の存在を受けとめてもらえる保育士等や友達との安定した関係の中で、みずから環境にかかわり、興味や関心を広げ、さまざまな活動や遊びを通して新たな能力を獲得していくのです。障がいがあっても、脳の発達には環境的要因が大きく影響し、発達をなしていきます。冒頭にも述べましたが、子どもが生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期が保育の場面です。その時期は非常に重要であるために、周りの環境に、特に人とのかかわりが大きく左右されます。だからこそ、障がいの有無にかかわりなく、平成20年に改定され、適用されてきた保育所保育指針には重要なことが示されています。また、ことし保育所の保育における幼児教育の積極的な位置づけ、安全な保育環境の確保、健康及び安全の記載の見直し、子育て支援の章の新設、研修機会の確保、充実など職員の資質向上に関する記載の充実など改定され、ことし4月1日より適用されます。この保育所保育指針を小中高の教員も学ぶ機会が必要と考えます。

 家庭や職場などで、障がい児・者に対して権利や尊厳が脅かされれば虐待となります。しかし、障がい者を養護している側への支援も必要な場合が少なくありません。養護者が虐待者にならないために、社会全体として状況に応じた専門的支援、知識や技術の向上、心のケアなどのフォローが必要です。そのためには、障がい特性などへの理解が大前提です。保護者や職場だけでなく、子どもにとっては保育士や教員が養護する立場となります。子どもを預かり、保育や教育を担う側の働き方も問われます。個人での対応にならないようチームで相談しながら対応をしたり、専門家による専門的支援を受けたり、知識や技術の向上、心のケアなどのフォローは保育士や教員にも必要です。幼少時代、思春期時代での二次的障がいを受けてしまえば、本来の障がい特性だけでは起こらない状況も起こってしまい、本人の困り感は増大します。特性を生かし、伸ばしていける保育や教育が、その後の人生においてとてもとても重要です。

 特性を生かし、伸ばしていける保育や教育を実践するために、脳科学を学び、子どもの脳を育てる研修の機会も必要と考えます。脳科学の進展は目ざましいものがあります。しかし、研究者の間では昔から言われてきたことです。10年ほど前に出された著書にも、健康な体や心を育てるように脳も積極的に育てようと、食、運動、睡眠との関係や意欲、学力、国語力、表現力、愛情力について書かれてあり、脳への働きかけの影響がいかに成長発達に影響があるかを知ることで、豊かな保育や教育現場をつくる必要があるかの意義がわかります。自分の持つ力を引き出してくれる理解あるすてきな先生に出会えば、子どもたちはその姿に憧れて、保育士や学校の先生になりたいと夢を描きます。

 また、201211月、米国小児科学会が政策声明を公表しています。それは、脳の発達障がいや脳腫瘍など農薬による子どもの健康被害を米国の政府や社会に対して、農薬などの発達神経毒性を持つ環境化学物質の危険性の警告です。2010年の有機リン系農薬に暴露された子どもにADHDのリスクが約2倍高まるというハーバード大学からの論文を初め、農薬と脳の発達障がいとの相関関係を示す疫学データが次々に報告されています。発達障がいの原因研究が遺伝要因から環境要因へ向かう新しい流れを象徴しています。

 201312月には、欧州食品安全機関がネオニコチノイド系農薬が子どもの脳の発達に異常を起こす発達神経毒性がある可能性を認め、規制強化を勧告しました。また、現在、世界規模で行われている調査ですが、日本でも化学物質の暴露や生活環境など、胎児期から小児期にわたる子どもたちの成長、発達に影響を与える環境要因を明らかにするため、環境省では疫学調査となるエコチル調査を行っています。まだまだ脳に関する研究は未知の部分もありますが、疫学調査が行われているのは自閉症が多く、日本での自閉症と診断される子どもの増加は著しく、2012年までの報告では、有病率の比較で日本は世界で第2位です。障がいへの理解を促進する研修として、脳神経科学から発達障がいの原因と発症メカニズムを知る機会も必要ではないかと考え、要望いたします。

 このような角度からも、障がいのことを深く理解することが必要と考えます。また、周囲の環境、日々の脳の使い方によって認知機能の質が変化し、発達、熟成していく可能性を秘めていると福岡県発達障がい者リハビリテーションセンター長の永吉先生が御講話されています。以上のように、さまざまな視点での研修を取り入れながら、保育や教育の充実を図っていただくことを要望いたします。

 最後に、今後増加し続ける障がい児の現状に鑑み、なお制度や取り組み等の周知も含め、さらに充実させていくことが必要と思いますが、保育の場面に関してはこども未来局に、学齢期から就労するまでの場面に関しては教育委員会に御所見をお伺いして、私の質問を終わります。

 

副議長(石田正明) 石橋こども未来局長。

こども未来局長(石橋正信) 保育所や幼稚園などに通う障がい児の支援につきましては、乳幼児期が子どもの発達を促す上で極めて大切な時期でありますことから、これまでも障がい児を受け入れている園への助成、また、療育センターからの訪問支援事業による助言、指導、研修の支援、療育センターでの外来療育、児童発達支援センター分園での並行通園の実施など鋭意取り組んできたところでございます。今後とも、それぞれの子どもの障がいの特性や、その程度に応じて適切に早期支援が実施できるように、障がい児の療育環境の整備に取り組んでまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) 星子教育長。

教育長(星子明夫) 学齢期から就労までの特別支援教育の取り組みにつきましては、障がいのある児童生徒の増加や一人一人の教育的ニーズの多様化を踏まえ、障がいに応じた多様な学びの場を整備するとともに、教職員の専門性向上を目指し、研修に取り組んでまいります。

 また、就労につきましては、生徒の夢と希望を実現するため、博多高等学園を中心に高等部段階における職業教育を推進するとともに、ハローワークや障がい者就労支援センターなどの関連機関と連携し、さらなる就労支援の充実に努めてまいります。以上でございます。

 

副議長(石田正明) お諮りいたします。

 本日の会議はこの程度にとどめ、残余の質疑は明8日の会議にこれを繰り延べたいと思います。これに御異議ありませんか。

      〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

副議長(石田正明) 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。

 次の会議は明8日午前10時に開きます。

 本日はこれをもって散会いたします。

午後6時10分 散会